仮面ライダーウィザード 希望を救い出せ


 

第一章

          仮面ライダーウィザード  希望を救い出せ
 操真晴人は旅を続けていた、、あの時からまだ。
 その中でだ、彼は思わぬ場所に出た。そこは港だった。 
 港の波止場には多くの船が停泊している、中には出港する船もいれば入港する船もある。その船達を見ながらだ。
 彼は何処となく旅をしていた、しかし。
 ここでだ、一人の高校生位の少年が彼に声をかけてきた。見れば明るい感じの少年だ。
「あれっ、確か貴方」
「ああ、あんたか」
「はい、ジェイクです」
「そうだったな」
「いや、まさかここでお会い出来るなんて思いませんでしたね」
「そうだな」
「一緒に戦わせてもらった時はどうも」
 その共闘した時のことをだ、ジェイクは操真に素直に笑顔で礼を述べた。
「お陰で助かりました」
「こちらこそな」
「それで今日はどうしてここに」
「ファントム達は倒した」
 このことからだ、操真はジェイクに答えた。
「そしてコヨミもいなくなった」
「そうですか」
 コヨミのことを聞くとだった、ジェイクも暗い顔になった。そうしてやや俯いてしまった。操真はそのジェイクにさらに話した。
「そして俺はコヨミの最後の願いを適える為にな」
「今は、ですね」
「こうして旅を続けている」
 こうジェイクに答えたのである。
「今もな」
「そうですか、ただ」
「ただ、どうした」
「ファントムですよね」
 彼等のことからだ、ジェイクは操真に話した。
「今倒したって仰いましたけれど」
「まさかと思うが」
「はい、実は僕達もそう思ってたんですよ」
 仮面ライダー部の面々もファントム達と戦っていた、操真達と共に。それだけにファントムのことは知っているのだ。
 だが、だ。それでもだというのだ。
「けれど昨日出て来ましたよ」
「やはりそうか」
「はい、それで弦太郎さん達が戦いました」
 ジェイクは真顔で操真に話す、その目は嘘を言っているものではなかった。
「結構な数の連中が出て来ましたよ」
「何処に出て来た」
「ちょっと来てくれますか?」
 ジェイクは真顔のまま操真に話した。
「ここは」
「そっちにか」
「はい、仮面ライダー部の部室に」
 城南大学のそこにだというのだ。
「そこに来て下さい」
「わかった、それじゃあな」
 こうしてだった、操真はジェイクに案内されて城南大学仮面ライダー部の部室に向かった。その大学に入ってだった。
 操真は案内をするジェイクにだ、こうしたことを言った。
「ここにもだな」
「はい、ファントムが出て来まして」
 その通りだとだ、ジェイクも答える。
「戦いになっています」
「そうか、やはりな」
「はい、それで僕もなんです」
 ジェイク自身もだというのだ。
「ベルト使って戦ってます」
「そうか、大変だな」
「いえ、操真さん程じゃないですよ」
 仮面ライダーウィザードである彼と比べるとだというのだ、ジェイクが戦っているその中身はだ。 

 

第二章

「大変だったそうですね」
「知ってるんだな」
「はい、仁藤さん達とも一緒に戦って」
「あいつ等からか」
「それでお聞きしました」
「そうか」
「別に隠してなかったですよね」
 言ってからだ、ジェイクは若しそうだったらという顔になりそのうえで操真に対して言った。その顔で。
「そのことは」
「ああ、別にな」
 その通りだとだ、操真はジェイクに表情を変えずに答えた。
「コヨミのことはな」
「コヨミさん、もう」
「あいつはな、もうな」
 空を見上げてだ、操真はジェイクに答えた。
「望みを叶えた」
「ですね」
「だからもうな」
「コヨミさんのことはっですね」
「いい」
 それで、というのだ。
「隠してもいないからな」
「だったらいいですけれど
「とにかくだ、ファントムとの戦いは終わったと思っていたがな」
「どうもそうじゃなかったみたいですね」
「どんな連中が出て来ている」
「赤い奴がいましたよ」
「フェニックスか」
 赤い者と聞いてだ、操真はすぐに察した。
「あいつは」
「ああ、そういえばそうでしたね」
 ジェイクも言われてそれで思い出した、その赤いファントムの名前を。
「人間の時は花屋さんだった」
「ああ、そうだった」
「その他にもいたみたいですけれど」
「そのフェニックスが動かしているファントム達がか」
「何度も何度も僕達に仕掛けて来るんですよ」
 困った顔になってだ、ジェイクは操真に話した。
「困ったことに」
「事情はわかってきた」
「はい、そういうことなんで」
 それでだと言うのだった。
「そこで丁渡なんですよ」
「俺と会ったか」
「たまたまでしょうけれど」
「実際に偶然だ」
 ジェイクと会ったこともだというのだ。
「まさかあそこで会うとはな」
「やっぱりそうですよね」
「そうだ、しかし」
「しかしですか」
「ファントム達がまで出て来ているのならな」
 それなら、と言うのだった。
「俺はまた戦う必要があるか」
「はい、そうなります。実は」
「仁藤がだな」
「あの人もやっとビーストにまたなれる様になってるんですが」
「戦力がだな」
「足りないんですよ」
 苦い顔になってだ、ジェイクは操真に話した。
「それが本当に」
「そうか、それならな」
「はい、お願いします」
 是非にというのだ。
「こっちに来て下さい」
「わかった、じゃあな」
「まずは仮面ライダー部に来て下さい」
 ジェイクはこう言いながら操真をその場に案内する。
「丁渡今皆にメールで連絡しましたから」
「そうか、それなら話が早いな」
「こういうことは任せて下さい」
 情報収集と伝達はというのだ、確かにどちらもジェイクの得意分野だ。
「もう連絡しましたんで」
「それならあいつ等もか」
「すぐに全員集まります」
 仮面ライダー部、そこにだというのだ。 

 

第三章

「ひょっとしたら僕達が来るまでに集まってるかも知れないですよ」
「ならいいがな」
「はい、わかりました」
 こう話してだ、そのうえでだった。
 彼等はその仮面ライダー部に向かった、そうしてその部室の中に入るとだ。
 ユウキに美羽がいた、二人は操真を見てこう言った。
「お話はメールで聞きました」
「ジェイクからね」
 そうだというのだ。
「それじゃあ後は」
「他の面々が来たらね」
「詳しい話をしましょう、ただ」 
 ここでだ、ジェイクはだった。
「よく来てくれましたね」
「そう言ってくれるか」
「はい、本当に」
 笑顔での言葉だった。
「ずっとどうなったか心配していたんですよ」
「心配をかけるつもりはなかったがな」
「心配じゃなくて」
「俺が無事でか」
「本当によかったですよ」
 純粋にだ、ジェイクは操真の無事を喜んで言うのだった。
「お話は色々聞きましたけれど」
「コヨミのこともか」
「はい、コヨミさんのことは」
「いい、そのことはな」
 ジェイクのその気遣いはだ、彼にとっても重いものになると思いいいとした。
「とにかくだ」
「はい、ファントムのことですね」
「仮面ライダー部の他の面々が来てからな」
「話しますか、もうすぐしたら来ますから」
「ああ、それじゃあな」
 こうした話をしているとだった、実際に。
 歌星に大文字、それにだった。友子に大杉も来た。しかし。
 如月や朔田達はいなかった、それでだった。
 操真は目を鋭くさせてだ、仮面ライダー部の面々にこう言った。
「おそらくな」
「そうね、これはね」
 美羽もだ、その目を鋭くさせて操真に答える。
「ファントムね」
「出て来たな」
「ちゃんと連絡はしてますよ」
 ジェイクもこのことは保障する。
「メール送信したことは確認しました」
「ちょっと弦太郎達に連絡してみるか?」
 大文字は心配そうにだ、ジェイクに提案した。
「今何処にいるか」
「それがいいですね」
 歌星も大文字のその提案に賛成して言う。
「ライダーだけが来られないってことは」
「あからさまだからな」
「じゃあ」
 すぐにだ、ジェイクは如月達にあらためて連絡を入れた、だがその返事は。
 来なかった、それでだった。
 ジェイクもいよいよ心配になってきた、それで友子も言う。
「この状況は」
「まずいよ、冗談抜きに」
 実際にだ、ジェイクは友子にこう答えた。
「戦闘中だね、間違いなく」
「そうね、あの人達が」
「皆ライダーシステムは」
 ジェイクは自分のそれを出しながら自分以外の仮面ライダー部の面々に問うた。
「持ってるかな」
「はい、持ってます」
 ユウキが最初に応える、そして他の面々もだ。
 それぞれのシステムを出して来た、ただ。
 大杉先生は出さない、それで腕を組んで少し残念そうにこう言った。
「俺だけないんだよな」
「だって先生顧問じゃないですか」
「ああ、ついでに言えばここの関係者でもないからな」
 城南大学のだ。 

 

第四章

「今でも天ノ川高校の教諭だよ」
「そうですよね、まあ僕と友子ちゃんもそうですけれどね」
 天ノ川高校に在籍しているというのだ。
「この大学を受験しますけれど」
「それならもっと勉強しろ」
 先生はそのジェイクに対して言った。
「如月といい御前といい」
「これでも勉強してますよ、僕も」
「もっと勉強しろ、うちは今只でさえ人手不足で大変なんだからな」
「先生も生徒もですね」
「そうだ、俺も大変なんだからな」
「それで何でこっちまで来ているんだ」
 操真はその先生に突っ込みを入れた。
「あんたもわからない人だな」
「それはそれ、これはこれだ」
 先生は強引にそういうことにした。
「顧問として傍にいないと駄目だろうが」
「責任感か」
「当たり前だ、教師が無責任でどうする」 
 操真にもこのことは力説する。
「生徒を教え導くのが仕事なんだからな」
「それはその通りだな」
「そうだ、とにかくだ」
 先生は操真にさらに言う。
「御前等、戦うのはいいがな」
「それでもだな」
「そうだ、それでもだ」
 こう言うのだった。
「死ぬな、いいな」
「それは、ですよね」
 ユウキが先生に問い返す。
「何があっても」
「当たり前だ、仮面ライダー部顧問として言うからな」
 それだけに強い言葉だった。
「御前等誰も死ぬなよ」
「戦いになってもですね」
「ゾディアーツでもファントムでもな」
 どんな相手でもというのだ。
「生きて帰って来い、いいな」
「はい、わかりました」
「そういうことだ、じゃあ先生はここで待っているからな」
 こう話してだ、そしてだった。
 大文字がだ、席を立って外に向かいながら操真に笑顔で言ってきた。
「じゃああんたもな」
「勿論だ、俺もだ」
「一緒に戦ってくれるんだな」
「相手がファントムならな」
 まさに彼の宿敵と言っていい、それ故にというのだ。
「戦い倒す、それだけだ」
「そうか、じゃあ行こうか」
「二人でな」
 こう話してだ、そしてだった。
 ジェイクがあらためて如月達に連絡を取った、すると今度はだ。
 如月本人が出て来た、それでこう彼に言って来た。
「さっきメール送ってくれたな」
「はい、やっぱりさっき連絡がなかったのは」
「変身中だったからな」
 それでだ、返信出来なかったというのだ。
「悪かったな」
「いえ、それはいいですけれど」
「それでもか」
「弦太郎さん達大丈夫ですか?」
「ああ、何とかな」
 無事だというのだ。
「流星達もいるからな」
「そっちに仁藤さん達もおられますか?」
「いるけれどそれがどうしたんだ?」
「そっちに来られたんですね」
「流星が連絡してくれた」
 だから来てくれたというのだ。 

 

第五章

「それで来てくれたからな」
「そうですか、それは何よりです」
「そうだな、ただ数が多いからな」
「苦戦してます?」
「連絡してくれたからにはな」
「今からそっち行きますから」
 それで助っ人に入るというのだ。
「場所教えてくれますか?」
「ああ、それじゃあ言うな」
 如月が言ったその場所はというと。
「広い道に下から見下ろす橋がある、つまりな」
「ああ、よく戦いの場になる」
「ああ、あそこだ」
 まさにそこだというのだ。
「俺達は今あそこにいる」
「わかりました、すぐに行きます」
 ジェイクも答える、そしてだった。
 彼は如月との話の後でだ、あらためてだった。
 操真達に顔を向けてだ、こう言った。
「そういうことなんで」
「わかったわ」
 美羽がそのジェイクに答える。
「それではね」
「あそこに行こうか」
 大文字も言う。
「皆でな」
「それで弦太郎達を助けるわよ」
 こう言ってだった、操真と仮面ライダー部の面々は先生の声援も受けて出発した。
 その前の時にだった、仁藤はというと。
 テントから出て街を歩いていた、だが。 
 その彼の心にある者が話し掛けてきた、それは誰かというと。
「捜していたそうだな」
「おい、ずっと捜してたんだよ」
 そうだったとだ、仁藤も声の主に返す。
「それでそんな簡単に出て来るのかよ」
「悪いか」
「ったく、風情がねえな」
 苦い顔になって言う仁藤だった。
「こうした時はやっと再会出来たとかになるだろ」
「こちらもそのつもりだったがな」
「だった、か」
「もっと言えばもう汝の前に出るつもりはなかった」
 こうも言うのだった、声の主は。
「汝との戦いはもう終わったと思っていたからな」
「ってことはだ」
 仁藤はやれやれといった顔からだ、真剣な顔になって声の主に応えた。
「また奴等が出て来たんだな」
「如何にも」
 その通りだというのだ。
「そしてだ」
「まだあるんだな」
「ファントムだけではない」
「出て来た奴等はかよ」
「ファントムの後ろにいる者がいる」
 こう仁藤に言うのだった。
「話は大きい」
「だから考えを変えて俺のところに来たんだな」
「自分からな」
「そうしてか」
「再び我の力を使うか」
 声の主は彼に問うた。
「そうするか」
「ああ、それならな」
 仁藤は強い顔と声で答えた。
「これからまた宜しくな」
「そういうことでだ」
「あっさり見付かって何よりだよ」
 仁藤は微笑んでこうも言った。
「再会出来てな」
「嬉しそうだな」
「実際にな」
 その通りだと言うのだった。
「捜してたからな、それなりに」
「それではだ、これからな」
「ああ、また一緒に戦おうな」
「どうやら我等の戦いは長くなりそうだ」
「?長いってファントムが出て来ただけだろ」
 仁藤はキマイラの言葉を聞いてきょとんとした顔になって返した。 

 

第六章

「それも大抵倒してきたから残党だろ」
「そう思っているか」
「ああ、所詮な」
「それは違う」
「何だよ、そんなにファントムの数が多いのかよ」
「そのうちわかる」
 そのことがというのだ。
「戦いの中でな」
「そこで言わないのかよ」
「そうだ、御前自身に知ってもらいたいのだ」
「成程な。じゃあな」
「行くぞ、戦いに」
 こう話してだ、仁藤はキマイラと共に再び仮面ライダービーストとして戦いの中に入った、その中でだった。
 キマイラは仁藤を戦いの場に案内する。仮面ライダービーストは再び戦場に向かうのだった。
 如月弦太朗は朔田流星と共にジェイクからメールを受けて仮面ライダー部に向かっていた、しかしその途中でだった。
 ファントムの一団に前を阻まれた、それを見てだった。
 すぐに変身に入る、そしてフォーゼになってからメテオになった朔田に問うた。
「あいつはどうした」
「美咲撫子か」
「ああ、あいつはどうしたんだ・」
「もうすぐ来る筈だ」
 彼女も、というのだ。
「呼ばれたのは同じだからな」
「そうか、ならいいがな」
「多いな」
 メテオは自分達の前のファントムの一団の数を見てフォーゼに言った。
「ファントム達は滅んだと思ったがな」
「ああ、いても残党位だと思っていたがな」
 フォーゼもそう見ていた、しかしだった。
「かなりいるな」
「何かあるな」
 このことからだ、メテオはすぐに考えを及ばせた、彼もまた。
「これは」
「そうだな、しかしだ」
「あれこれ考えるのは後だな」
「まずはこの連中を倒すことだ」
 目の前のファントムの一団をというのだ。
「それからだ」
「ああ、じゃあやるか」
「これからな」
 こう話してだ、そしてだった。
 二人のライダー達は戦いに入った、すぐに雑魚のファントム達をその拳と蹴りで倒しそうして姿を変えているファントム達にも武器を出して戦う、そうしてだった。
 ファントム達を倒す中でその美咲撫子も来た、美咲はライダー達のところに駆けて来るとまずはこう言った。
「遅れてすいません」
「いや、無事ならいいさ」
 それでいいと返すフォーゼだった。
「それでな」
「有り難うございます」
「ただ、相手がな」
「かなり多いでうsね」
「悪いがすぐに変身してくれるか」
「はい、わかりました」
 この話はすぐに済んだ、そしてだった。
 実際に美咲はすぐに仮面ライダーなでしこに変身した、そのうえでフォーゼ達と共に戦う。そうして三人で戦っていると。
 仁藤が来た、既にビーストの姿になっておりその姿でファントム達と戦いながらそのうえでフォーゼ達に問うた。
「よお、とりあえずは元気そうだな」
「ああ、この通りな」
「けれどだな」
「見ての通りだ」
 フォーゼは剣でファントムの一体を倒しつつメテオに答えた。
「急にこれだけ大勢出て来た」
「こりゃ随分食いがいがありそうだな」
「ははは、あんたの場合はそうだったな」
「ああ、じゃあたっぷりと食わせてもらうぜ」
 そのファントム達をだというのだ。 

 

第七章

「ここでもな」
「そうしてくれ、じゃあ一緒に戦うか」
「宜しくな」
 こう話してだった、そうして。
 ビーストも戦いに入る、ライダー達は四人で戦いに入る。そうして戦いを有利に進めていき遂にだった。
 全てのファントム達を倒した、ビーストはこのことに喜んだがここでだった。
 操真が来た、そして仮面ライダー部の面々も。
 その彼等を見てだ、ビーストは言った。
「とりあえず言いたいことはあるけれどな」
「ああ、久しぶりだな」
「無事で何よりだな。ところでな」
「そうだ、油断するな」
 こうビーストに言う操真だった。
「敵はまだ来るぞ」
「ちっ、そう簡単には勝たせてくれないか」
「気配を感じるな」
「かなりな」
 実際にと答えるビーストだった。
「今感じてきたぜ」
「俺もだ、だからだ」
「戦うんだな、御前も」
「そうさせてもらう」
 こう言ってだ、そのうえで。
 彼もまた変身した、そうして仮面ライダーウィザードになった。そうしてだった。
 ライダー達はファントムの大軍と戦い続けた、確かに敵の数は多いが彼等は果敢に戦いそうしてだった。
 すぐに仮面ライダー部の面々も変身して戦いに加わった、そのうえで敵を倒していってだ、遂に全てのファントムを倒すと。
 戦場にいるのがライダー達であることを見届けてからだ、ウィザードはビーストに問うた。
「多かったな」
「ああ、思った以上にな」
 ビーストもこうウィザードに返す。
「多かったな」
「ファントムの残党と思ったがな」
「残党か」
「それにしては多いな」
「ああ、俺もそう思う」
 ビーストはこう言う、そこにだった。
 稲富達仮面ライダーメイジの面々が変身をしていない状況で来た、そのうえでこうウィザード達に言ってきた。
「ここにおられたんですか」
「どうしたんだ?」
「まさかここにもファントムが」
「ああ、出て来ていた」
 そしてとだ、ウィザードは稲富に答えた。
「それで俺達も戦っていた」
「そうですよね」
「ああ、ひょっとして」
「私達もそうでした」
 メイジの三人もだというのだ。
「それに」
「それに、か」
「以前操真さんが行かれた世界に悪の魔法使いが出て来ていましたね」
「あいつか」
 ウィザードはあの大臣のことをここで思い出した。
「黄金の魔法使いか」
「それらしき相手と」
 戦っていたというのだ。
「向こうから急に来て戦っていました」
「かなりの強さでしたよ」
 飯降もウィザードに話す。
「あの魔法使いは」
「しかもかなりの数のファントム達を率いていた」
 山本はこのことを話した。
「あいつは一体」
「わからない、だが」
「あの」
 見れば奈良と大門、そして輪島もいた。彼等は変身しないがだ。
 この場に共にいた、それでウィザードに話すのだった。 

 

第八章

「あの魔法使い、ソーサラーですよね」
「そうだ」
「あの魔法使いはファントム達を率いて」
「そうしていたがな」
 それでもという返答だった、ウィザードのそれは。
「何故この世界にいる」
「そのことはですね」
「わからない、どういうことだ」
「それは俺自身が話す」
 こう言ってだ、そうしてだった。
 そこにその彼が出て来た、ソーサラー自身がだ。そしてその後ろにはだった。
「!?何故だ」
「おい、どういうことだよ」
 ウィザードもビーストもだ、二人共だった。ソーサラー今はオーマ大臣である人間の姿だがその彼の後ろにいるユウゴ、ミサ、ソラを見て声をあげた、
「貴様等が何故いる」
「死んだ筈だよな」
 フェニックスは厳密に言うと違うがそれでもそう言って差し支えのないものだからこう言ったのである。オーマはその彼等にこう話した。
「俺が呼び寄せた」
「もっと言うと御前もだな」
 フォーゼがオーマに言う。
「こっちの世界に呼び寄せられたな」
「ほう、わかるか」
「呼んだ奴もな」
 このこともと言うフォーゼだった。
「あいつだな」
「あの方だ」
 オーマは口の左端を歪めて答えた。
「あの方がそうして下さった」
「倒した筈だがな」 
 ウィザードはオーマにこのことも言った。
「ドレイクでもある貴様をな」
「簡単なことだ、蘇らせてもらった」
 オーマは口を歪めさせた笑みのままウィザードに答えた。
「そのうえでだ」
「この世界にか」
「案内させてもらった」
「そういうことだな。そしてだな」
 フォーゼは考えつつだ、オーマに言った。
「御前等をここに連れて来たそいつはな」
「わかっているか」
「スサノオだな」
 その彼だというのだ。
「そうだな」
「その通りだと言えばどうする」
「やっぱりという感じだな」
 これがフォーゼの返答だった。
「俺にとっては」
「そうか」
「ああ、そうだ」
 その通りだというのだ。
「やっぱりあいつか」
「我等が神だ」
 スサノオが、というオーマだった。
「だからだ」
「そしてか」
 ウィザードも言う。
「俺達とこの世界で」
「今度こそ御前を倒す」
「おいおい、それは俺の言葉だ」
 フェニックスが前に出て来てオーマに言う。
「こいつには借りがあるからな」
「ハロー」
 グレムリンもソラの姿で挨拶をしてきた。
「また会ったね」
「会いたいと思ってるのかよ」
 ビーストがグレムリンに憮然とした声で返す。
「俺達が」
「うん、違うよね」
「当たり前だろ、誰が御前等なんかとな」
 その言葉の対象はグレムリンだけではなかった。 

 

第九章

「会いたいんだよ」
「それもそうだね」
「死んでも蘇るなんてな」
「それならもう一度楽しまないとな」
「生憎だが楽しませるつもりはないからな」
 全く、というのだ。
「今ここで完全にご馳走にさせてもらうぜ」
「生憎だけれどそのつもりはないわ」
 メデューサも言って来た。
「私達もね」
「何だ?やらないつもりかよ」
「今日来たのはほんの挨拶よ」
 だからだというのだ。
「また今度ね」
「戦うっていうんだな」
「そういうことよ」
「その時は」
 稲盛のメイジがメデューサを睨み据えながら言う。
「倒してあげるわ」
「やっぱりいるわね」
「貴女だけは私が倒す」
 稲盛は憎悪を剥き出しにしてメデューサを見ていた、そのうえでの言葉だった。
「何があろうとも」
「やはりいたのね」
「この通りね」
 稲盛は強い声でメデューサに言葉を返す。
「貴女が出て来るとは思わなかったけれど」
「言うわね、けれど」
「それでもというのね」
「ええ、また会ったのなら」
 そうなったからこそというのだった。
「また倒す、それだけよ」
「そうね、では私も」
 メデューサもだった、その稲盛を見てだった。
 凄みのある気をまとってだ、言うのだった。
「倒すわ、貴女を」
「面白い出会いがあるな」 
 ここでまた言うオーマだった。
「しかし今はこれで下がろう」
「あそこに呼ぶんだったな」
 フェニックスがそのオーマに言う、ここでだった。
 彼とグレムリン、メデューサは人間の姿に戻る。そうしてだった。
 その人間の姿でだ、オーマに言ったのである。
「あの世界にな」
「ああ、それが一番楽しめるしな」
 それにという口調だった、オーマは口の左端を吊り上がらさせて笑ってそのうえでフェニックス達に返した。
「あの方の願いだしな」
「あそこで戦えってか」
「そう言われてるんだね」
 フェニックスだけでなくグレムリンも言う。
「それでか」
「今は抑えるんだね」
「楽しみは後に取っておくものだ」
 こうも言うオーマだった。
「それでだ」
「じゃあここはな」
「僕達は下がるよ」
「私もよ」
 メデューサは至って冷静だった。
「ここはそうさせてもらうわ」
「そういうことだ、ではだ」
 オーマはライダー達にも言った。
「また会おう」
「そっちから来るつもりか」
「いや、場所を用意しておいた」
「貴様の元々いた世界か」
「あの方が用意してくれた世界だ」
 己に問うたウィザードにだ、すぐに返したオーマだった。 

 

第十章

「そこへの扉を用意しておく」
「そしてその扉をくぐってか」
「来い、そこを貴様等の墓場にしてやる」
「わかった、ではだ」
 ウィザードもオーマに応えて言う。
「出向かせてもらう」
「それでだな」
「逆にそこを御前達の墓場にしてやる」
「その言葉忘れるな」
「そちらこそな」
「そしてだ」
 ここでだ、さらに言うオーマだった。
「戦いに勝ったならば願いが一つ適う」
「願いがか」
「あの方の用意してくれたものがな」
 それが、というのだ。
「俺が勝つか、貴様が俺とあの方に勝てば」
「その時はか」
「貴様の願いが一つ適うのだ」
「俺の願いが」
「そうだ、そうなっている」
 オーマはその自信に満ちた様な不敵な笑みのままでウィザード、そして彼と共にいる仲間達に言うのだった。
「あくまで俺とあの方に勝てればだがな」
「それなら」
「その願いについては俺は興味はない」
 ウィザードの願いはというのだ。
「別にな。しかしだ」
「それでもだな」
「俺は貴様等全員を倒す」
 あくまでそのことのみを考えているオーマだった、このことはまさに不変だった。
 そしてその不変のままでだ、彼は言うのだった。
「そのうえで墓場を用意しておいてやる」
「そのことは確かに聞いた、ではな」
 ここまで話してだ、そしてだった。
 オーマは踵を返してだ、他のファントム達もだった。
 彼等もまた戦場を去った、そして残ったのはライダー達だった。彼等は敵が去ったところでだった。変身を解いた。
 そうしてだ、操真は仁藤や如月達にだ、こう言ったのだった。
「まずはだ」
「ああ、あいつの言ってたな」
「別の世界のことだよな」
「それもあるがだ」
 他に、という言葉だった。
 操真は如月を見てだ、彼に強い声で尋ねた。
「あいつのことを知りたい」
「スサノオだな」
「あんたはあいつのことを俺よりも詳しいな」
「いや、詳しいっていってもな」
 それでもとだ、如月が困った顔になって操真に答えた。
「俺もあまりな」
「知らないのか」
「この前確かにスサノオと戦った」
 如月もこれは確かだと言う。
「しかし俺も」
「俺もだ」
 朔田もだった。
「奴のことは然程知らない」
「悪いがな」
「そうなのか」
「詳しい奴は知ってるがな」
 そうした者はというのだ。
「何なら呼ぶが」
「そうしてくれるか」
「わかった、それじゃあな」
 如月は操真に応えてすぐにだった。
 携帯を取り出してそうして連絡をしようとした、だがその時にだった。
 スマートレディだった、彼女が一行のところに来てそうしてだ、彼女ならではの明るい何処かふざけた感じで言ってきた。 

 

第十一章

「お久しぶり、はじめての子もいるのね」
「ああ、丁渡あんたか黒衣の青年を呼ぼうと思ってたんだよ」
「丁渡よかったのね」
「ああ、そうだよ」 
 その通りだとだ、如月はそのスマートレディに言う。
「本当にな」
「戦いがあるって聞いてね」
 それでだったというのだ。
「ここに来たけれど」
「本当にタイミングがよかったな」
「そうよね」
「それでだけれどな」
「ええ、スサノオのことをね」
 まさにその彼のことをとだ、スマートレディはその何かを含んでいる微笑みで言う。
「聞きたいのよね」
「話してくれるか」
「私もその為に来たからね」
「だからか」
「そうよ、けれど君って」
 スマートレディはその笑みで操真を見て言うのだった。
「かなりいけてる感じね」
「?どういうことだ」
「言ったままよ」
 その言葉の、というのだ。
「お姉さん好みよ」
「冗談はいい」
 操真はスマートレディのその言葉に取り合わない感じだった。
「それよりもだ」
「今は、っていうのね」
「あんたから話を聞きたい」
 操真は鋭い目でスマートレディに言う。
「スサノオ、そして今の状況の話をな」
「そうね、けれど」
「今度は何だ」
「ここで立ったまま話すこともね」
 それは、というのがスマートレディの意見だった。
「何か落ち着かないから」
「場所を変えてか」
「そうしましょう、お茶を飲みながら」
「ああ、それならな」
 如月がここで提案してきた。
「仮面ライダー部に行くか」
「あっ、君達が通っている大学のね」
「あそこに行くか?」
「それもいいけれどね」
 それでもと返すスマートレディだった。
「お姉さん今日は別の場所に行きたいのよ」
「それは何処だ」
「君の馴染みの場所に行きましょう」
 こう操真に言うのだった。
「ここはね」
「何かあんたのペースで話が進んでるな」
「駄目かしら」
「いや、別にいい」
「それじゃあね」
 スマートレディは操真の返事を聞きつつだ、sあらに言ったのだった。
「面影堂に行きましょう」
「面影堂も知っているのか」
「ええ、実はね」
 その実はというと。
「何度か通ってるわ」
「おいおい、何時の間になんだよ」
 仁藤がここでそのスマートレディに言った。
「あんた見たことないぜ」
「この服装では行ってなかったのよ」
「そうだったのかよ」
「けれど店長さんは私のことを知ってるわよ」
 輪島繁、彼はというのだ。
「だから心配無用よ」
「そうか、じゃあ今からな」
「皆も呼びましょう」
 飯降が仁藤と操真達に提案した。 

 

第十二章

「瞬平さんや凛子さん達も」
「そうだよな、ここはな」
「ああ、皆でな」
 集まってだ、そしてだと話してだった。
 ライダー達はスマートレディに応えてだ、そのうえでだった。
 彼等はその面影堂に言った、するとそこにはだ。
 店長である輪島にだ、奈良に大門そして木崎もいた。木崎はライダー達を見てだ、鋭い声でこう言った。
「話は聞いた」
「そうか」
「別の世界の魔法使いか」
「ソーサラーというな」
 操真が木崎に答える。
「そいつとだ」
「倒した筈のファントム達がだな」
「出て来た」 
 そうだというのだ。
「全員な」
「その話は聞いた、そしてその後ろにだな」
「スサノオっていうのがいるのよ」  
 スマートレディがここで話した。
「そのスサノオのことをこれから詳しく話すわね」
「頼むな、俺も実はスサノオと聞いてもな」
 輪島も首を傾げさせつつ言う。
「はじめて聞く名前だからな」
「そうよね、仮面ライダー部の人達は違うけれど」
 スマートレディは仮面ライダー部の面々も見つつ言う。
「魔法使いの子達は知らないから」
「子達は、か」
「私から見ればそうなるのよ」
 このことはにこりと笑ってだ、操真達魔法使いと言われる面々とその協力者達にこう言ったのである。
「私はちょっと皆より年上だからね」
「あんた少なくとも人間じゃないよな」
 仁藤jはスマートレディのその目を見てこう返した。
「それはわかるよ」
「まあ色々言われてるわね、バトルファイトは知ってるかしら」
「バトルファイト?何か聞いたことがあるな」
 仁藤がここで目を鋭くさせた、そのうえでの言葉だった。
「俺も考古学をやってる端くれだからな」
「それでバトルファイトのことを聞いたのね」
「ああ、ちょっとだけれどな」
「言っておくけれど仮面ライダー部の子達は知ってるのよ」
 つまり知らないのは魔法使いの面々だけだというのだ、この場ではだ。
「貴方達にお話することなのよ」
「そうだよな、それでバトルファイトだけれどな」
「君はどれだけ知ってるのかしら」
「各種族の代表が戦って勝ち残った種族が地球の支配者になるんだったな」
「そう、それもまたね」
「スサノオってのが絡んでたんだよな」
「そうなの、それでね」
 ここからだった、スマートレディはバトルファイトのことから自分自身の誕生のことを話しバトルファイトの後でスサノオが仕組んだオルフェノク達のこと、そしてそれからのスサノオが仕組んだ様々な組織や種族、黒衣の青年の動きや神崎士郎のことも話した。
 そしてだ、サバトとファントム達のこともだった。
 そのことを聞いてだ、操真は唸る様にして言った。
「サバトもだったのか」
「そう、スサノオが黒幕だったのよ」
「そうしてファントムもまた」
「スサノオが生み出した種族だったのよ」
「人の絶望から生み出される奴等も」
「そういえば」
「そうよね」
 ここで奈良と大門がだ、顔を見合わせて話した。
「ファントムって黒幕がいても」
「おかしくなかったわよね」
「ワイズマンは黒幕とは違う感じだったから」
「他にいるとしたらね」
「やっぱり、ですよね」
「スサノオになるわよね」
「そう、ご名答よ」
 まさにその通りだというのだ。 

 

第十三章

「全てスサノオが仕組んでいたことなのよ」
「俺達魔法使いもかよ」
「ワイズマンにしてもね」
 彼もというのだ。
「あれだけの力を備えられたことも」
「あいつは気付いてなかったのかよ」
 仁藤はここでワイズマン、彼のことを考えた。
「あれだけの奴が」
「そうなの、彼ですら気付かないまでにね」
「巧妙に仕組んでか」
「そう、サバトもファントム達もね」
「全部仕組んで俺達を戦わせてたんだな」
「魔法使いは元々そのファントム、スサノオと戦う為に私達が作った存在だけれどね」
「何だよ、そうだったのかよ」
「貴方にしてもね」
 仁藤もだというのだ。
「そうだったのよ」
「じゃあ古の魔法使いもか」
「そう、貴方も真人君も他の人達もね」
 全員、というのだ。
「如月君達のライダーシステムも私達が開発に手を貸していたし」
「何か何でもかんでもですね」
 奈良はここまで聞いてこう言った。
「僕達貴方達の戦い、いえ違いますね」
「そう、私達は人間の側にいてもスサノオとは直接戦っていないのよ」
「僕達の手助けをしてくれてるんですね」
「それが私達なのよ」
 スマートレディ、黒衣の青年の立ち位置はというのだ。
「貴方達の味方だからね、人間としての」
「あんたは最初からそうだったんだな」
「そう、スマートブレイン社にいた時からね」
 その時からだとだ、笑って如月にも返す。
「私は人間の味方だったのよ」
「何か随分胡散臭い行動だったんじゃないのか?」
 こう言ったのは大文字だった、いぶかしむ顔で。
「あんたの行動は」
「敵を欺くにはよ」
「味方からか」
「ただ、オルフェノクも人間だっていうことはね」
 例えだ、彼等の殆どが気付いていなかったにしても。
「忘れないでいてね」
「ああ、わかっている」
 操真が真剣な顔で返す。
「そのことはな」
「なら嬉しいわ、お姉さんもね」
「そうか」
「ええ、さてそれでだけれど」
「ああそれでだな」
「彼が言ったことはね」
 オーマ、彼がというのだ。
「嘘じゃないから」
「ではか」
「彼はあっちの世界で待ってるわよ」
 こう言うのだった。
「とはいっても彼が元いた世界じゃなくてね」
「スサノオが用意した世界にだな」
「そう、そこにいるからね」
「では俺達はか」
「そこに行って戦うことになるわ」
「それはわかった、しかしな」
「ええ、そこにどうして行くかよね」
 スマートレディは操真の問いに合わせて話を進めていく。
「そのことね」
「そうだ、どうして行けばいい」
 その世界にとだ、操真はスマートレディにこのことも問うた。
「あいつは扉を用意しておくと言ったが」
「ですからその扉をですよ」
 実にあっさりとだった、スマートレディは操真達に話した。
「開けに行くんですよ、私達が」
「いや、だからその扉が何処にあるんだよ」
 仁藤は相変わらず余裕に満ちた笑顔のスマートレディに今この場にいる面々が言いたいことを代弁する形で問うた。
「一体な」
「はい、それは海岸です」
「海岸、まさかと思うけれどな」
「そうです、白の魔法使いがコユミさんを必死に守ろうとしたあの海岸です」
「あいつが死んだ場所か」
 操真はスマートレディの言葉を聞いて小さく呟く様にして言った。 

 

第十四章

「そしてコヨミも」
「コヨミさんのことを思い出しましたか?」
「いや、思い出していない」
「じゃあいつもですね」
「ああ、コヨミはいつも俺の中にいる」
 思い出すことはなかった、常に意識しているから。
「だからそれは違う」
「そうですか、それじゃあですね」
「ああ、行って来る」
 操真が先に立ち上がった、そして次にだった。
 仁藤が立ち上がりだ、彼ににやりと笑ってこう言った。
「俺も行っていいよな」
「断っても来るな、御前は」
「最初からな」
 そのつもりだとだ、仁藤は彼が最初からこう返すと決めていた言葉で返した。
「そういうことだよ」
「好きにしろ、俺は今から行く」
「じゃあ俺もだな」
 今度は如月が笑って操真に言って来た。
「ダチが行くんならな」
「そうか」
「ああ、そういうことでな」
「私もです」
「僕も」
「俺もだ」
 稲富と飯降、山本も立つ、そして。
 朔田がだ、美咲に対して言った。
「いいな」
「はい、勿論です」
 美咲の返事も決まっていた、そうした意味では朔田と同じだ。
「これから」
「ファントム達と戦う」
「そうしましょう」
 こう話してだ、そしてだった。
 奈良と大門、それに仮面ライダー部の面々も立ち上がる。そして木崎が輪島に言った。
「留守番をお願いします」
「刑事さんも行くんだな」
「はい、そうします」
 迷いのない返事だった。
「今から」
「皆戻って来たらな」
 輪島は勝って来いとも生きて帰れとも言わなかった、自然に言ったのである。
「最高のコーヒーとドーナツを楽しんでくれ」
「わかった、じゃあな」
「マヨネーズたっぷり用意しておくからな」
 操真と仁藤が応えてだ、そうしてだった。
 ライダー達は全員でだ、面影堂を後にしてだった。
 海岸に着いた、そこには確かにだった。
 魔法陣があった、操真はその魔法陣を見て同行してここまで一緒に来ていたスマートレディに対して言った。
「この魔法陣がか」
「はい、扉ですよ」
 その通りという返事だった。
「まさにここが」
「そうか、やはりな」
「じゃあいいですね」
 あらためて言う彼スマートレディだった。
「今からこの魔法陣の中に入って」
「倒して来る」
「中にはスサノオもいますよ」
「それはもうわかっている」
 スマートレディから聞いたことでだ、それは既にだった。
「そしてあいつもな」
「そういうことで」
 スマートレディは笑顔でだった、ライダー達を見送った。操真が先頭に立って魔法陣、海岸に縦に浮かんでいるそこに入り。
 

 

第十五章

 そうしてだった、彼等が来た世界は。
 砂、海、木がある。彼等が今までいた世界と殆ど変わってはいない、それでだった。
 仁藤がだ、いぶかしみながらだった。操真に言った。
「見た感じはな」
「同じだな」
「ああ、けれどな」
 それでもだったよく見ると。
「鏡だな」
「ああ、俺達が元いた世界とな」
「正反対だ」
 何もかもがそうした配置になっていることにだ、彼等は気付いたのだ。
「ここはな」
「鏡の世界から」
「らしいな」
「つまりミラーワールドだな」
「ミラーワールドって何か」
 ユウキが言うこととは。
「似て非なるっていいますか」
「ジェミニか」
「はい、そんな感じがします」
 こう操真に答えるのだった。
「どうにも」
「確かあんたはな」
「はい、ジェミニでした」
「だから余計にそう思うか」
「入ってみてあまりいい気分じゃないです」
 どうしてもそう思えるというのだ。
「何か」
「そうだろうな、しかしな」
「ここは、ですね」
「ああ、先に進んでな」
 そうして、というのだ。仁藤もユウキに話す。
「そうしてソーサラーや奴と一緒にいるファントムを倒さないといけないからな」
「このことは絶対ですね」
「じゃあ行こうか」
「わかってます、それじゃあ」
「それでソーサラー達と戦って」
 美羽が言うことはというと。
「やっぱり最後はね」
「スサノオいるよな」
 大文字はこう思っただけでだ、うんざりとした顔になった。
「あいつも」
「それは間違いないわね」
 美羽もその通りだとだ大文字に答える。
「いない筈がないわね」
「だよな、やっぱり」
「このことも覚悟してね」
 そのうえでというのだ。
「先に行くわよ」
「そうか、それじゃあな」
「まずはソーサラー達を見付けることですね」
 ここでこう言ったのは奈良だった。
「それからですね」
「相手から来るだろうな」
 こう予想したのは木崎だった。
「特に探すことはない」
「じゃあ私達がすることは」
「戦いに向いている場所を探すことだ」
 それが先決だというのだ。
「ここでな」
「それならだな」
 如月は彼に応えて言った。
「丁渡市街地だからな」
「手頃な場所を探せるな」
「ああ、じゃあな」
 それでと話してだ、そのうえで。
 ライダー達はまずだった、戦うのに適した場所を探した。そしてそこは。
 平原だった、空き地にしては随分広い。荒野の如きそこに入ってだ。
 敵が来るのを待った、そして実際にだった。
 前からだった、彼等が来た。オーマを先頭にして。彼等の中にいるグレムリンが右手を動かして挨拶をして来た。 

 

第十六章

「ハローー、来たんだね」
「そちらがな」
 操真はそのグレムリンにこう返した。
「来た」
「君達がこの世界に来たんじゃないんだ」
「御前等がここに来た」 
 そうなるというのだ。
「戦いの場にな」
「じゃあ君達はここを死に場所に選んだんだね」
「違う、俺達はここで勝つ」
 戦い、そしてというのだ。
「御前等にな」
「相変わらず面白いことを言うな」
 フェニックスが好戦的な笑みで言って来た。
「冗談にしては質が悪いがな」
「安心しろ、冗談じゃない」
 こう返した操真だった。
「これからなることを言っているだけだ」
「そう言うんだな」
「そうだ、ここで貴様等を倒し」
 そして、というのだ。
「それからだ」
「だからか」
「覚悟しろ」
 これが操真の言葉だった。
「スサノオも倒す」
「あの方のことも知っているのね」
 メデューサは凄みのある目で操真を見つつ言葉を返した。
「既に」
「聞いた、ファントムもサバトもこの世界のこともだな」
「そう、これまでの全ての戦いはね」
「あいつが仕組んだことだったな」
「私達が人間にとって代わる為のね」
「それはどうだろうな」
 如月がここで言う。
「それは」
「どういうことかしら」
「わかってないか」
 如月はメデューサだけでなく他のファントム達も見て言った。
「スサノオの思惑が」
「?何が言いたいというのだ?」
「わかっていないならいい、どっちにしても俺達は仮面ライダーだ」
 それ故にだ、如月は今は確かな顔で言う。
「人間として戦うだけだ」
「じゃあはじめるか」
 オーマが言いだ、そうして。
 彼はグレムリン達に顔を向けてだ、こう言った。
「ならいいな」
「うん、今からね」
「戦いだな」
「俺はソーサラーになる」
 仮面ライダーソーサラー、邪な心を持つ魔法使いにというのだ。
「御前等も戦う姿になれ」
「うん、わかったよ」
 グレムリンは陽気に笑ってオーマに応えた。
「僕達も楽しむよ」
「やるか、リベンジだ」
「今度は負けないわ」
 フェニックスとメデューサも言う、そしてだった。
 オーマが変身する、そして。
 グレムリン達も姿を変える、その彼等を見てだった。
 如月がだ、最初にだった。
 左てにベルトを出し身体を斜めにさせたうえで前にかざし。腰にそのベルトを装着してからであった。
 左手でベルトのスイッチを押し右手もそうさせる。それから左手を拳にし己の顔の横でガードする様にしてかざし。右手をベルトに置いて叫んだ。
「変身!」
 この叫びと共に左手を宙に突き出した、するとその全身が光に包まれそこから仮面ライダーフォーゼとなって。
「宇宙・・・・・・」
 身体に力を入れてから飛び上がる様にして叫んだ言葉は。
「キターーーーー!」
 そして朔田もだった、彼も。 

 

第十七章

 右手に丸いベルトを出した、それを腰にセットして。
 右手で操作し両手を中国拳法の様な動きで大きな円の動きで動かして。
「メテオ、レディー」
 機械音に乗る様にして動き、彼も叫んだ。
「変身!」
 朔田の身体も光に包まれた、そして仮面ライダーメテオとなった。
 美咲はベルトをセットして左手、続いて右手をベルトの前にやった。柔らかい動きで。
 そして左手を拳にして己の顔の横で勢いよく振ってから置いて叫んだ。
「変身!シャララ!」
 仮面ライダーなでしことなった、そして。
 仮面ライダー部の面々も変身する、それからだった。
 大門と奈良がだ、魔法使い達に言った。
「私達も戦うわ」
「周りは任せて下さい」
「その前にだ」
 ここでだ、歌星がその二人に言って来た。
「俺達も」
「あっ、そうだったわね」
「歌星君達もだったんだ」
「俺達も変身出来るので」
 仮面ライダーにというのだ。
「そし戦わせてもらいます」
「そういうことですから」
「まあ数には入れて下さい」
 ユウキとジェイクも言って来た。
「それで皆で」
「戦いましょう」
「さて、それじゃあな」
「今から私達もね」
「変身しましょう」
 大文字に美羽と友子が続く、だが。
 大杉先生だけはだ、こう騒がしく言うのだった。
「誰も死ぬな!あと俺はどうすればいいんだ?」
「ああ、先生いたんだな」
 フォーゼになっている如月が応える。
「そういえば」
「最初からいたんだよ」
「それで一緒に来てくれていたんだったな」
「そうだよ、俺はライダーシステム持っていないんだぞ」
「じゃあちょっと安全な場所に行ってくれ」 
 あっさりとだ、フォーゼは先生に言った。
「ここにいたら危ないからな」
「逃げろっていうんじゃないよな」
「草場の陰で俺達を見守ってくれ」
「それじゃあ死んでるだろ」
「あっ、そうか」
「だから御前は学校の勉強をもっとな」
 しろというのだ。
「大学生になってもそれか」
「ははは、学校の成績はどうでもなるからな」
「ヤマカンの勉強も止めろ、とにかく俺は安全な場所に行ってだな」
「そこで見守っていてくれ」
「そうするしかないんだな」
「先生は格闘知らないからな」
 このことは大門と違うのだった。
「だからな」
「わかった、それじゃあな」
「じゃあ僕と一緒に安全な場所に行きましょう」
 奈良が先生に声をかけた。
「そこで皆の戦いを見守りましょう」
「よし、じゃあな」
 先生は奈良にも言われて納得した、しかし。
 その去る時にだ、先生はライダー達にこう言った。
「誰も死ぬなよ、死んだら許さないからな」
「わかってるからな、しかしこの先生ってな」
 どうかとだ、仁藤はその先生を見てこう言った。
「騒がしいけれど悪い人じゃないんだな」
「はい、実はいい人なんですよ」 
 既にフォーゼになっているユウキが仁藤に答える、既に仮面ライダー部の面々はフォーゼの姿に変身している。
「生徒思いで」
「ただ騒がしいだけなんだな」
「はい、責任も取られますし」
「生徒を心配することも責任を取ることも当然だろ」
 その先生がまた言って来た、やはり騒がしい。 

 

第十八章

「俺は御前等の先生なんだからな」
「だからなんだな」
「そうだ、だから何度も言うけれどな」
「死ぬな、か」
「あんた達もだぞ」
 魔法使い達にだ、先生は指差して言った。
「いいな、一人も死ぬな」
「わかってるさ、じゃあな」
「ああ、見守ってるからな」
 こう言い残してだ、そしてだった。
 先生は奈良と共に安全な場所まで去った、ソーサラーはその彼等を見て軽く言った。
「あの連中はどうでもいい」
「無視するのね」
「俺達の相手はあくまで目の前の連中だ」
 つまりライダー達だというのだ。
「だから気にするな」
「そうね、所詮ただの人間ね」
 メデューサもソーサラーのその言葉に頷いて答えた。
「彼等は」
「そうだ、無視しろ」
 ソーサラーははっきりと言った。
「魔法使い連中だけを倒すぞ」
「それではね」
「御前等も早く変身しろ」
 ソーサラーは操真達にこう告げた。
「そのうえで潰してやる」
「わかった、今からだな」
 操真は前を見据えてソーサラーの言葉に返した。
「御前等を倒してやる」
「倒すのは俺達だ」
「そうはならない、勝つのは俺達だ」
「じゃあ俺達も変身するか」
 操真の横からだ、仁藤が言ってだった。そして。
 稲森達もだった、それぞれ宝石を出してだった。変身に入った。
 最初は稲森だった、彼女はというと。
 自身の腰に出た魔法使いの紋章に指輪がある右手を添えてだ、そのうえで。
 その指輪を左手の中指に嵌め換えた、そしてだった。
「変身!」
 身体を一回転させて沸き起こる光に歓喜の物腰で包まれだった。仮面ライダーメイジとなったのだった。
 その稲森に続いてだ、今度は。
 飯島がだ、指輪を備えて稲森と同じ様に右手を添えて。
「変身!」
 彼もまた仮面ライダーメイジになった、そして山本もだった。
 右手を添えてから左手の中指に指輪を嵌め換えてだ、こう言ったのだった。
「変身!」
 三人の仮面ライダーメイジが姿を現した。稲森のメイジが操真に言う。「
「メデューサは私が相手をするわ」
「そうしてくれるか」
「そしてフェニックスは僕が」
「グレムリンは俺が相手をする」
 飯島と山本も言う、そしてだった。
 三人はそれぞれの相手に向かう、ここで木崎も言った。
「私も行く」
「私もね」
「仮面ライダー部と共に雑魚の相手をする」
「だから君達はね」
 大門もだ、操真と仁藤に言うのだった。
「この戦いは任せてくれ」
「是非ね」
「わかった、じゃあな」
「俺達はな」
 正面を見据えてだった、操真と仁藤は二人に応えてだ。そのうえで。
 仁藤がだ、操真に顔を向けて言った。
「じゃあいいな」
「ああ、俺達もだ」
「変身するか」
「そしてあいつを倒す」
 ソーサラーを見据えての言葉だ、そして。
 仁藤はビーストの指輪を己の左手の中指に嵌めた、そこから。
 腰に出ていたベルトのバックルに手を当てた。そこにビーストのベルトが姿を現したがそこに手を添えると。 

 

第十九章

「ドライバーオン!」
 この声が響きその声を聞いてからだった。
 仁藤は指輪を嵌めた左手の掌を大きく拡げた状態で上に掲げた。そこから両手を大きくゆっくりと回転させてだった。
「変、身!」
 この言葉を叫び左手を打ってそこからベルトも打つと。
「ドライバーオン!」
 この言葉と共にだった、その前に黄色い魔法陣が現れた。
 仁藤はその魔法陣を全身で受けた、そうして仮面ライダービーストになり身体に力を込めてからこの言葉を出した。
「ランチタイムだ!」
 最後に操真もだった、彼も。
 腰に手を当ててだ、それからだった、
 魔法のはじまりを告げる音を聴き、そして。
 右手の中指だけでなく左手の中指にも指輪を嵌めた。そのうえでこの言葉を叫んだ。
「変身!」
 右手を己の顔の右横にやり言った、それからだった。
 左手に出て来た赤い魔法陣に左手を伸ばして向けてだった。全身で魔法陣が通り抜けるのを受け止めた。
 そして仮面ライダーウィザードとなってから言った。
「さあ、ショータイムだ」
「じゃあ二人でやるか」
「ああ、まずはソーサラーだ」
「それからだよな」
「奴だ」
「生憎だがな」
 ソーサラーは自分と対峙する二人のライダーにこう言った。
「あの方の相手は出来ないんだよ」
「御前が俺達を倒すからか」
「そうだ」
 まさにその通りだとだ、ソーサラーはビーストに言葉を返した。
「御前等はスサノオ様のところには行けない、残念だな」
「そこまで言うのなら倒してみろ」
 ウィザードはその強気のソーサラーを見据えつつ告げた。
「俺達を倒してみろ」
「俺達二人をな」
「そうしてやる、今からな」
 ソーサラーは二人に応える様にしてだ、そのうえで。
 自分から前に出て攻撃に入った、二人も応戦しここで三人のライダー達の戦いがはじまった。そしてその中でだった。 
 ウィザードとビーストは連携してソーサラーに当たった、だがそのソーサラーは。
「?こいつは」
「強くなってるんだな、前より」
 ビーストはソーサラーの攻撃を受けつつソーサラーの攻撃をかわしたウィザードに対して言った。
「こいつは、俺は知らないがな」
「前よりもさらにだ」
「そうか、だからこんなに強いんだな」
「まさかここまで強くなってるとはな」
「俺も馬鹿ではない」
 ソーサラーは己の武器である斧を縦横に振るいつつ二人に答えた。
「あの方に蘇らせて頂いた時からだ」
「俺への復讐を考えていたか」
「そうだ、だからだ」
「魔力を鍛えていたか」
「武術の腕もな」
「確かにこいつの斧は凄いな」
 ビーストはそのハルバートをかわしつつ言った。
「まともに当たったらただじゃ済みそうにないな」
「そうだな、しかしだ」
「ああ、その攻撃もな」
「当たらなければ意味がない」
 ウィザードはビーストに対して言った。
「それならな」
「そういうことだよな」
「そしてだ」
「俺達の攻撃をだな」
「ぶつければいい」
「それが出来るのか」
 ソーサラーは二人と互角に戦いつつ不敵な言葉を出した。
「今の状況で」
「出来ると言えばどうする」
「俺達がな」
「では見せてみろ」
 やはり不敵な声で言うソーサラーだった。 

 

第二十章

「この俺にな」
「御前の攻撃の筋はわかった」
「俺もな」
 二人共だった。
「それならだ」
「こうすればいいんだよ!」
 二人はハルバートの一撃にだ、逆にだった。
 それぞれの剣で一点、同じ場所を撃った、そしてその一撃で。
 ハルバートを砕いてみせた、ビーストはそのうえでソーサラーに言った。
「これでどうだよ」
「武器を砕いたか」
「ああ、これで手前の動きは封じたよな」
「それがどうした」
 武器を砕かれてもだ、尚だった。
 ソーサラーは不敵だった、そしてその不敵な声で言うのだった。
「俺にはまだ切り札がある」
「あれか」
「あの技も強くなっている」
 こうウィザードに返すのだった。
「それを受けて二人共死ね」
「蹴りだ」
 ウィザードはソーサラーの言う切り札が何かとだ、ビーストに答えた。
「それを繰り出して来る」
「蹴りかよ、じゃあな」
「俺達も使える」
「蹴りには蹴りだよな」
「出来るな」
「当たり前だろ、それは」
 これがビーストの返事だった、
「俺達だってな」
「じゃあいいな」
「ああ、一撃で決めるか」
「二擊目はない」
「一撃で決めないとな」
「最初の激突で負ければそれで終わりだ」
 相手の蹴りに押されてだ、そのまま潰されるというのだ。
「だからだ」
「ああ、俺達の力を合わせてな」
「倒す、いいな」
「それじゃあな」
 こう話してだ、二人はそれぞれ身構えた。そしてソーサラーも。
 漆黒のその身体を身構えさせてだ、それからだった。
 双方跳びだ、空中でそれぞれの蹴りを放って激突した。二人と一人の蹴りが空中でせめぎ合う。だがその中で次第に。
 二人はソーサラーを押していた、それは徐々に強くなり。
 遂には完全に押し切った、ソーサラーを二人が突き抜けた。
 ウィザードとビーストは敗れ墜落したソーサラーの後ろに着地した、そのうえで振り向いて相手に言うのだった。
「俺達の勝ちだな」
「それは認めるよな」
「ふん、また負けるとはな」
 ソーサラーは立ち上がり二人の方を振り向いて忌々しげに言った。
「無念だ」
「俺達は何度でも勝つ」 
「俺にか」
「そうだ、御前が何度蘇ろうともな」
 ウィザードはこうソーサラーに告げた。
「そして倒す」
「ふん、俺には勝ってもな」
「それでもだな」
「あの方には勝てない」
 スサノオ、彼にはというのだ。
「そのことを言っておく」
「なら今からその言葉が間違いってことを教えてやるからな」
 ビーストはそのソーサラーに告げた。
「俺達は神様にだって勝ってやる」
「神が人に勝つか。戯言だな」
「戯言かどうかも見せてやるからな」
 やはり強気のビーストだった。
「それをよく見ろ」
「地獄で見てやる」
 ソーサラーはここでオーマの姿に戻った、そして言うのだった。
「貴様等が敗れる姿をな」
 これを最後の言葉にしてだった、一瞬だけドレイクの姿に戻り。
 オーマは消えた、その彼を見届けてだった。 

 

第二十一章

 ビーストはウィザードにだ、こう言った。
「よし、じゃあな」
「スサノオのところに行くか」
「そうしような、しかしな」
 ここでだ、こうも言ったビーストだった。
「肝心の奴が何処にいるかだな」
「城か、いや」
「いや?」
「探す必要はないらしい」
 ウィザードはこうビーストに言うのだった。
「どうやらな」
「!?そういえばな」
 ビーストもだ、ウィザードの言葉を受けたうえでだった。
 ふと気付いた風になってだ、こうしたことを言ったのだった。
「感じるな」
「そうだな、巨大な気配がな」
「ああ、ここに来た」
「自分から来たな」
 他ならぬスサノオ自身がというのだ。
「奴がな」
「そうみたいだな」
「その通りだよ」
 実際にだ、新たな声が聞こえて来た。
「よくソーサラーを倒した、そして今度はか」
「御前とだよな」
「そう、戦ってもらう」
 声は二人に対して告げた。
「ここで私と」
「なら出て来い」
「早くな」
「言われなくともだ」
 こう言ってだった、そして。
 スサノオは姿を現した、その姿はというと。
 ウィザードだった、だが普通のウィザードではない。
 漆黒の、闇のウィザードだった。ウィザードはその姿のスサノオを見て言った。
「俺か」
「そうだ、君の力をより闇に向けて強くした」
「それが今の貴様の姿か」
「ダークウィザードと呼んでもらおう」
 不敵な言葉で言うスサノオだった。
「今の私はな」
「ダークウィザードか」
「そうだ、いい名前だと思うかね?」
「どうだろうな」
 ウィザードはスサノオの今の姿であるダークウィザードの問いにはこう返した。
「それは」
「賛成していない返事だな」
「貴様がいいと思うのならいいだろう」
「私自身がか」
「貴様の今の姿を気に入るのは俺達じゃない」
 他ならぬスサノオ、彼自身だというのだ。
「だからだ」
「そうか、ではだ」
「それではか」
 スサノオもそれで納得してだ、こう言ったのだった。
「私個人としては気に入っている」
「ならそれでいいだろう」
「そういうことだな」
「では、だな」
「君達との戦いをはじめた」
「望むところだ」
 今度はこう答えたウィザードだった。
「でははじめる」
「これからな」
「俺もいるからな」
 ビーストはウィザードの横からスサノオに告げた。
「いいな、二人でも」
「相手が何人だろうと構わない」
 スサノオとしてはとだ、ダークウィザードはビーストに答えた。 

 

第二十二章

「それでははじめよう」
「おい晴人、いいな」
「ああ」 
 ウィザードはビーストの言葉に冷静に返した。
「この世界での戦いを終わらせるぞ」
「俺達が勝ってな」
「そうするからな」
「望むところだ」
 こう応えてだ、そしてだった。
 二人のライダーも向かう、その後ろでは。
 飯島、稲森、山本の三人のメイジ、彼等がだった。
 それぞれフェニックス、メデューサ、グレムリンと戦うその中でだ、それぞれの相手のまさに一瞬の隙を衝いてだった。
 渾身の一撃を浴びせた、それでだった。
 ファントム達は動きを止めてだった、メデューサが忌々しげに言った。
「くっ、まさか」
「今ので決まったわね」
 メデューサの左胸に拳を加えた稲森が応える。
「そうね」
「この力、前に闘った時以上に」
「強くなっているというのね」
「それも遥かに」
「当然よ、私達はあの時から更に戦ってきたのよ」
「そしてその戦いの中で」
「強くなったのよ」
 そうなったというのだ。
「だからよ」
「私をこうも簡単に」
「簡単にでもなかったけれど」
 これまで死闘を展開していた、しかしだったのだ。
 稲森は怪人の一瞬の隙を衝いてその胸を打った、それで倒したのだ。だから楽に勝ったとは言えなかったのだ。
「勝てたのよ」
「強くなったからこそ」
「そうよ、私は勝てたのよ」
「そして」
 メデューサはここでフェニックスとグレムリンも見た、だがその彼等もだった。
 飯島、山本の蹴りと体当たりをそれぞれ受けていた、それで二人共致命傷を受けていた。それを見ても言うのだった。
「フェニックスとグレムリンも」
「くそっ、まさかこうなるなんてな」
「思いも寄らなかったよ」
 二人も歯噛みして言うのだった。
「見事な位にな」
「やられたよ」
「そうなったこともまた」
「そうよ」
 稲森はメデューサを見据えたまま答えた。
「私達が強くなったからよ」
「そうか、しかしな」
 フェニックスは足元をふらつかせながらもだった、メイジ達を指差してだ。そのうえで実に忌々しげな声でこう言った。
「俺達はここで負けてもな」
「次があるんだよね」
 飯島のメイジがそのフェニックスに応える。
「そう言うんだね」
「そうだ、それに俺は不死身だ」
 ここで倒れてもというのだ。
「また出て来てやる、楽しみにしていろ」
「まあここで倒れてもね」
 それでもと言ったのはグレムリンだった、彼も山本のメイジの彼の一瞬の隙を衝いた体当たりを受けて致命傷を負ったのだ。
 それで瀕死ながらも立ちだ、こう言ったのだ。
「僕達はまた出て来るよ」
「私達は何度でも生き返るわ」
 メデューサも言った、このことについて。
「あの方がおられる限り」
「スサノオが」
「そうよ、だからね」
 それで、というのだった。
「また戦うことになるわ」
「そしてその時はな」
 またフェニックスが言って来た。 

 

第二十三章

「俺達が勝つからな」
「これで終わることは僕にしても本意じゃないからね」
 グレムリンも言う、そしてここで。
 三人は人間の姿に戻った、そのうえでまだ言うのだった。
「また会いましょう」
「そしてその時はな」
「倒させてもらうよ」
「その言葉そっくりと返すわ」
 稲森が負けていない顔でファントム達に応えた。
「貴方達が何度来たとしても」
「倒すというのね」
「その都度ね」
「言うわね、では」
 メデューサはここでは最後まで言わなかった、そしてだった。
 立ったまま消え去った、そしてフェニックスとグレムリンもだった。メデューサと同じ様にして消え去った。その彼等を見届けているメイジ達のところにだ。
 フォーゼが来てだ、こう彼等に言った。
「他の奴等は倒した」
「そうですか、有り難うございます」
 稲森が彼に礼を述べたのだった。
「では後は」
「ああ、最後だけだ」
 フォーゼは青いその姿でウィザード達を見つつ述べた。
「後はな」
「操真さん達だけですね」
「そうだ、後は見守ろう」
 その彼等の戦いをというのだ。
「ここでな」
「わかりました」
 稲森が応えてだ、そうしてだった。
 ファントム達を倒し終えた戦士達はウィザード、ビーストとスサノオの戦いを見守るのだった。幸い欠けている者はいなかった。
 ウィザードとビーストは並んでダークウィザードと戦っていた、その中で。
 ウィザードは正面に蹴りを放った、立ったままでの渾身の蹴りだったがそれは防がれそのうえでだった。
 ダークウィザードから反撃を受けた、右手から黒い気を放って来た、しかしウィザードもそれをかわして難を逃れた。
 その彼と入れ替わりにだ、次は。
 ビーストが攻めた、その拳を。しかしその拳もまた。
 スサノオは上体を逸らしてかわした、それから。
 反撃に左手からの黒の気を放った、ビーストもそれをかわした。双方の攻撃の欧州は引き分けに終わっていた。
 お互いに攻防を繰り返す、その中でだった。
 ダークウィザードはその背に翼を生やした、そのうえで誇らしげに言うのだった。
「これが私の切り札だ」
「ドラゴンか」
「如何にも、ダークドラゴンだ」
 そのドラゴンの、というのだ。
「その力を備えているのだよ」
「そしてその力でか」
「君達を倒す」
 これからだ、そうするというのだ。
「覚悟はいいな」
「俺はそうした覚悟はないんだよ」
 一切とだ、すぐに返したのはビーストだった。
「こいつもな」
「そうだ」
 ウィザードはビーストの親指での指差しを応えながらスサノオに告げた。
「負けるつもりはない」
「では勝つつもりだな」
「その言葉を変えるつもりはない」
 一切、という口調での言葉だった。ここでも。
「勝つのは俺達だ」
「そういうことだよ、御前が切り札を出すんならな」
「俺達も同じだ」
「切り札を出させてもらうからな」
「では出すのだ」
 ダークウィザードは背中に漆黒の、闇の翼で宙に羽撃きつつライダー達に言った。 

 

第二十四章

「そして私に見せるのだ」
「ああ、見せてやるぜ」
 ビーストはダークウィザードを見据えたままだ、そのまま。
 今度はウィザードに顔を向けてだ、こう彼に言った。
「おい、いいな」
「今からだな」
「俺達もそれぞれな」
「切り札を出すか」
「そして勝つぜ、いいな」
「わかっている、それならな」
「行くぜ!」
 二人で話してだ、そのうえで。
 ビーストがだった、まずは。
 魔法陣が出て来た、ビーストがそこを潜ると。
 赤い粒子状になっているビーストキマイラの幻影が姿を現した、それがビーストと一体化してなのだった。
 ビーストハイパーになった、そして。
 ウィザードもだ、その魔法陣を出してだった。
 それを受ける、そこでその中で白銀の姿に変えてだった。そのうえでだった。
 インフィニティースタイルになってだ、こう言ったのである。
「ここからが最後のショータイムだ」
「俺達が勝って決めてやるぜ!」
 ビーストも高らかに言う。
「それじゃあな!」
「行くぞ」
 二人は宙に跳びそのダークウィザードに向かい空中で激突した、その激突の後で凄まじい空中戦に入る。その中で。
 ウィザードとビーストは拳と蹴りを続けて繰り出す、そしてダークウィザードも。
 接近戦で返す、その勢いはまさに互角だった。だが。
 その互角の中でだ、ビーストがまた言った。
「互角のままじゃな」
「体力は奴の方が上だ」
「その中で互角だとな」
「勝てない」
 ウィザードは冷静に分析して述べた。
「俺達の方がな」
「そういうことだよ、このままやっても埓が明かないぜ」
「そこをどうするか」
「答えはわかるよな」
「一つしかない」
 まさにだ、その答えはだ。
「俺達二人でだ」
「決めるしかないよな」
「いいか」
 ウィザードはビーストに対して問うた。
「それは」
「ああ、これからな」
「一撃で決められないとだ」
 その場合についてもだ、ウィザードは言及した。
「負けるのは俺達だ」
「長引くとかじゃなくてな」
「一撃で決めないとだ」 
 それこそ、だった。
「負ける、だからだ」
「やるか」
 二人で言う、そしてだった。
 二人で横に並んだうえでダークウィザードと対峙してだ、ウィザードが言った。
「決める」
「一撃でだな」
「そうだ、次の一撃でな」
「俺もだ」 
 ビーストも言うのだった。
「次の一撃で決めてやる」
「それで私を倒すか」
「ああ、そうしてやるからな」
「面白い、それではだ」
 スサノオは二人のその言葉を聞いて怒るよりもだ、上機嫌になってだ。そのうえで言葉を返したのだった。
「その一撃を見せてもらおう」
「では、だ」
「見せてやるぜ、その一撃をな」
「君達の渾身の力を見せてもらう」 
 やはり楽しそうに言うスサノオ、ダークウィザードだった。 

 

第二十五章

「これからな」
「行くぜ、今から」
 ビーストはその言葉を受けてウィザードに言った。
「息を合わせてな」
「その必要はない」
 息を合わせる必要は、というのだ。
「最初から合っている」
「俺達はか」
「今はな」 
 数多くの戦いを共に繰り広げてだ、そうなったのだ。
「だからだ」
「それは今更か」
「そうだ、では行くぞ」
「それじゃあな」
 ビーストはかえってウィザードの言葉に頷いていた、そして。
 二人同時に武器を出した、ウィザードは斧を出しビーストはハイパーリングをダイスサーベルにセットした、そうしてだった。
 二人同時に叫び声を挙げてスサノオに向かう、スサノオもまた突進し。
 二人にこれ以上はないまでの闇の瘴気を両手首を上下に合わせた状態で開いてそこから放った、その瘴気に対して。
 二人は斧とサーベルを前に出して防ぎだ、そこから瞬時に。
 上から一撃を繰り出した、そしてその一撃がだった。
 スサノオ、ダークウィザードを打った。その一撃がだった。
 スサノオの両肩から腹まで斬った、そのそれぞれの一撃でだ。
 スサノオは動きを止めた、そのうえで己の前にいる二人に告げた。
「見事だ」
「負けを認めるか」
「今の一撃でだ」
 まさにとだ、ウィザードにも言う。
「私は終わった」
「今の貴様はだな」
「そうだ、この戦いは君達の勝利だ」
 それをはっきりと認める言葉だった。
「よくやったと言っておこう」
「それでもだよな」 
 ビーストは如月達から聞いたスサノオのことからだ、彼を指差して問うた。
「それはこっちの世界だけでな」
「そうだ、確かに君達はこの戦いでは勝った」
「しかしだな」
「次はどうかな」
「俺達に勝ってみせるっていうんだな」
「私は負けるつもりで仕掛けてはいない」
 彼にしてもなのだ、そのことは。
「決してな」
「そして俺達を見るってんだな」
「勝つつもりでなければだ」
 それこそ、というのだ。
「君達を見られないからな」
「そういうことでか」
「私は次も君達に私の全力を以て向かう」
 そして、というのだ。
「そして君達人間を見させてもらう」
「そのつもりか」
「そうだ、ではまた会おう」
 スサノオはその両肩からの致命傷をものともせず言った。
「その時も見せてもらう」
「なら見せてやる」
 ウィザードがそのスサノオに言葉を返す。
「次の戦いもな」
「そうでなければな」
 スサノオは自分に正面から向かい合っているウィザードに笑っている声で応えた、満足しているそれで。
「私も楽しめない」
「楽しみそしてか」
「手前は生きていくんだな」
「このままな。それ故にだ」 
「俺達との戦いを止めない」
「仮面ライダーとのだな」
「そういうことだ、君達との戦いは牢獄のことを忘れさせる」
 彼が今も囚われているツクヨミが彼を封じ込めた牢獄のことをだ。
「このまま。楽しませてもらう」
「じゃあ思う存分楽しみやがれ」
 ビーストはその彼を右手で指差して言った。
「精々満足させてやるからな」
「ふふふ、その言葉に甘えさせてもらおう」
 最後にこう言い残してスサノオは姿を消した、無数の鏡が割れる様にしてその姿を消し後には何も残らなかった。
 その姿が消え去るまで見届けてだ、二人のライダー達は変身を解いた。仁藤はそのうえで操真にここでも顔を向けて問うた。 

 

第二十六章

「とりあえずな」
「戦いは終わった」
「帰るか、俺達の世界に」
「そうだな、ここにいても何もならない」
「あいつ等と合流してな」
 如月や奈良達と、というのだ。
「そうして帰るか」
「そうしないとな」
 彼等のことは忘れていなかった、操真も。それでこう返したのだ。
「では戻るか」
「あいつ等のところにな」
 仁藤は操真に応えてからだ、そのうえで。
 二人で仲間達のところに戻った、するとそこには彼等が笑顔で立っていた。
 その中から奈良がだ、二人で笑顔で言った。
「終わりましたね」
「この戦いはな」
「そうですね、けれど」
「ああ、勝ったのはこの戦いだ」
 あくまでそれだけだというのだ。
「次はわからない」
「そうですね、けれど次も」
「その次もだ」
「僕達の戦いは、ですね」
「負けるつもりはない」
 操真は奈良に強い声で告げた。
「絶対にな」
「はい、それじゃあ」
「帰るか」
 奈良達にこのことも言ったのだった。
「俺達の世界にな」
「そうですね、ここにいても仕方ないですし」
「問題はどうして帰るかだが」
「そのことはご心配なく」 
 一行のところにスマートレディ、彼女が来て言ってきた。
「私が案内させて頂きます」
「そうか、あんたがか」
「はい、来た時と同じですね」
「そうだな、それでか」
「行きましょう、今から」
「宜しく頼む」
 操真はスマートレディに頼んでそのうえでだ、彼等の世界に戻った。このことは仲間達も同じだった。そして元の世界に戻ってだった。
 スマートレディは操真達にだ、微笑みつつ告げた。
「今回は今回で」
「次は次だな」
「スサノオはあの手この手で仕掛けてきます」
「そうだな」
「今はインベスも出ています」
「ああ、何か出てるな」
 インベスと聞いてだ、仁藤が気付いた様な顔で応えた。
「変な連中がな」
「はい、彼等もまた」
「スサノオが仕掛けてきてるんだな」
「実はそうなんです、ですから」 
 それで、というのだ。
「彼等とも戦いますか?」
「他の選択肢ないだろ」 
 仁藤は笑みを浮かべてスマートレディの問いに応えた。
「俺達の場合は」
「はい、仮面ライダーでしたら」
「そうだよな、それじゃあな」
「私や黒衣の青年さんも一緒なので」
 それで、とも言うスマートレディだった。
「宜しくお願いしますね」
「こっちこそな」
「では私はスマートブレイン社に戻ります」
「あの企業もだったな」
 木崎はスマートレディの今の言葉から最初に彼女が言ったライダー達とスサノオの戦いの中の一幕、オルフェノクのことを思い出しつつ言った。
「我々と関係があったな」
「はい、今の社長さんもライダーの方ですし」
「確か海堂って人だったか?」
「インターネット部門は草加さんです」 
 そちらは彼が社長だというのだ。
「分割されてます」
「そうなんだな」
「木場さんが社長だったんですが代わりました」
「それで海堂さんがか」
「はい、そうです」 
 社長になったというのだ。 

 

第二十七章

「そうなりました」
「そうか、事情はわかった」
「そういうことで」
「何かあったらスマートブレイン社にも連絡する」
 木崎は鋭い目でスマートレディに答えた。
「それではな」
「またお会いしましょう」
「おそらくすぐに会うことになるな」
 こうも言った木崎だった。
「そうだな」
「はい、スサノオとの戦いは常に行われていますので」
「では何かあればだ」
「何時でもご連絡下さい」
 スマートレディはライダー達に笑顔で連絡先も教えて姿を消した、そしてライダー達もだった。
 如月がだ、操真達に笑顔でこう言った。
「じゃあこれからはな」
「スサノオとの戦いはな」
「一緒だ」
「仲間ということだな」
「いや、ダチだ」 
 如月はここでにやりと楽しげに笑って操真に言葉を返した。
「俺達はダチだ」
「仲間じゃなくてか」
「仲間でありダチだ」
 そうした関係になったというのだ。
「俺達はな」
「そうか、ダチか」
「それでいいか?」
「宜しく頼む」
 操真はその口元を微笑まさせて如月に答えた。
「それでな」
「そうか、それじゃあな」
「これからだな」
「俺達はダチだ」
 こう言ってだ、如月は自分の右手を差し出した。操真もそれに応えて。
 握手をして拳を打ち付け合った、如月は他の面々ともそうして。
 操真にだ、笑顔のまま告げた。
「何時でも呼んでくれたらな」
「その時はだな」
「楽しくやろうな」
「ああ、こちらこそな」
「ダチとしてな」
 二人で話してだ、そうしてだった。
 戦士達は今は別れた、その別れの後で。
 大門が操真達にだ、こう言った。
「私達も帰りましょう」
「俺達の場所にだな」
「ドーナツを食べて」
 そのうえで、だった。
「それからね」
「ああ、面影堂に戻ってな」
「それでまた戦うことになるわね」
「今度はインベスですか」
 少しやれやれとなった顔になってだ、奈良も言った。
「厄介な相手みたいですね」
「厄介なのはファントムも同じだったでしょ」
 大門はその奈良にも言った。
「それならね」
「一緒ですか」
「インべスにはインベスの癖があるけれどね」
「戦うだけですね」
「僕達もね」
「若しインベスが相手でも」
 稲盛も言う。
「負ける訳にはいかないから」
「そうですよね、ですから」
「その連中とも戦うか」
 飯降と山本も稲盛のその言葉に応える。
「魔法使い、仮面ライダーとして」
「その連中ともな」
「インベスのことはこれから本格的に調べる」
 木崎はもう動こうとしていた。
「そしてだ」
「戦うんだな」
「そうする、いいな」
 こう言うのだった、操真にも。
「次の相手のことも頭に入れてもらう」
「相手のことも知らないとな」
 それこそとだ、仁藤も言った。
「戦いに負けるからな」
「そういうことだ、君達には勉強もしてもらう」
 木崎は眼鏡の奥の目を鋭くさせて仁藤に返した。
「そして勝ってもらう」
「わかったぜ、それじゃあな」
「さて、それではだ」
 輪島は話が一段落したところでライダー達に言った。
「ドーナツの後は面影堂でな」
「コーヒーだな」
「皆でそれを飲もう、ささやかだが今回の戦いに勝ったお祝いだ」
 その意味でというのだ。
「俺がとびきりのコーヒーを淹れる」
「わかった、では戻るか」
「コヨミの分も淹れる」
 輪島は笑みを浮かべてこうも言った。
「皆で祝おう」
「そうしてくれるか」
「当たり前だ、コヨミは今の俺達の中で生きているからな」
 輪島は操真に笑顔で返した。
「一緒に祝って当然だろ」
「そういうことだな」
「ああ、それじゃあな」
 こう話してだ、そしてだった。
 操真達は今は勝利を祝った、だがそれは次の戦いへの息抜きに過ぎない。そのこともわかったうえで祝うのだった。


仮面ライダーウィザード  希望を救い出せ   完


                          2014・10・30