派手な水着は要注意
第一章
派手な水着は要注意
上坂早苗は所謂セレブの家の娘である、親は県内で有名な会社を経営していて後継者となっている兄と共に大学を卒業してすぐに父の会社に入って働いている。茶色の髪の毛を長く伸ばし一六五程の背でグラビアアイドル顔負けのスタイルに切れ長の感じのはっきりした二重の目と細く長い奇麗な形の眉にすっきりした顎と赤い大きめの唇と白い肌を持っている。
一見高慢な感じがするが謙虚で穏やかな性格で知られているが。
「いい人なんだけれどな」
「気配りが効いて公平で」
「それで礼儀正しくて」
「言葉遣いも丁寧で」
「お兄さん共々」
「二人共仕事も出来るし」
だがそれでもというのだった。
「露出がな」
「仕事の時はタイトミニで」
「スタイルが出ている服好きだし」
「この前のパーティーでも胸の谷間見せてきたし」
「そうした趣味があるのが」
「どうもね」
実は早苗は自分のスタイルに自信もあってだ。
見せるのが好きだ、それでなのだった。
仕事の時もプライベートの時も露出が多い服ばかりだった、ミニスカートに半ズボンに胸や背中の部分が大きく開いた上着ばかり着ている。
趣味はテニスに水泳、合気道だがテニスや水泳の時もだ。
やはり露出が多い、兎角彼女は自分のスタイルを見せたがった。
そんな彼女を兄の俊継眼鏡をかけ地味な顔立ちで茶色の妹と同じ髪の毛の色のそれを真ん中で分けた一七〇位の背で太めの彼はいつも注意していた。兄は父親似で妹は母親似である。
「あまり見せるな」
「襲われない様に危険な場所には行ってないし護身具も持っていますわ」
妹は笑ってこう返すばかりだった。
「心配無用ですわ」
「そういうものじゃない、お前見られるとな」
「男の人にですわね」
「どういうことかわかってないんだ」
「?見られて何ですの?」
「それがわからないのか、男というものが」
「だから襲われない様に用心していますわ」
妹は笑って言うばかりだった。
「そして護身具だけなく護身術もしていますし」
「合気道だな」
「そうですわ、子供の頃からしていまして」
この時は露出はない。
第二章
「五段ですし」
「それでもだ、お前はわかっていない」
「そうですの」
「その顔でそのスタイルなら余計だ」
兄はさらに言った。
「男を刺激するぞ」
「見せる位ならよくて襲われないといいですわ」
「他にもあるんだ」
「何がありますの」
「わかってからじゃ遅いと言っておくぞ」
兄はこう言う、しかし妹はわからず。
露出の多い恰好を好んだ、そんな中で会社の慰安で休日海に行ってビーチでバーベキューを焼いてだった。
泳ぐことになったが早苗はこの時もだ。
露出が多かった、参加者は全員海なので水着だったが彼女は赤紫のスリングショットの水着だった。
胸は半分露わになっていて見事なスタイルがこれでもかと出ていた、兄はその水着姿で出て来た彼女に言った。
「お前またか」
「またでしてよ」
笑って開き直る声だった。
「ですから別に」
「ここ普通のビーチで十代の子も一杯いるからな」
「ですから襲われないと」
「あくまでそう言うんだな」
「ええ、問題ありませんわ」
早苗は迂闊な場所には行かないし万が一の時は護身具に合気道があるから大丈夫あと確信していた、そのうえで社員達と共にバーベキューを焼いて食べたりビーチバレーを楽しんだがそんな中でだ。
ふとだ、砂や潮を落としにシャワールームに行くとだった。
「あの赤紫の水着のお姉さん最高だな」
「あんなお姉さんとそういうことしたいな」
「お姉さん最高だよ」
「ああお姉さんいくいく」
「お姉さんそんなことしたら駄目だよ」
「お姉さん嫌がってる割に濡れてるよ」
こんな十代の少年達と思われる声がだ。
シャワールームから聞こえてきた、早苗はまさかと思いつつだ。
シャワーで軽く砂や潮を落としたが。
出た時にだ、そこに言っていたと思われる彼等もいた。彼等は早苗を見ると。
第三章
瞬時に股間が動いた、そしてだった。
そそくさと彼女の前から消えてシャワールームに戻ってだった。
「奇麗でスタイルいいし」
「あんなエロい水着だしな」
「また出したくなったよ」
「本人見たらな」
「どうしても」
「これってまさか」
早苗は愕然となった、彼女も異性のことはわかっている。それでこれは間違いないと確信して蒼白になったが。
それで自分の会社の集まりに戻ってきたが兄にこう言われた。
「わかった様だな」
「あの、襲われなくても」
「襲ったら犯罪だろ」
兄はそもそもと言った。
「そうだろ」
「そうですわね」
「けれど想像して使うならな」
それならというのだ。
「問題ないからな」
「犯罪でも何でもないので」
「お前がそんな恰好でいたらな」
「使われていますの」
「使われていいならいい、しかしな」
「それが嫌でしたら」
「お前嫌そうだな」
愕然とした表情で蒼白になっている妹を見て言った。
「それならな」
「気をつけることですわね」
「ああ、只でさえお前は顔立ちもスタイルも整っているからな」
このことは事実だからだというのだ。
「使われることが嫌ならな」
「気をつけることですわね」
「十代はそうした欲求が一番強い時期だが」
「他の方もですわね」
「犯罪じゃないからな」
それ故にというのだ。
「自由だからな」
「それが嫌なら」
「わかるな」
「わかりましたわ」
妹は項垂れて応えた、そしてこの時はパレオとカーディガンで露出を隠して過ごした。それからはだった。
早苗は露出を控える様になった、やがて結婚したがそれからは尚更露出を控える様になった。そのうえで父の会社を継いだ兄に会社の重役になった立場を置いて言った。
「使うことは自由ですわね」
「そうだ、本当にな」
「相手が誰でも」
「お前でもな、それが嫌ならな」
「露出は控えることですわね」
「くれぐれもな、お前今も顔もスタイルもいいけれどな」
結婚して子供が出来て年齢も重ねたがだ。
「気をつけるんだ、いいな」
「そうしますわ」
膝までのタイトスカートと胸をしっかり隠したスーツ姿で応えた、もう早苗は露出は多くなかった。そうされることが嫌なので。それは海からだと自分でわかっていた。
派手な水着は要注意 完
2023・1・20