DQ5 最強に非力なだけの平凡な男だが、何故かDQ5の世界に転生した。泣く。
0.俺氏inDQ5
前書き
最強に非力なだけの平凡な少年の冒険がここに幕を開けます。
うん、その、ね。
転生というものが、あってですね。
はたから見てると素敵だけど、現実に起こっちゃうと洒落にならないわけでですね。
はい、何を言いたいかといいますと。
……俺氏、転生しました。
ねえねえどうすればいいの!?これどうすればいいの!?
隣の「マーサ……」「貴方……」とか子供(新生児)の前なのにも関わらずリア充してやがる方々からしてDQ5だよねこれ!?
それなら絶対その内モンスター出るよねこれ!
ヤダ!痛いのヤダ!!
ねえねえどうす(以下略)
……はい。
というわけで、俺氏転生しました。
DQ5……3年前くらいに友達がプレイしてるのを見てた記憶がある……。
内容は……うん、友達を横目に漫画読んでたからほぼ覚えてないな……。
なんか……パパスがご臨終で嫁もらって……うん……そんな感じ……。
……生存が絶望的です。
俺の名前はリュカらしい。
ちなみに初め父さんが「トンヌラ」とか言い出したが、母さんがやんわり却下してくれたのでどうでもいいことだ。
……母さん大好き。
とか思ってたら母さんが咳き込み始めた。
大丈夫か母さん。
……あれ。
確か、母親魔界に連れて行かれるんじゃなかったっけ……。
1.可愛いショタっ子(ただし外見に限る!)
こんにちはっ!リュカだよ!
……すまん冗談。なんでもない。忘れろ。
はい、そんなこんなで6年後。
もちろん母さんは原作通り紫の「おーっほっほ」さんに攫われました。
そしてもちろん父さんも召使いのサンチョと俺を連れて旅に出ました。
何で俺まで連れて行くんだろうね。俺新生児だったんだから置いていけよな。
そういうわけで、俺ももう6歳。
THE☆猫被りで毎日を生きている。
中学3年間演劇部だった俺の演技力をなめるな!
いや、だって今世の俺めっちゃくちゃ可愛いんだもん!しかもショタだよショタ、ショタコンホイホイだよ!
やっぱ中身も可愛い男の子演じないと!
「……おおリュカ、起きたのか」
「あ、うん、お父さん!おはよう!」
「おはよう」
あ、この人はパパス。産まれた時に見たマッチョの人。
今世での俺の父親だ。
「リュカ、今日でこの船ともお別れだ。船員の方に挨拶をして来なさい」
「分かった!行ってくるねっ!」
「ああ……おっと、危ないから走るなよ」
「はぁい!」
元気にお返事する俺。
うん、元気っ子元気っ子。
「お、リュカじゃねえか。そんなに急いでどうした?」
おっと、第一船員発見。
よし、必殺奥義・THE☆猫被り!
「あっ、船員さん!あのね、今日で船員さんたちとさよならだからご挨拶してるんです!」
「おー、そういえばそうだったな。今日でリュカともお別れかー」
「はい……その、僕たちをお家まで届けてくれてありがとうございましたっ!」
少し寂しそうな表情からショタスマイルへ!
このコンボは最強だよね!ハートにクリティカルヒットだよね!!
「どういたしまして!俺らがいなくなっても泣くんじゃねえぞ、男なんだからな!」
「なっ、泣かないもん!」
「ハハハ、そうだな!お前も親父さんを見習って強くなれよ!……あとこれ、親父さんには内緒だぞ?」
そう言われ手に握らされたのは、イチゴ味の飴玉。
っしゃあ!俺イチゴ大好きなんだよね!前世から揺らいでないぞ!
「えっ、いいんですか!?」
「ああ、記念にもらってくれや!こんなのしかなくてすまねえな」
「ううん!ありがとうございます!」
ありがとな船員!お礼に俺の可愛い全力ショタスマイルを見せてやるよ!
そんな感じで船員全員に挨拶をすましていると、船長が「ビスタに着いたぞー!」と叫んだ。
それを(うるせえなクソ……)とか内心悪態つきつつ父さんに知らせる。
「お父さん!船が着いたって!」
「おお、そうか。荷造りは出来てるな?」
「うんっ!」
昨日の夜に済ませといたぜ!
こんな気が利く6歳なかなかいないぜ!?さあ褒めろ!
「そうか、では行こう。2年ぶりの故郷だ」
褒めてもらえませんでした。ショボンヌ。
2.弱さだけは外見にピッタリという絶望
落ち込みつつ部屋を出て父さんの後ろにつき船を降りようとすると、なんか……あー、個性的な髪型がステキなおじさまと可愛いロリが乗り込んできた。
……いや、正しくはおじさまが乗り込んできてロリは乗り込めてない。
よし、ここは優しいショタらしく手を貸してあげましょう!
「君、大丈夫?ほら、僕の手掴んで!」
「え?」
不思議そうな顔をしつつも素直に手を掴んでくれるロリ。
YESロリータNoタッチ、だがこれは不可抗力なのでしょうがない。そして俺はロリコンじゃない。
「せーのっ、それっ!」
「きゃっ!?」
そしてロリを引き上げる。
「ふー、良かったね!」
「え、あ、その……ありがとう」
「ううん!あ、そうだ、君の名前は?」
「えっと、フローラです」
フローラか……フローラ?
……主人公の結婚候補って確か、ビアンカと……フローラ……。
……そっかー、こんな所で会えるんだねー、フローラ。
「フローラちゃんかー、僕はリュカ!僕はもう船降りちゃうけど……いつかまた会えたらいいね!」
「うん……助けてくれてありがとう、リュカ君」
「どういたしまして!じゃあねっ!」
そう言って、父さんと船を降りる。
手を振ってくれる船員さんに最後まで抜かりなく愛想を振り撒きながら、俺はビスタ港を見渡す。
……大量の、タルがある。
父さんは港に居たオッサンと話があるらしい。
好都合だ。さーてっ、何が出るかな何が出るかな♪
結論。
10Gしかなかった。
しみったれた港だなオイ!俺はこんな港は嫌いだ!!
と、腹いせに港を出て行った結果。
スライム×3と、遭遇した。
……逃げる。
回り込まれる。
殴られる。
ちょ、痛い痛い。地味に痛いっす、やめてくださいスライム先輩。
スパーン。
スライム一撃粉砕。
……!?
えっ、何が起こった!?怪奇現象?怪奇現象なの?
「大丈夫か、リュカ?」
父さんでした。
いやだお父様イケメン。
とか考えてると父さんがさりげなくホイミをかけてくれた。
お父様テライケメン。
「今回は私が来たから大事にはならなかったが……これからは勝手に外に出てはいけないぞ?」
「うん……ごめんなさい、お父さん」
結構ガチでショボンヌな俺。
「ハハ、そんなに落ち込むな。これから気を付ければいい。それにお前も、その内強くなる」
そうかなぁ……俺、前世で小学生のときの握力測定で学年最下位だった記憶があるんだが……。
そんな感じで大変幸先悪く始まった故郷への帰路だったがそれからは特に何も起こらず……いや、モンスターは結構出たが父さんがLet's一撃粉砕してくれたので俺に被害は及ばず。
平和に俺達は、サンタローズへ辿り着いた。
3.幼馴染がスイーツ(笑)な件について
前書き
今回はビアンカさんがTHE☆スイーツ(笑)なのでビアンカファンの方はお気をつけ下さい。
こんにちは、体は子供、頭脳は大人、力は赤ん坊の名探偵(白目)リュカ君inサンタローズです。
父さんの帰郷が騒がれているのを内心愚痴りつつ静かに聞いていると、大変KY(空気読める)な村人の方が「リュカ君疲れてるっぽいしもう帰ったらいいお(^ω^)」的なことを言ってくれました。
という訳でお言葉に甘えて家に帰ったら。
「あら、リュカ!久しぶりね、ビアンカよ!私のこと、覚えてるかしら?」
などといかにも疲れてる感じの俺氏を前にしても全力で話しかけてくる金髪ロリビアンカに会いました。
だがやっぱ友好関係って大事だと思うので、こちらも全力で媚を売ることを試みる。
「うん、もちろん!久しぶり、お姉ちゃん!」
「覚えててくれたのね!前に会ったときはリュカ小さかったから覚えてないかと思ってたけど!」
「ずーっと覚えてたよ、あんなにいっぱい遊んでくれたんだもん!」
「ありがとう、やっぱりリュカはいい子ね!」
媚を売るのは最強の世渡り術、これが俺の持論である。
「もうっ!リュカのバカ!!私より小さいくせにっ!」
あっ、ありのまま 今起こったことを 話すぜ……!
「ビアンカ姉がお姉さんぶって(まあ実際年上なんだけど)本を読んでくれようとしたが読めなくて読み方教えたら理不尽に怒り出した」
な……何を言っているのか解らねえと思うが俺も何を言っているのか解らねえ……!
自己中とかスイーツ(笑)とかじゃ断じてねえ、もっと恐ろしいものの片鱗を味わった気分だぜ……!
……とまあそういうことだ。
まあいい、俺の世渡り術で何とかしようじゃないか。
ふ、前世のバイトの先輩だったスイーツ(笑)女を思い出すぜ……!
「お、お姉ちゃん……ごめんね、僕……」
「謝るなら教えなければよかったじゃない!バカ!」
「違うの、きっとお姉ちゃん喜んでくれると思って……!」
「喜ぶわけないでしょ、バカ!」
……ねえ知ってる?
女ってね、可愛い男の子の泣き顔に弱いんだよー。
まーめちしっきーランランラン。ウフフ。
「……うん、ごめんね……僕、バカだよね……ひっく……」
「え!?ちょっ、な、泣かないでよ……」
「うん……ごめんねお姉ちゃん、ひっ、ひっく」
「え、そ、その……わ、私もごめんね……?」
へっ、ドヤァ。
とまあそんなハプニングもありつつ楽しく遊んでいたら、ビアンカ姉がいきなり「そうだ」と呟いた。
「ねえ、リュカは薬師のおじさんが何処にいるか知ってる?」
「薬師のおじさん?」
いや……旅してた俺よりは隣町のビアンカ姉の方がサンタローズ事情には詳しいと思うんだが。
「知らないけど……その薬師さんがどうかしたの?」
「うん、私のお父さんが病気でね。薬をもらいにサンタローズまで来たんだけど……薬草を取りに洞窟に行った薬師さんが、もう3日も戻ってこないの」
洞窟かー……そういえば見た気がするな、川の近くの洞窟。
……はっ、もしかしてこれは「お願い、リュカが探してきて!」フラグ!?
え、洞窟ってモンスター出るんだよね、ヤダヤダ、痛いのヤダ!
よし、ここはどうにか俺は行かない方向に話を進めよう。
ここでの俺の話術が、俺の命運を決めるッ!
「そっか、大変だねえ……あ、僕、お父さんに薬師さんのこと探してくれるようにお願いしてみるよ!」
「え、そんな……悪いわ、パパスさん忙しそうだし……」
「ん……だけど、お父さん優しいからきっと頼まれてくれるよ!」
「うーん、でも……そうだ、じゃあリュカが探してきてよ!」
そら来た!
おいビアンカ姉、そこで俺が怪我したらお前の責任だぞ?解ってんのか?あぁん?
と、内心はかなり荒ぶっているがえらい俺は表には出さない。えらいから。
「え……でも、洞窟ってモンスター出るんだよね?」
「そうよ?あ、あんた怖がってるんじゃないでしょうね!私なんてね、魔法を使えるのよ!」
じゃあお前が行けよ姉さん!
「へぇ、すごいね、お姉ちゃん!……でも、僕は使えないから……怪我しちゃったら、どうしよう……」
「だぁいじょうぶよ、リュカだってパパスさんの息子なんだから!」
だから父さんに頼んでやるっつってんだろまったくもう!
「おーいビアンカー、そろそろ宿に帰るよー!」
「あ、はーい!……じゃあリュカ、お願いね!」
最後にバッチリウインクを決め、バッチリ面倒ごとを押し付けていったビアンカ姉。
……くそう、なんでこんなことに……父さんに言いつけるぞ……もう……。
後書き
さあ最強非力少年リュカ君、次回からは一人ぼっちです。