FAIRY TAIL 友と恋の奇跡


 

第1話 マヤ・ララルド

 
前書き
こんにちは!作者の紺碧の海ですっ!
今回初めて小説を作らさせていただきます。このお話には、私の考えたオリキャラや、オリギルド、オリ魔法があるのでご了承下さい。長編で、駄作になりますが、最後まで見て下さると嬉しいです。
それでは、第1話・・・スタート! 

 
『プロローグ』

フィオーレ王国、マグノリア。
この街唯一の魔道士ギルド、妖精の尻尾(フェアリーテイル)。数多くの依頼をこなし、その度に、数多くの問題を起こす、フィオーレ一のお騒がせギルドだ。そのギルドに、今日も新たな個性的メンバーがやって来た。

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ここはマグノリア。
この街に唯一ある魔道士ギルドに、私はスキップしながらやって来たぁーーーっ!

?「あっ!あれだーーーっ!」

私はこの街の中心部にあるカルディア大聖堂を走り抜け、目的地の魔道士ギルドの前で立ち止まった。ギルドを見上げる。

?「遂に・・・遂に来たんだっ!憧れの妖精の尻尾(フェアリーテイル)にっ!」

私は勢いよく大きなギルドのドアを開けた。そしたら・・・

?「ひゃあっ!?」

ほ、炎が飛んできたぁ~!?いったいどうなってんの?なんとかギリギリでかわしたけど、その弾みで盛大にこけて尻餅をついちゃった。てへっ・・・ってこんな事してる場合じゃなーーーーーいっ!うわぁ~、いろんな視線が私の事を見ている。うぅ、この状況気まずいよぉ~・・・すると、

?2「大丈夫?」

頭上から声が聞こえた。顔を上げると、金髪をツインテールに束ね、大きな茶色がかった瞳、かなり大胆な青い服を着た女の子が手を差し伸べてくれた。女の子の腰には金色と銀色の鍵がぶら下がっている。この子の家の鍵かなぁ~?でも、随分たくさんある。

?「ありがとう。私は大丈夫だよ☆」

疑問を抱きながらも、親切に差し伸べてくれた手を握って立ち上がる。女の子は、私のお尻に付いた埃をパンパンと掃いながら、

ル「私はルーシィ。ほらっ!ナツ、グレイ、この子に謝りなさいよ。」

この子、ルーシィって言うんだ。すると、桜色のツンツン頭に、吊り目に白い鱗柄のマフラーを首に巻いた男の子と、なぜか上半身裸で、垂れ目に紺色の髪の男の子が、

?3「ごめんな、コイツの炎が大暴れしちまってよ。」

?4「ンだとごらァァアアアッ!」

なぜか喧嘩を始めちゃった。あ、この人の炎だったんだ。すると、吊り上がった目で私の事を見ると、

ナ「お前、怪我ねェか?あ、俺はナツだっ!」

グ「俺はグレイ、よろしくな。」

?「よろしく~♪」

私って、人見知りとかしないんだよね~。だから、初対面の人でも普通に馴染めるんだ~♪

ル「ていうかグレイ、服は?」

グ「ぬぉあっ!いつの間にィ!?」

えぇーーーーーっ!ま、まさかの気づいてなかったのぉっ!?グレイって、鈍感なんだなぁ~。

ル「そういえば、あなた名前は?」

?「あ・・あーーーーーーーーーーっ!」

私の大声に、ルーシィとナツとグレイは耳を塞ぐ。すっかり忘れてたぁーーーーーーーーーーっ!くるりと回れ右をして、ギルドの人達に向かって、

マ「私、マヤ・ララルドと言いまぁーーーすっ!このギルドに入りたいんですっ!」

そう大声で言うと、1人の小さなおじいちゃんが、

マカ「随分と元気な奴じゃのぉ~。うむ、その元気にたたえ、お主を妖精の尻尾(フェアリーテイル)の一員に認める。わしはこのギルドの総長(マスター)、マカロフじゃ。よろしくな。」

しわくちゃの手を上げる。随分小さなおじいちゃん。私も身長はかなり低いけど、その私の太股ぐらいしかないよ。

マカ「ミラ、マヤにスタンプを押しとくれ。」

ミ「は~い♪」

長い銀髪に赤いドレス・・・あっ!この人、「週刊ソーサラー」のグラビアのミラジェーン・ストラウスだ。やっぱ本物はきれぇ~い。と、ミラジェーンに見惚れている間に、私の左肩にはオレンジ色のギルドマークの紋章のスタンプが押されていた。

ミ「はい。これでマヤも妖精の尻尾(フェアリーテイル)の一員よ。困った事があったら何でも相談してね。私はミラジェーン。皆からはミラって呼ばれているから、マヤも気軽に呼んでね。」

マ「ありがとう、ミラ。」

ミラって、美人だし、優しいんだなぁ~。すると、

ナ「おーい、マヤ~。」

あ、さっきの・・・えぇっとぉ~・・・()()()だっけ?

ナ「()()()じゃねぇっ!俺は()()だっ!」

ものすっごい不快そうな顔でナツが言った。

マ「ああ、そうそう!ナツだナツ!・・で、何か用?」

ナ「おぉ、そうだったそうだった。マヤ、俺と勝負しろっ!」

マ「えぇーーーーーーーーーーっ!?」

ギルドに加入したばかりの新人の私にすぐに勝負って・・・ナツはバトル好きなんだなぁ~。

マ「OK!その勝負受けて立つよっ!」

ナ「おっしゃぁーーーーーっ!燃えてきたぞぉーーーーーっ!」

言う前から燃えてるじゃんっ!ていうか、このままじゃ火事になっちゃうよぉ~!!水水ッ!水はどこぉ~!? 
 

 
後書き
はいっ!記念すべき第1話終了致しました。読んで下さった皆様、ありがとうございました。
このお話は、原作と被る時と、被らない時があります。
さてさて、このお話の主人公のマヤは、とっても明るい性格で、小さい時から妖精の尻尾(フェアリーテイル)に入るのを楽しみにしていたんです。ルーシィと似てますね。そんなマヤにも辛くて悲しい過去を抱えています。それはまた次の機会に。次回はマヤの魔法が分かっちゃいます!
それではまた次回!
 

 

第2話 動物召喚

 
前書き
作者の紺碧の海で~す!
今回はマヤの魔法が分かりますよ。因みにマヤの魔法は私のオリ魔法です。
それでは、第2話・・・スタート! 

 
外に出ていざ勝負ッ!審判はマスターがやるんだね。私の魔法を皆に見せれるぞ~!でも、ナツも強そうだなぁ~。負けたらどうしよぉ~!

マカ「それでは、始めィッ!」

マスターの合図と共にナツが先手をきった。抜かされたぁ~!

ナ「先手必勝ッ!火竜の・・・咆哮ッ!!」

マ「わわわわわわわわわわわぁっ!」

く、口から炎!?も、もしかしてナツって・・・滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)!?ほ、本当にいたんだ・・・それにしても、すっごい威力。もう少しで丸焼きにされるとこだったよ。

ナ「続いて、火竜の・・・鉄拳ッ!!」

マ「おっとっと。」

やっぱ強~い!私だって、負けてられない!炎なら水、水なら・・・よしっ!
目を閉じて魔力を集中させる。ギルドの皆が騒いでるのが聞こえるけど無視。すると地面にオレンジ色の魔法陣が浮かび上がった。

ナ「何だあれ?」

マ「我と契約した者よ、ここに姿を現せっ!いるかのキュー!」

ピィーーーーーーーッ!と指笛を吹く。すると、さっきの魔法陣からいるかが現れた。

ナ「ど、どうなってんだぁ?だぁーーーーーっ!意味分かんねーーーーーっ!」

ナツが驚いてる(?)隙に、

マ「キュー、ナツに尻尾蹴り(テイルキック)っ!」

キュ「キューッ!!」

ナ「うおおおおおおおおおおおおおおおっ!?」

キューは大きな尾びれでナツを突き飛ばしちゃった。

マカ「しょ、勝者・・・マヤ。」

マ「イエーーーーーイ!」

私は青空に向かってVサイン!

マ「ありがとうキュー。もう海に帰っていいよ。」

キュ「キュー、キュー。」

魔法陣が消えてキューも消えた。

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医務室に行くと、ナツが治療を受けていた。左肩に包帯が巻かれている。私は駆け寄って体をくの字に曲げると、顔の前で両手を合わせて、

マ「ゴメーーーーーン!や、やりすぎたよね・・・」

ナツに謝った。

?「大丈夫ですよ、ナツさんは本気の勝負をしたいんですから。」

そう言ったのはナツじゃない。ナツに治療魔法をかけていた藍色の髪の大人しそうな女の子。

ウェ「私、ウェンディといいます。私は、天空の滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)です。」

この子も滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)!?妖精の尻尾(フェアリーテイル)にはいったい、何人の滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)がいるんだろう?そう思っていると、後ろから声を掛けられた。

?「ところで、マヤの魔法は何なんだ?」

緋色の髪になぜか鎧を着ている・・・あれ?この人どっかで・・・?

エ「自己紹介がまだだったな。私の名はエルザだ。」

も、ももももももももももしかして・・・!

マ「妖精の尻尾(フェアリーテイル)のS級魔道士で、ギルド最強の女魔道士の妖精女王(ティターニア)のエルザァ!?」

エ「あぁ、そうだが。」

うわーーーっ!ほほほほ本物だぁーーーーーっ!!神だ神だ神だァーーーーーーーーーーっ!!!

ル「ちょ、ちょっとマヤ、落ち着いてよ。」

あ、興奮しすぎちゃった。てへっ♪

グ「「てへっ」って・・・」

ツッコミサンキュー、グレイ。

ナ「んで、お前の魔法はなんなんだよ?」

待ち切れなくなったのかナツがもう一度聞いてきた。

マ「私の魔法は、その名も動物召喚(アニマルズ)って言うの。」

ナ「動物召喚(アニマルズ)?何じゃそりゃ?」

エ「初めて聞く魔法だな。」

ウェ「いったい、どんな魔法何ですか?」

ウェンディ、よくぞ聞いてくれましたっ!私は胸を張って自信満々に答える。

マ「この魔法は、契約したいろんな動物達を指笛で呼び出して一緒に戦う召喚魔法の1種なの。」

ル「へぇー、なんか星霊に似てるわね。」

と言う事は、ルーシィは星霊魔道士って事か。

グ「ところでよ、さっきの「キュー」ってのは何なんだ?」

マ「あのいるかの名前だよ。「キュー、キュー」って鳴くから、私が「キュー」って命名したのっ!」

?「単純なんだね。」

?「分かりやすい名前でいいじゃない。」

ん?今の声は・・・?上からしたような・・・上を向くと・・・

マ「ね、ねねねねねねねねねね猫ォ!?」

何と何と何とっ!背中に羽の生えた青い猫と白い猫が空を飛んでる~!?ていうか、

マ「可愛い~♪」

私は猫をギュ~っと抱き締める。

?「ちょ、ちょっと!」

?「く、苦しい・・・です。」

あ、ゴメンゴメン。

エ「ハッピーとシャルルだ。(エーラ)と言う魔法を使って空を飛んでいるんだ。」

ハ「あい!」

シャ「どうも。」

マ「よろしく~♪」

にしても、この2人・・・いや、この2匹も魔道士なのか・・・妖精の尻尾(フェアリーテイル)って、いろんな意味ですごいギルドなんだなぁ~。やっぱここに入って正解だったよ、お母さん。 
 

 
後書き
どうもどうも~。第2話終了致しました。
マヤと契約してる動物達は、今は6匹しかいません。今回登場したいるかのキュー、ライオンのキング、犬のジョン、大熊のドラン。残りの2匹は企業秘密です。いつか登場しますよ。マヤは、ナツ達と冒険しながらたくさんの動物達と出会い、共に戦うのです。
次回はいよいよマヤの初仕事です。
それでは第3話でお会いしましょう! 

 

第3話 最強チームと初クエスト

 
前書き
やっほ~♪07で~す♪
今回は最強チームとマヤの初仕事です。張り切っていきましょーーーっ!
それでは、第3話・・・スタート♪ 

 
天気の良いこの日、魔道士ギルド妖精の尻尾(フェアリーテイル)では、

ル「や、家賃が~・・・」

ルーシィがテーブルの上で頭を抱えて半泣きしてる。どうしたのかなぁ~?

ウェ「ルーシィさんは家賃7万Jの家に住んでいるんですが、毎月払うのが大変で・・・」

マ「へぇ~。」

ルーシィも大変なんだなぁ~。私は2年前から住んでる家(家賃5万J)があるけど、お金の心配は今は大丈夫。

ナ「よぉ~し、久々にクエストにでも行くかっ。」

ハ「あいさ~!」

グ「んじゃ、こんなのはどうだ?」

グレイが依頼板(リクエストボード)から、【洞窟にいる凶暴な狼退治 30万J】という依頼を見つけてきた。うわぁ~、如何にも凶暴そうな狼だなぁ。

ナ「よぉ~し、これで決まりだっ!行くぞハッピー!」

ハ「あいさ~!」

エ「待てっ!」

ナ「うおっ!」

ハ「あいいいっ!?」

ハッピーで飛んで行こうとしたナツのマフラーとハッピーの長い尻尾をエルザが摑んで引き止めた。
エルザはナツのマフラーとハッピーの長い尻尾を摑んだまま私の方を見ると、

エ「マヤ、どうだろう?私達と一緒にこのクエストに行かないか?」

マ「ほへ?」

私の頭では、すぐにエルザの言ってる意味が分からなかった。頭にピョコンと?が浮かび上がる。
落ち着いて今言われた事を再確認する。えぇっとぉ~・・・私が、エルザ達と一緒にクエストに行くって事・・で、合ってるのかな?・・・って、

マ「えぇぇぇっ!?」

私の驚嘆の声がギルド内響き渡った。
無理無理無理無理無理!ぜぇーーーーーったいに無理ッ!首を左右にぶんぶん、左手を左右にぶんぶん振り回して全否定しながら慌てて断ろうとしたんだけど・・・

ル「さっすがエルザねっ!そうと決まれば行くわよマヤッ!」

マ「えっ!ちょちょちょ、ちょっと待たんか~いっ!」

私はズルズルとルーシィに無理矢理引き摺られ、静止の言葉は見事にスルーされた。

ミ「頑張ってね、マヤ、最強チームの皆。」

行く時にミラが見送ってくれた。ていうか、“最強チーム”って何?

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依頼先の洞窟に行く道中、さっきミラが言ってた事をウェンディに聞いてみた。

マ「ねぇウェンディ、“最強チーム”って何?」

ウェ「ナツさん、ハッピー、ルーシィさん、グレイさん、エルザさん、私とシャルルは、ギルドで“最強のチーム”と呼ばれているんです。」

シャ「強さはもちろん、問題の多さもいろんな意味で最強なチームなのよ。」

そ、そんなすごいチームに私なんかが一緒にクエストに行って良い訳ェ!?そんな私の心配をよそに、先頭を歩いていたエルザが振り返りながら言った。

エ「マヤも“最強チーム”に入ったらどうだ?」

マ「・・・はひぃ~!!?」

エルザが言ってる言葉の意味を理解するのに3秒ほど掛かった。
いやいやいやエルザ、冗談にも限度っていうものがあるんだよ。知ってる?

ナ「いーじゃねェか、お前強いしよ。」

いやいやいやナツ、何乗っちゃって・・・

ル「賛成!」

グ「同感だな。」

ウェ「よろしくお願いします、マヤさん。」

シャ「また賑やかになりそうね。」

ハ「あいっ!」

エ「よし!今日からマヤも“最強チーム”だ。帰ったらマスターに報告せねばな。」

ナ「よっしゃ~!マヤ、帰ったら俺と勝負だぁ~!」

な、何か・・話が勝手に進んじゃってるよぉっ!?

シャ「全く、いっつもこうなのよね。このチームは。」

シャルルが呆れてる。

マ「でも、楽しいからいいんじゃな~い?」

シャ「ふふっ、そうね。」

こんな他愛もない話をしている間に依頼先の洞窟に到着。
中に入ると薄気味悪くてシィーーーンとしている。ルーシィとウェンディはまだ中に入ってもいないのに小刻みに震えている。

ル「マ、マヤは・・怖くない、の・・・?」

マ「ぜ~んぜん。」

私、こういう場所に来るの慣れているんだ~。エルザを先頭に中に入っていく。

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洞窟に入ってから30分ぐらいは経ったかな?それにしても、肝心の狼が現れないんじゃ意味がないよ。

ナ「お~い、凶暴狼~、出て来~い!」

いやいやいや、ナツ、そんな事言って出てくるおバカさんは・・・ん?

マ「どうしたのエルザ?」

先頭を歩いていたエルザが立ち止まる。

エ「何かいるぞ。」

マ「えっ!?」

ル&ウェ「ひぃ~!」

グ「面白ェ、狼とはいえ、結構強ェ狼みてェだな。」

お、「面白い」って・・・ていうか何でいきなり?ま、まさか・・さっきのナツの挑発でっ!?うっそぉ~!?

狼「グオォ~」

全「!!!」

遠くから獣の呻き声が聞こえる。

エ「来るぞ。」

エルザが別空間から剣を取り出し、ナツは両手に炎を纏い、グレイは両手に冷気を溜める。ルーシィとウェンディはなぜか私の後ろに身を隠している。あのぉ~、一応言っておくけど私、盾、じゃないから・・ね?
皆戦闘態勢に入ったけど、狼は一向に現れない。・・・ど、どうなってるの?

ナ「・・・だぁーーーっ!もう我慢できねェッ!おい!凶暴狼、隠れてないで出て来いやーーーーーーっ!」

そう叫びながら、しびれを切らしたナツは1人で更に奥へ行っちゃた。

ル「ちょ、ちょっとナツ!」

グ「あのバカッ!」

エ「仕方ない、ナツを追いかけるぞっ!」

ウェ「は、はいっ!」

シャ「相変わらず世話がやけるわね。」

マ「アハハハハ・・・」

ハ「ナツ~、待って~。」

今度はハッピーを先頭に洞窟の更に奥へ進んでいると、

ナ「どわぁーーーーー!」

ナツの驚いた声が聞こえた。

マ「ナツ!?」 

グ「こっちだっ!」

ハ「ナツ~、どうしたの~!?」

声がした方へ更に更に進んで行くと、

ル「ナツ!」

地面に座り込んでいるナツがいた。

ナ「よぉ!遅いぞお前等。」

ナ以外「えっ???」

ナツは振り向くと、いつもの笑顔で笑っていた。
そんなナツの足元に、灰色の毛で覆われた1頭の狼が倒れていた。

ウェ「ど、どうしたんですか・・そ、その、狼は・・・」

だ、だからウェンディとルーシィ・・私の後ろに隠れないでよ・・・

ナ「コイツ、足に怪我しててよ、触ろうとしたら噛み付こうとしてきたんだ。」

そりゃあ人間だって動物だって、怪我している所を触られると嫌がるよ。それに驚いて悲鳴を上げたって事か。な~んだ、心配して損した。
ナツの脇をすり抜けながら私は倒れている狼にそーっと近づく。

ル「ちょ、ちょっとマヤ!」

皆が青い顔をしている中、私はそっと狼の頭を撫でる。狼の目がギロッと私の事を睨み付けてるけど私はそれに怖がりもせず、狼の頭を撫でながら、

マ「怖がらなくていいよ。私は、君の味方だよ。」

お構い無しに狼の頭を撫で続ける。
そう言いながら撫でているうちに、狼は安心したみたいでゆっくりと目を閉じた。よかったぁ~。怪我をして動けなかったんだね。

マ「ウェンディ、ちょっと、治療魔法をかけてくれない?」

ウェ「は、はいっ!」

ウェンディが狼の足に手をかざすと傷がどんどん治っていく。すご~い!これが治癒魔法か~。
傷が治ると狼は目を覚まして起き上がった。

マ「いい?もう暴れちゃダメだよ。」

狼は洞窟の奥へ姿を消した。

エ「よし、ギルドに帰るぞ。」

これで依頼完了だね☆

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洞窟を出てすぐにルーシィが、

ル「ねぇマヤ、アンタ、動物と話せるの?」

マ「うん。動物の言葉だって分かるよ。」

ル「へぇ~。」

いつの間にか分かるようになってたんだよねぇ~。すると、

グ「お、おい、あれって・・・!」

ウェ「ひぃっ!」

グレイが指差した方は洞窟の入り口。そこにさっきの狼がいたの。

ナ「なんだ?俺達と勝負してェのか?」

ナツ、絶対違うと私は思うよ。すると狼は私のところにやってきて、膝に擦り寄って来た。
私はさっきと同じように狼の頭を撫でるながら、

マ「もしかして、私と一緒に行きたいの?」

そう問い掛けると、狼は「ウォン!」と吠えた。人間の言葉に直すと、「うん!」って言ってる。

マ「よ~し、じゃあ契約しよっか。」

私は狼の首に手をそえると、

マ「我、この者と契約し、共に戦う事をここに証する。契約成立!」

すると、狼の首辺りが青白く光り出して、光が消えると、狼の首に青い首輪が着いていた。この首輪が、契約した証なんだ。

マ「よしっ!今日からあなたの名前はクロウだよっ!これからよろしくね、クロウ。」

ク「ウォン!」

クロウはさっきの洞窟に帰っていった。

ル「へぇ~、あーやって契約するのね。」

ハ「ルーシィは星霊に血判とか押すからね。」

ナ「ケツ痛そうだよな~。」

マ「そうなのっ!?」

ル「ち・が・い・ま・すっ!」

だよねぇ~。それにしても、仲間が増えたっ!ヤッタ~♪私はウキウキ気分で皆と一緒にギルドに帰った。 
 

 
後書き
HELLO!第3話も無事終了~!
ここで少しマヤについてを説明します。
マヤは小さい頃から妖精の尻尾(フェアリーテイル)に入るのが夢で、動物と話す事が出来る不思議な能力があるんです。その理由は次回!そして、妖精の尻尾(フェアリーテイル)一の怖いもの知らず。なんと、あのエルザに怒られても平然としてるんです。動物が大好きで心優しく、いつもテンションMAXな元気いっぱいの女の子です。
今のところはこんな感じです。話が進むにつれ、追加したり、訂正する事になるかもしれませんのでご了承ください。
それと、このお話では、ウェンディとシャルルも最強チームとゆう設定です。
もう1つ、マヤの他にも新たなメンバーが登場する事になりました!どれも個性的メンバーばかりです。そして、全員辛くて悲しい過去を抱えています。
賑やかになりますが楽しみにしていて下さいっ!
次回はいよいよ、マヤの過去が分かっちゃいます。それではSee you! 

 

第4話 鳳凰の娘

 
前書き
こんばんは!紺碧の海です!
今回はマヤの過去が分かっちゃいます!そして1~3話まではすべてマヤ目線で更新していたんですが、今回はナツ目線でいきたいと思います。
それでは、第4話・・・スタート! 

 
マ「ねぇナツ。」

マヤが俺を呼び止める。振り返ると、マヤの大きなオレンジ色の目と俺の目が合う。マヤはグレイと同い年のはずなのに、背丈はウェンディの頭1個分高いだけ。だから、必ず下から目線で見るしかねェんだよな。
マヤは首に巻いてある俺のマフラーを触ると、

マ「今は夏なのに、何でいつもこのマフラーしてるの?暑くないの?」

そう問うた。似たような質問を、以前ルーシィにもされた気がするな。

ハ「あい、イグニールがナツにくれたんだよ。」

俺が答えるより先に、俺の肩に乗っていたハッピーが代わりに答えた。

マ「イグニール?」

ナ「俺を育ててくれた(ドラゴン)だ。」

マ「あ、そっか。ナツは滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)だもんね。」

ナ「7年前に消えちまったけどな・・・」

イグニール、俺をおいてどこにいったんだよ・・・!ちらっとマヤの顔を見ると、なぜかどこか寂しそうな顔をしていた。

マ「7年前・・・そっか、ナツやウェンディも・・・なのか。」

何言ってんだ?でも、マヤの顔を見ると、悲しそうな顔をして俯いていた。俺は話の話題を変えようとして、

ナ「な、なぁ、お前は何で、動物と話せるんだ?」

マ「!」

マヤは俯いたまま一瞬だけ驚いたように目を見開くと、更に表情が暗くなった。お、俺・・なんか変な事言った、か?
俯いたマヤが、か細い声で呟いた言葉に、俺とハッピーは自分の耳を疑った。



マ「私ね・・捨て子・・・・なんだ・・・」



ナ&ハ「・・・・えっ?」

最初、マヤが何を言ってるのか分からなかった。やっと分かった時には確信した。



これが、マヤの過去―――――。



それからマヤは、俺とハッピーに7年前の事、自分の過去を話してくれた。

マ「森のずっと奥深くに、捨てられたんだ。捨てられた私を救ってくれたのは・・・」

マヤは一度そこで話を区切り、ゆっくりと目を閉じる。言おうか言わないか、迷っているみたいだった。
決心が付いたのか再び目を開くと、俺とハッピーに目線を合わせて驚きの言葉を紡いだ。





マ「伝説の鳥、鳳凰。」





強い感情のこもった声で言った。
ん?鳳凰って・・あの・・・俺はもう一度マヤの顔を見た後、ハッピーを見る。ハッピーもかなり驚いているみてェだった。

マ「鳳凰は、「超」がつくほど極度の人間嫌いなの。でも、森で捨てられた人間の私を育ててくれたんだ。・・・変な話だよね。」

マヤはどこか寂しそうな顔で小さく笑った。

マ「最初は、鳳凰が何を言ってるのか全然分からなかった。でも、一緒にいるうちに鳳凰の言葉が分かるようになってたんだ。気がついたら、鳳凰だけじゃなく、他の動物達の言葉も分かるようになってたの。」

辛い過去話してるのにマヤはなんだか嬉しそうな顔だった。そう思ったのも束の間、マヤはまた俯くと、

マ「でも・・()()()()()()()()()()()()に、鳳凰は、お母さんは・・・私の前から姿を消したの。私が11歳の時・・だったかな?」

ん・・・?ちょ、ちょっと待てよ・・・・!俺はマヤが今言った言葉を頭の中で巻き戻す。
7年前の7月7日・・・イグニールや、グランディーネ、メタリカーナが消えた日と同じだ・・・!同じ日に(ドラゴン)と鳳凰が姿を消した・・・?だぁーーーっ!訳分かんねェーーーーーッ!

マ「このカチューシャは鳳凰がくれたものなんだ。」

マヤはいつも頭につけてる、飾りが1つも付いていない、シンプルなデザインの黄色いカチューシャを手に取りながら呟いた。つまりこのカチューシャは、マヤの宝物って事だな。

マ「何で・・何で、消えちゃったんだろ・・・?」

やっぱり、自分の親がいなくなれば誰だって寂しいよな・・・

マ「でもね、私、全然寂しくないよ。」

ナ&ハ「えっ?」

俺とハッピーは見開いた目でマヤを見つめた。マヤは笑っている。

マ「だって、妖精の尻尾(フェアリーテイル)に加入する前はいろんな街を歩き回って、たくさんの人達と会ったりしたし、動物達と会ったりしたもん。妖精の尻尾(フェアリーテイル)に加入してからは、ギルドの皆や、動物達がいるもん。」

マヤは笑っていた―――が、笑っているのは口だけ。マヤの大きなオレンジ色の瞳は笑っていなかった。

ハ「だ、大丈夫だよっ!マヤにはオイラや、皆が傍にいるよっ!」

ナ「お・・俺もいるからなっ!」

俺とハッピーが胸を張って言う。

マ「そうだね、ありがとう!」

その時のマヤの笑顔が太陽みたいで眩しかった。更に、



ナ「ヵヮィィ・・・」



マ「えっ?何か言った?」

ナ「い、いや!何でも、ない・・・」

マ「?」

あ・・危ね危ねぇ~。つ、つい・・・本音が/////

マ「あっ!もうこんな時間だっ!私そろそろ帰るね。また明日~♪」

ナ「お、おうっ!」

ハ「明日~♪」

マヤが手を振って歩き出そうとしたら、

マ「ナツ!ハッピー!」

振り返って俺とハッピーを呼ぶ。そして、とびっきりの笑顔で、

マ「これからもよろしくねっ!」

ナ「おうっ!」

ハ「あいっ!」

空はマヤの髪と瞳のようにオレンジ色に染まっていた。 
 

 
後書き
第4話終了~!
いかがでしたでしょうか?鳳凰はマヤが11歳の頃にいなくなってしまったんです。いなくなる1週間前にもらったのがマヤの宝物の黄色いカチューシャです。ナツでいえば、マフラーですね。このカチューシャと、大きなオレンジ色の瞳はマヤのトレードマークです。
そしてそして、何とあのナツが「カワイイ」発言!おぉっ!書いている私でもびっくり発言ですっ!
次回はいよいよ新たなメンバーが登場です!!男の子です。
それではまた次回! 

 

第5話 ハコベ山での出会い

 
前書き
イエ~イ♪07だよ♪
今回はルーシィ目線で書こうと思います!
今回は新メンバー登場!!男の子だよ!えっ?どんな子かって?それはお話を読んでからのお楽しみですっ!
それでは、第5話・・・スタート♪ 

 
その出来事は突然起こった。

ナ「おっしゃ~!クエスト行くぞ~!」

ハ「行くぞ~!」

ル「この前行ったばかりじゃないっ!」

突然すぎるナツの発言に、私ったら、今まで何回ツッコンダのかしら・・・

マ「ヤッターーー!クエスト、クエスト~♪」

マヤ、そこははしゃぐところじゃないと思うんだけど・・・

グ「うるっせんだよクソ炎。」

ナ「ア?何度とクソ氷?」

てか、アンタ達いつの間に喧嘩始めたのよっ!?

ウェ「ルーシィさんがマヤさんにツッコンデいる間ですよ。」

シャ「っほんと、騒がしい人達ね。」

アハハハハハ・・・って笑ってる場合じゃなァーーーいっ!
早く止めな・・・あ、その必要はないみたいね。喧嘩している2人に近づくとある影―――――、

エ「お前達!いい加減にしろっ!」

ナ&グ「あいーーーーーっ!」

ハ「オイラの真似しないでよ~。」

来た~!救世主エルザ様~♪てか、2人共ハッピー化してるし。

エ「クエストに行くそうだな。ならば、こんなのはどうだ?少し楽勝かもしれんが。」

何事も無かったかのように、エルザは自分が持って来た依頼用紙を見せてくれた。内容は【ハコベ山の頂上にある薬草を採ってきてほしい 20万J】。結構簡単そうね。これなら私にも出来そう!

マ「よぉ~し、ハコベ山に、レッツゴーーー!」

テンション高いわね、マヤ。

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ル「ハ、ハァ・・・ハクシュッ!」

ウェ「ルーシィさん大丈夫ですか?」

ル「た・・たぶん、大丈夫・・・」

私達は今ハコベ山の頂上にいるの。ここに、“どんな病気でも治る伝説の薬草”があるらしいんだけど・・・ここは山の頂上だからものすごく寒くて・・・ハ、ハァ・・・ハクシュッ!

ナ「薬草どこだ~?」

ハ「どこだ~?」

マ「ナツ、ハッピー、そんな事言っても薬草は出て来ないよ。」

グ「マヤ、いちいちそいつ等にツッコムな。バカとアホが乗り移るぞ。」

シャ「そういうアンタも服着たら?」

グ「おぉう!」

な・・何で、気づかないのかしら・・・?それにしても、

ル「本当にこんなところに薬草なんてあるのぉ~?」

その場にしゃがみ込んだその時、

エ「危ないルーシィ!」

ル「えっ?」

エルザが声を荒げた。
―――時すでに遅し。エルザの声に振り向いた瞬間、私の足場は消えていた。私のしゃがんだ場所は崖っぷち。それに逸早く気がついたエルザが叫んだけど、間に合わなかったみたい・・・
私の体は宙に浮いて真っ逆さまに落ちていく。

ル以外「ルーシィィィィィィィィ・・・」

皆の声がだんだん小さくなっていく。私はギュッと固く目を瞑った―――――。

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ドサッ!と音を立てて宙に浮いていた私の体が止まった。・・あ、あれ?私・・生きて、る・・・?恐る恐る目を開けると・・・

?「おいアンタ・・だ、大丈」

ル「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」

悲鳴を上げた。
し、しし、知らない人に、お、お姫様抱っこされてるぅっ!?茶色いツンツン頭に同じ色の瞳をした私と同い年ぐらいの男の子だった。

?「お、おい!そ、そんなに暴れるな驚くな。命の恩人に失礼だぞ。」

ル「えっ?」

恩人?あ、そうだ。私、崖から落ちたんだっけ。
私を助けてくれた(?)男の子が、私が落ちてきた崖っぷちの方に視線を仰ぐ。

?「崖が崩れたみてェだな。この山の崖は崩れやすいから、気をつけろよ。」

そう言いながら私を下ろしてくれた。

ル「あ・・ありがとう、ございます。」

?「大した事はしてねェよ。それより、アイツ等アンタの知り合い?」

ル「えっ?」

男の子の視線の方を見る。

ナ「ルーシィ~!」

ウェ「ルーシィさぁ~ん!」

遠くからナツ達が走って来るのが見えた。

マ「ルーシィ~、怪我してない?」

ル「わぁっ!」

マヤが私に抱きついてくる。

グ「怪我はしてねェみたいだな。」

ウェ「よかったです。」

シャ「一時はどうなるかと思ったわ。」

ハ「皆心配したんだよ。」

エ「無事でなによりだ。」 

ガンッ!

ル「硬ッ!」

エルザの鎧はどうしてこんなに硬いんだろう?

ナ「ところでよォ、コイツ誰だ?」

待ち切れなかったのかナツが聞いてくる。

ル「そういえば、まだ名前聞いてなかったわね、私はルーシィ。よろしくね。」

?「えぇっ!ルーシィ!?」

えっ?私の事知ってるの?

?「そ、それは・・・あぁほら!週刊ソーサラーに載ってたから。」

あら、私ってそんなに有名人なのかしら?

ハ「ナツ、ルーシィから変なオーラが出てるよ。」

ナ「だな。」

ル「変なって何よ、変なって!」

マ「はいはいは~い、こっちの漫才者(コメディアン)達はほっといて、私、マヤ!」

な、何か・・見事にスルーされてるんですけど・・・ていうか、漫才者(コメディアン)って・・・

グ「俺はグレイだ。」

エ「私はエルザだ。ルーシィを助けてくれてありがとな。」

ウェ「ウェンディです。こっちはシャルル。」

シャ「よろしく。」

ナ「俺はナツだっ!こっちは相棒のハッピー!」

ハ「あいっ!」

皆が自己紹介を終わると、

リョ「俺はリョウ・ジェノロ、よろしくな。」

私を助けてくれた男の子―――リョウは白い歯を見せて笑った。
ん?「ジェノロ」?どっかで聞いた事のあるような、ないような・・・?顎に手を当てて考えていると、リョウがいきなり私の右手首を摑んで、

リョ「この紋章・・・!お前等、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士かっ!?」

私の右手の甲に刻まれている妖精の尻尾(フェアリーテイル)の紋章を見てリョウが驚嘆の声を上げた。

ナ「そうだぜっ!」

リョウの問いに、ナツが自分の右肩に刻まれている赤い妖精の尻尾(フェアリーテイル)の紋章を見せながら嬉しそうに答えた。

リョ「ラッキー☆俺、ちょうど妖精の尻尾(フェアリーテイル)に用があったんだ。妖精の尻尾(フェアリーテイル)まで案内してくれねぇか?道に迷っちまってよ。」

こ、こんなところまで捜してたのぉっ!?道に迷うのは当たり前よ・・・

エ「ルーシィを助けてもらったからな、良いだろう。」

リョ「サンキュー。それにしても・・・」

リョウが私の方を見ると、

リョ「俺・・・ルーシィに一目惚れしたかも。」

・・・えっ?

リョ以外「えぇーーーーーーーーーーーーーーーっ!!?」

ハ「でぇきてるぅ~。」

ちょっ!ちょちょちょちょちょっと待ってーーーっ!?わ、私達初対面よっ!?ていうかハッピー、巻き舌風に言うなぁーーーーーっ!皆がパニックに陥ってる中、

ウェ「み、みみ、皆さんっ!な、何か忘れていませんかぁっ!?」

空気を変えようとウェンディが言う。

ナ「な、なななな何を、だ?」

あのナツまで動揺してるぅっ!?

ウェ「クエストですよっ!」

ウェ&シャ&リョ以外「あ。」

シャ「やっぱり、忘れてたのね。」

ウェンディとシャルル以外は忘れてたわ・・・どうしよう、まだ見つけてもないのに。

リョ「薬草?それなら、そこに大量に生えてるぜ。」

リョ以外「えっ?」

リョ「ほら、あそこに大量に生えてる緑色の草がそうだ。」

リョウが指差した場所を見ると私達が探している薬草がたくさん生えていた。

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薬草を4~5束摘んで、依頼主さんに届けて無事クエスト終了。

グ「さぁ~て、ギルドに帰るか。」

帰りはリョウも一緒に帰る事になった。また賑やかになりそうね・・・ギルドに帰っている間、私はずっとリョウに不思議そうな目で見られていた事に全く気づかなかった。 
 

 
後書き
第5話終了~♪
さて、ここでリョウについて説明します。
リョウは常に服装は緑色の着物と黒い袴を穿いて、腰に2本の剣を持っています。ルーシィとは何か関係があるようですが・・・それはまだ内緒です。
次回はリョウの驚きの実力が明らかにっ!?お楽しみに♪ 

 

第6話 ナツVSリョウ

 
前書き
こんにちは~♪紺碧の海で~す♪
今回はリョウとナツがバトルをします。そして、リョウの実力が明らかに―――――!?
今回もルーシィ目線で書きたいと思います。
それでは、第6話・・・スタートです♪ 

 
ナ「たっだいまーーー!」

ハ「ただーーー!」

ナツったら、扉は手で開けて入るものよ。足で蹴ったらまた壊れ・・・あぁ、もう壊れてたわね・・・・

ミ「お帰りなさい皆。あら?その人は?」

ミラさんはギルドをきょろきょろ見回しているリョウに気がついたみたい。

ル「この子はリョウ。クエストの途中で、偶然会って、ここに用があるみた」

リョ「いたーーーーーっ!」

ちょっと!私が説明してる最中に大声出さないでよっ!って、聞いてないし・・・

ミ「あら。また元気な人が来たのね。」

ミ、ミラさん、空気を読んで下さいよ・・・
リョウは風のような速さでカウンターに座ってお酒を飲んでいるマスターのところに駆け寄ると―――――、

リョ「マカロフさぁ~ん!」

マカ「ぬォッ!?」

マ・・マスターに抱き付いたァ!?

ミ「あら、仲が良いのね。」

だ、だからミラさん、空気を・・・

マカ「リョ、リョウかっ!?久しぶりじゃの~。」

えぇっ!知り合いなのぉっ!?
ざわつくギルド内の空気を無視して、リョウとマスターはしばらく会話を交わしていた。ようやくギルド内の空気が変わった事に気づいたリョウは、慌てふためいている私達の方を向いて首をこてっと傾げた。

リョ「あれ?言ってなかったか?俺は()()()()()の1人だって。」

・・・・・え・・・?

マカ&リョ以外「えぇーーーーーーーーーーーーっ!!?」

リョ「そっ・・そんなに驚かなくてもいいだろ?」

驚くわよっ!皆開いた口が塞がらない。そして、こういう事にいちいち反応するのが・・・

ナ「リョウ!俺と勝負しろっ!」

やっぱり、ナツしかいないわよね・・・

リョ「う~ん・・・どうしようかな~♪」

悩んでる割には楽しそうね。

マカ「リョウよ、ナツはあの火竜(サラマンダー)と呼ばれている奴じゃ。腕は確かじゃぞ?」

リョ「えぇっ!マジでっ!?」

ナ「マジだっ!」

リョウはしばらく信じていないような顔でナツの顔を睨んでたけど、

リョ「よしっ!せっかくだから勝負すっか。」

ナ「よっしゃ~!燃えてきたぞ~!」

言う前から燃えてるじゃない・・・

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外に出てさっそく勝負!今回の審判はミラさん♪

ミ「それでは、バトルスタート♪」

ナ「先手必勝ッ!火竜の・・・咆哮ッ!!」

マヤの時と同じでナツが先手をきった。口から灼熱の炎が吹き出す・・・って、リョウ!そのままだと直撃じゃないっ!

リョ「やっぱすげェな、滅竜魔法は。でも、聖十大魔道を舐めるなよ。」

リョウは腰から下げていた剣のうち1本取り出すと、

リョ「一心切ッ!!」

赤色に輝く光を放ちながら、リョウは聖剣でナツの炎を切り裂いちゃたぁ~!?

ナ「なっ!?これならどうだァア!火竜の・・・鉤爪ッ!!」

灼熱の炎を纏った腕を振り上げる。

リョ「甘いな。」

リョウは小さく呟いた後、ナツの攻撃をいとも簡単に防いじゃった。片手で・・・リョウはさっきの剣で、

リョ「竜桜切ッ!!」

リョウの背後に青いドラゴンが浮かび上がり、聖剣をナツに振りかざしたと同時に、ドラゴンは消えて、桜の花びらが舞い散る。

ナ「ぐあァァアッ!」

ナツが一撃で倒れちゃった・・・この勝負、リョウの圧勝ね。流石聖十大魔道の1人ね・・・

リョ「よっ!お疲れさん!また勝負しようぜ。」

ナ「おう!おっしゃ~!グレイ、エルザ、エルフマン、ガジル、ラクサス、俺と勝負しろ~!!」

ナ以外「今勝負したばかりだろっ!?」

しかも立ち直り早ッ!

ナ「んな事関係ねぇっ!誰でもいいからかかって来いや~!」

やれやれ・・・

リョ「ルーシィ~♪」

ル「キャア!」

リョウがいきなり抱きついてきたァ!?

ミ「あら。お似合いね。」

マカ「リョウ、いつの間にルーシィを彼女にしたんじゃ?」

ル「ミラさん、マスター、違いますよ~!」

ハ&マ「でぇきてるぅ~♪」

ル「巻き舌風に言うなっ!しかもなんでマヤがっ!?」

その後、リョウもギルドに加入する事になって、ナツやグレイ、エルフマンやガジル、ラクサスやマヤと、どんちゃん騒ぎをしていました。

ウェ「また賑やかになるね、シャルル。」

シャ「それと、更にうるさくなるわね。」

ル「アハハハハ・・・」 
 

 
後書き
第6話終了です!
リョウはなんと、聖十の1人だったんです!リョウは今18歳で、聖十になったのは5年前、トップクラスになったのは3年前です。若いですね。マスターはリョウの憧れの人物なんです。
リョウはルーシィの事が好きなんですが、その理由にはリョウの過去が関係しているんです。それはまだ内緒です。
次回はまた新たなメンバーが登場です!私のお気に入りのオリキャラです。
それではまた次回! 

 

第7話 氷の少女

 
前書き
こんばんは!紺碧の海です!
今回はまた新たなメンバーが登場です!
グレイ目線で書きたいと思います。
それでは、第7話・・・スタート!! 

 
グ「あー・・疲れたー・・・」

俺は今クエストの帰り道。クソ炎がいねェからめちゃくちゃ早く終わったぜ。
ギルドまでの近道として30mほどの洞窟の中を歩いている。それにしても、相変わらず、ここの洞窟は昼でも関係なく暗い。シーンとしているせいか、俺の足音以外何も聞こえない。さーて、帰ったら何するか?
そんな事を考えていると、

グ「ん?」

誰かが洞窟の壁に寄り掛かっているのが見えた。目を凝らしてよく見ると、水色の髪の女の子だった。寝てる・・・のか?いや、まさかな。
俺はそいつの傍まで行き、右膝を着いてしゃがみ込む。

グ「おい、こんなところで寝てると風邪引くぞ。」

そいつの肩を軽く揺らして起こそうとすると、コマ送りみたいにゆっくりと女の子の体が傾き、音もなく倒れてしまった。

グ「お、おい!しっかりし・・!?」

倒れた女の子を抱き起こしてギョッとした。どうやら気を失ってるみたいだが、体が以上に冷たい。まるで氷みたいだ。し・・死んでる、のか・・・?
俺は女の子の首筋にそっと手を当てる。脈はしっかりあった。にしても・・・こりゃあ普通の人間の体温じゃねェぞ。
俺はそいつをギルドに連れて帰る事にした。

グ「!つ、冷てェ・・・!」

そいつを背負う時、ものすごく冷たくて血の気が引いた。すると、

?「ん・・ん・・・?」

そいつはゆっくりと目を開けた。虚ろだが、今にも吸い込まれそうな澄んだ青い垂れ目だった。そいつは俺の顔を見ると、消え入りそうな声で呟いた。



?「お・・・兄、ちゃん・・・」



グ「えっ?」

途切れ途切れにそう言うと、また気を失った。

グ「お、おい!・・ったく、な、何なんだよいったい・・・?」

俺は変な違和感を抱きながら女の子を背負い直しギルドへ向かって走り出した。

************************************************************************************************************

ギルドに帰って来ると、真っ先にクソ炎が、

ナ「おいグレイ!この間の喧嘩の続きすんぞ・・・って、お、お前、そいつ誰だよ?」

俺の背中で気を失っている女の顔を覗き込む。

ハ「グレイ、まさかクエストの途中でその子に攻撃を当てちゃったんじゃ・・・」

マ「えぇっ!グレイ酷ォ~い。」

グ「変な事言うんじゃねェよハッピー。マヤも信じるなっつーの。とにかく、ミラちゃん、医務室借りるぜ。」

ミ「えぇ。良いわよ♪」

俺はミラちゃんに許可を貰うと、医務室に氷みたいな女の子を寝かせる。
皆のいる所に戻ると、テーブルに座って皆に訳を話した。

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エ「なるほど。話の内容はだいたい理解出来た。」

流石エルザだな。

マ「でも、何であの子体が冷たいの?」

それを今考えてるだろーが・・・ちゃんと話し聞いてたのかぁ?

ウェ「でもあの人、風邪とかではなさそうですよ。」

シャ「えぇ、風邪を引いてれば体は熱いはずよ。寒気はするけど。」

リョ「体を冷たくする魔法・・・そんな都合よすぎる魔法なんてないしな。」

むしろそんな魔法があったらすげーよ。

ナ「だぁーーーーーっ!訳分かんねェーっ!」

ル「少し落ち着きなさいよ。」

いちいちうるせェなァ。
その時、ギィィと軋んだ医務室の方から音がした。振り向くと、医務室のドアが開き、さっきの氷みたいな女の子が出て来た。気を失ってた時は分からなかったけど、俺と同い年くらいか?女の子はきょろきょろと辺りを見回し俺達と視線が合うと、

?「あ、あの、えぇっと・・ここは、いったい・・・?」

しどろもどろに問いかけてきた。そんな戸惑っている女の子にルーシィは駆け寄り、まるで友達だったかのように話し掛ける。

ル「私はルーシィ。ここは妖精の尻尾(フェアリーテイル)っていう魔道士ギルドよ。あなた、洞窟で気を失っているところをグレイが助けてくれたのよ。」

?「グレイ?」

おいおい、勝手に人の名前を出してべらべら話すんじゃねェよ。ルーシィは俺の方に指差すと、そいつが俺の前に来て、

?「あの、その・・助けてくれて、あ、ありがとうございます。」

グ「お、おぅ。」

めちゃくちゃ礼儀正しいな。こういうのに慣れていないせいか、調子狂う。誰かさんと、誰かさんと、誰かさんとは大違いだぜ。

ナ「ハァクションッ!」

マ「ハクションッ!」

リョ「ヘァクシュンッ!」

おぉ!やっぱ人は噂をすれば人ってくしゃみが出るんだな。

ウェ「私、ウェンディといいます。」

シャ「私はシャルル。」

マ「私マヤ!よろしくね☆」

リョ「俺はリョウだ。ルーシィの彼氏で~す♪」

ル「変な事言わないでっ!」

ハ「でぇきてるぅ~。」

ル「できてないっ!」

漫才(コント)かよ・・・

ナ「俺はナツだっ!よろしくなっ!」

ハ「オイラハッピー。よろしく~♪」

エ「私はエルザだ。ところで、君の名前は?」

エルザが問うと、女の子は少し恥ずかしそうに下を俯くと、

ユ「・・ユ、ユモス。ユモス・クオリナです。」

呟くように名乗った。それを聞いたマヤは、顎に手を当てると、

マ「ユモス、か・・・うーん、ちょっと呼び辛いなぁ~。よしっ!今日からユモスのあだ名は“ユモ”だっ!」

ユ「・・・えっ?」

おいおい、突然何を言い出すかと思えば、初対面の人のあだ名を勝手に・・・

ユ「私は“ユモ”で良いですよ。」

まっ、当の本人は気にしていないからいいか。

ナ「敬語なんて堅苦しいから止めようぜ。それより、ユモの魔法ってなんだ?」

あいつ、さっそく「ユモ」って呼んでやがる・・・

ユ「私は、静の氷の造形魔法を使いま・・・じゃなくて、使うよ。」

グ「なぁ~にぃ~~~!」

驚きのあまり俺は大声で叫んでしまった。

ユ「えっと、私、変な事言いま・・・じゃなくて、言った?」

ル「驚くのも無理もないわ。グレイも氷の造形魔法を使うのよ。」

ユ「へぇ~、偶然です・・・じゃなくて、偶然だね。」

ユモが小さく微笑みながら言った。
その時、ドクンッと心臓の音が大きくなったのが聞こえた。な、何だ今の?

エ「同じ魔法を使う魔道士なら、お互い戦った方がいいんじゃないか?」

リョ「おぉ~!エルザ、ナイスアイディア!」

おいおい、何か勝手に話が進んでねぇか・・・?ていうか、「ナイスアイディア」なのか?



そんなこんなで、俺とユモが結局戦う事になっちまった。って、あれ?いつの間にか俺も「ユモ」って普通に呼んでいる。

エ「グレイ、ちょっと来てくれ。」

外に出ようとしたら、なぜかエルザに呼び出された。俺、何か悪い事したか?でも、エルザの他にもなぜかリョウもいた。この様子だと、怒るんじゃねぇみたいだな。

グ「何だよ、2人して俺を呼び出して?」

リョ「グレイ、よく聞けよ。」

リョウはそう忠告してから、一度話を区切ると、



リョ「ユモと戦う時気をつけろ。」



グ「・・・はっ?」

俺はリョウが言ってる事に対してすぐに理解する事が出来なかった。

エ「ユモはかなり実力のある魔道士だ。魔力もかなりある。気を引き締めて戦え。」

リョ「んじゃ、期待してるぜ。くれぐれも、気を抜くなよ。」

それだけ言うとエルザとリョウは立ち去っていった。俺はしばらくその場に呆然と立ち尽くしていたが、ユモとの勝負がある事を思い出し、慌ててギルドの外に出た。 
 

 
後書き
第7話終了☆
ユモはどうでした?ユモは私のお気に入りのオリキャラです。ユモの魔法はグレイと同じ静の氷の造形魔法です。技は同じのもあれば、違うのもあります。もちろん、ユモも辛くて悲しい過去を抱えています。
次回はユモとグレイのバトルです。ユモの実力はいかに―――――!?
それでは、第8話でお会いしましょう☆ 

 

第8話 グレイVSユモス

 
前書き
ナマステ~(笑)紺碧の海です。
今回はグレイとユモのバトルです!
同じ氷の造形魔道士同士、どんな戦いを見せてくれるのでしょうか?
そして、ユモの実力とは!?
今回もグレイ目線で書きたいと思います。
それでは、第8話・・・スタート! 

 
エルザとリョウには「気をつけろ」って言われたけどよ・・・何に気をつければいいんだァ?そんな風には全く見えないんだけどな・・・まぁ、いつもどおり戦えばそれでいっか。
今回の審判は・・・げっ!エルザァ!?マ、マジかよ・・・

エ「それでは、バトル、始めっ!」

グ「アイスメイク、大槌兵(ハンマー)ッ!!」

合図と共に俺は巨大な大槌兵(ハンマー)を造形し、ユモの頭上に振り落とす―――が、ユモは片手で受け止めちまった。しかも、笑顔で・・・

マ「す、すごぉ~い・・・!」

リョ「・・・・・」

おいおいおい、どんだけ怪力なんだよ・・・

ユ「すご~い!造形するスピードがここまで速い人はグレイが初めてだよ。」

・・・俺を褒めてんのか?

ユ「それじゃあ私も、アイスメイク、(スピア)ッ!!」

すると、空から無数の氷でできた針が流星群のように俺に向かって落ちてきた。

グ「アイスメイク、(シールド)ッ!!」

花弁のような氷の盾で防ぐ。・・・ぎりぎりで何とか防ぎきれたけど、氷の盾にはヒビがたくさん入っている。威力がハンパねェ。エルザとリョウの言うとおりだったな。あのユモの体のどこにあんなパワーがあるんだよ?当の本人であるユモはと言うと・・・

ユ「うわ~、あれだけの数を盾1つで・・・グレイって実力があるんだね。」

さっきから俺の事ばっかり褒めてるけどよ・・・今は敵同士だぞ。

ユ「勝負は敵も味方も関係無い!アイスメイク、氷霧(フリーズミスト)ッ!!」

すると辺りが冷たい冷気の霧で包まれユモの姿が見えなくなっちまった。霧のせいか、気配さえ感じねェ。

ル「うぅ・・さ、寒い・・・!」

ルーシィの震えた声が聞こえた。

グ「くそっ!何にも見えねェ!」

すると、微かに背後で気配が感じ、瞬時に振り向いた-――が、時すでに遅し。

ユ「アイスメイク、(タワー)ッ!!」

グ「!どぅアァァアアアッ!」

地面から円柱型の氷の柱が俺を襲い宙に投げ飛ばされ地面に叩きつけられる。体全身に痛みが走る。何とか立ち上がる事は出来たけどよ・・・技の威力が強力のせいか、俺はもうふらふらだった・・・
ユモは片手を口元に当て、驚いたように目を見開いていた。が、すぐに笑顔になると、

ユ「ここまでよく持ち応えたね。やっぱグレイってすごいな。」

ユモが小さく微笑みながら言った。
その時、ドクンッとまた心臓の音が大きくなったのが聞こえた。ったく、さっきから何なんだよ・・・いったい?

ユ「さて、そろそろ終わりにしよっか。」

ユモが両手に大量の冷気を溜める。

グ「最後にはさせねェよ。」

ユ「えっ?」

そう呟くと、バサッ!と俺は着ていた服を脱いだ。

ユ「え・・・///////な、何で、服を・・・///////////」

かなり動揺してるな。俺が何で服を脱ぐかは後で説明しよう。そんな事より、ユモが動揺している今の内に、

グ「アイスメイク、牢獄(プリズン)ッ!!」

巨大な氷の檻がユモを閉じ込める。これでしばらくは身動き出来ねェな―――と思ったのはほんの束の間。ユモはその場で体勢を低くすると、

ユ「てェェイッ!」

バキィィインッ!と金属のような音を立てながら回し蹴りで氷の檻を壊しちまった。思いもしてなかった出来事に、その場にいた人間が全員目を疑った。驚くのも無理は無い。あんなどこにでもいるような極々普通の少女が、回し蹴りで巨大な氷の檻を壊したんだからな・・・こんな奴を見たのは、俺も初めてだ。

マ「ユモすごぉ~い!」

リョ「たったの、回し蹴り1回で・・・」

ナ「俺も勝負してェなぁ。」

クソ炎は違うが、皆も驚く。そんな空気の中、ユモは笑顔で、

ユ「グレイがいきなり服を脱いだ事にはびっくりしたけど、こんなに楽しいバトルは久しぶりだよ。ありがとう、グレイ。」

その時、ドクンッとまた心臓の音が大きくなったのが聞こえた。しかも、だんだん音が大きくなっているように感じる。ま、まさか・・俺・・・い、いや、まさか、な・・・

ユ「それじゃ、最後まで全力でいくよっ!アイスメイク、(ソード)ッ!!」

氷で剣を造形する。こうなったら、俺もやるしかねェなっ!

グ「アイスメイク、大鎌(デスサイズ)ッ!!」

俺も氷の鎌で立ち向かった。

**************************************************************************************************************

エ「そこまでっ!この勝負引き分け!」

エルザの終わりの合図と共に俺はその場に倒れ込み、ユモはその場に座り込み呼吸を整えた。

グ「ハァ・・ハァ、ハァ・・・ハァ・・ハァ、ハァ、ハァ・・ハァ・・・ハァ、ハァ、ハァ・・・」

ユ「ハァ・・・ハァ、ハァ・・ハァ・・・・ハァ、グ、グレ・・イ・・・」

グ「ハァ・・・・ハァ、ハァ・・・ハァ、ハァ・・ハァ、ハァ・・・・ア?」

ユ「ハァ、ハァ・・今日は、ハァ、ありが、とう。ハァ・・ハァ・・・ハァ、す・・すごく、楽しかっ・・・た・・・・ハァ、ハァ・・ハァ・・・」

グ「////お、おぅ・・・///////////」

ドクンッ、ドクンッとまた心臓の音が大きくなったのが聞こえた。しかも、鼓動がどんどん早くなっているようにも感じる。今、俺の顔が真っ赤なのは暑いからだろう・・・たぶん。いや、絶対に//////////

ル「お疲れ様~♪」

ウェ「グレイさんもユモさんもすっごく強かったです。」

シャ「ユモの回し蹴りには驚いたけどね。」

氷の牢獄を蹴り1つで、簡単に壊しちまったからな。エルザとリョウが言ったとおり、かなりの実力だな・・・

ナ「なーんだよグレイ、引き分けってどうゆう意味だよ。」

グ「うるせェなぁ、仕方ねェだろ。」

エルザとリョウに言われていなかったら、ボロ負けだったかもしれねェな。

マ「ユモはなんで顔は真っ赤なのに、体は冷たいの?」

地面に座り込んでいるユモを立たせようと、ユモの右腕を掴んだマヤが問う。

ユ「あ・・・ん~、何でかな?アハハハ・・・」

その時、ユモの顔が悲しそうに見えたのは、俺の見間違いか気のせいか?

リョ「ところでよ、ユモはどっか行く場所とかあんのか?」

洞窟で気を失ってたくらいだからな。ユモはフリーの魔道士なんだろう。

ユ「ううん、そんなの全然ないよ。」

俺の予想通り、ユモは首を左右に振った。

エ「なら、妖精の尻尾(フェアリーテイル)に入ったらどうだ?マスターには私から話しておこう。」

エルザがそう言うと、ユモは目を輝かせた。

ユ「本当!?じゃあ改めて、これからよろしくお願いします。」

ナ「おっしゃーーー!ユモ、後で俺とも勝負しようぜっ!」

クソ炎は相変わらずだな。その後、ユモはミラちゃんにギルドマークのスタンプを押してもらっていた。 
 

 
後書き
第8話終了~♪
ここで少しユモのことを説明します。
ユモは妖精の尻尾(フェアリーテイル)に加入するまえはフリーの魔道士として1人で旅をしていたんです。その旅の途中、魔力を使いすぎて気を失って倒れてたところをグレイに助けてもらったって訳です。
誰にでも優しくて相手を優先してしまう性格です。しかも、グレイ以上に鈍感な17歳の女の子です。そんなユモは大きな秘密を2つ抱えているんです。
次回はちょっとキュンッとくる女と女の小さな恋のお話です。
それでは、第9話でお待ちしておりま~す♪ 

 

第9話 まさかの恋敵!?

 
前書き
ヤッホーーー!紺碧の海でーーーーーす!
今回は小さな恋のお話です。
初のユモス目線で書きたいと思います。
それでは、第9話・・・スタート! 

 
マグノリアの空は今、真っ黒な雲で覆われていて、今にもどしゃぶりの雨が降り出しそうな天気。
私はギルドのテーブルに頬杖をついて、

ユ「はぁ・・・」

小さなため息をついていた。

ル「どうしたのユモ?ため息ばかりね。」

隣に座っていたルーシィが私の顔を覗き込む。ギルドに入って3日目。この頃私はいつもこう。私は辺りをきょろきょろ見回し、「変ね話なんだけど・・・」と、前置きを言ってからルーシィの耳に口元を寄せると、小声で話し始めた。

ユ「実は・・・ギルドに入ってから、誰かに見られてるような気がして・・・」

ル「誰かに見られてる?」

ユ「う、うん・・・」

今もそう。誰かの視線を感じる。しかもかなり強烈で、何か恨みがこもっているような・・・そんな痛い視線。いったい誰なんだろう?

ル「あ~、その視線の正体、私分かっちゃったかも。」

ユ「えぇっ!本当ォ!?」

驚いた拍子に、私は勢いよく椅子から立ち上がり、ルーシィに詰め寄る。誰誰誰誰誰!?

ル「たぶん、ジュビアね。」

ユ「ジュビア?」

初めて聞く名前。いったいどんな人なんだろう?

ル「ジュビア・ロクサーって言って、元々幽鬼の支配者(フェントムロード)の、エレメント4の1人だったのよ。」

幽鬼の支配者(ファントムロード)って言えば、妖精の尻尾(フェアリーテイル)とすごく敵対関係のギルドで、以前ギルド同士で争いが起こった事で有名になってたのを覚えている。エレメント4は、幽鬼の支配者(ファントムロード)のS級魔道士である、大火の兎兎丸、大地のソル、大海のジュビア、大空のアリアの事だ。

ル「幽鬼の支配者(ファントムロード)が解散したから、ジュビアは妖精の尻尾(フェアリーテイル)に加入したっていうきっかけもあるんだけど、もう1つ、あるきっかけで、妖精の尻尾(フェアリーテイル)に入ったのよ。」

ユ「もう1つのきっかけ?」

ル「何だと思う?」

ユ「う~~~ん・・・?」

・・・全く分からない。どんなきっかけなんだろう?すっごく気になる!結局、私が思いついたきっかけは、「妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士の誰かに恋をした!」・・・まぁ、絶対無いと思うけど。

ユ「早く教えてよぉ~。」

私はルーシィの肩を摑んで揺さぶり急かす。すると、ルーシィはさっきの私みたいに私の耳に口元を寄せて、

ル「それはね、ジュビアがグレイに恋をしたからよ。」

一瞬、私の思考が止まった。

ユ「えぇーーーーーっ!?」

驚きのあまり、私はその場に飛び上がる。ギルドにいた人の視線が私に集まる。ていうか、まさかの予想的中!しかも、グレイに恋をしたぁ~!?
その時、ドクンッと私の心臓の鼓動が大きくなたのが聞こえた。不思議に思ったけど、それよりも不思議に思った事があった。

ユ「でも、どうしてそれが私に関係してるの?」

ジュビアっていう人がグレイの事を好きになる事に、加入したばかりの私が関係してる訳無いのに・・・何で?すると、ルーシィはウィンクをすると、

ル「ジュビアの“恋敵”だ・か・ら♪」

ユ「・・・・はい?」

しばらく、ルーシィの言ってる意味が理解不能だった。そして、やっと理解できた時は、

ユ「えぇーーーーーーっ!?」

またその場で飛び上がっていた。再びギルドにいた人の視線が私に集まる。

ル「ジュビアはグレイと仲良くしてる女の子を見ると、自分の恋敵だと思い込んじゃうのよ。私も何回も勘違いされたわ。」

ルーシィも、ジュビアっていう人の恋敵なの?そんな事を思っていると、背後からカツ、カツとブーツの踵の音が聞こえた。

?「ルーシィさんの言うとおりです。」

ユ「ひょわぁっ!」

ル「ジュ、ジュビア!?」

驚いて後ろを振り返ると、外側にくるんとカールした青色の髪の毛に色白の肌、青っぽいコートに茶色いブーツを履いた、当の本人であるジュビアがいた。やっぱり噂をすれば影が差すんだね。ジュビアは私に指を突きつけて、

ジュ「ジュビアの恋敵ィ~!」

と言い放った。・・・って、違うんだけどっ!

ル「じゃ、じゃあ私はお邪魔みたいなので・・・さ、さよならぁ~!」

ユ「えっ!ちょ、ちょっとルー」

ルーシィを追いかけようとしたら、目の前に大きな目を更に大きく見開かせたジュビアの顔が私の顔を覗き込んできた。

ジュ「逃げても無駄ですよ。」

ユ「は・・はい・・・」

こ、怖い・・・
ジュビアはさっきまでルーシィが座っていたところに背筋を伸ばして座ると、

ジュ「それで、グレイ様とはどんな関係なんですか?」

猪突猛進に聞いてきた。気のせいか、ジュビアの握り締められた拳が少し冷静さを失っているように小刻みに震えている。ていうか、「関係」って言われても・・・そんな親密な関係でも無いし、私はまだギルドに加入したばかりだし。
ただ、私がグレイに対して今思っている事は、

ユ「恩人・・・かな?」

気を失っているところを助けてくれたからね。これは本当に感謝感謝です。ジュビアは目を少し細め、怪しそうに私の顔を覗き込むと、

ジュ「本当に、それだけですか?」

私はゆっくりと黙って頷く。これは正真正銘の事実。まだギルドに入ったばかりだし、話したり戦ったりしたくらいだからね。ジュビアはしばらく私の顔を見つめてから、スクッと立ち上がると、少し顔を赤らめて、また私に指を突きつけつけると、

ジュ「グレイ様は、あなたにも、ルーシィにも他の方にも、ぜぇーーーーーったいに!渡しませんからねっ!」

ユ「う、うん・・・」

ジュビアの迫力に、私は頷くしか出来なかった。ジュビアの目が燃えている・・・グレイの事が「ものすごく好き」という気持ちが伝わってくる。グレイって、すごいモテモテなんだなぁ~。
その時、ドクンッとまた心臓の鼓動が大きくなったのが聞こえた。な、何なの・・・いったい・・・・?気がついたらジュビアはいなくなっていた。

ユ「はぁ・・・」

私は一度ため息をつくと、椅子に座り直し、遠くでナツとリョウと喧嘩をしているグレイを見る。

ナ「んだとカチコチパンツ野郎。バカアホリョウ。」

リョ「いちいちうるっせんだよ、燃えカス野郎。変態氷。」

グ「もういっぺん言ってみろ、ポジティブ野郎。クソ炎。」

何が理由で喧嘩をしているか分からないや・・・喧嘩をしている3人の近くのテーブルに座っているルーシィ達が、

ル「全く、相変わらず低レベルなんだから。」

マ「皆頑張れ~、ファイトォ!」

ウェ「マヤさん、そこは応援する場面じゃないと・・・」

ハ「ナツ~、頑張れ~!」

シャ「アンタも応援しないのっ!」

呆れたり、応援したり、否定したり・・・そんな喧嘩をしている3人の前に、黒いオーラを剥き出しにしたエルザが、

エ「お前達ィ!いい加減にしろォォオッ!」

ナ&リョ&グ「あいーーーーーっ!」

ハ「オイラの真似しないでよ~。」

一瞬で止めちゃった。ルーシィが言ったとおり、エルザは怒るとさっきのジュビアの1000倍怖いな・・・グレイ達は喧嘩をしていて、他の人達はお酒が入ったコップを片手に喧嘩の見物。まぁ、カナは酒樽を両手に抱えてだけど・・・とにかく、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士達は、皆笑っている。ほんとっ、賑やかで楽しいギルドだなぁ~♪ここに来る事が出来たのもグレイのお陰・・・か。
その時、ドクンッとまた心臓の鼓動が大きくなったのが聞こえた。ていうか、どんどん音が大きくなっているように聞こえるのは、私の気のせい・・・かな?

ウェ「ユモさ~ん!」

ル「こっちにおいでよ~!」

マ「早く早く~!」

ウェンディとルーシィとマヤに呼ばれた。

ユ「今行く~!」

私は椅子から立ち上がり、ルーシィ達がいるテーブルの方へ。そこではまたグレイとナツとリョウの3人が喧嘩をしていて、エルザが黒いオーラをさっきよりも剥きだしにしていた。

エ「いい加減にしろォォォォオッ!!」

ナ&グ&リョ「はいーーーーーっ!」

3人は思いっきりエルザに吹っ飛ばされた。私とルーシィとウェンディとマヤは吹っ飛ばされた3人に駆け寄る。

ユ「グ、グレイ、大丈夫?」

グ「あ、あぁ、何とかな・・・ったく、相変わらずエルザは手加減無しだな。」

私がグレイに手を貸そうとすると、背後からものすごい強烈な視線と黒いオーラと殺気を感じた。身の危険を逸早く感知した私は、グレイから1歩遠ざかった。

グ「?どうした?」

ユ「あ、いや・・む、虫がいたからびっくりしただけだよ。アハハハ・・・」

グ「?」

何とか冗談で誤魔化した。顔、引き攣ってなかったかな?私、昔から嘘をつくのが下手なんだよね。



私はまだ、自分に小さな恋の花が咲こうとしているのに気づかなかった。 
 

 
後書き
第9話終了!イエイッ!
書いてて思ったんですが、ほんっと、グレイとユモって鈍感ですね。グレイとユモの関係も気になりますが、ナツとマヤ、ルーシィとリョウのペアも忘れたらいけないよ!次回も新たなメンバー登場です!なんと超イケメンですよ!お見逃しなく!
それじゃあ、バイバ~イ♪ 

 

第10話 心を閉ざした泥棒

 
前書き
ど~もど~も、紺碧の海でございます。
記念すべき第10話でございます。ここまで進んだのは読者様のお陰です。ありがとうございます!
今回はイケメンが登場しま~す♪
更に今回はエルザ様目線で書きたいと思います!
それでは、第10話・・・スタートです! 

 
マ「ねぇねぇ、ミラからこんなチラシもらったよ。」

マヤが持ってきたのは1枚のチラシだった。

ル「え~と、なになに、【Trick Wanderland あなたも有名手品師(マジシャン)、アテラス・カンクスの手品(マジック)の世界に入りませんか?】だって。アテラス・カンクスって、今話題のイケメン手品師(マジシャン)じゃない!」

マジックか。面白そうだな。

マ「ねぇねぇ、せっかくだから皆で行こうよっ!」

という訳で、新しくリョウとユモも加わった最強チーム、8人+2匹でTrick Wanderlandに行く事になった。

************************************************************************************************************

会場に着くと、ほぼ席は満員だった。

リョ「す、すっげェ~人だな。」

ナ「そんなに人気なのか?テラス・スカンクっていう奴の手品(マジック)は?」

ル「アテラス・カンクスよっ!」

ミラとルーシィの話によると、週刊ソーサラーの「彼氏にしたい魔道士ランキング」というコーナーで、いつも上位をキープしている魔道士らしい。

グ「魔道士?そのアテラス・カンクスって奴、手品師(マジシャン)じゃねェのかよ?」

ルーシィの言葉に疑問を思ったグレイが首を傾げながら問うた。

ル「手品師(マジシャン)でもあって、魔道士でもあるのよ。でも今はあまり魔道士としては活躍してないけどね。」

確かに、アイツからあまり魔力を感じない。魔道士としての実力は、かなり衰えているみたいだな。

ウェ「あ、そろそろ始まるみたいですよ。」

ウェンディが言った瞬間、会場が暗くなり、ステージの上がスポットライトの光で照らされた。ステージの奥からスーツをピシッと着こなしたマイクを持った男が現れた。どうやら司会者のようだ。

司「Ladys and Gentlemans!今日はTrick Wanderlandにようこそお越し下さいましたっ!それでは早速登場してもらいましょう!今回の主役、今話題のクール&イケメン手品師(マジシャン)、アテラーーースッ!!!」

すると、ボワァァァン!とステージの上から煙が上がると、1人の男が観客に向かってお辞儀をしていた。

客1「アテラス~!」

客2「カッコイイーーー!」

客3「こっち向いて~!」

客4「キャーーーッ!」

す、すごい人気だな・・・私は観客たちの歓声に圧倒される。アテラスは観客に軽く手を振ると、

客全「キャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」

女性人の甲高い声が会場中に木霊した。

ナ&グ「うるせぇ~!」

マ&ユ「耳が壊れる~!」

ナツとグレイとマヤとユモは必死に耳を塞いでる。アイツが女性に人気なのは分かる気がする。アテラスという男は、そんじゃそこらにいる男とは比べものにならない。少し先のはねた黒髪に、鮮血のような赤い吊り目が特長だった。青い天馬(ブルーペガサス)にスカウトされる確立は90%以上ある。

リョ「へー、思ってた以上に男前の奴だな。」

リョウも私と同じ事を思ったのか、首の後ろを掻きながら言った。

ル「そりゃそうよ。週刊ソーサラーの「彼氏にしたい魔道士ランキング」で同じ、上位ランカーの青い天馬(ブルーペガサス)のヒビキと対立してるくらいだもん。ヒビキは女の子達を次々と口説いてくほど女の子慣れしてるんだけど、アテラスは口下手で女の事は一切関わらないのよ。」

リョ「今めちゃくちゃ関わってるじゃねェかよ。」

ル「これは仕事だから仕方ないでしょ?そのクールな一面が、女の子達の人気を集めてるのよ♪」

リョ「ふ~ん。」

ルーシィの説明にリョウは興味無さ気に返答する。これはあくまでも私の推測だが、リョウの奴、アテラスに嫉妬しているのかもしれないな。

司「さぁアテラス、準備OKかい?」

ア「いつでも。」

ピシッと着こなした黒いタキシードの襟と、赤いネクタイを整える。とても気合に満ちた赤い瞳が輝いていた。

司「OK!それじゃあ、It’s show time!」

司会者が腕を上に突き上げてパチン!と指を鳴らした。
こうして、1時間半に渡る手品(マジック)ショーが幕を開けた。

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1時間半後、マジックショーが終わり、観客達は全員帰って行った。多くの人はアテラスの華麗なる手品(マジック)について語り合いながら会場を出て行った。
私達も夕方のマグノリアの街を歩いて帰るところだった。

ウェ「すごかったね~、シャルル。」

シャ「えぇ。あんなに大掛かりな手品(マジック)は初めて見たわ。」

ル「楽しかったわね。」

ナ「そうか?」

ハ「あい。」

ル「あんた達は途中で寝ちゃったでしょっ!」

全く。恥ずかしいったらありゃしない。すると、

リョ「おい、アイツさっきのアテラスじゃねぇか?」

リョウが指差したところに、マヤの髪の毛と瞳の色のようなオレンジ色に光り輝く夕日を眺めているアテラスの姿が見えた。

ナ「お~い!アテラス~!」

ナツが呼ぶと、驚いた表情でこっちを振り返った。アテラスはタキシード姿から白いトレーナーに黒いベストを羽織り、今流行の青いジーンズを穿いていた。私達はアテラスに駆け寄った。

ア「え、えぇっと・・・」

エ「驚かしてすまない。私達は、君の手品(マジック)を見に来た者だ。」

ア「そ、そうか・・・」

反応が薄いが・・・まぁいい。

エ「私はエルザだ。こっちは私の仲間の・・・」

マ「マヤで~す☆」

ナ「俺はナツだっ!こっちは相棒の・・・」

ハ「ハッピーです。」

リョ「俺はリョウだ。ルーシィの」

ル「はいはいはいはぁ~い!私はルーシィよ。」

グ「俺はグレイだ。」

ユ「私はユモス。「ユモ」って呼んでね。」

ウェ「ウェンディです。こっちはシャルル。」

シャ「どうも。」

軽い自己紹介をすませると、

ナ「お前の手品(マジック)すごかったな!」

マ「うんうん。カッコよかったよ!」

手品(マジック)について、それぞれ思い思いの感想を述べる。私達の感想にアテラスは小さく微笑むと、

ア「ありがとうな。でも、手品(マジック)は全部嘘なんだぜ。」

ル「えっ?」

ア「「嘘つきは泥棒の始まり」って良く言うだろ?」

シャ「確かに、良く言う事だけど・・・」

つまり、アテラスは「自分は泥棒」だと言いたいのか?

ア「まぁ、簡単に言えばそういう事だな。それに、俺の本当の名前はアテラス・カンクスじゃないんだ」

ア以外「えっ?」

ア「この時点で、俺は嘘をついてるから、俺は精進証明の「泥棒」さ。」

という事は、「アテラス・カンクス」という名は偽名・・・という事か?

ユ「じゃ、じゃあ、あなたの本当の名前は?」

ユモが少し戸惑いながら問うと、

ア?「・・・俺の本名は、俺が信用出来る人間にしか言わない。この世界に生きる人間は、信じれる人間と、信じられない人間がいるからな・・・今日は来てくれてありがとう。じゃあな。」

そう言い残すと、彼は西の方角に歩いていった。

リョ「アテ・・・いや、アイツ、心を閉ざしてるな。」

エ「自分が認めた人間だけに心を開く・・・か。」

ル「何か、変わった人ね。」

あぁゆう気持ちを持った奴は、この世界にはたくさんいる。私も、ギルドに加入したばかりの頃はそうだったからな。

ナ「んな事より帰って飯でも食おうぜ。」

ハ「あい。おいら腹ペコだよ~。」

マ「魚手に持ってるじゃん。」

こんな他愛も無い話を交わしながら、私達は再びギルドに向かって歩き出した。 
 

 
後書き
第10話終了!
今回登場した新メンバーは信用できる人以外には心を閉ざしているんです。そして彼は、マジシャンでもあり、魔道士でもあるんです。その活躍はまた次回。
次回はマヤとエルザの恋話ですよ。お楽しみに!
それでは、さよなら~! 

 

第11話 2人の秘密

 
前書き
紺碧の海で~す♪
今回はエルザとマヤの恋話(こいばな)を書こうと思います。エルザは普段はクールなイメージだけど、女の子らしい一面もあるので、こういう話も良いかと思いまして。しかも、マヤは「超」がつくほどの恋話(こいばな)好きなんです!
途中で目線が変わります。最初はエルザ目線で書きます。
それでは、第11話・・・スタート♪ 

 
Trick Wanderlandに行ってから数日後。
私はギルドのテーブルでミラ手作りのチーズケーキを食べていた。だが、今日は大好物のチーズケーキがあまり食べたい気分ではなかった。

マ「エ~ル~ザ、ってどうしたのぉっ!?お皿のチーズケーキが全然減ってないじゃん!エルザ、熱でもあるの?すぐに医務室行かないと!」

スキップしながら話し掛けてきたマヤが必要以上に驚く。

エ「そんなに驚く事はない。それに熱も無い。今日はちょっと、食欲がないだけだ。はぁ・・・」

マ「ふ~ん。」

いたずらっ子のようにマヤが私の顔を覗き込む。

エ「・・・何だ?私の顔に何か付いてるのか?」

マ「エルザ、もしかして、アテラ・・・いや、あの人の事考えてた?」

エ「!な、ななななななな何を根拠に・・そ、そんな、事////////////////」

マ「その慌てっぷりだと図星みたいだね☆かっわいい~♪」

マヤが私の頬を軽くつつく。

マ「アテ・・・じゃなくて、あの人すごいイケメンだったもんね~。エルザが惚れるのも分かるかも。あっ!美男美女のカップル成立かもっ!?」

ん?“カップル”・・・私はガタンと音を立てて椅子から立ち上がると、

エ「ちょ、ちょっと待てマヤ、私はまだ、アテラ・・・いや、アイツの事を“好き”とは一言も言ってないぞっ!」

だが、この発言が間違いだった事に気づいた時は、時すでに遅し。

マ「えっ!エルザ、ア・・・じゃなくて、あの人の事好きなのォッ!?皆ァ~、エルザ」

エ「マヤ、それ以上言い触らすのならば・・・」

私は別空間から剣を取り出す。

マ「言う訳無いじゃ~ん♪ほんの冗談だよ~♪」

マヤはウィンクをする。マヤが言うと冗談に聞こえない気がするのは私だけか・・・?私はしばらくマヤの顔を見つめてから、剣を別空間に戻した。

マ「でも、アテ・・・じゃなくて、あの人の事が“好き”っていうのは、本当みたいだね。」

エ「///////////////」

自分でも分かった。
今、自分の顔は真っ赤だという事を―――――。

エ「そ、そういうマヤは・・ナツの事をどう思っているんだ?」

アイツの事から話を逸らす為に、私はずっと気にかけていたマヤとナツの関係を話題に持ち込んだ。
次の瞬間、マヤは顔が真っ赤になり、両耳から汽車のように煙を噴出していた。この様子だと、図星だな。

マ「エ、エルザ・・・この事は、2人だけの秘密にしよう!ぜぜぜぜ絶対だよっ!」

早口でそう言い残すと、マヤは風のような速さでギルドを飛び出して行った。

エ「2人だけ・・・か。」

その言葉が少し可笑しくて鼻で笑ってしまった。マヤ、お互い頑張ろうではないか。

************************************************************************************************************

                      『ここからマヤ目線で書いていきます。』

エルザに冷やかされて慌ててギルドを飛び出して、前を見ずに無我夢中で走り回ってたら、いつの間にかギルドの裏庭にある木の前にいた。私はその木に寄りかかり木の下にしゃがみ込む。
エルザの言ったとおり、私はナツの事が好き。
何で好きになったのかは分からないけど、気づいたら好きになっていた。し、しかも、初恋・・・///////////////////////私は人の恋話(こいばな)を聞くのは「超」がつくほど大好きなんだけど・・・自分の恋話(こいばな)をした事は一度もないんだよねぇ~。

マ「・・・何でエルザ、分かったんだろう?私がナツの事が好きって?」

まだ誰にも言ってないのに、変だなぁ~?もしかして、他の人も知ってるのかな?ナツも知ってたらどうしよう~!その時、

ナ「何してんだマヤ?」

マ「ひょーーーっ!」

当の本人であるナツとハッピー登場!やっぱり人って、噂をするとどこからともなく忍者のように現れるんだな。

ハ「どうしたのマヤ?「ひょーーーっ!」なんか言っちゃって?ついに頭壊れた?」

マ「大丈夫!私の頭はいつもパワー全快なんだよっ!壊れるはずがないっ!」

ハ「それってつまり壊れているんじゃ・・・?」

細かい事は気にしない気にしな~い♪

ナ「まっ、とにかくギルドに入ろうぜ。」

ナツが私の手首を摑む。

マ「あ、うん////////」

ハ「でぇきてるぅ~。」

ナ&マ「できてないっ!」 
 

 
後書き
第11話終わり~!
いやぁ~、まさかこんな展開になるとは・・・
今回はちょっとお話が短いです。スミマセン・・・
次回は・・・う~ん、どう説明したらいいか分からないので、次回までお楽しみにっ! 

 

第12話 記憶の傷跡

 
前書き
ヘイヘイヘイ!紺碧の海だよっ!
今回はちょっとシリアス・・・かな?
そして、アテラス(本名じゃないけど)目線で書きたいと思います。
それでは、第12話・・・スタート! 

 
ここはとある森の奥深く。俺はこの森を“安らぎの森”と呼んでいる。その名のとおり、ここに来ると不思議と心が安らぐんだ。何でかは、俺にも分からない。で、俺がどうしてここにいるのかと言うと・・・

ア?「でぇりゃアアァァアッ!」

一言で言えば修行だ。
意外かも知れないけど、俺は手品師(マジシャン)でもあり、魔道士でもある。5年程前からマジックに熱中しすぎて魔力が衰えちゃったんだ。今年からは手品師(マジシャン)を辞めて、魔道士として過ごす事にしたんだ。つまり、この間のTrick Wanderlandでの公演が最後の舞台(ショー)だったという訳だ。客も大勢来てくれてよかったよ。

ア?「やアアアアアアッ!」

だが、肝心の魔力は全く上がらず、10分程度で魔力が限界になってしまう。俺は呼吸を整える為、地面に仰向けになり空を見上げた。
鳥のさえずりが聞こえる。風が吹き、額に滲んだ汗を乾かしていく。

ア?「ハァ・・ハァ、こ、このままじゃ・・・ハァ・・ハァ、ぜ、全然・・ダメ、だ・・・ハァ、ハァ・・・ハァ・・・・」

その時、俺はある事を思いだした。
Trick Wanderlandでの公演が終わってすぐに、7~8人ほどの観客と、なぜか背中に羽の生えた猫2匹がやって来た。その何人かが腕や肩、手の甲などにマークのようなものがついていた。俺の記憶が正しければ、間違いない。あれはマグノリアにある唯一の魔道士ギルド、妖精の尻尾(フェアリーテイル)のギルドマークだっ!
妖精の尻尾(フェアリーテイル)は噂に名高く、数々の依頼をこなしているギルドだが、数々の問題を引き起こしているギルドでもあり、評議委員も頭を抱えているお騒がせギルドだ。
でも、ギルドに加入している魔道士は皆、お互いを家族のように慕っていて、楽しく仲良く過ごしている。

ア?「家族・・・か。」

その時だった。

ズギッ!

ア?「うぐっ!・・・あぁ・・ぅぁぁ・・・・ぐわあああぁぁあああぁあああああっ!」

突然、右腕に強烈な痛みが襲ってきた。・・ま、また・・・かよ・・・!
その時、俺の脳裏に幼い頃の記憶が鮮明に蘇った。



小さな木の家に住む、楽しそうに笑う幼い頃の俺と父さんと母さんの姿―――――。



ドアを蹴破り、剣や銃、槍や斧を持ち、家の中に入って来た大勢の人間の姿―――――。



父さんと母さんに襲い掛かる大勢の人間の姿―――――。



必死に抵抗する父さんと母さんの姿―――――。



部屋の隅で怯え、震え、泣きじゃくる幼い頃の俺の姿―――――。



部屋中に飛び散る鮮血―――――。



床に倒れ込む父さんと母さんの姿―――――。



幼い頃の俺を殺そうとする大勢の人間の姿―――――。



死に物狂いで走り続ける幼い頃の俺の姿―――――。



1人の男が放った黒光りする銃弾―――――。



放たれた銃弾が、幼い頃の俺の右腕を掠り、辺りに鮮血が飛び散る―――――。



ア?「あぁ・・!ぁぁあ・・・!」

体全身が激しく震えだす。胸が苦しくなり、吐き気が襲う。めまいが襲い、視界が揺らぐ。麻痺し、手や足の感覚を失う。ドクンッドクンッドクンッと、心臓の脈打つ音が速くなる。
俺は仰向けからうつ伏せになり、地面に生えていた草を掴む。

ア?「・・ぅ・・・ぅぁああ・・・!ぅ、ぅぎ・・・・!ぐああぁあああぁぁぁああああああああああああっ!」

“安らぎの森”に、俺の悲痛な叫び声が響き渡った。

*************************************************************************************************************

ア?「ハァ・・・ハァ・・ハァ・・・・ハァ・・ハァ・・・ハァ・・・・ハァ・・ハァ・・ハァ・・・ハァ・・・・ハァ・・ハァ・・・・ハァ・・・ハァ・・ハァ・・・・・」

やっと痛みが収まった時には、冷えて乾いたはずの汗が再び溢れ出し、俺は汗でびしょびしょだった。俺は呼吸を整える為にまた地面に仰向けになった。
この痛みの原因は、俺が幼い頃に負った火傷の跡だ。俺はこの火傷の跡を“記憶の傷跡”と呼んでいる。この傷跡のせいで、俺は14年間苦しんできたんだ。なぜかは・・・言えないな。
そういえば、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士は皆、俺みたいな・・・いや、俺以上に、悲しくて、辛い過去を背負って生きている人がいるんだよな。だったら、俺の事、信じてくれるのかな?

ア?「ハァ、ハァ、ハァ・・妖精の(フェアリー)・・・尻尾(テイル)・・・か。・・・よしっ!」

俺は起き上がるのと同時に決心がついた。



妖精の尻尾(フェアリーテイル)に入る事をっ!



アイツ等なら、信じる事が出来るはずだ。いや、絶対に信じれるっ!こんな感情を持ったのは、シラカバの街の人達以来だ。
それに、Trick Wanderlandの時に出会った緋色の髪に、なぜか鎧を身に着けた俺と同い年くらいの彼女に、俺は一目惚れをしてしまった。し、しかも、初恋だ・・・/////////////////こ、これが、恋ってものなのか・・・//////////////////
確か、妖精の尻尾(フェアリーテイル)のギルドがあるマグノリアは・・・この森を抜ければすぐだ。近くて助かる。

ア?「よしっ!行くか。」

俺は荷物をまとめてマグノリアにある唯一の魔道士ギルド、妖精の尻尾(フェアリーテイル)を目指して歩き出した。



この道が、俺の新たな道の最初の1歩だという事に、俺はまだ、気づいていなかった。 
 

 
後書き
第12話終了だよ!
ここでアテラス(本名じゃないけど)の説明をします。
彼は14年前に両親を闇ギルドに殺されたんです!彼の目の前で・・・ですが、これには深い訳があるんです。彼があまり人に接しないのは過去に関係があるんです。右腕の傷跡はこの時にできたものです。先のはねた黒髪に、鮮血のような赤い吊り目が特徴の青年です。
次回は彼が妖精の尻尾(フェアリーテイル)にやって来る!
お楽しみに~! 

 

第13話 本当の名前

 
前書き
紺碧の海です!
今回は、また新たなメンバーがやってきました!まぁ、もう分かってると思いますが。
エルザ様目線で書きますよ。
それでは、第13話・・・スタート! 

 
今、ギルドの扉の前には1人の青年が立っている。
先のはねた黒髪に、鮮血のような赤い吊り目、白いトレーナーの上に黒いベストを羽織り、今流行の青いジーンズ、よごれ1つない赤いスニーカーを履いている、間違いない・・・!

エ「アテラスッ!」

私の声にアテラスが驚いた。

ナ「・・・って、誰だ?」

ズコッーーーッ!と、ナツ以外の最強チームのメンバー全員が揃ってコケた。

マ「だ、誰って・・もう忘れたのぉっ!?」

ハ「ナツの記憶力はショボいもので。」

相変わらずだな・・・

ル「ほら、Trick Wanderlandで手品(マジック)を見せてたアテラス・カンクスよ。まぁ、本当の名前じゃないけど。」

ナ「あ~、テラス・スカンクか。あの赤い吊り目だな」

リョ「アテラス・カンクス。それ、前も言ってたぞ。」

グ「つーか、お前も吊り目じゃねェか。」

ユ「ナツらしいね・・・」

ウェ「あ、あの、皆さん、アテラスさんが困ってますけど・・・」

シャ「少しは相手の事を考えなさいよ。」

シャルルの言うとおりだ。

ナ「よぉ!久しぶりだなっ!」

ア?「えっと・・・誰だっけ?」

ズコッーーー!と、今度はナツも含めた最強チームのメンバー全員が揃ってコケた。本日2回目だ。

ア?「あ、ゴメン。えーっと、ナツ・・・だっけ?」

ナ「おぅ!覚えてんじゃねぇか。」

ア?「いや、自信がなくて・・・ルーシィにリョウ、グレイにユモ、エルザにマヤに、ウェンディ、ハッピー、シャルル・・・で合ってる?」

思い出すかのように呟くアテラスの言葉に私達は頷く。

マ「で?どうしたの?何か用?」

ア?「うん。実はこのギルドに加入しようかなって思って。」

ナ&エ「本当かっ!?」

ア?「う、うん。そ、そうだよ。2人とも、か、顔が近い。」

ハッ!

エ「す、すまない/////」

ア?「う、うん。大丈夫/////」

ハ「でぇきてるぅ~。」

エ「ハッピー・・・・・」

ハ「ゴメンナサイッ!」

ハッピーが空中で土下座・・・いや、この場合は空下座(くうげざ)だな。やれやれ。小さいため息をついていると肩を叩かれた。振り向くとマヤがいて、耳元で小声で、

マ「よかったね。」

と言った。私の顔は髪の色と同じくらいに真っ赤になっていたと思う。

***********************************************************************************************************

その後、アテラスはミラにギルドマークのスタンプを押してもらった。

ウェ「アテラスさんはどんな魔法を使うんですか?」

ア?「その前に、以前言っただろ?「アテラス・カンクスは俺の本名じゃない」って。」

ユ「じゃあ、本当の名前は?」

マ「もう教えてくれてもいいでしょ?私達もう仲間なんだから、信用してるって事でしょ?」

皆アテラ・・・いや、彼が口を開くのをじっと待っている。



ショ「俺の本当の名はショール。ショール・ミリオンだ。」



全「ショール・ミリオン?」

名前までカッコイイな・・・って!私はいったい何を言っているのだっ!私は慌てて頭をブンブンと左右に勢いよく振り、両頬をペチペチと叩く。

ル「ど、どうしたのエルザ?」

エ「!い、いや、なんでもない・・・」

ル「?」

危ない危ない。危うくばれる寸前だった。

グ「で、さっきのウェンディの続きで、お前の魔法はなんなんだよ?」

グレイが話を進める。

ショ「俺の魔法は手品(トリック)能力系(アビリティ系)の魔法だ。主に攻撃か、サポートを得意とする魔法だ。」

リョ「へぇ~、珍しい魔法を使うんだな。さすが手品師(マジシャン)ってとこだな。」

ハ「どんだけ珍しいの?」

リョ「手品(トリック)は、手品師(マジシャン)の者でしか使用できない特殊な魔法だ。」

ほぉ~、ショールもなかなかの腕の魔道士のようだな。

ナ「おっしゃ~!アテ・・・じゃなくてショール!俺と勝負し」

ショ「悪いが断る。」

ル「即答ォ!?」

ナツの誘いをこうもあっさり断ったのはショールが初だぞ。

ショ「俺さ、魔道士として過ごすのは10年ぶりなんだよな。」

全「10年!?」

揃いも揃って驚嘆の声を上げる。

リョ「じゃあ、今までずっと手品師(マジシャン)として活躍してたのか?」

ショ「まぁ、簡単に言えばそうなる。」

エ「つまり、魔道士としてなれるまでもう少し時間が欲しいという事だな。」

ショ「そのとおりだ。」

ナ「ちぇっ、つまんねェの。」

マ「勝負が出来ないくらいですぐに不貞腐れないの。」

ハ「あいっ!」

本当にお前は勝負が好きだな。

ウェ「魔力などを上げるならクエストが一番ですね。」

シャ「そうね。」

流石ウェンディ、ナイスアイディアだ。

ユ「あ、じゃあちょうどいいクエストがあるんだけど、皆で行ってみない?」

ユモがワンピースのポケットから【幽霊屋敷の怪物を倒してほしい 75万J】という依頼の紙を取り出した。

グ「お前、この依頼1人でやろうとしたのかっ!?」

ユ「そうだけど、何か問題でも?」

さ、流石ユモだな。

ル「私、こんな不気味な依頼1人じゃ絶対無理ッ!」

リョ「安心しろよ、俺がいるって。」

ル「そ、そうね・・・」

リョウ、ルーシィにドン引きされてるぞ。

ショ「俺、いきなりこんな難しそうなクエストに行って大丈夫かな?」

エ「心配はいらん。私達皆で行くんだ。困った時はいつでも助ける、それが仲間というものなのだ。」

ショ「そうだな。ありがとうエルザ。お陰で少し自信がついた。」

よしっ!ショールに喜んでもらえたぞ。私は心の中でガッツポーズ!

リョ「んじゃ、明日このクエストに皆で汽車で行くって事で決まりだな。」

ウェ「分かりました。」

ナ「き、汽車・・・おぷ・・・」

マ「想像して酔わないでよ~。」

ハ「それがナツです。」

相変わらずだなナツは。そう思っていると肩を叩かれた。またマヤか、と思いながら振り返ると、そこにはマヤではなく、

エ「ショ、ショショ、ショール!」

ショ「エルザ、明日よろしくね。」

エ「あ、あぁ。こちらこそ・・・///////////////」

やばい、体が熱い・・・

ショ「エ、エルザ!は、鼻血・・・!」

エ「え・・・あ、あぁ・・・」

バタッ!!

ショ「エルザ!?エルザ!エルザ!」

私は嬉しくて、恥ずかしくて、そのまま倒れてしまった。ふふふっ、明日が楽しみだ。 
 

 
後書き
第13話終了です!
やっと本名が分かりましたね。ショールをよろしくお願いします!最後にエルザが倒れたのには書いている作者も笑ってしまいました。
次回は幽霊屋敷にやって来たショールを新たに加えた最強チームの9人+2匹。ここでまたまた新たな仲間が登場!次回が最後のオリキャラです。お見逃しなく!
それではまた次回! 

 

第14話 幽霊屋敷の少年

 
前書き
ボンジュール(笑)紺碧の海です。
今回は幽霊屋敷!?そこでまさかの出会いが―――!?
初のウェンディ目線で書きます。張り切っていきますよ~♪
それでは、第14話・・・スタート! 

 
ガタガタガタガタガタガタ、シュポーーーーーッ!

ナ「ぅぷ・・・き、気持ち、悪ィ・・・・」

マ「大丈夫?」

ル「毎度毎度、大変ね・・・」

ショ「ナツって、汽車酔いするの?」

エ「乗り物全部だ。」

ショ「へぇ~。」

ナツさんの顔色が、紫から青、青から緑とどんどん変わっていきます。

リョ「すっげェ~、イルミネーションみてェだ。」

ル「リョウッたら、ナツで遊んだらダメよ。」

リョ「ナツで遊んだらダメだぞグレイ。」

グ「俺まだ何にもしてねェよっ!」

ユ「まぁまぁ。」

こんな他愛もない話をしているうちに、汽車はどんどん進んでいき、幽霊屋敷がある街、ビバンの街に到着しました。

***************************************************************************************************************

ウェ「うわぁ~!」

ル「うぅ・・・」

ナ「ぅぷ・・・ま、まだ、着か、ねぇのか・・・・?ぉぷ・・・」

マ「もう着いてるよ。」

ハ「あい。」

私達は今目的地の幽霊屋敷の扉の前にいます。レンガ造りの建物に、窓ガラスは割れていて、あちこちに蜘蛛の巣が張られ、庭の雑草は1mくらいの長さまで伸びています。

エ「依頼主の話だと、もう3年くらいこの家に近づいた者はいないそうだ。」

リョ「でも、1週間くらい前に誰もいないはずの屋敷から声が聞こえたり、赤と青の火の玉のようなものがふわふわ飛んでいたり、白いものが飛んでいたり、誰もいないはずの屋敷内から物音が聞こえたりっていう目撃情報が100件以上届いてるらしいぜ。」

100件もですかぁっ!?

ウェ「ユ、ユモさん、よくこんな依頼に1人で行く気になれましたね。」

ル「ホント、すごいわね。」

ユ「もし、幽霊じゃなくて、本当に誰かがここから出入りしてると思うと、面白そうで。」

グ「それを「面白い」って言うお前もすごいけどな。」

笑顔で言うのもすごいです。

ショ「どうするんだエルザ?」

エ「まずは中に入ってみないとな。」

ル&ウェ「えぇ~~~。」

シャ「そんな情けない声を出してるから、余計に「怖い」って思っちゃうのよ。」

うぅ・・・シャルルはすごいなぁ。

ナ「よ~し!ここは作戦Tだっ!行くぞハッピー、マヤ。」

ハ「あいさ~!」

マ「OK!」

えぇっと、まさか・・・

ナ&ハ&マ「どぉりゃアアアアアッ!」

作戦Tとは、ナツさん曰く「突撃のT」らしいです。バァンッ!と凄まじい音を立てて、ナツさんとハッピーとマヤさんのお陰で、扉は勢いよく開きましたけど・・・見事に扉は破損しちゃいました。エルザさんは黒いオーラを剥き出しにして、

エ「お前達・・・いい加減にしろーーーーーっ!」

ナ&ハ「あいーーーーーっ!」

マ「ほぉ~い。」

怒り剥き出しのエルザさん相手に平然としていられるなんて・・・!マヤさん、すごいです・・・!
恐る恐る屋敷の中に入っていきました。幽霊屋敷の中は大きな振り子時計がチクタクチクタク動いていたり、今にも動き出しそうな人物画があちこちに飾っていたり、シャンデリアが音もなく揺れていたり、ボロボロの赤いカーテンが、割れた窓から吹き込んでくる風で揺れていたりしました。
でも、一番気になったのは―――――、

リョ「何で蝋燭の火が点いてるんだ?」

そうなんですっ!誰もいないはずなのにどうして・・・?

グ「本当に誰かが住んでいたりしてな。」

ル「ちょっと!変な事言わないでよ~。」

ユ「面白い事言うんだね。ていうか服は?」

グ「おおぅ!」

グレイさん、変な冗談は止めて下さ~い!

エ「グレイが言った事、もしかしたら当たってるかもしれないぞ。」

ル「えぇっ!?」

ショ「どこからか、妙な魔力を感じる。」

ル&ウェ「ひぃーーーーーっ!」

マ「もしかして幽霊!?ヤッタ~♪」

ル「何で喜ぶのよぉっ!?」

ルーシィさんがマヤさんにツッコンダその時、

ハ「うわぁっ!」

ウェ「ハッピー!?」

ナ「どうしたハッピー!?」

ハ「ナ、ナツ・・・あ、あれ・・もしかして・・・・!」

ハッピーが指差した先には白くてふわふわ宙を飛んでいる、幽霊―――――。

ショ「うわぁっ!」

今度はショールさんの声です。

エ「どうしたショール!?」

ショ「あ、あれ・・・!」

ショールさんが指差した先にはふわふわと宙に浮かんでいる、赤と青の火の玉―――――。

ル「キャアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!」

ルーシィさんの悲鳴が屋敷内に響き渡ったその時、

?「皆、どうしたの?」

聞き慣れない声がして慌てて振向くと、いつの間に現れたのか、私達の背後に1人の男の子がいました。
羽織っている、黒くて長いローブのフードを被っていて顔がよく見えません。幽霊と火の玉はその男の子のところに集まりました。もしかして、あの人も幽霊なんでしょうか?で・・でも、足はちゃんと、ありますね。
男の子は視線を私達の方に移し、ハッ!とした顔をすると、困ったように幽霊と火の玉を見つめまた私達の方に視線を移すと、私達に向かって頭を下げました。

?「あ、あの、もしかしてこの子達が何か仕出かしてしまいましたか?仕出かしてしまったのならスミマセン!この子達は悪気があってやったんじゃないんです。どうか、許していただきませんか?」

どうやら幽霊じゃないみたいですね。よかったぁ~。それにしても、礼儀正しすぎますっ!

マ「ウェンディが言ってもねぇ・・・」

へっ?

エ「もしかして、お前が今噂になっている怪物(モンスター)か?」

ショ「怪物(モンスター)?」

グ「何だそりゃ?」

ル「リョウ、怪物(モンスター)って?」

リョ「最近、「幽霊や妖怪と喋る事が出来る魔道士がいる」っていう噂があるんだ。誰が命名したか分からねェけど、その魔道士の異名が怪物(モンスター)って言うんだ。評議院の間じゃあ、今はめちゃくちゃ話題になってるぜ。」

幽霊や妖怪と喋るっ!?す、すごい能力ですね。

ト「よくご存知ですね、光栄です。僕はトーヤ、トーヤ・ファインという者です。そちらの方が今仰ったとおり、怪物(モンスター)というのは僕の異名です。以後お見知り置きを。」

トーヤさんは自己紹介をすると、被っていたローブのフードを取りました。銀色のクセ毛の髪の毛に、夜景のような綺麗な紫色の瞳。とても穏やかな瞳で私はつい見惚れてしまいました。

ナ「俺はナツだっ!こっちは俺の相棒の・・・」

ハ「ハッピーです!」

マ「私マヤだよっ!よろしくねっ!」

リョ「俺はリョウ。ルーシィの」

ル「私はルーシィ。よろしくね。」

リョ「いててててててっ!」

ルーシィさんがリョウさんの耳を引っ張ります。い、痛そうです・・・

グ「俺はグレイ。よろしくな。」

ユ「私はユモス。「ユモ」って呼んでね。」

エ「私はエルザだ。」

ショ「俺はショール。よろしくな、トーヤ君。」

ウェ「ウェンディです。こっちは・・・」

シャ「シャルルよ。」

ト「えっと、皆さんよろしくお願いします。」

礼儀正しすぎますよっ!

マ「だから、ウェンディが言っても・・・」

へっ?

ナ「トーヤ、俺と勝負しろっ!」

早速ナツさんがトーヤさんに勝負を挑んでいます。

ト「えっと、僕は構いませんが、場所を変えていただきませんか?」

ル「それじゃあギルドでやりましょ。」

エ「その前に依頼の報告をせねばな。」

リョ「よぉ~し、んじゃギルドに帰るかっ!」

私は幽霊屋敷を出る時に、

ト「じゃあ、また明日来るからね。」

小声で呟いているトーヤさんの声が聞こえました。 
 

 
後書き
第14話終了!
これでオリキャラのメンバーは全員揃いました。
次回はナツとトーヤのバトルです。ずっと負けているナツは勝つ事が出来るのか?そしてトーヤの魔法とは?
それでは次回! 

 

第15話 怪物召喚

 
前書き
こんにちは~♪紺碧の海で~す♪
今回はナツとトーヤの勝負です。トーヤの魔法はいったい!?そしてナツは久々に勝つ事が出来るのかっ!?
トーヤ目線で書きたいと思います。
それでは、第15話・・・スタート♪ 

 
僕が今いるのはマグノリアにある唯一の魔道士ギルド、妖精の尻尾(フェアリーテイル)のギルド前です。ここで今からナツさんと勝負します。それにしても・・・初対面の人とバトルなんて人生初です。しかも、ナツさんはかなり燃えています。す、すごく強そうです・・・!
審判は僕より背の低いおじいさん。話によると、妖精の尻尾(フェアリーテイル)のギルドマスターのマカロフさんという方だそうです。

マ「それでは、始めィッ!」

ナ「先手必勝ッ!火竜の・・・咆哮ッ!!」

ト「あわわわわっ!」

マカロフさんの合図とほぼ同時に、ナツさんが口から炎を噴出しました。こ、これは滅竜魔法!噂で聞いてましたが、ここまでとは・・・!す、すごい破壊力です・・・!もう少しで直撃してしまうところでした。

ル「関心してどうすんのよっ!」

あ、そうでした。僕も戦わないといけませんね。
僕は左手を胸の前に置いて、

ト「我と、心を通わせ、姿を現せ!出て来い!透明人間!」

呪文のようなものを唱えると、僕の左手の甲に何本もの黒い線が浮かび上がり、それと同時に空中に紫色の魔法陣が浮かび上がり、すぐに消えてしまいました。

リョ「あの魔法・・・まさか!」

マ「どうしたのリョウ?素っ頓狂な声上げちゃって?」

リョウさんとマヤさんの会話が聞こえます。
実は僕、通常の人間よりも耳が優れていて、10mほど離れたところの音や声も聞こえるんです。

リョ「俺の目と記憶が正しければ、トーヤの魔法は怪物召喚(モンスターズ)という魔法だ。異世界から契約した怪物を召喚して戦う所持系(ホルダー系)の魔法なんだ。簡単に言えば、マヤの動物召喚(アニマルズ)怪物(モンスター)バージョンって事だ。」

エ「つまり、マヤと同じ召喚系の魔法、という訳か。」

ウェ「そんな魔法があるんですか?」

グ「初耳だな。」

リョ「当たり前だ。」

リョウさんがゆっくりと目を閉じたのが分かりました。





リョ「怪物召喚(モンスターズ)は、失われた魔法(ロスト・マジック)の1つなんだからな。」





ル「失われた魔法(ロスト・マジック)!?」

ルーシィさんの驚いた声が聞こえました。驚くのも無理はありません。僕のような子供が、失われた魔法(ロスト・マジック)を扱っているのは珍しい事ですからね。

ト「よくご存知ですね。流石聖十大魔道のリョウさんです。」

リョウさんが言ったとおり、この魔法は失われた魔法(ロスト・マジック)。そして・・・



()()()()使()()()()()()でもありますから―――――。



ナ「で?お前今何を召喚しぐわぁっ!」

ル「えぇ~!?」

ハ「ナツが吹っ飛んだぁ~!?」

「何を召喚したんだ?」と問おうとしたナツさんが見事に吹っ飛びました。流石透明人間!強いです!

ナ「いってェ・・・な、何だ?気配も魔力も感じなかったぞ。」

そりゃあそうですよ。()()()()なんですから。

エ「ナツが滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)で、いくら目や鼻や耳がよくても、気配や魔力が感じないのなら、この勝負はナツの方が不利だな。」

ショ「面白くなってきたな。」

ショールさん、これからもっと楽しくなると思いますよ。

ナ「おっ!なんだこのにおい?初めてかぐにおいだっ!」

ト「え?」

ユ「どんなにおいなの?」

ナ「よく分かんねぇけど、分かんねぇにおいだ。」

シャ「アンタの言ってる事も意味分かんないわよ・・・」

ハ「それがナツです。」

滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)(ドラゴン)のように視力、聴力、嗅覚が優れていると聞いた事がありますが・・・あれは本当だったんですね。

ナ「このにおい、たぶん透明なんちゃらって奴のにおいだ。」

ト「えぇっ!?」

僕でも分からないお化け達のにおい・・・ナツさんには、分かるんですね。お化け達のにおいっていったいどんなにおいなんでしょうか?

ナ「・・・そこだぁ~!火竜の・・・鉄拳ッ!!」

ト「あっ!」

皆さんには見る事が出来ませんが、僕には見えます。ナツさんの攻撃が今、透明人間のお腹に直撃して、透明人間が倒れたところを。

ト「お疲れ様、ゆっくり休んで。」

透明人間は消えてしまいました。て言っても、僕にしか見えないんですが。

ナ「これで止めだっ!火竜の・・・鉄拳ッ!!」

ト「!」

もう負ける!と思った瞬間、

マ「そこまでェッ!」

ナツさんの炎を纏った拳が僕の顔スレスレの位置のところで、審判のマカロフさんがバトルを中断しました。

ナ「何で止めんだよじっちゃん!」

マ「ナツ、相手はウェンディと同い年くらいの男の子だぞ。少しは手加減せんかっ!」

ナ「・・・・・」

マカロフさんの言ってる事が正論だと理解したナツさんですが、不貞腐れてしまいました。

マ「ところで、トーヤじゃったな?よければこのギルドに入ったらどうかのぉ~?」

ト「え・・・!」

ル「賛成!」

マ「トーヤは?」

僕はしばらく考えてから、

ト「み、皆さんが迷惑じゃなかったら、入ります。」

マ「おし!決まりじゃの。」

ト「お世話になりますっ!」

僕はその後、ミラさんという方に、ギルドマークのスタンプを右腕に押してもらいました。 
 

 
後書き
第15話終了。
トーヤはあっ!!っと驚くような過去を持っています。
次回はトーヤも新たに加わった10人と2匹の最強チームで、闇ギルド討伐へっ!
お見逃しなく! 

 

第16話 月の涙

 
前書き
ボンジュール!紺碧の海です!
今回は最強チーム10人+2匹で闇ギルド討伐へ!
今回は久々のマヤ目線で書きます!
それでは、第16話・・・スタート! 

 
マ「ど・れ・に・し・よ・う・か・な・ほ・う・お・う・さ・ま・の」

ヤッホ~♪マヤだよ~♪えっ?私が今何をしてるかって?
私は今依頼板(リクエストボード)と睨めっこ中。大分ギルドにも慣れてきたから、そろそろ1人で仕事に行ってみようかなぁ~?と思って。で、依頼を選んでる最中なんだけど・・・たくさんありすぎてどれにしようか困っていた&迷っていたんだ。

マ「ゆ・う・と・お・り!これだっ!」

決まった依頼を依頼板(リクエストボード)から取ろうとしたら、私の手の上に誰かの手が重なった。ガッシリとしてて、私の手より遥かに大きい。振り向くと、

ナ「ん?マヤじゃねぇか。」

マ「うわぁっ!」

ナナナナナナナナナナツッ!?わわわわわ、こ、興奮しすぎて・・か、噛みすぎ、た///////////

ハ「マヤとかぶっちゃったねぇ~。」

ナツの肩に乗っているハッピーが依頼用紙を覗き込みながら人事のように呟く。

ナ「お前もこの依頼、やりたいのか?」

マ「う、うん////////まぁ////////」

ドクンッ、ドクンッ、ドクンッと心臓の音が耳元で聞こえる気がする。ヤ、ヤバい////////・・・心臓が爆発しそうだよぉ~//////////////

ナ「よしっ!この依頼、皆でやろうぜっ!」

マ「えっ?」

皆って、最強チームの皆の事?

ナ「他に誰がいるんだよ。んじゃ、俺皆に伝えてくるわ。マヤもユモやウェンディやシャルルに伝えてくれ。準備が出来たら駅に集合なっ。お~い!ルーシィ~!バカアホリョウ~!」

ナツとハッピーは依頼用紙を手に持ったままルーシィとリョウの方に行っちゃった。私は1人で行こうと思ってたんだけど・・・まぁ、いっか。

マ「お~い、ユモ~!ウェンディ~!シャルル~!」

私はナツに言われたとおり、ユモとウェンディとシャルルをを呼びに行った。

************************************************************************************************************

ナ「うぅ・・き、気持ち、悪ィ・・・おぷ・・・・」

ハ「ナツ、大丈夫?」

私達最強チームは馬車の中にいるよ。もちろん、ナツはこのとおりグロッキー状態だけどね。

エ「なるほど、【闇ギルド、月の涙(ムーンティア)の討伐 150万J】か。」

これが今回の依頼内容。
リョウの話によると、月の涙(ムーンティア)は最近できた闇ギルドで、あまり耳にしない魔法を使う魔道士が5~6人いるだけの小さな闇ギルドだけど、1人で街を1つくらい消しちゃうくらい強力な魔道士ばかりいるギルドらしいんだ。

ル「そんな化け物みたいな魔道士が5~6人もいるのぉっ!?月の涙(ムーンティア)っていうギルドって、どんだけ強くてヤバいのよ~!?」

確かに、強い奴ばかりいて、ヤバい奴がいるみたいだけど、化け物なのかなぁ~?

リョ「安心しろって。いざっていう時は俺が助けてやるよ。」

ル「あ、う、うん・・・」

ルーシィは曖昧に微笑んで曖昧に頷く。頼りがいがあるようなないような・・・まぁ、あぁ見えてリョウは聖十の1人だから大丈夫だよ。・・・たぶん。

ト「月の涙(ムーンティア)のマスターさんの名はシャイン・スターというらしいですよ。」

直訳すると、“輝く星”・・・随分ド派手な名前だね。

ショ「確か、星の造形魔法の使い手だったよな。」

シャインっていう人、星が好きなのかな?

ウェ「星の造形魔法は失われた魔法(ロスト・マジック)だそうです。」

マ「そんな造形魔法あるの?」

グ「俺は知らねェな、そんな造形魔法。」

ユ「私も知らない、初めて聞いたよ。」

私の問いにグレイとユモは左右に首を振る。造形魔道士のグレイとユモも知らないなんて・・・何か面白そう!そう思ったその時、キキィーーーッ!と耳をつんざくような音を響かせながら馬車が急停止した。

マ「うわぁっ!」

私はその反動で勢いよく前に倒れた。

マ「い、たたたた・・・」

ぶつけた頭を摩りながら起き上がる。すると、下から「うぷ・・・」と情けない声が聞こえた。下を見てみると、私は顔が真っ青なナツの背中の上に馬乗り状態になっていたの。

マ「あわわわわっ!ご、ごめんナツ!だ、大丈夫?」

ナ「お、おぉ・・・だ、大・・丈、夫・・・うぉぉ・・・」

ハ「ナツ、顔が青いよ。」

ナ「へ・・平、気だ・・・・うぷ・・・」

強がってるみたいだけど、大丈夫そうには全く見えないんだけど・・・他の皆も至る所に頭をぶつけたみたい。

エ「な・・何事だ。」

すぐさまエルザが馬車から降りて運転士に事情を聞いている。

運「ス、スミマセン。ここから先はとても行けません・・・この道をまっすぐ行けば、月の涙(ムーンティア)のギルドはすぐですので。そ、それじゃあ。」

早口でそう言うと運転士は馬車を走らせて帰って行った。

ショ「相当月の涙(ムーンティア)を恐れているんだな。」

腕を組み、馬車を見送りながらショールが呟いた。

ウェ「月の涙(ムーンティア)の魔道士って、いったいどんな人達なんだろう・・・?」

シャ「想像も出来ないわね・・・」

変な怪人みたいな奴がいるんじゃない?こんなのとか。私は目が3つあって、手が4本、足が4本ある変な怪人を想像してみた。

ル「いや、絶対ないと思うわよ・・・」

ルーシィに否定された。
じゃあ、からくり屋敷みたいに、いろんな罠があるんだよ!今度は普通に歩いていたら、槍が飛び出したり、壁に触ると、くるりと回転して部屋の裏側へ行っちゃう部屋を想像してみた。

ユ「面白そうだけど、それもないと思うよ。」

今度はユモに否定された。これでもないなら・・・

リョ「もういいだろっ!」

リョウに怒鳴られた。まだ私何も言ってないのに~!

エ「とにかく、ここから先は歩いていくぞ。」

ナ「おっしゃ~!行くぞハッピー!」

ハ「あいさ~!」

ナツはハッピーと一緒に飛んで行った。ってあれ?

グ「アイツ、いつの間に復活したんだ?」

マ「さぁ?って、待ってよナツ!ハッピー!」

私達はナツとハッピーを追いかけて月の涙(ムーンティア)のギルドに向かった。 
 

 
後書き
第16話終了!
月の涙(ムーンティア)はちょっと不思議なギルドです。
次回は月の涙(ムーンティア)のギルドにやって来た最強チーム。討伐のはずが―――――!?
それでは17話でお会いしましょう! 

 

第17話 かくれんぼバトル

 
前書き
や~ま~ね~こ~ポーン♪紺碧の海で~す♪
今回は月の涙(ムーンティア)のギルドに突入!でも討伐なのに―――――!?
リョウ目線で書きたいと思います!
それでは、第17話・・・スタート♪ 

 
エ「・・・ここか。」

ショ「間違いねェな。」

俺達最強チームは今、月の涙(ムーンティア)のギルド前。木で出来た看板に、黄色いペンキで三日月が涙を流している絵が描かれているから間違いねェ。

エ「行くぞっ!」

ナ&ハ&マ「でぇりゃアアアアアッ!」

言うが早いが、エルザの合図と共にナツとハッピーとマヤが作戦Tに出た。
ルーシィの話によると、“作戦T”というのは突撃(TOTUGEKI)の頭文字の“T”らしい。見事に月の涙(ムーンティア)のギルドのドアは破壊され俺達はギルドに突入!ナツとハッピーとマヤはエルザに怒られてたけどな。自業自得ってやつだ。

?「まぁ、随分ド派手な登場ですね。」

中に入ると、セミロングの金髪に、藍色のスパンコールが付いた長いワンピースを着た女が立っていた。

グ「わざわざそっちから出迎えてくれるとはな。」

?「話は風の噂で聞いています。私達を討伐しに来たのですね。妖精の尻尾(フェアリーテイル)の皆さん。」

ト「そこまで知っているなら話は速いですね。」

ル「ところで、あなたは?」

ルーシィ、無闇に敵の名前を聞くのは止めといた方がいいぜ。ルーシィだから許すけど。

シャ「私はシャイン・スター。月の涙(ムーンティア)のギルドマスターです。」

ウェ「この人が・・・」

シャイン・スター。俺が想像してたのと随分違うな。てっきり俺は、巨漢で恐ろしい男みてェな女を想像してたんだけどな。

シャ「早速バトル!と、言いたいところですが・・・」

リョ「何だよ。逃げるつもりか?」

俺が軽く挑発すると、

シャ「とんでもない!せっかくの戦いを自分達から逃げる事は絶対にしませんよ。ただ、普通に戦ってもつまらないので、かくれんぼバトルなんてどうでしょう?」

かくれんぼバトル?

ナ「何だそれ?食いもんか?」

ユ「それ、本気で言ってるの?」

やっぱ、アイツはバカだな。

エ「・・・話を続けてくれ。」

シャ「え、えぇ。ルールは簡単。ギルド内やギルド周辺のどこかに私の仲間が隠れているわ。あなた達が鬼で、見つけたらバトルスタート!」

ショ「へぇ~、面白そうだな。」

マ「随分手の込んだバトルなんだね。」

ウェ「ちょっと、大変そう・・・」

ト「でも、楽しみながら戦えますね。」

エ「良いだろう。受けて立つ!」

エルザが言うなら仕方ねェな。

ナ「燃えてきたぞ~!」

グ「とっくに燃えてるだろ。」

リョ「だな。」

こんな調子で大丈夫なのか?

シャ「そろそろ、私も隠れないとね。お互い頑張りましょう。といっても、私達月の涙(ムーンティア)が勝ちますけどね。」

そう言い残し、俺達に向かってウィンクをしたシャインは姿を消した。最後のセリフにめちゃくちゃカチンッ!ときたけど。

エ「相手は闇ギルドだ。1人で行動するのは危険だ。2人ペアになって行動しよう。」

おっ!これはいい機会(チャンス)かもしれねェ!俺は風のような速さでルーシィの隣に回り込むとルーシィの手を掴んで、

リョ「俺はルーシィとがいいっ!絶対に守るからっ!」

ル「もう、仕方ないわね。」

よっしゃあああああっ!組み合わせは俺とルーシィ、ナツとハッピーとマヤ、グレイとユモ、エルザとショール、ウェンディとシャルルとトーヤというペアで手分けして探す事になった。

ナ「行くぞっ!ハッピー!マヤ!」

ハ&マ「あいさーっ!」

アホ3人組は相変わらずだな。

ウェ「ナツさん達、怪我しなきゃいいんですけど・・・」

シャ「あの3人なら大丈夫よ。」

ト「そうですね。それじゃあ、僕達もそろそろ行きましょうか。」

あっちは心配性のウェンディとトーヤだけど、シャルルがいるから大丈夫だな。

エ「行くぞショール!」

ショ「了解!」

ショール、エルザに振り回されなけりゃいいけど・・・たぶん大丈夫なはずだ。

グ「そんじゃ、俺達も行くか。リョウ、ルーシィに変な事するなよ。」

リョ「!わ、分かってるってそんくらいっ!」

グ「顔引き攣ってるぞ。」

な、何で・・図星の事当てるんだ・・・?グレイ、俺の心の中が見えるのか?

ユ「ルーシィ、()()()()()()()気をつけてね?」

ル「う、うん。」

どういう意味だよっ!?

ユ「リョウ、ルーシィに変な事したら、後でとびっきりの飛び膝蹴りを食らわしてあげるから、覚悟&楽しみにしててね。」

ユ、ユモ()()・・・?地味にエルザみたいに怒りの黒いオーラが出ている気がするんですが・・・?

ユ「分かった、リョウ?」

リョ「イ、イエッサー・・・」

ル&グ「・・・・・」

口は笑っているけど、ユモの青い瞳が笑っていない。俺とルーシィとグレイまでもがユモの言葉に震え上がった。あれを笑顔で言うユモもすげーな。ていうか、あの2人、地味に怖いな・・・

ル「グレイは地味かもしれないけど、ユモは地味じゃないわね・・・」

た、確かに・・・まぁとにかく、

リョ「俺達も行こうぜ。」

グレイとユモに見破られたけど、これくらいならいいだろ。

ル「ちょっ!何で手繋ぐのよぉっ!?」

リョ「良いじゃん良いじゃん♪」

手を繋ぐぐらいならユモだって許してくれるはずだ。・・・たぶん。

ル「もう・・・結構恥ずかしいんだからね////////////////」

赤くなってるルーシィもかわいい~♪やっぱり、()()()()だな・・・

ル「絶対に守るからって自分から言ったんだから、ちゃんと私を守ってよね。」

リョ「おう!任せておけって!」

俺はルーシィにVサイン。

ル「ほんとっ、ポジティブなんだから。」

リョ「それが俺、リョウ・ジェノロだーーーっ!」

俺はノリノリで月の涙(ムーンティア)の連中をルーシィと一緒に捜す事にした。 
 

 
後書き
第17話終了で~す♪
ふと思ったんですが、月の涙(ムーンティア)って、名前が月の雫(ムーンドリップ)に似てますよね。え?どーでもいい?そっか。
次回はウェンディ&シャルル&トーヤチームの初バトルです。どんなバトルを見せてくれるのか?
それでは18話でお会いしましょう。や~ま~ね~こ~ポーン♪ 

 

第18話 チェンジリングで大パニック!?

 
前書き
紺碧の海でございます
今回はウェンディ&シャルル&トーヤのチームがバトルです。でも、バトルの最中に悲劇が―――――!?
ウェンディ目線で書きたいと思います。
それでは、第18話・・・スタート! 

 
ウェ「トーヤさ~ん、いましたか~?」

ト「こっちにはいませ~ん。シャルル()()は?」

シャ「こっちにもいないわ。ていうか、私を「()()」付けで呼ばないでちょうだい。」

トーヤさんは誰にでも敬語で話しますからね。因みに、私とシャルルとトーヤさんはギルドを出て森の中を捜索中です。でも、全く見つかりません。

シャ「森の中にいないんじゃない?」

ウェ「そうだね。戻りましょう、トーヤさん。」

ト「・・・・」

ウェ「トーヤさん?」

シャ「ちょっと、聞いてるの?」

トーヤさんは1本の大きな木の上を見つめています。

ト「木の上に、誰かいます。」

ウェ&シャ「えっ!?」

えぇっと、木の上に月の涙(ムーンティア)の魔道士さんが隠れているって事ですか?私が問う前に、トーヤさんは左腕を胸の前におくと、

ト「我と、心を通わせ、姿を現せ!出て来い!ろくろ首!」

トーヤさんの左手の甲に模様が浮かび上がり、同時に空中に紫色の魔法陣が浮かび上がると、そこからピンク色の着物を着た女の人が姿を現しました。

ト「ろくろ首、あの木の上にいる人をちょっと脅かしてきてくれないかな?」

ろ「お任せを~。」

ろくろ首さんは首だけを伸ばして木の上に行ってしまいました。私もシャルルも呆気に取られて声も出ません。
その時、

?「ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」

ウェ&シャ「!?」

木の上から甲高い悲鳴が聞こえてきたかと思うと、ズサササササッ!ズドォォォン!と凄まじい音を立て、砂煙を巻き上げながら木の上から1人の女の子が落ちてきました。

ろ「久々に人間の子供を脅かす事が出来て、とても楽しかったです~。」

ト「ありがとうろくろ首。妖霊界に帰っていいよ。」

ろ「は~い~。」

ろくろ首さんは満足そうに頷きながら消えてしまいました。

?「あたたたた・・・い、今の、君の魔法?すごい魔法だね。」

落ちてきた女の子は打ち付けた腰を右手で摩りながら私達の方を振り返ります。女の子は15歳くらいで、黄緑色のおさげで、白雪姫に出てくる小人のような服を着ていました。

ミ「あっ!あなた達、月の涙(ムーンティア)を討伐しに来た妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士だね。私はミア・リトル。よろしくね♪出会ったからには、早速バトルだよ~♪」

なんだか、性格がマヤさんにそっくりです。でも、今はバトルです。私も頑張らなくちゃ!

ウェ「アーマー!」

まずはいっきに守備力を上げます。

ミ「わぁ!もしかして天空の巫女!?本物だぁ~!」

私の魔法に目を輝かせながら、ミアさんは嬉しそうにその場でピョンピョン跳ねます。

シャ「隙がありすぎるわね。」

ト「我と、心を通わせ、姿を現せ!出て来い!死神!」

紫色の魔法陣が再び浮かび上がり、紺色の長いローブを着て、大きな鎌を持った死神が姿を現しました。死神の姿を見たミアさんは、

ミ「ヒィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!私、お化け無理~!」

頭を抱え、私達に背を向けてその場にしゃがみ込んでしまいました。ここはマヤさんとは正反対です。

ミ「で、でも今はバトルの真っ最中。我慢、我慢・・・!」

ミアさんの額には冷や汗が浮かんでいます。我慢は体によくありませんよ。すると、ミアさんは両手を私達に突き出すと、

ミ「チェンジリング!発動ッ!」

辺りが虹色に輝く眩しい光に包まれて何も見えなくなりました。

************************************************************************************************************

ようやく光が治まり目を開けると、変わった様子は一切ありません。

ウェ「トーヤさん、大丈・・え・・・?」

「大丈夫ですか?」と言おうとしたら、思考が止まってしまいました。
隣にいたのはトーヤさんではなく・・・わ、私ィ!?慌てて私は自分の姿を見ると、心臓が飛び出しそうになりました。藍色の長い髪の毛は銀色のくせ毛に、服装は黒いフード付のローブ・・・この格好、なぜかトーヤさんになっていますっ!!?

ト「あ、あれ?ぼ、僕・・飛んでるぅっ!?」

シャ「な、何よこれェ!?」

トーヤさんはシャルルに、シャルルは私に、私はトーヤさんに入れ替わっちゃいましたっ!

ミ「アハハハハハッ!」

ミアさんはお腹を抱えて笑っていました。笑いすぎたのか、薄っすらと涙が滲んでいました。

ミ「驚いた?これが私の魔法、チェンジリングだよ。もちろん、チェンジだから姿だけじゃなく魔法も入れ替わってるよ。」

そ、そんな・・・

ト「大丈夫です。」

シャル・・・じゃなくて、トーヤさんが、

ト「力を合わせれば魔法が違ってても大丈夫です。ウェンディさんは僕の指示通り死神に命令して下さい。」

こんな立場に陥っても慌てないトーヤさん・・・すごいです!

ウェ「そうですね。分かりました。」

シャ「あんた、結構良い事言うじゃない。」

この時、私は初めてシャルルがトーヤさんの事を褒めたところを目撃しました。

ミ「へぇ~、力ってすごいんだね。」

ミアさんがほぼ棒読み状態で感心します。
力よりも、もっとすごいものを妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士は持っているんですよ。

ト「ウェンディさん!死神に呪いの鎌の指示をして下さい。」

ウェ「はい!死神さん、呪いの鎌!」

死「ギリリ。」

死神さんは私の指示通りに持っていた大きな鎌をミアさん目掛けて振り下ろします。

ミ「よっと、危な」

シャ「天竜の・・・鉤爪ッ!!」

ミ「キャア!」

死神さんの鎌をかわしたミアさんの背後から、私と入れ替わったシャルルが攻撃します。

ウェ「シャルル!」

シャ「ふ~ん、戦うってこうゆう感じなのね。」

シャルルが拳を握り締めたり広げたりを繰り返します。

ト「お2人さん、前!」

トーヤさんの声で我に返り顔を上げると、

ミ「てェやァア!」

ウェ「わわっ!」

シャ「おっと!」

ミアさんが私とシャルルに飛び蹴りをしようとしていました。私とシャルルは間一髪の所でミアさんの飛び蹴りをかわしました。

ト「お2人さん、これで決めましょう!」

ウェ「はい!」

シャ「良いわよ。」

ミ「させないよっ!」

ト「ウェンディさん!死神に呪霊殺の指示をして下さい。」

ウェ「はい!死神さん、呪霊殺!」

死「ギリ!」

シャ「天竜の・・・砕牙ッ!!」

死神さんと私と入れ替わったシャルルが同時にミアさんに攻撃しました。

ミ「キャアァァアアァアアアアッ!」

バトルは私達の大勝利です!

ミ「つ、強いん、だね・・妖精の尻尾(フェアリーテイル)の・・・魔道士、は・・・・」

ふらふらボロボロになったミアさんが歩いてきます。

ウェ「シャルル、治療魔法をかけてあげて。」

シャ「仕方ないわね。」

私と入れ替わったシャルルがミアさんに手を翳し、治癒魔法をかけました。やりすぎちゃいましたかね?

ミ「す、すご~い・・・!魔力や体力、傷が回復してる。治療魔法ってすごいな~。」

ミアさんは治癒魔法を見て感嘆の声を漏らします。完全に治ったみたいですね。よかったぁ~。

ト「ところで、この魔法はいったいどうしたら?」

あぁ、そうでした。私達まだチェンジリングの魔法のせいで入れ替わったままでした。

ミ「大丈夫。時間がくれば、その内元通りになるよ。」

よかったぁ~。

ミ「それにしても、あなた達、運がよかったね。」

ウェ「えっ?」

シャ「?」

ト「どうゆう事ですか?」

ミアさんの言葉に私達3人は首を傾げます。

ミ「私は月の涙(ムーンティア)では一番弱い魔道士なの。私よりもっと強い魔道士が、あなた達の仲間と戦っているんだよ。」

そこまで言うと、ミアさんは一旦話を区切り、私達に不敵な笑みを向けると囁くように言葉を紡ぎました。

ミ「特にマスターは、強いよ。」

その瞬間、辺りが虹色に輝く眩しい光に包まれて何も見えなくなりました。

***************************************************************************************************************

目を開けると、無事に元の姿に戻っていました。トーヤさんもシャルルも元通りです。

シャ「ふぅ。一事はどうなるかと思ったわ。」

ト「でも、空を飛ぶのは楽しかったです。」

ウェ「私も、とても貴重な体験が出来ました。」

シャ「アンタ達って、いつもああやって戦ってるのね。」

初めて戦ったシャルルは今回の経験がかなり印象に残っているみたいです。風が吹いて、私の藍色の髪の毛をなびかせ、木から葉を落としました。

シャ「シャイン・スター。星の造形魔道士・・・」

シャルルが小さく呟くのが聞こえました。

ト「大丈夫ですよ。妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士は、皆強いんです。だから、きっと・・・」

トーヤさんは、私とシャルルを励ますように呟いたと思うんですが、私には、トーヤさんが自分に言い聞かせているように聞こえました。

ウェ「そうですよね。信じましょう。皆さんの事を・・・」

私は胸の前で祈るように強く手を、握り締めました。 
 

 
後書き
第18話終了!
チェンジリング、何だか懐かしいです。
次回はエルザ&ショールのバトルです!
それではまた次回! 

 

第19話 7つ道具

 
前書き
HELLO!紺碧の海です!
今回はエルザ様とショール!相手はかなり手強いですっ!
エルザ様目線で書きます。
それでは、第19話スタート! 

 
エ「・・・・・」

ショ「・・・・・」

私とショールは今、1人の男と向かい合っている。赤いスカーフと黒い眼鏡がトレードマークの男だ。どうしてこうなったかというと―――――、

*************************************************************************************************************

時は遡り5分ほど前の事だ。
私とショールが敵を探している最中だった。

ショ「ん?何だこれ?」

エ「どうしたんだ?ショール。」

ショールが見つけたものは、木で出来た青い杖だった。

ショ「どうする、これ?」

エ「何かの手がかりになるかもしれない。一応持っていこう。」

ショ「そうだな・・・ってあれ?杖が無い!」

エ「なんだとっ!?」

さっきまで持っていたではないかっ!

?「あったあった~!俺の(ステッキ)!」

エ&ショ「誰だっ!」

声がした方を振り返ると、さっきショールが拾った杖を持って嬉しそうに微笑んでいる黒い眼鏡を掛けた男がいた。

セ「ん?お前等が見つけてくれたのか!いや~、サンキュー!この(ステッキ)がないと、これから来る敵と戦えなくなるとこだったぜ。」

ん?これから来る、敵?

?「本当にありがってあぁーーーっ!お前等!妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士だなっ!クッソォ~!敵に助けられるとは、俺もまだまだだぜ。」

ショ「気づくのが遅いだけだろ・・・」

正論を述べるショールに私も相槌を打つ。

セ「俺はセイン・ロード。見つかったからには勝負だっ!」

*************************************************************************************************************

で、現在に至る。

セ「そっちから来いよ。(ステッキ)を見つけてくれたお礼だ。」

エ「ほぉ、よほどの自信があるようだな。」

ショ「エ、エルザを挑発するなんて・・・お、お前、命の保障が無いぞ・・・・」

それは大袈裟すぎだぞ、ショール。

エ「換装!天輪の鎧!」

私は天輪の鎧に換装する。それを見たセインは「ヒュ~」と口笛を吹くと、

セ「へぇ~、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の最強の女魔道士、妖精女王(ティターニア)っていうのはアンタの事だったのか。」

私はセインの言葉には何も反応せず、

エ「舞え、剣達よ・・・循環の剣(サークル・ソード)ッ!!」

無数の剣を回転させながらセインに攻撃する。ドガガガァァァァァン!と凄まじい音と砂煙が舞う。

ショ「やったか?」

エ「いや、手応えが無い。きっと、何かで防いだんだろう。」

セ「そのとおり。まぁ、もっと具体的に言えば、「()()()()()」って言った方が正しいな。」

エ「何?・・・なっ!?」

最初はセインの言葉に顔を顰めていたが、意味が分かると目を見開いた。セインを襲ったと思われた無数の剣はセインには当たらず、空中で止まっていた。

セ「俺の7つ道具の1つ、無杖(ルーズステッキ)の効果だ。」

ショ「7つ道具?」

セインの言葉にショールが首を傾げる。

セ「簡単に説明すると、俺の持っている7本の(ステッキ)の事を俺がそう呼んでいるだけだ。」

エ「随分洒落た名前をつけたな。」

セ「別に良いじゃねぇか。今度はこっちからいくぜっ!」

そう言うとセインは、背中に背負っていた7本の(ステッキ)の内1本手に取ると、

セ「風杖(ブリーズステッキ)の竜巻!」

水色の(ステッキ)を空に掲げると、あっという間に(ステッキ)の周りに風が集まり巨大な竜巻ができた。これに巻き込まれたら大ダメージだ!だが、風が強すぎておもうように動けない。

セ「勝負ありだな。」

セインが勝ち誇った笑みを浮かべている。その時、

ショ「スローモーション!」

ショールが叫んだ。すると、

エ「え・・・!」

セ「な、何ィ!?」

巨大な竜巻の速度が落ちているっ!

ショ「俺の魔法だよ。」

私は後ろにいるショールを振り返った。

ショ「スローモーションは、相手の技の速度を落とす事が出来るんだ。この速度だと、あと30分しないと俺達にその竜巻は当たらないな。」

セ「クッソォ~!これならどうだっ!」

風杖(ブリーズステッキ)を素早く背中に戻し、今度は黄色い(ステッキ)を手に取ると、

セ「雷杖(サンダーステッキ)の稲妻!」

エ「換装!雷帝の鎧!」

私は素早く雷帝の鎧に換装し、雷を防ぐ。

セ「クゥ~・・・!」

セインは悔しいのか足を踏み鳴らす。そういう事するのは、お子ちゃまだぞ。

エ「そろそろ決着をつけねばな。」

ショ「援護するぜ、エルザ。」

エ「あぁ。換装!黒羽の鎧!」

私は黒羽の鎧に換装し、小さく地を蹴りセインに向かって駆け出した。

ショ「ビック!」

ショールが援護の魔法を掛けてくれた。

ショ「いっけェェエ!エルザァァアアッ!」

エ「はァアアァァアアアッ!」

セ「グワアアァアアァァアアアアアッ!」

勝負アリ・・・だな。

セ「ま、参りました・・・」

セインは床に手と額を付けて私とショールに土下座する。そ、そこまでする必要は・・・ないのにな。

セ「今日は楽しかった。ありがとな。」

ショ「意外に素直なんだな。」

エ「私もとても楽しかった。」

私が言うとセインは驚いた顔をしたが、すぐに、

セ「俺はこれで失礼する。じゃあな。」

そう言い残すと、霧のようにセインのは姿を消した。

エ「そういえばショール、私の援護の時に使った魔法・・・あれは何だ?」

ショ「あぁ、あれか。ビックは味方の攻撃力、守備力、速度を上げる技だ。」

エ「なるほどな。」

どうりで、いつもより力が沸いていると思った。

ショ「それにしても、エルザはホントに強いんだな。」

エ「何を言っているんだお前は?今回はショールのお陰でセインを倒す事が出来た、ありがとうな。」

ショ「れ、礼なんていらないよっ!///////////」

エ「なぜ怒るのだ?」

ショ「怒ってない!////////////」

エ「?」

まぁ、いいか。

ショ「他の皆はどうなったかな?」

ショールが遠くを見つめるような目で呟いた。

エ「大丈夫だ。きっと、全員無事に帰って来る。何たって私達は・・・止まる事を知らない、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士だからな。」

私の言葉にショールは小さく微笑んだだけだった。 
 

 
後書き
第19話終了です。
エルザ様とショール、結構良い感じです!
次回はルーシィ&リョウだよ!ルーシィ無事かなぁ・・・?
お楽しみに~♪ 

 

第20話 水の滅竜魔道士

 
前書き
こんにちは!紺碧の海です!
今回はルーシィとリョウのラブラブカップルが登場!そのカップルと戦う相手は―――――!?
ルーシィ目線で書きますよ!
それでは、第20話・・・スタート! 

 
ル「リョウ、いたぁ~?」

リョ「こっちは誰もいないぜ。」

ル「ハァ・・意外に隠れるの上手なのね・・・」

私とリョウはギルドの倉庫を調べてる最中。ここの倉庫とても広くて探すのが大変!いろんな本や資料が山ほどあるの。ん?何かしら、これ?私はホチキスで止めてある紙の束を手に取る。

ル「何々・・・「妖精の尻尾(フェアリーテイル) 魔道士情報」ですってぇっ!?」

妖精の尻尾(フェアリーテイル)のギルドの魔道士の事などがものすごく細かく詳しく書かれている!他にも、青い天馬(ブルーペガサス)四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)蛇姫の鱗(ラミアスケイル)剣咬の虎(セイバートゥース)人魚の踵(マーメイドヒール)や評議院の事も書かれている資料が山ほどある!

リョ「なるほどなぁ、こうゆう資料や本を見て、いろいろ調べてたって訳か。」

私の肩越しから資料を見ていたリョウが呟いた。意外に情報通なのね。ん?こ、これって・・・!

リョ「今度は何を見つけ・・・って、えぇっ!?」

私とリョウが見たものは透明の瓶に入った液体。その液体が虹色に光っているのっ!

ル「きれ~い・・・」

思わず見惚れちゃう。

リョ「な、何だ、この液体・・・すげー魔力を感じる。」

リョウがビンを手に取ろうとしたその時、私とリョウの後頭部辺りに水が掛かった。

リョ「うおっ!」

ル「ひゃあっ!」

もぅ~びしょびしょじゃない!いったい誰よ!後ろを振り向くと、

?「そのビンに指1本でも触れると、シャイン様の100万ボルトの雷が落ちるよ。」

ル&リョ「!?」

サファイヤのような瞳の男の子が立っていた。

カ「俺・・・カイ・オーシャン。月の涙(ムーンティア)の魔道士。」

ル&リョ「やっと見つけたーーーっ!」

もう全然見つからないんだもん。あれ?カイは私達が見つけたんじゃなくて、()()()()()()()()のかしら?それってかくれんぼの意味が無いじゃない!

カ「それ・・・シャイン様の宝物。」

カイは瓶に入った虹色に光り輝く液体を指差して呟く。

カ「触ったら、殺される。」

い、いきなり現れては残酷な事を言うわね・・・

カ「見つけられたからには、いざ勝負。」

そう言うとカイは身構えた。てか自分から出て来たんじゃない!自覚してないのぉっ!?
カイにツッコミながらも、私は金の鍵を構える。

ル「開け!人馬宮の扉!サジタリウス!」

サ「お呼びでしょうかぁもしもし。」

リョ「馬ッ!?いや・・・ひ、人?」

カ「・・・そうきた。」

リョウとカイはサジタリウスの姿を見て首を傾げる。馬の被り物を被った人だもんね。驚くのも無理は無いわ・・・って、そんな事はどうでもよくって!

ル「サジタリウス、狙いはあの子よ!」

サ「了解でありますもしもし。」

サジタリウスは弓を構えると、矢を勢いよく放った。サジタリウスの放った矢はカイ目指して一直線!狙い的中!カイは矢を避けようともしない。

カ「・・・甘い。」

小さく呟くと、ガシッ!と鈍い音を立ててカイはサジタリウスが放った矢を顔面スレスレの位置で素手で掴んじゃった。

ル「う、嘘・・でしょ!?」

リョ「・・・・・」

私は驚嘆の声を上げ、リョウは言葉を失っている。それを見たリョウは腰に差してあった聖剣(エクスカリバー)を1本抜いて、カイ目掛けて走り出した。そして、カイから10mくらい離れた場所で飛び上がると、

リョ「空高切ッ!!」

澄んだ青い光を放った聖剣をカイに向かって振りかざす。さすがにこれは・・・!誰もが「直撃する!」と思った。が―――――、

リョ「なっ!?」

カ「・・・・・」

カイは聖剣(エクスカリバー)の銀色の光る刃先を片足で受け止めちゃった・・・その不安定な体勢から、カイは足に水を纏うと、

カ「水竜の・・・鉤爪。」

水を纏った足でリョウの右肩を蹴り上げた。

リョ「ぐわァア!」

ル「リョウ!」

蹴り飛ばされたリョウは数mくらい吹っ飛ぶ。私は慌ててリョウに駆け寄る。

ル「リョウ、大丈夫?」

リョ「な・・何とか、な・・・アイツの蹴り、かなりの威力だ。いてて・・・!」

リョウが右肩を押さえる。見ると、リョウが着ている緑色の着物の右肩辺りが破れて、リョウの右肩が少し赤く腫れており血が少し流れていた。い・・痛そう・・・ていうか、今のカイの魔法・・・!

ル「あなた、滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)なの?」

私の問いにカイは無言で頷く。

カ「俺、第1世代の滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)。7年前、7月7日に姿を消した俺の父さん、水竜マリンウォール。」

「第1世代」っていう事は、ナツやウェンディ、ガジルと一緒ね。

リョ「へぇ。水の、滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)・・・ねぇ・・・・」

リョウが右肩を押さえながら立ち上がる。が、ふら付いて上手く立つ事が出来ない。

ル「ちょっ、ちょっとリョウ!無理しないで!」

私は肩を貸す。右肩の傷が痛々しい・・・

リョ「カイ・・だっけな?」

リョウは顔を伏せたまま立ち上がると、私の肩から手を離した。ふら付いてるけど、リョウはゆっくりとカイに歩み寄る。そして、ゆっくりと顔を上げた。茶色いリョウの瞳には強い意思が宿っていた。

リョ「ルーシィに指1本でも触れてみろ。お前の体から血の噴水ができるぜ。」

アンタ、結構グロテスクなのね・・・カイは顔色1つ変えずにリョウをサファイアのような瞳でリョウを見つめると、

カ「・・・分かった。」

小さく頷いた。OKしちゃうのォ!?

リョ「へぇ。意外に素直なんだな。」

リョウは聖剣(エクスカリバー)を持ち直す。ていうか、

ル「ちょっとリョウ!そんな怪我でどうやって戦うのよっ!?」

リョウの右肩からはさっきよりも多く血が流れている。すると、リョウは痛みに耐えながらも小さく微笑むと、

リョ「言っただろ・・・「絶対守ってやるから」って。」

ル「・・・・・」

私はそれ以上何も言えなかった。リョウは腰からもう1本の聖剣(エクスカリバー)を抜くとそのままカイに向かって全力疾走ッ!

カ「水竜の・・・咆哮ッ!!」

カイもリョウ目掛けて水の(ブレス)を勢いよく放つ。が、リョウはカイの攻撃を風のような速さでかわした。

カ「速い!」

カイも目を見開いて驚く。その時、私にはリョウが笑ったように見えた。

リョ「2剣流・・・速刀殺切ッ!!」

ものすごいスピードで聖剣をカイに振りかざす。

カ「うがァアア!」

カイはリョウのスピードに追いつく事が出来なくてリョウの攻撃をまともに食らいその場に倒れた。

ル「(す・・すごい・・・!こ、これが・・聖十大魔道の強さ!)」

私はこの時初めて、リョウのすごさを目の当たりにした。リョウは2本の聖剣(エクスカリバー)を腰に戻す。

ル「リョウ!」

リョ「うわっ!」

私はリョウの背中に飛びつく。リョウは若干頬を赤く染める。

ル「相変わらず強いわね。流石聖十大魔道!」

リョ「へへっ。」

リョウは嬉しそうに笑った。

カ「愛の力って・・すごいんだね。」

傷だらけになったカイが私達に歩み寄る。よく見ると、カイが若干笑っている。それを見た私とリョウも小さく噴出した。

ル「アンタ、笑うと結構可愛いのね。」

そう言うと、カイはりんごみたいに真っ赤になっちゃった。ますます可愛い。その時、

リョ「ぅ・・ぅぁ、あ・・・!」

ル「リョウ!」

リョウが右肩を押さえてその場に肩膝を着いた。リョウの右肩の傷口がさっきよりも大きくなっていて、大量の出血!きっと、聖剣(エクスカリバー)を振りかざした時に・・・!無茶しすぎよっ!

リョ「ぁぁ・・・うぁあ!」

辛そうにリョウが呻く。

ル「ど、どうしよう・・・」

私はどうしたらいいのか分からなくて戸惑っていると、

カ「普通さ、包帯とか持ってくるよね?」

カイがビリッと自分の服の袖を破って、リョウの腕に巻いた。すぐに血が滲む。すると、

カ「水竜の源。」

カイがリョウの右肩に左手を乗せると、青白い光がリョウの体を包み込んだ。

カ「この魔法は傷の痛みを和らげる事が出来るんだ。」

ル「へぇ~。」

何か関心しちゃうなぁ~。しばらくしてからカイはリョウの右肩から手を離した。それと同時にリョウの体を包み込んでいた青白い光もスゥと消えた。

リョ「あ、あれ?痛く・・ない。」

リョウは右肩を動かしたり回したりする。

カ「痛みを和らげただけだからしばらくしたらまた痛みが走る。また痛くなったらこれを飲め。」

そう言うとカイは私に向かって何かを投げた。

ル「えっ!ちょ、ちょっと!」

ギリギリキャッチ!カイがくれたものは小さいビンに入った痛み止め。私はそれをスカートのポケットに入れてカイにお礼を言おうとしたけど、そこにはもうカイの姿はなかった。

リョ「アイツ、案外良い奴だったな。」

リョウが私の隣に来て呟いた。」

ル「ありがとうリョウ。」

リョ「ん?何か言ったか?」

ル「ううん、何にも。」

リョ「そっか?じゃあ行こうぜ。」

リョウが私の手を握って言う。

ル「うん!」

私は笑顔で頷いた。 
 

 
後書き
第20話終了!
ルーシィとリョウが見つけたシャインの宝って、いったい何なのか?
次回はグレイとユモのバトル!
見逃したらいけないよ! 

 

第21話 命の恩人

 
前書き
イエーーーーーイ!紺碧の海だZ!
今回はグレイとユモのバトルです!いきぴったりの二人ですからね。楽しみです。
グレイ目線で書きますよ。
それでは、第21話・・・スタート!
 

 
グ「クッソォ~、どこにもいねェ・・・」

俺とユモはもう1時間近く探し続けている。ギルド内も、外も、森も全部探したけど・・・なんでいねェんだァ!?

ユ「もしかして、もう全員倒したとか?」

有り得るかもな・・・気配さえ感じねぇ・・・

?「遅い・・・遅すぎる・・・」

グ&ユ「え?」

どこからか声が聞こえたような・・・辺りを見回しても誰もいない。気のせい・・・か?

?「もう我慢できないっ!」

やっぱ気のせいなんかじぇねェ!

?「お兄さんとお姉さん、かくれんぼ苦手なの?」

振り向くとウェンディとトーヤよりも小さな女の子がいた。さっきまでいなかったのに・・・

シ「私はシプ・マーノ。私、ずーーーーーっとお兄さんとお姉さんの後つけてたんだよ。」

グ「なっ!?」

ユ「嘘でしょ!?」

シ「ホント。私、嘘ついたことないもん。」

マジかよ・・・じゃあなんで気配感じなかったんだ?

シ「じゃあ、バトルスタート!」

そういうとシプは、

グ&ユ「き・・消えたァッ!?」

どうなってんだよいったいっ!?

ユ「キャア!」

グ「ユモ!?」

シ「こっちだよ。」

グ「どわァ!」

思いっきり床に叩きつけられる。

シ「私の魔法は自分の姿と気配を消す魔法、透明魔法(クリアマジック)。」

グ「なるほどな、だから俺達は気づかなかったって訳か。」

ユ「すごい魔法だね。」

おいおい、褒めてどうすんだよ・・・

シ「話は終わり。」

また姿、気配を消した。

ユ「気をつけてよグレイ。」

グ「分かってら。」

姿が見えねェなら、

グ「アイスメイク、槍騎兵(ランス)ッ!!」

無数の氷の槍があちこちに飛び回る。

シ「キャア!」

おっと、さっそく当たりやがった。

シ「やるね。」

また消えようとしたところを、

ユ「アイスメイク、部屋(ルーム)ッ!!」

辺りが一面の氷で覆われる。

シ「うぅ・・さ、寒い・・・!」

震えながらシプが姿を現す。にしても・・・すげー変わった技だな。

ユ「グレイ、服!」

グ「ぬおぉ!いつの間にィ!?」

シ「お、女の子の前で服を脱ぐなんて・・へ、変態だ・・・」

シプが俺から1歩離れる。

グ「仕方ねェだろ。癖なんだからよ。」

シ「・・・・・」

ユ「いつもの事なの。あまり気にしないでね。」

シ「気にしようよ・・・私より年上なのに、デリカシーないんだね。」

ユモ、年下にツッコまれてるぞ。ていうか、

グ「お前、何歳なんだよ?」

シ「8歳。」

8歳!?8歳でデリカシーあるのか?シプはまた姿を消す。

グ「クソっ。いちいち姿を消したり、めんどくさい奴だぜ。こっちも姿を消す事が出来たらいいのによ。」

ユ「こっちが・・・姿を・・・消す・・・それだぁーーーっ!」

グ「はっ?」

ユ「アイスメイク、氷霧(フリーズミスト)ッ!!」

辺りが氷霧で覆われる。

ユ「相手が姿や気配を消すなら、こっちは姿を隠す!やっぱり、グレイってすごいね。」

ドクンッと心臓がやけに大きく脈を打った。ヤ、ヤベぇ・・・体が、熱くなってきやがった。

ユ「グレイ?どうしたの?」

グ「な、何でもねェよ!//////////////」

ユ「?」

とにかく、今はバトルに集中だ。

シ「うわぁ~、すごい霧。何にも見えない。あの人達、どこいっちゃったんだろう?」

よし!シプはこっちに気づいてないな。シプがだんだん近づいてくる。

グ「準備いいか、ユモ?」

ユ「いつでもOK!」

足音がだんだん近づいてきて、霧の中から薄っすらと小さな黒い影が見えたのと同時に、

グ&ユ「氷雪砲(アイス・キャノン)ッ!!」

シ「ウアァァアアァア!」

シプの悲鳴が木霊する。霧が晴れると目の前には傷だらけのシプが、()()()()()

グ「マ、マジかよ・・・」

だが、すぐに倒れてユモが慌てて支える。

シ「私は・・・負けられない。」

ユ「えっ?」

シ「シャインの、為にも・・・負けられない!」

グ「何でアイツの為なんだよ?ギルドマスターだからか?」

シプを支えながらユモと俺はその場に座り、俺はシプの体を氷で止血しながら問う。

シ「シャインは、4年前に火事で家も家族も、全てを無くした私を、ここまで育ててくれた命の恩人なのっ!そして、この闇ギルドを建てた。私は、シャイン為にも、ギルドの為にも、仲間の為にも、このギルドの一員として、負けられないのっ!」

俺とユモは黙ってシプの話に耳を傾けていた。
こんなちっせ~のに、大変だったんだな、コイツも・・・

ユ「同じだね。」

シ「え・・・」

ユ「私もね、街も家族も無くして、路頭に迷って気を失ってたところを助けてもらって、妖精のの尻尾(フェアリーテイル)に加入したんだよ。」

ユモはどこか寂しそうな笑顔で話していた。

ユ「だから、シプも大丈夫だから。ね?」

シ「・・・う、ビエェェエェエエッ!」

シプの顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃだった。

*************************************************************************************************************

シ「ZZZ・・・」

いつの間にかシプは、泣きつかれたのか寝息をたててユモの膝の上で寝ていた。

ユ「闇ギルドの子でも、こうして見ると可愛いね。」

グ「だな。」

ユモがシプの頭を撫でながら言う。
そんなユモに、どのタイミングで聞いたらいいか分からなかった俺も、しばらくシプの事を見守っていたが、決心が付き口を開いた。

グ「なぁ、さっきの話・・・本当なのか?」

俺は恐る恐るユモに尋ねると、ユモは無言で頷いた。まずい事、聞いたな・・・

ユ「私の命の恩人は、グレイだからね。」

グ「え・・・?」

ユ「言ったでしょ?気を失っているところを助けてもらったって。」

そういえば、そうだったな・・・ん?そういえばあの時―――――、



ユ『お・・・兄、ちゃん・・・・・・』



あれはどうゆう意味だったんだ?
俺はユモに聞こうとしたが止めた。傷ついたりするかもしれねぇし。それに・・・ユモならいつか話してくれるはずだからな。

グ「戻るぞ。」

ユ「あ、うん。」

ユモは立ち上がって俺の後ろをついて来た。

ユ「ありがとう・・・グレイ。」

そんな声が聞こえた・・・ような気がした。 
 

 
後書き
第21話終了~!
いつも思うんですが、ユモって、ものすごく鈍感ですね。今回の話では、ちょっとだけユモの過去の話がでてきましたね。いったいどんな過去を抱えているのやら・・・
次回はいよいよ最終決戦!ナツとハッピーとマヤがシャインに挑む!星の造形魔法の実力とは―――――!?
それではまた次回! 

 

第22話 星空の最終決戦

 
前書き
いつも元気な紺碧の海です!
今回は月の涙最終決戦!!ナツとハッピーとマヤがシャインに挑む!
そして、覚えているでしょうか?ルーシィとリョウが倉庫で見つけた不思議な液体の事を―――。その液体の秘密も分かっちゃいますよ!
マヤ目線で書きます。張り切って行ってみよーっ!
それでは、第22話・・・スタート! 

 
ナ「どこだァーーー!ここかァーーー!」

ドガガガァァァン!とすさまじい音を立てながらナツは次々と壁を蹴破っていく。

ナ「・・・いない。次ィィイ!」

・・・ナツって、扉っていうものを知らないのかな?月の涙(ムーンティア)のギルドの壁は穴だらけ。

ナ「おい、マヤ、お前もちゃんと捜せよ。」

ハ「そうだそうだーっ!」

いや、だってね・・・これ見たら捜す気無くすよォ!?

ナ「ったく、どこに隠れてどわぁ~!?」

マ「えっ!ちょっとナキャーーー!」

なんとなんとなんとっ!いきなり床に穴があいて、私とナツはその穴に真っ逆さまに落ちちゃったァ!運良く羽で飛んでいたハッピーは、

ハ「ナツゥ~!マヤァ~!」

穴には落ちなかった。私とナツはそのまま真っ暗な穴へ吸い込まれるように落ちていった。

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ズドォォオオン!と凄まじい音を立てながら砂煙を巻き上げる。

ナ&マ「いってぇ~・・・!」

落ちたところは硬い床。お尻がズギズギするよ~・・・!

ナ「いててて。マヤ、大丈夫か?」

マ「う、うん。なんと・・か。」

私はナツの手を握って立ち上がる。

ナ「つーか、ここどこだ?」

辺りは真っ暗で何にも見えない。

シャ「お待ちしてました。ナツ・ドラグニル、マヤ・ララルド。」

ナ「!この声・・・!」

すると辺りが明るくなった・・・と思いきや、

ナ&マ「う、宇宙!?」

なんで星が浮いてるの~!?でも、すっごいきれい・・・

シャ「ここは私の地下室。朝でも昼でも満天の星が見る事が出来るのですよ。」

いつの間に現れたのか、シャインがうっとりとした目で語る。手には透明な瓶を持っている。中に液体みたいのが入ってるけど・・・何アレ?まぁいっか。

シャ「まさか、月の涙(ムーンティア)の魔道士が全員倒れてしまうなんて・・・思ってもみませんでした。」

ナ「アイツ等勝ったのかっ!」

マ「ヤッタ~♪」

じゃあ後は、私とナツがシャインを倒せば依頼完了って事だね。責任重大じゃんっ!

シャ「さて、本当に私に勝つ事が出来るでしょうか?あなた達に?」

するとシャインは手に持っていた透明の瓶のコルク栓を開けた。そして、中に入っていた液体を手の平に1滴落とす。すると、シャインの体が虹色に光りだしたっ!

ナ「何だそれ?食いもんか?」

マ「何でそうなるのォ!?」

シャ「これは“月の涙”です。」

ナ&マ「“月の涙”!?」

私とナツは鸚鵡返しにシャインに聞き返した。

シャ「15年前の事です。私は小さい頃から星空が好きで、毎日丘に登って眺めていました。ある日、いつものように丘の上に行き、星を見に行きました。その日はとても綺麗な三日月でした。すると、()()()()()()()のです。」

月が・・・涙を流したァッ!!?

シャ「その涙は私の手の平に落ち、それから私は星の造形魔道士になったのです。これはその時の、“月の涙”の残りです。」

な~んか夢みたいな話だなぁ~。

シャ「そろそろ始めましょうか。星空の最終決戦を・・・」

シャインが不敵に微笑んだのと同時に、ナツがバフッ!と広げた左手に固く握り締めた右拳を思いっきりぶつけた。

ナ「行くぜっ!先手必勝ッ!火竜の・・・咆哮ッ!!」

ナツの口から勢いよく炎が噴き出る。

シャ「スターメイク、(ウォール)ッ!!」

星の壁は虹色に輝いていてすごく綺麗だった・・・って、見惚れてる場合じゃない!私は魔
力を集中させる。地面にオレンジ色の魔法陣が浮かび上がる。

マ「我と契約した者よ、ここに姿を現せっ!ライオンのキング!」

ピィーーーーーーーッ!と指笛を吹くと、魔法陣から黄金に光る鬣をなびかせた、凛々しい顔付きのライオンが姿を現した。

キ「ガォォオオォオオオオオオッ!」

キングの雄叫びが部屋中に轟く。

マ「キング!王者の牙!」

キ「ガォォオオォオオオオオオオオオオオッ!」

鋭い牙を剥き出しにして、キングはシャインに突進していく。でもシャインはよけようともしない。ちょ、ちょっと!あれをまともに食らったら・・・!
でも、心配するのはキングの方だった。

シャ「スターメイク、(チェーン)ッ!!」

キ「ガォ?」

キングは虹色に光る鎖で身動きを封じられちゃった!その間にシャインは私に向かって、

シャ「スターメイク、弓矢(アーチェリー)ッ!!」

先の尖った矢が私に向かって飛んで来た。私は呆気に取られてかわす事が出来なかった。

ナ「危ねーマヤッ!」

マ「キャア!」

バシュッ!と鈍い音を立てて、矢は壁に突き刺さった。

ナ「あ、危ねェ・・・マヤ、大丈夫か?」

マ「あ・・う、うん。大丈夫・・・あ、ありが・・とう/////////////////」

私は間一髪の所でナツに助けられた。ど、どうしよう・・・/////////////////か、顔が・・・熱いよ・・・///////////////////

シャ「火竜(サラマンダー)、その反射神経のすごさを褒めますわ。」

ナ「へへっ、サンキュー。」

シャ「ですが、これはかわせるでしょうか?スターメイク、隕石(ミーティアライト)ッ!!」

空から無数の隕石が落ちてきたァッ!?・・・って、

マ「ちょちょちょちょっとナツ!おおお下ろしてぇ~!」

ナ「はぁっ!?今下ろしたらお前死ぬぞっ!いいから落ちねェようにしっかりしがみ付いてろっ!」

マ「・・・・・///////////////////」

今の状況を簡単に説明すると・・・女の子が憧れる抱っこを、今、ナツにやられてる・・・・こ、これでも私、デリカシーあるからねっ!
ナツのお陰で何とか隕石をかわす事は出来たけど・・・

ナ「//////////////」

マ「//////////////」

き・・気まずい空気が流れる・・・

シャ「あら、あなた達カップルなの?」

ナ&マ「違ーーーーーうっ!」

敵にまで勘違いされてる・・・

シャ「それにしても、あの攻撃までかわしてしまうとは。しかも女の子を抱」

マ「それ以上言うなーーーーーっ!」

そんな事より、早くコイツを倒さないと・・・!

マ「キング!そんな鎖砕いちゃえっ!」

キ「ガォォオオォオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」

バキン!と音を立てて鎖が粉々に砕け散った。さっすがキング!脱出成功!それじゃあ・・・

マ「キング!王者の光!」

キ「ガォォオオォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」

シャ「スターメイク、(ウォール)ッ!!」

キングの光を纏った拳を虹色に光る星の壁で防ぐ。でも、キングの力強い拳はそんな壁じゃあ防げないよ。
パキッ!と、星の壁に亀裂が入る。

シャ「そ、そんな・・・!」

マ「いっけーーーっ!キング!」

キ「ガオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」

パリィン!と音を立てて星の壁が粉々に砕け散った。

シャ「キャア!」

マ「ナツ!最後は任せま~す♪」

ナ「おっしゃあっ!右手の炎と、左手の炎を合わせて、火竜の・・・煌炎ッ!!」

シャ「キャアアァアァァアアアアアアッ!」

両手に纏った炎を力任せに振るい、シャインを殴り飛ばした。

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シャ「おめでとう。妖精(ようせい)の勝利ね。」

ナ「おっしゃーーーーーっ!」

マ「やったねキング!」

キ「ガオ。」

それにしても、シャインめちゃくちゃ強~い。

シャ「あら?私に勝ったんだから、あなた達の方が強いんじゃなくて?」

まぁそうなんだけどさ。

ナ「ところでよ、こっからどうやって出ればいいんだ?」

あ、そういえば・・・

シャ「安心して、すぐに戻れるから。」

すると辺りが光に包まれて何も見えなくなった。

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シャ「はい!地上に登場!なんちゃって。」

ここで親父ギャグを言うのォ!?さ・・寒ッ・・・

ハ「ナツ~!マヤ~!」

皆がこっちに向かって走って来た。

リョ「で、お前等勝ったのか?」

ナ「当たり前だーーーっ!ダハハハハハハ!」

シャ「壊れたわね・・・」

ウェ「だね。」

ト「ですね。」

アハハハハハ・・・

エ「よし!依頼も済んだ事だし、ギルドに戻るぞっ!」

エ以外「あいさーーーーーっ!!!」 
 

 
後書き
第22話終了と同時に月の涙の討伐終了!
いや~ものすごく長く感じます。自分にお疲れ様~♪
因みに、月の涙(ムーンティア)の連中はその後評議委員により逮捕されたんですが、すぐに解放されました。闇ギルドでも、あまり問題を起こしてないギルドだったんです。現在は修行の旅に出ています!
さてさて次回は、あの人の過去の話になります!えっ、誰かって、それは次回まで内緒です!
それではまた次回! 

 

第23話 人間ではない少年

 
前書き
紺碧の海、参上でござる(笑)
今回はあの人の過去が分かっちゃいますよ!
後、今回は途中で目線が変わります。ご了承下さい。最初はウェンディ目線です。
それでは、第23話・・・スタート! 

 
シャ「今日のトーヤ、なんか変ね。」

ウェ「やっぱり、シャルルもそう思う?」

月の涙(ムーンティア)との戦いから3日後、今日のトーヤさんはいつもと違います。何が違うのかと言うと・・・1人ずっと窓の外を眺めているんです。え?全然可笑しくないじゃんって?いえいえ、いつもなら皆さんと話したり、ショールさんとお茶を飲んでいるはずなんです。どうしたんでしょうか・・・?
すると、トーヤさんは窓から離れ、バーカウンターの方に行き、

ト「ミラさん、僕、しばらくギルドを留守にしたいんですけど。」

ミ「分かったわ。何日ぐらいかしら?」

ト「・・・1週間ほど。」

1週間!?トーヤさん1人でですかっ!?そんなの危険すぎますっ!

ウェ「トーヤさん!」

ト「ウェ、ウェンディさんに、シャルルさん。」

シャ「アンタ、今日どこか行くらしいわね。」

ト「聞いてたんですか?それがどうかしましたか?」

ウェ「私たちも連れて行って下さいっ!」

ト「え、えぇ!?」

ウェ「わがまま言ってゴメンナサイ。でも、1人よりは心強いと思います!」

ト「僕の事は大丈夫です。それに、外出するのは今夜ですから。」

シャ「ますます危険じゃない!」

ト「・・・・・」

トーヤさん、少しは私たちを頼って下さい・・・

ト「大丈夫です。お化け達もついてますし。ウェンディさんとシャルルさんの気持ちだけで嬉しいです。」

ウェ&シャ「・・・・・」

この言葉に私もシャルルも何も言い返せませんでした・・・

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その夜、

ト「それじゃあ、行って来ます。」

ミ&ル「いってらっしゃ~い♪」

ナ&グ&リョ「頑張れよーっ!真似すんなっ!」

エ「喧嘩をするなっ!」

ナ&グ&リョ「あいーーーっ!」

ハ「オイラの真似しないでよ~。」

マ&ユ「気をつけてね~。」

ショ「良い知らせ持って来いよ~。」

トーヤさんは皆さんに見送られて出かけて行きました。
私とシャルルはというと・・・トーヤさんを尾行する事に決めましたっ!トーヤさんには悪いですけど・・・

シャ「行くわよ。」

ウェ「うん。」

私とシャルルはこっそりトーヤさんの後を追いかけました。

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                         『ここからトーヤ目線です。』

やっぱり、ウェンディさんとシャルルさん、ついてきちゃったんですね。あれほど大丈夫って言ったのに・・・でも、心配してついてきてくれたんだ。その気持ちだけは受け取りましょう。
でも、いくらウェンディさんとシャルルさんでも僕の秘密は話せません。それに、巻き込みたくないんです。これは、僕の問題ですから・・・
僕は建物と建物の間の路地を曲がると、建物の上に飛び乗りました。少しすると、ウェンディさんとシャルルさんが来ました。

ウェ「あ、あれ?トーヤさん?」

シャ「見間違えたのかしら?急げばまだ間に合うわ。」

ウェ「うん。」

ウェンディさんとシャルルさんは路地を出ていきました。

ト「スミマセン・・・そして、今までお世話になりました。」

僕は2人の後ろ姿を見届けた後、建物の上を飛び越えながら妖精の尻尾(フェアリーテイル)のギルドの屋根の上に降り立ちました。そして僕は左腕を胸の前に置き、

ト「妖霊界の王よ、ここに姿を現せっ!」

さっきまで星が輝いていた空に、一面の黒い雲で覆われました。

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            『ここからまたウェンディ目線です。』

人1「おい、何だアレッ!?」

人2「雨でも降るのか?」

人3「さっきまで晴れてたのによ。」

人4「あらヤダ!洗濯物が濡れちゃうわっ!」

街が何だか騒がしいです。

シャ「ウェンディ、あれ見てっ!」

シャルルが指差した方を見ると、遠くで何か光っています。

シャ「あそこは・・・妖精の尻尾(フェアリーテイル)のギルドよっ!」

いったい、どうなってんですか?

シャ「もしかしたら、トーヤが関係してるかもしれないわ。ウェンディ、行くわよっ!」

ウェ「うんっ!」

シャルルは(エーラ)を出して、私の服を掴むとギルドに向かって飛んで行きました。

ウェ「(トーヤさん、あなたはいったい、私達に何を隠しているんですか・・・?)」

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                   『その頃、妖精の尻尾(フェアリーテイル)のギルド内では・・・』

ガタガタガタガタガタ。

ル「・・・ねぇ、なんか屋根の上が騒がしくない?」

ユ「屋根でも工事してるの?」

リョ「いや、そんな工事なんて聞いてないぞ。」

グ「じゃあ何なんだ?」

エ「私が見てこよう。」

ショ「あ、俺も行くよ。」

マカ「待てィ!」

ナ「じっちゃん。」

椅子から立ち上がろうとしたエルザとショールを止めたのはマスターだった。マスターはぴょんっとバーカウンターから飛び降りて、ゴォホン!と咳払いをすると、

マカ「屋根にはわしが行こう。」

マ「でも、マスター危険だよっ!」

ミ「マヤの言うとおりですっ!」

マカ「んじゃ、ビックスロー、わしと一緒に来い。」

ビ「えっ?俺?」

マスターに名前を呼ばれたビッグスローは、自分を指差して首を傾げた。

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やっぱり、飛んで行くと速い。あっという間にギルドまで着いちゃいました。私とシャルルはギルドの屋根に着地しました。すると、屋根の上には、

ウェ「トーヤさん!」

ト「!!?」

トーヤさんが目を見開いて、

ト「ウェ、ウェンディさんに、シャルルさん・・・ダ、ダメです!こっちに来たらダメですっ!」

ど、どういう事ですか?私とシャルルが戸惑っていると、

ト「・・・仕方ありません。お2人には話しましょう。僕の秘密を・・・・」

トーヤさんの、秘密・・・?



ト「僕は()()()()()()()()()()()んです。」



ウェ「・・・え・・・?」

シャ「何を言ってるのよ・・・」

トーヤさんの言っている意味が分からなくて、私とシャルルはもう一度聞き返しました。

ト「僕は幽霊や妖怪、怪物などが住んでいる異世界、“妖霊界”で、生まれ育ったんです。」

妖霊界って、トーヤさんのお化け達がいる世界・・・ですよね。という事は・・・!私の顔から血の気が引きました。





ト「僕は、()()なんです。」





よく見ると、トーヤさんの足が透けていました。
その時、トーヤさんの後ろで輝いていた光から2人の男性と、1人の女性が姿を現しました。

ト「母さん、父さん、妖霊王様・・・」

この人達が、トーヤさんの・・・

ト「僕の両親は元々人間だったんですけど、母は病気で、父は交通事故でこの世から去り、何らかの理由で妖霊界に飛ばされ、僕を妖霊界で産んだんです。でも、元々は人間の僕を親は妖霊王様に頼んで3年間人間の姿で、魔道士として人間界に送り込んだんです。そして今日、僕が人間界に来て3年目、僕は妖霊界に帰らなければならないんです。」

と、という事は・・・

ウェ「ト、トーヤさんと・・二度と、会えなくなる、って事・・・ですよ、ね?」

トーヤさんは黙って頷きました。

マカ「やはりな。」

ト「わっ!」

ビ「ヒッヤッハ~!」

シャ「え?」

ウェ「マスターに、ビックスローさん!?」

なぜ2人がここに?

マカ「話は全部聞かせてもらった。」

ト「え・・・」

ウェ「マスターは知っていたんですか?トーヤさんが、幽霊とだいう事を・・・」

マカ「あぁ、()()()()()()()()()()と言った方が正しいじゃろ。」

シャ「ど、どういう意味よ・・・?」

ビ「俺は最初から気づいてたぜ~。」

ベ「気づいてたぜ、気づいてたぜ。」

そっか、ビックスローさんは人の魂を見る事が出来るんですよね。

マカ「トーヤ、お前がローター・ファインとリアン・ファインの息子だという事もな。」

ト「!!?」

ウェ「えぇっと、トーヤさんのご両親の名前ですか?」

マカ「そうじゃ。」

ト「な、なぜそれを・・・?」

マカ「何じゃ、聞いておらんのか?お前の両親は、元妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士だからじゃよ。」

ト「・・・え?」

トーヤさんのご両親が元妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士ィ!?

マカ「わしが若い頃尊敬していた人物じゃ。ローターは生きてりゃ、3代目マスターじゃった。」

じゃあ、ローターさんが生きていたら、マスターはマスターじゃなかったんですね・・・

マカ「初めてお前の顔を見た時から勘付いておった。紫色の瞳は母親のリアン譲り。銀色のクセ毛と丁寧な口調は父親のローター譲り。トーヤ、お前は2人にそっくりじゃのぉ~。」

マスターは懐かしそうな目でトーヤさんを見た後、トーヤさんの後ろを見て、

マカ「久しぶりじゃのぉ~。ローター、リアン。」

ロ「元気そうですね、マカロフさん。」

リ「トーヤがお世話になったわ。」

3人が過去の事を話しています。しばらくしてから、

マカ「ゴホン!ローター、リアン、そして妖霊王とやら、トーヤをこのままずっと人間界にいさせてくれんかの~?」

マカ以外「えぇっ!?」

トーヤさんはもちろん、トーヤさんのお父さんとお母さんも、妖霊王さんという方も、私もシャルルもビッグスローさんも、マスターを見て驚嘆の声を上げました。

マカ「心配せんでいい。わしが心を鬼にして面倒を見てやるわい。それに、トーヤにはたくさんの仲間がいる。そうじゃろ?ウェンディ、シャルル、ビックスロー。」

マスターが私達の方を振り返る。

ウェ「はい!私の他にもたくさんの仲間がいます!」

シャ「皆騒がしい人だけどね。」

ビ「でも、めちゃくちゃ楽しいんだぜ。ヒッヤッハ~!」

ベ「楽しい!楽しい!」

ト「皆さん・・・」

私、トーヤさんともっともっと一緒に騒いで、一緒に冒険に行きたいです!その思いが届きますように・・・!

ロ「・・・マカロフさん、トーヤをよろしく頼みます。」

マカ「あぁ、承知した。」

リ「トーヤ、元気でね。」

ト「母さん・・・うん。」

リ「皆さん、トーヤをよろしくお願いします。」

ウェ&シャ「はい!」

ビ「ヒッヤッハ~!」

妖「トーヤ・ファインよ。仲間を大切に頑張るのじゃぞ。」

ト「妖霊王様・・・はいっ!」

妖「それでは、さらばっ!」

トーヤさんのご両親と妖霊王さんは光と共に消え、黒い雲も消えて、満天の星が姿を現しました。トーヤさんの足はもう透けていませんでした。

マカ「ウェンディ、シャルル、ビックスロー。この事は誰にも言ってはいかんぞ。」

ウェ&シャ「はい。」

ビ「OKだぜ!ヒャッハ~!」

ベ「OK!OK!」

トーヤさんは空を見つめていました。トーヤさんには私達やお化け達がついてます。1人なんかじゃありません。

ウェ「トーヤさん、ギルドに戻りましょう。」

ト「はいっ!」

お母さん譲りのトーヤさんの紫色の瞳には、薄っすら涙が浮かんでいました。 
 

 
後書き
第23話終了・・・疲れた~。
トーヤの過去でしたね。え?期待どうりじゃなかった?それは・・・ドンマイです!にしても、トーヤは幽霊だったんですね。因みにトーヤは人間の姿の時はちゃんと足はありますよ。
次回はまた過去編です。誰の過去かは次回!
それではまたね~♪
 

 

第24話 母との約束

 
前書き
紺碧の海です!
今回はトーヤに続いて、あの人の過去が分かっちゃいますよ!誰かって、ほらぁ~あの人ですよ。
ルーシィ目線でいきますよ。この時点で大分分かりますよね。
それでは、第24話・・・スタート! 

 
リョ「・・・・・」

ロ「・・・・・」

ル「ちょ、ちょっと2人とも。」

今、リョウとロキが喧嘩の真っ最中。まぁ、説明しなくても大体理由は分かるわよね。もし分からない人の為に簡単に説明すると・・・
リョウはどう考えても私の事が好きだっていうのは分かるわよね?そして、黄道十二門の1体、獅子宮のレオ=ロキも私の事が好き。これってつまり、3角関係って事なのよ。どうして私って、こういうのに巻き込まれるのかしら?

ル「可愛すぎるのも困りものね。」

ハ「ナツ、マヤ、ルーシィが変な事考えてるよ。」

ナ「いつも変じゃねェか。」

マ「うんうん。」

ハ「そっか~♪」

変って言うな!しかも納得するなっ!ていうか、口では言えないけどナツとマヤもかなりできてるし、エルザとショールもできてる。ウェンディとトーヤも最近できてきたし、鈍感な2人だけど・・・

グ「誰が鈍感だって?」

ル「ひゃあ!」

う、噂をすれば影が差す・・・

リョ「ルーシィに変な事するなっ!」

グ「してねェよ!?」

ユ「まぁまぁ。あ、ところでルーシィ。」

ル「ん?何?」

ユ「マスターがルーシィの事探してたよ。」

ル「え?」

マスターが・・・私を!?

グ「なんでも、「大事な話だから1人で来い」だってよ。」

ウェ「ルーシィさん、何かやらかしたんですか?」

ト「そんな事はしないと思うんですけど。」

シャ「仕方ないんじゃないかしら。いっつもリョウやナツやマヤやハッピーに振り回されっぱなしだもの。無意識のうちに何かやっちゃったのかもよ。」

ショ「シャルルって結構怖い事言うんだね・・・」

ウェ「アハハハハハ・・・」

でも、シャルルが言ってる事はほとんどが正解に等しい事なのよね・・・

エ「とにかく早くマスターのところに行くんだな。」

ル「えぇ~~~。」

私、何かやったぁ~?

ユ「「奥の部屋に来るように」って言ってたよ。」

グ「気ィ~つけろよ、いろんな意味で。」

どうゆう意味よっ!?もぉ~!ますます不安になってきたじゃないっ!

リョ「あれ?ルーシィ、どこ行くの?」

ル「あぁ、ちょっとマスターに呼ばれたから。」

リョ「あっ、じゃあ俺」

ウェ「マスターに1人で来いと言われたそうです。」

ト「ですから、リョウさんは行っちゃダメですよ。」

「俺も行く」とか何とか言おうとしたリョウの右腕をウェンディが、左腕をトーヤが掴み引き止めた。

ロ「それじゃあ僕はこれで。」

リョ「あっ!ずりィぞ!このめがね野郎!」

ロキが星霊界に帰っていく。はぁ~、なんか憂鬱・・・

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ル「し、失礼しま~・・・す。」

マカ「おぉ、来たかルーシィ。待っとったぞ。」

マスターは満面の笑みで私を待っててくれた。・・・この調子だと、どうやら怒るみたいじゃないわね。よかったぁ~。

マカ「まぁ、そこに座って茶でも飲みながら話そうじゃないか。」

私は勧められた椅子に座って、お茶の入ったゆのみを手に取る。あっ!茶柱だっ!ラッキー☆

マカ「さて、話の事なんじゃが・・・」

いけないいけない!忘れるとこだったわ!



マカ「・・・リョウの事じゃ。」



ル「・・・・・なぜ、リョウの事を私に?」

マカ「いやぁ~、2人はものすごくできてると思ってのぉ~。」

ル「ち、違いますよマスター!」

もぉ~!ここまで噂が広がっているとは・・・

マカ「・・・さて、軽い冗談は止めにして。」

冗談だったんですかァ!?



マカ「リョウは、アイツは・・・()()()()()じゃ。」



ル「・・・え?」

・・私と・・・同じ?

ル「どういう意味ですか?」

マスターはお茶を1口すすって、

マカ「実はな、リョウの母親は、リョウが5歳の時に病気で他界しておるんじゃ。」

ル「え・・・」

マカ「リョウの父親は、仕事で忙しくて家に帰らない事が多かったんじゃ。」

・・・マスターが言ったとおり、同じだ。私の小さい頃と、全く同じだ。

マカ「ルーシィ、“ジェノロ”という名前に聞き覚えはないか?」

それはハコベ山でリョウと初めて会った時から疑問に思っていた。
“ジェノロ”という名前を聞いて、何か心当たりがあるんだけど、それが未だに思い出せずにいた。

ル「実は、あるようなないような・・・微妙なところなんですよ」

マカ「やはりな・・・」

マスターは再びお茶を1口すすると、衝撃的な言葉を静かに紡いだ。





マカ「リョウの母親は、お主の母親、()()()()()()()()じゃ。」




私の思考が一時停止した。

ル「えぇぇぇぇっ!」

私は驚きのあまり椅子から立ち上がってしまった。
ママの双子の妹の子供が・・・リョウ!?そ、それじゃあ、私とリョウは・・・

マカ「()()()()()、という事になるのぉ~。」

そ、そんな・・・

マカ「知らないのは無理もない。リョウは父親似じゃから。眼鏡をかけたらホントに似てて似てて。ルーシィは気づかなかったみたいじゃが、リョウの方はすぐに分かったみたいじゃぞ。母親からも、ルーシィの事は聞かされておったらしいからな。」

そっか、だからハコベ山の時、私に対してあんな反応をしたんだ・・・

マカ「リョウは母親と約束をしたそうじゃ。必ず、世界一の魔道士になるとな。そして、13歳の時に聖十の1人になり、15歳の時にトップクラスになったんじゃ。」

ル「すごぉ~い!」

やっぱりリョウは強いのね。

マカ「・・・じゃが、1年前に父親も病気で他界したんじゃ。」

ル「!」

マカ「父親のプノン・ジェノロも、リョウの事はよく理解しておった。母親が死んでからは唯一の家族じゃったからのぉ~。」

ル「・・・・・」

マカ「じゃが、アイツはたったの3日で立ち直った。昔から心が強い奴だったからの~。」

・・・強いな、リョウは。
私なんて、ママが死んでからいつも泣いてた。ミッシェルを置き去りにしちゃうし・・・

ル「羨ましいなぁ~。」

マカ「羨ましがってたのは、リョウも同じじゃ。」

ル「え?」

リョ「「弱音を吐かずに、諦めずに立ち向かうその強い意志は自分にはない」・・・そう、言っておった。」

私は何も言えなかった。

マカ「それと、リョウがお前の事を好きなのは、母親にそっくりだからかもしれん。」

ル「え?」

マカ「男の子という者は母親にべったりでのぉ~。ラクサスもそうじゃったわい。まぁ、親が(ドラゴン)のナツとガジルは別としてな。」

言われてみれば確かにそうかも!どっちかというと、女の子の方がお父さんにべったりよね。私は違ったけど。

マカ「妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士は皆家族同然じゃ!助け合い、協力し合い、ふざけ合う。家族だからこそ出来る事なのじゃ。その気持ちを、忘れずにな。」

マスターの言葉はいつも私達を勇気づけてくれる。そう、それはまるで・・・魔法みたい!

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マスターとの話が終わって戻って来ると、

マ「あっ!ルーシィお帰り~!」

ショ「マスターに怒られたのか?」

ル「ううん。」

グ「何だよ、つまんねェの。」

ユ「面白そうだったのにね。」

アンタ達ねぇ・・・

リョ「ルーシィお帰り!待ちくたびれたよ。」

ル「だ、だから、飛びつかないでよ。」

後ろから抱き締めるようにリョウが飛びつく。

リョ「で、どんな話だったの?」

ル「う~んとねぇ~、楽しいお話だったわ。」

リョ「ふ~ん。それなら俺も行っても良かったと思うのに。マカロフさんケチだな~。」

ほんとっ、この明るさには似合わない過去を抱えているのね・・・

リョ「ん?どうした?」

ル「あ、ううん。何でもない。」

リョ「そっか。あ、そういえばさっき、ナツが「クエスト行くぞ~!」って言ってたぜ。」

ル「えぇーーーーーっ!」

それをもっと早く言いなさ~いっ! 
 

 
後書き
第24話終了!
まさかまさかのルーシィとリョウがいとこ同士だったとは!
次回はナツの突然すぎる発言でまたまたクエストへ。でも、今度のクエストはちょっと謎だらけ!?
それでは25話までバイバイ~♪ 

 

第25話 行方不明の人々

 
前書き
紺碧の海でっせ!
今回は久々(?)のクエストに!でも、そのクエストの内容がちょっと・・・
ユモス目線で書きますよ。
それでは、第25話・・・スタート! 

 
久々かどうかよく分からないけど、ナツがいきなり、

ナ「クエスト行くぞ~!」

って言ったから、仕方なく私達お馴染みの最強チームは、【行方が分からなくなった人々を捜してほしい 100万J】という依頼をやる事に。でもこの依頼、ちょっと変なんだよね。

エ「ユモも気づいたか。」

ユ「エルザも?」

リョ「俺やショールも気づいてるぜ。」

マ「何が気づいてるって?」

私とエルザとショールとリョウはまだ分からない皆の為に説明しなくちゃならなかった。

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ル「つまり、その行方不明になった人達は、一度にいなくなったって事?」

リョ「そういう事。さっすがルーシィ♪」

ショ「それと、さっきマスターに聞いた話だけど、この依頼、俺達で4回目になるらしいぜ。」

マ「そんなにィ!?」

エ「今までこの依頼に行った他の魔道士ギルドの奴等も行方不明になっているらしい。」

ユ「な、何か・・嫌な予感がするのは、私だけ・・・かな?」

ウェ「そんな不気味な依頼に・・・」

ト「僕達、来ちゃったって訳ですね・・・」

シャ「はぁ・・・」

ル「誰よ!こんな依頼選んだのはっ!」

グ「コイツしかいねェだろ・・・」

ル「ナ~ツゥ~!」

ナ「何だ?」

ル「「何だ」じゃなぁ~い!」

ハ「ルーシィ、()がすごいよ。」

ル「()よっ!」

いつまで漫才をやってるつもりなんだろう?

グ「おい、あれじゃねェか?この依頼の依頼主の家っていうのは。」

木造建築の可愛らしい家。エルザがインターホンのベルを鳴らすと、中から優しそうな老夫婦が出て来た。

?「依頼を引き受けてくれた、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の皆様ですね。お待ちしておりました。どうぞ中へ。」

マ「おっじゃまっしまぁ~す♪」

マヤ、テンション高すぎるよ・・・後、よその家なんだから靴を揃えようね。

ル「ユモったら、なんかマヤのお母さんみたいね。」

それと似たような事、ミラさんとカナとレビィにも言われたな~。
家の中は木の香りがした。何か落ち着くな~。

?「狭い家ですが、どうぞお座り下さい。」

・・・と言っても、座れるのは5人だけ。老夫婦はもちろん座るから、あとの3つの椅子にはウェンディ、トーヤ、マヤが座る事になり、残りの私達は立って話を聞く事になった。

ラ「この度は遠い所から来て下さりありがとうございます。私が依頼主の、モミジ村の村長
、ラズ・ライトと申します。こちらは妻のリズ・ライトです。」

リ「どうも。」

笑顔が素敵な老夫婦だな~。

エ「早速ですが、依頼の内容を詳しく話していただけませんか?」

エルザ、単刀直入すぎるよ・・・

ラ「1週間前の事です。この村の西側にある、コノハ滝という滝の近くに、小さな魔道士ギルドが建てられたのです。確か・・・硝子の人形(クリスタルドール)というギルドでしたかな?」

リョ「硝子の人形(クリスタルドール)?聞いた事もねェな。」

ラ「この村にはたくさんの魔道士達が住んでいますたが、村には魔道士ギルドはなく、他の街や村からも遠く離れていたのでギルドが出来た事には歓声を上げるほどでした。そして、次から次へとギルドに入りに行きました。」

ここまでは普通だけど・・・

ラ「それから、あのギルドに入った者の顔を一度も見てないのです。」

ル「え?」

ウェ「いったい、何人の方がそのギルドに入りに行ったんですか?」

ラ「村の住人の半分以上は入りに行きましたから・・・」

リ「だいたい、約400人です。」

この村の住人の数は約500人。ほとんどの人がそのギルドに入った事になる。

マ「その、硝子の人形(クリスタルドール)っていうギルドに加入した約400人の顔を、残りの約100人の人誰一人、ギルドに入った人の顔を見ていないって事だよね?」

リョ「妙だな。」

マヤがこてっと首を傾げながら鸚鵡返しで問い、顎に手を置いたリョウが神妙に呟いた。

ラ「私達は捜索したりしましたが、何1つ手掛かりを掴む事は出来ませんでした。村長である私は、いろいろな魔道士ギルドに依頼を出しました。村中の金を集めて。これまでに3件の魔道士ギルドから来て下さりましたが、戻って来た者は誰1人としていません・・・」

村長の言葉を聞いた私達の空気が重くなった。
私達、とんでもない依頼を引き受けちゃったみたい・・・

ナ「やってよんよ、その依頼。」

ラ&リ「え・・・?」

ナ「硝子(クリスタル)・・・何ちゃらっていうギルド、何か強そうじゃんかっ!」

ハ「あいっ!因みにナツ、硝子の人形(クリスタルドール)だよ。」

ショ「それに、行方不明の人々も無事かどうか分からないからね。」

ウェ「怖いですけど、たくさんの人達が危険な目に遭ってるかもしれませんしね。」

シャ「そうね。」

エ「安心して下さい。私達は必ず戻ってきます。村の人達を連れて。」

やっぱり、エルザが最後を締めると、気合が入るねっ!

ラ「何と心強い方達だ・・・ありがとうございます!」

リ「ありがとうございます!」

グ「い、いや、頭を下げられても困るんだけど・・・」

ト「まだ、依頼も制覇してませんしね・・・」

ユ「だ、だから顔上げて下さい。」

2人が顔を上げた瞬間、

ラ「あ、最後にもう1つ。」

ま、まだあるのォ!?

ラ「硝子の人形(クリスタルドール)の魔道士は、村の住人を除いて、たった()()だけのギルドだと風の噂で聞いた事があります。」

ル&エ&ウェ&シャ&マ&ユ「えぇーーーーーーーーーーーーーーーっ!!?」

ナ&ハ&グ&リョ&ショ&ト「な~にぃ~~~~~~~~~~~~~~っ!!?」

や、やっぱり・・すごい依頼を引き受けちゃった・・・嫌な予感的中だね☆

グ「それを笑顔で言うなよ・・・」 
 

 
後書き
第25話終了♪
なんかまた大変な事になりそうですね。
次回は硝子の人形(クリスタルドール)のギルドに突入!でも、ものすごく嫌な予感が・・・
次回もお楽しみに♪ 

 

第26話 コレクション

 
前書き
イエーーーイ☆07だよ☆
今回はシリアスで、ちょっと残酷なお話。
いろいろな目線で書いていきますよ。まずはリョウ目線。張り切っていこーーー☆
それでは、第26話・・・スタート☆ 

 
硝子の人形(クリスタルドール)・・・硝子の人形・・・俺の頭の中はこの言葉でいっぱいだった。初耳のギルドだ。しかも、子供2人だけのギルド・・・

リョ「おかしすぎる・・・」

ル「リョウったら、さっきからそのセリフばっかりよ。」

ウェ「意外にリョウさんは真面目なんですね。」

シャ「意外とね。」

ウェンディ、シャルル、一言よけいだぜ。

エ「着いたぞ。」

あれ?いつの間に。にしても、ちっこいギルドだな・・・ショールがギルドの扉を開けて中に入る。中は見た目よりも広くて驚いた。

ユ「誰もいないけど・・・」

辺りはしーーーんとしている。

?「お姉ちゃん、また命知らずが来たみたいだよ。」

?「そうみたいだね。」

全「!!!」

いつの間にか俺たちの後ろに、ウェンディとトーヤぐらいの女の子と男の子がいた。2人とも、青緑色の髪の毛に黒い瞳。

マ「もしかして、双子?」

見ればわかるだろ・・・

ナ「おい、てめぇら!村の人たちはどこだ!!」

ナツが今にも噛みつきそうないきおいで言う。

?「あなたたちに教える資格は無い。すぐにあなたたちも同じようになるんだから・・・」

ショ「どうゆう意味だ。」

ニ「私はニーナ。こっちは弟のノーナ。」

ノーナは頷くだけ。めちゃくちゃ腹が立つ!!

ニ「先に言うけど、あなたたちが私たちに勝つ確立は0%。」

ナ「んだとごらぁっ!!」

マ「ナツ!抑えて抑えて!!」

ハ「あい!!」

今にも暴れだしそうなナツをマヤとハッピーが必死に抑えつける。でもナツ、暴れたい気持ちはよくわかるぞ。俺もこいつらにめちゃくちゃ腹が立っているんだ!!

ノ「僕たちと戦いたいのなら、また後で会おう・・・」

すると辺りが強い光で覆いつくし、そこにはニーナとノーナの姿はどこにもなかった。

ナ&リョ「くそっ!!」

俺とナツは床を殴る。

ト「どうするんですか、エルザさん?」

エ「・・・仕方ないな。ここは、前回と同じく手分けして捜そう。時間がないので、組み合わせは前回と同じだ。相手は村人たちをどこかに監禁している。気を引き締めて戦え!!」

エ以外「おぅ!!!!!」

それぞれのチームがそれぞれの道へ捜索にまわった。

ル「リョウ、私たちも行くわよ!」

リョ「OK!!」

今回もルーシィは俺が守ってやる!!

****************************************************************************************

           『ここからはショール目線でいきます。』

俺はこのギルドに来てからずっと胸騒ぎがする。よくわからないけど、何かが起こる・・・そんな気がした。

ウェ「あ、エルザさんにショールさん。」

ト「見つかりましたか?」

偶然にもウェンディ、シャルル、トーヤと遭遇。

エ「こっちは今のところ以上無しだ。そっちはどうだ?」

シャ「こっちも以上無しよ。」

ショ「それにしても、どうして村の人たちや、他のギルドの連中は行方不明になったんだ?」

ト「それが一番気になりますね。」

ノ「気になるなら、教えてあげる・・・」

いつの間にか、俺たちの後ろには無表情のノーナが立っていた。

ノ「君たちも、すぐに、その人たちに会えるよ・・・」

ウェ「どうゆう意味ですか・・・?」

ノ「君たち妖精には光がある。でも、僕とお姉ちゃんには闇がある。それが許せない・・・」

エ「闇・・・だと?」

ますます意味がわからなくなってきた・・・

ノ「話は終了だよ。妖精さんたち・・・人形眼・・・(ドールアイズ)」

一瞬、ノーナの黒い瞳が怪しく光ったような気がした・・・が、目の前が真っ暗になり、そこからの記憶が無い・・・

****************************************************************************************

             『ここからはグレイ目線でいきます。』

行方不明の人が一度にたくさん・・・どうなってんだいったい?

リョ「よぉ!グレイとユモじゃんか。」

なぜかニーナとノーナじゃなくて、リョウとルーシィに会うし・・・

ユ「調子はどう?」

ル「全く手がかりなし。」

だよなぁ・・・なんなんだよこのギルドは。

リョ「ところでよ、エルザチームとウェンディチーム見なかったか?」

グ「クソ炎のチームはいいのかよ・・・俺たちは見てねぇけど、それがどうした?」

ル「私たち、もうこのギルドの部屋を全部見て回ったんだけど、エルザたちと、ウェンディたちと一度も会ってないのよ。」

ユ「偶然じゃないの?」

リョ「それが違うみてぇなんだ。この30分間の間、ツンツン頭野郎たちも見てねぇって言うし、お前らも見てないんだろ?おかしすぎじゃねぇか?」

そう言われるとおかしい気がする・・・

ニ「へぇ、妖精さんたちって、意外に鋭いんだね。見直しちゃった。」

いつの間にか俺たちの後ろには無表情のニーナが立っていた。

ニ「妖精女王(ティター二ア)と、有名マジシャンと、天空の巫女と、怪物(モンスター)と、羽の生

えた白猫はノーナに人形にされたよ。」

グ「人形に・・・された?」

ル「どうゆうこと?」

ニーナはしょっていたリュックサックを床に下ろし、中から何かを取り出した。

リョ「・・・え・・・・・?」

ル「酷い・・・・・!」

ユ「み、みんなが・・・・・」

グ「そんな・・・嘘、だろ・・・」

俺たちが見たものは、人形にされたエルザ、ショール、ウェンディ、トーヤ、シャルルだった。

ユ「ま、まさか・・・村の人たちや、他のギルドの人たちも・・・」

ニーナは無表情、無言で頷く。こいつ、本当に人間かよ・・・

リョ「みんなは・・・人形になった人たちは無事なのかよ!?」

リョウが怒鳴り声をあげる。

ニ「さぁ、わからない。」

グ「てめぇ・・・!!」

無表情、無言、無感情だからよけいに腹が立つ!!

グ「氷欠泉ッ!!(アイスゲイザー)」

俺の攻撃はひらりとかわされる。

ル「開け!金牛宮の扉!タウロスッ!!」

タ「MOーーーーーーーーーーーーーー!!」

ユ&リョ「牛ッ!?」

ニ「牛・・・」

出たなこのエロ牛!!

タ「MOーーー!ルーシィさん!今日もいい乳してますなぁ。」

ユ「エロッ!!」

ニ「下劣・・・」

リョ「おい!!俺のルーシィに変なことするな!!!」

タ「俺のルーシィ?俺の乳と言ってもらいたい。」

ル&リョ「言うなぁーーーーーーーーーー!!」

グ&ユ「エロイ・・・」

ニ「・・・・・」

ってか、こんなことしてる場合じゃねぇだろ!!

ル「そうだった!タウロス!エルザたちの仇をとって!!!」

タ「MOーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

ニ「無駄。」

ニーナはあのエロ牛を回し蹴りで倒しちまった・・・

ル「ありがとうタウロス。」

タ「スミマセンMOー・・・」

エロ牛が消えると、ニーナはルーシィの目の前に来て、

ニ「人形眼・・・」

ル「!!!」

次の瞬間、俺たちが見たものは人形にされたルーシィだった。

ユ「嫌ーーーーーーーーーーっ!!!」

ユモは頭を抱えてうずくまる。

リョ「そんな・・・ルー・・・シィ。」

リョウはその場に呆然と立ち尽くしていて、拳がワナワナ震えていた。次の瞬間、その震えが怒りに変わった。

リョ「よくも・・・よくもルーシィを!!!」

リョウは鋭い目つきでニーナを睨みつけ、2本の聖剣(エクスカリバー)を抜くと、

リョ「2剣流・・・天翔切ッ!!」

青白い光を放った聖剣を振りかざす。

ニ「だから無駄だって・・・」

ニーナはリョウの腕を掴むと、

ニ「人形眼・・・」

リョ「!!!」

グ「リョウッ!!」

ユ「そ、そんな・・・・・」

リョウまで、人形になるなんて・・・

グ「お前ら、それをどうするつもりだよ・・・」

俺は恐る恐るニーナに聞いてみた。

ニ「私たちのコレクションにするの。」

はぁ?意味わかんねぇよ!!

ニ「羽を広げて、自由に空を飛んでいる妖精なんかに、私たちの気持ちなんかわからない・・・」

グ「知りたくも聞きたくもねぇよ。勝手に人間をコレクションするやつらの気持ちなんか、聞いただけで吐き気がするぜ。」

ユ「グレイの言うとおりだね。」

グ「ユモ!!大丈夫なのか?」

ユ「うん。なんとかね。」

ユモは俺には笑っていたけど、黒いオーラがむき出しになっていた。ユモはニーナを睨むと、

ユ「グレイ、いくよっ!!」

グ「おぅっ!アイスメイク、槍騎兵ッ!!(ランス)」

ユ「アイスメイク、針ッ!!(スピア)」

ニ「何度やっても無駄なのに・・・」

ニーナは俺たちの攻撃をかわし続けた。はぁ、はぁ、はぁ、全然攻撃が当たらねぇ・・・なら、

グ&ユ「氷雪砲ッ!!(アイスキャノン)」

ニ「あ・・・」

ドガガガァァァァァン!!!

見事命中した・・・が、

グ「う、嘘だろ・・・」

ユ「な、なんで・・・」

ニーナは無傷だった。

ニ「私とノーナの体は痛みを感じない。」

グ&ユ「え・・・?」

ニ「人形眼・・・」

グ&ユ「!!!」

このとき、俺とユモは油断していた。ニーナの黒い瞳が怪しく光ると・・・目の前が真っ暗になって、そこからの記憶が無い・・・

****************************************************************************************

           『ここからは少しだけニーナ目線です。』

私は、最後に人形にした男と女の人形を掴み取る。この2人、息がぴったりだった・・・

ノ「お姉ちゃん・・・」

振り返ると、ノーナがいた。

ノ「お姉ちゃんは、やっぱり強いや・・・」

ニ「ありがと・・・」

私は優しくノーナの頭をなでる。

ノ「また、コレクションが増えたね・・・」

ニ「うん・・・コレクションルームに、飾りにいこっか・・・」

ノ「うん・・・」

残る妖精は・・・後、2人と1匹! 
 

 
後書き
第26話終了いたしました。
いや~シリアスでしたねぇ~。夢に出てきませんようにぃ!!
次回はナツとマヤとハッピーが!?最強チームの運命は!?
次回を見逃したらいけないよ!! 

 

第27話 人間は不思議な生物

 
前書き
ヤッホ~♪07で~す♪
今回は妖精VS人形だよ。最強チームの運命は!?
今回はナツ目線でいってみよ~♪
それでは、第27話・・・スタート♪  

 
・・・・・だぁーーーーーーーーーーっ!!!むしゃくしゃする!なんなんだよあの無表情無感情野郎はっ!!!

ハ「ナツ、少し落ち着きなよ。」

ナ「これが落ち着いてられるかっ!!」

マ「やれやれ・・・あれ?何だろこのバカデカイ扉は・・・」

マヤの視線の先にはこげ茶色のバカデカイ扉だった。にしてもでっけ~な・・・ん?上の方に英語で『COLLECTION ROOM』って書いてるけど読めねぇや。・・・おっ!!

ナ「ここからあの無表情野朗のにおいがすっぞ!!」

マ&ハ「そ、そうなんだ・・・」

ナ「おっしゃ!作戦Tだ!行くぞハッピー!マヤ!」

ハ「あいさ~!」

マ「OK~♪」

ナ&ハ&マ「おぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

バゴーーーン!!!

凄まじい勢いで扉がぶっ壊れた。ダハハハハハハハハハハ!!どこだ無表情野朗はっ!!

ニ&ノ「ここだよ・・・」

声のした方を見ると、相変わらず無表情無感情で突っ立っている無表情無感情野朗がいた。

ナ「てめぇら!さっさとバトルしや・・・!!?」

マ「ひぃ!!」

ハ「な、なにこれぇ~!!?」

ニ&ノ「ようこそ、コレクションルームへ・・・」

俺たちが見たものは棚一面に並べられた数えきれねぇ程の人形だった。しゅ、趣味悪ィなぁ・・・棚には、1~500までの数字が書かれていて、そのうちの488~500までの棚は空っぽだった。

ニ「空っぽの棚には、新しいコレクションを飾るの・・・」

ノーナは背中に背負っていたリュックサックを床に下ろし、中から何かを取り出して488の棚に並べた。

ナ&ハ&マ「!!!???」

488の棚にはエルザそっくりの人形が置かれ、489の棚にはショールそっくりの人形が置かれ
て、ウェンディ、シャルル、トーヤと次々に置かれ、最後に、497の棚にグレイそっくりの人形
が置かれた。俺の背中を冷たい汗が一筋流れる・・・

マ「ま・・・まさか、そ、それって・・・」

たぶん、俺とマヤとハッピーが思った事は同じだ・・・

ニ「そぉ、これはただの人形じゃない・・・あなたたちの、仲間だよ・・・」

ハ「・・・じゃあ、村の人たちや、他のギルドの人たちも・・・」

ノ「この中の誰かだよ・・・」

俺の堪忍袋の尾がブチッ!!と切れた。

ナ「ふざけんじゃねぇよっ!!!」

ニ「ふざける?何が・・・?」

ノ「僕たちの気持ちを味わってもらってるだけだよ・・・」

ナ「気持ちを味わってもらうだ?あぁっ!!そんなの、お前らのわがままじゃねぇかっ!!!」

ニ「あなたたちに、私たちの気持ちなんかわからない・・・」

ナ「お前等の気持ちなんかわかりたくもねぇっ!!さっさとみんなを元に戻せぇーーーーーっ!!火竜の・・・鉄拳ッ!!」

怒りの鉄拳をぶつけようとしたが、ニーナに片手で防げられちまった。

ニ「ノーナ・・・」

ノ「了解・・・」

ガシッ!!

ナ「うごっ!!」

俺はノーナに、後ろから羽交い締めされた。はずそうとしたがすごい力で動けない。てか、こんな
細い体のどこにこんな力があるんだ!?

ノ「お姉ちゃん、早く・・・」

ニ「うん・・・人形眼(ドールアイズ)」

ナ「!!!」

****************************************************************************************

ニ&ノ「あ・・・・・」

ニーナとノーナの驚いた声が聞こえた。俺は恐る恐る目を開けて自分の体を見るが何も変わっていない。どうなってんだ?ふと足元を見ると・・・

ナ「マヤ!!ハッピー!!」

床には人形にされたマヤとハッピーが転がっていた。ノーナは素早くマヤとハッピーの人形を拾い上げると498の棚と、499の棚に並べた。500の棚だけが空っぽの状態になった。

ノ「僕たちの、記念すべき500個目のコレクションになるなんて、君は運がいいね・・・」

ニ「まさか、あの2人・・・いや、あの1人と1匹があなたを庇って自ら人形になるなんて思わなかった・・・」

マヤと、ハッピーが、俺を・・・庇って・・・?

ニ「人間は、よくわからない生物・・・」

ナ「はぁ?」

ニ「自分のことしか考えない哀れな人間と、仲間を大切に思う心優しい人間の2つの人間がこの世の中にいる・・・人間はよくわからない・・・」

こいつら、何言ってんだ?

ナ「お前らだって人間じゃねぇか。」

ニ&ノ「・・・・・え・・・?」

ナ「お前らは哀れでも、心優しくもない。まぁ、どっちかとゆうと今は悪いほうの人間だな。」

ニ&ノ「・・・・・」

ナ「確かによ、人間は不思議かもしれねぇけど、でもよ、楽しい生物でもあるんだぜ・・・って、お、おい!どうしたんだ!?」

な、なな、何だよこいつら・・・無表情のまま泣いてるんだぜっ!?腰ぬかすとこだったわ~。

ノ「お、お姉ちゃん・・・この人・・・いろんな意味で、すごいよ・・・」

それ、褒めてんのか?

ノ「ぼ、僕・・・この人には、ついていけない・・・」

ノーナがニーナの腕にしがみつく。

ニ「そうだね・・・」

ニーナも、優しくノーナの頭をなでると、俺の方を向いて、

ニ「ありがとう・・・ナツ・ドラグニル・・・」

そう言い残すと光と共に消えちまった。ん?最後あいつ、笑った・・・よな?

ショ「どわぁっ!!」

マ「ギャア!!」

ユ「ひゃあ!!」

グ「ぐおっ!!」

エ「うわぁ!!」

ル&ウェ&シャ「きゃあ!!」

リョ「いってぇ~!!」

ハ「お、重い、です・・・」

ト「ハ、ハッピーさん、大丈夫ですかぁっ!?」

見ると棚にあった499個の人形は消えていて、かわりに、497人のいろんなやつらと、2匹の猫の姿があった。

マ「ナツッ!!」

ハ「ナツゥ~!!」

ナ「どわぁ!!」

ハッピーとマヤが飛びついてきて俺はバランスを崩し後ろに倒れる。

ル「ナツ、ニーナとノーナを倒したんだね。」

エ「今回はナツに礼を言わねばな。」

グ&リョ「サンキューな、クソ炎。真似すんじゃねぇっ!!」

ユ「ナツ、ありがとう。」

ウェ「ありがとうございます。ナツさん。」

シャ「おかげで助かったわ。」

ナ「お、おぅ/////」

なんか、照れるな・・・

ト「ところで、ニーナさんとノーナさんは?」

トーヤが辺りをきょろきょろ見回す。

ショ「あーーーーーっ!!」

突然ショールが大声を上げた。

エ「どうしたショ・・・あ。」

全「あーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!」

俺たちが見たものは、床に転がっていたニーナとノーナの人形だった。 
 

 
後書き
第27話終了!!
いや~ナツ、かっこよかったです☆こうゆうところにマヤはほれたのかな?
次回は硝子の人形との戦いを終えての出来事です。
それではSeeyou!! 

 

第28話 ニーナとノーナ

 
前書き
呼ばれて飛び出てジャジャジャーーーン!!07です。
今回は硝子の人形との戦いの3日後の出来事です。
マヤ目線で書いていきますよ。
それでは、第28話・・・スタート!! 

 
硝子の人形(クリスタルドール)との戦いから3日後、この事件はニーナとノーナの過去が関係してるの。20年前、当時はある家の女の子の人形だったニーナとノーナはその女の子にかわいがられていたの。でも、その女の子は産まれたときから体の弱い子で、6歳で死んじゃったんだって。ニーナとノーナは女の子の親に捨てられたんだって。そんなある日、偶然この街にやって来た魔道士がニーナとノーナに魔法をかけて人間の姿に変えたの。その魔法は魂(スピリット)。人間になったと同時に魔道士になったニーナとノーナは悲しみをこの村に復讐するために、魔道士ギルドを建てて、加入して来た魔道士を人形に変えていたんだって。でも、魂の魔法はかけられた者が涙を流すと効果が切れるんだって。村の人たちは、

村1「早く燃やしちゃえっ!こんな呪いの人形ッ!!」

村2「切り刻んでしまいましょうっ!!」

村3「海に投げ捨ててもいいと思うぜっ!!」

なんて言う人もいた。さすがにそれはかわいそすぎると思ったから、今は私が引き取って保管しているの。でも、エルザに、

エ『また、変な事をやらかすかもしれない。できるだけ手の届かないところに置いとけ。』

って念を押されたから、今は私の部屋の棚の一番上に飾っている。でも、人間のときは無表情なのに、人形のときは笑っているんだよね。何でだろう?この笑顔を見てると、な~んか癒されちゃうんだよね。

ナ「お~いマヤ、居るか~?」

ハ「居るか~?」

むむっ!この声はナツとハッピーだ。何しに来たのやら・・・どうやら私の家と、ナツとハッピーの家はすごく近いらしいの。

ナ「ちょっと、礼を言いにきただけだよ。」

ん?お礼?

ナ「そ、その・・・ありがとな。庇ってくれて。」

庇う?あ~あ、ニーナの人形眼(ドールアイズ)のときか。

マ「私は大丈夫!!まさか、ハッピーも一緒に庇うとわね。」

ハ「おいらも最初はびっくりしたよっ!」

・・・それって、私がナツを庇わないと思ったのぉっ!?これでも一応片思いしてる相手だからねっ!!・・・なんてこと言えないよね・・・////////////

ナ「あれから、ニーナとノーナの様子はどうだ?」

マ「問題無しっ!異常無しっ!この世に最初から悪い子なんていないもん。ニーナもノーナも寂しかったんだよ。きっと・・・」

ナ「じーーーーーーーーーー・・・」

ナツが私の顔を覗き込む。ち、近いって!!/////////////

ナ「お前も問題無し、異常無しか。」

マ「はい?」

ナ「いや、なんかいきなりまともなこと言うからよ・・・」

それって、私が普段まともじゃないってことぉっ!?どんだけ私を舐めてるのっ!?

ハ「あれ?ニーナとノーナが笑ってる。」

ハッピーが棚の上のニーナとノーナの人形を見て首を傾げる。

マ「それ、私も気になってるんだけど、全然わかんなくって。」

ナ「・・・きっと、マヤに「ありがとう」って言ってんじゃねぇのか?」

マ「えっ?」

ナ「こいつら、村の人たちに燃やされそうになったとき、お前助けただろ。そのお礼を言ってんるんだと俺は思うぜ。」

私は棚の上にいるニーナとノーナを見る。黒いビーズの瞳と目が合ったような気がした。

ナ「マヤ、ギルドに行こうぜ。」

ハ「あい!!」

ナツとハッピーが手招きする。

マ「うん!今行くよ~!」

部屋を出ようとしたそのとき、

『ありがとう、マヤ・ララルド・・・』

マ「えっ!?」

頭の中にすごく小さな声が聞こえた。その声は、間違いなく、ニーナとノーナだった。私は、棚の上のニーナとノーナに小さく手を振ると、ナツとハッピーを追いかけてギルドに向かった。 
 

 
後書き
第28話終了!
人形って、ずーーーーーと眺めていると、表情が変わるって知ってましたか?
次回は最強チーム、アカネビーチへ!!楽園の塔以来ですね。
それではまた次回!! 

 

第29話 いるかと海中探検

 
前書き
こんにちは!07です!
今回は最強チームがアカネビーチへ!!真夏といえばやっぱり海ですよね!
エルザ様目線で書きましょう!
それでは、第29話・・・スタート!! 

 
ザッブーーーン、ザザザザザザ・・・

ル「ヤッホーーーーー♪」

青い空、青い海、金色の日差し!!絶好の海日和だぁーーー!!どうして私たちが海にいるのかとゆうと、

ショ「それにしてもすごいなエルザ、くじ引きで1等のアカネビーチ、1泊2日のチケット、12人分を当てちゃうなんて。しかも無料でっ!」

エ「まぁ、運がよかったのだろう。今日は思いっきり遊びまくるぞっ!!」

ショ「あぁ。」

マ「エルザァ~!ショールゥ~!ビーチバレーやろぉ~♪」

エ「勝負か。燃えるな。」

ショ「今行くよ~。」

****************************************************************************************

バシュッ!!

ビーチボールが勢いよく砂浜に打ち付けられる。それとほぼ同時に、ピィーーーッ!と笛の音が響き試合終了。

ウェ「この勝負、エルザさんチームの勝ちですっ!」

シャ「ちなみに、25対8よ。」

リョ「どんだけ強いんだよ・・・」

ユ「さっきからずっと、エルザとショールのチームが勝ってるね。」

ト「2人とも燃えてますね。」

グ「しかも、息ぴったし。」

ハ&マ「でぇきてるぅ~。」

ナ「くっそぉ~!エルザ!ショール!今度は泳ぎで勝負だ!!」

エ&ショ「受けて立つ!!」

ル「まだやるのぉっ!?」

リョ「てか、エルザとショールってあんなキャラだったか?」

今日は遊びまくるぞぉ~~~~~!!!

エ&ショ以外「・・・やっぱ、キャラ変わってる・・・」

****************************************************************************************

マ「みんな~ちょっと来て~。」

マヤに呼び出され私たちは海岸に集まった。

ル「何マヤ?」

マ「みんな集まったね、よ~し!我と契約した者よここに姿を現せっ!!いるかたち!!ピィーーーーーーーーーー!!」

すると華麗なジャンプをしながら5頭のいるかがこっちに近づいてくる。

ナ「おっ!もしかしてキューか!?」

キュ「キュー!キュー!」

ナツとマヤが初めて戦ったとき、マヤが召喚したいるかだな。だが、後の4頭は・・・

マ「キューの友達だよ。左から、クー、ユー、リー、ルー。」

ウェ「ちゃんと名前もあるんですね。」

私には全く区別がつかないが、マヤは分かってるみたいだ。さすがだな。

リョ「で、何するんだ?」

マ「これからいるかに乗って、海中探検にでも行こうと思って。」

マ以外「海中探検!?」

なんとっ!!

ト「でも海中ですからずっと潜ってるんですよね?息が続きませんよ。」

マ「大丈夫!みんなこれを飲んで。あ、ナツはこれも。」

マヤがみんなに配ったものはラムネのようなもの。

マ「それを飲めば水中でも3時間は息ができる魔法のラムネなんだ。ナツにもう1つ渡したのは酔い止めだから必ず飲んでね。」

ナツは乗り物・・・いや、今回はいるか酔いだな。

マ「1頭のいるかに2人ずつ乗って。」

私はショールと一緒に乗る。

マ「それじゃあ、海中探検にレッツゴー!!」

5頭のいるかが同時に海の中にもぐる。冷たい水の感触が心地よい。

ショ「エルザ、目を開けても大丈夫だし、普通にしゃべっても大丈夫だよ。」

そうだったな。目を開けると、たくさんの魚や海草、水面から射し込んでくる太陽の金色の光が広がっていた。

ナ「おぉーーーー!酔わねぇ!!すっげー!!」

ル「驚くのはそっちじゃないでしょ。」

リョ「うわぁーーーーー!!」

グ「すっげぇーーーーー!!」

ユ「きれ~い。」

色とりどりの魚や海草が私たちを歓迎してくれてるみたいだ。

ウェ「なんだか、浦島太郎になった気分です。」

シャ「亀じゃなくているかだけどね。」

ト「龍宮城までいるかさんたちが案内してくれるかもしれませんね。」

シャ「絶対ないわね。」

大きな魚や小さな魚が優雅に泳いでる。

ハ「んまー!んまっ!んまっ!んまーーー!」

ナ「うまそうだな。」

マ「食べたらだめだよ。」

ナ&ハ「ガーーーーーン・・・」

やれやれ・・・

リョ「おっ!タコだっ!!」

リョウがタコを捕まえようとすると・・・

ブシューーーーーッ!!

リョ「おわっ!!?」

いきおいよく墨をかけられ、リョウの顔は真っ黒だ。

ル「リョウ、大丈夫?」

リョ「ギャアアアアア!!な、何にも見えねぇ!!ルーシィどこだぁ~!?」

リョ以外「アハハハハハハハハハハ!!」

みんな大爆笑!!

ショ「あっ!みんな、あれ見ろよ!」

ショールが指差したものは・・・

エ「クジラだっ!!」

私たちの真上をゆうゆうと泳いでいくクジラだった。

グ「バカデカイクジラだな。」

ユ「どこ行くんだろうね?」

グ「さぁな。」

私たちは海中探検を満喫した。

****************************************************************************************

だが、楽しい時間はあっという間に過ぎていった。

ト「マヤさん、そろそろ3時間が経つんじゃ・・・」

シャ「日も暮れてきたしね。」

ル「ナツもそろそろ危ないんじゃ・・・」

ナ「お・・・俺は、へ、平気・・・だぞ・・・」

そんな風には全く見えないぞ。

ウェ「そろそろ帰ったほうがいいんじゃ・・・」

マ「そうだね。いるかたち、海面に上昇!!」

いる全「キュー!!!!!」

5頭のいるかが一斉に方向転換し、海面に向かって泳いでいった。

****************************************************************************************

砂浜に着くと夕日が沈むところだった。

リョ「すっげーや。」

ル「すごくきれい。」

ナ「こんなでっけ~夕日、俺、初めて見たぜ。」

ハ「おいらもだよ。」

なんとロマンチックなんだ。

マ「キュー、クー、ユー、リー、ルー、今日はありがとう。またよろしくね。バイバーイ♪」

いる全「キューーーーー!!!!!」

5頭のいるかたちは黄金に輝く海へ帰っていった。

エ「マヤ、今日はありがとうな。とても楽しかったぞ。」

マ「どういたしまして。」

エ「さて、ホテルに戻るぞ!」

エ以外「あいさ~!!!」 
 

 
後書き
第29話終了です!
それにしても、息が3時間も続く魔法のラムネ。本当にあったらいいのになぁ~。
次回は・・・いよいよ、いよいよいよいよ!!おぉ~~~!!!興奮しすぎて作者も叫ぶことしかできません!!
次回は絶対見逃したらいけないよ!! 

 

第30話 本当の気持ち

 
前書き
はい!07です!
今回は・・・ついに、ついに、ついについについに!!あーーー!!興奮が止まらなーーーーーーーい!!!
二人の目線で行っちゃうよ!!最初はリョウ目線で行っちゃうよ!!
それでは、第30話・・・スタート!!!あーーー始まっちゃたーーー!!! 

 
あの後、ホテルの夕食を食べて、温泉に入って、男子全員で枕投げをして遊んだ。途中でエルザに
怒られたけど・・・そして現在、深夜1時半。

リョ「寝、寝れねぇ・・・グォ!!」

ナツの右手が俺の左頬に直撃する。

ナ「火、火竜の・・・・・鉄拳・・・むにゃむにゃ。」

夢でもバトルしてんのかこいつは・・・

ハ「魚・・・」

ハッピーはよだれを垂らしながら幸せそうに寝てる。

ショ「えぇっと・・・ここは、ああして、そこは・・・こうか。」

ショールは寝ながら両手を動かしている。てか、もうマジシャン辞めたんだよな?寝言でマジックしてるし・・・

グ「ZZZ・・・」

ト「スー、スー、スー。」

いっけん、普通に寝てるように見えるグレイとトーヤだけど・・・

リョ「ちゃんと服着て寝ろよ・・・」

グレイはホテルの浴衣を脱ぎ捨てて裸で寝ている。癖なのは仕方ねぇけどよ・・・トーヤはとゆうと、

リョ「な、何で火の玉を抱いて寝るんだよ・・・」

青色と赤色に光る火の玉を抱いて寝ている。でも、そのトーヤは幼く見えてちょっとかわいい。だけどよ・・・

リョ「こんなところで寝るのは、無理・・・ゴハァ!!」

今度はナツの右足が俺の顎に直撃。

ナ「火、火竜の・・・鉤爪・・・むにゃむにゃ・・・」

ダ、ダメだこりゃ・・・

****************************************************************************************

          『ここからはルーシィ目線でいきたいと思います。』

ん・・・な、なんか、熱い・・・目を開けると、

ル「ひぃぃぃぃっ!!エ、エルザ・・・」

目の前にエルザの顔があった。エルザが私の布団に入って寝てる!?

マ「スー、ピィー、スー、ピィー。」

寝息をたてて寝ているマヤの周りには・・・いるかに、ライオンに、熊に、犬!?ここはジャングルなの!?

ウェ「ZZZ・・・」

シャ「ZZZ・・・」

ウェンディとシャルルは問題無し。ユモは・・・

ユ「ZZZ・・・」

こちらも問題なし・・と思ったら、

ユ「うぅ・・・あぁ、ん!・・・うぁ・・・」

ル「ユ、ユモ・・・?」

なんか、すごくうなされて、辛そうなんだけど・・・悪い夢でも見てるのかしら?それにしても、

ル「寝れない・・・」

誰か、起きてないかな・・・

****************************************************************************************

            『ここからはまたリョウ目線です。』

時計の針は深夜3時をさそうとしていた。ずっと起きているか、無理矢理寝るか迷っていると、

コンコンッ!!

リョ「!!!」

女子の部屋から壁を叩く音がした。

コンコンッ!!

俺は恐る恐る壁を叩き返した。

ル「だ、誰?」

リョ「ル、ルーシィ!?」

ル「リョウ!?よかったぁ~。起きてたの?」

リョ「お、おぅ。寝れなくてよ。いろんな意味で・・・」

ル「あ、私もなんだ。」

やっぱり・・・だいたい予想がつくぞ。エルザが布団に入ってきたり、マヤが動物と一緒に寝てい

るとかだな。

ル「よくわかったわね。」

リョ「だいだい予想がつくからな。」

俺とルーシィは今日の海中探検のことやギルドのことなどしばらく話していた。そして、俺はずっとルーシィに聞きたかったことを聞いてみることにした。

リョ「・・・なぁ、ルーシィ。」

ル「何?」

リョ「・・・・・俺のこと、どう思ってる?」

ル「え?」

リョ「その・・・俺さ、ルーシィにアプローチしすぎかなって思って・・・それに、あのめがねかけた星霊もルーシィのこと好きみたいだし・・・」

ル「・・・・・」

リョ「アハハハ、何言ってるんだろうな俺。今の忘れてくれ。ダハハハハハ・・・」

ル「・・・私・・・リョウのこと、嫌いじゃないよ。」

リョ「・・・・・え?」

ル「月の涙(ムーンティア)のときは私を守ってくれたし、硝子の人形(クリスタルドール)のときは私を助けだそうとしたんでしょ?ユモとグレイから聞いたよ。」

リョ「・・・・・」

ル「もちろん、ロキ(レオ)のことも嫌いじゃないわ。」

リョ「・・・そっか。それ聞いてなんかほっとした。」

そして、決心した・・・

リョ「なぁ、ルーシィ。」

ル「ん?」

リョ「・・・・・俺と、付き合って・・・もらえませんか・・・?」

ル「え・・・?」

・・・言えた・・・言っちゃったーーーーーー!!告白しちまったーーーーー!!!////////////あぁ、やべぇ・・・///////////////////心臓が口から飛び出そうだ・・・////////////////

ル「・・・リョ、リョウ。」

あぁそうだ。結果があるんだったよな・・・俺は額に手をのせる。覚悟は出来ていた。

ル「・・・・・いいわよ。」

俺の思考が止まる。我に返って、

リョ「・・・ほ、ほんとに?」

ル「うん!」

はぁ~~~、俺の体から一気に力が抜けた。

ル「//////////わ、私!そろそろ寝るね!!お休みリョウ//////////////」

ものすごく慌ててるのがわかった。ルーシィも恥ずかしかったんだろうな・・・俺もそろそろ寝るか。布団に入って寝ようとしたとき、

グ「よかったじゃねぇか。」

リョ「!!えっ!?」

ショ「おめでとうリョウ。」

ト「おめでとうございます。リョウさん。」

リョ「え!えぇ!!」

みんな起きてたのか~!!!

ナ「途中から起きたんだ。」

ハ「あいっ!リョウとルーシィでぇきてるぅ~。」

リョ「//////////////お、お休み~!!」

もしかして、女子も全員起きてたりして・・・まさか・・・な。

****************************************************************************************

          『ここから少しだけルーシィ目線でいきます』

や、やばい・・・/////////////ドキドキが止まらないわ・・・///////////布団に入って寝ようとしたとき、

マ「おめでとう、ルーシィ。」

ル「!!えっ!?」

エ「よかったではないか。」

ウェ「おめでとうございます。ルーシィさん。」

シャ「おめでとう。」

ル「え・・・えぇ~~~!?」

み、みんな、起きてたのぉ~~~~~!?

ユ「途中から起きたんだよ。」

マ「動物たちもおめでとうだって。」

ル「////////////////お、お休み~!!」

ま、まさか、男子の部屋でも・・・アハハハハハハハ・・・ 
 

 
後書き
第30話終了♪キャーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!
ついにカップル登場!リョウかっこよかったよ!NEWカップルをこれからよろしくお願いします。
次回はギルドに帰ろうとする最強チームのもとに思わぬ悲劇が!?
次回もお楽しみに~♪ 

 

第31話 狙われた妖精の尻尾

 
前書き
はいは~い♪07です♪
今回は最強チームのもとに悲劇が!?その悲劇とは・・・えっ?ロメオ?
トーヤ目線で書いていきたいと思いま~す♪
それでは、第31話・・・スタート♪ 

 
リョ「///////////////////////」

ル「////////////////////////」

この状況を見れば読者の皆さんでもわかりますよね♪

マ「もぉ~~~っ!!せっかくなら話せばいいのにぃ~~~っ!!」

リョ「誰でもじろじろ見られてちゃ話かけにくいだろっ!!」

ショ「まぁ、まぁ。」

ト「リョウさん、落ち着いて下さいっ!」

でも、僕的に、お2人さんはは並んで歩いてるだけでもお似合いだと思いますよ。すると、

ユ「あれ?」

グ「どうしたユモ?」

ユ「あれって、ロメオ?」

ユモさんの視線の先には、ナツさんとそっくりな服装をしていて、僕とウェンディさんと同い年くらいの男の子。間違いなくロメオさんです。すると、突然ロメオさんがその場に倒れてしまいましたっ!!

ル「ロメオッ!?」

ウェ「ロメオさんっ!?」

僕たちはすぐに駆け寄ります。ロメオさんは傷だらけです。

ナ「おい、ロメオッ!どうしたっ!何があったっ!!」

ウェンディさんが治療魔法をかけている最中、

ロ「ナ、ナツ、兄・・・みんなが・・・ギルドが・・・」

エ「ギルドがどうしたというのだっ!!?」

ショ「エルザ、落ち着けっ!!」

ロ「はぁ、はぁ・・・あ、赤い桜(レッドブロッサム)のやつらが、はぁ、はぁ、はぁ、ギルドを、攻撃、してきて・・・みんな、攫われて・・・はぁ、はぁ、はぁ。」

ロ以外「攫われたぁっ!?」

そ、そんなぁ・・・!マカロフさんやミラさん、カナさんやガジルさんやジュビアさんやラクサさんや雷神衆のみなさん、他にもたくさん強い人がいるのに、どうして・・・!!?

ロ「ナツ、兄・・・みんなを・・・助、け・・・」

ナ「おい、ロメオッ!しっかりしろっ!!」

リョ「落ち着けナツッ!!気を失っただけだ。」

よ、よかったぁ~・・・

エとにかく、「急いでギルドに戻るぞっ!!」

エ&ロ以外「おぅっ!!!!!」

僕たちは、急いでホテルに荷物を取りに行き、ギルドまで全速力で走りました。

****************************************************************************************

ギルドの建物は無事でしたが、中はめちゃくちゃに荒らされていていました。ロメオさんは、マグノリアの東の森の木の家に1人で住んでいる、マカロフさんの昔からの知人のポーリュシカさんに任せることにしました。ウェンディさんとシャルルさんの話しによると、ポーリュシカさんはアースランドと真逆の世界、エドラスからなんらかの理由でやって来た、ウェンディさんのお母さん、天竜グランディーネさんだそうです。そのエドラスとゆう世界では、竜(ドラゴン)は人間の姿をしているそうです。何ででしょうか?

ポ「全く、相変わらず戦いに縁のあるギルドだね。赤い桜・・・どんなギルドなのか知ってるんだろうね?」

エ「もちろんです。」

リョ「赤い桜は昔から妖精の尻尾をライバル視していて、とても評判の悪いギルドです。」

ポ「それと、赤い桜の現マスター、ルーモ・ラフレーは、妖精の尻尾を潰すことしか頭にないからねぇ。全く、こうゆうバカがいるから人間は嫌いなんだよ。」

え・・・人間嫌いなのに、僕たち来て大丈夫なんですかぁ!?って、僕は幽霊でした。

ナ「ライバルだろうが何だろうがっ!!仲間を傷つけたやつには変わりねぇっ!!!」

ナツさんの体から炎が噴射します。

ポ「燃えるなら外でやってくれないかい。」

す、すごい・・・こんなに冷静な人、初めて見ました・・・

グ「で?赤い桜のギルドはどこにあるんだよ?」

ショ「クヌギの街だ。」

ル「クヌギなら列車で行けるわね。」

ナ「列車・・・おぷ・・・」

マ「想像しただけで酔わないでよ・・・」

ハ「あい・・・」

ポ「ここで吐かないでおくれよ。ますます人間臭くなっちゃうからね。」

・・・やっぱり、すごいです・・・

ポ「人の顔をじろじろ見ないでくれ。」

と「あぁ!えぇっと、すいませんっ!!」

僕は慌ててポーリュシカさんに頭を下げます。やっぱり、すごいです・・・

ポ「ウェンディ、これを持っておいき。」

ポーリュシカさんがウェンディさんの手の平に小さな青い袋を渡しました。

ウェ「これは?」

ポ「解毒剤だよ。赤い桜の連中の中に、強力な毒魔法を使うやつがいる。あんたの魔力をあまり使わないように一応持たせておくよ。無意味かもしれないけどね。」

ウェ「ありがとうございます、ポーリュシカさん!」

シャ「これで少しは魔力の心配は必要ないわね。」

ポーリュシカさんは、ウェンディさんにとても優しいんですね。

ポ「油断したら命の保障はないかもしれないからね。気を引き締めて戦うんだよ。」

ユ「なんか、エルザと似たようなことを言ってる気が・・・」

ユモさん、僕もそう思います。

ショ「ロメオを頼みます。」

ポ「わかったから早く行くんだね。人間臭くてたまらないよ。」

ポーリュシカさんは箒で僕たちを外に追い出します。僕たちゴミじゃありませんよぉ~!!

ナ「やっぱ人間嫌いは治ってねぇのか。」

ハ「おいらとシャルルは猫なのに・・・」

僕も幽霊なんですが・・・

エ「とにかく、マスターたちを傷つけた哀れなやつらを潰しに行くぞっ!!」

全「おぉーーーーーーーーーーーーっ!!!!!」

僕たちは列車で赤い桜のギルドへ向かいました。 
 

 
後書き
第31話終了です♪
赤い桜のやつらに連れ去られた最強チーム以外の妖精の尻尾の魔道士。いったいどうなる!?
次回は赤い桜のギルドに突入♪
お楽しみに♪ 

 

第32話 扉の向こう

 
前書き
ヤッホー☆07です☆
今回は赤い桜(レッドブロッサム)に突入!!熱くなれっ!!!
マヤ目線で行ってみよ~☆
それでは、第32話・・・スタート☆ 

 
全「あ・・・・・・・・・・・・」

ナ「な、何じゃこりゃぁ~~~!!?」

私たちは赤い桜(レッドブロッサム)のギルド正面にいるよ☆でもねでもねでもね、そのギルドの色が・・・

リョ「ま、真っ赤・・・だな。」

壁もギルドのドアも窓枠も、ぜぇ~~~んぶ真っ赤ッ!!

ル「趣味悪ッ!!」

ハ「グ、グロテスク・・・だね。」

私のこのギルドの第一印象は、血だよ☆

ユ「そこ、☆じゃないと思うんだけど・・・」

ユモに突っ込まれたのはあえてスルーしよう♪

エ「と、とにかく、中に入るぞ。」

エルザがギルドのドアを開けた・・・はずが、

エ「!!?」

ショ「どうしたエルザ?」

エ「ド、ドアが、あ、開かない・・・」

エ以外「えっ???」

エルザの力で開かない扉って・・・どんだけいかれてるのっ!?

ル「違うでしょっ!!」

ルーシィに突っ込まれたのはあえてスルーしよう♪そんな事より、みんなで扉に手を掛けると、

全「せぇーーーーーのっ!!!!!」

全員で押してやっと人1人入れる隙間ができた。

全「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・」

た、戦う前に、はぁ、はぁ、こ、こんなに、息切らしてて、はぁ、はぁ、はぁ、だ、大丈夫、かなぁ・・・?はぁ、はぁ・・・

ウェ「はぁ、はぁ、ど、どんな材料で、つくられて、いるんですか、この扉は・・・はぁ、はぁ。」

と、とにかく、中に入ろぉーっ!!レッツゴーッ!!!

ト「マ、マヤさん、テンションが・・・」

シャ「壊れたわね・・・」

****************************************************************************************

中に入ったら、一面、本、本、本だらけっ!!うぅ・・・気持ち悪い・・・

ハ「マヤがナツみたいになったっ!!」

わ、私・・・本を見ると酔うんだよね・・・うぅ・・・

リョ「本酔い・・・ってやつか?」

グ「本で酔う人間なんて始めて見たぞ。」

シャ「いや、まずそんな酔いなんてないから・・・」

そんなどうでもいい会話をしていると、

?「あっ!ハエだ~♪」

ブチッ!!

今、なんか切れたんだけど・・・すると茶色い髪に目に服の女が降りてきた。

ナ「てめぇ・・・今何つった?あぁ!!」

みんな怒り爆発ッ!!もちろん私も噴火してるよっ!!酔ってるけど・・・うぅ・・・

マリ「やだなぁ、そんなに怒んないでよ。赤い桜の魔道士はみんな、妖精のことをハエって呼んでるんだよ♪ちなみに私はこのギルドのS級魔道士のマリー♪よろしくね♪マスターに言われて、天空の巫女と、怪物(モンスター)と、白猫と戦うことになってるんだけど、誰かなぁ~?」

な、なぁ~んだ、相手は決まってんのか。ウェンディとトーヤとシャルル、こんなチビに負けないでねっ!!うぅ・・・

マリ「チビにチビって言われたくないっ!!」

マ「なんだとぉ~っ!!うぅ・・・」

ル「そこかみつくトコ?」

ナ「しかも酔ってるし。」

ナ、ナツに、言われ、たく、ないよ・・・うぅ・・・

マリ「残りのハエは奥の扉へ~♪」

きぃーーーっ!!ちょーーーむかつくっ!!怒りを爆発させながら私たちは次の部屋へ。

****************************************************************************************

本が消えたから復活ッ!!次の部屋はとゆうと・・・

グ「・・・花、木、草・・・虫!?」

WOW!!なんか植物園みたい。奥で若葉色の髪をお団子に束ねて、赤いめがねの女の人がいる。
そのそばに、黄緑色の猫がいる・・・って、もしかして・・・

ル「あ、あのぉ・・・」

?「はぁっ!た、大変失礼いたしましたっ!ハエのみなさま。」

めちゃくちゃ丁寧な口調だけど、やっぱりハエなんだ・・・

ロ「私は赤い桜のS級魔道士の1人、ローズと申します。こちらは私の相棒のグリースです。」

グリ「よろしく。ローズは、妖精女王(ティター二ア)と、元有名マジシャンと戦うらしいよ。」

エルザとショールだね。頑張れぇ~!!

ロ「後のハエのみなさまは扉の先へお進み下さい。」

さっきよりではないが怒りを爆発させながら次の部屋へ。

****************************************************************************************

次の部屋は・・・

ナ「ぬぉぉぉぉぉっ!!?」

ル「くっさ~っ!!」

グ「うぇ・・・」

マ「げぇ・・・」

リョ「な、何だ・・・この、臭い・・・?」

ユ「うぅ・・・・・」

くくくくくくくくくく、くっさーーーーーい!!!うぅ・・・さっき本酔いしたばっかなのに、ま
た気持ち悪くなってきた・・・うぅ・・・

?「やっと来たかハエ共。」

紫色のツンツン頭がこっちをいやらしそぉ~うに上から目線。

ホ「俺はホミ。ここのS級魔道士だ。俺はマスターの命令で2人の氷の造形魔道士と戦うことにな
っている。」

ユ「えぇ・・・」

グ「マ、マジ、かよ・・・」

グ、グレイと、ユ、ユモには悪い・・・けど、よかったぁ~・・・うぅ・・・

ホ「関係のないハエはとっとと・・・」

グ&ユ&ホ以外「言われなくても出て行くっ!!!!!」

悪臭の漂う部屋を脱出し次の部屋へ直行ッ!!

****************************************************************************************

全「ぷはぁ~~~~~!!!!!」

息が出来るってなんて素晴らしいんだろうっ!!んで、この部屋は・・・

マ「・・・ピアノに、バイオリンに、トランペットに、メトロノーム!?」

WOW!!きれいな音楽を奏でている部屋だ。

?「ラララララ~♪ラララララ~♪ラララララ~♪」

な、なんか部屋のど真ん中で踊っている人がいるのは・・・気のせいじゃないっ!?

?「ハエのみなさん、よ~う~こ~そ~♪」

なんか歌ってるし・・・しかも声高ッ!!クリーム色のドレスがくるくる~♪

メ「私はS級の、メ~ロ~ディ~ー♪星霊魔道士と聖十魔道士はだ~れ~で~す~か~♪」

ルーシィとリョウだっ!!

メ「残りのハエは、次のと~び~ら~へ~♪」

****************************************************************************************

どうやらここが最後の部屋みたい。部屋に入ると、

ルー「ようこそ、ハエの火竜(サラマンダー)と、動物姫(アニマルプリンセス)と、青猫君。」

こいつが赤い桜のマスター、ルーモ。てゆうか、動物姫って?

ルー「君の異名だよ。」

マ「私の?」

いつの間にそんな異名が・・・?

ナ「てめぇ、じっちゃんは、みんなはどこだっ!!!」

ハ「どこだーーーっ!!」

ルー「安心しろ。奥の部屋で羽を休ませている。1人脱走したがな。」

ロメオのことだっ!!

ナ「妖精の尻尾にどんな恨みがあるか知らねぇが、仲間を、ギルドを傷つけるやつは、俺が許さねぇっ!!!」

おぉっ!!ナツの本気モードスイッチ発動ッ!!

ナ「行くぞっ!!マヤ!ハッピー!」

マ「OK!!」

ハ「あいさ~!」

私だって、仲間を傷つけられたんだ。私も全力&本気でいっくよぉ~!!!こうして、妖精と桜の対決が幕を開けた。 
 

 
後書き
第32話終了~☆
次回はウェンディ&トーヤ&シャルルVSマリーです☆
それではまた次回☆ 

 

第33話 本は友達

 
前書き
おはようございま~す!07です!
今回はウェンディ&トーヤ&シャルルVSマリーが対決です!赤い桜(レッドブロッサム)のS級魔道士の実力は!?
ウェンディ目線で書きますよ!!
それでは、第33話・・・スタート!! 

 
マリ「さぁて、そろそろ勝負しよっか。先手は譲るよ。」

なんでしょう、この異様な雰囲気は・・・トーヤさんもシャルルも気づいてるみたいだけど・・・

ト「我と、心を通わせ、姿を現せ!出て来い!化け猫!!」

魔法陣から白い耳に尻尾のかわいい女の子が出てきました。

マリ「へぇ~、それが怪物召喚(モンスターズ)か。」

ト「化け猫、高速ひっかき!」

化「ニャーーーッ!!」

マリ「そんな攻撃、当たらないよ。本魔法(ブックマジック)、炎!」

すると、マリーさんが持っていた1冊の本から炎が吹き出しましたぁっ!?

化「ニャワァァァッ!!」

ト「化け猫ッ!?」

マリ「なんだ、弱いわね。」

トーヤさんをバカにするなんて・・・!!私は深く息を吸い込んで、頬を膨らませると、

ウェ「天竜の・・・咆哮ッ!!」

マリ「本魔法、風!」

今度は本から強い風が吹き、咆哮を防ぎました。

シャ「なんなの、あの魔法!?」

マリ「よくぞ聞いてくれました!!本魔法(ブックマジック)は、本の属性を変えて、攻撃したり、
防御するの。」

初めて聞く魔法です。

マリ「今度は私からいくよっ!!本魔法、雷!」

今度は本から雷がっ!?

ト「うわぁ!!」

シャ「キャァ!!」

ウェ「ひゃぁ!!」

つ、強い・・・

マリ「この世に赤い桜(レッドブロッサム)と本に勝てることなんて出来ないわ。」

ウェ「ど、どうゆうことですか?」

すると、マリーさんは寂しそうな表情で、

マリ「私は、ずっと1人ぼっちだった。友達も1人もいなくて寂しかった。私の唯一の友達は、本だけだった。本さえあれば私は生きてこれた。そんな私を赤い桜は認めてくれた。すごくうれしかった。私は赤い桜のS級魔道士のマリー・コリーッ!!赤い桜のライバル、妖精の尻尾は、私が必ず潰してみせるっ!!本魔法、水!」

本から水が勢いよく噴射されました。

ウェ「天竜の・・・はぁ!!」

シャ「ウェンディ!!!」

ど、どうしよう・・・魔力が・・・もう、ダメだ・・・すると、トーヤさんと化け猫さんが私とシャルルの前に飛び出して、

ト「化け猫、猫の瞳(キャッツアイ)!」

化「ニャァーーーーーッ!!」

化け猫さんの金色の瞳が怪しく光ります。水は化け猫さんのおかげで防ぐことができました。

ト「マ、マリーさんが本が大好きなのはよくわかりました。僕も、同じだったんですから。」

ウェ&シャ&マリ「えっ???」

トーヤさんも、マリーさんと、同じだった・・・?

シャ「トーヤ、どうゆう事なの?」

トーヤさんは一度目を閉じてから話し始めました。

ト「僕も、ギルドに入る前は友達はお化けたちだけでした。でもギルドに入って、僕のことを仲間と言ってくれる人がたくさんできました。僕も、妖精の尻尾は必ず守りますっ!!」

トーヤさん・・・すると、マリーさんは持っていた本を閉じると、

マリ「・・・・・参りました。」

ウェ&ト&シャ「えっ???」

マリ「怪物(モンスター)の話を聞いてたら、なんか感動しちゃって。それに、大切な仲間を守ったしね。あなたたちの勝ちだよ。奥の扉へ進んで。」

奥の扉がギギィーーーッと音を立てて開きました。

****************************************************************************************

・・・こんな勝ち方でよかったんでしょうか?

シャ「いいんじゃない。相手が自分から負けを認めたんだから。それに、あんたもトーヤも、あまり魔力も残ってなかったでしょ。」

確かに、あそこでトーヤさんに守ってもらわなかったら、大変だったもんね。

ウェ「トーヤさん、助けてくれてありがとうございます。」

ト「そ、そんな、お礼なら化け猫に言って下さい。」

シャ「それにしても、今回のあんた、ちょっとかっこよかったわよ。」

ト「えぇっ!?」

ウェ「私もそう思います。」

ト「じょ、冗談は辞めて下さいよぉっ!!//////////////////」

トーヤさん、かなり照れてます。でも、本当にかっこよかったですよ///////////////////

ト「と、とにかく、先を急ぎましょう。」

私たちは次の部屋へ進みました。 
 

 
後書き
第33話終了です!
今回はちょっとあっさり終わってしまいました。
次回はエルザ&ショールVSローズだよ。
バイバ~イ♪ 

 

第34話 草の滅竜魔道士

 
前書き
HEY!!07です!!
今回はエルザ&ショールVSローズだよ。ローズの驚きの正体が明らかに!?
エルザ様目線でいっくよ~♪
それでは、第34話 草の滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)・・・スタート!!! 

 
ロ「それじゃあ、そろそろ私たちも勝負致しましょう。できれば、植物に攻撃しないでいただきたいのですが、よろしいでしょうか?」

自分より植物のほうが大切なのか?

ショ「トリックルーム!!」

空間がゆがんで見える。これがショールの魔法・・・すごいな。

ロ「わぁ・・・目が回る・・・」

グリ「ぐるぐる~。」

ローズとグリースが目を回している間に、

エ「換装!黒羽の鎧ッ!ハァァァァァァァァ!!」

ロ「草竜の・・・砕牙ッ!」

ガキィィィンッ!!

エ「お前は滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)なのか?」

ロ「はい。第1世代の者です。草竜、リーフレインに教わった魔法です。7年前に消えてしまいましたが・・・」

ローズが小さく呟く。

ロ「グリースは私が8歳のころに、卵から生まれたんです。」

グリ「私はローズの相棒よ。」

ローズとグリースは性格が真逆のようだが、ものすごく息がぴったりだ。

ショ「ナツやウェンディと一緒か。どうするんだ、エルザ?」

エ「誰であろうと仲間を傷つけたギルドの1人だ。倒すまでだ。」

ショ「そうゆうと思ったよ。」

ロ「今度はこちらから参ります。草竜の・・・翼撃ッ!!」

なんとゆう力だ・・・

ショ「エルザが押されてる・・・」

グリ「すごいよローズ!そのまま倒しちゃえっ!!」

ロ「続いて、草竜の・・・咆哮ッ!!」

速い!!これまでか・・・

ショ「ミクロ!!」

ドゴォーーーーーン!!

・・・ん?どう、なったのだ?

グリ「あ、あれ?」

ロ「お、おかしいですね?咆哮は当たったはずなんですが・・・」

ローズもグリースもどうなったのかわからないようだ。もしかして・・・

エ「ショール、お前がやったのか?」

ショ「ミクロ(小さい)は、相手の攻撃の威力を1回だけ最大減にできるんだ。」

そうか・・・さすがだな。

ショ「でも、ミクロを使ったら、使った者の、魔力を・・・けず・・・る・・・」

エ「ショール!?」

ショールはその場に倒れて、気を失ってしまった。

ロ「自分を犠牲にして、味方を守る・・・愛ですね。」

グリ「愛だねぇ~。」

ん?今のセリフ、シェリーとシェリアみたいになっていたような・・・?そんな事より、

エ「換装!天輪の鎧ッ!!天輪・繚乱の鎧ッ!!(てんりん・ブルーメンブラット)」

ロ「ひゃあっ!!」

悲鳴を上げながらも私の攻撃をかわし続ける。ローズ・・・なかなかやるな。

ロ「あっ!あやめがっ!!」

グリ「あわわわわわぁ~~~!!」

エ「!?」

鮮やかな紫色をした1輪の花に剣が当たりそうになった・・・が、

エ「なっ!!?」

ロ「ギ、ギリギリ、セーフ・・・」

ローズがたった1輪の花のために、自ら自分の身体を盾にするとは・・・

グリ「ローズ、大丈夫?」

ロ「えぇ。私もあやめも無事よ。」

グリ「よかったぁ~。でも、負けちゃったね。」

ロ「仕方ないわ。妖精女王(ティター二ア)、あなた方の勝利です。先へお進み下さい。」

奥の扉がギギィーーーっと音を立てて開いた。

****************************************************************************************

・・・こんな勝ち方でいいのだろうか?

ウェ「エルザさ~んっ!!」

ウェンディとトーヤとシャルルがこっちに向かって走って来た。どうやら勝ったみたいだな。

ト「ショールさん!?どうしたんですかぁっ!?」

床に倒れて気を失っているショールを見てトーヤが驚く。

エ「魔力を使いすぎてしまってな。ウェンディ、すまないが治療魔法をかけてくれないか?」

ウェ「はい。」

****************************************************************************************

ショ「・・・ん?あ、あれ?」

ウェンディのおかげでショールの魔力がもとに戻る。

エ「よし、次の部屋へ急ごう。」

私たちは先に進んだ。 
 

 
後書き
第34話終了~♪
ショール、エルザを守りましたね。でぇきてるぅ~。途中、ローズとグリースがシェリーとシェリアみたいになってました。
次回はグレイ&ユモスVSホミです。あの悪臭の正体は!?
次回もお楽しみに♪ 

 

第35話 人質

 
前書き
こんにちは~♪07で~す♪
今回はグレイ&ユモスVSホミのバトルだよ。でも、かなり苦戦なバトル・・・しかも、ユモが大変なことに!?グレイどうする!?
グレイ目線で書こうと思います。
それでは、第35話・・・スタート♪ 

 
な、何なんだよ、このひっで~臭いは・・・やべぇ、目が、霞んできやがった・・・

ホ「この臭いは毒ガスだ。あまり吸うと体全身に毒がまわり死に至る。」

それを先に言えっ!!

グ「てゆうか・・・何でお前は、平気、なんだよ・・・」

ホ「俺は毒を操る魔法を使用する魔道士だからだ。」

そういや、ボーリュシカさんが、言ってたな・・・ギルドの中に、強力な毒魔法を使うやつがいるって・・・こいつの、ことか・・・

ユ「うぐっ・・・」

ユモが耐え切れなくなったのか、口と鼻を押さえてその場にしゃがみ込む。

ホ「チャンス。」

ホミは小さく言うと、左腕をユモに向かって突き出すと、

ホ「毒魔法、毒縄!(ポイズンロープ)」

ホミの左腕から紫色の縄が伸びてきて、ユモの体を絡め取った。

ユ「えっ?キャアアアアアッ!!」

グ「ユモッ!!」

慌てて手を伸ばしたが時すでに遅し。ユモは宙高く舞い上がりホミのすぐ傍まで連れて行かれた。

ホ「この縄で縛られたやつの体は毒のダメージが急激に上がる。」

ユ「っあぁぁ・・・!」

いつの間にかユモの右腕、左腕、首筋に紫色の線が浮かび上がっていた。ニルヴァーナの時、エルザが毒蛇にやられたときと一緒じゃねぇかっ!!

ホ「そして、こいつはお前の人質だ。」

ホミが毒縄をきつく締める。

ユ「うぁ・・・あぅ!」

グ「止めろぉーーーーーーーーーーっ!!!」

攻撃しようとするが、ユモに当たる可能性のほうが高く、体が思うように動かない・・・しかも、悪臭がさらに強くなってやがる・・・俺も立っていることができなくなり、その場に膝を着いた。

ホ「情けねぇなぁ。」

ホミは小さく呟くと、俺に向かって右腕を突き出し、その右腕からの毒縄で俺の体を絡め取る。

グ「りょ、両腕、から・・・出るの、かよ・・・」

俺の左腕、右腕、首筋に紫色の線が浮かび上がる。

ホ「ハエ共は弱いやつしかいねぇのか?つまんねぇな。」

ホミは毒縄をきつく締める。

グ「あぁ・・・うあ!」

ユ「うぐっ・・・!」

ユモの体にはすでに紫色の線が浮かび上がっていた。体全身が、毒でやられているっ!!

ホ「早くしねぇと、お前も、この女もあの世行きだぜ。」

ホミは悪魔のような笑みで笑う。

グ「くっそぉ~~~・・・」

その時、俺の頭の中に1つの考えが浮かんだ。可能性は低いが、いちかばちかだっ!やるしかねぇっ!!俺は残りの魔力を両手にためて・・・

グ「アイスメイク・・・槍騎兵ッ!!(ランス)」

ホ「そんな攻撃で、俺を倒せると思った・・・なっ!?」

グ「最初っから、てめぇなんて、狙ってねぇよ・・・」

俺が狙ったのは、毒縄。見事に切れて、俺とユモは真っ逆さまに落ちる。俺は空中でユモをキャッチッ!!

ズザザザザザザザザザザァァァッ!!

着地には失敗したけどよ。

グ「おい、ユモ!しっかりしろっ!!」

ユモはすでに気を失っていた。

ホ「うまいこと毒縄から逃れたが、毒のダメージは止まってないぜ。」

グ「そんなの気にするかよ。」

ホ「何?」

グ「俺はギルドと仲間を助けることしか頭に無いんだ。そのついでに、お前を倒すだけだ。」

ホ「お前・・・俺を挑発したなっ!!」

グ「ギルドと仲間を傷つけたんだ。妖精を怒らせると、どうなるか覚悟しとけ。」

倒れそうになりながら、俺はホミを睨みつける。

ホ「毒魔法、毒ガス!」

また悪臭が襲うが、

グ「アイスメイク、戦斧ッ!!(バトルアックス)」

ホ「なにぃっ!?ぐほぉっ!!」

グ「氷欠泉ッ!!(アイスゲイザー)」

ホ「うあぁぁぁっ!!」

これで・・・止めだ!!!

グ「氷刀・七連舞ッ!!」

ホ「グワァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」

はぁ、はぁ、はぁ、な、なんだよ、人質が、いなくなりゃあ、弱い、じゃ、ねぇか・・・はぁ、はぁ・・・悪臭も消えて、ホミの姿も消えていた。

グ「うぅ!ぅ・・・ぁ・・・」

毒ガスの影響で俺は力尽き、膝から崩れるようにその場に倒れ、意識を失った。 
 

 
後書き
第35話終了です♪
今回、ユモのセリフがかなり少なかったです。途中で気を失いましたからね。グレイかっこよかったです。
次回はラブラブカップルVSメロディーだよ。
お楽しみにぃ~♪ 

 

第36話 過去を奏でるメロディー

 
前書き
イエ~イ☆07だよ☆
今回はラブラブカップルVSメロディーの対決だぁーーー!!
リョウは愛しのルーシィを守ることができるのか!?そして、勝つことができるのか!?
リョウ目線で書きますよ☆
それでは、第36話・・・スタート☆ 

 
リョ「グワァァァァァァァァァァッ!!」

ル「アァァァァァァァァァァァッ!!」

俺とルーシィはメロディーと戦っている真っ最中だが、完全に不利な状態。メロディーの魔法、音楽魔法(ミュージック)の雑音が頭を締め付けるような音楽を奏でていて、頭にガンガン響く。立ち上がれないほどだ・・・さっきから俺もルーシィも叫び声を上げてばかりだった。

メ「その叫びも、素敵な、メ~ロ~ディ~♪」

な、なんなんだ、あいつ・・・?さっきから、言ってることが、ちんぷんかんぷんだ・・・

メ「さて、雑音、一時停止。」

・・・と、止まった。さっきまでの雑音が聞こえない・・・

リョ「はぁ、はぁ、ルー、シィ、はぁ、はぁ、大丈夫、か・・・?」

ル「はぁ、私は、平、気、はぁ、はぁ・・・」

かなり時間を潰しちまったからな・・・ここからだぜっ!!

メ「それはど~う~で~しょ~う~?」

リョ「どうゆう意味だっ!!」

メ「すぐにわかりますわ。聖十大魔道のリョウ・ジェノロ。あなたに届けます。過去のメ~ロ~ディ~を~♪」

はっ?さっきから何言ってるんだこいつ?頭ぶっ壊れたのか?その時、

リョ「あ、アァァァァァァァァァァァッ!!!」

俺の頭の中で電撃のような痛みが走る。

ル「リョ、リョウ!?どうしたのっ!?」

リョ「な、なんだ、これ・・・あぁぁ頭が、頭が・・・!!グワァァァァァァァァァァッ!!!」

ル「リョウッ!!!」

メ「さぁ、リョウ・ジェノロ。過去のせ~か~い~へ~♪」

俺の意識はそこで完全に途切れた。

****************************************************************************************

リョ「・・・ここは・・・いったい・・・あ、?あれ?ルーシィ!?どこだぁ~~~!!」

気がつくと、俺は闇のような真っ黒な不思議な空間にいた。あの過去のメロディーってゆう音楽のせいだ。早く脱出しねぇと、ルーシィが危ないっ!!

?「母さんっ!母さんっ!!」

リョ「え?」

どこからか声がした。声のした方へ行くと・・・

リョ「!!!??」

幼いころの俺がいた。5歳くらいだな。5歳の俺は泣き叫びながら誰かの手を握っていた。

リョ「!!か、母さん・・・!?」

ベッドの上で寝ている・・・いや、死んでいる母さんの冷たい手を握って5歳の俺は泣いていた。そして俺は思い出した。

リョ「これは・・・俺の、過去・・・うあああああっ!!」

また電撃のような痛みが襲ってきた。俺はその場にうずくまり、頭を押さえる。こ、これも、メロディーの・・・魔法、なの、か・・・?このままじゃ、俺は過去に支配されちまう・・・!!

リョ「か、過去のなんかに・・・支配されてたまるかぁ~~~!!」

俺は2本の聖剣(エクスカリバー)を抜くと、

リョ「2剣流・・・星志希切ッ!!」

星のように輝く、希望に満ちた光を纏った聖剣で、真っ黒な空間を切り裂いた。

****************************************************************************************

リョ「!!こ、ここは・・・?」

気がつくと元の場所に戻っていた。

メ「音楽魔法、シ~ン~フォ~ニ~♪」

ル「キャアッ!!」

リョ「ルーシィ!?」

俺が過去の世界へ行ってる間にルーシィとメロディーが戦っていた。ルーシィはすでに傷だらけになっていた。

ル「お、お願い・・・リョウを助けて・・・私の最愛の人を、助けてぇ~っ!!」

ルーシィの頬には一筋の涙が光っていた。俺は握っていた2本の聖剣を持ち直し走り出した。

メ「音楽魔法、雑・・・」

リョ「2剣流、星志希切ッ!!」

メ「!!?」

キィィィンッ!!

すぐに気配を感じたメロディーは、持っていた白くて細い指揮棒で防ぐ。

ル「リョウッ!!」

メ「う、嘘ッ!?過去のメロディーから、脱出したぁっ!?」

でかい目を更にでかくする。驚いて歌うの忘れてやがるぜ。俺は聖剣の刃先をメロディーに向けると、

リョ「お前、泣かせたな、ルーシィを泣かせたなっ!!」

俺は怒りで爆発した。

メ「な、なんなのっ!この魔力ッ!!?」

リョ「俺は、もう、大切な人が、悲しむのを、見たくないんだぁーーーーーっ!!!」

俺は今までで一番でかい声で、

リョ「2剣流、天翔切ッ!!」

青白い光を放った聖剣を思いっきり振りかざす。

メ「キャァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」

形勢逆転ッ!!俺たちの勝ちだぁーーーっと、

リョ「ル、ルーシィ?/////////////////」

ルーシィが俺に抱きついてきた////////////////////

ル「もぅ、心配したんだから・・・」

リョ「/////ゴ、ゴメン・・・////////////」

俺のこと、心配してくれたんだな・・・

リョ「ありがと、ルーシィ。」

俺もルーシィを力強く抱き締めた。

エ「ルーーーシィーーーッ!!」

ショ「リョーーーウッ!!」

ル&リョ「!!」

エルザとショールが向こうから走って来た。俺とルーシィは慌てて離れる。

エ「2人とも無事かっ!?」

ショ「なんかすごい悲鳴が聞こえたから急いで来たんだけど・・・」

リョ「お、おぅ。俺たちは平気だぜ////////」

ル「そうそう。バトルも勝ったしね////////」

エ「そうか。無事でなによりだ。」

ガンッ!!

ル&リョ「硬ッ!!」

や、やっぱり、エルザは怖いぜ・・・

ル「あれ?エルザとショールだけなの?てっきり、ウェンディやグレイたちもいると思ったんだけど。」

そういえばそうだな。

ショ「さっきまで一緒だったんだけど・・・」

エ「いろいろあってな・・・」

リョ「な、何だよ2人して暗い顔しちゃってよ。」

ル「何かあったの・・・?」

ショ「・・・後で、ナツとマヤとハッピーがいるときに話す。」

もったいぶらないでさっさと言えばいいのによ。

エ「ともかく、後はナツとマヤとハッピーの3人がルーモを倒してくれたら、マスターたちは解放される。」

リョ「あの3人なら大丈夫だ。気合とやる気と根性の塊だからな。」

ショ「塊・・・なんだ。」

ル「ナツ、マヤ、ハッピー、頑張って。」

絶対にあの3人なら勝てる。俺は信じ続けた。 
 

 
後書き
第36話終了☆
いや~リョウかっこよかったですね。ラブシーンがありましたがいかがだったでしょうか?
次回はいよいよ最終決戦!!赤い桜のマスター、ルーモ・ラフレーの実力は!?
次回を見逃すな☆ 

 

第37話 恐怖の乗り物大騒動

 
前書き
ヤッホ~♪07で~す♪
今回は赤い桜との最終決戦!!ルーモの実力は!?
ナツ目線で行ってみよ~♪
それでは、第37話・・・スタート♪  

 
ルー「あちゃ~、みんなやられちゃったか。」

おぉ!全員倒したのか!?すっげ~!

マ「じゃあ、後は私たちがルーモを倒せば・・・」

ハ「みんなを助けれるってことだよっ!!」

おっしゃ~!!待ってろよみんな~!!燃えてきたぞ~!!

ルー「僕を倒す?君たちに出来るのかい?」

ナ&マ&ハ「何だとぉ~!!!」

お前等、調子にのるんじゃねぇぞっ!!!

マ「我と契約した者よ、ここに姿を現せっ!!大熊のドラン!猿のノズ!ピィーーーーーーーーーッ!!」

オレンジ色の魔方陣からでかい熊と、猿がでてきた。

ルー「ほぉ、ではこちらも・・・地獄のカーレースの始まりだぁ!!」

ルーモが叫んだのと同時に、遠くのほうからブルン、ブルン、ブルン、ブルン、ブルンとゆう音が聞こえてきた。

ナ「何だ何だ?」

マ「エンジン音みたい。」

すると、赤い魔法陣が浮かび上がり、大量の乗り物が出てきたぁーーー!!うぷ・・・

マ&ハ「見ただけで酔うなーーー!!」

ルー「車たちよ、あいつらをぺしゃんこにしちまえっ!!」

大量の車がものすごいスピードで襲い掛かってくる。うぉぉぉぉぉ・・・

マ「ドラン!次々来る車をぶっ壊して!ノズは車をかわしながらルーモのところへ!!」

ド「グォーーーーーーーーーーーーーー!!」

ノ「うきゃきゃきゃきゃ。」

マ「ハッピー、ナツを連れて空中に非難してっ!」

ハ「あいさー!!」

ナ「すまねぇ、マヤ・・・うぷ・・・」

本当は・・・俺がマヤを守らねぇといけねぇのに・・・うぉ・・・

ルー「逃がすかっ!」

すると、赤い魔法陣から今度は飛行機やヘリコプターが出てき・・・うぇ・・・

ハ「わわわわわぁ!!」

ナ「うぉぉぉぉぉ・・・」

マ「ナツ!ハッピー!どうしよう、私の動物たちの中に空を飛べる動物はいないし・・・」

ハ「マヤァーーー!!ナツをお願いーーーーー!!」

マ「えっ?えぇーーーーーーーーっ!!?」

ズズズデェェェェェン!!!

俺はマヤの背中の上に落ちた。

ナ「わ、悪ィ、マヤ・・・うぷ・・・」

マ「だ、大丈、夫・・・」

奥の方でルーモの笑い声が聞こえる。

ルー「さて、そろそろ止めといこうか。蒸気機関車!!」

あ、赤い、魔法陣、から・・・黒い煙を、はき、ながら、でかい機関車が・・・来た・・・って、俺たちのほうに走ってくるじゃねぇか・・・!?

マ「ドラン!機関車を止めてぇーーーーーっ!!」

ド「グォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!」

ガガガガガガガガガガシャァァァァァンッ!!!蒸気機関車は俺たちの目の前で止まった。

ナ「す、すっげぇ~・・・うぅ・・・」

マ「ナツ、しっかりしてよぉ~。」

マヤが俺の肩を揺さぶる。き、気持ち悪ィ・・・すると、

ノ「うっきゃー!」

マ「ノズ!ナツ、ナツ!!今は乗り物は1台もないよ。」

ナ「んぁ?おぉーーーーー!!」

さっきまであんなに走り回って飛び回っていた乗り物が1台もない!!どうなってんだ?

マ「たぶん、乗り物はあいつが操ってるから、あいつの動きを封じたと同時に魔法の効果も切れる
んだと思うよ。」

・・・よくわかんねぇや。まぁいっか。

マ「ナツ、ノズがルーモの動きを封じてる間に、倒しちゃって!!」

ナ「おっしゃ~!!ハッピー!」

ハ「あいさー!!」

俺はハッピーで飛んで、空中からルーモを攻撃する。

ルー「くそ!離せこの猿!」

ノ「うきゃうきゃ!」

俺は下でわめいてるルーもを睨む。

ナ「お前は、ギルドを、仲間を傷つけた。そのかたき、お前に100倍にして返す!!!」

俺はハッピーとルーモに向かって・・・

ナ「右手の炎と、左手の炎を合わせて・・・火竜の・・・煌炎ッ!!」

ルー「ドワァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

バァァァゴゴゴゴゴォォォォォン!!!

おっしゃ~俺たちの勝ちだぁ~!!

マ「勝った勝った~♪」

ナ「マヤ、ハッピー、ハイタッチだ!」

マ「うん!」

ハ「あい!」

パチンッ!!!

ル「ナツ~!」

ショ「ハッピー!」

リョ「マヤ~!」

みんなが走って来た。

リョ「やったんだな。」

ナ「おぅ!」

エ「さすがだな。で、マスターたちはどこにいるんだ?」

マ「あの扉の部屋にいるって。」

ハ「あれ?シャルルは?」

そういや、グレイとユモと・・・ウェンディとトーヤもいねぇっ!!

ナ「あいつらはどうしたんだよ?」

ル「そろそろ話してよ。エルザ、ショール。」

何だ?エルザとショールしか知らねぇのか?

エ「先にギルドに帰ってもらった。」

リョ「え?何で?」

ショ「グレイとユモが戦った相手は毒魔法を使うやつだったみたいなんだ、毒のダメージで重症なんだ。ウェンディとトーヤとシャルルにギルドまで運ばせたんだ。」

マ「そ、そんな・・・」

ナ「で、でもよ、ポーリュシカさんからよ、解毒剤もらってたよな?」

エ「もちろん飲ませたさ。効果がなかったんだ・・・」

そ、それって・・・危険ってことか・・・?

エ「・・・とにかく、私たちはマスターたちを助けよう。」

エ以外「お、おぅ!」

俺たちは不安を抱きながらじっちゃんたちを助けに行った。 
 

 
後書き
第37話終了いたしました~♪
本当にナツは乗り物だめですね・・・マヤに助けられちゃってるし・・・今度はかっこいい場面を書こう!!
次回はちょっとお話を中断して、マヤ、リョウ、ユモス、ショール、トーヤのキャラ説明をしたいと思います。
 

 

第38話 10年前の過去

 
前書き
はいはいはい!07です!
前回のオリキャラ説明はいかがだったでしょうか?感想くれたらうれしいです。
今回はいよいよユモの第一の秘密が明らかに!?その秘密とは!?そしてそして・・・
目線が途中で変わります。最初はグレイ目線で!!
それでは、第38話・・・スタート!! 

 
グ「・・・ん・・・・・んぁ?」

目を開けると見慣れた天井が見えた。俺はギルドの医務室のベッドの上にいた。あれから、どんだけ時間が経ったんだ?窓から月の光が射し込んでいた。

グ「っ!ってぇ~~~・・・」

起き上がるのと同時に、頭に痛みが走った。俺の頭や腕には包帯が巻かれていた。

ユ「あ・・・グレイ。」

見ると、俺の隣のベッドの上に頭に包帯を巻いたユモが笑っていた。いつも横で束ねている水色の髪の毛は下ろしていて、月の光が当たって銀色に光って見えた。正直、綺麗だった//////////////

ユ「赤い桜(レッドブロッサム)との戦いは無事に勝ったって。」

グ「そうか。」

ユ「後・・・ありがとう。」

グ「え?」

ユ「私のこと、助けてくれたでしょ?」

グ「あ、あぁ、まぁ・・・///////////」

やべぇ、うまく話せねぇや・・・/////////////////

ユ「やっぱり・・・そっくりだな・・・お兄ちゃんに。」

グ「え?」

一瞬、ユモの顔が悲しそうになったのは気のせい・・・か?

ユ「グレイは、ウルさんに氷の造形魔法を教わったんでしょ?グレイの兄弟子、蛇姫の鱗(ラミアス
ケイル)の、リオン・バスティアと一緒に。」

グ「!!な、何で、それを知って・・・」

ユ「マスターに聞いたの。」

・・・じーさんかよ・・・

ユ「私はね、お兄ちゃんの真似をしたんだ。」

ユモの、兄さん・・・?

グ「お前の兄さんは、今はどこにいるんだ?」

ユ「・・・たぶん、青い海と一緒に、漂っていると思う。」

グ「え・・・」

ユ「10年前、私が住んでいたブラーゴの街は、ゼレフ書の悪魔、デリオラに攻撃されたの。」

グ「!!!」

デリオラ・・・ユモも・・・

ユ「私、もしかしたら、もうこの世には存在しない人間だったかもしれないんだ・・・」

グ「ど、どうゆう意味だよ・・・」

恐る恐る聞いてみると、

ユ「・・・私には6つ年上のお兄ちゃんがいたの。グレイと瓜二つのお兄ちゃんが。」

グ「・・・俺と?」

ユモはコクンと頷くと、

ユ「違うところは、髪の色だけかな。私も見間違えるくらいだから。」

そっか、だからあのとき・・・

ユ『お・・・兄、ちゃん・・・』

ずっと疑問に思っていたことがやっとわかったせいか、頭の中がすっきりした。

ユ「お兄ちゃんも氷の造形魔道士だったの。それで、絶対氷結(アイスドシェル)を使ってデリオラを封じ込めたの。」

ん?ちょ、ちょっと待てよ!!

グ「デリオラを封じたのは俺の師匠、ウルだけじゃなかったってことかよっ!!?」

ユ「うん。これもマスターに聞いたことだけど、まさかグレイの兄弟子のリオンが月の雫(ムーンドリップ)を使って、デリオラを復活させようとしていたとは思わなかったわ。」

またじーさんかよ・・・

ユ「ウルさん同様、お兄ちゃんも海と同化したってわけ。それから私は氷の造形魔法を習得して、フリーの魔道士として1人で旅をしてたんだけど、途中で気を失っちゃって・・・そこをグレイに助けられたってわけ。」

なるほどなぁ~。俺と似たような過去を抱えてるんだな・・・

グ「・・・・・なぁ、ユモ。」

ユ「ん?何?」

俺は深く深呼吸すると・・・

グ「・・・俺、お前のこと・・・好きだ。」

****************************************************************************************

           『ここからユモス目線で書いていきます。』

・・・はい?グ、グレイ、今・・・好きって、言ったよね?でも・・・

ユ「グレイ、私はジュビアじゃないんだけど・・・?」

すると、ズデンッ!!と音を立ててグレイがベッドから落ちたぁっ!?私、変なこと言ったかな?とゆうか、大丈夫?私はグレイに手を差し伸べて立ち上がるのを手伝う。グレイは右手で私の手を摑み、左手で落ちた弾みで打ちつけた腰をさすりながら、

グ「いてててて・・・お、お前、どんだけ鈍感なんだよ・・・」

呆れた目で私を見つめる。

ユ「えっ?だってグレイはジュビアのことが好・・・」

グ「違うっ!!」

そ、そんなに怒鳴らなくても・・・

グ「俺はお前のことが好きなんだよっ!!」

ユ「え・・・?」

私の思考が止まった。医務室にしばらくの沈黙が流れた。グレイは顔が真っ赤なまま私と視線を逸らすと、

グ「・・・んで、その、返事は・・・どう、なんだよ/////////////」

ちょ、ちょっと待って!!これが悪い夢じゃなくて現実のこと・・・や、やばい・・・心臓が破裂しそうだよ・・・/////////し、しかも、生まれて初めて告白されたし//////////////とゆうか、このタイミングで言うことかなぁ?で、でも、ちゃんと返事しないとね!!私はまだドキドキしながら、深く深呼吸をして・・・

ユ「わ、私でよかったら、喜んで、お引き受けします。」

その瞬間、グレイは魂が抜けたように床に座り込んじゃった。

ユ「え、えぇっと・・・大丈夫?」

座り込んだグレイに声を掛けると、

グ「お前さ、鈍感すぎるだろ。」

ユ「それはお互い様でしょ。」

私たちの顔は顔はまだ少し赤みを帯びていた・・・

****************************************************************************************

          『ここからはまた、グレイ目線でいきたいと思います。』

・・・・・言っちゃったけどよ・・・これでよかったのかもしれねぇな。

ユ「でも、グレイ。」

ユモが真剣な表情で俺を見つめる。

ユ「私ね、このギルドを守るためなら、この命は捨てる覚悟だよ。」

グ「!?な、何言って・・・」

ユモの真剣な表情を見ると、それ以上は何も言えなかった。

ユ「お兄ちゃんに救ってもらった命だけど、大切なものを守ることが出来るなら、私は『死』なんて怖くない。」

グ「ユモ・・・」

いったい、どれだけのことを、ユモは、背負って生きてきたんだろう・・・?

ユ「今言ったことは事実だから。グレイも覚悟はしておいてね。」

笑顔で言うユモ。この笑顔がいつか、見れなくなるときが、来るのかよ・・・

ユ「グ・・・グレイ・・・・・?////////////////////」

気がつくと、俺はユモを抱き締めていた。

グ「俺は、納得いかねぇ・・・」

ユ「え・・・?」

グ「たった1人で、命まで捨てて、ギルドを、仲間を守るなんて・・・お前は1人で背負いすぎなんだよ。もっと、俺たちを頼れよ・・・!」

最後は少し怒鳴りながら言った。すると、ユモが俺の右肩に手を掛けて、

ユ「・・・うん、ありがと。」

この時、俺は確信していた。ユモはまだ『闇』を抱えていることを。それも1つや2つじゃない。出来る限りのことなら、俺も力になりたかった。医務室に朝日が差し込む。いつの間にか夜が明けていた。 
 

 
後書き
第38話終了致しました。
ユモの闇もわかり、グレイがユモに告白し・・・もうたまりません!!ですが、ユモの闇はこれで完全に消えたわけではありません。ユモにはもう1つ、大きな闇を抱えています。まだ内緒ですが。
次回はちょっと変わったお話。
それではさよなら~♪ 

 

第39話 幸せを呼ぶ赤い鳥

 
前書き
こんにちは!!07です!!
今回はちょっと変わった不思議なお話。
時々、目線が変わります。最初はマヤ目線で書いていきますよ~!
それでは、第39話・・・スタート!!! 

 
赤い桜(レッドブロッサム)との対決から数日後、毒にやられてたグレイとユモも復活し、ギルドにはいつもの賑やかさが戻ってきた。でも、今日の私は、

マ「あ~、暇だぁ~・・・」

ものすごく退屈。エルザとショールとグレイとユモは一緒にクエストに出かけちゃったし、ルーシィとリョウはデートに出かけちゃったし、ウェンディとシャルルは風邪を引いたトーヤの看病で忙しいし、ナツとハッピーは・・・

ナ&ハ「ZZZ・・・」

寝てるし・・・気持ちよさそうに寝てるから起こすのもかわいそう。でも、暇すぎるよ~・・・私がため息をついてるのを見ていたミラが、

ミ「だったら、クエストに行ったら?」

マ「あっ!なるほど~!ありがとうミラ!」

とゆうことで、1人でクエストに行くことになりました~!!でも、どれに行こう?魔物退治に、護衛に、魔法の腕輪探し・・・どれも興味がない仕事ばっかり。すると、依頼板(リクエストボード)の下の方に【幸せを呼ぶ赤い鳥探し 20万J】とゆうクエストが私の目に飛び込んできた。

マ「幸せを呼ぶ赤い鳥!?初めて聞くなぁ~。でも、私にぴったりだし、面白そうだし、報酬も結構いいし・・・よしっ!!ミラ~、私、このクエストに行って来まぁ~す♪」

ミラにそう告げると、私は荷物をまとめてクエストに出かけた。

****************************************************************************************

          『ここからちょっとだけミラ目線で書きます。』

ミ「マヤもだいぶギルドに馴染んできましたね。マスター。」

私はバーカウンターの上でビールを飲んでいるマスターに話しかける。

マカ「ぐびっ、ぐびっ、ぐびっ・・・ぷはぁーーー!!そうじゃのぉ~。リョウやユモ、ショールとトーヤも馴染んできたわい。」

マスターの視線の先にはテーブルを囲んでどんちゃん騒ぎをしているギルドのみんなだった。

マカ「こんな楽しい時間がいつまでも続けばいいんじゃがのぉ~。」

ミ「どうゆうことですか?」

いきなりマスターが変なことを言ったのでびっくりした。

マカ「ん?いや、今のは聞かなかったことにしてくれ。」

ミ「・・・・・」

マカ「ぐびっ、ぐびっ、ぐびっ、・・・ぷはーーー!!ミラ、もう1杯!!」

ミ「は~い♪」

****************************************************************************************

          『ここからまたマヤ目線で書いていきます。』

そのころ私は、

マ「満足満足~♪今日はついてるなぁ~♪」

森でたくさんの動物と会って、たくさん契約して、召喚できる動物がいっきに増えたんだっ!!

マ「え~と、うさぎのミナに、たぬきのポムに、シカのルリに、キツネのココットに、ワシのバーン!!これでバトルも有利になるっ!!ヤッタァ~☆」

と、調子にのっていたその時、

ガサガサガサッ!!

マ「ギョッ!!な、何?」

茂みの奥から物音が聞こえた。好奇心が勝っちゃって恐る恐る茂みを覗くと・・・

マ「わわわわわわっ!!」

鳥が1羽倒れていた。しかも、赤い鳥だった・・・

マ「この鳥が、今回のクエストの・・・って、そんなことより手当てしなきゃ!!」

こんなこともあると思い、念のためカバンに薬草をいっぱい詰め込んできたんだ。持ってきて正解だったよ。私は近くにあった石で薬草をすりつぶし、優しく傷口にぬってあげた。もちろん、鳥に話しかけながらね。

マ「私はマヤ。あなたは幸せを呼ぶ赤い鳥なの?」

赤い鳥は何も答えない。随分冷たいんだな~。最後に包帯を巻いて、手当て完了ッ!!

マ「もう怪我しないように気をつけるんだよ。」

私は鳥を逃がしてあげた。怪我してるところを狙うなんて反則だからね。その後私は、依頼人にクエストを失敗したことを告げてからギルドに帰った。

****************************************************************************************

マ「たっだいまーーーっ!!」

ミ「おかえりなさい、マヤ。」

ナ「よっ!お疲れぇ~カツカレェ~。」

ハ「あい!」

相変わらずテンションMAXだね☆

ユ「それはマヤもだよ。」

あちゃ~、ユモに突っ込まれた。てへっ☆

ナ「そうだマヤ、お前がクエストに行ってる間に新入り来たんだぜ。」

マ「えっ!?誰誰誰!!」

ル「少し落ち着きなさいよ。今マスターと話してるあの赤毛の人よ。」

見ると、マスターのそばに、赤い短髪に、赤いフード付のトレーナー姿の青年がいた。その青年の瞳は、激しく燃える炎のような赤色だった。 
 

 
後書き
第39話終了☆
なんとなんとなんと、予想外なことに新オリキャラ登場です!!この青年がいつかキーワードになります。まだ内緒ですが。
それではまた次回☆ 

 

第40話 赤毛の青年

 
前書き
はいはいは~い♪07で~す♪
今回は前回登場した青年についてナツたちが質問しちゃおーーー!みたいな?
今回も途中で目線が変わります。最初はマヤ目線で書いていきますよ!
それでは、第40話・・・スタート♪ 

 
私に気づいたフレイって人が、私に駆け寄る。とゆうか、何で裸足?

?「ど~も~マヤ。話はナツたちから聞いているんで。」

情報早ッ!!

フ「俺、フレイ・レッドシェル。これからよろしくな。」

マ「よろしく~☆」

フレイは親しみやすいなぁ~。

ウェ「フレイさんはどんな魔法を使うんですか?」

フ「炎の造形魔法だ。」

グ「へぇ~。俺とユモは氷の造形魔法だぜ。」

ユ「ラキは木の造形魔法だよ。」

あれぇ~?こんなにいたの!?造形魔道士って。

ショ「どこから来たんだ?」

フ「ここからずーーーーーっと南に行った小さな村の山奥から来たんだ。」

ト「そんな遠い所からわざわざっ!!お疲れ様です。」

シャ「なんであんたがが頭を下げるのよ?」

とゆうか、マグノリアからずーーーーーっと南って、海を渡っちゃうけど・・・わざわざこんなところまで来る必要あるの?

フ「そ、それは・・・憧れてたギルドだからだ。」

マ「なるほど。それなら納得できるよ。」

エ&リョ「・・・・・」

ん?なんかエルザとリョウの表情が険しいんだけど・・・

エ「ルーシィ、ちょっとリョウを借りるぞ。」

ル「えっ?う、うん、いいけど。」

リョ「すぐに戻るよ。みんなはフレイにギルドを案内しておいてくれ。」

どうしたんだろう?まぁいっか。

マ「フレイ、ギルドを案内するからついて来・・・フレイ?」

フ「!!あ、わざわざ悪いな。じゃあお願いするぜ。」

マ「う、うん・・・」

私はその時見たんだ。フレイの視線の先がエルザとリョウの背中で、その時のフレイの表情が怪しく光っていたのを私は見逃さなかった・・・

ナ「マヤ~!フレイ!早く来いよ!!」

ハ「来いよ~!」

ナツとハッピーにせかされて急いで私はフレイの手を引っ張ってみんなと一緒にフレイにギルドを

案内した。

****************************************************************************************

           『ここからはエルザ様目線で書きます。』

私とリョウはマスターのところに行った。

エ「マスター、お話したいことがあるのですが・・・」

マカ「わかっておる。フレイの事じゃろ?」

エ「はい。」

さすがマスター。お見通しでしたか。

マカ「フレイはどうしたんじゃ?」

リョ「ルーシィたちにギルドを案内させてもらってます。」

マカ「そうか。・・・で、お前たちはあいつの事をどう思う?」

エ「・・・正直、やつの言ってる事はほとんどが嘘だと思います。」

リョ「ショールがあいつにどこから来たのか聞いたんです。あいつはずーーーーーっと南に行った小さな村の山奥からと答えたんです。でも、ここから南に行けばしばらく海が広がっています。陸に辿り着いても、そこにはもう誰も住んでいないはずです。」

リョウの言うとおりだ。炎の造形魔道士かどうかも、嘘かもしれないからな。

エ「マスター、あんな怪しいやつをギルドに入れてよかったのですか?」

マスターはしばらく黙っていた。

マカ「・・・やつも何か理由があって、ここに加入してきたのかも知れん。それに、あいつの瞳は輝いておった。悪いやつではないはずじゃ。しばらく様子を見ようではないか。」

マスターがそうおっしゃるなら・・・仕方が無い・・・

マカ「何かあったらすぐにわしに報告せい。必ずじゃぞ。」

エ&リョ「わかりました。」

私とリョウはその場を立ち去った。

****************************************************************************************

みんなのところに戻ると案内は終わっていた。

ショ「どこに行ってたんだ?」

エ「ちょっとな。」

ショ「?」

まだみんなに話すのは止めておいたほうがいいな。

ト「あっ!みなさ~ん、外を見てください!」

トーヤに言われ見てみると、

ナ「おぉーーーーー!!」

ル「きれ~い。」

ウェ「もう冬なんだね。」

シャ「猫には寒い季節だわ。」

ハ「あい・・・」

マグノリアの街には雪が降っていた。

グ「氷の魔道士にとっちゃ、絶好の季節だぜ。」

ユ「だね。」

ショ「もうすぐ1年が経つのか。」

マ「時が来るのって早いなぁ~。」

リョ「俺たちがギルドに加入してからもう1年が経ったんだな・・・」

フ「俺なんて、これから始まるんだぜ。」

エ「もうすぐ、宴が始まる時期がくるだろう。」

それまで、何も起きないことを私は冬の空に願った。 
 

 
後書き
第40話終了~♪
フレイの謎が出てきたね。いったい何者なのか?まだ内緒ですが。
次回は冬の夜のちょっとロマンチックなお話。
それじゃあまた次回♪ 

 

第41話 真冬の夜に

 
前書き
いつも元気な07だZ!!
今回は冬の夜のちょっとした出来事。
ウェンディ目線で書いていくよ。
それでは、第41話・・・スタート! 

 
ヒューーーーーと冷たい冬の夜風が肌に当たります。シャルルは私の腕の中で身震いをして、

シャ「うぅ・・・猫には厳しい季節だわ。」

ウェ「シャルル、似たようなこと昨日も言ってたよ。」

シャルルは頭にピンク色の毛糸の帽子に赤いマフラー、私は裾に白い綿のついた黒いコートに足首ぐらいの黒いブーツに、青いマフラーと手袋をはめて夕方のマグノリアの街を散歩していました。すると背後から、

ト「あれ?ウェンディさんとシャルルさん。」

聞き覚えのある声がしました。振り返るとそこには黒いダウンに黒い長靴を履いたトーヤさんがいました。トーヤさんは首を少し左に傾げると、

ト「散歩ですか?」

ウェ「はい。トーヤさんもですか?」

ト「そうです。よかったら一緒にどうですか?」

ウェ「いいんですか?じゃあお言葉に甘えて。」

とゆうわけで、トーヤさんとご一緒することに。

ト「もうすぐ1年が経ちますね。」

ウェ「そうですね。ギルドの宴はすごく楽しいですよ。」

シャ「うるさすぎるけどね。」

ト「へぇ~、早くやりたいですね。」

こんな他愛もない話だけど、不思議とシャルルとトーヤさんと話していると話がはずんじゃう。どうしてかな?いつの間にか空はオレンジ色から紺色に変わっていました。

シャ「やっぱり、冬になると日が暮れるのが速いわね。」

ウェ「本当だね。」

ト「僕はこっちの方がうれしいです。」

そっか、トーヤさんは幽霊ですからね。

ト「そろそろ帰りましょうか。」

ウェ「そうですね。行こう、シャルル。」

シャ「えぇ。」

空はさらに暗くなり星が輝き始めました。

ト「あ、じゃあ僕はここで。」

トーヤさんの家は幽霊屋敷なので途中で道が変わります。

ウェ「今日はありがとうございました。」

ト「あぁ、いえ、そんな、こちらこそ。」

ウェ「いえいえ、ありがとうございました。」

ト「僕のほうこそありがとうございます。」

ウェ「私のほ・・・」

シャ「いつまでお礼言い合ってるのよ。」

あ、ほんとだ。私とトーヤさんはシャルルの言葉で我に返ると、

ウェ「それじゃあトーヤさん、また明日。」

ト「あぁ、はい!また明日です。」

私はシャルルと一緒に女子寮に向かおうとした時、別れを言って、女子寮の方向に歩き出そうとしたら、

ト「ウェンディさん!」

トーヤさんが追いかけてきました。

ウェ「どうしたんですか?」

シャ「ギルドに忘れ物でもしたの?」

ト「ち、違います・・・えぇっと・・・」

しばらく下を向いたままのトーヤさんでしたが、

ト「ウェンディさんっ!!!」

ウェ「は、はい!」

いつも穏やかな笑みを浮かべているトーヤさんの表情は、初めて見る真剣な表情でした。その顔はなぜか赤みを帯びているようにも見えました。私は何を言われるのか少しドキドキしました。そしてゆっくり口を開くと、

ト「・・・えぇっと、ぼ、僕なんかで、よろしかったら・・・つ、付き合ってくれませんかっ!!」

ウェ「え・・・!!」

シャ「!!!」

一瞬、私の思考は止まり、トーヤさんが何を言ってるのかがわかりませんでした。でも、それが理解できた時は顔がトマトのように真っ赤だったと思います。でも、ちゃんと返事をしないといけませんよね。私は大きく深呼吸をして・・・

ウェ「わ、私なんかでよかったら、お付き合い、OKですよ。」

トーヤさんが驚いて目を見開いたのと、

ウェ&ト&シャ以外「言ったぁーーーーーーーーーーっ!!!!!ギャァーーーーーッ!!!!!」

ドドッダッダダダダッ!!と大勢の声と何かが崩れる音が背後から聞こえました。

ウェ&ト&シャ「!!!???」

驚いて振り返ると、ナツさん、マヤさん、ハッピー、ルーシィさん、リョウさん、グレイさん、ユモさん、エルザさん、ショールさん、フレイさんがいました。もしかして・・・今の聞いてたんですかぁっ!!?

ル「ゴメンね、ウェンディ、トーヤ。偶然通りかかったからつい・・・」

ウェ「そ、そんな・・・///////////////」

私の顔はまたトマトのように真っ赤に染まりました。

ハ「ウェンディとトーヤ、でぇきてるぅ~。」

エ「まぁ、よかったではないか。」

グ「ついに言ったなトーヤ。」

ト「あわわわわわ・・・///////////////」

グレイさんはトーヤさんの肩を組んで意地悪そうな顔を浮かべました。トーヤさんは真っ赤になりながら慌てふためいていました。

フ「おめでとう。トーヤ、ウェンディ。」

マ「天空の巫女と怪物(モンスター)のカップルだぁーーーっ!!!」

マヤさん、おおげさすぎますよ。シャルルは私の腕からぴょんっ!と飛び降りると、まだ顔が真っ赤のトーヤさんの前で腕を組んで、

シャ「トーヤ、必ず、ウェンディを守りなさいよ。」

ト「はい。約束します。」

トーヤさんの言葉にシャルルも頷きました。どうやらシャルルも認めてくれたみたい。するとリョウさんが星が輝く夜空を見上げて、

リョ「おっ!雪だぜ。」

空から白い雪がひらひら降ってきます。

ユ「雪も、ウェンディとトーヤをお祝いしてるんだよ。」

ル「ユモったら、良い事言うじゃない。」

ナ「ウェンディ、トーヤ、おめでとうな。」

ハ「おめでとう!!」

ウェ&ト「ありがとうございます!!」

私にとって今年の冬は最高の思い出になりました。 
 

 
後書き
第41話終了!
またまたカップル登場!!お幸せに。
次回はまたまた問題発生!?
それではバイバイ!! 

 

第42話 街荒らし

 
前書き
ど~もど~も!07でございます!!
今回は吹雪の日にとんでもない事件が!?
リョウ目線で書きますよ。
それでは、第42話・・・スタート!! 

 
強い風でギルドの屋根がガタガタガタガタガタと激しい音を立てる。今にも吹き飛ばされそうな勢いだ。今日はもう吹雪で誰も外に出ようとしない。いつものギルドなら酒の入ったコップを片手にお祭り騒ぎをやっているが、今日はものすごく静かな一日だ。その時、

コンコンッ!とギルドの扉がノックされた。

全「!!!」

ギルドにいた全員が扉の方に一斉に視線を移す。聞こえるのが風の音だけかよく響いて聞こえた。こんな吹雪の中、いったい誰だ?

マカ「リョウ、開けてやれ。外は寒いからのぉ~。」

リョ「は~い。」

寒いから開けたくなかったけど、マカロフさんに言われたから仕方が無い。俺は椅子から立ち上がると、扉に手を掛けて思いっきり引いた。俺が扉を開けたのと同時に、強くて冷たい風がギルドの中に入ってきた。うぅ、寒・・・するとドアの前に白いマントを羽織った灰色の髪の女の子が立っていた。白いマントのフードを目元まで深く被っていたため女の子の顔がよく見えない。

リョ「えぇっと、何か用?」

俺が問うと、女の子はゆっくりと口を開けて、

?「・・・ここに、ショール・ミリオンは、いますか・・・?」

今にも消えそうな声で女の子が呟いた。

リョ「あ、あぁ。そいつならギルドの中に・・・っておいっ!!」

力尽きたのか女の子が倒れてきた。俺は慌てて倒れてきた女の子を支える。気を失っているみたいだ。倒れた反動で女の子が被っていたフードが脱げた。寒さのせいか、少し顔色が悪く見える。

ル「リョウ、どうしたの?」

ナ「何だ何だ?」

みんなが俺の周りに集まって来た。すると、

ショ「ミキ!?」

ショールが女の子に駆けつける。知り合いか?

リョ「この女の子、お前のこと捜してたみたいだぜ。」

ショ「そうか・・・」

ショールはそれだけ小さく呟くと、険しい表情になり、気を失った女の子を抱き抱えると、ミラに向き直り、

ショ「ミラ、医務室借りるぜ。」

ミ「えぇ。」

ショールは女の子を医務室に運んだ。

****************************************************************************************

しばらくして、

ミキ「・・・ん・・・こ、ここは・・・?」

ウェ「あっ!みなさ~ん!気がつきましたよ!!」

ウェンディの声で最強チームが女の子のベッドの周りに集まる。

ショ「ミキ!!」

ミキ「あっ!ショール!」

どうゆう関係だ?もしかして、カップルか?

ショ「こいつはミキ・シャフル。俺の幼馴染だ。」

ちぇっ。幼馴染かよ。俺の心の中にいるもう1人の自分が口を尖らす。

ショ「こっちは、俺の仲間の・・・」

****************************************************************************************

ショールからの軽い自己紹介が終わって、

ナ「で、ミキは何しに来たんだ?」

ナツが身を乗り出して単刀直入に言う。

マ「ナツ、一応初対面だからね。」

おぉっ!珍しくマヤがまともな事を言ってるっ!!俺の心の中のもう1人の自分が盛大な拍手をマヤに送る。ナツの問いに、ミキは悲しそうな表情を浮かべて俯くと、

ミキ「実は・・・私の住んでいるシラカバの街が、街荒らしに襲われたの。」

街荒らし?何だそれ?するといきなりショールが椅子から立ち上がって、

ショ「街・・・荒らし・・・また、あいつらが・・・」

エ「ショ、ショール?」

グ「お、おい!どうした!」

ト「ショールさん、しっかりして下さい!!」

ショールの体は怒りと悲しみでワナワナ震えていた。いつもの冷静沈着なショールとは真逆だ。

ル「ミキ、街荒らしって何なの?」

ルーシィがショールを椅子に座らせようとするのと同時にミキに問うと、ミキはショールと同じように体をワナワナ震わせながら、

ミキ「・・・その名の通り、街を荒らす闇ギルド。やつらに逆らった者は、地獄行きよ・・・」

ショ&ミキ以外「!!!!!」

その場にいた全員が言葉を失う。それって、暗殺ギルドじゃねぇかぁっ!!?

ミキ「そのギルドの名は、悪魔の計画(グリモアプラン)。悪魔の心臓(グリモアハート)の傘下ギルドの1つなの。」

ショ&ミキ以外「!!!!!」

みんなの顔が思いっきり引きつる。俺はマカロフさんやルーシィから話を聞いていた。妖精の尻尾初代マスター、メイビス・ヴァーミリオンの墓がある天狼島で、S級魔道士昇格試験で、妖精の尻尾を潰そうとしたバラム同盟の1つ。その傘下ギルド、悪魔の計画・・・

ミキ「ショールは14年前に悪魔の計画のやつらに親を殺されたの・・・」

ショ&ミキ以外「!!!!!」

またしても、みんな言葉を失う。

エ「ほ、本当なのか・・・?ショール・・・」

エルザの問いに、ショールは小さく頷く。ショールの鮮血のような赤い瞳に涙が滲んでるように見えるのは俺だけだろうか・・・?

ショ「俺の親は、殺される運命だったんだよ・・・」

殺される運命だった・・・?どうゆう意味だよ・・・?

ショ「俺の親は、有名なマジシャンでもあり、魔道士でもあり、元街荒らしだ・・・」

ショ&ミキ以外「!!!!!」

ショールの両親が、元街荒らし・・・とゆうことは、元暗殺ギルド所属・・・

ショ「詳しい事はまた後で話す。で、ミキは俺に街荒らしを倒して街を救ってほしいと?」

ミキ「うん。街の人たちはみんな非難して、動ける状態じゃないから・・・」

ミキの言葉を聞いたショールは医務室を出てダウンを手に取るとギルドを出て行こうとする。

エ「ショール、どこへ行くんだ?」

ショ「決まってるだろ、シラカバの街だ。」

ショールの鮮血のような赤い瞳が鋭く光って見えた。いつもの冷静沈着なショールじゃないのは誰が見たってわかったのも当然だ。

マ「そんなに慌てない慌てなぁ~い♪」

ショ「!?」

マヤ、ショールをなだめるのはいいけどよ、場の空気を呼め。

グ「話の内容はだいたいわかったけどよ・・・」

ウェ「こんな吹雪の日に行っても列車は動いてないと思いますよ。」

シャ「馬車はもちろん、魔道四輪や魔道二輪だって不可能よ。」

事故にあったら大変だもんな。

ル「ミキも疲れてるみたいだし。」

ユ「そんなに焦らなくても大丈夫だよ。明日でも間に合うし。」

ナ「しっかり腹ごしらえもしねぇとな。」

ハ「あい!」

フ「『腹が空いては戦は出来ぬ。』って言うだろ。」

ナツ、ハッピー、フレイ、確かに食べることは大切だけど・・・今の空気は違うだろ・・・

リョ「それに、もうちょっと詳しく知りたいからな。」

エ「私たちもついている。だから、そんなに焦るな。」

ショールは俺たち1人1人の言葉に小さく頷くと、声を出さずに泣いた。俺はその時確信した。これが、ショールの抱えている闇だとゆうことを・・・ 
 

 
後書き
第42話終了です!
話はショールの過去に突入しましたっ!!
次回、ショールが語る14年前とは!?
次回見逃したらいけないよ!! 

 

第43話 親は元暗殺者

 
前書き
ヤッホー☆07です☆
今回はショールの過去についてのお話です。
エルザ様目線でいきたいと思います☆
それでは、第43話・・・スタート☆ 

 
私たちは医務室に戻り、それぞれ椅子に座ると、ショールは私たちに14年前の事、ショールの抱えている闇の事を話してくれた。

ショ「俺の親は20歳のころから悪魔の計画(グリモアプラン)の一員だったんだ。ギルドは恋愛禁止のギルドなんだけど、2人はこっそり付き合ってたんだ。2人とも、普段は人気ナンバー1のマジシャンなんだ。5年後、2人はギルドを抜けることに決意したんだ。でも、悪魔の計画は一度加入したらギルドから抜けることができないんだ・・・」

ナ「ひっでぇ~な。」

ル「最悪なギルドね。」

その最悪なギルドに、ショールの両親はなぜ加入したんだ・・・?ショールの話は続く。

ショ「2人は隙を見てギルドから抜け出し、シラカバの街まで逃げて出してきたんだ。その1年後に俺を産んだんだ。俺はごく普通のマジシャンを目指して成長していくはずだった。でも、俺が5歳の頃、俺の家に悪魔の計画のやつらが襲ってきたんだ。」

リョ「今頃になってか。」

マ「何で、そんな時期に・・・」

ショールは「分からない。」とでも言うように首を左右に振ると、

ショ「父さんと母さんは必死に抵抗したが、相手は2人に対して30人以上だ。叶うはずがない。なすすべもなく俺の父さんと母さんは悪魔の計画のやつらに殺された。俺の目の前で・・・俺は逃げようとしたところを拳銃で撃たれて・・・」

そう言うとショールは白いトレーナーの袖を二の腕辺りまで捲くる。ショールの二の腕にピンク色の火傷の跡がくっきりと残っていた。

フ「かなり深かったんだな。」

見るからに痛々しい・・・

ショ「俺は傷だらけになりながらも必死に逃げて、辿り着いたのがとある1軒家だった。俺はその家に居候することになった。その家のジャックってゆうやつがその日から俺にマジックを教えてくれたんだ。そして10年後、俺はマジシャンの修行をするため1人旅に出て、4年後、ここに加入したってわけだ。」

とても辛い道のりを歩んできたんだな・・・

ミキ「ショール、言いにくいんだけど・・・」

それまで黙っていたミキが口を開いた。

ミキ「悪魔の計画の現マスターのアン・ドヴァーの魔法、操り(パペット)で、ジャックや、リンが操られて、街を荒らしてるの・・・」

みんな唖然とする。

ショ「い、今・・・なんて・・・」

ミキ「・・・・・」

ショールの硬く握られた拳が怒りでワナワナ震えている。

ショ「アン・ドヴァー・・・絶対に許せねぇ・・・」

ショール・・・

ナ「よしっ!だいぶ話の内容がわかってきたぞ。」

ハ「あい!」

グ「今までわかってなかったのかよっ!!?」

ショ「え?」

ト「マカロフさんに聞いたところ、明日は晴れるみたいですよ。」

ユ「じゃあ、列車で行けるね。」

ナ「列車・・・うぷ・・・」

ル&マ「想像しただけで酔うなっ!!」

ハ「それがナツです!」

ショ「ちょ、ちょっと待てよ!まさか、みんなも来るのか!?」

リョ「何言ってんだ?当たり前じゃねぇか。」

ウェ「助け合うのは当然です!!」

シャ「あんたも少しは仲間を頼りなさいよ。」

フ「俺たちも協力するぜ。」

みんなの言葉に感動したのかショールは涙を流した。

エ「泣くな。涙はお前の街を救って、仲間を助けて、悪魔の計画を倒してからだ。」

ル「エルザかっこいい~。」

そうほめるな。照れるではないか/////////////

ミキ「いいギルドに入ったんだね。ショール。」

ショ「あぁ。」

エ「明日は列車でシラカバの街に行くぞっ!!」

エ以外「おーーーーーーーーー!!!」 
 

 
後書き
第43話終了です☆
エルザ様のセリフ、かっこよかったです!書いてるのは私なんですが・・・
次回はシラカバの街に到着!すると、さっそく敵が現れて・・・
次回もお楽しみに☆ 

 

第44話 悪魔の計画

 
前書き
こんにちは!あれ?もうこんばんはかな?そてはおいといて、作者の07です!!
今回はシラカバの街に到着!でも、街の人たちはどこにもいなくて、いきなり敵が現れて!?
今回はグレイ目線で行きたいと思います。
それでは、第44話・・・スタート!!!  

 
ナ以外「・・・・・・・・・・・・・・」

ナ「うぷ・・・」

マ「いつまで酔ってるの?」

ったく、情けねぇな。そんな事より、

リョ「ひっで~なぁ。こりゃ・・・」

フ「どこもかしこも残骸だらけだ。」

ショ「今までで一番ひどい・・・」

俺たちはシラカバの街の半壊された駅の前にいた。目の前に広がる光景はシラカバの街は残骸の山だった。ミキは目を伏せ、ショールの体は怒りと悲しみでワナワナ震え、硬く握られた拳には血管が浮かび上がっていた。

エ「ミキ、街の人たちは無事なのか?」

ミキ「街のみんなは大丈夫。みんな避難所にいるの。案内するから私について来て。」

俺たちはミキの後に続いて残骸の中を進んだ。避難所は街の中心部にある地下だった。中に入ると広くて明るい場所は、たくさんの人で埋め尽くされていた。

街1「あっ!おーーーいっ!!ミキとショールが帰ってきたぞぉ~っ!!」

誰かの声で大勢の人が俺たちを取り囲む。それにしても、随分いるな。

?「おぉ、ショールか。」

1人の老人がショールに話しかける。

ショ「じいちゃん!」

このじーさんがショールの・・・ショールのじーさんは俺たちの方に視線を移すと、

?「ところで、後ろの方たちは?」

ショ「俺が今所属しているギルドの仲間だ。」

セ「おぉ~それはそれは。長旅ご苦労様でした。わしはショールの祖父のセイヤと申します。」

鮮血のような赤い瞳はショールとそっくりだ。

エ「ところで、今の状況は?」

エルザ、単刀直入すぎるぜ・・・

セ「今は何も動きを見せませぬ。しかし、いつ死者が出てもおかしくない状況です。」

みんな不安そうな顔してるもんな。

エ「よしっ!みんな行くぞ!!」

エ以外「おぅ!!!」

俺たちはショールのじーさんに悪魔の計画の居場所を聞いて、避難所を出て崩壊した街の中を歩き出した。

****************************************************************************************

ナ「おーーーいっ!!悪魔~どこだぁ~っ!!!」

ハ「どこだぁ~!」

マ「叫んだだけで出て来る敵はいないよ。」

それがこいつが叫ぶと・・・と、うわさをすれば。

?「私たちを呼んだのはあなたたちですか?」

いつの間にか俺たちは6人の男女に囲まれていた。

ショ「フォアン!ジャック!ジスト!チンク!リン!」

5人はショールの知り合いか。とゆうことは、こいつが・・・!

ア「そう。私は悪魔の計画の10代目マスターのアン・ドヴァーです。」

夕日色のロングヘアーに、赤いセーターに黒いフレアスカート姿の女だ。前髪をピンで留めている。ショールと似たような色の瞳をしてるが、こいつの瞳は鮮血なんかじゃない。赤黒い血の色だ。まるで、悪魔の血の色だ・・・

ショ「今すぐジャックたちの魔法を解いて、この街から立ち去れっ!!」

いつも冷静なショールが声を張り上げて叫ぶ。

ア「それは無理。」

アンがウィンクを1つしながら右手の人差し指だけを立てて左右に振る。

エ「ならば、貴様を倒すまでだ。」

ア「それも無理。」

アンはさっきと同じ動作をする。

ア「私と戦いたいのなら、私の仲間を倒してからよ。」

そう言って両手を広げてショールの知り合いの5人を示した。

ショ「ジャックたちはお前の仲間でも、お前の操り人形でもないっ!!!」

ショールの鮮血のような赤い瞳が怒りで燃えている。今のショールの瞳は、鮮血じゃなくて、赤々と燃え盛る『炎』そのものだ。

ア「アハハハハ!!そんな怖い顔しないでよ♪ちょっと遊んでるだけだから♪」

何なんだこいつ、めちゃくちゃ腹が立つ・・・!!

ア「私を倒さないと、永遠にこの子達は私の操り人形さんよ。さぁみんな、この雑魚たちを蹴散らしておやりっ!!」

フォ&ジャ&ジ&チ&リ「かしこまりました、アン様。」

「様」だと?最悪なやつだぜ。

ナ「雑魚だとっ!!俺たちを舐めんじゃねぇぞごらぁぁぁっ!!!」

クソ炎が炎を纏った拳でアンの顔面を殴ろうとする。が、

ナ「グハァッ!!!」

マ&ハ「ナツッ!!?」

アンに殴り掛かろうとしたクソ炎の顔面を雷が襲う。って、今のは・・・!

チ「アン様に逆らう者は俺が始末する。」

今のは、黒い雷!!

チ「瞬間移動。(テレポート)」

・・・って、クソ炎が消えたぁっ!!?

ユ「マヤとハッピーとフレイもいないよ!!」

ウェ「チンクさんもいませんよ!」

どうなってやがるっ!!?

リョ「お前等ッ!!ナツたちをどこにやったぁっ!!!」

ル「ちょ、ちょっと、リョウ!!」

ジ「瞬間移動。」

今度はリョウとルーシィまで消えやがったっ!!

リ「まったく、チンクとジストは行動が速すぎるのよ。瞬間移動。」

エ「ウェンディとトーヤとシャルルがいないぞっ!!」

次々と消えていく。いったいどうなってやがるっ!!

ショ「ジャック・・・お前等いったい・・・」

ショールがジャックっていうやつに声を掛ける。ジャックっていうやつの緑色の瞳には光が射していなかった。

ジャ「俺たちはアン様の指示に従うまでだ。フォアン、お先に失礼するぜ。瞬間移動。」

エルザとショールまで消えちまった。残ってるのは俺とユモだけだ。

フォ「そんなに焦らないで。あなたたちの仲間は私の仲間と別の場所で戦っているから。」

信じられるかよ、そんなの・・・

フォ「さて、そろそろこの街も血の海になっちゃう時が目と鼻の先ね。」

おいおい、さらりと残酷な事言うなよ・・・しかも、自分の街だぜ・・・

グ「させるかよ。」

ユ「その計画、私たちが阻止してあげる。」

そして、ショールの仲間とこの街を救ってやるぜ。

フォ「できるものなら、やってみなさい。」

こうして、妖精と悪魔の対決が幕を開けた。 
 

 
後書き
第44話終了!!
最強チーム+フレイは操られたジャックたちを救えるのか?そして、悪魔の計画を潰すことができるのか!?最強チーム+フレイの運命は!?
次回はウェンディ&トーヤ&シャルルVSリンの対決だよ!
お見逃し無く!! 

 

第45話 鎖で封じられた記憶

 
前書き
ピーリピーリ、07だよ☆
今回はウェンディ&トーヤ&シャルルVSリンの対決だーーー!!
トーヤ目線でいってみよー☆
それでは、第45話・・・スタート☆ 

 
いつの間にか僕とウェンディさんとシャルルさんはとある部屋の中にいました。ここ、いったいどこ何でしょうか・・・?すると、

リ「雑魚には絶対負けないよ、天空の巫女、怪物(モンスター)、白猫。」

僕たちの背後からリンさんが金髪のロングヘアーをなびかせながら不敵な笑みを浮かべました。

シャ「なんか、すごく嫌な予感がするんですけど・・・」

ト「ウェンディさん、シャルルさん、気をつけて下さい。」

ウェ「は、はい。」

ウェンディさんの声はすでに震えていました。僕の頬にも冷や汗が流れ落ちます。それを見計らったように、リンさんはまた不敵な笑みを浮かべると、

リ「それでは、レッツバトルッ!!」

するとリンさんの左腕から銀色に光る長い鎖が飛び出してきました。鎖がどんどん伸びてきてこっちに向かって襲い掛かってきます。

ウェ「天竜の・・・咆哮ッ!!」

ウェンディさんに守られてしまいました。今度は僕が・・・!

ト「我と、心を通わせ、姿を現せ!出て来い!ミイラ!」

紫色の魔法陣から体全身に包帯を巻いたミイラが現れました。

リ「どんなに攻撃したって、私の鎖魔法(チェーン)は永遠に伸び続けるよ。」

その時、僕は油断していました。背後から近づいてくる鎖に気がつきませんでした。

ト「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

ウェ「トーヤさ・・・キャァァァァァァァァァァッ!!!」

シャ「ウェンディッ!!トーヤッ!!」

僕とウェンディさんは鎖に体を絡め取られてしまいました。外そうとしても硬くて・・・

ト「ミイラ、リンさんの体を包帯で巻きつけろ!」

ミイラの手から長い包帯が伸び、リンさんの体に巻きつきます。

リ「そんな攻撃、私には効かないよっ!」

リンさんは片足を上げるとそこから鎖が飛び出し、ミイラの体を絡め取ってしまいました。ミイラも身動きできなくなりました。

シャ「ちょっと、あんた!ウェンディとトーヤを放しなさいよっ!!」

シャルルさんが吊り上がった目でものすごい速さでリンさんに向かって飛んでいきました。が、

リ「うるさい猫ね。猫は横になっているのがお似合いよっ!!」

リンさんは右腕から飛び出した鎖で、

シャ「キャァァァァァッ!!!」

ウェ「シャルルッ!!」

ト「シャルルさんっ!!」

シャルルさんは鎖で弾き飛ばされ、壁に小さな体を打ち付けてそのまま気を失ってしまいました。
シャルルさん、大丈夫でしょうか・・・?

リ「猫より自分の心配をしたらどう?えぇいっ!!」

ウェ「あぁぁぁぁぁっ!!!」

ト「うぁぁぁっ!!あぐっ!!!」

鎖をさらに強く締め付けられます。ど、どうにか、して・・・ウェンディさん、だけでも、助けないと・・・シャルルさんと、約束したんだ。必ず、ウェンディさんを・・・守るって!!

ト「わ、我と・・・心を、通、わせ、姿を、現せ・・・!出て、来い!火の玉!幽霊、兄弟!」

紫色の魔法陣から赤と青に光る火の玉と、幽霊のユウとレイの兄弟が現れました。

ト「火、火の玉は、ウェンディさんと、ミイラの鎖を、熱で、溶かすんだ。ユウとレイは、リンさんに、攻撃してくれ!!」

僕の指示に従い火の玉は鎖を熱で溶かし始めました。

リ「ね、熱で鎖を!?」

無事にウェンディさんとミイラは鎖から解放されました。解放されたミイラとユウとレイはリンさんに体当たりなどで攻撃しています。

リ「私の鎖をよくも台無しにしてくれたわねっ!!!」

ト「うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

ウェ「トーヤさんっ!!!」

さらに鎖を強く、きつく締め付けられます。く、苦、しい・・・

リ「これで、雑魚も消えて、街も消えて、悪魔の勝利よ!!アハハハハハハハハハハッ!!!」

リンさんが勝ち誇ったように高らかに笑います。

ト「そ、それは・・・間違って、います・・・」

リ「雑魚に何がわかるってゆうの。」

ト「あ、あなたは、なぜ・・・自分の、生まれ、育った、街を・・・破壊、しようと・・・するんですか・・・?」

リ「自分の生まれ育った街?何を言ってるの?」

ウェ「リンさんは、操られて自分の記憶を封じられているんです!!これ以上街を破壊するとシラカバの街は消えてしまうんです!!リンさんの家族や友達が大変な目に遭っているんです!!」

リ「私の・・・街?家族・・・?友達・・・?私は悪魔の計画の一員!!家族も友達もいるはずがないっ!!!」

リンさんの表情が、一瞬だけ焦りが見えたのは僕だけでしょうか?

ト「そ、それは、間違った記憶です!!リンさんの、正しい記憶は・・・自分の鎖で、封じているんです!!」

リ「え・・・?」

ト「魔法なんかに、負けちゃだめですっ!!目を覚ましてくださいっ!!リンさんっ!!!」

その時、辺りがまぶしい光で覆われ、僕はそのまま気を失ってしまいました。

****************************************************************************************

ウェ「・・・さん・・・ヤさん・・・トーヤさん。」

気がつくと、心配そうに僕の顔を覗き込むウェンディさんとシャルルさんの顔が見えました。縛られていた鎖は消え、リンさんの姿もどこにもありませんでした。

ウェ「リンさんは、正しい記憶が鎖から解放されたと思いますよ。」

ト「・・・だと、いいんですが。」

シャ「まっ、何はともあれ、一見落着ね。」

シャルルさんも復活したんですね。よかったぁ~。

ウェ「他のみなさんも、早く正しい記憶が元に戻るといいですね。」

ト「そうですね。」

シャ「あの連中なら必ずやってくれるわよ。」

シャルルさんの言葉に僕はほっと胸を撫で下ろしました。 
 

 
後書き
第45話終了☆
いや~なんか今回のトーヤ、光輝いていました。
次回はエルザ様&ショールVSジャックの戦いだよ。ショールはジャックを救えるのか!?そしてそして・・・
第46話でお会いしましょう☆ 

 

第46話 勇気を持てっ!!

 
前書き
こんにちは~♪作者の07です♪学校が夏休みに突入~♪この間にバンバン!更新しちゃいます!!
今回はエルザ&ショールVSジャックの熱い対決だ!!ショールは恩人のジャックを救うことが出来るのか!?そしてそして・・・
ショール目線でいってみよ~♪
それでは、第46話・・・スタート♪ 

 
気がつくと、俺とエルザはアンに操られているジャックと見つめ合っていた。ジャックの鮮やかな緑色の瞳には光が射していなかった。

ショ「ジャック・・・」

するとジャックの右手に淡い緑色の光が集まり、いきなり俺に攻撃してきた。その反動で俺は壁に体全身をぶつける。い、威力が、強すぎる・・・

エ「ショール、大丈夫か?」

エルザが駆けつけてきた。

ショ「あ、あぁ、なんとかな。」

俺はエルザに支えてもらいながらゆっくり立ち上がる。

ジャ「その程度か。さすが雑魚だな。」

エ「貴様・・・!」

操られていても、雑魚は酷すぎる・・・!本当は嫌だけど・・・やるしかないっ!!

ショ「トリックルーム!!」

ジャ「へぇ、お前も手品魔法(トリック)が使えるのか。」

ショ「!!お前もって・・・この魔法を教えてくれたのはジャック!!お前じゃねぇかっ!!」

ジャ「はぁ?俺が雑魚に自身の魔法を教えただと?笑わせるな。」

な、何で・・・

エ「どうやらアンの操り(パペット)は、体だけでなく、記憶も操ることが可能みたいだな。」

そんな・・・俺は頭の中が雪のように真っ白になった。絶望だ・・・

ショ「俺・・・みんなや、街を、助けれるかな・・・?」

いつの間にか俺は弱音を吐いていた。するとエルザが俺の肩にそっと手を置き、

エ「バカを言うな。お前はあいつに助けてもらったんだろ?ならば、今度はお前が、ジャックたちを助ける番だ。弱音を吐いたら何もかもできなくなってしまう。私も力を貸す。勇気を持て。」

勇気・・・そうだ。弱音を吐いてどうすんだよ俺!!また、エルザに救われたな・・・

ショ「ありがとう・・・エルザ。」

ジャ「いつまでいちゃいちゃしてるんだよ。くだらねぇな。」

みんなのためにも、街のためにも、ギルドのためにも、エルザのためにも、俺自身のためにもっ!絶対に救ってみせるっ!!!

ショ「マジックハンド!!」

ジャ「一時停止!」

俺の攻撃が止められる。

ジャ「念力!!」

ショ「ぐっ・・・!」

頭に激しい痛みが襲う。強さは昔から変わっていないな・・・

ジャ「フレイム!」

空中に炎が繰り出し、俺に向かって投げつける。よけようとしても、念力の力で体が動かない。俺はぎゅっと目を閉じた。

エ「換装!炎帝の鎧ッ!!」

エルザが俺の前に立ち塞がり、炎帝の鎧で炎を防いでくれた。

エ「言っただろ。私も力を貸すと。」

・・・俺って、情けないな・・・好きな女の子に守ってもらうなんて。

ジャ「はずしたか。なら、サンダー!」

空中に真っ黒な雲が現れ、一筋の稲妻が放たれる。

エ「換装!雷帝の鎧ッ!!」

素早く換装したエルザが、雷を防いだ。やっぱ、エルザはどんな姿でもきれいだな・・・って、何考えてんだ俺はっ!!俺も戦わないと!!

ショ「分身!!」

すると、俺の体が2つに、4つに、8つに、16に分かれた!!

ジャ「こ、こんなもの!フレイム!」

ジャックが次々に16人の俺を攻撃していくが全部俺の思念体。

ジャ「なっ!?どうなってやがるっ!!?」

エ「ショール?」

そんなに慌てなくても、俺はここにいるのに。

ショ「マジックハンド!!」

ジャ「ぐわぁぁぁっ!!い、いつの間に・・・」

そう、俺は魔法でジャックの頭上で攻撃する瞬間を待ち構えていたわけ。これで何とかジャックの動きを封じることができた。

ショ「ジャック、お前は操られてるんだ。」

ジャ「何を、バカな事を・・・そ、そんな事で、俺を騙せるわけがねぇ・・・」

エ「お前はアン・ドヴァーに体と記憶を操られ、自分の街を自らの手で破壊しているんだ。」

ジャ「!!?」

ジャックが光の射していない緑色の瞳を見開く。

ショ「ジャック、頼むから、もう、街を、俺たちの街を、攻撃するのは、止めてくれ・・・!!」

ジャックの緑色の瞳には、少しずつ光が射し込んでいた。

ショ「エルザ!!止めを頼むっ!!」

俺はエルザに叫ぶ。

エ「換装!天輪の鎧ッ!!天輪・繚乱の鎧ッ!!(てんりん・ブルーメンブラッド)」

辺りがまぶしい光に包まれ、俺はそのまま気を失った。

****************************************************************************************

気がつくと、俺は壁にもたれかかって座っていた。そうだ、俺はエルザの攻撃に当たって・・・

エ「気がついたか。」

ショ「エルザ・・・!!ジャックはっ!?」

辺りを見回してもジャックの姿はどこにもなかった。

エ「私が見た時はすでに姿は無かった。」

ショ「そうか・・・」

まさか、アンのところに戻ったんじゃ・・・

エ「心配するな。きっと、お前の思いがジャックの心に届いたはずだ。」

・・・そうだな。思いか・・・よし。

ショ「な、なぁ、エルザ。」

エ「ん?何だ?」

や、やばい・・・トーヤやリョウやグレイも、こんな感情になったんだな。だめだ・・・また今度にしよう・・・

エ「言いたいことがあるなら言わぬか。さっきも言ったが、勇気を持て!」

勇気・・・言え!!言うんだ俺!!!

ショ「お、俺!ずっとエルザのことが好きでしたっ!!付き合って下さいっ!!!」

エ「なっ!!?」

・・・言えた。エルザに、思いを伝えることができた・・・!!

エ「・・・本気で言ってんだな?」

ショ「嘘なんか俺はついたことない。マジックは別としてな。」

これは俺の本音だった。初恋の人に、嘘なんかつけるはずがない。俺は真剣そのものだった。

エ「そ、そんな真剣な顔をするな。ますます・・・好きになってしまうではないか/////////////」

俺の思考が止まった。告白、成功だっ!!俺とエルザの顔はほんのり赤みを帯びている。

エ「そ、そろそろ戻るぞ。」

ショ「そ、そうだな。」

これからは、彼氏として、俺がエルザを守らないとな。 
 

 
後書き
第46話終了!!
ついについについに!!エルザとショールがカップルに!!イエ~イ♪
次回はグレイ&ユモスVSフォアンの対決!
見逃すな!! 

 

第47話 恐怖のアリ地獄

 
前書き
チーーースッ!!07っす!!
今回はグレイ&ユモスVSフォアンの対決!フォアンの恐るべき魔法が明らかに!?
ユモス目線で書いていきます。
それでは、第47話・・・スタート!! 

 
フォアンはずっと私とグレイをバカにすしているような瞳で見下ろしていた。

フォ「さて、雑魚と戦うのは嫌いだけど、街を破壊するためなら仕方ないわね。」

グ「いちいち雑魚雑魚、うるせぇんだよ。」

ユ「グレイ服!」

グ「ぬぉあっ!いつの間にぃっ!!?」

それはおいといて、ギルドバカにする人は私が許さないっ!!

ユ「アイスメイク、柱ッ!!(タワー)」

フォ「こんなの朝飯前よ。」

地面から出て来る氷の柱をステップだけで華麗にかわされる。そのフォアンの背後で、

グ「アイスメイク、大鎌ッ!!(デスサイズ)」

グレイが攻撃を仕掛ける。やっぱり、グレイは強い!!後、かっこいい///////////////

フォ「アースメイク、壁ッ!!(ウォール)」

すると、フォアンとグレイの間から土が火山の噴火のように漏り上がり、グレイの攻撃を土の壁で防いだ。

グ「お前も造形魔道士か?」

フォ「その通り。私は静の土の造形魔道士よ。」

へぇ~、面白い造形魔法だね。

フォ「今度はこっちから行くよ!アースメイク、アリ地獄ッ!!」

次の瞬間、

グ「どわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

ユ「ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

地面に吸い込まれたぁっ!!?

グ「どうなってんだよっ!!?」

ユ「何で私に聞くのぉっ!!?」

私が知ってるわけないじゃんっ!てゆうか、這い上がろうとしても逆にどんどん吸い込まれてってる!!なんなのこれぇ~!!?

フォ「どぉ?アリ地獄に飲み込まれる感覚は?」

見上げると、上からフォアンが不敵な笑みと、光が射していない黒い瞳で私とグレイを見下ろしていた。

グ「てめぇ!何しやがるっ!!」

フォ「ストップストップッ!!」

フォアンはもがこうとするグレイを止める。

フォ「それ以上動かないほうがいいわよ。私のアリ地獄は、動く度に吸い込む速度が速くなるからね。」

ア、アリ地獄ゥッ!!?お、恐ろしい・・・こんな恐ろしいものまで造形しちゃうの・・・?

ユ「す、吸い込まれたら、どうなるの・・・?」

私は恐る恐る聞いてみた。

フォ「う~ん、肉が腐って、骨だけになるんじゃないかしら。」

ものすごく残酷な事をさらりと言うフォアン。そんなフォアンの顔はどこか楽しそうに見えたのは私だけかな・・・?これにはさすがのグレイも冷や汗が額から頬へと流れ落ちる。どうにかして、ここから這い上がらないと・・・!すでに私とグレイの体は太股の辺りまで吸い込まれていた。私は両手を構えて冷気をためると、

ユ「アイスメイク、針ッ!!(スピア)」

鋭い針型の氷が流星群のように降り注いできてアリ地獄に突き刺さるけど、全てアリ地獄に吸い込まれていった。

フォ「そんな攻撃無駄よ。アリ地獄にはまったものは脱出することは不可能よ。」

そ、そんなぁ・・・このままじゃ、生き埋めになっちゃうよぉ~!!その時、

グ「アイスメイク、飛爪ッ!!(ひそう)」

私の後ろでグレイが氷の長い爪のような先が尖った鎖がガガガッ!と音を立てて突き刺さる。

フォ「何をするつもりっ!!?」

フォアンは光の射していない黒い瞳を丸くする。私は何がなんだかさっぱり。

ユ「え、えっと、グレイ、どうするの?」

すると、グレイが左腕で私を抱き締めてきた。

ユ「え?」

いきなりの事に私は驚く。

グ「絶対に、離すんじゃねぇぞ。」

・・・と言われても//////////////グレイが私の事を抱いてるんだよっ!?そう思った次の瞬間、

グ「おぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

ユ「キャァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」

バンジージャンプみたいに私とグレイは宙に吹っ飛ばされた!!!た、たたた高いよ~!!でも、アリ地獄から脱出成功!!!ズズズザザザザザザザザザザザザ・・・と砂煙を巻き上げながらグレイが背中から着地!!い、痛そう・・・

グ「はぁ、はぁ、怪我、ないか・・・?はぁ、はぁ、はぁ。」

ユ「う、うん。大丈夫・・・あ、ありがとう/////////////」

グレイの額には大量の汗が滲んでいる。相当な魔力を消費したと思う。グレイには悪いことしたなぁ。

フォ「な、なんて命知らずなの・・・」

確かに・・・

ユ「グレイは休んでて。」

グ「はぁ!?何言ってやがる!!俺だってまだ・・・ぐっ・・・!」

グレイは荒く呼吸をしながらその場に膝を着く。

ユ「無理しないでよ。後は私がやる。助けてくれたお礼だよ。」

グ「・・・仕方ねぇな。」

うん!素直でよろしい!

フォ「あなた1人で私を倒すつもり?アハハハハハハハハハハッ!!私も随分舐められるようになったわね。」

フォアンは顔にかかった髪の毛を掃いながら言う。

グ「ユモの事、バカにしたら後悔するぜ。」

グレイの言うとおり!妖精は悪魔に必ず勝つ!!それと、

ユ「私を怒らせると、怖いよ・・・」

私はフォアンに笑いかけながら、黒いオーラをむき出しにしながら言った。なぜか後ろでグレイが青くなってるけどあえて気にしないでおこう。フォアンは鼻で笑って、

フォ「あなたたちも私を甘く見ないでちょうだい。アースメイク、岩ッ!!(ロック)」

ゴゴゴゴゴ・・・と音を立てながら大きな岩が転がりながら突進してくる。こんなので魔力を使うのはもったいないね。私は腰を低くして、

ユ「てぇい!!」

岩に向かって回し蹴りを1発食らわせた。岩は粉々に崩れた。

フォ「う、嘘でしょっ!!?」

フォアンはまた光の射していない黒い瞳を丸くする。ちなみに、嘘じゃなくて現実です。

グ「す、すっげぇ~。」

ちょろいちょろい。

ユ「こんなの朝飯前だよ。」

私はさっきフォアンが言った事をそっくりそのまま返してやった。さっきのお返しだよ。それに少し腹が立ったのか、

フォ「これはどうかしらっ!!アースメイク、泥爆弾ッ!!(マッドボム)」

無数の泥団子が飛んでくる。これも、

ユ「てぇい!!やぁ!!」

ただの蹴りとただの拳一撃で泥が地面に落ちて爆発する。

フォ「なななななならばっ!!アースメイク、泥人形ッ!!(マッドドール)」

地面漏り上がり、泥の人型人形が現れた。汚いなぁ。泥まみれ人形は私に突進してくる。

ユ「汚い体で近づくなぁぁぁぁぁっ!!」

回し蹴り、とび蹴り、最後に背負い投げで泥の人型人形はノックアウト!!さて、準備運動も済んだところで、フォアンと勝負だね。

グ「い、今のが準備運動なのかっ!?」

ユ「そうだけど、なんでそんなに驚くの?」

グ「い、いや、すっげぇ~なぁ~って思って。」

ユ「ありがとう。」

でもグレイ、格闘で私が本気になった事は一度もないからね。今のもまだ100分の1の力も出していないよ。そんな事より、街やショールのためにも、フォアンを助けないとっ!

ユ「アイスメイク、剣ッ!!(ソード)」

フォ「こっちだって!!アースメイク、剣ッ!!」

氷の剣と土の剣がぶつかり合う。

ユ「なんでフォアンは、自分の街を破壊するの?」

フォ「なんの事かしら?私はアン様の命令に従って、シラカバの街を崩壊させてるだけよ。」

グ「お前、それでいいのかよ。」

フォ「はぁ?」

グ「自分の手で、大切なものを悲しませていいのかよって聞いてんだよっ!!」

フォ「大切な・・・もの?」

大切なものを失った悲しくて辛い気持ちは、私とグレイにはよくわかる。実際に体験しているからね・・・

ユ「もう終わりにしようよ。こんなのくだらないよ。」

フォ「!!!」

私はグレイと並んで、止めの一撃ッ!!

グ&ユ「氷雪砲ッ!!(アイス・キャノン)」

辺りが光に包まれると、そこにはフォアンの姿はどこにもなかった。

グ「なぁ、お前って・・・」

ユ「小さい頃から格闘技を習得しててね。いつの間にか格闘技の名手って呼ばれてたの。」

つまり、私の異名(?)なんだ。いったい誰が考えたんだろう?まぁいっか。それより、

ユ「助けてくれてありがとうね。グレイ。」

グ「え、あ、あぁ/////////////お前こそ、ありがとな/////////////////」

ユ「どういたしまして。後、服は?」

グ「ぬぉあっ!いつの間にぃっ!!?」

今回2回目だよ。まぁ、それがグレイだからいいのかもね。

グ「なんか言ったか?」

ユ「ううん。何でもない。ほら、早くみんなを探しに行こう。」

グ「おわっ!」

私はグレイの腕をぐいぐい引っ張りながらみんなを探しに歩き出した。グレイの顔が真っ赤なのも知らずに。 
 

 
後書き
第47話終了!!
ユモは格闘技の名手と呼ばれていて、ものすごく強いんです!!妖精の尻尾に加入する前に、格闘技だけで闇ギルドを2~3つ程潰したことがあるとか・・・
次回はルーシィ&リョウVSジストの対決だ!!
それではまた次回!! 

 

第48話 2人のリョウ

 
前書き
ピーリ、ピーリ!!07だよ!!
今回はルーシィ&リョウVSジストの対決!!でも、このバトル・・・ややこしい!!
リョウ目線で書いていくよ。
それでは、第48話・・・スタート!! 

 
いってぇ~~~、ん、ここどこだ?

ル「リョウ、ここどこ?」

リョ「俺にもわかんねぇや。」

辺りをきょろきょろ見回していると、

ジ「もうちょっと頭を使いなよ。雑魚さん。」

プチンッ!!俺の堪忍袋の尾に裂け目が入った。妖精の尻尾は、俺たちは・・・雑魚なんかじゃねぇっ!!!

ジ「お前が聖十のリョウか。こんなにバカだったとは思わなかったよ。」

リョ「バカ言うな!!チビ!!」

ジ「!!俺のこ事をチビって言ったな。」

俺は本当の事を言っただけだ。俺は聖剣(エクスカリバー)を1本抜いて、

リョ「空高切ッ!!」

澄んだ青い光を纏った聖剣で攻撃しようとしたが出来なかった。なぜなら、俺の目の前にいたのはジストじゃなくて、ルーシィだったからだ。俺は慌てて避ける。

ル「ちょっとリョウ!どうしたのぉっ!?」

リョ「いてててて・・・大丈夫かルー・・・ってえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!?」

俺が見たものはなんと、2人のルーシィだった。

ル「えぇぇぇぇぇっ!!ど、どうなってるのぉっ!!?」

ルーシィも自分の横に立っているもう1人の自分に驚く。髪型や目、服装やリボンの色まで何から何までそっくりだ。

ジ「アハハハハハハハハハハッ!!」

すると、ボワァァァン!と煙が出て、煙の中からジストが出て来たぁっ!!?ど、どうなってんだいったいっ!?

ジ「俺の魔法はコピー魔法。コピーした人間の姿、魔法が使えるようになる。例えば・・・」

するとまたボワァァァン!と煙が出て、煙の中から今度はナツ・・・いや、ナツに姿を変えたジストが出てきて、

ジ「火竜の・・・鉄拳ッ!!」

リョ「うぉわっ!!」

慌てて聖剣で受け止めるが、パワーも本物のナツと同じぐらいだ。厄介な相手だな。

ル「そうだ!開け!双子宮の扉!ジェミニ!!」

ジェ「ピーリ、ピーリ。」

なんか、地味にかわいいのが出てきた。

ル「ジスト、私もコピー魔法が使えるのよ。」

リョ&ジ「えっ!!」

本当かよルーシィ!!

ル「ジェミニ、リョウに変身して!」

ジェ「ピーリ、ピーリ!!」

すると、目の前にもう1人の俺・・・いや、俺に変身したジェミニがいたっ!!

リョ「すっげーーーーーっ!!よし、ジェミニリョウ、一緒にあいつを倒すぞっ!!」

ジェ「おぅっ!!」

声もそっくりだ。やっぱルーシィは最高だぜっ!!俺はジェミニリョウと一緒に、

リョ&ジェ「2剣流、速刀殺切ッ!!」

いや、この場合4剣流か。ものすごい速さで聖剣を振りかざす。

ジ「コピー魔法、アイスメイク、盾ッ!!(シールド)」

またボワァァァン!と煙が出て、煙の中からナツ・・・じゃなくて、ジストはナツからグレイに変身し、俺たちの攻撃を防いだ。

ジ「残念でした~♪アイスメイク、床ッ!!(フロア)」

リョ「どわっ!」

ジェ「ぎょへっ!!」

グレイ・・・じゃなくてジストは床を凍らせ、俺とジェミニリョウはすってんころりん。その間にグ・・・じゃなくて、ジストは、

ル「キャアッ!!」

リョ&ジェ「ルーシィッ!!!」

ルーシィを氷漬けにしちまった。

リョ「おいっ!ルーシィを氷から出せっ!!」

ジェ「そうだそうだっ!!」

ジ「俺に勝てたらいいよ。」

チビのくせに~・・・生意気なっ!!

ジ「コピー魔法、換装!黒羽の鎧ッ!!」

またボワァァァン!と煙が出て、グ・・・いや、ジストがグレイからエルザに姿を変え、エルザに姿を変えたジストは黒羽の鎧に換装する。

ジ「ハァァァァァァァァァァッ!!!」

リョ&ジェ「グワァァァァァァァァァァッ!!!」

コピーでも、エルザは強い・・・でも、ここで負けるわけにはいかねぇんだっ!!俺とジェミニリョウはよろよろと立ち上がる。

ジ「まだ戦うのか?雑魚にしては粘る者だな。そんなにこの女を助けたいのか?」

ブチッ!!さっき裂け目が入った俺の堪忍袋の尾が切れた。今の言葉には今まででめちゃくちゃ腹が立ったっ!!

リョ「誰にでも守りたいものが1つや2つは必ずあるっ!!」

ジェ「ルーシィは僕たちを助けてくれた!僕たちの大切な所有者(オーナー)なんだっ!!」

ジェミニも・・・やっぱり、ルーシィは優しいんだな。

ジ「俺にはそんなものはない。」

リョ「じゃあ、なんでお前は自分の街を破壊してるんだよ?」

ジ「自分の街だと?俺はアン様の指示で街を破壊してるだけだ。」

リョ「いくら操られてても、それは酷すぎる・・・お前は、自分の大切なものが消えてもいいのかよっ!!?」

ジ「大切なものが・・・消える?俺にはそんなものはないっ!!」

リョ「お前がそうだとしても、お前の家族や仲間は大切なものがあるんだっ!!!」

ジ「!!!」

ジェ「リョウ!!」

リョ「おぅ!!」

俺とジェミニリョウは最大パワーで、

リョ&ジェ「2剣流、星志希切ッ!!」

星のような光り輝く光に、希望に満ちた光を纏った聖剣を振りかざすと同時に、辺りが光に包まれた。光が消えると、ジストの姿はどこにもなかった。

リョ「そうだ!ルーシィはっ!!?」

ル「リョウ~!ジェミニ~!」

ルーシィが笑顔でこっちに手を振っている。よかったぁ~。

ル「ジェミニ、お疲れ様。ゆっくり休んでね。」

ジェ「ピーリ、ピーリ♪」

元の姿に戻ったジェミニはなぜか踊っている。

ル「ジェミニ閉門!」

ジェ「ピーリ!!」

ジェミニは星霊界に帰っていった。するとルーシィが俺の背中に抱きついてきた。

ル「リョウもありがとう。」

リョ「お、おぅ/////////」

やべぇ・・・かわいすぎる//////////////

ル「やっぱり、リョウは強いわね。」

リョ「当たり前だっ!!」

俺はいつものように、ルーシィに向かってVサイン!! 
 

 
後書き
第48話終了!!
私は星霊の中でジェミニが一番好きです。まぁ、私は牡羊座なんですが・・・アリエス、ゴメンネ。
それにしても、相変わらず、ラブラブですねぇ~♪他のカップルも頑張れ!!
次回はナツ&マヤ&ハッピーVSチンクの対決だ!!いったいどんなバトルを見せてくれるのか!!
お楽しみに~!ピーリ、ピーリ!! 

 

第49話 火竜VS雷神

 
前書き
HEY!07だぜ!!
今回はナツ&マヤ&ハッピー&フレイVSチンクのバトルだ!!
マヤ目線でいってみよ~!!
それでは、第49話・・・スタート!!!

もうすぐで50話だ!!すご~い!! 

 
あ、あれ?さっきは崩壊した街の中にいたはずだけど・・・いつの間にか私は、すごく殺風景の部屋にいて、傍にはナツとハッピーとフレイしかいなかった。って、何でフレイ?

ハ「マヤ、ここどこ~?」

ナ「誰もいねぇな。」

フ「みんなどこ行ったんだ?」

その時、

チ「アン様の指示に従い、俺はお前らを倒す。」

奥からチンクが歩いてきた。随分自信満々だね。

マ「後から自分が後悔したって私は知らないからね。我と契約した者よ、ここに姿を現せっ!!シカのルリ!!ピィーーーーーーーーッ!!」

オレンジ色の魔法陣から立派な角の生えたシカが現れた。つい最近契約したばかりだけど、きっと大丈夫!!

チ「ルリ、チンクに怒りの角で突進!!」

ルリは軽く足で地面を蹴るとすごいスピードでチンクに突進していく。

チ「動物が相手だと?バカにするな。」

するとチンクは回し蹴りでルリを倒しちゃった!!

マ「ルリ!!」

慌てて駆けつけるとルリの右後ろ足の骨が折れていた。

ナ「お、おい!大丈夫かシカ!?」

ハ「ど、どうしよう・・・」

ナツとハッピーとフレイも慌てて駆けつける。でも、せめて名前で呼んでよっ!!

フ「あまり体を動かしたらもっと怪我が酷くなる。マヤ、包帯と支えになるものはあるか?」

マ「え、あ、うん。いつも持ち歩いてるから。」

私は背負っていたリュックから包帯と木の板を取り出してフレイに渡す。フレイは慣れた手つきでルリの足に木の板で固定して、その上から包帯を巻いていく。

ナ「お前すげぇ~な。」

フ「よくやってたからな。」

よくやってた?動物の手当てをするのは私みたいに動物に慣れている人だけ。いくら医者でも、動物の手当てをするのはかなり難しいのに・・・フレイはなんで、こうもあっさりと・・・私は疑問に思ったが口には出さなかった。

フ「よし、これでOK!」

ナ&ハ「おぉ~!!」

マ「す、すごい・・・」

とても初心者とは思えない。フレイ・レッドシェル・・・いったい、何者なの?

チ「やれやれ、動物の手当てがそんなに大事か。」

チンクが呆れたように首を左右に振る。私はキッとチンクを睨んで立ち上がると、

マ「動物だって生きてるんだよっ!!放って置くなんてできないよっ!!」

ナ「ハッピーだって俺の相棒だっ!!!」

ハ「ナツ・・・」

フ「動物は俺たちの仲間だっ!!」

ナツもハッピーの事を大切に思いながらチンクに向かって叫ぶ。フレイもチンクを睨みつける。フレイも・・・動物が好きなのかな?

チ「動物が仲間?ありえねぇ~。」

ブチッ!!と、私の中で何かが切れた。それはナツとフレイも一緒みたい。

ナ「てめぇ~、マヤの動物も、ハッピーも、俺たちの大切な仲間だっ!!!」

フ「動物は俺たちに勇気や希望を与えてくれる優しい仲間だっ!!」

チ「動物と人間は違う生物だ。一緒にされちゃあ人間がすたる。」

ブチッ!!ブチッ!!とまた私の中で何かが切れた。そして、私は駆け出し、気づいた時にはチンクの顔を思いっきり殴っていた。チンクは反動で反対の壁まで吹っ飛ぶ。これにはナツもハッピーもフレイも唖然としている。

チ「お前、よくも・・・」

口から少しだけ血を流し、痛そうに頬を押さえながら立ち上がるチンクに私は怒りに染まった目で睨みつけ、チンクに指を突きつけて、

マ「ここまで、動物の悪口を言った人は初めてだよ。ショールの仲間だろうが何だろうが、操られているが何だろうが、私は絶対、あんたを許さないっ!!!」

私の声が、殺風景の部屋に響き渡った。

フ「マヤ・・・」

私はこれ以上動物たちに怪我を負わせたくないから素手で戦う事にした。

ナ「お前、素手で戦えんのか?」

マ「小さいころ鳳凰に教わったんだ。今もユモに時々教わってるしね。」

ユモは格闘技の名手って呼ばれてるからね。さて、チンクはどんな魔法かな?

ナ「火竜の・・・咆哮ッ!!」

ナツの口から勢いよく炎が吹き出る。チンクはそれを待っていたかのように、

チ「雷神の・・・怒号ッ!!」

えぇ~!!な、何あれ~!!?口から黒い雷ッ!?

ハ「ナツ!あれ、ザンクロウと一緒だよっ!!」

ん?ザンクロウ?

フ「この世界には滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)にお他に、滅神魔道士(ゴットスレイヤー)って呼ばれる魔道士がいるんだ。滅神魔道士の魔法は炎でも雷でも風でも、黒い色をしているんだ。」

フレイが横で説明してくれた。じゃあ、チンクは滅神魔道士っていう事?

チ「神殺しの魔法、滅神魔法の雷はちょっと触れただけでも肉は焼け、骨は溶ける。」

ひぃ~!!そんな魔法初めて聞いたよ~!!

チ「今度はそっちの女だっ!!さっきの拳のお返しだっ!!雷神の・・・怒号ッ!!」

ナ「しまった!!マヤ、避けろぉ~~~っ!!」

マ「え?」

私はその場に呆然と立ちすくんだままでかわす事が出来なかった。硬く目を閉じたその時、

フ「ファイアメイク、炎の渦ッ!!(ファイアトルネード)」

フレイが私の前に飛び出して、チンクの攻撃から私を防いでくれた。

フ「マヤ、大丈夫?」

マ「う、うん。ありがとう。」

ナ「・・・・・」

ナツがムスっとした表情でこっちを見ていた事には私は気づかなかった。

チ「はずしたか。ならばもういっちょっ!!雷神の・・・怒号ッ!!」

黒い雷はナツ目掛けて一直線・・・って、ちょっとナツ、なんでかわそうとしないのっ!?このままじゃ、ナツが骨になっちゃうよっ!!

マ「ナツ!避けてぇ~!!」

でも、ナツは避けようとしない。すると、

ナ「モード雷炎竜。」

え?モード?雷炎竜ッ!!?ナツの体を炎と雷が纏う。

ナ「雷炎竜の・・・咆哮ッ!!」

ナツの口から炎と雷が吹き出る。

チ「なっ!!神殺しの雷がっ!?」

マ「押されてる・・・」

ナ、ナツは、ば、化け物だ~!!

ナ「滅竜奥義ッ!!」

マ&フ「奥義!?」

ハ「きたーーーーー!!」

ナ「紅蓮爆炎刃ッ!!!」

強烈な一撃ッ!!すごい威力にすごいパワー。これが、火竜(サラマンダー)の力・・・

ナ「ガハハハハハハハ!俺たちの勝利だぁ~!!」

ハ「あい!」

やっぱりナツはすごい!!かなわないなぁ・・・

ナ「お~いマヤ、大丈夫か?」

マ「うん!ありがとうナツ。」

ナ「お、おぅ!」

ハ「でぇきてるぅ~。」

ナ&マ「できてな~い!!」

でも、本当にありがとう、ナツ!!

フ「・・・よかったな、マヤ。」 
 

 
後書き
第49話終了!!
ナツかっこよかったです!!マヤもすごかったなぁ~この二人の恋の花はいつ開花するんだろう?
次回はいよいよ記念すべき50話!ここまできたのも読者様のおかげです。ありがとうございます。
最強チーム+フレイたちはいよいよアンとの対決へ!!シラカバの街の運命は!?
絶対見逃すな!! 

 

第50話 妖精と悪魔の最終決戦

 
前書き
おはようございま~す☆07です☆今回は記念すべき50話!!いや~、ここまで来るなんて思ってもみませんでした。ここまで読んでくださった読者様のおかげです。ありがとうございます!!!
今回は悪魔の計画(グリモアプラン)との最終決戦!!最強チーム+フレイはシラカバの街を救うことができるのか!?
ナツ目線で書きたいと思います。
それでは、第50話・・・スタート☆ 

 
ル「ナツ~、マヤ~。」

ウェ「ハッピ~、フレイさ~ん。」

チンクとのバトルの後みんなと合流。みんなも勝ったみたいだな。

エ「残るはアンだけだな。」

ショ「どこにいるんだよ・・・アン・ドヴァー。」

ト「ショールさん、落ち着いて下さい!」

ア「そうそう、そんなにカリカリしな~い♪」

この声!!俺たちは一斉に後ろを振り返る。そこには口元は笑っていているが、赤黒い血のような瞳は笑っていないアンがいた。

ア「はぁ~い♪雑魚さん。私の仲間を全員倒しちゃうなんて、すごいわね♪」

お前、まだ雑魚言ってたのかっ!!

ア「あの子達を倒せても、私を倒す事はできるかしら?」

リョ「俺たちを甘く見ないほうがいいぜ。」

ユ「甘く見たら怖いよ・・・」

お、おい、なんかユモから黒い変なものが出てるぞ・・・

ア「それじゃあ、存分に楽しみましょ☆妖精と悪魔の最終決戦を。」

おっしゃ~!!燃えてきたぞ~!!人数的にもこっちのほうが有利じゃねぇか。

ナ「火竜の・・・鉄拳ッ!!」

俺は炎を纏った拳をアンに振りかざす・・・が、

ア「操り(パペット)。」

ナ「うぉ!?」

な、何だこれ!?体が勝手に・・・俺の拳はマヤの方へ。

マ「わぁ!!ちょっとナツ!なんでこっちに攻撃してるのっ!?」

ナ「か、体が勝手に動いちゃうんだよっ!!どわぁ!!」

ウェ「ひぃ~っ!!」

今度はウェンディとシャルルの方へ。

シャ「ちょっと!なんとかしなさいよっ!!」

それができたら苦労しないっての!!

ア「アハハハハハハハハハハッ!!どう?仲間に攻撃されるのは?」

エ「貴様がナツを操ってるのかっ!!」

ナ「お前よくも!おわぁ!!」

ユ「なんでナツだけを操るのっ!?」

確かに・・・操るならグレイかリョウにしてくれぇ~!!

グ&リョ「どうゆう意味だよっ!?」

そうゆう意味だ。いいからなんとかしてくれぇ~っ!!どぉっ!!

ハ「もしかして、アンって、炎に弱いの?」

ア「!!!」

炎に弱い?

ショ「アンの弱点ってことか?」

ア「な、なななななな何のことかしら~・・・」

お前、汗すごいぞ・・・

ル「あっ!確かフレイの魔法って、炎の造形魔法じゃなかった?」

ア「えぇっ!!?」

そういえばそうだったな。

ア「火竜(サラマンダー)だけじゃなかったの!?」

ナ「お前最初から俺を操ろうとしてたのかよっ!!おわっ!!」

グ「お前もいつまで操られてるんだよ!!」

知らねぇよっ!!どわっ!!

リョ「とにかくフレイ!あいつをやってくれっ!!」

フ「わ、わかった、ファイアメイク、噴火ッ!!(イラプシャン)」

すると、ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・と地面が微かに揺れた。何だ何だっ!?地震かっ!!うぷ・・・

マ「このタイミングで酔わないでっ!!」

だ、だってよ・・・すると地面から炎が噴射したっ!!うまそ~だなぁ。

ア「・・・・・」

アンが1歩ずつ炎から離れていく・・・ってあれ?

ナ「おっしゃ~っ!!自由だぁーーーっ!!」

ユ「操りが解けたんだね。」

エ「ナツ!フレイ!アンに止めを刺せっ!!」

ウェ「私、援護します。アームズ!アーマー!レーゼ!」

ショ「俺も手伝う。ビック!」

サンキュー、ウェンディ、ショール。力が湧いてきたっ!!

ナ「いくぞフレイッ!!」

フ「OK!!」

街を、仲間を傷つけたお前等は、俺がこの手で潰してやるっ!!

ア「嫌だ・・・炎は、嫌・・・!」

何で炎を怖がっているか知らねぇが、俺とフレイを見て震えているアンを無視して、

フ「ファイアメイク、花火ッ!!(ファイアフラワー)」

アンの周りで色とりどりの花火が爆発する。

ア「キャアアアアアッ!!!」

これだけでアンはかなりのダメージみたいだな。

マ&ハ「いっけぇ~ナツ!!」

俺は両手に炎を纏うと、アン目掛けて駆け出した。

ナ「右手の炎は、街の人たちの悲しみの炎・・・左手の炎は、俺たちの怒りの炎・・・2つの炎を合わせて・・・火竜の・・・煌炎ッ!!」

ドガァーーーーーーーーーーンッ!!!

****************************************************************************************

煙が晴れると気を失っているアンが倒れていた。

ショ「・・・やっと、シラカバの街に、平和が戻ってきたっ!!」

ナ「俺たちの勝利だぁーーーーーっ!!!」

全「おぉーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!」

俺たちは腕を空高く突きつけた。妖精と悪魔の戦いはゆっくりと幕を閉じた。 
 

 
後書き
第50話終了です☆
無事にシラカバの街は救われました!!ショールよかったね。
次回は崩壊したシラカバの街の復旧工事を手伝います。
それではまた次回お会いしましょう☆

ここまで呼んでくださった皆様に感謝申し上げます。
       これからも、FAIRY TAIL友と恋の奇跡をよろしくお願い致します。
                                        by07 

 

第51話 復旧工事

 
前書き
こんにちは!作者の07です!!
今回はシラカバの街の復旧工事を手伝い、マグノリアに帰ります。
エルザ目線で書きたいと思います。
それでは、第51話・・・スタート!!! 

 
悪魔の計画(グリモアプラン)が倒されたことにより、シラカバの街に14年ぶりの平和が戻ってきた。街の人々は崩壊した街を元に戻すため復旧工事を行っている。私たちもその手伝いをしている最中だ。

ル「ショール、この木材はどこに運べばいいの~?」

ショ「そっちに運んでくれ~。」

ルーシィはタウロス、バルゴを呼び出し、マヤは大熊のドランを召喚し、トーヤはおおかみ男と鬼を召喚して復旧工事を行っている。街は順調に元に戻っていく。

ナ「どうだ!グレイ!リョウ!・・・お、重い・・・」

グ「一度にそんなに持つなよ。てゆうか、俺ならそんくらい簡単に持てるぞ。」

リョ「俺はその倍は持てるぞ。」

ナ「お前等になんか無理だっつーのっ!!」

はぁ、あっちはもう喧嘩してるのか・・・

エ「お前たちっ!!喧嘩をするならあっちでやれ。口より手を動かせっ!!」

ナ&グ&リョ「あい・・・」

うん。素直でよろしい。

ウェ「エルザさん、気合入ってますね。」

シャ「まるで工事現場にいるおじさんじゃない。」

ト「土木作業着に換装しちゃうんですね。」

私の今の服装は黄色いヘルメットに、薄い黄緑色の上下の作業服に、黒い長靴姿だ。言われてみれば、確かに工事現場のおじさんだな。

ユ「エルザ~!ちょっとこっち手伝って~!!」

ユモに呼ばれ私は早足でそっちに向かった。

****************************************************************************************

ル&マ「ふぅ~、疲れた~・・・」

ト「崩壊してる街の範囲が広すぎます・・・」

ショ「こんなにやられたのは初めてだからな。」

ナ&グ&リョ&フ「腹減ったぁ~・・・」

みんな地面に座り込んでいる。もう3時間以上は働きっぱなしだったからな。疲れるのは無理もない。

ウェ「エルザさんは疲れてないんですか?」

エ「疲れているが平気だ。」

ユ「それ、平気じゃないでしょ・・・」

そういえば、もうすぐお昼だな。すると、セイヤさんがやって来て、

セ「妖精の尻尾のみなさん、悪魔の計画を倒して下さり、街の復旧工事も手伝っていただき、なんとお礼を言ったらいいのやら・・・本当にありがとうございます。」

ショ「俺からも、本当にありがとうな。」

セイヤさんとショールが私たちに頭を下げる。

エ「仲間の危機を助けるのは当然だ。そうだろ?」

ル「困ってる時はお互い様よ。」

グ「結構苦労したけどな。」

ウェ「その分、頑張ったって事ですよ。」

ナ「また困ったら俺たちに言えよ。」

ハ「あい!」

みんな、あんなに苦戦したのに笑っている。本当にいい仲間だな。

セ「さてみなさん、たくさん働いてお腹も空いたところでしょう。この辺でお昼にしましょう。」

ナ「おっしゃぁ~!!飯だ飯ッ!!」

ハ「あいっ!」

セイヤさん、グットタイミングだな。

ショ「昔から時間にうるさくてな。」

エ「まぁいいじゃないか。お前のたった1人の肉親なんだろ?」

ショ「まぁな。」

ショールはセイヤさんの後ろ姿を嬉しそうな目で見つめていた。

****************************************************************************************

お昼は大量の野球ボールぐらいの大きさのおむすびだった。そのおむすびが3つの大きなお皿に山のように積まれている。

ユ「おいしそぉ~♪」

ト「具は何ですか?」

セ「この街の名物の、たらこと梅干です。」

ウェ「う、梅干ですかぁっ!?」

マ「ウェンディは梅干嫌いだもんね。」

シャ「ウェンディ、好き嫌いはだめよ。」

ウェ「うぅ・・・」

シャルルに言われたら仕方ないな。

全「いっただっきまぁ~すっ!!!」

1つ手にとって1口食べる。

エ「!おいしい。」

リョ「うまいっ!!」

フ「こんなおいしいおむすびを食べたの初めてだっ!!」

私のおにぎりの具はたらこだった。実がぎっしり詰まっていてしかも大きい。

セ「この街のたらこは通常のたらこより2倍の大きさなんです。」

マ「すごぉ~い!!って、ナツ、それ何個目?」

ナ「4つ目だ。」

ル「食べるの早すぎっ!!」

エ「もっと味わって食べろ。」

ナ「あい・・・」

全く・・・

ウェ「すっぱっ!!」

ト「ウェンディさん、梅干当たっちゃったんですね。」

シャ「ちゃんと全部食べなさいよ。」

ウェ「うん・・・」

グ「梅干も随分でかいな。」

ル「よけい酸っぱい梅干ね。」

ハ「ルーシィ、顔がおばあちゃんみたいだよ。」

ル「あのね・・・」

リョ「ルーシィはおばあちゃんになってもかわいいぞ。」

ル「何それっ!?」

ル以外「アハハハハハハハハハハッ!!!!!」

それにしても、とても上手に握られているな。

ショ「この街の人たちは、なぜかみんなおむすびを作るのが得意なんだよ。」

ユ「じゃあ、ショールも?」

ショ「まぁ、得意料理の1つだな。」

マ「料理のできる男はもてるよ~。ねぇ?」

マヤが悪戯っ子のような目をして私を見てきた。

エ「あ、あぁ///////////」

お皿に山盛りにあったおむすびは全部無くなった。まぁ、ほとんどがナツのお腹の中だが。

ナ「ふぅ~、食った食った。」

ハ「あいっ!」

ト「おいしかったですね。」

フ「だな。」

エ「どうもごちそうになりました。」

セ「いえいえ、私たちの感謝の気持ちです。」

セイヤさんとショールの笑顔がそっくりだった。

リョ「そろそろ帰ろうぜ。」

ル「そうね。」

セ「それでは、街のみんなも一緒に駅まで見送りましょう。」

エ「かたじけない。」

****************************************************************************************

荷物をまとめて駅に行くと、たくさんの人々が集まってくれた。

街1「街を救ってくれてありがとうっ!!」

街2「このご恩は一生忘れないぜっ!!」

街3「体に気をつけてくださいね。」

街4「また遊びに来いよっ!!」

街5「おむすびたくさん作って待ってますから。」

いろんな人から声をかけられた。ショールは操りから解放されたジャックたちと話していた。

リ「助けてくれてありがとう。」

ショ「お礼なら俺じゃなくて最強チームのみんなに言ってくれよ。」

フォ「ショール、元気でね。」

ショ「みんなもな。」

チ「立派な魔道士になれよ。」

ジャ「マジックも忘れるなよ。」

ジ「俺たちもマグノリアに遊びに行くからな。」

ミ「あんまり無茶したらだめだからね。」

ショ「あぁ。いつかは分からないけど、ここに戻ってくる頃には、一流の魔道士マジシャンになってみせるさ。約束だ。」

ショールはみんなと拳をぶつけ合う。それと同時に列車が駅に到着した。

ナ「列車・・・うぷ・・・」

マ「まだ乗ってもないのに酔わないでよ。」

ハ「それがナツです。」

ナツを引きずりながら列車に乗る。

セ「エルザさん。」

私が乗ろうとした時、セイヤさんに呼び止められた。

セ「ショールをよろしくお願いします。」

頭を下げられてしまった。

エ「安心してください。ショールは妖精の尻尾の、私たちの大切な仲間なんですから。」

それを聞いたセイヤさんの鮮血のような赤い瞳には涙であふれていた。

チ「あっちゃぁ~。」

ミ「セイヤさん、また泣いちゃった。」

ジャ「涙もろいところはショールそっくりなんだよな。」

セ「な、泣いてなんかないぞっ!」

ジ「どう見ても泣いてます。」

リ「ショールそっくり~♪」

フォ「さすが親子ね。」

ショール、お前はとても暖かい家庭で、暖かい街で産まれ育ったんだな。

ル「エルザ~。」

グ「そろそろ出発するぞ~。」

マ「早く早く!」

私は慌てて列車に飛び乗り、それと同時にマグノリア行きの列車が出発した。

街6「さよぉ~ならぁ~!」

街7「元気でなぁ~!!」

ミ&ジャ&リ&チ&フォ&ジ「本当に、ありがとぉ~~~っ!!!!!」

街の人たちや、ジャックたちの声が聞こえた。みんな手を振って列車を見送っている。私たちも列車の窓を開けて振り返した。そして、

セ「ショールをよろしく頼みまぁ~すっ!!!」

セイヤさんの声が、誰よりも大きく聞こえた。

ショ「じいちゃん、余計なお世話だよ。」

ショールはセイヤさんの声に少し照れていた。街の人たちや、ジャックたち、セイヤさんは列車が見えなくなるまでずっと手を振ってくれた。ショールはシラカバの街が見えなくなってもずっと窓の外を見つめていた。セイヤさんそっくりの、鮮血のような赤い瞳に、涙を薄っすら浮かべ、とても悲しそうで、とても寂しそうな笑顔で・・・ 
 

 
後書き
第51話終了です!!
いや~、最後はとても感動的でした。
次回は・・・説明しずらいので、本編でっ!
それではバイバ~イ! 

 

第52話 マヤとの特訓

 
前書き
HELLO!07だよ!!
今回は・・・なんて説明したらいいんだろう・・・?簡単に言えば特訓!!
途中で目線が変わります。最初はユモス目線で書きたいと思います。
それでは、第52話・・・スタート!! 

 
シラカバの街から帰ってきてから3日後、今日はの~んびり過ごそうかな。ミラさんに作ってもらったかき氷を食べながら考えていると、

バンッ!!と、誰かに思いっきりテーブルを叩かれた。

ユ「ひゃあっ!!」

私は驚いて悲鳴を上げて、その反動でかき氷はこぼれた。あ~あ、まだ半分ぐらいしか食べてなかったのに・・・テーブルを叩いたのは、

マ「ユモ、特訓付き合ってっ!!」

マヤだった。

ユ「またぁっ!?」

私は立ち上がって驚嘆の声を上げる。マヤは顔の前で両手を合わせると、

マ「お願いっ!ユモの教え方、すっごくわかりやすいんだもんっ!!」

マヤったら、お世辞を言ってでも頼むのか・・・

ユ「今まで3回も特訓に付き合ったけど、一度も私に勝ったことないじゃん。」

マ「今回は絶対に勝つっ!!」

マヤのオレンジ色の瞳はナツが勝負に燃えている時の瞳と同じ色をしていた。へぇ~、自信あるみたいだね。

ユ「わかったよ。そのかわり、後でかき氷奢ってね。」

私はテーブルの上で無残な姿になったかき氷を指差す。

マ「OK!ヤッタァーーーッ!!それじゃあレッツゴォーーーーーッ!!」

相変わらずテンション高いなぁ~。まっ、マヤらしいからいっか。

****************************************************************************************

で、マヤに無理矢理連れて来られ、マヤの友達(動物)のワシのバーンに乗って、やって来たところは、なぜか山の頂上。

ユ「何でこんなところに来たの?」

マ「まずは競争しようと思って。」

競争?まさか、どっちが早くこの山を下りれるか・・・みたいな競争じゃないよね?

マ「さっすがユモ!よくわかったね。」

やっぱり・・・

マ「ルールは簡単。どんな方法を使ってもいいから相手より早く山を下りること。」

あれ?思ってたより簡単そう。それに、面白そうっ!!

マ「それじゃあ、位置について、よぉ~い・・・ドンッ!!」

この合図でマヤとのくだらない競争が始まった。

****************************************************************************************

            『ここからマヤ目線でいきます。』

格闘技ではいつも負けてるけど、こうゆう勝負なら絶対にユモに負けないよっ!

マ「我と契約した者よ、ここに姿を現せっ!!オオカミのクロウ!ピィーーーーーーーーーーーーッ!!」

オレンジ色の魔法陣からクロウが現れた。私はクロウの背中に飛び乗って、

マ「クロウ、この山を駆け下りてっ!!」

ク「ウォン!!」

クロウが走り出そうとしたその時、、

ユ「お先に。」

私たちの横をものすごい速さでユモが通りすぎていった。

マ「いつの間にぃ~!?クロウ急いでっ!!」

ク「ウォン!!」

私はしっかりクロウに摑まり、クロウはすごいスピードで走り出した。この競争は絶対に負けないからっ!!

****************************************************************************************

           『ここからまたユモス目線でいきます。』

マヤったら、私が造形魔道士だってゆうことを忘れてるのかな?私は氷の翼で空中を飛んでいる。あちこちに木があって飛びづらいけど、これが一番いい方法なんだ。

マ「待てぇーーーーーっ!!」

飛びながら後ろを振り向くと、オオカミに乗ったマヤが追いついてきた。

ユ「競争で待てって言われて待つ人はいないよ。」

更にスピードを上げるとオオカミもスピードを上げた。私とオオカミは横に並んだ。

ユ「速いね、このオオカミ。」

マ「クロウだよ。」

ク「ウォン!!」

ものすごくマヤに懐いてるのが一目でわかる。さすが動物姫(アニマルプリンセス)だね。もう少しでゴールだっ!!私は更に更にスピードを上げる。オオカ・・・じゃなくて、クロウも更に更にスピードを上げてきた。

マ&ユ「いっけぇーーーーーっ!!」

私とマヤは同時にゴール。結果は引き分け。でも、楽しかったからいっか。

マ「クロウ、お疲れ様。戻っていいよ。」

ク「ウォン!!」

オオ・・・じゃなくてクロウは帰っていった。

マ「さぁ~て、競争では引き分けだったけど、今度は絶対に勝つよっ!!」

自信満々の笑みを浮かべるマヤ。私はそのマヤに少しだけ期待して、

ユ「今回はどうする?」

マ「もちろん、本気でかかってきてっ!!」

本人は本気って言ってるけど、いつもは100分の1も力を出していないことは内緒。私が本気になったら、マヤ死んじゃうかもしれないし。

マ「よろしくお願いしまぁ~すっ!!」

ユ「よろしく。」

私とマヤの4回目の特訓が始まった。

****************************************************************************************

マ「降参降参ッ!!参りましたぁっ!!!」

勝負は私の圧勝ッ!!これで4勝0敗と、0勝4敗。

ユ「でも、前戦ったときより力が上がってるよ。」

マ「ほんとっ!?ヤッタァーーーッ!!」

負けたのにマヤはすごく嬉しそう。

ユ「マヤ、そろそろ帰ろう。もう夕方だよ。」

マ「うん!」

マヤは私は並んで歩く。こうして歩いていると、周りの人たちからは姉妹って思われると思う。マヤは私より1つ年上なのに、ものすごく幼く見える。背が小さいせいかもしれないけど・・・

ユ「帰ったらかき氷おごるの忘れないでね。」

マ「うん。また特訓付き合ってね。」

ユ「えぇーーーーーっ!!?」

もう特訓はこりごり・・・空は私の髪の毛の色と、マヤの髪の毛の色がグラデーションのようになっていた。 
 

 
後書き
第52話終了!
いつもマヤに振り回されっぱなしのユモですが、マヤのことを2番目に理解してる人です。えっ?1番目は誰かって?それは次回出てきますよ。
次回は・・・いよいよ!おぉーーーーーーーーーーー!!作者も書くのが楽しみです!!
それでは53話でお会いしましょう! 

 

第53話 伝えたかった思い

 
前書き
ヤッホ~♪07で~す♪
今回は・・・あぁーーーーーーーーーーーーーーー!!!興奮しすぎて、うわーーーーーーー!!!
途中で目線が変わります。最初はマヤ目線です。
それでは、第53話・・・スタート♪ 

 
あ痛たたたたたた・・・昨日のユモとの特訓で強打したところがまだ痛い・・・一応湿布は張っているんだけどな。

ユ「マヤ、大丈夫?やりすぎたかな?」

マ「平気平気!こんなの朝飯前だよ!!」

無理矢理強がって見せる。まぁ、バレバレだと思うけど。にしても、わざわざ心配してくれるのには感謝です。こうゆう優しさに、グレイは惚れたんだな。

ユ「全く、もう少ししたら、マヤもそうゆう事言えなくなるからね。」

マ「ほえ?」

どうゆうこと?私がユモに聞こうとしたら、

ル「ちょっとユモ、そうゆうヒントになることは言わなくていいのよ。」

ルーシィが話に入ってきた。

ユ「あ、そうだったね。つい口が滑っちゃった。」

ヒント?何々、何か隠し事でもしてるの?なんか面白そうっ!!

マ「ねぇねぇ、私にも教えてっ!!」

ルーシィとユモは顔の前に人差し指を立てると、

ル&ユ「内緒。」

ウィンクを1つ。

マ「えぇ~~~!!」

けちっ!!すると、

ナ「おい、マヤ。」

聞き覚えのある声で名前を呼ばれた。振り返るとナツがいた。

マ「おっはよ~ナツ。」

めちゃくちゃ軽いあいさつだけど、普通にナツは「よぉっ!」と返してくれる・・・はずなんだけど、今日は違った。何も言わないし表情が硬い。てゆうか、何か怒ってる?すると、いきなり手首をガシッ!と摑まれてそのまま引きずられていく。

マ「お、お~い!聞こえてる~?てか、どこ連れて行くのっ!?」

ナツは何も言わずにただ私を引っ張っていく。

ル&ユ「いってらっしゃ~い♪」

ウェ&ト「頑張って下さ~い♪」

ハ「ナツゥ~頑張れ~♪」

なぜかみんな私とナツに手を振っている。ん?頑張れ?なるほど、クエストに行くのか。それならそう言えばいいのに。あれ?じゃあなんでハッピーが一緒じゃないの?

エ「いい結果を待ってるぞ。」

ショ「あの2人なら大丈夫だよ。」

グ「バカだからな。」

リョ「あぁ。バカだから大丈夫だろ。」

グレイ!リョウ!言ってる事が失礼だよっ!!

シャ「うまくいくかしらね?」

フ「いくよ、絶対にな。」

あぁ~もうっ!!みんなして何なのぉ~!?嫌な予感しかしないよ~・・・

****************************************************************************************

引きずられて、やっと手を離してくれて連れて来られたのはギルドの裏庭。

マ「えぇ~と・・・何か用?」

ナ「・・・・・」

えぇっ!!まさかのスルー!?

マ「用がないなら私戻るよ。」

くるりと回れ右をして帰ろうとした時、

マ「ふぎゃっ!!」

後ろからいきなりギュッと抱きつかれた。ドクンドクンドクンと心臓の音が耳元で聞こえる感じがする。恐る恐る首を動かすと、ナツが抱きついていたぁ!!!???///////////////

マ「ナ、ナナナナナナナツ!?///////////////////えぇ、えっ!!」

自分でも何を言ってるのかがわからない。その時、

ナ「・・・・・好きだ。」

・・・・・しばらく頭の中が真っ白で、顔は真っ赤だったと思う。これって・・・告白・・・ってやつかな・・・?

****************************************************************************************

           『ここから少しだけナツ目線でいきます。』

・・・言ったのはいいけどよ、こっからどうすりゃあいいんだ?・・・って、俺いつまでマヤに抱

きついてんだよ!!!///////////////慌てて腕を離して1歩下がる。すると、体が熱くなってきた。体全身の毛が逆立っているのを感じた。そんな事を思っていると、いきなりマヤに飛びつかれた!!!////////////

ナ「・・・・・マ、マヤ・・・?//////////////」

マ「・・・私も・・・・・好き//////////////」

****************************************************************************************

            『ここからまたマヤ目線でいきます。』

気がつくと、ナツの腕の中にいた。

マ「わ、わわわわ!!ご、ごめ、ん・・・///////////////」

慌ててナツから離れる。よくよく考えると、さっきユモが言っていた意味がわかった。今日、私がナツに告白されるからだ。その事を私以外のみんなは知っていた。ギルドに戻ったら絶対冷やかされるなぁ~。そうなったら、私も冷やかしてやるっ!!でも、やっと思いを伝えることができたから、よかったのかもしれない。

ナ「お、お~い、戻るぞ。」

マ「あ、うん!」

下を向いてギルドに戻ると、やっぱり。ギルドの扉の前でルーシィたちが待ち構えていた。

ル「おめでとうマヤ!!」

グ「やったじゃねぇかクソ炎!」

ト「ナツさん、かなり大胆でしたね。」

エ「いいものを見せてもらったぞ。」

やっぱりこうなるか・・・よし!

マ「そうゆうユモとグレイだってとっくのとうにラブラブになってるじゃん。」

ユ「えぇっ!!」

グ「なっ!!」

驚いた後、2人の顔が徐々に赤みを帯びていく。その顔だと図星みたいだね。

マ「エルザとショールもカップルなんでしょ。」

エ「!!!」

ショ「///////////」

こっちも図星だ!!

ナ「お前だって人のこと言えねぇじゃねぇかっ!!」

リョ「いつの間に告ったんだよショール!!」

ウェ「ユモさん、何で教えてくれなかったんですかぁっ!?」

シャ「抜け駆けは禁止よエルザ。」

やっぱ冷やかしすのは面白い!!そして、恋話は楽しいーーーーー!!!

フ「・・・・・マヤは楽しくやってるよ、鳳凰・・・」 
 

 
後書き
第53話終了!!
やっとナツとマヤがカップルになりました!!お幸せにね。最後はちょっと不思議でしたが・・・
次回はナツとマヤとハッピーとフレイがクエストに!これってデート!?しかも、まさかこんなことになるなんて・・・
次回もお楽しみに!! 

 

第54話 クエストデートでまさかの悲劇!?

 
前書き
呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーーーン!07です!
今回はナツとマヤがクエストデート!・・・と思いきやハッピーとなぜかフレイも同行することに。でも、まさかこんなことに・・・!!
今回はマヤ目線で書いていきます。
それでは、第54話・・・スタート!! 

 
はぁ・・・昨日は大変だったなぁ・・・ナツに告白はされるし、みんなに冷やかされるし、家に帰ったらベッドでナツとハッピーが寝てるし・・・

ナ「マヤ、クエスト行こうぜっ!!」

昨日の事をすっかり忘れてる感じのナツが笑顔で話しかけてきた。ナツが持って来たクエストの内容は、【洞穴に隠れ住んでいる盗賊団討伐 60万J】とゆう内容だった。今日は予定も何もないし、ちょうど暇だったし・・・

マ「いいよ。」

ナ「おっしゃー!ハッピー、行こうぜ。」

ナツがハッピーを連れて行こうとすると、

ハ「おいらは遠慮しとくよ。」

え?何で?

ハ「2人の邪魔したら困るし・・・おいら、フレイと魚釣りにでも行って来るよ。」

それって、私とナツに遠慮してるってことだよね?

ハ「行こう、フレイ。」

フ「そうだな。」

以外に、ハッピーとフレイって仲いいな。

ナ「おい待てよ。」

釣りに行こうとするハッピーとフレイを呼び止めて、

ナ「別に邪魔とかそうゆうの関係ないだろ。ハッピーは俺の相棒なんだ。一緒に行こうぜ。いいよな、マヤ?」

マ「もっちろん♪」

私も全然困らないし、みんなと行くほうが好きだしね。

マ「そうだ!フレイも一緒に行こうよ。」

フ「え?俺も?」

この展開でハッピーだけを連れてって、フレイだけを置いて行くのもかわいそうだし。

ナ「よし!決まりだな。」

マ「それじゃ、クエストにレッツゴーーー!!」

****************************************************************************************

張り切って出かけたのはいいけど・・・

ナ「お前等、なんでそんな後ろにいるんだよ?」

さっきからハッピーとフレイの足取りが遅い。

フ「ほ、ほら、2人の邪魔したら悪いしよ・・・」

ハ「あい。2人はでぇきてるぅ~だからね。」

もぅ・・・遠慮しすぎでしょ・・・

フ「そんなことより、ここじゃないか、その盗賊団が隠れ住んでいる洞穴って。」

いつの間にか目的地についていた。

ナ「作戦Tでいくか。突撃だぁーーーっ!!」

マ「ちょっと!待ってよナツ!ハッピーとフレイも早く!」

ナツの後を追いかけて洞穴の奥に行くと、すでにナツは盗賊たちと戦っていた。周りには倒れている人や、気を失ってる人もいる。

ナ「マヤ、ハッピー、フレイ、こいつらは俺1人で十分だ。」

マ「それじゃあクエストの意味がないじゃんっ!!」

あんまり調子にのると危険だよ。

マ「我と契約した者よ、ここに姿を現せッ!!ライオンのキング!ピィーーーーーーーーッ!!」

オレンジ色の魔法陣からキングが現れる。

マ「キング、王者の牙!!」

キ「グオォーーーーーーーーーーーーー!!」

盗1「ギャア!!」

盗2「なんでライオンがいるんだぁっ!?」

マ「キング、どんどんやっちゃえっ!!」

キ「グオォーーーーーーーーーーーーー!!」

盗3「こいつ、妖精の尻尾の動物姫(アニマルプリンセス)のマヤ・ララルドだ!!」

へぇ~、私の事知ってるんだ。

盗4「ぐほっ!!」

盗5「どわぁ!!」

なんだ、盗賊って名乗ってるわりには弱っちいじゃん。その時、

ナ「グワァッ!」

ハ&フ「ナツッ!!」

マ「え?」

振り返ると、鉄パイプで頭を殴られて気を失って倒れたナツがいた。

マ「ちょっと!ナツを離してっ!!」

ハ「マヤ!後ろ!!」

マ「え?」

その時、私は背後から攻撃するチャンスを待ち構えていた盗賊の気配に気づかなかった。

盗6「これでもくらえ!!光の弾ッ!!(シャイニーボール)」

私は呆気にとられ、その場にただ呆然と立ちすくんでいた。その時、フレイが私の前に飛び出してきて、

フ「グワァァァァァッ!!!」

私の身代わりに攻撃を食らった。すると、ボワァン!と辺りが白い煙で包まれる。私は思わず目を閉じた。煙が消えて目を開ける。見ると、私の足元に1羽の鳥が倒れていた。フレイの姿はどこにもない。

盗7「今だっ!こいつらを倒せっ!!」

盗全「オォーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

盗賊が一斉にに襲い掛かってきたっ!!この展開は・・・かなりまずい!!

マ「ハッピー!ナツを連れてギルドに帰るよっ!!」

ハ「あいさー!!」

私はキングを帰らせて、倒れている鳥を抱えながらハッピーと一緒に洞穴を脱出した。なんとか洞穴を出た後、ハッピーが聞いてきた。

ハ「マヤ、その鳥は何なの?」

マ「わかんない。でも、怪我してるから手当てしないとっ!!」

それに、私はこの鳥の事を知っていた。あのときの鳥だ。間違いない!!

マ「とにかく、今はギルドに戻って、ナツとこの鳥の手当てが優先だよ。急ごうハッピー。」

ハ「あい!」

読者のみんなは覚えているかな?そう、この鳥は、私が初めて1人でクエストに行った時に怪我をしていた赤い鳥だったんだ。 
 

 
後書き
第54話終了です!!
思わぬ展開になりました。マヤが以前出会ったこの赤い鳥の正体とは!?
次回は赤い鳥の秘密が明らかに!!その恐るべき秘密とは!?
お見逃しなく!! 

 

第55話 フレイの秘密と不死鳥の欲望(フェニックスディザイア)

 
前書き
こんにちは!07です!
前回はとんでもないことになってしまいました!!その秘密が今回明らかに!!
途中で目線が変わります。最初はマヤ目線でいきますよ!
それでは、第55話・・・スタート!!! 

 
ギルドに戻ると大変だった。ナツと赤い鳥の手当てに、みんなから次から次へと質問されて。私もハッピーもヘロヘロ。幸い、ナツも赤い鳥も軽症で済んだからよかった。私が質問されている間にナツは目を覚ましたしね。

ル「そういえばマヤ、フレイはどうしたの?」

マ「それがわかんないの。突然姿を消しちゃって・・・フレイと入れ替わるように、この鳥が倒れていたから。」

フレイ・・・どこいったんだろ?

ウェ「みなさん!鳥が目を覚ましましたよっ!!」

ウェンディの声で急いで駆けつける。赤い鳥は医務室を飛び回っていた。よかったぁ~。すると赤い鳥は私の目の前に下りてきた。

マ「私の事覚えてる?」

?「・・・・・当たり前だ。さっきまで一緒だったんだからな。」

マ「そっか~・・・って!!」

?以外「鳥がしゃべったぁ~~~!!?」

え、えぇ!!これは何か悪い夢かなっ!?それとも現実かな!?いくら動物好きの私でも、しゃべる動物はハッピーとシャルルとリリーしか見た事が無い。私の頭の中はパニック状態!!

ト「ど、どうゆうことですかぁ~?」

リョ「てゆうか、今のフレイの声にそっくりじゃねぇかっ!?」

リョウの言うとおり、しゃべる鳥の声は、フレイの声にそっくりだった。すると、赤い鳥の体がいきなり光だし、みるみるうちに人の姿に変わっていく。その姿は、

全「フレイ!?」

誰がどう見ても、フレイ本人だった。

グ「ど、どうなってんだいったい・・・?」

ハ「フレイが赤い鳥で、赤い鳥がフレイ・・・」

ナ「だぁーーーーーっ!!意味わかんねぇーーーーーーーーーーっ!!!」

全員の頭の中もパニック状態!!

フ「落ち着け!今から全て話すからっ!!」

いったい何が何だか・・・

フ「単刀直入に言うが、俺は鳳凰の使いだ。」

・・・え?

ユ「鳳凰って・・・」

ショ「あの、伝説の・・・」

フ以外「えぇーーーーーーーーーーーー!!!!!」

お、お母さんの・・・使いが、フレイ?

マ「お、お母さんは、お母さんはどこにいるの!!」

私はフレイの肩を摑んで強く揺さ振る。

フ「それは言えない。鳳凰との約束なんだ。でも、マヤの事はちゃんと覚えているし、元気にしている。」

・・・お母さん・・・・・

フ「俺は7年前、7月7日に姿を消した鳳凰に頼まれてマヤの事を探しに来たんだ。」

私の事を・・・?

フ「俺も詳しい事はよく分かんねぇけど、マヤにはすごい力が眠っているみたいなんだ。」

ル「マヤに眠ってる・・・」

エ「すごい、力・・・?」

シャ「どのくらいすごいの?その力ってゆうのは。」

シャルルの質問にゆっくり目を閉じてフレイが話す。

フ「街が、いや、世界が炎の海になるくらいの力・・・不死鳥の欲望(フェニックスディザイア)」

フ以外「!!!!!」

マ「不死鳥の欲望・・・私に、そんな力が・・・」

フ「この力が目覚めたら、マヤは周りが見えなくなり暴走し始める。世界が、消えるんだ。」

フ以外「!!!!!」

みんなが唖然とする。

マ「・・・な、何それ・・・私、そんなの知らないっ!!」

私は耳を塞いでその場にしゃがみ込む。

ウェ「マヤさん・・・」

私が、世界を消すほどの力を持っているなんて・・・考えただけで怖いよ・・・!!

フ「不死鳥の欲望が発動しないようにする方法が1つだけあるんだ。」

ル「どうするの?」

フレイは赤いトレーナーのポケットから細長い筒状のケースを取り出した。中に緑色の液体が入っている。

フ「これを飲めば不死鳥の欲望の発動を抑えることができると鳳凰は言っていた。」

私はケースを受け取る。見るからにまずそうで苦そう・・・でも、これを飲めば世界を救えるんだよね。私はケースの蓋を開けた。すると、

マ「うぅ!!」

リョ「おぇ・・・」

ナ「くっせぇーーーーーっ!!」

ト「な、何ですか、この臭い・・・」

みんな鼻をつまむ。今までかいだ臭いの中で、一番ひどい臭いだと思う・・・

フ「に、臭いがきついほど、効き目はあるって、鳳凰が言ってた。」

グ「本当なのか、それ。」

・・・お母さん、信じていいんだよね。私はその液体をいっきに飲み干した。

マ「!!」

な、なんだか・・・変な感じ・・・そこからの記憶はない。

****************************************************************************************

         『ここからはナツ目線でいきたいと思います。』

ナ「お、おい、マヤ!」

倒れるマヤをルーシィとユモが支える。

フ「気を失っただけだ。しばらくすれば気がつく。これで何とかなるはずだ。」

ユ「よかったぁ~。」

マヤをベッドの上に寝かせる。

ショ「フレイはこれからどうするんだ?」

フ「鳳凰にマヤの事を見張っておけって言われたからマヤと一緒に過ごすことにするよ。簡単に言えば、ハッピーとシャルルと同じようなものだ。」

エ「相棒って事か?」

シャ「その姿で?」

フ「いや、俺の本当の姿はこっちだからな。」

そう言うとまたフレイの体が光りだし、みるみるうちに鳥の姿になる。

フ「こっちの姿で、相棒としていさせてもらう。」

ナ「んじゃ、改めて、これからよろしくなフレイ。」

ハ「あい!」

フ「あぁ。よろしくな。」 
 

 
後書き
第55話終了!!
まさか、あのときの赤い鳥がフレイだったとは・・・作者もびっくりです!!
次回はマヤたちが妖精のギルドに加入して1年が経った!とゆうことで・・・宴だぁーーー!!!
お楽しみに!! 

 

第56話 宴

 
前書き
HEY!!07だよ!!
今回は宴だぁーーーーー!!!今年を振り返ってみよう&思いっきり騒いじゃおう!!
ルーシィ目線でいってみよーーー!!
それでは、第56話・・・スタート!! 

 
マカ「それでは、乾杯じゃーーーーーっ!!!」

全「かんぱーーーーーーーーーーいっ!!!!!」

今日のギルドは宴ッ!!今年も楽しかったなぁ~。

ウェ「時間が進むのってとても早いですね。」

ほんとっ、今年もあっという間だったなぁ~。

シャ「いろんな事があったから疲れちゃったわ。」

エ「今年の初めはマヤがギルドに加入してきてからだったな。」

ル「そうそう!マヤったら、来たときからテンションMAXだったわよね。」

ナ「その後、俺と勝負したんだよな。」

ここでナツとハッピーとグレイが乱入!!

グ「お前ボロ負けだったじゃねぇか。」

ハ「あい、いるかに吹っ飛ばされてね。」

そういえば、吹っ飛ばされた後、あんたを捜すのに苦労したわ。

ウェ「その後、マヤさんも最強チームの仲間入りし、一緒にクエストに行ったんですよね。」

ル「そこで怪我をしているオオカミに遇って、マヤとウェンディが手当てをしたのよね。」

エ「マヤが動物と話せる能力を持っているとは驚いたな。」

マ「何が驚いたの?」

うわさをすればマヤとフレイが登場!!

シャ「今年を振り返っていたのよ。最初はあんたがギルドに来てからだったからね。」

マ「そういえばそんな事もあったなぁ~。」

忘れてたんかい・・・

フ「俺はその時はまだギルドにいなかったから分かんねぇや。」

ナ「その後、ハコベ山に行って、リョウと遇ったんだよな。」

グ「ギルドに行くのに道に迷っていたんだよな。」

ハ「で、崖から落ちたルーシィを偶然にも助けて、そこでルーシィに一目惚れしたんだよね・・・でぇきてるぅ~。」

ル「巻き舌風に言うなっ!!」

今でもあの時の事を思いだすと顔が熱くなっちゃう///////////////

マ「まさか、あんなポジティブが聖十の1人だったとは意外だったよ。」

リョ「意外とはなんだよ意外とって。で、何の話してんだ?」

またうわさをすればリョウ登場!!

フ「今年を振り返っていたんだとよ。まぁ、俺はまだいない時だから分かんねぇけど。」

リョ「ふ~ん。俺が加入してすぐに、こいつが俺に勝負挑んだよな。」

そうそう!結果はリョウの圧勝だったけどね。

ナ「あ、あの時はリョウに強さに驚いてだな・・・力を出せなかったんだよっ!!とゆうわけでリョウ!!今から俺と勝負だぁーーーーーっ!!」

はいはい。負け惜しみは言わなくていいから。

エ「その後、1人でクエストに行ったグレイがユモを連れてきたんだよな。」

グ「最初は死んでるかと思っちまったから焦ったぜ。」

ユ「勝手に人を殺さないでよ。」

またまたうわさをすればユモ登場!!

ウェ「ユモさんは旅の途中で倒れてたところをグレイさんに助けてもらったんですよね。」

ユ「そうだよ。本当にありがとう。」

グ「今頃頭下げてどうすんだよっ!!」

そう言ってるグレイも、少し顔が赤みを帯びている。

シャ「その後、同じ氷の造形魔道士とゆうわけで、2人が勝負したのよね。」

ル「どっちもすごく強かったわよね。」

私が一番驚いたのは、ユモが怪力だったって事だけど。

ユ「で、マヤが私にユモってゆうあだ名を付けてくれたんだよね。」

フ「お前が名づけたのか。」

マ「ユモスって聞いたら思いついたんだ。」

思いつきのあだ名だったのね・・・まぁ、ユモはすごく気に入ってるみたいだからいっか。

ハ「その後、ショールのマジックを見にいったんだよね。」

リョ「その時まで、あいつは偽名を名乗ってたけどな。」

ナ「確か・・・テラス・スカンクだったような・・・?」

ル「アテラス・カンクス!毎回間違えてるじゃない。何回言えば気が済むのよ。」

ショ「その名前で呼ばれるのはもうゴメンだな。」

またまたまたうわさをすればショール登場!!

エ「ショールは魔道士としての修行のためにこのギルドに来たんだよな。」

グ「10年ぶりなんだよな?魔道士として活躍するの。」

ショ「まぁな、もうだいぶ慣れたけど。」

もう立派な魔道士よね。

ナ「その後、幽霊屋敷にクエストに行って、トーヤと遇ったんだよな。」

ル「私、最初見たときトーヤのこと幽霊かと思っちゃったのよね。」

フ「俺もだ。このギルド、幽霊までいると思ってすっげぇ~って思ったぜ。」

ト「間違えられるのはよくあることなんです。」

またまたまたまたうわさをすればトーヤ登場!!とゆうか、いつの間にいたのかしら?

ウェ「トーヤさんの魔法は失われた魔法(ロスト・マジック)でしたよね?」

ト「そうです。マヤさんと同じ、お化けたちと契約もしますよ。」

へぇ~。改めて聞くとすごい魔法ね。

リョ「その後、俺たちは闇ギルド、月の涙(ムーンティア)の討伐に行ったんだよな。」

シャ「闇ギルドといっても、そんな悪い事はしてなかったんだけどね。」

ウェ「みなさん強かったですよね。」

ハ「ナツとマヤが穴に落ちたときはおいらびっくりしたよ。」

私たちもハッピーから聞いたときは驚いたわ。

ル「その後は、ナツの突然すぎる発言でまたクエストに行ったのよね。」

ショ「硝子の人形(クリスタルドール)のニーナとノーナの魔法には驚いたよな。」

ユ「人形にされた時はなんか変な感じだったのを覚えてる。」

エ「最終的にはナツが助けてくれたよな。」

あの時はいろいろ大変だったわ。

ハ「その後、エルザがくじ引きで、アカネビーチ1泊2日の12名分を無料で当てて、いるかと海中探検をしたんだよね。」

ト「すごく楽しかったです。」

マ「また行きたいときはいつでも言ってよ。で、その夜にリョウがルーシィに告白したんだよね。」

ル&リョ「次の話題へっ!!」

思い出すだけで頭がクラクラする////////////////

ナ「俺たちがアカネビーチに行ってる間に赤い桜(レッドブロッサム)のやつらがギルドを襲って来たんだよな。」

リョ「あのギルドにはめちゃくちゃ腹が立ったぜ。」

ル「グレイとユモが毒にやられて倒れた時は驚いたわ。」

グ「そういえばそんな事も・・・」

ユ「あったような・・・」

忘れてたんかいっ!!

マ「で、私が1人でクエストに行ってる間にフレイが来たんだよね。その時から私はフレイの事知ってたんだけどね。フレイは赤い鳥の姿だったから分からなかったよ。」

あんたたち、この時から顔見知りだったのね。

ショ「マヤがクエストから帰ってくるちょっと前にフレイがギルドに加入して来たんだ。」

エ「その後、雪が降ってきたんだよな。」

フ「ここからは俺もいるぜ!!トーヤがウェンディに告白したんだよな。」

ウェ「////////////////」

ト「////////////////」

シャ「今頃何顔赤くしてんのよ。」

ほんとっ、ロマンチックだったわよね。

リョ「その後、ショールの幼馴染のミキが来たんだよな。」

ナ「シラカバの街が街荒らし、悪魔の計画(グリモアプラン)に襲われたんだよな。」

ショ「ほんとにあの時は助かった。みんなありがとう。」

エ「セインさんと同じ事言ってるぞ。」

さすが親子ね。

マ「その後、私とユモは特訓しに行ったんだよね。」

ユ「あの時はいつも以上に疲れたよ。」

ユモ、お疲れ様。

ル「その次の日に、ナツがマヤに告白したのよね。」

ナ&マ「次の話題へっ!!」

ト「ナツさん大胆でしたよね。」

ハ「だってナツ、マヤにいきなり抱きついたもんねぇ~。でぇきてるぅ~。」

グ「クソ炎のわりには結構やったよな。」

話題は進まず、ナツとマヤはずっと顔を赤くしていた。

リョ「んで、つい最近がナツとマヤとハッピーとフレイがクエストに出かけた。」

シャ「帰ってきたと思ったら、ナツとフレイを連れてマヤとハッピーが飛び込んできたからね。」

ウェ「2人共、幸い軽症だったのでよかったです。」

ト「で、その後すぐに、フレイさんの正体がわかりましたね。」

ショ「まさか鳥だったとはな・・・しかも、鳳凰の使いだろ。」

エ「フレイがここに来たわけはマヤに眠っている力、不死鳥の欲望(フェニックスディザイア)を発動させないようにするため。」

フ「一応発動しないようにしてるけど、なんらかの影響で不死鳥の欲望が発動したときは協力してくれないか?」

ナ「あったり前だろ。」

ル「ギルドは助け合うためにあるんだもの。」

マ&フ「ありがとう。」

ここまでの話が今年あった出来事。いろいろあったんだなぁ~。

エ「これからもっと大変なことが起きるかもしれないからな。」

フ「俺はこれからだ。改めてよろしくな。」

フ以外「よろしく!!!」

ト「今年はどんな年になるんでしょう?」

ウェ「楽しみだね、シャルル。」

シャ「あまり大騒ぎはしたくないんだけどね。」

ユ「シャルルったら、人生は今のうちに楽しまないと損しちゃうよ。」

あれ?今、一瞬だけユモの顔が悲しそうに見えたのは・・・気のせいかしら?

リョ「ルーシィ、これからもよろしく~☆」

ル「ひゃあ!!」

ハ「でぇきてるぅ~。」

もぅ~、リョウったら。

ナ「おっしゃーーー!!グレイ、俺と勝負しろっ!!」

グ「望むところだっ!!」

あっちはいつの間にか大暴れしちゃってるし・・・

ショ「やっぱ、ここに加入して正解だったな。」

超ぶっ飛んだお騒がせギルドだけど、私はこのギルドが、みんなが、大好き!! 
 

 
後書き
第56話終了いたしました~!
いや~なんかあっという間です。やっぱ妖精の尻尾はいいなぁ~。
次回は宴が終わってそうそう最強チームに新たな事件が!!その事件の始まりの鍵になるのは・・・え?リモコン?
次回もお楽しみに~♪

これからもFAIRY TAIL 友と恋の奇跡をよろしくお願い致します。 

 

第57話 謎のリモコンと天才発明家・ジョニー

 
前書き
こんにちは☆07です☆
今回は最強チームに新たな事件が襲い掛かる!?その新たな事件の始まりの鍵は・・・え?リモコン?
ショール目線でいってみよう☆
それでは、第57話・・・スタート☆ 

 
はぁ・・・ね、眠い・・・昨日の宴は深夜4時ぐらいまで続いた。それから全く寝てない。俺の他にもルーシィ、ウェンディ、シャルル、ユモ、トーヤも眠そうな顔をしてる。それに比べて、

ナ「んだと、垂れ目野郎!ポジティブ野朗!」

グ「ごちゃごちゃうるせぇんだよ、バカアホリョウ!吊り目野郎!」

リョ「もういっぺん言ってみろ、単細胞!露出魔!」

昨日も騒いでまだ騒ぐのか。元気だな・・・

エ「静かにしないかっ!!」

ナ&グ&リョ「あいぃぃぃっ!!!」

エルザも元気そうだな・・・3人はハッピー化してるし・・・

ル「あれ?そういえばマヤとハッピーとフレイは?」

言われてみればどこいったんだ?

ユ「さっき、ギルドを出て行くのが見えたけど?」

マ「お~い!みんな~!」

ハ「ナツゥ~!」

フ「面白いもの見つけたぞ~!」

うわさをすればマヤとハッピーとフレイがギルドに戻ってきた。

ウェ「どこ行ってたんですか?」

マ「それはおいといて、これ見て見てぇっ!!」

マヤが持っていたものはトランプくらいの大きさのリモコンのようなものだった。細長いアンテナと、赤・黄色・緑・青・白のスイッチがある。

リョ「どうしたんだこれ?」

さっきまで喧嘩していたナツとグレイとリョウも集まってきていた。

マ「拾ったんだよ。」

マ&ハ&フ以外「拾ったぁーーーーーーーーーーっ!!!??」

てゆうか、普通こんなもの落ちてるのかぁっ!?

ト「マ、マヤさん、持ち主がいるかもしれませんよっ!!」

エ「トーヤの言うとおりだ。元の場所に戻して来いっ!!」

マ「えぇ~、せっかく面白いものだと思ったのに・・・ってあれ?」

ショ「リモコンが消えてるっ!!」

さっきまで持ってたよなっ!?

フ「にしても、デザインダサいな。」

リョ「こんなもん誰が作ったんだ?」

グ「知るか、そんなもん。」

ハ「ボタン押してみたら?」

ナ「おぉ!そうだな!」

いつの間にかリモコンはナツが持っていた。よりによってなんで・・・

マ「ナツ~、返して~。」

ナ「へへっ!グレイ、ほらよ!」

リモコンはナツからグレイへ。

ユ「グレイだめだよ。持ち主がいるかもしれないよ。」

グ「落とす方が悪いだろ。リョウ、ちゃんと取れよ。」

リモコンはグレイからリョウへ。

ル「リョウ、元の場所に戻そう。」

リョ「いくらルーシィでも、その頼みは聞けないな~。ハッピー、キャッチしろよ。」

ハ「あい!」

リョウが空を飛んでいるハッピーにリモコンを投げる・・・が、

ガツンッ!!

ハ以外「あ・・・」

ハッピーの頭にリモコンが直撃。しかも、同時に白いスイッチがおささったのを俺は見逃さなかった。リモコンが光だし、光が俺たちを包み込んだ。嫌な予感がするのは俺だけだろうか・・・?

****************************************************************************************

恐る恐る目を開けると、見慣れない風景が目に飛び込んできた。

ウェ「な、何ですかここは?」

シャ「な、何か、変な臭いがするわ・・・」

辺りにはいろいろな大きさのビーカーやフラスコ、試験管やガスバーナーがあったり、顕微鏡やルーペ、集気びんもある。

エ「どこかの実験室のようだが・・・」

ユ「でも、リモコンとどうゆう関係なの?」

ショ「あれ?そういえば、さっきのリモコンは?」

辺りを見回してもどこにもない。

ル「もぉ~!いったいどうなってんのよぉっ!!」

その時、

?「ひょ~ひょっひょっひょっひょっひょ。」

不気味で特徴的な笑い声が響いた。

ナ「誰だっ!!」

?「おや?私をご存じないのですか?」

すると、

ボワァァァン!!

白い煙と同時に白い白衣を着て、ぐるぐるめがねをかけたおじいさんが立っていた。

ジョ「私はジョニー・メカ。天才発明家でもあり、世界一の魔道士でもあるこの私を知らないとは残念な事ですな。」

エ「ジョニー・メカ?どこかで聞いたことのある名だ・・・」

エルザはこいつの事を知ってるらしい。勝手に世界一を名乗ってる。リョウとナツはいまにも噛みつきそうな勢いでジョニーを睨んでいる。

ジョ「ところで、このリモコンを見つけてくれたのは君たちかな?」

正確には、マヤが拾ったんだけどな。ジョニーの手の中にさっきのリモコンが握られていた。

フ「あんたのリモコンだったのか。」

ジョ「はい。いや~、さっきからずっと捜していたんですよ。」

ト「見つかってよかったですね。」

ジョ「本当にありがとうございます。」

なんかお礼を言われたな。

ジョ「ですが・・・」

ジョニーのぐるぐるめがねがキラーンと怪しく光る。

ジョ「ここに来てしまったのなら、生きて返すことはできませんな。」

ル「え・・・」

ど、どうゆう事だ・・・?

ジョ「我がギルド、科学の世界(サイエンスワールド)は闇ギルドの1つ。場所を知られたからにはただでは済みませんよ。」

ジョ以外「闇ギルドォ!?」

ここギルドだったのかっ!?

リョ「科学の世界は、機械や危険な薬品を盗んでいるギルドだ。」

エ「思い出したぞっ!!ジョニー・メカ、貴様は評議院で指名手配をされている。」

評議院から抜け出して来たのかっ!!

ジョ「さすがですな。ですが、私に勝つ事ができるものは神しかいないのですっ!!」

グ「何言ってんだこいつ?」

マ「頭ぶっ壊れたのぉ~?」

さっぱりわかんない。

ジョ「いでよっ!ロボ軍隊ッ!!」

すると、あちこちからいろいろな武器を持ったロボットが現れた。その数100体以上ッ!!

ジョ「まずはこのロボットたちが相手です。それじゃあ私はこれで。」

エ「貴様、逃げるのかっ!!」

ジョ「とんでもない。私はあなたたちが来るのを楽しみに待っているんですよ。私の他にも、4人の科学者たちがいます。私のかわいい弟子たちです。その子たちとも戦ってください。それでは、健闘を祈ります。」

ボワァァァン!!

そう言い残すと、また煙とともに姿を消した。

ナ「くっそぉ~、あのぐるぐるめがねじじぃ・・・」

マ「ナツ、落ち着いてっ!」

ショ「とにかく、まずはこのロボットをなんとかしないとっ!」

ロボットはどんどん近づいてくる。

ナ「こんなもん、ぶっ壊すだけだっ!!火竜の・・・鉄拳ッ!!」

ナツが力強い一撃で、1体のロボットを壊そうとしたが、

ナ「いってぇーーーーーっ!!!」

ナツの右手が赤く腫れ上がる。

ナ「何だこいつ等、すっげぇ~硬いぞっ!!」

いったい、どんな原料で造られているんだ?

リョ「2剣流・・・天翔切ッ!!」

リョウもロボットに2本の剣を振りかざすが、無意味だった。

ウェ「リョウさんの攻撃が効かないなんて・・・」

リョ「いかれてる・・・」

ル「違うでしょっ!!」

コントしてる場合かっ!!

グ「こいつは動きを封じるしかねぇだろっ!!」

グレイがロボットを凍らせていく。すると、

ドガァァァンッ!!

見事に爆発した。向こうでグレイと同じ事をユモもやっている。

グ「ここは俺とユモで何とかする。お前らは先に行けっ!!」

ル「で、でも・・・」

ユ「大丈夫。ロボット全滅させたらすぐに駆けつけるから。」

フ「エルザ、どうするんだ?」

エ「・・・グレイ、ユモ、頼んだぞ。」

グ「おぅ!!」

ユ「任せて!!」

俺たちはいつものペアに分かれて科学の世界のやつらを捜すことにした。妖精と科学のバトルが幕を開けた。 
 

 
後書き
第57話終了☆
最強チームは科学の世界を潰すことができるのか!?
次回はウェンディ&トーヤ&シャルルの熱いバトルです!
お楽しみに☆ 

 

第58話 からくり仕掛けのバトル

 
前書き
ナマステ(笑)07です!
今回はウェンディ&トーヤ&シャルルの熱いバトルです!
ウェンディ目線で書いていきます。
それでは、第58話・・・スタート!! 

 
みなさんと別れてトーヤさんとシャルルと一緒に敵を捜しています。

シャ「・・・やけに静かね。」

ト「あの、嫌な予感がするのは僕だけでしょうか?」

ウェ「わ、私も、そんな気が・・・」

予感はすぐに的中してしまいました。

ト「危ないっ!!」

ウェ&シャ「キャアッ!!」

ズッシャァァァン!!

鋭くて鈍い音が辺りに響き渡りました。

シャ「な、何なの、いったい?」

起き上がると、コンクリートの床に槍が突き刺さっていました。

ト「うぅ・・・あぁ・・・」

ウェ「トーヤさん!?」

トーヤさんの肩から血が流れ出ていました。私たちを庇ったせいで・・・

ト「だ、大丈夫・・・です。ただの、掠り傷ですよ。」

で、でも・・・すごい血が・・・

ウェ「わ、私!治療魔法かけますっ!!」

ト「ダメですっ!無駄に魔力を使ったら戦う時どうするんですかっ!」

トーヤさんに止められます。

ト「我と、心を通わせ、姿を現せ!出で来い!ミイラ!」

魔法陣からミイラさんが現れました。

ト「ミイラ、少し包帯を分けてくれないかな?」

ミイラさんは頷くと1かたまりの包帯をトーヤさんに渡しました。

ト「ありがとう。また怪我したら困るからしばらくここにいてくれないかな?」

ミイラさんはまた頷きました。

ト「ありがとう。うっ・・・」

ウェ「包帯、私が巻きますよ。」

ト「すいません。」

シャ「謝るのは私たちの方よ。」

シャルルの言うとおりだね。その後も、壁から歯車型の刃が飛んできたり、天井から大きなタライが落ちてきたり・・・その度にトーヤさんは私とシャルルとミイラさんを庇ってくれました。トーヤさんは包帯だらけです。

ミ「ぐ・・・」

ミイラさんは包帯を巻かれたトーヤさんの肩を優しく撫でます。

ト「だ、大丈夫。君たちを守るのが、僕の、役目なんだから。心配しなくて大丈夫だよ。」

トーヤさんは誰にでも優しいんですね。トーヤさんを支えながら進んでいくと、

シャ「な、何よここっ!!?」

そこはいろいろな大きさの歯車がカタカタカタカタ、ゴトゴトゴトゴトと回っている部屋でした。

?「ようこそっ!からくりの部屋へっ!!」

すると、黒いめがねをかけて、白衣を着た男の人が現れました。

?「俺が作ったからくり通路を通ってよくぞ無事にここまで来れたものだな。たいした魔道士たちだ。」

すごく偉そうな態度です。

K「君たちの事はジョニー様から聞いている。俺のことはMr.Kとでも呼んでくれ。さぁ、からくり仕掛けのバトルを始めようっ!からくり魔法、操りっ!」

Mr.Kが腕をゆっくり動かしました。あ、あれ?体が勝手に・・・トーヤさんを・・・!!

ト「え?ウェンデ・・・グワァァァッ!!」

ミ「ぐっ!!」

シャ「ちょっとウェンディ!何やってんのよっ!!?」

ウェ「わ、私にも、分かんない・・・か、体が、勝手に・・・」

止まることなく私の体は勝手にトーヤさんを攻撃していきます。

K「天空の巫女は今は僕の操り人形さ。手っ取り早く、からくり通路でダメージを負った怪物(モンスター)を先に始末しようと思ってね。さぁ、どんどんやるんだっ!!」

Mr.Kが腕を動かすのと同時に、私の体は本物の操り人形のように動き、トーヤさんを攻撃していきます。

ト「ウワァァァァァッ!!!ガッ!!グワァァァァァッ!!!ドワァァァァァッ!!アァァァァァァァァァァッ!!!」

ご・・・ごめんなさい、トーヤさん・・・

ト「ミ・・・ミイ、ラ・・・Kの、動き、を・・・封じるんだ・・・!」

ミイラさんの体から包帯が伸び、Kの体を巻きつけます。

K「しまったっ!くそっ!離れろっ!!」

それと同時に私の体も自由になりました。今のうちに・・・!!

ウェ「天竜の・・・咆哮ッ!!」

K「な、何ッ!?ダァァァァァァァァァァァァッ!!!」

な、なんとか勝つことができました。

ウェ「トーヤさんっ!!」

私とシャルルとミイラさんはトーヤさんに駆けつけます。

ウェ「トーヤさんっ!!」

ト「ウェ・・・ウェン、ディ、さん・・・シャ、シャルル、さん・・・ミイラ・・・」

シャ「ちょっとっ!しっかりしなさいよっ!!」

ミ「ぐっ!!」

トーヤさんは呼吸をするのも辛そうです。私の瞳から涙がこぼれ落ち、トーヤさんの頬に落ちました。

ト「ウェ、ウェン・・・ディ、さん・・・?」

ウェ「ゴメン・・・ナサイ・・・私・・・私・・・!」

涙が、震えが、止まりませんでした・・・すると、私の震えている手に、トーヤさんはゆっくりと手を重ねると、

ト「ウェ、ウェンディ、さんの・・・せいじゃ、あり、ま、せん・・・ぼ、僕は・・・だ・・・大丈、夫、です・・・」

ウェ「トーヤさんっ!!!」

トーヤさんは気を失っていました。

シャ「勝手に人を操って仲間を傷つけようとするなんて最低なやつねっ!!」

ウェ「ミイラさん、トーヤさんを背負ってくれませんか?」

ミイラさんは頷くと軽々トーヤさんを背負いました。そして私たちが来た道を戻ろうとすると、

K「・・・ま、まだ、だ・・・」

K以外「!!!」

驚いて振り返ると、荒い呼吸の中、必死に立ち上がろうとするKがいました。でも、Kの体からは血ではなく、火花が飛び散っていました。

K「・・・おr、tちg、負けr、hずなd・・・あるはzg、nい・・・」

何を言ってるのか分かりません。次の瞬間、

ドガァァァァァンッ!!!

なんとKが爆発してしまいましたっ!!

シャ「まさか、Kは人間じゃなかったの・・・?」

私たちはその場に呆然と立ち尽くす事しかできませんでした。 
 

 
後書き
第58話終了です!!
トーヤは優しすぎますっ!!
次回はエルザ&ショールの対決です!!
お見逃しなく!! 

 

第59話 イカロスの翼

 
前書き
ど~もど~も、07で~す。
今回はエルザ&ショールの対決です。
エルザ目線で書いていきます。
それでは、第59話・・・スタート。 

 
みなと別れてしばらく歩いていると、

?「お待ちしていましたっ!」

長い黒い髪の毛を高い位置でお団子に束ね、赤いめがねをかけて、白衣をピシッと着こなした女が歩いてきた。

H「私はMs.H。話はジョニー博士から聞いてるわ。」

それなら話が早い。

H「さぁ始めましょうか。科学と妖精、どっちが勝つかしらねぇ?」

エ「それには答える必要がない。」

ショ「結果はわかって当然だ。」

私たちが勝つとゆう事だ。私は黒羽の鎧に換装する。

エ「はぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

空中に飛び上がり剣を振りかざす。すると、Hは腕を私に向けると、

H「水魔法、水圧!」

ものすごい風が私の攻撃を抑える。な、なんとゆう威力だ・・・

バギッ!!

ショ「黒羽の鎧が・・・」

壊滅しただとっ!!?

ショ「分身!!」

ショールが2人に、4人に、8人に、12人に分かれた。12人のショールが一斉にHに襲い掛かる。だが、Hは、

H「水魔法、水圧!」

ショ「グワァッ!!」

Hの真上で攻撃するチャンスを待ち構えていたショールに攻撃をした。

ショールは地面に叩きつけられる。

ショ「そんな・・・な、何で・・・わかったんだ・・・?」

H「気配を消したとしても、この私には一切通用しないわ。」

どうやってショールの気配を感じたのか知らんが、かなり厄介な相手だとゆう事は分かった。

H「今度は私から。水魔法、津波!」

勢いよく波が私とショールに襲い掛かってくる。私はすぐさま海王の鎧に換装し、津波を食い止める。

H「さすが妖精女王(ティター二ア)でも・・・」

バギッ!!

エ「うあぁぁぁっ!!」

このままでは・・・

H「可哀想に・・・」

突然、Hが変な事を言い出した。

H「太陽に近づきすぎて、羽は焼け落ち、そこに残るのは屍のみ。あぁ、なんと残酷なの・・・これはまるで、イカロスのよう・・・」

イカロス?ギリシャ神話に出て来るあのイカロスか?

H「あぁ、私は2人の妖精の羽を焼き尽くしてしまうのね・・・」

Hは手を組むように胸に手を当て、私たちから顔を背ける。背けた顔は、悲しそうな顔ではなく、勝利を勝ち誇った悪魔のようだった。

エ「それはつまり、私たちが貴様に負けるとゆうことか?」

H「えぇ。イカロスのように、散ってゆくのです。」

エ「勝手に人の未来を決めるなっ!!私たちには、妖精の尻尾には、負けとゆう言葉など存在しないっ!!」

私は天輪の鎧に換装し、

エ「舞え、剣たちよ・・・循環の剣ッ!!(サークルソード)」

銀色に光り輝く無数の剣が、回転しながらHに襲い掛かって行く。

H「無駄な事を。水魔法・・・」

ショ「させるかっ!マジックハンド!!」

H「なっ!?」

ショールがHの後ろから動きを封じる。

ショ「エルザッ!攻撃しろっ!!」

エ「し、しかし、それじゃあお前が・・・」

ショ「俺の事はいいっ!!まずはこいつを倒すのが優先だっ!!」

エ「ショール・・・」

いかにもあいつらしい考えだな。

H「離せぇっ!離せぇっ!!」

ショ「そう言われて離すバカがいるか。」

抵抗するHをショールが必死に食い止める。ショール、当たったらすまない・・・

エ「天輪・繚乱の剣ッ!!(てんりん・ブルーメンブラット)」

銀色に輝く剣が一斉にHに襲い掛かる。

H「アァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」

砂煙が舞い上がる。そして、Hはその場にドスンッと音を立てて倒れた。私は換装を解くと、

エ「ショール・・・!?」

ショ「俺は平気だ。そんなに心配しなくても大丈夫だって。」

所々掠り傷を負ったショールが砂煙の中から出て来た。

ショ「それにしても、やっぱりエルザは強いな。」

エ「た、大した事では、ない・・・/////////////////////」

その時、

H「・・・ま、待tnさい、y・・・」

エ&ショ「!!?」

ボロボロになったHがよろよろと立ち上がる。ショールは私をHから守るように私の前に立つ。

エ「まだやるのか。」

ショ「無理すると、体によくないぞ。」

H「J・・・ジョニーhかsg、おk、ると、dうnるk・・・科学h・・・yうsいにnんか、mkない・・・」

何を言ってるのかさっぱりだった。まるで、壊れたロボットのように・・・次の瞬間、

バゴォォォン!!!

激しく炎を噴出しながらHが爆発したのだっ!!私とショールは爆風の風圧で壁まで吹っ飛ばされた。私は頭を強く打ち付ける。

ショ「エ、エルザ、大丈夫か?」

エ「あ、あぁ、すまない。」

私はショールの差し伸べてくれた手を握って立ち上がる。

ショ「まさか、このギルド・・・」

エ「あぁ。きっとそうだ・・・」

私は、近くにあった片方のレンズが割れた赤いめがねを拾いそっと握りしめた。 
 

 
後書き
第59話終了~!
私、いっつも思うのですが、妖精の尻尾の魔道士は、絶対に、「負ける」とゆう言葉を知らないと思うんですよ。
次回はグレイ&ユモの対決!!
第60話でお会いしましょう~!! 

 

第60話 鉄巨人

 
前書き
ヤッホ~♪07で~♪
今回はグレイ&ユモの対決です!!今度はいったいどんな敵なのか?
グレイ目線でかいていきますよ。
それでは、第60話・・・スタート♪ 

 
グ「どぉりゃあーーーーーっ!!」

やっと最後の1体を倒した。こうゆうのが一番厄介なんだよな。

ユ「大丈夫グレイ?」

グ「お前こそ、魔力使いすぎたんじゃねぇのか?」

ユ「えっ!そ、そんなことないよっ!」

おい、目が泳いでるぞ・・・ったく、相変わらず嘘つくの下手だな・・・

ユ「と、とにかく、早くみんなを追いかけよう。」

あ、今話し逸らしたな。俺とユモは次の道に進もうとすると、

ゴチーーーン!!

グ「ぬぉっ!!」

ユ「キャアッ!!」

道の手前で何かに思いっきりぶつかった。後ろからついてきたユモは俺の背中にぶつかる。

ユ「きゅ、急に止まらないでよ。どうしたの?」

グ「な、何かにぶつかったはずなんだけどよ・・・」

俺がぶつかったところには何もない。もう一度ぶつかったところを触ってみると、紫色の文字が浮かび上がった。これって・・・!!

グ&ユ「術式ッ!?」

閉じ込められたってことかよっ!いったいどこのどいつがいつやったんだよっ!!?

?「その術式を仕掛けたのは俺だ。」

グ&ユ「!!!」

振り向くと、銀色の髪の毛に青いめがねを掛けて、白衣のポケットに手を突っ込んだ男が立っていた。

S「俺はMr.S。お前等の事はジョニーさんから聞いている。この術式は、俺に勝たないと解けない術式だ。」

グ「面白れぇじゃねぇか。」

ユ「楽しくなりそうだね。」

S「勝負開始だ。」

さっきのロボットのせいで魔力を結構使っちまったからな。慎重にいかねぇと。

S「アイアンメイク、巨人ッ!!(ジャイアント)」

こいつも造形魔道士かっ!すると、地面が大きく揺れたと思ったら、地面にヒビが入り、そこから銀色の巨人が現れたっ!!巨人の銀色の体が少し光っている。

ユ「て、鉄の巨人・・・」

こりゃあまた、厄介なやつだぜ。鉄巨人は俺とユモの方にゆっくりと近づいてくると片足を上げて俺とユモを踏み潰そうとする。が、足を動かすのもゆっくりだ。これじゃあ隙だらけじゃねぇか。とっとと倒して、みんなと追いつかねぇとな。

グ「アイスメイク、大鎌ッ!!(デスサイズ)」

鉄巨人の足を狙って攻撃したが、

パキィン!!

グ「なっ!!」

氷は粉々に崩れた。

S「鉄巨人は、速度が遅い代わりに、防御力がある。それに、俺が造ったあのロボ軍隊と戦ったせいで、魔力を使いすぎたみたいだな。」

グ「計算済みってことかよ。」

S「そのとおりだ。俺の形勢逆転ってことだ。」

くそっ!

ユ「あっ!いいこと思いついたっ!」

ユモがポンッと手を叩く。

グ「な、何だよいきなり・・・」

ユ「あいつを倒す方法を思いついたんだ。」

グ「ほんとかっ!?」

ユ「耳貸して。」

内心ドキドキしながらユモの考えを耳打ちで聞く。ユモの考えはすっげぇ~単純だが、成功する確率は高い。これなら、あの鉄巨人も倒すことが出来るっ!!

S「作戦会議をしたって、もうお前たちに勝ち目はないのに。無駄な事を。」

ユ「やらないよりやったほうが絶対得なんだよ。作戦開始!!」

ユモの合図とともに鉄巨人の足や腕を凍らせる。

S「そんな事したって魔力の無駄だ。」

グ「無駄じゃねぇからやってんだろうが。」

鉄巨人のほとんどが凍りついた。

ユ「グレイ、もう十分だよ。」

グ「了解!」

鉄巨人の体は氷が透けて銀色が更に光って見える。こりゃ傑作だぜ。

S「こんなことしていったいどんな意味が・・・なっ!!」

グ「言っただろ、無駄じゃねぇって。」

鉄巨人の凍らせた部分がさびて動かなくなっていた。

ユ「金属は、水に触れるとさびちゃうからね。もともと氷も、水でできてるから同じこと。」

改めて聞くとほんとっ、単純な作戦だぜ。

S「だ、だが、さ、さびさせたとして攻撃しても、て、鉄巨人の防御力は変わらないぜ。」

態度は冷静だが、口調はものすごく焦っているのがわかる。

ユ「あれ?知らないの?金属のさびた部分に強い衝撃を与えると、簡単に崩れちゃうんだよ。」

S「なにぃっ!!?」

グ「お前、科学者の弟子なのにそんなことも知らねぇのかよ。」

科学者失格だな。とゆう事で、俺は鉄巨人の足のさびたところに、ユモは腕のさびたところに、

グ「アイスメイク、戦斧ッ!!(バトルアックス)」

ユ「アイスメイク、爆弾ッ!!(ボム)」

ドガガガガガァァァン!!!!!

ユモの言うとおり、鉄巨人は無残な姿で崩れ落ちた。さて、

グ「次はお前だ。」

俺とユモは背中を合わせて、

グ&ユ「氷雪砲ッ!!(アイス・キャノン)」

ドガァァァン!!!

砂煙が舞う。かなり強烈な一撃だった。砂煙が晴れると、そこには、

グ「なにっ!!?」

ユ「嘘・・・!!」

Sが立っていた・・・が、Sの顔や腕は所々茶色くなっていて、青いメガネのレンズが割れて、目には光が射していなかった。

S「・・・おrg、こ、kんn、ざtgに・・・yられrhずなd、nい・・・」

よくわからない声で何かを言い残した次の瞬間、

バゴォォォン!!

Sが凄まじい音とともに爆発したっ!!な、何がどうなってんだ・・・?ユモに聞こうとして横を向くと、

グ「お、おい、ユモ!しっか・・・!!」

魔力を使いすぎたのか、倒れそうになるユモを慌てて支えて驚いた。以前よりも体が冷たくなっていたからだ。

グ「お、おい、ユ、ユモ、体が・・・」

ユ「!!気、気にしないで。大丈夫だから。」

ユモは無理矢理俺に笑って見せた。ほんとっ、嘘つくのが下手すぎるぜ・・・Sが書いた術式の壁も消えて、俺たちは先を急いだ。 
 

 
後書き
第60話終了~♪
ユモの体に異変が!?そろそろユモの第2の秘密も書かないとな~。
次回はルーシィ&リョウのバトルだよ。
それじゃあ次回でお会いしましょう~♪ 

 

第61話 天使VS妖精

 
前書き
こんにちは~!!07です!!
今回はルーシィ&リョウの対決です!!
ルーシィ目線で書いていきます。
それでは、第61話・・・スタート!!  

 
みんなと別れてリョウと敵を探していたら、

?「見ぃ~つけたぁ~♪」

ル&リョ「!!?」

驚いて後ろを振り向いたら、白い白衣に少しカールのかかったショッキングピンクの髪の毛の女の人がいたの。

G「私はGよ。ジョニーさんの一番弟子よ。あなたたちのことはみ~んな分析済みよ♪」

なんか、強烈にイタイやつが出てきたんですけど・・・本当にこの人、科学者なの?

G「金髪の女はルーシィ・ハートフィリア。星霊魔道士。ハートフィリア家の令嬢。」

ル「!何で私の名前を・・・」

G「茶髪の男はリョウ・ジェノロ。聖十魔道士の1人。ジェノロ家の御曹子。」

リョ「確かに分析済みだな・・・」

G「あなたたち2人は血が繋がっている。」

そこまで分かっちゃってるなんて・・・

G「これが科学の力よ。科学に勝つことができるのは神しかいないのよ。」

ジョニーとまるっきり同じ事言ってるわ・・・

リョ「神しか勝てないなら・・・俺たちがお前を倒して神になってやるっ!!」

リョウはそういうと聖剣(エクスカリバー)を1本抜いて、

リョ「竜桜切ッ!!」

リョウの背後に青いドラゴンが浮かび上がる。聖剣をGに振りかざした。でも、リョウの攻撃はGにあっさり防がれちゃった。

G「あら?魔力切れかしら?」

リョ「狙いは的中だったのに・・・」

・・・って、リョウだけに頼ってちゃダメッ!私も戦わないとっ!!

ル「開け!獅子宮の扉!レオ!!」

レ「王子様参上ッ!!」

リョ「あーーーーーっ!めがね野郎ッ!!」

あっちゃぁ~・・・そうだ、この2人は以前喧嘩中だったんだっけ。すっかり忘れてた。私の目の前で火花を散らす2人。はぁ・・・

レ「ルーシィ、今日はなんだい?」

レオがリョウから視線を離さずに聞いてくる。

ル「あいつを倒すの。」

レ「OK!王の光(レグルス)よ、我に力を。」

レオが光を纏った拳でGに殴りかかる。

リョ「ふ~ん、意外に強いんだな。」

意外って・・・

G「ふぅ、そろそろ私からいきますわよ。」

すると、Gの体が無数の四角に分裂して、しばらくすると、さっきまで白衣を着ていたGはそこにはいなくて、大きな羽の生えた純白のドレスを身に纏い、真っ白な剣を持ったGがいたの。こ、これって・・・まさか・・・!!

リョ「接収(テイクオーバー)、天使の魂(エンジェルソウル)・・・」

G「その通り。」

天使の姿になったGは手に持っていた真っ白な剣で、

G「ハァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」

ドドガガァァァァァァァァンッ!!!

真っ白な剣を私たちに向かって振り下ろした。

ル「うぅ・・・」

な、なんて・・・強さなの・・・

リョ「その程度か。」

G「!!?」

ル「リョウ・・・」

頭から血を流し、頬や腕に切り傷だらけになりながらも、リョウは地面に立っていた。

リョ「めがね野郎、ルーシィを頼む。」

レ「あぁ。」

リョウは2本の聖剣を抜いて、Gに立ち向かう。

G「これで終わりよっ!!ウォラァァァァァァァァァァァァァッ!!!」

リョ「科学より強いものがいるって事を、俺がその腐った機械の脳みそに教え込んでやるっ!!2剣流・・・速刀殺切ッ!!」

ドガァァァァァァァァァァァァァンッ!!!

ル「リョウ!!」

妖精と天使がぶつかり合って爆発が起こった。砂煙が消えると、そこにはリョウが傷だらけで立っていた。Gの姿はどこにもない。

リョ「あの爆発と一緒に、Gも爆発しちまったよ。」

ル「え、それって・・・」

リョ「Gは、人間・・・じゃ、ない・・・」

ル「リョウ!!」

リョウは力尽きたのか、崩れるように膝を着いて、その場に倒れて気を失った。

レ「リョウがルーシィの事が好きな理由がなんとなくわかった気がするよ。」

ル「あんた、それを最初から知ってて。」

レ「さぁね?それじゃあ、僕はこれで失礼するよ。」

そう言い残すと、レオは星霊界に帰っていった。

ル「やっぱり、リョウは強いわね。」 
 

 
後書き
第61話終了です!!
久々にレオを出してみました。あんまり出番がなかったですが・・・
次回はいよいよ最終決戦!勝つのは妖精か、それとも化学か!?
見逃したらいけないよ! 

 

第62話 仲間 

 
前書き
HELLO☆07だよ☆
今回は科学の世界(サイエンスワールド)との最終決戦!!妖精と科学、勝つのはどっちだ!!
今回はナツ目線でいってみよ~☆
それでは、第62話・・・スタート☆ 

 
さっきからいろんなところから爆発音が聞こえる。俺も早く戦いてぇ~っ!!

ナ「あのぐるぐるめがねじじぃ・・・どこだぁーーーーーっ!!」

ジョ「ここですよ火竜(サラマンダー)」

ボワァァァン!!

また煙と同時にぐるぐるめがねじじぃが現れた。

マ「もぉ~!いちいちかっこつけながら登場しなくていいよ。おじさんかっこつけても全くかっこよくないし、煙臭くて目が痛くなっちゃうじゃん。」

マヤが手で煙を掃いながら言う。

ジョ「ひょっひょっひょっ。これが私の登場の仕方ですからね。」

そんなの必要ねぇだろ・・・

ジョ「ところで、我々と賭けをしませんか?」

マ&ハ&フ「賭け?」

ナ「んな事はどうでもいいっ!!さっさと始め・・・」

ジョ「この勝負、私が勝ったら動物姫(アニマルプリンセス)を頂きます。」

マ「えっ?」

ナ「んだとごらぁーーーーーっ!!!」

ハ「マヤをどうするつもりだっ!!」

ジョ「彼女は動物と話せる能力を持っている。その力を、私の科学にも取り入れようと思いましてな。」

フ「そしたら、マヤはどうなるんだ?」

ジョ「今までの記憶が全て消えてしまうでしょう。」

ナ&マ&ハ&フ「!!!!」

そんな事のためにマヤを利用するなんて・・・ぜってぇ~に、許さねぇ・・・っ!!

ジョ「さぁ、どうする火竜(サラマンダー)」

ナ「・・・マヤはお前の道具じゃねぇんだっ!その賭け、引き受けてやるっ!!」

フ「ハッピー、マヤを頼む。」

フレイが鳥の姿から人間の姿に変わる。

ハ「あいさー!マヤ、こっちだよ。」

マ「嫌だっ!私も戦うっ!!」

ナ&ハ&フ「!!!」

な、何言ってんだマヤ・・・

マ「これは私自身の問題でもあるんだ。私が戦わないと意味がないよっ!」

フ「お前は下がってろっ!」

マ「嫌だっ!!」

フ「危険なんだぞっ!!」

マ「それでも嫌だっ!!私はみんなと戦・・・キャアァァァッ!!」

ハ&フ「!!?」

マヤの腹部に俺の投げた炎が直撃する。マヤは壁まで吹っ飛んでいき、頭を強く壁に打ち付けた。たぶん、気を失っただけだ。

ハ「マヤ~!!」

フ「ナツ、なにやって・・・」

ナ「今はこうしておいたほうが安全だ。ハッピー!マヤを頼むぞっ!!」

ハ「あいさー!!」

ハッピーが気を失っているマヤの服を摑み、空を飛んでジョニーから離れる。

ジョ「あんな手荒な真似をして、よかったのですか?」

フ「マヤをお前から守るために、ナツは仕方なくやっただけだ。」

ナ「マヤは俺たちの大切な仲間だ。お前みたいな頭が腐った牛乳みたいなやつに渡してたまるか。」

ジョ「ひょっひょっひょ。もうちょっとお上品な例え方で言ってくれればうれしかったんですけどね。」

変なところにこだわんなるなっつーのっ!!

ジョ「それでは、始めますぞ。」

この勝負、ぜってぇ~に勝つっ!!

ナ「いくぞフレイッ!!」

フ「おぅ!ファイアメイク、弓矢ッ!!(アーチェリー)」

炎を纏った矢がぐるぐるめがねじじぃに向かって一直線に飛んでいく。

ジョ「ゴブリン、盾!(シールド)」

すると、ぐるぐるめがねじじぃの背後からちっせ~やつが2人でてきて、フレイの攻撃を防いじまった!!

ジョ「ゴブリン、ダブルフォーメーション!」

すると2人のゴブリンは手を繋いで、高速回転しながらこっちに攻撃してきたが、

ナ「火竜の・・・翼撃ッ!!」

ゴ「ビギャーーー!」

あっという間にやられちまった。俺はそのまま、

ナ「火竜の・・・剣角ッ!!」

ジョ「ゴブリン、盾!」

またぐるぐるめがねじじぃの背後からさっきとは違うゴブリンがでてきて攻撃を防いだがあっという間に倒された。

フ「お前、さっきからそのちっせぇ~ので防いでばっかだな。」

ジョ「これが私の戦闘方法だ。さっさと倒れて、動物姫を私に渡せぇーーーっ!!」

ナ「渡すわけねぇだろっ!!火竜の・・・咆哮ッ!!」

ジョ「ぐほっ!!」

フ「ファイアメイク、竜巻ッ!!(トルネード)」

ジョ「ぐはぁっ!!」

これで止めだっ!!

ナ「紅蓮火竜拳ッ!!」

ジョ「グワァァァァァッ!!!」

ぐるぐるめがねじじぃはその場に倒れた。

フ「これで一件落着だな。やっぱ人間の姿でいるのは結構辛いわ。」

フレイが鳥の姿に戻る。

ハ「ナツゥ~、フレイ~。」

ハッピーがマヤを抱えながら飛んで来た。俺は気を失っているマヤを抱える。

ナ「お前は俺たちの仲間だもんな。」

フ「それと、ナツの大事な彼女。」

ハ「でぇきてるぅ~。」

ナ「バカにするんじゃねぇっ!!」

俺たちがもめていると、

ル「ナツ~!」

ウェ「マヤさ~ん!」

ショ「ハッピー、フレイ~!」

みんながこっちに走って来た。

ユ「マヤ!どうしたの!」

フ「気を失ってるだけだ。」

ユ「はぁ、びっくりした。」

リョ「しっかしまぁ、結構派手に暴れたんだな。」

ト「また、評議委員さんが来るかもしれませんね・・・」

エ「またマスターに迷惑を・・・」

ナ「やっべ!ハッピー、逃げるぞ。」

ハ「あい。」

シャ「いや・・・無理だから。」

グ「お前等で責任取れよ。俺たちは知らねぇからな。」

ひっでぇ~なグレイ。よしっ!ギルドに戻ったら急いで帰って逃げるぞっ!妖精と科学の熱いバトルはこれで幕を閉じた。 
 

 
後書き
第62話終了☆
最初、ナツがマヤに気を失わせたときはびっくりしました。書いてるのは私なんですが・・・
次回はいよいよ、あの方の秘密が明らかに!もうわかりますよね?
それでは、第63話でお会いしましょう☆ 

 

第63話 闇の呪い(ダークカース)

 
前書き
HEY!07です!
今回はやっとあの方の秘密がわかっちゃいますよ!もうわかっていますよね?今回、ものすごく長く
なると思います。
途中で目線が変わります。最初はユモス目線です。
それでは、第63話 闇の呪い(ダークカース)・・・スタート! 

 
?『お前は、この魔法の効果によって、7年間苦しみ続けるぜ。7年後が楽しみだな・・・』

ユ「!!はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・夢、か。」

空はまだ薄暗く、時計を見てみたらまだ朝の5時だった。私は部屋の窓を開けて風に当たる。冷たくて気持ちがよかった。ふと自分の左腕に目を落とすと、

ユ「!!!」

そうか、あれから7年が経つのか・・・もうすぐで罪滅ぼしができる。そして、妖精の尻尾とのお別れ・・・私の頬には、いつの間にか一筋の涙が伝っていた。

****************************************************************************************

             『ここからグレイ目線で書きます。』

科学の世界(サイエンスワールド)を潰してから1週間。ジョニー・メカは評議委員によって逮捕された。あいつの4人の弟子は全員がジョニーが造ったアンドロイドだったんだ。しかも、評議委員からジョニー・メカの逮捕協力をしたおかげで、ギルドに報酬50万Jをもらった。じーさんはすっかり浮かれて、昨日は酒をがぶ飲みしてたぜ。そんな中、俺がギルドのテーブルで昼寝をしてた最中、

ル「ユモッ!?どうしたのその怪我ッ!!?」

ルーシィのバカデカイ声で目を覚ました。見ると、ギルドに来たばかりのユモの左腕を見て驚いていた。ユモの左腕には包帯が巻かれていた。

ユ「ちょっと、軽い火傷しちゃって。」

ウェ「私が治してあげましょうか?」

ユ「大丈夫。すごく軽い火傷だから。」

薄っすらと、ユモの額に冷や汗が滲んでいるのが見えた。俺はユモが言ってることは嘘だと確信した。ユモのやつ、何か隠してる・・・

****************************************************************************************

次の日。

マ「えぇ~!!ユモ、どうしたのいったい?」

今日はマヤのバカデカイ声に驚いてかき氷を落としそうになった。見てみると、昨日のユモは左腕だけに包帯を巻いていたが、今日は右足にも包帯を巻いていた。

ユ「たんすにぶつけて、軽い打撲をしちゃって。」

リョ「お前って、随分そそっかしいんだな。」

フ「怪我するのが好きなんだな。」

シャ「あんた、もっとましな冗談を言いなさいよ。」

エ「だが、軽い怪我でよかったじゃないか。」

ユ「あははははは・・・」

まただ。昨日も今日も、ユモは何で嘘をついてるんだ?

****************************************************************************************

その次の日も、そのまた次の日も、ユモの包帯の数はどんどん増えていった。

ナ「お、お前、本当に大丈夫なのかよ・・・?」

ハ「痛そうだよ・・・」

ユ「大丈夫。全部軽い怪我だから。」

ト「軽そうに見えないのは僕だけでしょうか?」

ショ「俺もそう思う。」

ウェ「やっぱり私が治しますよ。」

ユ「本当に大丈夫だから。ウェンディの魔力がもったいないよ。」

ユモはウェンディの治療を嫌がる。

グ「何でそこまで否定するんだよ。素直に治してもらえばいいじゃねぇか。」

ユ「だいぶ治ってきてるから。」

だが、日が経つにつれ、ユモの包帯の数は徐々に増えていった。ギルドのみんなは全員ユモの事を心配し始めた。

****************************************************************************************

そんなある日、

マ「大変だぁーーーーーーーーーーっ!!!」

マヤが大声を上げてギルドに駆け込んで来た。

ル「どうしたのマヤ?そんなに慌てて。」

マ「ユ、ユモが・・・どこにもいないのっ!!」

一瞬ギルドが静まり返った。

マ以外「えぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!」

グ「ど、どうゆう意味だよ!?」

俺はイスから立ち上がってマヤの肩を揺さぶる。

マ「私、ユモがまた怪我して動けなかったらどうしようと思って女子寮に迎えに行ったの。でも、部屋に入っても誰もいなくて、ユモの机にこれが・・・」

マヤが白いショーパンのポケットから取り出したのは手紙だった。エルザがそれを受け取り開くと、ユモのホログラムが出てきて、

ユ『今までお世話になりました。妖精の尻尾は・・・最高のギルド!!さようなら・・・』

と言って消えた。これって、書き置きだよな・・・?

マ「ど、どうしよう・・・ユモが、ユモがどこかに行っちゃうよ・・・」

マヤの手はガクガク震えていた。俺が、俺がもっと早くユモに聞いてれば、こんな事には・・・俺は自分を責めた。

エ「マスター。」

マカ「・・・みなの者、わし等は仲間であり家族である。ユモを捜すのじゃーーーーーっ!!!」

マカ以外「おぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!」

俺たちはギルドを飛び出し、ユモを捜索し始めた。

****************************************************************************************

           『ここからまたユモス目線で書いていきます。』

うわぁ・・・みんなもう気づいちゃったの?私は人気の少ない建物の陰に隠れて、ギルドのみんなの様子を窺っている。マグノリアはギルドの人たちが私の事を街の人に聞いたりして必死になって捜していた。これじゃあ思うように動けない・・・みんなにはあまり迷惑は掛けたくないし・・・すると、

マ「ユモーーーッ!!」

ナ「どこだぁーーーっ!!」

ハ「ユモーーーッ!!」

フ「いたら返事しろーーーっ!!」

うわぁ・・・一番厄介な仲間が来た・・・ナツは鼻がいいからな・・・さて、どうやってここを突破するか?思い切って一直線に走ったら絶対に捕まるし、氷霧(フリーズミスト)で姿は隠せても気配で簡単にばれちゃうし・・・やっぱりこれしかない!私はワンピースのポケットから魔水晶(ラクリマ)を取り出し、4人に向かって投げた。すると、魔水晶から睡眠ガスが噴射され、4人はその場で寝ちゃった。私が投げたのは睡眠魔水晶。

ナ&マ&ハ&フ「ZZZ・・・」

ユ「ゴメンね・・・ありがとう。」

私は4人が寝たのを確認して先に行こうとしたが、

ユ「!!」

誰かに見られてるような気がして振り向いたけど誰もいなかった。

ユ「・・・気のせい、か。」

私は先を急いだ。

****************************************************************************************

その後も、何度もギルドの人たちと遭遇しそうになり、危ない時は仕方なく睡眠魔水晶を投げるしか方法がなかった。そうしながらやっと私は目的地にたどり着く事ができた。そこはとある洞窟。私がギルドに入るきっかけとなり、グレイと初めて会った洞窟だった。洞窟を進むと、黒髪に緑色の瞳をした1人の少年が私を待ち構えていた。年は私と同じくらいかな。

?「久しぶりだな。ユモス・クオリナ。」

「ユモス」って呼ばれたのは久しぶりだなぁ。

?「気分はどうだ?」

ユ「最悪だよ。ばれないようにするために大変だったよ。」

私は左腕に巻いている包帯をするするとほどいた。すると、私の左腕には黒い線状の模様のようなものが浮かび上がっていた。次々に私は体に巻いている包帯をするするとほどいてく。同じように黒い線状の模様が浮かび上がっていた。

ユ「見ただけで吐き気がするよ。」

?「そりゃそうさ。呪いだからな。」

洞窟に少年の声が響き渡る。その時、私は突然のめまいに倒れそうになった。視界がぼやけ、右手で額を押さえて、必死で倒れるのをこらえる。

?「我慢は体によくないんだぜ。」

ユ「っ・・・」

これが、呪い・・・意識が途切れそうになったその時、

グ「てめぇ~、ユモに何しやがったっ!!」

?「誰だっ!!」

洞窟の入り口の方から聞き慣れた声が聞こえた。ゆっくり首を動かし、洞窟の入り口の方に視線を移す。そこには、紺色の髪の毛に、なぜか上半身裸で、首に十字架の形をしたペンダントを身につけている、紛れもないグレイがいた。まさか、ずっと私の後をつけていたの・・・?

ユ「グ・・・グレ・・・ィ・・・」

そこで私の意識は途切れた。

****************************************************************************************

          『ここからはまたグレイ目線で書いていきます。』

グ「ユモッ!!」

ユモが突然倒れた。いったい、何がどうなってんだ・・・?ユモの後をこっそりつけていったらこんな状況になっていた。ユモの近くにいる黒髪に緑色の瞳の男が俺に視線を移す。

?「ん?それは魔道士ギルド、妖精の尻尾のギルドの紋章・・・へぇ~、こいつ、俺の知らない間にギルドに加入してたのか。だが、こいつはもうギルドに帰る事は出来ないぜ。」

グ「どうゆう意味だ。」

ハ「お前にだけ特別に教えてやる。俺の名はハルト・パーカー。こいつとは昔の友人でな。昔はよく一緒に遊んでいたさ。だが、それは10年前の事だ。今は友人でもなんでもねぇよ。」

ユモの知り合いなのか・・・?てか、何でもう友人でもなんでもねぇんだ?

ハ「俺の6つ上にハルカってゆう姉がいたんだ。姉ちゃんは、こいつの兄、グレン・クオリナの恋人だったんだっ!!」

確か、ユモの兄さんは、ウルと同じ10年前にデリオラを封じるために絶対氷結(アイスドシェル)で自らの肉体を・・・

ハ「そこまで知っているのなら話は早い。たった1人の妹、ユモス・クオリナを守るために、グレン・クオリナは命を捨てたっ!!それを知った俺の姉ちゃんは、ハルカは・・・海に身を投げて自ら命を捨てたんだっ!!!」

ハルトは憎しみと悲しみの声で叫んだ。固く握られたハルトの拳が小刻みに震えている。

ハ「姉ちゃんが死んだのはこいつのせいだっ!!俺の、たった1人の家族を殺したんだっ!!俺はこいつに復讐するために3年間、魔道士として修行をして、身に着けた魔法が闇魔法だ。そしてもう1つ、黒魔法、呪殺に含まれる、闇の呪い(ダークカース)だ。」

グ「闇の呪い・・・!」

じゃあ、今ユモの体にある黒い線状の模様が・・・!!

ハ「この魔法をかけられたやつは、光が一切届かない真っ暗な闇の世界に封じられるんだ。永久になっ!!そして、徐々に命を削られていくんだっ!!」

グ「!!!」

ハ「いい気味だろ。」

俺は驚きすぎて声が出なかった。いや、言葉を失ったって言った方が正しいな。

ハ「けど、闇の呪いには1つ弱点があるんだ。」

グ「弱点・・・だと。」

ハ「この魔法は、かけてから7年経たねぇと発動しないんだ。」

グ「なっ!!」

とゆう事は・・・まさか!!

ハ「そうさ。俺は7年前にこいつに闇の呪いをかけていたのさっ!!それから7年の間に、かけられたやつの体に異変が起こるんだ。こいつの場合、体が以上に冷たくなったんだ。」

そうゆう事だったのか・・・こんなくだらねぇ魔法に、ユモは7年も苦しんできたのかよっ!!

ハ「そして、遂にこの日が来たんだっ!!ユモス・クオリナ、お前の人生はここで終わりなんだよっ!!ここはお前の・・・グハァッ!!!」

気づいたら俺はハルトの顔面を殴っていた。ハルトが反対の洞窟の壁まで吹っ飛ぶ。

ハ「ってぇ~・・・てめぇ、何しやがるっ!!」

ハルトが血が出た口元を手で拭う。

グ「お前は・・・今までユモがどんな気持ちでいたかわかるか。」

ハ「ギルドに加入して過去のことは忘れ・・・」

グ「違うっ!!!」

ハ「何でてめぇなんかにわかるんだよっ!!俺がどれだけ、どれだけ辛い思いをして、どれだけ時間をかけたと思ってるっ!!!」

グ「それはユモも同じだぁーーーーーっ!!!」

俺はハルトの胸倉を摑んで、

グ「ユモだって、何度も辛い思いをしてきたんだ。自分のせいで大切な人と、友人の大切な人を死に追いやったんだからな。ユモはずっとそれを背負って生きてきたんだっ!!俺だって・・・」

俺は幼い頃、自分のせいで、ウルを死なせた事を思い出した。リオンにとっちゃ、目標の人物だったからな・・・

グ「でも、ユモは絶対に泣かなかった。いつも優しくて、いつも笑顔で・・・お前は、どれだけユモに罪を背負わせるんだよっ!!!」

ハ「こいつが絶望のどん底に落ちるまで罪を与えてやるさ。」

グ「てっめぇ~~~~~!!!」

俺はハルトの胸倉から手を放すと、

グ「アイスメイク、戦斧ッ!!(バトルアックス)」

ハ「うあっ!!」

俺は、優しくて、笑顔のユモの事がいつの間にか好きになっていた。俺のことを理解してくれる大切な人だ。

グ「氷欠泉ッ!!(アイスゲイザー)」

ハ「がはっ!!」

俺は、ユモにはいつも笑っていてほしいんだっ!!

グ「氷刃・七連舞ッ!!」

ハ「グワァァァァァッ!!!」

ユモをこれ以上傷つけたり、泣かせたりするやつは、俺が許さねぇっ!!!俺は倒れているハルトの胸倉を再び摑むと、

グ「いい加減、ユモの闇の呪いを解きやがれっ!!」

ハルトは荒く呼吸をしながらニヤリと不気味に笑うと、

ハ「解いたって、もう遅い・・・見てみろよ。」

ユモの方を振り向くと、体全身に黒い模様が浮かび上がっていた。

ユ「う・・・くぁぁぁ・・・」

グ「ユモッ!!」

ハ「もうじきあいつは闇の世界に封じられ、罪を償う為に命を削られる。俺の勝ちだっ!!ハハハハハハハッ!!!」

そう言い残すと、ハルトは黒い光に包まれて姿を消した。

グ「待ちやがれっ!!くっそぉっ!!」

どうにかして助けねぇと。でも、どうやって・・・

ユ「・・・ぅ、うぁ・・・」

グ「ユモ・・・!」

考えている間にユモがどんどん辛そうな声を上げる。俺はユモに駆け寄る。

グ「おい、ユモ!しっかりしろっ!!」

ユモはピクリとも動かない。黒い線状の模様がどんどん濃くなっている・・・俺はユモを強く抱きしめた。ユモの体はさらに冷たくなっていた。

グ「・・・ユモーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」

俺はただ叫ぶ事しか出来なかった。俺の叫びが洞窟中に響き渡る。俺の頬に一筋の涙が伝い、その涙はユモの頬に落ちた。その時、ユモの体が青白く光りだした。すると、徐々に黒い線状の模様がどんどん消えていく。完全に黒い戦場の模様がユモの体から消えると、

ユ「・・・・ん・・・?」

ユモがゆっくりと目を開いた。

グ「ユモ!!」

ユ「グ、グレイ?あ、あれ?ハルトは?私、死んでない・・・!」

ユモは今の状況に驚いてる。俺が少し簡単に説明すると、

ユ「う、嘘・・・私、闇から、解放されたんだ・・・!夢じゃないんだ・・・!」

ユモの顔にはいつもの笑顔が戻り、澄んだ青い瞳に薄っすら涙が滲んでいた。

ユ「私、これからもギルドにいていいかな?」

グ「当たり前だろ。ユモは俺たちの仲間なんだぜ。」

ユ「・・・ありがとう、グレイ!」

グ「うぉあっ!!」

いきなりユモが飛びついてきた////////////////////ユモの体はほんのり温かかった。

グ「ほ、ほら、ギルドに帰るぞ!」

ユ「うん!」

洞窟を出ると空はオレンジ色に輝いていた。 
 

 
後書き
第63話終了いたしました~!!
ユモの過去にはいろいろ深いわけがあったんです。闇の呪いの解き方は、悲しい時に流した涙。
次回は新しくオリキャラ説明を書きたいと思います。第2弾です!!
それではまた次回!! 

 

第64話 座敷わらし

 
前書き
はいは~い!07で~す!
今回は最強チームが久々のクエストに!その内容は・・・え?お寺!?
トーヤ目線で書いていきます。
それでは、第64話・・・スタート!! 

 
マグノリアは雪も融け、辺りにはきれいなお花が咲いています。ミラさんがカウンターに飾るお花を取り替えていました。もうすっかり春です。

シャ「やっと過ごしやすくなってきたわ。」

僕もシャルルさんと同じく春が好きですね。

ナ「よっしゃ~!こうゆう日こそクエストだーーー!!」

ナ以外「えぇーーーーーーーーーーーー!!!」

またナツさんの突然すぎる発言がでました!でも、しばらく行ってませんでしたからね。

ル「私は賛成よ。そろそろ家賃がピンチなのよね。」

リョ「ルーシィが行くなら俺も行くぜ!!」

ハ「おいらはもちろん行くよ!!」

マ「私も行く!!」

フ「俺もついて行くか。」

ユ「私も行こうかな。体動かさないとなまっちゃうし。」

グ「俺も暇だから行くか。」

エ「私はもちろん行くぞ。」

ショ「俺も行こうかな。クエスト楽しいし。」

ウェ「私はみなさんと合わせます。」

ト「僕もです。」

シャ「私はウェンディとトーヤに合わせるわ。」

とゆうわけで、みんなそろって行くことになりました。

ル「でも、今回は簡単なクエストがいいのよね。」

ナ「なんでだよ!」

ここ最近勝負してばかりでしたからね。

ウェ「あ、じゃあこんなのはどうですか?」

ウェンディさんが見つけたクエストは、【寺の掃除 100万J】とゆうクエストでした。

ル「掃除をするだけで100万!?ものすごくお得なクエストだわっ!!これにしましょう。」

****************************************************************************************

とゆうルーシィさんのちょっとしたわがままで、このクエストに行く事になったんですが、目的のお寺に来てみたら・・・

全「・・・・・・・・・・・・・」

全員言葉を失ってしまいました。もちろん僕もです。依頼先のお寺は、ものすごく古いお寺だったんです。今にも崩れてしまいそうな・・・

ショ「こ、ここを掃除するのか・・・?」

マ「掃除する前に、建て直したほうがいいんじゃ・・・」

ト「と、とにかく、依頼主さんはどこにいるんでしょうか?」

?「ここにおる。」

全「!!!」

驚いて振り向くと、銀色の髪の毛を低い位置でお団子に束ねていて、丸いめがねを掛けた小さなおばあさんが僕たちの事を見上げていました。いました。

ユ「おばあさんが、依頼主さん?」

ウ「いかにも。私はウメ。この寺の15代目の巫女じゃ。」

巫女さん・・・ですか?しかも、15代目・・・かなり昔から建っているんですね。

エ「で、依頼の内容は?」

ウ「そこに書いているとおり、この寺の掃除を手伝ってもらいたいのじゃ。この年でさすがに1人で寺を全部掃除するのは大変でのぉ~。」

リョ「掃除するより、建て直したほうがいいんじゃないのか?」

ウ「それは、この寺の掟を破る事になってしまう。ささ、中に入ってくだされ。」

僕たちはウメさんに案内されてお寺の中に入りました。

ハ「うわっ!!」

シャ「これは酷いわね・・・」

お寺の中はほこりや木くずがたまっていました。ゴキブリやトカゲ、蜘蛛も辺りにうじゃうじゃいます。

ル&ウェ「ひぃ!!」

ナ「変な臭いがするぞ。」

ウ「もう2年ほどは掃除してませんからな。」

グ「おいおい・・・」

ショ「想像以上に大変だな。」

フ「まぁ、引き受けちゃったからにはやるしかないだろ。」

ト「そうですね。それじゃあ、始めましょうか。」

僕たちはお寺の掃除を始めました。

****************************************************************************************

ル「けほっ、けほっ、けほっ。すっごいほこり。」

ユ「マヤ、ゴキブリと遊んでないで手伝ってよ。」

マ「だって疲れたんだもん。」

お寺の1つの部屋をみんなで掃除しても2時間程かかってしまいます。

ウェ「私、バケツの水を取り替えてきますね。」

ト「お願いします。」

僕は濡らした雑巾で床を拭いていると、

?「フフフフフ・・・」

ト「?」

今、隣の部屋から声がしたような気が・・・僕は隣の部屋のふすまを開けて中を覗いて見ました。でも、誰もいません。

ショ「どうしたトーヤ?」

ショールさんが様子を見に来ました。

ト「なんか、声がしたような気がしたんですが、気のせいだったみたいです。」

部屋を出て、掃除を続けようとした時、

?「フフフフフ・・・」

ト&ショ「!!?」

今度はさっきよりもはっきり聞こえました。

ショ「俺にも聞こえたぞ。誰かの笑い声のような・・・」

どうやら、ショールさんにも聞こえたみたいです。でも、いったい誰でしょうか?

グ「おい、どうしたお前等?」

エ「まだ、こっちの部屋の掃除は終わってないぞ。」

みなさんも僕たちがいる部屋に集まってきました。するとまた、

?「フフフフフ・・・」

全「!!!??」

フ「な、何だ今の!?」

ル「だ、誰かの笑い声?」

ウェ「でも、誰の声ですかぁっ!?」

その時、

?「ねぇねぇ・・・」

全「!!!!!」

恐る恐る振り返ると、ハッピーさんやシャルルさんやフレイさんと同じくらいの背丈の、赤い着物を着た女の子がいました。

ル「キャアァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」

ルーシィさんの悲鳴がお寺中に響き渡ります。

ウ「おやおや、騒がしいと思って来てみれば、ただの座敷わらしじゃないかい。」

ナ「座布団・・・わらじ?」

マ「座敷わらし!!」

どうやったらそうやって聞こえるのでしょうか?

ト「ウメさん、この座敷わらしは?」

ウ「5年くらい前だったかねぇ~、いきなり姿を現してここに住み着いてるんだよ。追い出すのもかわいそうだからずっとここに住まわせているのさ。でも、ちょっと寂しがりやでね。ずっと友達がほしかったんだよ。」

ウメさんは優しく座敷わらしの頭をなでます。あれ?幽霊を触ってる・・・!!

座「うち、友達いないの。友達、ほしい!」

座敷わらしの黒い瞳はどこか悲しそうに見えました。それを見た僕は、

ト「友達なら、いっぱいいますよ。」

座「へ?」

僕は胸の前に左腕を置くと、

ト「我と、心を通わせ、姿を現せ!出て来い!幽霊兄弟!火の玉!一つ目小僧!河童!」

紫色の魔法陣から幽霊兄弟のユウとレイと、火の玉と、一つ目小僧と、河童が姿を現しました。

座「わぁぁぁぁっ!!」

座敷わらしはみんなの事を見てとてもうれしそうです。すると、小さな白い手で僕の腕を摑むと、

座「うち、そちと一緒にいくっ!」

ト「え?」

それって、僕と契約をするって事ですよね?僕はウメさんの方を見ました。ウメさんはゆっくりと頷きました。

ト「僕と一緒に来るなら、いろんな悪いやつと戦うことになりますが、それでもいいんですか?」

座「いいの。うち、そちと一緒にいくっ!」

さっきよりも強く握られました。

ト「わかりました。じゃあ、契約するので左手を。」

僕は座敷わらしの小さな左腕を優しく握りました。契約するのは久しぶりです。

ト「我、この者と契約し、共に過ごすことをここに証します。契約確定!」

すると、僕の左手の甲に新たに模様が浮かび上がりました。

ト「これで、座敷わらしも僕の友達です。」

座「わ~い!うち、友達できた!」

マ「よかったね、座敷わらし。」

座「うん!」

座敷わらしはマヤさんに頷くと、妖霊界に帰って行きました。

エ「よし!掃除の続きを始めるぞっ!」

エ以外「おぉーーーーーーーーーーーー!!!」

ウ「最近の若いもんは、元気だねぇ~。」

****************************************************************************************

ル「はぁ~・・・」

リョ「疲れたぁ~・・・」

お寺の掃除が終わったのは夜の7時頃でした。僕たちはみんなヘロヘロです・・・

ウ「最近の若いもんは元気だねぇ~。おかげですっかりきれいになったよ。ありがとうね。ほれ、報酬の100万Jだ。受け取っておくれ。」

エルザさんがウメさんから報酬を受け取ります。

ユ「100万もあるなら、お寺を建て直すことができたのに。」

グ「掟のほうが大事なのかよ。」

ウェ「ウメさんらしいですね。」

シャ「年寄りってゆうのは、どうしてこうも古くさいのかしら。」

それだけ、このお寺が大切だとゆうウメさんの気持ちがよく伝わります。

ウ「トーヤ君、ちょっと。」

僕はウメさんに呼び出されました。

ト「何でしょうか?」

ウ「あんた、幽霊だね。」

ト「!!ど、どうしてそれを・・・」

ウ「年寄りの観察力をなめちゃあいけないよ。」

なるほどぉ~。覚えておきます!

ウ「で、君の友達の中で、この事を知っている人は?」

ト「2人です。正しくは1人と1匹です。」

ウ「そうかいそうかい。いつか、全員に自分の正体を明かす時がくるからね。」

全くそのとおりです。

ト「すでに覚悟は出来ています。」

ウ「そうかいそうかい。そりゃあ対したもんだねぇ~。その時まで、これを持っておいき。」

そう言って、ウメさんが僕の手の平にのせてくれたものは紐のついた紫色の勾玉でした。

ト「これは?」

ウ「幽封玉といってね、これを持っていれば幽霊の力を抑えることができるんだよ。」

とゆうことは、やっぱりウメさんも・・・

ウ「座敷わらしと友達になってくれた事と、掃除を手伝ってくれたお礼として、受け取っておくれ。」

ト「ありがとうございます。ウメさん。」

僕はさっそく首に勾玉を首に付けてみました。なんだか心がとても落ち着きます。

ウ「座敷わらしを、頼んだよ。」

ト「はい!約束します!」

ウェ「トーヤさ~ん!」

ショ「置いてくぞ~!」

マ「早く早く~!!」

僕はもう一度ウメさんにお礼を言ってみなさんのところに走っていきました。僕が振り返った時には、すでにお寺とウメさんの姿は跡形もなく消えていました。 
 

 
後書き
第64話終了!!
ウメさんも幽霊だったんですね。トーヤもいつか、みんなに自分の本当の姿を明かす時が来るでしょう・・・
次回は妖精の尻尾に、再びあの方が登場!!え?誰って?それは次回まで内緒です!!
第65話でお会いしましょう~!! 

 

第65話 週刊ソーサラー再び

 
前書き
ヤッホ~♪07で~す♪
今回は妖精の尻尾に再びあいつがやって来た!!え?誰って?ヒントは・・・COOL!!!
ルーシィ目線で書いていきますよ。
それでは、第65話・・・スタート♪ 

 
ガヤガヤガヤガヤ。

今日のギルドはいつもとちょっと違う騒がしさ。私はカウンターで食器を拭いているミラさんに聞いてみた。

ル「ミラさん、今日ってなんかあるんですか?」

ミ「あら?ルーシィは知らなかったのね。今日はね、また週刊ソーサラーの人がギルドに取材に来るのよ。」

ル「ほっ、本当ですかぁ!?」

ミラさんの言葉に私はイスから立ち上がって驚嘆の声を上げる。

ミ「ほんとよ。」

ミラさんが微笑みながら答える。ヤッターーーーーッ!!!前回の取材の時はダメダメだったからね。今回はビシッ!と決めるわよっ!!そしてそして、私はモデルにスカウトされて、あっという間に有名人になって、お金もいーーーっぱい・・・ウフフフフ。

ハ「ナツ、マヤ、フレイ、ルーシィが1人で笑ってるよ。」

ナ「いつものことだろ。」

マ「気持ち悪いよルーシィ。」

フ「放射線が丸見えだぞ。」

ル「余計なお世話よっ!!」

てか、そんな冷ややかな目で見なくても・・・すると、

?「こんにちは~。」

?「取材に来ました~、COOL!!!」

来たーーーーーっ!!って、あれ?

マカオ「よぉジェイソン、相変わらずだな。」

ジェ「ご無沙汰してます。マカオさん、ワカバさん。」

マカオとワカバがジェイソンさんの肩を組む。

ワ「ん?お前の後ろにいる女の子は誰だ?かわいいじゃねぇか。」

ワカバがジェイソンさんの後ろにいる女の人に気づく。女の人はワカバの視線に気づいたのか、マカオとワカバに小さく微笑むと、

レ「初めまして。新人記者のレナ・スカイウォーターといいます。今回はジェイソンさんの助手として妖精の尻尾に取材しに来ました。」

胸辺りまである茶髪に青い瞳。手には小さなメモ帳と水色のシャープペンシル。首には黒い一眼カメラをぶら提げている。こんな綺麗な人が新人記者さんなんてっ!!

マカオ「いい彼女さんじゃないか。」

ジェ「そ、そんなんじゃないっすよっ!」

ワ「照れるなって。」

ジェ「て、照れてなんか・・・いませんっすよ///////////」

なんかからかわれてる・・・てか、顔赤くなってますよぉ~。

ジェ「それじゃあレナ君、手分けして取材しよう。」

レ「はい。」

取材スタート!!頑張るぞぉ~っ!!

ジェ「ウォーレン、高所恐怖症は直った?」

ウォ「いや、まだ・・・」

ジェ「COOL!!!」

それってCOOLなの?

レ「チームシャドウ・ギア、三角関係は今でもっ!?」

レビィ「?」

ジェット&ド「ノーコメントだっ!!」

レ「うわぁ、COOLですねっ!!」

えぇっ!レナさんもCOOL!?

ジェ「リョウだっ!聖十のリョウ・ジェノロだっ!!」

ジェイソンさんはすごいスピードでリョウに駆け寄ると、

ジェ「リョウ!質問に答えてくれるかいっ!!」

リョ「お、おぅ、いいぜ。」

いきなりだったからリョウも驚いたみたい。

ジェ「聖十のになったのはいつだい?」

リョ「5年前だ。3年前にトップクラスになったんだ。」

ジェ「なるほどぉ~、COOL!!!」

質問の答えをメモ帳に書き込んでいく。

ジェ「じゃあ、うわさで彼女がいるって聞いたんだけど?」

ん?それって、まさか・・・

リョ「うわさじゃなくて、事実だぜ。」

ジェ「COOL!!!その彼女さんはいったい!?」

リョ「あそこにいる星霊魔道士のルーシィだ。」

リョウが私の事を指差す。するとジェイソンさんはすごい勢いでこっちに走ってきて、

ジェ「ルーシィさんですかぁっ!?」

ル「は、はい!私がルーシィでぇ~す♪」

これで私の話題が・・・ウフフフフ。

ジェ「COOL!!!リョウさんの彼女さんとゆうのは本当ですかっ!?」

私が答えようとした時、

リョ「さっきから本当だって言ってるだろ。」

リョウが私の肩を組んできた。てゆうか、き、きついんだけど・・・

リョ「俺の彼女だからこうゆう事も出来るんだぜ。」

そう言うとリョウは私の体を自分の方に寄せる・・・

ル「え・・・ちょっ!ちょっと!!・・・!!!!!」

こ、これって・・・キ、キス・・・!?

ル&リョ以外「おぉ~~~~~~~~~~っ!!!!!」

ギルド全員の視線が私とリョウに集まる。

マカオ「いいぞリョウ!!」

ワ「ヒューヒュー!!」

マ&ハ「でぇきてるぅ~!!」

巻き舌風に言うなっ!!って、口が塞がって言えなぁ~い!!

ジェ「COOOOOL!!!こ、これは大スクープだぁぁぁっ!!レナ君、どんどんシャッターきってっ!!」

レ「はいっ!!今までで一番いい記事になりそうですっ!!これは絶対に売れますね☆」

ジェイソンさんとレナさんはカメラで私とリョウを撮り続ける。てゆうか・・・いつまで続けてるのよぉ~!!そう思った時、リョウがやっと私を放してくれた。

ル「//////////////////////////////」

私の顔はものすごく赤いと思う・・・今までで一番恥ずかしかった//////////////////私がそんな状態の中、ジェイソンさんとレナさんは取材を続ける。

レ「エルフマン、あなたにとってズバリ!漢とは何ですか?」

エル「漢だ。」

レ「さっすがぁ~!!COOLですねっ!!」

ジェ「ミラさん、今度またグラビアに出て下さい!!」

ミ「う~ん、どうしようかな?」

・・・・・ふぅ、そろそろ落ち着いたし、インタビューの内容聞いてみようかな?

レ「動物姫(アニマルプリンセス)、一番好きな動物は何ですか?」

マ「えぇ~っ!!そんなの決められないよぉ~!動物はみ~んな大好きだよっ!!」

レ「WOW!!COOLですねっ!!」

この質問はCOOLなのかしら?

ジェ「ショール、まだ青い天馬(ブルーペガサス)のヒビキと1位争いだけどそれについてはどう思う?」

そっか、ショールは「彼氏にしたい魔道士ランキング」でいつも上位だもんね。どうりでエルザも惚れるわけだわ。

ショ「俺はそうゆうのは興味ないし、ヒビキさんの方がずっとかっこいいと思うから、1位はヒビキさんに譲るよ。」

ジェ「COOL!!!」

発言までCOOL!!

マ「ルーシィがジェイソンみたいになった!!」

あ、ついなっちゃった。

レ「グレイさん、いつも服を脱いでいて寒くないんですか?」

グ「寒くねぇけど人を変態みてぇに呼ぶんじゃねぇっ!!」

ユ「グレイ下ーーーッ!!」

グ「うぉ!!いつの間にっ!!」

レ「とってもCOOLですねっ!!」

結局は脱いでるじゃない・・・

ジェ「怪物(モンスター)、君はお化けが怖くないのかい?」

ト「怖くないです。お化けたちは僕の大切な友達ですから。」

ジェ「COOL!!!これについて天空の巫女とシャルルはどう思うのかな?」

ウェ「私もトーヤさんの友達のお化けたちは怖くないですし、お化けたちにも優しいトーヤさんは素敵だと思いますよ。」

シャ「私もウェンディと同意見ね。」

ジェ「COOL!!!」

あんたたち、優しすぎるわ。

レ「ユモスさん、私の事を格闘技で投げ飛ばしてくださいっ!!」

ユ「えぇっ!!?」

レ、レナさん!!?何を言ってるんですかぁ!!?

グ「おいおいあんた!!ユモに格闘技で勝負を挑むつもりじゃねぇだろうなっ!?」

マ「そ、そんなの、命知らずがやる事だよ・・・」

ル「今回は質問だけにしといた方がいいんじゃ・・・」

レ「いえいえ。ジェイソンさんに、こうゆうのは自分の体で実感しろと言われているんです。」

ちょっとあんたっ!!女の子になんて事教えているのよっ!!

レ「お願いします、ユモさんっ!!」

ユ「わ、わかったよ。」

レナさんのあまりにも真剣な眼差しに、ユモも敵わなかったみたい。でもユモ、ちゃんと手加減しなさいよ。

ユ「てぇい!」

レ「ひゃあ~!!」

レナさんはユモに背負い投げされてギルドの壁まで吹っ飛んじゃった。ちょ、ちょっとっ!!今の手加減ありなのっ!?

ユ「い、一応一番軽くしたはずなんだけど・・・」

グ「あ、あれで一番軽いのか・・・」

マ「ば、化け物・・・だ。」

私たちは開いた口が塞がらなかった。レナさんとはゆうと・・・

レ「や、やばい・・・かっこよすぎますっ!!こんなCOOLな美少女は初めて・・・と。」

ユモの事をメモ帳に書き込む。・・・あ、あなたもプロね・・・

ジェ「妖精女王(ティター二ア)、今度グラビアに出てくれないかい?」

エ「そ、そうゆうのは苦手でな・・・」

ジェ「COOL!!!」

レ「ハッピー、あなたには何で羽があるの?」

ハ「エクシードだからです。」

レ「COOLだねっ!!」

ジェ「フレイ、君は何で赤いんだい?」

フ「鳥人間だからだ。」

ジェ「COOL!!!」

そんなどうでもいい事聞いてどうするのかしら・・・?すると、

ナ「らぁーーーーーーーーーーっ!!!記者ってのはどいつだぁーーーーーっ!!!」

ル「きゃあ!!」

ナツが近くにあったテーブルを投げ飛ばす。暴れすぎよっ!!

ジェ「ナツ!!火竜(サラマンダー)のナツだ!!COOL!!!」

レ「とっても迫力があってCOOLです!!」

ショ「興奮しすぎだろ。」

ト「すごいですね。」

ジェイソンさんとレナさんの瞳がキラキラ輝く。確か、前回もこうだったわよね。

ナ「やいやいやい!俺がまたなんか壊したとか壊したとか壊したとかっ!!」

マ「そのとおりの事じゃん・・・」

ハ「あい。間違ってないよ。」

ナ「俺の事、めちゃくちゃ悪く書きやがってっ!!」

フ「いや、仕方ない事だろ。」

ル「うんうん。」

ウェ「全て事実ですし・・・」

シャ「週刊ソーサラーはただ事実を書いているだけじゃない。」

今までどれだけのものを壊したことか・・・数え切れないわ・・・

ガ「悪い事書かれたくなきゃ、仕事に行かねぇほうがいいんじゃねぇのか?ギヒッ。」

ナ「んだとガジル!!もういっぺん言ってみろっ!!」

ガ「飽きるまで何度でも言ってやんよっ!!」

も、もしかして・・・

ト「あの・・・この展開って・・・」

ウェ「あれですね。」

シャ「あれね。」

リョ「あれか。」

ショ「あれだな。」

やっぱり・・・喧嘩なのね・・・

ドガッ!バギッ!ドゴッ!ガコッ!バンッ!ガゴンッ!!ドコンッ!!バギンッ!!ゴトンッ!!もうめちゃくちゃ・・・

エ「ナツ!ガジル!喧嘩をやめぬかっ!取材中だぞっ!!」

エルザの雷が落ちてもけんかを続ける2人。

ジェ「また2人の竜(ドラゴン)の争いが見れるなんて!COOOOOL!!!」

レ「これはまさしく貴重映像ッ!!ちゃんとカメラに残して目に焼き付けておかないとっ!!COOOOOLすぎる!!」

ジェイソンさんとレナさんはどんどんカメラでナツとガジルの喧嘩を撮り続けていく。・・・やっぱり、プロね・・・って、いつの間にかグレイとリョウとエルフマンとラクサスが乱入しちゃってるしっ!!巻き沿いで、ウォーレンとマックスとナブが下敷きに・・・って、

ル「ひゃあ!!」

レビィ「ひぃ!!」

ラ「キャア!!」

キ「ひょお!!」

ウェ「あわわわ・・・!!」

シャ「ちょっと!危ないじゃない!!」

飛んできたナツの炎や酒樽やビンを必死にかわす私とレビィちゃんとラキさんとキナナさんとウェンディとシャルル。

マ「てぇやぁ~!!」

ユ「てぇい!とぉ!」

格闘技で飛んできたものを壊すマヤとユモ。COOL!!

マ「やっぱ、ジェイソンみたいになってる・・・」

あ、またやっちゃった!すると、背後からゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・とゆう地鳴りのような音が聞こえた。な、なんか、すごぉ~い嫌な予感がするんですけど・・・恐る恐る振り返ると、エルザが体全身から黒いオーラを出していた。

ナ「エ、エルザ・・・」

グ「お、おい、落ち着け・・・」

ようやくエルザの怒りの黒いオーラに気づいたナツたち。あんたたち、気づくのが遅すぎよ・・・

エ「お前たちぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!」

エ&ジェ&レ以外「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!!」

レ「妖精女王とってもとってもとってもCOOLです!!まさしくこれも貴重映像ですっ!!カメラに残して目に焼き付けておかないとっ!!」

ジェ「妖精の尻尾、最強にCOOOOOOOOOOL!!!これは大スクープだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

ジェ&レ以外「少しは空気読めっ!!!!!」

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そして発売された今月の週刊ソーサラー。表紙を飾ったのはマスターのVサイン!!内容は、「ものすごく賑やか&騒がしいギルドだけど、ものすごくCOOL&ものすごく楽しいギルド」って書かれていたの。この内容にはギルド全員大喜び!!

ナ「あいつ等、結構良い事書くんだなぁ~。」

マ「ナツが悪い事しすぎなんだよ。」

ハ&フ「マヤの言うとおり。」

ところで、私とリョウのキスシーンはどうなったかとゆうと、なんとなんとなんと!最後のページを飾っていましたっ!!

ウェ「いきなりだったので驚きました。」

シャ「普通は人がいないとこでするものよね。」

ユ「あの時はみんな、目がルーシィとリョウに釘付けだったよね。」

ト「リョウさん、大胆でした。」

ショ「ルーシィは夕日みたいに顔真っ赤にしてたな。」

エ「よかったではないかルーシィ。」

グ「お前、どさくさに紛れてやっただろ。」

私とリョウはその後散々みんなに冷やかされました。確かに恥ずかしかったけど、これはこれでよかっんだと私は思う。だって、リョウのおかげで取材されたんだもん。また来てくれないかな?ジェイソンさんとレナさん。 
 

 
後書き
第65話終了でぇ~す♪
いやぁ~、週刊ソーサラーの取材の話を書くのめちゃくちゃ楽しいっす!!今回はなんと!リョウがルーシィに・・・キスしちゃった!!いやーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!大胆すぎるってリョウ!!(←書いてんのお前だろっ!byリョウ)
次回はマスターから最強チームに依頼が!その内容とは・・・?
それではSeeyou♪ 

 

第66話 船上パーティーからの依頼

 
前書き
こんにちは!!07です!!
今回は最強チームにマスターから依頼をお願いされた。その内容は・・・え?船上パーティー!?
ウェンディ目線で書きたいと思います!!
それでは、第66話・・・スタート!! 

 
ボーーーーーーーーーー。

ナ「うぷ・・・気持ち悪ぃ・・・・・」

マ「しっかりしてよナツ。」

ハ「ナツの好きな魚がいっぱいいるよ~♪」

フ「それはハッピーだろ・・・」

私たち最強チームは今、大きな船の中にいます。遊びに来たわけじゃないですよ。それは3日前の事です。

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私たち最強チームは、先程マスターに呼び出されたんです。

エ「マスター、何か御用ですか?」

マカ「お~集まったか。実はな、お前たちに頼みたい事があっての。」

ト「頼みたい事、ですか?」

マカ「わしの知人にイツキとゆうやつがいる。若い時からいろんな国を旅してはさまざまな宝を見つけてきたんじゃ。」

リョ「その人は探検家なんですね。」

マカ「そうじゃ。つい最近、とある国のとある洞穴で5つの海の宝、海の瞳(スィーピュープル)とゆう宝石を発掘したのじゃ。」

ショ「聞いた事があります!大昔に5つの海の中に眠る宝石で、誰も発掘する事が出来なくてずっと迷宮入りになっていた宝石ですよね。」

マカ「そのとおりじゃ。」

さすがショールさん、物知りですね。

マカ「その宝石が表彰され、3日後に船上パーティーでお披露目するそうじゃ。」

グ「随分気が早ぇな。」

マカ「しかも、その5つの海の瞳を見た職人がその宝石を使って5つのアクセサリーも作ってしまったんじゃ。」

ル「表彰されたものをそんなふうにしていいのかしら?」

さぁ、どうなんでしょう?

マカ「じゃが、その海の瞳で作ったアクセサリーが何者かに狙われているんじゃ。」

ウェ「その人たちは何者なんですか?」

マカ「魔道士ギルド、白黒の仮面(モノクロマスク)の連中じゃ。」

白黒の仮面?聞いた事のないギルドです。

リョ「6年程前から盗みを繰り返してるギルドだ。盗むものは金や宝石、値打ちの高い壷や指輪、高価なものばかり盗んできているんだ。評議院のほうでそろそろ解散命令が下されるはずだ。」

ユ「そいつらから海の瞳で作ったアクセサリーを守ってほしいとゆう頼みをマスターにお願いされて、私たちに頼みたいとゆう事ですね。」

マカ「そのとおりじゃ。」

ナ「ちぇっ。討伐とかじゃないのかよ。」

マ「文句言わない言わな~い。」

マカ「お前たち、引き受けてくれるか?」

エ「私はもちろん行きます。」

ショ「エルザが行くなら俺も。」

ル「私も行く!今回は討伐系の依頼じゃないし。」

リョ「ルーシィが行くなら俺も行くぜ!!」

ユ「私も行こうかな。海の瞳にも興味があるし。」

グ「俺も退屈だからな。行くか。」

ト「僕も行きます!」

ウェ「私も。」

シャ「ウェンディとトーヤが行くなら私も。」

マ「私も行く~!一度船に乗ってみたかったんだよね。」

ナ「ふ、船!!お、俺は絶対に行かねぇぞっ!!」

フ「俺とハッピーはナツとマヤの付き添いとして。」

ハ「あい。」

ナツさんは強制的に連れて行く事になり、みなさんで行く事になりました。

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で、私たちは今イツキさんのところで話を聞いている最中です。ちなみに、ナツさんは私がトロイアをかけたので、船の中でも一時的に大丈夫です。

イ「マカロフに頼んで正解でした。みなさんにはパーティーに来ているお客さんとして海の瞳を守ってもらいたいのです。」

エ「で、海の瞳は今どこに?」

イ「今ご覧になってもらうところです。海の瞳をこちらに。」

すると、奥の部屋から黒いスーツをピシッとかっこよく着こなした5人の人が5つの硝子ケースを持ってやって来ました。硝子ケースの中には鮮やかなコバルトブルー色をした綺麗な宝石がついたティアラ、ネックレス、ブローチ、指輪、イヤリングが入っていました。全員その美しさに目を輝かせてます。

リョ「これを白黒の仮面のやつらから守ればいいんだな。」

イ「そうなんですが、展示してる間は盗まれても困らないようにこれとそっくりのアクセサリーを展示します。」

す、すごい作戦ですね。

ショ「そんなのいんちきじゃねぇかっ!!」

エ「ショール・・・」

ショールさんは嘘が嫌いですもんね。

イ「仕方がないのです・・・」

ト「じゃあ、本物はどうするんですか?」

イ「本物は、魔道士の女性陣のみなさん方につけさせてもらいます。」

イ以外「えぇーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

イ「魔道士のみなさんに持って頂ければ安心です。」

ユ「そ、そんな!!大切なアクセサリーを私たちが身につけるなんて・・・いくら何でも、それは無理ですよっ!!」

ウェ「ユモさんの言うとおりですっ!!」

私とユモさんは最後まで否定しましたが、最終的にはティアラがルーシィさん、ネックレスがエルザさん、ブローチがユモさん、指輪がマヤさん、イヤリングが私がつけることになりました。

リョ「おっ!ルーシィめちゃくちゃ美人に見えるぞっ!!」

ル「そぉ?」

さすがルーシィさんです。

エ「どうだ?」

ショ「あ、あぁ、すごく綺麗///////////」

ショールさん、顔が真っ赤です。

グ「似合うじゃねぇか、そのブローチ。」

ユ「あ、ありがと・・・/////////」

私以上に否定していたユモさんでしたが、ユモさんが一番似合ってます。宝石の色が青いからでしょうか?それとも・・・

マ「私さぁ~、このカチューシャ以外のアクセサリーをつけた事ないんだよね。」

ハ「そうなの?」

マ「うん。」

フ「いいんじゃねぇの。ナツの顔が少し赤いしよ。」

ナ「変な事言うんじゃねぇっ!!」

ハ&フ「でぇきてるぅ~。」

ナ&マ「巻き舌風に言うなっ!!」

見事に2人ともはもりました。

シャ「人の見てないで自分もさっさとつけなさいよ。」

ウェ「あ、うん、そうだね。」

シャルルも手伝ってくれて、慣れない手つきだけど、なんとかつけることはできました。

ト「うわぁ~、ウェンディさん、すごく似合ってます!」

ウェ「そ、そうですかね?」

シャ「あんたもこうゆうのをつける年頃になってきたのね。」

シャルルったら、私だってもう12歳なんだよ。

イ「みなさんとてもよくお似合いです。宝石が展示されるまでは自由にパーティーを楽しんでください。それでは、よろしくお願い致します。」

私たちは依頼を達成するために、船上パーティーの観客として会場へ向かいました。 
 

 
後書き
第66話終了~!!
今度はどんなトラブルが最強チームを待ち受けているのか!?
次回は海の瞳の展示途中でハプニングが!!
次回もお楽しみに~!! 

 

第67話 白黒の仮面(モノクロマスク)

 
前書き
こんにちはってあれ?もうこんばんはかな?そんなことより、作者の07です!!
今回は海の瞳(スィーピュープル)の展示会でまさかのハプニングが!?
リョウ目線でいってみよ~!
それでは、第67話・・・スタート!! 

 
ル「うわぁ~、すごい人ね。」

船上パーティーには数え切れないほどの人がいた。全員海の瞳(スィーピュープル)を見に来たんだな。奥の方ではオーケストラが演奏していて、たくさんの豪華な料理が次々運ばれてくる。

エ「敵はすでに船の中にいるかもしれない。気をつけろ。」

ナ「んな事より、まずは腹ごしらえだーーー!!」

ハ「あい!!」

マ&フ「何でそうなるのっ!?」

ナイス突っ込み!!まぁとにかく、俺も腹減ったし、なんか食うか。とゆうわけで、俺たちは展示会まで時間はまだたっぷりあるからそれまでごちそうを食べる事にした。

****************************************************************************************

ナ「ガツガツガツガツガツ、がぼばぼばぼば。」

ショ「・・・そ、そんなに腹空いてたのか?」

ト「す、すごい勢いです・・・」

エ「もっと静かに食べろっ!」

ナ「あい・・・」

マ「エルザも他の料理食べたら?」

確かに・・・さっきからケーキしか食ってないからな・・・なんでお前、太らないんだよ?

ハ「魚おいしいよ。」

フ「ハッピーも魚しか食べてないだろ。」

ユ「フレイも辛いものしか食べてないじゃない。」

お前等、どんな食生活してるんだ?

グ「そろそろ展示会の時間じゃねぇか?」

グレイが言った瞬間、会場の電気が全て消えた。

ナ「何にも見えねぇ。」

リョ「炎を出すな!魔道士って気づかれるだろ!!」

俺は急いでナツの口を塞ぐ。すると、ステージの中央にスポットライトの光が当てられた。

司「ようこそ!!我が船上パーティーに!!」

観客から拍手をする。展示会が始まった。

司「さっそく、海の瞳の発掘者、イツキ・モスーワさんの登場ですっ!!」

ステージの奥からスポットライトに照らされたイツキさんが満面の笑みで現れた。

司「続いて、今夜の主役、海の瞳の登場ですっ!!」

硝子ケースに入った作り物の海の瞳が奥から運ばれてきた。ステージのスクリーンの映像に大きく映し出される。

客全「おぉーーーーーーーーーー!!!」

観客が大歓声を上げた次の瞬間、

ドドドッドガガガガガガガガァァァァァンッ!!!!!

客1「な、なんだ!?」

客2「船が爆発したぞーーー!!!」

客3「に、逃げろーーーーー!!!」

客4「キャーーーーーーーーーー!!!」

凄まじい爆発音と共に、会場に炎が広がる。

シャ「船に爆弾を仕掛けておいたのっ!?」

随分と準備周到だな。会場はパニック状態だ。俺はイスから勢いよく立ち上がると、

リョ「全員船から降りろーーーーーっ!!!」

会場中に聞こえる声で叫んだ。

フ「ここは危険だっ!!」

ル「すぐに救命ボートで非難して下さ~い!!」

ショ「出口はこっちだっ!!」

俺たちは観客を非難させる。が、背後から炎がどんどん迫ってくる。

エ「ナツ!炎を食え!!」

ナ「おっしゃーーー!!」

エルザ、ナイスアイディアッ!!ナツが炎をすごい勢いで食べる。さっきあんなに食べたのにすげぇ~な。

ウェ「落ち着いて非難して下さ~い!!」

観客は突然の爆発に驚き、慌てながらも俺たちの誘導に従って慎重に船から降り、だいたい半分は非難した。

ナ「ゲフッ・・・」

ナツの胃袋も限界か。するとルーシィが海に向かって、

ル「開け!宝瓶宮の扉、アクエリアス!」

魔法陣から人魚みたいなやつが現れた。・・・やっぱ、個性的な星霊ばっかりだな。

ル「急いで炎を消してっ!私も巻き込んでいいからっ!!」

ア「最初からそのつもりだよっ!!オラァァァァァァァァァァッ!!!」

青い壷から水が噴き出る。どんどん炎を消していく・・・って、

リョ「俺たちも巻き込んでどうする~!!!」

ル「ゴメーーーーーン!!」

****************************************************************************************

な、なんとか観客は全員非難させたのはいいけど・・・

リョ「ヘェックションッ!!」

俺たちは全員びしょびしょ。まぁ、仕方ないか。その時、背後から嫌な気配がした。俺は隠し持っていた聖剣(エクスカリバー)を1本抜いて、

リョ「竜桜切ッ!!」

一番近くに転がっていたテーブルを真っ二つに。すると、そのテーブルの陰から誰かが飛び出してきた。すると、1人、また1人と人数が増えていき、気づけば俺たちは8人の不気味なやつ等に囲まれていた。なぜ不気味かとゆうと、そいつ等は全員、半分が白、半分が黒の仮面をつけていたからだ。ん?もしかしてこいつ等が・・・

マ「白黒の仮面(モノクロマスク)。」

フ「わざわざそっちから現れるとはな。探す手間が省けたぜ。」

すると、その中の2人が、

?「いかにも、我々は白黒の仮面の魔道士だ。海の瞳を奪いに来た。」

?「まっ、お目当ての品はとっくのとうにGETしたけどな。」

そいつが持っていたものは作り物の海の瞳がついたティアラが握られていた。まんまとひかかったな。作戦成功!と思ったのも束の間。白黒の仮面の魔道士は次の瞬間、パリィィィンッ!!と音を立てて、男の手の中で握り潰された。床に粉々になった作り物のティアラの残骸が散らばる。

ウェ「そ、そんな・・・」

ハ「作戦は完璧だったはずなのに、どうして・・・」

すると白黒の仮面のやつ等は不気味に小さく笑い、

?「我々がこんな小細工に騙されると思ったか。一目で見抜けたぞ。」

グ「見ただけでわかるって・・・」

ト「そうとう盗みには慣れている、ベテランのギルドのようですね。」

?「本物はそこのお嬢さん方が身に付けているんだろ?」

?以外「!!!!!」

エ「それも見抜いていたか。」

ショ「泥棒猫の目は鋭いな。」

ショール、あいつらは猫じゃないぞ。泥棒猫じゃなくて、泥棒なんだよ。

ル「あんたたちみたいなやつに、渡すわけないでしょっ!!」

?「ならば、力ずくで奪うのみだっ!!」

ナ&リョ「させるかよっ!!」

俺とナツが白黒の仮面のやつ等に飛び掛ろうとした時、

?「夢(ドリーム)・・・」

ナ「うっ・・・」

マ「はわわわわわ・・・」

こ、これ、は・・・睡眠、魔法・・・ゆ、夢・・・俺たちは強力な眠気に襲われ・・・そこからの記憶がない。 
 

 
後書き
第67話終了!!
白黒の仮面・・・いったい何者なのか?
次回は強力な睡眠魔法、夢によって眠らされてしまった最強チーム。目が覚めると思わぬ事態が!?
バイバ~イ!! 

 

第68話 消えた宝と5人と1匹の姫(プリンセス)

 
前書き
ヤッホー☆07だZ☆
今回は強力な睡眠魔法、夢によって眠らされてしまった最強チーム。目が覚めると・・・!!
途中で目線が変わります。最初はナツ目線☆
それでは、第68話・・・スタート☆ 

 
ハ「・・・、・・・ッ、ナ・・・、ナツ、起きてよ、ナツってばぁっ!!」

ナ「どわぁぁぁぁぁっ!!あ、あいつ等は?てか、ここどこだ?」

気がついて飛び起きると、俺たちはなぜか船の中じゃなくて、森の中にいた。

リョ「俺たちが眠らされてる間に連れて来られたみたいだな。」

ナ「くっそぉ~!あの仮面野郎共・・・!!ん?」

俺は辺りを見渡す。・・・いない!

ナ「おい、マヤは?ルーシィやエルザ、ウェンディとシャルルと、ユモもいねぇっ!!」

グ「ショールの考えだと、たぶんあいつ等に連れて行かれたかも知れねぇ。」

ナ「なぁ~にぃ!!!」

ショ「たぶんじゃなくて、絶対な。」

ト「ウェンディさんたち、本物の海の瞳(スィーピュープル)のアクセサリーを身に付けていましたからね・・・」

トーヤが浮かない顔で言うと、

?「やはりそうか。」

ナ「誰だっ!!」

上を見ると、さっきの仮面野郎共の1人が木の上にいた。

リョ「てめぇ~!ルーシィたちはどこだっ!!」

?「5人と1匹の姫(プリンセス)はこの森のどこかにいる。返してほしければ、俺の仲間を捜してバトルで勝つしかないな。」

フ「お前等、海の瞳をどうするんだ。」

レ「さぁな。そのうちわかるさ。俺は白黒の仮面(モノクロマスク)のマスター、レプス・ゴイル。勝負に白黒つけようぜ。妖精さんよ。いや、ハエって呼んだほうがお似合いかな?」

レプスは仮面をつけて顔は見えねぇけど、笑ってるのはすぐにわかった。あいつ・・・!!顔面を殴ろうと思ったが、すでにレプスの姿はなかった。

ナ「だぁーーーーーっ!!あんにゃろーーーーーーーーーーっ!!!!!」

フ「ナツ落ち着けっ!!」

ハ「今暴れても意味ないよっ!!」

ト「嫌な予感がしてきました・・・」

リョ「あいつが何を企んでるか知らねぇけど・・・」

グ「悪い事が起きるのは確かだな。」

ショ「とにかく、手分けして捜そう。そのほうが時間が短縮できる。」

ナ「おっしゃ~!!行くぞハッピー、フレイ!!」

フ「おぅ!!」

ハ「あいさ~!!」

俺はハッピーとフレイと西(たぶん・・・)の方角に飛んでいった。こっちの方から微かだけどマヤのにおいがしたんだ。待ってろよマヤ!!すぐに助けてやるからなっ!!

****************************************************************************************

           『ここからはマヤ目線で書いていきます。』

マ「・・・う、う~ん・・・?」

こ、ここは?確か、船が襲われて、気持ち悪い仮面を付けた変なやつ等が来て、眠らされて・・・あれ?そこから記憶がないよ~!!てゆうか、ここどこっ!?私がいたのは、薄暗い部屋の中。眠ってる間に連れて来られたのかな?立ち上がろうとしたら・・・

マ「うそ!!こんなのあり!?」

手足は縄で固く縛られていて、身動き出来ない状態。必死にもがいても無効化。

マ「これじゃあ動く事も出来ないし、動物たちの事を呼ぶことが出来ないよ~!!」

動物たちは指笛で呼ぶから手を縛られてたらダメだ。どうにかして、ここから脱出して、みんなと合流しないと!!そんな事を考えいると、

?「気がついたか。」

マ「ひょおーーーっ!!」

お、脅かさないでよ!!私の目の前には、あの気持ち悪い仮面を付けたやつが上から私の事を見下ろしていた。すると、そいつは仮面を外した。灰色の髪の毛に黒い瞳が特徴的の男。

ラ「俺は白黒の仮面の幹部の1人、ラトーナ・ルフド。お前にはしばらくここにいてもらう。」

そう言うとまた気持ち悪い仮面を付けた。

マ「その仮面、付けないでほしいんだけど。気持ち悪いんだよね。」

ラ「そんなの俺には関係ない。」

うわぁ~、すっごいムカつく。

ラ「そうそう、お前が眠っている間に、海の瞳がついた指輪はもらったからな。」

服のポケットから青い宝石のついた銀色の指輪を取り出す。

マ「あぁーーーーー!!いつの間に!!それを返してっ!!!」

ラ「返せと言われて返すバカがどこにいる。」

マ「いるかもしれないじゃん!!いいから返せっ!!」

ラ「断る。」

マ「返せっ!!」

ラ「断る。」

マ「返せっ!!」

ラ「断わ・・・」

マ「返せっ!!!」

「断る」、「返せ」の輪唱がしばらく続いた。

ラ「全く、うるさい女だ。」

するとラトーナは指輪を取り出した反対のポケットからナイフを取り出し私の首筋に突きつけた。

マ「!!!」

私は驚いて言葉を失った。

ラ「大人しくしてろ。さもないと、命はないぞ。」

ナイフの刃先がわずかに射し込む光に反射して銀色に光る。

マ「へぇ、女の子にナイフを突きつけるなんて、あんたそれでも男?」

ラ「!!お前・・・」

マ「それとも何?私が怖いからナイフで脅してるの?残念ながら、私はそんなの平気なんだよ。妖精の尻尾一の怖いもの知らずだからね。」

ラ「・・・・・」

これで相当キレたと思う。さっきも言ったけど、私は怖いもの知らずなんだよ。その時、顔を白い布で覆われた。すると、さっきよりも強烈な眠気に襲われた。

ラ「さっきよりも10倍強力な眠気が襲うだろ。お前にはしばらく眠っててもらう。」

マ「っ・・・・・」

ナ、ナツ・・・ハッ、ピー・・・フレイ・・・そこからの記憶はない。 
 

 
後書き
第68話終了☆
6人と1匹の王子(プリンス)は、5人と1匹の姫(プリンセス)を仮面の怪盗から助け出すことはできるのか!?
次回はトーヤがウェンディとシャルルを助けるため、怪盗と立ち向かう!!
お楽しみに~☆
 

 

第69話 大切なものを守るため

 
前書き
HEY!07だよ!!
今回はトーヤがウェンディとシャルルを助けるため敵に立ち向かう!!
もちろん、トーヤ目線で書いていきますよ。
それでは、第69話・・・スタート!!  

 
ト「ウェンディさ~ん、シャルルさ~ん、聞こえたら返事をして下さ~い!!」

はぁ、はぁ、はぁ・・・僕は今森の中でウェンディさんとシャルルさんを捜しています。ずっと走りながら叫んでいたので声もガラガラです。僕は一度木に手を着いて呼吸を整えました。すると、空から幽霊兄弟のユウとレイがやってきました。2人(2匹?2体?)にも手伝ってもらっていたんですが、あの様子だと見つかってないみたいです・・・

ト「ありがとう、ユウ、レイ。ゆっくり休んで。」

ユウとレイは妖霊界に帰っていきました。その時、

ト「!!」

?「ふ~ん、あなたが怪物(モンスター)のトーヤ・ファインか。」

ト「ぐわぁぁぁっ!!」

気配に気づいて慌てて避けようとしましたが僕の方が少し遅かったみたいで、僕の左肩には短剣が突き刺さってしまいました。痛みを堪えて目の前の敵を睨みつけます。僕の目の前には白と黒の仮面をつけた女の人がいました。その人は仮面を顔から外すと、

ラ「私はラズリーン・フォンド。白黒の仮面(モノクロマスク)の幹部の1人よ。」

夜景のような長い髪の毛と切れ長の瞳が特徴的でした。手には僕の鮮血が付着した短剣を握っていました。

ト「ウェンディさんと、シャルルさんはどこですか?」

僕は右手で左肩を押さえながらラズリーンさんに聞きました。

ラ「あ~あ、天空の巫女と白猫ね。助けたかったら私を倒してごらんなさい。」

すると、ラズリーンさんの手には真新しい短剣が握られていました。武器の換装でしょうか?

ラ「ハァァァァァッ!!」

ラズリーンさんは短剣をすごい速さで振り回しながら僕に攻撃してきます。僕も必死にかわしますが、頬や腕、足などに切り傷を負います。僕もかわしてばかりいないで戦わないと!僕は胸の前に左腕を置くと、

ト「我と、心を通わせ、姿を現せ!出て来い!死神!てんぐ!」

紫色の魔法陣から、大きな鎌を持った死神と、赤い顔に長い鼻、葉っぱのうちわを持ったてんぐが姿を現しました。

ト「てんぐ、銀風!」

て「あいよ!」

てんぐはうちわを大きく振りかざし、ラズリーンさんに向かって強風をあおぎました。すごい威力です!その間に、

ト「死神、呪いの鎌!」

死「ギリリ・・・」

死神は大きな鎌をラズリーンさんに振りかざします。が、ラズリーンさんは持っていた短剣で防御しました。

ラ「こんなもんなの?あなたとお化けの強さは?」

ブチッ!僕の中で何かが切れました。

ト「僕は構いませんが、お化けたちの事を悪く言うのは止めてもらえませんか。」

ラ「私は本当の事を言っただけよ。」

お化けたちをバカにする人は、誰であろうと僕が許しませんっ!!

ト「てんぐ、風切!死神、呪霊殺!」

て「おぉりゃあぁぁぁぁぁっ!!」

死「ギリ。」

てんぐと死神は同時にラズリーンさんに攻撃します。すると、ラズリーンさんは別世界から盾を換装すると、てんぐと死神の攻撃をまた防御しました。すると、てんぐと死神に向かって短剣を突き刺そうとしていますっ!!僕は走り出しました。

ラ「でぇぇぇぇぇいっ!!」

僕はてんぐと死神の前に立つと・・・

ラ「!!!」

ト「っ!!うぁ・・・」

て「トーヤ!!」

死「ギリッ!!」

僕の腹部には短剣が突き刺さり、真っ赤な鮮血が流れ出ていました。ラズリーンさんは短剣を抜き取りました。僕はそのまま後ろへ倒れたところをてんぐと死神が支えてくれました。

ト「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・」

呼吸するのも少し辛いです・・・

て「トーヤ、大丈夫かっ!?」

死「ギリ!!」

ト「だ・・・大丈、夫・・・」

普段はあまり口を開かない死神も心配そうな顔で僕を見つめていました。

て「何で俺たちを庇ったんだっ!!俺たちは妖怪や化け物だ。刀が刺さったり、銃の弾丸が当たったくらいじゃ強制的に妖霊界に帰るだけだろっ!!お前は俺たちの契約者としてそれを知っているはずだろっ!?なのにどうしてっ!?」

ラ「そのてんぐの言うとおりよ。自分の命より、お化けの方がが大切なわけ?」

ラズリーンさんが付け足します。でも、

ト「た、確かに、お化けたちは死んだりはしません・・・でも、痛みや、感情は、あるんです。僕は、大切なものを守るためなら、この体なんて、必要ありませんっ!!!」

僕は痛む腹部を押さえながら立ち上がって、

ト「白黒の仮面の方たちは、何のために海の瞳(スィーピュープル)を集めているかは僕にはわかりませんが、僕の大切なものや、大切な人たちを傷つけるのは、絶対に許しませんっ!!!」

僕は、お化けたちと、ギルドと、ウェンディさんとシャルルさんを、必ず守ってみせますっ!!!僕は再び左腕を胸の前に置くと、

ト「我と、心を通わせ、姿を現せ!出て来い!おおかみ男!」

紫色の魔法陣から茶色い毛を逆立てたおおかみ男が姿を現しました。ラズリーンさんは僕の血で汚れた短剣をしまい、柄の長い槍を取り出しました。

ラ「覚悟!!」

ト「てんぐは風切!死神は呪霊殺!おおかみ男は猛獣の鉤爪で、同時攻撃!!」

て「てぇぇぇやぁぁぁぁぁっ!!」

死「ギリリリリ!!」

お「ウオーーーーーン!!」

ドガガガァァァァァン!!!!

煙が消えると、てんぐと死神とおおかみ男は立っていて、ラズリーンさんは倒れていました。

ラ「わ、私の・・・負け、ね・・・」

僕はてんぐたちを妖霊界に帰らせ、ふらつく足と、ぼやける視界の中でラズリーンさんに近づき、手を差し伸べました。

ト「た、立て、ますか・・・?」

ラ「!?わ、私は敵よっ!!何を言って・・・!!」

ト「戦ったもの同士は、友達ってゆう証拠ですよ。」

ラズリーンさんは僕の言葉に目を見開くと、

ラ「・・・はぁ、あなたには敵わないわ。」

ラズリーンさんは僕の手を握って立ち上がりました。

****************************************************************************************

ト「松の木の下、松の木の下、松の・・・あっ!あった!」

僕はウェンディさんとシャルルさんの居場所をラズリーンさんに聞き、ふらつく足取りで森の中で松の木を捜していました。やっと見つけると、木の根元にウェンディとシャルルさんが縄で縛りつけられてるのを見つけました。僕は急いで駆けつけると、

ト「ウェンディさん!シャルルさん!しっかりして下さい!!」

2人の肩を強く揺さぶりました。すると、

ウェ「・・・う、うぅ~ん・・・?」

シャ「・・・トー・・・ヤ?」

ゆっくり目を開けました。よかったぁ~。2人とも無事のようです。僕は2人の縄をほどきながらふとウェンディさんの耳に目を向けました。ウェンディさんの耳には海の瞳がついた銀色のイヤリングはありませんでした。

ウェ「すいません、眠っている間に取られてしまったみたいで・・・」

ト「そんなのいいんですよ。ウェンディさんとシャルルさんが無事だけでもよかったです。」

それにしても、白黒の仮面の方たちはいったい、何のために海の瞳を集めているんでしょうか?

シャ「ちょ!ちょっとトーヤ!どうしたのよその怪我!!」

ウェ「!!!」

ウェンディさんとシャルルさんが僕の左肩とお腹を見て青い顔をしています。あ、そういえば、ラズリーンさんに左肩とお腹を短剣で刺された事をすっかり忘れていました。すると、今頃になって気が遠くなってきました。

ウェ「トーヤさん!?しっかりして下さいっ!!」

ト「し、心配・・・ない、です・・・こ、こんなの・・・へっちゃら・・・です・・・」

僕はそのまま気を失ってしまいました。 
 

 
後書き
第69話終了!!
トーヤはお化けたちも、ウェンディやシャルル、他の大切な人たちのことを自分が守らなければならないと思っているみたいですね。
次回はショールがエルザを助けに敵に立ち向かう!!
それではまた次回!! 

 

第70話 レプスの野望

 
前書き
呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!!07です!!
今回はショールがエルザを助けるために敵に立ち向かう!!
もちろん、ショール目線でいきますよ。
それでは、第70話・・・スタート!!! 

 
ショ「エルザ~!エルザ~!!」

俺の声が森中にこだまする。いったいどこにいるんだ?それにあいつ等はなんで海の瞳(スィーピュープル)を集めているんだ?海の瞳を集めると何かが起こるのか?でも、本にはそんな事書かれていなかったし・・・とにかく、今はエルザを捜すのが優先だ。とゆうか、俺が助ける前に、エルザが敵を倒してるかもしれないな。あのエルザだからな・・・

?「いくらあの妖精女王(ティター二ア)でも俺たちに勝つことは簡単なことじゃないぜ。」

ショ「誰だっ!!」

声がして後ろを振り返っても誰もいない。どこに隠れてるんだ。

?「どこ見てるんだよ。」

ショ「!!」

すると、俺の足を何かが摑んだ。下を見ると、地面から生えた草だった。いつの間にか俺の腕や体に、草や木の枝、長い蔦が絡みついて、俺は身動きができない状態だった。

ショ「ど、どうなってんだいったい!?」

?「そんなに暴れるなって。」

俺の目の前には白と黒の仮面を付けたやつがいた。そいつは仮面を外すと、

サ「白黒の仮面(モノクロマスク)の幹部の1人、サクヤ・ボナリアだ。」

男にしてはかなり長い深緑色のの髪の毛と、青い瞳が怪しく光っている男だ。

ショ「エルザに勝てる魔道士なんて、多くて2~3人ぐらいだ。お前みたいな変なやつに負けるわけねぇよ。」

サ「それはどうかな?あの女を助けたければ、俺を倒してみろっ!!」

ショ「やってやるよ。」

サ「その状態でか?」

そう、俺の体にはどんどん草や木の枝が絡みついてくる。たぶんあいつの魔法だ。どうにかして、抜け出さないと。

ショ「マジックハンド!!」

俺は無理矢理絡みついてくる草や木の枝を取り除く。が、思ったより力が強く、簡単には抜け出せなかった。

サ「このまま妖精が全員倒れてくれれば、レプスさんも野望が叶う。」

ショ「野望・・・だと?」

サ「俺たちがなぜ海の瞳を集めているかわかるか?」

ショ「知るわけないだろ。」

サ「じゃあ、お前だけに特別に話してやるよ。」

へぇ~、なんか聞き出す事が出来たぜ。こいつ、きっと口が軽いんだろうな。

サ「海の瞳を5つ集め、ある場所に持っていくと、その者の願いを1つだけ叶えてくれるとゆう伝説が残されている。」

そんな話、聞いた事がないな。本にも載っていなかったし・・・

ショ「レプスは、お前等のマスターは何をお願いするんだよ。」

サ「レプスさんは、この世界を支配する。その願いを叶えてもらうらしい。」

はぁ?世界を支配する?何ふざけた事言ってんだ。

ショ「お前たちは、その手伝いをしてるって事か?」

サ「簡単に言えば、そうゆう事だ。」

ショ「随分とくだらねぇな。」

世界を支配する?人間がそんな事する必要なんてないだろっ!!

ショ「俺が、いや、俺たち妖精の尻尾が、その野望を止めてやるっ!!」

サ「できるものならやってみろっ!!」

すると、俺の体に絡みついていた草や木の枝がきつく締め付ける。

ショ「うぁぁぁっ!!」

サ「お前等みたいなへなちょこ共に、俺たちの力に勝つことなんて、最初から不可能なんだよ。」

さらにきつく締め付ける。

ショ「ぐわぁぁぁっ!!」

サ「もっと、もっと悲鳴を上げろっ!!」

ショ「ぐわぁぁぁぁぁっ!!!」

サ「お前等に、勝ち目はないんだっ!!」

ショ「か・・・勝手な事、言うな・・・不可能を、可能にする、それが・・・俺たち、妖精の尻

尾の・・・魔道士だぁぁぁっ!!!」

俺はマジックハンドのパワーを最大限にする。すると、俺の体を絡め、締め付けていた草や木の枝がするするとほどけていく。

サ「ど、どうなってるんだっ!?魔法は止めたわけじゃないのに!?」

草や木の枝が全てほどけて、身動きが出来るようになっていた時には、すでに俺の怒りは爆発していた。

ショ「妖精をバカにすると、世界一怖いって事を、教えてやるよ。」

サ「!!!」

こんなに怒りを露出したのは何年ぶりだろ。俺の闘志に火が点いた。

サ「草魔法、草手裏剣!!」

無数の先の尖った葉や草が手裏剣のように回転しながら俺に向かって飛んでくる。が、俺はそれを全てかわした。

サ「こ、この数を全てかわしただとっ!?」

ショ「スモール。」

俺はサクヤの攻撃力や防御力を最小限に下げる。逆に、

ショ「ビック。」

自分の攻撃力と防御力を最大限にする。そして、

ショ「一人一殺!レジェンドハンドッ!!」

サ「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

・・・ほらな、不可能だった事を、可能にしただろ。

****************************************************************************************

俺は倒れているサクヤから強引にエルザの居場所を聞き出し、そこに向かって走っていた。ついた時はほっとした。

ショ「エルザ!!」

エ「ショール。」

俺はエルザの体に縛りつけられていた蔦をほどきながらサクヤから聞いたレプスの野望の事を話した。

エ「そうか。やつは海の瞳をそのために・・・」

ふとエルザの首に目をやると、海の瞳がついた銀色のネックレスはなかった。

エ「私が眠っている間に盗られてしまったようでな・・・」

ショ「そんな、エルザのせいじゃない。」

俺は励まそうとしたがあまり効果がなかった。

エ「とにかく、みんなを捜そう。」

ショ「あ、あぁ、そうだな。」

俺はエルザのたくましく、正義感あふれる後ろ姿を目に焼きつけながら走り出した。 
 

 
後書き
第70話終了!!
ショールって、エルザの前ではどこかぎこちないんですよね。好きなのは変わりないのに・・・
次回はグレイがユモを助けるために敵に立ち向かう!!が、それは恐るべき敵だった!?
お楽しみに~!! 

 

第71話 俺がお前を守る

 
前書き
HELLO♪07で~す♪
今回はグレイがユモを助けるために敵に立ち向かう!!が、思わぬ敵が現れて・・・
もちろん、グレイ目線で書いていきますよ。
それでは、第71話・・・スタート♪ 

 
グ「ユモ~!ユモ~!!」

くっそ、もう1時間近くは捜してるってゆうのに、何で見つからないんだよっ!!その時、後ろで気配がした。

グ「誰だっ!!隠れてないで出て来やがれっ!!」

?「さすがだな。」

ん?この声、どこかで・・・すると、茂みの中から白と黒の仮面を付けたやつが出てきた。

?「また会ったな。グレイ・フルバスター。」

こいつ、何で俺の名前を・・・そいつは顔につけていた仮面を外すと、なぜそいつが俺の名前を知っていたのかが分かった。

グ「!!!」

ハ、ハルト・・・

ハ「覚えてたか。うれしい事だな。」

グ「お前、ギルドに入ってたのか。」

ハ「いや、最近入ったばかりだ。こうしてまた戦えるとは思ってもみなかったがな。」

こいつはユモに・・・!!思い出しただけで腹が立ったきたっ!!

ハ「まさか、ユモスが生きているなんて驚いたぜ。マスターが海の瞳(スィーピュープル)を手に入

れたら、ユモは俺が頂く。いや、ユモの命を俺が頂くと言った方がいいか?」

グ「はぁっ!?」

こいつ、まさか・・・!!

ハ「今度はもっと強力な闇の呪い(ダークカース)をあいつに掛けてやる。また7年・・・いや、今度は5年で闇のどん底に落としてやるさ。でも、ユモスを封じる前に、お前と決着をつけたくてな。こうしてわざわざ出てきてやったんだ。感謝しろよ。」

こいつ、またユモを傷つけようとするのかよっ!!

ハ「俺の本当の強さを、見せてやるっ!!」

グ「上等だ。」

絶対に負けられねぇっ!!

ハ「闇魔法、闇縄ッ!!(ダークロープ)」

ハルトの手から黒くて長い縄が伸びてくる。

グ「アイスメイク、盾ッ!!(シールド)」

防御するが、以前より技の威力が上がってるっ!!

ハ「俺だって力をつけてるんだ。以前みたいにはいかねぇからな。闇魔法、闇球ッ!!(ダークボール)」

黒い球体が俺目掛けて飛んでくる。

グ「アイスメイク、戦斧ッ!!(バトルアックス)」

黒い球体を弾き飛ばし、そのままハルトに攻撃する。

ハ「闇魔法、壁ッ!!(ウォール)」

黒い壁で防がれた。

ハ「さすがだな。グレイ・フルバスター。けどよ、俺も力をつけているんだっ!!闇魔法、闇拘束ッ!!(ダークバインド)」

すると、俺の周りに黒い光がいくつも集まった。

グ「な、なんだこれっ!!」

黒い光は1つに集まり、俺を包み込んだ。

グ「ぐおぁっ!!」

か・・・体が、動か、ねぇ・・・

ハ「闇拘束は動きを封じるだけでなく、1時間もすれば息の根も止める事が出来る。」

グ「!!!」

ハ「つまり、1時間後にはお前も、ユモスも、死の世界にいるって事だ。お前にはユモスを救う事なんかできねぇんだよっ!!俺たちの勝ちってことだっ!!」

・・・さ、させるかよ・・・あいつみたいな、頭が、闇に染まった、バカに・・・ユモは、ぜってぇ~に渡さねぇっ!!俺は体全身から冷気を出し、黒い球体を凍らせて破壊しようとした。

ハ「そんな事したって魔力が無駄になるだけだぜ。」

グ「無駄・・・じゃねぇから、やってるんだろ・・・」

ピキ。

ハ「!!」

ピキ!パキ!

ハ「嘘だろっ!!?闇拘束が・・・」

ピキ!!パキ!!

ハ「破壊された、だと・・・!!」

パリィィィンッ!!!

黒い球体が割れて、俺はなんとか抜け出す事に成功。

グ「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・・」

魔力、使いすぎたか・・・

ハ「拘束から抜け出しただけで安心するなよっ!!闇魔法、闇鎖ッ!!(ダークチェーン)」

ハルトの手から黒い鎖が飛び出してきた。俺はその鎖を掴み取り、素手のみで破壊した。

ハ「なっ!!?」

グ「お前、頭キンキンに冷やした方がいいんじゃねぇのか。」

俺はそう呟くと、

グ「アイスメイク、槍騎兵ッ!!(ランス)」

ハ「うっ!!」

グ「アイスメイク、大鎌ッ!!(デスサイズ)」

ハ「どぉっ!!」

グ「止めの、氷欠泉ッ!!(アイスゲイザー)」

ハ「ぐわぁぁぁぁぁっ!!!」

・・・どうだ?頭、冷えたか?

****************************************************************************************

俺はハルトにユモの場所を聞き急いで向かった。ユモがいるのは森の中にある小さな小屋。場所を聞いたらすぐに見つける事が出来た。俺はドアを蹴り破る。薄暗くて、少しカビ臭かった。小屋の中には、

グ「ユモ!!」

柱に縄で縛り付けられているユモがいた。俺はすぐに駆け寄ると、

グ「おい、ユモ!ユモ!!」

肩を摑んで上下に揺さ振る。

ユ「・・・う~ん?グ、グレイ・・・」

無事・・・みたいだな。相変わらず心臓に悪いぜ。

ユ「!ハ、ハルトは!?」

起きて早々これか。ユモもハルトがいるのを知ってたんだな。

グ「なんとか倒した。またお前の事を襲ってくるかもしれな・・・お、おい/////////////////」

ユモが俺に抱きついてきた//////////////////////ユモの体は震えていた。怖かったんだな。無理もねぇか。つい最近あいつに命を消されそうになったからな。俺は震えているユモの背中をそっとさすってやった。

グ「大丈夫だ。俺が必ず、お前を守ってやる。約束だ。」

ユ「・・・ぅん。」

俺はそう決意した。すると、今頃になって魔力を使いすぎた影響がでてきたのか、俺はユモに抱きつかれた状態のまま気を失った。 
 

 
後書き
第71話終了~♪
またユモが狙われそうですね。グレイ、ちゃんと守ってあげなよ!
次回はリョウがルーシィを救うため敵に立ち向かう!!
次回お会いしましょう~♪ 

 

第72話 聖十VS聖十

 
前書き
ヤッホー☆07です☆
今回はリョウがルーシィを助けるために立ち向かう!!その相手は・・・!?ちょっとシリアスかもしれません。
もちろん、リョウ目線で書いていくよ☆
それでは、第72話・・・スタート☆ 

 
リョ「ルーシィ~!!ルーシィ~!!どこだーーーーーっ!!!」

白黒の仮面のやつ等、絶対に許さねぇっ!!ぶん殴ってやるっ!!

?「お前にそれが出来るのか?」

リョ「!誰だっ!!」

いつの間にか俺の背後に白と黒の仮面を付けた変なやつが立っていた。

リョ「お前、白黒の仮面(モノクロマスク)の幹部の1人だな。ルーシィはどこだっ!!」

?「やれやれ、こんなやつを聖十に選んだ評議院の頭もどうかしてるな。」

リョ「なんだと・・・もういっぺん言ってみろっ!!」

俺の怒りは頂点を達していた。そいつはゆっくり仮面を外すと・・・

リョ「ジ、ジン・・・」

ジ「久しぶりだな。リョウ。」

何で、ジンが・・・?まさか、白黒の仮面の幹部の1人なのか・・・

ジ「訂正すると、白黒の仮面の幹部のリーダーだ。」

マ、マジかよ・・・

リョ「まさか、ジンがここの魔道士とは、思ってもみなかったぜ。」

ジ「それはお互い様だ。お前が妖精の尻尾の魔道士で、彼女ができたとはな。」

!!まさか、それを知っててルーシィを・・・

リョ「お前等の、お前等のマスターの目的は何だ。白状しろっ!!」

ジ「おいおい、先輩に向かってその口の利き方はなんだ。俺はお前と勝負をしたくて、彼女を人質
にして、お前を呼び寄せただけだ。」

リョ「そんなくだらねぇ事だけで、ルーシィを傷つけたのか。」

ジ「あぁ。そのとおりだ。」

最低だ・・・

ジ「さぁ始めよう。2年ぶりだ。どっちの方が強くなったかな?」

ジンは首から提げてあった聖十の称号のペンダントを取り出した。そう、ジン・サンキシャ。こいつも聖十の1人だ。俺が聖十になる2年前に聖十の称号をもらった人物だ。

リョ「生憎だが、俺は今お前と勝負をするつもりはない。お前を倒して、一刻も早くルーシィの居場所を聞くのが優先だ。」

俺は聖剣(エクスカリバー)を1本抜くと、ジンに向かって、

リョ「竜桜切ッ!!」

俺の背後に青いドラゴンが浮かび上がる。

ジ「遅い!」

あっさりかわされた。

ジ「スピードが2年前と変わらないな。彼女と遊びすぎたか?」

リョ「黙れ。」

ジ「我と、心繋ぎし、姿を現すがよい!暗黒の騎士、イビアン!!」

青い魔法陣から銀色に輝く鎧をまとった騎士が現れた。ジンの魔法はマヤとトーヤと同じ召喚魔法の一種、騎士召喚(ナイトズ)だ。

ジ「イビアン、目の前にいる者を蹴散らせっ!!」

イビアンは持っていた槍で俺に突進してきて槍を振りかざす。俺はかわす事ができたが、頬に掠り傷ができた。俺はもう1本の聖剣を抜くと、イビアンを追い越し、ジンに向かって、

リョ「2剣流、速刀殺切ッ!!」

ものすごいスピードでジンに向かって振りかざしたが、俺の攻撃は駆けつけたイビアンによって防がれた。

ジ「イビアン、黒槍ッ!!」

イビアンの持っていた槍が黒く光りだす。それを俺に向かって投げた。俺はそれをしゃがんで避けた。が、槍はまるで操られてるかのようにUターンし、また俺に向かって飛んできて・・・

リョ「ッ!!!」

俺の背中に突き刺さった。背中から生暖かいものが伝ってくるのがわかる。黒槍はちりとなって消えて俺はその場に膝から崩れ、力なく倒れた。

ジ「ずっと憎んでたんだよ。お前の事。」

リョ「ガッ!!!」

ジンに頭を踏まれる。

ジ「俺よりも2年も遅く聖十になったのに、今ではお前のほうがランクが上がっている。ずっと憎かったんだよっ!!お前がなっ!!!」

リョ「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

さっきよりも強く踏まれる。

ジ「船でお前を見た時、これはチャンスだと確信したんだ。あの女を人質にすれば、必ずお前が来ると予測していたんだっ!!」

リョ「そ、それだけで・・・ルー、シィを・・・」

ジ「リョウ・ジェノロ、お前はここで消えろーーーーー!!!」

今すぐにでもこいつをぶっ倒して、ルーシィを助けに行きたいが、体に力が入らない。やべぇ、気が、遠くなってきやがった・・・その時、

レ「獅子王の輝きッ!!(レグルスインパクト)」

ジ「ぐぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

リョ「え・・・?」

光を纏った拳で倒されるジン。ジンを倒したやつは・・・

ル「リョウ~!!」

レ「大丈夫?」

リョ「ルーシィ・・・めがね、野郎・・・」

な、何で、ここに・・・?

ル「レオ(ロキ)は時々勝手に出てきちゃうのよ。」

レ「それで、縄で縛られているルーシィを見つけて、君を捜してたらこの有様さ。」

めがね野郎に殴られたジンはすっかりのびている。

ル「リョウ!!ど、どうしたのいったい!?」

リョ「あ、あぁ・・・や、槍が、刺さっちまって・・・ハハハ・・・」

レ「かなり深く刺さったみたいだね。誰か来ればいいんだけど・・・」

すると、

ウェ「ルーシィさ~ん!!」

ショ「リョウ~!!」

うわさをすれば、やっぱり人は来るんだな。

グ「お、お前!!」

ト「あわわわわわ・・・」

みんな俺を見て顔を青くする。そりゃそうか。着ていたはかまが緑から真っ赤になってるもんな。

ト「我と、心を通わせ、姿を現せ!出て来い!ミイラ!」

紫色の魔法陣からミイラが出てきた。

ト「ミイラ、包帯を分けてくれないかな?」

ミイラは頷くと、トーヤに包帯を渡した。

ト「ありがとう。これで何とかなりませんか?」

リョ「サ、サンキュー、トーヤ・・・」

****************************************************************************************

エ「リョウ、歩けるか?」

リョ「あ、あぁ何とか。悪いなみんな。」

俺はルーシィとグレイに支えてもらいながらゆっくり歩く。後でめがね野朗にも礼言わねぇとな。

ユ「そういえばルーシィ、ティアラは盗られたの?」

ル「うん。そうみたい・・・」

エルザとウェンディとユモも盗られたみたいだな。

シャ「ナツたちはどうなったのかしら?」

ショ「たぶん大丈夫だとは思うけど。」

ウェ「海の瞳(スィーピュープル)を5つ集めると願いが1つだけ叶う。」

ル「それって本当なの?」

俺も海の瞳の事は知ってたけど、そんな伝説は聞いた事もない。

グ「ただの迷信じゃないのか?」

エ「だといいんだが・・・その伝説が本当なら、急がないとまずいな。」

ト「で、でも、リョウさんが・・・」

あちゃ~、俺足手まといになってるか・・・

ル「みんな先に行って。リョウは私が連れて行くから。それに、この中だと私が一番戦力にならないし。」

ルーシィ・・・

ユ「どうするのエルザ?」

エ「・・・ルーシィ、リョウを頼んだぞ。」

ル「任せといて!!」

エ「行くぞっ!!」

エルザを先頭に、ショール、ウェンディ、シャルル、トーヤ、グレイ、ユモはナツたちを捜しに森の中を走って行った。

リョ「・・・ルーシィ、ゴメンな。」

ル「いいのいいの。私もいつもリョウに迷惑掛けてるし。今回は私がリョウに恩返しする番よ。」

リョ「ありがとう。俺たちも出きるだけ急ごう。」

ル「うん。でも、無理しないでね。」

俺はルーシィに支えてもらいながらゆっくりゆっくり、ナツとマヤとハッピーとフレイを捜し始めた。 
 

 
後書き
第72話終了~☆
リョウが珍しく救われましたね。レオ(ロキ)も久々に登場させてみました~☆
次回はナツ&ハッピー&フレイがマヤを助けるために立ち向かう!!その相手は・・・!!
それでは次回お会いしましょう~☆ 

 

第73話 2人の冷血滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)

 
前書き
はいど~も~!07です!!
今回はナツ&ハッピー&フレイがマヤを助けるために立ち向かう!!その相手は・・・!?
途中で目線が変わります。最初はナツ目線でいきます!
それでは、第73話・・・スタート!! 

 
ナ「マヤ~!!」

ハ「マヤァ~!!」

フ「聞こえたら返事しろ~!!」

森に俺たちの声だけがこだまする。くそっ!近くでマヤのにおいがするのに、何で見つからねぇんだよっ!!

?「あ~うるさい。」

?「もうちょっと静かにしてくれよ。」

ナ「誰だっ!!」

後ろを振り返ると、白と黒の不気味な仮面をつけた2人が木の上に立って俺たちの事を見下ろしていた。

ハ「ナツ、フレイ、こいつら白黒の仮面(モノクロマスク)のやつらだよ!」

?「猫にしちゃあ詳しいな。」

ナ「ハッピーをバカにするんじゃねぇっ!!」

?「だから静かにしてとさっきから言っている。」

そいつらは仮面を外すと、

ノ「俺はノーヴェ・グラシー。白黒の仮面の幹部の1人。」

シ「同じく、シロマ・ホワイト。」

ノートは水色のボサボサ頭に、青い瞳。シロメは背中がすっぽり隠れる純白の髪に、右目が黒で左目が水色の瞳。てか、な、何だこいつらの目・・・ずっと見てたら凍りつきそうだ・・・

ノ「俺はノーヴェだ。お前等、動物姫(アニマルプリンセス)の事を捜してるみたいだな。」

氷みたいな青い目で、ノートが俺たちに問う。

フ「マヤはどこだ。」

シ「私たちに勝つ事が出来たら、教えてあげてもいいわよ。ただし・・・」

ノ&シ「生きて勝つ事ができたらの話だけど。」

お前等、すっげぇ~息ぴったりじゃねぇか。

ナ「さっさと終わらせるぞ!!火竜の・・・鉄拳ッ!!」

俺の攻撃は簡単にかわされた。

フ「ファイアメイク、炎の渦ッ!!(ファイアトルネード)」

人間の姿になったフレイも攻撃するがこっちも簡単にかわされた。

フ「ナツはノーヴェを頼む。シロマは俺がやる!」

ナ「おっしゃ~!!火竜の・・・鉤爪ッ!!」

俺はフレイの言うとおり、ノートに攻撃する。

ノ「人の名前を間違えるな。俺はノーヴェだ。」

訂正しながらも冷静に俺の攻撃をかわす。フレイもシロメにかわされたみたいだな。

シ「私はシロマよ。」

あれ?違ったか?

ノ「今度は俺たちからだ。氷竜の・・・」

シ「雪竜の・・・」

フ「お、おいナツ・・・!!」

ハ「こいつ等、まさか!!」

ナ「滅竜魔道士!?(ドラゴンスレイヤー)」

ノ&シ「咆哮ッ!!」

ナ「火竜の・・・咆哮ッ!!」

俺は驚きながらも向かい打つ。3つの咆哮がぶつかり合い、ドドガガガァァァァァンッ!!!と爆発した。砂煙が宙を舞う。

ナ「・・・お、お前等も滅竜魔道士なのか・・・!?」

ノ「そうだ。俺は氷竜、アイスティリアに育てられ、体に氷の滅竜魔法の魔水晶(ラクリマ)を埋め込んでいる。」

ナ&ハ&フ「!!??」

シ「私は雪竜、スノーフィリスに育てられ、体に雪の滅竜魔法の魔水晶を埋め込んだの。」

竜(ドラゴン)に育てられて、体内に滅竜魔法の魔水晶を埋め込んだ・・・とゆう事は・・・!!

フ「第3世代の滅竜魔道士か・・・」

ハ「しかも2人・・・どうするのナツ?」

ナ「決まってるだろ。こいつ等をぶっ飛ばして、マヤを助けるだけだっ!!」

ノ&シ「それはどうかな?」

相手は氷と雪だ。炎のほうが有利だぜ。

ナ「いくぞハッピー!」

ハ「あいさー!」

俺は空中からノートに向かって、

ノ「俺はノーヴェだっ!」

ナ「火竜の・・・翼撃ッ!!」

ノ「氷竜の・・・氷嵐舞ッ!!」

ナ「うおぉぉぉっ!?」

ハ「あい!?」

ものすごい強い風と氷のつぶてがいてぇ~!!フレイは・・・

フ「ファイアメイク、噴火ッ!!(イラプシャン)」

シ「雪竜の・・・雪夜乱ッ!!」

フ「どわぁ!!」

あっちも結構苦戦してるな。

ノ「シロマ。」

シ「了解。」

ん?何だ何だ?

ノ「アイスドライブ。」

シ「スノードライブ。」

白い光がノートとシロメを包み込む。

ハ「ナツ、また名前間違ってるよ。」

そうか?別にいいんじぇねぇの?

ノ&シ「いくないっ!!滅竜奥義ッ!!」

ナ&ハ&フ「!!!」

ノ「超・氷乱氷結ッ!!」

シ「改・雪扇流羽ッ!!」

ドドドッガガガガガァァァァァァァンッ!!!!!

ナ「う・・・」

ハ「ナ、ナツ・・・フレ、イ・・・」

フ「あ、ぁ・・・」

2人の滅竜奥義が直撃した。体が凍ったみたいだ・・・

ノ「まだ生きてるのか。その粘り強さは認めよう。」

シ「でも、さっさとくたばったほうがいいのに。」

ノートが氷のような青い瞳で、シロメが雪のような黒と水色の瞳で俺たちを見下ろす。こ、こいつ等の目・・・冷てぇ・・・

ノ「いい加減名前を間違えるな。」

こんな状況でよく訂正出来るな・・・

ノ「もう少しで、レプスさんの野望が叶う。」

シ「そして、世界は私たち、白黒の仮面のもの。」

こいつ等、くだらねぇ夢のために、ここまでするのかよ・・・!!

ナ「・・・・な。」

ノ「あ?何だって?」

シ「全く聞こえませ~ん。」

ナ「ふざけるなって言ってんだっ!!バカやろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

俺の体から炎が噴き出る。

ノ「あれほどの攻撃を受けて、まだ立ち上がれるのかっ!?」

シ「こんなやつ、初めてだわっ!!」

俺はノートとシロメを睨むと、

ナ「お前等のくだらねぇ野望・・・俺が止めてやる。」

ノ&シ「やれるものならやって・・・」

ナ「火竜の・・・煌炎ッ!!」

ノ「!!こ、こいつ・・・!!」

シ「人の話は最後まで聞きなさいっ!!」

んなもの知るかっ!!

ナ「火竜の・・・剣角ッ!!」

ノ「ぐわぁぁぁぁぁっ!!」

シ「きゃあぁぁぁぁぁっ!!」

遠くまで吹っ飛ぶ。その反動で木も次々倒れていく。

フ「や、やったか?」

ナ「いや、まだ気配が感じ・・・ぐおっ!!」

ハ「ナツ!!うわぁ!!!」

フ「どわぁぁぁ!!」

傷だらけのノートとシロメがものすごいスピードで殴ってきた。

ノ「どうやらお前等には・・・」

シ「『死』を与えないとダメみたいね・・・」

すると、ノートの顔や体に水色の模様が浮かび上がり、シロメの顔や体に白い模様が浮かび上がった。こ、これって!!

フ「ドラゴンフォース・・・」

ハ「スティングやローグと一緒だよ。」

こいつ等も・・・

ノ「おぉりゃぁぁぁぁぁっ!!!」

シ「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

ナ「ぐわぁぁぁ!!!」

ハ「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

フ「どわぁぁぁぁぁ!!!」

つ、つえ~・・・でも、俺はよろめきながらも立ち上がる。フレイも、ハッピーも立ち上がる。

ノ「まだ立つか。」

シ「しぶとい妖精ね。」

ナ「俺は仲間を救うまで、ぜってぇ~に倒れねぇからなっ!!!」

ノ「つべこべ言わずにさっさと倒れろっ!!シロマ!!」

シ「了解!!」

ノートとシロメは腰を低くして同じ構えをとる。

ハ「ま、まさか・・・!!」

フ「合体魔法ッ!?(ユニゾンレイド)」

ノートとシロメの周りにいくつもの青白い光の球体が集まる。俺はハッピーとフレイの前に立ちはだかる。

ハ「ナツ・・・?」

ナ「フレイ、ハッピーを頼む。」

フ「はぁっ!?まさかお前!1人であれを受け止めようとしてるのかっ!?」

ハ「無理だよナツ!!さっきもダメージをあんなに受けたのに、これも食らったら・・・」

ナ「いいからお前等は非難しろっ!!」

俺はハッピーの言葉を遮って怒鳴る。

ハ「ナツがいるならおいらもい・・・ってわぁ!!フレイ何するんだよっ!!」

ハッピーが言い終わる前に、フレイが鳥の姿に戻って、足でハッピーの尻尾を摑んで飛び上がる。

フ「ここはナツを信じろ!!ナツはお前の相棒なんだろっ!!」

ハ「!!・・・ナツゥ~~~!!絶対防いでよ~~~~~っ!!」

あぁ、わかってるぜ、相棒。俺はフレイとハッピーの姿が遠くに行くのを確認すると、腰をかがめた。いつの間にか、青白い球体は1つに集まり巨大化していた。

ノ&シ「合体魔法、氷雪・冷白青光砲ッ!!!」

巨大な光の球が俺に向かって放たれた。

ナ「滅竜奥義・・・」

俺が、ギルドを、仲間を、必ず守るっ!!!

ナ「紅蓮爆炎刃ッ!!!」

ドドッガガガァァァァァン!!!

ノ&シ「弾き飛ばしたぁっ!?」

俺は巨大な光の球を弾き飛ばし、そのままノートとシロメに突っ込んでいく。

ナ「おぉぉぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

ドドッガガガァァァァァン!!!

****************************************************************************************

俺の滅竜奥義を食らったノートとシロメは地面に倒れて気を失った。

ハ「ナツゥ~!!!」

ハッピーが泣きながら俺に飛びついてきた。

フ「随分派手にやったな。」

鳥の姿に戻ったフレイが辺りを見て言う。俺が戦っていた周りは黒焦げになっていた。

フ「てゆうか、あの2人倒してよかったのか?」

ハ「マヤの場所を聞くんじゃなかったの?」

ナ「だぁーーーっ!!すっかり忘れてたーーーーーっ!!」

ハ&フ「普通忘れないよ・・・」

ハッピーとフレイに突っ込まれたのはあえてスルーして、

ナ「おい!ノート!マヤはどこだっ!!」

俺は倒れているノートの体をぶんぶん揺する。ノートは薄っすら片目を開けると、ゆっくり右手を上げて人差し指だけを立てて右の方向を指差した。

ノ「こ、この先にある・・・小屋の、中だ・・・後、俺はノーヴェだ・・・」

そう言って気を失った。最後は何言ってるかわかんなかったけどよ。

ナ「フレイ、マヤを頼んだぞ。」

フ「はぁっ!?今度は俺1人かよっ!?てゆうか、今度はどこに行くんだよ。」

ナ「・・・レプスをぶっ飛ばしてくる。行くぞハッピー!!」

ハ「あいさー!!」

俺はハッピーと一緒に今度はレプスを捜しにいった。レプス・・・首を洗って待ってろよっ!!!

****************************************************************************************

            『ここからフレイ目線でいきます。』

俺は森の中に建っていたボロイ小屋の中でマヤを見つけた。マヤは眠っていた。こんな状況でよく寝ていられるよな。小屋から出てしばらくすると、

ト「フレイさ~ん!!」

ユ「マヤ~!!」

エルザとショールとグレイとユモとウェンディとトーヤとシャルルが来た。

ショ「あれ?ナツとハッピーは?」

フ「レプスを倒しに行った。」

フ以外「はぁぁぁぁぁぁぁっ!!!???」

全員揃って驚嘆の声を上げる。

グ「あのバカ!何やってんだよあいつはっ!!」

エ「フレイ!なぜ止めなかったっ!!」

エルザ、俺に怒るなよ・・・

フ「あいつなら絶対大丈夫だ。レプスをぶっ倒して、笑って帰って来るさ。それより、お前等こそルーシィとリョウはどうしたんだ?」

ウェ「リョウさんが怪我をして、ルーシィさんとゆっくりこっちに向かっていると思います。」

へぇ~、あのリョウが怪我ね~。

シャ「ところで、指輪は?」

そうだった!俺はマヤの左薬指を見た。海の瞳(スィーピュープル)ががついた銀色の指輪はマヤの左薬指から姿を消していた。

ト「やっぱり、盗られちゃいましたね・・・」

ユ「ナツがなんとかしてくれればいいんだけど・・・」

空は薄暗くなっていた。 
 

 
後書き
第73話終了!!
次回はいよいよ白黒の仮面との最終決戦!!ナツはレプスの野望を阻止することができるのか!?世界の運命はナツに託された!!
絶対に見逃すな!!! 

 

第74話 世界はみんなのもの 

 
前書き
HELLO~♪07で~す♪
今回は妖精と仮面の最終決戦!!最強チームと世界の運命は!?全てはナツに託された!!
ナツ目線で書いていきますよ~♪
それでは、第74話・・・スタート♪ 

 
俺とハッピーは木を避けながら俺の鼻を頼りにレプスを捜していた。

ハ「ナツ、魔力は大丈夫なの?」

ナ「なっ!何言ってるんだよハッピー。全然大丈夫だっつーの!!」

ハ「そんな風には見えないよ・・・」

・・・やっぱ、ばれてたか。ノートとシロメと戦った時にかなり魔力消費しちまったもんな・・・どっかに火でも落ちてねぇかな?

ハ「ノーヴェとシロマだよ。それと、火が森の中に落ちてるわけないじゃん。レプスを倒したい気持ちはおいらにも分かるけど、後先考えて行動しようよ。こんな事になるなら、最初からグレイかリョウかエルザに任せた方がよかったのに・・・」

カッチン!

ナ「んだとハッピー!!俺があいつらよりも弱いってことか!?」

ハ「おいらそんな事言ってないよっ!!」

俺等が飛びながら喧嘩してると、

レ「騒がしい妖精だ。」

ナ&ハ「いたーーーーーっ!!」

相変わらず不気味な白と黒の仮面を付けたレプスがいた。レプスの傍にあった岩の上に、海の瞳(スィーピュープル)がついたネクタイ、ティラミス、ブロック、イカリング、指輪が並べられていた。

ハ「ナツ、指輪しかあってないよ・・・なんでアクセサリーが食べ物になっちゃうのさ。」

ナ「そんなのみんな一緒だろ。早くあいつぶっ飛ばすぞ!!」

レ「しつこいな。ラトーナ、近づかせるな。」

ラ「OK。」

レプスの背後から1人の男が出てきた。もう1人いたのかっ!

ラ「レプスには近づかせないぜ。」

ナ「そんなのやってみねぇとわかんねぇだろっ!!いくぞハッピー!」

ハ「あいさー!」

俺は空中から、

ナ「火竜の・・・鉤爪ッ!!」

ラ「サークルフォーメーション!」

すると、俺の攻撃は木や花、草に防がれたぁ!!

ラ「俺の魔法、自然憑(しぜんつき)だ。」

ハ「ビックスローの魔法と同じだ。」

やっかいな魔法だな。

ラ「今度は俺だ。ネイチャフォーメーション!!」

木の枝や尖がった葉っぱが襲い掛かってくる。

ナ「ハッピー!!」

ハ「あいさー!!MAXスピード!!」

ハッピーがMAXスピードで必死に逃げ回る。が、逃げても逃げても、尖がった葉っぱは俺たちの事を追いかけてきやがる!すると、

ハ「うわっ!」

ナ「ハッピー!お?おぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

ハ「ナツゥ~!!」

ハッピーに攻撃が当たって俺は真っ逆さまに落ちる。

ハ「ナァァァツゥゥゥゥゥッ!!」

地面すれすれでハッピーが助けてくれたけどよ・・・

ナ「うぷ・・・」

や、やっべ・・・酔った・・・うぉぉぉ・・・

ラ「酔ったのか?今がチャンスだ!もう一度ネイチャフォーメーション!」

やべ・・・当たる・・・おぅ・・・

ハ「うわぁぁぁぁぁぁ!!」

ナ「ハッピー!?」

ハッピーが俺を庇って傷だらけになりながら地面に落ちた。俺も地面に背中から落下する。が、空中で体勢を立て直し、ドスゥゥゥンと音を立てながら着地する。

ラ「動物に助けられるとは、お前も運がいいな。」

ナ「・・・・・・・・・・・ねぇ。」

ラ「?」

ナ「ハッピーはただの動物じゃねぇ!!俺たちの仲間だっ!!」

俺は体から炎を噴射し、

ナ「火竜の・・・咆哮ッ!!」

ラ「サークルフォーメーション!」

ラトーナは防ぐが、

バキ。

ラ「!?こいつ、魔力が上がっている!!」

ナ「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

バキ、バキバキ!

ラ「バカな!!」

ナ「だらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

ラ「ぐぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

ラトーナは木々を倒しながら遠くまで吹っ飛んでいった。・・・まずは、1人。次は、

ナ「お前だ。」

俺はレプスを睨み付ける。レプスはラトーナが吹っ飛んでいった方を見つめていた。その目が驚きにより見開いていた。

レ「バカな。ラトーナがこんなに早く倒されるとは・・・!!」

驚嘆の声を上げた。

ナ「ごちゃごちゃうるせぇ!!いいからとっととその野望やめろぉぉぉ!!」

レ「そう簡単に止める事はできん。ついに俺の願いが叶う時がきたのだから。」

こいつの頭、腐った牛乳みてぇだ。

レ「ず、随分と変わった例え方だな・・・」

ナ「んな事どうでもいいだろ。お前がなんでそこまで世界を支配したいのか知らねぇが、このままでいいじゃねぇか。」

レ「お前に何がわかる。」

ナ「んじゃあお前は世界の何を知ってるんだよ?みんなが笑って、楽しければそれでいいじゃねぇか。お前は、笑っているやつから、笑顔を取り上げるんだぞっ!!」

レ「笑顔なんかこの世には必要ない。」

ナ「!!!???」

俺は言葉を失った。そんな俺を無視して、レプスは話し続ける。

レ「この世界は君がさっき言ったみたいに腐った牛乳のようだ。俺はこんな腐った世界を1から作り直す!!そして、世界は俺のも・・・はぁぁぁぁぁ!!!」

ナ「・・・くだらねぇ。」

俺は伏せていた視線をレプスに向ける。

ナ「お前の頭の方が腐った牛乳みてぇじゃねぇかっ!!」

レ「何だと・・・!!!」

ナ「世界はお前のものじゃねぇ!!この世界のみんなのものだ!!!俺がお前の頭を1から考え直させてやる!!!火竜の・・・鉄拳ッ!!」

レ「ぐお!!」

ナ「翼撃ッ!!」

レ「ぐは!!」

ナ「煌炎ッ!!」

レ「どわぁ!!」

ナ「紅蓮火竜拳ッ!!!」

レ「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

ドガガガガガァァァァァァァァァァン!!!!!

****************************************************************************************

マ「ナツ~!!」

フ「ハッピー!!」

しばらくしたらエルザたちが来た。おっ!マヤ復活したのか!!

ト「ハッピーさん大丈夫ですか?」

ハ「あ、あい・・・何とか。」

ナ「ありがとなハッピー。」

ハ「あい。」

リョ「しっかしまぁ、またまた随分派手にやったな。」

リョウとルーシィが来た。何でお前等別々に来たんだ?

ル「リョウが怪我してゆっくり来てたのよ。」

マ&ハ「でぇきてるぅ~。」

ル「あのね~・・・」

エ「ところでナツ、海の瞳はどこだ?」

あぁそういや・・・

ユ「あ、あのさ・・・」

グ「どうしたユモ?」

ユ「う、海の瞳が・・・光ってる・・・よ。」

え?俺たちは海の瞳が置いてある岩に視線を一斉に移す。ユモが言ったとおり海の瞳が青白く光っていた。すると、

バコォォォン!砂煙が上がった。

全「えぇーーーーーーーーーーーーーっ!!!???」

ば、爆発したぁぁぁぁぁっ!?するとショールがポンッ!と手を叩く。

ショ「そうだ思い出したっ!!海の瞳は5つ集まってから30分の間に願い事を言わないと爆発するって本に書いてあったんだっ!!」

ショ以外「それをもっと早く言えっ!!!」

なんだよ、俺が戦った意味ねぇじゃん。

シャ「まっ、何はともあれ、助かったじゃない。」

フ「シャルルの言うとおりだな。」

ウェ「でも、イツキさんは・・・」

そういえば、あいつが見つけたんだよな。

エ「その時はその時だ。」

ル「そんな終わり方でいいのかしら・・・?」

ま、まぁ、エルザが言ってるんだから仕方ねぇよ。

エ「よし、ギルドに戻るぞっ!」

エ以外「あいさーーーーーーーーーーーー!!!」

こうして、妖精と仮面の戦いは幕を閉じた。 
 

 
後書き
第74話終了~♪
世界を支配することって、実際にできるんでしょうか?これは小説なので書いただけですが・・・
次回はギルドの倉庫で・・・
それではバイバ~イ♪ 

 

第75話 未来を語る本

 
前書き
ど~もど~も!07でございます!
今回はギルドの倉庫で見つけた古い本のお話です。
ユモス目線でいきます。
それでは、第75話・・・スタート!! 

 
白黒の仮面(モノクロマスク)との戦いから数日後、評議委員によって白黒の仮面は解散命令を下されて、リョウが戦ったジン・サンキシャってゆう人は聖十の称号を剥奪された。まぁ当然の事だけど。海の瞳(スィーピュープル)の事は、マスターからイツキさんに説明してもらったの。イツキさんはなぜか喜んでいたみたいだけど。ちなみに、私が今何をやっているかと言うと・・・ギルドの倉庫で調べものしてたんだ。ギルドにある本や資料ってものすごく詳しく載っているんだよね。えっ?私が何を調べているかって?デリオラの事だよ。まぁ私もデリオラと実際に会ってるんだけど、あんまりよくわからないし。10年も前の出来事だから・・・でも、さすがにギルドの本や資料にもデリオラの事はあまり詳しく分からなかった。

ユ「無駄足だったか・・・」

私は読んでいた本を閉じる。閉じた拍子に埃が舞い上がる。

ユ「はぁ~、疲れたぁ~・・・」

私は両腕と両足を思いっきり伸ばす。さ~て、寮に戻ったら何しようかな?考えながらはしごに上って本を元の場所に戻そうとしたら、はしごが少しだけ傾いた。

ユ「えっ?」

その拍子に私は1冊の本を手に引っ掛けちゃって、

ユ「キャア!!」

ズササササササササとドミノ倒しみたいに私の方に倒れてきた。もちろん、私は本の下敷きに。埃だらけの本から這い出る。

ユ「ぷはぁ~!ゴホッ!ゴホッ!痛たたた・・・」

あ~あ、今日は運が悪いな・・・ちゃんと片付けないとエルザに怒られるし・・・うぅ、想像しただけで寒気が・・・急いで片付けないと日が暮れちゃう!!私は服に付いた埃を掃うと、本を元の場所に戻し始めた。

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1時間後、やっと最後の1冊だ。はぁ~、疲れたぁ~・・・はしごに上って本棚に戻そうとした手を止める。その本の表紙には、「FUTURE TALK BOOK」と金色の文字で書かれていた。

ユ「・・・未来を、語る、本?へぇ~、なんか面白そう!ちょっと読んでみよう!」

私はその本を片手にはしごから下りると、本棚に寄り掛かってその場でしゃがんで読む事にした。その本はかなり前からここにあるみたいでものすごく古そうな本だった。私は本の1ページ目をそっと開く。最初は「XXXX年X月X日 妖精の尻尾誕生&初代マスター、メイビス・ヴァーミリオン」と書かれていた。

ユ「え?何これ?」

まるで日記みたい。これと似たようなことが書かれていた。しばらくページを読んでいくと、「XXXX年X月X日、2代目マスター、ブレヒト」と書かれていた。

ユ「これって、妖精の尻尾のことが書かれている本なのっ!?」

さらに読み進んでいくと、「XXXX年X月X日、3代目マスター、マカロフ・ドレアー」

ユ「マスター、この日にマスターの座を受け継いだんだ。」

そしてどんどん読んでいくと、みんながオヤジと呼んでいるギルーダーツや、マカオにワカバにリーダスが加入していく。みんな若いなぁ~。そして、「X771年X月X日、カナ・アルベローナ加入」と書かれていた。

ユ「カナって、13年前にギルドに来たんだ!!」

更に読んでいくと、「X774年X月X日、グレイ・フルバスター加入」と書かれていた。

ユ「へぇ~、グレイも結構前からこのギルドにいたんだ。」

更に更に読んでいくと、「X776年X月X日、エルザ・スカーレット加入」「X777年X月X日、ナツ・ドラグニル加入」と書かれていた。

ユ「この本、誰が書いてるんだろ?マスターが受け継ぎながら書いてるのかな?」

更に更に更に読んでいくと、「X778年X月X日、ミラジェーン・ストラウス、エルフマン・ストラウス、リサーナ・ストラウス加入&X月X日、卵からハッピー誕生」と書かれていた。

ユ「そっか、ミラさんとエルフマンとリサーナは3人兄弟だもんね。とゆうか、ハッピーって卵から生まれたんだ・・・」

更に更に更に更に読んでいくと、「X780年X月X日、エルザ・スカーレットS級魔道士昇格試験合格」「X781年X月X日ミラジェーン・ストラウスS級魔道士昇格試験合格」と書かれていた。

ユ「エルザは15歳、ミラさんは16歳でS級魔道士になったんだ・・・すごいな。」

その次は、「X784年X月X日、ルーシィ・ハートフィリア加入&X月X日、ガジル・レッドフォックス、ジュビア・ロクサー加入&X月X日、ウェンディ・マーベル、シャルル加入&X月X日、マヤ・ララルド加入&X月X日、リョウ・ジェノロ加入&X月X日、ユモス・クオリナ加入&X月X日、ショール・ミリオン加入&X月X日、トーヤ・ファイン加入」と書かれていた。

ユ「うわぁ、この年こんなに加入した人いたんだ・・・って、784年まだ続きがある!!」

自分でも読むのが疲れてきた。一番最後のページを見てみると・・・

ユ「あれ?白紙?」

最後のページには何も書かれていなかった。最後に文が書かれているページに戻って読んでみると、「X785年X月X日、最強チーム、白黒の仮面を討伐」と書かれていた。

ユ「すごいつい最近ことだ。」

その時、白黒の仮面を討伐と書かれた隣に、「X月X日、最強チーム、クエストに行く」とゆう文字が浮かび上がった。

ユ「えぇっ!?な、何これっ!?文字が勝手に・・・」

その時、倉庫の入り口のドアが開くと、

グ「お~いユモ、クソ炎がクエストに行くぞだってよ。お前も来いよ!!」

とグレイが知らせに来てくれた・・・って、

ユ「グ、グレイ、今何て・・・」

グ「ん?だから、クソ炎がクエスト行くぞだって。」

う、嘘・・・私はもう一度本に視線を戻し、さっき浮かび上がってきた文を読んでみた。・・・同じだ。今グレイが言った事と、全く同じ事が書かれている。この本・・・いったい何なの?

グ「どうしたユモ?行けないのか?」

ユ「あ、ううん、行けるよ。すぐに行くから入り口で待ってて。」

グ「おう。すぐ来いよ。」

グレイが倉庫を出て行ったのを確認して、私はさっき途中で読むのを止めたページの続きに戻った。そこには、妖精のギルドで今まで起こった出来事が全て書かれていた。しかも、「X月X日、ユモス・クオリナが闇の呪い(ダークカース)に封じられるところをグレイ・フルバスターに助けられた。」と書かれていた。・・・可笑しい。この事は私とグレイしか知らないはず。私はもちろん、グレイもこんなものを書いてるはずがない。とゆうか、私とグレイがいなかった時代の出来事を書けるはずがない!だとすると、考えられる事はただ1つ、

ユ「この本・・・未来を予測してるの・・・?」

未来を語る本、「FUTURE TALK BOOK」・・・何となく、私はこの本の題名の意味が分かったような気がした。するとまた倉庫のドアが開いた。

グ「お~い!ユモ、どうした?」

グレイが様子を見に来た。

ユ「あぁゴメン!今行くところ!!」

私は荒々しく本を閉じると、本を床に置きっぱなしにしたまま、グレイと一緒に倉庫を出た。すると、私が倉庫のドアを閉めたのと同時に、風も吹いていないのにページが勝手に一番最後の文が書かれているページに開き、その隣に「X月X日、最強チーム、クエスト成功」とゆう文字が浮かび上がった。 
 

 
後書き
第75話終了~!!
ユモが見つけた魔法の本はいったい?作者にも全くわかりません。
次回はいよいよあの人が帰ってきて、あのときがやって来た!!!
お楽しみに~!! 

 

第76話 S級魔道士昇格試験!! 

 
前書き
はいはいはぁ~い!07で~す!
今回はあの男が帰ってきた!!そして、ついにこのときが来たーーーーー!!!
マヤ目線で書いていきますよ。
それでは、第76話・・・スタート!! 

 
朝っぱらからビールの入ったコップを持ってがやがやわいわいと騒いでるいつもの妖精の尻尾に、

ウォ「みんなぁーーーーーーーーーーーーーー!!!」

ウォーレンの大声にみんなの視線がウォーレンの方に向けられる。

マカ「どうしたんじゃウォーレン?そんなに慌てて。」

いつものまぁ~ったりとした口調でマスターがウォーレンに問う。ウォーレンは微かに震えていた。でも、その震えは恐怖でも悔しそうでもない。嬉しくてウォーレンは震えている。そして、両手の拳を握り締め、その握った拳を空に高く上げると、

ウォ「ギルダーツが・・・ギルダーツが帰って来たぞーーーーーっ!!」

天に届くくらいのでかい声で叫んだ。

全「おぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

今度は宇宙の果てまで届くくらいの大歓声が上がる。それはさっきまでのがやがやわいわいと騒いでる妖精の尻尾の魔道士じゃないのは一目で分かった。

マ「何でみんな騒いでるの?」

とゆうか、今までも騒いでいたんだけど。

ウェ「ギルダーツさんが帰ってくるんですよ。」

ギルダーツ?誰それ?私の頭の中に?がポンポンポンと次々に浮かび上がる。

ル「みんながいつもオヤジって言ってる人よ。」

あ~、そういえば・・・

ショ「そのギルダーツって人がどうしたんだ?」

エ「ギルダーツが帰って来たとゆう事は、そろそろ『あれ』が始まるって事だ。」

ユ「『あれ』って?」

その時、ゴーーーン、ゴーーーン、ゴーーーン。

フ「何だ、この音は?」

ト「鐘の音・・・ですか?」

すると今度は、

『マグノリアをギルダーツシフトに変えます。街民のみなさん!速やかに所定の位置へ!繰り返します・・・』

空飛ぶメガホンがマグノリアの街を飛びながら繰り返す。てか、ギルダーツシフトって?

グ「お前等、外見てみろよ。」

グレイに言われて窓から外を見ると・・・

マ&ユ&ショ&ト&フ「えぇーーーーーーーーーーーーー!!!??」

マ、マママ、マグノリアの街が・・・割れたーーーーー!!!どどどどどどどうなってるの!?

ル「少し落ち着きなさいよ。」

ナ「ギルダーツ、帰ってきたら俺と勝負だぁーーー!!!」

ナツが燃えている・・・すると、港からギルドまで続く1本道を歩いてくる人がいた。

エ「あいつがギルダーツだ。ギルドでマスターの次に最強の男だ。」

マ「えぇっ!?そうなのぉっ!?」

ただのおじさんにしか見えないんだけど。

シャ「あの男の魔法はクラッシュってゆうどんなものでも粉々に砕いちゃう魔法なの。放っておいたら、街まで砕いちゃう事があるのよ。」

ユ「そんなすごい人がいたんだ・・・」

シャ「すごいんじゃなくて、すごいバカなのよ。」

フ「あのおっさん、グレイとユモ以上に鈍感なんじゃねぇか?」

言われてみればそうかも!!もう一度外を見ると、茶髪のオールバックの髪型に裾がボロボロの黒いマントを羽織ったおじさん。うん、何度見てもどこにでもいる普通のおじさんにしか見えないのは私だけかな?そんな事を思っている私の頭をコツンッ!と軽くカナが叩いてきた。

マ「痛ッ!」

カ「こらこら。そんなにギルダーツを甘く見てると怖いよ。」

カナが両手で抱えている酒樽に入ってる酒をグビグビ飲みながら答える。

リョ「ギルダーツ・クライヴ。あの人はカナの父親だ。」

マ「えぇーーーーーっ!?似てなーーーーーいっ!!!」

ル「驚くのそこじゃないでしょっ!?」

ルーシィの突っ込みはあえてスルーしよう。とゆうか、

ショ「何でリョウがあのギルダーツって人の事知ってるんだ?お前だって、あの人に会うのは初めてだろ?」

私が聞きたかった事と同じ事をショールがリョウに聞いてくれた。

リョ「いろいろわけがあるんだよ。」

それ答えになってないよ~。

グ「今年こそは必ずなってやるぜ。」

ユ「何に?」

ナ「何言ってんだグレイ!お前にはまだ早いんだよ!!」

グ「お前の方が10年も早いんだよ!!」

ト「えぇっと・・・話の内容がわかっていないのは僕だけでしょうか?」

フ「トーヤ、俺も分かってないから大丈夫だ。」

どうやら私とフレイ、ユモ、ショール、トーヤ以外のみんなは何の事かすでに分かってるみたい。その時、ギルドのドアが開いて、さっきのおじさんが入って来た。

ギ「よぉ!久しぶりだな。」

全「おかえりーーーーーーーーー!!ギルダーツ!!!」

ナ「ギルダーツ!!俺と勝負し・・・ふぎゃっ!!」

マ「ナツ!?」

ハ「終了ーーーーー!!」

ナツが瞬殺されたーーー!!エルザの他にもいたんだ・・・

ナ「やっぱすげーや、ギルダーツは。」

でも、なんかうれしそうだからいっか。ギルダーツって人はマスターのところに行くと、

ギ「よぉ、マスター。元気そうだな。」

マカ「お前もな。相変わらずじゃの~ギルダーツは。」

ギ「マスターもだろ。ところで、俺がここに呼び出されたって事は、『あれ』か?」

マカ「『あれ』じゃ。」

さっきから会話に出て来る『あれ』何?

ギ「今年は何も問題なくできるといいんだけどよ。」

マカ「きっと大丈夫じゃろ。」

ギ「だといいんだけどよ・・・そういえばよ、新人が6人も来たんだって?かなり個性的なやつ等なんだろ?」

マカ「もう情報入手しておったか。ほれ、ナツやルーシィの近くにいるあいつ等じゃ。」

マスターはそうゆうと私たちの方に顔を向けた。ギルダーツって人がこっちに歩いてくる。

ギ「よぉ!俺の事知ってるか?」

親しみやすい笑顔で私たちの事を見下ろす。私はギルダーツに笑い返すと、

マ「知ってるよ!!みんながオヤジって呼んでいる人でしょ。」

私は前から知ってたみたいに手軽に話しかける。

ギ「ハハハハハ!随分元気なやつが入ったな。で、お前は・・・」

マ「私はマヤ!!よろしくね、ギルダーツ!!」

ギ「おぅ!よろしくな。で、お前がリョウか。」

あれ?ギルダーツもリョウの事知ってるの?

リョ「今回はよろしくな。」

ギ「あぁ。」

リョウとギルダーツが握手を交わす。この2人、どうゆう関係ですか?リョウと握手を交わした後、ギルダーツは視線をユモに移す。

ギ「で、あんたは・・・」

ユ「あ、ユモスです。初めまして。」

ユモったら、緊張してる。普通に話しかければいいのに。

ル「ユモはあんたみたいな性格じゃないから・・・」

私とルーシィ会話を聞いてたのか、ギルダーツの反応は、

ギ「おっ!お前があの格闘技の名手って呼ばれてるユモか!!俺はてっきり体格のいい男かと思ったぜ。今度俺と勝負してみねぇか?」

ユ「えぇっ!!!」

ユモすごっ!!初対面のおじさんに勝負挑まれてる!!!今度はショールに視線を移す。

ギ「んで、お前は確か、以前有名だったマジシャンの・・・」

ショ「ショール・ミリオンです。よろしくお願いします。」

ショール、口調は冷静だけど、手と足が震えているよ。

ギ「よろしくな。で、お前は・・・ん!?」

ショールからトーヤに視線を移した時、ギルダーツの右眉がぴくっと上に上がった。

ト「あわわわわわ・・・えぇっと・・・ぼぼぼぼ僕、トトトトトーヤと、言います・・・」

ウェ「トーヤさん落ち着いて下さい!」

シャ「緊張しすぎでしょ!!」

ギ「よろしくな。えぇっと・・・」

トーヤから視線を移したギルダーツはかなり困ってるみたい。そりゃそうだよね。目の前にいるのが赤い鳥なんだから。

ギ「鳥・・・か?」

フ「まぁ、鳥人間のフレイとでも思ってくれ。」

するとフレイは人間の姿になった。

ギ「おぉ!こりゃあ驚いたぜ。よろしくなフライ。」

フ「俺はフレイだ!!揚げ物じゃねぇよ!!」

おぉ!!ギルダーツなかなかやるね!!その時、

エ「みんな、ステージの前に集まってくれ。」

エルザがみんなに呼びかける。

ル「いよいよね。」

ナ「あぁ。燃えてきたーーー!!」

ハ「あいっ!!」

私とフレイとユモとショールとトーヤ以外は盛り上がってるけど、私たちはさっぱり。すると、ステージの上にマスター、エルザ、ミラ、ラクサス、リョウ、ギルダーツがいて、

マカ「これより、S級魔道士昇格試験の試験会場と出場者を発表するっ!!」

マ&ユ&ショ&ト&フ以外「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」

えぇぇぇぇぇっ!!!S級って、あのS級!?みんなこれを楽しみにしてたんだ・・・

マカ「今年の試験会場は、妖精の尻尾の初代マスター、メイビス・ヴァーミリオンの出身地、リグリション島じゃっ!!」

リグリション島?

エ「街からずっと北へ渡ったところにある島だ。もう誰も住んでいないがな。」

すると、空中に魔水晶(ラクリマ)の映像が映し出される。海に浮かんだ5角形の形をした島が映っている。

ミ「これがリグリション島よ。この島は5つの都市に分かれて成り立っている島なの。昔はこの島の大都市だったオーリア。」

映像が崩壊した街に切り替わる。

リョ「全体が木で覆われている森、ミジリョーホウ。」

映像が木々が生い茂る森に切り替わる。

ラ「一面が砂漠のカービフェン。」

映像が砂漠に切り替わる。

ギ「雪と氷の銀世界、キンユリー。」

映像が銀世界に切り替わる。

マカ「1年中噴火し続けているジャフユックとゆう火山がある、ニコホリース。」

映像が火山に切り替わり映像は消えた。

マカ「この5つの都市が合わさって成り立っているリグリション島が今年の試験会場じゃ。」

すっごーーーーーい!!!行ってみたいけど、私はS級にはまだ早いし・・・

マカ「それでは、今年の出場者を発表する!!今年の出場者は10名じゃ!!」

マカ&エ&リョ&ミ&ラ&ギ以外「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」

また大歓声が上がる。

ウェ「去年より多い。」

シャ「そりゃそうよ。いっきに6人も加入してきたからね。増えるのは当然よ。」

全員が息をのむ。辺りがしーーーーーんと静まり返ったところで、マスターが1つ咳払いをすると、

マカ「最初は・・・ナツ・ドラグニル!」

ナ「おっしゃあ~!!」

ハ「あいっ!!」

ナツが両手の拳を握って口から炎を噴出す。

マカ「グレイ・フルバスター!」

グ「当然だ。」

グレイが口角を上げる。

マカ「ガジル・レッドフォックス!」

ガ「ギヒ。」

パ「やったな。」

ガジルが特徴的な笑い方をする。この3人は当然だね。そして、

マカ「カナ・アルベローナ!」

カ「今年こそは!!」

カナが右手の拳を硬く握り締める。

マカ「エルフマン・ストラウス!」

エル「漢だーーーーー!!!」

口癖の「漢だーーー!」を叫びながら右手の拳を高く突き上げた。

マカ「ジュビア・ロクサー!」

ジュ「え?ジュビアも?」

以外だったのか、軽く目を見開く。

マカ「フリード・ジャスティーン!」

フリ「やはりな。」

グレイと同様口角を上げる。次々に名前を呼ばれてS級魔道士昇格試験に参加する妖精の魔道士たち。残り3人・・・!!

マカ「ユモス・クオリナ!」

ユ「えっ?」

青い澄んだ垂れ目を見開く。

マカ「ショール・ミリオン!」

ショ「はっ?」

鮮血のような赤い吊り目を見開いく。ショール、開いた口が塞がってないよ。

マカ「最後は・・・マヤ・ララルド!」

マ「・・・ほえ?」

オレンジ色の大きな瞳を更に大きく見開く。口からは変な声が出た。そして、

マ&ユ&ショ「えぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」

3人一斉に驚嘆の声を上げる。

マカ「この10人が今回の・・・」

マ「ちょっと待ったーーーーーーーーーーーーー!!!」

マスターの言葉を無理矢理遮る。

マカ「な、何じゃマヤ。」

「何じゃ」じゃないよっ!!

ショ「何で俺が選ばれてるんですかっ!?」

マカ「お前の強さをエルザとミラが認めておる。」

マスターは後ろに立っているエルザとミラの事を顎で示す。

ミ「だってショール、強いじゃない。」

エ「お前は頭も冴えているからな。」

ミラはいつもの笑顔で平然と答え、エルザは腰に手を当てながら答える。2人の言ってる事は正論。ショールは選ばれて当然だよ。

ユ「私はショールみたいな才能はないし、強くもないです!!」

いやいやいや、ユモは十分強いよ・・・てゆうか、自覚なかったのぉっ!?さすがユモ。相変わらず鈍感だね~。

マカ「お前の強さと身体能力をラクサスとリョウが認めておる。」

また後ろに立っているラクサスとリョウを顎で示す。

リョ「お前の回し蹴りは痛いからな。」

ラ「女にしてはたいした身体能力だ。選んでやったんだから素直に喜べ。」

リョウが頭の後ろで手を組みながら答え、ラクサスが表情を変えずに答える。ラクサス、あんたも少しは素直になりなよ。私もユモの強さは認める!!でも、

マ「じゃあ私は!?私は強くもないし、ユモみたいに身体能力もないし、ショールみたいに頭もよくないよっ!!」

それに、ルーシィやウェンディ、他の人たちの方が私より早く加入してるし、トーヤや、他の人たちの方が強いし・・・

マカ「お前はわしが認めた。お前の心優しさを認めただけじゃ。」

・・・マスター。

ギ「俺はみんなの意見に合わせただけだ。頑張れよ。」

マカ「選ばれた者はてっぺんを目指す!選ばれなかった者は応援する!」

ル「マスターらしいわね。」

エ「出場者に選ばれた者は明日までに一緒に行くパートナーを見つける事。ただし、必ずギルドの者であること!」

ミ「そして、今回は特別ルールとして、パートナーは2人までOKよ。」

カ「へぇ~。」

エル「さすがマスター。漢だっ!!!」

エルフマン、漢ではないと思うよ・・・

ラ「出発は明日だ。」

リョ「集合場所はハルジオンの港だ。船で行くから遅刻するなよ!」

ナ「船・・・おぷ・・・」

グ「今酔ってどうすんだよ・・・」

ギ「そんじゃ解散。」

****************************************************************************************

マ&ユ&ショ「はぁ・・・・・」

解散した後、私とユモとショールは絶望的だった。テーブルに突っ伏している。

ル「何でそんなに落ち込んでるのよ?」

シャ「もっとシャキッとしなさいよっ!!」

ユ「だってぇ~・・・」

ショ「俺等ギルドに入ってからまだ1年半しか経ってないのに・・・」

マ「何で選ばれてるの~?」

しかもみんな強いし・・・私があの10人の中で一番弱いのに~!!

フ「行く前から弱音を吐くなよ。」

はぁ・・・私はまた深いため息をつく。

リョ「大丈夫だって。俺も行くのは初めてなんだぜ。」

グ「お前も来るのかっ!?」

ト「でも、リョウさんってS級魔道士でしたっけ?」

リョ「実はな、マカロフさんに「お前は聖十の1人じゃからS級魔道士並の力はあるじゃろう。よって、お前を今日からS級魔道士として認める!それと同時に、試験の審査員をやってくれ。」って頼まれちゃったんだよ。そうゆうわけで、今日から俺もS級魔道士になって、審査員として試験に参加することになったんだ。」

い、いつの間に・・・

ナ「ずるいぞじっちゃんっ!!リョウだけずるいぞっ!!」

ウェ「エルザさんも、審査員として出るんですよね?」

エ「あぁそうだ。マスターはもちろん、ラクサスとギルダーツとミラも審査員だ。」

・・・・・ますます絶望的になってきた・・・

ユ「ナツとグレイはパートナー決めたの?」

ナ「俺はもちろんハッピーだ!!」

ハ「あい!!」

グ「俺は今はいねぇけどロキだぜ。」

マ「ロキ?誰それ?パートナーはギルドの人じゃないとダメなんだよ。」

ロ「僕はまだギルドの一員だよ。」

いつの間に現れたのか、めがねをかけた・・・ってああ!!ルーシィの星霊の・・・

リョ「めがね野郎!!」

ル「じゃなくて、獅子宮のレオよ。」

へぇ~、随分変わったパートナーだね。

ウェ「フリードさんはビックスローさんがパートナーみたいです。」

エ「エルフマンはエバーグリーンがパートナーだ。」

ナ「ガジルはリリーとレビィらしいぜ。」

そっか、パートナーは2人でもいいんだ。

グ「ジュビアはリサーナだ。」

ル「カナのパートナーは私よ。」

みんな決めるの早いな・・・

シャ「とゆうか、あんたは相棒がいるじゃない。」

マ「え?あぁーーーーー!!!」

そうだ!私にはフレイとゆう相棒がいたんだ!!すっかり忘れてた!!

フ「忘れるなよ・・・俺はもちろん行くぜ!!」

マ「ヤッターーーーー!!!」

これで少し安心した。

ショ「ユモ、お前はどうする?」

ユ「私はウェンディとシャルルにしようかな?一緒に来てくれない?」

ウェ「わ、私でよかったら。」

シャ「ウェンディが行くなら私ももちろん行くわ。それに、あんたにはいろいろ世話になってるからね。」

ユ「ありがとう!!」

ユモも決まったみたい。ショールは・・・

ショ「トーヤ、いいか?」

ト「僕なんかでよろしかったら、ぜひご一緒させて下さい!」

ショ「よかったぁ~。」

ショールも決まったね。

フ「最強チームは全員試験に行くんだな。」

じゃあ、みんなライバルってこと?みんな顔を見合わせる。すると、ナツとグレイが額をぶつけ合って、

ナ「グレイ!!お前なんかに絶対に負けねぇからなっ!!」

グ「あったり前だっ!!お前こそ、予選で敗北するんじゃねぇぞっ!!」

ル「ウェンディ、お互いパートナーとして頑張ろうね。」

ウェ「はい。」

ハ「シャルル~、フレイ~、頑張ろうね。」

シャ「えぇ。」

フ「手加減はしないからな。」

エ「リョウ、もし相手がルーシィだからって手加減は禁物だぞ。」

リョ「あぁ。エルザだって、ショールの前で手抜きのバトルするなよ。」

ショ「トーヤ、よろしくな。」

ト「こちらこそ。頑張りましょうね。」

みんな笑顔だ。やっぱりライバルでも、仲間には変わりないか。

ユ「マヤ。選ばれたからには、精一杯戦おうね。」

マ「もっちろん!帰ってきたら特訓しようね。」

ユ「そ、それは勘弁・・・」

やっぱりユモとの特訓は楽しい!!

ナ「おっしゃーーーーー!!!目指せ!S級魔道士!!!」

全「おぉーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

****************************************************************************************

       『ここは闇ギルド、災いの天使(ディザスタエンジェル)の本部』

?「ハエ共がS級試験に行くみたいだぜ。マスター。」

?「あの小娘は~?」

?「狙いの小娘も、S級試験に参加するみたいっすよ。」

?「試験会場はリグリション島。」

?「どうします?マスター?」

イスに腰掛けていた男が立ち上がる。

?「我々も行くぞ、リグリション島に・・・」

?全「了解!!!」

男がニヤリと不気味に笑った。 
 

 
後書き
第76話終了~!!
S級魔道士昇格試験に選ばれた10人の魔道士とそのパートナーの9人と2匹と1羽の魔道士たち。
彼らが繰り広げる戦いに忍び寄る魔の手。その魔の手が狙うのは・・・!?
次回は船で試験会場、リグリション島へ!!
次回見ないといけないよ!! 

 

第77話 第1のミッション

 
前書き
HEY☆07だZ☆
今回は船でリグリション島へ!!試験者たちに与えられた最初のミッションは・・・!?
いろいろな目線でいきますよ。最初は、ショール目線から!
それでは、第77話・・・スタート☆ 

 
ギンギラギンに光り輝く太陽がS級魔道士昇格試験に選ばれた10人とそのパートナーたちを照らしている。快晴の中、リグリション島行きのギルドの船は出航した。

ナ「ぉぉぉぉ・・・ウェ、ウェンディ・・・ト、トロイア、かけ、てくれ・・・」

ウェ「スイマセンナツさん。」

シャ「エルザから禁止されてるのよ。」

どんまいだなナツ。それにしても・・・俺は視線の辺りを右手でかざす。

ショ「暑い・・・」

日差しが強すぎる・・・みんな行く前から汗でびっしょりだ。

ト「リグリション島って、どんなところ何でしょうね?」

ショ「昨日、本で調べてみたんだ。」

俺は昨日本で調べた内容をトーヤにだけ聞こえる声で説明した。

ショ「リグリション島は別名5色島と呼ばれているんだ。20年以上前に妖精の尻尾の聖地になったらしいけど。」

ト「へぇ~、5色島ですか。」

あんまり詳しく載っていなかったからよく分からないけど。

マカ「見事に晴れたの~。」

船の甲板からマスターが歩み寄って来る。なんでマスターだけアロハシャツ着てるんだ?

マカ「これより、試験の第1ミッションの説明を行う。」

船で酔っているナツ以外は甲板の下に集まる。

マカ「リグリション島にはすでにエルザ、ミラ、ラクサス、リョウ、ギルダーツがいる。お前たちを待ち構えているだろう。」

カ「待ち構えてほしくないんだけどね・・・」

ル「アハハハハハ・・・」

やばい・・・緊張してきた・・・!俺の額には冷や汗が滲んできた。

マカ「お前たちにはまず、この紙に書かれているところに行ってもらう。」

マスターが甲板から2つに折った10枚の紙を空中に放り投げる。みんな紙に手を伸ばす。俺もジャンプして頭上に落ちてきた紙を広げてトーヤと一緒に見た。

マカ「1か所に2つのチームが行くことになっておる。お互いどのチームがどこに行くかは誰も知らん。決して教えてはならん。そして、同じ場所についたチーム同士、勝負をすることになる。」

グ「つまり、5つの街にそれぞれ2つのチームが行き・・・」

マ「勝負して、勝ったチームが第2ミッションへ進む事が出来る。」

ユ「この時点で勝ち残るチームは5つ。」

エル「いっきに半分も減るのか。漢だ!!」

エバ「意味わかんないわよ。」

俺はトーヤの紙には「ミジリョーホウ」と書かれていた。つまり、俺とトーヤのチームともう1つのチームがミジリョーホウの森に来るってことか。

ト「いったい、誰が来るんでしょうね?」

ショ「あんまり強い人じゃないといいんだけど・・・」

って、俺以外はみんな強いか・・・

フリ「あれじゃないか、試験会場のリグリション島は。」

フリードの声にみんなの視線が1か所に集中する。フリードが言ったとおり、1km程離れたところに島が見えた。あれがリグリション島か。

ガ「ここからでもすげー魔力を感じるぜ。」

ジュ「さすが初代マスターの出身地でもあり、天狼島に続く聖地ですね。」

あぁ・・・心臓が爆発しそうだ・・・俺の鼓動がどんどん早くなる。

マカ「それでは、第1ミッションスタートじゃっ!!」

マカ以外「えっ?」

スタートって言われても、まだリグリション島に着いていないけど・・・

ナ「そ、そうゆう・・・事か。い、行くぞ、ハッピー・・・」

ハ「あいさー!!」

ナツとハッピーは船から飛んでリグリション島へ向かった。そうゆう裏技ありなのかぁっ!?

マ「フレイ!よろしく~!」

フ「わかってらっ!!」

マヤとフレイはナツとハッピーと同じように飛んでいった。

フリ「ビックスロー、俺たちも行くぞ!」

ビ「OK!ヒッヤッハ~!!」

フリードは闇の文字(エクリテュール)の翼で空を飛んで、ビックスローは人形の上に乗って飛んで行った。

ユ「シャルル、ウェンディをお願い!」

シャ「わかってるわよっ!!」

ユモは氷の翼を造形して飛んで、シャルルはウェンディをつかんで飛んで行った。

グ「アイスメイク、床ッ!!(フロア)」

グレイとロキは海面を凍らせてその上を滑って行った。

ガジルチームとカナチームとジュビアチームは泳いで行った・・・って、

ショ「俺たち1番最後だっ!!」

気づいたら船の上にいたのは俺とトーヤとマスターだけだった。

ト「大丈夫です!我と、心をかよわせ、姿を現せ!出て来い!てんぐ!」

紫色の魔法陣からてんぐが姿を現した。でも、てんぐでどうやってあそこまで行くんだ?

ト「あっという間にあそこに着いちゃいますよ。てんぐ、超・銀風!!」

ショ「えっ!!ま、まさか・・・」

て「いくぜっ!!てぇりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

ショ「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

俺とトーヤは強風に煽られて真っ直ぐリグリション島に向かって飛んでいった。おいおいおいおいトーヤ!!吹き飛ばすってありなのかぁっ!?

ト「ありですよ。」

笑顔で言うなっ!!でも、あっという間に泳いでいた3つのチームを追い越す事が出来た。

グ「え?ショール?」

ロ「トーヤ?」

海面の上を滑っていたグレイとロキも追い越した。そして俺とトーヤはミジリョーホウの森に到着しようとしたのだが・・・

ショ「な、なぁ、トーヤ、どうやって着地するんだ?」

ト「あ・・・」

トーヤの顔が青ざめた。おいーーーーーーーーーーーっ!!!

****************************************************************************************

            『ここからユモス目線でいきます。』

私とウェンディとシャルルがもらった紙には「オーリア」と書かれていた。私たちはその紙に従って、たった今オーリアに着いたんだけど、

シャ「そうとう古いわね・・・」

そこはコンクリートの建物や道路の残骸の山。ミラさんは、昔はリグリション島の大都市だったって言ってたけど・・・

ウェ「そんな風には見えませんね・・・」

街荒らしに襲われたシラカバの街より酷い事になってる。ここが妖精の尻尾の2つ目の聖地とは思えないや・・・その時、

フリ「相手はユモとウェンディとシャルルか。」

ビ「面白くなりそうだな。なぁ、ベイビー!!」

ベ「面白そう!面白そう!」

振り向くと、フリードとビックスローがいた。最初はこの2人が相手か。

シャ「2人とも雷神衆よ。」

ウェ「フリードさんは闇の文字と術式、ビックスローさんは人形憑の魔法です。」

ユ「そして、眼にセカンドの魔法を持っている。まぁ、エバーグリーンはメインだけど。」

面白くなりそう!!

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            『ここからナツ目線でいきます。』

ナ「よっと、サンキューハッピー!」

ハ「あい!それにしても、船の中より暑いよ・・・」

俺とハッピーは砂漠のカービ・・・何ちゃらってゆうところだ。いったい誰が来るんだ!!グレイかっ!!エルフマンかっ!!それともガジルかっ!!誰でもいいからかかって来いやーーーっ!!燃えてきたー!!!その時、

リ「ナツ~!ハッピー!」

ん?あれはジュビアとリサーナだ。

ジュ「相手はナツさん。ジュビア、グレイ様とがよかった。(妄想中)」

リ「そんなにがっかりしないで。」

ハ「ジュビアも元エレメント4だし、リサーナもあのミラの妹だからね。2人とも強いよ。」

ナ「誰であろうが俺は本気でいくぜっ!!」

リ「私たちだって負けないよ!ねっ、ジュビア。」

ジュ「えぇ。本気でいかせてもらいます。」

おっしゃーーーーー!!燃えてきたーーーーーーーーーー!!!

****************************************************************************************

            『ここからマヤ目線でいきます。』

マ「よっと、ありがとうフレイ!」

フ「このくらい朝飯前だ。」

私とフレイがもらった紙は「ニコホリース」って書かれてたの。私たちの背後でドガァァァン!!と火山が噴火してる。ナツがいたら全部食べちゃうだろうな。すると、

ル「あれ?マヤとフレイじゃない。」

水着を着たルーシィとカナがいた。

フ「お前等、泳いで来たのか?」

カ「仕方ないじゃない。まさかあんたたちと戦う事になるとはね。」

この2人も強いからな・・・はぁ・・・でも、私も頑張らないと!

カ「手加減はしないからね。」

マ「もっちろん!」

フ「全力でいくぜ!!」

フレイが人間の姿になる。

ル「私も頑張らなくちゃ!!」

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            『ここからグレイ目線でいきます。』

俺とロキがもらった紙には「キンユリー」って書かれてあった。氷の魔道士には絶好の場所だぜ。

ロ「ここも1年中雪が降っているみたいだね。」

一面真っ白だ。すると、

エル「漢ーーーーー!!」

エバ「あんたね・・・って、グレイとロキじゃない!!」

エルフマンとエバーグリーンが来た。俺等はこいつらが相手か。

グ「久しぶりにお前と勝負ができるぜ。」

エル「漢なら、この勝負、負けることは許されない!」

ロ「エバーグリーン、今夜一緒にどうだい?」

エバ「あんた、一応星霊でしょ?」

てゆうか、戦う気あるのかよっ!?

エル「漢なら、本気で戦う。」

グ「かかって来い!!」

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            『ここからガジル目線でいきます。』

俺とリリーとレビィがもらった紙には「ミジリョーホウ」って書かれていた。しっかし、どこもかしこも木・木・木だな。

レ「なんか・・・変な虫とかでそう・・・」

リリ「こうゆう場所には出るだろうな。」

ガ「怖いなら来ない方がよかったじゃねぇか。」

レ「だって、去年は来てくれたから・・・」

へいへい。その時、ズザザザザザザザザザと何かが落下したような音が聞こえた。

レ「ひぃ!!」

レビィが小さな悲鳴を上げる。するとガサガサと近くの茂みが揺れた。俺はとっさに戦闘体勢を構える。すると、

ショ「・・・いてててて・・・」

ト「ショールさん、大丈夫ですか?」

茂みの中から所々掠り傷や切り傷を負ったショールとトーヤが出て来た。何で戦う前から怪我してんだ?

レ「ショール!」

ガ「トーヤ。」

ショ&ト「うわぁ!!」

俺たちの声にショールとトーヤが飛び上がる。何でそんなに驚くんだよ・・・

ショ「ガ、ガガガ、ガジル!?あぁ、絶対負ける・・・」

リリ「もう弱音を吐いてるぞ・・・」

ショールがガクガク震え顔が青ざめる。

ガ「だ、大丈夫か?」

レ「アハハハハハハ・・・」

ト「ショールさん、まだ戦ってもいませんよ。」

おいおい・・・

****************************************************************************************

        『闇ギルド、災いの天使(ディザスタエンジェル)の飛行船内部』

上空10000mに銀色に光り輝く飛行船が飛んでいた。飛行船の窓から妖精のような格好をした少女と水色のTシャツ姿の青年とカールがかかった赤毛の少女が下を見下ろしていた。

?「まだ着かないのぉ~?」

?「そう焦るな、フェアリー。」

フェ「だってぇ~。」

?「楽しみは最後にとっておくのがいい。」

フェ「ウォーターは控えめすぎるよ~。」

?「それがウォーターらしいじゃない。」

フェ「でもさぁ~、なんでわざわざ飛行船で行かなきゃならないのぉ~?」

?「上空からまずは一発、攻撃するってマスターが言ってったっすよ。」

3人の会話に耳に銀色のピアスを付けた青年と、黄緑色の甚平のような服を着た少女が話しに割り込んできた。

ウォ「スパイダー、ソード、今までどこにいたんだ?」

ス「ソード姉貴と小娘の話をして盛り上がってたっすよ。そうっすよね?ソード姉貴。」

ソ「あぁ。とゆうか、その姉貴って呼ぶのは止めろ。」

フェ「今頃小娘ちゃんは、ハエたちと楽しくやってるんだよねぇ~?」

?「すぐに自分がこの世界を滅ぼすことを知らずにな。」

ソ「マスタービーム。」

奥から白いYシャツに黒い帽子とズボンと革靴とマントに身を包んだ男が話しに割り込んできた。男は窓の前に立つと不気味に微笑んだ。そして後ろにいる5人の少年少女たちの方を振り向くと、

ビー「お前たちも楽しみにしてろ。世界が炎の海に変わるのを。」

さらりと恐ろしい言葉を口にした。5人の少年少女たちは小さく微笑む。

?「でも、まずは小娘以外のハエを殺すのが先なんでしょ?」

ビー「さすがファイター。わかっているではないか。」

ファ「当然の事です。」

ウォ「おい、あれじゃないか?リグリション島は?」

水色のTシャツ姿の青年が下を指差す。その指の先には、妖精の尻尾の聖地で、S級魔道士昇格試験が行われているリグリション島。

フェ「ほんとだぁ~♪やっと着いたぁ~♪」

ス「はしゃぎすぎて、飛行船から落っこちないようにな。」

フェ「もぉ~、怖い事言わないでよ~。」

ソ「まずはあの島に上空から一発。」

ファ「そして、私たちが突撃する。」

フェ「ゾクゾクしてきたぁ~♪」

ビー「お前たち、破滅の光線(ルーインビーム)の準備に取り掛かれ。」

ビー以外「了解!!マスタービーム!!!!!」 
 

 
後書き
第77話終了~☆
いよいよ始まったS級魔道士昇格試験!!試験者たちに迫り来る魔の手。それをまだ知らない妖精の尻尾!!いったいどうなる!?ちなみに、災いの天使のやつらの名前はコードネームです。
次回はオーリアでユモスチームVSフリードチームの対決!!
お楽しみに~☆ 

 

第78話 ユモスチームVSフリードチーム

 
前書き
ヤッホ~♪07で~す♪
今回はユモスチームVSフリードチームの対決だ!!第2ミッションへ勝ち進むのはどっちだ!?
ユモス目線で書いていきます!!
それでは、第78話・・・スタート♪ 

 
かつてはリグリション島の大都市だったオーリアで私とフリードのバトルが始まった。

ユ「ウェンディとシャルルは上空から攻撃して!」

ウェ「はい!」

シャ「行くわよウェンディ!」

私はウェンディとシャルルに指示し、言われたとおり2人は上空へ。

フリ「闇の文字、(エクリテュール)痛み!」

フリードの攻撃をさらりとかわした後、背後から

ビ「ラインフォーメーション!!」

小さな樽の形をした人形が襲い掛かってくる。

ユ「アイスメイク、双剣ッ!!(ダブルソード)」

氷の双剣で人形を破壊していく。

フリ「さすがだな。」

ユ「どおも。」

私は短くお礼を言うと、両手に冷気をためて、

ユ「アイスメイク、爆弾ッ!!(ボム)」

ビ「エックスフォーメーション!!」

氷の爆弾はフリードには当たらず、新しい人形に防がれた。

ビ「人形は壊せても、魂は壊せねぇぜ。いきなっ!ニューベイビー!!」

ニューベイビーがまた私に襲い掛かってくる。が、

ウェ「天竜の・・・咆哮ッ!!」

上空にいたウェンディの咆哮によって、新しい人形は粉々に砕ける。

ユ「ありがとう、ウェンディ!」

ウェ「はい!ユモさん、援護します!アームズ!レーゼ!」

さっすがウェンディ!まずはビックスローを倒さないと、あの人形が邪魔ね。そういえば、前にグレイが言ってた。ビックスロー本人はそんなに強くないって。ちょっと酷いけど・・・

フリ「闇の文字、苦しみ!」

ユ「おっと。危ない!」

シャ「えぇい!!」

ウェ「きゃあ!!」

フリードの術式も結構厄介。

ユ「ウェンディ!シャルル!しばらくフリードの相手をして!」

ウェ「わかりました!!」

シャ「こっちよフリード!!」

これでしばらくは・・・

ビ「おいおい、普通はお前がフリードの相手をするんじゃねぇのかよ?」

ユ「いろいろと事情があるんでね。アイスメイク、氷霧ッ!!(フリーズミスト)」

辺りが白い霧で覆われる。

ビ「うお!何にも見えねぇ。」

ベ「見えない、見えない。」

視界を失ったビックスローと人形はすっかり混乱してる。私はその隙にビックスローの背後に周ると、

ユ「アイスメイク、柱ッ!!(タワー)」

ビ「あふっ!」

何とか一撃。

ビ「仕方ねぇ・・・やるしかねぇか。」

ビックスローは顔に付けていた仮面を外す。

ユ「!!」

ビ「造形眼(フィギアアイズ)」

私は慌てて目を閉じる。これがビックスローのセカンドの魔法、造形目。

ビ「目をつぶったな。いきなっ!ベイビー!!」

人形が襲ってくるが、私は気配だけでかわす。

ビ「おお!なかなかやるな!!」

何とかかわしてるけど、かなり大変。何とかしないと・・・そうだ!!

ユ「アイスメイク、氷霧ッ!!」

また辺りが白い霧で覆われる。私は閉じていた目を開ける。

ビ「どこいった?」

ベ「どこいった、どこいった?」

ビックスローはこっちに気づいてないみたい。今がチャンス!!

ユ「氷雪砲ッ!!(アイス・キャノン)」

ビ「何ッ!?ぐぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

これで何とかビックスローは倒した。

フリ「ビックスロー!?」

ウェ「さすがユモさん!!」

シャ「相変わらず強いわね。」

ウェンディとシャルルもちょっと苦戦したみたい。頬とかに傷がついている。

ユ「ウェンディとシャルルは休んでて。後は私がやるわ。」

ウェ「じゃあ、お願いします。」

シャ「頑張んなさいよ。」

もっちろん!2人の協力、無駄に出来ない!!

ユ「今度は私が相手だよ。フリード!」

フリ「格闘技の名手の実力、見せてもらおう。闇の文字、痛み!」

ユ「アイスメイク、剣ッ!!(ソード)」

私は防いだけど、

ユ「しまっ!!」

フリ「気づくのが遅い!」

背中に術式を書かれた!!

フリ「闇の文字、苦しみ!!」

ユ「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

ウェ「ユモさん!!」

シャ「ユモ!!」

どんなに叫んでもフリードの攻撃は続く。

フリ「闇の文字、恐怖!恐怖!恐怖!恐怖!恐怖!!」

ユ「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

ふと私の頭の中に、幼いころの記憶が蘇った。襲われるブラーゴの街・・・暴れまわる悪魔、デリオラ・・・そして、私を庇って、絶対氷結(アイスドシェル)で自ら命を消したお兄ちゃん・・・

ウェ「天竜の・・・翼撃ッ!!」

フリ「ぐはぁ!!」

ウェンディが攻撃してくれたおかげで、私は何とか助かった。フリード、これで止めだぁっ!!

ユ「氷刃・扇銀舞ッ!!!(ひょうじん・せんぎんまい)」

フリ「ごあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

・・・勝負は私とウェンディとシャルルの勝ち!!

フリ「ユモ、強いな。」

ビ「ヒヤッハ~!俺たちボロボロだぜ!!」

ユ「そんな事ないよ。フリードもビックスローも強かったし、ウェンディとシャルルがいてくれたおかげだよ。」

でも、なんであそこであんな嫌な過去を思い出しちゃったんだろ?恐怖・・・だったからかな?まぁいっか。

フリ「第2ミッション、頑張れよ。」

ビ「応援してるぜ。」

ユ「ありがとう。」

初めて戦ったけど、2人ともS級レベルの強さだと思う。今度マスターに相談してみよう。フリードとビックスローは島の中心部にある待機所に帰って行った。

ユ「ウェンディ、シャルル、ありがとう。」

ウェ「次は第2ミッションですね。」

シャ「ここまできたんだもの。最後まで全力で戦いなさいよ。」

ユ「うん!!」

『オーリア戦、ユモスチーム、第1ミッションクリア!!第2ミッションへ出場決定!!』 
 

 
後書き
第78話終了~♪
いや~大迫力でした。ユモス、ウェンディ、シャルル、お疲れ様~♪フリードとビックスローも強かったね。
次回はナツチームVSジュビアチームの対決!!
第79話でお会いしましょう~♪ 

 

第79話 ナツチームVSジュビアチーム

 
前書き
作者07、参上!!
今回はナツチームVSジュビアチームのバトルだよ!!勝つのはどっちだ!?
ナツ目線でいきますよ。
それでは、第79話・・・スタート!!! 

 
俺とジュビアの勝負が始まった。燃えてきたぞーーーーー!!ジュビアは水の魔法、リサーナは接収(テイクオーバー)。俺たちのほうが不利じゃねぇか!!

リ「接収、動物の魂ッ!!(アニマルソウル)」

おぉ!リサーナが鳥になった!!

リ「えぇい!!」

ナ「おっと!ハッピー!」

ハ「あいさー!!」

飛ぶのならハッピーも得意だぜ!!

ジュ「水流斬破ッ!!(ウォータースライサー)」

ナ「うおっ!?」

ハ「あぃぃぃ~!!」

あっぶねぇ・・・さすがだなジュビア。俺は空中から、

ナ「火竜の・・・咆哮ッ!!」

咆哮はジュビアの体をすりぬける。

ナ「そうだぁ!!あいつの体は水でできているんだったぁ!!」

ハ&リ「忘れてたんだ・・・」

ますます不利じゃねぇか。

ジュ「水流拘束ッ!!(ウォーターロック)」

ナ「ぐぼ!!」

ハ「あびぃ!!」

くっそ・・・息が、できねぇ・・・こ、こうなりゃ・・・

ナ「うぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぉっ!!(うおおおおおおおおおおおおぉ)」

リ「えぇ!!?」

ジュ「ジュビアの水流拘束が・・・」

ハ「気合と根性で消した!?」

ひぃ~危ねぇ。

リ「接収!!やあぁぁぁぁぁっ!!」

今度は巨大うさぎだっ!!

リ「えぇい!やあ!!」

ナ「よっと!ほっ!」

俺は後ろに下がりながらリサーナの攻撃をかわす。

ハ「ナツ!後ろぉ~!」

ナ「えっ?」

ジュ「水流烈鞭ッ!!(ウォーターカーネ)」

ナ「いってぇーーーーー!!!」

背中を思いっきり叩かれる。水だけどいってぇ~・・・

ナ「火竜の・・・煌炎ッ!!」

ジュ「水流激鋸ッ!!(ウォータージグソー)」

炎と水がぶつかり合う。俺の手からは血が出ている。

ナ「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」

ジュ「えっ?」

リ「ナツの炎の威力が上がってるっ!!」

ハ「いっけ~ナツ~!!」

ナ「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」

ジュ&リ「きゃあああああああああああああっ!!!」

ダハハハハハ!俺たちの勝ちだぁーーー!!

ハ「あいっ!!第1ミッションクリアだね。」

ナ「おぅ!!」

ジュ「ジュビアの負けです。」

リ「おめでとう、ナツ、ハッピー。」

にしても、ジュビアは相変わらず強え~し、リサーナもめちゃくちゃ強くなったな。

ハ「ナツの力が衰えたんだよ。」

ナ「んだとハッピー!!俺はグレイやガジルよりも強えぇぞっ!!」

ジュ「グレイ様は強いですっ!!」

リ「ガジルも結構強いよね。」

お、お前等まで・・・

リ「それじゃあ、私たちは待機所に戻るね。」

ジュ「ジュビアとリサーナさんの分も第2ミッション、頑張って下さいね。」

ナ「おぅ!!」

ハ「あいっ!!」

ジュビアとリサーナは待機所に帰った。

ハ「第2ミッションは何だろうね?」

ナ「エルザやラクサスに決まってるだろっ!!俺は絶対にエルザかラクサスかミラかリョウと戦うんだっ!!!」

ハ「あれ?ギルダーツは?」

ギ、ギルダーツは強すぎるからな・・・

ナ「と、とにかく、絶対にS級になってやるぞーーーーー!!!」

ハ「あいさーーー!!」

『カービフェン戦、ナツチーム第1ミッションクリア!!第2ミッション出場決定!!』

****************************************************************************************

           『一方そのころ、ニコホリース戦は・・・』

マ&フ「ま・・・参りましたぁ~・・・」

ル&カ「イエーーーイ!!」

『ニコホリース戦、カナチーム第1ミッションクリア!!第2ミッション出場決定!!』 
 

 
後書き
第79話終了!!
炎VS水の戦いでは、炎が勝つこともあるんですね。マヤチームVSカナチームのバトルシーンをカットさせていただきました。スイマセン・・・たぶん、ショールチームVSガジルチームの戦いもカットすると思います。スイマセン・・・
次回はグレイチームVSエルフマンチームの戦いです!!
お楽しみに~!! 

 

第80話 グレイチームVSエルフマンチーム

 
前書き
HELLO☆07です☆
今回はグレイチームとエルフマンチームの熱い勝負だーーー!!
グレイ目線で書いていきます。
それでは、第80話・・・スタート☆ 

 
さぁて、俺たちもそろそろ始めるか。

グ「ロキ!エバーグリーンは任せた!!」

ロ「了解!」

エバ「私をあまく見ないでね。妖精爆弾、グレムリン!!」

ロ「王の光(レグルス)よ、我に力を!!」

ドドガガガァァァン!!!

あっちも随分と派手にやってるな・・・

エル「漢なら、漢だぁぁぁぁぁ!!ビーストアーム、黒牛ッ!!うおおおおおおおおおお!!!」

言ってる意味が全然分かんねぇ・・・エルフマンは意味不明な言葉を叫びながら黒い腕を振りかざしてくる。俺はそれをかわしながら、

グ「アイスメイク、大槌兵ッ!!(ハンマー)」

バカデカイ氷のハンマーをエルフマンの頭上に落とす。が、俺の攻撃をエルフマンは片手で防いだ。

エバ「妖精機銃、レブラホーン!!」

ロ「王の光(レグレス)は満ちた・・・獅子光耀ッ!!」

エル「ビーストアーム、鉄牛ッ!!うおおおおおおおおおおお!!!」

グ「アイスメイク、戦斧ッ!!(バトルアックス)」

ドガガガガガァァァァァン!!!バゴゴゴゴゴォォォォォン!!!と次々に爆発が起こる

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俺たち4人の戦いはものすごく長かった。

エバ「はぁ、はぁ、はぁ、や、やるじゃない・・・はぁ、はぁ・・・」

ロ「はぁ、はぁ、き、君の、ほうこそ・・・はぁ、はぁ。」

エル「はぁ、はぁ、さ、さすがだな・・・グレイ・・・はぁ、はぁ・・・」

グ「はぁ、お、お前こそ・・・はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・」

俺たち4人の魔力も限界に近かった。

グ「そろそろ最後だな。」

エバ「勝利の妖精はどちらに微笑むかしら?」

それを言うなら、勝利の女神だろ・・・

ロ「最後まで本気でいかせてもらうよ。」

エル「漢なら、ここで勝つ!!!」

この一撃で決める!!

エバ「妖精機銃、レブラホーン!!!」

ロ「獅子王の輝き!!(レグレスインパクト)」

エル「全身接収、獣王の魂ッ!!(ビーストソウル)ぬおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

グ「氷欠泉ッ!!(アイスゲイザー)」

ドドドドドドガガガガガガガァァァァァァァァァァン!!!!今までで一番でかい爆発が起こる。それぞれの強力な一撃が激突した。砂煙が晴れると、

グ&ロ「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・」

エル&エバ「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・」

ドタッ・・・とエルフマンとエバーグリーンが倒れた。

ロ「・・・どうやら、僕たちの勝ちみたいだね。」

グ「あぁ。」

しっかし、第1ミッションでこんなにも苦戦するとはな・・・魔力使いすぎちまったぜ。

ロ「まぁその時はその時だね。」

グ「まぁそうなんだけどよ、相手はエルザやミラちゃんにラクサス。リョウにおっさんだぜ。そこにじーさんが加わるって事だろ。絶対に魔力もたねぇよ。」

ロ「それも時と場合によるね。」

・・・お前って、結構単純なんだな・・・

『キンユリー戦、グレイチーム第1ミッションクリア!!第2ミッション出場決定!!』

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          『一方そのころ、ミジリョーホウ戦では・・・』

ショ「ギ・・・ギブ、です・・・」

ト「ぼ、僕も・・・です。」

ガ「ギヒ。」

リリ「見事だ。」

レ「やったね、ガジル!」

『ミジリョーホウ戦、ガジルチーム第1ミッションクリア!!第2ミッション出場決定!!』 
 

 
後書き
第80話終了☆
ショールチームVSガジルチームの戦いもカットしました。スイマセン・・・
次回は第2ミッションへ進もうとした瞬間、大問題発生!!!
次回見逃したらいけないよ☆ 

 

第81話 謎の飛行船からの襲撃

 
前書き
はいど~も~!07で~す!
今回は第1ミッションをクリアし、第2ミッションへ進む5つのチーム・・・の前に、大問題!?
途中で目線がちょっとだけ変わります。まずはナツ目線でいきますよ~!!
それでは、第81話・・・スタート!! 

 
空中に映像が映った。

マカ「あーあーあー、試験者の諸君、映っておるか?聞こえるか?」

ナ「じっちゃんだっ!!」

ハ「通信魔水晶(ラクリマ)の映像でしゃべっているんだね。」

グ「よーく聞こえるぜ。」

ウェ「みなさんの声も聞こえますよ。」

カ「お互いの声も聞こえるようになってるんだよ。」

すげー仕組みだな。

マカ「これより、第2ミッションのルール説明を行うっ!!」

きたーーーーー!!燃えてきたーーーーー!!!

マカ「出場するのは・・・まずはユモスチーム!」

ユ「なんか勝っちゃった。」

ユモのやつ、始めてなのに勝ったのかっ!?やっぱすげーな。

マカ「続いて、ガジルチーム!」

ガ「ギヒ。」

ショールとトーヤ負けちまったのか。

マカ「続いて、ナツチーム!」

ナ「おっしゃーーーーー!!」

ハ「あいっ!!」

グ「うるせーよクソ炎。」

ナ「んだとグレイ!!」

マカ「これこれ・・・続いて、グレイチーム!」

ナ「お前勝ったのかっ!?」

マジかよっ!絶対一番最初に負けると思ってたのにっ!!

マカ「最後は、カナチーム!」

ル&カ「イエーーーイ♪」

ハ「マヤとフレイ、負けちゃったんだね。」

ナ「だな。」

マカ「この5つのチームが挑む第2ミッションは、S級魔道士との対決じゃあ!!」

きたーーーーー!!いったい俺は誰と戦うんだっ!!エルザか?ミラか?リョウか?それともラクサスか?

ハ「ナツ、何でギルダーツがいないの?」

ギ、ギルダーツは強すぎるんだっ!それさっきも言ったぞっ!!

マカ「組み合わせは・・・」

エ「マスター!!ニコホリースにいるエルザです!!突然すみません。」

レ「エルザ?」

じっちゃんの言葉を遮るように、エルザが映像に映った。エルザの背後に火山が見える。

ル「私たちと戦うのはエルザなんだ・・・」

カ「恐ろしいね・・・」

マカ「な、何じゃいきなり・・・」

エ「それが・・・」

リョ「ミジリョーホウにいるリョウです!突然失礼します!!」

ユ「リョウ?どうしたの?」

今度はリョウが映像に映った。リョウの背後にうっそうと生い茂る木々が見える。

リリ「おれたちはリョウと戦うみたいだな。」

マカ「リョウまで・・・いったいどうし・・・」

ラ「カービフェンにいるラクサスだ。じぃじ、邪魔するぜ。」

ナ「ラクサスッ!!」

今度はラクサスが映像に映った。ラクサスの背後に砂漠が見える。とゆう事は・・・

ハ「おいらたちが戦うのはラクサスだったのかーーー!!」

おーーーーー!!燃えてきたーーーーー!!

マカ「お前までどうしたんじゃ?」

ラ「実は・・・」

ミ「マスター!キンユリーにいるミラで~す!」

ラクサスの言葉を遮るようにミラが映像に映る。ミラの背後に銀世界が見える。

ロ「僕たちの相手はミラだったんだね。」

マカ「・・・な、何なん・・・」

ギ「こちらオーリアにいる俺だ。」

ウェ「ギルダーツさん!!」

ミラの言葉を遮るようにギルダーツが映像に映る。ギルダーツの背後に何かの残骸が見える。

シャ「私たちが戦うのはあの男なのね・・・」

エ&リョ&ラ&ミ&ギ「じょぽdyくyちわmいxcあおyglんvすにwhzxいあ※〇nえq△yらpf!!」

な、何て言ってるのかわかんねぇ・・・

マカ「やかましいわいっ!!エルザから先に言え。」

エ「ギルド全員に聞こえるように映像を繋ぎます。」

しばらくすると・・・

マ「ヤッホ~♪こちら待機所にいるマヤで~す♪みんなどうしたの?第2ミッションはもう始まってると思ったけど?」

マカ「マヤ、待機所にいるやつら全員にこの映像が聞こえるようにしてくれ。」

マ「えっ?何で?」

エ「いいから早くしろっ!!」

ひぃぃぃっ!!エルザの雷が落ちたーーーっ!!!マヤはと言うと、

マ「よく分かんないけど、了解で~す♪」

相変わらずのテンションだな・・・ちょっとして、待機所とも繋がった。

マカ「エルザ、話してくれ。」

エ「実は、リグリション島の真上の空に、謎の飛行船が飛んでいるんです。」

マカ「何じゃとっ!!?」

飛行船?

リョ「俺もそれを知らせに。」

ラ「じぃじ、俺もだ。」

ミ「マスター、私もです。」

ギ「俺もだぜ。」

俺とハッピーは空を見上げる。たぶん、ギルド全員が空を見上げただろう。

ナ「な、何だあれっ!?」

俺たちが見たものは太陽に照らされた銀色の機体だった。銀色の機体に何か書いてある・・・

リョ「あの紋章・・・災いの天使(ディザスタエンジェル)の紋章だっ!!」

何だそれ?

ギ「今評議会で最も注目してる闇ギルドだ。」

フ「その闇ギルドの飛行船が、何であそこで停止してるんだよっ!?」

分かるわけねぇだろっ!!

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               『災いの天使の飛行船内部』

ファ「マスタービーム、破滅の光線(ルーインビーム)の発射準備が整いました。」

ビー「随分時間がかかったようだが?何かあったのか?」

ス「フェアリーが部品を1つ無くしちまったんっすよ。」

ソ「それで30分ほど捜していたんです。」

フェ「私、わざと無くしたんじゃないも~ん。」

ウォ「部品は無事見つかりました。いつでも発射できる状態です。」

ビー「そうか。ならば早速始めよう。」

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災い・・・何ちゃらってゆう闇ギルドの飛行船はずっとリグリション島の真上で停止した状態だった。用がないならさっさとあっち行ってくれよっ!!次のミッションが出来ねぇじゃねぇかっ!!

ショ「そんなに怒るなよ。」

ガ「相変わらず単細胞だな。」

んだとガジルッ!!その時、

ジュ「な、何ですかあれはっ!?」

ジュビアの驚いた声にもう一度上を見上げると、飛行船を操縦してるところから、バカデカイ大砲のようなものが出てきた。

ビ「何だあれ?」

フリ「大砲にしか見えないが。」

俺もフリードに同感だ。すると、大砲の発射口から何かが光りだした。

リ「何、あの光?」

エル「随分と不気味な色してるな。漢だ!!」

エル以外「意味わかんねぇよっ!!!!!」

でも、エルフマンの言うとおり、紫色に怪しく光っている。

マカ「あの光は・・・!破滅の光線じゃっ!!」

破滅の光線?

ト「マカロフさん、破滅の光線とはいったい?」

リョ「その名の通り、破滅の光線を浴びたものは、形もろとも破滅させるんだ。」

じっちゃんの変わりに説明したリョウの言葉にみんな驚いて言葉を失った。・・・って、

ナ「な、なぁ、その何ちゃら光線ってやつ、この島に発射するんじゃねぇか?」

ナ以外「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!!」

俺の言葉に全員の顔が青ざめる。

フ「お、おいおいおいおいおいっ!!ちょっと待てよ・・・」

グ「今ナツが言った事が本当なら・・・」

エバ「この島は・・・破滅するわっ!!!」

嘘だろっ!!!?

ナ「S級魔道士昇格試験が出来なくなっちまうじゃねぇかっ!!」

ナ以外「そうゆう問題じゃねぇっ!!!!!」

えっ?違うのか?

ル「ど、どうしよう・・・」

レ「島が破滅しちゃうよ~!!」

ウェ「あわわわわわ・・・・・」

エ「みんな落ち着けっ!!」

ミ「まだそうと決まったわけじゃないわっ!!」

ロ「で、でも、そうとしか考えられないんじゃ・・・」

みんなが沈黙に陥ったその時、

マカ「わしが止める。」

エ「マスター!?」

マ「何言ってるのっ!?」

ラ「じぃじ、止めろっ!!!」

フリ「いくらあなたでも不可能ですっ!!!」

マカ「不可能を可能にするっ!!それが妖精の尻尾じゃっ!!!」

じっちゃんの言葉に反論する者はいなかった。じっちゃんは魔法で巨人になると、

マカ「この島も、家族も、誰1人やらせんっ!!!」

ナ「じっちゃんっ!!!」

エ&ル&ミ&カ&レ「マスターーーーー!!!」

リョ&ト「マカロフさーーーーーん!!!」

ラ「じぃじーーーーー!!!」

そして、

ドドドガガガガガガガガガガァァァァァァァァァァン!!!!!

リグリション島一直線に何ちゃら光線は発射された。だが、それは島には一切当たらず、全てじっちゃんが防いでくれた。じっちゃんは元の姿に戻り、落下した。すぐにみんな駆けつけて、じっちゃんを待機所に運び、ウェンディが治療魔法をかける。

カ「ウェンディ、マスターの状態は。」

ウェ「脈もちゃんと動いてますし今は何も問題はありません。」

ウェンディの言葉にみんなほっとする。

ウェ「ただ、このままだと・・・」

シャ「マスターはかなり危険よ。」

みんながまた黙り込む。

ショ「あの飛行船、何でこの島に破滅の光線を撃ってきたんだ?」

ル「リョウ、何か知ってる事ある?」

リョ「・・・・・いや、災いの天使と妖精の尻尾は何も関係ないけど・・・」

ジュ「無関係のギルドに攻撃してきたって事ですか?」

リ「でも、何の為に?」

みんな考え込むが俺は違うっ!!

ナ「関係あってもなくても何だっていいっ!!じっちゃんを、俺たちの親をこんな目に合わせたんだっ!!誰であろうが何だろうが、俺が許さねぇっ!!!」

俺の言葉に全員頷く。俺たちの目は怒りで燃えていた。

ギ「試験は中止だな。」

グ「じーさんの仇を取ってやるっ!!」

マ「妖精の怒り、ぶつけてやるんだからっ!!」

みんなが怒りにあふれたその時、

ミ「みんな、空を見てっ!!」

ミラの言葉に空を見上げると、飛行船から人が落ちてきたぁっ!?

ビ「ヒヤッハ~、パラシュートだぜぇ~。」

ベ「パラシュートだ、パラシュートだ。」

ガ「随分派手なご登場だな。」

リリ「これで飛行船に乗り組む手間も省けた。」

よかったぁ~。

ル「あいつ等がマスターを・・・」

ト「人数は男女5人。」

ユ「こっちは27人。そのうちの5人がS級魔道士。」

ショ「いけるな。」

エ「あぁ。」

燃えてきたーーーーー!!!

ハ「とっくのとうに燃えているよ。」

あぁ。俺は燃えているぜ。

エ「敵はどんなやつかはわからない。だが、マスターをこんな目に合わせた事には変わりない。気を引き締めて、本気で戦えっ!!!妖精の怒りを、天使に見せ付けろっ!!!!!」

全「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!」

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       『ここからは、災いの天使の1人、ファイター目線でいきます。』

私がパラシュートで降りた場所は昔はこの島の大都市だったオーリア。本当に大都市だったのかしら?その時、手持ちの通信魔水晶が音を出しながら震えた。

ファ「こちらオーリアにいるファイターよ。」

ス「カー・・・何ちゃらってゆう砂漠にいるスパイダーっす。」

ウォ「カービフェンだろ。ミジリョーホウの森にいるウォーターだ。」

フェ「ニコホリースってゆう街にいるフェアリーだよ~♪」

ソ「キンユリーにいるソード。」

みんなと通信が繋がった。

ス「それにしても面倒な事になったっすね。」

フェ「まさか、ハエのマスターが破滅の光線を防いじゃうなんてねぇ~♪」

ソ「一掃しようと思ったのに、たくさんの血を見る事になりそう。」

ウォ「ソード、さらりと残酷な事言うなよ・・・」

いかにもソードらしい発言じゃない。

ウォ「ハエ共が「マスターの仇だーーーっ!!」って、俺たちに襲い掛かってきたら、遠慮なく殺していいんだよな?」

ファ「そうよ。」

フェ「でもぉ~、小娘は絶対にダメなんだよねぇ~♪」

ファ「そうよ。気絶ならいいけど。」

ス「少しは天使を喜ばせてくれるハエはいないっすかね?」

ソ「絶対にいない。」

ス「さすがソード姉貴!!」

みんな盛り上がってるわね。

フェ「でもさぁ~、ハエには火竜(サラマンダー)と~、鉄竜のガジルに~、天空の巫女がいるんだよねぇ~?」

ファ「そうよ。」

ウォ「後、氷の造形魔道士が2人、星霊魔道士、元有名マジシャン、怪物(モンスター)がいる。」

ソ「妖精女王(ティター二ア)、魔人、聖十大魔道を含んだS級魔道士が5人。」

ス「それと小娘。結構強いやつらが勢揃いっすよね。」

こうやって口にしてみると、確かに腕のある魔道士がいっぱいいる。でも、

ファ「大丈夫よ。私たちは災いの天使の魔道士。ハエ20匹ぐらいに負けるはずないわ。例えそれが、『最強』の魔道士でもね。」

そう、世界中の魔道士を集めて私たちに挑んでも、勝つ事なんて不可能なのよ。

フェ「ファイターの言うとおりだねぇ~♪」

ウォ「さすが俺たちのリーダー!!」

ス「頼りにしてるっすよ!!」

ソ「ファイターすごい。」

ファ「そんなに褒めないでよ。」

私は微笑んだ。今に見てなさいハエ共、私たちが最高の災いを見せてあげるわ。 
 

 
後書き
第81話終了~!!
破滅の光線によって倒れてしまったマスター。島に着陸する災いの天使。S級魔道士昇格試験は今年も中止になっちゃった!!天使たちが狙う小娘とはいったい誰なのか!?ナツたちは災いの天使たちを倒すことはできるのか!?作者にもわからないこの新展開、いったいどうなる!!?
次回は災いの天使たちに次々倒されていく妖精の尻尾の魔道士。妖精の尻尾の運命は!?
それではまた次回、お会いしましょう~!! 

 

第82話 災いの天使(ディザスタエンジェル)

 
前書き
HEY!07だよ~!
今回は次々にやられていく妖精の尻尾の魔道士たち。やつらが狙う小娘とは?
いろいろな目線で書いていきますよ。最初はエルザ目線!!
それでは、第82話・・・スタート!!! 

 
私たちは災いの天使の魔道士たちが降りたところまで手分けして捜す事にした。待機所にはレビィ、ミラ、リサーナ、ウェンディ、トーヤ、シャルルが残り、オーリアには、リョウ、ルーシィ、ガジル、リリー。カービフェンには、ラクサス、ギルダーツ、カナ、ジュビア。キンユリーにグレイ、ユモ、エルフマン、エバーグリーン。ニコホリースには、ナツ、マヤ、ハッピー、フレイ。ミジリョーホウには、私、ショール、フリード、ビックスローが捜している。ミジリョーホウに着くと、辺りが木・木・木で捜し辛い。

フリ「手分けして捜した方がいいな。」

エ「そうだな。」

ビ「俺とフリードはこっちに行く。お前等はあっちを捜してくれ。ヒヤッハ~。」

ショ「わかった。」

エ「見つけたらすぐに連絡しろ。私が血祭りにしてやる。」

フリ&ビ「了解。」

私たちはさらに二手に別れた。マスターをあんな目に合わせたやつは・・・私が許さないっ!!

ショ「なぁ、災いの天使と、本当に何も関係してないんだよな?」

言われてみれば、私たちが知らない間に何か起こってたのかもしれないな。その時、ブブッ、ブブッ、ブブッと通信魔水晶(ラクリマ)が音を出して震えた。私はすぐに耳に当てる。

フリ「フリードだ。こっちに災いの天使・・・」

突然通信が切れた。

エ「おい!フリード!何があったっ!!応答しろっ!!フリードッ!!!」

プー、プー、プーと通信魔水晶は完全に切れた。

ショ「ともかく、俺たちも行こうっ!!」

私たちは来た道を戻った。

****************************************************************************************

しばらく走っていると、

エ「!!!」

ショ「フリード!!ビックスロー!!」

傷だらけで倒れているフリードとビックスローと、倒れている2人の前に水色のTシャツに、青いジーンズ姿の1人の男がいた。そいつのTシャツに、青い災いの天使の紋章が刻まれていた。

エ「貴様が災いの天使の・・・!!」

私は黒羽の鎧に換装する。

ウォ「お前が噂に名高い妖精女王(ティター二ア)のエルザか。俺のコードネームはウォーター。災いの・・・」

エ「ハアァァァァァァァァァァ!!!」

私は剣を男に振りかざす。男はひらりとかわす。

ウォ「人の話を聞けよ。あんたと勝負したいところだが、生憎ここにはもう用がないんだ。倒れている2人を連れて退散した方がいいぞ。それじゃあな。」

男はそうゆうと瞬間移動(テレポート)した。

エ「くそっ!!!」

私は持っていた剣を地面に突き刺す。ショールは私の肩に手を置くと、

ショ「エルザ、悔しいのは分かるが、今は急いでフリードとビックスローを待機所に運ぶのが優先だ。」

エ「・・・あぁ。」

私は換装を解き、フリードを背負うと待機所へ一直線に走った。

****************************************************************************************

            『ここからルーシィ目線でいきます。』

私とリョウとガジルとリリーはオーリアの街で災いの天使の魔道士を捜してるんだけど・・・全然見つからないの。

ル「はぁ~。」

リョ「ったく、どこにいるんだ。」

その時、

ファ「ここにいるよ。目の悪いハエさんたち。」

振り向くと、残骸の上に先がカールした赤い髪の毛に、オレンジ色のフリルのついた服を着た1人の女の人がいた。その女の人の服に、赤い災いの天使の紋章が刻まれていた。

ガ「てめぇ~がマスターを・・・」

ファ「てめぇ~じゃないわ。私のコードネームはファイターよ。」

いかにも強そうなコードネームね・・・

リョ「てめぇ~・・・!!お、おい、ガジル?リリー?」

今にも聖剣(エクスカリバー)を抜いてファイターに噛みつきそうなリョウをガジルと巨大化したリリーが止める。

リリ「お前はしばらくルーシィといろ。」

ル&リョ「何でっ!?」

ガ「お前があの女に倒されたら、俺やリリー、ルーシィが敵うわけねぇだろ。」

リョ「俺があんなやつに倒されるわけねぇだろっ!!おいっ!ガジルッ!リリーッ!」

リョウの言う事に耳も傾けずにガジルとリリーはファイターってゆう人に向かって駆け出した。

ファ「あなたが鉄竜のガジル・・・そして、あなたのエクシード・・・かっ!」

ファイターは呟くように言うと、ガジルに回し蹴り、リリーに踵落とし。

ガ「ぐほぉ!!!」

リリ「がはっ!!!」

ル「ガジル!!リリー!!」

リョ「!!?」

そんな・・・あの2人を蹴り1つで倒しちゃうなんて・・・リョウも目を見開いている。2人は地面に落下する。リリーは元の姿に戻った。リョウはファイターのいる残骸の真下に行くと、

リョ「待てっ!次は俺だっ!!」

ファ「ゴメンね。ここにはもう用がないの。早くその2人の手当てをした方がいいわよ。」

ファイターって人は瞬間移動で姿を消した。

リョ「何なんだよあいつ・・・ガジルとリリーを蹴り1つで・・・そうゆう事が出来るのはてっきりユモだけかと思ったぞ。」

ル「私も思ったわ・・・あんなやつが、まだ4人も・・・」

私はガジルとリリーから目線を逸らし、リョウは血管が浮かび上がるほど硬く拳を握る。

リョ「とにかく、待機所に行こう。早く2人の手当てをしないと。」

ル「うん!」

リョウはガジルを背負い、私はリリーを抱いて待機所へ急いだ。

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            『ここからギルダーツ目線でいきます。』

マスターをあんな風にさせるって事は、俺たちに喧嘩売ってんだな。それなら、納得いくまでボコボコにしてやるよ。しっかし暑いなぁ~。砂漠だから仕方ねぇか。

カ「このくらいの暑さ、我慢しなさいよ。」

へいへい。その時、

ス「俺も暑いっす・・・あなたに同意するっすよ。」

ありがたく俺に同意してくれたのは、耳に銀色のピアスをつけて、白い蜘蛛の巣の模様がついた黒い服を着た男だった。そいつの服に白い災いの天使の紋章が刻まれていた。

ラ「こいつがじぃじを・・・!!」

ス「こいつじゃないっす。俺のコードネームはスパイダーっす。覚えてほしいっす。」

ジュ「スパイダー・・・蜘蛛?」

ギ「随分しゃれたコードネームだな。」

ス「マスターが付けてくれたコードネームっす。俺のお気に入りっす。」

喋り方もしゃれてるな。

カ「いちいち〇〇っすうるさいんだよっ!!カードマジック、死神の恋人!!」

ジュ「水流烈鞭ッ!!(ウォーターカーネ)」

ラ「レイジングボルトッ!!!」

あ~あ、あいつもやってくれるね~。俺の出番はなしって事か。・・・ん?

ス「蜘蛛の糸(スパイダースレット)。」

手から白い糸が伸び、カナ、ジュビア、ラクサスの動きを止める。

カ「えっ?」

ジュ「な、何ですか?この糸は?」

ラ「気持ち悪ィな。」

ス「蜘蛛の糸はそう簡単に解けないっすよ。狙った獲物は逃がさないっすから。蜘蛛の毒(スパイダーポイズン)」

カ&ジュ&ラ「!!!」

3人はその場に倒れた。

ギ「お、おい!どうしたお前等!!」

慌てて駆けつけると、3人の呼吸が荒い。あいつ、毒を・・・!!

ス「安心するっす。俺の毒はすぐには死なないっす。でも、天空の巫女の魔法では、治せないと思うっす。」

ギ「はぁ!?」

てゆうか、なぜウェンディの事を・・・?

ス「災いの天使は情報通っす。俺はもうここに用はないっす。また会ったら戦おうっす。ギルダーツさん。」

そう言うとスパイダーは瞬間移動で姿を消した。あいつ、俺の事も知ってるのか?確かに情報通だな。って、そんな事より早くこいつ等を運ばねぇとっ!!俺は3人を何とか背負い、待機所まで走った。

****************************************************************************************

             『ここからグレイ目線でいきます。』

俺とユモとエルフマンとエバーグリーンはキンユリーの街を捜している。

エル「マスターをあんな目に合わせるとは、災いの天使、漢だ!!」

エバ「意味わかんないわよ。」

この状況、どうしたらいいんだ?その時、

ソ「災いの天使には女もいる。」

振り向くと、赤いかんざしを付けた緑色のロングヘアーに黄緑色の甚平のような服を着た女が立っていた。そいつの服に、緑色の災いの天使の紋章が刻まれていた。

エル「お前が災いの天使の魔道士か。漢だ!!」

グ&ユ&エバ「あいつは女だって!!!」

ソ「下らない。私のコードネームはソード。小娘はどこ?」

ソードってゆうやつは背中に背負っていた自分の背丈と同じくらいのバカデカイ剣を取り出した。てゆうか・・・

ユ「小娘って誰の事?」

エバ「あんたの事じゃないの?」

まさかこいつ、ユモを狙っているんじゃ・・・!!俺はユモの前に立つ。ソードは俺たちの顔を眺めているみたいだ。

ソ「・・・この中にはいない。つまんない。」

グ「つまらないなら相手してやるよっ!!アイスメイク、槍騎兵ッ!!(ランス)」

俺が挑発して攻撃すると、ソードってゆうやつは目で追いつけねぇ速さで俺の攻撃を全て避けた。

ソ以外「!!!!」

するとまたものすげぇ速さでエルフマンとエバーグリーンの後ろへ周ると、2人の頭を殴った。

エル「ごほっ!!」

エバ「ギャアッ!!」

グ「エルフマン!!」

ユ「エバーグリーン!!」

2人が前へ倒れるのと同時に、ソードってゆうやつは2人の顎を蹴り上げた。

エル「ぐほっ!!」

エバ「あふっ!!」

ソ「・・・弱い。」

吐き捨てるように呟く。ソードは2人を何度も蹴り続けた。てゆうか、剣を持っている意味あるのかっ!?しばらくして、ソードが蹴るのを止めた。エルフマンとエバーグリーンは地面にドサッと倒れる。俺とユモは急いでエルフマンとエバーグリーンに駆けつけると、2人はすでに気を失っていた。

ユ「・・・・・」

格闘技の名手って呼ばれているユモも、今のソードの蹴りを見て小刻みに震えている。

ソ「私はもうここには用はない。それじゃあ。」

グ「おい待ちやがれっ!!小娘って誰の事だっ!!!」

ソードは俺の話を一切聞かず瞬間移動で姿を消した。

ユ「あの子・・・ただ者じゃないよ。」

グ「あぁ。こんなやつがまだいるのかよ・・・!!」

ユ「とにかく、早くエルフマンとエバーグリーンを待機所まで運ぼう。

俺とユモは気を失っている2人を背負い、待機所まで全速力で走った。それにしても・・・小娘っていったい誰なんだよ・・・?

****************************************************************************************

             『ここからナツ目線でいきます。』

ナ「ふぉーーーびぃ!!ふぁじゃふぁいの何ひゃらほふぁふぉうひぃ~!!ひぇべほ~ひ!!(おーーーい!!災いの何ちゃらの魔道士~!!出て来~い!!)

マ「ナツ、炎を食べながら言っても意味ないよ。」

ハ&フ「マヤの言うとおりです。」

ナ「ぷは~、食った食った~。」

マ&ハ&フ「聞いてないしっ!!?」

それにしても、災いの何ちゃらの魔道士、どこにいるんだっ!!じっちゃんのかたきは俺が取ってやるっ!!!燃えてきたぞーーーーー!!!その時、

フェ「いたぁ~!!!小娘発見~~~!!!」

マヤ以上にテンションが高い声が聞こえてきた。振り向くと、なぜか半透明の羽のついた薄い黄色い服に白いミニスカートに、頭に草の冠をのせた変なやつが出て来た。

フェ「変なやつじゃないもん!私のコードネームはねぇ~、フェアリーってゆうのぉ~♪」

フ「・・・こいつ、マヤより頭おかしいぞ。」

ナ&ハ「うんうん。」

マ「それどうゆう意味!?」

そうゆう意味だ。

フェ「ねぇねぇ~、大人しく、そこにいる女の子、こっちに渡してくれないかなぁ~?」

変なやつはマヤを指差す。俺はすぐさまマヤの前に立つ。俺の前にハッピーと人間の姿になったフレイが立つ。

ナ「マヤは俺たちの仲間だ。お前みたいな変なやつに渡すわけねぇだろ。」

ハ「そうだそうだーーー!!」

フ「ナツの大切の彼女だもんな。」

それは言わなくていいんだよ!!・・・ま、まぁ、正しい事だけどよ/////////////////////

マ「ナツ・・・ハッピー、フレイ。」

フェ「じゃあ、力づくでもらうね☆」

すると変なやつは銀色の鍵を取り出した。

ハ「あれって、ルーシィと同じ魔法!?」

フェ「残念でしたぁ~♪星霊の鍵じゃないよぉ~♪」

こいつ、ルーシィの魔法を何で知ってるんだ?

フェ「開門!飛鳥の妖精、ウィング!!」

銀色の魔法陣が地面に浮かび上がると、そこから手が翼の女が出て来たっ!!

ナ「あいつ、フレイと似たようなやつかっ!?」

フ「違うだろっ!!」

フェ「私の魔法は妖精魔法って言うんだよぉ~♪星霊魔法と似てるけどねぇ~♪ウィング、小娘を奪って!!」

ウィ「了解しました。」

鳥人間はでかい翼でマヤ目掛けて飛んで来た。俺たちは鳥人間を避ける。

ナ「ハッピー、マヤを頼んだっ!!」

ハ「あいさーーー!!」

マ「わわわわわぁ!!」

ウィ「待ちなさいっ!!」

鳥人間がハッピーの後を追うところを、

ナ「火竜の・・・鉄拳ッ!!」

ウィ「キャアァァァァァッ!!」

宙返りして吹っ飛ぶ。

フェ「う~ん、ウィングだけじゃちょっと大変だねぇ~、よぉ~し!!」

変なやつは今度は青い鍵を取り出すと、

フェ「開門!水人魚の妖精、アクア!!」

青い魔法陣が地面に浮かび上がり、そこから人魚が出て来たっ!!鳥人間の次は魚人間かっ!!

フェ「ウィングは小娘を、アクアはハエをよろしくぅ~♪」

ウィ&ア「了解しました。」

おい!!変なやつ、今俺たちのことハエって言ったなっ!!

フ「ナツ、前ッ!!」

ア「津波ッ!!(タイドゥールウェイヴ)」

ナ「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!?」

ばっうぇ、フォーとひへは。(やっべ、ボーとしてた。)

フ「炎歯車ッ!!(ファイアギア)」

ア「うあぁぁぁぁぁ!!」

ナ「サ、サンキューフレイ。」

フ「おぅ。気をつけろよ。」

その時、

ハ「うわぁぁぁぁぁ!!!」

マ「ハッピー!!キャアアアアアッ!!!」

ナ&フ「マヤ!!ハッピー!!」

今、マヤはハッピーじゃなくて、鳥人間に抱えられている。

ウィ「フェアリー様、捕獲しました。」

フェ「ありがと~ウィングゥ~!!アクアもお疲れぇ~!!それじゃあ帰ろぉ~!!」

マ「ちょっとっ!何するのっ!下ろしてよっ!!」

マヤは変なやつの腕の中で必死に暴れるが、予想以上に変なやつの腕の力が強いみたいだ。

ナ「待ちやがれ変なやつっ!!!」

フェ「だぁ~かぁ~らぁ~、私は変なやつじゃな~い!!フェアリーだよぉ~♪小娘はもらって行くねぇ~♪バイバ~イ!!」

マ「ナツーーーーー!!フレイーーーーー!!ハッピーーーーーー!!」

変なやつと鳥人間と魚人間は、マヤと共に瞬間移動で姿を消した。

ナ「マヤーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!」

ニコホリースの街に、俺の・・・いや、竜(ドラゴン)の雄叫びが響き渡った。 
 

 
後書き
第82話終わり~!!
小娘の正体はマヤでした!!マヤはいったいどうなる!?
次回は負傷した人も続出の妖精の尻尾。そして、連れ去られたマヤ。いったいどうなるの!?
次回もお楽しみに~!! 

 

第83話 連れ去られたマヤ

 
前書き
ど~も~♪07で~す♪
今回は災いの天使(ディザスタエンジェル)のフェアリーに連れ去られたマヤ。負傷者が大勢いる妖精の尻尾がとった行動は・・・!?
途中で目線が変わります。最初はウェンディ目線からで~す♪
それでは、第83話・・・スタート♪ 

 
待機所に次々と怪我をした人たちが運ばれてきました。中には毒で倒れた方も・・・この時点で今残っているのは、ナツさん、ハッピー、フレイさん、ルーシィさん、リョウさん、グレイさん、ユモさん、エルザさん、ショールさん、トーヤさん、シャルル、ミラさん、リサーナさん、レビィさん、ギルダーツさん、私だけです。

ル「・・・まさか、マヤが狙いで攻めて来たとはね・・・」

そう、マヤさんが災いの天使の人たちに連れ去られたとナツさんたちから聞かされた時は驚きました。

ユ「何で・・・何でマヤを・・・?」

ユモさんはすでに目に涙を浮かべています。するとフレイさんが、

フ「・・・これは俺の推測だけど・・・恐らく、不死鳥の欲望(フェニックスディザイア)を、狙っているんじゃないかな?」

ギ「不死鳥の・・・欲望?」

ミ「フレイ、それは何なの?」

そっか、これを知っているのは私たちだけでしたね。私たちはギルダーツさん、ミラさん、リサーナさん、レビィさんに不死鳥の欲望の事を話しました。

リ「そんな力がマヤにあるの・・・!?」

ト「でもフレイさん、それはフレイさんが持って来た薬で・・・」

シャ「トーヤの言うとおりよ。あの時、マヤは確かに薬を飲んで、不死鳥の欲望の力を抑えたはずでしょ?」

フ「・・・あいつ等は、災いの天使のやつ等は、不死鳥の欲望の事を、詳しく知っているのかもしれない。俺や鳳凰も知らない、何かを・・・」

ウェ「フレイさん・・・」

フレイさんは額に手を当てて唇を噛み締めました。

ショ「不死鳥の欲望・・・世界を滅ぼす事が出来る魔法・・・」

エ「やつ等は、世界を滅ぼそうとしているのか・・・?」

ナ「んな事させるかぁーーーーー!!!」

突然、今まで黙っていたナツさんが大声を上げました。

ハ「ナツ!落ち着いてよっ!!」

ナ「これが落ち着いてられるかよっ!!マヤを道具みたいに扱き使って・・・!!許せねぇんだよっ!!!」

ナツさんの硬く握られた拳は怒りで満ち溢れてました。

リョ「ナツ、お前の気持ちと俺たちの気持ちも一緒だ。」

ギ「だが、今ここで暴れても意味がねぇ。」

ナ「・・・・・」

リョウさんとギルダーツさんのおかげで、ナツさんが少しだけ落ち着きました。

グ「まずはこれからどうするかだな。」

レ「また災いの天使のやつ等が攻めて来るかもしれないしね。」

ミ「負傷者もこんなにいたら・・・」

シャ「それに、これ以上負傷者が出たら、ウェンディの魔力も持たないわ。」

ウェ「私の事はいいんですっ!!」

私は一番弱いし、災いの天使の人たちと戦ってもすぐに負けちゃうから・・・だから、責めてみなさんの治療は私が遣らないと・・・!すると、ユモさんが私の肩に手を置いて、

ユ「ウェンディ、自分がそれでよかったとしても、ウェンディの事を大切に思っている私たちにとったら、いけない事なんだよ。」

ウェ「・・・・・」

ユモさんの言葉に、私はそれ以上何も言えませんでした。すると、ナツさんが立ち上がると、

ナ「俺は、あの飛行船に乗り込む。」

ナ以外「はぁ!!!???」

ナツさんの言葉にみなさん驚嘆の声を上げました。

ル「ちょっと!いきなり何言ってるのよっ!?」

ト「相手は闇ギルドですよ!それに、マヤさんの身にもし何かあったら・・・」

ナ「ここで突っ立ってるわけにもいかねぇだろっ!!!」

私には、ナツさんの目に怒りと、悲しさの涙がたまっているように見えました。

エ「・・・私もナツの作戦に賛成だ。」

ショ「エルザァッ!?」

リョ「俺もだ。」

ル「リョウまでっ!!」

ユ「私も行くっ!」

グ「ユモッ!!」

エルザさん、リョウさん、ユモさんもナツさんの意見に賛成しちゃいましたっ!!

エ「ナツの言うとおり、ここでじっとしてても何も始まらないからな。」

リョ「その間に、マヤに何かあったら大変だ。」

ユ「世界も大切だけど、私はマヤの命の方が大切だと思う!そうでしょ、ナツ。」

ナ「あぁ。」

すると、

フ「みんなに迷惑掛けるなんてダメだな。俺もマヤの相棒として、協力するぜ。」

ナ「フレイ!」

ハ「おいらはナツの相棒だもん!おいらはもちろん行くよっ!!」

ナ「ハッピー!」

グ「はぁ、全く面倒なやつだな。」

ナ&ユ「グレイ!!」

ル「私も、人肌脱いじゃおっかなぁ~。」

ナ&リョ「ルーシィ!!」

人肌脱がなくてもいいと思いますけど・・・

ショ「俺も行くよ。」

ウェ「私も頑張ります!」

シャ「ウェンディが行くなら私も。」

ト「僕も行きます!」

結局、みなさんが行く事に。

エ「みんなで行っても待機所が困る。ミラとリサーナとレビィとウェンディとトーヤとシャルルはまたここに残ってくれ。」

レ「うん!」

ミ&リ「OK!!」

ウェ「わかりました。」

シャ「仕方ないわね。」

ト「了解です!」

ナ「おっしゃーーーーー!!!」

ナツさんが喜びの歓声を上げたその時、

フェ「ヤッホ~♪」

全「!!!」

驚いて振り向くと、5人の男女が待機所の前にいました。この人たちが・・・

ギ「おっ!蜘蛛野朗じゃねぇかっ!!」

ス「ギルダーツじゃないっすかっ!!」

な、何ですか、この関係・・・

ナ「変なやつだっ!!」

ハ&フ「変なやつだ!!」

フェ「だぁ~かぁ~らぁ~!違うって言ってるよぉ~!!」

ユ「マヤ以上にテンションが高い・・・」

ユモさん、私もそう思います。

ファ「小娘は今はマスターと一緒にいるわよ。」

ウォ「俺たちは退屈だからお前等と戦いに来たんだ。」

これ、完全に挑発してますよね。

エ「わざわざ貴様等から来るとはな。」

リョ「飛行船に乗り込む手間が省けたぜ。」

ソ「・・・じゃ、勝負スタート。」

すると、さっきまでいた人たちは瞬間移動(テレポート)で姿を消してしまいましたっ!!

ナ「あの変なやつ~!!行くぞっ!ハッピー!フレイ!」

ハ「あいさーーー!!」

フ「待てーーー変なやつーーー!!」

ナツさんとハッピーとフレイさんは、すぐにあの人たちを追いかけてニコホリースの街へ。

ル「リョウ、私たちも行こう!」

リョ「おぅ!!」

ルーシィさんとリョウさんはオーリアの街へ。

グ「俺たちも行くぞ!」

ユ「わかってるよ。」

グレイさんとユモさんはキンユリーの街へ。

エ「ショール、私たちも。」

ショ「だな。」

エルザさんとショールさんはミジリョーホウの森へ行っちゃいました。

ト「みなさん、大丈夫ですかね?」

ミ「大丈夫よ。」

リ「みんな強いもん。」

レ「全員倒して戻ってくるよ。」

ウェ「ですね。」

シャ「そうね。」

ギ「あぁ。」

あれ?ギルダーツさんは行かないんですか?

ギ「ん?これから行くぜ。」

ウェ&ト&シャ&リ&レ「えぇーーーーーーーーーー!!!」

ミ「気をつけてね。」

ミ、ミラさん・・・

シャ「やっぱ、天然ね・・・」

リ「ミラ姉・・・」

レ「アハハハハハ・・・」

ギ「そんじゃ、行ってくるわ。」

ギルダーツさんもカービフェンの街に行っちゃいました。

ト「ギルダーツさんって、いったい?」

ミ「どこにでもいる、普通のおじさんよ。」

ト「・・・はぁ。そう、ですか。」

****************************************************************************************

          『ここからは、マヤ目線でいきたいと思います。』

マ「・・・ん、ん~・・・?」

ここは・・・?ってそうだ!!なんか妙にテンション高い変なやつに連れ去られたんだっ!!

マ「早くここから出ないと・・・って、えぇーーーーーっ!!」

私の腕と足は縄で固く縛られていて身動きが出来ない状態。・・・こうゆう展開、前にもあったよ・・・しかも、今回は・・・

マ「何この服~~~!!!」

私のいつもの服は、象が描かれている黄色いTシャツに、白いショーパンのはずなのに・・・

マ「何でドレスになってるの~~~~~!!!」

薄い黄色のドレスに身を包んだ自分・・・なんかヤダ・・・って、誰が着替えさせたのっ!?さっきから驚いてばかりの私の前に、

ビー「起きたか。動物姫(アニマルプリンセス)。いや、鳳凰の娘と呼んだ方がいいか?」

マ「!!!」

白いYシャツに黒い帽子とズボンと革靴とマントに身を包んだ男が現れた。

ビー「災いの天使のマスター、ビームだ。」

マ「コードネームなんか名乗ってどうするの。」

ビー「知っていたのか。」

マ「妙にテンション高い変なやつから教えてもらったの。」

ビー「フェアリーの事だな。」

そうそう・・・って、こんな下らない話をしてる場合じゃなかったっ!!

マ「私をどうするつもり?てゆうか何でドレスなのっ!?」

ビー「その方がお似合いだと思ってな。あ、もちろん着替えさせたのは女の魔道士だから、安心して大丈夫だ。」

そ、それでもね・・・私にだって、デリカシーとゆうものが存在するんだよっ!!

ビー「話を元に戻して、お前をここに連れてきたのは、不死鳥の欲望を発動させるためだ。」

マ「え・・・?」

ビー「君の相棒の鳥が封じたらしいが、俺にはそんなの効かないんでね。」

う、嘘でしょ!?

マ「な、何でそんな事を・・・」

ビー「それは言えない。」

不死鳥の欲望・・・世界を、滅ぼす事が出来る魔法・・・

マ「・・・出来るならやってみなよ。」

ビー「?」

マ「あんたの思い通りには絶対にさせないっ!!私が自力で不死鳥の欲望を止めてやるっ!!!」

ビー「面白い事を言うんだな。フェアリーと似ているな。」

あんな変なやつと一緒にしないでよ。私のせいで、世界が、みんなが傷つくくらいなら・・・私自身で止めればいいんだっ!!天使になんかに負けてたまるかっ!!私は、あんたなんかの道具じゃないっ!!!こうして、妖精と天使の世界を賭けた戦いが、幕を開けた。 
 

 
後書き
第83話終了で~す♪
ナツたちはマヤを助けるために天使たちに立ち向かう!!一方、連れ去られたマヤは自力で不死鳥の欲望を止めると決意した!!災いの天使のマスター、ビームの企みとは!?
次回はギルダーツの戦い!!
第84話でお会いしましょう~♪ 

 

第84話 叶わない夢

 
前書き
こんにちは☆07です☆
今回はギルダーツとスパイダーの戦いです。砂漠で繰り広げられる男と男の熱き戦いが始まる。
途中で目線が変わります。最初はギルダーツ目線で書いていきます。うまく書けるか自信がありませんが・・・
ぞれでは、第84話・・・スタート☆ 

 
うひぃ~、さっきよりも暑いな~。俺の額は戦う前から汗が滲んでいる。すると、遠くの方に見慣れた蜘蛛の巣の模様がついた服を着た男がいた。

ギ「確か・・・スパイダーだっけな?」

ス「覚えててくれたっすか!!俺うれしいっす!!」

元気なやつだな。

ス「早速っすけど、バトル、始めるっすよ。」

ギ「おぅ。」

スパイダーは戦闘体勢を構えると、

ス「蜘蛛の糸!(スパイダースレット)」

スパイダーの手から白い糸が伸びる。俺はステップしながらかわす。

ス「さすがっすね、ギルダーツさん。でも、これならどうっすか?蜘蛛の罠!(スパイダートラップ)」

俺が着地した場所に黒い魔法陣が浮かび上がる。俺は瞬時にそこから離れた。すると、その魔法陣からバカデカイ蜘蛛の巣が出来上がった。

ギ「こりゃあすげー。見物だな。」

ス「呑気な事言ってるのも今のうちっすよ。蜘蛛の毒!(スパイダーポイズン)」

毒が染み込んだ蜘蛛の巣が俺に向かって伸びてくる。俺はゆっくり右手を上げる。すると、毒の染み込んだ蜘蛛の糸は音もなく散った。

ス「ひゅ~♪すごいっすね!!」

なんでこいつ、こんなにうれしそうなんだ?てゆうか・・・

ギ「お前は何で俺の事知ってるんだ?」

ス「簡単な事っす。俺にとってギルダーツさんは憧れの人だからっす。」

俺が憧れ?

ス「ギルダーツさんはものすごく強いし、仲間思いっす。俺もそんな風になりたいっす。」

嬉しそうに笑いながら語るスパイダーの目は、キラキラ輝いてるのが俺には分かった。だけどよスパイダー、

ギ「お前は闇ギルドの一員であり、俺たちの親を傷つけた1人でもあるんだ。今更俺に憧れても、時はすでに遅いんだよ。」

俺は少し冷たく言い放った。スパイダーは、

ス「・・・知ってるっす。」

ギ「!?」

ス「闇の者は光の者には二度となれないのは自分も理解してるっす。でも、光の者はもちろん、闇の者にも、夢はあっていいんじゃないっすかね?たとえ叶わない夢だとしても、あっていいんじゃないっすかね?」

こいつ・・・

ス「叶わない夢を持っているのは俺だけじゃないっす。ファイターも、ウォーターも、フェアリーも、ソード姉貴も、マスターもみんな持ってるっす。」

スパイダーは目を伏せた。天使が抱える夢ってやつか。

ス「でも、俺たちのマスターの夢は、もうすぐで叶うっす。」

ギ「それはマヤを使って叶える夢なのか?」

ス「マスターはそう言ってたっす。詳しい事は俺もよく分かんないっすけど。」

・・・天使のボスの夢が叶って、天使の弟子の夢は叶わない・・・か。

ス「話は終わりっす。俺はギルダーツさんと戦えるだけでも嬉しいっす。蜘蛛の行列!(スパイダーパレイド)」

魔法陣から大量の蜘蛛が出て来た。気持ち悪いな・・・その大量の蜘蛛が俺の前で停止した。

ス「これが止めっす!蜘蛛の呪い!!(スパイダーカース)」

蜘蛛全員が俺に視線を向ける。その蜘蛛たちの目は怪しく赤く光っていた。

ギ「!!!」

いきなり体に負担がかかったように、体が重く感じた。これが、蜘蛛の呪い・・・なのか?

ギ「クラッシュ!」

俺は魔法で蜘蛛を弾き飛ばした。弾き飛ばされた蜘蛛は次々に消えていく。

ギ「ふぅ~、初めてだぜ。蜘蛛の呪いにかかったのは。」

ス「・・・ギ、ギルダーツさんて、意外に呑気なんっすね・・・」

ギ「まぁな。クラッシュ!」

ス「!!うわぁぁぁっ!!」

まだ砕けるほどじゃねぇ。でも、骨の1~2本は折れてるかもな。

ス「う・・・あぁ・・・」

スパイダーは起き上がれずに呻き声を上げるばかり。あちゃ~、ちっとやりすぎちまったか。

ギ「悪ィ。ちっと力が入りすぎちまったみてぇだ。」

ス「こ、このくらい・・・慣れてるっす・・・」

ギ「?」

骨が折れる事が慣れてる?何度も骨を折った事があるのか?

ス「ま、まぁ、そんな感じっす・・・」

一瞬、こいつの目が悲しそうに見えた。

ス「と、ともかく・・・俺の負けっす。小娘・・・いや、動物姫(アニマルプリンセス)はあの飛行船の中にいるっす。たぶん、マスターと一緒に・・・」

ギ「そうか。」

ス「楽しかったっす。ギルダーツさんはやっぱり強いっす。ありがとうっす。」

な、なんでお礼を言うんだ?

ギ「じゃあな。」

ス「お元気でいてほしいっす!」

俺はカービフェンの街を抜け、待機所に戻ることにした。

****************************************************************************************

             『ここからマヤ目線でいきます。』

ビー「スパイダー第1号がやられたか。」

災いの天使(ディザスタエンジェル)のマスターが独り言のように呟く。

マ「第1号って何?あいつ等ロボットなの?」

ビー「いや、あいつらは人間そのものだ。」

じゃあ、第1号ってどうゆう事?すると、

ス「ただいま戻りましたっす。」

えぇっ!!私の隣にいつの間にか男が立っていた!!どうやってここまで来たのっ!?

ビー「ギルダーツに敗れたのか?」

ス「そうっす。」

ギルダーツに勝つ事が出来るのはマスターぐらいじゃないのかな?ミラが以前言ってた。ものすごく強いってっ!!

ス「骨を2本くらい・・・」

骨折れたのっ!?あ、そっか、どんなものでも砕いちゃう魔法なんだよね。

ビー「私が治してあげよう。ついでに、レベルも上げよう。」

ス「分かりましたっす・・・」

レベルを上げる?どうゆう事?すると地面から変なイスと機械(?)が出て来た。イスには何本ものコードが繋がれていて、そのコードは機械と繋がっている。

マ「これ何?」

ビー「見てればすぐに分かる。スパイダー、座れ。」

ス「はいっす・・・」

ん?あの人の顔が悲しそうに見えたのは気のせいかな?スパイダーてゆう人がイスに座ると、上からヘルメットのようなものがスパイダーってゆう人の頭に被さった。そのヘルメットにも数本のコードが機械と繋げられている。

ビー「それじゃ、始めるぞ。」

ス「はいっす・・・!」

スパイダーってゆう人は固く目を閉じた。

ビー「スパイダーを、第1号から第2号へ!」

その時、コードから火花が散って、

ス「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

いきなり悲鳴を上げた。

マ「ちょっとっ!!何してるのっ!?」

ビー「スパイダーの強さを上げているんだ。」

強制的に強さを上げているって事!?

ス「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

スパイダーはものすごく辛そう・・・

マ「今すぐ機械を止めてっ!!」

ビー「何を言っている。強くしているだけだ。」

マ「このままだと、あの人死んじゃうよっ!!」

ビー「今までやってきたが、そんな事は一度もない。」

一度だけじゃないのっ!?

ビー「お前もこの機械で不死鳥の欲望(フェニックスディザイア)を発動させるんだ。」

マ「!!!???」

私の思考が止まった。それと同時に機械も止まった。スパイダーはイスに座ったまま動かない。

マ「ねぇっ!!本当に大丈夫なのっ!?」

ビー「安心しろ。すぐに目を覚ます。」

ビームが言ったとおり、スパイダーはすぐに目を覚ました。でも、さっきのスパイダーじゃない。目が・・・スパイダーの目が、赤い・・・

ビー「スパイダー第2号、ファイターたちが帰って来るのをしばらく待ってろ。」

ス「はいっす。」

スパイダーは私の前を通った時、あの赤い目で私を睨んできた。

ビー「お前もあんな風に強くなるんだ。」

マ「最低だ・・・」

ビー「?」

マ「あんた最低な人間だよっ!!自分の弟子を道具みたいに扱ってっ!!!私はあんたの思い通りには絶対に動かないっ!!!自分の手で、不死鳥の欲望を止めてやるっ!!!」

私は決意した。あのフェアリーってゆう変なやつも、他のやつも、さっきのスパイダーみたいになってたんだ。こいつのせいで・・・!!!

マ「私は・・・私はあんたを許さないっ!!!」 
 

 
後書き
第84話終了☆
驚きの事実が判明!!なんとビームはスパイダーや他のやつらの強さを強制的に上げていた!!それに大激怒したマヤ。いったいどうなる!?
次回はエルザ&ショールの戦いだよ!!
お見逃しなく☆ 

 

第85話 ギアチェンジ発動

 
前書き
お久しぶりです!07です!!私のお父さんの突然の発言で、おじいちゃんとおばあちゃんの家に泊まりに行ってました。更新遅くなってスイマセン・・・
今回はエルザとショールの対決!!
ショール目線でいきますよ~!
それでは、第85話・・・スタート!!! 

 
災いの天使(ディザスタエンジェル)・・・やつらは何で不死鳥の欲望(フェニックスディザイア)を発動させて世界を滅ぼそうとしているんだ?それとも、別の企みで・・・

エ「ショール、ショール、どうした?」

ショ「あ、ゴメン。聞いていなかった。」

俺は考え事していたせいか、エルザの声が聞こえなかった。

エ「ショールは不死鳥の欲望の事を詳しく知らないのか?」

ショ「フレイの話を聞いた後に本で調べてみたんだけど、不死鳥の欲望の事はどの本にも載っていなかったよ。」

エ「そうか・・・」

不死鳥の欲望の事を知っているのは妖精の尻尾の魔道士だけのはずなのに、災いの天使のやつ等は何でそれを・・・しかも、それがマヤだってゆう事も・・・その時、

ウォ「災いの天使は情報通なんだ。」

エ「!!お前は・・・!」

いつの間にか俺たちの後ろに・・・確か、ウォーターだったかな?

ウォ「その通り。お待ちかねのバトルをしよう。妖精女王(ティター二ア)&元有名マジシャン。」

誰も待っていないと思うけどな・・・コードネームから考えるとこいつの魔法は水だ。エルザも思ったのか、海王の鎧に換装していた。

ウォ「アクアメイク、水竜ッ!!(マリンドラゴン)」

水のドラゴンが俺たちに襲い掛かってきた。こいつ、動の水の造形魔道士!!エルザはウォーターの攻撃に驚きもせず、海王の鎧で応戦した。俺も手伝わないとっ!!

ショ「ビック!!」

俺はエルザの攻撃、防御を上げ、

ショ「スモール!!」

ウォーターの攻撃、防御を下げた。

エ「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

エルザは気合と怒りの攻撃をウォーターにぶつける。

ウォ「アクアメイク、水蛇ッ!!(マリンスネーク)」

水の蛇がエルザの攻撃を止め、エルザの体を自分の体の中に吸い込んだぁっ!?

エ「ブハ。」

ショ「エルザ!!」

ウォ「急がないと妖精女王は水蛇の体の中で溺れ死ぬぞ。アクアメイク、鮫ッ!!(シャーク)」

水の鮫が俺に襲い掛かってくる。

ショ「ぐわっ!!」

水の鮫に右脇腹を噛まれる。水だけど、激痛が体全身に走る。俺が何とかしないと・・・!

ショ「スローモーション!!」

水の鮫の動きを遅くし、

ショ「マジックハンド!!」

ウォーターに攻撃しようとしてもあっさりかわされる。

ウォ「そんなもんかよ。お前に妖精女王を助ける事が出来るのか?」

ウォーターが不気味な笑みを浮かべて俺を挑発する。俺は目を伏せると、

ショ「・・・確かに、俺はエルザみたいに強くないし、根性もない・・・でも、大切な人や、大切なものを守る力はあるっ!仲間がそれを俺に教えてくれたっ!!俺は・・・妖精の尻尾の魔道士だーーーーーっ!!!」

俺の魔力が白い渦になって体全身から放出し、俺の体を包み込んだ。今まで信じる事が出来なかった他人の事を、俺はこのギルドで信じる事が出来た。力だけじゃない。夢や、希望や、絆や、勇気も、妖精の尻尾が、仲間が教えてくれた。

ショ「お前等は、俺たちの家族の1人を傷つけた。それは家族全員が許す事が出来ないっ!!お前等の、永遠の罪になるんだっ!!」

ウォ「こいつ、魔力が上がっているっ!?」

俺の体からは、白い光があふれていた。

ショ「ギアチェンジ!モード光!!」

俺の拳に白い光が集まり、

ショ「白光拳!!」

ウォ「ぐっ!!」

白い光を纏った拳で、ウォーターを連続で殴り続ける。

ウォ「アクアメイク、海豚ッ!!(ドルフィン)」

傷だらけになったウォーターが無数の水の海豚を造形する。水の海豚が飛び跳ねながら俺に襲い掛かってくる。が、俺はそれを全て避ける。

ウォ「この数を全部かわしたぁっ!?」

ショ「白光刀!!」

白い光の刀がウォーターを切り裂く。

ウォ「ぐぉほっ!!」

ショ「白光線!!」

白い光の光線が直撃する。

ウォ「ぐあぁぁぁっ!!」

これで、止めだっ!!

ショ「白光弾!!!」

白い光の弾丸がウォーター目掛けて飛んでいく。

ウォ「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

白光弾はウォーターに直撃した後、水蛇を貫き、水の中から気を失ったエルザが真っ逆さまに落ちてくる。

ショ「エルザ!!」

俺は駆け出し、後30cm程のところでエルザをキャッチ。ギリギリセーフ!!

ウォ「俺の、完敗だな・・・」

ウォーターがため息と共に呟く。

ショ「お前等が何を企んでいるかは俺は知らないが、必ず俺たちが止めてやる。必ずな。」

俺はそう言い残し、エルザを抱え待機所に向かった。

****************************************************************************************

それにしても、ギアチェンジ・・・この魔法は、俺がジャックと一緒に旅をしていた頃に、唯一習得する事が出来なかった手品魔法だった。今頃になって出来るようになるとは正直俺も思ってもいなかった。そんな事を待機所に向かう道中考えていると、

エ「・・・ん?」

エルザが目を覚ました。

エ「ここは、いったい・・・?!!ウォーターはっ!!?」

ショ「な、何とか倒したよ。」

エ、エルザ、いきなり起き上がるなよ・・・顔がものすごく近い////////////////

エ「そうか。今回はお前に助けられたな。」

ショ「いつも俺が助けられてたからな。恩返しだ。」

俺はエルザを下ろし、待機所に向かおうと歩き出そうとした時、

エ「ショール、その、ありがとうな//////////////」

ショ「え、あ、いや、だ、だから、恩返しだって!!///////////////////」

たぶん、今の俺の顔はエルザの緋色の髪より赤くなっていると思う//////////////俺はくるりと回れ右をして、再び歩き出した。その後をエルザが追いかけて、俺たちは並んで待機所に向かった。 
 

 
後書き
第85話終了~!!
いつもエルザに助けられているショールが今回は大活躍でした!!これからもエルザをちゃんと守っていきなよ。
次回はグレイとユモの対決!!
それではまた次回!! 

 

第86話 一緒なんだよ・・・ 

 
前書き
こんにちは~♪07で~す♪
今回はグレイとユモの対決!!
グレイ目線で書いていきますよ。
それでは、第86話・・・スタート♪ 

 
俺とユモはキンユリーにいるんだけどよ、なんかいきなり吹雪いてきたな。くっそ、前がよく見えねぇ。

ソ「戦いやすくていい。」

グ&ユ「!!」

吹雪の中から現れたのは、確か、ソードってゆうやつだ。

ユ「そんな格好で寒くないの?」

ソ「そう言うあなたたちも同じようなもの。男の方は服まで脱いでる。」

グ「あ?服なんか脱いで・・・っておぉ!いつの間にっ!?」

ソ「無意識なの?」

仕方ねぇだろ。癖なんだからよ。そんな事より、

グ「マヤはどこだ。」

ソ「たぶん、飛行船の中で、マスタービームと一緒にいると思う。」

ユ「マヤをどうするつもりなの。」

ソ「さぁ?私にも分からない。」

こいつ、無表情でしゃべるから、本当なのか嘘なのか見当もつかない俺たちが話している間にも、吹雪はさらに酷くなっていく。

ソ「話は終わり。」

そう言うとソードは背中に背負っていた剣を取り出した。リョウの聖剣(エクスカリバー)よりも遥かに大きい。てゆうか、自分の体よりでかいんじゃねぇかぁ!?

ソ「マスタービームの夢を叶えるため、私はあなたたちをここで潰す!」

グ「言ってくれるじゃねぇか。」

ユ「私たちを怒らせたら、後悔するよ。」

ユ、ユモ、黒いオーラを出しながら笑顔で言うな・・・

ソ「炎の剣。(ファイアソード)」

すると、ソードのバカデカイ剣が赤くに光りだした。

ソ「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

その剣を俺たちに振りかざす。

グ「アイスメイク、盾ッ!!(シールド)」

なんとか防ぐものの、氷が溶け始めた!!

ユ「アイスメイク、爆弾ッ!!(ボム)」

ユモのおかげで、ソードの攻撃が直撃はしなかった。ソードの剣は、属性を変えて戦う剣みたいだな。

ソ「さすが勘の鋭いグレイ・フルバスター。あなたの言うとおり。」

ん?何で俺の名前を?

ソ「すでに情報済み。水の剣。(ウォーターソード)」

今度は剣が青く光りだした。水なら凍らせるぜ!

ソ「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

俺は攻撃をかわさず、タイミングを見計らって、ソードの剣を凍らせる。

ソ「!!」

ユ「アイスメイク、剣ッ!!(ソード)」

ユモが隙をついて攻撃を仕掛けるが、ソードはバク転をしてかわす。着地したところで、

グ「氷欠泉ッ!!(アイスゲイザー)」

ソ「炎の剣。」

ソードはどこから取り出したかわからねぇが、もう1本の剣で氷をどんどん溶かしていく。

ソ「予備の剣。」

グ「予備なんてあるのかよっ!?」

ユ「ずるいっ!!」

ソ「こうでもしないと勝てないから。」

全く、厄介な相手だぜ。

ユ「そんなに勝ちたい理由があるの?」

ソ「?」

グ「お前等のマスターが、不死鳥の欲望(フェニックスディザイア)を利用して、何を企んでいるか俺たちは知らねぇが、ここまでしてやりたい事なのかよ。」

ソードは、俺たちの言葉に下を向くと、

ソ「マスタービームは、私たちの命の恩人。」

グ&ユ「恩人?」

闇ギルドのマスターがか?

ソ「私とスパイダーは幼くして家族を亡くして、ウォーターとフェアリーは何らかの理由で街を追い出されて、ファイターは親に捨てられたんだ。」

グ&ユ「!!!」

ソ「途方に暮れた私たちを、マスタービームは救ってくれた。私たちは決意した。どんな事があろうと、マスタービームに従う事を!19年間、今までずっと従ってきた!」

19年間も・・・隣でユモが拳を硬く握った。

ユ「・・・一緒だよ。」

ソ「!?」

グ「マヤも一緒なんだよ。お前等と。」

ユ「マヤは4歳の頃に実の親に森の奥深くに捨てられたの。そこを鳳凰に拾われて育ててくれたんだよ。」

グ「お前等になら分かるだろっ!マヤの気持ちをっ!!マヤの辛い過去をっ!!」

ソードは小刻みに震えると、

ソ「・・・分かったとしても敵だっ!!」

どんだけマスターを信頼してるんだよ・・・

ソ「超・炎の剣!!(スーパーファイアソード)」

さっきよりも赤い光が増した剣を振りかざしてくる。俺とユモはかわす事が出来たが、

ソ「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

グ「ぐおっ!!」

ユ「キャア!!」

ものすごいスピードで俺たちの背後に周ったソードの攻撃が直撃した。俺は右腕にものすごい痛みを感じ、見ると赤く腫れていた。火傷したみたいだ。

グ「熱っ!!」

ユ「ひ、皮膚が、焼けそう・・・」

ユモは左腕に火傷を負った。

ソ「マスターをバカにする人は、私がこの手で潰すっ!!」

おいおいおいおいおいっ!!さっきと態度が逆転してんじゃねぇかっ!?

ソ「超・雷の剣!!(スーパーサンダーソード)」

グ「ぐわぁぁぁぁぁ!!」

ユ「うあぁぁぁぁぁ!!」

今度は火傷で動けなく雷が直撃した。

ソ「これで止め。超・闇の剣!!!(スーパーダークソード)」

ユ「・・・闇・・・・・?」

げっ!!まずい!!ユモはハルトのせいで闇がトラウマになっているんだっ!!それを知らないソードは、

ソ「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

どす黒い色をした光を纏った剣を振りかざしてきた。が、

ソ「え・・・?」

ユモに素手で止められた。ユモの手から血が流れる。ソードが剣を取ろうとするが、剣はユモの手に握られたままビクともしない。

ソ「ど、どうなって・・・」

グ「お、おい、ユモ・・・?」

よく見ると、ユモの頬を何かが伝っていた。

ユ「・・・嫌だよね。」

グ&ソ「!?」

ユ「自分のせいで、他人や、大切な人が傷つくのを見ると、誰だって嫌だよね・・・」

ソ「・・・・・」

グ「ユモ・・・」

ユモは顔を上げると、

ユ「あなたたちは、今、自分の過去と同じ事をしているんだよ・・・!」

ソ「!!」

そう言うとユモは剣から手をゆっくり放した。ユモの赤い血が付いた剣が雪の積もっている地面に落ちる。ソードはその場に座り込み、地面に額と手を着くと、

ソ「参りました・・・」

俺たちに土下座して謝った。それを見たユモは、

ユ「そ、そんな!謝ってもらおうとしたわけじゃないのに!えぇっと・・・」

困った表情でソードを宥めていた。まぁ、何はともあれ、俺たちの勝利ってことだな。さてと、待機所に戻るか。

ソ「あ、あの・・・」

俺たちが待機所に戻ろうとしたところをソードが呼び止めた。

ソ「・・・ちょっと、頼み事、していい、かな?」

グ「頼み事?」

ユ「私たちに?」

するとソードはどこか悲しげな顔をして、

ソ「私たちを、マスタービームから、助けてほしいの。」

グ&ユ「えっ!?」

おいおいおいおいおいっ!!さっきと言ってる事が矛盾してるぞっ!!お前等はマスターを信頼してるんだよなっ!?

ソ「もちろん信頼はしてる。でも、私たち、時々操られるんだ・・・」

ユ「マスターに操られる?」

どうゆう意味だ?

ソ「詳しい事はすぐに分かるよ。」

よく分からねぇけど・・・

グ「まぁ、出来る限りの事ならやっておくぜ。」

ソ「ほんとっ!?」

ユ「うん。みんなにも伝えておくよ。」

ソ「ありがとう!!」

するとまたソードは額と手を地面に着いて、土下座した。ここは土下座じゃなくていいと思うけどな・・・

ユ「それじゃあね、ソード。」

ソ「ありがとう。ユモス・クオリナ!グレイ・フルバスター!」

あいつ、俺たちと戦ったら、キャラ変わったな。

ユ「操られている・・・どうゆう意味なんだろ?」

グ「それと、すぐ分かるって事もよく分かんねぇな。」

それに、もしかすると・・・・・俺の勘が正しければ、この戦い、まだ終わらねぇ!! 
 

 
後書き
第86話終了で~す♪
災いの天使(ディザスタエンジェル)の秘密を知ってしまったグレイとユモ。でも、まだよくわからないようです。読者の皆様も、気づいてる方はいらっしゃると思います。
次回はルーシィ&リョウの対決!!
第87話でお会いしましょう~♪ 

 

第87話 力になりたい!!

 
前書き
マヤみたいにいつもハイテンションな07です☆
今回はルーシィ&リョウの対決!!
ルーシィ目線で書いていきます。
それでは、第87話・・・スタート☆ 

 
・・・さっきから嫌な予感がするのよね・・・

ル「ねぇリョウ、もしマヤが危険な目に合ってたら・・・」

リョ「・・・・・」

リョウは何も言わないけど、心配しているのは表情だけで分かった。その時、

ファ「大丈夫。動物姫(アニマルプリンセス)は無事よ。」

上を見上げると、ガジルとリリーを蹴り1つで倒した女の人が残骸の上に立っていた。

リョ「おい!ファイヤー!さっきはよくもやってくれたなっ!!」

ファ「ファイヤーじゃなくてファイターよ!人の名前くらいちゃんと覚えなさいっ!!」

名前じゃなくて、コードネームだけどね・・・てゆうか、現れてそうそう説教するのね・・・

リョ「お前の名前なんかどうでもいい!俺は今めちゃくちゃ腹が立ってるんだっ!!仲間を散々傷つけて、マヤを攫って、マカロフさんまで・・・」

リョウの硬く握られた拳が怒りと悔しさで小刻みに震えている。

ファ「あんたたちのマスター、破滅の光線(ルーインビーム)を正面から直撃して、生きているだけでもすごいわよ。」

リョ「てめぇ~・・・!!」

リョウの硬く握られた拳は今度は怒りと悲しみで小刻みに震えていた。リョウの怒りで大気が震えている・・・すごい魔力・・・リョウは腰から聖剣(エクスカリバー)を1本抜くと、刃先をファイターに向けて、

リョ「お前の相手はこの俺だっ!!ルーシィにはぜってぇ~に指1本触れさせねぇっ!!!」

ル「リョウ・・・」

リョウの背中は、いつもよりたくましく見えた。

ファ「はいはい。若いっていいわね。」

ル「あなた何歳なのよっ!?」

ファ「それが分かんないのよね~。」

ナツとガジルと一緒で、年齢不群って事かしら?見た目的には20歳ぐらいよね。

ファ「先攻は譲るわ。本気でかかってきなさい。」

リョ「舐めやがってっ!!」

リョウを挑発するなんて・・・!!するとリョウはもう1本聖剣を抜くと、ファイターに向かって一直線に駆け出した。

リョ「2剣流・・・天翔切ッ!!」

赤い光を放った聖剣をファイターに振りかざす。やっぱり、リョウも少し警戒してるんだ・・・いつもなら最初は聖剣1本で戦って、相手の強さを探るはずなのに、今回は最初から・・・

ファ「甘いわよ!」

リョ「!!!」

ル「そんな・・・」

リョウの攻撃を蹴り1つで防いじゃうなんて・・・

リョ「お前、ナツ以上に化け物なんじゃねぇか?」

ファ「なっ!!」

化け物は大げさすぎると思うけど・・・

ファ「冗談にも程があるわっ!!私はどこにでもいる極普通の女ですっ!!」

リョ「んじゃ訂正する。闇ギルドのどこにでもいる極普通の化け物女だ。」

ファ「あんた・・・私を挑発してるの?」

リョ「気づくのがおせぇんだよ。さっきの仕返しだ。」

あ、あの~、私はこの空気の中で、どうしたらいいの?

リョ「2剣流・・・星志希切ッ!!」

星のような光に、希望に満ちた光を纏った聖剣を、ファイターに力強く振りかざす。

ファ「全自必拳ッ!!」

星のように輝く光を纏った聖剣と、激しく燃える炎のような赤い光を纏った拳がぶつかり合った。

リョ「・・・・・」

ファ「・・・・・」

ル「・・・・・」

バギィィィンッ!!!

ル「う、嘘・・・!!」

ファ「ふふ。」

リョ「俺の、聖剣が・・・」

粉々に砕け散った。

ファ「1本だけでも持ち応えたのはすごいわ。でも、これで戦いは私の方がかなり有利になったわよ。」

リョ「くっそ!!」

・・・ダメだ・・・やっぱり見てられない・・・!!

ル「リョウ!!私も戦うっ!!」

リョウは目を見開くと、

リョ「ダメだっ!!こいつは俺がやるっ!!」

怒鳴るように言う。でも、これくらいで「分かったわ。」って引き下がる私じゃないっ!!

ル「聖剣1本じゃ無理だよっ!!私だって戦えるっ!!いつもリョウに助けられてばかりだけど、今なら少しでも力になりたいのっ!!」

リョ「ルーシィ・・・」

ファ「素敵な彼女さんね。」

その時、リョウの立っている場所に赤い魔法陣が浮かび上がった。

リョ「な、何だこれ!っ?」

ファ「私が魔法を使えないとでも思ったの?」

すると、魔法陣から赤い紐のようなものが飛び出し、リョウの体に纏わり付く。

ファ「伸縮自在が可能の紐よ。」

紐がリョウの首に巻き付く。

リョ「あぁ・・・あ、ぁ・・・」

ル「リョウ!!」

リョウは完全に身動きが出来なくなっていた。

ファ「さあどうする?ルーシィ・ハートフィリアさん。」

ファイターが不敵な笑みで笑ってくる。

リョ「ルー、シィ・・・に、逃げろ・・・」

私は硬く拳を握り締めた。

ル「私のせいで、マヤや、他のみんなが傷ついちゃうかもしれないけど・・・何もやらないよりはやった方が何倍も得ッ!!今度は私が相手よっ!!!」

ファ「そうこなくっちゃ!」

私は鍵を取り出す。お願いみんな、私に力を貸してっ!!

ル「開け!金牛宮の扉!タウロス!!」

タ「MOーーーーーーーーーー!!」

ル「全力であいつを倒して!!」

タ「了解しましたMOー。」

タウロスが斧を振り上げる。ファイターはそれをステップでかわし、タウロスの背中に蹴りを1つお見舞いする。

タ「MOッ!!MOー怒りましたMOーーー!!」

タウロスが怒ったぁっ!?あれ?牛って赤いものを見ると暴走するんだよね?

タ「MOーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」

タウロスは斧を連続で振り回す。ファイターはそれをかわし続ける。

ファ「なぁ~んだ、黄道十二門だからてっきり強いかと思ったけど、そうでもないね。」

ファイターは胸の前で手を十字にすると、

ファ「クロスナックル!!」

タ「MOーーーーーーーーーー!!!」

ル「タウロスッ!!」

タ「す、すみません・・・MOー・・・」

タウロスは星霊界に帰って行った。

ファ「手榴拳!!」

ル「キャア!!」

ファ「鞭蹴り!!」

ル「イギィ!!」

ファ「全自必拳!!」

ル「あうっ!!」

リョ「ル・・・シィ・・・」

私の体はもうボロボロだった。魔力も限界だった。

ファ「さて、どうする?」

ファイターが私の隣にしゃがみ、不敵な笑みで問いかけてくる。か、勝てない・・・私は痛む体を体を起こして、ファイターに頭を下げると、

ル「お、お願い・・・私はどうなってもいいから・・・マヤや、リョウ、みんなには手を出さないで!!」

必死にお願いした。顔は見えないけど、ファイターが不気味に微笑んだのが分かった。

ファ「じゃあ、『死』あるのみだね。」

私はぎゅっと目を閉じた。これでみんなが、マヤが助かるなら・・・!私は覚悟を決めた。

ファ「格闘奥義・・・」

リョ「や・・・止め、ろ・・・・・」

ファ「グロスティカルブレイク!!!」

リョ「止めろぉーーーーーーーーーーーーーーー!!!」

ドドドドドガガガガガガガァァァァァァァァァァン!!!!!

****************************************************************************************

私は恐る恐る目を開けて、自分の手を見た。あれ?なんともない・・・?すると、誰かに抱えられているのがわかった。

ロ「全く、何で君は、そう簡単に命を落とそうとするのかな?」

聞き覚えのある声に私は顔を上げる。そこにいたのは、

ル「ロキッ!?(レオ)」

リョ「めがね、野郎・・・」

ファ「黄道十二門の1つ、獅子宮のレオ・・・」

門(ゲート)を通って私を助けてくれたんだ・・・あれ?もしかして、ロキ自身の魔力?とゆう事は、私、今魔力0!?ロキは私を下ろすと、

ロ「リョウ、君がルーシィを守らなきゃダメじゃないか。」

リョ「わ、悪ィ・・・」

あれ?もう喧嘩は収まったの?

ロ「ルーシィは下がってて。後は僕がやる。」

ファ「今度は獅子が相手ね。私を倒す事が出来るかしら?」

ロキは強いのよっ!!

ロ「王の光(レグルス)よ、我に力を。」

光を纏った拳でファイターに殴りかかる。ファイターはそれをかわし続ける。

ファ「そんな攻撃、私には当たらないわよっ!!」

ロ「それはどうかな。」

ファ「えっ!あうっ!!」

ロキの拳がファイターの左頬に命中。

ル「すご~い。」

リョ「す、すげー・・・」

私たちの攻撃が一切当たらなかったのに・・・ファイターは左手で血を拭うと、

ファ「私に傷をつけた事は褒めてあげる。でも、これはどうかしら?」

ロキの立っている場所に赤い魔法陣が浮かび上がる。

ル「ロキ、避けてっ!!」

私は叫んだけど時すでに遅し。魔法陣から赤い紐が伸び、ロキの体に纏わり付く。が、

ロ「王の光(レグルス)は満ちた。獅子光耀!!」

辺りが光に包まれる。すると、赤い紐が次々に灰になっていく。リョウの体に巻き付いていた紐も跡形もなく灰になった。

ファ「ちぇっ。光で消滅させるとはね。なかなか冴えているじゃない。」

あんた、素直じゃないわね。ファイターは胸の前で手を十字にすると、

ファ「クロスナックル!!」

ロキはそれをかわすと、ファイターの背中に拳を1つお見舞いした。

ファ「あうっ!星霊なんかに、負けるもんですかぁっ!!」

ロ「僕も君には負けないっ!ルーシィと、ルーシィの大切な人を傷つける人間は、誰であっても、この僕が許さないっ!!!」

ル「ロキ・・・」

リョ「めがね野郎・・・」

その時のロキは、本物の獅子のように見えた。

ファ「あんたも、『死』あるのみ!!格闘奥義・・・」

まずいっ!!このままじゃロキが・・・!!

ロ「僕は君になんか負けないっ!!」

ファ「グロスティカルブレイク!!!」

ロ「獅子王の輝き!!!(レグルスインパクト)」

ドドドドドガガガガガァァァァァァァァァァン!!!

****************************************************************************************

砂煙が晴れると、ボロボロになったロキと、気を失っているファイターがいた。

ル「ロキ~!」

ロ「ルーシィ。」

ロキのめがねの青いレンズにはヒビがはいっていた。

ル「お疲れ様。ありがとうね。ほら、リョウも。」

私は後ろでそっぽを向いているリョウにもお礼を言うように言う。これでも仲直りしたんじゃないの?

リョ「・・・た、助けてくれて、あ、ありがとう。」

ロ「どういたしまして。今度はちゃんとルーシィを守ってよね。」

リョ「あぁ。」

ロ「それじゃ、僕はこれで。マヤを助ける時には、僕も手伝うよ。」

ル「うん。ありがとう。」

ロキが星霊界に帰る直前、

リョ「ありがとな、ロキ・・・」

ロ「!あぁ。」

ロキは星霊界に帰って行った。

ル「今、ロキって言ったわよね。」

リョ「//////////」

やっとリョウが名前で呼んでくれた!よかったぁ~。

リョ「ルーシィ。」

ル「ん?何?」

リョ「・・・ありがとうな/////////」

ル「どういたしまして。」

私が力になれたかどうかわからないけど、リョウが無事でよかった。 
 

 
後書き
第87話終了です☆
今回は途中からほとんどがロキの活躍でした。お疲れ様~。あ、ちなみに、ファイターに粉々にされたリョウの聖剣はそのうち新しく出てくると思います。
次回はナツ&ハッピー&フレイの対決!!
お楽しみに~☆ 

 

第88話 ナツVSフェアリー  

 
前書き
呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーーーン!!07です!!
今回はナツ&ハッピー&フレイの対決!!3人はフェアリーにリベンジできるのか!?
途中で目線が変わります。最初はナツ目線でいきますよ~!
それでは、第88話・・・スタート!! 

 
ナ「どこだーーー!!変なやつーーー!!」

俺はずっと叫び続けていた。さっきからマヤの事が頭から離れねぇ。その時、

フェ「相変わらず火竜(サラマンダー)は元気だねぇ~♪」

満面の笑みの変なやつが俺たちの後ろにいた。

フェ「だぁ~かぁ~らぁ~、変なやつじゃない~!!私はフェアリーだよぉ~♪」

ハ「ナツ、フレイ、やっぱり変なやつだよ。」

ナ「俺もそう思うぞ。」

フ「俺もだ。」

変なやつが口を尖らす。俺はそんなの無視して、

ナ「マヤはどこにいるっ!!」

フェ「飛行船の中でぇ~、マスターと一緒にいると思うよぉ~♪」

フ「お前たちの企みは何だっ!!」

フレイが人間の姿になって言う。

フェ「マスターの願いを叶えるため、私はそれだけの理由だよぉ~♪」

こいつの口調にだんだん腹が立ってきたっ!!

フェ「さぁて、今度は私に勝てるかなぁ~?」

俺の手は炎を纏い、フレイの手には熱気がたまり、ハッピーはどこからか拾ってきた木の棒を持って構え、変なやつは青色の鍵を取り出す。先手をきったのはもちろん、

ナ「火竜の・・・鉄拳ッ!!」

俺だぁーーーーーっ!!

フェ「開門!水人魚の妖精、アクア!!」

青色の魔法陣から魚人間が現れて、俺の攻撃を防ぐ。

フ「ファイアメイク、花火ッ!!(ファイアフラワー)」

俺の背後で攻撃のチャンスを待ち構えていたフレイが変なやつに攻撃を仕掛ける・・・が、変なやつは赤色の鍵を取り出すと、

フェ「開門!火炎の妖精、ファイア!!」

赤色の魔法陣から髪の毛が燃え盛る炎のように逆立った男が現れた。

ファ「火炎拳!!」

フレイと互角だった。

フェ「ファイア閉門。」

すぐに炎男を閉じた。すると、黄色い鍵を取り出すと、

フェ「開門!雷光の妖精、サンダー!!」

黄色い魔法陣から体全身から電撃が流れている男が現れた。

ハ「あの雷のやつに当たったら、黒こげだよっ!!」

フェ「猫ちゃんの言うとおりぃ~♪さぁ、どうゆう手段に入るのぉ~?」

フ「こりゃあ作戦を考えて戦わねぇと、まずいぞ・・・」

ナ「作戦なんて必要ねぇ。」

ハ&フ「えっ?」

俺はもちろん、

ナ「突撃攻撃だーーー!!!」

ハ&フ「えぇーーーーーーーーーーっ!!?」

名付けて、作戦TKだっ!!

フェ「なるほどぉ~♪突撃のTに、攻撃のKを合体させたんだねぇ~♪以外にネーミングセンスあるんだねぇ~♪」

ハ&フ「納得してどうするっ!?」

おぉ!ハッピーとフレイが突っ込んだっ!!ルーシィがいたら絶対に突っ込むな。まぁそんな事は置いといて、

ナ「火竜の・・・翼撃ッ!!」

ア「津波ッ!!(タイドゥールウェイヴ)」

前と同じ手にはのらねぇぞ。俺は魚人間の攻撃をひょいっとかわし、変なやつに攻撃しようとするが、

サ「稲妻。」

ナ「ぐぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

ハ「ナツ!!」

フ「だから作戦たてようって言ったんだよ・・・」

そ、そうだ・・・雷男が、いる、事を、すっかり忘れていた・・・

フェ「やっぱり、火竜(サラマンダー)はバカだねぇ~♪」

ナ「んだとごらぁっ!!」

変なやつにバカって言われたくねぇよっ!!すると変なやつは銀色の鍵を取り出して、

フェ「開門!飛鳥の妖精、ウィング!!」

銀色の魔法陣から鳥人間が現れた。

フ「いっきに3体の妖精を・・・」

ハ「こいつ、どれだけ魔力があるんだ?」

変なやつなのに結構強いやつなんだな。

フェ「だぁ~かぁ~らぁ~!!変なやつじゃな~い!!フェアリ~もう怒ったよぉ~!!」

全く怖くねぇ。エルザやユモの方が何千倍もこえ~!!

フェ「ウィング、こいつら吹き飛ばしちゃってぇ~!!」

ウィ「了解しました。」

鳥人間は空を飛び、空中で翼を広げると、

ウィ「竜巻!!(トルネード)」

空中に小さな竜巻ができ、それがどんどんでかくなって、俺たちの方に接近してくるっ!!

フ「ハッピー!ナツを頼む!!」

ハ「あいさーーー!!」

俺はハッピーに摑まれ、フレイはいったん鳥の姿に戻り飛んで竜巻を回避した。

ナ「サンキュー、ハッピー。」

ハ「あい!」

フ「あんなのに巻き込まれたら大変な事になってたぜ。」

俺たちは地面に下りる。

フェ「あ~あ~、せっかく当たると思ったのにぃ~!アクア、サンダー、ウィング、閉門。」

魚人間と雷男と鳥人間を閉門した。次はどんなやつが来るんだ?燃えてきたぞーーー!!すると、変なやつは黒い鍵を取り出した。趣味悪ィなぁ・・・

フェ「開門!闇夜の妖精、ダーク!!」

黒い魔法陣から黒いマントを羽織った男かも女かも分からないやつが出てきた。てか、こいつ本当に妖精か?

フェ「ダーク、こいつ等を消し飛ばしてぇ~♪」

怖い事笑顔で言うなよ・・・ユモみたいだぞ・・・

ダ「・・・闇の交響曲・・・(ダークシンフォニー)」

真っ黒野朗が言った瞬間、辺りが真っ黒な光に包まれた。

****************************************************************************************

フェ「どぉ~?ダークの力、すごいでしょぉ~♪」

フェアリーが満面の笑みで言う。俺たちは真っ黒野朗の魔法で地面に突っ伏した状態だった。

ハ「な・・・何なんだ、今の魔法・・・」

フ「魔力が、削られた・・・?」

よ、よくわかんねぇけど・・・かなりやばい状況に陥ってる。

フェ「これで私の勝ちは決まったのも当然だねぇ~♪」

ナ「・・・か、勝手に、決めんじゃねぇぞ・・・」

俺はよろよろと立ち上がる。後ろでハッピーとフレイも立ち上がる。

フェ「まだ立つのぉ~?無理しない方がいいよぉ~♪それともぉ~、このままダークに殺されたいのかなぁ~?」

そんな発言、笑顔で言うな・・・

ナ「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

フェ「だぁ~かぁ~らぁ~、無理しない方がいいよぉ~♪動物姫(アニマルプリンセス)のためにそんなに頑張らなくてもいいと思うよぉ~♪見捨てればいいじゃ~ん♪」

ブチッ!!俺の中で何かが引き千切られた。

ナ「・・・・・った・・・?」

フェ「ん~?よく聞こえないなぁ~♪」

ナ「今何つったって聞いてんだっ!!!」

俺の体から炎が噴出す。

フェ「えぇ!!こいつ、魔力が上がってるぅ~!?」

俺は変なやつの方に歩み寄りながら言う。

ナ「マヤは、俺たちの仲間だ。俺たちの家族の1人だっ!!見捨てればいいだと?あぁ!!!マヤは大切な仲間だっ!!!ハッピーもフレイも、ルーシィもリョウも、グレイもユモも、エルザもショールも、ウェンディとトーヤとシャルルも、ギルド全員が俺たちの仲間だっ!!!お前等は、俺たちの仲間を何人も傷つけたっ!!!仲間を傷つけるやつは、誰であろうが何だろうが、俺がぜってぇ~に許さねぇっ!!!!!」

俺は体全身に炎を纏う。

フェ「ダーク、あいつを、今度こそ消し飛ばせぇ~!!」

ダ「・・・闇の迷宮・・・(ダークラビリンス)」

ナ「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!火竜の・・・剣角ッ!!」

真っ黒野朗は吹っ飛び、そして消える。

フェ「そんな・・・!ダークを一撃で・・・!!」

驚いて1歩ずつ俺から遠ざかる。

ナ「次は・・・お前だぁぁぁぁぁ!!!」

俺は変なやつに突進していき、

ナ「滅竜奥義・・・」

ハ&フ「いっけーーーーー!!ナツッ!!!」

ナ「紅蓮爆炎刃ッ!!!」

フェ「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

****************************************************************************************

変なやつはその場で倒れちまった。俺は膝から崩れ落ち、前に倒れる。

ハ「ナツゥ~!!」

フ「おい!しっかりしろ!!」

ハッピーとフレイが駆けつけて来た。

ナ「・・・さ、さすがに、もう動けねぇや・・・」

フ「ったく、やりすぎにも程があるぞ。」

ハ「あい!それがナツです!!」

俺は自然と笑顔になっていた。

ハ「それにしても、今の戦い、マヤが見てたらますますでぇきてるぅ~だったのにね。」

フ「だな。」

ナ「変な事言うんじゃねぇ!!いてて・・・」

あの真っ黒野朗の魔法で、かなり魔力削っちまったからな・・・

フ「そんな体じゃマヤを助けるのは無理だな。待機所に行こう。ハッピー、ナツを頼む。」

ハ「あい!」

俺は歩けねぇから、ハッピーと飛んで待機所に向かう。

****************************************************************************************

           『ここからマヤ目線で書いていきます。』

フェ「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

飛行船内部に悲鳴が響き渡る。変なやつで5回目だよ・・・今までにもウォーターってゆう人や、ファイターってゆう人や、ソードってゆう人が同じ事をされた。すると、必ず全員が第2号としてレベルが上がる。その証拠に、全員の目が赤い。たった今変なやつも終わった。もちろん、変なやつの目も赤く光っている。

ビー「ファイター、ウォーター、ソード、スパイダー、フェアリー、お前たちは今度は第2号となって、ハエ共を潰せっ!!」

マ&ビー以外「了解しました。マスタービーム。」

そう言うと、全員バラバラになり、別々の部屋に行った。残ったのは私とビームだけになった。てゆうか、こいつと2人きりって、一番嫌なんだけど・・・

ビー「どうだ?素晴らしいだろ。」

ビームが得意げに言ってくる。

マ「どこが?強制的にやってるだけじゃない。」

ビー「あいつ等が望んだ事なんだ。私にずっと従えるとな。」

マ「あんたが無理矢理言わせたんじゃないの?」

ビー「俺は君にも、あいつ等にもそんな嘘はつかないよ。」

私にも?どうゆう意味?

ビー「まだ分からないのか?マヤ。」

ビームは被っていた黒い帽子を取った。私は目を見開いた。

マ「!!!な・・・何で、ここに・・・」

声が震えているのは自分でもすぐに分かった。

ビー「その理由はいつか話す。さぁ、お前の番だよ。そこに座れ。」

私は手足を縄で縛られたまま、無理矢理歩かされて無理矢理イスに座らされる。変なやつたちも、この変な機械のせいで・・・!!そう思っていると、頭に色とりどりのコードが付いたヘルメットのようなものを被された。

ビー「さぁ、お前の本当の力を見せてくれっ!!」

見せるわけないじゃんっ!!

マ「私はあんたの操り人形になんか絶対にならないからっ!!!」

ビー「やれやれ。随分と性格が変わったな。」

私はビームから目を逸らした。

マ「何も、知らないくせに・・・勝手な事言うなっ!!」

拳を硬く握り締める。

マ「あんたと、あいつのせいで、私は、私は・・・!」

涙が出そうになったけど、必死に堪えた。こんな頭が腐った牛乳と同じやつの前で泣くわけにはいかない・・・!!

ビー「酷い例え方だな・・・お前があいつと呼んでいる者は、4年前に帰らぬ人となった。」

マ「!!!???」

言葉を失った。

マ「・・・ほ、本当に・・・?」

ビー「あぁ。」

私の頬を何かが伝った。

ビー「・・・大丈夫だ。お前も俺も、もう少しで会える・・・」

・・・はぁ?ますます意味が分からなくなってきた。

ビー「さて、始めるとしよう。マヤ・ララルド、不死鳥の欲望(フェニックスディザイア)発動の時だっ!!!」

発動なんかさせるかぁ!!私はもう一度拳を硬く握り締め、目を固く閉じた。

****************************************************************************************

           『ここからソード目線で書いていきます。』

マ「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

動物姫(アニマルプリンセス)の悲鳴がここまで聞こえる。私は自分の耳を塞いでその場にしゃがみ込む。ついに始まったんだ・・・!!私はあの機械で操られているものの、一時的に正常でいれる事が出来る。これはスパイダーも一緒。私とスパイダーは同じ街出身で同じ日にマスターに拾われた。いつも一緒にいたせいか、スパイダーは私の事を「ソード姉貴」と呼んでいる。まぁ、こんなどうでもいい話は置いといて、私とスパイダーはマスターと何年も一緒にいるに連れて、警戒心が現れてきた。でも、ファイターとウォーターとフェアリーは違う。マスターを心の底から信頼しているんだ。このままじゃ、動物姫は・・・!!

ソ「グレイ・フルバスターと、ユモス・クオリナは、伝えてくれたかな?」

・・・きっと、大丈夫だ。あの2人は光の者だから・・・その時、

ソ「うっ・・・!」

時間切れだ・・・!!私は操りによって正常な心を支配された。 
 

 
後書き
第88話終了!!
ついに始まってしまった不死鳥の欲望発動作戦!!マヤの運命は!?
次回は災いの天使の飛行船に乗り込む最強チーム!!そこで彼らを待ち受けていたのは・・・!!
次回見逃したらいけないよ!! 

 

第89話 第2号 

 
前書き
作者の07で~す!!
今回は災いの天使(ティザスタエンジェル)の飛行船に乗り込む妖精の尻尾!!そこで彼らを待ち受けていたのは・・・!?思わぬ展開へ進み始めた!!
途中で目線が変わります。ユモ目線で書いていきます。
それでは、第89話・・・スタート!!! 

 
私とグレイが待機所に着いた時にはすでにエルザとショールとギルダーツがいた。しばらくして、ルーシィとリョウとナツとハッピーとフレイも来た。ナツはかなり重症みたい・・・今はウェンディに治療魔法をかけてもらっている。でも、このままだとウェンディの魔力が・・・

ウェ「私のことはいいんです!それよりも早く、マヤさんを助けないと!」

見た目によらず、頑固なんだよね・・・あ、そういえば!

ユ「あ、あのさ、災いの天使の1人、ソードから頼み事されたんだけど・・・」

言い終わる前に、ナツが吊り目の目を更に吊り上がらせて睨んできた。

ナ「あいつ等の頼みなんか聞かなくていいっての!!」

ミ「ナツ、そんなに暴れると、傷口が開いちゃうわよ。」

マヤの事を第一に考えてるのは分かるけど、これも何か裏があるんだよっ!!

エ「で、どんな頼み事をされたんだ?」

グ「災いの天使のマスター、ビームから助けてほしいんだとよ。」

ル「助けてほしい?あいつ等のマスター何でしょう?」

ユ「それがどうも、ソードたちは操られるって・・・」

ト「あ、あの・・・よく分からないんですが・・・」

私もよく分からない。

グ「でも、あいつ等も何かあるんだよ。」

リョ「何かあったとしても俺たちの敵だ。」

リョウったら、冷たいね・・・そりゃあ、マスターたちやマヤを傷つけた敵だけど・・・

ギ「まぁ落ち着け。これでも食って元気出せ。」

ギルダーツが白い歯を見せて笑う。この人、以外に呑気なんだな・・・そう言ってギルダーツが私たちに渡したのは・・・薬草?

ギ「魔力を回復させる薬草だ。お前たちもかなり魔力使っただろ?」

確かに、このまま戦ったら絶対に負けるからね。薬草を1口食べてみる。

ユ「あ、おいしい。」

ショ「この薬草って、この島でしか取れないリグリ草ですよね?」

ギ「あぁそうだ。」

さすがショール。物知りだね。確かに、さっきよりは元気が出てきた。

フ「さて、魔力も回復したところで、どうやって飛行船に乗り込むかだな。」

私は空を見上げる。銀色に輝く飛行船の機体がゆうゆうと空を飛んでいる。

ナ「そんなの飛んで行けばいい話だろっ!!」

ハ「あい。飛べば簡単に行けるもんね。」

ナツとハッピーの発言にシャルルが「呆れた」とゆう感じでため息をつく。

シャ「あんたたち本当に大バカね。」

ナツとウェンディはハッピーとシャルルが連れて行ったとしても、他の人たちはどうするの?

ナ「ハッピーとシャルルフレイが往復してみんなを運べばいいじゃないか。」

シャ「そんなの無理に決まってるでしょっ!!」

ハ「おいらも無理だよ~。」

フ「お、俺も・・・」

ナツったら、無茶言い過ぎだよ・・・そう思った時、

エ「私は黒羽の鎧で飛んで行けるぞ。」

ト「僕はお化けたちに運んでもらえば可能です。」

ユ「あ、私も氷で翼を造形すれば飛ぶ事は出来るよ。」

グ「んじゃ、俺もできるな。」

問題は、ルーシィとリョウとショールとギルダーツだね。

ギ「俺は行かねぇぞ。」

ギ以外「えぇっ!!!!!」

ギルダーツの言葉にみんな目を見開いて驚嘆の声を上げる。

ギ「マヤはお前たちの手で救え。仲間を守るためなら、俺がいなくたって、お前たちには出来るだろ?」

えぇっと・・・地味に期待されているような気が・・・そんなこんなで、結局ギルダーツは飛行船には行かない事に・・・大丈夫だよね・・・?

ナ「ギルダーツがいなくても平気だっつーの!!」

そんな事言っちゃって。後から後悔してもしらないよ。で、3人はどうするの?

ト「あの、僕の他に後1人までなら運ぶ事は出来ます。」

ル「私も大丈夫よ。ジェミニでハッピーとシャルルをコピーすれば。」

リョ「あいつ等か!!また会えるぜ。」

ジェミニって誰?まぁ、それは置いといて、ショールはトーヤのお化けたちに、ルーシィとリョウはジェミニってゆう人に運んでもらう事に。

ウェ「これで空を飛んで行けますね。」

グ「で、飛行船内部にはどうやって入るんだ?」

ナ「俺が入り口を作る。」

さ、さすが・・・とゆう事で、

エ「マヤを助けに行くぞッ!!」

全「おぉーーーーーーーーーーーーっ!!!!!」

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            『ここから少しだけミラ目線でいきます。』

リ「ギルダーツ!!何でナツたちについて行かなかったのっ!?」

レ「ナツたちだけじゃ心配だよ・・・」

リサーナとレビィがギルダーツに少し怒っている。ギルダーツはいつもの調子で、

ギ「あいつ等なら心配はいらねぇよ。エルザとリョウもいるんだ。必ずやつ等を倒して、マヤを助けて、無事に帰って来るさ。」

リ「でも・・・」

私はリサーナの肩に優しく手を置くと、

ミ「リサーナ、レビィ、心配なのはギルダーツも私も一緒よ。でも、ギルダーツはみんなを信じて行かせたんだから、私たちも信じよう。ね?」

リ&レ「・・・うん。」

その時、

マカ「マヤが攫われたのか?」

ミ&リ&レ「マスター!!」

ギ「気がついたか。」

マスターはすぐに起き上がって、待機所の外に出る。

レ「マスター、まだ寝てた方が・・・」

マカ「子を攫われて、黙って寝てるわけにもいかんじゃろ。」

私は飛行船を見上げた。すると、炎が噴出し、何かがものすごい勢いで壊れた音がした。

ギ「たぶん、ナツが飛行船の中に入ろうと飛行船の機体をぶっ壊したんだろうな。」

ミ「さすがナツ、すごい破壊力ね。」

リ「ミ、ミラ姉・・・違うと思うけど。」

レ「みんな、大丈夫かな・・・?」

レビィが心配そうに呟く。それを聞いたマスターが、

マカ「何かを成し遂げようとする時、何かを助けようとする時の妖精の尻尾の魔道士は、最強なんじゃ。心配せんでも大丈夫じゃろ。」

さっき、ギルダーツが言ってた事と似てるような事を言っている。

マカ「わし等は怪我人を精一杯手当てするとしよう。」

ミ&リ&レ「はい。」

ギ「俺は傷薬になるような薬草でも探して来るわ。」

ギルダーツはミジリョーホウの森の方へ行ってしまった。

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            『ここからルーシィ目線でいきます。』

私たちはナツが壊して作った飛行船の入り口から中に入った。すると、

ビー「ようこそ、妖精の尻尾のみなさん。俺は災いの天使のマスター、ビームだ。」

白いYシャツに黒い帽子にズボンに革靴にマントに身を包んだ男が待っていた。ビームの腕の中にはぐったりとしたマヤが抱えられていた。

フ「マヤ!!」

ナ「てめぇ~、マヤに何しやがったっ!!!」

私たちの怒りは爆発。珍しく、ユモも怖い顔で黒いオーラを放っていた。

ビー「何って、不死鳥の欲望(フェニックスディザイア)を発動させただけだ。」

ビー以外「!!!!!」

そ、そんな・・・もう、発動、しちゃったの・・・

ビー「今は昏睡状態に陥っているが、しばらくすれば目を覚まして暴走し始めるだろう。」

エ「貴様、不死鳥の欲望で何をしようというのだ。」

リョ「マヤを放してもらおうか。」

エルザとリョウが剣を構えながらビームに歩み寄る。

ビー「お前たち、こいつ等を潰せっ!!」

すると、私たちの目の前に5人の男女が現れた・・・って、

ル「ファイター!?」

ユ「ソード!!」

ショ「ウォーター!!?」

ハ「変なやつと・・・誰?」

フェ「私はフェアリー。」

ス「スパイダーだ。」

え?ちょっと待って!!こいつ等、私たちが倒したはずよね?なのに何で・・・

ビー「こいつ等は第2号だ。お前たちがさっき戦ったのは第1号だ。」

ト「ど、どうゆう意味ですか?」

ビームは奥の方を指差す。見ると、何本ものコードが繋げられている機械とイスがあった。な、何なの、あれ・・・?

ビー「あの機械で、こいつ等の強さのレベルを上げたのだ。」

シャ「強制的に強くしたってゆう事!?」

そんな事が出来るの!?

グ「まさか、ソードが操られているって・・・」

この事だったのね・・・

ビー「この機械でマヤ・ララルドも不死鳥の欲望を発動させたのだ。」

ショ「いくら何でもやりすぎだろ・・・!!」

ウェ「自力で強くなっていけばいいのに、どうして・・・!!」

ル「あんたって、最低なやつねっ!!」

ナ「こいつ等は、お前の操り人形なんかじゃねぇっ!!お前の仲間だろっ!!!」

ナツが今にも噛み付きそうな勢いで怒鳴った。ビームは鼻で笑うと、

ビー「こいつ等が俺にずっと従っていくと言ったのだ。ただそれだけだ。」

私たちの怒りは更に爆発した。

ナ「ふざけんじゃねぇぞてめぇっ!!マヤもこいつ等も、操りから解放しろーーーーーっ!!!」

ナツがビームに殴りかかろうとすると、

ウォ「アクアメイク、鮫ッ!!(シャーク)」

水の鮫がナツの攻撃を防いだ。水の造形魔道士・・・

ウォ「マスターの夢は、俺たちが必ず叶えさせる。」

ファ「私たちはマスターに一生従えていく。」

フェ「ただそれだけの事。」

こんなやつに、一生従うの・・・?

ユ「ソード・・・」

ソ「炎の剣!(ファイアソード)」

赤い光を纏った剣をユモに振りかざす。ユモは自慢の身体能力でかわす。

ソ「マスターは、私たちのマスター。」

ス「マスターに手を出すやつは、俺たちが死の世界へ導く。」

よく見ると、みんなの目が怪しく赤く光っていた。

エ「貴様は、こんなにも慕っている仲間がいるのに、そんな仲間を人形のように扱い、不死鳥の欲望までを発動させてやるとは、さてはとても重要な事なのだろうな。」

リョ「お前の企みは何だ。世界征服か?それとも世界が憎いのか?」

ビー「そんなちっぽけな願いではない。」

ト「じゃあ何なんですか。」

すると、ビームは被っていた黒い帽子を取る。今まで見えなかったけど、ビームの目はオレンジ色をしていた・・・ってあれ?

ル「どこかで見たような・・・?」

ビー「当たり前だ。なにしろ俺は、マヤ・ララルドの実の父親なのだから。」

・・・はい?しばらく沈黙が続いた。

ハ「そ、それって、14年前に、マヤを森の奥深くに捨てた・・・張本人って事・・・?」

ビー「そこの青猫の言うとおりだ。」

また沈黙になる。

ウェ「・・・マ、マヤさんの・・・お父さん。」

ユ「そんなのでたらめに決まってる!!」

ユモが吐き捨てるように言う。で、でも、あの瞳は・・・マヤと一緒・・・

グ「本当かどうかまだ分からねぇが、お前が何で不死鳥の欲望を知ってるんだ。」

リョ「それに、何で今頃になって一度捨てた子供を・・・」

ショ「さっさとお前の企みを言え。」

ビー「それはまだお前たちには言えない事だ。とにかく、マヤは連れて行く。」

ナ「待ちやがれっ!!!」

フ「マヤを返せっ!!!」

ス「蜘蛛の糸!(スパイダースレット)」

ナ「んなっ!?」

フ「うぉあっ!!」

ナツとフレイの体に変な白い糸が巻き付く。あれって、蜘蛛の糸なの!?

ビー「お前たち、それぞれの場所で待機していろ。俺に歯向かう者は全て潰せっ!!」

ファ&ウォ&ソ&ス&フェ「了解しました、マスタービーム。」

そう言うと、ファイターたちは指を鳴らし、霧のように姿を消した。

ビー「君たちの最初の相手は、第2号となったあいつ等だ。健闘を祈る。」

指を鳴らすとまた霧のように姿を消した。

ナ「くそっ!!」

ナツが床を拳で殴る。また、マヤを助け出せなかった・・・

ル「・・・また、振り出しに戻ったってゆう感じね・・・」

エ「私たちが知らない、いや、もしかしたらマヤ自身も知らない何かを、あいつは知ってるのかも知れないな。」

シャ「なんか嫌な予感がするわ・・・」

ウェ「シャルルの予感はよく当たるもんね。」

私も、さっきから頭の中がモヤモヤしてるのよね・・・なんとゆうか、その~、う~ん・・・うまく言葉に表す事が出来ない・・・

ショ「とにかく、またあいつ等と戦わないと、マヤを助ける事が出来ない。」

ト「話している間に、不死鳥の欲望が発動してしまったら大変ですもんね。」

ユ「さっき戦ったよりも強制的に強くなってるみたいだし・・・慎重に戦わないと。」

ど、どうしよう・・・またファイターと戦う事になっちゃったら・・・

ナ「誰でもいいっ!!俺はあいつに教えてやるんだっ!!仲間の事、ギルドの事、自分の犯した許されない罪の事、そして、家族の事をなっ!!!」

ナツの言葉にみんなが頷くと、いつもの組み合わせに別れた。今度はさっきよりも強くなっているんだ。私は全く戦力にならないと思うけど、やれる限りの事は絶対にやるっ!!

リョ「ルーシィ、今度は俺が必ず守るから。」

ル「うん。でも、リョウが危険だと思ったらすぐに私も手伝うからね。」

リョ「あぁ。」

待っててねマヤ、私たちが必ず、助けてあげるからねっ!! 
 

 
後書き
第89話終了~!!
なんとビームはマヤの実のお父さんだった!?何のために不死鳥の欲望を発動させるのかはまだわからない!!いったいどうなる!?
次回は久々の活躍、ウェンディ&トーヤ&シャルルの対決。果たして、第2号の彼らの強さはどれ程なのか!?
お楽しみに~!! 

 

第90話 シャルルが見たもの

 
前書き
ヤッホ~☆07で~す☆
今回はウェンディ&トーヤ&シャルルの対決!!さらに強くなった敵の実力は!?
トーヤ目線で書いていきます。
それでは、第90話・・・スタート☆もうすぐで100話だっ!!! 

 
災いの天使(ディザスタエンジェル)のマスタービームさんは、本当にマヤさんのお父さん何でしょうか?確かに、マヤさんのトレードマークの大きなオレンジ色の瞳は同じでしたが・・・

ウェ「トーヤさんも思いますか?」

ト「ウェンディさんと、シャルルさんもですか?」

シャ「えぇ。・・・実は、さっき少しだけ予知が見えたのよ。」

ウェ「本当シャルル!!」

ト「いったい何が見えたんですか!!」

シャルルさんはしばらく黙っていましたが、

シャ「燃え盛る、災いの天使の飛行船が見えたの・・・」

ウェ&ト「!!!」

そ、それって、まさか・・・

ト「不死鳥の欲望(フェニックスディザイア)ですか・・・?」

シャ「そこまでは分からないわ。また何かが見えたら教えてあげる。」

シャルルさんの能力はとてもすごいんですが、実際にそれを見ているシャルルさんが可哀想です。その時、

ス「俺の今度の相手は天空の巫女と、怪物(モンスター)と、白猫か。」

振り向くと、耳に銀色にピアス、蜘蛛の巣の模様が付いた黒い服を着た・・・確か・・・スパイダーさんでしたっけ?

ス「君たちには悪いが、ここでおさらばしてもらう。」

スパイダーさんの瞳が赤く光りました。

ウェ「あなたはマスターの企みの事で何か知っていないんですか?」

ス「俺は全く知らない。知ってたとしても、お前たちには教えないが。たぶん、ファイターだけが知っていると思う。あいつがマスターを一番信頼しているからな。」

そんなに大事な事なのでしょうか?

ス「俺たちの、真の力見せてやる。」

その時、スパイダーさんの周りが光、僕たちは思わず目をつぶってしまいました。光が収まり、目を開けるとそこにはスパイダーさんはいませんでした。変わりに、巨大な蜘蛛が僕たちの目の前にいました。僕たちは呆気にとられて言葉も出ません。

ス「驚いただろう。」

シャ「く、蜘蛛がしゃべったぁ!?」

ト「も、もしかして・・・スパイダーさんですか?」

ス「そうだ。これが第2号の力だ。」

・・・やっぱり、マスタービームは、マヤさんのお父さんじゃありません!!マヤさんのお父さんが、自分の仲間にこんな酷い事をするとは思えません!!じゃあ、いったいあの人は・・・?

ス「さっさと始めるぞ!蜘蛛の毒手!(スパイダーポイズンハンド)」

毒が染み込んだ手を僕たちに振りかざします。あれに当たったら危険です!僕たちはかわします。僕は胸の前に左手を置くと、

ト「我と、心を通わせ、姿を現せ!出て来い!透明人間!死神!鬼!」

紫色の魔法陣から透明人間と死神と鬼が姿を現しました。まぁ、透明人間は僕にしか見えませんけどね。

ト「みんな、あの蜘蛛に同時攻撃だ!」

透「・・・・・」

死「ギリ。」

鬼「おらおらおらおらおらぁーーーーー!!!」

ウェ「みなさん、援護します!アームズ!アーマー!」

ありがとうございます、ウェンディさん。

ト「透明人間は透明拳!(クリアナックル)死神は呪いの鎌!鬼は鬼手刃!」

ウェ「天竜の・・・咆哮ッ!!」

4つの技が同時にスパイダーさんに直撃します。ですが、

ス「なんだよ。これっぽちかよ。」

ス以外「!!!???」

スパイダーさんは無傷でした。確かに技は直撃したのに、どうして・・・?

ス「今度はこっちからいくぞ!!」

すると、スパイダーさんは僕たちに向かって突進してきました!!

シャ「早くよけるのよ!!」

僕たちはシャルルさんの適切な判断ですぐにかわす事が出来ました。ですが、

ス「かかったな。」

僕たちの足元に黒い魔法陣が浮かび上がり、次の瞬間、僕たちの体は魔法陣から出てきた蜘蛛の糸に巻きつかれちゃいました。

ス「蜘蛛の罠(スパイダートラップ)だ。蜘蛛は狙った獲物は逃がさねぇからな。」

解こうとしても蜘蛛の糸はベトベトしていてなかなか解けません。逆にどんどんきつくなっていきます。く、苦しい・・・

ス「そのまま蜘蛛の糸に絞め殺さちまえ。俺の勝ちだな。ハハハハハハハハハッ!!」

勝利を勝ち誇ったように、スパイダーさんは高らかに笑います。ですが、

ト「まだですっ!!」

ス「はぁ?何をバカな事を言っている。そんな状態で勝ったとでも言うのか?」

ト「いいえ。まだ勝負は終わっていないって事ですよ。」

僕が言った瞬間、ウェンディさんの体を締め付けていた蜘蛛の糸がするりと解けました。

ス「なっ!?どうやって!!」

ウェ「ありがとうございます。透明人間さん。」

透「ん。」

そうです。スパイダーさんは透明人間の存在に気づかなかったようです。蜘蛛の罠に1人だけかからなかった透明人間は、一番近くにいたウェンディさんの蜘蛛の糸をずっと解いてる最中だったんです。

ス「くそっ!!想定外だ!!」

ウェ「天竜の・・・砕牙ッ!!」

ス「ぐおっ!!」

油断していたスパイダーさんに、ウェンディさんが攻撃します。その間に透明人間はシャルルさんと死神と鬼の体を締め付けている蜘蛛の糸を解きました。後は僕だけです。

ト「死神と鬼はウェンディさんを援護するんだ!!」

死「ギリ。」

鬼「合点承知!!」

死神と鬼は大きな鎌と金棒を振り回します。その間に透明人間は僕の体を締め付けていた蜘蛛の糸

も解いちゃいました。

ト「ありがとう。透明人間。」

透「ん。」

さぁて、勝負はここからです!!

ス「舐めやがって!!蜘蛛の呪・・・」

ウェ「天竜の・・・咆哮ッ!!」

ス「ぐはっ!!」

ウェンディさん、ナイスです!!

ト「透明人間、透明弾!(クリアガン)死神、呪霊殺!鬼、鉄鬼乱!」

透「ん。」

死「ギリ!」

鬼「おぉぉぉりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

ス「ぐあぁぁぁっ!!」

見事直撃です!

ト「ウェンディさん、止めです!!」

ウェ「はい!天竜の・・・翼撃ッ!!」

ス「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

****************************************************************************************

ト「みんなお疲れ。ゆっくり休んでね。」

透「ん。」

死「ギリ。」

鬼「合点承知!!」

お化けたちは妖霊界に帰って行きました。みんなすごく強くなっていたのでびっくりしました。ウェンディさんの止めの一撃で倒れたスパイダーさんは元の姿に戻っていました。

シャ「ほんっと、酷い事するわね。自分の事を慕っている仲間をあんな風にするなんて。」

ウェ「私、あの人はマヤさんのお父さんじゃないと思います。」

シャ「私もよ。」

ト「僕もです。」

その時、

ス「うっ・・・」

スパイダーさんが気がつきました。

ス「はぁ、た、助かったっす・・・ありがとうっす。」

あ、あれ?なんか口調がすごい変わっているような・・・?これも操られていた影響ですか?

ス「俺とソード姉貴は、マスターの事、少し疑っていたっす。こうして操りから解放されて、よかったっす。あんたたちに感謝するっす。」

さっきのスパイダーさんとはまるで別人です。

シャ「あんた、マスターが何を企んでいるか本当に知らないの?」

ス「知らないっす。知ってるのはたぶん、ファイターだけかと思うっす。」

いったい、何を企んでいるんでしょうか・・・?僕たちはスパイダーさんと別れて、部屋を出ました。その時、

シャ「!!!」

ウェ「シャルル?どうしたの?」

ト「もしかして、また何かが見えたんですかっ!?」

シャ「え、えぇ・・・」

ウェ「今度は何を見たの?」

シャルルさんはまたしばらく黙ったままでしたが、

シャ「・・・さっき見た、燃え盛る災いの天使の飛行船と、泣き叫ぶマヤ・・・」

ウェ「え?」

ト「マ、マヤさんが、見えたんですか?」

シャルルさんは黙って頷きます。いったい、どうゆう意味なんでしょうか・・・?その時、

ト「!!!」

ウェ「ひぃ!!!」

シャ「な、何!!この魔力は!?」

僕たちはものすごく強烈で、とても怖い殺気を感じました。

ウェ「も、もしかして・・・」

ト「不死鳥の・・・欲望、でしょうか・・・?」

シャルルさんが見た燃え盛る災いの天使の飛行船・・・以前、フレイさんが言っていた、マヤさんに眠る、世界が消えてしまうほどの力がある、不死鳥の欲望・・・僕もウェンディさんもシャルルさんも思ったはずです。もうすぐで・・・世界が、消える・・・!!! 
 

 
後書き
第90話終了~☆
シャルルが予知した燃え盛る災いの天使の飛行船と泣き叫ぶマヤの姿・・・これはいったい何を示しているのか!?
次回はエルザ&ショールの対決!!
次回もお楽しみに~☆ 

 

第91話 上には上がいる 

 
前書き
ど~もど~も~♪07でございます♪
今回はエルザ&ショールの対決!!
エルザ目線でいきますよ~♪
それでは、第91話・・・スタート♪ 

 
私はずっとビームが言っていた事を考えていた。

ビー『俺は、マヤ・ララルドの実の父親なのだから。』

あの言葉、妙に引っかかる。なぜかは分からない。だが・・・

ショ「本当にマヤの父親なのか?」

隣でショールが呟くのが聞こえた。どうやらショールも私と同じ事を考えてたらしいな。

ショ「あいつの言ってる事は不可解な点が多すぎる。約9割嘘だ。」

エ「あぁ。急がなければ、マヤが危ない!」

その時、

ソ「ここから先は行かせない。」

自分の背丈よりも大きな剣を持った女が私たちの前に立ちはだかった。確かこいつは、ソード。グレイとユモに頼み事をしたやつだ。

エ「貴様、マスターから助けてほしいと、私の仲間に頼んだのではなかったのか?」

ソ「敵にそんな頼みをした覚えはない。」

ソードの目が赤く光る。

ショ「エルザ、たぶん操られているから、以前の記憶を無くしているんだ。」

そういう事か。

ソ「妖精女王(ティター二ア)と戦えるとは、光栄だ。どちらが強いか比べよう。」

エ「面白い。受けて立とう。」

私は黒羽の鎧に換装する。

ショ「エルザと強さ比べをするなんて・・・命の保障は無いぞっ!!」

安心しろショール。殺すわけではない。少々痛めつけてやるだけだ。私とソードはほぼ同時に駆け出した。剣と剣がぶつかり合い、火花が散る。

エ「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

ソ「てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇい!!!」

剣をはさんで睨み合う。

ソ「さすがは妖精女王。だが、これはどうだ。雷の剣!(サンダーソード)」

黄色い光を纏った剣を振りかざしてくる。私はすぐさま雷帝の鎧に換装して防ぐ。

エ「スピードはあるが攻撃力がイマイチだな。そんなんじゃ、私には勝つ事は不可能だ。」

ソ「私を侮るな。これは準備運動のようなものだ。勝負はここからだ。」

エ「そうか。私も1000分の1も力を出していなかったからな。今から100分の1にする。」

私は天輪の鎧に換装する。

ショ「エルザ、俺はどうする。」

エ「お前はお前なりの攻撃を準備していろ。」

ショ「了解。」

ここで負けたら今までの努力が全て水の泡となって消えてしまう。この勝負、負ける事は決して許されないっ!!!

エ「天輪・繚乱の鎧ッ!!(てんりん・ブルーメンブラット)」

ソ「超・炎の剣!!(スーパーファイアソード)」

ドドドドドガガガガガァァァァァァァァァァン!!!と爆発が起こり、砂煙が舞う。はぁ、はぁ、はぁ・・・さすがに息が乱れてしまったな。だが、これほどの攻撃ならば、ソードも・・・

エ「なっ!?」

だんだん砂煙が晴れると、ソードは傷1つ無く、呼吸も一切乱れていなかった。ただ、自分の背丈よりも大きな剣を持ち、平然とした表情でその場に立っていた。

ソ「これしきの事で息が乱れるとは、妖精女王も衰えてきたか。」

エ「くっ・・・」

レベルを上げるとこれほどの力の差が出るのか・・・

ソ「息が少し乱れたくらいで諦めてもらっちゃあ私が困る。息の根が止まるまで、私と戦ってもらうっ!!超・水の剣!!(スーパーアクアソード)」

青い光を纏った剣を私に振りかざしてくる。私はそれをかわす。が、

ソ「遅い!!」

エ「ぐわっ!!」

ものすごい速さで後ろに周ったソードに背中に攻撃を受け、そのまま前に倒れる。

ソ「これで、妖精女王は散る。」

くっ、ここまでか・・・

ソ「超・闇の剣!!(スーパーダークソード)」

どす黒い光を纏った剣を私目掛けて真っ直ぐに振り落とされる。私はゆっくろ目を閉じた。

****************************************************************************************

恐る恐る目を開けて、私は自分の手を見つめる。・・・何も変わっていない。なぜだ?私はソードの攻撃をまともに食らったはずだ。視線を上にやると、

エ「・・・ショ、ショール/////////////」

私の体はショールに抱き抱えられていた/////////////

ショ「全く、危ない時は俺を呼んでよ。」

エ「す、すまない・・・///////////」

ショールはゆっくり私を地面に下ろす。

ショ「エルザはしばらく休んでて。」

エ「あ、あぁ。」

・・・気のせいだろうか?なぜかショールが遠い存在に見える。

ソ「今度は元有名マジシャン。妖精女王が勝つ事が出来ないのに、あんたも当然無理に決まっている。」

ショ「何度でも言え。上には上がいる事を俺が教えてやる。後から後悔しても知らないぜ。」

ソ「その言葉、そっくりそのまま返してあげる。氷の剣!(フリーズソード)」

水色の光を纏った剣がショール目掛けて振り落とされる。

ショ「ギアチェンジ!モード炎!!」

ショールの体からは、赤い光があふれていた。ショールにあんな魔法があったのか?

ショ「炎天刀!!」

ショールの手が炎の刀になると、ソードの剣に迎え撃つ。

ソ「!!!」

ショールがおしている・・・

ショ「炎赤波!!」

炎の波動がソード目掛けて飛んでいく。

ソ「うあっ!!」

ショ「炎紅火!!」

赤みを増した炎がソードを直撃する。

ソ「あぁぁぁっ!!」

ショ「これが最後だっ!!炎緋竜!!」

空を飛ぶ竜(ドラゴン)のように、真っ赤な炎がソードを食らう。

ソ「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

****************************************************************************************

ショ「エルザ、立てるか?」

エ「あぁ。平気だ。お前、いつあんな魔法を?」

ショ「ウォーターと戦っていたらなんか発動して。」

エ「そうか。あれを見て私は感激したぞ。今度勝負でもしてみるか?」

ショ「えっ!!え、遠慮しときますっ!!

なぜ遠慮するんだ?照れなくていいんだぞ。

ソ「や、やっぱり、あの2人に頼んで正解だった・・・」

ソードが起き上がる。どうやら操りから解放されたみたいだな。

ソ「お陰で助かった。ありがとう。」

エ「ところで、お前はビームが何を企んでいるか知っているか?」

ソ「ゴメン。私は何も知らないんだ・・・たぶん、ファイターなら知っていると思う。でも、ファイターは口が固いから・・・」

聞き出すのは難しいとゆう事か。

ソ「たぶん、いや、確実にファイターと戦っているのはグレイ・フルバスターと、ユモス・クオリナだと思う。」

ショ「あの2人が聞き出してくれたらいいんだけどな。」

時間が無い。急がないとな。私たちはソードと別れ、部屋を出た。

ショ「改めて考えると、やっぱりビームはマヤのお父さんじゃないと思う。」

エ「やはりショールもか。」

その時、

ウェ「エルザさ~ん!!」

ト「ショールさ~ん!!」

前方からウェンディとトーヤとシャルルがやって来た。

エ「何か聞き出せたか?」

シャ「それが全く。スパイダーってゆう男からは何も聞き出せなかったわ。」

やはり、グレイとユモを期待するしかないようだな・・・その時、

ウェ&シャ&ト「!!!」

ショ「え・・・?」

エ「な、何だっ!?この魔力はっ!?」

とてつもなく強烈な殺気を感じた。

ウェ「さっきよりも強くなってる・・・」

ト「まさか、不死鳥の欲望(フェニックスディザイア)が・・・」

ショ「もう発動してるのかっ!?」

シャ「それはまだ分からないけど・・・考えられるとしたらそれしかないでしょ。」

エ「マヤ・・・」

頼むみんなっ!!急いでくれっ!!! 
 

 
後書き
第91話終了~♪
どんどん強くなる謎の魔力。その正体は不死鳥の欲望なのか!?それとも別の何かか!?
次回はグレイ&ユモの対決
第92話でお会いしましょう~♪ 

 

第92話 氷上の舞姫VS戦場の天使

 
前書き
こんばんは~!!07で~す!!
今回はグレイ&ユモの対決!!相手はファイター。ビームの企みを唯一知ってる人物らしいが果たしていったいどうなる!?
ユモ目線で書いていきます。
それでは、第92話・・・スタート!! 

 
ビー『俺は、マヤ・ララルドの実の父親なのだから。』

嘘だ・・・!あんなの、嘘に決まってるっ!!絶対何か企んでいるんだ。マヤは、私たちが絶対に助けるっ!!

グ「おいユモ、大丈夫か?」

ユ「へっ?あ、う、うん。大丈夫。」

グレイはどう思っているんだろう?本気であいつがマヤのお父さんだって思ってるのかな?そう思った時、まるでグレイが私の思っている事を見通したように、

グ「あいつはマヤの父さんじゃないってのは俺も勘付いている。でも、今はソードたちを助けねぇと。」

やっぱり、グレイも感じてたんだ。じゃあ、あいつはマヤを何のために・・・?やっぱり世界征服とかかな?そんな事を考えていると、

ファ「お待ちしてました。」

1人の女が私たちの事を待ち構えていた。確か、ファイターだったかな?

ファ「いきなりですが、訂正します。私が待っていたのはユモス・クオリナ、あなただけです。」

ファイターが私を指差す。

ユ「へっ?」

グ「はぁっ!?」

いきなりの事に何がなんだかさっぱり。

ファ「だから、グレイ・フルバスターには何も用は無いの。ゴメンナサイね。」

そう言うと、胸の前で手を十字にすると、

ファ「クロスナックルッ!!」

グ「ぐわっ!!」

一瞬の出来事だったから、最初はうまく状況をつかめなかった。ようやく状況をつかめた時は、

ユ「グレイ!!」

グレイは部屋の反対の壁まで飛ばされ、頭を強く打ったのか、気を失っていた。

ファ「大丈夫。気絶させただけだから。勝負の邪魔されたくなかったから。」

ユ「勝手な事して・・・!」

とゆうか、私と勝負したいわけ?

ファ「そっ。私、あなたと1対1で格闘技で勝負してみたかったのよね。」

ユ「私に格闘技で勝負を挑みにくるなんて、てっきりマヤだけかと思ってたよ。」

いつの間にか、格闘技の名手って呼ばれていたくらいだからね。

ファ「あら。あなた知らないの?自分に異名がある事を。」

ユ「えっ?」

初耳なんだけど。てゆうか、てっきり格闘技の名手が私の異名だと思ってたんだけど。

ファ「氷の上での華麗な動き。そこから誕生したあなたの異名、氷上の舞姫。」

氷上の舞姫?どこの誰か知らないけど、随分とド派手な異名を考えてくれたもんね。

ファ「さぁ、始めよう。氷上の舞姫と、戦場の天使のどっちが強いか、今明らかになるわ。」

ふ~ん。あなたは戦場の天使ってゆう異名なんだね。

ユ「面白そう。この勝負、受けて立つよっ!!」

マヤやみんなのためにも、この勝負絶対に勝たないとっ!!うまくビームの企みの事を聞き出せればいいんだけど。

ファ「全自必拳ッ!!」

激しく燃える炎のような赤い光を纏ったファイターの拳が私の顔面目掛けて殴りかかってくる。私は首を右に少し傾けてファイターの攻撃をかわす。それと同時にファイターの両手首を摑む。

ユ「てぇぇぇぇぇい!!」

ファイターを背負い投げする。吹っ飛ばされながらも、ファイターは空中で体勢を直し、見事に着地する。

ファ「さすがは氷上の舞姫ね。でも、まだ本気じゃないでしょ?」

ユ「あれ?分かっちゃった?私が本気出したら、あなたを殺しちゃうかもしれないから。」

ファ「私を侮っていると、あなたが死んじゃうかもよ。」

ファイターの目が赤く光る。そう思った時、私の腹部に強烈な一撃が直撃した。

ユ「ぐっ!!」

何とか持ち応えたけど、ものすごい速くて、こんな強烈なパンチ、初めてかも・・・少しは楽しませてくれるみたいだね。

ファ「さぁ、あなたの本気を見せてよ。戦場の天使が納得する戦いを見せてちょうだいっ!!」

ユ「じゃあ、少し本気出すね。」

指をポキポキと鳴らす。私は拳に冷気をためると、

ユ「氷弾刃ッ!!」

冷たい拳でファイターに殴りかかる。最後に技を使って格闘したのはいつだったかな?

ファ「獣竜拳ッ!!」

それに答えるかのように、ファイターも私に殴りかかってくる。なんと互角だった。私は自分の手を見ると驚いた。血が少し出ている。ファイターの手は凍っていた。

ファ「あなた、まだ本気じゃないでしょ。どれだけ私を舐めてるわけ?あなたが本気で来ないのなら、私が本気になって、あなたを殺す。」

次の瞬間、ファイターの体が赤い光に包まれた。服装も赤色になっている。次の瞬間、私の目の前からファイターが姿を消した。いや・・・

ユ「あうっ!!!」

ものすごい速さでファイターは私の背後に周り、背中に蹴りをお見舞いする。さっきよりも威力が上がっている。これが第2号の実力・・・

ファ「はぁぁぁぁぁ!!!」

ユ「うあっ!!!」

今度は顎に拳が直撃する。

ファ「でぇぇぇぇぇい!!!」

ユ「おふっ!!!」

そして顔面に強烈な一撃を食らった。あまりの痛さに額に手を当てる。手を見ると、血がついていた。

ファ「後悔したかしら?私を侮ったのが悪かったわね。さぁ、これで本気を出す気になった?」

私はまだ痛む額を手で押さえながらゆっくり立ち上がる。

ユ「・・・確かにあなたの力には驚いたよ。でも、まだまだね。」

ファ「はぁ?」

ユ「スピードも威力もある。でも、判断力が無さ過ぎる。あなたが私の顎に攻撃した後、次に攻撃するのは後頭部。人間は後頭部に強い衝撃を与えるとほとんどが1発でノックアウト。でもあなたはそれをしなかった。なぜならあなたは格闘技はまだ初心者だから。」

ファ「私を挑発したわねっ!!今度は後頭部に最強の一撃を食らわしてあげるっ!!」

別に挑発をしたつもりはなかったんだけど。本当の事を言っただけなのに。私がそんなことを思っている間にファイターは私の背後に周り込み、

ファ「格闘奥義・・・グロスティカルブレイク!!!」

金色の光を纏った拳が私に殴りかかってくる。初心者でもう格闘奥義を使えるとは。覚えが早いんだね。でも、まだまだだね。ドドドドドガガガガガァァァァァァァァァァン!!!と凄まじい爆発音が響き渡る。砂煙が晴れると、

ファ「え・・・そ、そんな・・・私の、格闘奥義が、素手で・・・止められた・・・」

ファイターの拳は、冷気を大量にためた私の拳の中で止められていた。

ユ「手ごたえはなかなかだけど、まだまだだね。」

私は再び冷気を手にためると、ファイターの手、体、足を順番に凍らせていった。これで身動きは出来ない状態。私はファイターから2~3歩離れると、体全身から冷気を放出した。

ユ「私はまだ、どんな敵にも、一度も本気を出した事はないけど、私の格闘奥義を、あなただけに特別に見せてあげる・・・いや、食らわしてあげるの方が正しいかな?」

今の私の顔はたぶん笑っていると思う。でも、冷気と一緒に黒いオーラも放出していると思う。えっ?何でそう思ったかって?だって、ファイターの顔が真っ青だから。そんなのはお構いなしに、私は冷気を両手にため、両手を右横腹の辺りにもってきて、目を閉じる。

ユ「格闘奥義・・・」

あまりにも冷気が冷たすぎるせいか、私の周りの空気が小さな氷の結晶となる。そして、閉じた目をカッ!と見開く。

ユ「フリーズライバンド!!!」

冷気をためた私の両手から、ものすごく冷たく、触れただけで凍ってしまいそうな青白い光線が放たれる。

ファ「キャアァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」

氷漬けにされていたファイターは凍ったまま反対の壁まで吹っ飛び、氷が粉々に砕け散る。ファイターは地面にドサッ!と倒れる。この勝負、私の勝ちだね。私はその場に膝を着いて座り込む。

ユ「ふぅ。久々に格闘奥義を使うと、いつもの倍の魔力を消費しちゃう。」

あ、そういえばグレイの事すっかり忘れてたっ!!そう思った時、誰かに肩を叩かれた。もしかして・・・ゆっくり後ろを振り返ると、やっぱりグレイだった。

グ「まさか、1人で倒しちまうとはな。まっ、お前の格闘する姿見させてもらったからいいんだけどよ。」

ん?ちょ、ちょっと待ってっ!!まさか、ずっと見てたのっ!?それなら手伝ってくれてもよかったのにっ!!

グ「お前が格闘技で負けるはずねぇだろ。それより、ビームの事聞かなくていいのか?」

いろいろ言ってやりたいけど、グレイの言うとおりビームの事を聞き出すのが優先。私は立ち上がると、操りが解けたファイターに歩み寄る。

ファ「いったぁ~!!あなた、強すぎるでしょ。あなたはまだ本気出してないみたいだけど。」

ユ「まぁね。ところで、ビームは何を企んでいるのか教えてほしいんだけど?」

ファ「敵に教えるわけ無いでしょ。」

どうやら知ってるみたい。

ユ「ビームの企みを教えるか、また格闘奥義を1発、いや、3発くらうのとどっちがいい?」

ファ「うっ・・・」

グ「・・・・・」

さすがにこれなら何も言えなくなるよね。グレイも隣で青くなってるし。

ファ「わ、わかったわよ。話せばいいんでしょっ!!」

うん。素直でよろしい。

ファ「マスターは不死鳥の欲望(フェニックスディザイア)を発動させて、世界を支配しようとしてるのよ。」

やっぱり。そんな下らない事でマヤを利用するなんて・・・最低なやつっ!!これでマヤのお父さんじゃない事が判明した。が、

グ「・・・で、何なんだ?」

ユ「えっ?」

ファ「はぁ?」

グ、グレイ、今の聞いていなかったのっ!?ビームは世界を支配しようとして・・・

グ「本当の事さっさと話したほうが、身の為だぜ。」

ファ「・・・さすがね。まんまと嘘がばれるとは。」

嘘・・・だったの・・・?

ファ「でも、私はこれ以上何も言わ・・・ひぃ!!」

私はファイターの顔スレスレの位置で冷気をためた拳を止める。

ユ「本当の事、言ってくれないかな?」

優しく言ったけど、顔は・・・恐ろしかったと思う。

ファ「わ、わわわわ分かった分かったっ!!ほ、ほほ、本当の事話しますからっ!!」

何で敬語になってるの?後ろでグレイが青ざめていた。

****************************************************************************************

ファイターは本当の事を私とグレイに話すと気を失っちゃった。

グ「こいつが今言った事が全て本当なら、マヤも気の毒だな。」

ユ「うん。」

その時、

ユ「!!!」

どこからか、とてつもなく大きな魔力と、殺気が私とグレイの体を震わせた。

グ「な・・・何だ、この魔力・・・」

大気が・・・震えている・・・

グ「まさか、不死鳥の欲望かっ!?」

ユ「そ、そんな・・・!!発動しちゃったのっ!?」

お願いマヤ!!もう少し、もう少しだけ我慢してっ!!! 
 

 
後書き
第92話終了です!!
なぜ、ビームの企みの事を書かなかったかとゆうと・・・読者のみなさんにはまだ内緒ですっ!!!でも、必ず書きますのでご安心下さい。かなりすごい事なんですっ!!(←自分で言うな。)
次回はルーシィ&リョウの対決!!
それではまた次回!! 

 

第93話 見えない糸

 
前書き
イエーーーイ☆07だよーーー☆
今回はルーシィ&リョウの対決!!今回はリョウはルーシィを守ることができるのか!?
リョウ目線で書いていきます。
それでは、第93話・・・スタート☆ 

 
マスタービーム、あいつはマヤの父さんじゃねぇっ!!俺はすでに確信を持っていた。あいつの目、マヤと同じオレンジ色をしてたけど・・・違う。あいつの目は違うっ!!あいつの目は、『光』じゃねぇ。『闇』だっ!!

ル「マヤ、大丈夫かな・・・」

リョ「心配いらねぇ。ナツとハッピーとフレイが必ず助け出すに決まってるっ!!」

俺は信じていた。その時、

フェ「見つけた。」

俺たちの目の前に、変な格好をした女が立ちはだかる。確か、フェアリーってやつだったはずだ。

ル「そこをどいてっ!!」

フェ「どいてって言ってどくバカはいない。私と勝負。」

フェアリーは緑色の鍵と、水色の鍵を取り出した。ルーシィと同じ魔法かっ!?いや、ちょっと違うな。

フェ「開門!木緑の妖精、リーフ!!氷凍の妖精、フリーズ!!」

緑色の魔法陣から、葉っぱでできたスカートを穿いた女が現れ、水色の魔法陣から、体全身から冷気があふれ出ている男が現れた。これは妖精魔法!!

ル「開け!巨蟹宮の扉!人馬宮の扉!キャンサー!!サジタリウス!!」

キャ「久しぶりだぜエビ。」

サ「お呼びでありますかもしもし。」

すっげーーー!!星霊と妖精のバトルだっ!!

フェ「リーフはカニを、フリーズは馬を。」

リ&フ「了解しました。」

2人の妖精は駆け出した。エビ・・・じゃなくて、カニと馬はそれに向かい打つ。

ル「妖精は私たちがやるから、リョウはフェアリーをお願い!」

リョ「了解!!」

俺は走り出して、聖剣(エクスカリバー)を1本抜くと、

リョ「一心切ッ!!」

赤い光を放った聖剣でフェアリーに切り掛かろうとしたが、フェアリーは素早く黄色い鍵を取り出した。

フェ「開門!雷光の妖精、サンダー!!」

黄色い魔法陣から電撃が流れ出ている男が現れて、俺の攻撃を防いだ。

ル「一度に3体も・・・」

こいつ、魔力どんだけあるんだよ・・・

フェ「私はあなたと違うの。リーフ、フリーズ、サンダー、こいつらをぶっ飛ばして!!」

リ&フ&サ「了解しました。」

フェアリーに応えるかのように、さっきよりも強くなってやがる!!

リ「葉爆弾ッ!!(リーフボム)」

フ「絶対零度!」

サ「稲妻!」

3つの同時攻撃が俺たちに襲い掛かる。これを食らったら・・・!俺は駆け出し、ルーシィとカニと馬の前に立つ。

ル「ちょっ!リョウ!!何やって・・・」

リョ「ルーシィと、ルーシィの大切なものには、近づけさせねぇっ!!」

俺はファイターとの戦いで聖剣を1本使えないものにしちまったが、聖剣が無くたって、大切なものは守れるっ!!

ル「止めてぇーーーーーーーーーー!!!」

俺はぎゅっと目を閉じた。ドドドドドガガガガガァァァァァァァァァァン!!!

****************************************************************************************

恐る恐る目を開ける。

リョ「あ、あれ?何とも無い・・・?」

そ、そんなはず無い!俺は確かに攻撃を食らったはずだっ!!誰かが防いだのか?後ろを振り返ってもルーシィとカニと馬はそのままだ。でも、顔が思いっきり引きつっている。3人・・・いや、1人と2体の視線の先は俺の足元。俺も自分の足元に視線を落とす。

リョ「・・・え・・・?」

ロ「ぅ・・・うぐ・・・!」

俺の足元には傷だらけのロキ(レオ)が倒れていた。

リョ「ロキ!!何でお前がっ!?」

ロ「ルーシィの、叫び声が聞こえてね・・・急いで門(ゲート)を通って来てみたら、また君が自分を犠牲にしようとなってたから、思わず・・・」

・・・こいつ、どんだけバカなんだよ・・・

フェ「下らない。星霊は死にはしない。別に攻撃を食らっても平気。」

ブチッ!!今の言葉に俺とルーシィの堪忍袋の緒が切れた。

ル「星霊は盾なんかじゃないっ!確かに死んだりはしない。でも!痛みや感情は、人間と同じであるのっ!!」

リョ「お前の妖精だって同じだっ!!操られてるからって、お前酷すぎるぞっ!!!」

俺は聖剣を持ち直す。自分でも分かった。俺の怒りのオーラで、周りの大気がビクビク震えているのを・・・

リョ「ルーシィはロキの傍にいてくれ。後、カニと馬の力を貸してくれ。」

ル「分かったわ。」

フェ「リーフ、フリーズ、サンダー、もう1回同じのをお見舞いして!!」

リ「葉爆弾ッ!!」

フ「絶対零度!」

サ「稲妻!」

また同じ攻撃が俺たちに襲い掛かってくる。

ル「キャンサーとサジタリウスはリョウを援護して!!」

エ「了解エビ。」

サ「了解しましたもしもし。」

ルーシィの指示でカニと馬が俺の前に立つと、カニは愛用のハサミで葉爆弾を切り刻む。葉爆弾はドガンッ!と凄まじい音を立てて爆発する。馬は弓で氷を打ち砕いていく。さすが弓の名手だぜ。残ったのは雷だ。俺は飛び上がると、

リョ「空高切ッ!!」

青い光を纏った聖剣で稲妻を切り裂いた。

フェ「う、嘘!!」

驚いているフェアリーに向かって俺は走り出す。途中でリーフとフリーズとサンダーが襲い掛かってきたが、全てかわした。フェアリーとの距離後10m程のところで俺はもう一度飛び上がった。

リョ「良い事教えてやるよ。」

俺は下にいるみんなに聞こえるようにでかい声で話す。

リョ「人と人はな、見えない糸で繋がっているんだ。」

人は、好きな人はもちろん、初対面の人でも、喧嘩をした人でも、見えない糸で繋がっているんだ。でも、自分が大切だと思う人と繋ぐがっている糸は見えるんだ。

リョ「お前に、妖精たちと繋がっている糸が見えるかっ!!」

ルーシィや、星霊には見えている。もちろん俺にも見える。妖精の尻尾の魔道士には全員見えるんだっ!!

リョ「人と人の和は、俺たちを強くするんだっ!!!竜桜切ッ!!」

俺の背後に、いつもより倍の大きさの青いドラゴンが浮かび上がる。聖剣をフェアリーに振りかざしたと同時に、ドラゴンは消えて、桜の花びらが舞い散る。

フェ「キャアァァァァァァァァァァ!!!」

****************************************************************************************

リョ「・・・はぁ・・・・・」

俺は膝から崩れるようにその場に倒れた。

ル「リョウ!!」

ルーシィが駆けつける。ロキたちは帰ったみたいだな。

ル「さっきのリョウ、かっこよかったよ。」

リョ「へへっ、サンキュー。」

フェ「うっ・・・」

フェアリーが痛そうに足を押さえながら起き上がる。

ル「あなたたちのマスターの企みは何?」

フェ「知らないよぉ~。」

キャラ変わりすぎだろっ!?操られてたからか?

フェ「ファイターなら知ってると思うよぉ~。私たちの頼れるリーダーだから~。」

あいつか・・・あいつとはもう戦いたくねぇ・・・これ以上、聖剣をバキバキに折られたらヤバイからな・・・俺たちは部屋を出た。

ル「マヤ、無事かしら?」

リョ「どうだろうな?」

その時、

エ「ルーシィ~!!」

グ「リョウ~!!」

前方からエルザとショールとグレイとユモとウェンディとトーヤとシャルルが走って来た。

ル「みんなは何か分かった?」

ショ「グレイとユモが聞き出せたみたいだ。」

おしっ!これでビームの企みがわかるな。

ト「後はナツさんとハッピーさんとフレイさんが来れば・・・」

その時、

エ&ショ&グ&ユ&ウェ&ト&シャ「!!!!!」

ル「ひぃ・・・」

リョ「な、何だ・・・このバカデカイ魔力・・・」

恐ろしくて身震いするくらいの魔力を背中で感じた。お、おいおいおい・・・マカロフさん並の魔力だぞ・・・

ル「もしかして、不死鳥の欲望!?(フェニックスディザイア)」

シャ「その可能性が一番有り得るのよ。」

その時、

マ「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

聞き覚えのある悲鳴が聞こえた。

ユ「マヤの声ッ!?」

ウェ「ど、どど、どうしよう・・・」

グ「時間がねぇっ!!」

エ「ナツたちはまだなのかっ!?」

くっそっ!!ナツ!ハッピー!フレイ!1秒でも早く勝負を終わらせてくれっ!!! 
 

 
後書き
第93話終了です☆
見えない糸。これは私のおばあちゃんが私が5歳のころに教えてくれた言葉です。私は13歳になった今でもこの言葉を信じています。おばあちゃんは6年前に死んじゃいましたが・・・
刻々と迫る時。マヤの運命はどうなる!?
次回はナツ&ハッピー&フレイの対決!!そして、お待たせ致しました!!いよいよ、ビームの企みが次回明らかになります!!
次回見逃したらいけないよ☆ 

 

第94話 ビームの企みとマヤのもう1つの秘密

 
前書き
こんばんは~!!07です!!
今回はナツ&ハッピー&フレイの対決です!!そして、いよいよ明かされるビームの企み!!その内容はマヤのもう1つの秘密が関係していた!!その秘密とは・・・!?
途中で目線が変わります。最初はナツ目線から書いていきます!!
それでは、第94話・・・スタート!! 

 
俺は部屋に続く廊下を全速力で走っていた。

ナ「どこだぁーーーーー!!!さっさと出て来ねぇと、ぶっ飛ばすぞっ!!!」

ハ「ナツゥ~!!」

フ「もうちょっとゆっくり走ってくれっ!!」

慌てて急ブレーキ。ハッピーとフレイが息を切らしながら飛んで来る。お前等飛んでるから大丈夫だろ。

フ「はぁ、はぁ・・・俺は体力、ハッピーは魔力と体力を消費するんだよ・・・はぁ、1秒でも、早く・・・マヤを助けたいのは、分かるけどよ・・・一緒にいる、俺と、ハッピーの事も、考えてくれよ・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・」

ハ「おいら、もう・・・限界・・・」

ナ「わ、悪ィ・・・」

その時、

ウォ「鳥人間と猫は戦う前に降参(ギブアップ)か?」

奥から変なやつが歩いてくる。確か・・・ウォールだったか?

ウォ「俺はウォーターだ。相手の名前くらいちゃんと覚・・・」

ナ「ごちゃごちゃうるせぇんだよ。とっととマヤの居場所とビールの企みをを言えっ!!」

俺は炎を纏った拳でウォールに殴りかかるが、ウォールにかわされちまった。

ウォ「お前も人の話を聞かないのか。だが、残念ながら俺は動物姫(アニマルプリンセス)の居場所も、マスターの企みも知らない。」

ナ「んなわけねぇだろっ!!」

ウォ「本当だ。知ってるのはファイターぐらいだろうな。」

そのファイターってゆうやつを倒せばマヤの居場所もビールの企みも分かるんだな。一石二鳥じゃねぇか。

ウォ「残念ながらお前等の相手はこの俺だ。ここから出るなら俺に勝つんだな。」

ウォールの目が赤く光る。

フ「くっそっ!!急いでるのによぉ。」

フレイが人間の姿になる。俺はフレイの前に立つ。

フ「お、おいナツ、何やって・・・」

ナ「ここは俺1人でやる。」

フ「はぁっ!?」

ナ「お前とハッピーは休憩してろ。」

ハ「フレイ、今のナツは強いよ。」

ハッピーの言葉にフレイも納得したみたいだ。サンキュー、ハッピー。俺は体全身から炎を噴射する。

ウォ「お前は炎で俺は水。魔法では俺の方が有利だな。」

ナ「今は有利も不利も関係ねぇ。俺はマヤを助けるんだっ!!火竜の・・・鉄拳ッ!!」

俺は炎を纏った拳で殴りかかる。ウォータにあっさりかわされる。が、

ナ「火竜の・・・鉤爪ッ!!」

後ろから攻撃したが、これもかわされた。

ナ「さっきからかわしてばっかじゃねぇか。俺の魔法が怖いのか?」

ウォ「お前がどれくらいの強さなのかを観察していただけだ。アクアメイク、海豚ッ!!(ドルフィン)」

無数の水の海豚が飛び跳ねながら襲い掛かってくる。こんなもん楽勝だぜ。

ウォ「油断は禁物だぞ。アクアメイク、水蛇ッ!!(マリンスネーク)」

ナ「ぐぼっ!!」

ハ&フ「ナツッ!!」

俺は水のでっけぇ~蛇の体に吸い込まれた。くそっ、息が続かねぇ・・・

ウォ「炎は水には勝てないんだよ。」

勝ち誇ったようにウォールが口角を上げる。その時、

フ「どぉりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

前方から人間の姿になったフレイが両手にに炎を纏って水の蛇の体に突っ込んできた。バババシャァァァン!!!と水しぶきが飛び散る。

ウォ「嘘だろ!?」

水の蛇は破裂して、辺りにでかい雫となって飛び散った。俺とフレイは吹っ飛ばされる。

フ「マヤを、助けるんだろ・・・」

ナ「あぁ。サンキュー、フレイ。」

俺は再び体全身から炎を噴射した。水で濡れた服や髪は蒸発して乾いた。

ウォ「ちっ。アクアメイク、水竜ッ!!(マリンドラゴン)」

今度は水の竜が襲い掛かってくるが、俺に襲い掛かってくる前に蒸発して消えちまった。

ウォ「なっ!?な、ならば・・・アクアメイク、巨水亀ッ!!(ジャイアントマリンタートゥル)」

巨大な水の亀が襲い掛かってくる。俺は腰をかがめると、

ナ「滅竜奥義・・・」

俺は飛び上がり、巨大亀を消した。いや、蒸発させただな。俺はそのままウォールに、

ナ「紅蓮爆炎刃ッ!!!」

ウォ「ぐぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

****************************************************************************************

ハ「やったねナツ☆」

フ「お疲れさん。」

ナ「おうっ!!」

最後の一撃でウォールはすっかり伸びちまってる。あれじゃマヤの居場所聞けねぇな。

フ「正しくはウォーターだけどな。とりあえず、みんなと合流しようぜ。」

仕方ねぇか。俺たちは部屋を出て、しばらく歩いてると、

ル「ナツ!ハッピー!フレイ!」

グ「やっと来たかっ!!」

リョ「お前等遅いぞっ!!」

お前等が早すぎるんだよっ!!

エ「喧嘩してる場合ではない。そんな事より、マヤの居場所が分かったぞ。」

ナ&フ「ほんとかっ!?」

ユ「この飛行船の、一番奥にある黒い扉に、マヤとビームがいるよ。」

ナ「おしっ!!そうと分かれば、行くぞ!ハッピー!フレイ!」

フ「おうっ!!」

ハ「あいさー!!」

俺たちが行こうとすると、

シャ「最後までグレイとユモの話を聞きなさいっ!!」

シャルルにマフラーと尻尾と羽を掴まれて止められた。

グ「最初に言っとくが、あいつはマヤの父さんでもなんでもねぇ。赤の他人だ。」

ト「じゃあ、マヤさんとはどんな関係が?」

顔も知らねぇやつを襲ったのかよっ!!

ユ「それが違うの。ビームは、マヤの実のお父さん、ヤスジ・ララルドの双子の弟、ヤマト・ララルドらしいの。」

グ&ユ以外「弟ォ~~~!?」

言われてみれば、少し似てる気が・・・

ウェ「それでマヤさんの、父親になりすまして・・・!!」

あんにゃろ~~~~~!!!

グ「違う違う。マヤはあいつが自分の父さんじゃないのは分かってたみてぇだ。」

ショ「じゃあ何で?」

グ「それは分かんねぇけど。あいつの企みは、マヤの体に埋め込んでいる火炎石を奪うためだ。」

グ&ユ以外「火炎石?」

なんだそりゃ?

リョ「聞いた事あるぞ。400年前に、火山の中から誕生した石。どんなに水をかけても、火炎石の炎は絶対消えない不思議な石だ。でも、60年前に石は消えたと聞いた事があるけどな。」

ル「とゆうか、絶対に消えない炎って・・・」

すげーーーな。

エ「その火炎石が、マヤの体に埋め込まれているとゆうのかっ!?」

ユ「うん。60年前に、ララルド家の一族がその石を受け継いだらしいの。でも、その火炎石を狙う者も多くて、マヤの実のお父さんとお母さんは、マヤの体に火炎石を埋め込み、マヤを森に捨てて、1年前に死んだらしいよ。」

ト「マヤさんと火炎石を守るために、マヤさんのお父さんとお母さんは、マヤさんを森に捨てたんですね・・・」

フ「俺も初耳だな。」

シャ「その石を奪うために、あいつはマヤを狙ってたのね。」

ハ「あれ?でも不死鳥の欲望(フェニックスディザイア)と関係がないよ。」

ハッピーの言うとおりだ。

フ「もしかしたら、その石のせいで、マヤは不死鳥の欲望の力が身についちまったのかもなぁ。不死鳥の欲望は、発動したら1時間後に命を落とすからな。」

フ以外「えぇっ!!!!!!?????」

俺はフレイの胸倉を摑むと、

ナ「おい!!何でそれを早く言わなかったんだよ!!!」

フ「わ、悪ィ・・・」

ウェ「ナツさん、落ち着いて下さいっ!!」

その時、

マ「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!」

聞き覚えのある悲鳴が聞こえた。

ル「マヤッ!?」

ナ「くっそぉっ!!!」

ハ「ナツ!!待ってーーー!!!」

フ「落ち着けっ!!!」

俺は走り出した。

ウェ「ナツさん!?ハッピー!!フレイさん!!」

ショ「どこ行くんだよっ!?」

ナ「決まってるだろっ!!マヤを助けに行くんだっ!!!」

俺は後ろを振り向きもせず、飛行船の一番奥にある黒い扉の部屋に向かって全速力で走り続けた。俺の後ろを、ハッピーとフレイが追いかけてきた。

****************************************************************************************

             『ここからルーシィ目線でいきます。』

ナツとハッピーとフレイが行っちゃった。

エ「私たちも追うぞっ!!」

エ以外「おうっ!!!」

ナツたちの後を追いかけようとしたら、

エ「うあっ!!」

グ&リョ「ぐほっ!!」

ショ&ト「うわっ!!」

ル&ウェ&ユ「キャア!!」

何かにぶつかった。でも、そこには何も無い・・・

シャ「な、何で通れないのっ!?」

よく見ると、地面に紫色の文字が浮かび上がっている。これって・・・!!

グ「術式だっ!!」

私たち、閉じ込められたって事ォッ!?

リョ「いつの間にっ!!」

ユ「いったい誰が・・・!」

すると、上から魔水晶(ラクリマ)が降ってきて、映像が映る。

ト「ビー、いや、ヤマトさんですっ!!」

ヤ「ようやく気づいたか。」

ショ「ここから出せっ!!」

ヤ「そうはいかない。お前等は俺の計画に邪魔な存在だからな。火竜(サラマンダー)と猫君と鳥人間は逃がしてしまったがな。まぁ、すぐに片付くだろう。」

ル「ナツを舐めない方がいいわよ。」

今のナツは怒りが爆発してるもの。あんたみたいなやつは、簡単に吹っ飛んじゃうわよ。

ヤ「俺は自分が戦うとは一言も言ってないぞ。」

リョ「はぁ?じゃあどうやって戦う・・・!!お前、まさかっ!!」

エ「不死鳥の欲望が発動したマヤを、ナツたちと戦わせる気かっ!?」

エルザの言葉にヤマトは口角を上げて不気味に微笑むと、

ヤ「そのとおりだ。火竜と猫君と鳥人間はマヤにより死に、マヤは1時間もすれば勝手に死ぬ。マヤが死んだところで、俺は火炎石を頂くのさ。一石二鳥・・・いや、一石三鳥だろ。」

グ「卑怯者ッ!!!」

ユ「あんたみたいなやつ、天使なんかじゃないっ!!人間でもないっ!!人の命を弄ぶ、残酷な悪魔だよっ!!!」

ユモの言うとおりよ・・・!こんなの、酷すぎるわっ!!!私たちの怒りはすでに頂点を達していた。

ヤ「お前等はこの魔水晶の映像から4人・・・いや、3人と1匹が戦っている姿を指を銜えながら眺めているといいっ!30分もすれば、この飛行船は火の海になってるだろうっ!!」

ウェ「火の海ッ!?」

ト「シャルルさん、これって・・・!!」

シャ「・・・えぇ。私が予知したのと、同じだわ・・・」

シャルルが何かを予知したのね・・・

ヤ「お前等は運が悪かったな。ここに乗り込まなければ、命くらいは助かったのにな!!アハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!」

ヤマトの高らかな笑いが聞こえた後、映像が切り替わった。そこには、

全「!!!!!」

ル「マ・・・マヤ・・・・・」

体全身から炎のような真っ赤なオーラを噴出しているマヤの姿が映った。マヤの大きなオレンジ色の瞳は、真っ赤に染まっていた。

ウェ「そ、そんな・・・」

シャ「あれはもう、マヤじゃないわね・・・」

ユ「マヤ・・・」

ユモが両手で顔を覆いながら膝から崩れ落ちる。また映像が切り替わった。

グ「ナツ!!!」

リョ「ハッピー!!!」

ショ「フレイ!!!」

マヤを見て、困惑状態になっているナツとハッピーとフレイの姿が映った。

ト「いったい、どうしたら・・・」

エ「ここまでなのか・・・」

私の頭の中は、真っ白になった。 
 

 
後書き
第94話終了~!!
400年前に誕生した火炎石。60年前にララルド家の一族に受け継がれ、14年前にマヤの体に埋め込まれた。ヤマトの狙いはその火炎石だった!!不死鳥の欲望が発動してしてしまい、暴走状態のマヤ!マヤを助けるために立ち向かったナツ&ハッピー&フレイ!ヤマトによって術式の中に閉じ込められてしまったルーシィ&リョウ&グレイ&ユモ&エルザ&ショール&ウェンディ&トーヤ&シャルル!彼らの運命は!!妖精と天使・・・いや、妖精と命を弄ぶ悪魔の最終決戦が、幕を開けた。
次回!不死鳥の欲望によって暴走状態となってしまったマヤを助けるため、ナツ&ハッピー&フレイが立ち向かう!!だが、この戦いは、思わぬ別れを告げる戦いでもあった・・・
次回見逃したら、いけないよ!!! 

 

第95話 赤き炎と赤き羽

 
前書き
ど~もど~も~♪07でございま~す♪
今回は不死鳥の欲望(フェニックスディザイア)が発動し、暴走状態になってしまったマヤ。マヤを助けるため、ヤマトの企みを阻止するため、ナツ&フレイがマヤと戦う!!だが、この戦いは別れの戦いでもあった・・・
ナツ目線で書いていきます。
それでは、第95話・・・スタート♪ 

 
俺たちが一番奥の部屋に来た時は、すでに手遅れだった・・・

フ「不、不死鳥の、欲望が・・・」

ハ「発動しちゃった・・・」

俺たち3人の目の前にいるのは、体全身から炎のような真っ赤なオーラを噴出してるマヤがいた。マヤの大きなオレンジ色の瞳は、炎のように真っ赤に染まっていた。

ヤ「驚いただろう。これが、不死鳥の欲望さ。」

後ろからヤマトが歩み寄ってくる。マヤと同じ色のオレンジ色の瞳が怪しく光った。

ナ「・・・・・・・・かよ。」

ヤ「?」

ナ「父さんじゃなかったのかよっ!!」

ヤ「あぁ。あれはこいつを騙すために言った真っ赤な嘘。まぁ、あっという間にこいつには見抜かれたけどな。」

そこまでして、火炎石が欲しいのかよ・・・!

ヤ「火炎石は売れば高額だ。それに、俺も同じララルド一族の者なのに、何で俺のところに火炎石が渡って来なかったんだよっ!!」

ナ「金の事しか頭にねぇお前なんかに、こんな貴重なもん渡すわけねぇだろっ!!」

ハ「そうだそうだー!」

フ「お前みたいなやつは、金の亡者なんだよっ!!」

俺たちの言葉にいらついたのか、ヤマトは不機嫌な顔をする。

ヤ「お前等はこいつを助けたいんだろ?こいつを助けるには、不死鳥の欲望を止めるしか方法はねぇぜ。お前等がこいつと戦って、勝つしか方法がねぇんだよ。」

ナ&ハ&フ「!!!???」

マヤと・・・戦う・・・!?

ヤ「さぁどうする。」

ナ「・・・・・俺はやる。」

ハ「ナツゥ!?」

俺はマヤを助けるんだ。そのためにも、やらなくちゃならねぇんだよっ!!

フ「さすがマヤが選んだ男だな。」

どうゆう意味だよっ!!フレイも人間の姿になる。

ヤ「随分と勇気ある少年たちだ。だが、その無鉄砲な行為のでいで、儚い命になる事に後程後悔すればいいっ!!今のこいつに勝てる者なんていないのだから。お前等に見えている未来は・・・『死』だ。」

俺の耳にはヤマトの声なんか耳に一切入っていなかった。俺はマヤを見つめる。今のマヤの瞳には光が射していなかった。必ず・・・必ず助けてやるからなっ!!

ナ「ハッピーは下がってろ!いくぞフレイ!!」

フ「了解!!」

俺たちが走り出したと同時に、マヤも俺たちに向かって走り出した。

ナ「火竜の・・・鉄拳ッ!!」

フ「ファイアメイク、弓矢ッ!!(アーチェリー)」

俺は炎を纏った拳で殴りかかり、フレイは炎の矢を撃った。が、俺たちの攻撃を瞬時にかわしたマヤは、俺の顎に、フレイの腹部に蹴りをお見舞いする。

ナ&フ「ぐへっ!!」

俺たち2人はかなり遠くまで吹っ飛ぶ。マ、マヤって・・・こんなに格闘技強かったか?ユモに教わってるってゆうのは聞いてたけどよ・・・

フ「不死鳥の欲望のせいで、技の威力やスピードも上がって・・・ぐおっ!!」

ナ「ぐわぁっ!!」

フレイが説明してる間にもマヤはものすごい速さで攻撃してくる。くそっ!目で追いつけねぇ。そんな事を思っている1秒ぐらいの時間の間も、マヤは俺たちに攻撃するのを止めない。俺たちは次々に傷をつくり、血が出て・・・その繰り返しだ。

ヤ「もう降参(ギブアップ)してもいいんだぜ。まぁ、その時点で『死』だがな。」

俺たちはフラフラになりながらも、立ち続け、攻撃を繰り返した。ほとんどは当たっていないけどよ。だが、今の俺たちにはこれが限界寸前だった。

ヤ「マヤ、そろそろ終わらせても構わんぞ。」

ナ「お前がマヤの名前を呼ぶ資格はねぇっ!!!」

俺たちの仲間を散々傷つけて、自分の仲間まで騙して、仕舞いには金のためだとっ!?

ナ「ふざけるんじゃねぇぞてめぇっ!!!マヤも変なやつ(フェアリー)たちも、お前の操り人形なんかじゃねぇんだっ!!正真正銘の人間だぁーーーーーっ!!!」

俺の叫びにヤマトは顔を顰めると、

ヤ「お前の言葉にはいちいち棘があるな。マヤ、さっさと片付けろ。」

ヤマトがマヤに命令すると、さっきよりもマヤの体全身から噴出していた真っ赤なオーラの量が更に多くなった気がするのは気のせいか?

ハ「さっきよりも魔力もどんどん上がってるよっ!!」

フ「このままじゃ俺たち、本当にあの世行きだぞっ!!うぁっ・・・!」

ハ「フレイ!しっかりしてっ!!」

フレイはその場に倒れ込む。フレイはもう限界か・・・マヤにもう一度目を移すと、マヤの頭上に真っ赤な炎の球体があった。俺はフレイとハッピーの前に立つ。

フ「ナ・・・ナツ?」

ハ「何やってるの?そこに立ってたら、あれに当たっちゃうよっ!!」

ハッピー、そんくらい誰でも分かる事だぞ。

ヤ「妖精のバカ共!!鳳凰の力により、跡形も無く消え失せろぉぉぉぉぉっ!!!」

ヤマトが叫び終わったのと同時に、マヤがあの炎の球体を投げ飛ばす。その炎の球体は、真っ直ぐに俺たちの方に向かってくる。

フ「ナツ!!避けろぉぉぉぉぉっ!!!」

ハ「ナ~~~ツゥゥゥゥゥッ!!!」

俺は腰をかがめると、

ナ「紅蓮火竜拳ッ!!!」

炎の球体に向かって殴りかかった。バゴゴゴゴゴォォォォォォォォォォン!!!と凄まじい音を立てて、見事に炎の球体は俺たちに直撃せずに爆発した。

ヤ「なっ!?」

俺はそのまま空中で体勢を立て直し、

ナ「俺が必ず、仲間を助けるっ!!!」

マヤ目掛けて、

ナ「火竜の・・・剣角ッ!!」

ドガガガガガァァァァァァァァァァン!!!と凄まじい爆発音と同時に、

マ『・・・ナツ、ありがと・・・』

とゆう小さなマヤの声が聞こえたような気がした。

****************************************************************************************

マヤはそのまま気を失った。不死鳥の欲望も止まったみてぇだ。

ハ「さすがナツ!!」

フ「相変わらず無茶しすぎだ。」

ナ「へへっ!」

マヤを抱えてハッピーたちのところへ行こうとしたが、とても歩ける程じゃなかった。俺はマヤを抱えたまま、その場に両膝を地面に着く。そういえば、何でマヤ、ドレスなんか着てるんだ?その時、

ヤ「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」

ナ&ハ&フ「!!!???」

ぶっ壊れたみてぇにいきなりヤマトが叫び出した。どうした?本当にぶっ壊れたのか?

ヤ「どいつもこいつも、俺の計画の邪魔ばかりしやがってっ!!!もう火炎石なんかどうなってもいいっ!!!俺に刃向かう者は全員消え失せろぉぉぉぉぉっ!!!」

はぁっ!?さっきまで言ってた事と話が全然違うじゃねぇかっ!!何勝手な事言ってんだあいつはっ!!やっぱ本当にぶっ壊れたなっ!!

ヤ「死滅の光線(デスガリスビーム)を浴びて消え失せろぉぉぉぉぉっ!!!」

ヤマトは両腕を額の上にのせると、ドス黒い光が今にも発射されるところだ・・・って、ここにいたら、俺もマヤも消えちまうじゃねぇかっ!!!

ハ「ナツ!!避けてぇぇぇぇぇーーー!!!」

俺はマヤを抱えて立ち上がろうとしたが、

ナ「ッ!!!」

魔力を使い過ぎたせいか、体に力が入らなかった。

ヤ「消え失せろっ!!火竜(サラマンダー)よっ!!死滅の光線ッ!!!」

ヤマトの手からドス黒い光が放たれる。

ハ「ナツゥゥゥゥゥッ!!!」

俺はマヤを体を抱き寄せぎゅっと目を固くつぶった。その時、ドォン!!とマヤを抱えたまま俺の体は誰かに突き飛ばされた。恐る恐る目を開けると、俺を突き飛ばしたのはさっきまで傷だらけで立ち上がれなかったはずのフレイだった。フレイは真っ直ぐ俺を見つめると、

フ『マヤを・・・頼んだ・・・』

頭の中でフレイの声が聞こえ、フレイが白い歯を見せて俺に笑った次の瞬間、ドドドガガガガガァァァァァァァァァァン!!!と死滅の光線がフレイに直撃し、フレイの姿はあっという間にドス黒い光に包まれて見えなくなった。

ハ「フレェェェェェェェェェェイ!!!」

俺は一瞬の出来事に目を見開く。言葉が出なくて、何が何だか理解出来なかった。光が消えると、そこには赤い羽根が落ちていた。フレイの羽だ・・・

ハ「そ、そんな・・・フ、フレ、イが・・・死んじゃった・・・」

ハッピーが落ちている羽根を拾って、大粒の涙をこぼしながら小さく呟いた。

ヤ「ハハハハハハハハハッ!!あの鳥人間バカだなっ!!他人を庇って自分が犠牲になって命を落とすなんてよ。ハハハハハハハハハッ!!や、やべぇ・・・おかしすぎて笑いが止まらねぇ。」

ブチッ!!!俺の中ですごい勢いで何かが引き千切られた。

ナ「・・・・・・・・・・・した・・・」

ヤ「あ?よく聞こえ・・・」

ナ「お前はっ!俺たちの仲間を殺したっ!!人の死を、そんなに笑えるのかよっ!!!」

ヤ「あぁ。最高に面白いぜ。」

ブチッ!!!ブチッ!!!俺の中で、さっきよりもすごい威力で何かが引き千切られた。俺は体全身から今までで一番炎を噴出した。

ナ「てめぇだけは・・・てめぇだけは、許せねぇっ!!!」

その時の姿は、怒り狂った竜(ドラゴン)そのものだった・・・ 
 

 
後書き
第95話終了~♪
マヤを無事に助ける事はできたものの、最悪の結末を迎えてしまいました。今までずっと一緒にいたフレイが・・・
次回はフレイの死を笑うヤマトに大激怒したナツが、激戦の戦いを繰り広げる!!そして・・・
次回でお会いしましょう~♪ 

 

第96話 マヤの涙

 
前書き
こんにちは!07です!
今回はフレイの死を笑うヤマトに大激怒したナツ!!ヤマトとナツの激戦が始まる。そして、ナツたちは無事にギルドに帰る事が出来るのか!?
途中で目線が変わります。最初はナツ目線からです。
それでは、第96話・・・スタート!! 

 
俺は今も腹を抱えて笑っているヤマトに腹が立っていた。

ヤ「お前に俺を倒す事が出来るのか?火竜(サラマンダー)。」

ナ「俺は、ぜってぇにお前を許さねぇっ!!マヤや俺たちの仲間を散々傷つけて、変なやつ(フェアリー)たちも思うままに弄んで、フレイを、殺した・・・!お前は!どれだけの者を傷つければ気が済むんだよっ!!火竜の・・・鉤爪ッ!!」

ヤ「逆光!」

ヤマトの顔面を蹴ろうとしたが、強い光のせいで思わず目をつぶっちまった。

ナ「眩しい!おふっ!」

俺が目をつぶっている間に、ヤマトは俺の腹部に拳をお見舞いする。

ヤ「こんな光で目を閉じるなよ。勝負はこれからだぞ!赤外線!」

ヤマトの手から炎のような赤い光線が放つ。ってあれ?赤外線って、目に見えないんだよな?俺は見えてるぞっ!!その赤い光に運悪く当たった。

ナ「あっちーーーーーーーーーーっ!!!」

皮膚が、焼けたみてぇだ・・・俺の腕は赤くなってる。あんにゃろぉ~・・・!!俺は腰をかがめて、頬を膨らませると、

ナ「火竜の・・・咆哮ッ!!」

ヤ「銀光線!(シルバービーム)」

俺の息(ブレス)を光で防いだぁっ!?

ヤ「銀光線は、相手のどんな攻撃でも防ぐ事ができる。」

ナ「ずりぃぞごらぁっ!!」

ヤ「勝負にずるも正気も関係ない!爆発の光線!(イクスプロウドビーム)」

今度はヤマトの手からオレンジの光線が放つ。あれに当たったら、きっと爆発するな。俺はそう予測し、その光線をかわした。へっへー。こんなのへなちょこじゃねぇか。

ヤ「俺の魔法は手からしか出せないと思ったか?」

ナ「なにぃ!?ぐわぁぁぁ!!」

気づいた時にはすでに遅かった。俺の足元にはオレンジ色の魔法陣が浮かび上がっていて、かわすひまも無く、俺はその光線に当たった。

ヤ「この光線は、その名のとおり、当たると爆発する光線だ。爆発の威力は、普通の爆弾の100倍だ。」

ヤマトの下らねぇ説明を耳にしながら、俺はよろよろと立ち上がる。口から血が出る。

ヤ「無理はしねぇ方がいいぜ。お前はまだ若いんだからな。見てみろ、青猫も心配そうに見てるぞ。」

俺は肩で息をしながら、ゆっくり後ろに首を回すと、気を失っているマヤと一緒にいたハッピーが目に涙を浮かべて、

ハ「ナツ・・・」

小さく呟いた。

ナ「はぁ、はぁ、悪いなハッピー・・・俺は、こいつを倒さねぇと、気が済まねぇんだ。はぁ、はぁ、はぁ、マヤや、フレイや、変なやつたちの・・・仇を討つんだっ!!!」

大粒の涙をこぼしながら、ゆっくり頷くハッピーを見た俺は、両手に炎を纏うと、

ナ「火竜の・・・翼撃ッ!!」

ヤ「銀光線!」

また防がれたぁっ!!

ヤ「拘束の光線!(バインドビーム)」

ナ「うあぁぁぁっ!!!」

光なんかで拘束なんかできるのかよっ!?

ヤ「光線を侮っていると、後悔するぜ。」

ナ「あ、ぁぁ・・・」

ハ「ナツッ!!」

縄・・・じゃなくて、光が俺の首を絞めていく・・・く、苦しい・・・

ヤ「苦しいだろ。命だけは助けてやる。その代わり、マヤをこっちに渡せ。」

ナ&ハ「!!!」

け、結局・・・マヤが狙い、なんじゃ、ねぇか・・・!!

ナ「・・・ハ、ハッピー・・・何が何でも・・・マヤは、渡すんじゃ、ねぇぞ・・・!」

ハ「あい・・・!」

ヤ「渡さねぇなら、お前が死ねぇぇぇぇぇっ!!」

ナ「うあぁ・・・あぁ・・・」

さらにきつく絞まる。

ヤ「火炎石は俺の物だっ!!一度ララルド家から消えたあんな小娘の体内に埋め込まれてたらいけねぇ物何だよっ!!金に換えた方がいいんだよっ!!!」

ナ「お前は人の命より、金の方が大事なのかよっ!!」

マヤから火炎石を採ったら、マヤはどうなるんだよっ!!

ナ「マヤは妖精の尻尾が帰るべき場所だっ!!俺たちの大切な仲間だっ!!お前みてぇなやつに、死んでもマヤは渡さねぇからなっ!!!うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

俺は体全身から炎を噴出し、首を絞めていた縄・・・じゃなくて、光を弾き飛ばした。

ヤ「拘束の光線が・・・!!」

ナ「火竜の・・・煌炎ッ!!」

ヤ「あふっ!」

初めてあいつに攻撃が当たった。ヤマトは壁まで吹っ飛び、壁が半壊した。

ナ「仲間を、大切なものを手放すくらいなら、死んだ方がましだ。」

ヤマトはゆっくり立ち上がると、

ヤ「あんな小娘1人が仲間か・・・お前等はどんだけ俺を笑わせれば気が済むんだ?ハハハハハハハハハッ!!」

ナ「てめぇ・・・!!」

俺の怒りメーターは、すでに最大を超え、最大限も超して、爆発していた。

ヤ「だが、今の一撃はなかなかのものだな。俺も本気でいくか。」

ナ「なにぃぃぃっ!!?」

ハ「まだ本気を出していなかったのかっ!!」

こいつ、どんだけだよ・・・

ヤ「闇の光線!!(ダークビーム)」

ナ&ハ「!!!」

な、何だ・・・この、すげー真っ暗な魔力は・・・

ハ「ナ、ナツ・・・」

ヤ「この光線を食らったものは・・・」

ナ「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

ハ「ナツゥゥゥゥゥッ!!!」

ヤ「立ち上がることが出来ない。」

俺はまるで何かに取り付かれたように、体が動かなくなった。立ち上がる事さえ出来ない。しかも、威力がハンパねぇ・・・カツカツと黒い革靴の踵を鳴らしながら、ヤマトは俺に歩み寄ってくる。体が動かねぇから、移動する事も出来ねぇ・・・ヤマトは俺の傍にしゃがむと、

ヤ「ナツ・ドラグニル、お前にもさっきの鳥人間と同じものを食らわせてやる。」

死滅の光線(デスガリスビーム)・・・か。ヤマトは額に両腕をのせると、ドス黒い光がいまにも発射される。

ハ「ナツ!!避けてぇぇぇぇぇっ!!!」

それが出来たら、最初からやってるっての・・・俺はゆっくり目を閉じた。

ハ「ナァァァツゥゥゥゥゥッ!!!」

ヤ「死滅の・・・」

?「ギュギャアァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」

死滅の光線が発射される直前に、何かが聞こえた。

ヤ「何だ。」

ハ「動物の・・・鳴き声?」

もしかして、マヤが契約してる動物たちかっ!?いや、マヤが契約してる動物たちの中に、こんな変な鳴き声の動物なんかいねぇな。じゃあ、何だ?その時、ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォォッ!!と凄まじい音がして、飛行船が揺れた。

ハ「揺れてるよっ!!」

ヤ「飛行船に問題があったのか!?」

ナ「うぷ・・・」

その時、ドドドドドガガガガガガガガガガァァァァァァァァァァン!!!と凄まじい音を立てて飛行船の壁が崩壊し、何かが中に入って来た。それは、体全身が真っ赤な炎に包まれていて、真っ赤に光る鋭い目、2つの大きな翼で空を飛んでいる・・・間違いなくあれは、

ナ「ほ、鳳凰・・・」

7年前、マヤを森で拾い、7年間、マヤを育て、イグニールやグランディーネ、メタリカーナと一緒に、7年前、777年7月7日に姿を消した伝説の不死鳥、鳳凰。

ハ「な、何でこんなところに・・・?」

鳳「ギュギャァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」

凄まじい鳴き声を上げながら、鳳凰は一直線にヤマトの方へ飛んで行く。

ヤ「死滅の光線ッ!!!」

ドス黒い光が鳳凰に向かって一直線!あれを食らったら・・・が、鳳凰は死滅の光線を弾き飛ばしたっ!!!

ヤ「そんな・・・!バカな・・・!!」

鳳「ギュギャァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」

再び凄まじい鳴き声を上げながら、鳳凰はヤマトに体当たりする。

ヤ「ぐおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」

ヤマトは崩壊した飛行船の壁から真っ逆さまに落ちていった。

ナ&ハ「・・・・・」

俺とハッピーはただ呆然と見ていることしか出来なかった。まぁ、俺は体が動かな・・・おっ!

ナ「体が自由だーーーーー!!」

やっと動けるようになったぞ!!俺がはしゃいでいると、ハッピーが俺の後ろを見て青い顔をしていた。

ナ「どうしたんだハッ、ピー・・・」

後ろを振り返ると、鳳凰が目の前にいた。あいつの次は俺たちかっ!!

ナ「く、来るなら、こ、来いよ!!」

ハ「ナ、ナツ・・・足が、震えて、いるよ・・・」

ハッピーもじゃねぇか・・・な、何だ、このバカデカイ魔力は・・・不死鳥の欲望(フェニックスディザイア)よりも強いぞ・・・俺の体全身から冷や汗が流れ落ちる。すると、鳳凰は俺たちに攻撃せずに、翼を広げ、羽ばたきだした。な、何だよ・・・攻撃するんじゃ、なかったのかよ・・・つ、つまんねぇの・・・

ハ「ナツ、強がってもダメだよ。」

その時、

鳳『フレイが、大変お世話になりました。そして、マヤを、頼みます。』

ナ&ハ「!!!」

俺とハッピーの頭の中に、鳳凰の声が聞こえた。ものすごく優しそうな声だった。俺とハッピーは鳳凰に向き直ると、

ナ「おう!」

ハ「あい!」

それを聞いた鳳凰は、崩壊した飛行船の壁から飛んで行った。

ナ「あいつ、マヤを助けに来たんだな。」

ハ「あい!さすが親子だね。」

親子・・・か。その時、ガガガガガガガガガガガガガガガッ!!と何かが擦れるような音が響いた。

ナ「うお!うぷ・・・」

ハ「今度は何だっ!!ってナツ!こんなときに酔わないでよっ!!」

仕、仕方、ねぇだろ・・・そ、それより・・・飛行船が、墜落、してる・・・うぷ・・・

ハ「大変だぁーーーーー!!早くここから出ないとっ!!」

****************************************************************************************

           『ここからルーシィ目線で書いていきます。』

ガガガガガガガガガガガガガガガッ!!

ル「キャア!!」

ト「わわわわわぁ!!」

グ「今度はいったい何だ!!」

私たちは未だに術式の中に閉じ込められている。私たち、このまま出られないのぉ~!!

ショ「お、おい!もしかして・・・」

ウェ「飛行船、墜落してませんかぁっ!?」

ショ&ウェ&シャ以外「えぇーーーーーーーーーーっ!!?」

シャ「もしかしてじゃなくて、確実にね。」

ちょっとちょっとっ!!それってかなりヤバくないっ!?

リョ「今すぐここから出ないとヤバイぞっ!!」

エ「だが、術式のせいでここから出られないんだぞっ!!」

ユ「それに、まだナツとハッピーとフレイとマヤが・・・!!」

ル「嫌だーーーーーっ!!こんなところで死にたくないわっ!!」

飛行船は島に向かってどんどん墜落していく。もう終わりよっ!!私の人生は17年で終わりなのね・・・その時、

ウォ「術式解除!!」

さっきまで仕掛けられていた術式が消えた。いったいどうなってんのっ!?

フェ「ヤッホォ~♪妖精のみなさぁ~ん♪」

ル「フェアリー!!」

ス「助けに来たっすよ。」

ト「スパイダーさん!!」

ウォ「ったく、世話がかかる妖精だな。」

エ「ウォーター!!」

ソ「急いでここから出よう。」

グ「ソード!!」

そこには、フェアリー、ウォーター、ソード、スパイダーがいたの。助けに来てくれたんだっ!!これで生きていられるっ!!

ユ「でも、奥にまだナツたちが・・・」

そうだ、まだナツたちがいるのよね。急いで行かないとっ!!

ス「大丈夫っすよ。」

ウォ「火竜たちはファイターが救出に向かっている。」

ショ「準備周到だな。」

ウェ「ありがとうございます。」

マヤ、無事かしら・・・

シャ「あんたたちも大丈夫なの?あいつに操られてるみたいだったけど。」

フェ「まぁ、今まで育ててくれた人だけど。」

ウォ「こうゆう時が来るのは分かってたからな。」

寂しそうな笑顔で微笑む。やっぱり、寂しいよね・・・

リョ「で?墜落してる飛行船から、どうやって降りるんだよ?」

まさか、飛び降りるって言うんじゃないでしょうね・・・私は絶対無理だからねっ!!

ソ「私たちが瞬間移動(テレポート)を使えるのを、忘れてない?」

・・・忘れてましたっ!!私たちはフェアリーたちに捕まって、

フェ&ウォ&ソ&ス「瞬間移動!!」

****************************************************************************************

私たちは無事に、飛行船から脱出成功し、ニコホリースの街に降り立つ事が出来ましたっ!!よかったぁ~。安心してるのも束の間、ドドドドドガガガガガガガガガガァァァァァァァァァァァァァァァン!!!と凄まじい音と共に、飛行船が墜落し、炎が噴き上がった。危機一髪だったわ。

グ「ナツたちはっ!?」

エ「フレ~イ!!」

ユ「マヤ~!!」

リョ「ハッピー!!」

フェ「ファイター!!」

私たちの声がニコホリースの街にこだまするだけで、何も聞こえない・・・

ウォ「まさか、まだ飛行船の中にっ!?」

飛行船は炎の海になっている・・・

ウェ「そ、そんな・・・」

ル「ナツ、マヤ、ハッピー、フレイ、ファイター・・・」

私たちが、燃え盛る飛行船を見つめていると、

ファ「だはっーーー!!き、危機一髪・・・」

ナ「お前すげーーーな。」

ハ「あい。すごい魔力だね。」

後ろから声が聞こえたと思うと、ナツとハッピーと気を失ってるマヤとファイターがいた。

ショ「ナツ!」

ト「ハッピーさん!」

ユ「マヤ!」

ソ「ファイター!」

よかったぁ~。みんな無事脱出成功ね☆

リョ「おいナツ、ハッピー、フレイはどうした?」

あれ?そういえば・・・辺りを見回してもフレイの姿がどこにもない。

ル「ナツ、フレイは・・・ナツ?」

ナツの顔を見ると、どこか悲しそうな顔をしていた。ハッピーを見ると、なぜか大粒の涙をこぼしていた。

エ「いったい何があったんだ。」

エルザが2人に聞くと、

ナ「・・・ゴメン。」

ショ「え?」

えぇっと、私たち、何か謝られるようなことしたかしら?

ナ「フレイは・・・死んだ・・・」

ナ&ハ以外「え?」

・・・しばらく沈黙が流れた。

グ「な、何変な冗談言ってんだよお前。ハッピーも嘘泣きするの止めろよ。」

グレイが言っても、ハッピーの涙は止まらない。

シャ「フ、フレイもどこかに隠れてるんでしょ?私たちを脅かすために・・・」

ナ「違うっ!!」

ナツが怒鳴るように言う。ナツの固く握られた拳は震えていた。

ナ「フレイは・・・本当に、死んだんだ・・・」

・・・また沈黙が流れる。

ト「ハ、ハッピー、さん・・・嘘だと言って下さいっ!!」

ハ「・・・おいらも、嘘だって信じたいよ。でも、本当なんだ・・・」

ハッピーの目から更に大粒の涙が流れる。

ナ「フレイは、俺とマヤを庇って、ヤマトの攻撃を受けて・・・」

ナツとマヤの、身代わりになったって事・・・?その時、

マ「フレイが・・・死んだ・・・?」

マ以外「マヤ!!!!!」

マヤが目を覚ました。オレンジ色の大きな瞳は、間違いなくいつものマヤの瞳。

マ「フレイが・・・死んだ・・・私のせいで・・・死んだ・・・」

マヤは何かに取り付かれたみたいに同じ言葉を繰り返し続ける。マヤはナツから下りると、ふらつく足取りで今も燃え盛っている飛行船の方へ歩き出した。

ユ「マヤ!どこに行く・・・グレイ・・・」

グ「・・・今は、1人にさせておく方がいい。」

私はマヤを見る。今にも倒れそうな足取りで歩くマヤの後ろ姿は、ものすごく悲しそうに見えた。突然、マヤがその場に膝を着いて崩れるように倒れちゃった。

ナ「マヤ!!」

ハ「マヤ~!!」

ナツとハッピーがすぐに駆けつけて、私たちも全員マヤの傍に集まる。マヤの体は震えていた。そして・・・

マ「フレェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェイッ!!!」

マヤが燃え盛る飛行船に向かって泣き叫んだ。マヤの頬に、涙が伝っていた。その涙は、私たちが初めて見る、マヤの涙だった。

ウェ「燃え盛る飛行船、泣き叫ぶマヤさん・・・」

ト「シャルルさん、これって・・・」

シャ「私が見たのと同じね・・・」

シャルルは予知して知っていたのね・・・マヤは声を上げて泣き、ナツとハッピーは、マヤの肩に手を置いて、涙を堪えているように見えた。エルザとショールとグレイは、飛行船から顔を背けていた。ユモは両手で顔を覆い、ウェンディとトーヤは大泣きして、2人の肩をシャルルが優しく撫でていた。私の肩に優しく手がのせられた。リョウの手だった。リョウは私の方は向かずに、黙って頷いた。私はそれを見ると、一気に涙があふれ出てきた。フレイの死と同時に、妖精と天使の戦いも幕を閉じた。 
 

 
後書き
第96話終了です!!
やっと幕を閉じた災いの天使(ディザスタエンジェル)との戦い。フレイの死にショックを隠せない最強チーム。そして、無事にギルドに帰る事が出来るのか!?
次回はギルドに帰るぞ!!
お楽しみに~!! 

 

第97話 リグリション島の言い伝え

 
前書き
ど~もど~も~☆07で~す☆
今回はみんなでギルドに帰るぞーーーと、思ったが・・・
ルーシィ目線で書いていきます。
それでは、第97話・・・スタート☆ 

 
私たちは、重い足取りで待機所に向かって歩いていた。ファイターたちとはそこで別れる事になったの。今までの償いをして、旅をするみたいなの。

ウェ「そういえば、スパイダーさんたちの本名って、何でしょうか?」

ト「聞きそびれてしまいましたね。」

まぁ、あの5人は強いから、きっと大丈夫よ。ところで、さっきまで泣いていたマヤはどうなったかとゆうと・・・

マ「あ~あ、試験が台無しになっちゃった。とゆうか、この服歩きにくいっ!!」

ナ「何でドレスなんだ?」

マ「私が聞きたいよ!気がついたらこんな格好だったんだもんっ!!」

まぁ、似合ってるからいいんじゃないかしら?でも、さっきまで泣いていたマヤがまるで別人みたいに見える・・・やっぱり、マヤは立ち直りが早いわね。

ユ「そうでもないと思うよ。」

ル「え?」

マヤを見つめるユモの澄んだ垂れ目の青い瞳は、マヤの事を心配そうに見つめていた。

エ「待機所に着いたぞ。」

先頭を歩いていたエルザの言うとおり、ギルドの待機所があった。

ミ「エルザ!みんな!!マスター、エルザたちが帰って来ましたっ!!」

ミラさんの声を聞いたマスターやみんなが待機所から出てきた。怪我してたガジルやフリードたちも復活したみたい。よかったぁ~。

レ「ルーちゃん、無事でよかったぁ~。」

レビィちゃんが私に抱きついてくる。

ジュ「グレイ様!無事で何よりです!ジュビア、もう心配で心配で・・・」

グ「わ、分かったから泣くなってっ!!」

ジュビアったら、グレイにはユモがいる事知ってるのかしら?

エル「エルザ!ショール!無事で何よりだぁーーー!!漢だーーー!!」

エ「エルフマン、私は女だぞ。」

ショ「泣くなって。」

エルフマンって、見た目によらずに涙もろいのよね。

リ「ウェンディ、トーヤ、シャルル、お帰り。」

ミ「お疲れ様。」

ミラさんとリサーナが優しく声をかける。

ラ「リョウ、随分手こずったみてぇだな。」

リョ「予想以上に強かったんだよ。」

ラクサスったら、相変わらず素直じゃないんだから・・・

ガ「ギヒッ。お前等も随分ボロボロだな。イカレテルぜ。」

ナ「んだとごらぁっ!!今回は初めて戦った相手だから苦戦したんだっ!!2回目は一発で仕留めてやるよっ!!」

ハ「ナツ、そうゆうの屁理屈っていうんだよ。」

リリ「ハッピーの言うとおりだ。」

ナ「うるせぇーーーーー!!」

喧嘩始めるの早すぎるでしょ・・・

マカ「マヤ。」

マ「マスター。」

マスターがマヤに歩み寄る。

マカ「無事で何よりじゃ。」

マ「でも、私のせいで、試験が台無しに・・・」

マカ「そんなのどうでもいいわい。」

マ「!!?」

マスターは上を見上げると、

マカ「親にとって、一番大切なものは子供の命じゃ。1人でも命が欠ければ人生は大きく変化する。」

マスターの言葉にまたマヤの瞳に涙があふれる。私も泣けてきた・・・

マカ「1人の幸せはみんなの幸せ、1人の怒りはみんなの怒り、そして、1人の涙はみんなの涙。お前にはみんなの心が届いてるはずじゃ。」

マ「ひっ・・・ひく、マ、マスター・・・」

マカ「フレイが死んだのはお前を守るため。いつも笑っているマヤが泣いてどうする。お前にはいつも笑っていてほしい、フレイも、みんなも、そう思ってるはずじゃ。」

マスターはすでに気づいてたのね。フレイが、死んじゃった事を・・・

マカ「寂しい時や悲しい時はいつでも仲間に相談しなさい。お前は・・・妖精の尻尾の魔道士の一員なんじゃから。」

もう耐え切れない・・・!!

マ&ル「あーーーーーん!!」

ナ「何でルーシィが泣くんだよっ!?」

だって・・・マスターの言葉に、感動しちゃったんだもん・・・

カ「ったく、仕方がないね・・・ほら、マヤも泣くのは止めなよ。たった今マスターに言われたでしょ。あんたが泣いてどうするのよ。」

マ「ひっ・・・泣いて、なんか、いない・・・!」

そう言って立ち上がったマヤの瞳から大粒の涙がこぼれていた。

ナ「泣いてるじゃねぇか。」

マ「泣いてないっ!!」

私たちはいつの間にか全員笑顔になっていた。

****************************************************************************************

エ「マスター、そろそろギルドに帰りましょう。」

マカ「そうしたいんじゃがな・・・」

マスターが海を見る。私たちもそっちの方に目を向けると、

マカ以外「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」

マグノリアからここまで来た船が、粉々に崩れてる!!

マカ「災いの天使(ディザスタエンジェル)のやつらが壊したみたいじゃ。」

それじゃあ。どうやって帰るのよ~!!

ナ「泳ぐしかねぇだろ。」

ル「無理だからっ!!」

すぐさま突っ込む。どうして考え方が楽観的なのかしら?

マ&ハ「それがナツです。」

言われてみれば確かにそうね。その時、

?『アハハハハハ・・・』

全「!!!???」

どこからか声が聞こえてきた。子供の声・・・かしら?

ビ「何だ、今のは?」

ベ「何だ何だ?」

?『アハハハハハ・・・』

まただ・・・しかも、1人や2人じゃない・・・!

エル「姿を現せ!漢だ!!」

エバ「意味わかんないわよ。」

?『アハハハハハ・・・』

不気味ね・・・その時、

?『僕たちが、連れてってあげる・・・』

全「!!!???」

グ「連れてってあげる?」

ギ「どこに連れてくんだ?」

?『マグノリアだよ・・・決まってるじゃないか・・・』

マグノリアに連れて行ってくれるのっ!?いったい誰が・・・?

ト「マカロフさん、これはいったい・・・?」

マカ「・・・妖精かもしれんな。」

マカ以外「妖精!?」

マカ「この島には、昔から妖精が住んでいるとゆう言い伝えがある。」

妖精が住んでいる島・・・なんだか神秘的ね。

マカ「この妖精たちにお願いするとしよう。」

マスターがそう言うと、

?『さぁ、帰ろう・・・君たちの、ギルドに・・・!』

そのとたん、強烈な眠気が襲ってきた。私だけじゃない。ナツも、マヤも、みんなどんどん眠っていく。

?『また、遊びに来てね・・・』

私もそのまま深い眠りについた。 
 

 
後書き
第97話終了~☆
リグリション島に妖精は本当にいるのか?そして、その妖精には尻尾はあるのか?ますます謎が増えたリグリション島ともついにお別れ。マスターの言葉、個人的にお気に入りです。
次回はリグリション島グループがギルドに帰って来た!!でも・・・
次回、お会いしましょう~☆

ここでお知らせです。FAIRY TAIL 友と恋の奇跡がそろそろ記念すべき100話に突入いたします。それを記念に、100話目を更新した後、5話連続で、番外編を書こうと思います。楽しみにしてて下さい。 

 

第98話 時のずれ 

 
前書き
ヤッホ~♪07だよ~♪
今回はリグリション島に行ったみんなが帰って来た!!でも・・・
途中で目線が変わります。最初はなんとロメオ目線!?
それでは、第98話・・・スタート♪

今週、学校でテストなので、来週の土曜日まで更新できません!!ご迷惑お掛けします。 

 
マスターや、ナツ兄たちがいない妖精の尻尾のギルドはものすごく静かで、父ちゃんやワカバが飲んでいるお酒の匂いや、ワカバが吸っている葉巻の匂いが漂っているだけ。

ロ「ナツ兄たち、今頃何してるかな?」

マカオ「そうだな・・・今頃リグリション島に着いてる頃じゃねぇか?」

ワ「ナツは大丈夫なのか?船で行ったんだろ?」

そうだ。ナツ兄は乗り物酔いが激しいんだ・・・

マカオ「それにしても、やっぱあいつ等がいないと、ギルドはすげー静かだな。」

ワ「妖精の尻尾にはもったいないくらいの静かさだぜ。キナナ~、ビール2つ!」

キ「は~い♪」

バーカウンターでミラ姉の代理として働いているキナナが元気に返事する。

ラキ「もう、昼間っからお酒なんか飲んじゃって。奥さんに怒られるわよ。」

ラキ姉が腰に手を当てながらワカバを叱る。

ワ「ララララララララララキ!!それは禁句だっ!!」

ワカバが真っ青になって首をぶんぶん左右に振る。

ロ「父ちゃんもあんまり飲まないでよ。」

マカオ「へいへい。」

その時、ドガガガァァァァァン!!と凄まじい音を立ててギルドのドアが思いっきり開いて、息を切らしたマックスとウォーレンとナブとビジターとジェットとドロイが駆け込んできた。

アル「どうしたんだ?そんなに慌てて。」

ビス「何かあったの?」

アルザックと、アスカを抱っこしたビスカが聞く。6人を代表として、ウォーレンが青い顔で言う。

ウォ「マ、マスターが・・・リグリション島に行った奴等が、帰って来たんだっ!!!」

マック&ウォ&ナブ&ビジ&ジェ&ド以外「はぁ?」

マカオ「おいおいお前等、嘘をつくならもっとましな嘘をつけよ。」

ワ「そんなのすぐに見抜けるぜ。」

最初は父ちゃんたちや俺も笑ってたけど、

マック「本当なんだよっ!!」

ナブ「ハルジオンの街の人たちが言ってたらしいんだよ。」

ビジ「港で、妖精の尻尾の魔道士が大勢倒れているって。」

ジェ&ド「レビィが帰って来たんだっ!!」

ジェットとドロイがはもる。6人の顔は真剣だった。俺はいすから立ち上がると、

ロ「俺、ハルジオンの港に行ってみる。」

俺が外に出ようとすると、

マカオ「待てロメオ。全員で行こう。」

マスターがいない間、マスター代理を務めている父ちゃんの言葉にみんな頷く。本当にナツ兄や、ルーシィ姉が帰って来たの?俺たちはハルジオンに向かって走り出した。

****************************************************************************************

          『ここからは、マヤ目線で書いていきます。』

マ「・・・ん、ん~・・・・・?」

ここは・・・?気がつくと、私は砂場に寝そべっていた。起き上がって辺りを見回すと、

ル「マヤ!気がついた。」

マ「ルーシィ。」

ルーシィやユモ、ウェンディとシャルルがそばにいて、少し離れたところに、エルザやナツ、ハッピーやグレイやガジルやリリーがいた。さらに向こうには、リョウやトーヤやショール、マスターやカナやギルダーツたちがいた。

ナ「なぁ、ここって、ハルジオンじゃねぇか?」

言われてみれば・・・見慣れた光景が広がっている。とゆう事は・・・

マ「私たち、マグノリアに帰れたんだっ!!」

あの妖精のおかげだね。その時、

ロ「ナツ兄~!!ルーシィ姉~!!」

ロメオを先頭に、マカオ、ワカバ、マックス、ウォーレン、ラキ、キナナ、ジェット、ドロイ、ナブ、ビジター、アルザック、アスカを抱っこしたビスカが走って来た。

マカ「お前たち、どうしたんじゃ?」

マカオ「それはこっちのセリフだぜマスター!!」

ワ「何でここにいるんだよっ!?」

はぁ?ワカバの言葉に私の頭には?が浮かぶ。

マカ「何でって、試験から帰ってきたんじゃが。」

マカオ&ワ「はぁっ!?」

何でそんなに驚くの?帰って来たらまずかった?

ナブ「おいおい、今日の朝早く行ったばかりなのに、帰って来るわけないだろ。」

マカ「はぁ?」

ショ「今日の朝行った?」

ウェ「ナブさん、何を言ってるんですか?」

私の頭には?が大量発生中!!

グ「俺たちがリグリション島に行ったのは、だいたい・・・あれ?」

ル「いつ行ったんだっけ?」

ビス「だから、今日の朝に港を出発したばかりじゃない。」

エ「今日の朝港を出発しただと?」

マ「え、でも・・・えぇっ!?」

ナ「だぁーーーーー!!意味わかんねぇっ!!」

ル「少し落ち着きなさいよ。」

落ち着きたくても落ち着けないよ~!!いったい絶対、どうなってんのぉっ!?

****************************************************************************************

ひとまず私たちはギルドに帰って、みんなの話をゆっくり聞いた。

ショ「つまり、リグリション島では月日が経っていたけど、マグノリアはずっと止まっていた。」

ビジ「止まってなんかいないよ。」

ジュ「天狼島とは正反対ですね。」

リグリション島では時間がものすごい早さで進んでいて、マグノリアは港を出発したまま・・・

ユ「こんな不思議な出来事もあるんだね。」

リョ「時間を巻き戻せた感じだな。」

巻き戻しか・・・それが実際に出来るなら、フレイを生き返らせたいな・・・すると、アスカちゃんが私の服の裾を引っ張ってきた。

マ「どうしたのアスカちゃん?」

アス「ねぇねぇ、フレイお兄ちゃんは?」

マ「!!!」

そうだ・・・フレイはよくアスカちゃんの面倒を見てたっけ・・・

ウェ「あぁ、えぇっと、フレイさんは・・・」

ウェンディ、ありがとう。もういいよ。これは私の責任でもあるから。私はアスカちゃんの背丈に合わせてしゃがみ込むと、

マ「ごめんねアスカちゃん。フレイは・・・死んじゃったんだ・・・」

アス「え・・・?」

アスカちゃんの目にはすでに涙がたまっていた。

マ「ごめんね・・・」

私はアスカちゃんから顔を逸らす。もう見ていられなかったから・・・

ビス「ア、アスカ、お母さんとお父さんと一緒に遊ぼうか。」

アル「そ、そうだな。」

ビスカとアルザックはアスカちゃんを抱えてその場を去った。ごめんなさい・・・私は心の中で3人に謝った。

ナ「元気出せって。」

ナツが私の肩に手をのせる。

ナ「お前だけの責任じゃねぇ。俺もあいつに助けられたんだ。俺にも、責任はある。」

ハ「おいらもだよ。」

でも・・・

マカ「マヤ、さっき言ったじゃろ。」

・・・そうだった。私が泣いてどうするんだっ!!私はナツとハッピーにVサイン!ナツとハッピーも同じくVサインで返してくれた。

マカ「よし!今夜は宴じゃあーーーーー!!!」

全「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!」

今日の夜も、妖精の尻尾は、お祭り騒ぎです。 
 

 
後書き
第98話終了~♪
リグリション島では時が進んでいたが、マグノリアでは時は出発した日のままだった!!
次回は・・・なんて説明したらいいんだろう?わからないので、次回までお楽しみ!!
第99話でお会いしましょう~♪ 

 

第99話 白い百合の花 

 
前書き
HEY!テストが木曜日だとゆうのに更新を続ける07だZ!!
今回は・・・なんて説明したらいいのかわからないので・・・スイマセン・・・
途中で目線が変わります。最初はナツ目線からです!!
それでは、第99話・・・スタート!! 

 
リグリション島から帰って来て1週間。俺とハッピーは、リグリション島から帰って来ても元気がないマヤを迎えに行った。

ナ「おーい!マヤ~!」

ハ「ギルドに行こー!!」

・・・返答無し。いないのか?仕方ねぇな。俺はマヤの家の庭に入り、庭の隅っこにある植木鉢の下にある合鍵を取り出す。先に言っとくが、マヤにはちゃんと許可もらってるからな。俺はその鍵でドアを開ける。

ナ&ハ「おっじゃましまっすーーーーー!!」

マヤの部屋に真っ先に入る。オレンジと黄色にまとめられた部屋。部屋の隅にある茶色い棚の一番上には、ニーナとノーナが笑顔で寄り添って飾られている。

ナ「ニーナとノーナ、マヤがどこにいったか知らねぇか?」

当たり前だけど、答えるわけが無い。人形だもんな。

ハ「もしかして、もうギルドに行っちゃったのかもよ。」

ナ「そうだな。俺たちもギルドに行くか。」

ハ「あい!」

俺とハッピーはマヤの家を出て、合鍵を元の場所に戻し、ギルドに向かった。

****************************************************************************************

ギルドに着くと、いつものようにガヤガヤ騒いでる。だが、マヤはどこにもいない。

ナ「ルーシィ、マヤはまだ来てねぇのか?」

俺はテーブルで本を読んでいたルーシィに聞いてみる。

ル「まだ来ていないと思うけど。」

おかしいいな。家にもいないし、ギルドにもまだ来ていない・・・

ユ「マヤなら、今日はギルドに来れないかもって言ってたよ。」

ミラの手伝いをしてるユモがビールを運びながら来た。

ハ「でも、家にはいなかったよ。」

ユ「マヤの家に勝手に入ったの!?」

ル「不法侵入!!」

そんなに引くなよ!ちゃんとマヤに許可もらってるから平気だっつーの!!

ナ「で、マヤはどこにいるんだ?」

ユ「たぶん、あそこじゃないかな?」

あそこ?あそこってどこだよ?

****************************************************************************************

            『ここからマヤ目線で書いていきます。』

私は列車に揺られながらとある街を目指していた。

マ「シェガルーウィリー・・・」

私は白い百合の花束を抱えていた。列車が駅に着いて、私は飛び降りる。駅を出るとすぐに目に飛び込んで来たのは、たくさんの人々で賑わう商店街。新鮮な野菜や果物、魚介類などがたくさん売られていて、衣服やアクセサリーを売ってる店もある。

マ「ここは私が生まれた街なんだ・・・」

そう。昨日、マスターが私が生まれた街はシェガルーウィリーだってって教えてくれたの。何でマスターが知ってるのかは分からないけど・・・そんな事より、この街にあるホライズンとゆう森に私は用があって来た。でも、全く道が分からないので、街の人たちに聞くしか方法がなかった。

マ「すいませ~ん、ホライズンの森はどこにありますか?」

近くを通った無精髭のおじさんに聞いてみる。

街1「あぁ。ホライズンの森は、この道を少し行ったところを右に曲がって、そのまま真っ直ぐ進めばすぐだよ。」

マ「ありがとうございます!!」

私はお礼を言って、言われたとおりにシェガルーウィリーの街を歩いて、ホライズンの森を目指した。

****************************************************************************************

無精髭のおじさんが言ったとおりに歩いていくと、確かにホライズンの森はあった。私は森の中に入っていった。少し薄暗いけど、気持ちがいい。こうゆう場所に動物たちはたくさんいるんだよね~。でも、今は動物たちと会ってる場合じゃない!どんどん奥に進んで行くと、見慣れた場所に着いた。そこは、私が14年前に実の親に捨てられた場所。その場所に、自分の背丈と同じくらいの大きな石があった。その石に、「X778年、X月X日、ヤスジ・ララルド&マミ・ララルド ここに永遠の眠りを捧げる」と彫られていた。私はその石の前にしゃがみ込む。

マ「お父さん、お母さん・・・」

そう、この石は、私の実の親のお墓。私はそのお墓の傍に、手に持っていた白い百合の花束を置いて、手を合わせる。

マ「・・・私を守るために、14年前、ここに捨てたの・・・?」

私は聞こえるはずがない実のお父さんとお母さんに話し掛けた。

マ「私はあの後、伝説の不死鳥、鳳凰に拾われて、7年間育ててくれた。でも、ある日姿を消して二度と帰って来なかった。それから私は魔道士として旅をして、憧れだった魔道士ギルド、妖精の尻尾の魔道士になれたんだ。」

あの時は本当に嬉しかったなぁ~。

マ「でも、何で言ってくれなかったの?私の体内に、火炎石ってゆう変な石を埋め込んだ事を。」

私はショートパンツのポケットの中にある火炎石を握り締める。

マ「この石のせいで、私の仲間や、大切な人たちに迷惑を掛けたんだよっ!!」

私は火炎石を握り締めたまま、更に硬く拳を握り締めた。

マ「私は2人を一生恨む。私を捨てた事や、みんなを傷つけた事・・・!」

いくら自分の本当の親だからって、こんな事、許せる訳がないっ!!でも、

マ「私、捨てられてからでも、覚えてる事が2つあった。1つは、私の名前の由来。2人の名前の頭文字をとったんだよね。」

お父さんは「ヤスジ」、お母さんは「マミ」。2つ合わせて、「マヤ」。私の名前になる。

マ「もう1つは、2人が白い百合の花が大好きだって事。」

風が吹いて、静かに百合の花が揺れる。

マ「この2つだけは、なぜか忘れる事が出来なかった。」

また風が吹いて、私の髪の毛が風になびく。

マ「私は2人がいなくいても大丈夫。私には動物たちがいるし、仲間がいるし、新しい家族がいるから・・・2人は、天国から私を見守っててくれるだけでいいから。」

私はそう言うと立ち上がった。

マ「また来るから。今度来る時はおまんじゅうでも持って来るよ。」

くるりと右回りをして、森を出ようとすると、

?『元気でな・・・』

?『体に気をつけてね・・・』

マ「!!?」

後ろを振り返っても誰もいない。でも、今の声は確かに、お父さんとお母さんの声だった。私はもう一度お墓に手を振って、森を出た。また風が吹いて、また静かに百合の花が揺れた。

****************************************************************************************

再び列車に乗って、マグノリアに帰って来て、そのまま真っ直ぐ家に直行する。

マ「ただいま~。」

フ『お帰り~。』

誰もいないのに、どこからかフレイの声が聞こえたような気がした。あれ?玄関が以上にきれいに見える。それにしても、

マ「疲れたぁ~・・・」

部屋のドアを開けると、

ナ&ハ「お帰り~!!」

マ「ひゃあーーーーーーーーーー!!?」

私はその場にひっくり返った。すぐさま飛び起きて、目の前にいる2人の事を指差すと、

マ「ななななななななな何でナツとハッピーがいるのぉっ!?」

ナ「いやぁ~、なんとなくな。」

ハ「あい。なんとなくです。」

意味わかんないよ~・・・確かに、植木鉢の下にある合鍵使って中に入っていいとは言ったけど、

マ「家主がいない時に入るバカがどこにいる!!」

思いっきり怒鳴ると、ナツとハッピーは、

ナ&ハ「ここにいる。」

自分の事をを指差した。もぉ~。

マ「はぁ、仕方ないか。今から晩ご飯作るけど、ナツとハッピーも食べてく?」

ナ&ハ「ごっつぁんです!!」

よ~し、張り切って作るぞ~!!自分で言うのもなんだけど、料理は得意な方なんだよ。ミラやユモにも時々教わったりするしね。フレイも私の手料理を気に入ってたし。そういえば、2人は何が好きなんだろう?ハッピーは魚だと思うけど、ナツは・・・まぁ、何でも食べちゃいそうだから大丈夫だよね!!キッチンに行くと、

マ「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?」

ものすごくピカピカに磨かれていた。でもいったい誰が?

マ「もしかして・・・!」

私は自分の部屋、お風呂、トイレを調べてみた。家中ピカピカになっていたの!!すると、

ナ「マヤ、驚いてるな。(小声)」

ハ「あい。大成功だね。(小声)」

マ「!!」

リビングでナツとハッピーがコソコソと何かを話してる。私はリビングのドアに耳を当てて、こっそりナツとハッピーの会話を聞いてみる事にした。

ナ「ユモが言ったとおり、掃除をすれば元気出したな。(小声)」

ハ「これでマヤも喜んでくれるね。(小声)」

ナ「おう。(小声)」

ナツ・・・ハッピー・・・そっか、フレイが死んじゃってから元気がなかった私を励まそうとしてくれたんだ。私は、ものすごく優しい彼氏とその相棒に出会う事ができて超嬉しいっ!!!私は何て恵まれているんだろうっ!!!妖精の尻尾・・・最高ーーーーーッ!!! 
 

 
後書き
第99話終了です!!
マヤも元気を取り戻してくれたみたいです。よかったよかった。
読者の皆様、覚えていらっしゃいますか?以前、ユモが偶然ギルドの倉庫で見つけた不思議な本のことを。次回はその本の秘密がいよいよ明らかに!?
次回見逃したらいけないよ!! 

 

第100話 インジュリアス

 
前書き
いつもハイテンションな07です☆記念すべき100話です☆いや~、あっという間でした。
今回は以前ユモがギルドの倉庫で偶然見つけた不思議な本、「FUTURE TALK BOOK」の秘密が明らかになります!!
ユモ目線でいきたいと思います。
それでは、記念すべき第100話・・・スタート☆ 

 
満月の夜。月の光がギルドの倉庫に差し込む。私はこっそり夜のギルドにいた。理由は、以前見つけた本の状態を見るだけの事。明るいうちでもよかったんだけど、いろいろあったから夜になっちゃったってわけ。月の光のお陰で、懐中電灯がなくても十分に周りが見える。私はゆっくり梯子を上る。

ユ「えぇっと、確かこの辺りに・・・あ、あった!」

1冊の本を手に取る。間違いない、これだ!私は梯子から下りて、月明かりの下で本をゆっくり開く。文が書かれている一番最後のページを開くと、そこには、「X779年、X月X日、計28名、S級魔道士昇格試験に参加。試験会場 リグリション島」と書かれていた。

ユ「やっぱり、未来を予測してるの・・・?」

次の文には、「X月X日、リグリション島に、災いの天使(ディザスタエンジェル)襲撃 災いの天使現マスターにより、破滅の光線(ルーインビーム)により、マカロフ戦闘不能」と書かれていた。

ユ「誰かが試験に持って行ってたとしても、書く暇なんか無かったはず・・・」

私はだんだんこの本が恐ろしく思えてきた。さらに読み進めるうちに、「フレイ・レッドシェル、マヤ・ララルド&ナツ・ドラグニルを庇い、自らを犠牲にし、災いの天使現マスターの死滅の光線(デスガリスビーム)により自滅」と書かれていた。

ユ「フレイ・・・」

フレイはマヤとナツとハッピーの事を第一に考えていたからな・・・最後の文には、「リグリション島に行った計28名、無事生還」と書かれていた。

ユ「この本は、いったい誰のものなの・・・?」

すると、あの時と同じように、「X月X日、ユモス・クオリナ死亡」とゆう文字が浮かび上がった。って・・・!

ユ「私が、死ぬ・・・?」

ど、どうゆう事・・・?すると突然、本がカタカタ震え始めた!!

ユ「ひゃあ!!」

私は驚いたあまりに、本を床に落としちゃった。すると、

?『ハハハハハハ・・・!』

ユ「!!?」

ほ、ほほ、本が・・・笑った・・・!!いつの間にか本からはドス黒い煙が噴き出ていた。その煙がだんだん形になって・・・

?「やっと元の姿に戻れたぞ・・・!」

ユ「か、かか、か・・・怪物ゥ~!!?」

本から穴のような真っ黒な目に、真っ黒なマントのようなものを羽織った変な怪物が現れたし、しかも・・・超デカイ・・・倉庫の天井ぐらいの高さまである。私は腰を抜かして、その場に座り込んじゃった。

イ「我の名はインジュリアス。我をこの封印から出してくれた貴様に感謝する・・・」

ユ「は、はぁ・・・」

私の頭の中は真っ白になっていた。

イ「だが、腹が減ってたまらん・・・恩人の貴様には悪いが、我の食になってもらう・・・」

ユ「・・・・・へ?」

私が、食・・・?この変な怪物に食べられるって事ッ!?食べられるもんですかっ!!とにかく、この変な怪物を倒さないと・・・!!私は立ち上がって、両手を構え冷気をあふれさせる。

ユ「アイスメイク、針ッ!!(スピア)」

流星群のように、針型の氷がインジュリアスってゆう怪物に容赦なくぶつかる・・・けど、

ユ「攻撃が効いてないっ!?」

イ「なかなかの腕だが、我にはまだまだだ・・・おとなしく我の食になれ・・・!黒風!」

インジュリアスの口から黒い竜巻のような風が吹き荒れる。

ユ「アイスメイク、盾ッ!!(シールド)」

盾で防ぐけど、威力がハンパなく強い・・・ピキ!パキ!

ユ「私の盾が・・・!!」

イ「これでくたばれ・・・!」

私はさっき本に浮かび上がった文字の内容を思い出す。「X月X日、ユモス・クオリナ死亡」あれって、こうゆう意味だったんだ・・・

イ「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

私はぎゅっと目を瞑る。誰か・・・誰か助けて・・・!!私は心の中で叫んだ。その時、私の体がふわっと持ち上がり、インジュリアスの攻撃をギリギリ避ける事ができた。

イ「誰だ・・・!我の食を奪い取るな・・・!!」

私は恐る恐る閉じていた目を開ける。

グ「勝手にユモを食いもん扱いするんじゃねぇよ。」

紺色の髪の毛に、少し垂れ目がちな目、珍しく服を着ている、紛れもないグレイだった。

ユ「グ、グレイ!?何でここにっ!?」

グ「胸騒ぎがしたんだよ。俺の勘はよく当たるのは、ユモも知ってるだろ?」

グレイはそう言いながら私を下ろしてくれた。

グ「んで、このバカデカイのは何だ?」

ユ「見てのとおり、本から出てきた変な怪物、インジュリアス。」

インジュリアスは私とグレイを見ると、

イ「我の食が増えた・・・これで腹もいっぱいになる・・・」

グ「だから勝手に食いもん扱いするんじゃねぇって言ってんだろうがっ!!」

ユ「私たちを食べてもおいしくなんかないから!アイスメイク、氷霧ッ!!(フリーズミスト)」

倉庫が冷たい霧に包まれる。

イ「くそっ!どこに消えた!!我の食・・・!!」

消えてもないし、あんたの食でもないんだってばっ!!私はインジュリアスの背後に、グレイはインジュリアスの正面に・・・

グ「アイスメイク、槍騎兵ッ!!(ランス)」

ユ「アイスメイク、柱ッ!!(タワー)」

イ「ぐはぁっ!!!」

見事命中!!今度はインジュリアスの左右に周ると、

グ「アイスメイク、戦斧ッ!!(バトルアックス)」

ユ「アイスメイク、爆弾ッ!!(ボム)」

イ「ぐわぁぁぁぁぁっ!!!」

これまた見事命中!!これで、止めだっ!!今度は2人でインジュリアスの頭上に・・・

グ&ユ「氷雪砲ッ!!(アイス・キャノン)」

イ「ぐおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」

最後は強烈な一撃でノックアウト!!

イ「バ・・・バカな・・・」

そう言い残すと、インジュリアスは本に吸い込まれるように消えた。私はその場に座り込む。

グ「お前も随分と変な奴に絡まれるな。」

言われてみれば、確かにそうかも・・・でもまぁ、

ユ「わざわざ助けに来てくれてありがとう。グレイ。」

グ「お、おぉ・・・///////////////」

いつの間にか夜が明けていた。

****************************************************************************************

翌日、あの本は評議委員に預けられたの。え?何で評議委員に預けたかって?実は、なんとあの本は黒魔道士ゼレフが作ったゼレフ書の悪魔の1つだったの!!そんな奴と戦っていたなんて思うと鳥肌が立つ・・・それに、私もグレイも、デリオラに会ってるからね・・・でも、何でそんな危険なものが妖精の尻尾の倉庫にあったんだろう?ミラさんに作ってもらったかき氷を食べながら考えていると、

マカ「ユモ、グレイ、ちょっと来てくれ。」

マスターに呼ばれた。たぶん、インジュリアスの事だと思うけど。

グ「なんだじーさん?」

ユ「あのゼレフ書の悪魔の事?」

マカ「そうじゃ。あのゼレフ書の悪魔、インジュリアスは姿が見える者と見えない者がおる。」

グ&ユ「え?」

とゆう事は・・・

マカ「お前たちには見えるものが、わしには見えんとゆう事じゃ。」

な、何で、私とグレイだけが・・・?

マカ「評議委員の話じゃと、恐らく、デリオラじゃな。」

私とグレイの思考が止まった。な、何で、このタイミングで、デリオラが・・・

マカ「お前たちは2回・・・いや、グレイは3回じゃの。ゼレフ書の悪魔とご対面しておる。」

ユ「私はデリオラとインジュリアス。」

グ「俺はデリオラとララバイとインジュリアス。」

それがどうしたの?

マカ「何度もゼレフ書の悪魔とご対面しておるから、普通の人間が見る事ができない悪魔を、お前たち2人には見えたとゆう事じゃ。」

グ&ユ「・・・・・」

な、なんか、ちょっと怖いような・・・

マカ「ところでユモ、お前はいつからあの本が見えるようになったんじゃ?」

ユ「S級魔道士昇格試験に行く前です。」

マカ「・・・・・」

マスターが黙り込んじゃった。

マカ「・・・ユモ、お前にはまだ、何かが眠っておるのかもしれん。」

ユ「え?」

マカ「何かあったら、必ず言うんじゃぞ。」

ユ「は、はい・・・」

私に眠る何か・・・いったい何だろう?私は今日1日ずっと、その事を考えていた。 
 

 
後書き
記念すべき第100話終了~☆
なんと!本の正体はゼレフ書の悪魔だった!!そして、ユモには本当にまだ何かが眠っているのだろうか?
次回はいよいよ番外編!!5話連続で更新しちゃいますよ~!!ですが、今週は無理なので、来週の土曜日から更新しようと思います。最初の番外編は、トーヤ編です!!
お楽しみに~☆

ここまでこのお話を作成することができたのも読者様たちのおかげです。読者の皆様に心より、感謝申し上げます。
これからも、FAIRY TAIL 友と恋の奇跡をどうぞよろしくお願い致します。
                            by07 

 

番外編1 トーヤ編 半幽人

 
前書き
テストが終わってHAPPYな07です♪予定より早くテストが終わったので、今日からまた更新を続行させます!!
今回は100話記念で、番外編第1弾です!!トーヤ目線で書いていきます。
それでは、番外編第1弾・・・スタート♪ 

 
ト「はぁぁぁ・・・」

午後11時46分08秒。眠いです・・・僕、幽霊なのですが、なぜか夜が苦手で・・・ですが、太陽の光が苦手で・・・どうせなら、妖霊界のように、朝に月や星が見えていて、夜に太陽が出てればいいんですけど。

て「トーヤ、人間界は妖霊界とは真逆の世界だ。今更そんな事を言うな。」

ト「分かってるよ。」

てんぐは相変わらず正論を言うなぁ~。

て「ところで、そろそろ話したらどうだ?お前の本当の姿の事を。」

てんぐの言うとおり。読者のみなさんは、僕が幽霊だとゆう事をご存知ですよね。この事はウェンディさんとシャルルさんとマカロフさんとビックスローさんもご存知です。でも、そろそろギルドのみなさん、最低でも最強チームのみなさんには話そうと思っているんですけど・・・なかなか言い出せなくて・・・もし、僕の正体を知ったら、いつか裏切られるんじゃないかと思うと怖くて・・・

て「お前とは長い付き合いだが、心配性のところは全然変わっていないな。」

ト「それはてんぐも同じだよ。」

僕が一番最初に契約したのがてんぐなんです。とても頼れる存在で、ずっと僕の事を心の底からサポートしてくれたんです。

て「そんなに焦らなくても大丈夫だ。決心がついたら話せばいいんだ。」

ト「うん。」

て「ところで、そろそろ寝た方が良いんじゃないのか?明日はチームのみんなとクエストに行く予定なんだろ?」

あっ!そうでした!!またナツさんの突然の思いつきで、【闇ギルド 悪の花(イーヴルフラワー)討伐 200万J】とゆうクエストに行く事になっていたんです。

ト「それじゃてんぐ、お休み~。」

て「おう!」

僕は眠たかったせいか、布団に入るとすぐに眠りにつく事が出来ました。

****************************************************************************************

次の日、午前10時41分58秒。僕たち最強チームは10時30分にマグノリア駅で待ち合わせをしているんですが、10分以上経ってもナツさんとマヤさんとハッピーさんが来ないのです。

リョ「おいおいおい、あいつ等いくら何でも遅すぎねぇか?」

ウェ「何かあったんでしょうか?」

シャ「どうせ、ナツが寝坊でもしたんでしょ。」

ユ「あ、あの~、エルザが爆発寸前なんだけど・・・」

ル「寸前じゃなくて、爆発してるわね・・・」

僕たちの隣でエルザさんが真っ黒な怒りのオーラを放出していました。周りの人たちは僕たちの事を避けて、足早に通り過ぎていきます。

エ「あいつ等、いつのなったら来るんだ・・・!」

ショ「エルザ、落ち着いて!」

エルザさんが怒りのオーラを駅中に放出しているせいか、気づいたら僕たちの周りには誰もいません。ちょっと悲しいです・・・

ナ&マ&ハ「おーーーーーーーーーーい!!!」

遠くからナツさんとマヤさんとハッピーさんが走って来るのが見えました。3人が駅に着いてすぐに、

エ「お前たち!!いったい何時間待たせたとゆうのだ!!!」

エルザさん、まだ1時間も経っていませんよ・・・

マ「ゴメンゴメン。今度から気をつけるよ。それより、早く列車に乗ろうよ。」

青い顔をして震えているナツさんとハッピーさんとは裏腹に、マヤさんはいつもの態度でエルザさんに接します。

グ「何であいつ、怒っているエルザに馴れ馴れしいんだよ・・・?」

さすがマヤさんですね。でも、マヤさんもだいぶ元気になってきたみたいです。フレイさんが死んでしまった時からずっと暗かったですからね。そんなこんなで、僕たちは列車に乗って、目的地のギルドがある、マニランの街へ向かいました。

****************************************************************************************

ナ「おぷ・・・ま、まだ、着かねぇのか・・・?」

マ「もう着いてるよ。」

ハ「あい。しかも闇ギルドの入り口前だよ。」

悪の花のギルドは、リョウさんやエルザさん、ショールさんの情報によると、暗殺系の依頼ばかりを遂行し続けたギルドです。結果、4年前に魔道士ギルド連盟から追放されたようです。

リョ「それと、ギルドの掟を破った者は、『死』が待ち受けてるってゆうラハールさん情報だ。」

ル「死・・・!!」

ハ「ルーシィ、汁すごいよ。」

ハッピーさん、汗ですよ。

ショ「同じギルドの仲間を容赦なく排除するってゆう事か。」

ユ「まさしく『悪』だね。」

シャ「評議委員の言うとおりにすればいいのにね。」

シャルルさんの言うとおりですね。

エ「とにかく、悪の花に乗り込むぞっ!」

それを待っていたかのように、

ナ&マ&ハ「おおりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

ナツさんとマヤさんとハッピーさんがドアを蹴り破りました。って、あれ?ナツさん、いつの間に復活したんですか?

魔1「誰だてめぇらぁっ!!」

魔2「ここが闇ギルド、悪の花だってゆう事を分かってて来たんだよなぁ?」

ギルドの中はまるでオープンカフェのように、丸いテーブルにパラソルが刺してあって、そのテーブルで5~6人ほどでお酒の入ったコップを持ちながら騒いでる途中だったようです。ていうか、闇ギルドだって分からなくて、こんな所にわざわざ来る人はいないと思いますよ。

グ「安心しろ。俺たちは妖精の尻尾の魔道士だ。」

魔3「正規ギルドだっ!!」

はい、正規ギルドですが、何か問題でもありますか?

魔4「ここに何の用だっ!!」

魔5「まさか、俺たちを討伐しに来たって言うつもりか?」

エ「そのまさかだ。」

エルザさんの言葉に悪の花の魔道士さんたちは笑い転げました。

魔6「俺たちを潰しに来ただって?笑わせるなっ!!」

魔7「こっちは50人以上いるってゆうのに、そっちはたったの12人じゃねぇかっ!!」

魔8「しかも、その内の2人は子供で、2人は羽の生えた猫じゃねぇか!!あ、猫は1匹って数えるのか。」

悪の花の魔道士さんたちはまた笑い転げました。僕は構いませんが、ウェンディさんとシャルルさんとハッピーさんをバカにする人たちは、絶対に許す事が出来ませんっ!!

魔9「ここに来たのが運が悪かったな。お前たちには『死』あるのみだ。者共、かかれぇぇぇっ!!!」

悪の花の魔道士さんたちが、魔法剣などを持って僕たちに押し掛けて来ました。ですが、

ナ「ハッピーをバカにするんじゃねぇっ!!」

ナツさんの一撃でほとんどの人が吹っ飛んじゃいました。

魔3「この野郎!!」

魔道士さんの1人がルーシィさんに雷を纏った槍を持って立ち向かいます。が、

ル「開け!巨蟹宮の扉、キャンサー!!」

キャ「お客様・・・こんな感じでいかがでしょう?エビ。」

魔3「ぬぉぉぉぉぉ!!俺様のリーゼントが!!」

ル「イエイッ!!」

さすがルーシィさんです!!向こうでは、

リョ「一心切ッ!!」

魔4「ぐほぉ!!」

魔5「こ、こいつ、聖十のリョウだ!!」

さっすがリョウさん!!剣が1本でも強いですね!!と、僕が感激してると、

魔6「おらおらおらおらぁぁぁぁぁ!!魔道散弾銃でも食らえぇぇぇ!!」

ダダダダダダダダダダッ!!と凄まじい音を立てて弾丸が僕を狙って次々に乱射されます。僕は1歩も動かずに、冷静に、

ト「我と、心を通わせ、ここに姿を現せ!出て来い!雪女!」

紫色の魔法陣から、真っ白な肌に着物を着て、見ただけで凍ってしまいそうな真っ黒な瞳、唇だけがピンク色の雪女が現れ、魔道散弾銃の弾丸を全て凍らせてしまいました。

魔6「こいつ、怪物(モンスター)のトーヤ・ファインか!?ぐへっ!!」

後ろからショールさんが殴って気絶させてしまいました。

ショ「ギアチェンジ!モード風!!はぁぁぁぁぁ!!」

魔7「ぐべっ!!」

あっちではエルザさんが黒羽の鎧で、マヤさんがライオンのキングさんで、

エ「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

マ「いっけぇーーー!キング!!」

キ「ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

見てるだけで凄まじいです!!こっちではグレイさんとウェンディさんとシャルルさんが、

グ「アイスメイク、円盤ッ!!(ソーサー)」

ウェ「天竜の・・・咆哮ッ!!」

こっちも凄まじいです!奥では、ユモさんが20人ほどの人に囲まれていました。でも、ユモさんなら・・・

ユ「てぇぇぇぇぇい!!」

魔8「どほっ!!」

ユ「えぇりゃぁぁぁぁぁ!!」

魔9「おふっ!!」

回し蹴り、背負い投げ、跳び膝蹴り・・・次々に技が決まります。ですが、グレイさんによると、ユモさんはまだ100分の1も力を出していないそうです。そして、最後の1人をユモさんが回し蹴りでノックアウトにしました。悪の花の魔道士さんは全員が気絶しています。

マ「もう終わり?つまんないの。」

ル「あんた十分暴れたでしょ・・・」

ト「そういえば、ここのマスターさんはどこにいるんでしょうか?」

さっきからそれらしき人が見当たらないのですが・・・その時、

?「ここまであっさりやられるとはな・・・」

ナ「誰だっ!!」

振り向くと、全身黒い服に身を包んだ男の人が歩み寄ってきました。

ダ「俺の名前はダイ・ベルン。悪の花のギルドマスターだ。」

リョ「こいつか・・・殺人鬼!!」

ダ「誰が殺人鬼だ。」

ショ「自分の仲間を容赦なく殺して・・・それでもギルドマスターか!!」

ダ「掟を守らぬ者を排除しただけだ。それの何が悪い。」

マ「命はもっと大切にするものだよっ!!そんな理由でお粗末にするなんて、頭どうかしてるんじゃないの?」

マヤさんの言うとおりです。ダイさんは真っ黒な鍵を取り出すと、

ダ「お前等にはここで消えてもらう。開門!首長の妖怪、デスリス!!」

黒い魔法陣からろくろ首が姿を現しました。

グ「トーヤのろくろ首かっ!?」

ト「いえ、違います。」

僕が契約してるろくろ首ではありません。僕と契約しているろくろ首はもっと優しげな表情をいつも浮かべています。なのに、このろくろ首はとても悲しそうな顔をしています。

ナ「火竜の・・・鉄拳ッ!!」

ナツさんがダイさんを殴ろうとしましたが、ろくろ首さんが盾になりました!!ろくろ首さんは消えてしまいました。

ダ「あれだけの攻撃で消えるのか。使えないやつだ。」

ダ以外「!!!!!」

酷い・・・酷すぎる・・・

ト「あなたはいつもあんなふうにやっているのですか。」

ダ「そうだが、それがどうした?」

ル「星霊や、妖怪にも感情がある!盾なんかじゃない!友達なのよっ!!」

ルーシィさんの言葉に、ダイさんは笑い転げます。

ダ「妖怪はこの世に存在しないんだよ。友達なんかじゃねぇ。俺の『兵器』なんだよ。」

ブチッ!!今、僕の中で何かが切れました。僕はダイさんに歩み寄ると、

ト「あなたは、妖怪の事をどう思っているのですか。」

ダ「ただの魔法だと思って・・・」

ト「違いますっ!!」

地面に紫色の魔法陣がたくさん浮かび上がると、僕が契約してる妖怪やお化けたち、怪物たち全員

が姿を現しました。

エ「一度にこんなにたくさんっ!?」

ウェ「トーヤさん・・・」

僕は真っ直ぐダイさんを見つめると、

ト「妖怪たちは友達ですっ!!兵器でも盾でもないんですっ!!!」

ダ「こいつ等はもうこの世には存在しない奴等なんだよ。妖怪だけじゃねぇ、お化けや怪物、幽霊だってそうだ。」

・・・もう、この人に何を言っても無駄だ。実際に見てもらうしかない。

ト「ダイさん、あなたに見てもらいたいものがあります。」

僕の言葉に、お化けたち全員が目を見開きます。

て「まさかトーヤ、あれを見せるのかっ!?」

ショ「トーヤ、あれって?」

シャ「まさか・・・!!」

僕はウメさんからもらった幽封玉を首から外しました。すると、僕の周りが妖しく紫色に光りだしました。

ル「ちょ、トーヤ・・・?」

ユ「どうなってるの?」

ト「今から見ていただくのは、事実ですので。」

次の瞬間、僕の紫色の瞳は紫から赤色に変わりました。そして・・・

ト以外「!!!!!」

ウェ「トーヤ、さん・・・」

僕は頭から角が生え、目は赤く、足は・・・透けていました・・・みなさんは呆然とその場に立ち尽くしています。

ト「これが・・・僕の本当の姿、半幽人です。」

この姿はまだ誰にも見せた事はありません。ダイさんは腰を抜かしてしまいました。

ト「これで信じていただけたでしょうか?」

僕が問うと、

ダ「信じる!信じるから命だけは助けてくれぇぇぇっ!!」

僕は頷くと、ダイさんは一目散に逃げていきました。僕は幽封玉を首につけると、元の姿に戻りました。僕は後ろを振り返りました。みなさんはまだ驚いてるみたいです。そりゃそうですよね。今までずっと一緒にいた僕の正体が、幽霊だったなんて・・・しかもただの幽霊ではなく、半幽人なんですから・・・一番最初に口を開いたのはナツさんでした。

ナ「さぁて、ギルドに帰るか。」

ハ「あいさー!!」

ト「え?」

思わぬ発言に驚きました。普通はさっきの僕の姿にいろいろ聞くはずだと思いましたが・・・

ナ「おいトーヤ。」

ナツさんに呼び止められました。

ナ「お前が幽霊だとしても、俺等の仲間だとゆうことには変わりねぇからな。」

マ「幽霊の友達なんて最高だもんね☆」

みなさん、僕のこと、何も変に思っていないんですね。よかったぁ~。

エ「さて、ギルドに帰るぞ!!」

エ以外「あいさーーーーーーーーーーー!!!!!」

仲間ってやっぱり・・・すごいです!! 
 

 
後書き
番外編1終了~♪
ここで少し半幽人の説明をします。妖霊界で産まれ、人間の幽霊から産まれた人のことを半幽人といいます。トーヤや、ウメさんも半幽人です。
今回の番外編はどうだったでしょうか?感想などいただけたらうれしいです。
次回は番外編2です。
お楽しみに~♪ 

 

番外編2 ショール編 『予知』

 
前書き
ヤッホー!!07で~す!!
今回は番外編第2弾!!ショール目線で書いていきますよ。
それでは、番外編2・・・スタート!! 

 
トーヤが半幽人・・・まさか、本当だったとはな・・・俺はトーヤの正体を知っていた。いや、予測していたって言った方が正しいな。実は・・・悪の花(イーヴルフラワー)討伐に行く前日からその事を知っていたんだ。えっ?何で知っているのかって?・・・『予知』したんだ。簡単に言えば、シャルルと同じ能力が使えて、トーヤが正体を明かす瞬間を『予知』出来たという事だ。

ショ「何でいきなり・・・?」

手品(トリック)にもそんな魔法があるとは聞いた事ないし・・・マスターに聞いてみたところ、

マカ『う~ん・・・手品を使う魔道士は数少ないし、珍しい魔法じゃ。情報も少ないからのぉ~。わしも詳しい事は分からん。』

と言っていた。そんなに珍しいのか?はっきり言って、『予知』は便利だけど怖い。現実より早く認識できるのはいいけど、それが残酷な場面だったら・・・考えただけで鳥肌が立つ。

ショ「シャルルは、どんな気持ちで『予知』を見ているんだろう?」

明日聞いてみるか。

****************************************************************************************

次の日、

ナ「んだと垂れ目野郎。ポジティブ野郎。」

リョ「いい加減にしろよ変態カチコチパンツ。燃えカス単細胞。」

グ「ごちゃごちゃうるせぇんだよ吊り目野郎。バカアホリョウ。」

エ「お前たち、いい加減にしろっ!!」

ナ&グ&リョ「あいーーーーー!!!」

ハ「おいらの真似しないでよ~。」

朝から喧嘩をしてるナツとグレイとリョウの3人。それを止めるエルザ。

ル「また喧嘩ァ~?」

ユ「今度はどんな理由で喧嘩してるの?」

ウェ「ナツさんがグレイさんの足を蹴って、グレイさんがリョウさんにぶつかって、リョウさんがナツさんの顔を殴ってしまって・・・」

マ「うわぁ~、ちっさ。」

シャ「相変わらず下らないんだから。」

ト「アハハハハハ・・・」

ルーシィたちも冷たいんだな・・・俺もトーヤと同じように、苦笑いしかできねぇ。そんな事より、

ショ「ウェンディ、トーヤ、ちょっとシャルル借りてくぞ。」

ウェ「えっ?あ、はい。」

ト「ど、どうぞ。」

2人の許可をもらったので、俺はシャルルを連れてギルドを出る。

シャ「ちょっとっ!!どこ連れて行く気よっ!!」

****************************************************************************************

俺はシャルルと一緒にギルドの裏庭に出た。シャルルが腕を胸の前で組んで、

シャ「で、何なのよいったい。エルザにも話せない事なの?」

さすがシャルル。鋭い・・・

ショ「なぁ、シャルルは『予知』が出来るんだよな?」

シャ「そうだけど、それがどうしたの?まさか、『予知』してあんたの明日の運勢とか占って欲しいとかじゃないでしょうね?」

いやいやいや、それは絶対ないから。

ショ「『予知』を見るって、どんな感じなんだ?」

シャ「何であんたなんかにそんな事言わなきゃいけないのよ。!もしかして、あんた、『予知』が出来るのっ!?」

俺は正直に頷き、トーヤが半幽人だったって事を『予知』して見た事をシャルルに話した。

シャ「なるほどねぇ。でも、あんたは何で見えるの?」

ショ「それがわからないんだ。」

シャ「ふ~ん。私も何で見えるかしらないけど、見えるのよ。」

エルザから聞いた事がある。アースランドとは真逆の世界、エドラスの世界では、全てがアースランドと真逆らしい。ハッピーやシャルル、リリーはエドラスからやって来た、『エクシード』とゆう種族らしい。エクシードと言っても、ハッピーやリリーは『予知』が出来ない。シャルルだけが『予知』が見えるらしい。シャルルだけ、何か特別なのか?それに俺はエドラスの人間でもないし、エクシードでもない。

ショ「・・・シャルルは、『予知』を見るって事はどう思ってるんだ?」

シャルルはしばらく考えていたが、

シャ「少しだけど、役に立つはね。見るのは怖い時もあるけど・・・」

やっぱり、シャルルでも怖いんだな・・・

シャ「でも、この能力のおかげで、ウェンディたちを助ける事が出来るのよ。あんたも『予知』が出来るなら、エルザを守る事が出来るはずよ。」

エルザを・・・

シャ「何か聞きたい事があったらまた言って頂戴。私でよかったら、相談にのるから。」

ショ「ありがとう。」

俺たちはギルドに戻った。

****************************************************************************************

ギルドに戻ったら、騒がしさがさっきよりも激しくなっている気がする。

エ「ショール、今までどこにいたんだ?」

ショ「あぁ。ちょっと散歩にな。」

エ「そうか。あ、丁度よかった。さっき、ミラから1ホールのチーズケーキを焼いてもらったのだがな、さすがに私1人では食べ切れなくてな、みんなで分けて食べるつもりなのだが、ショールもどうだ?」

相変わらず、チーズケーキとスフレが大好きだなぁ~。しかも1ホールって・・・でも、断るのも悪いからな・・・

ショ「じゃあ、お言葉に甘えて。」

今、顔引きつってなかったかな・・・?エルザは嬉しそうに微笑むと、

エ「よし。じゃあ、私はルーシィたちを呼んでくるから、ショールはナツたちを呼んでくれ。」

ショ「OK。」

俺は緋色の髪を靡かせながらルーシィたちの方へ行くエルザの後ろ姿をしばらく見つめていた。

シャ『エルザを守る事が出来るはずよ。』

さっきシャルルに言われた言葉が、頭の中でぐるぐる回っている。俺が・・・守る?いつもエルザに助けられているこの俺が、エルザを助ける事なんか出来るのか?

マカ「ショール、ちょっと来なさい。」

マスターの声に我に返り、なぜか呼ばれたので慌ててカウンターの方へ行った。

ショ「何か御用でしょうか?」

マスターは持っていたジョッキに入っているビールを一口飲むと、

マカ「・・・エルザを守りたいのなら、『笑顔』でいるべきだ。」

ショ「えっ!?」

今の話し、聞いてたのかっ!?

マカ「エルザは見た目によらず傷つきやすい性格じゃからのぉ~。お前が『笑顔』でなかったら、あいつまで『笑顔』じゃなくなってしまう。あいつに心配させないように、いつも『笑顔』でいないとダメじゃ。その事を忘れるな。・・・も、もれそうじゃ・・・!」

マスターはカウンターからひょいっと飛び下りると、足早にトイレへ走って行った。俺は視線を下に移す。マスターのビールに、俺の沈んだ表情が映る。『笑顔』・・・そうだ、笑っていればいいんだっ!!俺が今出来る事は、『笑顔』でいる事だ。

マ「ショール!!チーズケーキ切り分けたよ~!!」

マヤの声に我に返り、俺は慌ててみんなの方へ走って行った。

リョ「マカロフさんと何話してたんだ?」

ショ「いろいろな。それにしても・・・」

テーブルの上にはバカデカイ1ホールのチーズケーキが36等分に分けられていた。

マ「1人3つ食べられるよ。」

ル「私、3つもいらないわ。1つで十分。」

ウェ「私、1つ全部食べれないと思います・・・」

ト「僕もです・・・」

シャ「私も無理ね。」

まぁ、無理はしない方がいいな。

グ「エルザ、よくこれを1人で食べようと思ったな・・・」

ユ「これを作ったミラさんもすごい・・・」

バーカウンターの方に目をやると、ミラは鼻歌を歌いながらお皿を拭いていた。

ナ「いいからさっさと食っちまおうぜっ!!」

ハ「あい!!」

ル「あんた魚食べてるじゃないっ!!」

そんな3人の漫才を見ていると、

ショ「!!!」

『予知』が見えた・・・!!ナツとグレイとリョウが何らかの理由で喧嘩して、それを止めようとするルーシィとウェンディとマヤとユモとハッピー。でも、ハッピーがナツの肘にぶつかって吹っ飛んで・・・そこで『予知』は途切れていた。肝心なところで・・・!

エ「よし、じゃあ食べるぞ。」

エルザが顔をキラキラさせながらお皿にチーズケーキを取ろうとすると、

ナ「俺が先だぁーーーっ!!」

ナツがエルザの横からケーキを無理矢理取ろうとする。その反動でテーブルに置いてあったガラスのコップが、グレイの顔に直撃。

グ「おいナツ!!てめぇ何しやがるっ!!」

グレイが立ち上がった反動で、テーブルに置いてあったフォークがリョウの顔面に・・・当たらなかった。リョウが顔面すれすれでキャッチ。だが、

リョ「おいグレイ!!立つ時はもっと静かに立てっ!!」

で、3人の喧嘩がまた始まった。それを止めようとするルーシィとウェンディとマヤとユモとハッピー。・・・さっき見たのと同じだ。

ハ「ナツ、喧嘩しないで・・・うわぁっ!!」

ナツを止めようとしたハッピーは、ナツの肘が顔面に直撃し、そのまま吹っ飛んでいった。その先には・・・べちゃっ!

ハ以外「あ・・・・・・・・・・・」

ハ「むーむー!ぷはー!!」

ハッピーは、見事にチーズケーキのど真ん中に顔から突っ込んでいった。もちろん、ハッピーの顔はチーズケーキのクリームだらけ。チーズケーキは無残な姿に・・・そして、そのそばで真っ黒な怒りのオーラを噴出してるエルザ・・・エルザはゆっくり立ち上がると、ナツとグレイとリョウに歩み寄った。ナツとグレイとリョウは真っ青になって、その場から動けない状態。ルーシィとウェンディとマヤとユモとシャルルとトーヤと俺は、その場からそっと立ち去った。

エ「お前等ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

ナ&グ&リョ「ゴメンナサーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーイ!!!」

ギルド、いや、街中に怒りと反省の声が響き渡った。 
 

 
後書き
番外編2終了です!!いかがでしたでしょうか?なんとなんと、ショールが予知が使えるようになりました!!
次回は番外編3です。
次回でお会いしましょう!! 

 

番外編3 ユモス編 格闘への道

 
前書き
こんにちは~☆07です☆
今回は番外編第3弾!!ユモ目線で書いていきますよ~。
それでは、番外編3・・・スタート☆ 

 
マグノリアの空にはマヤの瞳みたいな大きなオレンジ色の夕日が昇っていた。私は八百屋さんの前で足を止めると、夕日の光に照らされている真っ赤なトマトを指差して、

ユ「おじさぁ~ん!これ下さぁ~い!!」

お「あいよ!ユモちゃんいつもありがとうね~。お礼に少し安くしとくよ。」

ユ「ありがとう、おじさん!」

新鮮な野菜はおじさんのところで買うのが一番!!今日は何作ろうかな~?青い手提げ袋を持ちながら今日作る夕飯の事を考えていると、

?「キャアーーー!!!」

ユ「!!?」

路地裏から悲鳴が聞こえた。私は興味に引かれ、興味心身にこっそり路地裏に入っていった。声がした方に行くと、1人の女性が3~4人ほどの男に囲まれていた。たぶん、ナンパだ。

男1「なぁなぁ、俺たちと一緒に遊ぼうよ~♪」

女1「や、止めて下さいっ!!」

男2「ちょっとぐらいいいじゃねぇか~♪」

女1「わ、私、親が待っているんですっ!!」

男3「家族の事なんか気にしないでよ~、あんただってすぐに親の元を離れて暮らすんだ。今のうちに慣れた方が得だぜ☆」

1日でも長く『家族』と過ごせるなんて・・・これ以上の『幸せ』はないよ・・・

男3「さぁ行こうぜ☆」

女1「だ、誰か!助けてぇーーー!!」

強引に女の人を誘おうとするバカな男。もう見てられないっ!!

ユ「こんにちは~。」

ユ以外「!!?」

私はまるで通りすがりのように姿を現した。3人のナンパの前で足を止めると、

ユ「1人の女性をそうやってナンパするのはよくないと思いますよ。」

男1「あぁん?ガキのくせして俺たちに説教か?」

ユ「ガキじゃありません。17歳です。」

男2「俺たちは22歳だ!20歳以下の人間は全員ガキなんだよっ!!」

いい年してナンパとは。呆れて言葉も出ないよ。

ユ「とにかく、その人を放してくれませんか?」

男3「そう簡単に放すわけねぇだろ。」

男1「俺たちの前に立ちはだかったのを後悔しやがれ!!おらぁぁぁっ!!」

女1「危ないっ!!」

男の1人が私に殴りかかってくる。見知らぬ人間相手に、我武者羅に腕を振り回すのは危ないよ。私はその男の拳を片手で受け止める。

男1「なっ!!」

ユ「私に殴りかかろうとしたのも、後悔した方がいいですよ。」

私はそのまま男を背負い投げでノックアウト!!

男2「この野郎!!」

今度はそこら辺に落ちていた鉄パイプを持って私に殴りかかろうとした・・・が、

ユ「聞こえませんでしたか?私に殴りかかろうとすると、後悔するって。」

私は男の腹部に拳を1つお見舞いする。こちらもノックアウト!!最後の1人に顔を向けて、

ユ「あなたもこんな風になりたくなかったら、今すぐその人を放して、仲間を連れて立ち去った方がいいですよ。」

男は青い顔をしたままゆっくり頷くと、女の人を放して、2人の男の足を引っ張りながら「ひぇぇぇぇぇっ!!」と情けない声を上げながら路地裏から風のような速さで走り去って行った。

女1「あ、あの、助けてくれてありがとうございますっ!!」

女の人が頭を下げる。

ユ「そ、そんな大した事はしてないですよ。また変なやつに絡まれないように気をつけて下さいね。それじゃあ。」

私は青い手提げ袋を拾い上げ、路地裏を出た。

ユ「それにしても手ごたえなかったなぁ。あれならマヤと特訓した方が100倍いいや。」

そういえば、私が格闘を始めたきっかけも似たようなものだったなぁ。あれは確か、私がまだ7歳の頃、10年前の時だ。

****************************************************************************************

街がデリオラに襲われて、家族を失った私は魔道士になるための旅をしていた時だ。

幼ユ「どうやったら魔法を覚える事が出来るのかな?」

まだ魔法も格闘技も全く習得していなかった時、当ても無く森の中を歩いていると、

山1「おい、ここで何をしている。」

頭上から低い声がして、見上げると、5~6人ほどの男がいた。山賊だ・・・!!私は震え上がった。

山2「ここは俺たちの縄張りだ。勝手に入った者は男でも女でも年寄りでもガキでも、躊躇無く殺すっ!!」

幼ユ「ひぃ・・・!」

刀を持った男たちが近づいてくる。私はその場を走り去った。

山3「逃げたぞっ!!」

山4「追えーーー!!見つけたらひっ捕らえろっ!!」

私は必死に走り続けた。でも、相手は大人だ。子供の私が、足の速さに叶うはずがないっ!!魔法が使えればよかったけど、私はまだ魔法も使えない。

幼ユ「誰か、助けてーーー!!」

私はただ叫ぶ事と、ただ逃げる事しか出来なかった。

****************************************************************************************

どれだけ走り続けただろう?

幼ユ「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・」

休まず、ずっと全力疾走していたから私はもう限界だった。山賊たちはまだ体力があるみたい。もう、ダメだ・・・私は力尽き、その場に倒れそうになったその時、私は誰かに腕を摑まれ、口を塞がれた。

幼ユ「んん!!」

山賊に捕まったっ!!私は必死にもがいて逃げようとする。

?「お、おい!暴れるなって!静かにしないと、山賊にばれるだろ!(小声)」

あ、あれ?山賊じゃ、ない・・・じゃ、じゃあ、いったい誰?私は見知らぬ誰かに口を塞がれたまま、その人と茂みの中で隠れていた。しばらくすると、

山5「くそっ!どこ行きやがった!!」

山賊の声だっ!!

山6「明るい水色の髪だったからすぐに見つかると思ったんだけどな。」

水色の髪・・・私の事だっ!!

山2「さっき、あっちの方で紺色の髪のガキもいたみたいだぜ。」

紺色の髪・・・?私の他にも、山賊に追われてる人がいるんだ。その人、大丈夫かな・・・?

山1「相手はガキ2人だ。そう遠くには行ってねぇはずだ。見つけたらひっ捕らえろ。」

足音がだんだん遠ざかり、聞こえなくなった。

?「・・・行ったみたいだな。」

そっと茂みから出ると、ようやく口から手を放してくれた。あ、そうだ、お礼言わなきゃ!

幼ユ「あ、あの、助けてくれてありがとうございます!」

?「お礼なんていいって。偶然通りかかっただけだし。」

顔を上げると、逆光で顔は見えなかったけど、紺色の髪が風で揺れていた。

?「ここを真っ直ぐ行けば、森から出れる。さっきの山賊には気をつけろよ。じゃあな。」

その人は森の出口とは反対方向に行ってしまった。

幼ユ「あ、名前聞くの忘れてた。」

それにしても、あの人強かったなぁ。私も、強くなりたい!!

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これが私が格闘技を始めたきっかけ。いつの間にか格闘技の名手って呼ばれ、今では氷上の舞姫ってゆう異名がついた。今でもあの人の名前も分からないし、あれから一度も会ってない。そういえば、あの人の手・・・

ユ「少し冷たかったなぁ~。」

そんな事を考えていると、

男4「HEY!YOU!」

ユ「!!?」

振り返ると、4~5人ほどの男がいた。またナンパだ・・・

ユ「ナンパなら、お断りします。」

男5「そう簡単に諦めるわけねぇよ!」

男6「どうせ暇だろ?俺たちと一緒に遊ぼうぜ☆」

暇じゃないから断ってるのに・・・でも、このまま全員ノックアウトしちゃうのはもったいないから・・・

男7「あっ!逃げた!!」

男8「待てーーーーー!!」

鬼ごっこで待てって言われて待つ人はいないよ。まぁ、私が勝手に鬼ごっこをしてるんだけどね。私はそのままさっきの路地裏に逃げ込む。ここなら誰にも邪魔されない。その時、誰かに腕を摑まれて、口を塞がれた。嘘ッ!?ここで誰か待ち伏せてたのっ!?そう思ったのも束の間。

ユ「!!!」

手が、少し冷たい・・・もしかして、あの時の・・・!!

男4「くそっ!どこ行った!!」

男5「結構かわいい子だったんだけどな~。」

男6「俺の彼女にしたかったんだけどな~。」

ナンパする男の彼女になんか絶対にならないし!!それに、私には・・・///////////////

男7「仕方ねぇ。今日は引き上げるぞ。」

男8「おう。」

ナンパたちは路地裏を出て行った。やっと私は解放された。振り返ると・・・

ユ「グ、グレイ!?」

なんとグレイがいた!!

グ「そんなに驚かなくてもいいだろ。偶然見かけて、先回りして・・・」

なるほどねぇ~。

ユ「助けてくれてありがとう。」

グ「お、おぉ・・・///////////////」

それにしても、氷の魔道士だからかもしれないけど、もしかして、あの時私を助けてくれたのって・・・

グ「ユモ?何考え事してるような顔してるんだ?」

ユ「えっ!?な、何でもないよ!!」

グ「?」

さ、さすがグレイ。勘が鋭い・・・もし、あの時の人がグレイだったなら・・・私はグレイの横顔を見る。私はグレイのおかげで強くなれたんだ。そう思うと感謝しなきゃね☆

グ「おいユモ、さっきからどうしたんだ?」

ユ「えっ!?な、何でもないってば!!」

う~ん・・・勘は鋭いけど、やっぱり鈍感・・・(←ユモが言っても意味ないよ bv07) 
 

 
後書き
番外編3終了です☆いかがでしたでしょうか?相変わらずユモは強いです!そして鈍感です!
次回は番外編4!!
お楽しみに~☆ 

 

番外編4 リョウ編 『嵐真剣』

 
前書き
はいはいは~い♪07で~す♪
今回は番外編第4弾!!リョウ目線で書いていきますよ~♪
それでは、番外編4・・・スタート♪ 

 
俺は1人、ギルドのテーブルで、

リョ「う~ん・・・やっぱり1本じゃ不便だな。」

自分の聖剣(エクスカリバー)を見て唸っていた。読者のみんなは覚えているか?リグリション島で、俺の剣がファイターに壊されたのを。まさか聖剣を壊す事が出来る魔道士がいるとは思わなかったぜ・・・1本だけでも戦えるんだけどよ、やっぱり強敵だと2本の方が絶対有利なんだ。ファイターに壊されたのは『天力剣』だ。あ、ちなみに聖剣にはそれぞれ名前がある。俺が持ってる2本の聖剣は、『銀覇剣』と『天力剣』だ。世界に聖剣は全部で7本ある。その内のの2本は俺が所有していて、残りの5本は他の誰かが所有してるか、どこかにある。俺は聖剣を全部集めてやるつもりなんだ。それにしても、

リョ「早く直らねぇかな、『天力剣』」

『天力剣』は今、修理に出してるんだ。粉々になっちまったから、元通りに戻すのは大変だと思うけどよ、もう1ヶ月は経ってるんだぜっ!!いくら何でも遅すぎるぞっ!!その時、リリリリリリリリッ!!リリリリリリリリッ!!とバーカウンターにある電話がけたたましく鳴り響く。ミラが即座に受話器を取る。

ミ「はい、妖精の尻尾です。・・・はい、分かりました、伝えておきます。それでは。」

ガチャンッ!!と音を立てて受話器を置くと俺の方を向いて、

ミ「リョウ、修理に出していた『天力剣』が直ったから取りに来て下さいってゆうお店のオーナーさんからの電話よ。」

リョ「ほんとかぁっ!?んじゃさっそく行って来るわっ!!」

俺はいすから立ち上がり、ギルドを飛び出して全力疾走でお店に向かった。

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リョ「ありがとうございましたっ!!」

俺は店から出ると、直ったばかりの『天力剣』と『銀覇剣』を太陽の光にかざす。太陽の光に反射して、いつもより輝いて見えた。

ル「リョウ~~~!!」

声がした方を向くと、遠くからルーシィが走って来るのが見えた。ルーシィは何かを持っている。細長くて、布に包まれている。

リョ「どうしたんだルーシィ?それに、何だその布に包まれたやつ?」

ル「開けてみて。」

ルーシィからそれを受け取って、布をそっと取る。少しかび臭い臭いがした。中からでてきたのは・・・

リョ「!!こ、これって・・・!!」

それは1本の剣だった。しかもただの剣じゃない。聖剣の1本、『嵐真剣』だっ!!

リョ「ど、どうしたんだこれっ!?」

ル「パパの遺産なの。」

ジュードさんのっ!?何でジュードさんが聖剣を・・・

ル「私がまだ産まれてない頃、パパが洞窟で見つけてきたってママが言ってたわ。」

ど、洞窟に・・・俺は目を閉じると、ルーシィに『嵐真剣』を差し出す。

リョ「・・・ルーシィ、これは受け取れねぇ。」

ル「えっ?どうして?」

リョ「これはジュードさんの・・・ルーシィのお父さんの物だ。俺が受け取る筋合いは無い。」

確かに俺は、7本ある聖剣を全て集めたい。が、人が見つけた物を奪ってまで集めたいわけでもない。

リョ「この剣は、見つけたジュードさんの娘であるルーシィが持っていないと。」

俺は『嵐真剣』を布に包んでルーシィに渡す。残念だけど、これは受け取る事ができねぇ聖剣だ。すると、布を握っている俺の手を上からそっとルーシィが手を重ねた。

ル「・・・私が持ってたって、意味が無いの。」

リョ「え・・・」

ル「パパも、ママも私も、この剣を持ってても意味が無かったの。だから、この剣は10年以上も誰にも使われずに、埃をかぶったままだったの。そして今、使われる時がきたの。」

ルーシィは薄汚れ、少しかび臭い布に包まれた『嵐真剣』をそっと撫でる。

ル「リョウに受け取ってもらわなかったら、この剣はまた、自分を使ってくれる人を待ち続ける事になっちゃうのっ!!リョウ、私からもお願い。この剣を受け取ってっ!!」

ルーシィが『嵐真剣』を持って俺に頭を下げる。・・・俺って奴は、彼女に頭を下げさせてどうするんだよ。俺はルーシィから『嵐真剣』を受け取る。

リョ「俺なんかでいいなら、この聖剣の所有者になってやるっ!!」

ル「ありがとう、リョウ!!」

ルーシィの頼みなら仕方ねぇからな。

リョ「んじゃ、『嵐真剣』と契約するか。」

俺は再び布を取る。

ル「聖剣にも、契約って必要なの?」

リョ「あぁ。聖剣は、剣の中でも最強の剣だ。聖剣を扱えるのは、俺の他に2人しかいないってマカロフさんが言ってたな。」

ル「最強の剣を操る事が出来るなんて、やっぱりリョウは強いわね。」

リョ「まぁな。」

俺は『嵐真剣』を太陽の光にかざす。キラキラと銀色に光り輝く。そして俺は『嵐真剣』で、自分の腕に1cmほどの傷をつける。

ル「ちょ、ちょっとリョウ!!何してるのっ!?」

リョ「これが聖剣の契約方法なんだ。」

所有者の血を、聖剣につける。これが聖剣の契約のルールだから仕方がねぇ。銀色に輝く刃が、俺の鮮血で汚れる。でもこれで、『嵐真剣』は俺の武器・・・いや、俺の仲間だっ!!

リョ「でも、条件がある。」

ル「条件?」

リョ「『嵐真剣』を使うのは、俺がどうしても勝てない相手、ルーシィや、仲間をめちゃくちゃ傷つけた相手、俺が怒りに染まった時にだけしか使用しない。」

ル「それじゃああんまり意味がないんじゃ・・・」

リョ「ルーシィ、この『嵐真剣』は、聖剣の中でも上から3番目に最強の聖剣だ。普段から使っていたら、相手を一撃で殺す事も出来る恐ろしい聖剣なんだ。」

ル「!!!」

ちなみに、『銀覇剣』と『天力剣』は、7番目と4番目だ。でも、『銀覇剣』は一番弱い剣だからって侮っていたら、そいつは正真正銘の大バカ野朗だ。所有者の力が強ければ、一番最強の剣にもなれる。まっ、そんなこんなで、

リョ「これからよろしくな、『嵐真剣』」

それに答えるかのように、『嵐真剣』はキラリと輝いた。 
 

 
後書き
番外編4終了~♪いかがでしたでしょうか?
ここで少し聖剣のことを説明します。
みなさんはアーサー王とゆう方を知っていますか?お話上の人物何ですが、とても勇敢な王様です。ドラゴンと戦ったり、国の人たちを助けたり、とても心優しい王様です。そのアーサー王が使っていた剣が聖剣(エクスカリバー)です。本当は1本なんですが、私のお話では7本にしました。
私のお話の聖剣は、特定の人物しか使用する事ができないとても珍しい魔法です。リョウの他にも聖剣を使える者は2人しかいません。そして、7本の聖剣が全て1人の手に渡ると・・・
次回は番外編5です!!番外編もあっという間でした。
それではSeeyou♪ 

 

番外編5 マヤ編 叶わない誓い

 
前書き
イエーーーーーイ!!07だよーーーーー!!
今回は番外編第5弾!!最後だよーーー!!マヤ目線で書いていきます!!
それでは、番外編5・・・スタート!! 

 
リグリション島から帰って来て1ヶ月が経った。私はナツやハッピー、みんなのおかげで元気を取り戻せたからもう大丈夫!!もう絶対に泣かない!もう絶対に誰にも心配をかけない!もう絶対に誰も失わない!自分でそう心に誓った。

マ「あ、そうだ!お供えお供え。」

私は台所に行って、冷蔵庫から取り出したキムチを少し小皿に取る。その小皿を自分の部屋の窓際置く。こうしてるとフレイが来て食べてくれるんじゃないかな?まぁ、帰って来たらそのままで、変な臭いがするだけ何だけどね・・・その時、ピ~ンポ~ン♪と心地良い音を立ててインターホンが鳴った。たぶん、ナツとハッピーが迎えに来たんだ。玄関に行くまでにピ~ンボ~ン♪ピ~ンポ~ン♪と何度も鳴る。ナツとハッピーって、こんなにせっかちだったけ?

マ「はいはいはい、今開けるからそんなに慌てないでよ。」

ドアを開けると・・・

男1「火炎石を渡せーーーーー!!」

マ「キャアァァァァァ!!」

5~6人ほどの男がどっと家に押し掛けて来た。こいつ等も、火炎石を狙っているのっ!?私は部屋に逃げ込み、ドアが開かないように必死に押さえたけど、男5~6人の力に、私1人の力が叶うはずがない。男たちは部屋に入ると、容赦なく私を取り押さえた。

マ「放して!!放してったら!!」

必死にもがいても、男の力ははんぱない。1人の男がナイフを取り出した。

男2「でぇぇぇぇぇい!!」

ナイフは私に真っ直ぐ振り下ろされる。私はぎゅっと目を瞑ったその時、

ナ「マヤを放せぇぇぇっ!!!」

ハ「ハッピーアタァァァックッ!!」

男2「ぐほぉっ!!」

男3「ね、猫ォッ!?ぐはっ!!」

拳に炎を纏い、怒りのオーラを噴出したナツと、回転しながら男の頭に頭突きしたハッピーが部屋に飛び込んできた。

ナ「おらぁぁぁぁぁっ!!!」

男1「おふっ!!」

男4「あひょお!!」

ハ「てぇぇぇい!!」

男5「ギャアァァァ!!」

男たちはボッコボコ。頭や目にたんこぶが出来て変な顔になってる。

ナ「二度とマヤに近づくな。近づいたら、ただじゃおかねぇ。」

ナツが吊り目の目を更に吊り上がらせ、拳に炎を纏う。今のナツは、怒った時のエルザやユモそっくりだ。

男1「ひぃぃぃぃぃ!!」

男全「し、失礼しましたぁぁぁ~!!!!!」

男たちは破損したドアや窓から一目散に逃げていった。そのとたん、私は膝を着き、四つんばい状態に倒れた。

ハ「マヤ!?」

ナ「お、おい!大丈夫か!?」

ナツとハッピーが駆け寄って来る。私は膝を着いてしゃがんだナツの腕を摑む。

ナ「マ、マヤ?」

ハ「だ、大丈夫・・・?」

自分でも分かった。手が・・・体が震えているのを・・・

マ「こ、怖かったよ・・・」

涙が頬を伝って床に落ちる。誓ったのに・・・もう泣かないって、誓ったのに・・・私は恐怖と悔しさの大粒の涙をこぼした。気づいた時には、私はナツの腕の中で泣いていた。

ナ「泣きたい時には泣け。お前は、俺やハッピー、仲間が、必ず守ってやる。フレイとの、約束なんだ。」

ナツの抱き締める力が強くなった。フレイ・・・いつ、そんな約束したの・・・?

ハ「ナツ、とりあえずギルドに行こう。その方がマヤも安全だよ。」

ナ「だな。マヤ、歩けるか?」

マ「うん・・・ありがとう、2人とも。」

私は重い足取りで、ナツとハッピーに支えてもらいながらギルドに向かった。

****************************************************************************************

ギルドに着くと、

ユ「マヤ!?」

ル「ど、どうしたのっ!?」

ウェ「大丈夫ですかぁっ!?」

ユモとルーシィとウェンディがすぐに駆けつけて、グレイとリョウとエルザとショールとトーヤとシャルルも駆けつけてくれた。もう絶対に誰にも心配をかけない・・・これも誓ったのに・・・

リョ「どうしたんだよいったい!!」

ナ「火炎石を狙うやつがマヤの家に押し掛けて来たんだよっ!!」

ハ「男が5~6人来たんだよっ!!何とかナツとおいらで追い払ったけど。」

エ「火炎石だとっ!?」

ト「その事はギルドの人たちしか知らないはずなのにどうして・・・!!」

ショ「人間の耳は地獄耳だからな。どこかで情報を入手して、街中に広まったんだろうな。」

街中に・・・火炎石の事が・・・ドクンとショールの言葉に心臓が鳴る。

シャ「このままだと、マヤが危ないわね。」

グ「家にいても、街を歩いても、危険だな。」

ドクン、ドクンとまた心臓が鳴る。

マ「私、これからどうしたらいいの・・・?」

私はその場に頭を抱えてしゃがみ込む。

ウェ「そうだ!マヤさん、フェアリーヒルズに引っ越したらどうですか?」

ウェ以外「えっ?」

フェアリーヒルズって、エルザやウェンディ、シャルルやユモが住んでいる女子寮の事?

エ「確かに、女子寮なら男子禁制だからな。」

リョ「それに、ギルドに加入してる者以外の人も禁制だからな。」

・・・何で、女子寮の事をリョウがこんなに知ってるんだろう?まさか、覗いてたりして・・・

ナ「俺は引っ越しするのは反対だな。」

ハ「おいらも反対だよ。」

ト「何でですか?その方が、マヤさんも安全なんですよ。」

ナ「確かに安全だけどよ、マヤのベッドで寝れねぇし、マヤの部屋で筋トレもできねぇし。」

ハ「マヤが焼いた魚も食べれなくなるよ。」

ズコーーーーーーーーーーーッ!!!!!とその場にいた全員が盛大にずっこける。

ショ「お前等、不法侵入してたのか。」

ナ「ちゃんとマヤに許可もらってるから平気だ。」

ハ「あい。植木鉢の下にある合鍵を使って中に入っていいって言われてるんだ。」

ユ「マヤ、本当なの?」

マ「ほんとほんと。」

まぁ、勝手にベッドで寝ていいとゆう許可はしてないけどね・・・

ル「あんたたちねぇ、マヤの家とマヤの命、どっちが大切なのよっ!!」

シャ「あんたも魚とマヤの命、どっちが大切なのよっ!!」

ナ「マヤの命に決まってるだろっ!!!」

ハ「そうだそうだーーー!!」

グ「んじゃ、引っ越しで決まりだな。」

ナ&ハ「えぇーーーーー。」

ル「だぁーかぁーらぁーっ!!」

ナツとハッピーがずっと「ブーブーブーブー」言ってたけど、私の引っ越しが決まった。

****************************************************************************************

ナ「だはーーーっ!」

グ「ぶはーーーっ!」

リョ「どひゃーーーっ!」

ショ「お、重かった・・・」

引っ越しはみんなに手伝ってもらったの。私の家の家具で一番重いベッドを男4人に運んでもらったんだけど、やっぱり汗だくになってる・・・

ナ「はぁ、はぁ、このベッド、はぁ、こんなに、重かったのか・・・はぁ、はぁ、はぁ。」

エ「お前たち、休んでる暇があったらさっさと運ばないか。一刻も早くマヤを安全な場所に避難させるんだ。」

ナ&グ&リョ&ショ「あいさーーーーーーーーーー!!!」

あの~、なぜかエルザが一番張り切っている気が・・・ちなみに、私の部屋はユモの隣の部屋になった。

ユ「家賃は月に10万Jだからね。」

前の家より2倍も高いっ!!ルーシィみたいにちゃんと払えるかな?

ウェ「クエストを続ければ大丈夫ですよ。」

シャ「ルーシィの場合、ナツやグレイのせいで払えない時が多いけどね。」

そういえば、私がギルドに入ったばかりの時もそうだったなぁ~。

****************************************************************************************

ル「終わったぁーーー!!」

ト「疲れましたぁ~。」

家の家具は全部運び終えた。

マ「みんなありがとう。後は私がやるから大丈夫だよ。」

ユ「なんかあったらすぐに言ってね。」

ウェ「それじゃあ、明日。」

マ「うん!みんなありがと~!!」

ナツとハッピーとルーシィとリョウとグレイとショールとトーヤは自分の家に帰って行き、ユモとエルザとウェンディとシャルルは自分たちの部屋に帰って行った。私はみんなを見送った後、自分の新しい部屋に入る。ほんのり木の香りがした。

マ「とりあえず、今日はカーペットとカーテンと、ベットの位置を決めよう。」

オレンジ色のカーペットを敷いて、オレンジ色のカーテンを窓に取り付けて、ベットを窓の傍に移動させる。や、やっぱり、このベッド、重い・・・ベッドを移動し終えた時には、もう夜の10時になっていた。

マ「ふぅ。今日はこのくらいにして、続きは明日にしよう。」

****************************************************************************************

深夜2時ぐらいかな?新しい部屋のせいか、私はなかなか寝付けなかった。無理矢理目を瞑って寝ようとしたけど無駄だった。何度か寝返りを打っていたその時、カタカタカタカタ。

マ「!!?」

何かが小刻みに揺れている音が微かにした。恐る恐る振り返ると・・・カタカタカタカタとダンボール箱が音を立てて独りでに揺れていた。

マ「な、なぁ~んだ、ダンボール箱か・・・ってえぇっ!!?」

ダンボール箱が独りでに揺れてるっ!?も、もしかして、か、怪奇現象ッ!?私はベッドから下りて、恐る恐るダンボール箱を開ける。中には棚に置いてあった本や置物、ニーナとノーナが入っていた。別に音がするような物は何も無い。その時、

『マヤ・・・』

マ「!!?」

微かに自分の名前を呼んでいる声が聞こえた。

マ「だ、誰・・・!?」

『マヤ・・・』

今度はさっきよりはっきり聞こえた!ってあれ?この声、どこかで・・・

『私たちだよ・・・マヤ・・・』

その声の正体は、なんとなんとニーナとノーナだった!!すると、ニーナとノーナが宙にふわりと浮かび、白い光が辺りを包み込む。光が消えると、私の目の前にはウェンディとトーヤと同い年くらいの、青緑色の髪に、黒い瞳の女の子と男の子がいた。それは紛れもなく、

マ「ニーナ!ノーナ!」

あの時のニーナとノーナだった。私は2人に抱き付く。

マ「2人とも何で?魂(ソウル)の魔法は解けたはずじゃ・・・」

私の問いに、笑顔のニーナが答える。

ニ「魂の魔法が解けたら、一度だけ人間の姿になれる事が出来て、願いが1つ叶える事が出来るの。」

マ「へぇ~。」

じゃあ、2人の願いは人間になる事?今度は笑顔のノーナが答える。

ノ「違うよ。僕たちはマヤの願いを叶えるんだ。」

マ「えっ?」

私の・・・願い?

ニ「マヤの今の願いは、火炎石の事?」

マ「!!やっぱり、知ってたんだ・・・」

ノ「うん。僕たち、その願いで火炎石を取り除いてあげるよ。」

マ「本当!?」

ニ&ノ「ほんと。」

信じられない・・・!火炎石を取る事が出来るなんて・・・!

マ「あ、でも、2人はいいの?たった1つの願いを私の為に使っちゃうなんて・・・」

ニ「私たちはマヤに助けられた。」

ノ「だから今度は、僕たちがマヤを助ける。」

私は、なんて素晴らしい仲間を持っているんだろう・・・!あ、また涙が・・・

ニ「泣くのは火炎石を取り出してからにしようよ。」

ノ「涙を流すなんて、マヤらしくないよ。」

マ「う、うん、そうだね・・・!」

私は手で涙を拭う。

ニ「それじゃあ、準備はいい?」

マ「いつでもOK!!」

私が頷くと、ニーナとノーナは同時に目を閉じた。

ニ「願い、我等の恩人、マヤ・ララルドの体内に眠る火炎石を取り出す・・・」

ノ「その願いを叶えるため、我等の命を捧げる・・・」

マ「え・・・?」

命を・・・捧げる・・・?

ニ&ノ「願望魂ッ!!(ウィッシュソウル)」

その瞬間、私の体が白く光輝き、何かが私の体内に突っ込んでいったような痛みが走った。

マ「ッ!!」

その痛みは、だんだん体の外に引っ張られていく。そして、痛みが消えた瞬間、私は前に倒れた。ゆっくり起き上がると、私の目の前には、炎のように赤い卵くらいの大きさの石が転がっていた。この石が、火炎石・・・私は火炎石をそっと拾い上げる。

マ「本当に、取り出せたんだ・・・!ニーナ、ノーナ、ありが・・・!!」

お礼を言おうとして私は2人を見て驚いて言葉を失った。2人の体が所々透けている・・・

マ「ニーナ!?ノーナ!?」

ノ『その願いを叶えるため、我等の命を捧げる・・・』

マ「!!!」

私はさっきノーナが言ってた言葉を思い出す。まさか・・・!!

マ「私の願いを叶えるために・・・2人の命を捧げたって事・・・!?」

ニ「そうだよ。」

ニーナが笑顔で答える。

マ「そ、そんな・・・2人は、それを分かっていて、私の願いを叶えようとしたのっ!?」

ノ「そうだよ。」

ニ「最初に私たちが死ぬって教えたら、マヤは絶対に願いをしないと思ったから黙ってたんだ。」

な、何で・・・何で、私の為に・・・命まで捧げるの・・・?私の頬に涙が伝う。これで何回目だろう・・・?今日流した涙の数は・・・

ニ「もう時間だ・・・」

ニーナとノーナが足から消えていく。

マ「嫌だっ!!ニーナ!ノーナ!行かないで・・・!!」

私は2人に手を伸ばす。2人は優しく、そっと私の手を握り返してくれる。

ニ「最後に、マヤとお話が出来て、マヤの役に立てて、よかった・・・」

ノ「僕たちを、助けてくれて、ありがとう・・・」

マ「待って・・・」

2人の体はすでに腰の辺りまで消えていた。

ニ「あの時、マヤが助けてくれなかったら、私たちは灰になっていた・・・」

ノ「僕たちを、炎から救い出してくれたと同時に、闇からも、救い出してくれた・・・」

マ「ニーナ・・・ノーナ・・・」

すでに胸の辺りまで消えていた。

ニ「マヤ、あなたには仲間が、家族がいる・・・あなたを、見守って、助けてくれる・・・」

ノ「僕たちも、マヤの心の中で生きている・・・マヤを見守って、助ける・・・」

マ「嫌・・・消えないで・・・!お願い・・・!」

首まで消えていた。

ニ&ノ「ありがとう・・・そして、さようなら・・・!」

2人は光のちりとなって跡形もなく消えた・・・

マ「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

****************************************************************************************

ユ「マヤ!?」

エ「何があったっ!?」

ウェ「マヤさん!?」

シャ「どうしたのよいったいっ!?」

私の雄叫びを聞いて、駆けつけてくれたパジャマ姿のユモ、エルザ、ウェンディ、シャルルの心配する声は、私の耳には一切入っていなかった。私はただ、両手両膝を床に着いて、ニーナとノーナが消えた所で呆然としていた。

マ「・・・誓ったのに。」

ユ「えっ?」

涙が、震えが、止まらない・・・

マ「もう、絶対に・・・誰も、失わないって、誓ったのに・・・!」

エ「マヤ・・・」

マ「誓え・・・なか、った・・・」

私は力尽き、その場に倒れる。

ウェ「マヤさん!?」

シャ「ちょっとっ!!しっかりしなさいよっ!!」

エ「急いで病院に運ぶんだっ!!」

ユ「マヤッ!!マヤッ!!マヤァァァァァァァァァァッ!!!」

・・・微かに聞こえる、私の名前を呼び続ける、いろんな人の声・・・微かに感じる、私の体を必死に揺らす、いろんな人の温もり・・・私の光が射し込んでいない左目から涙が流れ落ち、頬を伝った。私の意識はそこで完全に途絶えた。私の右手には、満月に照らされた火炎石が、しっかりと握り締められていた・・・ 
 

 
後書き
番外編5終了~!!いかがでしたでしょうか?かなりシリアスになってしまいました・・・
次回からは本編がスタート!!今回のお話に続くように書きます。ですから、マヤが病院に入院してるところからスタートすると思います。
それでは、第101話でお会いしましょう~!! 

 

第101話 火炎石

 
前書き
こんにちは~☆07で~す☆久々の本編です!!
今回は前回の番外編の続きで、マヤが倒れてマグノリア病院に入院したぁ!?
ルーシィ目線で書いていきます!!
それでは、第101話・・・スタート☆ 

 
ギルドに行ったら、ミラさんに、

ミ『マヤが、マヤが倒れて入院したって・・・』

と聞いて、私は全力疾走でマグノリア病院のマヤがいる病室に駆け込んだ。

ル「マヤ!!」

荒々しく音を立ててドアを開けると、私以外の最強チームは全員揃っていた。ベッドにはマヤが寝ていた。

エ「ウェンディの治療もあって、すぐに病院に運んだから、命に別状はない。」

ル「よかったぁ~。」

私はへなへなぁ~とその場に座り込む。

リョ「夜に何があったんだ?」

ウェ「夜中の2時過ぎくらいに、マヤさんの雄叫びが聞こえて、急いで駆けつけてみると・・・」

シャ「マヤが四つんばい状態になってたってわけ。」

なぜ、四つんばい状態?

エ「で、マヤの右手にこれが・・・」

エルザが私たちに見せたのは、炎のように赤い卵くらいの大きさの石。

ナ「何だこれ?食いもんか?」

ハ「絶対違うと思うよ。」

私もそう思うわ。すると、私の横に立っていたショールが目を見開いて、震える指先で赤い石を指差すと、

ショ「こ、これ、火炎石だっ!!」

ショ以外「えぇぇぇぇぇっ!!!??」

え、でも、マヤの体内に埋め込まれていたんじゃ・・・

ト「マヤさんが、自分で取り出したって事ですか・・・?」

グ「トーヤの言うとおりなら、どうやって取り出したんだよ・・・」

ますます謎が深まっていくばかりだわ。

エ「ユモは何か気づかなかったか?隣の部屋なら、何か聞こえたんじゃないか?」

ユ「う~ん・・・あ、そういえば、マヤと誰かがしゃべっているみたいだったけど・・・」

夜中の2時過ぎにっ!?

ナ「そのマヤとしゃべっている奴等、誰か分かんねぇかっ!!」

ナツがユモの両肩を摑んですごい勢いで上下に揺らす。

ユ「た、確か・・・ニーナとノーナって、言ってたような気が・・・」

ユ以外「ニーナとノーナ!!!??」

モミジ村で、行方不明の人々を捜すために乗り込んだギルド、硝子の人形(クリスタルドール)にいたあの双子の人形の事!?

ウェ「あの事件の後、村の人たちに燃やされそうになったところを、マヤさんが引き取ったんですよね。」

リョ「そういや、引っ越しする時に、ダンボール箱の中に入ってたぞ。」

ニーナとノーナが関係してるのかしら?ナツはユモの肩から手を放すと、

ナ「俺、マヤの部屋見てくるっ!!」

病室を飛び出そうとするナツのマフラーを慌てて掴んで引き止めた。

ナ「うおっ!!何すんだルーシィ!!」

ル「マヤの家は女子寮よ、あんたが勝手に入ったら大変な事になるわよ!ニーナとノーナの事は、私とユモが調べてくるから。マヤが目を覚ましたら真っ先に教えて!!ユモ、行くわよっ!!」

ユ「OK!!」

私はユモと一緒に病院を飛び出し、全力疾走で女子寮に向かった。

****************************************************************************************

女子寮に着いて、真っ先にマヤの部屋に入ると、カーペットとカーテンとベッドだけが整えられていて、床には4~5個のダンボール箱があった。私とユモは、手分けしてダンボール箱の中を全部調べたけど、ニーナとノーナの人形はどこにもなかった。

ユ「おかしいな。ナツとハッピーの話だと、前の家では棚の一番上に並べて飾ってあったらしいけど・・・」

棚を見ても、それらしき物は見当たらない。いったいどうゆう事?その時、

シャ「ルーシィ!ユモ!」

シャルルが飛び込んできた。

シャ「マヤが目を覚ましたわよっ!!」

ル&ユ「本当!?」

シャ「急いで病院に戻るわよっ!!」

私はシャルルに服を掴んでもらい、ユモは氷で翼を造形して、病院に直行した。

****************************************************************************************

ル&ユ「マヤ!?」

最初来た時と同じように、荒々しく音を立ててドアを開けると、マヤはベッドの上で病院食を食べていた。

マ「ふぁっ!ふーひぃとふほ、ふぁっほぉ~♪(あっ!ルーシィとユモ、ヤッホ~♪)」

ト「マヤさん、食べてからしゃべって下さい・・・」

マヤは思った以上に元気そうだった。よかったぁ~。

マ「ふぁっふぁひ、ひょうふんひょひゅはふぁひゅい。(やっぱり、病院食はまずい。)」

だから、食べてからしゃべりなさい・・・

エ「マヤ、昨日の夜、何があったか話してくれないか?」

マ「いいよ。」

マヤはすんなりOKすると、話し始めた。

マ「私、全然寝むれなくて、ずっと寝返りを打ってたら、ダンボール箱が独りでに動いて、恐る恐る開けたら、ニーナとノーナの声が聞こえて、気づいた時には目の前に人間の姿になったニーナとノーナがいたの。」

ショ「でも、ニーナとノーナに掛けられていた魂(ソウル)は解けたはずじゃ・・・」

マ「魂が解けた後、一度だけ人間の姿になる事が出来て、願いを1つ叶える事が出来るって、ニーナとノーナは言ってたよ。」

願いを1つだけ・・・もしかして・・・!!

グ「ニーナとノーナは、その願いで火炎石を取り出したのかよっ!?」

マ「うん。」

す、すごい・・・

ル「で、でも、ニーナとノーナは・・・?」

マ「願いを叶えた後、消えちゃった・・・」

病室に沈黙が起きる。

ユ「それでマヤは、雄叫びを上げてたんだね・・・」

マ「うん。2人は、私への恩返しのつもりだったんだと思う・・・」

マヤに助けられたもんね・・・

マ「あれ?そういえば私、何で病院にいるの?」

ナ「マヤが倒れたから、エルザたちが病院に連れてったんだよ。」

ハ「あい。覚えてないの?」

マ「全然覚えてないっ!!」

そんなにきっぱり言わなくてもいいんじゃないかしら・・・

リョ「マヤは病院に1ヶ月入院だってよ。」

マ「1ヶ月もぉっ!?そんなの嫌だぁぁぁぁぁっ!!私もうピンピンだよっ!!」

そう言ってベッドから下りる。そのマヤの腕を、ユモが超軽く叩くと、

マ「痛いぃぃぃぃぃっ!!」

ル「今ので痛いのっ!?」

あのユモでも、ものすごく軽かったわよっ!!

ユ「ルーシィ、一言余計。見た目は治ってても、少しでも振動を与えたらダメなの。ちゃんと1ヶ月入院して、完全に体力も魔力も回復してから退院するの。」

マ「えぇーーーーー。」

ユ「退院したら、特訓付き合ってあげるから。」

マ「本当!?約束だよっ!!」

うわぁ~、単純。これを利用するユモもすごいわね・・・

ショ「おい、もうこんな時間だ。」

ト「そろそろ僕たちも帰らないといけませんね。」

ウェ「マヤさん、また明日お見舞いに来ますね。」

マ「うん!楽しみにしてるよ!」

ナ「そんじゃあな!」

ハ「明日ね~♪」

私たちは病室を出た。

****************************************************************************************

グ「ところでエルザ、その火炎石、どうするんだ?」

グレイが、エルザの手の中で赤く光っている火炎石を見て言う。

エ「マヤに持たせておいたら、またマヤの命を狙う者が出て来る。この石はマスターと相談して、処分した方がいい。」

さすがエルザね。

リョ「にしてもこの火炎石、すげー魔力だな。」

ユ「これを体内に埋め込んでいたマヤもすごいなぁ。」

ナ「火炎石ってゆうくらいだから、炎が関係してるって事だろ?その石、俺にくれよっ!!」

エ「バカ者ッ!!この石のせいで、マヤは命を狙われてたんだぞっ!!お前まで狙われたらどうするつもりだっ!!」

ル「エルザ、落ち着いて・・・!!」

ショ「ナツも本気で言ったつもりじゃないって・・・!」

ナ「ん?俺はマジで言ったつもりだったぜ。」

ナ&エ以外「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!???」

エ「バァァァカ者ォォォォォォォォォォッ!!!」

エルザの怒りの声もすごいけど、ナツの言った事もすごい・・・

ナ「そんな石、粉々に砕いちまえばいいだけだろ。」

ナ以外「えっ?」

ナツ以外の全員の目が点になる。

ナ「そうすれば、誰にも害は及ばねぇだろ。俺ってあったまいいっ!!」

な、なんか、勝手に1人で自画自賛してるんですけど・・・?

ウェ「確かに、ナツさんの言うとおりですね。」

ハ「あい!」

ナ「だろ!!」

まぁ、単純的に考えれば、結構いい案ね。

リョ「残念だがナツ、お前の案は無駄だ。」

リョウがきっぱりナツの案を否定する。

ナ「何でだよリョウ!!」

リョ「まぁ見てろ。」

リョウはエルザから火炎石を取ると、地面に置き、直ったばかりの『天力剣』と『銀覇剣』を抜いて、

リョ「2剣流・・・天翔切ッ!!」

青白い光を放った2本の聖剣(エクスカリバー)で、火炎石を真っ二つに・・・切れなかった・・・火炎石には傷1つ付いていなかった。

ト「リョウさんの剣裁きが効かないなんて・・・」

ナ「いかれてるぅっ!!」

ル「違うでしょっ!!」

まぁとにかく、これでナツの案は呆気なく水の泡に。

エ「火炎石をどうするかは、明日、私とリョウがマスターと話し合って決める。今日はみんな家に
帰ろう。」

ル「エルザが持ってて平気なの?その石・・・」

私が火炎石を見ると、まるで笑ったように少しだけ赤く輝いた。

エ「心配するな。私は女子寮に住んでいるし、ここにいる私たち以外の者は、私が火炎石を持っている事は知らないからな。」

ル「そ、そうだよね・・・」

エルザはそう言うけど、私は不安でいっぱいだった。

ユ「それじゃあ、私たちはこっちだから。」

ウェ「また明日、ギルドで。」

私たちは、それぞれの自分の家に帰って行った。 
 

 
後書き
第101話終了~☆
火炎石って、いったいなんなのでしょうか?
次回は時が進んであっという間に1ヶ月。早いなぁ~。
次回もお楽しみに~☆ 

 

第102話 『雨』

 
前書き
駄作者07で~す♪
今回は時が進んであっという間に1ヶ月が経ちました。マヤが退院するぞーーー!!
マヤ目線で書いていきます。
それでは、第102話・・・スタート♪ 

 
私はさっきまで横になっていたベッドのシーツを整えている最中。入院してから1ヶ月。私はようやく、ギルドに帰る事が出来るんだっ!!

マ「ん、ん~~~~~!」

私は体全身を思いっきり伸ばす。ずっと寝たきり状態だったから、すっかり体がなまっちゃった。ギルドに行ったらユモと特訓しようっと。約束したもんね。

マ「それにしても、病院ってほんっと退屈だなぁ~。」

ギルドでみんなとどんちゃん騒ぎも出来ないし、動物たちとも遊べない。入院している間は何もかもがつまんなかった。まぁ、入院してる間は、毎日最強チームのみんながお見舞いに来てくれたんだけど、みんなが帰っちゃうとやっぱり退屈&つまんない&暇。毎日必ず朝6時に看護婦さんに起こされて、味気の無い病院のまずい朝食を食べて、みんながお見舞いに来て、みんなが帰って、味気の無い病院のまずい夕飯を食べて、毎日必ず夜9時には電気を消される。この繰り返しだった。それが今日やっと終わったぁぁぁっ!!自由って素晴らしいなぁ。

ナ「お~い、マヤ~!」

ハ「マヤ~!」

ナツとハッピーがひょこっとドアからいつもの笑顔で顔を出す。迎えに来てくれたんだっ!!私は荷物を持って病室を飛び出す。

ナ「もう平気なのか?」

マ「うん!もう元気100%だよっ!!」

ハ「あんまり無理したらダメだよ。」

マ「分かってるよ。」

病院の窓口で、退院手続きをして、ようやく病院から脱出ッ!!

マ「やっぱり外はいいなぁ~。」

私はもう一度、体全身を思いっきり伸ばす。すると、後ろからナツが抱き付いてきたっ!!

マ「わわぁっ!!ナ、ナツ!?い、いきなり何・・・/////////////」

私の顔はりんごみたいに真っ赤だったと思う。そんなのお構いなしに、ナツは更に強く抱き締めてくる////////////

ナ「・・・無事で、よかった。」

マ「え・・・」

更に抱き締める力が強くなって、ナツの体が小刻みに震えているのが分かった。ハッピーも、私の腕にしがみ付いて小刻みに震えている。

ナ「マヤが倒れたって聞いた時、俺、めちゃくちゃ怖かった。もし、マヤが死んだらどうしようって、不安になったんだ・・・」

ハ「おいらも・・・」

マ「・・・・・」

私の事、こんなにも心配してくれてたんだ・・・

マ「ゴメン・・・」

ナ&ハ「え・・・?」

今度はナツとハッピーが驚く。

マ「私が、あんな事にならなければ、試験も最後までやり通せたし、災いの天使(ディザスタエンジェル)にも、襲われずに済んだのに、フレイも、死ななかったのに、全部私のせいで・・・本当にゴメン・・・」

私は、ギルドに帰ったら、どんな顔をして帰ればいいのかな・・・?

ナ「誰のせいでもねぇ。」

マ「え・・・?」

ナツが私を抱き締める力が更に強くなる。

ナ「マヤだけのせいじゃねぇ。俺たちみんなのせいだ。俺だって、あの時ちゃんとマヤを守っていれば・・・ゴメンな。」

ハ「おいらも・・・今更だけど、ゴメンね、マヤ。」

何で・・・?何で、ナツとハッピーが、謝るの・・・?

ナ「1人の罪はギルド全員の罪、1人の責任はギルド全員の責任、そして、1人の命はギルド全員の命。じっちゃんの言葉だ。俺が、いや、俺たち妖精の尻尾全員が、お前を絶対に守ってやる!!約束だ。」

ハ「あい!約束だよ。」

私の頬にはまた涙が伝っていた。でも、今まで流した悲しみと、恐怖と、悔しさの涙じゃない。感動と、うれしさと、喜びの涙だった。私は涙を拭うと、

マ「ありがとう・・・!」

ナ「おう!」

ハ「あい!」

ナツが放そうとしたした手を、私が今度は握り返して、ナツの身長に少しでも近づくように、つま先で立って背伸びをする。そして・・・

ナ「え?マヤ、どうし・・・!!!??」

ナツが途中で口を閉ざした。ううん、言えなかったって言った方がいいかな?読者のみんなはもう分かってると思うけど、私がナツに・・・////////////////こ、ここからは私も恥ずかしくて言えないから、読者のみんなのご想像に任せるよ。と言っても、ほとんどの人は分かると思うけど。私がナツから離れると、

ナ「//////////////////////////」

ナツの顔は見た事もないくらいに真っ赤になってて、今にも噴火しそうな火山みたいだった。ハッピーは、

ハ「できてるできてるっ!!でぇぇぇぇぇきてるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!」

空に向かって叫んでいた。いくらなんでも興奮しすぎだよ。で、当の本人の私はとゆうと、

マ「ほら早く、ギルドに行こっ!」

何事も無かったように、まだ真っ赤のナツの腕と、まだ興奮してるハッピーの尻尾を掴んで早足でギルドに向かった。

****************************************************************************************

ギルドの扉の前では、ギルドのみんなが私を歓迎してくれた。

ル「マヤ~!お帰り~!!」

ルーシィは毎日お見舞いに来てくれてたのに、まるで何ヶ月も会ってなかったみたいに私を抱き締める。他にも、ユモやウェンディにシャルル、エルザにミラにリサーナ、カナやレビィやエバーグリーンにラキやキナナにビスカにアスカちゃん、ギルドの女子軍全員に思いっきり抱き締められた。今日はいろんな人に抱き締められるなぁ。とゆうか、私これでも18歳だからねっ!!

マカ「マヤ。」

マ「あっ!マスター!」

相変わらず妙な服装だね。

マカ「体の具合はどうじゃ?」

マ「もうピンピンです!!」

マカ「そうか、それはよかった。よしっ!今日はマヤが帰ってきた事を祝って、宴じゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

全「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお大おおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!」

****************************************************************************************

で、今夜の妖精の尻尾は宴の真っ最中!!15歳以上の人は片手にビール、15歳以下の人は片手に炭酸飲料、あ、片手に肉と魚とダージリンティーとお茶とコーヒーってゆう人もいる。みんなやりたい放題。でも、辺りが暗くなるとみんなしーーーーーんと静まり返る。すると、ステージだけが明るくなり、そこにはキラキラ光るドレスに身を包み、ギターを持ったミラがいた。たぶん、歌を歌うんだと思う。静まり返ったって事は、バラードだね。

ミ「♪1人ぼっちで泣いていた~ 

   もしも時を戻せるのなら~ もう一度あなたに会いたい~

   それは叶わない事だけど~ 記憶~ 感情~ あるから~

   その頬に伝う悲しみの雨~ なぜか止まらない~

   あぁどうして~ こんなにも悲しいの~

   私には~ 分からない~」

素敵な歌だけど、とても悲しい歌・・・

ミ「♪闇の中で泣いていた~

   光が射さない部屋で~ 鎖に縛り付けられていた~

   一生背負い続ける~ 罪~ 過去~ 永遠に~

   その頬に伝う絶望の雨~ なぜか止まらない~

   あぁどうして~ こんなにも苦しいの~

   僕には~ わからない~」

ほとんどの人が涙を流していた。もちろん私も。歌っているミラも泣いていた。

ミ「♪今~ 助けるよ~ 

   さぁ手を伸ばして~ 

   信じ合える~ 仲間が~ 傍に~ いる~

   一緒に~ 時を~ 過ごそうよ~」

感動・・・涙が止まらないよ~!!

ミ「♪悲しみと~ 絶望の~ 雨は~

   やんでいた~

   幸せと~ 喜びの~ 青空が~

   広がっていた~」

マカオ「いいぞーーーーー!!」

ワ「ミラちゃーーーーーん!!」

ウォ&マッ&ナブ&ビジ「最高ーーーーーーッ!!!」

後でカナから聞いたんだけど、あの歌はミラが自分で作詞・作曲した、『雨』とゆう曲らしい。ミラが悲しんでいる仲間に手を差し伸べる仲間のおかげで、雨が降っていたその子の心が青空になるとゆう意味。まさしく妖精の尻尾にぴったりの名曲だね。

ウェ「私・・ヒッ、もう、感動して・・・うぅ・・・」

シャ「もう、すぐに泣かないの。」

そうゆうシャルルも涙ぐんでるよ。

マカ「マヤ、ちょっと来てくれ。」

マスターに呼ばれて、私は奥の部屋に連れて行かれる。

マ「何か用?マスター?」

私が問うと、マスターがポケットからハンカチに包んだものを私の手の平にのせた。ハンカチを広げると、

マ「!!!」

火炎石があった・・・

マ「マ、マスター・・・これは、いったい・・・」

震えた声で尋ねると、

マカ「マヤ、これはお前が持っているべきである石なんじゃ。」

マ「え・・・?」

一瞬、思考が途切れる。マスターが何を言ってるのかさっぱり分からなかった。

マカ「お前の実の両親が、お前の体内に火炎石を埋め込んだ理由は、この石を守る他にも、お前の為なんじゃ。」

私の為に・・・火炎石を・・・?

マカ「もちろん、肌身離さず持ち歩けとは言わない。家に・・・いや、部屋に置いとくだけでもいいんじゃ。この石は、いつかお前にとって必要なものになる時が来る。」

この石を、必要になる時・・・

マカ「この事は、すでにギルド全員が知っておる。仲間を、わしを、信じてくれ・・・」

マスターの真っ直ぐな視線に、私は頷く事しか出来なかった。

マカ「わざわざ呼び出してすまなかったの~。ほれ、宴の続きを楽しんでくれ。それより・・・もれそうじゃ・・・!」

マスターは早足でトイレに直行!!私はもう一度手の平にある火炎石に目を落とす。私を欺くように、火炎石は赤く光った。石だけど、少しカチンときた。

ナ「おーーーい、マヤ~!!」

ハ「マヤ~!!」

ル「何してるの~?」

リョ「こっちに来いよ~!!」

声がした方を振り返る。ナツたちが私に手招きしてる。

ウェ「エルザさんがまた、ミラさんに頼んだんですっ!!」

えっ?何を・・・?

シャ「今回はスフレ100個よ。」

マ「100個ォ!?」

ショ「俺は50個にしろって言ったんだけどな。」

ト「ショールさん、30個でいいと思いますよ。」

いやいやいや、100個でも50個でも30個でもいくらなんでも多すぎるってっ!!人数分あれば十分だよっ!!

グ「まっ、エルザらしいじゃねぇか。」

ユ「みんなで食べればすぐに無くなるよ。」

まぁ、確かに・・・

ナ「今日は騒いで、食べまくるぞーーーーー!!」

ハ「あいさーーーーー!!」

ナツがどんどんスフレを食べていく。ハッピーは魚だけど・・・

エ「ナツ!独り占めをするなっ!!私のスフレが無くなってしまうではないかっ!!」

エルザも半ギレしながらも次々にスフレを食べていく。いつの間にか、私とシャルル以外がスフレを食べていた。

シャ「全く、スフレの早食い競争かしら?」

シャルルがダージリンティーを飲みながら呆れてる。

マ「でも、それが最強チームらしいよね。」

シャ「そうね。」

こんな会話をシャルルとしていると、

ウェ「はい。シャルル。」

ユ「マヤも食べなよ。ミラさんのスフレ、すごくおいしいよ。」

ウェンディとユモが、私とシャルルにスフレを持ってきてくれた。ユモからスフレを受け取って、1口食べる。

マ「!!おいしい~~~!!」

シャ「ダージリンティーに相性抜群ね。」

シャルルも気に入ったみたい。口の中でほんのりとろけるおいしさがたまらな~~~い!!!私は1つ目をあっという間にたいらげ、2つ目、3つ目とどんどん頬張っていく。そして、あんなに山積みされたスフレはたったの5分でたいらげちゃった。最強チームの胃袋ってすごいなぁ~。

ナ「ふぅ~、食った食った。」

ト「おいしかったですね。」

ショ「あぁ。エルザも上機嫌だ。」

エ「さすがミラだ。また頼むとするか。」

ル「また頼むのっ!?」

リョ「お前なんで太らないんだよ・・・」

グ「そうゆう体質なんだろ。」

エルザって、いろんな意味ですごいなぁ~。宴は盛大に盛り上がった。 
 

 
後書き
第102話終了~♪
火炎石がマヤの手元に戻ってきた!?でも、それには理由があって・・・ミラが歌った『雨』いかがでしたでしょうか?音程などは読者様のご想像にお任せします。
そして、マヤがナツに・・・/////////////おぉーーーーーーーーーー!!
次回はマグノリアの街で夏祭りだーーーーー!!
お楽しみに~♪ 

 

第103話 お化けも楽しむ夏祭り 咲き誇れ!光の花よ!

 
前書き
HEY!!07だZ!!
今回は南口公園で夏祭りが行われる!!もちろん、最強チームも夏祭りに行きますよ。
いろいろな目線で書いていきます。最初はルーシィ目線でいきます。
それでは、第103話・・・スタート!! 

 
マカオ「ワカバ、これをそっちに運んでくれっ!!」

ワ「おう!任せとけっ!!」

今日はマカオとワカバがなんだが忙しそうに、ギルドを行ったり来たりしている。いったいどうしたんだろう?私は、バーカウンターで洗い物をしているミラさんに聞いてみた。

ル「ミラさ~ん、マカオとワカバがなんだか忙しそうですけど、何かあったんですか?」

ミ「あら、ルーシィ知らないの?明日、南口公園で夏祭りが行われるのよ。」

ル「夏祭りぃ!?」

初耳なんですけど~!!

ミ「妖精の尻尾もお店を出す事になってね、代表として、マカオとワカバがお化け屋敷を開く事になったのよ。ちなみに、お化けはトーヤのお友達よ。」

ル「えぇっ!!」

だ、だって、トーヤのお化けや妖怪たちって、人間が被り物を被ってるんじゃなくて、本当のお化

けなんでしょぉ!?大丈夫なんですかぁ~?

ミ「大丈夫よ。それに、偽物より、本物の方が盛り上がるでしょ?」

確かにそうですけど・・・

マ「その夏祭りの事なんだけど・・・」

マヤが私の隣に座り、ミラさんにオレンジジュースを頼む。

マ「ルーシィ、明日最強チームのみんなで夏祭りに行こうとしてるんだけど、もちろん、ルーシィも来るよね?」

最強チームのみんなとっ!?

ル「行く行くっ!絶対に行くわっ!!」

マ「そう来なくっちゃっ!!それじゃあ、明日の朝10時にギルドの入り口前で集合ね。あ、私やユモやエルザ、ウェンディとシャルルは一緒に浴衣を着る事にしたんだけど、ルーシィも着る?」

浴衣ッ!?

ル「着る着る!!絶対に着る!!」

マ「じゃあ、8時半に、女子寮のエルザの部屋に集合ね。」

ル「OK!!」

今からすっごく楽しみ~♪どんな髪型で行こうかしら?キャンサーにお願いしなくっちゃ♪

ミ「あら、2人とも浴衣でナツとリョウにアピールかしら?」

ル&マ「違いますーーーーーっ!!」

もぉ~、ミラさんったら。でも、明日が待ち切れな~い!!明日は思いっきり楽しんじゃおっ!!

****************************************************************************************

             『ここからリョウ目線でいきます。』

夏祭り当日。マカオとワカバは朝早くからトーヤのお化けたちと一緒に南口公園に向かった。

ショ「よかったのか?お化けたちは、ギルドの人間以外とはあまり接する事が出来ないのに。」

ト「大丈夫ですよ。もともとお化けたちは、人を脅かすのが好きですから。」

リアルお化け屋敷だな。それにしても、

ナ「おっせぇな~、マヤたち。」

ハ「あい。10時まで後2分しかないよ。」

たぶん、朝早くからみんなで集まって、浴衣を着ているんだろうな。派手なものが大好きなルーシィと、目立ちたがりのエルザはいろいろ着飾って来るだろうな。まっ、俺は派手なルーシィも好きだけどな。すると、カラン、コロン、カラン、コロン、カラン、コロン・・・と下駄の音が聞こえてきた。

マ「ヤッホ~♪」

ル「お待たせ~♪」

エ「すまない、待たせたな。」

ナ&ハ&グ&リョ&ショ&ト「!!!!!!」

そこには、色とりどりの浴衣を着たルーシィたちがいた。ルーシィは、ピンク色に赤いハイビスカスの花の模様の浴衣に、白いレースの付いた薄紫色の帯。金髪の髪の毛は、ウェーブを掛けてポニーテールにして、赤いハイビスカスの花のヘアゴムで束ねていた。エルザは、薄い黄緑色にキキョウの花の模様の浴衣に、緑色の帯。緋色の髪の毛は、下ろしたままで、前髪をピンで留めていた。ウェンディは、青色に蝶の模様の浴衣に、蝶の模様が付いたピンク色の帯。藍色の髪の毛は、高い位置でお団子に束ね、かんざしを挿している。シャルルは、ピンク色の浴衣に赤い帯。尻尾には赤いリボンを付けている。マヤは、黄色に赤い金魚の模様の浴衣に、オレンジ色の帯。オレンジ色の髪の毛は、いつものように、宝物の黄色いカチューシャをつけている。ユモは、水色に青や紫やピンク色の朝顔の模様にの浴衣に、青い帯。水色の髪の毛は、いつものように、低い位置で横に束ねた髪の毛を、青いリボンで留めていた。

ナ&ハ&グ&リョ&ショ&ト「//////////////////////」

たぶん、俺たち男子の顔は赤いだろうな///////////////ていうか、

リョ「ヵヮィィ////////////」

つい本音が出ちまった!!

ト「す、すごい・・・似合ってます////////////」

グ「あ、あぁ//////////////」

ハ「シャルルかわいい~♪」

ハッピーの目がハートになってる。相変わらず、ハッピーのシャルルに対してのデレッぷりはすげぇ~なぁ。

ユ「とりあえず、全員揃ったから行こうか。」

エ「そうだな。」

エルザとショールを先頭に、南口公園に向かった。俺は公園に着くまで、歩きながらずっと横目で隣を歩いているルーシィを見ていた。

****************************************************************************************

           『ここからまたルーシィ目線でいきます。』

公園に着くと、大勢の人たちで賑わっていた。どこを見ても人・人・人!こんなところでみんなと別れたら大変ね・・・

ナ「ふっへ~、ひほはふぁ。(すっげ~、人だな。)」

ナツが焼きそばを頬張りながら言う。ちゃんと食べてからしゃべりなさいよ・・・ていうか、いつの間に買って来たのぉ!?

ウェ「あれ?マヤさんは?」

シャ「さっき金魚すくいのお店の方に飛んで行ったわよ。」

金魚すくいのお店の方を見ると、なにやら人だかりができていた。みんなで人だかりをかき分けながら見ると、マヤが熱心に金魚を次々とすくい上げていた。なんとすでに、16匹もすくい上げていたっ!!あんた、金魚すくいの達人!?周りにいた人たちは足を止めてマヤの方を向いて目を見開いていた。マヤは他の人とは遥かに大きい水と金魚が入った袋を2つ持って笑顔で帰って来た。

リョ「お前すげーな。」

ショ「何匹すくったんだよ。」

マ「全部で、1、2、3・・・・・18匹ッ!!」

マ以外「18匹!!!!!?????」

どんだけすくったのよ・・・その後私たちは、射撃のお店に行った。ポォン!!ポォン!!と発泡スチロールの玉が賞品目掛けて飛んでいく。エルザとショールが次々に賞品を打ち抜いてGETしていく。その後、グレイとユモがかき氷を買って歩きながら食べていた。後でお腹壊さなきゃいいけど・・・ナツとリョウは焼きそばやたこ焼き、フランクフルトなどを食べつくしていた。私とウェンディとシャルルとトーヤは、みんなのいろんなすごさに呆気に取られながらトロピカルジュースを飲んでいた。この苺味おいしい~♪そんなこんなで、食べたり飲んだりしてしばらく歩き回っていると、

ル「あっ!あれって、マカオとワカバがやっているお化け屋敷じゃない?」

ドス黒い看板に、血に見立てた赤いペンキで『リアルお化け屋敷』と書かれていた。看板だけでも鳥肌が立つわ・・・お化け屋敷は行列になっていた。

グ「大繁盛だな。」

マ「ねぇねぇ、せっかくだから、私たちも行ってみようよ。」

とゆう事で、私たちは行列に並ぶ事にした。

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15分後、ようやく私たちの番が来た。

マカオ「よおっ!お前たちか。」

ワ「何だ何だ?カップルでお化け屋敷か。若いっていいもんだなぁ~。」

2人とも、もう43歳だもんね。マカオとワカバも、昔はものすごく男前だったらしいと、前にカナから聞いた事がある。

マカオ「トーヤありがとな。おかげで大繁盛だぜ。」

ト「僕もお化けたちも、お役に立ててうれしいです。」

そういえば、大量のお化けたちを召喚し続けて、トーヤの魔力は大丈夫なのかしら?

ト「大丈夫です。お化けたちは、自分自身の魔力で出て来ていますから。僕の魔力は、一切消費されていません。」

へぇ~。改めて聞くと、召喚魔法って星霊魔法と似てるわね~。

ワ「そんじゃ、エルザとショールから、存分に叫んでこい。」

エ「それじゃあ。」

ショ「お先に失礼。」

エルザとショールは真っ暗なお化け屋敷に入って行った。

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            『ここからショール目線でいきます。』

中に入ると真っ暗で、正直不気味だった。

エ「行くぞ、ショール。」

ショ「あ、うん。」

エルザは俺より1歩速く進んでいくが、いきなり俺の腕をぎゅっと掴んできた。

ショ「エルザ?」

エ「ス、スマン、少し、怖くなってしまってな・・・」

普段はみんなを引っ張っていくエルザだけど、やっぱり女の子だ。こうゆうお茶目な一面もかわいい。俺とエルザはそのまま並んで歩くと、エルザがふと立ち止まった。

ショ「今度はどうした、エルザ?」

エ「な、何かが・・・足を、掴んでいる・・・」

ショ「え・・・」

俺はエルザの足元を見る。エルザの足首に、真っ白なものがくっついていた。よく見るとそれは、人間の手だ・・・!!すると、俺の足首にも同じものがくっついてきた。俺とエルザは青い顔して顔を見合わせると・・・

エ&ショ「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

悲鳴を上げた。その悲鳴に驚いたのか、俺とエルザの足首から手が放れた。おい、トーヤ・・・お前のお化けたちって・・・こんなに怖かったか・・・?

****************************************************************************************

             『ここからトーヤ目線でいきます。』

エルザさんとショールさんが中に入ってから3分後、次は僕とウェンディさんとシャルルさんの番です。

シャ「不気味ね・・・」

中に入ると真っ暗でほとんど前が見えません。僕たちはゆっくり前に歩き出しました。ウェンディさんは、しっかりシャルルさんを抱えています。僕のお化けたちは、僕に悲鳴を上げさせる事が出来るんでしょうか?楽しみです。その時、カシャン・・・カシャン・・・

ウェ&ト&シャ「!!!」

金属と金属がぶつかり合う音が聞こえてきます。その音は、だんだんこっちに近づいてきます。

ウェ&シャ「ひぃ・・・!」

ウェンディさんとシャルルさんは、僕の背後に隠れます。暗闇の中、目を凝らして見ると、大昔の武士が身に着けていた鎧を着た・・・って、あれっ?こ、こんなお化け、僕の友達にいましたっけ・・・?

その鎧を身に着けた武士は、持っていた刀を僕たちに振りかざします。刀が暗闇の中で光ります。

シャ「あの刀・・・本物よっ!!」

ウェ&ト「えぇっ!?」

刀が振り落とされました。

ウェ&ト&シャ「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

・・・でも、いくら経っても何も怒りません。恐る恐る目を開けると、そこには鎧を身に着けた武士はいませんでした。いったい、どうなってるんでしょうか?

****************************************************************************************

             『ここからマヤ目線でいきます。』

ウェンディとトーヤとシャルルが入ってから3分後、私とナツとハッピーが中に入った。

ナ「うひょ~!リアルだなぁ~。」

こんなにリアルなお化け屋敷、人生初かもっ!!

マ「お~い!お化け~!出て来~い!!」

私が遠くまで聞こえるように言うと、チリン、チリン・・・と小さな鈴の音が聞こえた。するとまた、チリン、チリンとさっきよりもはっきり聞こえて、さっきとは違う場所で聞こえた。

ハ「誰かが鳴らしてるのかな?」

チリン!チリン!

音は次第に大きくなっていく。なんだろ、なんか、すごい嫌な予感がする・・・その時、

チリン!!チリン!!

ナ&マ&ハ「!!!」

背後で聞こえて、振り向くと、真っ黒な髪の毛に、白いワンピースの女の子がいた。その子の手の中に、銀色の鈴を持っていた。その子は私たちを見て笑った。笑った口元が・・・口裂け女のように口が赤く裂けた・・・

ナ&マ&ハ「どわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

私たち3人は出来るだけ遠くまで走った。あんな不気味なお化けとトーヤ、契約してたんだ・・・

****************************************************************************************

             『ここからユモ目線でいきます。』

みんなの悲鳴が聞こえる。マヤたちが入って3分後、私とグレイは中に入る。

グ「随分手の込んだお化け屋敷だな。」

ユ「どんなお化けや仕掛けがあるんだろう?楽しみ~♪」

こんな会話をしながら歩いていると、

ユ「!!!」

グ「ユモ?どうした?」

私はその場から動けなくなった。なぜかって、誰かが下から私の足を掴んでいる・・・恐る恐る足元に視線を落とすと、地面から人間の手が伸び、手が私の足首を掴んでいた。すると、

ユ「キャア!!」

グ「ユモ!?」

体が、地面に引っ張られてく・・・!街荒らしの時の、フォアンの土の造形魔法のアリ地獄みたい・・・グレイが私の両腕を掴んで、思いっきり引っ張ってくれるけど、逆にどんどん吸い込まれてってる気が・・・浴衣だから自分では思うように動けない。

グ「おぉぉぉりゃぁぁぁぁぁっ!!」

ユ「キャアアアアアッ!!」

グレイのおかげで何とか助かった。

グ「な、何だったんだよ、いったい・・・ユモ、大丈夫か?」

ユ「う、うん。ありがとう、グレイ。」

とゆうか、この魔力、トーヤのお化けたちじゃない気が・・・

****************************************************************************************

            『ここからまたリョウ目線でいきます。』

みんなが中に入って行った。いよいよ俺とルーシィの番だ。中に入るとまるで闇の世界だ。

ル「な、なんか、もう鳥肌が・・・」

俺は小刻みに震えているルーシィの左手をそっと握る。

ル「リョウ?」

リョ「心配いらねぇって。あのトーヤと契約してるお化けたちだ。ただ盛大に脅かしてくれるだけさ。」

俺の言葉にほっとしたルーシィの手を握ったまま、俺とルーシィは先に進んだ。すると、

『ウフフフフ・・・』

ル「ひぃ・・・!」

不気味な笑い声が聞こえた。たぶん、CDか何かで録音した誰かの声を再生してるんだろう。

『アハハハハ・・・』

『ヒヒヒヒヒ・・・』

ル「ねぇ、この笑い声、1人だけじゃ、ないわよね・・・?」

リョ「あ、あぁ・・・」

俺も額に薄っすら冷や汗が浮かんできた。その時、壁が盛り上がると、青白い人間の顔が俺とルーシィに向かって、一斉に・・・

『ハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!』

笑い出した・・・

ル&リョ「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

俺はルーシィの手をしっかり握ったまま、ほとんど前を見ずに全力疾走でお化け屋敷の出口を目指した。出口が見えた瞬間、俺はルーシィを抱き抱える。

ル「え?ちょ、ちょっとリョウ/////////////」

リョ「しっかり掴まってろよっ!!」

俺はルーシィを抱き抱えたまま出口に向かって飛び込んだ。一気に視界が明るくなる。俺はルーシィを抱き抱えたまま地面にドサッと落ちる。

エ「リョウ!?」

ウェ「ルーシィさん!?」

ナ「おい!大丈夫か!?」

俺は痛む左足を押さえながらゆっくり起き上がる。

マ「リョウとルーシィも、変なお化けに・・・?」

「も」って事は、お前たちもか。

ショ「トーヤ、あのお化けたちは、お前と契約してるお化けたちじゃないよな。」

ト「はい・・・たぶん、あのお化けたちは、『楽明幽』だと思います。」

グ「楽明幽?」

聞いた事があるぞ。お化けにもいくつか種類があって、トーヤが主に契約してるお化けたちは『信人幽』。トーヤのような特定の人間にしか見る事ができないお化け、『幻視幽』。そして、俺たちが今回見たお化けは、人を騙したり、脅かしたりするのが好きなお化け、『楽明幽』とゆうお化けっていう事か。

ト「リョウさんの言うとおりです。『楽明幽』は、人が大勢集まる暗い場所に現れやすいんです。」

なるほどな。お化けも夏祭りを楽しんでるって事か。まっ、何も危害を及ばないお化けじゃないなら別にいいんだ。

ユ「まだ花火大会まで後1時間もあるよ。」

ル「じゃあ、まだいろいろ見て回ってましょう。」

ルーシィの提案で花火大会までまだ祭りを楽しむ事にした。マグノリアの花火大会って、どんくらいすごいんだろうな?楽しみだぜっ!!

****************************************************************************************

1時間後。

ヒューーーーーーーーーー、ドドッガガガァァァァァァァァァンッ!!花火大会始まりの合図の花火が打ち上げられた。ヒューーーーーーーーーー、ドドッガガガァァァァァァァァァンッ!!ドガァァァンッ!ドガガガァァァァァンッ!ドガガァァァンッ!ドドドガガガガガガガガガガァァァァァァァァァァンッ!!それから次々に、今日のルーシィたちの浴衣のように色とりどりの花火を空に咲かせていく。

ル「すごぉ~い!!」

グ「ここの花火は何度見ても飽きねぇぜ。」

赤、黄色、緑、青、さまざまな色の花火が夜空に満開に咲く。

ショ「迫力があるな~。」

ウェ「すごく大きいね、シャルル。」

シャ「えぇ、とっても。」

菊の花、滝、蝶の形の花火も咲き誇る。

ト「うわぁ~!!」

ユ「きれぇ~い!!」

マ「たまや~!!かきや~!!」

ヒューーーーーーーーーー、ドドッガガガガガァァァァァンッ!!夜空に赤い妖精の尻尾のギルドマークの花火が打ちあがる。

エ「妖精の尻尾のギルドマークだっ!!」

ナ「すっげーーーーーーーーーーっ!!!」

ハ「あいっ!!」

そして、ヒューーーーーーーーーー、パチパチパチパチ、ドドドドドッ!!ヒューーーーーーーーーー、ドドドドドッガガガガガァァァァァァァァァァンッ!!!!!と凄まじい爆発音を上げながら一番デカイ花火が打ち上がった。あちこちから歓声が沸き上がり、30分間の花火大会も幕を閉じた。次々に祭りに来てた人は帰って行く。

エ「さて、私たちも帰ろう。」

エルザを先頭に自分のそれぞれの家に帰る。俺はふと立ち止まって、さっきまで花火が上がっていた夜空を見上げる。

リョ「光の花は、咲き誇り、一瞬にして咲き乱れる・・・か。」

昔、母さんが教えてくれた言葉だ。13年前、幼かった俺にはまだこの言葉の意味がよく分からなかった。

ル「リョウ~!何してるの~?もう帰るよ~!!」

俺はルーシィの声に我に返り、みんなの所まで走った。夜空には一番星が輝いていた。 
 

 
後書き
第103話終了です!!
花火は本当に綺麗ですよね~。でも、呆気なく散ってしまうのはもったいないと思います。
次回はマグノリアに・・・あいつらがやって来た!?
次回見逃したらいけないよ!! 

 

第104話 エドラスからの訪問者

 
前書き
ヤッホ~☆07で~す☆
今回は、マグノリアになんと予期せぬ訪問者がやって来た!?
マヤ目線で書いていきます。
それでは、第104話・・・スタート☆ 

 
あの夏の暑さがだんだん寒くなってきて、秋になる季節の変わり目。

リョ「はわわわわわ・・・」

リョウがでっかい欠伸をする。私もリョウの欠伸が移って、眠く・・・はわわわわわ・・・

ナ「マヤも十分でかい欠伸じゃねぇか。」

ハ「あい。おいらの魚が丸ごと入りそうだよ。」

魚丸ごと入らないし、ナツとリョウよりはでかくないよ。私たち最強チームは、【森バルカン退治 120万J】とゆう依頼の帰り。思った以上に早く終わって、みんなで森の中を歩いてギルドに向かう途中。

ウェ「ところでマヤさん、その子は・・・?」

ウェンディが私の腕の中にいる小さな子犬を指差す。

マ「この子は子犬のジョン。私の友達だよ☆」

ジョ「アンッ!」

ジョンは愛玩動物なんだぁ~。ジョンのふわふわの茶色い毛並みに頬を擦り寄る。気持ちいい~♪

ハ「ナ、ナツ・・・犬だよ。プルーみたいな変な犬じゃないよ・・・」

ル「変なってなによっ!!」

ハッピーは犬が苦手だもんね。ルーシィの星霊のプルーは平気なんだよね。まぁ、あれが小犬かどうかは私にはわからないんだけど・・・私的には、雪だるまに見えるんだけど・・・?ジョンは私と仲が良い人には絶対に吠えないから大丈夫!!でも、怒ったら怖いんだよね。

エ「ジョンはマヤにすごい懐いてるみたいだな。」

ジョ「アンッ!」

エルザの言ってる事に返事をするようにジョンが鳴く。すると、ジョンが小さな黒い鼻をヒクヒク動かすと、私の腕から飛び降りて、茂みの奥へ行っちゃった。

マ「ジョン!?どこ行くのぉっ!?待ってぇ~!!」

ユ「マヤッ!!」

ショ「俺たちも追いかけよう!!」

****************************************************************************************

ジョンを追って私たちはかなり奥まで来ちゃった。ジョン、どこに行ったんだろう?その時、

ジョ「アンアンアンッ!!」

ジョンの鳴き声がどこからか聞こえた。

ト「こっちの方から聞こえますっ!!」

滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)のナツとウェンディよりも耳がいいトーヤが言った方向に走る。すると、

?「キャアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」

悲鳴が聞こえた。まさか、ジョンが関係してるんじゃ・・・!!私は更に速度を上げてジョンの鳴き声のする方に向かって走った。しばらく走り続けると、

ジョ「グルルルルルルル・・・」

ジョンが歯をむき出しにして唸っていた。

?「ひぃ・・・っ!!!」

ジョンの目の前に、頭を抱えてうずくまっている女の子がいた。たぶん、さっきの悲鳴はこの子だと思う。私はジョンを抱き上げると、女の子に向かって、

マ「あ、あの、大丈夫?」

?「ス、スイマセン・・・ありがとうございます。」

その子は顔を上げた。オレンジ色の髪の毛に黄色いカチューシャ、大きなオレンジ色の瞳・・・って、どこからどう見てもこの子、間違いなく、

マ&?以外「マ、マヤァァァァァッ!!!??」

マ&?「私ィィィィィッ!!?」

え、えぇっ!?ど、どうなってるのぉっ!?てゆうか、あなた誰ッ!?すると、

?2「お~い、マヤ~。」

さらに奥の茂みから、桜色のツンツン頭の・・・って、今度はどこからどう見ても、間違いなく、

ナ&?2以外「ナ、ナツゥゥゥゥゥッ!!!??」

ナ&?2「あーーーーーーーーーーっ!!お前はっ!!!」

え?知り合いなの?もしかして、ナツの双子のお兄ちゃんか弟!?すると、

?3「おいお前等、どうしたんだデカイ声上げて・・・って!!?」

?4「いったいどうしたのよ・・ってわぁっ!!」

?5「騒々しいな、何事・・・って、お前は・・・!!」

?6「何かあったんですか・・・ってえぇぇぇっ!!?」

茂みの奥から次々にもう1人のルーシィ(?)、リョウ(?)、グレイ(?)、ユモ(?)、エルザ(?)、ショール(?)、ウェンディ(?)、トーヤ(?)、そして、フレイ(?)が現れたぁっ!?でも、

ル「もしかして、エドルーシィ!?」

エル「おぉ!!アースランドの私じゃねぇかっ!!久しぶりだなぁ~。」

グ「よおっ!元気そうじゃねぇか。」

エグ「そっちこそ。」

エ「お前、妖精の尻尾にに入ったのか。」

エエ「あぁ。」

な、なんか、ナツとルーシィとハッピーとグレイとエルザとウェンディとシャルルは突然現れたもう1人の自分に普通に接してるんですけど・・・

エ「紹介しよう。こいつ等はアースランドの真逆の世界、エドラスにいる私たちだ。」

マ&リョ&ユ&ショ&ト「えぇーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!??」

エドラスにいる私たちぃぃぃっ!?私はナツとハッピーから話を聞いていた。この世界とは真逆の世界、エドラスには、自分とそっくりの自分が実在するんだけど、性格や態度が真逆らしいの。ハッピーやシャルル、リリーは、エドラスからやって来たエクシードってゆう種族らしい。

ショ「まるで別人だな。」

エドラスのナツはなんか気弱そうで、エドラスのルーシィは男勝り、エドラスのグレイはすごい厚着してて、エドラスのエルザは鎧を着ていないっ!!エドラスのウェンディは背が伸びて、敬語じゃない。本当に真逆だ・・・!!

ト「エドラスの僕、ですか・・・?」

エウェ「トーヤは私の許婚なのよ。好きでもないのに。」

エト「無理矢理親が決めたんだよな。」

エドラスのウェンディとトーヤの関係が・・・!!エドラスのトーヤは、エドラスのウェンディ同様、背が伸びて、口調が敬語じゃない。エドラスのトーヤは赤や黄色、緑といった明るい服を着ている。

ショ「お前が、エドラスの俺・・・」

エエ「こいつは私が王都にいる時の私の部下でな、私がギルドに加入する時に、一緒について来たんだ。」

エショ「エルザ先輩がいないと、俺生きていけませんっ!!」

エルザ先輩ッ!?エドラスのショールは見た目はそんなに変わっていない・・・でも、背がエルザより低い。黒い鎧を身に着けていて、背中に大きな剣を背負っている。一言で言うと、『勇者』って感じ。

エエ「だが、おっちょこちょいでな。」

ショールがおっちょこちょいぃぃぃっ!?想像がつかないよぉ~~~!!

ユ「・・・・・」

エユ「・・・お前、本当にもう1人の私なのか?つーか、この世界めっちゃ寒くねぇか・・・?もっと厚着してくりゃあよかった・・・」

エグ「ユモスには以前命を救われたんだ。その恩でギルドに加入してもらったんだ。」

こっちは「ユモス」って呼んでいるんだね。エドラスのユモは、少し荒っぽくて、寒がり。水色の髪の毛は下ろしていて、白いセーターに赤と黒のチェックのスカート、黒いニーハイソックスに黒いブーツを履いている。すごくオシャレ!!

リョ「お前、随分整ってるな。」

エリョ「お前は乱れすぎだ。」

エル「こいつは私の幼馴染だ。規則正しすぎて頭がどうかしてるんだよな。でも、ギルドで最弱の魔道士なんだ。」

エリョ「そ、それを言うなぁぁぁっ!!!」

リョウがギルドで最弱の魔道士ィィィッ!!?まるで別人みたい!!エドラスのリョウは、ピシッとした黒いスーツを着ていて、メガネを掛けている。そして私は、

ジョ「アンッ!」

エマ「ひゃあああああっ!!!」

ジョンの鳴き声に驚いてエドナツの後ろに隠れる。オレンジ色の瞳にはすでに涙が溜まっている。

エナ「マヤは極度の動物嫌いなんだ。」

なんと動物嫌いっ!!背も高くて、クリーム色の丈長ワンピースを着ている。あなた、どこの誰ですか?そして、

ナ「お、お前、フレイか・・・?」

エフ「あぁ。エドラスのフレイだけどよ、アースランドの俺はいねぇのか?」

そっか、エドラスのフレイは生きてるのか・・・エドラスのフレイはあまりアースランドのフレイと変わっていない。唯一違ってるのは、エドラスのフレイは人間の姿の時裸足じゃないって事。

エ「何でお前たちがここにいるんだ?」

エエ「久々にお前たちの顔が見たくなってな。ミストガン王子にお願いしたところ、30分だけOKをもらったんだ。」

ナツとハッピーの話だと、エドラスの王子、ミストガンは元アースランドの妖精の尻尾のS級魔道士で、エドラスのジェラールとゆうエルザの知人で、ウェンディの命の恩人らしい。

エユ「うぅ・・・超寒い・・・凍え死にそうだ・・・」

エグ「こ、こんなに寒いとは、俺も思わなかったぜ・・・」

いやいやいや、あんたたち、十分厚着してるんじゃん!見てるこっちの方が暑苦しいよ・・・

ハ「ねぇねぇ、エドラスのフレイは鳥になる事が出来るの?」

フ「えっ?鳥に?残念だけど無理だな。こっちの世界の俺は、鳥になる事が出来るのか?」

エドラスのフレイは、人間の姿が本当の姿なんだね。

リョ「規則なんかどうでもいいじゃねぇかっ!!」

エリョ「お前みたいな楽観的なやつじゃないんでな。」

リョ「最弱のクセに生意気だなっ!!」

エリョ「んなっ!?それとこれとは別だろっ!!!」

リョウが規則を守っている・・・以外すぎて、恐ろしすぎて言葉がでない・・・

エウェ「エドラスのトーヤはお化けや幽霊が大嫌いなのよ。」

ウェ&ト「えぇぇぇっ!!?」

シャ「トーヤがっ!?」

エト「ウェ、ウェンディ、そんな恥ずかしい事を言うなよ・・・」

とゆうか、エドラスに幽霊って実在するのかな?

エエ「こいつは魔道士としての腕はプロ級でな。あっという間に私に追いついてきたんだ。」

エショ「エルザ先輩と比べたら、まだまだですよ。」

エエ「だが、ものすごく頭が悪くてな・・・ショール、8×7は?」

エショ「えぇっとぉ~・・・52・・・ですか?」

エドショールの掛け算の答えにみんな言葉を失って目を見開き、開いた口が塞がらなくなっちゃった・・・

グ「マ、マジかよ・・・」

ショ「答えは56だ・・・」

ショ、ショールがこんなに頭が悪いなんて・・・在り得ないぃぃぃっ!!!今の問題、私でも分かる問題だよっ!!

ジョ「アンアンッ!!」

エマ「ひゃあああああっ!!!」

エドラスの私がまたエドナツの後ろに隠れる。

ナ「ブハハハハハッ!!マヤが動物にびびってやがる!!」

マ「何で動物が怖いのか意味がわかんないよ~。」

****************************************************************************************

30分はあっという間に過ぎていった。

エナ「そ、それじゃあ、僕たちはこれで。」

ナ「おう!」

ル「また来てね~!」

エル「その時までには、小説完成しとけよ。」

エエ「それじゃあな。」

エドラスの私たちは光に包まれてエドラスに帰って行った。

ト「なんか、自分ってあんなに違うんですね。」

グ「仲が悪かったり、よかったり、いろいろあるって事だ。」

性格もあんなに違いすぎるなんて、驚いたよ。それにしても、何でエドラスの私は何で動物が嫌いなの?

エ「それじゃ、ギルドに帰るとするか。」

エ以外「あいさーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」 
 

 
後書き
第104話終了です☆
エドラスのマヤたちは性格が全然ちがいますね。ところで、プルーを最初に見たとき、雪だるまにしか見えなかったんですよね。まさか、あれが小犬だとはびっくりしました。
次回は・・・驚きの再開だ!!
それではまた次回☆ 

 

第105話 お帰り!!

 
前書き
イエ~イ♪07で~す♪
今回は思わぬ再会が!!
途中で目線が変わります。最初は?目線でいきたいと思います。え?誰かって?それは呼んでからのお楽しみです。
それでは、第105話・・・スタート♪ 

 
不思議な色をした空にはトカゲと鳥が混ざったみたいな生き物が飛んでいる。みんな、元気そうだったな・・・マヤも、俺がいなくても、ナツやハッピー、ギルドのみんながいるから大丈夫か。

?「心配して損したぜ。」

不思議な色をした空を見つめながら、独り言のように呟いていると、

?「やっぱりね。」

声が聞こえた方に振り向くと、クリーム色の丈長のワンピースを着ているマヤが、どこか寂しそうな笑顔で俺の事を見つめていた。

?「どうしたマヤ?一緒にクエスト行こうっていう誘いか?今日はなんも用事ないから、俺は行ってもいいぜ。」

俺は背丈が同じくらいのマヤと視線を合わせる。ほんっと、あっちのマヤとは大違いだぜ。

エマ「・・・もう、限界なんでしょ。」

?「!!い、いきなり、な、何言ってるんだよ・・・」

俺の額に冷や汗が浮かび上がる。

エマ「無理しないで。本当の姿に戻っていいんだよ、フレイ。いいえ、フレイ・レッドシェル。」

俺はマヤ・・・いや、エドラスのマヤの言葉に小さく笑う。そして、俺の体が光りだし、赤色の髪の青年だった俺の姿が、見る見るうちに姿を変え、光が消えると、俺は赤い鳥の姿になっていた。そう、これが俺の本当の姿だ。

フ「・・・いつから、分かってたんだ・・・?俺が、この世界のフレイじゃないって事・・・」

エマ「最初から分かってたわ。この世界の本当のあなたは、すでに死んでいるもの。私の目の前でね・・・」

エドマヤの固く握った拳が小さく震えている。

エマ「でも、何でアースランドのフレイがエドラスにいるの?」

フ「それは俺にも分からねぇ。」

アースランドの妖精の尻尾のみんなや、読者のほとんどの人が、俺がリグリション島で、ヤマトの死滅の光線(デスガリスビーム)で死んだと思っている。だが、俺はあの時ギリギリで死滅の光線をかわしたんだ。でも、すぐに気を失って、気がついたらなぜかアースランドとは真逆の世界、エドラスにいたわけだ。その時はまだ何も知らなかった俺は、エドラスの妖精の尻尾のギルドを見つけて、中に入ると、アースランドとは真逆のみんながいた。ここで俺はようやく、ここがエドラスだって事を理解したんだ。エドラスの事は、よくハッピーとシャルルから聞かされていたからな。アースランドに帰る方法も分からないし、行く当てもない俺は、エドラスの妖精の尻尾に加入する事を決意した。そのため、この世界で俺は、ずっと人間の姿で生活していた。魔力は徐々に減っていったけどな・・・

エマ「ギルドのみんなは、あなたがエドラスのフレイじゃないって事に気づいてるわよ。」

フ「マジかっ!!」

勘が鋭いんだな。アースランドのグレイみたいだぜ。

エマ「アースランドに、帰りたいわよね。」

フ「それが出来たらな。」

俺が本来いるべき場所はアースランドだからな。

エマ「帰る事、出来るわよ。」

フ「えっ?」

エドラスのマヤが言ってる意味が最初は分からなかった。ようやく分かった時は、1人喜びの歓声を叫んでいた。

エマ「ミストガン王子にお願いして、アースランドと繋がる道を開けてくれるようにお願いしたのよ。」

おいおいおい、どんだけすごいんだよこの世界の王子はっ!?

エマ「あなたがアースランドに帰る事は、私とミストガン王子しか知らないから。あ、もう少しでアースランドと繋がる道が開くわよ。」

やっと帰れるのか。この世界での生活は、きつかったけど楽しかったなぁ~。でも、やっぱり俺はアースランドの鳥人間で、アースランドのマヤの相棒だ。あっちの方がしっくりくるぜ。あ、そういえば・・・

フ「なぁ、帰る前に、1つ聞いていいか?」

エマ「えぇ。いいわよ。」

フ「何で、こっちの世界の本当の俺は、死んだんだ?」

エマ「あぁ、それはね・・・」

再びエドラスのマヤの固く握られた拳が、小さく震える。

エマ「私の、せいなの・・・」

フ「え・・・」

俺の思考が一瞬止まった。

エマ「3年前の事よ。私は、たった1人で危険な依頼に挑戦したのよ。【暴獣アバルルス討伐 160万J】とゆう依頼に挑戦したの。」

余談だが、エドラスのマヤはエドラスの妖精の尻尾ではS級魔道士なんだ。でも、主にする依頼は極普通の魔道士でも出来るくらいの依頼ばかり。

エマ「でも、途中で私は重症を負っちゃって動けずにいたの。アバルルスに殺されると思って、もうダメだっ!!と思った時に、アバルルスの攻撃から、フレイは、フーちゃんは、私を守ってくれたの。でも、あまりにも強烈な攻撃でね、フーちゃんは即死だった・・・あの後、すぐにギルドのみんなが駆けつけてくれて、依頼は無事に終わらせる事が出来たんだけど、私は・・・フーちゃんを、死なせちゃったの・・・」

大きなオレンジ色の瞳から、大粒の涙がこぼれ落ちた。アースランドのマヤとは違って、エドラスのマヤは泣き虫だな・・・その時、俺の背後が光りだした。振り向くと、光っている部分が空洞になっている。

エマ「アースランドに続く道よ!急いでフレイ、早くしないと消えちゃうわ!!」

フ「おう!今までありがとうな。みんなによろしく伝えてくれ。」

エマ「あ、うん・・・!」

俺が光の空洞に入ろうとすると、後ろからマヤが抱き付いてきた///////////////

フ「え・・・?お、おい、マヤ・・・///////////////////」

心臓の鼓動が早くなる。

エマ「私、フーちゃんの事が、好きだったの。」

フ「え・・・」

エドラスのマヤは、ナツじゃなくて、俺の事が好きなのか・・・///////////////////

エマ「また、フーちゃんに会えて、嬉しかった。ありがとう・・・」

俺はエドラスのフレイじゃねぇけどな。マヤが俺から離れる。

エマ「元気でね、フレイ。」

フ「あぁ。マヤもな。」

俺は後ろを振り返らずに、手だけを振り返すと、光の空洞に入っていた。

****************************************************************************************

             『ここからマヤ目線でいきます。』

外は生憎の雨。ジュビアが泣いてるわけじゃないよ。私はギルドのテーブルでオレンジジュースを飲みながらある事を考えていた。

マ「フレイ・・・」

私のせいで、リグリション島で死んじゃったフレイが生きていた・・・いやいやいや、あのフレイはエドラスにいるフレイなんだ。アースランドのフレイじゃない。例え顔や姿、容姿が同じでも、私が知っているフレイじゃないんだ・・・その時、

ト「!誰かが、ギルドに来ます。」

人一倍耳がいいトーヤが言うなら間違いない。

ナ「ん?どこかで嗅いだ事があるにおいだ。」

ハ「どんなにおいなの?」

ナ「なんか、鳥?のにおいがするぞ。」

ル「鳥のにおいって、何で人間が鳥のにおいがするのよ・・・」

鳥のにおい・・・もしかして・・・!いやいやいや、私ったら、何考えているのっ!?もうこの世にはいない人間が帰ってくるわけ・・・

マ「え・・・・・」

私はギルドに近づいてくる気配や魔力に目を見開いた。この気配、この魔力・・・まさか、本当に・・・!!その時、バァァァン!!と勢いよくギルドの扉が開いた。ずぶ濡れになった赤い髪の毛に、赤いトレーナー、こんな雨でもなぜか裸足の・・・

フ「はぁ、はぁ、はぁ・・・こ、ここ、アースランドの、妖精の尻尾で、間違いねぇよな・・・?はぁ、はぁ、はぁ・・・」

それは紛れもなく、

フ以外「フレイィィィィィィィィィィッ!!!!!?????」

フ「よっ!みなさんお久しぶり!あ、マヤたちはこの前会ったばかりだな。」

リョ「お前、本当にフレイなのかっ!?」

フレイ(?)が、ミラから受け取ったタオルで頭を拭きながら、

フ「他に誰だと思うんだよ?俺はアースランドの妖精の尻尾の魔道士で、マヤの相棒で、鳳凰の使いで、鳥人間の、フレイ・レッドシェルだっ!!」

ギルド全員がしばらく沈黙になる。

ハ「フレイが・・・フレイが帰って来たーーーーーっ!!」

フ以外「おぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!」

大歓声が起こる。最強チームはフレイを囲むように集まると、

ナ「お前、死んだんじゃなかったのかよっ!?」

グ「フレイの亡霊かっ!?」

ショ「トーヤ、こいつは亡霊なのか?」

ト「いえ、ちゃんとこの世に存在する人間ですっ!!」

ユ「無事でよかったぁ~。」

ウェ「フレイさん、エドラスにいたんですかぁっ!?」

シャ「あんた、どうやってエドラスなんかに!?」

エ「どうやって帰って来たんだ?」

フ「わ、悪ィ。俺にもよく分かんなくて・・・それに、話せばめちゃくちゃ長くなる。」

フレイはみんなの質問攻めになっていた。すると、

マカ「フレイ。」

フ「あっ!マスター!元気でしたか?」

奥からマスターが現れた。

マカ「信じておった。」

フ「えっ?」

マカ「リサーナの時もそうじゃった。必ず、帰ってくるとな。」

そっか、ナツとハッピーの話によると、リサーナも最初はエドラスで生活していたんだよね。

マカ「お前が死んだと聞いた時はみんな悲しみ、お前を死に追いやったマヤは、酷く、大きな罪を背負ってしまった。」

フレイは私の方を見る。驚いた表情のフレイに私は笑って返す。

マカ「じゃが、例え仲間が、家族が1人いなくなったとしても、お前は、いつでも変わらない家族の一員じゃ。例えそれが家族の責任だとしてもじゃ。フレイ、お前は妖精の尻尾の魔道士なんじゃから。」

フレイがギルド全体を見回して、マスターに視線を戻す。

フ「俺、帰って来たんだよな・・・自分のギルドに、自分の家に・・・」

マカ「そうじゃよ。」

マスターが一度目をゆっくり閉じて、満面の笑みをフレイに向けると、

マカ「お帰り、フレイ。」

フ&マカ以外「お帰りーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!フレイーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!」

フレイの炎のような赤い瞳から嬉し涙が流れ落ちる。

フ「たっだいまーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」

ギルドに、私の心に欠けていた何かが、元通りになった。

マカ「今夜は・・・宴じゃーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」

全「おぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!」

みんな片手にビールなどを持って、フレイと肩を組んでどんちゃん騒ぎをした。私は心の中で思いっきり叫んだ。

マ『お帰り、フレイッ!!!』

ってね☆ 
 

 
後書き
第105話終了~♪
なんとなんとなんと!!フレイ復活!!よかったよかった。
次回はリョウと聖剣の『銀覇剣』との出会いです。
お楽しみに~♪ 

 

第106話 リョウと『銀覇剣』

 
前書き
はいはいはいはぁ~い!!07で~す!!
今回はリョウと聖剣(エクスカリバー)『銀覇剣』との出会いのお話です。
リョウ目線で書いていきます。
それでは、第106話・・・スタート!!! 

 
フレイが無事にエドラスから帰って来た。マヤもめちゃくちゃ元気を取り戻したみたいだ。ナツとハッピーも嬉しそうだ。にしてもフレイのやつ、どうやってエドラスに行ったんだ?そんな事を考えながら、俺は軽く水で湿らせた白い布で、聖剣(エクスカリバー)を磨いていた。

ル「リョウ、何してるの?」

リョ「聖剣を磨いてるんだ。時々手入れしないと、すぐに切れ味が悪くなるからな。」

月に1回は必ずこうやって手入れを欠かさずやっている。聖剣がないと、戦えないからな。

ル「私も手伝うわ。」

リョ「んじゃ、ルーシィは『天力剣』を磨いてくれ。俺は『銀覇剣』を磨くから。」

ル「分かったわ。」

ルーシィは軽く水で濡らした白い布を取ると、丁寧に『天力剣』を磨き始めた。俺も『銀覇剣』を磨く。ルーシィからもらった『嵐真剣』は、すでに磨き終えていた。

ル「ところでリョウ・・・」

ルーシィが、視線だけを俺に向けて、手を止めずに俺の方を向くと、

ル「リョウはどうして聖剣が使えるの?かなり珍しい魔法なんでしょ?」

不思議そうな顔をして聞いてきた。俺は手を止めてしばらく『銀覇剣』を見つめていた。が、『銀覇剣』を持って、窓から射し込む太陽の光にかざす。『銀覇剣』の刃が銀色に光り輝く。

リョ「さぁ、何でだろうな?」

ル「自分で分からないのよ・・・」

俺が聖剣を手に入れたのは6歳の頃だから、もう12年も前の事だ。そんな昔の事は俺は全く覚えてねぇな。でも、

リョ「『銀覇剣』に、命を救われて、俺の事を認めてくれたから、かな?」

ル「『銀覇剣』って、リョウが一番最初に契約した、7本ある聖剣のうちの7番目の剣でしょ?そ
の剣に命を救われたの?」

簡単に言えばそういう事だ。

リョ「あれは確か・・・母さんが死んで1年後、俺が6歳で、まだ魔道士にもなっていなかった頃だ。」

俺は12年前の事を思い出しながら、ルーシィに『銀覇剣』との出会いの話をした。

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マグノリアから遠く離れた国のとある山奥を、まだ魔法も習得していない魔道士の卵の俺は、自分の体よりも大きく膨らんだ緑色のリュックサックを背負って歩いていた。母さんが死んで1年が経った。俺は母さんとの約束を果たすため1人で修行の旅をしていた。

幼リョ「はぁ・・・どうやったら魔法を覚えれるんだ?」

俺は能力系(アビリティ系)の魔法を覚えたいと思っていた。えっ?何でかって?所持系(ホルダー系)の魔法より、能力系の魔法のほうが強いと思ったからだ。

幼リョ「やっぱり男は力があった方が強いよな。絶対に能力系の魔法がいいに決まってる!!」

そんな事を言いながら、川沿いを歩いていると、ズルッ!!

リョ「げっ!?」

足を滑らせて、俺は川に落ちた。ババッシャァァァン!!と音を立てて水しぶきが上がる。思った以上に川は深くて、6歳の俺は川の底に足が着かなかった。しかも、川の流れがめちゃくちゃ速い。俺はそのままどんどん流されていった。恥ずかしい事に、この時の俺はまだ泳げなかった。

幼リョ「ぶはぁっ!!」

必死に水面から顔を出して、助けを呼ぼうとする。

幼リョ「だ、誰ブクブクブク・・・ぶはっ!た、助けゴボゴボゴボ・・・」

重たいリュックサックのせいで、すぐに水中に引き戻されるため、思うように助けを呼ぶ事が出来ない。その時、ザザザザザザザザザザッ!!

幼リョ「!!?」

ものすごく水を強く打つ音が聞こえた。音のした方に視線を移動させると、滝だっ!!このままじゃ・・・!!必死に陸地に戻ろうとしても、体はどんどん流されていく。もう、ダメだ・・・!俺の体は宙に投げ飛ばされた。俺はそのまま意識を失った・・・

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幼リョ「・・・・・ん・・・?」

いったい、どれくらい時間が経ったんだ?目を覚ました俺の目に一番最初に飛び込んできたのは星が輝き光る夜空だった。俺、夜まで寝ちゃってたのかよっ!?慌てて飛び起きると、

幼リョ「ぬぉっ!!?」

目が飛び出そうになった。俺の服装は、緑色のTシャツから白い布を1枚羽織っているだけの状態だった!!いったいどうなってんだよ!?混乱していると、パチパチパチと赤い炎が俺の目の前で揺らめいていた。

幼リョ「焚き火・・・?」

その焚き火の傍で俺の緑色のTシャツが乾かされていた。どうやら俺は、誰かに助けられ、服を着替えさせてもらったみたいだ。でも、いったい誰が?すると、

?「あ、気がついた。」

幼リョ「!!?」

驚いて振り向くと、俺の背後に銀色の長髪をなびかせ、空色のフリルの付いた服を着た俺より遥かに年上の女がいた。こいつ、魔力が感じる・・・!魔道士か?女の手にはおいしそうな果物が抱えられていた。

?「お腹、空いたでしょ?」

女の声が合図のように、グゥ~~~~~と俺の腹の虫が鳴いた。俺は恥ずかしくて顔を赤らめた。女は俺に果物を差し出す。俺は受け取ると、すごい勢いで食べ始めた。うまいっ!!俺は果物を食べながら、

幼リョ「あの、助けてくれてありがとう。俺はリョウ。よろしくな。」

守「よろしく。私の事は・・・守護剣士とでも呼んで。」

守護剣士?何だそれ?

守「リョウは、聖剣とゆう世界に7本ある剣の事を知っているかしら?」

幼リョ「聖剣?知らないな。」

守「守護剣士は、その7本の聖剣を守る聖霊なの。」

へぇ~・・・って、それじゃあこの人も・・・!

シ「そっ、私は聖剣の1つ、『銀覇剣』の守護剣士、シルバーよ。」

俺は聖剣とゆう言葉に心を奪われた。俺とシルバーは焚き火を間に挟んで話しを続けた。

幼リョ「なぁ、聖剣ってどんな物なんだ?」

シ「聖剣は、ある特定の魔道士じゃないと使用できないとても珍しい所持系の魔法なのよ。」

魔法なのか!!俺はシルバーに土下座する。

シ「えぇっ!?ど、どうしたのっ!?」

幼リョ「俺を、その聖剣とゆう魔法を使わせて下さい。お願いしますっ!!」

珍しい魔法なんだ。めちゃくちゃ強い魔法に決まっている。所持系の魔法だけど、俺はどうしても習得したかった。

シ「・・・この魔法を使用するためには、3つのルールを守ってもらうの。」

俺は顔を上げる。シルバーは右手の人差し指だけを立てると、

シ「1つ、聖剣を使用する者は、必ず自分の血を付けて、聖剣と契約をする事。」

自分の血を付けるのかっ!?残酷な契約の仕方だな・・・でも、この魔法を覚えるためには仕方がねぇか!!今度は中指を立てると、

シ「2つ、聖剣を大切に扱う事。」

そんなの常識だっ!!薬指を立てると、

シ「3つ、聖剣には1本ずつ強さが違う。私が守っている聖剣は、7本あるうちの中で一番弱い聖剣だけど、使う者の魔力に応じれば、一番強い聖剣にもなれるの。」

じゃあ、俺がもっと強くなれば、シルバーが守っている聖剣はめちゃくちゃ強くなれるって事なんだな。

シ「世界にはもっと強い聖剣がある。聖剣で、人を殺める事だって出来るの。」

俺はシルバーの言葉に息をのむ。

シ「だから、聖剣は悪意には絶対に使ってはならないっ!!この3つのルールをあなたは守る事が出来るかしら?」

俺は立ち上がり、胸を張ると、

幼リョ「ルールを守って使えばいいんだろう?そんなの簡単だっ!!俺は世界一になるために強くなりたいんだっ!!その為なら、血を付けようが何だろうが、聖剣と契約したいんだっ!!!」

俺はシルバーの茶色がかった瞳を真っ直ぐ見つめる。シルバーは小さく微笑むと、

シ「分かったわ。あなたを信じるわ。契約をしましょう。」

幼リョ「本当かっ!?ヤッターーーーー!!!」

俺が歓声の声を上げていると、シルバーが光に包まれて、どんどん姿を変える。光が消えると、そこにはシルバーの姿は無く、変わりに1本の剣が落ちていた。

幼リョ「もしかして、これが・・・!」

俺は剣を拾い上げる。すると、

シ『そう、この剣が、私が守っている聖剣、『銀覇剣』よ。』

頭の中でシルバーの声が聞こえた。

シ『さぁ、あなたの血を付けなさい。この聖剣と契約したいんでしょ?』

幼リョ「う、うん・・・」

やっぱり、いざとなったら恐ろしい。俺はゆっくり自分の左腕に『銀覇剣』の刃先を向ける。月光に反射して、『銀覇剣』が銀色に光り輝く。

シ『大丈夫。ほんの1滴付ければいいだけよ。』

1滴で、いいんだな・・・?俺は勇気を出して、『銀覇剣』の刃先を軽く左腕に刺した。

幼リョ「っ!」

やっぱり、痛みは少しだけ感じる。銀色の刃先に、少しだけ俺の鮮血が付着している。

シ『契約完了よ。頑張ったわね。』

幼リョ「お、おぉ・・・」

俺は痛みを堪えて、羽織っていた白い布を少し裂いて、腕に巻きつける。

シ『リョウ、あなたはこれからもっと強くなるはずよ。強くなる為には、聖剣1本じゃとても無理。世界中に散らばっている後6本の聖剣を集めるといいわ。残りの6本も、私と同じ守護剣士がいるわ。同じように、残りの聖剣と契約する時も自分の血を付けてね。それじゃあ。』

シルバーの声が聞こえなくなった。俺は地面に寝そべると、契約したばかりの『銀覇剣』を月光に照らす。

幼リョ「これからよろしくな、『銀覇剣』」

返事をするように、『銀覇剣』は銀色に光り輝いた。

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リョ「それから俺は『銀覇剣』と一緒に旅をして、8年前に『天力剣』と契約して、つい最近『嵐真剣』と契約をしたんだ。」

あれからどの聖剣の守護剣士の声も聞いた事も無いし、見た事も無い。でも、聖剣のおかげで、俺は強くなったし、聖十大魔道の1人にもなれたんだ。磨き終えた『銀覇剣』を太陽の光にかざす。銀色に光り輝く。

リョ「これからも、俺は聖剣と共に戦って、もっと強くなるんだっ!!そして、いつか7本の聖剣を全部集めたいと思っている。」

すると、ルーシィが俺の手に優しく手を重ねてきた。

リョ「ルーシィ?」

ル「リョウならきっと出来るわ。」

俺の決意にルーシィは優しく微笑んでくれた。

リョ「ありがとう、ルー・・・!!!??」

お礼を言おうとしたけど言えなかった。ルーシィが、俺にキスしたからだ///////////////俺とルーシィの顔は、少し赤みを帯びていた。

ル「わ、私からは、まだだった、よね/////////////」

案の定、ギルドのみんなは誰も見ていなかったようだ。

ル「あぁ、これ!『天力剣』磨いといたから!そ、それじゃあ!!」

ルーシィは俺に『天力剣』を渡すと、顔を赤くしたままギルドを飛び出していった。俺は受け取った『天力剣』を見る。いつもより輝きが増していた。 
 

 
後書き
第106話終了~!!
聖剣にはそれぞれ守護剣士とゆう聖霊がいるんですよ。契約者を優しく見守っています。
次回はちょっと不思議なお話。
お楽しみに~!! 

 

第107話 グレン・クオリナ

 
前書き
駄作者07です☆
今回はグレイが見たちょっと不思議な夢(?)のお話。
グレイ目線で書いていきますよ。
それでは、第107話・・・スタート☆ 

 
ドガッ!バギッ!バコッ!ボコッ!ガコンッ!ガガンッ!ドコッ!ゴキッ!ガツンッ!ドガンッ!と俺の隣から何かが激しくぶつかる音が聞こえる。読者の大半の人はわかると思うが、ナツとリョウが喧嘩してるんだ。ったく、いちいちうるせぇんだよ。あ、ちなみに俺は喧嘩に混ざってねぇからな。

リョ「ちゃんと前歩けよ、吊り目燃えカス単細胞。」

ナ「そっちからぶつかってきたんじゃねぇか、バカアホポジティブ。」

ル「相変わらず小さいわね。」

マ&ハ&フ「いつもの事です。」

ったく、少しは静かにしてくれよ。すると、ドガンッ!!

グ「うお!!」

クソ炎が投げたコップと、バカアホリョウが投げたビンが俺の顔面に直撃した。これと似たような事、前にもあったぞ。結構痛いんだからな・・・

グ「おいナツ!リョウ!投げる方向間違ってるじゃねぇかっ!!」

ナ&リョ「うるせぇんだよ、垂れ目カチコチパンツ。」

カチン!!こいつ等に同じ事を言われると無性に腹が立つ。いつの間にか、俺も喧嘩に混ざっていた。

ウェ「グレイさんも喧嘩に混ざっちゃった。」

シャ「結局はあいつもけんかに仲間入りしてるじゃない。」

ユ「意味が無いね。」

エ「お前たち、いい加減にしろっ!!」

ナ&グ&リョ「あいーーーーーーーーーーーーーーー!!!」

ハ「おいらの真似しないでよ~!!」

って、ちょっと待てよ、俺はこいつ等のせいで喧嘩に入っただけのに、何でエルザに怒られないといけないんだよっ!?あ~あ、今日はついてねぇ。気晴らしに外にでも行くか。

ショ「グレイ、どこに行くんだ?」

グ「ちょっくら外に出て、風に当たってくるだけだ。すぐに戻る。」

ト「気をつけてくださいね。」

外に出るって言っても、すぐそこだぞ。トーヤは相変わらず心配性だな。

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俺は南口公園に来ていた。こんな時間に遊びに来るやつなんていないだろう。俺は近くの木に寄り掛かって座る。

グ「ッ!いってぇ~・・・」

さっき顔面に食らった痛さに顔を引きつらせ、右頬を触ると、少しだけ赤く腫れ上がっていた。あいつ等・・・覚えとけよっ!!俺はしばらく木に寄り掛かっていたが、いつの間にか眠っていた。

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グ「・・・・・ん?ここは・・・!?」

気がつくと、周りが真っ白だった。どこを見渡しても白・白・白!どうなってんだいったいっ!?すると、後ろから微かな魔力を感じ、振り返ると、そこには・・・

グ「お、俺ッ!?い、いや・・・」

パッと見ると、自分でも見間違えるほど自分にそっくりな男がいた。だが、よく見ると髪の色が違う。俺は紺色で、男は水色だ。だが、それ以外は俺と瓜二つだ。

グ「お、お前誰だっ!!」

?「そんなに警戒しなくても大丈夫だっつーの。ん?お前、怪我してるのか?」

男が俺の右頬に目をやる。

?「治してやるよ。」

男が俺の右頬に手を近づける。そいつの手は、冷気があふれていて冷たかった。

?「ほい。手当て完了。」

いつの間にか傷は完全に治っていた。

グ「あ、あぁ、ど、どうも。お前誰だ?」

グレ「ん?俺か?俺はグレン・クオリナだ。」

ん?グレン・クオリナ・・・!!俺は呆気に取られながらも男の顔を見る。水色の髪に、澄んだ青い垂れ目・・・ま、まさか・・・!

グレ「そっ、俺はユモス・クオリナの兄貴だ。」

グ「はぁっ!?」

んなわけねぇだろっ!!ユモの兄さんは10年前にウルと共にデリオラを自らの身を滅ばして封じたはずだっ!!死んだ人間が生き返るわけねぇだろっ!!

グレ「ああ。お前の言うとおり、俺はもうこの世に存在しない人間だ。今のこの姿は、思念体のようなものだ。」

いやいやいや、思念体でも、死んでるんじゃ・・・

グレ「そんな事より、グレイ・フルバスターだろ?」

グ「そ、そうだが、何か用か?」

グレ「その、ありがとうな。」

はっ?初対面の死んだ相手にいきなりお礼言われても困るんだけどな・・・

グレ「俺が死んでから、ユモスにいつも迷惑掛けてたからな・・・まさか、ハルトがあんな風になるとは思わなかったぜ。昔は内気なやつだったんだけどな・・・」

あいつが内気だったぁっ!?あいつはユモを2度も殺そうとしたんだぞっ!!

グレ「へぇ~、ユモって呼ばれてるのか。あいつも幸せになったな。」

グレンが笑った顔は、ユモにそっくりだった。

グレ「ハルトは、またユモスを殺しに来ると思う。」

グ「なっ!?」

あいつ、まだ懲りてなかったのかよっ!!どれだけユモを傷つければ気が済むんだよっ!!

グレ「落ち着けって。あいつは、ハルトは捨て子なんだよ。」

グ「!!?」

一瞬、俺の思考が止まった。ハルトが、捨て子・・・?

グレ「ブラーゴの街の教会の前に捨てられているところをハルカが拾ったんだ。ハルカも、幼い頃に親を亡くして孤児だったから、弟が出来たって喜んでいたんだ。だが、俺が死んでハルカが自ら命を落としたせいで、ハルトが深く傷ついて、あいつは復讐のためにユモスを殺そうとしているんだ。」

俺は驚きを隠せずにいた。

グレ「ユモスは俺が死んでからフリーの魔道士として旅をしていたんだが、10歳の頃ハルトに闇の呪い(ダークカース)を掛けられて、7年後には死ぬ事になっていたんだ。でも、お前のおかげで助かったよ。ありがとうな、グレイ。」

ユモとハルト・・・随分と深い闇を抱えているんだな・・・

グレ「だが、ハルトはまだ正気に戻れていない。またユモスの命を狙ってくる。その時は・・・」

グ「その時は、俺が必ずユモを助けてやるよ。」

グレンの言葉を先取りした。

グレ「ああ。そうしてくれると大助かりだぜ。本当に、いいギルドに入って、いい彼氏が出来たんだな。」

そう言うと、グレンの体がだんだん透けてきた。

グ「お、おい!」

グレ「ユモスの事は、お前に全て任せるぜ。後、出来ればハルトを闇から救ってくれ。」

グ「待てよっ!!せめてユモに会っていけよっ!!」

グレ「そんな事したら、ユモスが故障しちまうよ。」

故障って、ユモはロボットかよ・・・

グレ「この事は俺とお前だけの秘密だ。誰にも言うんじゃねぇぞ。もちろん、ユモスにもだ。それじゃあな、グレイ。」

青白い光と共に、グレンは消えた。すると、強烈な睡魔が襲ってきて、俺は再び眠ってしまった。

****************************************************************************************

ユ「・・・ィ・・・レィ・・・グレイ・・・グレイったら!!」

グ「!!!」

気がつくと、目の前にはユモがいた。

ユ「こんなところで寝てたら風邪引くよ。」

グ「あ、あれ?グレ・・・は?」

ユ「グレイ?自分の名前を呼んじゃって、夢でも見てたの?」

夢・・・そうか、あれはただの夢だったのか。

ユ「どんな夢見てたの?」

グ「さぁな。」

ユ「教えてくれたっていいじゃない。まぁいいや。ほら、ギルドに帰ろう。」

グ「おう。」

俺は立ち上がった時に右頬を触ってみた。少しだけ赤く腫れ上がっていた頬は、完全に治っていた。まさか、あれは夢じゃなくて、本当に・・・だとしたら、グレンが言っていた事も・・・

ユ「グレイ?どうしたの?」

グ「・・・嫌、何でもねぇよ。」

ユ「?」

俺とグレンの秘密だもんな。それに、話したって信じるわけが無い。

ユ「あ、そうそう、エルザがまたミラさんにケーキを作ってもらったの。今度は苺のショートケーキ1ホールだよ。みんなで食べようだって。」

エ、エルザ、また頼んだのかよ・・・ミラちゃんも、また作ったのか・・・さすが妖精女王(ティター二ア)と魔人だぜ・・・

ユ「それは関係ないと思うよ・・・」

グ「そうか?」

ユ「そうだよ。とゆうか、早くしないとエルザにまた雷落とされちゃうよっ!!」

グ「げっ!!それはまずいっ!!ギルドまで全力疾走するぞっ!!」

ユ「OK!」

俺とユモは夕方のマグノリアの街を、ギルドまで並んで全力疾走した。 
 

 
後書き
第107話終了~☆
グレンは妹思いの優しいお兄ちゃんです。にしても、まさかハルトが捨て子だったとは・・・作者もびっくりです!!
次回は最強チーム宛に1通の手紙が届いた。その内容は・・・?
第108話でお会いしましょう~☆ 

 

第108話 幸福の花(ハピネスフラワー) 

 
前書き
ど~もど~も~♪07でございま~す♪
今回は最強チーム宛の手紙がギルドに届いた。その内容は・・・?
マヤ目線で書いていきます。
それでは、第108話・・・スタート♪ 

 
ガタガタガタガタと凸凹道を魔道四輪が走る。私たち最強チームは、エルザとショールが運転する魔道四輪でとあるギルドに向かっている途中。借りた魔道四輪は中が少し狭いから、上にグレイとユモが乗っている。で、ナツはとゆうと・・・

ナ「うっひょーーー!!乗り物ってこんなに楽しいんだなっ!!」

珍しく酔っていないっ!!ウェンディにトロイアを掛けてもらったみたい。こんなナツ見るの初めてかもっ!?

ウェ「あ、そろそろトロイアの効果が切れますよ。」

ウェンディがそう言った瞬間、

ナ「おぷ・・・気持ち、悪ィ・・・」

いつものナツに戻っちゃった。

ナ「ウェ、ウェンディ・・・もう1回、掛けてくれぇ~・・・」

シャ「何度も掛けると効果が薄れちゃうのよ。それに、これから戦うとゆうのに魔力を使ってたらウェンディが戦えないじゃない。」

そう、今シャルルが言ったとおり、私たち最強チームは、これから勝負しに行くんだ。一昨日だったかな?最強チーム宛に、1通の手紙が届いたの。

****************************************************************************************

ミ「最強チームのみんな~、ちょっと来て~!!」

ミラに呼ばれて最強チーム全員が集まった。

ル「ミラさん、どうしたんですか?」

ミ「実は、最強チームのみんな宛に、手紙が届いたのよ。」

ミラは白い封筒の手紙をエルザに渡す。エルザが手紙を受け取ると、艶やかな黒髪に、淡い赤色の着物を着た女の人のホログラムが出てきた。

?『妖精の尻尾の最強チームのみなさん、初めましてどす。』

ル「京都弁!?」

随分和風な感じの人だなぁ~。

ア『私、幸福の花(ハピネスフラワー)のギルドマスター、アカネと申します。』

リョ「幸福の花は、自然を愛するギルドで、マグノリアの環境問題を救おうとしている正規ギルドだ。」

自然の命を大切にしてるんだね。なんか私と気が合いそうっ!!

ア『みなさんの噂は私たちのギルドまで届いております。火竜(サラマンダー)が何かを壊したとか、火竜が何かを壊したとか、火竜が・・・』

ナ「だぁーーーーー!!このメガネってやつ、俺に喧嘩売ってんのか?ア?」

ショ「落ち着けってナツ!!相手は手紙だぞっ!?」

ハ「後、メガネじゃなくて、アカネだよ。」

いっつも思うんだけど、ナツの耳ってどうなってんだろう?手紙はまだまだ続いていた。

ア『実は、私のギルドの魔道士5名が、みなさま方と勝負をしたいとずっと前から言い続けているのです。よろしければ、今度の土曜日に私たちのギルドで勝負をして下さらないでしょうか?お返事、お待ちしております。』

そこで手紙は終わっていた。

ト「僕たち、幸福の花のみなさんに、勝負を挑まれちゃいましたね。」

グ「こんなお願いされたの、人生初だぞ。」

私たちの事を尊敬してるギルドがあったとは、思わなかったよ。

ユ「どうするのエルザ?」

エ「せっかくのお誘いだ。断るのも相手に失礼だからな。この勝負、受けて立とうではないか。」

ナ「おっしゃーーーーー!!燃えてきたぞーーーーー!!!」

フ「言う前から燃えてるだろ・・・」

ハ「あい。それがナツです。」

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とゆうわけで、あの後エルザが手紙の返事を出して、送られてきた地図を見ながら、幸福の花のギルドに向かっているってわけ。

ル「ところでマヤ、大丈夫なの・・・?それ持ってて・・・」

ルーシィが私が穿いている白いショーパンのポケットを心配そうに見る。

マ「大丈夫大丈夫!!ずっとポケットに入れておけば平気だよっ!!」

実は、マスターの命令で、私は火炎石を持って幸福の花のギルドに行く事になっちゃったの。マスターは、

マカ『心配せんでもえぇわい。きっと、何かの役に立つはずじゃ。』

って言ってたけど・・・

ウェ「何に役立つんでしょうか?」

シャ「それが分かれば悩まなくて済むわよ。」

エ「マスターの命令ならば仕方無い。」

エルザが運転席から言う。マスターは、何を考えているんだろう?

ナ「ぉぉぉ・・・し、心配、する、な・・・うぷ、か、必ず・・・守って、やる、か、ら・・・あぷ・・・」

ユ「かっこいい事言ってるけど・・・」

グ「その状態じゃあ、台無しだな。」

上からユモとグレイがダメだしする。でも、私は嬉しかった。

ショ「みんな、見えてきたぞ。」

ショールの声にみんな窓から顔を出す。ナツは違う意味で顔を出すってナツ!あまり顔を出しすぎると落ちちゃうよぉ!?

ル「え・・・?」

リョ「あ、あれって、本当に・・・」

フ「ギルド、なのか?」

ナ「おぷ・・・」

私たちが見たものは、お屋敷のような建物。お屋敷の周りをぐるーっと小さな川で囲まれていて、水車がくるくる回っていて、庭が広くて、縁側がついている、どこからどう見てもお屋敷。でも、お屋敷の入り口には、幸福の花のギルドマークが書かれていたから、ギルドで間違いないみたい。みんな魔道四輪から降りる。エルザがドアを力強く叩くと、中から金色のおかっぱ頭に、黄色の着物を着た小さな女の子が出てきた。女の子は私たちを見ると目を輝かせて、

?「もしかして、妖精の尻尾の最強チームのみなさん!?マスター!みんな~、最強チームのみなさんが来たよ~!!あ、どうぞ中にお入り下さい。」

女の子が礼儀正しく私たちにお辞儀する。

リョ「幸福の花の魔道士は、みんなとても礼儀正しいんだ。」

ウェンディとトーヤみたいだね。私たちは女の子に案内されて、屋敷の大広間に通された。中に入ると、5人の女性が私たちに向かって頭を下げていた。そして1人が顔を上げる。幸福のギルドマスターのアカネだ。

ア「妖精の尻尾の最強チームのみなさん、私たちのわがままの為に、遠いところからわざわざお越し下さり、誠にありがとうございます。」

ア以外「ありがとうございます。」

うわぁ~、礼儀正しすぎる~。私には絶対無理!

ア「私は以前手紙で言ったとおり、幸福の花のギルドマスターのアカネと申します。そして、みなさまを案内してくれたのが、パンジーです。」

パ「初めまして。パンジーです。」

小さくお辞儀する。

ア「そして、左から・・・」

ス「スミレです。初めまして。」

サ「サクラです。お会いできて光栄です!」

ユリ「私はユリ。こんにちは。」

ナデ「ナ、ナナ、ナデシコです!よろしくお願い致します!」

すごぉ~い!みんな花の名前だ!!

ナ「俺はナツだ!んでこっちは・・・」

ハ「おいらハッピーだよ!」

マ「私はマヤ!こっちは・・・」

フ「フレイだ。よろしくな。」

ル「私はルーシィ。よろしくね☆」

リョ「俺はリョウだ。」

グ「俺はグレイ。」

ユ「私はユモス。ユモって呼んでね。」

エ「私はエルザだ。」

ショ「ショールだ。よろしくな。」

ウェ「ウェンディです。そして・・・」

シャ「シャルルよ。」

ト「トーヤといいます。以後お見知りおきを。」

それぞれが自己紹介を済ませると、

エ「では、さっそくだが始めるとするか。」

えぇっ!!もう始めるのっ!?エルザったら、アカネさんたちが困っちゃ・・・

ア「えぇ。この子たちを存分に楽しませて下さい。」

まさかのOK出たーーーーー!!

ア「この屋敷内にいる幸福の花の魔道士たちは、それぞれ戦いたい相手をすでに選んでいます。その者たちと戦ってください。手加減は禁物です。本気で戦ってください。」

この言葉に、ナツの本気モードのスイッチが入った。

ナ「本当に本気で戦っていいんだな?」

体全身から炎を噴出す。

ア「えぇ。全員女の子だと思って侮っていたら、あの子たちは怖いですから。」

ナ「うっしゃーーーーー!!燃えてきたぞーーーーー!!!」

言う前から燃えてるじゃん。私たちはいつもの組み合わせに別れ、屋敷内に散らばった。妖精と花の戦いが幕を開けた。 
 

 
後書き
第108話終了~♪
今回の相手はちょっと素朴で和風な感じでいきたいと思います。
次回はウェンディ&トーヤ&シャルルの戦い!!その相手は・・・!?
それでは、Seeyou♪
 

 

第109話 小さな忍者

 
前書き
こんにちは~!07どす~!!
今回はウェンディ&トーヤ&シャルルの対決!!戦闘場面久々に書くのでうまくいくかわかりませんが・・・
途中で目線が変わります。最初はウェンディ目線です!
それでは、第109話・・・スタート!! 

 
私たちは幸福の花(ハピネスフラワー)の魔道士さんが現れるのを心待ちにしながら屋敷内のとても長ーーーーーい廊下を歩いてました。

シャ「それにしても、無駄に長い廊下に、無駄に広い屋敷ね。」

ト「僕、こんなところで暮らしていたら迷子になっちゃいそうです。」

ウェ「私も・・・」

いったい、どこまで続いているんでしょうか?すると、

パ「見~つけた!!」

ウェ&ト&シャ「!!!」

天井からシュタッとパンジーが下りて来ました。服装は、さっきの黄色い着物から、黒い忍者のような服になっていました。パンジーは輝かせた黄色い大きな瞳で私たちを見つめると、

パ「私と勝負しよ。ウェンディちゃんとトーヤ君とシャルルちゃん。」

そう言うと、消えてしまいました。

シャ「消えたら勝負する意味ないじゃない!?」

どこ行っちゃったんでしょう?辺りを見回していると、

パ「こっちこっち~♪」

私たちの後ろで小さな手をばたつかせてはしゃいでるパンジーがいました。

ト「いつの間にあそこに!?」

ウェ「パンジー、待って~!!」

私がパンジーを捕まえようと手を伸ばしましたが、パンジーは煙のように消えてしまいました。

ウェ「あ、あれ?パンジー?」

パ「キャハハハハハハ!!」

どこからか、楽しそうに笑うパンジーの声が聞こえました。

パ「今のは私が造った幻覚だよ~♪本物の私を捕まえてね☆」

そう言ってパンジーはまた姿を消してしまいました。

シャ「すでに勝負は始まってたって事ね。」

ト「面白そうですね。」

アカネさんに手加減は禁物と言われましたからね。本気で捜さないと!でも、どうやって本物のパンジーを見分ければいいんでしょうか?

ト「僕にいい考えがあります。」

トーヤさんは、胸に左腕を置くと、

ト「我と、心を通わせ、姿を現せ!出て来い!座敷わらし!」

紫色の魔法陣からシャルルと同じくらいの背丈の赤い着物を着た座敷わらしが現れました。

座「トーヤ、久しぶり。」

ト「久しぶりだね。座敷わらし、君にお願いがあるんだ。」

座「な~に?」

ト「黒い服を着た小さな女の子を見つけてくれないかな?幻覚があって、僕やウェンディさん、シャルルさんじゃ見分けれないんだ。」

座「なぁ~んだ、そんな簡単の事なら日常朝飯前だよ。」

そう言うと、座敷わらしはじーーーっと目を凝らして本物のパンジーを捜し始めました。

ト「座敷わらしは、子供の魂を見る事が出来るんです。」

ウェ「ビックスローさんと似ていますね。」

魂って、どんな風に見えるんでしょうか?

座「トーヤ、見つけた!」

かわいらしい声を上げて、小さな白い指でふすまを指差しました。

ト「えいっ!!」

トーヤさんがふすまに向かって飛びつきましたが、

パ「おっとっと。」

素早く身をかわしたパンジーに避けられてしまいました。トーヤさんは顔面を床に打っちゃいました。い、痛そうです・・・

ウェ「トーヤさん、大丈夫ですか?」

ト「あぁ、はい。大丈夫です。」

するとまた座敷わらしが、

座「トーヤ、今度はあっち!」

さっきとは反対のふすまの方向に指差しました。今度は私が飛びつきます。

ウェ「えいっ!!」

パ「おっとっと。」

また素早く身をかわしたパンジーに避けられてしまいました。私はギリギリ顔を床に打ちませんでした。するとまた座敷わらしが、

座「トーヤ、今度はそっち!」

今度は隣の部屋の柱の方を指差しました。今度はシャルルが飛びつきます。

シャ「えいっ!!」

パ「おっとっと。」

またまた素早く身をかわしたパンジーによけられてしまいました。シャルルは柱に顔面をぶつけてしまいました。い、痛そう・・・

ウェ「シャルル、大丈夫?」

シャ「え、えぇ。なんとか・・・」

パ「鬼さ~ん、こちら!手の鳴る方へ!」

パンパン!と小さな手を叩きながらパンジーがあっちこっちに移動します。座敷わらしも目で追いつけないようです。パンジーの幻覚もどんどん増えてきます。

ト「パンジーさんは、まるで小さな忍者ですね。」

そっか、だから忍者のような服を着ているんですね。

シャ「でも、このままじゃいつまで経ってもパンジーを捕まえる事が出来ないわ。」

シャルルの言うとおりだね。何かいい方法はないかな・・・?すると、またトーヤさんが、

ト「こんなのはどうでしょう。」

再び胸に左腕を置くと、

ト「我と、心を通わせ、姿を現せ!出て来い!ゾンビ!」

紫色の魔法陣から、汚れた茶色いマントを羽織った背の高いゾンビが現れました。マントからはとてつもない臭いが漂っています。私とシャルルは鼻をつまみます。それでもまだ臭っています。

ト「ゾンビ、ヘドロ床!(ヘドロフロア)」

トーヤさんがゾンビに指示を出します。トーヤさんは、この臭いなんともないんでしょうか?

ゾ「綺麗なものは嫌いなんだっ!私のヘドロでどんどん汚れちまいなっ!!」

屋敷の床がどんどんヘドロで覆い尽くされていきます。

シャ「屋敷の床を、こんなに汚していいのかしら?」

ウェ「さぁ・・・?」

でも、トーヤさんのことだから、きっと何か考えていると思います。床が完全にヘドロで覆い尽くされました。臭いはますます酷くなりました。その時、座敷わらしが、

座「トーヤ、いたよ!」

パ「うぅ・・・く、臭い・・・」

本物のパンジーが姿を現しました。小さな手で鼻を覆っています。幻覚のパンジーは次々に消えていきます。トーヤさんはパンジーに近づいていくと、パンジーの小さな肩に優しく手を置くと、

ト「パンジーさん、捕まえました。」

パ「あ。」

この勝負は私たちの勝ちですね。

ト「座敷わらし、ゾンビ、ありがとう。ゆっくり休んでね。」

座「トーヤ、バイバ~イ♪」

ゾ「また何か汚してほしいもんがあったら、いつでも私を呼んでくれよ。」

座敷わらしとゾンビは、妖霊界に帰って行きました。

パ「やっぱり、妖精の尻尾の最強チームは、強いし、頭もいいんだね。」

勝負に負けたパンジーはなぜかとても嬉しそうです。

パ「ところで、この臭い、なんとかしてぇ~~~!!」

それは私とシャルルも同感です。

シャ「トーヤ、何とかしなさいよっ!!」

ト「もちろんです。」

トーヤさんは、再び胸に左腕を置くと、

ト「我と、心を通わせ、姿を現せ!出て来い!河童!」

紫色の魔法陣から、背中に甲羅を背負って、頭に白いお皿をのっけて、右手にキュウリを握っている河童が姿を現しました。

ト「河童、ここを綺麗にしてくれないかな?」

河「お安い御用っす!!」

すると河童は、口から大量の水を噴射しました。あっという間にヘドロは取れて、臭いも綺麗さっぱりなくなり、部屋は掃除されたようにピカピカになりました。パンジーが綺麗になった部屋を見て目を輝かせました。

パ「うわぁ~!!すごぉ~い!!勝負までしてくれたうえに、部屋までピカピカにしてくれて、ありがとうございますっ!!」

パンジーが頭を下げる。

ト「さて、他のみなさんはどうでしょうかね?」

パ「スミレ姉も、サクラ姉も、ユリ姉も、ナデシコ姉も、み~んな強いよ~♪」

ウェ「えっ?」

「姉」・・・?

ウェ「も、もしかして、みなさん、姉妹なんですかぁっ!?」

パ「そうだよ。あれ?言ってなかったっけ?」

シャ「初耳よ。」

確かに、どことなく雰囲気は似てますね。

ト「あれ?じゃあ、アカネさんは?」

パ「マスターは、私たちのお母さんだよ。ギルドではマスターって呼んでるけどね。」

パ以外「えぇーーーーーっ!!!」

家族でギルドをやっているんですかぁっ!?すごいですっ!!

****************************************************************************************

          『ここから少しだけ、アカネ目線で書きます。』

ア「あらら、パンジー負けちゃったわね。まぁ、まだ8歳だから仕方ないどすね。」

映像魔水晶(ラクリマ)の映像を見ながら抹茶を頂く。はぁ~、至福のひとときどす~。

ア「さて、スミレはどうどすかね?」

映像魔水晶の画面を切り替えた。 
 

 
後書き
109話終了どす~!!
幸福の花の魔道士は女だけの家族だった!?ちなみに、ナデシコ(19)が長女、ユリ(17)が次女、サクラ(17)が三女、スミレ(14)が四女、パンジー(8)が五女です。アカネ(38)は、5人姉妹の優しい母親です。
次回はエルザ&ショールの対決!!
お楽しみに~!!
 

 

第110話 ダブル火炎砲力弾 

 
前書き
HELLO☆07だよ☆
今回はエルザ&ショールの対決!!どんな戦いを繰り広げてくれるのか!?
途中で目線が変わります。最初はエルザ目線からです。
それでは、第110話・・・スタート☆ 

 
私とショールは、屋敷内を歩いていた。が、

エ「・・・なぁ、ショール。」

ショ「ん?」

エ「その・・・今、どこにいるか分かるか・・・?」

ショ「・・・ゴメン、分からねぇ。」

恥ずかしい事に、屋敷内で迷ってしまったのだ。このギルドはまるで迷路だな。その時、

ス「ここはギルド内で一番広い部屋ですよ。」

エ&ショ「!!?」

床の畳が開き、そこから長い黒髪に黒い瞳、薄紫色の着物を着たスミレが現れた。このギルドはまるでからくり屋敷だな。

ショ「さっきと言ってる事が違うぞ?んで、俺たちの相手は、スミレだな。」

ス「はい。妖精女王(ティター二ア)のエルザ様と、元有名マジシャンのショール様と勝負が出来るなんて、なんて恵まれているんでしょう!」

スミレの黒い瞳がキラキラ輝いている。だが、スミレは私たちよりも年下だ。見た目からして、ウ

ェンディとトーヤと同じくらいだな。やはり手加減が必要か?

ス「私をそんなに侮らないで下さいね?エルザさん。」

エ「聞こえていたか。」

すると、スミレは着物の袖から竹で出来た横笛を取り出した。

ス「お聞き下さい。」

横笛を口元に運ぶと吹き始めた。

ス「♪~~~ ♪~~~~~                            

  ♪~ ♪~ ♪~                               

  ♪~~~ ♪~~~                                

  ♪~~~~~ ♪~~ ♪~~」                          

とても心が安らぐ音色だ。渡すとショールはゆっくり目を閉じた。すると、

エ「なっ!?」                                  

いつの間にか木の枝や草や蔦が体に纏わり付いていた。

ショ「な、何で屋敷の床から!?」

畳の床からどんどん伸びてきて、どんどん私とショールの体に纏わり付く。

ス「♪~ ♪~ ♪~ ♪~ ♪~                          

  ♪~~~ ♪~~~ ♪~                             

  ♪~~ ♪~~ ♪~~                              

  ♪~ ♪~~~~~」                               

ショ「横笛の音色に合わせて伸びているのか。」

エ「なるほどな。術者が奏でる楽器の音色でありとあらゆる物を操る魔法、『奏楽』の魔法だな。」

以前本で読んで興味があって、詳しい事をリョウに説明してもらったからな。だが、この魔法は私には無意味だ。私は悠遠の衣に換装すると、

エ「ハァァァァァ!!」

自力で木の枝や草や蔦を引き千切った。

ス「あっ!!」                                      

スミレが驚き、口元から横笛を離してしまった。音色が止まり、ショールの体に纏わり付いていた木の枝や草や蔦も、灰になって消えてしまった。

ス「自力で、この魔法を・・・さすが妖精女王ですね。」

私は持っていた槍を構え直し、

エ「ハァァァァァ!!」

スミレに攻撃しようとするが、スミレが再び横笛を吹き始めた。さっきとは違う曲だ。

ス「♪~~ ♪~~~ ♪~               

  ♪~~~ ♪♪~~~~~                     

  ♪♪~ ♪♪~ ♪♪~                              

  ♪♪~~ ♪♪~ ♪~~ ♪~」                       

音色に合わせて畳の床から再び木の枝や草や蔦が伸び、私の攻撃を防いだ。

ショ「エルザ、後ろっ!!」

私の背後から蔦が伸び、慌てて槍で蔦を防ぐ。

ショ「ギアチェンジ!モード炎!!」

赤い光を纏った拳でショールがスミレに攻撃を仕掛ける。

ショ「火炎力!!」

だが、ショールの攻撃をスミレは横笛を吹きながら見事な身のかわしで全てかわす。私は黒羽の鎧に換装すると、

エ「黒羽・月閃!!」

ショ「火炎弾!!」

ス「!!!」

ショールと挟み撃ちしてスミレを攻撃する・・・が、横笛の音色は止まっていなかったため、木の枝や草や蔦によりまたしても防がれた。

エ「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・」                      

ショ「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・」                       

ス「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・」                        

全員肩で息をしている。魔力もかなり限界に近い。そろそろ終わらせねば・・・

ショ「エルザ、炎帝の鎧に換装しろ。」

エ「えっ?」

ショールの体が炎のような真っ赤の光で包まれている。まさか・・・!!

エ「合体魔法(ユニゾンレイド)をするつもりかっ!?」

ショ「さすがエルザ、飲み込みが早いな。」

ショールが私からスミレへ視線を移すと、

ショ「俺たち3人、みんな魔力も限界だ。次の攻撃でお互い最後にしないか?」

ス「そうですね。では、私は最強の攻撃で、止めを刺しますっ!!」

ショ「こっちも最強の魔法で止めを刺すぜ。」

どうやらやる気だな。私は肩を竦めると、

エ「換装!炎帝の鎧!!」

ス「耐火能力の鎧ですね。」

スミレは横笛を口元まで運ぶと、

ス「『緑の祈り』♪♪~~ ♪♪~ ♪♪~~ ♪♪~

        ♪♪♪~~~ ♪♪♪~~~ ♪♪♪~~~

        ♪♪♪~~~~~ ♪♪♪~~~~~」

今までとは一味違う、激しく、美しい音色に合わせて、木の枝や草や蔦が巨大な1つの緑色の塊になる。

ス「緑の元素!!(グリーンエレメント)」

巨大な緑色の塊が私たちに向けて投げられた。私とショールは冷静に、ゆっくり目を閉じ、腕を組む。

エ&ショ「心を1つに・・・」

私たちの体を、真っ赤な光が包み込む。2人同時にカッ!と目を開くと・・・

エ&ショ「ダブル火炎砲力弾ッ!!!」

2つの炎が合わさり、1つの炎が緑の元素を打ち破る。

ス「緑の元素が・・・!!」

そのままスミレに直撃した。ドドドドドッガガガガガガガガガガァァァァァァァァァァァァァァァンッ!!!!!と凄まじく爆発した。

****************************************************************************************

私とショールはその場に座り込む。私は炎帝の鎧から、いつもの鎧の姿に戻る。

ショ「せ・・・成功、だな。」

エ「あぁ・・・」

今の攻撃で、屋敷は半壊。その攻撃を真正面から食らったスミレは・・・

ス「わぁ・・・ギルドを半壊しちゃうなんて・・・すごいっ!!」

傷だらけになりながらも、半壊した屋敷を見て目を輝かせていた。

****************************************************************************************

          『ここから少しだけ、アカネ目線でいきます。』

ア「あらら、スミレも完敗ね。さすが妖精女王と元有名マジシャンね。ギルドも半壊させちゃうなんてすごいわっ!!」

最強チームのみなさんと戦った記念だから、あのまま残しとこうかしら?

ア「さて、サクラはどうどすかね?」

映像魔水晶(ラクリマ)の画面を切り替えた。   
 

 
後書き
第110話終了☆
エルザとショールが合体魔法しちゃったぁ~!!作者もびっくりです!!!ていうか、幸福の花(ハピネスフラワー)の人たちって、少しズレている気が・・・?
次回はグレイ&ユモの対決!!
見逃したらいけないよ☆ 

 

第111話 『御魂の桜扇』

 
前書き
呼ばれて飛び出て駄作者07で~す♪
今回はグレイ&ユモの対決!!
途中で目線が変わります。最初はグレイ目線です。
それでは、第111話・・・スタート♪ 

 
この屋敷・・・いや、このギルド、外から見てもすげぇ~けど、中はもっとすげぇ・・・

ユ「こんな広いギルドに、女6人だけしか住んでいないなんて・・・」

かなりもったいないな・・・俺たちが屋敷内をうろうろしていると、いきなり真っ暗になった。

グ&ユ「えっ?」

停電か?すると、暗闇の中で桜の花びらが舞っている。ここ、外じゃねぇよな?その中央で、クソ炎と同じ桜色の内側にカールがかかったボブヘアーに、桜色の着物に、右手に桜色に桜の模様が付いた扇を持っている。

サ「風吹けば~ 空に舞い散る 花びらよ~」

な~んか詩を読んでやがる。確か・・・サクラだっけな?

サ「お待ちしてました、グレイ様、ユモス様。」

「様」付けで呼ばれたの、ジュビア以外で初だな。んで、俺たちの相手が・・・

サ「サクラと申します。お会いできて光栄です。」

あぁ~、堅苦しい~。

ユ「それじゃあ、さっそく始める?」

サ「えぇ。本気でお願いします。」

ん?一瞬、サクラの目付きが変わったと同時に、空気も変わったような・・・すると、サクラは持っていた扇を開くと、

サ「悪の御魂よ、敵に呪いを・・・!」

サクラの周りが小さな魔力の風の渦に包まれた。その時、

ユ「っ!?」

隣にいたユモが、膝から崩れるように倒れた。

グ「お、おい!ユモッ!?」

肩を摑んで揺らすが何も反応しない。気を失ってるみてぇだ。

サ「心配要りません。しばらくすれば気がつきますよ。」

グ「ユモに何しやがったっ!!」

サ「悪の御魂の呪いを、100分の1だけ掛けただけですよ。死には至りませんのでご安心下さい。」

100分の1って・・・

サ「さて、グレイ様は私と『御魂の桜扇』のコンビネーションに勝てる事が出来るでしょうか?」

グ「挑発か?受けて立ってやるぜっ!!」

俺は両手に冷気をためると、

グ「アイスメイク、槍騎兵ッ!!(ランス)」

サ「光の御魂よ、その光で氷を溶かせ・・・!」

すると、サクラが持っていた扇が突然光だし、真っ暗だった部屋を照らした。その光で、氷の槍が一瞬で溶けて蒸発した。

サ「今の光は太陽の光と同じくらいです。」

おいおい・・・やりすぎねぇか?

サ「今度はこちらから参ります。風の御魂よ、嵐を巻き起こせ・・・!」

扇から強風が吹き荒れる。

グ「部屋の中で嵐が起きてるみてぇだ・・・!」

サ「緑の御魂よ、敵を襲え・・・!」

扇から太くて長い蔦が伸びてきた。

グ「アイスメイク、盾ッ!!(シールド)」

盾で防ぐが・・・ピキッ!

グ「げっ!!」

パキッ!ピキピキッ!と音を立てて氷の盾にどんどんヒビが入っていく。

グ「マジかよ・・・」

どんだけ威力あるんだよ・・・

サ「ハァァァァァッ!!」

パキィィィンッ!!と音を立てて氷の盾が割れた。が、俺は盾が割れる直前にその場から逃げ出した。

グ「アイスメイク、戦斧ッ!!(バトルアックス)」

サ「甘いですっ!!」

サクラは俺の攻撃をバク転してかわす。

グ「着物着てよくそんな動き出来るな。」

サ「着物を着てるだけで修行になりますから。」

そういや、リョウも似たような事言ってたな。「常に修行!」ってな。

サ「そろそろグレイ様には止めを刺しちゃいましょう。」

そう言うと、俺に扇を向けて、

サ「岩の御魂よ、敵を封じ込め・・・!」

すると、空中にさまざまな大きさの大量の岩が俺の四方八方に出現した。すると、

グ「お、おぉっ!?」

俺の体も宙に浮かび上がった。次の瞬間、大量の岩が俺に向かって飛んできた。

グ「ぐぉわぁっ!!!」

宙に浮かび、四方八方に囲まれていたため、俺はかわす間もなく岩に押し潰される。

グ「ぐ・・・うぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

が、俺は意地だけで岩を除けようとする。

サ「なんとゆうパワーなのっ!?岩の御魂よ、さらに封じ込め・・・!」

岩の数が倍になり、さらに押し潰す力が上がる。

グ「ヵハ・・・」

意識が途切れそうになったその時、岩がどんどん崩れていく。

サ「えっ?」

次第に押し潰す力も弱まっていく。そして、最後の岩が崩れ、俺は背中から落下した。が、

グ「・・・痛く・・・ない?」

背中から落ちたはずなのに、全く痛みを感じなかった。すると下から、

ユ「グ、グレイ、は、早く、降りてもらえると、ありがたい・・・」

グ「ぬおあぁぁぁぁぁっ!!!わ、わわ、悪ィ//////////////////」

ユモを下敷きにしていた。俺は慌ててユモの背中から降りる。

ユ「痛たたたたた・・・グレイ、落ちる時はちゃんと周り見てよ。」

グ「んな事、空中で出来る訳ねぇだろっ!!」

痛そうに背中を摩るユモの顔に、少し泥が付いている。ま、まさか・・・

グ「ユ、ユモ、お前がこの岩、全部崩したのか・・・?」

ユ「そうだけど、何か問題でも?」

俺とサクラの目が黒い点になる。

ユ「普通に蹴ったり殴ったりしたら簡単に崩れたよ。」

崩したのもすげぇ~し、それをあっさり笑顔で言うのもすげぇ~・・・

サ「ユ、ユモス様って、こんなに怪力だったのですね・・・さすが氷上の舞姫様ですね。」

サクラは驚いてるのか恐れているのか感心してるのか、よく分かんねぇ反応をする。

サ「それでは、今度こそ止めを刺しましょう。」

グ「望むところ・・・っ!!」

さっきの攻撃の痛みが体全身に走る。俺は肩膝を床に着く。くそっ、こんな時に・・・

ユ「大丈夫?グレイはしばらく休んでて。後は私がやるから。」

笑顔でそう言うユモの手には、すでに冷気があふれていた。

サ「今度はユモス様ですね。とてもいい勝負になる事を期待しま・・・ひぃっ!!!」

グ「・・・・・」

俺の目は、また黒い点になっていると思う。なぜなら、ユモがサクラの顔面を冷気をためた拳で殴ろうとし、顔面スレスレでその拳を止めたからだ。後5mmくらいでサクラの顔面に直撃してただろうな・・・サクラは真っ青になっていた。

ユ「ふぅ・・・どう?びっくりした?」

えぇぇぇっ!!!今の攻撃じゃなくて脅しだったのかよっ!?すると、サクラは、扇をきちんとたたみ、その場で正座をすると、床に手と額を付けて、

サ「ま、参りました・・・」

ユモに土下座をした。自分に勝ち目は無いと思ったんだろうな。それを見たユモは、

ユ「えっ?えぇぇぇっ!?ちょ、ちょっと待ってっ!!ま、まだ戦ってもいないのに、何で土下座するのぉ!?」

パニック状態だった。自分が土下座させた事に自覚無いのかよ・・・まぁ、何はともあれ勝負は俺たちの勝ちだな。

ユ「そんなの納得出来なぁ~~~いっ!!」

いや、無理にでも納得しろよ・・・

****************************************************************************************

           『ここから少しだけ、アカネ目線でいきます。』

ア「あっちゃぁ~~~~~、サクラは自ら負けを認めちゃったか。まぁ、あの拳を食らってたら・・・うぅ、考えただけでも鳥肌が・・・」

でも、このギルドに先祖代々伝わる『御魂の桜扇』を使える事が出来たサクラに負けを認めさせちゃうなんて・・・さすが氷上の舞姫ね☆

ア「さてさて、ユリはどうかしらねぇ?今日の日をあの子が一番楽しみにしてたからねぇ。」

映像魔水晶(ラクリマ)の画面を切り替えた。 
 

 
後書き
第111話終了~♪
ここで少し御魂の説明をします。
御魂は、本来神や死者の霊魂の事を言うのですが、このお話の場合は、光や岩などに憑いている魂の事です。
次回はルーシィ&リョウの対決!!
第112話でお会いしましょう~♪ 

 

第112話 ユリと『花錦剣』 

 
前書き
HEY!!07だZ!!
今回はルーシィ&リョウの対決!!そして・・・
途中で目線が変わります。最初はルーシィ目線からです。
それでは、第112話・・・スタート!! 

 
私とリョウは、屋敷内の一番奥の部屋に来たんだけど、

ル「うわぁ~~~!!」

リョ「す、すげぇ~~~!!」

そこには、彩り豊かな生け花がたくさんあったの。上品なものからシンプルなものまで、部屋中にずらぁーーーーーっと並べられている。

ユリ「その生け花は、全て母が・・・いえ、マスターが生けたものです。」

いつの間に現れたのか、若葉色の長い髪の毛を高い位置でポニーテールで結び、茶色い吊り目が特徴で、白拍子のような服を着たユリがいた。右手に剣が握られている。その整った顔立ちに白拍子の衣装はびっくりするくらいユリに似合っている。

リョ「これ全部アカネが生けたのか。」

ル「すごぉ~い!」

ユリ「マスターは花をこよなく愛する人ですから。」

ユリは優しく生けている花にそっと触れる。ユリも花が大好きなのね。

リョ「で、ユリは俺とルーシィに勝負を挑みたいんだな?」

ユリ「そのとおりです。」

ユリは手に持ていった剣を構える。それを見たリョウは目を見開くと、

リョ「お、お前が持っている剣、も、もしかして、聖剣(エクスカリバー)の1つ、『花錦剣』かっ!?」

ユリ「そのとおりです。私もあなたと同じ、聖剣使いの1人です。」

私もリョウも呆気に取られて声が出ない。とゆうか、最強の剣を持った2人がこんなところで戦って大丈夫なのっ!?

リョ「ルーシィ、悪いけど、バトルには参加しないで、ここから離れた方がいい。」

ル「えっ?」

ユリ「最強の剣同士がぶつかり合うのです。聖剣は、人を殺めてしまう事もあります。私たちは、『死』を覚悟して戦うのです。」

そ、そんな・・・

リョ「何言ってるんだ?」

ル&ユリ「えっ?」

リョ「確かに、聖剣は人を殺める時もある。でもよ、それを扱う人間が気をつければ、何の害も起こさねぇよ。でも、念のためだ。ルーシィは離れて見ててくれ。」

ル「うん。頑張ってね。」

リョ「おう!」

リョウはいつものようにVサインをした。私は2人から10mくらい離れた位置で2人の戦いを見物する事にした。ここなら2人の会話も聞こえるしね。

リョ「んじゃ、始めるか。」

ユリ「よろしくお願い致します。私は『花錦剣』でいきたいと思います。」

ユリが所有してる聖剣は『花錦剣』1本だけ。リョウの方が有利ね。

リョ「んじゃ、俺は『銀覇剣』のみでいくぜっ!!」

えぇっ!!『銀覇剣』だけで立ち向かうのっ!?ユリもリョウの態度に少し腹が立ったのか、

ユリ「あなたは聖剣を3本も所有しています。なぜ1本しか使用しないのですか。私を侮っているつも・・・」

リョ「そんなんじゃねぇって。相手が1本しか使わねぇのに、俺だけ2本も3本も使ったら卑怯だろ?俺は正々堂々と、お前と戦いたいだけだっ!!」

リョウらしいわね。

リョ「その変わり、本気中の本気でやるから、覚悟しといた方がいいぜ。」

た、大気が、震えている・・・ユリは聖剣を構えると、

ユリ「花喜切ッ!!」

桃色の光を纏った聖剣をリョウに向かって勢いよく振りかざす。が、リョウはユリの攻撃を指2本で防いじゃった・・・

ユリ「え・・・!!」

ユリは目を見開いて、私は開いた口が元に戻らないくらい大口を開けて驚いている。

ユリ「な、ならば・・・!巳花切ッ!!」

ユリの背後に桃色の蛇が浮かび上がった。

ユリ「てぇぇぇぇぇいっ!!!」

思いっきりリョウに振りかざす。が、

リョ「おりゃっ!」

ユリ「!!!」

リョウは『銀覇剣』でユリの攻撃を防いじゃった。

リョ「スピードも威力も十分あるな。ていっ!」

ユリ「うっ!!」

リョウは聖剣の柄頭でユリの腹部を殴る。結構痛そう・・・これが、リョウの本気・・・

ユリ「それは違いますよ、ルーシィさん。」

ル「えっ?」

ユリ「リョウさんは、まだ100分の1ほどしか、力を出していません。そうですよね?」

リョ「あちゃ~~~、気づいてたか。」

ル「えぇぇぇぇっ!!?」

あ、あれで100分の1!?あ、あんた、化け物か何かかしら・・・?

リョ「ルーシィ、それはユモに言ってくれ。」

確かに。ユモも格闘技でいつも100分の1しか力を出していないもんね。

リョ「今度は俺からいくぜ。一心切ッ!!」

赤色に輝く光を放ちながら、リョウは聖剣をユリに振りかざす。

ユリ「っ!!!」

ユリは必死で聖剣で防御する。

リョ「防御も十分あるな。でも、力が少し足りないな。」

リョウの方が圧倒的に力が強かった。

ユリ「くわぁっ!!!」

吹っ飛ばされながらも、ユリは聖剣を支えに立ち上がる。

リョ「そうそう、聖剣使いに一番大切なものは、粘り強さと集中力。これも、ユリには十分ある。」

ユリ「はぁ、はぁ、お褒めの言葉、感謝します。はぁ、はぁ、はぁ・・・」

ユリは、肩で息をしながらも、聖剣を持ち直すと、

ユリ「速花切ッ!!」

リョ「!!」

目では追いつけない速さで聖剣を振りかざす。リョウも今のスピードには驚いたみたいだけど、ちゃんと攻撃を避けた。

リョ「違うぞルーシィ。」

ル「えっ?」

さっきから、私が言ってる事が全部否定されてるのは気のせいかしら・・・?

リョ「ユリはちゃんと俺に傷を付けたぞ。」

そう言って自分の右頬を指差す。よく見ると、わずかだけどリョウの右頬が少し切れていて、血がほんの少しだけ出ている。

リョ「ユリが聖剣『花錦剣』に認められたわけが大体予想つくぜ。」

リョウが聖剣を構え直す。

リョ「お前は絶対、これからもっと強くなる!『花錦剣』と共になっ!!竜桜切ッ!!」

リョウの背後に青いドラゴンが浮かび上がり、ユリに向かって・・・振りかざさなかった。

ユリ「え・・・?」

リョウはユリの真横で聖剣を振りかざした。

リョ「ふぅ・・・」

リョウはそのまま何事もなかったように聖剣をしまう。

ユリ「な、なぜ、なぜ止めを刺さなかったのですかぁ!?」

ユリが驚いてリョウに問う。

リョ「だってよ、悪気もねぇやつを倒しても意味ねぇし。だよな、ルーシィ。」

ル「そうね。」

リョ「とゆうわけで、この勝負は引き・・・」

ユリ「私の負けです。」

ル&リョ「えっ?」

引き分けじゃないの?ユリはゆっくり目を閉じると、

ユリ「リョウさんの、正しき心に、心を頭を冷やされました。とても勉強になりました。ありがとうございます。」

ユリがリョウに向かって丁寧に頭を下げる。リョウは頭を掻きながら、

リョ「あ~、よく分かんねぇけど、どういたしまして?」

ユリって、とってもいい子ね。

ユリ「リョウさん、1つお願いがあります。」

リョ「お願い?俺に出来る事なら何でもいいぜ。」

ユリは『花錦剣』を両手にのせ、リョウに差し出すと、

ユリ「私の代わりに、『花錦剣』の所有者になって下さい。」

ル「えぇっ!?」

リョ「はぁっ!?」

いきなりすぎるお願いに、私もリョウも驚く。

ユリ「この勝負が終わったら、私が勝っても負けても、『花錦剣』はリョウさんに渡す事を決意してました。『花錦剣』は、聖剣の中で5番目に強い剣です。私が使っていても、ほとんど無意味です。ですから、聖十でもあり、聖剣を3本お持ちのリョウさんに使って頂けた方が、『花錦剣』も嬉しいと思うんですっ!お願いしますっ!!」

必死にお願いするユリ。リョウの判断は・・・

リョ「・・・嬉しいけど、これは受け取れねぇや。」

ユリ「!?ですが、リョウさんは7本の聖剣を全て集めたいのでは・・・」

リョ「人の奪ってまで集める必要はねぇよ。」

ユリ「違いますっ!これは私からのお願いで、決して奪ってなど・・・ひぃっ!!!」

ル「ちょ、ちょっとリョウ!!」

リョウは『銀覇剣』の刃先を、ユリの顔面スレスレの位置に向ける。リョウは真剣な眼差しでユリを見つめると、

リョ「聖剣に、守護剣士ってゆう聖霊がいるのは知ってるよな?」

ユリ「は、はい。」

リョ「聖剣は、守護剣士が認めた聖剣使いと契約するんだ。そう簡単に、所有者が代わったらダメなんだよ。」

リョウが『銀覇剣』をしまう。

リョ「『花錦剣』の守護剣士は、お前の事を認めたんだ。守護剣士の期待を裏切るなよ。まっ、どうしてもって言うなら、俺が受け取ってもいいけ・・・いてっ!」

私はリョウの額にデコピンをする。

ル「それ言ったら、今まで言った事が水の泡じゃない。」

結構良い事言ってたのに・・・

ル「まぁとにかく、リョウの言ってる事はほとんどが正しい事だから。」

リョ「そうそう。でも、どうしてもって言うなら、俺が受け・・・いてっ!」

ル「だぁーかぁーらぁー。」

そんな私たちのやり取りを見て、ユリは小さく笑った。

ユリ「お陰で少し自身が付きました。もう少し、『花錦剣』と修行してみます。」

リョ「おう!」

ル「それが一番いいわ。」

『花錦剣』が、嬉しそうに淡く桃色に光ったような気がした。

****************************************************************************************

           『ここから少しだけ、アカネ目線でいきます。』

ア「よかったどす。ユリが少し元気になってくれて。でも、結局勝負は引き分け?それとも、ユリの負け?どっちなんどすか?」

まぁ、何はともあれこれでよかったどす。

ア「さてさて、ナデシコはどうなっとるどすかね?」

映像魔水晶(ラクリマ)の画面を切り替えた。 
 

 
後書き
第112話終了~!!
『花錦剣』を受け取らなかったリョウ。これでよかったのかよくなかったのか?
次回はナツ&マヤ&ハッピー&フレイの対決!!だが、思わぬ展開に・・・!?
次回もお楽しみに~!! 

 

第113話 炎の中のマヤ

 
前書き
駄作者07です☆
今回はナツ&マヤ&ハッピー&フレイの対決!!だが、思わぬ展開に・・・!?
途中で目線が変わります。最初はマヤ目線から!!
それでは、第113話・・・スタート☆ 

 
ナ&マ&ハ&フ「ひっろーーーーーっ!!!!」

みんな揃って驚きの歓声を上げる。この屋敷、妖精の尻尾よりも広いんじゃないっ!?

ナ「随分壊しがいがあるギルドだな~。」

ハ「あい。ストレス発散にもなるね。」

マ&フ「いやいやいや、壊したらダメだからっ!!」

とゆうか、ナツにストレスってあるの?いっつも暴れまくってるからてっきり無いのかと・・・その時、ベンベケベケベケベケベケベン。

ナ「何の音だ?」

フ「三味線じゃないか?」

ベンベケベケベケベケベケベンと三味線を弾きながら、淡いピンク色と黄緑色のグラデーションの着物を着たナデシコが頬を薔薇色に染めて微笑みながら歩み寄ってきた。

ナデ「あ、わわ、わ、ナデシコです。ど、どうぞ、よ、よろしくお願い致します!」

恥ずかしがって噛みながらも礼儀正しく頭を下げる。

ナ「お前が俺たちの相手だな。」

ナデ「あ、はい。お手数掛けますが、よろしくお願い致します。」

ナデシコがゆっくり三味線を置く。

フ「久々にこのメンバーと一緒に戦えるぜ!」

フレイも人間の姿に変わる。

ナデ「そ、それでは、バトルスタートですっ!!」

合図と共に、ナツとフレイが走り出した。

ナ「先手必勝!火竜の・・・鉄拳ッ!!」

フ「ファイアメイク、剣ッ!!(ソード)」

2人とも同時にナデシコに攻撃を仕掛けるが、

ナデ「フラワーメイク、花粉ッ!!(パレン)」

ピンク色の粉が辺りを包み込む。その粉を吸い込んだナツとフレイは、

ナ「ハ、ハ・・・ハァックション!!」

フ「ヘァクッション!!」

くしゃみの連発。

ハ「ナデシコは花の造形魔道士なんだ。」

造形魔法にもいろんな属性があるんだな・・・氷に、木に、炎に、水に、花・・・

ナデ「こ、今度は私から・・・!フラワーメイク、薔薇の庭園ッ!!(ローズガーデン)」

ピンク色の魔法陣から赤やピンクや白の薔薇が伸びてくるって、

マ「こっちに伸びてる~!!」

あの棘に刺さったら絶対痛い・・・!!あの薔薇を何とかしなくっちゃっ!!でも、どうやって?う~ん・・・腕組をして考えていると、私の頭の中の豆電球に明かりが点いた。良い事思いついちゃった~♪

マ「我と契約した者よ、ここに姿を現せっ!!大熊のドラン!シカのルリ!ピィーーーーーーーーーーッ!!」

オレンジ色の魔法陣から、ドランとルリが姿を現した。

マ「ドランは薔薇の花を!ルリは私を乗せてナデシコのところへ!」

ド「グォーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」

ドランは大きな手を振り回して、爪で薔薇をかきむしっている。私はルリの背中に飛び乗ると、風のような速さでナデシコの正面に。

マ「ルリ、怒りの角でナデシコに突進!!」

ルリは迫力のある角を前に突き出してナデシコに突進していく。

ナ「火竜の・・・咆哮ッ!!」

フ「ファイアメイク、噴火ッ!!(イラプシャン)」

ナツとフレイの攻撃も加わった見事なコンビネーション攻撃!!

ナデ「フラワーメイク、開花盾ッ!!(ブルームシールド)」

ピンク色の開花した花のような盾で見事なコンビネーション攻撃を防いだっ!!

ナ「くっそ、ぜってぇ~に当たると思ったのにっ!!」

ハ「あいつ、見た目弱そうだけど中身は強いんだね。」

ハッピー、めちゃくちゃ失礼な事言ってるよ。

フ「1ヶ所で同時に攻撃するのは無理だ。3方向に別れて同時に攻撃しよう。」

ナ「おう!」

マ「OK!」

私はルリから下りて、ドランを呼び出した。

マ「ドラン、私が合図したら、ナツとフレイと一緒に別々の方向から攻撃してね。」

ド「グオ。」

私は優しくドランのお腹をなでる。ふわふわの毛は、まるで子犬のジョンみたい。すると、向こうでナツとフレイが手を振っている。攻撃する合図だ。

マ「ドラン、森の怒り!!」

ド「グオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!」

大気が震えるくらいのドランの雄叫びと攻撃の威力はは凄まじい。それと同時にナツとフレイが、

ナ「火竜の・・・煌炎ッ!!」

フ「ファイアメイク、弓矢ッ!!(アーチェリー)」

同時攻撃が決まった。だが、

ナ&フ「なぁっ!?」

マ&ハ「えぇぇぇぇっ!?」

ド「グオッ!?」

ナデ「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・」

ナデシコは立っていた。もちろん、息切れはしてるし、傷も負ってる。でも、しっかりその場に立っていた。どんだけ体丈夫なのっ!?

フ「今の真正面から食らって立っていられるなんて・・・」

ナ「いかれてるだろっ!?」

ハ「なんか違うよ。」

なぜここで漫才?

ナデ「はぁ、はぁ、昔から、5人姉妹の中で体は丈夫でしたから・・・はぁ、はぁ。」

あ、やっぱり姉妹だったんだ。雰囲気がそっくりだもん。

ナデ「さぁ、はぁ、はぁ、今度はどんな、同時攻撃でくるのですか・・・?はぁ、それとも、今度は私から攻撃しますか・・・?はぁ、はぁ。」

挑発してまで持ち応えるなんて・・・ど、どうしよう、そろそろ私たちの魔力も限界だし・・・その時、私のショーパンのポケットが光りだした。

マ「えっ?な、何ッ!?」

ハ「もしかして、火炎石じゃない!?」

恐る恐るポケットから取り出すと、ハッピーが言ったとおり、光っていたのは火炎石だった。炎のように赤く光っている。次の瞬間、私は赤い光に包まれた。

ド「グオッ!?」

ナデ「マ、マヤさん・・・?」

みんな驚いてる。

ナ「マヤが、炎に包まれている・・・」

マ「えっ?」

炎に、包まれているぅっ!?いやいやいや、炎を食べるナツじゃあるまいし、そんなわけ・・・「あるわけないじゃん。」って言おうとしたけど、言えなかった。だって、みんなの表情が困惑してるんだもん。

マ「私、本当に炎に包まれているの・・・?」

でも、熱くもないし何ともない。私は手の中で光り輝いている火炎石を見つめる。すると、光が治まった。が、私の両手が炎に包まれている。まるで、ナツの火竜の鉄拳みたい。次の瞬間、

マ「えっ?うわぁぁぁっ!!」

ナ&ハ&フ「マヤァ!!?」

ド「グオッ!?」

ルリ「!?」

私はまるで操られているかのように炎に包まれている拳をナデシコに振りかざす。

ナデ「っ!!くっ・・・キャアァァァッ!!!」

マ「ナデシコ!!」

ナデシコは拳を受け止めるが、呆気なく私に・・・いや、勝手に動いている私に吹っ飛ばされた。でも、私の拳は止まらない。炎を纏った拳でナデシコを殴り続ける。私は暴走状態になっていた。

ナデ「くわっ!!あぁぁっ!!あうっ!!イギィィィッ!!!」

ナデシコは、操られている私に殴られる度に叫ぶ。

マ「な、何で・・・何で勝手に・・・止まれ・・・!!止まれこのバカ拳ッ!!!」

私の声は自分の拳には届かず、ナデシコを殴り続ける。

マ「だ、誰か・・・止めてぇぇぇぇぇっ!!!」

私は叫んだ。叫びながらも私は殴り続ける。すると、その手を誰かが摑んだ。振り向くと、ナツだった。そして、もう片方の手をフレイとハッピーが、私の体をドランが摑む。ルリも私の服を口に銜えて必死に止めようとする。

マ「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・」

ようやく止まった私の拳は、真っ赤になっていて、私は額に大量の冷や汗をかいていた。

ナデ「マ、マヤ・・・さん・・・」

マ「ナデシコ!!」

ナデシコはその場に倒れた。フレイが駆けつけて、ナデシコの首筋に触る。

フ「大丈夫。気を失っただけだ。」

私はほっとして、その場に座り込む。私の頬をルリが慰めるように、少しザラザラしている舌で舐める。ドランも大きな手で優しく私の頭を撫でる。ナツとハッピーとフレイは、何も言わずに黙っていた。私は殴っている間もずっと握り締めていた火炎石を見る。火炎石はもう光っていなかった。

****************************************************************************************

           『ここから少しだけアカネ目線でいきます。』

ア「ナデシコ!?」

私はマヤさんに殴り続けられているナデシコの姿を見て驚きの悲鳴を上げる。でも、マヤさんの大きなオレンジ色の瞳には、涙がたまっているのが見えた。

ア「マヤさん・・・」

そして勝負はナデシコの負け。

ア「私の自慢の娘たちをこうもあっさり倒すとは、さすが妖精の尻尾の最強チームのみなさんどすね。」

私は映像魔水晶(ラクリマ)の画面を消して立ち上がる。

ア「さて、私もそろそろ行きますかね。」 
 

 
後書き
第113話終了~☆
突然暴走し始めたマヤ。それはいったいなぜ?あ、決してマヤの本心ではないのでご安心を。
次回は幸福の花(ハピネスフラワー)の5人姉妹に勝利した妖精の尻尾最強チーム。だが、勝負はまだ終わっていなかった!?
第114話で会いましょう~☆ 

 

第114話 花の滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)

 
前書き
駄作者07です♪更新遅れてスミマセン。ちょっとお葬式に行ってたんです。
今回は幸福の花(ハピネスフラワー)の魔道士を全員倒した最強チームの前に更なる相手が・・・!?
マヤ目線で書いていきます。
それでは、第114話・・・スタート♪ 

 
私は火炎石を見つめる。さっきのはいったい何だったの・・・?また、私のせいで、みんなや、関係ない人たちが傷つく事になったら・・・そう思うと恐怖と不安が頭の中を交差する。

ナ「心配すんなって。」

ハ「そうだよ。マスターも言ってたじゃん。いつかマヤにとって必要なものになるって。」

確かに、マスターとみんなを信じて持ってたけど・・・

フ「マヤらしくねぇな。そんな事でウジウジするなんてよ。まぁ、エドラスのマヤは毎日のようにウジウジしてたけどな。」

エドラスの私って、どんだけ弱虫なの?

ナ「まっ、何かあったらすぐに助けてやるから心配するなっての。」

フ「彼氏として守らないといけないからな。」

ハ「でぇきてるぅ~。」

ナ「それ、毎度毎度言ってるよな・・・」

確かに。でも、少し自信が付いた。すると、

ル「ナツ~!マヤ~!」

ショ「ハッピー!フレイ~!」

みんなが集まっていた。みんなも勝ったみたいだね。

ウェ「結構手強かったですよね。」

ユ「みんな実力はあるよね。」

ナデシコも強かったな~。後、ナデシコには悪い事しちゃったし・・・すると、

ア「お疲れ様でした。」

屋敷の奥からアカネが優しそうな笑みを浮かべながら歩いてきた。

エ「今日はお招きありがとうございました。」

ア「お礼を言うのは私たちの方どす。娘たちも満足してくれたみたいで、本当にありがとうございます。」

私たちに頭を下げると、

ア「さて、そろそろ最終決戦を行いましょう。」

ア以外「えっ?」

最終決戦?

グ「おいおい、もう全員倒したはずだろ?」

グレイの言葉にアカネは口元に手を添えて微笑むと、

ア「あらあら。みなさんの目の前にいるではありませんか。最終決戦の相手が。」

私たちの目の前?目の前にはアカネしかいないけど・・・って、

ト「も、もしかして、最終決戦の相手って・・・」

みんな見開いた目でアカネを見る。

ア「はい。私が最終決戦の相手、アカネです。」

えぇぇぇぇぇっ!!!そんな話聞いてないよ~!!

ナ「アカネはここのマスターだろ?んじゃ強いって事だよな?燃えてきたーーー!!」

マ「言う前から燃えてるじゃん。」

まさかこんな展開になるなんて思わなかったよ。

リョ「んで、アカネと戦うのは誰だ?」

ナ「絶対に俺だっ!!」

ア「いえ。最強チームのみなさま、全員で掛かって来て下さい。」

ル「私たち全員ッ!?」

ア、アカネ・・・?もうちょっと、考え直した方がいいと思うのは私だけ、かな・・・?私たち妖精の尻尾の魔道士はハッピーとシャルルを抜いても10人もいるんだよっ!?こんな大勢相手に、アカネ1人なんて・・・でも、こうゆう誘いにすぐのるのが・・・

ナ「ほぉ~。面しれぇじゃねぇか。」

グ「負けても後悔するんじゃねぇぞ。」

リョ「手加減無しだからな。」

ナツとグレイとリョウの3人。ちょっとちょっとぉ~、予期せぬ事態にどんどん進んじゃっているんですけど~・・・

ア「それでは、最終決戦、スタートどす。」

合図と共にナツとグレイとリョウが同時に攻撃を仕掛けた。

ナ「火竜の・・・鉤爪ッ!!」

グ「アイスメイク、大鎌ッ!!(デスサイズ)」

リョ「一心切ッ!!」

3人の同時攻撃が直撃する寸前、アカネの両手にピンク色の光と花びらが舞う。

ア「花竜の・・・翼撃ッ!!」

3人の同時攻撃に向かい撃った。

ナ「ぬおっ!?」

グ「くっそ!!」

リョ「ちっ。」

なんと互角だった。

ショ「あの3人の攻撃と互角ッ!?」

ウェ「し、しかも・・・」

ナ「滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)・・・」

アカネも、ナツやウェンディと同じ魔法が使えるの?

ア「驚きました?私は体内に花の滅竜魔法の魔水晶(ラクリマ)を埋め込んだ第2世代の者どす。」

マ「ナツとウェンディとは違うんだね。」

エ「だが、アカネはかなりの実力者だ。」

ユ「魔力もかなりだね。」

私は魔力を集中させる。

マ「我と契約した者よ、ここに姿を現せっ!!ライオンのキング!ピィーーーーーーーーーーーーーーッ!!」

オレンジ色の魔法陣からキングが現れる。エルザは飛翔の鎧に換装し、ユモは両手いっぱいに冷気をためる。

マ「キング、王者の牙!!」

キ「ガァァァオォォォォォォォォォォッ!!!」

エ「ハァァァァァ!!」

ユ「アイスメイク、双剣ッ!!(ダブルソード)」

また同時攻撃を仕掛けるが、

ア「花竜の・・・砕牙ッ!!」

キ「ガオ。」

エ「うっ!!」

ユ「くっ・・・」

また互角。攻撃が全然当たらないよ~!!

シャ「ほら!あんたたちも見てないでちゃんと戦いなさいよっ!!」

ル「分かってるわよっ!開け!天褐宮の扉!スコーピオン!!」

ショ「ギアチェンジ!モード水!!」

ト「我と、心を通わせ、姿を現せ!出て来い!死神!」

シャルルに背中を押されて、ルーシィとウェンディとショールとトーヤも、

ル「スコーピオン、アカネに攻撃して!」

ス「ウィーアー!!サンドバスター!!」

ウェ「天竜の・・・咆哮ッ!!」

ショ「水流弾!!」

ト「死神、呪いの鎌!」

死「ギリ。」

またまた同時攻撃を仕掛ける。が、

ア「花竜の・・・咆哮ッ!!」

ス「ウィーアー!?」

ウェ「そんな・・・!!」

ショ「・・・・・」

死「ギッ。」

またまた互角。これじゃあいつまで経っても攻撃が当たらないままだよ~!!

エ「仕方が無い。全員で同時に攻撃するぞ。」

えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!?エ、エルザ、それはちょっと危険過ぎるのでは・・・?

エ「今はこれしかアカネを倒す方法は無い。」

・・・はぁ、こうなっちゃったら、エルザは止められない。ショールの作戦で、アカネを中央に取り囲む。そして、みんな戦闘態勢をとると、

ナ「火竜の・・・剣角ッ!!」

マ「キング、王者の光!!」

キ「ガァァァァァオォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!」

ル「スコーピオン、もう1回アカネに攻撃して!!」

ス「ウィーアー!!サンドバスター!!」

リョ「2剣流・・・天翔切ッ!!」

グ「アイスメイク、大槌兵ッ!!(ハンマー)」

ユ「アイスメイク、爆弾ッ!!(ボム)」

エ「換装!黒羽の鎧ッ!!ハァァァァァァァァァァッ!!!」

ショ「水河拳!!!」

ウェ「天竜の・・・翼撃ッ!!」

ト「死神、呪霊殺!」

死「ギリ!!」

一斉にアカネ目掛けて攻撃をした。

ア「花竜の・・・花爆弾ッ!!」

アカネの周りを、フィールドのようなピンク色の光で私たちの攻撃は全て無効化された。そして、ドドドドドッッッガガガガガガガガガガァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!と凄まじい音を響かせながら、その光は私たち妖精の尻尾の魔道士に躊躇なく直撃した。

マ「ぅ・・・」

ル「つ、強い・・・」

全員、立ち上がる事が出来ない状態。キングとルーシィの星霊とトーヤのお化けはいつの間にか消えていた。

ア「それでは、止めといきますか。」

え・・・これが止めじゃなかったのっ!?

ア「滅竜奥義・・・」

グ「奥義だとっ!?」

ト「こ、こんな状態で、あんな攻撃を食らったら・・・」

ひとたまりも無い。立ち上がろうとしても、体がもう限界だった。私は目を固く閉じた。

ア「花嵐灯・・・」

パ「ダァーーーーーメェーーーーーーーーーーッ!!!」

ア「!!?」

ユ「え・・・?」

ウェ「パ、パンジー・・・?」

声のした方に首を動かすと、パンジーとスミレとサクラとユリとナデシコの5人がいた。

ア「あら、どうしたのあなたたち?」

アカネは滅竜奥義の発動を止めた。するとスミレが腰に手を当てて、

ス「もぉ~、お母さんったら、また派手にやったね。」

サ「滅竜奥義を発動させちゃ絶対ダメっていつも言ってるでしょ。」

な、なんか、お母さんが娘に説教されてる。

ア「みなさん申し訳ございません。お怪我はございませんか?」

ユリ「十分怪我してる。」

ナデ「サクラ、お願い。」

サ「任せといて。」

サクラは持っていた桜色の扇を開くと、

サ「生命の御魂よ、傷ついたものに安らぎを・・・!」

すると、ウェンディの治療魔法みたいに体力も魔力も完全に回復していた。傷まで治ってる。

パ「サクラ姉の扇はすごいんだよ~。これで傷ついた人や動物や植物まで元気にさせるんだもん。さっきナデシコ姉も回復させたんだよ。」

ナデ「私はこのとおり平気ですので、さっきの事は気にしなくて大丈夫ですからね、マヤさん。」

マ「ありがとう。よかったぁ~。」

エ「お陰で助かった。ありがとうな。」

ス「いえいえ、私たちの方こそ。お母さんは勝負になると熱中しすぎて周りが見えなくなってしまう癖がありまして、こうゆう時もしばしばあるんです。」

ア「面目ない・・・本当に申し訳ございませんでした。」

まだ謝ってる。

リョ「さぁて、そろそろ帰るか。」

ア「今日は本当にありがとうございました!」

パ「バイバ~イ♪」

ナ「また勝負しような☆」

ハ「あいっ!!」

私たちはアカネたちに見送られてギルドに向かって歩き出した。 
 

 
後書き
第114話終了~♪
まさかアカネと戦う事になるとは。私も思ってもみませんでした。
次回はマヤと火炎石の関係がついに明らかに・・・!?
見逃したら、いけないよ♪ 

 

第115話 鳳凰と火炎石

 
前書き
HELLO!07です!!
今回はついにマヤと火炎石の関係が明らかに・・・!?
マヤ目線で書いていきます。
それでは、第115話・・・スタート!!! 

 
マ「むーーーーー・・・」

私は今ギルドのテーブルの上に置いてある火炎石と睨めっこ中。

ル「マヤったら、ただ見てるだけじゃ何も分からないと思うけど。」

マ「そんなの、私も分かり切ってる事だけど、他にどうしたらいいの?」

ル「・・・・・」

ルーシィは何も言えなくなった。何であの時、私が炎を・・・?

ト「あの~、僕、ずっと聞きたかったんですけど、何で火炎石を狙う人がいるんですか?」

言われてみると確かに、何でだろう・・・?って、トーヤのせいでまた謎が増えちゃったじゃんっ!!

ト「あわわわ、ス、スミマセンッ!!」

ショ「マヤが炎・・・?」

ショールが火炎石を手に取る。

ショ「・・・何も感じないな。」

ウェ「マヤさんだけに、火炎石は反応するって事ですか?」

何で私だけ?私は火の魔法も使えないのに何で?どうせなら、ナツみたいな火の魔法を使う人が使えればいいのに。

ユ「ナツ、試しに持ってみたら?」

ナ「そうだな。」

ナツはショールから火炎石を受け取ると、

ナ「うおおおおおっ!!」

リョ「反応したのかっ!?」

グ「どうなんだよナツッ!!」

ナ「いや、ちょっとした嘘だ。」

ナ以外「はぁぁぁぁっ!!?」

エ「ナツ、ふざけているのか?」

エルザが黒いオーラを噴出。ナツの顔がハッピーみたいに真っ青になる。

ハ「フレイも持ってみたら?」

フ「え・・・!!」

ん?一瞬フレイの表情が・・・?

シャ「あんたも火を使う魔法だもんね。」

フ「・・・俺も何も反応しないと思うけどな。」

フレイは真っ青になってるナツから火炎石を受け取ると、火炎石が赤く光ったっ!!

ル「フレイも火炎石が使えるのっ!?」

私の頭の中は更にややこしくなってきた。

ショ「火炎石、マヤ、フレイ、鳳凰・・・」

ショールがぶつぶつ1人で何か呟いている。

エ「どうしたんだショール?」

ナツの耳を引っ張りながらエルザが聞くと、

ショ「いや、火炎石を使えるマヤとフレイの関係は、鳳凰だなって思って。」

ショールの言うとおり。私は鳳凰に育てられて、フレイは鳳凰の使い。なぜか必ずお母さんが関係してる。お母さんは、火炎石について何か知ってるのかな?

リョ「フレイは鳳凰からは何も聞いていないのか?マヤと火炎石の事で。」

リョウの顔が険しくなった。

フ「い、いや、俺は何も知らない・・・」

フレイの額には冷や汗が滲んでいる。やっぱり、何か知っている!!

マ「フレイ、仲間に隠し事は禁物なんだよ。」

グ「お前が何を知っているかは俺たちは分からねぇが、早く言った方がすっきりするぜ。」

ウェ「マヤさんも、それで命を狙われずに済むかもしれませんから一石二鳥ですよ。」

フ「・・・・・」

私たちがこんなに説得してるのに、フレイは何も言わない。

エ「どうしても言わぬなら、無理矢理にでも吐かせてもらうぞ。」

ユ「仲間の、マヤの命が掛かってるの。踵落とし何発で言ってくれるのかな?」

フ「・・・・・」

エルザが別空間から魔法剣を取り出し、ユモは右足に冷気をためてる。こんなかなり怒りムードになっても、フレイは何も言わない。その時、

マカ「もうよいじゃろ、フレイ。」

マカ以外「!!!??」

マスターがいつもの穏やかな表情ではなく、険しい表情で私たちの後ろに立っていた。

マカ「フレイ、約束を守るのも大事じゃが、仲間の信頼も大事じゃ。お前だって、早く楽になりたいはずじゃ。自分が困った時は、仲間は必ず助けてくれる。仲間が困ってる時は、自分が必ず助ける。人と人は繋がっているんじゃ。」

フ「・・・・・」

マスターの言葉に心を動かされたのか、フレイがやっと口を開いてくれた。

フ「火炎石は、鳳凰と関係してる者にしか使えない太古の魔法(エンシェントスペル)なんだ。」

フ&マカ以外「太古の魔法!!!??」

てか、火炎石って、魔法だったのぉっ!?

ル「鳳凰と関係してる者・・・?」

確かに私とフレイは鳳凰と深い関係があるけど・・・

フ「火炎石の炎は、本物の鳳凰の炎を体に纏って使う魔法だ。簡単に言えば、ナツの炎が鳳凰の炎って事だ。」

ショ「鳳凰の炎は、伝説ではものを燃やす事はもちろん、絶対に消えない炎で、薬の代わりにも使える特殊な炎だ。」

ト「だから火炎石を狙う人がいるんですね。」

シャ「でも、鳳凰と関係してる者しか使うことができないから、意味無いのね。」

だから私とフレイしか使えないんだね。

ユ「でも、何で火炎石がマヤの体内の中に?マヤの実の親が埋め込んだのは鳳凰と会う前なんでしょ?」

ユモの言うとおりだ。これじゃあフレイが言ってる話の辻褄が合わない。

ナ「お前、また何か隠してるのか?」

フ「全部本当の事だ。」

ナ「んじゃあ早く話せよ。」

リョ「ナツ、お前まだ分かんねぇのか。」

ナ「んだとリョウ!!もういっぺん言ってみろっ!!」

ル「こんな時に喧嘩しないでよ~!!」

ていうか、リョウは何が分かったの?エルザとショールも分かったみたいな表情してるけど・・・

エ「鳳凰と関係してる者しか使う事ができない火炎石を、マヤの実の親が持っていたんだぞ。」

ショ「お前等はここから何を推測する?」

エルザとショールの問いにしばらく考え込むみんな。すると、

ル「も、もしかして・・・」

ウェ「そうだとするなら・・・」

シャ「まるで伝統ね。」

ト「あわわわわわわわわわ・・・」

グ「おいおい、マジかよ・・・」

ユ「こんな偶然ってあるの・・・?」

私とナツとハッピー以外はみんな驚いた表情。

ナ「だぁーーーーー!!訳分かんねぇっ!!」

ハ「おいらもさっぱりだよ・・・」

マ「私も全く分かんないよ~!!」

リョ「お前等ほんとにバカだな。マヤの実の親は、マヤと同じ鳳凰に育てられたって事だ。」

マ&ハ「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」

ナ「本当なのかフレイ!!」

フ「本当だ。マヤの実の親、ヤスジ・ララルドとマミ・ララルドは、鳳凰に育てられたんだ。2人とも魔法が火炎石だったからな。」

私は開いた口が塞がらない。びっくりしすぎて何も言えないや・・・

フ「俺は鳳凰の使いとして、火炎石を持つ者を300年以上見守ってきたんだ。」

フ以外「300年!!!??」

あんた、いったい何歳なのっ!?

フ「さぁな。俺が火炎石について知ってるのはここまでだ。その・・・隠してて、悪かったな。」

今までの話が全部信じられない・・・火炎石はお母さんの炎で、実のお父さんとお母さんも、お母さんに育てられた・・・そして、フレイが300年以上生きている事・・・

ル「なんか全部信じられない話だけど、面白い話だったわね。」

ショ「フレイは、人間の姿の時は、俺たちと同い年くらいに見えるけどな。」

ウェ「まさか、300歳以上なんて・・・」

マカ「わしより歳をとっているとは思わなかったのぉ~。」

シャ「いくら鳥でも人間でも、有り得ないわね。」

グ「鳥人間なら、有り得る事なんじゃねぇか?」

シャ「そうゆう問題じゃないと思うんだけど・・・」

ナ「まっ、人間でも鳥でも鳥人間でも、フレイは俺たちの仲間だ。」

みんな火炎石の事よりフレイの歳の方に驚いてる。

フ「マヤ。」

フレイが私の肩にとまる。

フ「火炎石は、もうお前の魔法だ。慣れれば鳳凰並の炎で勝負する事も出来るからな。」

鳳凰並の炎・・・想像するだけで迫力がすごすぎる!!

フ「でも、扱う時は十分注意しろよ。人を殺める可能性もあるからな。」

マ「それを早く言ってよ!!」

でも、これでスッキリした。今まで考えて悩んでいた火炎石の事がわかったんだもん。 
 

 
後書き
第115話終了!!
火炎石はマヤの実の親から受け継いだものだった!!いやいや、驚きの真実でした。
次回は再びユモに悲劇が・・・!?
お楽しみに~!! 

 

第116話 グレイVSハルト 最後の戦い

 
前書き
はいど~も☆07で~す☆
今回は再びユモに悲劇が・・・!?いったいどうなる!?
途中で目線が変わります。最初はグレイ目線からです。
それでは、第116話・・・スタート☆ 

 
グレ『ハルトは、またユモスを殺しに来ると思う。』

あの時、夢(?)で言っていたグレンの言葉が頭の中から離れずにいた。・・・本当に、ハルトがまたユモを・・・

マ「ユモ?ねぇユモ、ユモったら!!」

ユ「ひゃあっ!!な、何?」

マ「どうしたの?さっきから浮かない顔して。」

ユ「あ、あぁ、ちょっと寝不足でね。」

あーーー、分かりやすい。ユモは相変わらず嘘をつくのが下手だな。

ル「ユモ、これから仕事に行こうと思うんだけど、ユモも一緒に行かない?」

ルーシィの誘いにユモは、

ユ「あ、ゴメン。今日はちょっと用事があるんだ。また今度一緒に行こう。」

ル「そっかぁ~。ユモがいればナツもあまり大暴れしないと思ったんだけどな~。じゃあ、今度一緒に行こう。約束よ。」

ユ「OK!!じゃあ私、そろそろ帰るね。」

ル「また明日ね、ユモ。」

ユ「うん。」

グ「おい、ユモ。」

ギルドを出ようとするユモを俺は呼び止めた。

グ「俺も用事があるんでね、ほら急ぐぞ。」

ユモの手を摑むと、強引に外に連れ出した。

ユ「えっ?ちょ、ちょっと!!強引すぎるって!!」

****************************************************************************************

              『ここからユモ目線でいきます。』

ル『また明日ね、ユモ。』

私に・・・『明日』ってあるのかな・・・?とゆうか、何で私はグレイと一緒にいるのかな?すると、グレイが立ち止まって、

グ「んで、何隠してんだ?」

ユ「えっ?」

いきなりの事にびっくり。

ユ「な、何の事かな~?」

笑って言ったつもりだった。だけど、グレイは小さくため息をつくと、

グ「お前、ほんっと嘘つくの下手だよな。」

・・・やっぱり、バレた?グレイの勘はすごいな~。

グ「とぼけても無駄だからな。お前はいっつも1人で抱え込みすぎなんだよ。少しは俺たち・・・お、おい////////////」

自分より背の大きい人を抱き締めたのは人生初//////////

ユ「グレイ、ゴメン・・・!」

グ「えっ?・・・ぐわっ!!」

グレイの鳩尾にかなり強い拳を1発。人を気絶させるには、ここが一番効果的なんだよね。グレイは、糸が切れた操り人形みたいに、そのまま地面に倒れた。

ユ「本当に、ゴメン・・・ありがとう・・・」

涙が頬を伝った。私はすぐに手で涙を拭うとある場所に向かって走り出した。

****************************************************************************************

ユ「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・」

ここはとある森の奥深く。風で揺れる葉の音と、私の呼吸の音しか聞こえない。

ハ「待ってたぜ。ユモス。」

ユ「!!ハルト・・・」

音も無く姿を現したのはハルト。背中に剣を1本背負っている。

ハ「今回は必ずお前を闇のどん底に突き落としてやる。誰も来ない、闇の世界にな。」

ハルトの闇のような黒い瞳が怪しく光る。今回は本気だ・・・

ハ「それにしても、臆病だったお前が格闘技とはねぇ。」

ユ「ハルトだって、とっても内気だったじゃない。」

ちょっとした昔話。よく街の草原で、お兄ちゃんとハルカさんとハルトと一緒に遊んだのを覚えている。その直後だった。デリオラが街を襲いに来たのは。

ハ「お前のせいで、グレンは死に、後を追いかけるように姉ちゃんも死んだ・・・こんな事になったのはユモス、お前のせいだっ!!」

それはずっと前から理解してる事だった。

ハ「お前はここで終わりだ。」

ハルトは、背負っていた剣を持ち、刃先を私に向ける。

ハ「消え失せろっ!!ユモス・クオリナァァァァァァァァァァッ!!!」

ハルトが怒鳴りながら私に剣を振りかざしてくる。7年前から『死』は覚悟が出来ていた。私はゆっくり目を閉じた。でも、いつまで経っても私に剣は振り下ろされない。恐る恐る片目を開けると・・・

ユ「グ、グレイ・・・」

グレイが氷でハルトが振りかざした剣を受け止めていた。

ハ「またてめぇか。」

グレイはハルトの言葉に聞く耳も立てずに、後ろにいる私を抱き締めた・・・って、これってさっきの逆バージョンだよね?その時、

ユ「がっ!!」

今度は私の鳩尾にグレイの強烈な拳が1発。

グ「さっきのお返しだ。」

私は気を失う直前、私は目の当たりにした。初めて見る、グレイの怒りのオーラを・・・

****************************************************************************************

            『ここからまたグレイ目線でいきます。』

俺は気を失ったユモを木に寄り掛からせる。

ハ「お前はバカか?仲間をそんな手荒なやり方で気絶させるなんてよ。」

ハルトは俺を見くびるように言う。

グ「・・・・・で・・・」

ハ「あ?よく聞こえねぇな。もう1回はっきり・・・」

グ「お前のせいで、ユモがどれだけ苦しんでるか分かるかっ!!!」

森中に俺の声がこだまする。

ハ「俺はユモスに苦しみや悲しみを与えるのが好きなんだ。」

グ「てめぇ~・・・」

俺の怒りはすでに爆発していた。

ハ「お前ともいつかリベンジしようと思ってたんだ。せっかくだから、俺と賭けでもしねぇか?」

グ「賭けだと?」

ハ「この勝負、俺が勝ったらユモスを殺す。」

グ「俺が勝ったら、二度とユモに近づくな。」

こんなやつにユモはやらせねぇ。この勝負、ぜってぇ~に負けられねぇっ!!!俺はすぐさま両手を構え、冷気をためると、

グ「アイスメイク、戦斧ッ!!(バトルアックス)」

俺の攻撃をハルトは宙返りでかわした。

ハ「俺だって力をつけているんだ。闇魔法、闇剣!(ダークソード)でぇりゃぁぁぁぁぁっ!!!」

真っ黒な剣を俺に向かって振りかざす。

グ「アイスメイク、盾ッ!!(シールド)」

ギリギリでなんとか防ぐ。

ハ「聞こえなかったか?俺だって力をつけているんだって。」

ピキッ!パキッ!

グ「げっ!!」

ハ「でぃやぁぁぁ!!!」

パリィィィン!!

グ「うがっ!!」

盾が割れる直前にかわそうとしたが、ハルトの方がスピードが速かった。俺は左腕を重症。

ハ「造形魔法は両手で使うのが基本。片手だとバランスが悪く、いざとゆう時に力がだせねぇ。ようするに、お前は今不利な状態だ。」

グ「ちっ・・・」

頭の中は闇に染まってても、魔法の知識だけは豊富なんだな。氷で止血するが痛みは変わらねぇ。

ハ「闇魔法、闇鎖!(ダークチェーン)」

ハルトの手から黒い鎖が飛び出す。俺はその場から動く事が出来なく、鎖に体を締め付けられた。鎖は首も締め付ける。

グ「ぐぁ・・・ぁ、ぁぁ・・・ぁ、ぁぅ・・・」

ハ「闇は命の時を止める事ができる。お前も闇の餌食になりやがれぇぇぇぇぇっ!!!」

さらに締め上げられる。

グ「ぁぁ・・・ぁ・・・」

途切れそうになる意識の中、薄っすら片目を開ける。ぼやける視界の中、ハルトの体の周りは闇に染まっているのがはっきり見えた。意識が吹っ飛ぶ直前、

グレ『ユモスの事は、お前に全て任せるぜ。後、出来ればハルトを闇から救ってくれ。』

またグレンの言葉が頭の中を駆け巡った。そうだ・・・任された、んだった、よな・・・俺はある限りの魔力を全て放出した。

グ「おおおおおおおおおお・・・!」

ハ「!!?」

足元の大気が少しだけ震えているのが分かった。

グ「おおおおおおおおおお・・・!!」

バキッ!

ハ「闇鎖が、破壊されてくだと!?」

バキッ!!バキンッ!!

グ「おおおおおおおおおおっ!!!」

バキィンッ!!!

ハ「ぐ・・・!!」

グ「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・」

倒れそうになりながらも、必死に堪える。

グ「はぁ、はぁ、氷も・・・命の、時を・・・はぁ、止める事が、できる・・・はぁ、はぁ。」

俺は残りの全魔力を両手にかき集める。

グ「それと、はぁ、はぁ、闇に、はぁ、はぁ、落ちたやつの・・・光を、はぁ、取り戻す事が、出来る・・・!!」

冷気と魔力をためた両手を前に突き出し、

グ「氷欠泉ッ!!(アイスゲイザー)」

ハ「ぐあぁぁぁっ!!」

グ「氷雪砲ッ!!(アイス・キャノン)」

ハ「うぉあああああああっ!!」

グ「氷刃・七連舞ッ!!!」

ハ「ガァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」

****************************************************************************************

グ「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・」

俺は地面に膝を着き、呼吸を整える。ハルトは地面に大の字になっていた。俺はふらつく足取りで立ち上がり、ハルトに手を差し出す。

ハ「!!?」

グ「た、立てるか・・・?」

ハ「俺を、バカにするな・・・」

ハルトは顔を引きつらせながら起き上がる。

ハ「賭けは賭けだ。二度とユモスには近づかねぇよ。」

そう言ってそっぽを向いたハルトの顔はどこか悲しそうに見えた。

グ「・・・お前もさ、少しは素直になれよ。今までの罪を償って闇なんか吹っ飛ばしちまえよ。」

ハ「・・・あぁ。」

それだけ言うと、ハルトは瞬間移動(テレポート)して姿を消した。俺はその場に仰向けになる。

グ「や、やべぇ・・・魔力、使いすぎたな・・・」

上を見上げると、

グレ「いくら何でも無茶しすぎだっつーの。」

グ「!!?」

首だけを動かして後ろを向くと、グレンがいた。

グレ「本当にやってくれるとはな。ありがとな、グレイ。」

グレンは俺に手をかざす。次第に魔力も体力も完全に回復し、怪我も治っていた。

グレ「お前には言葉に出来ないくらい感謝してるぜ。」

グ「そりゃどうも。」

てか、口に出せばどんな事でも言葉に出来るだろ。

グレ「・・・実はな、ユモスを殺そうとするやつが他にもいたんだ。」

グ「なっ!!?」

俺は飛び起きた。

グレ「今度は俺が知らねぇ人物だ。たぶん、俺が死んでからユモスに恨みを持ったやつだ。」

グ「また、ユモは命を狙われる事になるのかよ・・・!!」

ユモには、不幸しか訪れないのかよ・・・!俺は拳を握り締める。

グレ「・・・今度は薄紫色の長い髪の毛に、白いローブを着た女だ。いつユモスの前に姿を現すかも分からねぇ。」

グ「女だろうが男だろうが、超人だろうが何だろうが、ユモは必ず、俺が守るっ!!」

グレ「そう言ってくれると思ったぜ。」

そう言うと、グレンの体がだんだん透けてきた。

グレ「またお前には世話になるぜ。それじゃあな、グレイ。」

青白い光と共に、グレンは姿を消した。俺は未だに気を失っていて木に寄り掛かっているユモを見る。

グ「必ず、守るからな。」

風が吹き、ユモの水色の髪の毛をなびかせた。 
 

 
後書き
第116話終了~☆
ハルトはユモスを諦めたみたいです。だが、ユモに迫るまた新たな敵が・・・!?
次回はちょっとルーシィの家を訪問しちゃいま~す♪あ、不法侵入ではないのでご安心を。
第117話でお会いしましょう~☆ 

 

第117話 ご馳走パーティ!!

 
前書き
ヤッホ~♪07で~す♪
今回はちょっとルーシィの家を訪問しちゃおう!!あ、不法侵入ではないのでご安心を。
ルーシィ目線で書いていきますよ。
それでは、第117話・・・スタート♪ 

 
ル「♪~ ♪~~~ ♪~~~~~」

プ「ププーン。」

私は鼻歌を歌いながらプルーと一緒に河川敷を歩いていた。

ル「明日は最強チームのみんなで楽しいお仕事の日~♪家賃が払える~♪」

プ「プーン。」

船「ルーシィちゃん危ねーぞ。」

ル「ヘーキヘーキ♪」

さすがにこんなところでは落ちない・・・と思ったのも束の間、ズルッ!!

ル「えっ?・・・キャァァァ!!?」

プ「ププーン!!?」

船「ルーシィちゃん!!?」

う、嘘でしょ!?落ちるぅぅぅぅぅっ!!・・・あ、あれ?落ちて、ない・・・?恐る恐る目を開けると・・・

リョ「ギ、ギリギリセーフ・・・!!」

ル「リョウ!!」

リョウが私の手首を摑んでいた。下を見ると、水面ギリギリ。

ル「ありがとうリョウ。」

プ「ププーン!!」

リョ「おっ!プルーじゃねぇか!久しぶりだな。そうだ、これやるよ。」

リョウはプルーの頭を撫でると、ふところから棒付きキャンディーを取り出してプルーに渡した。

プ「ププーン♪」

プルーの大好物だもんね。プルーはおいしそうに食べる。

ル「そういえば、何でリョウがここにいるの?」

リョ「商店街で晩飯の買出しの帰りにいつもここを通るんだ。で、偶然ルーシィとプルーを見つけて、ルーシィが川に落ちそうになったところに来たってわけだ。」

なるほどぉ~。ん?晩飯?そうだっ!!

ル「ねぇリョウ、よかったら、私の家で夕食食べて行かない?」

リョ「えぇっ!?」

プ「プーン!?」

何でプルーまで驚くのかしら?

ル「助けてもらったお礼よ。」

リョ「んじゃ、お言葉に甘えていただきに行きますっ!!」

とゆうわけで、リョウは私の家で夕飯を食べる事になりました☆

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リョ「へぇ~、ここがルーシィの家か・・・」

リョウは私の家を上から下までじっくり見てる。そんなに見なくてもいいと思うけど・・・

リョ「家賃7万Jにしては随分でかいんだなぁ~。」

ル「何で知ってるのっ!?私の家の家賃が7万Jって!?」

リョ「ナツとハッピーが教えてくれたんだ。」

口が軽いんだからぁ~~~!!!とにかく、怒りを抑えてリョウを部屋に案内する・・・でも、その前に、

リョ「どうしたんだルーシィ?自分の家なのにまるで泥棒が入るみたいな動作して?」

ル「アハハハハ、も、もし泥棒がいたらどうしようって、ね、プルー。」

プ「プーン?」

さすがに、時々不法侵入する人(ナツ、ハッピー、グレイ、エルザなど・・・)がいるとは言えないわ・・・で、今は誰もいないみたい。よかったぁ~。

ル「リョウは何が好きなの?」

ピンク色のエプロンを着けながらリョウに聞いてみる。手料理を振舞うなら相手の好きなものを作った方がいいわよね。

リョ「ルーシィが作ったものなら何でも食えるぞ。」

もぉ~、口が旨いんだからぁ~。

ル「じゃあ、私の得意料理作るわね。待っている間リョウはプルーと一緒に遊んでて。」

リョ「了解☆プルー、俺と何してるか?あ、さっきの棒付きキャンディーならまだあるぞ。」

プ「ププーン♪」

リョウとプルーは気が合うみたいね。さぁ~て、何を作ろうかな?その時、

ナ「よぉ!ルーシィ!!」

マ「おっじゃましま~す♪」

ハ「あいさ~!!」

フ「ど~も~。」

ル「えぇぇぇぇぇっ!!?」

な、なな、何でこのタイミングでナツとマヤとハッピーとフレイが来るのぉっ!?

リョ「よぉ!一足先にお邪魔してるぜ~。」

プ「プーン。」

ナ「おっ!リョウじゃねぇかっ!!」

マ「あれ?もしかして、でぇきてるぅ~のお邪魔だった?」

リョ「ルーシィが晩飯作ってくれるって言うから、お言葉に甘えてな。」

グゥ~~~~~とナツとマヤとハッピーとフレイの腹の虫が鳴った。この展開は・・・

ハ「そういえば、おいらたちもまだ食べていなかったよね。」

ナ「だな。とゆうわけでルーシィ、俺たちもご馳走になるわっ!!」

ル「まだ私何も言ってないんだけどぉっ!?」

まぁいっか。このまま帰ってもらうのも悪いしね。料理はマヤも手伝ってくれた。マヤって、以外に料理上手なのね。

マ「時々、ミラやユモに教わっているんだ。」

へぇ~。私が卵を割ってかき混ぜていると、

ユ「こんばんわ~。」

グ「ルーシィ、いるか~?」

ル「えぇぇぇぇぇっ!!?」

今度はグレイとユモが来たぁ~~~っ!?

ナ「よぉ!お前等!!」

グ「やっぱりいると思ったぜ。」

ユ「グレイの勘は相変わらずすごいね。あ、ルーシィ、これおそそ分け。」

ユモが保存用タッパに入れた煮物を持って来てくれた。すごくおいしそう~。すると、

ショ「あれ?グレイとユモじゃねぇか。」

ウェ「ルーシィさんこんばんわ。」

ル「えぇぇぇぇぇっ!!?」

エルザとショールとウェンディとトーヤとシャルルも来たぁ~~~っ!?

フ「まさかの全員集合だな。」

エ「お前たちもいたのか。」

ト「ルーシィさんの家は大人気なんですね。」

シャ「ただ騒ぎに来ただけだと思うけど。」

さすがシャルル、大正解よ。仕方なく、今夜は私の家で最強チーム全員夕飯を食べる事になったわけ。ユモとエルザとウェンディとシャルルも手伝ってくれたからかなり豪華でたくさんの料理が出来上がっちゃった。

ナ&グ&リョ「すっげーーー!!!」

ショ「随分たくさんあるな。」

ト「どれもおいしそうですね。」

フ「おいハッピー、焼き魚と激辛麻婆豆腐もあるぞっ!!」

ハ「ヤッターーー☆」

ル「この2品はマヤの手作りよ。」

マ「ルーシィの家に魚と豆腐があってよかったよ。」

偶然あったのよね。

グ「この肉じゃがは・・・」

ル「肉じゃがはユモの手作りよ。」

ユ「味付けに自身ないけど・・・」

さっき味見してみたけど、すごくおいしかったわよ。さっきもらった煮物も置いてある。

ショ「ものすごく豪華な料理が1つだけあるけど・・・」

ル「それはエルザが作ったのよ。」

エ「私の自信作だ。」

なんか見た目だけでもすごいのに、味もすごそうね・・・

ト「新鮮な野菜をたっぷり使ったこのサラダは・・・」

ル「そのサラダはウェンディとシャルルが作ったのよ。」

ウェ「野菜はルーシィさんの冷蔵庫にあったものです。」

シャ「ドレッシングは私たちのお手製よ。」

2人とも楽しそうに作ってたもんね。

リョ「13人分あるオムレツは・・・」

マ「それはルーシィの手作り!!」

私の得意料理なの。でも、さすがに13人分も作ったのは人生初だわ・・・

ナ「早く食べようぜ。俺腹減った~。」

ハ「あい。おいらペコペコだよ~。」

エ「それじゃあ・・・」

全「いただきまーーーーーす!!!!!」

みんな次々に料理を口に運んでいく。

ショ「!!うまい!!!」

リョ「絶品じゃねぇか!!」

マ「ユモ、肉じゃがおいしいよ。」

ユ「マヤの麻婆豆腐もおいしいよ。」

私のオムレツも好評だった。特にリョウからは。

****************************************************************************************

あんなにあった料理はあっという間に全部無くなっちゃった。やっぱ最強チームの胃袋ってすごいわね。

グ「ふぅ~。食った食った。」

ト「ご馳走様でした。」

ご馳走パーティーはあっという間に終わっちゃった。 
 

 
後書き
第117話終了~♪
ルーシィの家って本当に大人気ですよね~。
次回はマグノリアの街に・・・!?
また次回お会いしましょう~♪ 

 

第118話 竜狩り(ドラゴンハンター)現る

 
前書き
イエーイ!!07だZ
今回はマグノリアの街に・・・!?
ショール目線で書いていきます。
それでは、第118話・・・スタート!! 

 
夏も終わりに近づき、マグノリアは秋にさしかかろうとしていた。季節が変わろうとしても妖精の尻尾はいつもお祭り状態だ。

シャ「春夏秋冬変わりなくうるさいんだから。」

ル「で、その中で一番うるさいのが・・・」

俺とルーシィとユモとウェンディとトーヤとシャルルは同時に深いため息をつく。

ナ「今何つった?変態野朗、ポジティブ野朗。」

グ「何度でも言ってやんよ、バカアホリョウ、クソ炎。」

リョ「いい加減にしろよ、単細胞、クソ氷。」

額同士をぶつけて睨み合ってるナツとグレイとリョウの3人。それをなぜか楽しそうに見物するマヤとハッピーとフレイ。それと、怒りの黒いオーラをむき出しにしたエルザ。3人はそのオーラが近づくと、

リョ「今日も仲良く行ってみよーーー!!」

ナ&グ「あいさーーー!!」

ハ「おいらの真似しないでよ~。」

エ「うむ。仲が良いのは良い事だ。」

おいエルザ、さっきまでの怒りの黒いオーラはどうしたんだよ?

ユ「ショールとトーヤは絶対喧嘩しないよね。」

ト「僕はお茶を飲みながら喧嘩を見てる方が好きなので。」

ショ「俺もコーヒー飲んでる方が好きだからな。」

ウェ「場と場の空気が違いすぎますね。」

こんなやり取りをしながら今日までずっとギルドで過ごしてきた。まぁ、騒がしいとゆうのが、このギルドのモットーだから、これが自然なのかもしれない。で、今日も入れたてのコーヒーを飲みながら喧嘩を見物していると、

マ「誰か来たみたいだよ。」

フ「依頼人か?」

マヤとフレイの声に全員ギルドのドアの方に首を動かす。喧嘩をしていたナツとグレイとリョウの3人も喧嘩を止めてドアの方に目を向ける。ドアの前にはトーヤが羽織っているのと似たような茶色いローブを羽織った5人の男女がいた。全員、フードを被っているので顔が見えない。すると、1人の男が、

?「このギルドに、ナツ・ドラグニルと、ウェンディ・マーベルと、ガジル・レッドフォックスはいるか?」

その時、俺の頭の中に何かが見えた。『予知』だっ!!あの5人にナツとウェンディとガジルが連れ去られていく・・・!!そこで『予知』は途切れた。シャルルも青い顔をしている。たぶん、俺と同じような事を予知したんだろう。

ナ「俺がナツだ。なんか用か?」

俺は5人に向かって歩き出したナツの手を慌てて摑む。シャルルもウェンディの前に立つ。

ナ「ん?どうしたんだショール?」

ウェ「シャルル?どうしたの?」

シャ「ウェンディ、あいつ等のところに行っちゃダメよ。」

ウェ「えっ?」

ショ「ナツ、ガジル、お前等もだ。」

ナ&ガ「はぁ?」

俺とシャルル以外は全員頭の上に?を浮かべている。

エ「ショール、どういう事だ?」

エルザが聞いてくるが、今はそれに答える暇がない。すると、1人の男が、

?2「リューバ、あの黒髪の男とあの白猫、『予知』が使えるんだ。俺たちの企みがバレタかもしれない。」

ショ&シャ「!!」

リョ「企み?」

何であいつ、俺とシャルルが『予知』が使えるって知っているんだ・・・?

リュ「なるほどな。ならば、俺たちの計画には邪魔だ。ミーシャ。」

ミ「OK。」

ミーシャと呼ばれた女が、俺とシャルルに向かって腕を突きつけると、

ショ「!?ぐわぁっ!!!」

シャ「!?キャア!!!」

見えない何かで吹っ飛ばされた。

レ「ショール、シャルル、大丈夫?」

傍にいたレビィが駆けつける。

リュ「カルロ。」

カ「了解。」

今度はカルロと呼ばれた男が両腕を下から上へ振り上げると、ギルドの床を突き破って土が蛇のように飛び出した。カルロは土を自在に操ると、ナツとウェンディとガジルを捕らえた。

ナ「うおっ!?」

マ&ハ&フ「ナツ!!!」

ウェ「キャア!!」

ル&シャ「ウェンディ!!」

ガ「いきなり何だっ!?」

レ&ジェ&ド「ガジル!!!」

ナツとウェンディとガジルは、カルロと共に瞬間移動(テレポート)して姿を消した。全員唖然呆然状態。

リュ「3人の第1世代の滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)、捕獲完了。」

捕獲だとっ!?

リョ「お前等、竜狩り(ドラゴンハンター)かっ!?」

ト「竜狩り?」

エ「最近、フィオーレ王国中で話題になっている数々のギルドに所属している第1世代の滅竜魔道士を何らかの理由で攫う奴等の事だ。」

リョ「奴等が今まで攫った第1世代の滅竜魔道士の数は20人程。今は評議会でも指名手配されている奴等だ。」

ユ「ナツとウェンディとガジルは第1世代の滅竜魔道士・・・」

狙われる可能性はあったって事かよっ!!

リュ「今攫った奴等を助けたければ俺たちの本部を探すんだな。まっ、今までやって来た奴は1人もいねぇけどな。」

グ「仲間を見捨てたって事かよっ!?」

ル「酷い・・・酷すぎる・・・!!」

リュ「それが人間とゆうものだ。それじゃあな、哀れな妖精さんのみなさん。」

リューバたちは瞬間移動で姿を消した。

ショ「くそっ!!」

俺は拳で床を殴る。『予知』していたのに、分かっていたのに・・・!!

エ「ショール、お前のせいではない。」

エルザは俺の肩に手を置いて言うが、俺は自分が情けなかった・・・

マカ「自分を責めるな、ショール。」

ショ「マスター・・・」

マスターが杖を突きながらドアの前まで歩く。

マカ「竜狩り・・・まさかこの街まで襲ってくるとはな・・・お前たちに最初から話しておけばよかったの。わしの方こそすまない。」

マ「マスターのせいじゃないよっ!!私たちだって、ただ呆然と見てる事しか出来なかったんだもん・・・」

みんな下を向く。

マカ「仲間を助けるのが仲間。最強チーム!!」

マスターに呼ばれ、俺たちは顔を上げる。

マカ「竜狩りの、奴等の本部へ行って、ナツたちを助けに行って来いっ!!そして、他にも捕らわれた滅竜魔道士を助けに行って来いっ!!どんなに時間が掛かってもよい。必ず、仲間を、家族を助けるのじゃぁぁぁっ!!!」

その言葉に、俺たち最強チームの心に火が点いた。

リョ「行くぞっ!!」

リョウの声と共に俺たちはギルドを飛び出した。妖精と竜狩りの戦いが幕を開けた。 
 

 
後書き
第118話終了!!
第1世代の滅竜魔道士を攫う竜狩り。やつらの企みとは・・・!?ナツたちの運命は・・・!?
次回は竜狩りの本部探しを続ける最強チーム。そこで出会ったのは・・・!?
それではSeeyou!! 

 

第119話 リューバの企み

 
前書き
呼ばれて飛び出てジャジャジャーーーン☆07です☆
今回は竜狩り(ドラゴンハンター)の本部を捜索中の最強チームの前に現れた人物は・・・!?
途中で目線が変わります。最初はナツ目線です。
それでは、第119話・・・スタート☆ 

 
ナ「うおっ!!」

ウェ「キャア!!」

ガ「ふがっ!!」

俺たち3人は変な奴等に連れて来られて真っ暗な部屋・・・いや、独房(?)に放り出された。

ナ&ガ「てめぇ何しやがるっ!!真似すんなっ!!」

カ「うるさい竜(ドラゴン)だな。」

俺たちをここまで連れてきた男が頭を掻きながら言う。

カ「俺は竜狩り(ドラゴンハンター)の1人、カルロ・チュラル。第1世代の土の滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)だ。」

ナ&ウェ&ガ「!!!」

滅竜魔道士!?こいつがかっ!!?

リュ「ご苦労だったな。カルロ。」

奥からまた変な奴が出て来た。カイロはそいつに敬礼する。

カ「俺はカルロだ。体を温める物じゃない。」

んなのどうでもいいじゃねぇか。

リュ「相変わらずバカだな。火竜(サラマンダー)のナツ・ドラグニル。」

ナ「んだとごらぁ!!!」

俺はそいつに殴り掛かろうとしたが腕が届かなかった。ちくしょーーーっ!!!

リュ「俺は竜狩りのリーダー、リューバ・フォンカー。第1世代の黒の滅竜魔道士だ。」

ガ「お前も滅竜魔道士か。」

ウェ「しかも、第1世代・・・」

何だ何だ?単なる偶然か?それとも・・・

リュ「火竜、天空の巫女、鉄竜(くろがね)のガジル、お前たちは俺たちのエネルギー源となる。」

ナ&ガ「・・・はぁ?」

ウェ「・・・へっ?」

何言ってんだこいつ?ぶっ壊れたのか?

リュ「お前のように壊れてはいない。」

ナ「んだとごらぁ!!!」

またリユースに殴り掛かろうとするが、やっぱ届かねぇ・・・ちくしょーーーっ!!!

リュ「俺はリューバだ。エコ活動じゃない。詳しい事は後程説明する。行くぞ、カルロ。」

カ「はい。リューバ様。」

リユースとカイロは奥の部屋へと姿を消した。つーか、

ナ「ここから出しやがれぇっ!!!」

壊そうとしてもビクともしねぇ。くそっ!!

ウェ「私たちをエネルギー源にする・・・?」

ガ「あいつらも滅竜魔道士だろ?何で滅竜魔道士の俺たちのエネルギー源が必要何だ?」

ナ「だぁーーーーー!!意味分かんねぇーーーーー!!!てゆうか出れねぇーーーーー!!!」

この檻何で出来てんだよっ!?

ガ「ここから出られる方法なら、1つだけあるぜ。」

ナ&ウェ「?」

****************************************************************************************

              『ここからマヤ目線でいきます。』

エ「すみません、竜狩りの本部がどこにあるか知っていますか?」

街1「いや、知らないな。」

ル「すいませ~ん、竜狩りの本部がある場所ご存知ですか?」

街2「竜狩りの本部?悪いけど、俺は知らないな。」

私たち最強チームは、マグノリアの商店街で聞き込みしてるんだけど・・・全然情報&手がかり無し。リョウが評議委員の人に聞いたりしたけど、評議委員も詳しい事は知らないみたい。でも、急がないとナツたちが・・・!!そう思うと調査せずにはいられないっ!今まで私がナツに助けられてきたんだっ!!今回は、私がナツを助ける番なんだっ!!

マ「すみませ~ん、あの、竜狩りの本部がどこにあるか知りませんか?」

私が白い髪の毛と髭、茶色い小さな瞳のおじいちゃんに聞いてみた。

?「竜狩りの本部じゃとっ!?」

なぜかおじいちゃんは驚く。どうしたのかな?

?「君、竜狩りの本部へ行くつもりなのかい?」

マ「そうです。大切な仲間が攫われちゃったんです。」

おじいちゃんはしわしわの手で白い髭を撫でながらしばらく険しい表情になっていた。すると、

?「君、悪い事は言わぬ。竜狩りの本部へ行くのは止めなさい。」

マ「えっ?」

一瞬、私の思考が止まる。風が吹いて、私の髪の毛とおじいちゃんの髭がなびいた。

フ「マヤ?どうしたんだ?」

ト「何か分かったんですか?」

私たちの様子を見て、みんなが駆け寄って来た。

?「君の友達かい?さっきこの子にも言ったが、竜狩りの本部へ行くのは止めなさい。」

マ以外「えっ?」

みんなさっきの私と同じ反応をする。

グ「どうゆう意味だよ?」

?「竜狩りの奴等は危険じゃ。無闇に近づいたら命は保障は無い。諦めた方が身のためじゃ。」

おじいちゃんはそう言うと、私たちに背を向けて歩き出したところを、

マ「危険だから何?」

?「!?」

驚いて振り向いたおじいちゃんの小さな茶色い瞳を真っ直ぐ見つめて私は言い放った。

マ「仲間を、大切な仲間を見捨てるってゆうのっ!?そんなの最低すぎるよっ!!」

ハ「マヤの言うとおりだっ!!」

リョ「仲間を助けねぇや奴は、俺たちの仲間じゃねぇ。敵だっ!!」

ユ「仲間を助ける事に、命なんか関係ないっ!!」

ショ「仲間が死ぬくらいなら、自分が死んだ方がましだっ!!」

私に続いて、ハッピー、リョウ、ユモ、ショールも口々に叫ぶ。街の人たちが私たちの事をじろじろ見ててもお構いなし。おじいちゃんはまた私たちに背を向けると、

?「ついて来なさい。」

商店街を歩き出した。私たちもお互い顔を見合わせて不思議に思いながらおじいちゃんの後をついて行った。

****************************************************************************************

私たちが案内されたのは木の家。たぶん、おじいちゃんの家だと思う。

?「中に入ってくれ。」

マ「おっじゃまじま~す♪」

シャ「もうちょっと静かに入りなさいよ。」

ユ「後、靴を揃えなさい。」

シャルルとユモは礼儀正しすぎるよ。部屋に通されると、中はルーシィの家と造りがほぼ一緒。造った人が同じ人だったのかな?

?「どうぞ座って下さい。」

テーブルを囲んでいたいすはおじいちゃんを含めた12人がちょうど全員が座れるくらい大きい。ハッピーはルーシィの膝の上。シャルルはトーヤの膝の上、フレイは私の頭の上に乗る。

エ「ところで、おじいさんの名前は・・・」

リュウ「おぉ、そうじゃたの。わしはリュウ・フォンカー。よろしくの。」

白い髭を撫でながら答える、たぶん、リュウの癖なんだろうな。

リュウ「お前たち、竜狩りの本部へ行くと言ったな。」

ト「はい。ちゃんと言いました。」

リョ「どんなに否定しても、俺たちは竜狩りの本部へ行きますから。」

私たちの答えは何があっても変わらない。絶対割れない卵みたいに固いんだよっ!!

ル「例え方おかしいでしょ。」

そうかな?

リュウ「否定はもうしない。ただ、ちょっと話したい事があっての。」

リュウ以外「?」

リュウ「竜狩りのリーダー、リューバの事は知っているかね?」

リューバ?あぁ、そういえば、一番先頭にいて指示出してたやつがリューバって言ってたような、言ってなかったような・・・?

リュウ「そいつは、わしの息子じゃ。」

リュウ以外「えぇぇぇぇっ!!!??」

リュウの言葉にみんな揃って驚嘆の声を上げる。ていうか、似てなーーーーーい!!!

グ「そこじゃねぇだろっ!?」

そうかな?ていうか、今日の私はさっきから突っ込まれてばかりな気がする。

ショ「何でリュウさんの息子さんが竜狩りのリーダーに?」

リュウ「あいつは、黒竜、アクノロギアに育てられた第1世代の黒の滅竜魔道士じゃ。」

リュウ以外「えぇぇぇぇっ!!!??」

またみんな揃って驚嘆の声を上げる。

ハ「竜がリューバのお父さんで、リュウがリューバのお父さん・・・あれ?」

な、何かややこしくなってきた~~~!!ていうか、黒竜、アクノロギアって・・・!!

リュウ「リューバは、7年前に孤児だったところをわしが拾って育てたんじゃ。」

あぁ、なるほどぉ~。竜が消えたのは7年前だもんね。

リュウ「リューバは、第1世代の滅竜魔道士の力をエネルギー源とし、自分にさらに力をつけようとしているんじゃ。」

フ「力をつけるって、リューバも第1世代の滅竜魔道士なんだろ?だったら何で?」

リュウ「あいつは強くなりたいのが夢じゃから、自分を更に強くしたいんじゃろ。」

シャ「自分に力をつけるために、第1世代の滅竜魔道士を攫って・・・」

ユ「自分のエネルギー源として利用する。」

マ「ただの自分勝手じゃん!!」

自分のために他人を犠牲にするなんて・・・!!最低だよっ!!!

リュウ「あいつは4人の仲間を率いている。その4人も、第1世代の滅竜魔道士じゃ。」

あぁ、あのカイロとかミュージシャンってゆうやつらか。

フ「カルロとミーシャだ。体を温める物と、楽器を演奏する人じゃねぇ。」

また突っ込まれた。

エ「いろいろ情報ありがとうございます。」

リュウ「竜狩りは全員が滅竜魔道士でありながらもかなりの強敵じゃ。くれぐれも、命は大切にするんじゃぞ。」

ト「はい。リューバさんの事も助けてあげますからね。」

リュウ「そりゃありがたい。そのまま評議委員に捕まりに行かせるか。」

それを笑顔で言う事かな?私たちはリュウにお礼を言って家を出た。

リョ「にしても、滅竜魔道士の力を、どうやってエネルギー源にして使うんだ?」

マ「そうゆう機械でもあるんじゃない?」

ユ「そんな単純に考えていいのかな?」

じゃあ、他にどうゆう考えがあるの?

シャ「エドラスの時みたいに、魔力を魔水晶(ラクリマ)に変えるのかしら?」

ますます謎が増えていくばかり。

エ「とりあえず、リュウさんから聞いた竜狩りの本部がある街、ドラゴスターに行こう。」

エルザ、いつそんなの聞いたんだろう?

****************************************************************************************

          『ここから少しだけウェンディ目線でいきます。』

ガジ、ガジ、ガジ、ガジ、ガジ。

ナ「お前、それうめぇのか?」

ガ「火竜には分からねぇよ。」

ガジルさんは今、檻を食べている最中です。私も思うんですが、おいしいんでしょうか・・・?でも、そのお陰で檻から出れる事が出来ました。

ナ「お前も役に立つ時あるんだなぁ。」

ガ「言っとくが、お前よりは絶対役に立ってるっての!!」

ウェ「まぁまぁ。」

その時、奥の部屋の扉が開いて、女の人が出てきました。確か、ミーシャさんでしたっけ?

ミ「あーーーーーっ!!火竜と天空の巫女と鉄竜のガジルが脱走したーーーーーっ!!!」

ナ「やべぇ!!」

ガ「さっさと逃げるぞ!!」

ナ「ウェンディ、急げ!!」

ウェ「ひぇぇぇぇ~~~。」 
 

 
後書き
第119話終了~☆
『強くなりたい』とゆう思いから成り立った竜狩り。最強チームは攫われた滅竜魔道士たちを救えるのか!?ナツとウェンディとガジルの運命は!?
次回は竜狩りの本部があるドラゴスターの街に着いた最強チーム。その街は・・・!?
それではまた次回☆ 

 

第120話 竜の遺跡

 
前書き
駄作者07で~す♪
今回は竜狩り(ドラゴンハンター)の本部がある街、ドラゴスターに着いた最強チーム。なんとその街は・・・!?
ユモ目線で書いていきます。
それでは、第120話・・・スタート♪ 

 
私たちはリュウさんに教えてもらったドラゴスターの街へ列車で向かっている途中。いつもマヤの隣に座っているはずのナツがいないため、列車の中では今は誰も酔っていない。いつもと違うせいか、私は居心地が悪くて仕方が無い。列車に乗っている間は、エルザとショールとリョウがドラゴスターの街について話してくれた。

ショ「ドラゴスターの街は、マグノリアから一番遠く離れた街だ。」

エ「魔法より農業が盛んな街だったが、竜狩り(ドラゴンハンター)の本部が建てられたため、街の人々は街からみんな出て行ったんだ。今のドラゴスターの街には竜狩りの本部と竜狩りの奴等しかいない。」

マ「街の人たちから住む場所を奪うなんて・・・最低だよっ!!」

ハッピーを膝にのせ、頭にフレイをのせたマヤが怒る。

ト「でも、何で竜狩りの人たちは、ドラゴスターの街に本部を建てたんでしょうか?」

トーヤの言うとおり、普通は人目につかない場所に建てるよね。

リョ「そりゃたぶん、ドラゴスターが『竜の遺跡』って呼ばれてるからだと思うぜ。」

ル「竜の遺跡?」

エルザとショールとリョウ以外の頭に?が浮かぶ。

ショ「古くからの伝説で、ドラゴスターの街には昔、竜(ドラゴン)が暮らしていたってゆう伝説があるらしい。」

グ「竜が住んでいたぁ!?」

フ「街にかっ!?」

まるでお話みたいな伝説だね。

エ「竜たちは、共に助け合いながら暮らしていたらしい。だが、いつしかその街から竜はみな姿を消し、今では人が住む事が出来る街になったらしい。」

リョ「だが、その街には今でも竜の力がどこかに封印されているってゆう伝説が長年言い伝えられているらしいぜ。本当かどうかは、誰も知らねぇみてぇだけどな。『竜の遺跡』って、街の人たちはそう呼んでいるらしいぜ。」

シャ「その竜の力を見つけるために、竜狩りのやつらはドラゴスターの街の人たちを追い出して本部を建てたついでに・・・」

ユ「第1世代の滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)を攫ったってわけね。」

随分と奥が深い話。本当に竜の力がドラゴスターの街に封印されているのかな?すると、

ハ「見えてきたよ。ドラゴスターの街だっ!!」

窓を覗いていたハッピーの声に反応して、全員窓の外を見る。すると・・・

ト「えっ!?」

ル「な、何あれ・・・!?」

グ「お、おいおい、本当に街なのか・・・?」

****************************************************************************************

駅に到着して、私たちは列車から降りてドラゴスターの街を見渡す。ドラゴスターの街には、至る所に巨大な白い塊のようなものが転がっていた。

ショ「も、もしかして、これ・・・」

エ「竜の骨、か・・・?」

恐る恐る街の中へ入り、巨大な白い塊に近づいて見上げる。間違いなく、骨だ。

リョ「歯の形や爪の形からして、本物の竜の骨に間違いねぇな。しかも、かなり昔のものだぜ。」

リョウはどこかの化石発掘者のように語る。自分の背丈より遥かに大きい。まるで摩天楼みたい。

シャ「こんなものが街の至る所に落ちているなんて、ここに住んでいた人たちは何とも思わなかったのかしら?」

シャルルの言ってる事が正論だと思う。ふと街を見渡すと、かなり目立つ建物があった。

ユ「もしかして、あれが竜狩りの本部?」

フ「もしかしてじゃなく、絶対そうだな。」

街の中心に建っている灰色の壁の建物。外見はかなり小さい。

ショ「たぶん、地下とかにたくさん部屋があるんだろうな。」

マ「あそこに、ナツやウェンディやガジルが・・・」

その時、ドガガガァァァァァン!!と凄まじい勢いで建物の木の扉が壊れた。中から炎が飛び出してくる。って、

ハ「もしかして・・・!!」

中からやって来たのは口から炎を噴出したまま猛ダッシュしてるナツと、その後ろを必死に追いかけるガジルと、ガジルに腕を引っ張られているウェンディが出て来た。

マ&ハ&フ「ナツゥ~~~!!!」

グ&ユ「ガジル!!!」

シャ「ウェンディ~~~!!」

ト「ウェンディさ~~~ん!!」

3人は私たちに気づくと急停止した。

ナ「お前等かっ!!ここどこだ?つーか何だこのバカデカイ白いのはっ!?」

ナツが腕を上下左右に振り回す。ガジルとウェンディは隣で息を切らしていた。

ショ「この白いのは、たぶん竜の骨だ。」

ナ&ウェ&ガ「!!!???」

3人とも呆気に取られて返す言葉も出ない。驚くのも無理も無いね。

ナ「ま、まさか、イグニール・・・」

ガ「メタリカーナ・・・」

ウェ「グランディーネ・・・」

リョ「大丈夫だ。俺の目が正しければ、ここにある全ての骨は7年以上前のものだ。お前等の親の骨じゃねぇよ。」

リョウの言葉にほっとため息をつく3人。

ル「で、何があったの?」

ナ「そうだった!何か変なやつらが俺たちの力をエネルギー源にするとかどうとか・・・」

リュウさんが言ってた事は本当みたいだね。すると、

リュ「やれやれ、とんだ邪魔者が乱入しちまったな。」

全「!!!!!」

驚いて振り返ると、竜狩りの5人がいた。

リュ「火竜(サラマンダー)と天空の巫女と鉄竜(くろがね)のガジルをこちらに渡せ。」

私たちは3人を守るように立つ。

エ「貴様等は私たちのギルドの仲間を傷つけた。それは私たち妖精を怒らせたとゆう事だ。」

グ「妖精が激怒すると、どうなるか分かってるだろうな?」

リュ「それは竜も一緒だ。竜を激怒させると、命はないと思え。」

この人たちは何も知らない。命より大切なものが、この世界にあるって事を。

リュ「俺たちが勝ったら、3人をこっちに渡せ。」

リョ「俺たちが勝ったら、この街から出て評議委員に大人しく捕まりに行け。」

私たちはお互い睨みあった。『強さ』を要求する竜と、『友情』を守り抜く妖精の前代未聞の壮絶な戦いが、今、ドラゴスターの街で幕を開ける。 
 

 
後書き
第120話終了~♪
遂に始まった妖精VS竜の戦い。勝つのはいったいどっちなのか!?
次回はウェンディ&トーヤ&シャルルの対決!!トーヤはウェンディを守る事が出来るのか!?
お楽しみに~♪ 

 

第121話 トーヤの決意と怒り

 
前書き
はいど~も~!!07ですっ!!
今回はウェンディ&トーヤ&シャルルの対決!!トーヤはウェンディを守る事が出来るのか!?そして、トーヤの本当の強さが今回遂に明かされる!!!
トーヤ目線で書いていきますよ。
それでは、第121話・・・スタート!!! 

 
僕たちはお互い睨み合った後、竜狩り(ドラゴンハンター)の本部の内部で戦う事になりました。ちなみに、ガジルさんはエルザさんの命令で一足先にギルドに帰って行きました。理由は、マカロフさんたちに1秒でも早く無事だとゆう事を伝えたかったからだそうです。ガジルさんはぶつぶつ文句を言いながら仕方なく列車に乗ってマグノリアに帰って行きました。

シャ「ウェンディ、あんたも先に帰った方がよかったんじゃない?」

ト「僕もそう思います。」

ウェンディさんも実際に襲われたんですから、このままここにいたら危険なのに・・・

ウェ「トーヤさんやシャルル、みなさんをおいて私だけ先にギルドに帰るなんて、そんなの無責任すぎますっ!私は大丈夫ですから。」

本当は、とても怖いはずなのに、僕やシャルルさんやみなさんに心配かけないように無理矢理笑ってみせるウェンディさん・・・胸が締め付けられるようです。その時、

ミ「天空の巫女、見~つけた♪」

ウェ&ト&シャ「!!!」

栗色の長い巻き髪に、濃いピンク色の肩出しシャツに白いフリルの付いたパーカー、黄色いミニスカートとゆう奇抜な服装の女の人が踵がものすごく高い赤いサンダルをカツカツ鳴らしながら歩いて来ました。

ミ「私はミーシャ・ディミヌ。さぁ、大人しく天空の巫女を、こっちにちょうだい♪」

右目をウィンクさせながらゆっくり左腕を前に伸ばします。僕とシャルルさんはすぐさまウェンディさんの前に立ち塞がります。

ト「何があっても、ウェンディさんは絶対に渡しませんっ!!」

ウェ「トーヤさん・・・」

僕は決意したんですっ!!僕の事を信頼してくれる人、僕の事を大切に思ってくれる人、僕の事を助けてくれる人、そんな人たちを僕は自分の手で守ると決意したんですっ!!例えそれが、この命が消えたとしても・・・

ト「シャルルさん、ウェンディさんを連れて、空中に・・・!!」

シャ「わかってるわよ!!行くわよ、ウェンディ!!」

ウェ「えっ?ちょ、ちょっとシャルル~~~!!」

僕はシャルルさんとウェンディさんが上空に飛んで行ったのを見届けてから、目の前にいる敵に集中しました。

ミ「どうやら、君は私に殺される覚悟は出来てるみたいだね。」

ト「ウェンディさんには、1歩も近づけさせませんっ!!」

ミ「ふ~ん。背は小さいけど勇気は大きいんだね。いいよ、久しぶりに相手してあげるよ。その代わり、私を思う存分楽しませてね♪」

そう言うと、ミーシャさんは両手をメガホンのように口元に当てて、

ミ「天空の巫女と白猫ちゃ~ん、怪物(モンスター)を殺したら、すぐに迎えに行ってあげるからねぇ~♪」

上空にいるウェンディさんとシャルルさんに向かって言いました。

ミ「さぁ、始めよう。君はいつまで立っていられるかしら?」

僕を欺くようにミーシャさんは怪しい笑みで笑います。相手は滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)。慎重に戦わないと・・・!!僕は左腕を胸の前に置きました。父さん、母さん、妖霊王様、お化けたち・・・!!僕に力を・・・!!!

ト「我と、心を通わせ、姿を現せ!出て来い!死神!鬼!」

空中に浮かび上がった紫色の魔法陣から死神と鬼が姿を現しました。この2人は、僕と契約してるお化けたちの中で一番強いんですっ!!

ト「死神、死の鎌!鬼、金棒拳!」

死「ギリ!」

鬼「おらおらおらおらおらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

僕のお願いに答えてくれたのか、お化けたちはいつもより気合が入っています。ですが、そんな気合に満ちたお化けたちの攻撃をミーシャさんは華麗な身のこなしで全てかわしていきます。

ミ「なぁ~んだ、失われた魔法(ロスト・マジック)だから少し期待してたのに、無駄だったみたいね。」

ト「僕の大切な友達を、バカにするのは止めて下さいっ!!」

ここまで怒りを露にしたのは初めてです。お化けたちは何も悪くないのに、何で僕ではなく、いつもお化けたちが悪く言われなくちゃいけないんですか・・・?

鬼「お前が傷ついてどうする。」

ト「!?」

鬼がミーシャさんに金棒で攻撃しながら言います。

鬼「俺たちは、みんなお前を信頼して、お前と契約をした。俺たちの使命は、俺たちを大切に思ってくれているトーヤを守る事だ。俺たちにどんなに辛い言葉が降り注いでも、決して俺たちはめげない。だよな、死神。」

死「ギリリ。」

いつも無表情の死神も、鎌で攻撃をしたり防いだりしながら、僕に笑いかけてくれた。僕はその言葉だけですごく嬉しかった。

ミ「お化けが仲間だなんて下らないわね。そもそも『仲間』って事がくだらないのよ。人生は全て『強さ』だけがあれば十分なのよ。音竜の・・・咆哮ッ!!」

耳をつんざくような音の息(ブレス)が勢いよく放たれます。

ト「死神、鬼、伏せてっ!!」

ギリギリかわす事が出来ましたが、なんて威力・・・もし、あれを食らっていたら、怪我どころでは済まなかったと思います。

ミ「私は音竜、メロディーヌに育てられた第1世代の音の滅竜魔道士よ。知っていたかしら?音竜の・・・鉄拳ッ!!」

音を纏った拳で僕に殴り掛かってきます。

ト「うわっ!!」

ウェ「トーヤさん!!」

シャ&鬼「トーヤ!!」

死「ギリ!!」

上空からウェンディさんとシャルルさんの声、前から死神と鬼の声が聞こえました。

ミ「音竜の音は、耳の鼓膜を破壊する事ができるのよ。すごいでしょ。」

怪しげな笑みを浮かべながら、ミーシャは手を止めずに僕に殴り掛かってきます。僕も必死にかわしますが、頬や腕など、所々掠り傷や切り傷を負います。

ミ「音竜の・・・咆哮ッ!!」

ト「!!ぐわぁぁぁっ!!!」

僕は目の前で音竜の息を食らっちゃいました。その攻撃から、僕は次々に殴られたり蹴られたり、ミーシャさんは手を一切止めずに僕に攻撃を続けます。

ミ「音竜の・・・鉤爪ッ!!翼撃ッ!!砕牙ッ!!」

ト「がはっ!!ぐはぁっ!!うぁぁぁぁぁ!!!」

僕はなすすべも無く、ただ殴られ蹴られ続けられています。僕はその場に倒れてしまいました。

ウェ「トーヤさん!!!」

シャ「トーヤ!!しっかりしなさい!!!」

上空からウェンディさんとシャルルさんの声が聞こえました。でも、立ち上がる事すら出来ない状態です。体が・・・動かない、です・・・

ミ「アハハ♪私の勝ちだね♪それじゃ、あなたの命と、天空の巫女は、私が頂くよ♪」

ト「・・・くそっ・・・・・!!」

大粒の涙が僕の頬を伝い流れ落ちました。負けたのが悔しいんじゃない・・・ウェンディさんを守れなかった事と、自分が情けない事に涙がどんどんあふれてきます。

ミ「音竜の・・・」

ミーシャさんが咆哮を放とうとしたその時、

鬼「おぉぉぉぉらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

死「ギリィィィィィィィィィィィィィィィッ!!!」

鬼と死神がミーシャさんの背後から金棒と鎌で攻撃しようとした・・・が、ミーシャさんは咆哮を僕に撃たずに、くるりと回れ右をすると、背後にいた鬼と死神に向かって・・・

ミ「咆哮ッ!!」

ウェ&ト&シャ「!!!」

鬼「ぐぉぉああああぁああああぁぁああああっ!!!」

死「ギイイイィィイイイイィイイイイッ!!!」

咆哮を撃った。鬼と死神は咆哮を真正面から食らってしまいました。鬼と死神は床に倒れ完全に気を失っていました。僕はその姿を目にしたとたん・・・

ト「・・ぅぁ・・・ぁ・・ぁぁ・・・・・うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!」

シャ「!!?」

ウェ「ト、トーヤさん・・・?」

ミ「な、何この叫び!?」

ト「うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!」

僕は狂ったようにしばらく叫び続けました。叫び終わった後の僕の瞳には、きっと光が射していなかったと思います。その代わり、闇が射していたと思います。僕は気を失って床に倒れている鬼と死神を妖霊界に強制帰国させました。僕はそのままおぼつかない足取りでゆっくり立ち上がりました。

ミ「なぁ~に?まだ戦うの?」

ミーシャさんは僕を上から目線で欺きます。

ト「・・・・・・・・た・・・」

ミ「なぁ~に?よく聞こえないよ~。もうちょっとはっきり・・・」

ト「僕の友達を傷つけたっ!!僕の大切な人を傷つけようとしたっ!!もう、黙っている事が出来ませんっ!!!」

僕は首から提げている幽封玉を外しました。ウメさん、力を解放します・・・!!僕の周りが妖しく紫色に光り出し、僕の瞳は紫色から赤色に変わりました。そして、僕の頭には角が生え、瞳は赤く、足が透けた状態になりました。僕は、半幽人の姿になったのです。

ミ「は、はは、半幽人・・・まさか、ほ、本当に、いたなんて・・・」

僕は驚きを隠せないミーシャさんお構いなしに、

ト「らぁっ!!」

ミ「うぐっ!!」

ミーシャさんの頬を思いっきり殴ります。

ト「てぇい!!」

ミ「うあっ!!」

続いて背中を思いっきり殴ります。

ト「とぅっ!!でりゃっ!!おらぁぁぁっ!!」

ミ「カハッ!!ぐわっ!!あぁぁぁっ!!」

腹部、額、顎を連続で殴ります。自分でもわかります。今の僕は、いつもの自分じゃないとゆう事を。そして・・・

ト「幽力呪拳刃ッ!!!」

どす黒い紫色の光を纏った刃のような拳でミーシャさんに止めを刺します。

ミ「アァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」

ミーシャさんは悲鳴を上げながら反対の壁まで吹っ飛んでしまいました。

ミ「わ、私が・・・ま、負ける・・・なんて・・・」

最後にそう呟くと、ドサッと床に倒れてしまいました。僕は自分の両手を見つめました。

ト「勝った・・・僕、勝ったんですよね・・・」

初めて決意が果たせた気がしました。父さん、母さん、妖霊王様、ウメさん、お化けたち・・・本当に、ありがとう。僕は幽封玉を首に掛けると、元の姿に戻りました。

ウェ「トーヤさ~~~ん!!」

ト「あわわわわぁっ!!」

ウェンディさんとシャルルさんが下りて来て、ウェンディさんは僕に飛びついてきました。バランスを崩しそうになり、何とか持ち応えます。

ウェ「よかった・・・本当に、よかった・・・」

シャ「勝ったわね、トーヤ。」

ト「はい。」

ウェンディさんの頬には涙が伝っていました。僕はほっとしたせいか、力尽き、その場に倒れてしまいました。 
 

 
後書き
第121話終了です!!
トーヤの怒り・・・エルザやユモ並に怖かったです・・・でも、決意が果たせてよかったよかった。
次回はエルザ&ショールの対決!!
それではまた次回お会いしましょう~!! 

 

第122話 勝利を掴む鍵は『理念』

 
前書き
ナマステ☆07です☆
今回はエルザ&ショールの対決だ!!
ショール目線で書いていきますよ。
それでは、第122話・・・スタート☆ 

 
俺とエルザは竜狩り(ドラゴンハンター)の地下に続く鉄の螺旋階段を下りていた。下りる度にギシギシと音が鳴る。螺旋階段は錆びていた。今にも崩れそうだ。俺とエルザは慎重に下りながら、竜狩りの企みについて語っていた。

エ「リューバは、ナツやウェンディ、ガジルと同じ黒の滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)。」

ショ「リューバの親は黒竜、アクノロギア。」

見た事はないが、あのギルダーツさんをボロボロにするくらいの凶悪の竜(ドラゴン)だ。その凶悪の竜から言葉や文化や魔法を教えてもらったんだ。只者じゃないのは確かだろう。俺もエルザもそんな予感がした。

エ「明かりだ。」

螺旋階段を全て下りると、鉄の扉があった。扉は少しだけ開いていて、明かりが洩れていた。俺は恐る恐る鉄の扉を押す。ギギィーーーと、金属が錆びたような音がした。中に入ると、部屋の中央に茶髪に左目が茶色、右目が赤とゆう変わった瞳をした男がいた。ナツとウェンディとガジルを連れ攫った張本人だ。

カ「何だよ。滅竜魔道士じゃねぇのか。滅竜魔道士じゃねぇ人間は、殺しても良いとゆうリューバ様からの許可を得ている。」

エ「それがどうした。私たちは仲間に危害を加えた者を少々見くびらせて来ただけだ。貴様など興味はない。」

エルザがいつも以上に怒りを露和にしている・・・だが、そんなエルザを見ても敵は表情1つ変えない。

カ「俺はカルロ・チュラル。俺たちの、リューバ様の企みに刃向かう者は、容赦なく殺すっ!!」

カルロは頬を膨らますと、

カ「土竜の・・・咆哮ッ!!」

茶色い息(ブレス)を放つ。俺とエルザは瞬時に身をかわす。

カ「俺が土竜、アースドランに育てられた第1世代の土の滅竜魔道士。土ならば、どんなものでも操る事が出来る。妖精女王(ティターニア)と元有名マジシャンに、俺を倒す事が出来るか?」

エ「その言葉、そっくりそのまま貴様に返す。」

ショ「お前に、今の俺とエルザを、妖精の魔道士を倒す事が出来るか?ギアチェンジ!モード水!!」

エ「換装!黒羽の鎧ッ!!」

カ「土竜の・・・鉄拳ッ!!」

俺たち3人は同時に駆け出した。

ショ「水力拳!!」

カ「土竜の・・・鉤爪ッ!!」

エ「黒羽・月閃!!」

お互い、激しくぶつかり合い、火花が飛び散る。

カ「なかなかやるな。さすが噂に名高い妖精女王と元有名マジシャンだな。」

エルザはもちろん、俺って、噂に名高かったのか?初耳だな。

カ「だが、これは回避出来るか?」

エ&ショ「?」

カルロの右腕が土に変わる。

カ「土竜剣ッ!!」

エ「くっ・・・!!」

ショ「うぎっ!!」

つ、土なのに・・・鉄みたいに、硬い・・・

カ「土を甘く見ない方がいいぜ。」

カルロの体が土の鱗に覆われる。ガジルの土バージョンみたいなものだ。

ショ「水力弾!!」

俺は青い光を纏った拳でカルロの顔面を殴るが、カルロはかわしもせず、俺の攻撃を正面から食らった。が、ビクともしない。ど、どうなってんだっ!?

カ「さっき言ったばかりだろ。土を甘く見るなって。土だっていろいろ工夫すれば水に濡れても崩れなくさせる事も可能なんだ。土竜槍・神覇ッ!!」

ショ「ぐあぁぁぁぁぁっ!!!」

エ「ショール!!?」

俺の体は鋼鉄のように硬くなった土によってどんどん切り刻まれていく。血だらけでボロボロだ。

エ「なぜショールだけを狙う!!?」

カ「俺は殺しがいがある人間は最後にとっておく性格なんだ。だから、妖精女王は後回し。先に元有名マジシャンを始末するんだよっ!!」

ショ「俺はゴミ扱いかよっ!?うあっ!!」

カ「口閉じてた方が、下噛まなくて済むぜ。」

舌なんか関係ないだろっ!!でも、噛むと痛いよな・・・エルザは飛翔の鎧に換装すると、

エ「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

高く飛び跳ねながらカルロに背後から攻撃を仕掛けるが、

カ「言わなかったか?土ならばどんなものでも操る事が出来るって。」

右手を下から上へ振り上げると、床を突き破って土が蛇のように飛び出し、エルザの体を締め付けた。

エ「うあぁぁぁぁぁ!!!」

ショ「エルザ!!?」

カ「先に妖精女王を始末するか?それとも元有名マジシャンを始末するか?悩みどころだな。」

カルロはまるで子供が勉強をするか遊びに行くかで迷っているような仕草をする。結構お子様なんだな。

カ「決めたぞ。2人とも同時に締め殺してやるっ!!!」

カルロは左腕を下から上へ振り上げ、土が床を突き破って蛇のように飛び出すと、俺の体も締め付

けた。

エ「くぁっ・・・!!」

ショ「ギィ・・・!!」

俺とエルザは苦しみながらも、笑ってみせる。

カ「?何が可笑しい?」

ショ「いや、お前は随分、子供だなって思ってな・・・」

カ「んだと・・・!!」

エ「倒す相手をそのような仕草で悩むとは、お子様だな・・・」

エルザも俺と同じ事を思ってたみたいだな。

エ「だが、お前も決して私たちには勝てない。」

カ「何だとっ!?」

ショ「お前には『理念』とゆうものがないんだよ。勝負は強い『理念』を持つものが必ず勝利するんだ。お前みたいな弱い理念を持つ者は、決して強い理念を持つ者には一生勝つ事が出来ないんだよっ!!」

エ「勝利の鍵を握るのは『理念』だっ!!魔道士なら、基本中の基本だっ!!!」

カ「黙れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」

更にきつく締め上げる。

エ「うあぁぁぁぁぁ!!!」

ショ「ぐぉあああああ!!!」

カ「勝負に『理念』なんて必要ねぇっ!!勝負に勝つためには『強さ』があれば十分なんだよっ!!俺たちは、その『強さ』を手に入れるために、数々のギルドに所属してる第1世代の滅竜魔道士の『強さ』をエネルギー源として、俺たちの力に変えるんだっ!!!」

エ「それは人の『強さ』を奪ってまでする事なのかっ!!!」

ショ「関係ない奴を巻き込むなっ!!!」

自分たちのために、他人を犠牲にしてまでやる事なのかよ・・・!?頭どうかしてるんじゃねぇのかぁ!?

ショ「俺が、お前等のどうかしてる頭を、キンキンに冷やしてやるっ!!」

カ「出来るもんならやってみやがれぇぇぇっ!!」

俺は体全身からギアチェンジの水以外のモード(炎、光、闇、風など・・・)を全て放出する。水以外のモードを全て出し終えると、俺の体は真っ青な光で包み込まれていた。

ショ「うぬぬぬぬぬぬぬぬぬ・・・っらぁっ!!」

カ「ちっ。」

俺は何とか抜け出す事が出来た。

エ「ショ、ショール・・・」

俺はまだ締め上げられているエルザを振り返る。

ショ「大丈夫だ。すぐに助けるから。」

エ「//////////////」

俺は再びカルロに視線を戻すと、両手に青い光を纏う。

カ「竜の強さを思い知れ!!土竜の・・・砕牙ッ!!」

ショ「妖精の『理念』に後悔しやがれ!!水力刃!!」

土と水が激しくぶつかり合う。お互い1歩も譲らない。

ショ「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・」

カ「ぜぇ、はぁ、ぜぇ、はぁ、ぜぇ・・・」

相当息があがっている・・・すると、カルロが突き破られた床から土をすくって食べた!!や、やっぱり、土を食べるんだな・・・おいしいのか・・・?だが、これで俺はかなり不利の状態だ。あいつは土を食べた事によって体力を回復させ、おまけにパワーアップした・・・

カ「ふぅ・・・食ったところで、反撃だっ!!」

ショ「ぐあっ!!!」

エ「ショール!!」

スピードも、さっきより上がっている・・・!!

エ「おのれぇぇぇぇぇ!!」

ショ「エルザ、来るなぁぁぁぁぁっ!!!」

エ「!!?」

いつもエルザに助けられているから、今回はエルザには魔力を消費してもらいたくなかった。

カ「くたばれぇぇぇぇぇっ!!!」

ショ「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

カ「勝負は『強さ』があれば勝てるっ!!『理念』なんて必要ねぇんだよっ!!」

『理念』・・・そうだ!これを利用すれば・・・!     

カ「これで止めだ!!土竜の・・・翼撃ッ!!」

エ「ショール!!避けろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

俺はギリギリまでカルロを追い詰めさせ、後5m程のところで、

ショ「水圧壁!!」

その名のとおり、水圧の壁で防御した。

カ「なっ!?」

ショ「何度も言っただろ。勝負は『強さ』だけじゃ勝てねぇって。強い『理念』を持つ者が勝つってなっ!!水圧壁からの・・・」

俺は残り少ない魔力を全て水圧壁へ移す。

ショ「水圧弾!!!」

カ「ぐぉあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

水圧の力によって、カルロは部屋の反対の壁まで吹っ飛ぶ。コンクリートの壁は半壊状態。

カ「お、俺が・・・『理念』に・・・負けた、だと・・・?」

そう呟くと、床にドサッと倒れ気を失った。

ショ「ふぅ・・・」

俺は力尽き、その場に倒れそうになったところを解放されたエルザに抱き止められた。

ショ「エ、エル、ザ・・・?」

エ「お前はすごい奴だ・・・本当に・・・」

エルザが抱き締める力を強くする。

ショ「エ、エルザ、には・・・敵わ、ねぇよ・・・」

俺は安心したせいか、エルザの腕の中で気を失った。 
 

 
後書き
第122話終了☆
『理念』とゆう言葉は、ギルドの中では数少ない頭脳派魔道士のショールにぴったりだと思いまして・・・はい。
次回はグレイ&ユモの対決!!
見逃したら、いけないよ☆ 

 

第123話 生きろ!!

 
前書き
1・2・3~♪07で~す♪
今回はグレイ&ユモの対決!!
ユモ目線で書いていきますよ。
それでは、第123話・・・スタート♪ 

 
マヤの次は今度はナツとウェンディとガジル・・・う~ん、妖精の尻尾は不幸なのかな?それとも狙われる人が多いだけなのかな?私は次々に起こる事件に頭を回転させていた。

グ「俺たちは事件に縁があるんだよ。」

ユ「そ、そうなんだ・・・」

それは幸運なのか不運なのか・・・?こんな会話を交わしていると、

?「来たな、妖精のバカ共。」

左目に黒い眼帯を着け、両腕に鎖型の腕輪を付けた男が私とグレイを待ち構えていた。

?「お前等は火竜(サラマンダー)、天空の巫女、鉄竜(くろがね)のガジルじゃない。それ以外の者は『滅』。消してよいとゆうリューバの命令だ。」

初対面の人間によくそんな言葉が言えるね。

ティ「俺はティーロ・モロニクス。『強さ』と『闇』以外のものは興味ない。」

グ「随分と悲しいやつだぜ。」

どうやって生きているんだろ?

ティ「まずはお前等の『闇』を見させてもらう。」

私とグレイの闇を見る?どうやって・・・?すると、ティーロは左目に着けていた眼帯を外した。

ユ「ひぃ・・・!!」

グ「うっ・・・!!」

ティーロの左目は、光が射していない『闇』のような真っ黒な瞳。右目は青いのに・・・ティーロはしばらく私とグレイの事を見つめていた。すると、

ティ「グレイ・フルバスターとユモス・クオリナ。10年前にゼレフ書の悪魔、デリオラに街を壊滅され、家族を失った。」

グ&ユ「!?」

ティ「その後、グレイ・フルバスターは氷の造形魔道士、ウルの下で修行をしていたが、自分がデリオラ挑んだため、それを守ろうとしたウルが絶対氷結(アイスドシェル)により自らの肉体を滅ぼしデリオラを封じた。同時刻、ユモス・クオリナは兄、グレン・クオリナが絶対氷結により自らの肉体を滅ぼしデリオラをウルと共にデリオラを封じた。」

グ「こいつ、本当に俺たちの・・・」

ユ「『闇』を見てる・・・」

あの『闇』のような真っ黒な瞳で・・・私はティーロの瞳が怖かった。

ティ「ユモス・クオリナ。その後フリーの魔道士として旅をしていたが、7年前、旅の途中でハルト・パーカーにより呪殺の一種、闇の呪い(ダークカース)を掛けられていた・・・他にもあるが、だいたいこんなものだ。」

そう言うと再び左目に眼帯を着ける。

ティ「どちらも殺すにはもったいないくらいうまそうな『闇』だが、ここで消えてもらう。」

グ「お前は、いったい・・・」

ティ「7年前に、闇竜、ダークウィルに育てられた、第1世代の闇の滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)だ。人の『闇』を見る事が出来たり、人の『闇』を食べる事が出来る。」

ユ「や、『闇』なんて、絶対おいしくないよ・・・」

私は震えていた。ティーロからとてつもなく恐ろしい殺気を感じたから。

ティ「さて、最初はお前からだっ!!」

ティーロは私に向かって両腕を前に突き出す。すると、両腕に着けていた鎖型の腕輪が独りでに動き出し、私に向かって伸びてきた。私は呆気に取られ、動く事が出来ず、その場に立ち尽くしていた。が、

グ「ユモ、危ねぇっ!!」

ユ「キャア!!」

グレイに突き飛ばされてギリギリ回避する事が出来た。でも、私に代わってグレイが鎖に体を絡め取られた。

グ「くそっ!!何なんだよこの変な鎖はっ!!」

グレイは鎖から逃れようとするけど、逆にどんどん鎖に体を締め付けられている。すると、その鎖が真っ黒なオーラに包み込まれた。鎖に体を絡め取られていたグレイも一緒に・・・

グ「っ・・・!!?」

そのオーラに包み込まれたのと同時に、グレイは力なくその場に倒れちゃった。

ユ「グレイ!?」

慌てて駆けつけると、グレイの呼吸が荒かった。

ユ「グレイに何したのっ!?この鎖は何ッ!?」

私はティーロを睨みつけながら言う。

ティ「その鎖は闇魔の鎖(ダークネスチェーン)。この鎖に体を絡め取られた者に、邪悪な『闇』を与える鎖だ。」

ユ「!!!」

ティ「鎖に体を絡め取られてから1時間もすれば、『闇』に体を支配され、死に至る。」

私の思考が止まった。また、私のせいで、グレイは・・・

ティ「俺に勝つ事が出来れば、その鎖も灰となって消え、グレイ・フルバスターは助かる。だが、俺に負ければ、お前も、グレイ・フルバスターも死ぬだけだ。」

ユ「・・・つまり、私がこの勝負に勝てばいいって事だよね。」

ティーロを倒せば、ナツやウェンディ、ガジルたちを助ける事が出来て、グレイも助けれる。一石二鳥だね。私は立ち上がり、冷気を両手にためる。

ティ「竜(ドラゴン)と『闇』のコラボレーションに、勝つ事が出来るか?」

ユ「そんなの、やってみなくちゃ分からない。仲間を、大切な人を助けれる事が出来るのなら、私は、命を捨てる事になっても、悔いはないっ!!」

これが私の本音だった。今までみんなに迷惑を掛けて、みんなに助けられて、私は何も出来なかった。今、みんなに恩返しが出来るんだっ!!この勝負、絶対に勝ってみせるっ!!!そしてもし、私がこの勝負に負けたとしても、私の命で、罪を償えばいいんだから・・・

ユ「アイスメイク、爆弾ッ!!(ボム)」

氷の爆弾をティーロ目掛けて投げつける。

ティ「闇竜の・・・鉄拳ッ!!」

殴ってそのまま爆発させた。

ティ「今度はこっちの番だ。闇竜の・・・咆哮ッ!!」

紫色の息(ブレス)勢いよく放たれる。

ユ「アイスメイク、盾ッ!!(シールド)」

当たる直前で防いだけど、威力が強すぎる・・・!!ピキッ!パキッ!

ユ「!!」

氷の盾にどんどんヒビが入る。

パキィンッ!!と氷の破片が飛び散る。盾が割れる直前に、私はしゃがみ込んでギリギリ咆哮を避けた。危機一髪。

ティ「ほぅ。俺の咆哮を避けるとはな。さすが噂に名高い氷上の舞姫だな。」

ユ「知ってたんだ。でも、残念ながら今回は格闘はしないよ。」

最近格闘しか使っていなかったからね。久々に造形魔法も使わないと魔力が衰えちゃう。するとティーロは怪しく微笑むと、

ティ「それを聞いて安心した。お前が格闘を使うと、俺も本気で戦わなければいけないからな。」

ユ「えっ?」

私はティーロの言葉に目を見開く。まさか、まだ本気じゃないのっ!?

ティ「闇竜の・・・闇刹那ッ!!」

辺りが真っ暗闇になる。四方八方、何も見えない。でも、刹那だったからすぐに明るくなった。安心したのも束の間、

ティ「俺がただの目晦ましをしただけかと思ったか?」

ユ「!!?」

足元を見て驚いた。私を囲むように床に巨大な紫色の魔法陣が書かれたいた。

ユ「あの短時間で・・・!?」

巨大な紫色の魔法陣は、不気味に光りだした。

ティ「さぁ、氷上の舞姫よ、『闇』の中で舞い踊れっ!!闇竜の・・・封壁ッ!!」

次の瞬間、巨大な魔法陣の外側から私を囲むように丸くカーブした紫色の光の壁(?)が現れた。光の壁はどんどん内側に寄って来る。まるで、私を閉じ込めるみたいに・・・私は雪隠詰め状態になっていた。

ユ「な、何なの、いったい・・・?」

私はどんどん中央に追い詰められていく。そして、私も光の壁も中央に来ると、光の壁は私を飲み込んだ。

ユ「うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」

四方八方から押し潰されるような痛みが体全身に走る。その時、私の頭の中を『闇』が横切った。



デリオラによって崩壊していくブラーゴの街・・・



地に倒れてゆく街の人々・・・



お兄ちゃんに手を引かれて逃げる幼い頃の自分とお兄ちゃん・・・



それを追いかけるデリオラ・・・



絶対氷結で肉体を滅ぼし、消えてゆくお兄ちゃん・・・



泣き叫ぶ幼い頃の自分・・・



お兄ちゃんと、グレイの師匠、ウルによって封じられた巨大な氷の中のデリオラ・・・



この頃の私は何もかもが『闇』だった。その後も次々に私の今までの『闇』が頭の中を横切ってゆく。

ティ「これは17年間のお前の『闇』だ。」

私は、どれだけ『闇』を抱えて生きてきてたんだろう・・・?私の『闇』のせいで、みんなに迷惑を掛けてきた17年間。今更だけど、自分がすごく情けなく思えた。私は薄っすら片目を開け、光の壁の外側で、床に横たわっているグレイを見る。

グ「く・・・ぁ・・・・・」

目の前で苦しんでいるのに、手を伸ばしても助ける事が出来ない・・・グレイに一番助けられてきたのに、私はグレイを助ける事が出来ない・・・私は、なんて無力なんだろう・・・悲しくて、情けなくて、悔しくて、涙が頬を伝った。意識が途切れようとしたその時、

グレ『ユモ・・・諦めるな、お前の人生はこれからだ。生きろ!お前には、お前を必要としてくれる、助けてくれる仲間がいる。その大切な仲間のためにも、自分のためにも、生きろ!!』

ユ「!!?」

頭の中で声が聞こえた。顔も分からないけど、私はそれが誰だか分かった。

ユ「お・・・兄、ちゃん・・・」

そうだ・・・!私には仲間がいる。仲間が、私の『闇』を封じてくれるっ!!『闇』なんかに、負けてたまるかぁぁぁっ!!私は体全身から冷気を放出する。

ユ「うぅ~~~・・・・・っらぁぁっ!!!」

ティ「ぬぉっ!?」

私は光の・・・いや、『闇』の壁から自力で抜け出した。

ティ「お、お前、どうやって封壁からっ!?この封壁から、今まで抜け出せた者は誰もいないのにっ!?」

私はまだ驚いているティーロを睨みつける。

ユ「仲間が、私の『闇』を封じてくれる。仲間が、私に力をくれる。私は無力で、情けなくて、何も出来ないけど、大切な仲間を守るためなら、火の中嵐の中水の中、どんな困難な場所でも、必ず守ってみせるっ!!!」

私は目を閉じ、体の奥深くに封じ込めていた魔力を解放する。

ユ「あなたは、呼び覚ましてはいけない魔法を、呼び起こしてしまった。」

私とティーロの足元に、水色の魔法陣が浮かび上がる。

ティ「な、何だ・・・体が、動かねぇ・・・!!」

2つの魔法陣が銀色に光りだす。

ユ「氷は、『闇』を撃ち砕き、『光』を呼び覚ます・・・」

辺りが銀色の光に包まれた。私も何が起こったのかさっぱり分からない。この魔法は7年前に自然と身に着いた魔法。だから私にもよく分からない。でも、かなり危険ですごい魔法だとゆう事は自覚している。だから、体の奥深くに封じているから滅多に使わない魔法。魔力もすごい消費しちゃうからね。目を開けると、いつの間にかティーロは傷だらけになっていた。

ティ「竜狩り(ドラゴンハンター)の・・・名折れ、だ・・・」

ティーロはそう呟くと、その場に倒れて気を失った。振り返ってグレイを見ると、闇魔の鎖は消えていた。駆けつけると、気を失ってるだけみたい。

ユ「よ、よかっ、たぁ~・・・」

魔力を使いすぎたせいか、私はその場に倒れ、意識を失った。 
 

 
後書き
第123話終了~♪
ユモが封じている魔法・・・あれはいったい・・・?いつか本編で明らかに!?
次回はルーシィ&リョウの対決!!
お楽しみに~♪ 

 

第124話 3人の守護剣士

 
前書き
駄作者の07です!!
今回はルーシィ&リョウの対決!!だが、かなり苦難なバトルで・・・
リョウ目線で書いていきます。
それでは、第124話・・・スタート!! 

 
ル「ねぇリョウ、滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)の力ってそんなにすごいの?」

真っ暗闇の中、壁を伝いながら竜狩り(ドラゴンハンター)を捜索してる途中、ルーシィが聞いてきた。

リョ「滅竜魔道士は、本物の竜(ドラゴン)に、言葉や文化、魔法を教えてもらった第1世代、体内に滅竜魔法の魔水晶(ラクリマ)を埋め込んだ第2世代、その両方の力を得ている第3世代に分かれているんだ。」

ル「どの世代が一番強いの?」

リョ「時代の流れでは、第3世代が一番最強いらしいけど、竜殺しの魔法を竜に教えてもらったくらいだ。評議委員は実際には第1世代の方が強いと判断している。」

ナツ、ウェンディ、ガジル、竜狩りの奴等は第1世代、ラクサスや、六魔将軍(オラシンオンセイス)のコブラが第2世代、剣哮の虎(セイバートゥース)のスティング、ローグが第3世代だ。

リョ「自らの体を竜の体質へと変換させる太古の魔法(エンシェントスペル)。まぁ、元々は竜迎撃用の魔法だがな。」

炎を食ったり体を鉄に変えたり・・・まるで超人みたいだな・・・

ル「じゃあ、竜狩りの奴等も、十分強いって事でしょ?なのに何で・・・」

リョ「あいつ等は、『強くなりたい』ってゆう願望がでかすぎるんだよ。他人を犠牲にしてまで強くなりたいなんて・・・どうかしてるぜ。」

ル「リョウ・・・」

願いは努力し続けた者のみ叶えられるものだ。

?「努力するなんて時間の無駄なだけよ。」

ル「!!!」

リョ「誰だっ!!」

艶やかな黒髪に、ナツみたいな吊り目に黒いめがねを掛けた、いかにも有能そうな女が俺たちに歩み寄ってきた。服装は女性用の黒いスーツを見事に着こなしている。秘書って感じの女だ。

?「3人の滅竜魔道士はいない。」

黒いめがねを掛け直す。レンズがキラリーンと光る。

?「その他の哀れな妖精は即始末しろとのリーダーのご命令が出ております。あなた方にはここで消えてもらいましょう。」

ル「あなたも竜狩りの1人・・・」

リョ「わざわざそっちから現れてくれるとはな。捜す手間が省けたぜ。」

?「私はただ、1秒でも早く任務を終わらせたかっただけ。時間の無駄ですから。」

さっきから時間、時間、時間・・・いちいちうるせぇな。

ロ「私の名前はロクシー・ニコシーア。さぁ、始めましょう。あなたたちは『時の動き』が分かるかしら?」

ル&リョ「『時の動き』?」

何じゃそりゃ?まっ、戦えばいずれ分かるか。俺は聖剣(エクスカリバー)を1本抜いてロクシーに向かって一直線に駆け出した。

リョ「一心切ッ!!」

赤色に輝く光を放ちながら、聖剣をロクシーに向かって振りかざす。ロクシーは1歩も動かず、冷静に自分の顔の前に右手をかざすと、

ロ「時よ、聖剣の未来に、進め・・・!」

ル&リョ「!!?」

いつの間にか、俺の攻撃はロクシーの片手で止められていた。

ロ「これはあなたの未来。私に攻撃を止められた未来です。」

ル「み、未来・・・?」

ロ「もっと簡単に言えば、時を未来に数分早めたと言った方がよろしいでしょうか?」

リョ「時を勝手に動かしただとっ!?」

そんな魔法聞いた事ねぇぞっ!!元魔道評議院の検証魔道士で、今は行方不明になっているグレイの師匠、ウルの一人娘、ウルティアの時のアークの事は知っているが・・・時のアークは生物には効かないはずだ。ロクシーは、生物の時も自由自在に操る事が出来るのかっ!?

ロ「私は時竜、タイムリーアに育てられた第1世代の時の滅竜魔道士です。どんなものの時でも、私は自由自在に過去に戻したり、未来に進めたりする事が出来るのです。例えば・・・時よ、星霊魔道士の過去に、戻せ・・・!」

今度は左手を顔の前でかざしたが、何も起こらない。その時、

ル「うぁぁぁぁぁん!!」

背後から子供の泣き声が聞こえた。驚いて振り返ると、そこにいたのは・・・

リョ「ル、ルーシィ!?」

が、俺が知っているルーシィじゃない。なんと、赤ちゃんのルーシィだったんだっ!!

リョ「え、えぇっ!?」

俺の頭の中はパニック状態になっていた。

ロ「星霊魔道士の成長の時を過去に戻したのです。私に勝つ事が出来れば、元に戻してあげましょう。ただし、私に勝てたらの、話ですがね・・・」

リョ「勝手な事しやがって・・・!!」

俺はまだ泣きじゃくる赤ちゃんになってしまったルーシィを抱っこしてあやしながらロクシーを睨みつける。でも、このままだと戦い辛いな・・・床に下ろすわけにもいかないし・・・俺は仕方なく、着物で落ちないように包むようにする。ちょっとくすぐってぇけど仕方が無い。俺は聖剣を構え直して走り出した。

リョ「竜桜切ッ!!」

俺の背後に青いドラゴンが浮かび上がる。ロクシーはまた右手を顔の前にかざすと、

ロ「時よ、天井の未来に、進め・・・!」

次の瞬間、俺の真上の天井が崩れ始めた。俺は攻撃を止め、ルーシィを片手でしっかり支えるとその場から離れた。

リョ「くそっ!!これじゃ思うように攻撃が出来ねぇ・・・」

俺が拳で床を殴っていると、ルーシィが小さな手を伸ばして俺の耳を思いっきり引っ張った。

リョ「いててててて・・・!」

ル「にゃははははっ!!」

無邪気に笑う赤ちゃんルーシィの顔はいつものルーシィと変わらないくらいかわいかった。金髪に茶色い瞳・・・赤ちゃんルーシィはいつものルーシィそっくりで、母さんにそっくりだった。

リョ「母さん・・・」

俺の脳裏に13年前に他界した母さんの顔が浮かび上がる・・・

リョ「!」

我に返り頭をぶんぶん左右に振る。今頃何考えてんだよ俺は・・・!俺は立ち上がり、もう1本の聖剣も抜く。

ロ「やっと本気出してもらえましたか。時よ、再び天井の未来を、進め・・・!」

また天井が崩れ、その破片が大量に俺の方に飛んでくる。俺は2本の聖剣で必死に防ぐが、頬や腕、横腹などに破片が刺さり血が流れる。くそっ!!ルーシィがいるってのに・・・!!ルーシィは怖いのか、目をギュッと瞑って着物の裾をギュッと掴んでいる。このままじゃ、ルーシィも危険だ・・・!!俺は一度聖剣を投げ捨て、ルーシィをしっかり両手で支えると、ロクシーに背を向ける。破片は次々に俺の背中に突き刺さっていく。

リョ「うぅっ・・・!!くぁ・・・!!あぅっ!!」

背中に生暖かいものが伝い、緑色の着物を真っ赤に染めていく。俺はその場に膝を着く。

ル「うぅ・・・うぁぁぁぁぁんっ!!」

俺が苦しんでいるのが分かったのか、赤ちゃんのルーシィはまた泣き始める。優しく背中を摩る。が、ルーシィは泣き止まない。

ロ「どうやらこの勝負、私の勝ちみたいね。」

ロクシーは右手を前に突き出す。すると、さっき俺が投げ捨てた『銀覇剣』と『天力剣』、俺の腰にある『嵐真剣』が独りでに動き出した。まさか、聖剣を操っているのか・・・!?

ロ「時よ、聖剣と男の命の未来を、進め・・・!」

すると、3本の聖剣が刃先を俺に向かって飛んできた。俺は立ち上がろうとしたが、背中の痛さに立つ事が出来なかった。ただ、泣きじゃくる赤ちゃんルーシィを両手でしっかり庇いながらギュッと目を閉じた。聖剣に、殺される・・・!!死を覚悟した・・・が、いくら経っても痛みは感じず、息も途絶えない。

リョ「どうなっているんだ・・・?」

恐る恐る目を開けて、振り返ると、

リョ「なっ!?」

ロ「そ、そんな・・・!?」

3本の聖剣は、俺の背中スレスレのところで空中で止まっていた。

ロ「な、なぜ止まるっ!?時よ!もう一度聖剣と男の命の未来を、進め!」

ロクシーが繰り返し言っても聖剣は動かない。

ロ「な、なぜ・・・?なぜ操れないの・・・?」

すっかりパニックに陥ったロクシー。その時、3本の聖剣が光りだした。俺はあまりの眩しさに目を閉じてしまった。光が治まり、目を開けると・・・俺の目の前には3人の男女が立っていた。その内の1人だけ見覚えがあった。銀色の長髪をなびかせ、茶色がかった瞳に空色のフリルの付いた服を着た女・・・

リョ「シ、シルバー・・・?」

読者のみんなは覚えているか?俺が初めて契約した聖剣、『銀覇剣』の守護剣士だ。

シ「久しぶりね、リョウ。」

?「こいつがお前が認めた俺たちの所有者か。」

?「初めまして、所有者。話はいろいろシルバーから聞かされているよ。」

後の2人のうち1人は、水色で、毛先の方だけ灰色の髪の毛をポニーテールに束ね、左が水色、右が灰色の瞳に、青いセーターに黒いミニスカートの女。もう1人は、青い髪の毛に黒い瞳。黒いスーツに青いネクタイがめちゃくちゃ似合っている男。も、もしかして・・・!?

ス「はぁ~い♪私は聖剣、『天力剣』の守護剣士、スカイだよ♪」

スト「同じく、聖剣、『嵐真剣』の守護剣士、ストームだ。」

俺は目が黒い点になり、開いた口が塞がらない。

ス「さぁ~て、私たちの所有者は動けないみたいだから、少しだけ私たちであいつを懲らしめてやろうよ♪」

スト「そうだな。」

シ「そうね。」

えっ?まさか、そのためだけにわざわざ姿を現したのかっ!?

ロ「世界に7本ある聖剣を守る聖霊、守護剣士・・・本当に存在したのね・・・」

驚いているロクシーにお構いなしに、3人の守護剣士たちは、

シ「銀の波動!」

ス「天罰!!」

スト「嵐轟!」

次々にロクシーに攻撃していく。シルバーからの手の平から、その名のとおり、銀色の波動が起こり、スカイは片手を天に突きつけると、天から一筋の光が放たれた。ストームは手から嵐を巻き起こす。

ロ「くあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

この3発の攻撃だけで、ロクシーはかなりのダメージを受けたみたいだ。流石守護剣士!!

シ「私たちの手助けは終わり。後は所有者に任せるわ。」

リョ「えっ?」

ス「大丈夫!良き心を持った所有者になら必ず倒せるよ。彼女ちゃんも守りたいんでしょ?」

スカイは俺の手の中のルーシィを見る。ルーシィはスカイを見ると無邪気に笑った。

スト「後、今回は『嵐真剣』を使え。必ずだぞ。」

そう言い残すと、3人の守護剣士は姿を消した。俺はよろよろ立ち上がり、床に落ちた3本の聖剣を拾い上げる。

リョ「俺はこいつ等に認められたんだ。こいつ等のためにも、みんなのためにも、必ず勝ってみせるっ!!!」

俺は『銀覇剣』と『天力剣』を両手に持ち、『嵐真剣』を口に銜える。

ロ「な、何・・・この魔力・・・」

すっかり怯えたロクシーが悲鳴に近い声を上げる。俺は走り出した。

リョ「3剣流・・・銀天嵐切ッ!!」

銀色の光を纏った『銀覇剣』と、水色と灰色の光を纏った『天力剣』と、吹き荒れる風を纏った『嵐真剣』を同時に振りかざした。

ロ「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

ロクシーは部屋の反対の壁まで吹っ飛んだ。ロクシーの体は壁にめり込んでいる。どんだけすごい威力なんだよ・・・

ロ「と、時を・・・上回る者が・・・いた、なん、て・・・」

そう呟いた。俺は壁にめり込んでいるロクシーの方に歩み寄ると、『天力剣』の刃先をロクシーの首筋ギリギリに突きつける。

リョ「気を失う前に、ルーシィを元に戻せ。」

ロ「・・・時よ、星霊魔道士の成長の時を、元に戻せ・・・!」

そう言うと気を失った。すると、いきなり手の中が重くなった。見ると、元の姿になったルーシィが俺の腕の中にいた。

ル「やっぱりリョウは、強いわね。」

リョ「俺が強いんじゃない。聖剣が、俺を強くしてくれるんだ。」

俺は3本の聖剣に改めて感謝した。 
 

 
後書き
第124話終了です!!
遂に現れました『天力剣』と『嵐真剣』の守護剣士!!
次回はナツ&マヤ&ハッピー&フレイの対決!!いつものようにナツがマヤを守るのか!?それともマヤがナツを守るのか!?
それではまた次回!! 

 

第125話 私に力を・・・!!

 
前書き
お久しぶりで~す☆07です☆
今回はナツ&マヤ&ハッピー&フレイの対決!!
途中で目線が変わります。最初はマヤ目線でいきますよ~!!
それでは、第125話・・・スタート☆ 

 
マ「むーーーーー・・・」

ハ「ナツ、フレイ、珍しくマヤが何か考えてるよ。」

ナ「どうしたんだマヤァッ!?」

フ「壊れたのかぁっ!?」

マ「私はロボットじゃないっ!!」

ていうか、何で3人は何も思わないわけ?竜狩り(ドラゴンハンター)の奴等は第1世代の滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)の力を狙っている。でも、自分たちも第1世代の滅竜魔道士なのに、何で力が必要なの?

ナ「そんなの簡単だろ。もっと力をつけてぇからに決まってるじゃねぇか。」

マ「そんな簡単に考えていいのぉ~?」

ハ「そんなに気にしてたら、頭爆発しちゃうよ。」

マ「だから私はロボットじゃないっ!!」

こんないつもの日常生活みたいな会話をしていると、

リュ「『黒』は闇へと導く。」

ナ&マ&ハ&フ「!!!!」

黒い髪に黒い瞳。服装も真っ黒な全身黒一色のリューバが私たちに歩み寄って来た。フレイはすぐに人間の姿に変わる。

リュ「『黒』は破滅へと導く。」

片手に黒い光を纏いながら言う。

リュ「そして、『黒』は死へと導く事も出来る!」

いきなり駆け出したと思うと、狙いは私でもハッピーでもフレイでもない。

ナ「うごっ!!」

ナツだ。ナツはリューバの攻撃を真正面からまともに食らい、10m程吹っ飛んだ。

ナ「いきなり何しやがるてめぇっ!!」

片手に炎を纏いリューバに殴り掛かるが、

リュ「黒竜の・・・黒風ッ!!」

片手を斜めに振りかざすと、真っ黒な強風が吹き荒れた。

ナ「うおぉぉぉぉぉっ!!」

マ「うぎゃあぁぁぁぁぁっ!!」

ハ「わぁあぁあぁぁぁぁぁっ!!」

フ「ぬおぉぉぉぉぉっ!!」

ナツはもちろん、私とハッピーとフレイも飛ばされた。この風・・・!ただの竜(ドラゴン)の風じゃない!!台風・・・いや、竜巻以上の威力だよっ!!

フ「それに・・・何だ、このバカデカくてすげー強力な魔力は・・・?」

こ、これが・・・黒竜、アクノロギアの力・・・

リュ「どうした?『黒』の力に怯えて力が出せねぇのか?火竜(サラマンダー)よ。」

ナ「んなわけねぇだろっ!!」

・・・相変わらず素直じゃないなぁ~。ナツったら、口調は強がってるけど、額に冷や汗が浮かんでいるよ。さぁ~て、そろそろ実行しますか。

マ「フレイ!作戦実行だよっ!!」

フ「りょーかい!!」

フレイは鳥の姿に戻ると、小さな足でナツの服を掴むと上空へ飛んでいった。

ナ「おいフレイ!!何するんだよっ!!放せっ!!」

フ「そんなに暴れるなってっ!!落としちまうだろぉっ!?」

ナ「落とせぇぇぇっ!!」

ハ「ナツ~、フレイ~、待ってよぉ~!!」

ハッピーもフレイとナツを追いかけて上空に。私は3人を見届けた後、正面にいるリューバに視線を戻した。リューバも最初は黒い瞳を見開いて驚いていたけど、すぐに私に向き直った。

リュ「これは何の真似だ?」

マ「あんたには最初は私が相手になってあげるよ。」

私はビシッと人差し指をリューバに突きつけて、

マ「バトルで私に勝てないようじゃ、あんたにナツを倒す事も、ナツの力を手に入れる事も出来ないっ!!どうしても火竜の力を手に入れたいのなら、まずはこの私、動物姫(アニマルプリンセス)を倒すのが先だよっ!!」

****************************************************************************************

              『ここからナツ目線でいきます。』

俺はなぜかフレイに摑まれて上空にいた。かなり下にリューバとマヤが見える。

ナ「おいフレイ!!何で俺をこんなところに連れてきたんだっ!!作戦って何だよっ!?」

ハ「そうだよ~。マヤとどんな作戦考えていたの?」

つーか、そんな作戦、いつの間に考えていたんだよ。

フ「俺はマヤの言うとおりにしただけだ。この作戦は全部マヤが考えたんだ。」

おいマヤ!いったい何の真似だよっ!?

フ「マヤ曰く、お前に恩返ししたいんだとよ。」

ナ「俺に?」

ハ「恩返し?」

フレイはゆっくり目を閉じると、話し始めた。

フ「リグリション島の時とか、マヤは何度もお前に助けられた。いつかお前の役に立ちたいって思ってたんだよ。あいつは。」

俺は下にいるリューバと向き合ったマヤを見る。マヤの大きなオレンジ色の瞳は、いつも以上に輝いて見えた。

フ「んで、俺とマヤはこっそり作戦を立てていたってわけだ。俺がお前とハッピーをうまく連れ出して、マヤが最初にリューバと勝負するんだ。もし、マヤがリューバに負けたら、その時はお前等を下に連れて行く。」

ず、随分手際いいんだな・・・

フ「だが、俺はこの作戦で少し不安な事があるんだよ。」

ナ「不安?」

ハ「どんな?」

俺とハッピーがフレイに問いかけると、

フ「たぶん、マヤは使う気だ。」

ナ&ハ「何を?」

フ「鳳凰の力、火炎石の力を・・・」

俺とハッピーの思考が止まったのと同時に、静かに風が吹いた。

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             『ここから再びマヤ目線でいきます。』

リュ「最初にお前と?ハハハッ!!俺を舐めているのかぁ?」

マ「舐めているのはそっちでしょっ!!私と動物たちの絆、あんたに見せてあげるっ!!」

目を閉じて魔力を集中させる。床にオレンジ色の魔法陣が浮かび上がった。

マ「我と契約した者よ、ここに姿を現せっ!!ライオンのキング!!キツネのココット!!たぬきのポム!!ピィーーーーーーーーーーーーーーーッ!!」

魔法陣からキングとバトル初登場のココットとポムが姿を現した。

リュ「ほぉ~、動物召喚(アニマルズ)か。面白いものを見せてもらった。」

マ「ココット、ポム、変化でキングに変身!!」

ココットは宙返りをし、ポムは頭の上に葉っぱをのせた。すると、私の目の前には3頭のキングがいた。変身大成功!!

マ「3頭同時に、王者の牙!!」

キ&コ&ポ「ガォーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」

3頭は同時にリューバ目掛けてものすごい速さで駆け出した。リューバは全く見くびらずに、

リュ「竜(ドラゴン)とライオンは全然違う生き物なんだよ!!黒竜の・・・咆哮ッ!!」

リューバの口から黒い息(ブレス)が放たれる。

マ「くぅ・・・!!っあぁぁぁぁっ!!!」

私に攻撃は当たらなかったけど、威力が強すぎたのか、私も吹っ飛ばされた。起き上がると、

マ「キング!!ココット!!ポム!!」

キングは必死に立ち上がろうとするが、左後ろ足に重傷を負い、ココットは変化が解け、右前足を重傷を負い、ポムも変化が解け、小さな体はほとんど重傷だった。

マ「ありがとう、みんな・・・ゆっくり休んでね・・・」

みんな元の場所へと帰っていった。

リュ「そんなものなのか?動物姫の威力は?笑わせてくれるぜ!!ハハハハハッ!!」

私は唇を噛み締め、お腹を抱えて笑い転げるリューバを睨む。でも、リューバが強いのは事実。これ以上、動物たちに怪我を負わせるわけにはいかないっ!私は白いショーパンのポケットから火炎石を取り出した。ナデシコと戦った時みたいに、また暴走しちゃうかもしれないけど・・・今はこれに賭けるしかないっ!!私は火炎石を両手で握り締め、胸の前に手を置く。

マ「お母さん、お願い・・・!私に、力を貸してっ!!」

その時、火炎石が炎のように赤く光りだし、私の体を包み込んだ。

リュ「な、何だっ!?」

やっぱり、以前と同じように体は熱くもないし何ともない。そして、光が消えるとやっぱり私の両手には炎が纏っていた。私は体が勝手に動くのを覚悟して目をギュッと瞑った。が、体は一向に動かない。恐る恐る目を開けると、両手はそのまま炎で包まれている状態だった。とゆうことは・・・

マ「使える・・・私、火炎石を使えるようになったんだっ!!」

私は嬉しさで持っている火炎石を投げ飛ばすのをグッと我慢して、リューバに視線を戻した。

リュ「さて、今度は炎の技で攻めて来るのか?」

マ「今度はさっきみたいに簡単にはいかないよ。」

リューバは最後に鼻で笑うと、私と同時に駆け出した。

リュ「黒竜の・・・黒肘ッ!!」

肘に黒い光を纏ったため、威力が上がった拳で私に殴り掛かってくる。が、

マ「不死鳥の・・・火の玉ッ!!(フレイム)」

赤、オレンジ、黄色の3色の火の玉がリューバ目掛けて飛んでいく。お母さんの炎はただの炎じゃないのは、私が一番よく分かっている。

リュ「!!くっ・・・」

リューバは攻撃を止めて火の玉をかわした。火の玉が直撃したコンクリートの壁は、少しだけ融けた。お母さんの炎は性質を自由自在に変化させる事が出来る。ナデシコの時の炎は、普通の炎だったけど、今の炎は火傷だけでは済まない。

リュ「なかなか質のある炎だな。」

マ「これで終わりだと思わないでね。不死鳥の・・・マグマッ!!」

両手の炎がマグマに変わり、リューバに殴り掛かる。

リュ「黒竜の・・・鉤爪ッ!!」

黒い光を纏った足で蹴り上げる。まさかの互角だった。

マ「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・」

リュ「ふぅ、ふぅ、ふぅ、ふぅ、ふぅ・・・」

私もリューバも、かなり息があがっている。

リュ「ふぅ、ふぅ、俺はこの後・・・ふぅ、火竜との、戦いが、あるんだ・・・ふぅ、ふぅ、無駄な魔力は使わせんで欲しいな・・・ふぅ、ふぅ、ふぅ・・・」

マ「はぁ、はぁ、じゃあ・・・この攻撃で、お互い、最後にしますか・・・はぁ、はぁ・・・」

リュ「あぁ・・・」

私たちはお互い構えた。やっぱり、お母さんを信じてよかったんだ・・・!私は手の中の火炎石を見る。お母さんの思い、無駄にしたくはないっ!!

リュ「黒竜の・・・黒嵐拳ッ!!」

黒い風を纏った片手を振りかざしながら攻撃を仕掛けてきた。私は残り少ない魔力を全て両手にためる。すると、私の背後に不死鳥が浮かび上がった。

マ「不死鳥の・・・紅蓮炎鳥ッ!!」

真っ赤に燃え盛る炎を纏った両手と、背後の不死鳥でリューバを殴り飛ばす。

リュ「そ、そんな・・・!バカな・・・!?うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

リューバは反対の壁まで吹っ飛び、体が壁にめり込んだ。リューバの腹部の辺りが焦げていた。

ナ「マヤ~~~!!」

上空からナツとハッピーとフレイが降りてきた。私は3人を見てほっとすると、魔力を使いすぎたのかそのまま床に膝を着いて倒れそうになったところをナツが受け止めてくれた。

ナ「ありがとな、マヤ。」

いつもの笑顔がさらに私をほっとしてくれる。

マ「これで、おあいこ・・・だね。」

ナ「だな。」

フ「おう!」

ハ「あい!!」

妖精と竜狩りの戦いは幕を閉じた。 
 

 
後書き
第125話終了~☆
火炎石を使いこなせるようになったマヤ!!少し成長したのかな?
次回は竜狩りとの戦いを終えて帰ろうとしたが、『竜の遺跡』の事を思い出し、封印されている竜の力を探す事に!!
お楽しみに~☆ 

 

第126話 封じられた竜の力

 
前書き
はいど~も♪07で~す♪
今回は竜狩り(ドラゴンハンター)との戦いも終わり、ギルドに帰ろうとした最強チームだが、『竜の遺跡』の事を思い出して捜す事に!!
いろいろ目線が変わります。最初はルーシィ目線で書いていきます。
それでは、第126話・・・スタート♪ 

 
竜狩り(ドラゴンハンター)を全員倒す事が出来た私たち最強チーム。竜狩りの奴等は評議委員によって全員連行されていったわ。捕らわれていた他の第1世代の滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)もみんな助かったみたい。よかったぁ~。追い出されたドラゴスターの街の人たちは、竜狩りの本部を壊すための工事を行っているわ。街のあちらこちらを黄色いヘルメットを被った人たちが木材などをせっせと運んでいる。

グ「街に戻って早々工事とは、働き者だな。」

ト「お疲れ様です。」

そういえば、この街の至る所に竜(ドラゴン)の骨があるけど、この工事のついでに骨も片付けちゃえばいいのに。

エ「それだけ竜を誇りに思っているのであろう。」

リョ「この街では竜は神と同じような存在だからな。」

ル「へぇ~。」

竜が神・・・か。じゃあ、ナツやウェンディ、ガジルも神って事なのかしら?

ウェ「そういえば、『竜の遺跡』はどこにあるんでしょうか?」

シャ「ていうか、本当に存在するのかしら?」

ショ「せっかくこんな遠い所まで来たんだ。『竜の遺跡』捜し、ちょっとやってみるか。」

マ「面白そう!!私やるーーー!!」

ショールの提案に全員が同意した。

ナ「封じられてる竜の力か。燃えてきたぞーーーーー!!」

ハ「あいっ!!」

いったい、何に燃えているのかしら?

ユ「でも、どうやって捜すの?何の手掛かりもないのに。」

ユモの言うとおり。街の人たちも『竜の遺跡』がどこにあるか知らないし・・・

ナ「普通に捜してればいつか見つかるっつーの。行くぞマヤ!ハッピー!フレイ!」

マ「OK!!」

ハ「あいさーーー!!」

フ「りょーかい!!」

ル「普通に捜して見つかるわけないでしょっ!!」

私はハッピーとフレイで飛んで行こうとするナツのマフラーとマヤの服の裾とハッピーの長い尻尾とフレイの尾を摑んで止める。

ト「エルザさんとショールさんとリョウさんは、他に何か知らないんですか?」

エ「私は何も・・・」

ショ「俺も『竜の遺跡』の事は全く知らないな。」

エルザとショールは首を横に振るが、リョウは、

リョ「俺は知ってるぞ。」

リョ以外「ほんとか!!!??」

さっすが聖十大魔道!!

リョ「とは言ったものの、あまり詳しくは俺も知らないし、ほとんどがラハールさんやマカロフさんから聞いた話だからな。」

私たちはリョウの話に耳を傾け、リョウは『竜の遺跡』について話し始めた。

リョ「この街には、昔、竜が住んでいて、竜の力が今もどこかに封印されているってゆう話は列車の中でしたよな?」

全員が同時に頷く。

リョ「竜の力が封印されている場所は、この街に唯一ある洞窟に封印されているらしい。ってゆうのがラハールさん情報だ。」

グ「この街に唯一ある洞窟?」

フ「その洞窟に竜の力が封印されているのか?」

マグノリアにはたくさん洞窟があるのにね。

ウェ「元々、ここは海沿いの街ですからね。」

シャ「森とかもないから、洞窟も少ないのはおかしくはないわ。」

確かに、この街は緑が少ないわね。

リョ「その唯一ある洞窟の場所を知る者は街の人たちでも少ないらしいぜ。偶然竜の力が封印されている洞窟を見つけて、中に入って竜の力を見つけようとしても、絶対に見つける事が出来ないらしい。街の人たちでも、今まで竜の力を見つけた人は未だに誰もいないらしい。ってゆうのがマカロフさん情報だ。」

マ「街の人たちも誰も知らない竜の力・・・」

ユ「ますます面白くなってきたね。」

私は少し不安だな・・・

ナ「その竜の力、俺たちが見つけてやろうじゃねぇかっ!」

ハ「あいっ!!何か賞品が貰えるかもね。」

ル「貰える訳無いでしょっ!!くじ引きじゃないんだからっ!!」

エ「とにかく、まずは全員でこの街の海に行ってみよう。」

ショ「そこが一番可能性が高いからな。」

とゆうエルザとショールの提案で私たちは海に向かって夕方のドラゴスターの街を歩き出した。

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ザザザザーーーン、ザザザザーーーーーン・・・夕日に照らされて黄金に輝いた海がとても綺麗。つい見とれてしまう。遠くの方で船が見える。

リョ「この街は昔から漁業が盛んな街なんだ。」

ル「へぇ~。」

海に見惚れていたその時、

マ「ふぎゃっ!!」

砂の上でマヤが盛大に転んだ。

ウェ「マヤさん!?」

ト「だ、大丈夫ですかぁ!?」

シャ「相変わらずそそっかしいんだから。」

フ「全くだ。」

ナ「おいマヤ、大丈夫か?」

ナツが声を掛けてマヤが起き上がると、

マ「うぅ・・・い、痛い・・・」

マヤの大きなオレンジ色の瞳から少しだけ涙が出ていて、マヤの額と鼻の先が赤くなっていた。

ユ「マヤ!?どうしたのっ!?」

グ「一応ここ砂浜だろっ!?」

砂浜で転んでも、全く痛くないと思うけど・・・?

マ「こ、ここ、何か、ものすごく、硬いよ・・・」

赤くなった額を押さえながらマヤが転んだ場所を指差す。ハッピーがその辺りの砂を掃うと、

ハ「ここ、何か埋まってるよっ!!」

ハッピーが指差したところを見ると、金属のようなものが埋まっていた。ナツとグレイとリョウの3人がさらに掘り返すと、

ナ「な、何だこれっ!?」

グ「鉄の扉・・・か?」

リョ「あ、あぁ。」

ものすごく頑丈そうな大きな鉄の扉が埋まってあったのっ!!こんなものが砂浜に埋められてるなんて・・・

ショ「あ、開けてみるか。」

エ「そうだな。みんな、手伝ってくれっ!!」

みんなで扉の前に座り込む。

全「せぇーーーーーのっ!!!!!」

鉄の扉の引く。でも、ビクとも動かない・・・!!

フ「ず、随分頑固な扉だな・・・!!」

ル「と、扉に・・・頑固も、クソもないわよ・・・!!」

はぁ、はぁ、はぁ・・・1回息を整える。

ウェ「はぁ、はぁ、いったい、どんな材料で出来てるんですか・・・?はぁ、はぁ、はぁ・・・」

ト「お、重すぎます・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・」

赤い桜(レッドブロッサム)のギルドの扉よりも重いわね・・・

ユ「もしかして、引いて開けるんじゃないのかも。」

マ「呪文を唱えると開くんじゃない?開け、ごま!!」

その呪文って、アリババじゃないの?鉄の扉はビクともしない。

リョ「呪文が違うんじゃねぇのか?開け、扉!!」

リョウの呪文でもビクとも動かない。

グ「開け、かき氷!!」

ナ「開け、肉!!」

ル「それ全然関係ないしっ!?」

ナツとグレイの呪文ではもちろん扉はビクとも動かない。その後もいろいろな呪文を唱えてみたけど、鉄の扉はビクとも動かない。

ナ「はぁ・・・いったいどうやって開けるんだ・・・?ってうおっ!!?」

ナツが扉に手を置いたとたん、扉が内側に開いた。押して開ける扉だったのね・・・

ショ「誰だったけ?呪文を唱えると開くって言い出したのは・・・?」

私たちはマヤを睨む。

マ「さ、さぁて、扉も開いたところで、レッツゴーーーッ!!」

慌てて扉の中へ進んだマヤに続いて、私たちは扉の中へ入って行った。

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エ「真っ暗だな。」

ハ「何にも見えないよ~!!」

ナツの炎とフレイの炎で何とか視界が明るくなった。

リョ「どうやらこの洞窟で間違いねぇな。」

ウェ「この洞窟のどこかに、竜の力が・・・」

私たちは奥へ進む。湿った空気がちょっと不気味・・・

ナ「ん?」

マ「ふぎゃっ!!」

ハ「あぎゅ。」

ル「ひゃあ!!」

リョ「うがっ!」

グ「ぐべっ!」

ユ「きゃあ!!」

エ「うわっ!」

ショ「うごっ!」

ウェ「はわぁ!!」

ト「あわっ!!」

シャ「うぎゃっ!」

フ「おぉっとっと!!いきなり止まってどうしたんだよ?」

ナツがいきなり止まったからフレイ以外の後ろにいた私たちはお互いぶつかり合った。

エ「ナツ!止まるなら声を掛けろ!!」

マ「ど、どうしたの・・・いったい・・・?」

マヤが今回2度もぶつけた鼻を押さえながらナツに聞く。

ナ「道が5つに分かれている。」

ナツが言ったとおり、道がきれぇ~いに5つに分かれている。

ショ「手分けして捜すしかないな。」

ナ「おっしゃーーー!!行くぞマヤ!ハッピー!フレイ!」

マ「OK!!」

ハ「あいさーーー!!」

フ「りょーかい!!」

ナツとマヤとハッピーとフレイは真ん中の道へ進んだ。

シャ「相変わらずあの4人は行動が早いんだから。」

ウェ「私たちも行きましょうか。」

ト「そうですね。それじゃみなさん、お先に失礼します。」

ウェンディとトーヤとシャルルは左端の道へ進んだ。

グ「んじゃ、俺たちも行くか。」

ユ「そうだね。それじゃあ、また後で。」

グレイとユモは右から2番目の道へ進んだ。

エ「ショール、私たちも行こう。」

ショ「そうだな。それじゃ、また後で合流しような。」

エルザとショールは右端の道へ進んだ。

リョ「さて、竜の力はどの道にあるのやら?」

ル「私たちの行く道にありますようにっ!!」

リョ「よし、行くか。」

そう言うと、リョウが優しく私の手を握ってくる。大きくて、暖かくて、とても頼もしいリョウの手は、もう何度も触れた。私とリョウは残った左から2番目の道へ進んだ。

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            『ここからウェンディ目線でいきます。』

トーヤさんの友達の赤と青の火の玉が辺りを照らしてくれるので視界がよく見えて安心です。

ト「竜の力って、いったいどんな力何でしょう?」

シャ「恐ろしいような恐ろしくないような・・・」

ウェ「私はちょっと怖いな・・・」

私も第1世代の滅竜魔道士だけど、私はそんなに強くなんかないし、本物の竜の力がこんな洞窟に封じられてるだけでも・・・

ト「もしかして、ウェンディさんのお母さん、天竜、グランディーネさんの力がここに封じられているかもしれませんね。」

ウェ「え・・・?」

グランディーネの力が・・・

ト「僕の勘、ですがね。」

時々、思っちゃうんです。トーヤさんがいつか、私やシャルルの目の前から消えてしまうと。もう二度と会う事が出来ない、真っ暗な遠い闇の世界で・・・

シャ「ウェンディ、どうしたの?」

ウェ「えっ?」

シャ「なんかボーーーッとしてたから。」

ト「もしかして、今僕が言った事で?あぁ、ス、スミマセン!!」

ウェ「トーヤさんのせいじゃないですよ。」

私ったら、いったい何考えているんだろう。トーヤさんが消えるわけないのに・・・そんなわけ、あるはずが、ない・・・

ト「あれ?行き止まり?」

私たちが選んだ道はどうやら行き止まりだったみたいですね。

シャ「戻って別の道を進みましょう。」

ウェ「そうだね。トーヤさん、戻り・・・トーヤさん・・・?」

ト「・・・・・」

トーヤさんが火の玉と一緒に壁を見つめていました。すると、トーヤさんが壁に触ると、ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・と地鳴りのような音が響き渡りました。

ウェ「え、えぇっ!?」

シャ「地震!?」

すると、目の前の壁が自動扉のように動き出し、道が現れました。

シャ「隠し扉!?」

ウェ「トーヤさんすごいですねっ!!」

ト「いえ、火の玉たちが教えてくれたんです。」

嬉しそうに赤と青の火の玉が空中で小さく飛び跳ねます。

ト「さぁ、先に進みましょう。」

トーヤさんとシャルルが歩き出しても、私は足を動かす事が出来ませんでした。今のは火の玉が教えた事じゃない。トーヤさん自身でこの隠し扉の仕掛けを見つけたんだっ!どうして分かったんだろう?それに、どうしてその事を隠すの?

シャ「ウェンディーーー!!」

ト「こっちですよーーー!!」

私は2人の声に我に返り、2人の後を追いかけました。

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              『ここからエルザ目線でいきます。』

私とショールは洞窟の奥へと進んでいた。ショールのモード光のお陰で視界がよく見える。

ショ「エルザは竜の力がどんなものか知ってるか?」

エ「いや、私は何も知らないな。ショールは何か知ってるのか?」

ショ「いや、全くだ。噂では、昔ドラゴスターの街に住んでいた数多くの竜の力が何百年以上も封印されているってゆう事だけだ。」

物知りなショールでも、竜の力の事はよく知らないみたいだな。

エ「そういえば、ショールはいったいどうやって街の情報とかを調べているんだ?」

ショ「ほとんどはじいちゃんからもらった本が多いな。じいちゃんは読者が好きだったから。」

セイヤさんの血が流れているとゆう事か。

ショ「後は、情報魔水晶(ラクリマ)が多いかな。」

エ「情報魔水晶?初めて聞く名だな。」

ショ「そりゃそうさ。俺が自分で作った魔水晶だからな。」

魔水晶を作っただと!?そんな事が出来るのか・・・!?これはちょっと大げさすぎるかもしれないが、時々ショールがどこかの密輸組織の科学者だと思ってしまうときがある。もし、それが本当だったら・・・考えただけで恐ろしい・・・

ショ「ん?行き止まり?」

いつの間にか、私とショールは岩の壁の前にいた。私たちが選んだ道はどうやらハズレのようだな。

エ「戻って別の道を進もう。」

くるりと回れ右をして、来た道を戻ろうとするとショールに手を摑まれた。

エ「ショール?」

ショールはゆっくり目を閉じると、

ショ「透視(クリアアイズ)。」

カッ!と目を開けると、ショールの鮮血のような赤い瞳は半透明の赤色に変わっていた。まるで、何かを透かして見てるように。すると、ショールはゆっくり目の前の壁に触れたその時、ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・と地鳴りのような音が響き渡った。

エ「!?」

すると、さっきまで岩の壁だったところに道が現れた。

エ「なるほど。こうゆう仕組みが隠されていたのか。でも、何で分かったんだ?」

ショ「透視は見えないものが見えるようになる魔法だ。」

ショールの瞳はいつもと同じ鮮血のような赤い瞳に戻っていた。いつも思うが、相変わらず便利な魔法だな。

ショ「さて、進むか。」

エ「あぁ。」

私とショールは更に奥へと足を踏み入れた。

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              『ここからグレイ目線でいきます。』

俺とユモは辺りを照らすものが無いため、壁を触りながら真っ暗な洞窟を進んでいた。

グ「しっかし真っ暗だな。」

隣にいるはずのユモの顔が見えないくらいだ。

グ「おいユモ、絶対に壁から手を離すんじゃねぇぞ。」

俺はすぐ隣にいるユモに声をかけた。・・・だが、返事がない。

グ「お、おいユモ・・・?そこにいるよな・・・?」

・・・やっぱり、返事がない。

グ「ユモ!?何か答えろっ!!」

俺は動揺し、つい壁から手を離しちまった。俺は元来た道をあからさまに走った。

ユ「えっ?グレイ?」

グ「ユ・・・うおっ!!?」

ユ「きゃあぁぁぁっ!!」

ユモの声が聞こえたと思ったら、何かにつまずき転んだのと同時にユモの悲鳴(?)が聞こえた。すると、いきなり視界が明るくなった。

グ「いってぇ~・・・な、何だいきなり?」

ユ「ちょ・・・グ、グレイ//////////////////」

グ「ん?あ・・・//////////////////////////」

俺は地面に両手と両膝を着き、地面に仰向けに倒れたユモの上に覆い被さっている状態になっていた。自分の体温が急激に上がっていくのと、心臓の鼓動が速くなっているのが自分でも分かった。ユモの顔も真っ赤に染まっている。

グ「あぁ、わ、悪ィ!!こ、これは、そ、そのぉ・・・///////////////////////」

慌てて避けるが動揺しすぎて言葉が詰まってうまく説明が出来ない//////////////////////

ユ「だ、大丈夫////////////////こ、転んだんだよ、ね?//////////////////////」

ユモは状況は分かってるみたいだが、やっぱりこんなことになると///////////////俺はユモから目線を逸らす。恥ずかしくてどうしたらいいか分かんねぇや・・・////////////////////

グ「て、てか、な、何して、たんだ、よ////////////」

何とか声を掛けるが恥ずかしすぎてうまく話せない/////////////////

ユ「あ、あぁ、えぇっと・・・ア、アイスキャンドルを作ってて////////////」

グ「アイスキャンドル?」

ユ「う、うん。偶然ポケットの中にマッチが入ってて、これを持って歩けば辺りが見えるかなって思って//////////////」

ユモはマッチ棒が入っている小さな箱を握っていた。辺りを見回すと、中に火が点いたマッチ棒が立てられたアイスキャンドルが地面にあった。後ろを振り返ると、マッチ棒の火が消えてアイスキャンドルから飛び出し、黒い煙が一筋立ち上っているアイスキャンドルが転がっていた。たぶん、俺がつまずいたのはこれだ。

ユ「ゴ、ゴメンね。心配、掛け、て///////////////」

グ「あ、いや、俺の方こそ・・・い、いろんな意味で、ゴメン//////////////」

俺とユモはアイスキャンドルを交代で持ちながら進んだ。すると、

ユ「あ、行き止まり。」

壁が俺たちの行く手を塞いでいた。

グ「しゃーねぇ。来た道を戻るか。」

俺が戻ろうとすると、ユモが俺の肩に手を置いて引き止めた。

グ「えっ?」

ユモはゆっくり目を閉じる。すると、俺たちの足元が凍りついた。ユモが足から冷気を放出しているんだ。俺はユモが何をしようとしているか分からなかったけど、ユモが「同じようにやって」と言おうとしているのが分かった。俺も目を閉じて足から冷気を放出した。洞窟の地面や壁はあっという間に凍りついた。

グ「んで、これからどうするんだ?」

ユ「まぁ見てて。」

ユモは右足に冷気をためると、

ユ「はぁぁぁぁぁっ!!」

グ「んなっ!?」

ドドガガガァンッ!!凍った壁を蹴り上げた。すると、ガラガラガラガラ・・・俺たちの行く手を塞いでいた壁が崩れ、道が開いた。地面と壁を凍らせて、崩れやすくさせたのかっ!?

ユ「ふぅ。」

当の本人は涼しげな平然とした表情。

ユ「道も現れたから、先に行こう。」

グ「お、おぉ・・・」

現れたじゃなくて、作ったんだよな・・・?俺はまだ驚いたままユモと一緒に先に進んだ。

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            『ここから再びルーシィ目線でいきます。』

私とリョウはナツに変身したジェミニで洞窟を進んでいた。

ル「ねぇリョウ、竜の力ってどんだけ強いの?」

リョ「う~~~ん・・・俺も詳しい事は全く分かんねぇけど、聖剣(エクスカリバー)より10倍くらい強いと思うぜ。」

ル「10倍!?」

最強の剣でも敵わないんだ・・・そんなヤバすぎる力を捜しているなんて・・・

リョ「でも、何百年も前の力だ。現代の魔力には弱すぎる魔力かもしれねぇ。」

ル「そ、それもそれですごいわね・・・」

するとリョウが、

リョ「もし、ここに封じられている竜の力が、ナツの父さん、火竜、イグニールと、ウェンディの母さん、天竜、グランディーネの力だったら・・・」

ル「え・・・?」

リョ「へへっ。何つってな。」

い、今の、リョウの顔・・・すごく、困惑してた・・・

ジェ「ありゃ?行き止まりだ。」

ル&リョ「えっ?」

ジェミニの言うとおり、私たちの道は行き止まりだった。

ル「はぁ~。戻るしかないか。」

来た道を戻ろうとすると、

リョ「戻る必要なんてねぇよ。」

ル「えっ?」

リョウが腰から2本の聖剣を抜くと、

リョ「2剣流・・・天翔切ッ!!」

赤い光を放った聖剣で十字に振りかざした。すると、壁が崩壊したぁーーーっ!!

ル&ジェ「・・・・・」

私とナツに変身したジェミニは言葉を失った。

リョ「どうした2人とも?おーーーい。」

リョウが呑気に私とジェミニの顔の前で手を上下させる。やっと我に返ると、

ル「信じられない・・・」

これしか言えなかった。

リョ「さて、早く行こうぜ。」

リョウが私の手を握って先へ進んだ。

****************************************************************************************

              『ここからナツ目線でいきます。』

俺とマヤとハッピーとフレイは洞窟の奥へ進んでいた。

マ「この道であってるのかな?」

ハ「一応ナツの鼻を頼りに来たけど・・・」

フ「竜の力のにおいってするのか?」

・・・はっきり言って、しないっ!!

マ&ハ&フ「はっきり言うなぁっ!!!」

ナ「まぁ、何とかなるだろ。」

マ「そうゆう問題じゃないんだけど・・・」

そんなこんなで俺たちは進んでいると、

ハ「あ。」

フ「行き止まりだな。」

マ「えぇぇぇぇぇっ!?」

ナ「んだとぉぉぉぉぉっ!?」

ここまで来て最後は行き止まりかよっ!?

フ「急いで最初の場所に戻ろうぜ。」

マ「分かった。」

ハ「ナツ~、早く~!!」

俺は来た道を戻ろうとはせず、行き止まりの壁と向かい合っていた。

マ「どうしたのナツ?」

ナ「道、ねぇよな。」

マ「うん。だから元来た道を戻って・・・って、

マ&ハ&フ「ま、まさか・・・!!!」

そのまさかだっ!!俺は両手に炎を纏うと、

ナ「火竜の・・・鉄拳ッ!!鉤爪ッ!!翼撃ッ!!煌炎ッ!!」

連続の殴り技で壁をぶち壊そうとする。

マ「いくら何でもやりすぎだよ~~~!!」

フ「暴れまわる竜そのものじゃねぇか!!」

ハ「あい・・・」

そして止めの・・・

ナ「紅蓮火竜拳ッ!!」

ドドドドドッガガガガガガガガがガァァァァァァァァァァン!!!!!と凄まじい音と砂煙を上げて壁は見事に崩れた。

ナ「ダハハハハッ!!」

マ「あちゃ~~~。」

フ「マ、マジ・・・?」

ハ「あい・・・マジです・・・」

3人が白目を向いてる中俺は、

ナ「よぉ~し、どんどん奥へ進むぞ!!燃えてきたーーーーー!!」

マヤとハッピーとフレイを抱えて奥へ足を踏み入れた。

****************************************************************************************

どんどん奥へ進んでいくと、明かりが見えてきた。

ナ「いっくぞーーーーー!!全速力だっ!!!うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

俺は3人を抱えながらも全速力で出口を目指した。

ナ「とぅっ!!」

出口を出た。

マ「ナ、ナツ・・・もうちょっとゆっくり走ってよ・・・」

ハ「あい・・・です・・・」

フ「こ、こっちの身にもなれ・・・」

3人は目を回していた。するとほぼ同時に、

ル&リョ「ナツ!!」

グ&ユ「マヤ!!」

エ&ショ「ハッピー!!」

ウェ&ト&シャ「フレイさん!!」

全員が合流した。あの5つの道、全部繋がっていたんだな。

ショ「ん?あれ何だ?」

ショールが指差した方向に全員視線を移動させる。そこには竜を模った銅像があった。

ウェ「もしかして、これが・・・!」

ナ「竜の力・・・」

全員息をのむ。俺はゆっくり銅像に歩み寄り、銅像に触ろうとすると、

ナ「!!いってぇ!!!」

体全身に稲妻のような痛みが走る。その時、

?『その銅像に触れてはなりませぬ。』

どこからか声が聞こえた。

エ「誰だっ!!」

見回しても最強チーム以外のやつは誰もいない。

守『私は竜の力を守り続ける守護霊とでも名乗っておきましょう。』

リョ「竜の力を守り続ける!?」

ユ「じゃあ、何百年も前から・・・」

そんな長生きする奴がいるのかぁっ!?

ル「そこかいっ!!」

ルーシィに突っ込まれたのはスルーする。

守『この銅像に封じられている竜の力はおよそ700年前に封じられました。』

ト「そんな大昔から・・・」

守『みなさんにお願いがあります。どうか、この事は内密にして頂きたいのです。』

マ「何で?」

守『竜の力がここにある事が知られると、大変な事になってしまうのです。』

グ「大変な事?」

フ「いったいどんな?」

守『それは・・・言えません。』

しばらく沈黙が流れた。

ナ「よく分かんねぇけど、その約束守ってやるよ。」

ハ「あいっ!!」

守『ありがとうございます。』

守護霊の最後の声が聞こえたとたん、辺りが眩しい光に包まれ、俺は目を閉じた。

****************************************************************************************

マ「ッ・・・ナッ・・・ナツ・・・ナツってば!!」

ナ「うおぉぉぉっ!!!」

気がつくと、砂浜にいた。もう空は星が輝いていた。洞窟の入り口の鉄の扉はどこにあったのかさっぱり分からなくなっていた。

エ「今日はもう遅い。帰るのは明日にして、今日はどこかに泊まろう。」

エ以外「あいさーーーーーーーーーーーーっ!!!!!」 
 

 
後書き
第126話終了~♪
疲れた~・・・今までで一番長いです!!なんと10000文字越え!!?
次回はドラゴスターの街から帰って来て1週間、ギルドにやって来たのは・・・!?
見逃したら、いけないよ♪
 

 

第127話 ライジングシャイニー

 
前書き
HELLO!07です!
今回は竜狩り(ドラゴンハンター)達との戦いから1週間。ギルドにやって来たのは・・・!?
途中で目線が変わります。最初はグレイ目線からです。
それでは、第127話・・・スタート! 

 
竜狩り(ドラゴンハンター)との戦いから1週間。俺達はギルドに帰ると極普通に過ごしていた。このまま極普通の毎日が続けばいいのに―――――と思っても、俺にはまだ思い当たる事があった。





グレ『ユモスを殺そうとする奴が他にもいたんだ。』





ハルトとの最後の戦いが終わってからグレンに言われた事。ユモはまだ、何かを抱えている。でも、それがどんな『闇』で、どんな奴がユモを殺しに来るかも分かっていない。唯一分かっているのは、





グレ『薄紫色の長い髪の毛に、白いローブを着た女だ。』





情報が少なすぎる。せめていつユモを狙ってくる事さえ分かれば・・・そう思った時だ。いつものようにガヤガヤ騒いでいると、偶然にも開いていたギルドの扉の前に、1人の女が立っていた。ギルドにいた全員がその女の方に首を動かす。

リョ「何だ?入部希望者か?」

エ「こんな時期に珍しいな。」

その女は透き通るような声で、

?「ここに、ユモス・クオリナさんはいますか?」

薄紫色の長い髪の毛に、白いローブ。フードを被って顔は見えなかったが、その女はグレンが言っていた女に間違いなかった。俺は椅子から勢いよく立ち上がると、

グ「ユモに何の用だ?」

ル「ちょ、ちょっとグレイ、いきなり失礼よ。」

周囲がざわつき始める。運良く今はギルドにユモはいない。じーさんに頼まれてちょっとした依頼に行ってる最中だ。―――――と、安心したのも束の間、

ユ「あれ?皆どうしたの?」

タイミングが良いのか悪いのか、ユモが依頼から帰って来たっ!

マ「ユモ~お帰り~!」

シャ「ちょうどあんたにお客さんよ。」

ユ「えっ?」

ユモは隣にいる女を見ると、一瞬目を見開き表情を曇らせたが、すぐに笑顔になると、

ユ「もしかして、イレーネ!?久しぶり~!」

女の手を握って笑う。思わぬ状況に俺は目を丸くする。

イ「久しぶりだね、ユモス。」

ショ「ユモ、知り合いか?」

ショールが聞くと、

ユ「うん。私の友達のイレーネ・ザンビア。」

イ「初めまして。」

イレーネが被っていたフードを取る。腰近くまである長い薄紫色の長い髪の毛に、大きな黒い瞳が特徴的だった。

ユ「マスター、依頼は無事やり遂げましたので、これからイレーネとちょっと出掛けて来ます。」

マカ「おぉ、ご苦労じゃったな。気をつけるんじゃぞ。」

そう言うと、ユモとイレーネは瞬間移動(テレポート)で姿を消した。ギルドはまた騒ぎ始めた。俺は頭の中が雨雲に覆われたみたいに何が何だか分からなくなっていた。イレーネはグレンが言っていたユモを狙う奴なのか?でも、さっきのユモの表情・・・すごく嬉しそうだった。俺は1人、ギルドのテーブルで頭を抱えて悩んでいた。

****************************************************************************************

                         『ここからユモ目線でいきます。』

私とイレーネが瞬間移動(テレポート)した場所は深い森の奥。私は辺りに人がいないのを確認すると、目の前にいるイレーネに向かい合った。

ユ「いったい何の用?イレーネ?」

私は戦闘体勢を取る。

イ「なぁ~んだ、やっぱりバレてたか。つまんないの~。」

イレーネは不敵に笑う。

ユ「()()の仇をとりに来たの?」

イ「分かってるんじゃないの。その通りよ。」

静かに風が吹いた。私とイレーネが言ってる()()と言うのは、私とイレーネに格闘技を教えてくれたアルウィーゼさんの事。優しくて、厳しくて、とても頼りになる私とイレーネのお父さんのような存在だった。でも―――――

イ「9年前に、あんたが怒激獣、バルベッサに襲われて、あんたを助けようとした師匠がバルベッサの攻撃にやられて、命を落とした。」

そう、師匠も私のせいで―――――

イ「私はアルウィーゼ師匠の仇をとるため、8年間1人で修行してきた。あんたにはここで死んでもらうからっ!」

そう叫んだ後、イレーネは地面を小さく蹴り私に向かって駆け出し、回し蹴りをする。私も両手をクロスさせ防御する。やっぱり、姉弟子は強い・・・!

イ「あんたの噂は何度か耳にした事があるわ。氷上の舞姫って言う異名があるらしいわね。でも、いくら氷上の舞姫でも、大空の舞姫には敵わないわよっ!」

ユ「お、大空の舞姫!?」

リョウから聞いた事がある。天高く舞い踊るような戦う姿からそう呼ばれるようになった格闘技を使う女がいるって。

ユ「まさか、イレーネだったとは思わなかったよ。」

イ「私も、氷上の舞姫があんたの事だとは思わなかったわ。」

イレーネは私より2年も早くアルウィーゼ師匠の下で修行をしていた。腕前はかなりの上級者。私も当時は一度も勝つ事が出来なかった。

イ「訂正するわ。()()じゃなくて、()()あんたは私には勝てないわ。」

ユ「勝手に決め付けないでっ!」

私はイレーネの顔面を殴ろうとするが、その腕をイレーネに摑まれ背負い投げされる。私はすぐに立ち上がると、イレーネの背後に素早く回りこみ後頭部に踵落とし。さすがにこれは効いたみたい。

イ「へぇ~、あんたも一応力はつけてたみたいね。」

ユ「当たり前でしょ。」

イ「でも、私の格闘奥義は止められるかしら?格闘奥義・・・」

そう言うとイレーネは両手両足に光の渦を纏う。イレーネは格闘技の他に(トゥインクル)という魔法が使える。私は防御体勢をとる。すごい魔力を感じる・・・!

イ「ライトニングアッパー!!」

ものすごい速さで殴り蹴り続ける。私は必死に防御するけど、威力が強すぎる・・・!

ユ「はぁ・・はぁ・・・はぁ、はぁ、はぁ・・はぁ、はぁ・・・・はぁ・・・はぁ、はぁ・・はぁ、はぁ・・・はぁ・・はぁ、はぁ・・・・はぁ・・はぁ・・・はぁ、はぁ・・はぁ、はぁ・・・」

防御だけで息が切れていた。

イ「もう終わり?」

ユ「まだ終わっていないっ!」

私は拳に冷気を溜めると、

ユ「氷弾刃ッ!!」

冷たい拳でイレーネに殴り掛かるが、イレーネは私の拳を片手で防いだ。

ユ「!?うあっ!」

鳩尾に強烈な拳を食らう。

イ「気を失わない程度だから大丈夫よ。光魔拳ッ!!」

ユ「ぐあっ!」

右頬を思いっきり殴られ体勢を崩す。

イ「光斬蹴りっ!!」

ユ「うがっ!」

ナイフのような鋭い光で額を蹴られる。額は切り裂かれ深く傷を刻まれ、血がしたたり流れ落ちる。

イ「アハハハハ!この一撃で最後かしら?」

ユ「はぁ・・・はぁ・・・・はぁ・・はぁ・・・はぁ・・はぁ・・・はぁ・・はぁ・・・・」

私は額から流れ落ち、顔にかかる血を拭いながらよろよろと立ち上がる。立っている事も、息をする事も正直言って辛かった。でも、私は負けられない・・・負けられないんだっ!

イ「もう一度私の格闘奥義を食らいなさい。今度は防ぎれるかしら?格闘奥義・・・」

イレーネは再び両手両足に風を纏う。私は防御体勢をとらない。

イ「ライトニングアッパー!!」

私の顔面目掛けて殴ろうとする拳を私は片手で受け止めた。

イ「なっ!?わ、私の、格闘奥義を・・・う、受け止めたぁっ!?」

驚くのも無理はない。さっきは防御したのに、今度は受け止めたのだから。

ユ「アルウィーゼ師匠が死んだのは、私のせい・・・」

私はイレーネの拳を受けとめたまま呟く。当時は何度も自分を責め続けた。でも、

ユ「アルウィーゼ師匠はどんな事があっても、絶対に人を殺めていけないって言っていたっ!イレーネは、師匠の言葉を裏切ったっ!!」

イ「!」

ユ「私は、師匠の事を裏切る人を、絶対に許さないっ!!!」

私は冷気を放出すると、イレーネの手、体、足と順番に凍らせた。これで身動きは出来ない。私はイレーネから2~3歩離れる。

ユ「イレーネ、師匠の仇をとりたいのなら、まずは頭を冷やすべきだよ。後、私が『闇』から助けてあげるからね。」

私の両手は金色の光で包まれていた。

イ「な、何!?この魔力!?師匠と、同じくらい・・・!」

ユ「そりゃそうだよ。この格闘奥義は、私がアルウィーゼ師匠から受け継いだ格闘奥義だから。」

イ「!!?」

イレーネは言葉に出来ない驚きを見せた。アルウィーゼ師匠は私を信じてくれたからこの格闘奥義を教えたんだ。










ア『ユモス、『闇』に染まった者の心を、『光』に戻してやってくれ。』










ユ「(アルウィーゼ師匠、どうやら、約束を果たす時が来たみたいです。)」

両手を前に突き出し、全魔力を両手に溜める。

ユ「超・格闘奥義・・・」

『闇』を『光』に変える格闘奥義。その名は――――――――――




















ユ「ライジングシャイニー!!!」




















両手から放たれた金色の光線が優しくイレーネを包み込む。すると、イレーネの体から黒い光が飛び出し消えた。イレーネはそのまま地面に倒れ、気を失った。

ユ「こ、これで、良いんですよね・・・?師匠・・・・」

魔力を使いすぎたせいか、力尽き、その場に倒れて意識を失った。

****************************************************************************************

ユ「・・ぅ、ん~~~・・・?」

どれくらい時間が経ったんだろう?目を開けると、見慣れた天井が目に入った。いつの間にか私は、ギルドの医務室のベットの上にいた。頭や手足には包帯が巻かれ、頬には湿布や絆創膏が貼られていた。隣のベットには私とほとんど同じような手当てをされたイレーネが寝ていた。

ユ「・・・誰が、ここまで運んだんだろう・・・・?」

気配を感じ、ふと横を見ると、椅子に座って壁に寄り掛かって寝息をたてているグレイがいた。たぶん、グレイがここまで運んできてくれたんだと思う。

ユ「ありがとう、グレイ。」

すると、また眠気が襲ってきて、私は再びベットの上に横になって眠りについた。

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                    『ここから少しだけグレイ目線でいきます。』

・・・・・寝た、か?俺はゆっくり片目を開ける。ユモは小さな寝息をたてて眠っていた。

グ「はぁ。寝たふりするのも結構難しいんだな・・・」

ユモとイレーネが出掛けて行った後、やっぱり不安になって2人を探し、森に来てみたら、傷だらけで倒れているユモとイレーネを見つけて急いでここまで運んだんだ。手当てはウェンディやミラちゃんに任せた。やっぱり、イレーネはユモを狙っていたんだ。でも、今回はユモ1人で何とかしたみたいだけどな。でも、なぜか森がめちゃくちゃになっていて、2人ともこんな傷だらけって事は相当激しく戦ったんだな・・・しかも、ユモの額の傷がかなり深いから、傷跡が残るかもってウェンディとミラちゃんが言っていた。

グ「まっ、明日になれば大丈夫か。」

ふと視線をユモに移した。月の光が当たって、ユモの長い水色の髪の毛が銀色に見える。俺はそっと手を伸ばし、ユモの髪の毛に触れる。細くて、(シルク)みたいに軟らかくて、仄かにシャンプーの香りがした。

グ「(お前には、もう二度と『闇』を与えない。必ず、俺が―――――)」

すると、強烈な眠気が襲ってきた。俺はそっとユモの髪から手を離すと壁に寄り掛かって眠りについた。今度は寝たふりなんかじゃねぇからな。

****************************************************************************************

                        『ここから再びユモ目線です。』

気がつくと、夜が明けていた。飛び起きて横を見ると、隣に寝ていたイレーネとも、椅子に座って寝ていたグレイの姿が無かった。すると、ギィィと医務室の扉が開いてマヤとルーシィとエルザとウェンディとシャルルが入って来た。

マ「ユモ~!おはよ~!」

ウェ「怪我は大丈夫ですか?」

ユ「うん。全然大丈夫。」

エ「あまり無理はするなよ。」

シャ「余計に傷口が開いちゃうからね。」

これぐらいどうって事ないんだけどな~。

ユ「そういえば、イレーネは?」

ル「朝早くにお礼を言って出て行ったわよ。」

ユ「そっか・・・」

その時、ギィィと扉が開いて、マスターとナツとハッピーとフレイとグレイとリョウとショールとトーヤが中に入って来た。

ナ「よおユモ!元気そうだな!」

ハ「あいっ!」

ト「怪我の具合はどうですか?」

皆心配しすぎでしょ。

マカ「ユモ、起きて早々すまないが、1つだけわしの質問に答えてくれぬか?」

ユ「良いですよ。」

質問の内容が気になったけど、私は快く引き受けた。

マカ「すまんのぉ~。いきなりじゃが、お前に格闘技を教えてくれた人物の名は、アルウィーゼ・パージアという男か?」

ユ「よくご存知ですね。その通り、アルウィーゼさんは私に格闘技を教えてくれた私の師匠です。」

マカ「やはりか。」

でも、何でマスターがアルウィーゼ師匠の事を知っているんだろう?

マカ「わしの友人じゃ。格闘技が得意でのぉ~、ユモのあの構えの姿はアルウィーゼにそっくりじゃったから、もしかしたらと思っての。」

ショ「マスターって、知り合いが多いですよね。」

言われてみれば確かに・・・

マカ「質問はこれだけじゃ。今日はゆっくり休みなさい。」

そう言うと、マスターは医務室を出て行った。

フ「なぁ、マスターは、何か知ってるのか?」

マ「さぁ?」

ユ「・・・・・」

マスターは、私のせいでアルウィーゼ師匠が死んじゃったのを知ってるのかな?

****************************************************************************************

                  『ここから少しだけマスター目線でいきます。』

やはり、そうじゃったのか・・・わしはミラから受け取った酒を飲みながらさっきユモから聞いた事を思い返していた。8年前じゃったかの~?あいつの最強の格闘奥義を弟子の1人に教えたって聞かされた。それがユモじゃったんじゃな。





『闇』を『光』に変える格闘奥義、ライジングシャイニー。





伝説の1つに数えられる超魔法・・・ユモはまだ17歳。あの若さで超魔法を扱えるとは・・・アルウィーゼの目は正しいのぉ~。 
 

 
後書き
第127話終了です!
なんとライジングシャイニーは超魔法の1つだった!?作者もびっくり!ちなみに、ライジングシャイニーは簡単に言うとニルヴァーナと同じようなものです。
次回はイケメン&イケメンだよ!
それではSeeyou! 

 

第128話 ショールの悩み

 
前書き
こんにちは~☆07です☆
今回は最強チームの元にイケメン軍団がやって来た!まぁ、1人を除いてのイケメン軍団だけど。そしてそして・・・
途中で目線が変わります。最初はショール目線で書いていきます。
それでは、第128話・・・スタート☆ 

 
マグノリアの街は、木から葉が全て落ち丸裸になっていた。木枯らしも吹いて、冬になる直前だ。ギルドの皆も、服装が変わる。俺も以前より暖かい服装にチェンジした。

マ「はわわわわ・・・季節の変わり目は眠くな・・ZZZ・・・・」

ユ「こんな所で寝たら風邪引いちゃうよ。」

フ「ユモの言うとおりだ。」

つい最近までギルドの医務室で横になっていたユモは、体が丈夫だったお陰かたったの3日で回復した。でも、ユモの額には大きな傷跡がくっきり残った。かなり深くやられたんだろうな。どうしてユモがあんな大怪我をしたのか聞いても本人は教えてくれなかった。どうやらグレイは知ってるみたいだけど。・・・実を言うと、俺も知っている。また『予知』したんだ。ユモとイレーネが森の中で格闘技で戦っている『予知』を―――――

ウェ「ユモさん、本当にいいんですか?その傷跡?」

ユ「良いの良いの。」

ル「でも、顔よ。」

ユ「私はそんなのあまり気にしない性格なんだ。」

マ「ユモって、見た目によらず結構大雑把だよね☆」

それをマヤが言うのもなんだけどな・・・その時、

ナ「クエスト行くぞーーー!」

ハ「行くぞーーー!」

ナツとハッピーが俺とトーヤが座っていたテーブルに依頼書をバンッ!と叩きつけながら言う。その反動で俺とトーヤが飲んでいたコーヒーとお茶がひっくり返った。

ショ「おいナツ、ハッピー、クエストに行くのはいいけど、人の飲み物をかっぱがすな。」

ト「そうですよ~!」

ナ「へへっ。悪ィ悪ィ。」

ハ「あい。」

全然反省してないだろ・・・まっ、残り少なかったからいいか。

グ「クエストか。最近行ってなかったもんな。久々に暴れるか。」

リョ「って言いながら服を脱ぐな。」

グ「おぉ!」

シャ「今回はどんなクエストに行くの?」

シャルルの質問にハッピーが目をハートにしながら依頼書を見せる。

ハ「【脱獄囚 幽霊の骨(ゴーストボーン)の魔道士の捕獲】だよ。」

ナ「ルーシィ、報酬は360万Jだっ!」

ル「何で真っ先に私に言うのっ!?」

それはルーシィがいつも金欠だからじゃ、ないかな?

ト「幽霊の骨(ゴーストボーン)?」

ショ「盗みを繰り返して評議院に逮捕されたけど、1週間くらい前に81人中15人が脱獄したんだ。」

ウェ「確か、脱獄したほとんどの人がすごい魔法を使う人なんですよね。」

街の噂では、どこかに身を隠しているみたいだけど・・・

リョ「奴等の居場所、もう分かったのかっ!?」

評議院もすごいな~。

エ「報酬は1人36万Jか。家賃が払えるな、ルーシィ。」

ル「うん!約5か月分、頑張るよ~!」

ルーシィの目が燃えている・・・家賃の為にここまで燃える人は初めて見るぞ・・・

ナ「そうと決まれば早速出発だーーーっ!」

マ「レッツゴーーー!」

ハ「あいさーーー!」

フ「りょーかい!」

ナツとマヤとハッピーとフレイを追って、俺達最強チームは久々のクエストに出掛けた。

****************************************************************************************

外はまだ木枯らしが吹いていた。

ル「さ、寒ッ・・・」

ウェ「うぅ・・・」

シャ「猫には厳しい季節が来るわ・・・」

ハ「あい・・・」

息を吐くと真っ白だ。

ユ「また1年が経つんだね。」

マ「今年もいろんな事あったよね~☆」

いろいろありすぎて大変だったけどな。流石フィオーレ一のお騒がせギルドだな。その時、

?「会いたかったよ、マイハニー♪」

全「!!!!!」

マ&ユ&ト&フ「???」

体が凍りつきそうなほどの殺気と声が聞こえた。

マ「今の声誰?」

ユ&フ「さぁ?」

ト「僕達以外の皆さんはご存知のようですけど。」

お前たちは知らなくて幸運(ラッキー)だったな・・・

ル「い、今の声・・・」

エ「ま、まさか・・・!」

俺達は恐る恐る後ろを振り返る。そこにいたのは・・・

一「あなたの為の、一夜でぇ~す♪」

ヒ「百夜のヒビキ!」

イ「聖夜のイヴ!」

レ「空夜の・・・レン。」

ナ&グ&エ&ウェ&ハ「い・・一夜ァァァァァ!!!??」

ル&シャ&リョ&ショ「トライメンズゥゥゥゥゥ!!?」

マ&ユ&フ「誰?」

ト「どちら様ですか?」

魔道士ギルド、青い天馬(ブルーペガサス)の一夜=ヴァンタレイ=寿さんと、一夜さんを慕っている3人組トライメンズのヒビキ・レイティスさんと、イヴ・ティルム君と、レン・アカツキさんだ。

マ「誰、この()()()()と妙に輝いてる人たちは?」

一「お・・おっさん・・・私はまだ36歳だぞっ!」

一夜さんが年齢を名乗ると、

ト「えぇっ!?し、失礼ながら、どこかに頭を打って記憶喪失なっちゃったんですかぁっ!?」

ユ「わ、私・・てっきり()()()くらいだと・・・」

フ「お、俺は・・()()()くらいに見えたぞ・・・」

それを聞いた一夜さんはしゃがみ込んですっかり元気を無くしている。初対面のマヤとユモとトーヤとフレイには45~50歳くらいに見えたらしい。まぁ、俺も初めて会った時は同じ反応だった。

エ「な、なな、なぜ、お、おおお前達がここにいるっ!?」

マ&フ「エルザが震えてるっ!?」

エルザを震え上がらせるなんて、すごい人達だ。エルザが震えながら問うと、さっきまで元気が無かった一夜さんがシュタッ!と立ち上がって妙な決めポーズをとると、

一「いや~、マイハニー達の香り(パルファム)を嗅ぎつけてここまでやって来たのさ。」

そう言いながらエルザ、ルーシィ、ウェンディの周りをくるくる回りながら3人の匂いを嗅ぐ。

ル&エ&ウェ「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!」

3人は悲鳴を上げる。

一「おや?君達は初めて見る顔だね。初めまして、あなたの為の、一夜でぇ~す♪」

そう言いながら今度はマヤとユモの方に移動する。

ナ「あっ!おっさん!」

グ「そ、それ以上、近づかない方が・・・」

ナツとグレイの静止を聞かずに一夜さんはマヤとユモに近づいて香りを嗅ぐ。その前に―――――

マ&ユ「人の匂いを勝手に嗅ぐなぁぁぁぁぁっ!!」

一「メェェェン!」

ヒ&イ&レ「一夜さん!!?」

マヤとユモに蹴り飛ばされて10mくらいバウンドしながら吹っ飛んだ一夜さんを追いかけるトライメンズの3人。そしてすぐに一夜さんを担いで戻って来た。一夜さんは鼻血を出している。すると、トライメンズの1人、ヒビキ君が俺の存在に気づくと、

ヒ「やぁショール君、久しぶりだね☆」

ショ「あ、あぁ、どうも。」

お互い会釈する。

エ「ショール、知り合いなのか?」

ショ「あぁ、何度か青い天馬(ブルーペガサス)のマスター、ボブさんにギルドに連れて来られて、だから一夜さんもレンさんも、イヴ君の事も知ってるよ。」

今までボブさんに何度も青い天馬(ブルーペガサス)の魔道士としてスカウトされたけど、その時は俺は人を信じる事が出来ていなかったから全て断っている。まぁ、結局青い天馬(ブルーペガサス)には加入せず、今は妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士なんだけどね。その時に会ったのが一夜さんとトライメンズの3人だ。すると、

街女1「キャーーーーーッ!ヒビキとショールがいるわ~~~♪」

誰かの叫び声に反応して、街の女の人達が一斉に俺とヒビキさんを取り囲んだ。

リョ「うおっ!」

マ「ふぎゃっ!」

ト「あわわわわ・・・」

他の皆は街の女の人達に押し退かされて見えなくなった。そんな中、

一「くんくん、何と言う素敵な香り(パルファム)だ。お嬢さん、あなたのお」

街女2「な、何この変態()()()っ!?」

一「おやじ!?あぁいや、私は決して変態では」

街女3「あっち行って!」

街女4「ヒビキさんとショールさんの邪魔よっ!」

一「メェェェン!」

イ&レ「兄貴!?」

街の女の人達に殴り飛ばされた一夜さんをイヴ君とレンさんが追いかける。ていうか、呼び方変わってないか?

街女5「ヒビキ~♪」

ヒ「こんにちは。あれ?もうこんばんはかな?」

街女全「キャーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」

ヒ、ヒビキさん、女の人を口説くの上手だな~・・・って、ここは関心するとこじゃないけど。それに比べて俺は・・・

街女6「ショール~♪」

ショ「ちょ、ちょっと、止めてもらえませんか。」

街女全「キャーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」

街女7「ツンデレのショールもかわいい~♪」

いや、別にツンデレっていう訳じゃ・・・、それに、街の女の人達には悪いけど、俺はエルザ以外の女の人には全く興味無いし///////////////

****************************************************************************************

                       『ここからエルザ目線でいきます。』

エ「キャア!」

私は街の女性達に押し退かれて、輪の中から追い出された。

ル「エルザ、大丈夫?」

エ「あぁ。すまんな。」

ルーシィが差し伸べてくれた手を握って立ち上がる。女性達の輪の中心には、笑顔で女性達を口説いているヒビキと、それとは裏腹に嫌がっている表情のショールがいた。

ル「ショールとヒビキは、週刊ソーサラーの「彼氏にしたい魔道士ランキング」で毎回上位をキープしてるほど、街の女の子達にモテモテなのよね。」

あのショールだ。あんなに女性達に人気があっても可笑しくない。人気が無かったら逆に変だ。

リョ「ヒビキはともかく、ショールも気の毒だな。街を歩く度に街の女の子にあぁやって取り囲まれるか、週刊ソーサラーの記者に質問攻めにさせられるからな。それも毎日のように。」

エ「えっ?」

ト「そういえば、この間ショールさんが「街の女の人達にストーカーされた」って・・・」

エ「え・・・」

グ「そういや、「街の女の人に自分の写真を撮られてる」ってな事も言ってたな。」

ト「あ、ショールさん、その事でものすごく悩んでいました。」

エ「・・・・・」

私は言葉を失った。

ウェ「ショールさん、陰ではものすごく苦労しているんですね・・・」

マ「何か可哀想・・・」

私は、ショールが苦しんでいる事に全く気づいてやれなかった・・・私が自分を責めていると、誰かが私の手首を摑んだ。驚いて顔を上げると、

ショ「はぁ、はぁ・・はぁ・・・はぁ・・はぁ、はぁ・・・・はぁ、はぁ・・はぁ・・・」

息を切らしてるショールだった。

エ「ショ、ショール、大丈夫か・・・?」

心配して声を掛ける。すると、

街女8「何あの女。」

街女9「気安くショールさんに声なんか掛けちゃって。」

街女10「ちょぉ~ムカつくんですけどぉ~!」

街の女性たちからブーイングだ。すると、










ショ「エルザをバカにするなっ!!」










ショ以外「!!!!!」

その場にいたショール以外の全員がショールの怒りの声に固まった。

エ「ショ・・ショー・・・ル?」

ショ「・・エ、エルザ・・・ゴメン!」

エ「えっ?・・・!!?////////」

ショ以外「!!!!!」

ショールが私の体を抱き寄せ―――――キ、キス、した//////////////自分でも分かった。顔が真っ赤になり、どんどん体の体温が上昇していくのが///////////////そして放してくれた。週刊ソーサラーの取材の時のルーシィとリョウのキスよりものすごく短かったが、私は満足だった。

マ&ハ&フ「エルザとショール、でぇきてるぅ~~~。」

エ&ショ「///////////////」

街女全「・・・・・」

街の女性達は目が黒い点になり、口が開いたままの状態になっていた。ヒビキやイヴ、レン達も同じ状態になっていて、一夜は―――――

一「そ、そんな!エルザさぁ~ん!」

エ「ち、近寄るなぁっ!!」

一「メェェェン!」

ヒ&イ&レ「大将!!?」

私に殴り飛ばされた一夜を追うヒビキとイヴとレン。

ナ「おっさん、今回めちゃくちゃ飛ばされるな。」

ユ「ていうか、また呼び方が・・・」

フ「一貫してないんだな・・・」

エ「はぁ、はぁ・・はぁ・・・はぁ・・はぁ、はぁ・・・・はぁ、はぁ・・・はぁ・・はぁ・・・//////////////」

ショ「///////////////」

ま、まだ、ドキドキが止まらない///////////////その時,

ト「あーーーーーーーーーーっ!」

ト以外「!!?」

トーヤがいきなり大声を上げた。

リョ「ど、どうしたんだトーヤ?」

ト「み、みみみみ皆さんっ!僕達、クエストに行く途中でしたっ!」

ト以外「あ・・・あーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」

ナ「やべぇっ!依頼主に怒られんぞっ!」

グ「それどころか、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の評判がますます悪くなっちまうっ!」

ウェ「と、とにかく皆さん急ぎましょうっ!」

シャ「駅まで走るのよっ!」

ル「うわぁ~ん!家賃が~~~!」

ル以外「そっちかいっ!!!」

珍しくルーシィに皆が突っ込んだ後、私達は大急ぎでその場を離れ、駅に向かって全速力で走った。

****************************************************************************************

次の日、時間がかなり遅くなってしまったが、脱獄した幽霊の骨(ゴーストボーン)の15人の魔道士達は無事捕獲する事が出来、ルーシィも無事家賃が払える事が出来た。だが、昨日の私とショールの話題が今週の週刊ソーサラーに大きく載せられていた。 
 

 
後書き
第128話終了~☆
遂に、遂に遂に遂に!ショールがエルザに・・・キスしたーーーーーっ!!
次回は定例会に行ったマスターから驚くべき事が最強チームに・・・!?
次回見逃したらいけないよ☆ 

 

第129話 ビゲスト同盟

 
前書き
こんばんは~♪07で~す♪
今回は定例会に行ったマスターから、驚くべき事が最強チームたちに告げられる!その驚くべき事とは・・・!?
ルーシィ目線で書いていきますよ。
それでは、第129話・・・スタート♪ 

 
私はバーカウンターでミラさんの手作りレモンスカッシュを飲んでいた。

ル「はぁ・・・」

ミ「どうしたのルーシィ?ため息なんかついちゃって?あっ!もしかして、リョウがいないから退屈なのかしら?」

ル「ぶっ!」

レモンスカッシュを吹きこぼしちゃった!濡れた手拭いで拭きながら必死に否定する。

ル「ち、違いますよ~!」

ミ「照れなくてもいいのに♪」

ル「照れてませんっ!」

ミラさんは天然すぎるよ~。

ミ「大丈夫よ。マスターも今日中には帰れるって言ってたから。」

そう。リョウはマスターと一緒に定例会に出掛けていったの。何でも、どうしてもリョウの情報網が必要みたいなの。いったい何があったんだろう?

マ「ていうか、その()()()ってやつ、最近多いよね。」

ユ「それを言うなら、()()()。幽霊が集まるところに何でマスターとリョウが行くの?トーヤならまだ分かるけど。」

フ「お前もだんだんナツみたいになってきたな。」

私とミラさんの会話を聞いていたマヤとユモが私を挟むように隣に座って、フレイはテーブルの上にちょこんと座る。マヤはオレンジジュース、ユモはかき氷、フレイはキムチをミラさんに頼んだ。

ミ「最近、定例会である話題の事で、話し合ってるみたいなの。」

ル「ある話題って?」

私の問いに、ミラさんは手を止めて、私達の方に向き直ると、

ミ「また、動きが活性化してるのよ。闇ギルドが。」

ル&ユ「えぇっ!?」

マ「うっそぉ~!?」

フ「マジかよっ!?」

驚いた拍子に同時に椅子から立ち上がった私達を見て、

ナ「何だ何だ?」

ハ「どうしたの?」

ナツ、ハッピー、グレイ、エルザ、ショール、ウェンディ、トーヤ、シャルルも傍に来た。

マ「闇ギルドがまた動き始めたんだってっ!知ってた?」

エ「その事なら、マスターから話を聞いている。六魔将軍(オラシオンセイス)冥府の門(タルタロス)悪魔の心臓(グリモアハート)の3つの闇ギルドから構成されている闇ギルド最大勢力、バラム同盟が消えた事で、闇ギルドの中でまた新たな同盟が生まれたんだ。」

ミ「組織図に表した方がいいわね。リーダス、お願い。」

リ「ウィ。」

リーダスが光筆(ヒカリペン)で手際よく闇ギルドの組織図をどんどん書いていく。

グ「なんか、以前よりデカイのは俺の気のせいか?」

い、言われてみれば、確かに・・・

リ「書けた。」

ミ「ありがとうリーダス。これが、現在の闇ギルドの組織図よ。」

空中いっぱいに新たな闇ギルドの組織図が書かれた。その組織図の中央に、大きいくくりが書かれている。

ウェ「もしかして、このくくりが・・・」

エ「そうだ。このくくりの中に書かれているのが、新たな闇ギルド最大勢力、ビゲスト同盟だ。」

ル「ビゲスト・・最大・・・」

ショ「名前から最大なんだな。」

ミ「ビゲスト同盟も、3つの闇ギルドから構成されているのよ。」

ビゲスト同盟の3つの闇ギルドの名を読み上げていく。

ハ「災いの天使(ディザスタエンジェル)だっ!最大勢力の闇ギルドだったのか・・・」

災いの天使(ディザスタエンジェル)妖精の尻尾(フェアリーテイル)初代マスター、メイビスの出身地であるリグリション島でS級魔道士昇格試験が行われた時、マヤの体内に埋め込まれていた火炎石を狙っていた闇ギルド。今は私達最強チームが討伐してもう存在はしないけど・・・

マ「・・・・・」

マヤはまだ警戒心があるみたい。そりゃそうよね。自分の命が狙われたりしたんだから・・・

フ「鎖の少女(チェーンガール)!?うわっ、想像出来ねぇ・・・」

シャ「西の真空(ウェストヴァキュアム)?西は空気がとても綺麗なのかしら?」

後の2つは初めて耳にする闇ギルド。こんな闇ギルドがあったのね。私は3つの闇ギルドに直属している闇ギルドを目で追っていくと、

ル「あっ!月の涙(ムーンティア)!」

ユ「鎖の少女(チェーンガール)の傘下ギルドだったんだね。」

ナ「科学の世界(サイエンスワールド)もあんぞっ!」

ト「科学の世界(サイエンスワールド)も、鎖の少女(チェーンガール)の傘下ギルドだったみたいですね。」

私達が潰した闇ギルドは、ほとんどが鎖の少女(チェーンガール)の傘下だったのね。その時、

マカ「その、鎖の少女(チェーンガール)の事なんじゃがな・・・」

マカ&リョ以外「!!!!!」

マスターとリョウが定例会から帰って来た・・・ってあれ?なんか2人とも、ものすごく険しい表情。なんか、嫌な予感がする・・・










マカ「わし等が討つ事になった。」










マカ&リョ以外「!!!!!」

ミ「お帰りなさい、マスター、リョウ。」

ル「違うでしょっ!」

ざわめくギルド。いったい絶対どうなってるの?

エ「マスター、リョウ、それはいったい・・・?」

マカ「1週間前の定例会で、鎖の少女(チェーンガール)が活発に動き出したという話題になったんじゃ。それで、鎖の少女(チェーンガール)の事をよく知っているリョウに今回は着いて来てもらったんじゃ。」

あ、それでリョウがどうしても必要だったのね。リョウの情報網はすごく役に立つからね。

マカ「リョウの話を聞いていると、どうしても無視はできんという事になり、どこかのギルドが鎖の少女(チェーンガール)を討つ事になったんじゃ。」

リョ「んで、その役目になったのが、俺達妖精の尻尾(フェアリーテイル)っていう事だ。」

リョウの言葉にマスターは大きく頷いた。

グ「また貧乏くじ引いたなじーさん。」

何て不運なギルドなのかしら・・・

ナ「面白そうじゃねぇか。燃えてきたぞーーーっ!」

ハ「あいっ!」

何でこうゆうのを面白がるのかしら・・・?

エ「マスター、その役目は妖精の尻尾(フェアリーテイル)だけですか?」

マカ「いや、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の他に・・・」

リョ「古い道化師(オールドピエロ)と連合を組む事になった。」

ショ「古い道化師(オールドピエロ)?」

ウェ「聞いた事の無いギルドです。」

リョ「最近出来た新人ギルドだからな。」

ル「ていうか、そのギルドと、妖精の尻尾(フェアリーテイル)だけで、鎖の少女(チェーンガール)を討つのぉっ!?」

マカ「そうじゃ。その代わり、メンバーを多めに選出する事になっておる。そこでじゃっ!」

マスターがビシッと右手の人差し指を前に突きつける。い、嫌な予感がするのは、私だけかしら・・・?

マカ「最強チームの13人に行ってもらう事にしたっ!!」

ナ&エ&リョ以外「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!??」

ナ「うっしゃーーーーーっ!!!」

まさかの嫌な予感的中ッ!!! 
 

 
後書き
第129話終了~♪
新たに生まれた闇ギルド最大勢力、ビゲスト同盟。その1角である鎖の少女(チェーンガール)を潰す事になった妖精の尻尾(フェアリーテイル)の最強チーム。共に連合を組む事になったのは新人ギルドの古い道化師(オールドピエロ)。こんなんで本当に大丈夫なのかぁっ!?
次回は妖精(フェアリー)道化師(ピエロ)がご対面!鎖の少女はどのようなギルドなのか・・・!?
お楽しみに~♪ 

 

第130話 古い道化師

 
前書き
HEY!!07だZ!!
今回は新たに生まれた闇ギルド最大勢力、ビゲスト同盟の1角である鎖の少女(チェーンガール)を潰す事になった妖精の尻尾(フェアリーテイル)の最強チーム。そして、共に鎖の少女(チェーンガール)を潰す事になった新人ギルド、古い道化師(オールドピエロ)と連合を組む事になったっ!
マヤ目線で書いていきますよ。
それでは、第130話・・・スタート!! 

 
ガタガタガタガタ。

ナ「おぉぉぉ・・・・うぷ。」

ハ「ナツ、大丈夫?」

フ「こんな狭いところで吐くんじゃねぇぞ。」

私達は、新たに生まれた闇ギルド最大勢力、ビゲスト同盟の1角の鎖の少女(チェーンガール)を潰す事になったんだ。

ル「ねぇリョウ、一緒に鎖の少女(チェーンガール)を潰す古い道化師(オールドピエロ)ってどんなギルドなの?」

ウェ「それに、鎖の少女(チェーンガール)のギルドの事も気になります。」

ルーシィとウェンディがリョウに聞く。ちなみに、私達は魔道四輪に乗って、集合場所である古い道化師(オールドピエロ)のギルドまで移動中。でも、借りた魔道四輪は中がすごく狭くて、全員は乗れなかったんだ。だから、運転席にはエルザとショール、屋根の上にはグレイとユモ、後の私たちは中に乗ってるけど、ものすごく窮屈。しかも、

ナ「おぷ・・・」

ナツはこのとおりグロッキー状態。それに構わず、ルーシィの質問にリョウが運転席と屋根の上にいるエルザ、ショール、グレイ、ユモにも聞こえるように話し始めた。

リョ「まずはウェンディの質問から答えるな。鎖の少女(チェーンガール)はたった7人で最大勢力の闇ギルドだ。それぞれたった1人で街を1つ消す事が出来る魔力を持っているんだ。」

ト「た、たった7人・・・!」

マ「すごい少ない闇ギルドだね。」

ル「そこじゃないでしょっ!ていうか、そ、そんな危険すぎるギルドを潰すのぉ~!?」

ルーシィは私に突っ込みながらも顔が青ざめている。

ハ「ルーシィ、汁すごいよ。」

ル「汗よっ!」

この2人で漫才(コント)出来るんじゃないかな~?

ショ「それで、ルーシィの質問の俺達と連合を組む古い道化師(オールドピエロ)はどんなギルドなんだ?」

ショールが運転席から身を乗り出して聞く。

リョ「古い道化師(オールドピエロ)は、新人ギルドでありながらも、魔道士はかなりの実力者揃いだ。今回は古い道化師(オールドピエロ)の魔道士6人と連合を組む事になっている。」

新人でも強い魔道士ばかりなんてすごいな~。

ユ「そういえば、何で集合場所が古い道化師(オールドピエロ)のギルドなの?」

ユモが屋根の上から問う。

エ「それは私が答えよう。鎖の少女(チェーンガール)が隠れ住んでいるという場所から、古い道化師(オールドピエロ)のギルドはとても近いんだ。」

シャ「そんなに近くにいて、今までよく無事だったわね。」

確かに、言われてみればそうかも・・・すると、

グ「噂をすれば、あれじゃねぇか?集合場所の古い道化師(オールドピエロ)のギルドっていうのは?」

グレイの声にナツ以外の皆が窓から顔を出す。森の奥に木で出来た小さな建物が見える。

ウェ「あの建物に間違いないですね。」

エ「皆しっかり摑まっていろ。とばすぞっ!」

ナ&エ以外「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!?」

ナ「マ・・マジ、で・・・?うぷ・・・・」

皆慌てて何かにしがみ付く。その瞬間、魔道四輪がスピードを上げた。

グ「うぉぉおぉぉおおあおあああぁぁああぁぁあああっ!!」

ユ「ひいいぃぃいぃぃいいぃいいいいいいいいいっ!!」

屋根の上にいるグレイとユモは今にも吹っ飛ばされそう。

ル「ちょ、ちょっとナツ!」

マ「そんなに窓から身を乗り出したら落ちちゃうよっ!」

ナ「お・・・落として、くれぇ・・・」

フ「いや、無理だから・・・」

****************************************************************************************

キキーーーーーッ!!!と耳をつんざくような音を立てながら魔道四輪が古い道化師(オールドピエロ)のギルド前で止まった。

ナ「お、おぅ・・・」

ハ「ナツ、しっかりしてよ~。」

ナツがすぐさま降りる。

ショ「エルザ、魔力は大丈夫なのか?SEプラグが膨張してたぞ。」

エ「私の魔力が全て消費したとしても関係ない。いざとゆう時は棒切れでも持って戦うさ。」

エルザが棒切れを持って戦う姿・・・ぷっ、想像してみたらちょっと面白いかも。

ユ「や、やっと着いたぁ~・・・」

グ「死、死ぬかと思った・・・」

ト「だ、大丈夫ですか?」

グレイとユモの手は、屋根にしっかりしがみ付いていたせいか真っ赤になっていた。

ナ「ま、まだ・・着かねぇ・・・の、か・・・・?」

マ「もう着いてるよ。」

エ「とにかく、中に入るぞ。」

ギィィィとエルザが扉を開ける。中はやっぱり狭かった。すると、

?「妖精の尻尾(フェアリーテイル)の最強チームの皆さん、お待ちしてましたっ!」

古い道化師(オールドピエロ)の魔道士と思われる6人の男女がいた。

?2「話はマスターから全部聞いてるよ☆ナツ・ドラグニルさんと、マヤ・ララルドさんと、ハッピーさんと、フレイ・レッドシェルさんと、ルーシィ・ハートフィリアさんと、リョウ・ジェノロさんと、グレイ・フルバスターさんと・・・」

?3「ユモス・クオリナさん、エルザ・スカーレットさん、ショール・ミリオンさん、ウェンディ・マーベルさん、トーヤ・ファインさん、シャルルさん・・・」

見た目は全く違うけど、息ぴったりの女の子と男の子が私達の名前を言う。

ス「俺はスグルバ・リューブルです。今回はよろしくお願いします。」

エ「こちらこそ。」

紺色の髪の毛に赤い瞳が特徴のスバルは、エルザと握手を交わした。

サ「私はサリー・ウィッチャーだよ☆よろしくね~♪」

レ「レムレス・ウィッチャーです・・・」

さっき私達の名前を言った2人は性格も容姿も真逆の双子!サリーは、私より明るいオレンジ色の髪をポニーテールに束ねていて、レムレスは黒いの髪の毛。

サ「マヤさぁ~ん、よろしくお願いしまぁ~すっ!」

マ「うわっ!うわっ!うわっ!」

サリーが私の手を摑んで上下にぶんぶん振り回す。とても握手とは思えない勢い。すると、

?4「こらサリー、マヤさんが困ってるでしょ。」

サ「(いた)。」

サリーの頭をコツンと軽く叩いた若葉色のセミロングを揺らしながら、

ミ「ミドリ・キャンベラです。どうぞよろしくお願いします。」

礼儀正しく頭を下げた。今度は赤毛の短髪の人が、

ホ「俺はホセ・マジューロ。よろしくな、トーヤ。」

ト「えっ?あ、はい!よろしくお願いします!」

リョ「・・・・・」

ホセとトーヤが握手を交わした時、リョウが険しい表情になっていたのを私は見逃さなかった。最後に、栗色の長い巻き毛に、アーモンドみたいな茶色い瞳の人が、

ルリ「私はルリイ・アイレスです。初めまして、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の最強チームの皆さん。」

古い道化師(オールドピエロ)の人達は皆親しみやすくて優しそうな人達ばかり。

ナ「敬語なんて使わなくていいっての。」

ハ「あい。その方がいいもんね。」

復活したナツとハッピーが顔を見合わせながら言う。それに頷くスグルバたち。

ショ「じゃあ、会ったばかりで悪いけど、作戦の説明をしてくれないか?」

鎖の少女(チェーンガール)を潰す作戦は、定例会で集まったマスターたちが話し合って決めたらしい。どんな作戦なんだろう?ワクワクしてきたよっ!

ス「じゃあ、俺達から説明するぜ。」

すっかり敬語じゃなくなったスグルバが話し始める。

ス「鎖の少女(チェーンガール)はこの先にあるコロールの森のどこかに500年以上も封印されている闇魔法を手に入れようとしているんだ。」

ル「500年もぉっ!?」

ホ「その闇魔法の名は『ブラックテンプラネット』」

ユ「『ブラックテンプラネット』・・黒き10の惑星・・・?」

エ「聞いた事ないな。」

ウェ「リョウさんは?」

リョ「いや、俺も初めて耳にした闇魔法だ。」

グ「どんな魔法なんだ?」

ス「それを今説明する。ルリイ。」

ルリ「準備OK。」

ルリイは映像魔水晶(映像ラクリマ)を持っていた。それを宙に放り投げ、ルリイが指を鳴らすと、映像が浮かび上がった。映し出されたのは、真っ黒な光を纏った球体の形をしたもの。

ホ「これは古い道化師(オールドピエロ)の資料庫にあった本の1部だ。」

ハ「もしかして、これが・・・!」

『ブラックテンプラネット』・・・

ミ「元々『ブラックテンプラネット』は、とある科学者が宇宙にある10の惑星を『光』に変える為に創りだした『ホワイトテンプラネット』とゆう魔法だったのよ。」

シャ「『ホワイトテンプラネット』・・白き10の惑星・・・」

マ「なんで『光』の魔法が『闇』になっちゃったの?」

サ「調べによると、科学者が失敗したみたい。」

うわぁ~・・・すっごい単純。(←さすが駄作者07)

レ「『光』から『闇』になってしまった『ホワイトテンプラネット』は暴走し始め、封印する事しか出来なかったんだ・・・」

ルリ「その科学者は、魔道士でもありましたから。」

エ「で、その封印された場所が、コロールの森とゆう事だな。」

ス「そのとおりだ。そして、いつしか『ホワイトテンプラネット』は『ブラックテンプラネット』と呼ばれる伝説の闇魔法になったんだ。」

『光』の魔法が、小さな過ちで『闇』に変わった・・・

ルリ「『ブラックテンプラネット』を手に入れようとしている鎖の少女(チェーンガール)の7人の魔道士は・・・」

すると、映像魔水晶(映像ラクリマ)の映像が切り替わり、黒い髪の毛に、銀色のマントを羽織った男が映った。

ホ「銀河のスバル。」

映像が切り替わり、赤い髪の毛を三つ編みにし、ルビーのような瞳の女の子が映った。

レ「双子の姉、太陽のサニー・・・」

映像が切り替わり、灰色の髪の毛に、光が射していない真っ黒な瞳の男の子が映った。

サ「双子の弟、雨少年のレイニー。」

さっき映ったサニーとレイニーはサリーとレムレスと一緒で全く似てない双子。映像が切り替わり、桃色のセミロングに、エメラルドみたいな瞳の女が映った。

ルリ「美しい森の精、ミモリ。」

映像が切り替わり、茶髪に顔がそばかすだらけの男が映った。

ス「砂漠のティオ。」

映像が切り替わり、少しウェーブのかかった金髪にサファイアのような瞳の女が映った。手には青いガラス球の付いた杖を持っている。

ミ「大海のマリン。」

映像が切り替わり、銀色の髪に、左耳に十字架の形をしたピアスを付けている。濃い紫色の瞳は邪悪なオーラを表している。

ス「そして、鎖の少女(チェーンガール)のボス、『光』の支配者、チェス。」

ホ「敵は7人。こっちは19人。俺達は数的有利を利用して、鎖の少女(チェーンガール)を潰すんだ。」

ホセの言葉に、恐る恐るルーシィが手を上げた。

ル「あ、あのぉ~・・・私は数に入れないでほしいんだけど・・・・」

ウェ「わ、私も・・・」

ト「ぼ、僕も・・・」

シャ「あんたたち、弱音吐かないのっ!」

マ「強い魔道士ばかりだけど、たった7人じゃん。こっちは19人もいるんだから、負けるはずがないよっ!」

私は3人を安心させるように胸を張って言った。

ショ「今回は絶対に戦闘になるよな。」

リョ「その時は、必ず2人以上で戦うんだ。特にナツ!絶対に1人で戦うんじゃねぇぞっ!」

ナ「なんで俺なんだよっ!?」

フ「お前が一番やらかしそうだからに決まってるだろ・・・」

何かやらかすのがナツだもんね~。

エ「とにかく、私達の一番の目的は鎖の少女(チェーンガール)を潰す事だ。」

ユ「それと、『ブラックテンプラネット』の封印を解かれないようにするんだよね。」

ナ「おっしゃーーーーーっ!燃えてきたーーーーーっ!!」

ハ「あいっ!」

グ「言う前から燃えてるじゃねぇか。」

マ&フ「グレイの言うとおり。」

その後、私達は皆で円状になり、

エ「打倒鎖の少女、行くぞっ!!」

全「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」 
 

 
後書き
第130話終了ですっ!
鎖の少女は、とある科学者(魔道士)によって500年以上前に封印された伝説の闇魔法、『ブラックテンプラネット』を手に入れようとしていた。それを阻止するため、16人+2匹+1羽が立ち向かう!!
次回は遂に鎖の少女(チェーンガール)が登場・・・ってあれ?衝撃の事態が・・・!?
次回を見逃すなっ!! 

 

第131話 裏切り

 
前書き
駄作者07です☆
今回は遂に鎖の少女(チェーンガール)登場ーーーッ!って、あれ?思わぬ事態が・・・!?
エルザ目線で書いていきますよ!!
それでは、第131話・・・スタート☆ 

 
・・・鎖の少女(チェーンガール)を潰す作戦を聞いたのはいいが、ここからどうしたらいいんだ?私が腕組をして考えていると、

ナ「おしっ!燃えてきたぞっ!俺が7人まとめてぶっ潰してやらーーーーーっ!!」

マ「ちょ、ちょっとナツゥ!?」

ナツが1人でギルドを出て行ってしまった。

グ「あいつ、ちゃんと作戦聞いてねぇだろっ!?」

ユ「耳悪~!」

ル「そこじゃないでしょっ!」

全く、あいつという奴は・・・

エ「仕方無い。私達も行くぞ。」

ル&ウェ&ト「ひぇぇぇぇぇ~~~。」

シャ「ほら、あんたたちも行くのよっ!」

リョ「スグルバたちも急げっ!」

ス「あ、あぁ。」

ハ「ナツ~!待ってよ~!」

私達も、ナツを追ってコロールの森を目指して走り出した。

****************************************************************************************

しばらく走っていると、遠くの方で走っているナツが見えた。

ハ「ナ~~~ツゥ~~~~~!」

ハッピーの声が聞こえたのかようやくナツは止まった。私達も何とかナツに追い着く事が出来た。

ナ「お前等遅いじゃねぇか。」

フ「お前が速すぎるんだよ・・・」

ショ「ちゃんと作戦聞いてろよ・・・」

全く・・・

マ「あっ!コロールの森だっ!」

マヤが指差した方を見る。うっそうと緑に生い茂った背の高い木々が遠くまで続いている。

ウェ「この森のどこかに、『ブラックテンプラネット』が・・・」

鎖の少女(チェーンガール)の奴等は、『ブラックテンプラネット』を狙っている。何としてでも、それだけは阻止せねば・・・!そう思ったその時、前方から強力な魔力を感じた。この距離からだと、真っ先に直撃するのはルーシィだっ!

エ「ルーシィ、避けろっ!」

ル「えっ?」

リョ「ルーシィッ!!」

ル「キャアアアッ!!」

リョウがルーシィを抱き抱えるようにその場から避ける。ボチャッとルーシィの真上に落ちてきたのは緑色をした液状のゼリー(?)のようなものだった。それが地に落ちると、落ちたところが焼け焦げた。

ル「ひぃぃぃっ!」

リョ「ギ、ギリギリセーフ・・・」

ウェ「ルーシィさん、リョウさん、大丈夫ですかぁっ!?」

幸い、リョウが気づいてくれたのでルーシィには何も害はなかった。ショールが焼け焦げた跡を触って、

ショ「緑色でゼリー状の液体、触れたものを焼き尽くす・・・バーン・リクウィッドだな。」

ト「バーン・リクウィッド?」

グ「何だそりゃ?」

リョ「焼魔法の1種だ。」

エ「木や紙はもちろん、鉄やプラスチック、人間の体までも燃やす事が出来る恐ろしい魔法だ。」

ル&ウェ「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!」

こんな恐ろしい魔法を扱える魔道士がいたのかっ!?その時、

ユ「!誰か来る・・・!」

ユモの声に全員が身構えた。大気が微かに震えている・・・

フ「鎖の少女(チェーンガール)の奴等かっ!?」

フレイの予想は的中した。私達の目の前に現れたのは、鎖の少女(チェーンガール)・・・のボス、『光』の支配者、チェスだけだった。

マ「えっ?チェス、だけ?」

ナ「おいっ!他の奴等はどうしたっ!」

するとチェスは、ゆっくりと落ち着いた口調で、

チェ「貴様等のすぐ近くにいるだろ。俺の仲間が・・・」

エ「えっ?」

ハ「どうゆう事?」

その時、

ト「うあっ!」

ウェ&ト以外「!!!??」

ウェ「トーヤさん!?」

驚いて後ろを振り返ると、ホセに羽交い絞めをされ、首筋にナイフを向けられたトーヤがいた。

シャ「ちょっ!いったい何ッ!?」

ショ「トーヤ!?」

グ「お前等!何の真似だっ!」

サ「あっれれ~?まだ気づいてなかったのぉ~?」

レ「妖精もバカだな・・・」

ミ「いくら最強でも、頭はポンコツなのね。」

ミドリは私達をバカにするように不敵な笑みを浮かべる。

ル「え・・・?ちょ、ちょっと、どうゆう事ォ!?」

ス「こうゆう事だ。ルリイ。」

ルリ「OK。変装解除。」

ルリイがパチン!と指を鳴らすと、そこには古い道化師(オールドピエロ)の魔道士は誰もいなく、鎖の少女(チェーンガール)のスバル、サニー、レイニー、ミモリ、ティオ、マリンの6人がいた。ティオはトーヤを羽交い絞めにしている。

ユ「う、嘘・・・」

シャ「そ、そんな・・・!」

ナ「お前等・・・俺達を騙してたのかよっ!?」

ナツが今にも噛み付きそうな勢いで言うと、

ス「そのとおりだ。今頃気づいたって時すでに遅し。」

ティ「トーヤ・ファインは俺達のものだぜ。」

ト「ぅ・・あ、ぁぁ・・・」

ウェ「トーヤさん!」

リョ「お前等!トーヤをどうするつもりだっ!訳を言うまで、聖剣(エクスカリバー)で斬りつけるぞっ!!」

リョウは腰から聖剣(エクスカリバー)を1本抜くと、

リョ「竜桜切ッ!!」

リョウの背後に青い(ドラゴン)が浮かび上がった。リョウがそのままティオに斬り掛かろうとすると、ティオの前にマリンが飛び出し、

マリ「水拳ッ!」

リョ「!!?」

水を纏った拳でリョウの攻撃を止めた。

マリ「水封泡ッ!」

マリンの両手の中に、水の泡ができ、それが徐々に大きくなる。

マリ「はぁぁぁぁぁっ!!」

リョ「!!?」

ル「リョウ!!」

マリンは大きくなった水の泡をリョウに向かって投げつけた。リョウはその水の泡に体ごと飲み込まれた。ジュビアの水流拘束(ウォーターロック)のようだ。

リョ「ぶはっ!な、何だ、これ・・・」

サ「無駄だよ。マリンの水封泡から絶対に逃れる事は不可能なんだよ☆」

レ「それが例え、聖十大魔道でも・・・」

リョウは必死に手で口を押さえていたが、とうとう水封泡の中で気を失った。

ル「リョウ!!」

ト「リョ・・・リョウ、さん・・・・」

そんなリョウを見てミモリが、

ミ「聖十も大した事無いわね。」

ミモリの発言に、ルーシィが鋭い目つきで睨みつける。

ミ「あ~、怖い怖い。」

チェ「お前達、必要なものは全て手に入った。戻るぞ。」

ス「イエッサー!」

ティ「ほら、お前も来い!」

ト「うぅ・・・!」

ナ「待ちやがれっ!!お前等ァァァァァッ!!!」

ナツが炎を纏った拳で殴りかかろうとするが、

マリ「水剣ッ!」

またマリンに止められた。

チェ「貴様等はここで消えてもらう。バーン・リクウィッド!」

すると、上空から大量のバーン・リクウィッドが私達に向かって雨のように降り注いできた。

ショ「伏せろぉーーーーーっ!!!」

ショールが叫んだのと同時に、

グ&ユ「アイスメイク、(シールド)ッ!!」

グレイとユモがいつもより倍はある巨大な花びら形の(シールド)でバーン・リクウィッドを防ぐ。だが、バーン・リクウィッドは触れたもの全てを焼き尽くす魔法。氷でも長くはもたない。氷の(シールド)はどんどん溶け始める。

グ「くっそぉ~~~!」

ユ「お願い!最後までもって・・・!」

そんなユモの思いが届いたのか、バーン・リクウィッドは2人の氷の(シールド)が完全に溶ける前に終わった。

フ「た、助かった・・のか・・・?」

グレイとユモは小さく安堵し、そのまま膝から崩れるように地面に座り込んだ。今ので2人はかなり魔力を消耗しただろう。

シャ「あいつ等はっ!?」

辺りを見回しても、鎖の少女(チェーンガール)の奴等と、トーヤの姿は影も形も無かった。

ハ「行っちゃった・・・」

ウェ「トーヤさん・・・」

ウェンディは目に涙を浮かべている。

ル「そうだ!リョウはっ!?」

慌てて振り向くと、未だに水封泡の中で意識を失ったままの状態のリョウがいた。

ル「リョウ!!」

ナ「おいリョウ!こんなとこでくたばってんじゃねぇよっ!」

ルーシィとナツが水封泡の中に手を突っ込み、リョウを引っ張る。

エ「古い道化師(オールドピエロ)の奴等にも裏切られ、トーヤも鎖の少女(チェーンガール)の奴等に連れて行かれ、リョウもこの状態・・・」

いったいどうすればいいんだ・・・?私達は、地面が遥か下にある崖っぷちに立たされている気分だった。 
 

 
後書き
第131話終了☆
何と古い道化師(オールドピエロ)の6人の正体は鎖の少女(チェーンガール)の魔道士だったぁ!?トーヤも鎖の少女(チェーンガール)の魔道士達に連れて行かれ、リョウは意識不明の状態・・・まさに崖っぷちの最強チーム!彼等の運命は・・・!?
次回はトーヤを助け出す為、鎖の少女(チェーンガール)の隠れ家を捜す最強チーム!
それでは次回、お会いしましょう~☆ 

 

第132話 妖精はマヌケ?それともバカ?それとも・・・?

 
前書き
ど~も~♪07で~す♪
今回は連れ去られたトーヤを助け出す為、最強チームが動き出す!なぜ鎖の少女(チェーンガール)はトーヤを攫ったのかっ!?
いろいろな目線で書いていきます。最初はトーヤ目線です!!
それでは、第132話・・・スタート♪ 

 
ト「・・・ぅ、うぅん・・・?」

こ、ここは・・・?気がつくと、僕は真っ暗な部屋の中にいました。

ト「えっ?あ、あれぇっ!?」

手足に違和感を持ち、見てみると、石造りの壁に手足は頑丈な鎖で固定されていました。ビクともしませんっ!その時、僕の脳裏に変装を解いた鎖の少女(チェーンガール)の魔道士さん達と、マリンさんの水封泡の中で気を失ってしまったリョウさんの姿と、雨のように降り注ぐバーン・リクウィッドの情景が浮かび上がりました。

ト「!!そ、そうだ・・・僕、鎖の少女(チェーンガール)に連れ攫われて・・・」

ど、どうしよう・・・み、皆さんに、迷惑掛けてしまいました・・・・そう思ったその時、

チェ「気がついたか。」

ト「!」

驚いて頭を上げると、銀色の髪の毛に邪悪なオーラを放っている濃い紫色の瞳、左耳に十字架の形をしたピアスを着けている鎖の少女(チェーンガール)のボス、チェスさんが目の前にいました。チェスさんの傍には、スバルさん、サニーさん、レイニーさん、ミモリさん、ティオさん、マリンさんが僕を見つめていました。

サ「ふ~ん、歳は私とレイニーと同じくらいなのに、魔力が全然違うね~。」

レ「俺達の方がずっと高い・・・」

い、いきなり魔力の強さを比べられても、困るんですけど・・・

ス「ボス、本当にこいつの魔法で『ブラックテンプラネット』の封印を解く事が出来るんですか?」

チェ「そうだ。」

ト「え・・・?」

い、今、なんて・・・?ぼ、僕の聞き間違いじゃなければ、ぼ、僕の魔法・・・怪物召喚(モンスターズ)で、伝説の闇魔法、『ブラックテンプラネット』を動かすと・・・?

ミ「君は耳がいいのね。そのとおりよ。」

ト「!!?」

僕は驚きのあまり、言葉を失い、頭の中が真っ白になってしまいました・・・

****************************************************************************************

                  『ここからショール目線でいきます。』

俺達は森の茂みの中で身を潜めていた。さっきの一度に起こった2つの出来事が信じられなくて誰も口を開かない。その時、

リョ「・・ぅ・・・ぅん・・・・?」

ル「!リョウ!!」

リョウが意識を取り戻した。俺達は全員リョウの傍に駆け寄る。

エ「リョウ!もう起きて平気なのか?」

ウェ「大丈夫ですか?」

ナ「おいリョウ!お前あんなとこでやられてどうすんだよっ!!」

リョ「はっ?」

一度にたくさんの事を言われてリョウも訳が分からないとゆう表情だ。そりゃそうだ。さっきまで意識を失っていたんだからな。俺達は古い道化師(オールドピエロ)の奴等が本当は鎖の少女(チェーンガール)の魔道士だったという事と、トーヤが鎖の少女(チェーンガール)の奴等に連れ去られた事を話した。

リョ「そうか・・・くっそ!俺肝心な時にやられちまうなんて・・・本当にゴメン!!」

リョウが地面に額と両手を着いて土下座して俺達に謝罪する。

マ「リョウだけのせいじゃないよ。私達も何も出来なかったし・・・」

ハ「おいら達も謝るべきだよ。ゴメンね。お詫びに魚あげるよ。」

ハッピー、この空気で魚を取り出すのはどうかと思うぞ・・・

グ「それに、お前が謝罪するなんて調子狂うんだよ。」

グレイの言うとおりだ。リョウには「謝罪」という言葉は似合ってない。

シャ「とにかく、今はトーヤを助けるのを最優先にしましょう。」

フ「この森のどこかに、鎖の少女(チェーンガール)の隠れ家はあるはずだ。」

ユ「そこにトーヤがいる。」

ショ「戦闘になる可能性は大だ。2人以上で、手分けして奴等の隠れ家を探そう。」

エ「ウェンディとシャルルはルーシィとリョウと一緒に行動してくれ。」

ウェ「・・・・・」

シャ「ちょっとウェンディ、聞いてるの?」

ウェ「え?あ、はい!分かりました。」

ウェンディの表情は暗く、かなりショックを受けているように見えた。そりゃそうだ。目の前で大切な人が連れ去られたんだからな・・・

マ「グレイとユモは大丈夫なの?さっき魔力使いすぎたし・・・」

グ「あんくらい、少し休めば平気だ。」

ユ「もうほとんど回復したし、大丈夫だよ。」

本当に大丈夫なのか?

ナ「おしっ!俺達はこっちの方を探してみるぜっ!行くぞ!マヤ!ハッピー!フレイ!」

マ「OK!!」

ハ「あいさーーーっ!」

フ「りょーかい!!」

ナツとマヤとハッピーとフレイは、東の方向へ飛んで行った。

ル「じゃあ、私達はこっちを探してみましょ。」

ウェ「そ、そうですね。」

シャ「あんた、あんま無理しちゃダメよ。」

リョ「平気だって。」

ルーシィとリョウとウェンディとシャルルは、北の方へ歩き出した。

グ「んじゃ、俺とユモはあっちを探してみるぜ。」

ユ「それじゃあ、またどこかで合流しよう。」

そう言ってグレイとユモは南の方へ走って行った。

エ「ショール、私達も行こう。」

ショ「だな。」

俺とエルザも、西の方角へ歩き出した。

****************************************************************************************

                   『ここからフレイ目線でいきます。』

しばらくマヤを摑んで森の中を飛んでいたが、

フ「!ハッピー、急降下しろっ!!」

ハ「えっ?う、うわぁっ!!」

ナ「おぉぉぉぉぉっ!?」

マ「うわぁ~~~!?」

どこからともなく無数の矢が俺達目掛けて飛んできた。俺とハッピーは上下に飛びながら矢をかわしていった。しばらくそれを続けた後、俺とハッピーは地面にマヤとナツを下ろした。

ナ「誰だっ!隠れてないで出て来いやっ!」

マ「男1人と女1人、それに猫と鳥に怖気付いて矢でしか攻撃出来ないの?弱虫だね~。」

マヤの挑発に怒ったのか、木の陰や木の上、いろんなところから剣や槍を持った50人ほどの魔道士と思われる男が姿を現した。てか、全員男なのか?

ナ「何だこいつ等?魔道士か?」

魔1「俺達は鎖の少女(チェーンガール)の傘下ギルド、孤独な男(サリテリマン)だ。」

なぁ~んだ、ただのザコ傘下ギルドか。

魔2「キィィィィィ!おいそこの鳥ッ!!」

フ「ア?何だ?」

魔3「今俺達の事をザコって言ったなっ!」

フ「ありゃ?聞こえてたのか?俺は思った事をそのまま言っただけだぜ。」

魔全「キィィィィィ!!!!!」

「キィィィィィ」って、お前等猿かよ・・・

ナ「こいつはちょうどいいぜ。準備運動に適してるな。」

マ「ついでに、鎖の少女(チェーンガール)の隠れ家も聞き出しちゃおう。」

ハ「あいっ!それはいい考えだねっ!」

フ「だな。」

ナツは腕をぶんぶん振り回し、マヤは腰に手を当てて孤独な男(サリテリマン)の男達をバカにしたような目で見ている。ハッピーはどこから拾ってきたのか木の枝を持っている。俺は鳥の姿から人間の姿に変わる。

魔5「俺達を甘く見ない方がいいぜ。マヌケな妖精さん達よ。者共、かかれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

魔全「おらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

孤独な男(サリテリマン)の魔道士達は、闇雲に剣や槍を振り回す。

ナ「ほぉ~。「マヌケな妖精」か・・・上等じゃねぇかっ!!」

マ「どっちが本物のマヌケか、教えてあげようか?」

フ「マヌケはお前等の方だってなっ!!」

ザコ魔道士たちの挑発のせいで、俺たちの闘志に火が点いた。

****************************************************************************************

                  『ここからルーシィ目線でいきます。』

ドコォーーーーーーーーーーン!!!

ル「えっ?」

遠くの方で、何かが爆発するような音が聞こえた。音が聞こえた方を振り向くと、

ウェ「えっ!火事!?」

東の方で炎が激しく燃え上がっていた。

シャ「ま、まさか・・・」

リョ「ナツ達、まぁ~た派手にやってるみたいだな。」

やっぱり、あの炎はナツとフレイ、もしくはマヤの炎なのね・・・あそこに鎖の少女(チェーンガール)の隠れ家があったのかしら?

魔1「そりゃあ違うぜ、お嬢さん♪」

ル「!誰ッ!?」

声がした方に振り返って身構えると、私達を取り囲むように奇妙な帽子を被った人達がいた。な、何なの、こいつ等・・・

魔2「俺達は鎖の少女(チェーンガール)の傘下ギルドの1つ、死んだ白鳥(デッドスワン)だ。お前達を消しに来た。」

リョ「ほぉ~。随分簡単に言ってくれたな。」

リョウが腰から聖剣(エクスカリバー)を1本抜く。もしかして、ナツ達が戦っているのも鎖の少女(チェーンガール)の傘下ギルドなのかしら?って、そんな事より、今はこっちに集中よっ!

魔3「それにしても、金髪の女はいい女だぜ~♪消すのはもったいないくらいだな。」

魔4「先にあの男とガキと白猫を消しちまおうぜ。」

数名の男が私を見つめている。モテすぎるのも困りものね。

ウェ「ル、ルーシィさん・・・?」

シャ「あんた、大丈夫?」

あっ!私ったら、こんな時に何考えてるのよっ!すると、リョウが私の前に立って、

リョ「ルーシィは何が何でもぜってぇ~に渡さねぇっ!!たとえ、俺の命が消えてもなっ!!!」

ル「リョ、リョウ/////////////////////」

どうしてリョウは、こんな恥ずかしい事を頬1つ染めずに大声で言えるんだろう?しかも、人前で////////////////

魔5「なぁ~にカッコつけてんだよ、この色男。者共、やれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」

魔全「だらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

死んだ白鳥(デッドスワン)の魔道士が全員襲い掛かってきたっ!ふと私の目に止まったのは小さな川。水だっ!私って運がいいわ☆

ル「開け!宝瓶宮の扉!アクエリアス!!」

宝瓶宮の金色の鍵を川に突き刺す。するとアクエリアスが現れた。

ル「アクエリアス、あいつ等をやっちゃってっ!」

ア「言われなくてもやってやんよっ!」

アクエリアスが青い瓶を振り上げる前に、

ウェ「ル、ルーシィさん、た、確か、アクエリアスさんって・・・」

シャ「敵味方関係無しに大波を起こすんじゃ・・・」

ル「あ・・・」

すっかり忘れてた・・・でも、気づいた時は時すでに遅し。

ア「オラァッ!!!」

森の中で大波が起こる。

魔全「うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

ウェ「キャアアアァアアァァァアアアアアッ!!!」

シャ「ヒャアアアアァァアアアアアァアッ!!!」

リョ「ルゥーーーーーシィーーーーーッ!!!!!」

ル「ゴメーーーーーン!!!」

****************************************************************************************

                  『ここからグレイ目線でいきます。』

ザアァァァァァァァァァァッ!!!

グ&ユ「えっ?」

遠くの方で水(?)の音が聞こえた気がした。北の方から聞こえたから・・・

ユ「たぶん、ルーシィの星霊のアクエリアスが大波を起こしたんじゃないかな?」

あ、なるほど。北の方に鎖の少女(チェーンガール)の隠れ家があったのか?

魔1「おバカな妖精さん、見~つけた♪」

グ「誰だっ!」

振り返ると、ざっと70人くらいの男女が俺達を囲んでいた。四方八方、逃げ道はない。

魔2「私達は鎖の少女(チェーンガール)の傘下ギルド、絶望の蝋燭(ディスペアキャンドル)の魔道士よ。私達と一緒に、遊ばない?」

笑顔で言ってくるが、その笑顔は不敵で不気味だった。はっきり言って悪魔の笑みだ。だが、

グ「鎖の少女(チェーンガール)の隠れ家を聞き出すのにちょうどいいぜ。」

ユ「探す手間が省けて大助かりだね。」

俺は指の関節をポキポキ鳴らし、ユモはすでに冷気を溜めている。絶望の蝋燭(ディスペアキャンドル)の奴等も、手に剣や銃を構え、両手に光のようなものを纏っている奴もいる。

魔3「それにしても、女の方は美少女だな。俺の彼女にしたいくらいだぜ♪」

魔4「あら、男の子の方もかなりのイケメン君よ。殺すにはおしいわ~♪」

なぁ~に色気放出してるんだよ。てか、俺は「男の子」と呼ばれるほど幼くねぇよ。

グ&ユ「はぁ・・・」

俺とユモは同時にため息をついた。

グ「悪いが、俺は闇ギルドの女とくっつくつもりは一切ねぇ。それに、俺にはすでに相手がいるんでな。」

魔女全「えぇっ!!!??」

何でそんな「ありえないっ!!」っていう顔すんだよ・・・?

ユ「私も、闇ギルドの男の人は悪い人しかいないし。それに、私にもすでに相手がいるから、告白されても即答で断るよ。」

魔男全「はぁっ!!!??」

ユモも「意外だっ!!」っていう顔されてる。俺とユモは一度顔を見合わせると、足元から冷気を放出させた。足元の地面があっという間に凍りついていく。

グ「お前達の選択肢は2つ。1つ目は、俺達2人にカチカチに凍らされて倒れるか。」

ユ「2つ目は、降参して自ら負けを認めるか。この2つのどっちかだよ。」

魔5「はぁ?やっぱ妖精はバカだなっ!!」

絶望の蝋燭(ディスペアキャンドル)の奴等が一斉に笑い出した。俺達、変な事言ったか?

魔6「お前達2人にも選択肢は2つある。1つ目、俺達に殺されるか。」

魔7「2つ目は、降参した後、私達に殺されるか。このどっちかの2つよ。まぁ、最後は結局私達に殺される運命なんだけどね☆」

殺される運命ねぇ・・・

グ「言っとくが、妖精を侮っていると後悔するぜ。」

ユ「妖精が激怒すると、世界一恐ろしい事を、教えてあげるよ。」

冷気を更に放出する。俺とユモの周りの空気が小さな結晶になる。

魔8「その自信に満ち溢れた顔と心、私達が氷のように粉々に砕いてさしあげますわっ!!みなの者、哀れな妖精を殺してしまいなさいっ!!!」

魔全「でぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇいっ!!!!!」

次々に俺達に襲い掛かってくるが、

グ「氷を甘く見ない方が命拾いするぜっ!」

ユ「氷の代わりに、あなた達の骨を砕いてあげようか?」

お、おいユモ・・・さ、さらりと怖い事、笑顔で言うなよ・・・

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                  『ここからエルザ目線でいきます。』

ドコォーーーーーーーーーーン!!!ザアァァァァァァァァァァッ!!!ピキピキピキピキピキッ!!!と・・・さっきからあっちこっちでいろいろな音が聞こえてくる。何かが爆発する音、大波のような音、何かが凍りつくような音・・・

ショ「明らかにあいつ等だよな・・・」

暴れすぎて森を消し飛ばさなきゃいいが・・・その時、

魔1「よく暴れまわる妖精だ。」

エ&ショ「誰だっ!」

声がした方に振り返ると、筋肉質な男が私とショールの事を取り囲んでいた。

魔2「俺達は強き魂(ストゥーロングソウル)鎖の少女(チェーンガール)の傘下ギルドの1つだ。」

敵は7人だけじゃなかったようだな。

ショ「まっ、体作りにはいい相手になりそうだな。」

エ「あぁ。」

魔3「そんな木の枝みてぇな腕で俺達を倒せると思うのか?」

確かに、強き魂(ストゥールロングソウル)の奴等と比べたら、奴等の腕の5分の1ほどしか私とショールの腕はない。だが、

エ「いくら筋肉があるからと言って、それを魔法とうまく使わねば意味が無い。」

ショ「筋肉野朗の脳は筋肉で出来ていて、頭脳戦が苦手。筋肉があっても、頭脳がないと、俺達に勝つ事は不可能だぜ。」

魔4「舐めやがって・・・!!者共!こいつらの体をへし折れっ!!!」

魔全「どぉりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

筋肉で覆われた腕で私とショールに殴りかかってくる。

エ「さっき言ったばかりだぞ?いくら筋肉があるからと言って、それを魔法とうまく使わねば意味が無いと。」

ショ「少しは頭を使った方がいいぜ。筋肉野朗さん達。」

私とショールは、振り下ろされた筋肉で覆われた腕を両手でしっかり受け止める。

魔5「なっ!!?」

魔6「う、受け止めただと!!?ぐはっ!!」

油断している間に、敵の鳩尾に蹴りを1発お見舞いする。ユモに教わった格闘技だ。

エ「さぁ、次は誰だ?」

ショ「何人でも相手してやるぞ。」

私とショールの黒いオーラに、強き魂(ストゥーロングソウル)の奴等は全員青ざめていた。強いのは見た目だけか。 
 

 
後書き
第132話終了~♪
トーヤの魔法、怪物召喚(モンスターズ)が、伝説の闇魔法、『ブラックテンプラネット』と何か関わりが・・・!?
次回はトーヤを助けにやって来たが・・・思わぬ事態が起きていた・・・
それではさようなら~♪ 

 

第133話 宇宙一

 
前書き
こんにちは~!07です!
今回はトーヤを助けにやって来た最強チーム。だが、そこでは思わぬ出来事が・・・!?
いろんな目線で書いていきます。最初はマヤ目線です。
それでは、第133話・・・スタート!! 

 
マ「キュー、止めの尻尾蹴り(テイルキック)ッ!」

キュ「キューーーーーッ!」

魔3「ぐほっ!」

鎖の少女(チェーンガール)の参加ギルド、孤独な男(サリテリマン)の奴等をを倒した。ほとんど地面に伸びているか、気を失っているかのどっちか。全員を倒すのに10分も経っていないと思う。

フ「やっぱザコだったな。」

ハ「あい。」

ナツは意識がある奴の胸倉を摑んで、

ナ「おいっ!鎖の少女(チェーンガール)の隠れ家はどこだっ!」

魔5「教えるわけねぇだろ、このマヌケの・・・」

ガンッ!とナツが頭突きして男を気絶させた。そして他の意識がある奴の胸倉を摑んでは、

ナ「おいっ!鎖の少女(チェーンガール)の隠れ家はどこだっ!」

全く同じ事を聞く。答えてくればければ頭突きして他の意識のある奴の胸倉を摑んで・・・の繰り返し。そして16人目で、

ナ「おいっ!鎖の少女(チェーンガール)の隠れ家はどこだっ!」

魔7「ヒッ・・・!こ、ここから・・き、北にある、石造りの、建物、だ・・・」

ナ「そうか。」

魔7「ふごっ!」

ナツは場所を聞き出すと男をゴミみたいに地面に放り投げる。男はそのまま気絶する。

マ「ず、随分扱い悪いね・・・」

ナ「そうか?」

フ「自覚ねぇのかよ・・・」

いかにもナツらしい。

ナ「とにかく、ここから北の方向だ。行くぞっ!」

マ「OK!」

ハ「あいさーーー!」

フ「りょーかい!!」

私達は北へ目指して飛んで行った。

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                         『ここからユモ目線でいきます。』

ピキピキピキ。パキパキパキ。

私達が戦っていた場所はほとんど凍りついている。ちょっとやりすぎたかな?後でエルザに怒られなきゃいいけど・・・そんな事より、絶望の蝋燭(ディスペアキャンドル)の魔道士は全員ノックアウト。あまり戦った気がしないんだけど?グレイは木に寄り掛かっている女に、

グ「おい、鎖の少女(チェーンガール)の隠れ家はどこだ。」

魔1「・・さ、さぁ?どこかしら・・・?」

意地悪そうに微笑む。やっぱり、そう簡単には教えてくれないよね。だったら・・・

ユ「鳩尾に拳何発で言ってくれる?10回?100回?それとも・・・1000回?」

冷気を溜めた拳で脅してみる。隣でグレイが青くなってるのは気にしないでおこう。

魔1「・・・き、北にある、石造りの建物よ。そこにチェスさん達はいるわ・・・・」

ユ「ありがとう!」

魔1「ぐあっ!」

場所を聞き出すと、私は女の鳩尾に拳を1発食らわせる。女はそのまま気絶した。

グ「お、お前って、時々怖いよな・・・」

ユ「そう?急いでる時は、脅すのが一番手っ取り早いからね。」

グ「い、いや・・そうじゃなくて・・・」

ユ「ていうか、早く鎖の少女(チェーンガール)の隠れ家に行ってトーヤを助けなきゃっ!」

何か言いたそうな顔をしたグレイをスルーして、私は北の方角に走り出す。あいつ等、絶対にやばい事を企んでいるっ!

グ「アイスメイク、(フロア)ッ!!」

グレイが地面を凍らせて、その上を滑っていく。これが一番手っ取り早いからね。

****************************************************************************************

                       『ここからショール目線でいきます。』

魔9「ヒィィィィィ!」

雷を纏った俺の拳を見て、1人気絶。

魔4「お、お助けをぉぉぉぉぉ!」

黒い怒りのオーラを「こんなにぃっ!?」と思うくらい大量に放出しているエルザの表情を見て、また1人気絶。いつの間にか、強き魂(ストゥローングソウル)の奴等は誰一人、立っている者はいなかった。

ショ「何なんだこいつ等?俺達まだ攻撃一切してないのに何で気絶しているんだ?」

見た目は筋肉質で、凶暴そうに見えるが、根はものすごく弱虫だ。こういう奴等の事を「雑魚」って呼ぶんだな。覚えておかないと。

エ「まぁ、あまり魔力を消費しなくて済んだのだからいいだろう。最後に残った男を気絶させる前に聞いたのだが、ここから北の方角にある石造りの建物が、鎖の少女(チェーンガール)の隠れ家らしい。」

北の方角には、確かルーシィ達が行ったはずだ。もしかしたら、もうトーヤを助け出してるかもしれないな。

エ「奴等はすでにトーヤに危害を加えているかもしれん。急ぐぞっ!」

俺とエルザは北に向かって走り出した。エルザも気づいてると思うが、奴等はトーヤを何かに利用しようとしている。それだけは絶対に止めないとっ!

****************************************************************************************

                       『ここからリョウ目線でいきます。』

リョ「う・・いってぇ~・・・」

ルーシィの星霊の1体、宝瓶宮のアクエリアスの大波に巻き込まれた俺達はしばらく気を失っていた。それにしても、今日の俺は随分と水に縁があるな。俺の周りにはビショビショの状態で気を失っている死んだ白鳥(デッドスワン)の奴等があちらこちらにいた。

ウェ「リョ、リョウさん、大丈夫でしたか?」

振り向くと、ビショビショに濡れたウェンディとシャルルがいた。

リョ「俺は大丈夫だ。さっきもビショビショになったしな。」

ウェ「そういえば、そうでしたね。」

すると、

ル「み、皆大丈夫だった?」

ビショビショに濡れたルーシィが駆け寄って来た。

シャ「これが大丈夫に見えるかしら?」

ル「ゴメーーーン、今度から気をつけるから。」

まっ、起こった事は仕方がねぇからな。その時、

マ「ルーシィ~!ウェンディ~!」

ハ「シャルル~!リョウ~!」

上空から声がして見上げると、東の方からナツとマヤとハッピーとフレイがいた。

ウェ「あ、グレイさんとユモさん。」

南の方から凍らせた地面の上を滑ってくるグレイとユモの姿が見えた。

ル「あっちからエルザとショールも来たわよ。」

西の方からエルザとショールが走って来るのが見えた。その後全員合流した。

エ「お前達、なんで濡れているんだ?」

ビショビショになっている俺達を見てエルザが首を傾げる。

リョ「まぁ、いろいろあってな。ナツ、マヤ、フレイ、よろしく。」

ナ「おう!」

マ「任せて☆」

フ「服を燃やさねぇように気をつけろよ。」

ナツとマヤとフレイの炎で濡れた服を乾かす。すぐ近くに乾燥機があると便利だな。

ナ&フ「俺達は乾燥機扱いかよっ!?」

マ「別にいいんじゃない。」

ナ&フ「おいっ!」

まっ、何はともあれ服は乾いた。

ショ「この先に鎖の少女(チェーンガール)の隠れ家があるのは知ってるよな?」

ウェ「そうなんですかぁっ!?」

ユ「知らなかったの?」

シャ「私達気を失ってたからね。」

まっ、お陰で面倒な事はしなくて済んだし、魔力も消費せずに済んだからな。

エ「全員で隠れ家に乗り込んで、トーヤを助けるんだ。」

ナ「それと一緒に、奴等もぶっ潰す!燃えてきたぁーーーっ!!」

ハ「あいっ!」

グ「お前は最初っから燃えてるじゃねぇか。」

マ&フ「グレイの言うとおり。」

エ「行くぞっ!!!」

全「オォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」

****************************************************************************************

                       『ここからトーヤ目線でいきます。』

ティ「ボス、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の奴等がこっちに向かってるみたいですっ!」

ティオさんが慌てた表情で駆け込んで来ました。

チェ「あの数のバーン・リクウィッドを全て回避したと言うのかっ!?」

チェスさんは目を見開くと、額に手を当てて、

チェ「・・・どうやら、俺はあいつ等の事を少し侮っていたようだな。」

やっぱり、最強チームの皆さんはすごいですっ!

ティ「たぶん、こいつを助けに来たんだと・・・」

マリ「孤独な男(サリテリマン)の奴等と、死んだ白鳥(デッドスワン)の奴等と、絶望の蝋燭(ディスペアキャンドル)の奴等と、強き魂(ストゥーロングソウル)の奴等はどうしたの?あいつ等が相手してるんじゃないの?」

ティ「呆気なくやられたみたいだ。」

チェ「全く、使えない奴等だ。」

チェスさんはため息を共に冷たい言葉を放ちます。

ト「自分の仲間なのに、よくそんな事言えますね。」

チェ「元からあいつ等は「雑魚」だった。だが、行き場を無くして困ってたところを、俺が助けただけだ。」

サ「ボスは厳しいけど、すごく優しいんだよ~♪」

レ「俺達も、随分お世話になっている・・・」

そんな優しい人が、どうして闇ギルドのボスになってしまったんでしょうか・・・?

チェ「さて、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の奴等もここに向かってるようだし、そろそろ貴様の魔法を()()としよう。」

ト「えっ?」

ぼ、僕の魔法を、()()・・・?ど、どうやって・・・?

チェ「簡単な事だ。」

そう言うと、チェスさんは僕の額に手を当てました。すると、僕とチェスさんの足元に、紫色と銀色の魔法陣が浮かび上がりました。チェスさんは目を閉じると、

チェ「こ奴の魔法、全てを己のものに・・・!」

チェスさんがそう呟いた次の瞬間―――――

ト「!?」

胸の辺りが何かに吸い取られていく感じがしました。な、何ですか、これ、は・・・?

チェ「これが、俺が求めていた魔法、怪物召喚(モンスターズ)!今、俺のものに・・・!」

ト「・・うぅ・・・・くぁぁ・・・!」

頭と胸がすごい力で締め付けられてるようです・・・!意識がどんどん薄れていきます。

ト「し、死神・・・・ユウ、レイ・・て、てんぐ・・・・・座敷、わら、し・・・」

魔力が吸い取られるのと同時に、お化け達も僕の元から離れてゆく感じです。

チェ「これで、全宇宙は、俺のものだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

チェスさんが叫んだのとほぼ同時に、首から提げていた幽封玉がパリィィィィィン!と音を立てて粉々に砕けてしまいました。そこで僕の意識は完全に途切れてしまいました。

****************************************************************************************

                     『ここからウェンディ目線でいきます。』

私達は鎖の少女(チェーンガール)の隠れ家を目指して森の中を走り抜けていました。

エ「見えたぞ。隠れ家だっ!」

森を抜けたのと同時に、先頭を走っていたエルザさんが立ち止まり、全員が立ち止まります。私達が立ち止まったのは崖の上。その下に、石造りの建物がポツゥ~ンと寂しげに建っていました。

リョ「あれだな。鎖の少女(チェーンガール)の奴等の隠れ家ってゆうのは。」

ウェ「あそこにトーヤさんが・・・」

その時、

全「!!!」

グ「な、何だ今の・・・?」

ル「すごい、殺気と魔力・・・・」

ナ「この魔力、トーヤの魔力が少しだけ感じるぞ。」

ショ「まさか!中でトーヤと鎖の少女(チェーンガール)の奴等が戦っているのかっ!?」

ユ「そ、そんな・・・!」

シャ「相手は1人じゃないのよっ!?」

エ「一刻も早く、隠れ家に乗り込むぞっ!」

ナ「ハッピー!」

マ「フレイ!」

ウェ「シャルル!」

ハ「あいさーーーーーっ!」

フ「振り落とされるなよっ!」

シャ「行くわよっ!」

私とナツさんとマヤさんは、シャルルとハッピーとフレイさんで飛んで下へ。後の人たちは、グレイさんとユモさんが造った氷の坂で滑り降りました。



ナ「だりゃぁぁぁぁぁっ!」

ナツさんが隠れ家のドアを蹴り破り、私達は中に突入しました。

****************************************************************************************

中に入ってしばらく進むと、

ウェ以外「!!!」

ウェ「トーヤさん!」

ぐったりしたトーヤさんの腕をを鎖の少女(チェーンガール)のボス、チェスさんが摑んでいました。

チェ「こいつにもう用は無い。」

そう言ってトーヤさんをこっちに渡しました。ショールさんがトーヤさんを支えて、

ショ「おいトーヤ!しっかりしろっ!」

肩をぶんぶん揺すっても、トーヤさんはピクリとも動きません。

ミ「大丈夫よ。死んではいないから安心しなさい。」

マ「こんな状況で、安心なんか出来るわけないじゃんっ!」

エ「貴様等、トーヤに何をした。」

エルザさんが真っ黒なオーラを放出しながらスバルさん達に問いかけます。

チェ「その内貴様等にも分かる時が来る。」

ナ「んだとてめぇぇぇぇぇっ!」

ル「ナツ!落ち着いてっ!」

グ「今はあいつ等を倒してる暇はねぇっ!」

リョ「トーヤを手当てするのが先だっ!」

ナ「うぬぬぬぬ・・・くっそぉ~~~~~!」

私達は、鎖の少女(チェーンガール)の人達を睨みつけてから、隠れ家を後にしました。

****************************************************************************************

         『ここから少しだけ、鎖の少女(チェーンガール)の魔道士の1人、スバル目線でいきます。』

妖精の尻尾(フェアリーテイル)のバカ共が隠れ家から姿を消した。

サ「これで全宇宙はボスのものになるんだね~♪」

レ「ボスは最強・・・」

サニーとレイニーの頭にボスは優しく手を置く。

チェ「お前達は、俺の最強の弟子だ。もちろん、スバル、ミモリ、ティオ、マリンもだ。」

チェ以外「ボス・・・!!!」

やっぱり、俺達のボスは、世界・・・いや、宇宙一最強だっ!

チェ「怪物(モンスター)の魔法を手に入れたのはいいが、妖精の尻尾(フェアリーテイル)のバカ共がまた攻めて来るだろう。お前達、妖精の尻尾(フェアリーテイル)のバカ共を始末して来いっ!!」

チェ以外「イエッサーーー!!!」 
 

 
後書き
第133話終了~!
チェスに怪物召喚(モンスターズ)を吸い取られてしまったトーヤ。奴等はいったい何の為に・・・!?
次回はチェスによって魔力を吸い取られてしまったトーヤ!!いったいどうやって・・・!?

ここで駄作者07からの重大なお知らせです!
このブラックテンプラネット編が終わったら、新しい小説を作りたいと思います!冒険・友情・恋愛ありのお話です!駄作者の私が作成するので、目が飛び出るくらい駄作になるかもしれませんが、見て下さったら光栄です。もちろん、ブラックテンプラネット編が終わってもFT友恋(FAIRY TAIL 友と恋の奇跡の略称)は続けるので、2作品とも楽しみに見てくれると嬉しいですっ!

それではSeeyou! 

 

第134話 宇宙があるから・・・!

 
前書き
こんばんは~☆07です☆
今回は鎖の少女(チェーンガール)のボス、チェスに魔力を奪われてしまったトーヤ。その方法とは・・・!?
途中から目線が変わります。最初はウェンディ目線です。
それでは、第134話・・・スタート☆ 

 
私達は鎖の少女(チェーンガール)の隠れ家を後にして、人気の無い茂みの陰に隠れていました。私は今、トーヤさんの治療をしているんですが・・・

エ「ウェンディ、トーヤの具合は?」

ウェ「そ、それが・・・仮死状態、になってるみたいで・・・・」

ル「仮死状態!?」

ナ「()()?美味そうだな。」

ハ「あい。」

ショ「違うっ!()()だっ!意識が無くて、呼吸もしてないし、まるで死んでるみたいだが、ちゃんと生きている状態の事だ。」

ショールさんの言うとおり、トーヤさんは意識はありませんが、脈はちゃんとあるんです。でも、いったいどうして・・・?ますます謎が深まるばかりです。するとリョウさんが、

リョ「なぁ、トーヤから魔力を全然感じないのは俺だけか?」

グ「言われてみれば、確かに・・・」

マ「じゃあ、トーヤは魔道士じゃなくて、どこにでもいる()()()の男の子だよっ!」

フ「トーヤの場合、()()()じゃねぇけどな。」

半幽人ですもんね。トーヤさん、私達が駆けつける前に戦闘でもしたんでしょうか?もしそうだとすると、大きな怪我もありませんし、掠り傷や切り傷も全くありません。

シャ「あいつ等が、トーヤの魔力を奪ったのかしら?でも、何の為に・・・?」

ふとトーヤさんの胸の辺りに視線を移すと、いつもトーヤさんが肌身離さず首から提げていた紫色の勾玉が無くなっていました。トーヤさんの首には、勾玉に通していた切れた紐だけが残っていました。

ウェ「あの、トーヤさんの勾玉が無くなっているんですけど・・・」

ユ「あれ?本当だ。確かあの勾玉って、トーヤが半幽人の力を抑える為のものだよね?」

ナ「でも、トーヤは半幽人の姿じゃねぇぞ。」

ハ「いったいどうなってんの?」

トーヤさん、怪物召喚(モンスターズ)鎖の少女(チェーンガール)、勾玉、『ブラックテンプラネット』・・・何か関係してるんでしょうか?

エ「!そういえば、『ブラックテンプラネット』は、500年前に封印された闇魔法だったな。」

ショ「あぁ。それがどうかし・・・あぁっ!」

リョ「そっか!なる()()っ!」
  
ル「()()?」

エルザさんに続いて、ショールさん、リョウさんも何か分かったみたいです。

マ「何か分かったの?」

エ「奴等が狙っているのは伝説の闇魔法、『ブラックテンプラネット』。そしてトーヤの魔力。この2つで、お前達は何を推測する?」

エルザさんの問いに、皆さん腕を組み、首を傾げます。

ショ「『ブラックテンプラネット』は、今は封印されている闇魔法だ。」

リョ「それと同時に、奴等はトーヤの魔力、もっと的確に言えば怪物召喚(モンスターズ)を奪ったんだぞ?これで分かるだろ?」

フ「鎖の少女(チェーンガール)の奴等は・・・」

ウェ「『ブラックテンプラネット』を・・・」

シャ「手に入れる為に・・・」

ル「トーヤの魔力を奪った・・・」

ユ「『ブラックテンプラネット』の・・・」

グ「封印を解く・・・」

ル&グ&ウェ&ユ&シャ&フ「あぁっ!!!」

6人が同時に頭の中の豆電球に光が灯りました。ですが、

ナ&マ&ハ「う~~~ん・・・・・?」

まだ考えている人が3人・・・いや、2人と1匹ですね。

リョ「お前等ほんっとバカだよな~。」

ナ「んだとリョウ!」

ル「そこに怒ってもねぇ~、そのとおりの事なんだから。」

エ「全く、お前達は・・・」

ショ「『ブラックテンプラネット』の封印を解く方法が、トーヤの魔法、怪物召喚(モンスターズ)かもしれないって事だ。」

ナ&マ&ハ「なるほど~。ってえぇぇぇっ!!?」

シャ「気づくの遅すぎるでしょ。」

やっとナツさんとマヤさんとハッピーの頭の中の豆電球に光が灯りました。

マ「でも、もし本当に怪物召喚(モンスターズ)が『ブラックテンプラネット』の封印を解く方法だったら、鎖の少女(チェーンガール)の奴等はどうやってトーヤの魔力を奪ったの?」

エ「問題はそこだ。」

グ「仮死状態になるくらいだ。かなり高性能なやり方でやったんだろうな。」

フ「そんな魔力を奪う為の高性能なやり方なんてあるのかよ?」

また皆さんで考え込んでいると、リョウさんが、

リョ「!思い出したぁっ!」

ユ「うわぁっ!」

リョウさんがいきなり大声を出して隣にいたユモさんは驚いてその場に飛び上がりました。

ル「な、何よ、いきなり・・・?」

リョ「ラハールさんから得た情報なんだけど、鎖の少女(チェーンガール)のボス、チェスはバーン・リクウィッドの他にも、吸収(アブソーブ)って言う魔法を使えるんだ。」

ウェ「吸収(アブソーブ)?」

ショ「聞いた事があるぞ。相手の額に手を乗せるだけで、相手の魔力を全て吸い取る事が出来る魔法だ。まさか本当にそんな魔法が・・・この魔法で命を落とす人も少なくないらしい。」

ユ「相手の魔力を、吸収・・・!」

ル「い、命を落とすって・・・!」

そ、そんな・・・ナツさんがリョウさんの肩を摑んで、

ナ「おい!それじゃトーヤはどうなるんだよっ!?死んじまうのかよっ!!?」

リョ「・・・それは俺にも分からねぇ。ただ、トーヤが今、めちゃくちゃ崖っぷちの命だって事だけは分かる。」

しばらく沈黙が流れます。そりゃそうですよね。目の前にいる仲間が死んでしまうかもしれないと思うと・・・

リョ「でも、鎖の少女(チェーンガール)の奴等からトーヤの魔力を取り戻せば・・・!」

皆さんの顔に、再び光が灯ります。まだチャンスがあるって事ですよねっ!

エ「一刻も早く、奴等からトーヤの魔力を取り戻そう。」

その時、

ス「そう簡単には返さねぇよ。」

全「!!!」

驚いて上を見上げると、木の上にスバルさん、サニーさん、レイニーさん、ミモリさん、ティオさん、マリンさんが私達の事を見下ろしていました。

グ「い、いつの間にっ!?」

サ「今までの話はぜぇ~んぶ聞いてたよ☆」

レ「俺達、気配を消していた・・・」

スバルさん達が木から飛び降ります。私達はとっさに身構えます。

ミ「私達は、全宇宙を支配する為、『ブラックテンプラネット』を手に入れる。」

ティ「それを達成させる為には、トーヤ・ファインの魔力が必要なんだ。」

マリ「1人くらいの犠牲がいなくっちゃ、この計画は達成出来な・・・」

ナ「ふざけるんじゃねぇぇぇぇぇっ!!」

ナツさんが炎を纏った拳でマリンさんに殴り掛かりますが、

マリ「水拳ッ!」

マリンさんの水を纏った拳で止められてしまいました。

ナ「何が全宇宙を支配するだ?何が犠牲だ?ア?そんな下らなねぇ事するくれぇなら、この世界にいる価値もねぇっ!!!」

ハ「宇宙は全世界の親的存在なんだよっ!!!」

マ「宇宙があるから太陽系があるっ!太陽系があるから地球があるっ!地球があるから私達人間がいるっ!あんた達は今、それを壊そうとしているんだよっ!!!」

フ「そんな事、地球上の人間が許す訳がねぇっ!!!」

今度は足に炎を纏ったマヤさんと、人間の姿に変わり、炎の弓矢を構えたフレイさんがスバルさん達に攻撃を仕掛けますが、

マリ「水剣ッ!」

またしてもマリンさんに止められてしまいました。

ス「この世界は今、完全に『闇』に染まっている。だから、この全宇宙を、俺達鎖の少女(チェーンガール)が支配し、一から『光』の世界へと変えるんだ。」

ル「世界が『闇』じゃなくて、あんた達みたいな存在が『闇』なのよっ!!!」

リョ「そんな奴等に、全宇宙を支配する権利は最初っからねぇんだよっ!!!」

リョウさんの声がコロールの森中に木霊します。まるでコロールの森の木々も、鎖の少女(チェーンガール)の計画に反対しているかのように―――――

サ「まっ、そこにいるトーヤ・ファインを助けたいのなら、ボスからトーヤ・ファインの魔力を奪わないとね。」

レ「それが出来るかどうかは、俺達にも分からない・・・」

グ「トーヤの魔力は、鎖の少女(チェーンガール)のボスが持ってるのかよっ!?」

ユ「随分と厄介な事になってきたね。」

それを取り返せば、トーヤさんも・・・!

ミ「でも、ボスのところへは絶対に行かせないわよ。」

ティ「俺達全員を倒さねぇと、ボスを倒す事が出来ねぇからな。」

マリ「まっ、私達と戦っている間に、ボスは『ブラックテンプラネット』が封印されている場所に行って、封印を解きに行くんだけどね。」

エ「何だとっ!?」

ショ「すでに『ブラックテンプラネット』が封印されている場所を突き止めてたのかよっ!?」

ウェ「そ、そんな・・・!」

シャ「計算外だわ・・・」

私達はまだ、『ブラックテンプラネット』がどうゆう魔法しか分かっていないのに・・・

ス「こうやって無駄話している間にも、ボスはトーヤ・ファインの魔力を持って、『ブラックテンプラネット』の封印場所に向かってるぜ。」

ナ「くっそぉ~~~~~!」

ナツさんが地面を思いっきり殴ります。

サ「私達は、いろんな場所であなた達の事を待ってるからね☆」

レ「俺達が、あんた達の事を見つけたら、いざ勝負・・・」

ミ「手加減は一切無し!本気と本気の全力熱血勝負!!」

ティ「ペアを組んでも俺達は構わねぇぜ。そっちの方が歯応えがあるからな。」

マリ「それじゃ、全宇宙が消えるのを心待ちにしながら、あなた達が来るのを待っているわ。」

そう言い残すと、スバルさん達は瞬間移動(テレポート)で姿を消しました。

リョ「まさか、もう『ブラックテンプラネット』の封印場所を突き止めてとはな・・・思いもしなかったぜ・・・」

リョウさんが額に手を当ててガックリと肩を落とします。

エ「いつものペアで行動しよう。ウェンディとシャルルはここに残ってくれ。」

ウェ「えっ?でも、私も戦いますっ!」

トーヤさんの命が危ないんだっ!私がトーヤさんを助けなきゃ・・・!

ル「でもウェンディ、ここに意識の無いトーヤだけを置いて行く訳にもいかないでしょ?それに、いくらウェンディが強くても、1人であいつ等と戦うのは危険すぎるわ。トーヤの魔力の事は私達に任せて、ウェンディはシャルルと一緒にトーヤの傍にいてあげて。」

ウェ「ルーシィさん・・・」

すると、シャルルが私の肩にそっと手を置く。

シャ「全く。相変わらずあんたは頑固なんだから。あんたがトーヤを助けたい気持ちは私が一番よく理解しているわ。でも、今回の相手は手強すぎる。皆絶対に傷を負って帰って来るわ。それを手当てするのは誰の役目?」

私はシャルルを見つめてから皆さんに視線を移す。皆さんは何も言わずに頷くだけです。私はもう一度シャルルに視線を戻すと、

ウェ「私の役目!」

胸を張って、自信を持って言った。

シャ「皆あんたを頼りにしているのよ。その期待を裏切らないように、私とここで待機してましょ。」

ウェ「そうだね。」

私が頷くのを見たエルザさんは、

エ「ナツ達は西、ルーシィ達は東、グレイ達は北、私達は南を捜す。スバル達はもちろん、鎖の少女(チェーンガール)のボス、チェスを見かけたら、必ず倒せっ!そして、必ずトーヤの魔力を取り返すんだっ!!」

エ以外「オォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!」

皆さん一斉にそれぞれの方角へ走り去って行きました。

ウェ「皆、大丈夫かな・・・?」

シャ「大丈夫に決まってるじゃない。このチームはいろんな意味で最強なんだから。」

ウェ「そうだよね。」

私は後ろを振り返り、目を閉じて地面に横たわっているトーヤさんを見つめます。必ず、必ず助けますからねっ!

****************************************************************************************

              『ここから少しだけ、鎖の少女(チェーンガール)のボス、チェス目線でいきます。』

さて、そろそろ『ブラックテンプラネット』の封印場所に向かうとするか。スバル達は、今頃妖精の尻尾(フェアリーテイル)のバカ共達を相手に戦闘を始める頃だな。俺は先程トーヤ・ファインから吸い取って手に入れた怪物召喚(モンスターズ)の魔力の固まりを手に取る。吸い取った魔力は、球体形の固まりになるのだ。この魔力が、『ブラックテンプラネット』の封印を解く為の重要な鍵になるのだ。

チェ「今に見ておれ、妖精の尻尾(フェアリーテイル)。貴様等には全宇宙を守る事など出来ん。すでに全宇宙は俺のものだっ!!」

俺は怪物召喚(モンスターズ)の魔力の固まりを手に、隠れ家を出て『ブラックテンプラネット』の封印場所へと足を運んだ。 
 

 
後書き
第134話終了~☆
何と!怪物召喚(モンスターズ)は『ブラックテンプラネット』の封印を解く為の重要な鍵だった!魔力を全て吸い取られ、仮死状態に陥ってるトーヤを救う事が出来るのか!?
次回はエルザ&ショールの対決!!
また次回お会いしましょう~☆ 

 

第135話 信じている

 
前書き
HELLO♪07で~す♪
今回はエルザ&ショールの対決!!いったいどんなバトルが繰り広げられるのか・・・!?
途中で目線が変わります。最初はエルザ目線で書いていきますよ。
それでは、第135話・・・スタート♪ 

 
鳥のさえずりさえも聞こえない静かな森の中を私とショールは走り続けていた。

ショ「『ブラックテンプラネット』・・怪物召喚(モンスターズ)・・・『ブラックテンプラネット』・・怪物召喚(モンスターズ)・・・」

ショールが走りながら何かをぶつぶつ呟いているのが聞こえる。私は一度止まり、

エ「ショール、さっきから何を呟いているんだ?」

ショ「・・・いや、『ブラックテンプラネット』の封印を解く方法は、怪物召喚(モンスターズ)と、()()()()、何か必要だったような気がして・・・」

エ「何ッ!?それは本当なんだなっ!?」

ショ「あぁ。でもそれが何だったのか思い出せなくて・・・」

ショールは額に手を置いて考える。その時、

ティ「流石だな。元有名マジシャンであり、妖精の尻尾(フェアリーテイル)では数少ない頭脳派魔道士のショール・ミリオン。」

エ&ショ「!」

上を見上げると、木の枝に座っているティオがいた。

ティ「お前の頭の良さは褒めてやる。」

ショ「裏切り者に褒められても全然嬉しくないね。」

ティオは飛び降りて私達の目の前に着地した。

ティ「後もう少しでこの世界は生まれ変わる。」

エ「それを私達が全力で阻止する。」

ショ「お前等の好き勝手にはさせないっ!ギアチェンジ!モード風!!」

私は飛翔の鎧に換装し、ショールは緑色の光に包まれる。

エ「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

ショ「風天刃!!」

私は双剣で攻撃を仕掛け、ショールは風を纏った手足で攻撃するが、ティオは全てかわす。

ティ「どっちもスピードを上げる鎧と魔法だが、まだまだ遅いぜっ!砂漠鞭(デザトウィップ)!!」

エ「うぁっ!」

ショ「イギィッ!」

ティオは右手を砂に変え、鞭のように私とショールの背中を叩きつける。

ショ「くっそ!風光砲!!」

ショールは両手をティオに突きつけ、風を纏った緑色の光線を放つ。が、ショールの攻撃はティオに当たらなかった。いや、当たったんだ。だが、突き抜けたんだ・・・

エ&ショ「えっ?」

ティ「残念でしたぁ~☆俺の体は砂で出来ているんだぜ。」

ジュビアと似たような体質とゆう事か。厄介な相手だ。

ショ「砂なら・・・!ギアチェンジ!モード水!!」

ショールの体は緑色の光から青色の光に包まれる。

ショ「水力拳!!」

水を纏った拳で殴り掛かるが、これもティオの体は突き抜けた。ティオは怪しげに笑うと、体全身を砂に変えた。

ティ「砂に飲み込まれるろっ!おらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

私は黒羽の鎧に換装し、剣で砂に姿を変えたティオを抑えつける。

エ「くっ・・・!」

剣で防ぐのもやっとだ・・・!ピキッ!

エ「なっ!?」

ティ「剣1本で俺を止められるとでも思ったのか?妖精女王(ティターニア)さんよぉ?」

ピキッ!パキッ!

ティ「砂の力を舐めるんじゃねぇぞっ!!」

バキィィィンッ!!

エ「くあぁっ!」

私はそのまま地面を転がりながら吹っ飛ばされた。

ティ「消え失せろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

体を砂に変えたティオが迫って来る。私が目を閉じたその時、

ショ「水圧壁!!」

ショールが私の前に立ち塞がり、ティオをからの攻撃を防いだ。

ティ「そんな壁で俺を防げれると思うなよ。」

ショ「ぐっ・・・!」

ショールの体がゆっくり後ろに移動している。やはり威力ではティオの方が上なのか・・・

ショ「こ、これで、終わりだと思うなよ・・・!」

ティ「何?」

ショールは今まで見た事も無いくらいの険しい表情でティオを睨みつけると、

ショ「水圧壁からの・・・水圧弾!!」

ティ「!?ぬあっ!」

以前、竜狩り(ドラゴンハンター)のカルロにも仕掛けた攻撃だ。水圧の力でティオは吹っ飛び、木に頭を打ち付けた。

ショ「はぁ、はぁ・・はぁ・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・・はぁ・・はぁ、はぁ・・・はぁ、はぁ、はぁ・・はぁ、はぁ・・・・はぁ・・はぁ・・・はぁ、はぁ・・はぁ・・・はぁ、はぁ・・・・」

エ「ショール、大丈夫か?」

ショ「あ、あぁ。はぁ、これくらい、はぁ・・はぁ、ど、どうって事、ない・・・」

口ではそう言ってるものの、息がすごい切れてるぞ。魔力が限界なんだろう。すると、

ティ「俺に攻撃を当てた魔道士は、ショール・ミリオン、お前が初めてだ。」

頭から血を流し、ところどころ傷を負っているティオがおぼつかない足取りで近寄って来た。

エ「まだ勝負は終わっていない。ここからだ。」

ショ「必ず、お前等の企みを止めてやるっ!」

ティ「その自信が、後で後悔しないよう願っているぜっ!砂漠大蛇(デザトビックスネーク)!!」

鋭い目付きと歯と舌先が2つに割れた巨大な砂の大蛇が私達に襲い掛かって来る。

ショ「水泡球!!」

ショールは小さな水の泡を砂の大蛇の口に向かって投げつけた。大蛇はボロボロに崩れ地面の砂と同化した。

ティ「ちっ。」

ティオは小さく舌打ちをする。私は天輪の鎧に換装すると、

エ「舞え、剣たちよ・・・循環の剣(サークルソード)ッ!!」

ティ「ぐあぁぁぁっ!」

銀色に輝く剣がティオを容赦なく斬り付ける。

ティ「や、やって、くれるじゃ、ねぇか・・・」

口から出た血を手で拭いながらティオは笑みを浮かべる。

ティ「砂漠舞踊(デザトダンス)!!」

私とショールを囲むように、砂嵐が起きる。

ショ「こ、これじゃあ、攻撃出来ねぇっ!」

私とショールは砂が目に入らないように手で防ぎながらティオの姿を捜す。すると、

ティ「だぁりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

ショ「ぐはっ!」

エ「ショール!うあっ!」

また砂に姿を変えたティオがものすごい速さで私とショールに襲い掛かって来た。

ショ「水砲弾!!」

ショールがティオ目掛けて大砲の糾弾のような水を連続でものすごい速さで放つが、ティオは全てかわす。

ショ「な、何て速さだ・・・!」

ティオは私達の背後で止まると、

ティ「これで止めだっ!砂漠竜巻(デザトトルネード)!!」

砂を巻き上げた巨大な竜巻が襲い掛かる。竜巻は森の木々を倒していく。これまでか・・・!

ショ「水圧壁!!」

ショールがまた私の前に立ち塞がり、竜巻を防いだ。が、竜巻の方が威力が強いっ!

ショ「エルザ、竜巻は俺がなんとかする!ティオを頼むっ!」

エ「だ、だがそれじゃショー」

ショ「頼むっ!!」

ショールが私の言葉を遮り、真剣な表情で私を見つめる。私は小さく頷くと、黒羽の鎧ver2に換装し、ショールから離れティオと向かい合う。

ティ「ちっ。まだ生きてたのか。」

ティオはまた小さく舌打ちをする。

ティ「あの竜巻はショール・ミリオン1人に任せるのか?たった1人で防げれる訳が無い。」

エ「あいつは必ず防ぐっ!私は信じている。ずっとな。」

ショールは、真の強い男だ。一度言った事は、必ず成し遂げる。そうゆう男だ。

エ「ショールは竜巻を、私はお前を、討つっ!」

私はティオに向かって走り出し、持っていた剣を振りかざす。

エ「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

ティ「砂漠城壁(デザトランパード)!!」

砂が巨大な壁状になり、攻撃を防ぐ。

ティ「砂漠蠍(デザトスコーピオン)!!」

砂の蠍が大量に襲い掛かって来る。

ティ「砂だからと言って気を抜いてたら確実に死ぬぜ。こいつ等は毒を持ってるからな。」

私は剣で蠍をどんどん蹴散らしていく。蠍は簡単に吹っ飛び、地面の砂と同化した。

ティ「今度こそこれが止めだっ!砂漠(デザト)

ショ「マジックハンド!!」

ティ「ぐはっ!」

ティオの体は背後から近づいたショールのマジックハンドで抑えつけられた。

ティ「い、いつの間に・・・」

エ「ショール、砂漠竜巻(デザトトルネード)は?」

私が問うと、ショールはティオを抑えつけたまま、

ショ「もちろん、消し飛ばしたぜ。」

笑って答えた。

エ「流石だな。」

やはり信じて正解だった。

ショ「エルザ、止めだっ!」

ショールの声に高く飛び上がると、

エ「黒羽・月閃!!」

ティ「ぐああぁあああぁぁあああああああああああああああああああああああああああああっ!!」

****************************************************************************************

私は鎧を解き、倒れているティオの胸倉を摑む。

エ「四の五言わずに『ブラックテンプラネット』の封印を解く為の怪物召喚(モンスターズ)()()()()のものを教えろ。さもなくば・・・」

別空間から剣を取り出し、剣の刃先をティオの首筋に突きつける。

エ「貴様の体が傷つくぞ。」

ティオは荒々しく息をしながら、薄っすらと片目を開けると、

ティ「はぁ、はぁ・・け、計画が・・・台無しに、なる、くらいなら・・はぁ、はぁ・・・死んだ方が、ましだ・・はぁ、はぁ・・はぁ・・・」

エ「貴様ァァァッ!!」

怒りを露にした私の肩にショールがそっと手を置く。

ショ「エルザの攻撃をまともに食らったんだ。それくらいにしといた方がいい。『ブラックテンプラネット』の事は、ナツ達が暴いてくれるさ。」

エ「・・・仕方ないな。命拾いしたな。」

私は剣を別空間に戻し、ティオを離す。

ショ「それより、お前等は何でそんなにチェスの事を庇うんだ?」

確かに、チェスはスバルたちからとても慕われている。何か理由があるのか?

ティ「・・・救われたんだよ、ボスに・・・・」

エ&ショ「?」

ティオはどこか悲しそうな顔を浮かべて、

ティ「俺は、孤児だったんだよ・・・」

エ&ショ「!」

ティ「親から虐待を受けて、6歳の頃にこの森に捨てられたところをボスに拾われて、ここまで育ててくれたんだ。ボスは優しくて、強くて、俺達の親的存在だった。俺だけじゃねぇ。サニーとレイニーも、ミモリも、マリンも、この森でボスに拾われたんだ。スバルは違うけどな。」

エ「スバルはどうして・・・?」

ティ「それは言えないな。言ったら、『ブラックテンプラネット』を解くヒントになっちまうかな。」

エ&ショ「なっ!?」

ティ「俺は殺されても、ぜっ、てぇ~に・・言わ、ねぇ、からな・・・」

そう言い残すとティオは気を失ってしまった。『ブラックテンプラネット』の封印を解く方法に、スバルが関係してるのか・・・!?

****************************************************************************************

              『ここから少しだけ鎖の少女(チェーンガール)のボス、チェス目線でいきます。』

俺は『ブラックテンプラネット』の封印場所を目指して森の中を歩いていた。その時、俺の右腕に着けている黒、赤、灰色、緑、黄色、青、銀色の7色の腕輪の1つ、黄色い腕輪が茶色く錆びた。

チェ「ティ、ティオが、やられた、だと・・・?」

そう、この7つの腕輪は、鎖の少女(チェーンガール)の魔道士の事を表している。黒はスバル、赤はサニー、灰色はレイニー、緑はミモリ、黄色はティオ、青はマリン、銀色は俺だ。ティオが妖精の尻尾(フェアリーテイル)のバカ共の誰かにやられた為か、黄色い腕輪が錆びたんだ。

チェ「ま、まさか、こんなにも早くやられてしまうとは・・・」

その時、ガサガサと近くの茂みが揺れた。敵かっ!?とっさにバーン・リクウィッドを放つ体制をとると、

ス「ボス、そんなに警戒しないで下さい。俺ですよ、俺。」

茂みから姿を現したのはスバルだった。

チェ「やっと来たか。遅かったな。」

ス「ボスを見つけるのに時間が掛かってしまいまして。」

こんな森の中だ。人1人見つけるのには大変なのかもしれないな。

チェ「行くぞ。『ブラックテンプラネット』の封印場所に。」

ス「はい。いよいよ俺を使()()時が来たんですね。」

俺はスバルと一緒に『ブラックテンプラネット』の封印場所に向かって再び歩き始めた。 
 

 
後書き
第135話終了~♪
『ブラックテンプラネット』の封印を解く為には、怪物召喚(モンスターズ)の他にも、()()()()必要なものがあった!それは・・・え?スバル?
次回はグレイ&ユモの戦い!!
それではまた次回♪ 

 

第136話 天気魔法

 
前書き
イエ~イ!07だよっ!
今回はグレイ&ユモの対決!!2人は『ブラックテンプラネット』の封印を解く方法を暴き出せるのか!?しかも思わぬ大惨事が・・・!?
途中で目線が変わります。最初はグレイ目線で書いていきます。
それでは、第136話・・・スタート! 

 
コロールの森は不気味なくらい静まり返っていた。

ユ「風も吹かないし、鳥の鳴き声も聞こえない・・・どうなってるの?」

俺達が辺りを見回していると、ザザザザザザザザザザ・・・といきなり雨が降り始めた。

ユ「雨?」

グ「ったく、タイミング悪ィなぁ。」

その時、

サ「見ィ~つけた~☆」

レ「妖精の尻尾(フェアリーテイル)のバカ共・・・」

グ&ユ「!」

驚いて振り返ると、満面の笑みで笑っているサニーと、それとは裏腹に、無表情で突っ立っているレイニーが俺達の背後にいた。

サ「見た目も性格全く違うし、魔法も全然違うけど、息ぴったりの私達を倒せる~?」

レ「サニー、俺達のコンビネーションは、絶対に崩れない・・・」

サ「そっかぁ~♪」

勝手に決め付けてるし、勝手に納得してるし、何なんだこいつ等?すると、サニーは右手を、レイニーは左手を俺達に向けて差し出すと、

サ「さぁ、始めようよ☆」

レ「先攻は譲る・・・」

サニーは挑発的な笑みを、レイニーは挑発的な無表情を浮かべた。

グ「んじゃ、お言葉に甘えて・・・」

俺は左手の平に右手の拳をのせる。

グ「アイスメイク、槍騎兵(ランス)ッ!!」

無数の氷の槍がサニーとレイニーに向かって飛んでいく。するとサニーが前に飛び出して、

サ「太陽の光(サンライト)!」

サニーは金色に輝く光で氷の槍を直撃する前に全て融かした。

サ「太陽の光って、めちゃくちゃ熱いんだよ☆」

レ「火傷だけじゃ済まない・・・」

ユ「だったら、アイスメイク、爆弾(ボム)ッ!!」

ユモは氷の爆弾をサニーとレイニーに向かって投げつけた。すると今度は、レイニーが前に飛び出して、

レ「酸性雨(アスィッドレイン)・・・」

さっきから降っていた雨は酸性雨に変わり、その雨で氷の爆弾は跡形も無く融けた。雨はすぐに止んで、雨雲もどこかへ飛んでいき、再び青空が顔を出した・・・と思ったら、ザザザザザザザザザザ・・・また雨が降り始めた。さっきから雨ばかりだな。

サ「どぉ?すごいでしょっ!」

レ「これが俺達のコンビネーション魔法・・・」

サ&レ「天気魔法(ウェーザーマジック)!!」

2人が声を揃えて言う。天気魔法(ウェザーマジック)・・・?

サ「私の魔法、太陽(サン)は、光や炎で攻撃、防御が出来るんだ☆」

レ「俺の魔法、(レイン)は、どんな雨でも降らす事が出来る・・・」

ユ「どっちとも関係するのは天気・・・」

だから天気魔法(ウェザーマジック)なのか。

グ「面しれぇじゃねぇか。」

ユ「そう言いながら服を脱がない。」

グ「ぬおっ!?」

サ「へ、変態ィィィィィ!」

レ「露出魔・・・」

無表情で「露出魔」って言われてもな・・・とにかく、

ユ「私はサニー。」

グ「俺はレイニー。」

そう言って同時に駆け出し攻撃を仕掛けた。

グ「アイスメイク、戦斧(バトルアックス)ッ!!」

レイニーは俺の攻撃を音1つ立てずにかわすと、

レ「豪雨・・・」

今度は今まで降っていた雨がいきなり激しく降り始めた。地面はぬかるみ、至る所に水溜りが出来る。視界が悪くなる。

グ「くっそ!雨でよく見えねぇっ!」

顔に降りかかる雨を拭うが、すぐにまたビショビショになる。

レ「ていっ!」

グ「おふっ!」

いつの間にか目の前にいたレイニーが飛び膝蹴りで俺の顎を蹴り飛ばす。俺はぬかるんだ地面に突っ込み、泥だらけになった。ザザザザザザザザザザ・・・!俺は顔に付いた泥を拭う。つーか、

グ「雨、さっきよりも強くなってねぇか?」

レ「そうだね・・・」

反応薄ッ!

グ「ったく、うっとうしい雨だな。」

レ「!!!」

その時、すぐ近くで強大な魔力を感じた。

グ「な、何だこの魔力・・・!?ユモが怒りで爆発したのか?」

・・・いや、ユモの魔力じゃない。もっと近くで感じる・・・!今ここで俺に一番近くにいるのは・・・俺は後ろにいるレイニーを見る。すると・・・

グ「ぬあっ!?」

レイニーは小刻みに震えていて、大気も同じくらい震えている。しかも、雨も更に強くなっていく。

レ「・・ぉ・・・なじ・・・・」

グ「えっ?」

レ「ぉ・・お前も・・・同じなのかぁーーーーーっ!!!」

グ「ぬぉあっ!!」

いきなりレイニーは狂ったように叫び、俺に殴り掛かって来た。さっきの無表情無感情のレイニーとはまるで別人だっ!ど、どうしたんだよいったいっ!?

レ「俺の・・俺のせいで・・・!」

グ「!?」

レイニーは俺に殴り続けながら何かを話し始めた。

レ「俺のせいで・・・サニーは、傷ついた。俺のせいで・・・!俺が生まれた時は雨が降っていた。だから俺は雨男なんだ。俺がいるところはいつも雨が降っていた。だから俺は友達からも嫌われていて・・・ずっと一人ぼっちだった・・・・でも、サニーが生まれた時は快晴だった。だからサニーは晴れ女。サニーがいるところはいつも太陽が出ていたんだ。でも、俺とサニーが一緒にいるとなぜかいつも雨が降るんだ。俺だけが嫌われればいいのに、サニーも、嫌われた・・・」

いつの間にかレイニーは俺に殴り掛かるのを止めていた。

レ「俺達は街を追い出されて、途方に暮れていたところを、ボスに拾われたんだ・・・」

ザザザザザザザザザザ・・・!!レイニーの悲しみを訴えるみたいに、雨が更に更に強く降る。

レ「だから俺は・・・ボスと、サニーと、ギルドのの為なら・・・どんな事でも、やってやるんだああぁぁあぁああぁぁあぁぁああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」

ザザザザザザザザザザ・・・!!!レイニーの叫びと共に雨も更に更に更に強く降る。その時、ズザザザザザザザザザァァァ!!!と何かが凄い勢いで崩れたような音が響いた。

グ&レ「!?」

音がした方を見ると、俺達の背後で土砂崩れが起きていた。このままじゃ、生き埋めになっちまうっ!

グ「おいレイニー!」

レ「ぁぁ・・あぁぁ・・・」

レイニーは恐怖に満ちた目で土砂崩れを見ていた。土砂はすぐそこまで押し寄せていた。

グ「くっそ!」

俺はレイニーの前に立ちはだかると、

グ「アイスメイク、城壁(ランパード)ッ!!」

ガガガガガガガガガガッ!!!と凄まじい音を立てて城壁のような巨大な氷の壁が土砂崩れを塞き止めた。・・・な、何とか、助かった、みてぇだな。俺はすぐ傍で突っ立ったままの状態のレイニーに駆け寄ると、

グ「おい、大丈夫か?っておい!」

レ「・・・・・」

レイニーはそのまま気を失っちまった。倒れるところを慌てて支える。

グ「ったく、しゃあねぇな。」

俺は気を失ったレイニーを背負い、ユモとサニーを捜す事にした。あいつ等どこ行ったんだ?その時、ピキッ!!パキッ!!

グ「!!ま、まさか・・・!」

俺は恐る恐る振り返る。土砂崩れを防いだ城壁にヒビが入っているっ!

グ「マ、マジかよ・・・!」

さっきので魔力使いすぎちまったんだよなぁ・・・

バキィィィィィンッ!!!ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・!!!城壁は割れ、それと同時に土砂崩れが再び押し寄せて来た。俺とレイニーはそのまま土砂に飲み込まれた・・・

****************************************************************************************

                    『ここからユモ目線でいきます。』

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・!!!

ユ&サ「えっ?」

遠くの方でものすごい音が聞こえた。何かが凄い勢いで崩れるような音が・・・

サ「たぶん、レイニーと露出魔君が大暴れして何かを壊しちゃったんだよ☆」

そんな簡単に考えていいのかな・・・?ていうか、「露出魔君」って・・・

サ「とにかく、こっちも始めようっ!太陽の光線(サンライトビーム)!」

金色の光の光線が私に向けられる。

ユ「あっつ!」

皮膚が焼けたみたいにものすごく熱い・・・左腕を氷で覆う。

サ「気をつけないと、体全身焼け焦げちゃうよ☆」

そこ、「☆」じゃないと思うんだけど・・・

サ「後、焼死体にならないように気をつけてね☆」

ユ「えっ?」

しょ、焼死体ッ!?サニーは不気味な笑みで笑うと、

サ「太陽の炎(サンフレイム)!」

両手を前に突き出して炎を噴射する。

ユ「アイスメイク、(シールド)ッ!!」

盾でなんとか防ぐものの・・・ジュッ。ジュアッ。ジュッ。氷が炎に勝つわけがない・・・!どろぉぉぉと氷の盾はどんどん融けていく。完全に氷の盾が融けた時は、

ユ「うあああっぁああぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」

すでに私は炎に飲み込まれていた。

サ「ここからどうするの?氷上の舞姫さん♪それとも、そのまま焼死体になっちゃうのかな?」

ユ「うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」

このまま、やられちゃうのかな・・・?その時、ふと脳裏に最強チームの姿が浮かんだ。





マ『ユモ~、特訓付き合ってぇ~。』





ナ『ユモ!俺と勝負しろぉぉぉっ!』





ハ『しろぉぉぉっ!』





フ『マヤが暴れないようによろしく頼んだぜ。』





ル『ユモ、一緒にクエストに行かない?ちょっと家賃がピンチなんだぁ~。』





リョ『お前ってさ、見た目とは裏腹に、めっちゃ強いよな~。』





エ『お前の強さはS級にも通用する。私からマスターに話しておくか?』





ショ『ユモ、ちょっとこっち手伝ってくれ。』





ウェ『ユモさん、あんまり無茶しないで下さいね。』





ト『ユモさん、一緒にお茶どうですか?』





シャ『あんたもほんっと、大変ね~。』





グ『お前の闇は、俺が封じてやる。約束だ。』





・・・何で、今・・最強チームの皆の姿が浮かんできたのか分からないけど、ここで負けたらダメなんだっ!そう思うと、体全身から冷気を放出した。すると、ガキィィィィィン!!!

サ「えぇっ!?ほ、炎が凍りついたぁっ!!?」

まるで怪奇現象みたいな事が目の前で起こっている。私は荒く息をしながら、

ユ「はぁ、はぁ・・こ、これが太陽の炎(サンフレイム)・・・?ず、随分笑わせてくれるね・・・はぁ、はぁ、ナ、ナツやマヤ、フレイの炎の方が・・・・100倍熱いよ・・・はぁ、はぁ・・はぁ・・・」

服も焼け焦げて破れ、体全身に火傷は負ったけど、そんな痛みは不思議と全く感じなかった。

サ「すごい魔力ッ!その魔力を吸収(アブソーブ)したいくらいだよっ!」

誰が自分の魔力を敵にあげるものかっ!!

サ「でも、さっきの言葉は今までで一番ムカついたから、ここで死んでもらうからっ!」

そう言うと、サニーの体は炎に包まれた。辺りの木々を燃やしていく。

サ「太陽の光(サンライト)で焼け死ねぇぇぇぇぇっ!!」

サニーが叫んだその時、バキッ!!

ユ&サ「!?」

炎に包まれた木が根元から折れ、サニーの真上に倒れ掛かってきた。サニーは驚いて避ける事が出来なくなっていた。私は駆け出して、

ユ「危ないっ!」

サ「キャア!」

サニーを抱き抱えてギリギリその場から離れた。ドドドッスゥゥゥン・・・と砂煙を巻き上げながら燃えた木は倒れる。

ユ「き、危機一髪・・・サニー、怪我は無い?」

腕の中にいるサニーを見ると・・・

サ「ヒッ・・ウゥ・・・ヒィ・・・」

ユ「えっ?」

サニーの顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっていた。

サ「こ、怖かったぁぁぁっ!!」

ユ「ひゃあっ!」

サニーは私の腕の中で泣き崩れる。怖かったのも無理も無い。目の前に炎が急接近してくるんだもん。怖くないのはナツとマヤとフレイくらいだよ。

サ「ヒック・・ヒック・・・」

サニーも泣き止んだみたい。私は立ち上がると、

ユ「さぁて、グレイを捜しに行かないと。」

私はそう言ってものすごい音がした方へ歩き出した。すると、後ろからサニーが着いて来た。

ユ「どうしたの?まだ私と勝負したいの?」

サ「違うよ。レイニーを捜しに行くの。あの露出魔君と戦っているはずだから。それと・・・ぁ、ありが、とう・・・」

俯いて小さく言ったけど、私にははっきり聞こえていた。でも、わざと聞こえていなかったフリをした。

****************************************************************************************

しばらく歩いて行くと、

ユ「な、何、これ・・・?」

サ「あわわわわぁ~・・・」

目の前に広がっている光景は・・・木々が倒され、無残な姿になっていたコロールの森の1部。

サ「ど、土砂崩れが、起きた、みたいだね・・・」

ユ「土砂崩れ?雨も降ってないのに?」

サ「たぶん、レイニーだよ。レイニーは雨を降らす事が出来るから。」

その雨で、土砂崩れが起きちゃったんだ・・・ん?ま、まさか・・・!私の頭の中に最悪の出来事が浮かび上がる。










ユ「2人共、土砂崩れに巻き込まれたんじゃ・・・!?」










サ「えぇっ!?」

急いで捜さないとっ!私とサニーは我武者羅に素手で土砂を掘り返した。

サ「ど、どうしよう・・・2人が、死んでいたら・・・・」

ユ「!だ、大丈夫だよ、きっと・・・」

口ではそう言ったものの、本当はすごく怖かった・・・も、もしも、2人が、グレイが、死んでいたら・・・?そう思うと涙が、震えが止まらなかった・・・その時、ガガッ。

ユ&サ「!」

私とサニーから少し離れたところの土砂が、少しだけ盛り上がっているのが見えた。ガガガッ。そこがそらに盛り上がっていく。もしかして・・・!私とサニーはそこに向かって駆け出した。私とサニーがそこに辿り着く前に、

グ「だっはーーーーーっ!!」

ユ&サ「ひゃあぁぁぁぁぁっ!!」

土砂の中から気を失ったレイニーを抱えた泥まみれのグレイが出て来た。

ユ「グレイッ!」

サ「レイニーーーッ!!」

私とサニーは2人に駆け寄った。

グ「あれ?ユモとサニー、何でここに・・・?」

サ「レイニーーーッ!!よかったぁ~。」

サニーは気を失っているレイニーを力強く抱き締める。双子の絆はすごいなぁ~。そんな事を思っていると、グレイと目が合った。すると、グレイが目を見開いて、

グ「ユモ!?ど、どうしたんだよいったいっ!?火傷だらけじゃねぇかっ!」

ユ「えっ?」

あ、そっか。さっきサニーの炎をまともに食らっちゃったんだっけ。今の今まですっかり忘れていた。

グ「血も出てるじゃねぇかっ!ったく、すぐに止血しろよっ!」

グレイは強引に私の右手を摑むと、右腕から氷で止血し始めた。

グ「っ!」

時々顔を顰めている。たぶん、魔力が残り少ないんだと思う。それなのに・・・そう思うと涙があふれてきた。

グ「えっ?お、おい//////////////////」

ユ「・・・無事で、よかったぁ~・・・・」

気づいたら私はグレイを抱き締めていた。

グ「し、心配、してたの、か?」

ユ「当たり前でしょっ!」

大切な人が死んだと思って、心配しない人なんているわけないよっ!私はしばらく涙が止まらなかった。

****************************************************************************************

サ「露出魔君、レイニーを助けてくれてありがとう!」

グ「俺は露出魔じゃねぇ!」

まぁまぁ。そんなに怒らなくても・・・

レ「サニーを助けてくれて、ありがとう・・・」

あれ?レイニーが微かに笑ったように見えたのは気のせいかな?

サ「お礼と言っちゃあなんだけど、少しだけ『ブラックテンプラネット』について教えてあげる☆」

グ「ほんとかっ!?」

ラッキー☆

レ「『ブラックテンプラネット』は、コロールの森に唯一ある湖の底に封印されている・・・」

封印場所を教えてくれちゃった!超ラッキー☆

サ「でね、『ブラックテンプラネット』の封印を解く方法は、怪物召喚(モンスターズ)と、()()()()必要なものがあるの。」

ユ「()()()()?」

グ「何なんだそれ?」

レ「それは言えない・・・」

ここまで来たら言おうよっ!

サ「でも、()()()が少し関係してるよ☆」

グ&ユ「()()()?」

()()()って、鎖の少女(チェーンガール)の魔道士の1人だよね?何でそいつが・・・?

レ「と、ともかく、勝負は、俺、達の・・ボロ、負け・・・」

サ「あ、後は・・じ、自分、達で・・頑張、って・・・」

力尽きたのか、サニーとレイニーは同時に膝から崩れるように倒れ、気を失っちゃった。さすが双子!力尽きて倒れるのも息ぴったり! 
 

 
後書き
第136話終了ですっ!
『ブラックテンプラネット』は、コロールの森に唯一ある湖の底に封印されていた!
次回はルーシィ&リョウの対決!
お楽しみに~! 

 

第137話 命の大切さ

 
前書き
ヤッホ~☆07で~す☆
今回はルーシィ&リョウの対決!しかも、ルーシィに新たなライバル登場!?
ルーシィ目線で書いていきます。
それでは、第137話・・・スタート☆ 

 
コロールの森は誰もいなくなったみたいに、し~~~んと不気味なくらい静まり返っている。な、なんだか寒気が・・・

リョ「この静けさの原因も、『ブラックテンプラネット』なのか?」

宇宙にある10の惑星を『闇』に変える事が出来る伝説の闇魔法。元々は、10の惑星を『光』に変える為の魔法だったけど、この魔法を発明したとある科学者の過ちで暴走状態になり、封印するしか方法がなかったのよね。で、その封印場所が、このコロールの森のどこかなのよね。

ル「そういえば、『ブラックテンプラネット』を発明して、この森のどこかに封印した科学者っていったい誰なの?」

リョ「詳しい事は俺にも分からねぇけど、その科学者はめちゃくちゃ有能な科学者で、実力のある魔道士でもあって、マグノリア出身の人らしいぜ。名前までは分からねぇけど・・・」

ず、随分詳しく知ってるじゃない・・・その時、

ミ「その科学者の名は、ギンガ=P=ノービリ。主に宇宙の謎を長年追求してきた科学者よ。」

ル&リョ「!」

驚いて振り返ると、悪戯っぽい笑みを浮かべたミモリが私達の背後にいた。リョウは私の前に立ちはだかると、

リョ「今の話、本当なのか?」

ミ「さぁ?あなたが信じたかったら信じればいいし、信じたくなければ信じなくていいわよ。」

うわっ!こうゆう性格の人なのね・・・リョウは腰から聖剣(エクスカリバー)を1本抜いて、刃先をミモリに向けると、

リョ「お前等のボスはどこだ。トーヤの魔力を返せっ!」

ミ「ここにはいないわ。もう『ブラックテンプラネット』の封印場所に()()()と一緒に向かっているはずよ。」

ル「えっ?()()()と一緒に・・・?」

私が疑問に思った事を口にすると、ミモリはエメラルドみたいな瞳を大きく見開き、左手で慌てて口を塞いだ。それを見たリョウは右口角を上げると、

リョ「なぁ~るほど。言ってはいけない事をつい口に出しちゃったみてぇだな。」

という事は、スバルがチェスと一緒に『ブラックテンプラネット』の封印場所へ向かっているって事だから・・・

ル「『ブラックテンプラネット』の封印を解く為には、怪物召喚(モンスターズ)と、()()()が必要って事!?」

ミ「!」

ミモリは更にエメラルドみたいな瞳を大きく見開く。図星みたいね☆

リョ「お前が口が固くなくて助かったぜ。」

ミ「こ、これ以上は絶対に言わないんだからっ!そんな事より、ここで会ったら100年目!私と勝負よっ!」

まだ100年も経ってないけどね・・・

リョ「こっちは宇宙の危機と仲間の命が掛かっているんだ。本気でいかせてもらうぜ。」

「本気」ってリョウは言ってるけど、聖剣(エクスカリバー)は1本しか握っていない。まだ「本気」の「ほ」の字も書かれていないと思う。

ミ「私をあまり侮らない方が身の為よ。」

そう言ってミモリがどこからか取り出したのは赤、橙、黄色、緑、青、水色、紫、の7枚の葉っぱ。カラフルな葉っぱをどうするつもりなのかしら?

リョ「ルーシィ、俺が合図したら、何でもいいから星霊を1体呼び出してくれ。」

ル「分かったわ。」

リョウは私が頷くのを見ると、聖剣(エクスカリバー)を構え直して駆け出した。

リョ「竜桜切ッ!!」

リョウの背後に青い(ドラゴン)が浮かび上がり、リョウが聖剣(エクスカリバー)を振りかざした。ミモリは慌てもせずに、水色の葉っぱを手に取ると、リョウに向かって投げつけた。

ミ「水葉!」

すると、水色の葉っぱから冷気が噴出し、リョウの攻撃を止めた。

リョ「な、なんだこの葉っぱ・・・?氷みてぇに、硬い・・・」

ミ「そりゃそうよ。」

すると水色の葉っぱは黒く変色し、パラパラになって風で飛ばされちゃった。

ミ「私の魔法、七色の葉(レインボーリーフ)は、色事に葉の属性が違うの。」

ル「さっきの水色の葉っぱは、氷の属性の葉っぱだったのね。」

ミ「そのとおり~♪お次は・・・」

そう言うと、今度は橙色の葉っぱを投げた。

ミ「橙葉!」

すると橙色の葉っぱから煙が上がる。

リョ「ぬぁっ!」

ル「うぅ・・!」

慌てて鼻を摘まむ。な、何、この酷い臭い・・・は、鼻がもげるぅぅぅ・・・・!

ミ「アハハハハハッ!どぉ?すごい臭いでしょっ?腐った牛乳の臭いがする葉っぱよ。」

ル「ていうか、何でガスマスクなんて持ってるのよっ!?」

リョ「じゅ、準備周到だな・・・」

しばらくして、橙色の葉っぱも黒く変色して、パラパラになって風で飛ばされちゃった。

ル&リョ「ぷはぁーーーっ!」

これでやっと息が出来る。

リョ「あの臭い臭いで時間が無駄になっちまったぜ。ルーシィ!」

リョウはもう1本聖剣(エクスカリバー)を抜いたと同時に、私の方を振り返って合図を送る。私は頷くと、

ル「開け!巨蟹宮の扉、キャンサー!!」

キャ「今日はどんな髪型にする()()?」

ル「空気呼んでくれるかしらかっ!?」

ミ「エ、()()・・・?」

もう、相変わらずなんだから・・・まぁ確かに、ついこの間も髪型の事で呼び出したけど・・・そんな事より、

ル「キャンサー、リョウを援護して!」

キャ「了解()()。」

リョ「頼んだぜカニ!」

だ、だからせめて名前で呼んでぇぇぇ~!そんな私の心の叫びに構わず、リョウは2本の聖剣(エクスカリバー)を持ってものすごい速さで駆け出し、

リョ「2剣流・・・速刀殺切ッ!!」

ミモリは赤い葉っぱを投げつけると、

ミ「赤葉!」

すると葉っぱが燃え上がり、リョウの体を包み込んだ。

リョ「ぐぉあああああっ!!」

ル「リョウ!」

ミ「アハハハハハッ!そのまま燃えキャアアアアアッ!!」

キャ「お客様、こんな感じで、いかがでしょうか?」

ミモリの背後からキャンサーが愛用のハサミでミモリの桃色のセミロングが、ショートに変わる。切られた桃色の髪の毛は地面に落ち、風で飛ばされた。

ミ「このエビカニ男ッ!よくも私の髪の毛を台無しにしてくれたわねっ!!」

な、なんか、さっきとキャラが全然違うような・・・?ミモリは黄色い葉っぱをキャンサーに向かって投げつけた。

ミ「黄葉!」

すると葉っぱから電撃が走る。

ル「キャンサー、避けてっ!」

ミ「逃がさないわよっ!!」

電撃はキャンサーが避ける前に太い稲妻になり、キャンサーに向かっている。私はとっさに両手で目を覆っちゃった。恐る恐る目から手を離すと・・・

ミ「なっ!?」

ル「リョウッ!」

リョウが2本の聖剣(エクスカリバー)で稲妻を防いでくれた。リョウがいつも着ている緑色の着物と黒い袴はところどころ焦げた跡がある。さっきの炎で少し焦げちゃったのね。

リョ「大丈夫か?カニ?」

エ「助かった()()。」

リョ「そうか。」

リョウはキャンサーに笑いかけた後、視線をミモリに移動させる。その時のリョウの顔は、ナツ以上に目を吊り上げて睨みつけ、エルザやユモ以上の真っ黒い怒りのオーラを噴出していた。

ミ「!」

ル「リョ・・リョウ・・・?」

睨みつけられたミモリはもちろん、さすがの私までリョウから後ずさりする。

リョ「1部の女は、「髪の毛は命」って言う奴がいるけど、ど~せ切ったって、すぐにまた生えてくるだろ。本物の命は、一度消えたら二度と生えてもこねぇし、取り戻せねぇ。」

リョウは1歩1歩、ゆっくりミモリに歩み寄る。逆にミモリは1歩1歩、ゆっくりリョウから遠ざかる。

リョ「お前等は、もっと、命の大切さと、宇宙のありがたさを基礎から学び直せっ!!!」

そう言うとリョウは、3本目の聖剣(エクスカリバー)を口に銜え、2本の聖剣(エクスカリバー)を握り直すと、

リョ「3剣流・・・銀天嵐切ッ!!!」

銀色の光を纏った『銀覇剣』と、水色と灰色の光を纏った『天力剣』と、吹き荒れる風を纏った『嵐真剣』を同時にミモリに―――










振りかざさなかった。











ミ「え・・・?」

リョウはミモリの顔スレスレの位置で攻撃を止めた。ミモリは冷や汗を大量に流し、真っ青になっている。リョウは3本の聖剣(エクスカリバー)を腰に戻すと、

リョ「どうだ?恐怖で頭冷えたか?」

いつもの笑顔で笑いかけた。ミモリはへなへなぁ~と地面に座り込む。

ミ「て、てっきり、殺されるのかと・・・」

リョウは腰に3本の聖剣(エクスカリバー)を差しながら、

リョ「そんなバカみてぇな事はしねぇよ。命はどんな生き物でも、たった1つしかねぇんだ。そんな簡単に失っていいものじゃねぇんだ。命より大切のものは、この世には無い。その事をよく頭に叩き込んで置け!」

最後は口調をきつくして言った。そしてミモリに背を向けた後、私の方に歩いて来た。

リョ「さぁ~て、早く皆を捜して合流しねぇとな。」

ル「えぇ~、こんな森の中を捜すの~?」

リョ「仕方ないだろ、ほろ、行こうぜ。」

そう言って私の手を握って歩こうとした時、

ミ「スバル・・・」

ル&リョ「!?」

土を掃いながら立ち上がるミモリが突然何を言い出すかと思えば・・・って、スバルゥ!?

ミ「『ブラックテンプラネット』の封印を解く為には、怪物召喚(モンスターズ)と、スバルの能力が必要なの。」

リョ「スバルの、能力?」

ル「どんな能力なの?」

ミモリはゆっくり目を閉じて話し始めた。

ミ「スバルは、『ブラックテンプラネット』を発明した、ギンガ=P=ノービリの孫の孫の孫の孫の孫の孫の孫の孫の孫の孫なのよ。」

ル&リョ「えぇっ!?」

スバルとその科学者は、血が繋がってるってゆう事ォ!?

ミ「ノービリ家には、100年に一度、全宇宙にある10の惑星を操る能力を持っている子供が生まれてくるのよ。」

リョ「それがスバルって訳か。」

ミ「えぇ。ちなみに、ギンガ=P=ノービリも、その能力を持っていたの。『ブラックテンプラネット』は、その能力と怪物召喚(モンスターズ)が混じり合って、発動するようになっているの。」

ま、まさに科学って感じだわ・・・あぁ、頭が痛くなってきたわ・・・・

リョ「でも、何で今更そんな事俺達に言うんだよ?」

ミ「べ、別になんだっていいでしょっ!///////////////」

リョ「?」

そっぽを向いたミモリの顔が少し赤みを帯びている。ま、まさか・・・!

リョ「まぁいいや。いろいろありがとうな。そんじゃ。」

リョウはそう言ってミモリに片手を上げて、もう片方の手で私の手を握ると、皆を捜す為歩き出した。その時、

ミ『恋敵・・・!』

ル「!」

ふとそんな声が聞こえたのは気のせいかしら・・・? 
 

 
後書き
第137話終了☆
何と!スバルは『ブラックテンプラネット』を発明したギンガ=P=ノービリの子孫で、100年に一度生まれる10の惑星を操る事が出来る持ち主だった!しかも、ミモリはリョウに恋(?)をして、ルーシィを恋敵に。あ~らら。
次回はナツ&マヤ&ハッピー&フレイの対決!
お楽しみに~☆ 

 

第138話 3つの炎

 
前書き
07で~す♪更新遅れて申し訳ございませんでしたっ!
今回はナツ&マヤ&ハッピー&フレイの対決!
途中で目線が変わります。最初はマヤ目線で書いていきます。
それでは、第138話・・・スタート♪ 

 
風も吹かない・・・鳥や、動物達の姿も見えない・・・コロールの森は、まるで音が消えてしまったみたいに静かだった。唯一聞こえるのは、私達の足音と、呼吸と、

ナ「敵ィィィ!どこだぁぁぁぁぁっ!!」

マ&ハ&フ「どこだぁぁぁぁぁっ!!」

森中に響き渡って木霊する私達の声。さっきからずぅーっとこうやって叫んでいるのに、敵の姿は全然見えない。

ナ「くっそ!どこに隠れてるんだよっ!」

フ「急がないと、『ブラックテンプラネット』の封印が解かれちまうっ!」

マ「それに、トーヤの魔力も・・・!」

まさに私達は崖っぷち。その時、

ハ「ひょわぁっ!」

マ「ひょおーーー!」

いきなりハッピーが変な声出すから私まで変な声が出ちゃった。てへっ☆

ナ「どうしたハッピー?」

フ「てか、なんで濡れてんだ?」

ハッピーの青い毛並みはビショビショに濡れていた。このままじゃ風邪引いちゃうよっ!私はショーパンのポケットに偶然入っていた黄色いハンカチでハッピーの頭を拭く。

ハ「何か、いきなり水が降ってきたんだ。」

ハ以外「水?」

私に頭を拭かれながらハッピーが言った言葉に私とナツとフレイは首をかしげる。雨でも降ってるの?空を見上げるけど、雨なんて降っていない。ましてや晴天だよ。

ハ「可笑しいな?確かに水が降ってきたはずなんだけど・・・」

ナ「まっ、勘違いだったって事にしようぜ。」

フ「そんな事よりも、早く鎖の少女(チェーンガール)の奴等を捜さギャッ!」

マ「こ、今度は何っ!?」

今度はフレイがなぜかビショビショに濡れてる。私はフレイの頭も黄色いハンカチで拭く。でも、やっぱり雨は降っていない。いったい絶対どうなってるのぉ?その時、

マリ「いい加減私の存在に気づいてくれないかしら・・・?」

マリ以外「!?」

上を見上げると、木の上に手足を組んで偉そうに座っているマリンがいた。マリンはスタッと木の上から下りると、

マリ「やっぱり、私って陰が薄いのね・・・」

いきなりブルーになる。そ、そんなに落ち込まなくても・・・マリンは首を左右に激しく振って、頬をペチンと叩いて、私達に指を突きつけると、

マリ「ボスの計画を台無しにさせないわ。私がここであなた達を消してあげる。」

サファイアみたいな青い瞳は、氷みたいに冷めていた。でも、この瞳で見つめられたせいで、私達の闘志に火を点けた。

ナ「燃えてきたぞ。」

マ「上等だよ。」

ハ「あい!」

フ「黒焦げにしてやるぜ。」

ナツは両手に炎を纏い、ハッピーはなぜか魚を持っている。まさか、魚で戦うつもりっ!?フレイは人間の姿に変わって、指の関節をポキポキ鳴らしている。私は目を閉じて魔力を集中させる。地面にオレンジ色の魔法陣が浮かび上がる。

マ「我と契約した者よ、ここに姿を現せっ!!ワシのバーン!!」

ピィーーーーーーーーーーーーーーーッ!!と指笛を吹くと、魔法陣から大きな茶色い羽に鋭く尖った黄色い口ばしに大きな黒い瞳のワシが姿を現した。でも、そこらにいる通常のワシじゃない。フレイの何十倍もある巨大なワシだよ。

フ「おぉっ!」

ナ「でけーーーーーっ!」

ハ「大人になったフレイだーーーーーっ!」

マ&フ「違ーーーーーうっ!!」

まずフレイはワシじゃないからっ!あれ?じゃあフレイは何の鳥なんだろう?って、そんな事はどうでもよくて、

マ「バーン、ドリル口ばしっ!!」

バ「ギュアアァアアアァァアアアアアアアアアアアッ!!!」

バーンは空へ舞い上がったかと思うと、すぐにマリンに向かって急降下してきた。ものすごい速さで回りながら。

ナ「すげーーーーーっ!ワシが回転してるぞっ!」

ものすごい速さで回転しているバーンの口ばしが、まるでドリルみたい。そのままバーンはマリンにどんどん接近していく。するとマリンは右手を前に出すと、

マリ「水波!」

マリンの右手から勢いよく水が噴射した。その水で、バーンを吹き飛ばしたぁっ!?私達は驚いて言葉を失った。

マリ「水の力を甘く見ない事ね。水の波動は、かなり強力なんだから。」

マリンはすでに勝利を収めたみたいな顔をする。それを見たナツとフレイが同時に小さく地を蹴って駆け出した。

ナ「火竜の・・・鉄拳ッ!!」

フ「ファイアメイク、弓矢(アーチェリー)ッ!!」

炎を纏ったナツの拳と、フレイが放った炎を纏った矢がマリン目掛けて攻撃を仕掛ける。すると、マリンは両手に水を纏うと、

マリ「水輪!」

空中に水の輪が2つ。その輪がナツと炎の矢を包み込む。ナツの拳の炎は消え炎の矢は消えちゃった。

マリ「はぁぁぁぁぁっ!」

ナ「うごっ!」

水の輪は弾けた。ナツはその反動で地面に放り出された。

マリ「火竜(サラマンダー)と鳥人間は不利ね。炎は水には勝てないんだもの。まっ、動物姫(アニマルプリンセス)と青猫も無意味な存在だけどね。」

ナ「炎を舐めんじゃねぇぞ。それに、マヤを侮っていると後悔するぞ。」

ハ&フ「ナツの言うとおり。」

おいお~い、私そんなに強くなんかないからねっ!?

マリ「へぇ~。じゃあ、その強さ見せてもらおうかしら。水封泡!」

マリンの両手の中に、水の泡ができ、それが徐々に大きくなっていく。

マリ「はぁぁぁぁぁっ!」

マリ以外「!?」

マリンは大きくなった水の泡を私達に向かって投げつけて、私達はその水の泡の中に体を飲み込まれた。この泡、あの時リョウを気絶させた・・・!

ナ「ぶはぁっ!」

マ「ぷはっ!」

ハ「ぷはぁっ!」

フ「ぶはっ!」

私は水面に顔を出す。が、

ナ「うぉあっ!」

マ「あぶっ!」

ハ「うあっ!」

フ「あふっ!」

水の泡が動いて覆い被さるように私達の顔を包み込んだ。

マリ「無駄よ。私の水封泡からは、誰かの手を借りなければ絶対に逃れる事なんか出来ないんだから。この勝負、私の勝ちのようね。」

マリンは勝ち誇ったように笑みを浮かべる。や、やばい・・息が・・・慌てて口を手で塞ぐ。ど、どうしよう・・・このままじゃ・・・・そう思ったその時、ナツが私の肩を摑んでグイッと後ろに押しやった。ハッピーとフレイも後ろに押しやられる。いったい、何をするつもり?すると、ナツは両手に炎を纏った。って、えぇっ!?ここ、水の中だよねぇっ!?マリンも開いた口が塞がらない。

ナ「ふぃひへふぉ(右手と)ふぃあいへほふぉほおふぉあふぁふぇへ(左手の炎を合わせて)・・・ふぁびゅうほ(火竜の)・・・ふぉふへん(煌炎)ッ!!」

ババッバシャァァァァァン!!と水の泡が雫となって弾け飛ぶ。

マ「ひょわぁっ!」

ハ「うわぁっ!」

フ「ふおっ!」

マリ「なっ!?」

ナツが水の泡を爆散させた。私とハッピーとフレイは、似たような声を上げて地面に放り出される。だ、脱出、成功・・・

マリ「す、水封泡を、爆散させたうえに、み、水の中で、炎を・・・何て魔力・・・・」

マリンは口元に手を当てて、未だに驚いていた。そりゃそっか。ナツはニィっと歯を見せてマリンに笑うと、

ナ「言っただろ?炎を舐めんじゃねぇぞって。」

マ「訂正すると、ナツの炎を舐めない方がいいね☆」

フ「だな。俺の炎じゃ、あんな事は出来ねぇや。」

ハ「あい。流石ナツです。」

私達は立ち上がり、再びマリンに向き直ると、

マ「だから、まだ勝負は終わらないって事だよ。バーン、ありがとう。ゆっくり休んでね。」

バーンは魔法陣を通って住処に帰って行った。私は常にショーパンのポケットに入れて持ち歩いている火炎石を取り出す。私の体を赤い光が包み込んで、両手に炎を纏う。

ナ「今度は俺達からだ。」

フ「炎を甘く見たのを、後悔しやがれ。」

マ「いっくよぉ~~~っ!」

3つの炎を纏った私達は同時に地を蹴り駆け出した。

ナ「火竜の・・・鉤爪ッ!!」

マ「不死鳥の・・・火の玉(フレイム)ッ!!」

フ「火炎砲(ファイア・キャノン)ッ!!」

マリ「水壁!」

マリンは水の壁で私達の攻撃を防ぐ。が、

ナ「おらあぁぁあぁあぁぁあああああああああああああああああああああああああああああっ!!」

マ「えぇいやあぁぁあぁぁああああぁああああああああああああああああああああああああっ!!」

フ「うぉらあぁぁあぁあああああぁあああああああああああああああああああああああああっ!!」

マリ「う、嘘っ!?キャアアアアアアアアアアッ!!」

3つの炎が水の壁を突き破り、マリンに直撃。これでかなりのダメージだね☆

マリ「はぁ・・はぁ、はぁ・・・はぁ、はぁ・・・はぁ・・はぁ、はぁ、はぁ・・・はぁ・・はぁ、はぁ・・はぁ・・・はぁ・・はぁ、はぁ・・はぁ・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・はぁ・・・・」

マリンは傷だらけで、息も荒いけど、しっかりその場に立っていた。と、思ったのも束の間、

マリ「っ・・・!」

ナ「お、おいっ!」

マ「マリンッ!?」

マリンは膝からガクンッと崩れるように倒れた。慌てて駆けつけると、気を失っただけみたい。

フ「魔力を使いすぎたんだ。ったく、無理しやがって。」

フレイが鳥の姿に戻る。

ハ「あれ?マリンから『ブラックテンプラネット』の事聞かなくてよかったの?」

ナ「だぁーーーーーっ!すっかり忘れてたーーーーーっ!!」

わ、忘れてたんだ・・・

ナ「おい()()()!お前等のボスはどこだっ!『ブラックテンプラネット』の封印場所はどこだっ!トーヤの魔力はどこだっ!」

マ「ちょっ!ナツ!そんなにぶんぶん揺すっちゃダメだよっ!」

フ「しかも、名前間違ってるし・・・」

ハ「あい。栗じゃないよ・・・」

美味しそうだけど違うから・・・

****************************************************************************************

               『ここから少しだけ、鎖の少女(チェーンガール)のボス、チェス目線でいきます。』

俺とスバルが『ブラックテンプラネット』の封印場所へ向かう間、ティオ、サニー、レイニー、ミモリ、マリンが妖精の尻尾(フェアリーテイル)バカ共にやられた。俺の右腕に着けている腕輪の黄色、赤、灰色、緑、青が錆びて茶色くなってしまった。残った色は黒と銀色。つまり、俺とスバルだけとゆう事だ。

ス「ボス、そんなに心配しなくても大丈夫ですよ。皆死んではいないはずですから。」

スバルが俺を励ますように言う。

ス「それに、もうすぐで見えてきますよ。『ブラックテンプラネット』の封印された、この森にある唯一の湖が・・・」

チェ「あぁ。そうだな。」

全宇宙は、すでに目と鼻の先だっ! 
 

 
後書き
第138話終了~♪
『ブラックテンプラネット』の封印場所を突き止めた最強チーム。だがチェスとスバルは封印場所のすぐ傍まで来ていたっ!急がなければ、トーヤが、全宇宙が・・・!絶体絶命の危機!!
次回は急いで『ブラックテンプラネット』の封印場所の湖へと向かう最強チーム。果たして、トーヤの魔力を取り戻して、全宇宙を救う事が出来るのか・・・!?
次回見逃したら、いけないよ♪ 

 

第139話 天と地・・・今、繋がる・・・・ 

 
前書き
駄作者07です!
今回は『ブラックテンプラネット』の封印場所を突き止めた最強チーム。トーヤの魔力を取り戻す為、全宇宙を救う為に『ブラックテンプラネット』の封印場所へと走る!!
いろいろな目線で書いていきます。最初はリョウ目線で書いていきます。
それでは、第139話・・・スタート!! 

 
俺とルーシィは、ミモリとのバトルの後、同じくバトルを終えたエルザ、ショール、グレイ、ユモと合流した。それぞれ突き止めた『ブラックテンプラネット』の情報を話しながら、俺達はナツとマヤとハッピーとフレイを捜しながら森の中を走り回っていた。

エ「やはり、『ブラックテンプラネット』の封印を解く為には、怪物召喚(モンスターズ)と、スバルが必要なんだな。」

ル「うん。スバルは『ブラックテンプラネット』を発明した科学者、ギンガ=P=ノービリの孫の孫の孫の孫の孫の孫の孫の孫の孫の孫なんだって。」

グ「ず、随分長ぇな・・・」

グレイに同感だ。

リョ「100年に一度生まれるノービリ家の子供は、全宇宙にある10の惑星を操る事が出来る能力を持っているらしいぜ。」

ショ「なるほど。それがスバルって訳か。その能力と怪物召喚(モンスターズ)が合わさって1つになった時、『ブラックテンプラネット』の封印が解かれるって訳か。」

流石ショール!飲み込みが早いぜっ!

ユ「『ブラックテンプラネット』の封印場所は、コロールの森にある唯一の湖の底。」

随分と面倒な場所に封印してくれたもんだぜ。その時、

ナ「おい()()()!『ブラックテンプラネット』の封印場所はどこだっ!おいっ!寝てんじゃねぇぞこらぁぁぁっ!!」

ナ&マ&ハ&フ以外「!!?」

近くでナツの怒鳴り声が聞こえた。ていうか、栗に怒鳴ってるのか?

グ「こっちだっ!」

グレイの誘導により、ナツ達と合流する事が出来た。ナツが怒鳴っていたのは栗ではなく、少しウェーブの掛かった金髪の女だった。確か、鎖の少女(チェーンガール)のマリンだったよな?名前は似てるけど、食べ物じゃねぇよ。

エ「お前達は『ブラックテンプラネット』の事を何か突き止めたか?」

マ「全然。突き止める前に気を失っちゃったから。皆は何か分かった?」

俺達はそれぞれ突き止めた事をナツ達に話した。

マ&ハ「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!?」

ナ&フ「ぬぁぁぁにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!?」

ル「お、驚きすぎよ・・・」

ナ「ス、スバルの能力と、ト、トーヤの魔力で・・・だぁーーーーーっ!意味分かんねぇーーーーーっ!!」

ショ「少し落ち着けって。とにかく、『ブラックテンプラネット』が封印されている湖を探そう。」

ユ「ど、どうやって・・・?」

ショ「・・・・・」

ユモの質問にショールは黙り込んだ。こんなに広すぎるコロールの森に唯一しかない湖だ。手分けして探しても時間が掛かり過ぎる。その間に、『ブラックテンプラネット』の封印が解かれちまうのと同時に、トーヤを助ける事が出来なくなる・・・俺達全員腕組をして、何か良い方法はないかと考えていたその時、

ナ「!このにおい・・・!」

ナツが何かをボソッと呟き、いきなり東に向かって走り出した。

マ「えっ?ちょっ!ナツゥ!?」

フ「いきなりどうしたんだよっ!?」

エ「ナツ!どこに行くんだっ!」

ナツは足を止めずに俺達の方を振り返ると、

ナ「こっちから()()()チャ()()()のにおいがするんだっ!」

あいつの鼻は獣以上だもんな。ちなみに()()()っていうのは()()()の事で、チャ()()()っていうのはチェ()()の事だろうな。ん?という事は・・・

グ「奴等がそっちにいるって事は、その近くに『ブラックテンプラネット』は封印されている湖があるって事だっ!」

リョ「でかしたぜナツ!急いでナツを追うぞっ!」

ハ「ナツゥ~~~!待ってよぉ~~~~~!」

俺達はナツを追いかけて『ブラックテンプラネット』の封印場所へ走り出した。

****************************************************************************************

                『ここから鎖の少女(チェーンガール)のボス、チェス目線でいきます。』

チェ「遂に、遂に来たぞ・・・!」

俺とスバルの目の前には、湖が広がっている。そう、この湖こそが、『ブラックテンプラネット』の封印場所、「シャンダの湖」だ。水面が太陽の光を反射してキラキラ輝いている。

ス「こんな綺麗な湖に、全宇宙を支配する事が出来る伝説の闇魔法が封印されているとは・・・驚きました。」

チェ「俺も最初知った時は驚いたさ。スバル、お前とはここで会ったよな。」

いつの間にか、俺とスバルは出会った時の事を話していた。

ス「そうでしたね。あの時の事は今では感謝しています。俺だけじゃありません。サニーとレイニーも、ミモリも、ティオも、マリンも。ありがとうございます、ボス。」

ずっと昔の事に感謝されるとなぜか照れる。

チェ「い、今更礼なんか言ってどうするっ!とにかく、早く封印を解くぞ。」

その時、

ナ「トーヤの魔力を・・・返しやがれぇぇぇぇぇっ!!」

チェ「ぐぉほっ!」

ス「ボスゥッ!?」

いきなり何者かに顔面を殴られた。急いで体勢を立て直し起き上がると、そこには妖精の尻尾(フェアリーテイル)のバカ共達がいた。

ス「な、なぜここが分かった!?」

マ「ナツの鼻だよ。」

ナ「ふん。」

チェ「そうか。滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)は嗅覚、視覚、聴覚が(ドラゴン)そのものだったな。俺とスバルのにおいを嗅ぎ付けて、ここまでやって来たって事か。」

リョ「お前、知識は豊富なんだな。」

ス「当たり前だっ!ボスを侮るんじゃねぇぞっ!」

エ「貴様等の事を侮っている時間はない。」

ショ「俺達の目的はただ1つ。」

先頭にいた火竜(サラマンダー)が右手を俺達に差し出す。

ナ「怪物召喚(モンスターズ)を、トーヤの魔力を返せ。」

チェ「そう簡単に渡す訳にはいかねぇぞ。」

俺はポケットから吸収(アブソーブ)怪物(モンスター)から奪い取った魔力の固まりを取り出す。それと同時に、火竜(サラマンダー)と、なぜか上半身裸の男が、

ナ&グ「それを返しやがれぇぇぇぇぇっ!!」

腕を伸ばして飛び掛ってきた。俺はひょいっと軽く避ける。すると今度は、動物姫(アニマルプリンセス)と、氷上の舞姫が、

マ&ユ「トーヤの魔力を返せぇぇぇぇぇっ!!」

俺の顔面目掛けて蹴りを放つ。が、俺はそれもあっさり避けた。すると今度は金髪の女と、聖十大魔道が、背後から妖精女王(ティターニア)と元有名マジシャンが、

リョ&ショ「トーヤの魔力を返せぇぇぇぇぇっ!!」

ル&エ「らああああああああああっ!!」

必死に怪物召喚(モンスターズ)の魔力の固まりに腕を伸ばすが、全て俺は避ける。だが、

ハ「えぇぇぇいっ!」

フ「とぉっ!」

チェ「なっ!?」

背後から狙っていた羽の生えた青猫と赤い鳥の気配に気づかなかった。怪物召喚(モンスターズ)の魔力の固まりは奪われてしまった。

ナ「ハッピーナイスッ!」

マ「フレイすごぉ~い!」

エ「トーヤの魔力は取り戻したっ!急いでウェンディたちの所に戻るぞっ!」

エ&ス&チェ以外「おぅっ!!!」

妖精の尻尾(フェアリーテイル)のバカ共達は、足早にその場から立ち去って行った。

ス「この野朗~・・・!待ちやがれっ!」

チェ「待て、スバル。」

妖精の尻尾(フェアリーテイル)のバカ共達を今にも追いかけていきそうなスバルの肩を掴んで引き止める。

ス「ですがボス!怪物(モンスター)の魔力がないと、『ブラックテンプラネット』の封印は解けないんですよっ!ボスの計画も、ボスの夢も台無しに・・・」

薄っすらと黒い瞳に涙を浮かべたスバルの頭にポンッと手を置く。

チェ「そう慌てるな。俺を誰だと思っている?闇ギルドの最大勢力、ビゲスト同盟の1角、鎖の少女(チェーンガール)のボス、チェスだぞ。」

俺はもう1つのポケットからさっきよりは少し小さい怪物召喚(モンスターズ)の魔力の固まりを取り出した。

チェ「こんな事もあろうかと、魔力を2つに分けておいたのだ。」

ス「流石ボス!」

スバルは目を輝かせた。

チェ「さぁ、邪魔者もいなくなった。今度こそ『ブラックテンプラネット』の封印を解くぞっ!」

ス「イエッサーッ!」

****************************************************************************************

                     『ここからショール目線でいきます。』

俺達はハッピーとフレイのお手柄で、間一髪のところでチェスからトーヤの魔力を取り返す事に成功した。今はナツの鼻を頼りにウェンディ達の居場所に向かっている。

ユ「あいつ等、追いかけて来ないね。」

ユモが後ろを振り返って言う。普通は自分達の計画が台無しにならないように、また奪い返しに追いかけて来ると思ったけど、その様子はない。

ショ「何か、嫌な予感がする・・・」

そう思ったその時、

ナ「ウェンディーーーッ!シャルルーーーッ!」

ウェンディ達の居場所を見つけたのか、ナツが大声を上げる。

ウェ「ナツさんっ!皆さんもっ!」

シャ「無事で何よりだわ。」

ウェンディとシャルルはほっと胸を撫で下ろす。

ハ「はいこれ。トーヤの魔力だよ。」

ハッピーがウェンディに球体形になったトーヤの魔力を渡す。それを受け取ったウェンディは、目に涙を浮かべて、

ウェ「よかったぁ~・・・これで、トーヤさんも・・・・」

ル「ほら早く、これをトーヤに返さないと。」

ウェ「そ、そうですね。」

ウェンディは涙を拭い、仮死状態のトーヤの傍にしゃがみ込む。ウェンディはトーヤの胸の辺りに魔力の固まりを近づけると、魔力は勝手にウェンディの手から離れ、トーヤの体内へと吸い込まれていった。すると、

ト「・・・ぅ、んん~・・・・?」

ウェ「トーヤさん!」

シャ「トーヤ!」

ショ「気がついたかっ!」

トーヤはしばらく横になった状態で瞬きを繰り返し、起き上がっても辺りをきょろきょろ見回す。そしてやっと発した言葉は、

ト「あ、あれ・・・?ぼ、僕、いったい、何を・・・・?」

状況が把握出来ないトーヤは何度も瞬きをする。

ウェ「ヒッ・・よ、よか・・・った・・うぅ・・・・」

ウェンディの瞳から大粒の涙が溢れていた。それを見たトーヤは、

ト「えぇっ!?ウェ、ウェンディさん!?ど、どうしたんですかぁっ!?ぼ、僕、何か酷い事でもやりかしちゃいましたかっ!?」

必死にウェンディを慰めようと慌てているトーヤ。どうやら魔力を奪われた以前の記憶が無いみたいだな。

ト「ウェンディさんっ!い、いったいどうし・・あ、あれ・・・?」

ウェ「ト、トーヤさんっ!?」

リョ「どうしたっ!?」

トーヤが再び力なく倒れそうになったところを慌ててリョウが支える。トーヤは薄っすら目を開けると、

ト「ス、スミマ、セン・・な、何だか、体に・・力が、入ら、なく、て・・・」

トーヤは力なく答える。

エ「魔力が戻ったというのにかっ!?」

ル「そ、そんな・・・何で・・・・?」

すると、俺の脳裏に思いもよらぬ事が頭に浮かんだ・・・

ショ「ま、まさか、チェスの奴・・・トーヤの魔力を、全部、返さなかったんじゃ・・・!」

ト以外「!!!」

トーヤ以外の皆顔が一気に青ざめる。

マ「も、もし、今、ショールが言った事が、本当なら・・・」

グ「『ブラックテンプラネット』の封印が・・・解かれちまう・・・!」

****************************************************************************************

                     『ここから再び、チェス目線でいきます。』

妖精の尻尾(フェアリーテイル)のバカ共め。まんまと俺の(トラップ)に掛かったな。

チェ「まずは怪物召喚(モンスターズ)をこの湖に投げ入れる。」

ス「いよいよですね、ボス。」

チェ「あぁ。」

ポチャンッと音を立てて怪物召喚(モンスターズ)の魔力の固まりを湖に投げ入れる。一瞬だけ、水面が銀色に輝いた。

チェ「さて、次はスバル、お前の番だ。」

ス「了解です。」

スバルは湖に向き直ると、左手を掌が下になるよう地面にかざし、右手を掌が上になるよう天にかざす。すると呪文のようなものを唱え始めた。




















ス「我が身に眠る力よ・・・天地の力を借り、ここに現れよ・・・」




















するとスバルの右手には球体形をした水色の光が、左手には球体形をした緑色の光が輝いていた。スバルは両手を湖の方に向け再び呪文のようなものを唱え始めた。




















ス「天と地・・・今、繋がる・・・・」




















すると球体形の水色の光と緑色の光がスバルの手から離れ、湖の真ん中で止まった。




















ス「太陽、水星、火星、木星、金星、土星、天王星、海王星、冥王星、地球の力・・・今、ここに解き放てぇぇぇぇぇっ!!!」




















スバルが叫んだのと同時に、球体形の水色の光と緑色の光は湖に沈んだ。すると、ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・!!!という凄まじい地鳴りと共に、湖の水がしぶきを上げる。その時、水面から一筋の銀色の光が上がった。俺とスバルはあまりの眩しさに目を覆った。目を開けると、俺達の目の前には黒い光を纏った巨大な球体の姿があった。俺は両手を広げると、

チェ「これが、俺が長年求め続けてきた伝説の闇魔法・・・『ブラックテンプラネット』・・・!」

****************************************************************************************

                     『ここから少しだけルーシィ目線でいきます。』

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・!!!

ル「キャアッ!」

突然地面が揺れた。

ナ「・・ぅ、ぅぷ・・・」

マ「こんな時に酔わないでよっ!」

フ「じ、地震かっ!?」

エ「いや・・違う・・・」

ウェ「エルザ、さん・・・?」

エルザの硬く握られた拳は小刻みに震えていた。

ショ「エ、エルザ、どうし・・・!!」

心配したショールがエルザの肩に手をのせたまま動かなくなっちゃった。エルザとショールの視線の先は一緒。私達も、2人が見つめている方に視線を移すと・・・

エ&ショ以外「!!!」

湖があった場所の辺りから、一筋の銀色の光が空に上っていた・・・

リョ「あ、あいつ等に・・『ブラックテンプラネット』の・・・ふ、封印が・・と、解かれちまった・・・!!」

私達は、その銀色の光から、目を逸らす事が出来なかった・・・ 
 

 
後書き
第139話終了ですっ!
久々にウェンディ&トーヤ&シャルルが登場しましたっ!遂に封印が解かれてしまった『ブラックテンプラネット』。全宇宙の運命は・・・!?
次回は『ブラックテンプラネット』を止める為、最強チームが動き出すっ!全宇宙の運命は、彼等に託されたっ!
次回もお楽しみにっ! 

 

第140話 10の惑星

 
前書き
イエ~イ☆07だよ☆
今回は遂に封印が解かれてしまった『ブラックテンプラネット』。それを阻止する為、最強チームが動き出す!だが、どうやって・・・?最強チームの、全宇宙の運命は・・・!?
途中で目線が変わります。最初はマヤ目線です。
それでは、第140話・・・スタート☆ 

 
銀色の光が消えた。光が消えた後でも、私達はしばらくそこから目を逸らす事が出来なかった。最初に口を開いたのはリョウだった。

リョ「ブ、『ブラックテンプラネット』の、ふ、封印が・・・と、解かれた・・・」

途切れ途切れに言うと、ガクンッと地面に膝を着いた。

ウェ「ど、どど、どうしよう・・・」

ト「あわわわわぁ・・・」

ウェンディとトーヤは顔が青ざめている。

エ「くそっ!もう、どうにもならないのか・・・」

ル「エルザ・・・」

ショ「・・・・・」

エルザは硬く握った拳で地面を殴る。ルーシィは声を掛けるけど、その声は今のエルザには届いていない。ショールはずっと俯いたまま。

ユ「う、宇宙は・・ど、どうなっちゃうの・・・?」

グ「・・・・・」

ユモはガクガク震え、グレイもショールと同じように俯いたまま。ハッピーもシャルルもフレイも私も何も言葉に出す事が出来ない・・・皆暗い表情をしている。















ナ「まだ終わりじゃねぇぇぇぇぇっ!!!」















ただ1人除いて・・・口から炎を噴出しながらナツが叫ぶ。全員ナツの方を振り返る。

ナ「まだ封印が解かれたばかりだろ?急いで行けば、まだ間に合うかもしれねぇだろっ!簡単に諦めてんじゃねぇぞお前等ァッ!!それでも妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士かぁっ!!!」

ナ以外「!!!」

ナツの言葉で全員が目が覚めた。リョウは立ち上がると、

リョ「ナツの言うとおりだな。」

シャ「こんなところでクヨクヨしてじゃダメよね。」

ハ「あいっ!」

グ「クソ炎にしちゃあ結構良い事言うじゃねぇか。」

ナ「んだとグレイッ!もういっぺん言ってみろっ!」

マ「褒めてんだよ。」

フ「そんなにカッカするなって。」

いつの間にか、皆に笑顔が戻っていた。何でだろう・・・?「もう終わりだ・・・」って思っても、ナツの言葉を聞くと、なぜか勇気が出る・・・!ナツには、皆を勇気づける何かがあるんだ・・・!

エ「よしっ!急いで湖の所に戻るぞっ!」

エ以外「おぅっ!!!」

エルザを先頭に、私達はさっきの湖の場所に向かって全速力で走った。途中でナツが私の方に振り返った。

ナ「ぜってぇ~に、阻止しような。」

少しネコ目気味の目に、白い歯を見せて笑う。私もそれにつられて笑って、

マ「もっちろんっ!」

と笑い返し、ナツの拳と私の拳をぶつけ合った。

****************************************************************************************

               『ここから鎖の少女(チェーンガール)のボス、チェス目線でいきます。』

黒い光を纏った巨大な球体、『ブラックテンプラネット』はとてつもなく恐ろしい魔力を感じる。俺は『ブラックテンプラネット』に向かって両手を大きく広げた。

チェ「おぉ!こ、これが・・・!『ブラックテンプラネット』。これで、やっと、俺の願いが叶うっ!全宇宙を、支配出来るのだっ!!」

ス「おめでとうございます、ボス。」

スバルが笑顔で手を叩く。俺はスバルの頭を髪の毛がぐしゃぐしゃになるまで撫でた。

チェ「スバル、俺の願いが叶ったのはお前のお陰だ。ありがとう。本当に、ありがとう。」

ス「ボス・・・!」

チェ「だが、ここからが更に大変だ。これを動かす事が出来るのは、10の惑星を操る事が出来るお前にしか出来ない。スバル、やれるか?」

スバルは黒い瞳を星のようにキラキラ輝かせると、

ス「もちろんですっ!ボスの期待に、必ず応えてみせますっ!」

そう言うとスバルは『ブラックテンプラネット』に向き直り、さっきとは違う呪文のようなものを唱え始めた。




















ス「我は10の惑星を操る事が出来る選ばれし者、それに応え、我を受け入れたまえっ!!」




















すると、さっきまで黒く輝いていた『ブラックテンプラネット』が、銀色に光りだし、なんと10の球体に分裂した。すると10に分裂した小さな『ブラックテンプラネット』は、それぞれ違う色に光りだした。い、いったい、どうなっているんだ・・・!?混乱している俺に、スバルは穏やかに語りかける。

ス「この色は10の惑星の事を示しているんです。オレンジ色は太陽、水色は水星、金色は金星、赤は火星、緑色は木星、茶色は土星、黄色は天王星、銀色は海王星、紫色は冥王星、そして、青は地球を示しているんです。それぞれの色が、10の惑星を支配する力を持っているんです。」

チェ「何とっ!素晴らしい・・・!素晴らしすぎるっ!!」

俺はすっかり興奮していた。

ス「後は俺がこの分裂した『ブラックテンプラネット』をそれぞれ操ればいいだけです。」

チェ「ほぉ~。では、早速始めてくれ。」

ス「了解です。ボスの為に・・・!」

スバルは分裂した色とりどりの小さな『ブラックテンプラネット』の中央に立つと、さっきとは違う呪文を唱え始めた。




















ス「偉大なる魔法よ・・・我に従い、全宇宙を・・・」

ナ「止めろおおぉおぉぉおおぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」

ス「ぐぁはっ!」




















チェ「スバル!?」

スバルが呪文を全て言い終わる前に、何かがすごい勢いでスバルを殴り飛ばした。スバルは吹っ飛び、バババッシャアアアアアン!!と水しぶきを上げて湖に落ちた。スバルを殴り飛ばしたのは、




















ナ「ギリギリセーフ。」




















拳に灼熱の炎を纏った火竜(サラマンダー)だった。

マ&ハ「ナツゥ~~~!」

ナ「おぅ!間に合ったぜっ!」

後から他の妖精の尻尾(フェアリーテイル)のバカ共達もやって来た。怪物(モンスター)も復活していた。

ユ「な、何このカラフルな球は?」

ウェ「もしかして、『ブラックテンプラネット』じゃないですか?」

フ「こんなに小さいのかぁっ!?」

ショ「この様子だと、トーヤの魔力は使われたみたいだな。」

妖精の尻尾(フェアリーテイル)のバカ共達が、分裂した『ブラックテンプラネット』に驚いていると、

ス「ぶはぁっ!」

チェ「スバルッ!」

湖に落ちたスバルが這い上がってきた。湖から這い上がったスバルの黒い瞳は怒りで染まっていた。

ス「この野朗ォ・・・ボスの、計画の・・ボスの夢の・・・邪魔をするなああぁぁあああぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」

スバルが銀色の光を纏った拳で火竜(サラマンダー)に殴り掛かる。が、

ナ「火竜の・・・鉤爪ッ!!」

ス「ぐぉほっ!」

チェ「スバル!」

火竜の炎を纏った足で鳩尾を蹴られ、湖の反対側まで飛ばされ、木に頭を打って気を失ってしまった。あのスバルを簡単に倒すとは・・・

リョ「おいチェス、さっさと『ブラックテンプラネット』を止めろ。」

グ「鎖の少女(チェーンガール)はもうお前しか残っていない。とっととそんな下らねぇ計画やら夢やら止めて、大人しく評議委員に捕まりに行きやがれっ!!」

聖十のリョウが聖剣(エクスカリバー)を1本抜きながら、なぜか上半身裸の男が両手に冷気を溜めながら言う。

チェ「ここまで来て止めろだと?冗談じゃない。今更止めるなど出来る訳が無い。俺は全宇宙の支配者となるのだっ!そして、一からこの世界を作り直してやるっ!もう俺は誰にも止められながはっ!」

最後まで言い終わる前に、火竜(サラマンダー)に顔面、上半身裸の男に鳩尾、聖十のリョウに背中を同時に殴られた。

ナ「今の世界のどこが変える必要があるんだ?ア?」

グ「気に食わねぇんだよ、そういうの。」

リョ「この世界より、お前が、一からやり直した方が良いと思うぜ。もちろん、他の6人もな。」

3人の言葉を耳にしながら、俺はその場に倒れ意識を失った。

****************************************************************************************

                      『ここからユモ目線で書いていきます。』

チェスはナツとグレイとリョウの一撃でノックアウト。これで鎖の少女(チェーンガール)の討伐は終了だね。

エ「あぁ。だが問題はここからだ。」

エルザが険しい表情で周りを見渡す。私達を取り囲むように、なぜか10に分裂した色とりどりの小さな『ブラックテンプラネット』をどうするか。

ト「10の惑星・・・太陽、水星、金星、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星、そして地球・・・」

この10の惑星を支配する事が出来る闇魔法を、またこの湖に封じる訳ェ!?

ショ「いや、それはさすがに止めておいた方がいい。これは評議会が決める事だな。」

リョ「あぁ。」

リョウが頷いたその時、『ブラックテンプラネット』が小刻みに震えだした。

ナ「な、何だ何だぁっ!?」

ハ「ど、どうなってんのっ!?」

すると、『ブラックテンプラネット』が次々に森の中へ飛んで行っちゃった。

シャ「いったいどうなってるのっ!?スバルもチェスも倒したのにっ!?な、何で・・・!?」

『ブラックテンプラネット』を操る事が出来るのは、ノービリ家に100年に一度生まれる10の惑星を操る事が出来る能力を持つスバルだけ。でも、そのスバルはナツに倒されて気を失っている。

リョ「ま、まさか・・・!『ブラックテンプラネット』が、暴走しちまって、勝手に動いてるんじゃ・・・!」

マ「こ、これは・・かなりまずいよ・・・!」

ル「こ、これじゃあ、本当に・・・全宇宙が、支配されちゃうわ・・・・!」

全員言葉を失った。最悪な事態が、全員の頭の中に次々と浮かび上がってくる・・・

ナ「だぁーーーーーっ!やべぇぞこりゃあっ!!」

エ「落ち着けっ!『ブラックテンプラネット』は全部で10個!1人1つ『ブラックテンプラネット』阻止する事が出来れば・・・!」

エルザの案に、少しだけ希望に光が戻ってきた。

ユ「時間もないっ!その作戦でいこうっ!」

私達はお互いほぼ同時に頷き合う。

ショ「『ブラックテンプラネット』を見つけたら、どんな方法でもいいから阻止するんだっ!!」

グ「世界の運命が掛かってるんだっ!!ギルドの名折れだけじゃ済まさねぇからなっ!!」

リョ「ぜってぇ~に1人1つは阻止しろよっ!!」

リョ以外「おぅっ!!!」

私達は森中に散らばった10個の『ブラックテンプラネット』を阻止する為走り出した。 
 

 
後書き
第140話終了です☆
最強チームは暴走状態になってしまった『ブラックテンプラネット』を全て阻止する事が出来るのかっ!?
次回はトーヤが『ブラックテンプラネット』を阻止するため立ち向かうっ!
お楽しみに☆ 

 

第141話 Pluto

 
前書き
こんにちは~♪07で~す♪
今回はトーヤが『ブラックテンプラネット』を止めるために立ち向かうっ!
もちろん、トーヤ目線で書いていきます。
それでは、第141話・・・スタート♪ 

 
空がだんだん暗くなってきました。コロールの森は本当に音が消えて、時が止まってしまったみたいに静まり返っています。ちょっと不気味です・・・僕は今、10個に分裂して森中に飛んで行ってしまった『ブラックテンプラネット』を捜しています。

ト「いったい、どこまで飛んでいったんでしょう・・・」

急がないと、本当に全宇宙が・・・!今回僕はまだ何も役に立っていません。だから、

ト「『ブラックテンプラネット』だけは止めないと・・・!」

僕の頭の中には、その事だけでいっぱいでした。その時、

ト「!」

僕の背後で強大な魔力を感じました。も、もしかして・・・!恐る恐る振り返ると、紫色に光り輝く『ブラックテンプラネット』が宙に浮いて漂っていました。恐る恐る近づいてよく見ると、

ト「?」

『ブラックテンプラネット』に何かが写っているのが見えます。更に近づいて見ると、惑星が写っていました。写っていた惑星は―――――

ト「冥王星・・・」

太陽系の第9惑星。惑星の中では謎に包まれている為、『未知の惑星』とも呼ばれています。

ト「この『ブラックテンプラネット』は、冥王星を支配する事が出来るんですね・・・」

一刻も早くこの『ブラックテンプラネット』を止めないと、冥王星が・・・!そう思ったその時、紫色の光が輝きを増しました。

ト「うわぁぁっ!」

あまりの眩しさに僕は目を覆ってしまいました。

****************************************************************************************

光が治まり目を開けると、

ト「え・・・?」

僕がいたのはコロールの森ではなく、上も下も、左も右も、四方八方紫色の空間。僕はその空間の中で浮かんでいました。僕はどこが上でどこが下で、どこが左でどこが右かさえも分からなくなってしまいました。そんな事より・・・

ト「ここは、いったい・・・?」

辺りを見回しても、どこもかしこも紫、紫、紫!ちょっと気持ち悪くなってきました・・・ふと視線を後ろに移すと、遠くの方に球体形の惑星(?)が見えました。もしかして・・・!

ト「あれが、冥王星・・・?」

でも、冥王星(?)の他に惑星らしき球体形がどこにもありません。惑星だけではありません。星も、月も、地球さえも・・・!どこにもないんですっ!ひょっとするとここは・・・!

ト「『ブラックテンプラネット』の中・・・」

どうやらさっきの光で、僕は『ブラックテンプラネット』の中に吸い込まれてしまったみたいですね。さて・・・

ト「ここからどうしたらいいんでしょう・・・?」

僕は四方八方紫色の空間を漂いながらここから出られる方法と、『ブラックテンプラネット』を止める方法を考えます。

ト「う~~~ん・・・?」

ですが、どんなに頭を回転しても、どんなに頭を使っても、どんなに頭をひねっても、方法は何一つ思いつきません。唸り続けていたその時、

ト「!」

さっきよりも更に強大な魔力が背後から感じました。僕は慌てて振り向くと、

ト「え・・・!?」

そこには、腰近くまである淡い紫色の髪の毛に、足首まですっぽり隠れる淡い紫色のシンプルなドレスに身を包んだ僕と同い年くらいの女の子が四方八方紫色の空間の中で立っていました。女の子の黒い瞳には光が射していなく、手には先が巻き貝の形をした紫色に輝く杖を持っていました。その女の子の雰囲気が、どことなくウェンディさんに似ていました。でも、なぜこんなところに女の子がいるんでしょうか?

ト「え、えぇっとぉ~・・・あ、あなたは・・・?」

恐る恐る話しかけてみると、女の子は表情を一切変えずに、小さいけど透き通るような声で、

プ「私はプルート・・・冥王星の守護神・・・・」

あ、冥王星の守護神さんでしたか。僕はてっきり襲い掛かってくる敵かと思いました。そんな安心は束の間。プルートさんは持っていた巻き貝のような形をした紫色に輝く杖の先を僕に向けると―――――















プ「守護神でもあり・・・冥王星の支配者でもある・・・」















ト「え・・・」

すると、紫色に輝く杖の先から紫色の光線が放たれました。その光線は僕の右肩を貫きました。

ト「っあぁぁあぁあああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」

ただの光線かと思ったのが間違いでした。僕は右肩を押さえてよろめきました。ローブは破れ、肩からは出血。で、でも・・冥王星の、守護神さんが、な・・・なぜ、冥王星の支配者に・・・・?そんな事を考えていると、またさっきの紫色の光線が、今度は僕の左脇腹を貫きました。

ト「っぐわあぁぁあぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああっ!!」

さっきよりも激しい痛みが体全身に伝わります。

プ「邪魔者は、排除するのみ・・・!」

ふと僕の頭の中に、思いもよらぬ最悪の事が浮かび上がりました。ま、まさか・・・!

ト「プ、プルートさん・・あ、あなた、もしか、して・・・『ブラックテンプラネット』のせいで、や、『闇』に・・・・落ち、て・・しまっ、たんじゃ・・・・」

元々『ブラックテンプラネット』は、スバルさんの先祖、超有能な科学者のギンガ=P=ノービリさんが発明した全宇宙にある10の惑星を『光』に変える魔法『ホワイトテンプラネット』。でも、小さな過ちで闇魔法『ブラックテンプラネット』になってしまった為、コロールの森にある『シャンダ』の湖に封印し、500年間誰にも知られずに封印され続けてきたんですよね。その500年の間に、10の惑星の守護神さん達が、『闇』に落ちてしまった・・・だから、守護神であっても、支配者という訳ですね・・・もしかしたら、プルートさんを倒せば、『ブラックテンプラネット』を止める事が出来るかも・・・!少し希望が見えてきました。僕は痛みに耐えながら立ち上がると、

ト「プルートさん、僕があなたを、冥王星を、救ってみせますっ!」

僕はそう決意すると、左手を胸の前に置き、

ト「我と、心を通わせ、姿を現せ!出て来い!透明人間!てんぐ!」

空中に紫色の魔法陣が浮かび上がり、そこから姿は僕にしか見えませんが透明人間と、長くて赤い鼻をしたてんぐが姿を現しました。僕は幽封玉が割れてしまった為、今回はお化け達と戦わないと・・・!

ト「てんぐ、強風を起こしてくれっ!」

て「あいよっ!」

てんぐは持っていた葉っぱのうちわ一振りで紫色の空間中に強風を起こしました。

プ「っ!」

プルートさんも顔を顰めます。

ト「透明人間、プルートさんの背後から攻撃してくれっ!」

透「ん。」

透明人間はすごいスピードでプルートさんの背後に周ると、クリアナックルで背中を殴り掛かりました。が、

プ「消えなさい・・・」

透「!」

ト「!?」

プルートさんはさっと振り返ると、透明人間の鳩尾に強烈な一撃を食らわせました。透明人間は妖霊界に帰って行きました。

て「お、おい、トーヤ、どうなってんだ・・・?た、確か、透明人間は、お前にしか、姿が、見えないはずだろ・・・?」

ト「う、うん・・・」

でも、プルートさんは透明人間の姿が見えた。それも、的確に・・・

て「トーヤ、こいつ危険だぞ・・・」

ト「分かってる・・・」

僕は再び左手を胸の前に置き、

ト「我と、心を通わせ、姿を現せ!出て来い!雪女!」

魔法陣から艶やかな長い黒い髪の毛と大きな瞳、白い肌に白い着物、唇だけが赤く染まっている雪女が姿を現しました。

ト「てんぐは銀風!雪女は雪崩!」

て「今後こそっ!」

雪「はい~。」

てんぐは葉っぱのうちわを一振りして銀色に輝く風を起こし、雪女はプルートさんの背後で雪崩を起こしました。これならさすがのプルートさんでも・・・!っと思ったのも束の間、プルートさんは紫色に輝く杖を斜め右上から下にゆっくり振りかざすと、風はピタリと治まり、雪崩もピタリと止まってしまいました。僕達は開いた口が塞がりません・・・

雪「そ、そんな・・・」

て「ど、どうなってんだ・・・・?」

雪女とてんぐは驚きを隠しきれずにいます。まだ驚いている2人に向かってプルートさんは、

プ「消えなさい・・・」

小さく呟くと、さっきの紫色の光線が放たれ、てんぐと雪女を攻撃しました。

て「ぐあぁぁああぁああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」

雪「きゃああぁああああぁぁあぁああああああああああああああああああああああああああっ!!」

ト「てんぐっ!雪女ッ!うああぁぁあああぁああぁぁぁあぁああああああああああああああっ!!」

てんぐと雪女は妖霊界に帰って行き、僕も足の付け根辺りを貫かれました。ローブはボロボロの血塗れ・・・僕はその場に倒れ、立ち上がる事が出来なくなってしまいました。プルートさんは音も無くゆっくりと僕に歩み寄ってきます。紫色に輝く杖の先を僕に向けると、

プ「消えなさい・・・」

吐き捨てるように言いました。杖の先には紫色の光が今放たれようとしています。僕は目を瞑ると、思い切って右手で杖の先を握りました。

プ「なっ・・・!?」

ト「ぐっ・・!」

プルートさんは僕の思わぬ行動に目を見開きます。杖の先を掴んだ僕の右手から真っ赤な血が流れ落ちます。僕は血塗れになった右手をゆっくりと杖から離すと、

ト「ぼ、僕を・・消したか、ったら・・・・け、消して、下、さい・・・で、でも・・・僕を、消したら、プルート、さん、は・・・いっ、一生、『闇』に、落ち・・た、まま・・・ですよ。」

プ「!」

プルートさんは光が射していない黒い瞳を見開き、唇を噛み締めました。僕の血で汚れた杖を持っている手は小刻みに震えています。

ト「プ、プルート、さんの・・・や、役目は・・冥王星、を、し、支配、する、事じゃ・・・あ、ありません・・・・め、冥王星を、守るんですっ!いえ、守り、抜いていく、と、言った方が・・・正しい、でしょう・・か・・・?」

プ「!」

僕が言った時は、すでにプルートさんの黒い瞳には光が射し込んでいました。すると、プルートさんの体が淡い紫色に光りだしました。プルートさんは、光が差し込んだ黒い瞳で僕に小さく微笑むと、消えてしまいました―――――

****************************************************************************************

ト「あ、あれ・・・?」

いつの間にか僕はコロールの森に戻ってきていました。目の前には、白く光り輝いている『ブラックテンプラネット』・・・いえ、『ホワイトテンプラネット』が宙に漂っていました。すると『ホワイトテンプラネット』は空高く舞い上がり、見えなくなってしまいました。

ト「これで、冥王星は救われたんですね。」

ほっとすると、右肩、左脇腹、足の付け根に激しい痛みを感じました。

ト「ぅぐ・・!」

僕は近くの木に寄り掛かって座り込みました。

ト「み、皆さん・・あ、後は・・・お任せ、します・・・・」

僕はそのまま意識を失いました。





『ブラックテンプラネット』の数、残り9個―――――





 
 

 
後書き
第141話終了~♪
トーヤの活躍により、冥王星は救われたっ!だがまだまだ安心は出来ないっ!残りの『ブラックテンプラネット』を止めなければ・・・!最強チームは間に合うのか!?
次回はウェンディが『ブラックテンプラネット』を止めるために立ち向かうっ!
それではまた次回~♪ 

 

第142話 Uranus

 
前書き
駄作者07です!!
今回はウェンディが『ブラックテンプラネット』を止めるために立ち向かう!
もちろん、ウェンディ目線で書いていきます。
それでは、第142話・・・スタート!! 

 
私はシャルルと一緒に空から『ブラックテンプラネット』を探しています。いったいどこまで飛んで行っちゃったんだろう?すると、ガクンッと体が下がりました。

シャ「ウ、ウェンディ・・もう、これ以上は飛べない・・・少し休ませて・・・・」

ウェ「そうだね。少し、休憩しようか。」

シャ「助かるわ・・・」

私達は地面に下りて、少し休む事にしました。

ウェ「・・私、来なきゃ良かったかな・・・?」

シャ「またそんな事言うの?ほんっとあんたはネガティブなんだから。」

ウェ「だってぇ~・・・」

私は最強チームの中で一番弱いし、頼りなくて、引っ込み思案で、臆病で・・・

シャ「確かにそうだけど、時々頑固じゃない。」

ウェ「それはシャルルだけだよ。」

シャルルとは長い付き合いだからね。

ウェ「皆、大丈夫かな・・・?」

シャ「そうやってすぐ仲間に頼らないの。あんたがいなかったら、『ブラックテンプラネット』を全て止める事も出来なかっただろうし、トーヤだって危なかったんだから。あんただって役に立ってるのよ。それに、あの時言ったでしょ。みんなあんたを頼りにしてるんだって。あんたがやらなくちゃ、いったい誰がやるのよ?」

シャルルの言うとおりだね。

ウェ「私が・・・私がやらないとっ!」

少し、シャルルの言葉で元気が出て来た。やっぱりシャルルはとても心強い。そう思ったその時、

ウェ&シャ「!」

私達の頭上から凄まじい魔力を感じました。上を見上げると、黄色に光り輝く『ブラックテンプラネット』が私たちの頭上で漂っていました。

シャ「これを止めればいいのよね。」

ウェ「私がやらなくちゃっ!」

すると、『ブラックテンプラネット』に何かが写っているのが見えました。何だろう?軽く背伸びをして見ると、惑星が写っていました。その惑星は―――――

ウェ&シャ「天王星・・・」

太陽系の第7番惑星。天と地を結ぶ惑星といわれ、『天地の惑星』と呼ばれています。

ウェ「この『ブラックテンプラネット』は、天王星を支配する事が出来るんだ・・・」

シャ「急がないと、天王星が・・・!」

支配されちゃう!私は、『ブラックテンプラネット』に写っている天王星をもっとよく見ようとすると、突然『ブラックテンプラネット』が黄色く光りだしました。

ウェ「キャアアアアアッ!」

私はあまりの眩しさに目を覆っちゃった。

シャ「ウェンディーーーーーッ!!」

****************************************************************************************

ウェ「こ、ここは・・・?」

目を開けると、そこはコロールの森じゃなかった。一面黄色い空間。私はその黄色い空間で漂っていた。

ウェ「あれ?シャルル?どこにいるのっ!?シャルルーーーーーッ!!」

急に悲しくなって、涙が溢れてきた。シャルルがいないと、こんなにも悲しいなんて・・・涙が頬を伝う。私は謎の黄色い空間でたった1人泣き崩れた。










シャ『あんたがやらなくちゃ、いったい誰がやるのよ?』










ふと脳裏にさっきシャルルに言われた言葉が浮かんだ。そうだ・・・泣いたって何も出来ない。意味が無い!私が・・・私がやらないといけないんだっ!自分にそう言い聞かせて涙を拭った。ふと視線を上げると、遠くの方に球体形の惑星(?)が見えた。もしかして・・・!

ウェ「あれが、天王星・・・?」

でも、何かが違う。ここは宇宙なんかじゃないっ!天王星の他に、太陽や星が1つもないっ!もしかしてここは・・・!

ウェ「『ブラックテンプラネット』の中・・・?」

もしかして私、さっきの光のせいで『ブラックテンプラネット』の中に吸い込まれたんじゃ・・・だとすると、シャルルはコロールの森にいるんだっ!よかったぁ~。ほっとしたのも束の間、背後からさっきよりもさらにすさまじい魔力を感じた。恐る恐る振り返ると、

ウェ「え・・・?」

そこには黄色の髪の毛に黄色に光り輝くマントに白いシルクの服にズボン。物語に出て来るお城の王子様みたいな私と同い年くらいの男の子が立っていました・・・いえ、浮かんでいましたの方が正しいでしょうか?その男の子の手にはなぜか黄色に光り輝く天秤が握られていて、マヤさんみたいなオレンジ色の瞳には光が射していなくて、どことなく雰囲気がトーヤさんに似ていました。でも、何でこんなところに男の子が・・・?

ウェ「あ、あの、えぇっとぉ~・・・」

私が言葉に詰まっていると、男の子は呟くように、

ウ「僕はウラヌス・・・天王星の守護神・・・・」

この子が天王星の守護神!?なんだかすごく神秘的ですっ!するとウラヌスさんは持っていた天秤を私に向かって突きつけるようして持つと、





















ウ「そして、天王星の支配者でもある・・・」




















ウェ「え・・・?」

今、何て・・・?聞く前に私の体はずぅ~んと重くなりました。

ウェ「え・・・?ど、どうなって・・・?」

地面も床もない黄色い空間の中で、岩に押し潰されているような感覚が体全身に伝わります。見ると、ウラヌスさんが持っている黄色に光り輝く天秤が左右にゆっくり揺れています。もしかして、あの天秤が・・・!どんどん体が押し潰されていきます。

ウ「邪魔する者は、消す・・・」

ウェ「!?」

ウラヌスさんが吐き捨てるようにボソッと呟きました。ま、まさか・・・!

ウェ「ウ、ウラヌス、さん・・・闇に、落ちてしまったんじゃ・・・、」

光の魔法から闇の魔法になってしまった『ブラックテンプラネット』。500年間「シャンダの湖」に封じられている間に、10の惑星の守護神さん達も闇に心を・・・このままじゃ、ウラヌスさんも、天王星も、闇に・・・!なんとしてでも、私が・・・私が助けないとっ!

ウェ「お願い・・・グランディーネ・・・!私に、力を・・力を貸して・・・・っ!!」

私は押し潰されながらも、深く深く息を吸い込むと、

ウェ「天竜の・・・咆哮ッ!!」

ウ「!?くっ・・・」

私の攻撃は当たらなかったけど、ウラヌスさんが咆哮をかわした時に天秤が止まって、私は動けるようになった。その隙に素早く立ち上がって、

ウェ「天竜の・・・砕牙ッ!!」

拳をウラヌスさんに向かって振りかざそうとしたけど、

ウ「潰れろ・・・」

ウェ「!」

また天秤が揺れ始めて、私はまた押し潰された状態になっちゃった。しかも、さっきよりも強いパワーで・・・ウラヌスさんは音も無く私に歩み寄ると、

ウ「消え失せろ・・・」

光が差し込んでいないオレンジ色の瞳が氷のように冷たいです。私は怖くて涙が頬を伝いました。

ウェ「ウ、ウラヌス、さんの・・・役目は、何ですか・・・・?」

ウ「!?」

私の質問に少し目を見開いたウラヌスさん。

ウェ「わ、私の、役目は・・な、仲間の、怪我や、病気を、治したり・・・な、仲間と、い、一緒に・・仕事を、したり、する、役目、です・・・・でも、今の、役目は・・・『ブラックテンプラネット』を、止めて・・・ウ、ウラヌス、さんを・・・天王星を・・・・救うのが、私の、役目、です・・・・」

ウ「!!!」

言い終わった時にはすでにウラヌスさんのオレンジ色の瞳に光が差し込んでいました。すると、ウラヌスさんの体が黄色に光りだしました。ウラヌスさんは光が差し込んでいるオレンジ色の瞳で微笑むと、消えてしまいました―――――

****************************************************************************************

ウェ「・・・あ、あれ?ここは・・・・?」

いつの間に戻ってきたのか、私はコロールの森に戻って来ていました。

シャ「ウェンディーーーーーッ!!」

ウェ「シャルルッ!」

シャルルが涙を流しながら私の胸に飛び込んできた。

シャ「もぉっ!どこに行ってたのよっ!いきなり消えちゃうんだもん。私、心配で心配で・・・」

ウェ「ゴメンねシャルル。」

私はシャルルの真っ白な毛並みを優しく撫でてあげた。ふと顔を上げると、目の前に『ブラックテンプラネット』・・・いえ、白く光り輝いている『ホワイトテンプラネット』が宙に漂っていました。『ホワイトテンプラネット』は、空高く舞い上がると、見えなくなっちゃった。

シャ「あんた、あの『ブラックテンプラネット』を止めたの?」

ウェ「うん。これで天王星は救われたと思うよ。」

私は『ブラックテンプラネット』が飛んで行った藍色の空をただずっと見つめていました。

シャ「!そうだウェンディ!ウェンディが消えた後その辺を探していたら、傷だらけで木に寄りかかっているトーヤを見つけたのよっ!」

ウェ「えぇっ!トーヤさんはどこにいるのっ!?」

シャ「こっちよっ!」

私はシャルルの後を追って、トーヤさんのところまで全速力で走りました。





『ブラックテンプラネット』の数、残り8個―――――





 
 

 
後書き
第142話終了です!
ウェンディの活躍により、天王星が救われたっ!でもまだ安心は出来ないっ!
次回はショールが『ブラックテンプラネット』を止めるために立ち向かうっ!
お楽しみに! 

 

第143話 Saturn

 
前書き
ヤッホ~☆07で~す☆
今回はショールが『ブラックテンプラネット』を止めるために立ち向かう!
もちろん、ショール目線で書いていきます。
それでは、第143話・・・スタート☆ 

 
静まり返ったコロールの森に聞こえるのは、俺の足音と、俺の荒い息遣いだけ。皆と別れてからずっと走りっぱなしだ。

ショ「はぁ、はぁ・・はぁ・・・はぁ・・はぁ、はぁ・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ、はぁ・・・・はぁ・・・はぁ、はぁ・・はぁ、はぁ・・・はぁ・・はぁ、はぁ、はぁ・・・はぁ、はぁ・・・」

木に全体重を預け、呼吸を整える。空を見上げると、いつの間にか日が沈み、空には一番星が銀色に光り輝いていた。

ショ「はぁ、はぁ・・こんなに、綺麗な空が・・支配、されるなんて・・・はぁ・・・はぁ、ありえないな・・・はぁ、はぁ・・はぁ・・・」

小さい頃はよくジャックと一緒に星を眺めていたなぁ。『ブラックテンプラネット』を発明したスバルの先祖、ギンガ=P=ノービリも、本当はこんなに綺麗な空を永遠に光り輝かせていたかったんだろうな・・・それが、自分の小さな過ちのせいで、『闇』に輝かせてしまう魔法になっちゃうなんて、自分も思ってもいなかっただろうな・・・でも、

ショ「そんな事、俺が・・俺達妖精の尻尾(フェアリーテイル)の、最強チームが・・・絶対にさせない。宇宙は、永遠に光り輝くんだ。『闇』なんかに、輝かせるもんか。」

その時、

ショ「!」

すぐ近くで莫大な魔力を感じた。辺りを見回すと、茶色に光り輝く『ブラックテンプラネット』が宙に漂っていた。俺は恐る恐る『ブラックテンプラネット』に近づく。

ショ「これを止めればいいんだな。ん・・・?」

よく見ると、『ブラックテンプラネット』に何かが写っているのが見えた。近づいて見ると、惑星が写っていた。その惑星は―――――

ショ「土星・・・」

太陽系の第6惑星。大昔、農家の人々に幸運を捧げるとゆう伝説があり、『農耕の惑星』とも呼ばれている。早くこれを止めないと、土星が・・・!その時、『ブラックテンプラネット』の茶色い光が輝きを増した。

ショ「うあぁぁぁっ!」

俺はあまりの眩しさに目を覆ってしまった。

****************************************************************************************

ショ「・・ん?ど、どこだ、ここ・・・?」

目を開けると、そこはコロールの森ではなくどこもかしこも茶色、茶色、茶色の空間。俺はその茶色の空間の中をふわふわと漂っていた。俺、目が可笑しくなったのか?鮮血のような赤い両目をゴシゴシ擦る。「わが目を疑う」とゆう状況だ。でも、何度も何度も擦っても、そこはコロールの森ではなく、どこもかしこも茶色、茶色、茶色の空間が広がっているだけ。

ショ「い・・いったい、どうなってるんだ・・・?」

ふと視線を後ろに移すと、遠くの方に惑星(?)が見えた。もしかして・・・!

ショ「あれが、土星・・・?」

こんな間近で見るのは初めてだ。でも、何かが違う。土星のほかに、星や月がどこにも無い。ここは宇宙なんかじゃないっ!だとすると、考えられる事はただ1つ・・・

ショ「ここは、『ブラックテンプラネット』の中・・・」

たぶん、さっきの光で吸い込まれたみたいだな。厄介な事になってきたな。さて、ここからどうするか・・・俺は茶色の空間でふわふわと漂いながら腕組をして考えていると、

ショ「!」

さっきよりも莫大な魔力を感じた。驚いて振り返ると、

ショ「え・・・?」

そこにいたのは俺と同い年くらいの女性。ウェーブの掛かった茶髪のロングヘアーに、茶色でまとめた民族風の衣装に、花の飾りが付いた茶色のサンダル。手には動物の毛皮で作られた弓矢を持っていた。背中には、矢を入れているケース(?)を背負っている。でも、茶色の瞳にはなぜか光が差し込んでいなく、雰囲気がエルザと似ていた。

ショ「え、あ、えっと・・そ、そのぉ~・・・」

こんな不思議な空間の中で、どう接したらいいか分からず俺が戸惑っていると、歌うような声で、

サ「私はサターン。土星の守護神。」

・・・ど、土星に守護神なんかいたのか・・・・し、しかも、俺と同い年くらいの女性だ何て・・・そんな事に驚いていると、サターンが持っていた弓矢を構えて、矢の先を俺に向けた。ま、まさか、俺に向かって矢を放とうとしてるんじゃ・・・















サ「そして、土星を支配する者でもある。」















ショ「え・・・?」

思ったとおり、サターンは俺に向かって矢を放った。先に予測していた俺はギリギリ矢を避ける事は出来たけど、思った以上に矢のスピードが速くて、左頬を掠った。血がたらぁ~と頬を伝い流れる。

サ「邪魔する者は、排除するのみ。」

ショ「はぁっ!?」

な、何で土星の守護神が、土星を支配しないといけないんだよっ!?すると、俺の脳裏に1つの考えが浮かび上がった。『ブラックテンプラネット』は宇宙にある10の惑星を支配する事が出来る伝説の闇魔法。でも、500年程前から封じられていたんだ。その500年の間に、10の惑星の守護神は、『闇』に心を支配された・・・こりゃあ、ますます厄介事になってきたな・・・・でも、もしかすると、サターンを倒す事が出来れば、土星は救われるんじゃ・・・!もしそうなら・・・やるしかないっ!俺は左頬から流れ出る血を拭った。

ショ「トリックルーム!」

サ「!?」

サターンは表情を一切変えないけど、辺りをきょろきょろ見回しているからかなり混乱してる。今のうちに・・・!俺はサターンの背後に移動すると、

ショ「ギアチェンジ!モード光!!」

俺の体は白い光に包まれた。

ショ「白光拳!!」

白い光を纏った拳で混乱しているサターンを殴ろうとしたが・・・

サ「こんな小細工に、私が混乱するとでも思ったの?」

ショ「なっ!?」

サターンはさっと振り返り、俺の拳を片手で受け止めた。

サ「はぁっ!」

ショ「ぐはっ!」

鳩尾に強烈な一撃をまともに食らう。そして、俺より体重が軽いはずなのに、サターンは細い腕で俺を宙に放り投げた。すぐさまサターンは弓矢を構え、矢の先を俺に向け、放った。俺は宙を舞いながらも、タイミングを見計らって、右手で飛んできた矢の先を素手で摑んだ。

サ「!!?」

真下にいるサターンは光が差し込んでいない茶色い瞳を見開く。素手で矢の先を摑んだ俺の右手は血だらけだ。上も下も、左も右も分からない茶色の空間だけど、俺はそのまま背中から落下した。かなり強く打ち付けたみたいだ。背中がジンジンと悲鳴を上げる。俺は背中の痛みを我慢しながらゆっくり慎重に起き上がる。

ショ「はぁ、はぁ・・はぁ・・・はぁ・・はぁ、はぁ・・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・はぁ・・はぁ、はぁ・・はぁ・・・・はぁ・・・はぁ、はぁ、はぁ・・はぁ・・・はぁ・・はぁ・・・・」

荒く呼吸をしながらまだ目を見開いているサターンを真っ直ぐ見つめる。

ショ「はぁ・・はぁ、サ、サターン・・・も、もう、止めよう・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・」

サ「!!?」

サターンが更に目を見開く。俺はそんなのお構い無しに話し続ける。

ショ「サターンは、ど、土星の、支配者、なん、かじゃない・・・はぁ、土星を、永遠、に・・守り、抜いてゆく、土星の・・守護神なんだ・・・・はぁ、はぁ・・はぁ、ぜ、全宇宙に、ある・・・どんなに小さな星が、たった・・1つでも、や、『闇』に、染まると・・・はぁ、はぁ、宇宙は・・・宇宙じゃなくなっちゃう・・・はぁ、はぁ・・はぁ・・・サターンは、全宇宙にある、10の、惑星の1つ・・・土星を、守る、とて、も、大事な、役目を・・持ってるんだ・・・はぁ、はぁ、宇宙を、永遠に、光り輝かせていく為に・・・サ、サターンは、土星を、守り抜いて、いかないと・・・ダメ、なんだ・・・はぁ、はぁ・・はぁ・・・・」

俺が言い終わった時には、すでにサターンの茶色い瞳に光が射し込んでいた。すると、サターンの体が淡い茶色に光りだした。サターンは光の射し込んだ茶色い瞳で小さく微笑むと、消えてしまった―――――

****************************************************************************************

ショ「・・・えっ!?」

いつの間にか、俺はコロールの森に戻ってきていた。・・・夢、だったのか?そう思ったのは束の間。左頬と右手から血が出ていた。そして、俺の目の前には『ブラックテンプラネット』・・・いや、『ホワイトテンプラネット』が宙に漂っていた。すると、『ホワイトテンプラネット』は空高く舞い上がり、見えなくなった。でもこれで、

ショ「土星は、救われた。」

安心したのも束の間、さっき打ち付けた背中の痛みがまた悲鳴を上げた。

ショ「いってぇ~・・・!」

そのまま地面に座り込んで空を見上げた。夕日色と藍色のグラデーションに染まった空に、銀色に光り輝く星が嬉しそうに輝いていた。





『ブラックテンプラネット』の数、残り7個―――――





 
 

 
後書き
第143話終了~☆
ショールの活躍により、土星が救われたっ!順調に宇宙は救われていくっ!
次回はエルザが『ブラックテンプラネット』を止めるために立ち向かうっ!
次回見逃したらいけないよ☆ 

 

第144話 Earth

 
前書き
イエ~イ♪07だよ~♪
今回はエルザが『ブラックテンプラネット』を止めるために立ち向かう!
もちろん、エルザ目線で書いていきます。
それでは、第144話・・・スタート♪ 

 
すっかり日も沈み、コロールの森もだんだん暗くなってきた。空には銀色に輝く無数の星が瞬いている。

エ「・・・・・」

私は黙って空を見上げる。・・・こんなに美しい空が、たった1つの魔法のせいで消えてしまうなんてな・・・想像もつかない事だ。

エ「10の惑星・・・太陽、水星、金星、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星、そして、地球・・・」

私はこのどれかの惑星を救わねばならないんだな・・・





私に、ちゃんと救えるのか・・・?





今更不安が頭の中を横切る。

エ「・・・全く。私は何を考えているんだ。」

仲間も私と全く同じ事をしているんだ。今更弱音を吐いてどうする。そう思ったその時、

エ「!」

すぐ近くでものすごく強大な魔力を感じた。驚いて辺りを見回すと、青く光り輝く『ブラックテンプラネット』が宙を漂っていた。

エ「ん?何だあれは・・・?」

見ると、『ブラックテンプラネット』に何かが写っているのが見えた。近づいてよく見てみると、惑星が写っていた。その惑星は―――――

エ「ち、地球、だと・・・!?」

太陽系の第3惑星。宇宙から見ると、地球は青いため、『水の惑星』とも呼ばれている。水と空気に恵まれていて、私たち生物が唯一生きて暮らせる惑星だ。

エ「まさか、私が地球を救う事になるとは、思ってもみなかったな。」

これは随分と責任重大な事をやり遂げなければな。この『ブラックテンプラネット』を止めなければ、地球が・・・!そう思ったその時、『ブラックテンプラネット』の青い光が輝きを増した。

エ「くっ・・・!」

私はあまりの眩しさに目を瞑ってしまった。

****************************************************************************************

エ「こ、ここは・・・?」

目を開けると、そこはコロールの森ではなく、四方八方青色をした空間だった。私はその空間の中で漂っていた。

エ「い、いったい、どうなっているんだ・・・!?私はさっきまで、コロールの森に・・・」

何がどうなっているんだっ!?私はすっかり動揺して、不思議な空間の中を見回す。ふと視線に止まったのは、球体形の惑星(?)だった。あれは・・・!

エ「地球・・・」

わ、私は、さっきの青い光のせいで宇宙に来てしまったのかぁっ!?・・・いや、落ち着いて考えてみると、地球以外の惑星や星がどこにも見当たらない。ましてや、ここが宇宙なら、私はどうして息が出来ているんだ?だとすると、ここは・・・!

エ「『ブラックテンプラネット』の中・・・」

どうやらさっきの光のせいで、こんなところに来てしまったようだな。その時、

エ「!」

さっきよりも強大な魔力を背後から感じた。私は別空間から剣を取り出して身構えた。

エ「え・・・?」

そこにいたのはなんと、私と同い年くらいの青年だった。青い髪の毛に、昔、貴族が着ていたような服を身に纏い、手には青白く光り輝く剣が握られていた。だが、青年の青い瞳には光が射し込んでいなく、雰囲気がショールと似ていた。それに、

エ「お前は何者だ。なぜこんなところにいる。」

普通の魔道士と何かが違う。それに、こいつは私がここに来る以前から、すでにここにいたみたいだ。青年は、小さいが、迫力のある声で、

ア「俺の名はアース。地球の守護神だ。」

ち、地球の守護神だとっ!?ま、まさかこんな青年だとは・・・し、しかも、私の目の前にいるのだから・・・するとアースはゆっくりと持っていた剣の刃先を私に向ける。















ア「地球の守護神でもあり、地球の支配者でもある。」















エ「!?」

ど、どうゆう事だ・・・?私が聞く間もなく、アースは剣を私に向かって振りかざす。私はとっさに持っていた剣で防いだ。剣と剣がぶつかり合い、火花が散る。

ア「支配するのを邪魔する者は、消すまでだ。」

エ「お前・・・まさか・・・!」

『闇』に、心を・・・!『ブラックテンプラネット』は全宇宙にある10の惑星を支配する闇魔法。10の惑星を守っている守護神が、『闇』に心を染めてしまうのも可笑しくは無いっ!アースの剣が青白く光ると、威力が増した。私は一旦身を引き、アースから距離をとると、天輪の鎧に換装する。

エ「舞え、剣達よ・・・」

銀色に光り輝く剣がふわりと宙に浮かび上がる。

エ「循環の剣(サークルソード)ッ!!」

銀色に光り輝く剣が回転しながらアースに襲い掛かる。が、

ア「てぇぇぇっいっ!」

アースはものすごい速さで剣を振るう。すると、バキバキバキバキバキバキバキバキバキバキッ!!!と凄まじい音を立てて、私の剣を全て真っ二つにしてしまった。

エ「なっ!?」

私は目を見開く。今目の前で起こった出来事が信じられない。

ア「はぁぁぁぁぁっ!」

エ「くっ・・・!」

目ではなかなか追いつけない攻撃を何とか避けるが、右頬と右肩を掠った。頬と肩に薄っすら血が滲む。な、何という速さだ・・・!私は飛翔の鎧に換装すると、

エ「はぁぁぁぁぁっ!」

双剣をアースに向かって振りかざす。だが、アースは表情を一切変えずに、私の攻撃をあっさりかわす。私は双剣を振りかざし続ける。だが、アースは表情を一切変えずに、私の攻撃全てあっさりかわし続ける。しかも、かわす度にどんどんスピードが上がっている!飛翔の鎧より速いなんて・・・!

エ「まだ速くなるのかっ!?」

ア「てぇぇぇぇぇいっ!」

エ「うあぁぁぁっ!」

私は10mくらい吹っ飛ばされる。つ、剣1本で、これほどの強さだとは・・・私は傷を負った左腕を押さえながらよろよろと立ち上がる。

ア「お前の強さはそんなものか。」

アースが私を侮るように、光が射し込んでいない青い瞳で見る。私はその挑発に答えるように笑ってみせる。

ア「!?なぜ笑う?」

エ「お前は確かに強い。だが、心はものすごく弱い。」

ア「!?」

アースは光が射し込んでいない青い瞳を見開く。私は構わずに話し続ける。

エ「『闇』などに心を支配されるとは、地球の守護神として情けないぞ。そんなんじゃ、地球を守り抜いてはいけない。」

ア「!?」

アースは更に光が射し込んでいない青い瞳を見開く。

エ「地球は惑星の中で唯一生物が存在する惑星だ。地球が『闇』に支配されてしまったら、地球は地獄の惑星になってしまう。」

ニルヴァーナの時の、ニルビット族のように、『闇』が纏わり付くと、人々は共に殺し合ってしまうからな。

エ「それを阻止する役目は、アース、お前の役目だ。お前が『闇』に染まってどうするんだ。お前は、永遠に地球を守り抜いていくべきだろっ!!」

ア「!」

私が言い終わった時には、すでにアースの青い瞳には光が射し込んでいた。すると、アースの体が青く光りだした。アースは光が射し込んだ青い瞳で私に小さく微笑むと消えてしまった―――――

****************************************************************************************

エ「・・・!!?」

いつの間にか、私はコロールの森に戻って来ていた。私は換装を解き、いつもの鎧姿に戻ると、疲れが出てきたのか、近くの木に寄り掛かる。すると、目の前に白く光り輝いている『ブラックテンプラネット』・・・いや、『ホワイトテンプラネット』が宙に漂っていた。『ホワイトテンプラネット』は、空高く舞い上がると、見えなくなってしまった。私は『ホワイトテンプラネット』が飛んで行った空を見上げると、銀色に輝く無数の星が瞬いている。

エ「これで、地球は救われたはずだ。」





『ブラックテンプラネット』の数、残り6個―――――





 
 

 
後書き
第144話終了~♪
エルザの活躍で地球が救われたっ!ヤッタ~!
次回はユモが『ブラックテンプラネット』を止めるために立ち向かう!
お楽しみに~♪ 

 

第145話 Mercury

 
前書き
HEY!07だZ!
今回はユモが『ブラックテンプラネット』を止めるために立ち向かう!
もちろん、ユモ目線でいきますよ。
それでは、第145話・・・スタート! 

 
まだ日が沈んだばかりなのに、コロールの森は真夜中みたいに真っ暗。

ユ「ちょっと、不気味だなぁ~・・・」

こんな真っ暗な森の中を1人で歩いたのは人生初。な、何だか、コウモリになった気分・・・でも、銀色に輝く星の明かりで何とか道に迷わなくてすむ。それにしても、

ユ「いったいどこまで飛んで行ったんだろう?」

もう1時間以上はずっと『ブラックテンプラネット』を捜しっぱなし。皆はもう見つけたのかなぁ~?そう思ったその時、

ユ「!」

すぐ近くで魔力を感じた。でも、人間の魔力じゃない。恐る恐る辺りを見回すと、水色に光り輝く『ブラックテンプラネット』が宙に漂っていた。

ユ「こ、これを止めれば、いいんだよね。・・・ん?」

よく見ると、『ブラックテンプラネット』の中に何かが写っているのが見えた。恐る恐る近づいて見ると、惑星が写っていた。その惑星は―――――

ユ「す、水星・・・?」

太陽系の第1惑星で、太陽に最も近い惑星。大昔、宇宙から人々を見守っている神の聖地だったってゆう伝説から、『聖地の惑星』とも呼ばれているらしい。

ユ「こ、これを止めれば、水星が救われる・・・!でも、どうやって止めればいいんだろう?」

氷で凍らす?それとも、回し蹴り、踵落としとかで壊す?う~~~ん・・・?『ブラックテンプラネット』を止める方法を考えていると、『ブラックテンプラネット』の水色の光が突然輝きを増した。

ユ「ま、眩しい~!」

私はあまりの眩しさに目を覆った。

****************************************************************************************

ユ「・・あ、あれ?ここは・・・?」

目を開けると、私がいたのはコロールの森じゃない。一面が水色に染まった空間。私はその空間の中で漂っていた。

ユ「ど、どうなってるの・・・?」

まるでコロールの森から異空間に瞬間移動(テレポート)してきたみたい。ふと視線を後ろに移し、目に止まったのは、球体形の惑星(?)だった。もしかして・・・!

ユ「す、水星・・・?」

えっ?ちょ、ちょっと待ってよ・・・!あそこに水星があるって事は・・・私、宇宙に瞬間移動(テレポート)しちゃったって事ォ~!?・・・いやいやいや、もっと冷静になれ私。確かに水星はあるけど、地球は?星や月だって無い!水星しかない宇宙なんて可笑しいよっ!だとすると、考えられるのはただ1つ・・・

ユ「ここは、『ブラックテンプラネット』の中なんだ・・・」

うわぁ~、変なに瞬間移動しちゃったんだね。その時、

ユ「!」

さっきよりも強大な魔力を背後から感じた。しかも、今度は人間の魔力だっ!私は後ろを振り返って攻撃の体勢をとる。

ユ「えっ!?」

後ろを振り返った私は目を疑った。そこにいたのは、水色の髪の毛に、フードが付いた水色の長いコートのような服を着た青年が、水色の空間で私と同じように漂っていた。両手には水色の十字型をした(シールド)(?)のような物を持っている。・・・おかしい。その青年の水色の瞳には光が射し込んでいなく、少し雰囲気がグレイと似ていた。それに、普通の魔道士の魔力じゃない。どこか、神秘的な魔力を纏っていた。

ユ「え、えぇっとぉ・・・」

私が言葉に詰まっていると、

マ「俺はマーキュリー。水星の守護神だ。」

・・・・しゅ、守護神ッ!?水星のっ!?こ、こんなところで会うなんて奇遇だね・・・















マ「守護神でもあり、支配者でもある。」















ユ「・・・えっ?」

するとマーキュリーは、両手に持っていた十字型の(シールド)(?)を振りかざしてきた。私は足で受け止める。これ、(シールド)じゃない!十字型の刃物だっ!

マ「支配の邪魔をするな。」

ユ「な、何で水星の守護神が、水星を支配するのっ!?」

私の言葉は耳に入っていないかのように、マーキュリーは攻撃を止めない。まさか・・・!『闇』に落ちたんじゃ・・・!『ブラックテンプラネット』は500年間も封じられていた闇魔法。その500年の間に・・・!どうやらもう1つ仕事が増えたみたい。『ブラックテンプラネット』を止める事と、マーキュリーを『闇』から助ける事ッ!私は一旦マーキュリーから距離をとり、両手に冷気を溜めると、

ユ「アイスメイク、(スピア)ッ!!」

空から・・・いや、水色の空間から流星群のように無数の針型の氷がマーキュリーに向かって降り注ぐ。マーキュリーは、慌てる様子も無く、十字型の刃物で攻撃を防いだ。あの刃物、(シールド)にもなるんだ・・・随分便利な刃物だね。

マ「感心してる場合か。」

あれ?聞こえてました?マーキュリーは片方の十字型の刃物を放り投げた。十字型の刃物は、まるでブーメランみたいにくるくると円を描きながら宙を舞う・・・って、こっちに向かって飛んできてるっ!!私はその場で宙返りして十字型の刃物をかわす。十字型の刃物は、くるくると円を描きながら、本物のブーメランみたいにちゃんとマーキュリーの手元に戻っていった。するとまたさっき投げていない方の十字型の刃物をまた放り投げて、またくるくると円を描きながらこっちに向かって飛んできた。私はまたその場で宙返りをして十字型の刃物をかわして、またくるくると円を描きながらマーキュリーの手元に戻っていった。

マ「女にしてはなかなかの身のこなしだな。」

ユ「女だからって・・・」

女を甘く見てたら怖いんだよ。

マ「だが、これは避けられるか?」

するとマーキュリーは、両方の十字型の刃物を同時に放り投げた。2つの十字型の刃物は、くるくると円を描きながら交差するように私に向かって飛んでくる。私は軽くその場で飛び跳ねると、1つは凍らせて、1つは踵落としで攻撃を防いだ。

マ「なっ!?」

ユ「言ったでしょ?「女を甘く見てたら怖いんだよ」って。」

あれ?聞こえていなかったかな?

マ「まぁいい。十字刃(クロスブレイド)が1つや2つ無駄になっても全然困らないからな。」

これ、十字刃(クロスブレイド)っていうんだ。すると、どこから取り出したのか、マーキュリーの両手には十字刃(クロスブレイド)が握られていた。3つも4つもあるなんてずるいよっ!それに、さっきの十字刃とは少し違う気がする・・・

マ「さて、その身体能力でこれは避けられるか?」

また両方の十字刃(クロスブレイド)を同時に放り投げた。私はもう一度かわす。が、

ユ「キャアッ!」

さ、さっきのよりも速い・・・!私は避ける事が出来なくて、両腕を重症。血が噴き出る。慌てて氷で止血する。こ、これはかなりまずい・・・私は痛む両手に冷気を溜めると、

ユ「アイスメイク、氷霧(フリーズミスト)ッ!!」

水色の空間が冷たい霧で覆われる。これで時間稼ぎが出来る・・・!私はそっとその場から移動して、マーキュリーの背後に周ると、

ユ「アイスメイク、双剣(ダブルソード)ッ!!」

マ「!い、いつの間にっ!?」

氷の双剣で背後から攻撃を仕掛ける。マーキュリーは、驚きながらも振り返って私の攻撃を2つの十字刃(クロスブレイド)で防ぐ。

ユ「す、水星は、マーキュリーが守らないと・・・!」

マ「!?」

マーキュリーが、光の射し込んでいない水色の瞳を見開く。私は澄んだ青い垂れ目でマーキュリーの瞳を見つめる。

ユ「や、『闇』なんかに、負けちゃダメだよ・・・!宇宙は、永遠に輝いていないと・・・!宇宙が『闇』になっちゃたら、そんなの宇宙じゃないっ!!」

マ「!」

私が言い終わった時には、すでにマーキュリーの水色の瞳に光が射し込んでいた。すると、マーキュリーの体が水色に光りだした。マーキュリーは、光が射し込んだ水色の瞳で微笑むと、消えちゃった―――――

****************************************************************************************

ユ「・・あ、あれ?ここは・・・?」

いつの間にか私は、コロールの森に戻って来ていた。

ユ「(いた)!」

十字刃(クロスブレイド)で負った傷が痛んだ。私は近くの木に寄り掛かってその場にしゃがみ込む。すると、目の前に『ブラックテンプラネット』・・・いや、白く光り輝いている『ホワイトテンプラネット』が宙を漂っていた。『ホワイトテンプラネット』は空高く舞い上がると、見えなくなっちゃった。

ユ「これで、水星は救われたかな・・・?」

疲れが出たのか、私はそのまま気を失った。





『ブラックテンプラネット』の数、残り5個―――――





 
 

 
後書き
第145話終了です!
ユモの活躍により水星は救われたっ!!『ブラックテンプラネット』の数も残り半分になったっ!新しい小説もそろそろだっ!
次回はグレイが『ブラックテンプラネット』を止めるために立ち向かう!
それではSeeyou! 

 

第146話 Neptune

 
前書き
HELLO☆07です☆
今回はグレイが『ブラックテンプラネット』を止めるために立ち向かう!
もちろん、グレイ目線で書いていきます。
それでは、第146話・・・スタート☆ 

 
くっそぉ~・・・!どこまで飛んで行ったんだよっ!?俺は『ブラックテンプラネット』を注意深く探しながら暗いコロールの森の中を走り回っている。でもよ・・・

グ「もう2時間以上探し回ってんだぞ。」

こんなに探して見つからないって・・・どうなってんだ?それに、この2時間の間、誰とも会って
いない。皆はもう『ブラックテンプラネット』を見つけて止めたのか?時間も無い。暗闇にも大分目は慣れてきたが、こんな森の中で頼りになるのは星の明かりだけだ。その時、

グ「!」

すぐ近くで魔力を感じた。しかも、かなりでかい魔力だっ!『ブラックテンプラネット』かっ!?辺りを見回すが、それらしきものは見当たらない。

グ「気のせいか・・・ん?」

見ると、木の上で何かが光っている。

グ「ま、まさか・・・な。」

半信半疑で木に登ってみると・・・

グ「マ、マジかよ・・・」

木に引っかかっていたのは銀色に光り輝く『ブラックテンプラネット』だった。普通木に引っかかるか?俺は呆れながらも『ブラックテンプラネット』を手に取ろうとすると、

グ「ん?な、何だありゃ?」

『ブラックテンプラネット』の中に、何かが写っている。よく見ると、惑星が写っていた。その惑星は―――――

グ「か、海王星・・・」

太陽系の第8惑星。大昔、地球に海を与えたという伝説が残されていることから、『海の惑星』とも呼ばれている。

グ「これを止めればいいんだよな。」

問題は、どうやってこれを止めるかだ。星1つ支配する事だ出来るくらいのいかれた闇魔法だ。無闇に止めようとすると、何が起きるか分かったもんじゃねぇ。でも、急がねぇと海王星が・・・!そう思ったその時、『ブラックテンプラネット』の銀色の光が輝きを増した。

グ「な、何なんだよっ!?」

俺はあまりの眩しさに目を覆った。

****************************************************************************************

グ「・・・ど、どうなってやがるっ!?」

目を開けると、俺は木の上ではなく、なぜか世にも不思議な銀色の空間の中で漂っていた。

グ「・・まてよ、銀色・・・俺が見つけた『ブラックテンプラネット』も銀色だったよな・・・だとすると、ここは、『ブラックテンプラネット』の中かっ!?」

随分と変な所に来ちまったもんだぜ。んで、ここが本当に『ブラックテンプラネット』の中だとするなら・・・!俺は辺りを見回して見つけた。

グ「やっぱりな。」

俺の真上に、海王星があった。だが、あるのは海王星だけ。地球や星だどこにも見当たらない。つまりここは、海王星を支配する事が出来る、『ブラックテンプラネット』って事だ。すると、背後からさっきより強大な魔力と、なぜか拍手が聞こえた。驚いて振り返ると、

グ「はぁっ!?」

?「なかなかの勘の持ち主ですね。」

そこにいたのは、俺と同い年くらいの女。内側にカールした銀色のセミロングに、銀色に光り輝くワンピースを着ている。手には銀色に光り輝く壷を抱えている。女の口元は笑っているが、目が笑っていない。女の黒い瞳に光が射し込んでいない。そしてなぜかその女の雰囲気が、どこかユモと似ていた。

グ「誰だてめぇは。」

俺は両手を構えて攻撃の体勢を取る。女は透き通るような声で、

ネ「私はネプチューンです。海王星の守護神です。」

・・・しゅ、守護神?海王星の?こんな女が?・・・マジかよ。半信半疑で驚いていると、















ネ「後、海王星の支配者でもあります。」















グ「え・・・?」

ど、どうゆう意味だよ・・・?聞き出す前に、ネプチューンは抱えていた銀色の壷を持ち直すと、壷からなぜか水が噴出した。なんじゃありゃっ!?ルーシィの星霊にも、こんな奴いたよな。すぐに大波を起こす人魚が・・・って、そんな事言ってる場合じゃねぇな。俺は両手に冷気を溜めると、

グ「アイスメイク、(シールド)ッ!!」

氷の盾で防いだ。

ネ「なるほど。氷の魔道士でしたか。私の方が不利ですね。」

なんだ?すでに負けを認めてる発言したぞ?

ネ「ですが、私は海王星の守護神であり、海王星を支配する者。そう簡単に倒れはしませんっ!」

グ「守護神なのに、何で海王星を支配するんだよっ!?」

俺の声は聞こえていないみたいに、ネプチューンは俺の声を無視し、また壷を持ち直し、また水が勢いよく水が噴射した。

グ「今度は凍らせてやるか。」

俺はまた両手に冷気を溜めると、

グ「おらぁぁぁぁぁっ!!」

襲い掛かってきた水を凍らせた。が、凍ったのはほんの一瞬だけだった。氷がドロドロに溶け始めた。そこから湯気が立ち上る。

グ「まさか・・・!熱湯かっ!?ぐぼぉぉぉぉぉっ!!」

俺は襲い掛かってきた熱湯になすすべも無く体を飲み込まれた。

グ「ん・・・っあぁぁぁっ!!」

何とか自力で熱湯から逃れたものの、熱湯を体全身に浴びたんだ。火傷をしないはずがない。

グ「ってぇぇぇぇぇ~~~!」

俺は地面に転がり、火傷の痛みを必死に我慢した。

ネ「あら。火傷をしてしまったようですね。」

誰のせいだと思ってんだよっ!氷で冷やそうとすると、

ネ「私が冷やしてあげますよ。」

すると壷からまた水が噴射した。俺はかわす事が出来ずに、また体を飲み込まれた。今度は本当に()()()()だ。が、

グ「ひょっへぇぇぇぇぇっ(しょっぺぇぇぇぇぇっ)!!」

冷たい()()だ。

グ「ん・・・ぶはぁぁぁっ!!」

また何とか自力逃れたものの・・・

グ「がはっ・・がはっ、がはっ・・・」

や、やべぇ・・・大量に海水飲んじまった・・・・し、しかも・・・海水には約3.5%塩分が含まれている。だから・・・

グ「うあぁぁあっ!」

傷口や火傷にめちゃくちゃ沁みる。俺はほとんど体全身を火傷したから、海水のせいで体全身に刺激が走る。

ネ「どぉ?水だけでこんなに人間をボロボロに出来るんですよ。驚きましたか?」

ネプチューンは、痛みでうずくまっている俺を欺くように笑みを浮かべる。口元は笑っているが、相変わらず光が射し込んでいない黒い瞳は笑っていない。たぶんネプチューンは、『ブラックテンプラネット』のせいで『闇』に落ちたんだろうな。『ブラックテンプラネット』は強大な闇魔法だ。いくら神だからって、たった1人で惑星を強大な闇魔法から守りぬくのはかなり困難だ。10の惑星が『闇』に染まる事になれば、守護神ももちろん『闇』に染まる・・・だが、500年間封じられてきた為、10の惑星は無事だったが、10の惑星を守る10人の守護神は・・・このままじゃ、海王星も、ネプチューンも・・・俺は火傷を何ヶ所か凍らせ、痛みに耐えながらよろよろとゆっくり立ち上がり、集中する為服を脱ぐ。

ネ「えっ?なぜ服を・・・?」

し、仕方ねぇだろ。癖なんだからよ。

ネ「ていうか、まだ戦うんですか?勘も鋭いうえに、粘り強いとは、なかなか殺しがいのある魔道士ですね。」

勝手に殺すな。俺は痛みに耐えながら両手に冷気を溜めると、

グ「アイスメイク、槍騎兵(ランス)ッ!!」

氷の槍がネプチューン目掛けて飛んでいく。

ネ「そんな攻撃、無駄ですよ。」

また壷から水・・・いや、熱湯が噴出した。容赦なく氷をドロドロに溶かし、また俺に襲い掛かってくる。

グ「アイスメイク、城壁(ランパード)ッ!!」

巨大な城の壁のような氷が銀色の空間を覆い尽くす。

ネ「ま、まだそんなに魔力が残っていたんですかぁっ!?」

ネプチューンは驚きながらも、攻撃を止めない。熱湯もどんどん氷をドロドロに溶かしていく。

グ「ネプチューン、お前は間違ってるっ!」

ネ「何がですか?私は海王星の守護神でもあり、海王星の支」

グ「その思い込みが間違ってるって言ってんだよっ!!」

ネ「!?」

ネプチューンは光が射し込んでいない黒い瞳を見開く。俺はネプチューンの黒い瞳を氷越しから見つめる。

グ「お前は『闇』に心を乗っ取られてるだけだっ!守護神がそんなんでどうすんだよっ!?お前は海王星を闇から永遠に守り抜いていくんだよっ!神が、『闇』なんかに、負けんじゃねぇぇぇぇぇっ!!」

ネ「!?」

俺が言い終わった時には、すでにネプチューンの黒い瞳には光が射し込んでいた。すると、ネプチューンの体が銀色に光だし、光が射し込んだ黒い瞳で俺に微笑むと、消えてしまった―――――

****************************************************************************************

グ「・・あ、あれ?い、いつの間に・・・?」

いつの間にか俺は元の場所に戻って来ていた。もちろん、木の上に登ったままの状態で。目の前には『ブラックテンプラネット』・・・いや・・・『ホワイトテンプラネット』が木に引っかかっていた。俺はそっと引っかかっている木の枝を除けてやり、動けるスペースをつくる。すると、『ホワイトテンプラネット』は空高く舞い上がり、見えなくなった。

グ「これで海王星は、『闇』になんなくて済んだぜ。」

安心したその時、バキッ!

グ「え・・・?」

バキッ!バキバキッ!俺が上に乗っていた木の枝が折れ始めた。そして―――バキッ!!

グ「うぉあっ!」

ユ「えっ?グキャアアァァアッ!!」

俺は見事に地面に落下。だけど、そんなに痛くない。しかも、地面に落ちる直前に悲鳴(?)みたいな声が・・・?

ユ「うぅ・・・」

すると下から呻き声(?)が聞こえた。下を見ると、

ユ「グ、グレイ・・は、早く、降りてもらえると、ありが、たい・・・」

グ「えっ!?ユ、ユモォッ!?えぇっ!?」

俺はユモを下敷きにしていた。でも、何でユモがここに?まぁひとまず、俺はユモから降りる。

ユ「(いた)たたたた・・・グレイはよく私の上に落ちてくるね。」

そう言われりゃあ、確かに・・・幸福の花(ハピネスフラワー)のサクラと戦った時も、竜の遺跡捜しの時も・・・って、恥ずかしい事を思い出させるなよっ!

グ「てか、何でお前がここにいるんだ?」

ユ「私、『ブラックテンプラネット』を止めたから、皆と合流しようと思って皆の事捜してたの。まぁ、さっきまで気を失ってたんだけどね。で、捜してる途中に、なぜかグレイが木から落ちてきて、下敷きになったってわけ。」

あ、なるほど。するとユモは済んだ青い垂れ目を見開くと、

ユ「グ、グレイッ!?ど、どうしたのいったいっ!?火傷だらけじゃんっ!」

グ「えっ?」

あ、そういや熱湯を体全身に浴びたんだっけ。すっかり忘れてたぜ。するとユモは冷気を溜めた右手を俺の右肩に軽く押し付ける。

グ「いっ!」

ユ「あ、ゴメン。でも、すぐに冷やさないと傷跡が残っちゃうよ。」

そうゆうユモも、額にでけぇ~傷跡があるだろ。まぁ、俺もだけど。





『ブラックテンプラネット』の数、残り4個―――――





 
 

 
後書き
第146話終了です☆
グレイの活躍により、海王星が救われたっ!もう少しで、全宇宙は救われるっ!
次回はリョウが『ブラックテンプラネット』を止めるために立ち向かう!
次回でお会いしましょう~☆ 

 

第147話 Jupiter

 
前書き
駄作者07で~す♪
今回はリョウが『ブラックテンプラネット』を止めるために立ち向かう!ちょっとリョウの過去の話も含まれています。
もちろん、リョウ目線でいきますよ。
それでは、第147話・・・スタート♪ 

 
空には満月が昇り、コロールの森を金色の光で照らした。だが、俺には月の光が早く宇宙を救ってくれとお願いしてるように感じた。

リョ「はぁ、はぁ・・はぁ・・・はぁ、はぁ・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・はぁ、はぁ・・・はぁ、はぁ・・はぁ、はぁ、はぁ・・はぁ・・・・はぁ・・・はぁ・・はぁ、はぁ・・はぁ・・・」

10に分裂して、コロールの森中に飛んで行った『ブラックテンプラネット』を捜す為、俺はずっと走り続けていた。もう足はボロボロだ・・・

リョ「はぁ、はぁ・・こ、ここで、休んだら・・・はぁ、宇宙が、『闇』に・・・!はぁ・・はぁ、はぁ・・・はぁ、はぁ、はぁ・・はぁ・・・はぁ・・・・はぁ、はぁ・・はぁ、はぁ・・・」

俺は聖剣(エクスカリバー)の『天力剣』を杖代わりに1歩1歩ボロボロの足を前に進める。

リョ「い、急がねぇと、宇宙が・・・!」

なぜ俺がこんなにも必死かとゆうと、もちろん全宇宙を救う為でもある。でも、これは父さんの為でもあるんだ。1年前に死んだジェノロ家の資産家である俺の父さん、プノン・ジェノロは、俺が幼い頃によく宇宙の話をしてくれた。

****************************************************************************************

プ『リョウ、地球は何で存在するか解るか?』

幼リョ『う~~~ん・・・あっ!生物が住んでいるからっ!』

プ『ハハハ。リョウは面白い事を言うんだな。正解は、太陽系があるからだ。』

幼リョ『た、()()()()系?』

プ『食べ物じゃない。太陽系だ。宇宙にある10の惑星から成り立っている、「集団」のようなものだ。』

幼リョ『10の惑星って?』

プ『太陽、水星、金星、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星、そして、水と空気に恵まれて、たくさんの生物が生きて暮らす事が出来る地球。この10個の惑星を一まとめにしたものを、太陽系って言うんだ。』

幼リョ『へぇ~。』

プ『ほら、この望遠鏡を覗いてごらん。』

幼リョ『うわぁ~!すげぇ~~~!』

****************************************************************************************

あの時、父さんと一緒に望遠鏡で覗いた太陽系は、死ぬまで忘れねぇ。その時俺が見て一番感動したのは木星だ。めちゃくちゃでかかったなぁ~。涙が一筋俺の頬を濡らした。父さんが大好きだった宇宙。

リョ「ぜってぇ~に、『闇』になんか染めさせるか。」

俺は固く握った拳で涙を拭った。その時、

リョ「!」

背後から凄まじい魔力を感じた。驚いて振り返ると、緑色に光り輝く『ブラックテンプラネット』が宙を漂っていた。

リョ「これが宇宙を支配しようとしてるのか。やっとご対面だぜ。ん?あれは・・・」

気のせいか?『ブラックテンプラネット』の中に何かが写っている気が・・・近づいて見ると、惑星が写っていた。その惑星は―――――

リョ「も、木星だ・・・!」

父さんから木星について教えてもらった事を思い出す。太陽系の第5惑星。最もでかい惑星で、地球上の植物を見守る巨大な神の惑星とゆう伝説から、『巨木の惑星』と呼ばれているらしい。この『ブラックテンプラネット』は、木星を支配するのか・・・!俺は更に拳を固く握り締める。

リョ「ぜってぇ~に止めてやるっ!」

杖代わりに持っていた『天力剣』と、『銀覇剣』を腰から抜いて振りかざそうとしたその時、『ブラックテンプラネット』の緑色の光が輝きを増した。

リョ「いったい、どうなってやがるっ!?」

俺はあまりの眩しさに目を覆った。

****************************************************************************************

リョ「えっ?ここは・・・?」

目を開けると、そこはコロールの森ではなく、四方八方緑色の空間だった。俺はその空間の中で漂っていた。

リョ「あ、あれ?『ブラックテンプラネット』は・・・!?」

『ブラックテンプラネット』を見つけようと辺りを見回していると、ふと視線に止まったのは球体型の惑星(?)のようなもの。あ、あれは・・・!間違いないっ!

リョ「木星だっ!」

幼い頃、父さんと一緒に望遠鏡で見た木星と瓜二つだ。こんな間近で見られるなんて思っても見なかった。だが、ここは宇宙ではない事はすぐに分かった。木星はあるが、そのすぐ傍にあるはずの火星と土星は?地球だってない。つまりここは・・・

リョ「『ブラックテンプラネット』の中ってゆう事かよ・・・」

?「正解だ。」

リョ「!?」

驚いて声のした方を振り向くと、

リョ「えっ?」

そこには俺と同い年くらいの男がいた。緑色の短髪に、緑と茶色のまだら模様の服を着て、草履を履いている手には柄が緑色で、聖剣(エクスカリバー)とは少し違う剣を腰に差している。そいつの緑色の瞳には光が射し込んでいない。俺は持っていた『銀覇剣』の剣先を男に向けて、

リョ「お前は誰だ。」

すると男は少し威張るような口調で、

ジュ「俺は木星の守護神、ジュピターだ。」

しゅ、守護神ッ!?木星のっ!?俺は開いた口が塞がらなかった。だが、その後ジュピターが言った一言にますます開いた口が塞がらなくなった。















ジュ「木星の守護神でもあり、木星の支配者でもある。」















リョ「え・・・?」

も、木星の守護神が・・・木星の、し、支配者ッ!!?聞く間もなく、ジュピターは腰から剣を抜くと、

ジュ「はぁぁぁぁぁっ!」

剣を俺に向かって振りかざしてきた。俺は我に返り持っていた『銀覇剣』でギリギリ防いだ。が、威力はジュピターの方が上だ。

ジュ「邪魔者は消すまでだ。」

リョ「ど、どうゆう意味だっ・・・!?」

ジュ「そのまんまの意味だ。」

ジュピターの光が射し込んでいない緑色の瞳が冷たく光る。ジュピターの奴・・・『闇』に、落ちたんじゃ・・・!『ブラックテンプラネット』は強大な伝説の闇魔法だ。いくら魔法の本体は封じる事が出来ても、500年もあそこに止めておくのが不可能に近い。『ブラックテンプラネット』の魔力だけが湖から抜け出し、10の惑星の守護神だけを『闇』に陥れたんだ。俺が自己推理をしていると、ジュピターが一度俺から離れ、剣を構え直すと、

ジュ「だりゃあああぁああぁぁああああああああああっ!」

ものすごい速さで剣を構えて突進してきた。俺はその速さについていけずに・・・

リョ「がはぁっ・・・!」

ジュピターの剣は俺の左横腹に突き刺した。俺の左横腹を貫通し、血が噴出す。口から血を吐き出す。

リョ「ぁぁ・・ぁっ・・・」

俺がいつも着ている緑色の着物が俺の血でどんどん真っ赤に染まっていく。ジュピターは剣を荒々しく俺の左横腹から抜き取る。俺はその場にガクンッと倒れ、立ち上がる事が出来なくなった。

リョ「はぁー・・・・はぁー・・・はぁー・・・・・」

視界がぼやけ、呼吸するのも辛くなる。ジュピターは剣に付いた俺の血を、緑色の空間にポタポタと垂らしながら俺にゆっくり歩み寄る。そして、倒れている俺の真ん前に来ると、血で汚れた剣先を俺の喉元に向ける。俺が少しでも動けば、剣先が俺の喉元に突き刺さって、俺は確実に死ぬ。

ジュ「お前がどうやってここに来たかは知らないが、木星の支配の邪魔をしたのが運の尽きだったな。これで終わりだ。」

そう呟きながら、血で汚れた剣を構える。俺は倒れた状態のまま、荒く呼吸をした状態で、

リョ「はぁー、はぁー・・お前・・・はぁー、めちゃくちゃ・・・小さい、な・・・はぁー、はぁー・・・はぁー・・・・」

ジュ「!?」

顔が見えなくても、ジュピターが光が射し込んでいない緑色の瞳を見開いたのが分かる。

リョ「はぁー、はぁー・・お、俺は、お前の、心は・・はぁー、はぁー・・・も、木星みたいに、でかいと、思ったぜ・・・はぁー、はぁー・・・でも、まさか、こ、こんなに、はぁー・・小さい、なんて・・お、思っても・・・はぁー・・はぁー、みなかった、ぜ・・・はぁー、はぁー・・・」

ジュ「・・・・・」

ジュピターが持っている剣の剣先が小さく震えている。

ジュ「はぁー・・はぁー、や、『闇』なんかに・・・はぁー、負けんてんじゃ、ねぇよ・・・!」

俺は左手で痛む横腹をグッと押さえながら、よろよろと立ち上がる。

リョ「はぁー、はぁー・・く、黒く、輝くな・・・!し、白く、輝けよ・・・!!はぁー・・・はぁー、はぁー・・はぁー・・・・」

ジュ「!?」

リョ「はぁー・・はぁー、お、お前は・・・はぁー、木星が、え、永遠に・・はぁー・・・はぁー、白く、輝いて、いけるように・・はぁー、ま、守り、抜いて、行くんだろ・・・はぁー・・はぁー、はぁー・・・・」

ジュ「!」

俺が言い終わった時には、すでにジュピターの緑色の瞳に光が射し込んでいた。すると、ジュピターの体が緑色に光りだした。ジュピターは光が射し込んだ緑色の瞳で俺に小さく微笑むと、消えた―――――

****************************************************************************************

リョ「・・・!!?」

いつの間にか俺はコロールの森に戻って来ていた。目の前には、白く光り輝く『ブラックテンプラネット』・・・いや、『ホワイトテンプラネット』が宙に漂っていた。『ホワイトテンプラネット』は空高く舞い上がると、見えなくなった。

リョ「こ、これで、木星は・・・ぅぁ・・・・!」

横腹の痛みが更に増してきて、俺はその場に倒れ込んだ。立ち上がろうとしても、体に力が入らなかった。その時、

プ『リョウ。』

脳裏に望遠鏡を抱えた父さんが浮かび上がった。一筋の涙が地面に流れ落ちる。

リョ「と・・父、さん・・・」

俺の意識は、そこで途絶えた。





『ブラックテンプラネット』の数、残り3個―――――





 
 

 
後書き
第147話終了~♪
リョウの活躍により、木星は救われたっ!
次回はルーシィが『ブラックテンプラネット』を止めるために立ち向かう!
それでは次回お会いしましょう~♪ 

 

第148話 Venus

 
前書き
呼ばれて飛び出てジャジャジャーーーン!07です!
今回はルーシィが『ブラックテンプラネット』を止めるために立ち向かう!ルーシィ1人で大丈夫なのぉ?
もちろん、ルーシィ目線で書いていきます。
それでは、第148話・・・スタート! 

 
ル「うわぁ~!」

空には満天の星空が広がっていた。銀色や赤、青や金色、色とりどりに光り輝く無数の星と、金色に光り輝く満月が真っ暗なコロールの森を照らし出していた。私はその夜空に見惚れていた。

ル「あっ!あれは射手座だから、サジタリウスね。あっちは、琴座だからリラ!こっちに見えるのは、水瓶座だから、アクエリアスねっ☆」

私は星座を見つけては星霊に当てはめていった。

ル「はっ!私ったら何やってんのよぉ~!今は『ブラックテンプラネット』を捜してる最中なのよっ!『ブラックテンプラネット』を止めて、全宇宙を救わないと、こんなに綺麗な星空だって見れなくなっちゃうんだからっ!」

でも、やっぱりこんな真っ暗な森の中で1人は嫌だなぁ~。な、何か出そうで怖いのよねぇ~・・・ダ、ダメダメッ!『怖い』って思ったら余計に怖くなっちゃうっ!こ、怖くない・・怖くない・・・

ル「あぁ~ん!やっぱり怖い~~~っ!」

その時、

ル「ひぃっ!」

背後から魔力を感じた。な、何・・・?もしかして、敵・・・?大量の冷や汗を流しながら恐る恐る振り返ると、金色に光り輝く火の玉が・・・

ル「キャアアアアアアアアアアアアアアアッ!・・・って、火の玉って金色だったっけ?」

トーヤが契約してる火の玉も、赤と青よね?もう一度勇気を出して振り向くと、確かに金色だけど、火の玉ではなく、金色に光り輝いている『ブラックテンプラネット』だった。

ル「な、なぁ~んだ、ただの『ブラックテンプラネット』かぁ~・・・って嘘ォォォォォッ!?」

こ、ここここれを、と、ととと止めれば、いいのよね・・・?止めなかったら、エルザに何されるか分からないし・・・それにしても、いったいどうやって止めればいいのかしら?

ル「う~~~ん・・・?」

腕組をして、金色に光り輝いている『ブラックテンプラネット』を見つめながら考えていると『ブラックテンプラネット』の中に何かが写っている。何かしら?恐る恐る近づいて見ると、惑星が写っていた。この惑星は―――――

ル「き、金星・・・よね?」

そういえば、以前リョウが惑星について話してたっけ。なぜかリョウは宇宙についていろいろ知ってるのよね。私はリョウから聞いた話から金星についての事を思い出す。確か・・・太陽系の第2惑星。地球から最も明るく見える惑星なのよね。世界一美しく、愛を大切にする女神が住んでいたとゆう伝説から、『愛と美の惑星』とも呼ばれるのよね。どんな女神様何だろう?・・・って、そんな事より、

ル「これを早く止めないと、金星が・・・!」

黄道十二門の鍵を取り出そうとしたその時、『ブラックテンプラネット』の金色の光がいきなり輝きを増した。

ル「な、何なのよぉ~!!?」

私はあまりの眩しさに目を覆った。

****************************************************************************************

ル「・・・あ、あれ?ここドコォ~~~!?」

四方八方金色に染まった謎の空間に、私の声が木霊した。

ル「わ、私、さっきまでコロールの森にいたわよね?」

で、『ブラックテンプラネット』を見つけて止めようとしたら、いきなり『ブラックテンプラネット』が金色に輝きだして、気がついたら、なぜかこの変な空間にいた。戸惑って、辺りをきょろきょろ見回していると、遠くの方で球体型の惑星(?)が見えた。あ、あれは・・・!

ル「金星・・・!」

え、えぇっ!?き、金星が目の前って、どうなってるのよぉ~!?・・・ん?冷静に考えてみれば、さっき見つけた『ブラックテンプラネット』に金星だけが写ってたわよね。ほかには何も写っていなかった。だとするとここは・・・!

ル「『ブラックテンプラネット』の中・・っていう事になるわね・・・」

あららぁ~、私ったら何ていうところに来てしまったんでしょうかぁ~。・・・ますます不安になってきたじゃない!それにしても、一面が金色って・・・趣味悪いわねぇ~。その時、

ル「!」

背後からさっきよりもやばい魔力を感じた。さっきよりも大量の冷や汗を流して、恐る恐る振り返ると・・・

ル「え・・・?」

そこにいたのは、私と同い年くらいのものすごく美人で綺麗な女の子。長い金髪をピンク色のリボンで低い位置でツインテールに束ねて、足首まですっぽり隠れるゴージャスな金色に輝くシルクのドレスを身に纏って、ピンク色のイヤリングとネックレスがキラキラ輝いている。手にはなぜか金色に輝く鞭が握られている。

?「こんにちは。」

ル「えっ?あぁ、こ、こんにちは。」

歌うような綺麗な声で星空みたいに見惚れちゃう。でも、その女の子のピンク色の瞳には光が射し込んでいなかった。

ヴィ「私はヴィーナス。金星の守護神よ。」

金星の守護神さんかぁ~。私はてっきり、あの伝説の世界一美しくて、愛を大切にする女神様かと思ったわ。















ヴィ「でもね、今の私は、金星の支配者なのよ。」















へぇ~。金星の支配者さんかぁ~・・・ってえぇぇぇぇぇっ!?

ヴィ「だからね、邪魔者は消しちゃうのよ。ゴメンナサイね。」

笑顔で言いながら、手に持っていた鞭を私に向かって力強く打ち付ける。私はすばやく鞭をかわすと、左の腰に装備している伸縮自在の鞭、エリダヌス座の星の大河(エトワールフルーグ)を握り締める。

ヴィ「あら。あなたも鞭を持っているのね。」

ル「これはただの鞭じゃないわ。伸縮自在の鞭よっ!やあぁぁぁっ!」

ヴィ「よっとぉ。」

足首まで隠れる長いドレスを着ているのにも構わず、華麗に私の攻撃を避ける。

ヴィ「我武者羅に振り回したって当たらないわよ。」

すると、どこから取り出したのか、ヴィーナスはピンク色に輝く鞭を握っていた。あれ?金色とピンク色の鞭・・・

ル「2本あるなんてずるいわよっ!」

ヴィ「あら。私はそんな卑怯な事はしませんよ。私は最初から鞭を2本装備してましたよ。それに気づかないあなたが悪いのではないですか?」

ル「キィィィィィッ!」

いちいち言葉に棘があるわねっ!

ヴィ「余所見は禁物ですよっ!てぇぇぇいっ!」

ル「キャアッ!」

シュルルルルルと私の首にピンク色の鞭が巻き付く。ヴィーナスはピンク色の鞭をギギギギと締め上げる。

ル「()・・ぐる(くる)じぃ(しぃ)・・・!」

地面に膝を着いて、解こうとするけど、どんどんきつく締め上げられるだけ・・・

ヴィ「これで終わりだと、思わないで下さいね。はぁぁぁぁぁっ!」

バチィィィンッ!

ル「うああぁあっ!」

金色の鞭で、私の背中を打ち付ける。

ヴィ「たぁぁぁぁぁっ!」

ベチィィィンッ!

ル「んぎぃいぃぃっ!」

こ、これじゃあまるで、鞭でお仕置きを受けてる、哀れな子羊・・・!

ヴィ「らぁぁぁぁぁっ!」

バチィィィンッ!

ル「ああぁぁあぁああっ!」

服は破れ、打ち付けられたところは赤く腫れ上がってる。い・・痛い・・・!その時、

ア「ウールボムッ!」

ヴィ「えっ?」

ロ「王の光(レグルス)よ、我に力を・・・!」

ヴィ「キャァアアァァアッ!」

ヴィーナスが10mくらい吹っ飛ぶ。その反動で、私の首に巻き付いていたピンク色の鞭がするりと解けた。そして、私の目の前にいたのは―――――

ル「ロキ(レオ)!アリエスッ!」

ロ「王子様参上ッ!」

ア「大丈夫ですか?所有者(オーナー)?」

もこもこの白い服を着たアリエスと、獅子(ライオン)のような逆立った髪、黒いスーツを着たロキ(レオ)がいた。自分自身の魔力で(ゲート)を潜って来たんだ。あれ?ていう事は、もしかして私、今魔力0!?

ヴィ「お、黄道十二門の獅子宮と白羊宮・・・なかなか強い星霊を()()()()()のね。」

2本の鞭を構えながら口から血を流したヴィーナスが立ち上がる。

ル「星霊は()()()()()じゃないわ。()()のよっ!『物』みたいな言い方しないでっ!」

私は胸に手を当てて言う。それを聞いたロキ(レオ)とアリエスが嬉しそうに小さく微笑んだ。

ヴィ「あら。ゴメンナサイ。」

ヴィーナスはウィンクをする。全然反省してないわね・・・

ル「星霊は私にとって『物』じゃないの。『友達』なのっ!!」

ヴィ「あなたはとっても綺麗な心の持ち主ね。でも、その綺麗な心のせいで、儚い命だとゆう事を後悔しないでねっ!はぁぁぁぁぁっ!」

ヴィーナスは2本の鞭を同時に振りかざして私に襲い掛かってくる。

ア「ウールボムッ!」

アリエスのふわふわの毛(?)で防ぐ。

ア「所有者(オーナー)は、ルーシィさんは!私達星霊の事を大切に思ってくれる。」

ロ「その思いが、どんなに哀れで儚くても、僕達星霊の力になるんだ。」

アリエス・・・ロキ(レオ)・・・私はアリエスに支えてもらいながらゆっくり立ち上がると、

ル「ヴィーナス、あなたにとって金星は何?」

ヴィ「簡単な質問ね。私の役割よ。金星を支配する事が、私の役」

ル「違うっ!そんなの間違ってるっ!」

ヴィ「!?」

ヴィーナスが光が射し込んでいないピンク色の瞳を見開く。

ル「あなたにとって金星は、『守るべきもの』なの。あなたがいるから、今まで金星は、輝いていられたのよ。あなたが、『闇』に染まったら、金星は、輝きを失っちゃう。宇宙は、輝いていけないのよ・・・」

ヴィ「!?」

私はヴィーナスにそっと傷だらけの手を差し出す。

ル「ほら・・・手を伸ばせば、こんなに近くに、『光』があるのよ・・・・」

ヴィ「!」

ヴィーナスのピンク色の瞳には、すでに光が射し込んでいた。すると、ヴィーナスの体が金色に光りだした。ヴィーナスは、光の射し込んだピンク色の瞳で私に微笑んだ。最後にヴィーナスは私が差し出した傷だらけの手を握ると消えてしまった―――――

****************************************************************************************

ル「・・・あ、あれ?」

いつの間にか私はコロールの森に戻って来ていた。ロキ(レオ)とアリエスも、星霊界に帰って行ったみたい。すると、目の前に『ブラックテンプラネット』・・・いや、白く光り輝く『ホワイトテンプラネット』が宙を漂っていた。『ホワイトテンプラネット』は、空高く舞い上がると、見えなくなっちゃった。私は満天の星空を見上げる。

ル「きっと、金星は救われたわよね。」

その時、

バ「姫。」

ル「キャアッ!バ、バルゴォッ!?てか、どんなところから出て来てんのよぉっ!」

バルゴが自分自身の魔力で私の足元から出て来た。

ル「どうしたの?急に出て来て?」

バ「事情は後程説明致します。とりあえず、私について来て下さい。」

そう言うと、バルゴは得意の穴掘りで地面に潜って行っちゃった。ちょうど私も通れるくらいの穴だ。

ル「ちょっとバルゴォ~!置いて行かないでぇ~!」

私も穴を潜ってバルゴの後を必死に追いかけた。

****************************************************************************************

ル「ぷはぁっ!やっと着いたぁ~。」

相変わらず、バルゴは穴掘りが得意なんだから。

バ「お仕置きですか?」

ル「褒めてるのよっ!」

バ「そうですか。ではまず、あちらを・・・」

ル「あちらって・・・」

バルゴの視線の方に、私も視線を移すと、

ル「!リョ、リョウッ!?」

地面に血だらけでリョウが倒れていた。私は急いで駆けつけて、リョウの肩を揺さぶる。

ル「ちょっとリョウ!どうしたのよいったいっ!?ちょっと!しっかりしなさいよっ!」

リョ「・・・・ん・・・?ルー・・シィ・・・?」

リョウが茶色い瞳を薄っすらと開ける。よかったぁ~。安心したのも束の間。リョウは左横腹から大量に血を流していて、呼吸するのも苦しそう・・・

ル「バルゴ、包帯とか持ってる?」

バ「はい。すでに準備は整っています。」

いつの間にか私の横に、大量に積まれた包帯と、大量の湿布や絆創膏に、傷薬が置いてあった。流石バルゴ。準備が早いわね。

バ「お仕置きですか?」

ル「だから褒めてんのよっ!」

バルゴに突っ込みながらも、リョウの左横腹に傷薬を塗っていく。

リョ「・・ぅ・・・ぅぁ・・・!」

ル「ちょっと沁みるけど、我慢して。」

傷薬を塗った後は、少し乾かして、その上から包帯を巻いていく。

リョ「ル、ルー・・シィ・・・はぁー、はぁー・・ブ、『ブラックテンプラネット』は・・・?はぁー、はぁー・・・」

リョウが辛そうに呼吸をしながら聞いてくる。

ル「大丈夫。ここに来る前に、金星を支配しようとしていた『ブラックテンプラネット』を止めたわ。」

私が答えると、

リョ「はぁー・・はぁー、そ、そうか・・・はぁー、はぁー・・はぁー・・・・」

嬉しそうに薄っすら笑みを浮かべる。そういえば、以前リョウから「お父さんが宇宙が好きだった」って聞いた覚えが・・・すると、

リョ「はぁー、はぁー・・き、金星・・・か。はぁー・・はぁー、『愛と美の惑星』・・・はぁー、はぁー、ル、ルー・・シィに・・・はぁー、ぴったり、だ・・・」

ル「えっ?」

金星が、私にぴったり?どうゆう事?聞く前に、リョウは気を失っちゃった。すると後ろで聞いていたバルゴが、

バ「恐らく、リョウ様は「(ルーシィ)が美しく、愛を大切にする女神様のような人だ」と、言いたかったんではないでしょうか?」

わ、わわわわ私が・・・!世界一美しくて、愛を大切にする、女神様のような人ォッ!?体温が上昇していくのが自分でも分かる。たぶん、今の私は顔が真っ赤だと思う///////////////するとバルゴが、

バ「でぇきてるぅ~。」

ル「巻き舌風に言うなっ!」





『ブラックテンプラネット』の数、残り2個―――――





 
 

 
後書き
第148話終了ですっ!
ルーシィの活躍により、金星は救われたっ!
次回はマヤが『ブラックテンプラネット』を止めるために立ち向かう!
それではバイバ~イ! 

 

第149話 Sun

 
前書き
こんにちは~☆07で~す☆
今回はマヤが『ブラックテンプラネット』を止めるために立ち向かう!
もちろん、マヤ目線で書いていきますよ。
それでは、第149話・・・スタート☆ 

 
マ「う~~~ん・・・どこにもないなぁ~。」

私は今、フレイと一緒に空から『ブラックテンプラネット』を捜している。あんなにキラキラ輝いていたから、空から捜した方が見つけやすいと思ったんだけど・・・

フ「ほとんど無意味な捜し方だったな。」

マ「それを言わないのっ!」

フ「とにかく、下に下りるぞ。」

私とフレイは暗い森の中に下りた。いつの間にか、空には金色に光り輝く満月が昇っていた。

マ「皆はもう、『ブラックテンプラネット』を止めたのかな?」

フ「さぁな。でも、全員がバラバラになってからもう3時間以上は経っているんだ。たぶん、ほとんどの奴は止めてると思うぜ。」

そっかぁ~。もう3時間も経っていたのか・・・急がないと、宇宙が・・・!そう思ったその時、

マ&フ「!」

私とフレイの目の前を、オレンジ色に光り輝く『ブラックテンプラネット』が宙を漂いながら通り過ぎていった。私とフレイは顔を見合わせると、

マ&フ「ま、待てぇぇぇーーーーー!」

『ブラックテンプラネット』を追いかけた。案の定、『ブラックテンプラネット』は移動するのが遅くて、私とフレイはすぐに追いつく事が出来た。

マ「フレイ、これを止めればいいんだよね?」

フ「あぁ。ん?マヤ、『ブラックテンプラネット』に、何か写ってねぇか?」

マ「えっ?どれどれ?」

『ブラックテンプラネット』が近づいて見てみると、フレイが言ったとおり、『ブラックテンプラネット』に何かが写っている。そこに写っていたのは―――――

マ&フ「た、太陽ッ!?」

赤々と灼熱の炎を纏った巨大な太陽。見ているだけで熱いっ!

フ「この『ブラックテンプラネット』は、太陽を支配する事が出来るんだな。」

マ「私がこれを止めればいいんだね。でも、どうやって止めるの?」

フ「俺が知る訳ないだろ。」

だよねぇ~。腕組をして考えていると、突然『ブラックテンプラネット』のオレンジ色の光が輝きを増した。

マ「えぇぇぇ~!?なになになにぃ~!?」

私はあまりの眩しさに目を瞑った。

フ「マヤァーーーーーーーーーーッ!」

****************************************************************************************

マ「・・・あ、あれぇ~!?」

目を開けると、私はコロールの森ではなく、摩訶不思議なオレンジ色の空間の中で、ふわふわ漂っていた。

マ「あ、あれ?フレイ?」

さっきまで隣にいたはずのフレイがどこにもいない。

マ「フレイーーーッ!どこぉーーーーーっ!」

フレイの名前を叫んでも、フレイの声は聞こえない。摩訶不思議のオレンジ色の空間の中、私は1人。

マ「う、嘘・・・ど、どうなってるの・・・?」

不安と恐怖が頭の中を駆け巡る。ふと視線を下に向けると、

マ「えぇぇぇっ!?」

私のすぐ真下に、巨大な惑星があった。あれは・・・!

マ「た、太陽ッ!?」

わ、私、太陽の真上にいるんですけどっ!?でも、太陽があるのは宇宙だよね?じゃあ、なんで月や地球がないの?腕組をして考えていると、

?「ここは宇宙ではありません。」

マ「!」

凄まじい魔力と、迫力のある女の人の声が背後からした。恐る恐る振り返ると、

マ「えっ?」

そこにいたのは、背の高い女の人。オレンジ色の長い髪の毛に、オレンジ色のポンチョ風の服に、赤いミニスカート。手には本酔いしそうな赤い表紙の分厚い本を抱えている。うぅ・・・私は慌てて口を押さえる。ヤ、ヤバイ・・本酔いしちゃった・・・

マ「て、ていうか・・ここ、が、宇宙じゃ、ないって・・どうゆう事・・・?」

?「はぁーーー・・・」

私が聞くと、女の人は長いため息をついた。そ、そんなに呆れなくてもいいじゃんっ!

?「ここは太陽を支配する事が出来る『ブラックテンプラネット』の中です。」

マ「なぁ~んだ、『ブラックテンプラネット』の中かぁ~・・・ってえぇぇぇぇぇっ!?」

?「反応が遅いですわ・・・」

い、いつの間に私、『ブラックテンプラネット』の中にぃっ!?これは怪奇現象か何かっ!!?

サ「そして私は、太陽の守護神、サンです。」

マ「しゅ、守護神ッ!!?」

さっきから驚いてばかりの私。そんなのお構い無しに、()()太陽の守護神と名乗るサンは、抱えていた赤い表紙の本を開いた。

サ「()()ではなく、()()に太陽の守護神です。」

・・マ、マジ・・・?するとサンは、光が射し込んでいないオレンジ色の瞳で私を見つめると、















サ「言い忘れていましたが、私は太陽の支配者、サンでもありますので。」















マ「・・・へっ?」

今サンが言った事が理解出来なかった。

サ「支配の邪魔をする者は、私が消してあげます。」

するとサンが抱えていた本にオレンジ色の魔法陣が浮かび上がり、その魔法陣から文字が浮かび上がってきた。レビィの魔法、立体文字(ソリッドスクリプト)みたい。でも、浮かび上がった文字は私には読む事が出来ない。古代文字みたいな変な形をした文字だから。何て読むんだろう?

サ「これは語学が分からない人では、難しい魔法です。」

うん!私、語学が大の苦手だよっ!すると、浮かび上がった意味不明な文字は、私に向かってすごいスピードで飛んできた。すると、飛んできた文字が一瞬にして燃え上がった。

マ「ひょーーーっ!」

私は間一髪のところで燃え上がった意味不明な文字をかわした。

サ「私の魔法は立体古代文字(ソリッドエンシェントスクリプト)。あの文字はローグ文字と言うの。さっきローグ文字で書かれていたのは、『炎上』。あれに当たっていたら、あなた丸焼きになってたわね。」

こ、こんな危険な魔法を使う人に、動物達を戦わせるわけにはいかないっ!私は白いショートパンツのポケットから火炎石を取り出す。火炎石が赤く光りだし、私の体を包み込む。光が消えると、私の両手には炎が纏っていた。私は炎を纏った拳を振りかざしながら、サンに向かって駆け出した。

サ「立体古代文字(ソリッドエンシェントスクリプト)、フレイムッ!」

魔法陣から、私は読めないけど『フレイム』とゆう文字が浮かび上がり、一瞬にして火の玉に変わり、私に向かって飛んできた。

マ「不死鳥の・・・爆炎ッ!!」

小さな火の玉が飛び出し、立体古代文字(ソリッドエンシェントスクリプト)の『フレイム』にぶつかると、ダガガガァァァァァンッ!と凄まじい音を立てて爆発した。

サ「なっ!?」

マ「だりゃあああああっ!」

爆発の時に上がった煙から、私は飛び出し、炎を纏った拳でサンに殴り掛かった。が、片手で受け止められた。

サ「そんな力じゃ、私を倒す事は出来ませんよ。」

マ「サンは、太陽の守護神で、()()太陽の支配者なんだよね・・・?」

サ「()()ではなく、()()に太陽の支」

マ「違うっ!」

サ「!?」

サンが、光の射し込んでいないオレンジ色の瞳を見開く。私は光の射し込んだオレンジ色の瞳でサンを真っ直ぐ見つめると、

マ「太陽は、永遠に宇宙を光で照らしていくんだよっ!それなのに、『闇』なんかに、染まっちゃって・・・闇なんかに、負けちゃダメだよっ!!」

サ「!」

私が言い終わった時には、サンのオレンジ色の瞳には光が射し込んでいた。すると、サンの体がオレンジ色に光りだした。サンは光が射し込んだオレンジ色の瞳で、私に向かって微笑むと、消えちゃった―――――

****************************************************************************************

マ「・・・あ、あれぇ~!?」

いつの間にか私はコロールの森に戻って来ていた。よかったぁ~。もう二度と帰れないかと思ったよ。

フ「マヤッ!」

マ「あ、フレイ。」

フレイは人間の姿になって私を探し回っててくれてたみたい。

フ「いきなり目の前を消えたんだ。驚いて探すに決まってるだろ。」

マ「そうだね。」

ふと視線を移すと、目の前に白く光り輝く『ブラックテンプラネット』・・・いや、『ホワイトテンプラネット』が、宙を漂っていた。すると、『ホワイトテンプラネット』は空高く舞い上がり、見えなくなっちゃった。

フ「マヤ、『ブラックテンプラネット』を止めれたのか?」

マ「うんっ!これで太陽は救われたよ☆」

今は見えないけど、朝になれば、キラキラ輝いている太陽が昇ってくるはずだよ。





『ブラックテンプラネット』の数、残り1個―――――





 
 

 
後書き
第149話終了致しましたぁ~☆
マヤの活躍により、太陽は救われたっ!『ブラックテンプラネット』は残り1個!ナツは『ブラックテンプラネット』を止める事が出来るのかっ!?
次回はナツが最後の『ブラックテンプラネット』を止めるために立ち向かう!まだ救われていない惑星は・・・
次回見逃したら、いけないよ☆ 

 

第150話 Mars

 
前書き
ど~も~♪駄作者07で~す♪
今回はナツが最後の『ブラックテンプラネット』を止めるために立ち向かう!まだ救われていない惑星は・・・
もちろん、ナツ目線で書いていきますよ。
それでは、第150話・・・スタート♪ 

 
ナ「んーーーーー・・・無いな。」

ハ「あい。」

俺はハッピーと空から『ブラックテンプラネット』を探してるんだけどよ・・・全然見つからねぇんだ。空からなら簡単に見つけられるって思ったんだけどな~・・・

ナ「ハッピー、一度下に下りようぜ。」

ハ「あい。おいらも休憩したかったんだ。」

俺達は森の中に下りた

ナ「しっかし真っ暗だなぁ~。」

ハ「お化けとか出たら面白いよね。」

ナ「うらめしやぁ~ってかっ!」

ハ「あいっ!あ、でもトーヤのお化けがいるね。」

俺とハッピーがお化けみたいに「うらめしやぁ~」と言い合っていると、

ナ&ハ「!」

背筋がゾワッとする魔力を感じた。な、何だ、この魔力・・・?すげぇ~でけぇ~・・・・

ハ「ナ、ナツ・・お化けよりも、怖いよ・・・」

ハッピーが俺の腕にしがみ付く。魔力を感じる方に歩いて行くと、赤く光り輝く火(?)が宙を漂っていた。

ナ「うまそうだなぁ~。」

俺が手を伸ばして炎を食おうとすると、

ハ「ナツ!それ火じゃないよっ!『ブラックテンプラネット』だよっ!」

ナ「なぁぁぁにぃぃぃぃぃっ!?火じゃねぇのかっ!」

ハ「それどころじゃないよ。『ブラックテンプラネット』なんだよっ!」

これがか?ん?何だこれ?『ブラックテンプラネット』の中に、何かが写っている。ハッピーと一緒に見ると、球体形の何かが写っていた。

ハ「ナツ、これ火星だよっ!」

ナ「ん?()()?」

ハ「か・せ・いっ!『ブラックテンプラネット』が支配しようとしている10の惑星の1つだよ。太陽系の第4惑星で、伝説では、(いくさ)に強い神の聖地だと言われてて、『(いくさ)の惑星』って呼ばれてるらしいよ。」

・・・ハッピー、お前何でそんなに火星について詳しいんだ?

ハ「この前、リョウが教えてくれたんだよ。」

あいつ変な雑学知ってるんだなぁ~。

ナ「よしっ!これをぶっ壊せばいいんだな。」

ハ「あい。でもナツ、『ブラックテンプラネット』は伝説の闇魔法だよ。あまり手荒なやり方で止めても・・・」

ハッピーにしては珍しく冷静な判断だな。

ハ「ナツが冷静じゃなさすぎるんだよ。」

その時、『ブラックテンプラネット』の赤い光が輝きを増した。

ナ「ぬおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」

俺はあまりの眩しさに目を覆った。

ハ「ナァァァァァツゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!」

****************************************************************************************

ナ「・・・ど、どこだここっ!?」

いつの間にか俺はコロールの森じゃなく、なぜか真っ赤な空間の中にいた。俺はその空間の中で漂っていたこ、これ、乗り物じゃないよなっ!?・・・だ、大丈夫だな。

ナ「ん?ハッピー?どこだぁーーーーーっ!」

さっきまでいたハッピーはどこにもいない。いったいどうなってるんだっ!?

ナ「ん?何だあれ?」

遠くの方で球体型の何かが見える。さっき『ブラックテンプラネット』の中に写っていたのと似てるな・・・確か・・・

ナ「か、火星・・・だったはずだ。てかここどこだっ!ハッピーはどこだっ!」

俺が真っ赤な空間の中で暴れていると、

?「うるさいな。」

ナ「ぬぉっ!」

声がした方を振り向くと、見た目が俺と同じくらいの男がいた。真っ赤な髪に真っ赤な迷彩ガラのノースリーブに赤いハーフパンツ。腰にはルーシィが星霊の鍵を仕舞っているのと似たやつを付けていて、手には真っ赤な銃を握っている。真っ赤な瞳はなぜか光が射していない。何でだ?てか、何だこいつ?

マ「俺は火星の守護神、マーズだ。」

ナ「しゅ、シュガー・・・なんだって?」

マ「守護神ッ!なんで砂糖になるんだっ!」

そ、そんなに怒鳴んなくてもいいじゃねぇか。すると()()()は握っていた赤い銃の銃口を俺に向ける。

マ「()()()だっ!なんで行進曲になるんだよっ!」

あー、こいつ、ものすげぇ短気な奴だ。















マ「俺は火星の支配者でもあるんだっ!俺を怒らせた奴と、支配の邪魔をする奴は、殺すっ!」















ナ「し、支配者・・・」

俺が聞く間もなく、マーチは銃を俺に向かって撃った。だが、弾丸ではなく赤く燃える火の玉だ。俺は口を開けると、火の玉を飲み込んだ。

マ「んなっ・・・!?」

俺を見て、光が射していない赤い目を見開く。

ナ「おぉっ!結構うまいじゃねぇかこの火ッ!」

食ったら力が湧いてきたぁーーーっ!俺は深く息を吸って、頬を膨らませると、

ナ「火竜の・・・咆哮ッ!!」

口から炎の(ブレス)が放たれる。それは()()()目掛けて一直線。すると()()()は、持っていた銃の銃口を接近してくる炎に向けると、

マ「紅蓮炎・・・開花ッ!」

銃を撃つと、さっきより少しでかい火の玉が撃たれた。すると、その火の玉が花のように四方八方に広がり、俺の攻撃を防いだ。俺は開いた口が塞がらねぇ・・・()()()は俺を侮るようにニッと笑うと、

マ「火を食ったり火を吐いたり・・・それ、お前の魔法か?面しれぇな。」

ナ「お前の魔法も、銃から火の玉出したり火の玉を花みてぇにしたり・・・面しれぇ。」

燃えてきたぞーーーっ!

マ「だが、俺は火星を支配する事が出来る力を持っている。お前みたいな奴は、簡単に殺してやるっ!」

すると()()()は、腰に付けていたルーシィのと似たようなやつから、もう1つ真っ赤な銃を取り出した。って、

ナ「武器2つって卑怯じゃねぇかっ!」

マ「それに気づかねぇお前が悪いんだろ。」

・・・か、返す言葉がねぇ・・・くそぉ~~~!

マ「火の玉乱射ッ!」

2つの銃の銃口から、火の玉が次々に乱射される。さすがにこの数の火を一度に食うのは無理だな・・・俺は次々に乱射される火の玉を走りながら必死にかわし続ける。しばらく走り続けていると、()()()の銃から火の玉が乱射されなくなった。

マ「ちっ。()()切れか。」

()()()は小さく舌打ちすると、使い物にならなくなった真っ赤な銃を投げ捨てた。てかあの銃、()()だったのか・・・って、そんな事よりチャンスッ!俺は両手に炎を纏うと、

ナ「火竜の・・・煌炎ッ!!」

マ「!」

両手を()()()に向かって振りかざしたが、()()()は受け止めた。

マ「そ、その程度か。お前の強さは。」

ナ「俺は、お前がなんで守らなきゃならねぇ火星を、支配しようとしてるかは解らねぇ。が、お前は火星を支配する事が役目じゃねぇだろっ!」

マ「!?」

マーチが光が射していない赤い瞳を見開く。

ナ「お前の役目は、火星を守り抜く役目だろっ!自分の役目をほったらかしにするなっ!火星が可哀想じゃねぇかっ!!」

マ「!」

マーチの赤い瞳に光が射し込んでいた。すると、()()()の体が赤く光りだした。()()()|は光が射した赤い瞳で、白い歯を見せて俺に笑うと、消えちまった―――――

****************************************************************************************

ナ「・・・ぬぉっ!?」

いつの間にか俺はコロールの森に戻って来ていた。な、何だったんだ、いったい・・・?

ハ「ナツゥ~~~!」

ナ「ハッピー!お前どこにいってたんだよっ!?」

ハ「それはおいらのセリフだよぉ~。いきなりナツが消えちゃったんだもんっ!」

ハッピーは俺に飛びつくと、声を上げて泣き始めた。ふと視線を移すと、『ブラックテンプラネット』・・・いや、『ホワイトテンプラネット』が宙を漂っていた。すると、『ホワイトテンプラネット』は空高く舞い上がり、見えなくなっちまった。

ハ「ナツ、『ブラックテンプラネット』を止めたの?」

ナ「あぁ。どうだ?すごいだろ?」

ハ「あいっ!流石ナツですっ!」

ナ「ダハハハハハハハハハハッ!!」

コロールの森中に、俺の声が響き渡った。





『ブラックテンプラネット』、全て起動停止―――――





 
 

 
後書き
第150話終了~♪
ナツの活躍により、火星が救われたっ!とゆう事は・・・宇宙は救われたぁーーーーーっ!!
次回は『ブラックテンプラネット』編最終話ですっ!このお話が終わったら、新しい小説がスタートッ!
お楽しみに~♪ 

 

第151話 COSUMOS

 
前書き
駄作者07です!
今回は『ブラックテンプラネット』編最終話!思わぬ人物が最強チームの前に現れるっ!?その人物とは・・・!?
途中で目線が変わります。最初はナツ目線です。
それでは、第151話・・・スタート!! 

 
マ「ナツゥ~~~!」

ル「ハッピーーー!」

森の奥からマヤたちが走って来た。

ナ「よぉお前等!『ブラックテンプラネット』は止めたのか?」

ショ「止めていなかったらここにいないだろ。」

よく見ると、リョウは腹に包帯を巻いて、緑色の着物が少し赤く滲んでいる。グレイは氷で止血していたり、火傷の跡がある。ルーシィは服がボロボロに破れていたり、背中が少し赤く腫れ上がっている。皆以外に苦戦したんだなぁ~。

リョ「「以外」ってなんだよ・・・」

そのまんまの意味だ。

ハ「それにしても、よくおいら達がここにいるって分かったね。」

シャ「ナツのバカデカイ笑い声が聞こえたのよ。」

マ「「ダハハハハハハハハハハッ!!」ってゆう笑い声がね。」

ル「あっ!マヤ似てる~!」

ショ「森中に聞こえたぞ。」

そんなにでかかったか?

ウェ「自覚ないんですね。」

マ&ハ&フ「それがナツです。」

****************************************************************************************

                       『ここからトーヤ目線でいきます。』

グ「んで、これからどうするんだ?」

ト「『ブラックテンプラネット』も全て止めましたし、ギルドに帰りますか?」

エ「いや、それは止めといた方がいいだろう。時間的に、もう夜中の2時くらいだ。こんな真夜中に森を歩くのは危険だ。」

ユ「それに、ギルドに戻っても誰もいないと思うよ。」

言われてみればそうですね。僕の案はすぐに却下されました。

フ「夜が明けるまで、今日はこの森で野宿だな。」

ル「えぇ~。」

マ「文句言わない言わな~い。」

僕も野宿するなんて人生初です。なんだかとてもドキドキします。

ル「何でドキドキなんかするのよ・・・」

ショ「俺、薪拾ってくるよ。」

エ「1人じゃ危険だ。私も行くとしよう。皆は手分けして食べられるものを探してきてくれ。」

エ&ショ以外「りょーーーーーかいっ!!!」

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コロールの森にはたくさんキノコや木の実、果物がたくさんあって助かりました。『ブラックテンプラネット』が封じられていた『シャンダ』の湖には魚もいたので、ハッピーさんは大喜びです。火はナツさんが熾してくれました。

ル「はぁ・・・」

リョ「どうしたんだルーシィ?深いため息なんかついて。」

ル「いやぁ~、自分1人だけで戦ったのは久しぶりだったから疲れちゃって。」

そういえば僕も、いつもウェンディさんとシャルルさんと一緒に戦っていましたから、今回の対決はいい経験になりました。その時、

全「!!!??」

全員同時にその場に立ち上がり、戦闘体勢を取りました。

ナ「な、何だ、この魔力・・・!?」

シャ「『ブラックテンプラネット』よりも莫大な魔力よっ!」

謎の魔力がだんだんはっきりしてきました。

ユ「こっちに向かってきてる・・・!」

エ「気を引き締めろっ!」

謎の魔力はどんどん僕達に近づいてきました。皆さんの額に冷や汗が浮かびます。その時、ガササッ。

全「!!!」

僕の目の前の茂みが音を立てて揺れました。そこから現れたのは―――――

全「え・・・?」

黒い髪の毛に黒い瞳、黒い眼鏡に水色のYシャツ、灰色のズボンに真っ白な白衣を着たどこにでもいる感じの極々普通の背の高い男の人でした。見た目は極々普通ですが、謎の莫大な魔力の正体はこの人で間違いないみたいです。エルザさんはその人に歩み出ると、持っていた剣の剣先を男の人の方に突きつけ、

エ「貴様、何者だ。」

エルザさんは真っ黒な怒りのオーラを放出します。後ろで僕達が青ざめているのは余談です。ですが、その人はあのエルザさんの真っ黒な怒りのオーラに驚きも青ざめもせず、しかも笑顔で、

?「落ち着いて下さい。僕は皆さんの味方ですから。」

全「???」

その人のほんわかとした笑顔に癒されて、僕達は戦闘体勢を崩しました。どうやらこの人は嘘をついてはいないみたいです。

リョ「・・・んで、お前は誰なんだ?」

?「立って話すのもなんですから、座って話しましょう。」

僕達は赤々と燃える火を囲みながら男の人の話に耳を傾けました。

ギ「まず、僕の名前はギンガ=P=ノービリ。先程君達が止めた、伝説の闇魔法、『ブラックテンプラネット』の開発者です。」

グ「何ッ!!?」

マ「嘘ォッ!?」

ハ「『ブラックテンプラネット』の・・・!?」

ト「か、開発者・・・!?」

僕達は開いた口が塞がりません。皆さんポカーンとしています。

ル「ちょ、ちょっと待って!『ブラックテンプラネット』は、500年前にこの森の唯一の湖『シャンダ』にギンガ=P=ノービリ本人が封じたはずよっ!それに、ギンガ=P=ノービリは、すでに死んでるはずでしょっ!?」

ルーシィさんの言うとおりです。

ナ「お前、やっぱり・・・!」

ギ「僕は嘘などついていない。僕の肉体は、とうの昔に滅び、今は思念体と同じようなものさ。」

ギンガさんの光の射した黒い瞳を見ると、とても嘘をついてるとは思えませんでした。

エ「・・・話を続けてくれ。」

エルザさんの言葉にギンガさんは頷くと、

ギ「たぶん知っていると思うが、僕は有能な科学者で、全宇宙にある10の惑星を『光』に変えようとしたんだ。その時はとても荒れた時代だったからね。そこで僕は『ホワイトテンプラネット』を開発したんだ。出来栄えはまさに、『奇跡』そのものだったよ。」

フ「でも、自分の小さな過ちのせいで、『ホワイトテンプラネット』は『光』から『闇』なり『ブラックテンプラネット』になってしまった。」

フレイさんの言葉に、ギンガさんは悲しそうな笑みを浮かべてゆっくり頷くと、

ギ「『闇』になってしまった『ホワイトテンプラネット』・・・いや、『ブラックテンプラネット』は、僕の手では負えなくなってしまってね、500年前、僕の研究室があったこのコロールの森にある唯一の湖、『シャンダ』に封じたんだ。封印の解除法は、ノービリ家に100年に一度生まれる子供の魔法、惑星操作(プラネットアペレイト)の能力と、失われた魔法(ロスト・マジック)の1種、怪物召喚(モンスターズ)。僕の調べが確かなら、この世で一番この魔法が使える魔道士がいないんだ。」

ウェ「それがトーヤさん・・・」

ウェンディさんの言葉にギンガさんは頷きます。それにしても、500年間も昔の魔力が消えていないなんて・・・ギンガさんの魔力は相当なものですね。

ギ「でも、その当時僕は自分の能力が代々引き継がれていくのを知らなかったんだ。だから、肉体が滅びた後でも、『ブラックテンプラネット』の封印を解く人間が現れないように、そして、その行為を止める人間が現れるまで、僕は500年間、見守ってきたんだ。このコロールの森の、僕の墓場からね。今日、その役目が終わった。」

僕達は笑顔で話すギンガさんに圧倒されています。

ギ「案の定、僕の孫の孫の孫の孫の孫の孫の孫の孫の孫までは、惑星操作(プラネットアペレイト)の能力が存在して、自分が使えるなんて知らずにいたんだ。だけど・・・」

ユ「10人目の孫のスバルが、惑星操作(プラネットアペレイト)の能力の存在を知り、その能力が自分にある事を知ってしまった。」

ショ「しかも、スバルは全宇宙を支配しようとするチェスと手を組んでしまった。」

ユモさんとショールさんの言葉にギンガさんは頷きます。

ギ「チェスもとても有能な人物だったんだ。あっという間に『ブラックテンプラネット』の封印の解除法と、封印場所を突き止めて、ここに隠れ家を建て、鎖の少女(チェーンガール)と言う名の闇ギルドを結成した。」

グ「そして鎖の少女(チェーンガール)を討つ事を知り、古い道化師(オールドピエロ)と言う名の偽の正規ギルドに化けて、俺達妖精の尻尾(フェアリーテイル)と連合を組んだ。」

グレイさんの言葉にギンガさんは頷くと、

ギ「鎖の少女(チェーンガール)の奴等は最初、皆さんと連合を組む振りをして、皆さんを殺す計画だったらしいけど・・・」

リョ「妖精の尻尾(フェアリーテイル)に、怪物召喚(モンスターズ)を使えるトーヤの存在を知り、計画を立て直したんだな。」

リョウさんの言葉にギンガさんは頷くと、僕の方を向いて、

ギ「君にはいろいろ迷惑を掛けてしまったね。本当にすまない。」

深く頭を下げました。

ト「そ、そんな!ギンガさんのせいじゃありませんよ。僕は全然気にしてませんから。」

僕の言葉にギンガさんは小さく笑うと、ギンガさんは立ち上がり、

ギ「最後に、皆さんに見せたいものがあるんです。」

ギンガさんは指をパチンッと鳴らした次の瞬間―――――

ギ以外「・・え・・・えぇぇぇぇぇ~~~~~!!!??」

僕達はコロールの森ではなく、いつの間にか四方八方宇宙が広がった空間を漂っていました。

マ「うわぁ~~~♪」

ナ「す、すげぇ~~~!」

星はもちろん、地球や太陽、木星や土星も見えますっ!

ギ「COSUMOS」

ギ以外「!!!??」

ギ「100億年の歴史が、このCOSUMOSをを創り上げたんだ。このCOSUMOSを永遠に光り輝かしてくれたのは、皆さんのお陰です。」

僕達に微笑むと、ギンガさんの体が白く光り輝きだしました。

ギ「あ、そうだ。」

ギンガさんは白衣のポケットから何かを取り出しました。それは茶色い紐を通した紫色の小さな勾玉でした。

シャ「それって、トーヤの幽封玉じゃないっ!」

チェスさんに、魔力を奪われた時に割れてしまったはずなのに、どうして・・・

ギ「迷惑を掛けたお詫びとして、複製を作ったんだ。大丈夫。君の半幽人の姿も抑える事が出来るよ。」

僕は両手でギンガさんから新しい幽封玉を受け取ります。

ト「ありがとうございますっ!ギンガさん!」

早速首に提げてみると、魔力が完全に戻ってきた感じがします。

ナ「お、おい、お前、体が・・・」

ギンガさんの体は半透明になっていて、今にも消えてしまいそうでした。

ギ「皆さんの未来は、きっと白く光り輝いていきますよ。10の惑星の守護神達が、見守っていてくれるはずです。もちろん僕も。」

僕は空間の中の冥王星を見つめました。

ト「(プルートさん、僕の未来は、あなたが見守っててくれるんですね。)」

ギ「皆さん、本当にありがとう。これからも、白く光り輝いていて下さいね。」

ギンガさんの姿は白い光のちりとなって消えてしまいました。それとほぼ同時に、いつの間にか僕たちは、コロールの森に戻ってきていました。薪の火は燃え尽き、コロールの森は暗く、しーーーーーんと静まり返っていました。空を見上げると、色とりどりに光り輝く満天の星空と、金色に光り輝く満月がコロールの森を、僕達の事を照らしていました。 
 

 
後書き
第151話終了です!
宇宙は救われ、トーヤの幽封玉も復活!
ここで余談なんですが、皆さんは『COSUMOS』とゆう歌を知っていますか?とても素敵な歌で、私大好きなんです。
次回は鎖の少女(チェーンガール)の討伐から帰ってきた最強チーム!そして、新しい小説もスタートしますっ!!
どちらともお楽しみに~! 

 

第152話 紅茶とコーヒー

 
前書き
お久しぶりです☆駄作者07です☆やっとテストが終わりましたぁ~♪これでしばらくは勉強とゆう名の『地獄』から解放されます。今日からまた更新を始めますので温かい目でご覧下さい。

今回は古い道化師(オールドピエロ)・・・いや、鎖の少女(チェーンガール)の討伐から帰って来た最強チーム。あれから1週間後・・・(←時間進むの早ッ!!)
ルーシィ目線で書いていきます。
それでは、第152話・・・スタート☆ 

 
鎖の少女(チェーンガール)の討伐から帰って来て1週間。鎖の少女(チェーンガール)の魔道士は評議委員によって皆逮捕されたの。逮捕協力により、ギルドに50万Jが渡されて、マスターはすっかり浮かれちゃって、

マカ『今夜は宴じゃあーーーーーーーーーーっ!!!』

って事になって、その日は朝から晩までぶっ通しでお祭り騒ぎだったわ。お陰で今日は寝不足なのよねぇ~・・・

ル「ふわわわわぁ~・・・」

眠気覚ましに紅茶でも飲もうかな。私は椅子から立ち上がり、やかんにお湯を入れて沸かし始めた。私は窓から空を見つめた。今は昼だけど、『ブラックテンプラネット』のせいで必ず1日1回は空を見上げる癖がついちゃったのよねぇ~。

ル「金星が、私の守護星・・・か。」

あんな大事件に、まさか自分が中心的な存在になるとは思ってもみなかったし、未だに信じられない。それに、あんな強敵相手にたった1人で戦ったのも初めてだったし、宇宙をあんな間近で見たのも初めて。いろんな事が同時に起こって大変だったけど、無事に帰って来れただけでも『奇跡』だと思わなくっちゃ。シュンシュンシュンシュンシュン。

ル「あっ!もう沸騰してるっ!」

ボォーーーッとしてたからお湯が沸騰してるの全然に気がつかなかった。私は急いで下の戸棚から紅茶の粉と、食器棚からお気に入りのカップを取り出して紅茶を入れた。入れたての紅茶の入ったカップを持って、また机に座ると、引き出しから数枚の便箋と1枚の封筒を取り出して、天国のママとパパに手紙を書く事にした。白い羽ペンのペン先に黒いインクを付ける。





『ママとパパへ
お元気ですか?私はこの通りピンピンしています。

この前あった新たに誕生した闇ギルドの最大勢力、ビゲスト同盟の1角、鎖の少女(チェーンガール)を討つ事になり、私達妖精の尻尾(フェアリーテイル)の最強チーム10人+2匹+1羽が行く事になったの。そして、一緒に鎖の少女(チェーンガール)を討つ事になった古い道化師(オールドピエロ)の6人の魔道士と連合を組む事になったの。でも、その古い道化師(オールドピエロ)の6人は、何と!鎖の少女(チェーンガール)の魔道士の変装だったのっ!鎖の少女(チェーンガール)の目的は、コロールの森にある唯一の湖に500年以上も封じられている伝説の闇魔法、『ブラックテンプラネット』を手に入れる事だったの。『ブラックテンプラネット』は、全宇宙にある10の惑星を支配する事が出来る闇魔法で、『ブラックテンプラネット』の封印を解く為には、10の惑星を自由自在に操る事が出来る惑星操作(プラネットアペレイト)の能力と、失われた魔法(ロスト・マジック)の1種、怪物召喚(モンスターズ)の魔法が必要だったの。鎖の少女(チェーンガール)は運が良いのか分からないけど、偶然にも惑星操作(プラネットアペレイト)の能力を使える魔道士がいて、怪物召喚(モンスターズ)の魔法を最強チームの1人、トーヤが使えたの。そのせいで、トーヤは鎖の少女(チェーンガール)のボス、チェスに魔力を奪われちゃって仮死状態に陥っちゃったの。絶体絶命のピンチだったけど、何とか取り返せたからよかったわ。でも、『ブラックテンプラネット』の封印は解かれちゃったの。しかも、『ブラックテンプラネット』は10個に分裂しちゃったのっ!私達最強チームは、『ブラックテンプラネット』を止める為に1人1個ずつ『ブラックテンプラネット』を止める事にしたの。私が止めたのは、金星を支配する事が出来る『ブラックテンプラネット』。そこで闇に落ちた金星の守護神、ヴィーナスと戦ったの。ヴィーナスの鞭はすごく痛かったなぁ~。でも、何とか私1人で勝つ事が出来たの。嬉しかったなぁ~。そして、10個全ての『ブラックテンプラネット』を止めた後、皆で野宿する事になったんだけど、そこで『ブラックテンプラネット』の開発者、ギンガ=P=ノービリさんに会ったの。本人はすでに死んじゃってるんだけどね。最後にギンガさんに宇宙空間、COSUMOSを見せてもらったの。すっごく綺麗だったなぁ~。

・・・こうやって文にして書くと、ものすごく短く感じる。今は鎖の少女(チェーンガール)の討伐も無事に終わって、平和でお祭り騒ぎの生活を送っています。常に365日24時間、お祭り騒ぎの妖精の尻尾(フェアリーテイル)だけど、私はこのギルドが大好きっ!!だって妖精の尻尾(フェアリーテイル)は、すでに私の1部であり、私の人格を認めてくれる温かい場所だから。妖精の尻尾(フェアリーテイル)がないと、最強チームの皆がいないと・・・私はたぶん、ここにはいないと思う。最強チームの皆は、私に勇気を、優しさを、希望を与えてくれる。私の周りは、常に『光』で輝き満ちているんだ。

私は最初に書いたとおり、今日もピンピンしています。だから心配しないでね、ママ、パパ。』





書き終えると驚いた。

ル「嘘ッ!?便箋7枚も使っちゃったっ!」

史上最長記録かもっ!私は文字で埋め尽くされた7枚の便箋を、1枚ずつ丁寧に2つに折ると、封筒に入れ、赤いスタンプで封をした。ギュポンと心地よい音が部屋に響く。封をした手紙を部屋の隅にある戸棚に入れる。いつの間にか、手紙は戸棚いっぱいになっていた。最初はママだけに書いた手紙があって、パパが死んでからはママとパパに書いた手紙がある。中にはなぜか封が開いてる手紙も・・・ま、まぁ、気にしないようにしようっと♪戸棚の戸をそっと閉める。すると、

ナ「また手紙書いてたのかルーシィ?」

マ「手紙?誰の?」

ハ「ルーシィのママとパパ宛の手紙だよ。でもルーシィのママとパ・・・ムゥッ!」

フ「ハッピー、それ以上は言うな。ルーシィにはもちろん、リョウにも禁句だ。」

リョ「ハッピー、ルーシィが傷つくような事を一言でも言ったら・・・どうなるか分かってるよなぁ?」

ハ「あ、あい・・・」

ル「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!?」

いつの間にか私の部屋にはお馴染みの最強チームの皆がいた。また不法侵入したのね・・・

グ「何言ってるんだルーシィ?」

ユ「私達、ちゃんとインターホン鳴らしたよ。」

エ「鳴らしたんだが、ルーシィの応答がなくて、ドアの鍵が開いていたから勝手に入らせてもらったぞ。」

う、嘘・・・インターホン、鳴らしたの・・・?いつも不法侵入してる皆がインターホンを鳴らした事にも驚いたけど、インターホンが鳴った事に気がつかなかった自分にも驚いた。ていうか、何でドアが開いてたのかしら?

ショ「悪いなルーシィ。」

ウェ「と、止めたんですけど・・・」

ト「皆さん、ズカズカ入って行っちゃって・・・」

シャ「全く。少しは礼儀とゆうものを学びなさいよ。」

ショール、ウェンディ、トーヤ、シャルル、よくぞ言ってくれましたっ!

ナ「んで、何言ってたんだ?」

ル「えっ?」

マ「部屋に入ったら、ルーシィ1人でぶつぶつ呟いてたよ。」

フ「はっきり言って、ちょっと不気味だったぞ。」

ハ「不気味なルーシィ、略してブキィーだね。」

ル「変な略称つけんなっ!しかも超ダサいっ!」

リョ「よく聞こえなかったけどよ、「妖精の尻尾(フェアリーテイル)」・・・最強チーム・・・何ちゃらこんちゃらって言ってたぞ。」

あ、あら・・・私ったら、声に出していたのね・・・

マ「あっ!紅茶だぁ~♪ルーシィ、飲んでいい?」

マヤが机の上にある1回も口をつけていない冷え切った紅茶を指差す。

ル「いいけど、たぶん冷えちゃってると思うわよ。」

マ「そんなの気にしていたら生きていけないよ。世の中には土を食べ物としてる人がいるんだからさ。冷たい紅茶なんてどうって事ないよ☆」

ユ「それ、本当なの・・・?」

ユモの質問にマヤはスルーし、カップを持って紅茶を飲む。すると・・・

マ「まずーーーーーーーーーーっ!」

ル「えぇぇっ!!?」

グ「おぉいマヤッ!噴出すんじゃねぇぞっ!」

グレイのお陰でマヤは噴出しはしなかったけど、

マ「げほっ!がはっ!ごほっ!うへっ!」

かなり咳き込んでる。ユモとエルザがマヤの背中をトントンと叩く。そ、そんなに不味かったのかしら・・・?するとショールが、カップを持ち上げて紅茶のにおいを嗅ぐ。すると、

ショ「ルーシィ、もしかして紅茶じゃなくて、コーヒーを淹れたんじゃないか?」

ル「えっ?」

ショ「しかも、かなり苦いコーヒーだ。しかも、完全に溶け切ってない。」

ト「ショールさん、コーヒー好きですもんね。」

あ、あら・・・私ったら、紅茶とコーヒーを間違えちゃったみたい・・・アハハハハ・・・

ウェ「だ、大丈夫ですかマヤさん?」

マ「げほっ!だ、大丈夫・・・じゃ、がはっ!な、ない・・・ごほっ!うへっ!」

マヤは溶け切っていなかったコーヒーの粉を喉に詰まらせちゃったみたい。マヤのオレンジ色の瞳に薄っすら涙が溜まっている。

マ「私・・・げほっ!ま、まだ、一度も・・・がはっ!コーヒー・・・ごほっ!飲んだ事・・・ない・・・」

フ「ルーシィ、今度から気をつけろよ。」

ル「う、うん。」

私、今日ボォーーーッとしすぎたみたい。 
 

 
後書き
第152話終了しましたぁ~☆
いきなり余談ですが、皆さんはコーヒー飲めますか?私は飲めませんっ!牛乳と、砂糖を10杯くらい入れたら飲めるんですけどね・・・
次回はリョウ宛に1通の手紙が届いた。送り主は・・・えっ?アカネ?
次回見逃したらいけない☆ 

 

第153話 仇

 
前書き
こんばんは~♪07でぇ~す♪
今回はリョウの元に1通の手紙が届いた。送り主は・・・えっ?アカネ?手紙の内容とは・・・?
リョウ目線で書いていきたいと思います。
それでは、第153話・・・スタート♪ 

 
ヒュゥゥゥゥゥと風が吹き抜ける。

リョ「うぅ・・さ、寒ィィィ・・・!」

俺ははぁーっと両手に息を吹きかける。マグノリアもまた冬がやって来た。また1年が経つんだなぁ~。俺が妖精の尻尾(フェアリーテイル)に加入してからもうすぐで2年も経つのか。『時』っていうもんは、どうしてこうも早いんだ?そんな答えも分からない疑問を抱えながら、俺は仲間が集まる暖かいギルドのドアを開けた。外は寒いとゆうのに、妖精の尻尾(フェアリーテイル)は酒を片手にお祭り騒ぎだ。まるで中年のお花見だな。俺は冷えた体を暖めようと椅子に腰掛けようとすると、

ミ「リョウ~!ちょっと来てぇ~!」

バーカウンターからミラが手を振って俺を呼んでいる。何だ?マカロフさんから急ぎの依頼か?俺はすぐさまミラの方に歩いて行った。

リョ「何か用か?」

ミ「はいこれ。」

そう言ってミラが俺に差し出したのはピンクや黄色の花柄の封筒だった。手紙か?裏を見ると、

『リョウ・ジェノロ様』と緑色のインクで書かれていた。

リョ「誰からだ?」

ミ「正規ギルド、幸福の花(ハピネスフラワー)のギルドマスター、アカネさんからよ。」

読者の皆は覚えているか?幸福の花(ハピネスフラワー)。以前俺達最強チームに勝負を挑んできた正規ギルドだ。魔道士は全員女で着物姿がよく似合う親子6人。魔道士としての腕もなかなかで、俺と同じ聖剣(エクスカリバー)の1つ、『花錦剣』を使うユリがいるギルドだ。何だ?また「勝負をしたい「っていうお願いか?封筒を開けて、手紙を出すと、以前と同じように艶やかな黒髪に、淡い赤色の着物を着た小さく微笑んでいるアカネのホログラムが浮かび上がった。

ア『リョウ様、お久しぶりどす。お元気でございますどすか?』

訛りのある京都弁は相変わらず変わってないな。すると、さっきまで微笑んでいたアカネの顔が、急に険しく、悲しい表情になった。

ア『実は・・・お話したい事があるので、今度の土曜日にまた幸福の花(ハピネスフラワー)のギルドに来て下さりませんか?もちろん、最強チームの皆さん全員で来ても構いませんし、リョウ様1人で来ても構いません。お返事待っております。』

そう言ってアカネのホログラムが消えた。

リョ「お話したい事・・・?」

俺は顎に指を当てて考えた。何でアカネは俺に手紙を出したのか?どうせなら、以前みたいに最強チーム宛に書けばよかったのに・・・それに、あのアカネの表情・・・なんかまずい事でもあったのか?俺が考え込んでいると、

ル「リョウ?どうしたの?深刻な顔なんかしちゃって。」

ルーシィが横から俺の顔を覗き込んできた。

ル「何か、あったの・・・?」

リョ「・・・ちょっと、な。」

俺は手紙の事をルーシィや皆に黙っておく事にした。最強チームに話があるのなら、初めから最強チーム宛に手紙を書くはずだ。なのに、俺だけに手紙を出したとゆう事は・・・アカネが言う話は、俺だけに関係してるって事だ。もしその話が、危険な話だったら、ルーシィはもちろん、最強チームの皆や、ギルドの皆を巻き込む訳にはいかない。俺はルーシィに向き直ると、

リョ「ルーシィ、悪いけど、今週の土曜日に用事が出来た。」

ル「用事?」

リョ「あぁ。急な用事がな。」

ル「私は、行っちゃダメ・・・かな?」

リョ「・・・悪い。今回はダメなんだ。」

ル「そっか・・・」

ルーシィから視線を逸らすが、ルーシィが暗い顔をしてるのが分かる。

ル「・・・分かった。浮気とかしないでね。」

リョ「するわけねぇだろ。もししたら、『銀覇剣』か『天力剣』か『嵐真剣』で、俺の首を切り落としてくれ。」

ル「そ、そんなグロテスクな事、さらりと言わないでよ・・・」

ルーシィが小さく笑った。これで安心だ。俺はミラから紙と鉛筆と封筒を貰い、アカネに返事をした。

****************************************************************************************

土曜日。俺は馬車から降りて、運転手のおじさんに礼を言う。おじさんも俺に小さく頭を下げると、馬車を走らせて行ってしまった。俺は目の前にある幸福の花(ハピネスフラワー)のギルドを見つめる。

リョ「相変わらずでっけぇ~ギルドだなぁ~。」

何度見ても、どこかのお屋敷と間違えそうだ。こんなでっけぇ~ギルドに、たった6人しかいないなんて、随分贅沢だよなぁ~。そう思いながら、俺はギルドのドアを叩いた。すると、金髪のおかっぱ頭に黄色い着物を着たパンジーが以前と同じように出迎えてくれた。パンジーは俺の顔を見ると目を輝かせて、

パ「リョウさんだリョウさんだっ!おか・・じゃなくて、マスター!皆ァ~!リョウさんが来たよ~!!あ、どうぞ中にお入り下さい。」

8歳だとは思えないくらい礼儀が正しすぎるぜ。俺はパンジーの案内により、大広間に通された。



中ではアカネ、ナデシコ、サクラ、スミレが頭を下げて待っていた。アカネが顔を上げると、

ア「リョウ様、本日は突然のお呼び出しに来て頂き誠にありがとうございます。」

リョ&ア以外「ありがとうございます。」

あぁ~やばい・・・頭が可笑しくなりそうだ。こんな礼儀正しすぎるあいさつを毎日のようにしてるなんて、俺には考えれないぜ。

サ「どうぞ。」

リョ「あ、あぁ、ありが、とう・・・」

サクラがお茶を入れてくれた。俺は小刻みに震えている手でゆのみをを持つと、恐る恐る口に近づけた。

ア「リョウ様、普通に飲んでいただいて構いませんよ。」

リョ「あ、そ、そうですか?アハハハハ・・・」

こ、こんな恥ずかしい思いをしたのは、ルーシィとの初キス以来だ/////////////////俺は一度両頬をペチンと叩いて神経を集中させた。

リョ「ところで、話というのは・・・?」

ア「その前に、リョウ様、もしかして私たちに気を使ってくれたんどすか?」

リョ「えっ?」

ナデ「リョ、リョウ様なら、て、てて、てっきり、ルーシィ様や、さ、最強チームの、み、皆様と、ご、ご一緒に、ま、まま、参るのかと、思いまし、て・・・」

ナデシコがオロオロしながら聞く。どうやら俺の考えは当たってたみたいだな。

リョ「やっぱり、俺だけに関係する話なのか。」

ス「はい・・・この状況で、すでに変わった事が1つだけあるのですが、お気づきになりましたでしょうか?」

リョ「えっ?」

すでに変わってる事があるのか・・・?俺は辺りを見回す。大広間は以前とは何一つ変わっていない。窓から見える景色や家具の位置も一切変わっていない。

リョ「あ、あのぉ~・・・何が変化し・・・ん?」

アカネ達を見回して、変わった事が分かった。

リョ「ユ・・ユリが、いない・・・」

そう。俺と同じ聖剣使い(エクスカリバー使い)のユリがいない。そういえば、さっきから一度もユリの声を耳にしていなかった。

リョ「えぇっと・・ユリはどこに・・・ってえぇぇっ!!?」

恐る恐るアカネ達に聞こうとすると、俺以外全員ボロボロと大粒の涙を流していた。。パンジーは鼻水まで垂れている。

パ「うぅ・・・ビェェェェェェェェェェンッ!!」

リョ「うぉあっ!」

涙と鼻水で顔がぐちゃぐちゃのパンジーが俺に抱き着いてきた。ナデシコは薄紫色のハンカチで涙を何度も拭っているが、涙はどんどん流れ落ちるだけ。サクラは必死に涙をこぼれないように堪えているのか、拳を硬く握り締め、体が小刻みに震えている。スミレは着物の袖で涙を拭っている。そのスミレの背中をアカネが優しく摩っている。アカネの瞳にも、大粒の涙が溜まっていた。未だに状況が分からない俺はすっかり混乱している。目の前でいきなり泣かれるんだ。戸惑うのは当たり前だ。

リョ「え、えぇっとぉ~・・・?」

俺はどうしたらいいか分からず、俺に抱き着いているパンジーの背中を摩っていると、泣きすぎたのか、目が真っ赤になったパンジーが、










パ「ヒッ・・ユ、ユリお姉ちゃんが・・・ヒック・・死んじゃった・・・ヒッ・・・」










リョ「え・・・?」

俺はパンジーの言葉が理解出来なかった。

リョ「パ、パンジー・・・い、今、なんて・・・」

パ「ヒック、ヒッ・・ユリ、お姉ちゃん、が・・・ヒッ・・死んじゃったの・・・ビェェェェェェェェェェンッ!!」

さっきよりもでかい声でパンジーが泣き崩れる。自分でも分かった。パンジーを抱えている両手が震えているのを・・・俺はアカネ達を見つめる。皆真っ赤になった瞳で俺を見つめるとゆっくり頷いた。

リョ「ユ・・ユリが・・・死んだ・・・・?な、何で・・・?」

戸惑いながら問うと、

ア「そ、それが・・・わ、私達にも・・分からないんどす・・・2週間程前に、ユ、ユリが1人で、修行の為に・・・『花錦剣』を持って、あそこの・・ヨモギ山に行ったんどす・・・・」

アカネが指で涙を拭いながらヨモギ山を指差す。

ア「修行の時間は1人2時間と決めているはずなのに・・・3時間も、4時間も、5時間経っても、ユリは帰って来なかったんどす・・・」

アカネがそこまで説明すると、パンジーが俺の着物の裾をギュッと摑む。ナデシコは拳を硬く握り締め、サクラは両耳を塞ぎ、スミレは自分の肩を抱いてその場にうずくまる。この先の話は聞きたくないんだろう。

リョ「そ、それで・・・」

ナデシコ達には悪いが、俺は恐る恐る聞いてみた。

ア「み、皆で、ヨモギ山に行って・・・ユリを、捜しました。そ、そしたら・・・サクラが、杉の木の根元に・・よ、寄り掛かって・・・血を、流している、ユリ・・・を見つけたんどす・・・・!」

サ「イヤアアァァアアアァァァアアアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」

サクラが悲鳴を上げてその場にうずくまる。

ア「も、もう・・・サクラが駆けつけた時には、す、すでに、ユリは、息を、していなかった、どす・・・・」

リョ「・・・・・」

俺の頭の中は思考が完全に止まって真っ白になり、言葉を失い、開いた口が塞がらなくなっていた。まるで、『時』が止まったみたいだった・・・

ア「・・・この事を、リョウ様に、お伝えしようと・・・手紙を出したんどす・・・・」

俺はまだ今までの話を全て信じる事が出来なかった。そして俺は何かに弾かれたようにアカネに詰め寄ると、

リョ「か、『花錦剣』は・・・!?ユリの聖剣(エクスカリバー)はっ!!?」

そして予期せぬ言葉がアカネの口から語られた。
















ア「聖剣(エクスカリバー)は・・・ユリの、『花錦剣』は・・・どこにも、無かったどす・・・」















リョ「・・・え・・・・?」

ア「ヨ、ヨモギ山全てを、くまなく皆で・・捜したんどす。でも・・・『花錦剣』は見つからなかったどす・・・恐らく、ユリは『花錦剣』を奪った何者かに、殺されたんだと・・・・」

リョ「ユ、ユリは・・・『花錦剣』を奪われた時に、殺されたのか・・・・?」

俺の言葉に、アカネはゆっくり頷いた。俺はパンジーを床に下ろし、立ち上がると、『嵐真剣』を鞘から抜いた。

リョ「つまり・・・俺がユリを殺して、『花錦剣』を奪った、どこかの愚か者を殺めればいいんだな・・・?」

その言葉に、サクラがすぐに大きく頷いた。

サ「どんな方法を使ってもいいから、ユリを殺した奴を痛めつけて下さい・・・!ううん、殺したって構いませんっ!!その時の罪は、リョウ様じゃなくて、私が身代わりになりますっ!!」

幸福の花(ハピネスフラワー)の魔道士全員の瞳が仇で満ちていた。

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俺は幸福の花(ハピネスフラワー)のギルドを出た後、俺は馬車に揺られながらずっとユリの事とユリを殺した愚か者の事を考えていた。ユリを殺した愚か者は、たぶん俺やユリと同じ聖剣使い(エクスカリバー使い)だ。でも、俺やユリとは違って、『闇』の聖剣使い(エクスカリバー使い)だ。

『光』の人間が聖剣(エクスカリバー)を使うと、人を正義に導く物になる。

だが、

『闇』の人間が聖剣(エクスカリバー)を使うと、人を殺める物になる。

そして、その『闇』の聖剣使い(エクスカリバー使い)が持っている聖剣(エクスカリバー)の数は2本か3本。元から自分が持っていた聖剣(エクスカリバー)と、ユリを殺してまで手に入れた『花錦剣』を持っているはずだ。聖剣(エクスカリバー)は世界で7本しかない剣だ。その内の『銀覇剣』、『天力剣』、『嵐真剣』は俺と契約をしている。ちなみに、聖剣(エクスカリバー)は星霊と同じで、所有者(オーナー)が命を落としたら自動的に契約が解除されるんだ。その為、ユリは『花錦剣』と契約していたが、何者かに殺されて、ユリと『花錦剣』との契約は解除され、ユリを殺した奴の聖剣(エクスカリバー)になった。これで6本。残りの1本はまだ誰も目にした事がなくて、聖剣(エクスカリバー)の中でトップの強さを誇る「伝説」とも言われる聖剣(エクスカリバー)だ。たぶん、ユリを殺した奴は、7本の聖剣(エクスカリバー)を全て集めてコンプリートしようとしているんだ。だから、いつか俺も命を狙われる可能性があるって事だ。・・・やっぱり、ルーシィや皆を連れて来なくて正解だったな。俺は腰にある3本の聖剣(エクスカリバー)にそっと触れた。

リョ「ユリ・・・絶対に、仇とってやるからな。」

すると、脳裏に幸福の花(ハピネスフラワー)のギルドを出る直前にアカネに言われた事を思い出した。

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リョ『そんじゃあ、どれだけ時間が掛かるか分からねぇけど、必ずユリの仇をとってやるから、その時まで待ってろよ。』

ア『えぇ。期待してますわ。』

俺が出て行こうとすると、

ア『リョウ様。』

リョ『ん?』

ア『あの子・・・ユリは、リョウ様のお陰で、変わったどす。』

リョ『えっ?俺?』

アカネはゆっくり頷くと、話し始めた。

ア『元々ユリはものすごく人見知りで、内気で微弱な子だったどす。魔道士としての腕はかなりのものだったどすが、他人とは一切勝負はせず、いつも1人で生け花をしてるくらいだったどす。』

確かに、初めてユリを見た時、ユリだけ神秘的なオーラを放っているように感じた。

ア『ですが、リョウ様と勝負してから、あの子は人が変わったどす。口数もすごく多くなって1人で街に買い物に行けるようになったどす。あの時のユリは一生忘れる事が出来ないどす。』

アカネはそこで話を区切り、俺は真っ直ぐ見つめると、

ア『リョウ様には、ルーシィ様がいる事をユリはもちろんご存知だったどす。でも、ユリは初めて小さな恋の花を咲かせていたんどす。ユリはリョウ様の事を、「自分を変えてくれた大切な人」とおっしゃってたどすよ。』

****************************************************************************************

リョ「・・・ユリ・・・・」

運「お客さん、マグノリアに着いたぜ。」

いつの間にか空は夕日色に染まって、マグノリアの街を照らしていた。 
 

 
後書き
第153話終了~♪
何者かに命を奪われたユリと消えた『花錦剣』。その仇を討つ為、リョウがアカネたちと約束を交わした。
次回はショールの元に2通の手紙が届いた。って、最近手紙シリーズ多いな・・・
お楽しみに~♪ 

 

第154話 『光の道』

 
前書き
はいど~も~!!07で~す!!
今回はショールの元に2通の手紙が届いた。その内容はとても悲しい事だった・・・
ショール目線で書いていきます。
それでは、第154話・・・スタート!! 

 
俺はトーヤと一緒に並んでコーヒーとお茶を飲んでいる。周りは朝から酒を片手にどんちゃん騒ぎ中。初めて見る人には、この光景に目を見開くと思うが、俺にはすでに日常的な光景だった。俺がギルドに加入してからもうすぐで2年が経つ。『時』というものは永遠に進み続ける。止めたくても止まらない。そんな『時』の中では、嬉しい事や楽しい事、辛い事や悲しい事が日に日にたくさん起きる。それはまるで、『塞翁が馬』だ。





この時も、俺は自分に襲い掛かる悲劇に、まだ気づきもせず、予想もしていなかった・・・





****************************************************************************************

ウェ「あっ!ショールさん!」

いつものようにギルドのテーブルでコーヒーを飲んでいるとウェンディがシャルルを抱いてこっちに来た。

ウェ「さっき、ミラさんがショールさんの事を捜してましたよ。」

ショ「ミラが?」

シャ「何か手紙みたいなものを持ってたけど。」

ショ「そうか。ありがとう。」

俺はウェンディとシャルルに礼を言って、椅子から立ち上がりミラがいるカウンターまで行った。ちょうどミラはお皿を拭いてるところだった。

ミ「あっ!ショール!」

俺の姿を見つけると、ミラは大きな青い瞳を輝かせて笑った。

ショ「ウェンディから聞いて、俺を捜していたみたいだが・・・?」

ミ「そうなの。あなたに手紙が届いてるわよ。しかも2通!」

そう言ってミラは白い封筒と、少し黄色く色褪せた手紙を俺に渡した。俺は今まで手紙をたくさん貰った事がある。その約9割が、俺を見て一目惚れをした見知らぬ女の子だ。だが、俺はエルザ以外の女の子には興味はない。貰った手紙は悪いけど一度も読まずに全て捨てている。こっちの色褪せた手紙は解らないけど、こっちの白い封筒の手紙は、たぶんまた見知らぬ女の子だろう。



だが、そう思った俺が間違っていた。



ショ「えっ!?」

手紙の裏を見てみると驚いた。黒ペンで

『ショール・ミリオンへ   ミキ・シャフル』

と書かれていた。読者の皆は覚えているか?以前、妖精の尻尾(フェアリーテイル)に「シラカバの街を街荒らし救ってほしい」と頼みに来た俺の幼馴染のミキだ。俺は色褪せた手紙の裏も見てみる。が、手紙には

『ショールへ』

と書かれているだけで、送り主の名前は書かれていなかった。少し疑問に思ったが、俺に届いた手紙なのには変わりは無いのでありがたく受け取っておく事にした。俺は貰った手紙を1人で読む為、ギルドでは読まない事にした。手紙がくしゃくしゃにならないよう気をつけながらベストのポケットに入れる。それを見ていたミラが、

ミ「あら?ここでは読まないの?もしかして、エルザ以外の恋人からの手紙かしら♪」

ショ「えぇっ!?な、何言ってるんだよミラッ!!」

慌ててミラの口を塞ごうとしたが時すでに遅し。今までどんちゃん騒ぎをしていた皆の視線が俺に集まっている。そして、

マカオ「流石ショールッ!イケメンはやっぱ違うなぁ~!」

ワ「エルザ以外の女から手紙が届くのも当たり前だもんなぁ~!」

ショ「ちょっ!勘違いするなってっ!」

酒を飲んだせいか、すこし赤みを帯びて酔っ払っているマカオとワカバが俺の肩を抱く。しかも、恐ろしい事にワカバの声が運悪くエルザの耳にも聞こえたようで、真っ黒なオーラを放出しながらエルザが黒いブーツの踵をカツカツ鳴らしながらゆっくりと俺に近づいてきた。皆肩を竦めてエルザからそっと離れる。マカオとワカバも俺を解放してエルザから離れる。俺はエルザのあまりの恐ろしさに足が竦んで逃げる事が出来なかった。

エ「ショール、手紙を貰ったっていうのは本当か?」

その声は怒ってるよりも、やきもちを焼いてるように聞こえたのは俺だけだろうか・・・?俺は恐る恐る、

ショ「あ、あぁ。で、でも、送り主はミキからだ。エルザも覚えてるだろ?街荒らしの時の・・・」

そこまで言うと、エルザは笑顔になった。

エ「そうか。ミキからか。友からの手紙は嬉しいからな。」

そう言うと、鼻歌を歌いながら、

エ「ミラ、チーズケーキを頼む。」

ミ「は~い♪」

スキップしながら窓際の席に座った。するとマカオとワカバが俺に近づいてきて、

マカオ「お、お前もエルザに嘘をつくの上手くなったもんだな・・・でも、気をつけろよ。」

ワ「あいつに嘘をついた事がバレルと半殺しは確かだぜ。うぅ!考えただけで恐ろしいぜ・・・!」

小声で耳打ちしてきた。い、いや、そもそも嘘じゃなくて、本当なんだけどな・・・

****************************************************************************************

家に帰ると、俺はコーヒーを白いカップに注ぐと、それを持って自分の部屋に行き椅子に座った。机の上には、俺が幼い頃にじいちゃんと撮った写真と、ジャック、ミキ、フォアン、ジスト、チンク、リンと一緒に撮った写真が飾られている。懐かしいなぁ~。俺はまずミキからの手紙を読む事にした。開けると、ミキのホログラムが浮かび上がった。以前会った時より、灰色の髪の毛が伸びている。

ミキ『ショールへ。元気ですか?私もジャック達や街の人達も元気です。あの日からシラカバの街は平和で穏やかに過ごしているから大丈夫だよ。魔道士としての修行はどうですか?ショールが妖精の尻尾(フェアリーテイル)に加入してからもうすぐで2年が経つね。『時』が進むのがすごく早く感じるよ。』

ショ「ふっ。」

俺と似たような事を言ってるから俺は少し可笑しくて笑った。すると、さっきまで笑顔だったミキから笑顔が消えた。逆に、暗く、悲しい顔になっている。

ミキ『・・・実は、今回手紙を書いた理由は、ショールにすごく悲しい話を伝える為なの。今から話す事は全て事実だから、受け入れられなくても、信じて、ね・・・・』

ショ「・・・・・」

俺の額から冷たい汗が一筋流れ落ちた。










ミキ『・・・セイヤさんが・・・ショールのおじいちゃんが、亡くなったの・・・』










ショ「・・・は・・・・?」

じ、じいちゃんが・・・死んだ・・・・?俺は頭の中が真っ白になり、その場に倒れそうになった。慌てて傍にあったコーヒーをがぶ飲みして心を落ち着かせる。

ミキ『3週間前に、突然街中で倒れて・・・急いで病院に運んだら、「脳出血」って言われたの・・・』















脳出血・・・















この言葉が俺の頭の中をぐるぐる回る。

ミキ『私とジャック達は、毎日病院にお見舞いに行ったんだけど・・・』

俺は未だに、ミキの言葉が信じられなかった・・・

ミキ『セイヤさんは、『ショールには、絶対に言わないでくれ』って・・・』

ホログラムのミキの声も震えていた。何で・・・何でだよ・・・・じいちゃん・・・・・!じわじわと涙が溢れてきた。

ミキ『そして、1週間前に亡くなったの・・・セイヤさんは、『自分が死んでから、ショールに伝えてくれ』って・・・』

・・・意味が、解らない・・・・何で、何でじいちゃんは・・・俺に何も、言ってくれないんだよ・・・・!

ミキ『セイヤさんが亡くなる前に、『この手紙を、わしが死んでから、ショールに届けてくれ』って言われたの。それが、セイヤさんの最後のお願いだったわ・・・その手紙が、一緒に届いたはずの黄色く色褪せた手紙だよ。私もジャック達も、その手紙の中身は知らないわ。』

俺は震える手で、黄色く色褪せた手紙をそっと触る。

ミキ『黙ってて本当にゴメンね。いつかシラカバの街に遊びに来て、セイヤさん・・・ううん、ショールの場合はおじいちゃんだね。おじいちゃんのお墓参りに来てね。それじゃあ、また会う日まで・・・』

ミキのホログラムが消えた。読み終えた手紙に、涙がこぼれ、丸い小さな水滴が染み込む。

ショ「うぅ・・あぅ・・・じ、じいちゃん・・・ひっ・・・・」

俺のたった1人の血が繋がったじいちゃんが死んだ。涙が止まらなかった。俺は残っていた冷めたコーヒーを喉に流し込む。・・・あまり気分は晴れない。俺は椅子から立ち上がると、じいちゃんの手紙を読む前に2杯目のコーヒーを淹れに行った。

****************************************************************************************

悲しみに心が沈んでいたせいか、俺はコーヒーと紅茶を間違えて淹れしまった。以前のルーシィの逆パターンだ。捨てるのももったいないから、俺は仕方なく紅茶の入ったカップを持って椅子に座った。そして、色褪せたじいちゃんの手紙を手に取る。開けると、封筒と同じ色に黄色く色褪せた紙と、白い紙が入っていた。どうして手紙が2枚入っているんだ?白い紙の方は、最近に書かれたみたいだ。黄色く色褪せた紙を開くと、

ショ「!!?」

紙には墨で書かれたアリみたいな小さい文字が縦書きにびっしり書かれていた。しかも、

ショ「よ・・読めない・・・」

古代文字のような解読不明の文字で書かれていた。レビィなら読めるかもしれないな。今度お願いしてみよう。俺は白い紙を開くと、この世界にはもういない、じいちゃんのホログラムが浮かび上がった。

セ『ショール、元気にしておったか?』

久々に聞くじいちゃんの声が妙に懐かしくて、悲しく感じた。またじわじわと涙が溢れてきた。

セ『お前がこの手紙を読んでいるという事は、わしはすでにこの世にはいないという事だな。』

そんな事、手紙で言うなよ・・・

セ『死んですぐにこんな事を言うのもなんだが、ショール、今から話す事はお前にとって重要な事だ。しっかり耳に叩き込んでおけ。』

俺は唾をゴクリと飲む。また額から冷たい汗が一筋流れ落ちる。










セ『お前の『予知』能力は、わしから受け継いだものだ。』










ショ「え・・・?」

な、何で、じいちゃんが、俺が『予知』を使える事を知っているんだ・・・?しかも、その『予知』が、じいちゃんから受け継がれているって・・・・

セ『お前が見る『予知』は、『光』の者にしか見えない。『闇』の者は見る事が出来ない。』

『光』の者・・・?

セ『封筒の中に、黄色く色褪せた紙が入ってただろ?それはお前やわしが見える『予知』の事が15に区切られて書かれている紙だ。大事な事だけをまとめて簡潔に簡潔に説明すると、この『予知』はミリオン家に代々受け継がれていて、『光』の道へ進んだ者にしか見えるが、『闇』に進んでしまった者は見る事が出来ない。『予知』は大切な仲間が危険な時に見える。そう書かれている。つまり、『光』の者であるわしやショールは『予知』が見えるが、『闇』の者であるお前の父さんにはこの『予知』が見えないという事だ。』

俺の父さんは、闇ギルド、悪魔の計画(グリモアプラン)に加入してたからな。途中で抜け出したけど、仲間に裏切られ者として母さんと一緒に殺されたもんな・・・微かに、右腕にある『記憶の傷跡』が痛み、俺は左手で『記憶の傷跡』を押さえ付けた。

セ『この『予知』は大切な仲間が危険な時だけに見える特殊な能力だ。』

そこまで言うと、もうこの世にはいないホログラムのじいちゃんは鮮血のような赤い瞳を少し細め、小さく微笑んだ。

セ『ショール、仲間を大切にし、正しき心を抱いて、『光の道』を歩んで行けっ!それが、わしからの最後の願いだ。』

手紙を持っている手が小刻みに震える。

セ『お前の未来はこれからだ。自分を、仲間を信じ、頑張るのじゃぞ。元気でな・・・』

じいちゃんのホログラムが消えた。

ショ「じいちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!!」

俺はじいちゃんからの手紙をくしゃくしゃになるまで握り締め、その場に泣き崩れた。 
 

 
後書き
第154話終了ですっ!!
あのぉ~・・・思ったんですが、今までのFT友恋のお話で死んじゃう人多くないですか?(←自分で書いてるんだろ。)今まで死んじゃった人を数えると・・・なんと14人ッ!!(たぶん。)何てシリアスなお話なんでしょう・・・
次回はとある方からアドバイスしてもらい、いつもと違う組み合わせでいきたいと思いますっ!
それではSeeyou!! 

 

第155話 悪霊退治

 
前書き
こんにちは~☆
とある方から「いつもと違う組み合わせのお話を見てみたい。」とゆう案を頂きまして、今回はマヤ&フレイ&トーヤのお話を書きたいと思います。うまくいくか分かりませんが・・・
途中で目線が変わります。最初は少しだけトーヤ目線で書いていきます。
それでは、第155話・・・スタート☆ 

 
ある満月の夜、僕の目の前には妖霊界の王、妖霊王様がいます。僕は妖霊王様の前に右膝を着いて頭を下げた状態です。妖霊王様の手の中には銀色をした小さいな立方体(キューブ)と、先の方が曲がっている不思議な形をした黒い縦笛が握られています。

妖「この笛で、『ローア』を退治するんじゃ。」

僕は妖霊王様から立方体(キューブ)と縦笛を受け取ります。笛はひんやりと冷たくて、少し変わった魔力を感じました。

妖「トーヤ・ファインよ、『ローア』を、『悪霊』を退治するのじゃ。」

ト「はい。妖霊王様。」

窓から差し込む満月の光が、僕と妖霊王様を照らしました。

****************************************************************************************

                  『ここからマヤ目線でいきます。』

夕方のマグノリアは、夕飯の買出しに行きかう人や、おいしそうな匂いがいろんな場所から漂っている。私とフレイは、その夕方のマグノリアの街をぶらぶらと歩いていた。

マ「やっぱりマグノリアは平和だねぇ~♪」

フ「なぁ~に年寄りみたいな事言ってんだよ。」

フレイが呆れたとゆう感じで私を見る。私は思った事を口にしただけなのに。

フ「まっ、平和って思うのは仕方ねぇな。」

こんな極々普通の平和がずぅ~~~~~っと続くといいなぁ~。私とフレイは年寄りみたいな事を思いながら歩いていると、

子1「わぁーーーーーっ!」

黄色い風船を持った5歳くらいの男の子が走って来た。

母1「そんなに走ったら転ぶわよ。」

その子のお母さんらしき人が男の子の後を追いかける。お母さんの手には卵や野菜、魚が入った茶色い買い物袋。夕飯の買出しの途中みたい。お母さんの言ったとおり、男の子は石につまずいたのか私とフレイの目の前で転んだ。





が、転ばなかった。





マ&フ「えっ?」

読者の皆は、私が何を言ってるか分からないよね。もっと分かりやすく言うと、男の子は転んだんだけど、地面に手を着かなかったの。何でかって?










その場で止まったから。










何かにつまずいて転んだ男の子は、体が宙に浮いたままその場から動かない。周りを見回すと、男の子のお母さんも止まっているし、お店の人や、空を飛ぶ鳥、木から落ちた葉っぱまでもが止まっていた。










動いているのは私とフレイだけ。










フ「ど、どうなってんだ・・・?俺達しか、動いていない・・・」

マ「み、皆・・止まってる・・・」

そう。私とフレイ以外の全ての『時』が、なぜか止まっちゃったの・・・まるで、絵の中に入った気分。でも、何で・・・?その時、私とフレイの目の前を、何かが通り過ぎた。慌てて視線を動かすと、黒い雲のような形をした小さな生き物(?)だった。

フ「な、何だあれ・・・?」

マ「く、雲・・・みたいだけ、ど・・・・?」

すると、その黒い雲のような小さな生き物(?)は、私たちに気づいたのかこっちを振り返った。真っ赤な炎のような瞳がものすごく不気味だった。私はその瞳を見て思った。










この謎の生き物(?)が、すごく『危険』だってゆう事を・・・










フレイも私と同じ事を思ったらしく、鳥の姿から人間の姿に変わって私を庇うようにして前に立つ。

フ「ナツがいたら、こんな事しなくて済むんだけどな。」

フレイの言ったとおり、ここにはナツやエルザ、リョウやユモもいない。ましてや、動いてるのが私とフレイしかいない。だから、この謎の生き物(?)を倒せるのは私とフレイしかいないっていう事になる。フレイは両手を構えると、

フ「ファイアメイク、弓矢(アーチェーリー)ッ!!」

炎の矢が謎の生き物(?)目掛けて飛んでいく。が、炎の矢は謎の生き物(?)の体に当たる前に、その場で止まった。

フ「えっ・・・?」

マ「こ、攻撃が、止まった・・・」

攻撃が止まった=攻撃が効かないという事。すると、謎の生き物(?)はすごいスピードで私達の方に飛んできて、口を開けた。その小さな体と同じくらいまで真っ赤に裂けた口が私とフレイを飲み込もうとしているのは嫌でも理解出来た。私とフレイは頭を抱えてギュッと目を瞑った。その時、















♪ラ~ ラララ~~~ ララ~~ ラ~






                                        








聞いた事の無い繊細な笛の音がすぐ近くで聞こえた。その笛の音が聞こえた瞬間、私とフレイを飲み込もうとしていた謎の生き物(?)はシュバッと音を立てて霧のように消えちゃった。私とフレイは頭を抱えたままその場でしばらく呆然と立ち尽くしていた。すると、

ト「マヤさん!フレイさん!」

聞き慣れた声で我に返り、驚いて後ろを振り返ると、そこには紫色の瞳を見開いて私とフレイを見つめるトーヤがいた。トーヤの手の中には銀色をした小さな立方体(キューブ)と、先の方が曲がっている不思議な形をした黒い縦笛が握られていた。

ト「な、何で、動いているんですか・・・?」

マ&フ「えっ?」

トーヤがすごく戸惑っているのは見てすぐに分かった。もしかして、トーヤは知っているのかな?何で街の人達の『時』が止まっちゃったのかを。私は思い切って聞いてみた。

マ「トーヤ、この騒ぎは何?何で私とフレイとトーヤ以外の全ての『時』が止まっているのっ!?あの、変な生き物(?)は何ッ!?フレイの攻撃を止めちゃったんだよっ!?」

フ「それにさっきの質問。お前は何で『時』が止まっているのか知ってるみたいだったよな。」

ト「・・・・・」

トーヤは何も言わない。ただ唇をキュッと噛み締め、下を俯いているだけ。トーヤは妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士で、私達の仲間。あまり疑いたくないけど、怪しいと思っちゃう。すると、トーヤは一度ゆっくり目を閉じて、また目を開くと、小さく微笑んで、

ト「『危険』な目に遭わせてしまった以上、訳を話さなくちゃいけませんね。」

覚悟を決めたように呟いた。トーヤは握っていた銀色の小さな立方体(キューブ)を私達に見せると、

ト「これは『時止めキューブ』と言って、その名の通り、『時』を止める事が出来る魔法の立方体(キューブ)なんです。」

『時』を、止める・・・?

フ「じゃあ、『時』を止めたのは・・・」

ト「僕が、この『時止めキューブ』を宙に放り投げてマグノリア全ての『時』を止めたんです。」

な、何の為に・・・?

ト「さっき、マヤさんとフレイさんが見たものは『ローア』という妖霊界から逃げ出した魂を食べる『悪霊』なんです。」

マ&フ「!!?」

私とフレイは目を見開いて言葉を失った。た、魂を・・食べる・・・?

ト「僕の故郷でもある妖霊界にも、悪いお化け達がいます。『ローア』は、今妖霊界で最も『危険』とされている『悪霊』なんです。妖霊界では『ローア』を長年封印してきたんですが、その封印の力が衰えてきたせいか、3日程前に封印が解かれて、『ローア』は逃げ出してしまったんです。そして、封印していた『ローア』の約8割がアースランドに繋がる道を通ってしまって、マグノリアに『ローア』が棲みついてしまったんです。僕は妖霊界の王、妖霊王様に頼まれて、この『時止めキューブ』と『裁きの縦笛』を使って、マグノリアに棲みついてしまった『ローア』を退治していたんです。」

約8割って事は・・・さっきの『ローア』だけじゃないって事ォ!?

ト「『悪霊』は、この『裁きの縦笛』の音色を聞いてしまうと消えてしまうんです。」

フ「でも待てよ、街の人達は大丈夫なのかよっ!?『時』が止まってるんだぞっ!?」

ト「それは大丈夫です。『ローア』が狙う魂は動いてるもの。『時』が止まった街の人達の魂は狙われません。だから、動いているマヤさんとフレイさんが一番『危険』なんです。」

じゃあ、さっきトーヤが『裁きの縦笛』を吹いてくれていなかったら・・・そう思うと血の気が引いた。

マ「でも、トーヤは大丈夫なの・・・?」

ト「僕は『裁きの縦笛』を持っていますから大丈夫です。マヤさんとフレイさんはどこか安全な場所に避難するか、街の人達に紛れて動かないようにして下さい。」

そう言い残して走り出そうとするトーヤの手を私は摑んだ。

ト「えっ?」

マ「私も、『ローア』退治手伝うよ。」

私の言葉にトーヤは目を見開いた。

マ「さっき助けてくれたお礼だよ。それに、1人でやるより大勢でやった方が早く終わるよ。」

フ「それに、トーヤだけ『危険』な目に遭わせたくないしな。もしお前が魂を食われたら、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士全員が悲しむ。それだけはなんとしてでも避けたいからな。」

トーヤはしばらく黙っていたけど、

ト「ありがとうございます。でも、マヤさんとフレイさんの魂が食われても、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士の皆さんは悲しみますので、命の安全は僕が保障します。」

この時、私は初めて、トーヤがすごく頼もしく見えた。

****************************************************************************************

トーヤが言ったとおり、私達以外の人達の『時』は止まっていて、『ローア』も『時』が止まっている人達の魂は絶対に狙わなかった。その代わり、『時』が動いている私とフレイの魂は次々に狙われた。でも、狙われる度にトーヤが『裁きの縦笛』を吹いて『ローア』を退治するから全然平気。それに、私達はただマグノリアの街を歩いてるだけで『ローア』が近づいてくるからものすごく楽だった。

フ「後、どれくらいの『ローア』が残っているんだ?」

この短時間の間でかなりの数の『ローア』を退治した。まっ、退治したのはトーヤなんだけどね☆その時、ザワワワワワ・・・と風が吹き荒れ、森の木々を大きく揺らした。

マ&フ&ト「!!!」

風が吹き荒れたのと同時に、すぐ近くで魔力を感じた。かなり強烈な・・・

フ「な、何だ・・・この、すげぇ~不気味な魔力は・・・・?」

ト「か、かなり大きな『ローア』がすぐ近くにいるみたいです・・・」

マ「ひぃ~~~!!」

すると、背後からさっきの魔力を感じた。驚いて振り向くと、今まで退治してきた『ローア』の10倍以上はある巨大な『ローア』がいた。

マ「で・・でか・・・・・」

フ「ば・・化け物、だ・・・」

ト「で、でも・・たぶん、この『ローア』で・・・最後だと・・・思いま、す・・・」

トーヤは『裁きの縦笛』を銜えると、















♪ラ~ ラララ~~~ ララ~~ ラ~















『裁きの縦笛』の音色で巨大な『ローア』はシュバッと音を立てて霧のように消える。





が、この巨大な『ローア』は消えなかった・・・





フ「え・・・?」

マ「そ、そんな・・・」

ト「『裁きの縦笛』の・・音色が、効かない・・・」

トーヤは小刻みに震えて、過って『裁きの縦笛』を地面に落としちゃった。カランと音を立てて『裁きの縦笛』が落ちる。巨大な『ローア』は真っ赤に裂けた口を開けて、私達の魂を食べようする。私はまだ小刻みに震えているトーヤとフレイを庇いながらギュッと目を瞑った。もうダメだ・・・!

そう思ったその時、私達と巨大な『ローア』の間の地面に紫色の魔法陣が浮かび上がった。

ト「あ、あの魔法陣・・・まさか・・・・!」

トーヤが紫色の魔法陣を見て驚嘆の声を上げた。すると、魔法陣から黒髪に紫色の瞳、黒くて長いマントを風になびかせ、凛々しい顔つきをした1人の男が現れた。















ト「妖霊王様ッ!!」















こ、この人が、妖霊王・・・どこからどう見ても極々普通の人間に見えるんだけど・・・私とフレイは突然現れた妖霊王の姿に目を見開き、トーヤは感動の笑みを浮かべている。妖霊王は両手を広げると、















妖「封印されし『悪霊』よ・・・断じて、二度とこの世に『悪』を招く事を禁ずる・・・」















呪文のように言いながら、空中に不思議な形をした白い魔法陣を描いていく。そして、魔法陣を描き終えると、胸の前で手を合わせた。それと同時に、描いた魔法陣が光りだした。そして・・・















妖「『正義』の白い光よ・・・『悪』の黒い光を霧のように掻き消せっ!『悪霊退散』ッ!!!」















白い魔法陣が辺りを包み込み、巨大な『ローア』を言葉どおりシュバッと音を立てて霧のように掻き消した。私達は目の前で起こった事を理解するのに時間が経った。やっと理解が出来た時は、

マ&フ&ト「はぁぁぁ~・・・」

地面にへなへなぁ~と座り込んで立てなくなってしまうほど衝撃的だった。

フ「き、危機一髪、だったな・・・」

マ「うん・・・」

ト「ですね・・・」

すると、

妖「トーヤ・ファインと、トーヤ・ファインの『良き友』達よ・・・」

マ&フ「!!!」

ト「妖霊王様ッ!!」

トーヤはスクッと立ち上がり、右膝を着いて頭を下げる。私とフレイも戸惑いながらトーヤの真似をする。「王」って呼ばれるくらいだから、妖霊界では一番偉い存在なんだろうな・・・

妖「まず、頼みを達成してくれた事に感謝する・・・」

ト「ありがとうございます。」

マ&フ「あ、ありがとうございます。」

すごい緊張しているのが自分でも分かった。

妖「トーヤ・ファイン、『時止めキューブ』をまた放り投げるのじゃ。」

ト「はい。」

トーヤは『時止めキューブ』を取り出して、宙高く放り投げて、見事にキャッチッ!!すると、今まで止まっていた『時』がまた動き出した。いつの間にか『時止めキューブ』と『裁きの縦笛』は消えていた。

妖「トーヤ・ファイン、命の危機にも恐れずに、頼みを引き受け、達成してくれた事にもう一度感謝する・・・」

ト「ありがとうございます。妖霊王様。」

妖「うむ。そしてトーヤ・ファインの『良き友』達よ・・・」

マ&フ「は、はいっ!!」

まだ何も言われていないのに、私もフレイもすごく緊張している。鼓動がどんどん早くなるのが分かった。

妖「命の危機にも恐れずに、トーヤ・ファインを支えてくれた事に深く感謝する・・・」

ト「僕からも、ありがとうございますっ!」

トーヤは立ち上がり、私とフレイの方に体を動かすと、深く頭を下げた。後ろで妖霊王が満足そうに頷いていた。

妖「このご恩はいつか恩返しをする。その時には、トーヤ・ファインの『良き友』達を招待しよう。」

ト「ありがとうございます。妖霊王様。」

恩返しって、どんな事をしてくれるんだろう?あ、そういえばまだお礼を言ってなかった。私はトーヤの横に並ぶと、

マ「えっと、妖霊王様ッ!さっきは助けてくれて、ありがとうございますっ!!」

私は巨大な『ローア』から助けてくれた事に感謝して頭を下げる。

ト「僕も!ありがとうございますっ!妖霊王様ッ!!」

フ「お、俺も!ありがとうございますっ!!」

トーヤももう一度頭を下げて、フレイも私の隣に来て頭を下げた。頭を下げたままだけど、妖霊王様がニカッと笑ったのが分かった。

妖「トーヤ・ファインよ、これからも『良き友』達を大切にするのじゃぞ。」

ト「はいっ!」

妖「そして、トーヤ・ファインの『良き友』達よ、これからも、トーヤ・ファインをよろしく頼む。」

マ&フ「はいっ!!」

妖「それでは、さらばっ!」

黒いマントをひるがえしながら、妖霊王様は光と共に消えちゃった。

マ「・・・行っちゃったね。」

フ「あぁ。」

ト「ですね。」

私たちはしばらくその場に立ち竦んでいた。 
 

 
後書き
第155話終了しました~☆
いかがだったでしょうか?妖霊王は見た目は若い青年の姿をしているんですが、年はもう300以上です。あ、ところで「どうしてマヤとフレイの『時』は止まらなかったの?」とゆう疑問には触れないで下さい。私も書き終わってから気づいたので・・・(←さすが駄作者07)
次回はFT友恋のオリキャラ説明を書きたいと思います。今まで書いたオリキャラ説明、全て消去したので・・・
できるだけ詳しく書いていくつもりなので楽しみにしてて下さい☆ 

 

第156話 殺人犯

 
前書き
駄作者07ですっ!!
FT友恋の更新はすっごい久々ッ!何でこんなに遅くなったかと言うと・・・理由は2つ。
・ネタが思いつかなかった。(←さすが駄作者07)
・FT真鼠に専念していた。
って、言い訳ですね。
今回はまたいつもと違う組み合わせのお話を書きます。今回はルーシィ&ユモ!
ルーシィ目線で書いていきます。
それでは、第156話・・・スタート!! 

 
夜のハルジオンの港。そこにとても大きな豪華客船が止まっている。その豪華客船の中にタキシードを着た男の人や色とりどりのドレスを着た女の人たちが次々に入っていく。私もピンク色のパーティードレスの裾が地面に付かないように裾を少し持ちながら、豪華客船の周りをうろうろしていた。どうして私が、お姫様みたいな格好をして、こんなところでうろうろしているのかと言うと、ちょうど3日前の事。

****************************************************************************************

ル「はぁ・・・」

ミ「どうしたのルーシィ?ため息なんかついちゃって、幸せが逃げちゃうわよ。」

バーカウンターのテーブルで突っ伏してため息をついている私にミラさんが声を掛けてきた。

ル「もう、幸せ逃げちゃってます・・・」

ミ「えっ?」

ル「お金・・・ない・・・」

高額のクエストに行っても、必ずナツやグレイやマヤがいろんな物を壊しちゃうから報酬減らされちゃうの。昨日行ったクエストも、1週間前に行ったクエストも、2週間前に行ったクエストも、全部報酬減らされちゃった。

ル「このままじゃ。今月の家賃払えないんですよ~。ミラさん、何とかなりませんか?」

ミ「う~ん・・・私はあの3人を止める事は出来ないし・・・」

当の本人たちはと言うと、

ナ「今何つった?変態氷!ポジティブ野朗!」

グ「ごちゃごちゃうるせぇんだよっつったんだよ。クソ炎!バカアホリョウ!」

リョ「少しは大人しくしろっつったんだよ。垂れ目野郎!吊り目野郎!」

ナツとグレイはリョウと一緒に喧嘩中。マヤは・・・

マ「ZZZ・・・」

テーブルの上でお昼寝中。ウェンディが毛布を持ってきて、お昼寝しているマヤの体にそっと毛布をかけてあげている。

ミ「あっ!そうだっ!」

ミラさんがパンッ!と手を叩いたかと思うと、依頼板(リクエストボード)のところに行って1枚の依頼用紙を持って戻って来た。

ミ「この依頼、ルーシィにぴったりだと思うんだけど・・・」

ミラさんが持ってきた依頼用紙を受け取る。クエストの内容は、【ミズナラ城の王女、ミハル王女の1日ボディガード 1000万J】と書かれていた。私は椅子から勢いよく立ち上がる。

ル「ミズナラ城って、あのミズナラの街のお城ッ!?」

ミ「そうよ。そのミズナラ城の王女、ミハル王女が3日後誕生日なの。その誕生日パーティーがハルジオンの港で行われるのよ。すごく大きな豪華客船でね。」

た、誕生日を海で・・・私もハートフィリア家の令嬢だったけど、海で誕生日パーティなんてやった事もないわ。

ミ「でも、1週間前にミズナラ城に「1週間後のミハル王女の誕生日に、ミハル王女の命を頂きに参上する。」ってゆう宛名のない手紙が届いたの。黒い紙に赤い字で書かれた手紙がね・・・」

く、黒い紙に、赤い字・・・そ、その赤い字って・・・血じゃないよね・・・?

ル「で、そのミハル王女の命を狙う人間から、ミハル王女を守る為のボディガードを募集中って事ですか?」

ミ「そうよ。」

私は手に持っていた依頼用紙をテーブルに置く。

ル「こ、こんな危険すぎる依頼、私に出来ませんっ!!」

ミ「報酬こんなにいいのに?」

ル「うっ・・・」

私は依頼用紙に書いてある報酬の額を見る。1000万J・・・1000万J・・・私の頭の中を1000万Jがぐるぐる回る。・・・私は依頼用紙を手に取ると、

ル「やっぱやりますっ!!」

たぶん、今の私の目は¥になっていたと思う。

ミ「それじゃあ決まりね。でも、その依頼には条件があるのよ。」

ル「条件?」

ミ「依頼用紙の一番下を見て。」

私は依頼用紙の一番下を見る。そこには【※ボディガードの条件 15歳以上20歳以下の女性2人】と書かれていた。

ル「どうして15歳以上20歳以下の女性2人なのかしら?」

ミ「ミハル王女はお父さんと弟と執事以外は極度の男嫌いなの。それに、あまり年下の人や年上の人の事は好きじゃないみたい。しかも、あまり人が大勢いるところは好きじゃないみたいなの。」

ル「なんてわがままな王女様なの・・・ていうか、人が大勢いるところが嫌いなのにどうして戦場パーティなんかやるのっ!?」

ミ「アリシア家の誕生時パーティは、先祖代々必ず船上でやるらしいの。」

このミハル王女も大変なのね。あれ?ボディガード2人ってゆう事は、

ル「私の他にも、もう1人この依頼に行くって事ですよね?」

ミ「そうゆう事。ただし、条件に合ってる人ね。」

****************************************************************************************

ル「お願い!この依頼に一緒に来てっ!!」

私は条件に合うもう1人のボディガードになってくれるよう手を合わせてお願いしていた。その相手は・・・

ユ「で、でも・・・」

ユモだった。最初はエルザにお願いしたんだけど、生憎同じ日にマスターから別の依頼を頼まれちゃって、マヤは問題を起こすからダメ。ウェンディは15歳以上じゃないし・・・他にもカナやレビィちゃん、ミラさんやリサーナにも頼んでみたんだけど、皆用事とかあって全員断られちゃったの。で、最後の神頼みがユモになったって訳。でも、ユモは悩んでる。

ユ「わ、私、あまり人を守ったりするのは苦手で・・・」

ル「何言ってるのよ!ユモは格闘技もやってるから怪しい奴なんてあっという間に殴り飛ばしちゃうじゃない。」

ユ「・・・・・」

私の言葉にユモは何も言えなくなった。私は頭を下げて手を合わせると、

ル「ユモ、お願いっ!!」

すると、ユモが小さくため息をついた。

ユ「しょうがないな~。」

ル「一緒に来てくれるのっ!?」

ユ「うん。」

私はユモの手を握ると、

ル「ありがとう!ありがとう!ありがとう!」

ユモの手を思いっきり上下に揺すった。

ユ「ル、ルルルーシィ、おお落ち着いてっ!!」

****************************************************************************************

そして、今日がミハル王女の誕生日。私は豪華客船の前でユモと待ち合わせをしているんだけど、人がたくさんいて思うように豪華客船の前まで行く事が出来ない。すると、誰かのドレスの裾を踏んじゃったみたいで、

ル「キャア!!」

私は人混みの中で盛大に転んじゃった。は、恥ずかしい//////////すると、

?「大丈夫ですか?」

私に手を差し伸べてくれた。顔を上げると、ワインレッドの少し長い髪の毛に緑色の瞳、ピシッと格好よく着こなした黒いタキシード姿の私と同い年くらいの男の人がにっこり笑っていた。

ル「あ、ありがとうございます。」

私はその人の手を握って立ち上がる。男の人は私のピンク色のパーティドレスに付いた土を掃ってくれた。

?「怪我はありませんか?」

ル「大丈夫です。あなたも、ミハル王女の誕生日パーティーに?」

カ「はい。僕はカイト。君もパーティーに?」

ル「はい。あ、私はルーシィ。」

カ「ルーシィさんか。急いでたみたいだけど・・・」

あ、そうだ、ユモと待ち合わせをしているんだった。

ル「実は、友達と船の前で待ち合わせをしていて。」

カ「なるほど。よかったら、僕がそこまで一緒に行きますよ。」

ル「じゃあ、お願いします。」

カイトは私の手を取ると、船の前まで引っ張ってくれた。この事はリョウに内緒にしておかなくちゃ・・・!

カ「ルーシィさん、着いたよ。」

いつの間にか私は船の前にいた。その近くに水色と青のパーティードレスを着たユモの姿が見えた。ユモも私に気づいたのか、こっちに向かって走って来た。ドレス着てるのに、よくあんなに速く走れるわね・・・

ユ「ルーシィったら遅いよ。どうし・・・!」

ユモは私の隣にいるカイトを見て青い顔をすると、

ユ「ま、まさかルーシィ・・・二股してたのぉっ!?」

ル「違うからっ!!」

私は慌てて否定する。

ル「この人はカイト。ここまで連れて来てくれたのよ。」

カ「こんばんは。」

ユ「な、何だ。びっくりしたぁ~。あ、こんばんは。」

ユモもカイトに短く挨拶をする。

カ「それじゃあ、僕はこれで。」

そう言うと、カイトは船の中へ入って行った。

ル「ユモ、私たちも行こう。」

ユモはずっと目を離さずカイトの事を見ていた。まさか・・・!

ル「ユモ、まさかカイトに惚れたの?」

冗談半分で言ったら、

ユ「ルーシィ、あいつ何者?」

ル「え・・・?」

ユモの澄んだ青い瞳が獲物を見つけた狼のように鋭かった。

****************************************************************************************

私とユモは今応接室のソファーに座っている。目の前にはミハル王女本人と、ミズナラ城の王、ミヤベ王と、ミズナラ城の女王、ミズキ女王と、ミズナラ城の王子でミハル王女の弟、ミヤビ王子が座っている。私とユモはソファーの上で固まっていた。

ミヤ「そんなに緊張しなくていいですよ。楽にして下さい。」

ミヤベ王が優しく言う。でも、余計に緊張しちゃう。

ル「い、いい依頼内容を、くくくく詳しく説明、し、しし、して下さい。」

口が回らなくなっている。恥ずかしい//////////

ミヤ「依頼用紙のとおり、私の娘、ミズナラ城の王女、ミハルの命を狙っている者からミハルを守ってほしいのです。」

ミズ「ミハルがお客様の前に出るのは午後8時の乾杯の時です。ルーシィ様とユモス様にはステージの陰からミハルの事を守っててもらいます。」

ミハ「よろしくお願いします。」

ミハル王女が丁寧に頭を下げる。

ル「分かりました。」

ユ「必ず、ミハル王女をお守りします。」

ミヤ「ありがとうございます。それでは、8時までここで寛いでて下さい。」

そう言ってミヤベ王とミズキ女王とミヤビ王子は応接室から出て行った。応接室には私とユモとミハル王女だけが残された。

ミハ「ルーシィ様と、ユモス様と言いましたね。」

ミハル王女が艶やかな黒い髪の毛を揺らしながら微笑んだ。ピンク色の宝石が埋め込まれたティアラとネックレス、ふんわりとしたピンクと白のシルクのドレスがすごく似合っている。さすが王女様。

ユ「ルーシィが言うセリフじゃないと思うよ。」

ミハ「あら。ルーシィ様もどこかの王女なのですか?」

ル「う~ん・・・王女じゃなくて、令嬢ですね。魔道士の。」

今はもう違うけど。

ミハ「私の命、お2人に託します。」

はい!しっかり託されましたっ!!

****************************************************************************************

午後8時。私とユモはステージの陰にいる。目の前には白い布がかけられたテーブルに座っているミヤベ王とミズキ女王、ミハル王女とミヤビ王子。ミハル王女は一番豪華なイスに座っている。

司「大変長らくお待たせしました。それでは、今夜の主役、ミハル王女に乾杯を。」

黒いスーツを着た司会者が言うと、傍にいたソムリエがミハル王女たちのグラスにワインを注ぐ。ミハル王女たちはワインの入ったグラスを持ってイスから立ち上がる。

司「それではミハル王女、お願いします。」

ミハル王女はグラスを掲げると、

ミハ「乾杯!」

客全「乾ぱーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーいっ!!!!!」

その時、船の明かりが消えた。船内は真っ暗な闇の世界になった。

客1「な、何だ何だぁっ!?」

客2「停電かっ!?」

客3「キャアアアアアアアアアアッ!!」

ガシャン!ガッシャアン!とワインの入ったグラスやご馳走がのったお皿が次々に割れる音が船内に響き渡る。

司「み、みみ皆さん!おおお落ち着いて下さぁ~いっ!!」

司会者が落ち着かせようとするけど、その声は客の悲鳴に掻き消されちゃった。ていうか、司会者も全然落ち着いてないじゃない!

ユ「ルーシィ!!」

暗闇でも、ユモが陰から飛び出したのが見えた。そうだっ!ミハル王女が危ないっ!私も慌てて飛び出した。でも、ミハル王女どこぉ~!!さっきまでは分かっていたのに~!!その時、すぐ近くでガキィィィン!!と鋭い音が響いた。ま、まさか・・・!

ル「ミハル王女!!」

私が叫んだのとほぼ同時に、船内の明かりが点いた。私の目の前には、

ル「え・・・?」

白い布がかけられたテーブルはひっくり返っていて、その近くで腰を抜かしているミヤベ王。その隣でミヤビ王子を庇うようにしゃがみ込んでいるミズキ女王。その近くで、口元に手を当てて目を見開いているミハル王女。前には、ミハル王女を守るようにして立ち、両手を顔の前に翳して氷を出したユモ。その氷には銀色に光る短剣が・・・その短剣を持っているのは、ワインレッドの髪の毛に緑色の瞳、ピシッと格好よくタキシードを着こなした男の人・・・

ル「カ、カイト・・・」

さっき私を助けてくれたカイトだった。カイトは目を見開いて、

カ「き、君は、さっきの・・・」

たぶんユモの事を言ってるんだと思う。するとユモは、ドレスを着ていると言うのに後ろ回し蹴りでカイトの持っている短剣を弾き飛ばした。剣は宙を舞いガンッ!と鈍い音を立てて壁に突き刺さった。

ル「まさか・・・あなたが、ミハル王女を・・・」

私は未だに信じられなかった。さっき、私を助けてくれたのに・・・まさかミハル王女を殺そうとしているなんて・・・カイトは右に口角を上げると、

カ「そうさ。俺がミハル王女を殺そうとしたカイト・ガドリーだ。」

不気味に笑った。って、あれ?「カイト・ガドリー」・・・どこかで聞いた事があるような・・・・?

ユ「フィオーレ王国では今最も有名な人物だよ。カイト・ガドリー。1人で殺人の仕事をし続けてきて、これまでに何人もの人を殺してきた殺人鬼。」

そうだ!先週の週刊ソーサラーでも一番目立ってた記事に載ってたわ!

カ「俺は殺人鬼じゃねぇ。殺人犯(マーダラ)だ。」

どっちも似たようなもんじゃないっ!変なところに拘るなっ!!

カ「でも、よく俺が殺人犯(マーダラ)だって分かったな。普段は顔を明かしていないのによ。」

確かに。私とユモは、豪華客船の前でカイトと話したけど、ほんの数分だった。それに、週刊ソーサラーの記事に載ってたカイトは黒いシルクハットを目深に被っていたし、よく表情が分からなかったのに・・・

ユ「胸ポケット。」

ル&カ「?」

ユ「タキシードの胸ポケットには何も入れないのが基本中の基本。入れるとしたらハンカチみたいな邪魔にならない物。でも、カイトのタキシードのポケットは膨らんでいたの。ひょっとしたらと思ってたら、本当に殺人犯だったってわけ。」

あ、あの短時間で、そんなとこまで気づいていたなんて・・・ユモってすごい!カイトはまた右の口角を上げると不気味に微笑んだ。

カ「君には敵わないや。降参(ギブアップ)だ。」

カイトは静かに両手をあげた(ホールドアップ)

カ「そういえば、さっき名前を聞いていなかったな。」

ユモは何回か瞬きをした後、両手を構えて冷気を溜めて、氷で妖精の尻尾(フェアリーテイル)のギルドマークを造形すると、

ユ「私はユモス・クオリナ。妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士よ。」

カイトは一瞬驚いた表情をしたけど、またすぐに不気味に微笑むと、

カ「妖精の尻尾(フェアリーテイル)か。覚えておくよ、ユモス・クオリナ。それと、ルーシィさん♪」

ユモの後ろにいた私に向かってウィンク。ちょ、ちょっと吐き気が・・・すると、カイトが床に向かって何かを投げた。すると、それが破裂して白い煙が出てきた。

ユ「え、煙幕ッ!?ゴホッ!ゴホッ!」

ユモや私、ミハル王女たちや客の人たちも咳き込む。

カ「今回だけは見逃しといてやろう。だが、次こそは人間の命を頂に参上する。覚えておけっ!妖精の尻尾(フェアリーテイル)ッ!ハハハハハハハハハッ!!」

カイトの笑い声が船内に響き渡った。煙が晴れた時には、すでにカイトの姿は船内になかった。

****************************************************************************************

ハプニング満載だったミハル王女の誕生日パーティー終了後、私とユモは報酬の1000万J手に家に(ユモの場合は女子寮)向かっていた。ヤッタ~♪ユモと2人で分けても500万J!!また私の目は¥になっていると思う。

ル「それにしても、ユモの名推理すごかったわ~。」

ユ「ルーシィが、カイトと会ってくれたから分かったんだよ。」

そういえば私、よく殺されなかったわね。

ル「そういえば、またあいつ現れるのかしら?」

ユ「さぁ?私的には現れないでほしいけど、話の内容はすべて駄作者07次第だからね。」

たぶん、聞こえてるんじゃないかな・・・?(バッチリ聞こえてますっ!! by07)そんなこんなで、私は今月の家賃を無事払える事が出来ました。よかったよかった。 
 

 
後書き
第156話終了ですっ!!
久々に書いたから変になってないかな?駄文・誤字など見つけましたらどんどん指摘して下さい!
次回はFT友恋のオリキャラ説を新しく書き直そうと思っております。
お楽しみに~!! 

 

FAIRY TAIL 友と恋の奇跡 オリキャラ説明!!

 
前書き
07でぇ~す♪
今回はFT友恋のオリキャラ説明を1から書き直したいと思います。出来る限り詳しく書きたいと思いますので、温かい目でご覧下さい。
それでは、新しくなったFT友恋オリキャラ説明・・・スタート♪ 

 
―名前―
マヤ・ララルド

―年齢―
18歳

―魔法―
動物召喚(アニマルズ)
召喚魔法の1種で、契約した動物を呼び出して共に戦う所持系(ホルダー系)の魔法。
契約した動物の首には青い首輪が付く。契約を解除したい時は、飼い主(オーナー)に首輪を外してもらう。
現在、マヤと契約してる動物の数は13匹。(いるかのキュー、ライオンのキング、大熊のドランなど・・・)

火炎石
マヤの体内に埋め込まれていた赤い石。
鳳凰と関係する者(マヤ、フレイ)だけが扱える太古の魔法(エンシェントスペル)
本物の鳳凰の炎を両手に纏う事が出来る。最初はうまく扱う事が出来なくて暴走状態になっていたが、今では自由自在に扱う事が出来る。
伝説では絶対に消えない炎で、薬にも使われていたらしい。
この石のせいで、マヤは何度も命を狙われた。

―好きなもの―
ナツ 動物 編み物 恋話

―嫌いなもの―
動物を傷つけたり、いじめたりする人 本

―異名―
動物姫(アニマルプリンセス)

―容姿―
夕日のようなオレンジ色のセミロングに大きなオレンジ色の瞳。
象の絵が描かれた黄色いTシャツに白いショートパンツに、オレンジ色のスニーカーとゆう動きやすさ重視の服装。頭には鳳凰から貰った宝物の黄色いカチューシャを肌身離さず身に付けている。
ショートパンツのポケットには火炎石を入れている。
背はウェンディとトーヤの頭1個分高いだけで、18歳にしてはかなり小柄な体型だが、本人は全く気にしていない。ナツに初めてキスした時も、背伸びをしないと届かなかった。
ギルドの紋章はオレンジ色で左肩。

―備考―
シェガルーウィリーという街出身の年中無休テンションMAXのこのお話の主人公。

4歳の頃実の親にホライズンの森に捨てられ、人間嫌いの伝説の不死鳥、鳳凰に拾われた。が、X777年、7月7日、マヤが4歳の頃に姿を消した。姿を消した今でも捜し続けている。鳳凰と一緒にいたせいか、数々の動物達と会話が出来る不思議な能力が身に付いた。

小さい頃から魔道士になって、妖精の尻尾(フェアリーテイル)に加入するのが夢だった。

いつも笑顔を絶やさずに明るく楽しく過ごしていて、怒りを爆発しているエルザにも普通に接する事が出来る、妖精の尻尾(フェアリーテイル)一の怖いもの知らず。

無類の動物好きで、ハッピーやシャルルを初めて見た時は目をキラキラ輝かせるほど。
動物達を傷つけたりする者は、誰であろうと容赦なく痛めつける。

意外にも手先が器用で、冬には動物達に手作りのマフラーなどを編んであげたりする。

恋話を聞くのもするのも好きで、よくミラやカナと一緒に盛り上がっている。

本が大嫌いで、読むのはもちろん、見ただけでも激しい本酔いをしてしまうほど。

自分の体内に火炎石が埋め込まれていた事を知らず、それを奪う為マヤの父親、ヤスジ・ララルドの双子の弟、ヤマト・ララルドに命を狙われ、そのせいでフレイが死んでしまった時は大粒の涙を流し、実の親を恨むようになった。が、時々お墓参りに行っている。

小さい頃鳳凰に格闘技を教えてもらっていたが、今はユモに教わっている。
マヤが弱すぎるのか、ユモが強すぎるのか分からないが、今まで一度もユモに勝った事がない(0勝4敗)。

ナツ、ハッピー、フレイとよく行動を共にしている。

ギルドの裏庭でナツに告白され、現在ナツとは恋人同士。

大魔闘演舞に妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)のメンバーとして出場する。

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―名前―
リョウ・ジェノロ

―年齢―
18歳

―魔法―
聖剣(エクスカリバー)
アーサー王が使っていたと言われる7本の聖剣を使って戦う所持系(ホルダー系)の魔法。
聖剣(エクスカリバー)を使用する為には、聖剣(エクスカリバー)に宿る守護剣士に認めてもらい、自分の血を付けて契約をしないといけない。
現在、リョウが契約している聖剣(エクスカリバー)の数は3本(『銀覇剣』、『天力剣』、『嵐真剣』)。
聖剣(エクスカリバー)には強さの順位があり、リョウが契約している3本の聖剣(エクスカリバー)は7番目(『銀覇剣』)、4番目(『天力剣』)、3番目(『嵐真剣』)である。

―好きなもの―
ルーシィ 聖剣(エクスカリバー) 宇宙

―嫌いのもの―
ルーシィを傷つけたり、泣かせたりする人 規則

―異名―
聖剣士(ホーリーフェンサー)

―容姿―
こげ茶色のツンツン頭にこげ茶色の瞳。
常に緑色の着物に黒い袴を穿いて、草履という魔道士とは思えないくらい動き難そうな服装をしている(本人曰く「常に修行!」らしい)。
腰には3本の聖剣(エクスカリバー)を差している。
背はナツと同じくらい。
ギルドの紋章は緑色で首の後ろ。

―備考―
ジェノロ財閥の御曹司。

若き聖十大魔道の1人でトップクラスでもあり、序列6位。

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の数少ないS級魔道士でもある。

13年前に病気で他界した母親はルーシィの母親、レイラの双子の妹のレイカである為、ルーシィとはいとこ同士にあたる。

死んだ母親との約束で、「世界一の魔道士になる」という高い目標()を持っている。その強い願望が叶い、5年前に聖十の称号を貰い、3年前にトップクラスになった。その時にマカロフと出会い、マカロフを尊敬している。

世界に3人しか存在しないと言われる聖剣(エクスカリバー)使いの1人。7本ある聖剣(エクスカリバー)のうち、3本はリョウと契約している。(『銀覇剣』、『天力剣』、『嵐真剣』)

楽観的な性格だが頼りになる存在で、周囲からの信頼も高く、新生評議院第4強行検束部隊隊長、ラハールからも信頼されており、いろいろな情報を教えてくれる。

父親のプノン・ジェノロが宇宙が好きだった為、宇宙や惑星について詳しい。

作中の中で、何度も刺されている。

本人は気づいていないが、魔道士ギルド、幸福の花(ハピネスフラワー)の魔道士のユリや、闇ギルドでビゲスト同盟の1角、鎖の少女(チェーンガール)の魔道士のミモリに好意を抱かれているが、本人はルーシィ一途。

ユリが何者かに殺され、聖剣(エクスカリバー)、『花錦剣』が盗まれ、アカネ達から「ユリの仇をとってほしい」と涙を流しながら頼まれ、ユリの仇をとる事を約束した。

妖精の尻尾(フェアリーテイル)に加入する為、ギルドに行こうとしたのだが道を間違えてなぜかハコベ山の頂上まで来てしまい、その時に偶然崩れた崖と共に落ちてきたルーシィを助けて(いとこ同士だが)一目惚れをした。
アカネビーチのホテルに泊まった夜にルーシィに告白して、現在ルーシィとは恋人同士。最初はレオ(ロキ)とライバル関係だったが、今は「ルーシィを必ず守り抜く」という約束を交わした。

大魔闘演舞に妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)のリーダーとして出場する。

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―名前―
ユモス・クオリナ

―年齢―
17歳

―魔法―
氷の造形魔法
造形魔法の1種で、能力系(アビリティ系)の魔法。
ユモの場合、グレイやフレイ同様物質の造形を得意とする静のアイスメイク。死んだ兄の真似をして習得した。

格闘技
ユモがアルウィーゼ・パージアから教わった数々の格闘術。
今はユモ自信がマヤにその格闘術を教えている。

ライジングシャイニー
ユモが9歳の頃、格闘技の師匠であるアルウィーゼから教わった格闘奥義で、伝説の1つに数えられる超魔法の1つ。
“闇を光に変える”というニルヴァーナと似た感じの魔法。


7年前に、ユモが自然に身につけた魔法。
ものすごく強力で危険だという事を自覚している為、普段は体の奥深くに封じ込めている。カルロと戦った時に一度魔力を解放した(いつか本編で明らかになります)。

―好きなもの―
グレイ 冷たいもの 仲間

―嫌いなもの―
ギルド、仲間をバカにしたり、傷つけたりする人 闇

―異名―
格闘技の名手→氷上の舞姫

―愛称―
ユモ

―容姿―
胸くらいまである水色の髪の毛を右耳の下で1つに束ねており、吸い込まれそうな澄んだ青い垂れ目。
腰のところに青いリボンが付いた水色のワンピースに、青い網状のサンダルとゆう女の子らしい服装。
背はルーシィと同じくらい。
ギルドの紋章は水色で背中。

―備考―
ブラーゴの街出身の少女。

10年前にゼレフ書の悪魔、デリオラに街を崩壊され家族を失い、街で唯一の生き残り。

6つ年上のグレン・クオリナというグレイと瓜二つの兄が絶対氷結(アイスドシェル)で、グレイの師匠であるウルと共にデリオラを封じた(その後、グレンは月の雫(ムーンドリップ)の影響で、ウルと共に海と同化した)。

グレンの恋人だったハルカ・パーカーはデリオラを封じる為に絶対氷結(アイスドシェル)で自らの肉体を滅ぼしたグレンの死に絶望し、後を追いかけるように自ら海に身を投げ出し、唯一の肉親である姉のハルカを失った弟のハルト・パーカーに恨まれるようになった。

ブラーゴの街を出てフリーの魔道士として旅をしてきたが、8歳の頃に森で山賊に襲われ、力尽きて倒れそうになったところを見知らぬ少年に助けられた。名前も聞かずにその子と別れてしまったが、唯一覚えているのは少年の髪の色が紺色だった事と、手が冷たかった事だけ。ユモはその時の少年をグレイだと密かに思っている。が、本当の事は誰も知らない。
その時の少年のように「強くなりたいっ!」という強い思いからアルウィーゼの元に弟子入りをして、イレーネ・ザンビアと共に格闘術を教えられた。

9歳の頃、アルウィーゼから超魔法の1つであり、格闘奥義のライジングシャイニーを教えられた。
その後すぐに、怒激獣バルベッサに襲われ、ユモを助けようとしたアルウィーゼは命を落とし、アルウィーゼを超える事を目標にしてきたイレーネにも恨まれるようになった。

10歳の頃、姉の復讐としてハルトが黒魔法の呪殺に含まれる闇の呪い(ダークカース)を掛けられ、7年間苦しみ続けた。この呪いのせいで、ユモの体は当時氷のように冷たくなっていた。

その後もフリーの魔道士として1人で旅をしていたが、魔力の使いすぎて洞窟で気を失い、偶然通りかかったグレイに助けられて妖精の尻尾(フェアリーテイル)に加入した。

7年前に掛けられた闇の呪い(ダークカース)が発動した時や、白黒の仮面(モノクロマスク)に加入したハルトに命を狙われた時も、死ぬ覚悟は出来ていたがグレイに助けられた。

アルウィーゼの復讐にやって来たイレーネには1人で勝負に挑み、アルウィーゼから教えられた格闘奥義のライジングシャイニーでイレーネを倒した(闇から救った)

普段は誰にでも優しく接しているが、怒ると黒いオーラを放出してエルザ以上に恐れられている。

ギルドと仲間を守る為なら常に命を捨てる覚悟でいる。

グレイ以上に鈍感で、グレイが自分の事を「好き」と言っても、ジュビアと勘違いしてるのかと思ったほど。

グレイは初恋の相手で、現在グレイとは恋人同士。

大魔闘演舞に妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)のメンバーとして出場する。

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―名前―
ショール・ミリオン

―年齢―
19歳

―魔法―
手品(トリック)
マジシャンだけが使えるという能力系(アビリティ系)の珍しい魔法。
主に攻撃かサポートを得意としている。ショールの場合、幼馴染のジャックに教わった。

―好きなもの―
エルザ コーヒー 手品

―嫌いなもの―


-異名―
不思議な手品師(ミラクルトリッカー)

―容姿―
黒髪に鮮血のような赤い瞳。
白い服に黒いベストを羽織り、流行の青いジーパンを穿き、赤いスニーカーとゆう男にしてはかなりオシャレ。
右腕に火傷の跡がある。
背はグレイよりも高い。
ギルドの紋章は白でベストの胸ポケット。

―備考―
シラカバの街出身の青年。

人気ナンバー1マジシャンの両親の影響により、小さい頃から手品が好きだった。

両親は闇ギルドでバラム同盟の1角、悪魔の心臓(グリモアハート)の傘下ギルド、悪魔の計画(グリモアプラン)の有能な魔道士でもあり、暗殺系の依頼ばかりを遂行し続けていたが、こっそりとギルドを抜け出しシラカバの街で暮らし始めてショールを生んだ。

5歳の頃、裏切り者として悪魔の計画(グリモアプラン)の魔道士達が襲い掛かってきて、両親は必死に抵抗したが、なすすべも無く両親は殺された。ショールは逃げようとしたが右腕を拳銃で撃たれて重症を負った。火傷の跡はこの時のもので、ショールは『記憶の傷跡』と呼んでいる。

重症を負いながらもショールは必死に逃げ、辿り着いたのがジャックの家で、ショールはジャックの家で居候する事になった。

10年後(当時15歳)、マジシャンとして1人旅に出て、その4年後、マジシャンを引退し魔道士として活動する為妖精の尻尾(フェアリーテイル)に加入した。

当時は人を信じる事が出来なくて、“アテラス・カンクス”という偽名で名乗っていたが、妖精の尻尾(フェアリーテイル)に加入した後は本名も明かし、徐々に人を信じる事が出来るようになった。

かなりのイケメンで、週刊ソーサラーの「彼氏にしたい魔道士ランキング」では常に上位をキープし続け、女性ファンの間ではヒビキとショールどっちがカッコイイかで争っているほど(←本人は一切興味が無い)。

コーヒーが好きで、トーヤと一緒に飲んでいる時が多い(トーヤはお茶)。

祖父のセイヤから受け継いだ『予知』能力で先の事を見る事が出来る。でも、まだうまく使いこなせていない。

妖精の尻尾(フェアリーテイル)では数少ない頭脳派魔道士で、意外にも涙もろい。

シラカバの街が悪魔の計画(グリモアプラン)に襲われ、アン・ドヴァーの操り(パペット)によりジャック達が操られて街を荒らしている事をミキ・シャフルから聞かされた時は怒りを露和にしていた。その時の戦いでエルザに勇気を貰い、エルザに告白する事が出来た。現在エルザとは恋人同士。

大魔闘演舞に妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)のメンバーとして出場する。

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―名前―
トーヤ・ファイン

―年齢―


―魔法-
怪物召喚(モンスターズ)
召喚魔法の1種で、失われた魔法(ロスト・マジック)の1つ。契約した異界にいる幽霊や妖怪を呼び出して共に戦う所持系(ホルダー系)の魔法。
契約すると、契約者(オーナー)の左手の甲に模様が浮かび上がる。
現在、トーヤが契約してる怪物の数は17人。(透明人間、てんぐ、幽霊兄弟など・・・)

―好きなもの―
お化け達 お茶 ウェンディさん

―嫌いなもの―
十字架 カメラ

―異名―
怪物(モンスター)

―容姿―
銀色のくせ毛に紫色の瞳、雪のような真っ白な肌。
黒いフード付きのローブを羽織り、茶色いスニーカーブーツとゆうちょっと変わった服装。
首にはウメから貰った幽封玉を提げている。
背はウェンディと同じくらい。
ギルドの紋章は紫色で右腕。

半幽人の姿の時は、頭からアリエスと似たような形の角が生えて、瞳は赤く染まり、黒いローブの裾は破れ、足は透けている。

―備考―
妖霊界から来た人間の姿をした幽霊。だが、アースランドにいる時は幽封玉の能力で極普通の人間の姿でいられる事が出来る。

親が死んで2年後にトーヤが生まれたので、明らかに12歳ではないのだが、見た目がウェンディと同い年くらいなので本当の年齢不詳である。

人間の姿でも、やっぱり幽霊のせいか、カメラでトーヤの事を撮ると何も写っていない。

お茶が好きで、ショールと一緒に飲んでいる時が多い(ショールはコーヒー)。

親は元妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士で、マカロフとは仲が良かった。父親のローター・ファインは、生きていたら妖精の尻尾(フェアリーテイル)の3代目マスターだったらしい。

【幽霊屋敷の怪物を倒してほしい 75万J】というクエストに来た最強チームと偶然出会い、妖精の尻尾(フェアリーテイル)に加入する。

本当は、アースランドには3年しかいられないはずだったが、マカロフ、ウェンディ、シャルル、ビックスローの説得によって、ずっとアースランドで暮らせる事になった。

契約したお化け達の事を大切に思い、命に代えてでも守る約束をお化け達としている。

ウメから貰った幽封玉を外すと、半幽人の姿になる。

ハッピーやシャルル、リリーにまで「さん」付けで呼び、誰にでも敬語を使うのですごく礼儀正しい。

ウェンディの事が好きで、真冬の夜に赤面しながらも告白をした。その時に、シャルルと「ウェンディを必ず守る」という約束を交わした。現在ウェンディとは恋人同士。

大魔闘演舞に妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)のメンバーとして出場する。

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―名前―
フレイ・レッドシェル

―年齢―


―魔法―
炎の造形魔法
造形魔法の1種で能力系(アビリティ系)の魔法。
フレイの場合グレイやユモ同様物質の造形を得意とする静のファイアメイク。
最初は人間の姿にならないと魔法は使えなかったが、大魔闘演舞に出場する為の2週間の修行で、鳥の姿の時でも魔法を使えるようになった。

―好きなもの―
辛いもの 楽しい事

―嫌いなもの―
甘いもの つまらない事

―異名―
紅蓮鳥(クリムソンバード)

―容姿―
鳥の姿の時は、全身が炎のような赤い毛で覆われている。

人間の姿の時は、赤い短髪に炎のような赤い瞳。
赤いフード付きトレーナーに茶色いハーフパンツになぜか裸足とゆう野性的な服装。
ギルドの紋章は赤で右脇腹。

―備考―
マヤに眠る不死鳥の欲望(フェニックスディザイア)の力を封じる為にマヤを探していた鳳凰の使い。
鳳凰の使いとして、300年以上も生きているらしいが、本当の年齢は不明。

ヤマトの死滅の光線(デスガリスビーム)に直撃して、誰もが命を落としたと思われていたが、なぜかエドラスの世界に飛ばされていて、しばらくエドラスのフレイとして過ごしていた(本当のエドラスのフレイは3年前に事故で死んでいる)が、エドラスのマヤと、ミストガンに協力してもらい、無事にアースランドに生還する事が出来た。

現在はマヤの相棒として、最強チームの仲間と楽しく過ごしている。

大魔闘演舞に妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)のリザーブ枠として出場する。 
 

 
後書き
FT友恋オリキャラ説明終了~♪
いかがだったでしょうか?すごく長くなってしまいましたっ!てか、ユモの魔法が以上に多い・・・
駄文・誤字などを見つけたら感想などで教えてくれたら光栄です。
次回はいよいよ、魔道士達の熱き祭典の開幕です!
それではSee you next♪ 

 

第157話 大魔闘演舞

 
前書き
新年!あけまして、おめでとうございます!!
今日からまた新しい年が始まります!!それと同時に、マヤたちの活躍も盛大に盛り上がります!!今回は、ついに!あの『大祭り』がやって来たぁ~!!
マヤ目線で書いていきます。
それでは、第157話・・・スタート!! 

 
妖精の尻尾(フェアリーテイル)では相変わらず朝っぱらからお酒を飲んで大騒ぎ。すると、私の隣に座っていたルーシィが肘で私を突付くと、

ル「これからもっと大騒ぎな『大祭り』が行われるわよ。」

ウィンクをしながら言う。てか、『大祭り』って何?こんな時期に『幻想曲(ファンタジア)』でもやるの?すると今度は、私の正面に座っていたウェンディが目をキラキラ輝かせて、

ウェ「『幻想曲(ファンタジア)』よりも、もっともぉっとぉ~!すごいイベントですよ。」

マ「そんなでかいお祭り、マグノリアにあったっけ?」

ナ「マグノリアだけじゃねぇよ。フィオーレ中の魔道士ギルドの『大祭り』だっ!!」

ナツとハッピーが話しに割って入ってきた。ナツの目もすごくキラキラ輝いているのが分かった。

ハ「今年はどのギルドが優勝するんだろうね?」

ナ「んなの、俺たちのギルドに決まってるじゃねぇか。」

フィオーレ王国中の魔道士ギルド?優勝?さっきから意味不明の言葉が私の頭の中をぐるぐる回っている。いったいどんなお祭りなんだろう?その時、

マカ「諸君、わしの所に集まってくれぃ。」

マスターがバーカウンターの上に立っている。

グ「いよいよだな。」

ト「な、何がですかぁ?」

エル「この時を楽しみにしてたんだ!漢だっ!!」

どうやら、私とフレイ、ユモとショールとトーヤ以外のみんなは『大祭り』が何なのか分かってるみたい。って、この展開、前にもあったような・・・バーカウンターの上にいたマスターがゴォッホン!と咳払いをすると、

マカ「これより、今年の大魔闘演舞の出場者を発表する。」

マ&ユ&ショ&ト&フ&マカ以外「おおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」

大歓声が起こる。てか、大うどん(・ ・ ・)演舞って何?うどんの早食い競争?

ル「だ・い・ま・と・う・え・ん・ぶっ!!あんた、ほんっとにナツに似てきたわね~。」

そうかな?で、そのだ・い・ま・と・う・え・ん・ぶって何?

エ「普通に言っていいぞ。大魔闘演舞とは、毎年行われるフィオーレ一の魔道士ギルドを決める祭りの事だ。」

フ「フィオーレ一!?」

ユ「す、すごい・・・」

フィオーレ一の魔道士ギルドを決めるって事は、バトルで勝つって事?

リョ「それが違うんだよなぁ~。マヤが考えているようなただのバトル祭りじゃねぇんだ。」

マ「えっ?」

じゃあどうゆう事?

シャ「もちろん、マヤが考えているような普通のバトルもあるわ。でも、主に競技で競い合ったりして、その時得たポイントが一番高い魔道士ギルドがフィオーレ一になる事が出来るのよ。」

ト「競技?どんな競技何ですか?」

ハ「それが分からないんだ。競技は毎年変わるからね。」

ショ「一貫性がないのか。」

うわぁ~・・・随分厄介だねぇ。

ル「大魔闘演舞はフィオーレ王国の首都、花咲く都クロッカスの西の山にあるドムス・フラウで行われるのよ。ルールは正規ギルドのみ参加出来るの。でも、ギルドマスターは参加出来ないのよ。」

もし、ギルドマスター達が参加して、ギルドマスター同士が戦ったら・・・フィオーレ王国壊滅しちゃうんじゃないかな・・・?

マカ「ゴォッホン!マヤたちに大魔闘演舞の説明が終わったところで、今年の妖精の尻尾(フェアリーテイル)からの出場者は・・・」

ギルド内が静まり返った。皆の息をのむ音しか聞こえない。

マカ「ナツ!」

ナ「うっしゃあーーーーーっ!!」

マカ「グレイ!」

グ「当然。」

マカ「エルザ!」

エ「お任せを。」

うわぁ~、すごいメンバー・・・この3人だけでもフィオーレ一になれる気がする。

フ「大魔闘演舞には、各ギルド何人出場出来るんだ?」

ル「1チーム5人と、リザーブ枠1人の6人。何だけど・・・」

ウェ「去年、妖精の尻尾(フェアリーテイル)は途中までAチームとBチームの2チームで12人参加してたんですけどね・・・」

ト「そ、それって、ルール違反なんじゃ・・・」

ハ「マスター曰く、許可を得たみたいだよ。」

ど、どうやって許可を得たんだろう?でも、さすがに今年は1チームだよね。後の2人とリザーブ枠は誰!?またギルド内が静まり返る。

マカ「ルーシィとウェンディ!リザーブ枠はエルフマンじゃっ!」

ル&ウェ「えぇぇぇぇぇっ!?」

エル「漢ォォォォォッ!!」

ルーシィとウェンディとエルフマン、強いもんね☆でも、私的にはガジルとかリョウとかミラとか、ラクサスとかジュビアとかユモが選ばれるかと思った。するとマスターがまたゴォッホン!と咳払いをして、

マカ「この6人が大魔闘演舞に参加する妖精の尻尾(フェアリーテイル)Aチーム(・ ・ ・ ・)じゃ。」

マカ以外「えっ?」

マスター以外の皆の頭に?が浮かぶ。マスターは右手の人差し指で右頬をポリポリ掻くと、

マカ「じ、実はじゃな、今年は不思議な事に参加するギルドが去年の半分以下なんじゃ。確か・・・58じゃったかのぉ~?」

ナ「去年は確か・・・133のギルドが参加したんだろ?」

シャ「去年と比べたら随分少ないわね。」

こ、これで少ないのぉっ!?私的には、まだまだ多いと思うけど・・・

マカ「それで、去年みたいに妖精の尻尾(フェアリーテイル)は2チーム参加させてくれと、大魔闘演舞の主催者側からわしのところにわざわざ頼みに来たんじゃ。」

マスターって、信頼度高いんだね。

グ「信頼度の問題じゃねぇと思うが・・・」

細かい事は気にしない気にしない。で、もう1つのチーム(Bチーム)の出場者とリザーブ枠の6人がいるって事だよね。う~ん・・・誰だろう?ガジル?リョウ?ミラ?ラクサス?ジュビア?ユモ?それとも他の誰か?またまたギルド内が静まり返る。皆の息をのむ音しか聞こえない。

マカ「リョウ!」

リョ「マジかっ!?」

マカ「ユモ!」

ユ「えぇっ!?」

マカ「ショール!」

ショ「・・・え・・・・?」

おぉっ!この3人も強いもんね☆さて、後の2人とリザーブ枠は誰!?またまたまたギルド内が静まり返る。

マカ「トーヤとマヤ!リザーブ枠はフレイじゃっ!」

ト「!!?」

マ「はひぃぃぃっ!?」

フ「んなっ!?」

変な声が出たし、開いた口が塞がらない。

ショ「マスター!何で俺がぁっ!?ガジルやラクサス、ミラやジュビア、俺より強い人はたくさんいるじゃないですかっ!!」

ショールの言葉に「仮」のBチームは揃って頷く。マスターはまたゴォッホン!と咳払いをして、

マカ「お前等は「仮」などではなぁぁぁいっ!正真正銘の、妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)じゃ。ガジル、リリー、ラクサス、ミラ、ジュビア、カナには別の仕事を頼んだんじゃ。」

別の仕事?その仕事を私達に頼めばよかったのにぃっ!!

マカ「この仕事は、かなり難易度の仕事じゃ。」

ガ「つー訳だ。譲ってやったんだから、感謝しろよ。ギヒッ。」

何でガジルに感謝しないといけないのっ!!

エ「ところでマスター、その別の仕事とはいったい?」

マカ「それは、わしと仕事に行く者だけの秘密じゃ。」

「秘密」って言われたら、人間は余計に気になっちゃうんだよ。あぁ~・・・気になる。

リョ「はぁ。マカロフさんに言われたら、やるしかねぇのか。」

ト「そうみたいですね。」

ユ「まだ納得いかないけど・・・仕方ないね。」

マ&ショ&フ「はぁ・・・」

私達Bチームは仕方なく大魔闘演舞出場を許可した。

ウェ「ところで、大魔闘演舞はいつ何ですか?」

ウェンディがマスターに問うと、マスターは困った顔になって、また右手の人差し指で右頬をポリポリ掻くと、

マカ「じ、実はじゃな・・・1週間後じゃ。」

私・・・いや、大魔闘演舞に出場する事になったメンバー全員の思考が止まった。

A&B「1週間後ォォォォォォォォォォォォォォォッ!!?」

「1週間後」って・・・すぐじゃん!!

マカ「1週間の間で、お前達は修行して来いっ!!」

A&B「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇェぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!」

どうやら、今年の大魔闘演舞の妖精の尻尾(フェアリーテイル)は・・・かなりピィ~ンチのようです・・・ 
 

 
後書き
第157話終了ですっ!
とうとうFT友恋でも大魔闘演舞が行われるっ!!が、出場するギルドが去年より半分以下。マスターが言う企業秘密の仕事。かなり不可解な事がありますが、それは後に分かる事です。さて、新年と同時にFT友恋は忙しくなります。今まで登場してきたギルドやオリキャラも大勢出て来ます。

さてさて、ここで駄作者07からアンケートを募集します。
アンケートの内容は『リョウとショールとフレイの異名』です。
マヤには『動物姫(アニマルプリンセス)』、ユモには『氷の舞姫』、トーヤには『怪物(モンスター)』という異名があるのですが、リョウとショールとフレイにはありません。私も考えてみたのですが・・・全く思いつきません!(←さすが駄作者07)なので、読者の皆さんにご協力をお願いします。リョウとショールとフレイの事はオリキャラ説明をご覧下さい。たくさんの案、お待ちしております。

次回は大魔闘演舞の修行をするAチームとBチームの元に・・・!?

とても長いお後書きになりましたが、最後に感謝の言葉を。
私が『暁 ~小説投稿サイト~』で小説を投稿してから約6ヶ月が経ちました。いやぁ~、『時』とゆうものは相変わらず早いものです。この6ヶ月の間でたくさんFAIRY TAILのお話を書く事が出来ました。これも、たくさんの読者様が読んで下さったお陰です。心より、感謝申し上げます。こんな駄文・誤字・駄作を書き上げる07の作品ですが、これからも温かい目でご覧下さい。それでは皆さん、良い年をお迎え下さい。 

 

第158話 食べて飲んで歌って踊って騒げっ!!!

 
前書き
こんにちは~☆07でぇ~す☆
今回は1週間後に行われる大魔闘演舞に出場する為に山に修行に来たAチームとBチームの元に・・・えっ?恩返し?
途中で目線が変わります。最初はルーシィ目線からです。
それでは、第158話・・・スタート☆ 

 
私達最強チームの10人+2匹+1羽とエルフマンは、1週間後に行われる大魔闘演舞に出場する為、わざわざ山奥に来て修行中。去年は海だったから山なのかしら?

ト「随分静かですね。」

エ「マスターによると、山の奥の奥の奥深くらしいからな。」

ユ「そんな奥深くまで来て、クロッカスに行けるのかな?」

まぁ、何とかなるわよ。たぶん・・・ね。でも、ここなら誰にも邪魔されずに修行出来るわね。

リョ「この山には誰も住んでいないし、所有してる人もいねぇから、思いっきり暴れても大丈夫らしいぜ。」

それは最強チーム(主にナツ、マヤ、グレイ)にとって好都合ね。

ナ「っしゃぁぁぁっ!!早速始めんぞぉーーーっ!!」

マ&ハ「あいさーーーっ!!」

エ「修行で強くなってこそ、真の漢だぁぁぁぁぁっ!!」

フ「相変わらず元気だな。」

そんなこんなで、私達は修行する事にしたの。どんな修行をするかというと・・・



ナツは、

ナ「火竜の・・・咆哮ッ!!」

(ブレス)で森の木々を倒したり、

ナ「おらおらおらおらぁぁぁぁぁっ!!!」

どこからか持って来たのか、3つのタイヤを結んだ縄を自分の腰に付けて、ズザザザザザザァと砂煙を上げながらタイヤを引き摺りながら全速力で走っている。その後ろをハッピーが必死に追いかけている。後は、木に一度登って、そこから高く飛び上がって、

ナ「火竜の・・・煌炎ッ!!」

炎を纏った両手で地面を殴る。その時に凹んだ地面の長さを測ったりしている。今ので凹んだ長さは約4m!



マヤは、

マ「でぃやっ!とぉっ!だりゃあっ!!」

大熊のドラン相手に火炎石を使って殴ったり蹴ったりしている。ドランもそれを受け止めたりかわしたりしている。後は、

マ「キングは王者の牙!バーンはドリル口ばし!」

キ「ガアァァァオオォォオオオオォォォオオオオオオオオオオオオオオオオ大オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」

バ「ギュギャアアアァァアァアアアアァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」

動物と動物同士を戦わせたりしている。



フレイは人間の姿になって、

フ「・・・・・」

地面に胡座を掻いて、目を閉じて神経を集中させている。たぶん、人間の姿でいる時の魔力を高めているんだと思う。後は、

フ「ファイアメイク、噴火(イラプシャン)ッ!!」

ドガァァァンッ!!バコォォォンッ!!ガゴォォォンッ!!と凄まじい爆発音と共に地面が噴火する。炎の造形魔法の威力を高めている。



リョウは右手に『銀覇剣』、左手に『天力剣』、『嵐真剣』を口に銜えて、大きな岩の前に立つと、

リョ「3剣流・・・銀天嵐切ッ!!」

スパパパパパァンッ!!と大きな岩を切り刻んだ。ガガガゴォォォォォン・・・と音を立てながら、岩は粉々に崩れた。す、すごい・・・!後は、

リョ「竜桜切ッ!!2剣流・・・星志希切ッ!!」

木や地面をひたすら斬り続けていた。



グレイは、どこからか持って来たのか、タイヤを縄で結んで、それを太い木の枝に縛り付けて、

グ「うぉらっ!!」

それを振り子のように自分とは反対側に投げて、戻ってきたタイヤを、

グ「アイスメイク、(シールド)ッ!!」

花弁のような形をした氷の盾で防ぐ。が、パリィンッ!

グ「ぐぁぁっ!!」

タイヤの勢いの方が強くて、氷の盾は粉々に。タイヤはグレイの顎に衝突する。たぶん、自分の体を張って氷の威力を強めてるのね。



ユモは目を閉じて、両手に冷気を溜めると、閉じていた目をカッ!と見開き、

ユ「はぁぁぁぁぁっ!!」

冷気を溜めていた両手を地面に着く。すると、そこから先が鋭く尖った氷が壁のように出現して、それが遥か遠くまで続いている。約5m程のところまで、その氷は続いている。後は、さっきのリョウみたいに、大きな岩の前に立つと、

ユ「らぁぁぁぁぁっ!!」

岩に回し蹴りをして、その場で跳んで、

ユ「だりゃあああああっ!!」

岩の天辺に踵落とし。すると、岩に縦横にヒビが入って、岩が4つに砕けた。な、何て破壊力なの・・・



エルザは、

エ「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

黒羽の鎧に換装して、大きな剣を振り回している。ただ振り回しているだけじゃないわよ。黒羽の鎧は一撃の攻撃力を上げる鎧だから・・・たぶん、その威力を高めているんじゃないかな?でも、エルザは修行しなくてもすごく強いから大丈夫だと思うけどね。



ショールは、

ショ「ギアチェンジ!モード風!!モード炎!!」

えっ!?2つ同時にギアチェンジするのっ!?ショールの右手には風、左手には炎が纏う。が、それはほんの一瞬だけ。

ショ「くっ・・!」

ショールは膝を着く。それと同時に風と炎は消えちゃった。かなり魔力を消費するみたいね。ショール、頑張れ!!



ウェンディは、

ウェ「う~~~ん・・・」

去年、ポーリュシカさん(グランディーネ)から貰った滅竜奥義が書かれている魔法書を、私に借りた風詠みの眼鏡を使って読んでいた。たぶん、去年失敗したミルキーウェイについて読んでいるんだと思う。シャルルもウェンディの隣に座って一緒に魔法書を読んでいる。



トーヤは、幽封玉を外して半幽人の姿になって、

ト「・・・・・」

目を閉じて神経を集中させていた。すると、トーヤの足元に巨大な黒い魔法陣が浮かび上がった。な、何かしら?あの魔法陣は?初めて見るわ・・・でも、その魔法陣が浮かび上がっていたのはほんの一瞬だけ。

ト「ぅ・・・!」

トーヤは膝を着く。それと同時に黒い魔法陣は消えちゃった。さっきのショールみたいに、かなり魔力を消費するみたいね。トーヤ、頑張れ!!



エルフマンは、

エル「うおおおおおおおおおおっ!!漢ォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!」

全身接収(テイクオーバー)獣王の魂(ビーストソウル)の姿になって、砂煙を上げながら次々に山の木々を倒していた。



私は、以前と同じ地面に胡座を掻いて、カプリコーンと一緒に修行しているわ。目を閉じて神経を集中させる。すると、砂がほんの少しだけ宙を待って、円を描くように私の周りをくるくると舞う。でも、やっぱりこれはきつい~!!

ル「・・・・っあぁ!」

私は力尽きてその場に仰向けになって息を整える。

ル「はぁ・・はぁ・・・はぁ・・はぁ・・・はぁ・・・」

カ「ルーシィ様、以前よりも集中力がかなり上がっていると思われます。」

ル「はぁ・・ほ、ほんと・・・?はぁ・・・はぁ・・」

よかったぁ~。私は上を見上げる。綺麗な青空が広がっていた。私は右手の甲を空にかざす。ピンク色の妖精の尻尾(フェアリーテイル)の紋章が笑っているように見えた。

ル「今年も、妖精の尻尾(フェアリーテイル)が・・・優勝してみせるわっ!!」

私は紋章と空に誓い、右手を握り締めた。

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エ「よしっ!少し休憩しよう。」

私達は一度集合場所に集まり、エルザの声と共に私達は地面に座り込んだ。

マ「ひぃ~・・・疲れたぁ~・・・」

ショ「はぁ、はぁ、こ、こんなに・・キツイ、とは・・思わ、なかった・・・はぁ、はぁ。」

大魔闘演舞に初めて出場するマヤ、リョウ、ユモ、ショール、トーヤ、フレイにはちょっとキツイかもね。

ナ「でも、今日だけで大分体が締まってきたぞ。」

ハ「あい。」

グ「これなら、明日本番でもいいんじゃねぇか?」

ル「もぉ~、そうやってすぐ調子にのらないの。」

その時、地面に紫色の魔法陣が浮かび上がった。するとそこからトーヤと契約してるてんぐが姿を現した。

ウェ「て、てんぐさん!?」

ト「どうしたの?君が勝手に出て来るなんて初めてじゃないかな?」

トーヤも少し驚いてるみたい。

て「トーヤ、妖霊王様がお前の事を呼んでいる。すぐに妖霊界に戻れとの事だ。」

ト「えっ?妖霊王様が?」

何か、急ぎの用事かしら?すると、てんぐは私達の方に向き直ると、

て「トーヤの『良き友』の皆さんも、妖霊界に来て下さい。」

フ「えっ?」

ユ「私達も?」

シャ「何で?」

いきなりの事に何が何だか分からなくなっている私達とは裏腹に、トーヤは立ち上がると、

ト「詳しい事は僕にも分かりませんが、妖霊界に行きましょう。」

ト&て以外「えぇっ!!!??」

て「んじゃ、行くぜ。」

すると、私達の足元に巨大な白い魔法陣が浮かび上がった。

て「アースランドから、妖霊界へ・・・移動(ワープ)!」

てんぐが呪文のようなものを唱えると、白い魔法陣が銀色に光りだした。私はあまりの眩しさに目を瞑った。

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て「着いたぞ。」

てんぐの声が聞こえて、恐る恐る目を開けると、

ウェ「うわぁ~♪」

リョ「す、すげぇ~・・・」

私達は黒い魔法陣の上に立っていて、目の前には銀色に光り輝く建物やたくさんの怪物や妖怪、幽霊が私達の事を歓迎していた。いつの間にか、私達の服装は黒や茶色、紫や紺といった黒い感じの服に変わっていた。トーヤはそのままだけど。すると、てんぐが右膝を地面に着いて、頭を下げた。

て「妖霊王様、トーヤ・ファインと、トーヤ・ファインの『良き友』のみなさんをお連れしました。」

妖「ご苦労・・・」

声がした方に顔を上げると、黒髪に紫色の瞳、長いマントを風になびかせ凛々しい顔付きをした男の人が私達に歩み寄って来た。トーヤはてんぐと同じように右膝を着いて頭を下げると、

ト「妖霊王様、てんぐからお聞きして、ただ今戻りました。」

妖「うむ。忙しい時にすまん・・・」

てっきり、妖霊王って言うくらいだから、すごく怖い妖怪を想像してたけど、どこにでもいる極普通の男の人って感じなのね。

ト「ところで妖霊王様、僕や皆さんに何か御用でしょうか?」

顔を上げずにトーヤが妖霊王に聞くと、

妖「うむ。以前、『悪霊』の『ローア』を裁いた時に、恩返しをすると言ったのを覚えているか・・・?」

『悪霊』?『ローア』?裁いた?何の事?

ト「はい。覚えています。あ、もしかして・・・!」

マ「あぁ。そういえばそんな事もあった・・・って!」

フ「まさかっ!?」

唯一内容が分かったトーヤとマヤとフレイが目を見開く。それを見た妖霊王は笑うと、

妖「トーヤ・ファインとトーヤ・ファインの『良き友』たちと共に、妖霊界で宴を開く事にした。」

ナ「んなっ!?」

グ「妖霊界でっ!?」

エ「う、宴だとっ!?」

いきなりの事に、私達は驚きを隠せない。そんな私達とは裏腹に、

怪1「トーヤの『良き友』だぁーーーっ!!」

化1「人間だっ!本物の人間だよっ!!」

幽1「宴だぁぁぁっ!!」

たくさんのお化け達は大騒ぎ。

エル「な、何が何だかよく分からねぇ・・・」

ウェ「でも、私達を歓迎してくれてるみたいですね。」

ト「妖霊界の皆で宴するのは久しぶりですっ!妖精の尻尾(フェアリーテイル)の宴もとっても楽しいですが、妖霊界の宴もとっても楽しいですよ。」

リョ「せっかくのお誘いだ。断るのも妖霊界の人達・・・いや、お化け達に失礼だから、今日は妖霊界の宴で暴れまくろうぜっ!!」

マ「賛せぇーーーいっ!!」

という事で、今日は妖霊界で宴を楽しむ事にしたの。星霊界とはやっぱり違うんだろうなぁ~。

妖「さぁ!今日は一日中食べて飲んで歌って踊って騒ぐのだっ!!」

妖以外「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

すると、次から次へと豪華(?)なごちそうが運ばれてきた。

ナ「うぉぉぉっ!美味そ~だなっ!!」

ハ「あいっ!」

ナツが運ばれてきたごちそうをどんどん食べていく。

ナ「おっ!美味いなこの料理!何て言う料理何だ?」

ト「それは死者の魂をじっくり煮込んだソウルスープです。そっちのは魔女が作った毒りんごのケーキです。こっちのはドラキュラが大好きな血のジュースです。」

ハ「トーヤ、この魚は?すごく美味しいね。」

ト「それは妖霊界の海で獲れる人面魚です。」

し、死者の・・た、魂に・・・ど、毒りんごに・・・血に・・・・じ、人面魚ォッ!?ナツとハッピーは死者の魂と毒りんごと人面魚を食べて、血を飲んじゃった訳ェッ!?

ル「そ、それって、かなりヤバイんじゃ・・・」

ト「大丈夫ですよ。死者の魂は妖霊界に予めあるものを使ってますし、毒りんごと言ってるだけで、毒は一切加えていませんし、人面魚は見た目は不気味ですが、味は極普通の味ですし、血と言ってるだけで、本当はトマトジュースのようなものですから。」

そ、それなら良いんだけど・・・ちょっと、この料理を食べるにはかなりの勇気がいるわね。

マ「ルーシィ!見て見て見て!ユウとレイがいっぱいいるよっ!!」

マヤが頭や肩にユウとレイをいっぱい乗せて走って来た。

ト「僕が契約している愛玩幽霊はユウとレイと言いますが、その子達はバケバケとユウユウとカイカイとレイレイですよ。」

愛玩幽霊もプルート同じでたっくさんいるのねぇ~。いつの間にか私の頭の上にもいた。

ト「その子はケタケタです。」

名前のとおり、私の頭の上にのっかっている愛玩幽霊は「ケタケタケタ。」不気味に笑った。

ユ「す、すごぉ~い!」

ウェ「すごく綺麗だねシャルル。」

シャ「ほんとね。」

ユモとウェンディとシャルルが空を見上げている。私も空を見上げると、

ル「うわぁ~♪」

空には箒に乗った魔女達が、いろんな形をした杖を使って宝石のようなキラキラした小さな結晶を撒き散らしていた。

ト「あれは魔女達にしか作れない水晶の破片です。滅多に見る事が出来ないので、今日はとても幸運(ラッキー)です。」

トーヤも目を輝かせていた。

フ「にしても、こんなにお化けがいたんだな。」

あっちにもこっちにも、トーヤと契約しているお化け達と似たようなお化け達がいるから、いったい誰がトーヤと契約してるお化けなのか全く分からない。でも、トーヤなら分かるんだろうな。すると、

ロ「トーヤ。」

リ「元気だった?」

後ろから声がした。振り向くと、

ト「父さん!母さん!」

えぇっ!?この人がトーヤのお父さんとお母さん!?随分若いのね。

ト「妖霊界では、体の成長が通常の人と10年くらい遅いんですよ。」

10年もぉっ!?

リ「久しぶりね。ウェンディさん、シャルルさん。」

ウェ「はい。」

シャ「あんたも元気そうね。」

あれ?ウェンディとシャルルは会った事あるの?ていうか、トーヤそっくり~。

リョ「ルーシィもレイラさんにめっちゃくちゃ似てるけどな。」

そう、かな?

ロ「皆さん、今日は楽しんでいって下さいね。」

エ「そうさせて頂きます。」

トーヤの敬語はお父さん譲りなのね。

ショ「それにしても、妖霊界って言うもんだから、ものすごく暗い世界かと思ったけど・・・」

グ「すっげぇ~楽しい世界じゃねぇか。」

星霊界と似てるわね。

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             『ここからトーヤ目線でいきます。』

僕は今、妖霊界が全て眺望する事が出来る、『静寂の天文台』に一人来ていました。妖霊界の中央にある『灯火広場』では宴が行われています。ここからでも、すごく賑わっているのが見えます。その時、カツン、カツンと『静寂の天文台』に上る為の螺旋階段の音と、「はぁ、はぁ・・はぁ・・・」と呼吸の音が聞こえました。誰かが『静寂の天文台』に来たみたいです。振り返ると、

ウェ「はぁ・・はぁ、す、すごく、高いですね。はぁ、こ、この、天文台。はぁ・・・はぁ、はぁ・・・・」

息を切らしたウェンディさんがいました。約20mの天文台ですから、僕も滅多に来ません。が、今日は久しぶりに妖霊界に戻って来たので、今のウェンディさんと同じ状態になりながら上ったんです。僕もすごく疲れました。

ト「あれ?シャルルさんは?」

ウェ「ハッピーとフレイさんと一緒にいます。だから私一人です。」

ウェンディさんは僕の隣に来ると、

ウェ「うわぁ~!!」

眺望に歓声の声を上げました。

ト「綺麗ですよね。僕も滅多に来ませんが、ここから見える妖霊界の景色は大好きです。」

どんなに月日が経っても、自分が生まれ育った『故郷』はいつまでも大好きです。

ウェ「やっぱり、トーヤさんは妖霊界に帰りたいですか?」

ウェンディさんが少し悲しそうな表情で問いかけてきました。僕は左右に首を振ると、

ト「確かに、妖霊界は僕にとって生まれ育った『故郷』です。ですが、今は妖精の尻尾(フェアリーテイル)の皆さんと、最強チームの皆さんとお祭り騒ぎをして過ごしている方が100倍楽しいです。」

これが今の僕の本音でした。

ウェ「楽しいギルドですよね。」

ト「はい。とっても。」

僕とウェンディさんはしばらく黙って妖霊界を見渡していました。そして、

ト「あ、あの・・ウェンディ・・さん・・・//////////」

ウェ「何ですか?」

僕の顔は、今りんごのように真っ赤になっていると思います。鼓動がどんどん速くなっていきます。ウェンディさんに告白した時も、こんな気持ちだったのを思い出しました。僕は1つ深呼吸をすると、

ト「あ、あの・・僕は本当の年齢は、わ、分かりま、せんが・・・が、外見から、ウェンディさんと、お、同い年くらいなので・・・リョ、リョウさんや、ル、ルーシィさんのように・・だ、大胆には、で、でで、出来ませんが・・・///////////////」

ウェ「えっ?」

僕はどんどん速くなる鼓動をやっとの思いで抑えつけながら、ウェンディさんの左頬にキスをしました。

ウェ「ぇ・・・//////////」

ウェンディさんもいきなりの事に消えそうな声で驚いた。僕は更に速くなる鼓動を抑えつけ、真っ赤になりながらウェンディさんから顔を逸らす。ウェンディさんも左手で左頬を押さえ、右手で口元を押さえ、下を俯きました。しばらく、僕とウェンディさんの間に沈黙が流れました。



大分落ち着いた時、最初に沈黙を破ったのはウェンディさんでした。

ウェ「・・そ、そろそろ、みなさんの所に、戻りましょうか。」

ト「そ、そうです、ね。」

僕とウェンディさんは並んで螺旋階段を下り、遥か下にある地面目指してゆっくりと螺旋階段を下りていきました。

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ナ「あ、ウェンディ、トーヤ、どこ行ってたんだよ?」

『灯火広場』に戻ると、宴はすでに終わっていて、ナツさん達は黒い魔法陣の上に立って僕達の事を待っていました。僕とウェンディさんも慌てて魔法陣の上に立ちました。すると、僕の後ろに立っていたグレイさんが耳元で、

グ「やったんだな。」

と小声で呟きました。僕は最初は理解出来ませんでしたが、理解するとまたりんごのように真っ赤になってたと思います。あ、相変わらず・・グレイ、さんの、勘の、鋭さには、お、驚かされます//////////////なのに、なぜ自分の恋には鈍感何でしょうか?いつも不思議に思います。

妖「トーヤ・ファインとトーヤ・ファインの『良き友』の皆さん、今日はお忙しい中、妖霊界の宴に参加して下さった事に感謝する・・・」

エ「お礼を言うのは私達の方だ。」

エル「妖霊界の宴は楽しい!漢だっ!!」

ル「意味分かんないわよ。」

ナ「こんなに腹いっぱい食ったのは久々だ。」

ハ「あいっ!人面魚も以外においしかったよ。」

皆さん、すごく楽しんでくれたみたいです。よかったぁ~。

ロ「皆さん、これからもトーヤをよろしくお願い致します。」

マ「もっちろん!トーヤは私達の仲間だもん。ねっ、ウェンディ。」

ウェ「えっ?あ、はいっ!!」



仲間・・・



妖精の尻尾(フェアリーテイル)の皆さんと出会うまで、僕の「仲間」と呼べる存在は契約したお化け達だけでした。街へ行っても、僕の姿や異名、妖怪召喚(モンスターズ)を見ると街の人達は僕とお化け達から離れていきました。それから、僕は誰も来ない不気味な屋敷でお化け達と一緒にひっそりと暮らしていました。でも、やっぱり僕もお化け達も、毎日が寂しかったです。そんな時、僕とお化け達は最強チームの皆さんに出会いました。僕とお化け達の事を怖がりもせず、「仲間」と認識してくれただけでも、あの時は涙が出るほど嬉しかったのを今でも覚えています。やっぱり、妖精の尻尾(フェアリーテイル)は素晴らしいギルドですっ!!すると、てんぐが何かを思い出したのか「あ。」と小さく呟くのが聞こえました。

て「言い忘れてたが、妖霊界で1日過ごすと・・・」

てんぐが全部言い終わる前に、ナツさん、ハッピーさん、ルーシィさん、グレイさん、エルザさん、ウェンディさん、シャルルさんの顔が青ざめました。

シャ「ま、まさか・・・星霊界と同じで、妖霊界で1日過ごしたら・・・」

ハ「さ、3ヶ月も、経っているんじゃ・・・」

ハッピーさんの言葉にますます顔が青くなっていきます。へぇ~。星霊界で1日過ごすと3ヶ月も経っているんですか。でも、

ト「いえ。その逆です。」

ト以外「えっ???」

て「月日は違うけど、妖霊界で1日過ごすとだな・・・」

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て『1週間前に戻っているんだ。』

僕達はいつの間にか1週間前のギルドに戻って来ていました。

ナ「すっげーーーっ!!ほんとに1週間前だぁーーーーーっ!!」

ナツさんが口から炎を噴出しながら声を上げました。

マカオ「な、何訳の分からねぇ事叫んでんだよ。」

ワ「お前もとうとう頭ぶっ壊れちまったか?」

マカオさんが驚き、ワカバさんが冷やかします。1週間前だから、まだ大魔闘演舞の事を知らされていないんですね。

リョ「これから修行に行けば更に力をつけられるな。」

ナ「おしっ!そうゆう事なら、じっちゃん!俺達大魔闘演舞の修行に行って来るぜっ!!」

それを聞いたマカロフさんは飲んでいたビールを噴出しちゃいました。

マカ「な、なぁ~ぜお前達が大魔闘演舞の修行に行くのじゃ?」

マ「だってマスター、今年も妖精の尻尾(フェアリーテイル)はAチームとBチームが出場するんでしょ?」

マカ「んなっ!?」

ウェ「Aチームはナツさん、グレイさん、エルザさん、ルーシィさん、エルフマンさん、私が出場するんですよね?」

ショ「Bチームはマヤ、リョウ、ユモ、トーヤ、フレイ、俺が出場するんですよね?」

マカ「んなっ!?」

まだ誰にも言っていない大魔闘演舞の事をなぜ僕達が知っているのかは、1週間前の皆さんには分かりません。でも、読者の皆さんは分かりますよね?

ナ「てな訳で、俺達修行に行って来るからなーーーっ!!」

ハ「あいさーーーっ!!」

僕達はもう一度、山に修行しにギルドを飛び出しました。 
 

 
後書き
第158話終了~☆
妖霊界。どうだったでしょうか?妖霊界は星霊界とは違って、1週間だけですが、1週間前に戻る事が出来るんです。なので、通常の世界とは時の進む早さが異なります。
次回はせっかく時が戻ったのにあっという間に大魔闘演舞当日を迎えました。(←早ッ!!)大魔闘演舞が行われるフィオーレ王国の首都、クロッカスに来たAチームとBチーム。そこには懐かしの顔があったり、危険な顔があったり・・・それと同時に、『謎の仕事』に取り掛かったガジル、リリー、ラクサス、ミラ、ジュビア、カナ。いったい『謎の仕事』とは!?

お楽しみに~☆ 

 

第159話 『謎』

 
前書き
駄作者07でぇ~す♪
今回はあっという間に大魔闘演舞前日!フィオーレ王国の首都、花咲く都クロッカスにやって来たAチームとBチーム。そこには懐かしい面々や危険な面々が勢ぞろい!それと同時に『謎の仕事』に取り掛かったガジル、リリー、ラクサス、ミラ、ジュビア、カナ。今年の大魔闘演舞はいったいどうなる!?
途中で目線が変わります。最初はマヤ目線からです。
それでは、第159話・・・スタート♪ 

 
妖霊界で宴をしたお陰で、私達は2週間大魔闘演舞に向けての修行が出来た。最初は「たった2週間!?」って思ったけど、その2週間で魔力もすごい上がったし、私も動物達も皆すごく強くなった。もちろん、私や動物達だけじゃない。ナツもフレイも、ルーシィもリョウも、グレイもユモも、エルザもショールも、ウェンディもトーヤもエルフマンも、みぃ~んな強くなったんだ☆

そして!遂に大魔闘演舞前日!私達はたった今、大魔闘演舞が行われるフィオーレ王国の首都、花咲く都クロッカスに到着しましたぁ~!!

ル「どこへ行っても、マヤは元気ね~。」

ハ&フ「それがマヤです。」

ナ「う、うぷ・・・」

列車に乗って来たから、ナツはこのとおりグロッキー状態。そんな事より、私はクロッカスの街を見渡す。

マ「うわぁ~♪」

街の至る所に色とりどりの花が咲いていてすごく綺麗。本当に花咲く都だっ!!街には大魔闘演舞に出場するフィオーレ王国中の魔道士や、大魔闘演舞を見る為に遥々来たフィオーレ王国中の街の人達で賑わっていた。この賑やかさが大魔闘演舞になると更にすごくなるんだろうなぁ~。

街1「おいあれ!もしかして妖精の尻尾(フェアリーテイル)じゃねぇかっ!?」

街2「あの紋章!間違いねぇっ!!」

街3「すごいっ!本物よっ!」

街4「今年も盛大に盛り上がらせてくれると嬉しいねぇ~。」

街5「今年も妖精の尻尾(フェアリーテイル)が優勝かな?」

街6「どうだろうな?」

街の人達からはちょっとした有名人気分。すると、

マカ「来たか、バカ垂れ共。」

背中に聖十の称号が書かれている白い服を着たマスターとロメオが来た。

マカ「修行はちゃんとやって来たか?」

エ「はい。」

ナ「これならもう優勝しても可笑しくねぇぜっ!」

ハ「今年のナツの修行は去年よりもハードだったからね。」

ロ「頑張ってねナツ兄!」

ナ「おう!」

ナツとロメオが拳をぶつけ合う。皆自信たっぷり。マスターは一度ゴォッホン!とわざとらしい咳払いをすると、

マカ「大魔闘演舞の主催者から、午前12時までに、指定された宿に戻っているようにと命令が出ておる。」

ト「午前12時までに、指定された宿に?」

ウェ「それって・・・」

ル「去年と一緒よね。」

シャ「ていうか、また予選をやるの?」

去年の大魔闘演舞に出場したナツ、ルーシィ、グレイ、エルザ、ウェンディ、エルフマンが首を傾げる。

エル「また空中迷路(スカイラビリンス)をやるのか?漢だっ!!」

グ「でも、競技は毎年変わるんだよな?」

皆首を傾げるけど、去年の大魔闘演舞の事を全く知らない私とフレイ、リョウ、ユモ、ショール、トーヤは全然違う意味で首を傾げる。

ショ「・・・まぁ、予選の時は残れるように努力すればいい。」

リョ「そうだな。にしても、でっけぇ~街だなぁ~。」

ユ「首都だもんね。」

私は時計台を見る。まだ午後2時47分。

マ「ねぇねぇ、12時まで時間たっぷりあるから、私クロッカスを観光して来ていい?」

リョ「そうだな。ただ宿でじぃーーーっと待ってるのも退屈だし。」

マ「そうゆう事で、フレイ行こうっ!」

フ「りょーかい!!」

ナ「おーーーいマヤ!!」

ハ「おいらたちも行くよぉ~!!」

私とナツとハッピーとフレイは、クロッカスを観光する為に走り出した。

エ「お前達!泊まる宿は分かっているのかぁっ!?」

後ろでエルザが叫んでいる。

ナ「Aチームは、去年と同じ『蜂の骨(ハニーボーン)』だろ?」

マ「Bチームは、『豚の帽子(ピッグハット)』でしょ?」

フ「必ず12時までには戻るから安心しろーーーっ!!」

ハ「あいさーーーっ!!」

私達は足を止めずに答え、観光しにクロッカスの街中を走り回った。

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クロッカスを観光する為に、街をただ普通に歩いてるだけで、

街7「あっ!妖精の尻尾(フェアリーテイル)だっ!!」

街8「猫が空飛んでるぞっ!!」

街9「あれって、火竜(サラマンダー)動物姫(アニマルプリンセス)じゃない!?」

街10「すっげぇ~、鳥が人の頭の上に乗ってるぞっ!!」

と、いろんな人から注目の的になっていた。

ナ「去年は俺達、めちゃくちゃ嫌味言われてたよな。」

ハ「あい。「どうせまた最下位だろ。」とか。」

マ「そうなの?」

フ「大魔闘演舞は、ナツ達が天狼島にいた頃に開催されたからな。その時に出場した妖精の尻尾(フェアリーテイル)は毎年最下位だったからいつもブーイングを浴びてたらしいぜ。」

よく知ってるね。その時、

?「あれ?もしかして、ナツさんとマヤさんではないですか?」

声を掛けられて振り向くと、長い金髪に夜空みたいにキラキラした黒い瞳、藍色のスパンコールの付いた長いワンピースを着た女の人がいた。えぇっとぉ~・・・

ナ「だ、誰だお前?」

マ「どこかで会った事あったっけ?」

私もナツもハッピーもフレイも首を傾げる。そんな私達の反応に女の人は「クスッ」と小さく笑うと、

?「覚えてないのも無理はありませんね。あれからもう2年程会ってませんでしたから。」

あれ?この人の声、よく聞いてみるとどっかで聞いた事があるような・・・ないような・・・?

シャ「私は、月の涙(ムーンティア)のギルドマスター、シャイン・スターです。」

ナ&ハ&マ「あぁっ!!シャイン!!!」

フ「・・・って、誰だよ?」

そっか。フレイはその時まだギルドにいなかったもんね。読者の皆は覚えてる?フレイがまだいない頃の最強チーム全員が一番最初に討伐した闇ギルド、月の涙(ムーンティア)のギルドマスター、シャインだよっ!!髪伸びたんだね。

シャイ「思い出してくれましたか。嬉しいです。」

ナ「お前、捕まったんじゃ・・・」

シャイ「えぇ。でも、たった5日で解放されました。」

マ「解放された後、何してたの?」

シャイ「一度、月の涙(ムーンティア)全員で旅をして、3ヶ月ほど前に正規ギルドとして復活したんです。たった5人しかいなかったのに、今では100人近くいるんですよ。」

へぇ~。知らなかったなぁ~。

ハ「もしかして、大魔闘演舞に出場するの?」

シャイ「えぇ。でも、私はギルドマスターなので、出場は出来ませんけど。その代わり、ギルドでトップ5の魔道士を出場させましたよ。」

じゃあシャインとはバトル出来ないのかぁ~。残念だなぁ~・・・

ナ「俺達も出場するんだ。」

シャイ「本当ですかっ!?」

シャインは驚くけど、その顔はすごく嬉しそうだった。

シャイ「お互い頑張りましょうね☆」

ナ「おう!」

マ「うん!」

ハ「あいっ!」

フ「よく分かんねぇけど、よろしく頼むぜ。」

ナツとシャインは拳をぶつけ合った。

シャ「あ、そろそろ私宿に戻りますね。皆が待っているので。」

シャインはそう言うとペコッと頭を下げて私達の行く反対方向に歩いて行った。その時、誰かの強烈な視線を感じた。私はとっさに辺りを見回す。・・・私達の方を見て嬉しそうに笑っている人は何人もいる。でも、強烈な視線で私達の方を見てる人はいなかった。・・・気のせい、だったのかな・・・?

ナ「どうしたマヤ?」

ハ「お腹空いたの?おいらの魚半分食べる?」

フ「半分だけかよ。ていうか生魚だろっ!?食中毒になっちまうって!!」

フレイの言うとおり。私は生の魚は食べないよ。・・・まっ、気のせいだったって事で!

マ「ほら早く観光しようよっ!」

ナツの腕を引っ張りながら私達は観光を続けた。

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             『ここからリョウ目線でいきます。』

12時までじぃーーーっと宿で待ってるのも退屈だから、俺もクロッカスを観光する事にした。以前も来た事が会ったけど、相変わらずでっけぇ~街だなぁ~。すると、

ル「あれ?リョウじゃない。」

プ「プーン。」

クロッカスのパンフレットを持ったルーシィとその傍を歩くプルーがいた。

リョ「ルーシィも観光か?」

ル「えぇ。でも、ぐるぐる周ってるだけで・・・」

リョ「それは迷ったって事だよな?」

ル「それ言ったらダメェーーー!!」

プ「ププーン。」

ルーシィが腕をぶんぶん振り回す。その時、ぱふっと俺の頭の上に何かが乗った。

リョ「えっ?」

とってみると、白い無地の靴下だった。どっかの家の洗濯物か?てか、よりによって靴下かよ・・・その時、

?「オオーン。俺の靴下ァ~。」

建物の陰から地面をきょろきょろ見ながら歩いている・・・2足歩行の犬(?)が出て来た。

?「俺は犬じゃねぇよっ!!これはただの飾りだよっ!!」

ありゃ?聞こえてたのか?すると、

?2「トビー、あったのか?」

?3「こっちには無かったぞ。」

犬っぽい人が出て来た建物の陰から、水色の逆立った髪の男と、スキンヘッドの髭の長い男が出て来た。って、

リョ「ジュ、ジュラさんっ!?」

スキンヘッドの人は聖十大魔道の1人で、蛇姫の鱗(ラミアスケイル)の魔道士で、『岩鉄のジュラ』の異名を持つジュラ・ネェキスさんだった。

ジュ「リョウ殿ではないか。久しぶりだの。」

?2「ジュラさん、知り合いで?」

?「オオーン?」

ジュ「あぁ。私と同じ聖十大魔道の1人で、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士、リョウ・ジェノロ殿だ。」

ジュラさんが犬っぽい人と水色の逆立った髪の毛の男に説明してくれる。

ル「ていうかあんた達、リオンとトビーじゃない。」

リョ「ルーシィ、知り合いか?」

ル「えぇ。リオンはグレイの兄弟子で、トビーはすぐキレる人よ。」

トビ「もっとまともな紹介しろよっ!!」

あ、ほんとだ。すぐキレる。でも全然怖くねぇ~。

リ「妖精の尻尾(フェアリーテイル)がこの街にいるという事は、貴様等も大魔闘演舞に出場するんだな?」

リョ「超超超上から目線の態度に腹立つけど、そのとおりだ。」

こいつがグレイの兄弟子ねぇ~。納得出来るような・・・出来ないような・・・でも、魔道士としての実力はあるな。

ジュ「ところでリョウ殿、ルーシィ殿、トビー殿の靴下を見かけなかったか?」

ル「えっ?」

リョ「靴下?」

リ「風で飛ばされたんだ。」

トビ「オオーン。」

靴下・・・あれ?もしかして・・・

リョ「も、もしかして、これか・・・?」

俺はさっき頭の上に落ちてきた靴下を見せる。

トビ「オオーン!あったあった!」

犬っぽい人は俺から靴下を奪い取ると靴下に頬擦りした。おいおい、く、靴下に涙を流す犬っぽい人なんて・・・初めて聞いたぞ・・・

トビ「だから俺は犬じゃねぇんだよっ!!いい加減覚えろよっ!!」

またキレた。

ジュ「もしかしたら、大魔闘演舞でリョウ殿と戦う事になるかもしれんな。」

リョ「マジですかっ!?その時はお手柔らかにお願いします。」

ジュ「それはお互い様だ。」

俺は聖十大魔道の序列では6位。ジュラさんは5位だ。強さで比べるとジュラさんの方が上だ。が、聖十と聖十がぶつかるのか・・・ちょっとこれは危険だな。

リ「グレイに言っとけ。「妖精の尻尾(フェアリーテイル)には負けない」とな。」

ル「えぇ。伝えておくわ。」

プ「ププーン。」

トビ「「ププーン。」って何だよっ!!何て言ってんのか分かんねぇよっ!!」

おーい、キレるとこ間違ってるぞ。

リ「それと、「脱ぎ癖を直せ」と伝えろ。」

ル「あんたが言っても意味ないでしょっ!!」

やっぱ、こいつも服を脱ぐのか。ったく。2人とも服脱いでる自覚ねぇのか?

ジュ「それじゃあリョウ殿、ルーシィ殿。ドムス・フラウでまた会いましょう。」

トビ「オオーン。」

リョ「楽しみにしてますよ。」

ジュラさんとリオンと犬っぽい人は俺達の泊まる宿とは反対方向に歩いて行った。その時、すごく強烈な視線を感じた。俺はとっさにルーシィの前に立つ。

ル「リョウ?どうしたの?」

辺りを見回すが、強烈な視線を送っている奴はどこにもいなかった。・・・気のせいか?

ル「リョウ?何かあったの?」

プ「ププーン?」

リョ「・・いや、何でもねぇ。そうだプルー、棒付きキャンディあるぞ。食べるか?」

プ「ププーン!」

俺は着物のふところから棒付きキャンディーを取り出し、プルーに渡した。

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             『ここからグレイ目線でいきます。』

グ「へァックショッ!」

な、何だ?誰かが噂でもしてんのか?

ユ「たぶん、服を着てないからだと思うけど・・・」

グ「うぉっ!?いつの間にっ!?」

さすがに12時までずっと宿で待機してるのはつまんねぇから、俺とユモはクロッカスを宛も無くただ歩いていた。

ユ「うわぁ~・・・広~い・・・」

グ「初めて来たのか?」

ユ「うん。マグノリアも十分広いけど、クロッカスはその倍はあるね。」

そりゃあそうだろうな。フィオーレ王国の首都だからな。ユモは初めて見る物がたくさんあったみたいで、立ち止まってはいろんな物に目を輝かせていた。いつの間にか俺はユモについて行ってるだけになっていた。まっ、ユモが楽しんでるならそれでいっか。そんな事を思っていると、またユモが立ち止まった。

グ「今度は何見つけ・・・お、おい、ユモ?」

ユモの顔を覗くと、さっきまで輝かせていた澄んだ青い瞳は、恐怖に怯えていた。ユモの唇と手先が微かに震えていた。ユモは青い瞳を見開き、目の前のあるものに釘付けになっていた。俺もユモが見ている方に視線を移した。その瞬間、俺も釘付けになった。俺とユモから10mくらい離れたところに、俺とユモと同じように、目を見開いて俺たちの方を見てる2人の男女がいた。1人は黒髪に緑色の瞳、青と白のトレーナーにカーキ色のジーパン姿の男と、腰近くまである長い薄紫色の髪の毛に黒い瞳、白いローブを羽織っている女が俺とユモを見て目を見開いていた。

ユ「イ・・イレー、ネ・・・」

イ「ユ、ユモス・・・」

グ「ハルト・・・」

ハ「グ・・グレイ・・・」

やっと言えたのがこれだった。俺とユモの目の前にいるのは、以前ユモに恨みがあり殺そうとしたハルトとイレーネだった。ハルトとイレーネは顔を見合わせると、風のように走り去って行った。俺とユモはしばらくその場から動く事が出来なかった。

グ「!おいユモ!しっかりしろっ!!」

俺は我に返り、ユモの肩を摑んで上下に揺すった。ユモもやっと我に返って、2~3回瞬きした。

グ「だ、大丈夫、か・・・?」

ユ「う、うん。何と、か・・・」

全然大丈夫そうには見えなかった。

ユ「・・・ゴメン、何か、気分悪くなった、から・・私、宿に、戻るね。」

グ「あぁ。・・送るよ。」

ユ「ありがとう。」

ユモは宿に向かうまで、ずっと右手で額を押さえていた。その時、誰かの視線を感じた。俺はとっさにユモの前に立つ。

ユ「・・グ、グレイ?」

ハルトとイレーネかっ!?そう思ったが、辺りを見回しても2人の姿はどこにもない。それどころか、視線をこっちに向けてる奴もいなかった。・・・気のせいか。

ユ「グレイ?どうしたの・・・?」

グ「いや、何でもねぇ。宿に行こうぜ。」

ユ「うん。ゴメンね・・・」

俺はもう一度後ろを振り返る。建物の陰からハルトとイレーネの靴の先だけが見えた。

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             『ここからエルザ目線でいきます。』

なぜ、去年より出場するギルドの数が半分以下にまで減少してしまったんだ?私はずっと疑問に思っていた。すると、

ショ「何で去年より出場するギルドの数が半分以下にまで減少したんだ?」

エ「えっ?」

隣を歩いていたショールが私と同じ疑問に思っていた事を呟く。やはりショールも不思議に思っていたんだな。

ショ「それに、マスターがガジルたちに頼んだ『謎の仕事』の事も気になる。あれは大魔闘演舞に関係しているのか?」

エ「分からない事が多すぎる。全く、駄作者はいったい何を考えているんだ。」(←それを言ったらネタバレになっちゃいますよぉ~。てか、私のせいなのぉっ!? by07)

そんな事を思っていると、

?「会いたかったよ、マイハニー♪」

強烈に甘い声と殺気を背後から感じた。恐る恐る振り返ると、

一「あなたの為の、一夜でぇ~す♪」

ヒ「久しぶりだね、エルザさん。ショール君。」

イヴ「元気でしたか?」

レ「寂しくなんか、なかったからな。」

青い天馬(ブルーペガサス)の一夜とトライメンズのヒビキとイヴとレンがいた。な、なぜ、こんな所で会ってしまうんだ・・・?

街11「ねぇねぇ、あれって青い天馬(ブルーペガサス)のヒビキと妖精の尻尾(フェアリーテイル)のショールじゃない!?」

街12「ほんとだっ!しかもトライメンズが3人もっ!」

街の女の子達はショールとトライメンズに目が釘付けになっている。

街13「てか、あれって妖精女王(ティターニア)のエルザ・スカーレットと青い天馬(ブルーペガサス)の一夜よね?」

街14「嘘ォッ!?カレカノだったのぉっ!?」

私と一夜を見て街の女の子達はものすごい大きな勘違いをする。私とショールは女の子達に向かって、

エ「全力で否定するっ!!」

ショ「命を懸けてでも否定するっ!!」

はっきりきっぱり断言した。

ヒ「2人がいるって事は、ナツ君やルーシィさん、マヤさんやリョウ君もいるんだね。」

エ「あ、あぁ。そうだが・・・」

一「とゆう事は、君達も大魔闘演舞に出場するんだね。」

ショ「一夜さん達も出場するんですね。」

イヴ「うん。今年は負けないからね。」

レ「手加減とか、必要ねぇからな。」

この様子だと、一夜たちも大分力をつけてきたみたいだな。

エ「お互い、良い結果を残そう。」

ヒ「あぁ。お手柔らかにお願いするよ。」

私はヒビキと握手を交わす。すると、一夜が鼻をヒクヒク動かす。

一「それにしても、さすがエルザさん。とても素敵な香り(パルファム)ですね。」

一夜が鼻をヒクヒク動かしながら私の周りをくるくる回る。

エ「ち・・近づくなぁーーーっ!!」

一「メェーーーーーン!!」

私は思いっきり一夜の右頬を殴った。一夜は3~4回程バウンドしながら吹っ飛んでいった。

ヒ「一夜様ッ!?」

イヴ「兄貴ッ!!」

レ「師匠ッ!!」

トライメンズの3人がそれぞれ違う呼び方を言いながら慌てて一夜を追いかけて行った。

ショ「相変わらず、一夜さんの呼び方は一貫してないんだな・・・」

ショールは3人の後ろ姿を見つめながら苦笑いをした。その時、私は背後から何者かの視線を感じた。振り返って辺りを見回す。が、私達の事を見ているのは街の女の子達だけだ。怪しい人間はどこにもいなかった。・・・気のせいか?

ショ「エルザ?」

エ「・・すまん。気にするな。」

疑問がまた1つ、増えたような気がした。

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              『ここからトーヤ目線でいきます。』

僕は初めて来るクロッカスの街並みにすっかり感心していました。街の至る所には色とりどりの花が咲き誇り、その花で作った冠や首飾りが素敵でした。僕とウェンディさん、シャルルさんもさっき通り掛ったおじさんに貰いました。

ウェ「シャルル、すごく似合ってるよ。」

シャ「そうかしら?」

ト「とても綺麗ですね。」

僕達は貰った冠や首飾りに感心していると、

?「ウェンディさぁ~ん!トーヤさぁ~ん!シャルルさぁ~ん!」

前方から金髪のおかっぱ頭に黄色い着物を着た女の子が手を振りながら僕達の方へ向かって走って来るのが見えました。

ウェ「もしかして、パンジー?」

ウェンディさんが言ったとおり、走って来たのは幸福の花(ハピネスフラワー)のパンジーさんでした。パンジーさんは僕達の方まで来ると、

パ「ウェンディさん、トーヤさん、シャルルさん、お久しぶりです!」

八歳とは思えないくらい丁寧に頭を下げました。パンジーさんの頭には黄色い花の冠がのせられていました。

ト「パンジーさん、その花の冠どうしたんですか?」

パ「さっき、おじさんが作ってくれたんです。」

シャ「偶然ね。私達もよ。」

パ「わぁ~!本当だぁ~!」

パンジーさんは目をキラキラ輝かせました。

パ「もしかして、ウェンディさんたちも大魔闘演舞に出場するんですか?」

ウェ「そうだよ。もしかして、パンジーも?」

パ「いえ、私は出場しません。でも、お姉ちゃん達は出場しますよ。」

幸福の花(ハピネスフラワー)の皆さんも、大魔闘演舞に出場するんですね。わぁ~!!すごく盛り上がりますね。

パ「お姉ちゃん達、以前皆さんと戦った時よりもすっごく強くなってますよ。」

ト「僕達もこの日の為に修行してきましたから、きっと以前よりも素敵な戦いになりますよ。」

パ「そうですね!あ、私お使いの帰りなので、そろそろ失礼します。」

パンジーさんはまた丁寧に頭を下げるとスキップしながら帰って行きました。

シャ「よく着物着てスキップ出来るわね。」

ウェ「私は出来ないかな。」

ト「僕も出来ません。」

その時、誰かの視線を感じました。僕はとっさにウェンディさんとシャルルさんの前に立ちます。

ウェ「トーヤさん?」

シャ「どうしたのいきなり?」

僕は辺りを見回しました。でも、どこにも怪しい人影はいませんでした。・・・気のせい、だったんでしょうか?

ウェ「トーヤさん?」

シャ「ちょっと、どうしたのよ?」

ト「・・いえ、何でもありません。」

いったい、何だったんでしょうか・・・?

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             『少しだけ、?目線でいきます。』

私は天空の巫女と、怪物(モンスター)と、白猫の後ろ姿を見届けると、建物を飛び越えながら妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士から遠ざかる。



・・・この辺でいいかしら?さっきの場所から10軒程離れた建物まで来ると、私は建物のオレンジ色の屋根の上に足を組んで座った。風でなびいた青い髪の毛を耳に掛ける。

?「全く、気配を消してたつもりなのに何人かに感づかれちゃったわね。」

可笑しいわねぇ~。私の視線、そんなに強烈だったかしら?

?「まぁいいわ。顔は分かったし、もう少し観察してみましょ♪」

私はその場にスクッと立ち上がる。風で青い髪の毛と黒いフレアスカートが風でなびいた。

?「妖精の尻尾(フェアリーテイル)・・・ふふっ、面白いわね。」

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             『少しだけ、ミラ目線でいきます。』

私とガジル、リリー、ラクサス、ジュビア、カナの6人はマスターに頼まれて『謎の仕事』に取り掛かってまぁーす!!

ジュ「ミラさん、あなたはなぜそんなに元気何ですか?」

ミ「だって楽しいじゃない。」

カ「いかにもあんたらしいわ。」

カナったら、そんなに呆れなくてもいいじゃない。

ガ「そんな事よりよぉ、本当にあるのか?」

リ「俺はまだ信じる事が出来ないんだが。」

ラ「だから『謎』なんだろ。」

私、『謎』を解明するの好きよ♪

ジュ「それって、マンガのFAIRY TAILでルーシィさんと一緒にやってる『特別依頼 FTの謎を解明せよ!』ってゆうコーナーの事ですか?」

カ「あのねミラ、そのコーナーとこの仕事はレベルが違いすぎるのよ。」

ミ「えっ?そうなの?」

ミ以外「今頃気づいたんかいっ!!!?」

マスター、皆、どうやらこの仕事、とっても大変のようです。 
 

 
後書き
第159話終了~♪
いやぁ~随分とお懐かしい方達が出て来ました~。読者の皆さん覚えてましたか?
さてさて、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の事を見つめていた?とはいったい!?そしてとっても大変な『謎の仕事』とはいったい!?う~ん・・・作者の私でさえ分からなくなってきたぞ・・・
ところで、Aチームが泊まる宿って『蜂の骨(ハニーボーン)』でいいんでしょうか?「ハニー」って、蜂蜜ですよね?
次回は大魔闘演舞当日の午前12時。真夜中に予選が行われる!!
お楽しみに~♪ 

 

第160話 『飛捕』 

 
前書き
HELLO!07です!
今回は大魔闘演舞当日の午前12時。58の参加ギルドから大魔闘演舞出場を賭けて、予選を行う事になったぁっ!?果たして、妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)は予選で勝ち残れるのか!?そして、予選で行われる競技とは!?
今回からしばらく目線が無くなります。ナレーション(?)風にいきたいと思います。
それでは、第160話・・・スタート! 

 
現在、午後11時54分。ここ、『豚の帽子(ピッグハット)』は大魔闘演舞に出場する妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)が泊まっている宿だ。その宿の1室が妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)のメンバーが泊まっている部屋だ。その部屋のドアがバァンッ!と勢いよく開いた。

マ「ギリギリセーーーフッ!」

ドアの前に立っていたのは、夕日のようなオレンジ色の髪の毛に同じ色をした大きな瞳、象の絵が描かれた黄色いTシャツに白いショートパンツ。頭に黄色いカチューシャを身に着けている少女。この部屋に泊まっているマヤ・ララルドだ。

マ「ゴメンゴメン!クロッカスの街を観光してたらいつの間にかこんなに時間が経ってて。フレイにここまで連れて来てもらったんだ。」

フレイというのは妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)のリザーブ枠で、その正体は人間の姿になる事が出来る、鳳凰の使いである赤い毛並みの鳥だ。体が小さい為、人を背中に乗せる事は出来ないが、足で摑む事は出来る。

リョ「ったく。ちゃんと時間を見て行動しろよな。」

緑色の着物に黒い袴、腰に3本の剣を差していて、ベッドにドガッと座っているのはリョウ・ジェノロだ。数少ない妖精の尻尾(フェアリーテイル)のS級魔道士の1人でもあり、聖十大魔道の1人で、序列6位。腰に差してある3本の剣は聖剣(エクスカリバー)という伝説の剣で、この剣を扱える魔道士は現在2人しかいない(最初は3人だったが、1人故人)。その内の1人がリョウだ。

ト「ど・・どうして、こんな真夜中に・・・予選を、や・・るんで、しょうか・・・?はわわわわぁ~・・・」

銀色のくせ毛に紫色の瞳、黒いローブを羽織り首に紫色の勾玉を着けて、椅子に座って欠伸をしているのはトーヤ・ファインだ。12歳くらいの()()()の魔道士の少年・・・と、言いたいところだが、それは大間違いだ。その正体は妖怪や怪物、幽霊が暮らしている地上の世界とは真逆の世界、妖霊界とゆう世界からやって来た人間の姿をした幽霊なのだ。トーヤは年齢不群で、首に着けている勾玉、幽封玉で人間の姿を保っている。これを首から外すと半分人間で半分幽霊の、半幽人の姿になる。幽霊だから暗い所は好きなのだが、夜に弱い。目上の人はもちろん、目下の人でも「さん」付けで呼び、敬語で話す。

ショ「とにかく、これで全員揃ったな。」

黒髪に鮮血のような赤い瞳、白い服に黒いベストを羽織り、流行の青いジーパン姿の窓の外を見ているのはショール・ミリオンだ。元々は人気ナンバー1のイケメンマジシャン。その人気はマジシャンを辞めても衰えず、週刊ソーサラーの「彼氏にしたい魔道士ランキング」では常に上位をキープしている。が、本人は緋色の髪の少女にしか好意を抱いていない。まぁ、それはそれで良いのかもしれないが・・・



さて、まだもう1人紹介をしていないが、後数時間もすれば大魔闘演舞当日だと言うのに、なぜマヤ達はこんなに遅くまで起きているのか説明しよう。

今年の大魔闘演舞に出場する魔道士ギルドの数は去年の半分以下の58。去年は133とゆう数の為、大魔闘演舞当日の午前12時に133の魔道士ギルドを8に絞り込む為に空中迷路(スカイラビリンス)という予選が行われた。そして、今年も58とゆう数で大魔闘演舞当日の午前12時に予選が行われる事になったのだ。なので、大魔闘演舞に出場する58のギルドは起きているのだ。

そして現在、午後11時58分。

リョ「後2分か。」

リョウが呟く。いったい、今年の予選はどんなものなのか。

マ「ドキドキしてきたっ!」

マヤはすでに胸が高鳴っている。実を言うと、ここにいる妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)は全員大魔闘演舞初出場なのだ。他のメンバーもかなりドキドキしている・・・と思ったが、窓際の椅子に水色の髪の毛を低い位置で横に束ね、腰の辺りに青いリボンの付いた水色のワンピースを着ている1人の少女が暗い顔をして右手で額を押さえていた。

マ「ユモ、どうしたの?」

「ユモ」とゆうのは愛称で、本名はユモス・クオリナ。一見可憐な美少女だと思うが、それは大間違いである。本当は過去に格闘技の名手と呼ばれフィオーレ王国中で話題になった少女なのだ。その名からして、格闘技のスペシャリストだ。

ト「そういえばユモさん、ずっと額を押さえていますけど、具合でも悪いんですか?」

ユ「・・ううん。具合は悪くない。ちょっと、ね・・・」

少し引きつった笑みを浮かべる。その時、

ショ「5・・4・・3・・2・・1・・!」

ショールが小さくカウントダウン。そして、時計の短針と長針が12のところで重なったのと同時に、緑色の魔法使いが被っているような帽子に同じ色のマントを羽織り、人間と同じように目、鼻、口、両手両足がある・・・巨大なカボチャの映像が空中に映し出された。

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                       『一方その頃、『蜂の骨(ハニーボーン)』に泊まっている妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)は・・・』

ナ「またあのカボチャだ。」

窓から空中に映し出されたカボチャを見ていた。ちなみに、妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)のリザーブ枠のエルフマンと、大魔闘演舞には出場しないナツの相棒のハッピーとウェンディの相棒のシャルルはいない。

ウェ「大きい~!」

今は解散してしまった元闇ギルドであり元正規ギルドだった大鴉の尻尾(レイヴンテイル)の魔道士、オーブラに去年魔力を奪われ、大魔闘演舞の初盤出場する事が出来なかったウェンディは初めて見る巨大なカボチャの映像に目を丸くする。余談だが、あのカボチャは大魔闘演舞のマスコットキャラクター、マトー君と言う名前らしい。口癖は「~カボ。」

マト『これより、大魔闘演舞予選、『飛捕(フライトキャッチ)』のルール説明を行いますカボ。』

口は動いていないが、マトー君が身振り手振りで話す。

ル「『飛捕(フライトキャッチ)』?」

グ「何だそりゃ?」

飛捕(フライトキャッチ)』がまだ何なのか分からない。が、分かる前に、ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・と地鳴りの音が響き渡った。

エ「な、何だっ!?」

ナ「・・う、うぷ・・・」

ル「こんな時に酔ってどうすんのよっ!」

ウェ「ひぇ~!」

窓の傍にいたナツ達は危うく落ちそうになる。エルザはバルコニーの柵に摑まり、落ちそうになったルーシィの腕をグレイが摑み、自分はエルザと同じようにバルコニーの柵に摑まる。ナツは口を押さえてその場にうずくまり、ウェンディはうずくまったナツにしがみ付く。すると、ズドドドォォォォォンとナツ達が泊まっている宿、『蜂の骨(ハニーボーン)』が周りの建物より突き出した。『蜂の骨(ハニーボーン)』だけではない。マヤ達が泊まっている宿、『豚の帽子(ピッグハット)』や、青い天馬(ブルーペガサス)が泊まっている宿、蛇姫の鱗(ラミアスケイル)が泊まっている宿、月の涙(ムーンティア)が泊まっている宿、幸福の花(ハピネスフラワー)が泊まっている宿も周りの建物より突き出した。しばらくして地鳴りが治まった。

ナ「・・と、止まった、の・・・か?」

地鳴りが治まったと安心したのも束の間、今度は階段が現れた。なぜか何も無い空中に続いている。

エ「ここまでは去年と同じだな。」

グ「おい作者、ちゃんとネタ考えてるんだよな?」(←もっちろん! by07)

階段は遥か遠くまで続いている。

ル「上れって事かしら?」

ナ「おっしゃーーーっ!一気に駆け上るぞっ!」

すっかり元気になったナツが猛ダッシュで階段を駆け上って行く。

ウェ「ナツさん!」

グ「あのバカ!」

エ「私達も行くぞっ!」

ル「ちょっとナツ!待ってよぉ~!」

ルーシィ達も慌てて階段を上り始めた。

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ナ「着いたーーーっ!っておぉっ!?何だこりゃあっ!?」

一足先に階段を最後まで上り切ったナツが目にしたのは、遥か遠くまで続く静寂に包まれた草原と、半透明の空だった。半透明だから透けて映像のマトー君が見える。

エ「空中に、草原だとっ!?」

後から来たルーシィ達も目の前に広がる光景に目を見開く。すると、ナツ達の目の前に小さな白い羽の生えた金色の球体が飛んできた。球体に赤い妖精の尻尾(フェアリーテイル)の紋章に「A」と書かれている。

ナ「何だこれ?」

ナツが手に取ろうとすると、ナツの手から逃げるように白い羽をパタパタと動かして飛んでいった。

マト『皆さんステージに着いたようなので『飛捕(フライトキャッチ)』のルールを説明致しますカボ。』

口が動かないマトー君が身振り手振りで話し始めた。

マト『先程皆さんがご覧になられた自分の魔道士ギルドの紋章が描かれた白い羽の生えた金色の球体・・・この飛び回る球体をステージ内で捕まえるのが今年の予選の内容ですカボ。もちろん、魔法を使って捕まえるのもアリですカボ。』

グ「去年と比べて随分シンプルだな。」

ナ「楽勝じゃねぇか。」

ナツが炎を纏った左拳を右手の平にバフッ!とぶつけ、グレイが口角を上げる。

マト『皆さんの中に「シンプル」「楽勝」だと思った方はございませんかぁ?』

表情を一切変えず、マトー君が問う。ちなみに、妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)ではナツとグレイ、妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)ではマヤとリョウが「シンプル」「楽勝」と思った。

マト『この『飛捕(フライトキャッチ)』は聞いただけではとても簡単そうに思います。が、実際にやってみるとかなり苦戦するカボ。それが、『飛捕(フライトキャッチ)』。なので、「シンプル」「楽勝」と思った方、後で後悔すると思うカボよ。』

マトー君が言ったとおり、本当に『飛捕(フライトキャッチ)』は見た目以上に苦戦するのか?

マト『飛び回る球体をいち早く捕まえる事が出来た上位12のギルドが大魔闘演舞に出場出来るカボ。』

ル「58から12・・・一気に46ものギルドが減っちゃうのぉっ!?」

エ「だが、去年より4つも多い。」

ウェ「最終的には、6つになっちゃいましたしね。」

去年より有利なのか不利なのか?

マト『それでは、大魔闘演舞に出場出来るよう、健闘を祈っているカボよ。大魔闘演舞予選、『飛捕(フライトキャッチ)』・・・スタートカボォォォッ!!』

マトー君の合図と共に、大魔闘演舞予選、『飛捕(フライトキャッチ)』が始まった。

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                         『妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)の『飛捕(フライトキャッチ)』』

妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)のステージは草原ではなく、崩壊したコンクリートの建物が建ち並ぶ、人気の無い崩壊した街だった。崩壊した街をスタートの合図と共に飛び回り始めた青い妖精の尻尾(フェアリーテイル)の紋章に「B」と書かれた金色の球体。

リョ「球体は空を飛ぶのか。こん中で空飛ぶ事が出来るのは・・・」

もし、リザーブ枠のフレイがいたら少し有利だったかもしれない。が、今この場にフレイはいない。でも、

ト「あの、僕、お化け達に協力してもらえば空を飛ぶ事は出来ますよ。」

マ「私もバーンの背中に乗れば飛ぶ事が出来るよ!」

ユ「私も氷で翼を造形すれば。」

ちなみに、マヤが言ってる「バーン」と言うのはマヤと契約しているワシの事だ。それにしても、このチームは運が良いのか?それともただの偶然か?

リョ「そんな事はどうでもいいんだよっ!んじゃ、空中ではマヤとユモとトーヤ。地上は俺とショール。球体を追い詰めたところでキャッチだっ!」

リョ以外「了解!!」

リョウの的確、高速の作戦により、

マ「我と契約した者よ、ここに姿を現せっ!!ワシのバーン!!」

ピィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!とマヤが指笛を吹くと、地面にオレンジ色の魔法陣が浮かび上がり、そこから巨大なワシが姿を現した。マヤはバーンの背中に飛び乗る。

ト「我と、心を通わせ、姿を現せ!出て来い!幽霊兄弟!火の玉!」

トーヤは幽霊のユウとレイ、赤と青の火の玉を召喚し、ローブを摑んでもらい、ユモは背中に氷で翼を造形し、飛び回る球体目掛けて3人は飛んでいった。それを地上でリョウとショールは見届けると、

ショ「なぁリョウ。」

リョ「何だ?」

ショ「この予選は、あの球体を捕まえる事だろ?」

リョ「あぁ。それがどうしたんだ?」

ショ「いや、だから、捕まえるから俺とリョウは()()()使()()()()なって思って・・・」

リョ「あ。」

フィオーレ一番強いギルドであり、フィオーレ一お騒がせギルドでもある妖精の尻尾(フェアリーテイル)のS級魔道士以下の数少ない頭脳派魔道士のショールが冷静沈着に正論を述べる。さすがの聖十大魔道であり、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の数少ないS級魔道士のリョウもショールの賢さには敵わない。

リョ「素手しか使えないのかよ。くっそぉ~!随分厄介の予選を考えてくれたもんだぜ。」

頭を掻きながらリョウが愚痴を吐く。が、

リョ「まっ、いっか。」

ショ「えっ?」

ショールがリョウのあまりの気が変わる早さに素っ頓狂な声を上げる。

リョ「だって、あの球体を捕まえねぇと大魔闘演舞には出場出来ないんだろ?それじゃあ妖精の尻尾(フェアリーテイル)の名折れだ。怪我したって、予選を勝ち抜いてみせるさっ!妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)全員でなっ!」

そう言うとリョウはショールにVサイン。
読者の皆さんは、ナツとグレイがリョウと喧嘩をする時、どうしてナツとグレイがリョウの事を「ポジティブ野朗」と言うのかが分かっただろうか?その理由が、リョウがこういう性格だからだ。
その時、

マ「リョオォォォォォッ!!ショオォォォォォルウゥゥゥゥゥッ!!」

マヤの大声にリョウとショールは同じ方向を振り返る。2人が目にした光景は、ものすごい速さで小さな白い羽を羽ばたかせて逃げる金色の球体。それをものすごい速さで追いかけ、飛び回る球体に必死に手を伸ばすマヤとユモとトーヤ。5人で挟み撃ちだ。リョウとショールも迫り来る球体に手を伸ばす。後数cmで5人の手の中に納まる。と思ったその時、球体が突然角度を変え、右方向に飛んで行った。もちろん、

ト「うぎゃああああぁぁあああぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」

ユ「ギャアアアァァアアアアァアアァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」

ショ「イギィィイイイイィィイイイイイィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!!」

お互いに頭蓋骨にヒビが入りそうな勢いで額同士を強打した。










()()()()()










リョ「あ、あれ・・・?」

マ「えぇっ!!?」

バ「()()()?」

本来はユモ、ショール、トーヤと同じように頭蓋骨にヒビが入りそうな勢いで額同士を強打するはずだったマヤとリョウ。だが、マヤが乗っていたワシのバーンが一足先に、驚いて思わず口を開けてしまった為、その口にすっぽりリョウが挟まってしまったのだ。
自分が今どんな状況になっているのかが分かったリョウの顔がどんどん青ざめていく。

リョ「おいワシイィィィィィッ!!俺の事喰うんじゃねぇぞっ!喰ったら死ぬまで恨むからなあぁぁぁぁぁっ!!!」

「死んだら恨めないじゃん」とゆう突っ込みはあえて言わないでおこう。だが、これはこれで妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)にとって絶好の機会(チャンス)だった。

ショ「リョオォォォッ!!そこから球体を捕まえろおぉぉぉぉぉっ!!!」

薄っすら鮮血のような赤い瞳に涙を浮かべ、赤く腫れ上がった額を摩りながらショールが声を張り上げて叫ぶ。その声は今にもワシに食べられてしまいそうな状況のリョウの耳にも、リョウを食べようとしているワシの背中に乗ったマヤの耳にも、リョウを食べようとしているワシのバーンの耳にもバッチリ聞こえていた。

リョ「マヤ!ワシ!球体からぜってぇ~に離れるなよっ!!」

マ「分かってるって。」

ワ「()(ギャ)。」

リョ「のわああああああああああっ!!お前は喋るなっ!口を動かすなあぁぁぁぁぁっ!!」

食べられそうになりながらもリョウは必死に球体に手を伸ばす。





後5cm。





後3cm。





後1cm。





そして――――――――――





リョ「捕まえたあああぁぁぁああああぁぁああああぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」

途中から悲鳴に鳴っているが、リョウの手の中に金色に光り輝く物が握り締められているのをマヤ、ユモ、ショール、トーヤははっきりと自分の瞳で見た。





バ「グォハッ!!ギャホッ!ギャホッ!ギャホッ!」

地上に下りるのと同時に、バーンは口からリョウを吐き出す。

リョ「だっはぁーーー。はぁ、はぁ・・マ、マジ、で・・はぁ、死ぬかと、思った・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・はぁ・・はぁ、はぁ・・・はぁ、はぁ、はぁ・・はぁ・・・」

バーンの涎でびしょびしょになったリョウも目を見開き、荒く息をする。

マ「ありがとうバーン。ゆっくり休んでね。」

バ「グギャ。」

その間にバーンは住処へと帰って行った。

ユ「お疲れリョウ。いろんな意味で。」

リョ「あ、あぁ・・・い、いろんな、意味で・・つ、疲れたぁ~・・・」

リョウはその場で仰向けに倒れ込んだ。その時、マヤ達の目の前に色とりどりの風船で飾られた「GOOL」と書かれた扉が現れた。その扉から、今度は本物の大魔闘演舞のマスコットキャラクター、マトー君が出て来た。

マト「妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)の皆さん、予選通過、おめでとうございますカボ。」

拍手をするマトー君。表情が変わってないせいか、全く感情が込められていないように見える。

マト「マヤ・ララルドさん、リョウ・ジェノロさん、ユモス・クオリナさん、ショール・ミリオンさん、トーヤ・ファインさん。大魔闘演舞に出場決定ですカボ。」

マト以外「ヤッタァァァァァッ!!!!!」

腕を突き上げて喜びの歓声を上げる。

ト「でも、今回はリョウさんに一番感謝ですね。」

ショ「お疲れ様、リョウ。」

マ「宿に戻ったらお風呂に入らないとね。」

リョ「本当は、今すぐに入りてぇんだけどな。」

リョウが球体をマトー君に渡す。

ユ「ところで、私達は何位なの?」

一番聞きたい事に、マヤ達は顔をマトー君に近づける。」

マト「妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)の予選順位は・・・」

****************************************************************************************

                         『妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)の『飛捕(フライトキャッチ)』』

エ「そっちに行ったぞっ!」

グ「今度はあっちだっ!」

ウェ「皆さん、こっちですっ!」

ナ「待ちやがれええええええええええっ!!」

ル「速過ぎよぉ~!」

金色の球体と、黄色い悲鳴が飛び回る。エルザは剣は持たず、黒羽の鎧に換装し、グレイはユモと同じように背中に氷の翼を造形して飛ぶ。後、ルーシィの星霊、双子宮のジェミニがハッピーとシャルルに変身して球体を追いかける。地上ではナツ、ルーシィ、ウェンディが球体が飛んで来るのを待ち伏せしている。やり方は妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)と全く一緒。・・・なのだが、

ナ「何で捕まえれねぇんだよっ!!?」

後もう少し!とゆうところで、球体は角度を変えて飛び去り、妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)同様、お互い額を強打し合っている。全員体力、ルーシィ、グレイ、エルザは魔力がすでに限界に近かった。

エ「はぁ、はぁ・・はぁ・・・い、急が、ないと・・はぁ、はぁ、よ、予選・・通過が・・・はぁ・・はぁ、で、出来なく、なって・・しま、う・・・はぁ・・はぁ、はぁ、はぁ・・・」

グ「はぁ・・はぁ、はぁ・・・ったく・・あ、あれなら・・・捕ま、える、より、はぁ・・はぁ、こ、壊した方が・・・はぁ、はぁ・・簡単、じゃ、ねぇか、よ・・・はぁ、はぁ・・はぁ・・・」

マトー君が言ったとおり、実際にやってみるとかなり困難だという事を自覚したみたいだ。金色の球体はナツ達を侮るように、ナツ達の頭上をくるくる飛び回る。

                           さて、ここからどうする?

ル「はぁ・・・はぁ・・こ、ここで、はぁ、予選、敗北、したら・・・はぁ、はぁ・・・はぁ・・はぁ・・・・」

ウェ「はぁ・・はぁ、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の・・・はぁ、はぁ・・・な、名折れ、ですよね・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・」

荒く呼吸をしながら、立ち上がる5人の妖精(フェアリー)。もう限界に近いのに、なぜここまで彼等をこの場に立たせているのか?それは『()()()()()()』!!

エ「それを言うなら、『()()()()()()』だ。」

グ「エルザ、いちいち突っ込まなくていい。バカとアホが乗り移るぞ。」

ル「それより、早くあれを捕まえないとっ!」

ルーシィが球体を指差すと、逃げるように球体は飛び去って行った。

ナ「俺が捕まえてやらあぁぁぁぁぁっ!!!」

体力が急激に回復したのか、ナツが猛スピードで走り出し、走りながら球体と同じ高さまで跳び上がると、広げた右手に炎を纏い、

ナ「今度こそおおぉおおおぉぉおおおおおおおおおおっ!!!」

誰もがこの時「捕まえた」と思っただろう。が、それは大きな間違いだ。球体はナツの炎に包まれた右手に納まる直前、突然角度を変えて左方向に飛んで行った。

ナ「なっ!!?逃げんじゃねえええええうぉあぁっ!!」

球体を捕まえる事が出来なかったナツはそのままズドォォォンと落下。

ル「あっちゃぁ~。惜しい~。」

その時、エルザが何かを思いついたのか目を軽く見開いた。

エ「ウェンディ、球体に咆哮を撃てるか?軽くでいいんだ。」

ウェ「えっ?あ、や、やってみますっ!」

ウェンディは飛び回る球体に集中する。狙いを定めると、頬を膨らませ息を吸い込むと、

ウェ「天竜の・・・咆哮ッ!」

水色の咆哮を放った。咆哮は見事に球体を直撃。が、勢いはあまりなく、咆哮に巻き込まれて空中でただ羽ばたいている状態になった。

エ「ナツ!今だっ!」

ナ「おっしゃーーーーーっ!!」

起き上がったナツが空中で羽ばたいている球体目掛けて走り出し、また球体と同じ高さまで跳び上がると、広げた右手に炎を纏った。ナツの炎に包まれた右手に、今度こそ球体が納まった。それと同時にウェンディの咆哮も消えた。

ウェ「はぁ・・はぁ・・・はぁ、はぁ・・・・はぁ・・はぁ・・・」

いくら勢いはあまりなかったとは言え、かなり長い間咆哮を放っていたからそれなりに魔力も消費しただろう。ナツは今度は綺麗に着地。右手には少し黒くなった金色の球体がしっかり握られていた。

グ「おいおい、焦がしてどうすんだよ。」

ナ「ちゃんと捕まえたからいいじゃねぇか。ていうか、「焦がしたらダメ」っていうルールはねぇぞ。」

何とゆう屁理屈。でも、言ってる事は正論だ。その時、ナツ達の目の前に色とりどりの風船が飾られた「GOOL」と書かれた扉が現れた。その扉から、本物の大魔闘演舞のマスコットキャラクター、マトー君が出て来た。

マト「妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)の皆さん、予選通過、おめでとうございますカボ。」

拍手をするマトー君。相変わらず表情が変わってないせいか、全く感情が込められていないように見える。

マト「ナツ・ドラグニルさん、ルーシィ・ハートフィリアさん、グレイ・フルバスターさん、エルザ・スカーレットさん、ウェンディ・マーベルさん。大魔闘演舞に出場決定ですカボ。」

ナ&グ「おっしゃぁぁぁぁぁっ!!」

ル「ヤッターーーッ!!」

ウェ「やりましたね。」

エ「あぁ。」

妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)と同じように腕を突き上げて歓声を上げる。

ナ「で!俺達の順位はっ!?」

ル「もしかして、1位!?」

一番気になる事に、ナツたちはマトー君に顔を近づける。

マト「妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)の予選順位は・・・」

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                  『一方その頃、大魔闘演舞には出場しない妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士達は・・・』

外から見ると、『飛捕(フライトキャッチ)』のステージは面白い。

ウォ「相変わらず凝ってるなぁ~。」

ナブ「真夜中に行われたり、建物が突き出したり。」

マッ「巨大な映像が映し出されたり。やる事がめちゃくちゃだな。」

レ「私達が言える事じゃないけどね・・・」

レビィの言うとおりである。何せフィオーレ一最強で、お騒がせギルドなのだから。だが、フィオーレ一はもしかしたら今年変わるかもしれないが・・・
その時、また巨大な大魔闘演舞のマスコットキャラクター、マトー君の映像が映し出された。

マト『大魔闘演舞に出場する12の魔道士ギルドが決まりましたカボ。これにて、予選、『飛捕(フライトキャッチ)』を終了するカボ。』

リ「出場するギルドはっ!?」

ア「ナツ達はっ!?」

ビ「マヤ達はっ!?」

誰もが気になる今年の大魔闘演舞に出場する12のギルド。果たして、妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)はいったい何位!?

マト『出場ギルドは・・・()()()()()()()()カボ~♪』

全「はあぁぁぁぁぁっ!!!??」

「はぁっ!?」と思うのは当然だろう。

マカ「全く、じれったいのぉ~。」

妖精の尻尾(フェアリーテイル)のギルドマスター、マカロフ・ドレアーは酒を飲みながら呟いた。

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                          『とある建物の屋根の上で・・・』

1人の少女が屋根の上で月の逆光を浴びていた。大魔闘演舞に出場する妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士の事を見つめていたあの『謎の少女』だ。夜風が少女の青い髪の毛と黒いフレアスカートをなびかせる。少女はなびいた青い髪の毛を右耳に掛ける。

?「大魔闘演舞、予選『飛捕(フライトキャッチ)』、終わっちゃったわね。」

少女は真下にいる大魔闘演舞に出場しなかった妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士を下から見下ろす。楽しそうに、愉快に笑っている。

?「全く、呑気なものね。まだ予選に勝ち抜いたかさえも分からないのに。でも、あの10人なら()()()()()と、()()()()にきっと応えてくれるわね。ふふっ、今日が楽しみだわ♪」










なぜ、少女がナツ達に期待しているのか?それを知るのはまだ先のお話―――――










 
 

 
後書き
第160話終了ですっ!
予選『飛捕(フライトキャッチ)』を通過し、大魔闘演舞に出場する事になった妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)。おめでとう!!それにしても、あの『謎の少女』はいったい何者なのか・・・?読者の皆さんも考えてみて下さい。
次回は夜が明け、遂に大魔闘演舞初日が始まったっ!果たして、妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)は何位なのかっ!?今年戦う12の魔道士ギルドが、遂に明らかにっ!
次回、見逃したらいけないよっ! 

 

第161話 突然の宣戦布告

 
前書き
駄作者07です☆
今回は遂に予選を勝ち抜いた12のギルドが明らかに!果たして、いったいどんなギルドが登場するのか!?オリキャラ&オリギルドもたくさん登場しますよ。そして、大魔闘演舞オープニングゲームは!?
今回もナレーション(?)風にいきます。
それでは、第161話・・・スタート☆ 

 
夜が明け、大魔闘演舞当日の朝。ドムス・フラウの上空ではドォン!ドドン!バァン!ババン!と花火が打ち上げられ、「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」とフィオーレ中からやって来た観客の大歓声が上がる。

?「さぁ今年もやって参りました!大魔闘演舞ーーーーーッ!!」

会場を一望出来る場所には実況と解説、1日ごとに変わるゲストがマイクの前に座っている。

チャ「実況は、昨年の引き続きチャパティ・ローラがお送り致します。」

黒髪に特徴的な顔、茶色いスーツをピシッ!と着こなしたチャパティ・ローラ。実は、彼の髪の毛は『鬘』だ。彼の『鬘』はちょくちょく変わるので、注目して見ると意外と面白い。少しロリコン気味でもある。

チャ「解説は、こちらも昨年に引き続き元魔法評議委員六ノ席、ヤジマさんにお越し頂いております。」

ヤ「よろスく。」

料理人の服装にズーズー弁で喋るヤジマ。妖精の尻尾(フェアリーテイル)ギルドマスター、マカロフとは旧知の仲で、お互いに「マー坊」「ヤン坊」と呼び合っている仲である。評議委員を引退した後は、料理人として活躍している。

チャ「大魔闘演舞では、1日ごとにゲストをお招きしています。本日のゲストは、週刊ソーサラーの新人記者、レナ・スカイウォーターさんにお越し頂いております。」

レ「シャッターチャンス、お待ちしています。」

読者の皆さんは覚えていますか?以前、ジェイソンと一緒に妖精の尻尾(フェアリーテイル)を取材に来た新人記者のレナ・スカイウォーター。ユモに格闘技で投げ飛ばされた張本人です。以前より少し髪が伸びて、水色のシュシュでポニーテールに束ねている。

チャ「さぁいよいよ!予選、『飛捕(フライトキャッチ)』を見事勝ち抜いた、大魔闘演舞の出場者達の入場ですっ!!」

チャパティ・ローラの実況が言い終わると、会場に繋がっている石造りの出入り口から人影が見えた。

チャ「予選12位!そのワイルドさはフィオーレ一!ワイルドで優勝を狙う!四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)!!」

ギルドマスターはゴールドマイン。ヤジマ同様マカロフとは旧知の仲で、ギルド同士も仲が良い。昨年の大魔闘演舞に出場したが6位で終わった。メンバーは昨年と同じ、ロッカー、イエーガ、ノバーリ、ウォークライ、セムス。すると、突然5人が声を揃えて、

四つ首全「ワイルド、フォーーーーーッ!!!」

と叫んだ。実況どおり、ワイルドなギルドだ。

チャ「続いて予選11位!風でなびく白いマントとベールに包まれた若き魔道士達!白い柳(ホワイトウィロウ)!!」

ギルドマスターはニートポーチ。魔道士全員の平均年齢22歳とゆう若い魔道士が多い1年程前に出来た新人ギルドだが実力はかなりのもの。大魔闘演舞初出場。メンバーはシェナ・ティッド、タクヤ・トースティー、ウララ・リネリア、チルチル、アチュール・マム。男は白いマント、女は白いベールを羽織っている。

ハ「な、何か、神秘的なオーラを感じる・・・」

ハッピーは白い柳(ホワイトウィロウ)の魔道士達に目が釘付けになっていた。

チャ「予選10位!その涙は月からの贈り物!夜空に祈りを!月の涙(ムーンティア)!!」

ギルドマスターはシャイン・スター。元闇ギルドで、ナツ達に討伐され評議委員により逮捕されたが、たったの5日で解放された。その後は正規ギルドとして復活し、活躍し続けている。大魔闘演舞初出場。メンバーはセイン・ロード、カイ・オーシャン、シプ・マーノ、リキ・ロレックス、カリン・パック。

チャ「続いて予選9位!巨大な翼を広げて大空の彼方から遥々やって来た!気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)!!」

ギルドマスターはライダル・トニックバン。主に飛行訓練をしている魔道士ギルドで、いつもはフィオーレ王国から離れたところで飛行訓練をしているのだが、今年は大魔闘演舞に出場する為に大空の彼方から遥々やって来たのだ。メンバーはリート・フェイダル、ラム・ビディンガン、ジェニック・フォントアル、ヒリア・フーガベース、アナ・ココナッティーン。全員裾がボロボロの茶色いローブを羽織っている。

シャ「全員無駄に長い名前ね。」

ロ「飛行訓練って、何をするんだろう?」

シャルルは気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)の魔道士達の名前に目を細め、ロメオは飛行訓練について首を傾げる。

チャ「予選8位!おぉっとこれは以外だっ!昨年優勝したあのお騒がせギルド!妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)だぁぁぁぁぁっ!!」

観全「何で8位!!!??」

妖精全「1位になれよっ!!!!!」

観客も応援席にいた妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士達も全員驚嘆の声を上げる。赤色のチームカラーの服を着た妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)のナツ・ドラグニル、ルーシィ・ハートフィリア、グレイ・フルバスター、エルザ・スカーレット、ウェンディ・マーベル、リザーブ枠のエルフマン・ストラウスが登場。

マカ「う~ん・・・8位って事に不満がじゃが、応援、始めぃ!!」

妖精全「フレー!フレー!妖精の尻尾(フェアリーテイル)ッ!!!」

学生服を着たマカロフ、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士全員が妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)の事を応援する。

ル「また応援してる。」

グ「ったく、どんだけ暇なんだよ。」

エル「漢ならば、応援は力強くやるべきだっ!!」

エ「ん?あれは・・・」

エルザが首を傾げる。その視線の先には、マスターの横に座っている裸足の少女・・・って!

ナ「んなっ!?」

ウェ「あの人はっ!?」

メ「フレー!フレー!妖精の尻尾(フェアリーテイル)♪」

そう。妖精の尻尾(フェアリーテイル)初代ギルドマスター、メイビス・ヴァーミリオンがいたのだ。だが、その姿は妖精の尻尾(フェアリーテイル)の紋章を刻んだ者達にしか見えない。なぜなら、



彼女は幽霊なのだから。



応援していたマカロフや妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士達も全員メイビスの姿を見て目を見開く。

マカ「しょ、しょしょ、初代ィィィッ!?」

メ「えへへ♪また、応援に来ちゃいました~♪」

マカ「「来ちゃいました~♪」って・・・」

メ「だって、天狼島に1人でいるのは退屈ですし、寂しいですもの♪」

天狼島。メイビスの墓がある妖精の尻尾(フェアリーテイル)の聖地だ。それにしても、「退屈」「寂しい」という理由だけで、ここまで遥々来るとは・・・

ナ「ダハハハハッ!また初代マスターがいるとは、心強いぜ。」

グ「幽霊だけどな。」

チャ「続いて予選7位!愛する自然と共に戦い、優勝の花を咲き誇らす!幸福の花(ハピネスフラワー)!!」

ギルドマスターはアカネ。最強チームの事を尊敬していて、以前勝負を挑んだが敗北した。その後は修行をし更に力をつけてきた。大魔闘演舞初出場。メンバーはナデシコ、サクラ、スミレ、ハマナス、ツツジ。全員、自分と同じ名前の花が描かれた着物を着ている。

ル「ハマナス?ツツジ?」

エ「新人のようだな。」

ル「でも、パンジーとユリがいないわよ。」

ウェ「パンジーは出場しないと言っていました。ユリさんは・・・?」

読者の皆さんはなぜユリがいないのかご存知だと思います。でも、作中でそれを知っているのは幸福の花(ハピネスフラワー)の魔道士達と、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士、リョウ・ジェノロ。そして、ユリを殺めた張本人のみ・・・

チャ「予選6位!おぉっとこれはぁっ!昨年優勝した妖精の尻尾(フェアリーテイル)から、またもやチームが2つ!妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)!!」

観全「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」

大歓声が沸き起こる。青色のチームカラーの服を着た妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)のマヤ・ララルド、リョウ・ジェノロ、ユモス・クオリナ、ショール・ミリオン、トーヤ・ファイン、人間の姿をしたリザーブ枠のフレイ・レッドシェルが登場。

チャ「えー、なんと、大魔闘演舞の主催者側から、「妖精の尻尾(フェアリーテイル)からまた2つチームを出してほしい」とお願いしたところ、妖精の尻尾(フェアリーテイル)のギルドマスター、マカロフ・ドレアーさんが許可したそうです。しかも、去年とは違うメンバーであり、全員大魔闘演舞初出場ッ!!」

ヤ「流石だね、マー坊。」

レ「シャッターチャァ~ンス!」

レナが黒いカメラでマヤ達を撮っていく。が、

レ「あれ?」

撮った後画面を覗いてみると、不思議な事に、1人だけ写っていない人物がいるのだ。トーヤだ。確かにショールの隣にいるのだが・・・?

レ「ん?」

レナの疑問は観客の大歓声によって掻き消された。

観1「すっげーーーーーっ!!」

観2「あれって、聖十のリョウ・ジェノロかっ!?」

観3「キャーーーーーッ!ショールがいる~♪」

観4「動物姫(アニマルプリンセス)に、氷上の舞姫に、怪物(モンスター)もいるぞっ!!」

更に大歓声が上がる。

エル「す、すげーなお前等。」

ナ「ていうか、お前等6位だったのかよっ!?」

リョ「まぁ、な。」

6位になれたのは約7割がリョウのお陰だ。

グ「ていうかお前、ずっと人間の姿で大丈夫なのかよ?」

フ「まだ、あまり慣れてねぇけど、2週間の修行で大分魔力は上がったからしばらくは大丈夫なはずだ。」

マ「それに、こんな大勢の前で鳥の姿でいるのは恥ずかしいしね。」

マヤ達は知らないと思うが、昨年はある人物(一夜)瓜二つのエクシード(ニチヤ)が出場した。

ト「ところで、あの人、何者ですか?」

ビックスローと同じく、人の魂を見る事が出来るトーヤがマカロフの横に座っている裸足の少女を見て首を傾げる。

ウェ「あの人は妖精の尻尾(フェアリーテイル)初代ギルドマスター、メイビス・ヴァーミリオンさんです。」

妖精B全「しょ、しょしょ、初代ィィィィィッ!!!??」

初めて見る初代の姿(幽霊だが。)を見て目を丸くし、驚嘆の声を上げるマヤ、リョウ、ユモ、ショール、トーヤ、フレイ。



当の本人のメイビスも、応援席から不思議そうにマヤ達の事を見つめていた。

マカ「初代、どうかしましたかの?」

メ「あの子達は・・・?」

マカ「妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)の奴等ですか?奴等は・・・」

メ「赤い短髪の青年は、本来は鳥の姿で鳳凰の使い。銀髪の少年は、年齢不群の妖霊界からやって来た半幽人。黒髪の青年は、『予知』能力が使える元人気ナンバー1のイケメンマジシャン。水色の髪の少女は、格闘技のスペシャリストで、大きな『闇』を抱えています。茶髪のツンツン頭君は、聖十の称号を持つ者で、聖剣(エクスカリバー)を扱う事が出来る『選ばれし者』。夕日色の髪の少女は・・・鳳凰との深い関わりがあり、火炎石を所有していますね。」

マカロフが説明する前に、メイビスは見事にマヤ達の事をバッチリ見抜いてしまった。その場にいた者は全員目を見開き言葉を失った。

メ「あの子達は、強いのですか?」

マカ「えっ?あ、そ、そりゃあもちろん。先程初代が言ったとおり、フレイは鳥にもなれて人間にもなれて、トーヤは半幽人になれますし、ショールはギルド一頭が良くて、ユモは氷と格闘技を上手く混合し、リョウはS級魔道士でもあり聖十大魔道の1人でもあり、マヤは動物達と一緒に戦ったり、火炎石を使って戦ったり・・・」

マカロフが慌てて言うと、メイビスの頭に付いている羽のようなものがピクッと動いた。

メ「期待しましょう。あの12人に。あの12人の若き妖精(フェアリー)達にっ!きっと、昨年よりも素晴らしい結果を残してくれますよ。」

12人の妖精(フェアリー)達は、メイビスが言ったとおり、昨年よりも素晴らしい結果を残す事が出来るのか?それはまだ、誰も知らない・・・



チャ「続いて予選5位!青い翼を羽ばたかせて登場!美男美女軍団!青い天馬(ブルーペガサス)!!」

女観全「キャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!」

観客の女性のほとんどが歓声を上げる。ギルドマスターはボブ。男だが女みたいな服装をしている。ヤジマ、ゴールドマイン同様マカロフとは旧知の仲で、ギルド同士も仲が良い。美男美女が大勢いるギルド。ショールも以前スカウトされた事があるが、全て断られている。メンバーは一夜=ヴァンダレイ=寿、ヒビキ・レイティス、イヴ・ティルム、レン・アカツキ、ジェニー・リアライト、そして、黒いフードを被った人物。男か女かさえも分からない。

ナ「誰だあれ?」

グ「まぁ~たあのおっさん(一夜)瓜二つのエクシード(ニチヤ)じゃねぇのか。」

ショ「あんな人、青い天馬(ブルーペガサス)にいたかな?」

ショールも見覚えがないみたいだ。首を傾げている妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)に近づく男。特徴的なでかい鼻をヒクヒク動かし、エルザの周りをくるくる回る。

一「エルザさん、今日も素敵な香り(パルファム)ですね。よかったら、今日お食事にでも・・・」

エ「断る。」

一「そ、即答しなくても・・・」

せっかくのお誘いを即答され、ショックを受ける一夜。後ろでショールがこっそり安堵しているのは余談だ。その隣では、

レ「俺はお前等を誘うよ。別に、好きだからじゃねぇよ。」

ル「あんた、その性格辛くない?」

マ「ていうか、ルーシィにはリョウ、私にはナツがいるのっ!あんたも婚約者いるじゃん。三股しちゃダメだよ。」

ル「大声で言わなくていいからっ!!」

後ろでナツとリョウが少し顔を赤らめながらそっぽを向いているのと、応援席から「レンは何をしているのですかぁ~!?」とゆうシェリーの声が聞こえたのは余談だ。その隣では、

イヴ「それじゃあ僕は、ウェンディちゃんとユモスさんを誘おうかな?」

ウェ「え、あ、いや、そのぉ・・・」

ユ「あなたねぇ~・・・」

戸惑うウェンディとイヴに呆れるユモ。後ろで少しグレイとトーヤがイヴに怒ってるのは余談だ。

ヒ「じゃあ僕は、ミラジェーンさんとジュビアさんを・・・って、あれ?」

ショ「ミラもジュビアも今年は出場していませんよ。とゆうか、ヒビキさんはジェニーさんがいるのでは?」

ヒビキはなぜかミラとジュビアが出場していない事に気づいていなかったみたいだ。ヒビキの後ろにいたジェニーは頬を膨らませる。

フ「・・なぁ、エルフマン。俺達は、こうゆう状況で・・・どうしたら、いいんだ?」

エル「・・・漢として、だ、黙って、見てるしか、ねぇと思うぞ。」

フ「そ、そう・・だな・・・」

更に後ろでフレイとエルフマンが困っていた事に誰も気づかない。唯一、その光景を何とも思っていないのが・・・

?「・・・・・」

黒いフードを被った人物である。男だったら、一夜やトライメンズとは真逆で、女を口説くのは苦手なのか?女だったら、何も言わないがメンバーに怒っているのか?唯一分かっている事は、

ユ「青い天馬(ブルーペガサス)の魔道士って事は、あの人もかなり美男か美女って事だよね。」

いったいどんな人物なのか?それはまだ、誰も知らない・・・

チャ「予選4位!強さ冷静さ賢さ、全て無敵の魔道士ギルド!蛇姫の鱗(ラミアスケイル)!!」

ギルドマスターはオーバ・ババサーマ。なぜか常に腕を回しており、口癖は「回すよ!」メンバーは昨年と同じジュラ・ネェキス、リオン・バスティア、シェリア・ブレンディ、トビー・オルオルタ、ユウカ・スズキ。余談だが、シェリー・ブレンディは今年も婚約者のレンの応援に来ている。

リ「グレイ、今年こそフィオーレ一の座は、我等蛇姫の鱗(ラミアスケイル)が手に入れるからな。」

グ「精精頑張ってくれよ。」

ジュ「リョウ殿、よろしく頼むぞ。」

リョ「こちらこそ。」

マ「フレイ見てよっ!犬人間がいるよっ!!」

フ「ほ、ほんとだ・・・」

トビ「俺は犬じゃねぇよっ!!」

シェ「愛だねぇ~♪」

ユウ「何がだよ?」

チャ「さぁ、いよいよ残すギルドも後3つになりました!」

予選、『飛捕(フライトキャッチ)』をトップ3で勝ち抜いた魔道士ギルド。いったいどんなギルドなのかっ!?

チャ「予選3位!コバルトブルー色の海の中からやって来た!海中の洞穴(マリーンケイヴ)!!」

ギルドマスターはコバルト・ブルー。海辺にある魔道士ギルドで初代マスターは人魚だったと言われている。大魔闘演舞初出場。メンバーはバロン・クライシス、アニー・シャンキー、アリー・シャンキー、そして・・・ハルト・パーカー、イレーネ・ザンビア。

ユ「え・・・」

グ「お前等・・・!?」

ハルトとイレーネの姿を見て目を見開くグレイとユモ。まさかこの2人が魔道士ギルドに、しかも同じところに加入してるとは思わなかったからだ。ハルトとイレーネはグレイとユモの姿を見つけると目を逸らした。

チャ「続いて予選2位!漆黒のマントをひるがえし、仮面で閉ざされた素顔は誰も知らない。死者の仮面(デスマスク)!!」

ギルドマスターはディヘル。闇ギルドと間違われるほど存在が謎に包まれているギルド。大魔闘演舞初出場。メンバーはオーガンス、リノ・ハビュット、レッタ・リガニョフ、コネティ・ラドゥ、アーキリーズ。全員、不気味な仮面を着けている為、顔が分からない。

ナ「な、何だ、あいつ等・・・」

マ「あの仮面、不気味。」

フ「白黒の仮面(モノクロマスク)の奴等じゃあ、ねぇよな。」

フレイの言うとおり、今は解散しているが正規ギルド白黒の仮面(モノクロマスク)の魔道士ではない。顔に着けている仮面も銀色や黒、紫や灰色で、白黒(モノクロ)ではない。

リョ「オ、オーラが・・『闇』だ。」

ル「こ・・怖い・・・!」

すると、ウェンディの横を通り過ぎた死者の仮面(デスマスク)の1人が仮面を着けた顔でウェンディの方を振り向いた。

ウェ「ひぃっ!」

ウェンディは恐怖に小さく悲鳴を上げた。会場は、賑やかな空気から不気味な雰囲気へと一変した。

チャ「・・さ、さぁて!いよいよ予選1位!広大な銀河に鳴り響く華麗な音色。初出場ながらも、見事予選1位に輝いた、今最も話題となっている魔道士ギルド!銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)!!」

観全「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」

今まで聞いた中で一番大きな大大大歓声が上がる。ギルドマスターはシルファ。以前はそんなに有名ではなかったが、マスターの座が変わるのと、5人の魔道士が加入した事によって、今では妖精の尻尾(フェアリーテイル)と並ぶほどの強さを誇る。大魔闘演舞初出場。メンバーはキース・ストリック、カオリ・スプリング、レヴル・スイスト、ルチーア・ジェマニー、アンナ・ワンス。

エ「妖精の尻尾(フェアリーテイル)と並ぶだと?」

ユ「いつの間にそんなギルドが・・・」

ト「それ以前に、初めて聞きました。銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)なんて・・・」

すると、銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)の魔道士達が妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)のメンバーに歩み寄って来た。先頭にいた男が丁寧に頭を下げる。

キ「キース・ストリックと申します。初出場なので、お手柔らかにお願い致します。」

そこまでは極普通の青年だと思った。・・・思ったのだが、それは大間違いだった。顔を上げたきースの表情は、さっきの死者の仮面(デスマスク)の魔道士達が着けていた仮面と同じくらい不気味に微笑んでいた。キースだけじゃない。銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)の魔道士全員が、不気味に微笑んでいた。



キ「必ず、銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)妖精の尻尾(フェアリーテイル)を踏み潰してみせましょう。」



会場全体に沈黙が流れ、一瞬『時』が止まったかのように会場は静まり返った。その沈黙と静まりを破ったのはチャパティ・ローラの実況だった。

チャ「な、なな、ななななな何て事でしょうっ!!銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)妖精の尻尾(フェアリーテイル)に宣戦布告を出したあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

会場はざわめき、他のギルドの魔道士達も目を見開く。

チャ「ヤジマさん、銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)の宣戦布告についてどう思いますか?」

ヤ「う~む・・・思い切った事をスたもんだねぇ。」

ヤジマは顎を摩りながら曖昧な表情で答える。

チャ「さぁ、宣戦布告を出された妖精の尻尾(フェアリーテイル)の答えはっ!?」

また会場に沈黙が流れた。会場にいる大勢の人々の視線が大魔闘演舞に出場する妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士達に集まる。そして、ナツが炎を纏った左拳を広げた右手の平にバフッ!とぶつけ、ニヤリと笑った。笑ったのはナツだけではない。大魔闘演舞に出場する12人はもちろん、応援席にいたマカロフ、メイビス、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士全員が笑ったのだ。そして、

ナ「面しれぇ!その宣戦布告、受けてやろうじゃねぇかっ!!」

観全「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」

今まで聞いた中で一番大きな大大大大大歓声が上がった。

チャ「ななななな何とぉっ!!妖精の尻尾(フェアリーテイル)!宣戦布告に受けて立ったあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

会場はまだ競技も行われていないとゆうのに大騒ぎになっていた。

チャ「レナさんはどう思いますか?」

レ「思わぬ展開に驚きました。今週の週刊ソーサラーのネタは『妖精VS銀河 宣戦布告の結末はっ!?』に決定ですっ!!」

レナはものすごい速さでメモ帳に今の宣戦布告の内容はメモしていく。新人とは思えないスピードだ。今週の週刊ソーサラーは絶対に売れるだろう。

キ「それでは、期待していますよ。妖精の尻尾(フェアリーテイル)の皆さん。」

キースのキザな笑みを残して銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)はその場を去って行った。

グ「まさか、俺達に牙を剥く奴がいたとはな。」

エル「漢なら、正々堂々と正面からぶつかるべしっ!!」

ル「宣戦布告を出されたら、受けて立つしかないじゃないっ!!」

リョ「あいつ等、俺達を「踏み潰す」って言ってたよな?」

マ「だったら、私達が必ず、あいつ等を踏み潰してやろうっ!!」

妖精AB全「オォッ!!!!!」

突然の宣戦布告に驚きながらも、12人の妖精(フェアリー)達の瞳は気合とやる気で満ち溢れていた。

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チャ「さて、初日早々てんやわんやになりましたが、ここで大魔闘演舞のルールを説明したいと思います。」

魔道士達は実況のチャパティ・ローラからのルール説明を待つ。

チャ「まず、競技パートですが、5日間ある大魔闘演舞の最初に行われます。出場者は昨年と同じように皆さんの推薦からお選び出来ます。次に競技パートでのポイント数は上位から高いポイント、下位から低いポイントを得る事が出来ます。今年の競技パートのポイントはこのようになります。」

会場に映像魔水晶(映像ラクリマ)にポイント表の映像が映し出される。

ウェ「上から10,8,6,5,4,3,2,2,1,1,0,0」

フ「下から6チームは随分ポイントが少ないんだな。」

ユ「今年は出場ギルドが多いから仕方が無いよ。」

競技パートでは出来るだけ上位を目指さないと高得点は得る事が出来ない。

チャ「続いてバトルパートの説明を致します。昨年と同じようにバトルは2つのギルド同士で対決します。ポイントは・・・」

映像魔水晶(映像ラクリマ)の映像が切り替わり、さっきとは違うポイント表の映像が映し出される。

チャ「勝ったチームに10ポイント、負けたチームには0ポイント、引き分けの場合は両者に5ポイントずつです。」

バトルパートでは負ける事は許されない。

チャ「皆さん、ルールは理解出来たでしょうか?それではいよいよ!大魔闘演舞初日のオープニングゲームを始めたいと思いますっ!!」

観全「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」

さっきよりではないが、また大歓声が上がる。すると、どこからか大魔闘演舞のマスコットキャラクター、マトー君が出て来た。

マト「オープニングゲームは・・・『浮上板(フロウトプレート)』!!」

マトー君が言うと、会場の地面から『浮上板(フロウトプレート)』と彫られた巨大な石版が突き出した。

マ「『浮上板(フロウトプレート)』?板が浮くの?」

エ「これだけじゃ、まだよく分からないな。」

マト「出場者は各ギルド1名です。」

それぞれの魔道士ギルドのメンバーが輪になった。



ジェニ「俺が行く!」

禿鷹ジェニ以外「合点ッ!!」



映像魔水晶(映像ラクリマ)に映像が映し出される。

チャ「まず最初に名乗り出たのは気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)、ジェニック・フォントアル!!」



ハマ「私が参ります。」

ナデ「お願い致します。」



映像が切り替わり、

チャ「幸福の花(ハピネスフラワー)からはハマナス!!」



イエ「俺に行かせてくれ!」

ロ「俺達は常に、ワイルドォ・・・」

四つ首全「フォーーーーーッ!!!」



映像が切り替わり、

チャ「ワイルドに名乗り出たのは四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)、イエーガ!!」



ア「俺が行ってもいいか?」

シェ「OK♪」



映像が切り替わり、

チャ「白い柳(ホワイトウィロウ)からはアチュール・マム!!」



オ「コネティ、行け。」

コ「了解。イヒヒ。」



映像が切り替わり、

チャ「死者の仮面(デスマスク)からはコネティ・ラドゥ!!」



アニ「バロン、私に行かせて!」

バ「おう。頼んだぜ。」



映像が切り替わり、

チャ「海中の洞穴(マリーンケイヴ)からはアニー・シャンキー!!」



レ「俺が行く。別にお前等の為じゃねぇからな。」

一「レン君が、一番手!」

ヒ&イヴ&ジェ「レン君が、一番手!!!」

?「・・・・・」



映像が切り替わり、

チャ「レンコールを浴びて青い天馬(ブルーペガサス)からはレン・アカツキ!!」

シェリ「あ~ん♪レ~ン♪」

オー「あんた、敵を応援してどうすんだい!回すよ!」



アン「私が行くよ。」

キ「妖精の尻尾(フェアリーテイル)に思い知らせて来い。」



映像が切り替わり、

チャ「銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)からアンナ・ワンス!!」



ユウ「最初は俺が行く。」



映像が切り替わり、

チャ「蛇姫の鱗(ラミアスケイル)からはユウカ・スズキ!!」



カ「俺・・・」

月カ以外「頑張れ!カイ!」



映像が切り替わり、

チャ「声援を受けながら月の涙(ムーンティア)からはカイ・オーシャン!!」



次々に選手が決まる中、妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)からは、

ショ「まずは様子見で、俺が行くよ。」

グ「んじゃ、こっちは俺が行く。」



映像が切り替わり、

チャ「妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)からはショール・ミリオン!!」



映像が切り替わり、

チャ「妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)からはグレイ・フルバスター!!」



浮上板(フロウトプレート)』と彫られた石版にはいつの間にか各ギルドの出場者の名前が彫られていた。

チャ「これで全てのギルドの出場者が決まりました。果たして、大魔闘演舞オープニングゲーム、『浮上板(フロウトプレート)』のルールとはっ!?」 
 

 
後書き
第161話終了しました~☆
銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)に突然宣戦布告を出されたり、思わぬ人物がギルドに加入していたり、不気味なギルドが参加していたり・・・てんやわんやのお話になりました。
次回は大魔闘演舞のオープニングゲーム、『浮上板(フロウトプレート)』が遂に始まる!妖精の尻尾(フェアリーテイル)からはグレイとショールが出場!果たして、そのルールとはっ!?
次回もお楽しみに~☆ 

 

第162話 『浮上板』

 
前書き
更新遅れてスミマセン!駄作者07です♪
今回は遂に始まった大魔闘演舞オープニングゲーム、『浮上板(フロウトプレート)』!!妖精の尻尾(フェアリーテイル)からはグレイとショールが出場!だが、2人に危機が・・・!?
今回もナレーション(?)風に書いていきます。
それでは、第162話・・・スタート♪ 

 
チャ「さぁ、各ギルドからの出場者が決まりました。大魔闘演舞オープニングゲーム、『浮上版(フロウトプレート)』、そのルールとはっ!?」

チャパティ・ローラの実況が会場中を興奮させる。観客は妖精の尻尾(フェアリーテイル)ほどではないが大騒ぎだ。

グ「ったく、相変わらず元気な実況だぜ。」

ショ「すごい気合入ってるな。」

会場のど真ん中には、『浮上板(フロウトプレート)』に出場するグレイ、ショール、ジェニック、ハマナス、イエーガ、アチュール、コネティ、アニー、ユウカ、レン、アンナ、カイがいた。

ユウ「毎年あいつが実況をやってるんだよな。」

レ「俺達はもう聞き慣れちまったぜ。」

イエ「俺はあいつの実況が上手いと思うぞ。」

すると、石造りの観客席の下にある出入り口から大魔闘演舞のマスコットキャラクター、マトー君がちょこちょこと歩いて来た。マトー君は『浮上板(フロウトプレート)』の出場者の前で立ち止まると、

マト「では、大魔闘演舞オープニングゲーム、『浮上板(フロウトプレート)』のルール説明・・・」

コ「ちょっと待って下さい。イヒヒ。」

マトー君の言葉に割って入ったのは、死者の仮面(デスマスク)のコネティだ。口元だけが見える不気味な仮面を着けていて、白い歯を見せて不気味に笑う。コネティは隣にいるグレイとショールを見ると、

コ「いくら大魔闘演舞の主催者側からのお願いだからと言って、同じギルドから2チームも参加するのは、他のギルドに対して有利過ぎるのでは?イヒヒ。」

グ「ア?何か文句あんのか?」

ショ「妖精の尻尾(フェアリーテイル)は頼まれた事を引き受けただけだ。」

グレイとショールもコネティを睨み返す。が、コネティは普通に「イヒヒ。」と不気味に笑うだけ。すると、

アン「良いじゃない。2チームでも。」

先程妖精の尻尾(フェアリーテイル)に宣戦布告を出した銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)のアンナが口を開いた。アンナは目に掛かった前髪を払いながら、

アン「主催者さん達も、大魔闘演舞を盛り上がらせる為に頼んだ事なんだから。出場する側の私達が、今更鳥みたいにピーチクパーチク文句を言うのはどうかと思うけど。」

コネティをバカにしたように嘲笑う。アンナだけではない。

ジェ「俺も別に良いぜ。」

ハマ「私もでございます。」

イエ「俺も構わねぇだ。」

アチュ「俺も。逆に面白くなりそうだぜ。」

アニ「私も良いよ~♪」

ユウ「俺も反対はしねぇよ。」

レ「俺も。べ、別にお前等の為に良いって言ってるんじゃねぇからな。」

カ「同じく・・・」

コネティ以外、反論する者は誰一人いなかった。

コ「ちっ。」

コネティが小さく舌打ちをする。

グ「流石だな。銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)の魔道士さんよぉ。」

ショ「その様子だと、妖精の尻尾(フェアリーテイル)を潰すのに相当な自信があるみたいだな。」

グレイとショールが挑発気味にアンナに言う。アンナは小さく微笑み、目に掛かった前髪を払いながら、

アン「えぇ。妖精の尻尾(フェアリーテイル)を潰す自信は広大な銀河と同じくらいあるわ。それに、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の人数が多いほど、潰しがいがあるじゃない。」

嘲笑った。グレイとショール、アンナの間で火花が散る。すると、ゴホン!とマトー君がわざとらしい咳払いをした。

マト「で、では、気を取り直して、大魔闘演舞オープニングゲーム、『浮上板(フロウトプレート)』のルール説明を行いますカボ。」

そう言うと、マトー君は白い手袋をした右手でパチン!と指を鳴らした。すると、どこからか厚さ3cm程の長方形の鉄の板が飛んで来た。鉄の板はその場で浮いている。

ハマ「何ですか?その鉄の板は?」

ハマナスが鉄の板を見て首を傾げる。幸福の花(ハピネスフラワー)の魔道士である為、やはり口調は丁寧だ。

マト「出場者の皆さんにはこの板に乗って、競技に参加して頂きますカボ。」

マトー君はぴょんっと鉄の板に飛び乗る。マトー君が乗っても、鉄の板は浮いたままだ。

マト「この鉄の板の操作方法は簡単。右足に体重をかけると、鉄の板も右に曲がり、左足に体重をかけると、鉄の板も左に曲がるカボ。」

マトー君は説明しながら、実際に右に曲がったり左に曲がったりする。

アチュ「おいおい、その鉄の板は左右にしか進めないのかよ?」

マト「とんでもないカボよ。鉄の板の前方に体重をかけると、鉄の板も前に進み、後方に体重をかけると、鉄の板も後ろに進むカボよ。」

説明しながら、また前に進んだり後ろに進んだりする。



ル「あの鉄の板、板だけど、乗り物よね?」

ナ「うぷ・・・」

待機場所から見ていたルーシィは鉄の板を見て呟き、ナツは慌てて口を押さえた。



アン「それで、私達はその板に乗って何をすればいいのよ?」

アンナが問うと、

マト「お互い、魔法で突き落とし合ってもらいますカボ。」

グ「はっ?」

ジェ「どうゆう事だ?」

コ「意味分からねぇよ。イヒヒ。」

そりゃそうだ。いきなり「突き落とし合う」と言われても、すぐに納得する人は・・・



ショ「なるほど。分かったよ。」



いた。

アニ「えぇぇぇっ!?君、分かったのぉっ!?」

カ「頭良い・・・」

その場にいたショールとマトー君、敵対視しているアンナとコネティ以外、全員目を見開いた。

ショ「簡潔に言うと、俺達はこの鉄の板に乗って、板を上手く操作しながら、相手を魔法でどんどん板から突き落としていく。って事じゃないのかな?」

ショールが皆に簡潔に説明した後、マトー君を見る。

マト「そのとおりカボ~♪」

マトー君は拍手をする。が、表情が一切変わらない為、全く感情がこもっていないように見える。



エ「流石だな。」

マ「ショールあったま良い~☆」

ヒ「流石だね。ショール君。」

待機場所から見ていたエルザ、マヤ、そしてなぜかヒビキが呟いた。何しろショールは妖精の尻尾(フェアリーテイル)では数少ないS級魔道士よりも数少ない頭脳派魔道士。頭の良さは人一倍だ。



マト「魔法で突き落とし合い、最初に落ちた順からポイントは低くなるカボ。」

レ「つまり、出来るだけ長くこの板に乗っていればいいんだな。」

アチュ「面白そうだし、めっちゃシンプルだし、分かりやすい!記憶力の悪いこのアチュール・マムには好都合の競技だぜ☆」

グ「胸張って言える事じゃねぇと思うぞ・・・」

それ以前に、『浮上板(フロウトプレート)』では記憶力を使う要素はどこにも無い。

ユウ「ところで、突き落とされたら、どうなるんだ?」

ユウカが口を開いた。たぶん、会場全体で一番気になっていた事だろう。だが、

マト「それは、競技が始まってからのお楽しみカボ~♪」

表情は一切変わっていないが、マトー君は何だか楽しそうだ。

マト「それでは、皆さん鉄の板に乗って下さい。」

そう言うと、マトー君はまた白い手袋をした右手でパチン!と指を鳴らした。すると、どこからかマトー君が乗っているのと同じ鉄の板が12個飛んで来た。鉄の板はまるで指定されていたかのように、12人の出場者達の目の前で止まった。もちろん、宙に浮いたまま。12人の出場者達は板にぴょんっと飛び乗る。もちろん、板に飛び乗っても、浮いたままだ。全員板に乗ると、ゆっくりと板は上へ上へと上昇する。マトー君はその間に板に乗ったまま会場から姿を消した。

アニ「うわぁ~!高~い!」

海中の洞穴(マリーンケイヴ)のアニーが下を見て歓声を上げる。他の出場者達も下を見る。

イエ「お、おいおい。こんなに高い所まで来て大丈夫なのか?」

ハマ「ここから落ちたら、怪我どころでは済みません。下手したら・・・」

会場の地面は遥か下に見える。この状況で突き落とし合うのかっ!?誰もがそう思った時、ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・と地鳴りのような音が会場全体に響き渡った。

観1「な、何だ何だっ!?」

観2「地震かっ!?」

観3「ひぃ~!」

観客も、

ナ「うぷ・・・」

エル「こんな時に酔うなよっ!!」

ウェ「ひぇぇ~!」

フ「何だ何だ何だっ!?」

ユ「じ、地鳴りっ!?」

リョ「お前等、何かに捕まれっ!!」

ト「あわわわわわ・・・」

待機場所も、

チャ「と、突然会場に地鳴りがっ!会場内の皆さん、急いで何かにお捕まり下さいっ!!」

ヤ「いったい何事だい?」

レナ「地震・・では、ありませんね。」

実況、解説、ゲスト席でも慌てふためいていた。その時、石造りの観客席の下にある出入り口が鉄の扉で封鎖され、その横にある、2つのバスケットボールぐらいの大きさの穴から勢いよく水が噴射された。

グ「な、何だぁっ!?」

ジェ「水だぁ~!!」

カ「水・・・」

出入り口は4つ。穴は8つ。その8つの穴から水が勢いよく会場に流れ込む。水はあっという間に観客席ギリギリの所まで溜まった。会場に巨大な湖が出来上がった。

チャ「な、なな、なななな何とぉっ!!会場に巨大な湖が出来上がったぁ~!!!」

思わず椅子から立ち上がったチャパティ・ローラが驚きの実況をする。

レ「なるほどな。突き落とされたら、あそこに落ちるって事だな。」

コ「面白いじゃねぇか。イヒヒ。」

カ「水・・・」

さっきから月の涙(ムーンティア)のカイが小さく「水」と呟いている。

チャ「ヤジマさん、この湖を見てどう思いますか?」

ヤ「いやぁ~、大魔闘演舞の主催者側(スサイスガワ)もなかなかやるねぇ。」

チャ「レナさんは?」

レナ「毎年大魔闘演舞の舞台(ステージ)には驚かされていましたが、この『浮上板(フロウトプレート)』の舞台(ステージ)が今までで一番驚きました。」

観客も全員驚きの歓声を上げている。

エ「今年は随分凝っているな。」

ウェ「すごぉ~い!!」

ル「どんだけお金使ってるのかしら?」

ナ&エル「そこかよ。」

マ「大魔闘演舞って面白~い!!」

ト「でも、ちょっと可笑しくありませんか?」

フ「どこがだ?」

ユ「あの水、どこから流れ込んできたの?」

リョ「それに、会場は地面だ。しばらくしたら、水は吸収されて無くなるはずだ。なのに、あの水は一向に減らない。どう考えても可笑しいだろ。」

ユモ、リョウの言うとおりだ。大魔闘演舞の会場、ドムス・フラウの近くに海や川なんて無い。それに、いくら水が大量に会場に溜まっているとは言え、溜まっている場所は極普通の地面。時間が経つに連れ、水の量もどんどん減っていく。そうすれば、『浮上板(フロウトプレート)』の出場者12名の命が危ない。会場中に不安が横切る。が、その不安はチャパティ・ローラの実況であっという間に掻き消された。

チャ「えー、たった今入った情報によりますと、この水はドムス・フラウの地下の奥深くから吸い込んだ水だそうです。そこから長さ約500m、直径100cmのホースで水をここまで吸い込んだとの事です。尚、『浮上板(フロウトプレート)』が終了した後は、水はまたホースを流れて地下に戻すとの事です。」

アニ「ホース長ッ!!」

ユウ「そんなホースどこで作ったんだよ・・・」

イエ「い、いくら何でも・・やり過ぎじゃあ、ねぇのか・・・?」

会場全体がホースとその仕組みに驚く。

チャ「続いて会場の地面の事ですが、この『浮上板(フロウトプレート)』の為に、地面には水を弾く特殊な塗料でコーティグをしているとの事です。尚、このコーティングは今日だけ限定との事です。」

ハマ「地面が妙に輝いてるように見えたのは、コーティングされていたからなのですね。」

グ「明日になれば全部剥がれてるのか。」

ショ「お疲れ様だな。」

会場全体が大魔闘演舞の主催者に感心する。

チャ「これで全ての準備が整いました。」

大魔闘演舞の会場にある巨大な4つの像。その1つに巨大な銅鑼をゴロゴロと押しながら1人の男が現れた。出場者達の瞳はすでに戦闘モードに突入していた。

チャ「大魔闘演舞オープニングゲーム、『浮上板(フロウトプレート)』!!開始ッ!!!」

チャパティ・ローラの力強い実況と共に、像の上にいる男が銅鑼をゴォォォォォン!!と力強く叩いた。『浮上板(フロウトプレート)』が遂に始まった。出場者達はそれぞれ鉄の板を操作し始めた。

チャ「会場の皆さんは、映像魔水晶(映像ラクリマ)の画面でご覧下さい。」

会場に6つの巨大な映像が映し出された。



まず、最初に動き出したのは白い柳(ホワイトウィロウ)のアチュールだ。白いマントをなびかせながらこっそりと幸福の花(ハピネスフラワー)のハマナスの背後に周ると、

アチュ「風魔法!竜巻(トルネード)!」

右手を右斜め上から振り下ろし、ハマナスの身長と同じくらいの竜巻を起こした。その竜巻は真っ直ぐにハマナス目掛けて飛んで行く。が、

ハマ「花弁の壁(ペトゥールウォール)!」

振り返りもせず、指をパチン!と鳴らした。すると、どこからか色とりどりの花弁が飛んできて、ハマナスを竜巻から守るように1ヶ所に集まり壁になった。普通の竜巻だと、花弁など簡単に吹き飛ばす。が、1ヶ所に集まり壁のようになった花弁は鉄壁のように硬い。竜巻を消してしまった。竜巻が消えると、壁のようになった花弁は崩れ落ち、下に溜まった水に落ちた。

チャ「何とぉっ!花弁が竜巻を消し去ったぁぁぁっ!!」

アカ「ハマナスの魔法、硬花弁(ハードぺトゥール)は鉄のように硬い花弁で攻撃や防御が出来るどす。」

パ「ハマナスちゃ~ん、頑張れぇ~!!」

パンジーの声はハマナスの耳にしっかり届いていた。ハマナスは目の前にいるアチュールをしっかり見つめると、

ハマ「花弁の蝶(ペトゥールバタフライ)!」

またパチン!と指を鳴らした。すると、またどこからか色とりどりの花弁が飛んできて、また1ヶ所に集まり、今度は巨大な蝶の姿になった。花弁の蝶は本物の蝶のように羽を動かしながらアチュールに突進していく。

アチュ「風魔法!強風(ストロングウィンド)!」

手をクロスさせ強風を起こす。

観4「うぉぉぉぉ!!」

観5「あっ!俺の帽子がっ!!」

観客席も、

エ「くっ!」

ウェ「うわぁぁぁっ!!」

マ「と、とと、飛ばされるよぉ~!!」

待機場所も、

チャ「アチュールが強風を起こしたぁぁぁっ!!」

ヤ「あんた『鬘』!」

レナ「あっ!メモがっ!」

実況、解説、ゲスト席でも、

アニ「ひぃぃぃぃぃっ!!」

ユウ「こ、これじゃ、板が操作出来ねぇ・・・」

レ「ヤ、ヤベェ・・足が・・・」

出場者達にも被害が及んでいた。強風は巨大な花弁の蝶を吹き飛ばすつもり。だったが、花弁は鉄壁のように硬い。さっきの竜巻同様、強風を消した。

アチュ「う、嘘だろっ!?」

驚いたのは束の間、アチュールは突進してきた花弁の蝶に突進し、鉄の板から突き落とされた。

アチュ「うおぉあああぁぁああああぁあぁあああああああっ!!!」

ダボーーーン!!とアチュールは水中に落ちた。

チャ「あぁっと!アチュールが水中に落下ッ!!」

アチュ「ぶはぁっ!」

びしょ濡れになったアチュールが水面に顔を出す。すると、色とりどりの花弁がふわりふわりと落ちてきた。

チャ「白い柳(ホワイトウィロウ)!最初に落ちた為0ポイント!」

アチュ「くっそぉっ!!」

そう怒鳴ると、アチュールはなぜかまた水中に潜った。アチュールが乗っていた鉄の板はスゥと音も無く消えた。



一方、四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)のイエーガと、気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)のジェニックが激しく争っていた。

ジェ「翼槍(ウィングランス)!」

翼の形をした細い槍がイエーガ目掛けて放たれる。イエーガは板を上手く操作し槍を避けた。

イエ「強くなったな、ジェニック。」

ジェ「お前もな。」

どうやら2人は顔見知りらしい。その後も2人は激しく争った。だから、気づかなかった。

アニ「光弾(シャイニーショット)ッ!!」

イエ「えっ?ぐおぉぉあああぁあぁぁああああぁぁぁあああああっ!!!」

ジェ「ん?ぬおおおぉぉぉあぁぁぁあああああぁああぁあああっ!!!」

海中の洞穴(マリーンケイヴ)のアニーが、自分達に攻撃しようとしていた事を・・・アニーはくるくるくると手に持っている白い銃を器用に回す。

アニ「油断禁物だよ☆」

ダボーン!!ドボーーーン!!とイエーガとジェニックは水中に落ちた。

チャ「あぁっと!イエーガとジェニックが水中に落下ッ!!」                 

イエ「ばはぁ!」

ジェ「ぶはっ!」

びしょ濡れになったイエーガとジェニックが水面から顔を出す。

チャ「イエーガが先に落ちたので、四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)!0ポイント!気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)!1ポイント獲得!」

イエ「もう終わりかっ!?」

ジェ「マジかよっ!?」

2人はまだ突き落とされた事を受け入れられないみたいだ。イエーガとジェニックが乗っていた鉄の板はアチュール同様スゥと音も無く消えた。



グ「あんな風に突き落として、突き落とされていくのか。」

前方に体重をかけ、前に進みながらグレイは救助されるイエーガとジェニック、2人を突き落としたアニーを交互に見ていた。すると、

アン「絵画魔法(ピクトマジック)飛竜(ワイバーン)!!」

グ「のわっ!!」

前方から巨大なオレンジ色の竜が襲い掛かってきた。グレイは間一髪で左に避けた。オレンジ色の竜はポンッ!と消えてしまった。

アン「お見事。」

グ「!」

グレイの目の前には左手にキャンバス、右手に絵筆を持ったアンナが不気味に微笑んでいた。

アン「言ったでしょ?「潰す」って。もう忘れたのかしら?」

グ「忘れる訳ねぇだろっ!アイスメイク、槍騎兵(ランス)ッ!!」

胸の前で手を重ね、数本の氷の槍をアンナに向かって放つ。アンナは持っていた絵筆を素早く動かし、キャンバスに何かを描くと、

アン「絵画魔法(ピクトマジック)(シールド)!!」

黒光りする盾が現れ、氷の槍を防いだ。黒光りする盾はポンッ!と消えてしまった。その時、ドボーン!!ダボーーーン!!

グ「!」

チャ「あぁっと!レンとハマナスが相打ちにより水中に落下ッ!!レンが先に落ちたので、青い天馬(ブルーペガサス)!1ポイント獲得!幸福の花(ハピネスフラワー)!2ポイント獲得!」

アン「絵画魔法(ピクトマジック)(フロッグ)!!」

グ「ぬおあっ!?」

グレイが気をとられている間に、アンナはキャンバスに蛙の絵を描いていた。蛙はグレイの顔に張り付いた。

グ「な、何だよ、これ・・・!離れろぉ・・・!」

グレイが思いっきり蛙を剥がそうとするが、蛙はなかなか離れない。すると、ズルッとグレイの右足が板から落ちた。

グ「げっ!」

それと同時に蛙はポンッ!と消えた。蛙は離れたものの、そのままバランスを崩し、グレイは両足を板から離してしまった。

ナ「あぁぁぁぁぁっ!!」

ユ「グレイ!!」

会場にいる誰もが落ちたと思った。だが、板から離れたのはグレイの両足(・ ・)

アン「えぇっ!?」

グ「ぅぎぎ・・!」

グレイは右手でしっかりと板を摑んでいた。

観全「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」

歓声で沸き上がる。

チャ「何とぉっ!グレイ・フルバスター!板を摑んでその場に留まったぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

ヤ「流石だね。グレイ君。」

レナ「シャッターチャァ~ンス!」

ヤジマはグレイに向かってガッツポーズをし、レナは黒いカメラで板を摑んでいるグレイを撮っていく。

エル「はぁ。」

ウェ「間一髪ですね。」

ト「よかったです。」

フ「でも、今のグレイはかなり不利の状況だ。」

フレイの言うとおり。あの体勢ではもう一度板に乗る事はかなり難しいし、相手に攻撃をする事も出来ない。それに、しばらくすれば手の感覚が無くなり、次第に水中に落ちる事になる。しかも、グレイの目の前にはアンナがいる。

アン「その粘り強さは褒めてあげるわ。でも、すぐに突き落としてあげるわね。」

アンナは勝ち誇ったように微笑んだ。グレイは左手を伸ばして両手で板を摑む。

グ「くっそ・・このままじゃ、何も出来ねぇ。」



一方、少し離れたところでショールは今にでも落ちそうな絶体絶命のグレイと、グレイを今すぐにでも突き落とそうとしているアンナの事を見ていた。 

ショ「あいつ、一方的にグレイしか狙っていない。あんなの卑怯だろ。」

すると、

コ「人間は時に『光』から『闇』へと一変する生き物なんだ。あんくらいの事で、卑怯呼ばわりするなんて、貴様もバカな人間だな。イヒヒ。」

ショ「!?」

驚いて振り返ると、手に先が髑髏の形をした細い棒を持って、白い歯を見せて不気味に笑うコネティがいた。ショールはコネティを睨み付ける。

ショ「お前もやけに妖精の尻尾(フェアリーテイル)に食って掛かるな。」

コ「イヒヒ。」

不気味に笑った後、コネティはショールにしか聞こえないくらいの小さな声で、





コ「そりゃそうだ。我等死者の仮面(デスマスク)は、妖精の尻尾(フェアリーテイル)を支配しようと企んでいるのだからな。イヒヒ。」





そう呟いた。コネティの言葉にショールは目を見開いた。

ショ「妖精の尻尾(フェアリーテイル)を・・し、支配、だと・・・?」

すると、コネティは持っていた棒を指揮者のように小刻みに揺らすと、

コ「苦しめ。」

そう呟いた。すると、

ショ「・・ぅ、ぐ・・・!」

突然、ショールが両手で首を摑んで苦しみ出した。

チャ「おぉっと!突然ショールが苦しみ出した。いったい何があったんだぁっ!?」

エ「ショール?」

ト「ショールさん・・?」

観客の女性のほとんどが映像を見て心配そうな顔をしてショールを見る。

ショ「ヵハ・・な、何だ・・ウァ・・・・こ、これ・・・グゥ・・アァァァ!!」

コ「俺の魔法は指揮(コマンド)。この指揮棒(タクト)を使えば人間だろが植物だろうが何だろうが、思うがままに指示する事が出来る。まっ、主に俺は、『人間の感覚』しか指示しねぇがな。さっき、俺がお前に「苦しめ」と言ったから、お前は苦しんでいるんだ。イヒヒ。」

コネティはまた指揮棒(タクト)を小刻みに揺らすと、

コ「傷つけ。」

すると、誰も触れてもいないのに、ショールの体が次々に傷つき、血が噴出す。

ショ「ガハッ!ギャハゥァッ!!グォアッ!アアァァアァァアアアアアッ!!!」

会場全体が静まり返った。ただ、死者の仮面(デスマスク)の魔道士達だけが、仮面の下で不気味に微笑んでいた。コネティはまた指揮棒(タクト)を小刻みに揺らすと、

コ「恐怖を抱け。」

すると、ショールは右手で首を、左手で頭を押さえて、

ショ「ぐ・・が・・・うがぁぁあぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」 

苦しみ、傷つき、恐怖を抱き、血を流したショールの呻き声が会場全体に響き渡る。

ナ「あいつぅ~・・・!」

リョ「ぜってぇ~に、許さねぇっ!!」

血走った目で怒りを露にしているナツとリョウが別々の場所にいるのに同時にガンッ!と壁を殴る。石造りの壁にヒビが入る。怒りを露にしているのはナツとリョウだけではない。妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士全員が怒りのオーラを噴出していた。そして、



コ「落ちろ。」



コネティが指揮棒(タクト)を小刻みに揺らした。すると、ショールは呻き声を上げるのを止め、そのまま板から音も無く落ちた。

マ「ショール!!!」

ル「いやあぁぁあぁぁああああああああああっ!!!」

ショールが乗っていた鉄の板はスゥと音も無く消えた。ダボーーーン!!と水しぶきが上がり、水は少し紅く染まった。

チャ「・・ショ、ショールが・・・す、水中に、落下・・・」

ショールは水面から顔を出さなかった。慌てて救助隊が湖に飛び込んだ。

チャ「妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)・・2ポイント・・獲得・・・」

毎年あんなに元気な実況をするチャパティ・ローラの声が、この時だけ震えていた。隣に座っているヤジマは目を伏せ、レナは両手で顔を覆っていた。

*****************************************************************************************

ト「ショールさぁ~ん!!」

妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)は救助されたショールに駆け寄った。ショールは傷だらけで息が荒かった。

リョ「おいショール!しっかりしろ!」

リョウがショールの肩を摑んで揺さぶる。すると、ショールは薄っすらと目を開けた。とても虚ろな目だった。その虚ろな目から涙が一筋流れた。

ショ「・・リョ、ウ・・・みん、な・・ゴ、ゴメ・・・・」

マ「何でショールが謝るのぉっ!?意味分かんないっ!!」

フ「悪いのはあのコネティって奴だっ!散々ショールを痛めつけやがって・・・!!」

ショ「・・ゴ、ゴメ・・・」

マヤとフレイが説得しても、ショールの涙は止まらなかった。すると、ユモがリョウの隣にしゃがみ込み、青色のチームカラーの服が破れ、露になったショールの右肩に優しく手を置いた。

ユ「大丈夫。大魔闘演舞はまだ始まったばかりなんだから。これからどんどん、妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)全員で追い上げていけばいいよ。」

リョ「ユモの言うとおりだ。それに、お前が泣いてるとエルザが悲しむぞ。」

ショールが涙もろい事は妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士達は全員知っていた。そして、ショールが流す涙は、必ず『仲間や家族に対しての涙』だって事も・・・

ト「とにかく、ショールさんを急いでポーリュシカさんの所へ連れて行きましょう。」

リョ「そうだな。」

リョウはゆっくりとショールを背負うと、足早にポーリュシカさんのいる妖精の尻尾(フェアリーテイル)専用の医務室へと向かった。

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グ「クソ野朗・・・!」

間近でショールが落ちるのを見ていたグレイの目は怒りで血走り、板を摑んでいた両手には血管が浮かび上がるんじゃないかと思うくらい硬く握り締められていた。握り締めた力が強すぎたのか、バキッ!と鉄の板が少し割れた。アンナも先程の光景に目を見開き言葉を失った。自分も妖精の尻尾(フェアリーテイル)を潰して、フィオーレ一を目指しているが、あそこまでしてフィオーレ一になろうとは思ってもいなかった。すると、ガッ!と鈍い音がすぐ近くで聞こえた。見ると、さっきまで落ちそうになっていたグレイがいつの間にかまた鉄の板に乗っているのだ。

チャ「何とぉっ!先程まで絶体絶命状態だったグレイが、いつの間にか板の上にっ!!」

観全「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!」

歓声が沸き上がる。チャパティ・ローラの声も元通りになっていた。

アン「う、嘘・・あ、あの状態から・・ど、どうや、って・・・?」

アンナは驚きを隠せなかった。

グ「・・アンナ、って言ったよな?悪ィけど、今はお前の相手をしてる暇はねぇ。」

そう言うグレイの目に映っているのはコネティだけ。

グ「今はあいつを、ぶっ倒すのが先だっ!!」

そうアンナに言い残すと、グレイは鉄の板を操作し、コネティの背後まで来ると、

グ「アイスメイク、大鎌(デスサイズ)ッ!!」 

巨大な氷の鎌をコネティに振りかざした。が、

コ「融けろ。」

コネティが指揮棒(タクト)を小刻みに揺らす。すると、氷はあっという間に融けて水になった。

グ「てめぇ、よくもショールを・・・!」

コ「イヒヒ。俺はただ単にあいつを板から突き落としただけだ。お前も、俺に突き落とされに来たのか?イヒヒ。」

顔に着けた不気味な仮面が更に不気味に見えた。コネティが指揮棒(タクト)を小刻みに揺らそうとしたその時、

ユウ「波動!」

コ「ん?」

左からコネティ目掛けて魔力の渦が飛んで来た。が、コネティは後方に体重をかけてかわした。すると、

カ「水竜の・・・咆哮ッ!!」

アニ「稲妻弾(ライトニングショット)ッ!!」

コ「ぬっ。」

右からコネティ目掛けて雷を纏った弾丸と水の(ブレス)が飛んで来た。が、コネティは前方に体重をかけてかわした。コネティに攻撃したのは蛇姫の鱗(ラミアスケイル)のユウカ、月の涙(ムーンティア)のカイ、海中の洞穴(マリーンケイヴ)のアニーだった。

グ「な、何やってんだお前等?」

ユウ「別に妖精の尻尾(フェアリーテイル)の手伝いをする気は無い。無いが・・・」

アニ「なぁ~んか、妙にこいつの突き落としの遣り方に腹が立っちゃって。」

カ「こいつを突き落とそうと思う・・・」

そう。あの遣り方に怒りを放出しているのは妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士だけでなかったのだ。

グ「て事は、今だけお互い手を組むって事か?」

ユウ「・・まぁ、簡単に言えば・・・」

アニ「そうゆう事になるね☆」

カ「うん・・・お前は・・・?」

カイが後ろにいるアンナを振り返る。アンナはしばらく考え込んでいたが、ゆっくりと頷いた。

チャ「な、なな、なななな何とぉっ!妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)のグレイ、銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)のアンナ、蛇姫の鱗(ラミアスケイル)のユウカ、月の涙(ムーンティア)のカイ、海中の洞穴(マリーンケイヴ)のアニーが手を組み、死者の仮面(デスマスク)のコネティを突き落とす事になったぁぁぁぁぁっ!!」

観全「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」

大歓声が沸き上がる。もしかしたら、観客達もあの突き落とし方に納得出来ていなかったのかもしれない。

ヤ「面スろくなってきたねぇ。」

レナ「オープニングゲームでこんなに盛り上がるなんてすごいですね。」

ヤジマとレナの目も、会場に釘付けになっていた。

                                                       
                                            
アニ「私が目晦ましをするから、皆はその間にあいつを突き落としてっ!」

アニーが声を張り上げて指示すると、

アニ「月光弾(ムーンライトショット)ッ!!」

白い銃の引き金を引き、月光を纏った弾がコネティ目掛けて放たれた。

コ「くっ・・!」

あまりの眩しさにコネティは目を覆う。その間に、コネティの背後にこっそりを回り込んだユウカとカイは、

ユウ「波動!」

カ「水竜の・・・鉄拳ッ!!」

コネティが持っている指揮棒(タクト)を魔法で弾き飛ばした。指揮棒(タクト)はコネティの手から放れ、湖にポチャンと落ちた。これでコネティは魔法を使えない=指示出来ない。

アニ「今よっ!」

アニーの声を合図に、

グ「氷雪砲(アイス・キャノン)ッ!!」

アン「絵画魔法(ピクトマジック)悪魔(デビル)!!」

グレイとアンナが止めの一撃を食らわせた。

コ「イギイィィイィィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!!」

攻撃は見事に直撃し、コネティは板から落ち、真ッ逆さまに落ちていった。ドボーーーン!!と水しぶきが上がった。

チャ「コネティが水中に落下ッ!!死者の仮面(デスマスク)!3ポイント獲得!」 

観全「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」

ヤ「流石だねぇ。」

レナ「感動しました。」

ナ「おっっっしゃあああああああああああああああっ!!」

マ「ヤッッッタアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

大大大歓声が沸き上がる。

*****************************************************************************************

だが、歓声が沸き上がっていない所が1つ。死者の仮面(デスマスク)の待機場所だ。

リノ「何なの、妖精の尻尾(フェアリーテイル)。他のギルドの奴等まで味方にして。」

レッ「相変わらず腹が立つ奴等だぜ。コネティも気の毒だな。あんな頭が腐った奴等に突き落とされるなんてよ。」

アー「あーあ、早く妖精の尻尾(フェアリーテイル)を支配したいぜ。」

リノ「アーキリーズ、声でかい!」

死者の仮面(デスマスク)の魔道士、リノ、レッタ、アーキリーズは妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士を睨み付ける。仮面を着けて表情はよく分からないが、不気味なオーラを放出しているのが分かる。

オー「落ち着け。奴等を支配する『時』はすでに目と鼻の先だ。」

そう言うのは死者の仮面(デスマスク)の魔道士、オーガンスだ。吐き気がするくらいの不気味なオーラを漂わせていた。

*****************************************************************************************

グ「んじゃ、ここからまた敵同士って事で。」

コネティを突き落としてからまた敵同士になった5人。その後の突き落とし合いは壮絶なものだった。

グ「アイスメイク、戦斧(バトルアックス)ッ!!」

カ「うぐっ!うあぁぁあぁぁあああっ!!」

ユウ「ぐぉほっ!ああぁあぁぁぁああああああああああっ!!」

ドボーン!!ダボーーーン!!

チャ「あぁっと!カイとユウカが水中に落下ッ!!カイが先に落ちたので、月の涙(ムーンティア)!4ポイント獲得!蛇姫の鱗(ラミアスケイル)!5ポイント獲得!」

アン「絵画魔法(ピクトマジック)吸血鬼(ヴァンパイア)!!巨人(ジャイアント)!!」

アニ「キャアアアァァアアァァァアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

グ「うおぉぉおぉああぁあぁぁぁああああああああああっ!!」

ダボーン!!ドボーーーン!!

チャ「あぁっと!アニーとグレイが水中に落下ッ!!アニーが先に落ちたので、海中の洞穴(マリーンケイヴ)!6ポイント獲得!妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)!8ポイント獲得!そして・・・最後まで突き落とされなかったアンナ・ワンスだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)!10ポイント獲得!」

観全「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」

観6「やっぱ銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)はすっげぇ~な。」

観7「でも、妖精の尻尾(フェアリーテイル)もすごかったわ。」

観8「月の涙(ムーンティア)とか、蛇姫の鱗(ラミアスケイル)とか、海中の洞穴(マリーンケイヴ)も強かったなぁ~。」

観9「どのギルドが優勝するのか全く検討もつかねぇ。」

観客達は大騒ぎだ。



ルー「流石だな。アンナ。」

カオ「強かったですね。」

レヴ「だが、まさか死者の仮面(デスマスク)のコネティを突き落とすのに、他のギルドの奴等と手を組むとはな。」

キ「良いじゃないか。1位にもなったし、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士を突き落としたんだからな。」

銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)のキースは、満足そうに微笑んだ。

チャ「そして、大魔闘演舞オープニングゲーム、『浮上板(フロウトプレート)』の結果はこのようになりました。」

映像魔水晶(映像ラクリマ)に『浮上板(フロウトプレート)』で得たポイント数の順位が映し出された。現在、1位は銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)妖精の尻尾はA(フェアリーテイルAチーム)は2位。妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)は7位だ。

チャ「ヤジマさん、『浮上板(フロウトプレート)』を見てどう思いましたか?」 

ヤ「いやぁ~、若いって良いねぇ~。」

チャ「え、いや、そうゆう事じゃなくて・・・レ、レナさんは『浮上板(フロウトプレート)』を見てどう思いましたか?」

レナ「協力し合う力を改めて感じる事が出来ました。」

もし、あの時5人が協力し合って、コネティを突き落としていなかったら、妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)は6位だったかもしれない。

チャ「これにて、大魔闘演舞オープニングゲーム、『浮上板(フロウトプレート)』を終了致します。」

浮上板(フロウトプレート)』が終わったのと同時に、ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・とまた地鳴りが会場に響き渡り、水が地下に戻された。

*****************************************************************************************

妖精A「グレーーーーーイ!!!」

びしょ濡れになったグレイに妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)のメンバーが駆け寄る。

ル「2位よ2位!すごいすごいっ!!」

ウェ「グレイさんすごかったですっ!!」

グ「まっ、リベンジを果たせた感じだな。」

昨年の大魔闘演舞のオープニングゲーム、『隠密(ヒドゥン)』に出場したグレイは8位とゆう残念な結果に終わってしまった。この『浮上板(フロウトプレート)』はグレイにとってのリベンジでもあったから出場したのだろう。

グ「そうだ!ショールはっ!?」

エ「ポーリュシカさんの所へリョウ達が連れて行ってくれた。安心しろ。重傷は負っているが、命に別状は無い。」

グ「そうか。」

グレイはほっと安堵する。

ナ「にしてもよ、お前心臓に悪ィぞ。あん時落ちそうになるんだからよぉ。」

グ「仕方ねぇだろ。」

エル「ていうか、着替えて来たらどうだ?風邪引くぞ。」

グ「あぁ。そう・・だ・・・ヘェックション!!」  
 

 
後書き
第162話終了~♪
大魔闘演舞オープニングゲーム、『浮上板(フロウトプレート)』無事(?)終了!!1位は銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)は2位。妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)は7位。ここからどんな追い越しが始まるのか楽しみですっ!!
次回は大魔闘演舞出場ギルドのメンバーを書こうかと思います。
お楽しみに~♪ 

 

FAIRY TAIL 友と恋の奇跡 大魔闘演舞出場ギルド&出場メンバー説明!!第1弾

 
前書き
こんにちは~!07です!
今回はFT友恋の大魔闘演舞に出場するギルドと、その魔道士について説明します!かなり長いと思いますが、最後までお付き合い下さい。
原作にも登場する妖精の尻尾(フェアリーテイル)青い天馬(ブルーペガサス)蛇姫の鱗(ラミアスケイル)四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)については手短に説明します。
それでは、大魔闘演舞出場ギルド&出場メンバー説明!!第1弾・・・スタート!! 

 
妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)
マスターはマカロフ・ドレアー。
昨年と同じメンバーで2度目の優勝を目指す。

ナツ・ドラグニル

ルーシィ・ハートフィリア

グレイ・フルバスター

エルザ・スカーレット

ウェンディ・マーベル

リザーブ枠 
エルフマン・ストラウス

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妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)
昨年の妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)とは異なるメンバーで、FT友恋の主要キャラ。
全員大魔闘演舞初出場ながらも2度目の優勝を目指す。

マヤ・ララルド

リョウ・ジェノロ

ユモス・クオリナ

ショール・ミリオン

トーヤ・ファイン

リザーブ枠 
フレイ・レッドシェル

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青い天馬(ブルーペガサス)
マスターはボブ。
1部は昨年と同じメンバーで1部は昨年と異なるメンバーで、今年こそ優勝を目指す。

一夜=ヴァンダレイ=寿

ヒビキ・レイティス

レン・アカツキ

イヴ・ティルム

ジェニー・リアライト

リザーブ枠 

―名前―
キルロ・ラルネス

―年齢―
23歳

―魔法―
機械(マシーン)
機械を自由自在に操り攻撃や防御が出来る能力系(アビリティ系)の魔法。
キルロの場合背負っているリュックサックの中に機械をセットしている。壊れても修理に掛かる時間は30分程度。

―好きなもの― 
機械

―嫌いなもの― 
女性

―容姿― 
少しくすんだ金髪に右が青、左が緑のオッドアイ。
黒いパーカーを羽織り、常にパーカーのフードを被っており、薄汚れた藍色のズボンを穿いている。
背中には機械を詰め込んだ白と黒のリュックサックを背負っている。

―備考―
大魔闘演舞が行われる1ヶ月前に青い天馬(ブルーペガサス)に加入した新人魔道士だが、実力はかなりのもので大魔闘演舞にも出場する事になった。

一夜達のように女性を口説かず必要以上の事は喋らない。

ヒビキやショールに負けないくらいのイケメンだが本人は自覚が無い。

フードを常に被っている理由は自分の顔を見てキャーキャー騒がれたくないかららしい。

ボブからショールの話を聞き、「ショールを青い天馬(ブルーペガサス)に招き入れる」という決意をした。

イヴ曰く、「フードはキルロのプライバシー」であり、ジェニー曰く、「ギルド一の頑固者」らしい。

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蛇姫の鱗(ラミアスケイル)
マスターはオーバ・ババサーマ。
昨年と同じメンバーで今年こそ優勝を目指す。

ジュラ・ネェキス

リオン・バスティア

シェリア・ブレンディ

トビー・オルオルタ

ユウカ・スズキ

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四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)
マスターはゴールドマイン。
昨年と同じメンバーで今年こそワイルドに優勝を目指す。

ロッカー

イエーガ

ノバーリ

ウォークライ

セメス

リザーブ枠
バッカス

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月の涙(ムーンティア)
マスターはシャイン・スター。
元闇ギルドでまだフレイがいない頃の最強チームによって討伐され、一度メンバーは全員評議員により逮捕されたが、たったの5日で釈放された。
それからは旅をし、正規ギルドとして活動している。メンバーも100人近くいる。
大魔闘演舞初出場。

―名前―
セイン・ロード

―年齢― 
19歳

―魔法― 
杖魔法(ステッキマジック)
属性の違う7本の(ステッキ)で攻撃や防御をする所持系(ホルダー系)の魔法。
セインの場合、炎杖(ファイアステッキ)水杖(ウォーターステッキ)雷杖(サンダーステッキ)風杖(ブリーズステッキ)闇杖(ダークステッキ)無杖(ルーズステッキ)の7本の(ステッキ)を持っている。
セインは「7つ道具」と呼んでいる。

―好きなもの― 
(ステッキ) ギルド

―嫌いなもの― 
トマト

―容姿―
緑色の髪の毛に同じ色の瞳。
ギンガムチェック柄の緑色のトレーナーにポケットがいっぱいある茶色いズボン。
視力が悪い為掛けている黒縁のメガネと赤い無地のスカーフがトレードマーク。
ミストガンのように、常に「7つ道具」を背中に装備している。

―備考―
月の涙(ムーンティア)最初の魔道士。

8歳の頃、親が暗殺され1人当ても無く歩いてたところをシャインによって助けられた為、シャインの事を誰よりも信頼している。

闇ギルドだった頃はエルザとショールとの対戦経験がある。

おっちょこちょいだがギルドのメンバーからの信頼は厚く、ギルドのムードメーカ的存在。

妖精女王(ティターニア)を超える」という高い目標()を持っており、大魔闘演舞の為に誰よりも修行をした。

性別が真逆のカイとは親友同士であり、シプを妹のように可愛がっている。



―名前ー
カイ・オーシャン

―年齢―


―魔法― 
水の滅竜魔法
水竜マリンウォールに教わった自らの体を竜の体質へと変換させる太古の魔法(エンシェントスペル)

―好きなもの― 
水 ギルド

―嫌いなもの― 
汚水

―容姿―
青い髪の毛に同じ色の瞳。
青と白の横縞のトレーナーに黒いズボンに、膝丈の紺色のミリタリーコートを羽織っている。

―備考―
水竜マリンウォールに育てられた第1世代の滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)

X777年7月7日にマリンウォールが姿を消してしまい、一人ぼっちになったところをシャインに拾われる。その為、シャインを母親のように慕っている。

闇ギルドだった頃はルーシィとリョウとの対戦経験がある。

ギルド一の無口で喋ったとしても一言二言で終わらせる。

性別が真逆のセインとは親友同士であり、シプの面倒を良く見ている。



―名前―
シプ・マーノ

―年齢― 
9歳

―魔法― 
透明魔法(クリアマジック)
自身の気配と姿を消す事が出来る能力系(アビリティ系)の魔法。
欠点は攻撃や防御が出来ない事。

―好きなもの― 
シャイン ギルド 水晶

―嫌いなもの― 


―容姿―
白髪のショートカットに常に何かを見透かしているような紫色の瞳。
フリルの付いた紫色のパーカーに白いミニスカート、黒いレギンスを穿いている。

―備考―
火事で家も家族も亡くし、一人ぼっちだったところをシャインに拾われる。その為、シャインを命の恩人として慕っている。

闇ギルドだった頃はグレイとユモとの対戦経験がある。

大魔闘演舞に出場する魔道士の中で最年少。

以前は常に無表情で、あまり笑わなかったが、釈放されてからはよく笑うようになった。

セインの事をお兄ちゃんと思い、カイの事をお父さんのように思っている。



―名前―
リキ・ロレックス

―年齢― 
18歳

―魔法―
鉄の造形魔法
造形魔法の1種で能力系(アビリティ系)の魔法。
リキの場合グレイ、ユモ、フレイ、ナデシコと同様静のアイアンメイク。
造形した物はものすごく硬い。

―好きなもの―
工芸品

―嫌いなもの―
漢字

―容姿―
灰色の髪の毛に黒い瞳。
自身の魔法で造形して造った鎧を身に着けている。鎧は特殊な鉄で出来ている為ものすごく軽い。

―備考―
1年前にカリンと共に月の涙(ムーンティア)に加入した魔道士。加入してわずか3ヶ月でS級魔道士になった。

人との付き合いが苦手で加入当時はなかなかギルドに打ち解けられなかったが、今ではセイン達とクエストに行くほど仲が良い。

カリンとは幼馴染。



―名前―
カリン・パック

―年齢―
18歳

―魔法―
硝子の造形魔法
造形魔法の1種で能力系(アビリティ系)の魔法。
カリンの場合リオンと同様動のクリスタルメイク。
造形した物は透き通っていて壊れやすい。

―好きなもの―
リキ 硝子細工

―嫌いなもの―
数字

―容姿―
ウェーブの掛かった長い銀髪に黒い瞳。
薄ピンク色のワンピースに黒いニーハイソックス。両耳に自身の魔法で造形して造った透き通った赤色のピアスを着けている。

―備考―
1年前にリキと共に月の涙(ムーンティア)に加入した魔道士。加入してわずか5ヶ月でS級魔道士になった。

引っ込み思案な性格で加入当時はなかなかギルドに打ち解けられなかったが、今ではセイン達とクエストに行くほど仲が良い。

リキとは幼馴染で片思い中。

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幸福の花(ハピネスフラワー)
マスターはアカネ。
最強チームと対戦経験があり、自然をこよなく愛するギルド。
現在までの魔道士は全員女で花の名前。
大魔闘演舞初出場。

―名前―
ナデシコ

―年齢―
19歳

―魔法―
花の造形魔法
造形魔法の1種で能力系(アビリティ系)の魔法。
ナデシコの場合グレイ、ユモ、フレイ、リキと同様静のフラワーメイク。

―好きなもの―
花 家族

―嫌いなもの―
ユリを殺めた人物

―容姿―
淡い紅色の長い髪の毛をそのまま下ろしていて、茶色い大きな瞳。
撫子の花が描かれた朱色の着物を着ている。

―備考―
アカネの娘であり、五人姉妹の長女。

三味線を弾くのが得意。

ナツとマヤとフレイとの対戦経験がある。

誰に対しても敬語で話すが、恥ずかしがり屋で人前で喋ると口が回らなくなる。

ユリを殺めた人物を大魔闘演舞直前まで探し出していたりなど、家族思い。



―名前―
サクラ

―年齢―
17歳

―魔法―
御魂の桜扇

幸福の花(ハピネスフラワー)に先祖代々伝わる扇子を使って、ありとあらゆる物の御魂を操る事が出来る所持系(ホルダー系)の魔法
御魂の桜扇を使える者はサクラで20代目らしい。

―好きなもの―
花 小鳥

―嫌いなもの―
ユリを殺めた人物

―容姿―
内側にカールの掛かった桜色のボブヘアーに大きな茶色い瞳。
桜の花が描かれたピンク色の着物を着ている。着物の懐には御魂の桜扇を常備している。

―備考―
アカネの娘であり、五人姉妹の三女。

詩を歌うのが趣味。

グレイとユモとの対戦経験がある。

誰に対しても敬語で話す。

普段は素直で優しいが怒ると大気が震えるほど恐ろしいらしい。

ユリを殺めた人物の事を一番恨んでおり、リョウにユリの仇をとってほしいと頼んだ張本人。



―名前―
スミレ

―年齢― 
14歳

―魔法―

奏楽
楽器を演奏してありとあらゆる物を操る事が出来る所持系(ホルダー系)の魔法。
スミレの場合、横笛を吹いて植物を操る事が出来る。

―好きなもの―
花 音楽 からくり

―嫌いなもの―
ユリを殺めた人物

―容姿―
長い黒髪をサイドポニーテールに束ねていて黒い瞳。
菫の花が描かれた薄紫色の着物を着ている。着物の懐には横笛を常備している。

―備考―
アカネの娘であり、五人姉妹の四女。

ギルドにからくりを仕掛けるのが好き。

エルザとショールとの対戦経験がある。

誰に対しても敬語で話すが、感情を表に出すのが苦手で素直になれない時が多い。

ユリを殺めた人物の事を呪ったりしている。



―名前―
ハマナス

―年齢―
16歳

―魔法―
硬花弁(ハードぺトゥール)
鋼鉄のように硬い花弁をいろんな形に変えて攻撃したり防御したりする能力系(アビリティ系)の魔法。花弁は主にいろとりどりの浜茄子。

―好きなもの―
花 浜辺

―嫌いなもの―


―容姿―
赤紫色の髪の毛を項辺りで1本の三つ編みに束ねていて茶色い瞳。
浜茄子の花が描かれた薄水色の着物を着ている。

―備考―
5ヶ月前に幸福の花(ハピネスフラワー)に加入した魔道士。

16歳とは思えないほど大人びた雰囲気を放っている。

誰に対しても敬語で話す。

手先が器用で生け花や茶道が得意故に、ギルドの中で一番運動神経が良い。

ユリが存在していた事も、何者かに殺された事も知らされていない。



―名前―
ツツジ

―年齢―
18歳

―魔法―
植物(プラント)
妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士、ドロイと同じ魔法で、急速に成長する植物を操って戦う所持系(ホルダー系)の魔法。着物の懐に「秘種」というその魔法を使う為の種が入った小さなケースを常備している。

―好きなもの―
花 料理 食べる事

―嫌いなもの―
運動

―容姿―
白髪の髪の毛を低い位置でツインテールに束ねていて黒い瞳。
朱色の躑躅の花が描かれた白い着物を着ている。着物の懐には「秘種」が入ったケースを常備している。
すこしポッチャリ体型。

―備考―
6ヶ月前に幸福の花(ハピネスフラワー)に加入した魔道士。

家事が得意で料理から掃除も何でもこなす。

食べる事が好きで、そのせいで少しポッチャリとしているが本人は全然気にしていない。

誰に対しても敬語で話す。

ユリが存在していた事も、何者かに殺された事も知らされていない。



―名前―
パンジー

―年齢―
8歳

―魔法―
忍び【くの一】
くの一のように素早く動いたり、気配を消したりする事が出来る能力系(アビリティ系)の魔法だが、パンジーはまだ自分の分身を作る事しか出来ない。

―好きなもの―
花  アカネの手料理 ツツジのお腹

―嫌いなもの―
ユリを殺めた人物

―容姿―
金髪のおかっぱ頭に茶色い瞳。
パンジーの花が描かれた黄色い着物を着ている。

魔法を使う時はくの一のような黒い服を着る。

―備考―
アカネの娘であり、五人姉妹の五女。大魔闘演舞には出場しない。

活発で陽気な性格。

誰に対しても敬語で話す。

最近のお気に入りはツツジの軟らかいお腹。

ユリを殺めた人物を自分で懲らしめてやりたいと思っている。



―名前―
ユリ

―年齢―
17歳

―魔法―

聖剣(エクスカリバー)
アーサー王が使っていたと言われる7本の聖剣(エクスカリバー)を使って戦う所持系(ホルダー系)の魔法。
聖剣(エクスカリバー)を使う為にはリョウ同様聖剣(エクスカリバー)に宿る守護剣士に認めてもらい、自分の血を付けて契約をしないといけない。
ユリが契約している聖剣(エクスカリバー)は『花錦剣』だが、聖剣(エクスカリバー)は星霊と同じで所有者(オーナー)が死んだら自動的に契約が解除される。ユリが死んでから『花錦剣』の契約は自動的に解除された。
聖剣(エクスカリバー)には強さの順位があり、『花錦剣』は5番目。

―好きなもの―
花 聖剣(エクスカリバー) リョウ

―嫌いなもの―
洋食

―容姿―
若葉色の長い髪の毛を高い位置でポニーテールに束ねていて茶色い吊り目。
白い百合の花が描かれた黄緑色の着物を着ている。
『花錦剣』は常に腰に差している。

戦う時は白拍子のような白い着物と朱色の袴を穿く。

―備考―
アカネの娘であり、五人姉妹の次女。

世界に3人しかいないと言われる聖剣使い(エクスカリバー使い)の1人。

人見知りが激しく、内気で微弱だったが、リョウと勝負してからは口数が多くなり、1人で街に買い物に行けるようになった。

ヨモギ山で修行している最中に何者かに殺されこの世を去った。現在故人。

ルーシィがいる事を知っていながら、リョウに好意を抱いていた。この時がユリの初恋。  
 

 
後書き
大魔闘演舞出場ギルド&出場メンバー説明!!第1弾終了ですっ!
最初は12のギルドと魔道士達の説明を全部書こうと思ったんですが・・・思ってた以上に文字数や時間がヤバくなりそうだったので・・・急遽第1弾と第2弾に分ける事にしました~。読者の皆さんスミマセン!
ていうか、幸福の花(ハピネスフラワー)のパンジーとユリは大魔闘演舞に出場しないのになぜか説明がある・・・
次回は大魔闘演舞出場ギルド&出場メンバー説明!!第2弾ですっ!
それではまた次回!! 

 

FAIRY TAIL 友と恋の奇跡 大魔闘演舞出場ギルド&出場メンバー説明!!第2弾

 
前書き
駄作者07でございます☆
今回は大魔闘演舞出場ギルド&出場メンバー説明!!第2弾ですっ!残り5つのギルドとその魔道士達の説明を書いていきます。
それでは、大魔闘演舞出場ギルド&出場メンバー説明!!第2弾・・・スタート☆ 

 
銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)
マスターはシルファ。
以前はそんなに有名ではなかったが、マスターの座が変わったのと、5人の魔道士が加入した事によって、現在は妖精の尻尾(フェアリーテイル)と並ぶ程の実力のある魔道士ギルドとなっている。
妖精の尻尾(フェアリーテイル)に宣戦布告を出してまで、フィオーレ一を目指す。
大魔闘演舞初出場。

―名前―
キース・ストリック

―年齢―
19歳

―魔法―
星霊魔法
ルーシィ同様星霊界に繋ぐ扉を開ける(ゲート)の鍵を使って星霊を呼び出して共に戦う所持系(ホルダー系)の魔法。
黄道十二門の鍵は妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士、ルーシィと剣咬の虎(セイバートゥース)の魔道士、ユキノが所有している為、キースの場合8本の全てが銀色の鍵。

―好きなもの―
星霊 ギルド

―嫌いなもの―
羽魚

―容姿―
男にしては少し長い金髪に緑色の瞳。
赤いトレーナーに黒いジャケットを羽織っており、少し色褪せた深緑色のジーパンを穿いている。右耳に銀色のピアスを着けている。
茶色いベルトを着けており、星霊の鍵はベルトに通している。

―備考―
2年前に銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)に加入したチャラそうな雰囲気の魔道士。

主に女性の多い星霊魔道士の中で唯一の男の為、その事で少し罪悪感を感じている。

初対面の人には敬語で話すが、同じギルドの魔道士、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士、嫌いな人間に対しては口調がキザになったり荒くなったりする。

妖精の尻尾(フェアリーテイル)に最初の宣戦布告を出した張本人。

ルーシィと同じように星霊の事を大切に思っている。



―名前―
カオリ・スプリング

―年齢―
19歳

―魔法―
香り魔法(パルファムマジック)
さまざまな匂いにより特殊な効果を生み出す魔法の香り。普段はいつも肩から提げているショルダーバックの中に入っている小瓶の中に魔法の香りを常備している。

―好きなもの―
ギルド 春 良い香りがするもの

―嫌いなもの―
臭いもの 汚いもの

―容姿―
ローズピンク色の髪の毛をサイドアップに束ねていて、青い瞳。
ピンク色の肩出しのミニワンピに白いジャケットを羽織り、紺色のデニムパンツを穿いている。
大きなリボンの付いたキャラメル色のショルダーバックを提げており、中には魔法の香りが入った複数の小瓶を常備している。

―備考―
2年前に銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)に加入した魔道士。

かなりの美人で週刊ソーサラーのグラビアにスカウトされた事が何回かあるが、「人前に体を見せつけるような主義じゃない」という理由で全て断っている。

思いやりで、街の人達から頼りにされる事も多いが、怒るとキース曰く、「世界が滅亡する」程恐ろしいらしい。

青い天馬(ブルーペガサス)の魔道士の一夜ほどではないが、良い香りがするものを求めてはふらぁ~とギルドを勝手に出て行く事もしばしば。

アンナとは大の親友。



―名前―
レヴル・スイスト

―年齢―
19歳

―魔法―
星の滅竜魔法
星竜スフィアスターに育てられ、体内に星の滅竜魔法の魔水晶(ラクリマ)を埋め込んだ。
剣咬の虎(セイバートゥース)の魔道士、スティングとローグ同様ドラゴンフォースが発動出来る。発動すると、顔の周りに黄色い模様が浮かび上がる。

―好きなもの―
天体観測 カオリ

―嫌いなもの―


―容姿―
銀髪の髪の毛に黄色い瞳。
裾がボロボロの紺色のローブを羽織っており、黒いズボンを穿いている。
左頬と額に大きな傷がある。

―備考―
2年前に銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)に加入した星竜スフィアスターに育てられ、体内に星の滅竜魔法の魔水晶(ラクリマ)を埋め込んだ第3世代の滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)

X777年7月7日に実の親である星竜スフィアスターを自らの手で殺した。

あまり感情を表に出さないが、キース、カオリ、ルチーア、アンナにだけ心を開ける。

天体観測が好きで、星の位置や季節の星座の見つけ方が分かる。

加入当時、ギルドの端のテーブルで1人本を読んでいた時に、カオリに声を掛けられた事がきっかけでギルドに打ち解ける事が出来た。その頃からカオリに好意を抱いている。



―名前―
ルチーア・ジェマニー

―年齢―
20歳

―魔法―
演奏(コンサート)
首から提げている10の音が出る(パイプ)を操り、美しい音色から雑音を奏でて攻撃したり防御したりする事が出来る所持系(ホルダー系)の魔法。

―好きなもの―
音楽

―嫌いなもの―
玉葱

―容姿―
黒髪に黒い瞳。
白いYシャツに青いネクタイ、黒いスーツをピシッと着こなしている。黒い帽子を目深に被っている。
首から紐に通した10の音が出る銀色の管を提げている。

―備考―

2年前に銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)に加入した整った顔立ちの青年。

幼い頃からピアノやバイオリン、トランペットやフルート、さまざまな楽器を習わされてきた。その人生が嫌になって9歳の頃に家出をし、魔道士になり銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)に加入した。

以前、妖精の尻尾(フェアリーテイル)を襲った魔道士ギルド、赤い桜(レッドブロッサム)の魔道士、メロディーの兄だという事は秘密。



―名前―
アンナ・ワンス

―年齢―
18歳

―魔法―
絵画魔法(ピクトマジック)
妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士、リーダスとは違って自分の(キャンバス)に描くのではなく、特定のスケッチブックに描かないと発動しない。
スケッチブックと絵筆、パレットを常備しているが、普段はどこに隠し持っているのかは誰も知らない。

―好きなもの―
ギルド 絵を描く事

―嫌いなもの―
掃除

―容姿―
童顔で茶髪のセミロングに黒い瞳。
ピンクのタンクトップのインナーに透け素材の白いタンクトップのホルターネックに黒いロングスカート。頭に赤いベレー帽を被っている。

―備考―

2年前に銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)に加入した絵を描く事が好きな少女。

童顔だが口調は大人っぽい。

ギルドに飾られている30枚の絵は全てアンナが描いたもの。

カオリとは大の親友。

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死者の仮面(デスマスク)
闇ギルド、高速の弾丸(ファーストブレッド)が大魔闘演舞に出場する為に化けた偽りの正規ギルド。メンバーは全員高速の弾丸(ファーストブレッド)が変装した魔道士である。

―名前―
ガンオース(オーガンス)

―年齢―


―魔法―
死者(ザ・デッド)
死んだ人間の亡霊に取り憑いて攻撃や防御が出来る能力系(アビリティ系)の魔法。

―好きなもの―
亡霊 悪 闇

―嫌いなもの―
妖精の尻尾(フェアリーテイル) 評議院

―容姿―
ガンオースの時は毛先だけが黒い変わった白髪に右が黒、左が紫のオッドアイ。
襟が大きな黒いマントを羽織っており、銀色の甲冑のようなものを身に着けている。肘辺りまでの黒い手袋をはめている。

オーガンスの時は顔全体が隠れる銀色の仮面を着けている。
黒髪に真っ黒なローブに黒い革靴といった黒ずくめの格好をしており邪悪なオーラを放っている。

―備考―
高速の弾丸(ファーストブレッド)のリーダー。

死者の仮面(デスマスク)の魔道士、オーガンスとして大魔闘演舞に出場した。

妖精の尻尾(フェアリーテイル)を支配する事しか考えていない謎の男。

評議院を恐れている。





―名前―
ハビノ・リュット(リノ・ハビュット)

―年齢―
17歳

―魔法―
黒闇傘

黒いフリルの付いた真っ黒な傘から闇を放出して攻撃したり防御したり、相手を傘の中に閉じ込めたりする事が出来る所持系(ホルダー系)の魔法。

―好きなもの―
闇 傘

―嫌いなもの―
妖精の尻尾(フェアリーテイル) 評議院

―容姿―
ハビノの時は紫色のショートヘアーに紫色の瞳。
薄紫色のノースリーブのブラウスに黒いキュロットを穿いており、黒と紫色の横縞のニーハイソックスに紫色のショートブーツを履いている。
頭に白い髑髏の髪飾りを着けており、1年中黒いフリルの付いた真っ黒な傘を持ち歩いている。

リノの時は顔の左半分だけが隠れる黒い仮面を着けている。
黒髪のショートヘアーに赤い瞳。
真っ黒なゴスロリにフリルの付いた黒いニーハイソックスに踵の高い黒いショートブーツを履いている。1
年中黒いフリルの付いた真っ黒な傘を持ち歩いている。

―備考―
高速の弾丸(ファーストブレッド)の魔道士の1人。

死者の仮面(デスマスク)の魔道士、リノ・ハビュットとして大魔闘演舞に出場した。

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の支配の事しか考えていない。

評議院を恐れている。





―名前ー
レガフ・リョニッタ(レッタ・リガニョフ)

―年齢―
18歳

―魔法―
聖剣(エクスカリバー)

アーサー王が使っていたと言われている7本の聖剣(エクスカリバー)を使って戦う所持系(ホルダー系)の魔法。
聖剣(エクスカリバー)を使う為には、リョウとユリ同様聖剣(エクスカリバー)に宿る守護剣士に認めてもらい、自分の血を付けて契約をしないといけない。ユリを殺して奪った『花錦剣』も自分の血を付けて契約をした。
現在レガフが契約している聖剣(エクスカリバー)は3本(『竜風剣』、『花錦剣』、『妖魔剣』)。
聖剣(エクスカリバー)には強さの順位があり、レガフが契約しているのは2番目(『竜風剣』)と、5番目(『花錦剣』)と、6番目(『妖魔剣』)である。

―好きなもの―
聖剣(エクスカリバー) 闇

―嫌いなもの―
妖精の尻尾(フェアリーテイル) 評議院

―容姿―
レガフの時は銀髪に赤い瞳。
白いトレーナーに黒いベスト風のパーカーを羽織っており、ボロボロの紺色のジーパンに黒いスニーカーを履いている。
背中に3本の聖剣(エクスカリバー)を差している。

レッタの時は顔の右半分だけが隠れる灰色の仮面を着けている。
黄土色のボサボサ頭に紫色の瞳。黒いダボッとしたパーカーに色褪せた黄土色のズボンを穿いている。
背中に3本の聖剣(エクスカリバー)を差している。

―備考―
高速の弾丸(ファーストブレッド)の魔道士の1人。

死者の仮面(デスマスク)の魔道士、レッタ・リガニョフとして大魔闘演舞に出場した。

聖剣(エクスカリバー)使いの1人だが、『闇』の聖剣(エクスカリバー)使いである。

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の支配の事しか考えていない。

幸福の花(ハピネスフラワー)のユリを殺し、聖剣(エクスカリバー)、『花錦剣』を奪った張本人。大魔闘演舞に出場して、リョウを殺してリョウの聖剣(エクスカリバー)を奪おうとしている。

評議院を恐れている。





―名前―
ライネド・テコウ(コネティ・ラドゥ)

―年齢―


―魔法―
指揮(コマンド)
先に髑髏が付いた指揮棒(タクト)を使ってどんなものでも指示する事が出来る所持系(ホルダー系)の魔法。
コネティの場合、主に『人間の感覚』しか指示しない。

―好きなもの―
闇 他人が苦しむ姿

―嫌いなもの―
妖精の尻尾(フェアリーテイル) 評議院

―容姿―
ライネドの時は深緑色の髪の毛に黒い瞳。
紺色のTシャツに黒いカーゴパンツを穿いている。腰に緑色のパーカーを巻いている。

コネティの時は目と鼻だけが隠れる紫色の仮面を着けている。
紫色の髪の毛に髑髏の模様が描かれた黒いTシャツにボロボロの藍色のズボンを穿いている。

―備考―
高速の弾丸(ファーストブレッド)の魔道士の1人。

死者の仮面(デスマスク)のコネティ・ラドゥとして大魔闘演舞に出場した。

ライネドの時もコネティの時も白い歯を見せながら「イヒヒ」という奇妙な笑い方をする。。

妖精の尻尾(フェアリーテイル)を支配する事しか考えていない。

評議院を恐れている。





―名前―
リーキアズー(アーキリーズ)

―年齢―


―魔法―
7属性の武器(セットタイプ・アームズ)、闇の双剣
常に闇を纏っている自分の背丈と同じくらいの双剣で攻撃や防御が出来る所持系(ホルダー系)の魔法。
双剣は普段は背中に背負っている鞘に入れて持ち歩いている。

―好きなもの―
闇 悪

―嫌いなもの―
妖精の尻尾(フェアリーテイル) 評議院

―容姿―
リーキアズーの時は男にしては以上に長い赤い髪の毛を項辺りで無造作に束ねており、緑色の瞳。
黒い無地のトレーナーに緑色のジャケットを羽織っており、藍色のバギーパンツを穿いている。
背中に闇の双剣と鞘を背負って持ち歩いている。

アーキリーズの時は口元だけが隠れる群青色の仮面を着けている。
青い髪の毛に黒い瞳。
青いトレーナに灰色のベストを羽織り、黒いハーフパンツを穿いている。
背中に闇の双剣と鞘を背中に背負って持ち歩いている。

―備考―
高速の弾丸(ファーストブレッド)の魔道士の1人。

死者の仮面(デスマスク)のアーキリーズとして大魔闘演舞に出場した。

リーキアズーの時もアーキリーズの時もいつも退屈そうな顔をしている。

妖精の尻尾(フェアリーテイル)に2度目の宣戦布告を出した張本人で、妖精の尻尾(フェアリーテイル)を支配する事しか考えていない。

評議院を恐れている。


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********************

海中の洞穴(マリーンケイヴ)

マスターはコバルト・ブルー。海辺の近くにある魔道士ギルド。初代マスターは人魚だったと言われている。仲間と協力し合って優勝を目指す。大魔闘演舞初出場。

ハルト・パーカー

年齢

17歳

魔法

7属性の武器(セットタイプ・アームズ)、雷の槍

常に雷を纏った自分の背丈と同じくらいの槍で攻撃や防御が出来る所持系(ホルダー系)の魔法。普段は手の平サイズにして持ち歩いている。

好きなもの

ギルド イレーネ

嫌いなもの

デリオラ 闇

容姿

黒髪に緑色の瞳。青と白のトレーナーにカーキ色のズボンを穿いている。左足首に姉のハルカの形見である銀色のアンクレットを身に着けている。

備考

以前は闇ギルド、白黒の仮面(モノクロマスク)の魔道士であり、姉のハルカ・パーカーの復讐としてユモの事を恨んでおり命を何度も狙っていたが、その度にグレイと勝負をしては毎度毎度負けていた。

グレイと最後の対戦をしてから改心し、1ヵ月後に海中の洞穴(マリーンケイヴ)に加入し、闇魔法を忘れマスターから貰った雷の槍で仕事をこなしている。

「ユモの命はもう二度と狙わない」とイレーネ共々心に誓っている。

加入して3週間後に加入して来たイレーネと知り合い、お互いユモの命を狙っていた関係でもあり意気投合していて好意を抱いているのだが、両思いだという事には気づいていない。



イレーネ・ザンピア

年齢

17歳

魔法

格闘技

アルウィーゼから教えられた数々の格闘術。

(トゥインクル)

光を拳や足に纏い攻撃や防御をする能力系(アビリティ系)の魔法。イレーネの場合、主に格闘技と合わせて使用する事が多い。

好きなもの

ギルド ハルト

嫌いなもの



異名

大空の舞姫

容姿

腰近くまである長い薄紫色の髪の毛をそのまま下ろしていて、黒い大きな瞳。肩出しの紫色のミニワンピに黒いニーハイソックス、フード付きの白いローブを羽織っている。

備考

アルウィーゼの弟子の1人でユモの姉弟子。だが、怒激獣バルベッサに襲われたユモを庇って命を落とした事でユモを恨むようになりアルウィーゼの復讐として命を狙ったが逆にユモに超魔法の1種であるライジングシャイニーにより救われた。

「ユモの命はもう二度と狙わない」とハルト共々心に誓っている。

改心して3週間後に海中の洞穴(マリーンケイヴ)に加入。そこでハルトと知り合い、お互いユモの命を狙っていた関係でもあり意気投合していて好意を抱いているのだが、両思いだという事に気づいていない。



バロン・クライシス

年齢

20歳

魔法

風の滅竜魔法

体内に風の滅竜魔法の魔水晶(ラクリマ)を埋め込んだ。風を足に纏って速度を上げたり、攻撃や防御が出来る。

好きなもの

ギルド 仲間

嫌いなもの

悪 酒

容姿

緑色の髪の毛に同じ色の瞳。左目に深い傷があり失明している。赤色のタンクトップに緑色のパーカーを羽織っていて、ポケットがたくさん付いた黒いカーゴパンツ。首に鎖のような形をしたネックレスを着けている。

備考

体内に風の滅竜魔法の魔水晶(ラクリマ)を埋め込んだ第2世代の滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)海中の洞穴(マリーンケイヴ)のS級魔道士の1人。

リーダー的存在で、ハルトやイレーネ達からも頼りにされている。が、緊張するとその場に倒れて気を失ってしまう。

酒に弱く、1滴飲んだだけで酔っ払ってしまう。



アニー・シャンキー

年齢

16歳

魔法

光の銃(シャイニーガン)

白くて持ち運びが便利な銃でさまざまな光を凝縮して弾として放つ所持系(ホルダー系)の魔法。防御には向いていない。

好きなもの

仲間 楽しい事

嫌いなもの

バルカン

容姿

金髪を高い位置でポニーテールに束ねていて青い瞳。黄色と白のティアードワンピに白いショートブーツを履いている。銃は腰にあるポシェットに常備している。

備考

性格が真逆のアリーとは双子の姉。妹のアリーとは違って、元気でやんちゃながらもギルドの中では実力がある。

興味を持った事には猪突猛進でぶつかっていく性格。

アリーによく手料理を振舞うのだが、見た目も味も酷いのだが本人は自覚が無い。

妹思いで仲間を大切にする優しい心の持ち主。



アリー・シャンキー

年齢

16歳

魔法

闇の銃(ダークネスガン)

黒くて持ち運びが便利な銃でさまざまな闇を凝縮して弾として放つ所持系(ホルダー系)の魔法。防御には向いていない。

好きなもの

仲間 本

嫌いなもの

アニーの作った手料理

容姿

黒髪を低い位置でツインテールに束ねていて青い瞳。黒と白のティアードワンピに黒いショートブーツを履いている。銃は腰にあるポシェットに常備している。

備考

性格が真逆のアニーとは双子の妹。姉のアニーとは違って、物静かで真面目。もちろん、ギルドの中では実力がある。

興味を持った事には猪突猛進でぶつかっていくアニーにいつも振り回されっぱなし。でも、一切文句は言わない。

よく振舞ってくれるアニーの手料理を一切文句を言わずに残さず食べる。が、毎回食べ終わった後にものすごい速さでトイレに駆け込んでいる。

姉思いで仲間を大切にする心優しい持ち主。

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白い柳(ホワイトウィロウ)
マスターはニートポーチ。魔道士全員の平均年齢22歳とゆう若き魔道士が多い事で有名の魔道士ギルド。1年程前に誕生したばかりの新人ギルドだが実力はかなりのもの。ギルド内での掟として、ギルドから外に出る時は男は白いマント、女は白いベールを身に着けないといけない。力を合わせて優勝を目指す。大魔闘演舞初出場。

シェナ・ティッド

年齢

19歳

魔法

大鴉の尻尾(レイヴンテイル)の魔道士であるフレアと似た魔法。自身の金髪(本人曰く、「永久の雷の息吹から受け取った自身の証)を自在に操り、攻撃や防御が出来る。

好きなもの

ギルド オシャレ

嫌いなもの

野菜

異名

金髪のシェナ

容姿

お尻がすっぽり隠れるくらいの長い金髪をそのまま下ろしていて茶色い瞳。白いフリルの付いたブラウスにフリルの付いたピンク色のフレアスカート。耳に大きなピンク色のハートのイヤリングが着いている。ギルド内での掟である白いベールを被っている。

備考

流行に敏感な白い柳(ホワイトウィロウ)の魔道士。週刊ソーサラーでグラビア経験もあり妖精の尻尾(フェアリーテイル)のミラジェーンや青い天馬(ブルーペガサス)のジェニーとは親しい。

魔道士としても実力がある。

自慢の長い金髪は9歳の頃から一度も切った事が無いらしい。

ギルドは好きだが、「ギルドから外に出る時は男は白いマント、女は白いベールを身に着ける」とゆう掟は嫌いらしい。



タクヤ・トースティー

年齢

18歳

魔法

昆虫召喚(インセクトズ)

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士、マヤとトーヤ、気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)の魔道士、ヒリアと同じ召喚魔法の1種で契約したさまざまな昆虫達を召喚して共に戦う。現在、タクヤが契約している昆虫の数は14匹。(アリ、カブトムシ、チョウなど・・・)

好きなもの

昆虫採集

嫌いなもの

キムチ

異名

虫博士

容姿

赤髪に黒い瞳。緑と黄色のTシャツに茶色いハーフパンツといった腕白少年のような格好。常に麦藁帽子と虫取り網と虫籠を持ち歩いている。ギルド内での掟である白いマントを羽織っている。

備考

白い柳(ホワイトウィロウ)の魔道士の1人。魔道士としての実力はある。

小さい頃から虫が好きでよく山や森に行って採集していた。虫の事について5時間は語れるらしい。

おっちょこちょいでよく失敗する事も・・・



ウララ・リネリア

年齢

15歳

魔法

水の滅神魔法

黒い水を操り攻撃や防御が出来る。

好きなもの

ギルド 水

嫌いなもの

うさぎ

容姿

小麦色に日焼けした肌に肩ぐらいの長さの水色の髪の毛をマリンヘアに束ねていて大きな黒い瞳。イルカの絵が描かれた青い膝丈ワンピースに踵が高い青い網状のサンダル。ギルド内での掟である白いベールを被っている。

備考

白い柳(ホワイトウィロウ)の魔道士の1人。いかにも「真夏」という感じの少女。

白い柳(ホワイトウィロウ)のS級魔道士の1人であり、実力はギルド一。

運動神経も抜群で活発で陽気な性格で街の人達からの信頼は厚い。



チルチル

年齢

14歳

魔法

糸魔法(スレッドマジック)

指から出る伸縮自在の丈夫な糸で攻撃したり相手を縛り上げたり出来る能力系(アビリティ系)の魔法。防御には向いていない。

好きなもの

ギルド 裁縫

嫌いなもの

料理

容姿

童顔で男だがよく女の子に間違えられる。黄緑色の髪の毛に赤い垂れ目。緑色のTシャツに少し大きめのカーキ色のオーバーオールを着ている。オーバーオールの胸ポケットに小さな裁縫道具を常に持ち歩いている。ギルド内での掟である白いマントを羽織っている。

備考

白い柳(ホワイトウィロウ)の魔道士の1人でギルド内では最年少ながらも実力のある魔道士。

よく女の子に間違えられる事が悩みの種となっている。

ギルドのテーブルクロスやカーテンは全てチルチルの手作り。

まだ14歳なのに時々年寄りくさい事を言う。



アチュール・マム

年齢

18歳

魔法

風魔法(ブリーズマジック)

風を自由自在に操って攻撃や防御が出来る能力系(アビリティ系)の魔法。竜巻や嵐、台風も起こす事が出来る。

好きなもの

ギルド

嫌いなもの

幽霊

容姿

臙脂色の短髪に黒い吊り目。緑色のトレーナーにベージュ色のトレンチコートを羽織り、黒いスウェットパンツを穿いている。ギルド内での掟である白いマントを羽織っている。

備考

白い柳(ホワイトウィロウ)の魔道士の1人。

1年中明るく気ままに生きる気分屋で記憶力が驚くくらい悪い。その代わり分析力は驚くくらいすごい。

極度の負けず嫌い。

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気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)
マスターはライダル・トニックバン。主に飛行訓練をしている魔道士ギルドで普段はフィオーレ王国から離れた所で飛行訓練をしている。が、今年は大魔闘演舞に出場する為大空の彼方から遥々やって来た。大空に誓い優勝を目指す。大魔闘演舞初出場。

リート・フェイダル

年齢

17歳

魔法

接収(テイクオーバー)

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士、ミラジェーンとエルフマン、リサーナと同じ接収(テイクオーバー)の1種で、リートは鳥の魂(バードソウル)接収(テイクオーバー)する。

好きなもの

飛ぶ事 大空

嫌いなもの

豆類

異名

鳥人間(バードマン)

容姿

青緑色の髪の毛に黒い瞳。黒いトレーナーに茶色いジャケットを羽織っており、裾が破れた深緑色のズボン、丈夫そうな黒いスニーカーブーツを履いている。右耳に銀色のイヤーカフを着けている。

備考

気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)の魔道士の1人。

小さい頃から「鳥のように空を飛びたい」という願望があり、7歳の頃に気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)に加入してその願望を実現させる事が出来た。

ギルド内では実力のある魔道士。



ラム・ビディンガン

年齢

13歳

魔法

魔法鳥

3羽の魔法鳥(クック、ピッピ、コッコ。)を操る魔法。ちなみに3羽とも喋れる。

好きなもの

鳥 ギルド

嫌いなもの

辛いもの

容姿

左目が隠れるほどの長い黒髪に円らな黄色い瞳。緑色のトレーナーの上に白いTシャツを重ね着していて、黒い短パンを穿いている。

備考

気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)の魔道士の1人。

ギルドの前に捨てられていたところをマスターに拾われ、13年間このギルドで暮らしている。

大人しく、周りの空気に溶け込めない時が多い。



ジェニック・フォントアル

年齢

18歳

魔法

(ウィング)

鳥の羽で攻撃が出来る能力系(アビリティ系)の魔法。防御には向いていない。

好きなもの

ギルド 飛行訓練

嫌いなもの

退屈

容姿

金髪に黒い瞳。青いパーカーに山吹色のハーフパンツを穿いている。頭には唐草模様の青いバンダナを巻いている。

備考

気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)の魔道士の1人。

先祖代々気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)に加入しているので後を継ぐようにギルドに加入した。

四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)の魔道士、イエーガとは知り合い。

何事にも一生懸命取り組む努力派の魔道士。



ヒリア・フーガベース

年齢

17歳

魔法

鳥召喚(バードズ)

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士、マヤとトーヤ、白い柳(ホワイトウィロウ)の魔道士、タクヤと同じ召喚魔法の1種で契約したさまざまな鳥達を召喚して共に戦う。現在、ヒリアが契約している鳥の数は19羽。(アヒル、ワシ、白鳥など・・・)

好きなもの

ギルド 仲間 鳥

嫌いなもの

狩人

異名

鳥使い(バードテイマー)

容姿

瑠璃色の髪の毛を低い位置で2本の三つ編みに束ねていて、茶色い大きな瞳。白いバルーンカットソーに黒いデニムのスキニーパンツを穿いている。

備考

気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)の魔道士の1人。全体的に「爽やか」というイメージがある少女。

ギルド一の美人魔道士。

主にギルド内の食事の準備や掃除、人力飛行機の設備を担当をしている。



アナ・ココナッティーン

年齢

18歳

魔法

操縦士(パイロット)

超小型人力飛行機に乗って人力飛行機を操縦しながら相手に攻撃が出来る所持系(ホルダー系)の魔法。防御は出来ない。

小人(ドゥウォーフ)

超小型人力飛行機に乗る為に30分間体を小さくする事が出来る魔法。

好きなもの

ギルド 人力飛行機 

嫌いなもの



異名

トリガール

容姿

茶髪のロングヘアーに同じ色の瞳。リートと似た感じの黒いトレーナーに茶色いジャケットを羽織っており、裾が破れた深緑色のズボン、丈夫そうな茶色いスニーカーブーツを履いている。頭には白いヘルメットを被っている。

備考

気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)の魔道士の1人。

ギルド内で唯一人力飛行機を操縦する事が出来る少女。

太陽のような眩しい笑顔で毎日人力飛行機で大空を飛び回っている。

魔道士としての実力もある。 
 

 
後書き
大魔闘演舞出場ギルド&出場メンバー紹介!!第2弾終了~☆
すっごい長い・・・つ、疲れたぁ~・・・・
次回はいよいよバトルパート!果たして、妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)はどのギルドと戦うのかっ!?
お楽しみに~☆ 

 

第163話 バトルパート 

 
前書き
駄作者07でぇ~す♪
今回は遂に大魔闘演舞初日のバトルパート!果たして、妖精の尻尾AB(フェアリーテイルAチーム・Bチーム)はどのギルドと戦うのかっ!?今回は第1試合と第2試合ですっ!
今回もナレーション風にいきます。
それでは、第163話・・・スタート♪ 

 
妖精の尻尾(フェアリーテイル)専用医務室。ここに妖精の尻尾(フェアリーテイル)の専門医であり、マスターの古くからの知人であり、極度の人間嫌いであり、アースランドとは並行世界のエドラスのウェンディの母親、天竜グランディーネであり、治癒魔道士でもあるポーリュシカと、医務室のベットに座らされ、ポーリュシカに大魔闘演舞オープニングゲーム『浮上板(フロウトプレート)』で負った傷を手当てをしてもらっているショールがいた。

ポ「全く。妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士は皆無茶するから心配でありゃしないよ。」

ショ「スミマセン・・・」

ショールはポーリュシカさんに頭を下げる。

ポ「全く。少しは自分の体を大切にしな。」

文句を言いながらも、ポーリュシカは優しく、丁寧にショールの頭に包帯をくるくると巻いてゆく。その様子をショールは静かに、どこか懐かしそうな目で見つめていた。

ポ「・・・ほら、終わったよ。」

ショ「あ、ありがとうございます。」

ショールは礼を言うと、腕を回したり足を曲げたりする。幸いにも重症は負ったが、命に別状は無い。

ポ「その調子だと、明日ぐらいにはまた出場出来るかもしれないね。」

ショ「本当ですかぁっ!?よかったぁ~。」

ショールは驚いた後、ほっと胸を撫で下ろす。その時、医務室のドアがガチャッと開き、エルザが入って来た。

エ「具合はどうだ?」

ショ「ポーリュシカさんの手当てのお陰で、明日にはまた出場出来るかもしれないんだ。」

エ「ほんとかっ!?どうやら心配は、無用だったみたいだな。」

さっきのショールと同じように、エルザは驚いた後、安心した表情を見せる。

ポ「出場するのは良いけど、あの死者の仮面(デスマスク)っていうギルドには十分気をつけるんだよ。」

死者の仮面(デスマスク)。『浮上板(フロウトプレート)』でショールを散々痛めつけたギルドだ。

エ「もちろん、分かっています。」

エルザの目が鋭くなった。エルザの言葉を聞くと、ポーリュシカは医務室から出て行こうとした。

ショ「どこに行くんですか?」

ポ「あんたのせいで、用意しておいた傷薬が全部無くなっちゃったから買いに行くんだよ。全く。私は人間が嫌いだってのに・・・」

ショ「ス、スミマセン・・・」

ショールはまたポーリュシカさんに頭を下げた。ポーリュシカはそのまま黙って傷薬を買いに出掛けた。ポーリュシカが医務室から出て行くのを見届けると、エルザは口を開いた。

エ「ポーリュシカさんは「超」がつくほど極度の人間嫌いだが、何だかんだ言って妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士の手当てを快く引き受けてくれる優しい方だ。」

ショ「・・あぁ。すごく、温かい手だった・・・」

ショールはどこか寂しそうな表情で呟いた。が、すぐに何かを思い出したかのように「あ。」と呟いてエルザに視線を合わせた。

エ「どうかしたのか?」

ショ「・・実は、コネティが言ってたんだけど・・・」

コネティ・ラドゥ。死者の仮面(デスマスク)の魔道士の一人で、『浮上板(フロウトプレート)』でショールを痛めつけた張本人だ。










ショ「死者の仮面(デスマスク)は・・・・妖精の尻尾(フェアリーテイル)を、支配する事が目的らしいんだ。」










エ「!?そ、それは本当かっ!!?」

エルザは目を見開き、ショールの肩を摑んで嘘か事実かを確かめる。ショールは黙って頷いた。頷くのを見ると、エルザはゆっくりとショールの肩から手を離した。

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チャ「大魔闘演舞オープニングゲーム、『浮上板(フロウトプレート)』が終了したところで・・・これより!大魔闘演舞初日の、バトルパートを始めたいと思いますっ!!」

観全「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!」

エルザとショールが医務室で語っている中で、大歓声が沸き起こり、大魔闘演舞の初日が始まろうとしていた。





メ「ここでもう一度、大魔闘演舞バトルパートについて説明しましょう。」

なぜか妖精の尻尾(フェアリーテイル)初代マスターであるメイビスがバトルパートについて再び説明する事になった。(出来るだけ、簡潔にお願いします。 by07)

メ「バトルパートは競技パートとは違ってすでに主催者側により対戦者と対戦ギルドが決められています。制限時間は30分。12のギルドが2組ずつバトルし合い、勝ったギルドに10ポイント。負けたギルドには0ポイント。引き分けは5ポイント。」

ここまで説明すると、メイビスはゴロゴロゴロと移動式黒板を押して来た。移動式黒板には現在までの順位が書かれている。

メ「現在の順位です。1位は妖精の尻尾(フェアリーテイル)に宣戦布告を出した銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)。ちなみに妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)は2位。妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)は7位です。」

ここまで言うと、メイビスはゴロゴロゴロと移動式黒板を押して立ち去り、また出て来た。

メ「果たして、妖精の尻尾(フェアリーテイル)は巻き起こしが出来るんでしょうか?大魔闘演舞はここからですよ。頑張れ!妖精の尻尾(フェアリーテイル)!!」





説明が終わったところで・・・

チャ「それでは早速第1試合に参りましょう!第1試合、月の涙(ムーンティア)、カリン・パック!!VS海中の洞穴(マリーンケイヴ)、アリー・シャンキー!!」

観全「オォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!」

石造りの会場の出入り口からカリンとアリーが姿を現した。両者の瞳はすでに戦闘モードに突入している。

ヤ「カリンは月の涙(ムーンティア)新人(スンズン)だったね。」

レ「アリーさんは先程のアニーさんの双子の妹さんですよね。」

容姿や雰囲気は真逆だが、顔立ちはアニーとそっくりだ。

ル「双子だったのね。」

エル「でも、全然似てないな。」

ウェ「そうゆう双子さんもいますよ。」

両者が会場の中央で向かい合った。会場中に緊張が走る。

チャ「第1試合、開始ッ!!」

チャパティ・ローラの実況と共に、像の上にいる男が銅鑼をゴォォォォォン!!と力強く叩いた。銅鑼が鳴ったのと同時に、カリンとアリーは地を蹴り駆け出した。アリーは腰のポシェットから黒い銃を取り出すと、

ア「闇弾(ダークショット)!」

闇を纏った弾丸がカリンに向かって放たれた。カリンは弾丸を目で追いかけると、バク転して弾丸をかわした。

チャ「おぉっ!なんと華麗なバク転!」

ヤ「綺麗だったねぇ。」

レ「着地も素敵でした。」

体勢を立て直すと、カリンは両手を脇腹の辺りに移動させると、

カ「クリスタルメイク、(イーグル)ッ!!」

透き通った無数の鷲がアリーに襲い掛かる。

グ&リ「造形魔法!?」

ユ「クリスタル・・硝子の造形・・・」

同じ造形魔道士のグレイ、ユモ、リオンが目を見開いた。カリンの場合、動のクリスタルメイクだ。

ア「暗闇弾(ダークネスショット)・・・乱射!」

真っ黒な光に包まれた弾丸が連続で放たれ、パリン、パリィンと音を立てながら硝子の鷲を次々に破壊していく。

マ「硝子だから、壊れやすいんだね。」

フ「カリンの魔法もアリーの魔法も、あまり防御には向いて無さそうだな。」

フレイの言うとおりである。銃で攻撃は出来るが、防御は無理。攻撃しても、防御しても、硝子が割れると傷を負う。

リョ「このバトル、見事に五分五分だな。」

チャ「さぁ、どっちが勝っても負けても可笑しくないこのバトル。勝つのは月の涙(ムーンティア)のカリンかっ!?それとも海中の洞穴(マリーンケイヴ)のアリーかっ!?」

両者はすでに「これが最後」とゆう感じだった。アリーはゆっくりと銃を構え、カリンは両手を胸の前で構えると・・・

ア「闇夜弾(ミッドナイトショット)・・・乱射!」

カ「クリスタルメイク、透竜(クリアドラゴン)ッ!!

無数の弾丸と透き通った巨大な(ドラゴン)がぶつかり合った。が、硝子は無数の弾丸には敵わず、パリン、パリィンと音を立てて砕けていった。

カ「そ、そんな・・・!」

無数の弾丸は硝子の(ドラゴン)を砕いた後、カリンに襲い掛かった。砂煙が舞い、カリンの姿は見えなくなった。会場全体の視線が砂煙の中に集まる。砂煙が晴れると、カリンは倒れていた。

チャ「試合終了ォォォッ!勝者、アリー・シャンキー!海中の洞穴(マリーンケイヴ)、10ポイント獲得!!」

アリーは音一つ立てずに銃を腰のポシェットに仕舞うとその場を立ち去った。



アニ「ヤッタァ~♪アリーが勝ったぁ~♪」

バ「流石アリーだね。」

海中の洞穴(マリーンケイヴ)の待機場所ではアリーの双子の姉、アニーが当の本人よりもはしゃいでいた。

イ「これで16ポイントだね。」

ハ「でも、大魔闘演舞は始まったばかりだ。油断してたら、あっという間にガタ落ちだ。」



チャ「続いて第2試合、青い天馬(ブルーペガサス)、イヴ・ティルム!!VS白い柳(ホワイトウィロウ)、チルチル!!」

ヤ「今度はどんなバトルを見せてくれるんだろうね?」

レ「楽しみです。」

チャ「第2試合、開始ッ!!」

チャパティ・ローラの実況と共に像の上にいる男が銅鑼をゴォォォォォン!!と力強く叩いた。

イヴ「雪魔法、白い牙(ホワイトファング)!」

チ「うぐ・・・!」

イヴが吹雪を起こす。会場に白銀の雪が降り積もる。

チャ「何とぉっ!会場が雪景色になったぁっ!!恐るべし雪魔法!!」

チ「糸魔法(スレッドマジック)糸拘束(スレッドバインド)!」

チルチルの両手に青い魔法陣が浮かび上がり、そこから白くて長い糸がしゅるるるると音を立てて伸びてきた。

チ「これは伸縮自在の糸。君はこれをかわせられる?」

チルチルは可愛らしく首を傾げる。イヴは襲い掛かってくる伸縮自在の糸を必死にかわし続ける。が、糸がイヴの右足を絡め取った。その時点で伸縮自在の糸はイヴの右腕、左足、腰を絡め取り拘束する。

イヴ「ぅ・・ぅああっ!!」

チャ「おぉっと!チルチルの伸縮自在の糸に拘束され身動きが出来ないイヴ!このまま負けてしまうのかっ!?」

イヴを拘束している伸縮自在の糸はどんどんイヴの体を締め上げる。

ヒ「イヴ!」

レ「しっかりしろっ!」

ジェ「イヴ君!!」

?「・・イヴ・・・」

一「イヴ君!最後まで粘るんだっ!!メェ~ン!」

一夜達の声はイヴの耳に届いていた。イヴは拘束されていない左手を前に突き出した。その時、ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・と地鳴りが会場中に響き渡った。

観1「何だ何だぁっ!?」

観2「あわわわ・・・」

ナ「う・・うぷ・・・」

ウェ「ひぇぇぇぇぇ~!!」

ヤ「今日は地鳴り(ズナリ)が多い日だねぇ。」

地鳴りは起きたが、会場に湖は出来ない。すると、チルチルの頭上に水色の魔法陣が浮かび上がった。その魔法陣から雪が雪崩のように落下してきた。

チ「ウギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」

チルチルはあっという間に雪に埋もれてしまった。そのお陰でイヴを拘束していた伸縮自在の糸はスゥと消えてしまった。イヴの雪魔法は雪崩を起こす事が出来る程の威力がある。チルチルは雪に埋もれたまま目を回していた。

チャ「試合終了ォォォッ!勝者、イヴ・ティルム!青い天馬(ブルーペガサス)、10ポイント獲得!!」 
 

 
後書き
第163話終了~♪
ルビを使ってみました。以前と全く違う!
第1試合では海中の洞穴(マリーンケイヴ)のアリー、第2試合では青い天馬(ブルーペガサス)のイヴが勝ちました。
次回は第3試合です。妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)が登場!!果たして、選手は誰なのかっ!?戦うギルドはどこなのかっ!?
お楽しみに~♪ 

 

第164話 黒闇傘

 
前書き
駄作者07ですっ!
今回はバトルパート第3試合!いよいよ、妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)が登場!果たして、誰が登場するのかっ!?どのギルドと戦うのかっ!?
今回もナレーション風に書いていきます。
それでは、第164話・・・スタートッ!!
 

 
           『『謎の仕事』に挑んでいる元妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)

マスターに頼まれ、『謎の仕事』に挑んでいる元妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)のガジル、リリー、ラクサス、ミラ、ジュビア、カナの5人+1匹は遥か天高く聳え立つ崖を登っていた。かなり高く登ったが、まだ頂上は一向に見えず、下も見えなくなっていた。ここから落ちたら一溜まりも無いだろう。

ガ「ったく、さっきから険しすぎる道しかねぇじゃねぇか。」

そう。この5人+1匹はうっそうと生い茂る森の中を潜り抜け、下はすごい勢いで流れる川の上を今にも切れてしまいそうなボロボロの吊り橋を渡り、コウモリや毒蛇がうじゃうじゃいる洞窟を通ってここまで来たのだ。

カ「森、ボロボロの吊り橋、洞窟の次は崖ェッ!?」

ジュ「す、すごい、道のりですね・・・」

すごい道のりなのだが、この5人+1匹は一度も休まずここまでやって来たのだ。

ミ「ていうか、ガジルとリリーは何で登っているの?リリーで飛べば、あっという間なのに?」

ガ「ギヒッ。これも修行のうちだ。」

リ「ナツ達が大魔闘演舞に出場している間に、俺達は更に力をつけるのだ。」

つまり、ガジルとリリーは修行の為にこの険しすぎる崖を登っているという訳だ。

ラ「それより、本当にあるんだろうな?」

今までずっと黙っていたラクサスが口を開いた。

カ「全く信用出来ない話だけどね・・・」

ジュ「でも、マスターはこの先にあると言っていました。」

ジュビアはそう言うと、遥か先にある頂上がある方向に目を向けた。



しばらく登り続けると、薄っすらと霧が出てきた。

ミ「霧だわ。」

ジュ「皆さん、気をつけて下さいね。」

カ「全く。視界が悪くなってきたわ。」

リ「だが、霧が出てきたとゆう事は・・・」

ラ「頂上も、目的地も、近くだって事だな。」

全員が霧で隠れた遥か先にある頂上がある方向に目を向けた。

ガ「どうやら本当に、この崖の頂上にあるみてぇだな。」

ガジルは一度話を区切り、「ギヒッ。」と右口角を上げて笑うと、



ガ「『霧隠れの滝』がな。」



*****************************************************************************************

               『大魔闘演舞会場、ドムス・フラウ』

チャ「さぁ!盛り上がってきたところで、第3試合に参りましょうっ!!」

大魔闘演舞1日目のバトルパートは中盤戦に差しかかろうとしていた。チャパティ・ローラの実況もどんどん力強くなっていくのが分かる。

チャ「第3試合、妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)、ウェンディ・マーベル!!VS死者の仮面(デスマスク)、リノ・ハビュット!!」

観全「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!」



ウェ「それじゃあ、行って来ます。」

赤色のチームカラーの服を着たウェンディが会場に向かう。

ナ「頑張れよウェンディ!」

エ「相手は死者の仮面(デスマスク)だ。何か卑怯な真似を使ってくるかもしれない。くれぐれも気をつけるんだぞ。」

妖精の尻尾(フェアリーテイル)は大魔闘演舞のオープニングゲーム、『浮上板(フロウトプレート)』で死者の仮面(デスマスク)の魔道士、コネティに痛めつけられたショールを目の当たりにしている。運悪く、そのギルドと戦う事になってしまったのだ。しかも、今度はウェンディ。何を仕出かすか分からない。

ウェ「大丈夫ですっ!私が、ショールさんの仇を討ちますっ!」

ウェンディは決意を込めた瞳でナツ達を振り返ると、一度微笑んでまた会場に向かって行った。



一方、妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)の待機場所では、

ト「ウェンディさん・・・」

死者の仮面(デスマスク)の魔道士と戦う事になったウェンディの姿を見て心配するトーヤがいた。そのトーヤの右肩に、リョウが優しく手を置いた。

ト「リョウさん。」

リョ「そんな顔すんなって。」

マ「そうだよ。ウェンディは強いんだから、死者の仮面(デスマスク)の奴等なんてボッコボコにしてくれるよ。」

リョウとマヤが励ましの言葉を掛ける。それに重ねるように、

フ「それに、ウェンディだってこの日の為にたくさん修行してきたんだ。」

ユ「勝っても負けても、ウェンディは良い結果を残してくれるよ。」

鳥の姿に戻ったフレイとユモも励ましの言葉を掛ける。トーヤは会場にいるウェンディに視線を移すと、

ト「そうですね。」

小さく呟いた。



会場には、藍色の髪の毛をツインテールに束ね、赤色のチームカラーの服を着たウェンディと、左半分だけが隠れる黒い仮面を着け、真っ黒なゴスロリに身を包んだリノが向かい合っていた。

チャ「少女対決になりましたね。」

ヤ「今度はどんな戦いを見せてくれるんだろうね~?」

レ「楽しみですね。」

ウェンディとリノの間をヒュゥゥゥゥゥと静かに風が通る。

ウェ「(す、すごい・・この人から、邪悪な何かを感じる・・・)」

強張った表情のウェンディとは裏腹に、リノは無表情で、真っ赤な瞳でウェンディの事を静かに見つめていた。

ウェ「(瞳の色がショールさんと似ているけど・・・この人の瞳には『光』が射していない。真っ黒な『闇』だけだ。)

冷や汗が一筋、ウェンディの頬を伝った。

チャ「第3試合、開始ッ!!」

チャパティ・ローラの実況と共に、像の上にいる男が銅鑼をゴォォォォォン!!と力強く叩いた。それを合図に、ウェンディは小さく地を蹴り駆け出した。

ウェ「天竜の・・・翼撃ッ!!」

両手に空気の渦を纏い、それを力強くリノに振るう。が、リノは音を立てる事無く静かにウェンディの攻撃を避けた。

エル「あんなあっさりとっ!?」

グ「なかなかやるじゃねぇか。」

エルフマンが驚嘆の声を上げ、グレイが口角を上げて笑った。

ウェ「だったら、天竜の・・・砕牙ッ!!」

空気の渦を纏った拳を爪を立ててリノに振るう。が、リノは持っていた真っ黒な傘を横に持ち、ウェンディの拳を受け止めた。

ウェ「!?」

マ「傘で受け止めたぁっ!?」

フ「お、折れねぇのか・・・?」

ユ「丈夫な傘なんだね。」

フレイとユモが内容のズレた話をする。

ヤ「あの子が持っている傘は、いったい何なんだい?」

レ「さぁ?雨でも降るんでしょうか?」

チャ「いえ、今日は1日中晴れの予報ですけど・・・」

ヤジマ達も内容のズレた話をしている。

ウェ「お、驚きました・・・」

ウェンディは一旦リノから遠ざかる。相変わらずリノは無表情で、真っ赤な瞳でウェンディの事を静かに見つめていた。

ウェ「あなたは、私に攻撃しないんですか?」

リ「・・・・・」

ウェンディが問うが、リノは何も言わない。ただ、無表情で、真っ赤な瞳でウェンディの事を静かに見つめているだけだ。

ウェ「(この人、いったい何を考えているのかさえも分からない・・・それ以前に、この人の感情が、よく分からない・・・)」

バトルはただ攻撃をしたり防御をしたりするだけでは絶対に勝つ事は出来ない。相手の行動を読み取る事も、バトルに勝つ方法の1つだ。相手の目の動き、相手の体の動き、相手の魔法の使い方・・・これらを全て上手く読み取る事で、相手の弱点などを正確に捉える事が出来る。それを認識した時に、バトルに勝つ事が出来るのだ。だが、

ウェ「(この人の行動が、読み取れない・・・)」

さっきから全く動きを見せないリノの行動を読み取る事は不可能。ウェンディは少し焦っていた。

ル「ウェンディ、どうしたのかしら?」

その様子を待機場所から見ていたルーシィが首を傾げる。

エ「たぶん、あのリノとゆう奴の行動が読み取れないんだ。それで少し焦っているのだろう。」

ト「ウェンディさん・・・」

リョ「大丈夫だ。ウェンディなら何とかやっていける。」

トーヤの声にリョウが笑いながら答える。が、すぐに険しい表情になった。

リョ「でも、このままの状態が続くと、ウェンディは不利になっていくな。」

すでにエルザとリョウはウェンディとリノの様子から全て悟っていた。すると、今までずっと動きを見せなかったリノが目にも見えぬ速さでウェンディの背後に回り込んだ。

ウェ「!!キャアッ!」

リノは傘の先端でウェンディの首の後ろを殴る。

ユ「速いっ!」

グ「あいつ、何て速さだ。」

ウェンディはふらつきながらもゆっくりと立ち上がる。リノの表情をちらりと見るが、相変わらず無表情で、真っ赤な瞳でウェンディの事を静かに見つめているだけだ。

観1「み、見たか今のっ!?」

観2「あぁ。あのリノって奴、すっげぇ~速ェ。」

観3「全然見えなかったわ。」

観客もリノの速さに目を見開いている。

チャ「い、今の動きは何だったのでしょうっ!?まるで超人のような動きっ!誰にも見る事が出来なかったぁぁぁぁぁっ!!」

ヤ「こりゃあ驚いたねぇ~。」

レ「まるで風のようでした。」

ヤジマ達も驚嘆の声を上げる。

ウェ「速いですね。でも、私も負けません!バー二ア!」

リ「!?」

ウェンディも目に見えぬ速さでリノの目の前に来ると、

ウェ「天竜の・・・鉄拳ッ!!」

リ「くっ・・!」

ウェンディの拳がリノの右肩に当たる。ウェンディの攻撃が、初めてリノに当たった。

ル「ヤッタァ!」

ナ「良いぞウェンディー!」

シャ「その調子よ、ウェンディ!」

ハ「頑張れぇ~!」

待機場所からルーシィとナツの声、応援席からシャルルとハッピーの声が聞こえた。リノは相変わらず無表情だが、少し目付きが変わった。リノは傘を持ち直すと、また目に見えぬ速さでウェンディの背後に回り込んだ。

ウェ「!!」

ト「ウェンディさんっ!!」

トーヤが叫んだのと同時に、リノは持っていた傘をウェンディに振りかざした。が、ウェンディは顔の前で両腕をクロスさせ、振りかざされた傘を受け止めた。

チャ「おぉっと!ウェンディ、リノの傘を受け止めたぁっ!」

ヤ「ナイスだね。」

レ「お見事です。」

ウェンディとリノはしばらくその状態で見詰め合った。

ウェ「な、なぜ・・あなた達は・・・妖精の尻尾(フェアリーテイル)を、狙って、いるんですか・・・?」

ウェンディが両腕をクロスさせたまま問うと、リノは無表情のまま傘を振りかざした状態で、ウェンディの耳に口元を寄せると、





リ「簡単な事よ。私達死者の仮面(デスマスク)は、妖精の尻尾(フェアリーテイル)を支配しようと企んでいるんだから。」





透き通るような声で囁いた。リノの言葉にウェンディは目を見開いた。

ウェ「妖精の尻尾(フェアリーテイル)を・・・し、支配・・する・・・・?」

すると、リノはウェンディから一旦遠ざかると、持っていた黒い傘を開いた。

チャ「雨も降っていないのになぜか傘を開いたリノ。」

ヤ「こんな天気が良いのに、どうスたんだろうね?」

レ「あの傘は、いったい・・・?」

会場内にいる人間の視線がリノの黒い傘に集まる。

リ「この傘は黒闇傘という魔法道具(魔法アイテム)。この傘を使って『闇』で攻撃や防御が出来るの。」

そこまで言い、リノは一度話を区切ると、開いた傘を柄が上になるように逆さまに持った。

ル「えっ?」

エル「あいつは何やってんだ?」

リョ「頭ぶっ壊れたのか?」

フ「さらりと言うな。」

ルーシィとエルフマンが首を傾げ、何気に酷い事を言っているリョウの言葉にフレイが突っ込む。

チャ「えぇっとぉ~、リノは傘を逆さまに持っていったい何をするつもりなのでしょうか?」

ヤ「不思議(フスギ)な持ち方をするねぇ~。」

レ「ここからどうするんでしょうかね?」

会場内の人間がリノの黒い傘に興味を示す。ウェンディは体勢を低くし、その場で身構える。すると、リノは柄を上に向けた状態のまま柄をウェンディの方に突きつけた。

ウェ「えっ?」

リ「『闇』で攻撃や防御が出来る他に、相手に『闇』を見せる事が出来るのよ。」

すると、会場に追い風が吹き荒れた。

観4「な、何だいきなりっ!?」

観5「お、追い風ェッ!?」

観6「あっ!帽子がっ!」

観客達は大騒ぎ。

チャ「と、突然会場内に追い風が吹き荒れましたっ!!」

ヤ「あんた『鬘』。」

レ「今日はよく風が吹き荒れる日ですね。」

地鳴りが起きたり風が吹き荒れたり・・・妙な事が次々に起きる1日だ。

ナ「うおぉぉああぁぁあああっ!」

グ「い、いきなり風が・・・!」

ル「し、しかも、追い風じゃない!」

ト「うわわわわわぁ~!」

マ「風強いよぉ~!」

追い風は一向に止まない。その時、リョウが何かに気づいた。

リョ「お、おい!何だあれっ!?」

リョウの声にユモとフレイが会場に視線を移すと、

ユ&フ「ウェンディッ!?」

追い風の影響なのか、ウェンディの体がズズズと音を立ててリノの方に押されている。更に、それを見たエルザが、

エ「この追い風・・・リノが持っている傘から出ているんじゃっ!?」

そう。リノが持っている黒い傘はウェンディの背中を押すように追い風を起こしている。

ウェ「うぅ・・!」

ウェンディ自身も必死に踏ん張っているが、徐々にウェンディとリノの距離が縮まっていく。

シャ「ウェンディ!耐えるのよぉ~!!」

ハ「ウェンディ!しっかりぃ~!!」

マ「ねぇ、私達の体は押されていないのに、何で、ウェンディの体だけ、あんなに動いてるの・・・?」

リョ「えっ?」

マヤの言うとおりだ。ナツ達やマヤ達、観客達は追い風で背中が押されても体は動かないのに、なぜかウェンディの体だけズズズと動いているのだ。すると、リョウが何かに気づいたのか目を見開いた。

リョ「まさか・・・!あいつが持っている傘、ウェンディを吸い込もうとしてるんじゃ・・・!?」

ユ「えぇっ!!?」

有り得ないような話だが、リョウが言ってる事が本当ならば、話しの辻褄が合う。リョウの話を聞いたトーヤは待機場所から身を乗り出すと、

ト「ウェンディさぁぁぁん!!その傘から離れて下さぁぁぁぁぁい!!!」

力いっぱい叫んだ。

ウェ「え・・・?」

トーヤの声はウェンディの耳にしっかり届いていたが、遅かった・・・トーヤの声に一瞬油断したウェンディは、つい踏ん張る力を緩めてしまった。その一瞬の隙に、ウェンディの体はリノが持っている黒い傘に吸い込まれてしまった。それと同時にリノは素早く傘を通常の持ち方に持ち直し、傘を閉じた。それと同時に、追い風も治まった。

全「!!!??」

会場内の人間が目を疑った。

チャ「な、何とぉっ!リノが持っている黒い傘にウェンディが吸い込まれてしまったぁぁぁっ!!いったい、あの傘はどうなっているんだぁぁぁぁぁっ!?」

チャパティ・ローラの驚きの実況が会場内に響き渡る。リノは閉じた傘を一度見つめると、不気味に小さく微笑んだ。

*****************************************************************************************

ウェ「・・ん・・・あ、あれ?」

ウェンディが目を覚ますと、目の前に広がる光景は上下左右真っ黒な空間。

ウェ「こ、ここは・・・いったい・・・・?」

辺りを見回しても、誰もいない。たった1人、真っ黒な空間の中に漂っていた。だんだん不安になってきたのか、ウェンディの体が小刻みに震え出した。その時、遠くの方で何かが光った。

ウェ「な、何だろう?あの光・・・?」

恐怖の気持ちもあったが、ウェンディはまるで光った方向に引っ張られていくかのように軽い足取りで光った方を目指して真っ黒な空間を歩き出した。



しばらく歩き続けると、真っ黒な空間の中に真っ白な映像が映し出された。

ウェ「あ、あれは・・・私?」

そこに映っていたものは、ショートカットの藍色の髪の毛の女の子だった。それはどう見ても、幼い頃の自分だった。映像の中の幼い頃の自分はたった1人でお花を摘んでいた。その時、後ろに大きな影が映った。後ろを振り返ると、

ウェ「!!!」

透き通った青い瞳、長い大きな尻尾と巨大な羽、白銀の鱗で覆われた体・・・

ウェ「お母さんっ!!」

X777年7月7日に姿を消したウェンディのお母さん、天竜グランディーネの姿が映っていた。幼い頃の自分は摘んだ花を手に持ちお母さんに駆け寄って行く。

ウェ「・・・・・」

ウェンディはその映像をただ呆然と見つめていた。すると今度は別の映像が映し出された。

ウェ「あ、あれは・・・!」

そこに映っていたものは、今から7年前、まだマヤ達が妖精の尻尾(フェアリーテイル)に加入していなかった頃の出来事。マヤ、リョウ、ユモ、ショール、トーヤ、フレイを除いた最強チームのメンバーに、蛇姫の鱗(ラミアスケイル)のリオン、ジュラ、シェリーに、青い天馬(ブルーペガサス)の一夜、ヒビキ、イヴ、レン。そして、その後ろに聳え立つ猫の顔を模った建物。

ウェ「化猫の宿(ケット・シェルター)ッ!!」

ウェンディとシャルルが妖精の尻尾(フェアリーテイル)に加入する前に所属していた正規ギルドの1つだ。化猫の宿(ケット・シェルター)の前に立つのは化猫の宿(ケット・シェルター)のギルドマスター、ローバウルと化猫の宿(ケット・シェルター)の数少ない魔道士達。

ウェ「これは・・ニルヴァーナの時の・・・」

すると、化猫の宿(ケット・シェルター)の魔道士達の姿が次々に消えていった。

ウェ「!!!」

正規ギルド、化猫の宿(ケット・シェルター)のウェンディとシャルル以外の魔道士達は皆、ギルドマスターであるローバウルが作り出した人格を持つ幻。



ウェンディの為の・・・たった1人の為のギルドだったのだ・・・・・



化猫の宿(ケット・シェルター)の魔道士達が全員消えて、残ったのはギルドマスター、ローバウルただ1人。



リ『『闇』で攻撃や防御が出来る他に、相手に『闇』を見せる事が出来るのよ。』



ウェンディの脳裏にリノの言葉が思い出される。

ウェ「・・こ、これが・・・わ、私の・・・『闇』・・・・?」

ウェンディはその場に崩れるように座り込んだ。

ロ『お前達の未来は始まったばかりだ。』

ウェ『マスターーーーー!!』

映像の中のローバウルと自分の声が頭の中に響く。

ウェ「い・・嫌・・・や、止めて・・・・!」

ウェンディは耳を塞ぐ。だが、映像の中の声は嫌でも耳に入ってくる。涙が頬を伝い流れ落ちた。

ロ『皆さん、本当にありがとう。ウェンディとシャルルを頼みます。』

ウェ『マスタァーーーーーーーーーーーーーーー!!!』

ウェ「嫌アアアァァアアアアアァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」

映像の中の自分の声と、声が重なった。

*****************************************************************************************

ウェンディが傘に吸い込まれてすでに10分以上は経っていた。もうすぐで時間切れ(タイムアップ)になってしまう。

シャ「ウェンディ・・・」

ト「ウェンディさん・・・」

その時、リノが持っていた傘を宙高く放り投げた。黒い傘は宙をくるくるくると数回回ると、自動的に開いた。開いたのと同時に、まるで吐き出されたかのようにウェンディが落ちてきた。

ナ&マ「ウェンディ!!」

ドドドスウゥゥゥゥゥンと砂煙を舞い上げてウェンディは地面に落ちた。それから、ウェンディが立ち上がる事は無かった。

チャ「し、試合終了ォォォ!勝者、リノ・ハビュット!死者の仮面(デスマスク)、10ポイント獲得!!」

*****************************************************************************************

A&B「ウェンディーーーーーッ!!!」

妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)のメンバーと妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)のメンバーとハッピーとシャルルは全員会場に行き、傷だらけで倒れているウェンディに駆け寄る。

ナ「おいウェンディ!大丈夫かっ!?」

シャ「ウェンディ!」

ナツがウェンディの肩を摑んで揺さぶる。すると、

ウェ「・・ぅ・・・うぅ・・・・」

ウェンディは薄っすらと目を開けた。

ル「ウェンディ!」

ハ「よかったぁ~。」

皆ほっと胸を撫で下ろす。すると、ウェンディはボロボロと涙を流し始めた。

グ「お、おい!?」

マ「ウェンディ、どうしたの?」

ウェンディは涙を拭いながら、

ウェ「ヒッ・・ゴ、ゴメン、ナサイ・・・ヒック・・私・・・「ショールさんの仇を討つ」って・・・言ったのに・・ウッ、ヒッ・・・・ゴメン、ナサイ・・・・」

ショールの仇を討つ事が出来なかった為、自分を責め、涙を流すウェンディの頭をエルザが優しく撫でる。

エ「もう十分だ。ウェンディはよくやってくれた。」

リョ「あぁ。ショールも聞いたらきっと喜ぶぜ。」

ウェ「ヒック・・・で、でも・・私・・・ウッ、ウゥ・・・・」

ユ「大丈夫。ショールの仇はウェンディがとってくれた。だから、今度はウェンディの仇を討つよ。」

フ「俺達が必ず、死者の仮面(デスマスク)の奴等を思い知らせてやる。」

フレイはそう言いながら、死者の仮面(デスマスク)の待機場所を睨み付ける。偶然にも、ウェンディと戦ったリノと目が合った。リノはフレイと目が合うと黙ってその場を立ち去った。フレイはその行動に腹が立ち拳を硬く握り締めた。

ト「ウェンディさんはしばらく休んでて下さい。後は僕達で何とかしますから。」

トーヤの言葉にウェンディは涙を拭いながらもゆっくりと頷いた。エルフマンがウェンディを抱き抱え、ポーリュシカさんのいる医務室へと運ばれた。 
 

 
後書き
第164話終了致しましたっ!
リノに敗北したウェンディ。果たして、今後の妖精の尻尾(フェアリーテイル)はいったい・・・!?そして、ガジル達が挑んでいる『謎の仕事』。その内容が徐々に明らかになっていく。
次回は第4試合と第5試合!!
それではまた次回、お会いしましょう~!! 

 

第165話 美しき音色は鋭い刃

 
前書き
駄作者07です☆
更新遅れてスミマセン!
今回は第4試合と第5試合!大魔闘演舞1日目のバトルパートも後半に突入!
ナレーション風に書いていきます。
それでは、第165話・・・スタート☆ 

 
              『ドムス・フラウから少し離れたとある民家の屋根の上』

とある民家の屋根の上に、ずっと妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士達の事を見ていた『謎の少女』はいた。屋根の上に行儀よく正座をし、片手には映像と音声機能が付いた、球体型の通信魔水晶(通信ラクリマ)を持っていた。通信魔水晶(通信ラクリマ)の映像には、先程死者の仮面(デスマスク)の魔道士、リノに敗れ、両手で顔を覆い、ボロボロと涙を流す妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)のウェンディの姿が映っていた。その映像を見て、『謎の少女』は呆れたように小さく「はぁ。」とため息をつくと、

?「妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)のウェンディ・マーベル、死者の仮面(デスマスク)のリノ・ハビュットに敗れちゃったか。全く。妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士達はどうしちゃった訳ェ?」

そう呟くと、指をパチン!と鳴らし、通信魔水晶(通信ラクリマ)の映像を切り替えた。すると、待機場所にいる銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)の魔道士、キース、カオリ、レヴル、ルチーア、アンナの姿が映し出された。

?「あの銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)とか言う魔道士達に、手も足も出ないのかしら?それとも・・・」

また指をパチン!と鳴らし、通信魔水晶(通信ラクリマ)の映像を切り替えた。すると今度は、待機場所にいる死者の仮面(デスマスク)の魔道士、オーガンス、リノ、レッタ、コネティ、アーキリーズの姿が映し出された。

?「あの死者の仮面(デスマスク)の「妖精の尻尾(フェアリーテイル)を支配する」って言う企みに恐れているの?」

聞こえるはずも無い疑問を呟くと、死者の仮面(デスマスク)の魔道士達の映像を見つめたまま不敵に微笑んだ。

?「こんな奴等、恐れる事は無いわ。だって奴等は、誰にも言えない秘密を抱えながら、大魔闘演舞に出場したんだもの。自殺行為よ。」

そう呟くと、黒いフレアスカートのポケットから5枚の写真を取り出した。5枚とも、映っているのは男女1人ずつ。5枚の写真に写っている男女の共通点は、腕や肩に弾丸のような紋章が刻まれていた。

?「奴等の正体は、すぐにバレる事になるわ。それに・・・」

今度は指をパチンパチンパチン!と連続で3回鳴らし、通信魔水晶(通信ラクリマ)の映像を切り替えた。すると、通信魔水晶(通信ラクリマ)の映像に妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士、ナツ、ハッピー、マヤ、フレイ、ルーシィ、リョウ、グレイ、ユモス、エルザ、ショール、ウェンディ、シャルル、トーヤの姿が映し出された。

?「奴等は、この妖精達(フェアリー達)には永久に追いつけない。ただ呆然と、妖精(ようせい)尻尾(しっぽ)を眺める事しか出来ない、哀れで愚かな人間なのよ・・・」

静かに風が吹き、『謎の少女』の青い髪をなびかせた。

*****************************************************************************************

                 『妖精の尻尾(フェアリーテイル)専用医務室』

ポ「ほら、終わったよ。」

バトルパートで死者の仮面(デスマスク)のリノに敗れたウェンディは、ここでポーリュシカに手当てをしてもらい、それが今終わったところだ。

ウェ「ありがとうございます。」

ウェンディはペコッと頭を下げると、ぴょんっとベッドから下りた。幸い、軽症で済んだ。

ポ「全く。戦うのは好き勝手だが、手当てをするこっちの身にもなってくれ。」

ショ「ス、スミマセン・・・」

ウェ「ゴメンナサイ・・・」

ポーリュシカは吐き捨てるように言った。ついさっき『浮上板(フロウトプレート)』で重傷を負ったショールの手当てをして用意しておいた傷薬が無くなった為街に買いに行ったのだ。傷薬を買って医務室に戻ると、傷だらけのウェンディと付き添いに来たシャルルとトーヤがベッドに座っていたのだ。呆れてしまうのも仕方が無い。

ポ「あんたは明日まで出場は出来ないが、ウェンディは軽症だから待機場所に戻っても大丈夫だよ。」

ト「本当ですかっ!?」

ポ「嘘を言ったって何の得もしないよ。」

シャ「よかったわね、ウェンディ。」

ウェ「うん!」

ウェンディは嬉しそうに頷いた。一方、

ショ「良かったなウェンディ。あ~あ、俺も早く出場したいぜ。」

浮上板(フロウトプレート)』からずっとベッドに寝たきり状態のショールは退屈そうに呟いた。ショールの怪我も徐々に回復していた。すると、ショールは何かを思い出したのか、「あ。」と小さく呟くと、

ショ「ウェンディ、死者の仮面(デスマスク)の奴と戦った時、何か言われなかったか?」

ベッドから身を乗り出してウェンディに問う。ウェンディは少し驚いた表情をした後、

ウェ「ショ、ショールさんも、ですか・・・?」

ショ「あぁ。」

2人の額には冷や汗が滲み、焦りの表情が浮かんでいた。

シャ「ねぇ、2人して何なのよ。」

ト「ウェンディさんもショールさんも、死者の仮面(デスマスク)の人達に何を言われたんですか?」

シャルルとトーヤが不思議そうな顔をしてウェンディとショールに問い掛ける。横で聞いていたポーリュシカも声には出さないが、視線をウェンディとショールに向けていた。ウェンディは言おうか言わないか躊躇したが、目が合ったショールが小さく頷いたのを見て、





ウェ&ショ「妖精の尻尾(フェアリーテイル)を支配する。」





シャ「はぁ?」

ト「えっ?」

ポ「?」

ポーリュシカは声には出していないが、3人共「何を言ってるの?」とゆう表情をしている。

ウェ「し、信じられない事かもしれませんが、本当なんです!」

ショ「死者の仮面(デスマスク)の奴等は、妖精の尻尾(フェアリーテイル)を支配しようと企んでいるんだ。」

ウェンディの大きな青い瞳と、ショールの鮮血のような赤い瞳がとても冗談(ジョーク)を言ってるようには思えなかった。シャルルとトーヤは一度顔を見合わせると、

シャ「あんた達2人が言ってる事は信じるわ。他に、この事を知っているのは?」

ショ「俺はエルザに言ったけど。」

シャルルの問いにショールが自身無さそうに答える。

ト「じゃあ、この事を一刻も早く皆さんやマカロフさんに・・・!」

ポ「それは止めといた方が良い。」

ト「えっ?」

ベッドから立ち上がり、医務室を出て行こうとするトーヤをポーリュシカが止めた。

ポ「今ここで何を行っているか分かるだろ?盛り上がっている最中、そんな縁起でもない話を耳にしたら更に混乱を招くと、私は思うけどね。」

ポ以外「!!」

ポーリュシカの言うとおりだ。ドムス・フラウでは、フィオーレ王国中の人間が集まるお祭り、大魔闘演舞が行われている。会場が盛大に盛り上がっている中で、そんな不気味な話を耳にしたら、会場は冷静さを失い大混乱を招く。次第に死者の仮面(デスマスク)の奴等の耳にも届き、妖精の尻尾(フェアリーテイル)だけでなく、他のギルドや観客も襲う可能性がある。つまり、

シャ「最悪の事態になるって事ね・・・」

シャルルが締めくくるように言った。その場にいた全員は顔を伏せた。

ポ「とにかく、これ以上話を広めたら厄介な事になりうる。今の話は、ここにいるあんた達とエルザ、私だけの秘密にしておくんだよ。」

ポーリュシカの言葉にその場にいた全員は大きく頷いた。

*****************************************************************************************

チャ「さぁ!バトルパートも前半戦が終わりました。いよいよ、バトルパートも後半戦に突入ですっ!!」

会場ではチャパティ・ローラの熱気溢れる実況の声が響き渡る。

ヤ「盛り上がってきたね~。」

レ「1日目とは思えませんね。」

オープニングゲームの『浮上板(フロウトプレート)』、第1試合のカリンとアリーのバトル、第2試合のイヴとチルチルのバトル、第3試合のウェンディとリノのバトル。ここまでぶっ通しで見てきた観客達の盛り上がりは止まらない。

チャ「それでは、第4試合に参りましょうっ!!」

迫力がありすぎて、チャパティ・ローラの額には大量の汗が滲んでいた。実況で身を乗り出す度、辺りに汗が飛び散る。

チャ「第4試合、四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)、ウォークライ!!VS幸福の花(ハピネスフラワー)、スミレ!!」

観全「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」

石造りの会場の出入り口からウォークライとスミレが姿を現した。

ロ「ウォークライ!お前の力、今年こそ見せてやれっ!俺達は、ワイルドォ・・・」

四つ首全「フォーーーーーッ!!!」

ロッカーの声と共に掛け声を叫ぶ。驚くくらい息がピッタリだ。

ヤ「あのスミレっていう女の子は、確か14歳(ズゥヨンサイ)だったねぇ?」

レ「風の噂で聞いた事があるんですが、スミレさんは、以前妖精の尻尾(フェアリーテイル)の最強女魔道士、妖精女王(ティターニア)のエルザと、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の頭脳派魔道士のショールとの対戦経験があるらしいですよ。」

「風の噂」ではなく、「事実」だ。

エ「あの日からスミレがどれだけ強くなっているか、楽しみだな。」

ル「ていうか、あのウォークライって人・・・」

エル「確か、去年剣咬の虎(セイバートゥース)のオルガって奴に・・・」

チャ「第4試合、開始ッ!!」

ルーシィとエルフマンの声を掻き消すかのように、チャパテュイ・ローラの実況と共に像の上にいる男が銅鑼をゴォォォォォン!!と力強く叩いた。すると、

ウォ「・・ぉ、ぉぉ・・・」

ス「?」

ウォークライが小刻みに震え出した。スミレは首を傾げる。すると、ウォークライの瞳にじわじわと涙が溢れ出し・・・

ウォ「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

ス「えぇっ!?」

雄叫びを上げながら号泣し始めた。スミレは驚きを隠せない。

チャ「出たぁぁぁぁぁっ!ウォークライの涙魔法ッ!」

ヤ「相変わらず面白い(オモスロイ)魔法だねぇ。」

レ「あんな魔法初めて見ました。シャッターチャァ~ンス!」

レナは素早くカメラを取り出し、号泣するウォークライを次々に撮っていく。

マ「何あの魔法ッ!?」

フ「ワイルドすぎるだろっ!?」

涙魔法を初めて見るマヤ、フレイも待機場所から身を乗り出しながら驚嘆の声を上げていた。

ウォ「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

ウォークライは『浮上板(フロウトプレート)』の時の湖が出来るんじゃないの!?と思うくらいの大量の涙を流していた。一方スミレは、ウォークライの涙魔法に少々驚きながらも、至って冷静に、菫の花の絵が描かれた薄紫色の着物の懐から横笛を取り出し、口元に当てると、

ス「♪~~ ♪~~ ♪~~ ♪~~
  ♪~ ♪~~~~ ♪~ ♪~~~~
  ♪~~~ ♪~~~ ♪~~~」

美しく、激しく、綺麗な音を奏で始めた。

チャ「何と綺麗な音色なんでしょう。」

ヤ「つい聞き入っちゃうねぇ。」

レ「心が安らぎます。」

誰もがその音色に耳を傾け、目を閉じたその時、

ウォ「うぉおおぉぉおおおおあおおああおあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」

ウォークライの悲鳴が聞こえた。慌てて目を開けると、

チャ「こ、これはぁぁぁっ!」

会場の地面に、太くて長い蔦が伸び、ウォークライの体を絡め取っていた。誰もがその光景に目を見開いた。

チャ「何とっ!我々が音色に聞き入ってるほんの数秒の間に、ウォークライは身動きが出来ない状態にっ!」

チャパティ・ローラが驚きの実況が会場に響き渡る。

ス「♪~ ♪~~ ♪~~~ ♪~~~~ ♪~~~~~
  ♪~~~~~ ♪~~~~ ♪~~~ ♪~~ ♪~」

スミレがさっきとは違う音色を奏でると、ウォークライを絡め取っていた蔦はまるで人間の手のように動くと、天高くウォークライを投げ飛ばしてしまった。

ウォ「うぉおおおおぉぉおあおおあおあおあおあああああおあおあああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

ウォークライの悲鳴は次第に小さくなり、ズドドドドオオオォォオオォオオンッ!!!と砂煙を巻き上げながら墜落した。ウォークライはまだ号泣したままだったが、立ち上がる事は無かった。

チャ「し、試合終了ォォォッ!勝者、スミレ!幸福の花(ハピネスフラワー)、10ポイント獲得!!」



パ「わぁ~い!スミレ姉が勝ったぁ~♪」

幸福の花(ハピネスフラワー)の待機場所ではパンジーがぴょんぴょん飛び跳ねながら勝った事に歓声を上げていた。

サ「でも、あの高さから墜落させてしまって・・・あの号泣する人、大丈夫でしょうか?」

ツ「大丈夫ですよサクラさん。スミレちゃんは優しい子ですから、人を死なせたりは絶対にしませんよ。」

ア「でも、骨の数本は折れているんじゃないどすか?」

幸福の花(ハピネスフラワー)のギルドマスター、アカネは困り果てた表情で小さく笑った。



チャ「続いて第5試合、蛇姫の鱗(ラミアスケイル)、トビー・オルオルタ!!VS銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)、ルチーア・ジェマニー!!」

石造りの会場の出入り口からトビーとルチーアが姿を現した。

ユ「銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)だ・・・」

グ「帽子目深に被ってるから、顔が分からねぇな。」

リョ「てか、あの犬っぽい人・・・」

トビ「犬じゃねぇよっ!これは飾りだよっ!」

リョ「き、聞こえてたのかぁっ!?」

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の待機場所にいるリョウに向かって、会場にいるトビーが怒鳴り声を上げる。

ナ「つーか、あいつの首から下がってる物何だ?」

ト「(パイプ)・・・でしょうか?」

ルチーアの首には大小さまざま、長さもさまざま、太さもさまざまの数本の(パイプ)が左右に揺れていた。

エ「あれが奴の魔法道具(魔法アイテム)なのか?」

ル「あんな何も変哲も無い(パイプ)が?」

ルチーアは(パイプ)を使ってどんな魔法を披露してくれるのか?

チャ「第5試合、開始ッ!!」

チャパティ・ローラの実況と共に、像の上にいる男が銅鑼をゴォォォォォン!!と力強く叩いた。最初に動いたのは意外にもトビーだった。トビーは胸の前で両腕をクロスさせると、さっきまで普通だった爪がシャキィンと倍以上に伸びた。

トビ「麻痺爪、メガクラゲ!この爪には、ある秘密が隠されているんだ。お前にはその秘密が分かるか?」

トビーが自信満々に問うと、

ルチ「麻痺かね?」

トビ「何で分かった!?」

一発で見破られてショックを受けるトビー。だが、この問いは誰でも分かる気がする。なぜなら「麻痺爪」とすでに「麻痺」と言っているのだから。()()妖精の尻尾(フェアリーテイル)一の問題児でもあるナツでも分かった問いだ。

ナ「おい駄作者!()()ってなんだよっ!()()って!」

そんだけナツが舐められているっていう証拠だ。さて、話が脱線してしまったので元に戻そう。

トビ「くっそぉ・・とんでもねぇ魔道士だな・・・」

まだ簡単すぎる問いに気づいていないトビーが悔しそうに顔を顰める。それを見たルチーアは、

ルチ「君は正真正銘のバカだね。」

トビ「バカって言うんじゃねぇよっ!」

ルチ「おっと!」

麻痺爪でルチーアに飛び掛るトビー。だが、ルチーアは華麗な身のこなしでトビーの攻撃を避ける。すると、首から提げていた数本の(パイプ)のうち1本を手に持つと、

ルチ「交響曲(シンフォニー)。」

(パイプ)を口に銜え、息を吹いた。すると、(パイプ)から音が出てトビーを襲った。

ト「うおっ!」

ルチ「続いて、協奏曲(コンチェルト)。」

トビ「おあっ!」

トビーは耳を塞ぐ。耳を塞いでも、攻撃は続く。

ルチ「夜想曲(ノクターン)狂想曲(カプリッチオ)。」

トビ「うぎゃあっ!お゛お゛お゛お゛お゛ぉぉぉっ!」

さまざまな美しき音色と、痛みを訴える悲鳴が会場に響き渡る。

エル「お、音が・・牙を剥いてる・・・」

エルフマンが小さく呟いたのと同時に、マヤが両耳を塞いだ。

マ「こ、こんな音・・・き、綺麗じゃ、ないよ・・・・ざ、雑音だよ・・・」

観客のほとんども、マヤと同じ気持ちで耳を塞いでいた。

ルチ「美しき音色は、時に鋭い刃に変わる時がある。それが、今なんだっ!」

そう言うと、ルチーアは(パイプ)の中で一番大きくて長くて太い(パイプ)を手に持つと、

ルチ「不協和音(デイス・コード)!」

(パイプ)を口に銜え、息を吹いた。すると、ギィイイィィイイイイイとゆう耳が壊れるような不協和音(デイス・コード)が会場全体に響き渡った。

ナ「うああぁぁあああぁあああっ!」

エ「くっ・・・!」

フ「な・・何なんだよ~・・・!」

トビ「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」















美しき音色は、時に鋭い刃に変わる・・・















トビーは耳を塞いだ状態のままバタッと倒れ、立ち上がる事は無かった。

チャ「し、試合終了ォォォッ!勝者、ルチーア・ジェマニー!銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)、10ポイント獲得!!」 
 

 
後書き
第165話終了です☆
第4試合も第5試合も終わってしまい、次はいよいよ大魔闘演舞1日目最後のバトルパート!残っているギルドは・・・読者の皆さんはすでにお分かりですね。
次回は第6試合!果たして、どんなバトルを繰り広げてくれるのかっ!?
それではまた次回~☆ 

 

第166話 紅蓮鳥

 
前書き
07で~す♪
今回は大魔闘演舞1日目のバトルパート最終試合!果たして、どんなバトルを繰り広げてくれるのかっ!?
今回もナレーション風です。
それでは、第166話・・・スタート♪ 

 
チャ「さぁ!いよいよ大魔闘演舞1日目のバトルパートも最終試合となりましたっ!」

これまで、月の涙(ムーンティア)のカリンと、海中の洞穴(マリーンケイヴ)のアリー、青い天馬(ブルーペガサス)のイヴと、白い柳(ホワイトウィロウ)のチルチル、妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)のウェンディと、死者の仮面(デスマスク)のリノ、四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)のウォークライと、幸福の花(ハピネスフラワー)のスミレ、蛇姫の鱗(ラミアスケイル)のトビーと、銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)のルチーアが戦った。残るギルドは後2つ、最終試合ぶつかり合うのは・・・

チャ「最終試合、妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)、フレイ・レッドシェル!!VS気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)、リート・フェイダル!!」

観全「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!」



フ「えぇっ!?お、俺ェ!?」

自分の名前を呼ばれた当の本人であるフレイはその場に飛び上がった。

マ「相手は禿鷹(コンドル)。どっちも鳥だっ!」

ト「鳥対決ですね。」

フ「お、俺、妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)のリザーブ枠なのに、いきなりバトルして良いのか?」

リョ「運営側が決めた事だ。今更返る事なんて出来る訳ねぇだろ。」

ユ「フレイだって修行したんだから、その成果存分に見せてきなよ。」

マ「その前に、まずは人間の姿にならないとね☆」



会場には茶色いジャケットを羽織ったリートと、人間の姿になったフレイが向かい合っていた。風が吹き、青緑色の髪と赤色の髪を揺らす。

ヤ「面白そう(オモスロソウ)な対決だねぇ。」

レ「リート君は気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)な実力ある魔道士でもあり、鳥人間(バードマン)という異名でも知られている有能な飛行士でもあるんですよね。」

ヤ「フレイ君はどう出るのかねぇ?」

チャ「さぁ!予想もつかないこの戦い、勝つのはいったいどっちだ!?最終試合、開始ッ!!」

チャパティ・ローラの実況と共に像の上にいた男が銅鑼をゴォォォォォン!!と力強く叩いた。それを合図に、最初に動き出したのはフレイだった。フレイは脇腹の辺りで両手を組むと、

フ「ファイアメイク、弓矢(アーチェリー)ッ!!」

炎を纏った矢をリートに向かって放つ。リートは避けもせず、正面から炎を纏った矢に向かい討つと、

リ「接収(テイクオーバー)鳥の魂(バードソウル)!」

リートの体がいくつもの四角に分裂し始めた。

エル「接収(テイクオーバー)!?」

リサ「鳥の魂(バードソウル)・・・聞いた事も無いわ・・・・」

同じ接収(テイクオーバー)を使うエルフマンとリサーナは目を見開く。そして、会場には人間の姿になり、目の前の光景に目を見開いているフレイと、巨大な翼を広げ、大きな黒い瞳、鋭く尖った口ばしを持つ巨大な鳥がいた。

チャ「な、なな何と言う事でしょう!リートが鳥に変身したぁぁぁっ!!」

鳥の姿になったリートは、翼で炎を纏った矢を弾き飛ばしてしまった。弾き飛ばされた矢はフレイの頬を掠め壁に当たって折れてしまった。

リ「驚いたか?」

まだ驚いているフレイに鳥の姿になったリートが問う。

リ「俺が鳥人間(バードマン)っていう異名で知られているか分かっただろ?」

フ「あぁ。でも、それなら俺も、お前と同じ鳥人間(バードマン)だ。」

リ「?」

そう言うと、フレイの体が光り出した。

チャ「と、突然、フレイの体が光り出した!」

ナ「お、おいフレイ!」

マ「ま、まさか・・・!」

ハ「えぇっ!?」

フレイの正体を知る妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士は全員待機場所や応援席から身を乗り出して目を見開く。そして、フレイの体から光が消えた時、そこにいたのは激しく燃え盛る炎のような赤色の羽で覆われた1羽の鳥が羽を羽ばたかせていた。

チャ「な、なななな何と言う事でしょう!フレイも鳥に変身したぁぁぁぁぁっ!!会場に、2羽の鳥が集結したぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

会場全体が驚嘆の声に包まれる。

観1「お、おいあの鳥、よく動物姫(アニマルプリンセス)と一緒にいる赤い鳥じゃねぇか!?」

観2「あ、あぁ。間違いねぇ!」

観3「ていうか、本当の姿はどっちなのぉ!?」

観客のほとんどは頭の中が混乱状態になっている。

フ「驚いたなぁ。まさか鳥になれる人間が、俺の他にも存在したなんてよ。」

リ「それはお互い様だろ?だが、鳥の姿になったら俺の方が断然有利だ。大きさが違いすぎる。」

フ「あぁ。でも、お前は素早く動けねぇ。どっちも五分五分ってところだ。」

フレイは余裕な笑みを見せる。



エ「・・・私的には、フレイの方が圧倒的に不利だと思うぞ。」

ル「えっ?どうして?」

グ「あいつ、鳥の姿だと()()()使()()()()だろ。」

ル「あ・・・」

ウェ「フレイさんは、その事に自覚しているんでしょうか・・・?」



当の本人であるフレイは、また人間の姿に戻る。

フ「魔力の消費があるが、俺はこの姿で行かせてもらうぜっ!ファイアメイク、花火(ファイアフラワー)ッ!!」

リートの周りでドガン!バァン!と色とりどりの火の花が咲き誇る。

リ「くっ・・!」

花火が爆発したのと同時に煙が舞う為視界が悪くなる。

リ「ど、どこ行った?」

リートは辺りを見回すが煙のせいで全く見えない。だから気づかなかった。リートの背後で煙の中から赤い物体が飛び出す。

フ「つっつくぅ!」

リ「うあっ!いてっ!」

フレイはきつつきのように口ばしでリートの背中を連続でつつく。フレイの口ばしはリートの口ばしと比べて遥かに小さいが、鋭さは負けていない。

リ「翼斬(ウィングスライス)!」

リートは巨大な翼を刀のように振るう。

フ「ぐあっ!」

巨大な翼は見事にフレイの小さな体に直撃した。フレイは巨大な翼に弾き飛ばされくるくると宙に円を描く。その状態から人間の姿に戻ると、

フ「ファイアメイク、投げ縄(ピッチロープ)ッ!!」

先が輪になっている炎を纏った長い縄を、フレイはカウボーイのようにくるくる回すと、

フ「おらっ!」

下にいるリーと目掛けて投げた。縄は狙い通りリートの首に引っ掛かった。

ヤ「おぉ!」

レ「ナイス!」

リ「うぇっ。」

軽く首を閉められて呻き声を上げる。その縄を伝いながらフレイは地上に着地すると、

フ「ファイアメイク、噴火(イラプシャン)ッ!!」

重ねた両手を地面に着く。すると、ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・と地鳴りが響いた。

観4「うわわわわっ!」

観5「また地鳴りかよっ!」

ナ「・・ぉ、ぉぷ・・・」

エル「何で酔うんだよっ!?」

今日1日で何回地鳴りが起きたのだろうか?すると、ドガガガァァァァァン!バゴォォォォォン!ズガガガガガァァァン!と会場の地面が真っ赤な炎を噴出した。

チャ「な、何とぉっ!会場が噴火しましたっ!」

ヤ「こりゃあ迫力があるねぇ。」

次々に会場の地面がが真っ赤な炎を噴出す。それと同時に徐々に逃げ場が失われていく。リートの周りはすでに噴火した地面で囲まれていて、もう逃げ場は無かった。





いや、たった1つだけ逃げ場はあった。





リートは今鳥の姿。つまり、通常の人間では絶対に出来ない()()()()()事が出来る。リートは上を見上げた。その場から真っ直ぐ飛べば、炎にも当たらず回避する事が出来る。リートはその場で羽を羽ばたかせると、頭上へ飛び立った。

チャ「あぁっと!リートが空を飛んだぁぁぁっ!」

観全「オォォォォォォォォォォッ!!!」

観客全員の視線がリートに集まる。

リ「鳥にとって、空は縄張りのような場所だ。逃げるなら空が一番!」

自信満々に言うリート。だが・・・

フ「あぁ。縄張りでもあって、落とし穴でもある。」

リ「なっ!?」

リートが逃げた先には鳥の姿になったフレイが待ち構えていた。

フ「鳥は空へ逃げる事が出来る。だが、その空を落とし穴へと返れば、逃げる事は出来ない。お前は俺の作戦にまんまと引っ掛かったって訳だ。」

フレイはそう言いながら空中で人間の姿になる。赤い瞳にリートの驚いた顔が映る。

フ「火炎砲(ファイア・キャノン)ッ!!」

リ「ぐああぁぁあぁぁあぁあぁあぁあああああああああああああああああああああああああっ!!」

炎を纏った砲丸がリートの腹に直撃し、リートを火の海へと陥れる。が、

リ「ああああああ・・・!うぉらあっ!!」

フ「なっ!?」

リートは火の海に落ちる直前で、炎を纏った砲丸から逃れ、火の海に落ちる事からギリギリで回避した。炎を纏った砲丸はドボォン!と火の海に落ちた。

リ「はぁ、はぁ・・はぁ、はぁ・・・はぁ、はぁ、はぁ・・はぁ・・・・はぁ・・はぁ、はぁ、はぁ・・・はぁ、はぁ・・はぁ、はぁ・・・・はぁ、はぁ・・はぁ・・・はぁ、はぁ・・はぁ・・・」

フ「はぁ、はぁ・・はぁ・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・・はぁ・・はぁ、はぁ、はぁ・・・はぁ・・はぁ、はぁ・・・はぁ、はぁ・・・・はぁ、はぁ・・はぁ・・・はぁ・・はぁ、はぁ・・・はぁ。」

フレイもリートも、すでに体力と魔力が限界に近かった。会場では消火活動が行われている。

チャ「両者魔力、体力共に限界に近い!しかし、両者共倒れる事はありません!」

ヤ「熱いバトルだねぇ。」

レ「まるで炎そのものですね。」










その時、観客の1人が呟いた。

観6「フレイ・レッドシェル・・・紅蓮の炎を操る赤き鳥・・・・紅蓮鳥(クリムソンバード)!」










観全「紅蓮鳥(クリムソンバード)紅蓮鳥(クリムソンバード)紅蓮鳥(クリムソンバード)紅蓮鳥(クリムソンバード)紅蓮鳥(クリムソンバード)紅蓮鳥(クリムソンバード)!」

会場が紅蓮鳥(クリムソンバード)の大合唱で包まれる。

ト「紅蓮鳥(クリムソンバード)?」

ナ「何だそりゃ?」

ル「フレイの事じゃないかしら?ほら、紅蓮(クリムソン)は「赤」って事でしょ?」

ユ「それって、フレイの異名って事?」

エ「あいつにぴったりな異名じゃないか。」

チャ「鳴り止まない紅蓮鳥(クリムソンバード)の大合唱!今日からフレイ・レッドシェルの異名は、紅蓮鳥(クリムソンバード)に決まりだあああああああああああああああっ!!!」

観全「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」





そして、当の本人である紅蓮鳥(クリムソンバード)は、

フ「紅蓮鳥(クリムソンバード)か。命名してくれて人に感謝しなくっちゃな。」

自分の異名に満足そうに頷いた。

フ「んじゃ、紅蓮鳥(クリムソンバード)にふさわしい技を披露しますか。」

そう言うと、フレイはゆっくりと目を閉じた。それと同時にリートは身構える。

リョ「フレイ?」

グ「あいつ、何やってんだ?」

誰もが首を傾げたその時、フレイの足元に真っ赤な魔法陣が浮かび上がり、フレイの体が紅蓮の炎で包まれた。

チャ「な、なななな何とぉっ!フレイの体が紅蓮の炎ですっぽり包まれたぁぁぁっ!」

ル「えぇっ!?」

ウェ「フ、フレイさん、()()姿()ですよねっ!?」

マ「ほ、炎を・・魔法を・・・使()()()()・・・・!()()姿()()っ!」

そう。フレイの魔法は静の炎の造形魔法。だが、この魔法はフレイが人間の姿になった時にしか使えない魔法。つまり、鳥の姿では魔法も、炎も使える事が出来ない。はずなのだが・・・今、会場にいるフレイは、使えないはずの炎を使って・・・いや、纏っている!

フ「たった2週間の修行だったけど、魔力も、体力も、強さも!俺は全て上がっている。2週間の間で、俺は鳥の姿でも炎の造形魔法を使えるようになったんだ。2週間の修行の成果、今ここで見せてやるっ!!」

会場全体に聞こえるように叫ぶと、フレイは体に炎を纏ったまま体勢を低くすると、















フ「火炎螺旋刀(ファイア・ドリル)ッ!!」















炎を纏った小さな体を螺旋刀(ドリル)のようなものすごい速さで回転し、そのままリートの鳩尾目掛けて突っ込んでいく。その圧倒的な迫力に何も出来なかったリートは、

リ「ぐおぉぉおぉぉおぉぉあぁぁあああぁあぁぁあああぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」

当然、フレイの攻撃を真正面から受ける。2羽の鳥が真っ逆さまに落ちていく。そして、ズドドドドドォォォォォォォォォォン!!と砂煙を巻き上げながら消火活動が終わった湿った会場の地面に落ちた。観客は観客席から身を乗り出して、2羽の鳥が落ちたところを見つめた。砂煙が晴れると、接収(テイクオーバー)が解け、人間の姿に戻ったリートが目を回してその場に伸びていた。服が少し黒く焦げている。その上で、真っ赤な羽を羽ばたかせながらフレイは空を飛んでいた。

チャ「試合終了ォォォ!|勝者、フレイ・レッドシェル!妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)、10ポイント獲得!!」

*****************************************************************************************

妖精全「フレイーーーーー!!!」

待機場所から妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)のメンバーと、妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)のメンバーがフレイに駆け寄る。

フ「よぉ!勝ったぞ!」

ル「やったわね。」

ウェ「お疲れ様です。」

マ「フレイ~!いつからあんな事出来るようになったのぉっ!」

フ「だから修行の時だって。皆を驚かせようと思って内緒にしてたんだよ。」

マ「フレイの意地悪~!」

フ「って!叩くな蹴るな殴るなっ!」

ユ「マ、マヤ、落ち着いて!」

ト「あわわわわわ・・・」

この時点で、妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)は8ポイント。妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)は12ポイントだ。

ナ「俺達負けてるじゃねぇかっ!」

リョ「おしっ!逆転したっ!」

エ「まだ大魔闘演舞は始まったばかりだ。巻き返しはいくらでも出来るぞ。」

エル「逆転して勝利を掴むのが漢だっ!」

グ「意味分かんねぇって。」

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チャ「さて、バトルパートも全て終了したところで、これまでの順位を見てみましょう。」

会場に映像魔水晶(映像ラクリマ)の映像が映し出された。






                          『順位表』

                 1位 銀河の旋律(ギャラクシーメロディー) 20
                 2位 海中の洞穴(マリーンケイヴ)   16
                 3位 死者の仮面(デスマスク)   13
                 4位 幸福の花(ハピネスフラワー)   12
                 4位 妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)12
                 6位 青い天馬(ブルーペガサス)    11
                 7位 妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム) 8
                 8位 蛇姫の鱗(ラミアスケイル)     5
                 9位 月の涙(ムーンティア)      4
                10位 気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)    1
                11位 四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)   0
                11位 白い柳(ホワイトウィロウ)     0





チャ「1位はやはり銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)ですね。」

ヤ「競技パートもバトルパートも10ポイント(ズッポイント)獲得スたからねぇ。」

レ「四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)と、白い柳(ホワイトウィロウ)は0ポイント。明日頑張って下さい!」

ヤ「幸福の花(ハピネスフラワー)と、妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)は同じ順位(ズンイ)だねぇ。」

チャ「さぁ!この順位がどう変化するのかっ!?それが分かるのは明日の大魔闘演舞2日目!それでは皆さん!また明日~!!」 
 

 
後書き
第166話終了~♪と同時に、大魔闘演舞1日目終了~♪
フレイの異名が発覚!「紅蓮鳥(クリムソンバード)」考えて下さったHOLYさん、ありがとうございました!!
次回は大魔闘演舞1日目が終わって、その夜、妖精の尻尾(フェアリーテイル)は近くの酒場で宴の真っ最中!
それではまた次回~♪ 

 

第167話 運命の歯車 

 
前書き
07でございます!!
今回は大魔闘演舞1日目が終わり、その夜妖精の尻尾(フェアリーテイル)は・・・とある酒場で宴の真っ最中!そんな時・・・
ナレーション風です。
それでは、第167話・・・スタート!! 

 
ここはクロッカスにある森の小川(フォーレストブルック)という小さな酒場。ここでは今、

妖精全「乾パァァァァァァァァァァイッ!!!」

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士全員が集まって宴をしていた。ギルドでやる宴はうるさすぎるほど賑やかだが、大魔闘演舞で良い結果を残せた喜びでいつもの宴の100倍以上賑やかだった。

マカ「今日は騒げっ!食べれっ!飲めっ!踊れっ!歌えっ!バカ騒ぎじゃあああああっ!!」

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の6代目ギルドマスター、マカロフも嬉しさのあまり酒を飲みながら踊り出す。

ル「す、すごい賑やかね・・・」

ショ「ここの酒場、大丈夫か・・・?」

シャ「ついていけないわ。」

ウェ「アハハハハ・・・」

ト「でも皆さん、すごく嬉しそうですよ。」

あまりの迫力と賑やかさに圧倒されるルーシィ達は端の方でその光景をただ眺めている事しか出来ない状態。ショールは酒場が壊れてしまうんじゃないかと心配になる。現に、酒場の柱が微かにミシミシッと呻き声を上げている。妖精の尻尾(フェアリーテイル)の賑やかさは、建物1つ破壊してしまうほどの威力があるのか・・・?

ル「そういえばショール、いつ大魔闘演舞に復帰出来るの?」

ショ「ポーリュシカさんの手当てのお陰で、明日にはまた出場出来るよ。」

ショールの体に「こんなにぃっ!?」と思うほど巻いてあった大量の包帯は頭に巻いている包帯以外はほぼ外れていた。明日になれば、頭の包帯も外れる事だろう。

エ「私と同じくらい、ショールも回復力が速いんだな。」

昨年の大魔闘演舞の3日目の競技パート、『伏魔殿(パンデモニウム)』で大怪我を負いながらも見事1位に輝いたエルザの回復力は圧倒されるほど速かった。

ナ「明日はぜってぇ~に!Bチームに勝つぞぉぉぉぉぉっ!!」

ハ「勝つぞぉぉぉっ!」

マ「明日もぜぇったいに!Aチームに負けないぞぉぉぉぉぉっ!!」

フ「負けないぞぉぉぉっ!」

ナツとマヤは口々に叫びながら酒場の中を走り回っていた。ハッピーとフレイは口々に叫びながら酒場の中を飛び回っていた。

ル「無駄なくらい元気ね・・・」

シャ「あんなに騒いで、大魔闘演舞の時間違って昼寝なんかしたらどうすんのよ。」

ウェ「その時は起こすしかないよ。」

ト「マヤさんだったら、「あそこに動物がいます!」って言えば、跳ね起きると思いますよ。」

ショ「それ、本当なのか?」

ト「試しにやってみますか?」

ショールが頷くと、トーヤは酒場の中を走り回っているマヤに向かって、

ト「あっ!あそこに動物がいます!」

すると、走り回っていたマヤの足がキキィー!と止まり、

マ「動物ゥ!どこどこどこどこぉっ!?ペンギン!?トラ!?それともクジラ!?」

ものすごい速さでトーヤの前に詰め寄る。流石動物姫(アニマルプリンセス)。恐るべし反射神経・・・

ト「あ、スミマセン。見間違いでした。」

マ「えぇ~。」

マヤは残念そうに声を上げる。

ル「(普通こんな街ン中にペンギンとかトラとかクジラがいる訳ないでしょっ!)」

ルーシィは心の中で叫ぶ。口に出したらマヤは「あ、そっかぁ~☆」と簡単に流してしまうからだ。

エ「す、すごいな・・・」

ショ「い、今、全く目で追いつけなかった・・・」

ウェ「何という反射神経・・・!」

シャ「感心してどうすんのよっ!」

エルザ、ショール、ウェンディは感嘆&驚嘆の声を漏らし、シャルルが突っ込む。すると、

グ「なぁ、ユモどこに行ったか知らねぇか?」

グレイが辺りを見回しながら歩み寄って来た。珍しく服を着ている。

ル「そういえば、さっきからリョウの姿も見えないわね。」

辺りを見回しても、緑色の着物を着たリョウと、水色のワンピースを着たユモのの姿は酒場の中にはどこにも無い。いつもならリョウはナツとグレイと喧嘩をしているはずだが、そのナツとグレイも珍しい事に喧嘩をしていない。ユモはルーシィ達と一緒に会話を弾ませているはずなのだが・・・

マ「ユモなら、さっき酒場から出て行ったよ。」

フ「「ちょっと涼んでくる」って言ってな。」

グ「そうか。」

グレイはマヤとフレイの答えに素っ気無く答える。

エ「やっぱり、ユモがいないと寂しいのか?」

グ「バッ///!そんなんじゃねぇよっ!・・・ただ・・・・」

ト「グレイさん?」

グレイの顔を覗き込んだトーヤの瞳に映るグレイの表情は、どこか不安でいっぱいだった。

グ「(あん時、俺の見間違いじゃなけりゃ・・・)」

グレイの脳裏に浮かぶのは大魔闘演舞の前日、初めて来るクロッカスの街を目を輝かせて観光していたユモと一緒に歩いていた時―――――















大魔闘演舞に出場している魔道士ギルド、海中の洞穴(マリーンケイヴ)に加入しているハルトとイレーネの姿―――――















その2人の姿を見て恐怖に怯え、小刻みに震えるユモの姿―――――















この2つの光景がグレイの頭にしっかりと焼き付いてしまっている。グレイは、この2人が以前、ユモにどんな思いをさせたのかをしっかりと覚えている。

グ「(忘れた事なんて・・・一度もねぇよ。)」

この2人が魔道士ギルドに加入した訳は、またユモに辛い思いをさせる為なのか?そんな考えがグレイの頭の中を横切る。

グ「(考えるな・・・!考えたら、余計に・・・・!)」

グレイはその考えを必死に拳を握り締めて抑える。その様子を、トーヤは隣で心配そうに見ていた。

ナ「リョウは酒場にはまだ来てねぇぞ。」

ハ「「ちょっと用があるから、先にバカ騒ぎしててくれ」って言ってね。」

ル「ふ~ん。」

ルーシィもナツとハッピーの答えに素っ気無く答える。

ショ「ルーシィもリョウがいないと心細いのか?」

ル「えっ!ち、違う違う///!そんなんじゃないわよっ!・・ただ・・・ね・・・・」

ウェ「ルーシィさん?」

ルーシィの顔を覗き込んだウェンディの瞳に映るルーシィの表情は、とても悲しそうだった。

ル「(リョウ、私達に、妖精の尻尾(フェアリーテイル)に、何を隠してるの・・・?)」

そう。ルーシィは薄々感づいていた。リョウが妖精の尻尾(フェアリーテイル)の皆に何かを隠している事。そしてその秘密が、















誰にも言えない秘密だという事も―――――















ルーシィは膝の上で軽く両手を握り締める。

ル「(大丈夫。リョウもいつか話してくれるはずよ。私ったら、なにバカな事考えてるのよ。リョウを信じなきゃ・・・!)」

さっき握り締めた両手を強く握り締める。その様子を、ウェンディは隣で心配そうに見ていた。

****************************************************************************************

                          『とある橋の上で―――――』

大魔闘演舞があった夜だとは思えないくらいしーんと静まり返った夜。月明かりが橋の上にいる2人の男女の顔を照らす。

リョ「調子はどうだ?」

ア「お陰様どす。」

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士、リョウが問い、魔道士ギルド、幸福の花(ハピネスフラワー)のギルドマスター、アカネが答える。

リョ「何か、いきなり呼び出して悪かったな。」

ア「お気になさらず。」

しばらく沈黙が流れる。夜風が吹き、リョウの茶髪とアカネの赤い髪の毛を揺らす。最初に沈黙を破ったのは―――――















リョ「呼び出したのは他でもない。ユリを殺した愚か者の事だ。」















リョウだった。アカネは話の内容が分かっていたかのように悲しそうに小さく微笑んだだけだった。

リョ「何となくだけど、ユリを殺した愚か者を絞り上げたんだ。それを伝える為に呼び出したんだ。」

ア「えっ・・・」

これは予想していなかったのか、アカネは小さく驚嘆の声を漏らす。

リョ「これはあくまでも俺の推測。信じるか信じないかは、幸福の花(ハピネスフラワー)の魔道士次第だ。」

そこまで言うと、リョウは一度話を区切りゆっくりと目を閉じた。リョウとアカネの間を静かに風が吹き、それがまるで合図だったかのように、リョウは目を開けると――――――――――




















リョ「ユリを殺した愚か者は、大魔闘演舞の出場者の中にいる。」




















ア「!?」

アカネは目を見開き、口元に手を当てて声にならない驚嘆の声を漏らす。

ア「・・ほ、本当・・・どす、か・・・・?」

やっとアカネの口から出た声も微かに震え、歯切れが悪かった。

リョ「だから、さっきから「俺の推測」だって言ってるだろ。これが本当かどうかは俺にも、あんたにも分からねぇ。分かっているのは、ユリを殺した愚か者自身だけだ。自分が犯した罪は、自分が一番よく分かっているからな。まっ、そいつは『闇』の人間だから、何とも思ってねぇかもしれねぇけどな。ったく困った奴だぜ。だけど―――――」

リョウはため息交じりに肩を竦めて呟いた後、何かを決心したような瞳でアカネを見つめ、腰に差してある『嵐真剣』を鞘から抜くと、

リョ「人の命を簡単に奪う事の出来る『闇』の人間は、誰であろうとこの俺が裁いてやる。」

月の光に反射して、『嵐真剣』が銀色に光る。その姿はまるで、



これから(いくさ)に行く勇敢な武士そのものだった―――――



リョウは静かに『嵐真剣』を鞘に戻すと、

リョ「安心しろ。ユリの仇は、約束通り必ず俺がとる。俺は約束を果たさないと気が済まない性格なんでね。」

そう言うと、リョウはアカネに背を向けて歩き出した。

ア「ありがとうございます!」

アカネが頭を下げる。リョウの足が止まった。

ア「ですが―――――」

アカネは顔を上げると、リョウの逞しい背中に向かって―――――















ア「たとえユリの仇をとる為であろうと、約束を果たす為であろうと―――どうか!どうかリョウ様の命に係わる危険な行為だけは、お避け下さい!!」















リョ「!」

アカネは察したのかもしれない。



この男、リョウ・ジェノロは、約束を果たすもの、守りたいものがあれば、自らの命を捨ててまで成し遂げようとする事を―――――



リョ「おぅ。」

リョウは小さく返事をすると再び歩き出し、闇の中へと姿を消した。

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                     『夜のクロッカスの街の中で―――――』

コツ、コツ、コツと、シーンと静まり返ったクロッカスの街の通りに、靴の踵の音が大きく響く。それに重なるように、カツ、カッ、カツ、カッ、カツ、カッと2つの靴の踵の音が小さく響く。

ユ「もう出て来ても大丈夫だよ。」

ユモがワンピースの裾をひるがえしながら後ろを振り向く。だが、後ろには誰もいない。

ユ「大丈夫。グレイもいないから安心して出て来て。」

すると、建物の影から2つの靴の先がちらっと見える。

ユ「久しぶりだね――――――――――」

建物の影から2つの影が姿を現した。















ユ「ハルト。イレーネ。」















夜風でユモのワンピースの裾と、ハルトの黒髪、イレーネの薄紫色の長い髪の毛と、白いローブがなびく。

ハル「気づいてたのか・・・?」

ユ「うん。」

イ「いつ頃から・・・?」

ユ「酒場にいた時から。ハルトとイレーネったら、窓から覗いてるんだもん。」

ユモは笑顔で言う。だが、その笑顔は引き攣っていた。ユモは一度顔を伏せると、















ユ「私を・・・殺したいんだよ、ね・・・・?」















ハル&イ「!」

ユモに恨みのあるハルトとイレーネ。これまでに復讐する為ユモを殺そうとしたが、ハルトは全てグレイに邪魔され、イレーネは超魔法、ライジングシャイニーによって敗れた。

ユ「今は誰もいない。私を殺す、絶好の機会(チャンス)だよ。」

ユモは両手を広げた。そう。辺りには誰もいない。無防備な1人の少女を殺すのに対して、絶好の機会(チャンス)だ。だが、ハルトとイレーネは顔を伏せたままで何の動きも見せない。

ユ「2人共・・どうしたの?」

その2人の行為に疑惑を抱いたユモが首を傾げる。

ユ「さっきも言ったとおり、ここにはグレイも、他の妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士も、街の人達も、誰一人いない。私を殺」

ハル「違うんだ、ユモス。」

ユモの言葉を遮るようにハルトが口を開いた。

イ「私とハルトは、もう二度と、あなたにも、あなたの仲間にも手を出さない。」

ハルトの言葉に続くように、イレーネも口を開く。

ユ「えっ?」

ハルトとイレーネの言葉に、ユモは首を傾げる。

ハル「俺もイレーネも、海中の洞穴(マリーンケイヴ)に加入してから改善したんだ。」

イ「大丈夫。私達は、「もうユモスを恨まない。傷つけない。殺さない。」そう誓ったの―――」

ユ「・・・・・」

ユモは言葉を失った。

ハル「信じなくても構わない。何しろ、一度『闇』に染まった人間の言う言葉だ。信じられないのは当然だ。」

イ「立場は逆になったわ。今度はユモス、あなたが私とハルトを恨み、傷つけ、殺す番よ。」

ハル「俺達が言いたいのは、それだけだ。」

ハルトとイレーネはユモに背を向けて歩き出そうとしたその時―――――















ユ「信じるよっ!!」















ハル&イ「!」

2人が驚いて振り返ると、大粒の嬉し涙を流しながらも笑顔のユモがいた。




















ユ「ハルトもイレーネも、私の大切な友達だもん!恨む事も、傷つける事も、殺す事も・・・出来ないよっ!!」




















ハル「(変わらないな、ユモスは・・・)」

イ「(どうして、あんなに・・・優しいの・・・・?)」

ハルトとイレーネはユモに小さく笑い掛けると再び背を向けて歩き出し、闇の中へと姿を消した。ユモは右手で涙を拭うと、空を見上げた。金色に光り輝く月の周りを、色とりどりに輝く数え切れないくらいの星がクロッカスの夜空で瞬いていた。






























この時はまだ、誰も気づいていなかった――――――――――





6日後に、この街で起こる、予想も出来ない出来事の事を――――――――――





その出来事が、『絶望』、『憎しみ』、『闇』、『悪』、『恨み』、『残酷』、『悲惨』、『野望』、『欲望』、『死』の10拍子から成り立っている事を――――――――――





それと同時に――――――――――





運命の歯車が、逆回りしてしまった事を――――――――――





この時はまだ、誰も気づいていなかった――――――――――






























 
 

 
後書き
第167話終了ですっ!
リョウの推測は正しいのか・・・!?ユモ、ハルト、イレーネの因縁の関係は・・・!?6日後に起こる出来事とは・・・!?と、謎だらけのお話でした。
次回は大魔闘演舞2日目!2日目の競技パートは・・・えっ?(タワー)
それではまた次回! 

 

第168話 『登塔』

 
前書き
07です☆
今回は大魔闘演舞2日目!2日目の競技パートは・・・えっ?(タワー)
ナレーション風です。
それでは、第168話・・・スタート☆ 

 
「♪~~~~~ ♪~~~~~ ♪~~~~~ ♪~ ♪~
 ♪~~~~~ ♪~~~~~ ♪~~~~~ ♪~ ♪~」

夜が明け、クロッカスの街に軽やかなファンファーレが鳴り響く。

チャ「大魔闘演舞2日目!今日も盛り上がっていきましょうーーーっ!本日の特別ゲストは、昨日に引き続き週刊ソーサラーの記者、ジェイソンさんにお越し頂きました。」

ジェ「COOL!COOL!COOOOOL!!」

まだ競技パートも始まっていないというのにテンションがマヤ以上に高いジェイソンである。

チャ「これまでの順位で、1位は銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)、2位は海中の洞穴(マリーンケイヴ)、3位は死者の仮面(デスマスク)がトップ3となっています。」

ヤ「どのギルドもこのままキープ出来ると良いねぇ。」

ジェ「波乱万丈の勝負(バトル)を楽しみにしてるぜっ!COOOOOOOOOOL!!!」

チャ「それでは早速2日目競技パートに参りましょう!」

すると、どこからか大魔闘演舞のマスコットキャラクター、マトー君が姿を現した。

マト「競技の名は・・・『登塔(クライムタワー)』!!」

観全「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!」

競技の名を言っただけなのになぜこんなに盛り上がるのだろうか?

フ「『登塔(クライムタワー)』?」

マ「どうゆう意味?」

エル「そのまんまの意味で、(タワー)を登るんじゃないか?」

グ「『浮上板(フロウトプレート)』より随分簡単そうじゃねぇか。」

ショ「ただ登るだけで良いんだからな。」

1日目の競技パート、『浮上板(フロウトプレート)』に出場したグレイとショールは不満の声を漏らす。

マト「出場者は各ギルド1名です。」

それぞれの魔道士ギルドのメンバーが輪になった。





セ「今度は俺が行って来るぜっ!」





映像魔水晶(映像ラクリマ)に映像が映し出される。

チャ「最初に名乗り出たのは月の涙(ムーンティア)、セイン・ロード!!」





シェ「私が行く!頑張っちゃうよ~♪」

オ「本気を出さなかったら回すよ!」





映像が切り替わり、

チャ「蛇姫の鱗(ラミアスケイル)からはシェリア()()()()()

ヤ「「()()()()()」!?」







ナデ「い・・いいいい行って来ますっ!」





映像が切り替わり、

チャ「幸福の花(ハピネスフラワー)からは、ナデシコ!!」





レ「俺が行く。」





映像が切り替わり、

チャ「銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)からは、レヴル・スイスト!!」





エ「今度は私が行こう。」

ナ「俺に行かせろぉぉぉっ!」

ル「頑張って、エルザ!」





映像が切り替わり、

チャ「妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)からは、妖精女王(ティターニア)こと、エルザ・スカーレット!!」

ジェ「COOL!」





バ「うぃぃぃっよっとぉ~・・・俺がぁ行くぜぇ~。ワイルドォォォ!」





映像が切り替わり、

チャ「あんなに酔っ払っていて大丈夫なのか!?四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)からは、バッカス!!」

ヤ「ベロンベロンだねぇ。」

ジェ「COOL!」





ハル「最初は俺が行く。」

イ「頑張ってね、ハルト。」





映像が切り替わり、

チャ「海中の洞穴(マリーンケイヴ)からは、ハルト・パーカー!!」





ユ「ハルト・・・・私が行く!」

グ「!?」

ト「ユモさん、頑張って下さい!」





映像が切り替わり、

チャ「妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)からは、氷上の舞姫こと、ユモス・クオリナ!!」

ハル「ユモス!?」

ユ「負けないからね、ハルト。」

ハル「お、おう。」





タ「おしっ!俺の出番だぁぁぁっ!!」





映像が切り替わり、

チャ「白い柳(ホワイトウィロウ)からは、タクヤ・トースティー!!」





一「私が行こう。勝利の香り(パルファム)が、私を呼んでいる!」





映像が切り替わり、

チャ「青い天馬(ブルーペガサス)からは、一夜=ヴァンダレイ=寿!!」

観女1「イヤァァアァアアアアアッ!」

観女2「きもぉ~い!」

ヤ「す・・すごい、ブーイングだねぇ・・・」





リ「今日の最初(スタート)は俺からだっ!昨日は墜落状態だったからな。今日はそのリベンジだっ!」





映像が切り替わり、

チャ「気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)からは、リベンジに燃える鳥人間(バードマン)こと、リート・フェイダル!!」





オガ「リノ、お前が行け。」

リノ「了解です。」





映像が切り替わり、

チャ「死者の仮面(デスマスク)からは、リノ・ハビュット!!」





会場のど真ん中に、大魔闘演舞2日目の競技パート、『登塔(クライムタワー)』に出場するエルザ、ユモ、セイン、シェリア、ナデシコ、レヴル、バッカス、ハルト、タクヤ、一夜、リート、リノが集結した。

セ「エルザさん!お久しぶりですっ!」

エ「お前は・・・セインか?久しぶりだな。」

月の涙(ムーンティア)がまだ闇ギルドだった頃、セインはエルザとショールとの対戦経験がある為、エルザとは顔見知りでもあり、その強さも実感している。

ユ「何か、強者揃いになっちゃったね。」

ナデ「で、でも・・・!そ、そそその方が、面白味が・・ああああありますぅっ!」

すると、石造りの観客席の下にある出入り口から大魔闘演舞のマスコットキャラクター、マトー君がちょこちょこと歩いて来た。マトー君は『登塔(クライムタワー)』の出場者達の前で止まると、

マト「では、大魔闘演舞2日目の競技パート、『登塔(クライムタワー)』のルール説明を行いますカボ。」

そう言うと、マトー君は白い手袋をした指をパチン!と鳴らした。すると、ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・と会場に地鳴りが響いた。

観3「ま、また地鳴りかよっ!?」

観4「2日連続で何なんだよっ!?」

すると、会場の地面に『登塔(クライムタワー)』の出場者達を取り囲むように12個の巨大な魔法陣が浮かび上がり、その魔法陣から天高く聳え立つ巨大な12の(タワー)は姿を現した。

チャ「な、何とっ!会場に巨大な(タワー)が出現したぁぁぁっ!!」

ヤ「こりゃあすごいねぇ。」

ジェ「COOL!COOL!COOOOOL!!」

ジェイソンは興奮しすぎてアンテナのような髪がピーンと立ち、腕を上下に振っている。

ナ「で・・でっけぇ~。」

リョ「エルザとユモの奴、これを登るのかぁっ!?」

グ「気が遠くなりそうだ・・・」

待機場所にいたナツ達も(タワー)の迫力差に圧倒される。よく見ると、12の(タワー)の入り口辺りにA~Lの文字が刻まれている。

シェ「うわぁ~!」

リ「こりゃすげ~な。」

バ「ヒック。面しれェ・・・ウックゥ~・・・・」

出場者達も驚嘆の声を上げる。

マト「ルールはとっても簡単。A~Lの12の(タワー)のどれか1つを選び、(タワー)の頂上に辿り着いた時間を競う競技カボ。」

タ「こ、これを登るぅっ!?」

ハル「うわっ・・・」

タクヤとハルトは(タワー)を見上げる。頂上はここからだと全く見えない。

マト「もちろん、ただ登るだけでは面白味がありませんので、(タワー)の中にこのようなものを準備(セット)させて頂きましたカボ。」

そう言うと、マトー君はまた指をパチン!と鳴らした。すると、映像魔水晶(映像ラクリマ)の映像に(タワー)の中が映し出された。映っていたのは(タワー)の中と―――――










(タワー)の中にいる巨大な怪物(モンスター)―――――










観5「ひぃっ!」

観6「あ・・あんなのが(タワー)の中にうじゃうじゃいるのかよ・・・?」

観客は恐怖に怯える。

マト「(タワー)の中にいる数え切れないくらいの怪物(モンスター)を倒しながら、皆さんには頂上を目指してもらうカボ。」

一「ず・・随分と、派手な舞台(ステージ)だな・・・」

レ「あんたが一番怯えているぞ。」

この12人の中で一番年配の一夜が冷や汗を流している。その様子にレヴルが冷静に突っ込む。

マト「(タワー)の中の怪物(モンスター)に倒されたり、魔力切れで倒れたらその時点で失格となりますカボ。頂上に着いたら頂上にある信号弾を打ち上げるカボよ。」

エ「つまり、早く頂上に着くほどポイントは高くなる訳だな。」

マト「そういう事カボ。では皆さん、くじ引きでA~Lのどの(タワー)を登るか決めるカボ。」

どこから取り出したのか、マトー君が持っていた箱に入っている棒を出場者達は手に取る。すると、ポンッと英数字が書かれたホログラムが浮かび上がった。

エ「私はEの(タワー)か。」

ユ「すごい!ERZA(エルザ)の頭文字じゃん!私なんて最後、Lの(タワー)だよ。」





チャ「くじ引きの結果、(タワー)の振り分けはこのようになりました。」

チャパティ・ローラの実況と共に、映像魔水晶(映像ラクリマ)の振り分けが映し出された。





                           『(タワー)の振り分け表』

                          A リート・フェイダル
                          B レヴル・スイスト
                          C セイン・ロード
                          D ハルト・パーカー
                          E エルザ・スカーレット
                          F シェリア・ブレンディ
                          G ナデシコ
                          H タクヤ・トースティー
                          I バッカス
                          J リノ・ハビュット
                          K 一夜=ヴァンダレイ=寿
                          L ユモス・クオリナ





ウェ「エルザさんはEの(タワー)、ユモさんはLの(タワー)ですね。」

マ「あっ!ERZA(エルザ)の頭文字のEだっ!」

ル「よく気づいたわね・・・」

ショ「ユモ、最後・・・?」

エル「ユモの奴、くじ運悪いんだな・・・」

出場者達がそれぞれの(タワー)の前に立つ。

チャ「大魔闘演舞2日目競技パート、『登塔(クライムタワー)』、開始ッ!!!」

チャパティ・ローラの力強い実況と共に像の上にいる男が銅鑼をゴォォォォォン!!と力強く叩いた。遂に『登塔(クライムタワー)』が始まった。出場者達は(タワー)の中へと入って行った。

チャ「会場の皆さんは映像魔水晶(映像ラクリマ)の映像から(タワー)の中の様子をご覧下さい。」

会場に6つの映像が映し出され、1つの映像に2つの(タワー)の中の映像が映し出された。

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                           『Eの(タワー)

Eの(タワー)へと入って行ったエルザの目の前に、早速3体の怪物(モンスター)が立ち塞がった。エルザは冷静に天輪の鎧に換装すると、

エ「天輪・三位の剣(トリニティ・ソード)ッ!!」

逆三角形に輝く剣で3体の怪物(モンスター)を攻撃する。

エ「私の前に立ち塞がるとは良い度胸だ。どれほどの強さなのか、見せてもらおう。」





                           『Lの(タワー)

Lの(タワー)へと入って行ったユモの目の前に、巨大な青い怪物(モンスター)が立ち塞がった。怪物(モンスター)は口から冷気の光線を放つ。ユモは華麗にかわすと、両手を構え、冷気を溜めた。

ユ「へぇ。怪物(モンスター)も氷を使うんだね。じゃあ、どっちが強いか、比べてみる?」

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チャ「あぁっと!Eの(タワー)に入って行ったエルザとLの(タワー)に入って行ったユモスが次々に怪物(モンスター)を撃破していきますっ!!」

映像に映るエルザとユモは華麗な身のこなしで怪物(モンスター)の攻撃をかわし、エルザは100種類以上ある鎧へ次々に換装しながら怪物(モンスター)を撃破していき、ユモは氷の造形魔法を使い、または格闘技で怪物(モンスター)を再起不能にしたり、もしくはその両方を合わせて怪物(モンスター)を撃破していく。

ル「エルザもユモもすごぉ~い♪」

グ「その調子で頂上に登っちまえっ!」

すると、

シェ『天神の・・・怒号ッ!!』

Fの(タワー)に入って行ったシェリアが黒い空気の(ブレス)を放ち、|5~6体の怪物(モンスター)を撃破する。

チャ「エルザもユモスもすごいが、シェリア()()もすごぉ~い♪」

ヤ「あんたキャラ変わりすぎだろ。」

ジェ「COOOOOL!」

別の映像では、

ハル『雷球(サンダー・ボール)!』

Dの(タワー)へと入って行ったハルトが鋭く尖った自分の背丈よりも長い槍の先端に作り出したバチバチと電気を帯びる雷の球を2体の怪物(モンスター)にぶつけて撃破していく。

グ「あいつ!魔法が・・・!」

ハルトとの対戦経験があるグレイは驚嘆の声を上げる。そう。ハルトの魔法は闇魔法のはずだ。だが、映像に映っているハルトが使っている魔法は雷を自由自在に操る事の出来る槍。

グ「(あいつ・・・改善したんだな。)」

グレイは心の中でほっと胸を撫で下ろした。別の映像では、

レ『星竜の・・・咆哮ッ!!』

Bの(タワー)へと入って行ったレヴルが口から金色に光り輝く(ブレス)を放ち、10体ほどの怪物(モンスター)を再起不能にしていた。

リョ「あいつ!銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)の・・・!」

ナ「滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)だったのか・・・!?」

同じ滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)であるナツは目を見開いて驚嘆の声を上げる。

キ「驚いたか?」

妖精全「!!」

声がした方に振り向くと、銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)の待機場所にいるキース、カオリ、ルチーア、アンナがナツ達の事を見つめていた。

ルチ「レヴル君は銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)の中で唯一の滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)なんだ。」

ア「でも、火竜(サラマンダー)や天空の巫女、鉄竜(くろがね)のガジルとは違うわ。」

カ「X777年7月7日に姿を消した、星竜スフィアスターに育てられ、体内に星の滅竜魔法が使える魔水晶(ラクリマ)を埋め込んでいるの。」

ト「そ・・それって・・・!」

ウェ「第3世代の・・・滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)・・・・!」

キ「俺達銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)は、必ず妖精の尻尾(フェアリーテイル)を潰して、フィオーレ一になってやるっ!!」

キースは不敵に微笑んだ。

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                            『Eの(タワー)

エ「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

エルザは海王の鎧に換装し、5体の怪物(モンスター)目掛けて剣を振りかざした。5体の怪物(モンスター)は再起不能になる。

エ「はぁ・・はぁ、はぁ・・・はぁ、はぁ、はぁ・・はぁ・・・はぁ・・はぁ、はぁ・・・・はぁ、はぁ・・はぁ・・・はぁ、はぁ・・はぁ・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・はぁ・・・・」

剣を杖のように支えにして立ち、荒く呼吸をするエルザの目の前に「頂上まで後300m」と書かれた看板が立っていた。

エ「はぁ・・・はぁ、も・・もう少し、だ・・・はぁ、はぁ・・・」

すでに体力、魔力も限界に近い。だが、そんなエルザの目の前に、口から灼熱の炎を吐き出す真っ赤な怪物(モンスター)と、両手にバチバチと音を立てる雷を纏った黄色い怪物(モンスター)が立ち塞がった。エルザは雷帝の鎧に換装する。まずは黄色い怪物(モンスター)から撃破するつもりなのだろう。

エ「来いっ!」

その言葉を待っていたかのように、2体の怪物(モンスター)はエルザに向かって駆け出した。エルザもそれに向かい討つように、小さく地を蹴り駆け出した。





                           『Lの(タワー)

ユ「アイスメイク、双剣(ダブルソード)ッ!!」

ユモは2本の氷の剣を造形し、4体の怪物(モンスター)を撃破した。

ユ「はぁ、はぁ・・・はぁ・・はぁ・・・はぁ・・はぁ、はぁ、はぁ・・・・はぁ・・はぁ、はぁ・・・はぁ、はぁ・・・はぁ・・はぁ、はぁ・・はぁ、はぁ、はぁ・・・はぁ・・・・」

ユモはその場に右膝を着いて呼吸を整える。ユモもエルザと同じように、すでに体力、魔力が限界に近かった。そんなユモの周りに、両手両足に鋭く尖った爪を持つ巨大な怪物(モンスター)と、体は小さいが、頭に鋭く尖った角を持つ複数の怪物(モンスター)がユモを取り囲んだ。ユモは両手両足に冷気を纏う。あまりの冷たさに、ユモが立っている地面が少し凍りつき、空気が小さな結晶の粒になる。

ユ「来いっ!」

その言葉を待っていたかのように、ユモを取り囲んでいた怪物(モンスター)は一斉にユモに向かって飛び掛った。ユモもそれに向かい討つように、その場で小さく飛び跳ねた。

*****************************************************************************************

エルザとユモが体力、魔力が限界に近くも怪物(モンスター)と必死に戦っていたその時―――――





シュパァァァァァァァァァァン!!!





Jの(タワー)の上空に紫色の信号弾が打ち上げられた。

チャ「あぁっと!ここで『登塔(クライムタワー)』が始まって初の信号弾が打ち上げられたぁっ!打ち上がった(タワー)はJの(タワー)!Jの(タワー)に入って行ったのは――――――――――」

映像魔水晶(映像ラクリマ)の1つがJの(タワー)の頂上をアップで映す。Jの(タワー)の頂上にいるのは、顔の左半分だけが隠れる黒い仮面を着け、黒髪のショートヘアーに赤い瞳。黒いゴスロリを身に纏い、フリルの付いた黒い傘を持つ少女――――――――――

チャ「最初に頂上に辿り着いたのはリノ・ハビュットだぁぁぁっ!死者の仮面(デスマスク)、10ポイント獲得!!」

ナ「なっ!?」

マ「んっ!?」

フ「だっ!?」

ナ&マ&フ「とぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!?」

ル「そ・・それ、漫才(コント)・・・?」

エル「ルーシィが言っても意味ねぇと思うぞ・・・」

映像魔水晶(映像ラクリマ)の映像に映るJの(タワー)の頂上に立つリノを見て驚嘆の声を上げるナツ、マヤ、フレイ。

ショ「あいつが1位ッ!?」

リョ「エルザとユモはどうしたっ!?」

リョウが叫んだその時――――――――――





シュパァァァァァァァァァァン!!!

シュパァァァァァァァァァァン!!!





Bの(タワー)の上空に黄色い信号弾、Eの(タワー)の上空に赤い信号弾が打ち上げられた。

チャ「リノに続いて2つの信号弾が打ち上げられたぁっ!打ち上がった(タワー)はBの(タワー)とEの(タワー)!まず、Bの(タワー)に入って行ったのは――――――――――」

映像魔水晶(映像ラクリマ)の1つがBの(タワー)の頂上をアップで映す。Bの(タワー)の頂上にいるのは、銀色の髪の毛に黄色い瞳。裾がボロボロの紺色のローブを羽織っており、左頬と額に大きな傷がある少年――――――――――

チャ「2番目に辿り着いたのはレヴル・スイストだぁぁぁっ!銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)、8ポイント獲得!!そして、Eの(タワー)に入って行ったのは――――――――――」

映像魔水晶(映像ラクリマ)の1つがEの(タワー)の頂上をアップで映す。Eの(タワー)の頂上にいるのは、風でなびく緋色の髪の毛に、傷だらけの体。胸の部分に包帯を巻き、裾の方に炎の模様が描かれた赤い袴を穿き、銀色に光り輝く剣を天に掲げた少女――――――――――

チャ「3番目に辿り着いたのはエルザ・スカーレットだぁぁぁっ!妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)、6ポイント獲得!!」

グ「おっしゃあああああっ!!」

ル「ヤッタァァァァァッ!!」

妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)のメンバーは腕を天に突きつけ、手を取り合って喜ぶ。この時点で妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)は14ポイント。妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)を抜いた。すると――――――――――





シュパァァァァァァァァァァン!!!

シュパァァァァァァァァァァン!!!

シュパァァァァァァァァァァン!!!





Fの(タワー)の上空に黄緑色の信号弾、Lの(タワー)の上空に水色の信号弾、Dの(タワー)の上空に緑色の信号弾が打ち上げられた。

チャ「レヴル、エルザと続いて3つの信号弾が打ち上げられたぁっ!打ち上がった(タワー)はFの(タワー)とLの(タワー)とDの(タワー)!まず、Fの(タワー)に入って行ったのは――――――――――」

映像魔水晶(映像ラクリマ)の1つがFの(タワー)の頂上をアップで映す。Fの(タワー)の頂上にいるのは、赤紫色の髪の毛を黄色いリボンでビッグテールに束ね、笑顔で手を振っている少女――――――――――

チャ「4番目に辿り着いたのはシェリア()()()()()蛇姫の鱗(ラミアスケイル)、5ポイント獲得!!そして、Lの(タワー)に入って行ったのは――――――――――」

映像魔水晶(映像ラクリマ)の1つがLの(タワー)の頂上をアップに映す。Lの(タワー)の頂上にいるのは、水色の髪の毛を低い位置で1つに束ね、青い垂れ目。傷だらけの体に水色のワンピースを着た少女――――――――――

チャ「5番目に辿り着いたのはユモス・クオリナだぁぁぁっ!妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)、4ポイント獲得!!」

マ「イエーーーーーイッ☆」

ト「やりましたねっ。」

妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)のポイントはこれで16ポイント。再び妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)を抜いた。

チャ「そして、Dの(タワー)に入って行ったのは――――――――――」

映像魔水晶(映像ラクリマ)の1つがDの(タワー)の頂上をアップに映す。Dの(タワー)の頂上にいるのは、黒髪に緑色の瞳。青と白のトレーナーにボロボロの体を自分の背丈よりも長い槍で支える少年――――――――――

チャ「6番目に辿り着いたのはハルト・パーカーだぁぁぁっ!海中の洞穴(マリーンケイヴ)、3ポイント獲得!!」





さて、ここからは時間の無駄なので簡潔に『登塔(クライムタワー)』の結果を説明しよう。ハルトに続いてナデシコ、セインが頂上に辿り着き、幸福の花(ハピネスフラワー)月の涙(ムーンティア)が共に2ポイントずつ獲得。その後タクヤ、リートが頂上に辿り着き、白い柳(ホワイトウィロウ)気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)が共に1ポイントずつ獲得。そして、ベロンベロンになりながら頂上に辿り着いたバッカス、元から不細工な顔が更に不細工になりながら頂上に辿り着いた一夜。四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)青い天馬(ブルーペガサス)が共に0ポイントという結果になった。





チャ「これにて、大魔闘演舞2日目競技パート、『登塔(クライムタワー)』を終了致します。」

登塔(クライムタワー)』が終了したのと同時に、ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・とまた会場に地鳴りが響き渡り、12の(タワー)は魔法陣に吸い込まれていった。

*****************************************************************************************

妖精A「エルザーーーーー!!!」

妖精B「ユモーーーーー!!!」

ボロボロになったエルザとユモに妖精の尻尾(フェアリーテイル)のメンバーが駆け寄る。

エ「すまない。思った以上に時間を食ってしまい、あまり良い結果を残す事が出来なかった・・・」

ユ「私はもうボロボロだよ。何かゴメンね・・・」

若干落ち込むエルザの肩にルーシィが、ユモの肩にマヤが手を置く。

ル「何言ってるのよ。エルザは3位。ユモは5位じゃない。」

マ「ポイント稼いだんだから2人共すごいよっ!」

ルーシィとマヤの言葉に、エルザとユモは自然と笑顔になった。

ト「それより、エルザさんもユモさんもポーリュシカさんに手当てしてもらった方が良いと思いますよ。」

ウェ「エルザさんもユモさんも、すごい怪我してますし。」

エ「あ、あぁ・・そう・・・だ、な・・・・」

ユ「な・・何か、フラフラ・・・する、し・・・・」

ショ「エルザ!」

グ「お、おいユモ!」

魔力を使いすぎたのか、気を失い倒れ込んだエルザをショールが、ユモをグレイが間一髪の所で支える。

リョ「ほれほれ。ショールもグレイも速くエルザとユモを医務室に運んで来い。」

ナ「早くしねぇと、バトルパート始まっちまうからなー。」

エル「漢の勝負はこれからだっ!見逃す訳にはいかんっ!」

リョウ、ナツ、エルフマンに背中を押され、ショールはエルザを、グレイはユモを抱き抱え医務室へと足を運んだ。 
 

 
後書き
第168話終了致しました☆
・・・可笑しい。可笑しいぞ・・・・17時21分に書き始めたのに、今の時間が0時6分!!私ったら、どんだけ更新スピード遅いんだぁっ!?文字数も10000超えちゃってるしっ!?
次回は大魔闘演舞2日目バトルパートですっ!
それでは、お休みなさい~☆   ZZZ・・・ 

 

第169話 思わぬ方向へと・・・

 
前書き
こんにちは~♪
今回は大魔闘演舞2日目のバトルパート!果たして、どんなバトルを繰り広げてくれるのか・・・!?今回は第1試合だけです。
ナレーション風にいきます。
それでは、第169話・・・スタート♪ 

 
               『ドムス・フラウから少し離れたとある民家の屋根の上』

とある民家の屋根の上にいる『謎の少女』は片手に持つ映像と音声機能が付いた球体型の通信魔水晶(通信ラクリマ)から『登塔(クライムタワー)』に出場し、傷だらけで気を失い、グレイとショールに抱き抱えられているエルザとユモの事を見つめていた。

?「この時点で、妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)は14ポイント。妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)は16ポイントか。エルザ・スカーレットとユモス・クオリナは怪我をしているもの、大魔闘演舞には参加出来るわね。」

その時、

?「!?」

『謎の少女』は驚いたように目を見開き、正座の体勢から素早くその場に立ち上がり辺りを見回した。クロッカスの街に住む人々は大魔闘演舞の会場に行っている為、この場にいるのは『謎の少女』と野良猫、街灯に止まる鳥くらいだ。

?「こ、この感じ・・・ドムス・フラウからっ!?」

何かを感じ取ったのか、『謎の少女』はドムス・フラウの方を振り返る。ドムス・フラウからは大勢の人の歓喜が聞こえる。

?「確か今日は・・・大魔闘演舞の2日目、7月2日・・・・」

そう呟くと、『謎の少女』は通信魔水晶(通信ラクリマ)の電源を切り、乱暴に黒いフレアスカートのポケットに突っ込むと、今度は薄い長方形の形をした魔水晶(ラクリマ)を取り出した。電源を入れるとヒビキの古文書(アーカイブ)のように何かを探し始めた。

?「ものすごく古い歴史書でしか見た事が無かったけど・・・」

『謎の少女』は手を休めずに何かを探しながら呟く。その表情は恐怖に満ちている。が、その裏ではどこか珍しいものを見つけた時のような嬉しさも満ちていた。

?「私が作った、この情報検索魔水晶(情報検索ラクリマ)なら・・・!」



説明しよう!情報検索魔水晶(情報検索ラクリマ)とは、『謎の少女』が開発した新種の魔水晶(ラクリマ)の事だ。調べたい情報を検索し、調べた内容の映像を映し出し詳しく、正確に、簡単に調べられる事が出来る優れものだ。『謎の少女』曰く、「情報検索魔水晶(情報検索ラクリマ)で調べられないものは無い」らしい。分かりやすく言うと、読者の皆さんがいる世界ではパーソナルコンピューター(略してパソコン)のような物だ。



『謎の少女』の何かを探し出す手の動く速さ(スピード)がどんどん速くなっていく。

?「7月7日・・去年は『竜王祭』・・・そして今年は・・・・!」

『謎の少女』の何かを探し出していた手の動きが止まった。まるで、探していたものを見つけたかのように―――――

『謎の少女』が情報検索魔水晶(情報検索ラクリマ)で調べたものは――――――――――




















?「『獄悪十祭』・・・人間と悪魔の奈落(地獄)の宴・・・・」




















情報検索魔水晶(情報検索ラクリマ)の映像には、不気味な顔をした10頭の悪魔に囲まれた1人の勇者の絵が映し出されていた。





この時になってようやく、1人目の、運命の歯車が逆回りしてしまった事と、5日後に起こる予想も出来ない出来事の事に気づいた人間が現れた――――――――――





*****************************************************************************************

                        『大魔闘演舞会場、ドムス・フラウ』

チャ「『登塔(クライムタワー)』が終わったところで・・・これより!大魔闘演舞2日目の、バトルパートを始めたいと思いますっ!!」

観全「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!」

大歓声が沸き起こる。現在上位3位の銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)死者の仮面(デスマスク)海中の洞穴(マリーンケイヴ)のメンバーは余裕な笑みを浮かべ、下位3位の四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)白い柳(ホワイトウィロウ)気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)のメンバーは困惑の表情を浮かべていた。

チャ「第1試合、幸福の花(ハピネスフラワー)、ツツジ!!VS死者の仮面(デスマスク)、アーキリーズ!!」

観全「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!」

石造りの会場の出入り口からツツジとアーキリーズが姿を現した。

ヤ「ツツジは幸福の花(ハピネスフラワー)新人(スンズン)だったねぇ。」

ジェ「現在絶好調の死者の仮面(デスマスク)の魔道士はどんな魔法を使うんだぁ!?COOOOOL!!」

ジェイソンは興奮しすぎて席から立ち上がって身を乗り出し、今にも会場に飛び出してしまいそうな勢いで叫ぶ。

ナ「死者の仮面(デスマスク)の奴だ。」

グ「あいつの背中にあるのは何だ?」

グレイがアーキリーズの背中にあるものを指差して首を傾げる。

ショ「剣・・・いや、双剣か?」

ト「アーキリーズさんの魔法道具(魔法アイテム)でしょうか?」

エル「それにしても、死者の仮面(デスマスク)の奴等は所持系(ホルダー系)の魔法を使う奴が多いな。」

エルフマンが言ったとおり、コネティは指揮(コマンド)という魔法を使い、指揮棒(タクト)が無ければ使えない。リノは黒闇傘という魔法を使い、あの黒いフリルの付いた傘が無ければ使えない。まだ魔法は明らかになっていないが、アーキリーズもあの双剣を使う魔法で間違いないだろう。

ウェ「ツツジさんっていう人、大丈夫かな?」

ル「新人だし、着物着てるから動き難そう・・・」

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士達も心配そうな表情を浮かべる。

チャ「第1試合、開始ッ!!」

チャパティ・ローラの実況と共に、像の上にいる男が銅鑼をゴォォォォォン!!と力強く叩いた。それを合図に、最初に動き出したのはツツジだ。ツツジは躑躅の花が描かれた白い着物の懐から小さな容器を取り出し、容器から何かを取り出すと慣れた手つきでそれを地面に放り投げた。

ツ「秘種!」

ツツジが地面に放り投げたのは茶色い無数の種だ。すると、種から緑色の蔦が急成長して伸び、

ツ「ナックルプラント!」

握り締めた拳の形になってアーキリーズに殴り掛かる。

リョ「植物(プラント)!?」

ド「あいつ、俺と同じ魔法を使うのかぁっ!?」

リョウと応援席にいるドロイが驚嘆の声を上げる。余談だが、ドロイの右手には骨付き肉、左手にはハンバーガーが握られている。

ア「・・んで・・・」

アーキリーズはツツジの攻撃を避けようともしない。

チャ「おぉっと!アーキリーズはツツジの攻撃を避けようとしない!このまま受け止めるつもりなのかぁっ!?」

ツツジの攻撃はすぐ目の前まで迫っている。「受け止める」「このまま直撃する」と誰もが思ったその時、

ア「何で妖精の尻尾(フェアリーテイル)のクソ魔道士が相手じゃねェんだよおおおぉおおぉぉおおおおおおおおおおっ!!!」

死者全以外「!!!??」

突然ブチッ!と何かが切れ、狂ったように叫んだ。すると、アーキリーズは素早く背中に背負っていた双剣を鞘から取り出すと、

ア「うおおおぉぉおおおおぉおおおおらああぁあああぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」

ものすごい速さで双剣を振るい、拳の形をした蔦を全て真っ二つに切った。

ツ「・・・・・」

ツツジは一瞬の出来事に言葉を失った。

チャ「な・・何と言う事でしょう!アーキリーズがほんの一瞬でツツジの攻撃を止めてしまったあああああっ!!」

観全「・・・・・」

観客も言葉を失っている。

観1「おい見ろよあれ!」

観2「何だあの剣!?」

観客がアーキリーズの双剣を見て驚嘆の声を上げた。アーキリーズの双剣の銀色の刃に、黒に近い紫色の邪悪なオーラが纏わり付いていた。





リョ「あの双剣・・・7属性の武器(セットタイプ・アームズ)の1つかっ!?」

ナ「・・・(セット)・・属性(タイプ)・・・何だって?」

ル「7属性の武器(セットタイプ・アームズ)!!」

リョウがアーキリーズの双剣を見て驚嘆の声を上げ、ナツが問おうとするが上手く言う事が出来ずにルーシィに言い直された。すると、

エ「炎、水、雷、風、地、氷、闇の7つの特定された属性(タイプ)の攻撃を放つ事が出来る武器(アームズ)で攻撃や防御が出来る所持系(ホルダー系)の魔法だ。あいつが使っているのは闇の双剣だな。」

ユ「『登塔(クライムタワー)』に出場してた海中の洞穴(マリーンケイヴ)のハルトが使っていた槍も、7属性の武器(セットタイプ・アームズ)の1つで、雷の槍だよ。」

エ&ユ以外「!!?」

驚いて振り返ると、体に包帯や湿布、絆創膏を張った医務室で寝ているはずのエルザとユモがいた。

ウェ「エルザさん!」

ト「ユモさん!」

マ「もう起きて大丈夫なのっ!?」

ユ「うん。大魔闘演舞にはふつうに出場出来るし、私もエルザも、「明日には完治してるはずだ」ってポーリュシカさんに言われたから。」

フ「てか、寝てなくて大丈夫なのかよ?」

エ「どこの誰かは知らないが、あんなバカデカイ声が聞こえたというのに普通に寝ている方が可笑しいと思うぞ。」

どうやらアーキリーズの叫び声は妖精の尻尾(フェアリーテイル)専用の医務室で寝ていたエルザとユモの耳にも聞こえたみたいだ。





ア「妖精の尻尾(フェアリーテイル)のクソ魔道士の奴等と戦わせろおおぉぉおおぉおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」

ツ「キャアアァアアアァアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

叫び声を上げた当の本人であるアーキリーズは7属性の武器(セットタイプ・アームズ)の1つである闇の双剣をツツジに容赦なく振りかざした。ツツジはその場に崩れ落ちるように倒れ、それから立ち上がる事は無かった。

チャ「し・・試合終了ォォォッ!勝者、アーキリーズ!死者の仮面(デスマスク)、10ポイント獲得!!」

アーキリーズは双剣を鞘に戻すと出入り口に向かって歩き出した―――と思いきや、くるりと回れ右をして足早に歩くと妖精の尻尾(フェアリーテイル)の待機場所の真下まで来て立ち止まった。

チャ「おぉっと!アーキリーズ、なぜか妖精の尻尾(フェアリーテイル)の待機場所の真下に来て立ち止まりました。いったい、何をするつもりなのでしょうか?」

この状況でなぜか実況をするチャパティ・ローラ。会場にいる人間の視線がアーキリーズに集まる。すると、アーキリーズは再び鞘から双剣を取り出すと、1本の剣の刃先を妖精の尻尾AB(フェアリーテイルAチーム・Bチーム)のメンバーに、もう1本の剣の刃先を死者の仮面(デスマスク)のメンバーに向けると、

ア「俺達死者の仮面(デスマスク)は、お前等妖精の尻尾(フェアリーテイル)の事を恨んでいる。特にお前等をなっ!知ってる奴もいると思うが、俺達は必ず、妖精の尻尾(フェアリーテイル)を支配するっ!!」

会場が静まり返った。アーキリーズはそう言うと双剣を握ったままで出入り口を目指して歩き出した。




















ナ「出来るもんならやってみろよ。」




















妖精以外全「!!!??」

会場にいる人間の視線がアーキリーズから妖精の尻尾(フェアリーテイル)の待機場所に移動する。そこには、決して狂いの無い瞳を輝かせた12人の妖精達(フェアリー達)の姿があった。その12人の妖精達(フェアリー達)の先頭に立つナツは、右手の指先に炎で「COMEON」の文字を作ると、

ナ「俺達妖精の尻尾(フェアリーテイル)は、止まる事を知らねぇギルドだ。逃げる事も、後戻りする事も、負ける事も、諦める事も知らねぇ。妖精の尻尾(フェアリーテイル)は、どんなに強い相手だろうと、どんなに人数の多いギルドだろうと、絶対に潰されも、支配もされねぇっ!!!銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)の奴等も、死者の仮面(デスマスク)の奴等も、それ以外の奴等も、正面から掛かって来いやあああああっ!!!」

観全「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」

会場が大歓声で包まれた。

チャ「な、なななな何と言う事でしょうっ!妖精の尻尾(フェアリーテイル)が2度目の宣戦布告を出されたあああああっ!そして!妖精の尻尾(フェアリーテイル)からもそれぞれのギルドに宣戦布告を出したああああああああああっ!!」

ヤ「すごい展開になってきたねぇ。」

ジェ「ヤ・・ヤヤヤヤヤバすぎるっ!今週の週刊ソーサラーのピックアップ記事は、「波乱万丈の大魔闘演舞 勝利の女神が微笑むのはどのギルドかっ!?」に決定だぁぁぁっ!COOOOOOOOOOL!!!」

レナ以上であるものすっごい速さでメモ帳に今の宣戦布告の嵐の内容を書き込んでいく。流石ベテラン記者。以前も言ったが、今週の週刊ソーサラーは絶対に売れるだろう。ちなみに明日発売!





エル「す、すごい、盛り上がってきたな・・・」

グ「いったいどうなる事やら・・・」

ト「楽しくなりそうですね。」

ショ「ん?トーヤ、ちょっと意味が違うと思うぞ。」

観客はまだ大騒ぎをしていた。

ル「もぉ~、ナツがあんな事言っちゃったから、負ける事が難しくなっちゃったじゃない。」

マ「えっ?ルーシィ負けるの?」

ル「まだ分かんないけど、もし負けたら・・・」

弱音を吐くルーシィの肩にポンッとリョウが手を置く。

リョ「な~に、心配する事じゃねぇよ。」

エ「もし負けたら、次は全力を尽くして勝つ。それでも負けたら、更に全力を尽くして勝つ。それでもまた負けたら・・・その繰り返しだ。」

ユ「負けて諦めたら、その時点で二度と勝つ事は出来ないからね。」

フ「だから、負けたとしても絶対に諦めたらダメなんだ。「次こそは必ず!」っていう意思を持たねぇとな。」

ナ「ルーシィ、お前も妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士だ。今年も俺達皆で、フィオーレ一の座を手に入れようぜ。なっ。」

ウェ「ルーシィさん!一緒に頑張りましょうね。」

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士、ルーシィの周りには、勇気づけてくれる仲間、声を掛けてくれる仲間、自分を「仲間」と言ってくれる仲間がいる。

ル「うん!」

ルーシィは若干頬を染めながら元気よく頷いた。





ショ「!」

エ「ショール?どうしたんだ?」

隣でビクッと肩を震わせ、目を見開いたショールを見てエルザが問う。

ショ「い・・いや、何でも、ない・・・」

エ「?そう、か。」

だが、この時ショールは、『予知』で()()()()見てしまったのだ――――――――――

ショ「(な・・何だ・・・?今、一瞬だけ・・・・)」

ショールは応援席にいるシャルルを見る。

ハ「すごい事になってきたねシャルル。」

シャ「ほんとね。全く、あんな事言って大丈夫なのかしら?」

ロ「ナツ兄やルーシィ姉達なら大丈夫だよ。」

シャルルはハッピーとロメオと楽しそうに話していた。

ショ「(シャルルは、何も見ていないのか?)」

ショールが『予知』で見た()()()()。それは――――――――――






























オレンジやピンク、紫のグラデーションに染まっているクロッカスの街の空――――――――――





瞬き1つせず、石像のように黒く固まってしまった人々――――――――――





漆黒の翼を持つ巨大な生物――――――――――





息を切らしながらも、何かを目指して必死に走り続けるルーシィ、ウェンディ、トーヤ、フレイ、自分の姿――――――――――





傷だらけになりながらも、何かに攻撃を仕掛けるナツ、グレイ、エルザ、リョウ、ユモの姿――――――――――





灼熱の赤い炎と、『闇』を連想させる黒い炎が燃え盛る場所に座り込み、空に向かって泣き叫ぶマヤの姿――――――――――






























ショ「(いったい・・・何なんだ・・・・?)」





2人目の、運命の歯車が逆回りしてしまった事と、5日後に起こる予想も出来ない出来事の事に気づいた人間が現れた――――――――――






























未来は今、誰も予想する事が出来ない、思わぬ方向へと進み始めた――――――――――






























 
 

 
後書き
第169話終了~♪
・・・大魔闘演舞編、本文にも書いたとおり、思わぬ方向へと進み始めてしまいました。可笑しいなぁ・・・頭の中で考えていたお話は、もっとあっさりとしてたはずなのに・・・「何でこんな展開になったんだろう・・・?」と不思議に思う駄作者07でした。
次回は大魔闘演舞2日目バトルパートの続きです!
それではまた次回~♪ 

 

第170話 不思議な手品師

 
前書き
こんにちは~!07です!
今回は大魔闘演舞2日目のバトルパートの続きです。今回は第2試合だけです。
ナレーション風にいきます。
それでは、第170話・・・スタート! 

 
               『『謎の仕事』に挑んでいる元妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)

真っ白な霧で辺りを覆いつくされた天高く聳え立つ崖。

ガ「はぁ・・はぁ・・・はぁ、はぁ、おい・・はぁ・・・はぁ・・つ、着いた・・みてぇだ、ぞ・・・はぁ、はぁ・・はぁ・・・はぁ・・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・はぁ・・はぁ、はぁ、はぁ・・・」

その頂上に今、辿り着いた者達がいる。妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士であり、鉄の滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)であるガジル・レッドフォックス。

リ「はぁ・・はぁ、はぁ・・・や、やっと・・か・・・はぁ、はぁ・・・はぁ・・はぁ・・・・」

同じく、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士であり、ガジルの相棒であるエクシード、パンサー・リリー(通称リリー)。

ラ「はぁ・・・はぁ・・はぁ、はぁ、はぁ・・・はぁ・・はぁ・・・・」

ミ「はぁ、はぁ・・・はぁ・・はぁ、はぁ・・はぁ・・・」

同じく、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士であり、妖精の尻尾(フェアリーテイル)6代目ギルドマスター、マカロフ・ドレアーの孫、ラクサス・ドレアーと、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の看板娘であるミラジェーン・ストラウス(通称ミラ)。

ジュ「はぁ・・はぁ、はぁ・・・こ、ここが・・・はぁ・・はぁ・・・はぁ、はぁ・・・・」

カ「はぁ、はぁ、き・・『霧隠れの滝』・・・はぁ・・はぁ・・・はぁ、はぁ・・はぁ・・・・」

同じく、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士であり、グレイに好意を抱いているジュビア・ロクサーと、妖精の尻尾(フェアリーテイル)一の酒豪女のカナ・アルベローナ。

この5人+1匹は昨年大魔闘演舞に出場した元妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)である。本当はナツ達と一緒に大魔闘演舞に出場するはずだったのだが、急遽マスターからの頼みでこの『謎の仕事』をする事になったのだ。

そして―――――その『謎の仕事』の目的地である『霧隠れの滝』に彼等は到着していた。

その名の通り、『霧隠れの滝』は霧で隠れていて、更には崖の頂上にあり、ここまで来る為の道のりが険しすぎる為、ここに辿り着いたのはこの5人+1匹が史上初とされている。

ラ「本当に、ここで間違いねぇんだよな?」

ミ「間違いないわ。ほら、マスターから貰ったこの歴史書の描いてある滝の絵・・・」

ミラは背負っていたリュックサックから表紙がボロボロの歴史書を取り出し、滝の絵が描かれているページを開くと、滝口の辺りを指差した。ミラが指差したところには、(ドラゴン)のような形をした石の像が置かれていた。

ミ「この絵のとおり、あの滝の滝口にも同じような(ドラゴン)のような形をした石の像があるわ。」

ミラが歴史書から手を離し、滝口の辺りを指差す。ミラが言ったとおり、滝口にも絵と同じような(ドラゴン)の形をした石の像が置かれていた。

リ「苔塗れだが、間違いないな。」

カ「どうやらこの滝が、『霧隠れの滝』で間違いないみたいね。」

滝の水はどこから流れてくるのかも分からず、滝壺も遥か下にあり、霧で隠れている為全く分からない。

ジュ「でも、この滝の水・・少し魔力を感じます。」

ジュビアはそう言って滝に近づき、右手を前に突き出し、滝の水に触ろうとすると―――――

ジュ「キャッ!」

カ「ジュビア!?」

ガ「おい!どうした!?」

悲鳴を上げ尻餅をついたジュビアに駆け寄る。ジュビアの右手は何かで切られたかのようにいくつもの小さな切り傷があった。

ミ「ジュビア、どうしたの、その傷・・・?」

ジュ「・・滝の水に触ろうとしたら、何かに弾き飛ばされたみたいで・・・」

それを聞いたラクサスも左手を前に突き出し、滝の水に触ろうとすると―――――

ラ「!」

慌てて手を引っ込めた。

カ「ラクサス?」

ラ「どうやらジュビアが言ってる事は本当みてぇだな。」

そう言うラクサスの左手も、ジュビアほどではないが小さな切り傷があった。

リ「とにかく、マスターの言ってる事が正しければ、ここのどこかにあるはずなんだろ?」

ガ「あぁ。ここのどこかにあるはずだ。」

ガジルは一旦話を区切り、「ギヒッ」と右口角を上げて笑うと、










ガ「闇ギルド最大勢力、ビゲスト同盟の1角、西の真空(ウェストヴァキュアム)のギルドがな。」










*****************************************************************************************

                       『大魔闘演舞会場、ドムス・フラウ』

チャ「とんだ展開になってしまいましたが、構わず第2試合に参りましょうっ!!」

銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)に続いて死者の仮面(デスマスク)妖精の尻尾(フェアリーテイル)に宣戦布告を出し、それを受けた妖精の尻尾(フェアリーテイル)が大魔闘演舞に出場しているギルド全員に宣戦布告を出してしまった思わぬ展開に会場が驚嘆と歓喜の歓声に包まれる中、チャパティ・ローラの気合が入った実況で第2試合が始まろうとしていた。

チャ「第2試合、妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)、ショール・ミリオン!!VS青い天馬(ブルーペガサス)、キルロ・ラルネス!!」

観全「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!」





ショ「それじゃ、行って来る。」

いつもの白いトレーナーに黒いベスト姿に戻ったショールが会場に向かう。

ト「ショールさん、頑張って下さい!」

フ「1日目のリベンジだと思って、全力でいけよっ!」

リョ「でも、怪我が完治したばっかなんだ。あんま無茶はするなよ。」

昨夜まで頭に巻いていた包帯が取れたばかりのショールは額に手を当てながら振り返ると、

ショ「大丈夫。今度こそ、良い結果を残してくる。」

そう言って微笑むとまた会場に向かって行った。

マ「それより、あのキルロっていう人・・・」

ユ「何者なんだろうね?」







一方、妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)の待機場所では、

ナ「次はショールか。」

エル「あいつも2週間の修行で力つけてきたからな。漢の勝負、見せてくれるわい!」

なぜかエルフマンが一番気合が入っている。

ル「エルザは応援しなくて良いの?」

ルーシィが隣にいるエルザに問うと、

エ「な~に、ショールは生活でも勝負(バトル)でも常に冷静を保っている。応援しなくても、あいつは仲間の期待にちゃんと応える奴だ。心の中で応援するだけでも十分だ。」

ル「そっか。」

ルーシィはエルザの答えに小さく微笑んだ。

グ「それより、俺が一番気になるのは・・・」

ウェ「あのキルロという方ですよね。」





観女1「キャーーーーー!ショ~ルゥ~♪」

観女2「頑張ってぇ~♪」

観客の女性達の歓声がショールに降り注ぐ。

ショ「(うぅ・・困ったなぁ~・・・すっごく戦いにくい・・・)」

ショールは曖昧な笑みを浮かべながら会場のど真ん中で立ち止まる。目の前には黒いパーカーのフードを目深に被った男か女かさえ分からない青い天馬(ブルーペガサス)の魔道士、キルロ・ラルネスがショールの事を静かに見つめていた。

ショ「(キルロ・ラルネスさんか・・・見た目的に男だな。青い天馬(ブルーペガサス)の魔道士だから、きっとヒビキさんやイヴ君、レンさんみたいにイケメンなんだろうな。でも、フードを被ってるから顔が分からないや。)」

キ「・・・・・」

キルロは相変わらず表情を一切崩さずにショールの事を静かに見つめていた。

チャ「第2試合、開始ッ!!」

チャパティ・ローラの実況と共に像の上にいた男が銅鑼をゴォォォォォン!!と力強く叩いた。試合が始まった。

キ「初めまして。1ヶ月前に、青い天馬(ブルーペガサス)に加入したキルロ・ラルネスと申します。今回はよろしくお願い致します。」

ショ「えっ?あ、ショール・ミリオンです。こ、こちらこそ、よろしくお願い致します。」

試合が始まっているのに構わず、銅鑼の音が合図だったかのようにキルロが頭を下げ、それに合わせてショールも頭を下げる。

ヤ「おやおや、キルロ君は随分と礼儀正スいねぇ。」

ヤジマが呑気にその光景の感想を述べる。

キ「ショールさんの事はマスターから伺っています。マスターのギルドへの誘いを何度も断っていたらしいですね。」

ショ「ま、まぁ・・・」

週刊ソーサラーの「彼氏にしたい魔道士ランキング」でいつもヒビキと共に常に上位をキープしているショールは美男美女しか入る事が出来ない青い天馬(ブルーペガサス)には楽々と加入する事が出来る。それを知った青い天馬(ブルーペガサス)のギルドマスター、ボブは何度もショールを青い天馬(ブルーペガサス)に誘ったが、当時人を信じる事が出来ていなかったショールは全て断っていた。

ショ「(参ったなぁ・・・キルロさんと戦いにくいなぁ~。)」

ショールはまや曖昧な笑みを浮かべる。

キ「それで、僕は考えてみました。」

そう言うと、キルロはショールに手を差し伸べると―――――















キ「この勝負、僕が勝ったら、ショールさんは青い天馬(ブルーペガサス)の魔道士として招き入れます。」















ショ「・・・えっ?」

妖精全「ぬあぁぁぁああぁああああぁぁああああああああああにいいぃぃいいいぃいいいいいいいいいいっ!!?」

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士は全員目を見開いて驚嘆の声を上げた。

チャ「な、何とっ!キルロがショールにギルド変換条件を言い渡したあああああっ!!」

観3「ど、どういう事だよっ!?」

観4「ショールが妖精の尻尾(フェアリーテイル)から青い天馬(ブルーペガサス)に移っちゃうのぉっ!?」

観5「ま、まぁ、ショールなら青い天馬(ブルーペガサス)に楽々加入出来ると思うけど・・・」

観客達もざわつき始める。

マカ「ボブゥ~!これはいったいどういう事じゃあああああっ!?」

妖精の尻尾(フェアリーテイル)のギルドマスター、マカロフが応援席から青い天馬(ブルーペガサス)の待機場所にいる青い天馬(ブルーペガサス)のギルドマスター、ボブに怒鳴りながら問うと、

ボ「私はただ、キルロちゃんにショール君の話をしただけなのよぉ~。そしたらあの子、「ショールさんを青い天馬(ブルーペガサス)に招き入れる」んだって決意しちゃって・・・私はもうとっくのとうに諦めてたんだけど。」

ボブは曖昧な笑みを浮かべながら右手を頬に当てる。

ナ「冗談じゃねぇっ!ショールは俺達の仲間なんだっ!おいぃぃっ!そこの()()()って奴!ふざけた真似すんじゃねぇぞおおぉおぉぉおおおおおっ!!」

ナツが待機場所から身を乗り出して叫ぶ。キルロはナツの方を振り向くと、

キ「僕の名前はキルロだ。人の名前を間違えるほどの記憶力の無い人間にそんな事を言われたくないね。僕は、一度決めた事はそう簡単に諦めないよ。」

ナ「うぬぬぬ・・・!」

キルロの言ってる事が正論の為ナツはそれ以上言い返す事が出来なかった。

ショ「キルロさん、それは賭けという事かな?」

すると、今までずっと黙っていたショールが口を開いた。

キ「まぁ、簡単に言えばそういう事だ。もしかして、僕と勝負する前に青い天馬(ブルーペガサス)に加入する気になった?」

ショ「まさか。」

ショールは肩を竦めて笑った。

ショ「賭けという事は、お互い掛け金を出し合うのが約束だ。まぁ、今回はお金ではないけど、キルロさんの掛け金は俺を青い天馬(ブルーペガサス)の魔道士として招き入れる事だよね?」

キ「なるほど。ショールさんも掛け金を出すという事か。いいよ。ショールさんの掛け金はいくらだい?」

お金ではないが、キルロは「いくら」と聞いてショールに手を差し伸べる。会場が緊迫の空気に包まれた。















ショ「この勝負、俺が勝ったら、キルロさんはそのフードを脱いでもらう!」















ショ以外「・・・えっ???」

会場にいたショール以外の人間が皆ポカーンとした顔をする。

キ「こ、このフードを・・・!」

キルロが少し青ざめた顔になってフードを押さえながらショールに問う。

ショ「キルロさん、ずっとそのフード被ったままだから、「素顔を見てみたいな~」って思って。」

キルロはしばらく黙り込んでいたが、

キ「・・・分かった。賭け、成立だね。」





ヒ「流石ショール君だね。」

イ「キルロ君のプライバシーであるフードに目をつけるとは。」

レ「ったく。どんだけ頭良いんだよ。」

ジェ「それにしても、キルロも頑固よね~。」

青い天馬(ブルーペガサス)の待機場所にいるヒビキ、イヴ、レン、ジェニーは口々に呟く。

一「面白い勝負(バトル)になりそうだね。期待しているよ、ショール君、キルロ君。」

一夜が妙なポーズをしながら呟いた。





チャ「さぁ!賭けを言い渡したショールとキルロ!どんな戦いを繰り広げてくれるのかっ!?」

ジェ「両者どちらもCOOL!」

ヤ「それより、賭けをスたせいで時間(ズカン)が短くなってるから急がないとねぇ。」

ヤジマの言うとおり、残り時間はすでに15分を切っていた。

リョ「おいショール!そんな奴に負けたら許さねぇからなあああっ!!」

エ「ショール!お前は妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士なんだっ!仲間なんだっ!必ず勝って、妖精の尻尾(フェアリーテイル)に戻って来いっ!!」

リョウとエルザが待機場所から叫ぶ。もちろん、そう思っているのはリョウやエルザだけではない。ナツもマヤも、フレイもルーシィも、グレイもユモも、ウェンディもトーヤも、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士全員がそう思っていた。

ショ「(最初から負けるつもりは無い。)」

ショールは拳を固く握り締める。

ショ「(この勝負・・・負ける事は許されない!)」

固く握り締めた拳を広げ、キルロに突き出すと、

ショ「スモール!」

キルロの攻撃力、守備力を下げた。

ショ「ギアチェンジ!モード水!!」

ショールは両手に水を纏うと地面を小さく蹴り駆け出した。

キ「手品(トリック)か。ならば・・・!」

それに向かい討つようにキルロも小さく地を蹴り駆け出した。

ショ「水力拳!!」

ショールが水を纏った拳をキルロに振りかざす。が、

キ「受け止め装置、発動!」

キルロが背負っていた白と黒のリュックサックから3本指の機械の手が伸び、ショールの拳を受け止めた。

ショ「!?」

キ「蹴り上げ装置、発動!」

すると今度は白と黒のリュックサックから4本指の機械の足が伸び、

ショ「うがっ!」

ショールの顎を蹴り上げた。ショールは地面をゴロゴロと転がる。

チャ「な、何とっ!キルロの背負っているリュックサックから機械の手足が伸び、ショールを攻撃している!」

ショールは顎の血を拭いながら立ち上がる。

キ「これが俺の魔法、機械(マシーン)だ。」

ショ「機械(マシーン)?」

キ「その名の通り、機械(マシーン)を自由自在に動かして攻撃、防御をする事が出来る能力系(アビリティ系)の魔法だ。」

リュックサックから伸びた機械の手足が上下に揺れている。

ショ「(機械(マシーン)と言う事は・・・!)」

ショールはキルロに気づかれないように小さく笑うと、

ショ「トリックルーム!」

キ「!?」

今、キルロや観客の目にはゆらゆらと揺らめく地面や会場が映っている。

ナ「ど、どうなっているのでしょう?目の前の光景が、蝋燭の火のように揺らいで見えます。」

ヤ「こりゃすごいねぇ。」

ジェ「カ、カメラのピントが合わない・・・」





ユ「トリックルーム、久々に見たな~。」

ト「め・・目が回るぅ~・・・」

ナ「ぅ・・ぅぷ・・・」

グ「酔ってどうすんだよっ!?」

エル「ていうか乗り物じゃねぇぞっ!?」

ナツが口を押さえるのを見たグレイとエルフマンが突っ込む。

ウェ「トロイア掛けましょうか?」

マ「機械(マシーン)か。初めて聞いた魔法だ。」

フ「あのリュックサックの中、どうなってるんだ・・・?」

ル「ショールの手品(トリック)もすごいけど、キルロの機械(マシーン)もすごい魔法ね。」

ルーシィは感心したように呟いた。





キ「ど、どこが上か下かも分からない・・・」

キルロは頭を押さえながら辺りをきょろきょろ見回していた。すると、

ショ「水圧壁!!」

キ「!うわっ!」

いつの間にかキルロの背後に周り込んでいたショールがキルロが背負っている白と黒のリュックサックに水を掛けた。ジジジとリュックサックは青白い電気を帯びる。

キ「ヤバ・・・!」

ショ「機械(マシーン)が水に触れると危険だからな。」





イ「す、すごいなぁ~。ショール君の魔法・・・いや、ショール君の頭脳かな?」

レ「どんだけすごいんだよ、あいつ。」

ヒ「キルロの魔法もすごいけど、ショール君の魔法はすごく不思議だ。」















その時、観客の1人が呟いた。

観6「不思議(ミラクル)な魔法を使う元手品師(トリッカー)・・・不思議な手品師(ミラクルトリッカー)!」















観全「不思議な手品師(ミラクルトリッカー)!不思議な手品師(ミラクルトリッカー)不思議な手品師(ミラクルトリッカー)不思議な手品師(ミラクルトリッカー)不思議な手品師(ミラクルトリッカー)!」

会場が不思議な手品師(ミラクルトリッカー)の大合唱で包まれる。

ト「不思議な手品師(ミラクルトリッカー)?」

ウェ「どうゆう意味ですか?」

エ「恐らくショールの事だろうな。」

リョ「あいつは元有名な手品師(トリッカー)だ。あいつにぴったりな異名だな。」

チャ「鳴り止まない不思議な手品師(ミラクルトリッカー)の大合唱!今日からショール・ミリオンの異名は、不思議な手品師(ミラクルトリッカー)に決まりだあああああああああああああああっ!!!」

観全「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」





当の本人である不思議な手品師(ミラクルトリッカー)は、

ショ「不思議な手品師(ミラクルトリッカー)か。何か、俺にもったいないくらいすごい素敵な異名だな。」

照れくさそうに、嬉しそうに自分の異名に満足しているようだった。

ショ「時間もあまり無いし、最後に不思議な手品師(ミラクルトリッカー)にふさわしい魔法で・・・」

そう言うと、ショールはゆっくりと目を閉じ、魔力を集中させた。

ヤ「ショール(ズール)君はこれで最後にスるみたいだねぇ。」

ジェ「どんな大技が出るんだぁっ!?COOL!」

会場の視線が全てショールに集まる。そして、ショールは鮮血のような赤い瞳をカッ!と開くと、

ショ「カトゥルギアチェンジ!モード炎!水!雷!風!」

すると、ショールの右手には赤々と燃え上がる灼熱の炎、左手には青く透き通った水、右足にはビリビリと電気を帯びる雷、左足にはヒュゥゥゥと音を立てる風が纏っていた。

チャ「な、何とっ!ショールの手足に4つの属性(タイプ)が纏わり付いているっ!!」

ナ「すげぇ~。」

エ「ショールの奴、いつの間にあんな事が出来るようになっていたんだ?」

ル「いっけぇぇぇっ!」

ルーシィの言葉に背中を押されるように、ショールは小さく地面を蹴ると、




















ショ「カトゥル・フィストフット!!!」




















キ「うおぉおぉぉおあああぁあぁぁああああぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」

キルロはショールの攻撃を真正面から受け、体を石造りの会場の壁にズガガガアァァァァァン!!と打ち付ける。壁は崩れ、キルロは崩れた壁の山の下敷きになり、二度と立ち上がる事は無かった。

チャ「試合終了ォォォ!勝者、ショール・ミリオン!妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)、10ポイント獲得!!」

*****************************************************************************************

キ「・・ぅ・・・う~・・・ん・・・・」

ショ「キルロさん、大丈夫ですか?」

ショールは崩れた壁の山の下敷きになっているキルロに手を差し出す。キルロはショールの手を掴み、崩れた山の下敷きから這い出る。キルロが背負っていた白と黒のリュックサックは壁に打ち付けた時に爆発したのか黒焦げになり、もう使えるような状態では無かった。

キ「壊れたか。後で作り直さないとな。」

ショ「ス、スミマセン・・・」

キ「謝る必要は無い。これくらい30分あればすぐに出来上がる。」

キルロは黒焦げになったリュックサックを再び背負う。

ショ「ところで、賭けの事なんだけど・・・?」

キ「・・・・・」

キルロは黙り込む。

ショ「俺が勝ったら、キルロさんが被っているそのフ」

キ「あーっ!もう分かってるっ!ちゃんと脱ぐからっ!」

そう言いながらも、キルロはしばらくフードに手を添えたままだった。が、意を決したように乱暴にフードを取った。キルロの素顔は―――――















観女全「キャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!」















少しくすんだ色をした金髪に右が青、左が緑という変わった瞳。ヒビキやショールにも負けないくらいのイケメンだった。

観女3「かっこいい~♪」

観女4「ヤバイッ!惚れたかもっ!」

観客の女性達の目はハートになっていた。少しすると、キルロはまたフードを目深に被り直した。

キ「・・・俺、女が嫌いなんだ。」

キルロがショールにしか聞こえないくらいの小さな声で呟く。

キ「確かに俺は、青い天馬(ブルーペガサス)の魔道士だ。でも、ヒビキさんやイヴ、レンさんやショールさんみたいにイケメンでも無いのに、今みたいに騒がれて・・・」

ショ「(いやいやいや、イケメンだからキャーキャー騒がれてるんだって!)」

自覚が無いキルロにショールは心の中で突っ込んだ。

キ「とにかく、約束通りショールさんは青い天馬(ブルーペガサス)には招かないよ。」

キルロはそう言うと、ショールに背を向けてその場を立ち去った。が、

ショ「自信持て。」

キ「!」

キルロは驚いて振り返る。が、すでにショールは背を向けて歩き出していた。

*****************************************************************************************

マ「ショール!」

フ「やったな!これで26ポイントだ。」

ショールが待機場所に戻ると、マヤ達が駆け寄って来た。

ト「僕、ショールさんが青い天馬(ブルーペガサス)の魔道士になったらどうしようかとずっとソワソワしてました。」

ユ「トーヤずっと涙目だったもんね。」

リョ「まっ、これで一件落着だな。」

リョウがショールの肩に腕を回す。すると、

ナ「よぉ!」

ウェ「ショールさん、お疲れ様です。」

Aチームのメンバーも駆け寄って来た。

エル「ショールすげ~な。あんな大技が出来るなんてよっ!」

ショ「修行の成果が出たんだ。でも、ほぼ魔力が限界だ。」

グ「まっ、しばらく出番はねぇと思うぜ。」

エ「その間でゆっくり体を休めておけ。」

ショ「あぁ。そうするつもりだ。」

すると、ウェンディの隣にいたルーシィが指を折りながら何かを数えている。

ナ「ルーシィ、何やってんだ?」

ル「10,11,12・・・!私達、後12ポイント稼がないとBチームに追いつけないわっ!」

A全「えぇぇぇぇぇっ!!?」

目が飛び出しそうな勢いで驚嘆の声を上げる。

ナ「じゃあ、次の俺達のバトルパートで勝たないと・・・!」

グ「Bチームとの差が更に・・・!」

マ「でかくなるね☆」

A全「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」 
 

 
後書き
第170話終了致しましたっ!
ショールの異名発覚!「不思議な手品師(ミラクルトリッカー)」考えて下さった緋色の空さん、すずかさん、ありがとうございました!
次回は大魔闘演舞2日目のバトルパートの続きです!いったいいつまでやるんだ・・・
それではまた次回!
 

 

第171話 風竜VS天神

 
前書き
ど~も~☆07で~す☆
今回は大魔闘演舞2日目のバトルパートの続きです!な、長い・・・今回は第3試合と第4試合です。
ナレーション風に書いていきます。
それでは、第171話・・・スタート☆ 

 
チャ「盛り上がってきたところで、続いて第3試合に参りましょうっ!!」

ヒビキ、ショールと続いて新たなイケメン魔道士(キルロ)が現れた事により会場は更に盛り上がっていた。今でも観客の女性の大半の瞳はハートのままだ。

チャ「第3試合、四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)、セメス!!VS白い柳(ホワイトウィロウ)、シェナ・ティッド!!」

観全「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!」

石造りの会場の出入り口からロボットのような巨体をしたセメスが姿を現した。

ロ「セメス!お前の真の力を見せてやれっ!俺達は、ワイルド・・・」

四つ首全「フォーーーーーッ!!!」

ロッカーの声を合図に四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)のメンバーが声を揃えて叫ぶ。

マ「相変わらずワイルドな人達だな~。」

エル「マヤも似たようなもんだろ。」

マヤが組んだ両手の甲に顎を乗せて呟き、その発言にエルフマンが突っ込んだ。反対の石造りの会場の出入り口からはお尻がすっぽり隠れてしまう長い金髪を風になびかせながらシェナが姿を現した。

ル「あっ!あの人、以前週刊ソーサラーのグラビアに出てた人だ。」

グ「欠かさず見てんだな・・・」

ト「という事は、ミラさんとも親しいんでしょうかね?」

当の本人であるミラはこの場にはいないのだが・・・両者会場のど真ん中で向かい合うように立ち止まり、試合が始まる合図をじっと待つ。

チャ「第3試合、開始ッ!!」

チャパティ・ローラの実況と共に像の上にいる男が銅鑼をゴォォォォォン!!と力強く叩いた。試合が始まった。最初に動き出したのは、

シェ「金髪!」

シェナだった。自慢の長い金髪の先端に雷に変えながら自由自在に操る。

エ「フレアと同じ魔法か?」

フレア・コロナ。元大鴉の尻尾(レイヴンテイル)の魔道士だ。フレアの場合自信の長い赤髪を炎に変え自由自在に操る魔法を使う。

リョ「あいつの事だったのか。「金髪のシェナ」ってのは。」

リョウは納得したように呟いた。セメスは雷に変わったシェナの金髪を巨漢とは思えない素早い動きでかわすと、

セ「これでも食らえっ!」

その巨漢の体をものすごい速さでこまのように回転させ、高速回転したままシェナに襲い掛かる。シェナも可憐な身のこなしでセメスをかわす。逃げ回るシェナを高速回転したまま追いかけるセメス。

チャ「こ・・これはまるで、猫と鼠の追いかけっこだぁぁぁっ!」

ヤ「会場にいるのは猫でも鼠でもないけどね。」

ジェ「どっちが先にダウンするんだぁっ!?COOOL!」

ジェイソンの髪の毛はアンテナのようにピーンと立ち、腕を上下に振っている。一方、会場で追いかけっこをしている(シェナ)(セメス)は、

シェ「あーもー、しつこいっ!」

ついにシェナが痺れを切らした。ズザザァと音を立てて立ち止まる。その間で高速回転しているセメスは接近している。

タ「おいシェナ!」

ア「避けろぉぉぉっ!」

チ「うわぁ~!」

白い柳(ホワイトウィロウ)の待機場所にいるタクヤ、アチュールは身を乗り出してシェナに向かって叫び、チルチルは見ていられなくなり両手で目を覆う。

ウ「大丈夫よ。あのシェナがただ立ち止まって攻撃を受け止める訳無いじゃない。きっと、何か秘策があるんだわ。チルチルも手を離して、タクヤもアチュールも黙って見ていなさい。」

腕組をして冷静に呟いたのは白い柳(ホワイトウィロウ)のS級魔道士であるウララだった。

セ「これで終わりだぁぁぁっ!」

更に速度を上げて接近するセメス。シェナはその場から動かない。

チャ「接近するセメス!シェナはいったい何をするつもりなのかっ!?」

チャパティ・ローラの焦りがこもった実況が会場に響く。すると―――――

シェ「金髪!」

雷に変えた金髪を操り、セメスの足に巻きつけた。

セ「うあっ!」

セメスは高速回転するのを止め、バランスを崩し、そのままうつ伏せに倒れる。これはシェナにとって絶好の機会(チャンス)だった。

シェ「うおぉぉおぉらあああぁあああぁぁあぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」

セ「ぎょおおおぉおおぉぉおぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」

シェナは金髪をセメスの足に巻きつけたまま、体全身を使ってセメスの巨体を持ち上げ、首を大きく動かしてセメスを投げ縄のように回し始めた。セメスはさっきとは違う高速回転をしながら悲鳴を上げる。

観全「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!?」

観客も全員口を大きく開き、目が飛び出しそうな勢いで驚嘆の声を上げる。

ナ&グ&&リョ「嘘だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」

「信じられない」という感じの顔をしてナツ、グレイ、リョウも驚嘆の声を上げる。

ショ「す・・すごっ・・・」

ル「な・・何、あの人・・・・?」

フ「女の力だとは思えないぞ・・・」

ショール、ルーシィ、フレイも息を呑む。

ユ「す・・・すごい、怪力・・・・」

ウェ「ユモさんが言ってもあまり意味無いんじゃ・・・」

ウェンディの言うとおりである。ユモはかつて「格闘技の名手」という名でフィオーレ中に知れ渡った人物だ。当然、格闘技の腕もその力も目を見開くほどの迫力がある。そのユモが驚いても逆に可笑しいと思うのは当たり前だ。

シェ「てええぇええぇぇえええええええええええええええええええええええええええいぃっ!!!」

セ「ぎょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ・・・」

しばらくセメスを回し続けた後、シェナはセメスの足から巻きつけた金髪を解き、セメスをそのまま天高く放り投げてしまった。セメスは何も出来ずに放り投げられ―――――ズドドドォォォォォン!!!と凄まじい音と砂煙を巻き上げて落下した。

セ「・・ヵッ・・・ヵヵ、ヵ・・・」

それからセメスが立ち上がる事は無かった。倒れたセメスの巨大なお腹にシェナはドガッと腰を下ろすと、

シェ「ふぅ。」

と、額の汗をスカートのポケットから取り出した白いレースのハンカチで拭き取った。

チャ「試合終了ォォォ!勝者、シェナ・ティッド!白い柳(ホワイトウィロウ)、10ポイント獲得!!」





ア「おっしゃあああっ!」

チ「シェナが勝ったぁ~!」

タ「流石ギルド一の怪力シェナだな。」

アチュール、チルチルは嬉しそうにガッツポーズを取り、タクヤはシェナが怪力である事を改めて実感したようにコクッと頷いた。

ウ「ねっ、私の言ったとおりだったでしょう?」

ア「ウララもすげ~よなぁ~。人の勝負(バトル)の勝ち負けをズバリ!と当てちまうんだからよ。」

頭の後ろに手を回したアチュールが口を開く。その言葉にウララは小さく微笑んだだけだった。





チャ「続いて第4試合、海中の洞穴(マリーンケイヴ)、バロン・クライシス!!VS蛇姫の鱗(ラミアスケイル)、シェリア・ブレンディ!!」

石造りの会場の出入り口から緑色の髪の毛を揺らしながら歩くバロンと、赤紫色の髪の毛を黄色いリボンでビッグテールに束ねたシェリアが―――――

シェリ「ひょわぁっ!」

その場で盛大に転んだ。

バ「あ、あの・・大丈夫、ですか?」

目の前でいきなり女の子が転んだ事に驚きながらもバロンはシェリアに手を差し出す。

シェリ「アハハ。ありがとう。」

シェリアはその手を掴んで立ち上がる。

ウェ「シェリアー!しっかりー!」

昨年、シェリアと対戦した時から友達になったウェンディが待機場所から応援する。その声に答えるようにシェリアはウェンディに手を振る。

チャ「第4試合、開始ッ!!」

チャパティ・ローラの実況と共に像の上にいる男が銅鑼をゴォォォォォン!!と力強く叩いた。最初に動き出したのは、

シェリ「天神の・・・怒号ッ!!」

シェリアだった。息を深く吸い込み両頬を膨らませると、黒い空気の(ブレス)を勢いよく吐き出した。バロンはシェリアの攻撃を避けずにその場で腰を低くして身構えると、

バ「風竜の・・・鉄拳ッ!!」

右手の風の渦を纏い、黒い空気の(ブレス)のど真ん中に打ち込み弾き飛ばした。

ナ「あいつ・・・!滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)なのかっ!?」

それを見たナツが目を見開いて叫んだ。

バ「俺は体内に風の滅竜魔法が使える魔水晶(ラクリマ)を埋め込んだ第2世代の滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)だ。」

マ「ラクサスと同じって事か。」

マヤが小さく呟いた。

チャ「会場に、竜殺しの魔法を使う魔道士と、神殺しの魔法を使う魔道士が向かい合ったぁぁぁっ!!」

ヤ「風竜と天神(テンズン)の戦い・・・面スろそうだねぇ。」

ジェ「COOL!」

両者の間に静かな沈黙が流れる。

シェリ「へぇ。ウェンディ(天竜)の次はバロン(風竜)かぁ。じゃあ、手加減無しの本気でいくよぉっ!」

バ「こっちも、年下の少女だからといって、手加減は一切無用だよっ!」

両者が拳に風の渦と黒い空気の渦を纏い、同時に小さく地を蹴り拳を相手に振りかざす。

エ「私はこの戦い、シェリアの方が有利だと思うぞ。」

ト「どうしてですか?」

グ「確か、あのシェリアって奴は自己回復が出来るんだ。」

エル「体力や魔力は回復せんが、自分の傷の治療だけは出来るんだ。」

フ「ふぅ~ん。」

ユ「でも、あのバロンっていう人、確か海中の洞穴(マリーンケイヴ)のS級魔道士の1人。そう簡単にはやられないと思うよ。」





アニ「うひゃ~、あのバロンさんと互角だよ。あの子。」

アリ「天空の滅神魔道士(ゴッドスレイヤー)・・か。」

イ「大丈夫かなバロンさん・・・」

ハ「あのバロンさんなら、もし負けたとしても、悔いの残らない勝負(バトル)をしてくるはずだ。」





ジュ「ほぉ。シェリアとなかなか良い勝負をしているな。」

ユウ「なかなかやるじゃねぇか。」

オ「勝たなかったら回すよ!」

トビ「もっと本気出せよーっ!」

リ「風の滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)・・・面白い。」





バ「はぁ・・はぁ、はぁ・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・はぁ・・はぁ・・・・はぁ、はぁ・・・はぁ、はぁ・・はぁ・・・はぁ、はぁ・・・はぁ、はぁ・・はぁ・・・・はぁ・・はぁ、はぁ・・・」

シェ「はぁ、はぁ・・はぁ・・・はぁ・・はぁ、はぁ、はぁ・・・・はぁ、はぁ・・・はぁ・・はぁ、はぁ・・・はぁ・・はぁ、はぁ・・はぁ・・・はぁ、はぁ・・・はぁ・・はぁ・・・・」

バロンもシェリアも息が荒く、すでに魔力の限界に近づいてた。

バ「はぁ・・・はぁ、じ、事故回復は・・便利な、魔法・・だね。はぁ、はぁ・・・」

シェ「はぁ、はぁ、ま・・まぁね。はぁ・・はぁ・・・はぁ、はぁ・・・」

短い会話を終わらせると、バロンは頭上で両手をクロスし、シェリアは両腕を横に広げると、

バ「滅竜奥義・・・」

シェリ「滅神奥義・・・」

バロンの両手には風が集まり、次第にそれが徐々に膨れ上がっていく。シェリアの広げた両腕には黒い空気の渦が集まっていく。

チャ「おぉっと!ここで両者揃って大技を放つようですっ!」

ヤ「これで最後かねぇ。」

バロンの両手に集まった風は大きな球体になり、シェリアの両腕には大量の黒い空気の渦が集まっていた。

ル「ちょ、ちょっと!あんな至近距離で奥義を放つのぉっ!?」

ショ「ちょっと、危ないんじゃないか?」

リョ「「ちょっと」じゃなくて、「かなり」ヤバイだろっ!」

そして―――――















バ「風邪烈媒花ッ!!!」

シェリ「天ノ業雲ッ!!!」















風の球体と黒い大量の羽が激しくぶつかり合い、ドドドガガガガガァァァァァァァァァァン!!!と大爆発が起こった。

観1「うぉああぁぁあぁあああっ!」

観2「ぎょええぇえぇぇえええっ!」

観3「ひゃあああああああああっ!」

チャ「バ、バロンとシェリアの最大攻撃が激しくぶつかり合い、強風と砂煙が起こる大爆発がっ!!」

ヤ「こりゃたまげたねぇ。」

ジェ「COOL!」

砂煙のせいで、会場にいるバロンとシェリアの様子が見えなくなっていた。

ウェ&リ「シェリアー!」

ハ&イ「バロンさん!」

会場に視線が集まる。すると、砂煙の中から黒い影が―――砂煙が晴れると、さっきより息を切らしながらも、その場に立っているバロンとシェリアがいた―――――と、思ったのも束の間、

シェ「・・・ぅっ・・!」

シェリアが小さな呻き声を上げてその場に肩膝を着いた。すると、

バ「・・・・くっ・・・!」

バロンが膝から崩れ落ちるようにその場に倒れた。それからバロンが立ち上がる事は無かった。

チャ「試合終了ォォォ!勝者、シェリア・ブレンディ!蛇姫の鱗(ラミアスケイル)、10ポイント獲得!!」 
 

 
後書き
第171話終了です☆
セメスとシェナの勝負(バトル)、少しアニメのミリアーナとセメスの勝負(バトル)と似てたな。
次回は大魔闘演舞2日目のバトルパートの続きです!長い!たぶん、第5試合と第6試合どっちもやります。たぶん・・・(←まだ決まった事ではないので、2回言いました)
それではまた次回、お会いしましょう~☆ 

 

第172話 運が良い!

 
前書き
07で~す♪久々の1日2話更新です。
今回は大魔闘演舞2日目のバトルパートの続きです!今回は第5試合と第6試合です。
ナレーション風に書いていきます。
それでは、第172話・・・スタート♪ 

 
チャ「それでは引き続き第5試合に参りましょうっ!!第5試合、気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)、アナ・ココナッティーン!!VS銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)、キース・ストリック!!」

観全「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」

石造りの会場の出入り口から白いヘルメットを被った如何にも飛行士という感じの服装をしたアナと、男にしては長い金髪を揺らしながらキースが姿を現した。

ナ「キース・・・」










キ『必ず、銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)妖精の尻尾(フェアリーテイル)踏み潰してみせましょう。』










ナツは大魔闘演舞初日にキースに出された宣戦布告を思い出し拳を固く握り締めた。

ショ「あいつ等は、何であんなに妖精の尻尾(フェアリーテイル)を敵視しているんだ?」

エル「それが分かっていれば苦労はしないぜ。」

すると、キースが待機場所にいるルーシィの方を振り返り、薄く微笑んだ。

ル「!」

ルーシィはそれを見て身震いし、リョウがルーシィの肩を掴んで自分の背後に身を隠させる。キースはすぐにまた正面を向き直った。

リョ「あいつ、今、ルーシィの方を見て笑ったよな?」

ル「う・・うん・・・」










チャ「第5試合、開始ッ!!」

チャパティ・ローラの実況と共に像の上にいた男が銅鑼をゴォォォォォン!!と力強く叩いた。それと同時に、アナが深緑色のズボンのポケットから何かを取り出しそれを地面に置いた。

チャ「おぉっと!アナがポケットから何かを取り出したが、あれはいったい・・・?」

マ「ナツ、ウェンディ、あれ何?」

(ドラゴン)と同じくらいの視力が良いナツとウェンディも目を凝らして見る。

ナ「う~ん・・・何か、ちっちぇもんだぞ。」

ウェ「あれは・・・飛行機?」

そう。ウェンディが言ったとおり、アナが取り出したのは手の平サイズの小さな飛行機だった。しかも、ただの飛行機ではなく、人力飛行機だ。いったいこれをどうするつもりなのか?すると、

ア「小人(ドゥウォーフ)!」

アナが右手を斜め右上から斜め左下へ振り下ろす。すると、アナの体が光に包まれると、そこにアナの姿は無かった。

チャ「ド・・どうなっているのでしょう!?さっきまで会場にいたはずのアナが、消えてしまったぁっ!?」

誰もがそう思ったその時、

リ「消えてなんかねぇぜーっ!」

気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)の待機場所にいるリートが声を張り上げて叫んだ。

ジェ「見えねぇかもしれねぇけど、アナはちゃんと会場にいるぜーっ!」

ラ「アナは()()()んじゃなくて、アナは()()()()()()んだよーっ!」

ヒ「人力飛行機の傍にちゃんといるわよーっ!」

リートに続いてジェニック、ラム、ヒリアも声を張り上げる。すると、会場に映像魔水晶(映像ラクリマ)の映像が映し出された。そこに映されていたのは地面に置いてある小さな人力飛行機と、その傍で手を振っている小さくなったアナの姿だった。

チャ「な、なななな何とっ!アナは消えたのではなく、小人サイズの大きさに縮んでいたぁぁぁっ!!」

ヤ「こりゃあ驚いたねぇ。」

ジェ「縮小魔法の1種だね。COOL!」





ト「縮小魔法?」

エ「あらゆるものを実際の大きさより小さくする事が出来る魔法だ。アナが使った小人(ドゥウォーフ)は、人間の体の大きさを小さくする魔法だ。」

リョ「縮小魔法とは真逆で、あらゆるものを実際の大きさより大きくする事が出来る拡大魔法もあるんだぜ。」

グ「相変わらず詳しいな。」

エルザとリョウの的確な説明にグレイが感心する。

マ「で、アナは小さくなってどうするの?」

フ「お前はアホかっ!」

マ「(いた)ッ!」

マヤが首を傾げると、それと同時にフレイがマヤの頭をペシッ(はた)いた。

ウェ「あの状況で、考えられる事は1つしかないですよ。」

マ「えっ?何それ?」

ウェンディが言っても分からないマヤに「はぁー」とユモが後ろでため息をつく。

ユ「どう見たって、1つしか思いつかないでしょ。」

ユモは左手を腰に当て、右手の人差し指で映像魔水晶(映像ラクリマ)に映っているアナと飛行機を指差すと、

ユ「小さくなったアナが、あの小さな人力飛行機に乗るのよ。」





ユモが言ったとおり、小さくなったアナは自分の体よりも大きな人力飛行機に乗り込んだ。足で勢いよくペダルを漕ぐと、アナが乗った超小型人力飛行機は空へと飛び立った。

チャ「おぉぉぉぉっ!たった今小さな人力飛行機に乗ったアナが飛び立ったぁぁぁぁぁっ!!」

ヤ「「トリガール」という異名がつくほどの乗りこなスだねぇ。」

ジェ「COOOOOL!!」

アナは人力飛行機でキースの頭上をくるくる回転しながらしばらく飛ぶと、

ア「光線弾・・・発射!」

人力飛行機の機体から青白い光線がキースに放たれる。が、キースはその場から1歩も動かず、首を傾げて光線を避けた。すると、

キ「俺の相手は、お前なんかじゃねぇんだっ!」

そう言うと、キースはベルトにぶら下げていた銀色の鍵を取り出した。

ナ「おい!あれって・・・!」

ウェ「まさか・・・!」















キ「開け!半人半馬座の扉、ケンタウロス!!」















赤茶色の魔法陣が浮かび上がると、そこから上半身が背中が隠れるほどの長い髪の毛の裸の男、下半身が茶色い毛で覆われた馬の体をした星霊が現れた。

ル「・・せ、星霊・・・魔道士・・・・」

ルーシィが小刻みに震えながら小さく呟いた。

ヤ「ほぉ。男性の星霊魔道士(マドウス)とは珍スいねぇ。」

ヤジマが感心したようにマイク越しに呟いた。

キ「ケンタウロス、あれを打ち落とせ。中にいる人間を殺さないようにな。」

ケ「承知した。」

ケンタウロスは持っていた弓に矢を構えると、ギギィーと音を立てて矢と弦を引っ張る。片目を瞑り、狙いを人力飛行機に定めると―――――バシュッ!と鈍い音を立てて矢を放った。放たれた矢は直進に飛んで行き、人力飛行機の機体の前方部分を貫いた。

ア「キャアアァアアァアァァアアアアアッ!」

アナが小さな悲鳴を上げて人力飛行機ごと落下した。

ア「(いた)たたたた・・・ってキャア!」

落下した衝撃で打ち付けたのか小さなアナが腰を摩っているとキースが小さなアナが着ている茶色いジャケットの襟を掴んでアナを摘み上げる。これではまるで小人と巨人だ。

ア「ちょっと!下ろしなさいよっ!」

アナは摘み上げられた状態で手足をバタバタさせる。そんなアナのお腹辺りをキースが左手の人差し指でピンッと弾く。

ア「うえっ。」

それだけでアナは痛そうにお腹を押さえた。

キ「お前、そんな体じゃ俺とは戦う事は出来ないだろ。小人(ドゥウォーフ)は30分経たないと元に戻らないからな。」

30分は試合が終わる時間だ。まだ試合が終わっていないという事は、まだ30分経っていないという事だ。キースの言ってる事が正論だった為か、アナは摘み上げられた状態のまま落ち込んだように小さな体を更に小さくした。

チャ「・・え、えぇっとぉ・・・という事は、試合終了ォォォ!勝者、キース・ストリック!銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)、10ポイント獲得!!・・・で、良いのでしょうか?」

ものすごく微妙な終わり方だが、第5試合は無事に終了した。キースは地面にアナを下ろし、ケンタウロスを星霊界に帰らせるとその場を立ち去った。が、

ル「待って!」

キ「!」

待機場所にいるルーシィに呼び止められ、キースは驚いて顔を上げた。

ル「あなたと契約している星霊って、もしかして・・・」

ルーシィが言い終わる前に、キースはジャラッとベルトに取り付けていた銀色に光り輝く8本の鍵をルーシィに見せた。

キ「見ての通り、俺と契約している8()の星霊は()お店で買う事が出来る銀色の鍵だけだ。バカにしたいならバカにしろ。」

ル「ち、違う違うっ!バカになんかしないわよっ!ただ、銀色の鍵しか持っていないのに、あんなに強いなんてすごいなぁ~と思って。」

キ「・・・・・」

キースはルーシィが正直に述べた言葉に思わず黙り込む。が、すぐに鍵を持った右手の人差し指をルーシィにビシッ!と突きつけると、

キ「何度も言うが、俺達銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)は必ず妖精の尻尾(フェアリーテイル)を踏み潰し、フィオーレ一の座を手に入れるっ!その事を絶対に忘れるなっ!」

そう言い残し、キースは早足でその場を立ち去って行った。

ル「な・・何よあの態度!バカになんかしてないのにぃ~!」

そう言いながらルーシィはキースの背中を睨み付ける。キースのベルトには8本の銀色の鍵がぶら下がっている。

ル「(でも、星霊の事を()じゃなくて、私と同じように()で数えてたし、契約している星霊の事、()って言ってた・・・)」

ルーシィは振り返るが、すでにキースの姿はどこにも無かった。

ル「(星霊の事は、とても大切に思っているのね。)」

ルーシィはふとそう思ったのだった。





チャ「それでは、最終試合に参りましょうっ!!最終試合、妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)、ルーシィ・ハートフィリア!!VS月の涙(ムーンティア)、リキ・ロレックス!!」

観全「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」





ル「それじゃあ、行って来るね!」

エ「あぁ。」

ユ「全力で行って来な。」

ウェ「頑張って下さい!」

ト「でも、くれぐれもお気をつけて。」

ル「うん!」

ルーシィは頷いて、会場に向かおうとする。が、

リョ「ルーシィ。」

ル「ん?」

リョウに呼び止められ、足を止めて振り返る。

リョ「勝っても負けても、その時はその時だ。」

フ「勝ったらメンバー全員で喜ぶ。負けても、メンバーはルーシィを責めたりはしない。」

ショ「ルーシィらしい戦い方をすれば、それでOKだ。」

エル「悔いの残らない勝負(バトル)をする。それが漢の勝負(バトル)だ。」

グ「ルーシィは女だぞ。」

エルフマンの発言にグレイが突っ込む。

ナ「良い結果、楽しみにしてるぜっ。」

マ「ルーシィ、ファイトォ~!」

最後にマヤが握り締めた拳を空に掲げる。ルーシィもマヤと同じように握り締めた拳を空に掲げると、

ル「行って来る!」

会場に向かって走り出した。」





会場には茶色い瞳に強い決意を宿らせたルーシィと、黒い瞳に不思議なオーラを宿らせたリキが向かい合っていた。風が吹き、金髪と灰色の髪の毛を揺らす。

チャ「最終試合、開始ッ!!」

チャパティ・ローラの実況と共に像の上にいた男が銅鑼をゴォォォォォン!!と力強く叩いた。最終試合が始まった。ルーシィはそれを合図に金色の鍵を取り出すと、

ル「開け!金牛宮の扉、タウロス!!」

魔法陣から巨大な斧を持ったタウロスが姿を現した。

タ「ルーシィさん!今日もナイスバディですなぁ~。」

ル「私のバディはいいからっ!とにかく、あいつをやっちゃって!」

タ「了解したMO()---!」

タウロスはリキに向かって駆け出し、持っていた斧を振りかざす。すると、リキは広げた左手の平に握り締めた右手の拳を乗せると、

リ「アイアンメイク、(シールド)ッ!!」

リキと背丈が同じくらいの黒い盾がガキィン!と鋭い音を立てながらタウロスの斧を受け止める。

リオ「造形魔法!?」

グ「あいつもかっ!?」

ユ「アイアン・・鉄の造形魔法・・・」

カリンの時と同じように、同じ造形魔道士であるリオン、グレイ、ユモが驚嘆の声を上げる。カリンはリオン同様動のクリスタルメイクだが、リキの場合、グレイ、ユモ同様静のアイアンメイクである。

タ「MO(モオ)~れつに、硬いですなぁ。」

リ「そりゃそうだ。俺の鉄は、そう簡単には破壊されない!」

タ「MO()フッ!」

リキはタウロスの顎に蹴りを決める。そしてさっきと同じ構えを取ると、

リ「アイアンメイク、(チェーン)ッ!!」

タ「MO()!?」

ル「タウロス!」

黒光りする鎖を造形すると、鎖の先をタウロスの首に巻きつける。そして―――――

リ「うぉらぁっ!」

タ「MO()オオオオオッ!」

ル「キャアアアッ!」

リキは軽々とタウロスを鎖で投げ飛ばしてしまった。ル-シィはその迫力差に悲鳴を上げる。

ル「タウロス、ありがとう。ゆっくり休んで。」

タ「ス・・スミマセンMO(モォ)・・・」

タウロスは星霊界に帰って行った。

リ「アイアンメイク、双剣(ダブルソード)ッ!!おりゃああっ!」

ル「キャアッ!」

リキは鉄の双剣を造形すると、ルーシィに思いっきり振りかざす。ルーシィもスレスレの位置でかわす。ルーシィは今度は金色の鍵を2本取り出すと、

ル「開け!人馬宮の扉、獅子宮の扉、サジタリウス!!レオ(ロキ)!!」

サ「お呼びでありますかもしもし。」

ロ「王子様参上!」

魔法陣から馬の被り物を被ったサジタリウスと、黒いスーツをピシッと着こなしたレオ(ロキ)が姿を現した。

ル「サジタリウス、レオ(ロキ)、お願い!」

サ「了解しましたもしもし。」

サジタリウスは弓に矢を構えると、ギギィーと矢と弦を引っ張る。

ロ「王の光(レグルス)は満ちた・・・獅子光耀!!」

辺りが金色の光で包まれる。

リ「くっ・・!」

ル「今よっ!」

サジタリウスはギュウアアァアァアアアッ!と鈍い音を立てて矢を放った。矢は直進にリキ目掛けて飛んで行き、リキの右肩に刺さった。が―――――

ル「えっ?」

サジタリウスが放った矢は確かに刺さった。リキの()に。リキの鎧は矢が刺さった部分だけ1cm程のひびが入っただけだった。リキは黙って矢を抜く。

ル「(な・・何て、頑丈な鎧なの・・・?)」

ルーシィはリキが身に着けている鎧に目を見開く。

リ「作戦はなかなかだったけど、俺が造った鉄の鎧には敵わなかったみたいだな。」

ル「(自分が造形して造った鎧なのっ!?)」

これまた目を見開くルーシィ。今まで鎧を常に着ている人物はエルザぐらいしか見た事が無かったせいか、それともその意外性にただ驚いているだけなのだろうか・・・?

リ「アイアンメイク、(チェーン)ッ!!」

リキはあた同じ構えを取る。すると、

サ「うおっ!」

ロ「うあぁっ!」

サジタリウスとレオ(ロキ)の足元に黒い魔法陣が浮かび上がり、そこから黒光りする鎖が伸び、サジタリウスとレオ(ロキ)の体を縛り上げた。

ル「サジタリウス!レオ(ロキ)!」

リ「アイアンメイク、太刀(スィックエッヂ)ッ!!」

ル「ひぃっ!」

リキは身の丈を超えるほどの巨大な太刀を振り回し、ルーシィに襲い掛かる。ルーシィはリキの攻撃を避けるだけで精一杯だ。

ル「(どうしよう・・・鉄なら水を掛ければ錆びて使い物にならなくなるけど、今ここに水は無いからアクエリアスは呼べないし・・・)」

そう思ったその時、















これはまさしく「運が良い」としか言えないだろう。















観子1「あっ!お水がっ!」

ル「!」

観客席の一番前の席に座っていた小さな男の子が手を滑らせたのか水筒を会場に落としてしまった。今は7月。暑いから水が飲みたくなるのは当たり前だろう。水筒はコロコロと転がり、ルーシィから10m程離れた所で止まった。水筒の中には水が入っている。

ル「(私ったら、運が良すぎる!)」

リ「でぇいっ!」

ルーシィはリキが振りかざした太刀をかわすと、素早くその場から逃れ、走りながら金色の鍵を1本取り出し、さっきの水筒を拾い上げると、

ル「開け!宝瓶宮の扉、アクエリアス!!」

魔法陣が浮かび上がり、そこから水瓶を大事そうに抱えた人魚、アクエリアスが姿を現した。それとほぼ同時にルーシィはサジタリウスとレオ(ロキ)を星霊界に帰らせた。

チャ「こ、これは神の恵みなのかっ!?ルーシィが落ちた水筒の水を使って黄道十二門最強の星霊、アクエリアスを呼び出したあああああっ!!」

観全「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」

マ「ルーシィ運良すぎっ!」

フ「いろんな意味ですごすぎんだろぉーっ!」

マヤとフレイも驚嘆の声を上げる。

ル「アクエリアス、私も巻き込んで良いからあいつを倒してっ!あぁ、でも、観きゃ」

ア「言われなくてもそうするつもりだよっ!」

ル「まだ話終わってないんだけどぉっ!?」

ルーシィの話に一切耳を傾ける様子も無く、アクエリアスを水瓶を構える。

ナ「お・・おい、これって・・・」

グ「ヤベェんじゃ、ねぇのか・・・?」

エ「あ、あぁ・・・」

待機場所にいるナツ達も顔を青ざめる。すると、リョウが待機場所から身を乗り出して、

リョ「全員目と鼻と耳を塞いで何かに捕まれぇぇぇぇぇっ!!津波がくるぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

今までにないくらいの大声で叫んだ。観客達も、他のギルドのメンバーもリョウの指示に従い行動した。

ア「全員まとめて吹っ飛びなっ!オオオォオォォオオオオラアッ!!」

アクエリアスが振るった水瓶から水が勢いよく流れ込む。

観1「ひぃぃぃっ!」

観2「水だぁぁぁっ!」

観3「何じゃこりゃあ~!?」

観客達は突然の大津波に驚きを隠せないでいる。だが、観客では誰一人津波に巻き込まれた者はいなかった。

ル「あばばばばば・・・」

リ「ぬあああああ・・・」

可哀想な事にルーシィとリキは津波に巻き込まれ身になってしまった。会場は大魔闘演舞オープニングゲームの『浮上板(フロウトプレート)』の時のようにあっという間に湖に変わってしまった。ようやく津波が収まった時は全員恐る恐る顔を会場に覗かせる事しか出来なかった。

チャ「・・え、えぇっとぉ・・・み、皆さん、ご安心下さい。津波は収まりました。はい。」

チャパティ・ローラの実況も今回はかなり弱々しい。

ウェ「ル・・ルーシィ、さん・・・?」

ト「だ、大丈夫でしょうか・・・?」

ウェンディ達も心配そうに会場を覗き込む。会場には、

ア「しばらく呼び出すな。スコーピオン様とデートだ。デートだぞ。」

ル「2回言うなぁっ!」

リ「・・・・・」

彼氏である天褐宮の星霊、スコーピオンとのデートがある為、「しばらく呼び出すな」とい知らせを2回繰り返すアクエリアスと、その発言に突っ込みを入れるルーシィ。そして、水面にプカ~と浮いている気を失ったリキがいた。アクエリアスはそのまま星霊界に帰って行った。

ル「全く。・・・って、あれ?リキ?」

リキが気を失っている事に今頃気づいたのか,ルーシィがきょとんとした顔になる。

チャ「し、試合終了ォォォ!勝者、ルーシィ・ハートフィリア!妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)、10ポイント獲得!!」

グ「よっしゃあああっ!」

エル「これで、24ポイントだっ!Bチームに後2ポイントで追いつくぞっ!」

エ「やったな、ルーシィ。」

ウェ「お疲れ様です。」

ナ「ルーシィ、俺達勝ったぞ~!」

待機場所にいるAチームのメンバーがルーシィに手を振る。ルーシィはしばらくきょとんとした顔になっていたが、自分が勝った事に気づくと、満面の笑みを浮かべて、

ル「勝ったあああああっ!」

と、右手を空に掲げて叫んでいた。

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チャ「さて、いろいろありましたがバトルパートも終わったところで、これまでの順位を見てみましょう。」

会場に映像魔水晶(映像ラクリマ)の映像が映し出された。

                           『順位表』

                   1位 銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)  38
                   2位 死者の仮面(デスマスク)    33
                   3位 妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム) 26
                   4位 妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム) 24
                   5位 蛇姫の鱗(ラミアスケイル)      20
                   6位 海中の洞穴(マリーンケイヴ)    19
                   7位 幸福の花(ハピネスフラワー)     14
                   8位 白い柳(ホワイトウィロウ)     11
                   8位 青い天馬(ブルーペガサス)     11 
                  10位 月の涙(ムーンティア)       6
                  11位 気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)    2
                  12位 四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)   0

チャ「1位は変わらず銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)、2位も変わらず死者の仮面(デスマスク)、そして3位は妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)という結果になりました。」 

ヤ「妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)惜しかった(オスカッタ)ねぇ。」

ジェ「蛇姫の鱗(ラミアスケイル)白い柳(ホワイトウィロウ)が急激に順位が上がり、海中の洞穴(マリーンケイヴ)青い天馬(ブルーペガサス)が急激に下がったぜっ!COOL!」

そこは「COOL!」と言う場面なのだろうか・・・?

ヤ「そスて、未だにポイントが0の四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)・・・まぁ明日(アスタ)頑張れよ。」

ヤジマが解説席から四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)の待機場所に向かってガッツポーズをする。

ロ「全然ワイルドじゃねぇぞ・・・」

ロッカーは残念そうに呟くとガクッと項垂れた。

チャ「さぁ!この順位がそう変化するのかっ!?分かるのは明日の大魔闘演舞3日目!それでは皆さん、また明日~!」

ジェ「週刊ソーサラー、明日発売ですっ!COOL!」 
 

 
後書き
第172話終了~♪と同時に、大魔闘演舞2日目終了~♪
ルーシィとリキの勝負(バトル)はちょっとめちゃくちゃですかね?自分でも書いてて思いました。「ルーシィ運良すぎっ!」ってね。
次回は大魔闘演舞2日目が終わって森の小川(フォーレストブルッグ)で宴をしている妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士達。一方、『蜂の骨(ハニーボーン)』の宿に集まった妖精の尻尾AB(フェアリーテイルAチーム・Bチーム)は、先週発売された週刊ソーサラーを見る事に・・・
次回もお楽しみに~♪ 

 

第173話 一夜を過ごすのはどこ?

 
前書き
駄作者07です!タイトル青い天馬(ブルーペガサス)の一夜の事じゃありませんよぉ~!
今回は大魔闘演舞2日目が終わり、森の小川(フォーレストブルック)で宴をする妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士一同。一方、妖精の尻尾AB(フェアリーテイルAチーム・Bチーム)は皆より一足先に森の小川(フォーレストブルック)を後にし、Aチームが泊まる『蜂の骨(ハニーボーン)』に集まる事になった。
ナレーション風に書いていきます。
それでは、第173話・・・スタート! 

 
妖精全「乾パァァァァァァァァァァイッ!!!」

大魔闘演舞2日目の夜、クロッカスの街にある小さな酒場、森の小川(フォーレストブルック)では今日も妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士達が宴をしていた。

マカオ「Bチームがトップ3に入ったぞっ!」

ワ「このまま今年もフィオーレ一の座を取っちまうかもなっ!」

ビールの入ったコップを片手に持ち、お互い肩を組みながらマカオとワカバが笑い合う。

ナブ「Bチームは3位、Aチームも4位だから、めちゃくちゃ順調に進んでってるぞっ!」

マッ「去年の大魔闘演舞の初盤が嘘みたいだぜ。」

ウォ「今年も俺達が優勝だぁぁぁっ!」

ナブやマックス、ウォーレンやその他のメンバーもこれまで以上に大騒ぎをしていた。もちろん、

ナ「いい加減にしろよ、カチコチパンツ、ポジティブ野朗。」

グ「ごちゃごちゃうるせぇんだよ、バカアホリョウ、燃えカス野朗。」

リョ「少し黙れねぇのか、吊り目野郎、垂れ目野郎。」

当の本人である妖精の尻尾AB(フェアリーテイルAチーム・Bチーム)のメンバーも大騒ぎをしていた。今回はリョウも酒場にいて、ナツとグレイと喧嘩をしている。その様子をテーブルを囲んでルーシィ、ハッピー、ウェンディ、シャルル、マヤ、フレイ、ユモ、ショール、トーヤが眺めていた。リョウ同様ユモも酒場にいて、ルーシィ達と一緒にいた。

ル「全く。少しは大人しく出来ないのかしら?」

シャ「ほんっと、うるさいんだから。」

ため息混じりにルーシィとシャルルが呟く。

マ「3人共いけいけ~!」

ハ「ナツ~、頑張れぇ~!」

フ「応援する意味が分かんねぇよ・・・」

喧嘩している3人をなぜか応援するマヤとハッピーにフレイが呆れながら突っ込みを入れる。

ウェ「でも、あの光景がもう馴染んでしまっていますね。」

ウェンディの言うとおり、ナツとグレイとリョウの3人はどこへ行っても喧嘩、喧嘩、喧嘩。周りの視線を気にせずに喧嘩、喧嘩、喧嘩。もう妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士達の間では馴染みのある光景だった。

ユ「喧嘩と言えば、あの3人だもんね。」

ショ「あの3人が一度も喧嘩せずに、ものすごく仲が良かったら逆に可笑しいよな。」

余談だが、ショールの言葉を聞いてその光景を頭の中で想像したマヤが「ぷふっ!」と噴出した。

ナ「だあーーーっ!あったまきたぞっ!火竜の・・・」

グ「お前等、少し寝てやがれっ!アイスメイク・・・」

リョ「怪我しても俺は知らねぇからなっ!2剣流・・・」

その3人が今、魔法を発動させようとしていた。ナツは拳に炎を纏い、グレイは両手に冷気を溜め、リョウは鞘から『銀覇剣』と『天力剣』を抜いた。

ル「ちょっと!止めなさいってばっ!」

ト「こ、こんなところで、魔法を使ったら・・・!」

ここは街中にある小さな酒場だ。滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)であるナツ、実力は妖精の尻尾(フェアリーテイル)内でもトップクラスであるグレイ、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の数少ないS級魔道士であり、聖十大魔道でもあるリョウ。この3人が同時に魔法を放てば、森の小川(フォーレストブルック)は藁の家のように簡単に吹っ飛んでしまうのは目に見えている。問題はそれだけではない。ナツ、グレイ、リョウは大魔闘演舞に出場している妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士だ。こんな大惨事が大魔闘演舞の主催者側に知られてしまったら、大魔闘演舞には出場出来なくなり、街の人達からは再びブーイングを食らうだろう。

マ「3人共喧嘩をするのは勝手だけど、たかが喧嘩で魔法を使うのはまずいよ~!」

ルーシィ達が必死に静止の声を掛けるが、3人にはその声が聞こえていない。3人が魔法を放とうとしたその時、ナツとグレイの首根っこを掴んだエルザと、リョウの首根っこをバーカウンターに座ったまま腕を伸ばし掴んだマスターが、

ナ「うがっ!」

グ「うぎっ!」

リョ「ギャッ!」

3人の額と額と額をゴチーン!と音がしそうな勢いで正面からぶつけ合わせた。その様子を見ていたルーシィ達は「あっちゃぁ~」「い・・痛そう・・・」と言いたげな顔をしたり、冷や汗を流していたり、ぶつかったのと同時に目を瞑ったりしていた。

エ「全く。お前達は大魔闘演舞に出場している魔道士だと言う事をちゃんと自覚しているのか?今ここで問題を起こすといったいどうなるか、後先考えてから行動しろ。分かったか?」

ナ&グ&リョ「あ・・あい・・・」

エルザの雷を食らったナツ、グレイ、リョウは素直に返事をした。それを見たマスターはまたビールを飲み始めた。説教はエルザに任せたと言う事だろう。

ショ「はぁ。危ない危ない。」

ウェ「一時はどうなるかと思いました。」

ショールとウェンディはほっと安堵の息をついた。

ユ「大魔闘演舞の間は、あまり喧嘩をしない方が良いと思うよ。ていうかグレイ、服は?」

グ「うぉあっ!いつの間にぃっ!?」

ト「さっきまで、着てましたよね・・・?」

フ「あいつの服はどうなってんだ?」

ちなみにグレイの服はさっきまで喧嘩をしていた場所に脱ぎ捨てられていた。いったいいつ脱いだのだろうか?

シャ「それより、あんた達がこれ以上ここにいたら、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の評判も、この酒場も危険だわ。」

評議院からの評判は元から悪いというのに、更に悪くなってしまう。森の小川(フォーレストブルック)妖精の尻尾(フェアリーテイル)の騒がしさで柱がミシミシッと呻き声を上げているくらいだから、この3人が大暴れしたら崩壊してしまうだろう。

ハ「別の場所に移動した方が良さそうだね。」

ナ「でもどこに行くんだよ?」

ル「外だと更にうるさくなっちゃうわね。」

考えてはみるもの、なかなか良い場所が思い当たらない。

リョ「やっぱり、大人しく宿に戻るしかねぇと思うぞ。」

さっきまでナツとグレイと喧嘩をしていたリョウが口を開いた。他に口を開く者はいない。他に良い場所が思いつかないからだ。

エ「それしか無いな。ここからだと、私達Aチームが泊まっている『蜂の骨(ハニーボーン)』の方が近い。そこに移動しよう。」

マ「私達も行って良いの?」

ル「もっちろん!ていうか逆に来てほしいんだけど・・・」

ウェ「アハハハ・・・」

マ「?」

なぜか「行きたくない」とでも言うようにうな垂れるルーシィと、その様子を曖昧な笑みで見つめるウェンディを見てマヤは頭に?を浮かべる事しか出来なかった。

ショ「マスター、俺達一足先に宿に戻ります。」

マカ「おぉ。今日はゆっくり休んで、明日も頑張ってくれぃ。」

ショールが酔っ払ったマスターに許可を貰うと、AチームとBチームは森の小川(フォーレストブルック)を後にし、Aチームが泊まっている宿、『蜂の骨(ハニーボーン)』へと向かった。

****************************************************************************************

淡い光が灯るクロッカスの街の街灯が左右平行に並んだ道を妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士であるナツ、マヤ、ハッピー、フレイ、ルーシィ、リョウ、グレイ、ユモ、エルザ、ショール、ウェンディ、シャルル、トーヤが歩く。

ユ「ねぇルーシィ、『蜂の骨(ハニーボーン)』はどんな宿なの?」

ユモがルーシィに問うと、ルーシィは森の小川(フォーレストブルック)から出る時からうな垂れていた頭を更に低くうな垂れると、

ル「・・・部屋・・・・」

ユ「えっ?」

ル「だから!Aチーム全員同じ部屋なのよっ!」

どうやらルーシィはメンバーが全員同じ部屋で寝泊りする事に納得出来ないらしい。

リョ「それなら、俺達Bチームが泊まっている『豚の帽子(ピッグハット)』も同じだぜ。」

ル「えっ?」

ト「アハハハ・・・」

普通に言うリョウにルーシィは驚く。どうやら同じ部屋と言う事にあまり納得していないのはルーシィとウェンディとトーヤだけらしい。後のメンバーはそんな事全く気にしていないらしい。

ル「普通気にするでしょ・・・」

ルーシィが呆れたようにため息をついた。すると、

ナ「おい、俺達が泊まってる宿の前に誰かいるぞ。」

ウェ「あ、本当だ。」

フ「よく見えるな。」

グ「俺は全く見えないぞ。」

今ナツ達がいる場所から『蜂の骨(ハニーボーン)』の位置までまだかなりの距離がある。滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)(ドラゴン)と同じくらいの視力、聴覚、嗅覚が優れている為、ナツとウェンディは見えても、他のメンバーには全く見えないのだ。

ショ「で、誰がいるんだ?」

ショールがナツとウェンディに問うと、

ナ「う~ん・・・知らねぇ奴だ。」

ウェ「青い髪の毛の女の人です。」

ギルド内で青い髪の女はジュビアがいるが、当の本人であるジュビアは『謎の仕事』に行っており、クロッカスの街にはいない。
蜂の骨(ハニーボーン)』までの距離が縮まると、ナツとウェンディ以外のメンバーにもその姿がはっきり見えた。腰近くまである青くて長い髪の毛をそのまま下ろしており、コバルトブルー色のセーターに黒いフレアスカートを穿いている少女が『蜂の骨(ハニーボーン)』を見つめていた。その少女がナツ達に気づくと、驚いたように少し目を見開いた。が、すぐに体をナツ達の方に向けると、

?「あの・・大魔闘演舞に出場している、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士の方達ですか?」

エ「あぁ。そう、だが。」

ナ「俺達に何か用か?」

ナツが少女に問うと、少女はナツ達に気づかれないように小さく微笑んだ後、




















?「運命の歯車が、逆回りし始めました。」




















?以外「えっ???」

少女の言葉にナツ達の頭の中に?が浮かび上がる。

?「『極悪十祭』・・・」

ト「えっ・・?」

?「人間と悪魔の奈落(地獄)の宴・・・」

ル「奈落(地獄)・・・・?」

ナ「おい!どういう意味だっ!」

ナツが怒鳴りながら少女に問うが、

?「未来は今、誰も予想する事が出来ない、思わぬ方向へと進み始めた――――――――――」

ナ「お、おい!質問に答えろよっ!てめぇは誰なんだよぉっ!!」

ナツが少女の手を掴む前に、少女は霧のようにスゥと音も無く消えてしまった。

フ「き・・消え、た・・・」

静寂と沈黙が辺りを包み込む。

ハ「『極悪十祭』?」

最初に口を開いたのはハッピーだった。

シャ「人間と悪魔の奈落(地獄)の宴って言ってたわよね。」

エ「『竜王祭』と似ているな。」

人間と竜の魔の宴
人間と悪魔の奈落(地獄)の宴

リョ「思わぬ・・方向・・・?」

グ「意味分かんねぇよ・・・」

その時、

ショ「!うっ・・・・」

ショールが小さな呻き声を上げて額を押さえた。

マ「ショール?」

ユ「どうしたの?」

近くにいたマヤとユモが声を掛ける。

ショ「い・・いや・・・何でも無い・・・・」

何でも無くなかった。この時、ショールはまた『予知』で()()()()を見てしまったのだ。しかも、以前『予知』で見たものとは違う。

ショ「(今の・・さっきの女が言っていた事と関係あるのか・・・?)」

ショールは視線をシャルルに移す。が、

ウェ「シャルル、『極悪十祭』って何?」

シャ「何で私が知ってるのよ?」

シャルルは極普通にウェンディと話していた。

ショ「(まただ。また、シャルルは見ていない。俺にしか、見る事が出来ない『予知』なのか・・・?)」

ショールが『予知』で見た()()()()。それは――――――――――




















銀色の台座に置かれた巨大な黒い大砲――――――――――





黒い大砲から撃たれた物体が地面を貫き、ドムス・フラウの会場で爆発する物体――――――――――




















ショ「(あの黒い大砲が置かれている場所・・・ドムス・フラウの地下か!?)」

ショールはドムス・フラウを振り返る。盛り上がっていた昼のドムス・フラウがまるで嘘だったかのように夜は静まり返っていた。

エ「ショール、どうしたんだ?」

ショ「!エ、エルザ・・・」

エルザの声にショールは我に返る。

エ「早くしないと皆に置いて行かれるぞ。」

いつの間にかナツ達の姿はどこにも無かった。すでに『|蜂の骨』のAチームが泊まっている部屋に向かったのだろう。

ショ「分かった。今行く。」

ショールはもう一度ドムス・フラウを振り返ると、足早にエルザの後を追い、『蜂の骨(ハニーボーン)』へと入って行った。

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              『『蜂の骨(ハニーボーン)』の屋根の上で―――――』

ショールが『蜂の骨(ハニーボーン)』へ入って行ったのを見届けると、少女はスクッと立ち上がった。青い髪の毛と黒いフレアスカートが風になびき、右耳に青い髪の毛を掛ける。先程ナツ達の前に姿を現した少女の招待は、球体型の映像魔水晶(映像ラクリマ)でナツ達の事を見ている『謎の少女』だったのだ。『謎の少女』の手には情報検索魔水晶(情報検索ラクリマ)が握られていた。

?「感謝してよ。世界の危機の予言をしてあげたんだから。」

そう言うと、『謎の少女』は情報検索魔水晶(情報検索ラクリマ)の電源を入れた。するとすぐに、とある映像が映し出された。映像には先程ショールが見た『予知』と同じ黒い大砲の絵が映し出されていた。

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                      『ドムス・フラウの地下にて―――――』

大魔闘演舞の会場であるドムス・フラウの地下には大昔竜王祭で戦った(ドラゴン)達の墓場がある。
その更に地下深くに、銀色の台座に置かれた巨大な黒い大砲があった。ショールの『予知』や情報検索魔水晶(情報検索ラクリマ)の映像では分からなかったが、大砲には太くて長い黒いチューブが繋がれていた。チューブは地上―――会場の地面―――に続いている。そして、黒い大砲の中央部に、赤い術式が日捲りカレンダーのように時を刻んでいた。





             『『極悪十祭』まで、残り5日 120時間27分09秒』





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                『『蜂の骨(ハニーボーン)』のAチームの部屋にて―――――』

ショールがAチームの部屋に入った時には、そこにいるメンバーが全員何かを覗いていた。

マ「あっ!やっとショールが来た。」

ト「遅かったですね。」

ル「どうかしたの?」

ショ「ううん。何にも無い。」

ショールは『予知』で見た事を未だに誰にも言っていない。いや、このまま誰にも言わないつもりなのだろうか?

ショ「ところで、何皆で見てるんだ?」

ショールが問うと、

ユ「先週の週刊ソーサラーだよ。」

グ「ルーシィの鞄の中身をあさっていたハッピーが見つけたんだ。」

当の本人であるハッピーはルーシィに両頬を抓られている。
先週の週刊ソーサラーは青い天馬(ブルーペガサス)特集で、ページの7割が青い天馬(ブルーペガサス)の魔道士達の写真や青い天馬(ブルーペガサス)の事が書かれていた記事で埋め尽くされていた。グラビアのモデルも、青い天馬(ブルーペガサス)特集と言う事でジェニーが載っていた。今皆が読んでいるページはすでに終盤で、「彼氏にしたい魔道士ランキング」や今話題となっている議題について書かれていた。

フ「1位は青い天馬(ブルーペガサス)のヒビキと妖精の尻尾(フェアリーテイル)のショール。」

ウェ「ショールさん1位なんですね!」

ショールがランキングで1位になってからは28回連続でヒビキと共にずっと1位をキープし続けている(本人はキープしているつもりは無い)。

ル「あれ?これって、8年前に魔道士ギルド連盟を追放された高速の弾丸(ファーストブレッド)の魔道士?こいつ等まだ捕まっていないのぉっ!?」

ハッピーを抓り終わったルーシィは、今話題となっている議題のトップにある議題を見て目を見開いた。そこには5人の男女の写真が名前付きで載せられている。5人の共通点は腕や肩に弾丸のような紋章が刻まれている事だけだ。

ト「高速の弾丸(ファーストブレッド)?」

エ「暗殺系の依頼を遂行し続けている闇ギルドだ。だが、8年前から存在を晦ましていて、未だに見つかっていない生息不明の闇ギルドなんだ。もちろん、100人近くいた高速の弾丸(ファーストブレッド)の魔道士の大半は逮捕した。だが、当時の高速の弾丸(ファーストブレッド)のリーダーと実力のある魔道士、計5人が未だに逃げ続けているんだ。その5人の魔道士が、この写真の奴等だ。」

エルザが写真を1つ1つ指差していく。

エ「高速の弾丸(ファーストブレッド)のリーダー、ガンオース。高速の弾丸(ファーストブレッド)のS級魔道士、ハビノ・リュットとレガフ・リョニッタ。高速の弾丸(ファーストブレッド)一の殺し屋、ライネド・テコウとリーキアズーだ。」

リョ「!?」

高速の弾丸(ファーストブレッド)の魔道士の名を聞いたリョウがまるで何かに気づいたかのように目を見開いた事に誰も気づかなかった。

ショ「なぁ、もう12時過ぎてるけど・・・」

ショールが時計を見て呟く。時刻は今12時47分39秒。

フ「リョウ、どうするんだ?おい、リョウ?」

青い顔をしているリョウの顔をフレイが覗き込む。

リョ「え・・あ、そ、そうだな。俺達も宿に戻―――って、無理みたいだな。」

そう言うリョウの視線の先にはベッドの上で大の字になって寝ていびきをかいているナツと、その横で小さな寝息をたてて寝ているマヤと、ナツのお腹の上で寝ているハッピーがいた。ウェンディとユモが3人に布団を掛ける。

ユ「Bチームは、今日Aチームの宿に泊まる事になったね。」

ト「結局、そういう事になっちゃうんですね・・・」

ウェ「はぁ・・・」

エ「まぁ、気にする事は無いだろう。」

グ「AチームもBチームも、同じ部屋で寝てるんだからよ。」

リョ「だからルーシィ、そんなに落ち込むなって。」

ル「落ち込むわよっ!!」





その夜、『蜂の骨(ハニーボーン)』のとある1室では、大勢の魔道士達が寝る羽目になった。 
 

 
後書き
第173話終了致しました!
「何かすごい事になっちゃった」と思うのは私だけでしょうか・・・?ドムス・フラウの地下にある巨大な大砲とは・・・!?ショールが見た『予知』の意味とは・・・!?リョウは高速の弾丸(ファーストブレッド)の魔道士を見て気づいた事とは・・・!?
次回は大魔闘演舞3日目の競技パートです!その内容は・・・えっ?2人(ペア)で?
それではまた次回! 

 

第174話 『宝狩』

 
前書き
更新遅れてスミマセンでした!元07の紺碧の海です☆突然ですが、改名しました。
今回は大魔闘演舞3日目の競技パート。その内容は・・・え?2人(ペア)で?
このお話はアイディアが全く浮かばず困っていた私に、私の憧れの存在である緋色の空さんの案を頂いて作りました。緋色の空さん、ありがとうございます!
今回もナレーション風です。
それでは、第174話・・・スタート☆ 

 
「♪~~~~~ ♪~~~~~ ♪~~~~~ ♪~ ♪~
 ♪~~~~~ ♪~~~~~ ♪~~~~~ ♪~ ♪~」

夜が明け、クロッカスの街に軽やかなファンファーレが鳴り響く。

チャ「大魔闘演舞3日目!いったい今日はどんな事件(ハプニング)が起こるんだぁーっ!?本日の特別ゲストは、評議院第4強行検束部隊隊長、ラハールさんにお越し頂きました。」

ヤ「久スぶりだねぇ。」

ラ「よろしくお願いします。」

ラハールは丁寧に、礼儀正しくヤジマに頭を下げる。元評議院6の席であるヤジマはラハールとは親しいのである。

チャ「これまでの順位で、1位は銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)、2位は死者の仮面(デスマスク)、3位は妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)という結果になっています。」

ヤ「妖精の尻尾(フェアリーテイル)は両チームともどんどん追い上げてくるねぇ。」

ラ「どんどん予想が付かなくなっていきます。」

チャ「それでは早速3日目競技パートに参りましょう!」

すると、どこからか大魔闘演舞のマスコットキャラクター、マトー君が姿を現した。

マト「競技の名は・・・『宝狩(トレジャーハント)』!!」

観客全「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」

競技の名を言っただけなのになぜこんなに盛り上がるのだろうか?

ウェ「『宝狩(トレジャーハント)』?」

フ「宝を・・・狩る?」

エ「いわゆる宝探しのようなものだな。」

ト「そ・・そうゆう意味、なんですか?」

エルザは一言で『宝狩(トレジャーハント)』をまとめる。

マト「出場者は、各ギルド()()です。」

ショ「えっ?」

ユ「2人?」

エル「おいおい・・どんな宝探しだよ・・・」

マト「さぁさぁ、早く決めないと失格になるカボよ。」

マトー君に急かされて、『宝狩(トレジャーハント)』について疑問に思いながらも各ギルドのメンバー達は輪になった。





バ「ハルト、イレーネ、お前達が出ろ。」

ハル「えっ!?」

イ「で、でも・・それだったら息ピッタリのアニーとアリーの方が・・・」

アニ「良いの良いの♪」

アリ「私とアニーは、もっと“重要な事”を任せられてるから。」

バ「頑張れよ。ハルト、イレーネ。」





映像魔水晶(映像ラクリマ)に映像が映し出された。

チャ「海中の洞穴(マリーンケイヴ)からは、ハルト・パーカー&イレーネ・ザンピア!!」

ヤ「双子のアニーとアリーじゃないんだねぇ。」





ヒ「ここは僕が出る事にしよう。」

ジェ「ヒビキが出るなら、私も♪」





映像が切り替わり、

チャ「青い天馬(ブルーペガサス)からは、ヒビキ・レイティス&ジェニー・リアライト!!」

観女全「キャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!」





グ「で、俺達はどうすんだ?」

ナ「そろそろ俺を出させろっ!暇すぎて体が鈍っちまうっ!」

ナツが喚き始める。

ル「分かったから静かにしなさいよ。」

エ「ナツ1人だと心配だからな・・・私が行きたいところだが、まだ少し怪我の具合が良くない。ウェンディ、行ってくれるか?」

ウェ「わ・・私なんかで良いのなら。」





映像が切り替わり、

チャ「妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)からは、ナツ・ドラグニル&ウェンディ・マーベル!!」





セ「『宝狩(トレジャーハント)』かぁ。面白そうだな。よしっ!俺が行くっ!」

シ「待ってよセイン!私も行く~!」





映像が切り替わり、

チャ「月の涙(ムーンティア)からは、セイン・ロード&シプ・マーノ!!」





ジュ「うむ。そろそろワシが出ても良い頃だな。」

シェ「ジュラさんが出るの?」

ユウ「他のギルドに勝ち目は無いな。」

ト「まだ勝負始まってねェよっ!!」

ユウ「キレんなよ。」

リ「ジュラさんが出るのなら、俺も行かせてもらう。」

シェ「リオンも?」

ト「強すぎるじゃねェかァっ!!」

ユウ「良いんだよそれで。つーかキレんなよ。」





映像が切り替わり、

チャ「蛇姫の鱗(ラミアスケイル)からは、ジュラ・ネェキス&リオン・バスティア!!」

ラ「聖十大魔道が登場ですね。」

オ「勝たなかったら回すよ!」





ナデ「ど、どどど・・どどどどどうしますぅ~?」

ス「う~ん・・・やっぱりここは、運動神経抜群のハマナスさんと、パワフルなツツジさんが良いと思います。」

サ「スミレに同感です。」

ハマ「皆さんがそれで良いのなら。」

ツ「喜んで、行きますよ!」





映像が切り替わり、

チャ「幸福の花(ハピネスフラワー)からは、ハマナス&ツツジ!!」





フ「んで、俺達は誰が行くんだ?」

ショ「もうAチームは決まったみたいだし、急がないとな。」

マ「私が行く~!てか絶対行くっ!もう退屈すぎてつまんない~!」

マヤが喚き始める。さっきのナツのようだ。

ユ「分かった分かった。マヤは決定ね。」

リョ「マヤ1人だと何やらかすか分かんねぇからなぁ・・・かと言って、ショールもユモもフレイも出場したし、俺もこの後ちょっと“用”があるし・・・・」

フ「“用”って何だよ?」

リョ「ん?あ、あぁ。別に大した事じゃねぇ。」

リョ以外「?」

リョ「という事で、マヤをよろしくな。トーヤ。」

リョウがトーヤの右肩にポンッと手を置く。

ト「え。ぼ、僕なんですか?」





映像が切り替わり、

チャ「妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)からは、マヤ・ララルド&トーヤ・ファイン!!」

観1「え。リョウ・ジェノロじゃねぇのかよ。」

観2「聖十同士の対決、見たかったのに~。」





オー「コネティと俺が行く。」





映像が切り替わり、

チャ「死者の仮面(デスマスク)からは、オーガンス&コネティ・ラドゥ!!」





ロ「そろそろ俺達の底力見せ付けねぇとっ!ここは俺とイエーガが行くっ!俺達は、ワイルド・・・」

四つ首全「フォーーーーーッ!!!」





映像が切り替わり、

チャ「四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)からは、ロッカー&イエーガ!!」

ヤ「巻き返スが出来るといいねぇ。」





アチュ「うおおぉおぉぉぉぉぉっ!!『宝狩(トレジャーハント)』、めっちゃ面白そうじゃねぇかぁっ!!おしっ!俺が行くぜっ!」

シェナ「ちょっと!勝手に決めないでよ。」

ウ「大丈夫よ。アチュールも1日目の競技パート以来出番が無かったんだから、久々に暴れさせても悔いは無いわよ。それに、私が付いて行けば安全よ。」

チ「ウララが行くの?」

タ「それなら安心だな。」





映像が切り替わり、

チャ「白い柳(ホワイトウィロウ)からは、ウララ・リネリア&アチュール・マム!!」





キ「妖精の尻尾(フェアリーテイル)、Aチームはナツ・ドラグニルとウェンディ・マーベル。Bチームはマヤ・ララルドとトーヤ・ファインか。」

ルチ「微妙な組み合わせだけど、なかなかだね。」

レ「だが、協力体勢(チームワーク)だったら俺達の方が断然有利だ。」

そう言いながらレヴルは後ろを振り返る。

カ「私とアンナの友情、ここで発揮しないとね。」

アン「絶対妖精の尻尾(フェアリーテイル)なんかに負けないんだから!」





映像が切り替わり、

チャ「銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)からは、カオリ・スプリング&アンナ・ワンス!!」





ジェニ「おいおい!俺達今めっちゃ崖っぷちの順位だぞっ!だぁーーーっ!俺は『浮上板(フロウトプレート)』のリベンジのつもりで行くぞっ!」

走り出そうとするジェニックの襟首をリートが掴む。

リー「おいジェニック、リベンジなら俺も出場する権利があるぞ。勝手に行こうとするな。」

アナ「もぉ!リベンジなら私も出場権利がある事忘れないでよっ!」

ジェニ「俺は1日目の競技パート以来、一度も出てねぇんだぞ。だから俺が行くっ!」

リー「それだったら俺も2日目の競技パート以来一度も出てねぇよ!」

アナ「私も昨日のバトルパート以来出てないわよ!」

ジェニ「俺だ!」

リー「俺だっての!」

アナ「私よ!」

ジェニックとリートとアナは睨み合う。

ヒリ「ちょ・・ちょっと皆・・・」

ヒリアは困ったように3人を遠ざけようとする。すると、ヒリアの白いバルーンカットソーの裾をラムが引っ張る。

ヒリ「何ラム?」

ラム「僕とヒリアで行こう。」

ラム以外「えっ?」





映像が切り替わり、

チャ「気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)からは、ヒリア・フーガベース&ラム・ビディンガン!!」





会場のど真ん中には、大魔闘演舞3日目の競技パート『宝狩(トレジャーハント)』に出場するナツとウェンディ、マヤとトーヤ、ハルトとイレーネ、ヒビキとジェニー、セインとシプ、ジュラとリオン、ハマナスとツツジ、オーガンスとコネティ、ロッカーとイエーガ、ウララとアチュール、カオリとアンナ、ヒリアとラムが集結した。

ト「す・・すごい、数でやる競技なんですね。」

宝狩(トレジャーハント)』はナツ達4人を含めた24人で行う競技なのだ。

マ「去年の大魔闘演舞も、こうゆう競技があったの?」

ナ「いや、確か無かったはずだ。」

ウェ「(ナツさんが去年の事を覚えていた!)」

ナツの記憶力にウェンディは心の中で驚嘆の声を上げた。すると、石造りの観客席の下にある出入り口から大魔闘演舞のマスコットキャラクター、マトー君がちょこちょこと歩いて来た。マトー君は『宝狩(トレジャーハント)』の出場者達の前で立ち止まると、

マト「では、大魔闘演舞3日目の競技パート、『宝狩(トレジャーハント)』のルール説明を行いますカボ。えー、まず初めに、各ギルドこのくじを引くカボ。」

どこから取り出したのか、2日目の競技パート、『登塔(クライムタワー)』の時と似た感じの箱にくじが2つしか入っていない箱を各ギルドのメンバーに引かせる。
くじを引くと、1本のくじは青いホログラム、もう1本のくじには赤いホログラムが浮かび上がった。
ちなみにナツとトーヤは青、ウェンディとマヤは赤のホログラムだ。

ヒ「引いたけど・・・」

ジェ「これは何なの?」

まだ何が何だか分かっていない24人の出場者達は首を傾げる。

マト「青いホログラムのくじを引いた方は隠されている宝を探す側。赤いホログラムのくじを引いた方は宝を探す側の人に指示をする側カボ。くじを引いた後から役目を交換したら即失格になるカボよ。」

それを聞いたマヤの手からポトッと赤いホログラムのくじが落ちた。トーヤはその隣で申し訳無さそうに小さくなっていた。





映像魔水晶(映像ラクリマ)の映像にくじによって振り分けられた役目が映し出された。





                          『指示する側』               『宝を探す側』
海中の洞穴(マリーンケイヴ)                 イレーネ・ザンピア             ハルト・パーカー
青い天馬(ブルーペガサス)                  ヒビキ・レイティス             ジェニー・リアライト
妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)             ウェンディ・マーベル            ナツ・ドラグニル
月の涙(ムーンティア)                   セイン・ロード               シプ・マーノ
蛇姫の鱗(ラミアスケイル)                 ジュラ・ネェキス              リオン・バスティア
幸福の花(ハピネスフラワー)                 ハマナス                  ツツジ
妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)            マヤ・ララルド               トーヤ・ファイン
死者の仮面(デスマスク)                コネティ・ラドゥ              オーガンス
四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)              イエーガ                  ロッカー
白い柳(ホワイトウィロウ)                ウララ・リネリア              アチュール・マム
銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)            カオリ・スプリング             アンナ・ワンス
気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)              ヒリア・フーガベース            ラム・ビディンガン





フ「ぬぁっ!?マヤが指示する側だとぉ~!!?」

エル「マ・・マジ、で・・・?」

ル「あっちゃぁ~。」

ユ「マヤ、あんなに楽しみにしてたのに。」

ショ「だ・・大丈夫、かなぁ?」

待機場所にいるルーシィ達も驚嘆の声を上げたり心配そうな声を上げていた。





ト「ス・・スミマセンマヤさん!せっかく楽しみにしてたのに・・・」

トーヤが必死に頭を下げる。

マ「もぉ、トーヤが謝る必要なんてこれっぽっちも無いよ。」

そう言いながら、マヤはトーヤの顔の前で右手の親指と人差し指で1mm以下の間を作る。

マ「それに、もう決まった事だもん。後から後悔したって良い事は帰ってこないもん。」

ナ「そうそう。」

すると、マヤの左肩に手を回したナツが白い歯を見せながら、

ナ「マヤはこんくらいの事でふてくされるほど心狭くねぇぞ。広大な砂漠みてぇに広すぎて、逆に大変だ。」

マ「それって、褒めてんの?貶してんの?」

ナ「()()()()だ!」

マ「ひどっ!」

そんなナツとマヤのやり取りを見てトーヤは少し安心したように小さく微笑んだ。すると、背後からひょこっとウェンディがトーヤの顔を覗き込む。

ウェ「トーヤさん、マヤさんの為にも、チームの為にも、頑張って下さいね。チームは違いますけど、私、トーヤさんの事、応援してますから。」

そう言うとウェンディは微笑んだ。ウェンディの言葉とその笑顔を見て、トーヤは若干頬をピンク色に染めると、

ト「はい!」

嬉しそうに頷いた。





マト「それでは、役目も決まったところで本題に入るカボ。」

マトー君が身振り手振りで話し始めた。

マト「まず宝を探す方達の説明から。」

そう言うと、マトー君は白い手袋をした指をパチン!とならした。すると、ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・と辺りに地鳴りが響いた。

観3「また地鳴りィ!?」

観4「いい加減にしろーっ!」

観5「ひゃああぁああぁぁあああああっ!」

観客席からはブーイングも多い。改めて言うが、「今年の大魔闘演舞は地鳴りが多い」。すると、会場の地面に緑、黄色、黒、水色の巨大な魔法陣が浮かび上がった。緑色の魔法陣からは葉が生い茂る巨木が生え、黄色の魔法陣からは地面に沿って砂が大量に流れ込み、黒い魔法陣からは色とりどりのコンクリート壁の建物が現れ、水色の魔法陣からは地面に沿って純白の雪が大量に流れ込んできた。
その4つの場所を区切るように、今度は地面から灰色の高くて分厚い塀が現れた。

アチュ「なんだこりゃぁ~!?」

ハマ「木に・・砂に・・建物に・・雪に・・塀?」

24人の出場者達は驚きを隠せない。

エ「す、すごいな・・・」

グ「もう「何でもアリ」って感じだな。」

それは待機場所にいたメンバー達も、

マカ「こ・・これは・・・!」

メ「すごすぎますね。」

応援席のメンバー達も、

観6「やりすぎだろ・・・」

観7「主催者側も大変だなぁ。」

観客席でも同じ事だった。
しばらくして地鳴りが治まり、ドムス・フラウの会場には灰色の高くて分厚い塀で区切られた森林、砂漠、街、雪原の4つの舞台(ステージ)が出来上がっていた。

チャ「な・・何と言う事だぁぁぁっ!会場に4つの舞台(ステージ)があっという間に出来上がってしまったぁぁぁぁぁっ!!」

チャパティ・ローラやヤジマ、ラハールやルーシィ達、観客達も驚いているが、一番驚いているのは『宝狩(トレジャーハント)』の24人の出場者達だ。それぞれ2人3組の2人(ペア)が4つの舞台(ステージ)に分けられていたのだ。自分達は最初の場所から1歩も動いていないというのに・・・
ちなみにナツとウェンディは森林の舞台(ステージ)、マヤとトーヤは街の舞台(ステージ)にいた。
そして、出場者1人1人の耳にはピンマイクが装着されていた。

ハル「ど・・どうなってんだ・・・?」

カ「1歩も動いていないのに・・・」

リ「このピンマイクは何だ?」

すると、4つの舞台(ステージ)事に映像魔水晶(映像ラクリマ)が現れ、マトー君が映し出された。

マト「驚きましたかカボ?この4つの舞台(ステージ)内にはこの宝が40個隠されているカボ。」

映像に映っているマトー君の白い手袋をした右手にはフィオーレ王国の国章が刻まれた金色の球体。これが宝だ。

マト「宝を探す方達はこの4つの舞台(ステージ)内を行き来して、宝を探してもらうカボ。この宝1個に付き、1ポイント。40個の宝全て見つかったらこの競技は終了カボ。宝の数のポイント数を加える事が出来るカボ~♪」

マトー君は嬉しそうに言う。だが、表情は一切変わらない。

マト「ちなみに、相手に魔法で一撃を与えると宝を1つその相手から奪う事が出来るカボ。」

少し声色を変えてマトー君が言う。

マト「そして、指示する方達は・・・」

そう言うと、マトー君はまた白い手袋をした指をパチン!と鳴らした。すると、赤いホログラムのくじを引いた各ギルドの指示する側の魔道士の体が赤く光りだした、と思うと、すぐにその場から瞬間移動(テレポート)をして、4つの舞台(ステージ)の真上に浮かび上がった巨大な赤い魔法陣の上に飛んで行ってしまった。もちろん、ウェンディとマヤもだ。

ナ「ウェンディーーー!」

ト「マヤさん!」





巨大な赤い魔法陣の上にはウェンディとマヤを含めた12人の魔道士とマトー君が集結していた。

マト「皆さんにはここから下にいる相棒(パートナー)に指示をしてもらうカボ。」

ちなみにこのマトー君の声は下にいる12人の魔道士達にも、それ以外の魔道士達や観客達にも聞こえている。

イ「指示って・・・」

ツ「こ、ここから・・・?」

ラム「どうやって?」

マト「その為にそのピンマイクがあるカボよ。」

マトー君が近くにいたマヤのピンマイクを指差す。

マ「あーあー、おーいトーヤ、聞こえるぅ~?」

マヤが試しにマイク越しに喋ってみると、

ト『うわぁっ!マ、マヤさん!?あぁ、えっと、聞こえます。』

驚いたトーヤの声が聞こえた。

マト「そのピンマイクで指示をするカボよ。」

コ「だが、ここからだと下の様子が全く分からないぜ。イヒヒ。」

コネティが不気味に笑いながら問うと、

マト「皆さんにはこの小型映像魔水晶(小型映像ラクリマ)を使って、会場全体の様子、相棒(パートナー)の様子を確認出来るカボ。」

マヤは渡された小型映像魔水晶(小型映像ラクリマ)を試しに操作してみる。青い点が1個あり、紫色の点が11個ある。青い点は自分の相棒(パートナー)を表し、紫色の点は相手を表している。

ジュ「宝の場所までは表されてはいないみたいようだな。」

マト「そこまで甘くないカボよ。」





リョ「今年の大魔闘演舞はすっげぇ~なぁ。」

リョウが感心したように呟く。

ル「ナツもウェンディもマヤもトーヤも頑張れぇ~!」

ルーシィが待機場所から叫んだ。





チャ「これで全ての準備が整いました。」

上と下にいる24人の出場者達の瞳はすでに燃えていた。

チャ「大魔闘演舞3日目競技パート、『宝狩(トレジャーハント)』・・・開始ッ!!!」

チャパティ・ローラの力強い実況と共に像の上にいる男が銅鑼をゴォォォォォン!!と力強く叩いた。遂に『宝狩(トレジャーハント)』が始まった。 
 

 
後書き
第174話終了です☆
毎回競技パートは1話で終わってたんですが、今回はあまりにも張り切りすぎて2話書く事になりました。このまま1話で収めたら、余裕で20000文字いきそうなんで・・・
次回は『宝狩(トレジャーハント)』の続きです。そして、何やらトーヤに異変が・・・!?
お楽しみに~☆ 

 

第175話 存在

 
前書き
紺碧の海で~す♪
今回は『宝狩(トレジャーハント)』の続きです。そして、何やらトーヤに異変が・・・!?
ナレーション風に書いていきます。
それでは、第175話・・・スタート♪ 

 
チャ「大魔闘演舞3日目競技パート、『宝狩(トレジャーハント)』・・・開始ッ!!!」

チャパティ・ローラの力強い実況と共に、像の上にいる男が銅鑼をゴォォォォォン!!と力強く叩いた。遂に『宝狩(トレジャーハント)』が始まった。宝を探す12人の魔道士が一斉に駆け出す。

チャ「会場の皆さんは、映像魔水晶(映像ラクリマ)の映像からご覧下さい。」

会場に6つの映像が映し出された。





ナ「おらおらおらおらおらぁぁぁぁぁっ!」

森林の舞台(ステージ)にいるナツはものすごい速さで木を登っていく。

ウェ『ナツさん、ありましたか?』

ピンマイクからウェンディが問う。

ナ「今探してる。確かにこの辺で光ったような気がしたんだけどな。」

競技が始まる前から、ナツはこの木の上で何かが光っているのを見つけていた。枝に足を掛け、幹に腕を回し注意深く辺りを見回すが、宝はどこにも見当たらない。

ナ「もっと上の方か?」

ウェ『気をつけて下さいね。落ちたら怪我どころでは済みませんよ。』

ナ「おう。」

ウェンディと言葉を交わしながらナツは更に上へ上へと登っていく。すると、ナツの目の前にある木の枝の辺りで何かがキラリと光った。枝に近づいてみると、フィオーレ王国の国章が刻まれた金色の球体が木の枝に引っ掛かっていた。

ナ「あったぞウェンディ。」

ナツは宝を手に取ると、ズボンのポケットに押し込んだ。

ウェ『ナツさん、まだ下りないで下さい。下に誰かいます。』

地面からナツがいる場所までかなりの距離があるが、滅竜魔道士は視力、聴覚、嗅覚が(ドラゴン)と同じくらい優れている。下を見てみると、白い柳(ホワイトウィロウ)のアチュールがいた。アチュールの手には宝が1つ握られていた。

ナ「なぁウェンディ、確か相手に攻撃を与えたら宝を1つ貰う事が出来るんだよな?」

ウェ『そうですよ。アチュールさんに攻撃するつもりですか?』

ナ「あぁ。」

そう言うと、ナツは出来るだけ音を立てずに木を下り始める。

アチュ「おーいウララ、次はどの舞台(ステージ)に行くんだ?」

アチュールはピンマイク越しにウララと会話している為ナツに気づいていない。アチュールの背後まで来ると、

ナ「火竜の・・・鉄拳ッ!!」

アチュ「ぐぉあっ!」

アチュールの背中に1発食らわせる。その反動でアチュールの手から落ちた宝を拾い上げる。

ナ「おしっ!2つ目GETだ。」

2つ目の宝もズボンのポケットに押し込んだ。





チャ「ナツ選手、アチュール選手に攻撃を与え宝をGET!」

ル「順調ね。」

エ「その調子だ。」





タ「あ~あ、火竜(サラマンダー)に取られちゃった。」

シェ「もぉ。アチュールったらしっかりしなさいよ!」





一方その頃、

ト「ありました!」

街の舞台(ステージ)で宝を2個見つけたトーヤは街の舞台(ステージ)から雪原の舞台(ステージ)へ移動し、雪の中から3つ目の宝を見つけたところだった。トーヤは宝に付いた雪を掃い、羽織っているローブで包む。

マ『私達すごい順調じゃん!よぉ~し、どんどん宝を見つけよう!』

ピンマイク越しに聞こえるマヤの声もすごく楽しそうだった。

ト「(宝を探す側だったら、マヤさんはもっと楽しんでいたんでしょうね・・・)」

そう思ったその時、背後から何者かの気配を感じ、トーヤは振り向くのと同時にその場から遠ざかる。そこにいたのは顔全体を覆う銀色の仮面を着けた死者の仮面(デスマスク)のオーガンスだった。

ト「(いつの間に・・・!?)」

マ『トーヤ、隙を突いてそいつから離れて。何をされるか分からないよ。』

ト「分かりました。」

死者の仮面(デスマスク)に仲間を傷つけられたのを目の当たりにしているマヤとトーヤは、オーガンスが死者の仮面(デスマスク)である限り良くない事が起こるのはすでに予測出来ていた。
トーヤは左手を胸の前に置くと、

ト「我と、心を通わせ、姿を現せ!出て来い!雪女!」

地面に紫色の魔法陣が浮かび上がり、そこから長い黒髪に同じ色の瞳、赤い唇、真っ白な肌と着物を着た雪女が姿を現した。

チャ「出たぁぁぁっ!これぞ失われた魔法(ロスト・マジック)怪物召喚(モンスターズ)!!」

チャパティ・ローラは初めて見る怪物召喚(モンスターズ)に目を輝かせている。

ト「雪女、吹雪を起こしてくれっ!」

雪「はい~。」

トーヤの指示に従い、雪女は左手を口元に近づけるとふぅ~と息を吹く。すると、雪が降り始め、風が吹き、辺りを白く覆い尽くす。視界が悪くなり、さっきまで目の前にいたオーガンスの姿さえ見えなくなってしまった。

マ『トーヤ、今の内に。早く!』

ピンマイク越しのマヤの声も若干震えていた。トーヤは雪女を妖霊界に帰らせると足早に雪原の舞台(ステージ)を後にした。





一方その頃、

ナ「でぇりゃあっ!」

ロ「うぉあっ!」

ナ「おらぁあっ!」

ヒ「キャアッ!」

森林の舞台(ステージ)から砂漠の舞台(ステージ)へ移動したナツはそこで出会わせた四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)のロッカーと、気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)のヒリアに攻撃を食らわせ宝を手に入れていた。だが、ロッカーは宝を持っていなかった。これでナツが手に入れた宝は3個だ。

ウェ『すごいですねナツさん。』

ナ「だろ?おしっ!どんどん攻撃して40個の宝全部俺が手に入れてやらぁっ!」

ウェ『40個全部はさすがに無理だと思いますよ。』

40個全部手に入れたらそれはそれで凄い事なのだが・・・

リ「お前は相変わらずだな。」

振り向くと、蛇姫の鱗(ラミアスケイル)のリオンがいた。

ナ「よぉ!久しぶりだな!」

リ「そうゆう場面じゃないと思うが・・・まぁ良い。」

リオンは肩を竦めた後、上着のポケットから宝を3つ取り出した。

リ「貴様も俺も、持っている宝は3つ。」

ナ「わざわざご丁寧に渡しに来てくれたのか?」

ナツが挑発気味に言う。リオンは上着のポケットに宝を仕舞い込むと、両手を構え冷気を溜める。それに合わせるかのように、ナツも右手に炎を纏う。

リ「どっちが先に攻撃を当てるか、勝負してみるか。」

ナ「望むところだ。燃えてきたぞ。」





チャ「あぁっと!砂漠の舞台(ステージ)でナツ選手とリオン選手がぶつかり合ったぁぁぁっ!」

リョ「火竜(サラマンダー)と零帝ねぇ。」

リョウが顎に手を当てながら呟いた。





最初に動いたのはリオンだった。が―――

リ「アイスメ」

ア「絵画魔法(ピクトマジック)(タイガー)!!」

リ「ぐぁはっ!」

ナ「!!?」

突如現れた虎がリオンに襲い掛かった。虎はポン!と姿を消した。襲われた反動で上着から落ちた宝を銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)のアンナが拾い上げる。

リ「貴様・・・・!アイスメ」

ア「絵画魔法(ピクトマジック)(イーグル)!!」

苛立ちの表情を浮かべ、アンナに攻撃しようとしたリオンよりまた早く、アンナはスケッチブックに鷲の絵を描く。スケッチブックから出て来た鷲は大きな足でリオンの肩を掴むと森林の舞台(ステージ)の方へ飛んで行ってしまった。
砂漠の舞台(ステージ)にいるのはナツとアンナだけとなった。

ナ「・・・おい、どうゆうつもりだ。ア?」

両手に炎を纏い、後ろにいるアンナに問う。アンナは表情を変える事無く、目に掛かった前髪を払いながら、

ア「私はあなたと正々堂々と戦いたかっただけ。他の連中は邪魔でしょ?零帝と戦うのは後にして、まずは私と勝負よ。」

そう言うとアンナは絵筆を持ち直し、スケッチブックに何かを描き始めた。

ア「絵画魔法(ピクトマジック)大槌兵(ハンマー)!!」

ナツの頭上に巨大な大槌兵が現れ、真っ逆さまに落ちてくる。

ナ「どいつもこいつも勝手な事しやがって・・・」

炎を纏った拳を握り締めるナツの脳裏には傷つけられた仲間の姿。ブチッ!とナツの中で何かが引き千切られた。

ナ「これ以上、仲間を傷つけたら許さねぇぞおぉぉおぉおおぉおおおおおっ!!」

怒り狂った(ドラゴン)そのもののように、ナツは炎を纏った拳をアンナに振りかざす。

ア「うああぁあぁああぁあああああっ!!」

ナツの拳をまともに食らったアンナは10mくらい吹っ飛ぶ。その反動でスカートのポケットから落ちた宝を拾い上げる。

ナ「俺達妖精の尻尾(フェアリーテイル)は逃げも隠れも、潰されもしねぇ。俺達を甘く見てると、きっと後悔すっぞ。」

拾った宝をズボンのポケットに押し込むと、ナツはその場を立ち去った。





チャ「ここでこれまでの途中結果を見てみましょう。」

映像魔水晶(映像ラクリマ)の映像に途中結果の表が映し出された。





                 海中の洞穴(マリーンケイヴ)        4個
                 青い天馬(ブルーペガサス)         3個
                 妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)     4個
                 月の涙(ムーンティア)          3個
                 蛇姫の鱗(ラミアスケイル)         3個
                 妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)     4個
                 幸福の花(ハピネスフラワー)        3個
                 死者の仮面(デスマスク)        4個
                 四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)      0個
                 白い柳(ホワイトウィロウ)        2個
                 銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)     5個
                 気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)       2個





ヤ「3つのところが多いねぇ。」

ラ「まだ0のところもありますよ。」

チャ「宝は残り3つ!いったいどのギルドが一番多く宝を手に入れる事が出来るんだぁぁぁぁぁっ!?」





一方その頃、

マ『トーヤ、大丈夫?』

トーヤは街の舞台(ステージ)に戻り、残り3つの宝を必死に探していた。マヤのピンマイク越しに聞こえるのはトーヤの荒い息だった。

ト「はぁ・・はぁ・・・だ、大丈夫・・です・・・・はぁ、はぁ・・・い、急がないと・・取られ、ちゃいます・・から・・・はぁ・・・はぁ、そ・・それに、マヤさんに・・・悪い、ですから・・・はぁ・・はぁ・・・・」

本当は宝を探す側がよかったマヤ。あの時は「もう決まった事だから」と言っていたが、トーヤはまだ罪悪感を感じていた。
その時―――

マ『トーヤ後ろ!』

ト「え?うわぁっ!」

トーヤが後ろを向いた時にはすでに遅かった。音も無くトーヤの背後に現れたのはオーガンスだった。顔全体を覆う銀色の仮面が不気味なオーラを漂わせている。
トーヤを襲ったのは死者の亡霊。それを無防備だった背中で食らった為、宝を1つオーガンスに奪われる。

マ『まさかあいつ、ずっとトーヤの後をつ』

マヤが全て言い終わる前にパキィン!とトーヤの耳元でピンマイクが粉々に砕け散った。粉々になったピンマイクは地面に落ちる。マヤとは音信不通になってしまった。

ト「マヤさん・・・」

トーヤは地面にしゃがみ込み、粉々になったピンマイクを救い上げる。
しばらくしてからトーヤは立ち上がると目の前にいるオーガンスを睨み付ける。

ト「僕に何か御用ですか。」

口調は常に敬語だが、今のトーヤはいつものトーヤではない。オーガンスはトーヤの問いに答えず、右手をゆっくりと前に突き出す。すると、

ト「!ぐわぁっ!」

目に見えない波動で吹き飛ばされた。また攻撃を食らった為、また宝を1つオーガンスに奪われる。起き上がろうとした瞬間、

オ「フン!」

ト「がはっ!」

オーガンスの後ろ回し蹴りがトーヤの鳩尾にきまる。また攻撃を食らった為、また宝を1つオーガンスに奪われる。―――――トーヤが所持している宝は残り1つ。





ショ「あいつ、さっきからトーヤしか狙っていない。」

映像魔水晶(映像ラクリマ)の映像から一度も目を離さずに見ていたショールが呟く。

フ「おいおい、トーヤが持っている宝、後1つしか残ってねぇぞ!」

ユ「しかも、40個の内見つかっていない宝の数も残り1つ・・・」

トーヤとオーガンス以外の魔道士達は最期の1個を見つける為に各舞台(ステージ)を行ったり来たりの繰り返し。

エ「マヤとトーヤは今音信不通の状態。」

グ「今のトーヤにとって、めちゃくちゃ不利な状態だ。」





オ「このまま終わるのかい?怪物(モンスター)よ。」

仮面越しにオーガンスが言う。仮面を着けている為表情は分からないが、この時トーヤにはオーガンスが不気味に微笑んでいるように見えた。

ト「・・お・・・終わり、ません・・よ・・・・」

よろめきながらも、トーヤはその場に立ち上がる。顔を上げ、穏やかな紫色の瞳でオーガンスを見つめると、

ト「・・・ぼ、僕一人の・・せい、で・・・・み、皆さん・・に、迷惑・・・を、か・・掛けたく、ないから・・・」

それを聞いたオーガンスはしばらく何も言わずにその場に佇んでいた。が―――










オ「お前の存在はどうなんだ。」










ト「・・・え?」

オーガンスの言葉にトーヤは理解する事がすぐには出来なかった。

オ「お前が仲間に迷惑を掛けたくないのは分かった。しかし、仲間にとってお前の存在自体が迷惑なんじゃないか?そうだろ?妖霊界の半幽人よ。」

ト「!?」

トーヤは目を見開き言葉を失った。





映像魔水晶(映像ラクリマ)の映像を見ていたルーシィ達も目を見開き言葉を失っていた。

ル「な・・何で、あいつ・・・」

リョ「トーヤが、妖霊界からやって来た半幽人だって、分かったんだ・・・?」

普通の人間ではまず見破られないはずなのに、オーガンスはトーヤが半幽人である事を見抜いた。

エル「だが、「トーヤの存在が迷惑」ってのはどうゆう事だ。」

フ「あいつ、俺達に喧嘩でも売ってんのか?」

ショ「まぁ、宣戦布告を出したくらいだからな。だが、「トーヤの存在が迷惑だ」って言う人間は妖精の尻尾(フェアリーテイル)には誰一人いない。もしいたら、そいつの存在の方が迷惑だ。」

ショールの鮮血のような赤い瞳には怒りがこもっていた。





トーヤは目を見開いた状態のまま時間が止まってしまったかのように瞬き1つせずその場に呆然と立ち尽くしていた。

オ「お前は一度も考えた事が無かったと思うが、お前のような存在がギルドにいたら、ギルドの仲間全員に迷惑を掛ける事となる。必死に正体を隠しながら一緒に仕事に行き、ギルドで楽しく過ごす。お前のような存在が一人いるだけで、周りの人間がどんなに苦労しているか。お前みたいな奴は一度も考えた事が無さそうだな。」

ト「・・・・・」

トーヤは黙って顔を伏せる。

オ「だが、お前の仲間もとんだ大バカ揃いだ。」

ト「!」

オ「酒臭いギルドで毎日どんちゃん騒ぎを繰り返し、問題を起こし、評議院に怒られるの繰り返し。よくもまぁ飽きずにこんな毎日を過ごせるもんだな。」

オーガンスがトーヤに背を向けて妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士達をバカにする。だから気づかなかった。自分の背後で、今、何が起こっているかを―――

ト「・・・黙れ・・」

オ「ん?なっ・・!?」

オーガンスが後ろを振り返ると、そこには体全身から真っ黒な邪気を放出させた少年、トーヤがいた。

ナ「トーヤ?」

トーヤの体から放出されている邪気は別の舞台(ステージ)にいるナツにまで伝わっていた。

チャ「な、なななな何だあれはっ!?トーヤの体から真っ黒な邪気が放出されていますっ!」

すると、トーヤは首に着けている幽封玉を外した。妖しい紫色の光がトーヤを包み込んだ。次の瞬間、トーヤの頭からは角が生え、瞳が赤く染まり、足が透けている。

オ「は・・半幽人・・・!」

仮面を着けている為分からないが、半幽人になったトーヤを見たオーガンスの表情は困惑しているだろう。

ト「僕をバカにしたかったら、好きなだけバカにして下さい。ですが、ギルドの皆をバカにするのだけは止めて下さい。でないと、痛い目に合いますよ。」

オ「ほぉ~。どんな痛い目なんだ?ちょっと興味が湧いてきたな。」

ト「!?」

こんな人間が世の中には存在する。知りたい事があれば、どんな過酷な道でも挑み続ける人間が。まさに今のオーガンスだ。

オ「まずは星霊魔道士の小娘。俺の情報が正しければ、あの女は黄道十二門の鍵をたくさん持っているが、魔力がそんなに高くない為役に立たない。続いて元有名マジシャン。俺の情報が正しければ、あの男は人を信じる事が出来なくて、以前は偽名で名乗っていた。そんだけ仲間を信用していないという事だ。」

オーガンスの情報は全て正しいものばかり。オーガンスは次々に妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士達をバカにしていく。

オ「次は・・・天空の巫女だな。」

ト「!」

赤く染まったトーヤの瞳が見開かれた。

オ「天空の滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)だが、あまり強くない。」

ト「・・・・ろ・・・」

オ「治癒魔法が使えるが、肝心な時に使えなくなったりするのであまり役に立たない。」

ト「・・・めろ・・・・」

オ「いつもオドオドしてて頼りがいが無く、時々頑固にな」

ト「止めろおぉぉおぉおおぉぉぉおおぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」

トーヤの怒りが爆発した。

マ「うわわわっ!な、何なのっ!?」

ウェ「トーヤさん?」

指示をする側のウェンディとマヤは下を覗いてみる。

ウェ&マ「!!?」

ウェンディとマヤが目にしたものは、真っ黒な邪気に包まれ、狂ったように叫んでいる半幽人の姿をしたトーヤだった。

マ「ト・・トーヤ・・・?」

ウェ「い・・いったい・・・何が、起きたの・・・?」

ト「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」

トーヤの怒りが爆発した事により、大気が震えている。

ル「トーヤ!?」

グ「おい!どうしたトーヤ!?」

ユ「どうしたの!?」

ルーシィ達もパニックを起こしていた。

ト「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」

それでもトーヤは狂ったように叫び続ける。すると、怒りが1つの小さな塊になりオーガンスの頭上に降り注いだ。

オ「ぐほぉっ!」

オーガンスから宝を1つ奪い返した。すると、怒りが1つの小さな塊になり、その塊がナツ以外の他の魔道士達の頭上にも降り注いだ。

ハル「うあっ!」

ジェ「キャアッ!」

シ「ひぃっ!」

リ「くっ・・・!」

ハマ「うぐ・・・!」

ロ「ぐぉあぁっ!」

アチュ「ぐはっ!」

ア「ひゃあっ!」

ヒ「イギィッ!」

宝をいっぺんに貰う事が出来た。そこでようやくトーヤは叫ぶのを止めた。大気が震えていた為、最後の1個である宝がどこからか飛び出してきて、月の涙(ムーンティア)のシプの足にぶつかって止まった。シプは転がってきた宝を拾い上げると、

シ「あ。最後の宝、見つけた~♪」





妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)は宝を4個GETしたので、4ポイント獲得。妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)は宝を10個GETしたので、10ポイント獲得。





チャ「これにて、大魔闘演舞3日目競技パート、『宝狩(トレジャーハント)』を終了致します。」

宝狩(トレジャーハント)』が終了したのと同時に、ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・とまた会場に地鳴りが響き、4つの舞台(ステージ)は跡形も無く魔法陣に吸い込まれていった。 
 

 
後書き
第175話終了~♪
2話連続で『宝狩(トレジャーハント)』をお送りしましたがいかがだったでしょうか?
次回は大魔闘演舞3日目バトルパートです!第1試合(と第2試合)をやります。
それではまた次回、お会いしましょう~♪
 

 

第176話 勝利の香り

 
前書き
紺碧の海です!
今回は大魔闘演舞3日目のバトルパートです。第1試合と第2試合をやります。
ナレーション風に書いていきます。
それでは、第176話・・・スタート! 

 
チャ「『宝狩(トレジャーハント)』が終わったところで・・・これより!大魔闘演舞3日目の、バトルパートを始めたいと思いますっ!!」

観全「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!」

大歓声が起こる。

チャ「因みに現在トップ4には銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)死者の仮面(デスマスク)妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)が並んでいますっ!!」

ヤ「宣戦布告を出し合ったギルドが勢揃いだねぇ。」

ラ「このバトルパートで今後の結果が決まりそうです。」





待機場所にいる妖精の尻尾AB(フェアリーテイルAチーム・Bチーム)銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)の魔道士達と、死者の仮面(デスマスク)の魔道士達と睨み合っていた。

エ「まさか、3日目の中盤で並ぶとはな。」

エルザが空中に映し出されている映像魔水晶(映像ラクリマ)の順位表を見て呟く。

ウェ「銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)の人達はこれまで10ポイントと8ポイントしか獲得してませんよ。」

グ「「妖精の尻尾(フェアリーテイル)と並ぶ強さ」ってのは、伊達じゃなかったんだな。」

銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)の魔道士達は妖精の尻尾(フェアリーテイル)を見下しているような視線をナツ達に送る。その態度も、その笑みも、何もかも一言で表すと、「キザ」だ。

フ「そしてもう1つ・・・」

視線を反対方向に移すと、死者の仮面(デスマスク)の魔道士達が仮面越しから妖精の尻尾(フェアリーテイル)に冷たい視線をナツ達に送る。その視線と共に、死者の仮面(デスマスク)の魔道士達からは不気味な魔力を感じる。

ショ「あいつ等は、俺達に何の恨みがあるんだ?」

マ「私には全く覚えが無いんだけどな~。」

マヤが首を傾げる。すると、死者の仮面(デスマスク)のリノと目が合った。リノはマヤと目が合うとすぐに背を向けた。

マ「(目を合わせたくないならこっち向くな!)」

心の中で怒鳴る。





チャ「第1試合、銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)、カオリ・スプリング!!VS青い天馬(ブルーペガサス)、一夜=ヴァンダレイ=寿!!」

観全「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!」

石造りの会場の出入り口からカオリと一夜が姿を現した。一夜は1歩1歩足を進める度に観客の女性達に向かって変なポーズを決めたり、

一「どぉも。あなたの為の、一夜でぇす♪」

お決まりの台詞(セリフ)を口にする。が、

観女1「うげぇ~・・・」

観女2「キ・・キモッ・・・」

元からの悪評価を更に悪化させてしまっている。一方、サイドアップに束ねたローズピンク色の髪の毛を揺らしながら歩くカオリは観客の男性達の(ハート)を鷲掴みにする。

観男1「カオリ・スプリング、やっぱ美人だよなぁ~。」

観男2「俺の嫁になってくんねぇかな?」

一応言っておくが、カオリはまだ19歳の少女だ。中年の男と結婚するのはさすがに無理がある。

ル「うわぁ~。すごい綺麗な人~。」

ショ「あの人、青い天馬(ブルーペガサス)や週刊ソーサラーのグラビアにもスカウトされた事があるらしいけど、全て断ってるみたいだ。」

ト「ショールさんと似てますね。」

美女と自称イケメンが会場のど真ん中で向き合う。

ショ「一夜さん、大丈夫かな?」

エ「心配するな。あいつもすごい魔道士なんだ。初対面の女に、そう簡単に負ける事は無いはずだ。」

リョ「そ・・そうなの、か?」

ユ「そんな風に見えないのは・・・私だけ、かなぁ・・・・?」

エル「ユモ、俺も見えないから大丈夫だ。」

たぶん、エルザとショール以外、一夜の事を「すごい魔道士」として見える者はいないだろう。

チャ「第1試合、開始ッ!!」

チャパティ・ローラの実況と共に像の上にいる男が銅鑼をゴォォォォォン!!と力強く叩いた。試合が始まった。最初に動きを見せたのは一夜だった。が、一夜は攻撃をするのではなく、くんくんくんくんと大きな出っ張った鼻を動かし、勝負する相手であるカオリの周りをくるくると一周する。

チャ「え・・えぇっとぉ~・・・い、一夜、選手、いったい何を・・・?」

マイクでチャパティ・ローラが一夜に問い掛ける。が、一夜はそれを無視し、また変なポーズを決めると、

一「何と素敵な香り(パルファム)だ。」

目をキラキラ輝かせながらカオリに言った。普通自分の匂いを嗅がれると嫌がるのだが・・・

カ「ありがとうございます。あなたも素敵な香り(パルファム)ですよ。」

カオリは笑顔でお礼を言い、自分もお返しの代わりに一夜の香り(パルファム)を褒める。

ナ「なぁ、あいつ等の鼻・・・大丈夫なのか?」

ナ以外「・・・・・」

ナツの問いに答えられる者は妖精の尻尾(フェアリーテイル)の中にはいない。もしいたら、その人物は妖精の尻尾(フェアリーテイル)ではなく、青い天馬(ブルーペガサス)銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)に加入した方が良いだろう。

カ「素敵な香り(パルファム)ですが、あなたの香り(パルファム)はちょっと刺激が足りないので、これで補いましょう。」

そう言ってカオリは肩から下げているキャラメル色をしたショルダーバッグの中から小さな小瓶を取り出し、コルクの栓を抜いた。すると、小瓶の中から淡い黄色の煙が出て来て、一夜の鼻をくすぐる。

一「おぉ!何とすて・・メエェェエエエェエエェエエエエエンッ!」

黄色い煙を吸った一夜が突然雷に打たれたかのように電気を帯びながら痺れ始めた。

ヒ「一夜さん!?」

イ「師匠!」

レ「大将!!」

ジェ「先生!」

キ「アニキ・・・」

待機場所にいたトライメンズ+ジェニー+キルロが口々に叫ぶ。相変わらず呼び方は一貫していない。

カ「今のは麻痺の香り(パルファム)です。ちょっと刺激が強すぎましたか?」

カオリは小さく微笑みながら使い終わった麻痺の香り(パルファム)の小瓶をショルダーバッグの中に仕舞う。

一「メ・・メェン・・・」

麻痺の香り(パルファム)をまともに食らった一夜はすでに着ている白スーツがボロボロになっている。

一「ぜぇ・・はぁ・・・ぜぇ、な、なかなか・・はぁ・・・や、やります、な・・・ぜぇ・・はぁ・・・こ、ここは、痛み止めの・・・香り(パルファム)で・・ぜぇ・・はぁ・・・傷を・・・癒し、ましょう・・・ぜぇ・・はぁ・・・ぜぇ・・はぁ・・・」

グ「おっさん、もうグダグダじゃねぇか・・・」

一夜の様子を見てグレイが呟く。一夜はどこからか試験管を取り出しコルクの栓を抜いた。すると、試験管の中から黄緑色の煙が出て来て、一夜の体を包み込む。痛み止めの香り(パルファム)は痛みを和らげる効果がある。
そして使い終わった痛み止めの香り(パルファム)の試験管を投げ捨てる。

一「そろそろお見せしましょう。我が力の香り(パルファム)をっ!!!」

そう言うと一夜はまたどこからか試験管を取り出しコルクの栓を抜いた。すると、試験管の中から赤い煙が出て来た。その赤い煙を一夜は思いっきり鼻で吸い込む。

一「ぬおおおおおっ!力の香り(パルファム)、全開~~~~~!!!」

煙を吸い込んだ一夜の体は徐々に筋肉質になっていく。最終的には着ていた白スーツとオレンジ色のYシャツがはちきれてしまうほどの巨漢になっていた。当然の事だが、巨漢になっても顔は変わらない。

一「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」

筋肉の塊のようになった右腕をカオリに向かって振りかざす。が、カオリは可憐な身のこなしでその場から離れる。その一瞬でショルダーバッグから小さな小瓶を2つ取り出すと、その内の1つの小瓶のコルクの栓を開ける。すると、小瓶の中から淡い水色の煙が出て来て一夜の周りを包み込む。

カ「凍結の香り(パルファム)!」

次の瞬間、一夜の体が凍り付いた。

ウェ「速い!」

エル「一瞬すぎんだろ。」

あまりの速さに目が追いつけなかったウェンディとエルフマンが驚嘆の声を上げる。

カ「これで終了(フィナーレ)にしましょう。最後(ラスト)は素敵な香り(パルファム)で・・・」

カオリはもう1つの小瓶のコルクの栓を抜く。すると、小瓶の中から淡い赤色の煙が出て来て凍結状態の一夜の周りを包み込む。

カ「爆炎の香り(パルファム)!」

紅蓮の炎が氷ごと一夜を包み込む。

一「メエエェエェェエエェェエエエェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエンッ!!!」

しばらくしてからカオリはショルダーバッグから小瓶を取り出し、コルクの栓を抜いた。すると、淡い青色の煙が出て来て炎に包まれた一夜の周りを包み込む。

カ「水流の香り(パルファム)!」

大量の水が噴射され、一夜の体を冷やす。

一「メ・・・メェ~ン・・・・」

巨漢の一夜は力なく倒れ、それから立ち上がる事は無かった。

チャ「試合終了ォォォ!勝者、カオリ・スプリング!銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)、10ポイント獲得!!」

勝負に勝ったカオリはその場で1回転すると、右手の人差し指だけを立てて空に突きつけると、

カ「勝利の香り(パルファム)は、私に捧げられましたっ!」

****************************************************************************************

チャ「続いて第2試合、気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)、ヒリア・フーガベース!!VS白い柳(ホワイトウィロウ)、タクヤ・トースティー!!」

観全「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!」

石造りの会場の出入り口から瑠璃色の三つ編みと赤い短髪を揺らしながらヒリアとタクヤが姿を現した。

チャ「ヤジマさん、この2人はどんな勝負(バトル)を見せてくれると思いますか?」

ヤ「そうだねぇ・・2人共召喚魔法を使うから良い勝負(バトル)にはなると思うよ。」

チャ「ラハールさんは?」

ラ「召喚魔法は魔力をたくさん消費するので、その弱点を理解しながら2人は戦うと思います。」

チャ「なるほどぉ~。さぁ!両者とも会場のど真ん中で向かい合ったみたいです。」

ヒリアとタクヤの間で火花が散る。

チャ「第2試合、開始ッ!!」

チャパティ・ローラの実況と共に像の上にいる男が銅鑼をゴォォォォォン!!と力強く叩いた。試合が始まった。ヒリアとタクヤが動いたのはほぼ同時だった。ヒリアは右手を天に掲げ、タクヤは両手を大きく広げると、

ヒ「天を舞い、大空へ飛び立つものよ!召喚、鷲のザディア!」

空中に水色の魔法陣が浮かび上がり、そこから巨大な翼を持つ鷲が姿を現した。

タ「地を走り、草原を飛び舞うものよ!召喚、カブトムシのアジール!」

地面にオレンジ色の魔法陣が浮かび上がり、そこから丈夫な角を持ったカブトムシが姿を現した。

ル「鳥と虫?」

リョ「マヤとトーヤと同じ、召喚魔法の1種である鳥召喚(バードズ)昆虫召喚(インセクトズ)だ。」

マ「召喚魔法対決かぁ~。トーヤ、乱入しにいっちゃう?」

ト「ダ、ダメですよ!失格になっちゃうかもしれませんよっ!」

思い切った事を言うマヤを慌ててトーヤが止める。

フ「でもよ、この勝負・・・」

ユ「圧倒的に・・・ねぇ?」

ウェ「もう、勝敗がついてしまってる感じですよね・・・」

フレイ、ユモ、ウェンディが曖昧な笑みを浮かべながら口々に言う。

ヒ「ザディア、狙いはあの少年よ!」

ヒリアの指示に従いザディアは巨大な翼を広げてタクヤ目掛けて一直線に飛んでいく。

タ「アジール、向かい討て!」

タクヤの指示に従いアジールは自慢の角でザディアに向かい討つ。が、明らかにアジールの方が体が小さい為、アジールの自慢の角はザディアの巨大な体で折られた。

タ「あーーーーーっ!アジールの角がっ!角がっ!角がああぁあぁぁあぁあぁあああああっ!!」

自分が折った訳でもないのに動揺するタクヤ。その隙に、

ヒ「ザディア、翼斬り!」

ザディアは翼を刀のように振るうとタクヤを石造りの会場の壁まで吹っ飛ばした。勢いが強すぎたのか、体全身を打ち付けたタクヤはその場で目を回していて立ち上がる事は無かった。

チャ「試合終了ォォォ!勝者、ヒリア・フーガベース!気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)、10ポイント獲得!!」

ヤ「たった一撃で倒すとは。ナイスだねぇ。」

ラ「すごいものを見せてもらいました。」

今までのバトルパートで最短の勝負(バトル)だった。何て呆気無い勝負(バトル)だったのだろう・・・ 
 

 
後書き
第176話終了致しました!
第2試合まで書けたぁ~。よかったぁ~。
次回は第3試合と第4試合です。果たして、どのギルドが戦うのか・・・!?
それではまた次回です! 

 

第177話 サクラVSバッカス

 
前書き
紺碧の海です☆
今回は大魔闘演舞3日目のバトルパートの続きです。第3試合と第4試合をやります。
ナレーション風に書いていきます。
それでは、第177話・・・スタート☆ 

 
チャ「それでは引き続き第3試合に参りましょうっ!!第3試合、蛇姫の鱗(ラミアスケイル)、リオン・バスティア!!VS月の涙(ムーンティア)、セイン・ロード!!」

観全「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!」

大歓声が起こる。石造りの会場の出入り口から左側に逆立った水色の髪の毛と緑色の髪の毛を揺らしながらリオンとセインが姿を現した。

ナ「リオンとセインかぁ~。」

ユ「グレイはもちろんリオンを応援するんだよね?」

グ「さぁな。」

兄弟子の勝負を見たくないのか、グレイは会場から少し離れて視線を別の位置に走らせていた。その視線の先には死者の仮面(デスマスク)の奴等がいた。死者の仮面(デスマスク)の奴等はグレイの視線には気づいていない。

グ「(死者の仮面(デスマスク)・・・俺達にどんな恨みがあるんだ?)」

リョ「・・・・・」

その様子をリョウは静かに横目で見つめていた。
リオンとセインが会場のど真ん中で向かい合った。2人の間で静かに風が吹く。

チャ「第3試合、開始ッ!!」

チャパティ・ローラの実況と共に像の上にいる男が銅鑼をゴォォォォォン!!と力強く叩いた。試合が始まった。最初に動き出したのはリオンだった。両手を構え、冷気を溜めると、

リ「アイスメイク、(イーグル)ッ!!」

無数の氷の鷲がセインに向かって一直線に飛んでゆく。

セ「氷の魔法か。ならば・・・!」

セインは独り言のように呟くと、背中に手を回し赤い(ステッキ)を手に取ると、

セ「炎杖(ファイアステッキ)!」

左から右に(ステッキ)を振る。すると、その場に赤く燃え盛る炎が出現し、飛んできた無数の氷の鷲を次々に蒸発させていった。

チャ「出たぁぁぁぁぁっ!これぞセインの「7つ道具」の力!」

チャパティ・ローラが椅子から立ち上がり、マイクを持って力強く実況中継をする。

エ「あいつ、まだ(ステッキ)を「7つ道具」と呼んでたのか・・・」

ショ「相変わらずしゃれた名前だな。」

月の涙(ムーンティア)が闇ギルドだった頃、セインと対戦経験のあるエルザとショールが言う。その頃からセインは(ステッキ)の事を「7つ道具」と呼んでいた。

セ「今度は俺からいくぜ。」

そう言うとセインは炎杖(ファイアステッキ)を戻し、黄色い(ステッキ)と緑色の(ステッキ)を取り出すと、

セ「雷杖(サンダーステッキ)風杖(ブリーズステッキ)共同(コラボレーション)!雷風砲!!」

雷杖(サンダーステッキ)から放たれた雷と、風杖(ブリーズステッキ)から放たれた風が渦を描くように合わさり、リオンに向かって一直線に放たれる。

リ「アイスメイク、大猿(エイプ)ッ!!」

セインの攻撃が当たる直前、リオンは自分の前に大猿を造形し身を防いだ。すると、その大猿を飛び越えて炎杖(ファイアステッキ)を持ったセインがリオンに攻撃を仕掛ける。が、

リ「アイスメイク、針鼠(ヘッジホック)ッ!!」

セ「うわぁあっ!」

自分の体に針鼠のような鋭く尖った氷を纏った。セインは氷に当たる直前足で踏ん張りその場を退ける。あのままリオンに突っ込んで行ったらセインの体は串刺しになっていた事に間違いは無い。

セ「流石零帝と言ったところだな。体に氷の針を纏い、俺を退けるとは。」

リ「俺は頭脳戦も得意としているからな。」

この2人、少し口調が似ている。

セ「だが、頭脳戦なら俺も負けていない。」

そう言うとセインは背中に手を回し風杖(ブリーズステッキ)を手に取ると、自分の足元で風杖(ブリーズステッキ)を振る。すると、セインの両足に小さな竜巻が纏った。その状態のまま、セインはリオンに向かって駆け出した。

リ「!」

それはほんの一瞬の出来事だった。さっきまで目の前にいたはずのセインがいつの間にか自分の背後に移動していたのだ。

ル「速い!」

ト「セインさんは今、両足に竜巻を纏っているから風のような速さで動けるんですね。」

まるで瞬間移動(テレポート)でもしたかのように思えてしまう。

セ「うぉらぁあっ!」

リオンの背後に周り込んだセインは炎杖(ファイアステッキ)の先端を地面に着けてそのままリオンを囲うように円を描く。すると、リオンを囲んだ円が炎を上げて燃え始めた。炎の高さは5mくらいはある。

チャ「なななな何とっ!リオンが炎の中に閉じ込められてしまったぁ~!!」

ヤ「面白い(オモスロイ)魔法の使い方だねぇ。」

ラ「さて、両者ともこれからどうするんでしょうか?」

ラハールの問いに答えるかのように、セインは背中に手を回し雷杖(サンダーステッキ)風杖(ブリーズステッキ)を手に取る。さっきのように風杖(ブリーズステッキ)を足元で振ると両足に小さな竜巻を纏う。その状態のまま、セインは雷杖(サンダーステッキ)を片手に駆け出し、炎にぶつかる寸前で立ち止まりその場で大きく飛び跳ねた。

チャ「おぉっ!何という跳躍力!」

ウェ「両足に風を纏っているから、跳躍力の威力も上がっているんだ。」

セインは一跳ねで炎より少し高いくらいの位置まで来る。円状に燃えている炎は真ん中に空洞がある。この空洞に雷杖(サンダーステッキ)の攻撃をすればリオンは間違いなく倒れるだろう。セインは雷杖(サンダーステッキ)を持ち直す。

セ「これで終わりだああぁああぁぁあああああっ!」

セインが雷杖(サンダーステッキ)を振ろうとしたその時、空洞から巨大な(ドラゴン)が姿を現した。

セ「なっ!?ぐぉああぁあぁぁああぁぁああああああああああっ!!」

(ドラゴン)はセインに頭突きをする。セインは成すすべも無くそのまま真っ逆さまに落ち、砂煙を上げながら大の字になって倒れた。

チャ「試合終了ォォォ!勝者、リオン・バスティア!蛇姫の鱗(ラミアスケイル)、10ポイント獲得!!」

空洞から現れた(ドラゴン)の背にはリオンが跨っていた。この(ドラゴン)は、リオンが造形した白竜(スノードラゴン)だったのだ。





ナ「リオンの勝ちかぁ~。」

マ「同じ氷の造形魔法なのに、グレイとユモとは全然違うね。」

ユ「私とグレイは静のアイスメイク、リオンは動のアイスメイクだから。」

マ「静?動?」

マヤの問いにユモが簡単に分かりやすく説明するが、まだマヤには早すぎたのかもしれない。マヤの頭の中に「?」が大量発生している。

フ「ったく。おーいショール、マヤに造形魔法の「静」と「動」の違いを教えてやってくれ。」

マヤに呆れたフレイがため息混じりに隣にいたショールに説明してもらおうと声を掛ける。が、

ショ「・・・・・」

当の本人であるショールは瞬き1つせずずっと同じ方を見つめていた。

フ「おい、ショール?」

ショ「・・・え、あ・・何?」

もう一度声を掛けてようやく反応したが、何も聞いてなかったみたいだ。

フ「大丈夫か?最近お前、ボーーーっとしてる時多いぞ。」

ショ「そんな事ないって。」

フレイの言う事をショールは否定する。その様子がフレイにはとても無理してるように思えてしまう。だが、当の本人であるショールが「大丈夫」って言ってるんだ。

フ「それならいんだけどよ。また後で聞く事にするわ。」

そう言ってフレイはショールの傍から離れて行った。フレイを見届けた後、ショールは再び視線をさっきの方に戻す。その視線の先には死者の仮面(デスマスク)の奴等がいた。死者の仮面(デスマスク)の奴等はショールの視線に気づいていない。

ショ「(死者の仮面(デスマスク)・・・何かが引っ掛かる。でも、それが何なのかが分からない・・・)」

リョ「・・・・・」

その様子をリョウは静かに横目で見つめていた。





チャ「続いて第4試合、幸福の花(ハピネスフラワー)、サクラ!!VS四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)、バッカス!!」

観全「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!」

石造りの会場の出入り口から桜色のボブヘアーに桜の花が描かれた桜色の着物を着たサクラと、右手にひょうたんを持ち、左へ、右へ、後ろへとベロンベロンになったバッカスが姿を現した。

エル「なぁエルザ、確かバッカスって、エルザ並の強さなんだよな?」

エ「あぁ。腕のある魔道士だ。」

ル「(エルザが「強い」って言ってる魔道士って、変わった人が多いわね・・・)」

エルザが「強い」と言っている魔道士、一夜やバッカス、他にもゾロゾロといるが・・・このまま話してしまうと試合が始められないのでここでお開きに。
両者が会場のど真ん中で向き合った。

チャ「第4試合、開始ッ!!」

チャパティ・ローラの実況と共に像の上にいる男が銅鑼をゴォォォォォン!!と力強く叩いた。試合が始まった。バッカスは相変わらずひょうたんに入っている酒を飲み続ける。

サ「そんなに御酒を飲んでては、体に毒ですよ?」

酒を飲み続けるバッカスにサクラが忠告する。だがこの男、バッカスは妖精の尻尾(フェアリーテイル)一の酒豪であるカナ・アルベローナに酒の飲み比べで勝ったのだ。

バ「ヒッ・・心配いらねェよぉ~・・・ウッ。」

バッカスは戦う前からベロンベロンだ。これは最早「重症」と言っても良いくらいだろう。サクラは呆れたように小さく肩を竦めると、懐から『御魂の桜扇』を取り出した。

グ「出たぞ、『御魂の桜扇』。」

ユ「サクラはあれから強くなったかなぁ?」

以前サクラとの対戦経験があるグレイとユモが言う。サクラは静かに『御魂の桜扇』を開くと、

サ「緑の御魂よ、敵を襲え・・・!」

すると、扇から太くて長い蔦が生え、バッカスを捕らえようとする。が、バッカスは酔っ払っていながらもその場で高く飛び跳ね攻撃を避ける。

バ「ヒック・・どうしたァ~?お前の力はこんなモンかァ~?ウックゥ~・・・」

酔っ払いながらバッカスはサクラを挑発する。

サ「ならば、岩の御魂よ、敵を封じ込め・・・!」

次の瞬間、バッカスの体が宙に浮かび上がり、バッカスを囲むように四方八方に岩が出現した。岩はバッカスを押し潰すかのように集まる。

チャ「あぁっと!岩に押し潰されるバッカス!このままやられてしまうのかっ!?」

四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)はこれまで一度もポイントを獲得していない。この勝負(バトル)で勝たなければ四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)に後は無い。が、容赦なく岩はバッカスを押し潰す。

サ「なかなか粘りますね。ですが・・・!岩の御魂よ、更に力を・・・!」

サクラは岩の威力を高める。更に押し潰す力が強くなった。

ナ「おいバッカス!こんなトコで負けんじゃねぇぞぉぉぉぉぉっ!!」

ナツが待機場所から叫ぶ。その声が聞こえたのか、バッカスは薄くニヤリと笑みを浮かべると、

バ「酔・劈掛掌!!」

サ「!!?」

指先をピーンと立たせ、大きく広げた掌に魔力を溜め岩を粉砕する。その圧倒的な破壊力にサクラは目を見開き言葉を失った。

バ「ウィ~ヨットォ~・・・やぁ~っと調子が出て来たぜェ~。」

ふらふらぁ~とした足取りで何とかその場に立っていられるギリギリの状態だが、バッカスはどこか楽しんでるような表情を浮かべた。

サ「酔いの鷹、バッカス。そんな異名が付くほどの酒豪なんですね。」

サクラが感心したように呟く。そして『御魂の桜扇』を持ち直す。

サ「最後まで、全力でいかせてもらいます!」

バ「ヒック・・来いよ。ウッ・・・」

バッカスが両手の指先を少し曲げてサクラを挑発する。

サ「風の御魂よ、竜巻を起こせ・・・!」

扇から竜巻が起きる。その竜巻はバッカスに向かって迫ってくる。バッカスは避けもせずにニヤリと笑みを浮かべると、

バ「酔・劈掛掌!!」

魔力を溜めた掌で竜巻を弾き飛ばした。サクラは弾き飛ばされた竜巻を着物を着ているのにも拘らずその場でバク転をしてかわす。

サ「大地の御魂よ、怒りで震わせ・・・!」

扇を地面に着くと、地面が大きく揺れ、ヒビが入る。バッカスは地面に手を着くと、

バ「酔・劈掛掌!!」

地面に魔力を当て振動させ、地面を凹ませた。

ト「地面をクッション代わりにした!?」

ウェ「すごい戦法・・・!」

トーヤとウェンディが驚嘆の声を上げた。サクラは扇を拾い上げると、

サ「どうやら私は、あなたを少し侮っていたようです。まさかここまで粘るとは・・・しかし、粘れるのはここまでです。」

そこまで言うと、『御魂の桜扇』が淡い桜色に光り出した。

サ「我が幸福の花(ハピネスフラワー)に代々伝わる『御魂の桜扇』の真の力、お見せしましょう。」

バ「ウック・・これで最後っつー訳か・・・ヒッ・・・んじゃ俺も・・・ヒック・・」

広げた掌に魔力を集中させる。

チャ「ここで両者、最後の攻撃を仕掛ける事となったぁぁぁっ!果たして、いったいどちらが勝利を収めるのかっ!?」

チャパティ・ローラが興奮気味に実況をする。そして―――





サ「全宇宙の御魂よ、敵を殲滅せよっ!森羅万象!!」

バ「酔・劈掛掌、“月下”!!!」





両者が最後の攻撃を放とうとしたその時―――カンカンカン!と金属音が響いた。それが聞こえた瞬間、両者の動きは止まる。

チャ「ここで試合終了ォォォ!結果は引き分け~!と言う事で、両チーム5ポイントずつ獲得となります!」

時間切れ(タイムアップ)となり、勝負(バトル)の決着はつかなかった。サクラは『御魂の桜扇』を静かに閉じ、懐に仕舞うと、バッカスに向かって深く頭を下げその場を立ち去った。バッカスもサクラの後ろ姿を見届けた後、ひょうたんに入ってる残りの酒を飲みながらその場を立ち去っていった。





ナ「ちぇ~。何だよ引き分けかよ。」

マ「ナツが文句言ったって意味無いよ。戦ってないんだから。」

フ「そうそう。」

サクラとバッカスの勝負(バトル)の結果に満足出来ないナツが不満の声を漏らしその言葉をマヤが指摘する。

ウェ「ナツさんもすぐに勝負(バトル)する事になりますよ。」

ト「ですから、もうしばらく辛抱して下さい。」

エル「漢なら、辛抱強く待つべしっ!」

ル「それ「漢」付ける意味ある?」

ウェンディとトーヤがナツを宥め、エルフマンの発言にルーシィが突っ込む。

グ「ったく、あいつさっき競技パートに出場したばかりじゃねぇか。」

エ「全く。意志が弱い奴だ。」

ユ「まぁまぁ。」

ショ「あれがナツらしいんだから。」

ナツ達から離れたところでグレイ、エルザ、ユモ、ショールが話していた。するとそこへ、

リョ「グレイ、エルザ、ユモ、ショール、ちょっと良いか?」

振り向くと、リョウがいた。いつもならルーシィの傍にいたり、ふざけていたりしているのだが、今は違う。茶色い瞳に決意を決めたような意志が宿っていた。リョウの瞳を見た瞬間、4人は同じ事を思ったはずだ。

「何かヤバイ事が起こる」

と。

リョ「頼みたい事がある。」

****************************************************************************************

人気の無い通路。そこにリョウに呼び出されたグレイ、エルザ、ユモ、ショールはいた。4人の前を呼び出した当の本人、リョウが歩く。

グ「(リョウが俺達に頼み事だと?)」

エ「(珍しすぎて、逆に不自然だ。)」

ユ「(嫌な予感しかしない・・・)」

ショ「(それよりまず、何で俺達4人だけなんだ?しかも、なぜこの4人なんだ?)」

4人の頭の中を横切るのは疑問と不安だけだ。

リョ「この辺で良いか。」

そう言ってリョウは立ち止まると壁に寄り掛かり体重を預ける。

リョ「お前等も楽にしろよ。別にそんな変な話じゃねぇから。」

そう言っていつものように笑うリョウ。グレイとユモ、エルザとショールはお互い顔を見合わせる事しか出来なかった。

エ「それで、頼みとは何だ?」

グ「お前が頼み事するなんて、珍しいな。」

ショ「しかも、俺達4人だけって事は・・・」

ユ「何か意味があるんだよね?」

リョ「大正解!」

リョウが右手の親指と人差し指の先を合わせて〇を作る。そして、リョウの顔から笑顔が消えた。代わりに出て来たのはこれまで見てきたリョウの真顔の中で一番の真顔だった。いきなりの事だったから、グレイ、エルザ、ユモ、ショールの4人は思わずビクッと小さく身震いをした。

リョ「まず、なぜお前等4人だけに頼むか。それは、お前等4人も、薄々勘付いてたり、感じてたりしてると思ったからだ。・・・死者の仮面(デスマスク)の奴等について。」

グ&エ&ユ&ショ「!!!」

4人共同じ反応をする。どうやらリョウの観察力は的中したみたいだった。

グ「つー事はよぉ、お前も死者の仮面(デスマスク)の奴等について何となく勘付いてんだな。」

グレイが言うと、

リョ「残念ながら、俺は勘付いてはいない。もう()()()()()()()()()。」

ユ「えっ?」

エ「もう、奴等の事について、全て分かったと言うのか?」

リョ「そういう事だ。」

ショ「何でそこまで言い切れるんだよ?まだ確信し」

リョ「したんだよ!」

「まだ確信していない」と言おうとしたショールの言葉を遮ってリョウが言う。その圧倒的な言動にショールは押し黙った。

エ「どういう事か説明してもらわないと、私達も頼みを引き受ける事は出来ない。」

リョ「あぁ。だからそれを今話す。」

リョウはそこでゆっくりと目を閉じた。薄暗い通路に、しばらくの静寂が流れる。そして、リョウはゆっくりと目を開けると、

リョ「死者の仮面(デスマスク)の奴等は―――――――――――――――――――――――」

リョウが確信大アリの死者の仮面(デスマスク)について語り始めた。
話が進んでいくに連れ、グレイとショールの目が見開かれ、エルザの顔が青ざめ、ユモが口元に手を当てる。
リョウの固く握り締められた拳が小刻みに震え出し、リョウの頬を一筋の涙が塗らした。
リョウが話してる間、口を挟む者はいなかった。

リョ「―――――という訳だ。」

リョウが話し終えても、しばらく誰も口を開く気になれなかった。ただ俯いてる事しか出来なかった。

リョ「お前等4人は、さっき言ったとおりの事をしてくれればそれで良い。今話した事は、俺達5人だけの秘密だ。もちろん、ナツ達にも、マカロフさん達にも言ったらダメだからな。いきなり呼び出して悪かったな。んじゃ、よろしく頼んだぜ。」

そう言いながらリョウはその場を立ち去った。薄暗い通路に取り残されたグレイ、エルザ、ユモ、ショールはしばらくその場から動く事が出来なかった。

****************************************************************************************

4人と別れたリョウは1人薄暗い通路を歩いていた。

『お願いです!ユリの・・・ユリの仇をとって下さい!!』

サクラの声が脳裏に響き渡る。リョウは暗がりの中で『嵐真剣』を鞘から抜く。暗がりの中で刃が銀色に光って見える。

リョ「仇、ぜってぇ~にとってやるからな。ユリ。」

小さく呟くように言うとリョウは静かに『嵐真剣』を鞘に戻した。 
 

 
後書き
第177話終了致しました☆
今回は引き分けの勝負(バトル)がありました。そして、リョウが遂にユリの仇をとる為に立ち上がる!
次回は大魔闘演舞3日目バトルパート第5試合目です。
それでは~☆ 

 

第178話 血塗れのドムス・フラウ

 
前書き
紺碧の海で~す♪
今回は大魔闘演舞3日目のバトルパートの続きです。第5試合とちょっとだけ第6試合です。そして今回、とんでもない事実が明かされる!!
ナレーション風に書いていきます。
それでは、第178話・・・スタート♪ 

 
チャ「それでは引き続き第5試合に参りましょうっ!第5試合、妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)、エルフマン・ストラウス!!VS海中の洞穴(マリーンケイヴ)、ハルト・パーカー!!」

観全「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!」





エル「やっと俺の出番かっ!漢だぁぁぁぁぁっ!!」

マ「はいはい。うるさいから早く会場行きなよぉ~。」

マヤが追い出すようにエルフマンの背中を押す。

エ「相手は海中の洞穴(マリーンケイヴ)か。」

ユ「ハルトはなかなか手強いよ。」

ル「ユモ、知ってるの?」

ユ「知り合いなんだ。」

グ「・・・・・」

海中の洞穴(マリーンケイヴ)のハルトとイレーネがユモと関係があるのを知っているのは妖精の尻尾(フェアリーテイル)のメンバーではグレイだけだ。
ユモはハルトとイレーネに対して危険視はしていないが、グレイはまだ2人の事を疑っているのかもしれない。そんな風な目で、グレイは会場にいるハルトに目を向けていた。





会場のど真ん中に「漢漢漢!漢ォォォォォ!!」と叫んでいるエルフマンと、どこからか7属性の武器(セットタイプ・アームズ)の1つ、雷の槍を取り出し、すでに身構えているハルトが向かい合った。

ヤ「2人共、もう戦う気満々だねぇ。」

ラ「どんな勝負(バトル)が見れるんでしょう?期待しています。」

チャ「第5試合、開始ッ!!!」

チャパティ・ローラの実況と共に像の上にいる男が銅鑼をゴォォォォォン!!と力強く叩いた。試合が始まった。
それが合図だったかのように、ハルトが小さく地を蹴り、素早くエルフマンの背後に周り込んだ。

エル「速ェ!うごっ!」

慌ててエルフマンは振り向くが時すでに遅し。ハルトは雷の槍の柄の先でエルフマンの顎を殴る。

ナ「あのハルトって奴、なかなかやるじゃねぇか。」

ショ「あの巨漢のエルフマンを槍で殴り飛ばすくらいだからな。かなり腕の良い魔道士だ。」

殴り飛ばされたエルフマンは体勢を立て直すと、

エル「ビーストアーム、黒牛!」

エルフマンの右腕が無数の四角に分裂し始め、エルフマンの右腕は確実に人間のものでは無くなっていた。

エル「うぉらぁっ!」

その黒い腕でハルトに殴り掛かる。が、ハルトは身軽の為か、エルフマンの腕を跳んでかわし、エルフマンの黒い腕の上に着地すると、

ハル「雷の球(サンダー・ボール)!」

槍の先に溜めておいた雷を帯びた金色の球体を至近距離からエルフマンに放つ。ドゴォォォォォン!と凄まじい爆発音が響き、会場が砂煙に覆われる。

チャ「ゲホッ、ゲホッ、す、凄まじい爆発が起こりました!ゲホッ・・す、砂煙で・・会場の様子が全く見えません!ゲホッ、ゲホッ・・エルフマン選手とハルト選手は、ゲホッ、一体どうなったんだぁーーーっ!?」

咳き込みながらも、チャパティ・ローラは実況するのを止めない。砂煙が晴れると、会場には2つの影が―――――。
1つは雷の槍を構えたハルト。少し息遣いは荒いがその場にしっかりと立っている。
もう1つは、全身が赤い毛で覆われ、頭から鋭く尖った黄色い2本の角が生えた獣―――――、

チャ「何とぉっ!エルフマン選手、接収(テイクオーバー)獣王の魂(ビーストソウル)により獣に姿を変えたぁぁぁっ!!」

観1「すっげぇーっ!」

観2「あれが獣王の魂(ビーストソウル)か。」

観3「カッコイイなぁ~♪」

どうやら雷の球(サンダー・ボール)を食らう直前に接収(テイクオーバー)し、ハルトの攻撃から身を守ったみたいだ。

ウェ「危機一髪ですね。」

ト「てっきり、やられちゃったかと思いました。」

ウェンディとトーヤは安堵する。

フ「でも、勝負(バトル)はこれからが本番だ。」

リョ「エルフマーン!最後まで気を抜くんじゃねぇぞぉぉぉっ!!」

リョウがメガホンのように口元に手を当てて叫ぶ。リョウの声は獣の姿になったエルフマンの耳にしっかりと届いていた。

エル「そんくらい、漢には分かっている事だ。」

リョウの言葉に答えるかのようにエルフマンは小さく微笑みながら呟く。そして顔を上げハルトと顔を合わせる。

エル「俺はお前と戦うのが好きなのかもしれねぇな。漢として。」

ハル「!」

その言葉にハルトは若干驚いたが、口元を緩めて薄く微笑む。

ハル「俺は妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士と戦うのが好きだ。」

エル「俺の他にも戦った事がある奴がいるのかっ!?」

ハル「あぁ。2人ほど、な。」

そう言ってハルトは妖精の尻尾(フェアリーテイル)の待機場所にいるグレイとユモに視線を送る。案の定、グレイとユモはハルトが自分達の方を見ている事に気づいていない。

ハル「勝負(バトル)は誰であろうと全力でやるモンだ。」

エル「漢として、勝負(バトル)は正々堂々とやるものだ。」

この2人、言う事が少し似ている気がする。
2人は口々にそう言い合った後、同時に地を小さく蹴ると、エルフマンを腕を振りかざし、ハルトは槍の先端に雷を纏わせる。
エルフマンの黒い拳はハルトの右頬に直撃し、ハルトの槍の雷はエルフマンの左肩に直撃する。お互い食らったダメージも五分五分だ。

ユ「・・・ハルト、楽しそう。」

2人の勝負(バトル)を眺めていたユモは誰にも聞こえない声で小さく呟いた。

エル「うぉおおぉおおおおっ!」

ハル「おぉらああぁあっ!」

エルフマンが拳を振るい、ハルトが槍で防ぎ、ハルトが槍の先端に雷を纏わせエルフマンに襲い掛かり、エルフマンが両手を交差(クロス)させて身を守る。

ナ「アイツ等、笑ってるぞ。」

エ「楽しそうだな。」

ナツとエルザが2人の表情を見て呟く。
不思議な事にエルフマンもハルトも、お互いの攻撃を食らい、身を守りながら、2人は顔に笑みを浮かべながら全力で戦っていた。

ヤ「とても生き生きとスた勝負(バトル)だねぇ。」

ヤジマが腕を組んでうんうんと頷きながら言う。だが、もうあまり時間が残っていない。

ハル「はぁ・・はぁ、そろそろ、終わりに・・はぁ・・・しねェと、な・・はぁ・・はぁ、はぁ・・・俺は、これで・・・はぁ、はぁ・・・さ、最後に、するぜ・・・はぁ・・はぁ、はぁ・・・」

そう言いながらハルトは槍の先端に雷を纏わせていく。

エル「はぁ・・はぁ、はぁ・・・お、漢の、勝負(バトル)は・・はぁ、はぁ・・・は、派手に、終わらせる・・もん、だぜ・・・はぁ、はぁ、はぁ・・はぁ・・・・」

エルフマンは足を踏ん張り、腰を低くする。

チャ「両者どうやら最後にするようです!勝利の女神が微笑むのはいったいどっちだっ!?」

チャパティ・ローラが椅子から立ち上がって実況をする。その額には汗が滲んでいた。

ハル「エルフマン、だったけな?もし負けても、文句言うなよ。漢として、負け惜しみを言うのはよくないからな。」

エル「あぁ。お前こそ。」

やはり、この2人、案外似ているのかもしれない。
槍の先端にジジジ、ビリリと雷を帯びた金色の光を纏わせると、ハルトは槍の先端を地面に向けて持つ。
緑色の瞳を大きく見開くと、

ハル「雷の爆発(サンダー・エクスプロージョン)!!」

槍を地面に突き刺した。すると、雷が地面にヒビを入れながらエルフマンの方へ進んでいく。雷がエルフマンの真下に辿り着いたのと同時に、まるで噴火したように雷が地面から勢いよく飛び出しエルフマンを包み込んだ。

エル「ぐぉおぉおああぁああああっ!」

苦しそうにエルフマンは雷の中でもがく。

ハル「っ~~~~~!」

ハルトも歯を噛み締めて必死に槍の柄を掴んで踏ん張る。
まるで槍が地面から抜けてしまうのを抑えているかのように―――-ー。

グ「おいエルフマン!そこから早く出ろっ!」

ル「そのままだとやられちゃうわよっ!」

グレイとルーシィが耳を塞ぎながら叫ぶ。耳を塞いでるのは2人だけではない。ナツもエルザも、ウェンディもマヤも、リョウもユモも、ショールもトーヤも、他のギルドの魔道士達も観客全員も耳を塞いでいた。エルフマンの声がデカすぎるからだ。
マヤが薄っすらと目を開け、会場の様子を窺う。

マ「ね・・ねぇっ!これ・・・エルフマンの悲鳴じゃ・・ない、よっ!」

マヤがエルフマンの声に負けないくらいの大声で言う。近くにいたリョウとトーヤがマヤの声に驚いて目を見開く。マヤの声に反応してショールも薄っすらと目を開けて会場の様子を窺う。

ショ「エ・・エルフ、マン・・・雄叫びを、上げ・・てる・・・」

ショールが耳を塞ぎながら独り言のように呟いた。

エル「ああああああああああああっ!!!」

マヤやショールが言ったとおり、雷に包まれているエルフマンの声は悲鳴ではなく雄叫びになっていた。

チャ「か・・かかかか会場に、獣の雄叫びが響き渡っていますっ!!」

チャパティ・ローラは耳を塞ぎながらもしっかりと実況を続ける。

エル「ああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!」

雄叫びが1回強くなったと思った瞬間、エルフマンの雄叫びが聞こえなくなった。会場にいる人達は皆恐る恐る耳から手を離し、会場に視線を移す。
そこにいたのは、雷から抜け出した(エルフマン)が拳をハルトに向かって振りかざしているところだった。

ハル「(・・・やっぱり、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士と戦うのは、何かが違う・・・そして、どの勝負(バトル)の中でも、最高に楽しい!)」

槍の柄を掴んだままハルトはそう思った。

エル「うおぉおおらああぁあぁぁあああっ!!!」

ハル「ぐぉああぁあぁあああああっ!」

エルフマンの拳がハルトの鳩尾に直撃し、ハルトは弧を描いて吹っ飛ぶ。そのままドサッと音を立てて地面に落ち、そこから立ち上がる事は無かった。

チャ「試合終了ォォォ!勝者、エルフマン・ストラウス!妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)、10ポイント獲得!!」

**********************************************************************************************************

チャ「さぁ!いよいよ今日の最終試合になりました。最終試合、妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)、リョウ・ジェノロ!!VS死者の仮面(デスマスク)、レッタ・リガニョフ!!」

観全「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!」

大歓声が起こる。

ヤ「ラハール君、部隊の者は連れて来とるかね?」

ヤジマが隣に座っているラハールに耳打ちをする。

ラ「え・・はい。会場の入り口の前で、待機させていますが・・・?」

ラハールが問いに答えると、ヤジマは普段閉じている目を薄っすらと開け、

ヤ「死者の仮面(デスマスク)の奴等を見張れと命令スてくれ。何かを仕出かス(スデカス)かもスれん。」

ラ「はい。」

目付きを鋭くしたラハールも頷いた。





リョ「んじゃ、行って来るわ。」

リョウが会場に向かう。

マ「頑張ってね、リョウ。」

ト「相手は死者の仮面(デスマスク)の人ですから、気をつけて下さいね。」

リョ「分かってるって。心配すんな。」

そう言って再び歩き出そうとするリョウの右手をガシッとルーシィが掴んで再び引き止めた。

リョ「ルーシィ?どうし―――――!」

振り向いてルーシィの顔を見たリョウの言葉が止まった。
ルーシィの茶色い瞳に薄っすらと涙が浮かび、今にも零れ落ちそうだったからだ。

ル「ゴ・・ゴメン。何か・・・嫌な予感がして・・・ううん、何でも無い。私の・・考えすぎだよね。うん、きっとそうよ。」

ルーシィは、まるで自分に言い聞かせるように言うと、リョウから手を離し、涙を拭う。そしていつものように笑顔になると、

ル「頑張ってね♪」

微笑んだ。
だが、その微笑みは若干引き攣っているように見えたのは言うまでも無い。
リョウは誰にも気づかれないように右手の拳を悔しそうに、何かを堪えるように、固く握り締めたが、すぐに力を緩め、

リョウ「おう!」

ルーシィにいつものようにVサインをした。そして背を向けて会場に向かって歩き出した。

ウェ「あれ?グレイさんと、エルザさんがいない。」

フ「ユモとショールもいねぇ。ドコ行ったんだ?」

エル「どっかその辺でイチャついてんだろ。」





会場に向かうリョウの前に、見慣れた4つの影。1つは紺色の髪の毛に上半身裸で、胸で銀色のペンダントが光る影。1つは長い緋色の髪の毛に鎧姿の影。1つは水色の髪の毛に水色のワンピースの影。1つは黒髪に黒いベストの胸ポケットに押された白い紋章が目立つ影。
そこにいたのはグレイ、エルザ、ユモ、ショールの4人だった。

リョ「悪いな、わざわざ。」

すまなそうにリョウは肩を竦める。

グ「顔が引き攣ってんぞ、リョウ。」

ユ「リョウらしくないよ。」

エ「全く、これから戦うというのに・・・情けないな。」

ショ「もっと気を引き締めろよ。」

グレイ、ユモ、エルザ、ショールの順にリョウを指摘する。

リョ「悪ィ悪ィ。」

それを受け流すかのようにリョウは適当に返事をすると先頭に立って歩き始めた。4人は一度顔を見合わせた後、仕方なくリョウの後に続いて歩き出した。
暗がりの道に5人の足音と、エルザの鎧がガシャッ、ガシャッと軋む音と、リョウの3本の聖剣(エクスカリバー)がガチャッ、ガチャッとぶつかり合う音だけがやけに大きく響く。

ショ「・・・なぁ、リョウ。」

最初に口を開いたのはショールだった。
ショールは歩きながら、後ろからリョウに声を掛けるが、リョウは振り向きもせず何も言わない。それでもショールは話を続ける。

ショ「俺達4人は、“あの時言われた事”をする。でも、もし何らかの理由でそれが狂ったら・・・どうするつもりなんだ。」

ショールの問いにリョウの足がやっと止まった。それに続いてエルザ、グレイ、ユモ、ショールという順で足が止まった。

ショ「俺達4人は無事だったとしても、一番危険の立場にいるお前は・・・どうするんだよ。会場だと、誰も助けに行けないぞ。」

ショールの口調が徐々に強くなっているのは誰にでも分かった。ここでようやくリョウが振り向いた。

リョ「その時は、その時だ。」

ショ「はぁ?」

リョウの返答にショールはショールらしくない、何ともマヌケな声を出す。

リョ「俺の性格、お前等は知ってるだろ?」

リョウは顔を再び正面に向けながら問い掛けるように言うと、

ユ「楽観的で、バカそうに見えるけど意外としっかりしてる頼りになる存在。」

今までずっと黙っていたユモが口を開く。本人は気づいてないかもしれないが、リョウにとって結構失礼な事を口走っている。

ユ「そして、一度決めた事、約束した事は最後までやり抜く精神を持っている、でしょ?」

最後は悲しそうな笑みを浮かべて本人に確かめるように首を傾げる。
リョウは黙って頷いた。

リョ「お前等は妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士であり、俺の大切な仲間だ。俺が危険な目に合っても、まずは自分のやるべき事をやってくれ。」

グ「でもよっ!」

何かを言おうとしたグレイをエルザが手で制止する。

エ「・・・分かった。お前の言うとおりに、私達4人は行動する。だが―――――」

エルザは一旦話を区切ると、別空間から銀色に光る剣を1本取り出し、刃先をリョウの首筋に向けた。

グ&ユ&ショ「!!!」

その様子を見たグレイとユモとショールは息を呑み、背筋をピーンと伸ばす。

エ「さっき自分が言ったとおり、私達はお前の大切な仲間だ。その大切な仲間を傷つけるような事だけは、絶対にするんじゃないぞ。分かったかっ!」

エルザの目付きが鋭くなった。
リョウは一切怯む事無く、しばらく真顔でエルザの事を真っ直ぐ見つめていたが、小さく微笑むと黙って頷いた。
それを見届けたエルザはリョウの首筋からゆっくりと剣を離すと、

エ「行くぞ。」

先頭に立って暗がりの道を歩き始めた。その後を慌ててグレイ、ショール、ユモという順に追う。ユモは一度立ち止まり、リョウを振り返った。振り返ったユモに向かって、リョウは黙って頷いた。それに応えるように、ユモも力強く1回だけ頷くと前の3人を追って走り出した。
リョウは4人の後ろ姿を見届けた後、会場に向かって足を進めた。





会場のど真ん中にリョウとレッタが向かい合う。

チャ「えー、ここで主催者側からお知らせがあります。」

そこまで言うと、チャパティ・ローラはスーツのポケットから2つに折り畳まれた白い紙を取り出し、紙を広げ書かれている文章を読み上げた。

チャ「「妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)のリョウ選手は聖十大魔道の1人であり、世界に“3人”しかいないと言われる聖剣(エクスカリバー)使いなので、観客の皆様に被害が及ばないように、この試合だけ観客席を覆うように会場に透明の屈折壁(リフレクター)を張らせて頂いております」との事です。」

それを聞いたナツが待機場所から身を乗り出してみる。が、

ナ「ぐへっ!」

何も無いところで何かにぶつかったかのようにナツは変な声を出した。
屈折壁(リフレクター)は確かに、観客席を覆うように張られていた。ナツのように身を乗り出してまで確認する者はいなかったが、触ったり、叩いてみたりして確かめる者は他のギルドや観客の中にもいた。

ル「本当だ、見えない壁が張られてる。」

ト「すごい仕組みですね。」

ルーシィとトーヤも屈折壁(リフレクター)が張られているのを手で触って確認をする。

ル「聖剣(エクスカリバー)って、そんなに危険な物なんだなぁ~。」

会場にいるリョウを見ながら呟く。

チャ「「尚、この屈折壁(リフレクター)は30分経過しないと解けない仕組みになっているので、試合中は会場に誰も近づけない」という事になっております。」

ヤ「スごい設備だねぇ。」

ラ「恐れ入りますね。」

ヤジマとラハールも感心する。

チャ「それでは、最終試合、開始ッ!!!」

チャパティ・ローラの実況と共に像の上にいる男が銅鑼をゴォォォォォン!!と力強く叩いた。試合が始まった。

レ「初めましてだな。」

レッタが黄土色の髪を揺らしながら顔の右半分だけ隠れる灰色の仮面越しで言う。

リョ「あぁ、よろしくな。」

リョウが笑う。
リョウの口は笑っているが、リョウの茶色い瞳には揺るがぬ意思が宿っていた。

レ「んじゃ早速―――――」

リョ「待て。」

レッタが背中に手を回し、何かを取ろうとした瞬間、リョウが口を挟んで止めた。

リョ「勝負(バトル)する前に、お前に聞きたい事が幾つかあるんだが、勝負(バトル)はそれに答えてからで良いか?」

リョウが表情を変えずに問う。

レ「・・・まぁ、別に良いけどよ、早く済ませろよ。」

リョ「それはお前の答えによって決まる。」

レッタの目付きが変わったのをリョウは見逃さなかった。
そして、リョウは唐突に言った。















リョ「お前・・・聖剣(エクスカリバー)使いだな。」















レ「!」

レッタはこれまでにないくらい大きく目を見開いた。が、すぐに顔を伏せると、

レ「・・・ブッ!ブハハハハハッ!」

と腹を抱えて笑い出した。リョウの表情は一切崩れない。

レ「あぁ。アンタの言うとおりだ。」

笑いすぎたせいか、涙を左手の甲で拭いながらレッタはリョウの問いに答えた。

チャ「な・・なななな何という事だぁぁぁっ!死者の仮面(デスマスク)のレッタ選手は、世界に“3人”しかいないと言われる聖剣(エクスカリバー)使いの1人だったあああぁぁあぁあああああっ!!」

これには会場中が驚嘆の声で包まれた。

観4「マ・・マジかよっ!?」

観5「んじゃあこの試合、聖剣(エクスカリバー)使い対決って事かよっ!?」

観6「そ、それってちょっと・・ヤバいんじゃねーのか・・・?」

観7「“ちょっと”じゃなくて“かなり”だろ。」

会場は大騒ぎだ。そんな中、レッタが腰に手を当ててチャパティ・ローラに向かって叫んだ。

レ「“3人”じゃねぇよ。聖剣(エクスカリバー)使いは、“今”は俺とコイツの“2人”だけだ。」

チャ「え?で、でも・・・」

レッタの言葉にチャパティ・ローラは慌てふためく。

リョ「レッタが言ってる事は嘘じゃねぇ。真実だっ!」

リョウが会場中に聞こえる大声で言った。会場が静寂に包まれた。驚きすぎて開いた口が塞がっていない者や目を丸くしている者も大勢いる。

リョ「“今”は俺とレッタだけだが、“以前”は幸福の花(ハピネスフラワー)のユリって言う女の聖剣(エクスカリバー)使いがいたんだ。だが、ユリは2,3ヶ月前に、殺された。そうだろ?」

リョウは幸福の花(ハピネスフラワー)の応援席にいるアカネを方に視線を移した。アカネもそれに気づいたのか、リョウに向かって小さく頷いて見せた。
さっきとは違う静寂が会場を包み込んだ。幸福の花(ハピネスフラワー)の待機場所ではハマナスとツツジは口元に手を当てて驚いていたが、他のメンバーは顔を伏せていた。

ル「・・う、嘘・・・・ユリが・・殺され、た・・・?」

ルーシィは両目に大粒の涙を溜め、口元に手を当てて小刻みに震えていた。

リョ「そして・・・そのユリを殺したのが―――――」

リョウはゆっくりと右手の人差し指だけを立てて目の前にいる殺人犯を指差した。















リョ「死者の仮面(デスマスク)の、レッタ・リガニョフだっ!!!」















会場が再び騒ぎ出す。

リョ「いや・・・本当の名はレガフ・リョニッタ。」

リョウの声だけがやけに大きく、淡々と響いた。

観8「お・・おい・・・レガフ・リョニッタって・・・あの高速の弾丸(ファーストブレッド)のレガフ・リョニッタかぁっ!!?」

観客の誰かが叫んだ瞬間、会場は冷静さを失った。

リョ「その通りだ。そして、死者の仮面(デスマスク)の魔道士全員が、20年以上逃亡を続けている闇ギルド、高速の弾丸(ファーストブレッド)の魔道士だぁっ!!!」

リョウの視線が死者の仮面(デスマスク)の魔道士達に移動する。

オ「ふっ。よく見抜いたな。」

オーガンスはそう言うと、死者の仮面(デスマスク)の魔道士達は顔に着けていた仮面を外した。その瞬間、死者の仮面(デスマスク)の魔道士達の体が白い煙に包まれた。
煙が晴れると、そこにいたのは死者の仮面(デスマスク)の魔道士、オーガンス、リノ・ハビュット、レッタ・リガニョフ、コネティ・ラドゥ、アーキリーズの5人ではなく、高速の弾丸(ファーストブレッド)の魔道士、ガンオース、ハビノ・リュット、レガフ・リョニッタ、ライネド・テコウ、リーキアズーの5人がそこにいた。

観9「うわあぁあっ!」

観10「ファ、ファファ・・高速の弾丸(ファーストブレッド)だあぁあぁぁあああああっ!」

死者の仮面(デスマスク)の待機場所の近くに座っていた観客達はその場から遠ざかった。

ガ「小僧、いつから気づいていた。」

オーガンスに姿を変えていた高速の弾丸(ファーストブレッド)のリーダー、ガンオースが待機場所からリョウに問い掛ける。

リョ「大魔闘演舞の初日から、薄々勘付いてはいたんだ。だが、確かめる時間が無くて、3日目まで月日が経っちまったんだ。」

ガ「なるほどな。」

納得したかのように、ガンオースは不気味な笑みを浮かべた。
そして―――――、

ガ「黙っておればいい事を、ベラベラとこんな大勢の人間がいる前でバラしおって―――――!」

リョ「え?」

リョウの動きがほんの一瞬だけ止まった。

ガ「レガフ、()れ!」

レ「了解!」

その僅かな時間で、ガンオースが黒いマントをひるがえしながらレガフに指示を出した。
それを待っていたかのように、レガフはものすごい速さで背中に手を回し、聖剣(エクスカリバー)の1つである、ユリを殺して奪った『花錦剣』を鞘から抜くと、刃先をリョウに向けて駆け出した。

ナ「リョウ!避けろおおぉぉおおおぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

ナツが叫んだ時にはすでに手遅れだった。
『花錦剣』を手にしたレガフはすでにリョウの目の前まで来ており、聖剣(エクスカリバー)、『花錦剣』の銀色に光る刃はリョウの腹部を貫いていた。

リョ「・・ゥ・・・ァ、カハッ・・・・」

リョウの口から乾いた声と血が同時に出る。リョウが着ている緑色の着物は、リョウの腹部から流れ出た鮮血であっという間に真っ赤に染まり、地面に鮮血の水溜りが出来上がった。

ル「リョオオォォォオオォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」

ルーシィの悲痛な叫び声が会場に響き渡った―――――。 
 

 
後書き
第178話終了~♪
な、なななな何とっ!死者の仮面(デスマスク)の魔道士達は高速の弾丸(ファーストブレッド)の魔道士達だった!しかも、幸福の花(ハピネスフラワー)のユリを殺したのは高速の弾丸(ファーストブレッド)の魔道士の1人、聖剣(エクスカリバー)使いのレガフだった!それを見抜いたリョウだが、レガフに刺されてしまった!果たして、リョウの運命は・・・!?
FT友恋大魔闘演舞の出場ギルド%出場メンバーのキャラ説第2弾の死者の仮面(デスマスク)の説明に、高速の弾丸(ファーストブレッド)の説明も付け足して起きますので、よければそちらもご覧下さい。
次回は最終試合・・・いや、もうそんな状況じゃありませんね。次回は高速の弾丸(ファーストブレッド)妖精の尻尾(フェアリーテイル)に復讐をする!高速の弾丸(ファーストブレッド)妖精の尻尾(フェアリーテイル)に何の恨みがあるのか・・・!?
それが分かるのは全て次回で~す♪ 

 

第179話 “想いの力”と“固い絆”

 
前書き
紺碧の海です!
今回は大魔闘演舞3日目のバトルパート最終試合の最中、高速の弾丸(ファーストブレッド)の魔道士、レガフに聖剣(エクスカリバー)で刺されてしまったリョウ。果たして、リョウの運命は・・・!?
ナレーション風に書いていきます。
それでは、第179話・・・スタート! 

 
会場のど真ん中には、不気味な笑みを浮かべて聖剣(エクスカリバー)、『花錦剣』を握っているレガフと、目を見開き、体が小刻みに震えているリョウがいた。2人の足元には、リョウの腹部から滴り落ちる真っ赤な鮮血の水溜りが広がっていた。

観11「キャーーーーーッ!」

観12「せ・・聖十のリョウが・・・さ、刺されたあぁああぁぁあああぁあああああ!!」

観13「高速の弾丸(ファーストブレッド)の奴等は人殺しだぁーーーーーっ!!!」

観14「に・・にに、逃げろおおぉぉぉおぉおぉおおおおおっ!!!」

会場を埋め尽くしていた観客達は1人の観客の声と共に悲鳴を上げながら会場を一目散に飛び出した。会場は思いもよらぬ惨劇を招いてしまった。
そんな中、レガフがリョウの腹部から聖剣(エクスカリバー)、『花錦剣』を乱暴に抜き取った。『花錦剣』の銀色の刃に付着したリョウの真っ赤な鮮血が太陽の光に反射して不気味な色に輝く。
リョウの体はぐらりと揺れ、力なくドサッと音を立てて真っ赤な鮮血の水溜りの上に倒れ込んだ。鮮血の水溜りの面積が更に拡大する。

ナ&マ&フ「リョウ!!!」

ウェ「ひっ・・ひぃっ・・・!」

ト「ぁ・・ぁぁ、ぁ・・・!」

エル「・・・・・」

ナツとマヤとフレイは叫び、ウェンディは目に大粒の涙を溜め目の前の光景から目を逸らし、トーヤは紫色の瞳を大きく見開き、小さな体を震わせた。エルフマンは目を見開き、歯を食いしばっている。

ル「いやぁあぁぁあああぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」

ルーシィは涙を流しながら、再び悲痛な叫び声を上げる。

主1「し、試合は中止だっ!今すぐ試合を中止させろぉっ!!」

主催者側により、像の上にいる男が慌てた様子で銅鑼をゴォォォォォン!!と力強く叩いた。

チャ「こ・・ここで、レ、レフリーストップ!し、試合は、中断、されまし、たっ!」

チャパティ・ローラの声も歯切れが悪く、戸惑っているのが丸見えだ。

主2「早く聖十のリョウの救護しろっ!」

主3「だ、だが!会場には屈折壁(リフレクター)が・・・!」

そう。
今、この会場には観客席を覆うように屈折壁(リフレクター)が張り巡らされている。
そして、この屈折壁(リフレクター)は―――――





―――――30分経たないと解除されない。





つまり、リョウを助ける事も、レガフを取り押さえる事も出来ないという訳だ。

ラ「そんな・・・!部隊も会場に入る事が出来ないのかっ!?」

ラハールは驚嘆の声を上げ、ガタッと音を立てて椅子から立ち上がる。その隣でヤジマは腕組をし、小さく呟いた。

ヤ「なんて、不幸な運命なんだ・・・」





妖精の尻尾(フェアリーテイル)の待機場所では、さっきからナツが炎を纏った固く握り締めた拳でドガッ!ガコッ!と何度も何度も屈折壁(リフレクター)を殴っていた。

ナ「くっそォ!何で壊れねぇんだよコレっ!!」

マ「ドランの拳でも壊れないって、いかれてるんじゃないのコレっ!?」

その隣で大熊のドランを呼び出したマヤが愚痴を吐いていた。
マヤが契約してる動物の中で一番の怪力を誇るドランも、さっきからナツと同じように大きな拳でバゴッ!ドゴッ!と何度も何度も屈折壁(リフレクター)を殴っていた。

マ「ドラン!最大パワーでそんな壁、壊しちゃえぇっ!」

ド「グオォォオオォオオオオオッ!!」

エル「漢には、壊せない壁などないんじゃいっ!!」

その隣で右腕を鉄牛の腕に変えたエルフマンも、さっきからナツとドランと同じように鉄牛の握り締めた拳でガゴンッ!ドガンッ!と何度も何度も屈折壁(リフレクター)を殴っていた。
が、屈折壁(リフレクター)ビクともせず、亀裂1つ一切入らないのだ。

フ「どんだけ頑丈に作られてんだよ、コレ・・・」

フレイが憎たらしそうに愚痴を吐き捨てると、ガンッ!と鈍い音を立てて屈折壁(リフレクター)を殴った。屈折壁(リフレクター)は少し振動しただけだった。

フ「それに、こんな非常事態の時に、グレイ達はドコに行ったんだよっ!?会場の外に出てさえいなければ、この非常事態にも気づいてるはずだろっ!?何で戻って来ねぇんだよっ!!」

リョウとレガフの試合が始まる前から行方が分からなくなっているグレイ、エルザ、ユモ、ショールの4人。
4人が一体ドコへ行ったのか―――――?それを知る者は、リョウただ1人―――――。

ル「・・・・・」

ルーシィは涙を拭い、ずっと俯いたままだった。

ウェ「ルーシィさん、大丈夫ですか?」

そんなルーシィの顔を、心配そうな顔をしたウェンディとトーヤが左右から覗き込む。

ル「あ、うん。・・・大丈夫だよ。」

ルーシィは慌てて顔を上げて笑う。が、その笑みは見事に引き攣っていた。

ト「やっぱり、心配ですよね。リョウさんの事・・・」

トーヤの声は後半の方から聞き取るのが難しいほど小さかった。

ウェ「グレイさんとエルザさん、ユモさんとショールさんはどこかへ行ったっきり、戻って来ませんし・・・」

ト「屈折壁(リフレクター)のせいで、誰も会場に、足を踏み入れる事が出来ない。このままじゃ・・・」

今度はウェンディとトーヤが俯いた。その2人の頭に、ルーシィは優しく手を置いた。ウェンディとトーヤはゆっくりと顔を上げる。

ル「大丈夫、リョウは絶対に死なない。リョウは、自分が死んだら、誰が一番悲しむか、分かっているから。」

誰が一番悲しむか―――その答えは、彼女であるルーシィはもちろん、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の仲間達、今まで関わりを持って来た大勢の人々だ。

ル「リョウは、私達を置いて、1人で先に死ぬはずがないもの。絶対にね。」

ルーシィは薄く微笑んだ。

ル「それと、グレイ達が戻って来ない理由・・・もしかしたら、リョウに何か言われたんじゃないかな?」

ウェ&ト「え?」

ルーシィの言葉にウェンディとトーヤは首を傾げる。

ル「勘が鋭いグレイ、ギルド内ではまとめ役のエルザ、しっかり者のユモ、頭が良いキレ者のショール。この4人に、リョウが試合が始まる前に何かを言った・・・ううん、“何かを頼んだ”のなら、グレイ達は今、そのリョウに“頼まれた何か”をやっている最中なんじゃないかな?この会場のどこかで。」





レガフは妖精の尻尾(フェアリーテイル)の待機場所を見つめていた。そこには屈折壁(リフレクター)を壊そうとしているナツとエルフマン、大熊がいた。

レ「おーい!そこの妖精(ようせい)のケツ共~!もしその屈折壁(リフレクター)を壊して、こっちに来るような真似をしたら―――――」

そう言いながらレガフは倒れているリョウに歩み寄り、乱暴にリョウの腕を掴み、自分の方にリョウのぐったりとした体を引き寄せると、

レ「コイツの首を、スパァン!って切り飛ばすからな。」

リョウの首に聖剣(エクスカリバー)、『竜風剣』の刃先を突きつけた。
因みに『竜風剣』は、聖剣(エクスカリバー)の中で2番目に強い聖剣(エクスカリバー)だ。

ナ「んだとぉ~・・・!」

マ「ド、ドラン、ストップ!」

エル「ぬううぅぅぅ~・・・!」

ナツは自身の吊り目を更に吊り上がらせ、マヤは慌ててドランを止め、エルフマンは接収(テイクオーバー)を解除しながら、悔しさに拳を握り締める。

レ「まっ、俺的にはさっさとコイツを殺して、コイツの持ってる3本の聖剣(エクスカリバー)を頂きたいんだけどな。」

レガフがリョウの腰にある3本聖剣(エクスカリバー)、『銀覇剣』、『天力剣』、『嵐真剣』を赤い瞳で羨ましそうに見つめる。

レ「コイツの聖剣(エクスカリバー)を頂けば、残りは聖剣(エクスカリバー)の中でも最強の聖剣(エクスカリバー)だけだ。俺はこの世界で、最強の魔道士になれる事だ出来るんだァッ!!」

これが高速の弾丸(ファーストブレット)の魔道士、レガフ・リョニッタの野望だ。

ル「・・そんな・・・そんな野望の、為だけに・・命を・・・ユリの命を、奪ったって言うの・・・!?」

ルーシィが青い顔をして小さく呟いた。ルーシィの脳裏には微笑むユリの姿が浮かんでいた。
高い位置でポニーテールに束ねた若葉色の髪の毛を揺らし、茶色い吊り目を少し細め、小さく微笑むユリの姿を―――――。
ルーシィの頬を涙が一筋伝った―――――その時だった。

エ「お前のその下らない野望のせいで、私達の仲間の命が消えるのならば・・・」

レ「!!?」

燐とした声が会場に響いた。
レガフは声のした方に視線を向ける。その視線の先には、少女の緋色の髪の毛が風で揺れていた。少女が持っている銀色の剣の刃が太陽の光に反射してキラリと光る。

グ「お前の命で、償ってもらうからな。」

ナ「お前等・・・」

淡々とした声が会場に響いた。
ナツは声のした方に視線を向ける。その視線の先には、少年の紺色の髪の毛が風で揺れていた。少年の右手には冷気が纏わり付いていた。

ユ「でも、あなたとあなたの仲間は、何年も多くの命を奪い続けてきた。」

マ「抜け駆け、ずるいよ・・・」

透き通った声が会場に響いた。
マヤは声のした方に視線を向ける。その視線の先には、少女の横で束ねた水色の髪の毛が風で揺れていた。少女の左手には氷の剣が握られていた。

ショ「その償いとして、お前等全員、重い罰を受ける事になる。覚悟しとけ。」

ル「やっぱり・・・」

冷静を保った声が会場に響いた。
ルーシィは声のした方に視線を向ける。その視線の先には、少年の黒髪が風で揺れていた。少年の両手には白い光が煌々と輝いていた。

レガフがいない高速の弾丸(ファーストブレッド)の待機場所に、行方が分からなくなっていた4人の妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士、グレイ、エルザ、ユモ、ショールが高速の弾丸(ファーストブレッド)の魔道士達を取り押さえていた。
エルザとユモはガンオースとハビノの首に剣の刃を突きつけており、グレイとショールはライネドとリーキアズー顔の前で冷気と白い光を纏った拳を突きつけていた。

レ「ガンオースさん!ハビノ!ライネド!リーキアズー!」

レガフがリョウの首に『竜風剣』を突きつけたまま叫んだ。
リョウが一瞬だけ、小さく微笑んだように見えたのは気のせいだろうか―――――?

ガ「き・・貴様等・・・いつの間に・・・・!?」

エルザに首元に剣を突きつけられているガンオースが口を開いた。

エ「リョウとレガフの試合が始まって少しした後からだ。」

ライ「そ・・そんな前から、いたのかよ・・・!?」

グ「俺達はリョウに言われた通りに行動しただけだ。」

ハビ「聖十の、リョウが・・・」

ユ「リョウもよく、こんな無茶な作戦、考えたよね。」

リ「作戦・・・?」

ショ「俺でも全く考え付かない作戦を、あいつは俺達に実行させた。」





時は少し遡り、第4試合が終わった後の事だ。
リョウはグレイ、エルザ、ユモ、ショールを呼び出し、暗い通路で死者の仮面(デスマスク)の魔道士達について語りだした。

リョ「死者の仮面(デスマスク)の奴等は、20年以上も逃げ続けている闇ギルド、高速の弾丸(ファーストブレッド)の魔道士の連中だ。」

唐突に言われた時、4人はリョウが言ってる事にすぐには理解出来なかった。が、徐々に4人の目は見開かれていく。

ショ「う・・嘘、じゃない、よな・・・?」

嘘が嫌いなショールが問う。が、ショールの体は小刻みに震えていた。

リョ「本当だ。」

リョウが吐き捨てるように短く答えた。

エ「な、なぜ死者の仮面(デスマスク)の奴等が高速の弾丸(ファーストブレッド)の魔道士達だと分かる?昨日の夜、『蜂の骨(ハニーボーン)』でルーシィが持って来た、先週の週刊ソーサラーに載っていた高速の弾丸(ファーストブレッド)の魔道士達の顔写真と、死者の仮面(デスマスク)の魔道士達は、見るからに全然違うと思うが・・・」

エルザの言うとおりである。だが、この問いにもリョウは答える事が出来た。

リョ「死者の仮面(デスマスク)の奴等が着けているあの“仮面”・・・あれを外すと、奴等は週刊ソーサラーの顔写真の高速の弾丸(ファーストブレッド)の連中になる。恐らくあの“仮面”は、着けると自分の容姿が変化する容姿替(アピランズ)の仮面バージョンだ。」

容姿替(アピランズ)とは、闇市でよく売られている魔法道具(魔法アイテム)だ。
リョウの的確な答えにエルザは何も反論する事が出来なかった。

リョ「それに、アイツ等の“名前”。例えば、死者の仮面(デスマスク)の魔道士の1人、リノ・ハビュットの名前の文字を並べ替えると・・・高速の弾丸(ファーストブレッド)の魔道士の1人、ハビノ・リュットになるだろ?同じように死者の仮面(デスマスク)の魔道士全員の名前の文字を並べ替えると・・・全員高速の弾丸(ファーストブレッド)の魔道士の名前になるんだ。」

オーガンス→ガンオース
リノ・ハビュット→ハビノ・リュット
レッタ・リガニョフ→レガフ・リョニッタ
コネティ・ラドゥ→ライネド・テコウ
アーキリーズ→リーキアズー

リョウが言ったとおり、死者の仮面(デスマスク)の魔道士達の名前の文字を並べ替えると、高速の弾丸(ファーストブレッド)の魔道士達の名前と見事に一致する。
1人だけならただの偶然と思えるかもしれない。だが、全員の名前が見事に一致した。偶然だとしても、出来過ぎた話だ。

リョ「高速の弾丸(ファーストブレッド)がなぜ妖精の尻尾(フェアリーテイル)に復讐しようとしてる理由は分からねェけど、1つだけ、確実に分かった事がある。」

リョウは一旦話を区切る。
4人は気づいた。
リョウの体が、小刻みに震えているのを―――――。
この事から、今から話す事はただ事ではない事を4人には悟る事が出来た。

リョ「幸福の花(ハピネスフラワー)の、ユリの、事は覚えて、るよな?」

リョウが口を開いた。
その声が妙に歯切れが悪い事に4人は気づいたが何も言わなかった。

グ「あぁ。お前とルーシィが戦った相手だよな?」

ユ「確か、リョウと同じ聖剣(エクスカリバー)使いの1人で、契約してる聖剣(エクスカリバー)は『花錦剣』。」

ショ「大魔闘演舞には出場してないし、姿が見えないけど・・・」

エ「ユリが、どうかしたのか?」















リョ「殺されたんだ、2,3ヶ月前に・・・」















グ&エ&ユ&ショ「!!?」

リョウの口から放たれた言葉に、4人は目を見開いたり、顔を青ざめたり、口元に手を当てたりした。

“殺された”

リョウの口から放たれたとは思えない言葉に、4人は声にならない驚嘆の声を漏らす事しか出来なかった。

リョ「そのユリを殺したのが・・・死者の仮面(デスマスク)ではレッタ・リガニョフと名乗っている、高速の弾丸(ファーストブレッド)の魔道士、聖剣(エクスカリバー)使いのレガフ・リョニッタだ。」

グ&エ&ユ&ショ「!!!」

4人は再び声にならない驚嘆の声を漏らした。
ユリを殺された事でも驚きなのに、殺したのが高速の弾丸(ファーストブレッド)の魔道士だったなんて・・・しかも―――――、

聖剣(エクスカリバー)使い―――――。

リョウの頬を一筋の涙が伝った。

リョ「ユリは、自分と同じ・・・いや、『闇』の聖剣(エクスカリバー)使いに、命を奪われたんだっ!『闇』の聖剣(エクスカリバー)使いが、『光』の聖剣(エクスカリバー)使いの命を奪ったんだァっ!!」

暗い通路に、リョウの悲痛な叫びが木霊した。

リョ「レッタ・・・いや、レガフの目的は、世界に7本ある聖剣(エクスカリバー)を集める事だ。それを成し遂げる為に、アイツは人の命を奪ってまで、聖剣(エクスカリバー)を手に入れようとしてるんだ。・・・俺は3日目の最終試合で、レガフと戦う事になっている。」

グ「んなっ!?」

ショ「そ、それって・・・!」

ユ「まさか・・・!」

グレイ、ショール、ユモの順で驚嘆の声を上げた。

エ「レガフがリョウを殺して、聖剣(エクスカリバー)を手に入れようとする、そう言いたいんだな?」

エルザだけは冷静に、今までの話の結論を述べた。その言葉に、リョウは黙って頷いた。
5人の間に気まずい空気が流れ込む。その場にいる全員が今、俯いた状態のままだ。

仲間が殺される―――――。

その現実を誰よりも早く知ってしまった4人は、どうしたらいいのか分からなくなっていた。

リョ「安心しろ。」

そんな矢先、リョウが言った。その声に4人は同時に顔を上げた。そこにいるのは、さっきまで暗い表情をしていたリョウではなく、いつものリョウがいた。

リョ「俺はぜってェに死なねェよ。お前等やルーシィ、ギルドの皆を置いて先に、死ねる訳ねェだろ。俺はユリの仇をとる為、レガフを倒して、レガフと契約してる聖剣(エクスカリバー)達を救う為に、死ぬ事は許されねェんだ。」

真剣な眼差しを4人に向けて、リョウは言う。

リョ「それに―――――」

そう言うと、リョウは近くにいたグレイとショールの腕を掴んだ。

グ「おわっ!」

ショ「えぇっ!?」

いきなり腕を掴まれたグレイとショールはバランスを崩し、そのバランスを保とうとする為に、グレイとショールは自分の隣にいたユモとエルザの腕を掴んだ。

ユ「ひゃあっ!」

エ「うわっ!」

いきなり腕を掴まれたユモとエルザも巻き沿いを食らい、いつの間にか5人は肩を組み合っていた。

リョ「俺はまだ、生き足りねェ。18で人生が終わるのって、いくらなんでもむなしいだろ?共に生きる仲間と共に、その仲間の為に、俺は生き続けるぜ。」

白い歯を見せてリョウが笑った。
リョウの笑顔を見て、4人は今までリョウが言った言葉を思い出しながら同じ事を思った。

―――――如何にも、リョウらしいな、と。

リョ「それで、お前等4人に頼みたい事があるんだ。」

グレイとショールの肩から手を離す。さっきまでの笑顔はどこへやら。リョウが再び暗い表情になって口を開いた。

リョ「最終試合の時、タイミングを見計らって、レガフ以外の高速の弾丸(ファーストブレッド)の奴等を取り押さえてくれ。」





そして現在に至る。
リョウの頼みを承知した4人は今、待機場所にいたレガフ以外の高速の弾丸(ファーストブレッド)の魔道士達を取り押さえる事に成功したのだ。
だが―――――、

ガ「俺達を誰だと思っている。」

エ「えっ?」

ガンオースが小さく呟いた言葉を聞き取れなかったエルザが聞き返そうとしたが、それより先にガンオースは行動し始める。

ガ「ライネド!」

ラ「おらぁあっ!」

グ「ぐぉあっ!」

ガンオースに名を呼ばれたライネドはグレイの顔面を思いっきり殴った。無防備だったグレイは何も出来ずに待機場所の端へと吹っ飛ぶ。
ライネドはその隙にどこからか指揮棒(タクト)を取り出し、指揮棒(タクト)を小刻みに揺らすと、

ラ「苦しめ。」

そう呟いた。すると、

エ「ゥ・・グァア・・・!」

グ「ァァ・・ツァア・・・・!」

ユ「ゥグ・・・!ゥアァ・・・!」

ショ「ヵハ・・・!グォアァ!」

エルザとユモは剣を手放し、頭を強く押さえ、グレイとショールは苦しそうに首を掴んだ。
エルザの手から落ちた剣はカランと音を立てて落ち、ユモの手から落ちた氷の剣はパキィン!と音を立てて粉々に砕け散った。

ウェ「グレイさん!エルザさん!」

ト「ユモさん!ショールさん!」

エル「アイツ、グレイ達の感覚を操ってるのかっ!?」

ウェンディとトーヤが叫び、エルフマンが思い出したように叫んだ。
コネティと名乗っていたライネドの魔法は指揮(コマンド)であり、指揮棒(タクト)を揺らす事でライネドは『人間の感覚』を指示する事が出来る。

ショ「グゥ・・お、お前・・・ゥア・・ま、また・・・グアァアッ!」

ラ「イヒヒ。お前、また俺に指示されに来たのか。イヒヒ、命知らずな奴だな。」

ショールは『浮上板(フロウトプレート)』の時も同じ事をされていた。
ショールを見てライネドはコネティの時と変わらない特徴的な笑い方をすると、指揮棒(タクト)を小刻みに揺らした。

ラ「更に苦しめ。」

その指示通り、

エ「ウアァアァァアアアッ!」

グ「グオォアアァアアァァアアアッ!」

ユ「アアアアアアアアアアアッ!」

ショ「イギィイィィイイイイイッ!」

4人は呻きながら更に苦しみ始める。

ナ「止めろおおぉおぉぉおおおおおおおおおおっ!!」

待機場所からナツが叫ぶ。が、高速の弾丸(ファーストブレッド)の魔道士達はその叫びがまるで聞こえないかのように何も反応しない。

ガ「命知らずの妖精(ようせい)共だ。ライネド、指示するのを止めるなよ。」

ラ「分かってますよ、イヒヒ。」

ライネドは目を細めて不気味に笑った。

ガ「お前達、もっとこっちに近づけ。」

ガンオースはハビノ、ライネド、リーキアズーを自分の方に引き寄せると、3人を包み込むように黒いマントをひるがえした。

ガ「瞬間移動(テレポート)。」

ガンオースが呟くと、待機場所には地面に膝を着き、必死に苦しみに耐えるグレイ、エルザ、ユモ、ショールだけがいた。高速の弾丸(ファーストブレッド)の魔道士達の姿は、ほんの一瞬で大魔闘演舞の会場に移動していた。

フ「瞬間移動(テレポート)だとっ!?」

マ「ずる~いっ!」

フレイが未だ壊れない屈折壁(リフレクター)に額と手を当てて会場にいる高速の弾丸(ファーストブレッド)の魔道士達の姿を見て驚嘆の声を上げる。その隣でマヤが頬を膨らます。

レ「ガンオースさん、皆、無事かっ!?」

レガフがリョウの首に『竜風剣』を突きつけたままガンオース達に駆け寄る。

リ「あんくらいの事で怪我なんかするかよ。」

ハビ「ライネド、ほら。」

ラ「分かってるよ、イヒヒ。」

ライネドは指揮棒(タクト)を小刻みに揺らすと、

ラ「傷つけ。」

その指示通り、

エ「グハッ!」

グ「ガッ!」

ユ「キャア!」

ショ「ウガッ!」

4人の体は傷つき血が噴出す。

ル「もう止めてっ!お願いだからっ!!」

ルーシィが会場に向かって叫んだ。その叫びにライネドが反応した。

ラ「うるさい小娘だな。指示してやるか、イヒヒ。」

不気味に笑い、指揮棒(タクト)をグレイ達からルーシィに向け、小刻みに揺らそうとしたその時―――――、







リョ「止めろ。」







レ「ぐはぁっ!」

ガンオース達が驚いて振り返ると、後ろにいたレガフが無様に顎を蹴り飛ばさされていた。レガフの顎を蹴ったのは、

ガ「リョウ・・ジェノロ・・・」

ガンオースは目を見開いた。
レガフが聖剣(エクスカリバー)、『花錦剣』で腹部を貫き、さっきまでぐったりとしていたリョウがそのレガフを蹴り飛ばしたのだ。
レガフを蹴り飛ばした後、真っ先にライネドに近寄り、ライネドが持っている指揮棒(タクト)を蹴り飛ばした。一瞬の事だったので、ライネドは何も出来ずにいた。
指揮棒(タクト)がライネドの手から離れた事により、

エ「ハァ・・ハァ、ハァ・・・」

グ「ハァ、ハァ・・お、おい・・無事、か・・・?」

ユ「ハァ・・ハァ・・・ハァ、ハァ・・・」

ショ「ハァ・・・な、何とか・・・ハァ・・ハァ・・・」

指示されていたグレイ、エルザ、ユモ、ショールは解放された。
それを確認したリョウは、

リョ「来いぃぃい!!お前等ァァアアァアアアッ!!!」

腰から『銀覇剣』を鞘から抜きながら力任せに叫んだ。

ナ「おう!」

マ「今行くよぉ~!」

エル「漢ーーーッ!!」

ナツとマヤとエルフマンが皆の分まとめて返事を返す。

ウェ「ルーシィさん!」

ト「僕達も!」

フ「行こうぜっ!」

ウェンディ、トーヤ、フレイがルーシィに手を差し伸べる。

ル「うん!」

ルーシィは大きく頷くと、金色の鍵を1本手に取る。

ル「開け!金牛宮の扉、タウロス!!」

タ「MO-----!!」

巨大な斧を振り回しながらタウロスが姿を現した。

ト「我と、心を通わせ、姿を現せ!出て来い!死神!」

紫色の魔法陣から死神が姿を現した。

エ「私達も行くぞっ!」

傷だらけながらも、立ち上がったエルザが天輪の鎧に換装しながら言う。

ユ「この体で、何が出来るか分からないけど・・・!」

グ「いっちょ暴れてやっか!」

ユモとグレイが冷気を放出させる。

ショ「ほどほどにな。」

苦笑いをしながらショールは拳に雷を纏った。





妖精の尻尾(フェアリーテイル)の応援席で、その様子を見つめていた妖精の尻尾(フェアリーテイル)初代マスター、メイビスと妖精の尻尾(フェアリーテイル)6代目マスター、マカロフが呟いた。

メ「彼等の“想いの力”と“固い絆”は本物ですね、6代目。」

マカ「えぇ。ガキ共に素晴らしい物を、見せてくれましたわい。」





ナ「いっくぞおぉおぉぉおおおおおおおおおおっ!!!」

ナツが両手に炎を纏ったのを合図に、全員が飛び出した。そして―――――、





ナ「火竜の・・・煌炎ッ!!」

マ「ドラン!いっけぇーーーーーっ!!」

ド「グオォオォォオオオオオオオオオオッ!!」

フ「ファイアメイク、弓矢(アーチェリー)ッ!!」

ル「いっけぇーーーっ!!」

タ「MO----------!!」

グ&ユ「氷雪砲(アイス・キャノン)ッ!!」

エ「天輪・三位の剣(トリニティソード)ッ!!」

ショ「雷撃弾!!」

ウェ「天竜の・・・咆哮ッ!!」

ト「死神、呪霊殺!!」

死「ギリィイィィイイイッ!!」

エル「ぬおおぉらああぁあぁぁあああああっ!!」




同時に2つの場所でバキィィィン!と凄まじい音が鳴り響いた。屈折壁(リフレクター)が破壊されたのだ。

主4「屈折壁(リフレクター)が壊れたっ!」

主5「何て破壊力なんだっ!」

主催者達は驚嘆の声を上げた。
主催者達は間違った事を言っている。妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士達は“破壊力”で屈折壁(リフレクター)を壊したのではない。

“想いの力”と“固い絆”で、屈折壁(リフレクター)を破壊したのだ。

屈折壁(リフレクター)が壊れた瞬間、リョウが小さく呟いた。

リョ「流石、俺の仲間だ。」

と。

ナ「だりゃあぁあっ!!」

リ「ぐほっ!」

ナツがリーキアズーを殴り飛ばし、

マ&ユ「てえぇぇえぇええいっ!!」

ハビ「キャアァアアッ!」

マヤとユモが息の合ったコンビネーションでハビノを蹴り飛ばし、

エル「漢ーーーーっ!」

ラ「ぐぉはっ!」

エルフマンが叫びながらライネドを殴り飛ばし、

エ「はああああああああああっ!」

ガ「うっ・・ぐあぁあぁぁあああっ!!」

エルザがガンオースを斬りつけた。
高速の弾丸(ファーストブレッド)は次々にやられていった。残るはレガフ、ただ1人。
当の本人レガフは妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士達に圧倒され、その場にへなへなぁ~と膝を着いて座り込み唖然としていた。

レ「(コ・・コイツ等、只者じゃねぇ・・・!妖精(ようせい)に化けた、化け物だ・・・!)」

目の前にいる化け物を見て、レガフの顔色は徐々に青ざめていった。その時―――――、

リョ「おい。」

背後から鋭く尖った矢のように降ってきた声にレガフは体を震わせた。振り向かなくても、背後から感じる怒りのオーラにレガフは歯をガチガチ鳴らす事しか出来なかった。が、覚悟を決めてゆっくりと振り返る。

レ「!!!」

レガフを息を呑んだ。
背後にいたのは両手に『銀覇剣』、『天力剣』を持ち、口に『嵐真剣』を銜えたリョウだった。リョウの茶色い瞳は鋭い光が宿っており、「裁き」の言葉しか映っていなかった。

リョ「お前は、聖剣(エクスカリバー)使いの名を(けが)した。」

リョウの淡々とした声が会場に響き渡る。

リョ「聖剣(エクスカリバー)で多くの命を奪い、多くの人間を悲しませてきた。お前は正真正銘の、『闇』の聖剣(エクスカリバー)使いだ。」

リョウの怒りのオーラがさっきよりも濃くなったのをレガフは感じた。

リョ「俺の命、聖剣(エクスカリバー)が欲しければいくらでもくれてやる。だが―――俺の大切な仲間を傷つけ、悲しませた事だけは、ぜってェに許す事が出来ねェ。お前も、お前の仲間もな。」

リョウが『銀覇剣』と『天力剣』を持った両手を構えた。『銀覇剣』が銀色の光り輝き、『天力剣』が淡い水色に光り輝き、『嵐真剣』が青く光り輝いた。

リョ「お前にはもう、聖剣(エクスカリバー)を持つ資格はねェ。今まで犯してきた罪を償い、その誠心を改めろォッ!!」

レガフに『銀覇剣』と『天力剣』を振りかざした。

リョ「銀天嵐切ッ!!!」

レ「グアアァアァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」

リョウがレガフを斬りつけた。





その様子を見ていたヤジマが呟いた。

ヤ「聖なる剣を持つ『光』の剣士・・・まさしく聖剣士(ホーリーフェンサー)だねぇ。」





レガフがやられたのと同時に、観客席を覆っていた屈折壁(リフレクター)が消え、王国の軍隊数名とラハールが仕切る第4検束部隊が入って来た。

軍1「さぁ立て。」

リ「放せっ!」

ハビ「触るな。」

軍2「おい、大人しくしろ。」

ラ「くそっ!」

レ「チッ。」

リーキアズー、ハビノ、ライネド、レガフは少々抵抗しながらも軍隊と部隊の者と一緒に会場を出て行った。2人の軍隊に連れられたガンオースとエルザの目が合った。

ガ「(これでただで済むと思うなよ。覚えてろ!)」

ガンオースの目が明らかにそう言ってるのがエルザには分かった。

グ「一件落着だな。」

ト「何か、すごく疲れました。」

フ「今日はしっかり休まねぇとな。」

マ「だねぇ~♪」

エル「漢はしっかり休むのも大切じゃい。」

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士達にドッと疲れが押し寄せて来た。
リョウは幸福の花(ハピネスフラワー)の観客席に視線を移す。スミレとサクラは大粒の嬉し涙を流し、ナデシコは2人の頭を撫でながら自分を嬉し涙を流していた。パンジーはツツジのお腹に抱きついて大声を上げて泣き喚いていた。ツツジとハマナスはパンジーの頭を撫でながら嬉しそうに微笑んでいた。
すると、幸福の花(ハピネスフラワー)のギルドマスターであり、ナデシコ達5人姉妹の母親であるアカネと目が合った。アカネの瞳からも大粒の嬉し涙が流れていた。アカネはリョウと目が合うとリョウに向かって深く頭を下げた。それに対しリョウは小さく微笑み返しアカネに背を向けた。
その直後、リョウの視界がぐらりと大きく傾いた。

リョ「(ヤ・・ヤベ・・・)」

止血も一切していない傷口の影響が襲い掛かってきた。視界がぐらつき、霞み始める。呼吸するのも苦しくなり始める。

ユ「リョウ!?」

エ「そうだ。リョウは怪我を・・・!」

ショ「ウェンディ!治癒魔法を頼む!」

ウェ「はい!」

ナ「おいリョウ!しっかりしろっ!」

リョウの異変に気づいた仲間達が駆けつけて来る。

シェ「ウェンディ!私も手伝うよ!」

リオ「シェリア!?」

蛇姫の鱗(ラミアスケイル)の魔道士であり、天空の滅神魔道士(ゴットスレイヤー)のシェリアが待機場所から飛び降りたのが霞んだ視界の中で見えた。

マカ「ロメオ!ポーリュシカを会場に行かせるんじゃっ!急げェェ!」

ロ「分かった!」

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の応援席からマカロフとロメオの声が意識が遠のく中で聞こえた。
足元がふらつき、まともに立っている事さえ出来なくなってきたリョウの霞んだ視界の中に、一際目立つ金髪(ブロンドヘア)が飛び込んで来た。それがだんだん近づいて来る。

ル「リョオオオオオ!」

茶色い瞳に大粒の涙を溜め、自分の名を叫ぶ愛する少女、ルーシィだった。リョウはルーシィの方に顔を向け、引き攣りながらも、精一杯の力を振り絞り笑みを浮かべると―――――、

リョ「ルー・・・シィ・・・・」

愛する少女、“ルーシィ”の名を口にした。
それと同時に、リョウのボロボロになった体はドサッと音を立てて地面に倒れ、リョウの意識もそれと同時に完全に途切れた。





大魔闘演舞3日目がゆっくりと幕を閉じた。 
 

 
後書き
第179話終了致しました!
勝った!高速の弾丸(ファーストブレッド)に勝ちましたよぉ~!だがしかし、リョウが大変な事になってしまった!ど、どどど、どうしよぉ~!?
リョウの異名発覚!『聖剣士(ホーリーフェンサー)』、考えてくれた緋色の空さん、ありがとうございました!
次回は大魔闘演舞3日目が終わった直後の出来事をお送りします。
それでは、また次回です! 

 

第180話 『光』の聖剣使い

 
前書き
紺碧の海でございます☆更新遅れてスミマセンでした!
今回は大魔闘演舞3日目が終わった後の出来事について書いていきます。その前に、大魔闘演舞3日目までの結果をご覧下さい。
ナレーション風です。
それでは、第180話・・・スタート☆ 

 
メ「読者の皆さんこんにちは~♪メイビスですよ~♪」

妖精の尻尾(フェアリーテイル)初代ギルドマスター、メイビスが可愛らしく登場。

メ「大魔闘演舞3日目、なんだが大変な事になってしまった為、順位を発表する事が出来ませんでした。なので、この場を借りて私から順位を発表させてもらいたいと思います。よいしょっ、よいしょっ。」

メイビスがゴロゴロと移動式黒板を押して来た。移動式黒板には大魔闘演舞3日目までの順位が書かれている。





                              『順意表』

                       1位 銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)    52
                       2位 妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)   46
                       3位 妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)   38
                       4位 蛇姫の鱗(ラミアスケイル)       32
                       5位 海中の洞穴(マリーンケイヴ)      22
                       6位 幸福の花(ハピネスフラワー)      21
                       7位 青い天馬(ブルーペガサス)       13
                       7位 気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)     13
                       9位 白い柳(ホワイトウィロウ)       12
                      10位 月の涙 (ムーンティア)         9
                      11位 四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)     5





メ「1位は銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)、2位は妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)、3位は妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)。どうやら4日目以降からは、3つ巴の対決が始まりそうですね。私、と~っても楽しみです!」

そこまで言うと、メイビスはどこからか取り出した白いチョークで黒板の端に「死者の仮面(デスマスク)」と書いた。

メ「気づいた読者様もいると思います。死者の仮面(デスマスク)・・・いえ、高速の弾丸(ファーストブレッド)と言った方が良いでしょうか?」

メイビスはどこからか取り出した黒板消しで、さっき書いたばかりの「死者の仮面(デスマスク)」の文字を綺麗に消し、「高速の弾丸(ファーストブレッド)」と書き直した。

メ「高速の弾丸(ファーストブレッド)は失格になった為、順意表に書かれていません。そりゃそうですよね。闇ギルドでありながら大魔闘演舞に出場し、そのうえメンバー全員参加。しかも!私達の家族を1人殺そうとしたんですから・・・!高速の弾丸(ファーストブレッド)の魔道士達は評議院に連行されていきました。4日目からは11のギルドで対戦です。でも、バトルパートはどうなるんでしょうか?そこは駄作者紺碧の海にお任せしましょう!」

そこまで言うとメイビスは移動式黒板をゴロゴロと戻すと再び出て来た。

メ「さてさて、大魔闘演舞、今後はどのような白熱の戦いが見られるんでしょうか?妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士達の活躍も楽しみにしてて下さいね。頑張れ、妖精の尻尾(フェアリーテイル)!」

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大魔闘演舞3日目の夜、ドムス・フラウにある妖精の尻尾(フェアリーテイル)専用医務室には、妖精の尻尾A・B(フェアリーテイルAチーム・Bチーム)のメンバーが勢揃いしていた。
全員の視線の先にはベッドに静かに寝かされたリョウ。顔は青白く、体は包帯だらけの状態。腹部に巻かれた包帯には赤い血が滲んでいる。

ナ「おいばーちゃん!リョウは大丈夫なんだよなぁっ!?死んだりなんかしねぇよなぁっ!?」

マ「ちょっとナツ!」

ハ「そんな事言ったら・・・!」

妖精の尻尾(フェアリーテイル)顧問薬剤師のポーリュシカに食って掛かるナツをマヤとハッピーが抑える。マヤの視線の先には椅子に座ってずっと俯いたままのルーシィの姿。ルーシィの瞳には涙が薄く滲んでいた。
ポーリュシカは一度リョウに視線を移し、また視線をナツ達に戻すと、

ポ「ウェンディの治癒魔法のお陰で、命に別状はないよ。」

ウェ「私のお陰じゃありません。シェリアの手当てが的確だったからですよ。」

リョウの傷の手当てには蛇姫の鱗(ラミアスケイル)の魔道士、シェリアや王国軍の救護隊が手伝ってくれた。

ポ「だが、見ての通り傷は完全に塞がってはいないよ。相当深く刺されたんだろうね。」

世界に7本しかないと言われる聖剣(エクスカリバー)。その内の1本である『花錦剣』に刺されたリョウの腹部はシェリアの自己回復でも完全に塞がらなかったのだ。

ポ「だけど、5番目の聖剣(エクスカリバー)で刺されたのが不幸中の幸いだよ。もし聖剣(エクスカリバー)の中で2番目に強い『竜風剣』に刺されていたら・・・その子はもう、この世に存在していなかったかも、しれないからね。」

ポーリュシカの言葉に返す者はいなかった。

フ「まさか、こんな事になるとはな・・・」

ト「思ってもみませんでしたね・・・」

エル「何か、立ち直り難いぜ・・・」

フレイ、トーヤ、エルフマンが重い言葉を吐き出す。

ル「グレイ達は大丈夫なの?コネティ・・・じゃなくて、ライネドっていう奴に・・・」

ルーシィが顔を上げて問う。グレイ、エルザ、ユモ、ショールの体にも包帯や湿布、絆創膏などで手当てされていた。

グ「こんくれぇ大した事ねぇよ。」

エ「すぐに回復するだろうから、心配は要らない。」

ル「そう。よかった。」

グレイとエルザの言葉を聞き、ルーシィは微笑んだ。だが、その微笑が引き攣っていたのをグレイとエルザは見逃さなかった。
ショールは医務室の隅に立て掛けられているリョウの3本の聖剣(エクスカリバー)、『銀覇剣』、『天力剣』、『嵐真剣』に視線を移す。

ショ「(聖剣(エクスカリバー)は、戦う為の“最強の魔法道具(魔法アイテム)”にもなり、人を殺す為の“最強の兵器”にもなるのか・・・)」

ショールの脳裏にレガフに『花錦剣』で腹部を刺されたリョウの姿が浮かび上がった。拳を一度固く握り締め、ショールはベッドに静かに寝かされているリョウに視線を移す。

ショ「(リョウ・・・お前は、こんな危険な物を持ってて、良いのかよ・・・?)」

ふとそんな疑問がショールの頭の中を横切った。すると、コンコンと医務室のドアをノックする音が辺りに響き渡った。

ユ「どうぞ。」

ユモが応答し、ドアが開く。ドアの前に立っていたのは幸福の花(ハピネスフラワー)のギルドマスター、アカネだった。アカネの右手には3本の剣が握られている。

ナ「お前は・・・」

ア「お久しぶりです、皆さん。」

アカネは相変わらずの敬語で喋り、丁寧な振舞い方でその場にいる者全員に向かって深く頭を下げる。

ア「リョウ様は、ご無事・・・ですか?」

マ「手当てして、今はあそこで寝てるよ。」

マヤがリョウが寝ているベッドを指差す。リョウの様子を見たアカネはほっとしたように息をついた。そして、その場にいる全員にさっきよりも深く頭を下げると、

ア「申し訳御座いませんでした。」

ウェ「え?」

シャ「ど、どうしたのよ?」

いきなりの事にウェンディとシャルルは素っ頓狂な声を上げた。アカネは頭を上げずに話を続ける。

ア「リョウ様に、「ユリの仇をとってほしい」と頼んだのは私・・・いえ、幸福の花(ハピネスフラワー)なのです。最初は、リョウ様がユリの仇をとってくれる事を引き受けてくれた時はハマナスとツツジがいない頃の私達幸福の花(ハピネスフラワー)一同はとても喜びました。ですが私は、リョウ様が自分を犠牲にしてまでユリの仇をとろうとするんではないかと不安になり・・・まさか、本当に、このような不幸な事態を招いてしまう事になるなんて・・・!何とお詫びしたら良いか・・・!」

頭を下げていた為、アカネの顔は見えなかったが、アカネの体が小刻みに震えていて、アカネが泣いている事にその場にいる誰もが分かった。

ル「大丈夫ですよ、アカネさん。」

ルーシィの声にアカネがゆっくりと顔を上げる。思ったとおり、アカネの瞳には今にも零れ落ちてしまいそうな大粒の涙が溜まっていた。

ル「リョウは自分の意思で、ユリの仇をとる事を決めたはずです。もしユリの仇をとるのが嫌なら、リョウは最初っから断っていたはずですから。」

ルーシィが微笑んだ。その微笑みは、もう引き攣っていなかった。

ル「だから・・・もう、泣かないで下さい。あなたが泣いたら、天国にいるユリも、リョウも、私も・・・悲しくなっちゃいますから。」

ア「・・・・はぃ。」

ルーシィの言葉にアカネは最後に一筋の涙を流し、涙を拭いながら小さく微笑んだ。

ト「ところでアカネさん、その手に持っている剣は何ですか?」

トーヤがアカネの手に握られている3本の剣を見て首を傾げる。アカネは思い出したように「あ」と小さく呟くと、3本の剣を両手に持ち直した。

ア「実は、評議院の方から高速の弾丸(ファーストブレッド)のレガフ・リョニッタ様が契約していた3本の聖剣(エクスカリバー)、『花錦剣』、『竜風剣』、『妖魔剣』を頂いたんです。「レガフ・リョニッタはもう聖剣(エクスカリバー)を持つ資格は無い」からだと。ですが、もうユリはいませんし、幸福の花(ハピネスフラワー)には聖剣(エクスカリバー)を扱える者はいないので・・・どうせなら、リョウ様に受け取って貰おうと思いまして。」

アカネとポーリュシカとリョウ以外の全員がポカーンと口を大きく開けた。その時―――

リョ「いって。」

リョ以外「!!!」

驚いて声がした方に視線を移すと、ベッドの上に血が滲んだ包帯が巻かれた腹部を痛そうに押さえ、痛みに顔を引き攣らせたリョウが起き上がっていた。リョウの額に薄っすらと汗が滲んでいる。

ル「リョウ!」

ショ「いつから起きてたんだよ・・・」

ナ「お、おい!無理するなって。」

エ「安静にしてろ。」

近くにいたウェンディとトーヤが腕を貸し、リョウを再びベッドに静かに寝かせる。起き上がる時に相当無理をしたのだろう。リョウの息が上がっている。

ア「リョウ様・・・」

アカネが口元に手を当てて視線を逸らす。それを見たリョウはベッドの上で微笑むと、

リョ「俺は嬉しかったぜ、ユリの仇をとる事が出来て。」

ア「!」

視線を逸らしたアカネが再び視線をリョウに戻す。

リョ「誰かの為に役に立つ事が出来たんだ。これ程嬉しい事なんてねぇよ。自分の体がボロ雑巾みたいになっちまったけど、俺は一切後悔なんてしてねぇぜ。それに、俺がユリの仇をとる事が出来たのは、大半が仲間のお陰だ。」

グレイ、エルザ、ユモ、ショールに協力してもらい、最終的にはここにいる仲間全員で「ユリの仇をとった」と言っても良いくらいの見事な勝利を収めたのだ。
そこまで言うと、リョウは視線をアカネから自分が寝てるベッドを囲むように立っている仲間達に移すと、

リョ「ありがとな。」

白い歯を見せて笑った。ナツ達も返事の代わりに笑ったり、頷いたりした。

ア「(やはり、敵いませんね・・・妖精の尻尾(フェアリーテイル)の皆さんには。)」

その光景を黙って見ていたアカネは目を細めて微笑んでいた。

グ「で、どうすんだリョウ?」

エル「あの聖剣(エクスカリバー)、受け取るのか?」

グレイとエルフマンがアカネの手に握られている3本の聖剣(エクスカリバー)に視線を移しながらリョウに問い掛ける。

リョ「う~ん・・・ていうか、ユリの形見として『花錦剣』くらいは持ってた方が良いんじゃねぇのか?」

一度はユリの元から離れてしまった『花錦剣』。それが,また幸福の花(ハピネスフラワー)の元に戻ってきたのだ。もういないユリの形見として、『花錦剣』は持ってた方が良いとリョウは判断したのだろう。が、アカネはリョウの言葉に首を左右に揺らした。アカネは『花錦剣』を優しく胸に抱き、ゆっくりと目を閉じると口を開いた。

ア「これは私の推測ですが、天国にいるユリはきっとリョウ様に受け取ってほしいと願っていると思います。だってリョウ様は、ユリの心の花を開花させてくれた方なのですから。」

ユリが自分の事を好きである事に気づいていないリョウだが、今のアカネの言葉にリョウの頬が少しだけ赤くなったのは余談だ。

フ「それに、聖剣(エクスカリバー)使いはもうお前しか存在しないんじゃねぇのか?」

世界に3人しかいないと言われる聖剣(エクスカリバー)使い。1人は故人であるユリ、もう1人は聖剣(エクスカリバー)を持つ資格を無くしているレガフ。

マ「それって、もうリョウが受け取るしかないんじゃないの?」

エ「アカネもこう言ってるんだ。お言葉に甘えて、受け取ったらどうだ?」

ア「リョウ様、お願い致します!」

リョ「・・・・・」

リョウは腕組をしたり、頬を掻いたりしてしばらく悩み続けていたが、

リョ「・・・んじゃあ・・お言葉に甘えて・・・・」

アカネ「はい!」

アカネは嬉しそうに頷くと、3本の聖剣(エクスカリバー)、『花錦剣』、『竜風剣』、『妖魔剣』をリョウに差し出した。
3本の聖剣(エクスカリバー)を受け取ったリョウは早速『花錦剣』を鞘から抜く。『花錦剣』の銀色の刃にリョウの顔が映る。

リョ「ユモ、そこにある『銀覇剣』を鞘から抜いてくんねぇか?」

ユ「良いわよ。」

ユモは医務室の隅に立て掛けられていた『銀覇剣』を手に取ると、ゆっくりと鞘から抜き取り慎重にリョウに手渡す。『銀覇剣』の銀色の刃にリョウの顔が映る。リョウは『花錦剣』と『銀覇剣』を交互に見比べると、

リョ「かなり『闇』が纏わり付いてるな。」

『花錦剣』を見て呟いた。

ショ「見比べただけで分かるのか?」

リョ「長年聖剣(エクスカリバー)を使い続けてれば自然と分かるんだよ。」

ル「へぇ~、すごいわね。」

これは、『光』の聖剣(エクスカリバー)使いにだけ分かる事なのかもしれない。
リョウは『竜風剣』と『妖魔剣』も鞘から抜き取ると、器用に右手の指と指の間に3本の聖剣(エクスカリバー)を挿み、刃先を左腕に突きつける。

エル「え?」

ハ「リョ、リョウ・・・?」

ウェ「な、何やってるんですか・・・?」

リョウの訳の分からない行動にその場にいた全員は驚嘆の声を上げる。

リョ「ポーリュシカさん、包帯の準備をしてくれませんか?」

ポ「は?」

ポーリュシカも素っ頓狂な声を上げる。

ル「ちょ・・ちょっとリョウ・・・まさか、ここでやるつもりなの?」

リョウがやろうとしてる事が分かったのか、ルーシィが青い顔をして言う。ルーシィの声にリョウは白い歯を見せて笑うと、

リョ「今回は3本同時だからな。」

そう言った次の瞬間、3本の聖剣(エクスカリバー)の銀色の刃先がリョウの左腕に突き刺さった。もちろん、リョウが自分で刺したのだ。

リョ以外「!!!」

リョウ以外は声にならない驚嘆の声を漏らした。ゆっくりとリョウが聖剣(エクスカリバー)を抜き取る。あまり深く刺していなかったようで、刃先の1cmぐらいにしかリョウの血は付着していなかった。が、リョウの左腕からは血が流れ落ちる。

ポ「バカタレがーーーーーっ!!」

ポーリュシカが怒鳴り声を上げる。

ポ「アンタいったい何考えてんだい!?1歩間違えれば命を奪い取る剣で自分の体を傷つける気かい!しかも3本同時にっ!ただでさえアンタはすでにその内の1本で腹を深く刺されてんだよぉっ!」

リョ「だ、大丈夫ですよ。刺したって言っても腕だし、浅いですから。それに、今のは聖剣(エクスカリバー)と契約する為ですから・・・」

ポ「出血多量で死ぬかもしれないじゃないかっ!そんな事は怪我が治ってからやりなっ!どんだけ怪我をすれば気が済むんだい!しかも包帯を無駄に使わせてベッドのシーツまで汚すなんてあんまりだよっ!」

ト「ポーリュシカさん、落ち着いて下さい!」

ナ「ていうか、聖剣(エクスカリバー)って契約必要だったんだな・・・」

ショ「しかも、「自分の血を付ける」って・・・」

ユ「い・・痛そう・・・」

怪我人がいるというのに、妖精の尻尾(フェアリーテイル)専用医務室では、いつの間にかちょっとしたお祭騒ぎになっていた。
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しーんと静まり返った夜。ナツ達が宿に帰り、ポーリュシカも医務室から出て行くと、妖精の尻尾(フェアリーテイル)専用医務室にはベッドの上にいるリョウだけが残った。

リョ「(すんげぇ~静かだな。)」

いつもお祭騒ぎの妖精の尻尾(フェアリーテイル)で過ごしているせいか、この静けさが落ち着かないリョウはベッドの上で何度も何度も寝返りを打っていた。
余談だが、先程血だらけになったシーツもポーリュシカがぶつぶつ文句を言いながらもきちんと取り替えてくれた。
リョウは包帯が巻かれている自分の腹部を摩る。先程新しい包帯に変えたばかりなのに、包帯には血が滲んでいた。

リョ「(皆には迷惑掛けちまったなぁ。)」

レガフを倒し、傷の影響で意識を手放す直前にぼやけた視界で見えた自分に駆け寄る仲間の姿が脳裏に浮かび上がった。一番はっきりと浮かび上がったのは茶色い瞳に涙を溜め、自分の方に駆け寄って来るルーシィの姿だった。

リョ「(ルーシィ・・・)」

ルーシィと、何年も前に死んだ母親、レイカの姿が重なる。

リョ「(母さん・・・)」

今度は茶色いツンツン頭に茶色い瞳、青い着物に黒い袴姿の2年程前に死んだ父親、プノンが浮かび上がった。プノンの手には望遠鏡が抱えられている。

リョ「(父さん・・・)」

じわっと両目から大粒の涙が溢れた。リョウは傷の痛みに耐えながらゆっくりと体を起こし、涙が零れないうちに手で拭った。

リョ「(何考えてんだ俺は・・・!俺には、一緒に行動する大切な仲間が大勢いるんだ。寂しくなんか、ねぇんだ・・・!)」

何度も何度も手で目を擦るが、涙は止まらない。

リョ「くっ・・・ひ、ひぃっ・・ぅう・・・・」

リョウはしゃくり上げながら1人で泣いた。
その時、医務室の隅辺りで何かが光り出した。リョウは擦りすぎて赤く充血した目で見てみると、医務室の隅に立て掛けられていた6本の聖剣(エクスカリバー)が光り出した。あまりの眩しさにリョウは再び両目を覆う。光が治まり、恐る恐る目を開けると、

リョ「え?」

リョウの目の前には6人の男女がベッドを囲むように立っていた。6人の男女の内3人の男女には見覚えがあった。
1人は銀色の長髪に茶色がかった瞳、袖と裾に空色のフリルが付いたワンピースを着た少女。
1人は水色で毛先だけが灰色の髪の毛をポニーテールに束ね、左が水色、右が水色のオッドアイ。青いセーターに黒いミニスカートを穿いた少女。
1人は青い髪の毛に黒い瞳、黒いスーツに青いネクタイ姿の青年。

シ「久しぶりだね、所有者。」

ス「元気だった?」

スト「随分傷だらけだし、目が充血してるし、頬が濡れてるぞ。」

リョ「シルバー!スカイ!ストーム!」

『銀覇剣』、『天力剣』、『嵐真剣』の守護剣士、シルバー、スカイ、ストームが姿を現した。
ストームに涙が零れた事を指摘され、慌ててリョウは手で頬を拭う。

リョ「という事は・・・」

涙を拭った後、リョウは見覚えのない3人の男女に視線を移す。
1人は腰ぐらいの桃色の髪の毛をツインテールに束ね、大きな桃色の瞳。白いチュニックに葉っぱのような形をした黄緑色のスカートを穿いている少女。
1人は背中がすっぽり隠れるくらいの長さの黒髪を項辺りで無造作に1本に束ね、青い吊り目。両耳に銀色のピアスを付けていて、白いインナーにエナメル素材の黒いジャケットに茶色いカーゴパンツを穿いた青年。
1人は両目が隠れるほどの長い紫色の髪の毛。紫色のトレーナーに灰色のミリタリーコートを羽織っており、黒い細身パンツを穿いている青年。

フラ「『花錦剣』の守護剣士、フラワーです。初めまして。」

ブ「助けてくれた事に感謝する。『竜風剣』の守護剣士、ブリーズだ。」

ウィ「・・・『妖魔剣』の守護剣士・・・ウィアド。」

リョウはあまりの出来事に呆気に取られていた。

フラ「あの、所有者・・・怪我は大丈夫ですか?」

リョ「えっ?」

フラワーの声に我に返る。フラワーは包帯が巻かれたリョウの腹部を見て心配そうに尋ねる。『花錦剣』で負った傷だから、責任を感じているんだろう。

リョ「お前のせいじゃねぇよ。こんくらいの傷、すぐに治るから安心しろ。」

リョウはフラワーに笑い掛ける。フラワーは一瞬驚いたように大きな桃色の瞳を更に大きく見開いたが、すぐにまた笑顔になると、

フラ「予想してた通りです。」

嬉しそうに呟いた。

リョ「どういう事だ?」

ブ「あんな危険な真似までして聖剣(エクスカリバー)を『闇』から救おうとしたり、人の仇をとろうとしたりする行為を見て、只者じゃないなとは最初から思ってたんだ。」

ウィ「・・・契約する前から。」

ブリーズとウィアドも嬉しそうに続けて言う。

ス「所有者は粘り強いからね。」

スト「運が悪かったら、周りが見えなくなった崖から転落してしまうような性格だからな。」

リョ「・・・おい、それは褒めてんのか?」

シ「褒めてるつもりだけど?」

ストームの発言の意味にリョウは問い掛けるが、ストームの代わりにシルバーがおどけた様子で答えた。

ウィ「・・・所有者、寂しい。」

リョ「えっ?」

ウィアドの言葉にリョウは素っ頓狂な声を上げる。ウィアドの両目は男にしては長い髪の毛のせいで隠れて見えないが、悲しそうな表情をしている事にリョウは気づいた。

ウィ「・・・でも、仲間が、守護剣士(俺達)がいる。」

リョ「!」

フ「私とブリーズ、ウィアドは今日契約したばかりですが、あなたの事を命を懸けて援護(サポート)させて頂きます。」

ブ「今度は俺達が、所有者を守る番だ。」

ブリーズが胸を張って言う。
すると、シルバーが両手でリョウの右手を包み込むようにそっと握り締めた。

シ「所有者、私達はあなたみたいな人と契約する事が出来て、すっごく幸せよ。」

ス「皆、所有者に助けられたからね。これまでにないくらい感謝してるよ。」

スト「お前は正真正銘の『光』聖剣(エクスカリバー)使いだ。」

シルバーとスカイとストームも嬉しそうに続けて言う。

リョ「俺もお前達にはめちゃくちゃ感謝してるぜ。ありがとな。そして、これからもよろしく頼むぜ。」

リョウが白い歯を見せて笑った。それと同時に6人の守護剣士達は姿を消した。
リョウは医務室の隅に立て掛けられている6本の聖剣(エクスカリバー)を見た後、窓の外に視線を移す。月明かりが医務室に射し込んでベッドを青白く照らし出していた。

リョ「聖剣(エクスカリバー)、残り1本、か・・・」 
 

 
後書き
第180話終了です☆
聖剣(エクスカリバー)の数は残り1本!果たして、リョウは聖剣(エクスカリバー)を全てコンプリートする事が出来るのか・・・?まだまだ先の事だと思いますが。
次回も大魔闘演舞3日目の夜の出来事です。
それでは~☆ 

 

第181話 True Love

 
前書き
紺碧の海で~す♪
今回も大魔闘演舞3日目の後の出来事です。
ナレーション風に書いていきます。
それでは、第181話・・・スタート♪ 

 
妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士達は、今夜もここ、森の小川(フォーレストブルック)で宴をしていた。遂に2位と3位に躍り出た妖精の尻尾(フェアリーテイル)。ナツは「明日は必ず銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)を抜いて首位に躍り出るぞっ!!」とすっかり目標を立ててしまっている。
バーカウンターのテーブルに座って、現妖精の尻尾(フェアリーテイル)ギルドマスター、マカロフと、妖精に尻尾(フェアリーテイル)初代ギルドマスター、メイビスが宴をしているクソガキ共達の事を見つめていた。

メ「明日はいよいよ、3つ巴の対決ですね。6代目。」

マカ「えぇ。いろいろトラブルに巻き込まれながらも、よくここまで辿り着いてくれましたワイ。」

メイビスは幽体。
ギルドの紋章を刻んでいる者にしかその姿は見えない。
だから森の小川(フォーレストブルック)のオーナー、マコトにはマカロフが独り言を言ってるようにしか見えない。マコトは洗い終わった食器を丁寧に拭きながらマカロフの方を見つめて首を傾げた。

メ「Aチームは流石ですね。圧倒的な力を全力で相手にぶつけ、仲間と協力し、仲間の応援に応えながらここまで辿り着いてきたんですもの。」

マカ「普段の行いには頭を悩ませるメンツばかりですが、戦闘や仲間に対しての思いは、誰にも負けないメンツばかりでもありますワイ。」

マカロフの返答に、メイビスは「ふふふっ」と笑う。

メ「Bチームも大したものです。初めて出場したとは思えないほどの凄まじい力を発揮し、洞察力、分析力、観察力を活かしてここまで辿り着いてきたんですもの。」

マカ「あの6人は不思議な奴等ですワイ。仲間が笑い、仲間が悲しむほど、奴等の魔力は増幅し、その魔力が尽きるまで、奴等は魔法を使い続ける。それが例え、自身の命の灯火が燃え尽きようと―――――。」

マカロフの脳裏に浮かぶのはマヤ、リョウ、ユモ、ショール、トーヤ、フレイの6人の笑顔。
6人は時には全力で笑い、時には何かを隠し通すかのように笑い、時には涙を堪えて笑う。
マカロフはそんな6人の笑顔を何度も見てきた。
そんな事を思い出しながら、マカロフはコップに注がれたビールを1口ぐびっと飲む。

メ「そういえば、大魔闘演舞出場メンバーが誰一人いませんね。」

メイビスが酒場全体をぐるりと見渡しながら言う。

マカ「奴等はリョウの様子を見に行きましたですぞ。」

メ「そういえば・・・あの者は、大丈夫なんでしょうか?」

マカ「な~に、心配無用ですぞ。あいつとは長い付き合いですが、あいつの根性と精神は底知れぬもの。そう簡単にダウンするような奴ではないのです。」

メ「それなら安心です。」

マカロフの言葉にメイビスは納得したように頷き微笑んだ。が、

メ「ですが、あの者に対して心配な事もあるんですね?」

マカ「・・・やはりお見通しでしたか。」

マカロフは観念したように話し始めた。

マカ「あいつは・・・リョウは、目標()が高すぎるのです。」

メ「え?」

マカロフの言ってる意味が分からなかったのか、メイビスはこてっと首を傾げた。

マカ「あいつの目標()は、「世界一の魔道士になる事」。もちろん高い()を持つ事は良い事です。ですが、その目標()を追いかけ過ぎて、間違った方向に進んでしまうんじゃないかと思うと・・・」

マカロフの話をメイビスは黙って聞いた後、マカロフに問い掛けた。

メ「なぜ、あの者は世界一の魔道士に?」

マカ「13年前に他界した、母親との約束だそうです。幼い頃から魔の道一直線でしたからな、あいつは。・・・じゃから、余計不安なのです。」

マカロフは一度そこで話を区切り、深く、長い深呼吸をすると、再び口を開いた。





マカ「いつか・・・プレヒトのようになってしまうんじゃないかと―――――。」





プレヒト。
バラム同盟の1角であり、闇ギルド最大勢力、悪魔の心臓(グリモアハート)のギルドマスターであり、2代目妖精の尻尾(フェアリーテイル)ギルドマスター。
妖精の尻尾(フェアリーテイル)を引退した後、魔の道を深く探りすぎたせいで『闇』に落ち、天狼島でゼレフによって殺された。

メ「―――――――大丈夫です。」

マカ「!」

マカロフが顔を上げ、メイビスを見つめる。メイビスの瞳は正面に向けられており、口元には小さな笑みが浮かんでいた。

メ「今日のあの者の様子を見て、私は、あの者が『闇』に落ちる事はないと思います。目標()は『光』。常に『光』を持ち続けている者は、決して『闇』になど落ちないのです。それに―――」

そこまで言うと、メイビスは首を動かしマカロフを正面から見つめた。

メ「あの者は、妖精の尻尾(ここ)で育ち、妖精の尻尾(ここ)の仲間に囲まれて、今日まで生きてきたのです。あの者に『光』を与えているのは・・・仲間なんですから。」

メイビスの言葉に、マカロフは言葉を失った。
すると、メイビスの頭に付いている羽のようなものがピクッと動いた。

メ「・・・と、噂をしたら、その仲間が帰って来たみたいですよ。」

マカ「お?」

メイビスとマカロフが森の小川(フォーレストブルック)の入り口に視線を移した直後、バァン!と凄まじい音を立てて勢いよく扉が開いた。

ナ「よおーっ!」

ハ「あいさーっ!」

マ「たっだいまーっ!」

フ「まだ宴やってたのか。」

ウェ「遅くなってすいません。」

シャ「相変わらず賑やかね。」

ト「ふわぁぁぁぁ・・・」

ナツ、ハッピー、マヤ、フレイ、ウェンディ、シャルル、トーヤが帰って来た。

ロ「お帰りナツ兄、ハッピー、マヤ姉、フレイ兄、ウェンディ姉、シャルル、トーヤ兄。」

ロメオが真っ先に4人+2匹+1匹を迎える。

マカ「リョウの様子はどうじゃった?」

ナ「案外元気そうだったぞ。」

マ「傷はまだあまり塞がってないけど、命に別状は無いから大丈夫だって。」

ナツとマヤはそう答えると、すぐに酒場内で暴れ始める。

メ「大魔闘演舞には出られるのですか?」

ハ「う~ん・・・まだ何とも言えないよ。」

シャ「本人は「絶対に出る!」って言ってるけど・・・」

フ「あの状態じゃ、難しいだろうなぁ。」

メイビスの問いにはハッピー、シャルル、フレイの順に答えた。

マカ「ところで、他の奴等はどうしたんじゃ?」

マカロフは酒場内をぐるりと見渡すが、ルーシィ、グレイ、ユモ、エルザ、ショールの姿がどこにも見当たらない。

ウェ「皆さん、途中で別行動をとる事になったんです。」

ト「僕達は酒場に来ましたけど、ルーシィさんとグレイさんは宿の方へ行きましたよ。ユモさんとエルザさんとショールさんは分かりませんが。」

もしこの場にジュビアがいて、この話を聞いていたら、また妄想が爆発していたであろう。だが、今この場にジュビアはいない。

マカ「まぁ今日はいろいろあって疲れたのじゃろう。お前達もゆっくりと休むと良い。」

ウェ&ト「ありがとうございます。」

シャ「でも、こんなうるさい所で「休みなさい」って言われても・・・」

フ「不可能だな。」

ハ「あい。」

森の小川(フォーレストブルック)では、今夜も妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士達が飲めや歌えや騒げの宴を開いていた。

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Aチームのメンバーが泊まっている宿、『蜂の骨(ハニーボーン)』の1室にルーシィとグレイがいた。
ルーシィは5つあるベッドの内1つに腰掛け俯いており、グレイは頭の後ろで腕を組みベッドの上で大の字になっている。

グ「まだ気にしてんのか?リョウの事。」

ル「・・・・・」

グレイが話し掛けても、ルーシィは俯いたままで何も答えない。グレイは「はぁ」と息を吐くと体を起こし、ルーシィに背を向けてベッドの上で胡座を掻いた。

グ「あいつの性格、ルーシィはもちろん知ってるだろ?あいつはあの状態でありながら意地でも大魔闘演舞に出場する気だぜ。怪我なんて、あいつにとっちゃどうでもいい事だからな。」

ル「・・・・・」

まるで自分に言い聞かせるようにグレイは話し始める。ルーシィは相変わらず何も言わないが、グレイの声にはちゃんと耳を傾けていた。

グ「あいつには、あいつなりの『正義』がある。どんな『正義』かは俺にもよく分からねぇけど・・・自信持って言えるのは、あいつは妖精の尻尾(フェアリーテイル)を、仲間を、お前(ルーシィ)を・・・全力で愛してる。」

ル「!」

ルーシィが俯かせていた顔を上げた。

グ「伝わってくるんだよ。あいつの気持ちが、気の流れと一緒に。」

ル「リョウの・・・気持ち?」

ルーシィは鸚鵡返しで聞き返す。

グ「ギルドで宴をしている時、仲間と一緒にクエストに出かける時、お前(ルーシィ)と話してる時―――――。不思議と、全部伝わってくるんだよ。あいつはいつも、1人で頑張って、精一杯生きてるんだ。」

そこまで一気に話すと、グレイはベッドから下り、立ち上がった。

グ「あいつの前ではそんな顔するなよ。・・・笑顔で、見守ってやれ。」

そう言うと、グレイはドアに向かって歩き出した。

ル「・・・・ユモには、『心』がある。」

グ「!」

ルーシィの声にグレイは足を止める。

ル「ユモには、ユモなりの『心』がある。どんな『心』かは私にもよく分からないけど・・・確信持って言えるのは、ユモは妖精の尻尾(フェアリーテイル)が、仲間が、グレイが・・・心の支えになっている。」

グ「!」

ルーシィの声にグレイは振り返る。ルーシィはベッドに腰掛けたままだったが、顔を上げていて口元には笑みが浮かんでいる。

ル「可笑しいって思うかもしれないんだけど、時々聞こえるの。ユモの、心の声が。」

グ「ユモの・・・心の、声?」

今度はグレイが鸚鵡返しで聞き返す。

ル「傍にいる時はもちろん、別々の場所にいても、大魔闘演舞の時も―――――。時々、聞こえてくるのよ。「大丈夫」、「頑張って」、「ありがとう」って。ユモは少し控えめだから、あまり気持ちを正直に伝えられないのよ。」

そこまで一気に話すと、ルーシィはベッドから下り、立ち上がった。

ル「これからも、ユモを支えて、守ってあげなさいよ。」

そう言うと、ルーシィは窓の方へ行き、カーテンを開けた。夜空には金銀に光り輝く星々が夜のクロッカスの街を照らしていた。

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下に川が流れている石造りの橋の上。そこにユモは1人、佇んでいた。
水面に映る自分の顔をキッと睨み付ける。すると、人の気配を感じ顔を上げるとそこにはエルザが立っていた。

ユ「エルザ。」

エ「ユモじゃないか。奇遇だな。こんな所で何してたんだ?」

ユ「別に何も。エルザはどうしてここに?」

エ「特に意味も無い。」

簡単に言えば、2人は何の目的もなしにここに来たと言う訳だ。
エルザはユモの隣に来ると、橋に体を預け空を見上げた。ユモも同じように空を見上げる。
2人はしばらく黙って空を見続けた。聞こえるのは、川のせせらぎと、時々吹く夜風の音だけ。

エ「・・・ユモは良いよな。」

先に口を開いたのはエルザだった。ユモはエルザの顔を覗き込む。エルザの瞳は空から離れる事はない。

エ「誰にでも優しく接し、素直で、真っ直ぐで、思いやりがあって―――――。ほんと、羨ましいかぎりだ。」

ユ「そんな事ないよ。私はエルザが羨ましいよ?美人だし、頭良いし、強いし―――――。」

そこまで言って、また沈黙が流れた。
エルザはさっきから何か言いたげな表情だが、なかなかその口が開かない。ユモは何も言わずにエルザから話し始めるのを空を見つめながら待ち続けた。





エ「・・・・なぁ、ユモ・・・」

ユ「何?」

ようやくエルザが話し始めたのは随分時間が経ってからだった。沈黙が続く中でも、ユモは黙って待ち続けていた。

エ「・・・も・・もし、も・・・もしも、だぞ・・・・?」

ユ「う・・うん。」

エルザの言葉が妙に歯切れが悪い事に気づいたユモは曖昧に小さく頷いた。





エ「もしも・・・私達の中の、誰かが死んだら・・・・どう、思う・・・?」





ユ「・・・・え?」

突然の事にユモは素っ頓狂な声を上げる。
エルザは言い終わった後で不味いと思ったらしく口元に右手を当てていた。

エ「・・・すまない。今言った事は、全て・・忘れてくれ・・・・」

そう言い残すと、エルザは駆け足でその場を走り去って行った。追いかけようとしてユモは1歩足を踏み出すが、すぐにその先から動く事が出来なくなってしまった。

エ『もしも・・・私達の中の、誰かが死んだら・・・・どう、思う・・・?』

頭の中でエルザが先程言った言葉が何度も何度も巻き戻され、その言葉がユモの頭の中にしっかりと焼き付いてしまった。

ユ「(い、いったい・・・どういう、事・・・・?私達の中の、誰かが・・・“死ぬ”って、事・・・?)」

ユモの心の奥に、妙な違和感が生まれた。

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月明かりが窓から射し込む妖精の尻尾(フェアリーテイル)専用医務室。そこにあるベッドにいるリョウは聖剣(エクスカリバー)、『竜風剣』を磨いていた。
丁寧に、優しく、慎重に磨く。時々月明かりに照らすと、銀色の刃が眩しいほどに光り輝く。
リョウは磨き終えた『竜風剣』を見て満足そうに微笑むと、『竜風剣』を鞘に戻した。

リョ「聖剣(エクスカリバー)の手入れを黙って見てて何が面白いんだ?」

医務室の外に聞こえるようにリョウは喋る。

リョ「何で隠れてんだよ?ショール。」

キィと音を立てて医務室のドアが開く。ドアの前に立っていたのはショールだった。

ショ「やっぱり気づいてたか。」

リョ「当たり前だ。もう少し気配を消してれば、気づいてなかったかもしれねぇけどな。」

ショールは「敵わないなぁ」と呟きながらリョウの方に歩み寄り、近くにあった椅子に腰掛けた。

リョ「さっき皆と帰ったのに、1人でまたここに戻って来たっていう事は・・・俺になんか用があるんだな?」

ショ「・・・そこまで、お見通しだったか。」

ショールは観念したように1つ息を吐いた。そして―――

リョ「!」

鮮血のような赤い瞳に、鋭い光を宿してリョウを真っ直ぐ見つめた。その瞳にリョウは息を呑む。普段は穏やかに見えるショールの瞳だが、この時ばかりはその瞳が恐ろしく見えた。リョウはショールの瞳から目を逸らす事が出来なかった。





ショ「お前は・・・何で、聖剣(エクスカリバー)を・・持ち続けて、いるんだ・・・・?」





リョ「・・・・へっ?」

思いもしなかった問いに、リョウは理解するのに時間が掛かった。

リョ「いきなり何を言い出すかと思えば・・・俺はただ。聖剣(エクスカリバー)を全」

ショ「そんな単純な事じゃないはずだ。」

リョ「!」

リョウが言い終わる前に、ショールがその言葉を遮った。

ショ「聖剣(エクスカリバー)は、戦う為の“最強の魔法道具(魔法アイテム)”にもなり、人を殺す為の“最強の兵器”にもなる。この事は、実際に聖剣(エクスカリバー)を所有してるリョウが、一番分かってる事だろ?一言で言えば・・・聖剣(エクスカリバー)は、危険物だ。」

リョ「!」

リョウの茶色い瞳が見開かれた。次の瞬間、リョウがショールの胸倉を掴んだ。

リョ「聖剣(エクスカリバー)が危険物だ?アァ?お前の事はずっと冷静沈着で頭が良くて、「超」が付くほどのキレ者だと思ってたけどよ・・・どうやら俺の解釈は間違ってたみてぇだな。」

リョウはショールの胸倉を掴む手に更に力を入れる。

リョ「俺が契約してる聖剣(エクスカリバー)は、全て『光』を纏っている。聖剣(エクスカリバー)が“最強の兵器”になるのは、『闇』を纏った時だけだっ!!俺はぜってぇ~に、聖剣(エクスカリバー)に『闇』を纏わせねぇし、自分自身も、ぜってぇ~に『闇』になんか落ちねぇ。聖剣(エクスカリバー)使いを、舐めんじゃねぇぞぉっ!!!」

リョウは至近距離からショールを睨み付ける。対するショールも、胸倉を掴まれた状態からリョウを睨み付ける。
リョウとショールはしばらくお互い睨み合ったが、

リョ「・・・うっ!ぐっ・・・・!」

急にリョウが腹部を押さえて苦しみ出した。傷口が開いてしまったようだ。ショールは「はぁ」と小さく息を吐くと、自分の胸倉をまだ掴んでいるリョウの手を解き、ゆっくりとリョウをベッドに寝かせる。

ショ「安静にしてろポーリュシカさんに言われただろ?それに・・・」

そこで一度話を区切ると、ショールは鮮血のような赤い瞳でギロッとリョウを睨み付けた。

ショ「人の話を最後まで聞かないで、勝手にキレるな。」

リョ「!」

口調も声色も変わっていないのに、ショールの睨みには迫力があり、リョウは再び息を呑んだ。そして気づいた。

リョ「ま、まだ・・・続きが、あるのか?」

リョウの問いにショールは黙って頷くと続きを話し始めた。

ショ「またリョウがキレると困るから言い方を変えよう。聖剣(エクスカリバー)は、危険な物だ。」

リョ「(そのまんまじゃねーか・・・)」

リョウは心の中でショールに突っ込みを入れる。

ショ「その危険な物を、リョウは今まで手に入れ続けてきた。それには何か理由があるんじゃないのか?」

リョ「!」

ショ「俺が聞きたいのはそれだけだ。」

話の続きはそこで終わった。
ショールの話が終わってリョウはしばらく無表情だったが、「ふっ」と鼻で一度笑った後、

リョ「お前もお見通ししてるじゃねぇか。」

笑った。笑ったが、その笑みはどこか悲しそうな笑みでもある事にショールは気づいた。
今度はリョウが話し始めた。

リョ「俺が始めて聖剣(エクスカリバー)を手に入れたのは6歳の頃だった。6歳の頃、『銀覇剣』と契約した俺は、ますます世界一になりたいという願望が強くなり、更に7本の聖剣(エクスカリバー)を全て集めるという目的も出来た。」

過去を思い出すように、リョウはゆっくりと語る。

リョ「そして10歳の頃、『天力剣』と契約して、俺は更に力をつけた。それからとんとん拍子のように、俺は13歳で史上最年少の聖十大魔道の1人になり、15歳で序列6位にまで上りトップクラスになった。だけど、1年前に父さんが死んだ。」

リョウの顔から笑顔がふっと消え失せた。

リョ「泣いたよ、一晩中。あんなに泣いたのは母さんが死んだ時以来だったなぁ。父さんが死ぬ直前に言ったんだ。「リョウ、聖剣(エクスカリバー)にも『光』と『闇』がある。お前は聖剣(エクスカリバー)使いとして、『闇』の聖剣(エクスカリバー)を救ってやれ」ってな。それからは俺は、『闇』を纏った聖剣(エクスカリバー)を救う事を決意したんだ。と言っても、今回が初めてだったんだけどな。」

実際にリョウは、『花錦剣』、『竜風剣』、『妖魔剣』を『闇』から救ったのだ。

リョ「その決意をした時に、俺は気づいた事があった。」

リョウは医務室の隅に立て掛けられている6本の聖剣(エクスカリバー)に視線を移した。

リョ「俺は聖剣(エクスカリバー)を『闇』から救える。聖剣(エクスカリバー)は俺を援護(サポート)出来る。でも・・・」

そこで一度話を区切ると、リョウは空を仰いだ。

リョ「俺も聖剣(エクスカリバー)も、大切な人を、笑顔にする事が出来ないんだ。」

ショ「・・・・えっ?」

リョウの言葉を理解するのに、ショールにしては珍しく時間が掛かった。

リョ「今日だってそうだ。皆に迷惑を掛けちまったし、ルーシィには涙を流させちまった・・・俺は今まで、何度もルーシィの心に傷を刻んじまった・・・・時々思うんだ。「俺が、ルーシィを愛してて良いのか?」って・・・」

ショ「!」

ショールの鮮血のような赤い瞳が見開かれた。

リョ「だから俺は、大切な人を笑顔にする為に、聖剣(エクスカリバー)と共に強くなっていくんだ。もちろん、これからもな。」

次の瞬間、今度はショールがリョウの胸倉を掴んだ。

リョ「ぐふっ・・・!」

傷に激痛が走りリョウは呻き声を上げるが、ショールは手を離さない。

ショ「人の笑顔は、聖剣(エクスカリバー)でつくるものじゃないだろっ!!!」

リョウの胸倉を掴む手に更に力が入る。

ショ「俺が、こんな事言うのも・・どうかと思うが・・・良いに、決まってるだろ・・・・」

リョ「え・・・」

リョウの角度からはショールの表情が見えないが、胸倉を掴んでるショールの手が小刻みに震えているのをリョウは感じ取っていた。

ショ「ルーシィは、お前のせいで、今までたくさん涙を流してきた。ルーシィの心に傷を刻んだ事には、まず間違いない。それでも!ルーシィがずっとお前の傍にい続けているっていう事は・・・!ルーシィは、お前の事を心から愛してるっていう証拠だっ!!いとことか関係ないっ!ルーシィは、お前の事を本気で愛してるんだよっ!!!」

リョ「!」

ショールはそこまで一気に言うと、リョウの胸倉から手を離し、ドアに向かって歩き出した。

リョ「ショール。」

リョウが呼ぶと、ショールの足の動きが止まった。

リョ「・・・やっぱり、俺の解釈に間違いはなかったみてぇだ。お前は正真正銘の、冷静沈着で頭が良くて、「超」が付くほどのキレ者だ。」

ショールはその場から動かなかったが、しばらくしてから再び歩き出し、医務室を立ち去った。

****************************************************************************************

ここは銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)が泊まっている宿、『激情の白兎(パッションラビット)』。
クロッカスの街にある宿の中では高級ホテルのような所で、1階にある部屋が大広間となっている。その大広間に、100人は優に超える銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)の魔道士全員が集められた。魔道士達の先頭に立つのは、大魔闘演舞に出場しているキース、カオリ、レヴル、ルチーア、アンナの5人。
そして、大広間の中央にある玉座に座っているのは、銀河の旋律(ギャラクーメロディー)のギルドマスター、シルファ。長い銀髪と長い髭が特徴的な老人だ。右手には先端に六芒星を模ったものが付いている杖を握っている。

シ「銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)は52ポイントで1位。妖精の尻尾A・B(フェアリーテイルAチーム・Bチーム)は46ポイントと38ポイントで2位と3位。妖精の尻尾(フェアリーテイル)を潰す事が目的である我々が、妖精(ようせい)尻尾(ケツ)共にここまで追いつかれるとは・・・キース、どういう事だ?」

ギロリと深い青色の瞳がキースを捉える。

キ「そ・・それは・・・」

キースはシルファから視線を逸らし、言葉に詰まってしまう。
銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)の魔道士達は皆、シルファに睨まれると何も言えなくなってしまう。それほど目力が強いのだ、シルファは。

シ「カオリ、レヴル。」

深い青色の瞳が今度はカオリとレヴルを捉える。

カ「え・・えっと、そのぉ・・・・」

レ「・・・・・」

カオリとレヴルもシルファから視線を逸らし、言葉に詰まってしまう。

シ「ルチーア、アンナ。」

深い青色の瞳が今度はルチーアとアンナを捉える。

ルチ「ぼ・・ぼぼ、僕は・・・」

ア「わ、私、は・・・」

ルチーアとアンナもシルファから視線を逸らし、何か言いたげな様子だが、やはり言葉に詰まってしまう。
シルファの「はぁ」とため息をつくと、杖を支えにして玉座から立ち上がった。

シ「やはり最初から()()()を出場させるべきだったか・・・」

シ以外全「!!!??」

シルファの言葉にその場にいた人間全員が反応する。

キ「か・・帰って来たんですかっ!?」

シ「あぁ。大魔闘演舞の最中にな。」

?「本当は1日で終わる仕事だったけど・・・」

?2「ちょっといろいろ梃子摺っちゃったのよね♪」

?以外「!!!」

背後から2人の男女の声が聞こえた。振り向くと、左側に逆立った茶髪に青い吊り目の男と、若葉色のカールが掛かった髪にアホ毛、睫が長いオレンジ色の瞳の女が宿の入り口の前に立っていた。

キ「コ・・コグレ、さん・・・」

カ「ナナヨ・・さん・・・」

レ「・・・・・」

キース、カオリは2人の男女の名を呟いた。
コグレ・ファラス、ナナヨ・リーブル。この2人は銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)最強の魔道士だ。本来大魔闘演舞に出場するはずだったのだが、急に仕事が入りしょうがなく仕事を優先する事になったのだ。
シルファが杖の先端をコグレとナナヨに向けた。

シ「メンバーチェンジ!ルチーア・ジェマニーとアンナ・ワンスと、コグレ・ファラスとナナヨ・リーブルを交代だあっ!!」

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ドムス・フラウの地下深く。
銀色の台座に置かれた黒い大砲。黒い大砲の中央部に書かれている赤い術式は休まずに刻々と時を刻み続けていた。





                『『極悪十祭』まで、残り4日 96時間15分33秒』





 
 

 
後書き
第181話終了~♪
突然ですが新キャラ登場!銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)に属する最強魔道士、コグレとナナヨ!この2人なかなか手強いですよ。
次回は大魔闘演舞4日目の競技パートです!
それではまた次回、お会いしましょう~♪ 

 

第182話 『空船戦』

 
前書き
紺碧の海です!更新遅れてスミマセン!
今回は大魔闘演舞4日目の競技パートです!その内容は・・・えっ?船?
ナレーション風に書いていきます。
それでは、第182話・・・スタート! 

 
妖精の尻尾(フェアリーテイル)専用医務室に続く通路を購入したばかりの傷薬や包帯を両手に抱えたポーリュシカが歩いていた。聖剣、『花錦剣』に刺されたリョウの傷の手当てにほとんど使い果たしてしまった為、たった今買って来たのだ。
医務室の前に立つと、ポーリュシカはゆっくりと扉を開けた。

ポ「!」

扉を開け中に入った瞬間、ポーリュシカは目を見開いた。

リョ「あ、お帰りなさい。ポーリュシカさん。」

リョウが振り返って笑顔で出迎えた。
ベッドの上で寝ているはずのリョウだが、今のリョウはベッドから起き上がっており、黒い袴を穿き、緑色の着物に腕を通すところだった。リョウの腹部にはもちろん、薄っすらと血の滲んだ白い包帯が巻かれている。

ポ「・・・アンタ、何やってるんだい?」

驚いたポーリュシカだが、すぐに冷静さを取り戻しリョウに問う。

リョ「見ての通り、着替えてるところです。あ、別に医務室から出る必要ないですからね。」

ポーリュシカの問いに答えながら、リョウは緑色の着物を着終えると白い足袋に手を伸ばす。

ポ「まさか、会場に戻るつもりかい?」

リョ「そのまさかですよ。」

ポ「!?」

ポーリュシカが驚いてるのにも構わず、リョウは白い足袋を右足に履くと、もう片方の白い足袋に手を伸ばし履き始める。

ポ「バカな事を言うんじゃない。その怪我で出場したら、更に傷口が開き、死に至るかもしれないんだよ。」

リョ「そんな事、俺自身が一番理解してますよ。」

ポ「だったら大人しく寝ているんだね。試合は映像魔水晶(映像ラクリマ)からでも見れるからそれで良いじゃないか。」

リョ「それが良くないんですよ。」

ポ「?」

ポーリュシカが首を傾げてる間にも、リョウは足袋も草履も履き終え、6本の聖剣を1本ずつ腰に装備していく。

リョ「これから始まる4日目の競技パート、よく分からないんですけど、何かものすごく嫌な予感がするんです。」

右腰に『銀覇剣』を、左腰に『天力剣』を装備する。

リョ「それに、そろそろA・Bチーム統合命令が主催者側から言い渡されると思うんですよ。高速の弾丸(ファーストブレッド)が失格したから、参加チームが11になってバトルパートの組み合わせが奇数だと困りますから。」

右腰に『嵐真剣』を、左腰に『花錦剣』を装備する。

リョ「A・Bチームが統合された妖精の尻尾(フェアリーテイル)に、俺は必ず出ますよ。怪我なんて気にせずに。」

右腰に『妖魔剣』を、左腰に『竜風剣』を装備し終えると、リョウは振り返りポーリュシカの瞳を正面から真っ直ぐ見つめた。

リョ「止めても無駄ですよ。死んだら死んだで、それは俺の自己責任。後悔は絶対にしません。俺は、この命が消えようと、必ず妖精の尻尾(フェアリーテイル)を、優勝に導きますよ。」

一度にそう告げると、リョウはポーリュシカの横を通って医務室から出て行った。そんなリョウにポーリュシカは何も言い返す事が出来なかった。

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「♪~~~~~ ♪~~~~~ ♪~~~~~ ♪~ ♪~
 ♪~~~~~ ♪~~~~~ ♪~~~~~ ♪~ ♪~」

夜が明け、クロッカスの街に軽やかなファンファーレが鳴り響く。

チャ「大魔闘演舞4日目!昨日より壮絶な展開が待ち遠しいぃーっ!本日のゲストはシェラザード劇団座長ラビアンさんにお越し頂きました。」

ラ「お招き、ありがとうございます。」

余談だが、ラビアンの口癖は「ありがとうございます」だ。礼を言う場面でないところで礼を言い、礼を言う場面で礼を言わない、あべこべな礼の仕方をする。

チャ「これまでの順位で、1位は銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)、2位は妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)、3位は妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)という結果になっております。」

ヤ「今日はどんな巻き返スがあるかねぇ。」

ラ「とても楽しみです、ありがとうございます。」

因みにここは礼を言わない場面である。

ヤ「ところで、今日から新たな規律(ルール)が追加されたんだよね?」

チャ「その通りです。今からご説明致しましょう。」

チャパティ・ローラはスーツのポケットから2つに折り畳まれた白い紙を取り出し、紙に書かれている文章を読み上げる。

チャ「えー、大魔闘演舞の参加チームは通常5人でリザーブ枠が1人いるのですが、本日からそのリザーブ枠を()()にする事が出来るようになりました。」

ナ「んなっ!?」

ル「リザーブ枠が、2人ィ!?」

ショ「どうしていきなり・・・?」

ナツとルーシィが驚嘆の声を上げ、ショールが首を傾げる。

チャ「理由は・・・ど、どうやらフィオーレ国王の強い願望だそうで・・・」

ヤ「・・・それは国王ではなく、作者の強い願望なんじゃないかね?」

ヤジマさん、そこには詳しく触れないで下さい(by 紺碧の海)。

マ「なぁ~んだ、リザーブ枠の数が増えるだけか。」

ユ「Bチーム(こっち)のリザーブ枠はフレイだけで十分だよね。」

ト「頼りにしてます、フレイさん。」

フ「お、おい・・そんなに責任(プレッシャー)かけるなよ・・・」

フレイの体に思い責任(プレッシャー)がどんどん積み上げられていく。

エ「Aチーム(私達)も必要無いな。」

ウェ「エルフマンさんがいれば心強いです!」

グ「去年お前すごかったからな。また期待してるぜ。」

エル「お・・おぅ・・・」

エルフマンは照れ臭そうに右手の人差し指で頬を掻く。

チャ「それでは早速4日目競技パートに参りましょう!」

すると、どこからか大魔闘演舞のマスコットキャラクター、マトー君が姿を現した。

マト「競技の名は・・・『空船戦(スカイシップバトル)』!!」

マトー君が競技の名を叫んだのと同時に、大魔闘演舞の会場、ドムス・フラウの上空に巨大な水色の魔法陣が展開され、そこから巨大な海賊船が姿を現した。

チャ「な・・なななな何とっ!会場の上空に1艘の巨大な海賊船が出現したぁーーーっ!」

ヤ「こりゃあ驚いたねぇ。」

ラ「すごい舞台(ステージ)です!ありがとうございます!」

観1「な・・何だありゃっ!?」

観2「でっけぇー・・・」

観3「海賊船、かしら・・・?」

突然姿を現した巨大な海賊船に会場中は大騒ぎだ。

ル「す・・すごい・・・」

ナ「う・・うぷ。」

ト「ナツさん、見ただけで酔わないで下さい。」

フ「『空船戦(フライトシップバトル)』にナツは確実に参加出来ねぇな。」

見ただけで口を押さえて青い顔をするナツにトーヤが指摘しフレイが呆れる。

マト「出場者は、各ギルド1名です。」

各ギルドのメンバーが輪になった。





キル「一夜さん、俺が行っても良いですか?」

一「うむ。勝利の香り(パルファム)を期待してるぞ。」





映像魔水晶(映像ラクリマ)に映像が映し出される。

チャ「最初に名乗り出たのは青い天馬(ブルーペガサス)、キルロ・ラルネス!!」

観女全「キャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」

余談だが、ショールと戦ってからキルロはパーカーのフードを被っていない。





ヒ「じゃあ、私が行くね。」

ア「気をつけてね、ヒリア。」





映像が切り替わり、

チャ「気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)からは、ヒリア・フーガベース!!」





ナデ「わ・・わわわわ私が、い、いき・・行きますぅっ!」





映像が切り替わり、

チャ「幸福の花(ハピネスフラワー)からは、ナデシコ!!」





ル「今度はあたしに行かせて!」

エ「頑張れよ、ルーシィ。」





映像が切り替わり、

チャ「妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)からは、ルーシィ・ハートフィリア!!」





セ「リキ~、お前に任せる。」

リ「分かった。」

カリ「頑張ってね、リキ。」





映像が切り替わり、

チャ「月の涙(ムーンティア)からは、リキ・ロレックス!!」





オ「シェリア、アンタが行きなっ!行かなかったら回すよっ!」

ト「何で俺ェ~~~~~!?」

シェ「分かりました!」





映像が切り替わり、

チャ「蛇姫の鱗(ラミアスケイル)からは、シェリアたぁ~ん♪」

ヤ「キャラ一変してるよアンタ・・・」

ラ「すごくキモいです。ありがとうございます。」

チャ「妖精の尻尾A(フェアリーテイルAチーム)!なぜウェンディたんを出さなかったんだーーーっ!」

ル「余計なお世話よっ!」





バ「さて、次は俺が行こうかな?」





映像が切り替わり、

チャ「海中の洞穴(マリーンケイヴ)からは、バロン・クライシス!!」





マ「よぉ~し!ここは私の出番だーーーっ!」





映像が切り替わり、

チャ「妖精の尻尾B(フェアリーテイルBチーム)からは、マヤ・ララルド!!なぜウェンディたんを出さないんだーーーっ!」

マ「文句言うなーっ!ていうかチーム違うからっ!」





ロ「ノバーリ、ワイルドに行って来いっ!」

バッ「ヒッ、魂震わせて来いよぉ~・・・ヒック。」

ノ「ワイルドーーーーーッ!!」





映像が切り替わり、

チャ「四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)からは、ノバーリ!!」





シェナ「えぇっ!?ウララが行くのぉっ!?」

タ「な・・何か、あっさり終わらせちゃいそうだよ・・・」

チ「相手、殺さないでよ。」

アチュ「あぁぁ・・・怖く、なってきた・・・・」

ウ「そんなにビビらないでよ。じゃっ、行って来るわね。」





映像が切り替わり、

チャ「白い柳(ホワイトウィロウ)からは、ウララ・リネリア!!」

ヤ「白い柳(ホワイトウィロウ)の最強が登場だね。」

ラ「ありがとうございます。」





チャ「次々と出場者が出揃う中、銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)だけがまだ決まってないみたいですね。」

ヤ「どうスたんだろうねぇ?」

ラ「分かりません。ありがとうございます。」

会場にいる人間全員がまだかまだかと『空船戦(スカイシップバトル)』が始まるのを心待ちにしている中、銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)の出場者だけが一向に決まらない。





コ「レヴル、お前が行け。」

レ「えっ・・・」

カ「!?」

キ「ちょっ!何でレヴルが!?この展開だと、俺が行くべきじゃないですかっ!」

ナナ「私とコグレにもちゃんとした考えがあるの、ねぇ?」

コ「あぁ。レヴル、昨日の夜に俺とナナヨが言ったとおりの事をしろ。良いな?」

レ「・・・分かり、ました。」

キ「!?」

カ「レヴル!」

ナナ「はいはい。キースとカオリはここで大人しく、レヴルの戦う姿を見てなさい。」





映像が切り替わり、

チャ「大分時間が掛かったようですが、銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)からは、レヴル・スイスト!!」





エル「おい、銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)のメンバーに新しい奴いねぇか?」

エルフマンが銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)の待機場所を見て呟く。エルフマンの言うとおり、ルチーアとアンナがそこにはいなく、代わりに新たな2人の男女がいた。

ナ「誰だあいつ等?」

ユ「リザーブ枠の人達じゃない?」

ト「でも、それならルチーアさんとアンナさんがいると・・・」

グ「つーか、まだあんな隠し玉がいたのか。」

ショ「しかも2人か。」

ナツ、ユモ、トーヤ、グレイ、ショールという順に口々に言う。すると、

リョ「コグレ・ファラスとナナヨ・リーブルだ。」

リョ以外「!!?」

背後から聞き覚えのある声が聞こえ、驚いて振り返ってみると、6本の聖剣を3対ずつ装備したリョウがいた。

フ「リョウ!」

ウェ「リョウさん!」

エ「なぜお前が・・・そんな事より怪我は?」

リョ「まだ完治してねぇよ。」

エルザの問いにリョウは当然のように答える。

グ「おい、まさかだとは思うが、大魔闘演舞に出場する気か?」

リョ「よく分かったな。そのと」

エル「何言ってんだよ、そんな怪我で出場したら、また傷口開いちまうじゃねぇかっ!」

リョウの言葉を遮るように、エルフマンが制止の声を掛けるが、

リョ「俺の性格、知ってるだろ?」

エル「う・・・」

たった一言でエルフマンを押し黙らせた。
エルフマンの背後ではショールが「はぁ」とため息をついていた。

ユ「ところでリョウ、あの2人の事知ってるの?」

リョ「あぁ。」

ユモの問いに返事をした後、リョウの茶色い瞳に鋭い光が灯った。

リョ「あの2人は、銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)最強の魔道士、天空の覇者、コグレ・ファラスと、大地の覇者、ナナヨ・リーブルだ。」





会場のど真ん中には大魔闘演舞4日目の競技パート、『空船戦(スカイシップバトル)』に出場するルーシィ、マヤ、キルロ、ヒリア、ナデシコ、リキ、シェリア、バロン、ノバーリ、ウララ、レヴルが集結した。

ル「それにしても、めちゃくちゃリアルな海賊船ね。」

ルーシィが上空を見上げながら呟く。
空船戦(スカイシップバトル)』の舞台(ステージ)である海賊船は長年海の底に沈没してしまった海賊船をモチーフにしている。白い骸骨が描かれている破れた黒い旗、ボロボロの白い帆、苔だらけの船体。海賊船ではなく、幽霊船にも見えてしまうのは気のせいだ。

マ「海賊船って、普通は海にあるよね?あの海賊船は空にあるから()賊船だね。」

ル「細かい事は気にしなくていいんじゃない・・・?」

ルーシィはマヤのどこか気の抜けた会話に呆れる。
すると、石造りの会場の出入り口から大魔闘演舞のマスコットキャラクター、マトー君がちょこちょこと歩いて来た。マトー君は『空船戦(スカイシップバトル)』の出場者達の前で立ち止まると、

マト「では、大魔闘演舞4日目の競技パート、『空船戦(スカイシップバトル)』のルール説明を行いますカボ。」

マトー君が身振り手振りで『空船戦(スカイシップバトル)』のルール説明を話し始めた。

マト「出場者の皆さんにはあの海賊船の船内で戦って頂き、魔法をぶつけ合い、相手を船から落としていくカボ。簡潔に言うと、オープニングゲームの『浮上板(フロウトプレート)』とほぼ同じカボ。落ちた順が早いほどポイントは少ないカボ。」

マトー君も言ってくれたが、『浮上板(フロウトプレート)』とほとんど同じだ。

マト「ただし、船内で最後の2人になった時、特殊ルールが発動されるカボ。」

マトー君の表情が一瞬だけ不気味な色に染まった。

シェ「特殊ルール?」

ナデ「ど、どど・・どんなルール、なんですかぁ?」

マト「こういうルールカボ。」

そう言うと、マトー君は白い手袋をした右手で指をパチン!と鳴らした。すると、マトー君の隣に黄色い魔法陣が浮かび上がり、そこから大きな砂時計が出現した。

ヒ「砂時計?」

ウ「随分大きいわね。」

キ「この砂時計がいったいなんなんだい?」

マトー君は白い手袋をした手で砂時計にそっと触れる。砂時計の中の砂は黄土色でキラキラと小さな輝きを放っている。

マト「この砂時計の砂は5分間で全て落ちるカボ。船内で最後の2人になった時、この砂時計がひっくり返され、5分の間に船から落ちてしまった方は最下位になってしまうカボ。」

マ「えぇっ!?」

リ「2位から最下位に・・・」

レ「・・・・・」

ル「5分間ルール・・・」

ルーシィが息を呑んだ。
ルーシィは昨年『海戦(ナバルバトル)』の5分間ルールで剣咬の虎(セイバートゥース)のミネルバに痛めつけられたのだ。
ルーシィは左手を固く握り締め、右手を星霊の鍵が入っているポーチに添える。

ル「(大丈夫!去年の事なんか気にしてられない。私には、星霊が、皆がついている!)」

すると、ルーシィの右肩をマヤが叩いた。

ル「何マヤ?」

マ「ねぇルーシィ、あそこにいるの・・・リョウじゃないかな?」

ル「えっ?」

怪我をして医務室にいるはずのリョウが会場にいるはすがない。そう思いながらもマヤが指差した方にルーシィは視線を移す。
そして、見つけた。
マヤが言ったとおり、他のメンバーと一緒に待機場所でこっちを見ているリョウの姿が―――――。ルーシィの視線に気づいたのか、リョウが小さく微笑んだ。そして、左腰に装備してあった聖剣、『竜風剣』を鞘から抜くと、『竜風剣』の銀色の刃先を天に突きつけた。
ルーシィはそれに答えるように右手を上げリョウに手を振った。

マ「やっと戻ってきた、ルーシィの笑顔。」

マヤが小さく、嬉しそうに呟いた声は誰にも聞こえなかった。

マト「それでは、出場者の皆さんには船内に移動してもらいましょう。」

そう言うと、マトー君は白い手袋をした右手で指をパチン!と鳴らした。すると、『空船戦(スカイシップバトル)』の出場者達の足元に青い魔法陣が浮かび上がると、シュンと音を立てて次々と会場から姿を消した。
この青い魔法陣は転送魔法陣である。

チャ「観客の皆さんは、映像魔水晶(映像ラクリマ)にてご覧下さい。」

6つの映像魔水晶(映像ラクリマ)に船内の様子が映し出された。





会場から船内に転送された出場者達は船内でバラバラに散らばっていた。

キ「これで2日目のバトルを挽回しないと・・・!」

ウ「ふふっ、楽しくなりそうね。」

シェ「よぉーし!頑張っちゃうぞーっ!」

リ「戦闘準備。」

ヒ「鳥さん達にも頑張ってもらわないと。」

ノ「ワイルドォ・・・フォーーーッ!!」

ナデ「ま、まま・・参りますぅっ!」」

バ「さてとっ、そろそろかな?」

レ「・・・・・」

ル「皆、お願いね。」

マ「動物達も火炎石も私も!手加減無用の全力全快フルパワーでいっくぞーーーっ!!」

気合の入ったマヤの声が船内に響き渡った。

チャ「これで全ての準備が整いました。大魔闘演舞4日目競技パート、『空船戦(スカイシップバトル)』・・・開始ッ!!!」

チャパティ・ローラの力強い実況と共に像の上にいる男が銅鑼をゴォォォォォン!!と力強く叩いた。遂に『空船戦(スカイシップバトル)』が始まった。 
 

 
後書き
第182話終了致しました!
今回も競技パートは2話連続になりそうです。
次回は『空船戦(スカイシップバトル)』での激戦の中、ルーシィとマヤに危機が―――――!?
それではまた次回! 

 

第183話 天地の作戦

 
前書き
風邪を引いて学校を休んだ為真昼間から更新が出来る紺碧の海です☆
今回は大魔闘演舞4日目競技パート、『空船戦(スカイシップバトル)』の続きです。妖精の尻尾(フェアリーテイル)からはルーシィとマヤが出場したのだが、2人に危機が―――――!?
ナレーション風に書いていきます。
それでは、第183話・・・スタート☆ 

 
チャ「大魔闘演舞4日目競技パート、『空船戦(スカイシップバトル)』・・・開始ッ!!!」

チャパティ・ローラの力強い実況と共に像の上にいる男が銅鑼をゴォォォォォン!!と叩いた。遂に『空船戦(スカイシップバトル)』が始まった。船内にいる11人の出場者達は一斉に駆け出した。

ナデ「フ、フラワーメイク、胞子爆弾(スィードボム)ッ!!」

最初に攻撃を仕掛けたのは意外にも引っ込み思案なナデシコだった。
胸の前で手を重ね、バレーボールくらいの大きさの草で包まれた球体を近くにいたリキとノバーリに向かって投げつける。2人は素早くかわすが、球体が床に落ちた瞬間ポォン!と音を立てて中から大量の胞子が撒き散らされた。

ノ「おわっ!」

リ「くっ・・前が、見えない・・・」

胞子だらけの中、2人は身動きできずにいた。
無防備な2人の背後に忍び寄る黒い影―――――・・・

ナデ「フラワーメイク、薔薇の庭園(ローズガーデン)ッ!!」

気づいた時にはすでに2人の目の前には色とりどりの巨大な薔薇が襲い掛かってきていた。薔薇の花の鮮やかな緑色の茎にある先が鋭く尖った棘が太陽の光に反射してキラリと光った。

ノ「よっ、と。」

ノバーリは襲い掛かってくる色とりどりの薔薇に一度目を見開いたがすぐに冷静さを取り戻しその場で高く跳躍しナデシコの攻撃をかわした。

リ「アイアンメイク、(シールド)ッ!!」

一方リキは、襲い掛かってくる色とりどりの薔薇に一切驚きもせず、冷静に造形魔法の構えを取り、黒光りする鉄の(シールド)を造形しナデシコの攻撃を防いだ。

チャ「ナデシコの攻撃はノバーリとリキには当たらないっ!」

ヤ「いい戦略だったけどねぇ。」

ラ「とても可憐です!ありがとうございます!」

チャ「あぁっと!別の場所では激しい戦いが繰り広げられていますっ!」

チャパティ・ローラが別の映像魔水晶(映像ラクリマ)の映像を見て実況をする。
その映像魔水晶(映像ラクリマ)に映っているのは風を操る青年と風を操る少女―――バロンとシェリアだった。

バ「風竜の・・・竜巻ッ!!」

シェ「天神の・・・北風(ボレアス)ッ!!」

バ「風竜の・・・咆哮ッ!!」

シェ「天神の・・・怒号ッ!!」

竜と神の風が激しくぶつかり合う。海賊船のボロボロの白い帆がバタバタとうるさくはためく。
2つの風の威力が強すぎて、他の出場者達は船から落ちないようにその場で踏ん張ったり何かに捕まったりしている。他にもチャパティ・ローラの鬘が吹っ飛んだり、観客の女性達のスカートが舞い上がったり・・・
ようやく風が収まった時、バロンとシェリアは息を切らしていた。

チャ「激しく争う海中と蛇姫の風使い!!2人の決着はいったいどうなるんだーーーっ!?」

ヤ「シェリアの方は、正スくは“天空魔法”な。」

チャパティ・ローラの間違いをヤジマが冷静に訂正する。

チャ「さぁ!他の出場者達も激しい戦闘を始めたぞーーーーーっ!!!」

鬘が脱げたのもお構い無しにチャパティ・ローラは実況席から身を乗り出して実況する。

ヒ「ダスク!その鋭い口ばしで相手を貫けっ!!」

ダ「グギャアァアアアアアッ!」

鳥召喚(バードズ)というマヤとトーヤと同じ召喚系の魔法を使うヒリアは「ダスク」という名前の鷹を呼び出すと目の前にいる相手に攻撃するよう指示を出す。
ダスクは飼い主(オーナー)のヒリアの指示通り目の前にいる相手に向かって一直線に飛んでいく。

マ「相手が鳥ならこっちも鳥!バーン!いっけぇーーーーーっ!!」

バー「グギャアァアアアアアッ!」

その相手というのはどんな動物でもこよなく愛すマヤ。マヤもワシのバーンを呼び出すとダスクに応戦するよう指示を出す。
バーンは飼い主(オーナー)のマヤの指示通り目の前に居る相手に向かって一直線に飛んでいく。

チャ「こっちではマヤ選手とヒリア選手の鳥対決が繰り広げられているっ!」

チャパティ・ローラの額に汗が浮かんでいる。

ロ「獅子王の輝き(レグルスインパクト)ッ!!」

獅子の鬣のような髪の毛に青いレンズのサングラスを掛けた星霊、ロキが金色の光を纏った拳で目の前にいる相手に殴り掛かる。

キル「受け止め装置、発動!」

背中に背負っている灰色と青のリュックサックから3本指の機械の腕が伸び、ロキの拳を受け止める。

ル「アンタ、機械(マシーン)直ったのね。」

キル「()()()んじゃなくて、僕が()()()んだ。それに、これはただの機械(マシーン)じゃない。“機械(マシーン)(トゥー)”だ。ただの機械(マシーン)より性能が良くなっている。」

ル「(トゥー)って・・・そこまで拘る必要ってあるのかしら・・・・?」

ロ「まぁ拘りは人それぞれだよ。因みに僕の拘りは、ルーシィを」

ル「はいはいはぁ~い、早くバトルの続きやろっ!。」

拘りを語ろうとするロキを大きな声で制し、ルーシィはキルロとのバトルを再開する。

チャ「こっちではルーシィ選手とキルロ選手のちょっと変わったバトルが繰り広げられているっ!」

「変わったバトル」というのは失礼な気がする・・・





ショ「よかった、本当に直ってる。」

キルロと戦った時に機械(マシーン)を壊してしまった張本人であるショールは安堵の息をつく。

ウェ「ルーシィさんとマヤさん、勝ちますよね?」

フ「あったり前だ。あー見えてあの2人、結構強いからな。」

ナ「でもよぉ、マヤの奴、もうちょっと本気出しても良いんじゃねぇか?」

エル「え?マヤまだ本気じゃねぇのか?」

頬杖を付いてつまらなそうに呟いたナツの言葉にエルフマンが首を傾げる。

ナ「だってマヤ、まだ火炎石使ってねぇぞ。」

そう。『空船戦(スカイシップバトル)』が始まってから、まだマヤは白いショートパンツのポケットから火炎石を一度も取り出していない。

ユ「それにマヤ、笑ってる。」

そう。バーンに指示を出している時も、ダスクの攻撃をかわす時も、マヤは笑顔を一度も崩していない。
マヤの彼氏であるナツや、マヤの親友であるユモが気づくのも当然の事だ。

ト「マヤさん、まだ余裕のようですね。」

リョ「ルーシィもロキだけじゃなくて、(タウロス)とか(スコーピオン)とか、人魚(アクエリアス)とか(サジタリウス)とか、双子(ジェミニ)とか(キャンサー)とか呼び出せばいいのによぉ。」

グ「ルーシィはお前と違ってちゃんと後先の事を考えてんだよ。」

エ「だが、『空船戦(スカイシップバトル)』はまだ始まったばかり。」

エルザの瞳が険しく、鋭い光を放った。

エ「勝負はこれからだ。」





チャ「船内で激しいバトルが繰り広げられている中、レヴル選手とウララ選手の姿が見当たりませんね。」

チャパティ・ローラの言うとおり、映像魔水晶(映像ラクリマ)の映像にレヴルとウララの姿が一度も映し出されていないのだ。
空船戦(スカイシップバトル)』の舞台(ステージ)となっている海賊船は広くも狭くもない。空を飛ぶ映像魔水晶(映像ラクリマ)が6つも船内を映しているというのに、2人の姿は一向に映らない。

ヤ「どこかに隠れて、攻撃にチャンスを窺ってるのかもスれないねぇ。」

ラ「とても慎重ですね。ありがとうございます。」

いったい2人はどこに潜んでいるのだろうか―――――・・・?





白い柳(ホワイトウィロウ)の待機場所では、『空船戦(スカイシップバトル)』に出場しているウララ以外のメンバー、シェナ、タクヤ、チルチル、アチュールが自信満々な笑みで映像魔水晶(映像ラクリマ)の映像を見つめていた。

チ「・・・もう聞き飽きたと思うけど、ウララって」

タ「「最強すぎて怖いね」だろ?『空船戦(スカイシップバトル)』が始まってからもう7回目だぞ、その台詞(セリフ)。」

7回目(らしい)のチルチルの台詞(セリフ)をタクヤが遮るが、タクヤの漆黒の瞳は映像魔水晶(映像ラクリマ)から一切離れようとしない。

ア「ウララは水の滅神魔道士(ゴッドスレイヤー)。強さは白い柳(ホワイトウィロウ)最強で、戦闘はもちろん、周囲からの信頼度もすげぇし、運動神経もめっちゃ良いからな。それに、()()()のもうまいからなぁ。」

自分の事ではないのに、アチュールは嬉しそうに笑う。

シェナ「他の出場者の人達には悪いけど、この競技は私達白い柳(ホワイトウィロウ)が勝つわ。ウララが水の滅神魔道士(ゴッドスレイヤー)って事だけで有利だし・・・」

シェナは自身の長い金髪を1束右手の人差し指にくるくる絡めると、小さな口からペロッと小さく舌を出した。

シェナ「『空船戦(スカイシップバトル)』の舞台(ステージ)が、“空中の船”だから、更に有利なのよね。」





銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)の待機場所では、コグレとナナヨが不気味な笑みを口元に浮かべて、レヴルが一切映っていない映像魔水晶(映像ラクリマ)を見つめていた。その後ろでキースとカオリはコグレとナナヨとは裏腹に、困惑の表情を顔全体に浮かべており、映像魔水晶(映像ラクリマ)の映像を見ようともしない。

コ「おーいキース、カオリ、どうしたんだよ?そんな顔してよ。」

ナナ「今はまだ映ってないけど、レヴルの活躍見ないの?」

キ&カ「・・・・・」

コグレとナナヨに話し掛けられても、キースとカオリは黙ったままだ。そんな2人を見て、コグレは「ふぅ」と小さく息を吐くと、再び視線を映像に移し口を開いた。

コ「まっ、レヴルは俺とナナヨが指示したどおり動いてるから、映る訳ねぇか。」

ナナ「そうね。後は()()()()を船内から落ちさせないようにすればいいだけよ。ふふっ、私達の作戦、うまくいくかしら?」

コ「いくに決まってるだろ。(天空)ナナヨ(大地)が考えた作戦なんだぜ?」

ナナ「そうだったわね。」

そこまで2人で会話を弾ませると、2人はキースとカオリを振り返った。
今までの2人の会話を聞いていたのか、キースとカオリの緑と青色の瞳は怒りで吊り上がっており、その瞳でコグレとナナヨの事を睨みつけていた。

コ「そんな怖い顔するなって。」

ナナ「そうそう。2人共、スマイルスマイル~♪」

コグレとナナヨの茶化すような言葉にキースとカオリの怒りは更に膨れ上がった。

キ「・・・・何で、何でレヴルに、頼んだんだ。」

キースが睨みつけたままコグレとナナヨに問い掛ける。

コ「最初は、キース、お前に頼もうとしたんだぜ。」

ナナ「でもキースは、絶対に私達の作戦に賛成しないでしょ?カオリも賛成しないし、ルチーアとアンナは元からいないし・・・で、仕方ないからレヴルに頼むしかなかったのよ。」

コ「アイツ、控えめだし大人しいし、簡単に引き受けてくれると思ったんだ。尚且つ、第3世代の滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)だから強いだろ?」

カ「そんな・・そんな理由で、レヴルを・・・巻き込んだって言うのっ!?」

カオリの青い瞳には大粒の涙が溜まっていた。
コグレとナナヨはしばらく何も言わなかったが、口元に薄気味悪い笑みを浮かべた瞬間―――、

コ「あぁ。」

ナ「えぇ。」

と、短く言葉を放った。

カ「!」

キ「テメェ等ァ・・・!」

キースとカオリの固く握り締められた拳が、今すぐにでもコグレとナナヨの顔面を殴ろうと動こうとしているが、2人自身、分かっていた。

この2人が、銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)最強の魔道士だという事を―――――。

自分自身もギルド内ではトップを争う実力だが、この2人とは格が違いすぎる。米粒とドムス・フラウのような関係だ。
それはキースとカオリだけでなく、レヴルもルチーアもアンナも、他のメンバーにとっても同じ事なのだ。

銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)では、コグレとナナヨに敵う者はギルドマスター、シルファだけなのだ―――――。

コ「さて、この話は終わりにして、レヴルの活躍見届けようぜ。」

ナナ「2人が見届けてくれれば、レヴルもきっと嬉しいはずよ。」

コグレとナナヨはそう言って視線を映像に移したがキースとカオリは一切映像を見ようとしなかった。





キル「殴り技装置、発動!」

キルロがそう叫ぶと、灰色と青のリュックサックから4本指の機械の腕が伸び、ロキの鳩尾を、ルーシィの肩を殴りつける。

ロ「うがっ!」

ル「ロキ!きゃああっ!」

肩を殴られたルーシィは殴られた反動でよろめき、左足の位置が移動した。左足の着地点は大きな水溜り。船内の床には大小さまざまな水溜りができており、これもこれでリアル感を引き出している。その時、

?『いった!』

ル「!?」

すぐ近くで小さな悲鳴が聞こえた。辺りを見回してみるが、ルーシィの周りにはロキとキルロしかいない。明らかにさっきの悲鳴はこの2人の声ではない。

ル「(・・気のせい、かしら・・・?)」

そう思った矢先、

キル「油断禁物!蹴り上げ装置、発動!」

キルロがそう叫ぶと、さっきルーシィとロキを殴った4本指の機械の腕が今度はルーシィの顎に蹴りを決める。

ル「いぎぃっ!」

ロ「ルーシィ!」

顎を蹴られたルーシィはその場で吹っ飛び、尻餅をついた。しかもさっきの水溜りの上についたので、スカートがびしょびしょだ。

ル「あぁんもう!」

嫌気が差し叫んだ。その時、

?『だから痛いってばっ!!』

ル&ロ&キル「!!?」

またさっきの声が聞こえた。今度はロキとキルロにも聞こえたようだ。耳を澄ますと、声はルーシィのお尻の下にある水溜りから聞こえてきた。

ル「え・・・えぇぇえぇっ!!?」

スカートが濡れた事など忘れ、ルーシィは驚いてその水溜りから離れる。すると、水溜りがブクブクと泡立ち、空中で形作られていく。その形は人の形をしている。

チャ「な・・なな・・・何とっ!水溜りから姿を現したのは、ずっと姿を晦ましていたウララ・リネリアだぁーーーーーっ!!」

ヤ「こりゃあ驚いたねぇ。」

ラ「すごいテクニックです。ありがとうございます。」

会場が驚嘆の声で包まれる。

シェナ「ウララは水の滅神魔道士(ゴッドスレイヤー)だから、自身の体を水に変換する事が出来るの。」

チ「雨の日に外でウララとかくれんぼしたら、絶対に見つけらないんだよねぇ~。」

タ「雨の日に外で遊ぶなよ。風邪引くぞ。」

ア「随分楽しそうなかくれんぼだな。チルチル、今度俺も混ぜてくれ。」

チ「いいよー。」

2名ほど的外れな会話をしているが、ウララが水溜りに化けて攻撃の様子を窺っていた事には理解出来た。
水から本来の姿を取り戻したウララは腕をぐーんと伸ばして伸びをする。どっかの誰かさんに踏まれたりお尻から乗られたりしたら、思いっきり伸びをしたくなるのは当然だ。

ル「あーもう!いちいち「どっかの誰かさん」って呼ばなくていいから!って、そんな事より・・・!」

敵がもう1人増えた。しかもその相手は、ギルド最強の魔道士。ルーシィの頬を冷や汗が流れ落ちる。冷や汗を垂らしているのはルーシィだけではない。キルロも焦りが混じった表情を浮かべている。

ウ「さてとっ、一気に片付けちゃうとしますか。」

そう言うと、ウララは背中に水の翼を生やし、船の上空へ移動する。

マ「ん?あの子、何してるんだろう?」

別の場所でヒリアと戦っていたマヤもウララの姿を見て首を傾げた。

ウララの両手に黒い水が纏わり付いていく。

ル「ロキ、一旦戻って!」

ルーシィは急いでロキを星霊界に帰らせると再び視線をウララに戻す。

ル「な・・何をするつもりなの・・・?」

ウララが今、何をしようとしているのかは誰にも分からなかったが、ウララが今、強烈な魔法を発動させようとしているのは誰もが分かった。そして―――――、

ウ「水神の・・・滝落としっ!!!」

叫んだのと同時に黒い水を纏った両手を下に向けると、両手に纏っていた黒い水が滝のように船内に流れ込んできた。

キル「うわぁああぁあああああっ!」

ル「ひゃあぁあああぁぁあああああっ!」

すぐ近くにいたルーシィとキルロはあっという間に黒い水に飲まれてしまった。

ナデ「きゃああぁぁあああぁあああああっ!」

ノ「のわぁああぁぁあああああっ!」

リ「ぐああぁあああぁあああああっ!」

バ「わあぁああぁあああああっ!」

シェ「ひいぃいぃぃいいいいいっ!」

ヒ「いぃやああぁあぁぁあああああっ!」

滝のように流れ込んできた黒い水は他の出場者達も飲み込む。

リョ「ルーシィッ!!」

ナ「マヤッ!!」

待機場所からナツとリョウが叫ぶ。
しばらくして、船内から溢れ出た黒い水と共に、何人もの出場者達が流れ込んできた。船から真っ逆さまに落ちる出場者達の事を透明な泡が包み込んだ。この泡はどんなものでも包む事が出来る包泡(バブルパースル)という魔法だ。

チャ「な、何という事でしょう!ウララ1人で他の出場者達を船内から突き落として」

ホ&マ「「ちょぉぉぉっと待ったぁーーーーーっ!!!」と、申しております。」

チャパティ・ローラの力強い実況より迫力のある声が船内から聞こえた。

ホ「「か・・勝手に競技を終わらせようとしないでよっ!まだ私、船の中に残ってるんだからねっ!!」と、申しております。」

マ「まだ私も残ってるよーーーっ!!!」

映像魔水晶(映像ラクリマ)に映っているのは、船内でびしょびしょになったホロロギウムの中にいるルーシィと、ワシのバーンに服の襟を掴まれ、船の上空にいるマヤの姿だった。

ウ「嘘ッ!?」

チャ「な・・なな・・・何とっ!ウララの強烈な攻撃に対し、ルーシィとマヤが無事に残っていたーーーーーっ!!!」

観全「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」

大歓声が沸き起こる。

ナ&グ&リョ「おしゃぁっ!」

ウェ&ユ「よかったぁ~。」

エ「流石だな。」

ショ「これで3位以内は確定だな。」

ト「ルーシィさんもマヤさんもすごいですっ!」

エル「ルーシィとマヤ、漢だっ!」

フ「2人とも女だぞ。」

待機場所にいるナツ達も手を取り合っている。

ル「ありがとう、ホロロギウム。お陰で助かったわ。」

ホ「いえいえ。では、私はこれで。」

ホロロギウムはルーシィに頭を下げた後星霊界に帰って行った。

マ「バーン、ありがとう。ゆっくり休んでね。」

バー「グギャア。」

バーンは嬉しそうに一声鳴くと、魔法陣を通って住処へと帰って行った。

ルーシィとマヤの様子を、ウララは上空から静かに見つめていた。

ウ「あの攻撃をあんな方法で回避するなんて・・・流石、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士ね。あーでも、やっぱり悔しいわね。」

ウララが上空で1人、感心やら後悔やらなどと呟いていると、

ウ「!」

レ「星竜の・・・咆哮ッ!!」

ウ「きゃああぁああぁぁあああああっ!!」

ル&マ「!!?」

ウララの悲鳴にルーシィとマヤが視線を上空に移すと、ウララの姿は金銀に光り輝く(ブレス)に飲まれていた。
ウララの体はあっという間に傷だらけになり、そのまま真っ逆さまに落ちていき、包泡(バブルパースル)に保護された。

チャ「あぁっと!大活躍だったウララ、ここで船内から落下。それでも見事4位で5ポイント獲得です。」

シェナ「そ、そんな・・・!」

チ「ウララーっ!」

ア「くっそぉ!」

タ「今のは、銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)の・・・」

チャ「あぁっと!ここでずっと姿を晦ましていたレヴルが姿を現したーーーーーっ!!」

6つの映像魔水晶(映像ラクリマ)の映像にレヴルの姿が映し出される。

エ「やっと現れたか。」

エル「随分待たせやがって。」

ナ「ルーシィーっ!マヤーっ!そんな奴ボッコボコにしろよーーーっ!」

ナツが船に向かって大声で叫ぶ。
その隣で、リョウは銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)の待機場所に視線を移す。何かを企み、気体に満ちた瞳をしたコグレとナナヨ。それとは裏腹に、映像から顔を背けたキースとカオリ。

リョ「(嫌な予感がする・・・)」





水浸しの船内ではルーシィ、マヤ、レヴルが緊迫の空気の中見つめ合っていた。

ル「・・・アンタ、今までいったいどきゃああぁあっ!」

マ「!?ルーシィ!」

ルーシィが言い終える前に、レヴルは圧縮させた星の光をルーシィの鳩尾に投げつける。無防備だったルーシィは何も出来ずにそのまま吹っ飛び、船の柱に体をぶつける。

レ「星竜の・・・斬撃ッ!!」

ル「あああああっ!」

星の光を纏った右手を剣のように振るい、ルーシィの体を斬りつける。

チャ「ルーシィ、レヴルに一方的にやられ続けるばかり。手も足もでないかーーーっ!?」

チャパティ・ローラの実況の言うとおり、ルーシィは痛みに悲鳴を上げるばかりでレヴルの攻撃を防ぐ事も、レヴルに攻撃する事も出来ない。

マ「私を忘れるなーーーーーっ!!」

視界の隅で、拳に炎を纏ったマヤがレヴルに殴り掛かるのが見えた。が、

レ「お前は後。」

マ「うぐぁっ!」

ル「マヤ!」

マヤの拳がレヴルの顔面に当たる前に、レヴルはマヤの頭を鷲掴みにし、そのまま水浸しの床に叩きつける。

レ「星竜の・・・五芒星鎖(ペンダグラムチェーン)ッ!!」

ル「あうっ!」

先端に五芒星が付いた金銀に光り輝く長い鎖がルーシィの体を締め付ける。










レ「・・・ゴメン・・・・・」










ル「え・・・」

レヴルの謝罪の声が聞こえたかと思えば、ルーシィの体は解放されていた。が、体は真っ逆さまに落ちていく。

リョ「ルーシィーーーーーっ!!!」

リョウが叫んだのと同時に、ルーシィの体は包泡(バブルパースル)によって保護された。

チャ「ここでルーシィ、船内から落下!3位で6ポイント獲得!そして、残るはレヴル選手とマヤ選手の2人!!勝つのはいったいどっちだっ!?」

船内にレヴルとマヤだけとなったのと同時に、砂時計がひっくり返された。5分間ルールが発動された。





レヴルが歯を食い縛る。固く握り締めた拳が、怒りと、己の情けで小刻みに震えている。

レ「(俺は、いったい何を・・・・)」

そんなレヴルの後ろ姿に忍び寄る黒い影―――――。

レ「!ぐぁはっ!」

気配に気づき振り返った時には、すでに炎を纏った拳が目の前にあった。かわす事が出来ず、まともに食らい水浸しの床を滑り転げる。

レ「っ・・・!」

思った以上に強烈な痛みで顔を顰める。

マ「はぁ・・・はぁ・・はぁ・・・はぁ・・はぁ・・・はぁ・・はぁ・・・」

目の前には肩で大きく息をしているマヤがいた。

マ「はぁ・・はぁ・・・はぁ・・はぁ・・・はぁ・・はぁ・・・はぁ・・てぇいっ!」

荒く息をしながらも、マヤは炎を纏った拳を大きく振るう。
レヴルの黄色い瞳には、その光景がスローモーションのように動いていた。










コ『マヤ・ララルドが拳を振り下ろした瞬間がチャンスだ。』

ナナ『その一瞬の隙に、マヤ・ララルドの手から火炎石を奪い取るのよ。』










昨晩、コグレとナナヨに指示された内容が脳裏に浮かんだ。
そう。今までのレヴルの行動は、全てコグレとナナヨが考えた作戦だったのだ。
レヴルの右手がスローモーションのように動き出す。この時レヴルは、自分の右手が自分の意思で動いているのか、コグレとナナヨに操られているのか分からなくなっていた。

マ「くあっ!」

気づいた時、自分の右手はマヤの鳩尾に命中しており、マヤの手からコロンと火炎石が落ちたのと、マヤが床に倒れ込むのが同時だった。
レヴルは落ちた火炎石を急いで掴み取ると、思いっきり助走をつけて投げ捨てた。

マ「そ・・そんな・・・!」

鳩尾を押さえたマヤが小さく声を漏らした。










コ『火炎石を奪い取ったら、マヤ・ララルドを容赦なく痛めつけろ。』

ナナ『死なない程度に、容赦なくよ。分かった?』










5分間ルールはすでに終わっていた。後は順位をつけるだけだ。
レヴルが右手を床に着けると、金色の魔法陣が展開し、マヤが立っている位置には銀色の魔法陣が展開した。

マ「!・・・な、何、これ・・う、動け・・ない・・・」

マヤの体は指1本動かす事が出来なくなってしまった。
すると、身動きが出来ないマヤを囲うように銀色の魔法陣から藍色の柱が4本現れた。

レ「我は星竜、スフィアスターの力を手に入れし者。対するは、星々の恐れを知らぬ、醜く哀れな儚き少女。」

レヴルは呪文のような言葉を紡いでいく。言葉を紡いでいくうちに、藍色の4本の柱の先端に金色の光が灯っていく。

レ「我を善に導きし、少女を悪に導きたまえ―――!」

4つの金色の光が徐々に大きくなっていく。

レ「悪よ、全天88星の裁きを受けよ―――――!」

4つの金色の光が1つになった。

レ「ギャラクシー・ジャッジ!!!」

金色の光がマヤを包み込んだ。

マ「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」

マヤの叫びが響き渡る。

ユ「マヤ!」

ショ「あいつ、マヤを殺す気かっ!?」

ナ「止めろおぉおぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」

ナツが身を乗り出して叫んだ。

マ「(・・・ナ・・ナ、ツゥ・・・・)」

遠のく意識のマヤの耳にも、ナツの叫びははっきりと聞こえていた。










レ「・・・ゴメン・・・・・」










レヴルの謝罪の声が聞こえたのと同時に、マヤの意識は完全に途切れた。
マヤの意識が途切れた後も、レヴルは攻撃を止めようとしない。

フ「アイツ、いつまで攻撃を続ける気だっ!」

フレイの怒りは頂点を優に越していた。

ト「痛めつける為・・・」

エ「もう勝負はとっくのとうについている!」

ウェ「このままだと、マヤさんが・・・!」

リョウは歯を食いしばり、銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)の待機場所に視線を移す。キースとカオリは映像に背を向けているが、コグレとナナヨは映像を見て不気味な笑みを口元に浮かべていた。
コグレがリョウの視線に気づいたのか、こっちを振り返った。そして、映像に映っているマヤを指差した後、親指だけを立てた右手を、親指が下を向くようにして手を動かした。
コグレの手の動きを見たリョウは怒りで目が血走り、拳をこれまでにないくらい固く固く握り締めた。

主1「今すぐに競技を止めさせろぉぉぉっ!」

主2「動物使いが死んでしまうっ!」

チャ「こ・・ここでレフリーストップ!競技終了ッ!!勝者、銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)、レヴル・スイスト!!やはり強い!マヤ選手・・さっきから全く動いていませんが、大丈夫でしょうか・・・?」

競技が終わっても、マヤはピクリとも動かない。

ナ「マヤァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」

待機場所からナツ達が一斉に飛び降り、ボロボロのマヤの元へと駆け寄った。 
 

 
後書き
第183話終了です☆
はぁ~、長かったぁ~・・・何かマヤ、ヤバイ事になっちゃったけど、大丈夫かなぁ?
次回はいよいよ!妖精の尻尾A・B(フェアリーテイルAチーム・Bチーム)統合の時!果たして、FT友恋の新・妖精の尻尾(フェアリーテイル)はいったい、どのようなメンツなのか―――――!?
次回もお楽しみに~☆ 

 

第184話 新・妖精の尻尾

 
前書き
今日で暁を始めてから丁度1年になった紺碧の海で~す♪
今回は遂に、妖精の尻尾A・B(フェアリーテイルAチーム・Bチーム)統合の時!果たして、FT友恋式の新・妖精の尻尾(フェアリーテイル)のメンツはいったい―――――!?
ナレーション風に書いていきます。
それでは、第184話・・・スタート♪ 

 
レヴルが顔を伏せたまま、ピクリとも動かないマヤを横抱きに抱え、船の外に押し出そうとする。

ナ「マヤァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」

待機場所からナツ達が飛び降り、マヤの元へ駆け寄って来るのを見計らい、タイミングよくマヤのボロボロの体を船から落とした。
落とされたマヤのボロボロの体は真っ逆さまに落ちていく。
一番最初に飛び降りたナツとフレイが地面スレスレの位置から落ちてきたマヤの体を受け止めた。

ユ「マヤ!」

ト「マヤさん!」

エル「しっかりしろっ!」

エ「ウェンディ!治癒魔法を、早く!」

ウェ「はいっ!」

シェ「ウェンディ、手伝うよっ!」

ル「マヤ、しっかりしてぇっ!」

すぐに他のメンバーも駆け寄って来て、ウェンディとシェリアが治癒魔法をマヤにかける。
レヴルは背中に金銀に輝く翼を生やすと船から飛び降り、音一つ立てずにその場に着地した。着地したレヴルをナツが怒りに満ちた瞳で睨み付ける。

ナ「お前、自分が何をしたか、分かってるんだよな?ア?」

レ「・・・・・」

ナツの問いにも、レヴルは黙ってままで、ずっと顔を伏せたままだった。その態度にナツの怒りは更に爆発し、固く握り締めた拳に紅蓮の炎を纏い、レヴルに殴り掛かろうとしたが、レヴルを庇うようにどこからかキース、カオリ、コグレ、ナナヨがレヴルの前に立ち、振り上げたナツの右腕をリョウが掴むのが同時だった。

ナ「おい離せよリョウ!こいつ等は、マヤとルーシィを傷つけたんだぞっ!お前だって、こいつ等の事許せ」

リョ「黙ってろ。」

ナ「!」

リョウの一声に、ナツが押し黙った。
リョウの口調も、声のトーンもいつもと変わらない。ただ、その言葉に込めた感情の迫力と、リョウの茶色い瞳が鋭い光を放たれたのを見て、身震いするほど恐ろしかったのだ。
ナツが何も言わなくなると、リョウは黙ってナツから手を離し、銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)のメンバーに向き直った。

リョ「お前等は、相当な落ち零れだな。」

リョウの言葉にコグレとナナヨは「ふんっ」と鼻で笑うと、上から見下すようにリョウに視線を送った。

コ「落ち零れはどっちだよ?妖精(ようせい)さん達よぉ?」」

ナナ「むしろレヴルに感謝してほしいわね。5分間、ずっと落とさなかったのよ?そんな役に立たない小娘ちゃんを。」

ナ「んだとぉ・・・!」

エ「ナツ。」

ナ「!」

ナナヨの発言にナツは握り締めた拳に炎を纏ったが、あっさりとエルザに止められた。

リョ「お前等は、何も知らねぇ。」

ル「!」

リョウが呟いた。
その迫力差にルーシィはビクッと身震いし、目を見開いた。

ト「羽をもがれた妖精(ようせい)は、飛ぶ事が出来ず、苦しみ、もがき続ける。」

ウェ「!」

リョウに続くように、今度はトーヤが呟いた。
いつもと違う雰囲気(オーラ)を纏ったトーヤを見て、ウェンディは目を見開き、思わず治癒魔法をかけていた手を止めてしまった。

フ「それを目の当たりにした仲間の妖精(ようせい)は、傷つき、恨み、涙を流す。」

ナ&エル「!」

今度はフレイが呟いた。
ナツの背中を殺気が駆け巡り、エルフマンは思わず息を呑んだ。

ショ「お前達はすぐに、後悔する事になる。」

ユ「マヤを、ルーシィを・・・仲間を傷つけられた、私達妖精(ようせい)の怒りを・・・・」

グ&エ「!」

ショールとユモが続けて呟いた。
グレイとエルザは背後から感じる殺気に恐る恐る振り返ってが、すぐに振り返った事に2人は後悔した。ショールとユモの瞳に映っていたのは、銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)のメンバーと、怒りに燃え盛る紅蓮の炎だった―――――。
リョウが、左腰に装備してあった聖剣(エクスカリバー)、『竜風剣』を鞘から抜き、銀色に光る刃先を銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)に向けると、

リョ「お前等は、一番怒らせてはならねぇギルドの、一番怒らせてはならねぇ妖精(ようせい)達を、敵に回した。」

コグレとナナヨは不敵に微笑んでいるだけであり、それとは裏腹にキースとカオリはリョウ達から視線を逸らしていた。
レヴルは唇を噛み締め、固く握り締めた拳の震えを必死に抑えながら、

レ「・・・ゴメン・・・・・」

誰にも聞こえない声で呟いた。

****************************************************************************************

妖精の尻尾(フェアリーテイル)専用医務室にあるベッドには、ウェンディとシェリアの応急処置を受け、体全身に包帯や湿布、絆創膏で手当てをされたマヤが横になっている。
マヤが寝ているベッドをA・Bチームのメンバーと、ハッピーとシャルルが囲むように佇んでいた。皆深刻な表情を浮かべている。

ポ「ウェンディとシェリアのお陰で、命に別状はないし、傷跡も残らんよ。」

エ「そうですか。」

ユ「よかった。」

ト「今は安静にしてるのが一番ですね。」

トーヤの声にその場にいたマヤ以外の人間が黙って頷いた。

リョ「ルーシィは大丈夫なのか?」

リョウが隣にいるルーシィを見て問う。ルーシィも腕に包帯、右頬に絆創膏を張っており、マヤほどではないが、多少の傷を負っている。

ル「私なら大丈夫。こんくらいの傷、すぐに治るから。」

ルーシィは笑って答える。その笑顔にとても無理をしている感じの素振りは無かった。それを見てリョウも小さく微笑んだ。

ナ「アイツ等ァ・・・!」

ウェ「ナツさん、言いたい事は分かっています。」

ショ「皆、ナツと同じ気持ちだ。」

グ「ここで暴れたって、意味がねぇだろ。」

フ「今は抑えろ。」

ナツは必死に怒りを抑え込もうとするが、拳だけは怒りに敵わず、小刻みに震えるばかりだった。その時、

マ「・・ぅ・・・」

ハ「マヤ!」

マヤの小さな呻き声にハッピーが声を上げ、全員の視線がマヤに集まる。
マヤはしばらく薄っすらとオレンジ色の瞳を開けたり閉じたりを繰り返し、天井を見つめたりという動作を繰り返していた。

マ「こ・・ここ、はぁ・・・?」

ウェ「医務室です。」

エ「『空船戦(スカイシップバトル)』でレヴルに倒され、ここに運び込まれたんだ。」

ル「覚えてる?」

ウェンディ、エルザ、ルーシィの順に説明をする。
マヤはしばらくきょとんとした表情を浮かべていたが、

マ「・・・あ、そう・・だった・・・・」

すぐに思い出したかのように頷いた。が、マヤの表情はすぐに曇った。

マ「じゃあ、私・・・負けた、んだ・・・」

悲しそうに呟いた。

ユ「でもマヤすごいよ、2位だよ。」

リョ「8ポイント獲得して、今は54ポイントだ。」

フ「よくやったじゃねぇか。」

因みにルーシィは3位で6ポイント獲得し、現在44ポイントである。AチームとBチームは10ポイントの差がある。

マ「あ。か・・火炎、石は・・・?」

急に不安そうな表情になるマヤ。そんなマヤの左手の中に、ナツが強引に何かを握らせる。マヤが手の中を見てみると、赤く光り輝く石―――火炎石があった。

シャ「ナツが必死になって探してくれたのよ。」

ナ「もうぜってぇ手放すんじゃねぇぞ。」

マ「うん。」

マヤは嬉しそうに手の中にある火炎石を見つめた。

マ「ナツ、ありがとう。」

ナ「おう。」

白い歯を見せながらナツも嬉しそうに笑った。

ショ「それにしても・・・」

エル「汚ねぇ奴等だな、銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)ってのは。」

ト「レヴルさんという方、酷いやり方ですね。」

ル&マ「待って!」

トーヤの発言にルーシィとマヤが同時に声を上げ、全員が不思議そうな顔をする。

エ「どうしたんだ?」

ル「私の勘違いかもしれないけど、レヴルは悪くないと思うの。」

マ「え?ルーシィも?」

ル「マヤも?」

他の皆はもちろん、ルーシィとマヤも顔を見合わせて不思議そうな顔をする。

ハ「ルーシィ、今、「レヴルは悪くないと思う」って言ったよね?」

ウェ「マヤさんも、どうしてそう思うんですか?」

ウェンディの問いに、ルーシィとマヤは同時に、しかも同じ言葉を呟いた。

ル&マ「レヴルが、「ゴメン」って言ったの。」

当然の事だが、「ゴメン」は謝罪の時に使う言葉である。

ト「という事は、レヴルさんがルーシィさんとマヤさんに、()()()って事ですよね?」

グ「ちょっと待てよ。銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)の奴等は、元から妖精の尻尾(俺達)の事を敵視してたよな?それなら、ルーシィやマヤの事をあんな目に合わせて、謝るってのはどう考えても可笑しくねぇか?」

勘が鋭いグレイの見事な解釈に、全員が同時に納得し、全員が同時に疑問を抱き始めた。

ショ「もし・・今グレイが言った事が正しいなら、レヴルの行為は誰かが考えたもので、それをレヴルがやらせた、という事になるけど・・・」

シャ「偶然かどうか分からないけど、見事に話の辻褄は通ってるわね。」

ユ「じゃあ、それを考えたのは誰なの?」

また新たな疑問が生まれ、全員首を傾げた。1人を除いて―――――。

リョ「コグレとナナヨ・・・」

リョ以外「えっ?」

今までずっと黙っていたリョウが口を開いた。
全員の視線がリョウに集まる。

リョ「恐らく、ルーシィとマヤを襲う作戦を考え、それをレヴルに押し付けたのは、コグレ・ファラスとナナヨ・リーブルだ。」

リョ以外「!!?」

その場にいた全員が息を呑んだ。

エ「・・・確信は、あるのか?」

冷静を取り戻したエルザが問う。リョウも冷静に答える。

リョ「あの2人は、周りの様子を見て行動を取る観察力、相手の弱点、クセを見つけ出す洞察力、的確に仲間に指示を出す判断力。戦闘に関する知識が豊富で、その才能を活かした作戦を考えるのを最も得意としているんだ。だが、天空の覇者という異名を持つコグレと、大地の覇者という異名を持つナナヨの2人が考えた『天地の作戦』は、必ず惨劇を招くと言われてるんだ。」

リョ以外「!!!」

再びその場にいた全員が息を呑んだ。

リョ「それに・・・あの2人の目。」

ハ「目?」

リョ「あの2人の目には、『悪』しか映ってなかった。惨劇を招く作戦を考えられるのは、『悪』に染まった人間だけだ。」

的確すぎるリョウの解釈に、言葉を発する事が出来る者はいなかった。

リョ「そんなに驚かなくてもいいだろ。とにかく、コグレ・ファラスとナナヨ・リーブルには要注意しろよ。」

ナ「お・・おう。」

ト「わ、分かりました・・・」

その時、キィと音を立てて医務室のドアが開き、マスターが中に入って来た。

マカ「A・Bチーム、全員揃っておるようじゃな。」

ウェ「!」

ショ「マスター。」

全員の視線がマスターに集まる。マスターは目を伏せると、ため息混じりに呟いた。

マカ「この決断が、今年の大魔闘演舞の運命を大きく左右させる事になるじゃろうな。たった今、大魔闘演舞の主催者側から、A・B両チームの統合命令が言い渡された。」

フ「なっ!?」

ユ「統合命令!?」

リョ「(やっぱり・・・)」

マ「何で何で?」

マカ「死者の仮面(デスマスク)・・・いや、高速の弾丸(ファーストブレッド)の失格により、参加ギルドの数が11となって、バトルパートの組み合わせが奇数では困るとの事じゃ。なので、A・Bチームを1つにして、新規5人でチームを再編成しろ・・・とな。」

グ「去年と一緒じゃねぇかよ。」

エル「点数はどうなるんだ?」

シャ「今年も低い方に準ずるんじゃないの?」

マカ「いや、去年低い方に準ずったから、今年は高い方に準ずる事になった。」

エ「という事は、Bチームの54ポイントという事か。」

ル「まぁ、主催者側の判断なら仕方ないわね。」

ウェ「でも、更に強いチームを作れるって事ですよね。」

ショ「でも、残ってる種目はこれからやるタッグバトルだけだよな?今から5人決めても、ほぼ意味がないんじゃ・・・?」

ショールの疑問をポーリュシカが振り払った。

ポ「いいや・・・明日の休みを挟んで、最終日“5人全員参加”の戦いがあるはずだ。」

そこまで言うと、ポーリュシカはA・Bチームの全員を見渡しながら、

ポ「この12人の中から、慎重に選んだ方がいいよ。マヤは無理だけどね。」

マ「えぇーーーーーっ!!?そんなぁ~・・・」

しゅんとマヤが小さくなる。それとほぼ同時に、ガタンと音を立てて勢いよじゅナツが椅子から立ち上がった。

ナ「俺は絶対に出て、マヤの敵をとるっ!マヤを傷つけられたっ!マヤを笑われたっ!俺は絶対に、アイツ等を許さねぇっ!!」

****************************************************************************************

観客達の声が飛ぶ、飛ぶ、飛ぶ。バトルパートが始まる前から、会場は大騒ぎだ。

チャ「妖精の尻尾(フェアリーテイル)のチーム再編成も終了し、いよいよ、大魔闘演舞4日目バトルパートに突入しますっ!」

ヤ「4日目のバトルパートはタッグマッチなんだよね?」

ラ「2対2ですか。楽しみですね!ありがとうございます!」

チャ「今回は、すでに対戦カードも公表されています。」





             『大魔闘演舞4日目バトルパート タッグマッチ対戦カード表』

                 幸福の花(ハピネスフラワー) VS 青いの天馬(ブルーペガサス)
                    月の涙(ムーンティア) VS 白い柳(ホワイトウィロウ)
                  蛇姫の鱗(ラミアスケイル) VS 海中の洞穴(マリーンケイヴ)
              四つ首の猟犬(クワトロケルベロス) VS 気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)
                妖精の尻尾(フェアリーテイル) VS 銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)





チャ「やはり注目は、妖精の尻尾(フェアリーテイル)銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)のタッグマッチでしょうか?」

ヤ「(スン)妖精の尻尾(フェアリーテイル)はどんなチームなんだろうねぇ?」

ラ「とっても楽しみです!ありがとうございます!」

すると、石造りの会場の出入り口の鉄格子が開き始めた。

チャ「さぁいよいよ!新・妖精の尻尾(フェアリーテイル)がその姿を現すぞーーーーーっ!!」





暗い通路に浮かび上がる、5つの黒い影。





マ「皆、全力全快で頑張ってね!」





暗がりに揺れる桜色と、白いマフラー―――――。





ル「後は頼んだわよ。」





暗がりに揺れる茶色と、ガシャ、ガシャと剣が擦れる音―――――。





エル「漢なら、ガツンとぶつかって来いっ!」





暗がりに揺れる紺色と、白いロングコート―――――。





ショ「応援席から、見守ってるよ。」





暗がりに揺れる緋色と、ガシャ、ガシャと鎧が軋む音―――――。





ウェ「応援してますからねっ!」





暗がりに揺れる水色と、水色のワンピース―――――。





ト「すごいチームが出来上がりましたね。」

フ「これは、優勝間違いなしだろ。」

仲間達が気体に満ちた瞳で頷き合う。仲間の中で、笑顔を浮かべていない者は誰一人としていなかった。

マカ「我等ギルドと仲間の想いは1つになった。この想い、主等に託すぞ。」

5つの黒い影の前に、道が切り開いた。
大歓声が沸き起こり、会場が震え始めた。

チャ「会場が震える――――――――――!!!今ここに・・・」

新・妖精の尻尾(フェアリーテイル)の5人が会場に姿を現した。





チャ「妖精の尻尾(フェアリーテイル)参上ーーーーーーーーーーッ!!!」





ナツ、リョウ、グレイ、エルザ、ユモの5人が会場に姿を現した。

チャ「鳴り止まないこの大歓声!震える会場!もうこのギルドは、誰にも止められなーーーーーーーーーーっ!!」

銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)が、海中の洞穴(マリーンケイヴ)が、蛇姫の鱗(ラミアスケイル)が、青い天馬(ブルーペガサス)が、幸福の花(ハピネスフラワー)が、月の涙(ムーンティア)が、四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)が、白い柳(ホワイトウィロウ)が、気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)が、新・妖精の尻尾(フェアリーテイル)に向かい打つ!!!

チャ「果たして、今年の大魔闘演舞、優勝するのはいったいどのギルドなのかっ!?」

ヤ「全く予想もつかないねぇ。」

ラ「ありがとうございます!ありがとうございます!」

銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)のメンバーが、新・妖精の尻尾(フェアリーテイル)のメンバーに歩み寄る。コグレはナツに、ナナヨはリョウに視線を送ると、2人は不敵な笑みを浮かべた。

リョ「ルーシィとマヤの件は許した訳じゃねぇ。もうバレてんだ。お前等の仕業だろ?」

リョウの言葉にコグレとナナヨは更に口角を上げて不敵に微笑み、キースとカオリとレヴルは目を見開いた。

コ「安心しろ。アレは(天空)ナナヨ(大地)からのちょっとしたあいさつ代わりだ。でもまぁ、俺達(天地)の仕業だって見抜いた事には、褒めてやるぜ。」

ナナ「お互い、今日と明日を存分に楽しみましょう。もちろん、優勝するのは銀河の旋律(私達)ですけどね。」

不敵な笑みを崩す事無く、コグレとナナヨは立ち去って行った。キースとカオリとレヴルの3人は一度ナツ達を振り返ったが、すぐに視線を逸らしコグレとナナヨを追いかけて行った。
ナツは拳を固く握り締め、紅蓮の炎を纏い、決意を決めたかのように呟いた。

ナ「燃えてきたぞ。」 
 

 
後書き
第184話終了~♪
遂に!新・妖精の尻尾(フェアリーテイル)登場ーーーーーッ!!!FT友恋ではナツ、グレイ、エルザ、リョウ、ユモでした。
次回は大魔闘演舞4日目バトルパート、第1試合(と、たぶん第2試合)をやります!
お楽しみに~♪ 

 

第185話 針と糸があれば―――!

 
前書き
紺碧の海です!
今回は大魔闘演舞4日目のバトルパートに突入!・・・と、その前に、久々に『謎の仕事』に行ってるガジル達の事について書きたいと思います。
ナレーション風です。
それでは、第185話・・・スタート! 

 
ガ「おい・・全然見つからねーじゃねーかよっ!」

ジュ「ひぃ!」

ガジルが噛みつきそうな勢いで傍にいたジュビアに怒鳴りつける。ジュビアは小さく悲鳴を上げ、思わず首を竦めて両手で両耳を塞いだ。
霧で辺りを覆い尽くされた崖の頂上。ここにマスター・マカロフに他言禁止の『謎の仕事』を頼まれたガジル、リリー、ミラ、ジュビア、ラクサス、カナの5人と1匹はいた。
仕事の内容はこの霧で覆い尽くされた崖の頂上にある、闇ギルド最大勢力ビゲスト同盟の1角、西の真空(ウェストヴァキュアム)のギルドを見つける事なのだが・・・ガジルがさっき怒鳴ったとおり、全然見つからないのだ。

リ「こんな狭苦しい場所に建つギルドだから、簡単に見つけられると思ったが・・・」

カ「そう甘くなかったね、こりゃ。」

リリーが腕組をして小さく呟き、カナが「あちゃ~」とでも言いたげな顔をして額に手を当てた。

ラ「それに、更に謎が増えた。」

ラクサスが自分の左手を睨み付ける。ラクサスの左手には白い包帯が巻かれていた。

ミ「霧に包まれた崖と滝、滝の水から感じる謎の魔力、見つけられない闇ギルド・・・」

ミラが顎に手を当てて考えるように呟く。

ジュ「もしかして、別の場所にギルドを移転したとか?」

ガ「でも、マスターが「ここにある」って言ったんだろ?」

ラ「じぃじの奴、評議院の奴等にも聞き込みしてたぞ。」

カ「マスターが得た情報が間違ってるとは思えないけどね。」

情報は正確。
この崖のどこかに、西の真空(ウェストヴァキュアム)のギルドがあるはずなのは確かなのだ。
でも、いったいどこに―――――?

リ「とにかく、捜索の範囲を広げて、引き続き捜索を続けよう。」

ミ「そうね。それに、見つけられなかった時はこの瞬間移動魔水晶(テレポートラクリマ)を置いていけばいいんだし。」

そう言いながらミラが取り出したのは、正八面体の形をした薄紫色の魔水晶(ラクリマ)だった。

カ「ほんとっ、最近の魔水晶(ラクリマ)は便利なものばっかだねぇ。」

カナがミラの手の中にある魔水晶(ラクリマ)を覗き込みながら言った。

ガ「つーかよぉ、もし西の真空(ウェストヴァキュアム)のギルドを見つけられなかったら、ここまで来て俺達は魔水晶(ラクリマ)1個置いてきた事だけになるのかよ。」

ジュ「それがどうかしたの?」

ジュビアが問うと、ガジルの額に怒りマークが浮かび上がった。

ガ「冗談じゃねぇっ!何で俺が火竜(サラマンダー)達の為にこんな所まで来て魔水晶(ラクリマ)を1個置くだけしか出来ねぇんだよっ!?」

ジュ「ひぃ!」

ガジルがまた噛み付きそうな勢いでジュビアに怒鳴りつけ、ジュビアもまた小さな悲鳴を上げ、思わず首を竦め両手で両耳を塞いだ。

リ「仕方ないだろ。マスターの人選で俺達が選ばれたんだ。」

ガ「それはまだ許せるっ!だが、どうして大魔闘演舞の出場も譲って、火竜(サラマンダー)達にやらせる仕事の手伝いをしなきゃねーんだよっ!?どーせならここまで来た俺達にやらせりゃぁいいのによぉっ!」

目を思いっきり吊り上げてリリー相手に愚痴を吐く。
あまりの勢いに、ガジルの相棒であるリリーはすぐに言葉を紡げなかった。

ミ「仕方ないわよ。西の真空(ウェストヴァキュアム)は魔道士の数が多い闇ギルドで多い事で有名だし、私達だけじゃ討伐するには難しいわ。」

ガ「でも、戦力だと俺達の方が上じゃんかっ!」

カ「マスターは後先の事を考えてんだよ。こんな崖のところで倒されでもしたら、二度と妖精の尻尾(フェアリーテイル)で酒が飲めなくなっちゃうからね。」

ラ「それはお前だけだろーが。」

カナの発言にラクサスが冷静にツッコミを入れる。

ジュ「とにかく、もう少し探してみましょう。」

ジュビアが話を逸らし、ガジルは「ちっ」と舌打ちをしながらも西の真空(ウェストヴァキュアム)のギルドを探す為5人と1匹は再びバラバラに捜索し始めた。

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チャ「それでは早速、大魔闘演舞4日目バトルパートに参りましょう!」

気合の入ったチャパティ・ローラの声が会場に響き渡る。

チャ「第1試合、青い天馬(ブルーペガサス)、レン&イヴ!!VS幸福の花(ハピネスフラワー)、サクラ&スミレ!!」

会場に2頭の天馬(ペガサス)と可憐な2つな花が放たれた。

チャ「美男と美女!これは何とも素敵な絵になった!」

ヤ「面スろそうなバトルになりそうだねぇ。」

ラ「とっても楽しみです!ありがとうございます!」

観客席からは女性達の黄色い声援が右へ左へ飛び交っている。

ジェ「レンく~ん、イヴく~ん、頑張ってね~♪」

ヒ「どんなバトルになるんでしょうかね?先生。」

一「うむ。それはあの2人の戦い方次第だ。レン君、イヴ君、君達の熱い香り(パルファム)を見させて頂くよ。」

一夜が変なポーズを決めながらレンとイヴにエールを送る。

パ「お母さん、サクラ姉とスミレ姉、勝つかな?」

ア「さぁ、どうどすかねぇ?でも、あの2人が悔いの残らないバトルの花を咲かせてくれる事には、まず間違いないはずどす。私達は、その花が開花する瞬間を見届けるどすよ。」

アカネは会場にいる自分の娘―――サクラとスミレ―――の燐とした立ち姿を真っ直ぐ見つめた。

チャ「第1試合、開始ッ!!」

チャパティ・ローラの実況と共に像の上にいる男が銅鑼をゴォォォォォン!!と力強く叩いた。

レ「ちっ、相手は女かよ。戦い辛いな・・・」

イ「こんな美しい花々を傷つけるなんて、僕には出来ないよ。」

サ&イ「・・・・・」

試合が始まったというのに、まるでお約束事のように口説き始めるレンとイヴ。サクラとスミレは何の反応も示さない。

ル「思いっきりスルーされてるわね。」

ショ「逆にあの2人が反応した方が驚くよ。」

ハ「ルーシィだったら反応しそうだね。」

ル「しないからっ!てか何で私ィ!?」

ショ「ルーシィ、顔が赤いよ。」

ル「・・・・・」

ショ「・・・ハッピー、リョウには内緒だからな?」

ハ「あい。」

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の応援席ではハッピーの発言にルーシィがツッコムが、ショールに「顔が赤い」と指摘され言葉に詰まり黙ってしまう。それを見たショールが小声でハッピーに耳打ちをした。 

ス「傷つけたくないならば・・・」

スミレが横笛を、サクラが『御魂の桜扇』を懐から取り出すのが同時だった。

サ「大人しく、私達に遣られて下さい!」

スミレが横笛を口に当て、サクラが『御魂の桜扇』をバッと開くと、

サ「緑の御魂よ、敵を襲え・・・!」

ス「♪~ ♪~ ♪~ ♪~ ♪~
  ♪~ ♪~ ♪~ ♪~ ♪~」

地面から太くて長い蔦が生え、横笛の音色に合わせるかのように蔦がレンとイヴに襲い掛かる。レンとイヴはその場で高く跳躍し、サクラとスミレの攻撃をかわした。

イ「()()ってのが残念だったかな。雪魔法、白い牙(ホワイトファング)ッ!!」

イヴが会場に吹雪を起こす。すると、レンとイヴに襲い掛かってきた蔦が青々とした緑色から薄い黄色に色褪せ始めた。

サ「植物が・・・」

ス「枯れ―――うっ!」

サ「ぁ・・ぁぁ・・・!」

「枯れていく」と言おうとしたスミレが突然首を掴み、苦しそうに呻き声を漏らした。すぐその隣でサクラも同じように首を掴み、呻き声を漏らす。よく見ると、スミレとサクラを囲うようにドーム型の浅黒い膜が張られている。

レ「お前等、隙ありすぎなんだよ。」

レンが小さく呟いた。

チャ「どうやらイヴが植物を枯らしている間に、レンがスミレとサクラの周りの酸素を薄くしたみたいですね。」

ヤ「いい連係(コンビネーション)だねぇ。」

ラ「植物を操るサクラとスミレは不利ですね。ありがとうございます!」

そこはお礼を言う場面ではない。

ユ「空気を操られたら、人間も植物も何も出来ないからね。」

頬杖を着いてユモが独り言のように呟く。

エ「これは、勝負アリだな。」

エルザの声が合図だったかのように―――――、

イ「レン!」

レ「分かってるっての!」

レンが止めの一撃を放った。

レ「エアリアルフォーゼ!!」

空気の渦がスミレとサクラに襲い掛かる。

ス「キャアアアアア!!」

サ「ヒャアアアア!!」

スミレとサクラが宙高く吹っ飛ばされ、ドドスゥン!と音と砂煙を巻き上げて落下した。もちろん立ち上がる事はない。

チャ「幸福の花(ハピネスフラワー)ダウーーーーーン!勝者、青い天馬(ブルーペガサス)!!10ポイント獲得です!」

ヤ「いいバトルだったねぇ。」

ラ「植物に雪に空気、とても美しかったです!ありがとうございます!」





チャ「それでは引き続き第2試合に参りましょう!第2試合、月の涙(ムーンティア)、セイン&シプ!!VS白い柳(ホワイトウィロウ)、シェナ&チルチル!!」

会場にシプを負んぶしたセインと、手を繋いだシェナとチルチルが集った。

ナ「な、何だあれ?」

リョ「兄妹(けいまい)とか、姉弟(してい)っていう関係じゃねぇ・・よな?」

グ「あれを見てそう思っても、可笑しくねぇと思うぜ。」

余談だが、シプはセインの事を“兄”のように慕っており、チルチルはギルド内では“弟”のような存在であり、特にシェナに可愛がられているのだ。
セインがシプを地面に下ろすのと、シェナがチルチルの手を離したのが同時だった。4人共その場で身構えた。

チャ「第2試合、開始ッ!!」

チャパティ・ローラの実況と共に像の上にいる男が銅鑼をゴォォォォォン!!と力強く叩いた。

シ「透明魔法(クリアマジック)。」

シェ&チ「!!?」

小さく呟いたシプが突然姿を消した事にシェナとチルチルは驚き目を見開いた。

シ「油断、禁物!」

チ「うわっ!」

シェ「チルチル!?あぐっ!」

姿を消し、シェナとチルチルの背後に忍び寄ったシプがチルチルの背中に飛び蹴り、振り向いたシェナの鳩尾に拳を1発決めた。

ユ「シプ、すごい。」

グ「以前戦った時よりめちゃくちゃ強くなってるじゃねぇか。」

シプとの対戦経験があるグレイとユモが感心したように呟いた。

ナ「セインの奴、全く動かねぇぞ。」

一切動きを見せないセインを見てナツが首を傾げる。

リョ「ありゃたぶん、わざとシプ1人で戦わせてんだろうな。」

ユ「え、何で?」

エ「シプはまだ幼い。だが、魔道士としての腕を上げていくまでの時間はたっぷりある。少しでもシプにそういう時間を与える為に、セインも自分なりの手助けをしているんだと思うぞ。」

エルザはそう言いながらセインを見つめた。
腕組をしているセインの黒縁の眼鏡越しから見える緑色の瞳に映っているのは、姿を消しているシプの姿。当然姿を消している為、シプの姿は一切見えないのだが、セインはまるでシプの姿を追っているかのように、緑色の瞳をキョロキョロ動かしている。

シ「ていっ!」

チ「うぁあっ!」

シ「やーーーっ!」

シェ「イギィィッ!」

シプが連続でチルチルとシェナに蹴りや拳を食らわせ、それと共にチルチルとシェナの体に傷が増えていく。

シェ「(ま・・不味い、わね・・・このままじゃ、私もチルチルも・・・何も、出来ないまま、シプ(この子)だけに、やられちゃう!)」

シェナは顔の前で腕を交差して防御しながら頭の中で思考を回転させる。

シェ「(でも、姿は見えなくても、気配は感じる・・・!こういう時って・・確かウララ曰く、目で追ったらダメなのよね。)」

シェナはゆっくりと目を閉じる。

シェ「(音・・・動き・・・集中・・・集中・・・・・!)」

閉じた目をカッ!見開いた。

シェ「見切ったぁっ!」

シェナが叫んだのと同時に、シェナの長い金髪が雷を帯びて、ある1点目指して伸びてゆく。

シ「へっ?」

シェナの金髪が伸びる先でシプの小さな声が聞こえた。シェナの攻撃がシプに当たると、誰もが思ったその時―――、

セ「無杖(ルーズステッキ)!」

シプと金髪の間にセインが滑り込んで来て、無杖(ルーズステッキ)を振るとシェナの金髪が力なくパサッと地面に落ちた。

セ「俺がいる事を忘れるなよ?」

シェ「別に忘れてた訳じゃないわ。」

チ「僕は忘れてた。」

チルチルは完全にセインの存在を忘れていたようである。
透明魔法(クリアマジック)を解除したシプがセインの背後からひょこっと顔を出す。

シ「お姉さん、私の姿、見えた?」

シェ「見えてないわ。」

シ「じゃあ、どうして分かったの?」

シプが首をこてっと傾げる。シェナは小さく微笑むと、右手の人差し指だけを立て口元に当てると、

シェ「女の鋭い勘よ。」

シ「?」

言い終わったのと同時にウィンクをする。が、まだ9歳の幼い少女にはシェナの言ってる意味が分からなかった。

シェ「さぁチルチル、反撃開始よっ!」

チ「うん。」

シェナとチルチルが小さく地を蹴り駆け出した。

シェ「髪しぐれ、鬼腕(きわん)!」

シェナの金髪が雷を帯び、頭に2本の角がある鬼の姿になった。

シェリ「“髪の毛”が鬼になった!」

ユウ「“髪”が。」

トビ「“髪”が・・・!」

ジュ「やかましい。」

蛇姫の鱗(ラミアスケイル)の魔道士、シェリア、ユウカ、トビーの発言にジュラがムッとした表情で制止の声を出す。ジュラのスキンヘッドの頭がキラリと光ったのは余談だ。
セインは慌てる素振りも見せずに無杖(ルーズステッキ)を戻し、代わりに雷杖(サンダーステッキ)を手に取ると、

セ「雷杖(サンダーステッキ)!」

右斜め上から左斜め下へと大きく振るった。雷杖(サンダーステッキ)から雷が発し、シェナの雷を帯びた金髪が激しくぶつかり合い、ドゴォォォン!と爆発を起こした。

ル「ケホッ!ケホッ、ケホッ。」

ショ「す・・すごい、威力・・・」

ハ「うぅ、目が痛いよぉ~。」

ルーシィは顔を背けて咳き込み、ショールは片目を瞑り左手で口元を覆いながら小さく呟く。ハッピーは煙のせいで目が痛くなり、何度も何度も擦っていた。
煙が晴れると、セインとシプの目の前からシェナとチルチルの姿が消えていた。

セ「あ・・あれ?」

シ「消えた?」

セインとシプが辺りを見回すが、シェナとチルチルの姿はどこにも見当たらなかった。その時、

カリ「セインさん、シプ、上!上ェェェッ!」

セ「えっ?」

シ「上・・・?」

月の涙(ムーンティア)の待機場所からカリンが叫び、カリンの言うとおりに上を見上げてみると―――――、

シェ「隙ありぃ!」

セ「うわっ!」

シ「ひゃわぁ!」

宙高く跳躍していたシェナの金髪が着地寸前で下にいるセインとシプの体に巻きついた。幸い、シェナの金髪は()()雷を帯びていない。

セ「うっ・・ほ、解け、ない・・・」

セインの右手には雷杖(サンダーステッキ)が握られているが、雷ではシェナの髪の毛から逃れる事は出来ない。

シ「セ、セイン・・・あ、あれ・・・」

シプも視線の先を追いかけると、上空に黒い点が見える。その黒い点の正体は大きな黒い布。その黒い布の4隅を掴んだチルチルがゆ~らゆら~と下りてきた。

グ「アイツ、どこにあんな布隠し持ってたんだよ・・・?」

リョ「つーか、飛んで、る?」

ナ「う・・うぷ・・・」

エ「ナツ、あれは乗り物なのか?」

ユ「いや・・・どう見たって、違うと思うよ。」

ユモの言うとおり、あれはどう見たって乗り物ではない。極々普通の“布”だ。

チ「よっ、と。」

着地寸前でチルチルは布から手を離し地面に降り立つと、カーキ色のオーバーオールの胸ポケットから銀色の縫い針と白い糸を取り出し、手際よく縫い針の小さな穴に糸を通した。
そうしてる間に、黒い大きな布はゆら~りゆら~り落ちてきて、シェナの金髪で身動きが取れなくなっているセインとシプの体をすっぽりと包み込んだ。

※ここからの出来事はほぼ超人的な行動だという事を予めご理解下さい。

チャ「な、なな、ななな、何とぉっ!チルチルが、セインとシプを包み込んだまま黒い布を地面に縫い付けているーーーーーっ!!?」

チャパティ・ローラの驚嘆の声が会場に響き渡る。
会場中の視線がチルチルに釘付けになった。チルチルは黒い布の端をセインとシプを包み込んだまま地面に縫い付けているのだ。それも、ものすごい速さで・・・

ハ「な・・何だありゃーーーーーっ!!?」

ル「えぇぇぇっ!?」

ショ「・・・・・」

ハッピーとルーシィが驚嘆の声を上げ、ショールは驚きすぎて言葉を失っている。

ユ「な、何あれ・・・か、怪奇現象!?」

エ「す・・すごい・・・!」

ユ「感心してどうするのっ!?」

ナ&グ&リョ「おいおいおいおいおい!ちょぉーーーっと待てぇーーーーーいっ!!こんなのぜってぇに有り得ねーだろーがっ!!!」

エルザの発言にユモがツッコミ、ナツ、グレイ、リョウが同じ事を叫ぶ。いつも同じ事を言ったら3人共喧嘩をするのだが、今の状況を目の当たりにして喧嘩をする場合でもないのだろう。
「怪奇現象」「有り得ない」と思っても、目の前でそれが起きているのだから全て現実なのだ。
会場中が大騒ぎになってる最中でも、チルチルは針を動かす手を一切止めようとしない。

セ「えっ・・ちょ、ちょっと・・・」

シ「あわわわわぁ・・・」

縛られて縫い付けられて真っ暗な状況にいるセインとシプは何も出来ずにただその場で立ち尽くしたままだった。

ア「ダハハハハ!相変わらずだなぁチルチルは。」

タ「針と糸があれば、アイツはどんなものでも縫い付けちまうからな。ある意味怖い奴だ。」

白い柳(ホワイトウィロウ)の待機場所ではアチュールとタクヤが面白そうにチルチルの様子を眺めていた。

ウ「得意技をあんな風に活かすなんて、チルチルもやるわね。」

ウララは感心したように呟いた。

チ「ふぅ~。シェナ、終わったよ。」

チルチルはほんの数分で地面と布を縫い付けてしまった。ご丁寧に、セインとシプの動きを封じてるシェナの金髪だけ地面に縫い付けていなかった。

シェ「それじゃあ、これで最後ね。」

シェナの金髪に雷が帯び始めた。そう、シェナの金髪は()()雷を帯びていなかった。

シェ「髪しぐれ、雷爆発(フラッシュ・バースト)!!」

黒い布の内側から金色の光が洩れた、と思った瞬間、バコォォォォォン!と凄まじい音を立てて爆発した。辺りが黒い煙で覆い尽くされた。

カイ「セイン・・・!」

リキ「シプ!」

月の涙(ムーンティア)の待機場所からカイとリキが身を乗り出す。
煙が晴れると、会場には黒い煤と傷だらけになって倒れているセインとシプ、「ケホッ、ケホッ」と咳き込むシェナとチルチルがいた。

チャ「月の涙(ムーンティア)ダウーーーーーン!勝者、白い柳(ホワイトウィロウ)!!10ポイント獲得です!」

ヤ「いやぁ~、驚きの連続だったねぇ。」

ラ「すごいものを見させて頂きました。ありがとうございます!」

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妖精の尻尾(フェアリーテイル)専用医務室では、マヤ、フレイ、ウェンディ、シャルル、トーヤが映像魔水晶(映像ラクリマ)で第2試合を見ていた。もちろん、3人と1匹と1羽も驚きすぎて言葉を失っている。

ト「こ、こんな戦い方も、あるんですね。」

最初に口を開いたのはトーヤだった。トーヤの視線は、まだ映像魔水晶(映像ラクリマ)に釘付けだった。

シャ「地面を縫い付けるなんて・・・見かけによらず、恐ろしい奴ね。」

フ「同意見だな。」

シャルルとフレイの額に冷や汗が浮かんでいた。

ポ「世の中にはもっと恐ろしい魔道士がいるんだ。もしかしたら、大魔闘演舞に参加してるかもしれないからね。」

ポーリュシカが薬の調合をしながら呟いた。

ウェ「マヤさん、皆さんならきっと、勝ってくれますよね。」

マ「当ったり前じゃん!ナツ達はそう簡単に折れやしないよ。納豆みたいにめちゃくちゃ粘るからね。あいたたた・・・!」

シャ「例え方がどうかと思うけど、確かにその通りね。」

マヤの例え方にシャルルはすぐツッコミを入れるが納得した部分もあったみたいで頷いた。

マ「それに、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士達が、仲間を酷い目に合わせられて黙ってるはずがないもん。それが例え、めちゃくちゃ強敵だとしても、恐ろしい奴だろしても、顔見知りでもね。」

ト「そうですね。」

フ「アイツ等なら、マヤ(お前)の仇、必ず取ってくれるはずだ。」

ウェ「その為に、私達も応援頑張りましょうね。」

マ「もっちろん!だからポーリュシカさん、怪我が早く直る薬とかないですか?」

マヤがポーリュシカの背中を気体に満ちた瞳で見つめる。

ポ「そう言うと思って、予め準備しておいた薬がたった今完成したところだ。」

ト「おぉ!」

シャ「さっきから作ってたのは、その薬だったのね。」

マヤ「さすがウェンディのお母さん!」

ウェ「さすがグランディーネ!」

ポ「ウェンディのお母さんでもないし、その名で呼ぶんじゃないよ。」

ポーリュシカがマヤとウェンディの言葉に否定しながら、薬とコップに入れた水をマヤに手渡す。

マ「よぉ~し!早く良くなれぇ~!」

そう言いながらマヤはすぐさま薬を飲み水で流し込んだ。

ポ「言っておくが、その薬にはものすごい苦い薬草を使っているか―――――」

マ「(にが)----------っ!!」

口からナツのように炎の(ブレス)を放ちそうな勢いでマヤが叫んだ。 
 

 
後書き
第185話終了です!
地面を縫い付けるって発想・・・可笑しいですよね。注意書き(?)を※で表しておきました。
次回は大魔闘演舞4日目バトルパートの続きです。第3試合(と、たぶん第4試合)です。
それではまた次回、お会いしましょう!

ていうか、今回のサブタイトル可笑しすぎる・・・ 

 

第186話 合体人間

 
前書き
紺碧の海、登場~☆
今回は大魔闘演舞4日目バトルパートの続きです。それと、久々に『謎の少女』の事も書いていきます。
ナレーション風です。
それでは、第186話・・・スタート☆ 

 
チャ「それでは続いて第3試合、蛇姫の鱗(ラミアスケイル)、リオン&トビー!!VS海中の洞穴(マリーンケイヴ)、アニー&アリー!!」

会場に性格が真逆のリオンとトビー、全く似てない双子のアニーとアリーが集う。

リョ「グレイの兄弟子と、犬っぽ―――――」

ト「俺は犬じゃねぇよっ!これはただの飾りだよっ!」

リョ「まだ最後まで言ってねぇよっ!」

グ「(被ってるぞ・・・)」

「犬っぽい人」と言おうとしたリョウの言葉を遮るようにトビーが振り向いてキレ、リョウもまだ最後まで言ってない事に反論する。その怒り方が少しトビーと被ってる事にグレイは気づいたがあえて言わなかった。

エ「確か、アニーとアリーは双子・・・だったよな?」

ナ「全く似てねぇよな。」

ユ「でも、息はぴったりみたいだよ。」

ユモが可笑しそうに小さく微笑みながら会場にいるアニーとアリーを見つめる。

ア「よぉ~し!このバトルに勝って、0ポイント獲得するぞーーーっ!」

アリ「勝ったら10ポイントでしょ。それに、0ポイントだったら「獲得」って言わないでしょ。」

ア「あ、そっかぁ~☆」

高く結えた金髪のポニーテールを激しく揺らしながらアニーは握り締めた拳を空に掲げて意気込むが、言ってる意味がものすごい間違いをしてる事に気づかず、すぐアリーにツッコまれ冷静に指摘された。
2人の言動を見て、観客達の間に笑いが起こる。

ヤ「まるで漫才(コント)をスてるみたいだねぇ。」

チャ「対するリオン選手とトビー選手も、性格が真逆ですからね。」

ラ「真逆コンビのタッグバトルですか。ありがとうございます!」

そこはお礼を言う場面ではない。

イ「ア・・アニーさん・・・」

ハル「アハハハハ・・・」

海中の洞穴(マリーンケイヴ)の待機場所でも、イレーネとハルトが曖昧な笑みを浮かべていた。

ハル「まぁでも、アニーさんもアリーさんも強いから、大丈夫だと思うな。」

イ「そうだね。」

バ「このバトル、きっと面白くなりそうだよ。」

ハルトとイレーネが振り向くと、壁に寄り掛かった状態でアニーとアリーの事を笑顔で見つめるバロンがいた。

バ「容姿も性格も言動も真逆の双子、アニーとアリーだけど、僕的にあの2人は、“史上最強”の双子だと思うよ。」

ハル&イ「えっ?」

ハルトとイレーネはバロンの言葉の意味が分からなかったが、バロンはアニーとアリーを見つめたまま、それ以上の事は何も言わなかった。

チャ「第3試合、開始ッ!!」

チャパティ・ローラの実況と共に像の上にいる男が銅鑼をゴォォォォォン!!と力強く叩いた。
最初に動きを見せたのは、零帝の異名を持つリオンだった。握り締めた右拳を広げた左掌に乗せ、冷気を溜めると、

リ「アイスメイク、(イーグル)ッ!!」

薄緑色をした無数の氷の鷲がアニーとアリーに襲い掛かる。
アニーとアリーは慌てる素振りも見せずに、アニーは光銃(シャイニーガン)を、アリーは闇銃(ダークネスガン)を腰のポシェットから取り出すと、

ア「光弾(シャイニーショット)・・・乱射!」

アニ「暗闇弾(ダークネスショット)・・・乱射!」

金色の光を纏った無数の弾丸と、どす黒い闇を纏った無数の弾丸が次々に放たれ、氷の鷲を次々に打ち砕いてく。すると、

ト「麻痺爪、メガクラゲ!」

ア「おっ!」

アニ「!」

粉々になった氷の鷲の影からトビーが飛び出して来て、爪が長くなった両手を大きく振るう。
いきなり飛び出して来て一瞬驚いたアニーとアリーだが、冷静にトビーの攻撃を避けると、

ア「稲妻弾(ライトニングショット)!」

アニ「真夜中弾(ミッドナイトショット)!」

雷を纏った弾と、黒い光を纏った弾をトビー目掛けて同時に放つ。トビーも意外な事に、その場ででんぐり返し(?)をしてアニーとアリーの攻撃を避け、今度はアニーだけに攻撃を仕掛ける。

ト「オオーン。そんな攻撃、当たる訳ないだろ。」

ア「その言葉、そっくりそのまま返させてもらうよっ!」

ト「おぐわっ。」

アニーがトビーの鳩尾に蹴りを1発食らわせ、ステップを踏むようにトビーから距離をとると、光銃(シャイニーガン)の銃口をトビーに真っ直ぐ向けた。

リ「トビー、避けろっ!」

逸早く察したリオンが声を荒げるが遅かった―――――。

ア「月光弾(ムーンライトショット)!」

アニーが叫んだのと同時に光銃(シャイニーガン)から放たれたのは弾ではなく、煌々と輝く金色の光。月光(ムーンライト)が会場を明るく照らし出す。

ト「オオーン。」

リ「くっ・・目晦まし、だと・・・」

あまりの眩しさにトビーと両手で両目を覆い、リオンも右腕で覆うようにしながら、左目だけを薄く開ける。

ト「オオーン。全く、見えねーな。」

両目を両手で覆ってたら見えないのは当たり前だ。そんなトビーの背後に忍び寄る黒い影―――――。

アリ「特大サイズ・・・」

ト「!」

トビーが振り返った時には、すでに闇銃(ダークネスガン)の銃口を自分に真っ直ぐ向けたアリーがいた。よく見ると、アリーは黒いレンズのサングラスを掛けていた。

ト「そんな物あるなんてずるすぎるだろーっ!」

アリ「大魔闘演舞に「サングラスを持ち込んではいけません」という規律(ルール)はないでしょ?」

正論を述べるアリーに、トビーはそれ以上何も言い返す事が出来なかった。そして―――――、

アリ「暗闇弾・爆発(ダークネスショット・バースト)!」

どす黒い光を纏った通常の弾丸より遥かに大きい弾丸がトビー目掛けて放たれ、トビーに直撃する寸前の位置で爆発した。

ト「オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ッ!」

至近距離での爆発はもちろんかわす事が出来ずトビーは爆発に巻き込まれ、頭がアフロヘアーになった状態で倒れ気絶した。それと同時に月光(ムーンライト)が治まった。

チャ「トビー選手ダウーーーーーン!」

ヤ「なかなかの戦法だったねぇ。」

ラ「これで2対1ですね。ありがとうございます!」

アリーはサングラスを外し、駆け寄って来たアニーとハイタッチを交わした。

ル「えっ?あの犬っぽい人、いつの間にか倒れちゃってるし!」

ショ「光で目晦ましされてる間に、倒されたみたいだな。」

ハ「見逃しちゃったよ~。」

どうやら観客のほとんどがトビーが倒される瞬間を見逃したみたいだった。

会場に残るは氷の造形魔道士と双子の銃士(ガンナー)。リオンは透かさず造形魔法の構えを取り、両手に冷気を溜める。アニーとアリーがすぐ攻撃を仕掛けてくると判断したから取った行動だった。

リ「アイスメイ―――――」

ア「(エス)(ティー)(オー)(ピー)!」

リ「はっ?」

アリ「「STOP(ストップ)」って言ってる。」

攻撃しようとしたリオンをアニーが意味不明な言葉で止め、その言葉の意味をアリーが冷静に通訳する。

リ「何だ。俺の造形魔法の迫力に怖じ気づいたのか?」

ア「違う違う。そんくらいで私が怖じ気づく訳ないじゃん。もちろん、アリーもね☆」

アリ「うん。」

本人は気づいてないようだが、結構失礼な事を言っている。

ア「あの犬っぽい人を倒して、君は私達相手に1人で戦わないといけなくなっちゃったでしょ?」

リ「それがどうした。」

ア「いや~、私もアリーも2対1で勝ちを手に入れるほどせこい人間じゃないからさ。」

リ「だからそれがどうしたと俺は聞いてるんだ。グズグズしてると攻撃するぞ!」

そう言って造形魔法の構えを取り、両手に冷気を溜める。

ア「せっかちな人だなぁ。これなら実際にやって見せた方が早いかもね。よしっ!じゃあアリー、いくよっ!」

アリ「アニーも十分せっかちだと思うよ。」

そう言うと、アニーとアリーは背中合わせになって両手を組んだ。すると、アニーとアリーの足元に白い魔法陣が浮かび上がり光出した。

チャ「背中合わせで手を繋いだアニーとアリー。いったい、何をするつもりなんだーーーっ!?」

チャパティ・ローラの声が会場に響き渡る。そして―――――、










ア&アリ「合体人間(ユニゾンヒューマン)ッ!!」










白い魔法陣の輝きが増し、アニーとアリーを包み込んだ。

ナ「うぉおおぉぉおっ!」

エ「ここからでも、すごい魔力を感じる・・・!」

グ「つーか、合体人間(ユニゾンヒューマン)って何なんだよ。」

グレイの問いに答えるかのように光が治まった。会場に視線を移すと、目を見開いているリオンが信じられないものを見たような表情でその場に立ち尽くしていた。
そして、先程までアニーとアリーがいた場所には2人の姿はなかった。まるで入れ替わったかのようにそこにいたのは、毛先だけが黒い金髪を低い位置でポニーテールに束ね、何かを見透かしているかのような青い瞳。黒と黄色のティアードワンピースに、白いショートブーツ。腰にある2つのポシェットに光銃(シャイニーガン)闇銃(ダークネスガン)を装備した少女―――――。

チャ「な・・なな・・・なななな何という事だぁぁぁっ!アニーとアリーが、1人の人間になってしまったぁぁぁぁぁっ!!」

そう。この少女が、アニーとアリーなのだ。

ル「はぁっ!?」

ハ「なんじゃそりゃーーーーーっ!?」

ショ「あれ・・・魔法、なのかぁっ!?」

会場が驚嘆の声に包まれる。

リョ「・・・初めて、見た。」

リョウが独り言のように呟いた。

ユ「リョウ、合体人間(ユニゾンヒューマン)って何?」

ユモが目を見開いているリョウの顔を覗き込んで問う。

リョ「合体魔法(ユニゾンレイド)なら、聞いた事あるだろ?それと似たような原理で、別々の2人の人間が1人の人間になって、更に威力を高める事が出来る、合体魔法(ユニゾンレイド)よりも超高度な技だ。条件は同じで、本当に息の合った2人の人間じゃないと発動出来ないんだ。まさかこんな間近で見られるとは、思ってもみなかったけどな・・・」

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の情報網であるリョウでも、実際に見るのは初めてだったらしく、驚きを隠せずにいた。

ハル「アニーさんとアリーさんが・・・」

イ「合体しちゃったぁ~!」

合体人間(ユニゾンヒューマン)の事を知らなかったハルトとイレーネも驚嘆の声を上げる。

バ「これで1対1のバトルになった。でも、有利なのはアニーとアリーの方だ。合体した事によって、技の威力が高まったんだから。」

バロンは笑みを崩さずに呟いた。

リ「驚いたな。そんな隠し技を持っていたとは。」

アニ「別に隠してた訳じゃないよ。それと、この姿の時、私はアニーでもアリーでもないわ。私の名前は“アニリー”。さぁ、バトルの続きを始めよっか、零帝君。」

そう言いながらアニリーはポシェットから光銃(シャイニーガン)闇銃(ダークネスガン)を取り出した。
因みにアニリーの口調はアニーだが、声はアリーだ。

リ「行くぞっ!アイスメイク、白虎(スノータイガー)ッ!!」

氷の虎がアニリーに襲い掛かる。アニリーは光銃(シャイニーガン)闇銃(ダークネスガン)の銃口を真っ直ぐ氷の虎に向けると、

アニ「混沌!闇光弾(ダークライトショット)・・・乱射!」

叫んだのと同時に2つの銃の引き金を引いた。黒い光と金色の光を纏った2つの弾丸が空中で1つに合わさり、氷の虎をたった1発で粉々に砕き、

リ「ぐぉあぁあっ!」

残りの弾丸は全てリオンに直撃する。

チャ「こ、これはすごい威力!合体人間(ユニゾンヒューマン)をした事で、アニリーの攻撃力が上がっているーーーーーっ!これはアニリーの方が有利かーーーーーっ!?」

アニリーは余裕な笑みを浮かべており、右手で光銃(シャイニーガン)を、左手で闇銃(ダークネスガン)を器用にくるくると回している。
その時―――――、

グ「なーにやってんだリオン!」

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の待機場所からグレイが叫んだ。

グ「さっきからずっと見てりゃぁ、やられっ放しじゃねーかっ!いい加減お前の本気を見させろっ!リオン!」

グレイの言葉にリオンは薄く微笑むと、

リ「お前に言われなくとも、こんな女に負けるほど俺は、軟弱者ではない!アイスメイク、(ミズチ)ッ!!」

両手を構え、冷気を溜めると巨大な氷の蛇を造形する。

アニ「何度やったって同じ事!混沌!闇光弾(ダークライトショット)・・・乱射!」

無数の弾丸が放たれ、空中で1つに合わさり氷の蛇に向かって真っ直ぐ飛んでいく。が―――、

アニ「えっ・・・?」

氷の蛇は大きくとぐろを巻いて弾丸を全てかわしていく。

アニ「弾が、当たら―――――キャアァアアッ!」

氷の蛇に球が当たる前に、アニリーに氷の蛇が襲い掛かった。

グ「はぁ。」

ユ「兄弟子さん(リオン)、すごいね。」

グレイがほっとしたようにため息をつき、ユモはそんなグレイを見て微笑んだ。
リオンは荒く呼吸をしており、アニリーは時々ふらついている。すでにボロボロだが、両者共倒れる事はない。

アニ「零帝・・・は、異名だったよね。君、名前・・・なんだっけ?」

口元の血を手の甲で拭いながらアニリーが問う。リオンは両手に冷気を溜めると、

リ「リオン・バスティア。蛇姫の鱗(ラミアスケイル)の魔道士だ。」

氷の剣を造形した。

アニ「リオン君か。うん、覚えた。私、君とバトルするの好きかもしれない。でも、今日のバトルはこれで最後だよっ!」

リ「それはお互い様だぁぁっ!」

リオンとアニリーは同時に小さく地を蹴り駆け出した。リオンは氷の剣を振りかざし、アニリーは光銃(シャイニーガン)闇銃(ダークネスガン)の引き金に指をかけた。

チャ「両者、これが最後の一撃!果たして、勝つのはいったいどっちだーーーーーっ!?」

リオンとアニリーの距離が徐々に縮まっていく。

アニ「混沌―――!」

リ「うおおおおおおおおおおっ!」

銃口を向け、剣を振り下ろした―――――。
その時、カンカンカンカンカンッ!とけたたましい鐘の音が鳴り響いた。リオンとアニリーの動きがお互いの鼻先がくっつきそうな位置で止まった。

チャ「あぁっとっ!ここで時間切れ(タイムアップ)だぁぁぁっ!試合終了ォォォ!この勝負引き分け(ドロー)!両チーム5ポイントずつ獲得です!」

ヤ「後1歩、惜スかったねぇ。」

ラ「ものすごく熱かったです。ありがとうございます!」

アニリーが合体人間(ユニゾンヒューマン)を解除し、アニーとアリーの姿に戻る。当然の事だが、合体してたとは言えアニーとアリーも傷だらけだ。

ア「ん~~~~~っ!ふぅ~、楽しかったぁ~♪ねっ、アリー?」

アリ「うん。」

アニーが思いっきり伸びをする。傷だらけでありながら、アニーとアリーの顔には満面の笑みが浮かんでいた。

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妖精の尻尾(フェアリーテイル)専用医務室では、映像魔水晶(映像ラクリマ)で第3試合を見ていたマヤ、フレイ、ウェンディ、シャルル、トーヤがいた。

ウェ「すごかったですね!」

シャ「2試合連続で怪奇現象みたいな事が起きてるけどね。」

地面を縫い付けたり、2人の人間が合体して1人の人間になったり・・・現実では絶対に有り得ない事がとんとん拍子のように起きている。

マ「アハハハ!2回連続面白いバトルだったなぁ~。」

フ「お前呑気すぎるだろっ!」

場違いな事を言うマヤにフレイが透かさずツッコミを入れる。

ト「後半から強い人達が続々出て来ますね。」

ポ「何当たり前の事を言ってるんだい。そういう魔道士しか出場出来ないからね、大魔闘演舞ってのは。」

ト「そうでした。」

会話を弾ませていたその時、映像魔水晶(映像ラクリマ)からチャパティ・ローラの「試合終了ォォォ!」という実況の声が聞こえた。一斉に視線を映像魔水晶(映像ラクリマ)に向けると、体が壁にめり込んで気絶している四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)の魔道士、バッカスとセムスと、気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)の魔道士、白い羽を持ったジェニックと、横に伸ばした右手に3羽の魔法鳥を乗せたラムが映っていた。

チャ『勝者、気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)!!10ポイント獲得です!』

ヤ『何か、やけにあっさりと終わったねぇ。』

ラ『とけも呆気なかったです。ありがとうございます!』

マヤ達はしばらくの間、映像魔水晶(映像ラクリマ)から目を離す事が出来なかった。

フ「・・・どうやら話し込んでる間に、第4試合が終わっちまったみてぇだな。」

フレイの声でようやく全員映像魔水晶(映像ラクリマ)から目を離した。

マ「呆気なかったみたいだね。」

シャ「どうりで早すぎると思ったわ。」

ウェ「そ・・それで済ませちゃって良いのかな・・・?」

ト「さ、さぁ・・・?」

ウェンディとトーヤは曖昧な笑みを浮かべる事しか出来なかった。
ポーリュシカだけすぐに薬の調合に励んでいた。

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ここは、とある空き家の地下室。
地下だから当然辺りは薄暗い。明かり、と呼べるものは宙に浮いた青白い光だけ。初めて見た者は火の玉だと思うかもしれないが、これは白く光り輝く電気魔水晶(エレキラクリマ)であり、宙に浮かせる為に球体の水の中に浮かしてるだけである。だから光が、青白く見えるのだ。
その電気魔水晶(エレキラクリマ)の明かりだけが頼りになる地下室に『謎の少女』はいた。木造の椅子に足を組んで腰掛けており、右手にはグラスに入ったワインをくるくると回している。グラスには注いでいるが、ワインは1口も飲んでいない。グラスに入ってるワインを見て、『謎の少女』は呟いた。

?「血・・みたいね。」

木造の机の上には彼女自身が開発した情報検索魔水晶(情報検索ラクリマ)が起動しており、『極悪十祭』の事が書かれているページが開かれていた。

?「『極悪十祭』まで、後どれくらいの時間が残っているかは分からないけど・・・」

そう言いながら『謎の少女』は、ワインが入ったグラスを机の上に置き、黒いフレスカートのポケットから5枚の写真を取り出した。

?「この子達は恐らく、死ぬ事はないはずよ。」

不気味に微笑んだ。
左から5枚の写真に写っているのは、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士、トーヤ、ユモ、マヤ、リョウ、ショールだった。
切れてしまっていて顔は写っていないが、トーヤの写真にはウェンディの長い青い髪の毛とシャルルの白くて長い尻尾、ユモの写真には白いロングコートを着たグレイの腕、マヤの写真にはナツの腕とハッピーの青くて長い尻尾とフレイの赤い翼、リョウの写真には右手の甲にピンク色の妖精の尻尾(フェアリーテイル)の紋章が刻まれたルーシィの右手、ショールの写真にはエルザの長い緋色の髪の毛が写っていた。

?「逆にこの子達が死んじゃったら、私が困るもの。だって・・・」

そこまで言うと写真を宙に放り投げ、どこからかナイフを5本取り出し、狙いもせずに投げた。『謎の少女』が投げた5本のナイフは宙に放り投げられた写真に突き刺さり、ズゴッ!ガンッ!という鈍い音を立てて壁に突き刺さった。

?「私が殺せなくなっちゃうじゃないの。」

そう言うと、『謎の少女』は首に提げていた銀色のひし形の形をしたロケットペンダントを外し、ひし形の中央を軽く押した。中には2人の少女の写真が入っていた。1人は青い髪に青い瞳の少女で、もう1人は赤い髪に赤い瞳の少女。

?「もうすぐ、もうすぐだから、待っててね・・・アン。」

一度ロケットペンダントを胸に抱いた後、『謎の少女』は、まるで何かに憑かれているかのように高らかに笑い叫んだ。
壁に突き刺さったマヤ達の写真―――、これが偶然なのか必然なのかは分からないが、5本のナイフが全て、写真に写っているマヤ達の心臓辺りに突き刺さっていた―――――。 
 

 
後書き
第186話終了で~す☆
えーっと、最後がものすごくシリアスになってしまった気がするのは私のきのせいだろうか・・・?
ところで、なぜ第4試合をまともに書かなかったかというと・・・理由は2つ!
・思いつかなかったから(流石駄作者紺碧の海)。
・一刻も早く第5試合を書きたかったから。
いい加減でスミマセン・・・
次回はいよいよ!妖精(ようせい)VS銀河(ぎんが)の因縁の対決が―――――!
次回見逃したら、いけないよっ☆ 

 

第187話 極悪なる空気と大地

 
前書き
紺碧の海で~す♪
今回は遂に!妖精(ようせい)銀河(ぎんが)の因縁の対決が幕を開ける―――!
ナレーション風に書いていきます。
それでは、第187話・・・スタート♪ 

 
会場は冷める気配を一切見せない歓声と興奮に包まれている。

チャ「さぁいよいよ、大魔闘演舞4日目バトルパート、最終試合の始まりですっ!」

チャパティ・ローラの実況が合図だったかのように、闘技場に2つのギルドの紋章が描かれた2本の旗が掲げられた。
これから対戦する、2つのギルドの魔道士達が会場に足を踏み入れた。

チャ「宣戦布告を出し合った現最強ギルドと、彼等を追いかける最強ギルドの因縁の対決!!」

大歓声が起こる。

チャ「妖精の尻尾(フェアリーテイル)、ナツ&リョウ!!VS銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)、コグレ&ナナヨ!!」

ナツがコグレを、リョウがナナヨを睨みつけ、コグレがナツを、ナナヨがリョウを見下すように見つめる。

チャ「現最強ギルドである妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士に、銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)最強の魔道士は勝つ事が出来るのか―――――!?」

ヤ「ナツ君、リョウ君、頑張れよ。」

ラ「ありがとうございます!!×10」

観客はもちろん、実況席にいるヤジマやラビアンも興奮している。
会場にいるナナヨが、自身の若葉色の髪の毛を指先に絡め、小さな口元からペロッと舌を出しながら口を開いた。

ナナ「動物使い(マヤ)星霊魔道士(ルーシィ)の仇を取る為には、絶好の組み合わせね。面白くなりそうじゃない♪」

コ「だが、アンタ等も動物使い(マヤ)星霊魔道士(ルーシィ)と同じ目に合わせてやるよ。“妖精(ようせい)は、広大な銀河(ぎんが)には勝てねぇ”さ。」

ナナヨに続くように、コグレも口を開いた。コグレの言葉に、リョウは口元に小さな笑みを浮かべると、

リョ「このバトルが終わったら、その言葉を言った事に後悔しやがれ。そしてその言葉、そっくりそのまま返してやる。“銀河(ぎんが)は、羽を広げた妖精(ようせい)には勝てねぇ”よ。」

余程自信があるのか、リョウは口元に浮かべた小さな笑みを崩す事無く断言した。
その隣で、ナツは会場に来る前にあった出来事の事を思い浮かべていた。

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マ「ナツーーー!」

名を呼ばれて、出る直前の所で足を止め振り向くと、医務室にいるはずのマヤが息を切らして立っていた。マヤは素足でここまで走って来たみたいだった。

リョ「見送りか、先行ってるぜ。」

リョウはそう言うとナツを置いて先に会場に向かった。

ナ「マヤ、お前・・医務室にいたんじゃ・・・?」

マ「えへへ、こっそり抜け出して来ちゃったんだ~♪」

マヤが医務室に戻ったら、まず間違いなくポーリュシカに怒られるだろう。それを承知の上で、マヤはここまで走って来た。

ナ「具合はどうだ?」

マ「ここまで全力疾走で来たからもうバッチリ!・・・って、そんな事はどうでもよくて、これから試合でしょ?」

ナ「だからここにいるんじゃねぇか。」

マ「あ、そっかぁ。」

会話が途切れた。
ナツとマヤの間に、しばらく沈黙が流れる。聞こえるのは2人の呼吸する音と、観客の大歓声だけ。

マ「ナツ―――、」

沈黙を破ったのはマヤだった。マヤの声を聞いてナツは顔を上げる。目の前には満面の笑みを浮かべたマヤがいた。

マ「頑張ってね。私、応援してるから。」

夕日色のマヤの髪が揺れる。

マ「それじゃっ!」

ナツの返答を待たずに、マヤは足早にその場を去って行った。ナツはマヤの後ろ姿が完全に見えなくなるまで、その場から1歩も動かなかった。

****************************************************************************************

ナツは口元に笑みを浮かべ、拳をギュッと固く握り締めると、

ナ「あぁ。必ず、勝ってみせる!」

聞こえるはずのない、マヤへの返答をした。

チャ「遂に激突の時が来た―――――!果たして、勝つのは妖精(ようせい)銀河(ぎんが)か!?」

マ「ナツ、頑張れ!」

ル「お願いね、リョウ。」

グ「ガツンとぶっかましてこい!」

ショ「俺達の分まで、全力でな。」

ウェ「応援してます!」

ハ「絶対勝てるよ。」

フ「あの2人なら、な。」

それぞれの想いは強く、温かく、大きな力になる。

チャ「因縁の対決、遂に開幕!間も無く、最終試合開始です!!」

4人の間に沈黙と緊張、そして想いが渦を描くように駆け巡る。

シ「真の最強はどちらなのか、それを力で確定させろ。」

マカ「仲間の想いを胸に、全力でやれ。後は何も言うまい。」

銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)のマスター・シルファと、妖精の尻尾(フェアリーテイル)のマスター・マカロフが言葉を紡いだ。

チャ「最終試合・・・開始ィッ!!」

チャパティ・ローラの実況と共に像の上にいる男が銅鑼をゴォォォォォン!!と力強く叩いた。遂に試合が始まった。

ナ「うぉおおおぉぉおおおおおっ!」

最初に先手を打ったのはナツだった。
灼熱の炎を纏った右拳を大きく振り上げコグレに殴り掛かる。コグレはナツの素早い攻撃に一切怯む事は無かった。コグレは右手を横に動かすと、それに添うように空気の渦が出来、ナツの炎を纏った拳が塞き止められた。

ナ「!?」

コ「驚いたか?」

その隣では、リョウが鞘から抜いた『銀覇剣』を構えたまま駆け出した。

リョ「竜桜切ッ!!」

リョウの背後に青い(ドラゴン)が浮かび上がり、ナナヨに『銀覇剣』を振りかざしたのと同時に(ドラゴン)は消え、桜の花びらが舞い散った。しかし―――、

ナナ「あら、聖剣(エクスカリバー)の実力はこんなものなの?」

リョ「!」

ナナヨは振りかざされた『銀覇剣』を()()()()()()右腕で受け止めていた。

コ「おらぁっ!」

ナ「ぐっ!」

ナナ「せいやっ!」

リョ「がっ!」

コグレの拳がナツの頬に、ナナヨの蹴りがリョウの顎に直撃する。

コ「今度はこっちから行くぜっ!」

そう言うとコグレは、両手に空気の渦を大量に纏い、空気の渦がバスケットボールぐらいの大きさになると両手に胸の前で合わせた。

コ「膨大空気(エア・スウェル)ッ!!」

コグレの両手で押し潰された空気は膨大な風圧を起こしナツとリョウを宙に吹き飛ばした。
それを待っていたかのように、ナナヨは宙にいるナツとリョウの足元まで来ると助走をつけて高く跳躍し、あっという間にナツとリョウと同じ高さまで来ると、

ナナ「岩石落下(フォール・ロック)ッ!!」

上に掲げた両腕を振り下ろした。すると、どこからか岩石が2つ出没し、ナツとリョウを押し潰すように落下し始めた。

チャ「あぁっと!まるで隕石のように岩石と共に一直線に落下するナツ選手とリョウ選手!このまま地面に叩きつけられてしまうのか―――――!?」

地面まで後数十mという位置で、1つの岩石が炎で粉々に砕け散り、1つの岩石が剣で細かく切り刻まれた。ナツとリョウは空中で体勢を立て直し、無事着地する。

ナ「ふぅ~、危ねぇ危ねぇ。」

リョ「思ってた以上にやるじゃねぇか。」

ナツは額に滲んだ汗を拭い、リョウは『天力剣』鞘から抜きながら言った。

コ「俺とナナヨ(天地)連係(コンビネーション)攻撃はこんなモンじゃないぜ。」

ナナ「もっとすごい連係(コンビネーション)攻撃だって出来るんだから。」

コグレがシャツの襟を立て直し、ナナヨが顔にかかった髪の毛を掃いながら言った。

ナ「だったら攻撃される前に倒さねぇとなっ!」

コ「うあっ!」

ナナ「あぐっ!」

隙を突いたナツの炎を纏った拳がコグレの右頬、ナナヨの左頬に直撃し無防備だった2人は数十m吹っ飛ぶ。
2人はすぐさま体勢を立て直し攻撃を仕掛けようとしたが、目の前に来たナツの顔に驚きその動きを一瞬だけ止めてしまった。その一瞬の隙に、ナツは右手でコグレの顔を、左手でナナヨの顔を鷲掴みにすると、

ナ「火竜の・・・翼撃ッ!!」

炎を纏った両腕を大きく振るった。コグレとナナヨは何も出来ずに後方に無様な格好で吹っ飛ぶ。

ナ「リョウ!」

ナツが首だけを動かし叫ぶ。それを待っていたかのように、リョウは自分の方に吹っ飛んで来たコグレとナナヨをちらっと一瞬だけ見ると、

リョ「2剣流・・・天翔切ッ!!」

コ「グォアアァアッ!」

ナナ「キャアァァアアッ!」

赤い光を放った『銀覇剣』と『天力剣』を同時に大きく振るった。斬られたコグレとナナヨはドサッ、ドサァと音を立てて倒れた。

チャ「こ・・これは何とっ!あの銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)最強の魔道士であるコグレとナナヨが押されているーーーーーっ!?」

チャパティ・ローラの驚嘆の声が会場に響き渡る。ふらつきながらも、すでに傷だらけのコグレとナナヨは立ち上がる。そんな2人とは裏腹にナツとリョウはまだ目立つ傷も負っていなく、2人が立ち上がっている最中も身構えている。ここでリョウは鞘から『嵐真剣』を抜き取り口に銜えた。

コ「流石現最強ギルドだな。こんな乱暴な炎を食らったのは、生まれて始めてだ。」

ナナ「見事な剣裁き・・・恐るべし、聖十大魔道。」

コグレが口の血を、ナナヨが左頬の血を手の甲で拭いながら言った。

リョ「御託はいらねぇ。それに、俺より強い聖十大魔道が大魔闘演舞(ここ)に出場しているのを忘れるなよ。」

リョウは恐らく、蛇姫の鱗(ラミアスケイル)のジュラの事を言っているのだろう。

ナ「お前等、その程度の力で本当にギルド最強なのか?俺にはそうとは思えねぇんだけどよ・・・」

ナツがコグレとナナヨと戦ってみて感じた事を正直に述べる。

コ「俺もナナヨも、まだ「本気」の「ほ」の字も出してねぇよ。逆にこれっぽちの力でやられるアンタ等じゃねぇはずだ。」

ナナ「大丈夫。今から私の大地体(グラウンドボディ)と、コグレの天空体(エアボディ)の本気を見せてあげるわ。」

天空体(エアボディ)大地体(グラウンドボディ)。これがコグレとナナヨの魔法だ。

ル「天空体(エアボディ)大地体(グラウンドボディ)?」

ショ「能力系(アビリティ系)の魔法で、コグレとナナヨの場合自身の体を空気と土に変えたり、空気や土を体に纏ったり、空気や土などを操る事が出来るんだ。空気や土だけでなく、炎や電気、水や闇の場合もあるんだ。」

ルーシィの問いにショールが答えた。
天空体(エアボディ)大地体(グラウンドボディ)の本気とは如何なるものか―――――?ゴクリとナツの喉がなる。

コ「極悪なる天空(エア・ヴィシャス)。」

ナナ「極悪なる大地(グラウンド・ヴィシャス)。」

ナ&リョ「!」

異変に気づいたナツとリョウは咄嗟に身構えた。コグレとナナヨは不敵に微笑んでいるだけ。

エ「何だ・・・?」

ユ「空気と大地が・・・震えてる。」

異変に気づいたエルザとユモが会場に目を見張った。
この異変は魔道士でない人には非常に分かりにくい異変だった。だから観客のほとんどは何が変わったのか分からなかった。

ナ「・・何だ、この異様な感じ・・・?」

リョ「空気と大地が・・・震えて、る・・・・?」

コ「ピンポーン!その通りだ。」

ナナ「会場の空気と大地の“質”を普通(ミドル)から極悪(ヴィシャス)に変えたのよ。」

コ「この効果により、俺達の魔力は増幅し、攻撃守備の威力が上がるんだっ!」

ナ「ぐぁあっ!」

リョ「ナツ!」

ナナ「よそ見してると危ないわよ。」

リョ「うごぁっ!」

空気を纏ったコグレの蹴りがナツの左肩に、土を纏ったナナヨの拳がリョウの顎に直撃する。

ト「いきなりパワーアップしましたよっ!?」

ハ「ナツー!負けるなー!頑張れー!」

レ「リョウ!頑張ってぇ!!」

医務室でトーヤが驚嘆の声を上げ、応援席からハッピーとルーシィが声を荒げる。

グ「あれがコグレとナナヨ(アイツ等)の必勝パターンっつー訳か。」

エ「そのようだな。」

ユ「でも、その必勝パターン・・・あれだけじゃ、ないと思う。」

待機場所にいるグレイ、エルザ、ユモの3人は冷や汗を流した。

ナ「火竜の・・・鉤爪ッ!!」

リョ「3剣流・・・銀天嵐切ッ!!」

ナツが炎を纏った足を、リョウが3本の聖剣(エクスカリバー)を振るう。しかし―――――、

ナナ「極悪なる大地の盾(ヴィシャスグラウンド・シールド)ッ!!」

ナナヨが両腕を下から上に持ち上げるように動かすと、会場の地面の形が崩れナナヨの腕の動きに合わせるように土が下から上に持ち上げるように動きナナヨとコグレの(シールド)となりナツとリョウの攻撃から身を守った。

コ「極悪なる空気の刃(ヴィシャスエア・ブレイド)ッ!!」

ナ「ぐああぁあぁあああっ!」

リョ「うぁああぁぁあああっ!」

ナナヨが攻撃から身を守ってくれてる間に、コグレはナツとリョウの背後に周り込むと、両手に纏った鋭い空気をナツとリョウの無防備な背中に向かって投げつけた。

マ「ナツ!」

ウェ「リョウさん!」

シャ「コグレとナナヨ(アイツ等)に・・・隙が無い。」

医務室にいるマヤとウェンディが声を荒げ、シャルルが奥歯を噛み締め呟いた。

コ「銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)はずっと、最強になる事を夢見てきたっ!その夢が今、叶う時なんだっ!!」

ナナ「極悪なる大地の束縛(ヴィシャスグラウンド・ボンテージ)ッ!!」

ナ「うおっ!」

リョ「くっ!」

ナナヨが両腕を横に大きく広げると、会場の地面の形が崩れナツとリョウの足を沈めさせるとその状態のまま土は固まった。

ナナ「極悪なる大地は捕らえた者の体の自由を奪い取るっ!」

足が地面に埋まった状態のナツとリョウの体は動かなくなっていた。

ショ「動きを封じたって事か。」

ショールが苦々しそうに唇を噛み締める。

ナナ「コグレ!」

ナナヨが叫ぶ。
それを待っていたかのようにコグレは右手を固く握り締めた。そして―――――、

コ「極悪なる空気の爆発(ヴィシャスエア・バースト)ッ!!」

握り締めた拳を開いたのと同時に、動きを封じられたナツとリョウの周りの空気が激しく爆発した。
砂煙が舞い、ナツとリョウの様子を確認する事が出来ない。

コ「やったな。」

ナナ「勝負アリね。」

コグレとナナヨは確信したようにお互い頷き合った。その時―――――、バフッ!ボフッ!という音がコグレとナナヨの頭上で聞こえた。驚いて視線を移すと、砂煙の中から2人の妖精(ようせい)が飛び出していた。

チャ「無事だーーーっ!ナツ選手リョウ選手、共に無事だーーーーーっ!」

観全「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!」

大歓声が起こる。

ナナ「う・・嘘・・・そんな・・・!」

コ「身動きが出来ない状態の中、あの爆発から、どうやって・・・?」

コグレとナナヨは目を見開いて唖然としていた。

ナ「あんなの、焼き消せばいいだけだ。手は動かせなくても、埋まってた足は動いたからな。」

コグレの問いに答えるようにナツが口を開いた。ナツの両手に紅蓮の炎が纏わり付く。

リョ「お前等の連係(コンビネーション)攻撃、正直なかなかだと思うぜ。でも、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士には、あんな小細工一切効かねぇよ。」

ナツに続くようにリョウも口を開いた。3本の聖剣(エクスカリバー)の銀色の刃が太陽の光に反射してキラリと光る。
ナツとリョウがコグレとナナヨの目の前に着地した。

ナ&リョ「妖精の尻尾(フェアリーテイル)を舐めんじゃねぇぞっ!!」

コ「ごはっ!」

ナナ「ガハッ!」

ナツの炎を纏った拳がコグレの顔面に、リョウが聖剣(エクスカリバー)でナナヨの体を右斜め上から斬りつける。

ナ「うぉらぁっ!」

コ「ぐはっ!」

リョ「オラァッ!」

ナナ「キャアァアッ!」

ナツとリョウの攻撃は止まらない。コグレとナナヨの体には、次々と傷が刻まれていく。

キ「コグレ、さん・・・」

カ「ナ、ナナヨ・・さん・・・」

レ「あの2人が、押されてる・・・」

銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)の待機場所にいるキース、カオリ、レヴルは信じられないものを見たような顔をして、目は瞬き一つせず、会場に釘付けになってしまっている。

ヤ「ウム・・・・格が違いすぎる。」

実況席からバトルの様子をずっと見ていたヤジマが小さく呟いた。

チャ「銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)の最強コンビであるコグレとナナヨが、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の前に手も足も出ないっ!このまま試合終了となってしまうのかーーーーーっ!?」

コグレとナナヨはボロボロになった体で必死に立ち上がる。

コ「・・じょ、冗談じゃ、ねぇ・・・俺、達は・・最強を目指す、ギルドに・・・属して、るんだ・・・・!」

ナナ「こんな、ところで・・・負け、て・・なんか、いられ・・・ないのよっ!」

ナ&リョ「!!?」

顔を上げたコグレとナナヨの瞳を見て、ナツとリョウは目を見開いた。
コグレの瞳は青色、ナナヨの瞳はオレンジ色のはずなのだが、顔を上げたのと同時に、コグレは左目、ナナヨは右目が赤黒く染まっていた。

カ「ひゃあっ!」

カオリはコグレとナナヨの目を見て小さく悲鳴を上げ、顔を隣にいたレヴルの左肩にうずめた。レヴルはそっと右手で小刻みに震えているカオリの肩を抱いた。

レ「何度見ても、あの色は不気味だな・・・」

キ「あぁ。怒り狂ったコグレさんとナナヨさんは肩目だけがあんな色に染まる。それと同時に、地獄の戦闘舞台芸能(バトルショー)の開幕だ。」

レヴル、キースが続けて言う。

カ「もぅ・・妖精の尻尾(フェアリーテイル)に勝ち目は無い。あぁなってしまったコグレさんとナナヨさんは、もぅ・・・誰も、敵わない。誰にも、止められない・・・・」

レヴルの左肩に顔をうずめたままカオリが呟いた。

ナ「な・・何だ、この魔力・・・?」

リョ「不気味だな、おい。」

ナツとリョウも思わず顔を顰める。
すると、コグレとナナヨがものすごい速さでナツとリョウの目の前に来ると、

ナ「うぶっ!」

リョ「ぐわばっ!」

コグレの拳がナツの鳩尾に、ナナヨの右足の踵がリョウの頭に直撃する。

エ「ナツ!」

ト「リョウさん!」

フ「な・・何だ今の・・・?」

ユ「速すぎて、目で追いつけなかった・・・」

ハ「人間離れの速度(スピード)だったよ・・・」

エルザとトーヤが声を荒げ、フレイとユモとハッピーが目を見開き呟いた。

コ「はァッ!」

ナ「うぎぃっ!」

ナナ「やァッ!」

リョ「ぐはっ!」

コグレの左足がナツの顔面に、ナナヨの拳がリョウの鳩尾に直撃する。

シャ「ど・・どうなってるの・・・?」

ル「ていうか何あの目!?」

マ「さっきまで普通の青とオレンジ色だったよっ!?」

ルーシィとマヤが赤黒く染まったコグレとナナヨの片目を見て表情を変える。

グ「何かに取り憑かれた・・・って訳でもないみたいだな。」

ウェ「誰かに操られてる・・・って事でもなさそうですし・・・・」

ショ「・・・嫌な予感がする。」

ショールの頬を一筋の冷や汗が流れ落ちた。

リョ「っ・・・!」

リョウが声にならない呻き声を上げた。今のナナヨの攻撃で、塞がりかけていた腹部の傷が開いてしまった。

リョ「(くそっ・・!こんな重大な時に・・・!)」

痛みに耐えながら右手に持った『銀覇剣』を地面に刺して支えのようにして呼吸を整える。幸いナツもコグレもナナヨも、待機場所にいるグレイもユモもエルザも、応援席にいるルーシィもショールもハッピーも他のメンバーも、(恐らく)医務室にいるマヤもフレイもウェンディもシャルルもトーヤもポーリュシカも気づいていない。

リョ「(とにかく、誰にも気づかれないようにしねぇと・・・特に、コグレとナナヨ(コイツ等)には・・・・!)」

リョウは傷の事がばれたら、その傷を急所として狙ってくるに違いないと判断したのだろう。

コ「さぁて、そろそろ始めるとするか。」

ナナ「天空と大地の、地獄の戦闘舞台芸能(バトルショー)を―――――。」

コグレとナナヨが不敵に微笑んだ。赤黒く染まったコグレとナナヨの片目が不気味に怪しく光った。 
 

 
後書き
第187話終了~♪
書きながら思った事、この4人、強すぎる・・・!
次回は妖精(ようせい)VS銀河(ぎんが)、遂に決着!果たして、勝利の女神が微笑むのはいったいどっちだっ!?
次回も見逃したら、いけないよ~♪ 

 

第188話 KOGUREとNANAYO

 
前書き
紺碧の海だZ!
今回は妖精(ようせい)VS銀河(ぎんが)の戦い決着の時!そして、コグレとナナヨの意外な正体が明らかになるっ!?果たして、勝利の女神が微笑むのはいったいどっちだ―――――!?
ナレーション風に書いていきます。
それでは、第188話・・・スタート! 

 
コ「さぁて、そろそろ始めるとするか。」

ナナ「天空と大地の、地獄の戦闘舞台芸能(バトルショー)を―――――。」

妖精(ようせい)銀河(ぎんが)の間に緊張が走る。ナツの頬を冷や汗が伝い、リョウの喉がゴクリと鳴る。
すると、コグレが右手を、ナナヨが左手をスゥと動かし、2人同時に指をパチン!と鳴らした。すると、ナツとリョウを取り囲むように空中に無数の空気と土の球体が現れた。

コ「極悪なる空気の球体破裂(ヴィシャスエアボール・バースト)ッ!」

ナナ「極悪なる大地の球体破裂(ヴィシャスグラウンドボール・バースト)ッ!」

コグレとナナヨが叫んだのと同時に、無数の空気と大地の球体が一斉に音を立てて破裂した。

ナ「ぐぁあっ!」

リョ「うぉあっ!」

ナツとリョウは顔の前で両手をクロスさせ、損害(ダメージ)を最小限に抑えたが、球体の数が多い為、頬や腕、足などに切り傷を負った。

ナ「火竜の・・・鉄拳ッ!!」

右手に炎を纏ったナツがすぐさまコグレに攻撃を仕掛けるが、

コ「極悪なる空気の鉄壁(ヴィシャスエア・ミュール)ッ!」

鉄のように硬い空気の壁でナツの攻撃を防いだ。

ナナ「極悪なる大地の金剛腕(ヴィシャスグラウンド・ダイヤモンドアーム)ッ!」

ナ「うがっ!」

ナツがコグレに攻撃を仕掛けている隙に、ナナヨがナツの背後に周り込み、その無防備な背中に金剛石(ダイヤモンド)のように硬い土に覆われた腕で思いっきり殴る。
そのナナヨの背後に、3本の聖剣(エクスカリバー)を持ったリョウが周り込むと、

リョ「3剣流・・・銀天嵐切ッ!!」

3本の聖剣(エクスカリバー)を思いっきり振り下ろした。が、右手を横に広げながらナナヨが振向き、剣先が直撃する直前、

ナナ「極悪なる大地の金剛壁(ヴィシャスグラウンド・ダイヤモンドウォール)ッ!」

リョ「チッ。」

ナナヨの横に広げた右手の動きに添って、会場の地面が形を崩し、金剛石(ダイヤモンド)のように硬い壁でリョウの攻撃から身を守った。
リョウは小さく舌打ちをした後、コグレとナナヨから距離を取り、右手の親指と人差し指の間に『銀覇剣』を挟んで持ち、口に銜えていた『嵐真剣』を右手の人差し指と中指の間に挟んで持ち、左手の親指と人差し指の間に『天力剣』を挟んで持った。
そして、4本目の聖剣(エクスカリバー)幸福の花(ハピネスフラワー)のギルドマスター・アカネから受け取り、ユリの形見である『花錦剣』を鞘から抜き取り、左手の人差し指と中指の間に挟んで持った。

リョ「な、何とっ!聖十のリョウ、4本目の聖剣(エクスカリバー)を鞘から抜いたーーーーーっ!」

実況席から身を乗り出し、チャパティ・ローラが叫ぶ。

メ「抜きましたね。」

マカ「抜きましたのぉ~。」

妖精の尻尾(フェアリーテイル)の応援席でメイビスとマカロフが呟いた。

フ「マジかよっ!?」

ショ「4本目、か・・・あのリョウでも、聖剣(エクスカリバー)3本だけじゃ勝てないって判断したんだろうな・・・・」

ル「・・・リョウ。」

フレイが驚嘆の声を上げ、ショールが苦々しく呟き、ルーシィはゆっくりと目を閉じ、胸の前で両手を祈るように組み、心底心配そうに“リョウ”の名を小さく呟いた。

リョ「(・・・悔しいけど、聖剣(エクスカリバー)3本だけじゃ、コグレとナナヨ(アイツ等)には勝てねぇ。今回初めて使うし、上手く使いこなせねぇかもしれねぇけど・・・やるしかねぇんだ!)」

4本の聖剣(エクスカリバー)を構える。

リョ「(力を貸してくれ、フラワー!ユリ!)」

小さく地を蹴り駆け出した。

コ「聖剣(エクスカリバー)の数を増やしたくらいで、俺とナナヨは倒せねぇぜっ!」

向かい打つように、コグレとナナヨも同時に小さく地を蹴り駆け出した。
駆け出しながらコグレとナナヨは両手に空気と土の渦を纏うと、

コ「極悪なる空気の夜想曲(ヴィシャスエア・ノクターン)ッ!」

ナナ「極悪なる大地の前奏曲(ヴィシャスグラウンド・プレリュード)ッ!」

2人同時に空気と大地の竜巻を起こす。2つの竜巻は蛇行しながらリョウ目掛けて飛んでいく。が、リョウは2人の攻撃に一切怯む事無く、茶色がかった吊り目を更に吊り上げ、視界に2つの竜巻の動きを捉え、脳内に竜巻の動きのタイミングを見計らうと、

リョ「ふん!」

ステップを踏むような軽い動きでコグレとナナヨの攻撃をかわした。

コ「なっ・・・!?」

ナナ「かわしたぁっ!?」

コグレとナナヨは駆け出すのを止め、その場で立ち止まり戸惑い始める。リョウはそんな2人も視界に捉えると、

リョ「4剣流・・・」

右手に『銀覇剣』と『嵐真剣』、左手に『天力剣』と『花錦剣』を持った両手を横に大きく広げると、

リョ「百合一閃ッ!!!」

横に大きく広げた両手をクロスさせるように動かす。4本の聖剣(エクスカリバー)の剣先の動きに添って、4本の眩い淡い白い閃光が輝き、コグレとナナヨを斬りつけたのと同時に、4本の閃光が白い百合の花の花弁になって舞い散った。
斬りつけられたコグレとナナヨの体は宙高く飛び上がる。

リョ「ナツゥ!」

ナ「おう!」

それを待っていたかのように、ナツが助走をつけて、コグレとナナヨの頭上まで跳躍した。コグレは青と赤黒い瞳、ナナヨはオレンジと赤黒い瞳を見開いた。ナツはニィッと口角を上げてほんの一瞬だけ笑うと、

ナ「滅竜奥義・・・」

握り締めた拳に紅蓮の炎を纏い、拳をコグレとナナヨに向かって勢いよく振り下ろす。その姿は(ドラゴン)そのもの―――――。

ナ「紅蓮爆炎刃ッ!!!」

炎を纏った拳でコグレとナナヨを思いっきり殴りつける。コグレとナナヨの体は空中から会場の地面へと真っ逆さまに落ちていき、ドガガガガガァァァン!と凄まじい音を立てて会場の床を貫いた。

ハ「うわーーーっ!」

シャ「なっ・・なっ・・なっ・・・!」

ユ「か・・会場の、床が・・・!」

ウェ「ほ・・崩壊・・・」

マ「・・す、すごい・・・!」

コグレとナナヨの体は瓦礫と共に会場の地下へと落ちてゆく。ナツとリョウも追いかけるように会場の地下へと飛び降りた。

ヤ「スさまズィ威力だったねぇ。」

ラ「何たる大騒動!ありがとうございます!」

チャ「し・・試合は続行されます!会場の皆さんは、映像魔水晶(映像ラクリマ)にてお楽しみ下さい。」

チャパティ・ローラの実況と共に、誰もいなくなった会場の上空に6つの映像魔水晶(映像ラクリマ)の地下の映像が映し出された。





コグレとナナヨを追いかけて地下へと飛び降りたナツとリョウは無事着地。地下は薄暗く、射し込む光は崩壊した会場からの太陽の光だけ。

リョ「ぅ・・くっ・・・!」

ナ「!」

突然隣で苦しそうに腹部を押さえて呻き声を出すリョウを見てナツは目を見開いた。
肩膝を着いているリョウが着ている緑色の着物の腹部辺りと、腹部を押さえているリョウの右手が真っ赤に染まっていたからだ。

ナ「お・・お前!まさか・・・傷口が開い―――――むぐっ!」

「開いちまった」と言おうとしたナツの口をリョウが血で汚れていない左手で塞ぐ。

リョ「先に言っとくが・・・俺はこのまま、戦う!」

自分の口を塞いでいるリョウの左手を剥ぎ取り、一度深呼吸をすると、

ナ「な、何言ってんだよっ!?戦って、これ以上傷口が開いたら、お前―――――・・・」

リョ「・・・・・」

ナツはそれ以上何も言わなかったが、ナツが何を言おうとしていたのか理解出来ていたリョウも何も言わず、ただ唇を噛み締めるだけだった。

ナ「と、とにかく!お前は絶対、これ以上戦うなっ!ここで大人しく休ん―――――」

コ「なる・・ほど、な・・・」

ナ&リョ「!」

「休んでろ」と言おうとしたナツを遮ったのはリョウではない。声がした方に視線を移すと、傷だらけでよろよろと立ち上がるコグレとナナヨがいた。2人とも顔を伏せており、表情がよく分からない。

ナナ「リョウ・・ジェノロは・・・怪我を、している・・・・そこを、徹底的に、狙えば・・・リョウ・・ジェノロを・・・倒せるっ!」

ナ&リョ「!!?」

顔を上げたコグレとナナヨを見て、ナツとリョウは目を見開き、言葉を失い息を呑んだ。
そこにいるのは間違いなくコグレとナナヨだった。が、2人は傷だらけなのに一切血を流していなかった。頭からも腕からも、頬からも、足からも・・・一滴たりとも、流していなかったのだ。代わりに傷口から流れていたのは―――――、

―――――()()()()()()()()()

それだけじゃない。

よく見ると、コグレとナナヨの傷口から()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()の端がちらりと傷口から覗いていた。

チャ「な・・ななな・・・何だあれはーーーーーっ!?コグレ選手とナナヨ選手の体から、妙な物が出ているーーーーーっ!!?」

チャパティ・ローラは目を丸くして実況をする。

エ「な・・何なんだ、あれは・・・?」

グ「気味悪ィな。」

ト「ど・・どう見ても考えても、可笑しすぎますよ・・・」

人間の体内には絶対に存在しない物が、コグレとナナヨの体内にはある。
この事から連想出来る事は、ただ1つ―――――。










ナ「お、お前等は・・・()()()()()()、のか・・・・?」










()()()()()()コグレとナナヨから目を離す事無く、ナツは瞬き一つせず小さく呟いた。
コグレは口、ナナヨは頬から流れている機械油を手の甲で拭いながら、赤黒く染まった両目でナツとリョウを見つめ、口を三日月のような形にして不気味に微笑んだ。





キ「コグレさんとナナヨさんは、銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)のギルドマスター・シルファさんが造った“究極の魔道士アンドロイド”、KO()GU()RE()NA()NA()YO()。」

カ「シルファさんは、恨みがある妖精の尻尾(フェアリーテイル)の最強チームの方達に復讐をする為、手始めにKO()GU()RE()NA()NA()YO()を造り上げた。そして、シルファさんは天才的な頭脳を誇る発明家。」

レ「でも、“シルファ”は偽名で、本名は―――――、ジョニー・メカ。」

カ「ジョニー・メカは妖精の尻尾(フェアリーテイル)の最強チームの方達に復讐する為に、銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)のギルドマスターと成りすまして、復讐の時を窺っていた。」

キ「俺達銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)の魔道士は、ジョニー・メカの言いなりになってただけなんだ。確かに、実力も妖精の尻尾(フェアリーテイル)と並ぶけど・・・でも!「妖精の尻尾(フェアリーテイル)を潰したい」という感情は誰一人として持っていない!これも全て・・・ジョニー・メカの仕業なんだっ!」





まだ驚きを隠す事が出来ないナツとリョウはその場に呆然と立ち尽くしている事しか出来なかった。

コ「その通り。俺とナナヨは人間じゃねぇ。天才的な頭脳を誇る発明家、ジョニー・メカ様によって造られた“究極の魔道士アンドロイド”さ。」

口から機械油を流しながらコグレが言う。

ナ「ジョニー・メカ・・・あれ?どっかで聞いた事があるようなないような・・・?」

ナツは首を傾げ、頭を掻きながら記憶を手繰り寄せるが思い出せないようだ。

リョ「闇ギルド、科学の世界(サイエンスワールド)のギルドマスターだ。お前が戦った相手だろ?何で覚えてねぇんだよ。」

ナ「おぉそうだっ!アイツ、マヤの魔力を奪おうとしたんだ。だぁーーーーーっ!あのぐるぐる眼鏡野朗!思い出しただけでめちゃくちゃ腹が立ってきたーーーーーっ!!」

リョウの言葉でようやく思い出したナツは、マヤの魔力を奪おうとして卑怯な手ばかり使ったジョニー・メカの顔を思い出して口から炎を出しながら怒鳴る。

リョ「落ち着けよナツ。で、お前等2人はジョニー・メカ(アイツ)に造られた“究極の魔道士アンドロイド”って訳か。恐らく理由は、あん時の復讐の為だな。」

リョウは腹部の傷口を押さえながら立ち上がる。

ナナ「その通り。そこまで分かっているなら話は早いわ。復讐の内容は、『妖精の尻尾(フェアリーテイル)の最強チームの人間を殺す』。だから、まずはあなたから殺してあげるわっ!」

コ「おらァッ!」

リョ「ぐぁあっ!」

ナ「リョウ!」

コグレの飛び蹴りがリョウの傷口に直撃し、リョウは口から血を吐き出す。

ナナ「極悪なる大地の大剣(ヴィシャスグラウンド・シーカ)ッ!」

リョ「ああああああっ!」

ナナヨの手に巨大な土の剣が握られ土の剣を振り下ろされリョウの左肩から血が噴出す。

ナ「おいぃ!何でリョウばっか狙うんだよっ!?俺も最強チームの1人だっ!」

ナツは拳に炎を纏いナナヨに殴り掛かるが、横から入って来たコグレに空気を纏った両手で受け止められ邪魔される。

コ「コイツはすでに怪我を負っててボロボロだ。先に片付けておいた方が楽なんだよ。」

ナ「てめェ等ァッ!!」

ナツの堪忍袋の緒が切れ、足に炎を纏いコグレの鳩尾に蹴りを食らわせようとするが、

コ「極悪なる空気の領域(ヴィシャスエア・テリトリー)ッ!」

ナ「うぎゃっ!」

ドーム型をした見えない空気の領域(テリトリー)に囲まれ閉じ込められる。

ナ「いてて・・・こんなモン、ぶっ壊してやるっ!」

そう言いながら右手に炎を纏う。が、ふしゅぅと音を立てて炎が消えた。

ナ「なっ!?」

コ「領域(テリトリー)の中では魔法は使えねぇよ。だから、リョウ・ジェノロが死ぬまで、お前はそこから出る事は出来ねぇんだよ!」

ナナ「極悪なる大地の金剛爪(ヴィシャスグラウンド・ダイヤモンドクロー)ッ!」

リョ「ぐぉああぁあぁぁあああっ!」

ナツが身動き出来ない中、ナナヨは金剛石(ダイヤモンド)のように硬い土の爪でリョウの体に傷を刻む。

コ「極悪なる空気の砲撃(ヴィシャスエア・キャノン)ッ!」

ナナヨに続くようにコグレも、空気の渦で出来た大砲を構え、巨大な空気の砲弾を撃つ。
傷だらけで血を流し、足元がふらついているリョウは受け止める事はもちろん、かわす事も、聖剣(エクスカリバー)で砲弾を刻む事も出来ず、

リョ「うぐぁぁあああぁぁあぁあああああっ!」

まともに食らう事しか出来ないのだ。地下の柱を5~6本破壊しながら傷だらけの体には傷が刻まれ血を流し、遠くまで吹っ飛ぶ。

コ「羽をもがれた妖精(ようせい)の辿り着く場所は、暗黒に包まれし地獄の世界だっ!」

コグレは笑い叫びながらナツにそう言い残すと、ナナヨと共に遠くまで吹っ飛ばされたリョウを追いかけて行ってしまった。

ナ「くっそォ・・・!」

ナツはただ、身動きが取れない場所で眺める事しか出来ないでいた。





映像魔水晶(映像ラクリマ)で試合の様子を見ている観客の間では、もう歓喜も興奮も冷めていた。
映像に映るのは傷だらけで血を流し、荒く呼吸をしている、ボロボロになってしまった醜い妖精(ようせい)の姿―――――。

ル「もう止めてぇっ!リョウが・・・リョウが、死んじゃう・・・・・」

茶色い瞳から大粒の涙を流しながら、ルーシィは地下に向かって叫ぶ。

マ「こらァナツ!そんな所で何やってるのっ!?早くそこから出て、コグレとナナヨ(アイツ等)を倒してよっ!じゃないと、リョウが死んじゃうじゃん!」

医務室のベッドから起き上がり、夕日色の髪の毛を揺らしながらマヤが映像に向かって叫ぶ。

グ「情けねぇな。お前等2人がそう簡単にへし折れてどうすんだよっ!」

ウェ「まだ終わってません!最後の最後まで、戦って下さい!」

エ「ナツ!リョウ!お前達は、仲間の期待を裏切るつもりかっ!」

フ「アンドロイドなんかに負けんじゃねーよっ!」

ト「リョウさん!意識をしっかり、聖剣(エクスカリバー)を構えて下さい!」

ハ「ナツー!炎が空気になんか負けたらダメだよーーーっ!」

シャ「もしも私達仲間の声が聞こえてたら、きちんとそれに応えなさいよっ!」

ユ「お願い!!ナツ!リョウ!」

ショ「皆見てるっ!仲間が・・・見守っている!」

思い思いの言葉を紡ぎ、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の現ギルドマスター・マカロフが手を動かした。それを見た仲間達も一斉に手を動かした。
右手の親指と人差し指だけを立て、人差し指を天に指す―――――。
まるで、それぞれの想いをナツとリョウに届けるように―――――。





リョ「ハァ・・・ハァ・・・・ハァ・・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・・ハァ・・・・」

瓦礫に背中を預け、荒く呼吸をしながらリョウは意識を保つ。

コ「しぶてぇ命だな。あんだけ魔法を食らったら、普通はもう死んでるはずなのに・・・」

ナナ「だんだん、私達の魔力も少なくなってきてるから、そろそろ死んでくれればありがたいんだけどね。」

コグレとナナヨも魔力をかなり消耗したのか、肩で大きく息をしている。

リョ「・・・・・・か・・・」

ナナ「え?よく聞こえなかったわ。」

コ「別に良いじゃねぇか。もうすぐ死ぬ人間の言葉をわざわざ聞かな―――――」

リョ「殺せるのか?って聞いたんだ・・・ハァ、ハァ・・ハァ。」

コ&ナナ「!!?」

今度はハッキリと聞こえたリョウの声にコグレとナナヨは耳を疑い、目の前にいるリョウに視線を移す。リョウは聖剣(エクスカリバー)を支えにしながらゆっくりと立ち上がる。傷だらけでもう立っているだけでも辛いはずなのに、リョウの両足は一切ふらつかず、しっかりと地面を踏みしめてその場に立っていた。

リョ「もう一度聞く。俺を・・・いや、俺達を殺せるのか?」

淡々とした声でリョウがもう一度問い掛ける。呼吸も大分落ち着いたようだ。

コ「と、当然だろ。特にお前、こんなボロボロになった人間1人殺せないようじゃ、俺達の名誉が傷つくからな。」

ナナ「大丈夫。殺すのはあなただけじゃない、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の最強チームの人間全員だから。1人残らず殺―――――」

リョ「言ったはずだぜ。」

コ&ナナ「!!?」

「殺すから」と言おうとしたナナヨの言葉を遮り、リョウは口元に笑みを浮かばせると、右手で器用に5本目の聖剣(エクスカリバー)、『妖魔剣』を鞘から抜くと口に銜えた。

リョ「“銀河(ぎんが)は、羽を広げた妖精(ようせい)には勝てねぇ”ってな。」

『妖魔剣』を銜えたまま、白い歯を見せてリョウは笑った。が、すぐに笑みを消し、両手に持った4本の聖剣(エクスカリバー)を構えると、

リョ「5剣流・・・怪魔神切ッ!!」

邪悪な雰囲気(オーラ)を纏った聖剣(エクスカリバー)を振りかざす。

コ&ナナ「極悪なる空気と大地の城壁(ヴィシャスエアグラウンド・ランパード)ッ!!」

空気と大地が合わさった城壁でリョウの攻撃から身を守る。

コ「いくら聖十大魔道でも、そのボロボロな体では俺達を倒す事は出来ねぇぜっ!」

ナナ「早く死んだ方がましよっ!」

コグレとナナヨは得意げに言う。が、リョウはニィッと口角を上げて笑うと、

リョ「別に倒す必要はねぇ。俺は今、お前等の足止めをしてるだけだっ!」

コ「は?」

ナナ「何言って―――――!」

背後から気配を感じたコグレとナナヨは咄嗟に後ろを振向いた。が、遅かった。2人の目の前には体全身に炎を纏ったナツが自分達目掛けて飛んで来る直前だった。

ナ「火竜の・・・剣角ッ!!」

コ「イギィイッ!」

ナナ「キャアァァアアッ!」

2人の無防備だった背中に強烈な一撃を食らわせた。コグレとナナヨは無様に吹っ飛び、瓦礫の山に突っ込んで行った。

ナ「領域(テリトリー)だっけな?魔法は使えないけど、使わなかったらパンチ100発くらいでぶっ壊れたぞ。」

鼻の下を擦りながらナツは得意げに言うと、傷だらけで今にも倒れてしまいそうな状態であるリョウの元に駆け寄った。

ナ「おいリョウ、大丈夫か?」

リョ「大丈夫・・・って言いてぇとこだが、その真逆だ。正直、もう限界を超してんだ・・・・アハハハ・・・いてて。」

リョウは必死に笑みを浮かべようと頑張るが体全身に響く痛みで顔が引き攣り上手く笑えていない。

リョ「本当は、お前なんかにやらせたくなかったけどよ・・・こんな状態じゃ無理だからな。ナツ、アイツ等に止めを刺すのはお前に任せる。」

ナ「言われなくても最初からそうする気だったぜ、俺は。」

リョ「ひでぇな、おい。」

返ってきたナツの返答にツッコミながら引き攣った苦笑いを浮かべる。

リョ「ただし、止めを刺す前に、俺に一撃食らわさせろ。アイツ等に仕返ししねぇと、気が済まねぇんだよ。」

傷と血だらけの手で、聖剣(エクスカリバー)をギュッと握り締める。

ナ「んじゃあ、その時になったらお前の事呼んでやるから、それまで気絶とかしたりすんなよ。」

リョ「お前こそ、その事忘れて1人で倒すんじゃねぇぞ。」

ナ「おう!」

そんな会話をしている間に、コグレとナナヨは瓦礫の下から這い出て来ていた。傷は更に増え、機械油が傷口から溢れ出し、銅線とカラーケーブルが切れてしまっている。

コ「・・こ、こんな・・・ところ、で・・・負け、て・・たまるか・・・よ・・・・」

ナナ「ジョ、ジョニー・メカ・・様に・・・合わせる、顔が・・なくなっ・・・ちゃう。」

ジジジと電気が帯び始めている。
コグレは右手、ナナヨは左手に空気と土の渦を纏うと、10mほど離れたところに立っているナツ目掛けて駆け出し、拳を大きく振り上げた。

コ&ナナ「消え失せろっ!ナツ・ドラグニルゥゥゥッ!!」

2人の拳がナツの後頭部に当たる直前、ナツは頬を膨らませながら振向くと、

ナ「火竜の・・・咆哮ッ!!」

口から炎の(ブレス)を噴出した。
コグレとナナヨの体は炎に包まれ再び10mほど吹っ飛んで行った。

ナ「やられた分はキッチリ返さねぇとな。」

そう言ってナツは左手の親指以外の指に炎を灯し、「COMEON」の文字を作ると、

ナ「俺1人で十分だ。2人まとめて掛かって来いっ!」

1対2宣言を出した。

コ「1人で・・・十分、だぁ?」

この宣戦布告に立ち上がったコグレとナナヨの怒りは急上昇する。

コ「舐めやがって・・・!」

ナナ「私はアンタに興味なんてないわ。聖十のリョウとやらせなさい。」

ナ「さっきまで十分やり合ったじゃねーか。つーか、攻撃も防御もしぶとさも、俺はリョウ(アイツ)には敵わねぇ。リョウ(アイツ)を倒す為には、まずは俺を倒してからじゃねぇと無理だぜ。」

ナナ「己ェ・・・!」

コグレとナナヨは握り締めた拳に空気と土を纏うと、

コ「極悪なる空気の刃(ヴィシャスエア・ブレイド)ッ!」

ナナ「極悪なる大地の弾丸(ヴィシャスグラウンド・ショット)ッ!」

鋭く尖った刃のような空気と、一斉に放たれた無数の弾丸のような土の塊が雨のようにナツに降り注ぐ。が、ナツは走ったりバク転したりしながらコグレとナナヨの攻撃を全てかわし、2人の目の前まで来ると、

ナ「右手の炎と、左手の炎を合わせて・・・」

両手に纏った炎を合わせる。コグレとナナヨは一瞬の出来事に怯んでしまって動けない。

ナ「火竜の・・・煌炎ッ!!」

コグレとナナヨの体に当たって爆散した紅蓮の炎がコグレとナナヨを包み込む。が、

コ&ナナ「まだまだァァッ!!」

炎を掻き分けながら紅蓮の炎の中から飛び出し、コグレは左足、ナナヨは右足に空気と土の渦を纏うと、ナツの顔面目掛けて蹴り上げようとするが、ナツの顔面に頭に直撃する前に受け止められた。

ナ「火竜の・・・翼撃ッ!!」

コ「うぐぁああぁぁあああっ!」

ナナ「うわあぁあぁぁあああっ!」

アンドロイドであるコグレとナナヨの体は、もはや人間でもロボットでもないくらい、ボロボロになっていた。ナツの鼻を刺激するのは機械油の臭いだけ。リョウ以上に傷だらけでボロボロになっても、コグレとナナヨは倒れはしなかった。

ナ「まだ戦えるなら・・・来いよ。」

手をちょいっと動かしてナツは挑発をする。

コ「らああぁぁあぁああああああああっ!」

ナナ「やあああぁあぁぁあああああああっ!」

コグレとナナヨは我を忘れてしまったかのように声を上げ、闇雲に空気と土の塊をものすごい速さで投げつける。が、ナツはその攻撃を全てかわしたり受け止めたりするばかりで全然効いてなどいなかった。

コ「俺とナナヨは、ジョニー・メカ様によって造られた、“究極の魔道士アンドロイド”だーーーーーーーーーーっ!!」

ナナ「ジョニー・メカ様の為に、私達は妖精(ようせい)を潰すんだーーーーーーーーーーっ!!」

コグレとナナヨは叫ぶ、投げる、叫ぶ、投げるを繰り返し続ける。

ナ「そうか。だったら俺は、傷つけられた仲間の為に―――――」

ナツの脳裏に浮かぶのはコグレとナナヨによって傷つけられた仲間―――マヤ、ルーシィ、リョウ―――の姿だった。

ナ「全力で、お前等を倒す。」

マ「・・・ナツ。」

医務室にいるマヤが、映像に映るナツを見て嬉し涙を一筋流した。
そう言うとナツは、コグレとナナヨの顔を鷲掴みにし、体を後ろに倒してコグレとナナヨの体を投げ飛ばした。

ナ「リョオオオオオオオオオオッ!」

まるで(いかずち)のような(ドラゴン)の雄叫びが会場の地下に木霊する。

リョ「待ちくたびれたぜ。」

傷だらけでありながらも、その場にしっかりと立っているリョウの右手の親指と人差し指の間には『銀覇剣』、人差し指と中指の間には『嵐真剣』、中指と薬指の間には『妖魔剣』が握られており、左手の親指と人差し指の間には『天力剣』、人差し指と中指の間には『花錦剣』、そして、中指と薬指の間にはリョウが契約してる6本の聖剣(エクスカリバー)の中で最強の『竜風剣』が握られていた。
リョウの前方からコグレとナナヨが吹っ飛んで来た。茶色がかった吊り目を更に吊り上げ、視界に2人の姿を捉え、脳内で攻撃のタイミングを見計らうと、小さく地を蹴り駆け出した。

リョ「羽を広げた妖精(ようせい)の辿り着く先は、光と仲間の温かい心に満ち溢れた、想いを育む場所だぁぁぁっ!」

あの時のコグレの声は、遠くまで吹っ飛ばされていたリョウの耳にも聞こえていたらしい。

ル「・・・すごい。」

涙を拭いながらルーシィが嬉しそうに小さく呟いた。

リョ「6剣流・・・」

6本の聖剣(エクスカリバー)が金色の光に包まれ煌々と輝き出した。










リョ「妖精の光(ルーメン・フェアリー)ッ!!!」










ほんの一瞬の攻撃で、コグレとナナヨ、共に6回ずつ斬りつけた。6本の聖剣(エクスカリバー)はまだ金色の光に包まれたまま。
そして、リョウが攻撃するのが終わったのと同時に、右手に炎、左手に雷を纏ったナツが飛び出した。

エ「モード雷炎竜・・・」

ハ「いっけーーーっ!ナツーーーーーっ!」

フ「全魔力をぶつけろーーーーーっ!!」

エルザが呟き、ハッピーとフレイが声援を送る。

ナ「滅竜奥義・・・・・」

グ&ユ&ショ「いっけェェェェェェェェェェッ!!!」

ナ「改ッ!!」

ウェ&シャ&ト「やああああああああああァァァッ!!!」

マ「ナァァツゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!」










ナ「紅蓮爆雷刃ッ!!!」










ドゴォォォン!と凄まじい音を立ててドムス・フラウの壁が崩壊した。

チャ「す・・すごい地響きで映像魔水晶(映像ラクリマ)の映像も砂煙ばかりで何も見えません。会場の皆さんはしばらくそのままお持ち下さい!」

しばらく経ってもゴゴゴゴゴ・・・と地響きは続き、映像魔水晶(映像ラクリマ)の映像が復旧するのを黙って待つ事しか出来なかった。

チャ「おっと!映像魔水晶(映像ラクリマ)の映像が復旧したみたいです!」

映像に視線が集まる。
砂煙が徐々に晴れていき、2つの黒い影が揺れている。

ナナ「(・・こ、こんな・・・展開、信じる・・訳・・・)」

コ「(コ・・コイツ等・・・ば、化けモン・・だ・・・)」

チャ「こ・・こここ・・・これは・・・・・!」

ドッ、ドサッと音を立ててコグレとナナヨが倒れた。

チャ「立っているのは、ナツ・ドラグニルとリョウ・ジェノロ!!」

観全「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!」

大歓声が沸き起こったのと同時に、ランキングの順位がピッと入れ替わった。

                    1位 妖精の尻尾(フェアリーテイル) 64
                    2位 銀河の旋律(ギャラクシーメロディー) 62

チャ「勝者妖精の尻尾(フェアリーテイル)-----!!ここにきて、遂に1位に躍り出たーーーーーーーーーーっ!!!」

医務室ではマヤがベッドの上で立ち上がり大きく飛び跳ね、応援席では両手を空に突きつけたり者、手を取り合ったり者、ガッツポーズをしたりする者がいたり、待機場所ではグレイ、エルザ、ユモが顔を見合わせて頷き合ったりしていた。

チャ「これにて大魔闘演舞4日目終了ーーーーー!1日休日を挟んで、明後日に最終戦が行われます!最終戦は何とっ!メンバー全員参加のサバイバル戦です!」

蛇姫の鱗(ラミアスケイル)が、青い天馬(ブルーペガサス)が、四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)が、幸福の花(ハピネスフラワー)が、月の涙(ムーンティア)が、海中の洞穴(マリーンケイヴ)が、白い柳(ホワイトウィロウ)が、気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)が最終日の標的(ターゲット)を変えた。

チャ「果たして、優勝するのはいったいどこのギルドか!?皆さん、お楽しみにーーーーーっ!!!」

ラ「ありがとうございます!!」

一向に冷める気配を見せない観客達の歓喜と興奮。
だが、興奮しているのは観客達だけと思ったら大間違いだ。

ボ「もう、マカロフちゃんトコの若い子達はほんとっ、元気で良いわねぇ~♪」

ゴ「相変わらず、“流石”・・・の言葉しか似合わねぇな。」

オ「面白くなってきたじゃないか、ふふふっ。」

青い天馬(ブルーペガサス)のギルドマスター・ボブ、四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)のギルドマスター・ゴールドマイン、蛇姫の鱗(ラミアスケイル)のギルドマスター・オーバが口々に言う。

マカ「誰でも構わん!来いっ!!」





                      打倒 妖精の尻尾(フェアリーテイル)!!!





リ「グレイ、今年こそお前には絶対に負けん!」

ジュ「リョウ殿、楽しみにしてますぞ。」

蛇姫の鱗(ラミアスケイル)ではリオンとジュラが早くもグレイとリョウに目を着ける。

ハル「ユモスと戦えるといいな。」

イ「そうだね。」

海中の洞穴(マリーンケイヴ)ではハルトとイレーネがユモと戦う事を望んでいる。

ウ「妖精女王(ティターニア)、エルザ・スカーレット・・・か。」

白い柳(ホワイトウィロウ)で最強の魔道士であるウララが興味津々のようにエルザの名を呟いた。

一「今年も存分に楽しもうではないか、ナツ君。」

青い天馬(ブルーペガサス)の一夜が目をキラリと輝かせた。

キ「コグレさんとナナヨさんが・・・」

カ「妖精の尻尾(フェアリーテイル)に・・・」

レ「負けた・・・」

銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)の待機場所にいるキース、カオリ、レヴルの3人は信じられないものを見たように大きく目を見開いていたが、3人揃ってすぐに目を少し細め、口元に小さく笑みを浮かべた。

歓喜と興奮が一向に収まらない観客席の1席に、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の最強チームに復讐を誓い、銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)のギルドマスター・シルファとなりすました、天才的な頭脳を誇る発明家、ジョニー・メカがいた。

ジョ「(妖精の尻尾(フェアリーテイル)・・・最強チーム・・・やはりアンドロイド如きに倒れるほど軟弱ではなかったか・・・ひょっひょっひょっ。)」

心の中で特徴的な笑い方をすると、羽織っている白いロングコートの右ポケットから掌サイズの黒いリモコンを取り出した。リモコンには赤いボタンが1つあるだけの至ってシンプルなデザインのリモコンだった。

ジョ「(なかなかの傑作品だったんじゃがな・・・)」

どこか悲しそうな目で赤いボタンを見つめる。そしてゆっくりと目を閉じ、またゆっくりと目を開けると躊躇なく赤いボタンを押した。

ジョ「(さらばじゃ。KO()GU()RE()NA()NA()YO()。)」





戦いを終えたナツとリョウはうつ伏せに倒れているコグレとナナヨに視線を移す。
リョウは1本ずつ聖剣(エクスカリバー)を鞘に戻しながら、

リョ「やっと、終わったな・・・」

ナ「・・・あぁ。」

ナツの返答を聞き、最後の1本を鞘に戻したリョウはそこで力尽きたようにガクンと膝から崩れ落ちるように気を失った。

ナ「お、おいリョウ!」

慌ててナツがリョウの体を支えたその時―――――、




KO()GU()RE()NA()NA()YO()ノ爆発マデ、後30秒』

ナ「!?」

機械のような女の声が聞こえた。ナツは振向くが誰もいない。

ナ「な・・何だよっ、爆発って・・・?」

コ「言葉通りの意味だ・・・」

ナナ「私達と戦って、言語の意味が分からなくなったのかしら・・・?」

ナ「!」

ナツが戸惑っていると、気を失っていたはずのコグレとナナヨがゴロンと仰向けになりながら言った。ナツは驚きのあまり言葉を失った。

コ「妖精の尻尾(フェアリーテイル)の最強チームの人間を殺せなかったら、爆発するっていうお約束なんだ。」

ナ「・・・な、何だよ・・それ・・・・」

『爆発マデ、後15秒』

ナナ「ここにいたら、アンタも爆発に巻き込まれるわよ。聖十のリョウを連れて、早くここから離れて。」

『爆発マデ、後10秒』

ナ「で・・でも・・・」

コ「早くしろっ!死にてぇのかお前はぁっ!?」

『7・・6・・』

戸惑うナツだったが、気を失ったリョウを背中に背負うと足早にコグレとナナヨから遠ざかった。

コ「・・・それで良い。」

ナナ「ゴメンね・・・」

最後に、コグレとナナヨの声が聞こえたような気がしたのは気のせいだったと信じたい。

『3・・2・・1・・・』

カウントダウンが終わったと同時に、ドガァァァァァン!と凄まじい音と灼熱の炎を上げて爆発した。幸い、ナツが逃げたところには爆発の被害は来なかったが、小さな瓦礫の破片が飛んで来たりした。

ナ「っ~・・・!」

ナツは歯を噛み締め、目が潤んでくるのを必死に抑えた。 
 

 
後書き
第188話終了致しました!
勝利の女神が微笑んだのは妖精の尻尾(フェアリーテイル)ーーーーー!!そして、まさかのジョニー再登場!?コグレとナナヨの最後は残念でしたが・・・
次回は休日を有意義に過ごす最強チームの様子を書いていこうと思います。
それではまた次回、お会いしましょう! 

 

第189話 敵からライバルに

 
前書き
紺碧の海です☆
今回は大魔闘演舞4日目が無事に終わり、最終日の前日である休日を有意義に過ごす妖精の尻尾(フェアリーテイル)の様子を書こうと思います。
ナレーション風です。
それでは、第189話・・・スタート☆ 

 
年に一度、6日間という短い月日の中でフィオーレ一の魔道士ギルドを決める一大イベント、大魔闘演舞。
昨日大魔闘演舞4日目が無事に幕を閉じ、1日休日を挟んで明後日、メンバー全員が参加する最終戦が行われる事になっている。

そして、7月5日。

ナ「うぉおらああぁあぁぁあああああっ!」

ウォ「ギャーッ!」

マッ「あっちィ~!」

ジェ「おいナツ!大魔闘演舞では暴れまくっても良いけど、こんなトコで暴れんじゃねェ!」

休日である今日、クロッカスの街にある小さな酒場、森の小川(フォーレストブルック)では大魔闘演舞4日目で64ポイントという高得点で首位に躍り出た妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士達が大騒ぎをしていた。
4日目で銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)のコグレとナナヨを倒したナツは、口から灼熱の炎を噴出しながら酒場の中を走り回っている。当然、周りにいた者達(ウォーレン、マックス、ジェットなど・・・)に被害が及ぶ。

ト「ナ、ナツさん!危ないですよぉ~!」

シャ「柱に火が点いちゃったらどうすんのよっ!」

トーヤがナツに制止の声を掛け、シャルルが怒鳴りつけるが、ナツは一向に走るのを止めない。
森の小川(フォーレストブルック)は木造建築の建物であるうえ、とても小さな酒場だ。火が点いたらあっという間に燃え尽き、柱が1本でも折れたりしてしまったらあっという間に崩壊してしまう。
そのうえ・・・

ル「ちょ・・ちょっとぉ・・・柱や床が、ミシミシいってるんだけど~。」

ナツが走り回る度、酒場の床や柱がミシッ、ミシッと音を立てている。
正直言うと、崩壊しても可笑しくない状況だった。

自分の仕事場が崩壊しても可笑しくない状況だというのに、森の小川(フォーレストブルック)の店主であるマコトは妖精の尻尾(フェアリーテイル)を追い出す事はせず、ただお皿やグラスを洗いながらその光景を微笑ましそうに眺めているだけだった。

ハ「ナツー見てー!ここにたくさん空き樽があるよーっ!」

フ「すんげ~量だな。」

走り回るナツの頭上を飛んでいたハッピーとフレイが酒場の隅に置いてあった大量の空き樽を見つけた。

マ「んー?おじさ~ん、これなぁ~にぃ?」

テーブルでオレンジジュースを飲んでいたマヤに視線に止まったのはバーカウンターの横に立て掛けられていた木の板だった。かなり古い物らしく、黒い文字が書かれているが何て書いているかマヤには読めなかった。

マコ「あぁそれはこの酒場の昔の看板だよ。」

マコトに言われてマヤは再び看板に書かれている文字に目を凝らすと、確かに「FOREST BROOK」と書かれていた。他にも、文字を囲うように木の葉や枝、ブドウの絵などが描かれていた。

ナ「おぉ!面しれェモンがあるじゃねェか。おーいおっちゃん、この空き樽と看板、使っても良いか?」

マコ「あぁ、構わないよ。」

ナ「おっしゃー!サンキューおっちゃん。」

ナツがマコトに許可を得ると、空き樽を1個ずつ横に倒して長い道を作り、その上にマヤから受け取った看板を乗せると、ナツは看板の上にお腹を下にして、ハッピーはナツの背中の上に乗ると、床に着いている足を思いっきり蹴り上げた。

ナ「酒樽サーフィンだぁーーーっ!」

ハ「あいさーっ!」

ド「うおっ!」

レ「キャーッ!」

ナブ「あっぶね!」

ナツとハッピーはとても楽しそうに遊んでいるが、当然、周りにいた者達(ドロイ、レビィ、ナブなど・・・)に被害が及ぶ。

ナ「んぎゃっ!」

ハ「ふぎゃ!」

そして樽の道が終わると、ナツとハッピーが乗った看板は酒場の壁に激突し、ナツとハッピーは宙に放り出される。ナツとハッピーが壁に激突した際に、ミシッ、ミシッと酒場が悲鳴を上げる。

ル「ナ、ナツ・・それ以上やったら・・・」

ウェ「さ・・酒場がぁ・・・」

ルーシィとウェンディが青い顔をして制止の声を掛ける。が、

グ「おしっ!次は俺がやるぜっ!」

グレイが意気込んで看板の上に立ち乗りする。そして壁に激突した際―――、

グ「ぐはっ!」

ユ「グレイ服ーーー!」

フ「つーか何で脱げんだよっ!?」

シャ「いったいどうなってんだか・・・」

なぜか激突したのと同時にグレイの服が脱げた。ユモが忠告し、フレイがツッコミを入れ、シャルルが呆れたように目を細くする。

エ「よしっ!次は私がやろう。」

珍しく、いつもこんなに大騒ぎをしている連中を注意するエルザが得意げな顔をして看板に立ち乗りする。

ウェ「エ、エルザさん、スカ」

エ「ひゃわぁっ!」

ショ「!」

ル「あちゃ~・・・」

「スカート」と言おうとしたウェンディの声はエルザが壁に激突した音に掻き消されてしまい、当然ながらエルザはスカートというのに全力で転倒。ルーシィは額に手を当てて呆れ顔。あまりにも激しく転倒したので、遠くで仲間の様子を見つめていたショールも思わず顔を真っ赤にしてしまうほどだった・・・

リョ「今日は一段と賑やかだな。」

大騒ぎをしている最中、酒場に入って来たのは頭や腕、腹部や足に包帯、頬や首には湿布や絆創膏で手当てをされた、青い着物に灰色の袴姿のリョウだった。

ル「リョウ!」

ト「手当て終わったんですね。」

グ「おいおい、寝てなくて大丈夫なのか?」

最強チームのメンバーがリョウを囲う。
さっきまでリョウはポーリュシカに怪我の手当てをされていたのだ。

リョ「ポーリュシカさんにはめちゃくちゃ怒られたけどな。あーでも、見かけほど大した怪我じゃねェから心配すんな。」

マ「ふ~ん。それじゃあ何で左手でお腹押さえてるのさ?」

フ「それに、包帯に少し血が滲んでるけど?」

リョ「・・・・・」

ショ「言ってる事とやってる事が真逆だな。」

マヤとフレイに問われて思わず何も言えなくなったリョウを見てショールはため息と共に言う。

ル「ていうかリョウ、その着物と袴・・・」

リョ「あぁ、これか?死んだ父さんが着てたんだ。俺が着てた着物と袴、血塗れでボロボロだったからさ。3~4年前までデカすぎて着れなかったのにな。」

リョウは青い着物の袖を掴んで腕を上下に振る。

ナ「ん~・・・俺的には、お前緑の方が似合ってると思うぞ。」

ハ「おいらも同感だな。何かリョウにしっくりこないよ、青って。」

リョ「そうか?」

ナツの言葉にハッピーは頷くが、当の本人であるリョウは不思議そうな顔をして首を傾げた。

リョ「まぁしばらくはこっちの着物と袴で過ごす事になると思うから、俺が緑の着物を着てねェからって他人と見間違えんじゃねェぞ。」

グ「それは恐らくないと思うぜ。着物と袴で腰に6本も剣を差している人間・・・リョウしかいねェと思うからな。」

ウェ「確かにそうですね。」

リョ「そうか?」

グレイの言葉にウェンディは頷くが、当の本人であるリョウはまた不思議そうな顔をして首を傾げた。

ユ「とにかく、リョウも来た事だし。」

ナ「暴れまくるぞーーーーーっ!」

ハ「あいさーーーっ!」

ナツが腕を突き上げて叫び、同情するようにハッピーが飛び跳ねた、と同時に、ギギィと軋んだ音を立てて酒場の扉がゆっくりと開いた。扉の近くにいたナツ達最強チームはもちろん、酒を飲んでいたマカオやワカバ達も、楽しく会話をしていたエルフマンやリサーナ達も、バーカウンターにいたマスターやメイビス、マコトも視線を扉に向けた。
扉が全開になると、見覚えのある男女5人の顔が並んでいた。

1人は男にしては少し長い金髪に緑色の瞳、腰に5本の銀色の鍵を着けている青年。
1人はローズピンクの髪をサイドアップに束ね青い瞳。肩に大きなリボンが付いたキャラメル色のショルダーバックを提げている少女。
1人は銀髪に黄色い瞳、裾がボロボロの紺色のローブを羽織っている少年。
1人は黒髪に黒い瞳、首から数本の(パイプ)を提げている青年。
1人は茶髪のセミロングに黒い瞳、赤いベレー帽を被っている童顔の少女。

ナ「お前等は・・・」

マ「銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)の・・・」

ナツとマヤが呟いた後、酒場に妙な空気が流れた。
扉の前にいたのは、銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)の魔道士、キース、カオリ、レヴル、ルチーア、アンナの5人だった。5人共、なぜか暗い顔をしている。

キ「ま・・街の、人達、から・・森の小川(フォーレストブルック)で・・・さ、騒いでる、って聞いて・・・・」

キースが緑色の瞳を泳がせながら歯切れ悪く呟き、一度目の前にいる最強チームの姿を捉えると、銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)の魔道士5人が、一斉にバッ!という効果音が聞こえてきそうな勢いで頭を下げた。

ル「えっ?」

銀全「申し訳ございませんでしたっ!!」

ルーシィのマヌケの声を掻き消しながら5人同時に謝罪の言葉を述べた。

リョ「なっ、何だよ。いきなり来るなりいきなり謝りやがって・・・?」

5人の一番近くにいたリョウが1歩後ずさりしながら問うと、

キ「理由はもちろん・・・大魔闘演舞の事です。」

キースが頭を上げずに呟いた。

カ「現最強ギルドである妖精の尻尾(フェアリーテイル)に、私達銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)が並ぶのは事実。ですが、「妖精の尻尾(フェアリーテイル)を潰す」という事は真っ赤な嘘なんです。」

ウェ「え?」

ショ「嘘・・・?」

キースに続くように、頭を上げずに呟いたカオリの言葉にウェンディとショールは首を傾げた。

マ「え、でも、「妖精の尻尾(フェアリーテイル)を潰す」って言ったのはキース達じゃん。」

マヤが思い出すように言う。

レ「あれは脅しだ。」

ト「お・・脅し・・・?」

簡潔に呟いたレヴルの言葉にトーヤが首を傾げた。

ルチ「あれは銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)のギルドマスター、シルファ―――いや、ジョニー・メカの指示だったんです。」

エ「ジョ・・ジョニー・メカ、だと・・・?」

ユ「確か、科学の世界(サイエンスワールド)の・・・」

ルチーアの言葉にエルザとユモが目を見開きながら呟く。

ア「ジョニー・メカからは、「妖精の尻尾(フェアリーテイル)の最強チームの皆さんにやられた」とお聞きしています。ジョニー・メカは妖精の尻尾(フェアリーテイル)の最強チームの皆さんに復讐をする為、銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)のギルドマスターになりすまして復讐の機会を窺っていたんです。」

キ「そして、それを実行したのが大魔闘演舞。ジョニー・メカは大魔闘演舞に出場する俺達5人に妖精の尻尾(フェアリーテイル)に宣戦布告を出させ、途中でルチーアとアンナを、ジョニー・メカが造り上げた“究極の魔道士アンドロイド”、KO()GU()RE()NA()NA()YO()に交代させ、最強チームの皆さんを殺そうとしていたんです。」

アンナとキースの言葉に対して、問い掛ける者も、首を傾げる者も、誰一人としていなかった。
再び酒場に妙な空気が流れる。

グ「・・で、その“究極の魔道士アンドロイド”の・・・KO()GU()RE()NA()NA()YO()だったか?そいつ等はどうしたんだよ?」

しばらく間を空けてからグレイが問い掛けた。が、それに答えたのは銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)の魔道士ではなく―――――、

ナ「死んだ―――いや、爆発しちまったよ。俺とリョウとのバトルが終わった後、すぐにな。」

ナツだった。

エ「なるほど。ジョニー・メカは私達に復讐しようと試み、“究極の魔道士アンドロイド”のKO()GU()RE()NA()NA()YO()を造り上げた、という訳か。」

フ「それなら、あの銅線やカラーケーブルの事と辻褄が合うな。」

エルザとフレイが納得したように言う。

カ「・・あ、あの・・・ここだけの話なんですけど・・・・」

カオリがゆっくりと顔を上げて口を開く。カオリに続くように他の4人もゆっくりと顔を上げたがすぐに顔を伏せてしまった。





カ「KO()GU()RE()NA()NA()YO()は・・・元々、()()()()()んです・・・・」





カオリの言葉に空気が凍りつき、その場にいた全員が息を呑み言葉を失った。

ル「そ・・それって、どういう・・・」

目を見開き、青い顔をしたルーシィが恐る恐る問う。

レ「もっと詳しく言うと、ジョニー・メカは人間だったコグレとナナヨの体に、機械を埋め込んだんだ。」

問い掛けたルーシィの顔が更に青くなった。ウェンディは口元を手で覆い、ナツやグレイ、リョウやショールの頬を冷や汗が伝い、ユモとトーヤは開いた口が塞がらなくなっており、エルザとフレイは歯をガチガチ鳴らし、マヤは目を見開いて小刻みに震えていた。

ショ「で、でも!ただ機械を埋め込んだだけじゃ」

ルチ「存じているかどうか分かりませんが、ジョニー・メカは天才的な頭脳を誇る発明家です。人間をアンドロイドに変える事くらい、朝飯前なんですよ。実際体に機械を埋め込まれ“究極の魔道士アンドロイド”にされたKO()GU()RE()NA()NA()YO()も、99.9%が機械化してましたから・・・」

ショールの言葉を遮るように、目を伏せたルチーアが呟いた。

ア「昨日、ナツさんとリョウさんに勝つ事が出来なかったKO()GU()RE()NA()NA()YO()はジョニー・メカさんの手で爆破されました。ジョニー・メカも、銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)から姿を消し、今どこにいるか分かりませんが・・・」

アンナが掻き毟るようにベレー帽を脱ぎながら言う。

キ「とにかく、俺達が言いたいのは「妖精の尻尾(フェアリーテイル)を潰そうとは一切思ってもいない」って事だけです。今更ですが、本当に申し訳ございませんでしたっ!!」

キースの声と共に、5人は再び謝罪の言葉を述べ、さっきよりも深く頭を下げた。
そんな5人にマヤはゆっくりと歩み寄ると、

マ「何でキース達が謝るの?」

銀全「へっ?」

顔を上げると、キースの目の前でキョトンとした顔でこてっと首を傾げるマヤがいた。

キ「な・・何で、って・・・」

カ「私達が・・酷い事をしたから、謝るのは当然じゃ・・・」

キースとカオリが顔を見合わせながら困ったように言うと、

ト「酷いのはキースさん達ではなく、ジョニー・メカさんですよ。」

トーヤが穏やかな口調で言う。トーヤの顔には苛立ちというものが一切浮かんでいなかった。

レ「で・・でも・・・」

リョ「あのなァ、ギルドを潰そうとした人間と、人間を改造して機械にして、それを利用して人を殺そうとする人間、どっちの方が許されねェと思う?」

ルチ「そ、それ、は・・・」

目を泳がるレヴルとルチーアは、リョウの言葉にそれ以上反論する事が出来なくなった。いや、そもそも反論する要素が彼等には全く無いのだが・・・

グ「お前等が気にする必要なんか、これっぽっちもねェよ。」

ウェ「キースさん達は、何も悪くないんですから。ね、シャルル?」

シャ「えぇ。ついでに言えば、コグレとナナヨもね。」

グレイ、ウェンディ、シャルルの順にキース達に励ましの言葉を掛ける。

ア「し・・信じて、くれるの・・・?」

おどおどとした表情を浮かべながら言うアンナを見て、フレイが不思議そうな顔をすると、

フ「嘘なのか?全部?」

銀全「違うっ!!」

フレイの言葉に5人一斉に身を乗り出して否定する。思わずフレイは後ずさりをする。

ハ「それにナツとリョウは、KO()GU()RE()NA()NA()YO()が爆発しちゃうの見たんでしょ?」

ナ「いーや、見たのは俺だけだ。」

ル「え?じゃあリョウは?」

リョ「あーたぶん、気を失ってたんじゃねェか?」

ユ「ほら、ここに証言者がいるから、疑う要素なんか一切無いよ。」

ナツ、ハッピー、ルーシィ、リョウの会話を聞いたユモが笑顔で言う。

エ「だが、ジョニー・メカが銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)を口封じとして潰しに来る可能性があるな。」

ショ「まぁ気をつけるのは、妖精(ようせい)銀河(ぎんが)もお互い様だけど。」

腕組をしながらエルザが言い、その隣でショールが困ったように肩を竦めながら言う。

ナ「まぁとにかく―――――、」

ナツが右手を、マヤが左手をキースに差し伸べると、

ナ「明日からは敵じゃなくて、ライバルだ!」

マ「負けないからね~!」

笑顔を向けた。
ナツとマヤだけではない。
ハッピーとフレイも、ルーシィとリョウも、グレイとユモも、エルザとショールも、ウェンディとシャルルもトーヤも笑顔を向けている。
マスターもメイビス(姿は見えないが)もマコトも、その他のメンバーも、酒場にいる全員が銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)の5人に笑顔を向けていた。
キースはそのたくさんの笑顔を見てしばらく呆然としていたが、口角を上げて口元に薄く笑みを浮かべると、ナツとマヤの手をガシッ!と力強く立ち上がった。

キ「あぁ。絶対に負けないよ。」

ルーシィはカオリに、グレイはアンナに、ショールはレヴルに、ウェンディとトーヤはルチーアに手を差し伸べて、他の4人も差し伸べられた手を握って立ち上がった。

ナ「おしっ!お前等もこのままここに残ってけよっ!」

ハ「あいっ!すっごく楽しいよっ!」

キ「えっ、ちょ・・おいっ!」

ナツに手を引っ張られ酒樽サーフィンの前まで連れて来られたキースは何も出来ないままナツに無理矢理看板に乗せられ、

ナ「いっくぞぉーーーーーっ!」

キ「ちょっ!まだ何も言ってあぁぁあああぁああああっ!」

「何も言ってない」と言おうとしたキースの声にナツは耳も傾けず、思いっきりキースが乗った看板を押し出す。
キースも舌を噛みそうになりながらも看板に必死にすがりつく。

キ「うがっ!」

当然、そのまま激突。

マ「アハハッ!レヴルとルチーアもやったら?」

レ「あ・・いや・・・」

ルチ「僕は遠慮し・・・」

リョ「遠慮しないで乗れーーーっ!」

ナ&グ「おらァ!」

レ「え、え?あ、わああぁああぁあああああっ!」

ルチ「ぼ・・僕はまだ許可を得てなあぁああぁぁああああっ!」

怪我をしている理由でやれないのが悔しいのか、リョウは「自分の代わりにやれっ!」という感じで強制的にレヴルとルチーアを看板に座らせ、ナツとグレイが躊躇なく思いっきり押し出す。

レ「がっ!」

ルチ「うぎっ!」

こちらも当然、そのまま激突。

ウェ「カオリさんとアンナさんはやりますか?」

カ「ううん、私はいいよ。」

ア「同じく。」

ル「だよね~。」

ト「アハハハ・・・」

念の為ウェンディがカオリとアンナにも聞いてみるが、当然のようにカオリは首を左右に振り、アンナもカオリの同意して頷く。ルーシィとトーヤも苦笑いを浮かべて頷く。

ユ「それにしても、ショーパンのマヤは良いとして、スカートのエルザは・・・」

エ「キャアッ!」

ショ「うわぁあっ!」

ユモが心配そうに酒樽サーフィンをやってる方を見ると、タイミングが良いのか悪いのか。丁度エルザが壁に激突し、全力で転倒しているところだった。またしてもショールは顔を真っ赤にして顔を逸らした。





クロッカスにある小さな酒場、森の小川(フォーレストブルック)では、夜遅くまで妖精(ようせい)銀河(ぎんが)の笑い声が響いていたのであった。

********************************************************************************************************

ドムス・フラウの地下深く。
銀色の台座に置かれた黒い大砲。黒い大砲の中央部に書かれている赤い術式は休まずに刻々と時と刻み続けていた。





                  『『極悪十祭』まで、残り3日 64時間27分09秒』





 
 

 
後書き
第189話終了です☆
銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)、本当は妖精の尻尾(フェアリーテイル)を潰すつもりは一切なかったのです。
さてさて、KO()GU()RE()NA()NA()YO()が元は人間だったり、ジョニー・メカがまた大変な事をしていたり・・・
更に謎が深まるFT友恋です。
次回はいよいよ!大魔闘演舞最終日の開幕です!
それでは次回もお楽しみに~☆ 

 

第190話 幕開け

 
前書き
紺碧の海で~す♪
今回はいよいよ!大魔闘演舞最終戦の開幕です!強者揃いの大反乱、果たして、優勝するのはどのギルドかーーーっ!?
ナレーション風に書いていきます。
それでは、第190話・・・スタート♪ 

 
暁が過ぎ、東から太陽が顔を出す。鳥のさえずりが聞こえ、夜が明けた。
今日は7月6日、大魔闘演舞最終日。
ドムス・フラウでは、色とりどりの花火が空に打ち上げられ、雲一つ無い朝の青空を華々しく彩った。

チャ「さぁいよいよ!いよいよこの日がやって参りましたっ!年に一度の若き魔道士達の熱き祭典、大魔闘演舞最終日---ッ!!」

チャパティ・ローラの実況が興奮と歓喜に包まれた観客席を更に盛り上がらせる。

チャ「泣いても笑っても、もう後戻りは出来ない!今日、フィオーレ一の魔道士ギルドが決まりますっ!実況はお馴染み、(わたくし)チャパティ・ローラと、解説には元評議員のヤジマさん。」

ヤ「よろスく。」

チャ「そしてスペシャルゲストにはなぁーんと何とっ!大魔闘演舞公式マスコットキャラクター、マトー君にお越し頂いておりますっ!」

マト「カボー。」

マトー君が白い手袋をした右手で手を振る。

チャ「マトー君、今日はお仕事よろしいのですか?」

マト「今日は大丈夫なんだカボ。皆応援してるカボー。」

チャパティ・ローラ達がいる実況席も、最終日だからなのか色とりどりの花で飾られている。

チャ「さぁ、そろそろ出場チームが入場して来ますっ!」

石造りの会場の出入り口にぼんやりと黒い人影が映る。チャパティ・ローラが実況したのと同時に、黒い人影が姿を現した。

チャ「現在10位!地獄の底から大大大逆転となるかっ!?四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)!」

出入り口の前に茶色い四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)のギルドマークが浮かび上がったかと思うと、ギルドマークがパリィン!と硝子のように音を立てて酔いの鷹、バッカスが殴り、「ワイルドォ・・・フォーーーッ!!」とメンバー全員で叫びながら大歓声を浴びる。
因みに涙魔法を使うウォークライは出場していないみたいだ。

チャ「続いて現在9位!初出場にて、優勝の涙を流す事が出来るのかっ!?月の涙(ムーンティア)!」

空中に黄色い月の涙(ムーンティア)のギルドマークが浮かび上がったのと同時に、通称「7つ道具」である7本の(ステッキ)を背負ったセインを先頭に大歓声を浴びる。

チャ「続いて現在7位!優勝の可憐な花を開花させる事が出来るかっ!?幸福の花(ハピネスフラワー)!」

出入り口の前に桃色の幸福の花(ハピネスフラワー)のギルドマークが浮かび上がり、メンバーが姿を現したのと同時にギルドマークが色とりどりの花弁となって舞い散った。
ナデシコを先頭に、口元に小さな微笑みを浮かべた美少女達がその容姿には似合わない大歓声を浴びる。

チャ「同じく7位!その青い翼で優勝までひとっ飛びなるかっ!?青い天馬(ブルーペガサス)!」

小さな花火と共に青い青い天馬(ブルーペガサス)のギルドマークが空中に浮かび上がり、妙なポーズを決めた一夜を先頭に、大歓声と女性達の甲高い声援を浴びる。
因みに機械(マシーン)を使うキルロは出場していないみたいだ。

チャ「現在6位!大空の向こうに待っているのは優勝カップかっ!?気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)!」

リートを先頭に、5~6羽の純白の羽を持つ鳥達と共に大歓声を浴びる。
一番後ろを歩いていたヒリアが指をパチン!と鳴らすと、鳥達はその音と共に飛び去り、空中に緑色の気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)のギルドマークが浮かび上がった。

チャ「現在5位!純白のマントとベールは優勝の証となるのかっ!?白い柳(ホワイトウィロウ)!」

水の滅神魔道士(ゴットスレイヤー)であるウララを先頭に、純白のマントとベールを風でなびかせながら大歓声を浴びる。
チルチルがカーキ色のオーバーオールの胸ポケットから折り畳まれた紫色の布を取り出すと、布が宙で広がるように放り投げた。広がった布には、白い糸で白い柳(ホワイトウィロウ)のギルドマークが縫い付けられていた。

チャ「現在4位!海の底に沈む優勝カップを手にする事が出来るのかっ!?海中の洞穴(マリーンケイヴ)!」

風の滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)であるバロンを先頭に大歓声を浴びる。
一番後ろを歩いていた似てない双子の姉妹、アニーとアリーが光銃(シャイニーガン)闇銃(ダークネスガン)を発砲し、水色の海中の洞穴(マリーンケイヴ)のギルドマークを空中に浮かび上がらせる。

チャ「現在3位!その冷静さと判断力は今年こそ、優勝の糧になるかっ!?蛇姫の鱗(ラミアスケイル)!」

零帝の異名を名乗るリオンを先頭に大歓声を浴びる。
リオンは薄緑色をした氷で蛇姫の鱗(ラミアスケイル)のギルドマークを造形し、隣にいたトビーが電気を帯びた長い爪で氷のギルドマークを砕き、ダイヤモンドダストのように空中でキラキラ光り輝いた。

チャ「そして現在2位!夜空を埋め尽くす広大な銀河の行く先は優勝と、フィオーレ一のギルドかっ!?銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)!」

空中に銀色の絵の具で描かれた銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)のギルドマークと共に銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)のメンバーが姿を現す。
姿を現した銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)のメンバーを見て、会場がざわつき始めた。

チャ「あぁっと!銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)はメンバーを入れ替えてきたぞーーーーーっ!」

キース、カオリ、レヴル、ルチーア、アンナの5人が集う。

ヤ「初日のメンバーに戻ったんだねぇ。」

マト「コグレとナナヨはどうしたんだカボー?」

ヤジマが銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)のメンバーを見て呟き、マトー君が首を傾げた。

観1「何だー、あの強い奴等いねェのか。」

観2「俺あの2人と妖精の尻尾(フェアリーテイル)のバトルが見たかったんだけどなー。」

観3「でも昨日のバトルであの2人、何か体から変な物出てなかった?」

観4「そうそう!血じゃなくて茶色っぽい液体とか。」

観5「まさか、アイツ等人間じゃなくてロボットなんじゃねェか?」

観6「それで昨日のバトルで故障しちまって、修理中か破壊しちまったんじゃね?」

観7「まっさかー。」

とある観客達がそんな会話をしていた。
本気で言ってる訳ではないが、話の内容は事実と大体似ている。

ア「ね、ねぇ・・やっぱり不思議がられてるよ。」

ルチ「やっぱり、僕とアンナは出ない方が良かったんじゃ・・・」

コグレとナナヨと入れ替わったルチーアとアンナが身を隠すようにカオリとキースの後ろに隠れる。

カ「大丈夫、ルチーアとアンナが身を引く必要なんてないわよ。」

レ「うん。」

カオリが2人を励まし、同意するようにレヴルも頷いた。

キ「それに昨日、帰る直前に妖精の尻尾(フェアリーテイル)の最強チームの皆さんに言われただろ?」





ア『あ、もうこんな時間!』

キ『それじゃあ俺達、そろそろ帰ります。』

レ『明日、最終日で。』

くるりと背を向けて、森の小川(フォーレストブルック)を出ようとすると、

ナ『おーい待てよ。』

ナツに呼び止められキース達は振向いた。

ウェ『最終日、銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)は誰が出場するんですか?』

シャ『コグレとナナヨは、もういないからね。』

ウェンディとシャルルの問いに、キース達は一度顔を見合わせると、

カ『またルチーアとアンナに出てもらおうと思っています。』

ルチ『これでも最初は正式に出場していたからね。』

カオリとルチーアが答えた。

ア『・・・・・』

ユ『アンナ、どうしたの?』

カオリの隣で暗い顔をしているアンナに気づいたユモが、アンナの顔を覗き込んで首を傾げた。

ア『・・私とルチーアが出場して、変に、思われないかな・・って・・・』

戦力で比べると圧倒的にコグレとナナヨの方が強い。だが、そのコグレとナナヨはもういない。最終日に限ってその2人が出場せずに他のメンバーに入れ替えたら不審に思われるとアンナは思ったのだろう。

ルチ『それならいっそ、別のメンバーに入れ替えれば良いだけだよ。』

キ『でも、他のメンバーはまだ魔法を使うのが初心者なんだぞ。』

レ『俺達5人しか、まともに使えない。』

キース達が頭を悩ませる中、呑気な声がキース達の頭を冷やした。

マ『そんな事、気にする必要ないじゃん。』

マヤが腰に手を当ててため息と共に言う。

ト『コグレさんとナナヨさんがアンドロイドだって事と、爆破されちゃった事を知ってるのは皆さんと妖精の尻尾(フェアリーテイル)だけですから、きっと大丈夫ですよ。』

フ『まぁ、体から機械油とかが出てる事には気づかれたかもしれねェけど。』

ハ『それだけで「アイツ等はアンドロイドだーっ!」とは思われないと思うよ。』

マヤに続いてトーヤ、フレイ、ハッピーが答える。

ショ『それに、強かったコグレとナナヨを、魔法を使うのがまだ初心者の人達に入れ替えると、余計に変に思われるんじゃないか?』

グ『それなら、アイツ等と入れ替わったルチーアとアンナが出場した方が良いと思うぜ。』

ショールとグレイの言葉に、ルチーアとアンナは顔を見合わせた。

リョ『心配すんな。コグレとナナヨがアンドロイドだったって事も、爆破されたって事も、誰にも他言しねェって約束する。』

エ『妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士は、約束を破る事は絶対にしない。』

ル『キース達は明日、正々堂々としてればそれで良いのよ。ね?』

リョウ、エルザ、ルーシィの順に笑いかけながら言う。

ナ『それにさっきも言ったじゃねーか。』

ずっと頭の後ろで手を組んでいたナツが歩み寄りキースの前に立つと、吊り目の目を猫のように細くして笑うと、

ナ『俺達は敵じゃねぇ、ライバルなんだ。ライバルなら正々堂々とかかって来いよっ!』





キ「妖精の尻尾(フェアリーテイル)の最強チームの皆さんの言葉を信じて、正々堂々としてればいいんだ。今の俺達に出来る事は、それだけだ。」

緑色の瞳に鋭い光を宿らせたキースの言葉に、カオリとレヴルはもちろん、弱音を吐いていたルチーアとアンナも力強く頷いた。

チャ「そして現在1位!現最強ギルドであり、2年連続優勝を手にする事が出来るのかっ!?妖精の尻尾(フェアリーテイル)、入場ーーーーーッ!!」

出入り口の前に、赤い妖精の尻尾(フェアリーテイル)のギルドマークが浮かび上がると、ギルドマークが灼熱の炎に包まれ焼き消え、ナツを先頭にエルザ、リョウ、グレイ、ユモと続いて妖精の尻尾(フェアリーテイル)のメンバーが姿を現した。

観全「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」

大大大歓声が会場を包み込む。

レビ「ユモー!頑張ってーっ!」

マカオ&ワ「エルザーーー!いけーーーーーっ!!」

エル「リョウ!漢なら怪我なんか気にすんじゃねェぞォ!」

ウォ「ぶちかましてやれっ!グレーーーイ!」

ロ「ナツ兄!頑張れーーーっ!」

応援席から声援が飛ぶ、飛ぶ、飛び回る。

ショ「ここから改めて見ると、本当にすごいチームだな。」

ト「負ける姿が想像出来ないのは、僕だけですか?」

ウェ「私も全く、想像出来ませんよ。」

ショールが呟き、トーヤの問いにウェンディが同意する。

フ「勝つか負けるか、進む道は2つだけ・・・か。」

鳥の姿になっているフレイがマヤの頭の上で独り言のように呟く。その呟きが聞こえたのか、マヤが目を上に向けて、

マ「あの5人が行く道は、勝つ道に決まってるじゃん!」

自信満々の笑みを浮かべて言った。

ル「皆、「勝つ」って言葉しか頭にないと思うなぁ。」

ルーシィがどこか楽しげに呟いた。





ナ&リョ&ユ「ふぇ~~~~~。」

一方その頃、会場にいるナツ、リョウ、ユモは目を丸くしていた。

ナ&リョ「す・・すげー、な。」

ユ「もう「イベント」って騒ぎじゃなくなってる気が・・・」

グ「去年もこんな感じだったよな?」

エ「あぁ。もっと盛って言うと、去年よりすごいと私は思うがな。」

ナツとリョウとユモの正直な感想を聞いて、グレイとエルザが口を開く。エルザは高い位置で束ねたお団子とポニーテールを合わせた緋色の髪を揺らしながら会場を見回す。
バフッ!と炎を纏った拳を掌にぶつけナツがニィッと口角を上げて笑った。

ナ「燃えてきたぞ。」

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ドムス・フラウの地下深く。
銀色の台座に置かれた黒い大砲。黒い大砲の中央部に書かれている赤い術式は休まずに刻々と時を刻み続けていた。





                  『『極悪十祭』まで、残り2日 50時間28分31秒』





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チャ「己が武を、魔を、そして仲間との絆を示せ。これより!大魔闘演舞最終日、チーム全員参加のサバイバルゲーム、“大魔闘演舞”を開始致しますっ!」

チャパティ・ローラの実況と共に、巨大な花火が1つ打ち上げられた。

チャ「バトルフィールドとなるのは何と、クロッカスの街全域です。各ギルドのメンバー達はすでに街中に分散して待機しています。」

会場に6つの映像魔水晶(映像ラクリマ)の映像が映し出され、映像にはクロッカスの街中にいる各ギルドのメンバー達が映っていた。

チャ「街中を駆け巡り、敵ギルドのメンバーと出会ったら戦闘となります。相手を気絶、もしくは戦闘不能にすると、そのギルドに直接1ポイント加算されます。また、各ギルドにはリーダーと副リーダーを設定してもらいます。他のギルドには誰がリーダーなのか副リーダーなのか分かりません。リーダーを倒せば5ポイント、副リーダーを倒せば3ポイント加算されます。」

マカ「リーダーと・・・副リーダーじゃと!?」

メ「昨年にはなかった設定ですね。」

マスターが驚嘆の声を上げ、その隣でメイビスは至って冷静に呟いた。

ト「妖精の尻尾(フェアリーテイル)は誰がリーダーになるんでしょうかね?」

シャ「やっぱりエルザじゃない?」

フ「リョウとユモの可能性もあるぜ。」

ハ「以外にもナツかグレイだったりして。」

シャ&フ「それはないっ!!」

ハッピーの言葉にシャルルとフレイが全力で否定した。

チャ「最多ポイントの理論値は何と、99ポイント!どのギルドにも優勝の可能性は十分にあります。」

ル「高ッ!」

理論値を聞いてルーシィが驚嘆の声を上げた(計算したらこうなったんですよ by紺碧の海)。

チャ「このサバイバルゲーム、チーム一丸となって動くか分散するかで戦略が分かれるところですが、ヤジマさんはどう思いますか?」

ヤ「そうだねぇ・・1人1人の戦力が高いチームは、分散スた方が有利かもスれないねぇ。」

チャ「なるほどぉ。マトー君は?」

マト「1人1人のバトルも見たいけど、2人1組(パディ)3人1組(スリーマンセル)でも面白そうカボ~♪」

チャ「なるほどぉ。そこに注目しながら見るのも面白いかもしれませんね。それでは間も無く、大魔闘演舞開始ですっ!」

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一方、クロッカスの街中にいるチーム妖精の尻尾(フェアリーテイル)は・・・

グ「そろそろだな。」

グレイが会場の方を見上げて呟いた。

リョ「俺達は今首位にいるけど、2位の銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)とはたったの2ポイント差だ。」

エ「2人か3人、もしくは副リーダーを倒せばあっという間に逆転されるな。」

ユ「でも、皆優勝を譲る気は一切無い。でしょ?」

指を折りながら言うリョウに続いてエルザも呟く。
ユモの言葉には全員無言で首を縦に振った。

ナ「別に良いんじゃねェか。追いつかれて抜かれて、また追いついて抜いて―――優勝するまでの楽しみが増えるじゃねーかっ!カーカッカッカッカァ!」

高らかに笑うナツを見て、グレイとリョウは肩を竦め、エルザとユモは顔を見合わる。が、全員笑みを浮かべていたのは確かだった。

エ「だが、目的はただ1つ。」

エルザが目付きを鋭くし、

グ「俺たちだけじゃなくて、ギルドの目的だ。」

グレイが握り締めた右手の拳を右胸に刻まれた紺色の紋章にぶつけ、

リョ「優勝、だろ?」

ユ「もちろん。」

リョウが問い掛けるような口調で言い、ユモが力強く頷きながら答え、

ナ「面しれェ、やってやろーじゃねーか。今年も優勝するのは、俺達妖精の尻尾(フェアリーテイル)だっ!」

ナツが口角を上げて笑ったのと同時に、会場の方からチャパティ・ローラの実況が聞こえた。

チャ「栄光なる魔の頂を手にするのは、勝利の女神が微笑むのはどのギルドかっ!大魔闘演舞・・・開始ィ!!」

チャパティ・ローラの実況と共に、像の上にいる男が通常より遥かに大きい銅鑼をゴォォォォォォォォォォン!!と街中にいる魔道士達にも聞こえるくらい力強く叩いた。

ナ「行くぞォ!」

グ&エ&リョ&ユ「オオッ!!」

円陣を組み、ナツの掛け声に続いて他の4人も声を上げた。





雲一つ無い青空が広がる7月6日、大魔闘演舞が幕を開けた―――――。





 
 

 
後書き
第190話終了~♪
遂に始まった大魔闘演舞!盛り上がってきましたよ~!
次回は次々に戦闘を繰り広げる中・・・ってあれれぇ!?妖精の尻尾(フェアリーテイル)、今年もまた動かない!?もちろんあの方が大活躍!
お楽しみに~♪ 

 

第191話 花咲く都の熱戦

 
前書き
お久しぶりの紺碧の海でございますっ!
夏休みが終わり、期末テストがようやく終了したので、約2週間にぶりに更新します。
今回は遂に始まった大魔闘演舞、出場しているナツ、グレイ、エルザ、リョウ、ユモの5人はなぜか・・・!?FT友恋でも、あの方が大活躍しますっ!
ナレーション風に書いていきます。
それでは、第191話・・・スタート! 

 
遂に始まった大魔闘演舞。
バトルフィールドであるクロッカスの街全域を映し出した6つの映像魔水晶(映像ラクリマ)の映像から大勢の観客達は目を離せない。会場は常に興奮と歓喜で包まれている。

チャ「いや~、最終戦が遂に始まりましたね。」

ヤ「どんなバトルが見れるのか、今まで以上に楽スみだねぇ。」

マト「皆頑張るカボよー!」

クロッカスにいる出場者達に届く訳ないが、マトー君は映像に映る出場者達に向かって声援を送る。
映像魔水晶(映像ラクリマ)の映像の1つに銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)の魔道士、キースの姿が映った。すぐにまた別の映像魔水晶(映像ラクリマ)の映像にルチーアの姿が映った。

チャ「やはり、1人1人が高い魔力と戦闘力を誇る銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)の魔道士達は分散して行動していますね。」

他にも四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)幸福の花(ハピネスフラワー)が分散している。

映像が切り替わり、蛇姫の鱗(ラミアスケイル)のユウカとトビー、青い天馬(ブルーペガサス)のトライメンズの3人の姿が映った。

チャ「そして2人1組(パディ)で行動する者達や、3人1組(スリーマンセル)で行動する者達もいます。」

他にも、2人1組(パディ)月の涙(ムーンティア)のリキとカリン、海中の洞穴(マリーンケイヴ)のアニーとアリー、白い柳(ホワイトウィロウ)のタクヤとアチュール、3人1組(スリーマンセル)気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)のリート、ラム、ジェニックなどがいる。

ト「皆さん頑張ってますね。」

フ「なーに当たり前の事言ってんだよ?この最終戦で今年のフィオーレ一が決まるんだ。頑張るのは当たり前じゃねェか。」

呑気に言うトーヤの言葉にフレイが肩を竦めながら言う。

ハ「それにしても、人数が多いね。」

ル「さっきから全然、リョウ達の姿映らないわねぇ。」

シャ「どこほっつき歩いてるのかしら?」

ウェ「目立たない場所にでもいるんでしょうか?」

ショ「いや・・ナツがいる限り、そんな事はないと思う・・・」

シャルルを抱いたウェンディが首を傾げながら呟いた言葉をショールが即答で否定する。
確かにナツは最終戦に出場しているが、まだ一度も妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士の姿が誰一人として映像に映っていない―――と思った矢先、

マ「あ!やっとナツ達が映―――――って、ええぇ!?」

ずっと映像を見ていたマヤが嬉しそうに声を上げたかと思うと、その声はすぐに驚嘆の声に変わり、マヤの大きな夕日色の瞳が驚きで見開いている。

チャ「あーーーーーっとぉ!こ、これはいったい・・・!!?」

マヤに続くようにチャパティ・ローラも驚嘆の声をマイク越しで上げる。
観客達も映像を見てざわつき始めた。
驚嘆の声を上げた理由は6つの映像魔水晶(映像ラクリマ)の1つに映し出された映像に映っていた。

チャ「妖精の尻尾(フェアリーテイル)がっ!またしても全員目を閉じたまま動いていないーーーーーっ!!」

映像に映っているのは大魔闘演舞に出場しているナツ、グレイ、エルザ、リョウ、ユモの5人。5人は白いライオンの石膏像の前で仁王立ちの状態のまま、目を固く閉じてその場に立ち尽くしているのだ。
ギルド一問題児である、()()ナツでさえ大人しく目を閉じてその場に立ち尽くしているのだ。
何とも奇妙な光景である。

チャ「ヤ、ヤジマさん・・妖精の尻尾(フェアリーテイル)はいったい何を・・・?」

ヤ「うーん・・・集中(スウチュウ)でもスてるんじゃないかねぇ?」

マト「あーでも、早くしないと抜かされるちゃうカボよ。」

実況席にいる3人も困惑の表情を浮かべる事しか出来ずにいた。

チャ「妖精の尻尾(フェアリーテイル)の奇妙な行動も気になりますが、すでに敵と接触している者達もいるぞーーーっ!」

四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)のノバーリと、月の涙(ムーンティア)のリキとカリンが向かい合っていた。

リキ「アイアンメイク、鉄槍(ランス)ッ!!」

カリ「クリスタルメイク、透明虎(クリアタイガー)ッ!!」

ノバ「ふ、2人かよっ!?ぐぉはっ!」

リキが造形した鉄の槍と、カリンが造形した硝子の虎が容赦なく襲い掛かり、ノバーリは魔法を発動する間も無く戦闘不能。
ピッと音を立てて月の涙(ムーンティア)のポイント数に1ポイント追加される。

同じ頃、別の場所では―――、

レン「女子と当たっちまうなんてな。」

イヴ「ついてないね。」

ヒビ「でも、優勝する為にはいくら女性でも手加減は出来ないな。」

ヒリ「キャアアアア!」

アナ「うわぁああぁああ!」

古文書(アーカイブ)を開いたヒビキが敵の場所を認識し、レンとイヴが空気の渦と吹雪を起こし気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)のヒリアとアナを戦闘不能にする。
気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)の副リーダーであるヒリアを倒した為、ピッと音を立てて青い天馬(ブルーペガサス)のポイント数に4ポイント追加され、青い天馬(ブルーペガサス)が7位、幸福の花(ハピネスフラワー)が8位になった。

同じ頃、別の場所では―――、

バロ「風竜の・・・咆哮ッ!!」

スミ「きゃあぁああぁぁあああっ!」

バロンが口から風の(ブレス)を噴出し、幸福の花(ハピネスフラワー)のスミレを戦闘不能にする。
ピッと音を立てて海中の洞穴(マリーンケイヴ)のポイント数に1ポイント追加される。

同じ頃、別の場所では―――、

アン「絵画魔法(ピクトマジック)火の玉(フレイム)ッ!」

セム「あちィいいぃいいぃぃいいいっ!」

アンナがステッチブックに素早く無数の火の玉の絵を描き、四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)のセムスに投げつけ戦闘不能にする。
ピッと音を立てて銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)のポイント数に1ポイント追加される。これで妖精の尻尾(フェアリーテイル)とは1点差になった。

同じ頃、別の場所では―――、

ユウ「俺が波動で魔法を封じている間に・・・」

トビ「オオーン!」

イエ「ぐぉああぁあぁああああっ!」

ユウカとトビーの良い連係攻撃(コンビネーション)四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)のイエーガを戦闘不能にする。
ピッと音を立てて蛇姫の鱗(ラミアスケイル)のポイント数に1ポイント追加される。

同じ頃、別の場所では―――、

バッ「クソッ!さっきからうろついてるってェのに、誰とも会いやしねェじゃねェかっ!」

愚痴を言いながらバッカスが1人クロッカスの街を歩いていた、その時―――、

バッ「!」

太陽はバッカスが歩いてる方向とは逆方向にある為、バッカスの黒い影は前にある。そのバッカスの影より遥かに大きな黒い影が、自分の影と重なっている事に気づき、バッカスは慌てて後ろを振り返ろうとしたが、

バ「ぐぉばっ!」

頭上に振り下ろされた巨大な木製の棍棒で地面に叩きつけられ、バッカスは気絶し戦闘不能。

キー「ありがとうオリオン、助かった。」

銀色の鍵を持ったキースが、怪力座のオリオンを星霊界に帰らせた。
四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)のリーダーであるバッカスを倒した為、ピッと音を立てて銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)のポイント数に5ポイント追加され、銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)が1位、妖精の尻尾(フェアリーテイル)が2位になった。

チャ「逆転!銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)妖精の尻尾(フェアリーテイル)を抜いて逆転したーーーーーっ!!」

銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)は68ポイント、妖精の尻尾(フェアリーテイル)は64ポイント。1位と2位の差はこれで4点差だ。

チャ「点数が動く!順位が動く!しかし、妖精の尻尾(フェアリーテイル)は動かない!未だに目を閉じたままだーーーっ!」

次々と人数が減っていき、点数や順位が次々と変わっていく中、妖精の尻尾(フェアリーテイル)は未だに動きを見せない。
ナツ達が一向に動かないのを見ても、応援席にいる者達は焦りもせず、怒りもせず、ただ勝ち誇ったような笑みを浮かべているだけだ。
それには列記とした理由がある。
何しろ妖精の尻尾(フェアリーテイル)には、仲間を勝利へと導く、強い味方がいるのだから。

マカ「初代、今年も奴等に作戦を伝えたんですね?」

メイ「はい。」

マスター(6代目)の問いに、メイビス(初代)は頷いた。

ロメ「やっぱ流石だな、初代。」

マカオ「や・・やっぱし、ただの癒し系じゃ、ねェんだ、な・・・」

ワカ「だ・・だな・・・」

レビ「あれでも、妖精の尻尾(フェアリーテイル)を創った人だしね。」

ロメオが感心し、マカオとワカバが改まるように呟き、レビィが苦笑いを浮かべながら言う。

ル「それで初代、今年はどんな作戦をリョウ達に伝えたの?」

ウェ「もちろん全て、初代の計算どおりなんですよね?」

メイ「もちろんです。」

ルーシィとウェンディの問いに、メイビスは力強く頷いて見せた。

メイ「偶然にも、今年の大魔闘演舞には多くの強者達がものの見事に勢揃いしています。苦戦しましたが、私はこの4日間で、敵全員の戦闘力、魔法、心理、行動パターンを全て頭に入れました。」

メイビスの頭を巡るのは、この4日間での戦いの数々。
滅竜魔法や滅神魔法、造形魔法や星霊魔法、召喚魔法や合体人間(ユニゾンヒューマン)などなど―――――。

メイ「私は、それを全て計算し、何億通りもの戦術をシュミレーションしました。」

フ「な・・何億通り・・・!?」

マ「敵全員に適応する戦術を・・・!?」

ショ「たった、4日間で・・・!?」

ト「・・す、すごい・・・!」

フレイ、マヤ、ショールの順に驚嘆の声を、トーヤが感嘆の声を漏らした。

メイ「敵の動き、予測と結果、位置情報・・・ここまで全て、私の計算どおりです。」

マ&ショ&ト「!」

メイビスから放たれる、その凄まじい雰囲気(オーラ)を感じ取ったマヤの顔は血の気が()せ、ショールは目を見開き、トーヤは思わず背筋を伸ばした。

メイ「作戦はすでに伝えてあります。」

メイビスが呟いたのと同時に、ずっと仁王立ちで目を閉じていたナツ、グレイ、エルザ、リョウ、ユモの5人がカッ!と目を開けた。5人の瞳は鋭く、眩い光が宿っている。

メイ「仲間を勝利へと導く、それが私の“(いくさ)”です。」

メイビスの緑色の瞳も鋭く、眩い光が宿っていた。
呟きながらメイビスはスクッと立ち上がると、人差し指だけを立てた右手を斜め上に上げると―――――、





メイ「妖精(ようせい)(ひかり)作戦、開始ッ!!」





ナ&グ&エ&リョ&ユ「了解!!!」

チャ「遂に妖精の尻尾(フェアリーテイル)が動いたーーーーーっ!」

5人一斉に別々の方向へと駆け出した。

メイ「各自散開!次の目的地まで進んで下さい!」

メイビスが声を張り上げ指示を出す。
その様子をルーシィ達は目を白くしてポカーンと見つめる事しか出来ずにいた。

メイ「この時点で、94%の確立でシプが動きを見せます。」

メイビスの予測通り―――、

シプ「(動いた!)」

姿を透明にしたシプが小猿のように駆け出した。

シプ「(すぐ近くに、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の誰かがいる―――!)」

メイ「各自、全方面に意識を集中!姿の見えない敵の気配を感じ取って下さい!」

メイビスが次の指示を出す。
指示通り、ナツ達は意識を集中させ、360度からの気配を感じ取る。

シプ「(背中ががら空き!)」

シプが敵の姿を確認し、気配を殺して足音を立てずに素早く駆け寄ると、がら空きの妖精(ようせい)の背中に向かって飛び蹴りを放つ、が―――・・・

エ「ふん!」

シプ「(かわしたっ!?)」

妖精(ようせい)―――エルザはシプが来たのを分かっていたかのようにシプの飛び蹴りを左に避けてかわした。

シプ「(そんな・・・気配を消すのも蹴りの威力も、あの時よりうんと上がっているのに・・・・な、何で・・・?)」

シプは空中で体勢を整え、着地するまでの間で頭をフル回転させる。

メイ「敵はエルザの背後から出没。他の者はそのまま目的地へ!エルザは意識を集中したまま、相手の気配を感じ取り、思考が乱れている相手の位置を確認。」

メイビスの指示通り、ナツ、グレイ、リョウ、ユモは目的地へ。エルザはその場で立ち止まり、意識を周囲に集中させ、姿の見えない敵の気配を感じ取り、別空間から刀を取り出すと、

メイ「(撃破。)」

エ「はァっ!」

シプ「うぐぁあっ!」

斬られたシプは姿を現し、その場に倒れ込み戦闘不能。
ピッと音を立てて妖精の尻尾(フェアリーテイル)のポイント数に1ポイント追加される。

エ「気配を消した姿の見えない敵を倒す事が出来るとは・・・流石は初代、恐ろしいお方だ。」

刀を別空間に戻しながら呟くと、エルザは草履を履いた足で目的地である場所へと駆け出した。





メイ「(リョウは東方にいる敵2人を撃破。)」

リョ「初代の予想通り!」

タク「うぉわぁあっ!」

アチュ「ぐはっ!」

『銀覇剣』で白い柳(ホワイトウィロウ)のタクヤとアチュールを斬りつけ戦闘不能にする。
ピッと音を立てて妖精の尻尾(フェアリーテイル)ポイント数に2ポイント追加される。

リョ「不気味なくらい、初代の読みが的中してってやがる・・・あー怖ェ。」

『銀覇剣』を鞘に戻しながら、最後は棒読みで呟くと青い着物の裾をひるがえしながら駆け出した。





ユ「アイスメイク、氷霧(フリーズミスト)ッ!!」

氷のように冷たい霧が辺りを覆いつくす。

ジェ「んだこりゃ!?何にも見えねェぞぉーーーっ!」

ラム「リート~、ジェニック~、どこぉ~?」

リー「ラム!ジェニック!それ以上今いる場所から動くんじゃねェ!!」

霧の中で気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)のリート、ラム、ジェニックが喚いている中、3人に忍び寄る2つの黒い影―――。

グ「氷雪砲(アイス・キャノン)ッ!!」

ユ「氷雪鎖(フリーズ・チェーン)ッ!!」

氷の砲丸と氷の鎖を同時に霧の中にいるリート達目掛けて放つ。

ジェ「ぐぉおおあぁあぁぁああああっ!」

ラム「うわあぁああぁああああっ!」

リー「ジェニック!ラム!・・・っくそォ!」

狙い的中。
霧が晴れると、グレイとユモの目の前にいるのは傷だらけで倒れているジェニックとラムだけ。リートの姿はどこにも見当たらなかった。
ピッと音を立てて妖精の尻尾(フェアリーテイル)のポイント数に2ポイント追加される。

グ「逃げられたか。」

ユ「この2人を倒して2ポイントだから・・・やっぱり、気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)のリーダーはリートみたいだね。」

グ「あークソ!アイツ倒してたら逆転出来たのに、惜しいところ(のが)しちまったな。」

グレイは悔しそうに頭を掻き毟りながら言う。

ユ「まぁまぁ、私達は初代の指示通りに動けば大丈夫だよ。」

グ「んで、その初代の指示で、俺とユモはここで別行―――――!!?」

「別行動」と言おうとしたグレイの口をユモが塞いだ。
手ではなく、口で。
いきなりすぎる出来事に、グレイは最初何が何だかよく分からなかったが、後にそれが“キス”だと理解すると、徐々に体温が急上昇していくのを実感した。
氷の魔道士の体温は、普通の人間と比べると低く、寒いところで服を脱いでも大丈夫なくらいだが、今のグレイの体温は炎の魔道士の体温より熱いだろう。
ユモが離れてからも、グレイはしばらく静止したままだった。顔は恐らく、真っ赤だ。
キスの時間はほんの数秒だったのだが、グレイにとって1~5時間くらいに思えたはずだ。

ユ「グ、グレイ?ゴ・・ゴメン。だ、大丈夫・・・?」

ユモの声で我に返るが、顔はまだ真っ赤のまま。ユモの頬も薄っすらと赤みを帯びていた。

ユ「グレイ、頑張ろうね。」

グ「ぁ・・あ、あぁ・・・//////////」

ユモの言葉にまともに返事を返す事が出来ず、グレイはただ顔を真っ赤にしたままユモから視線を逸らす事しか出来なかった。
ようやく落ち着きを取り戻した時には、すでにユモの姿はなかった。
右手で口元を覆ったまま、しばらくその場に立ち尽くしていたが、右手を口元から額へ移し、顔を隠すようにすると、

グ「・・・やられた。」

小さく呟いた。





ハマ「花弁の鉄鎚(ペトゥールハンマー)!」

ロッ「ぐべぼっ!」

色とりどりの花弁の鉄鎚(ハンマー)四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)のロッカーが押し潰され戦闘不能。
四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)の副リーダーであるロッカーを倒した為、ピッと音を立てて幸福の花(ハピネスフラワー)のポイント数に3ポイント追加される。
それと同時に、四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)は全滅(10位)。





シェ「ゴメンね。天神の・・・怒号ッ!!」

シェナ「キャアァアァアアアアッ!」

チル「うわぁあぁあああああっ!」

ウィンクをしながら最初に謝罪し、口から黒い空気の(ブレス)を噴出し、白い柳(ホワイトウィロウ)のシェナとチルチルを倒し戦闘不能にする。
白い柳(ホワイトウィロウ)の副リーダーであるシェナを倒した為、ピッと音を立てて蛇姫の鱗(ラミアスケイル)のポイント数に4ポイント追加される。





カリ「クリスタルメイク、透明竜(クリアドラゴン)ッ!!」

リキ「アイアンメイク、大砲丸(ビッグシャット)ッ!!」

硝子の(ドラゴン)と、巨大な砲丸が迫り来る、が―――・・・

レヴ「星竜の・・・咆哮ッ!!」

口から金銀に光り輝く(ブレス)を噴出し、(ドラゴン)と砲丸を跡形も無く消し去ると、(ブレス)はリキとカリンの体を飲み込む。(ブレス)が消え、砂煙が晴れると、レヴルの目の前には倒れているリキとカリンがいた。
ピッと音を立てて銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)のポイント数に2ポイント追加される。





メイ「(前方から来た3人の敵を撃破。)」

ナツは駆け出し、タイミングを見計らって跳躍し、両手に灼熱の炎を纏うと、

ナ「火竜の・・・煌炎ッ!!」

丁度角を曲がって来た、真下にいるトライメンズの3人目掛けて両手を振りかざした。

イヴ「う、上から!?うぁああああああっ!」

レン「んなのアリかよっ!?ぐああぁあぁあああっ!」

ヒビ「やっぱり妖精の尻尾(フェアリーテイル)には、僕の古文書(アーカイブ)の計算を超える者が・・・うあぁあぁぁああああっ!」

トライメンズも丸焼きにされたら無残な姿になるのはお決まりの事であり、戦闘不能。
青い天馬(ブルーペガサス)の副リーダーであるヒビキを倒した為、ピッと音を立てて妖精の尻尾(フェアリーテイル)のポイント数に5ポイント追加され、再び妖精の尻尾(フェアリーテイル)が1位、銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)が2位になった。
妖精の尻尾(フェアリーテイル)は71ポイント、銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)は70ポイント。1位と2位の差は1ポイントにまで縮まった。

ナ「カーカッカッカッカァ!また逆転してやったぞっ!」

ナツが映像魔水晶(映像ラクリマ)に映っている順位表を指差しながら言ったその直後、ピッと音を立てて銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)のポイント数に5ポイント追加され、再び銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)が1位、妖精の尻尾(フェアリーテイル)が2位になった。
銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)は75ポイント、妖精の尻尾(フェアリーテイル)は71ポイント。1位と2位の差は4ポイントに変わった。
それと同時に、気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)は全滅(9位)。

ナ「リーダー倒したのかっ!?だぁーーーっ!また誰か倒さねェと!こうしちゃいられねェ、おい初代!次はドコ行けばいいんだぁ!?」

ナツはその場にしゃがみ込んで頭を抱えて叫んだかと思いきや、すぐに立ち上がってメイビスに問い掛けながら走り出した。





メイ「エルザはD―6へ、ユモスはK―3へ直行。」

メイビスが次々に指示を出していく。

マ「初代すごぉ~い!」

ル「初代の読みがことごとく的中してってる。」

ト「“妖精軍師”メイビスの名は伊達じゃないですね。」

マヤ、ルーシィ、トーヤの順に感心する。

ショ「(・・・いくら魔道士でも、あんなに優れた戦略眼の持ち主は初めてだ。)」

ショールの鮮血のような赤い瞳に映るのは、妖精の尻尾(フェアリーテイル)初代ギルドマスター、メイビス・ヴァーミリオンの姿だけ。

ショ「(初代、あなたはいったい・・・?)」





ツツ「ナックルプラント!」

ジェニ「いやーん!」

拳の形をした植物が青い天馬(ブルーペガサス)のジェニーを殴り飛ばし戦闘不能にさせる。
ピッと音を立てて幸福の花(ハピネスフラワー)のポイント数に1ポイント追加され、青い天馬(ブルーペガサス)と順位が並んだ。

ツツ「よしっ!この調子でどんどんポイントを溜めてい」

セイ「炎の杖(ファイアステッキ)!」

ツツ「けばキュゥン!」

ツツジの無防備な背中を狙ってセインは(ステッキ)を振りかざし、ツツジを倒し戦闘不能にする。
ピッと音を立てて月の涙(ムーンティア)のポイント数に1ポイント追加される。

セイ「悪いけど、そう簡単にポイントはやらせないよ。」





サク「(いかずち)の御魂よ、敵に天罰を・・・!」

ユウ「ぐぁああっ!」

トビ「おぐぁっ。」

空から雷鳴が轟き、ユウカとトビーに直撃し2人は戦闘不能。
ピッと音を立てて幸福の花(ハピネスフラワー)のポイント数に2ポイント追加され、幸福の花(ハピネスフラワー)青い天馬(ブルーペガサス)白い柳(ホワイトウィロウ)と順位が並んだ。

サク「やっと5位、ですか。お姉様とハマナスさんがいれば、すぐにでも追い越せ」

アニリ「混沌!闇光の弾(ダークライトショット)・・・乱射!」

サク「ひゃああぁあぁああああっ!」

闇と光を纏った無数の弾丸が放たれ、油断をしていたサクラに次々に直撃し、戦闘不能にする。
幸福の花(ハピネスフラワー)の副リーダーであるサクラを倒した為、ピッと音を立てて海中の洞穴(マリーンケイヴ)のポイント数に3ポイント追加される。

アニリ「油断禁物だよ☆」

合体人間(ユニゾンヒューマン)でアニリーの姿になったアニーとアリーの背後に忍び寄る黒い影―――――。

ウラ「それはあなたも同じ事!」

アニリ「うぐぁあ!」

ウララが黒い水を纏った右足で、アニリーに踵落としを決める。急所だったのか、アニリーはその一撃で気を失い戦闘不能。
アニリーはアニーとアリーが合体(ユニゾン)した姿なので、ポイントは2人分追加される事になる。海中の洞穴(マリーンケイヴ)の副リーダーであるアニーを倒した為、ピッと音を立てて白い柳(ホワイトウィロウ)のポイント数に4ポイント追加される。

ウラ「白い柳(ホワイトウィロウ)は後私だけ・・・でも、皆の分まで頑張らなくちゃ!」

そう言いながら、ウララは白い柳(ホワイトウィロウ)の掟である白いベールを外した。





ジェニ「一夜さん・・・す、すみませぇ~ん・・・・」

ジェニーが涙を流しながら謝罪する。

一夜「ウム、後は私に」

カイ「スキアリ。」

一夜「任せぽぎゅっ!」

一夜のスキを突いたカイが水を纏った左足で一夜の背中を蹴りつける。
青い天馬(ブルーペガサス)のリーダーである一夜を倒した為、ピッと音を立てて月の涙(ムーンティア)のポイント数に5ポイント追加される。
それと同時に、青い天馬(ブルーペガサス)は全滅(8位)。

カイ「・・水・・・」

カイが自分の右手を見つめながら小さく呟いた。

カイ「・・・水の滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)に、水の滅神魔道士(ゴッドスレイヤー)、か・・・・」

カイの口元に小さな笑みが浮かんだ。





バロ「風竜の・・・翼撃ッ!!」

ハマ「花弁の壁(ペトゥールウォール)!」

風を纏った両腕を振るうバロンの攻撃を、ハマナスは色とりどりの花弁の壁で防ぐ。

バロ「やるね。」

ハマ「そちらこそ。」

お互い短く言葉を発した後、次の攻撃を仕掛けようとする、が―――・・・

ジュ「はァっ!」

バロ「なっ・・ぐああぁあぁぁあああっ!」

ハマ「聖十の・・・キャアアァアアアアッ!」

バロンとハマナスの足元から円柱型の岩が突き出し、2人の体を空高く突き飛ばし戦闘不能にする。
海中の洞穴(マリーンケイヴ)のリーダーであるバロンを倒した為、ピッと音を立てて蛇姫の鱗(ラミアスケイル)のポイント数に6ポイント追加される。

チャ「聖十のジュラだぁーーーーーっ!」

チャパティ・ローラが興奮しながら実況をする。

チャ「これで5人全員残っているチームは妖精の尻尾(フェアリーテイル)銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)だけになりましたね。」

ヤ「だが、残っているのは強者ばかり。安心(アンスン)は出来ないねぇ。」

マト「人数も絞られてきたカボねー。」

現時点で妖精の尻尾(フェアリーテイル)銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)が5人、蛇姫の鱗(ラミアスケイル)が3人、海中の洞穴(マリーンケイヴ)月の涙(ムーンティア)が2人、幸福の花(ハピネスフラワー)白い柳(ホワイトウィロウ)が1人だ。

メイ「ここからはかなりの激戦が予想されます。」

メイビスが呟く。

フ「なぁ初代、最終的にジュラはどうすんだ?」

ハ「もちろん、考えてるんだよね?」

フレイとハッピーの問いに、メイビスはこれまでとは対照的に、自信なさそうに呟いた。

メイ「もちろん考えてはいます。ですが、対処法が全くまとまらないのです。」

ショ「それほどケタ外れに強い、という事か。」

シャ「聖十大魔道が相手だと、いくら初代でもそう思っちゃうのね。」

ショールが腕を組みなおしながら重々しく呟き、シャルルも同意するように言う。

マ「でも、リョウなら倒せるんじゃないの?リョウも聖十だし、ジュラさんに続いて序列6位なんでしょ?」

ル「うん、リョウなら倒せるかもしれない。でも・・あんな怪我をしている状態だと・・・」

マ「あ・・そっか。」

ルーシィの答えにマヤも納得したように頷いた。
リョウは腹部の怪我は、未だに完治していない。そんな状態であるのにも係わらず、リョウは皆の反対を押し切って最終戦に加わったのだ。
メイビスもリョウの怪我の状態の事は知っている。メイビスの作戦にも、本人には内緒であまりリョウを戦わせないように心掛けているつもりなのだ。よっぽどの事が無い限り―――。

ウェ「それで、次はどうなるんですか?」

ト「もう分かってるんですよね?」

ウェンディとトーヤが問うと、

メイ「私の計算が正しければ、恐らく―――――」





バトルフィールドのクロッカスの街にある、とある美術館。

グ「ここに来れば、お前と戦えると聞いたんだが・・・流石初代、当たってるぜ。」

そこにグレイはいた。
目の前にいるのは、スケッチブックに鉛筆で何かを描いている、赤いベレー帽を被った少女―――。

アン「昨日はありがとうございました。」

メイ「(グレイとアンナが、美術館エリアでぶつかります。)」

映像魔水晶(映像ラクリマ)の映像に、向かい合うグレイとアンナの姿が映し出された。

チャ「おぉっと!美術館エリアで、妖精の尻尾(フェアリーテイル)のグレイと、銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)のアンナが激突だーーーーーっ!!」 
 

 
後書き
第191話終了ですっ!
たった1話だけで、かなり人数を絞ってしまいました。
次回はグレイとアンナの激戦が幕を開けます。
それではまた次回! 

 

第192話 グレイVSアンナ

 
前書き
紺碧の海です☆
今回はグレイVSアンナの激戦が幕を開けます。果たして、勝つのは一体どっちだ―――――!?
ナレーション風に書いていきます。
それでは、第192話・・・スタート☆ 

 
チャ「おぉっと!美術館エリアで、妖精の尻尾(フェアリーテイル)のグレイと、銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)のアンナが激突だーーーーーっ!!」

チャパティ・ローラが映像魔水晶(映像ラクリマ)の映像に映し出されたグレイとアンナの姿を見て興奮しながら実況をする。

レビ「初代の作戦通りね。」

ロメ「これも計算通りなのか?」

メイ「はい。」

レビィが呟き、ロメオの問いにメイビスは首を縦に振る。

ウォ「じゃあやっぱ、グレイが勝つんだな。この勝負。」

メイ「それは私にも分かりません。」

マカオ「えっ?」

ワカ「だって、初代の作戦通りなんだろ?」

ウォーレンの言葉にメイビスは首を左右に振る。それを見てマカオは首を傾げ、ワカバがメイビスに問う。

メイ「確かに、グレイとアンナがぶつかるのは私の作戦通り・・・ですが、その作戦の結末は私にも分かりません。グレイに予め伝えております。「アンナを倒す事によって、優勝の道はかなり近づく」と。」





アン「初日以来ですね、こうして2人だけで向かい合うのは。」

大魔闘演舞初日のオープニングゲーム、『浮上板(フロウトプレート)』でグレイとアンナは激突し、最後まで居残っていた。その激戦が、今また、ここで開幕しようとしていた。

グ「邪魔者はいねェ。正々堂々と、勝負が出来るぜ。」

そう言いながら、グレイは攻撃態勢を取った。





メイ「この戦い、正直言うとグレイの方がかなり不利な状況です。」

エル「えっ?何でだ?」

メイビスの言葉に、エルフマンは首を傾げながら問う。

メイ「グレイの魔法はは氷の造形魔法。アンナの魔法は―――――」





グ「いくぞ!アンナ!」

グレイが構えた両手に冷気を溜めたのと、アンナが絵筆を取り出したのが同時だった。

グ「アイスメイク、牢獄(プリズン)ッ!!」

バトルが始まって早々、グレイはアンナを氷の牢獄(プリズン)に閉じ込めた。が、

アン「絵画魔法(ピクトマジック)(ファイア)!」

メイ「(絵画魔法(ピクトマジック)・・・アンナは炎で、氷を融かす事が出来ます。)」

アンナは赤い絵の具の付いた絵筆を素早く動かし、スケッチブックに炎を描くと、煌々と激しく燃え盛る紅蓮の炎が出現し、あっという間に氷の牢獄(プリズン)をドロドロに融かしてしまった。
グレイは「チッ」と小さく舌打ちをすると、再び構えた両手に冷気を溜め、

グ「氷撃の鎚(アイスインパクト)ッ!!」

アンナの頭上に、巨大な氷の鎚を造形し、そのまま振り下ろす。が、

アン「(ファイア)!」

再びアンナはスケッチブックに炎を描き、氷の鎚もあっという間にドロドロに融かしてしまった。アンナの頭に降り注ぐのは、水と化した氷。ただの水は、痛くも痒くもない。ただ冷たいだけだ。

グ「くそっ。」

悔しそうに、グレイは歯をグッと噛み締める。
アンナは顔に掛かった濡れた前髪を左手で掃い、銀色の絵の具の付いた絵筆を素早く動かしスケッチブックに絵を描く。

アン「絵画魔法(ピクトマジック)騎士(ナイト)!」

グレイを取り囲むように出現したのは、銀色に光る鎧に身を包んだ騎士(ナイト)だった。それも1人や2人ではない。ざっと数えて20人くらいはいるだろう。現れた騎士(ナイト)は全員柄の部分に青と金色の飾りが付いた剣と、馬のような模様が刻まれた盾を持っている。中には馬具を着けた馬に乗っている騎士(ナイト)もいる。

アン「騎士(ナイト)達よ、我の指示に従い敵を薙ぎ払えっ!」

アンナはピッと絵筆の先端をグレイに向け騎士(ナイト)達に指示を出す。すると、アンナの指示通り、騎士(ナイト)達は剣を構えグレイに襲いかかって来た。

グ「結局邪魔者いるじゃねェか!」

愚痴を吐きながらも、構えた両手に冷気を溜め、

グ「アイスメイク、氷槍騎兵(フリーズランサー)ッ!!」

無数の氷の槍を造形し、一斉に騎士(ナイト)達に向かって放つ。氷の槍は次々と騎士(ナイト)達の体を貫いていき、騎士(ナイト)達は煙となって消えてゆく。騎士(ナイト)達に当たらなかった氷の槍は、石膏像で出来た白い天使像を破壊していく。

アン「スキアリ!」

グ「!」

騎士(ナイト)達を倒している間に、グレイの背後に周り込んだアンナがスケッチブックに絵を描いていく。

アン「絵画魔法(ピクトマジック)(タイガー)!」

黄色と黒の縦縞が特徴の(タイガー)が、鋭く尖った牙を剥き出しにしながらスケッチブックから飛び出しグレイに襲い掛かる。

グ「アイスメイク、(シールド)ッ!!」

構えた両手に冷気を溜め、八方に開いた花のような形の氷の(シールド)を造形して身を守る。が、

アン「(ファイア)!」

紅蓮の炎が氷の(シールド)をドロドロに融かしてしまった。

グ「盾が消え・・・・ぐあぁああぁぁああああっ!」

無防備となったグレイに、(タイガー)は容赦なく腕を振るい、グレイの体を数十m突き飛ばした。突き飛ばされたグレイの体は天使像を2~3体ほど破壊しながら美術館の壁に激突した。
アンナは黄色い絵の具が付いた絵筆を素早く動かし、スケッチブックに絵を描いていく。

アン「絵画魔法(ピクトマジック)(サンダー)!」

グ「がああああああっ!」

ゴロロロロ!と轟音を立てながら、アンナが描いた(サンダー)はグレイに直撃する。





ト「あわわわわぁ・・・」

応援席でグレイとアンナのバトルを見ていたトーヤが頭を抱えながら目を泳がす。

マ「ちょっ・・初代ィ、さっきからグレイ、やられっぱなしじゃん!」

ル「だ、大丈夫・・なのよ、ねぇ・・・?」

マヤとルーシィが、困惑した表情を浮かべながらメイビスに問う。

メイ「先程申したとおり、グレイが勝つかどうかは、私にも分かりません。」

ウェ「じゃあ、どうするんですか・・・?」

ウェンディの問いに、メイビスはしばらく何も言わずに黙っていたが、

メイ「私達はただ、ここから見守っているだけで良いのです。グレイが勝ちたいと望んでいるのならば、ここで応援している、仲間の想いが必ず届くはずです。」

ショ「でも・・・」

メイ「それに昨晩、グレイは私に言ったのです。」

ショールの言葉を遮るように、メイビスがショールの方を振向きながら言葉を紡いだ。

メイ「私に、「仲間の為に、戦わせてくれ」と。」

メイビスの緑色の瞳に、ショールの顔が映る。
メイビスは視線をショールから映像へと戻し、映像に映っているグレイの姿を見て言った。

メ「時に思いは計算を超えます。彼の想いが本物であるならば、グレイは私達に見せてくれるはずです。“勝利”という名の想いを―――。」





荒く呼吸をし、傷だらけになりながらも、天使像を支えにしながら、グレイはよろよろとその場でゆっくりと立ち上がる。
乱れた呼吸を整えた後、顔を少し上げ、黒い瞳で目の前にいるベレー帽を被った少女―――アンナを睨み付ける。

アン「『浮上板(フロウトプレート)』の時も思ったけど、やっぱりしぶといはね。」

まだ立ち上がるグレイを見て、アンナは感嘆の声を漏らすと、赤い絵の具の付いた絵筆を素早く動かし、スケッチブックに絵を描いていく。

アン「これで終わりよっ!絵画魔法(ピクトマジック)爆炎(エクスプロージョン)!」

今までの(ファイア)よりも、荒々しく燃え盛る爆炎(エクスプロージョン)がグレイの体を包み込んだ。

グ「あああああああああああああっ!」

爆炎(エクスプロージョン)の中でグレイは叫ぶ。いくら叫んでも、爆炎(エクスプロージョン)は消えない。

アン「ジョニー・メカの手から銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)を救い出してくれた事に対しては、最強チームの皆さんには深く感謝しております。ですが、大魔闘演舞は別!私達は敵同士!燃え尽きろォォオ!」

グ「あああああああああああああっ!」

ジョニー・メカの件は和解した。しかし、やはり大魔闘演舞ではそんなのお構いなし。
アンナは全力全開でグレイに攻撃を仕掛け続ける。グレイは未だに爆炎(エクスプロージョン)の中だ。その時―――、

グ「あああああ・・・つあァ!」

アン「!?」

アンナは目の前の光景を目の当たりにして息を呑んだ。衝撃的すぎて、驚嘆の声も出ない。

アン「(う・・嘘・・・)」

グ「ハァ・・ハァ・・・ハァ・・ハァ・・ハァ・・・ハァ・・ハァ・・・」

服が所々破れ、体の至るところに火傷をしており、顔を上に上げて荒く呼吸をしているグレイは、もう爆炎(エクスプロージョン)の中にはいない。なぜなら―――、

アン「(爆炎(エクスプロージョン)が・・凍り、付いて・・・)」

グレイの周りには、ゆらゆらと揺らめいている爆炎(エクスプロージョン)が凍り付いていたのだ。氷は雫を1滴も垂らす事無く爆炎(エクスプロージョン)を氷漬けにしていた。

アン「ど・・どうなってるの・・・?何で、炎が・・凍り、付いて・・・?」

まだ目を見開きっ放しのアンナは歯切れ悪くグレイに問う。
グレイはしばらく、乱れた呼吸を整える為に何も言わずにいたが、呼吸を整え落ち着きを取り戻すと口を開いた。

グ「俺は、(ドラゴン)の炎の熱さを、実感してるからな。それと―――」

そこまで言って一旦言葉を区切ると、グレイは口角を上げて微笑むと、

グ「()じゃなくて、()()()()な。」

破れた服を脱ぎ捨てた。

チャ「脱いだーーーっ!脱いだ脱いだ脱いだっ!脱いだーーーーーっ!」

両腕を上下に激しく振りながらチャパティ・ローラが実況をする。
観客席でも、子連れの母親は子の目を隠したり、頬を染めたりする観客も大勢いた。

ハ&フ「あ、脱いだっ!」

シャ「脱いだわね。」

ハッピーとフレイが同時に言い、シャルルも目を細くしながら呟いた。

エ「やっと脱いだか。」

ナ「今回は脱ぐの遅かったな、グレイ。」

リョ「まぁこれで、グレイの本気モード突入って事だな。」

別々の場所で映像魔水晶(映像ラクリマ)の映像を見ていたナツ、エルザ、リョウも呟く。

ユ「グレイ、頑張って。」

もちろんユモも、映像に映るグレイを見て祈るように胸の前で手を組んだ。

アン「(・・計算外だわ・・・まさか、炎を凍らせちゃうなんて・・・・何て魔力なの・・・!)」

アンナは未だに驚きを隠せず、服を脱ぎ本気モードに突入したグレイから1歩遠ざかった。

アン「(もうグレイさんには、炎は効かない・・・)」

グ「今度はこっちからいくぜっ!アイスメイク、戦斧(バトルアックス)ッ!!」

アン「ひゃっ!」

氷の斧を造形し、アンナに向かって振るう。アンナも間一髪のところで避けたが、左頬が掠り血が流れた。

アン「(造形の速さ(スピード)が、さっきよりも速くなってる・・・!)」

通常の造形魔道士より、グレイの造形する速さ(スピード)は飛び抜けているが、服を脱いで本気モードに突入した今のグレイの造形の速さ(スピード)はその倍以上になっている。

グ「氷雪砲(アイス・キャノン)ッ!!」

氷の大砲から砲弾が放たれた。
アンナは銀色の絵の具の付いた絵筆を素早く動かし、スケッチブックに絵を描いていく。

アン「絵画魔法(ピクトマジック)(シールド)!」

アンナの体よりも大きい銀色の(シールド)が出現し、氷の砲弾を受け止めた。が―――・・・バキッと(シールド)にヒビが入った。

アン「造形の速さ(スピード)だけでなく、技の威力も上がっているのっ!?」

アンナが驚嘆の声を上げている間にも、(シールド)は氷の砲弾の威力には敵わず、バキ、バキバキッとヒビが次々と入っていく。
そして遂に、氷の砲弾の威力に負けた(シールド)は粉々に砕け散ってしまった。

アン「キャアアァアァアアアッ!」

もちろん、氷の砲弾はアンナの体に直撃した。アンナの体は天使像を2~3体ほど破壊しながら美術館の壁に激突した。

グ「妖精の尻尾(フェアリーテイル)の紋章を刻んでるからには、同じ相手に二度はやられねェ。」

傷だらけのグレイの右胸に刻まれている、紺色の妖精の尻尾(フェアリーテイル)の紋章。それはグレイが、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の一員である事を証明している証。

アン「私も・・一度勝った相手に、二度目は負けるなんて・・・銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)の紋章を刻んでるのに、恥ずかしいし名折れだわ。」

よろめきながらも、アンナもゆっくりと立ち上がりグレイと向かい打つ。

グ「俺的には、そろそろ終わらせたいところなんだけどよォ。」

アン「あら、奇遇ね。私も丁度同じ事を思ってたの。」

グ「なら、決まりだな。」

アン「えぇ。」

グレイが構えた両手に冷気を溜め、アンナが黒い絵の具の付いた絵筆を素早く動かし始めたのが同時だった。

グ「アイスメイク、槍騎兵(ランス)ッ!!大槌兵(ハンマー)ッ!!円盤(ソーサー)ッ!!」

アン「絵画魔法(ピクトマジック)(ウルフ)大蛇(セルピエン)(ドラゴン)!」

氷の槍、氷の大槌兵(ハンマー)、氷の円盤(ソーサー)と、黒い毛並みの(ウルフ)、蛇行しながら進む大蛇(セルピエン)、黒い鱗の(ドラゴン)が正面衝突し、ドゴゴゴゴゴォォォン!という激しい爆発音が美術館に響き渡る。

グ「くっ・・・!」

片手で庇いながら、グレイは顔を顰める。
美術館内は煙に包まれ、辺りが全く見えない。すぐ近くにいるはずのアンナの姿も、グレイの位置からは―――――見えた。

グ「!?」

煙の中から顔に擦り傷などを負ったアンナが飛び出して来た。唐突の事だったので、グレイはほんの一瞬だけ怯んでしまった。その一瞬の隙に、アンナは茶色い絵の具の付いた絵筆をものすごい速さ(スピード)で動かし、スケッチブックに絵を描いていく。

アン「絵画魔法(ピクトマジック)(ペブール)(マッド)!」

グレイの四方八方に無数の(ペブール)が出現し、一斉にグレイに向かって飛んできた。

グ「うっ・・がっ!はぐっ!な、何だ・・これ・・・?」

無数の(ペブール)はグレイを閉じ込めるように集結し、更にその上から(マッド)も降り注いでくる。
あっという間にグレイは(ペブール)(マッド)の山によって閉じ込められた。

アン「ハァ、ハァ・・・ハァ・・ハァ、ハァ、ハァ・・・ハァ・・ハァ・・・」

絵筆を構えた体勢のまま、アンナは肩で大きく息をする。

アン「(や・・厄介すぎる・・・初日も、かなり手強くて苦戦したけど・・・ここまでとは・・・・)」

アンナは視線をグレイを閉じ込めている(ペブール)(マッド)の山に移す。

アン「(これで少し・・時間を、稼げば・・・!)」

そんなアンナの考えも、呆気なく終わってしまった。
(ペブール)(マッド)の山にヒビが入り、1秒も経たないうちに、グレイが姿を現した。(ペブール)の破片と、なぜか氷の欠片が辺りに飛び散る。

アン「そんな・・・!ど、どうやって・・・?」

至近距離で攻撃を仕掛けようとするグレイに、アンナが最後の問い掛けをする。
その問いにグレイは、口角を上げて小さく微笑むと、

グ「割れないものは凍らせて、凍らせた部分に強烈な蹴りをお見舞いする。」

クロスさせた腕に、絶対零度の冷気を溜める。

グ「(そうだろ?氷上の舞姫?)」

クロスさせた腕を広げるのと同時に、両手に巨大な2本の氷の剣を構えた。





グ「氷魔剣(アイスブリンガー)ッ!!」





巨大な2本の氷の剣でアンナの腹部を斬りつけた。

アン「うああぁあぁああぁぁああああっ!」

斬られたアンナの腹部が凍りつき、ドサッと音を立てて床に倒れこんだのと同時にパキィン!と音を立てて氷も割れた。アンナは気を失い、戦闘不能。

チャ「銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)のアンナが倒れたーーーーーっ!勝ったのはグレイ!妖精の尻尾(フェアリーテイル)のグレイ・フルバスターだぁーーーーーっ!!」

観全「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」

大歓声が沸き起こる。
ピッと音を立てて妖精の尻尾(フェアリーテイル)のポイント数に1ポイント追加される。
これでメンバーが5人残っているのは妖精の尻尾(フェアリーテイル)だけとなった。 
 

 
後書き
第192話終了しました☆
最後は原作同様、氷魔剣(アイスブリンガー)で締めてみました。
さーてさて、初代の計算通りならば、次回はいったい誰と誰が激突するのでしょうか?
そこのところも含めて、楽しみに待ってて下さ~い☆ 

 

第193話 幕開けと共に終焉、終焉と共に惨劇は訪れる

 
前書き
紺碧の海で~す♪
今回は激しくぶつかり合う大魔闘演舞、その対決の組み合わせが全て決まる!そして、ナツ達の知らない一方で、マヤに異変が起きていた―――――!?
ナレーション風に書いていきます。
それでは、第193話・・・スタート♪ 

 
チャ「熱き激戦の結果、勝ったのはグレイ!妖精の尻尾(フェアリーテイル)のグレイ・フルバスターだぁーーーーーっ!!」

観全「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」

大歓声が沸き起こる。会場が熱気と歓喜で震えだす。

ジェ「おっしゃァァァア!」

リサ「さっすがグレイ!」

エル「漢だーーーっ!」

アル「そのまま一気に行けーーーっ!」

応援席ではジェット、リサーナ、エルフマン、アルザックの順に声を上げる。

メイ「見事でした。」

メイビスが緑色の瞳を輝かせながら満足気に頷いた。

カオ「嘘ォ!?」

キー「アンナがやられたっ!?」

映像魔水晶(映像ラクリマ)に映る、倒れているアンナの姿を見て、別々の場所にいるカオリとキースが驚嘆の声を上げた。その片隅に映っている、ボロボロな姿のグレイを見て、キースは小さく笑った。

キー「やっぱすごいね、妖精の尻尾(フェアリーテイル)。」





チャ「それではここで、最終戦の途中結果を見てみましょう。」

チャパティ・ローラの実況と共に、一際大きな映像魔水晶(映像ラクリマ)が現れ順位表が映し出された。

                                『順意表』

                            1位 妖精の尻尾(フェアリーテイル)   75
                            1位 銀河の旋律(ギャラクシーメロディー) 75
                            3位 蛇姫の鱗(ラミアスケイル)    51
                            4位 海中の洞穴(マリーンケイヴ)   35
                            5位 白い柳(ホワイトウィロウ)    31
                            6位 幸福の花(ハピネスフラワー)   29
                            7位 月の涙(ムーンティア)      17

チャ「何とっ!妖精の尻尾(フェアリーテイル)銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)が同点でお互い首位に立っている!」

ヤジ「これは接戦になりそうだねぇ。」

マト「どっちのギルドも頑張るカボよ~!」

チャパティ・ローラが身を乗り出しながら驚嘆の声を上げ、ヤジマが顎に手を当てながら呟き、マトー君が白い手袋をした両手を振る。

チャ「だが、有利なのは妖精の尻尾(フェアリーテイル)かっ!?未だに脱落者0!唯一5人健在しているーーーっ!これは強いぞーーーーーっ!!」

映像魔水晶(映像ラクリマ)にナツ、グレイ、エルザ、リョウ、ユモの姿が映し出された。

ヤジ「だが、銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)もまだ4人健在しておる。他のギルドも3人や2人というところが多いから、最後まで油断は禁物だよ。」

他の映像魔水晶(映像ラクリマ)に映る、リオンやハルト、ナデシコやセイン、ルチーアやウララの姿を見ながらヤジマが冷静に呟いた。





ト「皆さんすごいですね。」

ハ「そりゃぁ、フィオーレ一のギルドが決まる最終戦だからね。」

シャ「皆、前が見えなくなっちゃうほど熱く戦ってるのよ。」

感嘆の声を上げたトーヤの呟きに、映像魔水晶(映像ラクリマ)から顔を上げずにハッピーとシャルルが答えた。

ウェ「今年の大魔闘演舞は、出場ギルドが多い故に、手強い人達が大勢いるのにも拘らず、首位に立っている事だけでもすごいですよね。」

マ「そんだけナツ達が強いって事だよ。」

ル「“1位になってやる!”って言ったら、ホントになっちゃうくらいだもんね。」

ショ「しかも、未だに脱落者0。優勝しても可笑しくないくらい最強すぎるよ、皆。」

ウェンディの言葉に続いてマヤ、ルーシィ、ショールが面白可笑しそうに笑いながら言った。

フ「でも、こっからが本当の修羅場だよな。」

1人真面目な顔つきで呟いたのは人間の姿をしたフレイだった。ルーシィ達が話してる間、ずっと映像から目を離さずにバトルの様子を見守っていた。

フ「銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)はまだ4人も残っている故に、蛇姫の鱗(ラミアスケイル)には聖十のジュラに零帝リオン、白い柳(ホワイトウィロウ)にはギルド最強のウララが残っている。まだ何とも言えねェ状況だ。」

灼熱の炎をそのまま映したかのようなフレイの瞳には、ナツ達に対する期待と同時に、蝋燭の灯火のように不安が微かに揺らめいていた。

フ「もし、ナツ達が()

マ「バァッカ野朗ォォオオ!」

フ「うごはっ!・・な、何しやがるマヤ!いってェじゃねーかっ!」

バシィン!とものすごい音を立ててマヤがフレイの背中を思いっきり叩いてフレイの言葉を遮った。あまりの痛さに涙目になりながらフレイはマヤを睨み付ける―――が、マヤの右手の人差し指がフレイの顔を突きつけられた。

マ「まだ何とも言えない状況なんでしょ?なら、弱音じゃなくて声援を吐けっ!」

マヤの大きなオレンジ色の瞳に、フレイのマヌケな顔が映る。

マ「相手が手強いだろうが傷だらけだろうが、ナツ達は最後まで全力全開で戦う!応援する私達も、最後まで全力全開で応援する!弱音を吐いたら、その時点ではい終了になっちゃう!フレイも私の相棒なら、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士なら・・・最後まで、全力全開で仲間を応援してェ!」

マヤの声は、観客の大歓声にほとんど掻き消されてしまい、応援席にいた妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士達にしか聞こえなかった。
言いたい事を言い終えたマヤは「ふぅ~」と落ち着きを取り戻す為息を吐いた後、まだマヌケな顔をしたままのフレイの頭をパシ!と軽く叩いてから、

マ「一緒に応援しよ、フレイ。」

太陽のような笑顔で笑った。
さっきまでの態度との豹変っぷりに、一度フレイは目を見開いたが、すぐに照れ隠しのように頭を掻きながら、

フ「おう。」

と大きく頷いた。

ル「ていうかマヤ、少し口調がナツに似てたわよ。」

マ「え?そぉ?」

ウェ「自覚、なかったんですね・・・」

シャ「まぁ、マヤらしいっちゃマヤらしいわね。」

ハ「だねぇ。」

ルーシィの言葉に当の本人であるマヤは首を傾げ、それを見たウェンディとシャルルは呆れたように呟き、ハッピーも賛同するように呟いた。

マ「まぁまぁ、そんな事はどーでもいいから、皆頑張れーーーっ!」

さらぁっとさっきまでの会話を受け流すと、映像に向かって威勢の言い声援の声を上げた。
その時―――――、

?『――――――――――マヤ。』

マ「!?」

突如、どこからか自分の名を呼ぶ澄んだ声が聞こえマヤは咄嗟に振り返ったが、名を呼んだと思われる人物は誰もいない。

マ「(・・・なぁ~んだ、気のせいか。)」

「ただの空耳か」と自分に言い聞かせ、また応援しようとすると、

?『――――――――――マヤ。』

マ「!だ、誰!?」

再び、どこからか自分の名を呼ぶ澄んだ声が聞こえ、今度はさっきよりも早く振向いたが、やっぱり名を呼んだと思われる人物は誰もいなかった。

ト「マヤさん、どうかしたんですか?」

マ「!?」

首を傾げて問い掛けてくるトーヤの声にマヤは目を見開いた。

マ「(い・・今の声・・・聞こえて、ないの・・・・?)」

落ち着きを取り戻す為、マヤは一度大きく深呼吸をしてトーヤに問い掛けた。

マ「ね、ねぇトーヤ、今私の名前を呼んでる声が聞こえなかった?」

ト「声・・ですか?いえ、僕には何も・・・聞こえましたか?ウェンディさん、ショールさん。」

ウェ「いえ、私も聞こえませんでしたけど・・・?」

ショ「俺も何も聞いてないけど・・・?」

トーヤは答えた後、近くでその話を聞いていたウェンディとショールに問うが、ウェンディもショールも首を左右に振るばかり。

シャ「今はあちこちでたくさんの人が声を上げてるから、きっと何かの声がマヤを呼んでるように聞こえたのよ。」

ウェンディに抱かれているシャルルが言った。

マ「(・・違う・・・この会場で、あんな澄んだ声を出すはずがない・・・!それによくよく聞いてみたら、あの声・・・私の心に話し掛けてるし、聞き覚えがある・・・・どこだっけ・・・?)」

視線を下に向け、頭をフル回転させながら“声の正体”を探る。するとまた―――――、

?『――――――――――マヤ。』

聞こえた、今までよりもはっきりと。それと同時に、マヤは思い出した。

マ「(この声―――――お母さん・・・!?)」

森に捨てられていたマヤを拾い、ナツやウェンディ、ガジルを育ててくれた(ドラゴン)と同じ、X777年7月7日に姿を消したマヤの母親―――鳳凰の声だった。

マ「(お母さん!?お母さんなのっ!?)」

鳳凰『―――えぇ、そうよ。』

鳳凰と同じように、マヤも心の中で鳳凰と会話をする。
久しぶりに聞く母親の声は、マヤの心に優しく、温かく響く。

鳳凰『―――マヤ、よくお聞き。『極悪十祭』まで、1日をきったわ。』

マ「(『極悪十祭』?何なの、それ・・・?)」

鳳凰『―――すぐに分かる事よ。』

そこまで言うと、鳳凰の声は豹変した。

鳳凰『―――『極悪十祭』・・・・』

マ「(!・・お、お母・・さん・・・?)」

鳳凰の声は、ドス黒く、憎しみを込めたような声に変わった。目を見開いたマヤの声も、震え上がるほどに豹変していたのだ。

鳳凰『―――さぁマヤ、ゆっくり目を閉じなさい。』

マ「!?」

鳳凰の声に従うように、マヤのオレンジ色の瞳は独りでにゆっくりと閉じ始めた。無理矢理開こうとするが、瞼がどんどん重くなりマヤの瞳は完全に閉じられた。

鳳凰『―――マヤ、この会場に地下に行きなさい、そこにあるはずよ、『極悪十祭』の火蓋が・・・あなたが、『極悪十祭』の引き金になるのよ・・・!』

鳳凰の声はそこで完全に途切れた。それと同時に、()()()()()()()()()()()マヤのオレンジ色の瞳がゆっくりと開いたかと思うと、ふらふらぁ~とマヤは覚束ない足取りで歩き出した。

ル「あれ?マヤー、どこに行くのー?」

ルーシィがマヤの背中に向かって声を掛けるが、聞こえなかったかのようにマヤはルーシィの方を見向きもせずに応援席から立ち去った。

ハ「トイレにでも行ったんだと思うよ。」

フ「すぐに戻って来るはずだぜ。」

ル「それもそうね。」

ハッピーとフレイの言葉にルーシィはすぐに視線を映像に戻した。

ショ「・・・・・」

ショールだけは、マヤが立ち去った後もしばらく鮮血のように赤い瞳を動かさずにいた。





ハイライトが消え失せたマヤのオレンジ色の瞳は、どこを見ているのかさえも分からない。ただマヤは、覚束ない足取りで1歩1歩足を進める。

マ「・・地下・・・地下・・地下・・・地下・・地下・・・地下・・地下・・・地下・・地下・・・」

まるで何かに取り憑かれたように同じ、言葉を何度も繰り返し繰り返し呟きながら、マヤは向かう。
『極悪十祭』の火蓋がある、ドムス・フラウの地下へと――――――――――。

*****************************************************************************************************

ナデ「美花砲(フラワー・キャノン)ッ!!」

セイ「雷杖(サンダーステッキ)!」

色とりどりの花が圧縮された砲丸が放たれ、セインは雷杖(サンダーステッキ)を振るって応戦するが、勢いのある砲丸は雷を呆気なく突き飛ばしてしまう。

セイ「そんなっ・・・!?ぐぁああぁああああっ!」

砲丸は容赦なくセインの鳩尾に直撃し戦闘不能にする。
月の涙(ムーンティア)のリーダーであるセインを倒した為、ピッと音を立てて幸福の花(ハピネスフラワー)のポイント数に5ポイント追加され、幸福の花(ハピネスフラワー)が5位、白い柳(ホワイトウィロウ)が6位になった。

同じ頃、別の場所では―――、

ウラ「水神の・・・荒波ッ!!」

カイ「水竜の・・・翼撃ッ!!」

水の神、ウララと水の竜、カイが激しくぶつかり合っていた。
黒い荒波が押し寄せ、青く透き通った水が押し戻しウララを攻撃する―――が、

カイ「!」

ウララが水をすごい勢いで飲み干していく。

ウラ「ふぅ~、美味しい水ですね。私は竜の水を飲む事が出来ますが、あなたは神の水を飲む事は出来ません!」

そう叫びながら、まだ驚いているカイに向かってウララは地を小さく蹴り駆け出した。両手と両足に、黒い水を纏っていく。

ウラ「滅神奥義!」

カイとの距離がわずか数十mの所で、ウララはその場でカイの頭上まで跳躍すると、

ウラ「水波落爆ッ!!」

空中で1回転しながら両手両足に纏った黒い水を雨のように、爆弾のようにカイ目掛けて降らした。
土煙が巻き上がり、カイの姿が見えなくなった。ウララは綺麗に着地すると、万が一カイが土煙の仲から飛び出して攻撃してきてもいいように身構えた。
土煙が晴れると、傷だらけでその場に倒れているカイがいた。
月の涙(ムーンティア)の副リーダーであるカイを倒した為、ピッと音を立てて白い柳(ホワイトウィロウ)のポイント数に3ポイント追加され、再び幸福の花(ハピネスフラワー)と共に5位に並んだ。
それと同時に、月の涙(ムーンティア)は全滅(7位)。

同じ頃、別の場所では―――、

ルチ「不協和音(デイス・コード)。」

ルチーアが首から提げている無数の(パイプ)の中で、1番長い(パイプ)を吹くと、残酷な音色が辺りに響き渡った。

ハル「うっ・・くっ・・・!」

ハルトは両耳を塞ぐが、脳内で不協和音(デイス・コード)がガンガン響く。

ハル「こ・・こんな、ところで・・・負けてたまるかァァア!」

ルチ「!?」

7属性の武器(セットタイプ・アームズ)の1つ、雷の槍を四方八方に振るいながら、ルチーアに詰め寄って行く。ルチーアもハルトの攻撃を上手く避けながら、首から提げている(パイプ)の中で1番太い(パイプ)を手に取った。

ルチ「これは僕が君の為に奏でる最後の演奏(ラストコンサート)鎮魂曲(レクイエム)!」

(パイプ)を口に銜え、息を吹き込んだ。
(パイプ)からは静かだが、どこか寂しげな音色が響き渡った―――が、

ハル「アアアアアアアアッ!」

ルチ「何ッ!?」

ハルトは耳を塞ぐ事もなく、雷の槍をルチーアに向かって振るい続ける。

ハル「アアアアアアアアッ!」

ハルトの叫び声はどんどん大きくなり、鎮魂歌(レクイエム)が聞こえなくなるほど大きくなる。

ルチ「まさか・・叫び声で鎮魂歌(レクイエム)を掻き消しているのか・・・!?」

ルチーアが目を見開きながら驚嘆の声を上げたのと同時に、雷の槍の先にバチバチと電気が帯びた雷が圧縮されていく。

ハル「雷落砕(サンダー・クラッシュ)!」

圧縮された雷がルチーア目掛けて放たれ、ルチーアの鳩尾に当たった瞬間砕け散り爆発した。

ルチ「ぐああぁあぁぁああああっ!」

ドサッと音を立ててルチーアはその場に倒れ込み戦闘不能。
ピッと音を立てて海中の洞穴(マリーンケイヴ)のポイント数に1ポイント追加された。

*******************************************************************************************************

チャ「ここで月の涙(ムーンティア)も全滅!残るチームは後6つ!その中でも未だに5人健在中の妖精の尻尾(フェアリーテイル)が一番有利かーーーーーっ!?」

次々と全滅していくギルドもいる最中、5人全員が健在し続けている妖精の尻尾(フェアリーテイル)の勢いは一向に止まらない。逆にどんどん勢いが増していく一方だ。

ビス「す・・すごい・・・!」

ワカ「このまま俺達、2年連続で優勝できるんじゃねーか!?」

マカオ「あぁ!その可能性が高くなってきたぜっ!」

ドロ「優勝したら、優勝祝いに腹いっぱい食うぞーーーっ!」

マッ「おい・・主題がズレてねェか・・・?」

娘のアスカを抱いたビスカが小さく呟き、肩を組み合ったワカバとマカオが言い、こんな時でも食べる事しか考えていないドロイの発言にマックスがツッコミを入れた。

キナ「それで初代、次はいったいどうなるんですか?」

ラキ「もちろん、考えているんですよね?」

キナナとラキがメイビスに問い掛ける。

メイ「私の計算が正しければ―――――」





ユ「!」

イレ「白光拳ッ!」

メイ「(ユモとイレーネがぶつかります。)」

チャ「イレーネ登場ーーーーーッ!」

初代の読み通り、とある広場でユモとイレーネがぶつかった。
白い光を纏った拳を振りかざしながら襲い掛かってくるイレーネをユモは華麗にかわした。これも予め、初代に言われていた。

ロメ「確かアイツも、ユモ(ねえ)と同じ格闘技を使うんだよね?」

メイ「その通りです。」

ロメオの問いにメイビスが短く答えた。

イレ「1人でも多く倒さないと優勝出来ないから、手加減は一切しないから。」

ユ「私もする気はないよ。」

イレーネが両手に白い光を、ユモが右手と左足に冷気を纏ったその時―――、

ハル「おいイレーネ、先駆けはずるいぞ。」

ユ「!?」

イレ「ハルト!」

聞き覚えのある声にユモとイレーネは同時に振向くと、雷の槍を構えたハルトがそこにいた。

メイ「え?」

チャ「ハルト乱入ーーーーーッ!」

メイビスが素っ頓狂な声を上げ、チャパティ・ローラが叫んだ。

ユ「(初代の読みだと、ハルトはここには現れないはずなのに・・・!?)」

ユモは驚いている事をハルトとイレーネに悟られないようにしながら、心の中で驚嘆の声を上げる。
イレーネがハルトの方へ駆けて行き、ハルトの横に並んだ。
妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士が1人、海中の洞穴(マリーンケイヴ)の魔道士が2人―――――。

ハル「2対1でも、相手してくれるだろ?」

イレ「でも、手加減はしないからね。」

ハルトが雷の槍を構え、イレーネが再び白い光を両手に纏いながら言った。それに応えるように、ユモは氷の双剣を造形した。

ユ「もちろん、本気で相手になってあげる。2人まとめて、かかって来て!」





エル「ユモとイレーネのはずなのに、ハルトが乱入した・・・」

ウォ「しょ、初代・・・これは・・いったい・・・?」

エルフマンとウォーレンが歯切れ悪くメイビスに問い掛ける―――が、

メイ「わ、私の計算が・・・うっ・・ひィ・・また・・あぅ・・どこで・・・な、泣いてなんかないですっ!ふぇ・・全然・・えぐっ・・泣いてなんかぁ~・・・」

マカ「誰かーーーっ!全力で初代をあやせーーーーーっ!」

レビ「ハ・・ハードル高すぎるよ・・・」

子供のように泣きじゃくるメイビスを見て慌てふためくマカロフが声を荒げ、レビィが困ったように呟いた。

ト「ま、まぁまぁ初代さん、誰にでも失敗はつきものですよ。“失敗は成功の元”って言うじゃないですか。次の読みはきっと当たりますよ。」

メイ「ぐすん・・はい・・・」

ト&メイ以外「(オォーーー!トーヤが初代を泣き止ませたーーーーー!)」

トーヤの励ましの言葉にようやくメイビスは泣き止み、それを見た一同が声にならない驚嘆の声を上げた(声には出していないが、顔に出すぎている)。

ショ「それで初代、次は誰がぶつかるんですか?」

ショールが泣き止み冷静を取り戻したメイビスに問い掛ける。

メイ「今度こそ!私の計算が正しければ、エルザとカオリがぶつかるはずです。」





高台にある広場に、エルザはいた。

エ「(初代の読み通りならば、ここに来れば銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)の・・・)」

草履を履いた足を踏み締めながら、エルザは辺りを見回したその時―――――、

エ「!」

僅かだが背後から気配を感じ、咄嗟に振り返ったエルザの視界に入ったのは着物姿の女性―――幸福の花(ハピネスフラワー)のナデシコと、小麦色の肌をした少女―――白い柳(ホワイトウィロウ)のウララだった。

チャ「ナデシコとウララだぁーーーーーっ!」

レ「あ。」

メイ「そ・・んな・・・」

再びチャパティ・ローラが叫び、レビィが小さく声を上げ、メイビスが消え入りそうな声で呟いた。

エ「(初代の読みが外れた!?しかも、敵は2人!!?)」

当然すぎる事に驚きながらも、エルザは別空間から刀を2本取り出しナデシコとウララの攻撃から身を守った。
ナデシコが両手から色とりどりの花弁を繰り出し、エルザとウララに攻撃を仕掛ける。ウララはナデシコの攻撃をかわしながら黒い水をエルザとナデシコに向かって放つ。エルザは2人の攻撃をかわし、2本の刀を2人に振りかざすが、ナデシコは花弁で、ウララは黒い水で防いだ。

エ「(攻撃、守り、回避の1つ1つに隙が一切ない・・・!ナデシコもウララという奴も、なかんなかの強敵だな。)」

ナデ「(さ・・ささ流石は、妖精の尻尾(フェアリーテイル)・・さ、ささ最強の・・・おおおお女魔道士、妖精女王(ティターニア)ののののの・・エルザ、さん・・です・・・!)」

ウラ「(噂通りの武人さんという事か、エルザ・スカーレットさん。隣のナデシコさんだったかしら?彼女も強そうだし、結構楽しめそうだわ♪)」

3人の女魔道士が再び攻撃をしようとしたその時―――――、

エ&ナデ&ウラ「!!?」

3人同時にその場から距離を取った次の瞬間、バゴォン!と音を立てて地面が爆発した。煙の中から黒い人影が見え、エルザ達の方へ歩み寄って来る。

カオ「爆発の香り(パルファム)を見抜くとは、お見事です。」

ローズピンク色の髪の毛をサイドアップに束ねた少女―――カオリが微笑んでいた。

チャ「カオリ乱入ーーーーーッ!」

チャパティ・ローラが叫ぶ。
カオリはキャラメル色のショルダーバッグから小瓶を取り出し、上下に軽く振りながら、

カオ「女魔同士の戦場に、私も混ぜてくれませんか?」





ト「あー・・・」

ショ「しょ・・初代、さん・・・?」

メイ「ど・・どうして・・・ひっ・・なぜ・・・うぇっ・・な、泣いてなんかないですっ!ぐすん・・全然・・・うぅ・・泣いてなんかぁ~・・・」

マカ「あやせっ!あやせっ!初代をあやせーーーーーっ!」

トーヤとショールが困惑した表情を浮かべ、さっきよりも酷くなきじゃくるメイビスを見て、さっきよりもパニック状態になっているマカロフが叫んだ。





グ「いっ・・てェ~・・・!」

アンナとの激戦の時に負った火傷の跡が悲鳴を上げ、グレイは呻き声を上げる。

グ「クソ炎ほどじゃねーが、アイツの炎も熱いは乱暴だわ・・・俺は炎と妙な縁でもあるのか?」

1人でぶつぶつ呟きながら歩いていたその時―――――、

リオ「ならばその火傷、俺の氷で冷やしてやるっ!」

グ「!」

突如頭上から降り注いできた氷の礫を間一髪で回避する。味方のユモ以外で、氷の魔法を使う魔道士はグレイの知る中でただ1人―――――。

リオ「ボロボロだな、グレイ。」

グ「お前もすぐにボロボロにしてやるよ、リオン。」

リオ「それはどうかな?」

シェ「天神の・・・北風(ボレアス)ッ!!」

リオンの意味深な言葉に首を傾げる間もないまま、黒い風を纏ったシェリアがどこからともなく姿を現し、グレイに襲い掛かってきた。こちらもまた、グレイは間一髪で回避する。

シェ「今年はジュビアはいないから、リオンが惑わされる事はない!」

グ「何だよそれ・・・」

シェリアの言葉にグレイは呆れたように呟く。

リオ「とにかく、回復魔法を使えるシェリアがいる以上、俺達は倒れる事はない!」

シェ「愛があれば、負ける事なんてないからねっ!」

リオンが両手に冷気を溜め、シェリアが両手に黒い風を纏う。それに応えるかのように、グレイも両手に冷気を溜めた。

グ「綺麗さっぱりに片付けてやるよ、2人まとめてな。」





ナ「おーーーい敵ィーーーーーっ!どこだーーーーーっ!?」

片手を口元に当てて叫びながら、ナツはクロッカスの街中を走り回っていた。

ナ「おいおいおい、まさかもう全員倒れちまったって訳じゃねェよな?だとしたら、まだ倒れてねェ俺がいるから、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の優勝の合図があるはずだろ?」

立ち止まり、首を傾げたり手を叩いたりしながら1人で問答していたその時―――――、

キー「こんなところでご対面とは、思ってもみなかったな。」

レヴ「火竜(サラマンダー)。」

聞き覚えのある声に振向くと、キースとレヴルがいた。風が吹き、ナツの桜髪、キースの金髪、レヴルの銀髪を揺らす。

ナ「おーっ!やーーーっと見つけた。ずーっと走り回ってたのに誰もいなかったんだよなー。」

キー「それはナツさんが、人と接触する運が無かったって事だけなんじゃ・・・?」

レヴ「まぁ、ドンマイってやつだ。」

ナツの緊張感があまりにない発言に、キースとレヴルがツッコミを入れる。

キー「レヴルとナツさんには好都合だな、2人とも滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)なんだから。」

ナツは第1世代の火の滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)、レヴルは第3世代の星の滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)。ここに2頭の(ドラゴン)が向かい合った。
キースが銀色の鍵を取り出し、レヴルが両手に星のような輝きを放つ光を纏う。

ナ「ここにルーシィがいればもっと面しれェバトルになったはずなんだけどな。もちろんお前も、俺が相手してやる。」

吊り目のの目を、更に吊り上がらせながら言うと、固く握り締めた拳に灼熱の炎を纏った。

ナ「燃えてきたぞ。」





緑の葉が生い茂る木が並び、石造りの地面、白い石膏像の天使が飾られた噴水がある広場に青い着物に黒い袴姿のリョウはいた。右手で着物越しから包帯が巻かれている腹部を触る。

リョ「(傷口が開いちまう心配は、今はなさそうだな。)」

安心したように「ほぉ」と息を吐いたリョウの脳裏にはポーリュシカの顔が浮かんだのは余談だ。

リョ「それにしても・・・」

リョウは広場にある映像魔水晶(映像ラクリマ)に視線を移した。
映っているのはユモとハルトとイレーネ、映像が切り替わりエルザとカオリとナデシコとウララ、映像が切り替わりグレイとリオンとシェリア、映像が切り替わりナツとキースとレヴルが映し出された。
リョウは「はぁー」と深いため息をついた。

リョ「いつの間にか皆、誰かとぶつかってるもんなぁ。」

頭を掻きながら独り言のように呟く。

リョ「そして、間違っててほしい事だけど、俺の記憶が間違ってなけりゃ・・・後1人いるはずだなんだよな。」

顎に手を当てながら再び独り言のように呟いたリョウの顔がどんどん青ざめていく。

リョ「ヤベ・・急に悪寒が・・・嫌な予感がするぜ・・・」

リョウは両手で体を摩る。
そんなリョウの嫌な予感は―――――見事に的中した。
カラン、コロン、カラン、コロンという下駄の音と共に、迫力のある魔力と気配が近づいてきた。

ジュ「やっと会えましたな、リョウ殿。」

昨年も今大会も優勝候補筆頭の聖十大魔道―――――蛇姫の鱗(ラミアスケイル)のジュラ・ネェキスが妖精の尻尾(フェアリーテイル)の聖十大魔道、リョウ・ジェノロの目の前に現れた。

リョ「(どんピシャリ・・・ってやつか。)」

リョウの頬を冷や汗が伝い流れ落ちるが、その表情にはとても清々しい笑みが浮かんでいた。

ジュ「怪我の具合はどうですかな?」

リョ「あ、知ってましたか。お陰さまで、順調です。」

大嘘だ。逆に酷く悪化し始めている。

ジュ「それを聞いて安心した。」

白い着物の袖から両手を出し、ジュラはその場で身構えた。

ジュ「リョウ殿と、本気で戦う事が出来るからのう。」

凄まじく、禍々しい魔力がオーラとなって放出される。
リョウは目の前にいる“最強”に怯む事無く、肩を一度竦めると口を開いた。

リョ「悪いですがジュラさん、あなたは1つ、大きな勘違いをしていますよ。」

ジュ「む。」

音一つ立てずに、リョウは鞘から『銀覇剣』を抜いた。

リョ「俺は怪我の具合が良くても悪くても、誰が相手だろうと、強敵だろうと、最初っから本気で戦うつもりでしたから。そして今俺の目の前にいるのは―――ジュラさん、俺にとって強敵だ。」

音一つ立てずに、リョウは鞘から『天力剣』を抜いた。

リョ「そして俺達は、“聖十大魔道”という名を背負った男じゃない。強いて言えば蛇姫(へびひめ)妖精(ようせい)。強いて悪く言えば―――――」

音一つ立てずに、リョウは鞘から『嵐真剣』を抜くと口に銜え、真っ直ぐ目の前にいる人物の目を見つめた。

リョ「ただの2匹の男、ですよ。」

ジュ「良い眼だ。」





激しい攻防戦は、幕開けと共に終焉の時も近づく――――――――――。
生き残るのは誰だっ!?今、戦いの火蓋が切られた――――――――――。

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シャ「・・・ねぇ、ウェンディ、マヤ遅くないかしら?」

ウェ「そういえば、そうだね。」

切羽詰った様子でシャルルが問い、ウェンディも不安そうな顔をして出口の方に視線を移した。

ル「何かあったのかしら?」

ト「様子、見に行ってみますか?」

ル「そうね。皆で探せばすぐに見つかるはずだしね。」

と言う訳で、マヤ捜索隊にルーシィ、ハッピー、フレイ、ショール、ウェンディ、シャルル、トーヤが行く事になった。

マカ「可能性は少ないが、もしかしたら会場の外に出てるかもしれん。念の為外も見て周って来てくれ。」

ショ「分かりました。」

メイ「くれぐれも気をつけて下さいね。」

フ「おう!」

ハ「それじゃあ行ってくるね~!」

ハッピーとシャルルが翼を広げたのと同時にルーシィ達はマヤを探しに応援席を飛び出した。





この時はまだ、誰も気づいていなかった。
大魔闘演舞が終わるのと同時に、世界が滅亡の時を迎える事になるなんて――――――――――。
この時はまだ、誰も気づいていなかった。

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ドムス・フラウの地下深く。
銀色の台座に置かれた黒い大砲。黒い大砲の中央部に書かれている赤い術式は休まずに刻々と時を刻み続けていた。





                  『『極悪十祭』まで、残り1日 15時間00分00秒』





 
 

 
後書き
第193話終了~♪
大魔闘演舞、いよいよ終焉の時が近づいて来たっ!それと同時に、何やら不可解な事がまた起こりそうな予感・・・じゃなくて、こーいうのって絶対起こるパターンだよねっ!?
次回は激しく争う魔道士達のバトルを書いていこうかと思います!
それではまた次回、お会いしましょう~♪ 

 

第194話 最終局面へ―――!

 
前書き
更新遅れてスミマセンでした!紺碧の海でございます!
今回は大魔闘演舞もいよいよ終盤戦に突入!果たして、優勝するギルドはいったいドコなのか―――!?そして、行方が分からなくなったマヤを探すルーシィ達。マヤはいったいドコへ―――!?
ナレーション風に書いていきます。
それでは、第194話・・・スタート! 

 
壁も天井も床も、石造りのドムス・フラウ。
人影の無い通路を、覚束ない足取りでマヤは歩いていた。

マ「・・地下・・・地下・・地下・・・地下・・地下・・・地下・・地下・・・地下・・地下・・・」

ハイライトが消えてしまった、マヤの虚ろなオレンジの瞳はどこを向いているのかさえも分からない。ただ、何かに取り憑かれたように、呪文を唱えるかのように、同じ単語を繰り返し呟いているだけ―――――。
すると、前方から槍と盾を持った2人の王国兵が歩いて来た。
覚束ない足取りでふらふらぁ~と自分達の横を通り過ぎようとするマヤを2人の王国兵は持っていた槍を(エックス)状に交差(クロス)させマヤの行く先を阻んだ。

兵1「ドコへ行く。ここから先は関係者以外立ち入り禁止だ。」

兵2「さぁ、大人しく会場に戻れ。」

マヤはしばらく動かなかったが、両手で2本の槍の柄を掴むと、

兵1「んなっ!?」

兵2「や・・槍が・・・!?」

いとも簡単に捻じ曲げてしまった。
マヤは槍を捻じ曲げた事によって出来た通り道を潜り再び歩き出した。

兵1「おいコラ!」

捻じ曲がってしまった槍を投げ捨てながら1人の兵士がマヤの左肩を掴む―――が、

兵1「うあっ!」

マヤの左肩を掴んだと同時に、バチッ!と電撃が帯び兵士は弾き飛ばされてしまった。慌ててもう1人の兵士が駆け寄り、マヤの左肩を掴んだ右手を見てみると、兵士の右手には火傷があった。
マヤは何事もなかったかのように、覚束ない足取りで歩き続け、角を曲がった所で2人の兵士の視界から消えてしまった。

兵1「な・・なぁ、あの女、動物姫(アニマルプリンセス)のマヤ・ララルドじゃねーか?」

兵2「あ、あぁ。ドコに行く気だ?この先には、ドムス・フラウの地下に続く階段しかねェのに・・・?」

2人の兵士は床に膝と尻餅を着いたまま、呆然とマヤが消えた道の先を見つめていた。

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ル「マヤー!マヤー!」

ハ「マーヤァー!」

同じ頃、会場の外でルーシィとハッピーがマヤの名を叫びながら走っていた(ハッピーの場合飛んでいた)。
クロッカスの街の人々のほとんどが会場に行って大魔闘演舞を観戦しているので、クロッカスの街中は不気味なほどに静まり返っており、マヤの名を叫ぶルーシィとハッピーの声も不気味なくらいに響く。
時々、遠くの方からドゴォン!バゴォン!という凄まじい爆音が聞こえてくる。

ル「(あの辺で、リョウ達が戦ってるのね・・・)」

頭の中でそんな事を思いながら叫び続ける。

ハ「マヤ、いないね。」

ル「もぉ、マヤったらぁ・・ドコに行っちゃったのよぉ。」

立ち止まり肩で大きく息をしながらも、ルーシィは視線を辺りに巡らせ、見慣れた仲間(マヤ)の姿を探すがドコにも見当たらない。

ル「・・・もーっ!早くしないと、ナツの活躍見れなくなっちゃうわよーっ!」

ハ「ルーシィも、リョウの活躍見れなくなっちゃうからね。」

ル「うるさい猫!」

ブーツの踵を鳴らしながら、ルーシィとハッピーは再びマヤを探し始めた。

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ナ「うォらァ!」

一方、マヤがいなくなってしまった事を全く知らないナツは炎を纏った拳を勢いよく振るい、キースとレヴルに攻撃を仕掛けて続けていた。

レヴ「だらァア!」

キー「オリオン!目の前にいる敵をその棍棒で薙ぎ払え!」

オリ「オオオオオオオッ!」

ナツの攻撃をかわした2人は、拳に星の光のような輝きを放つ光を纏ったレヴルと、右手に巨大な棍棒を持った、怪力座のオリオンを呼び出したキースが同時に攻撃を仕掛ける。

ナ「火竜の・・・咆哮ッ!!」

レヴ「くっ。」

キー「うあっ。」

オリ「ぬぉあっ。」

口から灼熱の炎の(ブレス)を噴出し、攻撃しようとしたキース達をその場で押し止めさせる。

レヴ「せ・・星竜の・・・咆哮ッ!!」

ナ「!」

一瞬の隙を突いて灼熱の炎に包まれたままレヴルは、口から金銀に光り輝く(ブレス)を噴出した。
星の光の(ブレス)はナツを呑み込んだ。

キー「ひ・・開け・・・!天馬(ペガサス)座の、扉ァ!・・カラスティア!」

キースは銀色の鍵を取り出し、鍵の先端を上空に向け炎の外側に白銀の毛に翼を持った、天馬(ペガサス)座のカラスティアを呼び出した。

キー「・・・カラス・・ティア、その翼で・・強風を・・・!」

所有者(オーナー)のキースの指示通り、天馬(ペガサス)座のカラスティアは白銀の翼をはためかせて強風を起こし、灼熱の炎を吹き飛ばした。

ナ「くあぁぁあっ!」

対するナツは、身体全身から炎を噴出させ、星の光を焼き消した。

キー「オリオン、カラスティア、戻れ。」

キースは傷だらけの手で怪力座と天馬(ペガサス)座の鍵を掴みオリオンとカラスティアを星霊界に帰らせた。
その隣でレヴルは左手で右肩を押さえながら荒く呼吸をしている。

ナ「流石だな・・・へへっ。」

傷だらけの2人の前にいるナツは平然としており目立った傷も無い。

キー「(俺とレヴル2人がかりで戦っているのにも係わらず、何であんなに余裕なんだよ・・・!?)」

レ「(技の威力、受ける代償はほとんど同じ・・・なのに、ナツさんの方がダメージが少ない・・・)」

キースとレヴルは歯を噛み締め、目の前にいる妖精(ようせい)を見据える。

ナ「俺もお前等も、まだ本気じゃねェ。そうだろ?」

同意を求めるように、ナツはキースとレヴルから視線を逸らさずに言う。
キースとレヴルは顔を伏せた。

レヴ「(やはり・・・“最強”になる為には、“最強の魔法”を使うしかない・・か。)」

キー「(ホントは、開きたくなかったんだけどな・・・ここまで来たなら、開くしかないっ!)

キースとレヴルが、顔を上げたのは同時の事だった。

ナ「!」

顔を上げたレヴルの右頬には金色の模様、左頬には銀色の模様が浮かび上がっており、顔を上げたキースの右手には1本の黒い鍵が握り締められていた。

ナ「(ドラゴンフォース・・・)」

レヴルは第3世代の滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)
ナツのような第1世代の滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)は膨大な魔力を食する事によって発動出来るが、第3世代の滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)は自らの意思で発動する事が出来る。
それが第1世代と第3世代の大きな違いだ。

キー「ナツさんも、一度くらいは見た事があるかと思います。13個目の鍵・・・黄道十二門を凌ぐ、未知の星霊を・・・・」

キースの緑色の瞳と、13個目の鍵の先端が怪しく光った。

キー「開け!竜座の扉・・・エレクトニクス!」

上空に巨大な金色の魔法陣が浮かび上がり、赤い瞳に黒い鱗で覆われた巨大な竜が現れた。

ナ「コイツも・・星霊なのか・・・!?」

目を見開いたナツは驚嘆の声を上げる。

ナ「ん?よーく考えてみると、剣咬の虎(セイバートゥース)のユキノも、13個目の鍵とか何ちゃらを持ってた気が・・・?」

キー「“13個目の鍵”と呼ばれてる(ゲート)の鍵は1つや2つだと限られていない。ナツさんが今言った、ユキノって人が持ってる黒い鍵も、俺が持ってる黒い鍵も、全て“13個目の鍵”って呼ばれてるんだ。」

ナ「ふーん。」

キースの解説にナツは興味無さそうに返答する。

キー&レヴ「これが俺達の切り札だ。」

13個目の鍵を構えたキースと、ドラゴンフォースを発動させたレヴルが言った。
切り札を出した2人に一切怯む事無く、ナツはニィッと口角を上げた。

ナ「“切り札”っつー事は、“最後”って事だな?」

ナツの言葉にキースは口角を上げて微笑み、レヴルは黙って首を縦に振った。
それを見たナツは、バフッ!と広げた左手に炎を纏った右拳をぶつけた。

ナ「面しれェ、燃えてきたぞ!」

**********************************************************************************************************

ウェ「マヤさーん!ドコにいるんですか~?」

シャ「聞こえたら返事しなさーい!」

ウェンディとシャルルが空を飛びながらマヤを探している。
マヤの夕日色をした髪の毛は遠くからでもかなり目立つので簡単に見つかると思っていたのだが、実際は甘くなかった。

シャ「全く。マヤの事だからいつかふらふらぁ~とどっか行ったっきり帰って来なくなるんじゃないかと心配してたけど・・・まさかホントになるとは、思ってもみなかったわ。」

ウェ「それを言ったって事は、思ってた事なんじゃ・・・」

シャルルの言葉に困ったように顔を引き攣らせたまま笑うウェンディが言った。
時々、遠くの方からドガァン!ガゴォン!という凄まじい爆音が聞こえてくる。

ウェ「ナツさん達、大丈夫かなぁ?」

シャ「大丈夫に決まってるじゃない。ナツなんて、「街中で無意識に暴れまくってたら、いつの間にか盗賊団を全滅させていましたー」ってくらいなんだから。」

ウェ「それもそうだね。」

シャルルは大魔闘演舞前に行った依頼の事を思い出しながら呟く。

ウェ「そういえばシャルル、最近予知が見えないんだね。」

シャ「そうなのよ。予知が何も見えないって事は、今年の大魔闘演舞は何も起こらないって事だからそれもそれでホッとしてるわ。」

肩越しから言うウェンディの問いに、シャルルは肩を竦めながら答える。

シャ「(私が何も見ていないんだから、きっとショールも見てないはずだわ。)」

()()()()()()()()()()()()
それに対して、()()()()()()()()()
その事を知っている者は誰一人として存在しない。
知っているのは、ショールだけだ―――――。

ル「ウェンディー!」

ハ「シャルルー!」

自分の名を呼ぶ声が聞こえ、声が聞こえた方に視線を移すと、街中でルーシィとハッピーが手を大きく振っているのが見えた。
ウェンディとシャルルはルーシィとハッピーがいるところまで急降下し、地面に近づくと綺麗に着地した。着地したウェンディとシャルルにルーシィとハッピーは駆け寄って来る。

ル「マヤ、見つかった?」

ウェ「いいえ。ルーシィさん達も?」

ハ「全然見つからないよ。」

シャ「全く、ドコ行ったのかしら?」

ルーシィが問い、その問いにウェンディが答えた後再び問い、ハッピーが答え、シャルルが腕組をしながら言う。

ウェ「もしかして、もう会場に戻って来てるんじゃ・・・!」

ル「有り得るわね。でも、ここから行くのも大変だしなぁ・・・」

ウェンディの言葉にルーシィも頷くが、今ルーシィ達がいる場所からドムス・フラウまで戻るのにかなりの時間が掛かる。

ハ「オイラが行って来るよっ!」

シャ「私も行くわ。アンタ1人じゃ心配だもの。」

ハッピーとシャルルが翼を広げながら言った。

ル「もしマヤがいたら、どちらかが知らせに来て。そしたらショールとトーヤとフレイも連れて戻るから!」

ハ「もしマヤがいなかったら?」

ウェ「その時も、会場にいた方が良いんじゃないでしょうか?マヤさんが戻って来たらすぐに分かるように。」

シャ「そうね。」

ル「それじゃ、お願いねーっ!」

ハッピーとシャルルはルーシィとウェンディをその場に残して飛んで行くと、あっという間に見えなくなってしまった。

ル「さて、私達も探そうか。」

ウェ「そうですね。また分かれて探しますか?それとも、一緒に探しますか?」

ル「うーん・・・日も暮れ始めてきたし、効率良く探したいから、またバラバラに探しましょ。」

ウェ「分かりました。」

ルーシィとウェンディはその場で別れ、再びマヤを探し始めた。
空は薄っすらとオレンジ色になり始めていた。

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高台では、女同士の激しい戦闘が繰り広げられていた。

ウラ「水神の・・・滝落としっ!」

ウララは高く跳躍すると、エルザの頭上から黒い水を滝のように落とす―――が、

ウラ「!」

艶のある、緑を基準とした色合いの鎧―――海王の鎧に素早く換装したエルザはウララの攻撃から身を守っていた。

ナデ「フラワーメイク、槍騎兵(ランス)ッ!!」

エ「くぁっ!」

ウララの攻撃から身を守る事だけに集中していたエルザはナデシコの攻撃をかわすのに遅れてしまい、ナデシコの攻撃をまともに食らってしまう。

カオ「束縛の香り(パルファム)。」

ナデ「うっ・・!」

カオリはナデシコの背後に周り込み、ナデシコの身体を束縛すると、

カオ「爆発の香り(パルファム)。」

ナデ「キャアアアア!」

小瓶のコルクを開けたのとほぼ同時に、ナデシコを巻き込んで爆発が起こった。
煙が晴れるとナデシコは気を失っており戦闘不能。
幸福の花(ハピネスフラワー)のリーダーであるナデシコを倒した為、ピッと音を立てて銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)のポイント数に5ポイント追加され、銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)が1位、妖精の尻尾(フェアリーテイル)が2位になった。
それと同時に、幸福の花(ハピネスフラワー)は全滅(6位)。

ウラ「神の水が・・・防がれた!?」

自身の攻撃をいとも簡単に防がれたのを見て驚嘆の声を上げるウララに、翼の生えた、黒を基準とした色合いの鎧―――黒羽の鎧に換装しながらエルザは淡々と呟いた。

エ「神を倒せても、妖精(ようせい)はそう簡単には倒せないぞ。」

凛とした声で呟きながら、エルザは剣を振りかざした。
黒羽の鎧は一撃の破壊力を上げる鎧。その鎧を纏ったエルザの攻撃をまともに食らったウララは戦闘不能。
白い柳(ホワイトウィロウ)のリーダーであるウララを倒した為、ピッと音を立てて妖精の尻尾(フェアリーテイル)のポイント数に5ポイント追加され、再び銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)と順位が並んだ。
それと同時に、白い柳(ホワイトウィロウ)は全滅(5位)。

エ「・・・・・」

カオ「・・・・・」

戦場に残ったのは妖精(ようせい)の女と銀河(ぎんが)の女。
2人は見つめ合ったままその場から1歩も動かず、瞬き1つさえしない。2人の間を、静かに風が吹き抜けた。
エルザは換装を解き、いつも身に纏っている鎧姿に戻りながら口を開いた。

エ「やはり、お前が残ったか。」

カオ「残らないと、あなたと戦えませんから。」

エルザとカオリは口元に薄い笑みを浮かべる。

カオ「突然ですがエルザさん、問題です。私の魔法はいったい何でしょうか?」

エ「えっ?」

言葉どおり、突然すぎる問題にエルザは驚嘆の声を上げ目をパチクリさせる。しかも、その質問はビックリするくらい簡単すぎる。

エ「・・香り魔法(パルファムマジック)・・・だろ?」

カオ「正解です!」

拍手をするカオリを、エルザは首を傾げながら見つめる事しか出来なかった。

カオ「それでは次の問題!」

エ「ま、まだあるのか・・・!」

突拍子も無い事を言い出すカオリにエルザは呆れ顔。
この隙に倒そうか、という考えが頭の中をよぎったその時―――、





カオ「私の、()()()()の魔法は何でしょうか?」





エ「・・・えっ?」

エルザは自分の耳を疑った。
さっきとは違う驚嘆の声を上げ、さっきとは違う意味で目をパチクリさせる。

カオ「・・・はい、時間切れ(タイムアップ)です!」

呆然としているエルザを無視してカオリは話を進めていく。

カオ「正解は―――――」

カオリはキャラメル色のショルダーバッグから小瓶を1つ取り出した。すると、小瓶が見る見るうちに形を変えていく。

エ「・・・!ガハッ・・!」

小瓶に呆気に取られていたエルザの右肩を銃弾が貫いた。

カオ「変換武器(チェインアームズ)です。」

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フ「マヤー!ドコだーっ!」

ト「マヤさ~ん!」

人間の姿になったフレイとトーヤが家々が建ち並ぶ路地を並んで歩きながらマヤの名を叫んでいた。
つい先程まで、2人はバラバラに行動していたのだが、偶然この路地で出会わせて一緒に探す事になったのだ。

ト「見つかりませんね、マヤさん。」

フ「ったく、人騒がせな奴だぜ。」

トーヤは不安そうに視線を泳がし、フレイは頭を掻きながらぶっきらぼうに呟く。
すると、トーヤと契約している双子の幽霊、ユウとレイがふわふわと飛んで来た。トーヤに言われてユウとレイもマヤの事を探していたのだ。

ト「ユウ、レイ、お帰り。マヤさんは見つかった?」

トーヤの手の上に乗ったユウとレイは首を左右に振る。どうやらマヤは見つからなかったらしい。

ト「そうか・・・ユウ、レイ、ありがとう。ゆっくり休んで。」

そう言うとトーヤはユウとレイを妖霊界に帰らせた。
時々、遠くの方からドガァン!ガゴォン!という凄まじい爆音が聞こえてくる。

ト「皆さん、激しく戦ってるみたいですね。」

フ「あぁ。」

音が聞こえた方を見て呟くトーヤの言葉に、フレイは素っ気無く答えた。

ト「フレイさん?元気ないみたいですけど、どうかしましたか?」

トーヤが不思議そうにフレイの顔を覗き込む。
フレイは右手を顎に当てて考え込んでいるような仕草をしていた。薄っすらと、フレイの額には冷や汗が滲んでいた。

フ「・・・100年目・・・・」

ト「えっ?」

フレイの呟きにトーヤは首を傾げる。

フ「今思い出した事なんだけどよ・・・鳳凰が消えた日は、ナツやウェンディの親と同じ、777年の7月7日なんだ。」

ト「偶然なのか必然なのかは分かりませんが、(ドラゴン)と鳳凰が消えた日は一緒なんですよね。」

ナツもウェンディもマヤも、姿を消した自分達の親を今でも探し続けている。

フ「俺はマヤの親、つまり、鳳凰の使いとして300年近く従えているから知ってて当然の事なんだけどよ・・・」

そこまで言うと、フレイは黙ってしまった。
トーヤは急かさず、フレイが再び話し始めるのを黙って待ち続ける。それがトーヤの良い所なのだ。
ようやくフレイが話し始めたのと同時に、トーヤは開いた口が塞がらなくなってしまった。





フ「100年に一度、鳳凰は『闇』に心を支配される事があるんだ。」





ト「・・え・・・」

トーヤの口からはか細い声しか出なかった。

フ「そして不運にも、(ドラゴン)と鳳凰が消えた日、大魔闘演舞最終日の7月7日が・・・その100年に一度の日なんだよ。」

ト「!」

トーヤの紫色の瞳が驚きで見開かれた。

フ「もちろん、『闇』に支配された時の対処法はあるんだけど・・・何か悪い事が起こらなければいいんだけどよ・・・」

フレイの燃え盛る炎のような赤い瞳には、“不安”という名のハイライトが揺らいでいた。トーヤはこんな瞳をしたフレイを初めて目にした。

ト「し・・心配ありませんよフレイさん!鳳凰はマヤさんのお母さんなんですよね?あの年中無休テンションMAXのマヤさんを育てた方が、『闇』に心を支配される事なんて絶対ないですよ!万が一『闇』に支配されたとしても対処法があるんですから、きっと大丈夫です!鳳凰さんを信じましょう。」

フレイを元気付けるように言ったつもりだったが、トーヤの声にはあまり迫力が無かった。それはトーヤ自身も心底不安だからだろうか―――――?
優しいトーヤの気遣いに気づいたフレイは口元に笑みを浮かべると、わしゃっとトーヤの銀色のクセ毛を撫でた。

ト「わっ!」

フ「ありがとな、トーヤ。」

さっきと裏腹の笑顔を浮かべるフレイを見てトーヤは目を見開いたものの、すぐにトーヤも目を細めて微笑んだ。

フ「おしっ!気を取り直してマヤを探すぞっ!」

ト「はい!」

威勢の良い声と共にフレイはガッツポーズをし、トーヤは元気よく返事をしながら敬礼をすると2人同時に駆け出しマヤの名を叫んだ。

フ「(そうだ・・・トーヤの言うとおり、心配する事なんてねェんだ。鳳凰が、『闇』になんか負けるはずねェんだ。)」

マヤの名を叫びながら、フレイは自分に言い聞かせるように心の中で呟く。

フ「(それに、鳳凰はもう――――――――――・・・)」

*************************************************************************************************************

ハル「雷拘束(エレキ・ロック)!」

ユ「うっ・・!」

ハルトは7属性の武器(セットタイプ・アームズ)の1つ、雷の槍の先端をドスッ!と地面に突きつけると同時に、ユモの足元に黄色い魔法陣が展開しユモの身体の自由を奪った。

ユ「(身体が・・動か、ない・・・!)」

動かそうとしても自分の身体が言う事を利かない。唯一動くのは目と口だけだ。

イレ「白光拳、連!」

白い光を纏ったイレーネの拳が連続でユモの身体に叩き込まれていく。

ユ「うああああああっ!」

ユモは痛みに悲鳴を上げ顔を顰める。それでもイレーネは殴り続ける。薄っすらと目を開けると、ハルトも槍の先端に球状に圧縮させた雷を宿らせていた。

ユ「(どうにかして・・身体の、自由を・・・取り戻さ、ない、と・・・!)」

ユモは必死に頭を高速回転させ、この窮地の突破口を探る。
そして見つけた、突破口を―――――。

イレ「えっ・・・!?」

ハル「雷拘束(エレキ・ロック)が・・・!」

自由を奪われたユモの両足から冷気が出て、足元の黄色い魔法陣が凍りついた。魔法陣はまるで硝子のようにパリィン!と音を立てて割れ、ユモの身体に自由が戻った。
解放されたユモはすぐさま両手を構え冷気を溜めると、

ユ「アイスメイク、(タワー)ッ!!」

ハル「ぐあぁぁああ!

イレ「キャアアアアアア!」

冷気を溜めた両手をバンッ!と地面に叩きつけた。すると、地面から巨大な氷柱が突き出しハルトとイレーネの身体を宙高く突き飛ばした。

ユ「アイスメイク、爆弾(ボム)ッ!!」

再びユモは両手に冷気を溜めると、無数の氷の爆弾を造形し一斉にハルトとイレーネに向かって投げつけた―――が、

ハル「雷の槍は、ただ雷を自由自在に操るだけじゃないんだからなァ!」

ハルトは怒鳴りつけるように言うと、雷の槍を両手で横に持ち、新体操のバトンのようにくるくると器用に回し始めた。
氷の爆弾はくるくると回る雷の槍に弾き飛ばされ、地面に当たって爆発する。
氷の爆弾はハルトはもちろん、イレーネにも1つも当たらなかった。悔しそうに顔を顰めるユモとは対照的にハルトはニィッと口角を上げて微笑んだ。

ハル「ユモと戦うのはすっごく楽しいが、そろそろ終わりにしないとな。雷拘束(エレキ・ロック)硬雷(こうらい)!」

再びハルトは雷の槍の先端をドスッ!と地面に突きつけユモを拘束し、ユモの身体の自由を奪った。

ユ「こんなの、さっきと同じように凍らせれば・・・!?」

動かない両足から冷気を放出させ、魔法陣を凍らせようとするが、いつになっても魔法陣が凍りつかない。もちろん、魔法陣には亀裂も入らない。

ユ「そんな・・・!何で・・・!?」

ハル「その雷拘束(エレキ・ロック)はさっきの雷拘束(エレキ・ロック)の100倍頑丈なんだ。凍らせただけじゃ割れねェよ。」

驚嘆の声を上げるユモにハルトは槍の先端を突きつけながら言う。

イレ「ユモには悪いけど、ここで終わりよ。」

ハル「優勝するのは、俺達海中の洞穴(マリーンケイヴ)だっ!」

両手の中に球状に圧縮させた白い光を放とうとするイレーネと、槍の先端に球状に圧縮させた雷を放とうとするハルトが言った。

ユ「(身体が動かないんじゃ、避ける事も防ぐ事も出来ない・・・2人の攻撃を正面からまともに食らったら、私は・・確実に、負ける・・・!)」

イレ「白光球(コロナ・ボール)!」

ハル「雷球(サンダー・ボール)!」

白い光と雷の球体が放たれた。
それと同時にユモは顔を背けてギュッと固く目を瞑った。

ユ「(皆・・ゴメン・・・!)」

ドガガガガガァァァン!と凄まじい爆発音が轟いた。
ハルトとイレーネは腕を顔の前で交差(クロス)させ被害を最小限に抑えた。砂煙が舞い上がる。

ハル「・・や、やった、か・・・?」

イレ「た・・たぶ、ん・・・」

肩で大きく息をしながらハルトとイレーネは短く言葉を交わした。
砂煙が徐々に晴れていくと、黒い人影が砂煙の中に浮かび上がった―――が、

ハル&イレ「!!?」

砂煙の中の黒い人影はユモではなかった。
砂煙が晴れていくうちに、その姿は明らかになっていく。風に揺れる紺色の髪の毛、首元でキラリと光る銀色の十字架のネックレス、服を着ていない、傷だらけの上半身―――――。

グ「情けねェなぁ、氷上の舞姫さんよォ。」

ユ「グレイ!?」

ハルトとイレーネ、身動きが出来ないユモの間に立っていたのはグレイだった。
グレイの前には8枚の花弁のような形をした氷の(シールド)があった。どうやらハルトとイレーネの攻撃を(シールド)で防いだらしい。
グレイは両手を構え冷気を溜めると、

グ「アイスメイク、槍騎兵(ランス)ッ!!」

ハル「うあっ!」

イレ「ひゃわぁ!」

無数の氷の槍を造形しハルトとイレーネに向かって一斉に放った。
ハルトとイレーネは飛んでくる無数の槍を壊したりかわしたりする。すると、魔法陣が硝子のようにパリィン!と音を立てて割れ、ユモの身体に自由が戻った。

ユ「グ・・グレイ、何でここに?初代の読みだと、リオンとシェリアが相手なんじゃ・・・?もしかして、もう倒したのぉ!?」

グ「一編に言うな。」

一度にたくさんの事を聞くユモをグレイは宥めると、困ったように頭を掻いた。

グ「実はな・・・」

話し難そうに遠まわしに言いながら、グレイは肩越しから自分の後ろを指差した。グレイの指差した方に視線を移したユモは青い垂れ目を見開いた。

グ「連れて来ちまった。」

リオ「グレイ!もう逃げられないぞっ!」

シェ「いい加減大人しく倒れてよ~!」

ユ「えぇーーーーーっ!?」

申し訳無さそうに言うグレイの背後には構えた両手に冷気を溜めているリオンと、両手に黒い風の渦を纏ったシェリアがいた。

ハル「アンタ等は、蛇姫の鱗(ラミアスケイル)の・・・」

イレ「リオン・バスティアさんと、シェリア・ブレンディさん。」

リオ「そう言う貴様等は、確か・・海中の洞穴(マリーンケイヴ)の・・・」

シェ「ハルト・パーカーとイレーネ・ザンビア!」

ハルトとイレーネが呟いたのと続くように、リオンとシェリアも呟く。
同じ場所に3つのギルドの2人の魔道士が集結した。

リオ「グレイを倒せる故に、4人全員倒せば、ポイントはかなり加算される。」

シェ「一石二鳥だね。」

ハル「4人全員倒せば・・・!」

イレ「逆転出来るかもしれないわね。」

リオンは再び両手を構え冷気を溜め、シェリアは再び両手に黒い風の渦を纏い、ハルトは雷の槍を構え、イレーネは両手に白い光を纏いながら呟いた。
リオンとシェリアは右から、ハルトとイレーネは左から攻めて来る。背中合わせになったグレイとユモは挟み撃ちにされてしまった。まるで袋の鼠・・・いや、袋の妖精(ようせい)だ。

ユ「4人同時に倒さないといけないなんて・・・」

今まで経験した事の無い状況にユモはすっかり自信を無くしてしまっている。
それを見兼ねたグレイがユモの左手を掴んだ。驚いて振向いたユモが口を開く前に、グレイが小さな声で呟いた。

グ「俺がついてる。」

言った相手がジュビアだったら一発で倒れるだろう。
言い掛けた言葉が言えなくなったユモは、赤くなった顔を見られないように慌てて逸らし伏せた。しばらくユモは顔を伏せたままだったが、口元に小さな微笑を浮かべるとグレイの手を握り返した。
グレイとユモは同時に目を閉じる。

リオ「シェリア、行くぞ!」

シェ「うん!」

イレ「準備は出来た?ハルト。」

ハル「いつでもOK!」

リオン、シェリア、ハルト、イレーネの4人は一斉に地を蹴り駆け出した。
グレイとユモは同時にカッ!と目を開き、繋いでいた手を離すと両手を構え冷気を溜めた。

グ「行くぞユモ!」

ユ「全力で行くよ、グレイ!」

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ハッピーとシャルルはやっとの思いでドムス・フラウに戻って来た。
応援席に着いた時にはもうヘロヘロだった。

ロメ「ハッピー、シャルル、大丈夫か?」

レビ「いくら何でも飛ばしすぎだよ。」

リサ「そんなに慌てなくても大丈夫なのに。」

ロメオ、レビィ、リサーナの順に言う。

ハ「だ・・だって・・・皆がすごく心配してるって、マヤに・・伝え、たかっ・・たんだ、もん・・・」

マカオ「それが理由かよ。」

ワカ「ハハハ、マヤもとんだ迷惑少女だな。」

マカオ「言えてるぜ。」

ワカ「だろぉ?ハッハッハーッ!」

マカオとワカバはしょうも無い話をして肩を組んで笑う。

シャ「で、マヤは・・・?」

ラキ「まだ戻って来てないわよ。」

ウォ「マヤってトイレ長いんだなー。」

マッ「んな訳ねーだろ!」

シャルルの問いにラキは首を左右に振り、真顔で呟くウォーレンにマックスがツッコミを入れる。

アス「マヤおねーちゃん、ドコ行ったの?」

アル「それが分からないんだ。」

ビス「今ルーシィ達が街中を探してるから、きっともうすぐ見つかるわよ。」

マカロフに肩車されたアスカが首を傾げ、アルザックとビスカが答える。

エル「お前等、まだ探しに行くのか?」

ハ「ううん。ルーシィとウェンディに「ここにいて」って言われたんだ。」

シャ「マヤが戻って来たら、すぐにルーシィ達に言えるようにね。それに、少し疲れたから休みたいしね。」

ハ「あい!ナツー!頑張れーっ!」

シャ「エルザー!頑張んなさいよーっ!」

エルフマンの問いに答えた後、ハッピーとシャルルは並んで座り、映像魔水晶(映像ラクリマ)の映像に映るナツ達に向かって声援を掛けた。

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噴水の広場に、2匹の男がいた。
1人は鋼鉄のように硬い岩を自由自在に操る魔道士。1人は3本の聖剣(エクスカリバー)を振るう魔道士。
互いが聖十大魔道のリョウとジュラの戦いは、これまでにない激しい攻防戦が繰り広げられていた。

リョ「3剣流・・・銀天嵐切ッ!!」

リョウは助走をつけて高く跳躍すると、銀色の光に包まれた『銀覇剣』を、淡い水色の光を纏った『天力剣』を、吹き荒れる風の渦を纏った『嵐真剣』を大きく振りかざした。

ジュ「岩錐!」

ジュラはしるしを切り、地面から円柱形の岩の柱を出しリョウの攻撃から身を守った。
ジュラは再びしるしを切ると、地面から無数の円柱形の岩の柱を出しリョウに攻撃を仕掛ける。
次々と飛び出してくる岩の柱を避けたり足場にしながら、リョウはジュラに近づくと、

リョ「うォらァッ!」

ジュ「ぐっ・・!」

右肘でジュラの顔面を殴った。

ジュ「はぁっ!」

リョ「ぐはっ・・!」

リョウに殴られバランスを崩したジュラだが、負けじとリョウの頭に平手打ちをする。リョウは顎を地面に強打する。

リョ「オオオオオオオオオッ!」

すぐさま起き上がったリョウは銀色の光に包まれた『銀覇剣』と淡い水色の光を纏った『天力剣』を地面に突き刺した。すると、ジュラの足元の地面に亀裂が入り、そこから銀色と水色に光り輝く光の渦が現れジュラの身体を呑み込んだ。

ジュ「ぬっ・・!」

突然の事にジュラも咄嗟にかわす事が出来ずにリョウの攻撃をまともに食らってしまった―――が、

ジュ「鳴動富嶽!」

リョ「ぐああああああああああっ!」

昨年の大魔闘演舞の競技で、MPF(魔力測定器)にて“8544”という数値を出した技を、リョウはまともに食らってしまった―――――。

ジュ「(・・・ちっとやりすぎてしまったか。)」

口元の血を拭いながらジュラはリョウがいた場所に視線を動かす。
ジュラが着ている白い着物は所々破れ、頬や腕には大きな傷があり血が流れている。呼吸も少し荒い。

ジュ「(やはり聖剣(エクスカリバー)を6本も所有している事から、只者ではない事に間違いない。しかし・・・あの鳴動富嶽をまともに食らえば、流石のリョウ殿でも―――――!!?)」

リョ「だァらァア!」

ジュ「ぬおっ!」

砂煙の中から傷と血だらけのリョウが飛び出した。
傷だらけの右手を硬く握り締め、ジュラの右頬を殴った。

リョ「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」

リョウも相当ダメージが大きかったのか、立っているだけでも辛そうだ。

ジュ「言葉に・・出来ん・・・!」

ジュラの顔にも笑顔が浮かんでいる。

リョ「こ、こんなに・・自分がしぶてェとは・・・思ってもみなかったぜ・・・・」

再び開いてしまった腹部の傷を押さえ、痛みに顔を引き攣らせながらも、正面から茶色い瞳で目の前にいる“最強”を真っ直ぐ見据えた。

リョ「ここまで来たら、当たって砕けてやる!

ジュ「来い!魔力、体力、気力が共に朽ち果てるまで、この戦いは終わらぬ!」





栄光なる魔の頂は目と鼻の先!勝利の女神が微笑むのはいったいどのギルドか―――――!?
大魔闘演舞は最終局面(ラストフェーズ)へと向かう―――――。

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落ち着いた足取りで、ショールは人影の無い通りを歩いていた。

ショ「(あの時の・・・マヤの慌てっぷり、覚束ない足取り、虚ろな瞳・・・マヤに何かあったのか?)」

マヤがいなくなる直前まで「自分の名を呼ぶ声がする!」と叫んでいたマヤと、その後のマヤの様子をショールは頭の中で重ね合わせる。

ショ「(マヤを呼ぶ声・・・マヤはその“声の主”に何かを言われて、俺達の前からいなくなったんじゃ・・・?)」

ショールは足を止めゆっくりと目を閉じた。人影の無い通りは、音1つしない。

ショ「(あの覚束ない足取りと、虚ろな瞳・・・あれは、“声の主”に操られているからなんじゃ・・・!)」

鮮血のような赤い瞳をカッ!と見開いた。

ショ「マヤが危ない・・・!」

主観的にそう思ったその時―――、

ショ「!」

予知が見えた―――――。
ほんの一瞬だったがショールには今まで見てきた予知の中で一番はっきりと見えた。





ゴツゴツした岩が並ぶ、薄暗いドムス・フラウの地下――――――――――。



銀色の台座に置かれた巨大な黒い大砲――――――――――。



その黒い大砲に、覚束ない足取りで近づくマヤの姿――――――――――。



導火線に火を点けるマヤの姿――――――――――。



黒い大砲から放たれた白銀の閃光――――――――――。





今見た予知の内容に、ショールは息を呑む事しか出来なかった。

ショ「い・・今のは、いったい・・・?」

ショールはしばらく呆然とその場に立ち尽くしていたが、拳を硬く握り締めると足に風を纏いドムス・フラウに向かって走り出した。

ショ「(あの予知が何を示しているのか分からないけど・・・!マヤがドムス・フラウの地下にいるという事は分かったんだ!)」

足に風を纏っている事で、ショールは風のような速さで街中を駆け抜ける。

ショ「(それに、あの大砲とマヤは、いったいどういう関係があるんだ・・・?もしかしたら、マヤは“声の主”に言われて、ドムス・フラウの地下にある大砲の所に行ったんじゃ・・・!)」

問答しながら、ショールは全速力で走る。

ショ「嫌な予感がする・・・!」

1秒でも早く・・・!そう願いながらショールは1人ドムス・フラウへと戻るのだった。

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ドムス・フラウの地下深く。
銀色の台座に置かれた黒い大砲。黒い大砲の中央部に書かれている赤い術式は休まずに刻々と時を刻み続けていた。





                  『『極悪十祭』まで、残り1日 09時間13分57秒』





 
 

 
後書き
第194話終了です!
・・・長い。長すぎてめちゃくちゃ疲れました。
次回は大魔闘演舞、いよいよ最終局面(ラストフェーズ)に突入です!そして、大魔闘演舞終了と共にナツ達に襲い掛かる悲劇が明らかに―――――!
それではまた次回、お会いしましょうー! 

 

第195話 悲劇の始まり

 
前書き
紺碧の海です☆
今回はいよいよ、大魔闘演舞最終局面(ラストフェーズ)に突入です!優勝するのは果たしてどのギルドか―――――!?
そして、大魔闘演舞終了と同時に起こる悲劇が、今!明らかになる時―――――!
ナレーション風に書いていきます。
それでは、第195話・・・スタート☆ 

 
ショ「ハァ・・ハァ・・・ハァ・・ハァ・・・ハァ・・ハァ・・・ハァ・・ハァ・・・ハァ・・ハァ・・・」

両手を両膝に当て、口と肩で大きく息をするショールの額には汗が滲んでいる。
ショールは休まず、歩かず、約1km程離れた場所からドムス・フラウまで全力疾走してきたのだ。息が切れるのも無理はない。
まだ息を切らしながらも、顔を上げドムス・フラウを見上げる。鼻筋を伝って流れ落ちた汗を服の袖で拭う。

ショ「ハァ・・ハァ・・・い、急が・・ない、と・・・!ハァ・・ハァ・・・ハァ・・ハァ・・・」

鮮血のような赤い瞳に、目の前に聳え立つドムス・フラウを一睨みした後、ショールは再び足を動かしドムス・フラウの中へと入って行った。

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エ「うっ・・ぁ、ぁあ・・・!」

貫かれた右肩を押さえ、エルザはその場に肩膝を着いて蹲る。

カオ「私の主要(メイン)の魔法は香り魔法(パルファムマジック)なので、変換武器(チェインアームズ)は滅多に使わないんですが・・・相手が妖精女王(ティターニア)となると、本気でやらないといけませんから。」

カオリは涼しげな顔で言葉を放つ。
エルザの右肩を貫いた弾丸を撃った銃は、いつの間にか先が鋭く尖った槍に変換されていた。
カオリは槍を構えると、鋭く尖った槍の先端をエルザの首筋に突きつけた。

カオ「この勝負は銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)の名誉と、未来と、夢が懸かっているんです。」

“フィオーレ最強の魔道士ギルドになる”

ずっと思い描いてきた銀河(ぎんが)の夢は、長い月日を経て、フィオーレ最強ギルドと並ぶほどの実力をつけ、今此処で、夢見てきた新たな伝説を築き上げる、最大の機会(チャンス)―――――。

カオ「だから・・・負ける事は、絶対に許されません!」

そう言うと、カオリは構えていた槍を一度構え直し、エルザの首筋を狙って―――――突けなかった。

カオ「!?」

槍の先端がエルザの首筋を貫く一歩手前で、エルザは右手で槍の先端を掴んだのだ。
カオリが動かそうとしても槍は一切動かず、エルザの手から抜こうとしても、槍はビクともしない。ただ、槍の先端にエルザの血が付くだけ―――――。

エ「名誉だが、未来だが、夢だが知らないが・・・私達も、“仲間の想い”が懸かっているんだァ!」

カオ「あぐっ!」

エルザは槍から手を離すと、怯んでいたカオリの右頬を思いっきり殴り飛ばした。
殴り飛ばされたカオリの身体はズササササァと地面を擦る。カオリがふらぁ~とよろめきながら立ち上がった時、目の前にいたのは―――――、緋色の髪の毛を高く結え、黒を基調とした羽の生えた鎧―――黒羽の鎧に換装したエルザがいた。右手には1本の剣が握られている。

エ「倒すべき相手の魔法が変わろうが構わん。目的はただ1つ―――――」

そう言うとエルザは小さく地を蹴り駆け出した。

エ「勝つだけだァァア!」

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リオ「アイスメイク、白虎(スノータイガー)ッ!!」

ハル「落雷砕(サンダー・クラッシュ)!」

前方から仕掛けてくるリオンとハルトの攻撃をかわすと、グレイは両手を構え冷気を溜める。

グ「氷撃の鎚(アイスインパクト)ッ!!」

巨大な氷の鎚を造形し、リオンとハルトの頭上に振りかざす―――が、ハルトは素早くその場から逃れ、リオンは両手を構え冷気を溜めると、

リオ「アイスメイク、大猿(エイプ)ッ!!」

巨大な氷の猿を造形し、グレイの攻撃から身を守った。

グ「チッ。」

小さく舌打ちをした後、再び両手を構え冷気を溜めたグレイのがら空きの背中目掛けて、

シェ「天神の舞ッ!!」

黒い風を両腕に纏ったシェリアが攻撃を仕掛けた。反応に遅れたグレイに黒い風が直撃する、と思ったその時、グレイと黒い風の間に地面から氷柱が生え黒い風を弾き返した。

ユ「ギ・・ギリギリセー」

イレ「白光弾!」

ユ「キャア!」

地面に両手を着いた状態のユモの背中にイレーネが白い光を纏った拳を叩き込んだ。

リオ「アイスメイク、(イーグル)ッ!!」

イレ「うぐっ・・うぁあ!」

ユ「氷乱刃(フリーズブレイド)ッ!!」

リオ「「ぐァあっ!」

無数の氷の鷲を造形しイレーネを攻撃したリオンの背後から刃のような形をした無数の氷で斬りつける。

シェ「天神の北風(ボレアス)ッ!!」

ユ「うああああああっ!」

グ「氷槍騎兵(フリーズランサー)ッ!!」

シェ「キャアァァアアァアアアア!」

ハル「雷球(サンダー・ボール)!」

グ「ぐォおあっ!」

シェリアが黒い風でユモを攻撃し、グレイが隙を突いてシェリアの背後から無数の氷の槍で攻撃し、ハルトががら空きのグレイの背中目掛けて電撃を帯びた雷の球体が直撃した。
攻撃、防御、チームワーク、共に一切隙を見せない三角戦闘(トライアングルバトル)は全く埒が明かない。

リオ「日も暮れてきた。シェリア、この一撃でまずは妖精の尻尾(フェアリーテイル)を倒すぞっ!」

シェ「分かった!」

ハル「そっちが最初に妖精(ようせい)を撃破するなら・・・イレーネ、俺達もやるぞ。」

イレ「言われなくても、そうするわよっ!」

リオンが両手を構え冷気を溜め、シェリアが黒い風を纏った両腕を掲げ、ハルトが雷の槍の先端に雷を圧縮させ、イレーネが両手に白い光を纏った。
4人同時に妖精(ようせい)に攻撃を放とうとする。
グレイは隣にいる、呼吸のリズムと共に上下するユモの左肩に手を乗せ自分の方に引き寄せた。

グ「“仲間の想い”が懸かってるんだ。あっちが4人同時に俺達に攻撃してくるなら・・・俺達は、全魔力をぶつけて、4人同時に片付ける!」

ユ「うん!」

グレイはユモの肩から手を離すと、今度はユモの右手を力強く握った。

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ジュ「ハァ・・ハァ・・・ハァ、ハァ、ハァ・・・ハァ・・ハァ・・・ハァ、ハァ・・ハァ・・・」

リョ「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」

血と傷だらけの2人の身体は、ちょんっと軽く押しただけでバタン!とその場に倒れてしまいそうなほどボロボロだった。
だが、身がボロボロでも、心は磨いた窓ガラスのように透き通っている。

ジュ「ハァ・・ハァ、ま・・まさか、鳴動富嶽を、食らっても・・・ハァ、ハァ・・・倒れんとは・・・ハァ・・ハァ、ハァ・・・予測・・不可能じゃったな・・・ハァ・・ハァ・・・」

リョ「ハァ、ハァ・・・ハァ・・じ・・自分、でも・・・ハァ、ハァ、驚き・・です・・・ハァ・・ハァ・・・ハァ、ハァ・・・」

そう言うと、リョウは両手に持っていた『銀覇剣』と『天力剣』と、口に銜えていた『嵐真剣』を鞘に戻し、鞘に差していた『花錦剣』と『妖魔剣』と『竜風剣』と一緒に、6本の聖剣(エクスカリバー)を地面に置いた。

ジュ「!?」

その光景を見たジュラは目を見開いた。
しかも、リョウは6本の聖剣(エクスカリバー)をただ地面に置いてる訳ではない。リョウを囲むように、1本1本ゆっくりと、6本の聖剣(エクスカリバー)を並べていく。

ジュ「リョ、リョウ殿・・・いったい、何を・・・・?」

リョ「まさか・・自分が、この魔法を・・・発動させる時が、来るとは・・・正直、思ってもみなかった、な・・・・」

問い掛けるジュラの声が聞こえていないのか、リョウは独り言のように呟きながら6本の聖剣(エクスカリバー)を並び終えた。
6本の聖剣(エクスカリバー)は、リョウを囲むように6角形状に並べられていた。

ジュ「リョウ殿・・・こ、これは、いったい・・・・?」

1歩後退りをしながら、ジュラはさっきと似たような問い掛けを再びリョウにする。
リョウは血塗れでボロボロになった青い着物を引き裂きながら、ジュラと視線を合わさずに呟いた。

リョ「“仲間の想い”は、俺がこの魔法を発動させる(みなもと)になる!」

リョウが呟いたのと同時に、リョウの足元に金色の魔法陣が浮かび上がった。すると今度は、6角形状に並べられた6本の聖剣(エクスカリバー)が金色の光を帯びながら光だし、ふわぁと宙に浮き上がった。
リョウはゆっくりと目を閉じる。

ジュ「こ・・これは・・・!」

目を見開いたジュラはその後の言葉が続かなかった。

リョ「聖なる剣に宿りし守護剣士達よ・・・!我はそなた等が認めし忠実なる者・・・今、我が身に宿り、その力を最大限に解放せよ・・・!」

リョウはカッ!と目を見開いた。



リョ「第二魔法源(セカンドオリジン)、解放!」



宙に浮き上がった6本の聖剣(エクスカリバー)から、銀、水色、青、桃色、紫、黒に光り輝く光が飛び出し、リョウの身体に吸い込まれていく。

ジュ「(聖剣(エクスカリバー)使いが解放する第二魔法源(セカンドオリジン)・・・その魔法は、伝説の1つとして数えられる超魔法の1つ・・・!)」

ジュラは目の前の光景に呆気に取られていた。
そして、ジュラの目の前にいたのは、さっきまでのリョウではなかった。引き裂かれた着物の間から見えるリョウの身体には、銀、水色、青、桃色、紫、黒の渦巻いた模様が走っており、リョウの茶色い瞳が、赤色に変色していた。





リョ「聖なる力(フォース・オブ・ホーリー)!!!」





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レヴ「星竜の・・・流星群(ミーティア)ッ!!」

キー「エレクトニクス!目の前の敵を蹴散らせェ!」

ドラゴンフォースを発動させたレヴルと、13番目の鍵、未知の星霊のエレクトニクスがナツに襲い掛かった。
ナツはレヴルの拳を身体を右に傾けて避け、エレクトニクスの頭突きをその場で跳躍してかわす―――が、流星群(ミーティア)のように速く動く事が出来るレヴルはすぐにナツと同じくらいの高さまで跳躍すると、ナツの鳩尾に蹴りを食らわせ、続いて後頭部に踵落としを食らわせた。

ナ「ぐふっ!・・ガッ!」

頭が下、足が上の状態で真っ逆さまに落下するナツの身体を、エレクトニクスが鋼鉄のように硬い黒い鱗で覆われた頭で建物にめり込ませる。

ナ「ぐあああああああああああああっ!」

ナツは悲鳴を上げるが、その声が聞こえていないかのようにエレクトニクスは更に強い力でナツの身体を建物にめり込ませる。ナツの身体をめり込ませたレンガ造りの建物も、エレクトニクスの力に耐え切れず、バキバキ!と音を立てて亀裂が入っていく。

ナ「火竜の・・・咆哮ッ!!」

口から灼熱の炎の(ブレス)をエレクトニクスの頭目掛けて噴出した。
熱かったのか、エレクトニクスは巨大な身体を捻らせた。その隙にナツはエレクトニクスから距離を取るが、

レヴ「星竜の・・・斬撃ッ!!」

ナ「うがっ!」

背後からレヴルが金銀に光り輝く光を纏った右手でナツの左肩を斬りつけた。

ナ「火竜の砕牙ッ!!」

ナツもすぐ振り返り、負けじと指先に纏った炎でレヴルに攻撃を仕掛けるが、流星群(ミーティア)のように速い動きでレヴルはナツの攻撃をかわし、再びナツの背後に周り込むと、

レヴ「星竜の・・・咆哮ッ!!」

星の光のように輝く(ブレス)がナツの身体を飲み込んだ。
星の光の(ブレス)は建物を次々と貫いていき、静まり返ったクロッカスの街に凄まじい爆発音が響き渡った。

レヴ「ハァ・・ハァ、ハァ・・・ハァ、ハァ・・・ハァ・・ハァ・・・ハァ、ハァ・・ハァ・・・」

キー「レヴルー!」

息を切らしているレヴルの元にキースが駆けつける。キースの後ろにはズルズルと巨体を引き摺りながらエレクトニクスが付いて来ている。

キー「・・・やったか?」

キースが砂煙の中に目を凝らす。
砂煙が晴れると、数十m先の瓦礫の山の上で倒れているナツの姿を確認出来た。

レヴ「ハァ、ハァ、や・・やっ、たぁ・・・ハァ・・ハァ、ハァ。」

息を切らしながら途切れ途切れに呟くレヴルの傷だらけの肩を、キースが傷だらけの手で力強く掴んだ。

キー「これでまた少し、フィオーレ最強の座に近づいた。」

レヴ「あぁ。・・・もう少しで、俺達銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)の、夢が報われ」

報われる、と言おうとしたレヴルの言葉を遮るように、キースとレヴル、エレクトニクスの足元から灼熱の炎が火山の噴火のように地面から勢いよく噴出した。

レヴ「なっ・・・!?」

キー「ぐァァア!」

火傷を負いながらも灼熱の炎から転げ出ると、キースとレヴルは視線を瓦礫の山に移した。

ナ「“倒れた”って、勝手に決めつけんじゃねェ。俺はまだ、戦えるぞ。」

そこには、口から僅かな紅蓮の炎を噴出したナツが立っていた。

レヴ「(まさか・・・!地面に顔を突っ込んで、俺とキースとエレクトニクスの足元から炎を噴出させたのか・・・・!?)」

レヴルはナツから視線を逸らさずに、直感的にそう思った。

キー「・・な、何で・・・ドラゴンフォースを発動させたレヴルの攻撃と、エレクトニクスの攻撃をあれだけ食らったってのに・・・!何で倒れてねェんだよォ!?」

肩で大きく息をしながらキースはナツに問い掛けるように声を荒げた。
ナツはしばらく何も言わず、動かずの状態だったが、固く握り締めた両手の拳に紅蓮の炎を纏いながらニヤッと笑った。



偶然か必然か―――――。
聞こえる訳が無い、別々の場所で戦っているはずの5人の妖精(ようせい)の声が、見事に重なった。



エ「“仲間の想い”が、私に力をくれる!」



グ「“仲間の想い”が、俺に勇気をくれる!」



ユ「“仲間の想い”が、私を支えてくれる!」



リョ「“仲間の想い”が、俺を強くする!」



ナ「“仲間の想い”が、俺をここに立たせてくれる!」



エ「“仲間の想い”に―――」



グ「全力で応える!」



ユ「だから、私達は―――」



リョ「俺達は―――」



ナ「お前等に勝つっ!」



これまた偶然か必然か―――――。
声が重なると今度は、別々の場所で戦っているはずの5人の妖精(ようせい)が同時に攻撃をした。



エ「黒羽(くれは)月閃(げっせん)ッ!!」

剣を大きく振りかざしカオリを斬りつけた。



グ「氷刃(ひょうじん)七連舞(ななれんぶ)ッ!!」

凍らせた肘で斬りつけるようにリオンとハルトを攻撃する。



ユ「氷乱(ひょうらん)扇銀ノ舞(せんぎんのまい)ッ!!」

扇の形をした無数の氷が踊るようにシェリアとイレーネを攻撃する。



リョ「聖者の化身(トーテム・オブ・セイント)ッ!!」

容姿が変わったリョウの背後に浮かび上がった化身(トーテム)が腕を大きく振りジュラを殴り飛ばした。



ナ「―――――滅竜奥義、紅蓮爆炎刃ッ!!!」

両腕に纏った紅蓮の炎を一斉に爆発させ、キースとレヴルを攻撃する。



残ったのは妖精の尻尾(フェアリーテイル)の5人のみ!

チャ「し・・しし・・・し、信じられません!エルザがカオリを倒し1ポイント!グレイが蛇姫の鱗(ラミアスケイル)の副リーダーであるリオンとハルトを倒し4ポイント!ユモスがシェリアとイレーネを倒し2ポイント!リョウが蛇姫の鱗(ラミアスケイル)のリーダーであるジュラを倒し5ポイント!ナツが銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)のリーダーと副リーダーであるキースとレヴルを倒し8ポイント!これを全て、現時点の妖精の尻尾(フェアリーテイル)のポイント数、80ポイントに加算すると・・・」

映像魔水晶(映像ラクリマ)に映し出されている、妖精の尻尾(フェアリーテイル)のポイント数の数値が、スロットのように変わり続ける。
そして、映像魔水晶(映像ラクリマ)に最終的に映し出された妖精の尻尾(フェアリーテイル)のポイント数は―――――、



―――――100。



チャ「100ポイントだぁぁぁぁぁぁっ!!」

大歓声が沸き起こった。
観客席では帽子やらコップやら旗やら・・・いろいろな物が宙を舞う。
それと同時に―――――、

チャ「決着!今年の大魔闘演舞、優勝は―――――」

ドムス・フラウの会場から花火が―――――打ち上がらなかった。
花火の代わりに打ち上げられたのは一筋の白い光。

ナ「んぁ?」

リョ「何だ、あの光?」

ル「ま・・眩しっ!」

ト「花火じゃ・・・ないみたいですね。」

フ「だな。」

クロッカスの街で戦っていたナツ達はもちろん、姿を消したマヤの事を探していたルーシィ達も、ナツ達に倒された他のギルドの魔道士達も、ドムス・フラウの上空に打ち上げられた白い光に目を奪われた。

この白い光が、これから始まる悲劇の開始の烽火(のろし)だったなんて―――――この時はまだ、誰も思ってもいなかった。 
 

 
後書き
第195話終了しました☆
大魔闘演舞遂に終了~!優勝はもちろん、100ポイントGETした妖精の尻尾(フェアリーテイル)です。私の数え間違いじゃなけりゃ、ホントに100ポイントなんですよっ!
さーてさて、次回からは新章、『極悪十祭編』のスタートです!
それではまた次回~☆
・・・今回、マヤ、ハッピー、ウェンディ、シャルルが出て来なかった。 

 

第196話 『極悪十祭』

 
前書き
紺碧の海で~す♪
今回は大魔闘演舞がやっと終わったーっ!・・・と思ったのも束の間。ナツ達に新たな悲劇が襲い掛かる!その悲劇の名は―――――!
ナレーション風に書いていきます。
それでは、第196話・・・スタート♪ 

 
妖精の尻尾(フェアリーテイル)の優勝が決まったのと同時に、ドムス・フラウの上空に打ち上げられた一筋の白い光。
白い光が雲を貫いたかと思ったのと同時に、キュゥン!と音を立てて白い光が10個の光に弾け、隕石のように夜のクロッカスの街に落ちた。

ナ「な・・何だァ・・・?」

ル「ナツー!」

ウェ「ナツさぁ~ん!」

ナツは街中に落ちた光を目で追った後、こてっと首を傾げ頭に?を浮かばせる。
すると、自分の名を呼ぶ聞き慣れた声がして後ろを振り返ると、ルーシィとウェンディが自分の方に向かって走って来ていた。

ナ「ルーシィ、ウェンディ。何でお前等がここにいるんだ?」

会場にいるはずのルーシィとウェンディの姿を見てナツは再びこてっと首を傾げ頭に?を浮かばせた。

ル「それが大変なの!マヤがいなくなっちゃったのよォ!」

ルーシィの声に、ナツは少し目を見開いた。

ナ「・・・誰が、いなくなった・・って?」

ナツは滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)であり、並の人間より聴覚が優れている。だから、さっきのルーシィの声は最初から最後までバッチリ聞こえていたはずだ。
なのに、その言葉が信じられなかったかのように、ナツはもう一度聞き返した。

リョ「現実を受け入れろ、ナツ。」

背後から聞こえた声に、ナツ、ルーシィ、ウェンディは振り返る。
そこには負傷したリョウ、グレイ、ユモ、エルザと、リョウの肩を支えているトーヤ、人間の姿のフレイがいた。

エ「話はトーヤとフレイから聞いた。それで、マヤは見つかったのか?」

エルザの問いにルーシィとウェンディは首を左右に振る。
するとナツが、リョウの左肩を支えてたフレイの首根っこを掴んだ。

ナ「おいフレイ!マヤがいなくなったってどういう事だよ!ア?」

グ「落ち着けナツ。」

ト「フ、フレイさんはな、何も・・悪く、ないんですよ!」

掴みかかったナツをグレイが羽交い絞めにしてフレイから引き剥がし、トーヤが慌てふためきながらもナツの誤解を解く。
フレイは勘違いしたナツに怒りもせず、ただ拳を固く握り締めるだけだった。

ウェ「街中走り回って、必死に探したんですけど、見つからなくて・・・」

ウェンディが申し訳無さそうに顔を伏せながら呟いた。

ユ「あれ?そういえば、ショールとハッピーとシャルルは?」

ユモが辺りを見回しながら言う。

ル「ハッピーとシャルルには、「マヤが会場に戻って来た時に知らせて」って頼んで会場にいると思うんだけど・・・ショールはドコ行ったのかしら?そっちは会わなかったの?」

フ「俺とトーヤはずっと2人でマヤを探してたけど、会ったのは負傷したリョウ達だけだ。ショールには一度も会ってねェよ。」

ト「てっきり、ルーシィさん達と行動してるかと・・・」

ルーシィ、フレイ、トーヤの順に言う。
ショールまでいなくなっちゃったぁー!?と誰もが思ったその時、

ショ「俺ならここにいる。」

噂をすれば影が差す。
冷静を保った聞き慣れた声がして後ろを振り返ると―――、

エ「ショール!」

ナ「マヤ!」

リョ「・・・と、何で王国軍~!?」

所々に擦り傷や切り傷を負った、泥だらけの顔をしたショールと、同じく泥だらけの顔をした、今まで行方を晦ましていたマヤ。そして2人の後ろには、ズラァ~と立ち並ぶ王国軍の兵隊達がいた。

ウェ「マヤさん!」

フ「無事だったか!」

ル「良かった~。」

ト「ショールさん、ドコ行ってたんですか~。」

ユ「心配させないでよ。」

グ「つーか何だよこの王国軍!?俺達なんか悪い事したか!?」

ショ「一編に言うなーっ!」

珍しく怒鳴るショールの声で辺りはしーんと静まり返る。
辺りが静まり返ったのを確認すると、ショールは「ふぅ」と息を吐き口を開いた。

ショ「一度しか言わない。順番に話すからよく聞いてて。」

ショールは自分を取り囲むように立っているナツ達の顔を順番に見回す。ナツ達が首を縦に振ったのを見ると口を開いた。

ショ「まずが空を見て。」

ショールが人差し指だけを立てた右手で宙を差した。

ル「空を?」

グ「空がどうかし―――――はァ!?」

頭に?を浮かべながらも、ナツ達は言われたとおりに首を上に傾けて空を見上げた。
目の前に広がるのは確かに空だった―――――が、満天の星が輝く星空ではなかった。
クロッカスの街の空は、オレンジ、ピンク、紫という禍々しい色合いをしたグラデーションになっていたのだ。

ナ「何じゃこりゃーーーっ!?」

ウェ「そ・・空が・・・」

ユ「えぇっ!?」

ト「ど・・どうなってるんですか~!?」

ナツ達は驚嘆の声を上げる。
それに対してショールは冷静を保ち再び口を開いた。

ショ「まだナツ達が、大魔闘演舞で敵と戦っている頃・・・俺はドムス・フラウの中でマヤの事を探していたんだ。」

***********************************************************************************************************

時は遡り1時間前。

ショ「マヤー!マヤー!聞こえたら返事をしろーっ!マヤー!」

ショールは壁も床も天井も石造りで出来た通路を、時々ひんやりと冷たい壁に手を着いて、乱れた呼吸を整えながらマヤの名を叫びながら走っていた。ショールの声と、ショールの足音だけが通路に響き渡る。

ショ「ハァ・・ハァ、くそっ・・ドコ、行ったんだ・・・マヤ・・ハァ、ハァ・・・ハァ・・ハァ、ハァ・・・ハァ・・ハァ・・・」

街中、ドムス・フラウと立て続けに走り回っているショールの体力はすでに限界を超えていた。だが、それでもショールの足は止まらない。

ショ「(俺の考えすぎだといいけど・・・あの予知が意味する事は、何なんだ・・・・?)」

鼻筋を伝って流れ落ちてくる汗を服の袖で拭い、再び走り出そうとした時、前方から2人の王国兵が話しながら歩いて来た。

兵1「何だったんだー?さっきのあの女の子?」

兵2「たぶん、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士だったと思うけど・・・」

ショ「!」

走り出そうとした足を止め、ショールは2人の王国兵の前に立つ。

ショ「すみません!その女の子、ドコで見かけましたか!?」

兵1「え?あーいや、さっき向こうで。関係者以外立ち入り禁止の方へ歩いてたから止めたんだけど・・・」

兵2「驚いたよなー。見ろよこの槍。その女の子が、触っただけで捻じ曲げたんだぜ。」

ショ「!?」

そう言いながら王国兵の1人が捻じ曲がった槍をショールに見せた。
ショールは声にならない驚嘆の声を上げた。

兵1「槍を捻じ曲げてでも立ち入り禁止の方に行くから、俺がその子の肩を掴んで止めようとしたら・・・この有様さ。」

ショ「!!?」

もう1人の兵士の右掌を見て、ショールは再び声にならない驚嘆の声を上げた。
兵士の右掌は真っ赤に腫れ上がっていたのだ。

兵2「その子の肩を掴んだ瞬間、ビリリ!って電気が帯びて、コイツの右掌は火傷しちまってよ。」

兵1「ったく、酷い目に合ったぜ。あの子を探してるって事は、お前も妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士だな?その子に言っておいてくれよ。「王国兵の1人が、君のせいで火傷を負い」」

ショ「この先に、立ち入り禁止の場所があるんですね!」

兵士の言葉に聞く耳も立てずに駆け出そうとしたショールの肩を、火傷を負っていないもう1人の王国兵が掴んだ。

兵2「だから、関係者以外立ち入り禁止って言ってるだろ。あの女の子の事は俺達王国兵に任せて、君は会場に」

ショ「トリックルーム!」

兵2「なっ・・!」

兵1「うぉぉあぁ?」

ショールは手品魔法(トリックマジック)のトリックルームを2人の兵士に掛けた。術者の周りにいる者の視界を、トリックルームのように歪ませる。
視界がトリックルームのように歪んで見える2人の王国兵はその場でぐるぐる回りながら歩いたり、前に進んでいるつもりが右へ、左へ進んでいるつもりが後ろへ、という混乱状態に陥っている。

ショ「スミマセン。」

ショールは混乱状態に陥っている2人の王国兵に向かって頭を下げると、立ち入り禁止の場所へ向かって走り出した。

ショ「(マヤは大魔闘演舞に出場したのも、ドムス・フラウに来たのも今年が人生初。なのに何でドムス・フラウの立ち入り禁止の場所を知っているんだ?それにマヤが、ドムス・フラウの立ち入り禁止の場所に何の用があるんだ?)」

走りながらショールの頭は高速回転し始めた。高速回転し始めたショールの頭は止まらない。
勘が鋭いグレイではないが、高速回転し始めたショールの頭が考えた事は、経験上99,9%の確立で当たる。「お前の頭は未来探知機か何かか?」と以前エルザに言われたくらいだ。
残りの0,1%は、ショールが寝不足だったりしている時だ。だが、今のショールはバッチリ目が覚めている。今のショールの頭は、100%冴えているという事だ。

ショ「(嫌な予感がする・・・!)」

100%冴えている頭で考えたショールの予感・・・
当たる確立も、100%だ。
しばらく走り続けていると、通路の先は行き止まりになっており、壁に鉄製の扉があった。

ショ「あそこだ!」

もう体力も限界を超えているというのに、ショールはスピードを上げた。
扉まで後僅かという所まで来たとき、扉の前にどこからともなく1人の少女が現れた。

ショ「うわぁっ!」

ショールはその少女と正面衝突しそうになったので、慌てて急ブレーキを掛けた。
慌てふためいているショールとは裏腹に、突如現れたその少女はにこやかに微笑んでいる。

ショ「スミマセン、そこを退いてもらえないですか?」

すぐに冷静を取り戻したショールは未だにこやかに微笑んでいる少女に向かって言葉を放つ。急いでいるせいか、ショールが放った言葉には小さな棘が刺さっているようにも感じる。
だが、ショールの棘のある言葉に少女は一切怯まない。それどころか、扉の前から退けようともしない。
少々苛立ったショールは、少女の後ろにある扉のドアノブに手を掛けた。

ショ「失礼します。」

一言少女に言い残しドアノブを捻ったその時―――、

?「『極悪十祭』・・・」

ショ「!」

ショールの耳元で、少女が鈴の音色のような小さな声で囁いた。
驚いたショールはドアノブから手を離し少女から遠ざかった。それでも少女はショールにゆっくりと近づく。ショールも少女が近づいてくるのと同時に1歩1歩後ずさる。
近づいては離れ、近づいては離れ―――――。そんな事を繰り返しているうちに、ショールの背中が壁にぶつかった。

ショ「!」

これ以上ショールは後ろに下がれない。だが、少女はまだショールに近づける。逃げ場を無くしたショールは少女から顔を逸らし目をギュッ!と瞑った。

?「ふぅ・・・」

少女が息を吐く音が聞こえ、ショールは恐る恐る目を開けた。すると、右隣に壁に寄り掛かった体勢で立っている少女がいた。ショールは思わず目をパチクリさせる。

?「大魔闘演舞2日目の夜、私はあなたに、同じ事を言ったはずよ。」

ショ「えっ?」

少女の言葉に首を傾げながらも、ショールは頭を高速回転させ、記憶を大魔闘演舞2日目の夜に手繰り寄せる。
ナツ達が泊まっていた宿、『蜂の骨(ハニーボーン)』の前に立っていた青い髪の女性―――――。

ショ「!あ・・あの時の・・・」

?「よーやく思い出してくれましたか。」

少女の姿を思い出したショールを見て、少女は呆れたようにわざとらしくため息をついた。

ショ「(あの時言った事は、()()()に言った事だったのか・・・?)」

蜂の骨(ハニーボーン)』の前には、ショールだけでなく最強チーム全員が傍にいた。そんなのにお構いなく、この少女は()()()()()()()()()()()()()という事になる。
そして、この少女の言葉を聞いたあの夜―――――ショールは予知を見た。

ショ「(俺が予知を見れる事を知っていたのか・・・?でも、だったら同じ予知を見れるシャルルには、何で予知が・・・?)」

謎が謎を呼ぶ。
ショールは隣にいる青い髪の少女を不思議そうに見つめた。

?「『極悪十祭』、それは10頭の悪魔と人間との奈落(地獄)の宴――――――。」

ショ「・・え・・・?」

?「後15分もすれば、ここ、ドムス・フラウから白い光が打ち上げられて、その光が10個に分裂すると同時に、空が禍々しい色に変色し、クロッカスの街に10頭の悪魔が姿を現すわ。それと同時に、この会場で大魔闘演舞を観戦している人間は、石像のように固まって動かなくなるわ。」

ショ「!?」

?「10頭の悪魔を倒せるのは、クロッカスの街中で大魔闘演舞に参加していたギルドの魔道士と、大魔闘演舞には参加していなかったあなたの仲間数人。会場にいる大勢の王国兵と軍隊。王国兵と軍隊は、槍や盾しか持っていない者が多いし、魔法部隊もあまり役に立たない。となると、一番頼りになるのは魔道士達だけ。負傷している魔道士達は、王国軍の救護隊や、天空の巫女に手当てしてもらうといいわ。それと、これ以上被害が及ばないようにクロッカスの街全域に屈折壁(リフレクター)を張った方が良いわ。」

ショ「・・・・・」

ショールは少女の的確すぎる対応を聞いて驚きすぎて言葉を失った。

?「ごめんなさい。すっかり話し込んじゃったわね。でも最後に―――――」

少女が壁から離れ、ショールの正面に立つと―――ショールの鮮血のような赤い瞳を、深海のように澄んだ青い瞳で真っ直ぐ見つめた。



?「『極悪十祭』の引き金は―――あなたと、あなたの仲間が探しているマヤ・ララルドよ。」



ショ「なっ・・!?」

?「彼女は、何らかの理由で何者かに操られているの。彼女は大魔闘演舞の優勝ギルドの名を叫ぶと同時に『極悪十祭』の烽火(のろし)である大砲の導火線に火を点けるわ。彼女も、その大砲もこの扉の先にある。一刻も早く止めて!」

少女の鈴の音色のような声が辺りに響き渡った。

ショ「・・・今まで言った事、全部・・真実(ホント)の事なんだな・・・・?」

ショールの問いに、少女は大きく頷いた。
それを見たショールは拳一度固く握り締めてから扉に駆け寄りドアノブに手を掛けた。

ショ「いろいろ教えてくれてありがとう。そういえば君、名前は?」

肩越しに少女を振り返りながらショールが問うと、少女は顔に掛かった長い青色の髪の毛を手で掃いながら呟いた。



?「“地獄の案内人(ヘル・シーカー)”・・・とでも、名乗っておくわ。」



ショ「えっ・・・」

?「ふふっ。それじゃあね、()()()()()()()()()さん。また()()()―――――。」

少女―――“地獄の案内人(ヘル・シーカー)”が長い青い髪の毛をなびかせ、黒いフレアスカートの裾をひるがえしながらそう言い残した瞬間、どこからともなく風が吹き荒れショールは思わず目を瞑った。
風が止み、ショールがゆっくりと目を開けると・・・

ショ「!?」

さっきまで目の前にいた“地獄の案内人(ヘル・シーカー)”の姿が影も形も消え失せていたのだ。

ショ「・・どうなってるんだ・・・?」

ショールの鮮血のような赤い瞳は、しばらく“地獄の案内人(ヘル・シーカー)”がいたところに釘付けになっていた。

ショ「(それに何だ、この感覚・・・?俺はあの子に、会った事があるような気がするし、誰かに似ているような気が・・・?あの子も、俺が一度も名乗っていないのに俺の名前を知っていたし・・・)」

ドアノブに手を掛けたままショールは必死に思い出そうとするが、肝心なところで記憶が途絶えてしまう。

ショ「(それに、また()()()って・・・?)」

地獄の案内人(ヘル・シーカー)”の事も気になるが、今はマヤを探す・・・いや、止める方が優先だとショールは判断し、重い鉄製の扉を開けドムス・フラウの地下へと足を踏み入れた。

ショ「うっ・・!」

足を1歩踏み入れた瞬間、ショールはすぐ後退りをした。
ドムス・フラウの地下は光が射さない為非常に薄暗く、そこら中にゴキブリやクモなどがうじゃうじゃいる。中でもショールが身を引いたのは、鼻にツゥ~ンとくる異臭だった。

ショ「ナツやウェンディ、ガジルだったら一発で気絶だろうな・・・3人共、滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)で鼻がいいから・・・・」

そんな事を思いながら、ショールは左手で鼻と口元を覆いもう一度ドムス・フラウの地下に足を踏み入れた。
ドムス・フラウの地下は大小さまざまな岩や石、凸凹道や坂道など足場が悪く、ここでは思うように歩けない。走る事はもちろん不可能だ。

ショ「マヤー!マヤー!ドコだーっ!?」

通路よりも声が辺りに響き渡る。
鼻を摘んでいる為、聞こえる自分の声は妙に高い。

ショ「(確かあの子は、大魔闘演舞優勝ギルドの名を叫ぶと同時に、『極悪十祭』の烽火(のろし)が打ち上げられるって言ってたよな・・・まだ打ち上げられた様子が無いって事は、大魔闘演舞はまだ終わっていないという事か。あの5人なら、余裕で100ポイントとかGETしてるんだろうな。)」

そんな事を考えながら、ショールは奥へ奥へと進んで行く。

ショ「!」

すると、岩や石などが全く無い広い場所に出た。真上から大勢の人の声が聞こえる。どうやら今ショールが立っている場所の真上が、ドムス・フラウの会場らしい。
その広い場所の中央に巨大な黒い大砲と、暗がりの中でも一際目立つ夕日色が目に留まった。
ショールは滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)のように特別視力が優れている訳でも特別視力が悪い訳でもないが、ここからでも間違えるはずがなかった。

ショ「マヤ!」

自信の名を呼ぶ声が聞こえたのか、覚束ない足取りで大砲に向かって歩いていたマヤは足を止めゆっくりとショールを振り返った。マヤのオレンジ色の瞳はやはりハイライトが消え失せていて、どこを見つめているのかはっきりしていなかった。
マヤはすぐに顔を正面に向けると再び覚束ない足取りで大砲に向かって歩き出した。マヤと大砲との距離はもう僅かだった。

ショ「(あの子が言ったとおり、マヤはやっぱり操られてる・・・!)」

だが、ショールが今いる場所からマヤのいる場所まで、ショールが全力疾走しても間に合わない。

ショ「ギアチェンジ!モード風!」

止むを得ず、ショールは両足に風を纏うと小さく地を蹴り駆け出した。すでにマヤは大砲の正面に来ていた。

ショ「マヤァーーーーーーーーッ!」

風のような速さで走りながら、ショールはマヤに向かって右腕を伸ばす。
それに対してマヤはショールの声も姿も、耳にも視界にも入っていないのか、火炎石を握り締めた右手の人差し指の指先に炎を纏った。

ショ「マヤァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!」

ショールの伸ばした右腕がマヤの右肩に触れた瞬間、ショールはマヤを抱き抱えるようにして、マヤと一緒に地面に倒れ込んだ。

―――――が、遅かった。

ジジジ!パチパチ!と火花を散らしながら、大砲の導火線は徐々に短くなっていく。
それと同時に、大砲の中央部に刻まれた赤い術式が、カウントダンを始めた。

5・・4・・3・・2・・1・・・―――――

ドガアアアアアアアン!と凄まじい爆音を響かせながら、大砲の砲口から一筋に白い光が打ち上げられた。

ショ「うああああああぁああっ!」

マヤを抱き抱えたまま、ショールは爆風で遥か彼方まで飛ばされた。

ショ「うぐっ!あぅっ!ガハッ!おぐぁっ!」

飛ばされながら背中や腰、腕や足などを岩などに打ち付ける。
打ち上げられた白い光は地下の天井―――会場の地面―――を貫き、あっという間に雲まで貫いてしまった。
白い光によって崩壊された地下の天井―――会場の地面―――の残骸が雨のように降り注いでくる。ショールはマヤを庇いながら、岩に打ち付けた体の痛みに耐えながら、その場に蹲ってじっとしていた。



―――――どれくらい時間が経っただろう?
いつの間にか残骸の雨が止み、上から聞こえていた大勢の人々の歓声が聞こえなくなっていた。

ショ「・・・うっ・・うぅ~・・・・」

砂と泥まみれになった身体をゆっくりと起こす。視界がぼやけていてハッキリしていないが、記憶は驚くくらいハッキリしている。

ショ「(・・ど、どうなった、んだ・・・?)」

視線を正面に向けると、大砲があった広い場所が見えた―――が、そこから大砲は煙だったかのように消え失せていた。
視線を辺りに向けると、地下の天井―――会場の地面―――の残骸や破片、欠片などがあちらこちらに散らばっていた。

ショ「(こんなデカ物が降って来ている中で、よく生きてたな・・・)」

残骸の大きさを見て、思わず感心してしまった。
そして、その残骸が降って来た頭上へ視線を向けると―――――ぼやけていた視界がハッキリした。
巨大な穴の開いた地下の天井―――会場の地面―――から空が見えた。だが、見えた空は満天の星が輝く星空ではなかった。オレンジ、ピンク、紫という禍々しい色合いをしたグラデーションの空だった。

ショ「・・これが・・・『極悪十祭』・・・・悪魔と、人間の・・奈落(地獄)の宴・・・・」

渇いた口から零れた言葉は、何とも残酷な言葉だった。

マ「・・ぅ・・・ぅう~・・・・」

足元から小さな呻き声が聞こえ、声がした方に視線を落とすと、砂と泥まみれになったマヤがゆっくりと目を開けた。オレンジ色の瞳にはハイライトがキラキラと輝いていた。

マ「・・あれ?ショー、ルー・・・?あれ?ここ、はぁ~・・・・?」

ショールの泥まみれの顔を不思議そうに見つめながらゆっくりと体を起こし、不思議そうに辺りをキョロキョロと見回す。そして、ハイライトが戻ったオレンジ色の瞳を頭上に向けると、大きな瞳を更に大きくし、驚嘆の声を上げた。

マ「な、何アレェ~!?そ、空!?アレって、クロッカスの空だよねぇ!?」

いつもと変わらない調子のマヤを見て、ショールはホッと胸を撫で下ろした。
マヤのこの様子からして、考えられる事はただ1つ―――――。

ショ「(憶えていない・・・やっぱり、何者かに操られていたのか・・・)」

苦味を潰すように、ショールは唇を噛み締め拳を固く握り締めた―――が、その握り締めた拳をすぐに解き、マヤの右肩に優しく乗せた。

マ「ん?どうしたのショール?」

ショ「マヤ、とりあえずここから出よう。詳しい話は、歩きながらするから。」

そう言うとショールは(きびす)を返して出口に向かって歩き出した。その後をすぐにマヤも追いショールの横に並んだ。
出口に向かって歩きながら、ショールはマヤに『極悪十祭』の事、マヤが何者かに操られて『極悪十祭』の烽火(のろし)を上げてしまった事を話した。

************************************************************************************************************

ショ「―――――という訳だ。」

話の最初から最後まで真顔で話し続けていたショールの表情が暗くなった。
話を聞いたナツ達は目を見開いたり、口元を手で覆ったりするだけで、誰も声を上げる者はいなかった。

ル「あの白い光が10個に分裂したのは、悪魔の数だったのね・・・」

最初に口を開いたのはルーシィだった。

ショ「ここに来る前に、マヤと一緒に会場に行ってみたんだけど・・・」

グ「“地獄の案内人(ヘル・シーカー)”だっけな?ソイツが言ってたとおり、会場にいた奴は1人残らず石像のように固まってた、つー訳だな。」

救護隊に手当てをしてもらっているグレイの言葉にショールは黙って頷いた。

ナ「おい、じゃあハッピーも!?」

ウェ「シャルルも!?」

マ「固まってた。マスター達も、他のギルドの人達も、観客の人達も、ヤジマさん達も・・・皆、固まってた・・・・!」

ナツとウェンディの問いに、ずっと顔を伏せたままだったマヤが初めて口を開いた。

ショ「(シャルルが予知を見なかったのは、固まっちゃうからだったのかな・・・?)」

ショールは視線をドムス・フラウに向けながらそんな事を考えた。

リョ「その“地獄の案内人(ヘル・シーカー)”って奴、予言者なのか?言った事が全てピタリと当たってやがる。」

エ「ソイツが言ったとおり、クロッカス全域に屈折壁(リフレクター)を張ったのか?」

ショ「うん。王国兵の人達に事情を話したらあっさり。」

ウェンディに治癒魔法を掛けてもらっているリョウが言い、包帯が巻かれた右肩を回すエルザの問いにショールは頷きながら説明した。
その時―――、

悪魔1「ゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」

全「!!!」

建物を、大地を、空気を揺るがす雄叫びがクロッカスに轟いた。

ト「ひィィイ!」

トーヤが情けない声を上げ、両耳を塞いでその場にしゃがみ込んだ。

フ「あんなのが10頭もいるのかよ・・・」

ユ「予想以上だね。」

フレイとユモが雄叫びが聞こえた方を睨みながら呟いた。

ショ「動けるのは俺達と、大魔闘演舞に参加した僅かな魔道士、王国軍と軍隊と魔法部隊だけだ。何としてでも10頭の悪魔を撃退しないと・・・」

そこまで言うと、ショールは視線をドムス・フラウに向けた。

ル「ドムス・フラウで固まっている人達が危ない、って訳ね。」

ト「仲間を守る為なら、なんだってやりますよ!」

腰に手を当てながらルーシィと、さっきまで怯えていたトーヤが力強く言った。

エ「王国軍の者とと軍隊の者は西、魔法部隊の者は東に行ってくれ!」

軍1「分かりました。行くぞーっ!」

軍全「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」

王国軍、軍隊、魔法部隊はエルザの指示通り東と西に散らばった。

リョ「蛇姫の鱗(ラミアスケイル)四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)幸福の花(ハピネスフラワー)月の涙(ムーンティア)の連中は北だーっ!」

ショ「銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)青い天馬(ブルーペガサス)海中の洞穴(マリーンケイヴ)白い柳(ホワイトウィロウ)気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)の魔道士は南を頼むっ!」

魔全「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」

リョウ、ショールの指示通り各ギルドの魔道士達は北と南散らばった。
残ったのはハッピーとシャルルを除いた妖精の尻尾(フェアリーテイル)の最強チーム11人。

ウェ「私達はどうするんですか?」

ユ「フレイはマヤと一緒に行動するよね。」

フ「あぁ。」

グ「なら話は簡単だ。1人1頭倒せば十分だ。」

グレイの一言で話がまとまった。

エ「いいか、敵は悪魔だ。油断は絶対にするな。」

リョ「大魔闘演舞の余韻に浸るのは後回しだっ!優勝祝いとして、もうひと暴れしてやろうぜっ!」

ショ「大勢の人の命も懸かっている事を忘れるなよ。」

エルザ、リョウ、ショールの言葉に頷いた後、最強チーム一同もそれぞれ散らばった。

フ「マヤ、俺達も行くぞ。」

マ「・・ぅん・・・」

フレイの呼び掛けにマヤはか細い声で返事をするだけ。それを見たフレイは一度肩を竦めた後、腕をぶんぶん振り回しているナツに近づくと、

フ「マヤを頼む。」

それだけ呟くと、鳥の姿になって西の方角へ飛んで行った。

ナ「いや・・「頼む」って言われてもなぁ・・・」

頭を掻きながらフレイが飛んで行った方を見つめながらナツは困ったように呟く。
肩越しで後ろにいるマヤを振り返ると、フレイが言ったとおりいつものマヤみたいにテンションがめちゃくちゃ下がっていた。
ナツは元気が無いマヤに歩み寄る。

ナ「どうしたんだマヤ?お前らしくねェぞ。」

顔を伏せているマヤの顔を下から覗き込む。すると、マヤの頬を一筋の涙が伝った。

ナ「!?」

マ「・・ひっ、うぅ・・ゴ、ゴメン・・・ひィ、ぐすん・・」

しゃくり上げながら、涙を拭いながらマヤはナツに向かって謝る。

マ「うっ・・わ、私の・・せいで・・・ふぇっ・・皆に・・うぅ・・・め、迷惑・・掛けて・・・えぐっ・・ゴメン、ね・・・ふぐぅ・・ひっ、ひィ・・・」

拭っても拭っても、溢れ出す涙はマヤの頬を濡らし続ける。
そんなマヤの身体がひょいっと宙に浮かんだ。

マ「ふぇ?」

泣き腫らした目で前を見るとナツの右肩が見えた。マヤの身体はナツの背中に背負われており、ナツはマヤを背負ったまま東に向かって歩いていた。

マ「ちょっ・・ナ、ナツー!下ろしてよーっ!私これでも18歳なんだよっ!ねーナツ!ナツってばァ!」

握り締めた両手の拳でポカポカとナツの背中を叩くが、ナツは一向に下ろしてくれない。それどころか、マヤを支える両手の力が強くなっていく。

マ「・・ねぇナツ、もしかして・・・怒ってる?」

ナ「あぁ。すっげー怒ってる。」

マ「!」

ナツの背中を叩く手を止め、念の為問い掛けてみたら、躊躇なく答えをズバッ!と言われたので内心傷ついた。

ナ「マヤにじゃねェ。“マヤを操って、怪我を負わせて、辛い目に合わせて、泣かせた奴”に怒ってんだ。」

マ「えっ?」

マヤの角度からナツの顔は見えない。だが、ナツがすごく怒っている時の殺気が背中越しでも伝わってきた。

ナ「誰だが知らねェが、俺はぜってェにソイツを許さねェ!」

(ドラゴン)の雄叫びが木霊して、クロッカスの街に響き渡った。

ナ「・・・だから、もう泣くな。」

マ「・・うん。・・・ありがとう。」

一度止まったはずの涙がマヤの頬を伝い流れ落ちた。 
 

 
後書き
第196話終了~♪
遂に、クロッカスに悪魔出陣なり!原作とは違う、前代未聞の妖精(ようせい)VS悪魔の対決!ナツ達は10頭の悪魔を倒す事が出来るのか!?そして、マヤを影で操っていた黒幕の正体とは―――――!?
次回は10頭の悪魔と魔道士達の激戦を書いていこうと思います。
それではSee you again♪ 

 

第197話 緑の妖精と緋色の妖精

 
前書き
更新遅れてスミマセン!紺碧の海です!
今回は突如クロッカスの街に姿を現した10頭の悪魔を倒すべくナツ達が立ち上がる!果たして、ナツ達は街を、仲間を、世界を守る事が出来るのか―――――!?
ナレーション風に書いていきます。
それでは、第197話・・・スタート! 

 
ガジ「!」

リリ「どうしたガジル?」

ジュ「何か見つけたの?」

天高く聳え立つ、辺りが霧に覆われた崖の頂上。
ここで元Bチーム+リリーが闇ギルド最大勢力、ビゲスト同盟の1角である西の真空(ウェストヴァキュアム)のギルドを捜索していた。
そんな時、ガジルが空を見て目を見開いた。何事かと思い、傍にいたリリーとジュビアも空を見上げ、ガジル同様目を見開いた。

ミラ「リリー?ジュビア?」

カナ「なーに揃いも揃って固まってるんだい。」

ラク「空がどうかし―――――!?」

不思議に思ったミラ、カナ、ラクサスも空を見上げて目を見開いてその場に固まってしまった。
ガジル達が目にしたものは、紫、ピンク、オレンジという禍々しい色合いをしたグラデーションに染まった空だった。

カナ「ちょっ・・な、何だよコレ・・・!?」

ジュ「さ、さっきまで・・普通の青空だったのに・・・」

カナとジュビアが息を呑み驚嘆の声を呟いた。

ラク「!ミラ、滝に異常はあるか!?」

ラクサスがミラを振り返りながら言う。
言うが早いか、ミラはポケットから魔水晶(ラクリマ)を取り出し、魔水晶(ラクリマ)越しに滝を見つめる。この魔水晶(ラクリマ)は、映して見たものの異常変化などを一目で見抜く事が出来る優れものなのだ。ここに来る前に、マスターから渡されたものだ。
ミラはしばらく魔水晶(ラクリマ)に滝を映して見つめていたが、やがて首を左右に振った。

ミラ「滝には何の変化も無いわ。この空は、滝が原因じゃないみたいね。」

ガジ「じゃあいったい何なんだよ・・・!?」

?「『極悪十祭』・・・」

?以外「!!?」

突如背後から聞こえてきた聞き慣れない声に、ガジル達は振り返るのと同時に身構えた。
背後にいたのは木に寄りかかって立っている長い青い髪の少女だった。

ジュ「あ・・あなたは・・・?」

?「この空は、クロッカスの街で起こっている『極悪十祭』が原因なのよ。」

ジュビアの問いが聞こえていないのか、少女は木から離れ『極悪十祭』の事、クロッカスの街に10頭の悪魔がいる事、ナツ達が10頭の悪魔と戦っている事をガジル達に順を追って話した。

リリ「そ・・そんな事が・・・」

最初に沈黙を破ったのはリリーだった。

ミラ「だったら、私達も今すぐクロッカスに」

?「不可能よ。」

ミラ「!」

ミラの言葉を遮るように少女が淡々と言葉を紡いだ。

?「あなた達が今からクロッカスの街に行ったとしても、あなた達の仲間が10頭の悪魔を倒しているか、あなた達の仲間が10頭の悪魔にやられているかのどちらかよ。」

カナ「そんな・・・!」

?「もし間に合ったとしても、今クロッカスの街全域には他の街に被害が及ばないように屈折壁(リフレクター)が張り巡らされているから、あなた達はクロッカスの街に足1歩踏み入る事が出来ないわ。」

少女の言葉にそれ以上反論する者はいなかった。

?「それに、悪魔と戦っているのはあなた達の仲間だけじゃないわ。大魔闘演舞に出場した他のギルドの魔道士達もいるし、王国軍や軍隊、魔法部隊も戦っている。まっ、一番戦力になるのは魔道士達だけど。」

少女は口元に薄く笑みを浮かべ、肩を竦めながら呟いた。

?「あなた達の仲間が、悪魔如きにやられる訳ないじゃない。」

少女はそう言った後、口元に不敵な笑みを浮かべ心の中で呟いた。

?「(アイツ等を倒すのは悪魔じゃない。この私よ・・・!)」

ほんの一瞬だったせいか、少女が不敵な笑みを浮かべた事にガジル達は気づかなかった。

?「だから、あなた達はここで西の真空(ウェストヴァキュアム)のギルドを探してれば良いのよ。あなた達だって、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士でしょ?自分の仲間を信じる事も出来ないのかしら?」

少女の言葉にガジル達は顔を見合わせると、困ったように笑みを浮かべ肩を竦めた。

ジュ「あなたの言うとおりですね。」

ガジ「クソ炎等が悪魔に負けるだと?へっ、笑わせてくれるじゃねーか。」

リリ「逆に、ナツ達が悪魔に負けるところを見てみたいくらいだな。」

ミラ「少しでもヤバいと思った私達がバカみたいね。」

カナ「これで安心した酒が飲めるよ♪」

ラク「おい、それは違うと思うぞ・・・」

ジュビアが納得したように頷き、ガジル、リリー、ミラが笑いながら言い、手に持った酒瓶を高々と掲げるカナにラクサスがツッコム。

?「それじゃ、私はこれで。」

ジュ「あ、待って下さい!あの・・あなたはいったい・・・?」

片手を上げて立ち去ろうとする少女をジュビアが呼び止めた。
少女は顔に掛かった前髪を手で掃いながらゆっくり振向くと呟いた。



?「“地獄の案内人(ヘル・シーカー)”・・・とでも名乗っておくわ。」



その時、どこからともなく強い風が吹き荒れ、ガジル達は目を瞑ったり顔を逸らしたりした。
風が収まり目を開けると、その場から少女の姿は影も形も消え失せていた。

ガ「・・・におうな。」

リリ「あぁ。」

ミラ「私達は一言も、あの子に西の真空(ウェストヴァキュアム)の事を言っていないのに・・・何で知ってるのかしら?」

ガジル、リリー、ミラが少女が立っていた場所を睨みながら呟いた。

カナ「ジュビアも無闇に怪しい奴の名前を聞こうとしないの。」

ジュ「あたっ!」

カナがジュビアの額にでこピンをお見舞いする。

ラク「“地獄の案内人(ヘル・シーカー)”・・・」

ラクサスは1人冷静に、少女の名を繰り返していた。

*************************************************************************************************************

―クロッカスの街 西側―

悪魔1「ゴアアアアアアアアアアアアアアアッ!」

悪魔の雄叫びが轟く。
10頭の悪魔は通常の人間の5倍ほどもある巨体で、鋭く尖る爪や牙、頭に生えている曲がった角があり、巨大な腕を振り上げ、建物を次々と破壊していく。背中に生えている、棘の付いた漆黒の翼を広げ空を飛び、口から赤黒い閃光を放ったり、目から青白い閃光を出したりして建物を破壊していく。中には赤黒い巨大な槍、鎖の付いた赤黒い巨大な鉄球、赤黒い巨大な鎌、赤黒い巨大な剣、赤黒い巨大な斧などの武器を持っている悪魔もいて、それらを振り回し建物を破壊していく。
悪魔の手によってクロッカスの街は無残な姿へと変わり行く。

軍1「ひェエ!」

軍2「な・・何だこの破壊力はァ!?」

軍3「こ、こんなのに・・俺達人間が、敵う訳ねェ!」

王国軍、軍隊の兵士達はすでに怖気づいてしまっている。
そんな兵士達の間を駆け抜ける、両手に聖剣(エクスカリバー)を握り締め、口に聖剣(エクスカリバー)を銜えた妖精(ようせい)が1人―――――。

リョ「怯むんじゃねェエエエエエエエエエエッ!」

リョウは悪魔から5mほど離れたところで高く跳躍し、両手に持った『銀覇剣』と『天力剣』を悪魔の背中に向かって振り下ろした―――が、『銀覇剣』と『天力剣』の白銀の刀身は悪魔の背中に傷一つ付けない。

リョ「か・・硬ェ・・・!」

『銀覇剣』と『天力剣』の柄を持つ両手に力を込めるが、悪魔の背中は一向に無傷のまま。それどころか、悪魔は痛みを感じもしないのか、リョウが攻撃をしている事にも気づいていないらしい。その証拠に、悪魔は巨大な腕を振り上げ建物を破壊し続けている。

リョ「クソッ!」

リョウは口に銜えていた『嵐真剣』を右手に握り、両手が両手が塞がっているのにも拘らず、器用に鞘から『花錦剣』を抜くと左手に握った。

リョ「これで・・・!どうだァアァアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」

4本の聖剣(エクスカリバー)振りかざし、悪魔の背中を切りつけた―――が、やはり悪魔の背中には傷一つ付かない。

リョ「クッソォオ!」

だが、悪魔の背中に傷は付かず痛みは感じなかったが、リョウが攻撃したという事には気づいたようで悪魔が振り返った。

悪魔2「ゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」

リョ「ぐァアア!」

軍4「リョウ様ァ!」

悪魔は腕を大きく振るい、リョウの身体を建物に叩きつけた。

悪魔2「ガハハハハハハハハッ!ワイの鋼鉄のように硬い皮膚で覆われたこの身体に、人間如きが傷一つ付けられる訳あらへんのやァ!ガハハハハハハハハッ!」

どうやらこの悪魔、関西弁で喋る事が出来るらしい。そんな悪魔を見て兵士達は呆気に取られている。

ミゼ「ワイの名は“悲惨の悪魔”ミゼリー様や。奈落(地獄)に行く前に教えとくわ。といっても、後数秒後には「ほなさいなら~」って奈落(地獄)行く事になるんやけどなっ!ガハハハハハハハハッ!」

“悲惨の悪魔”ミゼリーは声を上げて豪快に笑う。その姿はまるで人間そのものだ。

リョ「・・これはこれは・・・随分・・と、口数の多い・・悪魔様、だな・・・」

ミゼ「ア?」

声がした方にミゼリーは視線を移す。そこには、先程自分が建物に叩きつけた人間―――リョウがいた。
リョウは『嵐真剣』を支えにしながらよろよろとその場に立ち上がる。リョウの身体はすでに傷だらけでボロボロであり、左足を引き摺っている。

ミゼ「誰や、おメェ?」

鋭く尖った爪の先で指差しながらミゼリーが問う。
リョウは両手に持った4本の聖剣(エクスカリバー)を持ち直しその場で身構えると、

リョ「リョウ・ジェノロ。妖精の尻尾(フェアリーテイル)の、魔道士だァアアアアアアアアアアアアアアッ!」

小さく地を蹴り、数m走った後、その場で高く跳躍し、銀色の光を纏った『銀覇剣』を、青白い光を纏った『天力剣』を、吹き荒れる風を纏った『嵐真剣』を、風に舞う花弁を纏った『花錦剣』を、再びミゼリーに向かって振り下ろした―――が、

ミゼ「()()()か。憶えとくわ、といっても、おメェが奈落(地獄)に行くまでの短い間だけな。」

リョ「()()()だっ!」

ミゼリーはリョウの名前を間違える故に身体には傷一つ付かない。

ミゼ「魔道士・・・聞いた事あるで。魔法を自由自在に操って、人助けや商売、討伐なんかして金を稼いでる人間の事やろ?でもなァ―――――」

そう言うと、ミゼリーは指先でリョウの身体を掴み握り潰す。

リョ「うがあああああああああああああああああああああああっ!」

ミゼ「悪魔の前では魔法は無意味や、痛くも痒くもないんよ。特に、鋼鉄のように硬い皮膚で覆われた身体をしている、ワイにはなァ!」

リョ「うがあああああああああああああああああああああああっ!」

カラン、カララン、と音を立ててリョウの手から4本の聖剣(エクスカリバー)が落ちた。

ミゼ「オラァア!」

リョ「ぐはァ!」

ミゼリーは今度はリョウの身体を地面に叩きつけた。
地面に叩きつけられたリョウは、身体全身に走る痛みに呻き声を上げ―――ニィッと口角を上げて笑った。

リョ「・・・何のような・・皮膚、だって・・・・?」

ミゼ「!!?」

リョウが言ったのと同時に、パキッ!パキッ!と音を立ててミゼリーの()()()()()()()()()()で覆われた腹部と背中が割れ、青紫色をした血が流れ出た。

軍全「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」

軍5「流石リョウ様だっ!」

軍6「よっ!聖十大魔道!」

兵士達が歓声を上げ、自分達の手柄のようにリョウを褒め称える。

ミゼ「な・・何でや・・・!?何でワイの鋼鉄のように硬い皮膚が割れるんやっ!?おいそこの()()()って奴ゥ!いったい何したんやっ!はよ理由答えんかい!」

リョ「だから()()()って()()()()()()()()っ!いい加減憶えろ()っ!」

軍7「関西弁、うつってますよ・・・」

ミゼリーは何が何だか分からなくなってきており、ミゼリーに再び名前を間違えられて怒り狂うリョウに、兵士の1人が関西弁になっているリョウにツッコミを入れる。

リョ「理由?そんなモンねェよ。」

ミゼ「んなっ!?な訳ねーやろォ!理由がなけりゃ、ワイの鋼鉄のように硬い皮膚が割れるはずあらへんのやっ!」

リョ「だったら、元々()()()()()()()()()()()()だったんじゃねェのか?」

ミゼ「!」

リョウの言葉にかなりのショックを受けたのか、ミゼリーの背後の景色が硝子のようにガラガラガラと砕けていった。

リョ「それか―――――」

リョウは地面に落ちている4本の聖剣(エクスカリバー)を拾い上げた。

リョ「この剣が、聖剣(エクスカリバー)だからかもしれねェな。」

ミゼ「・・・()()()()?何や、ソレ?」

リョ「聖剣(エクスカリバー)だっ!何勝手に食べ物に変えてんだよっ!?つーかよりによってスイーツって・・・」

ミゼリーは4本の聖剣(エクスカリバー)をマジマジと見つめては首を傾げる。
気を取り直したリョウはミゼリーの顔の前に『銀覇剣』を掲げて見せた。

リョ「お前は悪魔、俺が契約しているこの剣達は聖なる剣だ。“聖なる剣は悪を滅する”・・・っていうお約束って事じゃねェのか?」

口元の血を拭いながら笑うリョウは再び聖剣(エクスカリバー)を構えた。

ミゼ「つまり、おメェが持っとる()()()()()バー()っちゅう名前のその剣を破壊すればえぇって事やな?」

リョ「聖剣(エクスカリバー)だ、聖剣(エクスカリバー)!さっきよりはマシになったけど、2度も間違えんじゃねェ!」

吊り目気味の茶色い目を更に吊り上げて、リョウは両手に持っている4本の聖剣(エクスカリバー)を上下左右にぶんぶん振り回す。
今度こそ!気を取り直したリョウは肩を竦めながら口を開いた。

リョ「破壊しようとしてる剣に、もう2回も傷つけられてるお前にそれを言う意味があるのかよ?それに、俺はまだ鞘から抜いていない聖剣(エクスカリバー)が2本ある。」

リョウの右腰には鞘に差したままの『妖魔剣』、左腰には鞘に差したままの『竜風剣』が出番を待ち遠しそうに携えられている。

リョ「お前が6本の聖剣(エクスカリバー)を全て破壊する前に、お前の身体から血が噴出しバラバラになるのが先だ。」

ミゼ「調子こいていられるのも今の内やで?ワイがおメェの剣を全て破壊して、おメェを倒すのが先か、おメェがワイをバラバラにして倒すのが先か―――――どっちが早いか勝負でもしよーか?」

リョ「面白ェ!その勝負、受けて立つぜっ!」

ミゼリーとリョウの目からバチバチと火花が散る。

軍8「な・・何か、すげー戦いになりそうだな・・・」

軍9「あ、あぁ。とにかく、安全な所に非難しようぜ。何せすっげー破壊力を持つ悪魔と、聖剣(エクスカリバー)を使う聖十大魔道なんだからな。」

軍10「つーか、これって俺達の出番あるのか?」

兵士達も数人首を傾げている者がいるが、崩壊した建物の瓦礫の陰などに隠れてリョウの事を固唾を呑んで見守っている。
リョウは4本の聖剣(エクスカリバー)を握る両手に力を込め、残り僅かな魔力を剣先に集中させる。

リョ「(もう魔力が少ねェとか、恐らく骨が折れてる左足が痛ェとか、また傷口が開いちまった腹がめちゃくちゃ痛ェとか、目が霞んで前がよく見えねェとか、今は一切関係ねェ!)」

霞んだ視界で目の前にいる悪魔を見据える。

リョ「(今の俺に出来る事は、コイツ(ミゼリー)を倒す事だけだ。残りの9頭の悪魔は、必ず他の奴等が倒してくれるはずだっ!)」

地を踏み締め、4本の聖剣(エクスカリバー)を構え小さく地を蹴り駆け出した。

リョ「(俺は自分と、仲間を信じるっ!)」

今、聖なる剣を持ち、傷だらけの緑の妖精(ようせい)が、“悲惨の悪魔”に立ち向かう―――――。

*************************************************************************************************************

―クロッカスの街 南側―

悪魔2「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」

悪魔の雄叫びが轟く。
南側にいる悪魔は西側にいる“悲惨の悪魔”ミゼリーとは違って、右手に赤黒い巨大な槍を持っており、その槍を闇雲に振り回し建物を次々と破壊していく。

ハル「雷拘束(エレキ・ロック)大硬雷(だいこうらい)!」

海中の洞穴(マリーンケイヴ)のハルトが雷の槍の先端をドスッ!と地面に突き刺したのと同時に、悪魔の足元に巨大な黄色い魔法陣が浮かび上がり、悪魔の動きを封じた。

ハル「俺が動きを封じている間に一斉攻撃だァア!」

ヒビ「任せたよ、ハルト君!」

青い天馬(ブルーペガサス)のヒビキが誰よりも早く古文書(アーカイブ)を起動させ、悪魔の弱点を探る。
その間に青い天馬(ブルーペガサス)のレン、イヴ、銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)のカオリ、ルチーア、アンナ、海中の洞穴(マリーンケイヴ)のイレーネ、白い柳(ホワイトウィロウ)のシェナ、チルチル、気楽な禿鷹(イーズィーコンドル)のリート、ラム、ジェニックが一斉に総攻撃をする―――が、

悪魔3「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」

シェ「全然効いてないじゃない!」

ジェ「むしろ刺激を与えているだけじゃねーかよォ!」

シェナが悲鳴に近い声を上げ、ジェニックが頭を抱えながら言う。

レン「ヒビキ!アイツの弱点まだ分かんねェのかよっ!?」

レンが圧縮させた空気の球をぶつけながら肩越しに声を荒げる。

ヒビ「・・・それが、見つからないんだ。弱点はもちろん、あの悪魔の情報さえ、手掛かり一つ掴めなくて・・・それどころか、『極悪十祭』の情報さえ、何一つ見つからないんだ。」

ヒビキの手と目の動きが徐々に速くなっていく。

カオ「頭と情報での戦闘は不可能、という訳ね。」

ラム「魔法のみの戦闘か。」

リー「魔法が一切効いてないこのデカ物を、どうやって倒すんだよっ!?」

カオリとラムが冷静に呟き、リートが悪魔を指差しながら声を荒げた。
ヒビキ達が困っている中で、悪魔は身動きが出来ない為、その場で巨大な槍を振り回し次々と建物を破壊していく。街灯も破壊され辺りは真っ暗闇に包まれる。

ハル「うっ・・くぅ~・・・!」

イレ「ハルト!」

イヴ「無茶しちゃダメだっ!」

ずっと悪魔の動きを封じ続けているハルトの魔力は限界だった。瞬時にイレーネとイヴが駆け寄り地面から雷の槍を抜いた。それと同時に悪魔は自由になり、盛大に暴れ出す。

シェ「チルチル!」

チル「りょーかいっ!」

シェナに言われてチルチルは両手から太くて長い白い糸を伸ばし悪魔の右肩、左腕、両足を絡め取った―――が、

悪魔3「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」

チル「えっ?う、うわわぁああぁああああっ!」

()()()も簡単に千切れてしまい(←シャレじゃないよっ!)、チルチルは遥か彼方まで飛ばされて行った。シェナが慌てて追いかけて行ったのは余談だ。

悪魔3「人間如きに、アタイ等悪魔は止められないよ。」

目の前にいる悪魔が口を開いた。ヒビキ達はしばらく呆然とその場に立ち尽くしたまま。

アン「悪魔が喋ったーーーーーっ!!?」

アンナが驚嘆の声を上げた。

ラム「喋れる悪魔・・・ねぇ。」

ルチ「は・・初めて、お目にかかったよ。」

ラムが眠そうな目を擦りながら呟き、ルチーアが額に手を当てて呆れたように呟いた。
そして声色的に、この悪魔はどうやら女(メス?)らしい。そして近所に住むオバさん口調である。

悪魔3「ここにおる者達は(みな)、弱者だけなのかい?アタイをもっと楽しませてくれる人間はいな―――ん?」

「いないのかい?」と言いかけた悪魔が首を傾げた。悪魔の視線が後ろにあるので、ヒビキ達も後ろを振り返った。
そこにいたのは、妖刀・紅桜を持ち、晒しと炎が描かれた赤い袴に身を包んだ妖精(ようせい)が1人―――――。

ヒビ「エルザさん!」

エルザの瞳は真っ直ぐ、目の前にいる悪魔だけを捕らえていた。傷だらけの足で、1歩1歩ゆっくりと悪魔に近づいていく。ヒビキ達は後ずさりし、固唾を呑んでエルザの事を見守っている。

悪魔3「アンタ、見るからに強そうな人間じゃないか。名はなんて言うんだい?」

悪魔がニヤッと口角を上げながら問う。

エ「妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士、エルザ・スカーレットだ。」

表情を一切変えずに、エルザは淡々と答える。

アンファ「エルザ・スカーレット、良い名前じゃないか。アタイは“極悪の悪魔”アンファミーって言うんだ。奈落(地獄)に行くまでの間だけ、憶えといてくれりゃあありがたいねぇ。」

悪魔と人間の会話とは思えないくらい、エルザと親しげに会話を交わす“極悪の悪魔”アンファミー。アンファミーが構えた赤黒い巨大な槍の先端がエルザの顔スレスレの位置で止まった。ヒビキ達は思わず息を呑んだ。

アンファ「ハッハッハーッ!強そうなのは外観だけっ!アタイ等悪魔の前ではどんなに強い人間でも(みな)無力なのさっ!今すぐに奈落(地獄)の果てに突き落としてやるからねっ!」

アンファミーは再び槍を掲げ、躊躇無くエルザの首元を狙って振り下ろした。

カオ&アン「エルザさん!」

レン&ジェ「避けろォオオオオオオッ!」

イレ「いやァアアァアアアアア!」

カオリとアンナが同時に叫び、レンとジェニックが同時に叫びながら手を伸ばし、イレーネが両手で顔を覆った。
アンファミーが振り下ろした槍の先端がエルザに直撃する!と誰もがそう思ったその時だった。

エ「ふん!」

アンファ「なっ・・!?」

首元に刺さる直前で、エルザは身を屈め腰を低くし槍を上手くかわした。槍はエルザの左足のすぐ傍に突き刺さった。
アンファミーが槍をかわした自分に気を取られている一瞬の隙に、エルザは自分の後ろ側に両手を着き、右足を高々と上げ槍の柄を思いっきり蹴り飛ばした。
アンファミーの手から外れた槍はくるくると弧を描き、半壊した時計台の三角屋根に突き刺さった。通常の人間の5倍ほどもある巨体の悪魔が手を伸ばしても届かない距離だった。

エ「悪魔の前で人間は・・・何だ?」

槍を蹴り飛ばした姿勢で、今度はエルザが問うた。その問いにアンファミーは答えず、ただ見開いた目でエルザを見つめているだけだった。

リー「す・・すっげー・・・」

ヒビ「さすが一夜さんの彼女さんだ。」

ルチ「こんな時に、場違いなボケをかますの止めようよ・・・」

リートがため息と共に感嘆な声を漏らし、ヒビキの場違いなボケにルチーアがツッコミを入れた。

アンファ「くくくっ・・!フハハハハハハハっ!」

エ「!?」

エルザが立ち上がったのと同時に、アンファミーが豪快に笑い出した。

アンファ「ヒヒヒ、どうやらアタイ・・ハハッ、人間を・・・プッ!甘く、見すぎてたのかも・・くくくっ・・・しれない、ねっ。アハハハハッ!」

必死に笑いを堪えようとしているが、口から笑い声が洩れてしまっているアンファミーが目に青白い涙を溜めながら言った。
ようやく笑いが収まったアンファミーが「ふぅ~」と一息つくとエルザは妖刀・紅桜を構えその場で戦闘態勢を取った。

アンファ「世界はまだまだ広いんだね、悪魔をこんなにも楽しませてくれる生物がいるんだからさっ。エルザ・スカーレット・・・だっけ?アンタ、マジで強いんだねぇ。アタイも少し本気出しちゃおうかねぇ?」

アンファミーは右肩に左手を添え、右腕と共に右肩をぐるぐると回す。気合十分、という事だろう。

エ「貴様は確か、“極悪の悪魔”アンファミーと言ったな?私の嫌いなものは“悪”なんだ。嫌いなものを自分で薙ぎ払う事が出来るとは、光栄だな。」

アンファ「悪魔と人間、どっちが強いかこの戦いで明らかになるねぇ。」

エ「最初から飛ばして行くぞっ!」

アンファミーとエルザの目からバチバチと火花が散る。

ハル「エ・・エルザさん、本気・・なんですか・・・?」

ヒビ「心配は要らないよ。相手が悪魔だろうが何だろうが、妖精の尻尾(フェアリーテイル)最強の女魔道士の前では歯が立たないよ。」

心底不安そうに呟くハルトに、前書きのような言葉を紡いだ後、ヒビキは確信を持った笑みを浮かべて新たな言葉を紡いだ。



ヒビ「妖精女王(ティターニア)は、地に堕ちても舞い続けるからね。」



エルザはゆっくりと目を閉じる。

エ「(魔力も体力も、気力までもがもう限界を優に超している。ではなぜ、私は今、ここに立っているんだ―――――?)」

心の中で自分に問い掛けながら、地を踏み締め妖刀・紅桜を構えた。

エ「(それは・・・仲間の熱い想いが、私に届いているからだ。仲間の想いに答えるべく、仲間を助けるべく、私は、コイツ(アンファミー)を倒すっ!)」

閉じていた目をカッ!と見開き、地を小さく蹴り駆け出した。

エ「(私は、仲間を助けるっ!)」

今、仲間の想いに答えるべく、傷だらけの緋色の妖精(ようせい)が、“極悪の悪魔”に立ち向かう―――――。 
 

 
後書き
第197話終了です!
本当は、10頭の悪魔全て書きたかったんですが、あまりにも文字数と時間ばかり長くなってしまいまして2頭だけにしました。次回も今回と同じくらいの文字数と時間だったら、恐らく2頭だけになる可能性アリなので、予めご了承下さい。
“悪魔”と言いながら、あまり怖そうなイメージの無い悪魔にしてみました。それにしても、関西弁で喋ったり近所に住むオバさん風の口調の悪魔って・・・
次回も今回と似たような内容だと思います。
それでは皆さん、オ・ルボワール(ごきげんよう)! 

 

第198話 紺色の妖精と紫の妖精

 
前書き
紺碧の海です☆
更新遅れてスミマセンでした!ようやくテスト地獄が終わったので今日から更新を再開したいと思います。
今回も前回と似たような内容で、10頭の悪魔の紹介みたいなお話です。これを後3話も書くのか・・・はぁ。
ナレーション風に書いていきます。
それでは、第198話・・・スタート☆ 

 
―クロッカスの街 北側―

昼間は大勢の人達の歓喜に満ちた歓声と、街の至る所に咲き誇っていた色とりどりのクロッカスの花々が大魔闘演舞を華やかにしていた―――――が、今となってはどうだ。月明かりが妖しく照らす夜のクロッカスの街は、瓦礫の山化としていた。
この街には今、突如どこからともなく姿を現した10頭の悪魔達が、街の至る所で大暴れをし、街を無残な姿へと変えていく。建物が崩壊する度に砂煙が立ち込め、視界を妨げる。
夜のクロッカスの街に響くのは、建物が無残に崩れ行く音と、

悪魔3「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」

悪魔の咆哮だけだ。

リオ「アイスメイク、白竜(スノードラゴン)ッ!!」

シェ「天神の・・・北風(ボレアス)ッ!!」

蛇姫の鱗(ラミアスケイル)の魔道士、リオンが薄緑色をした氷の竜を造形し、シェリアが黒い風を纏った両腕を大きく振るい、悪魔の背中に向かって同時に攻撃を放った。

サク「爆炎の御魂よ、敵を焼き尽くせ・・・!」

それに続いて『御魂の桜扇』を開いた幸福の花(ハピネスフラワー)の魔道士、サクラが、『御魂の桜扇』を扇いで繰り出した紅蓮の炎を悪魔の背中に向かって放った。

カイ「水竜の・・・荒波ッ!!」

それに続いて両腕に青く透き通る水を纏った月の涙(ムーンティア)の魔道士、カイが、両腕を薙ぎ払うように交差(クロス)させながら大きく広げ、陸に荒波を起こし悪魔を呑み込む。

ノバ「や・・やったか・・・?」

イエ「あんだけ攻撃をまともに食らえば、さすがの悪魔でも・・・!」

ここまでの段階で、まだ一切何も活躍していない四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)の魔道士、ノバーリとイエーガが砂煙の中を目を凝らして見つめながら呟く。
砂煙は徐々に晴れていき、完全に晴れた時には無傷の悪魔が大きく開けた口に魔力を溜めていた。

ノバ&イエ「全然効いてねェ!」

リオ「そんな事を言ってる場合かっ!攻撃してくるぞっ!」

リオンが言うが早いか、悪魔は口に溜めていた赤黒い魔力を放った。赤黒い魔力は、赤黒い一直線の閃光となってリオン達に襲い掛かってくる。間一髪のところで、リオン、シェリア、サクラ、カイ、ノバーリ、イエーガは左右に散らばってそれを回避した。悪魔の口から放たれた赤黒い閃光は、石造りの建物を7~8軒ほど貫いた。

サク「たったの一撃で・・・何て威力!?」

サクラは崩れ落ちる建物を目にやりながら驚嘆の声を上げた。
リオン達が驚いている間にも、悪魔は再び口に魔力を溜め始めた。

シェ「また来るよぉ!」

シェリアが叫んだのと同時に、悪魔は赤黒い魔力を放った。しかもさっきよりも速い!

ノバ「かわし切れねェ!」

イエ「うわぁああっ!」

有名な画家、ムンクが描いた“叫び”のような顔をして、ノバーリとイエーガが悲鳴に近い声を上げた。
絶体絶命の危機に陥っている中、カイが1人前に飛び出した。

リオ「カイ!?」

サク「何を・・・!?」

カイ「俺は水の滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)だ。」

そう短く呟くと、カイは深く息を吸い込み、両頬を大きく膨らますと、

カイ「水竜の・・・咆哮ッ!!」

口から水の(ブレス)を噴出した。赤黒い閃光が、水の中に呑まれる―――が、赤黒い閃光の方が勢いがあるせいか、カイの両足がズズズと後ろに動いている。

シェ「天神の・・・怒号ッ!!」

シェリアが駆け出したかと思うと、カイの横に並び息を深く吸い込み、両頬を大きく膨らますと、口から黒い風の(ブレス)を噴出した。黒い風が水と共に赤黒い閃光を呑み込み応戦する。
カイとシェリア。お互い別々のギルドに所属している魔道士で、今年の大魔闘演舞で初めて顔を鉢合わせしただけの、ほぼ初対面に等しい真柄だというのに、滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)滅神魔道士(ゴッドスレイヤー)という似た関係のせいか、息がピッタリと合っている。

サク「(いかずち)の御魂よ、敵に天罰を・・・!」

リオ「アイスメイク、(イーグル)ッ!!」

サクラとリオンも駆け出したかと思うと、サクラはカイの横に並び、『御魂の桜扇』から(いかずち)を繰り出し、リオンはシェリアの横に並び、無数の氷の(イーグル)を造形し同時に放った。(いかずち)と氷の(イーグル)が水と黒い風と共に赤黒い閃光を呑み込み応戦する。

ノバ「お・・俺達も、応戦してェんだけど・・・」

イエ「あの状況に合った魔法が、俺達には使えねェんだよな・・・」

何の役にも立つ事が出来ないこの2人は、瓦礫の陰に隠れて見守る事しか出来ないでいる、何とも可哀想な連中である。

悪魔3「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」

悪魔の咆哮が轟いた。その迫力に圧倒され、リオン達は思わず顔を顰めてしまう。

シェ「(うぅ・・ま、魔力がぁ・・・)」

カイ「(この悪魔は、魔力が無限・・なのか・・・!?もう・・限界寸前、だ・・・!)」

サク「(かと言って、今この場を離れて・・あの2人(ノバーリ様とイエーガ様)と交代しても・・・あの2人(ノバーリ様とイエーガ様)は、この状況に合った魔法を・・使う事は、不可能・・・!)」

リオ「(このままだと、全員全滅する・・・!せめて、誰か来てくれれば・・・!)」

ズズ、ズズズと4人の両足が後ろに動く。赤黒い閃光は今にも4人の体を貫く事が出来る距離まで迫っていた。4人は攻撃を止めないが、シェリアとサクラは目を伏せ、カイは両手の拳を固く握り締めた。

リオ「(ここまでかっ・・・!)」

4人が死を覚悟した、その時だった。

悪魔3「グオオォオアアアッ!」

悪魔が悲鳴を上げたのと同時に、閃光が消えた。何が起こったのか、状況を理解していない4人は悪魔を見て目を見開いた。
悪魔の右目に、氷の矢が1本突き刺さっていたのだ。

サク「リ、リオン様・・・いつの間に、あんな矢を・・・・?」

リオ「・・・いや、あの矢は、俺が造形した物じゃない。」

そう。リオンは氷の造形魔道士であるが、得意とするのは“生物の造形”―――――つまりは“動のアイスメイク”。矢は生物ではなく、“物質”だ。リオンは“物質”を造形する事を苦手としている。
それに、リオンの氷は薄緑色をしている。悪魔の右目に突き刺さっている氷の矢は、()()()()()()()()で出来ている。
リオンの知識上、“物質の造形”を得意とする氷の造形魔道士は2人いるが、()()()()()()()()の造形魔道士は1人しかいなかった。
口元に薄く笑みを浮かべているリオンと、未だに呆気に取られているシェリア、カイ、サクラの目の前に、シュタッ!と下り立った、上半身裸の妖精(ようせい)が1人―――――。

グ「お前らしくねェなァ、リオン。ボロボロじゃねェか。」

こちらを見向きもしないで、肩越しで呟くグレイの瞳は、目の前に佇む悪魔を真っ直ぐ捉えていた。

グ「お前等全員下がってろ。コイツは俺が()る。」

シェ「「()る」って、1人でぇ!?」

カイ「いくらフィオーレ一のギルドの魔道士でも、こんな化け物相手に1人で挑むのは自殺行為だ。」

サク「(わたくし)達も援護させていただきます!」

グ「魔力が限界なのに無理して戦う方が自殺行為だと俺は思うぜ?いいからここは大人しく引き下がって、他の場所で戦ってるギルドの奴等や、兵士達を避難させてやってくれよ。」

グレイはシェリア、カイ、サクラの言葉を否定しながら、構えた両手に冷気を溜め始めた。

シェ「もぉ!リオンも言ってやんなよっ!」

ぷくぅと右頬を膨らませたシェリアがグレイの背中を指差しながらリオンに言う。リオンはしばらくグレイの背中を見つめていたが、

リオ「・・・行くぞ。」

シェ「よーっし!頑張っちゃうぞ~・・・って、えぇ!?」

当然のように、リオンが服を脱いでグレイの横に並び、同じように構えた両手に冷気を溜め始めると思い込んでいたシェリアは、(きびす)を返して反対方向に歩き出したリオンを見て驚嘆の声を上げた。カイ、サクラ、ノバーリ、イエーガも同じ事を思っていたのか、黙って横を通り過ぎるリオンの事を見開いた目で追っていた。

シェ「えっ、ちょ、ちょっとリオン!待ってよ~!」

ハッ!と我に返ったシェリアは、慌ててリオンの後を追いかけた。それに続いて、不思議そうに顔を見合わせながらもカイ、サクラ、ノバーリ、イエーガも2人の後を追いかけた。
瓦礫の山に囲まれた悪魔との戦場には、グレイだけが残された―――――。

悪魔3「ひゃひゃっ、ドサクサに紛れて仲間を逃がすなんて面しれェじゃねェかっ!お前良い頭してんだなァ、ひゃひゃっ。」

グ「ほぉ、めちゃくちゃ乱暴な喋り方だが、人間の言葉を話せるとは好都合だぜ。」

人間の言葉を話せる悪魔に感心しながらも、グレイは巨大な氷の鎌を造形すると、

グ「アイスメイク、大鎌(デスサイズ)ッ!!」

その場で高く跳躍し氷の鎌を振り下ろした―――が、悪魔は氷の鎌を指1本で防いでしまった。尚且つ、パキィン!と音を立てて氷の鎌は粉々に砕け散ってしまった。

グ「チッ。」

一度舌打ちをしてから、グレイは悪魔との距離を取った。

悪魔3「ひゃひゃっ、良い頭をしてるっつー事は素直に認めてやるぜ。だけどな、人間如きがたった1人で悪魔相手にまともに戦えるのかよ?ひゃひゃっ。」

グ「俺と、他の悪魔と戦っている奴等はただの人間じゃねェんだ。身も心もタフで、世間を騒がしている自由気ままな妖精(ようせい)さ。」

悪魔3「ひゃひゃっ、面しれェ。」

悪魔は興味深そうに、闇に染まった不気味な瞳でグレイを見つめる。

悪魔3「ひゃひゃっ、俺の知らねェ世界ではまだまだ変わり者の生物がいるんだなァ。ひゃひゃっ、お前気に入ったぞ。名前、教えろよ?」

特長的な笑い方をする悪魔に、グレイは氷の大砲の砲口を向けると、

グ「俺の名前はグレイ・フルバスター。妖精の尻尾(フェアリーテイル)の、魔道士だアアアアアアアアアアアアアッ!」

声を荒げたのと同時に、氷の大砲の砲口から砲丸が勢いよく放たれ、悪魔の首元に直撃した。砲丸が悪魔の首元に直撃したのと同時に、壮絶な爆発音が響き、辺りが冷気に包まれ大気中の水蒸気が小さな氷の結晶となってグレイの頭上に降り落ちて来た。

悪魔3「ひゃひゃっ、グレイ・フルバスター・・・ますます気に入ったぞっ!」

グ「!グァアアッ!」

冷気の中から赤黒い閃光が放たれた。反応に遅れてしまったグレイの左肩を容赦なく貫いた。

グ「~~~~~っ!」

貫かれた左肩を右手で押さえ、グレイはその場に膝を着き蹲る。冷気の中から聞こえてくる、「ひゃひゃっ」という悪魔の不気味な笑いが耳障りだ。

クル「俺は“残酷の悪魔”クルエルってんだっ!」

冷気が晴れ、無傷の“残酷の悪魔”クルエルは耳まで裂けてしまうほど不気味に微笑んだ。

クル「グレイ・フルバスター・・・お前に、この世で一番無残で儚い、“残酷”をお見舞いさせてやんよ。地獄(奈落)に堕ちても脳裏に焼き付いて忘れられない、素晴らしい“残酷”をなァ・・・!ひゃひゃっ。」

今、熱き心を持った、傷だらけの紺色の妖精(ようせい)が、“残酷の悪魔”に立ち向かう―――――。

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―クロッカスの街 西側―

悪魔4「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」

漆黒の翼で空を飛ぶ悪魔は、巨大な腕と足を闇雲に振り回し、クロッカスの街を無残な姿へと変えていく。石造りの建物やレンガ造りの建物は力なく崩れ落ち、色とりどりのペンキで塗られた瓦屋根は粉々に砕け、青白く光る街灯は圧し折られ、街の至る所に咲き誇っている色とりどりなクロッカスの花々は引き千切られ儚く花弁を落とす。
もはやクロッカスの街は、原形すら残る事無く崩壊寸前の危機だった。

兵1「討てーーーーーっ!」

1人の兵士の合図と共に、盾で身を隠しながら大勢の軍隊や王国軍の兵士達が魔法弾を悪魔目掛けて放つ―――が、放たれた魔法弾のほとんどは、空を飛んでいる悪魔に命中する前に速度が落ち、力なく地面に落ちる。運良く悪魔の体に命中した数少ない魔法弾は、悪魔の感覚神経には反応しないみたいで全く動じなかった。

兵2「魔法弾が効いていない!?」

兵3「そ、そんな・・バカなっ・・・!?」

兵士達は驚きを隠せずにいる。そんな兵士達を見向きもしないで、空を悠々と飛び続ける悪魔は次々と街を破壊していく。

兵4「怖気づくなっ!まだ“負け”と決まった訳じゃないんだーっ!」

兵5「全員弓を構えろーっ!」

今度は盾で身を隠しながら弓を構えた。思いっきり(つる)をギリギリまで引き、準備完了!

兵6「射てーーーーーっ!」

1人の兵士の合図と共に、ヒュン、ヒュンヒュンと音を立てながら無数の矢が放たれた。魔法弾とは逆に、放たれた矢のほとんどが空を飛んでいる悪魔の腕や胴体に突き刺さった―――が、

悪魔4「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」

兵7「無意味だーーーーーっ!」

兵8「逆に刺激を与えてるだけだーーーーーっ!」

怒り狂った悪魔は、兵士達の真上に聳え立っていた7階建てのマンションを蹴り飛ばした。マンションは呆気なく崩壊し、瓦礫が兵士達の頭上に降り注ぐ。

兵9「うわぁぁああぁあああっ!」

兵10「逃げろーーーーーっ!」

兵11「当たったらペシャンコだぞーーーーーっ!」

口々に叫びながら、兵士達は一目散にその場から逃げ出した。

兵12「うわっ!」

1人の兵士が、落ちて来た瓦礫に躓いて転倒した。起き上がって逃げても、瓦礫はすぐ頭上にまで迫って来ていた。兵士は仰向けに倒れたまま目をギュッ!と固く閉じ死を覚悟した―――が、

兵12「・・・・あ、あれ・・・?」

いつまで経っても瓦礫は落ちて来ない。恐る恐る目を開け後ろを振り返ると、

赤鬼「大丈夫かぁ?」

頭に生えた1本の角、真っ赤な体に口の端から覗いている鋭い牙、腰には黄色と黒のパンツに、左手には無数の棘が付いた黒光りする金棒―――――瓦礫を右手で支えている赤鬼が兵士の顔を心配そうに見つめていた。

兵12「ギャアアアアアアアアアアアアアア!」

兵士は赤鬼の顔を見るなり、四つん這い状態のままその場を這って去った。その兵士の他にも逃げ遅れた兵士が多数おり、皆青鬼や黒鬼、緑鬼や黄色鬼に助けてもらっていた。が、やはり鬼の顔を見たら全員這って去って行った。

兵13「な・・ななな、何だコイツ等はァ!?」

兵14「悪魔の次は鬼かよっ!?」

兵15「勘弁してくれェーーーっ!」

背後には悪魔、前方には鬼という、絶体絶命の危機に立たされた兵士達はその場で頭を抱えて蹲ってしまった。中には半ベソをかいている兵士もいる。
そんな絶望的な場面で、鬼の背後からひょこっと顔を出した妖精(ようせい)が1人―――――。

ト「み、みみみ、皆さん!落ち着いて下さい!大丈夫です!ここにいる鬼達は皆、僕と契約してる鬼達なのでっ!」

兵全「・・・・へっ・・・?」

顔を上げた兵士達に、トーヤはニコッと笑いかけた。

ト「鬼達ありがとう。お陰で誰も死なずに済んだよ。」

トーヤは自分の身長の倍はある鬼達に向かってペコッと可愛らしく頭を下げた。それに対して鬼達は、嬉しそうに笑う者もいれば、恥ずかしそうに照れる者も、「当然」と言いたげな顔をしている者がいる。

ト「本当にありがとう。でも、もう一仕事頑張ってくれるかな?」

トーヤの問いに、鬼達は全員「おおーっ!」と腕を突き上げたり、金棒を振り回したりして応えた。
それを見たトーヤは、自分の胸に左手を置くと呪文のような言葉を紡いだ。

ト「我と、心を通わせ、姿を現せ!出て来い!全ての怪物達よ(オール・モンスターズ)っ!!」

トーヤが叫んだのと同時に、地面や空中やら至る所に紫色の魔法陣が浮かび上がり、そこからミイラや透明人間、ドラキュラや死神、ろくろっ首や一つ目小僧、化け猫や座敷わらし、ユウとレイ、魔女やゾンビ、雪女や河童、狼男やてんぐなど、トーヤと契約しているお化け達が集結した。

兵16「ト、トーヤさん・・これは、いったい・・・?」

1人の兵士が恐る恐るトーヤに問い掛ける。

ト「ここにいたら、皆さんとても危険ですので、お化け達に手伝ってもらって安全な場所に避難させてもらうんです。あ、お化け達にお願いして、自分達の魔力で地上に来ているから僕の事は大丈夫ですよ。」

兵16「いや・・えっと・・・」

ト「あ、出来れば他の悪魔さんと戦っている、他のギルドの皆さんや王国軍と軍隊の皆さんも、魔法部隊の皆さんも連れて避難して頂ければ光栄です。」

にこやかな笑顔を浮かべて淡々と語っていくトーヤに、兵士はそれ以上聞く事が出来なかった。

て「トーヤ。」

ト「どうしたの、てんぐ?」

トーヤが初めて契約して友達になったてんぐがトーヤに歩み寄る。

て「・・本当に、お前1人で大丈夫なのか?戦力になる、俺や死神、鬼達や狼男を残していった方が良」

ト「大丈夫だよ、てんぐ。」

「良いんじゃ・・・?」と言いかけたてんぐの言葉を遮るように、トーヤが口を開いた。

ト「君達は僕の大切な友達なんだ。そんな大切な友達を、僕はもう、傷つけたくない。それに、僕は妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士なんだよ?悪魔1頭くらい1人で倒せなきゃ、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の名が廃っちゃうよ。」

て「・・・で、でも」

ト「大丈夫。」

トーヤが優しく、てんぐの両肩に両手を置いた。

ト「・・・必ず、必ず帰って来るから。だからてんぐ、僕が帰って来るまで、皆の事をよろしく頼んだよ?」

て「・・・・あぁ。」

どこか寂しげで、悲しそうで、小さくて儚い笑みを浮かべるトーヤの穏やかな紫色の瞳から思わずてんぐは目を逸らして頷く事しか出来なかった。
てんぐの肩からトーヤの両手が離れると、トーヤは羽織っている黒いローブの裾をひるがえしながら言葉を紡いだ。

ト「我と契約し全ての怪物(モンスター)達に告ぐ!ここからの経緯(いきさつ)を全ててんぐに話したっ!ここからは、僕と皆は別行動だっ!皆はてんぐの指示に従って動いてくれっ!ドムス・フラウの前で再会しよう!」

運良く誰にも気づかれなかったが、トーヤの右頬を一筋の涙が伝った。
その後、兵士達はお化け達と共にその場を後にした。最後に取り残された者がいない事を確認したてんぐが、トーヤの横を通って去り際に小さく呟いた。

て「必ず、必ず帰って来い・・・!それだけを、俺は祈っている・・・」

ト「・・・うん、約束する。」

お互い顔を伏せており、笑っているのか、泣いているのか、怒っているのかさえも分からなかった。

ト「(てんぐ、最後の最後まで・・迷惑を掛けてゴメンね・・・約束、守れなかった時は・・・皆の事を、よろしく頼んだよ・・・・)」

一度止まったはずの涙が、再び溢れ出してきた。
最後に短く言葉を交わした後、トーヤはてんぐの気配が完全に消えてから、首に着けている幽封玉を外した。すると、トーヤの体が紫色の光に包まれ、トーヤが羽織っている黒いローブの裾がボロボロになり、こめかみの辺りからくるんと渦を巻いた角が生え、足が透け、トーヤの紫色の瞳が赤色に変わった。
これが、人間と幽霊の間で生まれた者―――――半幽人の真の姿だ。

ト「ふんっ!」

トーヤは助走をつけて小さく地を蹴った後悪魔と同じくらいの高さまで飛んだ。半幽人の姿になると、空を飛ぶ事も出来るのだ。銀髪と、ボロボロの黒いローブの裾が風になびく。
トーヤは悪魔の背後に周り込むと、固く握り締めた右手の拳に黒に近い色をした紫色の邪気を纏うと、

ト「邪気拳斬ッ!」

悪魔4「ぐはァ!」

拳を悪魔の背中に向かって振り下ろした。
トーヤの攻撃をまともに食らった悪魔は、体をUの字に反りながら墜落した。ドドドドドスゥゥゥン!と砂煙が舞い上がる。
トーヤは一度悪魔から距離を取ると、右手に黒い炎、左手に青い炎を纏うと、

ト「紅蓮地獄ッ!」

纏っていた炎を砂煙の中にいる悪魔に向かって投げ放った。だが、紅蓮地獄はそれで終わりではない。

ト「らあああああああああああああああああああっ!」

投げるとまたすぐに炎を纏い投げ、またすぐに炎を纏い投げ―――――。
トーヤと悪魔の周りは黒と青の炎が燃え盛り、辺りは地獄の炎と熱気で包まれた。

ト「(この炎は、妖霊王様から授かった“魂の炎”と“(あや)かしの炎”・・・それをあれだけまともに食らえば、いくら悪魔さんでも・・・・!)」

戦闘体勢を保ったまま呼吸を整え、砂煙の中に目を凝らしたその時、

悪魔4「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」

砂煙の中で巨大な黒い(シルエット)が動き出したかと思うと、勇ましい咆哮を咆えながら悪魔が飛び出して来た。あまりにも咄嗟すぎてトーヤは悪魔をかわす事を忘れてしまい、悪魔の広げた巨大な掌で地面に押し潰されてしまった。

ト「うあああああああああああああああっ!」

口から血を吐き出す。

悪魔4「ほぉ、これはこれは。こんな所で世にも珍しい種族の者に出会えるとは―――。人間と幽霊の間に生まれし者―――――お主、半幽人じゃな?」

ト「こ・・これは、これは・・・こんな、所で・・世に、も、珍しい・・・人間の言葉を話せる悪魔さんに・・出会える、とは・・・・」

トーヤは痛みに顔を歪ませながら、悪魔の口調を真似て辛そうに言う。

悪魔4「これはこれは、今宵わしは何てついておるのじゃろう。人間界で盛大に暴れる事が出来、半幽人と出会えたんじゃからな。お主、名は何と申す?」

「これはこれは」が口癖らしい、古風な喋り方をする悪魔を真っ直ぐ捉えると、

ト「魔道士ギルド、妖精の尻尾(フェアリーテイル)に所属している半幽人、トーヤ・ファインと申します。以後お見知りおきを。」

そう名乗ってから、トーヤは目付きを鋭くし、体から黒に近い色をした紫色の邪気を放出すると、

ト「邪気・放浪ッ!」

邪気を体から手放した。
トーヤの体から放たれた邪気は、人魂のような形になり悪魔に襲い掛かる。

悪魔4「ぬァアッ!」

悪魔は邪気を追い払う為両手をぶんぶん振り回す。そのお陰で逃れる事が出来たトーヤはその場で立ち上がる―――――が、ガクンと崩れ落ちるように膝を着いてしまった。

ト「あ・・あれ・・・?」

そんなトーヤを見て、邪気を握り潰した悪魔は口角を上げてニィッと不敵に笑った。

悪魔4「わしは相手の魔力、妖力を吸い取る事が出来るんじゃ。お前を押し潰している間に、お前の魔力を3分の1ほど吸い取ってやったんじゃ。」

ト「そんな・・・!」

トーヤは絶句する。

ディ「そういや、まだわしは名乗っておらんかったのぉ。わしは“絶望の悪魔”ディスペアじゃ。」

ト「(・・・絶望・・・・)」

ドクンと、心臓の音が耳元で聞こえるような感じがしたのは気のせいだろう。

ディ「お主の体が塵のようになるまで、お主の“絶望”とやらを、じっくり味わおうとするかのぉ。これはこれは、とても楽しみじゃわい。」

今、さまざまな感情が巡る、傷だらけの紫の妖精(ようせい)が、“絶望の悪魔”に立ち向かう―――――。 
 

 
後書き
第198話終了です☆
・・・長い。悪魔の紹介だけでこんなに長い話になってしまうとは、思いもしませんでした。読者の皆様、もうしばらくお付き合いして頂くようお願い致します。
次回もやっぱり、悪魔の紹介みたいなお話です。ホントにスミマセン・・・
それではまた次回まで、アディオス(さようなら)! 

 

第199話 金色の妖精と黒の妖精

 
前書き
紺碧の海で~す♪
今回も前回と似たような内容で、10頭の悪魔の紹介みたいなお話です。・・・もう飽きてしまった方、いますよね?
ナレーション風に書いていきます。
それでは、第199話・・・スタート♪ 

 
―クロッカスの街 北側―

突如姿を現した10頭の悪魔のほとんどは、腕を振り上げ、武器を振るい、魔力を放ち、建物を次々と破壊していく―――――のだが、この悪魔は違う。

悪魔5「待て待てェーーー!」

ロッ「ヒィイイィイィイイイイイイイ!」

セメ「ギャアアアアアアアアアアアアアアアア!」

攻撃を仕掛けてきた魔道士達を追い掛け回しているのだ。え?何で追い掛け回しているのかって?それは―――――、

悪魔5「俺の食い物待てェーーー!」

食べる為である。
この悪魔、他の9頭の悪魔と比較するとかなり太っており、背中にはなぜか肉や魚、野菜や果物、飲み物や調味料、フライパンや包丁、まな板やガスコンロが入った赤黒い大きな風呂敷を背負っていた。
この悪魔は街中で暴れ回るより先に、“腹いっぱい食べる”事を重要とし、街中に座り込んで自分が持っている食材と調理道具を使って料理を作ろうとした時、魔道士達=人間が攻撃を仕掛けてきたのだ。
調理の邪魔をして怒り狂い追い掛け回している―――――のではなく、悪魔の目には人間がとても美味しそうに見えたのだ。

ロッ「な、何で俺等がこんな目に合うんだよーーーっ!?」

セム「俺等食べても絶対美味しくねェぞーーーっ!」

悪魔に追われている四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)の魔道士、ロッカーとセメスはかれこれ10分近く全力疾走しっぱなしである。もう体力は限界である。だが、相手は人間の5倍ほどもある巨体の悪魔。悪魔の1歩が彼等の10歩ぐらいなのだ。少しでもスピードを落とせばあっという間に食われてしまう。

ロッ「(いつまで俺等囮になってればいいんだよォ!?)」

セメ「(頼むから、早く攻撃してくれーーーっ!)」

とっても命懸けなのだが、これは作戦だ。どんな作戦かと言うと・・・↓

①ロッカーとセメスが囮になって悪魔を誘き寄せる。
②他のメンバーが悪魔の攻撃を放つ。

という、あっさりとした作戦だ。因みにこの作戦を考えたのは月の涙(ムーンティア)の魔道士、セインである。

ロッ「(合図はまだかよっ!?)」

セメ「(早く早く早くーーーーーっ!)」

その時だった。

「♪~」

ロッ&セメ「!」

どこからか心を落ち着かせる音色が聞こえて来た。
この音色は幸福の花(ハピネスフラワー)の魔道士、スミレが持っている横笛の音色で、“悪魔から離れろ”という合図だ。

悪魔5「綺麗な音だな~。」

音色を聞いた悪魔は、作戦通り油断している。その隙にロッカーとセメスは建物の陰に隠れた。そして、

ナデ「フラワーメイク、槍騎兵(ランス)ッ!!」

シプ「透明魔法(クリアマジック)!えい!」

スミ「緑の反乱(グリーン・リベリオン)!」

セイ「雷杖(サンダーステッキ)!」

悪魔5「ぐァアアァアアア!」

ナデシコが無数の花弁の槍を放ち、シプが姿を消して悪魔の左足に蹴りを決め、スミレが横笛を吹くと地面から太い蔦が生え襲い掛かり、セインが雷杖(サンダーステッキ)を振るい一斉に攻撃を放った。

セイ「ジュラさん!」

セインが振り返り叫んだ。
聖十大魔道の1人である蛇姫の鱗(ラミアスケイル)の魔道士、ジュラがゆっくりと目を閉じ、それと同時に胸の前で両手を合わせた。大気が震える。

ジュ「鳴動富嶽!」

悪魔5「ぐあああああああああああああっ!」

地面に亀裂が入り、溢れ出した白い光が悪魔の体を呑み込んだ。

ロッ「す・・すっげー・・・」

セメ「さ、流石聖十大魔道・・だな・・・」

建物の陰に隠れていたロッカーとセメスはため息と共に感嘆の声を漏らした。
悪魔を包み込んでいる砂煙はなかなか晴れない。

スミ「さすがの悪魔様でも・・・」

シプ「あれだけ攻撃を食らえば、立ってるのも難しいと思うよ。」

ナデ「と・・とととと特に、ジュラ、様の・・・こ、攻撃は・・ききき、き、効いたとお、おおおお思い・・ます!」

セイ「あんなの食らったら、立ち上がる事さえ出来ませんよ。」

スミレ、シプ、ナデシコ、セインの順に思い思いの言葉を紡ぐ。

ジュ「(リョウ殿には・・・一切効かなかったがな。)」

ジュラは1人、最終決戦でリョウと戦った事を思い出していた。
自分よりも傷だらけで、鳴動富嶽をまともに食らったのにも係わらず、精神と根性、粘り強さの結果、自分はリョウに敗れたのだ。

ジュ「(あの悪魔には、リョウ殿のような精神、根性、粘り強さはあるのだろうか・・・?)」

1人そんな事を考えていたその時、砂煙の中で巨大な黒い影が動いた。咄嗟にセイン達はその場に身構えた。

悪魔5「すーっかり騙されちまったなぁ~。」

砂煙の中から出て来た悪魔の体は傷一つ付いていなかった。

ナデ「そ、そそそ・・そんな・・・!」

スミ「な・・なぜ・・・?」

ナデシコとスミレは目を見開き、口元に手を当てて驚嘆の声を上げた。

悪魔5「まぁでも、最後の・・・()()()()()?っていう攻撃は()()()()()()()()効いたよ。」

セイ「鳴動富嶽だろーがっ!」

ロッ「食べ物に変えてどーすんだよっ!?」

シプ「ていうか塩一つまみぐらいって分かり難いよっ!」

セメ「素直に「効かなかった」とか「効いた」とかで答えろよっ!」

セイン、ロッカー、シプ、セメスの順にツッコム。

悪魔5「ところで、ずーっと喋ってたら俺に捕まっちゃうよ?」

ナデ「!」

セイ「しまった!」

ジュ「こ・・これは・・・!」

ロッ「か、体が・・動か、ない・・・!」

いつの間にか、セイン達の足元に赤黒い魔法陣が浮かび上がっており、体が石のように動かなくなってしまっている。

悪魔5「さーて、誰を一番最初に調理しよっかなー?」

悪魔の赤黒い瞳が、セイン達の事を順々に見回していく。

悪魔5「よし!決ーめたっ♪」

満足そうに頷く悪魔は、鋭く尖った爪先で指差した。指を差されたのはシプだった。

セイ「止めろォ!」

悪魔5「俺は一度決めた事は、達成するまで変えない主義なんだ。それに、その子すっごく美味しそうだし~♪」

シプ「!」

悪魔は、本物の“悪魔の微笑み”を浮かべながら、背中に背負っている風呂敷から包丁を取り出した。月明かりに照らされて、包丁の刃がギラリと光る。

スミ「!シプさん!透明になれば・・・!」

シプ「!そ、そっか!」

スミレに言われてシプは自身の姿を透明にしようとする―――が、

シプ「あ・・あれ・・・?」

ナデ「ど・・どど、どうしたんです、か・・・?」

シプ「・・な、なれない・・・と、透明に・・なれないよォ~!」

なぜか透明になる事が出来ないシプは、大粒の涙をポロポロと零し始めた。

ジュ「もしや、この魔法陣が・・・!」

悪魔5「ピンポ~ン!その魔法陣は、相手の動きを封じる事が出来、尚且つ、相手の能力なども封じる事が出来るんだ。つまり、お前等は今、魔法が使えないっていう訳だ。」

悪魔がそう言うと、セインが試しに炎杖(ファイアステッキ)を振るってみた―――が、上下左右どんなに振っても、炎杖(ファイアステッキ)は炎を繰り出す事が出来なかった。

悪魔5「という訳で・・・」

悪魔は手に持った包丁の刃先をシプに向けた。シプはギュッ!と固く目を瞑った。

悪魔5「死ねえええええええええええええええええええええええええっ!」

悪魔がシプに向かって包丁を投げた。

セイ「シプーーーーー!」

スミ「イヤアァアァァアアアアアアアアアアアアアアアッ!」

セインとスミレが叫んだ。
悪魔が投げた包丁は、カクンと向きを変える事も、スピードが落ちる事も無く、シプの胸目掛けて一直線に飛んで来る。ナデシコとスミレはもう見ていられなくって固く目を瞑り、セインは目に涙を溜めシプの名前を呼び続け、ジュラは静かに目を閉じ、ロッカーとセメスは歯を食いしばっていた。
当たる!と誰もがそう思った時―――――シプが()()()
狙いが消え、包丁はそのまま一直線に飛んで行き、ズカッ!と鈍い音を立てて木の幹に突き刺さった。

悪魔5「なっ・・!?」

ロッ「き・・消え、た・・・?」

悪魔とロッカーが驚嘆の声を上げた。
さっきまでシプがいた場所には誰もいなくて、なぜか地面に人1人通れるくらいの穴が開いていた。

セメ「透明魔法(クリアマジック)が出来たんじゃ・・・!」

ジュ「いや・・万が一シプ殿が透明になれたとしても、それは姿()()()()()()()()()。シプ殿そのものが消える訳ではない。」

ナデ「つ、つつつ・・つまり、シ、シプ様が・・・透明に、な、なななったとしても・・い、一直線に、と・・ととと、飛んで、来た・・ほ、包丁は・・・か・・かかか、確実に・・シ、シプ様に・・・あ、ああああ当たっていた・・という事に、なななななります、ね・・・」

スミ「それに、この穴の意味が成り立っていません。」

セメスの言葉をジュラが否定し、ナデシコとスミレが付け加えるように言った。
シプはいったいドコへ―――――?
誰もが疑問に思った、その時だった。

ル「やァアアァアアアアアアアアアッ!」

悪魔5「うぐあっ!」

パシィン!と鋭い音を立てて悪魔の頭が鞭で叩かれた。
それと同時に赤黒い魔法陣が消えて、セイン達は動けるようになった。

悪魔5「だ・・誰だっ!?」

悪魔はもちろん、セイン達も視線を動かした。
そこにいたのは、伸縮自在の鞭を片手に、メイドを引き連れた妖精(ようせい)が1人―――――。

ナデ&スミ「ルーシィ様!」

ロッ&セメ「・・・と、メイドォ!?」

金髪(ブロンドヘア)のツインテールを揺らしながら、ルーシィは笑顔でセイン達に向かって手を振る。
その隣にいるのは、ピンク色のショートヘアに、手首に千切れた鎖を着けている青い瞳をした無表情のメイド―――処女宮の星霊、バルゴ。そして、バルゴに抱えられている、気を失ったシプがいた。

セイ「シプ!」

シプの姿を見た瞬間セインが真っ先に駆け出し、それに続いてスミレ、ナデシコ、ロッカー、セメス、ジュラの順に駆け出した。
シプの姿が消え、地面に穴が開いていたのは、バルゴが穴を掘ってシプを助けたからだった。

バル「間一髪のところでした。」

ル「ありがとね、バルゴ。」

バル「お仕置きですか?」

ル「褒めてんのよっ!」

こんな状況だというのにも係わらず、いつものボケ(バルゴ)ツッコミ(ルーシィ)の会話が交わす。
バルゴがセインの背中にシプを乗せる。

ル「ここは私が何とかするから、皆は一刻も早くこの場を離れて!」

スミ「1人で、宜しいのですか?」

ル「大丈夫!私には、皆がついているから!」

ルーシィが言う皆とは、星霊の事である。

ル「それに、お迎えも来てるみたいだし。」

セメ「お迎え?」

ル「ほら、あそこに。」

ルーシィの言葉にセメスは首を傾げると、ルーシィが指差した方に視線を動かした。そこにいたのは、体全身に包帯を巻いたミイラと、ふわふわと飛んでいる幽霊だった。

ロッ「おわーーーーーっ!?」

セイ「お化けーーーーーっ!?」

ジュ「いや・・この者達は、もしや・・・」

ロッカーとセインが驚嘆の声を上げる中、ジュラは冷静にお化け達に視線を移す。

ジュ「トーヤ殿と契約している・・・」

ル「ミイラ男と、双子の幽霊のユウとレイです。」

ミイラ男とユウとレイがこくこくと頷いた。
セイン達はこの場をルーシィに任せて、ミイラ男とユウとレイと共に避難する事にした。

ナデ「ル・・ルーシィ様、どど、ど、どうか・・・お気をつけて。」

ル「うん!ナデシコ達も。」

ルーシィは立ち去るセインを見届けた後、バルゴを星霊界に帰らせ、目の前にいる悪魔に視線を移した。

悪魔5「女1人に何が出来るんだい?」

ル「1人なんかじゃないわ。私には、皆がついてる!必ずアンタを倒してやるから、覚悟しなさい!」

悪魔5「それはこっちの台詞(セリフ)だな。必ず君を殺してあげるから、覚悟しときなよ。」

この悪魔、他の9頭の悪魔と比較したら口調は優しいのだが、その時に浮かべる笑顔がとてつもなく恐ろしく、体が思わず震え上がってしまい、殺気がするほどだ。

悪魔5「それにしても・・・」

ル「え?」

悪魔の赤黒い瞳がじーーーっとルーシィを見つめる。ルーシィは思わず後ずさりをする。

ル「(あ・・悪魔にまで、ナンパされちゃうなんて・・・)」

喜んでいるのか悲しんでいるのか。非常に曖昧な事をルーシィは考える。
だが、ルーシィが考えている事と、悪魔が呟いた事は天と地の差と同じくらい違った。



悪魔5「君・・・すごく美味しそうだね~。」



ル「・・・え?」

一瞬、ルーシィは自分の耳を疑った。だが、目の前の悪魔が自分の事を見て舌なめずりをするのを見た瞬間自分の耳は正常運転だという事を自覚した。
悪魔は背中に背負っている風呂敷から新たな包丁を2本取り出すと・・・

悪魔5「調理させろォーーー!」

ル「キャアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」

2本の包丁を振り回しながらルーシィを追いかけ始めた。ルーシィも悲鳴を上げながら全力疾走で逃げる。

悪魔5「焼く?煮る?揚げる?蒸す?とにかく美味しく調理してあげるから~♪」

ル「どれも絶対いやーーーーーっ!ていうか私絶対不味いから!それ以前に絶対食べれないから!」

悪魔にツッコミを入れながらも、ルーシィは必死に逃げる、逃げる、逃げる。悪魔はルーシィを追う、追う、追う。
無我夢中に走り回り、足が縺れ始めると、

ル「あう!」

つまずいて転倒する。
急いで起き上がっても時既に遅し。2本の包丁を持った悪魔はルーシィのすぐ背後にまで迫っていた。

悪魔5「捕まえたぞーーーっ!」

悪魔の赤黒い瞳と包丁の刃先がギラリと光った。ルーシィは鍵束から金色の鍵を1本取り出した。

ル「開け!天褐宮の扉・・・スコーピオン!」

スコ「ウィーアー!」

威勢のいい掛け声と共に姿を現したのは、蠍の尻尾に見立てた巨大な銃を持つ星霊―――スコーピオン。

ル「お願い!」

スコ「OK!ウィーアー!」

悪魔5「うォあ!」

スコーピオンは低い体勢になると、悪魔目掛けて銃口から大量の砂を噴出した。砂は容赦なく悪魔に降りかかり視界を妨げる。

悪魔5「(目晦ましか。だが、俺は他の悪魔と比較すれば鼻もいいんだ。)」

料理が好きな悪魔だからこそなのかもしれない。悪魔は鼻をヒクヒク動かし、においでルーシィの居場所を探ろうとしたその時、

悪魔5「ぐはぁ!」

ヒュンと背後から矢が飛んできて悪魔の背中に突き刺さった。それを合図にヒュン、ヒュンヒュンと次々と矢が飛んできて腕や肩、頭や腰に突き刺さっていく。

悪魔5「(あの女・・・弓なんか、持っていたか・・・・!?)」

砂煙が晴れるのと同時に、ようやく矢の攻撃も治まった。

ル「助かったわ、スコーピオン。サジタリウス。」

スコ「これしきの事オレッちには朝飯前だぜ!」

サジ「また何か用があれば、遠慮なく呼んで下さいもしもし。」

そう言うと、スコーピオンと弓を持った馬の被り物を被った星霊―――サジタリウスは星霊界に帰って行った。
ルーシィは視線を悪魔に移すと、

ル「どぉ?女の子を甘く見たら怖いんだからね!」

腰に手を当て、指を突きつけて言い放った。
それを見て悪魔は怖気づく訳が無く、再び不気味な笑みを浮かべた。

悪魔5「確かに、ちょっと君の事、砂糖と蜂蜜を混ぜたように甘く見すぎてたよ。」

ル「甘く見すぎでしょそれ!ていうかどんな例え方してんのよっ!?」

相手が仲間だろうが敵だろうが、悪魔だろうが誰であろうが関係なく、ルーシィはツッコミを入れる。それほどルーシィの周りにはボケキャラが多いのだ。

悪魔5「君・・・名前は?」

ル「!」

例えるならば、先程悪魔が言った“砂糖と蜂蜜を混ぜたような甘い声”で囁くように問われると、ルーシィはほんの一瞬だけドキッ!としたが、その相手が悪魔だという事には変わりなく、慌てて自分の気持ちを正常運転に戻し、伸縮自在の鞭―――――エリダヌス座の星の大河(エトワールフルーグ)を構えた。

ル「私の名前はルーシィ。魔道士ギルド、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士よっ!やァアアァアアアアアアアアアアアッ!」

名乗った後、構えていた星の大河(エトワールフルーグ)を大きく振るった―――が、バシッ!と音を立ててルーシィが振るった星の大河(エトワールフルーグ)は悪魔が持っていた包丁で受け止められてしまった。

悪魔5「ルーシィ・・・か。素敵な名前だね、俺ほどではないけどっ!」

ル「うあん!」

悪魔は包丁で受け止めた星の大河(エトワールフルーグ)の先を乱暴に掴むと、ルーシィ事宙に放り投げ地面に叩きつけた。

スロ「俺の名前は“恨みの悪魔”スローク。奈落(地獄)に行くまでの間、覚えててくれると嬉しいな。」

ル「(・・てっきり、“料理の悪魔”かと思ったわ・・・)」

“恨みの悪魔”スロークは名乗ると、これまでにないくらい不気味で不敵な笑みを浮かべると問うた。



スロ「ルーシィ・・・君は、誰かに恨まれた事はあるかい?」



ル「・・え・・・?」

もう一度言っておく。ルーシィの耳は正常運転だ。
だが、いきなりこんな質問をされると、誰でも頭の上に?を浮かべるに決まっている。

スロ「さーて、君はいったい、どれだけ人に恨まれているんだろうね?()()のが楽しみだな~♪」

今、星霊に愛されし、傷だらけの金色の妖精(ようせい)が、“恨みの悪魔”に立ち向かう―――――。

******************************************************************************************************

―クロッカスの街 東側―

月明かりが妖しく照らす、7月7日の夜のクロッカスの街。
静寂に包まれしこの場所は、破壊された形跡は一切ない。それどころか、いるはずの悪魔の姿さえ見当たらないのだ。
ここに駆けつけた魔法部隊も、辺りをキョロキョロ見回したりするが、人間の5倍ほどもある巨体の悪魔はドコにもいない。

隊1「ど・・どうなっているんだ・・・?」

隊2「ここで暴れた形跡も無い。ましてや悪魔の姿も無いなんて・・・」

隊3「「ここにいる」という情報は確かなのか?」

隊4「聖十大魔道のリョウ様が言ってたんだ。間違いない。」

魔法部隊全体を率いている隊長らしき者達が辺りを見回したり顔を見合わせたりしながら呟く。

隊5「まぁでも、これでここは安全だという事は分かったんだ。」

隊6「お陰で緊張が(ほぐ)れたよ。」

ほとんどの隊員達は安堵の表情を浮かべている―――――1人の隊員を除いて。



隊7「わ・・私は、非常に嫌な予感が、するんですが・・・」



恐る恐る、といった感じで呟いたのは、魔法部隊の隊員になってまだそう日が経っていない新人隊員だった。

隊8「そんな不吉な事を言うなよ、新人。“平和”こそが、世界にとって一番だ。」

隊9「まっ、平和だったら俺達が動く事は一切ねェんだけどな。」

隊10「言えてるぜ、ハハッ!」

新人隊員の言葉は他の年配隊員達にさらりと流されてしまい、誰も信用する者はいなかった。
だが、この新人隊員。昔から勘が鋭く、ふいに口走った事が本当の事になる事態が多数あるという、ちょっとした変わり者でもあったのだ。
そして、運悪くこの場でも―――――。

隊11「・・な、なぁ、何か・・・息苦しく、ねェか?」

隊12「そうか?俺は全然だけど・・・?」

1人の隊員が辛そうに呼吸をしている。
それに続くように、次々と荒く呼吸をしたり、首を押さえたり、蹲る者が現れだした。

隊13「ハァ・・ハァ・・・く・・苦しっ・・・ハァ・・ハァ・・・ハァ・・ハァ・・・・」

隊14「ハァ・・・い、息・・が、出来な・・い・・・ハァ・・ハァ・・ハァ・・・」

隊15「ハァ、ハァ、ど・・どうな、って・・・ハァ・・ハァ、ハァ・・・ハァ、ハァ、ハァ・・・」

絶体絶命!と誰もが思った、その時だった。



ショ「無効化(ルーズ)!」



冷静を保った声が響き渡ったのと同時に、隊員達は体をゆっくりと起こし始めた。

隊16「あ・・あれ・・・?」

隊17「息苦しく、ない・・・」

隊員達はお互い顔を見合わせたり、目をパチクリさせたり、息を吸って、吐いて、吸って、吐いてを繰り返したりした。

ショ「大丈夫ですかー!?」

隊員達の事を気遣う言葉が聞こえた。隊員達は声がした方に視線を動かした。
そこにいたのは、2人の女性を引き連れた、焦りを浮かべた鮮血のように赤い瞳を持つ妖精(ようせい)が1人―――――。

隊18「ショール様!」

隊19「・・・と、化け物ォオオ!?」

黒髪を揺らしながら、ショールは隊員達に駆けつける。
その隣にいるのは、深緑色のボサボサ頭をした女性―――ゾンビと、雪のように白い肌と着物姿の女性―――雪女はショールの隣から心底心配そうに隊員達を見つめた。

隊20「ショ、ショショショ・・ショール様・・・そ、そちらの方は・・・・?」

隊21「も・・もしかしてショール様・・・三股ですかぁ!?」

ショールとエルザが交際している事は、フィオーレ王国内では非常に有名な事である。何しろ週刊ソーサラーの「彼氏にしたい魔道士ランキング」で、青い天馬(ブルーペガサス)の魔道士、ヒビキと共に上位をキープし続けている(本人はキープしているつもりは一切ない)ほど、女性達の間では人気者なのだから。
何人もの女性達と交際しているヒビキとは違って、“妖精女王(ティターニア)一筋”という事で話題のショールが、遂に他の女性と―――!?しかも三股―――!?

ショ「ち、違いますよっ!この人(?)達は、トーヤと契約しているゾンビと雪女です。ここに来ようとした俺から、なぜか離れてもらえなくって。話を聞いたら、「契約者(トーヤ)の命令で悪魔と戦っている他のギルドの魔道士の方や、王国軍や軍隊、魔法部隊の皆さんを安全な場所まで避難させてほしい」という事だったので、ここまで一緒に来たという訳です。」

ショールの隣にいるゾンビと雪女の頬が、若干赤みを帯びている事にショール以外の者は全員とっくのとうに気づいている。

隊22「(人間以外にもモテモテのショール様って・・・)」

隊23「(やっぱり、イケメンなんだな・・・)」

そんなショールを、隊員達の一部が羨ましがっていたのは余談だ。

ショ「それに、僕はエルザ一筋ですから。エルザ以外の女性を愛する事は、死んでも不可能だと思います。」

隊24「(・・・こういう事を言える男って、やっぱイケメンでカッコよく見えるんだよな。)」

隊25「(俺達みたいな平凡な男が言ったら、逆に気持ち悪がられるんだろうなー・・・)」

サラッと女性を口説ける言葉を吐いてるショールを見て、隊員達の大半が遠い目をしたのは余談だ。
ゴホン!と1人の隊員がわざとらしい咳払いを1つした。

隊26「ところでショール様、先程私共を助けてくれたのはあなたですか?」

ショ「えぇ、まぁ。この近くに悪魔が潜んでいるらしく、その悪魔の能力で呼吸困難になるみたいなので、俺の魔法、手品(トリック)の1種である無効化(ルーズ)を使って、その能力を無効化させたんです。」

隊27「なるほど、流石ですな。」

隊員の1人が褒めると、ショールは照れたように頬を若干赤く染めた。

ショ「とにかく、皆さんは一刻も早くここから離れて下さい!悪魔は必ず、俺が倒しますから!」

隊28「し・・しかし・・・」

ショ「心配要りません。」

隊員の言葉を遮るように、ショールは言葉を紡いだ。

ショ「大魔闘演舞の最終戦には、俺は出場しませんでしたけど・・・これでも、優勝ギルドの魔道士の1人です。悪魔如きにやられたら、“フィオーレ一”“優勝”の名誉が傷ついちゃいますから。それに―――――」

ショールはゆっくりと目を閉じた。

ショ「俺は、これ以上、大勢の人が死に行くのを見たくないんです。死を見るくらいなら・・・自分が死んだ方がマシです。」

ショールの言葉に、隊員達は衝撃を受けた。そして、思った。
この人は、いったいどれくらいの死を見て来たんだろう―――――と。

ショ「でも、俺は絶対に死にません。」

ショールは閉じていた目をゆっくりと開けた。開けたショールの鮮血のように赤い瞳には、先程までなかった光が宿っていた。

ショ「俺には、守るべきものがありますから。それに、死んだら、エルザに怒られますからね。」

ショールはどこか悲しげで、寂しげで、小さくて、儚い笑みを隊員達に向けた。
それを見た隊員達は、それ以上反論する者はいなかった。

隊29「・・・分かりました。全部隊、直ちに撤退だァーーーっ!」

1人の隊員の声と共に、魔法部隊はゾンビと雪女と共にこの場を立ち去って行った。

隊30「ショール様、どうか・・・お気をつけて。」

ショ「ありがとうございます、皆さんも。」

最後の1人の背中が見えなくなるまで見届けた後、ショールは「はぁ」と小さなため息を漏らし後ろを振り返ると言葉を放った。

ショ「・・・もう出て来ても良いんじゃないか?バレてないと思ったら、大間違いだぜ?」

ショールの言い終わったのと同時に、ショールの目の前が黒に近い青色の光で包まれた。あまりの眩しさに、ショールは目を細め左腕で光を遮る。
光が治まり、腕を除けて前を見ると、目の前にいたのは灰色の体をした、鋭く尖った耳が特徴的な悪魔だった。

悪魔6「よく気づきましたね。」

口調的に、この悪魔は女だという事はすぐ分かった。

オー「私は“憎悪の悪魔”オーディオ。あなたは?」

ショ「妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士、ショール・ミリオンだ。」

悪魔とは思えない、“憎悪の悪魔”オーディオの優しい口調に少々驚きながらもショールも名乗る。

オー「人間、という生物は初めて見たけど・・・とても変わった生物なのね。」

突然語り出したオーディオの言葉にショールは耳を傾けた。

オー「人間1人につき、必ず1つ憎しみの感情が見えるわ。酷い人間は、10を超えていたわね。」

ショ「見える?憎しみの感情が?」

オー「私は“憎悪の悪魔”よ。相手の憎しみの感情を読み取る事が出来るのよ。もちろんあなたも・・・あら?」

ショールの憎しみの感情を読み取ろうとしたオーディオは首を傾げた。

ショ「残念だけど、今の俺には“憎しみ”という感情は一切ないんだ。()()()()()、ね。」

オー「つまり、()()()()()()、という事よね?」

オーディオの問いに、嘘をつくのもつかれるのも嫌いなショールは正直に頷いた。

ショ「まぁ、人の感情とかはこっちに置いといて・・・」

そう言いながらショールは、固く握り締めた右手の拳に紅蓮の炎を、左手の拳に吹き荒れる風を纏った。

ショ「まずはお前を倒す、それが優先だ。」

オーディオは不敵に微笑むと、右手をくいっと動かした。「来い」という意味だろう。お望みどおりにショールは小さく地を蹴り駆け出した。
素早くオーディオの背後に周り込むと、

ショ「炎風拳斬!!」

紅蓮の炎と吹き荒れる風を纏った拳を同時にオーディオの背中に叩き込んだ―――が、

オー「効かないわね。」

ショ「!」

ショールの攻撃はオーディオには一切効いていない。
ショールが戸惑っている隙に、オーディオは指先に黒に近い青色の圧縮した魔力を溜めていた。

オー「ハァ!」

オーディオの指先から魔力が放たれた。圧縮された魔力は一筋の閃光になってショール目掛けて一直線に放たれた。

ショ「無効化(ルーズ)!」

オー「!」

ショールが叫んだのと同時に、魔力の閃光はシュゥと蒸発してしまったかのような音を立てて消えた。つまり、無効化されたのだ。

ショ「効かないな。」

先程オーディオが言った事と同じ事をショールも言う。

ショ「俺の攻撃も、お前の攻撃も・・・お互い相手には効かない。五分五分って事だな。」

オー「あーら、悪魔を甘く見ない事ね。本気になれば、たったの一撃であなたの体を消す事だって出来るのよ?」

ショ「今の見ていなかったのか?お前の攻撃は、俺の魔法、手品(トリック)の1種である無効化(ルーズ)によって無効化とされる。逆に俺の攻撃は、お前が防がない限り当たり続ける。それに、手品(トリック)には相手の急所や弱点を探る事が出来る、透視(クリアアイズ)という能力もあるんだ。」

オー「なっ・・!?」

ショ「俺は嘘をつかないんだけど、嘘だと思うなら、実際に探り当ててやろうか?お前の急所と弱点。」

ショールはニィッと口角を上げて勝ち誇ったような笑みを浮かべた。

オー「あなた・・・なかなかのキレ者のようね。」

ショ「よく言われるよ。」

悪魔も「キレ者」だと認めるこの男―――――。敵に回したら厄介なタイプである事には間違いない。

オー「だけど―――――紛失(ロスト)!」

ショ「!?」

オーディオが叫んだが、何も起こらない。

ショ「(な・・何だったんだ・・・?)」

ショールは戸惑ったような目を泳がせるが、やはり何も起こらない。

オー「ハァ!」

ショ「!」

ショールが戸惑っている隙に、オーディオは再び指先に圧縮した魔力を放った。さっきよりも速い!

ショ「だから効かないって!無効化(ルーズ)!」

ショールが叫んだ―――が、魔力は無効化されない。

ショ「え・・・?」

オーディオが不敵な笑みを浮かべた。

ショ「そ、そんな・・・!無効化(ルーズ)が、効か・・ぐああぁああぁぁああああああっ!」

圧縮された魔力の閃光は容赦なくショールの鳩尾に決まり、ショールは地面をゴロゴロと転がる。威力が強かったのか、この一撃でショールはかなりのダメージを受けた。

オー「紛失(ロスト)。これは相手の能力を1つだけ紛失させる―――つまり、()()()()()っていう事よ。」

倒れ込んでいるショールに、オーディオは言葉を紡ぎながら1歩1歩ゆっくりと歩み寄る。

オー「これであなたの能力、無効化(ルーズ)は、私との戦いでは二度と使えないわ。ふふっ、無効化するはずが逆に無効化されるなんて・・・おバカさん♪」

オーディオの黒に近い青い瞳が、妖しげに輝いた。

オー「ほら、立ち上がって。ここから盛大に楽しみましょ?戦いも夜も、まだ始まったばかりなんだから。人間と悪魔の奈落(地獄)の宴は、ここからが本番よっ!」

今、頭の冴えた、傷だらけの黒の妖精(ようせい)が、“憎悪の悪魔”に立ち向かう―――――。 
 

 
後書き
第199話終了~♪
予想以上に文字数と時間を費やしてしまい、思ってた以上に長くなってしまった・・・
次回もやっぱり、悪魔の紹介みたいなお話です。本当に申し訳ありません・・・
ぞれではまた次回、お会いしましょう~♪
 

 

第200話 赤の妖精と水色の妖精

 
前書き
紺碧の海です!
今回も前回と似たような内容で、10頭の悪魔の紹介みたいなお話です。・・・ハァ。
ナレーション風に書いていきます。
それでは、第200話・・・スタート! 

 
―クロッカスの街 西側―

悪魔7「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」

大気が震える。
凄まじい悪魔の雄叫びが轟くクロッカスの街は、もはや“街”と言える事が出来なくなってしまった。街行く人々の声が聞こえ、色とりどりのクロッカスの花が咲き誇り、活気に満ち溢れていた“街”は―――――“残骸”となってしまった。
木々は倒され、クロッカスの花は引き千切られ、建物は破壊され、砂埃が舞い上がる。

悪魔7「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」

それでも悪魔は、雄叫びを轟かせながら“残骸”となってしまったここを尚も破壊し続ける。
そんな中、リョウやエルザ、ショールの指示に従い西側にやって来た王国軍や軍隊の兵士達は、瓦礫の陰に身を潜め立ち往生していた。

兵1「・・・不味いな。」

兵2「これじゃあ、近寄れねェ・・・」

兵3「・・どうしたら・・・」

兵士達が立ち往生している事には訳がある。
この悪魔は赤黒い巨大な斧を持っており、その斧を上下左右闇雲に振り回しながらクロッカスの街を破壊しているのだ。斧は切れ味抜群で、コンクリート壁の建物もいとも簡単に真っ二つに出来るほどだ。
そんな危険すぎる斧に人間が当たったら、100%確実に一溜まりもない。
試しに先程瓦礫の陰から数本の矢を放ってみたのだが、闇雲に振り回される斧に弾き飛ばされ、矢は全て折られてしまった。もちろん、闇雲に斧を振り回しているだけの悪魔は、矢が飛んで来た事にも気づかなかった。

兵4「他にここから悪魔に攻撃出来る武器はないのかっ!?」

矢以外で兵士達が持っている武器は、剣、槍、盾。剣と槍は近距離専門の武器だし、盾は瓦礫の陰に隠れている以上無意味に等しかった。

兵5「こんな重大な時に役に立たない物しか持っていないとは・・・!」

兵6「私達は、悪魔を倒す事も、街を守る事も、多くの命を守る事さえ出来ないのか・・・!」

兵士達の多くは自分達の無力さに嘆いた。
兵士達の嘆きの声を掻き消すように、悪魔の凄まじい雄叫びが轟いた。



兵7「やりましょう!」



1人の新人兵士が顔を上げて驚愕の言葉を放った。新人兵士の言葉に兵士達は目を見開いた。

兵7「私達軍隊の者がこの世に存在している理由は、街を、命を、平和を守る為ではありませんかっ!?武器がないからと言って、いつまでもこんな所でビクビク震えているだけじゃ、街の被害は拡大するばかりです!」

そこまで言うと、新人兵士は腰に装着している鞘から剣を抜いた。剣の剣先が、月の光に反射しキラリと銀色に光った。

兵7「守る為ならば、命が無駄になる事はありません。少しでも、街を、命を、平和を守る事が出来るのならば―――――私は、この命惜しくありません。・・・この中に、私と同じ考えを持つ方は剣を抜いて下さい!」

一瞬、辺りが静寂に包まれた。
新人兵士の言葉に、多くの兵士達は目付きを鋭くし、意を決すると、腰に装着している鞘から剣を抜いた。

兵8「新人に目を覚まされるとは・・・先輩として、情けねェぜ。」

兵9「全くだ。」

兵10「やってやろうじゃねーかっ!」

兵11「命が尽きるまで、思う存分足掻いてやる!」

兵士達はお互い顔を見合わせ、固く握り締めた拳をぶつけ合った。剣を抜かなかった兵士は、誰一人として存在しなかった。
1人の兵士が月明かりに照らされた剣を頭上に高々と掲げた。

兵12「もう迷いも、恐れもない!己の全てを強さに変えろ!その強さを、命の灯火が燃え尽きるまで討て!」

兵全「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」

腕を、剣を振り上げ、兵士達が悪魔に向かって突撃しようとしたその時だった。兵士達の行く手を紅蓮の炎が阻んだ。

兵13「うわァア!」

兵14「な、何だ何だっ!?」

兵15「ほ・・炎が、なぜ・・・!?」

兵16「あの悪魔は、炎も出せるのかァ!?」

兵士達は炎から遠ざかる。
目を凝らしてよく見ると、炎の中で黒い人影が動いている。

兵17「誰かいるぞっ!」

兵18「敵かっ!?」

兵19「いや違う。あれは・・・!」

炎の中から姿を現したのは、ゆらゆらと揺らめく炎のような赤髪に、なぜか裸足の妖精(ようせい)が1人―――――。

兵20「フ、フレイ様ァ!?」

兵21「なぜここにっ!?」

フ「いいからいいから、まずは後ろに下がってくれ。」

目を見開いて驚嘆の声を上げる兵士達とは対照的に、フレイは肩越しから背後で暴れ回っている悪魔を睨み付けながら、突撃しようとした兵士達を後ろに下がらせた。

フ「自らの命を捨ててまで、悪魔を倒そうとしてくれた事には、妖精の尻尾(フェアリーテイル)を代表として礼を言わせて貰うぜ。ありがとうなっ。」

白い歯を見せながらフレイは兵士達に礼を言った。
まさか、常に問題山積みで超ブッ飛んでいる、フィオーレ一の魔道士ギルドの魔道士から礼を言われるとは思っていなかった兵士達は目をパチクリさせる事しか出来なかった。

フ「でもな、いくら街や命、平和を守る為だからと言って、こんなにたくさんの命を犠牲にする事は出来ねェんだ。あの悪魔の事は俺に任せて、お前等は安全な場所に避難してくれ。」

フレイの言葉に、兵士達は目を見開いた。

兵22「そ・・そんな事、出来ません!」

兵23「いくらフィオーレ一の魔道士ギルドの魔道士だからと言って、あんな凶暴な悪魔相手に1人で立ち向かうなんて・・・敵う訳ありません!」

兵23「私達にも援護さ」

フ「断る。」

「させて下さい!」と言おうとした兵士の言葉をフレイは即遮ると、固く握り締めた拳に紅蓮の炎を纏い言葉を紡いだ。

フ「妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士は、大切なものを守る為なら、相手が悪魔だろーが強かろーが凶暴だろーが、一切関係ねェ!誰一人、死なせねェよォ!」

フレイの言葉に兵士達は圧倒され言葉を失った。

フ「それに、お迎えも来てるみたいだしな。」

兵24「お迎え?」

フレイが兵士達の後ろを指差した。振り返るとそこには、藁を編んで作った笠を被った、一つ目の妖怪―――一つ目小僧と、茶色い毛並みにピンと立った耳を持つお化け―――狼男がいた。

兵25「ギャーーーーーーーッ!」

兵26「ひっ・・ひぃ・・・!」

兵27「ば・・ば、ばばっ・・・ば・・・・」

兵28「お、おぉ・・お、おば・・・」

兵士達のほとんどが腰を抜かしてその場に座り込んでしまった。一つ目小僧と狼男は脅かして申し訳なさそうに兵士達に向かってペコペコ頭を下げていた。

フ「俺達の仲間だから安心しろって。コイツ等が安全な場所まで案内してくれる。そうだろ?」

フレイが問うと一つ目小僧と狼男は揃ってコクンと頷いた。
兵士達は仕方なく非難する事に決めた。

兵29「フレイ様、くれぐれも無理はしないで下さいね。」

兵30「どうか・・・お気をつけて。」

フ「おう!」

一つ目小僧と狼男に連れられて避難して行く兵士達の後ろ姿を最後まで見送った後、フレイは人間の姿から鳥の姿に変わり、未だに赤黒い巨大な斧を闇雲に振り回している悪魔の頭上まだ飛んで行く。
悪魔は自分の頭上にいる赤い鳥の姿に一切気づく気配がない。

フ「武器を振り回して近づけない相手には、俺みたいな飛べる奴が有利なんだよな。」

独り言のように呟くと、フレイは体全身に紅蓮の炎を纏い悪魔の頭上目掛けて急降下した。

フ「火炎螺旋刀(ファイア・ドリル)ッ!!」

悪魔7「ぐァアアアッ!」

悪魔は呻き声を上げる。

悪魔7「こんのォ!」

フ「おっと!よっ、ほっ!」

相変わらず斧を闇雲に振り回すが、フレイは赤い羽を器用にはばたかせながら上手くかわし続ける。フレイは地面に着地すると、一瞬でまた人間の姿になり、両手を構え紅蓮の炎を纏うと、

フ「ファイアメイク、大槌兵(ハンマー)ッ!!」

悪魔7「ぐォオオオッ!」

悪魔の頭上に巨大な大槌兵(ハンマー)を造形し振り落とす。炎の大槌兵(ハンマー)が悪魔の動きを封じている間に、フレイは再び両手を構え紅蓮の炎を纏うと、

フ「ファイアメイク、戦弾(バトルブレッド)ッ!!」

炎を纏ったフレイの両手から、無数の炎の弾丸が次々と放たれ悪魔目掛けて一直線に飛んで行く。

フ「まだまだァア!」

フレイの両手から放たれる無数の炎の弾丸は更に勢いを増す。
炎の弾丸が放たれて悪魔に当たるのと同時に、砂埃が舞い上がりフレイの視界から悪魔の姿が見えなくなった。

フ「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ。」

少々乱れた呼吸を整えながら次の攻撃をする為、再び両手を構え紅蓮の炎を纏ったその時、

フ「!」

砂埃の中から、フレイが放ったはずの炎の弾丸が飛んで来た。フレイは慌てて体勢を低くし弾丸をかわす。

フ「当たったはずの弾丸が・・・何で!?」

炎の弾丸がフレイの左頬を掠め、頬から血が流れた。
砂埃の中で巨大な黒い影が動いた、と思ったら、「ふぅーっ!」という悪魔が息を吐き砂埃を吹き飛ばした。フレイは両腕で飛んで来た砂から身を守る。

悪魔7「俺に攻撃を食らわせるとは・・・どんな強者かと思いきや、こんな小童(こわっぱ)だとはな。」

砂埃の中から出て来た、人間の言葉を話す悪魔は、足元にいるフレイを見て嘲笑った。その態度にフレイはムッとした。

悪魔7「おい、そこの小童(こわっぱ)、名を名乗れっ!」

フ「何様だが知らねーけど、随分偉そうな悪魔様だな。」

右肩をぐるぐると回しながらつまらなそうに言うと、両手を構え紅蓮の炎を纏った。

フ「俺はフレイ。妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士の1人、フレイ・レッドシェルだァーーーーーっ!」

フレイは身の丈よりも大きな炎の剣を造形すると、小さく地を蹴り悪魔との距離を詰めギリギリの所で高く跳躍すると、

フ「炎聖剣(ファイアエクスカリバー)ッ!!」

巨大な炎の剣を悪魔に向かって振り下ろした―――が、炎の剣の剣先が悪魔に当たる直前に、悪魔は持っていた赤黒い巨大な斧の刃でフレイの攻撃を防いだ。

フ「!」

悪魔7「フレイ・レッドシェル・・・かっ!」

フ「ぐわっ!」

フレイの名を繰り返し呟くと、悪魔は斧を振った。服が破れ傷は負ったものの、フレイはギリギリの所で斧を避ける事が出来た。

フ「・・・さっき、俺が放った炎の弾丸・・・お前には、一撃も当たっていなかったのか?」

悪魔7「いや・・残念な事に2~3発程当たってしまった。それ以外は、手で掴み取り、お前に跳ね返したのだがな・・・やはり自分が放った攻撃はそう簡単には当たらないま。」

悪魔の言葉にフレイは言葉を失い目を見開いた。

フ「(あれだけの弾丸を、たった2~3発だけ・・・!?しかも、その大半を・・俺に、跳ね返したってのか・・・!?)」

驚いてるフレイを無視して、悪魔は斧を持ち直し構えた。

ダス「俺は“闇の悪魔”ダストニス。お前が奈落(地獄)に行く前に教えといてやる。俺はそれほど強くないんだ。」

フ「おいおい、自ら自分が弱者だって認め」

ダス「勘違いするな。俺は「強くない」と言っただけだ。誰も「人間に負けてしまうほど強くない」とは言ってないはずだけどな?」

フ「・・・・・」

自分が早とちりをしたのも悪いが、紛らわしい言い方をするダストニスの事をフレイは睨み付ける。

ダス「人間は、“闇”を超える事が出来るのか・・・興味深い。」

フ「超えてやるよ、絶対に。」

フレイは両手を構え紅蓮の炎を纏うと巨大な炎の斧を造形した。

フ「俺だって、悪魔に負けるほど弱くねェよ。特に、“闇”には尚更負ける気がしねェぜ。」

ダス「つまりお前は、“光”という訳か・・・ますます興味深い。」

フレイとダストニスの間を静かに風が吹いたのと同時に、2人が小さく地を蹴り駆け出したのは同時だった。
炎の斧と悪魔の斧がぶつかり合い睨み合う。

ダス「これほど興味深い奴と戦うのは生まれて初めてだっ!思う存分、楽しませろっ!フレイ・レッドシェル!」

フ「お望みどおり、思う存分楽しませて痛めつけて灰にしてやるっ!序に分からせてやるっ!“闇”は“光”には勝てねェって事をなァ!」

今、紅蓮の炎を纏い、傷だらけの赤の妖精(ようせい)が、“闇の悪魔”に立ち向かう―――――。

*******************************************************************************************************

―クロッカスの街 南側―

月明かりに照らされ、クロッカスの街に浮かび上がる、巨大な黒い影―――――。
その影の招待である悪魔は、口から黒に近い濃い緑色をした液体を吐き出した。悪魔の口から吐き出された液体が木や建物、ベンチや街灯に降りかかる。すると、シュゥ~と蒸発するような音を出しながら、見る見るうちにドロドロに溶け出した。
この悪魔が口から吐き出す液体は、どんなものでもドロドロに溶かす事が出来る、非常に危険な液体なのだ。

アニ「月光弾(ムーンライトショット)、乱射!」

アリ「暗闇弾(ダークネスショット)、乱射!」

海中の洞穴(マリーンケイヴ)の双子の魔道士、アニーとアリーが光銃(シャイニーガン)闇銃(ダークガン)から月の光を纏った無数の弾丸と、漆黒の闇を纏った無数の弾丸を銃口から乱射し、息の合った連係(コンビネーション)攻撃をお見舞いする―――が、無数の弾丸は悪魔が吐き出した液体でドロドロに溶けてしまい、運良く当たった弾丸も、悪魔にとってほとんど無意味に等しい威力だった。

キー「ケンタウロス、狙いは目の前の悪魔だっ!」

ケン「承知!」

アチュ「吹き荒れろ!超超超大型(メガスーパー)ハリケーーーーーン!!」

その横で銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)の魔道士、キースが呼び出した、上半身が人間で下半身が馬の姿をした、弓矢を持った星霊―――半人半馬座の星霊、ケンタウロスが狙いを定め矢を放ち、白い柳(ホワイトウィロウ)の魔道士、アチュールが両腕に吹き荒れる風を纏ったままその場でものすごい速さで回り、巨大な渦巻いたハリケーンをお見舞いする―――が、ケンタウロスが放った矢は悪魔が吐き出した液体でドロドロに溶けてしまい、運良く当たった矢も、アニーとアリーが放った弾丸同様無意味に等しい威力だった。ハリケーンは狙い通り悪魔に直撃し、あまりの威力に悪魔も顔を顰めた(ように見えた)が、深く息を吸い込んだ悪魔の口の中に吸い込まれてしまい、大量の液体を口から吐き出したので相手が有利になってしまうだけだった。

バロ「風竜の・・・咆哮ッ!!」

ウラ「水神の・・・怒号ッ!!」

レヴ「星竜の・・・咆哮ッ!!」

その横で海中の洞穴(マリーンケイヴ)の魔道士であり、第2世代の風の滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)、バロンと、白い柳(ホワイトウィロウ)の魔道士であり、水の滅神魔道士(ゴッドスレイヤー)、ウララと、銀河の旋律(ギャラクシーメロディー)の魔道士であり、第1世代の星の滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)、レヴルの3人が、同時に口から吹き荒れる風、黒い水、金銀に光る星の光をお見舞いする―――が、何と悪魔は3人の攻撃を自分の右腕で受け止めた。右腕に多少の傷は負ったものの、悪魔は何事も無かったように平然としている。

ヒリ「そんな・・・!」

タク「滅竜魔法や滅神魔法が効かないなんて・・・」

アナ「そんなの、アリなの・・・?」

ヒリア、タクヤ、アナの順に驚嘆の声を上げる。
悪魔は自分の足元に佇んでいるキース達を見下ろすと、口から液体を吐き出した。キース達はその場で小さく跳躍して左右に散らばり液体をかわす。ベチャッと音を立てて液体が降りかかったアスファルトは、当然ながらドロドロに溶けた。

一夜「な・・何て危険な、香り(パルファム)なんだ・・・」

バロ「一夜さん、あれは香り(パルファム)じゃなくて液体ですよ。」

青い天馬(ブルーペガサス)の魔道士、一夜の言葉にバロンは曖昧な笑みを浮かべてツッコミを入れる。

アニ「あの液体を防ぐ方法はないのかなぁ~?」

アリ「どんなものでも溶かす液体なんだから、防いでもドロドロに溶かされるだけ。」

アニ「あ、そっかぁ~♪」

アニーの呑気すぎる疑問に、アリーが冷静に答える。

ジェ「お色気作戦・・・な~んて効かないわよね。」

ジェニーがスリットの入ったスカートをひるがえし太股を覗かせる。

レヴ「液体を防ぐ方法も無い、攻撃も全く効かない・・・」

キー「こんなの、いったいどうやって倒したらいいんだよ・・・!?」

レヴルとキースが唇を噛み締めながら呟いた。
すると、再び悪魔がキース達に向かって口から液体を吐き出した。しかもさっき吐き出した倍の量の液体だ。黒に近い濃い緑色の液体が雨のように落ちてくる。

一夜「こ・・これは、不味い・・・!」

アチュ「言われなくても分かってるっつーのっ!」

変なポーズを決めながら呟く一夜に向かってアニーは怒鳴りつけるが全く怖くない。
悪魔は次から次へと口から液体を吐き出していく。

ウラ「ダメ!避け切れない!」

ジェ「い~やぁ~~~!」

もうダメだ!と誰もが思ったその時だった。

ユ「その場から1歩も動かないでっ!アイスメイク、爆弾(ボム)ッ!!」

透き通るような声が響き渡ったのと同時に、どこからともなく、無数の氷の爆弾が飛んで来て、液体にぶつかったのと同時にドゴォン!バコォン!ドーーーン!バーーーン!と爆発し、液体を爆散させた。

アナ「ば・・爆散、した・・・」

ヒリ「す、すごい・・・!」

バロ「い・・いったい、誰が・・・?」

キース達はもちろん、悪魔までもが氷の爆弾が飛んで来た方に視線を移した。
そこにいたのは、風で揺れる水色の髪の毛とワンピース、握り締めた拳に冷気を纏った妖精(ようせい)が1人―――――。

アリ「ユモスさん。」

アリーが静かに、その妖精(ようせい)の名を呟いた。
ユモは頭を抱えて地面に伏せているジェニーの手を取り、ゆっくりと立たせジェニーに向かってニコッと優しげに微笑んだ。

一夜「ユモスさん、あなたのお陰で助かりました。よろしかったら、今夜どこかにお食事にでも」

アチュ「こんな所で口説いてんじゃねーーーーーっ!」

堂々とした態度でユモに近づき、堂々とした態度で口説こうとする一夜の頭をアチュールがパシッ!と叩いた。

ユ「あの悪魔の事は私に任せて、皆さんは一刻も早くこの場を離れて下さい!」

アニ「え~。ユモス1人じゃ危険すぎるよ~。私もアリーと一緒に残って戦う!」

頬をぷくぅ~と膨らませながら、アニーは右手でくるくると器用に光銃(シャイニーガン)を回しながら隣にいたアリーの腕を掴んだ。いきなり腕を掴まれたアリーは戸惑ったように目をパチクリさせたが、すぐに小さくコクンと頷き、アニー同様左手でくるくると器用に闇銃(ダークガン)を回した。

ユ「ありがとう。でも、私なら大丈夫!必ず、あの悪魔を倒してみせるから。アニーとアリーはろくろっ首と化け猫と一緒に、安全な所まで避難して、ね?」

アニ「ろくろっ首ィ?」

アリ「化け猫?」

ユモの言葉にアニーとアリーはこてっと首を傾げた。
ユモがキース達の後ろを指差した。キース達もユモが指差した方に視線を移すと、そこには恥ずかしそうに立っている、首が1mぐらい伸びた、淡い緑色の着物を着た妖怪―――ろくろっ首と、梅の花が描かれた赤い着物を着た、頭に耳、顔に髭、お尻に尻尾が生えている女の子―――化け猫がいた。

タク「うわぁああっ!」

バロ「よ・・よよよ、妖怪ィ!?」

タクヤとバロンが驚嘆の声を上げた。その声に驚き、ろくろっ首と化け猫の華奢な両肩がビクッと大きく震えた。

ユ「あの子達が安全な場所まで案内してくれるはずです。そうだよね?」

ユモが問うと、ろくろっ首と化け猫は大きく頷いた。
駄々をこねるアニーを説得し、キース達は大人しく、この場を離れ避難する事に決めた。

キー「ユモスさん、あの・・ナツさん達は・・・?」

キースが恐る恐るという感じでユモの背中に問うた。

ユ「恐らく、皆私と同じ事をしてると思う。」

レヴ「最強チームの皆さんが、悪魔と戦っている・・・という事ですか?」

ユ「たぶんね。」

レヴルの言葉にユモは頷いた。キースとレヴルの場所からはユモの顔は見えないが、ユモがどこか悲しげな笑みを浮かべている事はなぜか分かった。
くるっとキースとレヴルの方に向き直ったユモは笑っていた。

ユ「大丈夫。私も皆も、必ず倒す!悪魔になんか絶対負けない!キース達は皆の事を信じて待ってて、ね?」

ユモの透き通った青い瞳に迷いも恐れも映っていなかった。キースとレヴルは黙って頷く事しか出来なかった。

キー「絶対・・・絶対勝って下さいよ!?」

レヴ「くれぐれも、気をつけて。」

ユ「キース達も。」

見る見るうちに遠ざかり小さくなっていくキース達の背中が見えなくなるまで見送ったユモは、振り返ろうとしたのと同時にその場で小さく跳躍し左に避ける。さっきまでユモがいた場所にビシャッと音を立てて液体が降りかかり、アスファルトがドロドロに溶けた。
悪魔は次々とユモの頭上に向かって口から液体を吐き出す。ユモも液体が落ちる場所を見計らい、次々とかわしていく。至る所でバチャッ、ビチョッ、ベシャッと音を立てて液体が降りかかり、至る所でアスファルトがドロドロに溶けていく。

悪魔8「人間のくせに、ちょこまかちょこまかと動き回りやがって・・・!」

ユ「アイスメイク、槍騎兵(ランス)ッ!!」

構えた両手に冷気を溜め、無数の氷の槍を造形し悪魔に向かって放つ―――が、悪魔は液体を吐き出し、氷の槍をドロドロに溶かした。

悪魔8「これなら・・・どうだァ!」

悪魔がバケツ1杯分の液体をユモに向かって吐き出した。ユモは両手を構え冷気を溜めると、

ユ「アイスメイク、(シールド)ッ!!」

花弁のような形をした氷の盾を造形し液体から身を守る―――が、どんなものでも溶かす事が出来る液体は氷の盾をドロドロに溶かしていく。

ユ「(やっぱり、氷の盾じゃ防ぎ切れない・・・)」

氷の盾が完全に溶け切る直前、ユモは体勢を低くし液体を避けたが、髪を束ねている青いヘアゴムがブチッ!と音を立てて切れた。胸ぐらいの長さのユモの水色の髪の毛が、月明かりに照らされて銀色に輝く。

悪魔8「髪・・下ろした方がカワイイじゃねーか。」

ユ「戦う時に邪魔だから・・・でも、もう結ぶゴムがないから仕方ないわね。」

ユモは困ったように呟きながら、構えた両手に冷気を溜めると、

ユ「アイスメイク、双剣(ダブルソード)ッ!!」

氷の双剣を造形し、小さく地を蹴り駆け出した。
走るユモ目掛けて悪魔は液体を吐き出す―――が、ユモは走りながら右に、左に移動し液体をかわしていく。

ユ「ハアアアアアアアアッ!」

悪魔から5mほど離れたところで、ユモはその場で高く跳躍し氷の双剣を悪魔目掛けて振り下ろした―――が、悪魔は両手でガシッと剣先を受け止めた。

ユ「!」

目を見開いているユモとは裏腹に、悪魔は口角を上げ不敵に微笑むと、「ふっ」と短く息を吐いたのと同時に、ユモの右肩目掛けて一滴ほどの液体を吐き出した。

ユ「アアアアアアアアアアアアアアッ!」

ジュゥ~と蒸発するような音を立ててユモの右肩が焼けていく。
どんなものでも溶かしてしまう液体は、スポイト一滴ほどの少量でも効果は抜群で、人間の体に当たると焼けるような痛みが襲う。

ユ「アアアアアアアアアアアアアアッ!」

右手で右肩を力強く押さえたまま、ユモは地面に倒れ込む。歯を食いしばり痛みに耐えようとするが、焼けるような痛みはなかなか治まらず、あまりの痛みに目が潤み始める。

悪魔8「まずは小手調べとして、肩にしてやったんだ。どうだ?痛いだろ?」

ユ「っ~~~~~!」

声にならない呻き声を上げながら、ユモは目の前にいる悪魔を若干潤んだ青い瞳で睨み付けた。

トッ「俺は“死の悪魔”トッドゥだっ!ドロドロに溶けて死んじまう前に教えておくぜっ!」

ユ「・・・死・・・・?」

ユモは右肩を押さえながら、よろよろと立ち上がる。

トッ「俺には分かるぜ。お前が・・・今まで多くの“死”を目の当たりにしてきた事がな。」

ユ「!」

トッ「生まれ育った街の人々、父さん、母さん、兄、友人の姉、師匠・・・めちゃくちゃ“死”を味わってんだなお前!気に入った!お前、名前は何て言うんだ?」

ガタガタと肩が小さく震えているユモにトッドゥは問う。
ユモは痛む右肩を押さえながら、自分の哀れな過去を思い出しながら、小さな声で呟いた。

ユ「・・・ユモス・クオリナ・・・・!」

顔を上げたユモの青い瞳には、闘志がメラメラと燃え盛っており、怒りを露にしていた。その証拠に、ユモの10m範囲の地面が凍りつき、空気が小さな氷の粒になった。

トッ「!?」

トッドゥは辺りが氷で覆われ、空気が小さな氷の粒になった事に目を見開き、目の前にいるユモに視線を移した。

ユ「あなたは、人の“死”が好きなんだね・・・私とは正反対。」

ユモはゆっくりと目を閉じ、手を動かし、顔の前で両手を構えるとこれまでにない、冷たさを誇る冷気を纏った。

ユ「もう二度と、あんな思いはしたくない!大切な人達の“死”を目の当たりにするくらいなら・・・私が、私自身が、死んだ方がマシだアアアアアアアアアアッ!」

声を荒げて叫んだ。

ユ「アイスメイク―――――」

ユモの両腕は、巨大な鋭い鉤爪が付いた、身の丈を超えるほどの鎧で覆われた巨大な手を形をした氷で覆われていた。

ユ「騎士の前腕甲(エクセスブレイス)。」

閉じていた目をゆっくりと開けた。青い瞳には、“光”が射し込んでいた。

ユ「私1人で、あなたを・・倒せる事は、出来ないかもしれない・・・けど・・私に、力をくれて・・・私を、守ってくれる・・・氷と、大切な人達がいれば・・・私は、誰にも負けない!それが例え悪魔でも!大切な人達を守る為ならば・・・私は!氷であなたを、倒す!」

今、氷に覆われし心を持つ、傷だらけの水色の妖精(ようせい)が、“死の悪魔”に立ち向かう―――――。 
 

 
後書き
第200話終了です!
フレイとユモの組み合わせはかなり珍しいです。炎と氷だからかなぁ?
次回もやっぱり、悪魔の紹介みたいなお話です!ですが次回でやっと終わります!長かったぁ~・・・
それでは、See you next!
 

 

第201話 藍色の妖精と桜色の妖精と夕日色の妖精

 
前書き
紺碧の海です☆
今回も前回と似たような内容で、10頭の悪魔の紹介みたいなお話です。ですが今回でやっと最後です・・・!
ナレーション風に書いていきます
それでは、第201話・・・スタート☆ 

 
―クロッカスの街 北側―

ドガァン!ゴオォン!ガコォオン!という鈍くて大きな破壊音が響き渡る、瓦礫化とした夜のクロッカスの街。
街を無残な姿に変えてゆくのは、突如姿を現した悪魔が持つ鎖に付いた赤黒い巨大な鉄球。砲丸の10倍もある大きさの鉄球を悪魔は軽々と振り回し街を破壊していく。悪魔が振り回す巨大な鉄球により、建物が次々と破壊され、木々が倒され、地面に亀裂が入り、花々が儚く散り行く。

ハマ「これ以上!街を破壊するのはお止め下さい!花弁の弾丸(ペトゥールショット)!」

ツツ「ナックルプラント!」

幸福の花(ハピネスフラワー)の魔道士、ハマナスが鋼鉄のように硬い花弁の弾丸を悪魔に向かって放ち、ツツジが地面に投げた秘種(ひだね)が急成長して育った拳の形をした蔦が悪魔に殴り掛かる―――が、2人の攻撃は悪魔には痛くも痒くもないらしい。

リキ「アイアンメイク、槍騎兵(ランス)ッ!!」

カリ「クリスタルメイク、(イーグル)ッ!!」

月の涙(ムーンティア)の魔道士、リキとカリンが鉄の槍と硝子の鷲を悪魔に向かって同時に放つが、この2人の攻撃も悪魔には痛くも痒くもないらしい。

バッ「ヒッ・・ク、おぅおぅおぅ・・なかなかやるじゃねーか、あの化けモン・・・うぃ。」

トビ「って、いつまで酒飲んでんだよーっ!」

ユウ「戦えない俺等がそれ言っても意味ねェだろ・・・」

地面に胡座を掻いて酒を飲んでいる四つ首の猟犬(クワトロケルベロス)の魔道士、バッカスに蛇姫の鱗(ラミアスケイル)の魔道士、トビーがキレながらツッコミを入れ更にユウカもトビーにツッコミを入れる。
なぜトビーとユウカが戦えないのかと言うと、トビーの魔法は近距離専門なのだが、巨大な鉄球を振り回している悪魔には敵う訳が無く、ユウカの波動も、鉄球は魔法ではないので消し去る事が出来ず無意味に等しいからだ。酷く言えば、2人はこの場で役立たずという事だ。

バッ「ぷはぁ。役立たずは黙って見てろ・・ヒッ。」

トビ「うっ・・!」

ユウ「・・・・・」

酒を飲み終えたバッカスがふらふらぁ~と立ち上がりながら言う。その言葉にトビーは内心傷つき、ユウカは何も言えずに黙っていた。
バッカスは赤みを帯びた顔をニヤつかせ、その場で妙なポーズを構えると、

バッ「うォらァア!」

巨大な一撃を悪魔の腹部に食らわせた。
さすがの悪魔でも、バッカスの一撃は効いたみたいで足元がふらついた。

バッ「へへっ、どーんなもん・・・ぐハァ!」

ツツ「バッカス様!?」

カリ「キャーーーーーーーー!」

バッカスが油断したほんの一瞬の隙を突いて、悪魔は巨大な鉄球をバッカスの背中に命中させた。
鉄球の反動と重さで遠くまで吹っ飛ばされたバッカスはそのまま気絶。

悪魔9「我輩にちょっとダメージを加えただけで、調子に乗りすぎてこんな攻撃も避けきれぬとは・・・情けすぎて涙が出る。」

悪魔は涙を拭う振りをした。あくまでも振りだという事をお忘れなく。

悪魔9「貴様等はあの男のようにすぐ調子に乗るようなバカではないはずだと信じよう。さぁ、正々堂々と掛かって来い。そして地獄(奈落)に突き落としてやろう。」

静かな声で、だが迫力のある声で悪魔は鉄球を構えながら言葉を紡いだ。
ハマナス達もその場で身構えた、その時だった。

ウェ「皆さぁ~ん!」

この場の雰囲気とはかけ離れた声が遠くの方から聞こえた。
ハマナス達はもちろん、悪魔も声の主を探す為辺りを見回す。が、声の主はドコにもいない。

リキ「・・・気のせいか?」

ハマ「確かに聞こえたと思ったんですけど・・・」

声の主には心残りがあるが、ハマナス達は再びその場で身構え悪魔と向かい合った、その時だった。

ウェ「皆さぁ~ん!上です!上~!」

今度こそハッキリと鮮明に聞こえた。
「上」という声の主の言うとおり、ハマナス達はもちろん、悪魔も揃って上を見上げた。そこにいたのは、背中に黒い羽が生えた、藍色の髪の毛をした妖精(ようせい)が1人―――――。

カリ「ウェンディさん!?」

リキ「そ・・空、から・・・?」

トビ「いったいどうなってんだよーっ!?」

ユウ「キレんなよ。」

カリンとリキが驚嘆の声を上げ、なぜかキレているトビーにユウカがツッコミを入れる。
驚いている彼等の事をスルーして、ウェンディは黒い羽を羽ばたかせながら地面に降り立った。

ウェ「ありがとうございます、てんぐさん。」

ウェンディの背中から生えていると思われていた黒い羽の正体は、トーヤが一番最初に契約を交わした妖怪―――てんぐだったのだ。
そしてよく見ると、ウェンディの腕の中に赤い着物を来た小さな女の子―――座敷わらしが抱えられていた。

ウェ「怖くなかった?ざしきわらし?」

座「うん!うち、ぜーんぜん怖くなかったよ。」

怖い、というよりむしろ楽しかったという感じで座敷わらしはウェンディの腕から飛び降りた。

ツツ「ウェンディさん、なぜあなたがここに?」

ツツジが白髪のツインテールを揺らしながらウェンディに問うたが、答えたのはなぜか座敷わらしだった。

座「あのねあのね、トーヤに言われたの。他の悪魔と戦ってる人間を安全な場所まで避難させろって。」

て「こらこら。」

勝手に口を開く座敷わらしの事をてんぐが抱き抱える。

ウェ「私もここに来る途中この2人と会ったからここまで一緒に来たという訳です。」

ハマ「・・・飛んで、ですか?」

ウェ「はい。」

妖怪、という存在を初めて目にするハマナス、ツツジ、リキ、カリン、トビー、ユウカはまじまじとてんぐと座敷わらしを交互に見つめる。てんぐは緊張気味だが、座敷わらしはこんなに大勢の人間を見た事が無いらしく、違う意味でハマナス達の事を交互に見つめていた。

カリ「1人で大丈夫ですか?」

カリンが心底不安そうに問うと、ウェンディは困ったような笑みを浮かべた。

ウェ「・・・正直言うと、すごく怖いです。でも、違う場所で妖精の尻尾(フェアリーテイル)の皆さんが戦っているんです!私だけ逃げたら、情けないし、街も命も平和も守れませんから。だから、皆さんはてんぐさんと座敷わらしと一緒に、一刻も早くこの場から離れて安全な場所まで非難して下さい!お願いします!」

ハマナス達は目を見開いた。
こんな小さな少女のドコに、そんな強い想いがあるのだろう?そして、自分達はなんて情けないのだろうと―――――。

リキ「・・・ここは、ウェンディさんに任せた方が良いと思う。」

ウェ「!」

ツツ「確か、ウェンディ様の魔法は天空の滅竜魔法。“滅”だから、悪魔も簡単に滅する事が出来るかもしれませんからね。」

ユウ「本来滅するのは“竜”だけどな。」

カリ「細かい事は気にしない気にしない。」

トビ「気にしろよっ!」

ハマ「それに、私達の魔法はあの悪魔には痛くも痒くもないみたいですし、バッカスさんもあの様子じゃ、何の力にもなりませんからね。」

ウェンディはハマナスの言葉でバッカスが伸びている事を初めて知った。

ハマ「ウェンディさん、後はお任せしますね。」

ウェ「はい!皆さんもどうか気をつけて。」

ハマナス達はてんぐと座敷わらしに連れられてこの場を去っていった。座敷わらしがツツジのお腹を気に入ってしまった為、ずーっとツツジのお腹に抱き着いていたのは余談だ。
ウェンディはハマナス達の姿が完全に見えなくなったのを確認し、視線を悪魔に移した。悪魔は口を一文字に固く結び、巨大な鉄球を構えたままウェンディの事を黙って見つめていた。

悪魔9「・・・先に言っておくが、我輩達悪魔は、貴様等人間が倒せるような存在ではない。」

まだウェンディは一度も悪魔に攻撃をしていない。それなのに、鉄球を持つ悪魔は既に勝利を確信している。
ウェンディは両手を固く握り締めた。

ウェ「いいえ、どんな手を使ってでも、何が何でも必ず勝ちます!」

握り締めた拳を開くのと同時に、ウェンディは両手に風を纏い腕を横に大きく広げた。

ウェ「私があなたを倒さなければ、この街も、多くの命も、平和も、私の大切な人達も、全て消えちゃうから・・・だから!私が動けなくなるまで・・・いいえ、命が尽きるまで足掻きます!私は必ず、あなたを倒します!」

ウェンディと悪魔は、しばらくお互いの視線から目を離さなかった。
すると、悪魔の口元に薄く笑みが浮かんだ。

悪魔9「我輩は人間ではないが・・・貴様のその勇敢さは素直に認めよう。そして、その勇敢さに我輩も応えてやろう。我輩の命か貴様の命、どちらかの命が尽き、地獄(奈落)に堕ちるまで、この場からは離れぬと約束しよう。」

悪魔の言葉にウェンディは目を見開いたが、すぐに頷いて見せた。
お互い、その場に身構え戦闘体勢を取る。

エア「我輩の名は“野望の悪魔”エアガイツ。貴様は?」

ウェ「魔道士ギルド、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士―――ウェンディ・マーベルです。」

エア「ウェンディ・マーベル・・・良い名だ。」

“野望の悪魔”エアガイツが短く呟き終わったのとほぼ同時に、2人は小さく地を蹴り駆け出した。

今、勇敢なる、傷だらけの藍色の妖精(ようせい)が、“野望の悪魔”に立ち向かう―――――。

*********************************************************************************************************

―クロッカスの街 東側―



この戦いは、いったい何時(いつ)まで続くのだろう―――――・・・?



仲間は皆、無事だろうか―――――・・・?



今はいったい、何時(いつ)だろう―――――・・・?



そんな小さくもあれば大きくもある疑問が脳裏を過ってしまうほど時はいつの間にやら随分と経っていた。
“クロッカス”という名があるこの街は、既に“街”という面影を失くしてしまっている。“建物”と呼べる建造物も、“木”や“草”と呼べる植物までも、その面影を失くしてしまっている。酷い所では、更地になってしまっている場所まである。
そんな面影が全て消え失せてしまったクロッカスの街中をナツは歩いていた。ナツの背中にはマヤがすっぽりとその大きな背中に納まって背負われていた。

マ「・・ね、ねぇナツ・・・もう下ろしても大丈夫だよ?ナツももう疲れて」

ナ「なんかねーよ。」

マ「答えるの速ッ!」

「疲れているんじゃ・・・?」と言おうとしたマヤの言葉を最後まで聞かずに遮るようにナツは口を開いた。もちろん、その言葉どおりマヤの事は下ろさない。

マ「・・・あーもう!さっきも言ったけど私これでももう18歳なんだよォ!?恥ずかしいし重いし、だから早く下ろ」

ナ「やだね。」

マ「だから答えるの速い!」

「下ろして」と言おうとしたマヤの言葉を、再び最後まで聞かずに遮るように否定の言葉をナツは口にした。

ナ「あのなー、お前ホントに18歳なのか?って俺が変に思うくらいお前軽すぎ。」

マヤが必要以上に体重が軽い理由の約9割が、18歳にしては小柄な体型だからだろう。その事に気づかないのもまたナツらしいっちゃ、ナツらしいのである。

ナ「それに、誰かが見てる訳でもねェのにそんなに恥ずかしがる事ねーだろ?誰かいたら、すぐに下ろしてやるからよ。」

口ではそう言いつつも、内心では「誰も来るな、誰も来るな」と必死に願うのは、ナツの本心だという事はお見通しである。
だが、そんなナツの本心を見抜いてくれない意地悪な神様は、ナツの本心とは真逆の現状を見せてしまう。

隊1「うわぁっ!」

隊2「ヒィ~!だ、誰か~!」

悲鳴が聞こえた。どうやらすぐ近くに、突如姿を現した悪魔と、その悪魔と対峙している魔法部隊の者達がいるらしい。

マ「ほ、ほらナツ!人が近くにいるから下ろして!」

ナ「・・・しゃーねェな。」

マ「?」

不貞腐れるように唇を尖がらせるナツを見てマヤはこてっと首を傾げた。
マヤを地面に下ろすと、ナツはすぐにマヤの左手首をガシッ!と力強く掴んだ。

マ「ふぇ?」

ナ「行くぞーーーっ!」

マヤの返事を聞かずに、ナツはマヤの左手首を掴んだまま悲鳴が聞こえた方に向かって走り出した。マヤも引き摺られるようにナツの歩幅に合わせて走り出した。





悪魔10「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」

夜になってから何度も聞いてる悪魔の雄叫びは、何度聞いても残酷で、悲痛で、酷く耳障りである。1頭1頭の悪魔の雄叫びは(みな)、天を貫き、地を轟かせ、海を黙らせるほどの迫力があり嫌でも耳に残る。

悪魔10「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」

悪魔は狂ったように叫びながら、ゴツゴツした腕や足を振るい建物を破壊していく。破壊された建物の残骸が、隊員達の頭上に雨ののように降ってくる。既に怪我人も出ており、彼等にとってそれを避けるだけでも精一杯なのだ。

隊3「くそっ。思うように近づけねェ・・・!」

隊4「このままじゃ、俺達何も出来ずに全滅しちまうぞ!」

隊5「他の部隊から応戦出来る部隊はいないのかっ!?」

隊6「無理です!全部隊、他の悪魔と対峙中です!」

怪我人が続出している中で、悪魔の暴れっぷりは更に激しくなっていき、被害は徐々に拡大していく。

隊7「何か、何か手段はないのか・・・!?」

戸惑いの表情を浮かべ、頭を360度回転させるが隊員達の中で誰一人としていい考えが浮かぶ者はいない。
絶体絶命!と誰もが思った、その時だった。

ナ「火竜の・・・咆哮ッ!!」

悪魔10「ぐォオオ!」

その場で立ち尽くしていた隊員達の間を灼熱の炎が通過し、悪魔の左頬に直撃した。悪魔は炎の反動で右側に倒れ込んだ。悪魔が倒れたのと同時に砂埃が舞い上がり、隊員達の視界を妨げた。

隊8「ゴホッゴホッ!」

隊9「ケホッ、ケホッケホッ・・い、いったい・・・ケホッ、誰が・・・?ケホケホッ。」

咳き込みながら、隊員達は目を凝らして炎を繰り出した人物を探す。
徐々に砂埃が消え、炎を繰り出した人物の姿が確認出来た。桜色のツンツン頭に、白い鱗柄のマフラーを首に巻いた妖精(ようせい)が1人と、夕日色の髪の毛に、同色の大きな瞳を持った妖精(ようせい)が1人―――――。

隊10「ナツ様とマヤ様!」

隊11「な、なぜお2人が、こんな所に・・・?」

目の前で暴れまくっている悪魔と同様に、突如姿を現した妖精の尻尾(フェアリーテイル)一の問題児であるナツと、年中無休テンションMAXな事で有名なマヤの姿を見て隊員の1人が問うた。が、

ナ「おうおう、随分と暴れまくってくれてんじゃねーかよォ。」

マ「あーあ、せっかくの綺麗な街が台無しじゃん。これじゃあ“観光スポット”じゃなくて、まるで“戦争記念スポット”じゃん。」

隊員の問いが聞こえなかったのか、それとも敢えてスルーしただけなのか分からないが、ナツは目の前で盛大に暴れている悪魔を見て指の関節をポキポキ鳴らし、マヤはこんな状況だというのにも拘らず、思った事を正直そのまま述べている。悪魔は2人の姿に気づいていないのか、腕や足を振るい建物を破壊し続けている。
瓦礫化としたクロッカスの街を見て、呑気な感想を述べていたマヤがゆっくりと目を閉じ言葉を紡いだ。

マ「我と契約をした全ての動物達よ(オール・アニマルズ)、ここに姿を現せっ!」

呪文のような言葉を紡いだ後、ピィーーーーーーーーっ!とマヤは指笛を吹いた。繊細で、透き通るような音が響き渡る。
すると、遠くの方で砂煙が上がっているのが見えた。隊員達が目を凝らしてよく見てみると、ライオンや大熊、鷲や犬、猿や鹿、狼やうさぎ、馬や狐、地上にはいないはずのイルカまで!マヤと契約を交わしている、数え切れないほどの動物達がこっちに向かって全力疾走で駆けていた。

隊12「な、な、な・・・何だアレはーーーーーっ!?」

隊13「ど・・動物・・・?」

隊14「な・・何で、イルカまで・・・?」

隊15「つーか、何て数だ・・・」

目を見開いたり、言葉を失ったりしている隊員達を押し退け、駆けつけた動物達はマヤとナツを取り囲んだ。
犬のジョンはマヤの頬を舐め、ライオンのキングはナツの頭に噛み付き、大熊のドランは大きな手でマヤを包み込み、猿のノズはナツに飛び掛る。

ナ「お、おいマヤ・・・お前、こんなに契約してる動物達、こんなにいたのか・・・?」

マ「うん。あまり戦闘には呼び出さない動物達の方が多いから、ナツ達が知らない動物達がいっぱいいると思うよ~♪」

マヤの言うとおり、ナツが初めてお目にかかる動物達は山ほどいる。
虎や羊、たぬきや豹、ペンギンやホッキョクグマ、ロバやゴリラ、猫やあらいぐまなど・・・
ナツが初めてお目にかかる動物達ばかりなのに、なぜこうも動物達がナツにも懐いているのか・・・?
それは恐らく、マヤが動物達にナツの事をたくさん話しているからであろう。
思う存分大好きな動物達とじゃれ合うと、マヤは抱いていた犬のジョンとうさぎのミナを地面に下ろし立ち上がった。

マ「キングとバーン、ドランとノズ、クロウとルリ、ラズとケイ、オスキーとマムは怪我人を運んで!後の皆はキューとジョンを先頭に、隊員さん達を安全な場所まで案内してあげて!」

飼い主(オーナー)のマヤの指示通り、ライオンのキングとワシのバーン、大熊のドランと猿のノズ、狼のクロウとシカのルリ、ホッキョクグマのラズと馬のケイ、ロバのオスキーとゴリラのマムは怪我人を抱えたり、背中に乗せたりし始めた。

隊16「えと・・マヤ、さん・・・これはいったい・・・・?」

きょとんとした表情をマヤに向けて隊員の1人がマヤに問うた。マヤはニコッと満面の笑みを浮かべると、

マ「動物達に手伝ってもらって、皆さんを安全な場所まで連れて行くからついて行ってね。あ、いくら私と契約してる優秀な動物達でも、怪我の手当てまでは出来ないから、そこんとこヨロシク~♪」

怪我の手当てをする動物がいたらそれもそれで驚きだが、凶暴なライオンや大熊、狼やホッキョクグマが怪我をした人間を運ぶ事事態で既に驚きである事を、能天気少女のマヤは気づいていない。

隊17「あの悪魔はどうするんですか?」

ナ「心配すんな。アイツは俺達がボッコボコにしてやっから。な、マヤ?」

マ「うん!」

1人の隊員の問いに、ナツはマヤの右肩に腕を回しながら答え、ナツに同意を求められたマヤも大きく首を縦に振った。

ナ「ところでマヤ、魔力は大丈夫なのか?」

マ「それも大丈夫!動物達にお願いして、半分くらい自分の魔力で来てもらっているから。」

軽く流すように言うマヤだが、呼び出している動物達は数え切れないほどたくさんいる。その動物達1匹1匹の魔力の半分を自分が消費している事になるのだから、かなりの負担が掛かるはずだ。
マヤの頑丈さに驚くと同時に心底不安になるが、ナツはそれ以上何も言わなかった。
避難する準備が整った。最後に犬のジョンがマヤの足元に縋りついた。マヤは優しくジョンの頭を撫でると、

マ「落ち着いて、ゆっくり行動する事!何かあっても、私の所には来ない事!ドムス・フラウの前で、再会しようねっ。」

マヤが笑顔で言い終わったのと同時に、ジョンとキューを先頭に魔法部隊の隊員達は1人残らず動物達と共にこの場を去って行った。マヤは動物達の姿が完全に見えなくなるまで手を振り続けていた。

ナ「!危ねェ!」

マ「わっ!」

動物達の姿が完全に見えなくなりマヤが腕を下ろしたのとほぼ同時に、悪魔がこっちに向かって足を振るおうとしていた。それに逸早く気づいたナツは、マヤを抱えるようにして庇いながらその場から距離を取った。悪魔の蹴りはブン!と音を立てて空気を切り裂いただけだった。
悪魔はマヤを庇いながら自分の蹴りをかわしたナツを見て「ヒュゥ~」と短く口笛を吹いた。

悪魔10「meの蹴りをいとも簡単にかわすなんて、youなかなかやりますネ!」

ナ「ア?」

言葉に英語を交え、語尾の文字をカタカナで喋るこの悪魔が“悪魔”という存在に見えなくなってきたのは気のせいだろうか?

悪魔10「youとっても気に入りましたネ!meとっても嬉しいデス!」

1人はしゃいでる悪魔を無視して、ナツはその場にマヤを下ろしながら尋ねた。

ナ「お前、アイツ等を危険な目に遭わせたくなかったから、無理して全員呼び出して避難させたんだろ?その序に、魔法部隊の奴等を連れて、一緒に避難させたんだろ?」

マ「!」

図星だったのか、マヤの両肩がビクッ!と大きく震えた。

マ「だっ、だって!皆をこんな化け物と戦わせちゃったら、絶対怪我じゃ済まないと思ったし、怖い目に遭わせたくなかったし・・・それに私、いつも皆に迷惑かけて」

ナ「おっと!」

マ「ほわぁ!」

話の途中で、再び悪魔がこっちに向かって足を振るおうとしていた事に逸早く気づいたナツが、「迷惑かけてるから」と言おうとしたマヤを再び抱えるようにして庇いながらその場から距離を取った。悪魔の蹴りは、再びブン!と音を立てて空気を切り裂いただけだった。

悪魔10「無視しないで下さいネ!meとっても悲しいデス!」

口ではそう言いつつも、全く悲しそうに見えないのはなぜだろうか?
そんな悪魔をまた無視して、今度はマヤを抱えたまま、視線だけを悪魔に向けたままのナツは口を開いた。

ナ「アイツ等は迷惑だなんてこれっぽっちも思ってねーよ、絶対。大好きな飼い主(マヤ)の頼みなら、どんなに些細な頼み事でも、アイツ等は嬉しがるに決まってら。それに・・・」

そこまで言うと、ナツは視線を自分の腕の中にいるマヤに移した。マヤの大きな夕日色の瞳と目が合った。

ナ「分かってるはずだぜ、アイツ等も。マヤが自分達の事を思って取った行動だったって事をな。もし分かっていなかったら、1匹残らずこの場に残って、マヤを命懸けで守ってるはずだからな。」

マ「・・・ナツも、いつも命懸けで私の事、守ってくれてるよね?」

ナ「なっ・・/////////////////」

思っても考えてもいなかった言葉に不意を突かれたので、ナツは顔を赤らめずにはいられなかった。

悪魔10「隙アリデス!」

ナ「!ぐァア!」

マ「キャアアアアア!」

隙だらけだったナツの足元を狙って、悪魔は蹴りを放った。見事にナツは反応に遅れ体を瓦礫に強く打ちつけ、ナツに抱えられていたマヤも地面をゴロゴロと転がった。

悪魔10「ラブラブタイムは終了デス!もう無視はさせないデス!」

鋭く尖った爪が生えた指先でナツとマヤを指し示した。ナツとマヤはよろよろと立ち上がり、マヤはショーパンのポケットから火炎石を取り出し固く握り締めた。

ディ「meは“欲望の悪魔”ディザイアというデス!地獄(奈落)に堕ちるまでの間だけでも、覚えててくれたら嬉しいデス!」

“欲望の悪魔”ディザイアの名前を聞いたマヤの肩が小刻みに震え始めた。

マ「・・・よ、欲望・・・・」

マヤの脳裏に蘇るのは、不死鳥の欲望(フェニックスディザイア)を発動させた自分の姿―――――。
この力で、どれだけたくさんの人を傷つけ、どれだけ苦しみ、どれだけ悲しみに陥った事か・・・思い出すだけで、激しい頭痛がマヤを襲う。
ナツは小刻みに震えているマヤの右肩に手を回し、マヤの体を自分の方に引き寄せた。

ナ「安心しろ、不死鳥の欲望(フェニックスディザイア)は二度と発動しねェ。万が一発動したとしても、必ず俺が、止めてやる。・・・だから、怖がるな。」

マ「・・・うん。・・・ありがとう。」

目を細め、マヤは心から感謝の気持ちを述べた。

ディ「不死鳥の欲望(フェニックスディザイア)・・・?今、you達はそう言いましたよネ?」

ディザイアは“不死鳥の欲望(フェニックスディザイア)”という言葉を聞くと反応して来た。

ナ「確かに言ったけど、お前には一切関係ねェ事だ。」

ナツは特に疑問を抱く事も無く言い返した。
ディザイアは目の前にいる2人の妖精(ようせい)の内、夕日色の髪の毛に、同色の大きな瞳をした妖精(ようせい)に視線を巡らせた。

ディ「(“不死鳥の欲望(フェニックスディザイア)”・・・もし“元締め様”が言ってた事が真実(ホント)ならば・・・あのgirlが、例の・・・・)」

ディザイアは目の前に2人の妖精(ようせい)に気づかれない程度で、口元に不敵な笑みを浮かばせた。
悪魔が不敵な笑みを浮かべている事を知らないナツは右手に竜を滅する灼熱の炎を、マヤは左手に鳳凰から授かった紅蓮の炎を纏った。

ナ「行くぞマヤ!」

マ「全力全快フルパワーでいっくよーっ!」

今、炎のように熱い精神を持つ、傷だらけの桜色の妖精(ようせい)と、動物をこよなく愛する、傷だらけの夕日色の妖精(ようせい)が、“欲望の悪魔”に立ち向かう―――――。 
 

 
後書き
第201話終了です☆
“欲望の悪魔”ディザイアの意味深な言葉の意味とは―――?“元締め様”とはいったい何者なのか―――!?
・・・終わった。10頭の悪魔の紹介みたいなお話が終わったぞーーーっ!ハァ、長かった。
次回からようやく本格的な妖精(ようせい)VS悪魔のバトルを書く事が出来ます。ですが、2014年のFT友恋の更新はこれで最後です。
それでは皆さん、よいお年をお迎え下さい☆ 

 

第202話 妖精は再び―――――。

 
前書き
更新遅れすぎてスミマセンでしたァ!そしてお久しぶりです!紺碧の海でございま~す♪
FT友恋、今年初の更新でございます。
今回は妖精(ようせい)VS悪魔の本格的な戦いの始まりです!
ナレーション風に書いていきます。
それでは、第202話・・・スタート♪ 

 
―クロッカスの街 南側―

ガン!と鈍い音が辺りに響く。
キィン!と金属同士がぶつかり合う、無機質な音が辺りに響く。

エ「はァアアアアア!」

威勢の声を発しながら、エルザは妖刀・紅桜を目の前にいる敵―――――“極悪の悪魔”アンファミーの頭上に振り下ろした。妖刀・紅桜の白銀の刀身に映ったアンファミーの口元が弧を描いたのと同時に、刀身はアンファミーの指先の中にあった。

エ「くっ・・!」

エルザは刀を持つ両手に力を籠めるが、刀は悪魔の指先の中でピクリとも動かない。

アンファ「せぃヤァ!」

エ「うわァアアア!」

指先で弾く時のような手つきで、アンファミーはエルザを遥か彼方に弾き飛ばした。エルザのボロボロの身体は瓦礫の中に突っ込み、砂煙を巻き上げた。
悲鳴を上げる体の痛みに耐えながら、刀を杖代わりに立ち上がろうとするエルザの目に最初に映ったのは、固く握り締められた自分の身体よりも大きな悪魔の拳だった。

アンファ「せぃやァアアア!」

エ「ぐァアアアアアアアアアアアア!」

瓦礫に、地面に、悪魔の拳の下敷きになったエルザの身体がめり込む。バギ!ボギ!と鈍くて嫌な音が数回、同時にした。

アンファ「ハッハッハッハッハーッ!どーやら何箇所か骨が折れたようだね。これでアンタはもう動けないよっ。大人しく、奈落(地獄)のどん底に堕ちちまいなァ!」

口から鋭利な刃物のような牙と、濃い紫色をした長い舌を覗かせながらアンファミーは狂ったように、高らかに叫んだ。
アンファミーが言うとおり、エルザは左腕と右足の骨を折っていた。あんな拳をまともに食らったというのに、これだけで済んだのは奇跡、とも言えるだろう。それでも動く事はもちろん、その場に立ち上がる事も出来ない。

エ「・・・くっ!・・・っぁあ!」

身体がもう限度を超えていた。じっとしててもエルザの身体は悲鳴を上げっぱなしだった。

アンファ「“妖精(ようせい)は悪魔には勝てない!”その事を肝に銘じるんだよ!」

エルザの身体をすっぽり包み込むように、アンファミーの巨大な足の黒い影が地面に映る。

エ「(ここまでか・・・!)」

覚悟を決めたエルザは右手に妖刀・紅桜の柄をしっかりと握り、ギュッ!と目を固く閉じた。

アンファ「死ねェエエエエエエエエエエエエエエエ!」

黒い影はどんどんエルザのボロボロの身体に迫り、どんどん大きくなり、エルザの頭上スレスレの位置まで届いた―――――その時だった。





流星(ミーティア)!」





―――――刹那、淡々とした、だがよく通る声が聞こえた。それと同時に、

アンファ「ぐあっ!」

アンファミーが顔を歪ませながらバランスを崩し、エルザを踏み潰そうとしていた足は狙いから大きく外れてしまった。

アンファ「どこの誰だいっ!?妖精(ようせい)奈落(地獄)におとそうとし―――――!・・・こ、これは!?」

キーキーと甲高い声で喚きながら邪魔した人間を探す暇はアンファミーには無かった。
なぜなら、いつの間にかアンファミーを取り囲むように、空中に7つの巨大な金色の立体魔法陣が描かれていたからだ。

「立体魔法陣!?いつの間に、誰がっ!?」

アンファミーは慌てて辺りを見回すが時既に遅し。

「七つの星に裁かれよ。」

7つの立体魔法陣が一斉に光り出した。





七星剣(グランシャリオ)!!!」





「ギィイィヤァアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」

魔法陣から一斉に放たれた7つの金色の光の筋が、一斉にアンファミーの身体を容赦なく貫いた。地面を震わすほどのバカデカい悲鳴が轟く。

エ「・・・・・」

今までの光景を黙って見ていたエルザの目は大きく見開かれ、開かれた口からは言葉を失っていた。
そして、アンファミーに強烈な攻撃を食らわせた七星剣(グランシャリオ)―――――天体魔法を使う人物をエルザはよく知っていた。不意に、脳裏にその人物の顔が(よぎ)った。

エ「(近くにいるのか!?)」

エルザは辺りを見回そうとした、その時だった。

『立て、エルザ。』

エ「!」

頭の中で淡々とした、だがよく通る声が響いた。

『お前は、今まで何度も転んできた。だがお前は、その度に立ち上がる強さも持っている。立ち上がらせてくれる仲間も、お前には存在する。その仲間の為にも立ち上がるんだ。』

自然と、エルザの口元には笑みが浮かんでいた。

『俺が手を差し伸べられるのはこれっきりだ。だが、お前ならもう、1人で立ち上がれる。“光”が“闇”を打ち消す事を、ただ祈っている―――――。』

エ「・・・あぁ。」

声が途切れた。
エルザは慎重に左足を曲げ口元に近づけると、晒しの裾を口と右手を上手く使って引き裂いた。そして周りにあった手頃な瓦礫を掴むと、折れた左腕と右足を引き裂いた晒しで固定した。
刀を杖代わりにし、歯を食い縛りながらエルザは立ち上がった。その強さで―――――。

アンファ「妖精(ようせい)奈落(地獄)におとせなかっただけでも屈辱だってのに、どこかの馬鹿者に盛大にやられるわ、妖精(ようせい)は立ち上がっちゃうわ・・・今日のアタイは恵まれていないみたいだねぇ・・・」

不吉な色をした体に多少の傷を刻んだアンファミーは苦虫を潰したような顔をしていた。その傷からは少量だが、青黒い血が流れ出ていた。

エ「あの攻撃を食らって・・・よくまともに立っていられるな。」

アンファ「そんな傷だらけ血だらけのボロボロの体をしたアンタに言われたって意味無いね。どこにそんな力が残っているかは知らないけどね、その根気だけは素直に認めてあげようじゃないの。で~も~、今度こそ奈落(地獄)に突き落としてやるからね~?」

皮肉をたっぷり交えながらアンファミーは不気味に笑った。

アンファ「アタイは往生際が悪い奴は嫌いなんだ。さっさと諦めて奈落(地獄)に堕ちた方がうんっと楽だよ?」

アンファミーの言葉に、エルザの耳がピクッと反応した。そしてエルザの口元に薄い笑みが浮かんだ。

エ「「諦めろ」・・・だと?笑わせるな。愚者が言う言葉を容易く口にするほど、私は軟弱ではない。この身体が動かなくなるまで・・・いや、消えて無くなるまで私は立ち上がる!そして貴様に刀を振るい続ける!」

言い終わる前に、エルザは妖刀・紅桜を構え、地を思いっきり蹴り駆け出した。対峙するように、アンファミーも地を蹴り駆け出した。

アンファ「お望みどおり、その自尊心(プライド)と一緒にアタイがアンタを奈落(地獄)のどん底に突き落としてやるよっ!」

エ「奈落(地獄)に堕ちるくらいなら・・・貴様をこの手で!この刀で!この力で!葬り去ってから堕ちてやるっ!」

地に堕ちたはずの妖精(ようせい)が、“闇”を滅する為に再び刀を振りかざす―――――。





―クロッカスの街 西側―

よろよろと立ち上がりながら、トーヤは目の前にいる敵―――――“絶望の悪魔”ディスペアを赤い瞳で睨み付ける。だが、ディスペアは動じる事も怯む事も無く、口元に不敵な笑みを浮かべながら見下すような目付きでトーヤを見据えていた。
トーヤは右手に黒い邪気の渦を纏った。

ディス「これはこれは。先程言ったように、わしはお主の魔力を3分の1ほど吸い取ってやったんじゃ。にも拘らず、お主は魔力を使って邪気を纏うとは・・・自ら奈落(地獄)に飛び込むような行為じゃぞ?」

ト「そんな()()()事をわざわざ気にしていたら埒が明きません。まずは全身全霊であなたを倒す事を第一に考える事が大事です。」

ディス「これはこれは・・・もし魔力切れになってしまったら、どうするんじゃ?お主等魔道士という存在は、その魔力は命と同じようなものと聞いておるんじゃが?」

ト「その時は、根気で戦うまでです。それにお忘れになられたんですか?僕は半幽人・・・既に死んでいるのと同然ですよ?」

ディス「これはこれは・・・お主に一本とられましたわい。」

ト「一本とってさしあげました。」

バトル中だという事を忘れているのか、人間と悪魔が交わすような会話で無い事を2人は話し続けている。いや、そもそも死んだ者と悪魔が話せること事態ありえない話なのだが、そこは敢えて目を瞑っておこう。

ディス「おっと、これはこれは。少々無駄話に花を咲かせてしまったようじゃな。」

ト「そのようですね。では早速・・・」

前置きをした後、トーヤは邪気の渦を纏った右手を右斜め上から左斜め下に薙ぎ払うように振った。

ト「邪気螺旋風ッ!」

黒い邪気の風が、螺旋を描きながらすごい勢いでディスペアに襲い掛かる。が、ディスペアは右手を固く握り締めると、その拳を風の中に突っ込み反動で跳ね返した。

ト「!?」

思いもしなかった事態にトーヤは反応に遅れたが、その場で地面を強く蹴り空中に避難した。

ディス「絶拳!」

ト「うぐぁ!」

空中に避難したのはいいが、その直後に固く握り締められたディスペアの巨大な拳がトーヤの小さな身体に直撃した。真下から食らったので、トーヤの身体は空気抵抗も無しに空高く浮き上がる。
すぐさまディスペアが追いつき、今度は頭上で組んだ両手をトーヤの身体に叩きつけた。

ディス「うぉらァアアア!」

ト「ぐァアアアアアアアアアアアア!」

叩きつけられたトーヤの身体はものすごい速さで落下し、ものすごい勢いで地面に叩きつけられた。叩きつけられた反動で、地面がへこんだ且つ亀裂が入った。

ディス「これはこれは。少々やりすぎてしまいましたかのぉ?」

地面に降り立ちながら、ディスペアは嫌らしい口調でトーヤに語りかける。

ト「・・・ぅ・・・・ぅぐ・・・!」

ディス「ほぉ、これはこれは。まだ奈落(地獄)に堕ちるのを免れただけでも大したものだわい。じゃが、身体にはかなり堪えたじゃろうな。」

ディスペアの言うとおり、トーヤは激しく咳き込みその度に口から赤黒い血を吐き出していた。地面に叩きつけられた衝撃で、角が1本折れてしまっていた。
ディスペアがまた、トーヤを見下すような目つきになった。

ディス「やはり、こんな小童(こわっぱ)相手にしても身体が温まりもしないわい。さっさと奈落(地獄)に突き落として、次の獲物を探しに行くとするかのぉ。」

その言葉に、トーヤの耳がピクッと反応した事にディスペアは気づかず、左足にドス黒い紫色の魔力を纏った。

ディス「絶破粉砕!」

魔力を纏った左足でトーヤの身体を思いっきり踏み潰した。砂煙が舞い上がる。

ディス「これで半幽人は奈落(地獄)に堕ち―――――ん?」

「堕ちたわい」と言おうとしたディスペアは首を傾げた。

ディス「(手応えが無い、じゃと・・・?)」

確かにディスペアは左足でトーヤの身体を踏み潰した。だが、その踏み潰した時の手応えが一切無いのだ。
まさか、と不安を覚えながら恐る恐るディスペアは足を退ける。そのまさかが的中した。踏み潰してぺちゃんこになっているはずのトーヤが、地面にもディスペアの足の裏にもいないのだ。影も形すら残っていなかった。
さすがのディスペアもこれには戸惑いを隠さずにはいられなかった。

ディス「い、いったい・・・どうなっておるんぐォア!?」

「どうなっておるんじゃ・・・?」と言おうとしたディスペアの後頭部を強い衝撃が食らった。

ト「確かに僕は、ナツさん達と比較したら魔力も体力も能力も十分衰えています。ですが―――――」

声が聞こえ後ろを振り返ると、固く握り締められた右手に黒い炎を纏ったトーヤが空中に佇んでいた。下を向いていて顔がよく見えないが、その声色が殺気立っている事にディスペアはすぐに気づき、思わず喉がゴクリと大きな音を立てて鳴った。

ト「僕も、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔道士です。あなたを倒す力は十分持っています。」

顔を上げたトーヤの赤い瞳には、熱意と殺気が宿り揺らいでいた。
頭から流れ出た血でトーヤの顔の左半分が血塗れになっており、揺らいでいる殺気を更に不気味に思わせた。
左手を顔の前に掲げ青い炎を纏うと、

ト「外見だけで全てを判断するのは浅はかです。程度が知れます。」

空中に黒と青の火の玉を出現させ、ディスペアに向かって一斉に放った。

ディス「ぐァアアアアア!」

轟々と燃え盛る“魂の炎”と“(あやかし)の炎”の中でディスペアは呻く。

ト「漆黒の“魂の炎”と青藍の“(あやかし)の炎”は、地獄の業火よりも激しく燃え盛りその身を全て焼き尽くす事が出来ます。例えその身が、悪魔だとしても―――――。」

殺気立ったトーヤの声が耳鳴りのように響くのをディスペアは感じた。

ディス「ぐっ・・・!絶覇道!」

眉間に深く皺を刻んだディスペアは、黒い覇道を身体から放出し“魂の炎”と“(あやかし)の炎”を吹き飛ばした。

ディス「・・・お主を見下していた事は素直に謝るわい。じゃが、お主の2度目の攻撃を食らう前に奈落(地獄)のどん底に突き落としてやるわい。お主に、最大の絶望を―――――。」

ト「絶望に落ちるのはあなたの方です。僕は“希望”を夢見ます。そして僕を・・・いいえ、妖精の尻尾(フェアリーテイル)を敵にまわした事をあなたは一生後悔するでしょう。劫火(こうか)の中で―――――。」

か弱かったはずの妖精(ようせい)が、“希望”に向かって再び飛び立つ―――――。





―クロッカスの街 北側―

ル「開け!魔喝宮の扉・・・カプリコーン!」

スロ「うげっ!」

姿を現したのは、燕尾服にサングラスという出で立ちの星霊―――――カプリコーン。
カプリコーンは召喚されたのと同時に“恨みの悪魔”スロークの後頭部を目にも止まらぬ速さで肘で殴りつけた。ほんの一瞬の隙を突かれたスロークは呻く。

ル「流石ね、カプリコーン。」

カプ「ルーシィ様、この化け物はいったいなんでございましょうか?おまけに街がすごい事に・・・」

今までの大規模な大事件の経緯を一切知らないカプリコーンは(あるじ)であるルーシィを庇うように前に立ち、戦闘体勢を維持したまま問い掛けた。

ル「うーん、話せばものすごく長くなるんだけど。とにかく、アイツは確か・・・“()()の悪魔”の・・・()()()()とか言ったかしら?」

スロ「“恨みの悪魔”スロークだいっ!全然違う名前になてるじゃないかーっ!」

噛みつくような勢いでスロークは訂正をする。

スロ「ていうか「化け物」って言ったけど、そこのよく分からない奴だって「化け物」みたいじゃないかーっ!」

持っていた包丁の刃先を、そのよく分からない「化け物」に向けた。

カプ「(メェ)はルーシィ様の星霊、カプリコーンでございます。」

カプリコーンは「化け物」扱いされたにも拘らず、恭しく一礼をした。

カプ「それと・・・」

カプリコーンのサングラスが月明かりに反射してキラリ、と光ったのと同時にカプリコーンの姿はルーシィの前から消え失せていた。
カプリコーンは光のような速さでスロークの前に迫り足でスロークの右手を蹴り飛ばした。蹴り飛ばされたのと同時に、スロークの右手から放れた包丁はくるくると空中で弧を描きながらザクッ!と遥か彼方の地面に突き刺さった。

カプ「刃物をルーシィ様に向けるとは、礼儀に反する故に・・・(メェ)に喧嘩を売った、という解釈でよろしいでございましょうか?」

スロ「!ぐほぉっ!ガハッ!」

避ける暇もなかった。
高々と上げたカプリコーンの左足が前に突き出たスロークのお腹と二重顎を蹴り飛ばした。顎を蹴り飛ばした反動でスロークの口から折れた歯が1本飛び出す。

カプ「売られた喧嘩を、(メェ)は倍の値段でお買い上げ致しましょう。」

その言葉どおり、カプリコーンは高く買った。

ル「す、すごい・・・!」

その強さに、(あるじ)であるルーシィさえ感嘆の声を漏らした。

ル「カプリコーン!その調子でアイツをやっつけちゃって!」

カプ「承知致しました。」

(あるじ)であるルーシィの指示に従う前に、カプリコーンはわざわざルーシィの方に向き直り一礼した後、スロークに向かって一直線に駆け出した。
よろよろと立ち上がりながら、スロークは自分の方に向かって駆けて来る敵をドス黒い緑色をした2つの目で睨み付ける。

スロ「こんなところで・・・終わってたまるかァアアアアア!」

空に向かって一声叫んだ後、スロークは背中に背負っている赤黒い風呂敷から包丁を取り出しカプリコーンに投げつけた。
カプリコーンはそんな物に怯む事無く、手で弾き飛ばした。弾き飛ばされた包丁はくるくると弧を描きながらガッ!と鈍い音を立てて瓦礫に突き刺さった。
――――――だが、それで終わりではなかった。

スロ「うおぉぉおおおおおおおおおおっ!」

カプ「!?」

スロークは次から次へと風呂敷から何本もの包丁を取り出しカプリコーンに投げ続ける。

ル「あ、あんなに・・入ってたの・・・?」

包丁のあまりの多さにルーシィは震え上がり驚嘆の声を上げた。
最初は驚いていたカプリコーンだが、持ち前の冷静さをすぐに取り戻し、飛んで来る包丁を1本1本素早い動きでかわしていく。

カプ「っ・・!」

上手くかわしていたつもりだが、1本の包丁の刃先がカプリコーンの頬を掠め血が流れ出た。

スロ「おらァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」

それがまるで合図だったかのように、包丁の数が更に増え、投げる速さが増し、必死にかわし続けるカプリコーンの腕、腰、膝を切りつけた。

カプ「くっ・・!」

痛みに顔を歪ませながらも、カプリコーンはスロークの目の前まで迫り固く握り締めた拳に渾身の力を籠め振るった―――――が、その拳は悪魔の身体に届く前に、空中で止まってしまった。

カプ「ぬっ!?」

スロ「イエ~イ♪これでお前は、もうそこから1歩も動けないよ~♪」

不敵な笑みを浮かべながらスロークは嫌味っぽく、勝ち誇ったように言った。動けなくなったカプリコーンの足元には、赤黒い魔法陣が浮かび上がっていた。

ル「あの魔法陣は・・・!」

スロ「相手の動き、能力を封じる事が出来るのさっ♪」

動きを封じられたカプリコーンの横を通り過ぎ、スロークはじりじりとルーシィに迫って行く。
ルーシィは魔喝宮の金色の鍵を取り出すと、

ル「戻ってカプリコーン!」

カプリコーンを星霊界に帰らせた―――――が、金色に光り出すはずの鍵は光らず、カプリコーンも星霊界に帰っていない。

ル「え?ウソ・・・どうして・・・?」

スロ「アイツの動き、能力を封じているんだ。その星霊界っていう所に帰れないのは能力を封じているからさ。」

ル「そんな・・・!」

戸惑うルーシィにスロークは不敵な笑みを浮かばせながら言った。そしてスロークは風呂敷から包丁を2本取り出すと、それを両手に持ち更にルーシィに迫って行く。ルーシィはそれに対抗するかのように星の大河(エトワールフルーグ)を構えた。

カプ「ルーシィ様!(メェ)以外の星霊(みなさま)を召喚して下さい!」

動けない身体でカプリコーンは拳を振ろうとする体勢のまま、(あるじ)に向かって叫んだ。

ル「他の星霊(みんな)を呼んでも、またアイツに動きと能力を封じられるだけ!それなら私が・・・コイツを倒すっ!」

そう言うと、ルーシィは星の大河(エトワールフルーグ)を大きく振るった。が、スロークに包丁の背で受け止められた。

スロ「その心意義はすごく良いと思うよ~♪だけど、俺が奈落(地獄)におとしてやったらその心意義も水の泡なんだけどね。」

月明かりに照らされ、包丁の刃がギラリと不気味に光った。

スロ「でも、奈落(地獄)に落とす前に・・・俺が美味しく調理してあげるから♪」

ル「結局それが優先なのかいっ!」

場違いなスロークの言葉にルーシィは透かさずツッコミを入れた。

スロ「えりゃァア!」

ル「キャア!」

カプ「ルーシィ様!」

刃を下にして、スロークはルーシィの頭上に包丁を真っ直ぐ振り下ろした。小さく悲鳴を上げながらルーシィは何とか避けた。狙いを外した包丁は地面に突き刺さる。
地面から包丁を抜き取ると、土で汚れた刃をスロークは青紫色をした長い舌で、刃で舌を切らないように舐めた。それを見たルーシィは思わず顔を背ける。

スロ「逃げないでよ。焼くなり煮るなり揚げるなり蒸すなり、ちゃんと美味しくしてあげるからさ~♪」

ル「さっきも言ったけどどれもヤダし、私絶対美味しくないし、それ以前に絶対に食べれヒャア!」

「食べれないから!」と言おうとしたルーシィの頭上にスロークはまた包丁を真っ直ぐ振り下ろした。ルーシィは何とか避けるが、足を滑らせて盛大にこけ、地面に頭と腰を強く打ちつけた。

ル「いったぁ~・・・わっ!」

顔面目掛けて包丁が振り下ろされ、間一髪のところで首を左に動かして回避した。

スロ「えい!えい!えい!えい!」

ル「ちょっ・・!うわっ!い゛っ!ギャア!」

両手に持った2本の包丁を交互に動かしながらルーシィの顔面目掛けて振り下ろす。包丁が振り下ろされるのと同時に、ルーシィは地面の上をゴロゴロゴロゴロと転がりながらかわしていく。
ゴロゴロゴロゴロと転がっていくうちに、進む方向が瓦礫で塞がれていた。
背後には包丁を持った悪魔、目の前は瓦礫で行き止まり・・・起き上がって逃げてたらその間にやられてしまう。
ルーシィは断崖絶壁に立たされた―――――!

スロ「これで・・・終わりだァアアアアアアアアアアアアアアア!」

狂ったように叫びながら、スロークが包丁を振り下ろす。

ル「(もう、ダメだ・・・・・!)」

目尻に涙を浮かばせながら、ルーシィはギュッ!と固く目を瞑った。

スロ「ぐひゃぁあ!」

悪魔のなんとも情けない声が聞こえた。そして、いつまで経っても包丁を振り下ろされない。ルーシィは恐る恐る目を開けると、目の前の光景に目を見開いた。

ル「ロキ!カプリコーン!」

そこにいたのは、獅子(ライオン)の鬣のように逆立った髪に青いレンズのサングラスに黒いスーツ姿をした星霊―――――獅子宮のロキ(レオ)と、身動きを封じられていたはずのカプリコーンだった。
ロキは固く握り締めた右手を、カプリコーンは固く握り締めた左手の間には、左右から頬を殴られたスロークの顔があった。

ロキ「大丈夫だったかい、ルーシィ?」

カプ「怪我はございませんか?」

ル「大丈夫。ありがと、2人とも。」

ロキが差し伸べてくれた手をとり立ち上がる。
ロキは星霊界と人間界を繋ぐ入り口―――――(ゲート)を自由に通る事が出来る為、ルーシィの身に危険が迫ったら、こうして勝手に出てくる事が出来るのだ。今回もそれだろう。

カプ「申し訳ございませんルーシィ様。少々、あの魔法陣を()()するのに予想以上の時間が掛かってしまいまして、援護に向かうのに遅れてしまいました。」

ル「破壊したの!?」

スロ「そ、んな・・・バカ・・な・・・」

さらっ、とすごい事を口にしたカプリコーンの言葉にルーシィは驚嘆の声を上げ、スロークは目を見開いた。

ロキ「で、どうするルーシィ?」

ロキの問いの意味は聞かなくても分かっていた。ルーシィは口元に笑みを浮かべると、星の大河(エトワールフルーグ)を構え直した。

ル「もちろん!コイツを倒すまでが勝負よっ!」

星々に加護されし永久(とわ)に輝き続ける妖精(ようせい)が、再び新たな眩い輝きを放つ―――――。 
 

 
後書き
第202話終了~♪
無事書き終える事が出来ました!・・・久々の更新でしたので誤字などがありましたら遠慮なく報告して下さると幸いです。
そして読者の皆様には本当にご迷惑をお掛けしました。スミマセン・・・
ですが、私の中学校の3学年夏の3大イベント(修学旅行、中間テスト、陸上競技大会)がようやく終わり、もうすぐで夏休みに入るので、挽回したいと思います!ですが、相変わらずの更新速度亀以下の私ですが、温かい目でFT友恋共々応援して下さればとても感激です!
次回も妖精(ようせい)VS悪魔の戦いを書いていきたいと思います。
それでは、また次回でお会い致しましょう~♪・・・次回、ちゃんと書けるよな私!?