Fate/LylicalLiner


 

キャラクター設定

 
前書き
Fate/LylicalLinerのキャラクターたちの設定です。
随時更新していきます。 

 
衛宮士郎

大まかにはUBW後、世界と契約こそしていない物の、風評によって英霊に押し上げられる寸前に魔法使いになった凛によって並行世界に送られた。
自らの願いを一度は捨てたものの、諦めきれていなかった切嗣に、その願いを諦めさせるきっかけになった。
まだギリギリ人間、と言うだけで、その霊格は既に抑止の守護者に片足突っ込んでいるレベル。
桁違いの戦闘経験と2流を極めた事による幅広い戦術により、サーヴァントとも戦えるほどの戦力。
魔術回路や固有結界こそそのままだが、一度少年の姿に戻っているので髪は赤銅色で瞳は琥珀色。

使用魔術・魔法・宝具
・固有結界 無限の剣製(アンリミテッド・ブレイドワークス)
 士郎唯一の魔術、無限に剣を内包した世界を現に呼び出す。
 《万華鏡の礼装》の一つ、《アーチャー》からの魔力供給により、世界の修正力によって崩壊するまではいつまででも展開していられる。
 当然、奥の手中の奥の手なのでよほどでもなければ使わない。

・《万華鏡の礼装・アーチャー》
 士郎用に調整が施されたカレイドステッキの亜種、攻撃能力を欠片も持っておらず、ルビーやサファイアが持っている攻撃性能は全て機動と防御に割り当てられている。
 固有結界の浸食を抑え込んでくれている士郎の生命線である。

・投影宝具
 干将莫邪などに代表される士郎の投影宝具、第5次聖杯戦争の頃から比べると桁違いの精度を誇る。
 また、この世界においては、自身の心象世界の魔術基盤だけではなく、世界の魔術基盤もほぼ独占しているため、劣化がほぼ無い。


衛宮真優

様々な選ばれなかった選択肢が選ばれたことにより、マスターがほぼ全員生き残る結末を迎えた第4次聖杯戦争の終結後、士郎が連れていた。
その正体は、この世全ての悪(アンリ・マユ)に飲まれていたいくつもの魂がアンリ・マユから吐き出され、星の聖剣で浄化され、一つの命になったモノ。
士郎の記憶に居た優れた魔術師、遠坂凛やメディア、クー・フーリン、さらに聖杯であったアイリスフィールの影響を強く受けており、鉱脈魔術やルーン魔術、錬金術に加え高速神言すら操る。
魔力は質・量共に凄まじく、五属性を宿すメイン回路だけで100本、各単属性の回路が80本、合計500本と言う驚異の魔力量だが、あまりの魔力量に体が耐えきれておらず、二工程以上の魔術は先に体を強化してからでないと使用できない。体が弱い原因でもある。
黒に白銀を散らした星空の様な長髪と少し紅の入った琥珀色の瞳が特徴的。

使用魔術・魔法・宝具
・固有結界
 彼女も固有結界を持っている、らしい。

・鉱脈魔術
 宝石翁直伝、錬金術によって石ころから宝石を生み出せるのでコストパフォーマンスに優れている。
 二工程以上の魔術は強化の手順を踏んでから出ないと使えない真優にはとっさに一工程で強力な魔術を使える鉱脈魔術は相性が良い。

・ルーン魔術
 原初のルーンを操る。これも文章を書くクラスまで使わなければ簡単な事は一文字で済むので相性が良い。

・高速神言
 大掛かりな魔術を一工程で発動できるので生命線ともいえる。

・錬金術
 主に宝石を作るのに使用、礼装の材料なんかもこれで調達している。

・《万華鏡の礼装・キャスター》
 真優の万華鏡の礼装、アーチャーと同じく使用者の保護と機動にかなりの能力を割り振っている。
 

 

第0話 その言葉はきっと始まりで

 
前書き
ZEROの最終話の時間からスタートです。 

 
ソレは、憎悪と殺意でできていた。
悪であれ、そう願われた少年を通じて、奇跡の杯は破壊と死を撒き散らす邪悪へと変異した。
街を飲み込むソレを、一つのあり得ない、だがきっと尊い祈りが突き刺した。
「“この世全ての悪( アンリ・マユ )”・・・お前にすらも、救いがあれば良いのにな・・・。」
皮肉気な、しかし優しい声が、突然基盤をズタズタに切られ、滅茶苦茶に繋がれたソレに響いた。
そして、見るもの全ての心を震わせずにはいないであろう星の極光、最強の幻想は振り下ろされる。
「“約束された勝利の剣( エ ク ス カ リ バ ー )”!!!」
――ケケッ・・・俺に救いなんかあってたまるかよ。


ソレは、剣で出来ていた。
正義の味方になる、そう誓ったいつかの少年は、破壊と死をもって絶対的正義を執行する化け物へと変異した。
今にも消えようとするソレを、きっと与えられるべき、救いの手が差し伸べられた。
「”せいぎのみかた( 士 郎 )”・・・こんな結末が幸せだなんて、私は認めないから・・・。」
そっけなくて、優しい声が、その身を自らに貫かれたソレに響いた。
そして、見るもの全ての目を奪うであろう虹の極光、魔法の光は振り下ろされる。
Anfang(セット)――――!!」
――今度は、人間らしい幸せ、手に入れなさいよ。


地獄を、地獄を見た。
黒い(せいはい)からあふれ出した呪いによって、全てが焼き尽くされた、地獄を。
救いを求める手を振り払って歩いた。
腕に抱いた少女の命を、取り零してしまわないように。
どれだけの時間が過ぎたのだろうか。
倒れ、死を待ちながら伸ばした手は、再び受け止められた。
「生きてる・・・!生きてる・・・!!ありがとう・・・ありがとう・・・!」
そう言って涙を流す男の表情(かお)は、まるで救われたのは俺じゃなくて、彼自身かのようだった。
彼の隣に立って涙を流す白い女性と、駆け寄ってくるいくつかの足音、そこで俺は意識を手放した。

何時かのあの日と同じ、その言葉は告げられる。
何時かのあの日には居なかった女性(ひと)の傍らで。
「初めに言っておくとね、僕達は魔法使いなんだ。」

だからきっと、二人を引き取った夫婦に告げられた、彼らの言葉は

「爺さん、俺・・・『せいぎのみかた』だったんだ・・・。」

「母様、私・・・『この世全ての悪』だったんです・・・。」

二人に、家族以外の全てを捨てる事すら受け入れさせたのだろう。 
 

 
後書き
初めまして、シロエです。
何番煎じだ・・・!とは思いましたが、自分の想い行くままに、完結まで書き進められたらなと思います。 

 

第1話 変わらない日常/変わっていた非日常

Side 真優

おいしそうな匂いに誘われて目が覚める。
朝が来た、ここ数日の夜更かしはひ弱なわたしの体には結構堪える。
ベッドから抜け出して、別に視力が悪い訳ではないが眼鏡をかけて、机の上の5色の錠剤を1錠ずつ入れ物から取り出して飲み込む。
「んー・・・相変わらずおいしくない・・・。」
そんな事をぼやきながら廊下を歩き、妹の部屋に入り、幸せそうな顔で寝ている妹の肩をゆする。
「イリヤ、朝よーおきなさーい。」
「んぅ・・・。」
このところイリヤも夜更かし気味なのか、反応が鈍い。
「・・・兄様の夢でも見てるのかしら・・・。」
イリヤの想い人でもあるわたし達の兄、士郎兄様の顔を思い浮かべる。
居間の方から聞こえる物音からして、どうやら早めに鍛錬を終えた兄様がセラの仕事を取ってしまったようだ。
「・・・兄に恋して、ライバルは幼馴染3人と自分の家のメイドさんかぁ・・・。」
前途多難にも程がある・・・。
「イリヤー今日はサッカーの応援に行くんでしょー?」
「んーおにーちゃん・・・。」
わたしの声を兄様と聞き間違えますかこの妹は・・・。
「ん・・・おはようのちゅー・・・して・・・。」
と、わたしの首に腕を回し
「イリヤ・・・!?」
そのまま抱き寄せられて、押し倒される。
「ちょっと・・・!?」
ただでさえイリヤより力は無いのだ、抑え込まれた腕はイリヤの手を振り払えない。
「んぅ・・・。」
「いり・・・や・・・。」
って
「母様!リズ!見てないで助けてください!!」
イリヤのあごに頭を押し付けて辛うじて避けつつ、楽しそうに見ている母様、アイリスフィールとメイドのリズに抗議の声を上げる。
「あらー、姉妹の仲が良いのは良い事だわ。」
「うんうん。」
「寝ぼけて兄様と勘違いしてるの聞いてましたよね!?」
そう、二人ともいた、前途多難にも程があるって思った時にはもういた。
「おにーちゃん・・・。」
「ちょ、んんっ・・・。」
「ふぇ・・・?」
イリヤの右手がわたしの胸をしっかり握ったところでようやくイリヤが目を覚ました。
「その・・・イリヤ、わたし達姉妹だし、子どもなんだからこういうのは良くないと思うの・・・。」
「――――――っ!?!!??」
流石に小学5年生にもなると、少しは膨らんでいるのだ、それを思いっきり握っている事を認識したイリヤの声にならない悲鳴が屋敷に響いた。
なぜか寝間着にしている作務衣が半分くらいはだけてたし。






Side 士郎

鍛錬を終え、今日はイリヤが隣の高町さんちのお父さん、高町士郎さんがオーナー兼コーチをしているサッカーチーム、翠屋JFCの試合をいつもの4人で応援しに行くらしい、と言う事を考えながらぼんやりしていると、セラが凄い怒ってる。
原因は手元の料理だろう。
・・・今日の朝食当番セラだったな・・・。
「――!聞いていますか!?シロウ!」
「あぁ・・・聞いてるって・・・。」
そんなやり取りをしていると、イリヤの部屋から悲鳴が聞こえた。
「イリヤ!?」
「イリヤさん!?」
急いでイリヤの部屋まで行くと、入り口でニヤニヤしている母さんと無表情なのはいつも通りだがちょっと楽しそうなリズ。
「一体どうし・・・!?」
「シロウ?――っ!?」
長女(まゆ)次女(イリヤ)に押し倒されてる。
「・・・なんでさ・・・。」
「いつものねぼすけー。」
「あ、うん、だよな・・・ほどほどになー。」


脱力しながら居間に戻ると親父、切嗣が起きてきていた。
「あ、士郎、おはよう。」
「おはよう、親父・・・。」
「どうしたんだい?さっきの悲鳴。」
「イリヤが真優を押し倒してた。」
「!?」
普段は割とぼんやりしている親父の顔が驚愕に歪む。
「・・・動揺が顔に出てるぞ。」
「っ・・・あぁ、すまない・・・。」
「別に良いんだけどなー、そのほうが、普通の父親らしいだろ。」
「うん、そう、だね。」
準備しておいた朝食をテーブルに並べる。
「うーん・・・士郎、おいしいのは良いんだけど、こう、もっと・・・。」
「朝からジャンクフードはダメだっての・・・もう爺さんに片足突っ込んでるんだから。」
「うぐっ・・・。」
8年だ、8年もたってジャンク舌が治ってない・・・。
「ったく、もう34なんだから(・・・・・・・・・)一層健康には気をつけなきゃいけないんだっての・・・。」
「全くその通りで・・・。」
そこへ、4人が居間へ入ってくる。
「おはようございます、兄様、朝からはしたない所を・・・。」
「うぐっ・・・おはよう・・・おにいちゃん・・・。」
「あ、あはは・・・おはよう、っと母さんとリズも、おはよう。」
「おはー。」
「えぇ、おはよう、シロウ。」


おはよう、って言い合える家族がいる、その家族にはそれぞれ友達がいて、そのまた家族がいる。


少なくともこの街の人々にとって、戦いは遠い世界の出来事だ。




朝食を食べ終え、セラに片づけを任せ、親父と、母さんと、一息つく。
イリヤと真優は出かける準備をしに部屋へ戻った。
「・・・なんか、平和だな・・・アレさえなければ。」
「昨夜で5つだっけ?」
「あぁ、誰かはわかってないけど、真優の感知結界に引っかかったあと、それほど間をおかずに何者かによって回収されてる。」
「にしたって不用心ね・・・遮断結界も張らずに戦闘なんて・・・。」
「・・・次以降は、街に張ってあるもう一方の結界も使う、ってさ。」
「鏡を?でもあれは・・・。」
「霊脈から引っ張ってくるそうだけど・・・。」
と、イリヤが戻ってくる気配がしたので口をつぐむ。
「じゃ、いってきまーす!」
花が咲くような笑顔を残して、イリヤが駆けだす。
「「「「いってらっしゃい。」」」」
「てらー。」
イリヤがバタバタと出かけて行って、真優が居間に戻ってくる。
「・・・兄様・・・。」
「ん?どうした?」
さっきまでの優しい少女の面影は何処へやら、魔術師・衛宮真優がそこには居た。
「結界の反応パターンを精査してみたんですが・・・魔力を使っているのは3人、うち2人は知らないモノを使っています。」
「ん?待って、真優、2人は?」
「はい、父様・・・3人目は・・・《カレイドライナー》です。」
「カレイドライナー!?カレイドステッキは《宝石翁》に渡したんじゃ・・・!?」
「えぇ・・・でも、現にこっちにあります《ムーン》は未完成、《キャスター》と《アーチャー》はわたしと兄様が持っていますから・・・。」
「《ルビー》か《サファイア》・・・下手すれば2本とも、か。」
「正直、あの愉快型魔術礼装なら宝石翁の所を勝手に抜け出してきても不思議じゃないですが・・・。」
「そうだな・・・俺の方で夜間の見回りは強化しておこう。」
「そうね・・・私とキリツグ、セラで使い魔もだしましょう、マユは結界走査でかなり負担がかかっているし・・・。」
「はい、奥様。」
「そうだね・・・魔術が関わる以上、恭也くん達の手は借りるわけには行かない・・・。」
「ありがとうございます、母様。」
そう言ってから、真優は土蔵の脇、石ころが集めて置いてある場所に行くと。
「■■■■―!」
理解不能の言葉を唱える。
すると、石は宝石のようなものに変化し、真優はそれをポケットに入れる。
「では、いってきます。」
「ん、いってらっしゃい。」
いつもの雰囲気に戻った真優は外へ出る。

それを見送り、土蔵に入り、その奥の隠し戸から工房へ入った俺は、嫌な予感がしていた。


カレイドライナー、《万華鏡の礼装》の契約者を示す言葉、そして、その万華鏡の礼装、カレイドステッキ。



――イリヤとか、ルビーの大好物じゃなかろうか。 
 

 
後書き
作者です。
リリカルなのは的には第3話に当たります。
基本的に、真優と士郎の視点で進むので、原作での話数が数行で片づけられたりもしますし、かかわる場合は1話分がすごい長かったりします。
キャラクターに関する設定などはおいおいまとめていこうと思っています。 

 

第2話 2人の魔法少女/崩れ始めた日常

Side イリヤ


なのはとユーノ、二人と一匹でユーノの一族が発掘したという魔力のこもった宝石《ジュエルシード》を集め始めて数日、順調に5つ回収したのは良いんだけど、私もなのはも連日の深夜の探索で疲れていた。
今朝なんか寝ぼけてお姉ちゃんを押し倒しちゃったし・・・。
そして、今はサッカーの応援も、そのあとの祝勝会も終わり、帰っている途中だった。
背筋に、嫌な感触が走る。
カバンの中からルビーが飛び出してくる。
「ジュエルシードが発動しようとしているみたいですねぇ。」
「うん・・・なのは!ユーノ!」
「わかってる!レイジングハート!お願い!」
「《StandbyReady》」
「ルビー!鏡界回廊最大展開(コンパクトフルオープン)!」
多元転身(プリズムトランス)行きますよー!」
人気のない場所で、魔法少女の姿に変身した私達は、魔力を感じた方向へ飛び上がる。
「おや・・・?」
「どうしたの?ルビー。」
「これは・・・何やら結構な大魔法が発動しますよ・・・?」
「え・・・?」
ルビーが、魔法と言う言葉を使ったことにユーノが反応する。
「ルビーが魔法って言うって事は・・・。」
その瞬間、世界が、ひっくり返った。。
一見すると何も変わっていない、空が格子状に切り取られている事と、人の気配が消えた事を除けば、だが。
「あっ!あれ!」
なのはが指さした方向に、巨大な樹が現れた。
「あれが・・・今回のジュエルシードの発動体・・・。」
「急いで封印しないと!」
「「うん!」」
ユーノの言葉に、なのはと二人、頷いて速度を上げる。



たどり着くと、たくさんの建物が崩れ、道は根っこにズタズタにされている。
「こんな・・・ひどい・・・。」
言葉が漏れる。
「・・・ジュエルシードは、強い願いを持った人間が発動させたとき最も力を発揮する・・・恐らく、これは・・・。」
誰か、人間が発動させた、そういう事だ。
なのはが、息をのむのが聞こえる。
「・・・やっぱり、あれはジュエルシードだったんだ・・・。」
「なのは?」
「私・・・翠屋JFCのキーパーの子が、ジュエルシードを持ってるのを・・・見てたんだ・・・でも、そんなはずない、って思いこんで・・・。」
なのはの顔が青ざめる。
「なのはさん、発動していなかった以上断定はできなかった、ならそれはなのはさんの責任ではありませんよ。」
ルビーがいつになく真剣な声色で言葉を発した。
「ここにばらまかれる原因だった、ともいえる管理局とやらの責任です。そして、なのはさんはあれを回収し管理局に封印を任せようと初動対応をしているユーノさんに協力しています。」
「・・・うん。」
「なら、あれを封印、回収するのが、なのはさんの責任であり、それに協力するのが現状のイリヤさんの責任、そうですね?」
「そうだよ、なのは・・・やろう。迷ってる時間は無い。」
「そう・・・だね・・・!」
そう言って、なのははレイジングハートを構え、魔法陣を展開する。
「広域探査・・・お願い!レイジングハート!」
「《Yes My Master》」
なのはが魔力を大きく発動させたのに反応して、気が蔓や枝を伸ばしてくる。
「ルビー!」
「はいはーい!いつでも行けますよー!」
「なのはがサーチを終えるまで、私達で守る・・・!特大のー・・・砲射(フォイア)!!」
ルビーの先端から魔力砲が発せられる。
ルビーの説明によると、純粋な魔力を破壊力として発動させる《魔法》だそうだ。
ユーノによれば、そもそもルビーを構成する術式がよくわからない上に、私のイメージから生まれた砲射と言う魔法、という割には《砲撃魔法》ではない、らしい、難しくてよくわからないけど。
ともかく、私は砲射や散弾でなのはに近づこうとする蔓やら枝を焼いていく。
この私の魔法、人に当たれば1発で蒸発するらしい。
「見つけた・・・!」
数分の交戦の後、コアを見つけたなのはがレイジングハートを変形させる。
「《shooting Mode》」
「撃ち抜いて・・・!ディバイーーン・・・!バスターーー!!」
なのはの砲撃魔法、ディバインバスターが相手の防御を貫き、コアに魔力ダメージを与えノックダウン、シーリングモードに変形し、封印を施す。
コアから出てきたのは、キーパーの子と、その彼女だった。
「《Master!》」
「どうしたの?レイジングハート?」
「《Is another of the biological reaction(別 の 生 体 反 応 で す)》」
「別の!?」
「行かなきゃ!」





Side 真優


かなり時間をかけ、結界を強化して回った。
そして、お腹がすいているのに気が付き、一度家に帰ろうとした、その時だった。
「っ!結界に反応!?」
これは、例の魔力隗だ・・・!
「■■■、■■■■―!■■■!っ・・・がはっ・・・。」
急いで一帯の魔力を鏡界に引きずり込む。
かなり広範囲を一定以上の魔力を持つか持たないかの区別以外は無差別に巻き込む大魔術だ、いかに高速神言でも三工程はかかる。
そして、普通の言葉だろうが高速神言だろうが、一工程以上の魔術の発動には全身の刻印を発動し、体を強化しないと耐えられないわたしは、とっさの発動に耐えられず、吐血、あちこちの肌が切れ、大量に出血する。
「っく・・・あ・・・■■・・・。」
失血死を防ぐために止血の魔術を施し、たところで、僅かに朦朧としている意識の端に魔力を捉える。
少し移動し、その魔力源を見つけると、そこには、魔法少女、としか形容しようのない服装のなのはとイリヤの姿。
「うそ・・・でしょ・・・?イリヤが・・・カレイド・・・ライナー・・・?」
わたし達は、イリヤが魔術に関わらないように、と色んな手段を講じてきた。
だが、よりにもよって《万華鏡の礼装》を、イリヤが手にしてしまっている。
失血とショックで、わたしは意識を手放してしまった。




Side なのは


レイジングハートが捉えた生体反応を探して、イリヤちゃんと一緒に飛んでいった先には。
「なん・・・で・・・。」
イリヤちゃんが青ざめた。
「なんで・・・なんで・・・・!」
私も、声が、でない。
「なんでよ・・・なんでお姉ちゃんがこんな目に遭わなきゃいけないのっ!?」
辛うじて、潰されたりはしていない、でも、全身から血を流して、イリヤちゃんのお姉ちゃん、真優さんが倒れていた。
「お姉ちゃん!お姉ちゃん!!」
イリヤちゃんが、血で汚れるのも構わずに真優さんを抱き上げる。
力が抜けて、レイジングハートを握っていられなくなって、私も膝から崩れ落ちた。
「イリヤさん、落ち着いてください。血塗れですが、彼女はちゃんと生きてます。」
「るびー・・・?」
「ともかく、ここから出ましょう、外に出れば、まだ間に合います。」
「う・・・い・・・りや・・・?」
「お姉ちゃん!?大丈夫!今病院に!」
「そう・・・ね・・・。」
少しだけ意識を取り戻した真優さんがまた意識を失う。
「ルビー!どうやってでるの!?」
「なのはさん、ユーノさん、こっちへ。」
「う、うん・・・。」
「はい。」
「半径3メートルで反射路形成!鏡界回廊一部反転!」
魔法陣が周辺に現れると、世界が、ひっくり返る。
この、格子の空の世界に来た時のように。 
 

 
後書き
第2話です。
話は遅々として進んでませんが・・・。
キャラクターの設定も一部まとめて公開です。