新たなる戦い~第2章~
標的1 未知なる脅威
チョイス決戦の3日前のボンゴレアジトにて-
「あと2日でいよいよチョイスが始まる、これに勝てば・・・」
ツナは少し緊張していた。
そして過去から来た全員が入江に呼び出された。外で修行していた雲雀と山本もいた。
「実は今から君達全員、10年前の過去に帰ってもらう」
「えぇーーーーーーーー」
「ま、また並盛にリターンできるんですか?」
「ああ本当だ、平和だった並盛に帰り、もう一度決意と覚悟を確認してきてほしいんだ」
「決意と・・・覚悟」
「てめえ、今のオレ達には覚悟が足りねえって言うんじゃねえだろうな」
「そんな風には思ってないよ、ただもう一度10年前の景色を頭に刻んでほしいんだ」
いつもは焦って誤解を解こうとしていたが、今はとても真剣な表情だった。
「もし未来に戻ってくる時は綱吉君の家においてある10年バズーカで戻って来てくれ」
「えっ、オレの家にあるの?」
「ああ、過去の僕が届けたはずだから」
ツナ達はうなずき、過去へと消えていった。
(ふう、彼らならこの試練を乗り越えてくれるはずだ、アルコバレーノの試練だって乗り越えたんだから)
入江正一はただ過去へ帰したわけではなかったのだった。さらなる戦闘力の飛躍のため、覚悟の再確認のため、そして・・・・
「ここ、オレの家・・・」
10年後とそこまで変わっていなかったため、戻れたのか不安だった。あちこちを見回すツナ、そこへ
「あら、おかえりツー君」
母の沢田奈々が出迎えた。
「か、母さん」
「おいツナ、もう一度並盛をみんなで回ったらどうだ、正一も言ってただろ」
雲雀とクロームは以前同様いつのまにかいなくなっていた。残ったツナ、獄寺、山本、ランボ、了平、京子、ハル、イーピン、リボーンはそれぞれの場所を回った。
並盛商店街、並盛山、並盛動物園、そして並盛中学---
みんなは時間を忘れるくらい、回り回った。そして夕方になったのに気づき、学校の屋上に上がり、夕日の景色を見ていた。
ツナ達は今日の日の事をしっかりと胸に刻み、新たなる決意と覚悟を決めた。
そして夜、みんなは学校を出た。
「じゃあみんな帰ろうか」
とツナが切り出した瞬間・・
ドオオオオオン!!という大きい音が突然並盛商店街の方から聞こえてきた。全員はそれを確かめるために一斉に商店街に向かった。
そして商店街---そこには大鎌を持ち、フードを被っている男と傷だらけの少女が倒れていた。
「なんだあいつは?」
その男はツナ達に気づき、振り返った。しかし、その男の顔を見た瞬間ツナ達は腰が抜けそうだった。
なぜならその男の顔は骸骨だったのである。
「し、死神ーーーーー」
「まあいい、さっさとこいつを殺してズラかるか」
ボウッっと男の持っていた大鎌に黒い炎が灯った。
「し、死ぬ気の炎だ!」
「黒い・・・・炎?」
その炎を見た瞬間、普段変わらないリボーンの表情が変わった。
「死ね!!」
ガキン
「ん!?」
刀が当たったのは少女ではなく、ツナの拳だった。
標的2 沢田綱吉 VS 死神
「ほほう、我が大鎌を受けるとはな」
ツナは真っ直ぐ死神の男を見つめている。
「貴様、名は」
「名乗る必要はない!!」
ツナは拳を翻し、鎌を掴んふぇそのまま死神に蹴りを入れた。しかし確実に当たったはずなのに蹴った感触がなかった。
「ゲヒャヒャヒャ、オレに攻撃を入れるとはまた見事、だが」
バサッっと男がローブを脱ぐと体全体が骨だった。あまりに衝撃的だったのか獄寺と山本、京子とハルが同時に叫んだ。
ツナの蹴りは骨と骨の間をすり抜けていたのだ。
「あいつ、マジで死神なのか」
「くっ、京子、ハル、そいつを連れて早く安全なとこへ急げ」
ツナは京子達を逃がすべく、傷だらけの少女を連れさせ、の場を去らせた。しかし、その一瞬をつかれ、ツナは死神に首をつかまれた。
シュウウウウウ!!
「ぐあああ!!」
ツナが叫ぶと同時に炎が音と共に吸収されていく。
「ツナ」
「沢田」
「てめえ、10代目を離しやがれ」
「おっと、動いたらこいつの首をへし折るぞ」
3人は動けなかった。その後も成す術もなくツナの炎はみるみる吸い取られていく
「ゲヒャヒャヒャ・・・があ!!」
どこからか飛んできた矢が死神の腕に刺さり、それの腕を砕いた。矢のやってきた方向を見ると、その先にはあの傷だらけの少女の姿があった。
「くっ、きさまあぁぁぁぁぁ」
「今だ」
リボーンの声にみんなは我にかえり死神に総攻撃を放った。
「果てやがれ、フレイムアロー!!」」
「篠突く雨!!」
「トドメー、極限太陽(マキシマムキャノン)!!!」
ドオオオオン!
「ぐおおお、おのれぇ、覚えていろーー」
死神はボロボロになりながらも、闇の向こうへと姿を消した。
「ハァ、ハァ」
「大丈夫ですか10代目」
「うん、なんとか、3人共ありがとう」
「とりあえず全員ツナの家に行くぞ」
ツナの家―
「ツナ君、大丈夫なの?」
「大丈夫だよ」
「あの、あなたは大丈夫なんですか?」
「大丈夫、助けてくれてありがとう」
ツナ達もそうだが、一番心配だったのは少女。しかし、その言葉にとりあえずみんなホッとした。
「ところでお前は何者で、さっきの奴は誰なんだ」
「私の名はかぐや、あいつは゛死神゛Death D、私は奴に追われてるの」
「ど、どうして?」
「私の持つジュエルリングを狙ってるの」
「ジュエルリング?」
「この世に21個しかない精製度A以上のリングなの、それでね・・」
かぐやの言葉に、皆の頭に?が浮かび、少し沈黙が続いた。
「バカ言うな、精製度A以上のリングっつったらボンゴレリングとマーレリング、アルコバレーノのおしゃぶりだけだろ」
「えっ、なにその、ボンゴレやマーレって」
「な、何って、精製度A以上なのはボンゴレリング、マーレリング、アルコバレーノのおしゃぶりの計21個のトゥリニセッテしかないはず」
「何言ってるの、精製度A以上なのはジュエルリング、スターリング、アルコバレーノのネックレスの計21個のトゥリニセッテだけでしょ?」
・・・・・・
その会話から10分くらいみんなは目を点にして沈黙したのだった。
標的3 もうひとつのトゥリニセッテ
「なるほど、別次元の世界から来た・・ってことになるのかな」
かぐやの話を聞いたツナ達は口にしただけで信じることはまだできなかった。かぐやは先程戦っていた死神にいきなり襲われ、気がついたら並盛町という知らない町に来ていたという。
「それでそっちの世界でのトゥリニセッテを持つ者達のことを聞かせてくれ」
リボーンの言葉にかぐやは頷いた。
「さっきも言ったけど、私の世界では大海を筆頭に光、闇、火、風、土、氷の7属性からなるの」
そこにいた全員は真剣に聞いていた。まさに未知なる属性の存在など、惹かれることが多いようである。
「私達はジュエルリングを守護する『7龍覇』と呼ばれていて、今日襲って来たDeath D達はスターリングを守護する『7星天』、そして7人のアルコバレーノ」
「そっちの世界にもアルコバレーノがいるんだ」
ツナはリボーンをちらっと見たが相変わらず顔色は変わっていなかった。
「でも私の世界ではリボーン君のように赤ん坊じゃないんだけどね」
「じゃあそっちのアルコバレーノってのはどんな存在なんだ?」
「アルコバレーノはこの世のすべてを知っている7人、『世界が始まった時の最初にいた7人』っていう言い伝えがあるの」
「言い伝えってことは、存在は確認できてねえのか?」
「そういうわけじゃないんだけどね」
そしてみんなはある1つの疑問を聞こうとしていたが、なかなか言えずにいた。
「そいつらって何歳なんだ?」
「う~ん、たぶん46億歳じゃないかな、でも見た目は18歳くらいらしいのよ」
「へえ~、すげー長生きなのな」
(ガーン、山本すっかり信じてるー)
「ったくこの野球バカが」
「それでどうして狙われてるの?」
「そうですよー、こんなキュートな女の子を襲うなんて」
「うん、トゥリニセッテはさっき言った者達が護ってるんだけど『7星天』の人達が突如襲ってきたの、たぶんトゥリニセッテを集めて世界を取ろうとしてるんだと思う」
みんな脳裏には白蘭が浮かんだ。やつらも同じ目的でボンゴレを襲ってきたのだから。
「アルコバレーノは世界を監視する使命があるらしいから誰にも手は貸さないし、出さない決まりがあるっていうし」
「ツナ、手伝ってやれ」
「えっ、リボーン」
「そいつらは白蘭と同じような奴らだ、ほっとけねえだろ」
そう言われるとほっとけなくなってきた。少しの沈黙の後、ツナは言った。
「わかったよ、君達を援護するよ」
「ありがとう」
「ところでどうやってそっちの世界に行けばいいんだろう」
1番の疑問はそこだった。異世界に行く方法など聞いたことがない。それにあるものだと思っていない。
「それにどうやってこっちの世界に来たの?」
「わからない、Dと戦ってる時は無我夢中だったから、気がついたら商店街にいて綱吉君達が助けてくれてたの」
みんなは必死必死に考えたが別次元の世界に行く方法なんて思いつくはずがなかった。
「1つだけ心当たりがあるぞ」
みんなが困惑するなか、リボーンが言い放った。
「ホントか、リボーン」
「あくまで可能性だがな」
「その方法は?」
「イタリアのボンゴレ本部の地下に、トゥリニセッテをはめ込む場所があった気がするんだ、そっちにもトゥリニセッテが存在する時点で可能性はある」
「とりあえずそれに賭けてみるしかないよ、さっそく行ってみようよ」
ツナはみんなに言った。もちろん反対する者はいなかった。
「待て、行ったとこでどうしようもねえぞ、まずはマーレリングとアルコバレーノのおしゃぶりを集めてからだ」