孤独にならなかった犬


 

第一章

                孤独にならなかった犬
 配達業者のケイティ=ニューハウザー長いくすんだ金髪と明るい表情を持つ彼女は今夫のロナルド自分より少し年上で面長の顔にグレーの芽と整った金髪に長身の彼に言った。
「暫くの間ね」
「息子さんがアメリカに戻るまでか」
「そしてその子を家族に迎えるって決断するまでね」
 それまでというのだ。
「預かろうと思うけれど」
「若し預からないなら」
 自動車の修理工の夫は言った。
「その子は他に行く場所がないな」
「ええ」
 妻はその通りだと答えた。
「もうね」
「だったらな」
 夫は妻に答えた。
「引き取ろう」
「それじゃあね」
「雄のピットブルだな」
「色は黒でね、名前はレオよ」
 妻はさらに話した。
「じゃあロンと」
「ワン」 
 自分達の傍にいる黒い雄のピットブルを見て言った。 

 

第二章

「それにミックと」
「ワンワン」
 今度はグレーの雄のピットブルを見てだった。
「それにリリーともね」
「ワフッ」
 最後は白い雌のブルドッグを見た、そのうえで夫に言った。
「仲よく出来たら」
「いいな、それじゃあな」
「その子迎えるわね」 
 こう話してだった。
 夫婦はその犬、レオを引き取った、するとだった。
「ワン」
「ワンワン」
「ワフッ」
「ワオン」
 三匹の犬達とすぐに仲よくなった、そうしてカルフォルニア州の夫婦の家で幸せに暮らしだしたがそのレオを見てだった。
 夫は妻に夕食の時に話した。
「レオはケイティが仕事で行くお家の一つにいたんだな」
「ええ、そこで知り合ってね」
「飼い主の人が亡くなってか」
「そう聞いて息子さんが引き取ると思ったら」
 それがとだ、妻はハンバーグを食べつつ答えた。
「海兵隊にいて」
「海外に行くことになってか」
「だからね」
「このままだとどうなるかわからないからだな」
「うちでも思って」
 それでというのだ。
「あなたに言ったけれど」
「よかったよ、じゃあこれからな」
「息子さんが戻って来て」
 アメリカにというのだ。
「それでね」
「家族に迎えると決めるまでか」
「それまではね」
「うちで一緒だな」
「そうしていきましょう」
「いいな、孤独でいるよりは」
 夫は妻に言った。
「やっぱりな」
「皆と一緒にいる方がいいわね」
「ああ、それじゃあな」
「レオは息子さんが戻って」
 アメリカにというのだ。
「どうするか決めれば」
「引き取るってな」
「息子さんのところに行くけれど」
「それまではうちの家族だな」
「そうなるわ、孤独じゃなくてね」
 笑顔で言うのだった、そしてだった。
 レオは夫婦の家で三匹の犬達とも仲よくして暮らしていった、やがて元の飼い主の息子が戻って彼を引き取ると言ったがその時まで家で幸せに過ごした、そして別れの時は悲しかったが新しい家でも幸せに過ごしたのだった。


孤独にならなかった犬   完


                  2023・11・16