(仮称)転生教師バグま!


 

1時間目。プロローグは使い回す物のらしいぞ by主人公

 
前書き
なぜかって?

黒歴史が増えるだけだからだ。 

 
 

 拝啓、我が親愛なる両親殿。および読者の諸君。突然だが俺は死んだ。


 いきなりなんだと言われるかもしれないが一応聞いておいてほしい。適当に流してくれても構わない。


 名前は■■■■。高校を卒業したばかりの新大学生だった。ついでに浅く広いアニメや漫画などの知識を持ってはいるが、そのアニメや漫画の粗筋や登場人物、登場人物達に何らかの能力や技が有ればその技や能力等をPCで調べた程度の浅さなのでに回りのオタクたちの話にはついていける気がしない。その程度。
 因みに、髪の色と髪型を変えればDies iraeのザミエルに見えなくもないとは友人の談。


 で、簡単に死因を言うと、銀行強盗に殺された。金下ろしに銀行行ったら強盗にあって、見せしめ的な感じで射たれた。まあ、即死じゃあ無かったから気合と勢いで銃奪って強盗全員――と云っても、三人程だったが――ブチ殺しちゃったけどね。でもま、俺も致命傷だったわけで、そのまま力尽きて死亡。
 そして死んでいるのに何故こうして考え事ができているのかと言うと、目の前にいる好々爺風のオジさん――見た目ソードアート・オンラインのニシダさん――が原因らしい。まあ、よくあるミスで殺してしまいました、ってやつかな?あと呼び方ニシダさんで良いかな?


「その通りだ。本来なら君は死ぬ筈じゃ無かった……と言うか、あれ事態が起きなかったはずのことなんだが」


 へー。まあ、気にして無いから良いです。


「済まない、そう言ってくれると有り難い。お詫びと言っては何だが、君を転生させてあげよう。勿論チート能力も用意しよう」


 ほむ。死ぬ前にネットで見た神様転生とか言うのかな? 元の世界には帰れないんだっけ? てか、俺を転生させても良いわけ? 相手が強盗とはいえ、成り行きの勢いで人殺してるんだよ? しかも三人も。


「ああ、済まない。だが、君の好きな世界に行ける。それに、あれはこちら側の不手際であり、君が行動を起こさなければあの銀行にいた客と銀行員全員――百五十名ほど――が殺されていたからな。」


 そっか。でも行きたい世界なんて無いし。能力とか行く世界とか全部お任せで。あ、日本語通じない世界とかならそこだけ改善して欲しい。


「……欲の無い子だねぇ……君の世界の二次小説だと容姿変更して魔力なり氣なりを無限にしてもって無限の剣製とか王の財宝、最近だと大嘘憑きなんかを頼む者が居るんじゃないか?」


 いや、それはそれで面白そうなんだけどね。言葉さえ通じれば後は自分自身でどうにか出来る自信あるから。


「そうか、なら適当にこっちで用意するぞ? あと、行く世界は既に決まっておる」


 わかった。行く世界はどんなとこ?


「魔法先生ネギま!ってとこだよ」


 あ、ネギま!か。公式バグチートが両手足の指の数以上居た気がする。


「そうだね。特にジャック・ラカンとスプリンクフィールド親子が顕著だね。造物主とかエヴァンジェリンもチートだしね。じゃあ特典に着いては向う行ってからのお楽しみって事で」


 わかった。あ、性転換だけは無しで。


「わかった」


 ニシダさんの言葉を聞くと途端に眠くなったので眠りに着いた。









――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――









 キラが眠りに着いた後、好々爺風のオジさんことニシダは数枚のレポート用紙を手にキラへの特典を考えていた。因みにレポート用紙にはキラの顔写真・姓名・生年月日・住所・性別・備考が書かれているちょっとしたプロフィール表と成っている。


「行ったか。じゃあ、特典を付けますか」


 そう言ってプロフィール表に目を通すニシダ。漸く紙と睨めっこしていたら、とある文面が目に止まった。


「なになに、中学二年の時に周りが厨二病だらけだったから周りに合わせて『僕の考えた最強のキャラ』を作った、か。どれどれ………おぉ、このキャラすんごいことに成っとるのぉ。なら容姿とかは変えずにこのキャラの設定を少し弄って特典として与えるとしようかのぅ」


 そう言うや否や、何処からとも無くパソコンを取り出し、カタカタとキーボードを打ち込んでいった。

 
 

 
後書き
 主人公の生前の名前は『キラ・ヤマト』ですが、変更して転生後は使えなくしますた。(2016/6/19) 

 

2時間目。周りが厨二病だらけだとしても、無理して合わせる必要は無いぞ by作者

 
 
 さて、ネギま!の世界に転生して幾許かの時が経ち、俺はある異変に気付いた。まず、辺りが真っ白だった事。其の事については少し疑問に思ったが、放置した。問題はその後だ。
 真っ白な空間で兆を数える年月が経ち、これはおかしいと思ってよくよく調べてみて、異変に気が付いた。




















この空間にはテレビもねえっ! ラズィオもねえっ! そもそも宇宙が出来てねぇッ(・・・・・・・・・・・・・)




















 ってニシダの爺さんに何故か使えた腑罪証明(アリバイブロック)で神界に飛んでって聞いて、後悔した。


 ――お主が中学二年の時に考えた僕の考えた最強のキャラのスペックをお主の身体に馴染ませるのに少なくとも三十兆年の年月が必要だったのだ。あ、あと生前の名前は使えん事になっとるから、自由に考えてくれ。


 って言われて、俺固まったよ。アレだ、黒歴史言われて心を黄金の鉄の塊で出来た剣で滅多斬りにされた気持ちだった。仕方ないじゃん? 周りがチートの持ちキャラ作れって五月蝿かったんだ。
 てか、それもあるが、少なくともあと三十兆年は宇宙も銀河も星も太陽系も地球も出来ないらしい。暇過ぎて六京回は軽く死ねる。まあ、特典として宿った能力を使いこなせる様に訓練はしたが、それも宇宙が誕生するまでの三十兆年で十全に使える様になった。まあ、斬魄刀を屈服させたり、悪魔の実の能力の弱点を気合で克服したり、FAIRY TAILの失われた魔法(ロスト・マジック)の副作用をスキル使って消したり、オリジナル魔法開発したり、輪廻眼の餓鬼道で魔力や気を吸収出来るようになったり、超能力者(レベル5)擬きみたいな事出来る様になったり、精神世界弄り回したり、エトセトラエトセトラエトセトラと引っ括めて三十兆年で終わったのは良かった。あのキャラ設定通りならこの身に才能は欠片程しか無いからな。


 その後は翼――見た目は空を飛んだ時のビリオンバードの物と同じ――の手入れをしたり、精神世界で斬魄刀達と修行したり、何故か事細かく覚えていた漫画の記憶を思い返してみたり、あっちへフヨフヨこっちへフヨフヨしたり。


 そんなこんなで何時の間にやら宇宙が出来てた。やる事無くて完眠(クリプトパオラスター)使って寝て、起きたら宇宙出来てた。


 スキルを使って確認してみると、宇宙が出来ていた。それは良いが、まだ太陽系、延いては地球が出来る迄あと六億年位あった。
 仕方が無いので過眠で鈍った身体を解す為にテキトーに身体を動かして時間を潰して、気が付いたら地球出来てた。見事なまでに真っ青だったな。陸が無いから当たり前っちゃぁ当たり前なんだが。。。


 その後、生命らしきものが生まれるまで六億年程を水中で過ごし、中世代の三畳紀の辺りから水中――その当時の水は人体には超有害だが、そこら辺はスキルでどうにかした――から地上に上がって過ごし始めた。
 その間、ネギま!の世界ではお高めのお値段と云う設定だった筈なのに割と高品質なモノが高頻度で登場していたダイオラマ魔法球(端から見れば只の丸底フラスコだが、トリコの世界の地球五個分位の体積は入る内容量)を作り、三畳紀の初期から白亜紀の末期迄の間、様々な魔法具を作る片手間で動植物を適当に魔法球内に放り込んでいった。

 恐竜、美味しかったです。


 以降人類が生まれるまで恐竜の興亡を見つつあっちこっちブラブラしてた。完新世の少し前位の時期――氷河期の終わりがけ――頃に類人猿からヒトになって毛皮の服着た人類を見かけたかな。


 そうしてその後、紀元前年2600年頃まで、今まで以上に何もしなかった。する事が何も無かったし、神は居れど神々に禄なの居なかったしな。特にオリュンポスとリグ・ヴェーダ。オリュンポスは下半身が本体の男神とスイーツな女神ばかりだった。リグ・ヴェーダはリグ・ヴェーダで他神話の主神級ばかりとかいう頭おかしいレベルだったし。ただまぁ、紀元前の一万二千年位に現れた白い巨人は凄かったな。遍く神話の修羅神仏や各地に点在する幻想種を悉く一撃で沈めてた。アレはパッと見宇宙の隅の方から来た流星の欠片みたいなもんだったな。他にも様々な星から生命体がやって来てたっけ。真祖含めて飛来生命体共、俺にも攻撃仕掛けてきたから纏めて食い尽くしてやったけど。星の上位種程度が(ソラ)の始種って事になってる俺に勝てる道理が無いんだがなぁ……。

 まぁそんなこんながありつつ、特に何もせずに世界中くまなく歩いて回った。
 その後はある程度の周期で各地を移動しつつ、善王に関する物から殺人鬼に関する物まで人に関する噂を耳にすれば、環状の道突っ切って東奔西走なんのその。戦国無双の少年少女から後の世の英雄や反英霊として語られる人物達に会った。
 有名どころは、バビロニア王国の英雄王ギルガメッシュとその盟友エルキドゥ、不死身の大英雄カルナ、授かりの英雄アルジュナ、コサラの王ラーマとその妻シータ、瞬足の英霊アキレウス、竜殺しの大英雄ジークフリート、クランの猛犬クー・フーリン、復讐の神王(ファラオ)ニトクリス、護国の英雄ヘクトール、裏切りの魔女メディア、影の国の女王スカサハ、最大最強の神王(ファラオ)ラムセス2世、ギリシア神話最強最大の英雄ヘラクレス、その他幾人もの未来の英雄、反英霊、無銘の英傑達。
 ある者達とは友と呼べる間柄に、ある者達には魔術や武術の手解きをし、またある者達には(一方的に)師事された。


 そして紀元前700年頃。この世界に転生して初。ネギま!世界において最年長且つラスボスである原作キャラ。完全なる世界(コズモエンテレケイア)の大元締めにして始まりの魔法使い。造物主(ライフメイカー)と出会った。


 
 

 
後書き
40億年も寝て過ごし、且つそれで生きて行ける

さすが転生者! 俺達に(現実では)出来ないことを平然とやってのけるッ! そこにシビれる! あこがれるゥ!


 

 

3時間目。造物主って何が為に魔法世界を作ったんだろうか? by作者

 

「ふむ、貴殿が噂に名高き金髪の殲滅王(きんはつのキング・オブ・ディバウア)のトバルカイン殿か?」


 やあどうも、おはこんばんちわ。


 どの挨拶の時間かは知らんが、取り敢えずハローハロー。今現在は取り敢えずトバルカインで通してる転生者さんだよん。生前の名前が使えないらしいから、某神様作品の魔名だとかその他にも色々と使ってる。
 現在の時代は紀元前620年である。まだ魔法及び魔術等が一般的に認知されている時代だ。

 さて、今現在困ったこと、と云うよりも、面倒な事が結構な頻度で起こっている。
 理由は言わずもがな、目の前の存在達である。放浪してる最中、戦争や各地の小競り合いに遭遇すると高確率で巻き込まれる。その際、魔法が秘匿されていない時代と云う事もあり、広域殲滅魔法で死なない程度――威力調整が大変だが――に殲滅していたら高額の懸賞金が掛けられ(支払いは生存している場合のみ)、二つ名や異名やらを沢山付けらた。その上で実力差も分からないような有象無象が挑みかかって来る様になってしまった。
 目の前の存在も同じ様な輩だと面倒だなぁ。


『人に名を聞くときは手前から名乗るのが礼儀って親に習わなかったのかタコ共』
「む、其れは失礼した。私の名はアレクサンドラ。アレクサンドラ・ヨハイル・フォン・マクダウェル・エンテオフュシア。魔法使いだ。そしてこちらが」
「ローレンス・バシレウス・ヘラス・フォン・ヴェスペルスジミア。アレックスと同じく魔法使いで、アレックスとは従姉妹関係だ」
『ぬ。名乗りを上げて尚攻撃を仕掛けてこないところを見るに、貴様等二人は俺の首目当てじゃないのか?』
「フフ、あの様な阿呆や気違い共と一緒にされては困るな。相手と自身の力量差も分からない程間抜けでは無いつもりだ」
「と云うか、あの様な者達と同列にされるなど、不愉快な事この上ないぞ」


 そう言って二人は苦い顔をする。まあ、気持ちは分かる。俺も嫌だ。


『まあ、名乗られたのだから名乗り返しておこう。トバルカインだ。他に、ヴァレリア・トリファ、クリストフ、ローエングリン、ヴィルヘルム・エーレンブルグ、ベアトリス、レオンハルト・アウグスト、マレウス・マレフィカルム、ナハツェーラー、ザミエル・ツェンタウァ、ウォルフガング・シュライバー、フローズヴィトニル、カール・クラフト、メルクリウス、カリオストロ、トリスメギストス、ジークリンデ、ディアーチェ、シュテル、エーベルヴァイン、エグザミア、他にも色々とあるが、まぁ好きに呼べ』
「ならば、カインと呼ばせてもらうとする」
「私もそう呼ばせて貰うぞ」
『で、魔法使いのお二人様が何用だ? 今時分、この地の魔法使いは教会に属す、若しくは教会の為以外に魔法を使えば皆等しく異端の烙印を捺され、魔女狩り部隊のターゲットにされる。(教会的に)イカれてる奴と、(フリーの奴的に)頭がイカれてる奴のどちらかしか居ないが、貴様等はどちらだ? 俺的には前者だと時間を無駄にしないで済むから有難いんだが』
「安心してくれ。私達は二人共前者の魔法使いさ」
「序でに言えば、私は先天的な不老不死、アレックスは先天的な不老不滅の存在だ。故に、教会の阿呆共に追い回されている」
『ん? 不老不死は分かるが、不滅? 』
「ああ。私は不死の者と違い、殺されれば死ぬが近くの生物に魂を移し、その体を乗っ取って永らえる。稀有な体質を持っている。相手によっては副人格的な立ち位置で共存する事も可能だ」
『何だそりゃ。稀有な体質ってどころじゃねぇぞ。よくもまあ、魔女狩り部隊に捕まらずに生き延びていられたものだ。不死殺しの魔法魔術は確立されていない分、並の拷問すら生温い諸行をされる。俺は何度もその光景を目にしてきた。そしてその都度、魔女狩りと称して不死者を嬲っていた連中を皆殺しにし、精神が壊れた不死者を滅してきたモノだ』
「それだ。私達が今日に貴方に声をかけた理由は。カインよ。貴方は如何に思う? 教会に属さなければ異端。属していても、外法や禁忌の書物を見ただけで魔女と断じて喜々として非炙り、杭打ち、打ち首、腰斬、八つ裂き、魔術による嬲り殺し、陵辱。教会が腐っているせいでこの有様だ。カインはこの様な世をどう思う?」
『あ〜……質問の意図を図りかねるんだが。それは魔法使い的な意見を言えばいいのか? はたまた魔法を使えない一般人の意見を言えばいいのか?』
「……質問を変えよう。その様な迫害や差別が無い世界を貴方はどう思う?」


 差別や迫害の無い世界ねぇ。


『……なるほどねぇ。迫害や差別が酷いなら、そのような事が起こりにくい世界を造っちまえと云う結論にでも至ったか? そしてそれに協力して欲しいと?』
「ああ。その通りだ」
『面白いじゃないですか。いいよ? 乗った。協力しよう』
「本当か!? 貴方に手伝って貰えるなら百人力。否、億人力だ!」


 その後、オレはアレクサンドラとパトリシアと一緒に世界構築の術式、何処に創るか、維持に使う魔力はどうするか等を話し合った。

 
 

 
後書き
・教会
 所属するのは主の為神の為と称して気に入らない相手や気に入った相手を殺したり慰み者にする、自分勝手で自己中で下衆で外道で気狂いばかりな魔法の管理団体を謳う宗教団体。HSDDのフリードみたいな奴ばっかり所属している。西暦に入る辺りでにキラが完膚なきまでに消し去ります(予定)

 2020/1/26
 シリウス。シリウス・ルピア・ザ・マクダウェル・エンテオフュシア
    ↓
 アレクサンドラ・ヨハイル・フォン・マクダウェル・エンテオフュシア

 メビウス・スカー・ザ・ヴェスペルスジミア・ハル・エンテオフュシア
    ↓
 ローレンス・バシレウス・ヘラス・フォン・ヴェスペルスジミア

 に変更 

 

4時間目。「四話目にしてタイトルのネタが尽きたらしいぞ」byアレクサンドラ

 

 ドーモ、読者の皆=サン。トバルカインです。アレックス(アレクサンドラの事)ラリー(ローレンスの事)と三人で術式構築の研究に入って300年近くになるが、只今絶賛大ピンチです。何故なら……


『仮契約とは言え女がそう簡単に契約をするな。将来変な奴に騙されるぞ?』
「ふむ、私もラリーも、貴方が相手なら別に良いのだが。な? ラリー」
「うむ。カインは強いし、信頼できる」


 取り敢えず、こうなった経緯は……

魔法世界(ムンドゥス・マギクス)構築術式考案開始
   ↓
考案に行き詰まる
   ↓
ダイオラマ魔法球の術式を参考にしよう
   ↓
サイズの差と複雑過ぎる故に断念
   ↓
再び考案開始
   ↓
そうだ! 仮契約(パクティオー)して参考になるアーティファクトが出るかも! byアレックス
   ↓
お前天才か! byラリー
   ↓
アレックスとラリーに片腕ずつ掴まれて捕まる ← 今ココ

 ……と、云った感じ。アレックスの魔力完全無効化(ウィッチクラフトキャンセラー)とラリーの異能完全無効化(アビリティキャンセラー)の所為で俺ちゃん無力化されてるとの事よ。しかも御丁寧に自分達は魔力と気で身体能力強化してる。強化無し且つ二人に怪我させずにこの拘束から逃れるのってなんて無理ゲー。
 てか、アレックスとラリーに不老不死と不老不滅以外にも体質持ってたなんて初めて知ったよ。


『わかったわかったわかった。仮契約すれば良いんでしょ? 別に減るもんじゃ無いし。良いよ。仮契約しよう』
「よし。言質は取ったぞ。既に魔法陣の準備はできている」


 用意がイイし、ノリノリだな。











――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――











『って、思ってた時期が俺にもあったよ。別に仮契約するのは構わんさ。だが二人揃って舌入れるキスしてきた君らに物申したいんだけど。何だよブッチューベロベロって。友人以上ギリ親友未満の女にそんな事されたの初めてだぞ』
「中々に美味だったぞ?」
「ジャンケンに負けた十数分前の自分を殴り飛ばしたい。妬ましいぞアレックス」
「んはっ! 何事も勝った者勝ちだ。ラリー」


 結局、三人の立場を対等にする為とか何とか言い出して、6回の仮契約を行った。互いに従者であり、主であると云う、何とも単純且つ複雑な状態になった。


『ハァァ。もうその話いいから。カードとアーティファクトの確認をさっさと済まそう』
「ふむ、其れもそうだな」
「先ずはカードの確認からじゃな」


 パティがそう言ってから、各々カードを術式考案中に使っていた机の上に置く。

 俺のカードは――――


 契約主:アレクサンドラ・ヨハイル・フォン・マクダウェル・エンテオフュシア
 名前:エレオノーレ・フォン・ヴィッテンブルク
 色調:金
 方位:中央
 星辰性:月
 特性:節約
 称号:一人だけの大軍勢
 アーティファクト:傀儡の操演者


 契約主:ローレンス・バシレウス・ヘラス・フォン・ヴェスペルスジミア
 名前:エレオノーレ・フォン・ヴィッテンブルク
 色調:白
 方位:中央
 星辰性:黒い穴
 特性:節約
 称号:三千世界の武器を持つ存在
 アーティファクト:三千世界に顔を持つ魔王(ホ・ヘーロース・メタ・ キーリオーン・プロソーポーン)


 ――――の2枚。
 アレックスは――――


 契約主:エレオノーレ・フォン・ヴィッテンブルク
 名前:アレクサンドラ・ヨハイル・フォン・マクダウェル・エンテオフュシア
 色調:金
 方位:南
 星辰性:火星
 特性:希望
 称号:造物主(ライフメイカー)
 アーティファクト:造物主の掟(コード・オブ・ザ・ライフメイカー)最後の鍵・原典(グレートグランドマスターキー・オリジン)


 契約主:ローレンス・バシレウス・ヘラス・フォン・ヴェスペルスジミア
 名前:アレクサンドラ・ヨハイル・フォン・マクダウェル・エンテオフュシア
 色調:金
 方位:南
 星辰性:火星
 特性:希望
 称号:始まりの魔法使い
 アーティファクト:始祖の杖


 ――――の2枚。
 ラリーは――――


 契約主:エレオノーレ・フォン・ヴィッテンブルク
 名前:ローレンス・バシレウス・ヘラス・フォン・ヴェスペルスジミア
 色調:橙
 方位:北
 星辰性:金星
 特性:知恵
 称号:墓所の主(マスター・オブ・ザ・グレイヴ)
 アーティファクト:墓守のランタン


 契約主:アレクサンドラ・ヨハイル・フォン・マクダウェル・エンテオフュシア
 名前:ローレンス・バシレウス・ヘラス・フォン・ヴェスペルスジミア
 色調:橙
 方位:北
 星辰性:金星
 特性:知恵
 称号:不老不死の大賢者
 アーティファクト:賢者の片メガネ



 ――――と、成った。どれも全部チートです。ホントありがとうございます。

「カインよ、このエレオノーレ・フォン・ヴィッテンブルクと言うのは?」
『あぁ、太古の昔――一番最初に名乗ってたのがソレだった覚えがある。だからかな』
「そうなのか……名乗る名が沢山あるとこういう事も起こるか……」

「こ、このアーティファクトはッ! カイン、ラリー! この造物主の掟(コード・オブ・ザ・ライフメイカー) 最後の鍵・原典(グレートグランドマスターキー・オリジン)の構成術式を核にすれば恐らく魔法世界構築術式が完成するぞ!」
「何!? 本当かアレックス!」


 ………なんか今聞き捨てならない言葉が聞こえた気がする。聞き違いだといいなー。


「ああ! この造物主の掟(コード・オブ・ザ・ライフメイカー) 最後の鍵・原典(グレートグランドマスターキー・オリジン)の能力は様々な術式に介入する事が出来る。さらに術式を構成したり、魔法や魔法(ソレ)によって作成された生命体や人形に対する原子分解魔法(ディスインテグレイト)。否、分子レベルで分解する分子分解魔法、リライトを使用する事ができ、有無を言わさず無に還す。そして無に還したモノを再構築する事も可能。造物主の掟(コード・オブ・ザ・ライフメイカー) 最後の鍵・原典(グレートグランドマスターキー・オリジン)と術式維持の為の魔力、そして依代の星が有れば異世界とそこに住まう民を創る事は簡単に出来る!」


 ………聞き違いじゃ無かったですたい。嘘だろい……。


『……要するに、たった一回の仮契約(パクティオー)で出たたった一つのアーティファクトで、300年近くした試行錯誤の四苦八苦は無に帰した、と』
「………」
「………」


 紀元前六百と十七年。300年近くの時を無駄にした事実にしばらくの間三人で項垂れた後、何とも微妙な雰囲気と気分の中、魔法世界構築術式を完成させ、火星の膨大な魔力を利用し、火星の異次元空間に魔法世界とそこに住まう民、地球の現実世界(ムンドゥス・ウェトゥス)魔法世界(ムンドゥス・マギクス)の転移術式を作った。

 
 

 
後書き
・傀儡の操演者
 形状は指輪。左右両方の手の指全てに装着され、其処から魔力なり気なりで編まれた糸が作られる。その糸は使用者の思考一つでロボットダンスの様なカクカクな動きから、トランザム的トンデモ変態機動までなんでもござれな動きをする。糸の先端を付着させる事が出来、付着させた対象を操る事が出来る。NARUTOの傀儡のチャクラ糸的なモノ。糸は使用者の魔力に応じて無数に追加する事が出来る。

三千世界の武器を持つ者(ホ・ヘーロース・メタ・ キーリオーン・プロソーポーン)
 原作でジャック・ラカンが使っていたモノと同系統のモノ。ラカンのモノより高性能かつ大量に出現させることが可能。

造物主の掟(コード・オブ・ザ・ライフメイカー)最後の鍵・原典(グレートグランドマスターキー・オリジン)
 原作で出てきた造物主の掟(コード・オブ・ザ・ライフメイカー)のオリジナルとなったモノ(本作オリジナル)。原作の最後の鍵(グレートグランドマスターキー)と形状的には同一のモノ。

・始祖の杖
 凄まじい量の魔力を内包していて、呪文詠唱して杖を振るうと魔法を発動する事が出来るトンデモ魔杖。内包魔力は世界樹の内包魔力より少し少ない程度。内包魔力がスッカラカンに成っても日を跨ぐと完全回復する頭オカシイ杖。

・墓守のランタン
 形状は名の通りランタン。ランタンに燈る炎を見た相手に任意で幻術を掛けて昏倒させる。対魔力や魔法障壁、その他の障壁や抵抗等すっ飛ばして問答無用で幻術を掛けるのでヤッパリ頭オカシイ魔法のランタン。

・賢者の片メガネ
 名の通り片メガネ。しかもモノクルタイプ。このメガネを通して目視した魔法を解析、分解するゲテモノメガネ。


 1番エゲツナイのが、これら全て他者に貸し出すことが出来る点。



 2020/1/26
 シリウス。シリウス・ルピア・ザ・マクダウェル・エンテオフュシア
    ↓
 アレクサンドラ・ヨハイル・フォン・マクダウェル・エンテオフュシア

 メビウス・スカー・ザ・ヴェスペルスジミア・ハル・エンテオフュシア
    ↓
 ローレンス・バシレウス・ヘラス・フォン・ヴェスペルスジミア

 に変更 

 

5時間目。今日び、作者はメンヘラキャラを見ると吐き気を催すらしいぞ byローレンス

 
 
 魔法世界(ムンドゥス・マギクス)を造ってから、俺とアレックスとラリーの三人は千年くらい行動をともにした。
 純人間種(現実世界の人間とは細かな部分に違いがある)を創ったり、亜人種を創ったり、ケモミミ種族を創ったり、獣人種を創ったり、純人間種のある国家の王族にアレックスの能力(ウィッチクラフトキャンセラー)ラリーの能力(アビリティーキャンセラー)を5:5の割合で混ぜ合わせて出来た魔法無効化能力(マジックキャンセラー)を受け継がせてみたり、様々な場所に様々なダンジョンを造ったりした。

 その後、ラリーは魔法無効化能力(マジックキャンセラー)を受け継がせた国家、オスティアの王族の墓所上空に『墓守り人の宮殿』を作り、其処に住み着いた。
 アレックスは各地を転々とし、魔法世界と現実世界を行ったり来たりしている。

 俺は魔法世界から離れ、現実世界の各地をウロウロした。具体的には、日本に行って世界樹のある土地とその近辺の土地を買い取って所有地にしたり、世界樹の精霊とやらに懐かれたり、ウェールズの山奥にある集落に魔法を教えてその集落の長に触媒の杖をあげたり、世界各国の後の世に名を残す英雄から名を残すことのなかった無銘の英雄に会って友達になったり、よく分からんがアレックスの所から独立離反(?)した人形に会って懐かれたり、人の(ナリ)を取る付喪神の様でそうでない良く分からない魔導書と友人になったり、金星裏に魔界を創って自然派生した魔族と迫害される亜人達を避難させたり、木星裏の悪魔界に行って悪魔達と戦争して仲良くなったり、地獄に行って鬼達と戦争して仲良くなったり、その他にも諸々だ。


 魔族や悪魔、鬼と言った存在達は欲や野望こそあれど、我欲を満たす為に同族を蔑ろにしたり神風させたりしないからとても仲良くなれた。まあ、式神とかを依代にして顕現してる時は本体が死なないから自分から神風しに行くのが玉に瑕。それでも一人十五殺位の大分いい仕事して還るからなんとも言えないンだがなぁ。

 あ、そうだ。前々話位に言ってた教会は滅ぼした。何でか? 魔法世界に攻め入ろうとしたからオレとアレックスとラリーの三人で完膚なきまでに潰したよ。






――――――――――――――――――――――






 さて、エレオノーレ・フォン・ヴィッテンブルク――前トバルカインの現在の呼名――達が魔法世界を作ってから二千年弱の時が流れ、現在エレオノーレが居るのは中世のヨーロッパ。丁度百年戦争が起こっており、魔女狩りをしないと時代遅れと笑われるくらいに流行している時代。

 そんな時代の森の中をエレオノーレは歩いていた。特に理由はない。暇だから何となく歩いているだけらしい。


『…………』


 急に足を止め、無言で千里眼のスキル『目の届く場所(エリアフリー)』を発動する。その視線に写るは、金髪の少女と、その少女を追いかける人間。地獄耳のスキル『話は聞かせてもらった(リッスンバイチャンス)』を発動して、なぜ幼女が追い掛けられているかを確かめてみると、どうやら少女は吸血鬼で、魔女狩り(下衆共の鬱憤晴らし)の名目で追い回されているらしい。


『……(あぁ、全く持って気に入らない、気に食わない。虫酸が走る)』


 嫌悪感を顕にし、足音を立てない小走りで少女と少女を追い掛けている者達に近づき―――

魔法の射手(サギタ・マギカ) 炎の三十矢(セリエス・イグニス)!』

 ―――燃える天空(ウーラニア・フロゴーシス)を放てるくらいの魔力を込めた魔法の射手を射ち放った。


「「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」


 無論、広範囲焚焼殲滅魔法である燃える天空を放てるくらいの魔力を込めた魔法の射手が普通の魔法の射手と同じ威力なはずが無く、その魔法の射手が命中した追い掛けている者全員が断末魔と共にソボロの如きミディアムな挽肉に相成った。


『………取り敢えず、片付けたか。大事無いか? 小娘』
「え、あ、ああ。大丈夫だ。礼を言う」
『気にするな。魔女狩りの名目で鬱憤晴らしをするクズ共を逆粛清した序だ。それとなく事情は把握しているが、何故追われていた? ボロを出す様な事でもしたのか?』
「…………何のことだ?」
『とぼけなくていい。俺も立場で言えば追われる側だ。追ってくる奴はソコの焼肉の仲間入りしてるがな』


 と言って、ヒトだった挽肉を指さすエレオノーレ。


「成程、貴様もはみだし者か」
『まあ、そんな所だ。それより、早めにこの場を離れるた方がいい。追手はさっき燃やした奴等だけじゃないだろ』
「む、何故逃げる必要がある? 私はともかく、貴様程の実力があれば逃げる必要等無かろう」
『お生憎。俺は殺人鬼(シリアルキラー)でも殺す事しか出来ん獣(ナチュラルボーンキラー)でもないのでな。大分殺しはしてきたが、それでも無駄な殺しは嫌いでね』
「そうか。……ならば、貴様に着いて行っていいか?」
『…………別に構わんが、一応聞いておこう。何故だ?』
「私はまだ吸血鬼になって六十年程しか経ってない。自衛の手段を覚えようにも世論と種族がミスマッチして碌に習得も出来ず、先のようにバレれば追い回され、先月ミスって西の方の街で焼かれた」
『先月の西の街……あぁ、ディエールでの騒ぎの原因は貴様か。……ふむ、だから自衛の手段、詰まるところ魔法を教えて欲しい、と?』
「ああ。頼む」


 そう言って頭を下げる少女。

 沈黙が辺りを支配し、暫くしてからエレオノーレが口を開く。


『……ダメだな』
「…………そうか。分かった。助けてくれた事は礼を―――
『あーいや、別に魔法を教えるのは構わんのだ。だが、順序が違うだろ』
 ―――順序?」
『ああ。俺の名は……まあ、色々とあるが、現在の名はエレオノーレ・フォン・ヴィッテンブルクだ。小娘、貴様の名は何と言う?』
「あぁ、そう言う事か。小娘ではない。私の名はエヴァンジェリン。エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルだ」
『エヴァンジェリンか、良い名だ。では暫しの縁だが、宜しく頼むぞ、エヴァンジェリン』
「こちらこそ宜しく頼む。それと、私の名は長いからな、エヴァでいい」


 そう言って、互いに右手を差し出し、互いの手をがっちりと掴んだ。