真恋姫を駆けた男


 

転生先は………

 
前書き
どうもお久しぶりです。大喰らいの牙です。

すでににじファンで完結してしまった作品ですが、楽しんでいただければさいわいです。 

 
キャラ設定

主人公 蒼騎 真紅狼 《あおき しんくろう》


年 外見は21歳だが精神年齢は600歳越え。


身長 180cm 


容姿は鋼殻のレギオスのリンテンスをイメージ。
ただ、眼の色は『直死の魔眼』発動時は蒼それ以外は真紅。


能力
KOFのオズワルドの戦闘術 “カーネフェル”を使える。
武器 トランプ


鋼殻のレギオスの天剣受授者の技全てを使える。(その他の剄技も使用可能)
武器 リンテンスの鋼糸と刀の天剣


戦国BASARA2の武将の武具と衣装に各武将の技が使える。


身体は「紅」に出てくる、『崩月流』の身体の構造となっています。
右手に角あり。


FF6advansの召喚獣と魔法が制限なしで発動可能となる。


死にかけたときに何故か「直死の魔眼」も持つことになる。
それに応じて、『七夜』の体術を使用可能になる。


召喚獣に関してですが、直接戦うことはありません。
ちょっと、素材を貰う程度。


あと、作中にFFシリーズである武器を手に入れます。
ヒント ディシディアに出てくるキャラの武器。


一瞬でバレそうだな。ちなみにその武器は私の持ちキャラです。


こんな感じですがよろしくお願いしますm(__)m
ではちょっと冒頭を入れます。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


「無事じゃ、怪我ひとつない。」
「そうか、よかったよ。」
と言った後、俺は光に包まれ、新しい生を得た。


「む?しまった、送る場所を間違えてしまったわい。・・・まあ、あ奴なら大丈夫じゃろ。」
この一言により真紅狼は正規の手続きを踏まずに送られたため身体に異変が生じているとは思わなかった。


転生中・・・・


「・・・・っう!!いでででで!?何が起こったんだ?」
と目覚めはとてつもなく最悪だった。
だが、最悪なのはこれからだった。


「どこ、ここ?」
目覚めたとき森の中に居た。


「というか、俺の体が何故縮んでいる?」
21歳ぐらいに設定してもらったはずなのに、今の姿はだいたい9歳ぐらいになっていた。


近くでなにやら物音がしたが、転生後の謎の激痛により再び意識を落としてしまった。


「・・・人が倒れている!?アナタ、その傷どうしたの!!母上!!」
「そんな大きな声を出してどうしたの、華琳?・・あらあら。華琳荷物を持ってちょうだい。私はこの子をおぶります。」
「はい。母上。」
というやり取りをやっていたが、真紅狼には聞こえているハズがなかった。


真紅狼はこうして、後に「覇王」と呼ばれる少女と出会った。 
 

 
後書き
出来る限り、今日は投稿させていただきます。 

 

別の世界に転生したんだって・・・

~真紅狼side~
「おう?!ここはどこだ・・?」
「神の領域じゃ。」
「よう、じいさん。あってすぐに言いたいことあるんだけど、言ってもいいか?」
「・・・それは勘弁してh「却下」」
「俺をどこに飛ばした?」
「スマン、転生先まちがえてしもうた。」
「・・・・どこに飛ばした?」
「“真 恋姫無双”っていう世界じゃ。」
「なにそれ?」
「三国志は知っとるじゃろ?」
「ああ、魏、呉、蜀のことだろ?」
「そうじゃ。お主のいるところはそれじゃ!」
「・・・は?」
「なんじゃが、それは本来の三国志とは少し違うようじゃ。」
「どこが違うんだ?」
「なんでも、その世界は“外史”と呼ばれているらしい。」
「“外史”ってなに?」
「異世界(パラレルワールド)というものらしいぞ、今回は有名な武将がすべて女らしい。」
マジかよ。全員女か・・・。男の立場低そうだな。


「じゃ、次だ。俺の体が縮んだのは?」
「うむ。正規な方法で転生しなかったのが原因で転生したときに法則が乱れたようじゃ。」
つまり、あれか。


宇宙の法則が乱れ始めた!!      『アルマゲスト』!!


でも、俺はくらったのか?


「一応成長はするんだよな?」
「ああ、成長するが、21歳までな。そこからは肉体の成長は止まるがの。」
「ああ、さいですか。」
「あと、そうじゃ。能力の一部が今使用不能になっておる。」
「え、どれが?」
「まず、鋼糸の使用が不可じゃが、刀の方は・・・大丈夫じゃ。あとは魔法じゃな。これは全て使用不可だ。17歳を超えれば、鋼糸は完全に使えるようになるのじゃが、魔法は21歳にならなければ無理だ。」
鋼糸が使えなくなるのは痛いな。


「まあ、しょうがねえか。使えないならしばらくは身体を鍛えながら、“カーネフェル”や“崩月流”に“七夜”の体術に専念するか。」
「あと、これは追加じゃ。“カーネフェル”で使用するトランプじゃが無限に出てくるから無くなるってことはないぞ。」
「おお、ありがたい。」
三国志ってことは漢王朝の時代だしな、トランプなんて代物あるわけないし、どう調達するか困っていたが、悩みが一つ消えた。


「む、そろそろ起きるがよい。長く寝過ぎると身体が固くなって動きを取り戻すのに大変じゃ。」
「うい。」
「じゃ、第二の人生楽しむがよい。」
「おう。」
そのあと、俺は目を閉じた。
~真紅狼side out~


~曹操side~
母上が運んできた男の子は未だに目を開けなかった。
私より年はだいたい三つ上ぐらいであった。
見慣れない服を着ていた。


「・・・うぁ?」
「母上、意識が戻りました。」
「あらあら、目が覚めたかしら?」
と母上は安心できるような声で男の子に声をかけた。


「・・・ここは?」
「森の中では危険なので私の家に来てもらいました。」
「態々、すみません。」
「いいえ。大丈夫ですよ。」
「それでも助けていただいて有難うございます。」
と男の子は身体を無理に起こして、見慣れぬお辞儀をしていた。


「・・っぅ」
「無理はいけないわ。さて、華琳。私は水を汲んできますので、少しの間お願いね。」
「はい、母上。」
「では、いってきます。」
そういい、井戸の方に水を汲みに行った。
そのあと、一気に静かになる。
私はさっきから気になっていたので聞いてみた。


「アナタ、どこから来たの?」
「ここよりもずっと東から来た。」
「というと、呉から?」
「違う、それよりもっと東だ。海を渡った先に島国がある、そこからやって来た。」
「そんな国あったかしら。」
「“日本”と呼んでいた。」
「ふ~ん。歳は?」
「九つだ。」
「私より三つ年上・・・。」
思っていた通り、年上だった。
また、新しい疑問が生まれたので聞いてみた。


「それじゃあ、アナタの服装はその国の物なの?」
「ああ。」
「随分と奇抜ね」
「・・・・・・・・・・」
「最後にいい?」
「なんだ?」
「アナタのn・・・「只今、戻りました」お帰りなさい、母上」
名を聞く直前で母上が帰って来た。
~曹操side out~


~真紅狼side~
目が覚めた俺は、いきなり声をかけられビックリしたが、その声の持ち主を見てみると金髪で“深窓のお嬢様”という感じの女性だった。
うん?金髪?
・・・・待て待て!
ここは三国志じゃなかったか!?
なんで、金髪なんてものがあるの?!
これが、ジイサンの言ってた“外史”ってやつか。
・・・改めて凄いと思った。
その女性の娘が色々と質問してきたので、嘘はなるべく付かずに答えた。
さすがに、未来から来たとかは言わなかったけど・・。
最後に聞きたいことがあったみたいだが、この娘の母が帰って来た。
俺は汲んできてもらった水を受け取り、水を飲んだ後「貴方のことを聞きたい」と言われたので話すことにした。
~真紅狼side out~


~彗琳side~
水を汲み終え、家に着いたときには華琳と話していた。
だけど、痛みのせいなのかどこか、無理して喋っていることが何となくだけど、わかった。
そして、なによりも分かったことはおそらくこの子には家族と呼べるものが居ないことが分かった。
華琳が家族のことを話していると、彼はどこか羨ましそうで儚げな眼をしていた。


「只今、戻りました」
華琳は一旦質問を止めた。
私は汲んで来た水を竹筒に入れ、飲ませた。


「そろそろ落ち着いたなら、貴方のことを聞きたいのだけどいいかしら。」
「はい。」
「私から名を言うわ。彗琳よ。華琳の母です。」
「私は姓が曹、名は操、字は孟徳、真名は華琳よ。」
この娘があの曹操!?・・・・・マジ?
ちょっと、凄い現実を目のあたりにして呆けていたが、正気に戻りこちらも名乗ったが、真名ってなに?


「俺は蒼騎 真紅狼だ。」
「姓が蒼で、名が騎かしら?」
「いえ、違います。字が蒼騎、名が真紅狼です。」
「真名はないの?」
「その真名ってなんですか?」
「神聖な名とでも言っておこうかしら。真名はその人が認めた相手のみに教える名よ。勝手に真名呼んでしまうと首を斬られてしまうから気を付けてね。」
「はい。となると、俺の真名は真紅狼ですよ。」
「・・・!何も知らずに真名を教えていたの?」
「いえ、俺の国では真名というのは無く、字と名だけです。そして、名がある意味真名に当たります。」
「そう、変わっているのね。」
“変わっている”と言われたが、なんとも複雑な気分だ。


「じゃあ、真紅狼と呼ぶわね?」
「はい。俺は彗琳さんと呼びます。キミは「華琳よ」いいのか?神聖な名なんだろう?」
「貴方だって、真名も知らずに堂々と真名を教えたんだからこれで差し引きなしよ。」
「じゃあ、華琳でいいか?」
「ええ。よろしくね、真紅狼。」
「挨拶も終わったところで話を再開するわね。・・・いきなり失礼なことを言うのだけど真紅狼くん。貴方、家族いないでしょ?」
「えっ?」
「・・・・・!?」
真紅狼の目は見開き、「どうして分かった」という目でこちらを見ていた。


「華琳が家族について話している時、貴方の目は羨ましそうに見ていたわ。そこから、考えると貴方は家族というものを知らないのでは?ってね。」
「・・・・・・・・・・」
真紅狼くんは黙っていた。


「出来れば、貴方の口から話してくれたら有難いのだけど、ダメかしら? もちろん、言いたくことの無いことは言わなくていいわ。・・・どう?」
「・・・・・ふぅ。いいですよ。お話します。」
「そう。有難う。」
「ただ・・・」
「どうしたの?」
「ただ、これを聞いた後が怖くて・・・」
「大丈夫よ。」
と優しい瞳で答えてあげた。
~彗琳side out~


~真紅狼side~
「家族がいない」・・・・か。
俺はそんな目をしていたのか・・・。
親しいモノ程、未練を残しやすいっていうのかね?
吹っ切ったと思ったんだがなぁ。


「・・俺はどこにでもいる家庭に生まれました。父も母も心身ともに強くちょっとやそこらのことじゃ、負けないぐらいに。ですが、俺が四つのときに盗賊に殺されました。そのとき、両親はなんとか俺だけ命がけで逃がしてくれました。ですが、そのあとの1年は親戚の者に次から次へとたらい回しにされ、挙句の果てには腫れ物扱いされたり、理不尽な暴力を受けた時もありました。・・・そして、六つの時に一人で生きるために“人”として生きるために、“殺す”練習を始めました。それから一年が経った頃に、その親戚の者を殺しました。そこから二年は力を付けながら、親戚の者を殺しまわりました。ささやかな復讐です。・・・これが全てです。」


まあ、時代と年、両親の死因は嘘だが、それ以外は事実だし。


「「・・・・・・・・・」」


二人は今の話を聞いてから一言も喋っていない。
やはり、拒絶するか。こんな話をすれば。
と自嘲気味に嗤っていると彗琳さんがいきなり抱きついてきた。


「!?」


え、ちょ、何故に!?


「辛かったでしょ?」
「・・・・・・・・」
「泣きたいときに泣いた方が楽になるわよ?」
「・・・泣きたくても泣けないんですよ。俺。」
「えっ?」
「なんというか、両親が死んだときだって泣けなかった。多分俺は、“悲しい”という感情が欠落してんだと思います。俺は壊れてしまったんですよ。・・・辛いはずなのに泣けず、心の中に溜めていき、それが入りきれなくなり内側から破裂して修復不可能のところまで壊れた。」
「・・・ねぇ、貴方。私たちの家族にならない?」
「・・・話し聞いてました?」
「聞いていたわ、けど誰だって幸福を望んでもいいはずなのに貴方にはそれがない。だからね、私たちが貴方に幸福を上げるわ。」


と拒否は許さないという目でこちらを見ていた。
最初は無視しようと思ったが、すごい見つめられていて居心地が悪くなったので諦めた。


「わかりましたよ。家族になります。」
「嬉しいわ~。では、改めてよろしくね。真紅狼?」
「はい。義母さん。」
「そう言えば年は九つって言ってたから、華琳の義兄ね」
「あー、そうですね。よろしくな、華琳?」
「はい、義兄さん。」
「不思議な気分だな。」
「兄弟はいなかったの?」
「生憎、一人っ子です。」
「そうなの。」
「おっと、いけない。忘れるところだった。」
「何を義兄さん?」
「まあ、挨拶をな。」
「挨拶?」
「・・・この度、本日から曹家の家族と成りました、蒼騎 真紅狼です。末長くよろしくお願いします。」


と礼儀正しく、正座をし、深く挨拶をした。
このやり取りに彗琳と華琳はポカンとしていた。


「真紅狼、それは?」
「俺の両親が教えた礼儀の一つです。「世話になる相手には必ず礼儀正しく挨拶をしろ」・・・と。」
「・・・いい両親だったのね。」
と言ってくれた。
~真紅狼side out~ 
 

 
後書き
華琳の母親の名はオリジナルです。

最初は「星琳」にしようと思ったんですが、それだと星と被ってるのでこちらの「彗」に変えました。 

 

母の死

~真紅狼side~
今、曹家の親しい者だけ集めて葬儀を開いてる。
様々な人が来ていた。
生前、義母さんに世話になった者、義父さんの部下、近くの豪族などが来ていた。
その者たちは義母さんにお辞儀した後、義父さんそして華琳に礼をしたあと、俺に対してはひそひそと話していた。
内容は想像できた。


「奴を引き取ってから、彗琳さんの体調がおかしくなった」
「奴は疫病神だ」
「アイツが殺した」


のだと謂われの無い中傷だった。
が、別に何を言われようが俺は一向に構わなかった。
今から始まったわけではないのだ。この類は。
四年前から、謂われ続けてきたものであった。たまに義母さんの中傷もあったが、義母さんは「大丈夫ですよ」と優しい顔をしていた。
だから、せめて今日ぐらいは中傷も批判も無い一日を過ごして欲しかった。


だが、それをブチ壊すグズがいた。


地位がちょっと高い豪族だった。その豪族は以前義母さんに叱られたことがあってそれを根に持っていたらしい。義母さんが死んだことを良いことにたくさん暴言を吐いた。


「ようやく死んでくれたぜ、この女。」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「こいつが拾ったっていう、クソガキが不幸をもたらしてくれたおかげでよう。」


一気に視線が俺に集まるが別に構わない。問題はコイツをどうやって“殺す”かだ。


「だいたいこの女大した地位もないのに生意気なんだよ」


と言いたい放題だった。
義父さんも言い返せなかった。まだ曹家はこの豪族よりも若干位が低いためだ。
そこに華琳がその豪族の立ちふさがった。


「母上に謝れ!」
「あん?なんだクソガキ誰に口を聞いてるんだ!!」


バシッ!


「きゃあ!!」


華琳は豪族による裏拳で思いっきり壁にぶつかり、蹲っていた。
その後の行動でこの豪族の未来が決まった。


「子が子なら、母親も母親だな「ドガッ!」」


義母さんの棺に足蹴りを放った瞬間、俺はスイッチが入った。
~真紅狼side out~


~華琳side~
母上が死んだ。
皆は義兄さんのせいだと噂しているが、元より母上は身体が弱かったのを知っていた。だから、本来は義兄さんのせいではないのだ。
だけど、その内の一人の男が母上を侮辱し、故人に暴力を振るった。
それを私は許すことが出来なかった。


「母上に謝れ!」
「あん?なんだクソガキ誰に口を聞いてるんだ!!」


バシッ!


「きゃあ!!」


ひと思いにひっぱたいてやろうと思ったけど、敵わなかった。
さらに母上を侮辱した時、義兄さんが動いた。
・・・何かを纏って。
~華琳side out~


~真紅狼side~
「・・・・・・・・・・・」


ゆっくりと俺は歩み寄る。
片手には『七つ夜』と書かれた短刀を持ちながら・・・。
豪族は調子に乗っているせいか気が付かない、この場が一人の少年から溢れるほど滲み出る“死”のオーラで包み込まれていることを。
少年の顔を長く見てきた者しか・・・いや、それすら分からないかもしれない。
少年の眼が“真紅”から“蒼”に変わっていたことを。


「・・・・・殺す」


この呟きを聞きとれた者はどれほどいようか。
すでに真紅狼は姿を消していた。


気が付いた時には、豪族の目の前にいた。


「・・・斬る」


――閃鞘・七夜――


「・・・ハハッ・・ハ?」


ザシュ!


「ぐぁ!?」


そこからの光景は酷いものだった。簡単に人を殺せるほどの力があるのにそれをせず、豪族を嬲っていた。


「ぎゃああああ!!!」
「・・・・・・・・・」


もうすでに男の姿は満身創痍だった。
至る所に切り傷があり、全身から血が流れ出ていた。
しかも、片足のアキレス腱を切っており、まともに動けるものではないのに真紅狼の嬲りは止まらず、もっと加速していった。
・・・が、すでにコイツに興味が無くなったのか、仕留める気だった。
だが、そこに歯止めをかけたモノが居た。


「止めろ、真紅狼!」
「・・・・・・・・」
「彗琳はそんなことを望んでいないハズだ!!」
「・・・・・・・そんなこと俺には関係ない。俺が殺したいから殺す。ただそれだけだ。」
「・・・義兄さん」
「・・・・」
「義兄さん、もう止めてください。母上も怒ってくれたことには感謝してるはずです。」
「・・・・・・・(スッ」


真紅狼は構えてた短刀を降ろし、元に戻った。


「分かった・・・止めにしよう。・・・だが、ケジメは付けさせて貰う。」
素早く短刀を構え、痛みに呻いていた男の元に突っ込んだ。


「極彩と散れ・・・・」


たった一瞬だったが、その間の出来事は真紅狼本人しか知らない。
ただ、違ったとすれば、真紅狼の立ち位置だけだが、そのあと事が動き出す。


ゴトッ・・・・


「「「「「え?」」」」」
「ぎゃああああああああああああ!!!!」
あまりの痛みにのたうちまわっている豪族。


「受け取れよ、アンタへの手向けの花だ」


真紅狼はそう言い残し、壁によっかかっていた。


「お、俺の腕があああああああ!!」


豪族の右腕は綺麗さっぱり両断されていた。
真紅狼は豪族とすれ違った際、肩の付け根からバッサリと「死の線」をなぞって斬ったのだ。
その腕は二度と使い物にならないように。


こうしたあと、豪族は急いで自分の土地に帰っていった。
騒然とした葬儀も終え、真紅狼は家に帰り、旅を出ることを決意した。
だが、その前に一週間ほどゴミ掃除に手間がかかり、出立するのに遅れ、華琳に発覚されることとなった。
~真紅狼side out~ 

 

旅に行ってきます

~真紅狼side~
家の掃除も終え、義母さんに旅に出ると報告もして、いざ旅に出ようとしたら華琳にバレた。
・・・チクショウ。
なんでも、雅が女の勘という物で分かったらしい。
こんなときに働くんじゃねーよ!!
そして、現在正座中・・・。


「義兄さん、そんな荷物持ってどこに行こうとしてたんですか!?」
「いや、あのな先週斬った豪族が死んだから、俺追われる身となったし、ほとぼりが冷めるまで、旅という名の諸侯を回ろうかと・・・」
「ダメです。」
「なぜ!?」
「そんな残念な顔をされても、無理なものは無理です。」
「雅、お前は俺の味方をしてくれるよな!?」
「ごめんね、真ちゃん。今、私華琳様の部下だから味方できないんだ。」
「くっ!だがしかし!!ここで華琳は夢を終わらせたくないだろう?」
「!!」
「俺が出ていかなければ、朝廷の官軍がやってくる。今の曹家じゃ太刀打ちは出来ねぇ。俺が各地を転々と移動していくうちに朝廷が手出しできないほどの勢力を持てばいいじゃないか。」


と打開策を持ちかける。


「・・ですが。」
「確かにそうですね。」
「雅!?」
「確かに真ちゃんのことも一理あります。どうでしょう?華琳様ここは一つ真ちゃんの案に乗ってみては?」
「・・・分かりました。だけど噂などが消えたら必ず戻ってきてください。」
「ああ、必ず戻ってくるよ。」


こうやってうまく道を切り開いた俺は荷物を持ち、この世界に来た時の姿で許昌を出た。
出る途中、二人の双子とすれ違ったがそれが曹操の部下である、夏侯惇と夏侯淵だとは真紅狼はまだ知らなかった。
~真紅狼side out~


~華琳side~
行ってしまった、義兄さん。
少しでも早く戻って欲しい為に戦力を増強することや政策を創りださなきゃ。


「雅。・・・頑張るわよ」
「そうですね。真ちゃんが少しでも早く戻ってこれるように頑張りましょう。」


とお互い意気投合した後、侍女から「謁見をお願いしてきた者が来た。」という知らせを受け、行った後なかなかの武だったので部下とした。
二人の名は夏侯惇と夏侯淵で真名は春蘭と秋蘭だった。
~華琳side out~


~真紅狼side~
旅に出た俺は、まずどこに行くかで迷っていた。


「西涼か呉か・・・。まあ、西涼から回って、そこからはどうにでもなるだろ。」


道中移動しながら、体を鍛えながら、野盗を潰したりして路銀を稼いでいた。
中には、技の実験台になってもらったりした。
極死とか極死とか極死とか。
しばらく経ち、西涼に行く途中で寄った陳留で鍛冶屋があったのでそこに寄ってみた。
この時代の武器の情報が欲しかったからだ。
曲刀から槍、斧、剣など色々あったが俺はそこでとんでもない物を見つけた。


「・・・なんで、これがこんなところにあるんだ・・!?」
そこで見たのは銃と剣が複合されたモノだった。


「“ガンブレード”!!」
~真紅狼side out~ 

 

西涼で馬を貰う

~馬騰side~
娘たちが帰って来たと思ったら、どうやら曹家の兄に刃を向けたらしい。
しかし、曹家の兄と言えば今、朝廷から追われている身ではなかったか?
その真偽も確かめるべく、私は会ってみた。


「どうも、私が西涼の領主をやっている、馬騰と申します。」


と軽く挨拶をした。
さあ、どう反応する?


「ご丁寧にどうも。俺は蒼騎 真紅狼だ。」
「『蒼騎』?・・私の記憶が確かならば、貴方は『曹家』の人間のはずでは?」
「ああ。確かに俺は曹家の人間だが、“曹”の名を貰ってないんだよ。」
「・・・そうですか。もう一つ聞きたいのですがよろしいか?」
「どうぞ」
「貴方は今でも朝廷に追われているのでは?」
「まあ、な。・・・だから、こうして旅をしながら逃げているんじゃないか。」
なにやら言葉が途切れた。
訳ありだなこれは。


「出来れば、追われている理由をお話してくれませんか?」
「・・・・・・・・」
「重要な部分は省略しても構わないですよ。」
「簡略に言うと、近くを治めていた豪族に喧嘩売った。」


なにか含みのある言い方をしていたが、聞き出すのも失礼にあたると感じたので追及はしなかった。
~馬騰side out~


~真紅狼side~
ここで待っていてくれ。と言われたので待つことにした俺は辺りを見てみると馬が治めている土地というだけにあって。馬が多い。
そんなことを考えていると、領主が出てきた。
名は馬騰というらしく、あの二人の伯母に当たるらしい。
自己紹介をしてきたが、・・・これは試されてるな。
試されているということが分かったので、至って“普通”に対応した。
その後、まあ追われている理由を聞いてきたので、メッチャ簡単にまとめた。
一から説明するのも面倒なんで。
そんなやり取りを終えた後、馬騰がこんな提案をしてきた。


「して、真紅狼殿。一つ頼みがあるんですがよろしいか?」
「俺に出来ればですが。」
「なに、ウチの娘と手合せをお願いしたいんですよ。」
「手合せねぇ。・・・何考えてやがる。」
「・・・ウチの娘はいかんせん怖いもの知らずでしてね。世の中はもっと広いことを教えてやりたいんですよ。」
「なるほど。・・・やr「やってくれたら、曹家に西涼の馬を送るぞ?」・・ふむ。」


西涼の・・・。しかも、馬が育てた馬か。良い条件だな。


「まあ、いいだろう。受けるか。」
「そうかい。では今すぐにでも始めよう。」


と言って、俺に外に出るように促した。
~真紅狼side out~


~馬超side~
馬騰伯母さまから呼び出された私は嫌だけど、呼びかけに応じた。


「伯母さま、来たよ。」
「よく来た。翠」
「翠?」
「おや、まだ真名を教えていなかったのかい?」
「教える必要がないだろ。伯母さま。それで要件というのは。」
「そうだった。翠、真紅狼と手合せをしな。」
「「はい?」」


私とついてきた蒲公英は口を揃えて、疑問形?で答えた。


「なんでアタシがコイツと戦わなければならないんだよ!」
「それは「俺がお前もよりも強いからだ」だそうだ。」


ちょっと、「カチンッ!」と来た。
お前がアタシよりも強い?
武器も持たないでいい度胸じゃないか。


「武器も持ってない奴に負けないよ、アタシは!!」
「吼えることだけなら誰でもできるぞ?」


とさらに挑発してきた。


「泣いても許さないからな」
「お前こそ泣くなよ?」


と真紅狼の言葉が発し終えたあと、アタシは動いた。
~馬超side out~


~馬岱side~
私は、今お姉様と真紅狼の試合を見ているが、一方的だった。
最初は、武器も持たない真紅狼なんか一瞬でやられる。と思っていたが、実際は違った。
お姉様の槍は一度も真紅狼を捉える事が出来ず、全て避けられるか弾かれるのどちらかだった。
しかも、弾いた後は軽い反撃までしていた。


「お姉様が・・・傷モノにされている。」
「してねぇよ!?」
「そ、そうだぞ!!蒲公英。そして、いい加減武器を持て、真紅狼!!」
「武器を持ったら、一瞬で終わるぞ?」
「そう簡単にやられるわけない・・!?」
気が付いたら、お姉様の首の部分に刀があった。


「なっ?!」
「これで、分かったろ?」
「ア、アタシは認めない!こんなこと認めない!!」
「なら、全力で打ち込んでみろ。」
「なに?」
「全力で打ち込んでみろ。って言ったんだよ。自分の力がどれほどの力なのか教えてやる。」
「な、舐めるなーー!!」


と、感情的になったお姉様は槍を振り降ろした。全力で。


活剄衝剄混合変化   金剛剄


槍が真紅狼さんにぶつかる瞬間、金色の何かが真紅狼さんを包み、お姉様の槍を弾き返しながら吹き飛ばした。


「これで分かったか?武器を持っても持たなくても、お前に勝てるということと同時にお前は井の中の蛙だったことを」
「・・・・・・(泣)」


あ、お姉様がちょっと泣いてる。
~馬岱side out~


~真紅狼side~
「なんで泣くんだよ。」
「う、うるしゃい!・・・うう、グスッ」
「ホントですよ、お姉様。」
「蒲公英もうるさい」
「さっきのなんだい?」


と伯母さまが聞いてきている。
あ、私も興味がある。


「あー、内緒で。」
「どうしてもかい?」
「まあ、教えてもいいんですけど、“氣”を使えなきゃ使うことが出来ないんで。」
「なら、仕方ないか。」
「で、報酬の方なんですが・・・」
「ああ、今度持っていこう。そうだアンタ一緒に行かないかい?」
「あー、このあと呉の方にも行きたいんでちょっと。」
「そうかい。」
「俺の名を出してくれれば、多分曹操に伝わると思うんで。」
「もし、伝わらないようでしたら、碧羅に伝えてくれ。」
「碧羅ね。」
「あ、俺専用に馬を一頭欲しいんだが、いいか?」
「それなら・・・見て行きなよ。」



移動中・・・



馬舎に来た俺たちは、目の前に広がるのは馬だらけ。スゲェ数だな。
見回す中に一頭だけ群れから離れている、漆黒の馬がいた。


「馬騰、あの馬は?」
「ああ、アレかい?あの馬は少し自己意識が強くてね。他の馬とも交わらないし、あたしたちも扱いに困っていてね。近づこうとすると、追い返すんだ。」
「へえ・・・」


と言って俺は真っ直ぐそいつの元に向かった。


「お、おい危ないぞ!?」
「・・・・・・・・」


辿り着いた俺は、その馬に触れようとした。


「よ、止せ・・・?」


その馬は暴れず、むしろ、何かを見極めているような感じがした。
その後、その馬は俺に対して頭を垂らした。


「馬騰! 俺はコイツにするぜ!」
「ああ、持って行きな。」
「お前の名は“黒鷹”だ。そして俺は真紅狼だ。よろしく頼むぜ?」
「ブルルルル・・・」
「おう。頼むぜ。さて、そろそろ、呉に行こうかね。」
「なら、私たちと途中まで一緒に行こうか。」
「はいよ。」


俺は黒鷹に乗り、馬騰ともに途中まで一緒に旅をし、呉へ行く分かれ道で別れた。


「じゃ、俺はこっちだから・・・」
「ああ、また今度逢おうじゃないか。」
と言ってお互い向かう目的地の道に入った。
~真紅狼side out~


別れた後、数週間かけて、呉に着いたんだが・・・。
また、武器を向けられた。
またかよ!! 

 

真紅狼、孫策に会う

~真紅狼side~
どうも、現在絶賛刃物を突き付けられている最中だ。
なんで、こう突きつけられるんだろうね?
顔の傷か?そうなのか?
それはどうでもよくて、突きつけている相手は褐色肌の女性だ。
しかも、服装から見て、それなりに地位が高そうだ。
なんというか、下手打ったらメンドイことになりそうだ。
どう対応しようかな?
~真紅狼side out~


~???side~
冥琳と二人で出掛けていたら、いかにも賊っぽい男に出会った。


「貴方、ここで何をしてるの?」
「いや、各地を見て回る旅をしていると言うのかなぁ?」
「はっきりしないわねぇ。」
「まあ、各地を旅しているしがない旅行者だよ。」
「じゃあ、その旅行者に聞くわ、貴方ここがどこか知ってるの?」
「呉だろ?孫策が治めている。」
「そうよ。旅行者さん・・・いや、“真紅の殺人鬼”?」
「・・・!!その名を知ってるってことは刺客、もしくは孫家に近い者か。」


と言って、彼が纏っているオーラが変わった。


「ここで貴方を倒せば、名声を得られるわ・・・ね!」


言い終わると同時に私は“南海覇王”を抜き、そのまま袈裟斬りをした。
だけど、その攻撃は失敗した。
振り降ろしている途中で私の武器は空中で止まり動かなくなり、そのまま“真紅の殺人鬼”は私の武器を素手で掴んで奪い取り、私を蹴り飛ばした。


「きゃあ!!」
「いけね、つい無意識にやっちまった。」
「アレが無意識なんて悉く、規格外ね。貴方」
「おい、大丈夫か?」
「あら、敵かもしれない相手を心配するなんて余裕ね?」
「余裕もへったくれもあるか、得物が無い相手を痛めつける趣味はねぇ。しかも相手が女性ならなおさらだ。で、アンタは何がしたいんだ?」
「それはもちろん貴方を倒して、名声を・・「ゴツン!」いったーい!」


小競り合いで気が付かなかったがいつの間にか話している女性の後ろに黒髪でメガネをかけた女性が叩いていた。


「いったい何をしている、雪連。」
~???side out~


~???side~
二人で先代の墓参りに行った後、帰り際雪連とはぐれてしまった。
いや、雪連が何かを発見したみたいでその元に向かった。
私はゆっくりと向かった。
その場に着いたときちょうど、雪連が振り降ろす瞬間だった。
振り降ろした得物は空中で止まると言う不可解な現象が起こり、しかも素手で
得物を奪い取りそのまま蹴り飛ばしていた。
あり得ない光景を見た私は一瞬、呆けたがすぐに意識を取り戻した。


というか、あの顔の傷・・・。どこかの探し人の情報と似ていなかったか?
どこだっけ?


・・・・・・・・・・!
あ、思い出した。曹操が出した探し人の情報だ。


「いったい何をしている、雪連。」
~???side out~


~真紅狼side~
「いったい何をしている、雪連。」


と雪連と呼ばれた女性の頭を叩き、小競り合いを止めてくれた。


「いったーい!何するのよ、冥琳!!」
「身内がとんだ御無礼を。つかの事を聞きますが、曹家の兄である。蒼騎殿ではありませんか?」
「何故、俺の名を?」
「曹家が探し人の情報を各地に回している故・・・」
「あー、マズイな。」
「貴方、曹家の人間だったの?!」
「おう。まだ“曹”の名は貰っていないがな。」
「まさか“真紅の殺人鬼”が曹家の長男だったとはな。」
「色々あったんだよ。」
「詳しく聞きたいものですね。その色々(・・)の部分を」
「止めとけ、お前らには一生縁のない話だ。」


と俺は冥琳と呼ばれた女性の探りをかわしていく。
そんなとき、近くで足音がした。


「雪連と冥琳って言ったか?そこの二人、ちょいとこっちに来い。」
「「???」」
「団体さんのお出ましだ。」


と言った後、山賊団と思われる集団が2,30人出てきた。


「へへっ、見ろよ。孫策と周瑜、それに曹家の長男がいるぜ!」
「しかも、その内一人は朝廷から追われていて、生け捕りにすればたっぷりと報奨金が出る。」
「いや、待て。曹家の長男は監禁して曹操を強請ろうぜ。たくさん払ってくれるぜ、絶対。」
「そうだな。そうしようぜ!」
「おい、お前ら!!男は生け捕りだ!!」


と戦力差で勝っているという妄想に囚われている山賊どもはすでに勝っている様子だった。


「オイ、お前。」
「あ?」
「てめえだよ。そこのちょび髭。」
「なんだと?」
「誰を強請るって?」
「ああ?曹操に決まってんだろ。」
「そうか・・・なら何されても文句はいえねぇよな?」
「寝言は寝て言え、ガキが!!やっちまえ!!」
「「「ウオォォ!!」」」
「お前ら、孫策と周瑜だったのか。で、どっちがどっち?」
「そんなこと聞いてる場合じゃないでしょ!?」
「あ、大丈夫だから。」
「は?」
「一応警告しといてやるか。山賊どもそこから先一歩でも踏み出した瞬間、バラバラ死体が出来上がるから死にたくなかったら止めときな。」
「どうしましょう?頭。」
「はったりに決まってんだろ。いけお前ら!」
「忠告はしたから恨むなよ?あ、孫策と周瑜はもうちょい俺に寄って。巻き込みかねないから。」


言った後、二人は近づいてきた。
体の一部が俺に当たっているんだが、スゲェボリュームだな、オイ。
・・・ゴホンッ!
俺たちの周りに即座に鋼糸を展開し、山賊の頭っぽい奴以外を残して、残りは裁断した。


「なぁ・・・!?」
「あーあ、だから言ったのに。バカだねぇ。」


さっきまで2,30人居たはずの山賊団は一瞬で一人まで減っていた。
この現状を見ていた孫策と周瑜は口が塞がっていない。
まあ、こんなの見せたらそうなるか。
さて、残した雑魚は極死の練習台になってもらうか。
~真紅狼side out~


~孫策side~
「寄ってきて」と言われたので私と冥琳は蒼騎に寄った。
その後、一斉に襲いかかって来た山賊どもが裁断され、細切れとなって消えた。
信じられなかった、この光景が。
もし、これが私に向けられていたら私はこの地に立って居られなかった。
そんなことを考えると体が震えてきた。
蒼騎の横顔を見ると嗤っていた。
その表情に私は“恐怖”を覚えそうになった。
冥琳を見てみると、冥琳も同じようだ。


「(ねぇ、冥琳。)」
「(なんだ、雪連。)」
「(私、絶対蒼騎の前で、曹操の陰口を言わないことにするわ。まだ死にたくないし)」
「(奇遇だな、私も同じことを考えていた。)」


そう二人は心に決めた。
~孫策side out~


~真紅狼side~
「さて、残りはアンタ一人。」
「舐めてんじゃねぇ!!」
「まあ、待て。アンタの処刑方法はすでに決まってるんだ。そんなに慌てなくてもちゃんとお仲間のところに逝けるさ。」


「処刑」という言葉に反応して、逃げだしていた。


「逃がさねぇよ。」


懐から取り出した短刀を上に向けて、言い放った。


『極死―――――― 七夜!!』


短刀を投げつけ、逃げていく山賊は短刀を弾いて余裕を取り戻した時、すでに俺はコイツの頭の上に居た。
そして、そのまま首を力の限り捩った。


ゴキッ!


と何かが折れる音がした後、その男は死んだ。
男が倒れると同時に地面に着地し、七夜が言うセリフを言った。


「救われないな・・・・・オレも、オマエも」


本当に救われないな。


「今の何?」
「ん?」
「今の何って聞いてるの。」
「ああ、暗殺者の業かな。」
「貴方、暗殺者だったの?」
「色々と技術を持っているんだよ、俺は。だから、様々な戦いが出来るんだよ。」
「さっきの業、教えて欲しんだけど。」
「無理。」
「そんなバッサリと言わないでよ。」
「人間の限界以上の動きをしてんだ。無理に決まってんだろ。」
「え~」
「え~。じゃない、取り合えず腹が減ったから。メシ喰わせて。」
~真紅狼side out~ 

 

天の御遣いの噂

~真紅狼side~
山賊どもを始末した代わりに飯を食わせてもらった後、紹介したいから来てくれと言われたので、取り敢えず王の間に向かった。


「来たぞ、孫策。」


王の間に来てみると、うん、呉の将達がそろっていたんだよ。


「改めて紹介するわ。姓は孫、名は策、字は伯符、真名は雪蓮よ」
「真名まで預けるなら、私も預けよう。姓は周、名は瑜、字は公謹、真名は冥琳だ。」
「策殿が少し前に会った男に真名を預けるほどの男か。なら儂も預けよう。
姓は黄、名は蓋、字が公覆、真名は祭じゃ。よろしく頼む。」
「私は真名はちょっと。姓は周、名は泰、字は幼平です。」
「・・・・姓は甘、名は寧、字が興覇だ。」
「わ、私は姓が呂、名は蒙、字が子明です。」
「私は姓が陸、名が遜、字は伯言です~。」
「・・・・・・・・」
「蓮華も挨拶しなさいよ~。」
「・・・姓が孫、名は権、字が仲謀だ。」


呉の有名な武将が勢ぞろいだね。これは。
というか、さっきから睨んでくる者が二人に興味を持つ者が一人、怖がっている者とマイペースの奴が一人か。
取り敢えず、俺も名乗るか。


「俺の名は蒼騎 真紅狼だ。姓と名はねぇ。字が蒼騎で、真名は真紅狼だ。 ・・・それと、七年前まで“真紅の殺人鬼”って呼ばれていた。」


と意を決して言ってみたところ、反応する者が三人出た。


「なっ!」
「・・(スッ」
「ほう? お主があの・・」


一人はすでに臨戦態勢か。悪くない、良い反応だ。


「待て。俺は孫家に飯を奢ってもらったんだ。殺しはしねぇよ。」
「信じられるか!!姉様、なんでこんな奴を招き入れたんですか!?」
「いや、だってねぇ~。山賊達から助けてもらったし~。」
「礼の一つや二つしておかなければ、孫家の名が下がりますよ?蓮華様。」
「ですが!!」
「安心しろ。どうせ長く留まるつもりはない。あと少し休ませてもらった後出ていくよ。」
「あら、そうなの?」
「待ってる奴がいるしな。というか、これ以上放置していたら何されるか分かんねぇし。」
「残念だ、このまま留まってくれたら、“天の御遣い”になってもらおうと思ったんだが・・・」


何になってもらおうだって?


「“天の御遣い”ってなに?」
「お主知らんのか?」
「知らん。長い間体鍛えていたから、全然情報を聞いてなかった。」
「管輅という自称占い師が占った予言がコレだ。」


『黒天を切り裂いて、天より飛来する一筋の流れ星。流星は天より御遣いつれて現れ、乱世を鎮静す』


「とな。」


と詳しく教えてくれる冥琳。


「俺じゃねぇだろ、それ。だいたい俺は流星から来たか?」


“外史”とは言え、メルヘン過ぎんだろ。この予言。


「言いたいことは分かる。だが、これにはまだ続きがあってな。」
「はい?」


『・・・またもう一人の御遣いは“死を語る魔眼”を持ち、乱世に隠れた闇を“殺”しせしめん。しかし、その者人には非ず。』


「だって。」
「・・・・・・・・・・・・・・」


オイオイ、その管輅って奴なんちゅうピンポイントな予言してくれるんだ。
メッチャ当たってんぞ。


「まあ、噂だからね。噂の真偽を確かめようと各国が躍起になっているわけよ。」
「で、もう一人の御遣いが俺じゃないかって。か?」
「そうよ~」
「そんな“死を語る魔眼”なんていう大層な物を持っちゃいないよ。(持ってるけどよ)」
「だが、そんなときにかつて朝廷を騒がせた“真紅の殺人鬼”に出会ったら、そう思うだろう?」
「思わない方がおかしいな。しかし、天の御遣いって言っても“善”と“悪”が混じってんな。」
「どういうこと?」
「前者は“英雄”と呼ばれるだろうが、後者は間違いなく批判されんぞ。そいつが“人”ならよかったが、“人”じゃ無いんだぜ?乱世を治めてくれた奴が“人”では無いということに民衆は反発するだろうな。」
「・・・!!」
「確かに・・・」


このことに気が付いたのは雪連と冥琳の二人だった。


「さて、挨拶も終わったし、巷の噂も聞けたし、そろそろ帰らねぇと。世話になったな。孫s・・いや、雪連に冥琳」
「真名で呼ぶんだ?」
「教えてもらったのに呼ばない方が失礼だろ?」
「確かにね、縁が合ったらまた逢いましょう、真紅狼。」
「おう。じゃあ、失礼する。」


と言って、俺はここに来る前に貰った、路銀を袋に入れ、黒鷹を馬舎から出し呉を後にした。
~真紅狼side out~


~雪連side~
「行っちゃったわね、真紅狼」
「ああ。」
「でも、なんかどこかで逢える気がするのよね。別な形で。」
「そうか。それよりも御遣いの噂の時の表情が気になるな。」
「どうしたの、冥琳?」
「噂で“死を語る魔眼”と私が言ったとき、僅かに表情がぶれていたんだ。ほんの僅かだがな。・・・アレはなにかしら知っている顔だったな。」
「・・・今度逢ったときに聞きましょうよ。」
「そうしよう。では、雪連仕事をしてもらうぞ。」
「え~~~!!」
~雪連side out~


真紅狼が出た後、王宮に悲鳴が響き渡った・・・ 

 

あーあ、出遭っちまったか。

~真紅狼side~
俺は呉を出て、華琳のところに帰る道中、賊?っぽいやつらに襲われた。
いや、曖昧だなと言われても、だって頭に黄色い布を被ってたんだぜ?
誰だって疑う。賊かどうかを。
裁断した後、情報を集めようと近くの街に向かい、集めたところ最近各地を騒がしている者たちを“黄巾党”というらしい。
ちなみに華琳の情報も聞いた。
今は陳留の勅史をやっているらしい。出世したなぁ。
なるほど、この前襲ってきたのは“黄巾党”というのか、ただのバカ集団だと思ってしまった。
陳留まであと少しのところで、ちかくで戦闘音がしていたのでそちらに行ってみると少女一人で5,60人の黄巾党を相手していた。


「やあああ!!」


と掛け声を出しながら、八人は軽く吹っ飛んでいた。
だが、さすがに多勢に無勢だったのが無謀だったのか、立てなくなっていた。
俺は急いでその子の元に向かった。
~真紅狼side out~


~???side~
また、黄色い布を被った集団が村を襲ってきた。
ボクしか村には戦える人がいないし、官軍は信用できない。
だけど、連日襲ってきてさすがに辛い。
そんなことを考えてしまったのがいけなかったのか、一気に疲労が襲ってきた。
そのタイミングを狙われたのか武器を振り降ろしていた。
あ、ボク死んじゃうのかな?


「「ガシッ!」ハイちょっと待った。」
「「へ?」」


ボクを助けたくれたのは真紅の眼で黒と白の服を着た男だった。
~???side out~


~華琳side~
義兄さんが旅に出てからもう八年が経ち、私は陳留の勅史になった。
雅も将軍として立派になり、部下からも慕われている。
最近巷で噂されている“天の御遣い”の噂とかがあるけど、そんなことより義兄さんを見たという情報はないのかしら?
そこに兵から報告が来た。


「申し上げます!この近くにある村に黄巾党が出現しました!」
「なら、春蘭に行かせて討伐しなさい。部隊の編成は任せるわ。」
「はっ!!失礼します。」
「・・・華琳様。」
「何、桂花?」
「ここ最近元気が無いように見えるのですが・・・」
「あら、そう見えた?」
「はい。何か悩みごとですか?私でよろしければ聞きますが?」
「まあ、ちょっと、探している人がいるんだけどね。なかなか見つからないのよ」
「探している人ですか・・・。どのような方なんですか?」
「私のあn「失礼します!夏侯惇将軍から早馬が来ました!」・・要件は?」
「討伐に向かったところ、討伐されておりなんでも討伐した者は七年前、朝廷を騒がした“真紅の殺人鬼”だそうです!」
「「!?」」
“真紅の殺人鬼”・・・それは義兄の異名。義兄さんがこの近くに居る。


「今すぐ、私と碧羅将軍の出撃準備をしなさい!「はっ!」・・・桂花はここに残って、黄巾党の情報を集めなさい。」
「分かりました。」
「では、行ってくるわ。」


義兄さん・・・八年も放っておいたツケは大きいわよ。
~華琳side out~


~真紅狼side~
「なんだテメェは?」
「お前ら、恥ずかしくないの?大の大人が大勢で女の子に襲うなんて、人として最低だぞ?」
「うるせぇ!お前もやってやる!死ねぇ!!」
「気の短い奴だな。」


襲いかかってきた奴の武器を弾き落とした後、足払いでこけさせ、その後、そいつの足を掴み、ジャイアントスイングで集団の方に吹き飛ばした。
さすがに人が飛んでくるとは思っておらず、ボーリングのピンのように次々と巻き込まれながら倒れていった。
・・・よっしゃ!ストライク!!
それは置いといて、倒れた隙を狙い、鋼糸を展開している右手を地面に叩きつけた。


「往くぞ。・・・オォォ!」
倒れている黄巾党の周りを地中から何本もの鋼糸が囲んでいく。いつの間にか黄巾党の連中は見えなくなっていた。


『繰弦曲・崩落』


その檻は次第に小さくなっていき、中の連中を衝剄で轢き潰した。
終わった後には肉片も骨も残っておらず、あるのは血の海だけだった。
~真紅狼side out~


~???side~
助けてくれた男の人の力は凄かった。
万人が押し掛けても、絶対に勝てないほどの力だった。
それに、最後の技なんか凄いから恐怖に変わっていた。
一瞬で人が消えた。


「・・・大丈夫か?」


いきなり声を掛けられた。
どう反応していいか分からない。


「へぁ、あ?」
「・・・大丈夫か?」
「あ、はい。大丈夫です。・・・ボクを殺すんですか?」
「何故、助けたのに殺さなきゃならないんだ?」
「だって、あんなのを見たら、「殺される」と思って。」
「あの技を使うのは相手が外道共だけだ。・・・特に他人を平気で貶す奴ぐらいさ。」
「じゃあ、殺さないんですか?」
「殺さねぇよ。取り敢えず一難去ったし、休んでいい?」
「え、でも、さっきの奴らがまた来たら・・・」
「大丈夫だ。この村の周りを俺の武器が檻を張ってあるから、入ろうとすれば一瞬で分かる。」
「それでも一応、ボクは門のところで見張ってます。」
「気を張り過ぎて、倒れるなよ?」
「はい。あ、助けて貰ったんでボクの真名をお兄さんに預けます。姓は許、名は褚、字は仲康、真名が季衣です。」
「おう。俺は蒼騎 真紅狼だ。真名は真紅狼だ。」
「真紅狼お兄さんでいいですか?」
「あ、お兄さんは付けるのか。」
「はい。付けます。」


ドドドドドドドドド・・・・・・・・


「すまん、ここに黄巾党が現れたという情報を受けてきたのだが黄巾党はどこだ?」
「もう、追い払ったというか倒しましたが?」
~許褚side out~


~夏侯惇side~
黄巾党が出現したという報せから目的の村に着いた。
だが、周りを見回しても黄巾党はいなかった。
居るのは、一人の女の子と男。
こいつらが追い払ったとは思えない。


「誰がやった。」
「俺」
「貴様がやったのか?」
「おう。バッサリと」
「お兄さん。バッサリとは違うんじゃ・・・」
「バッサリでいいだろ?説明したって理解できねぇと思うし。」
「お兄さんがよければ、ボクはいいですけど、この人が納得するか・・・」
「貴様、私をバカにしてるのか?」
「どう捉えるかは、ご自由に。」
「よほど、死にたいようだな。貴様!!」


と私は七星餓狼に手をかけ、奴の首を目掛けて剣を振った。


ガキンッ!


「おいおい、危ないな。」
「そう言う貴様はちゃんと防いでいるじゃないか。・・・見慣れぬ剣だな。」
「俺専用の武器だ。」
「構えろ。いくぞ!「止め!!」華琳様!?」


打ち合いが始まる瞬間、我らの主である華琳様からの制止だった。
~夏侯惇side out~


~真紅狼side~
突然の制止を求める声が聞き覚えのあるというか、華琳の声だった。
ヤバイ、実にヤバイ。
だが、まだ気付かれていない。
今なら、逃げられる。
と思ったときすでに遅かった。


「どこに行くのかしら?真紅狼?」


凄いオーラがひしひしとこっちに伝わってくる。
・・・スゴイ痛い。
逃げようと後ろに逃れようとしたら、目の前に雅が往く手を防いだ。
逃げられねぇー!!


「どこにいくのかな?真ちゃん?」
「真ちゃん、言うな。雅」
「真紅狼、前を向きなさい。」
「・・・・ハイ」


バシンッ!


家族からのビンタはとてつもなく痛い。
想いとかが籠っているからだな。目には若干涙があった。


「心配したんですよ。義兄さん」
「すまなかった。」
「おかえりなさい。」
「ああ、ただいま。」
~真紅狼side out~ 

 

真紅狼、曹家の名を貰う。

 
前書き
ここから、黄巾党編です。 

 
~真紅狼side~
季衣が曹操軍に入り、俺たちは陳留に帰っていたんだが、帰るまでが大変だったんだよ。


「華琳、もうちょい離れてくれない?」
「嫌です」


とさっきからこの調子だ。
ちなみに黒鷹の上だ。
前に華琳、その後ろに俺という図になっている。
そして、さっきから殺気を俺に向けてんのが春蘭と呼ばれていた女性だ。なんつーか、迫力のある眼力なんだよ。


「華琳様、少しいいですか?」


と後ろから物静かな女性が聞いてきた。


「何、秋蘭?」
「そちらの男は“真紅の殺人鬼”と呼ばれている男ですが、知り合いなんですか?」
「秋蘭、その異名を二度と言わないことよ。私にも限度という物があるわ。」
「は、はい!申し訳ありません。」
「とはいえ、この人を知りたがっているのは事実ね。この人は私の義兄よ。」
「「「・・・・・・・・・・・・・・・・」」」


状況が読み込めないのかしばらく沈黙が続いた。
この後が簡単に予想できるって素晴らしいね。


「華琳、耳をふさいでろ。」
「何故ですか?」
「衝撃波が飛んでくるから。」
「???」


頭を傾けながらも、耳をふさいだ華琳。
その後、予想通り衝撃波(ソニックブーム)が飛んで来た。


「「「えええええええええ~~~~~!?」」」


キーンッ!!


「ぐぉぉ!!」


本当にこれ兵器並みの威力だな。
華琳は無事なようで。


「え、えっと、それは本当ですか?」
「私が嘘を言ったことがある?」
「ないですが、それでも・・・」
「信じられない?」
「「はい」」


と姉妹は同時に返事をする。


「まあ、そうなるわな」
「だけど、事実よ。受け入れなさい。」
「雅も知っていたのか?」
「私と華琳様と真ちゃんは幼馴染なんだ! だから知ってるよ、春蘭。」


と平然という雅。


「義兄さん、一応紹介してください。」
「はいよ。俺の名は蒼騎 真紅狼だ。さっきも言った通り、華琳の義兄だがまだ曹家の名は貰っていない。」
「貰ってない?とはどういうことですか?」


秋蘭が不思議そうに聞いてくる。


「なんというか貰う前に、出奔したからだな。」
「そうですね。」
「そうだよねぇ~」


と三人はしみじみと頷く。


「で、そちら方の名は?」
「申し遅れました、私は姓が夏侯、名は淵、字が妙才、真名は秋蘭と申します。」
「そして、私は姓が夏侯、名は惇、字は元譲、真名が春蘭だ。」
「俺の事は真紅狼で構わないぞ。春蘭と秋蘭は俺がなぜ“真紅の殺人鬼”って呼ばれているか、知ってるだろ?」
「ええ、確か近くの豪族を皆殺しした、と。」
「そ、ちょっと殺さなきゃならない理由が出来てね。それで追われるようになって、貰う前に出たというわけさ。」
「義兄さんには謝らなくてはならないですね。」
「なんでだよ?」
「義兄さんは曹家を代表して殺しに行ったんですよ? それに父上が言ってました。」


『真紅狼がいかなかったら、俺が殺しに行っていた。それをアイツに全てを投げつけてしまった。すまない』


「と言ってました。」
「別に気にしてないのに。」
「それでもです。すみませんでした」


と華琳が謝っていた。
この光景に春蘭たちは驚いていた。
この状況を打開させるために、頭を撫でてやった。


「ひゃっ!?」
「俺がいいって言ったんだから、それぐらいの意思は聞いてくれよ。」


そういいながら、俺たちは陳留に着いた。
~真紅狼side out~


~桂花side~
私の主、華琳様が帰って来た。
集めた情報を報告しようと向かったら、あの華琳様が男に抱きついていたのを見て、気を失いそうになった。


「誰よ、あの男。あんなに華琳様と親しそうに!!」


そしたら、向こう側から、秋蘭が歩いてきた。


「秋蘭!」
「桂花か、なんだ?」
「あの男、何者よ?」
「華琳様の兄上らしいぞ。」
「・・・は?」
「信じられないかもしれないが、事実だ。」
「華琳様が言ったの?」
「ああ、しかも華琳様の父上も知っているらしい。」
「他には誰が知っていたの?」
「雅と曹家の侍女たちや兵たち、特に中堅兵と古参兵は知っていたらしい。」
「それで、先程から侍女たちが騒いでいたのね。」
「では、私は訓練場に向かわなければならないからな。」
「なんで訓練場に行くの?」
「姉者が手合せしたいと言ってな。それならば、将全員集まるようにと華琳様がな。」


・・・これはチャンスかもしれないわね。その男には悪いけど、兄としての威厳を失ってもらうわ。


「見学しに私も行くわ。」
「めずらしいな、お前が興味を出すなんて。」
「私は曹操軍の軍師よ?仲間の実力をみなければ、策を練ることも出来ないでしょ?」
「ふむ、確かに一理あるな。では行こうか。」
「ええ。」
~桂花side out~


~真紅狼side~
黒鷹を馬舎に入れてきた後、一時的にあてがわれた部屋を使っていた。
一週間以内には用意すると言っていたが、豪華な造りになってそうだな。
俺は取り敢えず、着替えることにした。
スコールの姿から、リンテンスの姿にズボンを穿いた後、上を着替えようとしたとき誰かが入って来た。
見てみると、華琳だったが背中の傷を見てからどこか気まずそうな表情をしていた。


「あっ・・・」
「ん?・・・華琳か。どうした?」
「いえ、訓練場まで一緒に行こうと思ったんですが・・・。」
「背中の傷を見て動けなくなった。と?」
「・・・(コクン」


背中には三本の爪痕がくっきりと残っている。
ったく、気にするなって何度も言ってんのになんで気にするかね?
華琳のせいじゃないのに。


「何度も言うが、華琳。気にするな。」
「でも・・・」
「アレだ、この傷は男の勲章だと思ってくれよ。」
「・・・分かりました。それで兄さんの曹の名なんですが・・」
「うん?貰うの?」
「兄さんは曹家の長男ですよ?自覚を持ってください。」
「善処します。」
「曹真ということになります。」
「曹真ね。分かった。これからは曹真と名乗るか。あ、でも“蒼騎”の名は捨てないからな?」
「いいですよ。では行きましょうか?」
「おう。」
「あ、今日の夕餉のときに旅の内容教えてください。」
「はいはい。」


八年の内容を思い出しながら、訓練場に向かった。
~真紅狼side out~ 
 

 
後書き
はい。曹家の名を貰いました。今まで華琳は真紅狼を「義兄さん」と呼んでいましたが、曹家の名を貰った為これからは「兄さん」と呼びます。
そして、華琳は二人っきりの時は甘えます。
 

 

手合せ

~真紅狼side~
「で、そちらの方は?」
「私は姓が荀、名は彧、字が文若と申します。軍師をやってます。」
「なるほど、俺の実力を測りに来たな?あ、曹真だ、真名は真紅狼だ。」
「ええ、仲間の実力が分からなければ、策も練れませんから。」
「丁寧な言葉は使わなくてもいいぞ?普通に喋っても構わないし。」
「・・・・そういうことよ。分かった?」
「はいよ。でだ、最初は誰だ?」
「私だ。」


と前に出てきたのは春蘭だった。


「んじゃ、やりますか。」
「・・・武器はどこにある?」
「ここにあるじゃん。」


と言ってアクセサリーを見せてやった。


「兄さん、これは?」
「アクセサリーだな。」
「なんだそれは?」
「これは、超刀のアクセサリーだな。」


腰の辺りに五つある内の一つを選んだ。


「私をバカにしてるのか?」
「一応、刃が無い武器を選んだつもりなんだけど?」
「後悔するなよ?」
「そっちがな。」
~真紅狼side out~


~春蘭side~
訓練場に集まるようにしてもらった私は真紅狼が持っていた武器に興味があった。
だが、実際に戦う武器は装飾された貴金属だった。
私をバカにしてるとしか思えない。
華琳様には悪いが、叩きのめさせて貰う。
愛用の武器、『七星餓狼』を構えた。


「双方、準備はよろしいわね?」
「おう。」
「はい。」
「では、始め!!」
~春蘭side out~


~桂花side~
二人が武器の話し合いでこの男の武器はなんと、装飾された貴金属。
この男、頭おかしいんじゃないかしら?
でも、これで華琳様はこの男を幻滅するはず!
私が手を出す必要がなくなって有難いわ。
そんなことを考えていた私だったが、この男が武器を出した瞬間、一瞬で全てが瓦解した。
~桂花side out~


~真紅狼side~
「始め!!」


開始と同時に春蘭は大振りで武器を振りまわしていた。
右へ左へと、それを軽やかに避けていく。


「くそ、ちょこまかと!!」
「大振り過ぎだから、当たるわけないだろ。」
「それなら・・・これはどうだ!!」


上から袈裟切りを避けた。が、それは計算済みだったのか地面にぶつかる前で止まり、そのまま手首を捻り、素早く振り上げてきた。


「・・! こいつは驚いた!」
「そう言っておきながらちゃんと避けてる癖に」
「だが、今のは見事だ。」
「武器も出してない奴に言われても、嬉しくはない。」
「なら、武器を出してやるよ。」


といい、俺はある武器をイメージし、叫んだ。


「『絢麗豪壮』!!」


肩に担いだ状態で出てきたのは『天運転如』だった。


「さて、お望み通り武器を出してやったぜ?」
「何だそれは?」
「コイツが俺の武器の一つ『超刀・朱槍』だ。」


皆、この武器を見て驚いている。
それはそうだ。
なんせ、コイツの特徴は人の丈よりも遥かに大きいことだった。


「あ、華琳達もうちょい下がって。」
「はい?」
「そこ当たるかもしれないから。」
「・・・この辺でいい?」
「そこから、前に出るなよ?」


ガラゴロガラ・・・


「これだぁ!!」


とおみくじを引いた。
そこには「大吉」と書かれた太い棒が出てきた。


「お、大吉だ!!」
「何か関係あるのか?」
「大吉だと、このように太さが吉よりも若干太く、敵をふっ飛ばしやすいんだよ。吉は標準的な大きさだ。そして、凶は延べ棒みたいで敵もふっ飛ばしにくいんだ。まあ、これは運が絡む武器だな。」
「そうなのか・・・それはいいとして、そんなに間合いを開けて大丈夫か?」
「大丈夫だ、問題無い」
「そこからの間合いjy・・・!?」


ブンッ!


「間合いが何だって?」
「クッ!!」


春蘭は侮っていた。
真紅狼がこの武器を充分に扱えないことを。
だが、それは間違いだった。
一歩も移動せずに真紅狼の得物は春蘭を捉えていた。
春蘭は一度距離を離そうとするが、真紅狼の攻撃は止まらずそのまま追撃した。
横薙ぎに一閃した後、上から叩きつけ、そのまま右と左と掬い上げるように武器を振りまわし、最後に大きく振り降ろしていた。
一撃ごとに地形が変わるほどの地面が砕かれていく様子を見て、春蘭はだんだん焦りの表情が出てきた。


「(なんとか、懐に潜り込めれば!!)」


と思っていた矢先に真紅狼に隙が出来た。
この隙を利用して、春蘭は一気に距離を詰めたがその隙はワザと開けられたものだった。


「隙を見つけたのはいいが、残念だ。」


『押しの一手』


真紅狼は『天運転如』押すように持ち代え、逆に春蘭に突撃し勢いよく上にかち上げた。


「ぐっ!!」
「はぁ!せいっ!お終い!!」
空中に打ち上げた後、武器を右に左に振った後、地面に叩き落とした。


「ぐぁぁぁ!!」
「こんなもんかな。」


と地面に降りた俺は武器を地面に刺し、それに背を預けるようによりかかった。
~真紅狼side out~


~華琳side~
試合が始まり、最初は春蘭が押していた。
だけども、兄さんが武器を取り出した瞬間、一気に流れが変わった。
最初に私たちを驚かせたのが武器の大きさだった。
兄さんの背よりも大きい武器を軽々と振りまわしていた。
次に驚いたのが、間合いだった。
武器には各種にあった間合いが存在するが、あの武器には間合いの範囲があり得なかった。
普通の槍の長さの二倍近い間合いが兄さんの武器の間合いだった。
最後に、その威力だった。
一撃一撃が地面を砕くほどの威力。
私たちは、戦闘が終わった後には何も言えなかった。


「こんなもんかな。」


と言って兄さんは武器に寄りかかっていた。


「春蘭・・・大丈夫?」
「あ、はい。しばらくすれば立てます。」
「どうだ、俺の実力は?」
「何というか予想外です。」


桂花に至っては、「あり得ない光景を見た。」という表情をしながら、頭に手を当てていた。
桂花。わかるわ、その気持ち。


「まあ、まだ色々あるけどな。」
「・・・まだあるんですか?!」
「あと、これが四つほど」
「・・・もう何も言いません。」
~華琳side out~


~真紅狼side~
そんな風に呆れるなよ。華琳。


「ま、追々見せるさ。ところで春蘭。」
「なんだ?」
「お前の武器どこかしら調子が悪いだろ?」
「・・・気付いたのか?」
「なんというか、刃を護るような戦いをしてたし。それに秋蘭も。」
「私もですか?」
「さっき、チラッと見たんだが弓の弦、擦り切れているだろ?」
「よく分かりましたね。」
「俺が新しく新調しとこうか?形はそのままで鍛え直すと言う形で。」
「「いいんですか?」」
「構わねぇぞ?」


なにやら二人で話し合っていた。
そこに、華琳が入って来た。


「兄さん、私も鍛え直して欲しいんですが・・・」
「武器は何?」
「鎌です。」
「分かった。他に欲しいものは?」
「無いです」
「真ちゃん!私はねぇ、幅のある太刀と小太刀が欲しい!!」
「雅は一から作らなきゃダメだから、時間がかかるが構わないか?」
「いいよ」


そんな話が終わったのか二人は「「お願いします」」と言ってきた。


「他に何かいるか?」と聞いたら、春蘭は手甲を、秋蘭は胸当てを頼んできた。


「荀彧と季衣もなにか欲しい物はあるか?」
「私はいらないわ」
「ボクは手袋を」
「分かった、創っておこう。」
「動いたら、腹減ったな。メシ食いに行こうぜ、華琳。」
「そうですね、行きましょう。」
~真紅狼side out~ 
 

 
後書き
真紅狼が持つBASARA2の武将の一つ。
前田慶次の力が登場。

『天運転如』の呼び名は「てんうんころぶがごとく」です。
これから、BASARAの武将のスタイルを出すときは四文字熟語で表します。  

 

管理者と会う。

~真紅狼side~
手合せからすでに一週間が過ぎた。
今、俺は頼まれている武具を創るために、陳留から少し離れた山に居る。
何故なら、素材を出すのに召喚獣を見られてはならないからだ。
山に籠ってもう二週間が経ち、頼まれた武具などはすでに出来上がり、鍛え直さないといけない武器も直したのだが、ちょっと困ったことになった。
ぶっちゃけた話、強化しすぎた。


華琳の鎌『絶』は『ディアボロス』の角を溶かして使用しているが、凄い威圧感のある武器になってしまった。


春蘭、秋蘭の武器には、『フェンリル』の素材がたくさん使われている。
春蘭の『七星餓狼』にはフェンリルの牙を活かした武器となっている。
薄い鉄の扉などは両断出来るし、地面は抉れる。
手甲にはミドガルズオルムの鱗を使用し、武器を使わなくても矢などを弾くことが出来、頑丈で分厚い為、剣や薙刀を防ぐことも可能となった。


秋蘭は弓の弦を強化をした。
弦の部分は『ビスマルク』の髭を使用している。
ビスマルクの髭は強靭で擦り切れることもない。
胸当てにはフェンリルの体毛と『セイレーン』の薄地を使用している。
フェンリルの体毛は見た目の割に堅い為、矢などで撃たれても、体に刺さることは無い。ほんのちょっと痛い程度。そしてセイレーンの薄地は破れることが無い。


雅は幅のある太刀と小太刀
これは『ギルガメッシュ』を呼び、武器コレクターの力を借りた。
天叢雲(アマノムラクモ)を貰い、それと『リヴァイアサン』の鰭や鱗を分けてもらい創った。
天叢雲と『バハムート』の角を一緒に溶かし再び打ち直した。
斬れ味が落ちることのない武器となった。
小太刀は海竜神(リヴァイアサン)の水の加護が働き、敵を切っても返り血が付かないものとなった。


季衣の手袋は『ケーツハリー』の羽根を使い、手袋をしているだけで持っている物の重さを感じなくなった。軽くて丈夫。



・・・・・うん、やり過ぎた。
だが、出来てしまったモノは仕方がない為、持って帰ることにした。
その途中で、凄いモノを見た。
某ツナギを着た男を絶対撃退できるレベルだった。
いや、ホントに。
~真紅狼side out~


~???side~
この外史のご主人様を探す為に降り立ち、各地を回っていたら前の方から巨大な力の波動を感じ行ってみたところ、この外史では存在しないハズの男を見つけた。


「貴様、何者だ?」
「・・・曹真だ。」
「嘘をつけ、お主この外史(・・)に最初からいないだろう?」
「ここが外史って知ってると言うことはアンタら、神様に近いなにかか?」
「我々は“管理者”じゃ。」
「“管理者”?」
「文字通りのことじゃ。外史というのは消えやすいのでな。それを護りながら見護っていく者たちじゃ。・・・お主はなんじゃ?」


ふーん?大変なんだなぁ。管理者も。


「俺は“転生者”だ。」
「“転生者”?」
「そうだ。俺の世界の神様が間違って俺を殺したらしくてね、死んだあと神の領域に連れて来られて、「間違って殺してしまったから、転生させてやる」と言われて転生したはずだったんだけどな・・。」
「どうしたのじゃ?」
「いや、なんか時空の法則が乱れて、この世界に間違ってきてしまったんだよ。」
「それじゃ、お主は元は人間か?」
「人間だ。まあ、転生先が人外とか魔法とかいっぱいあるみたいだったから、「能力を授けるぞ」と言っててしかも「遠慮はいらない」と言ってたから結構言ったな。」
「なるほど、それでお主からこの外史にはない力の波動を感じたのじゃな。」
「・・・ねぇ、アンタ」
「どうしたのじゃ、貂蝉?」
「アンタもしかして・・・“死を語る魔眼”持ってんじゃない?」
「あー、持ってるよ。」


こやつが、自称占い師、管輅が言っていた予言のもう一人の御遣いか。


「というか、いい加減名前を教えておくか。本名は蒼騎 真紅狼だ。そっちの名は?」
「ワシが卑弥呼、そしてこやつが貂蝉じゃ。」
「よろしくねん、真紅狼。」
「おう。こんどはこっちから質問していいか?」
「お主の事情は分かったから、いいぞ。」
「お前らのような管理者がこの外史に降り立ったことは何かあるの?」
「私たちは“ご主人様”を探してるのよん♪」
「“ご主人様”?」
「そうです。この外史の要という方でしょうか、この方が現れない限り、何時まで経っても前に進まず、停滞するだけなのです。」
「なるほどなー」
「“ご主人様”はすでにこの外史に来ていますが、まだゆっくりとしかうごいておらんのじゃ。・・・多分、お主が会うとしたら、黄巾党討伐時に会うかもしれんな。」


黄巾党か・・・。そろそろだな。


「名前って分かる?」
「北郷一刀って名よ。」
「ところで、お主はご主人様に味方するのか?」
「さあ、するのかねぇ。俺は魏の人間だからな、分からねぇな。」
「もし、対峙するようであるならどうする?」
「まあ、俺の『護るべきモノ』を壊さない限りは逆らう事が危険だということをチラつかせて追い返すさ。」
「そうか・・・。そうなって欲しいものじゃな」
「またなんか情報が出てきたら、よこしてくれ。」
「うむ。ではさらばじゃ。」
「おう。」
そうして、ワシたちは再びご主人様を探し始めた。
その後、ご主人様が劉備のところに居るのを発見した。
~卑弥呼side out~


~真紅狼side~
北郷一刀ねぇ。
さてはて、どんな奴なんだろうか、楽しみだな。
黄巾党は最近過激になっているし、その内出会えるだろ、戦場で。
さて、待っている妹たちの元に帰りますか。
~真紅狼side out~ 

 

楽進、于禁、李典に会う。

~真紅狼side~
出来あがった武具を特殊な袋に入れ、陳留に向けて帰ってた時、近くの集落で黄巾党の連中が襲っていた。
助けようと思って向かったら、三人の女性が追い払っていた。
だが、黄巾党の一人が何か叫びながら逃げていった。


「おい、大丈夫か?」
「貴方は?」
「・・・真紅狼だ。」
「真紅狼さんですか。」
「今の連中は黄巾党だよな?」
「ええ、連日襲撃してきてます。」
「じゃあ、お前らは毎日ここで追い払ってんのか?」
「最初は、陳留に行くために少し休むために寄ったのですが、黄巾党の連中が攻めてきて、それからずっとここに留まってます。」
「陳留に目的があるのか?」
「曹操に仕えようと思いまして・・・」
「・・・へぇ。そう言えばさっき一人の男が叫んでいたが何言ってたの?」
「なんでも「明日、この近くに居る仲間を呼んで攻めてやる!!」と言ってました。」
「ふむ・・・俺が一人で相手をしよう。」
「無茶です!!」
「曹操に仕える前に死ぬかもしれないんだ。嫌だろ?」
「確かにそうですが・・・でも一人は無理だよ。」
「そんなに無理だと思うなら、明日集落の入り口付近で見ていればいい。この世とは思えない光景を見せてやるよ。」


三人の女性は半信半疑になっていたが、納得してくれた。
さて、使う武器は・・・ガンブレードと“カーネフェル”で対応できるだろ。
~真紅狼side out~


~楽進side~
毎日のように黄巾党の連中が攻めてきて、表情には出てないが私たちはかなり疲れていた。
そこに旅の者が来た。
真紅狼さんは旅の者だと言っていた。
私たちの事情を話すと「一人で相手をする」と言いだした。
私は正気の沙汰ではないと思い、必死に止めたが「大丈夫だ」と押し切られてしまった。


「あ、そうでした。私たちの名を言っておきます。私は楽進です。」
「私が、于禁だよ♪」
「最後にあたしが李典や!よろしくな、真紅狼。」
「おう。んじゃ、寝てろ。見張りは俺がやっとくから。」
「ですが・・・」
「寝 て ろ!!」
「「「・・・ハイ」」」


一瞬、般若の顔が出ていたが、気のせいと信じたい。
そんなことを思いながら、私たちは落ち着いて寝た。
~楽進side out~


次の日・・・


~真紅狼side~
昼よりの時刻に連中は来た。
俺は少し集落から離れて、一人のんびりとガンブレードを肩に担ぎながら待っていたとき、向こうから「ズドドド・・!!」という地響きが聞こえてきた。


「お前、誰だ?」
「あの集落に雇われた用心棒さ。」
「あの集落にはガキが三人居たはずだが?」
「彼女たちなら、集落を護ってるよ。俺の役目はアンタ等をここで潰すことだ。」
「お前、正気か?たった一人で、俺達を潰すってか?」
「ああ。」


そう答えた瞬間、黄巾党の連中は全員笑っていた。


「馬鹿じゃねぇか、お前。行くぞテメェラ!!」
「「「ウオオオオオォォォ!!」」」
「本当にバカだよな。・・・お前らがな。」
向かってくる黄巾党の連中は真紅狼の行動が分からなかった。
なんせ、武器を上に向けていたのである。
「どうせ虚勢だ。」と思いそのまま進軍を続けていたが、次の出来事により全てが止まった。


『ブラスティングゾーン』!!


俺はガンブレードを高く上げ、『ブラスティングゾーン』と言った。
次の瞬間、魔力で生成した光りの刃が黄巾党を真っ二つに両断した。


「2,30人しか殺せなかったか、縦に並んだところを狙った方が効率がいいな。」


とのんきなことを呟いていた。
黄巾党の連中は今の出来事が理解できてなかったらしく行動が出来ていなかった。
次はコレだな。


『リボルバードライヴ』!!


ガンブレードを前に突き出し、闘気の力で突っ込んだ。
一人、また一人と体が削れていき、黄巾党の中心に着いた。


「一点突破に使えるな、この技は。」
ようやく、連中は俺が危険だと分かり、一斉に襲いかかって来た。
だが、わざと中心に来たことまでは連中も知らなかった。


『フェイテッドサークル』!!


俺を軸にしてガンブレードを回し、そのとき撒かれた火薬を発火させた。


ゴゴンッ!!
グシャ!!
ビチャ!!


先程撒いた火薬の辺りから、円の形をしたクレーターができ、地面には無数の死体と血の跡が出来ていた。
なんせ、まともに食らえば、膝から上が弾け飛んでるんだからなぁ。
酷くても、上半身が無い状態だ。
この光景を見た、残りの黄巾党は蜘蛛の子のように逃げて行きはじめた。
その中で一人だけ、立ち向かってくる者が居た。
開始前に喋っていたリーダーらしき男だった。


「うおおぉぉぉ!!」
「へぇ、逃げないのか。」
「テメェを倒せば、どうにでもなる!!」
「なら、相手をしてやろう。・・・それでは“カーネフェル”をお見せしよう」
絵札(トランプ)で戦うなんて聞いたことがねぇぞ!!」
「・・・余所見してていいのかな?」


そう言ったときには男の前まで潜り込み、右下、左下へとカードを振り降ろし、切り刻んだ。


「がぁ!!」
「逃げていれば、まだ生きられたものを・・・」

              
               SUPERCANCEL!!!


その隙をついて、乱舞し男の体全体を切り刻んだ。


「ぐあああ!!」
「見せてやるよ、カーネフェルの真髄を!!」


そう言った俺は高速で突進し、みぞおちを叩き込みその場に動けなくなった男に対し、52枚のカードが絶え続けなくなく襲った。


「それでは、ごきげんよう・・・」


と片手を上に上げながら、帰っていった。
~真紅狼side out~


~李典side~
なんやアレ?
いきなり、剣っぽいモノから光が出てきたと思ったら、今度は剣っぽいのを突き出しながら突進してさらに連中を削った。
極め付けが最後の技や。
大きな爆音と衝撃が辺り一帯に影響を出し、あの兄ちゃんが回転した円の部分以外は地面が抉れ、黄巾党の連中の死体が築き上げられていた。


「ありえへんやろ」


そう、目の前の光景はあり得なかった。
そして、宣言通り、この世とは思えない光景だった。
辺りは血の海でちらほらと見えるのは連中の吹き飛んだ体の一部が無残な姿で転がっていた。
その中心に立つのは、黒と白の服を着た男。
まるで獅子のように紅い地面を歩く。


「紅き獅子やな・・・」
「・・・なに?真桜ちゃん?」
「いや、あの兄ちゃん。まるで獅子のように血の海を歩いているから紅い獅子のように見えてな。」


沙和は兄ちゃんの方を見ながら、頷いてくれた。


「・・・確かにそう見えるね。あっちの方から誰か来るよ!」
「また黄巾党の連中か?」


と凪も来た。


「済まない、ここに黄巾党が出現したという報せを聞いて駆けつけた。私は、曹操様の部下、夏侯淵という。・・・黄巾党はどこに?」
「黄巾党なら先程、全滅しましたが?」
「全滅・・?貴方達がやったのか?」
「違うの。真紅狼さんという方が一人でやったの。」
「・・・真紅狼殿がここに居るのか?」


殿?なんや、あの兄ちゃん。この姉ちゃんと知り合いか、なんかか?


「ちょうど、あそこに居ますが?」
「確かに・・・真紅狼殿だ。」


振り向いたときには、血の海を渡り終えた『紅き獅子』はこっちに気が付いた瞬間、気まずそうな表情をしていた。
なんか、あったんかな?


「よう、戻ったぜ。・・!?」
「・・・探しましたよ、真紅狼殿?」
「・・・なんで、ここにいるんだよ。秋蘭」
~李典side out~ 

 

逃げるなら・・いや、もう「遅いわよ?」・・・ヤッベΣ(゜д゜;)

~真紅狼side~
戦闘が終わり、集落に帰って来たとたん、知り合いがいた。


「・・・なんで、ここにいるんだよ。秋蘭」
「黄巾党の報せを聞いて、来ました。」
「もう倒したぞ?」
「真紅狼殿が居るならそうなりますね。」
「ところで、話しは変わるんだが、ここに来たのは秋蘭お前一人か?」
「・・・・・・・・はい。」


今間があったな。


「本当の事を言えや、今間あったろ!」
「・・・ここに来てます。」
「誰が?」
「華琳様と雅が来てます。」
「・・・マジ?」
「あの・・・“マジ”というのは?」
「あ?ああ、“マジ”というのは簡単に言えば、“本当”って意味だ。」
「ええ。もうすぐ来ますよ。」


ヤバイなぁ、実にヤバイなぁ。一月も空けているから、説教が飛んできそうだ。


「悪い秋蘭。俺は逃げる。武具は陳留に着いてからで・・・「あ」」
「どこに行く気よ?真紅狼?」
「逃げるなら・・・いやもう「遅いわよ?」・・・デスヨネー。」


後ろから声がした。
うん、後ろを振り向いたら、俺の命が終わりかねないのだよ。
~真紅狼side out~


~華琳side~
秋蘭の後を追ったら、兄さんが居たので逃げられない為に後ろからそっと近づいた。


「真紅狼、こっちを向きなさい。」
「・・・ハイ」
「私の言いたいことが分かるわね?」
「実に分かるんで、帰ってからh・・・「ダメ」デス(ry」
「武具を作るのに2,3週間もらうといったのはわかるわ。でもそれがどうして一月も時間がかかるのかしら?」
「いや、完成はしたんだけどね?試し切りで時間食った後、この集落が黄巾党に襲われているのを見て、討伐してたらこうなったとしか言えないんですけど。」
「で、私たちの武具は出来ているんでしょうね?」
「それはバッチリ。・・・・(やり過ぎたけど)」


袋から取り出している兄さん。
なにやら、一つ一つの武器から何かの力を感じるようね。


「ほい、華琳。」
「・・あまり変わったところありませんね。」
「形状は変えずに、強度と切れ味を追求した。・・・あと、それ、殺気とかに耐性が無い奴に向けると気を失うから。」
「へぇ、じゃあ、それなりに力がありそうな奴とそうじゃない奴の見極められるわね。」
「実力を隠している奴とかには有効だな。」
「いいわね。貰っておくわ。」
~華琳side out~


~秋蘭side~
華琳様と真紅狼殿のやり取りはいつ見ても面白い。
頼んでいた武具の引き渡しか。
私の武具も取りに行かなければ。


「秋蘭!」
「真紅狼殿、ちょうど取りに行こうと思ったんですよ。」
「ちょっと待ってろ。確か弓と胸当てだよな?」
「はい。」
「えーっと、・・・あった。」
「はい、これ。あと胸当てな。」
と言って、変わっていない弓と見たことの無い胸当てを渡された。


「弓は変わっておりませんな。」
「弦だけ変えた。・・・そうだな、軽く射ってみな。あの木辺りに。」


と指差した場所は普通の弓では絶対届かない距離だった。


「無理ですよ。」
「百聞は一見に如かず。やってから言えよ。」


と無理矢理射ることになった。
私は、矢を弦にかけ目一杯引こうとしたとき真紅狼殿から言われた。


「あ、そんなに引かなくてもいいぞ。普通でいい、それで届く。」


そんな眉唾なことを言われたので信じられなかったが、やってみたところ、凄まじい速さであの木に刺さった。
私は何も言えなくなっていた。
胸当ては白銀の体毛に薄い布で覆われていた。


「真紅狼殿、これは?」
「その体毛結構、強度があってさ、矢で撃たれてもほんのちょっと痛い程度なんだよね。」
「有難うございます、真紅狼殿。」
「秋蘭、そのなんだ“殿”は付けるな。」
「ですが・・・」
「なんつーか、落ち着かないからさ、呼び捨てで構わねぇよ。」
「じゃあ、真紅狼。」
「おう!それでいい。」
~秋蘭side out~


~雅side~
秋蘭の武器引き渡しが終わった後、こっちに真ちゃんがこっちに来た。


「真ちゃん、私の武器はどんな感じ?」
「ほい、これが基本的にメインになる刀だな。」
「これ、すごく澄みきってるし、持つだけで力が湧いてくるね。」
「そうか・・・(そりゃ、バハムートの角が使用されているからな。)で、こっちが小太刀だ。」
「抜いてもいい?」
「いいぞ。」


私は鞘に入っていた小太刀を抜くと、綺麗な小太刀だった。



「綺麗・・・」
「その小太刀敵を切っても、返り血が付いても落ちるようになってるから。」
「じゃあ、基本的に砥がなくても、いいってこと?」
「まあ、月に一回は砥いでくれ。あと、使ったら必ず鞘に戻すことだな。それさえ守ってくれ。」
「わかったよ。真ちゃん。」
「真ちゃん、言うな。」
「ヤダ。」
「このやろう。」
「真ちゃん。この武器はなんて言うの?」


名前を付けなきゃ、せっかくもらったんだし。


「まだ名前はないな。」
「じゃあ、私が付けてもいい?」
「別にいいがあまり酷い名h・・・「桜狼刀だね!」聞けよ」
「もしかして、一文字ずつ取るつもりかよ?」
「うん。そうだよ。よくわかったね!!」
「是非、止めてくれ。」
「ヤーダー。」
「・・もういいッス。」


と何かを諦めた真ちゃん。・・・悪いね☆
~雅side out~


~真紅狼side~
取り敢えず、ここに居るもの達だけだが渡した。
どうやら、気にいってくれたようだ。
創ったかいがあるもんだ。
っと、いけない。あの三人を推薦しておくか。


「曹操来てくれ。」
「何? 真紅狼。」
「あの集落にいる義勇軍の三人を推薦したいんだが・・・」
「あの三人を?」
「なかなかいけるぞ。連日襲ってくる黄巾党を三人で捌いてたらしい。」
「たった三人で・・・。わかったわ、宮仕えさせるわ。」
「その内、一人は“気”が使えるらしい。」
「“気”?」
「おう。“気”。」
「面白いわね。」
「だろう?」
「正式に採用させるわ。取り敢えず真紅狼の部下として働いてもらうわ」
「俺も部下持ちか。ところで、俺はどの位置の役職に就くんだ?」
「将軍よ。」
「・・・・え?」
「もう一度言うは・・・将軍よ」
「マジかよ。いや、むしろ将軍の方がいいのか?」


と呟く俺。
華琳が不思議そうにこちらを見てくる。


「なによ?」
「曹操、俺部隊を創ろう思うんだが、いいか?」
「部隊?」
「俺が総隊長で五つの部隊を創ろう思っている。武器の種類に分けて作るつもりだ。」
「詳しい内容は、陳留で。」
「そうしよう。いい加減帰らないと春蘭達が暴れそうだ。」
「そうね。いや、もう暴れているかもよ?」
「やだなぁ。」


と苦笑いする。


「では全員帰るわよ!!そこの三人はついてきなさい。」


と華琳は先頭に立って、馬を動かした。


「楽進、于禁に李典。華琳が正式に採用するってよ。」
「「「採用?!」」」
「おう。よかったな。」
「それは有難いんですが、曹操殿と知り合いで?」
「あー、なんというか俺、華琳の兄だから。」
「・・・今なんと?」
「曹操の兄をやっているって言った。」
「「「ええええええぇぇぇ~~~?!?!?!?」」」
「そんなに驚くことか?」
「驚きますよ!え、じゃあ!!前に名乗った名は・・・」
「うん、真名だけど?」
「「「これは失礼しました(なの)!!」」」
「別にいいよ。曹家の名を出したら、畏まって話しが出来ないだろ?」
「じゃあ、私たちの真名も受け取ってください。」


やっぱりそうなるわけね。


「真名は凪です。」
「私の真名は真桜や!よろしくな、兄ちゃん」
「私の真名は沙和っていうの。よろしくなの。」
「おう。頼むぜ。」
「だけど、信じられへんなぁ。兄ちゃんが曹操様の兄なんて。」


まあ、血は繋がっていないし、第一、俺転生者ですよ?


「この人は私の大事な兄よ?」


いつの間にか華琳が後ろまで下がってきていた。


「居たのかよ、華琳。」
「ええ、後ろが騒がしかったので来てみたら、この状況でした。」
「わかったかしら、三人とも?」
「「「はい、分かりました。」」」
「兄さんは、後で私の私室に来てください。」
「はいよ。」


こうして俺は、陳留に帰った。
春蘭、季衣に武器を渡した後、ひと月の不在の間に程昱と郭嘉、典韋が華琳に仕えたらしい。その場で真名を交換した。
全員に配り終えた後、解散となり、それぞれの持ち場に帰り始めた後俺は華琳の私室に行こうとしたら、荀彧に「私にも何か創ってくれ」と言われたので、了承した。
~真紅狼side out~ 

 

部隊設立?

~真紅狼side~
「う~~む。荀彧には何を創るべきか・・・悩むな~。」


と移動しながら創るものに悩む、俺。


「ネコミミっぽい被り物があるから、『ケット・シー』は確定だろ。あとは何にするかな。」


そんなことを悩みながら、華琳の私室の前まで来た。


「華琳、居るか?」
「はい、居ますよ。」
「失礼するぜ。・・・と仕事中だったか。」
「いえ、もう終わりましたので。」
「そうか。先程話した件覚えてるか?」
「はい。部隊の設立ですよね?」
「そうだ。先程言ったけど、部隊の数は五つ。今のところはだけど、総隊長は俺が務め、その下に五人の部隊長が在り、さらにその下に部下が付くってことにしようと思ってる。」
「何故、いきなりそんなことを?」
「春蘭との手合せを覚えているか?」
「ええ、衝撃的な手合せだったので・・・」
「そんなにか?」
「それほどです。」


こんなので驚いていたら、身が持たないぞ?


「まあ、いいか。それは置いておき、あの手合せが終わった後「あと四つほどある」って言ったよな?」
「はい。・・・・まさか?」


お、気が付いたみたいだな。頭の回転が速いなぁ。


「想像通りだ。」
「つまり、あと残りの四つと前のを合せて五つの部隊を創るってことですか?」
「そうだ。言っておくが、一つ一つの部隊の戦闘法は変わるぞ?」
「・・・他の四つはどんなのですか?」
「見たいの?」
「はい。是非。」
「・・・まだ、他人には見せたくないから、ここでいいか?」
「どうぞ。」
「んじゃ、まずは『奥州筆頭』!!」


と俺は言い、BASARA2の伊達政宗をイメージし、その姿になった。


「こんなモンだ。」
「この武器は何です?」
「これは“刀”という武器だ。」
「“カタナ”ってなんです?」
「簡単に言えば、俺の住んでた国の主流武器かな。侍が使っていた武器だ。命の次に大事なモノで『刀にはその“侍の魂”が宿る』っていう言い伝えがある。」
「そうなんですか・・・しかし、簡単に折れそうですね。」
「使い方によるな。」
「使い方一つで変わるものなんですか?」


武器なんてどれも一緒なんて顔をしているな。聞いてみるか。


「変わるぞ?・・・華琳は“剣”と“刀”の違いが分かるか?」
「いえ。」
「簡単な講座だ。最初は剣から、剣が対象の物を切るときには“押して切る”んだ。もっと簡単に言うと、力任せに切るって言った方がいいな。だが、刀は違う。そんなことをすれば、刃はダメになるし最悪折れる。刀が対象の物を斬る際は“裂いて斬る”んだ。力の入れ方や斬り方などの技術が必要になってくるが、習得すれば首を斬ることなんて簡単にできるぞ。骨ごとバッサリいく。」
「そこまで出来るんですか?」
「出来る出来る。習得すればだけど。」
「・・・部隊長は誰に?」
「雅にやってもらいたいんだが了承は後からだな。断られたら俺が兼任する。」
「・・・(大丈夫だと思いますが」


なんか呟いていたがまあ気にしない。


「この部隊は、主に接近戦(インファイト)で戦う。だから、敵の攻撃を捌く技術も必要だな。」
「次は?」


お次は、アレか。


「『闘魂絶唱』!!」


BASARA2の真田幸村の姿に変わった。


「・・・二槍ですか?」
「片手に一本ずつ持ち、中~遠距離からの戦闘法だ。これは片手で槍が扱えることが重要だな。」
「大変そうですね。」
「だが、慣れてもらわないとな。ちなみに今言った二つの部隊は馬も乗りこなして貰うことになる。」
「馬もですか?」
「騎馬隊としても強いからな。」
「では、次を。」
「ちゃっちゃと進まないと時間だけが過ぎていくからな。」
「そうね。」


「次は前見せたヤツだ。『絢麗豪壮』!!」
「これは・・・武器に振りまわされないってことが重要ですか?」
「そうだ。あとはこれを持てるようにすることだ。一応、部下たちには軽いモノを渡すが慣れていったら、元の重さに戻していくつもりだ。一対多のときに役に立つな。一人で、五、六人は相手にできるようになるだろ。」


「次は『天衣無縫』!!」
(イメージはBASARA2のコス2のイメージで。)


「これも槍ですが、先が変わってますね。」
「これは“碇槍”だから。」
「“碇槍”?」
「槍に鎖が巻きついているだろ?これと先っちょは繋がれていて、切り離しが可能なんだ。だから、届かない相手にも振りまわせば届くし、地面や岩なんかに刺したまま敵にぶつけることも出来る。」
「敵の意表を突くには最適な武器ですね。」
「おう。便利だ。あとは工作を行って戦況をこちらに引き寄せるといった裏工作をも担当する。」
「・・・治水事業とかいいかも」
「そういう工業をも副業とするつもりだ。」
「では最後ですね?」
「ああ。」


「最後だ『征天魔王』!!」
(これもコス2をイメージしてくれ。by作者)


「これは何ですか?」


と言って、銃に興味があるようだ。


「これは“銃”というんだが、造れないからちょっと無理だな。代わりに連射弓を作ろうと思っている。」
「連射弓?」
「普通の弓は一本ずつ撃っていくのに対して、連射弓はあらかじめ何本かストックを持ち、それが無くなるまで撃っていくという物だ。」
「・・・便利ね。」
「ただ、欠点があってストック無くなれば撃てないということだ。だから、ここは代わりに“気”を扱って戦う部隊にしたい。」
「“気”ということは先程入った、凪に任せるつもりですか?」
「まあ、本人が了承すればな。ここの部隊も接近戦だが、ここは超近距離格闘戦(スーパーインファイト)だ。求めるのは“気”が扱える者と死の恐怖を克服するして、相手の懐に潜り込むことだ。」
「懐ですか?」
「格闘だからな。直接ぶつけなきゃならないし、敵の放ってくる死の恐怖に打ち勝てなきゃ潜り込むどころか動けないからな。」
「一番危険な部隊ですね。」
「だが、両方武器を失ったときに格闘戦に慣れておけば、勝てるぞ。さて、こんなもんかな? どうだ、華琳。設立したいんだが構わないか?」
「・・・一つ聞いていいですか?」
「なんだ?」
「どうして、兄さんは独立せず、私の元で働くんですか?」
「どうしてって、それはな、華琳に義母さんに“家族”ってものを再び与えてくれたからだな。・・・俺話しただろ? 家族が居ないって。」


黙って聞く華琳。


「二度と取り戻せないモノだと思っていたんだけどな、それを取り戻してくれたし、何より前よりもこの生活が楽しいからだな。」
「楽しい・・・ですか?」
「復讐してあとは虚しさだけが残ったんだが、華琳達と会ってから充実した毎日が送れているから、だから、華琳の元に居るんだよ。・・・義母さんに尽くそうと思ったんだが亡くなってしまったから、お前に死ぬまで尽くしてやろうと思ったのさ。」
「・・・・・・・・・・・・」
「まあ、そんなもんってうおっ!?」


華琳がいきなり抱きついてきた。
何故に!?
その時、華琳には聞こえなかったが、俺には聞こえた。扉が微かに「ミシミシ」って言う音が聞こえた。
・・・・外でアイツ等聞いてやがるな。
~真紅狼side out~


~華琳side~
兄さんは部隊設立の内容を楽しそうに語っていた。
将軍だから、部下を持つことは当たり前だが、まさか部隊を持ちたいというとは予想できなかった。
各部隊の特徴を聞いていくうちに、一つ疑問が浮かんだので聞いてみた。


「どうして、兄さんは独立せず、私の元で働くんですか?」


そう、兄さんの力があれば、曹家に居なくても天下を取れる実力だった。
そんな疑問に対し返ってきた答えは兄さんの“想い”というより“夢”のように聞こえた。
しかも、最後に「お前に死ぬまで尽くしてやろうと思ったのさ。」と反則のようなことを言ってきた。
だから、私は兄さんに抱きついた。


「うおっ?!」
「ずるい。・・・ずるいですよ、兄さん。」
「ずるいって何が?」
「分かってる癖に。そんなことを言われると私が反論できないのを。」
「・・・まぁな。」


と兄さんはおどけて笑っていた。
本当にずるい。
私は無意識のうちに兄さんに顔を近づけていき、キスしようとしていた。
兄さんも最初は躊躇いながらもいたが、近づいてきた。
あと、少しのところで突然扉が飛んだ。


「「「だめだああああああああああああああ~~~~~!!!」」」
~華琳side out~


~真紅狼side~


「ずるい。・・・ずるいですよ、兄さん。」


と華琳は言ったあと顔を近づけてきた。
え、ちょ、マジで!?
キスするの?!
そんなことしたら、外で聞いてる連中が乱入してくるのが目に見えてるんだけど。
だが、待たせてるのもマズイからフリをするか。
あと5cm、2cmとお互いの顔が縮まっていくと同時に、扉が「ミシッ!」、「ミシミシィ!!」と聞こえてくる。
1cmというところで、扉が飛んで来た。


「「「だめだああああああああああああああ~~~~~!!!」」」


反応はしたが、対応が遅れて、顔で受ける羽目になった。


ドガッ!


「いってぇ~~!!」
「なんで、ここに居るのかしら?雅、春蘭、秋蘭、桂花、季衣、稟、風、流流、凪、沙和、真桜?(怒)」


全員居んのかよ!!


「え、え~っとそれはですね・・・」


と口ごもる一同。


「おおかた、春蘭か荀彧が覗き見みしてたのが、次第に人が集まったってところか?」


この一言で全員が挙動不審になった。


「まあいい。ところで、雅、凪、沙和、真桜。お前ら部隊長にならないか?」
「「「「え?」」」」
「元々、声をかけるつもりだったんだが、どうだ?」
「やるよ。真ちゃん」
「是非、やらせてください。」
「そうか、後の二人はどうだ。」


と悩む二人。
二人で話し合っているようだが決意が決まったようだ。


「やるで!」
「私も。」
「よし、四つは決まったな。」
「あと一つはどうするの?」
「そこは適任者が出るまで俺が兼任する。各部隊の名も決めてある。」
「どんな名なの?」
「先程、四つのスタイルが見せただろ?それからイメージしたものだ。」


『蒼龍隊』、『紅虎隊』、『翠鳳隊』、『紫鮫隊』、『黒獅子隊』


「この五つだ。そして、戦闘法をこの四人に当てはめるとこうなる。」


『蒼龍隊』・・・雅

『紅虎隊』・・・沙和

『紫鮫隊』・・・真桜

『黒獅子隊』・・凪


「というわけだ。『翠鳳隊』は俺が受け持ちだ。いいか?」
「「「「はい。」」」」
「それから、各隊が分かるように陣織を創っておくから期待しててくれ」
「こんな状況を余所に言うけど、一番最初にこの部屋を覗き見したのは誰?」


本当に流れをぶった切るな。
全員が荀彧を指差した。


「そう、桂花貴方なのね。これはお仕置きが必要ね。」
「は、はい♡」


なんで、顔が赤くなってんだ?
それをよそに秋蘭と雅が寄ってきて耳打ちしてくれた。


「真ちゃん、あのね。」
「真紅狼、あのな赤くなっているのはある理由があるんだ。」
「理由?」
「うん、華琳様はたまに閨を私たちの内の誰かと過ごす時があってね。」
「桂花はそれに呼ばれたのだ。」
「・・・・それ本当?」
「「本当」」


・・・義母さん、華琳が変な方向に育ってしまった。
八年間も放っておいた俺が悪いのか? そうなのか?


「ダメージを負ってますね。」
「負ってるね。」


orzになっている俺だったがよろよろと立ち上がり、もう一つ提案した。


「華、華琳。俺の家造っていい?」
「家ですか?」
「そう、家。俺の住んでた時の家。」
「・・・興味あるからいいですよ。ただし、完成したら呼んでください。」
「分かった。明日から、造るか。あと、募集もしないと。」
「ということで皆、それぞれの仕事に戻りなさい。」


部屋から出ていくメンバー、俺も家を建てるため、土地の見極めしようと出ていこうとしたら、華琳に囁かれた。


「兄さん、さっきの続きはまたどこかで・・・。」


・・・・マジっすか?
~真紅狼side out~ 
 

 
後書き
キスすると思ったか!?
しねぇよ!!
でも、近いうちにするつもりだけど・・・


「ちょっとマテや、作者ぁ!!」


どこから入って来た!?


「気合でなんとかなった。」


気合、SUGEEEEE!?


「さっきの事、本当か?」


もう一人増やすつもりだけど・・・


「止めてくんない?!」


だが断る!!


「よろしい、ならば戦争だ!!」


ドガッ!バキ!ドガガガガッ!


華琳「なにやら二人が暴れているけど、これで終わりよ。また次回を待ってね」