ジャンクフード症候群の恐怖


 

第一章

               ジャンクフード症候群の恐怖
 沢城実朝は大学に入ってから一人暮らしをはじめた、アパートから大学とアルバイト先に行って一人暮らしを満喫していたが。
 学校の中のコンビニで弁当を食べている彼にだ、友人の松岡義経は言った。
「お前最近コンビニ弁当ばっかり食ってないか?」
「いや、他のも食ってるよ」
 沢城はすぐに言い返した、見れば顔は丸く脂ぎっていてニキビが多い。一七二程の背の身体もそうなっている。やや長い黒髪もあまりツヤがなく茶髪で頭にニット帽をかぶり一七〇程の痩せたスタイルで面長で切れ長の目の松岡とは対照的な外見だ。
「昨日は昼マクドでハンバーガーセットだったよ」
「大学の近くのか」
「美味いからさ、ハンバーガー」
 それでというのだ。
「食ってたんだよ」
「そうか、しかしお前太ったな」
 松岡は大学の中庭でベンチに座って食べている彼の前に立っている、そこで怪訝な顔になって言った。
「入学した時から」
「そうか?」
「ああ、お前大学に入った時普通位だったのにな」 
 それがというのだ。
「今丸いからな」
「そういえば太ったかもな」
「ちょっと運動した方がよくないか?」
 松岡は沢城に心配そうに告げた。
「ちょっとな」
「いや、俺運動嫌いだよ」
「お前サークル入ってなかったな」
「中学高校って陶芸部でな」
 文科系の部活でというのだ。
「部活は好きだけれどな」
「運動は嫌いか」
「今はバイトしてるしな」
「チェーン店のラーメン屋だったな」
「まかない出るしいいぜ」
 松岡に笑顔で言った。
「本当にな」
「それでそっちだとか」
「ラーメンばかり食ってるよ」
「ラーメンにコンビニ弁当にはバーガーか」
「朝はずっとカップ麵だな。アパートにいて腹が減ってもな」
「カップ麺かよ」
「あとスナック菓子か」
「お前やばいぞ」 
 松岡はここまで聞いて沢城に真顔で言った。
「食生活考えろ」
「考えろって俺まだ大学に入ったばかりだぜ」
 年齢は十八である。
「それでかよ」
「飲みものもコーラとかだよな」
「はちみつレモンとかな」
「自炊してちゃんとしたもの食え、飲みものもお茶とかにしろよ」
 松岡の言葉はいよいよ危ないものに対するものになってきていた。
「本当にどうなっても知らないぞ」
「大袈裟だろ、おっさんになってからでいいだろ」
「そういうのばっかり食ってると年齢関係ないぞ」
「大丈夫だって」 
 沢城は笑って相手にしなかった、そうしてコンビニ弁当を食べ。
 毎日カップ麺やハンバーガー、ラーメンにそのコンビニ弁当それに菓子パン等を食べていた。その結果。 

 

第二章

 大学の健康診断の結果を見てだ、彼は仰天した。
「な、何だよこれ!?」
「おい、まさかと思うが」
 沢城はこの時自分のアパートで松岡と一緒にゲームをしていた、松岡は彼の驚きの声を聞いて聞き返した。
「お前健康診断の結果」
「血圧とコレステロールが滅茶苦茶高いだよ」
「だから言っただろ、カップ麺とかばかり食ってるとな」
「こうなるのかよ、俺まだ十代だぞ」
「十代とかじゃない、そういうのばかり食ってるとな」
「駄目なのかよ」
「運動してないこともあるけれどな」
 この要素もあるがというのだ。
「けれどな」
「食生活かよ」
「それに決まってるだろ、すぐに病院行け」
 松岡は沢城に真剣な顔で告げた。
「それでどうしたらいいか聞いてこい」
「あ、ああ」
 沢城は真っ青になった顔で頷いた、そして。
 その日のうちに健康診断の結果を持って病院に行った、そのうえで医師に松岡が言った食生活のことを話すと。
 医師は冷静に彼に話した。
「間違いなく食生活ですね」
「俺まだ十代なんですけれど」
「十代でもそうしたもの、ジャンクフードばかり食べますと」
 医師は沢城に話した。
「こうなります」
「そうなんですか」
「こうしたものは脂や糖分が多く」
「カロリーですか」
「それが高くて添加物や化学調味料も多くてビタミンやカルシウムの栄養がないので」 
 だからだというのだ。
「食べ過ぎは危険なんです、肥満や成人病、そして聴力や視力の低下にもつながります」
「耳や目もですか」
「イギリスで十七歳の少年がそうなっています」
 医師は具体的な事例も出した。
「ですから」
「それで、ですか」
「はい、すぐにジャンクフードを控えてバランスのいいものを食べて下さい」
「お野菜とかですか」
「そうです、自炊でお野菜やお魚、普通のお肉を召し上がられて下さい」
「そうしないと危ないですか」
「このままですと本当に成人病になります」
 医師は沢城の健康診断の結果を見つつ彼に話した。
「そうなりますので」
「だからですか」
「すぐにそうして下さい」
「わかりました、お店もまかないも考えていきます」
 沢城は顔面蒼白で力なく頷いた、そうしてだった。 

 

第三章

 即座に食生活を切り替えた、ジャンクフードを止めて自炊に切り替えた。これまで料理をしたことは碌になかったが。
 頑張ってして昼も自分が作った弁当を食べる様にしてラーメン屋のまかないも野菜が多いものにしてもらった。
 すると徐々にだった。
「ニキビも消えたし痩せてきたな」
「ああ、何とかな」 
 大学で松岡に答えた。
「そうなってきたよ」
「よかったな」
「ああ、ただ今回は本当に反省したよ」 
 沢城は松岡に真剣な顔で答えた、緑の多い大学のキャンバスの中を歩きながら。
「本当にな」
「食いものには気をつけないとな」
「ジャンクフードって確かに美味いけれどな」
「俺も食うよ、けれどな」
「ああ、食い過ぎはよくないな」
「そうだよ、栄養バランスを考えてな」
 そうしてというのだ。
「食わないとな」
「本当に駄目だな」
「そうだよ、じゃあこれからはな」
「食生活考えていくな」
「そうしろよ」
「冗談抜きに怖かったからな」
「絶対にな、あと飲みものもだよな」 
 松岡はこちらのことも聞いてきた。
「変えたよな」
「水やお茶にしてるよ」
「甘くないのにか」
「そっちもやばいからな」
「コーラとかもな」
「糖分多いしな」
「炭酸飲料は骨にも影響するしな」
「リン溶かすからな」
 骨の中にありそれを形成する要素をだ。
「だからだよな」
「そっちもな」
「飲み過ぎないことだな」
「食いものに飲みもののことはな」
 こちらもというのだ。
「充分にだよ」
「気をつけていかないとな」
「そうしたことはまずお前自身が気をつけろ」
「そうしないと身体壊すからな」
 沢城は真顔で頷いた、そうしてだった。
 彼は以後食生活を真面目に考えて食べていった、その結果彼はかなりの高齢になるまで健康でいられた。それは全て大学時代の経験からのことであった。


ジャンクフード症候群の恐怖   完


                 2021・10・20