ニューファンドランド犬のよさ


 

第一章

               ニューファンドランド犬のよさ
 カルフェルニア在住のフィッシャー家でのことだ。
 夫のジョシュア、広い額にくすんだ金髪の彼は妻のビーダークブランの豊かな髪の毛で赤ら顔の彼女に家の中で話した。
「子供達の遊び相手にね」
「あの子達にね」 
 三人の息子のレノックス、クルーズ、テガンのことだ。長男のレノックスと三男のテガンは父親似て次男のクルーズは母親似だ。テガンはまだ幼い。
「遊び相手、新しい家族に」
「お友達に」
「犬を迎えようか」
「いいわね」
 妻は夫の提案に微笑んで答えた。
「それは」
「賛成してくれるんだ」
「あの子達の頼りになるお友達になってくれるわ」
 夫の言う様にというのだ。
「それにね」
「それに?」
「犬は番犬にもなるから」
 このこともあってというのだ。
「私もね」
「いいとだね」
「思うわ」
 こう夫に答えた。
「本当にね」
「それじゃあね」
「ええ、それじゃあどんな子を迎えるか」
「そのことも話そう」
 こうしてだった。
 一家は犬を迎えることになった、そして。 
 二匹のニューファンドランド、とぢらも雄でダークブラウンのラルフィーと黒のボスを迎えた。二匹共最初は子犬だったが。
 瞬く間に大きくなった、それで子供達は言った。
「最初は小さかったのに」
「あっという間に大きくなったね」
「僕達よりずっと大きいね」
「この種類の犬はそうだよ」
 父が子供達に話した。
「ニューファンドランドはね」
「そうなんだ」
「大きくなるんだ」
「そうなるんだ」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「そうした子だからね」
「それでなんだ」
「仲良くしていくといいんだ」
「この子達を」
「子犬の時も仲良くしてたわね」
 母は子供達に笑顔で話した。
「だったらね」
「大きくなってもなんだ」
「それでもなんだ」
「仲良く出来るんだ」
「ええ、絶対にね」
 こう息子達に言った、そして実際に。 

 

第二章

「ワン」
「ワンワン」
「うん、お散歩行こうね」
「今日もそうしようね」
「皆で行こうね」
 子供達は家の中でラルフィーとボスに催促されてだった。
 彼等にリードを付けて散歩に出た、すると。
 彼等は元気よく子供達と一緒に散歩に出た、散歩も時は子供である彼等に歩調を合わせ決して暴れることはなかった。彼等に寄り添う守る様に散歩をした。
 そして家の中でもじゃれ合うが。
「ラルフィーもボスも愛嬌あるね」
「物凄く遊び好きでね」
「僕達とも仲良くしてくれるよ」
「そうだな、三人のいい家族で友達だ」
 父は犬と一緒に遊ぶ彼等を見て笑顔になった。
「こんないい子達はいないぞ」
「そうね、私達にとってもね」
 妻も言った。
「本当にこの子達はね」
「いい家族で友達だな」
「うちに来てくれてよかったな」
「全くよ」
 夫婦で笑顔で話した、そしてだった。
 一家で楽しい時間を過ごしていった、このことをSNSでも言うと。
 一家はペンシルバニア州で非営利団体を創設し運営しているマケンジー=マカッチ長いブロンドで奇麗な顔立ちをしており鍛えられた身体つきの彼女に家に紹介された、すると。
「ワン」
「ワンワン」
「ワンッ」
「ワフウッ」
「ワオン」
「ワウン」
「ワンワンワン」
「ワホッ」
「ワオンワオン」
 何と家に九匹のニューファンドランドがいた、彼等は。
 一家を親しく出迎えた、七匹は黒で後の二匹はダークブラウンだった、マケンジーは一家に彼等を紹介してから話した。
「マリリン、エルビス、エリザベス、チャーリー、ナタリー、ジミ、マリア、マイケル、ポールっていうの」
「九匹いると圧巻だね」
 夫はその彼等を見てマケンジーに応えた。
「これはまた」
「そうでしょ」
「それで子達がだね」
「私の家族でね」
 そうしてというのだ。
「施設のね」
「スタッフだね」
「皆セラピー家で」
 それでというのだ。 

 

第三章

「病院のお見舞いに行ったりして」
「そうしてだね」
「活動をしているの」
 そうだというのだ。
「いつもね」
「そうなんだね」
「ええ、元々は」
 マケンジーはさらに話した。
「この子達は母が飼っていたの」
「お母さんが」
「そうだったの、母は癌でね」
 その病になってしまってというのだ。
「それでね」
「その癒しにかしら」
 母はこのことを話した。
「この子達はセラピー犬っていうから」
「そうなの」
「ワン」
「ワンワン」
 見ればラルフィーとボスは。
 九匹と仲良くなっていて一緒に遊んでいる、夫婦はその彼等を見ながらマケンジーと話をした。
「それでだね」
「貴女のお母さんも」
「ええ、ただ末期癌で」 
 マケンジーは悲しい顔になってこうも話した。
「残念だけれど、けれどね」
「癒されたんだね」
「最後まで」
「そうだったんだ」
「それでね」
 マケンジーはさらに話した。
「私は残されたこの子達と一緒にね」
「お母さんが癒されたのを見て」
「そしてね」
 それでというのだ。
「私は他の人達を癒したいと思って」
「団体を立ち上げてやっていってるんだね」
「そうよ、この子達はよくやってくれてるわ」
 九匹の仲間達を見ながら話した。
「本当にね、それでこれからも」
「この子達となんだ」
「一緒に人を癒していくわ」
 こう言うのだった、一家はマケンジーと色々話をしてその後で。
 家に帰ってだ、夫は妻に話した。
「いい犬だな、ニューファンドランドは」
「ええ、うちの子達もそうだけれど」
「他の子達も」
「身体は凄く大きいけれど」
「心はとても優しいな」
「うちの子達も病気の子達も癒してくれる」
 妻は笑顔で話した。
「そうしたね」
「とても素敵な子達だな」
「本当にそうね」
 夫婦で笑顔で話した、そしてだった。
 二人はラルフィーとボスのところに行って彼等の身体を撫でた、するろ彼等は嬉しそうに尻尾を振ったが夫婦もその彼等を見て優しい笑顔になって癒されていることを感じた。


ニューファンドランド犬のよさ   完


                  2021・9・27