西瓜合戦
第一章
西瓜合戦
円地玲子と樋口弥生はこの時神託に従いアフリカ西岸のギニアにいた。サハラ砂漠以南のアフリカが太平洋の勢力圏に入ってからこの地域も見事な内政が行われている。このことはこの世界のこの地域が統一されてからのことだったがよりよい政治が行われる様になっていた。
その中でだ、玲子は弥生と共に海辺の一面の西瓜畑の中を歩きつつ楽しそうに言った。
「いやあ、いいねえ」
「そういえば玲子さん西瓜お好きですにゃ」
「そうだよ、夏なんてな」
それこそとだ、玲子は自分の隣にいる弥生に笑って話した。
「もう毎日でもな」
「召し上がられてますにゃ」
「そこまで好きでさ」
「だから今もですにゃ」
「ああ、こうして見ているとな」
西瓜、畑にあるこの作物達をというのだ。
「自然とな」
「召し上がられたくなりますにゃ」
「そうだよ、ちょっと農家の人に行ってな」
そうしてというのだ。
「西瓜食いたいな」
「お金を払って」
「ああ、一個食いたいねえ」
「一個ですにゃ」
「あたしが一個でな」
玲子は弥生にも顔を向けて彼女にも話した。
「弥生ちゃんが一個でどうだい?」
「私そんなに食べられないですにゃ」
とてもという口調でだ、弥生は玲子に答えた。
「西瓜一個なんて」
「無理か」
「ちょっと以上にですにゃ」
「まああたしは特別か」
「本当に西瓜一個食べますにゃ?」
「あたしはな、半分に切ってそれで半分ずつスプーンで食っていくんだよ」
玲子は自分の西瓜の食べ方も話した、二人の左右には緑と黒の縦縞模様の西瓜達が数え切れないまに転がっている。
「それか四分の一ずつに切ってかぶりつくんだよ」
「そうしてですにゃ」
「食うのがあたし流さ」
「そうですにゃ」
「ああ、ちょっとお百姓さんに話してみるか」
そうしてと言うのだった。
「一個ずつ買って食うか」
「だから私は一個はとてもですにゃ」
「じゃあどれだけだよ」
「四分の一が精一杯ですにゃ」
「じゃあ残りはあたしが食ってやるよ」
「一個食べてそれからですにゃ」
「西瓜なら幾らでも食えるさ」
玲子は満面の笑顔で答えた、そうした話をしつつだ。
二人は海辺の西瓜畑を歩いていき西瓜を売ってくれそうな農家を探していた、だがここで海のすぐ傍にある西瓜達がだった。
一匹の赤い大蛸、足まで合わせると八メートルはありそうな大きな蛸が西瓜を盗んでいるのを発見した。
玲子はその蛸を見るとすぐに弥生に言った。
「珍しい光景だよな」
「はい、西瓜がですにゃ」
弥生もその蛸を見て言う。
「西瓜を盗んでますにゃ」
「蛸って西瓜食わないよな」
「そんなお話は聞いたことがないですにゃ」
「あたしもだよ、何でなんだ?」
玲子は首を傾げさせつつまた言った。
「西瓜を盗んでるんだ?」
「意味不明ですにゃ、けれどですにゃ」
「ああ、ここはな」
「例え蛸でも盗みは許せないですにゃ」
「ちょっとやっつけてやろうぜ」
「そうしますにゃ」
こう話してだ、二人は蛸に向かった。すると蛸は二人の姿を見ただけであたふたと海の中に逃げ込んでしまった。
第二章
その姿を見てだ、玲子は言った。
「逃げちまったな」
「はい、やっつけらませんでしたにゃ」
「ってことはな」
「また出て来ますにゃ」
「だよな、だったらな」
それならとだ、玲子は弥生に述べた。
「西瓜を買うついでにな」
「大蛸のこともですにゃ」
「聞くか」
「そうしますにゃ」
こう話してだった、二人は実際にだった。
近くにいたノームの農民から西瓜を買ったうえでその西瓜を食いつつ大蛸について聞いた。するとノームの農民は彼も西瓜を食いつつ話した。
「困ってるんでさ」
「ああ、あの蛸にはか」
「いつも急に出てきましてね」
「西瓜を盗んでか」
「それで海に逃げるんで」
「そりゃ困るよな」
「今あっし等が一番困ってる泥棒でさあ」
西瓜泥棒、それだというのだ。
「だからですよ」
「大蛸を何とかしたいんだな」
「そうでさあ」
「よし、じゃあな」
玲子は四分の一に切った西瓜を右手に持って豪快にかぶりつきながらそのうえで農民に対して答えた。
「あたし達がな」
「何とかしてくれますか」
「冒険者だからな」
玲子は笑って素性を隠して答えた。
「それが仕事だからな」
「だからですね」
「ああ、任せておきな」
玲子はまた農民に答えた。
「だからあんた達はな」
「はい、蛸のことはですね」
「任せておきな、絶対に西瓜泥棒を解決してやるからな」
「それでは」
「さて、それではですにゃ」
弥生も西瓜を食べている、そのうえで農民に話した。
「暫くここに留まることになるかも知れないですにゃが」
「ご心配なく、宿もありますので」
「そこに泊まらせてもらって」
「宜しくお願いします」
ノームの農民は弥生にも話した、こうしてだった。
玲子と弥生は村の宿屋も紹介してもらって西瓜泥棒にあたることになった、玲子はその日の夜にだった。
弥生と共に西瓜畑の中を歩きつつだ、彼女に話した。
「西瓜泥棒でも何でもな」
「泥棒といえばですにゃ」
「今日は昼間に見たけれどな」
それでもというのだ。
「やっぱりな」
「夜に出ますにゃ」
「そうだよ、人目につきにくいからな」
夜の闇に紛れ込んでだ。
「だからな」
「今ですにゃ」
「探してるんだよ」
「そういえば蛸は」
「ああ、夜行性だろ」
「そうでしたにゃ」
「だから余計にだよ」
蛸のこの本質からもというのだ。
「あたしはな」
「夜にですにゃ」
「見回ってるんだよ、しかし蛸がな」
「西瓜泥棒とはですにゃ」
「やっぱりおかしいよな」
「私もそう思いますにゃ」
「わざわざ陸地まで出てな」
「蛸は西瓜を食べないですにゃ」
このことをだ。弥生は強い声で語った。
「絶対に」
「そうだよ、それで何で西瓜なんて盗むんだ?」
「そのこと自体が引っ掛かりますにゃ」
「そうだよな」
「だからですにゃ」
それでというのだ。
第三章
「ここはですにゃ」
「このことからも考えていくべきだな」
「そう思いますにゃ」
「だよな、だったらな」
玲子はさらに言った。
「ここはな」
「そのことからですにゃ」
「考えていくか」
「それがいいですにゃ」
「絶対に蛸だけじゃねえな」
玲子はこうも言った。
「ここは」
「私もそう思いますにゃ」
「だったらちょっと細工するか」
「細工?」
「ああ、蛸は退治せずにな」
そうしてとだ、玲子は弥生に笑って話した。
「わかるよな」
「そういうことですにゃ」
弥生も納得した顔で頷いて応えた。
「ではですにゃ」
「それじゃあな」
「そのうえで、ですにゃ」
「ここは頭を使っていこうね、あたしは勉強や学問は苦手だけれどな」
自分で言う玲子だった。
「時々妙にな」
「知恵がですにゃ?」
「出たりするんだよ」
「というか玲子さん頭悪くないですにゃ」
弥生は玲子のそのことを指摘した。
「決してですにゃ」
「そうかい?」
「お勉強はS組だからですにゃ」
八条学園ではスポーツのクラスだ、つまり学業よりもスポーツが優先されている様なクラスであるのだ。
「してないだけですにゃ」
「昔から成績は悪いけれどな」
「知識の問題で頭の回転は別ですにゃ」
「ああ、知識かい」
「お勉強や学問はそちらですにゃ」
「頭の回転とは別だからかい」
「玲子さんは頭の回転はいいですにゃ」
弥生は玲子自身にこのことを指摘した。
「だからですにゃ」
「馬鹿とか思わなくていいか」
「そしてその作戦を」
「ああ、仕掛けような」
光るブローチを出しつつだ、玲子は弥生に話した。そしてだった。
二人で西瓜畑の中を歩いていきパトロールを続けた、深夜になり黄色い三日月が空をと夜の畑と海そして浮島達を照らす中で。
あの蛸が畑に向かっていた、二人はすぐに蛸に向かったが。
不意に何かが出て来た、それは丸く小さな手足がその丸い身体から出ている者達だった。
「カカーーーーーーーッ!!」
「何だこいつ等」
玲子は槍を手にその者達を見て声をあげた。
「西瓜かよ」
「西瓜に手足が付いてますにゃ」
弥生もその丸い者達を見て述べた。
「そうした連中ですにゃ」
「そうだね、手足は蔦が変わったものでね」
「あと目鼻とお口はですにゃ」
「くり抜いてるね」
見ればハロウィンのカボチャそっくりの顔が西瓜達にある。
「そのままだね」
「そうですにゃ」
「動く西瓜かい」
「西瓜や南瓜は採らないでおくと吸血鬼になるといいますにゃ」
弥生は術を放とうと身構えつつ述べた。
「それではと思いましたがにゃ」
「ああして顔をくり抜いてるとね」
「また違いますにゃ」
「そうだね」
「はい、それではですにゃ」
「この連中のこともちょっとね」
「調べる為でもですにゃ」
「ここは戦って勝ってね」
そしてと言うのだった。
「仕掛けようね」
「わかりましたにゃ」
こう話してだ、そしてだった。
第四章
玲子と弥生は大蛸そして西瓜達との戦闘に入った、西瓜はその身体を激しく回転させつつ体当たりを仕掛けてくる、高速で変化球の様に動いてくる。
大蛸は八本のうねうねと動く足で攻めてくる、玲子はその両方を槍で弾き返しつつ弥生に対して言った。
「弥生ちゃん、まずはだよ」
「はい、時魔導士の術ですにゃ」
「それで連中の動きを遅くしてくれるかい?」
「わかりましたにゃ」
「あたしも使うからね」
玲子の術は知力の関係で威力が弱い、だが使うのと使わないのでは全く違うのでそれで使うというのだ。
「そうするね」
「はい、じゃあお願いしますにゃ」
こう話してだ、二人はまず術で相手の動きを鈍くさせた。そのうえで自分達の動きも速くしてだった。
敵に向かった、動きが鈍くなった大蛸と西瓜達は二人の敵でなく玲子も弥生も攻撃を何なくとかわしてだった。
玲子は槍、弥生は術で敵を倒していった。玲子は槍で西瓜達を両断してだった。そうして蛸も攻めてだった。
西瓜達を全部倒し蛸に大きなダメージを与えるとさらにだった。
蛸は昼と同じ様に海に向かって逃げた、玲子はあえて追わず蛸に対して光るブローチを投げつけた。
するとブローチはくっついてだ、そしてだった。
蛸と共に海に入った、玲子は蛸を見てそうして言うのだった。
「じゃあ後はね」
「はい、場所がわかればですにゃ」
「そこに行こうね」
「そうしますにゃ」
「ただね」
玲子は弥生にあらためて話した。
「わかるね」
「はい、海ならですにゃ」
「弥生ちゃん泳げるね」
「起きた時でも学校の授業に出てますにゃ」
「プールで泳いでるね」
「そうしてますにゃ」
「だといいよ、あたしは水泳も得意だしね」
玲子は自分のことについては言うまでもないという口調で笑て話した。
「だからね」
「若し海でもですにゃ」
「追いついていこうね」
「そうしていきますにゃ」
二人で話してだ、そしてだった。
あらためて周りを見た、見れば倒した西瓜達が転がっていた。それで言うのだった。
「待つ間ね」
「西瓜をですにゃ」
「このまま放っておいてもどうしようもないからね」
だからと言うのだった。
「それでね」
「まずはですにゃ」
「そうだよ、西瓜を食べてね」
倒した彼等をというのだ。
「鏡を見ていようね」
「では」
「十個はあるね」
玲子は自分達が倒して転がっている西瓜達を見て言った、見れば殆どが玲子の槍や弥生の氷の刃の術で両断されていて奇麗なものだ。
「食べられるね」
「あの、ですから私はですにゃ」
「だからあたしが九個とね」
「私の食べた残りをですにゃ」
「食べるよ」
「西瓜九個以上もですにゃ」
「食っても平気だよ、あたしは」
弥生に笑って話した。
「だからね」
「全部食べますにゃ」
「ああ、じゃあ今から食おうね」
こう言って早速だった、二人は西瓜を食べつつ鏡も出してそれを見た。鏡の中の光は海の中をひたすら進んでいた。
第五章
蛸はそんなことは思いも寄らず海の中の洞窟に入った、すると洞窟は上に向かうと水はなく空気があった。その洞窟の中にだ。
多くの動く西瓜達とコボルトの科学者の白衣を魔法使いの法衣の上に着た若い男がいた、男は彼等を傷ついた蛸を見て驚いて言った。
「どうしたの、その怪我」
「面目ありません」
蛸はコボルトに申し訳なさそうに答えた。
「畑を守っている二人の女にやられました」
「二人の?冒険者を雇ったのかな」
「おそらく」
「それは困ったね、じゃあね」
「また機をあらためて」
「うん、そうしてね」
そのうえでというのだ。
「西瓜を手に入れよう、そして」
「やがては」
「丘に出て」
「我々もですね」
「西瓜畑を耕して」
「西瓜を作っていって」
「動く西瓜達をですね」
「作っていこう。西瓜を盗むことは申し訳ないけれど」
コボルトは腕を組みそれでもと言った。
「けれどね」
「それでもですね」
「動く西瓜、そして動く植物をもっと広めたら」
「文明の発展に貢献しますね」
「そうだよ、だからね」
コボルトは蛸に話した。
「僕は今はね」
「是非ですね」
「丘に出て西瓜畑を実現するまで」
「西瓜を盗んでいこう」
「そうしますか」
「お金がないからね」
だからだと言うのだった。
「研究費でカツカツだから」
「そうですよね、ご主人の食べるものも」
「西瓜と君が獲ってくれる魚介類だけで」
「はい、自給自足です」
「何処かで買うことも出来ない、貧乏は困るよ」
研究費で使ってないからだというのだ。
「動く野菜達を商品化して儲かるだろうけれど」
「今はですね」
「うん、貧乏なままだよ」
「それで盗むのは駄目だろ」
ここでだった、玲子が言ってきた。そしてだった。
玲子が弥生と共に出て来た、玲子は見事な肢体に赤いビキニを着て右手には朱槍を担いでいる。弥生は学校指定の古典的なスクール水着を猫人の身体の上に着ている。二人で海の中を泳いでそうして洞窟の中に入ってきたのだ。
「捨てる西瓜を貰えよ」
「新鮮な西瓜じゃないと駄目だけれど君達は」
「あっ、こいつ等です」
蛸は玲子達を見てコボルトに話した。
「俺っちを散々破ってくれた」
「その冒険者達なんだ」
「無茶苦茶強いですよ」
こうコボルトに話すのだった。
「本当に」
「それじゃあここで戦っても」
「絶対に勝てないですよ」
「困ったな、じゃあ逮捕されるのかな」
「観念したら手荒な真似はしないよ」
玲子もそのことを保証した。
「見ればあんた達そんなに悪党じゃないしね」
「実は私達は星の者ですにゃ」
弥生が自分達のことを話した。
「これだけ言えばわかりますにゃ」
「あっ、日本の傾奇者と猫巫女さん」
コボルトもここで二人が何者かということに気付いた。
「お二人ですか」
「そうさ、ここで暴れたり逃げたら殴って大人しくさせるけれど」
「大人しく降れば」
「暴力は一切振るわないよ」
「ご主人、これはです」
蛸はここでコボルトに話した。
「もうです」
「そうだね、それじゃあね」
「選択肢は他にないですから」
「僕達暴力は苦手だしね」
「大人しく降りましょう」
こうしてだった、コボルトと蛸はそれぞれ白旗を出してだった。西瓜達と共に投降した。玲子達はその後で洞窟を調べると様々な研究や開発の施設や書、道具があった。
第六章
コボルトの名前はクサイン=スガラモといった、このギニア生まれの科学者で魔術も学んでいる。植物を動く様に出来れば文明の発展に役立つと思って冒険者として働いて資金を溜めて研究をはじめたがその研究の為の書や設備を整えた時点でその資金がなくなり今に至りこの場に来た時に仲間にした蛸と共に仕方なく西瓜を盗んでそれで研究や実験、実用化に使っていたのだ。
ことの全てを聞いた玲子はスガラモと蛸を警察に引き渡した、ついでに西瓜達も。
彼等は取り調べの結果自分達が言っていた通り西瓜泥棒つまり窃盗を行っていたが罪悪感はあり反省の情があったので改悛していると見て入牢とはならず盗んだ西瓜の分だけ西瓜畑で働くこととなった、そしてその後で政府に科学者として正式に雇われ今度は公費で動く植物についての研究を行うことになった。太平洋とアフリカを統括する政府としては彼の研究は面白いと認めてのことだ。また科学者としての彼の資質も認められたのだ。
このことが終わってだ、玲子達はギアナを後にして次の場所に向かおうとしたが。
玲子は港町で目の前にあるものを見た、それは。
「へえ、松風かい」
「そうですにゃ」
それは見事な黒馬だった、鬣も漆黒で実に逞しい身体をしている。弥生もその馬の名前をすぐに察した。
「玲子さんは傾奇者ですにゃ」
「だから新しい神具はだね」
「馬は馬でもですにゃ」
「神具だね」
「左様、これからご主人と共にだ」
ここで松風も玲子に言ってきた。
「拙者は戦っていこう」
「そうしてくれるんだね」
「拙者は一日千里を走り」
「海の上も空もだね」
「進める、そうした馬だ」
「凄いね、じゃあね」
玲子は微笑んで松風に応えた。
「これからはね」
「拙者の力もだな」
「借りるよ、宜しくな」
「こちらこそ」
「試練を乗り越えて強くなったし」
玲子も実感していた、全身に力がみなぎっていることを。
「それじゃあね」
「これからですにゃ」
「次の場所に向かおうね」
松風に乗りつつだ、玲子は弥生に応えた。もう松風には馬具が全て備わっていて乗るには困らなかった。
「そうしようね」
「わかりましたにゃ、では」
「行こうね、後ね」
「後。何ですにゃ」
「あんたも乗りな」
自分の背を見てだ、玲子は弥生に誘いをかけた。
「そうしてな」
「二人でですにゃ」
「ああ、松風に乗ってな」
そのうえでというのだ。
「次の場所に行こうな」
「そうしていいですにゃ」
「遠慮は無用だよ、仲間じゃないか」
それ故にとだ、玲子は笑って答えた。
「じゃあね」
「わかりましたにゃ、では今からですにゃ」
「乗ってだね」
「一緒に次の場所に行きますにゃ」
弥生は玲子に笑って応えてだ、そしてだった。
彼女も松風に乗った、二人で見事な馬に乗ってそうしてだった。玲子は松風を見た。すると松風はそれだけで足を前に出して次の場所に向かった。
西瓜合戦 完
2018・12・25