老騎兵


 

1部分:第一章


第一章

                        老騎兵
 戦争であった。しかしこの戦争はだ。
「進め!」
「祖国の為だ!」
 少なくとも彼等はこう思っている戦争だった。
「折角独立できたんだ」
「それならだ!」
 こう言ってだった。果敢に戦う。ここはフィンランドである。独立して暫く経ったこの国にだ。ソ連が圧倒的な戦力で雪崩れ込んで来たのだ。
 彼等はだ。その凍て付いて氷に覆われた戦場の中で言った。
「ソ連は平和勢力じゃなかったのか?」
「確か共産主義は人類に幸福をもたらすんだよな」
「戦争をしないんだったよな」
 言うのはこのことだった。
「それで何でだ?」
「何でこの連中は攻めて来てるんだ?」
「しかもこれだけの数でな」
 目の前にはソ連軍の大軍がいる。桁外れの数の歩兵に戦車、それに大砲だ。とにかく数で押し切ろうとしているのは明白だった。
「あれは嘘だったのかよ」
「どうなんだ?」
「嘘に決まっている」
 こう言ったのは六十になろうとする軍服の男だった。ヘルメットから出ている髪もカイゼル髭も真っ白であり顔には皺がある。その彼が言うのであった。
「共産主義者の言うことなぞ信用していたのか?」
「まあそう言われますとね」
「話は一応聞いてましたし」
「ロシア革命で」
「わしはあの革命の時少しだけあの国にいた」
 そのソ連にだというのだ。
「それでだ。見たからな」
「相当なことがあったそうですね」
「もう滅茶苦茶だったそうで」
「革命に逆らう者は死」
 一言であった。
「誰でも彼でもどんどん殺していったぞ」
「全然平和じゃないですね」
「ロシアより血生臭いですね」
「あの国はロシアの時より性質が悪いぞ」
 老人はまた言った。
「そう、血に餓えた野獣よ」
「野獣ですか」
「また熊ですか」
「そうだ、血に餓えた熊だ」
 野獣がそのまま熊になっただけであった。
「だからだ。気をつけろ」
「ええ、わかりました」
「それじゃあ」
 こんな話をしてだった。彼等はここで馬に乗った。そうしてだった。
「スッタ大佐、それで」
「これからどうするんですか?」
「無論退くつもりはない」
 その老人スッタ大佐は毅然とした言葉で返す。彼も己の黒い馬に乗っている。
「まずは迂回してだ」
「はい」
「それで、ですね」
「正面にいる歩兵部隊と共同してあの敵を叩く」
 そのソ連軍の大軍をだというのだ。
「いいな、それで」
「ええ。あんな共産主義者共に祖国を荒らされてたまるものですか」
「やってやりますよ」
 金髪に青い目の若い兵士達が不敵な笑みと共に言った。
「それじゃあ今から」
「行きますか」
「まずは銃撃を仕掛ける」
 スッタは己の部下達に話す。
「そして敵軍に切り込めばだ」
「その時はですね」
「斬ってやりますか」
「斬って斬って斬りまくる」
 実際にそうするというのであった。そうしてだ。
「全軍行動開始!」
「はい!」
「行きましょう!」
 馬腹が蹴られた。それで、であった。
 スッタ率いる騎兵隊はまずは敵の側面に来た。ソ連軍がそちらに反応を見せる。しかしであった。
「馬鹿が、動きが遅いぜ」
「反応が悪いんだよ」
 そのソ連軍の動きはだ。彼等にとっては実に鈍く見えた。
 

 

2部分:第二章


第二章

 そしてだ。ソ連軍にまずはフィンランド軍の砲撃が浴びせられた。それを受けた戦車や大砲が吹き飛んでいく。
「いいか、この砲撃が終わればだ!」
「はい!」
「もう横につきましたし」
「一気に突っ込む!」
 そうするというのだった。
「いいな!」
「了解です!」
「それじゃあ!」
 部下達もスッタの言葉に頷いてだった。そうしてだった。
 砲撃が終わった瞬間にだ。砲撃を受け怯むソ連軍に銃撃を浴びせる。忽ち側面にいた兵士達が撃たれそれで吹き飛ぶ。そして。
 サーベルを抜いた。それで。
「突撃っ!」
「行くぜ!」
「熊共覚悟しやがれ!」
 全騎兵により斬り込んだ。これで決まった。 
「戦車や装甲車には目をくれるな!」
「ええ、わかってます」
「流石に相手はできませんからね」
「歩兵をやれ!」
 そちらをだというのだ。
「斬れ!いいな!」
「もう斬ってますよ!」
「こうしてね!」
 フィンランド軍の騎兵達のサーベルが煌く。煌くその度に鮮血が沸き起こり腕が飛び首が落ちる。そして逃げ惑う敵兵を踏み躙りだ。そのうえで彼等の軍を突破したのであった。 
 その突破されたソ連軍に歩兵達と僅かばかりの戦車隊が総攻撃を仕掛ける。こうしてであった。
 フィンランド軍は勝利を収めた。騎兵隊もそのことを祝っていた。
 硬い黒パンをソーセージと一緒に煮たものを食べながらだ。彼等は話すのであった。
「勝ったな」
「ああ」
「あいつ等は数だけだな」
「そうだよな」
「質は大したことないな」
 このことが話される。
「じゃあ勝てるか?」
「このままな」
「いや、侮るな」
 だがスッタは驕りかける彼等を制止した。
「驕ればそれでだ」
「負ける」
「だからですか」
「装備は向こうの方がずっといいんだ」
 ここではあえて数のことは話さなかった。
「わし等は今だに騎兵隊だぞ。向こうにはもうないだろう」
「そうですね。こっちは戦車なんて碌にないですしね」
「戦闘機も」
 あるにはあるがだ。どれもお話にならない旧式機ばかりである。フィンランド軍はお世辞にも充分とは言えない状況であるのだ。
「言われてみればそうですね」
「今の俺達なんて向こうから見れば」
「ちっぽけなものですよね」
「そうだ。あの戦車を見ろ」
 スッタは今度はソ連軍の戦車のことを話した。
「あれは凄い戦車だぞ」
「ああ、あのハッチが二つ開くあれですね」
「鼠に見えるあれですか」
「確かT-34でしたね」
 その名前も誰かが言った。
「随分と強いですよね」
「動きは速いしぶといし」
「おまけに火力はあるし」
「あれを見てもソ連が強いことはわかる」
 語るスッタの表情は険しい。
「いいな。絶対に油断するな」
「油断したらその時は、ですね」
「国がなくなりますね」
「連中にとっては我が国は小国だ」
 最早国力がお話にならないまでに開いていた。何しろソ連の人口は優に一億を超える。それに対してフィンランドはだ。精々五百万といったところなのだ。
 

 

3部分:第三章


第三章

「一捻りだ」
「そうならない為にも」
「気を引き締めて」
「負けじ魂を見せろ」
 スッタの言葉が強くなる。
「我がスオミ人のだ」
「ええ、思う存分見せてやりますよ」
「ソ連が何だってんですか」
「共産主義が何だってんですか」
 彼等はどちらも嫌いだった。このことははっきりとしていた。
「あの連中の軍門に下る位なら」
「モスクワまで攻め込んでやりますよ」
「そうだ、その意気だ」
 スッタは彼等の言葉を聞いてようやく微かに笑った。とはいってもそのカイゼル髭が微かに動いただけだ。それだけだった。
 しかしそれでも笑ってだ。彼はまた部下達に話す。
「それではだ」
「ええ」
「今度は一体」
「食え」
 スッタが今度言うのはこのことだった。
「そして寝ろ。いいな」
「次の戦いに備えてですか」
「それで」
「くれぐれも凍死はするな」 
 このことを言うのも忘れない。フィンランドは寒い。冗談抜きに凍死の危険が隣り合わせだ。それはソ連にしても同じである。
 それでだ。スッタは今このことを言うのを忘れなかったのである。
「わかったな」
「勿論ですよ」
「食い物とその備えは怠っていませんよ」
「じゃあまずは食って」
「暖かく寝ます」
「よし、そうしろ」
 部下達の言葉を受けて頷く。この日はこれで終わった。そうしてだった。
 それから数日後だ。またしてもソ連軍が来た。これまたかなりの数だ。
「ううん、相変わらず凄い数ですね」
「戦車も大砲も多いですし」
「何処からあれだけ出て来るんだか」
「熊の体力を侮るな」
 スッタの今の言葉はソ連が例えられている動物を例えに出していた。
「不死身だと思え」
「ったく、面倒な奴等ですよ」
「一回位死ねっての」
「全く」
「生憎だが向こうにそのつもりはない」
 スッタの言葉は実に救いのないものだった。
「何時までも生きるつもりだ」
「俺達を食ってですね」
「そのうえで」
「そういうことだ。食われたいか」
 ここでも部下達に対して問う。
「熊の餌になりたいか」
「冗談ですよね」
「誰がそんなのなりたいんですか」
「そうですよ」
「人間は熊に食われるものじゃない」
 スッタは部下達の強い言葉を聞いて自信もこう言ってみせた。
「熊を狩ってそれで食うものだ」
「ですから。奴等もですね」
「幾ら数が多くても」
「やってやりましょう」
「もうすぐ援軍が来る」
 今戦場にいるフィンランド軍は彼等だけだった。他の軍はソ連軍のその大軍だけだ。これだけは嫌になる程前からやって来ている。
「空からも来るらしいぞ」
「じゃあそれまで、ですね」
「戦い抜きますか」
「生き残りましょう」
「生きろ、そして勝て」
 今度のスッタの言葉は簡潔だった。
「わかったな」
「はい、それじゃあ」
「行きましょう」
「騎兵の戦術に守りはない!」
 そもそも騎兵での防衛戦術というもの程有り得ないものもない。攻めるか退くか、騎兵の戦術はこの二つしかないと言っていい。
「だからだ。ここはだ」
「はい、攻めましょう!」
「ソ連の熊達を次から次に狩ってやりましょう」
「俺達の手で」
「わかったら行くぞ」
 最早多くの言葉は不要だった。
 

 

4部分:第四章


第四章

「全軍突撃!」
「うおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
「やってやる!!」
 彼等は雄叫びと共にソ連軍の大軍に向かって突き進む。それを見たソ連軍はだ。
 すぐに彼等に対して攻撃を仕掛けた。忽ち砲撃の音が轟く。
「いいか!」
「はい!」
「散陣ですね!」
「そうだ、まずは散れ!」
 スッタは軍の先頭から彼等に告げる。
「敵の攻撃は当たらん!」
「相変わらず熊共は攻撃の数は多いですが」
「的に当てるのは下手ですからね」
「だからここは」
「そうだ、散れ」
 地点攻撃は得意とするが目標を狙うことにはどちらかというと不得意なソ連軍の戦術は帝政ロシアの頃からの伝統と言ってよかった。
「砲撃は受けるなよ」
「へっ、弾の方からよけてくれますけれどね」
「そうそう」
 彼等はここでも強気だった。
「けれどここはですね」
「散ってそれで」
「敵に向かいましょう」
「そうだ、散陣だ!」
 また言うスッタだった。
「そしてだ」
「至近距離で銃撃を放って」
「それからはですね」
「サーベルを抜いて斬る」
 やはりいつも通りだった。
「いいな」
「了解です!」
「今日も見せてやりましょう、フィンランド騎兵の心意気」
「俺達の戦いを!」
「行くぞ!」
 ここでのスッタの言葉は一言だった。そしてだ。
 騎兵隊は散開しそれで敵の砲撃や銃撃を潜り抜けて先に進む。砲撃の音と炸裂する爆発が彼等の中に起こる。しかし彼等はそれでも突き進む。
 馬の足元には銃撃が来る。それでぬかるみかけている土が跳ね返る。しかしそれでも馬達は進み。遂にその距離に来た。
 ここでだ。騎兵達は一斉に銃を放った。
「撃て!」
「撃て!」
 騎兵隊の攻撃は突撃しながらなので照準は甘い。しかしであった。   
 密集しているソ連軍の歩兵達を撃った。それで何人かが倒れた。
「くそっ、来たぞ!」
「フィンランドの奴等が来た!」
「迎撃だ!」
「突っ込ませるな!」
「ふん、遅い!」
 だがここでスッタがその彼等を見ながら言った。
「その程度の動きでだ!」
「ええ、隊長」
「次はですね」
「そうだ。サーベルだ」
 やはりそれであった。
「斬って斬って斬りまくれ、いいな!」
「はい!」
「やってやりましょう!」
 そしてサーベルを抜いてだ。敵に斬り込む。
 血煙が起こり敵兵達が倒れていく。馬がその倒れた兵士達を踏み躙る。そのうえで彼等は敵軍の中を暴れ回っていく。
 それを受けてだ。ソ連軍も彼等を何とか追い返そうとする。
「撃て!撃ちまくれ!」
「殺せ!」
「フィンランドの時代遅れ共を殺せ!」
 こう叫んでいた。そしてだ。
 

 

5部分:第五章


第五章

 銃撃を仕掛ける。だがそれは味方も巻き込んでいた。
「構わん!」
「それでもいい!」
「奴等を殺せ!」 
 政治将校達の言葉だ。ソ連軍、ひいては共産主義国家の軍隊にはつきものの存在である。
「戦車を動かせ!」
「砲撃を浴びせろ!」
「し、しかし」
「味方がいます」
「その中でですか」
「そうだ、まずは敵を倒せ」
 政治将校達は平然として躊躇する彼等に対して告げた。
「戦争に犠牲はつきものだ」
「さもなければ我等がだ」
「どうなるかわかっているな」
 あからさまな恫喝の言葉だった。
「シベリアに行きたいのか?」
「それで死にたいのか?」
「どうなのだ?」
「わ、わかりました」
「それなら」
「ここは」
「そうだ、撃て!」
 また叫ぶ政治将校達だった。
「あのフィンランド騎兵の軍を退けろ!」
「一歩も近寄らせるな!」
「いいな!」
 こうしてだった。彼等は味方がいるかどうかも構わずそのうえでだ。反撃を開始した。その中で戦車や装甲車も動いた。
 周りにいる自軍の兵士達を最初に踏み潰した。
「う、うわあ!」
「逃げろ!」
 しかしだ。また政治将校達が叫ぶ。
「逃げるな!」
「逃げると我々が撃つぞ!」
「それでもいいのか!」
 ここでもこんなことが言われる。
「御前等は戦車の楯となれ!」
「スターリン書記長に殉じろ!」
「祖国の為に死ね!」
 こう言われてそこに踏み止まる。それで戦車の楯にさせた。
 それを見てだ。敵軍の中で軍を暴れさせる騎兵隊を率いるスッタが言った。
「酷いものだな」
「全くですね」
「本当に」
 騎兵隊も誰もが呆れた。
「これはまた」
「味方をですか」
「それがソ連なんだろうな」
 スッタも戦いを指揮しながら忌々しげに話す。
「しかしこれはだ」
「ええ、敵は混乱していますね」
「同士討ちみたいになってますし」
「それじゃあ」
「この際だ。敵を徹底的に引っ掻き回す」
 これがスッタの決断だった。
「いいな、それで」
「ええ、了解です」
「それじゃあ」
「全軍このまま攻撃を続けよ」
 指示が出された。
「いいな。わしに続け」
「そしてですね」
「この敵軍の中を」
「暴れ回る」
 まさにそうするというのである。
 そしてだ。自ら実際に突き進みだ。
「わしに続け!」
「はい、行きます!」
「やってやりますよ!」
 騎兵達は彼に続く。そうしてであった。
「兵士達を次々に倒し大砲に近付くとだった。
 至近から火炎瓶を投げてそれで炎上させる。その間に敵の戦車達は。 
 何とか騎兵達を撃とうとする。だが味方を撃つばかりだった。
「くそっ、ちょこまかと」
「動きの速い」
 それでどうしても彼等に当てられなかった。
「このままではな」
「我々がやられるぞ」
「撤退は許さん!」
 またしても政治将校の言葉が飛ぶ。
「戦え!」
「何があってもだ!」
「よし!」
 ここでスッタが戦場の中でまた言った。
 

 

6部分:第六章


第六章

「あの五月蝿いのを撃て」
「ああ、政治将校ですね」
「あいつをですね」
「そうだ、撃て」
 そうせよというのだった。
「あの連中を先に始末しろ」
「ええ、共産党そのものですしね」
「嫌な奴等ですよ」
「全くですね」
 彼等は敵軍であるフィンランド軍からも嫌われていた。そうした存在なのだ。
 そしてだ。実際にだった。
 スッタ達はその彼等をだ。優先的に撃った。それでだった。
 次々と倒れる政治将校達を見てだ。ソ連軍の将兵達は。
「五月蝿いのが消えてくれたな」
「ああ、まだ政治将校残ってるか?」
「いや、もうな」
「もういないぞ」
「よし、それではだ」
 正式な指揮官の一人がここで決断を下した。
「いいな」
「はい」
「撤退ですね」
「止むを得ない。それでだ」
 その指揮官はここでさらに言った。
「政治将校達が敗戦の責任を取ってだ」
「全員自決した」
「立派な最後でした」
「そうだ、見たな」
 あらためて部下達に問う。
「貴官等はそれを見たな」
「はい、この目で」
「確かに見ました」
「そういうことだ。それではだ」
 口裏を合わせたうえでだ。それでだった。
「全軍撤退だ!」
「はい!」
「それでは!」
 こうしてであった。撤退をあくまで拒む政治将校達がいなくなったところで彼等は撤退したのだった。それはまさに壊走であったがそれでも撤退はした。
 それでだ。残ったのはだ。
 スッタ達だけだった。彼等だけが戦場に残っていた。
「やりましたね」
「勝ちましたよ」
「援軍が来る前に」
「そうだな」
 スッタは部下達の言葉を馬上で満足した顔で聞いていた。
「それも大勝利だったな」
「全くですね」
「ここまでやれるとは思いませんでしたよ」
「本当に」
「逆に言えばな」
 だがここで、だった。スッタはこうも言うのだった。
「ここまでしないとな」
「駄目ですか」
「そう言うんですか」
「そうだ、駄目なのだろうな」
 スッタは謹厳な顔で述べるのだった。
「やはりな」
「まあ敵は多いですしね」
「しかも装備はいいし」
「それを考えたら」
「ここまで勝たないと駄目だ」
 スッタの結論はこれであった。
「それでこそだ」
「何かと大変ですね」
「ええ、本当に」
「この戦いは」
「しかし勝つぞ」
 スッタは今度は確かな声を出した。
「いいな、勝つぞ」
「はい、わかってます」
「それはですよね」
「絶対に」
「折角独立したんだ。併合されてなるものか」
 スッタはまた言った。
「わかったな」
「ええ、やりましょう」
「それじゃあですね」
「戦い続けましょう」
「そして勝つぞ」
 スッタも部下の騎兵達もだ。馬上で話をしていた。そうして祖国の為に戦い続けるのだった。この戦いは北方戦争という。この戦争でフィンランドはソ連の侵攻を防いだ。フィンランドが今あるのも彼等のこうした戦いによるものなのである。


老騎兵   完


                  2010・9・6