ドリトル先生の野球


 

第一幕その一

               ドリトル先生の野球
             第一幕  阪神タイガース
 ドリトル先生はこの時研究室でデイリースポーツという新聞紙を読んでいました、そのうえで皆に言われました。
「またその新聞読んでるんだ」
「デイリーだね」
「先生いつもその新聞読んでるね」
「毎日読んでるよね」
「家にも取ってるし」
「うん、日本の新聞はね」
 どうかというお顔になって言う先生でした。
「酷いけれどね」
「そうした新聞多いっていうね」
「先生も言ってるしね」
「ネットでも話題なのよね」
「あんまりにも酷い新聞が多いって」
「普通新聞は嘘を書かないよ」
 それが決まりだというのです。
「それでもね」
「日本の新聞は違って」
「平気で嘘書くのよね」
「しかもその嘘の責任を取らない」
「先生いつも言ってるね」
「捏造って言うけれど」
 その嘘の記事を書くことはというのです。
「これがあんまりにも多いし」
「じゃあ下手に読んだら」
「騙されるわね」
「それでとんでもないことになって」
「それでよね」
「信用出来なくなるね」
「そうだよ、日本のマスコミを信じたら」
 それこそというのです。
「大変なことになったりするから」
「騙されて」
「そうなって」
「それでだね」
「捏造、これは意図的にやってるから」
 つまりわざとだというのです。
「知らなくて真実を言っていないのと知っていて嘘を言っているのは違うね」
「全くね」
「前者はまだいいけれど」
「後者は最悪だよね」
「完全に悪事だね」
「どう考えても」
「それが日本のマスコミでは普通にやる人が多くて」
 先生はさらにお話します。
「テレビもだからね」
「新聞もテレビも信用出来ないんだね」
「イギリスのマスコミ以上に」
「日本はそうなのね」
「日本のマスコミは」
「そうなんだ、残念なことに」
 先生はこのことは暗いお顔でお話しました。
「自分達の思惑通りに人や国を動かそうとしてね」
「それじゃあマスコミじゃないよね」
「最早何かの工作機関よ」
「そんなことをしたら」
「もう信じたら駄目よ」
「詐欺師みたいじゃない」
「そう、詐欺行為もね」
 それすらもとです、先生は動物の皆にお話しました。
「平然とするからね」
「詐欺って」
「それはもう犯罪だよ」
「そんなことしたらもう」
「例えば北朝鮮を地上の楽園と言ってたんだ」
 先生は皆にこのお話をしました。
「ずっとね」
「あの国はね」
「地上の楽園じゃないよ」
「どう見てもそうよね」
「あんなひどい国はないよ」
「最悪の国じゃない」
「そうだね、世襲制の独裁国家で」
 先生も北朝鮮についてはこう認識しています。 

 

第一幕その二

「テロはやる、国民の人達は餓えていて階級まである」
「とんでもない国じゃない」
「すぐに弾圧とか粛清とかするし」
「強制収容所はあるし」
「まるでこの世の地獄じゃない」
「地上の楽園どころか」
「そうした国なのにね」
 それでもというのです。
「そしてあの国の実態を知っていたのに」
「そんなこと言ってたんだ」
「とんでもない嘘じゃない」
「嘘もそこまでいくと凄いわね」
「そんな嘘あるんだ」
「しかもあの国に行けば幸せに暮らせるとまで言ったんだ」
 その北朝鮮にです。
「そして実際に行って」
「大変なことになったんだね」
「地上の楽園と思って言ったらこの世の地獄だった」
「そんな国に行ってしまって」
「酷いことになったのね」
「文字通りこの世の地獄に入ってしまって」
 そしてというのです。
「誰も生きて帰ってこなかったよ」
「酷いお話だね」
「日本にもそんなお話があるんだ」
「悪魔みたいな行いだね」
「普通の詐欺より酷いわ」
「これは帰国事業と言ったけれど」
 北朝鮮に行くそのことはというのです。
「あの国に国籍のある人や縁者の人達をそう言って送ったけれど」
「それってとんでもないことじゃない」
「犯罪じゃないかしら」
「絶対に許されないことだね」
「何があってもしてはいけないことだよ」
「それを言っていた政治家や知識人の人達がいて」
 そしてというのです。
「マスコミの人達もね」
「言っていたんだ」
「そうだったんだ」
「あの人達も」
「けれどこのことで誰も責任を取っていないどころか」
 先生はさらにお話しました。
「他の人に責任をなすりつけている始末だよ」
「責任取らないとね」
「そんな悪いことしたら」
「それどころか他の人に責任転嫁するとか」
「本当に悪魔よ」
「人間の行いじゃないわ」
「日本のマスコミはそうしたこともしてきたから」
 だからだというのです。
「僕も気をつけているんだ」
「日本のマスコミについては」
「そうしているんだね」
「先生も」
「そうなのね」
「日本はとても素晴らしい国だけれど」
 それでもというのです。
「どの国にも問題があってね」
「日本の問題点はマスコミだね」
「知識人の人達もそうで」
「もうマスコミについては」
「そんな風だから」
「先生もなのね」
「読む新聞は選んでるし」
 それにというのです。
「テレビもね」
「観る番組選んでるんだね」
「そうしてるのね」
「それで今もなのね」
「デイリー読んでるのね」
「日本のマスコミはスポーツ関係もあまりにも酷いからね」
 先生は雲ったお顔でスポーツのお話もしました。
「酷いスポーツ新聞はタブロイドと言ってもね」
「イギリスのより酷いんだ」
「イギリスのタブロイドも酷いけれど」
「もっとなのね」
「あんなものじゃないよ、サンなんてね」
 イギリスのタブロイド紙の代表的なものです、やっぱりお世辞にも質がいいとはとても言えない新聞紙です。 

 

第一幕その三

「可愛いものだよ」
「そこまで酷いんだね」
「日本のマスコミは」
「サンが可愛いとか」
「物凄いね」
「特定の球団のオーナーをね」
 先生はこれ以上はないまでに曇ったお顔でお話しました。
「さっきお話した北朝鮮みたいに崇めてたりするから」
「ああ、あそこみたいにっていうと」
「個人崇拝だね」
「そんなことしてるの」
「そうだよ、もう絶対者みたいにね」
 そのオーナーの人をというのです。
「崇めてその人と対する人はね」
「貶めるのね」
「相手の人は」
「そうするんだ」
「だからね」
 それでというのです。
「僕は日本のマスコミは選ぶよ」
「ちゃんと読まないと」
「本当に騙されるから」
「注意しないといけないのね」
「どうしても」
「それでね」
 さらに言う先生でした。
「このデイリーはいいと思うよ」
「何ていうかね」
 チーチーが言ってきました。
「面白いよね」
「阪神を褒めていてね」
 こう言ったのはダブダブでした。
「その愛情に満ちているから」
「かといって他のチームも人も貶めないし」
 トートーもこう言います。
「いいよね」
「本当に阪神が大好きで」
 ガブガブもこのことを知っています。
「その愛情から書いているからね」
「先生も愛読してるね」
「それも毎日ね」
 オシツオサレツも二つの頭でお話します。
「そして楽しんでるね」
「心から」
「確かに」
 ジップも言うことでした。
「読んでいて面白いんだよね、その新聞は」
「日本は一流紙でも嘘書くけれど」
 ホワイティも先生の話から言います。
「デイリーは嘘は書かないからね」
「特に阪神のことは褒めていて」
「嘘じゃないから」
 チープサイドの家族は先生の手元で実際に記事を読んでいます。
「悪いことは書かなくて」
「いいことばかり書いているから」
「こうした記事はいいわね」
 ポリネシアが見てもです。
「何度読んでもね」
「逆にね」
 最後に老馬が言います。
「他の新聞がどれだけ酷いかだね」
「ある新聞はセリーグというかある球団のプロパガンダでね」
 そんな風になっていてというのです。
「パリーグを無視どころか貶めてるから」
「確かサン何とか?」
「さっきのオーナーさんを持ち上げてるのは夕刊何とかで」
「どっちも酷くて」
「読めたものじゃないんだ」
「朝何とかや毎何とかの一流紙も読めたものじゃないし」
 先生は言いました。
「産何とかもスタンスは違っても」
「酷いのね」
「そうなんだね」
「さっきのサン何とかや夕刊何とかはこの新聞社が出してるからね」
 その某産何とか新聞を出している新聞社がというのです。 

 

第一幕その四

「そのことを考えたらね」
「こっちも問題なのね」
「朝何とかや毎何とかと同じで」
「読まない方がいいのね」
「そうなのね」
「そうだよ、そして」
 さらに言う先生でした。
「タブロイドで日刊何とかはね」
「特になのね」
「読まない方がいいのね」
「そうなんだね」
「そう思うよ、テレビだと」
 こちらはといいますと。
「この三社の新聞社の系列はどれも駄目かな」
「放送が酷くて」
「それでなんだ」
「観ない方がいいんだ」
「捏造はしているし偏向してるし一方的な編集はいつもでね」
 そうした放送だからだというのです。
「やっぱりね」
「読まない方がいい」
「そうなんだね」
「そっちも」
「本当に日本のマスコミは酷いよ」
 またこう言う先生でした。
「世界各国でも最低レベルじゃないかな」
「それでその中だと」
「デイリーが一番いい」
「そうなのね」
「テレビだとBSでね」
 こちらだというのです。
「後はアニメやドラマはいいね、特撮もね」
「報道とかは駄目なんだ」
「もう観る価値ないのね」
「観ない方がいいのね」
「そう思いながらデイリーを読んでるよ」
 今そうしているというのです。
「こうしてね」
「そうなのね」
「じゃあね」
「これからも読んでいくのね」
「その新聞を」
「うん、しかし阪神は来年どうかな」
 先生はデイリーで心からの愛情に満ちた記事を書いてもらっているそのチームについても思いました。
「一体」
「どうだろうね」
「今年は優勝出来たけれど」
「最近毎年優勝してるけれど」
「それで日本一で」
 そうなっていてとです、皆も言います。
「巨人が最下位なのに対して」
「もう黄金時代だけれど」
「来年は優勝出来るか」
「そのことについては」
「残念ながらどうこうはね」
 こうしたことはというのです。
「僕もわからないよ」
「日本一になったチームが最下位になる」
「こうしたこともあるのよね」
「スポーツの世界では」
「ままにしてね」
「そう、逆に前の年で最下位だったチームが優勝する」
 先生は笑顔で言いました。
「こうしたこともあるね」
「そうそう」
「スポーツの世界においては」
「一年で戦力が全く変わるね」
「そう、だから来年はね」
 今年は日本一でもというのです。
「わからないものだよ」
「野球でもサッカーでもラグビーでもね」
「そうなのよね」
「もう来年は来年」
「今年は今年でね」
「今年阪神は日本一になったけれど」
「来年もそうとは限らないのよね」
 皆も先生の言葉に頷きます。 

 

第一幕その五

「そうよね」
「今年確かに阪神は強かったね」
「相変わらずの投手陣だったし」
「打線もここぞって時に打ってくれたし」
「だから勝ったけれど」
「来年はどうか」
「わからないのよね」
 皆も思うことでした、そしてです。
 先生と一緒にデイリーを読みますと本当に阪神タイガースというチームに対しての愛情で満ち満ちています。
 それで皆今度はこんなことを言いました。
「読んでいて癒されるね」
「これ以上はない位に」
「本当にいいわね」
「この新聞読んでると落ち着くわ」
「どんな時でも元気になれるね」
「阪神ファンの人は特にね」
「元気になれる新聞ね」
 皆も実感することでした。
「これだったらね」
「ずっと読めるね」
「阪神ファンでなくても読めるわ」
「ここまで愛情を感じる新聞なんて他にないから」
「悪意なんてないから」
「そう、悪意を読むと」
 先生はこの感情については暗いお顔でお話しました。
「どうしても嫌な気持ちになるね」
「見てもね」
「悪意が出ている人のお顔って醜いしね」
「あんな醜いものないし」
「捏造とか悪意以外の何物でもないし」
「そういうのを平気で出す新聞よりはね」
「デイリーはどれだけ素晴らしいか」
 先生は心から言いました。
「そうだね」
「全くだよ」
「まさに先生の言う通り」
「本当に悪意ばかりの新聞やテレビなんて願い下げだよ」
「捏造とか偏向とか」
「デイリーにあるものは愛情だよ」
 こちらだというのです。 
「まさにね」
「だよね」
「じゃあ読んでいいね」
「心がよくなるから」
「それじゃあ僕達もね」
「読んでいこうね」
「うん、しかし阪神は」
 先生は今度はこのチームのお話をしました。
「毎年投手陣がいいね」
「そうそう、阪神ってね」
「ダイナマイト打線っていうけれど」
「実は投手陣のチームで」
「毎年チーム防御率がいいよね」
「いつも十二球団一だね」
 そこまでいいとです、皆も言います。
「こと投手陣はね」
「毎年いいんだよね」
「先発、中継ぎ、抑えがちゃんと揃ってて」
「打たれることは少ないね」
「弱い時の阪神の負け試合なんかは」
 そのゲームはといいますと。
「一対〇、二対一、三対一、三対二とかの点数が多いんだ」
「折角ピッチャーが抑えるのに」
「打線が打たなくて」
「それで負けてたのね」
「弱い時は」
「そうだったのね」
「それでもその負ける姿もね」
 阪神のそれもというのです。
「華があったけれどね」
「そうなんだ」
「それじゃあね」
「ここはね」
「やっぱりね」
「それでいくね、しかし」
 こうも言う先生でした。 

 

第一幕その六

「強くても弱くても投手陣がいいことはね」
「それはいいことだね」
「実際にね」
「それだけで戦力として安定するから」
「申し分ないよね」
「それだけで」
「そう、投手陣がいいか悪いか」 
 そのことがというのです。
「野球にとって重要な要素だね」
「一番重要っていう人もいるね」
「何といってもピッチャーだって」
「ピッチャーが悪いと駄目って」
「そう言う人までいるね」
「そう、それとね」
 先生はさらにお話しました。
「阪神は代々名投手も多いしね」
「そうそう、江夏さんとか村山さんとか」
「小山さんやバッキーさんもだし」
「井川さんや藤川さんもだね」
「昔は若林さんって人もいたね」
「右投げの人も左投げの人もいて」
 そしてというのです。
「正統派も技巧派もいるね」
「川尻さんや葛西さんみたいな変則派も個性的だよね」
「特に中継ぎに揃ってるよね」
「もう全然誰にも打たせない」
「そんな人が多いね」
「そして期待の人材が入ると」
 ドラフト等でというのです。
「育てることも上手だね」
「そうそう」
「そっちのこともね」
「阪神はピッチャーの育成上手な方だね」
「助っ人の人もいい人が入るし」
「トレードで入った人も」
「とにかくピッチャーがいいことはね」
 このことはというのです。
「それだけで有り難いことでね」
「阪神はもうその時点でだね」
「強みがあるんだね」
「いつもピッチャーがいいことは」
「確かに来年はわからないよ」 
 先生はここでも自分のお話をしました。
「けれどね」
「それでもだね」
「阪神のピッチャーは揃ってる」
「そのことは事実だよね」
「嬉しい事実だよ」
 笑顔で言う先生でした。
「すっとそうであって欲しいね」
「全くだね」
「というか野球って本当にピッチャー重要よね」
「まずピッチャーがどうか」
「そうしたスポーツよね」
「そう、これは野球やソフトボールの特徴で」
 それでというのです。
「ピッチャーをやる人がまずね」
「才能を見られるのよね」
「まずピッチャーは一番才能がある人」
「そう言われてるわね」
「そうだよ、若しもね」
 こうもお話する先生でした。
「幾ら打線が強くてもね」
「ピッチャーが弱いとね」
「そうしたチームは最後に負けるよね」
「日本一になっても強い時期は短かったり」
「そんな風だね」
「どうもね、打線が看板のチームは案外ね」
 強いことは強いにしてもというのです。
「連覇とかしにくいみたいだよ」
「打つことはよくても」
「それでなのね」
「ピッチャーが悪いと打たれるから」
「そうした風になるから」
「打った分より打たれたりして」
「それで負けるのね」
 動物の皆も納得して頷きました。 

 

第一幕その七

「例え日本一になっても」
「連覇はしにくくて」
「投手陣がしっかりしてないと」
「本当の強さとは言えないのね」
「理想はね」
 野球のそれはといいますと。
「投手陣も打線も強くて」
「投打だね」
「その二つが揃って」
「それだけじゃないんだね」
「まだ」
「そうだよ、そこに野手陣の守備に」 
 これにというのです。
「機動力もあるとね」
「完璧なんだね」
「その時は」
「そうなるのね」
「流石にこうしたチームは少なかったよ」
 野球の歴史においてもというのです。
「確かに今の阪神は総合力があるけれどね」
「ちょっと投手陣偏重?」
「そうかもね」
「打線も強くてね」
「守備もそこそこで走れる人もいるけれど」
「それでも」
「うん、投手陣が物凄く強くて」
 今の阪神もそうだというのです。
「そしてだね」
「言われてみればね」
「今の阪神もそうよね」
「滅茶苦茶強いけれど」
「その軸はあくまで投手陣」
「十二球団でダントツと言われてるね」
「あの投手陣からはそうそう点を取れないからね」
 先生もその阪神の投手陣についてお話します。
「だからね」
「強さの軸だよね」
「まさに」
「そうだよね」
「あのチームは」
「そうだよ、あのチームの強さは」
 まあにというのです。
「投手陣だよ、総合力が高くても」
「その軸はね」
「あくまで投手陣」
「あの物凄く強力な投手陣があって」
「後に打線と守備、走塁があるのよね」
「二点取るのがやっとで」
 阪神投手陣からというのです。
「三点を取るのは至難だとね」
「難しいよね」
「勝つこと自体が」
「どうしても」
「そうよね」
「投手陣がとにかく強いチームで打線や守備は強いという程度だね」
 確かにいいことはよくてもというのです。
「あくまで」
「ううん、言われてみると」
「それなりに強かったりよかったりしても」
「滅茶苦茶いいっていう程か」
「そこまでいかないかも」
「そう、全てのジャンルで極めて高いレベルだったチームは」
 そうしたチームはといいますと。
「八十年代後半から九十年代前半の西武ライオンズかな」
「ああ、あのチームね」
「埼玉のチームだね」
「パリーグでユニフォームが青い」
「あのチームだね」
「その頃の西武は」
 それこそというのです。
「とんでもない強さでね」
「それでだったんだ」
「投手陣も打線も物凄くて」
「守備も走塁も」
「どれもとんでもなかったんだね」
「総合得点では今の阪神が上かも知れないよ」
 ここでこうも言った先生でした。 

 

第一幕その八

「とにかく投手陣が桁外れだからね」
「やっぱり今の阪神の方が強いんだ」
「あの頃の西武よりも」
「そうかもね、ただね」
 それでもというのです。
「あの頃の西武は打線は今の阪神より強くて守備もね」
「そして走塁も」
「その三つでなのね」
「今の阪神より上だった」
「そうだったの」
「もう強過ぎて憎いとまで言われる位で」
 そこまでの強さだったというのです。
「毎年西武百貨店はバーゲンだったんだ」
「ああ、同じ系列だったね」
「西武ライオンズと西武百貨店は」
「あと関東の西武鉄道もそうで」
「ホテルもそうだったね」
「全部同じグループだったね」
「そうだよ、それで西武が日本一になったらバーゲンをしていたけれど」
 同じグループだからこそ応援そして記念かつお祝いでというのです、こうしたこともあるのが商売でしょうか。
「もうね」
「毎年日本一だったから」
「毎年バーゲンだったのね」
「秋になると」
「日本シリーズの頃は」
「それでバーゲンに行く人達は喜んでいたけれど」
 それでもというのです。
「ファンじゃない人はこう言ったんだ」
「どう言ったのかな」
「ファンじゃないなら大体察しがつくけれど」
「何て言ったのかな」
「もう西武の日本一は見飽きたってね」
 その様にというのです。
「言った人がいた位だよ」
「もう毎年西武ばかり日本一だから」
「ファンじゃない人はそう言ったのね」
「気持ちわかるね」
「本当にファンじゃないのに毎年西武ばかり日本一とか嫌になるかも」
「バーゲンに行かないと余計に」
「本当にね」
 実際にと言う先生でした。
「そうした人がいたらしいよ」
「確かに同じチームばかりが日本一だと」
「嫌になるかも」
「ファンじゃない人から見れば」
「どうも」
「そうだろうね、今の阪神は十連覇を目指しているけれど」
 あの悪夢の如き巨人の九連覇を超えようというのです、日本のプロ野球史における暗黒時代と呼ばれているあの悪夢を。
「巨人ファンは嫌がってるね」
「そうだよね」
「というか巨人ずっと最下位だしね」
「もう十年連続?」
「十年連続百敗してるし」 
 そのうえでの最下位なのです。
「それじゃあいい加減ね」
「優勝したいとか思うかな」
「せめて最下位脱出とか」
「そうね」
「まあね、今の巨人がまずすべきことは」
 それは何かといいますと。
「百敗しないことだろうね」
「だよね、何といっても」
「十年連続最下位も凄いけれど」
「十年連続百敗なんてないよ」
「勝率一割台脱出だね」
「エラー二百とか防御率七点台とか」
「チーム打率も一割台でね」
 それが今の巨人なのです、圧倒的に弱いです。
「特に阪神に弱くて」
「去年一勝だけだったっけ、阪神に」
「二勝じゃなかった?」
「もう巨人銀行だよね」
「そうまで言われてるよね」
「巨人を見ているとね」
 こんなことも言う先生でした。 

 

第一幕その九

「驕る平家は久しからずという言葉を思い出すよ」
「日本の諺だよね」
「慢心して偉そうにしているとすぐに落ち目になる」
「そういうことだね」
「実際に平家が驕っていたかはともかく」
 このことは置いておいてというのです。
「平家が栄華から没落したのは事実だね」
「平家物語ね」
 ポリネシアが言ってきました。
「それは」
「日本の古典だね」
「そうよね」
 チープサイドの家族もお話します。
「このお話は」
「そうだったね」
「平家が栄華から滅亡に至って」
 トートーは悲しそうに言いました。
「そして源義経さんもね」
「木曽義仲さんもそうで」
 ダブダブもこの人の名前を出します。
「栄華を極めても」
「結局は皆落ちていって」
 ガブガブの言葉は悲しい響きがあるものでした。
「去っていく」
「仏教の思想があるんだよね」
「そう言われてるね」
 オシツオサレツも二つの頭でお話します。
「先生もそう言ってたね」
「この前読んでいて」
「その思想は」
 チーチーの表情も神妙なものです。
「深いよね」
「深くて悲しくて」
 ジップの言葉も神妙なものです。
「考えさせられるお話だね」
「悲しく死ぬまでの人いたかな」
 ホワイティはこのことから思うのでした。
「平家の人達も義仲さんも義経さんも」
「僕もあまり思わないよ」
 平家物語の人達が悲しい結末を迎えていくことはというのです。
「確かに平家の人達や義仲さんはどうかっていう部分も多いけれどね」
「それでもだよね」
「果たしてあんな目に遭うだけの人達か」
「敗れ去って悲しく死んでいく」
「そうした人達か」
「義経さんがああなったことは政治によるものでもね」
 鎌倉幕府のそれでというのです。
「それでもね」
「悲しい結末はね」
「やっぱりどうなってなるわね」
「先生にしても」
「僕は本当に頼朝さんが好きになれないから」
 平家物語の中だけではありません、先生は日本史を学んでいてもこの人をどうしても隙になれないのです。
「だからね」
「それでだよね」
「あの人については」
「好きじゃなくて」
「あの人と戦った人達についても」
「それが平家の人達で義仲さんで義経さんだからね」
 平家物語で悲しい結末を迎える人達だというのです。
「余計に思うよ」
「そうだよね」
「驕る平家と言っても」
 それでもというのです。
「幾ら何でもね」
「悲し過ぎて」
「同情するよね」
「どうしても」
「僕もね」
 こう皆にも言います。ですが。 

 

第一幕その十

「巨人についてはね」
「どうしてもね」
「過去があんまりだから」
「先生も」
「自業自得にね」
 そのようにというのです。
「思えるよ」
「まあそれはね」
「僕達もね」
「そのあたりは」
「先生と同じだよ」
「巨人はこれまでがね」
「あんまりだったから」
「そのことを思うと」
「やっぱりね」
「そうだね、僕は資本主義を否定しないけれど」
 それでもというのです。
「それでもね」
「巨人のやり方は」
「あんまりだったから」
「そのことを思う」
「因果応報だね」
「今の有様も」
「そうだね」
「僕はそう思うよ、そして」
 さらに言う先生でした。
「阪神はね」
「ちゃんとね」
「努力してきたから」
「それでだね」
「今は強いんだね」
「あのチームは補強ばかりで」
 そればかりに必死だったからというのです。
「他のことを怠ってきたからね」
「だからいい選手が育たなくて」
「ああなったんだね」
「毎年最下位で」
「百敗までするんだね」
「お金ばかり使っても」
 あるうちにです。
「なくなるとね」
「他にはだね」
「何もなくなって」
「ああなるんだね」
「そうだよ」
 先生は言いました。
「これは野球だけじゃなくてね」
「他のスポーツでもそうだね」
「サッカーでも」
「それにラグビーでも」
「同じだね」
「そう、お金は大事でも」
 それでもとです、先生はさらに言いました。
「それだけじゃないよ、世の中は」
「だよね」
「ちゃんと選手の人達を育てて」
「それもバランスよく」
「そうしないとね」
「組織は駄目だよ、しかし」
 先生は考えるお顔でお話を戻してお話しました。
「巨人も親会社はマスコミだからね」
「そうなのよね」
「あそこの親会社はマスコミで」
「系列の新聞は今も巨人一色よ」
「今は人気最下位でも」
 そこまで落ちてもというのです。
「それでもね」
「今でもマスコミが親会社だから」
「宣伝はされてるね」
「全国紙でね」
「それはやっているね」
 今もというのです。
「ああしてね」
「そうだよね」
「いいか悪いかは別にして」
「宣伝が続いてるわ」
「ちゃんとね」
「やっぱり日本のマスコミは物凄く深刻な問題を沢山抱えているから」
 ここでまたマスコミのお話をするのでした。
「それがだね」
「出てしまって」
「それでよね」
「ああしたことをして」
「長い間好き放題していたのね」
「日本のマスコミは言うならば」 
 先生がここで言うことはといいますと。
「昔の教会かな」
「ローマ=カトリック教会?」
「あの教会?」
「あの教会だっていうの」
「権力を持っていて正義を言うけれど」
 それでもというのです。
「その実はね」
「とんでもなく腐敗していて」
「それでやりたい放題で」
「どうしようもなくなっているから」
「僕が見る限りはね」
 こう断ってのお言葉でした。 

 

第一幕その十一

「日本のマスコミは中世の教会だよ」
「あんなにとんでもない組織なの」
「あの時の教会は本当に酷くて」
「異端審問とか免罪符とかやっていたけれど」
「あんな風なのね」
「日本は三権分立の国だね」
 三つの権力を分けてお互いにチェックし合ってその専横や腐敗を防ぐという仕組みです。これは日本だけが採用している訳ではありません。
「そうだね」
「うん、イギリスも同じだね」
「他の民主主義国家もね」
「立法、行政、司法のね」
「三権に分かれているよ」
「それが三つの権力で」
 それでというのです。
「第四の権力がね」
「マスコミだよね」
「言うなら」
「今のお話の流れだと」
「だけれどね」
 その第四の権力のマスコミがというのです。
「その第四の権力が日本ではね」
「酷いんだよね」
「もうどうにもならない位に」
「しかもやりたい放題で」
「とんでもないところになってるね」
「そうだったんだ、ネットが出るまでは」
 マスコミをチェックするこの場所が世に出て来るまではというのです、先生は皆にデイリーを開いたままお話しました。
「本当にね」
「マスコミがやりたい放題で腐敗しきって」
「そのうえで権力を握っていて」
「最悪の状況だったんだね」
「しかもその権力の強さは第一だったからね」
 第四の権力といってもというのです。
「国家の三つの権力よりも強かったんだ」
「第一っていうとね」
「立法、行政、司法より強かった」
「そうだったんだ」
「この三つの権力はコントロールが効くよ」 
 立法、行政、司法はというのです。
「お互いにチェックしているしね、国民も見ていて正しいか間違っているのかを見ているからね」
「日本でもイギリスでもね」
「そしてそれ以外の国でもね」
「国民の人達がチェックして」
「おかしいことにならない様になってるよね」
「マスコミが特にそれをすると思われていたんだ」
 第四の権力であるこの人達がというのです。
「かつてはね、嘘を吐かなくてちゃんとした記事や報道を出すってね」
「そう思われていたんだね」
「マスコミは正義だって」
「権力をチェックして悪いことはしない」
「その様に」
「けれど情報を独占して」
 そうしていてというのです。
「そこにお金も集まったから」
「物凄い権力を握って」
「その心がおかしかったから」
「どんどん腐敗していって」
「ああなったんだね」
「マスコミは社会の木鐸じゃなかったんだ」
 そう言われた正しい存在ではなかったというので。
「その実は僕が今お話した通りだよ」
「そうした日本のマスコミの中でどの新聞がいいか」
「それはデイリーだね」
「先生が思うに」
「そうだよ、そして今日の記事もね」
 それも見て言う先生でした。
「読んでいて励まされて楽しい記事だね」
「デイリーらしくて」
「それでだよね」
「これからもね」
「読んでいくわね」
「そうしていくわね」
「ええ、これからね」
 こう話してでした、先生は皆と一緒にデイリーを読んでいました。そうしてそのうえで笑顔になるのでした。 

 

第二幕その一

                第二幕  リトルリーグ
 王子は先生のお家にお邪魔して和菓子やお茶を楽しみながら先生達とお喋りをしていました、その中で。
 ふとです、王子は先生にこんなお話をしました。
「この前グラウンドで子供達の野球を観たんだ」
「遊びかな」
「いや、リトルリーグだよ」
 そちらだとです、王子はトミーに羊羹を食べつつ答えました。
「そちらの野球だよ」
「そっちだったんだ」
「いや、観ていてもね」
 王子はトミーに笑顔でお話しました。
「面白いね」
「野球は」
「ラグビーやサッカーやラクロスもいいけれど」
「イギリスの球技もだね」
「野球もね」
 こちらの球技もというのです。
「観ていて面白いね」
「それで観て楽しんでいたんだね」
「丁度時間があったしね、ただね」
「ただ?」
「ユニフォームがね」
 そのチームのそれがというのです。
「派手だったんだよね」
「どんなのだったのかな」
 先生が王子に尋ねました。
「それで」
「帽子と上がオレンジで下が白だったんだ」
「昔の日本ハムのユニフォームみたいだね」
「北海道のチームだね」
「昔は東京ドームが本拠地でね」
 先生は王子のその日本ハムのお話もしました。
「そうしたユニフォームだったんだ」
「オレンジだったんだ」
「調べたらね、それで派手でも格好良かったね」
「いいユニフォームだったよ」
 オレンジのそれがとです、王子は先生ににこりと笑って答えました。
「とてもね」
「センスがあったね」
「そうしたユニフォームだったよ」
「ユニフォームもよし悪しがあるからね」
「日本のプロ野球でもそうだよね」
「高校野球でもだね」
「僕が好きな高校野球のユニフォームは」
 どの高校のものかとです、王子はお話しました。
「この前見た奈良県の高校でね」
「どの高校かな」
「学校の名前は忘れたけれど」
 それでもとお話した王子でした。
「上下白で帽子が紫の」
「ああ、天理高校だね」
「あの学校のものだったんだ」
「高校野球で上下白で帽子が紫は」
 このユニフォームはというのです。
「天理高校だよ」
「あの学校なんだ」
「そうだよ」
「最近奈良では智弁が強いよね」
「和歌山の方もね」
「それでも天理も強くてね」
 それでというのです。
「僕も見たけれど」
「いいと思ったんだね」
「センスのいいデザインだとね」
「そうだね、僕もあの高校のユニフォームはね」
「いいと思うんだね、先生も」
「かなりね、あと八条学園高等部のユニフォームも」
 こちらもというのです。
「上下白で帽子はマリンブルーだね」
「それで感じで八が入ってるね」
「あのユニフォームもね」
「好きなんだね」
「そうだよ」
「うん、あそこもいいよね」
「そうだね、それでプロ野球は」
 これはといいますと。
「どのユニフォームが一番いいか」
「昔の日本ハムのユニフォームもだね」
「こんなユニフォームだったんだ」
 先生はご自身のスマートフォンを出してでした、王子のその昔の日本ハムのユニフォームを見せました。 

 

第二幕その二

「そのリトルリーグのチームのものに似てるかな」
「殆どそのままだね」
 王子は先生にすぐに答えました。
「はっきり言って」
「そうなんだね」
「センスあるね」
「オレンジの使い方がいいですね」
 トミーも画像のユニフォームを観て言いました。
「このユニフォームは」
「全くだね」
「僕は九十年代の横浜のユニフォームが好きですが」
「日本一になった時だね」
「青と白いラインの使い方がお洒落ですよね」
「そうだよね、あれもいいね」
「他には」
 先生はさらに言いました。
「ホークスのユニフォームもロッテのもいいね」
「黄金時代の西武のライトブルーのユニフォームも」
「どれもいいね」 
 本当にというのです。
「楽天もいいしね」
「日本人の服のセンスでしょうかね」
「うん、全日本のものもいいしね」
「あれも恰好いいですね」
「サッカーのユニフォームもね」
 先生はこちらのお話もしました。
「いいしね」
「サムライブルーですね」
「クールジャパンというけれど」
「その象徴みたいですね」
「僕もそう思うよ」
「そして個人的に一番好きなのは」
 王子が満面の笑顔で言うことはといいますと。
「阪神の白地に黒の縦縞の」
「あの伝統のユニフォームだね」
「あの服シンプルだけれど」
 それでもというのです。
「独特の華があるんだよね」
「うん、ただ恰好いいだけじゃなくてね」
「華があるよね」
「阪神は本当に華があるチームだけれど」
「ユニフォームもそうだよね」
「絵になるんだよ」
「ユニフォームもだね」
「本当にね、あんまりにもいいから」
 だからだというのです。
「多くの人達に愛されているんだよ」
「あのユニフォームもだね」
「そうだよ、阪神はユニフォームまで華があるけれど」
 それでもというのです。
「あのユニフォームが一番華があるね」
「先生もそう思うよね」
「そうだよ、阪神の好きな部分の一つだよ」
 そのユニフォームがというのです。
「白地に黒い縦縞のそれもね」
「そこまで好きなんだ」
「そうだよ、あとね」
「あと?」
「時々復刻されて着ている上下共に黒のね」
「あっ、かなり昔の」
「そう、確か黎明期の頃だったかな」
 阪神というちーむのというのです。
「その頃のね」
「ユニフォームで」
「これがかなりよかったし」
「時々今も見ますね」
 トミーが笑顔で言ってきました。
「復刻ってことで」
「あれは面白いことだね」
「昔のユニフォームを着ての試合も」
「それで僕もはじめて見たけれどね」
「恰好いいですよね」
「上下共に真っ黒とかね」 
 そのユニフォームがとです、先生は笑顔でお話するのでした。
「センスを感じるよね」
「こちらのユニフォームにも」
「本当にね」
「只でさえ絵になるチームがですよね」
「あのユニフォームになると」
 まさにというのです。 

 

第二幕その三

「絶妙の恰好よさも出て」
「余計に絵になりますね」
「本当にね」
「阪神程絵になるチームってないね」
「全くだね」
 オシツオサレツも二つの頭で言います。
「いつもこうお話してるけれど」
「実際にそうだよね」
「どんなユニフォームもいいけれど」
「あの黒いユニフォームにはまた別格の恰好良さがあってね」 
 チープサイドの家族もお話します。
「本当に絵になるね」
「昔の阪神の人達は凄くいいセンスしてるね」
「僕は個人的には白の縦縞が好きだけれど」
 トートーも言ってきました。
「あのユニフォームも好きだよ」
「結論から言えば阪神はそこにあるだけで絵になるの」
 そうしたチームだとです、ポリネシアは断言しました。
「奇跡的にね」
「だからどんなユニフォームもかなりいいんだよね」
 老馬の言葉はしみじみとしたものです。
「実際に」
「けれどだよ」
 ダブダブは老馬に言いました。
「その中でもあの黒いのはかなり高得点だよね」
「本当にどうやってあんな恰好いいの考えたのかな」
 ホワイティはそこに奇跡さえ見ていました。
「不思議な位だよ」
「甲子園であのユニフォーム着たら」
 まさにとです、ガブガブは言いました。
「最高よ」
「それで勝っても負けても絵になる」
 チーチーの言葉は笑っているものです。
「素敵だよね」
「じゃあ来シーズンあのユニフォ―ムを甲子園で観る機会があったら」
 最後にジップが言ってきました。
「是非皆で行こうね」
「そうしようね、やっぱりね」 
 何といってもとです、先生は動物の皆に応えました。
「阪神の試合は絵になってね」
「黒いユニフォームもね」
「最高にいいからね」
「皆で観に行こう」
「そうしようね」
「今から楽しみだよ、そういえば」
 阪神のお話をさらに言うのでした。
「今年のドラフトもね」
「いい選手が来てくれたみたいだね」
「ドラフト一位の人もね」
「抜群の人でね」
「期待出来そうね」
「阪神はドラフトでいい投手を獲得出来たら」
 そうなればというのです。
「かなりの確率で上手に育てられるからね」
「これ凄い伝統だよね」
「阪神ならではの」
「甲子園で活躍した人が阪神に入って」
「優勝に貢献してくれたし」
「中西清起投手だね」
 先生はすぐにこの人の名前を出してきました。
「あの人は甲子園で力投してね」
「それを見てだよね」
「阪神のスカウトの人達もこれだって思って」
「それでドラフトで指名して」
「阪神に入ってね」
「大活躍したのよね」
「そうだよ、その力投からね」
 甲子園でのこのことからというのです。
「球道くんっていう野球のモデルになったって説もあるんだ」
「へえ、そうなんだ」
「そこまでの力投だったんだね」
「それで阪神に入ってもね」
「力投してくれたんだね」
「そう言われているよ、とにかく阪神は伝統的にピッチャーがいいんだよね」 
 先生は嬉しそうに言いました。 

 

第二幕その四

「だからマウンドを観ることが楽しみだよ」
「好投、力投を観られるから」
「たまにここぞって時に打たれるけれど」
「それもまた絵になるし」
「いいんだね」
「僕はそう思いながら観ているよ、ただね」
 こうも言う先生でした。
「阪神は弱い時でも実は打たれてないんだよね」
「負けるからそう思われているね」
 王子も言ってきました。
「どうしても」
「そう、けれどね」
「防御率自体はいいよね」
「暗黒時代でもそうだったし」
 それにというのです。
「ホームランもあまり打たれてないんだ」
「ここぞって時に打たれるから」
「よく打たれるってイメージがあるだけで」
「その実はだね」
「あまり打たれてないから」
「そうなんだね」
「むしろパリーグのチームの方がね」
 こちらのリーグのチームの方がというのです。
「よく打たれているんだ」
「そうなんだね」
「阪神はインパクトのあるチームだから」
「ホームランを打たれる時もなんだ」
「打った時もそうで」
 こちらの時もそうでというのです。
「打たれた時がまたね」
「絵になって」
「記憶に残ってしまうんだ」
「難儀なお話だね」
「阪神ならではのね」
「いいことか悪いことかわからないね」
「それがチームの魅力であり人気になっているから」
 それでというのです。
「いいか悪いかは」
「人気の面ではいいことかな」
「そうかもね」
「そのことは難しいね」
「というかサッカーで敵に得点を入れられて絵になるチームあるかな」
 先生はお国のスポーツを思い出しました。
「ラグビーでもトライされて」
「ないですよね」 
 トミーが先生の今の言葉に応えました。
「そうそう」
「やっぱりそうだね」
「負ける姿は」
 どうしてもというのです。
「恰好悪いと思われて」
「それでだよね」
「絵になるとは」
「そんなチームはね」
「まず考えられないですね」
「それが決勝点ならね」
 サッカーでもラグビーでもというのです。
「相手チームが絵になって」
「こちらは項垂れてですね」
「敗者の姿となるけれど」
「阪神は逆に敗者の姿でも」
「むしろ相手より絵になるからね」
「凄いですよね」
「日本に来てこんなチームがあるのかってね」
 先生は笑顔でこうしたお話もしました。
「驚いた位だよ」
「やっぱり普通じゃないですからね」
「だからね、僕はそれまで野球に興味はなかったけれど」
 そしてスポーツ自体にもです。
「阪神を観てね」
「阪神ファンになって」
「野球にも興味を持ったよ」
 そうなったというのです、スポーツとは無縁だった先生にとってこれ以上はない変化の一つです。日本に来てからの。 

 

第二幕その五

「そうなったよ」
「そうですよね」
「まさかね」
 王子も信じられないというお顔で言います。
「阪神の様なチームが日本にあるとは」
「思わないね」
「夢にもだよ」
 こう先生に答えました。
「思わなかったよ、けれどね」
「その目で観てだね」
「最初は驚いたけれど」
 それでもというのです。
「今はね」
「その驚きがだね」
「応援になっているよ」
「それに変わったね」
「今の僕はね、だからね」
「王子も阪神が好きだね」
「本当にね、ただね」
 王子はこんなことも言いました。
「あのチームはダイナマイト打線だよね」
「打線が強いといつも言われるね」
「打線はそれなりに打つけれど」
 それでもというのです。
「チーム打率も得点もホームラン数もね」
「そう、図抜けていいか」
「大体どれも二位か三位でね」
 リーグ内の順番ではです。
「そんなところでね」
「圧倒的ではないね」
「そう思うよ、僕は」
「僕もだよ」
 先生も思うことでした。
「頼りになる打線でも」
「ダイナマイトというにはね」
「そこまではいかないね」
「そうだね、むしろ本当に投手陣のチームで」
 それでというのです。
「とんでもないレベルの投手陣で相手に得点を許さないね」
「それが阪神だね」
「あそこまでピッチャーがいいチームないよ」
「それが伝統というから尚更ね」
「いいよね」
「僕も思うよ、ただね」
 先生は少し上の方を見ました、それまで食べていた羊羹からは一時にしても目を離してのことです。
「ここでね」
「ここで?」
「誰か頼りになる人が入ったら」
「バッターにだね」
「そうなったら」
 その時はというのです。
「あくまでその人が怪我をしないでずっと阪神にいてくれたら」
「それでだよね」
「阪神の戦力がアップするね」
「頼りになるバッターが一人いたら」
「それで全然違うね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「そうした人がいて欲しいね」
「ポジションは」
 このことを聞いたのはトミーでした。
「何処でしょうか」
「そうだね、キャッチャーかな」
「キャッチャーですか」
「野村克也さんみたいな」
「あの名監督の人ですか」
「あの人が現役時代みたいな。それか」
 こうも言う先生でした。 

 

第二幕その六

「古田敦也さんかな」
「あの人ですか」
「あの人みたいなキャッチャーがいたら」
「打ってちゃんとリードしてくれる」
「守備も肩もいいね」
「それで相手チームの分析も凄い」
「そうした人がいてくれたら」
 それならというのです。
「阪神は凄く強くなるよ」
「無敵でしょうか」
「まさに無敵だよ、一人凄いバッターが入って」
 それにというのです。
「そこにだよ」
「名キャッチャーもいたら」
「こんなにいいことはないよ」
「そういえばね」 
 王子もここで言いました。
「阪神が優勝した時は」
「その時はだね」
「いいキャッチャーがいてくれてるね」
「大抵そうだね」
「日本一の時は木戸さんがいて」
「二〇〇三年と二〇〇五年の時は矢野さんだったね」
「その人達がいてくれて」
 それでというのです。
「いい活躍をしてくれたね」
「そう、強いチームはね」
「いいキャッチャーがいることが多いね」
「そうだよね」
「さっき話した黄金時代の時の西武は」
 このチームはといいますと。
「伊東さんがいたね」
「西武やロッテで監督だった」
「あの人がいたからね」
 だからだというのです。
「強かったんだよ」
「強力な投手陣や打線、守備陣に加えて」
「その投手陣の凄いボールを受けて」
 そしてというのです。
「リードして守備のね」
「要だね」
「そうだったからね」 
 こう王子にお話します。
「そしてね」
「西武の強さの一端だったんだね」
「そうだったからね」
 それ故にというのです。
「優秀なキャッチャーはね」
「強いチームには欠かせないんだね」
「どうしてもね」
「一人でもなんだ」
「まあ二人いたらね」
 その時はといいますと。
「万全だけれどね」
「いいキャッチャーが」
「まあそんなチームは殆どなかったけれど」
「殆どといいますと」
 トミーは先生のその言葉に気付いて言いました。
「ひょっとして」
「あるにはあったよ」
「そうなんですね」
「七十年代後半から八十年代前半の近鉄だね」
「あのチームですか」
「あの時の近鉄にはね」
「いいキャッチャーの人が二人いたんですね」
「そう、梨田さんと有田さんだよ」
 この人達がいたというのです。
「二人共タイプは違うけれどね」
「いいキャッチャーで」
「それで近鉄を支えたんだ」
「そういえばその時の近鉄も」
「優勝しているね」
「そうでしたね」
「今の阪神もいいキャッチャーの人がいるけれど」 
 先生はまたこのチームのお話をしました。 

 

第二幕その七

「ですが」
「それでもですか」
「そう、あの人ももう三十代半ばで」
「野球選手としては」
「そろそろ引退だからね」
 そうした年齢になってきたというのです。
「だからね」
「そろそろですか」
「いいキャッチャーの人が欲しいね」
「そしてそうした人が入団すれば」
「阪神は強いままだよ」
 そうした人がいてくれればというのです。
「野村さんや古田さんの様な人がいればね」
「そうなりますね」
「何処かにいて阪神に入ってくれたら」
 先生は心から思いました、そうしてでした。
 また羊羹を食べました、そのうえで言いました。
「美味しい羊羹だね」
「そうだよね」
「この羊羹美味しいよ」
「甘くてそれでいてくどくなくて」
「とても美味しいよ」
 動物の皆もその羊羹について先生に応えます、見れば皆も羊羹を食べてお茶を飲んで楽しんでいます。
「商店街の和菓子屋さんのものだね」
「この羊羹は」
「そうだよね」
「あそこで買ったものだね」
「そうだよ」
 トミーが皆に答えました。
「駅前の方の商店街のね」
「あそこの和菓子屋さんでだね」
「買ったもので」
「それを出してくれたんだ」
「そうなんだ」
 トミーは皆にさらにお話しました。
「この羊羹はね」
「やっぱりそうだね」
「あそこの商店街いいよね」
「いいお店が揃っていてね」
「とてもいいね」
「そうだね、八条町は商店街が二つあるけれど」
 先生も言ってきました。
「どっちの商店街もいいね」
「駅前も学園前もね」
「商店街二つあって」
「どっちも賑わっていて」
「観光地にもなっていて」
「いつも賑わってるから」
「最近日本の商店街は」 
 先生は商店街全体についてどうかというお顔で言いました。
「寂れてる場所が多いけれどね」
「商店街は駅前にあるけれど」 
 ここで言ったのはトートーでした。
「鉄道自体が衰退してるからね」
「それで百貨店もね」
 こちらもと言ったのはチーチーでした。
「傾いているし」
「昔は違ったんだよね」
 ジップも寂しそうに言います。
「駅前はいつも賑わっていて」
「いい場所だったんだよね」
「そこにあるお店は全部繁盛していて」
 チープサイドの家族も寂しそうです。
「駅前が一番賑わってる」
「そうだったんだよね、日本は」
「色々なお店もあって」
 ポリネシアも言います。
「商店街もよくて」
「それが鉄道が衰退して」 
 ガブガブは少し俯いた感じです。
「商店街もそうなったから」
「お店は車道に多くなった?」
 こう言ったのはダブダブです。
「今の日本は」
「そんな傾向あるよね」
 ホワイティはダブダブの言葉に頷きました。
「今の日本は」
「列車から車」
 老馬のお顔は考えるものになっています。 

 

第二幕その八

「それが顕著になったのかな」
「だから商店街はどんどん寂れて」
「車道にお店が増えて」
 オシツオサレツも二つの頭で考えました。
「百貨店じゃなくてショッピングセンターとかね」
「そういうのになっていったんだね」
「そうだろうね、だから日本全体を見れば」 
 どうしてもと言う先生でした。
「商店街は衰退しているんだ」
「全体から見て」
「そうなってるんだね」
「どうしても」
「日本のものは」
「そうだろうね、しかし」
 こうも言う先生でした。
「ちゃんと努力している商店街はね」
「今もだね」
「ちゃんと繁盛してるのね」
「八条町の二つの商店街みたいに」
「そうなっているんだね」
「そうだよ、商売も努力だから」
 それあってのものだからというのです。
「ちゃんとしていると」
「いいんだね」
「八条町の二つの商店街も」
「繁盛していて」
「こうした美味しいものも食べられるんだね」
「そうなるんだ、しかし」
 こうも言う先生でした。
「この羊羹は本当に美味しいね」
「全くだよ、食べ過ぎてね」
 見れば王子が一番よく食べています。
「太ってしまうよ」
「ははは、嬉しい悩みだよね」
「そうだよね」
「まあ和菓子は全体的にね」
「カロリーは低いね」
「そうだよ、それにね」
 先生はさらにお話しました。
「食べやすいからね」
「そうそう、甘ったるくなくてね」
「適度な甘さだからね」
「食べやすいから」
「お茶にも合っていて」
「いいんだよね」
「そうそう」
 二人でお話します、そしてです。
 先生はお茶も飲んでまた言いました。
「これもね」
「美味しいね」
「お茶があるとね」
「尚更いいよね」
「丁度三時だし」
「先生は三時になると絶対にティータイムだね」
「それがないと」
 ティータイムでないと、というのです。
「駄目だね、だからね」
「羊羹だけじゃなくて」
「きんつばもあるし」
 見ればそちらもあります。
「そばぼうろもね」
「三段であるね」
「和風のティ―セットだね」
「そうだよね」
「やっぱり三時はね」 
 この時間はというのです。
「ティ―セットだよ」
「和風でも中華風でも」
「アメリカ風でもね」
「三時は絶対にだね」
「ティーセットがあって」
 そうしてというのです。
「素敵だよ」
「そうだね」
「若し三時にお茶とセットがないと」
「先生は調子が出ないね」
「そうなんだ、どうもこの辺りは」  
 先生は王子に少し苦笑いになってお話しました。 

 

第二幕その九

「イギリス生まれだからかな」
「それでだよね」
「三時になると飲んで食べる」
 そしてというのです。
「それは三度の食事とね」
「同じだね」
「僕にとってはね」
「そうだよね、じゃあ」
「今日も楽しむよ」
「そうするね」
「心からね」
 こうしたことをお話してでした、先生達は。
 皆で和風のティータイムを楽しみました、それからです。
 先生はまた論文を書きますがこの時にです、こんなことを言いました。
「今回の論文は医学についてなんだ」
「ああ、先生の専門分野だね」
「そう、僕は医者でね」
 それでというのです。
「やっぱり論文もね」
「そっちもだね」
「こちらのことがね」
 まさにというのです。
「第一でね」
「それでだね」
「一番書いているし」 
 論文はというのです。
「今回もなんだ」
「そっちをなのね」
「書いてね」 
 そしてというのです。
「楽しんでいるよ」
「そうなんだ、ただね」
「ただ?」
「今度の論文は精神科でね」
「そっちなんだ」
「医学でも専門外なんだよね」
 こう言うのでした。
「書かせてもらうにしても」
「いい論文を書けるか」
「そのことがね」
 どうしてもというのです。
「自信がないよ」
「そうなんだね」
「精神科の論文は前にも書いたことがあるけれど」
「その論文もなんだ」
「どうもね」  
 これがというのです。
「いいものが書けるか」
「そのことについては」
「自信がないね、けれどね」
「論文、学問ならだね」
「やっぱりね」
 それならというのです。
「全部楽しいから」
「先生は学問ならだよね」
「全部楽しいから」
 先生は王子にそのことはと答えました。
「苦痛ではね」
「ないよね」
「そうなんだ」
 自信がなくてもというのです。
「そこは違うよ」
「楽しんでいたら」
「それならかな」
「いいんじゃないかな」
 こう先生に言うのでした。
「自信がなくても楽しいなら」
「僕自身がだね」
「それでいいと思うよ」
「そうだね」
 実際にとです、先生も応えました。
「じゃあいいものを書けるかどうかは置いておいて」
「それでだね」
「書いていくといいよ」
「調べてだね」
「そうしたらね」
「うん、じゃあね」
「そうして書いていくね」
 王子に答えました。 

 

第二幕その十

「これから」
「そうしてね」
「精神科の人もちゃんとね」
「勉強してるね」
「日本でもそうした人が多いね」
「そうだよね」
「中にはおかしな人もいるけれど」
 先生は少し首を傾げさせてこうも言いました。
「どうもね」
「というと」
「いや、時々テレビに出ていて」
 そしてというのです。
「ツイッターでも呟いてる」
「そうした人がなんだ」
「いてね」
 それでというのです。
「おかしなことばかり言ってるんだ」
「そうした人って何処でもいるね」
「あまりにもおかしくて」
 その言ってることがというのです。
「この人本当にね」
「ああ、精神科医か」
「それがね」
 どうもというのです。
「疑問に思う様な」
「そうした人もいるんだ」
「そうなんだ」
 実際にというのです。
「これがね」
「精神科医なのに」
「本当にそうなのかってね」
「普通精神科医っていいますと」
 ここで、です。トミーも言ってきました。
「そうした人をですね」
「観るね」
「そうですよね」
「それがね」
「そうした人がいて」
「僕もね」
 どうにもというのです。
「おかしいってね」
「思いますか」
「うん、だからね」
 それでというのです。
「時々疑問に思うよ」
「その人そんなにおかしいですか」
「昔は美人精神科医とか言われていたけれど」 
 その人がというのです。
「今ではね」
「おかしなことばかり言う」
「そんな人になっているんだ」
「そうですか」
「そんな人で」
 それでというのです。
「僕も見ていて本気でね」
「精神科医かってですか」
「その人を見て思うよ」
「そこまで酷いんですね」
「もう言ってることがね」 
 それこそというのです。
「何から何までおかしくて」
「それで、ですか」
「そう思っていて今では人相もね」
「それもですか」
「変わったよ」
 昔は美人と言われていたのにというのです。
「かなりね」
「そうなったんですね」
「そう、そして」
 それにというのです。
「漫画のキャラクターみたいな」
「漫画のですか」
「あえて荒らした風に描いているギャグ漫画のね」
 その様にというのです。 

 

第二幕その十一

「そんな風になったんだ」
「生き方って人相に出ますよね」
「どうしてもね」
「それで、ですか」
「その人もね」
「人相が変わって」
「そんな風になってるよ、本当にいい生き方をしないと」
 どうしてもというのです。
「悪いお顔になるね」
「それはあるね」
「そうだね」
「ヤクザ屋さんとかね」
「そうなるよね」
 動物の皆も頷くことでした。
「美形でも誰でも」
「生き方が悪いと」
「人相が悪くなって」
「結果として悪い顔になるね」
「そうだね、思えば」 
 さらにお話する先生でした。
「日本のテレビにはね」
「あっ、人相の悪い人が」
「そうした人もいるね」
「コメンテーターとかで」
「どうかっていうこと言う人で」
「人相の悪い人多いね」
「そうだね、やっぱり生き方がね」 
 どうしてもというのです。
「出てね」
「人相が悪くなって」
「それで人がわかる」
「そんなこともあるね」
「ヤクザ屋さんは生き方が出て」 
 まさにというのです。
「悪い人相になるから」
「テレビのコメンテーターの人も」
「おかしなことばかり言っててやってて」
「人相が悪くなって」
「それが出ているんだ」
「そういうことだね」
 先生はまた言いました。
「本当に」
「残念なことだね」
「といいますと」
「折角この世に生まれてきたのに」
 それでもとです、先生はトミーにどうかというお顔でお話しました。
「悪いことばかり考えて言って行ってね」
「そうしたお顔になることがですか」
「残念だよ、この世に生まれたら」
「いいことをですね」
「そう、考えて言って行ってね」
 そしてというのです。
「いい相にならないとね」
「駄目ですね」
「悪い人はどうしても人相が悪くなってね」 
 そしてというのです。
「目の光もね」
「悪くなりますね」
「いい人の目は澄んでいてね」
 そしてというのです。
「悪い人の目は濁ってるね」
「ですね、よく言われますが」
「とにかくネットで評判の悪い司会者の人がいるけれど」
 今度はこの人のお話をしました。
「その人は三十数年前は凄い謙虚で普通の顔をしていてね」
「目もですか」
「普通だったけれど」
 それがというのです。
「今じゃね」
「全く違うんですね」
「物凄く悪い人相になって」
 三十数年前とは全く違ってというのです。
「目の光もね」
「変わったんですね」
「そうなったんだ」
「そうですか」
「そんな生き方はしないことだよ」
 それこそと言う先生でした。
「絶対にね」
「そうあるべきですね」
「そう、そしてそうした人がテレビに出る人や新聞記者に多いのがね」
「日本ですね」
「ヤクザ屋さんより人相の悪い人が多いよ」
 そこまでというのです。
「童話の悪い魔女みたいな顔の人もいるし」
「魔女ですか」
「そんな風だから」
 それでというのです。
「日本ではマスコミには注意しないとね」
「駄目ですね」
「心から思うよ」
 先生は今も思うのでした、日本のマスコミの酷さについて。素晴らしい国でもそうした部分があるのだとも思いつつ。 

 

第三幕その一

                第三幕  リトルリーグ
 先生は今日も大学に出勤して講義や研究に精を出しています、その中で動物の皆にこんなことを言われました。
「先生最近野球のお話結構するよね」
「特に阪神のことについて」
「じゃあうちの野球部はどうかしら」
「八条大学の」
「ああ、この大学の野球部は強いよね」 
 先生は研究室の中で論文を書きつつ皆に応えました。
「そうだね」
「大学野球でも強豪だしね」
「何度か優勝もしてるし」
「プロ野球にもいい選手送り出してるしね」
「うん、八条リーグにもね」 
 こちらにもというのです。
「いい選手を送り出してるね」
「日本のもう一つのプロ野球だね」
「八条グループが運営してるね」
「グループの中のそれぞれの企業が運営していて」
「親会社にもなってるね」
「八条グループはこの学園も運営していて」 
 それでというのです。
「日本を代表する、そして世界的な企業を数多く持ってるね」
「鉄道もやってるし」
「鉄鋼業も自動車業もね」
「新聞や雑誌も出してるし」
「食品にパルプに」
「インターネットにも進出してるわね」
「そうした大手の企業がね」
 グループ内のそうした企業がというのです。
「それぞれチームを持ってるね」
「日本の中で二十四だったかな」
「あと台湾やタイ、オーストラリアでもリーグ持ってたね」
「本場アメリカでもで」
「この前中国でもはじめたし」
「メキシコでも前から」
「歴代の総帥さんが野球好きでね」
 このことがあってというのです。
「やってるけれどこれが企業にとってもいいことなんだ」
「っていうと?」
「それぞれの企業にもっていうと」
「どういうことかな」
「その企業の名前が毎日何もしなくても新聞やテレビで出るからね」
 そうなるからだというのです。
「プロ野球のチームを持ってたら」
「それで名前知られるからなんだ」
「つまりその企業の宣伝になるんだね」
「プロ野球のチームを持っていたら」
「そういうことね」
「そうだよ、正直軍需産業よりもね」 
 こちらの産業で企業経営をするよりもというのです。
「実入りがいいよ」
「球団経営って赤字っていうけれど」
「色々お金かかって」
「それでもなんだ」
「実入りがいいのね」
「だって毎日それだけでその運営している会社の名前が日本全土にいつも出て日本の人達に覚えてもらえるから」
 だからだというのです。
「多少赤字経営でもね」
「実入りはある」
「最高の宣伝になるから」
「だからいいんだね」
「そうだよ、楽天にしてもね」 
 この企業でもというのです。
「成り行きみたいな形で球団経営はじめたけれど」
「毎日いつも自分の企業の名前が出て」
「最高の宣伝になってるから」
「それでいいってなってるのね」
「そうだよ、こんないいことはないってね」
 その様にというのです。
「楽天側も今はそう考えてるみたいだよ」
「そうなのね」
「球団を持つことはその企業にもいい」
「そうなのね」
「そうだよ、まあ親会社の評判が悪いと」
 その時はといいますと。 

 

第三幕その二

「運営しているチームも不人気だけれどね」
「巨人とかね」
「あのチーム本当に人気ないね」
「東京ドームの一塁側いつもガラガラだし」
「ネットでも評判は散々で」
「ああしたチームもあるけれどね」
 戦力も成績も人気も十二球団でダントツで最低のチームもです、親会社の評判もとにかく悪いうえに。
「やっぱりね」
「球団経営はだね」
「運営するチームにもいい」
「そういうことだね」
「だから八条グループでもね」
 この中でもというのです。
「それぞれの大手企業が運営しているんだ」
「それでスポーツを楽しんで」
「それに企業の宣伝もしている」
「そういうことね」
「二十四のチームでね」
 そうなっているというのです。
「それでこの大学でもね」
「野球部強いんだね」
「高等部も甲子園の常連だしね」
「小学校から野球部あるし」
「勿論中等部でもね」
「サッカーやバスケもあるけれど」
 学園内には幼等部つまり小学校からです。
「野球もそうだね」
「それでだよね」
「皆楽しんでいて」
「大学からはプロ野球選手も出てるね」
「高等部の方からも」
「そうだね、そういえば」
 ここで先生はこうも言いました。
「僕はプロ野球の方に関心があるけれど」
「大学野球はなんだ」
「あまり関心がないんだ」
「そうだったんだ」
「そうだったよ、これではね」
 どうにもと言うのでした。
「よくないね」
「ううん、じゃあね」
「ここはちょっと観に行ってみる?」
「大学の野球部の方も」
「そうしてみたら?」
「そうだね」
 先生は皆の言葉に頷きました。
「それじゃあね」
「うん、早速ね」
「ちょっと観に行きましょう」
「今日にでもね」
「野球のグラウンドの方に行って」
「そのうえでね」
「そうしよう、しかし」
 こうも言う先生でした。
「うちの学園は敷地が広くてグラウンドも充実していてね」
「そうそう、野球部にしてもね」
「大学と高等部は専用のグラウンドがあるし」
「室内練習場も充実してるし」
「いつも熱心に練習してるね」
「そうしてるね」
「それはいいことだね、サッカーもラグビーもそうだし」
 野球以外のスポーツもというのです。
「そうしたことが充実していることはね」
「それだけでいいよね」
「野球にしても」
「それじゃあね」
「今日もね」
「野球を観に行こうね」 
 こうお話してでした、そのうえで。 
 皆で三時の講義が終わるとその足で野球部の方に向かいました、そうしてグラウンドでの練習を観ていますと。
 ふとです、オシツオサレツが二つの頭で言いました。 

 

第三幕その三

「いいグラウンドだね」
「ここでそのまま試合出来るよ」
「よく整備されてるし」
「いい場所だね」
「これなら」
 ダブダブもそのグラウンドを観て言います。
「いい野球が出来るね」
「芝生もいいね」
 ホワイティは芝生に注目しています」
「天然だね」
「人工芝じゃないんだね」
「そうね」
 チープサイドの家族もお話します。
「日本では最近天然芝が多いけれど」
「このグラウンドもなのね」
「全体的に設備がいいね」
 トートーはこのことに注目しています。
「バッティングの設備も」
「ボールも多いし質もいいわよ」
 ポリネシアはそちらを観て言います。
「バットやグローブも充実してるし」
「皆熱心に練習しているし」
 ガブガブは部員の人達を観ています。
「雰囲気もいいわね」
「しかも闊達で和気藹々としていて」
 老馬はそのことをよしとしています。
「スポーツをしているって感じだね」
「何か先生に合ってる?」
 ジップはこう思いました。
「こうした雰囲気は」
「先生って勝利至上主義じゃないからね」 
 チーチーはジップのその言葉に応えました。
「スポーツマンシップに基づいて楽しむのがスポーツだっていうから」
「その通りだよ、日本はおかしな先生も多くて」
 マスコミと同じくとです、先生は皆にお話しました。
「試合に負けたら部員は全員丸坊主、自分はしないで次の日丸坊主にしている生徒が少ないと暴力を振るう」
「教師以前に人間失格だね」
「自分はしないって何?」
「負けた生徒に責任があって指導する自分にはない?」
「そんな考えの人間が先生?」
「日本の先生も酷いのいるね」
「しかも暴力振るうって」
 皆そのお話には呆れかえりました。
「最低じゃない」
「人間ですらないわよ」
「そんな手合いが子供達を教えてるって」
「大変なことじゃない」
「僕はこうしたことは絶対に駄目だと確信しているよ」
 そもそも先生の中にはこんなことは何一つとしてありません。
「そんな人の部活なんてね」
「絶対に雰囲気悪いよ」
「もう何かあったら暴力で」
「部員の生徒の子達に何するか」
「朝鮮労働党みたいな感じね」
「そう、あの国みたいでね」
 日本だというのにです。
「もう滅茶苦茶にね」
「暴力を振るって」
「生徒を怯えさせて自分の思う通りにしていくのね」
「あんまりだよね」
「そんな人の部活にいたら絶対に駄目よ」
「挙句には受け身を知らない生徒に床の上で背負い投げをするっていうから」
 柔道の技を素人の人に仕掛けるというのです。
「問題外だよ」
「ええと、背負い投げって柔道の技だから」
「畳の上でするのよね」
「しかもちゃんと柔道を知ってる人に」
「受け身位知っている人に」
「そうしたことを一切無視してね」
 そのうえでというのです。
「そんなことをするんだ」
「もうスポーツじゃないね」
「それって暴力じゃない」
「それもかなり酷い部類の」
「リアルでヤクザ屋さんじゃない」
「生徒の人に何かあったらどうするのよ」
 皆先生のお話にさらに呆れました。 

 

第三幕その四

「よくそれでクビにならないわね」
「イギリスじゃ先生にすらなれないわよ」
「というか普通に他のお仕事じゃクビよね」
「懲戒免職間違いなしよ」
「確実にね」
「僕もそうなると思うよ」 
 先生にしてもです。
「日本でも普通の社会ならね」
「学校の先生は違うのね」
「そんな人でも学校の先生になれるのね」
「それでクビにならないで」
「生徒の子達に暴力振るってるのね」
「それが現実なんだよね」
 残念なことにと言う先生でした。
「というか普通採用の時点でないけれどね」
「普通の社会ならね」
「そんなヤクザ屋さんみたいな人採用しないわね」
「絶対に問題起こすから」
「そのことが間違いないから」
「それが世の中だからね、けれど」
 それでもと言う先生でした。
「この野球部は違うね」
「そうだね」
「しっかりしてるよ、皆」
「誰かに怯えてる雰囲気なくて」
「本当に和気藹々としてるわ」
「顧問の先生が暴力で生徒を怯えさせて思い通りにする」
 そんなことはというのです。
「日本の学校の忌まわしい一面だよ」
「そうした先生こそ刑務所に行かないとね」
「この世にいたら駄目な位だよ」
「暴力以外にも悪いことしてそうだしね」
「そんな人は」
「暴力を振るわれた生徒が頭下げて挨拶する横をふんぞり返って通ってうっす、だけの挨拶をする人は」
 先生の言葉には先生にしては珍しい完全な否定がありました、先生は暴力や差別を絶対に認めないからです。
「本当にヤクザ屋さんだよ」
「そのヤクザ屋さんが学校で教鞭を手にしている」
「ぞっとするお話ね」
「日本だけよね」
「嫌なお話だよ」
「それで先生様とか言われるとか」
「仰げば尊しというけれど」
 先生は歌の一節もお話に出しました。
「尊敬するどころか絶対に否定しないといけない」
「そんな人もいるね」
「本当にね」
「反面教師にしないといけない」
「そんな人もいるね」
「勿論いい先生も日本にも大勢いるけれど」
 それでもというのです。
「あまりにも質が悪い人も多いよ」
「本当に他のお仕事にはいない様な」
「ヤクザ屋さんそのものの人がいて」
「生徒に暴力を振るっているとか」
「しかも大手を振って歩いてるなんて」
「そんなことはあらためないとね」
 先生は絶対に、と言葉の中に入れました。
「本当にね」
「全くだね」
「先生の言う通りだよ」
「そんな酷い先生は辞めさせないと」
「一刻も早くね」
「心から思うよ、それでだけれど」
 先生は野球部の練習を観つつ言いました。
「皆筋がいいけれど」
「どうしたの?」
「誰かこれはって人いたの?」
「誰かいるの?」
「あのキャッチャーの子だけれど」
 ブルペンで練習している人を観ての言葉です。
「随分筋がいいね」
「あれっ、そうかな」
「僕は別に」
「私も」
「普通のキャッチャーじゃないかな」
「これといって何もないんじゃ」
「いや、キャッチングがね」
 まずはこちらのことからお話するのでした。 

 

第三幕その五

「何処にどんなボールが来ても普通に捕球してるし」
「そうかな」
「別に普通じゃない?」
「これといって何も」
「凄くないけれど」
「僕が観るとね」
 先生の目ならというのです。
「そう思うんだ」
「そうなんだ」
「そんなにいいキャッチングなんだ」
「そうなんだね」
「それにね」 
 さらにお話する先生でした。
「送球もいいね」
「普通にボール受けて返すだけじゃ」
「そうじゃないんだ」
「私達には普通に見えるけれど」
「先生が観たら」
「うん、プロでもね」 
 そちらでもというのです。
「充分以上に通用するかもね」
「そこまでのキャッチングなんだ」
「それで送球も」
「凄くいいんだ」
「あれなら」
 まさにというのです。
「本当にプロでもいけるよ」
「ううん、それじゃあだね」
「これか凄い選手になるんだね」
「あの人は」
「期待出来るんだ」
「彼がこの野球部で一番凄い選手かもね」
 先生はこう思ってです、野球部の監督さんにお話を伺いました。現場を預かる責任者でもある人にです。監督さんは落田雅士さんという初老の穏やかですが確かな目の光を放っている色黒で蛙に似たお顔立ちの人です。
「彼はうちの正捕手です」
「そうなんですね」
「はい、高校時代から注目されていて」
 それでというのです。
「甲子園にも三度出ています」
「三回もですか」
「その時からプロのスカウトにも注目されていまして」
「今ではですね」
「うちの正捕手で」 
 それでというのです。
「四番も務めています」
「打つ方もいいんですね」
「安定した打率に長打もあって」
「それで、ですか」
「そちらでも主力です」 
 バッティングの方でもというのです。
「足は遅いですが」
「それでもですね」
「他のことは申し分のない」
「そうした人ですか」
「絶対にです」 
 監督さんはその人についてさらに言いました。
「今度のドラフトで」
「プロに指名されてですね」
「プロ入りしますよ」
「そこまでの人ですか」
「そしてプロでも」
 そちらでもというのです。
「絶対にです」
「活躍してくれると」
「私は確信しています」
「そこまでの選手ですか」
「ですから」
 それでというのです。
「期待しています」
「彼のこれからに」
「怪我にも強いですし」
「それが一番大きいですね」
「やっぱりスポーツ選手はですよね」
「怪我がないことです」
「そして怪我をしても」
 万が一とです、先生も言いました。 

 

第三幕その六

「それに強い」
「そうした選手がです」
「一番ですね」
「鉄人という言葉がありますね」
 監督さんはこの言葉も出しました。
「そうですね」
「はい、よく」 
 その通りとです、先生も答えます。
「言われますね」
「怪我をしない、多少の怪我でも大丈夫」
「そうした人に贈られる言葉ですね」
「日本ではかつて衣笠祥雄さんという野球選手がいました」
「広島東洋カープの選手でしたね」
「この人はとにかく怪我をしなくて怪我をしても頑丈で」
 それでというのです。
「多少の怪我では平気でして」
「そのことが、でしたね」
「この人の最大の強みで」
「活躍しましたね」
「幾ら凄い能力を持つ選手でも」
「まず怪我をしないことですね」
「大選手は怪我に強い選手が多いです」
 実際にそうだというのです。
「衣笠さんだけではないですね」
「そうですね、長く活躍してくれる選手もですが」
「プロならですね」
「長く活躍してくれてしかも怪我をしない」 
 先生は言いました。
「こうした選手がですね」
「一番いいですね」
「やはりそうですね」
「衣笠さんもそうでしたし」 
 監督さんは先生にさらにお話しました。
「金田正一さんや王貞治さん、鈴木啓示さんに野村克也さんと」
「どの人もですね」
「活躍が長く」
 そしてというのです。
「怪我にもです」
「強かったですね」
「そうでした」
「そういえばどの人も」
 ここで先生は言いました。
「練習熱心でしたね」
「そして身体のコンディションにもでしたね」
「かなり気を使っていましたね」
「食事のことも考えて」
「そうでしたね」
「そのことは事実です、金本知憲さんも」 
 広島そして阪神で活躍したこの人もというのです。
「活躍期間が長く怪我をしなかったですが」
「練習熱心で」
「しかもコンディションには気をつけていました」
 そうした人だったというのです。
「だからです」
「あれだけ活躍出来ましたね」
「ですから私はいつも言っています」 
 監督さんもというのです。
「まず怪我をしないことです」
「そのことが大事ですね」
「それには練習をしっかりとして」
「食事もですね」
「栄養バランスよく沢山です」
 そうした食事をというのです。
「心掛けるべきだとです」
「選手の人達にもですか」
「お話しています」
 そうしているというのです。
「私も」
「そうなのですね」
「はい、お酒は飲んでもいいですが」
「慎んで、ですね」
「深酒には気をつけて」
 そしてというのです。
「煙草はです」
「控えるべきですね」
「幸いうちの野球部にはいません」
「煙草を吸う人は」
「私も吸いません」
 監督さんもというのです。
 

 

第三幕その七

「若い時から」
「そうですか、僕もです」
「煙草はですか」
「お酒は好きですが」
 それでもとです、先生は監督さんに答えました。
「意識がなくなるまではです」
「飲まれないですか」
「かなり飲んでいますが」
 先生はご自身のことを正直にお話しました、この正直さもまた先生が皆から愛される理由なのです。
「煙草はです」
「吸われないですか」
「一本も」
「そうなのですね」
「やはり煙草は」
 先生はお医者さんとしてお話しました。
「身体にはです」
「よくないですね」
「特にスポーツ選手にとっては」
「吸われない方がいいですね」
「出来るだけ。歌手の人もです」
 この職業の人もというのです。
「出来るだけです」
「吸われない方がいいですか」
「身体全体に悪影響を与えるので」
 それが煙草だからだというのです。
「ですから」
「出来るだけですね」
「スポーツ選手や歌手の人は喫煙は控えるべきです」
「私もそう思っています、そして」
「この野球部ではですか」
「今は喫煙者はいません」
 監督さんははっきりと言い切りました。
「有り難いことに」
「それは何よりですね」
「煙草も駄目なら」
 監督さんは先生にさらにお話しました。
「麻薬はです」
「尚更ですね」
「あれは断じてです」
「犯罪ですし」
「手を出してはならないと」
「選手の人達にもですね」
「言っています」
 そうしているというのです。
「もう選手生命どころかです」
「人間としてですね」
「命にも関わるので」
「だからですね」
「私は麻薬は絶対に許していません」
「いいことです、麻薬中毒になれば」
 どうなるかとです、先生も監督さんにお話します。
「スポーツどころではありません」
「そうですよね」
「麻薬は身体も心も蝕みます」
「健全な生活が出来なくなります」
「健全な生活を送れなくなれば」 
 それこそというのです。
「スポーツもです」
「出来ないですね」
「残念なことに」
 本当に残念そうなお顔で言う先生でした。
「日本でもそうしたお話がありましたね」
「プロ野球で、でしたね」
「かつてのスター選手が」
「何でも現役時代からしていたとか」
「ああしたことをしますと」
「駄目ですね」
「何があっても」
 先生は語尾を荒くすることもありません、ですがそれでもとても残念そうにこう監督さんにお話するのでした。
「野球選手として以前にです」
「人としてですね」
「とても悲しいことです」
 そうだというのです。 

 

第三幕その八

「とても」
「そうですね」
「やはりスポーツ選手はです」
「しっかりとした練習と食事で」
「怪我をしないで長く活躍してこそ」
「本物ですね」
「はい、言葉で言うことは簡単でも」
 それでもともです、先生はお話しました。
「ですが」
「それでもですか」
「はい、それを実行するとなると」
「難しいですね」
「先程お話に出た人達は」
 衣笠さんの様な人達はというのです。
「どの人もですね」
「節制もしていてちゃんとした練習をいつも凄い量をしていて」
 そしてというのです。
「野球の為に全てを捧げていた」
「そうした人達でしたね」
「そこまで出来る人はそうはいません」
 そうだというのです。
「ですから」
「それで、ですか」
「そうした人はです」
 本当にというのです。
「滅多にいないので」
「だからですね」
「非常に難しいことです、若しこの人達の様な人が増えますと」
 その場合はといいますと。
「今以上にです」
「凄い選手Þがですか」
「増えるとです」
 その様にというのです。
「思います」
「そうですか」
「難しいことでも」
 例えそうでもというのです。
「出来る人がいれば」
「その時は」
「凄いことになると思います」
「そうなのですね」
「僕としては難しいことでも」
 例えそうであってもというのです。
「そうした人が増えて欲しいですね、野球以外でも」
「他のスポーツでも」
「そうした人が増えて」
 そしてというのです。
「凄い成績を残す人が出れば」
「いいですか」
「そう思います、ピッチャーなら」
 先生はここでこうも言いました。
「金田正一さんを超える」
「四百勝を」
「その人が出れば」
「そう思われますか」
「絶対に出ないとは」
 そうしたことはというのです。
「言えないですね」
「そうですね、そうしたことは」 
 監督さんも先生のお話に頷きました。
「これからは」
「人の世、そしてスポーツでもですね」
「絶対ということは」
 まさにというのです。
「言えないです」
「そうですね」
「ですから」
「この世にあるものは」
「何があっても」
 それこそというのです。
「絶対のものはない、人のことは」
「人はですか」
「そうです、絶対のことは」
 それが何かもです、先生は監督さんにお話しました。
「神のことです」
「人はどうしても絶対ではない」
「ですから超えられない様な記録も」
 それが例えどれだけ到達出来そうにないものでもというのです。
「絶対ではないのです」
「四百勝もですね」
「イチロー選手もそうですね」
「あの人は日米通算四千本安打を超えて」
「記録になりましたね」
「はい、四千本安打なぞ」
 到底とです、監督さんも答えました。 

 

第三幕その九

「メジャーでも二人しかいなくて」
「到達しそれも第一位になるなぞ」
「絶対に無理なものでしたが」
 それでもというのです。
「イチロー選手はです」
「それを成し遂げましたね」
「だからですね」
「絶対ということはないので」
「四百勝もですか」
「そしてホームランや盗塁も」
 こちらの記録もというのです。
「何時かです」
「記録を塗り替える人がですね」
「出て来て」 
 そしてというのです。
「新たな記録を残す」
「そうした人が出るのかも知れないですね」
「僕はそう考えています」
「どの様な記録も絶対のものではないですか」
「何があろうとも」 
 それこそというのです。
「そうかと」
「ではイチロー選手の記録も」
「何時か更新する人が出るかも知れないです」
「それが記録ですか」
「そう思います、そして記録はどんどん塗り替えらていき」
 そうしてというのです。
「塗り替える度に人が成長していきます」
「よりよくなっていきますか」
「あらゆることで。人の進化は続き」
「どんどんよくなっていきますか」
「悪くなることもあるでしょうが」
 少し苦笑いも浮かべてです、先生はこうも言いました。
「ですが」
「全体的に見てですか」
「よくなっていって」
 そしてというのです。
「進歩していきます」
「スポーツでもですね」
「学問でも。この世の全てのものは」
 まさにというのです。
「そうしてです」
「進歩していって」
「素晴らしいものになっていきます」
 こう監督さんにお話してでした、そのうえで。
 先生達は監督さんとお話しつつです、そうして。
 野球部の練習を見続けました、それが終わってからでした。
 研究室の戸締りをしてからお家に帰りました、その後で皆に笑顔でお話しました。
「今日はいいもの観られたわね」
「そしてお話も出来たね」
「いい選手を観られたし」
「怪我や活躍のこともお話出来て」
「記録のことも」
「僕もそう思うよ、やっぱりね」
 先生はトミーが作ってくれたお好み焼きを切ってご飯のおかずにしながら皆にお話しました、お味噌汁にキャベツの千切りもあってお好み焼きの上にはおソースにマヨネーズ、鰹節と青海苔そして紅生姜があります。
「スポーツ選手は怪我をしない」
「そのことが第一だね」
「何といっても」
「スペックが高いことは絶対にしても」
「何につけてもね」
「怪我をしないことだね」
「そう、怪我をして」
 そしてというのです。 

 

第三幕その十

「駄目になって選手は多いね」
「どのスポーツでもね」
「そうした人多いわ」
「実際にね」
「これまでどれだけいたか」
「そう考えるとね」 
 本当にというのです。
「まずはね」
「怪我をしない」
「それが一番大事ね」
「何といっても」
「例えば事前によくストレッチをして」
 練習や試合の前にというのです。
「後も整理体操をするとね」
「それだけでだね」
「全然違うんだね」
「そうなんだよね、これが」
「何かね」
 ジップが先生に言ってきました。
「先生が言うことって正論だよね」
「そうそう、何も問題のない」
 まさにとです、トートーはジップに続きました。
「正論だね」
「その通りにするだけで」 
 チーチーも言うことでした。
「怪我をするリスク減るね」
「身体をよくほぐして試合や練習に挑んで」
「その後のケアもしっかり」
 オシツオサレツも二つの頭で言います。
「あとちゃんとした練習に食事」
「そうすれば違うね」
「何ていうか」
「ちゃんとしたことをちゃんとする?」
 今度はチープサイドの家族が言いました。
「それだけで怪我をするリスクがかなり減って」
「長い間活躍出来るんだね」
「まさに先生の言う通りだね」 
 ホワイティも言うことでした。
「真面目にちゃんとすることだね」
「身体が固かったり疲れていたら」
 この時のことはポリネシアが言いました。
「怪我をしやすいし」
「事前に身体をほぐして後は整える」
 ダブダブの言葉はしみじみとしたものでした。
「基本だけれど」
「その基本をちゃんとしたら」
 ガブガブはぴしっと言いました。
「全く違うわね」
「いや、先生の言う通りだよ」 
 真剣にです、最後に老馬が言いました。
「それだけでも違うね」
「かなりね、まあ真面目な人はちゃんとしているよ」
 試合や練習前に身体をほぐして暖めて挑んで、です。そしてその後はしっかりとケアをすることもというのです。
「だから怪我しないんだ、あとね」
「あと?」
「あとっていうと」
「あるチームのピッチャーの人だけれど」 
 先生は皆にご飯を食べてです、お好み焼きで焼酎を飲みながら言いました。もうキャベツもお味噌汁もたっぷり食べてお好み焼きも二枚目です。
「よく肘の靭帯を痛めるけれどね」
「ピッチャーで肘はまずいよね」
「特に靭帯はね」
「骨折よりも悪いね」
「そうだよね」
「そこを痛めたら」
 皆も肘の靭帯と聞いて言いました。
「そうなったらね」
「もうね」
「選手生命の危機だよ」
「その時は」
「そう、だからね」 
 それでというのです。
「僕は気になっているんだ」
「肘ってなると」
「ピッチャーの人でってなると」
「変化球かな」
「試合や練習で投げて」
「その事前の柔軟とかね」
「後のケアが不十分なのかな」
 皆でお話します。
「それでかしら」
「肘を痛める人が多いのかな」
「それも靭帯を」
「そうなのかな」
「そのせいでそのチームは投手陣が不安になっているからね」
 肘の靭帯を痛める人が多くて、です。
「僕も気になっているんだ」
「それ絶対に問題あるね」
「チーム全体の問題だね」
「練習に問題ある?」
「事前のことにも後のことにも」
「練習や試合の時に」
「そうかもね、変化球は武器になるけれど」
 それでもというのです。 

 

第三幕その十一

「爪や手首、特に肘にね」
「負担がかかるよね」
「カーブにしてもシュートにしても」
「どうしてもね」
「それは避けられないね」
「そのことはわかっているから」 
 だからだというのです。
「ちゃんとした柔軟とかね」
「ケアもだね」
「そうしたことが必要だね」
「どうしても」
「それを怠っていると」
 どうしてもというのです。
「肘を痛めるよ」
「それがあまりにも多くて」
「先生も心配しているんだね」
「そのチームのことを」
「巨人であっても」
 先生が好きでないこのチームでもというのです。
「やっぱりね」
「怪我人が多いと」
「先生はお医者さんだから」
「どうしてもだね」
「放っておけないよ」
 こう言うのでした。
「チームの好き嫌いはあってもね」
「人を救うことがお医者さんだからね」
「公平にしないといけないね」
「嫌いなチームの選手でも」
「怪我をしないようにしてもらって」
「怪我がしたら治さないとね」
「そうだよ、けれどそのチームは」
 先生はまたそのチームのお話をしました。
「本当に怪我が目立つね」
「普通に肘の靭帯痛めてるんだね」
「とにかく怪我人が多くて」
「それが問題なんだね」
「そのチームは」
「怪我人が多くて」
 それでというのです。
「それがそのままチームの成績にもつながってるしね」
「怪我人が出るとね」
「それがそのままチームの戦力に影響するし」
「主力選手が怪我したら」
「それだけで駄目だよね」
「だからね、そのチームは練習内容を見回して」
 そしてというのです。
「そのうえでね」
「練習や試合の前後にだね」
「身体をほぐしてケアもして」
「そうしないと駄目だね」
「チームが万全に戦える為にも」
「怪我人が多いとチームの士気にも影響するし」 
 こちらにもというのです。
「その為にはトレーナーも必要だよ」
「その人達もだね」
「増やすべきだね」
「そうした人達も」
「やっぱり」
「そうだよ、プロのチーム怪我人を出さない」
 まずはというのです。
「それが第一だよ」
「何といってもね」
「それが最初にあって」
「そこから戦略や戦術がある」
「そういうことだね」
「そう思うよ、僕は」
 先生は皆に温厚な笑顔でお話しました、そうしてスポーツのことをさらにお話するのでした。 

 

第四幕その一

               第四幕  有望な人 
 先生は研究室で精神科の論文を書き終えました、そうして次の論文を書く準備に入りますがその時にでした。
 ふとです、研究室に遊びに来ていた王子に言われました。
「野球部の正捕手の人だけれど」
「その有望な人だね」
「そんなに凄いんだ」
「キャッチングがよくてね」
 まずはこのことからお話する先生でした。
「強肩で自分のチームや相手チームのこともよく研究していてね」
「それでなんだ」
「しかもバッティングもいい」
「凄い人なんだね」
「間違いなくね」
 こうも言う先生でした。
「プロ野球選手になってもね」
「通用するんだね」
「そこまでの人だよ」
 まさにというのです。
「その人はね」
「そうなんだね」
「そう、ただね」
「ただ?」
「監督さんが言うには」 
 大学の野球部のその人がというのです。
「足は遅いらしいよ」
「そうなんだ」
「まあキャッチャーだとね」
「走る方はね」
「走り回るポジションじゃないね」
「そうだね、確かに」
 王子が見てもです、このことは。
「そうしたことはしないね」
「他のポジションよりもね」
「キャッチングとかフライの処理とかで素早い動きは必要でも」
「外野手やショート、セカンドの人と違ってね」
「速く動いてね」
 そうしてとです、王子も答えました。
「ボールを捕るってことはね」
「ないね」
「だからだね」
「足が遅くてもね」
 そうであってもというのです。
「そこはある程度はね」
「仕方ないんだね」
「そもそも完璧な人間はいないね」
 こうも言う先生でした。
「サッカーでもフォワードの選手にブロックやパスカットは求められないね」
「ドリブルやシュートがメインでね」
「だからね」  
「それぞれのポジションで求められるものが違うね」
「野球ではね、そしてキャッチャーはね」
 このポジションの人はといいますと。
「ピッチャーのボールを捕球して」
「リードしてだね」
「敵チームのランナーが盗塁してきたら刺す」
「やることが多いね」
「だからバッティングは二の次になっている人もいるんだ」
「まずはポジションの仕事だね」
「そう、本当にチームの守備の要だから」
 それだけにというのです。
「難しいんだ」
「そうなんだね」
「そう、ただね」
「ただ?」
「キャッチャーとしての能力も高くて」 
 キャッチングやリード、そして肩といった能力がというのです。
「打つ人もいるよ」
「そうなんだね」
「そう、そんな凄い能力の高い人もいるよ」
「古田さんとか?」
 すぐにです、王子はこの人の名前を出しました。
「それだと」
「あの人もそうだし野村さんもね」
「あの人も凄かったんだね」
「四番キャッチャーとしてね」
「活躍したんだったね」
「そうだよ、南海でね」
 このチームでというのです。 

 

第四幕その二

「長い間活躍したんだ」
「そうだったんだね」
「監督もしていたしね」
「南海って今はソフトバンクだね」
「ダイエーだった時代もあったね」
「昔は大阪に本拠地があったね」
 王子はそのチームのこのことも知っていました。
「今は福岡に本拠地があるけれど」
「そうだよ、親会社がダイエーになった時にね」
「本拠地が移ったんだね」
「そうだよ、そしてね」
 それでというのです。
「今に至るんだ」
「そうだったんだね」
「そのホークスが南海時代に現役でね」
「凄い人だったんだね」
「相手チームのバッターのこともよく知っていて」
 勿論自分のチームのピッチャーの人達のこともです。
「そしてね」
「リードが上手で」
「相手チームのランナーのことも把握して」
 そしてというのです。
「野球をしていたんだ」
「頭のいい人だったんだ」
「そうだよ、バッティングの方も」
 こちらもというのです。
「相手ピッチャーのことを勉強していて」
「打っていたんだ」
「パワーは確かにあったけれど」
「それよりもだね」
「相手をちゃんと調べて対策を出していく」
「そうした人だったんだ」
「頭脳派だったことは監督時代にも出ていたね」 
 先生は王子に笑顔でお話しました。
「采配でも」
「南海の監督の時もそうで」
「選手兼任でね、そしてね」
 そうしてというのです。
「ヤクルトや阪神、楽天でもね」
「相手のことも自分のことも調べて」
「野球をしていたんだよ」
「そうした人だね」
「だから名将だったんだ」
「成程ね」
「あと口が悪いと言われているけれど」
 先生は笑ってこうもお話しました。
「実はね」
「凄くいい人みたいだね」
「けなす様なことを言っても」
 それでもというのです、野村さんという人は。
「困っている人を放っておけない」
「それで他のチームを出された選手を迎え入れて」
「活躍してもらっているんだ」
「そうした一面もあるね」
「いい人か悪い人かというと」
「いい人だね」
「僕はそう思うよ」
 まさにというのです。
「あの人はね」
「そうなんだね」
「その野村さんみたいにね」
「打つキャッチャーの人もだね」
「ちゃんといるよ」
 ただキャッチャーとしていいだけではなくてというのです。
「そうした人もね」
「そしてそうした人がチームにいたら」
「物凄い戦力になるよ」
「強いチームに名キャッチャーあり」
 ダブダブは今は少し気取った物腰でした。
「そうだね」
「いい投手陣や打線だけじゃなくて」
 ジップはダブダブに続きました。
「名キャッチャーも必要だね」
「若しそうしたキャッチャーがチームにいたら」
 ホワイティも言うことでした。 

 

第四幕その三

「それだけで凄い戦力だね」
「ちゃんとピッチャーをリードしてくれて盗塁も抑えて」
「ボールも受けてくれたら」
 オシツオサレツも二つの頭で言います。
「確かに凄いね」
「万全の守備だよ」
「ファールフライやバントもちゃんと処理してね」
 チーチーも考えるお顔でお話します。
「ホームも守ってくれたらこんないいことはないよ」
「いや、本当にね」 
 老馬はチーチーの言葉に頷きました。
「素晴らしい戦力になるね」
「そこで打ってくれたら」
「最高ね」
 チープサイドの家族はバッティングのお話をしました。
「守備もよくてそれなら」
「本当にね」
「野球はまずピッチャーというけれど」 
 トートーの言葉はしみじみとしたものでした。
「キャッチャーも大事だね」
「勿論他のポジションも大事だけれど」
 ポリネシアも言うことでした。
「キャッチャーはまさに守備の要ね」
「いいピッチャーの能力をさらに引き出してくれるなら」
 ガブガブも言いました。
「鬼に金棒よ」
「皆の言う通りだよ、何というか」
 王子も動物の皆のお話を聞いて言いました。
「阪神のあの物凄い投手陣に野村さんや古田さんが加わったら」
「恐ろしいことになるね」
 先生は王子にこう答えました。
「その時は」
「そうだよね」
「日本のプロ野球の暗黒時代巨人九連覇の時もね」
 この忌まわし頃もというのです。
「巨人はいいピッチャーが多かったけれど」
「王さんや長嶋さんだけでなくて」
「確かにそのお二人がチームの看板でね」
「チームの軸だったね」
「それでもね」
「ピッチャーもよくて」
「キャッチャーもだね」
 王子がここで言う人はといいますと。
「森さんだね」
「その人がいてね」
「凄いリードをしたんだね」
「そうだよ、抜群のリードとキャッチングでね」
「相手チームのランナーも」
「癖を見抜いて対策を立てて」
 そしてというのです。
「チームの守りを支えていたから」
「巨人は強かったんだ」
「そうだったんだ」
「王さん長嶋さんが凄かったっていうけれど」
「野球はチーム全体ですることだよ」
 主力選手だけでないというのです。
「本当にね」
「だからだね」
「森さんもいて」
 そしてというのです。
「九連覇が出来たんだ」
「森さんは西武の監督になったね」
「そしてね」
 それでというのです。
「西武の黄金時代を築いたね」
「抜群の采配でね」
「チームの戦力は根本睦夫さんが揃えていたけれど」
「ああ、敏腕ゼネラルマネージャーだね」
「当時はそうした職業はなかったけれど」
 ゼネラルマネージャーという人はというのです。
「それでもね」
「そうした立場にいて」
「それでだね」
「戦力を揃えてくれたけれどね」
「あと根本さんも元々キャッチャーだったね」
「近鉄でそうだったよ」
 この人もキャッチャーだったというのです。
「この人にしても」
「そうだったんだね」
「そう、そして森さんの采配は」
 この人のそれはといいますと。 

 

第四幕その四

「これ以上はないまでに素晴らしくて」
「西武の黄金時代を築いたね」
「その頃の西武はとんでもない強さで」
「隙が全く無い」
「そこまでだったけれど」
「森さんの采配があってだね」
「そうもなったんだよ」
 根本さんが揃えた万全の戦力に加えてというのです。
「その九連覇の時の巨人以上だったともだね」
「言われてるんだね」
「そこまで強かったけれど」
「森さんもキャッチャーだったんだね」
「そうだったんだ」
「あの、あの頃の西武の強さって」
 王子は先生にその西武のことを尋ねました。
「誰も止められなかったんだね」
「九連覇の時の巨人みたいにね」
「そうだったんだね」
「だからもう毎年だよ」
「日本一になっていたんだね」
「ファンじゃない人が西武の日本一は見飽きたってね」
 その様にというのです。
「言っていたんだよ」
「そこまで強くて」
「あの頃の西武を止められるとしたら」
「やっぱりそうした人いるんだね」
「ダルビッシュ投手か」
 先生はまずこの人の名前を挙げました。
「田中将大投手か大谷翔平選手だね」
「三人共桁外れの化けものじゃない」
「そうした人達じゃないと」
 それことというのです。
「止めらないね」
「というと」
 そのお話を聞いて王子は先生にこう言いました。
「今のソフトバンクがあの戦力で何連覇出来ないのは」
「そうした人達が続いて出て来たからだよ」
「やっぱりそうだね」
「西武の打線もそうだけれど」
「ダルビッシュさんや大谷さんが出たから」
「特に大谷選手は凄いね」
 王子は唸って言いました。
「本当にね」
「あの人はだね」
「うん、人間とはね」
 それこそというのです。
「思えない位だよ」
「というと超人?」
「その域だよ」
「そこまでなんだ」
「ニーチェが言った超人はね」
 まさにと言う先生でした。
「二十一世紀の日本で出た」
「そこまで言うんだ」
「それまでも出ていたけれど」
「超人と呼ぶべき人達は」
「大谷選手は間違いなく超人だよ」
 そう言っていい人だというのです。
「本当にね」
「そしてその人なら」
「巨大戦力と呼ばれているソフトバンクの優勝を阻んだし」
 その有り得ないまでに凄い能力で、です。
「九十年代のパリーグにいたら」
「その頃の西武もなんだ」
「止めてね」
 そしてというのです。
「日本ハムを日本一にしていたよ」
「ダルビッシュ投手も田中投手も」
「うん、けれどこの人達はもう桁が違うから」
 野球選手としての能力がというのです。
「また置いておくよ」
「そうなんだね」
「それで野球はね」
 何といってもというのです。 

 

第四幕その五

「守備の要はね」
「キャッチャーだから」
「このポジションの人がどうかでね」
「チームはよくなるんだね」
「本当にここで阪神に野村さんや古田さんみたいな人がチームに加わったら」
 その時はというのです。
「まさにね」
「鬼に金棒だね」
「そう言っていいよ」
「じゃあそうした人が今度のドラフトで加わる」
「そうなって欲しいね」
「そうだね、そういえばね」
 ここでこうも言った王子でした。
「巨人また不祥事起こしたね」
「毎年だね」
「親会社というかフロントがね」
「これでまた人気が落ちるね」
「いつものことだからね」
 このチームについてはというのです。
「だからドラフトで指名する前にね」
「逆指名もなくてだね」
「指名されても」
「断られるんだよ」
「そうなっているんだね」
「フリーエージェントでも人が来なくなっているし」
 かつては巨人はこれで他チームから選手を掠め取ることばかりしてました、ですがそれもというのです。
「助っ人の人もね」
「来なくなっていて」
「あの有様だよ」
「十年連続最下位だね」
「それも百敗北だからね」
 十年連続でというのです。
「そうした事態になったことは」
「それはだね」
「全部自業自得だよ」
「あれだけ不祥事ばかり起こるとね」
「イメージも落ちるよ」
「そうだよね」
「日本のマスコミはね」
 本当にというのです。
「どうしようもないからね」
「とんでもなく腐敗してるね」
「長い間どんな悪事をしてもお咎めなしだったから」
 捏造をしても偏向報道をしてもです。
「取材の態度もね」
「あんまりだったね」
「ヤクザ屋さんと変わらなかったから」
「何かグルメ漫画で」
 王子はここである漫画を思い出しました。
「新聞記者が主人公で」
「お店に取材に行ってだね」
「化学調味料を使ってるとか言って」
 そうしてというのです。
「お店の中で喚き散らしていたけれど」
「あんなことをしたら駄目だよ」
「そうだよね」
「口に合わなくてもね」
 例えそれが化学調味料を使っていてもです。
「お店の中で喚き散らすことはね」
「最低だよね」
「人間としてね」
「紳士じゃないね」
「ヤクザ屋さんの振る舞いだよ」
 まさにとというのです。
「あれはね」
「そうだよね」
「そしてああした取材がね」
「日本ではだね」
「まかり通っていたから」
 だからだというのです。
「もうね」
「今もだね」
「そうしたことが許されると思っていて」
「やり続けてだね」
「そもそもね」
 先生はまた言いました。 

 

第四幕その六

「外国の人を採用しない社長さんにいきなりケダモノ呼ばわりとかね」
「普通の人はしないよね」
「その人の考え聞かないでね」
「いきなりそれはないよね」
「その後食べもの出して許される?」
「はっきり言って名誉棄損だよ」
「そんなことを言う人の神経を僕は疑うよ」
 その新聞記者の人のそれをというのです。
「人間性をね」
「そうだよね」
「差別かも知れないけれど」
「特殊な技能とかね」
「文化とか生活習慣が関係あるかも知れないしね」
「そうした事情聞かないでケダモノ呼ばわりとか」
「その記者さんの人間性自体疑うよ」
 動物の皆も言いました。
「そもそもね」
「あの漫画変な人ばかり出るけれど」
「やたら下品で短気で無教養で野蛮な人ばかりね」
「おかしな世界だよね」
「しかもね」 
 先生は皆にさらにお話します。
「日本の経済侵略とかアジア再侵略とかも昔は言ってたよ」
「それってあるの?」
「日本そんなことしたことあるの?」
「その時点でおかしいよ」
「何の根拠もなく言ってるの?」
「じょっとして」
「マルクス主義は今も日本に残っていてね」
 それでというのです。
「当時はその今よりもずっと酷くてね」
「それでなんだ」
「マルクス主義から言ってたんだ」
「経済侵略とか」
「そんなおかしなことを」
「この主張は資本主義が全くわかっていない人のものでね」
 それでというのです。
「それか資本主義を全否定しているか」
「そんな人の意見で」
「じゃあその漫画マルクス主義?」
「そっちの漫画なんだ」
「そうなんだ」
「その色はかなり強いね、とにかくその漫画はね」
 先生は皆にさらにお話しました。
「鵜呑みにしたら絶対に駄目な漫画だよ」
「おかしな影響受けるね」
「学問的にも人間的にも」
「そうなるね」
「だからだね」
「ああした漫画は読んでもね」
「鵜呑みにしたら駄目だよ」
 絶対にと言う先生でした。
「ならず者とは付き合ったら駄目だね」
「そうだよね」
「そうしたら自分の悪影響受けるから」
「それで自分もならず者になるから」
「だからだよね」
「そんな風になるからね」
 それ故にというのです。
「駄目だよ」
「そうだよね」
「あの漫画って一から百までおかしいね」
「主人公のお父さんも食べもの投げるし」
「それも最低だね」
「あの親子そっくりだしね」
「漫画といってもよし悪しだね」
 先生はこれまた残念そうに言いました。
「幾らヒットしていてもね」
「おかしな漫画もあるから」
「そのことには気をつけてね」
「そうして読んでいかないと駄目だね」
「そうだよ、まああの主人公はマスコミを象徴しているかもね」
 それはそれでという口調での言葉でした。
「日本のね」
「あまりいいことじゃないね」
「あんな酷い世界の主人公のお話って」
「そもそも」
「やりたい放題で何でも許される権力者なんて最悪だからね」
 もうそれこそというのです。 

 

第四幕その七

「僕があの漫画を肯定することはないよ」
「どう見ても先生に合わないしね」
「お店で怒鳴り散らすとか紳士じゃないし」
「他のお客さんの迷惑一切考えないとかね」
「論外だしね」
「うん、それでお話を戻すけれど」
 野球にと言う先生でした。
「チームに野村さんや古田さんみたいな打ってくれる名キャッチャーがいたら」
「最高の戦力になる」
「これ以上はないまでに」
「そうなるんだね」
「そうだよ、投手陣の底上げもしてくれるしね」 
 最も大事なこの人達もというのです。
「上手にリードしてボールを受けて盗塁も防いでくれて」
「そうなるからだね」
「だからだね」
「強いチームには名キャッチャー」
「その人が必要なんだ」
「今の阪神にそうした人が加わったら」
 それでと言う先生でした。
「鬼に金棒だからね」
「是非共だね」
「八条大学のあの人が阪神に入って欲しい」
「そうだったいうんだ」
「僕はね、ただ阪神が」
 このチームがというのです。
「どう判断するかだけれど」
「地元だから」
 関西それも甲子園球場のある兵庫県だからだとです、王子は先生に対して少し考えるお顔になって言いました。
「見てるんじゃないかな」
「阪神の方もだね」
「うん、ちゃんとね」
「確かにね、八条大学は神戸にあるからね」
 先生達が今いるこの大学はというのです。
「阪神の本拠地甲子園球場は西宮にあって」
「本当に同じ兵庫県だね」
「それは事実だね」
「それじゃあね」
「しかも彼は大学野球で活躍しているし」
「甲子園でもだね」
 高校の時でもというのです。
「何度か甲子園に出てるんだよね」
「三回ね」
「三回も出てるんだ」
「それで活躍しているし」 
 高校野球でもというのです。
「これでプロが注目しないか」
「そんな筈がないね」
「スカウトの人達もね」
「そうした選手を探すのがお仕事だね」
「そうだよ」
 まさにその通りだとです、先生も答えました。
「国内ではね」
「海外では助っ人を探して」
「それがお仕事だよ」
「じゃあね」
「スカウトの人達も注目していてだね」
「絶対にね」
「彼は阪神も注目しているとだね」 
 王子に言いました。
「そう思うんだね」
「そうじゃないかな」
「その可能性はかなり高いね」 
 先生が見てもでした。
「僕も思うよ」
「それじゃあ」
「いや、それでもね」
「それでもなんだ」
「例え阪神が注目していても」
「あっ、他のチームもだね」
「注目していて。そして彼もね」
 選手の人ご本人もというのです。
「どう思っているか」
「阪神に行きたいかどうか」
「それも問題だね」
「大学生なら逆指名が出来るよ」
 ドラフトのその時にというのです。 

 

第四幕その八

「それで阪神は一番人気だけれどね」
「ダントツでだよね」
「日本一の人気チームだからね」
 それだけにというのです。
「あのチームはね」
「人気があって」
「彼もファンの可能性があるけれど」
「実際はどうなのか」
「僕は阪神の考えも彼の考えも知らないから」
 それが為にというのです。
「どうとも言えないよ」
「そうなんだ」
「残念なことにね」
「阪神があの人のことに注目していて」  
 ガブガブが言ってきました。
「あの人も阪神をってなっていたら」
「本当にいいけれど」
 ダブダブも思うことでした。
「実際どうかな」
「是非相思相愛でね」
「阪神に行って欲しいわね」
 チープサイドの家族も思うことでした。
「そして阪神で活躍して」
「阪神をもっと強くして欲しいね」
「本当に野村さんや古田さんみたいな人が加わったら」
 ホワイティの言葉は切実なものでした。
「どれだけ強くなるか」
「今でもあの強力な投手陣があるから」
 トートーは投手陣から考えています。
「その投手陣の能力をさらに引き出してくれるのならね」
「しかも打ってくれたら」
 ジップはバッターとしてのことから考えています。
「どれだけいいか」
「今の阪神の打線にもう一人打てる人が入ったら」
 老馬はジップに続きました。
「ダイナマイト打線復活だね」
「守って打ってくれる人」
 ポリネシアはまさにという口調でした。
「最高ね」
「絶対に来て欲しいね、阪神に」
 チーチーも思うことでした。
「そうしたら十連覇も出来るかもね」
「もう何とかね」
「あの人には阪神に行ってもらいたいよ」
 オシツオサレツも言うことでした。
「阪神の為に」
「そして日本のプロ野球の為に」
「阪神が日本一になったら」
 その時の、最近は毎年であるこのことについて言う王子でした。
「経済効果が凄いんだよね」
「そう、日本中が熱狂してね」 
 先生も応えます。
「元気になってね」
「お金が凄く動いて」
「景気もよくなるね」
「そして日本みたいな世界に影響がある国の景気がいいとね」
「世界経済にもいいね」
「そうなるからね」
「阪神は勝つべきだね」
「そうだよ、実際巨人が勝っても」
 このチームはどうかといいますと。
「何処もバーゲンにならないしね」
「経済効果もないからね」
「あのチーム程優勝しても何もないチームはないよ」
「誰の利益にもならないね」
「だからね」 
 それでというのです。
「巨人が最下位であってもね」
「誰も困らないね」
「そのこともあるし」
「阪神が優勝すべきだね」
「巨人よりもずっとね」
「すると今の状況はいいことだね」
「とてもね」
 まさにとです、先生は王子に答えました。 

 

第四幕その九

「いい状況だよ」
「阪神が強くて巨人が弱いと」
「こんないいことはないよ、ただね」
「ここでだね」
「阪神に名キャッチャーが加わったら」 
 そうなればというのです。
「こんないいことはないよ」
「そうなんだね」
「だからね」
 是非にと言うのでした。
「僕も色々言ったけれど」
「希望としてはだね」
「彼に阪神に行って欲しいよ」
「そうだよね」
「それとメジャーに行く人もいるけれど」 
 最近の日本のプロ野球ではです。
「八条リーグでもいるしね」
「いるね、八条リーグってあっちにもあるしね」
「そう、日本にあって」
 そしてというのです。
「アメリカにもメキシコにもあってね」
「中国でもあるね」
「東南アジアでもあってね」
「欧州にも出来たんだよね」
「とにかく八条グループは歴代の総帥さんがスポーツ好きで」
「野球もだね」
「好きだからね」
 その為にというのです。
「プロ野球のリーグもね」
「各国に持ってるね」
「あとサッカーやバスケットボール、アメリカンフットボールにラグビーも」
 こうしたスポーツでもというのです。
「プロリーグを持っているよ」
「流石は世界屈指の企業グループだね」
「そうだね、いいことだよ」
「企業がスポーツをすることは」
「文化事業だし」
 スポーツも文化だからです。
「それに企業のイメージアップや宣伝にもなるし」
「その意味でもいいね」
「持てるのなら」
 それならというのです。
「本当にね」
「持つべきだね」
「僕はそう思うよ」
「あと八条グループは音楽にも力を入れてるね」
「歌劇場に管弦楽団にね」
「合唱団にって」
「音楽会社も持ってるしね」
 こちらの企業もというのです。
「芸能事務所も持ってるし」
「そちらも凄いね」
「音楽もね」
 この文化もというのです。
「いいものだからね」
「進出していていいね」
「そうだよ、吹奏楽だってね」
「グラスバンドだね」
「こちらもね」
 実にというのです。
「いいものだよ」
「そうだよね」
「文化事業はね」
「企業にとっても世の中にもいいことだね」
「本当にね、だから八条グループの方針は」
 文化事業にも力を入れているそれはというのです。
「非常に素晴らしいよ」
「先生も太鼓判を押す位に」
「慈善事業にも積極的だしね」
 こちらにもというのです。
「いいことだよ」
「慈善事業はいいわよね」
「立派な善行だし」
「企業がそれに積極的なことはね」
「とてもいいことね」
「そうだよ、これもね」
 先生は動物の皆にその慈善事業のお話もしました。
「世の中をよくするしその企業にとってもね」
「いいことよね」
「何といってもね」
「それも文句なしに」
「税金対策という一面もある場合があるけれど」 
 何だかんだで企業の利益にはなるというのです。 

 

第四幕その十

「それでもね」
「世の中にとっていいことだから」
「善行であることは事実だね」
「そのことは」
「よく企業を嫌う人もいるけれど」
 先程お話したマスコミや新聞記者を主人公にした漫画やそういう風な人達のことを思いつつです、先生は言いました。
「そうした人達が果たして企業程世の中に貢献しているか」
「確かに悪徳企業もあるけれどね」
「世の中に善人と悪人がいるのと同じで」
「そうした企業もあるわね」
「中には犯罪をしていたり」
「そうだね、けれど日本のマスコミや知識人の酷さを思うと」
 先生が最近よくお話しているその人達のことをというのです。
「本当にね」
「そうした人達は只の害毒で」
「どうしようもないわね」
「そんな人達は」
「どうにもないわね」
「文句ばかり言って何もしない人はどうかな」
 先生は皆に尋ねました。
「一体」
「全然駄目ね」
「文句言うなら動けば?ってなるよ」
「何もしない、出来ないじゃ人はついてこないわよ」
「絶対にね」
「そうだね、日本のマスコミはやりたい放題で捏造や偏向報道ばかりで」
 それでというのです。
「世の中に害毒を撒き散らしてばかりで」
「何の貢献もしていないね」
「本当に中世の教会みたいよ」
「まさか今同じ位酷いものが世界にあるとは思わなかったけれど」
「それも日本に」
「まだ中世の教会には立派な人がいたけれど」
 それでもというのです。
「日本のマスコミはどうか」
「いないみたいね」
「本当にあの漫画の主人公みたいな人ばかり?」
「シェークスピアさんも驚く様な卑しい人ばかりみたいだね」
「どうも」
「そんな世界はなくていいよ」
 世の中に害毒ばかり撒き散らして卑しい人しかいない世界はというのです、先生は心から思って言いました。
「本当にね」
「全くだね」
「それよりも企業の方が貢献してるね」
「マスコミも企業だけれど」
「悪徳企業ばかりだね」
「マスコミも文化事業はしているけれど」
 先生はこちらの人達もとお話しました。
「慈善事業もね」
「他の行いがあんまりだから」
「プラスマイナスでマイナスだね」
「それもかなり」
「うん、善悪はプラスマイナスという考えもあるね」 
 先生はこちらのお話もしました。
「いい人も欠点があったり悪いことをするし
「悪人だって同じだね」
「いい部分があるしいいこともするね」
「それでプラスマイナスで考えて」
「どうかよね」
「それでプラスマイナスで考えて」
 そしてというのです。
「日本のマスコミの多くはね」
「マイナスだね」
「それもかなり」
「そうなるね」
「まさにヤクザ屋さんよりもね」
 正真正柄の悪い人達よりもというのです。
「酷いのがね」
「日本のマスコミだね」
「他の国のマスコミも問題あるけれど」
「日本のマスコミは特に酷いからね」
「かなりのマイナスだね」
「そうだよ、多分世界でも最悪レベルだよ」
 日本のマスコミの質はというのです。
「ここまで酷いとね」
「まあ北朝鮮に人を送ってね」
「地上の楽園とか言って」
「それで誰も生きて帰って来ないし」
「そのことに責任を取らないのならね」
「これは悪魔と言ってもね」 
 先生にしては珍しく厳しい口調での言葉でした。 

 

第四幕その十一

「おかしくないね」
「北朝鮮の実情を知っていてならね」
「もう人間の所業じゃないね」
「それで沢山の人が地獄を見て死んで」
「そのことに責任を取らないなら」
「もうこれは人の悪事じゃなくて」  
 そのレベルでなくというのです。
「悪魔の悪事だよ」
「それが普通な世界じゃね」
「しかも悪事は他にも一杯あるし」
「文化事業や慈善事業をしても」
「物凄いマイナスだね」
「僕はそう思うよ、けれど八条グループや日本の他の企業は違うから」
 日本のマスコミとはというのです。
「本当にね」
「ちゃんとだね」
「そのことはしっかりしていて」
「プラスであることが多いんだね」
「そちらの方が」
「いいことにね」
 先生はこうした企業のことは笑顔でお話しました。
「そうだよ」
「というか日本のマスコミが酷過ぎるね」
 王子は腕を組んで難しいお顔で言いました。
「知識人も」
「まさに中世の教会みたいにね」
「腐敗を極めてるんだね」
「それが終戦直後から続いてね」
「今に至るんだね」
「七十年以上もね」
「七十年以上の腐敗だね」
 王子もそれはというお顔になって言います。
「凄いね」
「本当にその間彼等は全く反省も謝罪もしなかったんだ」
「自分を振り返ることなく」
「他の人、自分達以外の日本人や日本という国には謝罪や賠償を言うけれどね」
「自分達はだね」
「世の中で最も駄目な人間の一つとして」 
 こうも言う先生でした。
「人には謝罪等をしきりに言ってね」
「自分は全くしない」
「自分が謝らないから言えるんだ」
「そうした人はだね」
「この世で最も駄目な人の一つだとね」
「先生は思うんだね」
「そして彼等はね」
 日本のマスコミや知識人のそうした人達はというのです。
「まさにそれでね」
「七十年以上だね」
「全く何の反省も謝罪もないんだ」
「人や国に言うばかりで」
「これでいいのかと思ってから学ぶのも学問だよ」 
 先生の生きがいであるそれだというのです。
「まさにね、けれどね」
「その人達にはそうしたものがないから」
「学問も進まないし人間としてもね」
「よくないね」
「全く成長しないよ」
「腐敗したままだね」
「もうどんどんね」
 ただ進歩しないだけでなくというのです。
「自浄能力もないから」
「腐っていく一方だね」
「それで今に至るんだ」
「どうにもならない世界だね」
「日本にもそうした世界があるんだ」
 腐敗しきっていて自浄能力もない世界がというのです。
「やがて腐り果ててね」
「それでだね」
「ヘドロは腐り果てたらもう何でもなくなるね」
「そこにどんな生物もいられなくなってね」
「あまりにも汚くなってね」
 文字通り腐り果ててしまってです。
「そうなるね」
「それでやがて日光に照らされて塵となる」
「それが運命だね」
「ネットが普及してその時が近付いているよ」
「じゃあインターネットがお日様かな」
「そうなるかもね」 
 先生は王子にお話しました、そうしてでした。
 また皆と野球のお話をしました、先生の今は野球でした。 

 

第五幕その一

               第五幕  進歩していって
 先生はこの時大学の野球部のグラウンドに来ています、動物の皆はいつも通り一緒で今回はトミーもいます。
 そのトミーがです、先生に尋ねてきました。
「先生、そのキャッチャーの人ですが」
「うん、多分今もね」
「練習されていますね」
「名キャッチャーはね」
 それこそというのです。
「文字通りの野球漬けにならないと」
「なれないものですね」
「ある野球漫画の主人公は」 
 この人はといいますと。
「野球だらけの人生に疑問を抱いたりもしたけれどね」
「ええと、その漫画は」
「大リーグボールのね」
「あの伝説の漫画ですね」
「主役が巨人というのは好きになれないけれど」
「昔の野球漫画は主人公絶対に巨人でしたね」
「あの風潮は日本にとって非常によくなかったね」
 巨人が主人公であることはというのです。
「巨人が行ってきた悪事を思うとね」
「子供の教育によくないですね」
「巨人の様なチームがずっと球界の盟主を気取って」
 そうしてというのです。
「人気が一番であったことはね」
「戦後日本の不幸ですね」
「あんなモラルのないチームが人気があったら」
 それこそというのです。
「日本人のモラルもね」
「そのことについてもですね」
「非常に悪影響を与えてきたから」
「だからですね」
「野球漫画で常に巨人が主役だったことは」
 非常に忌まわしいこのことはというのです。
「戦後日本がマスコミの毒にどれだけ害を受けてきたか」
「その事実の一つですね」
「むしろ巨人はね」
 このチームはといいますと。
「敵としてね」
「徹底的にやっつけられるべきですね」
「世の中絶対の悪はないけれど」
「吐き気を催す邪悪はですね」
「あってね」
「巨人は、ですね」
「その邪悪の一つだよ」
 そうしたチームだというのです。
「そうしたチームを主人公側、正義にしてきたことは」
「非常によくないことで」
「駄目だったことだよ」
「巨人は人気があってはいけないですね」
「その悪を野球を好きな人こそ知ってね」
 そのうえでというのです。
「否定すべき存在ということをね」
「知らないといけないですね」
「あれだけ権力やお金を悪用してきたチームはないよ」
「他のチームから選手をどれだけ掠め取ったか」
「別所さんにはじまってね」
「ドラフトはじまる前は本当に酷かったですね」
「ヤクザ屋さんみたいだったから」
 そこまで酷かったというのです。
「フリーエージェントでもね」
「小久保さんやローズさん、クルーンさんの強奪とか」
「散々悪事を働いてきているんだ」
「その悪を知るべきですね」
「本当にね」 
 まさにというのです。
「だからね、あの漫画はね」
「巨人を主人公としていることは」
「非常によくないことだよ」
「そうですね」
「けれどその主人公が野球漬けの生活に疑問を持ったけれど」
 巨人の正体、吐き気を催す邪悪と言うしかないチームのそれをお話したうえで先生はお話を戻しました。 

 

第五幕その二

「キャッチャーだとね」
「そうはいかないですね」
「自分のピッチャー、相手のバッターのことを調べて」
「覚えて把握して」
「リードも考えて相手のランナーもわかって」
 そうしてというのです。
「盗塁も防いでね」
「そうしたこともしないといけないですね」
「肩も必要で」
 それにというのです。
「自分のピッチャーにクイックもしてもらう」
「ピッチングのフォークを素早くさせて」
「そしてキャッチャー、自分が盗塁を防ぐ送球に移るまでの間隔を短くして」
「送球で刺すんですね」
「そうすることも必要だし」 
 盗塁の方もというのです。
「やることが多いんだ、しかもね」
「バッティングもですね」
「正直守備の比重が多くてそっちにかなりの力を注ぐけれど」 
 そうしなければいけないけれど、というのです。
「それでもね」
「バッティングもですね」
「それが理想だからね」
「そっちもしないといけなくて」
 リードに盗塁対策にです。
「だから本当にね」
「野球漬けですね」
「そうなるポジションがね」 
 まさにというのです。
「キャッチャーなんだ」
「大変ですね」
「本当にね」
「そうした野球ですね」
「そうだよ、では今からね」
「その人をですね」
「観に行こうね」 
 こう言ってでした、そのうえで。
 皆でその人のところに行きました、見ればその人は背は一八二センチ程で均整の取れた体格をしていて。 
 引き締まった顔立ちをしていて髪の毛はスポーツ刈りにしています、今はベンチでプロテクターを付けたまま人とお話をしています。
 その人を見てです、先生は言いました。
「あの人がね」
「その名キャッチャーですね」
「そうだよ、噂のね」
 こうトミーにお話します。
「その人だよ」
「何ていうかね」
「スポーツ選手としては普通の人?」
「体格は」
「凄く引き締まってるけれど」
「背も普通位ね」
 スポーツ選手としてというのです、動物の皆もこうお話します。
「大体」
「そうだよね」
「野球選手らしい体格だね」
「言うならホークスの城島さん?」
「あの人みたいね」
「どうもね」
「そうだね、あの人はね」
 まさにというのです。
「体格は城島選手かな」
「そうだよね」
「こうして見たら」
「本当にね」
「そんな人だね」
「昔のキャッチャーの人はね」 
 こうもお話した先生でした。
「所謂あんこ型の体格の人が多かったんだ」
「太ってる人ね」
「要するに」
「そうだったんだ」
「野村さんや森さんはそっちだったんだ」
 そのあんこ型だったというのです。 

 

第五幕その三

「それが梨田さんから変わったかな」
「ええと、近鉄や日本ハムや楽天で監督した」
 トートーは梨田さんと聞いてすぐに答えました。
「あの人だね」
「リードが上手で強肩で」 
 ジップも言います。
「それで独特の打法だね」
「蒟蒻打法だったね」
 ダブダブは少し美味しそうだと思いました。
「身体をぐにゃぐちゃいつも動かすんだったね」
「凄くいいお顔立ちなんだよね」 
 ホワイティは梨田さんの御顔を見て言いました。
「そっちでも人気あるんだったね」
「そういえばあの人今も太ってないね」 
 老馬は梨田さんの体格を思い出しました。
「均整取れてるよ」
「現役時代のお写真見てもね」
「贅肉ない感じで」
 チープサイドの家族もお話しました。
「他のポジションでも野球出来そうね」
「外野手でもね」
「野村さんや森さんは現役時代でも太ってるし」
 先生の言う通りにとです、ガブガブは言いました。
「本当に違うわね」
「あと田淵さんも太ってたわね」
 このことを言ったのはポリネシアでした。
「実は体重的には太ってないけれど」
「そして今はね」
「太ってるキャッチャーの人いないね」
 オシツオサレツも言いました。
「本当にね」
「変わったね」
「それで彼もね」 
 今見ているその人もというのです。
「ああした体格なんだよ」
「引き締まった体格していて」
「贅肉がある感じじゃないのね」
「素早く動ける様な」
「そうした人なんだ」
「うん、ただ足は遅いよ」
 本当にというのです。
「キャッチャーだから」
「足は速そうでも」
「やっぱり機動力メインの人とは違うのね」
「そこは」
「そうだよ、若い時の伊東さんや中日にいた中尾さんは足が速かったけれど」
 それでもというのです。
「実際キャッチャーはどうしてもね」
「座っているポジションだから」
「普段素早く動き回らないから」
「だからだね」
「足については」
「速くはないことが普通だよ」
 どうしてもというのです。
「本当にね」
「そうだね」
「それでだよね」
「キャッチャーの人は足が遅い」
「どうしても」
「そこまでは流石に求める人はまずいないから」
 キャッチャーの人に機動力はです。
「それはいいんだ」
「そういうことだね」
「まあ全部完璧なんて人いないし」
「守って打って走って」
「全部完璧な人なんてね」
「そうだよ、流石に大谷選手みたいな」 
 この人の名前を挙げる先生でした。
「ピッチャーもバッターもって人もいるけれど」
「それでもだよね」
「そうした人はまあ置いておいて」
「普通に凄い人はね」
「そこまではね」
「まず言うけれど大谷選手は完全に規格外だから」
 そこまでの人だというのです。
「打って投げたら一六五キロなんてね」
「人間超えてるよね」
「文字通り超人だから」
「あの人はね」
「置いておかないとね」
「そうだよ、僕は日本で超人を見たよ」
 こうまで言う先生でした。 

 

第五幕その四

「恐ろしいものだよ」
「だよね、あの人は」
「また別格だよね」
「打って凄くてね」
「投げてそれじゃあね」
「文字通りの超人だよ」
「ああした人は置いておいて」
 最早超人と言うしかない能力だからです。
「普通に凄いキャッチャーの人はね」
「しっかりしたキャッチングに」
「見事なリードで」
「肩も強くて」
「ホームを守って」
「そして打つ」
「お仕事多いね」
「その全てがかなり凄くてチームの守備全体を動かす」 
 この要素もあるというのです。
「だから強いチームはね」
「凄いキャッチャーがいる」
「そういうことだね」
「何といっても」
「そうだよ、そして彼はね」 
 そのキャッチャーの人を見てまた言いました。
「データを見るとね」
「守備もリードも肩もよくて」
「チームも動かしてるんだ」
「それにバッティングもいいんだ」
「彼がメインで試合に出る様になってね」
 キャッチャーとしてです。
「チーム防御率は一点下がってエラーやパスボールは大学時代練習試合含めてゼロで」
「凄いね」
「本当にリードと守備いいね」
「それもかなり」
「しかも盗塁阻止率は六割以上で」
 こちらのお話もする先生でした。
「そもそも盗塁させないこともしてるし」
「盗塁する前にだね」
「まずさせない」
「そうしているんだ」
「相手のランナーの癖を調べて」
 そしてというのです。
「ピッチャーの人に牽制球も投げてもらって」
「ああ、そしてなんだ」
「まず走らせない」
「そうもしているんだ」
「打つ時点で弱点を徹底的に衝くしね」
 そうしたこともするというのです。
「どんなランナーも塁に出ないと意味ないから」
「そうだよね」
「盗塁しようと思えばね」
「まず出塁しないとね」
「駄目だね」
「だからだよ、しかも打率は三割に達していて三振はかなり少なくて」
 今度はバッティングのお話でした。
「長打率も高いしね」
「ううん、もうプロで通用する?」
「そうかもね」
「そこまで凄いならね」
「もうね」
「絶対に通用するよ、それに怪我もしていないから」
 怪我、前にかなりお話したそのお話もするのでした。
「中学時代からね、大きなものはなくて小さなものも」
「それをしてもだね」
「すぐに回復して」
「しかも試合に出てる」
「そうした人なんだ」
「しっかりとした練習をして食事にも気をつけてるかな」
 だからだというのです。
「怪我にもかなり強いね、やっぱり足は遅いけれど」
「それでもだね」
「そこまでハイスペックだとね」
「もう言うまでもないね」
「プロ入り間違いなし」
「そうだね」
「若し日本プロ野球機構のチームに入らなくても」 
 それでもというのです。
「八条リーグの方のチームにね」
「入ってだね」
「そうしてだね」
「活躍間違いなしなんだ」
「僕はそう思うよ、そして」
 先生は皆にさらに笑顔でお話しました。 

 

第五幕その五

「出来れば阪神にね」
「入って欲しいよね」
「やっぱり」
「何といっても」
「うん、何でも阪神ファンらしいし」
 その人の好きなチームはまさにこのチームだというのです。
「後はね」
「阪神が指名してくれる」
「それだけだね」
「それで阪神が指名してくれたら」
「その時は」
「阪神はこれまで以上の黄金時代を迎えるよ」
 その人の力でというのです。
「そして十連覇もね」
「夢じゃないんだ」
「今は三連覇だけれど」
「あと七年も日本一になれて」
「それでなんだ」
「本当にあの投手陣に名キャッチャーが揃えば」
 この二つがというのです。
「その時は」
「まさに鬼に金棒」
「凄いことになるね」
「打線もよくなるしね」
「守備力も全体的によくなって」
「そうだね、まあその阪神も」
 幾ら強くなってもというのです。
「流石に大谷選手みたいな人が相手チームに出るとね」
「負けるんだね」
「流石にああした人が敵に出て来ると」
「優勝出来ないんだ」
「二〇一六年のソフトバンクは確かに圧倒的だったよ」
 そこまでの戦力を誇っていたというのです。
「間違いなくね、けれどね」
「その大谷選手がいる日本ハムに負けて」
「日本ハムは日本一になった」
「そのことを思うと」
「幾ら阪神に名キャッチャーが参加しても」
「それでも」
「負けるよ、野球でも何でも人間のものは」
 ありとあらゆることについてというのです。
「絶対はないからね」
「大谷選手って本当に凄いから」
「ああした選手がまた出て来たら」
「流石に阪神は負ける」
「そうなるんだ」
「願わくば巨人に来ないことを祈るよ」 
 先生はこのことは心から言いました。
「あのチームは優勝したらいけないからこそ」
「ずっと最下位でいないとね」
「巨人については」
「本当に巨人はそうしたチームだからね」
「そうなっていて欲しいわ」
「だからそうした選手は巨人にだけは」 
 本当にというのです。
「出て欲しくないよ」
「同感だよ」
「僕達にしてもね」
「そうした人は巨人にだけは入って欲しくないわ」
「何があってもね」
「来年も巨人にはシーズン敗戦記録を更新したうえで」
 そうしてというのです。
「オープン戦、二軍、交流戦全部でね」
「最下位だね」
「例年通り」
「そうなって欲しいね」
「巨人が弱いと」
 動物の皆も言うことでした。
「日本の景気ってよくなってない?」
「アンチの人が巨人負けるの見てね」
「巨人嫌いな人って本当に多いし」
「だからね」
「そうなってるよね」
「それで阪神が勝ったらね」
「フィーバーが起こるから」
 それで余計にというのです。 

 

第五幕その六

「日本にとってよくなってるよね」
「阪神が強くて巨人が弱いと最高みたいだね」
「日本に元気がみなぎってるね」
「そうだよね」
「うん、統計に取った訳じゃないれど」
 それでもと言う先生でした。
「どうもね」
「日本はね」
「阪神が強くて巨人が弱い」
「その方がいいね」
「元気が出ているね」
「昔巨人のフロントの偉い人が巨人が負けたら日本経済が滅茶苦茶になるって言ってたけれど」
 このことについてはどうかといいますと。
「全く違うね」
「そうだよね」
「むしろ負けた方がいいし」
「というか日本ってマスコミが弱い方がいいよね」
「どう見てもね」
「そうだよね、何かね」
 トミーは動物の皆のお話を聞いて言いました。
「マスコミってすぐに不景気ばかり言うから」
「そうなんだ、日本のマスコミはね」
「不景気、不況ばかり言いますね」
「連日連夜テレビで不況不況と言われるとね」
「自然と気が滅入ってですね」
「観ている人がげんなりとなって」
 テレビを観ている人がというのです。
「そうしてね」
「気分的にですね」
「不況になってね」
「それで日本は不景気だったんですね」
「長い間ね、僕は日本の不景気は」
 かつての長い間のそれはといいますと。
「マスコミがかなりの責任があったよ」
「毎日不況とばかり言っていたからですね」
「その不況ばかり言っていた司会者が年五億の報酬だったんだよ」
「不況なのにですか」
「そして巨人は青天井にお金を使って補強をしていたんだ」
 不景気だというのにです。
「お金はあったんだよ」
「マスコミにですね」
「マスコミ栄えて国亡ぶかな」
「酷いお話ですね」
「不況不況と言ってる人が儲かってる」
「日本はおかしかったんですね」
「どう見てもね」
 不況の頃の日本はというのです。
「そのことにネットが普及するまで皆気付かなかったんだ」
「マスコミが言っていることに」
「マスコミをチェックして」
 その発言や行動をです。
「そしてね」
「そのうえで、ですね」
「その間違いを広く知らせる」
「そのネットが普及して」
「それまでは。問題点を指摘する人がいても」
 マスコミのそれをそうした人はいたのです、当時も。
「新聞やテレビは何百万という人に知らせるね」
「それが武器ですよね」
「だから嘘でもね」
「沢山の人が嘘と思わない」
「例えば北朝鮮を地上の楽園だとテレビや新聞が言ったら」
「何百万の人が信じて」
「そして北朝鮮に行く人も出て来る」
 そうしたことになるというのです。
「日本で本当にあったことだよ」
「とんでもないお話ですね」
「全くだね、それで不景気についてもね」
「マスコミがテレビや新聞で不況だと言い続けて」
「ずっと不景気だった面が強いよ」
「まさに病は気からですね」
「僕は医者だから言えるよ」
 病は気からという言葉についてもというのです。
「心が暗いとね」
「病気もですね」
「余計に悪くなるからね」
「気の持ちようですよね」
「それで不景気も全く違うよ」
「日本ではマスコミが連日連夜不景気ばかり言っていたので」
「ずっとだったんだよ、そして言う人が年五億の収入だよ」 
 それだけ貰っていたというのです。 

 

第五幕その七

「とんでもないことがまかり通っていたんだ」
「日本のマスコミは本当に腐っていたんですね」
「この司会者の人はトミーも知っていると思うけれど」
 よくテレビに出ていた人だというのです。
「三十五年位前と人相が全く違うんだ」
「そこまで変わったんですね」
「三十五年位前は謙虚で温厚な感じだったのに」
 その人相がというのです。
「とんでもなく悪いものになったよ」
「人相は生き方が出ますね」
「この司会者が三十年以上どういった人生だったかわかるね」
「相当悪いことを続けていたんですね」
「その結果人相が全く変わってしまったんだ」
 謙虚で温厚な感じがというのです。
「あの覚醒剤で捕まった元プロ野球選手みたいにね」
「あの人も人相変わったね」
「三十数年の間にね」
「西武にいた頃は恰好いい今風の青年だったのに」
「ヤクザ屋さんみたいになったわね」
「驚く位人相変わったね」
「あのプロ野球選手並に変わったよ」
 その司会者の人の人相もというのです。
「人相や目の光は本当に人柄や生き方が出るからね」
「だよね、先生は穏やかな表情でね」
「目の光もとても優しいし」
「先生も人柄や生き方が出てるね」
「人相や目の光に」
「自分で言っている通りに」
「僕がそうだと嬉しいね、とにかくね」
 先生は皆にさらにお話しました。
「どう考えても日本のマスコミは異常過ぎるよ」
「どうにもならないのが凄いね」
「悪いままで全く変わらないって」
「本当に嫌な世界だよ」
「そんな世界あまりいたくないわね」
「私達は」
「全くだよ、麻薬も日本の他の社会よりも広まってるみたいだし」
 こちらもというのです。
「テレビの世界だとね」
「あっ、よく聞くよね」
「芸能界の誰かがやってたとか」
「それで捕まったり」
「そんなお話多いね」
「麻薬は絶対に駄目だよ」
 先生はこのことは警告する声で言いました。
「本当にね」
「そうだよね」
「身体にも心にも凄く悪いから」
「あんなのしたら駄目だよね」
「まさに身の破滅」
「その通りだね」
「昔は確かに合法だったよ」
 麻薬の使用はです。
「けれど煙草は合法でも身体によくないね」
「それははっきりしてるよね」
「先生も吸わないしね」
「お酒は好きでもね」
「本当に煙草は吸わないわね」
「煙草よりも遥かに悪いから」
 麻薬はというのです。
「もう何があってもね」
「しちゃ駄目だね」
「どんな種類の麻薬も」
「手を出したら駄目だね」
「さっきお話に出た覚醒剤なんか」
 この麻薬はといいますと。
「一本打ったら一週間寝ないですむというけれど」
「一週間寝ないでいいとかね」
「それだけずっと起きてるだけでも問題だし」
「身体をどれだけ疲れさせるか」
「そんなもの身体に入れたら」
「本当にどれだけ身体に悪いか」
「あれは身体のエネルギーを無理に引き出して燃やす様なものなんだ」
 覚醒剤はそうしたものだというのです。 

 

第五幕その八

「だから使ったらね」
「身体のエネルギーを無駄に使って」
「その分身体を疲れさせて」
「心にもかなりのダメージ与えるし」
「絶対に使ったら駄目だね」
「他の麻薬も」
「日本では覚醒剤はヒロポンといって合法で」
 そうした時代があったというのです。
「イギリスでも阿片やコカインはそうだったね」
「シャーロック=ホームズコカイン中毒だったし」
「悪い癖って書かれてるけれど」
「悪い癖どころじゃないよね」
「コカインにしても」
「うん、今だとね」
 シャーロック=ホームズの様な名探偵もというのです。
「それだけでアウトだよ」
「幾ら名探偵でもね」
「麻薬してたらね」
「もうそれだけでね」
「どうかってなるわね」
「それだけで」
「勿論スポーツ選手も駄目だよ」
 先生は力説しました。
「というか僕は煙草すらね」
「スポーツ選手にはよくない」
「そう言うよね、先生は」
「スポーツには煙草は禁物」
「あと歌手にもだね」
「スポーツ選手も歌手も肺をかなり使うからね」
 それだけにというのです。
「煙草は肺に凄く悪いね」
「喉にも悪いし」
「身体全体にもだけれど」
「肺には特にだよね」
「とりわけ悪いね」
「だからスポーツをするなら」
 それこそというのです。
「しないことだよ」
「最初からだね」
「それで身体をちゃんと整えて」
「そうしてスポーツをすべきだね」
「何といっても」
「うん、あとお酒も気をつける人は」
 身体のことにというのです。
「ビールや日本酒は飲まないね」
「あっ、そうなんだ」
「そうしたお酒飲まないんだ」
「ビールとかは」
「うん、ワインを飲むね」
 こちらのお酒だというのです。
「身体に気を使う人は」
「そうなんだ」
「そういえばワインって身体にいいし」
「お酒の中ではね」
「そう言われているから」
「ワインを飲んで」
 そうしてというのです。
「身体に気を使ってるんだ」
「確か」
 トミーがここで言ってきました。
「三百勝した鈴木啓示投手が」
「草魂と呼ばれたね」
「あの人がそうでしたね」
「そうだよ、最初はビールを浴びる様に飲んでいたけれど」  
 それがというのです。
「身体にはワインの方がいいと聞いてね」
「飲むお酒はワインにしたんですね」
「この人はとにかく体調管理に気をつけていて」
「お酒もですね」
「気をつけていたんだ、あと水分は」 
 こちらはといいますと。
「いつも適度に摂っておく」
「それ大事だよね」
「スポーツしてると」
「脱水症状になるし」
「熱中症もあるし」
「あとそこから痛風になったり」
「それに脳梗塞も」
 動物の皆も言いました。 

 

第五幕その九

「そう思うとね」
「何かとね」
「水分って大事だよね」
「ちゃんと摂らないとね」
「駄目だよね」
「そう、今はスポーツドリンクもあるし」
 こうしたものもあるからだというのです。
「スポーツをする時、特に夏はね」
「暑い時はだね」
「物凄い汗をかくから」
「だから余計にだね」
「水分を摂っておく」
「的確に」
「そうしておくことだよ、選手として長く活躍したいなら」
 それならというのです。
「水分もね」
「いつもちゃんとだね」
「摂っておくことだね」
「それが大事だね」
「そうなんだ、昔のプロ野球選手は痛風の選手もいたけれど」 
 この病気になってしまう選手がいたというのです。
「さっき名前が出た鈴木投手も金田正一投手も米田哲也投手もね」
「米田さんは三百五十勝した人でしたね」
 トミーは先生にすぐに応えました。
「阪急や阪神、近鉄で活躍した」
「そうだよ、あの人もね」
「痛風だったんですね」
「それで引退しているから」
「深刻ですね」
「とにかく体力があって怪我にも強い人だったけれど」
 それでもというのです。
「現役の最後の方で痛風になって」
「あれは足の親指の付け根が凄く痛くなるので」
「ピッチングには足に凄い力を入れるけれど」
「その足が痛いと」
「どうしようもないから」
 だからだというのです。
「ベテランだったこともあるけれど」
「痛風で、ですね」
「引退したんだ」
「そうだったんですね」
「何とか三百五十勝達成したけれどね」
 それは出来てもというのです。
「痛風になってしまったんだ」
「そうでしたか」
「それだけに痛風は怖いからね」
「水分はですね」
「ちゃんと摂らないとね」
「駄目ですね」
「何か昔は」
 ガブガブが言ってきました。
「運動中はお水を飲むなってなってたわね」
「今じゃ考えられないわね」
 ポリネシアも言うことでした。
「本当に熱中症になるから」
「水分補給に体温調整」
 ホワイティも言います。
「お水は運動中こそ大事だよ」
「熱中症とか脱水症状とかになったら」
 その時はとです、トートーも言います。
「遅いからね」
「痛風なんてなったら」
 ジップは心から思いました。
「どれだけ辛いか」
「あれ凄く痛いんだよね」
「先生いつも言ってるけれど」
 チープサイドの家族もお話します。
「まずはならない」
「それが第一だってね」
「脳梗塞なんか」
 チーチーは腕を組んで言いました。
「なったら命にも関わるよ」
「本当にそんなことになる前にね」
 ダブダブは本能のまま言いました。
「ちゃんと水分は摂らないとね」
「命にも関わるし」
「僕達もいつもちゃんと飲んでるしね」 
 オシツオサレツは二つの頭で言いました。 

 

第五幕その十

「先生だってね」
「そうしてるしね」
「先生は紅茶が多いけれど」
 最後に言ったのは老馬でした。
「ミルクティーも立派な水分だしね」
「そう、三時のティータイムの紅茶も」
 先生は大好物、生活の一部にもなっているそちらのお話もしました。
「大切なね」
「水分摂取だよね」
「その時だよね」
「何といっても」
「そうだよね」
「だから僕はいつも飲んでいるんだ」
 お茶をというのです。
「しっかりとね」
「そうだよね」
「じゃあね」
「今日も飲むね」
「そうするわね」
「飲まない日はないよ」
 それこそというのです。
「だからね」
「そうだよね」
「じゃあ三時になったらね」
「その時に飲もうね」
「是非ね」
「そうしようね」
 こうしたお話もしました、そしてです。
 先生はそのキャッチャーの人の練習を見ました、今はバッティング練習ですがそのバッティングを見て言いました。
「バットコントロールがいいよ」
「そうですね、右に左に打って」
「どんなコースのどんな球種も打っていて」
 それでというのです。
「凄くね」
「いいですね」
「長打もあるというけれど」
「それよりもですか」
「バットコントロールがね」
 そちらがというのです。
「いい人だね」
「アベレージヒッターですね」
「そうだね、ホームランもいいけれど」
「ヒットもですよね」
「ヒットをコンスタントに打ってくれる人も」
 こちらの人もというのです。
「凄い戦力になるから」
「チームには必要ですね」
「イチロー選手がそうだね」
 先生はこの素晴らしい選手の名前を出しました。
「的確にヒットを打ってくれて」
「チームにも貢献してくれましたね」
「あの人がヒットを打って塁に出てね」
「次の人が打ってくれる」
「そしてイチロー選手のヒットも打点になるしね」
 ランナーがいれば返してくれるというのです。
「だからだよ」
「アベレージヒッターも必要ですね」
「何といってもね」
「そういうことですね」
「三割打っているのは伊達じゃないね、いや」
 ここでその人の打率を確かめてです、先生は言いました。
「三割七分打ってるね」
「かなり高い打率ですね」
「大学野球でこれなら」
「プロでもですね」
「充分だよ、打点も高いし」
「勝負強さもですか」
「いや、得点圏打率は普通だね」 
 そちらはというのです。
「特別勝負強くも弱くもね」
「ないですか」
「安定のある感じだね、ただ長打もあるから」
 見ればここでその人は打球をフェンスの向こうにやりました、一直線に飛んでいくとても速い打球でした。 

 

第五幕その十一

「それでね」
「打点もですか」
「あるね」
「一塁ランナーも長打ならですね」
「得点になるからね」
「ですね、じゃああの人は」
「特別チャンスに強くなくて」
 そしてというのです。
「弱くもね」
「平均的ですね」
「そんな風だよ」
「そうですか」
「うん、ただチャンスに弱い訳じゃないから」
 だからだというのです。
「これもいいことだね」
「幾ら打ってもですね」
「チャンスに弱いとね」
「それだけで困りますね」
「昔の阪神はそうした傾向があったから」
 打線全体にです。
「だからね」
「それで、ですね」
「勝てなかったんだよ」
 打線が点を取ってくれなくてです。
「それを考えるとね」
「平均して打点を取ってくれる人も」
「大事だよ、やっぱりあの人はね」
「阪神に入ったら」
「凄い戦力になるよ」
 間違いなくというのです。
「そうなるよ」
「なら」
「ドラフトの結果を祈るよ」
 心からというのです。
「本当にね」
「阪神が、ですね」
「あの人を指名する」
「逆指名があればなおよしですね」
「それがあれば」 
 逆指名があればとです。先生はトミーに答えました。
「もうね」
「それで心配はなくなりますね」
「そう思うよ、ドラフトが楽しみで」
 そうしてというのです。
「心配でもあるよ」
「二つの感情が入り混じってるんですね」
「そうなんだ」
 実はというのです。
「今の僕はね」
「そうした時ありますね」
「そうだね、期待していて」
「それが楽しみで」
「それと共に」 
 まさにというのです。
「不安であるんだ」
「心配ですね」
「その両方の感情が入り混じっていて」
「そうした時は何と言っていいか」
「わからないよ、今は吉報を祈るよ」
 それに尽きるというのです、そうしたことをお話しつつです。
 先生はグラウンドにいてその人の練習を観続けました、バッティングのそれは非常にいいものでした。 

 

第六幕その一

               第六幕  雨の時も
 この日は雨でした、休日でしたが生憎の雨で先生はお部屋の窓から外を見ながらこんなことを言いました。
「秋の長雨だね」
「よく言うよね」
 王子が先生に応えます、丁度三時なので皆でティータイムを楽しんでいます。ミルクティーにスコーン、バウンドケーキにフルーツに生クリームのサンドイッチという今回はオーソドックスなイギリスのティ―セットです。
 そのセットを食べつつです、王子は先生に言いました。
「日本では」
「そうだね」
「実際秋はよく降るしね」
「六月とね」
「六月は梅雨というしね」
「その季節も雨が多いよ」
「日本は全体的に雨が多い国かな」
 王子はミルクティーを飲みつつ言いました。
「全体的に」
「そう言えるね、ただね」
「ただ?」
「イギリスよりは」
 先生の祖国よりとはというのです。
「少ないから」
「ああ、イギリスはね」
「特に多いよね」
「霧も深いしね」
「霧の都ロンドンとも言うね」
「そうだよね」
「雨と霧は」
 この二つはというのです。
「イギリスの象徴だよ」
「本当にそうだね」
「そのイギリスと比べたら」  
 流石にというのです。
「少ないかな」
「そうかもね」
「まあイギリスについては」
 トミーも言ってきました、勿論この人もティ―セットを楽しんでいます。このことは動物の皆も同じです。
「雨は付きものですね」
「ステッキじゃなくて傘を持つ位だからね」
「そうですよね」
「あの雨も懐かしいね」
「今では」
「やれやれと思う時もあったけれど」
 イギリスの雨の多さはというのです。
「それでもね」
「今はですね」
「懐かしいね」
「イギリスを離れると」
「そう思えるよ、霧も」 
 こちらもというのです。
「懐かしいよ」
「あの深い霧も」
「とんでもなく深い霧だけれどね」
「スモッグはなくなりましたしね」
「今はね」
 実際にというのです。
「そうなったし」
「純粋な霧で」
「あの霧は」
 今ではというのです。
「いい霧だよね」
「そうだよね」
「手を伸ばしても」
 その手をというのです。
「指が見えなくなる位でね」
「凄いですよね」
「あんな霧はそうそうないよ」
「車に乗ってる時は危ないですが」
「サラも言ってるね」
 尚先生は車の運転は出来ないです、オートバイも乗れないのでいつも老馬に乗って移動しているのです。
「そうね」
「ロンドンに行かれた時は」
「本当に凄い霧だよ」
 ロンドンの霧はというのです。 

 

第六幕その二

「あんな凄い霧はね」
「実際に他にないですね」
「全くだね」
「若しスポーツの試合中に出たら」
 王子が言ってきました。
「ナイター扱いだね」
「そうだよね、その時は」
 王子は笑顔で言いました。
「照明で照らしてね」
「試合しないとね」
「駄目だよね」
「本当にね」
「その時はね」
「お昼でもそうだから」
「本当にロンドンの霧は凄いよ」
 こうしたお話をしました、そしてです。
 そうしたお話の中で動物の皆も言いました。
「日本も霧は出るけれど」
「大体朝でね」
「冬に出ることが多いわね」
「それで午前中だけで」
「お昼とかはないわね」
「夜は気にならないしね」
「朝霧って言葉もあるしね」 
 先生は皆にミルクティーを飲みつつ答えました。
「夜霧もあるけれど」
「大体朝ってことよね」
「気温も関係するし」
「お日様の光も」
「それでだよね」
「それに日本は北海道でもロンドンより緯度が南にあるんだ」
 寒いという北海道でもです。
「パリよりもね」
「だからその分暖かいんだよね」
「日本は欧州に比べて」
「実際にイギリスって日本より寒いし」
「特にスコットランドはね」
「寒いよね」
「だからキルトを着る時は」
 先生はスコットランドの民族衣装のお話もしました、タートンチェックのスカートでとても印象的なものです。
「冷えるよね」
「というかキルトってね」
 この服について王子はこんなことを言いました。
「下着穿かないんだよね」
「本格的に着る場合はね」
「だったら余計にね」
「冷えるね」
「そうだよね」
「僕はその本格的な場合を話したんだ」
 穿かない場合をというのです。
「寒いスコットランドだから」
「余計に冷えるね」
「その冷え方が」
 どうにもというのです。
「日本のそれよりもね」
「厳しいよね」
「本当にね」
 こうしたお話をします、そしてです、
 先生は皆に対してこんなことも言いました。
「日本は欧州よりも過ごしやすい気候だね」
「冬も欧州に比べて寒くないし」
「北海道でもね」
「夏はきついけれどね」
「南洋とかよりましだし」
「そう、四季のそれぞれの美しさもあって」
 このことにもついてもお話する先生でした。
「それでね」
「全体的にね」
「過ごしやすい国だよね」
「日本という国は」
「本当にそうだね」
「欧州の人口密度が低いのはね」
 日本と比べてそうである理由はというのです。
「その厳しい気候のせいだしね」
「農作物も育ちにくいし」
「寒い時期が長いし」
「その寒さも厳しいし」
「しかも土地やお水もよくないし」
「それじゃあね」
「フランスの豊作の時より日本の凶作の時の方が収穫はよかったらしいよ」
 先生は農業のお話もしました。 

 

第六幕その三

「どうもね」
「フランスって欧州屈指の農業国なのに」
「そのフランスの豊作の時でもなんだ」
「日本の凶作の時の方がいいとか」
「何か凄いね」
「全くだね、日本は気候がよくて」
 そしてというのです。
「土地はいいしお水もだからね」
「凄い収穫になるのね」
「欧州と比べて」
「そうなんだね」
「お米だしね」 
 作物のお話もするのでした。
「麦よりずっと収穫高もいいし」
「そうそう、日本はお米だね」
「何といっても」
「麦も食べてるけれど」
「お米の国だね」
「そのこともあるからね」 
 主食がお米であることもというのです。
「だからだよ」
「日本は農業の面で欧州よりずっと豊かで」
「人口も多い」
「そうなんだね」
「人口が一億超えているからね」 
 それだけの人がいるというのです。
「欧州ではそんな国はロシアだけだね」
「あの国はとんでもなく広いから」
「その広さがあるからね」
「人口は多いよ」
「けれど欧州の中で特に寒いから」
「農業はね」
 肝心のそちらはとです、動物の皆も言います。
「あまりよくないよね」
「主食麦だしね」
「あとジャガイモもあるけれど」
「全体で見れば日本より厳しい状況だね」
「本当に日本の人口が多いことも」
 このこともというのです。
「気候がいいことも大きいよ」
「そうだよね」
「雨は確かに多いけれど」
「その雨も恵みの雨だし」
「いいんだよね」
「そうなんだ、ただ雨だと」
 先生はスコーンを食べつつこんなことも言いました。
「スポーツは困るね」
「外でやるスポーツはね」
 どうしてもとです、王子は先生にバウンドケーキを食べつつ応えました。中に入っているレーズンも美味しいです。
「そうなるね」
「そうなんだよね」
「練習もね」
「うん、ただね」
「ただ?」
「今は室内練習場も充実しているから」
 だからだというのです。
「雨でもちゃんとした練習はね」
「出来るんだね」
「特に八条学園は設備が充実しているから」
「雨でもだね」
「しっかりした練習が出来るよ」
「それはいいことだね」
「昔は雨が降ると」
 その時はといいますと。
「試合も練習もね」
「お休みだね」
「そうなったんだ」
「室内練習場もなくて」
「野球も出来なかったよ」
「他のスポーツも」
「サッカーもラグビーもね」
 外でやるスポーツはというのです。
「全くね」
「そうだったね」
「まあね、昔はね」
 実際にとです、ガブガブが言いました。
「仕方ないわね」
「むしろ雨だとお休みで」
 それでとです、ジップも言います。 

 

第六幕その四

「いい時だったね」
「そうした考えもあったんだね」
 チーチーの言葉はしみじみとしたものでした。
「かつては」
「そうした時代だったってことかな」
 ダブダブは少し考えるお顔で言いました。
「つまりは」
「いい時代と言えばいい時代だね」
「特に練習が好きでない人にとっては」
 チープサイドの家族もお話します。
「休めて」
「いい時だったんだね」
「恵みの雨と確かに言うけれど」
 ホワイティはお外の雨を見ながら言いました。
「実際にそうだったんだね」
「スポーツにおいても」
 トートーも雨を見ています、静かですが確かに降っています。
「そうだったんだね」
「まあね」
 今度は老馬が言いました。
「そこはそれぞれだね」
「練習したい人は嫌だったかも知れないけれど」
「晴れの日ばかりじゃないし」
 オシツオサレツも二つの頭で言います。
「人もそれぞれで」
「恵みの雨といえばそうなるね」
「雨も降らないと」
 そもそもと言うポリネシアでした。
「駄目だしね」
「皆の言う通りだよ、身体には休養も必要だし」
 いつも動かしている訳にはいかないというのです。
「だから昔は雨が降ったら」
「身体を休める」
「そうしていたんだね」
「そうなんだね」
「野球でもね、ただ雨の日を休みとしたら」
 その場合はといいますと。
「不定期だしね」
「休める時が」
「それはそれで」
「そうなっていたんだ」
「だから今はね」
 どうかといいますと。
「雨だと室内練習場で練習して」
「それで休みの日はもう決めていて」
「その日にちゃんと休む」
「そうなっているんだね」
「そうだよ、そしてね」 
 先生は皆にさらにお話しました。
「効果的な練習が出来ているんだ」
「それも文明の進歩ですね」 
 トミーは先生に笑顔で言いました。
「そうですね」
「うん、そうだよ」
 その通りだとです、先生はトミーに笑顔で答えました。
「スポーツもね」
「文明の進歩が影響していますね」
「勿論野球でもね」
「そうですよね」
「昔に比べてバットやグローブも」
 そうした野球の道具もというのです。
「よくなっているしね」
「何か」
 ここで言ったのは王子でした。
「昔の、十九世紀位のグローブは」
「殆ど手袋だね」
「今と全然違うね」
「うん、実際にね」
「かなり違ったんだね」
「昔の、本当に黎明期の野球は」
 先生はその頃の野球のお話もしました。
「今と比べるとね」
「全く違うね」
「そうだったんだ、ユニフォームも」
 こちらもというのです。 

 

第六幕その五

「今よりぶかぶかな感じだったしね」
「今は身体にぴったりした感じだね」
「そうだしね」
「その方が動きやすいしね」
「そうもなったんだ、ただね」
 先生はサンドイッチを食べながら話題を変えました、今度の話題は一体どういったものかといいますと。
「昔の野球の話をさらにすると」
「どうしたのかな」
「ピッチャーの人は普通に連投しているね」
「あっ、先発の人が」
「完投が普通でね」
「凄く投げてるね」
「中日にいた権藤さんなんかは」 
 この人はどうかといいますと。
「権藤権藤雨権藤ってね」
「そう言われる位投げていたんだ」
「もう先発は殆どね」
「権藤さんっていう位だったんだ」
「稲尾さんや杉浦さんもそうで」
 この人達もというのです。
「本当にエースが連投していたね」
「それが昔の野球だったんだね」
「これは戦前からでね」
 第二次世界大戦前からだというのです。
「当時は普通だったんだ」
「そこも今と違うね」
「昔は医学が今よりずっと遅れていて」
 先生はお医者さんとしてお話しました。
「身体が弱いと子供の頃にすぐに死んでいたね」
「そうそう、日本でもね」
「しゃぼん玉の歌は実は小さな子供を歌ったもので」
「風風吹くなってね」
「風は風邪でね」
 そうした意味でというのです。
「子供は風邪をひいたらね」
「すぐに死んだね」
「それで身体の強い人だけが残って」
「スポーツ選手は身体が強くないとなれないし」
「しかも昔の人達は移動手段、車もなかったし」
 それでというのです。
「いつも歩いていたし身体を使う機会も多かったし」
「今の人達よりずっと丈夫だったね」
「だからね」
 それでというのです。
「今よりずっと強い身体だったから」
「連投もだね」
「出来たんだ、ただね」
「ただ?」
「結果として権藤さんの選手生命は短かったよ」
 連投ばかりしたこの人はというのです。
「稲尾さんも杉浦さんも現役時代はあまり長くなかったし」
「ずっと投げていたらね」
「肩に無理が来るね」
「そうなるよ、実はこの人達は昭和十年代の生まれなんだ」
 この頃に生まれた人達だというのです。
「そしてこの人達を使っていた監督さんは大正生まれだったんだ」
「ええと、その頃の監督さんは」
「中日は濃人渉さん、稲尾さんの西鉄は三原修さん、杉浦さんの南海は鶴岡一人さんだよ」
「三原さんや鶴岡さんだったんだ」
「名監督だね、どの人も」
「その人達は大正生まれで」
 その頃に生まれた人達だったというのです。
「大正時代と昭和十年代じゃまた医学は違うから」
「昭和十年代の方が進歩していたね」
「子供、乳幼児の死亡率も改善していたし」
 昭和十年代は大正と比べてそうだったというのです。
「文明も進歩していたしね」
「その分身体も動かさなくて」
「身体の強さが違ったんだ」
「じゃあ濃人さん達は大正の身体の感覚で昭和十年代の人を使っていたんだ」
「その人達の現役時代は普通だったしね」
 ピッチャーの連投がというのです。 

 

第六幕その六

「戦前は。それで潰れなかったし」
「大丈夫だと思っていたんだ」
「けれどね」
「昭和十年代の人は違って」
「権藤さんも稲尾さんも杉浦さんも現役生活は短くなったんだ」
「大正時代の人程連投には耐えられなかったんだ」
「そして昭和四十年代になると」
 この頃の野球ではといいますと。
「徐々にストッパーみたいな人が出てね」
「完投がなくなって」
「連投もね」
 こちらもというのです。
「なくなってね」
「今みたいになったんだね」
「選手が戦後生まれになってね」
「ああ、医学がさらに進歩して」
「それで乳幼児の死亡率は減って」
「身体の強さも」
「それもね」
 こちらもというのです。
「変わってね」
「これはどの国もだね」
「そう、とんでもなく強い人だけが生きるんじゃなくて」
「普通の人も生きられる様になって」
 身体の強さがとです、王子も言いました。
「人口は増えたけれど」
「身体の強さはね」
 どうしてもというのです。
「弱くなったよ」
「それは事実だね、人間自体が」
「身体が弱くなっているんだ」
「というか昔の医学や文明だと」
「今よりずっと身体が強くないとだね」
「生きられなかったんだ」
 そうした時代だったというのです。
「本当にね」
「子供はすぐに亡くなって」
「そしていつも身体を動かさないとね」
「何も出来なくて」
「しかも病気になっても」
 その時もというのです。
「多くの病気で治療方法が見付かっていなくてね」
「すぐに死んだね」
「ペストもそうだったね」
 先生は欧州で最も恐れられていた病気の名前も出しました。
「あの病気もそうだし色々な伝染病もね」
「治療方法も対策もだね」
「見付かっていなくてね」
 それでというのです。
「感染するとね」
「すぐに死んだね」
「盲腸でも命を落としたし」
「今じゃ何でもないけれどね」
「癌になったら」
「もう死ぬしかなかったね」
「そんな風だったからね」
 だからだというのです。
「今よりもね」
「ずっと人が死にやすい状況だったんだ」
「そんな時代だったから」
「人の身体も頑丈で」
「それでね」
「野球選手もだね」
「今から考えられない位に身体が頑丈で」
 先生は昭和三十年代までの野球選手のことを思いつつお話します。
「先発で完投でね」
「連投もだね」
「出来たんだ」
「そうなんだね」
「稲尾さんは鉄腕と言われたけれど」 
 それでもというのです。
「今の人が駄目なんじゃなくてね」
「当時は当時だね」
「そうだよ、文明自体が違うから」
 当時と今はです。
「今が駄目とか昔は凄かったとか言ってもね」
「意味ないんだね」
「そうだよ、今は今の野球があるからね」
「エースが連投で完投しなくてもいいんだね」
「戦前や昭和三十年代みたいにね」
「そうした野球じゃないんだね」
「そうだよ、ただ稲尾さんや杉浦さんは」
 先生はあらためてこの人達についてお話しました。 

 

第六幕その七

「連投抜きにしても凄い人達だよ」
「ピッチャーとしての能力が高かったんだね」
「そもそものそれが」
「連投で完投出来るだけじゃなくて」
「そうだったんだね」
「そうだよ、稲尾さんはスライダーとシュートが凄くて」
 この人はそうだったというのです。
「どちらも魔球みたいだったんだよ、スライダーは高速スライダーで」
「普通のスライダーより速いんだよね」
「キレも鋭くて」
「今も投げる人いるよね」
「恰好いい名前の変化球よね」
「それで有名だったけれど実は真の武器はシュートで」 
 それでというのです。
「抜群のコントロールと球威もあってね」
「中々打たせなかったんだ」
「その高速スライダーとシュートで」
「そうだったんだね」
「杉浦さんもコントロールがよくて」 
 今度はこの人のお話をするのでした。
「とんでもない曲がり方をするカーブと少し沈むシュートでね」
「勝っていったんだね」
「その二つの変化球を武器に」
「そうだったんだね」
「お二人共今現役だったら」
 どうかといいますと。
「メジャーでも大活躍したし全日本でもね」
「エースね」
「それも押しも押されぬ」
「そうした人だったのね」
「絶対にそうなっていたよ」 
 先生ははっきりと言いました。
「あの人達は」
「確か稲尾さんはスリークォ―ターでね」
「杉浦さんはアンダースローよね」
「お二人共右投手でね」
「そちらの人だったわね」
「そうだよ、日本の漫画だと昔はピッチャーは左腕の人が多かったけれど」
 それでもというのです。
「右投手でも凄い人は大勢いるんだ」
「サウスポーだと金田正一さんや鈴木啓示さん、工藤公康さんですね」
 トミーがこの人達の名前を挙げました。
「それに江夏豊さんも」
「そう、その人達はね」
「サウスポーでしたね」
「それで右ピッチャーはその人達にね」
「米田哲也さんや山田久志さんですね」
「その人達だよ、ただ右投手も左投手もね」
 どちらの人達もとです、先生はトミーにお話しました。
「必要だよ」
「そうですよね」
「今の阪神だってそうだね」
「どちらの人も凄い人が揃っていますね」
「先発にも中継ぎにもね」
「だから余計に阪神投手陣は凄いんですね」
「阪神は不思議なことに何時でも利き腕から見ても」
 ピッチャーのそこから見てもというのです。
「いい人が揃っているんだ」
「先発、中継ぎ、抑えから見ても」
「もっと言えば若手、ベテランでもね」
「いい選手が揃っていて」
「充実しているんだ」
「それが阪神ですね」
「逆に打線はそうじゃないことが多いけれどね」 
 残念ながらという口調でのお言葉でした。
「今の連覇に入るまで貧打線と言ってよかったしね」
「本当に打線には苦労していましたね」
「これはよくない伝統だったね」
 投手陣とは違ってというのです。
「野球はその一年だけにしても阪神は投手陣はいつもいいのに」
「打線は、というのは」
「困ったことだったよ」
「本当にそうでしたね」
「けれどまた言うけれど投手陣は」
「利き腕から見ても充実していますね」
「左右どちらのエースも存在していて」
 先発投手陣にというのです。 

 

第六幕その八

「確かに勝ってくれるしね」
「そうですよね」
「中継ぎ陣なんか」
「もう個性派揃いで」
「万全だからね」
「利き腕の面から見てもですね」
「阪神投手陣はいいんだよね」
「そうしたチームですね」
「昔からね」
「そうですね」
「ただね」
 ここでトートーが言ってきました。
「野球ってポジションによって利き腕が決まってるよね」
「セカンドとかショートは右利きだね」
「それにサードもね」
 オシツオサレツが指摘します。
「投げる方はね」
「それは決まってるね」
「バッターとしては関係ないけれど」
 ジップはこちらのお話をしました。
「それで投げる方はね」
「右投げの人じゃないとってあるね」
 老馬もそこを指摘しました。
「野球の場合は」
「これはソフトもだけれど」
「あちらは野球とそういうところ同じだし」
 チープサイドの家族もお話します。
「ポジションに利き腕が関係する」
「野球の特徴の一つだね」
「ファーストや外野手は左利きでもいいね」
 このことはポリネシアが指摘しました。
「別に」
「そうそう、けれどセカンド、ショート、サードは違って」
 ホワイティはポリネシアに横から言いました。
「右投げじゃないと駄目だね」
「何か投げる時にその方がいいらしいね」
 このことはチーチーは言いました。
「ファーストの方に」
「実際にグラウンドとポジション見ればわかるわね」
 そのことはとです、ガブガブは言いました。
「左利きだとちょっとファーストの方に身体向けないといけないから」
「そのちょっとが大事なんだね」
 ダブダブはガブガブの指摘に頷きました。
「アウトかセーフかの境目だね」
「そうだよ、そしてキャッチャーもね」
 先生は皆にこのポジションのお話もしました。
「右利きだね」
「そうだよね」
「左投げのキャッチャーっていないよね」
「何かアメリカには昔いたらしいけれど」
「それでもね」
「バッターも右の人が多いね」
 それでというのです。
「左投げだと盗塁刺す時にね」
「あっ、二塁に投げる時にね」
「左利きだと右バッターが邪魔になるから」
「それでだね」
「キャッチャーは右投げなんだね」
「そうだよ、ただね」
 ここでこうも言う先生でした。
「今は左バッターの人も結構多いしね」
「右バッターの人が多いけれどね」
「今はそうだよね」
「イチロ―選手も左だったしね」
「右投げでもね」
「そうした人がバッターの時は送球も工夫が必要なんだ」
 キャッチャーの人はというのです。
「どうしてもね」
「そうだよね」
「野球も工夫だし」
「それじゃあね」
「そこはちゃんと工夫して」
「それでやってるんだね」
「そうなんだ、まあとにかくね」
 先生はさらにお話します。 

 

第六幕その九

「野球は利き腕がかなり関係するスポーツだね」
「そのことは間違いないね」
「やっぱりね」
「しっかりとね」
「それはあるね」
「そして彼は」
 八条大学のあのキャッチャーの人のお話もするのでした。
「右投げ右打ちだね」
「キャッチャーの人では標準だね」
「右投げは絶対にしても」
「そこで右打ちっていうのは」
「同じだね」
「そうだよね」
「うん、ただ彼は右ピッチャーも左ピッチャーもね」
 相手がどちらでもというのです。
「問題なく打っているね」
「相手ピッチャーの利き腕に関係なく」
「コンスタントに打ってるんだ」
「どちらのピッチャーも問題なく」
「そうなんだね」
「これはピッチャーにも言えるけれど」
 それでもというのです。
「相手の利きによって得意不得意がある人がいるよ」
「右バッターで右ピッチャーに弱いとかですね」
「そう、左ピッチャーに強いとかね」
 先生はトミーに答えました。
「そうした人がいるよ」
「そうですよね」
「よく左バッターの人は左ピッチャーの人に弱いというね」
「利きが同じだとですね」
「どうしても見えにくいからね」
「ピッチャーだと逆になりますね」
「そう、右ピッチャーの人が左バッターに弱いとかね」
 そうしたことがというのです。
「あるね」
「そうですよね」
「ところがこれは一概に言えなくて」 
 先生がここでお話することはといいますと。
「工藤公康さんは左ピッチャーだけれど左バッターに弱かったんだ」
「そうだったんですね」
「近鉄にいたクラーク選手は右バッターだったけれどね」
「左ピッチャーに弱かったんですね」
「右ピッチャーと左ピッチャーで打率が全く違ったんだ」
「そこまでだったんですね」
 トミーもお話を聞いてそうだったのかというお顔になっています。
「また極端ですね」
「逆に王貞治さんやイチローさんは左バッターだったけれどね」
「左ピッチャーを苦にしなかったんですね」
「そうだったんだ」
 この人達はそうだったというのです。
「右ピッチャーでも左バッターに強い人もいるしね」
「利きは関係あっても」
「それとはまたね」
「違うところがあるんですね」
「そうなんだ、横浜にいた古木選手は左バッターで左ピッチャーをかなり苦手としていたし」
「そうしたオーソドックスなケースもあって」
「そうじゃないケースもあるんだ」
 左ピッチャーなのに左バッターに弱かったり右バッターなのに左ピッチャーに弱かったりするというのです。
「クロスファイアーっていって対角線で強いピッチャーの人もいるし」
「右だと左、左だと右ですね」
「そうした人もいるから」
「本当にそれぞれですね」
「けれど彼はね」
「左右関係ないですか」
「どちらも打率はね」
 それはというのです。
「別にね」
「安定しているんですね」
「得点圏打率でもそうでね」
「そうしたことに関係なくですか」
「打っているよ、長打率もね」
 こちらもというのです。
「変わらないし」
「安定感が凄い人ですか」
「うん、抜群だね」 
 その安定感たるやというのです。 

 

第六幕その十

「勝負強いとか左ピッチャーに強いとかいう特徴はないけれど」
「安定感があって」
「三振もかなり少ないね、特に」
「特に?」
「ダブルプレーを打つことが少ないね」 
 これもあるというのです。
「殆どないよ」
「それはいいことですね」
「ダブルプレーはね」
「自分もアウトになって」
「ランナーの人もアウトになるからね」
 それでというのです。
「もうね」
「かなり落ちますよね」
「それだけでね、とはいっても犠打はね」
「送りバントですね」
「それを言われる人でもないしね」
 こちらはないというのです。
「長打率があるから」
「安定感もあるので」
「打順は四番であることが殆どだし」
 クリーンアップの中核です。
「だからね」
「送りバントはなくて」
「それよりもね」 
 むしろというのです。
「ヒッティングだけれど」
「そのヒッティングでもですね」
「ダブルプレーがね」
 それを打つ時はというのです。
「殆どないから」
「そのことはいいことですね」
「あれはアウト二つに」
 それに加えてというのです。
「チームの士気にも関わるから」
「よくないですね」
「打ってしまうとね」
 どうしてもというのです。
「だからね」
「それで、ですね」
「彼はね」
「バッターとしてもですね」
「いい選手だよ」
「そうですね」
「だからね」
 それ故にというのです。
「プロ野球選手になれば」
「活躍してくれますね」
「必ずね、だからね」
 それでというのです。
「プロ野球選手になって欲しいね」
「そして理想はですね」
「阪神だよ」
 このチームにというのです。
「入団して欲しいね」
「投手陣をさらによくしてくれてしかも打ってくれる」
「そんな人だから」
 だからだというのです。
「本当にね」
「阪神入団をですね」
「僕としては願うよ」
「後は阪神とその人次第ですね」
「そうなるよ、それでも」 
 ここでこうも言った先生でした。
「僕達はまだ彼とお話していないね」
「練習は観てもね」
 王子が応えました。
「それでもね」
「そうだよね」
「そのことがだね」
「僕としてはね」
 どうにもという口調で言う先生でした。 

 

第六幕その十一

「一度ね」
「お話してみたいですね」
「うん、人柄も悪くないそうだけれど」
「そうですか」
「真面目で努力家で温厚でね」
「そうした人ですか」
「意地悪でも傲慢でもないみたいだよ」
 そうした困った要素はないというのです、トミーにお話しました。
「礼儀正しくて後輩には優しくてね」
「いい人なんですね」
「そうみたいだね」
「それはいいですね」
「ただ、煙草は吸わないけれど」
 それでもというのです。
「お酒が好きということはね」
「そのことはですか」
「酒乱ではないそうだけれど」
「そこが問題ですね」
「お酒はやっぱりね」 
 こちらはというのです。
「飲み過ぎるとね」
「身体によくないですね」
「特にスポーツ選手にはね」
「それでそのことがですね」
「少し心配かな、けれどね」
 それでもと言う先生でした。
「人間完璧な人なんてね」
「いないね」
 王子が応えました。
「それこそ」
「そうだね」
「だからだね」
「お酒が好きでも」
 それでもというのです。
「それ位はね」
「仕方ないんだね」
「そうなるよ」
「そうだね、じゃあ」
「お酒のことは」 
 そのことはというのです。
「そうしたところもある」
「そう考えて」
「そしてね」
 そのうえでというのです。
「観ていけばいいし彼自身もね」
「やっていくことだね」
「そうなるよ、食べものの好き嫌いは」
「それは、だね」
「別にないみたいだし、ただかなり食べるそうだね」
「スポーツ選手だしね」
「うん、僕達より遥かにね」
 それこそというのです。
「力士さんみたいに食べるそうだよ」
「やっぱり身体を動かすと」
「それだけね」
 まさにというのです。
「食べるよ」
「そうだよね」
「もうそのことはね」
「仕方ないね」
「しかも若いから」
 このこともあってというのです。
「食べるよ」
「そうだね」
「そしてここで何でも食べると」
「バランスよく」
「本当にいいんだ」
「そうだよ、それとね」
 先生はさらにお話しました。
「煙草を吸わないこととは何といってもね」
「いいことだね」
「そうだよ、あれは本当にね」
「身体に悪くて」
「スポーツ選手には特にね」
「よくないからだね」
「吸わないことがね」
 まさにというのです。
「第一だよ」
「それであの人もだね」
「うん、吸わないから」
 それでというのです。
「僕はいいと思うよ」
「先生煙草には特に言うね」
「麻薬は論外にしてもね」
 こちらは言うまでもないというのです。
「煙草はとにかく身体特に肺に悪いから」
「スポーツ選手は激しい運動をするからね」
「その肺を特に使うからね」
「体力にも関係するしね」
「吸わないことがね」
 何といってもというのです。
「いいことだよ」
「そういうことだね」
「まあ昔は吸う人もいたけれど」
「今はだね」
「かなり減ったね」
「いいことだね」
「だから僕はスポーツをする人には特にね」
 こう王子にお話します。
「吸わないことをね」
「勧めているんだね」
「僕自身も吸わないしね」
「だから先生その意味でも健康なんだね」
「そうだと思うよ」 
 笑顔で応える先生でした、そうしてです。
 先生は皆とさらに野球のお話をしていきます、それは医学からそして野球についての確かな知識に基づいた非常に理知的なものでした。 

 

第七幕その一

                第七幕  ドラフトを前にして
 ドラフトの日が近付いてきました、すると動物の皆は研究室で講義を終えてその講義を振り返った後で論文を書きはじめた先生に尋ねました。
「いよいよだね」
「ドラフトだね」
「ドラフトの日が近付いてるね」
「そうなってきたわね」
「そうだね、どうもね」 
 先生は皆に応えました。
「彼はプロからも注目されるよ」
「八条リーグからも注目されていて」
「日本プロ野球機構の方からもだね」
「そっちからも注目されているんだね」
「そうなんだね」
「うん、そしてね」
 先生は皆にさらにお話します、その間も論文を書く手は止まっていません。
「阪神だけれど」
「そうそう、あのチームだよ」
「阪神があの人をどう見ているか」
「注目してくれているか」
「そのことが問題よ」
「何といっても」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「僕は気になっているんだ」
「そうだよね」
「阪神があの人のことを見ていてくれているか」
「そしてドラフトで指名してくれるか」
「そのことがね」
「気になるね」
「そうだよ、本当にね」
 まさにと言う先生でした。
「僕は今そのことが心配なんだ」
「阪神が指名してくれるか」
「それで他の球団が指名しないか」
「そのことがだね」
「気になって仕方ないのね」
「心からね、特にね」
 先生はこうも言いました。
「巨人が指名したらって思うと」
「嫌だよね」
「やっぱり巨人にいい選手は入って欲しくないわ」
「巨人はずっと弱いままでないとね」
「そうであって欲しいよ」
「日本のプロ野球はずっと歪だったよ」 
 正しい状況ではなかったというのです。
「巨人ばかり優勝して注目されてやりたい放題やっている」
「オーナーは北朝鮮の将軍様みたいだったし」
「独裁者そのもので」
「球界を私物化さえしていた」
「そんな風だったのね」
「巨人が弱いと野球の人気が落ちるとかも言われていたし」
 先生は昭和の頃に言われていた言葉を出しました。
「景気が悪くなるともね」
「全然そうじゃないのに」
「おかしな理論ね」
「荒唐無稽っていうか」
「奇妙な理屈だよ」
「本当にね」
「そう、そうした歪な時代に戻ったらいけないよ」
 先生は穏やかですが真面目なお顔でお話しました。
「二度とね」
「そうだよね」
「そうなったらいけないよ」
「野球は巨人だけしかないとかね」
「そんな間違った風潮が正されたんだから」
「絶対に戻ったらいけないわ」
「巨人はもうずっと弱くて無力で人気がない」
 先生は言いました。
「そしていい選手もいないしフロントも力がない」
「ずっとそんなままでいるべきね」
「もう二度と巨人は強くなってはいけない」
「これからずっと最下位であるべきね」
「巨人が存在している限り」
「そうだよ、巨人は本当にね」
 まさにというのです。 

 

第七幕その二

「二度と優勝してはならないどころじゃないよ」
「最下位から脱出したら駄目ね」
「フロントもあの調子で」
「ただ過去の栄光にしがみついてるだけ」
「そんなチームであるべきね」
「僕もそう思うよ、不祥事ばかり起こすし」
 もう毎年不祥事そしてフロントが引き起こすお家騒動でネットもマスコミも賑わしているという状況です。
「ああしたチームは強くなったらいけないよ」
「もう何があっても」
「二度と最下位から脱出しないで」
「そのうえでね」
「いい選手も入るべきじゃない」
「そうだよ、だから彼もね」
 もう何があってもというのです。
「巨人には絶対に入って欲しくないね」
「全くだね」
「あのチーム選手の育成も下手だし」
「ピッチャーもバッターもよくならないし」
「スター選手がいなくなって久しいし」
「若し巨人に入ったら」 
 その選手もというのです。
「変な選手になるかも知れないしね」
「そうそう、それもあるね」
「何か昔自分を番長とか言ってる選手もいたね」
「その選手が覚醒剤で捕まったんだよね」
「あの人物凄く柄悪いよ」
「スポーツ選手じゃないみたいよ」
「彼は格闘家のトレーニングをして食事もそうしていたけれど」 
 それはといいますと。
「間違えてるよ」
「野球選手なのにね」
「格闘家のトレーニングとか意味ないし」
「身体の使い方が全然違うのに」
「何考えていたのかな」
「その時点でおかしいし」 
 それにというのです。
「野球選手だからね」
「野球のトレーニングしないとね」
「そもそもおかしいよ」
「そこがわかっていないなんて」
「それもプロなのに」
「どうかしてるわ」
「そしてそれが持ちあげられていたんだ」
 先生はここで首を傾げさせました、論文を書いてもそうなってしまったのです。とはいっても手は止まっていません。
「これがね」
「注意しなかったの?」
「そんなことしても意味ないとか」
「野球選手のトレーニングしないと駄目とか」
「誰も言わなかったの」
「どうかと言うファンはいても」
 それでもだったというのです。
「チームやマスコミではいなかったね」
「それ自体がおかしいね」
 トートーも首を傾げさせました。
「どうも」
「おかしいなんてものじゃないんじゃ」
「そんなことが持ちあげられるとか」
 チープサイドの家族もどうかとなっています。
「野球選手なのにね」
「格闘家のトレーニングしてもいいとか」
「どう考えても間違えてるわよ」
 ガブガブも指摘しました。
「野球選手なんだから」
「野球選手はそれぞれのポジションの練習があるわよ」
 ポリネシアもわかっていることです。
「ピッチャーもキャッチャーも他のポジションもね」
「野球選手には野球選手の筋肉があるよ」
 ジップもそこを言います。
「それで格闘家の筋肉にしてもいいことはないよ」
「かえって動きが悪くなるね」
 ホワイティも思うことでした。
「怪我もしやすくなって」
「何でそんなことしたか」
 チーチーにもわからないです。 

 

第七幕その三

「勘違いも甚だしいね」
「それでそれを誰も批判しないとかね」
「間違えてるって言わないなんて」
 オシツオサレツの二つの頭も傾げられています。
「そのことが一番おかしいよ」
「当時の日本のスポーツマスコミってどうなったのかな」
「巨人の選手だから注目されていいとされていたのなら」
 老馬はまさかと思いつつ言います。
「もうどうしようもなかったんだね」
「僕達でもわかるのに」
 ダブダブが最後に言いました。
「そこを言わないなんて変だよ」
「あれだね、裸の王様だよ」
 先生はここでこの童話をお話に出しました。
「本当にね」
「ああ、あの童話だね」
「そういえばそのままだわ」
「間違えてるのに誰も言わない」
「誰が見ても間違えていることは明らかなのに」
「そう、誰が見ても間違えていることを間違えていると言わないと」
 それならというのです。
「これ以上おかしくて滑稽なことはないよ」
「全くだね」
「先生の言う通りよ」
「マスコミの人何してたの?」
「当時のチームも」
「野球選手が格闘家のトレーニングを積むことは間違ってるって」
「野球選手には野球選手のトレーニングがあるって指摘しないとか」 
 皆でどうかと思うのでした。
「やっぱり日本のプロ野球はおかしかったんだ」
「巨人の選手ならいいとか」
「間違えてると言われるどころか持ちあげられる」
「そんな風だったなんて」
「日本もおかしいところがあって」
 先生はこうも言いました。
「北朝鮮みたいなおかしな国を日本よりずっと好きな学者さんやマスコミの人がいたり」
「巨人をそこまで持ちあげる人がいたり」
「そんなところがあるのね」
「日本には」
「とてもいい国なのに」
「そんな困ったところがあるの」
「そうなんだ、常識で考えておかしいよ」
 先生はここでまた首を傾げさせました。
「北朝鮮みたいにおかしな国ないね」
「漫画に出て来る国?」
「特撮ものの悪役?」
「もうそんな感じの国ね」
「あんな変な国ないよ」
「他にないわよ」
「そんな国と日本を比べたら」
 どう考えてもというのです。
「日本は天国だよ」
「それでも昔は素晴らしい国って言ってたのよね」
「実際に訪れてその中を見ても」
「そんなこと言ってたんだよね」
「沢山の人達が」
「その国を訪れてその国の実態を見抜く」 
 先生は一言で指摘しました。
「それが学者に求められる能力だよね」
「日本の学者さんの多くはそれがなかった?」
「据え膳みたいなおもてなしを受けて」
「それが全部と思っていたのかしら」
「その時点で学者としてどうかだね」
「うん、それで日本の経済侵略とかアジア再侵略とか軍国主義反対とか徴兵制反対とか言っていたんだよ」
 そうしたことも言っていたというのです。
「そして北朝鮮のあの軍隊には言わないしね」
「あそこ徴兵制どころじゃないし」
「国民皆兵みたいな国だし」
「いつも悪いことしてるし」
「侵略国家そのものじゃない」
「核兵器開発してるしね」
「しかも日本の皇室にも反対で」
 先生はもう訳がわからないというお顔になってお話しました。 

 

第七幕その四

「共産主義か共和制が民主主義って言うんだよ」
「あれっ、イギリス民主主義じゃないんだ」
「その論理だとそうなるよ」
「凄いこと言うね」
「流石にそれはおかしいよ」
「しかも北朝鮮の世襲の独裁はいいって言うんだ」
 こちらはというのです。
「国民が支持しているってね」
「そう言ってる人頭大丈夫?」
「本気でそう思ったよ」
「冗談抜きでおかしいよ」
「もうまともな人に思わないわ」
「本当にこんな人が日本にいるんだ」
 恐ろしいことに実在しているというのです。
「それでなんだ」
「そんなこと言うんだ」
「凄いね」
「それで学者だったら」
「もう学者としておかしいよ」
「カルト教団の信者さんみたいだわ」
「本当にね、僕もこうした人達をその目で見てね」
 実際にというのです。
「最初信じられなかったよ」
「そうだよね」
「僕達もそう思うよ」
「日本には凄い人達がいるね」
「とんでもない人達ね」
「それでその選手もね」
 引退してから覚醒剤で逮捕されたその人もというのです。
「持ちあげられていたんだ」
「そんなトレーニングしても」
「あと番長を自称しても」
「それでもだったんだ」
「入れ墨入れたり人の車のボンネットの上に飛び乗って壊したり派手に遊び回ったりね。格闘家の人達と写真撮って自分の方が強いとか言ったり」
 先生はまたしても首を傾げさせました、そのうえでの言葉でした。
「こんなことが全く批判されなかったんだ」
「遊ぶのはともかくね」
「自分の方が強いとか言うことも」
「格闘家じゃないのに」
「全部どうかしてるわ」
「おかしいわ」
「その果てがね」
 まさにというのです。
「覚醒剤だから」
「もうおかしな行いを繰り返して」
「全てはその結果だね」
「誰もそれを止めなくて」
「最後はそうなった」
「そういうことね」
「王様は裸だって言わないと」
 その時点でというのです。
「駄目なんだよ」
「その人が間違っているって」
「間違っていることは間違っている」
「そう言わないとね」
「余計におかしくなるのね」
「そこからさらに」
「そして今の巨人もね」
 このチーム自体もというのです。
「ああなるんだよ」
「そういうことね」
「おかしなことが持ちあげられ続けて」
「それで何処までもおかしくなって」
「ああなったのね」
「そうだよ、しかし本当にね」
 先生はまた言いました。
「僕は日本の学者さんやマスコミ、巨人を見て思ったよ」
「日本にもおかしな部分がある」
「残念なことに」
「とてもいい国だけれど」
「おかしな部分があるんだね」
「第二次世界大戦までは学者さんもまともだったけれど」
 それがというのです。
「戦争が終わってね」
「急になんだ」
「おかしくなったの」
「そうだったの」
「そしてマスコミも異常に力が強くなって」
 そうしてというのです。 

 

第七幕その五

「やりたい放題になってね」
「それでだね」
「巨人もああなった」
「全部がおかしくなったの」
「第二次世界大戦の後の日本は凄く豊かで素晴らしい国になったけれど」
 それでもというのです。
「おかしな部分はやっぱりあるんだ」
「色々考えさせられるね」
「学者さんやマスコミが酷過ぎるとか」
「しかも長年それがほったらかしだったなんて」
「やっぱりおかしいよ」
「何しろ責任も問われないから」
 学者やマスコミの人達がどんな酷いことをしてもです。
「余計におかしくなったんだ」
「色々考えさせられるね」
「そうしたことを聞くと」
「どうしても」
「全くだよ」
 先生は論文を書きつつ皆にお話しました、先生にとって日本のそうしたところは何とかしなければいけないことでした。
 そうしたお話もしつつです、先生はドラフトを待っていましたが。
 王子がお家に来てそれで先生と一緒に晩ご飯を食べつつ先生にお話しました。
「あの選手の人阪神もね」
「注目しているんだ」
「そうなんだ」
 こう先生にお話するのでした。
「それでドラフトでもね」
「指名するんだ」
「そうみたいだよ」
「それは何よりだね」
「しかもね」
 王子は先生にさらにお話しました。
「選手の人自身もね」
「どうなのかな」
「阪神への逆指名もね」
 これもというのです。
「言うらしいよ」
「それは凄いね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「あの人は阪神に行く可能性が高いよ」
「他のチームはどうかな」 
 逆指名があってもとです、先生は思いました。
「注目しているチームも多いね」
「何球団かあるみたいだよ」
「それじゃあ」
「先生はそこが心配なんだね」
「逆指名をしていても」
 それでもというのです。
「指名するチームはあるしね」
「それは確かにそうだね」
「だからね」
 それでというのです。
「僕はどうなるかって思ってるんだ」
「それが心配なんだね」
「そうなんだ」 
「成程ね、けれど」 
 それでもとです、王子は先生にお話しました。
「逆指名だよ」
「それがあるからだね」
「しかも阪神の方も考えているし」 
 王子は穏やかなお顔です、心配そうな先生と違って。
「だからね」
「心配無用っていうんだね」
「僕はそう思うよ」
 上に目玉焼きを乗せたハンバーグを食べつつ答えました。
「そうね」
「だといいけれどね」
「うん、あの人は阪神に行くよ」
 こう言うのでした。
「まず確実ね」
「そうだといいけれどね」
「そこで心配するんだ」
「ドラフトもわからないからね」
 どうなるかがです。
「僕は確実に安心出来ないんだ」
「そうなんだ」
「僕としてはね」 
 先生もハンバーグを食べています、目玉焼きを上に乗せたそれはとても美味しくてご飯にも合っています。
「どうしても」
「確実じゃないとだね」
「僕は不安なんだ」
「そうなんだね」
 王子は今度はサラダを食べます、そしてです。 

 

第七幕その六

 お味噌汁も飲んでからまた言いました。
「そこは先生の性格かな」
「心配性かな」
「あと慎重だから確実でないとだね」
「そう、どうしてもね」
「やっぱりそうだね、先生はね」
「そうなんだよね」 
 先生は椎茸としめじを入れたお味噌汁を飲みながら言いました。
「確実じゃないとね、手術もね」
「そうだね、手術だね」
「そうだよ、手術は確実じゃないと」
 本当にというのです。
「駄目だからね」
「そういうことだね」
「だから今もね」
 どうしてもというのです。
「心配なんだ」
「そこだね、わかったよ」
「僕の考えがだね」
「先生らしいね、じゃあね」
「それならだね」
「そうした時は教会に行って」
 そしてというのです。
「お祈りをすればいいよ」
「そうなるね」
「うん、日本人もそうしているね」
「日本で有名な言葉があるね」
「困った時の神頼みだね」
「そう、この言葉があるし」
 それにというのです。
「僕もそうするよ」
「そうしてだね」
「彼が阪神に行くことを待つよ」
「そうするね」
「うん、ただね」
「ただ?」
「巨人に行くことはあって欲しくないね」
 このチームに行くことだけはというのです。
「本当に思うよ」
「ああ、万年最下位のあのチームだね」
「球界のお荷物とか癌とか言われるね」
「あのチームについては」
「そう、本当にね」 
「あそこはもうスカウトも酷いことになってるからね」
 王子は先生にこのことからお話しました。
「スカウトの人の数が他のチームの半分以下でその人達もすっかりやる気をなくしてるみたいだよ」「そうなんだね」
「不祥事が続いて」
 そうしてというのです。
「予算もなくて色々フロントが五月蠅くて」
「悪い要素ばかり重なって」
「もうそれでね」
 そのせいでというのです。
「すっかりね」
「スカウトの人達もやる気がなくて」
 他のチームより数が少ないうえにです。
「それでだね」
「あの人にもね」
「スカウトの人がだね」
「行っていないかもね」
「そうなんだね」
「あのチームはもうどうしようもないから」
 スカウトだけでなく他の人達もというのです。
「あの調子だとこれからもね」
「さらにだね」
「最下位が続くから」
 そうなるというのです。
「どうしようもない悪循環の中にあるから」
「有力な選手も見付けられなくなっているまでに」
「本当にそこまでになってるから」
「僕も安心していいんだね」
「先生野球雑誌を読まれるといいですよ」
 ここでトミーが先生に言ってきました。 

 

第七幕その七

「そうされると」
「野球雑誌?」
「週刊ベースボールとかを」
「そういえば八条出版もそうした雑誌を出してるね」
「あそこ凄く大きな出版社ですしね」
「日本有数の出版社でね」
 それでというのです。
「週刊誌も沢山出しているね」
「漫画雑誌も多いですしね」
「それでだね」
「野球雑誌も出していますし」
 八条出版もというのです。
「そこでチェックされてもいいですよ」
「ドラフトのことについても」
「そうです、ただ八条出版の野球雑誌は」
 そちらはどうかとです、トミーは先生にご飯を食べながらお話しました。
「十二球団だけでなく八条リーグもかなり紹介しています」
「同じ企業グループだからね」
「はい、そうしていますから」
 だからだというのです。
「そちらもチェック出来ますよ」
「そうだね、野球雑誌もね」
「ドラフトのチェックに使いましょう」
「そうするね、これからは」
「日本はサッカーの雑誌もありますしね」
「剣道や柔道の雑誌もあるしね」 
 先生は笑顔でお話しました。
「いいよね」
「釣り雑誌もあって」
「色々なスポーツを雑誌でもチェック出来るんだ」
「そうした国ですね」
「確かに酷いマスコミの人がとても多い国だけれど」
「それでもですね」
「そうしたしっかりした人達も多くてね」
 それでというのです。
「そうした雑誌もだよ」
「沢山ありますね」
「うん、じゃあそうした雑誌も読んでね」
「学ばれますね」
「そうしていくよ、正直ね」
 こうも言う先生でした。
「変なスポーツ新聞やテレビじゃわからないからね」
「野球についても」
「これは冗談抜きでね」
 先生は残念そうにお話します。
「酷い場合北朝鮮の報道みたいだからね」
「そうしたスポーツ新聞やテレビ放送本当にありますよね」
「昔の関東では。今もあまり変わっていないみたいだけど」
「東京とかですね」
「もう巨人への偏向報道が酷くて」
「元々偏向報道の酷い国だけれど」
 それでもというのです。
「野球についてもね」
「酷いんですね」
「そうみたいだよ、けれどね」
「そうした真面目な雑誌もあるので」
「だからね」
 それでというのです。
「読んでいくよ」
「健全な雑誌をですね」
「そうしていくよ」
「それがいいですね」
「デイリーもいいけれど」
 この新聞についてはです、先生は素直に褒めました。
「阪神への素直な愛があるからね」
「それもこれ以上までにない」
「あの新聞はいいんだよ」
「じゃあ酷いのは」
「サンケイスポーツとか夕刊フジはね」
「酷いですね」
「どっちも北朝鮮の機関紙と同じレベルだよ」
 そこまで酷いというのです。
「巨人ばかり持て囃してね」
「まだそんな新聞あるんですね」
「媚び諂う位だよ」
「そこまで酷いんですね」
「特にオーナーへの賛美が」
 これがというのです。 

 

第七幕その八

「北朝鮮のそれみたいだよ」
「将軍様へのそれですか」
「僕も見て驚いたよ」
「その賛美があまりにも酷いので」
「日本語で記事を書いているけれど」
 それでもというのです。
「これは北朝鮮の機関紙なのかってね」
「そこまで酷いんですね」
「サンケイスポーツも夕刊フジもね」 
 どちらもというのです。
「日本は他にも日刊ゲンダイなんていう酷いタブロイド紙もあるけれど」
「ネットで物凄く評判が悪いですね」
「この二つもね」
「タブロイド紙でもですね」
「タブロイド紙自体はいいんだ」
 そうした新聞が存在することはというのです。
「猥雑というか楽しい新聞紙があってもね」
「それでもですね」
「そこには人間の品格が必要だと思うよ」
「人間の、ですか」
「そう、それでね」
 だからだというのです。
「そうした日本のタブロイド紙にはね」
「人間の品格すらないですか」
「イギリスにもサンとかあるけれど」
「サンもかなり」
「そのサンも比べものにならない位だよ」
「そこまで酷いですか」
「うん、もう日刊ゲンダイも含めてね」
 こちらもというのです。
「サンケイスポーツも夕刊フジもね」
「あまりにも酷いですか」
「5ちゃんねるでたまにおかしな人達ばかり集まったヘドロがさらに腐った様なスレッドもあるけれど」
「ああした感じですか」
「どっちも巨人やあのチームのオーナーには媚び諂うけれど」
 それでもというのです。
「他のチーム、特にパリーグにはぞんざいだしね」
「どうでもいいんですか」
「球界再編騒動で一リーグ制になろうとした時は」
 この時はといいますと。
「他のチームを潰そうとする巨人のオーナーに完全についたんだよ」
「そんなことまでしていたんですね」
「そう、特に夕刊フジはね」
「それはもう」
「権力をチェックするどころかね」
「権力者に媚び諂う」
「文字通りのそうした新聞なんだ」
 それが日本のこうしたタブロイド紙だというのです。
「だからサンよりもね」
「品性がさらにですね」
「なくてね」 
 それでというのです。
「酷いものになっているんだ」
「そうですか」
「人間品性を失う、そして恥を恥を思わなくなると」
「最も恐ろしい腐敗がはじまる、だね」
 王子が言ってきました。
「その言葉があるね」
「そう、その言葉通りにね」
「サンケイスポーツや夕刊フジは」
「とんでもなく腐敗していてね」
「それじゃあ読めたものじゃないね」
「うん、テレビの報道もね」
 こちらもというのです。
「東京に学会で行った時にね」
「その時にだね」
「テレビをちらりと観たけれど」 
 その時にというのです。
「試合をしている相手チームはほったらかしで」
「巨人に対してなんだ」
「一方的なんだ」
「そこまで酷いんだ」
「僕が呆れたのはそうしたスポーツ新聞で巨人の野次を野次戦術と書いていたことだけれど」
「野次はスポーツには付きものでも」
「それでも品性はよくないし」
 それにというのです。 

 

第七幕その九

「それを戦術と肯定したことはね」
「もうあってはならないことだね」
「そしてそれはあっちのテレビでもね」
「同じなんだ」
「そうだよ、あまりにも酷かったよ」
「何ていうか」
 本当にとです、王子は言いました。
「そうした新聞やテレビはね」
「目にしたら駄目だよ」
「何の益にもならないね」
「害毒をそのまま目や耳から受けてね」
 そしてというのです。
「脳まで汚染される」
「そんなものなんだね」
「そう、だからね」
「それでだね」
「僕もその実況放送はすぐに切ったよ」
「そうしたんだね」
「思えばボクシングでも」
 ここでもというのです。
「あの大阪のお世辞にも人間性や品性がよくないボクサーの一家がいるね」
「ああ、あの人達ね」
「確か天下茶屋出身ね」
「大阪の西成区の」
「あそこの出身地の人達だね」
「あのスポーツマンシップも知能も教養も欠片もない、そんな人達も持ちあげてるし」
 そうした子供の教育に絶対に悪い人達もというのです。
「日本のマスコミはおかしな人が多過ぎるよ」
「本当にそうだよね」
「それはね」
「あんな人達も持ちあげるし」
「どうかしてるわ」
 動物の皆も先生達と一緒にご飯を食べつつ言います。
「あの一家って全員チンピラよね」
「ボクシングが強くても」
「本当にいつも態度悪いし」
「スポーツマンシップもなくて」
「品性は下劣でね」
「教養なんか全くなくて」
「人間性も柄悪くて」
 皆もよくわかっていることです。
「いいところ全然ないじゃない」
「あんな人達子供が観て真似したら駄目だよ」
「覚醒剤で捕まった元プロ野球選手もね」
「同じ様な人達だし」
「あんな人達を持ちあげるとか」
「類は友を呼ぶというか」
「人は自分と同じレベルの人達で集まるからね」
 それでと言う先生でした。
「つまり日本のマスコミはね」
「あんな人達だってことだね」
「レベル的に」
「あのボクサー一家や元プロ野球選手と同じ」
「そんな人達が本当に多いのね」
「だから健全な雑誌や新聞を見付けたら」
 その時はというのです。
「是非読まないとね」
「まともな本を読んでこそだよね」
 ジップは先生にお話しました。
「確かな知識や教養を得られるね」
「テレビだってそうだし」
 ダブダブもこう言います。
「まともな番組を観ないとね」
「さもないと下手したら騙されるよ」
 チーチーは本気でこのことを心配しています。
「そんなことを狙っている新聞とか日本には特に多いみたいだし」
「騙す方が悪いことは絶対でもね」 
 ホワイティはこう思うことでした。
「騙されないことも大事だよ」
「それで酷いことになるのは自分だし」
「自分でも気をつけないとね」
 オシツオサレツも二つの頭でお話します。
「まず騙されない」
「そんな新聞や番組は観ないことだね」
「テレビを観ると頭によくないって言うけれど」
 老馬はこの言葉も出しました。
「そうした番組を観るからだね」
「ううん、ちょっとね」
「私達も気をつけないといけないわね」
 チープサイドの家族は彼等の中でお話します。
「騙されたらいけないから」
「僕達自体がね」
「世の中悪い本も新聞も雑誌もあって」
 ホワイティもこのことを頭に入れようとしています。 

 

第七幕その十

「テレビ番組にしてもそうなのね」
「野球についてもそうで」
 それでと言ったのはガブガブでした。
「油断したら駄目ね」
「スポーツは普通に楽しみたいよ」
 トートーの言葉はぼやく感じでした。
「偏向とか悪いことを正しいとか言う嘘は抜きにね」
「うん、昭和の時の酷さは」
 先生はもう昔になっているその時代のお話もしました。
「漫画でもそうだったよ」
「もう主役は絶対に巨人」
「それで巨人が正義」
「そんなとんでもない時代のことね」
「本当に酷い時代だね」
「その時日本は経済も教育も政治もマルクス主義こそ正義だったけれど」
 それがというのです。
「野球は巨人でね」
「もう巨人は正しい」
「そうした状況で」
「漫画もそうだったんだ」
「巨人の十八番は他チームからの選手の強奪だね」
 もう出来なくなって今の万年最下位があるのです。
「そうだったね」
「あのお話酷いよね」
「どんな手を使ってもだし」
「悪質な政治じゃない」
「あそこまでいったら」
「そう、それも漫画でね」
 こちらでというのです。
「普通に許されていたんだ」
「酷いね」
「巨人なら何をしてもいいの?」
「他チームの有力な選手を強奪しても」
「それが許されていたの」
「今日本の特定の年代の人がモラルがない人が多いと言われるけれど」 
 このことについてもお話する先生でした。
「そうした漫画を読んできて巨人を応援してきたせいかもね」
「モラルのないチームをモラルって思っていたら」
「モラルがなくなるのも当然だね」
「そういえば日本の特定の年代の人には巨人ファン多いけれど」
「そうした人達にモラルのない人が多い」
「先生はそこに関係性を見ているんだ」
「実はね、巨人はね」
 このチームはというのです。
「そんな権力とお金と謀略を振りかざして」
「球界の盟主を気取って」
「もうふんぞり返っていた」
「そんなチームだったから」
「そんなチームを応援していたら」
 それこそというのです。
「モラルもおかしくなりかねないね」
「全くだよ」
「その人達はマルクス主義の影響も強かったし」
「余計におかしいのね」
「そのことからも」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「そんな漫画が普通に出てヒットしてね」
「読まれていた」
「何でもない風に」
「怖いね」
「モラルも何もないよ」
「しかもそれが健全な風に描かれていたから」
 巨人の選手の強奪がです。
「僕も読んでいて当時の日本のモラルは酷い一面もあったんだって思ったよ」
「それ何て漫画ですか?」
 トミーも先生のお話を聞いてどうかとなって先生に尋ねました。 

 

第七幕その十一

「一体」
「巨人の星とか侍ジャイアンツとか黒い秘密兵器とかかな」
 王子は具体的なタイトルを挙げました。
「リトル巨人くんなんてものもあったね」
「本当に漫画は巨人ばかりだったんだね」
「炎の巨人とかね」
「今思うと凄いね」
「偏向し過ぎだね」
「その漫画の中で」
「どの漫画だったのかな」
 二人でお話します。
「一体」
「そこが気になるね」
「スポーツマン金太郎という漫画でね」
 それでというのです。
「漫画自体は凄く健全で面白いんだけれど」
「それでもなんだ」
「そうした場面があったんだ」
「そうだったんだ、それがね」
 先生としてはです、そのことを動物の皆にお話します。
「気になったんだ」
「そうだったんだね」
「漫画としてのレベルは高くても」
「そんな場面もあったんだ」
「巨人の悪事が肯定される場面があったんだ」
「そうだったんだ」
「うん、そしてね」
 それにというのです。
「今から見るとそうなんだ」
「ううん、何ていうか」
「今になってわかるにしても」
「凄いね」
「凄いことだね」
「長い間そうでもね、今は違って」
 それでというのです。
「巨人はあの有様でね」
「人気も物凄く落ちて」
「そして力もなくなって」
「もうだね」
「最下位から抜けられないんだね」
「そうだよ、そしてマスコミもかなり力がなくなって」
 問題のあった彼等もというのです。
「問題のある学者の人達もネットですぐに言われる様になったよ」
「それだけ日本はよくなったんだね」
「マスコミも力がなくなって」
「学者の人達もチェックされる」
「そうなって」
「そう、だからね」 
 それでというのです。
「今の日本は少しずつでもね」
「健全化だね」
「それを目指すべきだね」
「ずっと長い間深刻な問題を抱えていたけれど」
「そうしていくといいね」
「そう思うよ、どう考えてもおかしな話や人達は」 
 そういったことはというのです。
「正されていくべきだよ」
「そうだよね」
「巨人にしてもマスコミにしても」
「学者の人達も」
「問題は正していかないと」
「本当に駄目だね」
「少なくとも日本のマスコミは社会の木鐸じゃないよ」
 そうなっていないというのです。 

 

第七幕その十二

「その真逆でね」
「自分達が害毒を垂れ流す」
「そして洗脳さえする」
「そんなところだね」
「だからね」
 それでというのです。
「日本社会の最大の災厄だよ」
「そうなってますね」
「今の状態は」
「戦争中からそれは問題だったんだ」
 この頃からというのです。
「好戦的な記事ばかり書いて戦争を煽ったから」
「その頃からですか」
「日本のマスコミは酷かったんだ」
「敗戦で何の反省もせず」
 そしてというのです。
「同じことをずっと繰り返しているんだよ」
「あれっ、今は平和って言ってるけれど」
「いや、嘘を言って変更していて無責任で無反省な体質がね」
「そのままだっていうんだ」
「むしろ遥かに酷くなってるよ」
 王子に残念そうにお話します。
「新聞が物凄く売れてテレビも出来て」
「それでだね」
「そうなったからね」
「むしろ戦前よりもなんだ」
「長い間日本で第一の権力でね」
「しかも腐敗していたんだね」
「そんな状況だったんだ」
 王子にお話します。
「戦争が起こった時からね」
「第二次世界大戦だね」
「日中戦争にもね」
「それで先生も今言うんだね」
「そこに学者もだから」
「余計になんだ」
「酷いことになっていたんだ」
「そして巨人もああなっていたと思うと」 
 マスコミが親会社のこのチームもです。
「嫌なことだね」
「不況不況ってマスコミが連日連夜言っていて」
 その状況でというのです。
「何でニュースキャスターの人が年五億も貰っていて巨人が青天井にお金を使って補強することが出来たのか」
「もうその時点でおかしいね」
「当時不況じゃなかったところがあるんだ」
「テレビや新聞だね」
「不況不況言っている人達が」
 その人達こそがというのです。
「お金を持っていた」
「それも酷いお話だね」
「そんな風潮がどんどんあらたまっているのはいいことだよ」
 日本にとってはというのです、先生は野球のことと一緒に日本のそうした部分についても強く思うのでした。 

 

第八幕その一

               第八幕  素振りとランニング
 この日は生憎の雨でした、それで先生はこの日は講義もないこともあってご自身の研究室の中で読書と論文の執筆に励んでいました。
 そしてその中で三時になるとティータイムを楽しみました、ロイヤルミルクティーにバターのクッキー、フルーツと果物のサンドイッチにプティングというティ―セットです。
 そのティ―セットを楽しみつつ先生は皆にお話しました。
「今彼は練習中だろうね」
「雨でもだね」
「室内練習場があるから」
「だからだね」
「そこで練習中なんだ」
「そうしているんだ」
「うん、絶対にね」
 そうだというのです。
「練習に励んでいるよ」
「雨が降ってもね」
「そして雪であっても」
「今は練習が出来るからいいね」
「練習しようと思えば幾らでも出来る」
「そうなったから」
「うん、何でもね」
 こうもお話する先生でした。
「彼は雨でもランニングに出るらしいし」
「へえ、凄いね」
「雨が降っていても走るんだ」
「その中でも」
「そうするんだ」
「そう、ウェアを着てね」
 雨水を弾くそれをというのです。
「そうして走っているそうだよ」
「雨が降っても走るなんて」
「努力家だね」
「だからこそ成長するのかな」
「いい選手になるのかな」
「そうだね、そして走るだけじゃなくて」
 それに加えてというのです。
「素振りもね」
「バットのそれもなんだ」
「欠かしていないんだ」
「どんな状況でも」
「何でも一日千回は絶対に振るらしいから」
 バットをというのです。
「それでだよ」
「いい選手になっているんだ」
「毎日走って素振りしているから」
「例え雨でも」
「そうしているから」
「むしろ皆が休んでいる時こそ練習する」
 そうすることがというのです。
「伸びるのかな」
「いつも練習している」
「そうしているからこそなんだ」
「成長するんだね」
「していないと言っている人程しているとか言って自分は何もしていない人はね」 
 先生はそうした人も知っています。
「何もならないよ」
「人にそう言ってもね」
「自分は何一つしていないとね」
「所詮口だけ」
「そんな人だね」
「それがあまり極端だと嫌われるよ」
 先生は紅茶を飲みながらこうも言いました。
「例えその人の親や祖父母であってもね」
「そうだよね」
「何もしないと人に何を言ってもね」
「説得力ないし」
「それじゃあ嫌われるよ」
「まして言った人が努力している人なら」
「そうなるよ、けれど彼は違うね」 
 八条大学で名キャッチャーだったこの人はというのです。
「毎日努力しているからね」
「走って素振りして」
「そして色々勉強もしているから」
「だからだね」
「それでだね」
「そうした人だからこそ今まで活躍出来て」
 大学までの野球でもというのです。 

 

第八幕その二

「そしてね」
「さらにだよね」
「プロ入りしても」
「それからもだね」
「成功する秘訣になるんだね」
「そうだよ、練習つまり努力をしない人なんて」
 それこそというのです。
「何にもならないからね」
「何かになるには努力する」
「それが第一だね」
「何といっても」
「それからだね」
「そう、何かをして」
 そうしてというのです。
「人はよくなるし何かになれるからね」
「先生いつもそう言ってるね」
「人間努力が一番大事だって」
「努力を否定する人はよくないって」
「人の努力を笑っては駄目だって」
「それが必死なら余計に」
「人の努力を嗤う人は碌なものじゃないよ」
 本当にこう考えているのが先生です。
「嗤われた人が努力を続けるなら」
「それならだよね」
「もう後は言うまでもないね」
「その嗤われた人よりずっと落ちる」
「そんな人になるね」
「そうだよ、本当に努力こそが」
 まさにというのです。
「成功の秘訣だからね、その時に実らなくても」
「貯金になるね」
「その人にとって」
「それになるわね」
「そうなるからね」
 だからだというのです。
「絶対にだよ」
「努力はするべきで」
「他の人のそれを嗤ってはならない」
「むしろそれを認めて」
「応援すべきね」
「そう思うよ、結果だけを見る人も」
 そうした人もというのです。
「結局それまでだしね」
「結果だけ出せばいいとかね」
「途中はどうでもいいってなるしね」
「じゃあ結果だけ出せばいいじゃないとか」
「そうした考えになるわね」
「そう言う人はそれまでで組織もね」
 人だけでなくというのです。
「それまでだよ」
「それ以上は伸びない」
「結果だけを見るなら」
「それなら」
「体育会系に多いね」
 日本のそうした人達にというのです。
「どういう訳か」
「あれっ、体育会系って努力する社会じゃない」
「それでもなの」
「結果だけを見る人が多いの」
「そうなんだ」
「どうも上下関係が変に厳しくて」
 体育会系はというのです。
「上の人達が下の人達に絶対者でね」
「ああ、下の人達の結果だけを見る」
「結果のある人だけを大事にして」
「そうじゃない人は切り捨てる」
「そうした社会なんだ」
「そのせいかね」
 日本の体育会系の社会はそうした社会だからだというのです。
「結果だけしか見ない人がいて」
「人の努力を見ようとしない」
「過程は見ない」
「自分にとって役に立つかどうか」
「それだけの人っているんだ」
「僕はそんな人はよくないと思っているしなりたくはないよ」
 穏やかですが絶対にと拒絶している言葉でした。 

 

第八幕その三

「本当にね」
「そうそう、先生はね」
「間違ってもそんなことしないよ」
「そんな人じゃないよ」
「私達も保証するわ」
「先生はそうした人じゃないって」
「反面教師にしているよ」
 ああした人になってはいけないと思いつつ見ているというのです。
「本当にね」
「そこが先生だよ」
「悪い人には絶対になるまいとする」
「そして人のいい部分を見るとそうしようと思って」
「それで努力するからね」
「そうありたいね、ただね」
 先生はサンドイッチを食べつつ少し苦笑いになりました、甘いサンドイッチの味が口の中に一杯になっても。
「僕は自分がスポーツをするとなると」
「ああ、その場合はね」
「先生はね」
「ちょっと、ね」
「スポーツは不得意だから」
「どうしてもね」
「出来ないね、努力したら多少は変わるだろうけれど」 
 それでもというのです。
「そもそもが好きじゃないしね」
「やっぱり先生は学問の人ね」
「学問に努力しているわね」
「いつもそうしていて」
「それで励んでいるよね」
「学問は好きだしね、自分がやりたいそしてなりたいものを目指す為のものなら」
 そうしたものならというのです。
「努力すべきだよ」
「そうだよね」
「しっかりとね」
「あの人もそうしているし」
「それならね」
「是非ね、試しにね」 
 先生は紅茶を飲みつつまた言いました。
「今から野球部の室内練習場か室内グラウンドに行ってみようか」
「ああ、室内で走れる」
「鉄棒とかもある場所だね」
「サーキットがあってそこを走れる」
「いい場所だね」
「陸上部がよく使っているけれど」
 その室内グラウンドはというのです。
「彼も走っているかも知れないから」
「だからだね」
「今からなのね」
「ティ―タイムが終わったら」
「行ってみるのね」
「そうしようか、雨でも練習出来るなら努力する人は練習しているよ」
 先程お話した様にというのです。
「素振りをしてランニングをして」
「そうしてだね」
「汗をかいて」
「そこから結果を出す」
「そうする様にしているんだ」
「おそらくね、だから」
 それ故にというのです。
「いいね」
「うん、じゃあね」
「ティータイムの後で行きましょう」
「皆でね」
「そうしましょう」
 動物の皆は先生に応えてでした、そのうえで。
 先生と一緒にロイヤルミルクティーとティーセットを楽しんで、でした。そうして皆で室内グラウンドに行きました。
 するとそこで、です。彼が野球部のユニフォームと帽子、スパイク姿で走っています。それも汗をかいて。
 先生はその彼を見てにこりと笑って言いました。
「やっぱりそうしていたね」
「汗かいてるね」
「今寒いのに」
「それでもね」
「随分汗かいてるよ」
「それを見たら」
 その汗をというのです、走る速さもかなりのものです。 

 

第八幕その四

「頑張ってるね」
「そうだね」
「もう何周走ってるのかな」
「かなり走ってるみたいだけれど」
「もう二十キロ近く走ってます」
 丁度近くにいた陸上部の人が先生にお話してきました。
「彼は」
「二十キロ近くもなんだ」
「彼は毎日二十キロ走って素振り千回しています」
「その二つが日課なんだ」
「勿論準備体操やストレッチも欠かしていませんが」
 こうしたこともというのです。
「さもないと怪我しますから」
「身体はほぐさないとね」
「はい、ですが」
「メインはだね」
「二十キロのランニングと」
 それにというのです。
「千回の素振りです」
「それだけでもかなりだね」
「そこにキャッチャーとしての練習もしてますから」
「それでだね」
「今度ドラフトにも指名される程になっていますね」
「そうですね」
「そう思います」
 こう先生にお話してその人も準備体操の後で走りだしました、先生達はその彼を今も見ていますがここでチープサイドの家族が言いました。
「凄いね、二十キロ走るなんて」
「それも毎日だなんてね」
「それだけでも凄いよ」
「普通の人には絶対に無理だな」
「そこにさらに素振り千回とか」
 老馬もこう言います。
「びっくりだよ」
「そしてそこから他の練習もする」
 ガブガブは唸る様に言いました。
「物凄く努力してるわね」
「それだけでも頭が下がるよ」
 ホワイティの今の言葉は素直な感嘆でした。
「本当にね」
「普通の人には絶対に無理だよ」
「そこまでの努力なんて」
 オシツオサレツも二つの頭で感嘆の言葉を出します。
「だから凄くなれるにしても」
「普通一日でも難しいよ」
「毎日出来るからこそ今がある?」 
 こう言ったのはダブダブでした。
「そこまで努力する人だから」
「やっぱり先生の言う通りなのね」 
 ポリネシアは先生を見ています。
「まずは努力」
「その努力が素晴らしい結果を産む、だね」
 ジップも先生を見ています。
「スポーツでも運動でもね」
「そう考えたら」
 どうかとです、トートーは言いました。
「あの人も毎日頑張ってそれが実っているんだね」
「いや、ここに来てよかったよ」
 しみじみとした口調で、です。チーチーは述べました。
「本当にね」
「僕もそう思うよ、僕も努力しないとね」
 先生ご自身もというのです。
「学問について」
「先生は学者さんだからね」
「お医者さん、医学博士でね」
「そして色々な博士号を持っているし」
「いつも論文書いてるから」
「これからもだね」
「学問に励んでいきましょうね」 
 動物の皆は先生に言いました。
「これからも」
「そしてそのうえでね」
「もっともっといい学者さんになろうね」
「先生は人の進歩には際限がないって言うし」
「それならね」
「うん、今も論文を書いているし」
 実際に今も学者さんとして励んでいるのです。 

 

第八幕その五

「これからも書いていくよ」
「確か今度は宇宙についてだよね」
「ホーキング博士の理論についてだね」
「論文を書いてるのよね」
「そうよね」
「そうなんだ、英語でね」
 こちらの言語でというのです。
「書いているよ」
「そうだよね」
「先生は色々な学問をしているけれど」
「医学だけじゃなくて」
「宇宙の方も学んでいて」
「それでだね」
「今はそちらを書いているよ、それと」
 さらに言う先生でした。
「宇宙の本を色々と読んでいるけれど」
「その本を読むこともだね」
「学問であり」
「努力でもあるね」
「そうよね」
「そうだと思うよ、本を読んで色々調べて書いていくことを続けて」
 その様にしてというのです。
「僕はこれからも学者として学問に励んでいくよ」
「頑張ってね」
「私達も応援してるから」
「王子もトミーもいるし」
「日笠さんもね」
「あれっ、日笠さんが出るんだ」
 先生はその人のお名前が出たことには意外といったお顔になりました、それでそのお顔で皆に対して尋ねました。
「どうしてかな」
「どうしてかって言われても」
「そりゃ僕達だって出すよ」
「これは私達の努力よ」
「僕達なりのね」
「先生のことを思っての」
「僕のなんだ、日笠さんはね」 
 先生はその日笠さんのお話をするのでした。
「僕にとっては素晴らしいお友達の一人だよ」
「だからそこでそう言うがね」
「先生のがっかりなところなの」
「何でそこでそう言うのかな」
「学問はどんどん進んでいくのに」
「こっちのことはさっぱりだから」
「とはいってもね」 
 先生だけがわかっていません、それはお言葉にも出ています。
「僕と日笠さんは本当にね」
「そもそも先生女性にもてたいとか思わない?」
「ほんの少しでも」
「誰かに男性として好かれてるとか」
「好意を向けられているとか」
「いや、僕は恋愛とは全く無縁な人だよ」
 先生は確信の笑みを以て言い切りました。
「何があってもね」
「それはその外見で、だね」
「スポーツは全く駄目で」
「華やかさが全然ないから」
「それでだね」
「パーティーに出てもね」
 そうした場に出てもというのです。
「ダンスも出来ないしね」
「いや、だからね」
「先生いつも言ってるじゃない」
「人はお顔じゃないって」
「中身だってね」
「心だって」
「そうは言っても生まれてこのかた」 
 先生ご自身が思われるにはです。
「女の人からもてたことはね」
「ないんだね」
「まさに一度も」
「そうだって言うんだね」
「そうなんだよ、お友達は多くても」
 女性のお友達もというのです。
「けれどね」
「それでもだね」
「こと恋愛には縁がない」
「そうなのね」
「そう言うんだ」
「人には運命があると思うよ」
 こうも言う先生でした。 

 

第八幕その六

「僕はそこまで考えていないけれどカルヴァンの考えではね」
「あっ、プロテスタントの一派の」
「あの人だね」
「彼は強い運命論者でね」
 先生はそのカルヴァンのお話もしました。
「人それぞれの運命は既に神が決めているとしているんだ」
「じゃあ僕達の運命も?」
「全部もう神様が決めてるんだ」
「カルヴァンさんの考えだと」
「そうなのね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「僕は国教会の信者でカルヴァン派の信者じゃないけれど」
「結婚については」
「縁がない運命だっていうんだ」
「そうなの」
「そうじゃないかって思うよ」
 こう皆にお話しました。
「実はね」
「ううん、どうかな」
「それは違うんじゃない?」
「先生の運命についてはね」
「そうじゃないと思うよ」
「もうね」
「結婚についても」
 皆は先生にお話します。
「幸い先生カルヴァン派じゃないし」
「自分で言ってるし」
「国教会だって」
「じゃあそんな強い運命論じゃなくて」
「結婚出来るよ」
「先生はね」
「そうかな、僕は既に充分幸せだし」
 結婚していなくてもというのです、今度はこう言うのでした。
「皆がいつも一緒にいてくれるから」
「それでだっていうんだね」
「もうこれ以上幸せなことはない」
「そうも言うんだね」
「そう思うからね」
 だからだというのです。
「だからね」
「いや、それはね」
「私達いつも言ってるけれど」
「もっと幸せになれるよ」
「先生はそうなっていいよ」
「だってとてもいい人なんだから」
「そうかな、けれど本当に僕が思うにね」
 先生ご自身がです。
「僕は結婚とはね」
「無縁だっていうんだね」
「もてたこともないし」
「だからだっていうんだ」
「そうだよ、それはね」
 結婚のことはというのです。
「僕にはないよ」
「そうかな」
「違うと思うけれどね」
「先生については」
「このことは」
「そうかな、けれど日本に来ても」
 どうかといいますと。
「やっぱり誰も、だからね」
「先生を交際したいって人は出ないっていうんだ」
「結婚したいっていう人は」
「そうだっていうんだ」
「本当に僕はもてないんだ」
 とにかくそう信じて疑っていません。
「そのことはどうしようもないよ」
「やれやれだね」
「先生は自分のことがわかってないから」
「これは困るよ」
「いつも思うことにしても」
「もっと周りを見ればね」
「僕達だってわかるのに」
 勿論皆はわかっています、先生がもてるかもてないかということについて。
「これじゃあね」
「先が思いやられるわ」
「僕達が頑張るしかないかな」
「ここはね」
「そうだろうね」
「どういうことかわからないけれど」
 それでもと言う先生でした。
「まあ僕に結婚はないということでね」
「お話は終わるんだね」
「そうするのね」
「これで」
「うん、しかしね」
 ここで先生はそのキャッチャーの人を見てこの人のお話に戻るのでした。 

 

第八幕その七

「いい練習してるね」
「うん、そうだね」
「凄く熱心に走ってて」
「いい汗かいてるよ」
「本当にね」
「毎日ああして汗をかいていたら」
 それならというのです。
「健康だろうしね」
「そうでしょうね」
「やっぱり運動って身体にいいから」
「あの人もね」
「健康だと思うわ」
「先生もよく歩いてるし」
「その分健康だしね」
 皆は先生のお話もしました。
「やっぱり人間運動しないと」
「さもないと健康を害しもするわね」
「そうなるね」
「そうだね、ただね」
 先生はこうも言いました。
「彼はちゃんとしているみたいだけれど激しい運動の後はね」
「ちゃんと整理体操して」
「マッサージとかしてもらうことだね」
「あとお風呂で身体暖めたり」
「ストレッチもすべきだね」
「身体は柔らかい方がいいからね」
 だからだというのです。
「ストレッチは是非すべきだよ」
「身体が柔らかいと怪我しないし」
「だからいいのね」
「それでストレッチも忘れない」
「そういうことだね」
「その通りだよ、身体をほぐしておかないと」
 先生はこの場合についてもお話します。
「その分怪我もしやすいから」
「ああ、それだね」
「怪我をしたら元も子もないから」
「だからだね」
「怪我をしない為にも」
「身体はほぐしておくべきだね」
「そうだよ、怪我をしたら」
 そうなってしまうと、というのです。
「元も子もないからね」
「スポーツ選手には怪我が付きものでも」
「怪我すると本当に辛いから」
「しないに越したことはないわね」
「何といっても」
「だからストレッチはした方がいいよ」 
 身体をほぐしておくべきだというのです。
「何といってもね」
「そういうことだね」
「それで練習前には準備体操だね」
「それをすべきだね」
「運動をする前もやっぱり身体をほぐした方がいいからね」
 そして暖めた方がいいというのです。
「だからだよ」
「毎日ストレッチをして」
「練習の前には絶対に準備体操をする」
「終わったら整理体操」
「事前と事後は大事なんだね」
「そうだよ、若しも」
 それこそというのです。
「身体が固かったり冷えていて運動をすると」
「実際に怪我するんだ」
「そうなるんだ」
「だからだね」
「怪我をしない為にも」
「そうした練習も忘れないことだよ」
 こう皆にお話するのでした。
「本当に怪我は怖いからね」
「そうだよね」
「怪我したくなかったらね」
「そうしたことにも気をつけないと」
「本当に駄目ね」
「そうだよ、スポーツにも医学は大きく関わってるね」
 先生は皆にこのことからもお話します。 

 

第八幕その八

「そうだね」
「スポーツ医学だね」
「最近よく言われるね」
「スポーツも科学でね」
「医学も大きく関わっているって」
「そうだよ、だからね」 
 それ故にというのです。
「僕も今言うんだ」
「スポーツは医学だから」
「準備体操やストレッチがどれだけ大切か」
「そのことを言えるんだね」
「そうなんだ、確かに僕は自分はスポーツは全く出来ないよ」
 それでもというのです。
「けれどね」
「それでもだよね」
「スポーツの知識はあるから」
「医学の観点から」
「それで言えるんだね」
「そうだよ、練習熱心はいいことだけれど」
 それだけでなく、というのです。
「その中で身体をほぐしておくこともね」
「大事だね」
「そうだよね」
「怪我は誰だって嫌だし」
「怪我をしない為にもね」
「そうしたことにも気をつけていかないとね」
 是非にというのです、そうしたお話をしながら彼の練習を見ていきました。すると彼はランニングを終えて野球部の室内練習場に戻りました。
 そしてそこでも練習に励んでいますがちゃんと準備体操やストレッチもしています、先生はそれを見て言いました。
「そうそう、ああすることがね」
「いいことだよね」
「準備体操を忘れない」
「それでストレッチもする」
「それが大事だね」
「全くだよ、ああした風なら」
 身体をほぐすことも忘れないならというのです。
「余計にいいよ」
「そうだよね」
「だったらね」
「あの人は大丈夫ね」
「怪我もしないわね」
「デッドボールとかを受けたら別だけれど」
 それでもというのです。
「まず大丈夫だね」
「それは何よりだね」
「先生も見ていて安心出来るわね」
「ああした確かな練習をしていたら」
「それなら」
「うん、キャッチャーは特に頑丈さを求められるポジションだしね」
「それあるね」
「プロテクター付ける」
「他のポジションより頑丈さは求められるね」
「どうしてもね」
「だから彼が怪我をしない様にしてるなら」
 そのことも念頭に置いて練習をしているのならというのです。
「本当にいいことだよ」
「全くだね」
「ちゃんとストレッチもしてたし」
「そういうのも見ていたら」
「やっぱりいいわね」
「そうだね、ただピッチャーになると違うよ」
 このポジションの人達はというのです。
「肘は肩は本当に気をつけないとね」
「壊れるんだね」
「前に肘の靭帯のお話したけれど」
「その靭帯切ったりして」
「大変なことにもなるね」
「そうだよ、肩や肘はね」
 ピッチャーの人達はというのです。
「ストレッチや準備体操とはまた別の場合もあるんだ」
「そうだよね」
「何かとね」
「それがあって」
「それでよね」
「肩を壊したりね」
 先生はまずはそちらのお話をしました。 

 

第八幕その九

「それに肘の靭帯も切ってしまうんだ」
「じゃあね」
「先生みたいな人のお話を聞いて」
「いつも投げた後の肩や肘の負担を消していく」
「そうしていかないと駄目ね」
「そうだよ、肘の靭帯を切ったら」
 その場合はといいますと。
「選手生命に関わるしね」
「そうなのよね」
「もうそれだけでね」
「選手生命に関わるから」
「気をつけないとね」
「ピッチャーの利き腕は精密機械の様なもので」
 そこまでのものだというのです。
「消耗品でもあるんだ」
「そうだね」
「ピッチャーの肩や肘はね」
「精密機械の様なもので」
「消耗品でもあるんだ」
「ピッチャーの利き腕が消耗品というのはね」
 先生はこの言葉についてさらにお話しました。
「本来は肩だけだったけれど」
「先生としてはね」
「肘も入れて」
「利き腕全体についても言うんだ」
「そうしているのね」
「そうなんだ、その肘の靭帯を切ったお話を聞いてね」
 それでというのです。
「思ったんだ」
「そうなのね」
「肩だけじゃなくて肘もそうで」
「利き腕全体がそうで」
「それでなんだ」
「そうなんだ」
「ううん、確かにね」
「ヤクルトのピッチャーの人なんか特にだよね」
 オシツオサレツが二つの頭でお話します。
「主力の人がいつも肘の靭帯切って」
「それでチームの成績にも影響するし」
「肩だけじゃないね」
「そうよね」
 チープサイドの家族も言います。
「ピッチャーの人は」
「肘もあるね」
「手首にしても指にしてもそうだね」
 トートーはそうした部分のお話をしました。
「大事だね」
「爪も割れたら大変よ」
 ガブガブはこちらのお話をします。
「それだけで投げられなくなるから」
「先生の言う通りね」
 ポリネシアはその先生を見つつ言います。
「ピッチャーの利き腕は精密機械ね」
「だからこそ大事にしないといけないんだね」
 ホワイティはこのことを強く思いました。
「ちゃんとケアをして」
「さもないとすぐに壊れるものなんだね」
 老馬もしみじみと思いました。
「ピッチャーの利き腕は」
「肩も肘も手首も指もで」 
 ダブダブも言うことでした。
「そして爪もだね」
「全部大事だから精密機械だね」 
 チーチーも思うことでした。
「まさに」
「野球ではピッチャーが一番大事だけれど」
 最後に言ったのはジップでした。
「その利き腕のことはいつも気をつけないと駄目なんだ」
「爪でも割れたらそれで投げられないし」
「血マメも敵たら駄目だし」
「そう思うとね」
「先生の言う通りよ」
「ピッチャーの利き腕は精密機械だわ」
「そうだよ、だからね」
 それだけにというのです。 

 

第八幕その十

「特に大事にしないといけないよ」
「そうだね」
「他のポジションの人に比べてもね」
「ピッチャーの人がどれだけ大事か」
「そのことを思い知るよ」
「そしてそのピッチャーに優れた人が多いと」
 それならというのです。
「それだけでそのチームは強いよ」
「それがまさに今の阪神ね」
「阪神は昔からピッチャーはよかったけれど」
「それでもね」
「今の阪神は特にそうね」
「先発と中継ぎはちゃんと揃ってて」
「強力無比なストッパーの人もいるから」
 だからだとです、皆でお話します。
「強いのね」
「打線がちょっと打ったら大抵の試合は勝てるから」
「今の黄金時代の前はそのちょっと打つが中々だったけれど」
「今はそこそこ打ってくれるから」
「今の阪神投手陣は史上最強とさえ言われているけれど」
 日本のプロ野球の歴史においてです。
「そこで打線が少し打ってくれてるから」
「優勝出来てるのね」
「連覇も出来ている」
「そういうことね」
「そうだよ」
 まさにというのです。
「要するにね」
「そうだよね」
「ピッチャーが物凄くいいとね」
「そうそう点は取られないから」
「確かにそれだけで強みよ」
「それもかなりの」
「この伝統は不思議な位続いているからね」 
 先生は阪神のこれを伝統と表現しました。
「本当に投手陣が弱かったことは稀だよ」
「阪神の場合はそうなんだね」
「だからいつも投手陣だけはよくて」
「弱くても点はあまり取られない」
「そうしたチームなのね」
「有り難いことにね、ただ」
 ここでこうも言う先生でした。
「打線が弱いこともね」
「そのこともだよね」
「阪神の伝統で」
「強い時は稀」
「今みたいな時は」
「今も強力打線というには足りないよ」
 何が足りないかといいますと。
「ホームランも打率も得点も」
「ソフトバンクや西武と比べると?」
「今のこの二チームの打線凄いわね」
「もう打って打って打ちまくる」
「物凄いよね」
「この二チームには劣るから」
 だからだというのです。
「残念だけれどね」
「やっぱりもう一人強力なバッターが欲しいね」
「彼はそうなってくれる可能性があるんだね」
「そして只でさえ強力な投手陣をリードしてくれて」
「余計に強くしてくれるんだ」
「きっとそうしてくれるよ」
 こう言ってでした、先生はその人の練習を見続けました。そうしてお家に帰ると今度はトミーにこんなことを言われました。 

 

第八幕その十一

「先生、野球ゲームについてですが」
「日本のだね」
「これが凄く面白いみたいなんです」
「どんなタイトルかな」
「実況何とかプロ野球っていいまして」
「面白いんだ」
「そうみたいなんです」
 こう先生にお話します。
「どうやら」
「そういえば僕はゲームはしないね」
「そうですよね」
「どんなゲームもね」
 野球ゲームだけでなくです。
「そうだったよ」
「いつも学問に励んでおられて」
「それでね」
 このことがとにかく大きくて、です。
「ゲームはね」
「されないですね」
「どうもね」
「はい、ですが」
 それでもとです、トミーは先生にお話しました。
「こうしたゲームも文化ですよね」
「そうだよ、貴重なね」
「そうですよね」
「だからやがて日本のゲームについても」
「日本の文化の一つとして」
「研究したいね」
 こう言うのでした。
「そうも考えているよ」
「そうですか」
「そしてね」
「論文にもですね」
「書きたいね」
 こうも考えているというのです。
「やがては」
「ゲームも文化で」
「学問の対象だよ」
「そうなんですね」
「それに」 
 先生はさらにお話しました。
「日本のゲームの面白さはね」
「そのことは、ですね」
「折り紙付きだからね」
「面白いゲームが多いですね」
「だからね」
 それでというのだ。
「研究するには」
「楽しいですね」
「そうなると思うよ」
「そうですか」
「特にね」
「特に?」
「ファミコンの時代のゲームがね」
 こちらがというのです。
「よさそうだね」
「ファミコンですか」
「そう、ファミコンの頃のゲームがだよ」
「確かファミリーコンピューターでしたね」
「正式な名称はね、今のゲーム機の先駆者で」
 そう言っていいものでというのです。
「今から見ると容量もかなり小さくてね」
「ゲームとしてはですか」
「やはり今から見るとかなり小さいというか」
「そうしたゲームばかりですか」
「単純なね、けれどね」
「その単純なゲームがですね」
「物凄く面白いみたいだね」
「そうなんですね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「若し日本のゲームについて研究をしてね」
「論文を書くのならですね」
「その時はね」
「ファミコンのゲームをですか」
「重点的に調べたいね」
「そう考えておられますか」
「一メガもない様なゲームも多くてグラフィックもレベルが低くてというゲームが多かったけれど」 
 それでもといいうのです。
「それがね」
「面白いんですね」
「そうみたいだしね」
 だからだというのです。
「一度研究してみたいね」
「ファミコンのゲームこそですね」
「その頃のゲームこそね」
「そうですか」
「そう考えているよ、じゃあ今日の晩ご飯は何かな」
「豚カツです」
 トミーが先生にすぐに答えました。
「あと菊菜のおひたしと山菜のお味噌汁、お漬けものです」
「いいね、じゃ早速ね」
「晩ご飯をですね」
「食べよう」
 こう言ってでした、先生は実際に皆と一緒に晩ご飯を食べました。今日の晩ご飯もとても美味しいものでした。 

 

第九幕その一

                第九幕  ドラフトの日
 遂にドラフトの日になりました、動物の皆は先生に朝から言いました。
「今日だね」
「今日ドラフトの日だよね」
「今日あの人がどうなるか」
「それが決まるね」
「そうなるよ、だからね」
 先生は皆に朝ご飯を食べつつ応えました。
「僕もどうなるかね」
「気になってるよね」
「気になって仕方ないわね」
「そうだよね」
「凄くね」 
 こう皆に答えます。
「このドラフトはその選手の人生を決めるだけじゃないからね」
「チームの戦力もことだしね」
「凄く大事だよね」
「いい選手を獲得出来るかどうか」
「それの分かれ目だから」
「凄く大事だよ、ドラフトで失敗すると」
 その場合はといいますと。
「後々影響が出るからね」
「そうだよね」
「今の巨人なんかそうだしね」
「毎年ドラフトで失敗してるし」
「指名した人に入団拒否されることもあるし」
「特に下位指名の人にね」
「巨人はフリーエージェントでの補強をはじめてから選手の育成を止めたね」
 先生はこのことを指摘しました。
「そうだね」
「そうそう、一位や二位の人は育てるけれど」
「下位の人はね」
「本当に育てないから」
「今はフリーエージェントでも選手来なくなってるけれど」
「お金もなくなってるし」
「それでいてずっと育成をしなかったから完全に忘れているんだ」
 選手の育成の仕方をです。
「だからだよ」
「あの有様なんだね」
「いい選手も入ってこないし」
「しかも育成が出来ていない」
「万年最下位のチームになっているんだ」
「そうなんだ、ああなったらね」
 今の巨人みたいな事態に陥ればというのです。
「どうしようもないよ」
「全くだね」
「ああなったらね」
「万年最下位間違いなしだね」
「そうなるからね」
 だからだというのです。
「ドラフトは大事だよ」
「まんべんなくいい選手を獲得する」
「チームの戦略に沿って」
「それが大事だね」
「何といっても」
「そうなんだ、ただね」
 こうも言う先生でした。
「逆に言えばね」
「逆?」
「逆っていうと」
「いい選手を獲得して」
「的確な育成が出来れば」
「チームの戦力を段違いに上げるよ、一回のドラフトでいい選手を三人獲得出来ればチームの戦力は飛躍的に上がるとも言われているしね」
 先生はこの言葉も出しました。
「ドラフトは重要だよ」
「三人なんだ」
「三人優秀な選手を獲得出来れば」
「それでチームの戦力は段違いに上がるんだ」
「これは阪急ブレーブスのことでね」
 このチームのことだというのです、かつて存在した。 

 

第九幕その二

「山田久志投手、福本豊選手、加藤秀治選手の三人を同じ年のドラフトで獲得して」
「物凄く強くなったんだ」
「その人達を獲得して」
「そうなったんだ」
「そうなんだ、他にも近鉄バファローズもね」
 やはりかつて存在したチームです。
「毎年みたいにいい選手をドラフトで獲得してね」
「それでなんだ」
「チームの戦力を整えたんだ」
「そうだったんだ」
「阪急は後にこの人達が主軸となって黄金時代を築いて」
 そしてというのです。
「近鉄も連覇してるよ」
「そのチームもなんだ」
「ドラフトでいい選手を獲得して」
「その結果なんだね」
「梨田昌考選手、羽田耕一選手、栗橋茂選手、佐々木恭介選手、有田修三選手と次々にいい選手を獲得してね」
 ドラフトによってというのです。
「そうして連覇出来たんだ」
「そういえばソフトバンクにしても」
「あのチームもだよね」
「松中選手、井口選手、城島選手と獲得したし」
「和田投手もそうだよね」
「それで今だってね」
「いいドラフトしてるね」
「そのことを見るとね」
 実際にというのです。
「ドラフトは大事だよ」
「そうだよね」
「失敗すれば巨人みたいになって」
「成功すれば阪急や近鉄みたいになる」
「ソフトバンクも然りで」
「強くなるんだ」
「そうなんだ、広島だってね」
 広島東洋カープ、このチームもだというのです。
「毎年しっかりとしたドラフト戦略考えてるね」
「そうそう、あのチームもね」
「しっかり考えてるね」
「あそこは育成もしっかりしてるし」
「猛練習で有名だし」
「あのチームはずっと低迷していたけれど」
 それでもというのです。
「強くなったのはその低迷してた時も努力していたからだよ」
「ドラフトに育成に」
「頑張って来たからだね」
「今の広島があるんだね」
「阪神と対抗している」
「そうしたチームになったんだ」
「不思議と阪神は広島には毎年負け越しているけれどね」
 先生はこのこともお話しました。
「あのチームが強いのもそのお陰だよ」
「そうだとね」
「いつもちゃんとしたドラフトしてて」
「育成も怠らない」
「だからだね」
「あの強さなんだね」
「そうだよ、本当にドラフトは大事だよ」
 先生はまた言いました。
「チームの将来を左右するからね」
「全くだね」
「強いチームにするにはドラフトを頑張る」
「それが第一だね」
「若しそれを怠ったら」 
 また言う先生でした。
「本当に巨人みたいになるよ」
「ずっとドラフトをおろそかにしていて」
「他チームから選手を掠め取ることしか考えてなくて」
「掠め取ることが出来なくなったら」
「ああなるんだね」
「そうなんだ、ドラフト戦略の立て方も育成も忘れてしまっているから」
 長い間補強ばかり考えていてです。
「ああなるんだ」
「もう自前の戦力を育てられなくて」
「獲得も出来なくて」
「それでだね」
「万年最下位になってるんだね」
「そうだよ、本当にね」 
 まさにというのです。 

 

第九幕その三

「ああはなるまいだよ」
「反面教師だね」
「文字通りの」
「今の巨人を見ていたら」
「本当にそう思えるね」
「何ていうかね」 
 トートーがどうかというお顔で言ってきました。
「補強ばかりだとチームは駄目になるんだね」
「他チームのから選手を掠め取るばかりだと」
 ジップも言います。
「最後はああなるんだね」
「というかね」 
「ドラフトを忘れたら本末転倒よ」
 チープサイドの家族もこう言います。
「ドラフトの下位選手を放置とかね」
「そんなことしたら駄目だよ」
「助っ人もいい人来なくなってるしね、巨人って」
 ダブダブは外国人選手のお話をしました。
「まともな助っ人獲得しないよね」
「所謂ネタ選手ばかりになってるわね」
 ガブガブはこう言いました。
「悪い意味で印象に残る人ばかりで」
「本当にまずドラフトなんだね」
 チーチーはしみじみとした口調で言いました。
「チームづくりは」
「いい選手が補強のせいでずっと二軍にいたら」
 どうかとです、ポリネシアは言いました。
「よくないわよ」
「その選手の人にとってもチームにとっても」
 実にとです、ホワイティは指摘しました。
「いいことは一つもないね」
「それじゃあ指名されても断られる様になるよ」
 老馬はこのことを当然としました。
「活躍出来ないんだからね」
「というかそれでまだ球界の盟主を気取ってるから」
「余計に始末に負えないよ」
 最後にオシツオサレツが二つの頭でお話します。
「弱いし人気も十二球団最低になってるのに」
「それでプライドだけ高いからね」
「本当にああなっては駄目だね」
 また先生が言いました。
「何もならないから」
「そうだよね」
「ああなるとね」
「どうしようもないね」
「うん、昔の栄光とやらにしがみついて」
 そうしてというのです。
「今の状況を見ようとしない」
「最悪のケースだね」
「それが続く様だと巨人は最下位のままだね」
「というか最下位の方がよくない?」
「巨人が最下位の方がね」
 皆ここであることに気付きました。
「今日本景気いいけれど」
「巨人が弱いからじゃないかな」
「皆巨人が負けるの見て元気が出てね」
「それでお仕事にも勉強にも励めて」
「それで日本景気がいいんじゃないの?」
「巨人が弱いから」
「僕もそう思うよ、日本の長い不景気はマスコミが連日連夜不況ばかり言っていたことがとても大きかったけれど」
 先生はここでもこのお話をしました。
「病は気からっていうしね」
「不況不況ばかり聞いてたらね」
「本当に不況になるよ」
「仕事から帰ったり休日にテレビ点けたらね」
「不況ばかり言ってたら」
「気が滅入って」
「不況にもなるよ」
 皆にもお話します。
「やっぱりね」
「そうだよね」
「それだけでね」
「不況になるね」
「けれど皆マスコミの正体がわかって」
 日本のマスコミの、です。 

 

第九幕その四

「テレビの言うことを鵜呑みにしなくなって」
「巨人が弱くなった」
「その二つが合わさってなんだ」
「日本の景気はよくなったんだ」
「巨人が勝たないと日本の景気はよくならない」
 先生はこの言葉も出しました。
「この言葉は間違いだったんだ」
「むしろ逆だね」
「今の日本を見たら」
「巨人が弱くなると日本の景気はよくなる」
「そちらだよね」
「しかもだよ」
 先生は皆にさらにお話しました。
「テレビに出て来る巨人ファンのタレントの人達って酷い人が多いからね」
「あっ、確かに」
「品性下劣な人多いわね」
「もう何ていうかね」
「カルト教団の信者みたいで」
「おかしいわ」
「そうだね、そのこともね」
 どうもというのです。
「僕は気になるから」
「そうだよね」
「普通の人ならおかしいって思うよ」
「子供の教育に悪い人達ばかりで」
「それを見てるとね」
「僕もおかしいって思っているよ」
 テレビに出て来る巨人ファンのタレントさん達の発言を聞いていると、というのです。
「落語家の人でもいるけれどね」
「ああ、いるね」
「人のお家に上がり込んでご飯を貪るだけが取り柄の人だね」
「肝心の落語はどうか知らないけれど」
「言葉の全部から品のなさが出てるわね」
「強い相手には媚びて弱い相手は馬鹿にして」
「悪い生き方してるね」
「ああした人を見ているとね」
 どうしてもというのです。
「僕も思うよ」
「おかしいって思うよね」
「全部の巨人ファンがあんな人達の筈なくても」
「少なくともテレビに出て来る巨人ファンはおかしい」
「そう思うわね」
「実際にそう思っているよ」
 先生は皆に答えました。
「ガチャ目でスキンヘッドの人もね」
「あの北朝鮮大好きな人ね」
「あの人も品がないわね」
「言ってること全部滅茶苦茶だし」
「論理の欠片もないし」
「テレビは子供も観るからね」
 先生はこのことも指摘しました。
「やっぱり出来るだけおかしな人は出したらいけないよ」
「そうだよね」
「何といってもね」
「子供の教育に悪いから」
「どうしてもね」
「そう、だからね」 
 それでというのです。
「ああした人達は出したらいけないよ」
「全くだね」
「しかし本当にテレビに出て来る巨人ファンおかしな人が多いわ」
「大体巨人軍大鵬卵焼きって言われた世代?」
「そうした人達かしら」
「まさに巨人のプロパガンダを受けていた世代だよ」
 この世代の人達はというのです。
「だから今の年配の人には巨人ファンが多いんだ」
「大体学生運動していた時代かな」
「その時代の人達かしら」
「その人達はもう巨人しかなくて」
「品性もああなんだ」
「そうじゃないかな、しかし」
 ここでまた言った先生でした。
「日本のマスコミの問題点を凝縮した存在とも言えるね、巨人は」
「全くだね」
「親会社自体がマスコミだし」
「そのことを考えると」
「巨人はそう言えるね」
 先生の言う通りだとです、動物の皆も応えます。
「言われてみると」
「そうだよね」
「二十世紀後半の日本はマスコミが癌だったけれど」
「その癌細胞を凝縮させたのが巨人」
「そうだよね」
「だから余計にね」
 まさにというのです。 

 

第九幕その五

「巨人のああした体質とかは考えるべきだよ」
「戦後日本の問題点の凝縮された姿だね」
「巨人っていうチームは」
「それにあたるんだ」
「僕はそう思っているよ」
 先生はまた言いました。
「本当にね」
「全くだね」
「じゃあ今巨人が弱いのはあれかな」
「戦後日本の問題点が解消されてきている」
「そういうことかしら」
「そうだと思うよ、じゃあ学校に行って」
 そしてというのです。
「後はね」
「研究室のテレビでだね」
「様子を見守るんだね」
「そうするんだね」
「そうしようね」
 ドラフトの実況を観ようというのです、そうしたお話を朝にしてでした。
 先生は皆と一緒に大学に出勤しました、そして午前中の講義も済ませ午後に、でした。
 研究室のテレビを点けました、ここで先生は言いました。
「そういえば研究室でテレビを点けるなんて」
「あっ、珍しいね」
「そういえばね」
「あまりないよね」
「そうだよね」
「そうだね、どうも日本のテレビ番組は僕に合わないからね」
 だからだというのです。
「そのこともあってね」
「それで、だよね」
「先生テレビはあまり観ないね」
「そうなってるね」
「特に報道番組はね」
 こちらの番組はというのです。
「そうだね」
「偏向してるからだね」
「それも極端に」
「事実を伝えてないから」
「だからだね」
「そうなんだ、事実を伝えないと」
 そうしないと、というのです。
「報道番組の意味がないね」
「確かにね」
「その通りだね」
「事実を報道しないと」
「もう報道番組じゃないよ」
「それだけで」
「だからなんだ、それも意図的なものだから」
 その偏向はというのです。
「余計にね」
「先生としてはだね」
「観ない」
「そうしてるんだね」
「そうだよ、事実を確かめるなら」
 それならというのです。
「もうね」
「ネットだね」
「それがいいんだね」
「それで事実を確かめるべきなんだね」
「そうしているよ、さもないと騙されて」
 そうしてというのです。
「色々間違えるからね」
「だからだよね」
「そうしたことはしない」
「テレビの報道番組は観ない」
「そうしているんだね」
「そうしているんだ」
 こう皆にお話するのでした。
「僕はね」
「それ凄いよね」
「事実を報道しないって」
「そこまで偏向してるって」
「とんでもないことだよ」
「そのことを見ると」
 どうしてもというのです。 

 

第九幕その六

「僕は報道番組は観られないよ」
「日本のそれは」
「観ていて得られるべきものを得られないから」
「だからだね」
「それでだね」
「野球でも関東だと酷いからね」
 テレビの実況はというのです。
「本当に」
「ああ、巨人偏向だね」
「向こうは今でも巨人贔屓の実況なんだ」
「そうしてるんだ」
「そうなんだ、それでね」
 さらにというのです。
「僕は出張で関東に行くと野球もテレビでは観ないよ」
「巨人に偏ってるから」
「だからだね」
「それでだね」
「もうね」
 それこそというのです。
「巨人が完全に正義みたいな実況はよくないよ」
「関西それはないからね」
「阪神よりも報道でもね」
「それでもね」
「まずね」
「そこまで酷くないから」
「そういえば」
 ここで先生はあることに気付きました、その気付いたことはといいますと。
「テレビ局は関西で放送してるのに東京のお店ばかり紹介するね」
「ああ、してるね」
「実際にね」
「神戸にいるのに東京のこと紹介されても」
「そうそう行くこと出来ないのに」
「やたら東京のお店紹介されるけれど」
「意味ないよ」
 皆もこう言います。
「神戸にいたら神戸のこと知りたいよ」
「神戸のお店をね」
「大阪や京都でもいいけれど」
「奈良や岡山でもね」
「そうしたところなら」
「それがだよ」
 関西でも放送しているのにというのです。
「東京のお店ばかり紹介するから」
「おかしいよね」
「その時点で」
「もうね」
「日本のマスコミはどうかしてるよ」
「本当にね」
「日本の大手マスコミは本社が東京に集中していてね」
 それでというのです。
「その大手マスコミこそがお金も情報も独占していたから」
「だからなんだ」
「権力も持っていて」
「それでだね」
「東京のことばかりなんだ」
「特にテレビはね、だから全国に放送している番組でも」
 それでもというのです。
「東京のお店ばかりなんだ、取材も楽だしね」
「後半が大事だね」
「取材が楽だっていうのが」
「そのことが」
「そう、地方に行かなくていいからね」
 東京を出て、です。
「それで出来るからだよ、だから毎朝やってる面白いとは言えない番組も」
「ああ、どのテレビ局でもあるね」
「そうした番組ね」
「朝にいつも流していて」
「全然面白くないんだよね」
「関西で観ても」
「一体何考えてるのかな」
 皆もそこがわかりませんでした。 

 

第九幕その七

「地方の人が観て面白くない、為にならない番組全国で放送するとか」
「確かに関東は人多いけれど」
「東京も一千万いるしね」
「そこに横浜とか川崎とか千葉とか入るし」
「埼玉だってね」
「まさにメガロポリスだけれど」
「それでも関東だけじゃないね」
 先生はまたこう言いました。
「そうだね」
「うん、そこはね」
「言うまでもないよ」
「関西だってあるし」
「東海、北陸、甲信、東北、北海道とあって」
「山陽、山陰に四国」
「九州だってあるよ」
「それで関東のお店ばかりにこにこととして紹介されても」
 そのうちの一つ関西の神戸に住む先生としてはです。
「意味がないよ」
「全くだね」
「そんなことしても意味ないよ」
「関東でだけ放送すればいいのに」
「それも毎朝なんてね」
「しかもその司会の人がね」
 この人がというのです。
「また的外れなことばかり言うし」
「それも駄目だよね」
「そうだよね」
「関東のお店ばかり紹介するし」
「そのこともあって」
「だから日本の心ある人はどんどんテレビから離れていくんだ」
 そうなっているというのです。
「何の役にも立たないどころか有害な番組ばかりだから」
「報道番組だけじゃないんだね」
「そうした番組は」
「だったら余計に観る価値ないよね」
「関西にいたら」
「全く、昔はそうした時間は子供向けの番組を報道して」
 毎朝そうしていたというのです。
「これが面白くて為になったんだよ」
「そっちに戻ればいいのに」
「何で戻らないのかな」
「下らない番組ばかり流さないで」
「そっちを放送すればいいのに」
「本当にそう思うよ」
 先生にしてもです。
「日本のマスコミは最初からとんでもなく質が悪いけれど」
「それでもだね」
「最近は特になんだ」
「どうしようもなく質が悪くて」
「ネットの動画の方がずっと為になるよ」
 そうなっているというのです。
「実際ね、視聴者数を確保する為に努力もしてるしね」
「テレビと違って」
「もうテレビは手抜きだらけでね」
「どうしようもないけれど」
「ネットは違うんだね」
「そちらは」
「そうだよ、だから僕も日本のテレビはすぐに観なくなったよ」
 来日してです。
「そうなったよ」
「先生はわかる人だからね」
「まともな番組かどうか」
「偏向しているかどうか」
「そうだからだね」
「日本のテレビ番組は観なくなったんだ」
「ドラマとアニメと特撮かな」
 その三つだというのです。
「日本のテレビ番組で観ていいのは、それとスポーツ番組だね」
「関東の野球の実況以外はだね」
「スポーツも観ていいんだ」
「そうなのね」
「それでも時々おかしな実況があるから」
 先生はあるとても下品なボクサー一家を思い出しました。 

 

第九幕その八

「だからね」
「それでだよね」
「スポーツの実況も注意が必要なんだ」
「そうなんだね」
「これがね、しかしね」
 また言う先生でした。
「スポーツの実況も今ではネットで観られるね」
「そうそう」
「野球だったら全球団ね」
「シーズン中はいつも実況してるわ」
「昔の日本はとにかく巨人だけだったけれど」
「それが変わって」
「ネットじゃ全球団だからいいんだ」
「そうだよ、そう出来るのがね」
 実際にというのです。
「ネットのいいところだよ」
「何ていうかね」
「もう日本でテレビは役割を終えているんだ」
「そうなんだね」
「そしてネットがあって」
「それでだね」
「そう、だからね」
 その為にというのです。
「テレビは観なくても充分やっていけるんだ」
「むしろ観たら駄目ね」
「そうしたら」
「むしろ」
「その方がいいね」
「特に酷いのは何といっても」
 それはといいますと。
「平日の夜にやっているニュース番組だね」
「ああ、評判悪い番組があるね」
「昔から風評被害とか起こしてる」
「そうした番組があるね」
「そうだよ、ある農家の人達のダイオキシンの誤報を流したけれど」
 それでもというのです。
「日本や日本人にいつも謝罪しろとか言うのに」
「自分はだね」
「違うんだね」
「そうなんだ」
「何故日本や日本人にいつも謝罪しろと言えるか」
 その理由もお話する先生でした。
「それは自分のことじゃないからだよ」
「あれっ、じゃあその人日本人じゃないんだ」
「国籍日本だよね」
「じゃあその人何者?」
「一体全体」
「地球市民かな、そんなものはまだ存在しないと思うけれど」
 先生は首を傾げさせつつ言いました。
「とにかく自分は謝る話じゃないから」
「そう言えるんだ」
「日本や日本人には」
「それが出来るんだ」
「それで自分がその報道で謝罪することになったら」
 その時はどうかといいますと。
「頬杖を突いて謝罪したんだよ」
「それ謝罪じゃないじゃない」
「報道で農家の人達がどれだけ迷惑したと思ってるの?」
「よくそんな謝罪出来るね」
「酷いなんてものじゃないよ」
「他にはあるニュースを挙げて日本の株価は下がると楽しそうに言ったこともあるよ」
 そうしたこともあったというのです。
「流石にこの人はもう表舞台には殆ど出て来ていないけれど」
「出て来れなくなった?」
「その番組で色々悪いことして」
「そのせいでね」
「そうなったのかな」
「僕もそうだと思うよ、ネットではその発言や行動がいつも槍玉にあげられていたから」
 だからだというのです。 

 

第九幕その九

「それでね」
「そうなったんだ」
「まあ自業自得だね」
「悪いことをしたら報いがあるよ」
「ましてずっと悪いことをしたら」
「そうなるよ」
「この番組の後番組はまだ続いてるけれど」
 それでもというのです。
「やっぱりね」
「観たらいけない番組ね」
「何があっても」
「いい影響を受けないから」
「そうした番組だから」
「そう、本当にね」
 そこはというのです。
「観たら駄目だよ」
「そうした番組があるのが凄いよ」
「日本っていう国には」
「というかそうした番組がずっと続いていたとか」
「それも凄いことだよ」
「しかしね」
 チーチーが言ってきました。
「日本ってそんなテレビ番組ばかりでよくまともな人が沢山いるね」
「もうそれだけテレビ観てる人が少ない?」
「そうなのかな」 
 オシツオサレツはこう考えました。
「酷過ぎることはネットで有名だし」
「それでかな」
「そういえば昔から日本ではテレビを観ると頭によくないとか言うね」
 ホワイティはこの言葉を出しました。
「この言葉が生きていたのかな」
「それで今はネットもあって」
 ジップも言います。
「余計にそうなったのかな」
「テレビは必要にしても」
 それでもと言う老馬でした。
「観られる番組は本当に少ないんだ」
「むしろ観たらいけない番組が多くて」
 それでとです、ダブダブは言いました。
「気をつけないといけない程なんだ」
「イギリスもどうかって番組あるけれど」
 どうかとです、トートーは言いました。
「日本の比じゃないね」
「日本は新聞もかなり酷いし」
 ガブガブも言います。
「クオリティ=ペーパーとか言われる新聞紙が平気で嘘書く位に」
「それってあんまりだよ」
「どう考えてもね」
 チープサイドの家族も思うことでした。
「幾ら何でも」
「それはね」
「テレビからも新聞からも離れる」
 ポリネシアは結論の様に言いました。
「そうするのが大事なのかしらね」
「そうだね、もうネットこそがね」
 まさにと言う先生でした。
「一番の情報の確認源だから」
「そうよね」
「それじゃあね」
「ここはね」
「もうね」
「テレビや新聞はね」
「観なくてよくなってきているよ」
 現実としてです。
「何しろ目にしたら悪影響受けるから」
「だからだね」
「それじゃあね」
「もうね」
「観たら駄目なんだ」
「ネットだけでいくべきなんだ」
「ネットは情報元の検証とかもしっかり行われるからね」
 だからだというのです。
「それでね」
「偏向もないから」
「余計にいいんだね」
「そうなんだね」
「そうだよ、しかし日本のマスコミの腐敗は」
 こうもお話する先生でした。
「まさに中世のバチカンに匹敵するよ」
「それって凄いよ」
「あそこまでの腐敗って」
「そうそうなれるものじゃないから」
「流石に」
「けれどそうなっているのがね」
 まさにというのです。 

 

第九幕その十

「日本のマスコミなんだよ」
「そうなんだね」
「ある意味凄いね」
「よくそこまで腐敗したね」
「尋常な腐敗じゃないよ」
「お金と情報を独占してそこから権力も独占して」
 そしてというのです。
「何をしても責任を取らなかったからね」
「中世のバチカン並に腐敗した」
「そうなんだね」
「あそこまで酷くなったんだ」
「そうだよ、そのことを指摘する心ある人もずっとそれなりいたけれど」
 それでもというのです。
「マスコミの腐敗うはね」
「ずっとなんだ」
「ずっと続いていたんだ」
「そうだったんだ」
「残念なことにね」
 そうだったというのです。
「これが」
「何ていうか」
「言葉もないわ」
「日本ではマスコミが一番の問題でね」
「社会の木鐸どころか」
「全然違っていたんだ」
「また言うけれど害毒を垂れ流す世界でね」
 それでというのです。
「もう日本最大の権力者にもなっていたから」
「政府よりもだね」
「そうなっていたんだね」
「立法、行政、司法よりも」
「さらにだったんだ」
「そうだよ、マスコミの嘘のゴリ押しがどれだけあったか」
 戦後の日本においてです。
「わからない位だよ」
「考えるだけでうんざりするよ」
「日本のマスコミには」
「何というか」
「本当にね」
「僕もだよ、とにかくね」
 また言う先生でした。
「僕はこうした時しかテレビは観ないね」
「そしてその方がいい」
「日本ではね」
「さもないと本当にいいことにならないから」
「だからだね」
「そのことはね、しかし」
 こうも言う先生でした。
「ドラフト会議がはじまったけれど」
「ようやくね」
「十二球団のフロントの人達がそれぞれの席に着いて」
「そのうえでね」
「いよいよね」
「こうして背広の人達が話しているのを観ると」
 そうしていると、というのです。
「違った感じがするね」
「そうだよね」
「普段の野球とはね」
「チームとチームがぶつかり合う」
「そうした野球とはね」
「そうだね、けれどこれもね」
 それでもとお話する先生でした。
「野球でね」
「それでだね」
「皆頑張ってるんだね」
「フロントの人達も」
「チームの為に」
「言うなら選手や監督、コーチの人達は軍人さんで」
 先生はここでこうも言いました。 

 

第九幕その十一

「フロントの人達は政府だよ」
「あっ、シビリアンコントロールだね」
「その論理と同じなんだ」
「野球のチームとフロントの関係って」
「そうなんだ」
「だから強いチームでもね」 
 チームとしてそうであってもというのです。
「フロントがおかしなことをするとね」
「弱くなるんだね」
「チームはそれだけで」
「軍隊と同じで」
「そうなるんだ」
「そうだよ、ナチスやソ連の軍隊はヒトラーやスターリンのせいで大変なことになったね」
 先生は歴史から事例を挙げました。
「そうだったね」
「そうそう」
「どちらも現場とかに介入し過ぎて」
「あれやこれやと口を出して」
「大変なことになったわね」
「先生昔そんなこと言ってたよ」
「そのことと同じでね」
 それでというのです。
「フロントがしっかりとしているとね」
「チームも強いんだね」
「それだけで」
「そうなるんだね」
「そうだよ、そしてしっかりしていないと」
 その場合はといいますと。
「弱くなるんだ」
「わかりやすいね」
「それも実に」
「チームがずっと強くあるのはフロント次第」
「そういうことね」
「昔の阪神はお家騒動が多かったけれど」
 その阪神のお話です。
「それはね」
「フロントがしっかりしていなかった」
「そのせいだね」
「そうなんだ、もうそれでね」
 お家騒動でというのです。
「色々と問題があったんば」
「内輪揉めばかりだとね」
「どうしてもだからね」
「チームの補強とか出来ないから」
「どうしても」
「その時は」
「そうなるからね」
 だからだというのです。
「阪神は低迷していたんだ」
「けれど今は起きないし」
「選手同士がどうとかね」
「コーチとの確執とかもないし」
「監督についても」
「全部フロントがしっかりしたものになったからだよ」
 だからだというのです。 

 

第九幕その十二

「それでなんだ」
「阪神はだね」
「そのことからも強くなった」
「そういうことだね」
「そうだよ」
 まさにというのです。
「やっぱり内輪揉めはね」
「よくないね」
「どんな場所でもだけれど」
「野球チームでもそうで」
「阪神でもなんだね」
「巨人もフロントは昔から色々あったけれど」
 それでもというのです。
「まだ現場のことは水原茂さんという凄い監督さんがいて介入するとか考えられなかったからね」
「若しフロントが何か言っても」
「それでもだね」
「何かあっても」
「それでもだね」
「名監督だったからね」
 それでというのです。
「フロントも言わなかったんだ、後もフロントはまだ弁えている人達だったから」
「現場に介入しなかったんだ」
「今みたいに」
「そうだったんだ」
「そうだったんだ、けれどね」
 それがというのです。
「あの悪名高いオーナーになってからね」
「ナベ何とかっていう?」
「あの人だね」
「あの人がオーナーになってからなんだ」
「フロントがおかしくなったんだ」
「そうなってね」
 そうしてというのです。
「ずっとおかしな補強や現場への介入を行って」
「ああなったんだ」
「巨人を万年最下位のチームにしたのね」
「そうしたことを繰り返して」
「そうだよ、如何にチームにとって野球を理解しているフロントが重要か」
 先生は感慨を込めて言いました。
「わかるね」
「軍隊に例えるとわかりやすかったわ」
「政府が変に口出ししたら駄目ってことと同じね」
「戦場のことは軍人さん達専門の人達のするべきことだから」
「そこに政府の人達がああしろこうしろって言っても」
「よくないね」
「フロントの人はグラウンドで野球をしないんだよ」
 そうだからだというのです。
「それであれこれ言っても仕方ないね」
「確かにね」
「そういうことね」
「今の阪神のフロントは違う」
「そしてだね」
「お家騒動もなくなったんだね」
「そうだよ、そのことも今の阪神が強い一因だよ」
 先生は皆にお話しました、そうしてそのうえでいよいよはじまろうとしているドラフトをその目で観るのでした。 

 

第十幕その一

                第十幕  意中のチームへ
 ドラフトがはじまり進んでいきます、そこで阪神の第一位に選ばれたのはまさにあの人でした。先生も動物の皆もです。
 その瞬間をテレビで観て大喜びでした。
「いや、よかったね」
「本当にね」
「あの人が阪神に行ってくれて」
「逆指名のこともあったしね」
「指名されてよかったわ」
「全くだよ、他のチームの強行指名も有り得たけれど」
 それでもというのです。
「それもなくてね」
「よかったね」
「ソフトバンクみたいに只でさえ強いのにさらに戦力求めるチームあるしね」
「シリーズに出た時は物凄いパワーで阪神苦しめるからね」
「そのソフトバンクも指名してこなかったし」
「すんなり阪神に決まってよかったわ」
「本当にね」
 皆このことも喜んでいます。
 ですがここで、です。先生は言いました。
「ただ、そのソフトバンクもいい選手指名したね」
「あっ、大学野球で活躍した人ね」
「あの人を指名したわね」
「ちゃんと考えてチーム事情に必要な戦力を確保する」
「そして育成もしていくつもりなのね」
「ソフトバンクも凄い補強するけれどね」
 資金力を背景にフリーエージェントや海外のルートで強力な戦力を獲得するのです。
「あそこはそれだけじゃないから強いんだ」
「ちゃんとチーム戦略を考えて」
「それでちゃんとドラフトで戦力を獲得する」
「そうして育てていく」
「そうもするんだ」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「あのチームは強いんだ」
「そうだよ、だからね」
 それでというのです。
「あのチームがシリーズに出た時阪神は一番苦戦しているんだ」
「ソフトバンクが出て来ることが一番多いしね」
「あの戦力だから」
「伊達に巨大戦力じゃないよ」
「そう呼ばれてないよ」
「はったりじゃないから」
 皆もこう言います。
「打線もいいし」
「守備も整ってるわよ」
「走られる人もいて」
「しかも投手陣も揃ってるから」
「だからね」
 それでというのです。
「リーグ制覇、クライマックス制覇を成し遂げることも多いし」
「シリーズでもだね」
「阪神を苦しめている」
「そうしているのね」
「そうなんだ、それと日本ハムも」
 先生はソフトバンクと同じパリーグのこのチームのお話もします。
「甲子園で大活躍した人を指名したけれど」
「確かこの人って」
「もう怪物とか呼ばれていたのよね」
「剛腕とかね」
「とんでもない能力だったから」
「日本ハムは伝統的に野手を育てることが上手でね」
 先生は日本ハムのチームの傾向のお話もしました。
「打つ方も守る方もね」
「いい人を育てるんだ」
「だからあのチームもシリーズに出られるんだ」
「そうなんだね」
「そうだよ、そしてとんでもない能力を持っている人を獲得することもして」
 そうしてというのです。 

 

第十幕その二

「その人の力を最大限に引き出したりもするんだ」
「あっ、ダルビッシュ投手や大谷選手ね」
「お二人共とんでもないよね」
「もう化けものよ」
「あんな能力あったらね」
「それこそね」
「どれだけ凄いか」
「本当にね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「あのチームはどうやらこのドラフトでもそれをやってみせたから」
「また優勝するかも知れないんだね」
「時々凄く強くなるチームだけれど」
「そうなるかも知れないんだ」
「僕が思うにね、まあそれは予想でしかないから」
 だからだというのです。
「確かには言えないよ」
「そうなんだね」
「けれどシリーズで優勝したら」
「その時はだね」
「また阪神と戦うことになるんだ」
「その時も楽しみだね、パリーグの他のチームもいいドラフトもしていて」
 そうしてというのです。
「五つのチームはこの先も優勝する可能性があるね」
「これまで通りだね」
「そしてセリーグになると」
「どうなのかな」
「うん、巨人は問題外として」
 もうお話するまでもないというのです。
「他のチームもいいね、特にね」
「カープね」
「あのチームだね」
「あのチームのドラフトがよかった」
「先生はそう思うんだね」
「あのチームは元々資金難と言われているね」
 先生は親会社の財政事情からお話しました。
「長い間だけれど」
「そうだね」
「随分とそう言われてるね」
「何かと」
「あのチームはお金がないって」
「ネットでは有名ね」
「そのせいかね」
 つまりフリーエージェントや助っ人を大金で獲得出来ないというのです。
「主にドラフト、そして助っ人もね」
「独自のルートでだね」
「助っ人選手も獲得して」
「そしてだね」
「助っ人も獲得してるんだね」
「そうけれどね、まずはね」
 何といってもというのです。
「そうしたチームはドラフトの獲得が第一だからね」
「それでだね」
「ドラフトには力を入れてるんだね」
「出来るだけいい選手を獲得して」
「そこからその選手を育成する」
「それがあのチームの方針だね」
「そう、だからね」 
 それでというのです。
「あのチームは今年もなんだ」
「いいドラフトをしたんだね」
「そうなのね」
「それでその獲得を活かして」
「来年もそれ以降も頑張っていくんだね」
「そうだと思うよ、阪神は少し油断したり調子を落としたら」
 本当にそれだけでというのです。
「阪神は優勝出来ないよ」
「その代わり広島が優勝だね」
「あのチームが」
「あのチームがそうなってしまうんだね」
「それも有り得るのね」
「充分にね、実は巨人みたいなチームは例外として」 
 あくまでというのです。
「同じプロだからね」
「実はチームの戦力はそんなに変わらないの?」
「阪神にしても広島にしても」
「ソフトバンクにしても」
「そして他のチームも」
「そうだよ、その実はね」
 これがというのです。
「あまりね」
「変わらないんだ」
「そうだったんだ」
「その実は」
「うん、だからソフトバンクでも怪我人が多かったりしたら」
 そうしたシーズンはというのです。 

 

第十幕その三

「優勝出来ないんだよ」
「実際そうしたシーズンあったしね」
「そういうの見るとね」
「他のチームとの戦力差はないんだ」
「然程は」
「じゃああれかな」
 ホワイティはここで言いました。
「最強と言われる阪神投手陣も」
「その実はレベルの差はあまりない」
 ダブダブが続きます。
「そうなるのかな」
「同じ人間でもあるし」
 ポリネシアも言います。
「それならかしら」
「確かに強くても無敵じゃなくて」
 ジップはポリネシアに応えました。
「絶対じゃないんだ」
「そういえば今の洗髪、中継ぎの人で何人か故障したら」
「結構まずいかも知れないわね」
 チープサイドの家族もお話します。
「二軍の人達もいいっていうけれど」
「それでもどうなるかわからないと言えばそうだしね」
「その辺りはね」
 老馬も言ってきました。
「阪神もやばいってことだね」
「特にストッパーの人に何かあったら」
 ガブガブはこの場合を考えました。
「もうピンチね」
「ダブルストッパーにしても」
 それでもとです、チーチーは言いました。
「お一人がいなくなるとその分の戦力ダウンは凄いよ」
「幾ら電絶のJFK以上の中継ぎ抑え陣でも」
 トートーも言うことでした。
「怪我人が多かったらまずいね」
「そうそう、そうなったら」
「流石の阪神投手陣もどうなるか」
 最後にオシツオサレツが二つの頭で言いました。
「わからないね」
「二軍の人達に上がってもらって期待するしかないよ」
「そう、だからね」
 それでと言う先生でした。
「これはどのスポーツでもそうだけれど」
「案外どのチームも戦力は変わらない」
「多少の差はあっても」
「それは絶対じゃない」
「そうなんだね」
「作戦でもそうだよ、若し作戦を破られたら」
 その時はといいますと。
「スポーツの場合は倍返しになるね」
「フットボールやラグビーでマークしてる選手を封じていけないと」
「もうその選手に暴れられて」
「そうなってしまって」
「どうしようもなくなるから」
「野球でもなんだね」
「作戦を破られたら怖い」
 動物の皆も言います。
「その時は倍返し」
「それは覚悟しないといけないんだ」
「戦争でも作戦を破られたら怖いけれど」
「スポーツでもそうで」
「それでだね」
「そうだよ、戦力が劣るチームでも相手チームの作戦を破ることが出来て」
 そしてというのです。
「そこからだよ」
「さらにだね」
「こちらが作戦を仕掛けるんだね」
「そうしてこちらの作戦は成功させるんだ」
「そうだよ、例えば相手の主力選手を研究して」
 そうしてというのです。 

 

第十幕その四

「そしてね」
「そのうえでなんだ」
「その選手の弱点を衝く」
「そうしてその選手を封じる」
「そうしていけばいいんだね」
「そうだよ、作戦もまたスポーツの醍醐味だし」
 勿論野球にも言えることです。
「だからね」
「それでだね」
「是非だね」
「こっちもどんどん仕掛けて」
「そしてだね」
「相手に勝つ」
「それも野球だね」
 皆も頷きました、そのうえで。 
 皆は彼が阪神に指名されたことを喜びました、後は正式に契約のお話が決まるだけですが選手の人はインタヴューで是非入団させて下さいと言いました。
 それで先生はお家に帰って動物の皆とトミーそしてドラフトのことを聞いてお家に来た王子と一緒に乾杯しました。
 そうしてウイスキーをロックでごくりと飲んでから言いました。
「いや、これでね」
「後はだね」
「その人が的確に育ってくれてね」
「それでだね」
「怪我もなくね」
 先生は王子にこのこともお話しました。
「そしてね」
「そのうえで、だね」
「野球をしてくれれば」
「いいね」
「正直今の正捕手の人も控えの人もそろそろ年齢が気になってるし」
 それでというのです。
「ここで彼の入団はね」
「大きいね」
「阪神にとってね、前から思っていたけれど」
「阪神にはいいキャッチャーが必要だったんだ」
「そしてよく打ってくれるバッターの人もね」
「そしてその両方を出来るのが」
「彼だよ」
 まさにというのです。
「もう一年目でも今の能力なら」
「キャンプを終えたら」
「そしてオープン戦もあるけれど」
「調整もして」
「後は開幕一軍でもね」
「いいんだね」
「そうだと思うよ」
「そこまでの人だね」
「僕が見てもね、今の時点でプロ並のキャッチングと肩で」
 それにというのです。
「バットコントールも長打力もあるし」
「全部備えているから」
「だからね」 
 それでというのです。
「もうね」
「後はだね」
「うん、キャンプでプロに通用する身体を作ってもらって」
「そしてだね」
「そこからね」
 さらにというのです。
「持ち前の研究心を出していけば」
「問題ないんだ」
「古田敦也選手以上の名キャッチャーになってくれるよ」
「あの人以上の」
「実は古田選手は勝負弱いとか左ピッチャーに弱いとか言われるシーズンもあったんだ」
「へえ、そうだったんだ」
「何故かね、けれど彼はそうしたところはないし」
 勝負弱くもなく左ピッチャーも苦にしていないというのです。
「特に勝負強くも左ピッチャーを得意にしている訳でもないけれど」
「つまり安定感があるんだね」
「そうした人だから」
 それ故にというのです。 

 

第十幕その五

「若しかしたらね」
「あの古田選手以上のだね」
「名キャッチャーになれるよ」
「それは凄いね」
「まあキャッチャーは他の選手以上に経験がものを言うポジションだけれど」
「どんどん経験を積んでなんだ」
「いいリードやグラウンドの采配も出来るから」
 だからだというのです。
「経験がね」
「大事なんだね」
「そうしたポジションなんだ」
「成程ね」
「だからだよ」
 さらにお話する先生でした。
「ここはね」
「是非にだね」
「そう、彼もね」
「開幕一軍で喜ばずに」
「それは確かに凄いことだけれど」
 ルーキーの人がそれを果たすことはというのです。
「それでもね」
「それをやったと思わずに」
「むしろはじまりと思ってね」
 そうしてというのです。
「プロ生活を続けていって欲しいね」
「そうなんだね」
「そう、そしてね」
 そのうえでというのです。
「一軍で経験を積んでいって」
「その経験の分だね」
「凄い選手になって欲しいよ」
「そして凄い選手になってくれたら」
 今度はトミーが言ってきました、皆焼き肉を焼きながら乾杯しています。それでトミーもお肉を食べています。
「阪神もですね」
「大助かりだね」
「いいキャッチャーが投手陣を的確にリードしてくれて」
「盗塁も刺してくれてね」
「相手の選手の癖とかをどんどん見抜いてくれて」
「それをチームに伝えてくれるしバッターとしても」
 先生も焼いた牛肉を食べつつ言います。
「打ってくれるからね」
「いいですね」
「今の阪神はここで五番の人に確かな人がいてくれたら」
「前まではベテランの人でしたが」
「流石に寄る年波には、でね」
「今シーズン遂に引退されましたね」
 トミーは残念そうに言いました。
「甲子園での引退セレモニーはよかったですね」
「そうだね、本当に」
「有終の美でした、ですが」
「引退したからね」
 前から限界が感じられていてです。
「だからこのことでもね」
「丁度いいですね」
「今阪神はいいキャッチャーといい五番がね」
「両方必要なんですね」
「だから彼の参加は」
 まさにというのです。
「阪神にとって渡りに舟」
「そんな指名でしたね」
「他の獲得した選手もこれはっていう選手がいるけれど」
「その中でもですね」
「やっぱり彼だよ」
 何といってもというのです。
「本当にね」
「そうなりますか」
「うん、まだ契約のお話があるけれど」
「それでもですね」
「お互いのお話を聞いたらね」
 阪神とその選手の人のです。
「まずね」
「決まっていますね」
「だからね」
「今お祝いしてもいいですね」
「そうだよ、そして来年はまた大阪でね」
「道頓堀で、ですね」
「川に飛び込む人がいるよ」
 先生は笑って言いました。 

 

第十幕その六

「絶対にね」
「そうですよね」
「オックスフォードのあれみたいだけれど」
「やっぱり違いますね」
「うん、何でも阪神が優勝して物凄く嬉しくて」
 それでというのです。
「飛び込んでね」
「それがはじまりですか」
「それが昭和六十年、一九八五年のことで」
「もう伝説の年ですね」
「その年からのことなんだ」
「そうでしたか」
「そう、そしてね」 
 先生はさらにお話しました。
「今も定着しているんだ」
「そうですか」
「そう、そして」
 そのうえでというのです。
「今年もね」
「多分飛び込みますね」
「もうリーグ優勝は果たしているし」
「ここでクライマックスにも勝って」
「そしてシリーズも制覇したらね」
 その時はというのです。
「いよいよだよ」
「その道頓堀で」
「またファンの人達が飛び込むよ」
「すっかり日本の風物詩になっていますね」
「そうだね」
 先生はトミーに笑顔で応えました、そしてです。
 またウイスキーを飲んでそれから言うのでした。
「いや、いいお祝いで飲むから」
「余計にですね」
「美味しいね」
「そうですね、じゃあ」
「うん、どんどん飲ませてもらうよ」
 こう言ってでした、先生は実際にお祝いのお酒を飲んでいきました。焼き肉も美味しかったので勿論そちらも楽しみました。
 ただ焼き肉とウイスキーの後で先生はトミーに言いました。
「デザートは何があるかな」
「苺でいいですか?」
「あっ、苺があるんだ」
「はい、デザートでしたら。あと」
「あと?」
「フルーチェもありますよ」
 こちらもというのです。
「よかったこちらも」
「ああ、フルーチェもあるんだね」
「そうなんです」
「デザートが二つもあるなんていいね」
「といいますか」
 トミーは先生に微笑んでお話しました。
「フルーチェって簡単に出来ますよね」
「フルーチェを牛乳に入れて少しかき混ぜたら完成だね」
「しかも美味しいですから」
「あれは恐ろしいスイーツだよ」
「簡単に出来て美味しく食べられる」
「あんないいものはそうそうないね」
「そうですよね」
「それじゃあね」
 先生はフルーチェもと聞いてトミーに述べました。
「苺にフルーチェをかけて」
「それをですね」
「皆で食べようか」
「それじゃあ」
「けど先生」
 ここで食いしん坊のダブダブが言ってきました。
「フルーチェも色々だよ」
「そういえば色々な種類があるね」
 トートーはダブダブのその言葉に頷きました。
「一口にフルーチェって言っても」
「パイナップル味とかメロン味とかは」
 どうかとです、ここで言ったのはホワイティでした。 

 

第十幕その七

「苺に合わないね」
「そこを考えないと駄目よ、先生」
 ガブガブは先生を窘めました。
「フルーチェといっても種類があるから」
「何でもそうだけれど色々種類があって」 
「そこから組み合わせが生じるのよ」
 チープサイドの家族も先生を窘めます。
「お料理は特にそうよ」
「フルーチェと果物やお野菜に限らずね」
「例えば西瓜にホットコーヒーはないね」
 こう言ったのは老馬でした。
「あまりいい組み合わせじゃないね」
「学問だったら先生しっかりしてるけれど」
 それでもと言うポリネシアでした。
「お料理はそもそも作れないから」
「というか先生がお料理作るとか」
 チーチーはその場面を想像しようとしましたが。
「全く思い浮かばないよ」
「お洗濯もお掃除もだし」 
 ジップも言います。
「先生って家事や世事のことはさっぱりだからね」
「それでフルーチェにもそう言ったけれど」
「組み合わせは考えてね」 
 最後にオシツオサレツが二つの頭でお話します。
「若しパイナップルとかメロンとかそういうののフルーチェだと」
「本当に苺に合わないよ」
「そういえばそうだね、じゃあね」
 先生はここまで聞いて考えをあらためました、そのうえでトミーにあらためて尋ねました。
「何味のフルーチェなのかな」
「苺味ですよ」
 トミーは先生ににこりと笑って答えました。
「そちらですよ」
「苺に苺味だね」
「これなら問題ないですよね」
「そうだね、じゃあね」
 それならとです、先生も頷いてでした。
 トミーに早速苺にフルーチェをかけたものをお願いしました、そしてそのデザートが出るまでにでした。
 王子が先生にこんなことを言いました。
「考えてみればフルーチェって凄いよね」
「牛乳に入れて混ぜるだけだからね」
 先生は王子にもこうお話しました。
「それであれだけ美味しいものが出来るんだから」
「凄いことだよ」
「本当にね、ただね」
「ただ?」
「日本って牛乳飲んだり乳製品食べる様になった歴史はそんなに長くないよね」
「欧州に比べてね」
「明治維新の頃からだからね、ただ」
 ここで王子はこうも言いました。
「乳製品は昔からあったね」
「蘇とか醍醐とかね」
「そういうものはあったね」
「うん、けれど非常に高級な食べものでね」
「皆そうそう食べてなかったね」
「そうだったんだ」
「だから本格的に食べられる様になったのは」
 その頃はといいますと。
「やっぱり、だね」
「明治維新からだよ」
「そうなるね」
「欧州の食事が入ったからね」
「だから乳製品も食べられる様になって」
「牛乳自体も飲まれる様になったね」
「そうなったんだ」
 先生は王子にお話しました。
「日本でもね」
「そうだね、けれどその割に」
「食べて飲みはじめてまだ歴史が新しいのに」
「それでもだね」
「フルーチェみたいな素晴らしいものを生み出せるんだね」
 王子はしみじみとした口調になって言いました。
「僅かな歴史から」
「他の乳製品も美味しいね」
「日本はね」
「そのことも凄いことだね」
「日本のね」
「だからこれだけの国になったんだね」
「そういうことだね、確かにマスコミは酷いけれど」
 近頃先生がお話している様にです。 

 

第十幕その八

「それでもね」
「素晴らしいものを数えきれないだけ持っているね」
「そうした国だね」
「僕もそう思うよ、ただね」
「ただ?」
「イギリスでこうしたものは出ないんだよね」
 先生はこのことは少し苦笑いになって言いました。
「昔からね」
「というかイギリスで食文化は」
「世界的にだね」
「評判がよくないし」
 王子は先生に応えて言います。
「実際に味付けも焼き加減や煮具合もね」
「よくないね」
「メニューも」
 それもというのです。
「日本とか他の国に行ってからイギリスで食べるとなると」
「酷いものに見えるね」
「ニシンのパイにしてもね」
 このイギリス料理もというのです。
「一匹丸ごとパイに挟んであるね」
「あのお料理も評判悪いね」
「あとザリガニのパイもあるね」
「丸ごと何匹入れたものだね」
「あれもね」
 こちらのお料理もというのです。
「外見も味もね」
「両方でだね」
「あまりにも酷いよ」
 こう言うのでした。
「他にも何かとね」
「映画でもそうだしね」
「イギリス人の食卓ってね」
「他の国の映画と比べたら」
「お世辞にも、だし」
「どうもね」
 動物の皆も言うことでした。
「ハリー=ポッターでも観たら」
「日本映画と比較しても」
「ちょっと、ね」
「主人公達が食べてたものって」
「酷かったね」
 先生も言うことでした。
「あれも」
「そうだったよね」
「どうにもね」
「イギリスにいたら気付きにくいけれど」
「外国に行ったら見えるから」
「そうしたことも」
「僕自分の国からイギリスに来たよね」
 王子はこのことからもお話しました。
「そして色々他国を訪問してるし」
「今は日本に留学してるし」
「世界中をずっと巡ってきたから」
「イギリスのお料理のことも言えるのね」
「わかってるからこそ」
「そうだよ、例えば日本にはすき焼きはあるけれど」
 先生に来日を促す時にご馳走したあのお料理です。
「イギリスにはないよね」
「ああした肉料理ないね」
「イギリス人には発想が及ばないっていうか」
「ステーキとかローストビーフはあるけれど」
「それでも」
「そうだよね、しかもね」
 王子はさらにお話しました。
「そのイギリス料理は何とイギリス人以外が作ると美味しいらしいんだ」
「つまりイギリス料理は素材自体はいいのんだね」 
 先生は王子のお話を聞いてこう考えました。
「つまりは」
「そういうことかな」
「他の国の人がちゃんと下ごしらえや味付け、火加減や盛り付けをしたら」
「もうそれでね」
「美味しくなるんだ」
「多分ニシンのパイもね」
 こちらもというのです。 

 

第十幕その九

「そうなると思うよ」
「そうなんだね」
「そしてハリー=ポッターの食卓も」 
 これもというのです。
「リメイクされた時にイギリス人以外のシェフの人が作ってくれたら」
「もっといいかな」
「そうじゃないかな」
「世界のネットで結構言われたんだよね」
「日本でもね」
 映画の食堂の場面がです。
「えらく質素な食卓だって」
「寮の食事にしてもだね」
「その内容もね」
「変わって」
「そう、それでね」
 そのうえでというのです。
「評判がよくなるかな」
「そこはリメイクに期待かな」
「リメイクして欲しいね」
「原作が面白くて映画もだからね」
「是非ね」
 こうしたお話をしている間にその苺にフルーチェをかけたものが運ばれてきました、皆の分がそれぞれお皿の上に置かれています。
 先生はそのスイーツを食べて言いました。
「うん、とてもね」
「美味しいですか」
「苺もフルーチェもね」
「そして二つの組み合わせがですね」
「凄く合ってるよ」
 こうトミーにもお話します。
「本当にね」
「確かに。言われてみますと」
「この組み合わせはいいね」
「そうですね、苺と苺だけじゃなくて」
「苺に乳製品だしね」
「元々この組み合わせいいですし」
 トミーはこのことからも言います。
「そういうことですね」
「本当にそうだね、そして組み合わせというと」
「何かありますか?」
「色々なお料理にも言えるけれど」
 それだけでなくというのです。
「野球でも言えるんだ」
「そうなんですか」
「バッテリーでもね」
「あっ、そういえば」
「バッテリーの組み合わせでよくなるピッチャーの人もいるね」
「ボールを受けてリードしてくれるキャッチャーの人次第で」
「例えばね」
 先生はトミーにスイーツを食べつつお話しました。
「昭和五十年代の近鉄には鈴木啓示という接待的なエースがいたけれど」
「四十年代から活躍していて」
「その頃もエースだったけれどね」
「確か五十年代からはそれまでの速球派から技巧派に変わりましたね」
「それまでは変化球はカーブとフォークだけだったけれど」
 それがというのです。
「スライダーとシュートも覚えてね」
「技巧派になったんですね」
「その鈴木投手の主な相手はね」 
 バッテリーを組む相手はといいますと。
「正捕手の梨田昌考選手でなく有田修三選手だったんだ」
「その人が相手だったんですね」
「うん、どうも鈴木投手が有田選手と組む時は燃え上がったらしくて」
 それでというのです。
「監督の西本幸雄さんがこの組み合わせでいくことを決めたんだ」
「そうだったんですか」
「他のピッチャーの人の時は梨田選手がキャッチャーの時が多かったけれど」
「それが、ですね」
「あえてね」
 まさに、というのです。 

 

第十幕その十

「鈴木投手の時はね」
「有田選手だったんですね」
「そして技巧派に転身した鈴木投手はね」
「さらによくなったんですね」
「そうなったんだ」
「そんなことがあったんですね」
「そうだったんだ」 
 まさにというのです。
「だから野球もね」
「組み合わせは大事ですね」
「バッテリーのね」
「そういうことですか」
「ただ、こうしたキャッチャーの使い分けが出来るチームは少ないよ」
「正捕手一人だけでも難しいですね」
「当時の近鉄はその梨田選手と有田選手で正捕手二人と言われていたけれど」
 そうしたチームはといいますと。
「滅多にないよ」
「そうですよね」
「前に強かった時の広島も正捕手は一人だったね」
「達川光男さんですね」
「強いチームには確かなキャッチャーの人がいる場合が多いけれど」
「その人を持つだけでも」
「そう、難しいからね」
 だからだというのです。
「こうしたあえて言うなら贅沢な使い方はね」
「エースの人にはあえて正捕手とは別の人を起用するとか」
「有田選手は強気のリードに勝負強い打撃が売りの選手だったしね」
「梨田選手にも負けていなかったんですね」
「そう、梨田選手はリードと強肩と安定したバッティングの人でね」
「お二人の実力も拮抗していたので」
「出来たけれど一つのチームに同じレベルで凄いキャッチャーが二人いる」
 そうしたことはというのです。
「滅多にないことだからね」
「そうそう出来ることじゃないですね」
「そうした意味で鈴木投手も有田選手も幸運でね」
「当時の近鉄もですね」
「幸せだったよ、お互いにいい相手と出会えてまた今も語られる位のバッテリーになったから」
「そう思うと凄いですね」
「全く以てね」
 こう言ってでした、そのうえで。
 先生は皆と一緒にスイーツも楽しみました、そうして今日のこの日をとてもよい日だったと記憶するのでした。 

 

第十一幕その一

                第十一幕  入団会見
 ドラフトの後で、です。野球の方はクライマックスそうしてシリーズと移っていきましたが阪神の今回の相手はソフトバンクでした。
 そのパリーグの覇者を見てです、動物の皆は朝のお家で言いました。
「本命が出て来たね」
「リーグ優勝をぶっちぎりでしたし」
「クライマックスも何なくだったし」
「もう出て来るべくして出て来た」
「そう言えるわね」
「うん、やっぱり戦力が違うよ」
 先生も皆にこうお話します。
「何といってもね」
「そうだよね」
「確かにプロ同士で実際の戦力差は言われてる程じゃなくても」
「ソフトバンクに戦力があるのは事実だし」
「その戦力に怪我する人が少なくて」
「それで普通の采配を執っているとね」
「それでだよ」
 まさにというのです。
「あのチームは今年も本命だったし」
「その評判通りに優勝して」
「阪神に挑戦してくるのね」
「そういうことね」
「そうだよ、けれど今の阪神には大きな目標があるから」
 その目標はといいますと。
「十連覇というね」
「監督さんも仰ってるね」
「阪神は十連覇を目指すって」
「勿論十連覇で終わりじゃないけれど」
「まずは十連覇」
「そう言われてるね」
「巨人の九連覇を塗り替えるんだ」
 何があってもというのです。
「その偉大な目標があるからね」
「だからだね」
「相手がソフトバンクでも負けられないわね」
「どれだけ強い相手でも」
「そうであっても」
「そうだよ、だからね」
 それでというのです。
「阪神の健闘を観ていよう」
「僕達としては」
「そうすべきだね」
「敵がどれだけ強くても」
「阪神は必ず勝つ」
「そう信じてね」
「観るべきね」
 皆も先生のお言葉に頷きました。
「それじゃあね」
「今年も観させてもらうよ」
「是非ね」
「阪神の胴上げを」
「福岡か甲子園でのそれをね」
「今みたいになるまではシリーズに出場しても」
 ここで先生は少し苦笑いになってお話しました。
「負けてばかりだったからね」
「一九八五年は日本一になったけれど」
「その後はね」
「どうもね」
「負けが続いていたわね」
「中には酷い敗北もあったね」
 それに終わったシリーズもあったというのです。
「ロッテとのシリーズだけれど」
「そうそう」
「あの時のお話は今でも伝説になってるから」
「三十三対四とかね」
「濃霧とかで」
「ロッテにあまりにも一方的にやられて」
「今だに言われてるね、ちょっとあの負け方はないね」
 先生は少し苦笑いになって皆にお話しました。
「本当に」
「そうだよね」
「有り得ない位に負けたから」
「もうどうしたらそれ位負けられるの?っていう位に」
「一方的にやられて」
「伝説にさえなかったから」
「そのことを思うとね」
 どうしてもというのです。
「阪神は暫くシリーズはどうも、だったけれど」
「それがね」
「随分変わったわね」
「ちゃんとシリーズでも勝ってくれる様になって」
「日本一にもなってくれて」
「しかももう何連覇もしてるから」
「本当に変わったよ、ずっとそのままで変わらないとか」
 そうしたことはといいますと。 

 

第十一幕その二

「どんなものでもないからね」
「人でもそうだしね」
「世の中変わらないものはない」
「徐々にでも急にでも変わっていく」
「そうしたものだね」
「そうだよ、だからね」
 それでというのです。
「阪神についてもね」
「変わったんだね」
「ちゃんとね」
「そうなったんだね」
「よくね、巨人は転落という意味で変わったけれど」
 このチームの場合はそうなるというのです。
「阪神はね」
「常勝軍団に生まれ変わった」
「そうした意味で変わったわね」
「いい意味で変わったわ」
「本当にね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「どんなものも、阪神でも変わったんだよ」
「7それで今の阪神がある」
「文字通りの猛虎軍団になった」
「そういうことね」
「まさに」
「そうだよ、その猛虎のシリーズでの活躍を楽しみにしていようね」
 是非にとお話する先生でした、そしてです。
 先生は皆と一緒に出勤しました、すると大学はその人の阪神からのドラフト一位指名のお話で持ち切りでした。
 そえで、です。先生は皆に研究室で言いました。
「やっぱりね」
「話題はそれで持ち切りだね」
「彼のことで」
「大学の皆がお話してるわ」
「若しかしたら普段野球に興味がなさそうな人でも」
「そうしてね」
「阪神でどんな活躍してくれるか」
「そんなお話をしてるわね」
 皆も先生に応えて言います。
「そのことを見ると」
「やっぱり阪神に指名されたって大きいんだね」
「ドラフト一位指名は」
「逆指名だったにしても」
「やっぱり凄いことだよ、そのスポーツをしていてもね」
 先生は野球だけでなくスポーツ全体のお話をしました。
「そのスポーツでプロになれる」
「そうなれるってね」
「それだけで凄いことだよね」
「まさにそれだけで」
「そうよね」
「そう、もっと言えばそこから大活躍出来る人はさらに僅かだけれど」
 それでもというのです。
「それでもね」
「プロに選ばれること自体が凄くて」
「皆お話してるんだね」
「そうなのね」
「そうだよ、ただね」
 ここでこうもお話する先生でした。
「八条リーグだとね」
「このリーグだとなんだ」
「何かあるの?」
「一体」
「若しプロ野球選手として大成出来なくても」
 それでもというのです。
「その企業がちゃんと最後まで面倒を観てくれるよ」
「社員として働かせてくれるんだ」
「引退や退団の後も」
「それはいいね」
「第二の人生のこともしっかりしてるなんて」
「どうしても気になるね」
 引退後の生活のことはというのです。
「誰だって」
「それこそね」
「どうして生計を立てていくか」
「やっぱりそれが凄い問題だからね」
「そのことを考えると」
「どうしても」
「そうだよ、八条リーグはちゃんとその企業もっと言えば八条リーグ全体で面倒を見てくれるから」
 ユニフォームを脱いだ後もというのです。 

 

第十一幕その三

「いいんだよ」
「そういうことだね」
「その辺りは福利厚生だね」
「それが凄くしっかりしているとか」
「いいプロ野球リーグね」
「むしろ日本プロ野球機構よりもね」
 こちら以上にというのです。
「そうしたところがしっかりしているから」
「こちらのプロ野球もいいんだね」
「日本のもう一つのプロ野球機構緒よりも優れている点もある」
「そうなんだね」
「そうなんだ、だからこちらのリーグに入る人も多いよ」
 そうなっているというのです。
「これはフットボールでもそうだけれどね」
「日本で言うサッカーね」
「八条グループこちらのプロリーグも持っていたわね」
「あとはアメフト、バスケット、バレーボール、ホッケーでも持っているし」
「人気があるね」
「そうだよ、スポーツのチームの運営は一見すると赤字経営になりやすくても」
 それでもというのです。
「毎日その親会社やスポンサーの名前がネットやマスコミで出るからね」
「最高の宣伝ね」
「こんないい広告材料はない」
「そういうことね」
「そうだよ、実際軍需産業に積極的に進出するよりも」
 それよりもというのです。
「スポーツチームの親会社持った方がね」
「いいんだね」
「そうしたものなの」
「その実は」
「そうだよ」
 まさにとです、先生は皆にお話しました。
「多少の赤字経営でも最高の宣伝材料だからね」
「だからだね」
「それでだね」
「こんないいものはない」
「そうなのね」
「そうだよ、軍需産業は設備にも技術にもいつも物凄い投資が必要だけれど」
 それでもというのです。
「市場は限られてるからね」
「それじゃあね」
「もうね」
「積極的に進出しても採算を取りにくい」
「そうなのね」
「そうだよ、そしてね」
 そのうえでというのです。
「評判もよくないね」
「兵器を売るからね」
「どうしても」
「必要なものにしても」
「死の商人とか言われるわ」
「だから余計にね」  
 軍需産業に進出するよりもというのです。
「スポーツチームを持つ方がいいんだ」
「成程ね」
「そういうことね」
「だから結構な数の企業がスポーツチームを運営したりしてるのね」
「スポンサーになったりもしてるのね」
「多少赤字でもプラスになっている」
 ここで言ったのはホワイティでした。
「宣伝に役立っているから」
「そういえば阪神だって関西の私鉄だけれど」
 ダブダブはその阪神のお話をしました。
「全国区になっているのは球団持っているからだしね」
「もう阪神知らない日本人いないね」
 こう言ったのはチーチーでした。
「野球に興味ない人でも」
「まず皆知ってるよ」
 ジップは断言しました。
「イギリスから来た僕達もすぐに覚えたし」
「それも親会社までね」
 老馬もこう言います。
「覚えてるから」
「確かに凄い宣伝だね」
「これ以上はないまでの」
 オシツオサレツも二つの頭で言います。 

 

第十一幕その四

「親会社にとってもね」
「こんないいものはないかもね」
「そういえば楽天も」
 トートーは東北のこのチームを思い出しました。
「あのチーム持って親会社凄い宣伝になっていて」
「オーナーの人もはしゃいで経営しているとか」
 ポリネシアも言ってきました。
「そう聞いてるわね」
「それだけ球団持つって宣伝になるのね」
 ガブガブは成程というお顔になっています。
「毎日それだけで全国に宣伝されるから」
「大阪と神戸をつなぐだけの阪神電鉄も」
「全国区の超メジャー企業だし」
 最後にチープサイドの家族がお話します。
「わかるわね」
「どれだけ企業の宣伝にいいのか」
「そうだよ、イメージアップにもなるしね」
 その親会社のとです、先生はこうもお話しました。
「だからだよ」
「球団経営はいいものだね」
「親会社の最高の宣伝材料でもあるから」
「持っているだけでいつも日本全土に名前が言われて」
「名前が知られるから」
「これは最高だね、だから本当にね」
 先生は皆にさらにお話しました。
「球団を持てたらね」
「軍需産業に進出するよりずっといい」
「そうなのね」
「下手にお金がかかって市場の狭い分野に力入れるより」
「球団経営の方が採算もいいのね」
「多少の赤字すらおつりが来る位だからね」
 そこまでの宣伝効果があるからだというのです。
「そうなるよ」
「成程ね」
「よくわかったわ」
「先生の言う通りね」
「それも資本主義のいいところね」
「そうだよ、しかし阪神は」
 先生がここでこの名前についてお話することはといいますと。
「関西の五大私鉄では小さい方なんだよね」
「ええと、近鉄に阪急に南海に」
「京阪にね」
「それに阪神だったね」
「八条鉄道は置いておくね」
 こちらの企業はというのです。
「ちょっとね」
「そうするんだ」
「そういえばあそこはもう関西だけじゃないし」
「本社関西にあるけれどね」
「昔の国鉄みたいに全国に路線持ってるし」
「また違うね」
「うん、それでこの企業は置いてお話するね」
 あえてそうするというのです。
「とにかく阪神の路線面積はね」
「小さい方なのね」
「関西の私鉄の中では」
「そうなのね」
「うん、路線だけでは本当にね」
 まさにというのです。
「他の関西の私鉄に後れを取っているかな」
「近鉄なんか凄く広いしね」
「大阪から奈良、京都、名古屋にまで至ってるし」
「あの路線面積は凄いね」
「もうダントツだよ」
「けれどその近鉄と阪神日本全土ではどちらが有名か」
 路線面積は近鉄の方が圧倒していてもです。
「わかるね」
「うん、それはね」
「もう言うまでもないわ」
「何といっても阪神」
「この企業よ」
「西武もだね、西武は東京と埼玉をつなぐ路線だけれど」
 関東のこの鉄道会社はといいますと。
「やっぱりね」
「そうだよね」
「球団持ってるからね」
「それがいい宣伝になって」
「関西でも知られてるわ」
「それもよくね」
「こうした効果があるから」
 だからこそというのです。 

 

第十一幕その五

「企業にとってスポーツチームを持つことは決して悪いことじゃないんだ」
「成程ね」
「そういえば昔はその近鉄も球団持ってたし」
「阪急も南海もね」
「パリーグの関西のチームは全部親会社が鉄道会社だったのね」
「そうだったんだね」
「そうだよ、西武は昔の親会社は九州の鉄道会社西鉄だったし」
 先生は皆にさらにお話しました。
「ヤクルトの最初の親会社は国鉄だったんだ」
「うわ、じゃあ十二球団のうち六球団が鉄道会社が親会社」
「凄いね」
「そんな風だったんだ」
「鉄道会社が線路と鉄道を軸として」
 そしてというのです。
「球団だけじゃなくて劇団や百貨店、テーマパークを運営していく」
「つまり事業の多角化だね」
「八条グループも同じ様なことやってるね」
「鉄道から色々なものを運営していくってやり方は」
「八条グループもそうしてるね」
「これをはじめたのは小林一三さんという人なんだ」
 先生はこの人の名前を出しました。
「阪急グループの総帥さんだった人でね」
「その人が球団持つ様にしたのね」
「劇団も百貨店もテーマパークも」
「そうしたのね」
「そうだよ、そしてね」
 そのうえでというのです。
「鉄道経営の在り方を変えたんだ」
「凄い人だったんだ」
「そんな人が昔おられたんだ」
「そうだったんだ」
「そうだよ、ちなみにこの人が阪急ブレーブスと宝塚歌劇団の創設者だったんだ」
「劇団って宝塚だったんだ」
「そういえばあそこ阪急だし」
「阪急といえば宝塚だけれど」
「それをはじめられた人だったのね」
「そうだったんだ、そしてね」
 先生はさらにお話します。
「近鉄の佐伯勇さんが小林さんの経営方針を学んでね」
「同じ様にされて」
「それで立派なグループにされたんだ」
「そうだったのね」
「そうだったんだ、そして南海には川勝傳さんというこれまた凄い総帥さんがおられて」
 それでというのです。
「この人の経営手腕もね」
「よかったんだ」
「そうだったんだ」
「凄くね、関西の私鉄はとても優れたトップの人達が出たんだ」
 先生は皆に目を輝かせてお話します。
「そして黄金時代を迎えていたんだよ」
「それぞれ球団も持って」
「そのうえでなんだ」
「お互いに繁栄していたんだ」
「そうだったんだ」
「かつては」
「そんな風だったんだね」
 皆もお話を聞いて頷きました。
「鉄道会社が親会社のチームが多かったんだ」
「全体の半分を占める位に」
「今は阪神と西武だけだけれど」
「かつてはそうだったのね」
「それで東映や大映も球団を持っていたんだ」
 こうしたチームもというのです。
「映画会社もね」
「今は持ってないけれどね」
「どの映画会社もね」
「今持ってるのはIT関係が多いよね」
「ソフトバンクとか楽天とか」
「そしてDENAとか」
「そうだね、そういえばある漫画家さんがね」
 先生はふと思いう出したことがあってそれを皆にお話しました。
「親会社がDENAになったからその間応援しないって言ってたけれど」
「何でなの?」
「その親会社嫌いなのはわかるけれど」
「その嫌いな理由を知りたいところね」
「この人元々マスコミ出身なんだ」
 漫画家になる前はそちらの仕事に就いていたというのです。 

 

第十一幕その六

「今もマスコミの人達と親しいんだ」
「ああ、日本のマスコミってネットと仲悪いからね」
「自分達の悪事をいつも言われるから」
「それで自分達の退潮にも貢献しているから」
「だからなんだ」
「その人のお仕事はどうも大抵がマスコミのつてで来てるみたいで」
 これは先生の憶測です。
「テレビにも出てるけれど」
「それもマスコミの中の親しい人のつてなんだ」
「それで出ているんだ」
「そうなんだね」
「どうもね、完全にマスコミあっての人だからね」  
 その漫画家さんはというのです。
「だからそう言ってるみたいだよ、それに」
「それに?」
「それにっていうと」
「どうもその論理でポケモンGOも批判していたよ」
 このゲームもというのだ。
「している人を軽蔑するとか言って」
「プレイしてもいいじゃない」
「何が悪いの?」
「というか軽蔑するとか」
「幾ら何でも極端よ」
「そうだね、そこまでマスコミべったりなんだろうね」
 スマートフォンのゲームさえ嫌う程にです。
「つまりは」
「そういうことなんだ」
「何かそこまでマスコミべったりだと」
「私達がこれまでお話してきたことから見て」
「どうも、という人かな」
「そうかも知れないね、野球漫画も描いてるけれど」
 それでもというのです。
「僕はあまり面白いと感じないよ」
「野球漫画も多いけれどね」
「その人も描いていて」
「それでそう思ったのね」
「先生としては」
「そうだよ、そしてね」
 先生はみんなにさらにお話しました。
「最近は野球漫画も巨人にこだわらなくなったからね」
「プロ野球を扱っていても」
「そうなってきたのね」
「そう思うといいね」
「一球団だけ偏向ってどう考えてもよくないし」
「今の風潮の方がずっと健康的よ」
「健全だよ」
「本当にね、さっきお話が出た横浜を主役にした四コマ漫画もあったけれど」
 そういった漫画もあったというのです。
「当時のチームの選手を細かく描いているし横浜や選手の人達への愛情が出ていて」
「面白いんだ」
「その漫画は」
「そうなのね」
「そうだよ、かなり面白かったよ」
 先生は皆に笑顔でお話しました。
「あの読んでいてね」
「そうした漫画がもっともっと出てくれたらいいね」
「本当にそう思うわ」
「野球っていうと巨人よりはね」
「ずっといいと思うよ」
「横浜への愛情に」
 それにというのです。
「他チームへのリスペクトもあるからね」
「つまり誰もこき下ろしてない」
「そうした漫画なのね」
「そうした漫画だとね」
「確かに読めるね」
「そうだね」
「僕もそう思うよ」
 先生も皆に満面の笑顔でお話します。
「このままね」
「そうした漫画が増えていけば」
「野球漫画もよくなっていくね」
「きっと」
「そうなるわね」
「そう、そして」
 先生はここでこうもお話しました。
「横浜もドラフトでいい選手を指名したね」
「そうなんだ」
「あのチームもいい選手を獲得しているんだ」
「そうなのね」
「先生が昨日言っていた通りね」
「クライマックスに出ても不思議じゃないよ」
 そうなってもおかしくないというのです。 

 

第十一幕その七

「今年も出ていたけれどね」
「横浜ファンって何かクライマックスに出たら凄く喜ぶよね」
「夢みたいだとか言って」
「これ他のチームもそうだけれど」
「横浜は特に凄いね」
「その傾向強いわね」
「そうだね、あれは多分ね」
 先生は皆にお話しました。
「横浜はずっと弱かったからだよ」
「もう負けて負けて負け過ぎて」
「それでずっと最下位で」
「そんな状況が長く続いたから」
「横浜ファンの人は凄く喜ぶんだ」
「そうなるのね」
「そうだよ、だからね」
 それ故にというのです。
「横浜ファンの人達はクライマックスに出たら他のチームのファンの人達以上に喜ぶんだ」
「そうなるんだ」
「ずっと弱かったから」
「それでなのね」
「そうだと思うよ、阪神は結構ね」
 ここでこうも言った先生でした。
「クライマックスは最初から結構出ていたね」
「当初は負ける方がずっと多かったね」
「途中でね」
「そうなってきたけれど」
「最初から結構出ていたから」
「そんなに喜ばないのね」
「そうだと思うよ、けれどその横浜がクライマックスに勝って」
 そしてというのです。
「シリーズに出た時のシリーズは名勝負だったね」
「確か相手はソフトバンクで」
「あの物凄く強い」
「その横浜と戦って」
「名勝負を繰り広げたんだ」
「そうだったんだ」
 まさにというのです。
「ずっと弱かったチームでもね」
「シリーズに出られて」
「そして日本一を争える」
「そうした風にもなれるのね」
「努力すればね」
 その時はというのです、そうしたお話をして先生は講義や研究を行っていってお昼ご飯も食べてです。
 三時にはティータイムを楽しみました、ミルクティーにです。
 上段はスコーン、中段はサンドイッチ、下段はケーキとフルーツです。その三段のティ―セットを楽しみますが。
 それを食べる時にです、こう言ったのでした。
「うん、今日のティ―セットもね」
「美味しいね」
「そうよね」
「今日のティーセットも」
「随分とね」
「美味しいわ」
「学問にティーセット」
 先生は笑顔でお話します。
「この組み合わせがいいんだよね」
「そうよね」
「何といっても」
「先生にとってもね」
「そうなのよね」
「だからね」
 それでというのです。
「僕は毎日こちらも楽しんでいるよ」
「そうよね」
「逆に先生にティーセットがないとか」
「その方がね」
「ピンとこないわ」
「そう言ってくれるね、僕もね」
 先生ご自身もというのです。
「そこはね」
「自覚してるよね」
「やっぱり」
「毎日飲んでるし」
「そのことを見てもね」
「うん、本当に三時のティータイムがないと」
 先生としてはです。 

 

第十一幕その八

「それ以降困るよ」
「力が出なくて」
「それでよね」
「先生にしてみたら」
「どうしても」
「お茶を飲むと」
 最近はたまにコーヒーを飲むこともありますがやっぱり先生といえばこちらです。特にミルクティーです。
「目が覚めて英気もね」
「養われて」
「学問にもやる気が出る」
「そうなるのよね」
「先生としては」
「そうだよ、だからね」
 それ故にというのです。
「僕としてはね」
「ティ―セットでお茶を飲んで」
「一緒にあるお菓子とかを食べて」
「それでだね」
「それからも頑張るのね」
「そうだよ、やっぱりこの辺りイギリス人だね」
 先生はこうも言いました。
「三時にティーセットがないと」
「どうしてもよね」
「力が出ないのよね」
「先生としては」
「そうなんだ、だから毎日楽しんでるよ」
 今の様にです。
「そうしているんだ」
「そういうことだよね」
「じゃあ私達と一緒にね」
「今日も楽しみましょう」
「そして食べてからまた学問に励みましょう」
「是非ね」
 こう言って先生はミルクティーを飲みますがここで動物の皆がこんなことを言ってきました。
「お酒を飲む時や三度のご飯の時もだけれど」
「先生にこにことしてるけど」
 最初にオシツオサレツが二つの頭で言います。
「ティータイムの時が一番かな」
「一番機嫌よさそうかな」
「そうだよね、どうもね」
「先生ってティータイムの時こそね」
 チープサイドの家族もお話します。
「一番機嫌がいいかも知れないわね」
「何だかんだで」
「最近は色々な国のタイプのティーセットも楽しんでるし」
 このことはトートーが指摘しました。
「一日で最大の楽しみの時になってるかな」
「そうだね」
 ジップはトートーに続きました。
「言われてみると」
「ささやかな楽しみかも知れないけれど」
 ガブガブもミルクティーを飲みつつ言います。
「先生にとっては絶対の楽しみだし」
「イギリスにいた時から楽しんでるけれど」
 それでもとです、ダブダブは言いました。
「日本に来てからさらに、って感じだね」
「何しろ日本はお水がいいから」
 だからだとです、ポリネシアはお水のお話をしました。
「余計にいいっていうし」
「お水がいいとお茶の味も違ってきて」
 ホワイティはサンドイッチを食べつつお話しました。
「いいお水なら尚更美味しいってことだね」
「イギリスは硬水で日本は軟水」
 このことはチーチーが言います。
「先生いつも言ってるね」
「その日本の紅茶の味に魅了されて」
 今言ったのは老馬でした。 

 

第十一幕その九

「先生は今ティータイムが大好きなのね」
「そうだろうね、じゃあこれからも」
 是非にと言う先生でした。
「毎日楽しんでいくよ」
「三時になったら」
「その時はね」
「そうしていくのね」
「是非ね」
 こう言ってまた紅茶を飲みます、とても甘いミルクティーを。
 そしてです、こうも言ったのでした。
「僕は今心から幸せを感じているよ」
「そうよね」
「何といっても」
「今の先生は」
「うん、そしてね」
 先生は皆にさらにお話します。
「もう一つあるよ」
「もう一つ?」
「もう一つっていうと」
「それが一体」
「うん、僕は一人じゃないね」
 このこともお話するのでした。
「そうだね」
「私達も一緒よ」
「この通りね」
「何時でもね」
「そのことは安心してね」
「そうだよね、だからね」
 それでというのです。
「余計に幸せだよ」
「一人で楽しむより皆で」
「その方がずっと楽しい」
「だからなのね」
「先生にしても」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「僕はこれ以上はないまでに幸せだよ」
「そこでそう言うのはどうかだけれど」
「すぐに満足するのはね」
「先生ってすぐにこれで充分ってなって」
「そこからは求めないけれど」
「無欲なのはいいとして」
 それでもというのです。
「もっとね」
「冒険してみたら?」
「今以上の幸せを求めてみたら」
「そうしてみたらどうかしら」
「いや、僕はね」
 どうしてもというのです。
「本当にだよ」
「今で充分幸せだから」
「それでなのね」
「もういい」
「そう言うのね」
「そうだよ」
 まさにというのです。
「だからもうこれ以上はね」
「確かに僕達はいつも先生と一緒にいるよ」
「例え火の中水の中でね」
「何度も一緒に冒険したね」
「それで月にも行ったよね」
「この絆は強いよ」
 もう言うまでもなく、というのです。
「それこそね」
「トミーも王子もいるし」
「学生さん達もいてくれてるし」
「街の人達もいるよ」
「先生お友達多いよ」
 このことは間違いないというのです。
「本当にね」
「先生の貴重な財産の一つで」
「他の人が持っていない位じゃないかしら」
「だから僕はもうね」
 先生はまた笑顔でお話します。
「満足しているんだ」
「その気持ちはわかるけれど」
「それでもだよ」
「先生にしてもね」
「今以上にね」
 まさにというのです。
「幸せ求めていいよ」
「先生いつも言ってるじゃない」
「幸せにも上限がないって」
「それじゃあね」
「この度もね」
「そう言ってくれることは嬉しくても」
 それでもというのです。 

 

第十一幕その十

「僕としてはね」
「満足してるんだね」
「だからこれ以上はない」
「そう言うんだ」
「今以上の幸せは求めないんだ」
「これ以上の幸せはないから」 
 だからだというのです。
「本当にね」
「全く、無欲なんだから」
「その無欲さも魅力の一つだけれど」
「それでもね」
「もっと求めたらいいのに」
「今以上の幸せを」
「そうしたらね」
「具体的にはどんな風にかな」
 先生は皆に尋ねました。
「一体」
「日笠さんに声をかける?」
「そうしたら?」
「先生の方から」
「そうしてみたら?」
「何で日笠さんなのかな」
 先生は確かに無欲です、ですがそれだけでなくご自身のこうしたことには本当に鈍感でです。それでこう言うのでした。
「どうしてかな」
「考えてね、そこは」
「じっくりとね」
「そうすればそのうちわかるよ」
「きっとね」
「先生が気付かなくても神様が気付かさせてくれるよ」
 皆今はこう言うだけでした。
「その時どうか、だから」
「先生がどう動くか」
「それが大事だから」
「それでね」
「頑張ってね」
「このことも」
「そうさせてもらうよ、しかしね」
 ここでまた言った先生でした。
「皆時々わからないこと言うね」
「王子もトミーもだよね」
「皆そうだって言うんだよね」
「そうした時は何故か日笠さんのお名前が出る」
「そうだって」
「うん、それがね」
 どうにもというのです。
「わからないけれど」
「だからそこは考えてね」
「ちゃんとね」
「答えに辿り着くことを願うよ」
「心からね」
 皆先生にやれやれと思いつつお話しました、そしてです。
 皆でティーセットを楽しんでから先生はまた論文を書きました、先生は無事にその論文を書き終えましたが。
 ここで、です。こんなことも言いました。
「今度スポーツについて論文を書かせてもらうけれどね」
「スポーツ医学だね」
「それを書くのね」
「そうさせてもらうんだね」
「うん、そうしたものは書かせてもらいたいと思うけれど」
 それでもというのです。
「スポーツの業績もね、ただ不祥事はね」
「どのスポーツでもあるよね」
「そしてプロだとお金が絡んで」
「その分ですね」
「凄く嫌なこともあるから」
 だからだというのです。
「そうしたことはね」
「書かれたくないですか」
「うん」
 トミーにもお話しました。 

 

第十一幕その十一

「日本でもあるしね」
「お相撲なんか凄かったですね」
「何かと問題になったね」
「ああしたことが野球でもですね」
「昔あったよ、メジャーでもあったけれど」
「確か八百長とかで」
「うん、黒い霧事件と呼ばれていてね」
 先生はその事件の具体的な名前も挙げました。
「調べていて凄く嫌な気持ちになったよ」
「そうした事件だったんですね」
「そう、だからね」
「先生はその事件についてはですね」
「書くかどうか声がかかってもね」
 先生はいつも論文はそれだけで書かせてもらっています、だからその分もあって沢山の論文を書いているのです。
「例え頼まれても」
「書かれたくないですか」
「誰一人として幸せになっていない、嫌な思いしかしていない」
「そんなお話ですか」
「だからね」
 それでというのです。
「このことについては」
「学ばれることもないですか」
「これは冤罪のお話なんだ」
「冤罪ですか」
「僕は法学博士でもあるから冤罪についての論文を書いたことがあるけれどね」
 それでもというのです。
「学んでいて、そして論文を書いてもね」
「やっぱり面白いものではないですよね」
「僕はやっぱり人間や社会、地球の明るい部分を学ぶことが好きでね」
「暗部についてはですね」
「学ぶ中で知っていて頭には入るにしても」
「それを学問の題材にされることは」
「苦手でね」
 それでというのです。
「僕としてはね」
「そのことはですね」
「抵抗があってね」
 それでというのです。
「論文を書く手も重いよ」
「冤罪の論文もですか」
「だから一度書かせてもらったけれど」
 それでもというのです。
「もう二度目はね」
「書かれたくないですか」
「どうもね」
 実際にというのです。
「そう考えているよ」
「そうですか」
「うん、僕はね」
 どうしてもというのです。
「この事件についてもなんだ」
「そうですか」
「この世界は何でもいい部分と悪い部分があってね」
「その悪い部分もですね」
「そう、それはね」
 本当にというのです。
「ちゃんと学んでね」
「その悪い部分をなおしていくことが大事ですね」
「そうだよ、けれど学問のスタイルにも向き不向きがあってね」
「先生は暗部を論文までされるには」
「向いていないみたいだね」
 こうトミーにお話してでした、先生は次に書く論文のお話もしました。その論文の内容はその学問の未来を見た明るいものでした。
 

 

第十二幕その一

                第十二幕  入団会見の後で
 その人と阪神タイガースの契約が正式に成立しました、ですがここで先生はその人が出した一つの条件を見てです。
 それで、です。皆にお家で鮟鱇鍋を食べている時にお話しました。
「契約に一つ面白い内容が入っていたね」
「といいますと」
「うん、阪神電車からの出向という条件で入団したね」
 トミーにお鍋の中のお豆腐を食べつつお話します、王子と執事さんも一緒です。
「そうしたね」
「そのことですか」
「あれはかつて村山実さんの阪神との契約条件だったんだ」
「あの伝説の名投手の」
「そう、阪神の大エースでね」
「名球会にも入ってるね」 
 王子は鮟鱇のお肉を食べながら応えました。
「確か」
「そうだよ、二百勝も達成してるしね」
「あの長嶋茂雄さんのライバルでね」
「あの人と数多くの名勝負も繰り広げているんだ」
「凄い人だったね」
「練習の虫という位いつも野球に一生懸命でね」
 それでというのです。
「阪神にかける想いも人一倍で」
「阪神も愛していたんだね」
「だから監督になった時も自ら動いて色々な作業もしていたんだ」
「阪神の為にだね」
「終生その心は阪神にあって」 
 そうしてというのです。
「野球に賭ける想いも立派で」
「スポーツマンとして優れた人だったんだ」
「長嶋さんには絶対に勝ちたいと思って挑み続けて打たれた時もあったけれど」
 それでもというのです。
「長嶋さん自身が自分にアンフェアなボールは一球も投げなかったと証言しているよ」
「一球もなんだ」
「数多くの勝負の中でもね」
 そうだったというのです。
「一番勝ちたい人に対してそうだったんだ」
「じゃあ他の人にも」
「言うまでもないね」
「そうだよね」
「そんな立派な人で」
 それでというのです。
「若し野球選手として大成出来なくてもね」
「阪神の親会社で働ける、生きられる様になんだ」
「ちゃんと契約に条件を入れていたんだ」
「そうした人生設計もある人だったんだ」
「そうだったんだ」
「それでその村山さんと同じ様に」
「彼も契約条件に入れていたけれど」
 先生はここで日本酒を飲みました、お鍋にとてもよく合っています。
「ちゃんとした人だなって思ったよ」
「ご自身の人生を考えている」
「若しもの時までね」
「そう思うと凄い人になるかな」
「そう思ったよ、ポジションは違うけれど」 
 それでもというのです。 

 

第十二幕その二

「村山さんみたいにね」
「なれるかも知れないね」
「うん、本当にね」
「そうなって欲しいね、先生も」
「心から願ってるよ」
「そうだよね」
「うん、練習熱心で研究熱心で」
 そしてというのです。
「好人物で悪い遊びもしないっていうから」
「有望な人だね」
「かなりね、後は怪我に注意して」
「ちゃんとやっていけば」
「野球選手としてね」
「素晴らしい人になってくれるね」
「きっとね」 
 先生は笑顔で言い切りました。
「まるで村山さんみたいだって思ったのは事実だしね」
「どうしても連想するよね」
「あの人をね」
 先生は笑顔で答えました。
「どうしても」
「そうそう、本当にね」
「同じ逸話を聞くとね」
「どうしてもそう思うよね」
「その人と同じ様になってくれるか」
「そうね」
「背番号でもそうだね」
 先生は動物の皆にそのお話もしました。
「かつて付けていた選手を連想するよね」
「阪神は歴史が長いから余計にね」
「一番だと鳥谷さんでね」
「五番だと新庄さんだし」
「三十一番は掛布さん」
「四十四番は何といってもバースさん」
「そうした人達を想像するね」
 皆でお話します。
 そしてです、皆さらに言いました。
「何ていうかね」
「前に付けていた背番号連想するよね」
「色々な背番号でね」
「そうなるよね」
「うん、ただ前にお話した村山さんはね」
 先生はまたこの人のお話をしました。
「十一番だからね」
「十一番は永久欠番だからね」
「藤村文美雄さんの十番、吉田義雄さんの二十三番と一緒で」
「永久欠番だからね」
「もう後の人はいないから」
「残念ながらね」
「この三つの背番号は仕方ないよ」
 阪神においてはというのです。
「残念だけれどね」
「そうだよね」
「阪神の場合はね」
「その三つの背番号はね」
「あまりにも特別な背番号だから」
「阪神については」
「また別だね」
「そうだよ、ただ阪神は」
 このチームについてです、先生はこうもお話しました。
「この三つの背番号は特別として他の背番号はね」
「受け継がれているから」
「だからだよね」
「いいんだよね」
「その人も活躍してくれたら」
「背番号の歴史にもなるしね」
「日本は永久欠番が少ないっていう主張もあるけれど」
 それでもというのです。
「多いとそれはそれで問題という見方もあるよ」
「受け継がれるものがないからね」
「背番号の歴史もそれで終わるし」
「そう考えたらね」
「永久欠番が多いのも困りものだね」
「ニューヨークヤンキースなんかはね」
 アメリカのこのチームはといいますと。 

 

第十二幕その三

「その歴史の中で永久欠番も多いけれど」
「凄い選手も多くて」
「それでなんだ」
「そのチームは永久欠番の人が多いんだね」
「その結果受け継がれる背番号の連想や歴史がその分少なかったり」
 先生はお鍋の中の白菜を食べつつお話しました。
「それにね、永久欠番が多いと今いる選手が付けられる背番号がね」
「あっ、減っていくね」
「その分ね」
「日本じゃ考えられないことだけれど」
「それでもだね」
「減っていくね」
「そう、だから永久欠番はその選手の人の功績を忘れないことでいいことでも」
 それでもというのです。
「多過ぎるとね」
「困るんだね」
「そうだね」
「どうしても」
「そうだよ、まあ普通はないね」
 永久欠番が多くなってその分現役の選手が付けることに困る様なことはというのです。
「一番多い巨人で六つだし」
「六つなんだ」
「っていうかヤンキースって六つじゃ効かないのね」
「そこまで多いんだ」
「あのチームって」
「うん、どれだけあったかな」
 少し考える先生でした。
「一体」
「いや、そこで考えるって」
「それだけで凄いよ」
「永久欠番なんて本来滅多にないのに」
「それが多いって」
「メジャーは名選手も多くてね」 
 それでというのです。
「そうなったけれどヤンキースは確かにね」
「多過ぎるんだ」
「そこまでなの」
「六つじゃきかない位に」
「二十一あるんだ」
 その永久欠番の数がというのです。
「これだけね」
「凄いね」
「それだけあるんだ」
「何かそこまで多いと」
「確かに問題かな」
「日本でも時々話題になるけれどね」
 このヤンキースのことはというのです。
「メジャーに行った日本人選手が入団したりして」
「基本他の国のプロ野球のことはネットで知る位だけれどね」
「日本人選手のことはね」
「普通にテレビでも放送されるね」
「新聞にも載るし」
「まあテレビや新聞の媒体の是非は置いておいて」
 そのうえでお話するというのです。
「ヤンキースにも日本人選手がいたし今もね」
「活躍しているんだ」
「そうなんだね」
「今だって」
「そうだよ、かつては伊良部秀樹投手、松井秀喜選手が活躍していて」
 それでというのです。
「今はあの田中将大投手が在籍しているよ」
「ああ、マー君だね」
「メジャーでも大活躍っていうけれど」
「そのヤンキースにいたんだ」
「あの人そうだったんだ」
 どうも皆彼がメジャーにいてもどのチームにいるかまでは興味がなかったみたいです。その辺り日本にいるせいでメジャーまで興味は向かわないということでしょうか、
「どのチームかまで考えていなかったけれど」
「そのヤンキースだったんだ」
「それはまたね」
「うん、そしてね」 
 先生は皆にさらにお話しました。 

 

第十二幕その四

「そのヤンキースではね」
「今はだね」
「永久欠番が多過ぎで」
「二十一もあって」
「その分受け継がれる連想とか歴史も限られていて」
「選手の人達も付ける背番号に困るかもね」
「そうだね、まあ阪神は阪神の事情でね」
 それでというのです。
「永久欠番は三つで、そしてその三つ以外の背番号にね」
「前に付けていた選手の人の活躍のイメージが残っていて」
「そして歴史もある」
「そうしたものも楽しみながら観る」
「それも大事だよね」
「そう思うよ」
 先生はお酒を飲みつつ皆にお話します。
「彼が付ける背番号にもその歴史があるしね」
「何か阪神の背番号で四四になると」
 ジップがこの背番号について言いました。
「永久欠番じゃなくても凄い重みがあるね」
「バースさんの背番号だからね」
 チーチーはジップのその言葉に応えました。
「何といっても」
「阪神を日本一に導いた最高の助っ人だったわね」 
 ガブガブも言ってきました。
「今も語り継がれる位の」
「そこまでの人だったから」 
 ポリネシアも言います。
「今も重みがあるのね」
「真弓さんの七、岡田さんの十六、田淵さんの二二、江夏さんの二八、井川さんの二九、掛布さんの三一もそうでね」
 ホワイティは他の伝説の人達の名前を挙げていきました。
「金本さんの六、中西さんの十九も入るにしても」
「やっぱり四四は別格だね」
 ダブダブはホワイティの言葉に応えました。
「何といっても」
「バースさんって僕達が聞いても凄いから」
「まさに神様仏様っていう位にね」
 チープサイドの家族もバースという人についてお話します。
「他にこう言われたのって確か」
「前にお話で出た稲尾さんだけっていうしね」
「稲尾さんも物凄い選手だったにしても」
 トートーも言います。
「バースさんは同じだけ凄かったことは確実だからね」
「二年連続三冠王を獲得して」
 それでとお話したのは老馬でした。
「その中で阪神を日本一に導いたんだよね」
「ダイナマイト打線の軸になってね」
「真弓さん、掛布さん、岡田さんと一緒に打ちまくってくれて」
 オシツオサレツの二つの頭の調子もいいものです。
「阪神を日本一にさせてくれた」
「そうした人だったね」
「うん、阪神で四四は本当にね」
 実際にとです、先生もお話します。今度は糸蒟蒻と椎茸を食べています。
「数多くの背番号の中でもファンの人達の間で特別だよ」
「本当にそうだね」
「何といっても」
「バースさんの背番号だから」
「本当にね」
「別格よ」
「阪神ファンの人達が凄いことは」
 まさにとお話する先生でした。
「バースさんを今も深く愛しているからね」
「もう前の世紀のことでも」
「昭和のことだけれど」
「まだバースさんを愛していて」
「あの時の活躍を讃えているのね」
「そんなことが出来るのなんて阪神ファンだけだからね」
 本当にというのです。
「阪神は、ただね」
「ただ?」
「ただっていうと」
「その日本一から僅か二年後から長い暗黒時代に入ったこともね」
 このことはどうしても少し苦笑いになって言うしかない先生でした。 

 

第十二幕その五

「阪神なんだよね」
「ああ、そこからね」
「もうとんでもない長さの暗い時代に入ったね」
「負けて負けて負け続ける」
「そんな阪神になったね」
「うん、それでこの時代のことも今も言われているからね」 
 バースさんの様にというのです。
「本当にね」
「難儀なことだね」
「弱かった時もずっと言われるとかね」
「それも阪神なのよね」
「そうだよ、よくも悪くもね」
 例えチームがどうなろうともというのです。
「絵になるのが阪神なんだよ」
「どんな勝ち方をしてもどんな負け方をしても」
「それが絵になるのね」
「他のチームにはないよね」
「そんなことってね」
「ないと思うよ、何があっても華があって」
 それでというのです。
「人の記憶に残るからね」
「普通負ける姿まで絵にならないから」
「そこにまで華がないから」
「そう思うとね」
「阪神にしかない魅力で」
「阪神の凄いことでもあるけれど」
「その凄さがね」
 どうもとです、先生はさらにお話しました。
「チームの魅力なんだよね」
「負ける姿ですら絵になって華がある」
「それは凄いことでも」
「それでもね」
「その有様がずっと語り継がれるとか」
「いいものじゃないね」
「どうもね、昔グリーンウェルっていう助っ人を獲得したけれど」
 先生は皆にこうしたお話もしました。
「高い契約金と年棒を出したのに」
「活躍しなかったの?」
「それって結構どのチームでもあることじゃ」
「阪神確かに昔はバッターで多かったけれど」
「まあ他のチームにね」
「いや、キャンプに来なくてペナントはじまっても中々来なくて」
 それでというのです。
「やっと来たと思ったら少し試合に出て」
「まさかと思うけれど」
「すぐに帰って」
「そのままいなくなったとか」
「うん、実際にすぐに帰国して引退したんだ」
 そうなったというのです。
「神様の声を聞いたとか言って」
「それ嘘だよね」
「多分ね」
 先生もその辺りは見ています。
「何か代理人の人が問題があって」
「それでなんだ」
「色々あったらしいけれど」
「その助っ人の人のことはだね」
「阪神にとっては今も悪い意味でネタだよ」
 こう王子にお話するのでした。
「どうもね」
「そうなんだね」
「幻の助っ人と呼ぶ人もいるから」
 そのグリーンウェルという人をです。
「シニカルにね」
「ある意味サイン持ってたら凄いね」
「滅茶苦茶貴重よね」
「殆ど試合に出なかったみたいだし」
「それじゃあね」
「そんな人になるわね」
「うん、僕もその人のサインを持っていたら」
 先生は動物の皆にもお話しました。
「家宝だと思うよ」
「そうよね」
「何といってもね」
「ある意味において」
「そんなものになるね」
「本当にね、ただ普通に価値ある人のサインが多いのも」
 このこともというのです。 

 

第十二幕その六

「阪神だよ」
「沢山の名選手もいたしね」
「監督さんやコーチの人も多かったし」
「そのことも思うとね」
「そうしたサインも多いね」
「阪神の場合は」
「若しもだよ」
 先生は少し真剣になってです、皆にお話しました。
「戦前の景浦将さんのサインを持っていたら本当に家宝ものだよ」
「確か戦前に活躍された人で」
 トミーは先生にその景浦という人について応えました。
「戦死されてますね」
「二次大戦でね」
「巨人の沢村栄治さんと同じですね」
「あの戦争で戦死している野球選手も多いんだ」
「そうした時代ですね」
「中日の石丸進一さんは特攻隊として散華しているしね」
「そうした野球選手も多いですか」
 トミーは先生のお話に悲しいお顔になりました。
「そうでしたか」
「そうだよ、日本の野球にもそうした歴史があるんだ」
「戦争もあった」
「甲子園球場も工場だった時があるしね」
「そうですか、何かそのことについても」
「色々調べると重要なことがわかってくるよ」
 先生はトミーにお話しました。
「その頃の野球のことについてもね」
「イギリスも戦争の中でスポーツはどうだったか」
「深く辛い歴史があるね」
「そうですね、戦争は避けられない時もありますが」
「しなければいけない時もね」
「その時に苦しみがあることは忘れてはいけないですね」
 二人でこうしたお話をしました、そしてです。
 先生は皆に野球のお話をさらにしていきました、その人の契約成立のことを心からお祝いしながらです。
 そして後日です、シリーズが行われている時にサラが来日してきました。サラはいつも通りお仕事でご主人と一緒に来ていますが。
 サラはいつも通り先生のお家に来てこんなことを言いました。
「日本って本当とお相撲と野球が好きね」
「スポーツではだね」
「ええ、あと剣道と柔道もね」
「そうだね、ただ後の二つはね」
「角界や球界みたいなものはないから」
 サラは先生に玄米茶を飲みつつお話します。
「だからね」
「テレビとかでああした放送はないね」
「あそこまでのものはね」
「どうしてもね」
「そうね、風物詩になる位ではないわね」
「うん、それでサラは大阪から来たね」
「そうよ」
 サラは先生にすぐに答えました。
「新空港からね」
「そうなんだね」
「それで神戸でお仕事のお話してるけれど」
 サラは先生にさらにお話します。
「いつも通り大阪見物楽しんでるわ」
「そちらもだね」
「それでこの時期の大阪は」
「野球、阪神で持ちきりだね」
「そうね、けれどね」
 それでもというのです。
「野球に興味のない私でもね」
「観ていてだね」
「自然と活気と親しみやすさを受けるわ」
「僕は日本に来てね」
 ここでこうも言ったのでした。
「最初野球に興味はなかったけれど」
「それがなのね」
「今ではね」
「阪神ファンになったのね」
「そうなんだ」
 サラににこりと笑ってお話します。 

 

第十二幕その七

「これがね」
「変わったということね」
「かなりね、応援していて楽しいチームだよ」
「スポーツに興味のなかった兄さんがそうなる位だからね」
「阪神は別だよ」
「そうみたいね、それで大阪のことだけれど」
 ここでサラはこんなことも言いました。
「一つ思うことは」
「どうしたのかな」
「ええ、阪神一色になっているけれど」
 それでもというのです。
「大阪の食べものは健在ね」
「それはだね」
「そうも思ったわ」
「そうだね、そこはね」
「変わらないわね」
「美味しいままだね」
「たこ焼きもお好み焼きもね、それに」 
 サラはくすりと笑ってです、先生にこうも言いました。
「夫婦善哉もね」
「あっ、あの」
 夫婦善哉と聞いてホワイティは思わず声をあげました。
「サラさんあちらに行ったんだ」
「サラさん最近よくあのお店に行ってるね」
「来日する度にね」
 チープサイドの家族もお話します。
「ご主人と一緒にね」
「二人で行ってるね」
「元々夫婦で行くお店だしね」
 こう言ったのはトートーでした。
「あのお店は」
「織田作之助さんの作品でもそうだったね」
 老馬はこのお店が出ていて作品名にもなっている小説のお話をしました。
「夫婦で行ってたね」
「お椀が二つ出てね」
 笑顔で言ったのはガブガブです。
「量が多く見えるししかも二つで夫婦なのよね」
「二人で食べたら四つだけれど」 
 それでもと言ったのはジップです。
「それはそれかもね」
「どちらにしてもカップルか夫婦で行くお店ね」
 ポリネシアもこう言います。
「あのお店は」
「サラさんセンスあるよ」
 チーチーは来日すればご主人といつもそのお店に行くサラのその行いに思うのでした。
「凄くね」
「夫婦で行って仲良く食べる」
「確かにいいことだよ」
 オシツオサレツも二つの頭で言います。
「あのお店美味しいし」
「夫婦でいつも行っていいね」
「うん、サラさんが行くなら」
 最後にダブダブが言います。
「それなら」
「僕もよく行ってるね」
 先生は皆に皆が言いたいことに気付かないまま応えます。
「大阪に行けばね」
「美味しいものを食べにね」
「あと文学のフィールドワークに」
「それで行くけれど」
「それでもね」
「サラさんとは違うよね」
「あれっ、違うかな」
 違うと言われてもです、先生は気付きません。
 そしてです、こうも言いました。
「僕とサラじゃ」
「ええ、違うわね」
 サラもこう言ってきました。
「それは」
「そうなんだ」
「私は夫婦で行ってね」
「小説の主人公達みたいにだね」
「そうしてるけれど」
「僕の場合は」
「一人でしょ」
「一人と二人じゃかなり違うんだ」
「そうよ、ああしたお店に行く場合はね」
 こう先生にお話するのでした。 

 

第十二幕その八

「本当にね」
「そんなものなんだ」
「だからね」
 サラは先生に強い口調でお話します。
「兄さんは誰かに声をかけて行ってね」
「誰かがいないけれど」
「試しに日笠さんに声をかけてきたら?」
 こう言ったのでした。
「そうしたら?」
「サラもあの人のこと知ってるんだ」
「だって皆がいつもお話してるのよ」
 サラはその皆を見つつお話します。
「だったらね」
「サラも知ってるんだ」
「そうよ、お会いしたことはないけれど」
 それでもというのです。
「知ってるよ」
「そうなんだ」
「もう何も言わなくていいから日笠さんに一緒に夫婦善哉行こうって声をかけるの」
 もう有無を言わさない口調でした。
「それでその後で一緒に西宮神宮にでも行って」
「それでなんだ」
「住吉大社でも八条神宮でもいいけれど」
「神社にお参りしてなんだ」
「キリスト教徒だけれど気にしなくてね」
 ここでも有無を言わせない口調でした。
「日笠さんと一緒にね、それで兄さんの幸せを願って来てね」
「それじゃあね」
「そしてその時はね」 
 サラは今度は動物の皆にお顔を向けて彼等に言いました。
「貴方達はね」
「わかってるよ、サラさん」
「僕達もね」
「だから安心して」
「その時のことはね」
「もうね」
「貴方達は留守番で」
 サラは皆にはそうしてもらうことにしました。
「そしてね」
「先生はその日はね」
「日笠さんと一緒だね」
「一緒に夫婦善哉に行って」
「そしてだね」
「そう、そうして少しでも」
 先生を見つつです、サラは言うのでした。強い決意に満ちたお顔で。
「進めていかないとね」
「進めていくっていうと」
「兄さんでも気付くポイントに来たらその時にわかってね」
「その時になんだ」
「そう、もう気付かないから」
 このことはもうサラもわかっています。
「だからね」
「それでなんだ」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「もうね」
「これでいいのね」
「いいよ、ただね」
「ただ?」
「一つ思うことは」
 それは何かといいますと。
「兄さんってこのこと子供の頃から変わらないわね」
「子供の?」
「兄さんの周りにはお友達は多いけれど」
 それでもというのです。
「他の感情を抱く人も多いのよ」
「というと」
「そこに気付かないのがね」
 本当にというのです。
「兄さんだから」
「駄目だっていうんだ」
「そうよ、しっかりしてね」
「それじゃあ」
「そう、それでね」
 サラはさらに言いました。 

 

第十二幕その九

「今度ね」
「日笠さんとだね」
「行ってきてね」
「その頃にはシリーズ終わってるしね」
「今は何戦目なの?」
「昨日福岡で五戦目が終わってソフトバンク三勝阪神二勝だよ」
「阪神劣勢ね」
「どうなるかわからないけれど」
 シリーズの方はです。
「今日は移動日でね」
「また明日からなのね」
「甲子園で試合だよ、だから明日と明後日でね」
「シリーズ終わるのね」
「決着がついてるよ」
「そうなるといいわね、私と主人はあと数日日本にいてね」
 そうしてとです、サラは自分のお話もしました。
「主人と二人でね」
「お仕事をしていくんだね」
「神戸に留まってね、ホテルに滞在して」
「頑張ってね」
「お互いにね、けれど」
 ここでこうも言ったサラでした。
「私福岡にも行ったことがあるけれど」
「昨日まで試合のあった」
「あの街もいい街ね」
「活気に満ちていてね」
「ラーメンも鶏も河豚も美味しくて」
「博多の河豚だね」
「どれも堪能したわ、また機会があればね」
「その福岡にもだね」
「行きたいわね」 
 笑顔でお話するのでした、サラは先生に福岡のお話もしてそのすぐ後で夕食だったのでそちらにも誘われてお好み焼きをご馳走になりました。
 そして先生はサラが強引に決めた通りに日笠さんを夫婦善哉にお誘いすると日笠さんは笑顔で快諾してくれました。 
 そのうえで約束の日に八条駅で待ち合わせをして一緒に電車に乗って大阪まで行って。
 夫婦善哉だけでなく自由軒のカレーも食べてでした、その後で。
 先生はこれまたサラが強引に決めた通りに神社に行くことにしましたがその神社は日笠さんのお勧めで西宮神宮となりました、大阪から神戸への帰り道にあってしかも阪神が日本一になったのでそのことに感謝したいことと。
 日笠さんが心からお願いしたいことがあるとのことなのでそちらになりました。
 こうして二人で西宮神宮に参拝しているとです。
 この時にです、ふとでした。
 先生はあの八条大学から阪神への入団が決定したキャッチャーの人を見ました、見ればトレーニングウェアを着ていてです。
 引き締まったお顔で真面目にでした、神様にお願いをしてそれから神宮を出ると走って何処かに行きました。
 その人を見てから日笠さんと一緒に八条町に帰ってです、それから。
 日笠さんをお家まで送ってからお家に帰ってその人のお話をすると皆まさかというお顔になってお話しました。
「まさかと思うけれど」
「神戸から西宮までランニングしてるとか」
「それはないよね」
「幾ら何でも」
「わからないね、けれどトレーニングしていることはね」
 このことはとです、先生は皆にお話しました。
「間違いないね」
「そうだね」
「契約してもだね」
「そこで喜ばないで」
「真面目に練習してるんだ」
「今も」
「そうみたいだね、こうした時期に真面目に汗をかける選手は」
 それこそとです、先生は皆にお話しました。
「凄いよ」
「そうだよね」
「寒いから怪我には注意だけれど」
「こうした時にも汗をかく」
「そのことはいいことだね」
「本当にね、汗をかいて」
 そしてというのです。
「身体を作っておかないとね」
「スポーツ選手はね」
「何といってもそれが仕事だから」
「いつもストイックであれ」
「そう思うといいことね」
「うん、いいものを見ることが出来てね」
 先生は皆ににこりと笑ってお話します。 

 

第十二幕その十

「僕は幸せだよ」
「そうだね」
「ファンとしてはね」
「僕達もそのお話を聞けてよかったし」
「先生の気持ちよくわかるよ」
「本当にね」
「ただね」
 ここで皆言うのでした、先生に。
「そこでどうなの?」
「先生としては」
「今日は幸せと言ったけれど」
「日笠さんとはどうなの?」
「一体全体」
「うん、楽しく色々な場所を巡れてね」
 先生は皆に素直にお話しました、何も隠さずに。
「お話も出来てね」
「楽しい時間を過ごせたね」
「素敵な」
「そうなのね」
「本当にね。日笠さんもいつもにこにことしていたし」 
 先生は日笠さんのお話もしました。
「楽しんでくれたみたいで何よりだよ」
「まあ今はね」
「ここでベストだね」
「ベストとすべきね」
「先生が日笠さんと楽しい時間を過ごした」
「そして日笠さんもそう出来てね」
「それでベストだね」
 まさにというのです。
「本当にね」
「それでよしだね」
「先生はね」
「あくまで今は」
「ここで満足しましょう」
「僕達はいなかったけれど」
「日笠さんもしっかりした人でし」
 皆も日笠さんのお話をします。
「それならね」
「問題ないから」
「後は日笠さんの努力で頑張ってもらって」
「進めていってもらいましょう」
「サラさんもいてくれてるしね」
「皆全力で日笠さん応援してるね」
 先生はこのことはわかりました。
「本当に」
「するよ、それは」
 今日も先生のお家に遊びに来ている王子が答えました。
「僕達にしてみればね」
「いつもだね」
「そう、本当に応援しているから」
「それはどうしてかな」
「日笠さんの幸せの為で」 
 王子はさらにお話しました。
「先生の幸せの為だよ」
「僕の為でもあるんだね」
「そうだよ、本当に頑張って欲しいよ」
 王子は心から言いました。
「本当にね」
「そうだよね」
「絶対にね」
「日笠さんには頑張って欲しいわ」
「何かとね」
 動物の皆も言います、そしてです。
 トミーはここでこうも言いました。
「じゃあ先生また日笠さんにです」
「僕からだね」
「お誘いかけて下さいね」
「うん、サラも言うしね」
「はい、あの人も頑張っていますから」
 あのキャッチャーの人もというのです。
「それで、です」
「僕もだね」
「日笠さんに声をかけていって下さいね」
「そうさせてもらうよ」
 先生はこう応えはしました、ですが先生が今以上に幸せになるのはまだ先のことなのでした。
 そしてその野球選手は阪神に入団して。
 一年目から活躍して攻守共に阪神の主力選手となってでした、そのうえで。
 最後は名球会に入るまでの人になりました、全ては先生が見込んだ通りの人でした。


ドリトル先生の野球   完


                    2020・1・11